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特表2024-544389改善された針カバーを有する薬物送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】改善された針カバーを有する薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A61M5/20 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535733
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085637
(87)【国際公開番号】W WO2023110879
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21315275.4
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マックス・デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】トム・レヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マックス・ウィーブリンク
(72)【発明者】
【氏名】ロビー・ウィルソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
(57)【要約】
薬物送達デバイス(100~800)であって、薬物送達デバイス(100~800)の長手方向軸(A)に沿って延びるハウジング(102)と、遠位デバイス部分(DDP)とを備え、遠位デバイス部分(DDP)が、遠位部分(DP)と、近位部分(PP)と、少なくとも1つの中間部分(IP)とを備え、遠位部分(DP)が、針(210)及び支承表面(BF)の通過を可能にする遠位開口部(370)を備え、支承表面(BF)が、薬物(Dr)の注入中に患者の皮膚(220)に押し付けられるように構成され、中間部分(IP)が、遠位部分(DP)から近位部分(PP)まで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え、薬物送達デバイス(100~800)の少なくとも1つの状態において、支承表面(BF)に軸方向に隣接する領域における遠位部分(DP)の第1の径方向外寸(D3a)が、中間部分(IP)における第2の径方向外寸(D3b)よりも小さく、中間部分(IP)の外面が、長手方向軸(A)に沿った断面において、長手方向軸(A)に対して傾斜する(An4)、薬物送達デバイス(100~800)が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(100~800)であって、
前記薬物送達デバイス(100~800)の長手方向軸(A)に沿って延びるハウジング(102)と、
遠位デバイス部分(DDP)と
を備え、
前記遠位デバイス部分(DDP)が、遠位部分(DP)と、近位部分(PP)と、少なくとも1つの中間部分(IP)とを備え、
前記遠位部分(DP)が、針(210)及び支承表面(BF)の通過を可能にする遠位開口部(370)を備え、
前記支承表面(BF)が、薬物(Dr)の注入中に患者の皮膚(220)に押し付けられるように構成され、
前記中間部分(IP)が、前記遠位部分(DP)から前記近位部分(PP)まで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え、
前記薬物送達デバイス(100~800)の少なくとも1つの状態において、前記支承表面(BF)に軸方向に隣接する領域における前記遠位部分(DP)の第1の径方向外寸(D3a)が、前記中間部分(IP)における第2の径方向外寸(D3b)よりも小さく、
前記中間部分(IP)の外面の少なくとも1つの領域が、前記長手方向軸(A)に沿った断面において、前記長手方向軸(A)に対して傾斜する(An4、An7)、薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項2】
前記長手方向軸を含む又は前記長手方向軸に沿った断面において、前記中間部分(IP)の前記外面と前記長手方向軸(A)とが、15度から75度の範囲、30度から60度の範囲、又は40度から50度の範囲にある角度(An4)を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項3】
前記遠位デバイス部分(DDP)が、前記ハウジング(202)に結合された針カバー(208)の少なくとも一部であり、
好ましくは、前記針カバー(208)が、前記ハウジング(202)とは別個に製造された部品であり、
好ましくは、前記針カバー(208)が、前記ハウジング(202)に対して移動可能であり、
好ましくは、前記針カバー(208)が、前記薬物送達デバイス(100~800)の薬物容器(230)及び/又は針(210)に直接機械的に接触しない、請求項1に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項4】
前記遠位部分(DP)及び前記中間部分(IP)の少なくとも一部が、少なくとも前記薬物(Dr)の注入前及び/又は前記薬物送達デバイス(100~800)の針(110、210)の挿入前の状態で、前記薬物送達デバイス(100~800)の外部でアクセス可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項5】
前記遠位部分(DP)が、前記長手方向軸(A)を中心とする回転に関して非回転対称の外側形状を有する、及び/又は
前記遠位開口部(370)が、前記長手方向軸(A)を中心とする回転に対して非回転対称の形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項6】
前記第1の径方向外寸(D3a)及び前記第2の径方向外寸(D3b)が、前記薬物送達デバイス(100~500)のすべての動作状態において同じであり、
前記遠位デバイス部分が、第1の針カバー(108~508)である、又は第1の針カバー(108~508)に含まれ、
前記薬物送達デバイス(100~500)が、第2の針カバー(579a、RNS)を備え、
前記第2の針カバー(579a、RNS)が、前記長手方向軸に対して垂直な断面において最大外径(DM5B)を有し、
前記遠位開口部(370、570)が、第1の軸(A1)に沿って第1の幅(W5a)を有し、
前記第1の幅(W5a)が、前記最大外径(DM5B)よりも大きく、好ましくは前記第2の針カバー(579a、RNS)の前記最大外径の最大5パーセントだけ大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬物送達(100~500)。
【請求項7】
前記遠位デバイス部分(DDP)が、第1の針カバー(608、708)である、又は第1の針カバー(608、708)に含まれ、
前記針カバー(608、708)が、少なくとも2つのセグメント(S1、S2)を備え、
前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)のうちの第1のセグメント(S1)が、前記遠位部分(DP)の第1の部品(608a1)と、前記中間部分(IP)の第1の部品(608b1)とを備え、
前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)のうちの第2のセグメント(S2)が、前記遠位部分(DP)の第2の部品(608a2)と、前記遠位部分(DP)の第2の部品(608b2)とを備え、
前記中間部分(IP)の前記第1の部品(608b1)が、第1の結合要素(609a)を介して前記針カバー(608)の前記近位部分(PP、608c)に枢動可能に結合され、
前記中間部分(IP)の前記第2の部品(608b2)が、第2の結合要素(609b)を介して前記針カバー(608)の前記近位部分(PP、608c)に枢動可能に結合され、
前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)の開状態において、前記第1の径方向外寸(D3a)が、第1の値を有し、
前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)の閉状態において、前記第1の径方向外寸(D3a)が、第2の値を有し、
好ましくは、前記第1の値が、前記第2の値よりも、前記第2の値の少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(600、700)。
【請求項8】
前記薬物送達デバイス(600、700)、好ましくは前記針カバー(608、708)が、前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)を付勢して前記閉状態に枢動させる少なくとも1つの弾性要素(690、790)を備え、
好ましくは、前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が、前記第1のセグメント(S1)及び前記第2のセグメント(S2)に取り付けられ、
好ましくは、前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が、前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)に張力をかける引張要素である、又は引張要素を備え、
好ましくは、前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が、弾性バンド若しくは引張ばねである、又は弾性バンド若しくは引張ばねを含む、請求項7に記載の薬物送達デバイス(600、700)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が、前記針カバー(608、708)の内側に配置される、請求項8に記載の薬物送達デバイス(600、700)。
【請求項10】
前記第1の結合要素(609a)及び/又は前記第2の結合要素(609b)が、前記針カバー(608、708)の前記近位部分(PP)と一体的に、好ましくはフィルムヒンジとして、又はフィルムヒンジを含むように形成される、請求項7~9のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(600、700)。
【請求項11】
前記針カバー(608、708)が第1の針カバー(608、708)であり、
前記薬物送達デバイス(600、700)が、第2の針カバー(779a、RNS)を備え、
前記開状態において、前記第1のセクション(S1)及び前記第2のセクション(S2)のうちの少なくとも一方が、前記第2の針カバー(779a、RNS)又は前記第2の針カバー(779a、RNS)を保持するキャップ(712)のインサート(712)に当接する、請求項7~10のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(600、700)。
【請求項12】
前記中間部分(IP)及び前記遠位部分(DP)のうちの少なくとも一方が、弾性材料を含み、
前記弾性材料が、前記第1の径方向外寸(D3a)の減少を可能にするように構成され、
前記遠位開口部(770)の開状態において、前記第1の径方向外寸(D3a)が、第1の値を有し、
前記遠位開口部(770)の狭小状態において、前記第1の径方向外寸(D3a)が、第2の値を有し、
好ましくは、前記第1の値が、前記第2の値よりも、前記第2の値の少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(800)。
【請求項13】
前記遠位デバイス部分(DDP)が、第1の針カバー(808)である、若しくは第1の針カバー(808)に含まれる、又は前記遠位デバイス部分(DDP)が、前記ハウジングの一部であり、
前記薬物送達デバイス(800)が、第2の針カバー(879a、RNS)を備え、
前記開状態において、前記遠位部分(DP)が、前記第2の針カバー(879a、RNS)又は前記薬物送達デバイス(800)のキャップのインサートに当接し、
前記キャップの前記インサートが、前記第2の針カバー(879a、RNS)を支持及び/又は保持する、請求項12に記載の薬物送達デバイス(800)。
【請求項14】
少なくとも1つの圧縮ばね(760)を備え、
前記少なくとも1つの圧縮ばね(760)が、針カバー(708)を遠位に付勢するように構成され、
前記針カバー(708)が、前記遠位デバイス部分(DDP)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項15】
キャップ(112、712)を備え、
前記キャップ(112、712)が、前記キャップ(112、712)を前記遠位デバイス部分(DDP)の非回転対称に適合させるために、好ましくは、前記遠位開口部(370)の形状、前記遠位部分(DP)の外側形状、前記中間部分(IP)の外側形状、及び前記中間部分の内側形状(IP)のうちの少なくとも1つの非回転対称に適合させるために、前記長手方向軸に対して回転非対称である、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項16】
前記ハウジング(102)が、その内部に薬剤容器を保持するために設けられ及び/又は保持し、薬剤が、前記薬剤容器内に配置される、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項17】
前記遠位デバイス部分(DDP)が、前記ハウジング(102)の遠位部分である、及び/又は前記遠位デバイス部分(DDP)が、前記ハウジング(102)に対して移動可能ではない、請求項1~16のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項18】
前記遠位デバイス部分(DDP)が、第1の針カバー(608、708)である、又は第1の針カバー(608、708)に含まれ、前記針カバー(608、708)が、少なくとも2つのセグメント(S1、S2)と、前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)を付勢する少なくとも1つの弾性要素(690、790)とを備え、前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が前記針カバー(608、708)の内側に配置される、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項19】
薬物送達デバイス(100~800)であって、
前記薬物送達デバイス(100~800)の長手方向軸(A)に沿って延びるハウジング(102)と、
遠位デバイス部分(DDP)であって、前記遠位デバイス部分(DDP)が前記ハウジング(102)の遠位部分である、及び/又は前記遠位デバイス部分(DDP)が前記ハウジング(102)に対して移動可能ではない、遠位デバイス部分(DDP)と
を備え、
前記遠位デバイス部分(DDP)が、遠位部分(DP)と、近位部分(PP)と、少なくとも1つの中間部分(IP)とを備え、
前記遠位部分(DP)が、針(210)及び支承表面(BF)の通過を可能にする遠位開口部(370)を備え、
前記支承表面(BF)が、薬物(Dr)の注入中に患者の皮膚(220)に押し付けられるように構成され、
前記中間部分(IP)が、前記遠位部分(DP)から前記近位部分(PP)まで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え、
前記薬物送達デバイス(100~800)の少なくとも1つの状態において、前記支承表面(BF)に軸方向に隣接する領域における前記遠位部分(DP)の第1の径方向外寸(D3a)が、前記中間部分(IP)における第2の径方向外寸(D3b)よりも小さく、
前記中間部分(IP)の外面の少なくとも1つの領域が、前記長手方向軸(A)に沿った断面において、前記長手方向軸(A)に対して傾斜する(An4、An7)、薬物送達デバイス(100~800)。
【請求項20】
薬物送達デバイス(100~800)であって、
前記薬物送達デバイス(100~800)の長手方向軸(A)に沿って延びるハウジング(102)と、
遠位デバイス部分(DDP)と
を備え、
前記遠位デバイス部分(DDP)が、遠位部分(DP)と、近位部分(PP)と、少なくとも1つの中間部分(IP)とを備え、
前記遠位部分(DP)が、針(210)及び支承表面(BF)の通過を可能にする遠位開口部(370)を備え、
