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特表2024-544330発泡プラスチック又は発泡性プラスチックを提供するための混合装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】発泡プラスチック又は発泡性プラスチックを提供するための混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/94 20220101AFI20241121BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20241121BHJP
   B01F 27/116 20220101ALI20241121BHJP
【FI】
B01F27/94
B01F23/231
B01F27/116
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537042
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022085927
(87)【国際公開番号】W WO2023117641
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21215935.4
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】メツラー,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】スタンチェワ-シュヴィント,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】バルダウフ,ギュンター
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB05
4G035AE13
4G078AA26
4G078BA05
4G078DA30
4G078EA10
(57)【要約】
開示されているのは、発泡プラスチック又は発泡性プラスチック(5)を提供するために、第1成分(2)を第2成分(3)と混合するための混合装置(1)であり、混合装置(1)は、混合チャンバ(11)と、混合チャンバ(11)に配置されており回転軸(31)周りに回転可能な撹拌機(30)と、第1成分(2)を混合チャンバ(11)内に供給するための第1入口開口部(13)と、第2成分(3)を混合チャンバ(11)内に供給するための第2入口開口部(14)と、ここで第1入口開口部(13)は、第2入口開口部(14)から軸方向の間隔を有しており、プラスチック(5)を混合チャンバ(11)から出すための出口開口部(16)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡プラスチック又は発泡性プラスチック(5)を提供するために、第1成分(2)を第2成分(3)と混合するための混合装置(1)であって、前記混合装置(1)は、
混合チャンバ(11)と、
前記混合チャンバ(11)に配置されており回転軸(31)周りに回転可能である、撹拌機(30)と、
前記第1成分(2)を前記混合チャンバ(11)に供給するための第1入口開口部(13)と、
前記第2成分(3)を前記混合チャンバ(11)に供給するための第2入口開口部(14)であって、前記第1入口開口部(13)が前記第2入口開口部(14)から軸方向に間隔を空けている、前記第2入口開口部(14)と、
前記プラスチック(5)が前記混合チャンバ(11)から出るための出口開口部(16)とを備えており、
前記軸方向から見た場合において、前記第1入口開口部(13)と前記第2入口開口部(14)との間には、流体ブレーキが設けられており、前記流体ブレーキによって、前記混合チャンバ(11)は、第1混合チャンバ(11a)と第2混合チャンバ(11b)とに分割されており、前記流体ブレーキは、前記第2成分(3)の前記第1混合チャンバ(11a)への流れを防止する役割を果たしており、前記撹拌機(30)は、ガスと前記第1成分(2)とのプレミックスを供給するための、前記第1混合チャンバ(11a)に在る第1軸セクション(37)の第1手段(38)を有しており、前記流体ブレーキを通って前記第2混合チャンバに入る前記プレミックスを前記第2成分(3)と混合するための、前記第2混合チャンバ(11b)に在る第2軸セクション(39)の第2手段(40)を有する、ことを特徴とする、混合装置。
【請求項2】
ガス入口開口部(15)は、前記第1入口開口部(13)に軸方向に近接して設けられており、前記ガス入口開口部(15)を通って、前記ガス(4)の少なくとも一部は、前記第1混合チャンバ(11a)に直接導入され得ることを特徴とする、
