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特表2024-544504荷電粒子装置のためのプラットフォーム及び荷電粒子装置内のコンポーネント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】荷電粒子装置のためのプラットフォーム及び荷電粒子装置内のコンポーネント
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/09 20060101AFI20241126BHJP
   H01J 37/18 20060101ALI20241126BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/09 Z
H01J37/18
H01J37/20 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527099
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022079595
(87)【国際公開番号】W WO2023094088
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,970
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グラスマン,ヤスパー,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ,ニールズ,ヨハネス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,パトリック,ピーター,ヒューバート,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンペニウス,ピーター,ポール
(72)【発明者】
【氏名】サンス メルカデール,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】サルス,ゲラルドゥス,ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,ハンズ
(72)【発明者】
【氏名】ウルバヌス,ウィレム,ヘンク
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB01
5C101BB03
5C101BB04
5C101BB05
5C101BB07
5C101BB09
5C101BB10
5C101CC01
5C101CC04
5C101CC12
5C101CC13
5C101EE03
5C101EE38
5C101FF32
5C101FF53
5C101FF56
5C101FF59
5C101GG04
5C101GG05
5C101GG19
5C101HH11
(57)【要約】
本明細書で開示されるのは、荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、ベースフレームと、基板を含むように配置されたチャンバと、チャンバ内の基板に荷電粒子ビームを照射するための荷電粒子ビームジェネレータを支持するように配置されたメトロロジフレームと、メトロロジフレームとチャンバとの間に配置されたベローズと、を備え、チャンバは、ベースフレームに堅固に接続され、ベローズは、メトロロジフレームが、チャンバ内で発生するあらゆる振動から実質的に隔離されるように可撓性材料を有し、ベローズは、チャンバ内で実質的な真空が確立され得るように気密である、プラットフォームである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
ベースフレームと、
基板を含むチャンバと、
前記チャンバ内の基板に荷電粒子ビームを照射するための荷電粒子ビームジェネレータを支持するメトロロジフレームと、
前記メトロロジフレームと前記チャンバとの間に配置されたベローズと、を備え、
前記チャンバは、前記ベースフレームに堅固に接続され、
前記ベローズは、前記メトロロジフレームが、前記チャンバ内で発生するあらゆる振動から実質的に隔離されるように可撓性材料を有し、
前記ベローズは、前記チャンバ内で実質的な真空が確立され得るように気密である、プラットフォーム。
【請求項2】
前記ベースフレーム上で前記メトロロジフレームを支持するエアマウントをさらに備える、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項3】
前記チャンバ内に基板支持構成をさらに備え、
前記基板支持構成は、前記チャンバに堅固に固定される、請求項1又は2に記載のプラットフォーム。
【請求項4】
前記基板支持構成は、
1つ又は複数のロングストローク駆動装置及びロングストロークキャリアを含むロングストローク構成と、
基板を支持するショートストローク構成と、を有し、
前記ロングストローク駆動装置は、前記ロングストロークキャリアを移動させ、
前記ショートストローク構成は、前記ショートストローク構成が、前記ロングストローク構成によって発生する振動から実質的に隔離されるように前記ロングストロークキャリアによって柔軟に支持される、請求項3に記載のプラットフォーム。
【請求項5】
前記ロングストロークキャリアは、前記ショートストローク構成が前記ロングストロークキャリアの上方に浮くように配置される1つ又は複数のローレンツモータを有する、請求項4に記載のプラットフォーム。
【請求項6】
前記チャンバ内で実質的な真空を確立するための1つ又は複数のポンプをさらに備え、
前記1つ又は複数のポンプは、前記ベースフレームに直接接続される、請求項1~5の何れか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を備える、荷電粒子装置。
【請求項8】
前記荷電粒子ビームジェネレータは、荷電粒子のマルチビームを放出する、請求項7に記載の荷電粒子装置。
【請求項9】
荷電粒子装置のためのプラットフォームにおいて真空チャンバとメトロロジフレームとの間の接続を提供するためのベローズであって、
ループにおいて配置された材料の層を備え、
前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、ベローズ。
【請求項10】
前記層は、第1の層であり、
前記ベローズは、ループにおいて配置された第2の材料の層と、流出導管と、をさらに有し、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第2の層との間に密閉領域が存在するように前記第1の層から分離され、
前記流出導管は、前記密閉領域からガスを抽出し、
前記第2の層の前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記第2の層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記第2の層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、請求項9に記載のベローズ。
【請求項11】
前記密閉領域は、第1の密閉領域であり、
前記ベローズは、ループにおいて配置された第3の材料の層と、流入導管と、をさらに有し、
前記第3の層は、前記第1の層と前記第2の層との間に第2の密閉領域が存在するように前記第1の層から分離されるとともに、前記第1の層の、前記第2の層とは反対側にあり、
前記流入導管は、前記第2の密閉領域内にガス流を提供し、
前記第3の層の前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記第3の層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記第3の層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、請求項10に記載のベローズ。
【請求項12】
前記流入導管は、前記プラットフォームの周りの前記周囲圧力よりも高い圧力に前記第2の密閉領域を加圧し、
前記流出導管は、前記第1の密閉領域が前記第2の密閉領域よりも実質的に低い圧力であるように前記第1の密閉領域からガスを抽出する、請求項11に記載のベローズ。
【請求項13】
前記第1、第2及び/又は第3の層の前記材料は、ゴムである、請求項9~12の何れか一項に記載のベローズ。
【請求項14】
荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
チャンバと、
メトロロジフレームと、
請求項9~13の何れか一項に記載のベローズと、を備え、
前記ベローズの内側は、前記チャンバ内の実質的な真空を支持し、
前記ベローズの外側は、前記プラットフォームの周りの前記周囲圧力に耐える、プラットフォーム。
【請求項15】
請求項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームであって、請求項9~13の何れか一項に記載のベローズを含む、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年11月29日に出願され、本明細書に全体として援用される米国特許出願第63/283,970号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、概して、荷電粒子装置を支持するためのプラットフォーム及び荷電粒子装置内のコンポーネントに関する。実施形態は、単一ビーム荷電粒子装置又はマルチビーム荷電粒子装置の何れかを支持するための新規のプラットフォームを提供する。実施形態は、荷電粒子装置内のステージを移動させるための新規のロングストローク構成も提供する。実施形態は、振動の悪影響を低減するための新規の構成も提供する。既知の技術を上回る実施形態の利点は、より単純な設計を有するプラットフォーム、より小さい設置面積を有するプラットフォーム、操作上の利点を有するプラットフォームのコンポーネント及び荷電粒子装置のより安価な総製造コストの1つ又は複数を含む。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば、光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(すなわちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。したがって、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的に、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えば、パターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子の相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたってプロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することにより、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 荷電粒子ビームの別の用途は、リソグラフィである。荷電粒子ビームは、基板表面上のレジスト層と反応する。レジストにおける所望のパターンは、荷電粒子ビームが誘導されるレジスト層上の場所を制御することによって作成することができる。
【0006】
[0006] 荷電粒子装置は、1つ又は複数の荷電粒子ビームの生成、照明、投影及び/又は検出を行うための装置であり得る。荷電粒子装置を提供するための既知の技術を改良する一般的必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 単一ビーム荷電粒子装置は、単一の荷電粒子ビームの生成、照明、投影及び/又は検出を行う。単一ビーム荷電粒子装置を支持するための既知のプラットフォームは、設計が比較的単純である。マルチビーム荷電粒子装置は、複数の荷電粒子ビームの生成、照明、投影及び/又は検出を行う。マルチビーム荷電粒子装置のための既知のプラットフォームは、設計が複雑であり、単一ビームのプラットフォームの場合よりも設置面積が大きく、単一ビームのプラットフォームよりも実質的に高価である。これは、マルチビーム荷電粒子装置のより高い性能要件を満たすために必要である。単一ビーム荷電粒子装置又はマルチビーム荷電粒子装置の何れにも適した荷電粒子装置のための新規のプラットフォームを提供する一般的必要性がある。既知のマルチビームのプラットフォームと比べて、新規のプラットフォームは、より単純な設計、より小さい設置面積及びより安価であることの1つ又は複数を有し得る。より一般的には、荷電粒子装置の提供を改善する必要がある。
【0008】
[0008] 実施形態は、荷電粒子装置の提供に幾つかの改善を提供する。
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様によれば、荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、ベースフレームと、基板を含むように配置されたチャンバと、チャンバ内の基板に荷電粒子ビームを照射するための荷電粒子ビームジェネレータを支持するように配置されたメトロロジフレームと、メトロロジフレームとチャンバとの間に配置されたベローズと、を含み、チャンバは、ベースフレームに堅固に接続され、ベローズは、メトロロジフレームが、チャンバ内で発生するあらゆる振動から実質的に隔離されるように可撓性材料を含み、ベローズは、チャンバ内で実質的な真空が確立され得るように気密である、プラットフォームが提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第2の態様によれば、第1の態様のプラットフォームと、荷電粒子ビームジェネレータと、を含む荷電粒子装置が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第3の態様によれば、荷電粒子装置のためのプラットフォームにおいて真空チャンバとメトロロジフレームとの間の接続を提供するためのベローズであって、ループにおいて配置された材料の層を含み、材料は、可撓性であり、及び実質的に気密であり、層は、チャンバに固定するための第1の端部を含み、層は、メトロロジフレームに固定するための第2の端部を含む、ベローズが提供される。
【0012】
[0012] 本発明の第4の態様によれば、荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、チャンバと、メトロロジフレームと、第3の態様によるベローズと、を含み、ベローズの内側は、チャンバ内の実質的な真空を支持するように配置され、ベローズの外側は、プラットフォームの周りの周囲圧力に耐えるように配置される、プラットフォームが提供される。
【0013】
[0013] 本発明の第5の態様によれば、第1の態様によるプラットフォームであって、第3の態様によるベローズを含むプラットフォームと、荷電粒子ビームジェネレータと、を含む荷電粒子装置が提供される。
【0014】
[0014] 本発明の他の利点は、実例及び例として、本発明の特定の実施形態が記載される、添付の図面と併せた以下の説明から明らかになるであろう。
【0015】
[0015] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
図2】[0017]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図3】[0018]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。
図4】[0019]既知の単一ビーム荷電粒子装置を支持するためのプラットフォームを概略的に示す。
図5】[0020]既知のマルチビーム荷電粒子装置を支持するためのプラットフォームを概略的に示す。
図6】[0021]第1の実施形態による荷電粒子装置を支持するためのプラットフォームを概略的に示す。