前記支承表面(BF)が、薬物(Dr)の注入中に患者の皮膚(220)に押し付けられるように構成され、
前記中間部分(IP)が、前記遠位部分(DP)から前記近位部分(PP)まで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え、
前記薬物送達デバイス(100~800)の少なくとも1つの状態において、前記支承表面(BF)に軸方向に隣接する領域における前記遠位部分(DP)の第1の径方向外寸(D3a)が、前記中間部分(IP)における第2の径方向外寸(D3b)よりも小さく、
前記中間部分(IP)の外面の少なくとも1つの領域が、前記長手方向軸(A)に沿った断面において、前記長手方向軸(A)に対して傾斜し(An4、An7)、
前記遠位デバイス部分(DDP)が、第1の針カバー(608、708)である、又は第1の針カバー(608、708)に含まれ、前記針カバー(608、708)が、少なくとも2つのセグメント(S1、S2)と、前記少なくとも2つのセグメント(S1、S2)を付勢する少なくとも1つの弾性要素(690、790)とを備え、前記少なくとも1つの弾性要素(690、790)が前記針カバー(608、708)の内側に配置される、薬物送達デバイス(100~800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された針カバーを有する薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスは、オートインジェクタ又は手動若しくは半自動で動作するデバイスであり得る。オートインジェクタ及び半自動で動作するデバイスにおいて、注入動作のための駆動力を送達するために、エネルギー貯蔵要素が使用され得る。エネルギー貯蔵要素は、工場において、又は使用前にユーザによって付勢され得る。薬物は、インスリン又はGLP-1(グルカゴン様ペプチド)を含み得る。しかしながら、他の薬物が注入されることもある。更に、他の医療デバイス(例えば、注入器、噴霧デバイス、又は吸入デバイス)もまた、本開示から利益を得ることができる。
【0003】
長さの異なる針、すなわち、成人用の長い針及び子供用の短い針を使用して、薬物送達デバイスを異なる標的群に適合させることが可能であり得る。しかしながら、これには、取り外し可能な針を有すること、又は針が一体化された異なる容器タイプを有することが必要になり得る。両方の選択肢とも面倒であり得る、及び/又は他の欠点を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、使いやすさを向上させた薬物送達デバイスを提供することである。本デバイスは、好ましくは、使用するのが容易且つ/若しくは快適であり、且つ/又は可能な限り少ない部品を含むべきである。更に、好ましくは、子供の皮膚への容易な注入が可能であるべきである。更に、対応する方法が提供されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって解決される。更なる実施形態は、従属請求項において与えられる。
【0006】
一実施形態によれば、薬物送達デバイスは、
- 薬物送達デバイスの長手方向軸に沿って延びるハウジング、及び/又は
- 遠位デバイス部分
を備え得る。
【0007】
ハウジングは、例えば、デバイスの他の部品(例えば、駆動機構、薬物のための容器など)を支持する円筒状の部品であり得る。ハウジングは、内部部品のための保護機能、例えば、機械的衝撃及び/又は環境的影響(例えば、湿度)などに対する保護機能を有し得る。遠位デバイス部分は、ハウジングの遠位部分であり得る、又は(例えば、デバイスの少なくとも1つの動作状態において)ハウジングから遠位に突出する針カバーによって形成され得る。
【0008】
一実施形態によれば、遠位デバイス部分は、遠位部分と、近位部分と、少なくとも1つの中間部分とを備え得る。3つの部分すべてが、その間に他の部分なしに配置され得る。よって、遠位部分は中間部分に隣接し得、近位部分は中間部分に隣接し得る。或いは、更なる部分が、これらの部分の間に配置され得る。
【0009】
一実施形態によれば、遠位部分は、針及び支承表面の通過を可能にする遠位開口部を備え得る。遠位開口部は、注入中に針が延びる針通過開口部であり得る。針は、皮膚に針を挿入する前に遠位開口部まで延びないものであり得る。よって、針は、針への直接アクセスを制限し、針への視界を制限する遠位デバイス部分内に隠され得る。
【0010】
一実施形態によれば、支承表面は、薬物の注入中に患者の皮膚に押し付けられるように構成され得る。支承表面は、平面の表面であり得る。支承表面は、遠位開口部を囲み得る。
【0011】
一実施形態によれば、中間部分は、遠位部分から近位部分まで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え得る。少なくとも1つの壁部分は、径方向に内方に面する内側表面と、径方向に外方に面する外側表面又は外面とを備え得る。針カバーを製造するために使用され得る射出成形を容易にして、例えば、冷却時間を短縮する、及び/又は冷却中の材料の変形を防止することができるように、薄い壁が好ましい場合がある。
【0012】
一実施形態によれば、薬物送達デバイスの少なくとも1つの状態において、支承表面に軸方向に隣接する領域における遠位部分の第1の径方向外寸(例えば、直径又は幅)は、中間部分における第2の径方向外寸(例えば、直径又は幅)よりも小さいものであり得る。径方向の寸法の差分は、遠位部分の軸方向位置までの距離の増加に伴う、軸方向位置における遠位部分及び/又は中間部分の拡大又は幅広化の結果であり得る。逆もまた同様であり、反対方向に、例えば遠位部分(例えば、支持面)までの距離が減少する軸方向位置では、中間部分及び/又は遠位部分の狭小化があり得る。拡大/狭小化は連続的であり得る。或いは、階段状のプロファイル又は別のプロファイルが使用されてもよい。遠位部分が狭小であることによって、薬物送達デバイスの使いやすさを向上させる(例えば、皮膚をつまむためのスペースを大きくする及び/又は注入部位を見るためのスペースを大きくする)ことができる。
【0013】
一実施形態によれば、中間部分の外面は、長手方向軸Aに沿った断面において、長手方向軸に対して傾斜し得る。この傾斜により、異なる外寸(例えば、第1の径方向外寸と第2の径方向外寸とが異なる値であること)がもたらされ得る。よって、第1の径方向外寸と第2の径方向外寸との間の差分は、中間部分の外面の傾斜角の量に対応し得る。傾斜は、例えば円錐部分の場合のように、中間部分内で一定であり得る。或いは、傾斜は、軸方向位置に応じて中間部分内で変化し得る。傾斜は、例えば、遠位部分の軸方向位置までの軸方向距離が大きいほど連続的に増加し得る。
【0014】
更なる実施形態によれば、薬物送達デバイスは、薬物容器のための保持スペース、又は薬物容器のための保持スペースと薬物容器との両方を備え得る。薬物容器は、針又は針を取り付けるための針結合要素を備え得る。
【0015】
更なる実施形態によれば、第1の径方向外寸が測定される第1の軸方向位置と、第2の径方向外寸が測定される第2の軸方向位置との間の軸方向距離が、例えば、3mm(ミリメートル)、5mm、及び/又は例えば、3cm(センチメートル)未満の長さを有し得る。
【0016】
一実施形態によれば、長手方向軸を含む又は長手方向軸に沿った断面において、中間部分の外面と長手方向軸とは、15度から75度の範囲、30度から60度の範囲、又は40度から50度の範囲にある角度を含み得る。よって、傾斜は、使いやすさを向上させる、例えば、遠位開口部(針通過開口部)へのより近いアクセス、注入部位への及び/又は皮膚をつまむのに良好な見通し線を可能にするのに適切であり得る。角度の頂点は、角度の腕と比較して遠位を指し得る、又はより遠位にあり得る。
【0017】
一実施形態によれば、遠位デバイス部分は、ハウジングに結合された針カバーの少なくとも一部であり得る。針カバーは、例えば、薬物の注入をトリガするためのトリガ機能、針注入前後の保護機能など、いくつかの機能を有し得る。
【0018】
一実施形態によれば、針カバーは、ハウジングとは別個に製造される部品であり得る。よって、針カバーとハウジングとは、互いに独立して設計及び製造されて、例えば、設計プロセスにおいてより多くの自由度を可能にする、及び/又は複数の機能を満たす単一の部品の製造と比較して生産を容易にし得る。
【0019】
一実施形態によれば、針カバーは、ハウジングに対して移動可能であり得る。よって、針カバーは、薬物送達デバイスの動作のための更なる機能、例えば、トリガ機能、使用後のロック機能などを果たし得る。針カバーは、デバイスの作動中及び/又は使用中に、少なくとも部分的にハウジング内に移動され得る。
【0020】
一実施形態によれば、針カバーは、薬物送達デバイスの薬物容器及び/又は針と直接機械的に接触しないものであり得る。よって、針カバーは、例えば、更なる保護を提供する、及び/又は無菌状態を提供するために針を覆い得る硬質な針シールドRNSとは異なる。
【0021】
ユーザの指は、薬物の注入中にハウジングと緩衝しないように、針の挿入中及び注入中に移動可能な針カバー及び/又はハウジングに対応する距離で配置され得る。
【0022】
更なる実施形態によれば、代替的に、遠位デバイス部分は、ハウジングの遠位部分であり得る。この場合、ユーザの指は、針の挿入及び/又は注入中にも遠位デバイス部分の狭小部分に触れたままであり得る。遠位デバイス部分はハウジングの一部であり、ハウジングに対して移動可能ではないため、指と移動可能なデバイス部品との干渉は不可能である。
【0023】
一実施形態によれば、遠位部分及び中間部分の少なくとも一部は、少なくとも薬物の注入前及び/又は薬物送達デバイスの針の挿入前の状態で、薬物送達デバイスの外部でアクセス可能であり得る。よって、遠位部分及び/又は中間部分に触れることは、注入の準備中、例えば皮膚をつまむ際に可能であり得る。中間部分は、針注入前及び支承表面と皮膚との間で接触する際に、より良好な見通し線を可能にし得る。
【0024】
一実施形態によれば、遠位部分は、長手方向軸を中心とする回転に関して非回転対称の外形を有し得る。非対称性を使用して、ユーザがこの薬物窓内で注入中の薬物の送達を監視し得るように薬物のぞき窓を適切にアライメントすることができる。非対称性は、更なる又は他の技術的効果を有して、例えば、より安定な遠位デバイス部分(例えば、針カバー)を提供し得る。
【0025】
更なる実施形態によれば、近位部分は、長手方向軸を中心とする回転に関して回転対称の外形を有し得る。よって、製造は、非対称部品の製造と比較して、特に射出成形が使用され、それに対応する成形ツールが使用される場合、より容易であり得る。対称部品の場合、フライス加工はより簡単でありより高速であり得る
【0026】
一実施形態によれば、遠位開口部は、長手方向軸を中心とする回転に関して非回転対称の形状を有し得る。これにより、デバイスの使いやすさを向上させることができ、例えばデバイスのより良いアライメントが可能になり得る。更に、非対称遠位部分及び非対称開口部の同じアライメントにより、製造が容易になり得、例えば、特に射出成形が使用される場合、例えば、部品がより簡素になり得る、及び/又はより薄い壁を有し得、その結果、冷却時間が短縮され、冷却中の変形が少なくなる。
【0027】
更なる実施形態によれば、遠位開口部は、長手方向軸を中心とする回転に関して回転対称の形状を有し得る。よって、ツールは、非対称開口部を製造するためのツールと比較して容易に製造され得る。
【0028】
一実施形態によれば、第1の径方向外寸及び第2の径方向外寸は、例えば薬物送達デバイスのすべての動作状態において一定(例えば、同じ)であり得る。これにより、後述の移動可能な部品の使用と比較して、デバイスの設計及び/又は製造及び/又は組立が簡素化され得る。
【0029】
一実施形態によれば、遠位デバイス部分は、第1の針カバーであり得る、又は第1の針カバーに含まれ得る。薬物送達デバイスは、第2の針カバー(例えば、硬質な針シールド(RNS))を備え得る。第2の針カバーは、針の挿入前に針から取り外され得る。第1の針カバーを通して、例えば遠位開口部を通して、第2の針カバー(例えば、RNS)の取り外しが可能であり得る。しかしながら、他の技術的解決策、例えば、注入直前にハウジングの外側のシリンジから第2の針カバー(例えば、RNS)を取り外すことが想定され得る。
【0030】
一実施形態によれば、第2の針カバーは、長手方向軸に垂直な断面において最大外径を有し得る。遠位開口部は、第1の軸に沿って第1の幅を有し得る。第1の幅は、最大外径よりも大きく、好ましくは、第2の針カバーの最大外径の最大5パーセントだけ大きいものであり得る。よって、硬質な針シールドは、第1の針カバー内の開口部を通して容易に移動され得る。
【0031】
更なる実施形態によれば、第2の針カバー(例えば、RNS)は、例えば無菌状態を提供するため、及び/又は機械的衝撃に対する保護を提供するために、可撓性の弾性ブーツを備え得る。第2の針カバー(例えば、RNS)における遠位開口部が、弾性ブーツと共に近位力を減少させて、例えば相乗効果をもたらし得る。
【0032】
或いは、一実施形態によれば、遠位デバイス部分は、同様に第1の針カバーであり得る、又は第1の針カバーに含まれ得る。しかしながら、針カバーは、少なくとも2つのセグメント、例えば互いに対して又は近位部分に対して枢動可能なセグメントを備え得る。当然のことながら、遠位デバイス部分内には、3つ以上のセグメント、例えば、3つ、4つ、又は5つのセグメントがあってもよい。
【0033】
一実施形態によれば、少なくとも2つのセグメントのうちの第1のセグメントが、遠位部分の第1の部品と、中間部分の第1の部品とを備え得る。少なくとも2つのセグメントのうちの第2のセグメントが、遠位部分の第2の部品と、遠位部分の第2の部品とを備え得る。よって、セグメントは、製造が容易な簡素な形態を有し得る。
【0034】
一実施形態によれば、中間部分の第1の部品は、第1の結合要素を介して針カバーの近位部分に枢動可能に結合され得る。中間部分の第2の部品は、第2の結合要素を介して針カバーの近位部分に枢動可能に結合され得る。よって、短く簡素な結合要素が使用され得る。しかしながら、結合のための他の位置も同様に使用され得る。
【0035】
一実施形態によれば、少なくとも2つのセグメントの開状態において、第1の径方向外寸は、例えば遠位キャップのデバイスへの取り付け(キャッピング)を可能にするために、又は他の機能を果たすために、第1の値を有し得る。
【0036】
一実施形態によれば、少なくとも2つのセグメントの閉状態において、第1の径方向外寸は、第2の値を有し得る。第2の値は、針の挿入及び/又は注入に適切であり得る。
【0037】
一実施形態によれば、第1の値は、第2の値よりも、第2の値の少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きいものであり得る。これにより、第1の状態において第2の針カバー(例えば、RNS)の容易な取り外しを可能にし、第2の状態において狭小な開口部を提供する、及び/又は第2の状態において針通過開口部に近くにアクセスすることができるようになり得る。
【0038】
更なる実施形態によれば、セグメントは硬質な材料(例えば、弾力性がない又は例えば後述のような弾性材料と比較した場合にわずかな弾力性しかない材料)を含み得る。
【0039】
一実施形態によれば、薬物送達デバイス、好ましくは針カバーは、少なくとも2つのセグメントを付勢して閉状態に枢動させる少なくとも1つの弾性要素を備え得る。これらの弾性要素は、一例のみを挙げれば、中間部分と近位部分との間にある結合要素とは異なり得る。よって、弾性要素は、その主な機能に容易に適合され得る。
【0040】
一実施形態によれば、少なくとも1つの弾性要素は、第1のセグメント及び第2のセグメントに取り付けられ得る。よって、各弾性要素が両方のセグメントに力を作用させるため、弾性要素の数を減らすことが可能であり得る。更に、弾性要素が中間部分の中央部品又はより遠位に配置される場合、てこの作用が使用され得る。
【0041】
一実施形態によれば、少なくとも1つの弾性要素は、少なくとも2つのセグメントに張力をかける引張要素であり得る、又は引張要素を含み得る。張力の使用は、他の力(例えば、圧縮力)の使用と比較して単純であり得る。しかしながら、他の実施形態では、セグメントを付勢するために、張力の代わりに、又は張力に加えて他の力が使用されてもよい。
【0042】
一実施形態によれば、少なくとも1つの弾性要素は、弾性バンド若しくは引張ばねであり得る、又は弾性バンド若しくは引張ばねを含み得る。よって、単純な機械的要素が使用され得る。