請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項3】
前記ガス入口開口部(15)の上流には、供給ガス量を調節するためのガスバルブユニットが設けられていることを特徴とする、
請求項2に記載の混合装置(1)。
【請求項4】
前記流体ブレーキは、絞りを有することを特徴とする、
請求項1~3の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項5】
前記絞りは、混合チャンバ壁(19)と前記撹拌機(30)との間の径方向隙間(34)によって形成されていることを特徴とする、
請求項4に記載の混合装置(1)。
【請求項6】
前記撹拌機(30)は、実質的に回転対称に構成されており、シャフトカラー(33)を有しており、前記径方向隙間(34)は、前記シャフトカラー(33)と前記混合チャンバ壁(19)との間を延びていることを特徴とする、
請求項5に記載の混合装置(1)。
【請求項7】
前記撹拌機(30)は、前記軸方向に変位可能であり、軸方向の閉位置において、前記混合チャンバ(11)の前記出口開口部(16)を閉鎖することを特徴とする、
請求項1~6の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項8】
前記出口開口部(16)は、前記撹拌機(30)の前記回転軸(31)に対して実質的に同軸に配置されており、前記軸方向の閉位置は、前記撹拌機(30)の軸端位置を表すことを特徴とする、
請求項7に記載の混合装置(1)。
【請求項9】
前記撹拌機(30)の前記第1セクション(37)と前記撹拌機(30)の前記第2軸セクション(39)とは、回転が固定された方法で互いに接続されていることを特徴とする、
請求項1~8の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項10】
前記撹拌機(30)の前記第1軸セクション(37)の前記第1手段(38)は、前記撹拌機(30)の前記第2セクション(39)の前記第2手段(40)と異なることを特徴とする、
請求項1~9の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項11】
前記撹拌機(30)の前記第1軸セクション(37)の前記手段(38)及び/又は前記撹拌機(30)の前記第2セクション(39)の前記第2手段(40)は、好ましくは前記軸方向に実質的に延びる列(43)に配置された複数の径方向突起(41、45)を有することを特徴とする、
請求項1~10の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項12】
列(43)の径方向突起(41、45)は、隣り合う列の径方向突起(41、45)に対して前記軸方向にオフセットされていることを特徴とする、
請求項11に記載の混合装置(1)。
【請求項13】
径方向突起(41、45)を有する列(43)が前記撹拌機(30)の前記第1軸セクション(37)及び第2軸セクション(39)の両方に設けられている場合、前記第2セクション(37)の前記径方向突起(41)は、前記第1セクション(39)の前記径方向突起(45)よりも、互いに離間していることを特徴とする、
請求項11又は12に記載の混合装置(1)。
【請求項14】
前記径方向突起(41、45)はそれぞれ、前記径方向に変化する断面積を有することを特徴とする、
請求項11~13の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【請求項15】
前記撹拌機(30)の前記第1軸セクション(37)の前記第1手段(38)及び/又は前記撹拌機(30)の前記第2セクション(39)の前記第2手段(40)はそれぞれ、複数のブレード(48)を有しており、前記ブレード(48)によって、遠心力により外向きに押される原料は、径方向内向きに案内されることを特徴とする、
