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特表2024-544560電圧コントラスト検査用の荷電粒子ビーム装置及びその方法
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  • 特表-電圧コントラスト検査用の荷電粒子ビーム装置及びその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電圧コントラスト検査用の荷電粒子ビーム装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/10 20060101AFI20241126BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/10
H01J37/09 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528518
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022079908
(87)【国際公開番号】W WO2023094098
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,199
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ザン,ダトン
(72)【発明者】
【氏名】ジ,シャオユー
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】リン,チア ウェン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB03
5C101BB04
5C101BB06
5C101EE04
5C101EE08
5C101EE13
5C101EE14
5C101EE33
5C101EE43
5C101EE45
5C101EE59
5C101EE69
5C101EE70
5C101EE75
5C101FF32
5C101FF53
5C101GG04
5C101GG05
5C101HH11
5C101HH27
(57)【要約】
増大されたプローブ電流及び高電流密度の一次荷電粒子ビームを伴う荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査するシステム及び方法が開示される。この装置は、荷電粒子源と、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、且つ、第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズであって、第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、第2のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、第1の集光レンズと、を含む。この装置は更に、第2の集光レンズであって、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整するように構成され、第2のビーム電流は第1のビーム電流よりも大きい、第2の集光レンズを含む。
【選択図】 図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子源と、
一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成するように構成されたアパーチャプレートと、
前記装置の選択された動作モードに基づいて前記一次荷電粒子ビームを集光させるように構成された集光レンズ構成であって、前記選択された動作モードは第1のモード及び第2のモードを含み、
前記第1の動作モードでは、前記集光レンズ構成は前記一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、
前記第2の動作モードでは、前記集光レンズ構成は、前記一次荷電粒子ビームを十分に集光させて前記装置の前記集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成するように構成される、集光レンズ構成と、を含む、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記対物レンズは、前記集光レンズ構成の下流に配置され、且つ、前記集光レンズ構成を出射した前記一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一次光軸に沿って前記集光レンズ構成と前記対物レンズとの間に配置されたビーム制限アパーチャアレイを更に含み、前記クロスオーバーは、前記ビーム制限アパーチャアレイと前記対物レンズとの間に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クロスオーバーは、前記ビーム制限アパーチャアレイと同一平面上に形成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置の前記動作を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるように構成された回路を有するコントローラを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記集光レンズ構成の第1の励起を調整して前記装置が前記第1のモードから前記第2にモードに切り替わるようにするための回路を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の動作モードでは、前記一次荷電粒子ビームの第1のプローブ電流は、前記一次荷電粒子ビームが通過する前記ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャのサイズに基づいて決定される、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の動作モードでは、前記アパーチャを通過する前記一次荷電粒子ビームの第2のプローブ電流は、前記集光レンズ構成の第2の励起に基づいて決定され、前記第2のプローブ電流は前記第1のプローブ電流よりも大きい、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の動作モードでは、前記集光レンズ構成の前記第2の励起を調整すると、前記対物レンズに対する、前記一次光軸に沿った前記クロスオーバー平面の位置が調整される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記集光レンズ構成は、電磁レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のモードは非クロスオーバー動作モードを含み、前記第2のモードはクロスオーバー動作モードを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記集光レンズ構成は、
第1の組のコイルを含む第1の集光レンズと、
第2の組のコイルを含む第2の集光レンズと、を含み、前記第1及び前記第2の組のコイルのそれぞれを流れる電流は個別に調整可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の集光レンズは、前記第1の集光レンズの下流に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の集光レンズは、前記第1の集光レンズと同一平面上にある、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
荷電粒子ビーム装置に、ある方法を実施させるように前記荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
荷電粒子源によって放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、
集光レンズ構成を使用して、前記装置の第1のモード及び第2のモードを含む選択された動作モードに基づいて、前記一次荷電粒子ビームを集光させることであって、
前記第1のモードで動作させることは、前記集光レンズ構成を使用して前記一次荷電粒子ビームを集光させることを含み、
前記第2のモードで動作させることは、前記一次荷電粒子ビームを十分に集光させて前記装置の前記集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成することを含む、ことと、
前記集光レンズ構成を出射した前記一次荷電粒子ビームを前記サンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年11月24日に出願された米国特許出願第63/283,199号の優先権を主張し、該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、単一荷電粒子ビーム装置について開示し、より具体的には、欠陥の電圧コントラスト検査のためにクロスオーバーモードを使用してビームプローブ電流を増大させた検査装置について開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造工程では、未完成の又は完成した回路コンポーネントが、設計に従って製造されており欠陥が無いことを保証するために、検査される。走査型電子顕微鏡(SEM)などの、光学顕微鏡又は荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡を利用した検査システムが用いられることがある。ICコンポーネントの物理的なサイズが縮小し続けるにつれ、欠陥検出の精度及び歩留まりがより重要になっている。スループットを高めるために複数の電子ビームが使用されることがあるが、各ビームレットのプローブ電流がVNAND又は3D-NAND構造の電圧コントラスト検査には不十分になる可能性があるか、又は、クーロン相互作用の増加が画像品質に悪影響を与え、それにより、所望の目的に対して検査装置が能力不足で不適当になる可能性がある。場合によっては、高強度電子放出源を使用して、プローブ用の大電流ビームを生成することがあるが、しかしながら、そのような放射源は、極端に不安定であるか、高価であるか、又は非効率的である場合がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の一態様は、サンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置に関する。この装置は、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子源と、放出された荷電粒子から一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成するアパーチャプレートと、装置の選択された動作モードに基づいて一次荷電粒子ビームを集光させるように構成された集光レンズ構成であって、選択された動作モードは第1のモード及び第2のモードを含み、第1の動作モードでは、集光レンズ構成は一次荷電粒子ビームを集光させるように構成されてもよく、第2の動作モードでは、集光レンズ構成は、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間のクロスオーバー平面上にクロスオーバーを形成するように構成されてもよい、集光レンズ構成と、を含んでもよい。