図7】[0022]第2の実施形態によるベローズの第1の実装形態を通した断面を概略的に示す。
図8】[0023]第2の実施形態によるベローズの第2の実装形態を通した断面を概略的に示す。
図9A】[0024]第2の実施形態によるベローズの第3の実装形態を通した断面を概略的に示す。
図9B】[0024]第2の実施形態によるベローズの第3の実装形態を通した断面を概略的に示す。
図10】[0025]第3の実施形態による基板支持移動装置の第1の実装形態の平面図を概略的に示す。
図11】[0026]荷電粒子装置内に設けられたときの、第3の実施形態の第1の実装形態を示す概略側面図である。
図12】[0027]第3の実施形態の第3の実装形態による基板支持移動装置の概略側面図である。
図13】[0028]マルチビーム荷電粒子装置のバランスマスの既知の実装形態を概略的に示す。
図14】[0029]第4の実施形態によるバランスマス構成を概略的に示す。
図15】[0030]第5の実施形態による荷電粒子装置のフレームの第1の実装形態を概略的に示す。
図16A】[0031]第5の実施形態の第2の実装形態を示す。
図16B】[0032]第5の実施形態の第2の実装形態を示す。
図17】[0033]異なる減衰条件下での、ベースフレームの主共振周波数によって引き起こされる振動の大きさを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0034] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0018】
[0035] デバイスの物理的サイズの減少及び電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。したがって、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くに値しない。たとえ1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。1つのみの「キラー欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここでは、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るためには、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有していなければならない。個々のステップが95%の歩留まりを有する場合、全体的なプロセス歩留まりは、7~8%と低い。
【0019】
[0036] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方で、一時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(すなわちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。したがって、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0020】
[0037] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子及び/又は後方散乱電子などの相互作用生成物を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成し得るように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子及び/又は後方散乱電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、すなわちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれることがある。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査し得る。したがって、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査し得る。
【0021】
[0038] マルチビーム検査装置では、一次電子ビームの幾つかのパスが走査デバイスの中心軸、すなわち一次電子光軸(本明細書では荷電粒子軸とも呼ばれる)の中点から離れて変位する。すべての電子ビームが実質的に同じ入射角でサンプル表面に達することを確実にするために、中心軸からより大きい半径方向距離を有するサブビームパスは、中心軸により近いサブビームパスよりも大きい角度を移動するように操作される必要がある。このより強力な操作は、結果として生じる像をぼやけさせ、像の焦点を外させる収差を生じさせ得る。一例は、各サブビームパスの焦点を異なる焦点面に至らせる球面収差である。具体的には、中心軸上にないサブビームパスに関して、サブビームの焦点面の変化は、中心軸からの半径方向変位と共に大きくなる。このような収差及びデフォーカス効果は、ターゲットからの二次電子が検出されたときにそれらの二次電子に関連付けられたままとなり得、例えば、ターゲット上のサブビームによって形成されるスポットの形状及びサイズが影響を受ける。したがって、このような収差は、検査中に生成される、結果として生じる画像の品質を低下させる。
【0022】
[0039] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0023】
[0040] 図は、概略図である。したがって、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解される。したがって、本文書全体を通して、電子への言及は、より一般的に、荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0024】
[0041] ここで図1を参照すると、図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。
【0025】
[0042] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、検査予定の基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料で作られた基板)又はサンプルを含む基板前面開口式一体型ポッド(FOUP(front opening unified pod))を受け取ることができる(以下では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)。EFEM30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填ロックチャンバ20にサンプルを運ぶ。
【0026】
[0043] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後に、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、単一ビーム又はマルチビームの電子光学装置を含み得る。
【0027】
[0044] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0028】
[0045] ここで図2を参照すると、図2は、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、一次投影装置230、電動ステージ209及びサンプルホルダ207を含む。電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220は、マルチビーム電子ビームツール40によって包含される照明装置のコンポーネントである。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するために、電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、二次投影装置250及び関連する電子検出デバイス240をさらに含み得る。一次投影装置230は、対物レンズ231を含み得る。電子検出デバイス240は、複数の検出要素241、242及び243を含み得る。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232は、一次投影装置230内に配置され得る。
【0029】
[0046] 一次ビームを発生させるために使用されるコンポーネントは、装置40の一次電子光軸とアライメントされ得る。これらのコンポーネントは、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232及び一次投影装置230を含み得る。二次投影装置250及びそれに関連した電子検出デバイス240は、装置40の二次電子光軸251とアライメントされ得る。
【0030】
[0047] 一次電子光軸204は、照明装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸によって構成される。二次電子光軸251は、検出装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸である。一次電子光軸204は、本明細書では、(参照しやすいように)主光軸又は一次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。二次電子光軸251は、本明細書では、副光軸又は二次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。
【0031】
[0048] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されることにより、一次ビームクロスオーバー(虚像又は実像)203を形成する一次電子ビーム202を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されると視覚化することができる。
【0032】
[0049] 形成された一次電子ビーム202は、単一ビームであり得、マルチビームは、この単一ビームから生成され得る。したがって、ビームパスに沿った異なる場所で、一次電子ビーム202は、単一ビーム又はマルチビームのどちらか一方であり得る。それがサンプルに到達する時までには、好ましくは、それが投影装置に到達する前には、一次電子ビーム202は、マルチビームである。このようなマルチビームは、多くの異なるやり方で、一次電子ビームから発生させることができる。例えば、マルチビームは、クロスオーバー203の前に位置するマルチビームアレイ、ソース変換ユニット220に位置するマルチビームアレイ又はこれらの場所の間にある任意の地点に位置するマルチビームアレイによって発生させることができる。マルチビームアレイは、ビームパスにわたりアレイに配置された複数の電子ビーム操作要素を含み得る。各操作要素は、サブビームを発生させるように一次電子ビームの少なくとも一部に影響を与え得る。したがって、マルチビームアレイは、入射一次ビームパスと相互作用することにより、マルチビームアレイのダウンビームでマルチビームパスを生成する。一次ビームとのマルチビームアレイの相互作用は、1つ又は複数のアパーチャアレイ、個々の偏向器(例えば、サブビームごとに)、レンズ、非点収差補正装置及び(収差)補正器(ここでも例えばサブビームごとに)を含み得る。
【0033】
[0050] ガンアパーチャプレート271は、動作時に、クーロン効果を低減するために、一次電子ビーム202の周辺電子をブロックするように構成される。クーロン効果は、一次サブビーム211、212、213のプローブスポット221、222及び223のそれぞれのサイズを拡大し、したがって、検査分解能を低下させ得る。ガンアパーチャプレート271は、ソース変換ユニット220の前であっても一次サブビーム(図示せず)を発生させるための複数の開口も含むことができ、クーロンアパーチャアレイとも呼ばれることがある。
【0034】
[0051] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させる(又はコリメートする)ように構成される。ある実施形態では、集光レンズ210は、実質的に平行なビームとなり、ソース変換ユニット220に実質的に垂直に入射するように一次電子ビーム202を集束させる(又はコリメートする)ように設計され得る。集光レンズ210は、それの主平面の位置が可動であるように構成され得る可動集光レンズであり得る。ある実施形態では、可動集光レンズは、例えば、光軸204に沿って物理的に移動するように構成され得る。代替的に、可動集光レンズは、集光レンズの主平面が個々の電気光学要素(レンズ)の強度の変動に応じて移動する2つ以上の電気光学要素から構成され得る。(可動)集光レンズは、磁気、静電気又は磁気レンズ及び静電レンズの組み合わせであるように構成され得る。さらなる実施形態では、集光レンズ210は、回転防止集光レンズであり得る。回転防止集光レンズは、集光レンズ210の集束力(コリメート力)が変化したとき及び/又は集光レンズの主平面が移動したとき、回転角度を不変に保つように構成され得る。
【0035】
[0052] ソース変換ユニット220の一実施形態では、ソース変換ユニット220は、像形成要素アレイ、収差補償器アレイ、ビーム制限アパーチャアレイ及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイを含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、例えば、任意選択的であり得、例えばビーム制限アパーチャアレイ、像形成要素アレイ及び/又は収差補償器アレイ上へのクーロンアパーチャアレイに由来するサブビームの実質的に垂直な入射を集光レンズが保証しない実施形態において存在し得る。像形成要素アレイは、マルチビームパスの複数のサブビーム、すなわち一次サブビーム211、212、213を発生させるように構成され得る。像形成要素アレイは、例えば、一次電子ビーム202の複数の一次サブビーム211、212、213に影響を与え、及び一次ビームクロスオーバー203の複数の平行像(虚像又は実像)を形成するために、マイクロ偏向器、マイクロレンズ(又は両者の組み合わせ)などの複数の電子ビームマニピュレータを含み得る(一次サブビーム211、212及び213のそれぞれに対して1つずつ)。収差補償器アレイは、例えば、像面湾曲補償器アレイ(図示せず)及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器アレイは、例えば、一次サブビーム211、212及び213の像面湾曲収差を補償するための複数のマイクロレンズを含み得る。非点収差補償器アレイは、一次サブビーム211、212及び213の非点収差を補償するための複数のマイクロ非点収差補正装置を含み得る。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次サブビーム211、212及び213の直径を規定するように構成され得る。図2は、一例として3つの一次サブビーム211、212及び213を示すが、ソース変換ユニット220は、任意の数の一次サブビームを形成するように構成され得ることが理解されるものとする。コントローラ50は、ソース変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影装置230又は電動ステージ209などの図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。以下により詳細に説明するように、コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0036】
[0053] 集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力(コリメート力)を異ならせることにより、ソース変換ユニット220のダウンビームで一次サブビーム211、212、213の電流を調整するようにさらに構成され得る。代替的又は追加的に、一次サブビーム211、212、213の電流は、個々の一次サブビームに対応するビーム制限アパーチャアレイ内のビーム制限アパーチャの半径方向サイズを変えることによって変更され得る。