請求項1~14の何れか1つに記載の混合装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡プラスチック又は発泡性プラスチックを提供するために、第1成分を第2成分と混合するための混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO2017/004637A1には、混合チャンバと、その中において回転軸周りに回転可能に配置された撹拌機とを有する混合装置が開示されており、混合チャンバに第1液体成分を供給するための第1入口開口部が設けられており、混合チャンバに第2液体成分を供給するための第2入口開口部が設けられている。第1入口開口部と第2入口開口部とは、混合チャンバにおける異なる軸方向高さに位置しており、対応する軸方向の間隔を有する。軸方向から見た場合、第2入口開口部は、第1入口開口部と、第1成分及び第2成分の混合物が混合チャンバを出ることができる出口開口部との間に位置する。WO2017/004637A1によれば、第1成分及び第2成分の混合は、第1入口開口部の軸方向高さにおけるコンタミネーションがない、又は最小限のコンタミネーションのみとするべく、第2入口開口部の軸方向高さにおいてのみ行われる。
【0003】
さらに、WO2017/004637A1には、ポリウレタンフォームを生成するために、第1成分としてポリオール、第2成分としてイソシアネートと水を使用することが開示されている。ポリオールは、混合チャンバに入る前に空気で充填される。この空気の調整(導入、溶解、均質化)は、圧力タンクで行われており、通常、数時間から数日の時間の消費を必要とする。ポリオールにおける空気は、ポリウレタンの望ましい発泡構造を促進する。しかし、発泡構造の品質は、混合チャンバにおける圧力、温度等、多くのパラメータに左右される。混合チャンバの出口開口部がポリウレタンフォームを供給するためのノズルとして使用され、出口開口部が供給工程の開始時に開口し、供給工程の終了時に再び閉鎖される場合、望ましくない圧力変動が混合チャンバにおいて発生し得、均一な発泡構造を提供することが困難となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明はしたがって、条件が変化しても発泡プラスチック又は発泡性プラスチックの一貫して良好な発泡品質が達成され得る混合装置を提供する目的に基づくものである。
【0005】
本発明の目的は、請求項1に係る特徴の組み合わせによって解決される。本発明の例示的な実施形態は、請求項1に従属する請求項に見出され得る。
【0006】
本発明によれば、軸方向から見た場合において、第1入口開口部と第2入口開口部との間には流体ブレーキが設けられており、当該流体ブレーキによって、混合チャンバは、第1混合チャンバと第2混合チャンバとに分割されており、当該流体ブレーキは、第2成分の第1混合チャンバへの流れを防止する役割を果たす。撹拌機は、第1混合チャンバに位置する第1軸セクションにおいて、ガスと第1成分とのプレミックスを供給するための第1手段を有する。第2混合チャンバに在る第2軸セクションにおいて、撹拌機は、流体ブレーキを通って第2混合チャンバに入るプレミックスを第2成分と混合するための第2手段を有する。
【0007】
ガス入口開口部は、第1成分のための第1入口開口部に軸方向に近接して設けられることができ、当該ガス入口開口部を通って、ガスの少なくとも一部は、第1混合チャンバに直接導入され得る。ガスと第1成分とのプレミックスの供給には、ガスを小さなマイクロバブルに分解することが含まれ得る。好ましくは、これらのマイクロバルブは、第1成分と、分布されたマイクロバブルとからなる均質なプレミックスが生じるように、第1成分に均等に分布される。
【0008】
原理的に、第1成分が混合チャンバに入る前に空気で充填されることも考えられる。しかし、この場合でも、撹拌機の第1手段は、例えば溶解した形態でそこに含まれるガスを有する第1成分をプレミックスに変換する役割を果たす。溶解した形態で存在するガスは、混合チャンバに入る際に飽和圧以下に低下し得、ガスバブルの泡立ちを引き起こす。これらのガスバブルは、第1手段によって小さなマイクロバブルに分解される。しかし、より大部分のガスが、前記ガス入口開口部を通って混合チャンバに直接注入されることが好ましい。このガスの直接注入部分は、80%以上となり得る。好ましくは、直接注入部分は、製造工程によって自然に又は意図せずに第1成分に入った第1成分における空気部分が無視されれば、100%である。本発明はしたがって、通常の、第1成分の上流でのガス又は空気調整を不要にすることを可能にする。
【0009】
例えば、第1成分はポリオールと水との混合物であり得、第2成分はイソシアネートであり得る。ポリオール、水、及びイソシアネートが混合されると、放出される気体のCOを伴ってポリウレタンが形成され、COは、ポリウレタンを発泡させてポリウレタンフォームを生成する。小さなマイクロバブルは、発泡セルの形成のための核としての役割を果たす。水の添加量に加えて、ポリウレタンフォームの密度及びフォーム構造は、ポリオールとそこに含まれるマイクロバブルとからなるプレミックスの品質に明確に影響を与えることによって影響され得る。
【0010】