【0005】
[0005] 本開示の別の態様は、サンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置に関する。この装置は、荷電粒子源と、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、且つ、第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズであって、第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、第2のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、第1の集光レンズと、を含んでもよい。この装置は更に、第2の集光レンズであって、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整するように構成され、第2のビーム電流は第1のビーム電流よりも大きい、第2の集光レンズを含んでもよい。
【0006】
[0006] 本開示の別の態様は、荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法に関する。この方法は、荷電粒子源によって放出された荷電粒子から一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、集光レンズ構成を使用して、第1のモード及び第2のモードを含む装置の選択された動作モードに基づいて一次荷電粒子ビームを集光させることであって、第1のモードで動作させることは集光レンズ構成を使用して一次荷電粒子ビームを集光させることを含み、第2のモードで動作させることは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成することを含む、ことと、対物レンズを使用して、集光レンズ構成から出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することと、を含んでもよい。
【0007】
[0007] 本開示の別の態様は、荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法に関する。この方法は、荷電粒子源によって放出された荷電粒子から一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズを使用して、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、第1のモードでは、第1の集光レンズは一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、第2のモードでは、第1の集光レンズは一次荷電粒子ビームを集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、ことと、第2の集光レンズを使用して、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整することであって、第2のビーム電流は第1のビーム電流より大きい、ことと、を含んでもよい。
【0008】
[0008] 本開示の更に別の態様は、荷電粒子ビーム装置に、ある方法を実施させるように荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。この方法は、荷電粒子源によって放出された荷電粒子から一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、集光レンズ構成を使用して、第1のモード及び第2のモードを含む装置の選択された動作モードに基づいて一次荷電粒子ビームを集光させることであって、第1のモードで動作させることは集光レンズ構成を使用して一次荷電粒子ビームを集光させることを含み、第2のモードで動作させることは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成することを含む、ことと、対物レンズを使用して、集光レンズ構成から出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することと、を含んでもよい。
【0009】
[0009] 本開示の更に別の態様は、荷電粒子ビーム装置に、ある方法を実施させるように荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。この方法は、荷電粒子源によって放出された荷電粒子から一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズを使用して、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、第1のモードでは、第1の集光レンズは一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、第2のモードでは、第1の集光レンズは一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、ことと、第2の集光レンズを使用して、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整することであって、第2のビーム電流は第1のビーム電流より大きい、ことと、を含んでもよい。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、例示及び例として、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本開示の実施形態と整合性のある、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0012]本開示の実施形態と整合性のある、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る、例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3A】[0013]本開示の実施形態と整合性のある、通常モードで動作する例示的な電子ビーム検査ツールの概略図を示す。
図3B】[0013]本開示の実施形態と整合性のある、クロスオーバーモードで動作する例示的な電子ビーム検査ツールの概略図を示す。
図3C】[0013]本開示の実施形態と整合性のある、クロスオーバーモードで動作する例示的な電子ビーム検査ツールの概略図を示す。
図4】[0014]本開示の実施形態と整合性のある、例示的な電子ビーム検査ツールのソフトウェア支援モード切り替え能力のデータグラフを示す。
図5】[0015]本開示の実施形態と整合性のある、通常モード及びクロスオーバーモードでの複数のアパーチャサイズについての電子ビームの分解能とプローブ電流との間の関係のシミュレーションデータのプロットを示す。
図6】[0016]本開示の実施形態と整合性のある、通常モード及びクロスオーバーモードでの電子ビームの分解能とプローブ電流との間の関係のシミュレーションされたプロットを示す。
図7】[0017]本開示の実施形態と整合性のある、電子ビーム検査装置においてビームクロスオーバーモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法700を表すプロセスフローチャートである。
図8】[0018]本開示の実施形態と整合性のある、電子ビーム検査装置においてビームクロスオーバーモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法800を表すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、開示される実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は、電子ビームの利用に関連して説明されるが、本開示は、そのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームを同様に適用することができる。その上、光学撮像、写真検出、X線検出など、他の撮像システムを使用することができる。
【0013】
[0020] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは、劇的に減少しており、その結果、更に多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさであるが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪のサイズの1/1000未満である。
【0014】
[0021] これらの極めて小さいICの作成は、多大な時間を要する複雑及び高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおける誤差でさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、それによって完成ICが無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわちプロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0015】
[0022] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さい構造を撮像するために使用することができ、実際には構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうか、また構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調整することができる。
【0016】
[0023] 3D NANDフラッシュメモリデバイスなどの垂直高密度構造における埋没した欠陥を検出することは、難しい課題であることがある。そのようなデバイスにおける埋没した又は表面にある電気的な欠陥を検出する幾つかの方法のうちの1つは、SEMにおいて電圧コントラスト法を使用することによる。この方法では、サンプルの材料、構造、又は領域における導電度の違いにより、そのSEM画像においてコントラストの違いが生じる。欠陥検出という文脈では、サンプル表面下の電気的欠陥は、サンプル表面上の帯電のばらつきを生むことがあり、そのため、サンプル表面のSEM画像におけるコントラストにより、電気的欠陥を検出することができる。電圧コントラストを高めるために、プリチャージング又はフラッディングと呼ばれるプロセスを用いてもよく、そのプロセスでは、サンプルの関心領域を高電流ビームにさらしてから、低電流ながら高い画像化分解能のビームを使用して検査してもよい。検査については、フラッディングの利点のうちの幾つかは、ウェーハを均一に帯電させて、帯電効果に起因する画像のディストーションを最小化することを含むことがあり、場合によっては、とりわけ、ウェーハの帯電を増加させて、画像中の欠陥のあるフィーチャと周囲の欠陥のないフィーチャとの違いを強めることを含むことがある。