【0037】
[0054] 対物レンズ231は、検査のためにサンプル208上にサブビーム211、212及び213を集束させるように構成することができ、この実施形態では、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。
【0038】
[0055] ビームセパレータ233は、例えば、静電双極子場及び磁気双極子場(図2では図示せず)を含むウィーンフィルタであり得る。動作時、ビームセパレータ233は、静電双極子場により、一次サブビーム211、212及び213の個々の電子に対して静電力をかけるように構成され得る。ある実施形態では、静電力は、ビームセパレータ233の磁気双極子場によって一次サブビーム211、212及び213の個々の一次電子にかけられる磁力に対して大きさが等しいが、方向が逆である。したがって、一次サブビーム211、212及び213は、少なくとも実質的にゼロの偏向角度でビームセパレータ233を少なくとも実質的に直線に通過し得る。磁力の方向は、電子の動きの方向に依存し、静電力の方向は、電子の動きの方向に依存しない。したがって、二次電子及び後方散乱電子は、一般に、一次電子と比較して反対方向に移動するため、二次電子及び後方散乱電子にかかる磁力は、もはや静電力を相殺せず、その結果、ビームセパレータ233を通って進む二次電子及び後方散乱電子は、光軸204から離れて偏向される。
【0039】
[0056] 偏向走査ユニット232は、動作時に、サンプル208の表面の一セクションの個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成される。サンプル208上への一次サブビーム211、212及び213又はプローブスポット221、222及び223の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から発生する。この実施形態では、二次電子は、3つの二次電子ビーム261、262及び263において伝搬する。二次電子ビーム261、262及び263は、一般的に、(50eV以下の電子エネルギーを有する)二次電子を有し、(50eVと一次サブビーム211、212及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する)後方散乱電子の少なくとも一部も有し得る。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262及び263のパスを二次投影装置250に向けて偏向させるように配置される。続いて、二次投影装置250は、二次電子ビーム261、262及び263のパスを電子検出デバイス240の複数の検出領域241、242及び243上に集束させる。検出領域は、例えば、対応する二次電子ビーム261、262及び263を検出するように配置された別個の検出要素241、242及び243であり得る。検出領域は、対応する信号を生成し得、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、例えば、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送られる。
【0040】
[0057] 検出要素241、242及び243は、対応する二次電子ビーム261、262及び263を検出することができる。検出要素241、242及び243への二次電子ビームの入射時に、要素は、対応する強度信号出力(図示せず)を生成し得る。出力は、画像処理システム(例えば、コントローラ50)に向けられ得る。各検出要素241、242及び243は、1つ又は複数のピクセルを含み得る。検出要素の強度信号出力は、検出要素内のすべてのピクセルによって生成された信号の合計であり得る。
【0041】
[0058] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。したがって、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなどの信号通信を可能にする装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0042】
[0059] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、ある期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0043】
[0060] コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用し得る。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用し得る。したがって、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用し得る。
【0044】
[0061] コントローラ50は、例えば、さらに、サンプル208の検査中、検査前又は検査後にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。ある実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、例えば継続的に例えば一定の速度においてある方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、例えば、様々なパラメータに依存してサンプル208の移動の速度が変わるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラは、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0045】
[0062] 図2は、装置40が3つの一次電子サブビームを使用することを示しているが、装置40は、2つ以上の数の一次電子サブビームを使用し得ることが理解される。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0046】
[0063] ここで図3を参照すると、図3は、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。装置300は、電子ソース301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372(さらにクーロンアパーチャアレイ372とも呼ばれる)、集光レンズ310(図2の集光レンズ210に類似)、ソース変換ユニット320、対物レンズ331(図2の対物レンズ231に類似)及びサンプル308(図2のサンプル208に類似)を含み得る。電子ソース301、クーロンアパーチャアレイ372、集光レンズ310は、装置300によって含まれる照明装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320及び対物レンズ331は、装置300によって含まれる投影装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320は、図2のソース変換ユニット220に類似し得、ソース変換ユニット320では、図2の像形成要素アレイは、像形成要素アレイ322であり、図2の収差補償器アレイは、収差補償器アレイ324であり、図2のビーム制限アパーチャアレイは、ビームレット制限アパーチャアレイ321であり、図2の事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323である。電子ソース301、クーロンアパーチャアレイ372、集光レンズ310、ソース変換ユニット320及び対物レンズ331は、装置の一次電子光軸304とアライメントされる。電子ソース301は、概ね一次電子光軸304に沿って及び(仮想又は実在の)ソースクロスオーバー301Sを用いて一次電子ビーム302を発生させる。クーロンアパーチャアレイ372は、結果として生じるクーロン効果を低減するために、一次電子ビーム302の周辺電子をカットする。一次電子ビーム302は、プレサブビーム形成機構のクーロンアパーチャアレイ372により、指定数のサブビーム(3つのサブビーム311、312及び313など)に削減され得る。3つのサブビーム及びそれらのパスが前述及び以下の説明で言及されるが、この説明は、任意の数のサブビームを用いた装置、ツール又はシステムへの適用を意図したものであることが理解されるものとする。
【0047】
[0064] ソース変換ユニット320は、一次電子ビーム302のサブビーム311、312及び313の外寸を規定するように構成されたビーム制限アパーチャを有するビームレット制限アパーチャアレイ321を含み得る。ソース変換ユニット320は、像形成マイクロ偏向器322_1、322_2及び322_3を有する像形成要素アレイ322も含み得る。各サブビームのパスに関連付けられたそれぞれのマイクロ偏向器が存在する。マイクロ偏向器322_1、322_2及び322_3は、サブビーム311、312及び313のパスを電子光軸304に向けて偏向させるように構成される。偏向したサブビーム311、312及び313は、ソースクロスオーバー301Sの虚像(図示せず)を形成する。この実施形態では、これらの虚像は、対物レンズ331によってサンプル308上に投影され、及びサンプル上にプローブスポットを形成し、これらのプローブスポットは、3つのプローブスポット391、392及び393である。各プローブスポットは、サンプル表面上のサブビームパスの入射場所に対応する。ソース変換ユニット320は、各サブビームに存在し得る収差を補償するように構成された収差補償器アレイ324をさらに含み得る。収差補償器アレイ324は、例えば、マイクロレンズを有する像面湾曲補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器及びマイクロレンズは、例えば、プローブスポット391、392及び393において顕著な像面湾曲収差に関して個々のサブビームを補償するように構成され得る。収差補償器アレイ324は、マイクロ非点収差補正装置を有する非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。マイクロ非点収差補正装置は、例えば、そうでなければプローブスポット391、392及び393に存在する非点収差を補償するためにサブビームに対して作用するように制御され得る。
【0048】
[0065] ソース変換ユニット320は、サブビーム311、312及び313をそれぞれ屈曲させるための事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2及び323_3を有する事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323をさらに含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2及び323_3は、サブビームのパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上に屈曲させることができる。ある実施形態では、事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、サブビームのサブビームパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上の平面の直交に向けて屈曲させるように構成され得る。代替実施形態では、集光レンズ310は、サブビームのパス方向をビームレット制限アパーチャアレイ321上に調整し得る。集光レンズ310は、例えば、一次電子光軸304に沿って実質的に平行なビームとなるように、3つのサブビーム311、312及び313を集束させる(コリメートする)ことができ、したがって、3つのサブビーム311、312及び313は、ソース変換ユニット320に実質的に垂直に入射し、ソース変換ユニット320は、ビームレット制限アパーチャアレイ321に対応し得る。このような代替実施形態では、事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、必要ではない場合がある。
【0049】
[0066] 像形成要素アレイ322、収差補償器アレイ324及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、サブビーム操作デバイスの複数の層を含み得、それらの一部は、アレイの形式(例えば、マイクロ偏向器、マイクロレンズ又はマイクロ非点収差補正装置)であり得る。
【0050】
[0067] ソース変換ユニット320のこの例では、一次電子ビーム302のサブビーム311、312及び313は、一次電子光軸304に向けて、それぞれ像形成要素アレイ322のマイクロ偏向器322_1、322_2及び322_3によって偏向される。サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1に到達する前に既に電子光軸304に一致し得るため、サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1によって偏向されなくてもよいことが理解されるものとする。
【0051】
[0068] 対物レンズ331は、サブビームをサンプル308の表面上に集束させ、すなわち、対物レンズ331は、3つの虚像をサンプル表面上に投影する。3つのサブビーム311~313によってサンプル表面上に形成された3つの像は、サンプル表面上に3つのプローブスポット391、392及び393を形成する。ある実施形態では、サブビーム311~313の偏向角度は、3つのプローブスポット391~393のオフアクシス収差を低減又は制限するために、対物レンズ331の前側焦点を通過するか又は対物レンズ331の前側焦点に近づくように調整される。
【0052】
[0069] 図3に示されるようなマルチビーム検査ツール300の実施形態では、二次電子のビームパス、ビームセパレータ(ウィーンフィルタ233に類似)、二次投影光学系(図2の二次投影光学系250に類似)及び電子検出デバイス(電子検出デバイス240に類似)は、明確にするために省略されている。しかしながら、二次電子又は後方散乱電子を用いてサンプル表面の像を登録及び生成するために、類似のビームセパレータ、二次投影光学系及び電子検出デバイスが図3のこの実施形態に存在し得ることが明白となるはずである。
【0053】
[0070] 図2及び図3の上記のコンポーネントの少なくとも幾つかは、それらが1つ又は複数の荷電粒子ビーム又はサブビームを操作することから、個々に又は互いに組み合わせてマニピュレータアレイ又はマニピュレータと呼ばれることがある。
【0054】
[0071] マルチビーム検査ツールの上記の実施形態は、単一の荷電粒子ソースを有するマルチビーム荷電粒子装置(マルチビーム荷電粒子光学装置と呼ばれることがある)を含む。マルチビーム荷電粒子装置は、照明装置及び投影装置を含む。照明装置は、ソースの電子ビームから荷電粒子マルチビームを発生させ得る。投影装置は、荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影する。サンプルの表面の少なくとも一部は、荷電粒子マルチビームで走査され得る。
【0055】
[0072] マルチビーム荷電粒子装置は、荷電粒子マルチビームのサブビームを操作するための1つ又は複数の電子光学デバイスを含む。適用される操作は、例えば、サブビームのパスの偏向及び/又はサブビームに適用される集束動作であり得る。1つ又は複数の電子光学デバイスは、MEMS又は微小電気(電子)機械システムを含み得る。
【0056】