【0043】
更なる実施形態によれば、他の弾性要素もまた使用されてよく、例えば、少なくとも1つの巻線又は複数の(例えば、2、3、4などであるが、例えば100の巻線より小さい)巻線を含むばねが使用されてもよい。金属製のばね、例えば鋼製のばねが使用されもよい。
【0044】
少なくとも1つの弾性要素は、弾性バンド、合成材料、及び/又は合成ゴム若しくは天然ゴム(例えば、生ゴム)を含んでもよいし、弾性バンド、合成材料、及び/又は合成ゴム若しくは天然ゴム(例えば、生ゴム)であってもよい。エラストマー、シリコーン、シリコーンエラストマーなども使用され得る。
【0045】
少なくとも1つの弾性要素は、例えば接着又は接着接合により、それぞれのセグメントに接着され得る。或いは、他の結合技術、例えば融着、溶接などが使用され得る。二色成形(two component molding)の使用は、例えば、生産コスト及び/又は簡素さに関して有利であり得る。
【0046】
一実施形態によれば、少なくとも1つの弾性要素は、針カバーの内側に配置され得る。よって、弾性要素は、セグメントによって保護され得る、及び/又はユーザには見えないものであり得る。
【0047】
或いは、当然のことながら、少なくとも1つの弾性要素を、例えば、安全に着座又は嵌合させるために、セグメントの外面(針カバーの表面)の外側(例えば、周方向溝)に配置することも可能である。
【0048】
一実施形態によれば、第1の結合要素及び/又は第2の結合要素は、針カバーの近位部分と一体的に、好ましくはフィルムヒンジとして、又はフィルムヒンジを含むように形成され得る。よって、製造労力及び/又は組立労力が低減され得る。
【0049】
結合要素は、弾力性を持たないものであり得る。或いは、結合要素は、例えばセグメントを閉位置に付勢するために、弾力性を有し得る。この場合、弾性結合要素に加えて、上述の更なる弾性要素が使用され得る。或いは、弾性結合要素に加えて、更なる弾性要素は不要であり得る。
【0050】
一実施形態によれば、針カバーは、第1の針カバーであり得る。薬物送達デバイスは、第2の針カバーを備え得る。開状態において、第1のセクション及び第2のセクションのうちの少なくとも一方が、第2の針カバー又は第2の針カバーを保持するキャップのインサートに当接し得る。よって、キャップを容易に取り付けることが可能であり得る。
【0051】
一実施形態によれば、第2の針カバーは、長手方向軸に垂直な断面において最大外径を有し得る。遠位開口部は、第1の軸に沿って第1の幅を有し得る。開状態において、第1の幅は、最大外径よりも大きく、好ましくは、第2の針カバーの最大外径の最大10パーセント又は最大5パーセントだけ大きいものであり得る。インサートが使用される場合、10パーセントの値は有効であり得る。よって、第1の幅は、弾性要素内の力を低減するために可能な限り小さくされ得る。
【0052】
更なる実施形態によれば、開状態と閉状態との間に中間状態があり得る。中間状態は、キャップ及び第2の針カバー(例えば、RNS)が薬物送達デバイスから部分的に取り外されているデバイスの状態であり得る。第1のセクション又は第2のセクションのうちの少なくとも一方が、第2の針カバー(例えば、RNS)に当接し得るが、インサートにはもはや当接しない。第1の幅は、開状態から中間状態まで減少し、次いで少なくとも2つのセクションの閉状態まで減少し得る。少なくとも2つのセクションの閉状態において、その針が遠位開口部を通して延び得るように、0(ゼロ)mm(ミリメートル)よりも依然として大きい遠位開口部の幅が存在し得る。
【0053】
更に代替的に、一実施形態によれば、中間部分及び遠位部分のうちの少なくとも一方が、弾性材料を含み得る。弾性材料は、負荷を解放した後、負荷をかける前に存在した変形されていない初期状態に戻り得る。弾力性の量は、適切に選択され得る。弾性材料を含む針カバーは、射出成形によって製造され得る、及び/又は巻線を使用せずにばねから分かる弾力性を提供し得る。弾性材料を含む針カバーは、一体の部品及び/又は単一の部品であり得、例えば、デバイスの設計及び/又は製造及び/又は組み立てを簡素化し得る。
【0054】
一実施形態によれば、弾性材料は、例えば、第2の針カバー(例えば、RNS)がデバイスから取り外された場合に、第1の径方向外寸の減少を可能にするように構成され得る。
【0055】
一実施形態によれば、遠位開口部の開状態において、第1の径方向外寸は第1の値を有し得る。よって、弾性材料は、伸展状態にあり得る。
【0056】
一実施形態によれば、遠位開口部の狭小状態において、第1の径方向外寸は第2の値を有し得る。よって、弾性材料は、完全な緩和状態、又は伸展状態と比べて緩和状態にあり得る。
【0057】
一実施形態によれば、第1の値は、第2の値よりも、第2の値の少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きいものであり得る。よって、比較的広い第2の針カバーを取り外すことが可能であり得、また、遠位デバイス部分の開口部を通して(例えば、遠位開口部を通して)第2の針カバーを取り外した後、狭小遠位開口部を設けることが可能であり得る。狭小遠位開口部によって、例えば、上述のすべての技術的効果を、例えば見通し線に関して及び/又は注入部位へのアクセスに関して提供できる狭小遠位部分が可能になり得る。
【0058】
針カバーが第1の状態(遠位開口部が開放された状態)から第2の状態(遠位開口部が狭小化された状態)に移行すると、中間部分で測定される第2の径方向外寸も減少し得る。よって、弾性材料によって、中間部分の外面の少なくとも一部の横方向移動が可能になり得る。これにより、遠位部分の狭小化が容易になり得る、並びに/又は良好な見通し線及び/若しくは注入部位への良好なアクセスが可能になり得る。
【0059】
弾性材料は、エラストマー、シリコーン、シリコーンエラストマーなどを含み得る。他の弾性材料も同様に使用され得る。針カバーは、完全に弾性材料で作られ得る。或いは、中間部分及び/又は遠位部分のみが、弾性材料で作られ得る又は弾性材料を含み得る。この場合、近位部分への接続は、いくつかの仕方で行うことができ、例えば、接着技法(例えば、接着又は接着接合)、又は他の接続技法(例えば、溶融溶接又は成形(例えば、二色成形))が使用され得る。しかしながら、他の機械的接続技法(例えば、形状嵌合及び/又は力嵌合)が適切であることもある。針カバーの弾性部分は、例えば、良好な結合を提供するために突起又は周縁リムを使用して、硬質な部分に組み付けられてもよい。
【0060】
よって、弾性材料は、いくつかの機能、例えば、引張又は張力を提供する第1の機能及び上述の1つ以上のヒンジの機能と同様の第2の機能を果たし得る。両方の機能の相乗効果があり得、例えば、遠位開口部の狭小化は、中間部分によって囲まれる内腔を縮小することによって容易になる。
【0061】
遠位部分の材料及び/又は中間部分の材料と比較して、近位部分は、(例えば、一体的に形成された)同じ材料で作られ得る、又は(例えば長いアームが近位に延びることができるように)より硬質な材料で作られ得る。中間部分は、近位部分を介して針カバーの他の部品及び/又はハウジングに、例えば形状嵌合によって及び/又は針カバーのより近位部品に組み付けることによって結合され得る。
【0062】
一実施形態によれば、遠位デバイス部分は、第1の針カバーであり得る、又は第1の針カバーに含まれ得る。薬物送達デバイスは、第2の針カバーを備え得る。開状態において、弾性遠位部分は、第2の針カバー又は薬物送達デバイスのキャップのインサートに当接し得る。キャップのインサートは、第2の針カバーを支持及び/又は保持し得る。遠位開口部の狭小状態は、キャップ及び/又は第2の針カバー(例えば、RNS)が取り外されている場合に作動され得る。任意選択的に、キャップはインサートを備え得る。よって、弾性材料を使用することによって、注入前に第2の針カバーを容易に取り外すことが可能である。
【0063】
一実施形態によれば、第2の針カバーRNSは、長手方向軸に垂直な断面において最大外径を有し得る。遠位開口部は、第1の軸に沿って第1の幅を有し得る。開状態において、第1の幅は、最大外径に等しいものであり得る、又は最大外径よりも大きく、好ましくは、第2の針カバーの最大外径の最大10パーセント又は最大5パーセントだけ大きいものであり得る。上述及び後述のインサートが使用される場合、10パーセントの値は有効であり得る。
【0064】
ここでも、キャップ及び第2の針カバー(例えば、RNS)が薬物送達デバイスから部分的に取り外され、弾性遠位部分の少なくとも1つの内縁が第2の針カバー(例えば、RNS)に当接するが、もはやインサートに当接しないとき、開状態と閉状態との間に中間状態があり得る。第1の幅は、開状態から中間状態に減少し、最終的に遠位部分及び/又は遠位開口部の狭小状態に減少し得る。狭小状態において、遠位開口部の幅は、その針が遠位開口部を通して延び得るようにするために、0(ゼロ)mm(ミリメートル)よりも依然として大きいものであり得る。
【0065】
よって、開状態において、弾性遠位部分の少なくとも1つの内縁は、第2の針カバー(例えば、RNS)又は第2の針カバーを保持するためのキャップのインサートに当接し得る。これにより、適切なキャップ設計の使用が可能になり得る。
【0066】
一実施形態によれば、薬物送達デバイスは、少なくとも1つの圧縮ばねを備え得る。少なくとも1つの圧縮ばねは、針カバーを遠位に付勢するように構成され得、針カバーは、遠位デバイス部分を備え得る。このことは、例えば、偶発的な針刺しの危険性を低減するために、上述の針カバーの機能(例えば、注入前後の針を覆うこと)を助け得る。
【0067】
圧縮ばねの遠位端部は、針カバー(第1の針カバー、複数の針カバーがある場合には外側針カバー)の遠位部分に、例えば針カバーの内側周縁リム又はレッジに結合され得る。圧縮ばねの近位端部は、ハウジングに結合され得る。複数の圧縮ばねが使用されてもよい。
【0068】
更なる実施形態によれば、針カバーの付勢は、オートインジェクタ内で使用され得る。駆動機構の作動は、遠位に付勢された針カバーを介して開始又は有効化され得る。オートインジェクタは、ピストンロッドを薬剤容器内に駆動するように適合及び/又は構成された駆動ばね(例えば、更なる圧縮ばね)を備え得る。
【0069】
更なる実施形態によれば、オートインジェクタの場合、遠位デバイス部分の遠位付勢を使用しない他の設計原理、例えば自動針挿入及び/又は自動針格納を可能にする移動可能なカートリッジの使用も可能である。
【0070】
一実施形態によれば、薬物送達デバイスは、キャップを備え得る。キャップは、遠位デバイス部分の非回転対称性にキャップを適合させるために、長手方向軸に対して非回転対称であり得る。キャップは、
- 遠位開口部の形状(例えば、上述の非対称性のうちの少なくとも1つに対する形状)、
- 遠位部分の外側形状(例えば、上述の非対称性のうちの少なくとも1つに対する外側形状)、
- 中間部分の外側形状(例えば、上述の非対称性のうちの少なくとも1つに対する外側形状)、及び/又は
- 中間部分の内側形状(例えば、上述の非対称性のうちの少なくとも1つに対する形状)
のうちの少なくとも1つの非回転対称性に適合され得る。
【0071】
キャップの適合は、例えば、
- 材料/プラスチックを節約するため、並びに/又は
- 薬物送達デバイスの製造及び/若しくは組み立てを容易にするため、並びに/又は
- キャップの取り外しを容易にするため
に行われ得る。
【0072】
更なる実施形態によれば、キャップは、中間部分の外側形状に適合され得る。
【0073】
まだ主張されていない更なる態様及び実施形態によれば、上述の実施形態のいずれか1つによる薬物送達デバイスの使用方法が提供され、
- 薬物送達デバイスが、薬物の注入中に第1の手で保持されること、
- 別の手、好ましくは、第1の手が属するのと同じ人の別の手が、注入中に患者の皮膚、好ましくは子供又は乳幼児の皮膚をつまむために使用されること、及び
- 中間部分の傾斜面によって、注入部位に対してより良い視界を得ることができること
を含む。
【0074】
皮膚への注入深さの減少は、つまむことに起因して、及び/又は上述の遠位デバイス部分(例えば、針カバー)の使用に起因して可能である。遠位デバイス部分の狭小部分(例えば、針カバー)は、皮膚をつまむのを可能及び/又は容易にし得る。よって、薬物が誤って筋肉及び/又は骨に注入されることを防止し得る。
皮膚の操作は、中間部分及び/又は遠位部分の傾斜面に起因して、例えばすべての横方向で又は遠位部分の横方向の一部のみで容易であり得る。
【0075】
針で刺される皮膚は、子供の皮膚、例えば、14歳未満、10歳未満、又は更には5歳未満の人の皮膚であり得る。或いは、皮膚は、例えば、年齢が1歳未満の乳幼児の皮膚であり得る。
【0076】
この好ましい実施形態の作成及び使用について、以下で詳細に論じる。しかしながら、本開示は、幅広い特定の文脈において具現化され得る多くの適用可能な概念を提供することを理解されたい。論じる特定の実施形態は、開示される概念を作成し使用する特定の仕方を単に例示するものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0077】
更に、同じ参照番号は、別段の記載のない限り、同じ技術的特徴を指す。「may」という語が本出願で使用される場合、これは実際の技術的実装形態だけでなく、それを行う可能性を意味する。本開示のこの概念を、より具体的な文脈、すなわち薬物送達デバイス、特にヒト又は動物のための薬物送達デバイスにおいて、下記の好ましい実施形態に関して説明する。しかしながら、開示される概念はまた、他の状況及び/又は構成、例えば他の注入器、噴霧デバイス、又は吸入デバイスにも適用され得る。
【0078】
上記は、本開示の実施形態の特徴及び技術的利点をかなり広く概説したものである。本開示の実施形態の更なる特徴及び利点について、例えば従属請求項の主題について、以下で説明する。開示される概念及び特定の実施形態は、本明細書で具体的に論じられる概念と同じ又は同様の目的を有する概念を実現するための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることを、当業者には理解されたい。また、均等の構成は、添付の特許請求の範囲において定義されるものなど、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないことを当業者には認識されたい。
【0079】
ここで、本明細書において開示される概念及びその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。図面は原寸に比例して描かれていない。図面では、以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1A-1D】第1の実施形態による、様々な動作状態にある薬物送達デバイスの断面図である。
図2】第2の実施形態による、スリット状の開口部を有する針カバーを備える薬物送達デバイスである。
図3図2に記載の薬物送達デバイスの詳細図である。
図4図2に記載の薬物送達デバイスの適用例の断面図である。
図5A】第3の実施形態による薬物送達デバイスの斜視図である。
図5B図5Aに記載の薬物送達デバイスの軸方向図である。
図6A】遠位開口が開放された状態の、第4の実施形態による薬物送達デバイスの斜視図である。
図6B】遠位開口が閉鎖された状態の、図6Aに記載の薬物送達デバイスの斜視図である。
図7A】遠位開口が開放され、キャップ及び硬質な針シールドが所定の位置にある状態の、第5の実施形態に記載の薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図7B】キャップ及び硬質な針シールドの取り外し中の、図7Aに記載の薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図7C】キャップ及び硬質な針シールドが取り外された状態の、図7Aに記載の薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図8A】可撓性で弾力性のある針カバーの遠位開口が開放された状態の、第6の実施形態に記載の薬物送達デバイスの斜視図である。
図8B】遠位開口が狭小化された状態の、図8Aに記載の薬物送達デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
円筒座標系を参照することがあり、つまり、各位置が3つの座標、すなわち、軸方向の値(高さ、ゼロ面までの距離)と、軸までの径方向距離と、現在の径方向位置とゼロの角度を有すると定義される平面との間の角度とによって定義され得る。本明細書では、「軸方向位置における」という語は、軸方向座標を有することを意味し得る。