【0017】
[0024] 電圧コントラスト(VC)技術は、複雑なデバイス構造における埋没した又は表面にある電気的欠陥を検出するには有用であるが、この技術には、幾つかの欠点がある場合がある。電圧コントラスト技術を使用した欠陥検査は、2段階のプロセスを含む。第1の段階は、表面を荷電粒子(例えば、電子)でフラッディングして電気的欠陥を強調することにより、サンプルの表面をプリチャージングすることを含み、第2の段階は、フラッディングされた表面を検査して強調された欠陥を検出することを含む。電圧コントラストを高めるために、プリチャージング段階を、サンプル表面を高電流ビームにさらすことにより実施してもよい。プリチャージング段階に続く検査段階では、高分解能画像化のための低電流ビームを使用してサンプルを検査してもよい。SEMにおいてVCにより欠陥を検出する場合、プリチャージングモードと検査モードとの切り替えには、例えば、クーロンアパーチャアレイ(CAA)のアパーチャサイズを選択することにより、ビーム電流を調整することが含まれてもよい。アパーチャを選択し位置合わせして所望のビーム電流を生成するには、数秒間かかることがあり、とりわけ、全体的な検査スループットが低下することがある。更に、3D-NANDデバイスの欠陥検査など、場合によっては、画像化分解能が依然として許容可能である達成可能な最大ビーム電流では、埋没した電気的欠陥を検出するのに不十分であることがあり、それにより、既存のVC技術が、不適当であるか、又は非効率的であるか、又はその両方になることがある。したがって、電圧コントラスト欠陥検出の場合、同じ高電流ビームを使用してサンプルをプリチャージし且つ検査し、フラッディングモードと検査モードとを切り替える必要性をなくすことができるように、良好な画像化分解能を維持しながら、プローブするビームのプローブ電流を高めることが望ましいことがある。
【0018】
[0025] 既存のSEMでは、より高いプローブビーム電流を得る方法のうちの幾つかには、電子源放出の強度を高めること、又は、ビーム制限アパーチャの直径を増加させてより多くの電子が通過できるようにすること、が含まれる。しかしながら、これらの技術は、電子源の不安定性及び画像品質の劣化を持ち込むことがあり、それら両方は、プロセスのスループット又は検査結果の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、電子源の放出強度を高めると、その電子源の不安定性が引き起こされ、検査ツールの性能及び信頼性に影響を与える可能性がある。ビーム制限アパーチャの直径を増加させると、画像形成素子(例えば、対物レンズ、又は偏向器)の球面収差、色収差、又は他の高次オフアクシス収差などの収差が増加する可能性がある。収差が増加すると、画像分解能の低下が生じることがあり、それによって、検査装置の欠陥検出能力に影響が出ることがある。したがって、高いスループット及び画像分解能を維持しながら、欠陥検出の有効性を向上させる技術を使用して、ビーム電流を増加させることが望ましい場合がある。
【0019】
[0026] 前述のように、電圧コントラスト画像化(VCI)は2段階のプロセスを含む。SEMにおいてVCIにより欠陥を検出する場合、プリチャージング段階と検査段階との切り替えには、例えば、クーロンアパーチャアレイ(CAA)のアパーチャサイズを選択することにより、ビーム電流を調整することが含まれてもよい。アパーチャを選択し位置合わせして所望のビーム電流を生成するには、数秒間かかることがあり、とりわけ、全体的な検査スループットが低下することがある。更に、3D-NANDデバイスの欠陥検査など、場合によっては、達成可能な最大ビーム電流では、埋没した電気的欠陥を検出するのに不十分であることがあり、それにより、既存のVCI技術が、不適当であるか、又は非効率的であるか、又はその両方になることがある。したがって、電圧コントラスト欠陥検出の場合、同じ高電流ビームを使用してサンプルをプリチャージし且つ検査し、フラッディングモードと検査モードとを切り替える必要性をなくすことができるように、プローブするビームのプローブ電流を高めることが望ましいことがある。
【0020】
[0027] さらに、異なる材料及び幾何形状の複数の層を含む3D-NANDデバイスなどの複雑なデバイス構造では、電荷放散速度又は電荷減衰速度が異なる場合がある。電荷放散のこの差は、2段階プロセスのプリチャージング段階又はフラッディング段階後の電荷均一性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、幾つかの層は、他の層よりも速い速度で放電することがあり、それにより、関心領域において電荷の不均一性が引き起こされることがある。さらに、この電荷均一性におけるばらつきは、フラッディング段階と検査段階との間のタイミングの差に基づいて、更に悪化することがある。場合によっては、フラッディング段階と検査段階との切り替えに必要な期間中に生じる電荷損失により、電圧コントラスト信号強度の低下又は信号の完全な消失につながることがある。したがって、電圧コントラスト検査を単一のステップでより高いプローブ電流を用いて実施して、電荷不均一性及び電荷損失を最小限に抑え、それにより、検査スループット及び画像化分解能を向上させることが、望ましいことがある。
【0021】
[0028] 本開示の幾つかの実施形態では、サンプルを検査するための単一ビーム装置が開示される。この装置は、選択された動作モードに基づいて荷電粒子源によって生成された一次荷電粒子ビームを集束させるように構成された集光レンズを含んでもよい。非クロスオーバーモードでは、集光レンズは一次荷電粒子ビームを集束させコリメートしてもよく、クロスオーバーモードでは、集光レンズは、集光レンズと対物レンズとの間にビームクロスオーバーを形成するように構成される。この装置は、回路を有するコントローラを更に含んでもよく、このコントローラは、ビームクロスオーバーが形成されるように集光レンズの電気的励起を調整することにより、非クロスオーバーモードとクロスオーバーモードとの間で装置の動作を切り替えるように構成される。
【0022】
[0029] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられる全ての組み合わせを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A若しくはB又はA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0023】
[0030] ここで、図1を参照すると、図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を図示する。図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20、電子ビームツール40及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は電子ビームを対象としているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子及び荷電粒子ビーム装置に限定するために使用されるのではないことを理解されたい。例えば、荷電粒子とは、電子、イオン、又は任意の正に帯電した若しくは負に帯電した粒子を指してもよく、荷電粒子ビーム装置とは、電子ビーム装置、又はイオンビーム装置、又はSEMなどの電子及びイオンを使用した、若しくはSEMと組み合わせた集束イオンビーム(FIB)を使用した任意の装置を指してもよい。
【0024】
[0031] EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(以下では、ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ばれる)。EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20にウェーハを移送する。
【0025】
[0032] 装填・ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填・ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20からメインチャンバ10にウェーハを移送する。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール40による検査が行われる。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含み得る。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含むことがある。
【0026】
[0033] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続することができ、また他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもあり得ることが理解される。
【0027】
[0034] 本開示は、電子ビーム検査システムを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査システムを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用できることが理解される。
【0028】
[0035] ここで、図2を参照すると、図2は、本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部とすることができる電子ビームツール40の例示的な構成を図示する概略図を示す。電子ビームツール40(本明細書では装置40とも称される)は、カソード203と引出し電極205とガンアパーチャ220とアノード222を含み得る、電子エミッタを含み得る。電子ビームツール40は、クーロンアパーチャアレイ224と、コンデンサレンズ226と、ビーム制限アパーチャアレイ235と、対物レンズアセンブリ232と、電子検出器244とを更に含み得る。電子ビームツール40は、検査対象のサンプル250を保持するために電動ステージ234によって支持されたサンプルホルダ236を更に含み得る。他の関連するコンポーネントが、必要に応じて、追加又は省略され得ることを理解されたい。
【0029】
[0036] いくつかの実施形態では、電子エミッタは、カソード203と、アノード222とを含み得、一次電子は、カソードから放出され、抽出又は加速され、一次ビームクロスオーバー202を形成する一次電子ビーム204を形成することができる。一次電子ビーム204は、一次ビームクロスオーバー202から放出されたものとして視覚化することができる。