[0073] 荷電粒子装置は、電子光学デバイスのアップビームに位置し、及び任意選択的に電子光学デバイス内に位置するビームパスマニピュレータを含み得る。ビームパスは、例えば、ビーム全体にわたって動作する2つの静電偏向器セットにより、荷電粒子軸、すなわち光軸に対して直交する方向に線形に操作され得る。2つの静電偏向器セットは、直交方向にビームパスを偏向させるように構成され得る。各静電偏向器セットは、ビームパスに沿って連続的に配置された2つの静電偏向器を含み得る。各セットの第1の静電偏向器は、補正偏向を与え、第2の静電偏向器は、電子光学デバイスへの正しい入射角にビームを復元する。第1の静電偏向器によって与えられる補正偏向は、MEMSへの所望の入射角を保証するための偏向を第2の静電偏向器が与えることができるように、過剰補正であり得る。静電偏向器セットの場所は、電子光学デバイスのアップビームにある幾つかの場所であり得る。ビームパスは、回転操作され得る。回転補正が磁気レンズによって与えられ得る。追加的又は代替的に、回転補正は、集光レンズ構成などの既存の磁気レンズによって達成され得る。
【0057】
[0074] 本明細書全体を通して、基板Wであり得るサンプルに接近する単一ビーム又はマルチビームの方向は、実質的にz軸に沿っていると規定され得る。z軸は、単一ビーム又はサブビームのパスと実質的にアライメントされ得る。照明されるサンプルの表面は、実質的にxy平面内にあると規定され得る。走査操作において、サンプルは、z方向にではなく、xy平面内で移動させることができる。
【0058】
[0075] 振動は、荷電粒子装置の性能に影響を与え得る。特に、SEM及び/又は基板Wが振動の影響を受ける場合、基板の極めて小さいフィーチャの撮像品質が著しく悪化する可能性がある。したがって、SEM及び基板Wを主な振動源から実質的に隔離する必要がある。主な振動源は、床の振動、内部ベースフレーム振動、基板ステージの移動によって誘起される振動及び真空ポンプの振動である。
【0059】
[0076] 荷電粒子装置は、荷電粒子ビームジェネレータと、荷電粒子ビームジェネレータを支持するためのプラットフォームとを含むものとして説明される場合がある。荷電粒子ビームジェネレータは、基板を照明するための1つ又は複数の荷電粒子ビームを発生させる。荷電粒子ビームジェネレータを支持するためのプラットフォームは、荷電粒子ビームを用いた完全なプロセスが行われることを可能にするための構造及び機構のすべてを提供する。
【0060】
[0077] 図4は、既知の荷電粒子ビーム装置を示す。単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータと、単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータを支持するための既知のプラットフォームとが存在する。
【0061】
[0078] 単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータは、単一ビームSEM407を含む。単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータは、図4には図示されていないイオンポンプなどの他のコンポーネントを含み得る。SEM407を支持するためのプラットフォームは、フレーム402、414、チャンバ404及びSEM407の動作を支持するための他の構造を含む。
【0062】
[0079] 特に、プラットフォームは、床に設置される台座401を含む。ベースフレーム402は、台座401の上に設置される。エアマウント403は、ベースフレーム402とプラットフォームの上部との間に設けられる。プラットフォームの上部は、上部フレーム414及びチャンバ404を含む。チャンバの下面によって支持されるのは、基板支持部412をY方向に移動させるためのYロングストローク駆動装置405である。Yロングストローク駆動装置405によって支持されるのは、基板支持部412をX方向に移動させるためのXロングストローク駆動装置406である。Xロングストローク駆動装置406によって支持されるのは、基板Wを保持するための基板支持部412である。プラットフォームの上部は、チャンバ404内で実質的な真空を発生させるためのポンプ409も含む。ポンプ409は、SEM407に到達し得るポンプ振動を低減するために、ゴムダンパを介してチャンバ404上に取り付けられ得る。チャンバ内には、様々なセンサ及びレーザが設けられ得る(図4には図示されていない)。
【0063】
[0080] 使用時に、チャンバ404の下部は、チャンバ404を真空化することができるように、チャンバ404の上部に結合される。しかしながら、チャンバ404の下部は、点検修理に必要な場合、チャンバ404の上部から切り離すことができる。チャンバ404の上部及び下部が互いに結合された際に、チャンバ404の上部と下部との間の境界面をシールするOリングシール413が存在する。Oリングシール413は、チャンバ404が真空化されることを可能にする。
【0064】
[0081] 単一ビーム荷電粒子装置の上記の構成では、プラットフォームの上部は、エアマウント403によってベースフレーム402上に支持されており、これにより、SEM407及び基板支持部412を含むプラットフォームの上部が床の振動及び内部ベースフレーム振動から実質的に隔離される。基板支持部412の移動により振動が生じるが、基板支持部の移動速度は比較的遅く、そのため、振動の大きさは比較的小さい。振動の大きさが減少するまでの待ち時間も許容できる。したがって、単一ビーム荷電粒子装置は、基板支持部412の移動によって生じる振動の悪影響が許容できるように動作することができる。
【0065】
[0082] 図5は、既知の荷電粒子ビーム装置を示す。マルチビーム荷電粒子ビームジェネレータと、マルチビーム荷電粒子ビームジェネレータを支持するための既知のプラットフォームとが存在する。
【0066】
[0083] マルチビーム荷電粒子ビームジェネレータは、イオンポンプ(図5には図示されない)を有し得るマルチビームSEM507を含む。SEM507を支持するためのプラットフォームは、フレーム503、518、チャンバ516及びSEM507の動作を支持するための他の構造を含む。
【0067】
[0084] プラットフォームは、床に設置される台座401を含む。ベースフレーム503は、台座401の上に設置される。エアマウント403は、ベースフレーム503とプラットフォームの上部との間に設けられる。プラットフォームの上部は、上部フレーム518及びチャンバ516を含む。チャンバ516は、基板ステージフレーム506を含む。基板ステージフレーム506は、チャンバ516の主壁から実質的に隔離される。基板ステージフレーム506は、基板ステージインターフェイスフレーム504によって支持される。基板ステージインターフェイスフレーム504は、チャンバ516の外側にある。チャンバ516の主壁には、基板ステージフレーム506と基板ステージインターフェイスフレーム504との間の機械的フィードスルー、すなわち支持部のための開口が存在する。台座401上に基板ステージインターフェイスフレーム504を支持するためのリフティングベローズ502及び大動脈501が存在する。基板ステージインターフェイスフレーム504上にチャンバ516を支持するためのチャンバベローズ505も存在する。
【0068】
[0085] 基板ステージフレーム506の上面に支持されるのは、基板支持部をX方向に移動させるためのXロングストローク駆動装置514である。Xロングストローク駆動装置514による移動に起因する振動を低減するためのバランスマス515が存在する。Xロングストローク駆動装置514によって支持されるのは、基板支持部をY方向に移動させるためのYロングストローク駆動装置508である。図5には図示されていないが、Yロングストローク駆動装置508による移動に起因する振動を低減するためのバランスマスも存在し得る。
【0069】
[0086] Yロングストローク駆動装置508によって支持されるのは、ロングストロークキャリア517である。ロングストロークキャリア517は、基板Wを保持するための基板支持部を含むショートストローク構成509を支持する。ショートストローク構成509は、ロングストロークキャリア517の上方に浮いていてもよく、すなわちロングストロークキャリア517に接続されていなくてもよい。ショートストローク構成509は、例えば、ローレンツモータによって支持され得る。それにより、ショートストローク構成509は、Xロングストローク駆動装置514及びYロングストローク駆動装置508によって引き起こされる振動から隔離される。
【0070】
[0087] チャンバ内には、様々なレーザ及びセンサが設けられ得る(図5には図示されていない)。チャンバ516を真空化するためのポンプ409も存在する。ポンプ409は、SEM507に到達し得るポンプ振動を低減するために、ゴムダンパを介してチャンバ516上に取り付けられ得る。チャンバ516の下部は、点検修理に必要な場合、チャンバ516の上部から切り離すことができる。チャンバ516の上部及び下部が互いに結合された際に、チャンバ516が真空化され得るように、チャンバ516の上部及び下部をシールするOリング513が存在する。
【0071】
[0088] マルチビーム荷電粒子装置のための上記のプラットフォームでは、基板ステージフレーム506を支持するために、基板ステージインターフェイスフレーム504が使用される。基板ステージインターフェイスフレーム504は、X及びYロングストローク駆動装置の移動をチャンバ516、ひいてはSEM507から隔離するフォースフレームとして機能する。しかしながら、点検修理のために基板支持部にアクセスするプロセスは、基板ステージフレーム506とチャンバ516の下部との両方を別々に下降させて位置決めする必要があるため、複雑である。
【0072】
[0089] マルチビーム荷電粒子装置のための上記のプラットフォームは、単一ビーム荷電粒子装置のための上記のプラットフォームを上回る向上した防振性能を有する。これにより、マルチビーム荷電粒子装置は、より高い加速度及びより短い待ち時間で動作することが可能となる。
【0073】
[0090] 単一ビーム荷電粒子装置及びマルチビーム荷電粒子装置のための上記のプラットフォームで特定され得る問題は、ポンプ409である。これらは、ポンプ409からの振動を低減するためのダンパを必要とする。しかしながら、ダンパは、ポンプ409の効率を低下させ、また、各ダンパは、ポンプ409がクラッシュした場合にポンプ409を保持するのに十分な強度を有していないため、さらなる安全ブラケットを必要とし、実質的にコストを増加させる。
【0074】
[0091] 図5に示されるプラットフォームは、図6に示されるプラットフォームよりも、防振の観点から、より良い性能を提供する。しかしながら、図5に示されるプラットフォームは、複雑であり、設置面積も大きい。荷電粒子装置のためのプラットフォームを改良する一般的必要性がある。
【0075】
[0092] したがって、マルチビーム荷電粒子装置のための既知のプラットフォームよりも、複雑さ、設置面積及びコストを低減した新規のプラットフォームを提供する一般的必要性がある。
【0076】
[0093] 図6は、第1の実施形態によるマルチビーム荷電粒子装置を示す。第1の実施形態は、マルチビーム荷電粒子ビームジェネレータを支持するためのプラットフォームを提供する。図6に示されるマルチビーム荷電粒子ビームジェネレータは、既知のマルチビーム荷電粒子ビームジェネレータであり得る。代替的に、第1の実施形態のプラットフォームは、既知の単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータを支持するために使用され得る。
【0077】
[0094] マルチビーム荷電粒子ビームジェネレータは、イオンポンプ(図6には図示されない)を有し得るマルチビームSEM603を含む。SEM603を支持するためのプラットフォームは、フレーム601、607、チャンバ602及びSEM603の動作を支持するための他の構造を含む。
【0078】
[0095] プラットフォームは、床に設置される台座401を含む。ベースフレーム601は、台座401の上に設置される。プラットフォームの下部は、チャンバ602を含む。台座401上にチャンバ602を支持するためのリフティングベローズ502及び大動脈501が存在する。実施形態は、機械的スピンドル又はリフティングベローズ502の代わりに使用される、チャンバ602を昇降させるための他の技術も含む。
【0079】
[0096] チャンバ602は、基板支持構成を含む。基板支持構成は、基板ステージ支持部614、Xロングストローク駆動装置611、Yロングストローク駆動装置612、ロングストロークキャリア616及びショートストローク構成613を含む。基板ステージ支持部614は、チャンバ602の下部内面に固定される。基板ステージ支持部614の上面でローラベアリングによって支持されるのは、ロングストロークキャリア616をX方向に移動させるためのXロングストローク駆動装置611である。Xロングストローク駆動装置611によって支持されるのは、ロングストロークキャリア616をY方向に移動させるためのYロングストローク駆動装置612である。Xロングストローク駆動装置611及びYロングストローク駆動装置612の両方の上に、それらが引き起こす振動を低減するために、バランスマスが設けられ得る。ロングストロークキャリア616は、基板Wを保持するための基板支持部を含むショートストローク構成613を支持する。ショートストローク構成613は、ロングストロークキャリア616の上方に浮いていてもよく、すなわちロングストロークキャリア616に接続されていなくてもよい。ショートストローク構成613は、例えばローレンツモータによって支持され得る。それにより、ショートストローク構成613は、Xロングストローク駆動装置611及びYロングストローク駆動装置612によって引き起こされる振動から隔離される。
【0080】
[0097] チャンバ602の上部とチャンバ602の下部との間には、Oリング615が存在する。チャンバ602の下部は、点検修理及び他の目的のために必要な場合、チャンバ602の下部を下降させることにより、チャンバ602の上部から切り離すことができる。Oリング615は、チャンバ602の上部及び下部が互いに結合された際に、チャンバ602が真空化され得るように、チャンバ602の上部及び下部をシールする。
【0081】
[0098] メトロロジフレーム607は、プラットフォームの上部によって構成される。エアマウント610は、ベースフレーム601とメトロロジフレーム607との間に設けられ得る。メトロロジフレーム607は、SEM603を支持する。
【0082】
[0099] チャンバの上部は、ベースフレーム601に堅固に接続され得るチャンバ上面606を含み得る。チャンバ上面606は、SEM603からの荷電粒子ビームがチャンバ602に入ることができるように開口を含み得る。チャンバ上面606は、ベローズ605によってメトロロジフレーム607に接続され得る。ベローズ605は、チャンバ上面606の開口を取り囲み得る。ベローズ605は、チャンバ602の内部が、実質的な真空が生成され得る密閉領域の一部であることを確実にする。ベローズ605は、可撓性部材であり得る。ベローズ605の可撓性により、チャンバ602内で発生する振動からメトロロジフレーム607が実質的に隔離される。ベローズ605は、図7図9Bを参照して、後により詳細に説明される。
【0083】
[00100] チャンバ602内で実質的な真空を発生させるためのポンプ409は、ベースフレーム601に直接接続され得る。メトロロジフレーム607は、エアマウント610及び/又はベローズ605により、ポンプ409からの振動から隔離される。したがって、有利には、ポンプ409は、ゴムダンパ及び安全ブラケットを使用することなく、ベースフレーム601に接続することができる。
【0084】
[00101] チャンバ602内及び/又はチャンバ602の外に様々なレーザ及びセンサが設けられ得る(図6には図示されない)。実施形態は、メトロロジフレーム607に取り付けられ、ビューポートを介してチャンバ内に光を放出する干渉計レーザを含む。干渉計レーザは、SEM603に対するショートストローク構成613の位置を測定することができる。
【0085】
[00102] 第1の実施形態は、SEM603、基板W及びメトロロジフレーム607を主な振動源のすべてから隔離するための新規のプラットフォームを提供する。
【0086】