【0082】
遠位端部Dは、近位端部Pと比べて針に近い端部であり得る。
【0083】
最後の2桁の数字が同じである参照符号は、別段の記述のない場合、同じ要素を指し得る(例えば、針カバー208及び308)。
【0084】
本明細書における特定の実施形態は、作動要素として使用される高度な針カバーを備える注入デバイス(例えば、オートインジェクタ)に関して示される。この点に関して、すべての法的目的のために参照により含まれる国際公開第2015/004052A1号パンフレットを参照する。
【0085】
しかしながら、高度な針カバーを備える他の実施形態は、他の作動機構を備える、又は手動駆動力によって動作する薬物送達デバイスに関連し得る。この点に関して、例えば、すべての法的目的のために参照により含まれる国際公開第2014/033195A1号パンフレット又は国際公開第2014/033197A1号パンフレットを参照する。注入ボタンは、薬物送達デバイスの用量送達動作を開始及び/又は実行するための少なくとも1つのユーザインターフェース部材を提供し得る。(ダイヤル)グリップ又はノブは、用量設定表面、例えば(ダイヤル)グリップ又はノブの周方向表面を使用して用量設定動作を開始及び/又は実行するためのユーザインターフェース部材を提供し得る。送達表面は、用量送達を開始するために使用され得る。送達表面は、(ダイヤル)グリップ又はノブの近位P表面であり得る。
【0086】
デバイスは、ダイヤル伸長タイプであり得、すなわち用量設定又は容量ダイヤル調節中にデバイスの長さが増大し得る。用量設定及び用量排出動作モード中のダイヤル伸長及びボタンの運動学的特性が同じ他の注入デバイスが、例えば、Eli Lillyによって販売されているKwikpen(登録商標)及びSavvio(登録商標)デバイス、並びにNovo Nordiskによって販売されているFlexPen(登録商標)、FlexTouch(登録商標)、及びNovopen(登録商標)4デバイス、又は他の製造業者のデバイスとして知られている。したがって、これらのデバイスへの本明細書で開示される一般原則の適用は、明らかに明快であり、これ以上の説明を省略する。或いは、提案される概念は、ダイヤル伸長タイプのものではなく、例えばダイヤルノブの回転によって付勢されるねじればねを備えるデバイスで使用され得る。更に、完全機械駆動又は電気機械駆動の薬物送達デバイス(例えば、電気モータを備えるもの)が使用され得る。例えば、移動可能な針カバー(針保護要素)以外の他の作動要素が使用される場合、スペーサユニットを使用して調節され得る間隔スリーブが、基準注入深さを得るために使用され得る。
【0087】
しかしながら、本開示の一般原則は、その運動学的特性に限定されない。例えば、針を挿入及び/又は格納するために、薬物送達デバイスのハウジングに対して軸方向に移動され得る薬物のための容器が存在する、Sanofiの他の注入デバイス又は他の製造業者のデバイスへの適用のために、特定の他の実施形態が考えられ得る。
【0088】
図1A図1Dは、薬物送達デバイス100の一実施形態を示している。デバイス100は、上記及び下記で詳述される薬物送達装置におけるデバイスとして適切であり得る。図面は、動作中の様々な状態にあるデバイス100を示している。
【0089】
図1Aは、初期状態又は販売時の状態の薬物送達デバイス100を示している。薬物送達デバイス100は、ハウジング102を備え得る。ハウジング102は、その内部に薬剤容器を保持するために設けられ得る、及び/又は保持し得る。薬剤(例えば、液体の薬剤)又は薬物Drが、薬剤容器に配置され得る。ハウジング102は、針110を保持するために設けられ得る、及び/又は保持し得る(図1C参照)。換言すれば、針110は、ハウジング102に配置され得る、又は配置可能であり得る。針110は、薬剤容器の一体的な部品であり得る(例えば、(永続的又は取り外し可能に)薬剤容器本体に接続される)、又は薬剤容器とは別個のものであり得る。1つめの場合、薬剤容器はシリンジであり得る。2つめの場合、薬剤容器はカートリッジであり得る。カートリッジが薬剤容器として使用される場合、最初に、薬剤容器と針とは流体的に非連結とすることができ、薬剤容器内部と針との間の流体連通は、薬物送達デバイス100の動作中にのみ確立され得る。
【0090】
薬物送達動作を駆動するために設けられた駆動機構106が、便宜上、ハウジング102に設けられ得る。駆動機構106は、プランジャロッド104を備え得る。薬物送達デバイス100は、駆動エネルギー源(例えば、圧縮ばねなどの駆動ばね)(明示的に示さず)を更に備え得る。駆動エネルギー源は、薬物送達動作中に、薬剤容器に対して遠位方向Dにプランジャロッド104を駆動するように構成され得る。この動きの際、薬剤容器に移動可能に保持され得、且つ薬剤容器を近位に密閉し得るストッパが、薬剤容器の出口に向かって変位されて、薬剤容器内に保持された薬物Dr又は薬剤を出口を通して吐出することができる。出口は、針110によって形成又は画定され得る(図1C参照)。
【0091】
ばねとは異なる他の潜在的な駆動エネルギー源は、モータによってプランジャロッド104を駆動するための電池若しくはバッテリ、又はガス圧力を使用して薬物送達動作を駆動することができる、ガス圧力を供給するのに適したリザーバを含む。
【0092】
薬物送達デバイス100は、オートインジェクタであり得る。オートインジェクタにおける薬物送達動作を駆動するためのエネルギーは、薬物送達デバイス100に組み込まれたコンポーネントによって提供され得、多くのばね駆動ペンタイプ可変用量注入器の場合(このような場合、通常、エネルギーが用量設定手順中にユーザによってばねに与えられる)のように、デバイス100の動作中にユーザがデバイスに投入する必要はない。
【0093】
薬物送達デバイス100は、便宜上、シングルショットデバイスであり得、すなわち、1用量のみを投与するように設けられる。薬物送達デバイス100は、使い捨て薬物送達デバイス100、つまり、その使用後に廃棄されるデバイス100であり得る。デバイス100は、ペン型デバイスであり得る。薬剤容器及び/又は針110は、薬物送達デバイス100内、例えばハウジング102内で軸方向に固定され得る、又はハウジング102に対して、例えば皮膚を突き刺すために移動可能であり得る。1つめの場合、ユーザは、針110で皮膚を突き刺すための動きを行う必要があり得る。2つめの場合、針110で皮膚を突き刺すことは、薬物送達デバイスの針挿入機構によって駆動され得る。自動針格納も使用され得る。
【0094】
図1Aに示すように、薬物送達デバイス100は、キャップ112を更に備え得る。キャップ112は、薬物送達デバイス100の遠位端部Dに配置され得る。キャップ112は、デバイス100の残りの部分、例えばハウジング102、及び/又は薬物送達デバイス100の別の構成要素若しくは部材に取り外し可能に接続され得る。キャップ112は、薬物送達デバイス100の残りの部分の遠位端部D、及び/又は薬物送達動作中若しくは薬物送達動作のために、薬物送達デバイス100の内部から皮膚を突き刺すために針110(例えば、遠位針先端)が通過し得る針通過開口部を覆い得る。キャップ112は硬質な針シールドRNSに係合し得る針シールドリムーバを備え得る。硬質な針シールドRNSは、例えば、キャップ112がデバイス100から分離されたり切り離されたりしたときに、キャップ112と共に硬質な針シールドが針100から取り外されるように針110を覆い得る。ハウジング102は、便宜上、薬物送達デバイス100の長さの大部分、例えば、(キャップ12が取り付けられた状態で、及び/又はキャップが分離された状態で)薬物送達デバイス100の全長の60パーセント又は70パーセント又はそれ以上のパーセントを覆い得る。
【0095】
図1Bは、キャップ112を取り外した状態の薬物送達デバイス100を示している。図1Bによれば、デバイス100は、動作の準備ができている(例えば、薬物送達動作がトリガされたときに薬物送達動作を実行する準備ができている)状態であり得る。図示のように、薬物送達デバイス100は、針カバーNCを更に備え得る。針カバーNCは、ハウジング102から遠位側に突出し得る、及び/又はキャップ112がハウジング102に依然として取り付けられている場合、キャップ112によって覆われ得る。針カバーNCは、ハウジング10に対して初期位置又は第1の位置から第2の位置又はトリガ位置まで移動可能であり得る。針カバーNCは、薬物送達動作が開始される前にハウジング102から突出し得る針110の遠位先端を超えて延びるように設けられ得る。針カバーNCは、ハウジング102に対して近位方向に移動可能であり得る。この動きの際、例えば針カバーNCが第2の位置に到達する前に、針110はユーザの皮膚を突き刺し得る。
【0096】
針カバーNCは、薬物送達デバイスのトリガ部材108としての役割を果たし得る。トリガ部材108としての針カバーNCは、図1Bに示す初期位置又は第1の位置から第2の位置又はトリガ位置(図1C参照)に近位に移動されると、好ましくは第2の位置にあるときに薬物送達動作を自動的に初期化し得る。薬物送達動作は、遠位方向へのプランジャロッド104の移動を阻止する機械的ロックを除去することによって、又はプランジャロッド104を移動させて針カバーNCの移動を介して機械的ロックを係脱させすることによって初期化され得る。或いは、針カバーNCは、第1の位置から第2の位置に移動されたとき、及び便宜上、第2の位置にあるときにのみ薬物送達動作のトリガを可能にし得る。この場合、薬物送達動作を開始する別個のトリガ部材、例えばハウジング102の近位端部にあるトリガボタンが設けられ得る。トリガボタンを操作して薬物送達動作を開始することは、針カバーNCが第2の位置にある場合にのみ可能であり得る。また別の代替策では、針カバーNCは、薬物送達デバイス100の使用前及び/又は使用後における針刺し損傷を防ぐためにのみ設けられ得る。この場合、針カバーNCは、駆動機構106から完全に分離され得る、及び/又は薬物送達動作のトリガ、又はトリガを可能にすることに全く関与しない。
【0097】
針カバーNCは、注入中にユーザの皮膚に突き当たるように設けられ得る。したがって、針カバーNCの遠位表面は、支承表面又は支承面BFを提供し得る。支承表面BFは、針カバーNCに設けられた針通過開口部の範囲を定め得る、及び/又は針通過開口部の周囲に延び得る。支承表面16は、リング状、卵形、楕円形、長方形、二次曲線などの、周方向に閉じた、及び/又は針カバーNCの内壁から径方向に突出する内向き突出部(例えば、その遠位円筒部分)によって画定されたものであり得る。支承表面BFは、便宜上、針カバーNCの遠位端部表面(例えば、遠位に面するもの)であり得る。
【0098】
図1Cは、ハウジング102に対して第2の位置にある針カバーNCを示している。これは、例えば、薬物送達動作が開始されたとき、開始され得るとき、及び/又は針が皮膚を貫通したときの位置である。針110は、薬物送達デバイス100の支承表面BFから(特に、針カバーNCの針通過開口部を通して)軸方向に突出し、針110が支承表面BF上に突出する距離だけ皮膚を貫通し得る(皮膚はこの図では示さず)。この距離は、注入深さと特徴とする、又は注入深さに等しいものであり得る。デバイスは、薬物Drの薬物送達動作が完了するまで皮膚と接触した状態に維持され得る。薬物Drの薬物送達動作は、薬物送達デバイス100によって提供される任意選択の可聴、触覚、及び/又は視覚的指示によって指示され得る。
【0099】
薬物送達動作が完了した後、例えばピストンロッド104が遠位に移動した後、デバイス100は皮膚から取り外され得る(図1D参照)。針カバーNCは、ばね(図示せず)によって第1の位置に向かってハウジング102に対して付勢され得る。よって、デバイス100が皮膚から取り外されると、針カバーNCはハウジング102に対して第1の位置に向かって移動され得る。針カバーNCは、例えばハウジング102に対して第1の位置を超えて、最終的な、第3の、又はロックされた位置に遠位に移動され得る。この位置では、針カバーNCは、便宜上、例えば針カバーNCのロック機構とハウジング102との間のロック係合によって、近位方向Pの移動に逆らって、ハウジング102に対して軸方向にロックされ得る。軸方向にロックされているため、針カバーNCは、もはやハウジング102に対して第2の位置及び/又は第1の位置に近位に移動されない。このことにより、使用後の針刺し損傷からユーザが保護され得る。この状態で、デバイス100はロックされ得る(図1D参照)。
【0100】
或いは、移動可能な針カバーがなくてもよい。よって、遠位デバイス部分DDPが、ユーザの皮膚に押し付けられ得る。針注入は、針挿入機構によって行われ得る。任意選択の針格納機構も使用され得る。トリガは、近位トリガ要素、例えば修正されたデバイス100の近位ノブを使用して行われ得る。
【0101】
薬物送達デバイス100は、薬物送達デバイス100の近位端部領域P、例えばデバイス100の近位端部領域Pに機械的に接続され得る電子ユニットを備え得る。電子ユニットは、薬物送達デバイス100だけでなく、薬物送達デバイス100と同様又は同一の他の薬物送達デバイスにも使用され得る。或いは、電子ユニットは、薬物送達デバイス100の一体化された部品であり得る。電子ユニットは、薬物送達、例えば投与量、時間、及び日付を監視するために使用され得る。
【0102】
本明細書では、用語「薬物」又は「薬剤」は同義で使用され、1種以上の医薬品有効成分(API)又は薬学的に許容可能な塩又はその溶媒和物及び任意選択的に薬学的に許容可能な担体を含有する医薬製剤を表す。医薬品有効成分(API)は、最も広義には、ヒト又は動物に対して生物学的効果を有する化学構造である。薬理学では、薬物又は薬剤は、疾患の治療、治癒、予防、若しくは診断に使用され、又はそれとは別に、身体的若しくは精神的な健康を増進するために使用される。薬物Dr又は薬剤は、限られた期間にわたって、又は慢性疾患に対しては定期的に使用され得る。
【0103】
後述するように、薬物又は薬剤は、1つ以上の疾患の治療のために、少なくとも1つのAPI、又はそれらの組み合わせを、様々なタイプの製剤中に含むことができる。APIの例としては、分子量500Da以下の低分子、ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、及び酵素)、炭水化物及び多糖類、並びに核酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッド及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、並びにオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、リポソームなどの分子送達システムに組み込まれ得る。1つ以上の薬物の混合物もまた、企図されている。
【0104】
薬物Dr又は薬剤は、薬物送達デバイスと共に使用するように適合された一次パッケージ又は「薬物容器」内に収容され得る。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、又は1つ以上の薬物の保存(例えば、短期又は長期の保存)に好適なチャンバを提供するように構成された他の頑丈な若しくは可撓性の器であってもよい。例えば、いくつかの実施態様では、チャンバは、少なくとも1日(例えば、1日~少なくとも30日)薬物を保存するように設計され得る。場合によっては、チャンバは、薬物を約1ヶ月から約2年間、保存するように設計され得る。保存は、室温(例えば約20℃)又は冷蔵温度(例えば、約-4℃(マイナス4℃)~約4℃)で行われ得る。場合によっては、薬物容器は、投与される医薬製剤の2種以上の成分(例えば、API及び希釈剤、又は2種の異なる薬物)を各チャンバ内に1つずつ別個に保存するように構成された二重チャンバカートリッジであってもよく、又はそれを含んでもよい。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内に分配する前及び/又はその間に、2つ以上の成分間の混合を可能にするように構成されてもよい。例えば、2つのチャンバは、(例えば、2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通するように構成されてもよく、分配前にユーザが所望する場合に2つの成分を混合することを可能にすることができる。代替的又は追加的に、2つのチャンバは、成分がヒト又は動物の体内に投薬される際に混合を可能にするように構成され得る。
【0105】