【0030】
[0037] いくつかの実施形態では、電子エミッタ、コンデンサレンズ226、対物レンズアセンブリ232、ビーム制限アパーチャアレイ235、及び電子検出器244は、装置40の一次光軸201と位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、電子検出器244は、二次光軸(図示せず)に沿って、一次光軸201から外れて配置され得る。
【0031】
[0038] 実施形態によっては、対物レンズアセンブリ232は、改変されたswing objective retarding immersion lens(SORIL)を含むことがあり、これは、磁極片232aと、制御電極232bと、偏向器240a、240b、240d、及び240eを含むビームマニピュレータアセンブリと、励磁コイル232dと、を含む。一般的なイメージングプロセスでは、カソード203の先端から放射された一次電子ビーム204は、アノード222に印加された加速電圧によって加速される。一次電子ビーム204の一部は、ガンアパーチャ220とクーロンアパーチャアレイ224のアパーチャとを通過し、ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを完全に又は部分的に通過するように、コンデンサレンズ226によって集束される。ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを通過する電子は、改変されたSORILレンズによって集束されてサンプル250の表面上にプローブスポットを形成し、ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器によって偏向されてサンプル250の表面を走査することがある。サンプル表面から放射された二次電子は、電子検出器244によって集められて、走査された関心エリアの画像が形成されることがある。
【0032】
[0039] 対物レンズアセンブリ232では、励磁コイル232d及び磁極片232aが、磁界を生成することがある。一次電子ビーム204によって走査されるサンプル250の一部は、この磁界の中に浸され、電気的に帯電することがあり、次いで、これにより、電界が生成される。この電界は、サンプル250の表面上の又は表面付近の、衝突する一次電子ビーム204のエネルギーを低減することがある。制御電極232bは、磁極片232aから電気的に絶縁されており、例えば、サンプル250上の及びサンプル250の上方の電界を制御して、対物レンズアセンブリ232の収差を低減し、検出効率を高めるために信号電子ビームの集束状況を制御するか、又は、サンプルを保護するためにアーク放電を回避することがある。ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器は、一次電子ビーム204を偏向させて、サンプル250上でのビーム走査を容易にすることができる。例えば、走査プロセスでは、偏向器240a、240b、240d、及び240eを制御して、一次電子ビーム204を、異なる時点でサンプル250の上部表面の異なる位置に偏向させて、サンプル250の異なる部分の画像を再構築するためのデータを提供することができる。なお、異なる実施形態では、240a~240eの順序は異なっていることがある。
【0033】
[0040] 後方散乱電子(BSE)及び二次電子(SE)は、一次電子ビーム204を受け取ると、サンプル250の一部から放出されることがある。ビームセパレータ(図示せず)は、後方散乱電子及び二次電子を含む、二次の又は散乱した電子ビームを、電子検出器244のセンサ表面に向けることができる。検出された二次電子ビームは、対応するビームスポットを電子検出器244のセンサ表面上に形成することができる。電子検出器244は、受け取った二次電子ビームスポットの強度を表す信号(例えば、電圧、電流)を生成し、コントローラ50などの、処理システムに信号を提供することができる。二次電子ビーム又は後方散乱電子ビーム及び結果として得られる二次電子ビームスポットの強度は、サンプル250の外部構造又は内部構造に応じて変化する可能性がある。また、上で論じたように、一次電子ビーム204は、異なる強度の二次又は散乱電子ビーム(及び結果として得られるビームスポット)を生成するために、サンプル250の上面の異なる位置へ偏向させることができる。それゆえ、二次電子ビームスポットの強度をサンプル250の位置にマッピングすることによって、処理システムは、ウェーハサンプル250の内部又は外部構造を反映する画像を再構築することができる。
【0034】
[0041] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、画像処理システムを含み得、画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組み合わせなどの媒体を通して装置40の電子検出器244に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出器244から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル250の領域の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存し、及び後処理された画像を保存するために使用することができる。
【0035】
[0042] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検出された二次電子と後方散乱電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓中に収集された電子分布データは、サンプル(例えば、ウェーハ)表面に入射した一次ビーム204の対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル250の内部又は外部の構造の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、従ってウェーハに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0036】
[0043] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検査中にサンプル250を動かすように電動ステージ234を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、ある方向に一定の速さで継続的にサンプル250を動かせるようにすることができる。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、走査プロセスのステップに応じて、サンプル250が動く速さを経時的に変更できるようにすることができる。
【0037】
[0044] ここで図3A図3Cを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と整合性のある、荷電粒子ビーム検査ツールの例示的な構成の概略図である。図3Aに示す構成では、本明細書では電子光学系300A又は装置300Aとも呼ばれる、単一ビーム検査装置300Aは、電子エミッタを含んでもよく、この電子エミッタは、カソード303、抽出器電極305、ガンアパーチャ320、及びアノード322を含んでもよい。実施形態によっては、一次電子は、カソード303から放出され、抽出又は加速されて、一次光軸301に沿って一次電子ビーム304を形成してもよい。一次電子ビーム304は、一次ビームクロスオーバー302から放出されたかのように見えることがある。カソード303、抽出器電極305、ガンアパーチャプレート320、及びアノード322は、図2で説明した対応する要素と実質的に同様であってもよく、実質的に同様の機能を実施してもよいことを理解されたい。装置300Aは、対物レンズ332を更に含んでもよい。図示していないが、図3A図3B、及び図3Cの装置300A、300B、及び300Cはそれぞれ、必要に応じて、他の構成要素の中でもとりわけ、一次投影光学系、二次画像化システム、及び電子検出デバイスを更に含んでもよい。
【0038】
[0045] 実施形態によっては、電子源又は電子エミッタは、カソードから一次電子(例示的な荷電粒子)を放出するように構成され、抽出又は加速されて一次電子ビーム304(例示的な荷電粒子ビーム)を形成してもよく、このビームは一次ビームクロスオーバー(仮想の又は実際の)302を形成する。実施形態によっては、一次電子ビーム304は、一次光軸301に沿って一次ビームクロスオーバー302から放出されたかのように見えることがある。実施形態によっては、装置300の1つ又は複数の要素は、一次光軸301と位置合わせされていてもよい。
【0039】
[0046] 図3Aは、本明細書では非クロスオーバーモードとも呼ばれる通常モードで動作している装置300Aの例示的な構成の概略を示す。非クロスオーバー動作モードでは、集光レンズ310は、一次電子ビーム304を受け取り集束させるように構成されてもよい。集光レンズ310は、一次光軸301に実質的に垂直な主平面310P上に配置されてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に垂直な」とは、平面間の、軸間の、又は平面と軸との間の直交性の度合を指す。例えば、一次光軸に実質的に垂直な集光レンズの主平面によって定められる角度は、90°±0.01°であってもよく、又は、標準偏差は、角度が本質的に90°であるように更に小さくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に平行な」とは、複数の平面が、互いに決して交差することなく本質的に平行であるように、同じ方向に延びていることを示す。
【0040】
[0047] 実施形態によっては、集光レンズ310は、電子源から下流に位置決めされてもよい。本開示の文脈で使用する場合、「下流」とは、電子源又はカソード303から開始する一次電子ビーム304の経路に沿った要素の位置を指し、「すぐ下流」とは、第1の要素と第2の要素との間に他の要素が存在しないように、一次電子ビーム304の経路に沿った第2の要素の位置を指す。例えば、図3Aに示すように、集光レンズ310は、電子源のアノード322のすぐ下流に位置決めされてもよく、その結果、アノード322と集光レンズ310との間には他の光学要素又は電気光学要素は存在しない。そのような構成は、とりわけ、装置300Aの電気光学コラムの高さを低くするのに、且つ、コラムの構造的複雑さを低減するのに有用である場合がある。
【0041】
[0048] 実施形態によっては、アパーチャプレート(例えば、ガンアパーチャプレート320)をカソード303と集光レンズ310との間に配置して、一次電子ビーム304の周辺電子が集光レンズ310に入射する前にこれを遮断して、とりわけ、クーロン相互作用効果を低減してもよい。実施形態によっては、本明細書ではクーロンアパーチャアレイ324とも呼ばれる、プリビーム制限アパーチャアレイを、アノード322と集光レンズ310との間に配置してもよい。クーロンアパーチャアレイ324は、図2のクーロンアパーチャアレイ224と実質的に類似していてもよく、実質的に同様の機能を実施してもよい。