[00103] 基板ステージ支持部614は、ベースフレーム601に堅固に接続された真空チャンバ602の底部に取り付けられ、それにより単一の剛体が形成される。エアマウント610は、ベースフレーム601上に配置される。エアマウント610は、メトロロジフレーム607及びSEM603を支える。したがって、SEM603は、ベースフレーム601に堅固に接続されていない。第1の実施形態によるプラットフォームにおける重要な要素は、チャンバ602とメトロロジフレーム607との間の可撓性ベローズ605である。エアマウント610及びベローズ605は、メトロロジフレーム607及びSEM603に入る可能性のある、ポンプ409、床、ベースフレーム601及び/又はチャンバ602(特に、チャンバ602内のXロングストローク駆動装置611及びYロングストローク駆動装置612)からの振動を制限する。ベローズ605は、チャンバ602の内部が、実質的な真空が生成され得る密閉領域の一部であることも確実にする。ショートストローク構成613は、ロングストロークキャリア616の上方に浮いている。これにより、ショートストローク構成613に入る可能性がある、ポンプ409、床、ベースフレーム601及び/又はXロングストローク駆動装置611及びYロングストローク駆動装置612からの振動が制限される。
【0087】
[00104] 第1の実施形態のプラットフォームは、図4及び図5に示される既知のプラットフォームを上回る幾つかの利点を提供する。
【0088】
[00105] 特に、第1の実施形態のプラットフォームは、図5に示すような、マルチビームSEM507のための既知のプラットフォームよりも、実質的に単純な構造及び動作を有する。第1の実施形態のプラットフォームは、製造及び動作が実質的により安価である。第1の実施形態のプラットフォームは、マルチビームSEM507のための既知のプラットフォームと同様の又は実質的に同じ防振性能及びスループットも提供する。
【0089】
[00106] 例えば、第1の実施形態のプラットフォームにおいて、点検修理のためにショートストローク構成613へのアクセスを提供するために、チャンバ602の下部は、リフティングベローズ502を収縮させることによって下降させることができる。これは、単一の動作によって行われ、したがって、図5を参照して前述したように、基板ステージフレーム506及びチャンバ516の下部の両方を別々に下降させて位置決めするプロセスよりも単純及び安価である。
【0090】
[00107] ポンプ409は、ゴムダンパ及び安全ブラケットを使用することなくベースフレーム601に接続することができ、これは、さらなるコスト削減である。これは、ポンプ409の効率も向上させ、そのため、同じ真空レベルを達成するために、より小型のポンプ409を使用することができる。
【0091】
[00108] 真空によるメトロロジフレーム607への負荷は、低減される。したがって、メトロロジフレーム607は、より小さく及びより軽くすることができる。
【0092】
[00109] 第1の実施形態のプラットフォームの設置面積は、マルチビームSEM507のための既知のプラットフォームの設置面積よりも小さく、図4を参照して説明した単一ビームSEM407のためのプラットフォームと同様でもあり得る。
【0093】
[00110] 第2の実施形態によれば、第1の実施形態のプラットフォームで使用され得るベローズ605の幾つかの実装形態が提供される。
【0094】
[00111] ベローズ605は、一般に、メトロロジフレーム607とチャンバ上面606との間の可撓性防振シールであり得る。ベローズ605は、メトロロジフレーム607を振動から隔離すること及びチャンバ内で実質的な真空が生成され得るようにチャンバ602が密閉構造であることを確実にすることの二重の目的を有する。ベローズ605は、メトロロジフレーム607及びSEM603に入る可能性のある、ポンプ409、床、ベースフレーム601及び/又はチャンバ602(特に、チャンバ602内のXロングストローク駆動装置611及びYロングストローク駆動装置612)からの振動を制限する。ベローズ605も、真空シールである。
【0095】
[00112] 図7は、第2の実施形態によるベローズ605の第1の実装形態を通した断面を概略的に示す。
【0096】
[00113] ベローズ605は、可撓性材料の単層を含む。ベローズは、C字形断面を有し得る。ベローズ605は、チャンバ上面606に固定される第1の端部(下端部であり得る)を有する。ベローズ605の下端部は、金属リングによってチャンバ上面606にクランプされ得る。ベローズ605は、メトロロジフレーム607に固定される第2の端部(上端部であり得る)を有する。ベローズ605の上端部は、金属リングによってメトロロジフレーム607にクランプされ得る。ベローズ605の下端部及び上端部は、各端部が実質的に気密のシール(Oリングタイプのシールであり得る)を形成するように、ベローズ605の残りの部分よりも厚くてもよい。
【0097】
[00114] 第1の実装形態では、メトロロジフレーム607及びSEM603の重量は、エアマウント610によって支えられる。したがって、ベローズ605は、耐荷重性を持たない。したがって、ベローズ605は、剛性の低い、非常に可撓性のある材料から作られ得る。ベローズ605は、すべての自由度において防振を提供することができる。
【0098】
[00115] ベローズ605の第1の実装形態では、少量のガスがベローズ605を透過することができる場合がある。ガス透過量は、ベローズ605の圧力差が増加するにつれて増加し得る。ベローズ605を通るガス透過量は、荷電粒子装置の正しい動作のために許容できる場合がある。しかしながら、ガス透過量が許容できない場合、ガス透過量は、ベローズ605の厚さを増加させることによって減少させることができる。ベローズ605の厚さを増加させることによる問題は、これがベローズ605の可撓性を低下させ、それにより防振性能が低下し得ることである。
【0099】
[00116] 図8は、第2の実施形態によるベローズ605の第2の実装形態を通した断面を概略的に示す。
【0100】
[00117] ベローズ605は、可撓性材料の2つの単層605b、605aを含む。
【0101】
[00118] ベローズ605の第1の層605bは、第2の実施形態の上記の第1の実装形態と実質的に同じであり得る。すなわち、ベローズの第1の層605bは、C字形断面を有し得る。第1の層605bは、チャンバ上面606に固定される第1の端部(下端部であり得る)を有する。第1の層605bの下端部は、金属リングによってチャンバ上面606にクランプされ得る。第1の層605bは、メトロロジフレーム607に固定される第2の端部(上端部であり得る)を有する。第1の層605bの上端部は、金属リングによってメトロロジフレーム607にクランプされ得る。第1の層605bの下端部及び上端部は、各端部が実質的に気密のシール(Oリングタイプのシールであり得る)を形成するように、第1の層605bの残りの部分よりも厚くてもよい。
【0102】
[00119] ベローズ605の第2の層605aは、第1の層605bのチャンバ側を覆い得る。第2の層605aも、C字形断面を有し得る。第2の層605aは、チャンバ上面606に固定される第1の端部(下端部であり得る)を有する。第2の層605aの下端部は、金属リングによって上面606にクランプされ得る。第2の層605aは、メトロロジフレーム607に固定される第2の端部(上端部であり得る)を有する。第2の層605aの上端部は、金属リングによってメトロロジフレーム607にクランプされ得る。第2の層605aの下端部及び上端部は、各端部が実質的に気密のシール(Oリングタイプのシールであり得る)を形成するように、第2の層605aの残りの部分よりも厚くてもよい。
【0103】
[00120] 第1の層605bと第2の層605aとの間の密閉領域から、抽出導管801を介してガスを抽出するためのポンプが設けられ得る。第1の層605bと第2の層605aとの間の密閉領域は、粗真空と呼ばれることがある。
【0104】
[00121] ベローズ605の第2の実装形態は、第1の実装形態に関する上記で特定された潜在的な問題を解決する。第1の層605bを透過したガスは、粗真空に流入する。その後、ガスは、ポンプによって粗真空のために除去され得る。したがって、第1の層605bを透過するガスは、チャンバ602の内部に流入しない。粗真空とチャンバの内部との間の圧力差は、非常に小さくなり得る。したがって、第2の層605aは、第1の層605bよりもかなり薄くてもよい。したがって、第2の層605aは、ベローズ605の全体的な剛性を実質的に高めない。
【0105】
[00122] ベローズ605の第2の実装形態は、チャンバ602内の真空要件が極めて高い場合に第1の実装形態よりも好ましい場合がある。
【0106】
[00123] 図9A及び図9Bは、第2の実施形態によるベローズ605の第3の実装形態を通した断面を概略的に示す。
【0107】
[00124] ベローズ605は、可撓性材料の3つの単層605b、605a、605cを含む。
【0108】
[00125] ベローズ605の第1の層605b及び第2の層605aは、第2の実施形態の上記の第2の実装形態と実質的に同じであり得る。第3の実装形態は、第3の層605cを含むことによって第2の実装形態と異なる。
【0109】
[00126] 第3の層605cは、ベローズ605の第1及び第2の層とは反対側にある。ベローズの第3の層605cは、C字形断面を有し得る。第3の層605cは、チャンバ上面606に固定される第1の端部(下端部であり得る)を有する。第3の層605cの下端部は、金属リングによってチャンバ上面606にクランプされ得る。第3の層605cは、メトロロジフレーム607に固定される第2の端部(上端部であり得る)を有する。第3の層605cの上端部は、金属リングによってメトロロジフレーム607にクランプされ得る。第3の層605cの下端部及び上端部は、各端部が実質的に気密のシール(Oリングタイプのシールであり得る)を形成するように、第3の層605cの残りの部分よりも厚くてもよい。
【0110】
[00127] 第3の実装形態では、第3の層605cと第1の層605bとの間に第1の密閉領域903が存在する。第1の層605bと第2の層605aとの間に第2の密閉領域904が存在する。第1の密閉領域903は、主加圧領域903と呼ばれることがある。第2の密閉領域904は、粗真空904と呼ばれることがある。
【0111】
[00128] 第2の実装形態について説明したように、粗真空904からガスを除去するためのポンプが存在し得る。ガスは、流出導管902を通って流れることによって粗真空から除去され得る。
【0112】
[00129] 第3の実装形態は、主加圧領域903内へのガス流のための流入導管901も含み得る。流入導管901を通してガス流を提供するためのポンプ又はコンプレッサが存在し得る。主加圧領域903は、チャンバ602の外側の周囲圧力領域905と、チャンバ602の内部の真空領域906との間の境界であり得る。主加圧領域903の圧力は、周囲圧力領域905の圧力よりも数バール高くてもよい。第3の実装形態のベローズ605は、耐荷重性を有することによって第1及び第2の実装形態のものと異なり得る。すなわち、メトロロジフレーム607及びSEM603の重量は、ベローズ605によって完全に支えられ得る。有利には、エアマウント610は、もはや必要とされない場合があり、これは、荷電粒子装置のためのプラットフォームの複雑さ及びコストを低減する。
【0113】
[00130] 実施形態は、エアマウント610を、6自由度を有するローレンツアクチュエータに置き換えることを含む。これらは、微動位置決めのため、ドリフト制御のため、懸垂メトロロジフレーム607の動きを減衰させ、及び故障(ショートストローク構成613のクラッシュなど)が発生した場合にメトロロジフレームを迅速に上昇させることを可能にする安全対策として使用され得る。
【0114】
[00131] 第2の実施形態の上記実装形態のすべてにおいて、ベローズ605の各層の材料は、例えば、Viton(商標)などの合成ゴムであり得る。ベローズ605の各層は、金属を含む他の材料からも作られ得る。
【0115】
[00132] 第3の実施形態によれば、荷電粒子装置において基板Wの大きい移動を行うための既知の技術を改良するための技術が提供される。
【0116】
[00133] 既知の荷電粒子ビーム装置では、大きい基板Wの移動は、ロングストロークキャリア517を移動させるXロングストローク駆動装置514及びYロングストローク駆動装置508によって行われる。ロングストロークキャリア517は、基板Wを保持するための基板支持部を含むショートストローク構成509を支持する。ロングストロークキャリア517は、電磁駆動装置、ガイド、リニア(エンコーダ)測定システム、ケーブルスラブ及び他のコンポーネントによって直線的に移動させることができる。これらの部品は、すべて真空チャンバ516内のSEM507の真下に配置される。水冷システムも存在し得る。
【0117】
[00134] 基板Wの大きい移動を行うための上記の既知の技術では、チャンバ516の容積の大部分は、基板Wを移動させるためのコンポーネントによって消費される。チャンバ516内にこれらのコンポーネントを有することには、幾つかの欠点がある。磁石、コイル及びケーブルからの磁気は、SEM画像を乱すことがある。モータによる熱放散がドリフトを引き起こすこと及び繊細な部品が変形することなどの熱の影響が存在し得る。ガイド及び多数のケーブルからのグリースにより、チャンバ516の脱ガス要件が増加し得る。これにより、ポンプのダウン時間が増加し、ターボポンプが必要となる場合がある。ガイドからの粒子、他の可動部品及び重いケーブルスラブがSEMの取得を妨げ、基板Wを損傷し、及び/又はSEM507を損傷するため、欠陥の数が増加し得る。ロングストローク駆動装置コストは、大きく、それらのガイドは、比較的頻繁に点検修理を必要とする。
【0118】
[00135] したがって、可能な限り多くのコンポーネントがチャンバ516の外側に取り付けられることが好ましい。上記で特定された欠点を低減又は回避することに加えて、チャンバ516の外側に位置するコンポーネントは、チャンバを脱真空化する必要なしに、容易に点検修理可能である。
【0119】
[00136] 第3の実施形態によれば、基板Wの大きい移動を行うためのモータは、チャンバの外側に移動される。チャンバの外側でのモータの回転は、チャンバの内部での基板Wの大きいX、Y及び任意選択的にRzの移動を引き起こし得る。
【0120】
[00137] 図10は、第3の実施形態による基板支持移動装置の第1の実装形態の平面図を概略的に示す。基板支持移動装置は、スカラ構成と呼ばれることがある。
【0121】
[00138] 基板支持移動装置は、基板を支持するためのコンポーネントである基板支持部を含む。基板支持部は、ロングストロークキャリア1009と、ロングストロークキャリア1009の上方に浮き得るショートストローク構成(図10には図示されていない)とを含み得る。ロングストロークキャリア1009及びショートストローク構成は、図5及び図6を参照して先述したようなものであり得る。したがって、ショートストローク構成は、例えば、ローレンツモータによってロングストロークキャリア1009の上方に支持され得る。それにより、ショートストローク構成に固定される基板Wは、ロングストローク移動によって生じる振動から隔離される。
【0122】
[00139] 基板支持移動装置は、第1の関節アーム1005、第2の関節アーム1006、第3の関節アーム1007及び第4の関節アーム1008も含む。第1のモータ1001、第2のモータ1002、第3のモータ1003及び第4のモータ1004も存在する。第1の関節アーム1005は、第1のモータ1001の軸シャフトをロングストロークキャリア1009に接続し得る。第2の関節アーム1006は、第2のモータ1002の軸シャフトをロングストロークキャリア1009に接続し得る。第3の関節アーム1007は、第3のモータ1003の軸シャフトをロングストロークキャリア1009に接続し得る。第4の関節アーム1008は、第4のモータ1004の軸シャフトをロングストロークキャリア1009に接続し得る。