ガス入口開口部の上流には、ガスバルブユニットが設けられ得、ガスバルブユニットによって、供給ガス量は、正確に調整され得る。好ましくは、ガスバルブユニットは、マスフローコントローラと圧力制御バルブとを有しており、マスフローコントローラの出口は、圧力制御バルブの入口に接続されている。圧力制御バルブの出口は、混合チャンバのガス入口開口部に接続されている。圧力制御バルブによって、混合チャンバに注入されるガス(好ましくは空気)の一定の圧力が設定され得る。これにより、混合チャンバの圧力が変化しても注入圧力を一定に保つことが可能となり、ガスバルブユニットによる正確なガス量の供給が簡素化される。
【0011】
流体ブレーキは、混合チャンバを第1混合チャンバと第2混合チャンバとに分割するのに適し、また第2成分の第1混合チャンバへの流れを防止するのに適していれば、様々な設計ができる。流体ブレーキは、絞りを有し得、これにより、わずかな程度ではあるが、第1混合チャンバにおける高い圧力が第2混合チャンバよりも優勢となる。これにより、イソシアネート等の第2成分が第1混合チャンバに入り、そこで望ましくない化学反応又はコンタミネーションを引き起こすことが防がれる。そして、(第1成分とガスの)プレミックスは、絞りを通って第2混合チャンバに入り、第2成分と混合される。その後、プレミックスと第2成分との混合物は、出口開口部を通って混合チャンバを出る。流体ブレーキは、例えば、混合チャンバの壁が、上述の流体ブレーキの技術的効果が達成されるように、少なくとも断面的に、特に混合される成分に適合するように設計されるという点で、混合チャンバ自身の適切な設計によっても提供され得る。
【0012】
流体ブレーキはまた、第2成分のごく少量が第1混合チャンバに入ることを完全に排除できなくても、その発明的タスクを果たすべきである。
【0013】
絞りは、混合チャンバ壁と撹拌機との間の径方向隙間によって形成され得る。好ましくは、撹拌機は、実質的に回転対称となるように構成される。撹拌機は、シャフトカラーを有し得、径方向隙間は、シャフトカラーと混合チャンバ壁との間を延び得る。回転対称の撹拌機の場合、シャフトカラーは、外径を有する円形断面を有し得る。混合チャンバは、実質的に円筒であり、円形断面を有する円筒の側表面を有し得る。円筒の側表面の内径は、シャフトカラーの外径よりわずかに大きい。軸方向において、シャフトカラーは、数ミリメートル、例えば5~15mm延び得る。好ましくは、撹拌機と円筒の混合チャンバとは、滑らかなシャフトカラーがある場合、周方向において一貫して大きい径方向隙間が生じるように、互いに同軸に整列される。径方向隙間は、0.5mmより小さく、0.1mmよりさらに小さくあり得る。
【0014】
混合チャンバ及び撹拌機の寸法は、供給されるプラスチックの要求出力(重量/単位時間)に左右される。典型的な出力値は、0.05g/s~120g/sの範囲である。例えば、混合チャンバは、12mm~25cmの軸方向長さを有し得る。円筒の混合チャンバの内径の値は、6mm~30mmであり得る。
【0015】
例示的な一実施形態において、撹拌機は、混合チャンバ内で軸方向に移動し得る。好ましくは、撹拌機は、軸方向の閉位置をとり得、それにより混合チャンバの出口開口部が閉鎖される。撹拌機がこの閉位置から変位すると、出口開口部は開口し、それによりプラスチックが混合チャンバから供給され得る。代替の実施形態において、混合チャンバが撹拌機に対して軸方向に変位し、順に好ましくは軸方向の閉位置をとり、それにより混合チャンバの出口開口部が閉鎖されることが考えられる。混合チャンバがこの閉位置から移動すると、出口開口部が開口し、それによりプラスチックが混合チャンバから供給され得る。
【0016】
出口開口部は、撹拌機の回転軸と実質的に同軸に配置され得、軸方向の閉位置は、撹拌機の軸端位置を表し得る。混合チャンバはしたがって、その中心に配置された出口開口部を有する円錐状に先細りした端部領域を有し得る。閉位置において、撹拌機は、この端部領域上に置かれ、それにより出口開口部を閉鎖し得る。その後、撹拌機がこの閉位置からわずかに移動すると、撹拌機と円錐状に先細りした端部領域との間の出口隙間が開口する。そして、プラスチックは、この出口隙間を通って出口開口部に達する。
【0017】
例示的な一実施形態において、撹拌機の軸方向位置は、軸方向に変位可能な撹拌機と混合チャンバとの間の出口開口部の上流における任意形状の出口間隙の流路断面を調整するように利用され、それにより、混合チャンバにおける圧力に影響を与え、又は当該圧力を調整する。この例示的な実施形態はしたがって、円錐状に先細りする端部領域なしで設計されることもできる。さらに、閉位置が軸端位置であることは必須ではない。