本明細書に記載される薬物送達デバイスに収容される薬物又は薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療及び/又は予防に使用され得る。障害の例としては、例えば、真性糖尿病、又は真性糖尿病に伴う合併症、例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓症、例えば深部静脈血栓塞栓症又は肺血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例には、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチが含まれる。API及び薬物の例は、Rote Liste 2014などのハンドブック、例えば、これらに限定されないが、メイングループ12(抗糖尿病薬)又は86(腫瘍薬)、及びメルクインデックス第15版に記載されているものである。
【0106】
1型若しくは2型真正糖尿病又は1型若しくは2型真正糖尿病の合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体作動薬、又はその類似体若しくは誘導体、ジペブチジルペプチターゼ-4(DPP4)阻害薬、又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物、又はそれらのあらゆる混合物が挙げられる。本明細書で使用される限り、「類似体」及び「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから、天然に存在するペプチド内にある少なくとも1つのアミノ酸残基を削除及び/若しくは置換することによって、並びに/又は少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって導出できる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然に存在する残基、又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、1つ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸の1つ以上に結合している、天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式上得ることができる分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択的に、天然に存在するペプチド中に見出される1つ以上のアミノ酸が、欠失及び/又はコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよいし、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然に存在するペプチドに付加されていてもよい。
【0107】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリシン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaで置換され、位置B29においてLysがProで置換され得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0108】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0109】
GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(SAR425899)エキセナチド-XTEN及びグルカゴン-Xtenがある。
【0110】
オリゴヌクレオチドの一例は、例えば:家族性高コレステロール血症の治療用のコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))又はアルポート症候群の治療用のRG012である。
【0111】
DPP4阻害剤の例としては、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0112】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、及びゴセレリンなどの、下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストが挙げられる。
【0113】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体又は上記多糖類の硫酸化形態、例えばポリ硫酸化形態及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例には、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例は、Hylan G-F 20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0114】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化若しくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えば、マウス)抗体又は一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有し、且つ補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合能が低減されている、又は結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプタへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプタ結合領域の突然変異若しくは欠失を有するアイソタイプ若しくはサブタイプ、抗体フラグメント又は突然変異体であり得る。抗体という用語は、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)及び/又はクロスオーバー結合領域配向(CODV)を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質に基づく抗原結合分子も含む。
【0115】
「フラグメント」又は「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、そのような切断フラグメントに限定されない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的又は多重特異的な抗体フラグメント、例えば二重特異的、三重特異的、四重特異的及び多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価又は多価抗体フラグメント、例えば2価、3価、4価及び多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディ又はビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体及びVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は、当技術分野において既知である。
【0116】
「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列ではなく、且つ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で既知であるように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得る、又はCDR内の1つ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0117】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)及び抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0118】
本明細書に記載されるいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物又は薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。
【0119】
本発明の完全な範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システム及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われ得、本発明は、そのような修正形態及びそのあらゆる均等物を包含することが当業者には理解されよう。
【0120】
例示的な薬物送達デバイスは、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されるような針ベースの注入システムを含み得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されるように、針ベースの注入システムは、多回用量容器システム及び単回用量(部分的又は完全な排出を伴う)容器システムに大別され得る。容器は、交換可能な容器であり得る、又は一体化された非交換可能な容器であり得る。
【0121】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されるように、多回用量容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数回分の用量を保持し、そのサイズは、固定又は可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。別の複数回用量容器システムは、交換不可能な容器が一体化された針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数回分の用量を保持し、そのサイズは、固定又は可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。
【0122】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送出可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより、送出可能な容量の一部が排出される(部分排出)。ISO 11608-1:2014(E)にもまた記載されているように、単回用量容器システムは、交換不可能な容器が一体化された針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。
【0123】
本出願で提案される基本概念の1つは、針カバーNCの他の軸方向位置よりも近位に配置された針カバーNCの軸方向位置において半径が大きくなる針カバーNCを使用することである。よって、例えば、皮膚をつまむためのスペース及び/又は薬物送達デバイス100又は後述の他のデバイス200~800の遠位端部Dにおける注入部位を見るためのスペースが存在し得る。
【0124】
高度な針カバーNCの詳細な実施形態を、以下の図2図8Bにおいて説明する。当然のことながら、他の実施形態も可能である。
【0125】
図2は、遠位デバイス部分DDPを備える、第2の実施形態による薬物送達デバイス200を示している。第2の実施形態では、遠位デバイス部分DDPは、スリット状の開口部208を有する針カバー208の一部であり、例えば、スリットの長さは、スリットの幅よりも本質的に、例えば少なくとも2倍又は少なくとも3倍だけ長い。或いは、針カバー208は、同じ外形を有するが、回転対称開口部208、例えば円形開口部を有し得る。他の実施形態では、図2に示したものと同じ形状を有する遠位デバイス部分が、ハウジング202の一部であり得、例えば移動可能な針カバー208、N以外の他のトリガ要素であり得る。
【0126】
薬物送達デバイス200は、右手200a、例えば子供又は子供に薬物Drを投与する成人によって保持され得る。右手200aは、親指200bと、人さし指(図示せず)と、中指200dと、薬指200eと、小指200Fとを含む。その左手又はある左手200g(例えば、子供の左手又は子供に薬物Drを投与する成人の左手)は、親指200hと、人さし指200iと、中指200jと、図示されていない更なる指とを含む。親指200h及び人さし指200iは、例えば針が子供の筋肉及び/又は骨に接触するのを防ぐために、注入部位で子供の皮膚220をつまみ得る。皮膚をつまむのをやめるのは薬物Drの注入後となり得る。
【0127】
デバイス200は、ハウジング202に対して針カバー208が近位に移動することによってトリガされるオートインジェクタであり得る。或いは、デバイス200は、その近位端部でトリガされ、例えば自動針挿入及び/又は格納のための移動可能な容器/シリンジを備えるオートインジェクタであり得る。この場合、針カバー208はハウジング202に対して移動可能ではないものであり得る。
【0128】
更に、代替的に、デバイス200は、手動で駆動されるデバイスであり得、例えば、針カバー208がデバイス200の非作動状態において針(図2に示さず。図4の針210を参照)を部分的にのみ覆うデバイスであり得る。また、この場合、針カバー208はハウジング202に対して移動可能ではないものであり得る。この設計は、例えば近位端部にあるボタンによって作動され得る手動で駆動されるデバイスと互換性があり得る。
【0129】
デバイス200は、メインハウジング部品202に配置された少なくとも1つの任意選択の薬物窓201又は少なくとも2つの任意選択の薬物窓を備え得る。薬物窓201は、薬物Drの送達を監視することを可能にし得る。メインハウジング部品200は、その遠位D端部に遠位部分202aを備え得る。
【0130】
針カバー(例えば、作動要素)208は、遠位部分208a、DPを備え得る。針カバー208(針シュラウド)の遠位部分208a、DPは、ハウジング202の外側に配置され得る。中間部分208bもまた、特に注入が行われない状態では、ハウジング202の外側に配置され得る。針カバー208、NCのリング部分208c又は近位部分PPもまた、ハウジング202の外側に配置され得る。しかしながら、或いは、リング部分208c又は近位部分PPは、ハウジング202、特にハウジング202の遠位部分202aによって囲まれ得る。例えば近位に延びる2本のアームを備える、ハウジング202内に延びる細長い近位部分208cが存在し得る。或いは、近位部分208cは、比較的短く、例えば、任意選択の薬物窓201の遠位端部における軸方向位置まで近位に延びない場合がある。
【0131】
更に、デバイス200は、薬物送達デバイス100に関して上述した部品の全部又は一部、例えばピストンロッド、駆動機構などを備え得る。
【0132】
図3は、薬物送達デバイス200の詳細図を示している。明らかに分かるように、針シュラウド208は、同等の狭小遠位部分208a、DPと、例えば長手方向軸Aを含むいくつかの平面内又は長手方向軸Aを含むすべての平面内のみで、例えば遠位部分DPまでの距離が増加すると少なくともその外側が幅広になる中間部分208b、IPと、円形の外径を有し得、遠位部分DPまでの距離が増加しても幅広にならないものであり得るリング部分208c又は近位部分PPとを有し得る。本実施形態では、針シュラウド/カバー208は、デバイス200の軸A1及び長手方向軸Aを含む平面においてのみ幅広になり得る。反対に、針シュラウド208は、軸A1に垂直な軸A2を含み、且つ長手方向軸Aを含む平面において、本質的に同じ幅又はわずかに増加した幅、例えば針シュラウド208の遠位端部における外側幅の増加が5パーセント未満である幅を有する。しかしながら、他の実施形態では、針シュラウド208は、両方の平面において外径が増加してもよく、例えば円錐形状が使用され得る。
【0133】
第2の実施形態では、部分208a、208b、及び208cは、互いに対して移動可能ではなく、例えば、針カバー208(シュラウド)は、針カバー208の他の部品に対して移動可能な部品、及び/又は弾性的に変形可能な部分若しくは部品を持たない部品である。
【0134】
遠位部分208a、DPは、遠位に面する支承面BF(支承表面)を備え得、開口部370を備え得る。開口部370は、以下によって形成され得る。
- 長い第1の側壁372(例えば、横断軸A2に平行であり得るまっすぐな側壁372)。
- 長い第2の側壁374(例えば、これも横断軸A2に平行であり得るまっすぐな側壁374)。