【0123】
[00140] 図10には図示されていないが、チャンバが存在し、ロングストロークキャリア1009、第1の関節アーム1005、第2の関節アーム1006、第3の関節アーム1007及び第4の関節アーム1008は、チャンバ内に位置する。第1のモータ1001、第2のモータ1002、第3のモータ1003及び第4のモータ1004は、チャンバの外側に位置し、これらのモータの軸シャフトは、チャンバの壁を通って延在する。したがって、各軸シャフトは、チャンバ壁を通って、それぞれの関節アームの端部まで延在する。チャンバ壁は、各軸シャフトがそれを貫通し得るようにシールを含み得る。各シールは、例えば、強磁性流体ベアリングであり得る。
【0124】
[00141] 関節アーム1005、1006、1007及び1008は、それぞれのモータの軸シャフトの回転運動を、X及びY方向のロングストロークキャリア1009の直線運動及び/又はRzの回転に変換する。
【0125】
[00142] 図11は、第3の実施形態の第1の実装形態を示す概略側面図である。基板支持移動装置は、第1の実施形態による荷電粒子装置のためのプラットフォームに設けられる。第3及び第4のモータ並びにそれぞれの関節アームは、図示されていない。モータは、すべてチャンバ602の外側に位置し、モータの軸シャフトは、チャンバの底壁を通って上方に延在する。
【0126】
[00143] 第3の実施形態は、基板支持移動装置の第2の実装形態も含む。第2の実装形態は、第1の実装形態のモータの3つ及びそれぞれの関節アームのみを含むことによって第1の実装形態と異なる。例えば、第2の実装形態は、第1のモータ1001、第2のモータ1002及び第3のモータ1003並びにそれぞれの関節アームのみを含み得る。第3の実施形態の第2の実装形態は、それ以外は第1の実装形態と同じであり得る。第2の実装形態は、ロングストロークキャリアのX、Y及びRzの移動を行うことが可能である。第2の実装形態は、それが含むモータ及び関節アームの数が少ないため、第1の実装形態よりも安価である。しかしながら、4つのモータの使用は、さらなる制御、剛性、力、冗長性及び対称性を提供するため、第1の実装形態は、第2の実装形態よりも好ましい場合がある。
【0127】
[00144] 第3の実施形態による基板支持移動装置の第3の実装形態を図12に示す。
【0128】
[00145] 図12は、第3の実施形態の第3の実装形態による基板支持移動装置の側面図である。第3の実装形態では、2つのモータ及びそれぞれの関節アームのみが存在する。チャンバ壁1012を含むチャンバが存在する。チャンバ内に位置して、ロングストロークキャリア1009、第1のロングストロークスライド1011、第2のロングストロークスライド1010、第1の関節アーム1005及び第2の関節アーム1006が存在する。チャンバの外側には、第1のモータ1001及び第2のモータ1002が位置する。第1の関節アーム1005は、第1のモータ1001を第1のロングストロークスライド1011に接続し得る。第2の関節アーム1006は、第2のモータ1002を第2のロングストロークスライド1010に接続し得る。ロングストロークキャリア1009は、第2のロングストローク駆動装置1010上に固定され得る。上側のロングストロークスライド1010は、下側のロングストロークスライド1011に固定され得る。下側のロングストロークスライド1011は、チャンバ1012の下側内面に対して自由に動くことができる。
【0129】
[00146] 図12には図示されていないが、ロングストロークキャリア1009は、第3の実施形態の第1の実装形態に関して既に説明したように、ショートストローク構成を支持し得る。
【0130】
[00147] 第3の実施形態の第3の実装形態では、各関節アームは、ロングストロークキャリア1009の代わりに、ロングストロークスライド1010、1011に作用する。このような構成は、ロングストロークキャリア1009の垂直方向の剛性及び垂直方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0131】
[00148] 関節アーム1005及び1006は、それぞれのモータの軸シャフトの回転運動を、X及びY方向のロングストロークキャリア1009の直線運動に変換する。第3の実施形態の第3の実装形態は、ロングストロークキャリア1009のRzの移動を提供しない。しかしながら、第3の実施形態の第3の実装形態の利点は、2つのモータのみが必要とされるため、第1の実装形態よりも実質的に安価である点である。
【0132】
[00149] 第3の実施形態は、第1及び第2の実装形態が第3の実装形態に従って変更されることも含む。すなわち、第1及び第2の実装形態の各関節アームは、ロングストロークキャリアの代わりにロングストロークスライドに作用する。このような構成は、ロングストロークキャリアの垂直方向の剛性及び垂直方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0133】
[00150] 第3の実施形態のすべての実装形態は、図6を参照して先述したように、第1の実施形態による荷電粒子装置のためのプラットフォームで適用され得る。第3の実施形態のすべての実装形態は、荷電粒子装置のための既知のプラットフォーム(図4及び図5を参照して先述したものなど)でも適用され得る。
【0134】
[00151] 第3の実施形態のすべての実装形態は、関節アーム又はモータの何れかに適用され得るカウンタウェイトの使用を含み得る。各カウンタウェイトは、慣性中心を回転軸にアライメントさせるように作用し得る。
【0135】
[00152] 第3の実施形態のすべての実装形態は、各モータにおける回転エンコーダの使用を含み得る。これにより、チャンバ内のリニア(エンコーダ)測定システムの要件が回避される。
【0136】
[00153] 第3の実施形態の上記実装形態のすべてにおいて、基板Wの大きい移動のためのアクティブコンポーネント(すなわちモータ)は、すべてチャンバの外側に位置する。これにより、既知の技術に関して先に特定された問題の少なくとも幾つかが回避又は低減される。第3の実施形態の実装形態のさらなる利点は、必要とされるケーブルが少ない点である。必要とされるケーブルは、関節アームを介して又は関節アーム上に配線され得る。
【0137】
[00154] 第4の実施形態によれば、荷電粒子装置のためのプラットフォームにおけるバランスマスの既知の実装形態を改良するための技術が提供される。
【0138】
[00155] 既知のマルチビームSEMは、バランスマスを含む。バランスマスは、ロングストローク駆動装置とは反対方向に動くように配置される。バランスマスの効果は、ロングストローク移動によって引き起こされる振動が低減されることである。既知のマルチビームSEMに使用されるバランスマスは、大きく、重く、高価であり、アクティブである。バランスマスは、各バランスマスがモータ駆動され、エンコーダを含み、及びサーボ制御されるため、アクティブである。バランスマスは、非常に重いため、追加の磁気重力補償が必要とされる。
【0139】
[00156] 図13は、マルチビーム荷電粒子装置のためのプラットフォームにおけるバランスマスの既知の実装形態を概略的に示す。チャンバ516と共に位置して、Yロングストローク駆動装置508及び2つの対応するY方向アクティブバランスマス515が存在する。Yロングストローク駆動装置508の移動によって発生する反力は、カウンタバランス構成の2つのY方向アクティブバランスマス515に対して作用する。チャンバ516と共に、Xロングストローク駆動装置514及び対応する2つのX方向アクティブバランスマスも配置される。Xロングストローク駆動装置514のためのバランスマスは、図13には図示されていない。先述の通り、ロングストロークキャリア517は、Yロングストローク駆動装置508によって支持される。バランスマスは、発生する反力の大きさを低減させ、それにより荷電粒子ビームジェネレータの潜在的な外乱を低減する。
【0140】
[00157] バランスマスの既知の実装形態に関して、幾つかの問題が特定され得る。バランスマスは、非常に高価である。また、バランスマスは、非常に重く、これは、それらのハンドリング、輸送及び点検修理を複雑にする。バランスマスが占める体積は大きい。これにより、基板ステージフレームのサイズ及び荷電粒子装置の全体的な設置面積が大きくなる。大きい材料応力は、ガイドの設計及び製造を複雑にする。バランスマスの調整及びセットアップも、時間がかかる。
【0141】
[00158] 図14は、第4の実施形態によるバランスマス構成を概略的に示す。第4の実施形態のバランスマス構成により、上記特定された問題の少なくとも幾つかが回避又は低減される。バランスマス構成は、マルチビーム荷電粒子装置のための上記の既知のプラットフォームのチャンバ516に実装され得る。
【0142】
[00159] 第4の実施形態のバランスマスは、上記の既知の技術のものよりもはるかに質量が小さい。バランスマスは、少なくとも部分的に、ロングストロークモータの質量によって提供される。
【0143】
[00160] 図14は、Yロングストローク駆動装置508のためのロングストロークモータマグネットステータ1403(すなわちマグネットヨーク)及びモータ要素1402(すなわちモータコイル/シャフト)を示す。ロングストロークモータマグネットステータ1403は、Yロングストローク駆動装置508による移動のためのバランスマス構成の質量の少なくとも一部を提供する。ロングストロークモータマグネットステータ1403の質量は、Yロングストローク駆動装置508による移動のためのバランスマス構成の全体的な質量を増加させるように、それらに付加質量を固定することによって増加させることができる。
【0144】
[00161] 図14には図示されていないが、Xロングストローク駆動装置514のためのロングストロークモータマグネットステータ(すなわちマグネットヨーク)及びモータ要素(すなわちモータコイル/シャフト)も存在する。ロングストロークモータマグネットステータは、Xロングストローク駆動装置による移動のためのバランスマス構成の質量の少なくとも一部を提供する。ロングストロークモータマグネットステータの質量は、Xロングストローク駆動装置による移動のためのバランスマス構成の全体的な質量を増加させるように、それらに付加質量を固定することによって増加させることができる。
【0145】
[00162] Yロングストローク駆動装置508は、Yロングストローク駆動装置508の対向する両側にある2つのロングストロークモータによって動かされ得る。各モータのモータ要素1402は、モータのモータステータ1403に対して動く。2つのモータのモータ要素1402は、Yロングストローク駆動装置を動かすように、Yロングストローク駆動装置の対向する側面に接続され得る。
【0146】
[00163] 同様に、Xロングストローク駆動装置514は、Xロングストローク駆動装置514の対向する両側にある2つのロングストロークモータによって動かされ得る。各モータのモータ要素は、モータのモータステータに対して動く。2つのモータのモータ要素は、Xロングストローク駆動装置を動かすように、Xロングストローク駆動装置の対向する側面に接続され得る。
【0147】
[00164] 各ロングストロークモータマグネットステータ1403は、任意の付加質量と共に、可撓性ダンパ1401に取り付けられる。各可撓性ダンパ1401は、基板ステージフレームに取り付けられ得る。基板ステージフレームは、図14に示されるように、及び図5を参照して先述したように、基板ステージフレームと基板ステージインターフェイスフレームとの間の機械的フィードスルー、すなわち支持部によってチャンバ516から実質的に隔離され得る。
【0148】
[00165] 各可撓性ダンパ1401は、例えば、金属であり得る弾性板バネであり得る。バランスマスは、比較的軽量であり、そのため、可撓性ダンパ1401は、応力の低い、比較的単純であり、小型であり、低コストの設計を有し得る。可撓性ダンパ1401は、パッシブバランスマス構成を提供する。
【0149】
[00166] アクティブバランスマス構成と異なり、第4の実施形態のパッシブバランスマス構成は、モータ駆動されない。パッシブバランスマス構成は、例えば、渦電流減衰によって及び/又はゴム要素を用いて減衰を適用され得る。渦電流減衰は、アルミニウム板に対して移動する第2のマグネットトラックを追加することによって実施され得る。ゴム要素に関しては、板バネの上にゴムが加硫処理され得る。パッシブバランスマス構成は、ロングストロークモータの磁気整流のためのバランスマスエンコーダを含み得る。バランスマスエンコーダは、例えば、1mmを超える移動に対してのみ必要とされ得る。
【0150】
[00167] 既知の技術では、ロングストロークモータマグネットステータ及びモータ要素は、XY平面内に配向される。第4の実施形態では、ロングストロークモータマグネットステータ1403及びロングストロークモータマグネットステータ1403内に位置するモータ要素1402の一部、すなわちモータコイル/シャフトは、z方向に配向される(すなわちロングストローク駆動装置が移動する方向と直交する方向に配向される)ことによって異なり得る。有利には、これにより、基板ステージフレームの設置面積及び荷電粒子装置の全体的な設置面積が縮小される。
【0151】
[00168] 有利には、第4の実施形態のバランスマス構成は、既知の技術の大きく、重く、高価なバランスマス及び重力補償器を含まない。ベースプレート、すなわちバランスマスサブフレームも不要であり、これによりコスト並びに全体的な質量及び体積が低減される。
【0152】
[00169] 第4の実施形態のパッシブバランスマス構成によって提供される振動の低減は、バランスマスが使用されない場合と比較して、マルチビーム荷電粒子装置の性能を10~100倍向上させ得る。パッシブバランスマス構成は、既知のアクティブバランスマス構成よりもかなり安価となり得る。パッシブバランスマス構成は、既知のアクティブバランスマス構成よりもかなり質量が小さい。これにより、それの点検修理、ハンドリング及び輸送が単純化される。パッシブバランスマスを用いた荷電粒子装置の設置面積は、アクティブバランスマスを用いた場合よりも小さくなり得る。また、パッシブバランスマス構成の使用は、より簡単でより迅速な基板ステージフレームの設置及び点検修理をもたらし得る。
【0153】
[00170] 第4の実施形態のバランスマス構成は、マルチビーム荷電粒子装置のための上記の既知のプラットフォームに実装されるものとして説明した。第4の実施形態のバランスマス構成は、第1の実施形態の荷電粒子装置及び他のタイプの装置のためのプラットフォームにも実装され得る。特に、第4の実施形態は、図6を参照して先述したように、代替的に基板ステージフレームがチャンバの下面に直接取り付けられることを含む。
【0154】
[00171] 第5の実施形態によれば、荷電粒子装置のフレームの振動の大きさを低減するための技術が提供される。
【0155】
[00172] 荷電粒子装置のフレームは、床の上に位置する台座の上に設置されるベースフレームを含み得る。SEMを支持するためのメトロロジフレームも存在し得る。基板ステージなどのコンポーネントを支持するためのステージフレームも存在し得る。ステージフレームは、ベースフレームによって含まれ得る。これらのフレームがすべて一体化され得るか、又はそれらの幾つかが例えばエアマウントによって分離され得る。
【0156】
[00173] 荷電粒子装置のフレームの主な潜在的振動源は、床の振動及びステージ加速力である。荷電粒子ビームジェネレータに到達するフレーム振動は、荷電粒子装置の性能を低下させ得る。荷電粒子ビームジェネレータに到達するフレーム振動の大きさを実質的に低減し得るエアマウントなどのコンポーネントが存在する。しかしながら、これらのコンポーネントによって提供される防振は、大きさが大きいフレーム振動に対しては十分でない場合があり、そのため、フレーム振動を最小限に抑える一般的必要性がある。さらに、フレームの動的又はモーダル挙動は、フレーム振動を強める場合がある。したがって、フレーム振動は、フレームの共振周波数では、大きさが比較的大きい場合がある。