【0042】
[0049] クーロンアパーチャアレイ324は、周辺電子を遮断しながら一次電子ビーム304の一部分をそのままにしておくように構成された複数のアパーチャを含んでもよい。実施形態によっては、ガンアパーチャプレート320を使用して、アノード322に入射する前の早い段階で周辺電子を遮断してもよく、クーロンアパーチャアレイ324を使用して、アノード322を出てゆく一次電子ビーム304の周辺電子を集光レンズ324に入射する前に遮断してもよい。このようにして、ビーム制限アパーチャアレイ335の上方でのクーロン相互作用効果を大幅に低減してもよい。
【0043】
[0050] 実施形態によっては、クーロンアパーチャアレイ324は、似通ったサイズの又は異なるサイズのアパーチャ又は穴を含む導電性プレートとして実装されてもよい。実施形態によっては、クーロンアパーチャアレイ324のアパーチャは、均一な又は不均一な間隔をおいて配置されてもよい。実施形態によっては、クーロンアパーチャアレイ324の位置は、所望のサイズのアパーチャが、一次電子ビーム304を通過させるために選択され得るように、一次光軸301に直交する平面内でX軸及びY軸に沿って調整可能であってもよい。
【0044】
[0051] 通常の動作モードでは、図3Aに示すように、集光レンズ310は、一次電子ビーム304が、集光レンズ310を出射した後、ビーム制限アパーチャアレイ335に実質的に垂直に入射しアパーチャ337を通過し得るように、一次電子ビーム304を集光させるように構成されてもよい。
【0045】
[0052] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ335は、周辺電子を遮断しながら一次電子ビーム304の一部分を通過させるための、間隔をおいて配置された複数のアパーチャを含んでもよい。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ335は、これに限定するものではないが、貫通孔を備えた金属プレートなどの、導電性平面構造を介して実装されてもよい。
【0046】
[0053] 実施形態によっては、一次電子ビーム304のビーム電流は、一次電子ビーム304が通過できるビーム制限アパーチャアレイ335のアパーチャのサイズに基づいて決定されてもよい。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ335は、均一なサイズ、形状、断面、又はピッチを有する複数のビーム制限アパーチャを含んでもよい。実施形態によっては、サイズ、形状、断面、ピッチ等は、不均一であってもよい。ビーム制限アパーチャは、例えば、アパーチャのサイズ又は形状に基づいてアパーチャを通過する電子の数を制限することにより、ビームの電流を制限するように構成されてもよい。
【0047】
[0054] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ335は、一次電子ビーム304が、所望の形状及びサイズのアパーチャに入射することができるように、一次光軸301に直交する平面内でX軸及びY軸に沿って移動可能であってもよい。例えば、ビーム制限アパーチャアレイ335は、ある形状及びサイズを有するアパーチャの複数の列を含んでもよく、各列内のアパーチャは、類似のサイズ及び形状を有する。X-Y軸に沿ったビーム制限アパーチャアレイ335の位置を調節することができるので、所望のサイズ及び形状を有する、複数のアパーチャのうちの1つを、一次電子ビーム304にさらすことができる。
【0048】
[0055] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ335は、集光レンズ310を出射する集光された一次電子ビーム304が、ビーム制限アパーチャアレイ335に直接に垂直に入射するように、集光レンズ310の下流に配置されてもよい。
【0049】
[0056] ビーム制限アパーチャアレイ335のアパーチャ337のサイズは、サンプル350に入射する一次電子ビーム304のプローブ電流を最終的に決めることがあるものの、幾つかの実施形態では、それは、クーロンアパーチャアレイ324のアパーチャのサイズにも依存することがある。例えば、最大プローブ電流が望ましい可能性がある幾つかの場合では、クーロンアパーチャアレイ324の最大のアパーチャと、ビーム制限アパーチャアレイの最大のアパーチャとの組み合わせを、一次光軸と整列させて、コラムを通過する最大数の電子を可能にしてもよい。
【0050】
[0057] 対物レンズ332は、ビーム制限アパーチャアレイ335を出た一次電子ビーム304を受け取り、サンプル350の表面上に集束させてプローブスポットを形成するように構成されてもよい。対物レンズ332は、図2の対物レンズ232と実質的に類似していてもよく、実質的に同様の機能を実施してもよいことを理解されたい。対物レンズ332の他の構成も、適宜使用されてもよい。
【0051】
[0058] 通常の動作モードでは、一次電子ビーム304のプローブ電流は、より大きなビーム制限アパーチャを選択することで増加させることができるが、そうすることにより、色収差及び球面収差などのオフアクシス収差が生じることがあり、これにより、分解能及びスループットに悪影響がでる可能性がある。さらに、単一ステップでのVC検査及び画像化の場合、プローブ電流の要件は、より高い強度の電子源、又はより大きなアパーチャ、又はそれら両方の組み合わせ、による達成可能な最大プローブ電流よりも、さらに高いことがある。さらに、分解能を維持しながら達成可能な最大電流は制限される場合があるので、場合によっては、所望の電圧コントラストを得るために、複数回の画像化走査が必要になることがある。一方、プローブ電流が大きいと、ユーザが、より少ない画像化走査、好ましくは1回の走査で、所望の電圧コントラストを得ることができ、結果的に、検査のスループットが向上する可能性がある。
【0052】
[0059] とりわけVNAND又は3D-NANDデバイスなどの複雑な3次元構造において、電圧コントラスト技術を使用して電気的欠陥を検出するには、一次電子ビームのプローブ電流が大きいことが望ましい場合がある。電気的欠陥検出の効率の向上に加えて、物理的欠陥検出技術の後方散乱電子(BSE)の収率を向上させるのにも、プローブ電流が大きいことが望ましい場合がある。大きなプローブビーム電流を実現する幾つかの方法のうちの1つは、検査システムをクロスオーバーモードで動作させることを含むことがある。
【0053】
[0060] クロスオーバー動作モードでは、図3Bの装置300Bに示すように、電子源又はカソード303が、一次光軸301に沿って進行する一次電子ビーム304を生成してもよい。集光レンズ310は、一次電子ビーム304を受け取り、このビームが、一次光軸301に実質的に垂直なクロスオーバー平面340上のクロスオーバー点315にクロスオーバーを形成するように、一次電子ビーム304の電子を十分に集光させてもよい。
【0054】
[0061] 実施形態によっては、ビームクロスオーバーは、集光レンズ310と対物レンズ332との間に形成されてもよい。実施形態によっては、ビームクロスオーバーは、図3Bに示すように、ビーム制限アパーチャアレイ335と対物レンズ332との間に形成されてもよい。ビームクロスオーバー315の位置は、集光レンズ310の電気的励起に基づいて一次光軸301に沿って調整されてもよい。ビームクロスオーバー315の位置は、一次光軸304と実施的に一致してもよい。
【0055】
[0062] 実施形態によっては、集光レンズ310は、電磁レンズであって、電子源の下流に配置され、電磁レンズの集束力に基づいて一次電子ビーム304を集光させるように構成された電磁レンズ、を含んでもよい。集光レンズ310の集束力は、電磁レンズの電気的励起に基づいて調整されてもよい。本明細書で使用する場合、集束力とは、レンズが入射荷電粒子(例えば、電子)を収束又は発散させる程度を指す。電磁レンズの場合には、集光レンズ310の電気的励起は、コントローラ(例えば、図2のコントローラ50)から受け取られる印加電気信号、通常は電流信号、を印加又は調整することにより、調整されてもよい。集光レンズ電流を調整すると、集光レンズ310の集束力を調整することができ、これにより、一次電子ビーム304の収束角が変化し、それによってビームクロスオーバー315の位置が一次光軸301に沿って調整されてもよい。一例として、印加される電気的励起信号を調整することにより集光レンズ310の集束力を増加させると、一次電子ビーム304がより高い角度で収束し、対物レンズ332に対して、一次光軸301に沿って、ビーム制限アパーチャアレイ335のより近くにビームクロスオーバー315を形成することになり得る。対照的に、電気的励起信号を調整することにより集光レンズ310の集束力を低下させると、一次電子ビーム304がより小さな角度で収束し、一次光軸301に沿って、ビーム制限アパーチャアレイ335のより遠く且つ対物レンズ332のより近くにビームクロスオーバー315を形成することになり得る。本明細書で使用する場合、収束角とは、集光レンズ310を出射した後、一次光軸301に対して、一次電子ビーム304によって形成される角度を指す。
【0056】
[0063] 実施形態によっては、集光レンズ310は、静電レンズであって、この静電レンズの集束力に基づいて一次電子ビーム304を集光させるように構成された静電レンズ、を含んでもよい。集光レンズ310の集束力は、静電レンズの電気的励起に基づいて調整されてもよい。静電レンズの電気的励起を調整することには、コントローラ50から受け取られる印加電気信号、通常は電圧信号、を調整することが含まれてもよい。
【0057】
[0064] 図3Cを参照すると、装置300Cの集光レンズ310は、2つの電磁レンズ310_1及び310_2を含んでもよい。実施形態によっては、装置300Cの集光レンズ310は、複合電磁レンズ、静電レンズ、又は電磁レンズ、によって実装された第1のレンズと、複合電磁レンズ、静電レンズ、又は電磁レンズ、によって実装された第2のレンズと、を含んでもよい。図示していないが、レンズの任意の適切な置き換え及び組み合わせを、適宜実装してもよいことを理解されたい。
【0058】
[0065] 一般に、磁気レンズは、静電レンズよりも発生する収差がより少ない場合があるが、静電レンズよりもより多くのスペースを占有することがある。したがって、物理的なスペースの制約があり収差許容値がより厳しいシステムでは、複合電磁レンズが用いられることがある。複合電磁レンズは、静電レンズ及び磁気レンズを含んでもよい。複合レンズの磁気レンズは、永久磁石を含んでもよい。複合レンズの磁気レンズは、複合レンズの総集束力の一部分を提供してもよく、一方、静電レンズは、総集束力の残りの部分を構成してもよい。
【0059】