【0018】
撹拌機の第1セクションと撹拌機の第2軸セクションとは好ましくは、回転が固定された方法で互いに接続されている。これにより、好ましくは一体に構成された、又は互いに強固に接続された2つ又は3つの部品だけで構成された、比較的簡素な構造の撹拌機がもたらされる。撹拌機の軸セクションはしたがって、混合チャンバにおいて同じ回転速度で回転する。
【0019】
例示的な一実施形態において、撹拌機の第1軸セクションの第1手段は、撹拌機の第2セクションの第2手段と異なる。これは、第1混合チャンバにおける要求と目的とが第2混合チャンバにおけるそれらと異なるという事実を考慮したものである。第1混合チャンバでは、ガスは、第1成分において細かく分散され、かき混ぜられ、又は細かく分布されるべきであるが、第2混合チャンバでは、第1成分(その中にガスを含む)と第2成分とは、一緒に混合されるべきである。しかし、撹拌機の第1軸セクションの第1手段が、撹拌機の第2セクションの第2手段に相当することも考えられる。
【0020】
撹拌機の第1軸セクションの第1手段及び/又は撹拌機の第2セクションのさらなる手段は、径方向に延びる複数の列の突起又は径方向ティースを有し得、列は、実質的に軸方向に延び得る。例示的な一実施形態において、列は、撹拌機の回転軸に直線的且つ平行に広がる。しかし、列は、撹拌機が回転したときに軸方向の流れが促進されるように、回転軸に対して傾斜した角度で傾斜することもできる。第1軸セクションにおける傾斜角度は、第2軸セクションの傾斜角度と異ならせることができる。例えば、第2成分が第1軸領域にオーバーフローするのを防止するために、流体ブレーキに加えて、第1軸セクションでは傾斜角度を0°とし、第2軸セクションでは傾斜角度を0°と異なる角度(例えば5°~15°)とすることが考えられる。
【0021】
ある列の径方向突起/ティースは、隣り合う列の径方向突起から軸方向にオフセットされ得る。それにより、ガスの良好な混合と分散とが達成される。
【0022】
径方向突起の列が撹拌機の第1軸セクションと第2軸セクションの両方に設けられている場合、第2セクションの径方向突起は、第1セクションの径方向突起よりも間隔が空けられ得る。第2軸セクションの径方向突起は、第1軸セクションの径方向突起よりも大きくすることもできる。この手段により、第1混合チャンバにおけるより細かい混合又は分散の達成が可能となる。
【0023】
概して、第1軸セクションの第1手段は、第2軸セクションの第2手段より高いピッチ数を有する。より高いピッチ数とは、単位面積当たりに設けられる突起又はティースが多いことを意味する。
【0024】
径方向突起は、径方向に変化する断面領域をそれぞれ有し得る。径方向から見た場合、突起は、外側に向かうにつれて先細りになり、又は幅が広がり得る。
【0025】
撹拌機の第1軸セクションの第1手段及び/又は撹拌機の第2セクションの第2手段は、複数のブレードをそれぞれ有しており、当該ブレードによって、遠心力により外向きに押された原料は、径方向内向きに案内される。これにより、ガスの良好且つ均質な混合又は分散が促進される。
【0026】
さらなる混合効果を達成するために、ブレードは、小さな開口部を有することができる。それによって、撹拌機が回転すると、ブレードにつかまれた原料の一部は、小さな開口部を通って押される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、図面に示される例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【0028】
図1】本発明に係る混合装置を示す。
【0029】
図2図1の混合装置の撹拌機を示す。
【0030】
図3】他の撹拌機を示す。
【0031】
図4】撹拌機の第1軸セクションの3つの変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明に係る混合装置を示しており、その全体が1で示されている。混合装置1は、混合チャンバ11を画定するハウジング10を有する。混合チャンバ11には、回転軸31周りに回転可能に取り付けられた撹拌機30が配置されている。撹拌機30は、回転軸31に対して実質的に回転対称である。撹拌機30は、部分的にのみ示されている駆動シャフト12によって駆動される。駆動シャフト12に接続するため、撹拌機30は、ピン状のシャフト接続部32を有する。好ましくは、駆動シャフト12とシャフト接続部32との間の接続は、強制嵌合接続である。
【0033】