- 側壁372の長さと比べて長さの短い第3の側壁376。側壁376は、横断軸A1に平行であり得るまっすぐな側壁374であり得る。
- 側壁372の長さと比べて長さの短い第4の側壁378。側壁378は、横断軸A1に平行であり得るまっすぐな側壁378であり得る。
【0135】
以下の軸方向を向く縁部は、遠位部分208a、DPから近位部分208c、PPまで近位に延び得る。
- 「上」「左」縁部380、
- 「上」「右」縁部382、
- 「下」「右」縁部384、及び
- 「下」「左」縁部386(破線参照)。
【0136】
「上」、「下」、「左」、及び「右」の位置は、図3に示すような薬物送達デバイス200の見え方において有効である。しかしながら、デバイス200を別の視点から見た場合及び/又は異なる位置において見た場合、これらの位置はそれに応じて変化する。
【0137】
図3において隠れているデバイス200の側にある近位部分208cにおいて、縁部380及び386が合流し得る。図3から分かるように、縁部382及び384は、近位部分208cにおいて合流し得る。
【0138】
第1の凹側面389aは、デバイス200の隠れた側において、縁部380と縁部386との間に形成されて、皮膚220を押圧及び/又はつまむために使用される1本以上の指(例えば、人さし指200i)のための中間空間を形成し得る。第2の凹側面389b及び皮膚を押圧及び/又はつまむための指(例えば、親指200h)のための対応する中間空間は、図3に示すように、縁部382と縁部384との間に形成され得る。
【0139】
軸A1及び長手方向軸Aを含む平面において、以下の寸法があり得る。
- 遠位部分208a、DPの径方向に面する外面の、長手方向軸Aからの径方向距離R3a。径方向距離R3aは、軸A1に沿って測定される。
- 中間部分208b、IPの径方向に面する外面の、長手方向軸Aからの径方向距離R3b。径方向距離R3bは、軸A1に平行な軸に沿って測定され得る。
- 径方向距離R3a及び径方向距離R3bの測定に使用される長手方向軸A上の位置間の軸方向距離AD3。軸方向距離AD3は、3mmより大きい、又は5mmより大きいものであり得る。
- 近位部分208c、PPの直径D3c(例えば、軸A1に平行なもの)。
- 遠位開口部370の幅W3a(例えば、軸A1に沿ったもの)。
【0140】
距離R3bは、距離R3aよりも大きく、例えば、距離R3aの少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きいものであり得る。直径D3cは、例えば、距離R3bの少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセントだけ大きいものであり得る(例えば、距離R3bの2倍を超えるものであり得る)。すべての寸法R3a、R3b、AD3、D3c、及びW3aは、デバイス200のすべての動作状態において固定(一定)値を有し得る。
【0141】
軸A2及び長手方向軸Aを含む平面において、以下の寸法があり得る。
- 遠位部分208a、DPの径方向に面する外面の、長手方向軸Aからの軸A2に沿った径方向距離R3d。
- 中間部分208b、IPの径方向に面する外面の、長手方向軸Aからの径方向距離R3e。径方向距離R3eは、軸A2に沿って測定され得る、且つ軸A2に平行な軸であり得る。
- 径方向距離R3d及び径方向距離R3eの測定に使用される長手方向軸A上の位置間の軸方向距離AD3。
- 近位部分208c、PPの直径D3f(例えば、軸A2に平行なもの)。
- 遠位開口部の幅W3d(例えば、軸A2に沿ったもの)。
【0142】
距離R3dは、距離R3eに等しいものであり得る、又は両方の距離の間に小さな差(例えば、距離R3dの5パーセントより小さい差)しかないものであり得る。直径D3fは、距離R3eの2倍に等しいものであり得る、又は直径D3fと距離R3eの2倍との間に小さな差(例えば、距離R3eの5パーセントより小さい差)しかないものであり得る。直径D3eは、直径D3fに等しいものであり得る(例えば、近位部分208cは、円形部分又は円筒部分であり得る)。既に述べたように、開口部の370はスリットであり得、例えば幅W3dは、W3bよりも例えば少なくとも係数2倍、2.5倍、又は3倍大きいものであり得る。同様に、距離R3dは、距離R3aよりも、例えば少なくとも係数2倍、2.5倍、又は3倍だけ大きいものであり得る。
【0143】
ここでも、すべての寸法R3d、R3e、AD3、D3f、及びW3aは、デバイス200のすべての動作状態において固定(一定)値を有し得る。
【0144】
径方向外寸D3a及びD3bは、距離R3a及びR3bの代わりに使用され得る。径方向外寸D3aは、径方向距離R3aの2倍である。径方向外寸D3bは、径方向距離R3bの2倍である。
【0145】
薬物窓201は、ユーザによる注入部位の適切な準備を(例えば、凹部389a又は389bのおかげによる見通し線が遮られない状態を使用して)可能にするために、及び/又は薬物窓のうちの1つ(例えば、薬物窓201)を通して薬物Drの注入の良好な監視を可能にするために、開口部370の短辺及び/又は遠位部分208a、DPの短辺にアライメントされ得る。本明細書で言及される他のすべての実施形態についても同じことが言える。
【0146】
図4は、薬物送達デバイス200の適用例の長手方向断面図を示している。デバイス200は、まだ作動されていない注入前状態にあり得る。メインハウジング202の遠位部品202aは、シリンジ230の遠位部品を囲み得る。シリンジ230は、バレル部分232と、肩部234と、ネック部分236と、フランジ(図示せず)とを備え得る。針210は、ネック部分236に一体化され得る(例えば、ネック部分236の中央孔に接着され得る)。
【0147】
図4に示すように、針210の遠位先端は、中間部分208b、IPによって囲まれる軸方向位置に配置され得る。図4に示す状態では、針210は、開口部370内に配置されないものであり得る。よって、針210の先端に触れることは不可能であり得る。針刺しに起因する損傷は効果的に防止され得る。更に、針210は見えないものであり得るため、患者の針に対する恐怖感が軽減される。
【0148】
針カバー208(針シュラウド)の任意選択の第1のアーム208d1が存在し得る。アーム208d1は、近位に、例えばリング部分208cから延び得る。更に、針カバー208(針シュラウド)の第2のアーム208d2が存在し得る。アーム208d1もまた、近位に、例えばリング部分208cから延び得る。或いは、ただ1つのアーム208d1、208d2のみが、デバイス200のトリガに使用され得る。デバイス200の他の実施形態では、デバイスは、針カバー208を使用してトリガされず、例えば、アーム208d1及び208d2は省略される。
【0149】
針カバーばね260は、針カバー208内に配置されて、針カバー208を遠位Dに付勢し得る。ばね260は、シリンジ230の遠位先端の周囲に配置され得る。シリンジ230は、ハウジング202内に、例えば軸方向及び径方向に延びるリブによって保持され得る中央円筒部分を使用して保持され得る(例えば、図5Bに示す同様のリブ540~543及び同様の中央ハウジング部品503を参照)。しかしながら、他の実施形態では、針カバー208はハウジングに関して移動可能ではない(例えば、ばね260は省略され得る)。更に、ハウジング202は、遠位デバイス部分DPとして、遠位部分DPと、中間部分IPと、近位部分PPとを備えるように修正され得る。
【0150】
線L4aは、ハウジング202の遠位部分202aの遠位端部を示している。更に、線L4bは、針カバー208と皮膚220との間の境界(接触領域)を示している。例示的に、親指200hの爪421が示されている。図4において明らかに分かるように、開口部370の幅W3aは、例えば直径D3cよりもはるかに小さく、したがって狭小針カバー208を可能にする。更に、幅W3aは、シリンジ230のバレル232の直径よりも小さく、更には、ネック部分236(円錐)の最大直径よりも小さいものであり得る。回転対称針カバー又は本質的に回転対称針カバーを使用するデバイスは、RNSの全周に取り付けられ得るグラバを介してRNSを取り外し得る。非回転対称の針カバーを使用するデバイスの場合、グラバがRNSを針カバーホールのより広い端部(側面)にある2箇所の反対側を向く場所において保持する設計により、RNSを取り外すことが可能であり得、また、針カバーの薄い部分が干渉するところではRNSを保持しない。
【0151】
当然のことながら、親指200hと人さし指200iとの間の距離D4は、直径D3cよりも小さい可能性がある。この場合、親指200h及び人さし指200iは、凹側面389a、389bの近く配置され得、特に注入の準備中にこれらの側面389a、389bに接触することさえあり得る。好ましくは、親指200hと人さし指200iとの間の距離、及び/又はこれらの指200h及び200iの線L4aまでの距離は、例えばハウジング102が皮膚220に押し付けられたとき、針カバー208、NCがハウジング102に対して軸方向に(例えば、近位に)移動するときに、デバイス200が注入中にこれらの指と干渉しないように適合される。
【0152】
角度An4は、中間部分208b、IPの側壁の外面と長手方向軸Aとの間に含まれ得る。角度An4は、上記の説明の導入部分に記載されている範囲のうちの1つの範囲内にあり得る。角度An4は、例えば線L4aと線L4bとの間の中間空間内において、特に、皮膚220に対する長手方向軸Aの方向(すなわち、遠位方向に斜め)におけるハウジング202の遠位部分202aの遠位境界の投影内の領域において、ハウジング202の遠位境界を通過する、注入部位に対するユーザの見通し線が遮られない状態を可能にし得る。
【0153】
図5Aは、第3の実施形態による薬物送達デバイス500の斜視図を示している。薬物送達デバイス500は、上述のデバイス100又はデバイス200と同様であり得る。デバイス500は、以下を備え得る。
- 少なくとも1つの任意選択の薬物窓501(例えば、薬物窓501と同様のもの)。
- メインハウジング部品502(例えば、ハウジング部品102及び202と同様のもの)。
- 針カバー508(作動要素又は作動要素ではないもの)。
- シリンジ(図5Aには示さず。このシリンジのいくつかの部品を示す図5Bを参照)(例えば、シリンジ230と同様のもの)。
【0154】
更に、デバイス500は、薬物送達デバイス100又は200に関して上述した部品の全部又は一部、例えばピストンロッド、駆動機構などを備え得る。
【0155】
針カバー508は、以下を備え得る。
- 遠位部分508A、DP、
- 中間部分508b、IP、及び
- リング部分508c又は近位部分PP。
【0156】
明らかに分かるように、針シュラウド508は、同等の狭小遠位部分508a、DPと、例えば、長手方向軸Aを含む少なくとも1つの平面内のみで、例えば、遠位部分DPまでの距離が増加するとその外側が幅広になる中間部分208b、IPと、円形の外径を有し得、遠位部分DPまでの距離が増加しても幅広にならないリング部分508c又は近位部分PPとを有する。
【0157】
針カバー(シュラウド)508の遠位開口部570は、以下を備え得る。
- 湾曲した長い第1の側壁572、
- 湾曲した長い第2の側壁574、
- 側壁572の長さと比べて長さが短い第3の側壁の576(例えば、軸A1に平行であり得るまっすぐな側壁の576)、及び
- 側壁572の長さと比べて長さが短い第4の側壁578(例えば、軸A1に平行であり得るまっすぐな側壁578)。
【0158】
軸A1に沿った開口部570の幅W5aは、第2の実施形態のデバイス200に有効な幅W3aよりもはるかに大きいものであり得る。軸A2に沿った開口部570の幅W5dは、幅W5aよりも、例えば1.2倍大きいが2倍よりも小さい、又は1.5倍よりも小さいものであり得る。よって、開口部570は、例えば開口部370によって形成されたスリットとは異なる楕円形の開口部であり得る。図5Bの説明において後述するように、シリンジから、そして開口部570を通して、硬質な針シールド759a、RNS(特許請求の範囲における第2の針カバー)を取り外すことが可能である。
【0159】
軸A1及び長手方向軸Aを含む平面において、以下の寸法があり得る。
- 遠位部分508aの径方向に面する外面の、長手方向軸Aまでの第1の(径方向)距離R5a(例えば、軸A1に沿って測定されるもの)。
- 中間部分508bの径方向に面する外面の、長手方向軸Aまでの第2の(径方向)距離R5b(例えば、軸A1に平行な軸に沿って測定されるもの)。
- 径方向距離R5a及び径方向距離R5bの測定に使用される長手方向軸A上の位置間の軸方向距離AD5。軸方向距離AD3は、3mmより大きい、又は5mmより大きいものであり得る。
- 遠位開口部570の幅W5a(例えば、軸A1に沿って測定されるもの)。
- デバイス200に関して言及した寸法と同様の寸法(例えば、直径D3cと同様のもの)。
【0160】
距離R5bは、針カバー508の拡大のために、距離R5aよりも大きいものであり得る。これらの寸法間の関係は、デバイス200の寸法間の関係に関して上述したのと同様であり得る。
【0161】
軸A2及び長手方向軸Aを含む平面において、以下の寸法があり得る。
- 遠位開口部570の幅W5d(例えば、軸A2に沿って測定されるもの)。
- デバイス200に関して言及した寸法と同様の寸法(例えば、径方向距離R3d、径方向距離R3e、直径D3fと同様のもの)。
【0162】
これらの寸法間の関係は、デバイス200の寸法間の関係について上述したのと同様であり得る(例えば、幅W5dは幅W5aよりも大きいものであり得る)。
【0163】
径方向外寸D5a及びD5bは、距離R5a及びR5bの代わりに使用され得る。径方向外寸D5aは、径方向距離R5aの2倍である。径方向外寸D5bは、径方向距離R5bの2倍である。
【0164】
図5Bは、薬物送達デバイス500の長手方向軸Aの方向に見た図を示している。図5Bは、以下を示している。
- 軸方向/径方向リブ540~543(例えば、中央ハウジング部品502から径方向に内方に延びるもの)。
- ハウジング部品502の中央部品503(例えば、軸方向/径方向リブ540~543によって保持されるもの)。
- シリンジの肩部534。シリンジは、例えば別個のシリンジキャリアを使用する、又は別個のシリンジキャリアを使用することなく、中央部品503内に保持され得る。
- 硬質な針シールド579a、RNS(例えば、シリンジのネック部分(例えば、円錐)に取り付けられた針シールド)。
- 硬質な針シールド579a任意選択の遠位開口部579b。
- 硬質な針シールド579aの可撓性及び/又は弾性インサート579c(ブーツ)(例えば、シリンジの無菌輸送及び無菌保存を可能にし得るインサート)。
【0165】
硬質な針シールド579aは、長手方向軸Aに対して垂直な断面内に最大直径DM5Bを有し得る。
【0166】
開口部570の最小幅W5aは、直径DM5Bよりもわずかに大きいものであり得る(例えば、硬質な針シールド579aの全周に沿って硬質な針シールド579aの周囲を周方向になにもない状態にする)。幅W5aは、直径DM5Bよりも、直径DM5Bの最大5パーセントだけ大きいものであり得る。よって、シリンジ(肩部534)から、そして開口部570を通して、開口部570の縁部に接触することなく、又は1つの縁部のみに接触するだけで硬質な針シールド579aを容易に取り外すことが可能であり得る。しかしながら、他の実施形態では、幅W5aは最大直径DM5Bに等しいものであり得る、又はわずかに小さい(例えば、幅W5aの5パーセントよりも小さい)ものであり得る。よって、例えば、硬質な針シールド579aが円錐状である場合(例えば、わずかに円錐状である場合)、硬質な針シールド579aの近位部分のみが、開口部570の縁部(例えば、開口部570の両側の縁部)に接触する。
【0167】
更なる実施形態では、幅W5aは、遠位直径(例えば、硬質な針シールド579aの最小直径)に等しい、又はわずかに小さいものであり得る。よって、硬質な針シールド579aは、楕円形の開口部570を通過するために変形される。追加的又は代替的に、RNS直径の周囲で針カバー開口部を変形させることが可能であり得るが、これは主要な実施形態ではない。針カバー開口部は、例えばキャップによって所定の位置に保持され得、これは図8A及び図8Bに概説されている概念と同様であり得る。
【0168】
他の実施形態によれば、遠位部分508a、DPの外形は、上述したもの同じであり得る、又は別の形状(例えば、楕円形又は長方形)であり得る。しかしながら、遠位開口部は回転対称であり得、例えば、直径が幅W5aに等しい円形及び上述のその変形形態であり得る。