【0157】
[00174] 荷電装置がさらに開発されるにつれて、荷電粒子装置の設置面積が縮小されること及び/又は実質的に増大しないことも一般的に望ましい。したがって、荷電粒子装置の高さが一層高くなる傾向がある。しかしながら、所与の設置面積に対してフレームの高さを高くすることにより、フレーム振動の大きさが増大し得る。
【0158】
[00175] 荷電粒子装置のフレームは、電気キャビネット、フロー及び温度キャビネットなどの様々なモジュールを支持する。これらのモジュールは、プラットフォーム(すなわちフレーム及びモジュール)の全体的な質量に対してかなりの質量を追加する。フレームの振動の大きさは、フレームの剛性を高めることによって縮小することができる。剛性を高めることにより、固有振動数が増加する。しかしながら、モジュールの質量が比較的大きいため、剛性を高めることは、かなりの量の材料をフレームに追加することを必要とする。これにより、フレームの質量及びコストの両方が大幅に増加し得る。
【0159】
[00176] 第5の実施形態は、既知のフレームよりも改善された振動性能を有し得る荷電粒子装置のプラットフォームのフレームを提供する。
【0160】
[00177] 図15は、第5の実施形態による荷電粒子装置のためのプラットフォームのフレームの第1の実装形態を概略的に示す。
【0161】
[00178] 第5の実施形態のフレームは、ベースフレーム1502、メトロロジフレーム1505及びトップフレーム1507を含む。ベースフレームは、床の上の台座1501に取り付けられ得る。代替的に、ベースフレーム1502は、床の上に直接取り付けられ得る。メトロロジフレーム1505は、荷電粒子ビームジェネレータ1504を支持する(荷電粒子ビームジェネレータ1504は、単一ビーム荷電粒子ビームジェネレータ又はマルチビーム荷電粒子ビームジェネレータであり得る)。メトロロジフレーム1505は、エアマウント1506を介してベースフレームに接続される。ベースフレーム1502は、基板ステージ1503などのコンポーネントを支持するステージフレームを含む。トップフレーム1507は、1つ又は複数のモジュール1508を含む。モジュールは、電気キャビネット、フロー及び温度キャビネット並びに他のタイプのキャビネットを含み得る。モジュール1508の各々は、比較的大きく、重い場合がある。
【0162】
[00179] 第5の実施形態の第1の実装形態では、トップフレーム1507は、フレーム接続デバイス1509、1510を介してベースフレーム1502に接続される。フレーム接続デバイス1509、1510は、明確に規定された剛性及び減衰を有する。フレーム接続デバイス1509、1510により、トップフレーム1507は、ベースフレーム1502に堅固に接続されていない。フレーム接続デバイス1509、1510は共に、互いに同じであり得る。各フレーム接続デバイス1509、1510は、例えば、明確に規定された剛性を提供するためのバネ又はベローズを含み得る。各フレーム接続デバイス1509、1510は、例えば、減衰機構を含み得る。減衰機構は、例えば、ゴム要素、渦電流減衰システム又はオイルダンパなどのパッシブなものであり得る。代替的に、減衰機構は、バネと並列に配置されたローレンツアクチュエータ若しくはリラクタンスアクチュエータなどのアクティブなものであり得るか、又はピエゾスタックが使用され得る。
【0163】
[00180] フレーム接続デバイス1509、1510の効果は、トップフレーム1507とベースフレーム1502との間に共振を確立することである。共振応答は、フレーム接続デバイス1509、1510の剛性及び減衰に依存する。したがって、フレーム接続デバイス1509、1510の剛性及び減衰は、発生し得るフレーム振動の大きさを低減するベースフレーム1502の所望の共振応答を提供するように設定され得る。
【0164】
[00181] 共振応答は、同調質量減衰システム又はスカイ質量減衰システムとして構成され得る。
【0165】
[00182] 同調質量減衰システムでは、フレーム接続デバイス1509、1510の剛性及び減衰は、トップフレーム1507及びベースフレーム1502の共振周波数がベースフレーム1502の共振周波数と実質的に同じであるように設定される。ベースフレーム1502の共振周波数は、ベースフレーム1502の内部剛性に依存する。同調質量減衰は、同調された共振周波数におけるフレーム振動の大きさを実質的に低減することができる。
【0166】
[00183] スカイ質量減衰システムでは、フレーム接続デバイス1509、1510の剛性及び減衰は、トップフレーム1507及びベースフレーム1502の共振周波数がベースフレーム1502の最低共振周波数よりも実質的に小さくなるように設定される。例えば、トップフレーム1507及びベースフレーム1502の共振周波数は、ベースフレーム1502の最低共振周波数の5分の1~10分の1であり得る。これにより、トップフレーム1507の質量がベースフレーム1502から実質的に切り離される。トップフレーム1507は、事実上、ベースフレーム1502に接続されたダンパを有する実質的に静止した質量であり得る。スカイ質量減衰は、広い周波数範囲にわたってフレーム振動の大きさを低減し得る。
【0167】
[00184] 同調質量減衰システムの利点は、トップフレーム1507によって提供される減衰質量が大きくなくてもよい点である。例えば、トップフレーム1507の質量は、同調される共振周波数においてベースフレーム1502のモード質量の10分の1であり得る。同調質量減衰システムの欠点は、比較的大きいトップフレーム1507の動きが存在し得る点である。これにより、そのような動きによって悪影響を受けるコンポーネントを含むモジュール1508がトップフレーム1507に位置することが防止され得る。
【0168】
[00185] スカイ質量減衰システムの利点は、トップフレーム1507が実質的に静止している点である。したがって、何れのモジュール1508も、トップフレーム1507に移転させることができる。しかしながら、スカイ質量減衰システムの欠点は、トップフレーム1507が大きい減衰質量を有する必要があり得る点である。
【0169】
[00186] 図17は、同調質量減衰もスカイ質量減衰も存在しない場合(一点鎖線で示される)、同調質量減衰のみが存在する場合(点線で示される)及びスカイ質量減衰のみが存在する場合(実線で示される)の、ベースフレーム1502の共振周波数によって引き起こされるフレーム振動の大きさを示す。同調質量減衰及びスカイ質量減衰の両方が共振周波数におけるフレーム振動の大きさを実質的に低減していることは明らかである。
【0170】
[00187] 図16Aは、第5の実施形態の第2の実装形態を示す。
【0171】
[00188] 第5の実施形態の第2の実装形態は、トップフレームがベースフレーム1503に堅固に接続されていることによって第1の実装形態と異なる。トップフレームによって含まれる1つ又は複数のモジュール1508の各々は、モジュール接続デバイス1509、1510によってトップフレームに接続される。モジュール接続デバイス1509、1510は、第1の実装形態について先述したように、異なるタイプのフレーム接続デバイス1509、1510の何れかと同じであるか又は類似し得る。
【0172】
[00189] 第2の実装形態では、モジュール1508は、実質的に互いに独立している。モジュール接続デバイス1509、1510のタイプ、剛性及び/又は減衰は、モジュール1508間で異なり得る。これにより、同調質量減衰システム及び/又はスカイ質量減衰システムの構成における柔軟性が与えられ得る。特に、減衰システムは、同調質量減衰システム及びスカイ質量減衰システム両方のハイブリッドであり得る。例えば、モジュール1508の1つ又は複数とベースフレーム1502との間の共振は、(同調質量減衰システムの場合のように)ベースフレーム1502の共振周波数と実質的に同じであり得る。モジュール1508の1つ又は複数とベースフレーム1502との間の共振は、(スカイ質量減衰システムの場合のように)ベースフレーム1502の共振周波数より実質的に小さくてもよい。
【0173】
[00190] 図16Bは、第5の実施形態の第3の実装形態を示す。
【0174】
[00191] 第5の実施形態の第3の実装形態は、トップフレーム1507がベースフレーム1502に堅固に接続されていることによって第1の実装形態と異なる。トップフレーム1507によって含まれる少なくとも1つのモジュール1508は、モジュール接続デバイス1509、1510によってトップフレーム1507に接続される。各モジュール1508は、モジュール接続デバイス1509、1510により、それに隣接する各モジュール1508に接続され得る。
【0175】
[00192] モジュール接続デバイス1509、1510は、第1の実装形態について先述したように、異なるタイプのフレーム接続デバイス1509、1510の何れかと同じであるか又は類似し得る。
【0176】
[00193] 第3の実装形態により、同調質量減衰システム及び/又はスカイ質量減衰システムの構成における柔軟性が与えられる。第3の実装形態では、モジュール接続デバイス1509、1510のタイプ、剛性及び/又は減衰は、モジュール1508間で異なり得る。第2の実装形態について説明したように、第3の実装形態の減衰システムは、同調質量減衰システム及びスカイ質量減衰システム両方のハイブリッドであり得る。
【0177】
[00194] 第3の実施形態のさらなる実装形態は、第1の実装形態、第2の実装形態及び第3の実装形態の技術の何れかが一緒に使用されることを含む。例えば、第2の実装形態及び/又は第3の実装形態は、第1の実装形態について説明したように、トップフレーム1507がフレーム接続デバイス1509、1510を介してベースフレーム1502に接続されるように変更され得る。
【0178】
[00195] 第5の実施形態の利点は、フレーム振動の大きさが低減されることを含む。モジュール1508が荷電粒子ビームジェネレータの上方に移転されるため、荷電粒子装置のためのプラットフォームの設置面積も縮小され得る。フレームの剛性を高めるためにより多くのフレーム材料を使用するコストも回避される。
【0179】
[00196] 第5の実施形態の技術は、先述した実施形態の何れかの技術と共に適用され得る。特に、第1の実施形態のプラットフォームは、第5の実施形態の技術に従って変更され得る。図4及び図5に示される既知のプラットフォームも、第5の実施形態の技術に従って変更され得る。
【0180】
[00197] 実施形態は、上記のような技術に対する幾つかの変更形態及びバリエーションを含む。
【0181】
[00198] 特に、第1~第5の実施形態の何れかの技術は、他の実施形態の1つ又は複数の何れかの技術と共に適用され得る。
【0182】
[00199] 実施形態は、以下の番号付き条項を含む:
1.荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
ベースフレームと、
基板を含むように配置されたチャンバと、
チャンバ内の基板に荷電粒子ビームを照射するための荷電粒子ビームジェネレータを支持するように配置されたメトロロジフレームと、
メトロロジフレームとチャンバとの間に配置されたベローズと、を含み、
チャンバは、ベースフレームに堅固に接続され、
ベローズは、メトロロジフレームが、チャンバ内で発生するあらゆる振動から実質的に隔離されるように可撓性材料を含み、
ベローズは、チャンバ内で実質的な真空が確立され得るように気密である、プラットフォーム。
2.ベースフレーム上でメトロロジフレームを支持するように配置されたエアマウントをさらに含む、条項1に記載のプラットフォーム。
3.チャンバ内に基板支持構成をさらに含み、
基板支持構成は、チャンバに堅固に固定される、条項1又は2に記載のプラットフォーム。
4.基板支持構成は、
1つ又は複数のロングストローク駆動装置及びロングストロークキャリアを含むロングストローク構成と、
基板を支持するように配置されたショートストローク構成と、を含み、
ロングストローク駆動装置は、ロングストロークキャリアを移動させるように配置され、
ショートストローク構成は、ショートストローク構成が、ロングストローク構成によって発生する振動から実質的に隔離されるようにロングストロークキャリアによって柔軟に支持される、条項3に記載のプラットフォーム。
5.ロングストロークキャリアは、ショートストローク構成がロングストロークキャリアの上方に浮くように配置される1つ又は複数のローレンツモータを含む、条項4に記載のプラットフォーム。
6.チャンバ内で実質的な真空を確立するための1つ又は複数のポンプをさらに含み、
1つ又は複数のポンプは、ベースフレームに直接接続される、先行する条項の何れか一項に記載のプラットフォーム。
7.先行する条項の何れか一項に記載のプラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
8.荷電粒子ビームジェネレータは、荷電粒子のマルチビームを放出するように配置される、条項7に記載の荷電粒子装置。
9.荷電粒子装置のためのプラットフォームにおいて真空チャンバとメトロロジフレームとの間の接続を提供するためのベローズであって、
ループにおいて配置された材料の層を含み、
材料は、可撓性であり、及び実質的に気密であり、
層は、チャンバに固定するための第1の端部を含み、
層は、メトロロジフレームに固定するための第2の端部を含む、ベローズ。
10.層は、第1の層であり、
ベローズは、
ループにおいて配置された第2の材料の層と、
流出導管と、をさらに含み、
第2の層は、第1の層と第2の層との間に密閉領域が存在するように第1の層から分離され、
流出導管は、密閉領域からガスを抽出するように配置され、
第2の層の材料は、可撓性であり、及び実質的に気密であり、
第2の層は、チャンバに固定するための第1の端部を含み、
第2の層は、メトロロジフレームに固定するための第2の端部を含む、条項9に記載のベローズ。
11.密閉領域は、第1の密閉領域であり、
ベローズは、
ループにおいて配置された第3の材料の層と、
流入導管と、をさらに含み、
第3の層は、第1の層と第2の層との間に第2の密閉領域が存在するように第1の層から分離されるとともに、第1の層の、第2の層とは反対側にあり、
流入導管は、第2の密閉領域内にガス流を提供するように配置され、
第3の層の材料は、可撓性であり、及び実質的に気密であり、
第3の層は、チャンバに固定するための第1の端部を含み、
第3の層は、メトロロジフレームに固定するための第2の端部を含む、条項10に記載のベローズ。
12.流入導管は、プラットフォームの周りの周囲圧力よりも高い圧力に第2の密閉領域を加圧するように配置され、
流出導管は、第1の密閉領域が第2の密閉領域よりも実質的に低い圧力であるように第1の密閉領域からガスを抽出するように配置される、条項11に記載のベローズ。
13.第1、第2及び/又は第3の層の材料は、ゴムである、条項9~12の何れか一項に記載のベローズ。
14.荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
チャンバと、
メトロロジフレームと、
条項9~13の何れか一項に記載のベローズと、を含み、
ベローズの内側は、チャンバ内の実質的な真空を支持するように配置され、
ベローズの外側は、プラットフォームの周りの周囲圧力に耐えるように配置される、荷電粒子装置のためのプラットフォーム。
15.条項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームであって、条項9~13の何れか一項に記載のベローズを含む、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
16.荷電粒子装置のためのプラットフォームのチャンバ内で基板を移動させるための基板支持移動装置であって、
第1のモータシャフトと、
第2のモータシャフトと、
第1の関節アームと、
第2の関節アームと、
基板支持部と、を含み、
第1のモータシャフトの端部は、第1の関節アームの第1の端部に接続され、
第2のモータシャフトの端部は、第2の関節アームの第1の端部に接続され、
第1の関節アームの第2の端部は、基板支持部に接続され、