ハウジング10には、3つの入口開口部が設けられており、まず、第1入口開口部13があり、当該開口部を通って、第1成分が混合チャンバ11に供給され得る。第2入口開口部14は、第1入口開口部13から軸方向に離れて設けられている。第1入口開口部と第2入口開口部14との間の軸方向距離は、数mm、例えば3~20mmであり得る。
【0034】
ハウジング10における第1入口開口部13と同じ軸方向高さには、ガス入口開口部15が設けられており、当該開口部を通って、ガス4は、混合チャンバ11に注入され得る。ガス4は、好ましくは空気である(ガスはまた、窒素又はCOでもよい)。
【0035】
混合チャンバ10は、発泡プラスチック又は発泡性プラスチックを生成するために使用され得る。例えば、ポリウレタンフォームは、混合チャンバ10によって生成され得る。この目的のため、第1成分2としてのポリオールと水の液体混合物は、第1入口開口部13を通って混合チャンバ11に導入される。ポリオールと反応してポリウレタンを形成するイソシアネートは、第2成分3として選択される。ポリウレタンフォームは、回転軸31と同軸に配置されており混合チャンバ11の軸端17に位置する出口開口部16を通って混合チャンバ11を出ていく。出口開口部16は、ノズル18によって形成されている。ノズル18の内径は、例えば1~8mm又は2~5mmであり得る。ノズル18の長さは、2~50mm又は30mmであり得る。生成されるプラスチック、又は発泡又は発泡性ポリウレタンフォームの流れは、図1において5で示されている。生成されたプラスチックは、混合チャンバ11を軸方向に出ていく。
【0036】
撹拌機30は、円筒のシャフトカラー33を有しており、その外径は、円筒の混合チャンバ11の内径よりわずかに小さい。したがって、シャフトカラー33と混合チャンバ壁19との間には、小さな径方向隙間34が形成される。径方向隙間34は、混合チャンバ11を第1混合チャンバ11aと第2混合チャンバ11bとに分割する絞り又は流体ブレーキの一部とみなされ得る。
【0037】
撹拌機30は、軸方向(回転軸31の方向)に移動し得る。図1は、撹拌機30の円錐形の撹拌機先端部35と、混合チャンバ11の軸端17に配置された漏斗形のインサート20との間に出口隙間36が存在する軸方向の位置における撹拌機30を示している。したがって、混合チャンバ11で生成されたプラスチックがノズル18を通って混合装置1から出ていくことが可能である。閉位置では、円錐形の撹拌機先端部35は、インサート20上に置かれており、それにより出口隙間36を閉鎖している。撹拌機30の閉位置において、出口開口部16はしたがって閉鎖されている。撹拌機先端部35とインサート20との間の隙間の軸方向の広がりは、0mm(閉位置)~2.5mmの間の値をとり得る。撹拌機30の軸方向の位置又は出口隙間36の軸方向の範囲は、混合チャンバ11における特定の圧力を設定するために利用され得る。撹拌機30の軸方向の位置を正確に調整する手段は、図1に示されていない。
【0038】
軸方向ストローク(閉位置と上端位置との差)は、軸方向に見たときにシャフトカラー33又は流体ブレーキが常に第1入口開口部13と第2入口開口部14との間に位置するような寸法とされる。第1入口開口部13と、本明細書のこの例示的な実施形態において180°オフセットされているガス入口開口部とはしたがって、常に混合チャンバ11の第1混合チャンバ11aに開口している。第2入口開口部14はしかし、撹拌機30の軸方向の位置に関係なく、常に第2混合チャンバ11bに開口している。
【0039】
ガス入口開口部4には、図1には示されていないガスバルブユニットが接続され得る。ガスバルブユニットは、混合チャンバ11に正確なガスフローを注入する役割を果たす。プラスチックの生成中、混合チャンバに注入されるガスの量がプラスチックの発泡構造に大きな影響を有することが分かっている。
【0040】
ガス4を分散させるために、及び/又はガス4を第1成分2と混合させるために、撹拌機30は、図2図4を参照して以下で詳細に説明される第1軸セクション37の第1手段38を有する。撹拌機30の第1軸セクション37は、混合チャンバ11の第1混合チャンバ11aに位置する。第1混合チャンバ11aは、シャフトカラー33と、駆動シャフト12と混合チャンバ壁との間に挿入されたシール21と、によって画定されている。シャフトカラー33から撹拌機先端部35まで延びる第2軸セクション39には、第1成分2とガス4とを有するプレミックスを第2成分3と混合するための第2手段40が設けられている。第2軸セクション39は、混合チャンバ11のうち第2混合チャンバ11bに位置する。
【0041】