【0169】
図6Aは、遠位開口670が開放された状態の、第4の実施形態による薬物送達デバイス600の斜視図を示している。デバイス600は、デバイス100~500のうちの1つと同様であり得る。デバイス600は、以下を備え得る。
- 少なくとも1つの任意選択の薬物窓601、
- メインハウジング602又はハウジング部品、及び
- デバイス600の作動要素であり得る、又は作動要素ではないものであり得る針カバー608。
【0170】
更に、デバイス600は、薬物送達デバイス100~500に関して上述した部品の全部又は一部、例えばピストンロッド、駆動機構などを備え得る。
【0171】
針カバー608は、以下を備え得る。
- 少なくとも2つの枢動可能なセグメントS1及びS2、並びに
- 近位部分608c、PP(例えば、リング部分又は円筒部分)(例えば、近位部分208cを参照)。
【0172】
枢動可能なセグメントS1及びS2は、例えば、後で詳述する結合要素609a、609bを使用して、近位部分608c、PPに機械的に結合され得る。枢動可能なセグメントS1及びS2は、長手方向軸Aの周囲に配置され、且つ長手方向軸Aに沿って延び得る。少なくとも枢動可能なセグメントS1及びS2の閉位置において、針は、すべての側面からセグメントS1、S2によって囲まれて、針の損傷を防ぎ得る、及び/又は針を隠し得る。当然のことながら、長手方向軸Aの周囲に配置された3つ以上のセグメントがあってもよい。
【0173】
第1の枢動可能なセグメントS1は、以下を備え得る。
- 第1の遠位部分608a1(例えば、遠位部分208aの一方の半分に対応するもの)、及び
- 第1の中間部分608b1(例えば、本質的に中間部分208bの一方の半分に対応するもの)。
【0174】
第2の枢動可能なセグメントS2は、以下を備え得る。
- 第2の遠位部分608a2(例えば、遠位部分208aの他方の半分に対応するもの)、及び
- 第2の中間部分608b2(例えば、本質的に近位部分208bの他方の半分に対応するもの)。
【0175】
よって、遠位部分DPは、少なくとも2つの遠位部分608a1、608a2、又は3つ以上(例えば、3つ、4つなど)の遠位部分を備え得る。更に、中間部分IPは、少なくとも2つの中間部分608b1、608b2、又は3つ以上(例えば、3つ、4つなど)の中間部分を備え得る。
【0176】
結合要素609a、609bは、例えば、(例えば、単一の部品として)中間部分608b1、608b2及び近位部分608cと一体的に形成され、且つ同じ材料で作られたフィルムヒンジを含み得る。或いは、中間部分608b1、608b2及び近位部分608cに使用される材料と比較して、より可撓性の材料を結合要素609a、609bのために使用する他の技術的解決策(例えば、二色射出成形)が使用されてもよい。他のヒンジ要素(例えば、金属ループ及び/又はフック)も使用され得る。
【0177】
リング部分608cは、少なくとも1つ又は少なくとも2つの遠位突出突起を備え得る。これらの突起のうちの1つ(例えば、突起608cP1)が、リング部分608cの上部部分688aに位置するため、図6Aに示されている。他の突起は、突起608cP1と同様の形状を有するが、図6AではセグメントS2によって隠されているリング部分608の下部部分に配置される。これらの突起(例えば、608cP1)は任意選択であり、セグメントS1及びS2の縁部は、突起の形状に適合され得る(例えば、相補的形状を有し得る)。
【0178】
針カバー608の開口部は、少なくとも2つ又は3つ以上の状態を有し得る。例えば、開状態(図6Aに示すような開状態670を参照)及び閉状態(図6Bに示するような閉状態670bを参照)
【0179】
開口部670(開)、670b(閉)は、以下を備え得る。
- 遠位部分608a1上の長い第1の側壁672(例えば、まっすぐな側壁、例えば軸A2に平行なもの)、
- 遠位部分608a2上の長い第2の側壁674(例えば、まっすぐな側壁、例えば軸A2に平行なもの)、
- 遠位部分608a1、DP上にある、短い第3の側壁の第1のセグメント676a(例えば、まっすぐなセグメント676a、例えば軸A1に平行なもの)、
- 遠位部分608b1、DP上にある、短い第3の側壁の第2のセグメント676b(例えば、まっすぐなセグメント676b、例えば軸A1に平行なもの)、
- 遠位部分608a1、DP上にある、短い第4の側壁の第1のセグメント678a(例えば、まっすぐなセグメント678a、例えば軸A1に平行なもの)、及び
- 遠位部分608b1、DP上にある、短い第4の側壁の第2のセグメント678b(例えば、まっすぐなセグメント678b、例えば軸A1に平行なもの)。
【0180】
軸方向を向く縁部680~686(図6B参照)は、上述した縁部380~386に対応し得る。縁部680及び686は、第1の凹側面689a(例えば、図6B参照)の境界を形成して、例えば、親指及び人さし指など、皮膚を押す指のための中間空間を形成し得る。縁部682及び684は、第2の凹側面689a(例えば、図6B参照)の境界を形成して、親指及び人さし指など、皮膚を押す指のための中間空間を形成し得る、又は少なくとも、近位部分PPと本質的に同じ外径を有する遠位部分DPを有する針カバーの使用と比較して、長手方向軸A及び針通過開口部(例えば、遠位開口部670b)の近くに指を配置することを可能にし得る。
【0181】
第1の弾性要素690(例えば、伸縮バンド、ゴムバンド、弾性バンドなど)が、セグメントS1とセグメントS2との間に配置され得る(例えば、中間部分608b1、608b2、IPに、例えば、それぞれ縁部680及び682の近くに結合又は固定され得る)。よって、負荷を解放した後、負荷をかける前に存在した変形されていない初期状態に戻る弾性材料である伸長可能材料が使用され得る。第1の弾性要素690は、その伸展状態において軸A1に平行に延び得る。同様に、第2の弾性要素692(例えば、伸縮バンド、ゴムバンド、弾性バンドなど)が、セグメントS1とセグメントS2との間に配置され得る(例えば、中間部分608b1、608b2、IPに、例えば、それぞれ縁部686及び684の近くに結合又は固定され得る)。第2の弾性要素692もまた、その伸展状態において軸A1に平行に延び得る。
【0182】
セグメントS1及びS2の開(第1の)状態において、遠位部分DPの径方向外方を向く外面と長手方向軸Aとの間の第1の径方向距離R6a1が、同様に軸A1に沿って測定される。径方向距離R6a1は、セグメントS1及びS2の開状態において第1の値を有し得る。
【0183】
開口部670の幅W6a1は、セグメントS1及びS2の開(第1の)状態において第1の軸A1に沿って延びる。幅W6a1は、デバイス600のキャップのインサートの外径と同じであり得る(例えば、図7Aの同様のインサート712bを参照)。インサートは、硬質な針シールドを保持するために使用され得る。或いは、幅W6a1は、硬質な針シールドの外径と同じであり得る(例えば、図7Aに示すような同様の硬質な針シールド779aを参照)。
【0184】
図6Bは、例えば閉状態にあるセグメントS1、S2が閉鎖された第2の状態にある薬物送達デバイス600の斜視図を示している。閉(第2の)状態において、遠位部分DPの径方向外方を向く外面の一部と長手方向軸Aとの間の第1の径方向距離R6a2が、同様に軸A1に沿って測定される。径方向距離R6a2は、セグメントS1及びS2の閉状態において第2の値を有し得る。径方向距離R6a1(第1の値)は、径方向距離R6a2(第2の値)よりも大きいものであり得る(例えば、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、又は4倍大きいものであり得る)。
【0185】
セグメントS1、S2の閉(第2の)状態における開口部670bの幅W6a2が、第1の軸A1に沿って測定される。幅W6a1は、幅W6a2よりも大きいものであり得る(例えば、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、又は4倍大きいものであり得る)。第2の軸A2に沿って測定された開口部670の幅W6dは、セグメントS1、S2の両方の状態において同じであり得る(例えば、それは一定又は不変のままであり得る)。
【0186】
開口部670(開状態)、670b(閉状態)は、図6A及び図6Bに示す実施形態、すなわち、デバイス600では、スリット形状を有するが、他の形状、例えば円形、二次曲線形状などもまた企図され、使用され得る。
【0187】
デバイス600は、ハウジング602に対して軸方向に移動可能な針カバー608を備え得る。圧縮ばね(例えば、ばね260(図4参照)又はばね760(図7A図7C参照)と同様のばね)が、針カバー608を遠位に付勢するために使用され得る。
【0188】
或いは、針カバー608は、ハウジング602に軸方向及び/回転方向に固定され得る(例えば、針カバーばね260、760がないものであり得る)。更に、他の実施形態では、ハウジング602の一部である遠位デバイス部分DDPが、例えば、シリンジ又は別の容器をハウジングに対して軸方向に移動させ得る針挿入及び/又は針格納機構を備えるデバイスのために使用され得る。
【0189】
図7Aは、例えば、遠位開口(例えば、遠位開口部770)が開放され、キャップ712及び硬質な針シールド779aが所定の位置にある状態の、第5の実施形態に記載の薬物送達デバイス700の長手方向断面図を示している。薬物送達デバイス700は、以下を備え得る。
- 少なくとも1つの任意選択の薬物窓(例えば、薬物窓201、501、601などを参照)、
- メインハウジング部品702(例えば、メインハウジング部品102、202、502、602などを参照)、及び
-針カバー708(例えば、デバイス700の作動要素として使用されるもの)。
【0190】
ハウジング部品702は、遠位部品702aを備え得る。更に、デバイス700は、薬物送達デバイス100~600に関して上述した部品の全部又は一部、例えばピストンロッド、駆動機構などを備え得る。
【0191】
第1のセグメントS1(例えば、図6A及び図6Bに示したセグメントS1と同様のもの)が存在し得る。更に、第2のセグメントS2(例えば、図6Aに示したセグメントS2と同様のもの)が存在し得る。
【0192】
セグメントS1は、以下を備え得る。
- 針カバー708の第1の遠位部分708a1(例えば、遠位部分608a1と同様のもの)、及び
- 針カバー708の第1の中間部分708b1(図7C参照)(例えば、中間部分608b1と同様のもの)。
【0193】
セグメントS1は、以下を備え得る。
- 針カバー708の第2の遠位部分708a2(例えば、遠位部分608a2と同様のもの)、及び
- 針カバー708の第2の中間部分708b2(図7C参照)(例えば、中間部分608b2と同様のもの)。
【0194】
更に、針カバー708は、リング部分708c(近位部分PP)(例えば、リング部分608cと同様のもの)を備え得る。
【0195】
セグメントS1及びS2は、近位部分708、PPに対して枢動可能であり得る。結合要素609a及び609bと同様の結合要素709a、709b(フィルムヒンジなど)が使用され得る。
【0196】
針カバー708(針シュラウド)の任意選択の第1のアーム708d1(図7B参照)が、リング部分708cから近位に延び得る。針カバー708(針シュラウド)の任意選択の第2のアーム708d2(図7B参照)もまた、リング部分708cから近位に延び得る。或いは、ただ1つのアーム708d1、708d2のみが、デバイス700のトリガに使用され得る。デバイス700の他の実施形態では、デバイス700は、針カバー708を使用してトリガされず、例えば、アーム708d1及び708d2は省略され得る。
【0197】
図7Aに示すように、針710は、シリンジ730の円錐部分736から中間部分708b1、708b2、PPまで長手方向軸Aに沿って延びるが、遠位部分708a1、708a2、DPまでは延びない。これは、図7Aに示す状態だけでなく、図7B及び図7Cに示す状態にも当てはまる。
【0198】
キャップ712は、外壁(例えば、第1の円筒壁)と、内壁(例えば、第2の円筒壁)(例えば、第1の円筒壁の内径よりも外径が小さいもの)とを備え得る。内側円筒壁は、インサート712bを形成し得る。インサート712bは、例えば金属部品(図示せず)を使用して、硬質な針シールド779a、RNSを保持し得る。キャップ712は、遠位閉鎖部分(例えば、円形閉鎖部分)を備え得る。外壁及び内壁は、遠位閉鎖部分から近位に延び得る。
【0199】
シリンジ730が、例えば、ハウジング702とは別個の部品であり得、またハウジング部品702の中央部分とも別個の部品であり得る別個のシリンジキャリアを使用して、デバイス700のシリンジ保持スペース内に配置され得る。図8Bは、デバイス700の中央部分と同様であり得る中央部分803を示している。シリンジキャリア及びシリンジは、中央ハウジング部分で支持され得る。或いは、それ以上のシリンジキャリアを使用せず、シリンジ730が中央部分内に直接保持され得る。
【0200】
シリンジ730は、その長手方向軸を長手方向軸Aにアライメントされ得る。シリンジ730は、その近位端部から遠位端部の方向に、シリンジ730aの最大外径を有する任意選択のフランジ部分(図示せず)(例えば、横方向の両側に平坦な部分を有するフランジ又はフランジ部分(図示せず))と、バレル部分732(例えば、円筒バレル部分732)と、肩部734と、ネック部分736(例えば、円錐形状を含むもの)とを備え得る。肩部734は、バレル部分732とネック部分736とを接続し得る。シリンジ730はガラスで作られ得る。針710は、シリンジ730の一体化された部品であり得る。
【0201】
遠位部分708a、708bの遠位開口部770は、例えば、図6B(閉状態)などの他の図面に示す軸A1と同様の軸に平行な軸に沿って、幅W7a1を有し得る。幅W7a1は、図7A図7Cに示すデバイス700の3つすべての状態の最大値である値を有し得る。遠位部分708a1及び708a2の内側縁部は、インサート712bの外面に当接し得る。これにより、図7Aに示す状態における幅W7a1の値が定義され得る(例えば、幅W7a1は、特に当接する領域/点において、インサート712bの外径に等しくなり得る)。
【0202】
線L7aは、ハウジング702の遠位部分702aの遠位端部を含む平面を示している。線L7bは、支持面BFが皮膚に接触したが、デバイス700は作動されてない場合に、患者の皮膚が配置される平面を示している。図7Aから明らかなように、遠位部分708a1及び708a2は、この後者の平面から遠位に(例えば、線L7bの遠位に)配置され得る。
【0203】
線L7aと線L7bとの間には、10mmから20mmの範囲内であり得る距離D7(図7C参照)があり得る。
【0204】
針カバーばね760が、シリンジ730の遠位部分の周囲(例えば、ネック部分736の周囲及び/又はバレル部分732の遠位部分の周囲)に配置され得る。ばね760の遠位端部は、近位部分708cの内周における周方向レッジ762又は他の適切な手段によって保持され得る。ばね760の近位端部は、ハウジング702の内側部品に押し付けられ得る(例えば、ハウジング702の外壁と上述の中央部分との間に配置された部品に押し付けられ得る)。ばね760は、針カバー708を遠位に付勢する圧縮ばねであり得る。
【0205】
硬質な針シールド779aは、ネック部分736の周囲及び針710の周囲に両方の要素736、710に機械的に密接に接触した状態で配置され、それにより、針710の無菌保護を形成し得る。硬質な針シールド779aは、遠位方向にわずかにテーパを付けられ得る。或いは、硬質な針シールド779aはテーパを付けられなくてもよい。
【0206】
第1の弾性要素(例えば、伸縮バンド、ゴムバンド、弾性バンド、又は別の適切な要素)は、図7A図7Cでは示されていないが、図6A及び図6Bに示すような弾性要素690と同様であり得る。第1の弾性要素は、セグメントS1及びS2の第1の外側縁部又は他の適切な位置でセグメントS1及びS2を接続し得る。第2の弾性要素792(例えば、伸縮バンド、ゴムバンド、弾性バンド、又は別の適切な要素)は、セグメントS1及びS2の第2の外側縁部又は他の適切な位置でセグメントS1及びS2を接続し得る。両方の弾性要素(例えば、792)は、インサート712bに対して(例えば、キャップ712の内側円筒壁に対して)径方向内方にセグメントS1及びS2を付勢し得る。
【0207】
遠位部分708a1、708a2の径方向に面する外面の径方向距離は、図7Aに示す開状態における距離R6a1(図6A参照)と同様であり得る。この径方向距離を2倍すると、幅W7a1よりもわずかに大きくなり得る距離(径方向外寸)が得られる。