[0066] 実施形態によっては、電磁レンズ310_1は、一次電子ビーム304のビーム電流の粗調整を実施するように構成されてもよい。電磁レンズ310_1は、電流が通過すると磁場を生成するように構成された導電性コイルを含んでもよく、通過する電流の単位あたりに生成される磁場の大きさは、コイルの特性、これらに限定するものではないが、とりわけ、巻き数、コイルの材料、コア材料、などに基づいて決まってもよい。例えば、電磁レンズ310_1が、ビーム電流の粗調整用に構成されている場合、電気的励起(例えば、電流信号)をわずかに調整すると、磁場を大きく増加又は減少させることができ、それによって、一次電子ビーム304が、集光レンズ310と対物レンズ332との間にクロスオーバーを形成するようになる。
【0060】
[0067] 集光レンズ310の電磁レンズ310_2は、一次電子ビーム304のビーム電流の微調整を実施するように構成されてもよい。実施形態によっては、一例として、電磁レンズ310_2を使用して、一次光軸301に沿ってビームクロスオーバー315の位置を調整してもよい。例えば、電磁レンズ310_2が、ビーム電流の微調整用に構成されている場合、電気的励起(例えば、電流信号)を調整すると、集束力又は収束角度を変えることができ、それによって、一次電子ビーム304が、一次光軸301に沿って、対物レンズ322のより近くに又はより遠くにクロスオーバーを形成するようになる。したがって、一次電子ビーム304のプローブ電流は、集光レンズ310の電気的励起に基づいて調整されてもよい。実施形態によっては、図示していないが、集光レンズ310は、磁気コア材料の周りに巻かれた2組のコイルを含んでもよいことを理解されたい。第1の組のコイルは、ビーム電流の粗調整を可能にするように構成されてもよく、第2の組のコイルは、ビーム電流の微調整を実施するように構成されてもよい。
【0061】
[0068] 実施形態によっては、コントローラ50を介して電気的励起信号、例えば電流信号を電磁レンズ310_1及び310_2に印加してもよい。実施形態によっては、コントローラ50は、電磁レンズ310_1及び310_2に印加される電流信号を別々に制御し調整するように構成されてもよい。
【0062】
[0069] 実施形態によっては、電磁レンズ310_1及び電磁レンズ310_2を、ビーム制限アパーチャアレイ335の上流に配置できるように、電磁レンズ310_1は、電子源(例えば、カソード303)の下流に位置決めされてもよく、電磁レンズ310_2は、電磁レンズ310_1のすぐ下流に位置決めされてもよい。
【0063】
[0070] 実施形態によっては、図示していないが、装置300Cの集光レンズ310の集光レンズ310_1及び310_2は、同一平面上にあってもよい。同一平面上にある構成では、集光レンズ310_1は第1の組のコイルを含んでもよく、集光レンズ310_2は第2の組のコイルを含んでもよく、第1及び第2の組のコイルはそれぞれ、コア材料の周りに巻かれている。実施形態によっては、集光レンズ310_1は、第1の設定では、一次電子ビーム304をクロスオーバーを形成せずにビーム制限アパーチャアレイ上に集束させるように構成されてもよく、第2の設定では、一次電子ビーム304を狭めてクロスオーバー315を下流に形成すように構成されてもよい。実施形態によっては、コイルの組の巻き数又はターン数により、集光レンズがビーム集束の粗調整を実施し得るのか又は微調整を実施し得るのかが決まることがある。実施形態によっては、集光レンズ310_2は、集光レンズ310_1によって調整された後で、一次電子ビーム304のビーム電流の微調整を実施するように構成されてもよい。
【0064】
[0071] 実施形態によっては、第1の集光レンズ310_1は、一次電子ビーム304を集光させるように構成され、第1のモード及び第2のモードで動作可能であってもよい。第1のモードでは、集光レンズ310_1は、ビームを狭めることなく又はクロスオーバーを形成することなく、一次電子ビーム304を集光させてもよく、一次電子ビーム304は、第1のビーム電流を有してもよい。しかしながら、第2のモードでは、集光レンズ310_1は、一次電子ビーム304がクロスオーバー(例えば、クロスオーバー315)を形成するように十分に一次電子ビーム304を集光させてもよく、一次電子ビーム304は第2のビーム電流を有してもよい。第2のビーム電流は、第1のビーム電流よりも高くてもよい。実施形態によっては、集光レンズ310_2は、第1のモードでは第1のビーム電流を微調整し、第2のモードでは第2のビーム電流を微調整するように構成されてもよい。ビームクロスオーバーが形成される第2のモードにおいて第2のビーム電流を調整することは、一次光軸301に沿ったクロスオーバーの位置を調整することを含んでもよい。
【0065】
[0072] 実施形態によっては、コントローラ(例えば、コントローラ50)は、集光レンズ310_1及び集光レンズ310_2を流れる電流を別々に制御するように構成されてもよい。集光レンズ310_1及び310_2が同一平面上にある構成では、コントローラ50は、集光レンズ310_1が動作しているモードに基づいて、又は、装置の動作モードに基づいて、第1及び第2の組のコイルを流れる電流を個別に供給及び調整するように構成されてもよい。このことは、単にクロスオーバーを形成するだけでなく、一次光軸301に沿ってビームクロスオーバーの位置の調整もできることが望ましい用途において、有用である場合がある。
【0066】
[0073] 場合によっては、例えば、機械的なドリフト又は振動に起因するビーム制限アパーチャアレイ335の位置のわずかな変動が、達成可能な分解能又はプローブ電流に悪影響を及ぼすことがある。例えば、ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャ337の幾何学的中心が一次光軸301からずれている場合、通過する一次電子ビーム304のプローブ電流が所望のものより低くなるか、又は、オフアクシス収差が予想よりも高くなるか、又はその両方になることがある。ビーム制限アパーチャアレイ335の位置ずれの影響を緩和する方法の1つは、一次電子ビーム304が、ビーム制限アパーチャアレイ335のアパーチャ337を通過している間にクロスオーバーするように、集光レンズ310_2の第2のビーム電流を調整してクロスオーバー315の位置を調整することを含んでもよい。そのような場合、ビームクロスオーバー315の位置は、ビーム制限アパーチャアレイ335と同一平面上にあってもよい。
【0067】
[0074] ここで図4を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、単一電子ビーム検査ツールにおけるソフトウェア支援モード切り替えのシミュレーションされたプロット400を示す。コントローラ(例えば、図2のコントローラ50)は、ソフトウェア支援モード切り替えのための命令及びソフトウェア実装アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサを含んでもよい。シミュレーションされたプロット400は、達成可能な分解能(y軸に示す)と、集光レンズ(例えば、装置300B又は300Cの集光レンズ310)の励起又はプローブ電流との間の関係を表す。スポットサイズ(ナノメートル、nm)は、本明細書で使用する場合、一次電子ビーム304によってサンプル上に形成されるプローブスポットのサイズを表す。プローブスポットがより小さいことは、プローブビームによって達成可能な分解能がより高いことに相当する。例えば、40nmの水平距離だけ離れている2つの平行な線を分解するには、40nm以下のプローブスポットサイズが望ましいことがある。
【0068】
[0075] 図4に示すように、シミュレーションされたプロット400は、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3Cのビーム制限アパーチャアレイ335)の所与のアパーチャサイズについての、低プローブ電流領域410、集束のない領域420、及び高プローブ電流領域430を含んでもよい。通常モード領域又は非クロスオーバーモード領域とも呼ばれる低プローブ電流領域410では、一次電子ビーム304のスポットサイズは、集光レンズ励起が増加するにつれて、最初は低下してもよい。しかしながら、集光レンズ励起が閾値を超えて更に増加すると、とりわけ、ガウス像サイズの増加及び電子間のクーロン相互作用に起因して、スポットサイズは増加する。ビーム制限アパーチャアレイ335のより大きなアパーチャを使用することによりプローブ電流が増加している場合、例えば、オフアクシス電子の球面収差及び色収差に起因して、スポットサイズが増加することがある。従って、非クロスオーバーモードでは、小さなスポットサイズ、ひいては高い分解能をもたらす集光レンズ励起の範囲は限定されることがある。
【0069】
[0076] クロスオーバーモード領域とも呼ばれる高プローブ電流領域430では、集光レンズ励起が増加すると、収差の寄与及びクーロン相互作用の寄与が増加する前にガウス像サイズが低下するのに起因して、スポットサイズが減少し、それによって、画像化分解能が増加することがある。クロスオーバーモードの画像化は、とりわけ電圧コントラスト検査における既存の非クロスオーバーモードの画像化に勝る多数の利点を有することがある。クロスオーバーモードの画像化は、本明細書で考察する以下の利点のうちの一部又は全部を有することがある。
1.大きなプローブ電流 - 動作の非クロスオーバーモードとクロスオーバーモードとを切り替える能力により、検査システムが、小さな半角で大きなプローブ電流を用いてサンプルを検査できるようになる。例えば、非クロスオーバーモードでは、プローブ電流を大きくすることができる一方でビーム半角も大きくなり、これにより、スポットサイズに悪影響を及ぼす可能性がある球面収差及び色収差が持ち込まれることがある。一方、クロスオーバーモードでは、集光レンズの励起を制御することにより、ビーム半角を制限することができる。従って、動作モードを切り替えることにより、大きなプローブ電流及び小さな半角を得ることができる。
2.高い画像化分解能 - 従来の検査システムは、一次電子ビームがサンプル表面に入射する前に、複数のビームクロスオーバーを含むことがある。提案されるクロスオーバー動作モードでは、一次電子ビームは、一箇所のビームクロスオーバー(例えば、図3Bのクロスオーバー315)のみを有してもよく、これにより、電子間のクーロン相互作用が低減され、それによって高い画像化分解能を達成することができる。例えば、ビームは、ビーム制限アパーチャアレイ335と対物レンズ332との間の一箇所のみでクロスオーバーする。
3.高い画像化安定性 - 高プローブ電流で関心領域を複数回走査した後に得られる電圧コントラスト画像は、望ましくない帯電又は信号の損失がなく、優れた安定性を示す。
4.検査スループットの向上 - 最適な分解能に向けた、クロスオーバーモードでのビーム電流密度は、非クロスオーバー動作モードと比べて、大幅に高くなる。高プローブ電流により、欠陥を検査するための所望のコントラストレベルを達成するのに必要とされる走査回数を低減することができ、それによって、高い分解能及び安定性を維持しながら、検査スループットを向上させることができる。