第1手段38及び第2手段40について図2図4に示す例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、混合チャンバ1の動作をポリウレタン又はポリウレタンフォーム5の供給に基づいて簡単に説明すると、水を有する第1成分2としてのポリオールは、第1入口開口部13を通って第1混合チャンバ11aに供給される。同時に、空気は、ガス入口開口部15を通って第1混合チャンバ11aに注入される。撹拌機30を回転させることにより、したがって第1手段38を回転させることにより、注入されたガス4は、第1成分2内に分散される。これにより、小さなマイクロバブルのガスが発生し、第1成分2内に細かく分布される。撹拌機の回転速度は、1000~6000rpm又は1500~4000rpmであり得る。
【0042】
第1混合チャンバ11aの所定の圧力により、第1混合チャンバ11aからのプレミックスは、径方向隙間34を通って第2混合チャンバ11bに入る。そこで、プレミックス(ポリオール、水、マイクロバブル)は、第2手段40によってイソシアネート(第2成分3)と混合する。ポリオール、水、及びイソシアネートの反応中、COがポリウレタンに加えて生成される。マイクロバブルは、ポリウレタンの発泡セルを形成するCOバブルの形成のための核として作用する。ポリウレタンは、出口開口部16を通って混合チャンバ11から供給され得る。流体ブレーキ又は径方向隙間34の制限効果により、第1混合チャンバ11aと第2混合チャンバ11bとの間には(小さな)圧力勾配が生じる。当該圧力勾配は、第2混合チャンバ11bから第1混合チャンバ11aへの実質的な流れがないことを確実にする。
【0043】
これにより、イソシアネート、又はイソシアネート、ポリオール及び水の混合物が第1混合チャンバ11aに入り込み、そこで望ましくないコンタミネーションを引き起こすことが防がれる。
【0044】
供給工程が終了すると、撹拌機30は、出口開口部16を閉じるために図1に示す位置から閉位置に移動する。その際、駆動シャフト12は、撹拌機30が混合チャンバ11内でこれ以上回転しないように、ブレーキをかけられる。撹拌機先端部35をインサート20上に置くまで軸方向に下降させ、撹拌機30を徐々に停止させることは、撹拌機先端部35が残留回転によってインサート20を清掃し、きれいにするような方法で調整され得る。同時に、ガスバルブユニット(図示せず)は、ポリオールがバルブユニットに入るのを防ぐために、又はガスが第1混合チャンバ11aに溜まりすぎるのを防ぐために閉じられる。バルブユニットの閉鎖及び出口開口部16の閉鎖により、供給工程の終了後、混合チャンバは、周囲から封鎖される。別の供給工程の開始時、2つの成分2、3及びガス4は、再び回転し軸方向に変位する撹拌機30を伴って混合チャンバに再び供給される。
【0045】
図2は、図1の撹拌機30を分離して示している。さらに、図2は、撹拌機30の外周の一部のそれぞれを平坦化した2つの図を示している。図2図4の構成要素又は特徴のうち、図1の構成要素及び特徴と類似又は同一のものには、同一の参照符号が付されている。
【0046】
ガスを分布させ、マイクロバブルを発生させるための第1手段38は、矩形断面を有し得る突起又はティース41を有する。突起41は、円筒のコア42を起点として径方向外向きに延びている。矩形断面を有する突起41は、矩形断面の長い方の縁が軸方向すなわち周方向を横断する方向に延びており、軸方向に延びる列に配置される。軸方向の列の進路は、図2の外周の平坦化された部分断面図において、矢印43で強調されている。また、隣り合う列の突起41は、軸方向にオフセットして配置されていることが分かる。撹拌機30が回転し、したがって突起41が第1成分を通って移動すると、これにより、その中に含まれるガスとともに第1成分の回避運動又は変位運動がもたらされる。回避運動又は変位運動は、矢印44で模式的に表されている。
【0047】
第1手段38と同様に、第2手段40は、断面が矩形であり軸方向の列に配置された(矢印43参照)突起又はティース45を有する。ここでも、隣り合う列43の突起45の軸方向のオフセットが設けられている。図2から、第1軸セクション37のピッチ(撹拌機30の外周上の単位面積当たりの突起の数)は、第2軸セクション39のピッチよりも大きいことは明らかである。第2軸セクションのピッチに対する第1軸セクション37のピッチは、図2の突起41、45の特定の配置及び設計に関係なく、2~5の間の範囲内にあり得る。より大きいピッチは、第1混合チャンバにおけるガスの特に細かく且つ良好な分散をもたらす。したがって、第1混合チャンバ11aにおける原料の回避運動及び変位運動44は、より鋭角で繊細である。
【0048】
第1軸セクション37の突起41と第2軸セクション39の突起45とのさらなる違いは、個々の突起の径方向の高さである。より高い突起41(径方向に大きく延びている)は、より平坦な突起45と比べて、細かく徹底的な混合/分散を促進する。