第2の関節アームの第2の端部は、基板支持部に接続される、基板支持移動装置。
17.第3のモータシャフトと、
第3の関節アームと、をさらに含み、
第3のモータシャフトの端部は、第3の関節アームの第1の端部に接続され、
第3の関節アームの第2の端部は、基板支持部に接続される、条項15に記載の基板支持移動装置。
18.第4のモータシャフトと、
第4の関節アームと、をさらに含み、
第4のモータシャフトの端部は、第4の関節アームの第1の端部に接続され、
第4の関節アームの第2の端部は、基板支持部に接続される、条項16に記載の基板支持移動装置。
19.モータシャフトの少なくとも2つの回転に応答して、回転は、関節アームの少なくとも2つによって基板支持部の直線運動に変換される、条項16~18の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
20.モータシャフトの少なくとも3つの回転に応答して、回転は、関節アームの少なくとも3つによって基板支持部の直線運動又は回転運動に変換される、条項17又は18の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
21.基板支持部は、ロングストロークキャリアを含み、
各関節アームは、ロングストロークキャリアに接続される、条項16~20の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
22.基板支持部は、複数のスライドを含み、
各関節アームは、スライドに接続される、条項16~20の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
23.荷電粒子装置のプラットフォームで使用するための基板移動構成であって、
条項16~22の何れか一項に記載の基板支持移動装置と、
チャンバと、
複数のモータと、を含み、
基板支持移動装置の基板支持部及び各関節アームは、チャンバ内に位置し、
基板支持移動装置の各モータシャフトは、チャンバの壁を貫通するように配置され、
各モータは、チャンバの外側に位置し、
各モータは、基板支持移動装置のモータシャフトを回転させるように配置される、基板移動構成。
24.条項23に記載の基板移動構成を含む、荷電粒子装置のプラットフォーム。
25.条項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームであって、条項23に記載の基板移動構成を含む、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
26.荷電粒子装置のためのプラットフォームの基板支持部を移動させるための基板支持移動装置であって、
基板支持部を第1の方向に移動させるように配置された第1の基板駆動装置と、
第1の基板駆動装置を動かすように配置された第1のモータ構成と、
第1の方向の移動に対してパッシブなバランスマス構成が存在するように、第1のモータ構成を支持するように配置された第1の可撓性ダンパ構成と、
基板支持部を第2の方向に移動させるように配置された第2の基板駆動装置であって、第2の方向は、第1の方向と直交する、第2の基板駆動装置と、
第2の基板駆動装置を動かすように配置された第2のモータ構成と、
第2の方向の移動に対してパッシブなバランスマス構成が存在するように、第2のモータ構成を支持するように配置された第2の可撓性ダンパ構成と、
を含む、基板支持移動装置。
27.第1のモータ構成は、
第1のモータステータと、
第1の基板駆動装置に接続され、第1のモータステータに対して動くように配置された第1のモータ要素と、
第2のモータステータと、
第1のモータ要素と比べて第1の基板駆動装置の反対側に接続され、第2のモータステータに対して動くように配置された、第2のモータ要素と、を含み、
第1のモータステータは、第1の可撓性ダンパ構成の第1の可撓性ダンパ上に配置され、及び
第2のモータステータは、第1の可撓性ダンパ構成の第2の可撓性ダンパ上に配置される、条項26に記載の基板支持移動装置。
28.第2のモータ構成は、
第1のモータステータと、
第2の基板駆動装置に接続され、第1のモータステータに対して動くように配置された第1のモータ要素と、
第2のモータステータと、
第1のモータ要素と比べて第2の基板駆動装置の反対側に接続され、第2のモータステータに対して動くように配置された、第2のモータ要素と、を含み、
第1のモータステータは、第2の可撓性ダンパ構成の第1の可撓性ダンパ上に配置され、及び
第2のモータステータは、第2の可撓性ダンパ構成の第2の可撓性ダンパ上に配置される、条項26又は27に記載の基板支持移動装置。
29.モータステータの1つ又は複数に接続された1つ又は複数のパッシブマスをさらに含む、条項27又は28に記載の基板支持移動装置。
30.各モータステータは、マグネットを含む、条項27~29の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
31.各モータ要素は、モータコイル及び/又はモータシャフトを含む、条項27~30の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
32.各モータ要素のうち、モータステータ内にある部分は、第1の方向及び第2の方向の両方に対して直交するように配向される、条項27~31の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
33.第1の可撓性ダンパ構成及び第2の可撓性ダンパ構成は、基板ステージフレームに取り付けられ、
基板ステージフレームは、基板ステージフレームが荷電粒子装置のためのプラットフォームのチャンバから実質的に隔離されるように基板ステージインターフェイスフレームに取り付けられる、条項26~32の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
34.第1の可撓性ダンパ構成及び第2の可撓性ダンパ構成は、基板ステージフレームに取り付けられ、
基板ステージフレームは、荷電粒子装置のためのプラットフォームのチャンバに取り付けられる、条項26~32の何れか一項に記載の基板支持移動装置。
35.条項26~34の何れか一項に記載の基板支持移動装置を含む、荷電粒子装置のプラットフォーム。
36.条項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームであって、条項26~34の何れか一項に記載の基板支持移動装置を含む、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
37.荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
ベースフレームと、
ベースフレームの上方に配置されたトップフレームと、
トップフレームをベースフレームに接続するように配置された1つ又は複数のフレーム接続デバイスと、を含み、
各フレーム接続デバイスは、トップフレームがベースフレームに柔軟に接続されるように規定された剛性及び減衰を有する、プラットフォーム。
38.フレーム接続デバイスの剛性及び減衰は、トップフレームとベースフレームとの間の共振がベースフレームの共振と実質的に同じ周波数で発生するように設定される、条項37に記載のプラットフォーム。
39.フレーム接続デバイスの剛性及び減衰は、トップフレームとベースフレームとの間の共振がベースフレームの最低共振周波数よりも実質的に低い周波数で発生するように設定される、条項37に記載のプラットフォーム。
40.トップフレームは、荷電粒子装置の1つ又は複数のモジュールを含む、条項37~39の何れか一項に記載のプラットフォーム。
41.各モジュールは、トップフレームに堅固に接続される、条項40に記載のプラットフォーム。
42.各モジュールは、1つ又は複数のモジュール接続デバイスによってトップフレーム及び/又は別のモジュールに接続され、
各モジュール接続デバイスは、各モジュールがトップフレーム及び/又は別のモジュールに柔軟に接続されるように規定された剛性及び減衰を有する、条項40に記載のプラットフォーム。
43.荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
ベースフレームと、
ベースフレームの上方に配置されたトップフレームと、を含み、
トップフレームは、荷電粒子装置の1つ又は複数のモジュールを含み、
各モジュールは、1つ又は複数のモジュール接続デバイスによってトップフレーム及び/又は別のモジュールに接続され、
各モジュール接続デバイスは、各モジュールがトップフレーム及び/又は別のモジュールに柔軟に接続されるように規定された剛性及び減衰を有する、プラットフォーム。
44.1つ又は複数のモジュール接続デバイスの剛性及び減衰は、1つ又は複数のモジュールとトップフレームとの間の共振がベースフレームの共振と実質的に同じ周波数で発生するように設定される、条項43に記載のプラットフォーム。
45.1つ又は複数のモジュール接続デバイスの剛性及び減衰は、1つ又は複数のモジュールとトップフレームとの間の共振がベースフレームの最低共振周波数よりも実質的に低い周波数で発生するように設定される、条項43に記載のプラットフォーム。
46.トップフレームは、ベースフレームに堅固に接続される、条項43~45の何れか一項に記載のプラットフォーム。
47.トップフレームをベースフレームに接続するように配置された1つ又は複数のフレーム接続デバイスをさらに含み、
各フレーム接続デバイスは、トップフレームがベースフレームに柔軟に接続されるように規定された剛性及び減衰を有する、条項43~45の何れか一項に記載のプラットフォーム。
48.条項37~47の何れか一項に記載のプラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
49.条項1~6の何れか一項に記載のプラットフォームであって、条項37~47の何れか一項に記載のプラットフォームである、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
【0183】
[00200] 様々な実施形態に関連して本発明を説明したが、ここに開示される本発明の明細書及び実施に鑑みて、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書及び実施例は、単なる例示と見なされることが意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0184】
[00201] 上記の説明は、限定ではなく、説明するものであることが意図される。したがって、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、説明されたような変更形態がなされ得ることが当業者に明らかになるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
ベースフレームと、
基板を含むチャンバと、
前記チャンバ内の基板に荷電粒子ビームを照射するための荷電粒子ビームジェネレータを支持するメトロロジフレームと、
前記メトロロジフレームと前記チャンバとの間に配置されたベローズと、を備え、
前記チャンバは、前記ベースフレームに堅固に接続され、
前記ベローズは、前記メトロロジフレームが、前記チャンバ内で発生するあらゆる振動から実質的に隔離されるように可撓性材料を有し、
前記ベローズは、前記チャンバ内で実質的な真空が確立され得るように気密である、プラットフォーム。
【請求項2】
前記ベースフレーム上で前記メトロロジフレームを支持するエアマウントをさらに備える、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項3】
前記チャンバ内に基板支持構成をさらに備え、
前記基板支持構成は、前記チャンバに堅固に固定される、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項4】
前記基板支持構成は、
1つ又は複数のロングストローク駆動装置及びロングストロークキャリアを含むロングストローク構成と、
基板を支持するショートストローク構成と、を有し、
前記ロングストローク駆動装置は、前記ロングストロークキャリアを移動させ、
前記ショートストローク構成は、前記ショートストローク構成が、前記ロングストローク構成によって発生する振動から実質的に隔離されるように前記ロングストロークキャリアによって柔軟に支持される、請求項3に記載のプラットフォーム。
【請求項5】
前記ロングストロークキャリアは、前記ショートストローク構成が前記ロングストロークキャリアの上方に浮くように配置される1つ又は複数のローレンツモータを有する、請求項4に記載のプラットフォーム。
【請求項6】
前記チャンバ内で実質的な真空を確立するための1つ又は複数のポンプをさらに備え、
前記1つ又は複数のポンプは、前記ベースフレームに直接接続される、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項7】
請求項1に記載のプラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を備える、荷電粒子装置。
【請求項8】
前記荷電粒子ビームジェネレータは、荷電粒子のマルチビームを放出する、請求項7に記載の荷電粒子装置。
【請求項9】
荷電粒子装置のためのプラットフォームにおいて真空チャンバとメトロロジフレームとの間の接続を提供するためのベローズであって、
ループにおいて配置された材料の層を備え、
前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、ベローズ。
【請求項10】
前記層は、第1の層であり、
前記ベローズは、ループにおいて配置された第2の材料の層と、流出導管と、をさらに有し、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第2の層との間に密閉領域が存在するように前記第1の層から分離され、
前記流出導管は、前記密閉領域からガスを抽出し、
前記第2の層の前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記第2の層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記第2の層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、請求項9に記載のベローズ。
【請求項11】
前記密閉領域は、第1の密閉領域であり、
前記ベローズは、ループにおいて配置された第3の材料の層と、流入導管と、をさらに有し、
前記第3の層は、前記第1の層と前記第2の層との間に第2の密閉領域が存在するように前記第1の層から分離されるとともに、前記第1の層の、前記第2の層とは反対側にあり、
前記流入導管は、前記第2の密閉領域内にガス流を提供し、
前記第3の層の前記材料は、可撓性であるとともに実質的に気密であり、
前記第3の層は、前記チャンバに固定するための第1の端部を有し、
前記第3の層は、前記メトロロジフレームに固定するための第2の端部を有する、請求項10に記載のベローズ。
【請求項12】
前記流入導管は、前記プラットフォームの周りの前記周囲圧力よりも高い圧力に前記第2の密閉領域を加圧し、
前記流出導管は、前記第1の密閉領域が前記第2の密閉領域よりも実質的に低い圧力であるように前記第1の密閉領域からガスを抽出する、請求項11に記載のベローズ。
【請求項13】
前記第1、第2及び/又は第3の層の前記材料は、ゴムである、請求項9に記載のベローズ。
【請求項14】
荷電粒子装置のためのプラットフォームであって、
チャンバと、
メトロロジフレームと、
請求項9に記載のベローズと、を備え、
前記ベローズの内側は、前記チャンバ内の実質的な真空を支持し、
前記ベローズの外側は、前記プラットフォームの周りの前記周囲圧力に耐える、プラットフォーム。
【請求項15】
請求項1に記載のプラットフォームであって、請求項9に記載のベローズを含む、プラットフォームと、
荷電粒子ビームジェネレータと、
を含む、荷電粒子装置。
【国際調査報告】