5.アップグレード可能性 - 提案される動作モードは、システムのハードウェアを変更することなく実施することができ、それにより、既存のツールにクロスオーバー動作モードの能力を容易に組み込むことができる。
6.モード切り替え可能性 - 検査ツールの動作モードは、シミュレーションデータからのガイダンスに基づいて、非クロスオーバーモードからクロスオーバーモードに切り替えることができる。シミュレーションデータは、所与のアパーチャサイズに対する集光レンズ励起と対応するプローブ電流とに関連したデータを含む電流テーブル及びレシピに基づくソフトウェアアルゴリズムを使用して生成されてもよい。
【0070】
[0077] 検査ツール上でモード切り替えを達成するためのソフトウェア実装アルゴリズムは、一次電子ビーム304のプローブ電流を集光レンズ励起設定と互いに関係づけることを含んでもよい。実施形態によっては、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又はコンピュータは、ソフトウェア実装アルゴリズム又はその内部の命令を実行する、ハードウェアを提供してもよい。実施形態によっては、コントローラ50は、例えば、プローブ電流及び集光レンズ設定に関連した情報に基づいて、ソフトウェア実装アルゴリズム又は命令を実行してモード切り替えを実施するように構成されてもよい。実施形態によっては、コントローラ50は、ソフトウェア実装アルゴリズムを実行してソフトウェア支援モード切り替えを実施するように構成されたプロセッサ又はマイクロプロセッサを含んでもよい。実施形態によっては、プローブ電流を、集光レンズ励起又は、電磁レンズの場合には集光レンズ電流と互いに関係づけることは、プローブ電流及び対応する集光レンズ電流の値のテーブルを生成することを含んでもよい。そのようなテーブルは、「電流テーブル」と呼ばれることがある。実施形態によっては、第1の電流テーブルが非クロスオーバー動作モードに対して生成されてもよく、第2の電流テーブルがクロスオーバー動作モードに対して生成されてもよい。実施形態によっては、1つ又は複数のレシピが生成されてもよく、各レシピは、1つ又は複数の電流テーブルを含む。電流テーブル内のデータは、とりわけ、集光レンズに印加される所与の励起信号に対する達成可能な分解能、又は、集光レンズに印加される所与の励起信号に対する一次電子ビーム304のプローブ電流、を求めるために参照又はアクセスされてもよい。
【0071】
[0078] 実施形態によっては、ソフトウェアアルゴリズムは、所望のプローブ電流又は所望の分解能に基づいて、検査装置の動作を非クロスオーバーモードからクロスオーバーモードに、又はクロスオーバーモードから非クロスオーバーモードに切り替えることができるように構成されてもよい。例えば、40nmの分解能が200nAのプローブ電流において望ましい場合、このソフトウェアは、集光レンズ電流値を達成可能なプローブ電流に関連づける電流テーブル内に格納された情報に基づいて、通常モードからクロスオーバーモードへのモード切り替えを実施してもよい。このソフトウェアは、とりわけ、アパーチャサイズ、ランディングエネルギー、電子源強度も考慮に入れてもよい。
【0072】
[0079] 図4を参照すると、シミュレーションプロット400は、ソフトウェアアルゴリズムを使用してシミュレーションされた、集光レンズ励起又はプローブ電流とスポットサイズ又は分解能との関係を表す。実施形態によっては、電流テーブルに関連付けられた情報は、データベース、又はストレージシステム、メモリ空間、ローカルメモリモジュール、又はリモートネットワーク上に保存されてもよい。電流テーブルに保存された情報は、電流テーブルにアクセスする命令を実行するように構成されたソフトウェアアプリケーション又はプロセッサによってアクセスされてもよい。
【0073】
[0080] ここで図5を参照すると、この図は、本開示の実施形態と一致する、通常モード又は動作(実線の曲線)及びクロスオーバー動作モード(破線の曲線)の下での、一次電子ビーム304の分解能(電子間相互作用なし)とプローブ電流(ナノアンペア)との関係を表すシミュレーションプロット500を示す。
【0074】
[0081] シミュレーションプロット500では、実線曲線は、大きなビーム制限アパーチャを通過する一次電子ビーム304のプローブ電流のある範囲に対して、通常モードで達成可能な分解能を表す。説明目的のみのために、基準線510は、20nm以下の基準ピーク分解能を示している。図示するように、通常モードでは、アルゴリズムからのシミュレーション値に基づくと、20nm以下の基準ピーク分解能は、30~100nAのプローブ電流範囲に渡って達成されてもよい。一方、クロスオーバーモードでは、20nm以下の基準ピーク分解能は、より小さなビーム制限アパーチャを用いて、30~120nAというより広いプローブ電流範囲に渡って達成されてもよい。比較として、80nAより高いプローブ電流については、クロスオーバーモードは、システム内の既存のアパーチャ選択に基づいて、通常モードよりも優れた分解能を有する。理論的には、より大きなアパーチャが検査装置で利用可能である場合にこれを選択することにより、通常の非クロスオーバーモードでの分解能は、向上することがあり、場合によっては、クロスオーバーモードよりもさらに高くなることさえある。しかし、アパーチャサイズの選択肢が限られている場合、クロスオーバーモードは、対応する通常モードの画像よりもより優れた分解能を有する画像を生成することがある。さらに、高プローブ電流がより小さなビーム制限アパーチャサイズで達成され得るので、半角が小さくなることがあり、このことは、球面収差及び色収差などのオフアクシス収差を低減するのに役立つことがある。
【0075】
[0082] 実施形態によっては、シミュレーションからの情報は、これらに限定するものではないが、ストレージ媒体の中でもとりわけ、ネットワーク、ローカルメモリ空間、リモートメモリ空間、データベース、サーバー、などの情報データベース内に保存されてもよい。実施形態によっては、シミュレーション情報を使用して参照テーブル又は電流テーブルを生成してもよい。例えば、ソフトウェアは、所与の動作モードについて、プローブ電流値と対応する達成可能分解能とを表にまとめてもよい。シミュレーション情報のデータベースは、アパーチャサイズ、集光レンズ励起電流、励起電圧、及び他のツール特性を更に含んでもよい。実施形態によっては、ユーザは、所望の結果を達成するための検査ツールの動作のガイダンスとして、参照テーブル又は電流テーブル及びシミュレーションデータを使用してもよい。
【0076】
[0083] ここで図6を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、達成可能な分解能と対応するプローブ電流との関係を表すシミュレーションプロット600を示す。プロット600は、通常の非クロスオーバーモード及びクロスオーバーモードで動作する検査ツールについて、分解能の曲線とプローブ電流の曲線との比較を更に示す。プロット600では、広範囲に渡るアパーチャサイズについて、中実の正方形を有する曲線は、通常の動作モードの下での達成可能な分解能と対応するプローブ電流との関係を表し、中実の円を有する曲線は、クロスオーバー動作モードの下での達成可能な分解能と対応するプローブ電流との関係を表す。
【0077】
[0084] 通常の動作モードの下では、画像化分解能を向上させる幾つかの方法のうちの1つは、ビーム制限アパーチャのサイズを適切に選択することを含んでもよい。実施形態によっては、ソフトウェアは、要因の中でもとりわけ、分解能、プローブ電流、集光レンズ電流、アパーチャサイズ、対物レンズ特性、電子源放出特性、に関連付けられた情報を含む参照テーブル又はルックアップテーブルを生成して、ユーザに動作条件のガイダンスを提供してもよい。実施形態によっては、ソフトウェアは、ユーザが、シミュレーションデータに基づいて参照テーブルを生成及びカスタマイズできるようにしてもよい。実施形態によっては、クロスオーバー動作モードが望ましい場合がある、というのも、所与のアパーチャサイズについて、広いプローブ電流範囲に渡って画像化分解能を維持できるからである。一例として、通常の動作モードの下で、検査ツールが200nAより大きな電流でより大きなアパーチャ又はより広範なアパーチャサイズを許す場合、非クロスオーバーモードは、非クロスオーバーモードと同等の又はそれより優れた分解能を有することがある。しかしながら、クロスオーバーモードでは、大きなプローブ電流で、画像化分解能がより高くなることがある、というのも、既存の利用可能な複数のアパーチャの中からより小さなアパーチャを使用できるからである。前述の通り、クロスオーバー動作モードでは更に、通常の動作モードに比べてより大きなアパーチャを選択することにより、ユーザがプローブ電流範囲及びプローブ電流値を増加させることができる。このことは望ましい場合がある、というのも、プローブ電流が大きいと、ユーザが、電圧コントラスト検査技術のための高コントラスト画像を得るのに必要な走査の回数を減らすことができ、その結果、検査のスループット及び効率が向上する可能性があるからである。
【0078】
[0085] ここで図7を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、単一ビーム検査装置を使用してサンプルを検査する例示的な方法700を表すプロセスフローチャートを示す。方法700は、例えば図1に示すようなEBIシステム100のコントローラ50によって実施されてもよい。コントローラ50は、方法700の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムされていてもよい。例えば、コントローラ50は、荷電粒子ビーム装置のモジュールに、荷電粒子源を作動させて荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を生成するように、且つ、1つ又は複数の集光レンズの励起を調整してビームクロスオーバーの位置を調整するように、且つ、ソフトウェア実装アルゴリズムに基づいてモード切り替えを実施するように、且つ、他の機能を実行するように、命令してもよい。
【0079】
[0086] ステップ710では、荷電粒子源又は電子源(図3Aのカソード303)を作動させて荷電粒子を放出してもよく、荷電粒子は、アパーチャプレートを通過するときに、荷電粒子ビーム(例えば、図3Aの一次電子ビーム304)を形成してもよい。電子源は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)によって作動されてもよい。例えば、電子源は、一次電子を放出して一次光軸(例えば、図3Aの一次光軸301)に沿って電子ビームを形成するように制御されてもよい。電子源は、例えば、ソフトウェア、アプリケーション、又はコントローラのプロセッサ用の命令の組を使用して、制御回路を通じて電子源に電力を供給することにより、遠隔で作動されてもよい。
【0080】