【0208】
図7Bは、キャップ712及びキャップ712に取り付けられ得る硬質な針シールド779a、RNSの取り外しの際の薬物送達デバイス700の長手方向軸Aに沿った長手方向断面を示している。図7Aに示す第2の状態(キャップ及びRNSの取り外しの際)において、遠位部分708a1、708a2の内側縁部間における距離W7a2がある。ここでも、距離W7a2は、軸A1に沿った、又は軸A1に平行な軸に沿った開口部の770の幅であり得る。幅W7a2は、図7Bに示す半閉状態に起因して、幅W7a1よりも小さいものであり得る。
【0209】
よって、第2の状態において、遠位部分708a1及び708a2の内側縁部は、硬質な針シールド779a、RNSの外面に当接し得る。これにより、図7Bに示す状態における幅W7a2の値が定義され得る(例えば、幅W7a2は、特に当接する領域/点において、硬質な針シールド779a、RNSの外径に等しくなり得る)。弾性要素(例えば、792)は、セグメントS1、S2を径方向内方に更に付勢し得る。
【0210】
図7Cは、キャップ712及び硬質な針シールド779a、RNSを取り外した状態の、薬物送達デバイス700の長手方向の断面図を示している。したがって、セグメントS1及びS2は、閉状態(第3の状態)にあり、例えば、皮膚への針710の挿入中及び/又はシリンジ730内に保存された薬物Drの注入中に使用され得る状態にある。
【0211】
閉状態において、角度An7は、中間部分IPの側壁の外面と長手方向軸Aとの間(例えば、第2の中間部分708b2の側壁(例えば、側壁の外面)と長手方向軸Aとの間)に含まれ得る。角度An7は、上記の説明の導入部分において言及した範囲のうちの1つの範囲内(例えば、30度から60度の範囲内)にあり得る。角度An7は、例えば線L7aと線L7bとの間の中間空間内において、特に、皮膚に対する長手方向軸Aの方向(すなわち、遠位方向Dに)ハウジング702の遠位部分702aの遠位境界の投影内の領域において、ハウジング702の遠位部分702aの遠位境界を通過する注入部位に対するユーザの見通し線が遮られない状態を可能にし得る。
【0212】
第3の状態(キャップ及びRNSが取り外された状態)において、遠位部分708a1、708a2の内側縁部間に距離W7a3があり得る(例えば、幅W7a3は、軸A1に沿った開口部770の幅であり得る)。
【0213】
遠位部分708a1、708a2の径方向に面する外面の径方向距離は、図7Cに示す閉状態における距離R6a2(図6B参照)と同様であり得る。この径方向距離を2倍すると、幅W7a3よりもわずかに大きくなり得る距離(径方向外寸)が得られる。
【0214】
或いは、針カバー708は、ハウジング702に軸方向及び/回転方向に固定され得る(例えば、針カバーばね760がないものであり得る)。更に、他の実施形態では、ハウジング702の一部である遠位デバイス部分DDPが、例えば、シリンジ又は別の容器をハウジングに対して軸方向に移動させ得る針挿入及び/又は針格納機構を備えるデバイスのために使用され得る。
【0215】
図8Aは、可撓性で弾力性のある針カバー808の遠位開口870が開放された状態の、第6の実施形態に記載の薬物送達デバイス800の斜視図を示している。薬物送達デバイス800は、以下を備え得る。
- メインハウジング部品802(例えば、上述のハウジング部品102~702を参照)、
- ハウジング部品802の中央部品803(例えば、円筒中央部品)、及び
- 針カバー808(例えば、作動要素又は作動要素ではないものとして使用され得る針カバー)(例えば、上述の針カバーNC、208~708を参照)。
【0216】
更に、デバイス800は、薬物送達デバイス100~700に関して上述した部品の全部又は一部、例えばピストンロッド(例えば、ピストンロッド104を参照)、駆動機構(例えば、駆動機構106を参照)などを備え得る。
【0217】
針カバー808、NCは、以下を備え得る。
- 遠位部分808a(例えば、弾性部分)、
- 中間部分808b(例えば、弾性部分)、及び
- 近位リング部分808c(例えば、弾性部分又は硬質な部分)。
【0218】
近位部分808cが、遠位部分808a及び/又は中間部分808bの材料とは異なる材料で作られる場合、二色成形又は別の適切な技術的解決策が使用され得る。
【0219】
よって、負荷を解放した後、負荷をかける前に存在した変形されていない初期状態に戻る弾性材料である伸長可能材料が針カバー800、NCに使用され得る。弾力性の量は、例えば、硬質な針シールド879aが比較的容易に除去され得るように選択される。しかしながら、弾力性により、いくつかの実施形態では、デバイス800のトリガに針カバー808、NCを使用することが依然として可能であり得る。
【0220】
デバイス800のシリンジは、針810を備え得る(図8B参照)。針810は、シリンジの一体化された部品であり得る。シリンジは、任意選択のフランジ(図示せず)と、バレル部分(図示せず)と、肩部834(図8B参照)と、ネック部分836(図8B参照)とを更に備え得る。
【0221】
軸方向/径方向リブ840~843が、中央部分803とハウジング802、特にハウジング802の外壁とを接続し得る。
【0222】
遠位開口部870(開)、870b(閉)は、遠位部分808aに形成される。よって、遠位部分808aは、以下を備え得る。
- 長い第1の側壁872(例えば、湾曲した側壁)、及び
- 長い第2の側壁874(例えば、湾曲した側壁)。
【0223】
側壁872及び874は、間にそれ以上の側壁がない状態で、頂点V1、V2において接触し得る。或いは、遠位部分808aにおいて、側壁872と874との間に配置された、短い第3の側壁(例えば、まっすぐな又は湾曲した側壁)、及び短い第4の側壁(例えば、まっすぐな又は湾曲した側壁)が存在し得る。より詳しく後述するように、他の実施形態では、頂点V1、V2は、遠位開口部870を含む平面内だけではなく、遠位部分808aにより近位に配置され、例えば、それにより中間部分808b、IP内にスリットを形成し得る。当然のことながら、他の構成も可能である。
【0224】
硬質な針シールド879a、RNSは、針カバー808内に配置され得る。硬質な針シールド879a、RNSは、上述の硬質な針シールド579a又は779aと同様であり得る。硬質な針シールド879a、RNSは、以下を備え得る。
- 近位開口部(図示せず)、
- 任意選択の遠位開口部879b(例えば、円形開口部)、及び
- 可撓性インサート879c(例えば、弾性インサート(ブーツ))。
【0225】
側壁872及び874は、図8Aに示す状態では(例えば、硬質な針シールド879a、RNSがデバイス800のシリンジに依然として取り付けられている状態では)、硬質な針シールド879a、RNSの外面に当接し得る。遠位部分808aの材料の弾力性に起因して、及び/又は中間部分808bの材料の弾力性に起因して、遠位部分808aの側壁872及び874は、硬質な針シールド879a、RNSに対して内方に付勢される。硬質な針シールド879a、RNSは、当接する部分に直径DM8Aを有し得る。したがって、開口部870の幅W8a1の値は、直径DM8Aの値に等しくなり得る。たとえ硬質な針シールド879a、RNSがわずかに円錐形であっても、針カバー808、NCの弾力性に起因して、デバイス800から硬質な針シールド879a、RNSを取り外すことは容易なままである。
【0226】
開(第1の)状態において第1の距離R8a1があり得る。第1の距離R8a1は第1の値を有し得、第1の軸A1に沿って測定され得る。遠位部分808aの径方向外寸D8a1は、距離R8a1の値の2倍の値を有し得る。径方向外寸D8a1も、軸A1に沿って測定され得る。開(第1の)状態における開口部870の幅W8a1は、第1の軸A1に沿って測定され得る。
【0227】
図8Bは、硬質な針シールド879a、RNSが取り外された後の遠位開口又は開口部870bが狭小化された(半分閉じた)状態の薬物送達デバイス800の斜視図を示している。
【0228】
針カバー808、NCの弾性材料の弾力性に起因して、第1の距離は、狭小(第2の)状態における距離R8a2(例えば、第1の距離R2a1同様であり、第2の状態において第1の値(距離R2a1)よりも小さい第2の値を有する距離R8a2)に変化する。径方向外寸D8a1と同様の径方向外寸D8a2の値もまた、径方向外寸D8a1の値と比較して減少する。
【0229】
狭小(第2の)状態における、第1の軸A1に沿った開口部870の幅W8a2は、対応する幅W8a1よりも小さい。両方の状態における、第2の軸A2に沿った開口部870の幅W8dは、デバイス800の両方の状態において同じである。
【0230】
中間部分808b、IPの外面までの径方向距離R3b(図3参照)と同様の径方向距離があり得る。中間部分808b、IPのこの径方向距離もまた、図8A及び図8Bに示す2つの状態間で減少し得る(例えば、中間部分808b、IPの壁の横方向移動が径方向内方又は内方にあり得る)。
【0231】
頂点V1、V2は、遠位部分808aが配置されるのと同じ平面に配置され得る。或いは、頂点V1及びV2を、例えば中間部分808b、IP内、又は更には近位部分808c、PPに配置する他の可能性があり得る。遠位平面以外の平面における頂点が可能であり得、例えば、詳細設計の対象となり得る。
【0232】
デバイス800は、ハウジング802に対して軸方向に移動可能な針カバー808を備え得る。圧縮ばね(例えば、ばね260(図4参照)又はばね760(図7A図7C参照)と同様のばね)が、針カバー808を遠位に付勢するために使用され得る。
【0233】
或いは、針カバー808は、ハウジング802に軸方向及び/回転方向に固定され得る(例えば、ばね260(図4参照)又はばね760(図7A図7C参照)と同様の針カバーばねがないものであり得る)。更に、他の実施形態では、ハウジング802の一部である遠位デバイス部分が、例えば、シリンジ又は別の容器をハウジングに対して軸方向に移動させ得る針挿入及び/又は針格納機構を備えるデバイスのために使用され得る。
【0234】
よって、針カバー808は、例えば上述のばね260、760と同様の針カバーばねを使用して、ハウジング602に対して移動可能であり得る。等方性ではない材料又は幾何学的形状、すなわちRNSの除去に関連する方向に十分に可撓性であり、径方向に外方に曲げることができるが、軸方向に圧縮された場合には(例えば、RNSの除去に関連する方向における圧縮性と比較した場合)強い、又は比較的強い材料又は幾何学的形状を使用することが可能であり得る。或いは、針カバー808は、ハウジング802に軸方向及び/回転方向に固定され得る、又はハウジングの一部であり得る(例えば、ばね260、760と同様の針カバーばねがなくてもよい)。
【0235】
換言すれば、薬物送達デバイス(例えば、100~800)は、
- 薬物送達デバイス100~800の長手方向軸Aに沿って延びるハウジング又はハウジング部品(例えば、102~802)と、
- 遠位デバイス部分DDPと
を備え得、
遠位デバイス部分DDPが、遠位部分DPと、近位部分PPと、少なくとも1つの中間部分IPとを備え得、
遠位部分DPが、針(例えば、210)及び支承表面BFの通過を可能にする遠位開口部(例えば、370)を備え得、
支承表面BFが、薬物Drの注入中に患者の皮膚(例えば、220)に押し付けられるように構成され得、
中間部分IPが、遠位部分DPから近位部分PPまで近位に延びる少なくとも1つの壁部分を備え得、
薬物送達デバイス100~800の少なくとも1つの状態において、支承表面BFに軸方向に隣接する領域における遠位部分DPの第1の径方向外寸(例えば、D3a)が、中間部分IPにおける第2の径方向外寸(例えば、D3b)よりも小さいものであり得、
中間部分IPの外面が、傾斜し得る(例えば、長手方向軸Aに沿った断面(例えば、長手方向軸Aを含む断面)における長手方向軸Aに対する角度An4、An7を参照)。
【0236】
角度An4、An7は、15度から75度の範囲、30度から60度の範囲、又は40度から50度の範囲にあり得る。
【0237】
よって、薬物送達デバイス100~800のための針カバーNCの設計は、例えば、狭小遠位開口部370~870、870bなどに起因して、使いやすさが向上する。
【0238】
薬物送達デバイス100~800が、例えば、注入後の針の安全性のためのロック式針カバーを設けられ、針カバーNCは1つの方向においてより狭小化され得、ユーザによる局所的な皮膚の容易な操作を可能にする。
【0239】
針カバーを有する現在の多くの薬物送達デバイスは、シリンジ又はカートリッジコンポーネントを除去する手段、及び注入のための安定した基部を提供する手段のために円形開口部のみを有し得ることに留意されたい。しかしながら、提案される設計は、例えば狭小針カバーに特化した一連の実装形態をカバーし、例えば注入中に皮膚を容易に挟むことができる。
【0240】
実装形態は、以下を含み得る。
- プレフィルドシリンジ(PFS)対応のオートインジェクタであって、PFS針シールド(例えば、RNS)を除去すると同時に、針カバーの幾何学的形状が遠位端部においてより狭小化し得るもの。
- PFS対応のオートインジェクタであって、針カバーNCは、PFS針シールド(例えば、RNS)の取り外しの際に形態を変化させ得るもの。
- 例えば狭小針シールドを有する、カートリッジ又は他の薬剤容器対応の薬物送達デバイス(例えば、100~800)。
【0241】
先の設計の一実施形態は、キャップ及び/又はPFSシールドと一緒に保管されると、針カバーNCが開位置に保持されるように、針シールド/カバーNCが引張領域及び可撓性領域(例えば、ヒンジ)に要素を含む設計に関係し得る。
【0242】
キャップ(例えば、112、712)及び/又はPFSシールド(例えば、RNS)が取り外されると、針カバーNCは、注入中にユーザが皮膚を挟むことができるように狭小開口部も提供しながら、針刺し損傷から保護することができる形態に閉じることができる。
【0243】
また、「引張」及び「ヒンジ」要素が材料及び/又は幾何学的形状に固有であり、キャップ(例えば、112、712)及び/又はPFSシールド(例えば、RNS)(例えば、図8A及び図8B参照)を取り外したときに、針カバーNCの開口が狭小位置へと畳まれる実施形態も想定され得る。
【0244】
図5A図5Bに示す解決策は、RNS(硬質な針シールド)に対してわずかなクリアランスを有し得る、又はクリアランスがなくてもよく、したがって、針カバーの本質的に回転対称な概念を使用するデバイスの概念とは異なるキャップ及びグラバの概念を必要とし得る。しかしながら、外装デザイン及び使用ステップは、概ね保持され得る。
【0245】
図6A図6B図7A図7B図7Cに示す弾性的に閉鎖可能又は部分的に閉鎖可能な解決策は、キャップの幾何学的形状にわずかな変化のみを必要とし得る、本質的に回転対称なキャップの概念と互換性があり得る。
【0246】
図8A図8Bの設計は、RNSに対してわずかなクリアランスを有し得る、又はクリアランスがなくてもよく、したがって、本質的に回転対称な対称なキャップとは異なるキャップ及びグラバ(RNSをキャップ内に保持するための要素、例えば金属製のもの)の概念を必要とし得る。しかしながら、外装デザイン及び使用ステップは、概ね保持され得る。
【0247】
本開示の実施形態及びその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変化、置換、及び変更を本開示においてなすことができることを理解されたい。例えば、本明細書に記載された特徴、機能、プロセス、及び方法の多くが、本開示の範囲内に留まりながら変えることができることを、当業者には容易に理解されよう。更に、本出願の範囲は、本開示に記載されているシステム、プロセス、製造、方法、又はステップの特定の実施形態に限定されることを意図されていない。本開示の開示内容から当業者には容易に理解されるように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発されるシステム、プロセス、製造、方法、又はステップが、本開示にしたがって利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなシステム、プロセス、方法、又はステップを含むことが意図されている。更に、説明の第1のパートにおいて言及された実施形態を、図1A図8Bに関連する説明の第2のパートの例と組み合わせることが可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
【国際調査報告】