【0049】
図3は、撹拌機30の他の例示的な実施形態を示している。滑らかな円筒の側表面を有する図1及び図2のシャフトカラー33に対して、ここでは、軸方向溝46aによって分断されたシャフトカラー46が設けられている。2つの隣り合う溝46aの間のシャフトカラー46の領域は、突起46bとも呼ぶことができ、これらは、第1軸セクション37の突起41及び第2軸セクション39の突起45よりも周方向に広く、隣り合う混合チャンバ壁19(図1参照)との相互作用において、第2成分が第1混合チャンバ11aに入るのを防止する流体ブレーキも表している。分断されたシャフトカラー46の防止効果は、図1及び図2の例示的な実施形態のシャフトカラー33の防止効果よりも小さい。しかし、これはまた、第1混合チャンバ11aと第2混合チャンバ11bとの間の圧力勾配を減少させる。
【0050】
好ましくは、図2からの撹拌機30の第1手段38は、ピン状のシャフト接続部32に押し込まれ得る別個のリング要素として設計されている。これにより、撹拌機30の製造が簡素化される。
【0051】
図3も、第1軸セクションの突起41が、ピン状のシャフト接続部32に押し込まれ得る別個のリング要素47によって形成され得ることを示している。これにより、撹拌機30の製造が簡素化される。
【0052】
図4は、リング要素47の種々の変形を示している。図4Bは、図3で使用されている変形を示している。突起41は、混合チャンバ壁19に直接対向する突起の端面が比較的小さくなるように、径方向外向きに先細りになっている。その結果、径方向内向きにそれぞれ供給される第1成分2及びガス4は、撹拌機30が回転しているときに比較的容易に供給され得る。撹拌機30の回転中、端面がそれぞれの入口開口部13、15に直接対向している間の時間間隔は非常に短い。
【0053】
それに対して、図4Aの変形において、突起41は、その断面が増加しており、突起41あたりの比較的大きい前面領域又は周囲領域をもたらす。撹拌機30の回転中、突起41の端面が入口開口部に対向している間の時間は、相応して長くなる。このため、第1成分2とガス4とを導入することが難しくなる傾向がある。しかし、これにより突起41は径方向にアンダーカットを有し、当該アンダーカットは、撹拌機の回転中、原料が混合されて内側に押されることを引き起こす。これにより、混合される原料に作用する遠心力によって生じ得る、良好な混合への悪影響を軽減できる。
【0054】
図4A及び図4Bの変形では、突起41の列43は、回転軸31に平行に広がっている。しかし、それらは、第1混合チャンバ11aに位置する原料がシール21の方向(図1参照、すなわちシャフトカラー33から離れる方向)に押されるように、傾いて広がることもできる。これにより、第1混合チャンバ11aにおけるより強い混合/分散がもたらされる。
【0055】
図4Cは、複数のブレード48が外周上に配置されたリング要素47の変形を示している。ブレード48は、第1混合チャンバ11aにおける原料を混合チャンバの内部に向かって押し付け、遠心力に対抗する。良好な混合/分散のために、ブレードは、小さな開口部49を有する。ブレードによって捕捉された原料の一部は、これらの開口部49を通って押され、良好な混合/分散を促進する。開口部の軸方向の高さは、隣のブレードの開口部の軸方向の高さからオフセットされている。これにより、最適に混合されない原料が沈殿し得る第1混合チャンバ11a内のデッドスペースの可能性を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1:混合チャンバ
2:第1成分
3:第2成分
4:ガス
5:プラスチック(ポリウレタンフォーム)
10:ハウジング
11:混合チャンバ(11a 第1混合チャンバ、11b 第2混合チャンバ)
12:駆動シャフト
13:第1入口開口部
14:第2入口開口部
15:ガス入口開口部
16:出口開口部
17:軸端
18:ノズル
19:混合チャンバ壁
20:インサート
21:シール
30:撹拌機
31:回転軸
32:ピン状のシャフト接続部
33:シャフトカラー
34:径方向隙間
35:撹拌機先端部
36:出口隙間
37:第1軸セクション
38:第1手段
39:第2軸セクション
40:第2手段
41:突起/ティース
42:コア
43:列
44:回避運動と変位運動
45:突起/ティース
46:シャフトカラー(46a:溝、46b:突起)
47:リング要素
48:ブレード
49:開口部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】