[0087] ステップ720では、一次電子ビームは、電子源の下流に配置され一次電子ビームを受け取るように構成された集光レンズ(例えば、図3A又は図3Bの集光レンズ310)を使用して、集光されてもよい。集光レンズは、選択された動作モードに基づいて一次電子ビームを集光させるように構成されてもよい。実施形態によっては、動作モードはユーザによって手動で選択又は切り替えられてもよいが、実施形態によっては、動作モードは、シミュレーションデータに基づいて、ソフトウェア実装アルゴリズムを介して遠隔で選択又は切り替えられてもよい。2つの動作モードには、非クロスオーバーモード及びクロスオーバーモードが含まれる。
【0081】
[0088] 非クロスオーバー動作モードでは、集光レンズは、一次電子ビームが集光レンズを出射した後で一次光軸と実質的に平行になるように、一次電子ビームを集光させるように構成されてもよい。一次電子ビームは、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3Aのビーム制限アパーチャアレイ335)に実質的に垂直に入射してもよく、アパーチャ(例えば、図3Aのアパーチャ337)を通過してもよい。対物レンズ(例えば、図3Aの対物レンズ332)は、ビーム制限アパーチャアレイを出射する一次電子ビームを受け取り、その一次ビームをサンプル表面上に集束させてプローブスポットを形成してもよい。
【0082】
[0089] クロスオーバー動作モードでは、集光レンズは、ビームが、クロスオーバー平面(例えば、図3Bのクロスオーバー平面340)上に一次光軸に沿ってクロスオーバー(例えば、図3Aのビームクロスオーバー315)を形成するように一次電子ビームを十分に集光させてもよい。実施形態によっては、ビームクロスオーバーは、集光レンズと対物レンズとの間に形成されてもよい。実施形態によっては、ビームクロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間に形成されてもよい。ビームクロスオーバーの位置は、集光レンズの電気的励起に基づいて一次光軸に沿って調整されてもよい。
【0083】
[0090] ステップ730では、対物レンズは、集光レンズを出射した一次電子ビームをサンプル上に集束させてプローブスポットを形成してもよい。プローブ電流は、一次電子ビームが通過するビーム制限アパーチャアレイのアパーチャに基づいて、決定されてもよい。クロスオーバー動作モードでは、一次電子ビームは、対物レンズに入射する前にクロスオーバーを形成してもよい。対物レンズは、クロスオーバーの後の、発散するビームをサンプル表面上に集束させるように構成されてもよい。
【0084】
[0091] ここで図8を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、単一ビーム検査装置を使用してサンプルを検査する例示的な方法700を表すプロセスフローチャートを示す。方法800は、例えば図1に示すようなEBIシステム100のコントローラ50によって実施されてもよい。コントローラ50は、方法800の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムされていてもよい。例えば、コントローラ50は、荷電粒子ビーム装置のモジュールに、荷電粒子源を作動させて荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を生成するように、且つ、1つ又は複数の集光レンズの励起を調整してビームクロスオーバーの位置を調整するように、且つ、ソフトウェア実装アルゴリズムに基づいてモード切り替えを実施するように、且つ、他の機能を実行するように、命令してもよい。
【0085】
[0092] ステップ810では、荷電粒子源又は電子源(例えば、図3Aのカソード303)を作動させて荷電粒子を放出してもよく、荷電粒子は、アパーチャプレートを通過するときに、荷電粒子ビーム(例えば、図3Aの一次電子ビーム304)を形成してもよい。電子源は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)によって作動されてもよい。例えば、電子源は、一次電子を放出して一次光軸(例えば、図3Aの一次光軸301)に沿って電子ビームを形成するように制御されてもよい。電子源は、例えば、ソフトウェア、アプリケーション、又はコントローラのプロセッサ用の命令の組を使用して、制御回路を通じて電子源に電力を供給することにより、遠隔で作動されてもよい。
【0086】
[0093] ステップ820では、一次電子ビームは、第1の集光レンズ(例えば、図3Cの第1の集光レンズ310_1)を使用して、集光されてもよい。第1の集光レンズは、第1及び第2の動作モードで動作可能であってもよい。第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次電子ビームがビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3Cのビーム制限アパーチャアレイ335)に垂直に入射するように、一次電子ビームを集光させてもよい。第1の集光レンズの第2の動作モードでは、一次電子ビームは、ビームクロスオーバー(例えば、図3Cのクロスオーバー315)が一次光軸に沿って形成され得るように十分に集光されてもよい。
【0087】
[0094] ステップ830では、第1の集光レンズの下流に配置された第2の集光レンズ(例えば、図3Cの第2の集光レンズ310_2)は、第1のモードにおいて一次電子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次電子ビームの第2のビーム電流を調整してもよい。第2のビーム電流は、第1のビーム電流よりも大きいことがある、というのも、クロスオーバー点が、ビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間にあるからである。実施形態によっては、クロスオーバー点がビーム制限アパーチャの上方にある場合、第1のビーム電流は第2のビーム電流よりも大きいことがある。実施形態によっては、第1及び第2の集光レンズは、電磁レンズを含んでもよい。実施形態によっては、第1の集光レンズは、電流か流れることができる第1の組のコイルを含んでもよい。第1の組のコイルを流れる電流を調整すると、第1の集光レンズの動作が第1のモードから第2のモードに、すなわち非クロスオーバーモードからクロスオーバーに切り替わることがある。第2の集光レンズは、電流か流れることができる第2の組のコイルを含んでもよい。第2の組のコイルを流れる電流を調整すると、一次電子ビームのビーム電流を調整することができてもよい。第1の組のコイル及び第2の組のコイルを流れる電流は、個別に制御及び調整されてもよい。実施形態によっては、第2の組のコイルを流れる電流を調整すると、一次光軸に沿って形成されるクロスオーバーの位置を調整することができる。
【0088】
[0095] 対物レンズは、第2の集光レンズを出射した一次電子ビームをサンプル上に集束させてプローブスポットを形成してもよい。プローブ電流は、一次電子ビームが通過するビーム制限アパーチャアレイのアパーチャ(例えば、図3Cのアパーチャ337)に基づいて、決定されてもよい。クロスオーバー動作モードでは、一次電子ビームは、対物レンズに入射する前にクロスオーバーを形成してもよい。対物レンズは、クロスオーバーの後の、発散するビームをサンプル表面上に集束させるように構成されてもよい。
【0089】
[0096] 画像検査、画像取得、荷電粒子源の作動、1つ又は複数の集光レンズの電気的励起の調節、1つ又は複数の集光レンズを使用した一次電子ビームの集束、対物レンズを使用したサンプル上での一次電子ビームの集束、集光レンズ電流信号又は電圧信号を調整することによる動作モードの切り替え、ソフトウェア実装アルゴリズム内の命令を実行しての第1の集光レンズの動作モードの切り替え、サンプルステージを移動させてのサンプルの位置調節、などを実行するための、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)のプロセッサ用の命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供されてもよい。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを有する任意の物理媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、FLASH-EPROM、又は任意の他のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及びそれらのネットワーク版、が挙げられる。
【0090】
[0097] 本開示の実施形態については、以下の条項を使用して、更に説明することができる。
1.荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子源と、
一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成するように構成されたアパーチャプレートと、
装置の選択された動作モードに基づいて一次荷電粒子ビームを集光させるように構成された集光レンズ構成であって、選択された動作モードは第1のモード及び第2のモードを含み、
第1の動作モードでは、集光レンズ構成は一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、
第2の動作モードでは、集光レンズ構成は、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成するように構成される、集光レンズ構成と、を含む荷電粒子ビーム装置。
2.対物レンズは、集光レンズ構成の下流に配置され、且つ、集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成するように構成されている、条項1に記載の装置。
3.一次光軸に沿って集光レンズ構成と対物レンズとの間に配置されたビーム制限アパーチャアレイを更に含み、クロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間に形成される、条項1~2の何れか一項に記載の装置。
4.集光レンズ構成の上流に配置されたプリビーム制限アパーチャアレイを更に含む、条項1~3の何れか一項に記載の装置。
5.クロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと同一平面上に形成される、条項3~4の何れか一項に記載の装置。
6.装置の動作を第1のモードから第2のモードに切り替えるように構成された回路を有するコントローラを更に含む、条項1~5の何れか一項に記載の装置。
7.コントローラは、集光レンズ構成の第1の励起を調整して装置が第1のモードから第2にモードに切り替わるようにするための回路を含む、条項6に記載の装置。
8.第1の動作モードでは、一次荷電粒子ビームの第1のプローブ電流は、一次荷電粒子ビームが通過するビーム制限アパーチャアレイのアパーチャのサイズに基づいて決定される、条項3~7の何れか一項に記載の装置。
9.第2の動作モードでは、アパーチャを通過する一次荷電粒子ビームの第2のプローブ電流は、集光レンズ構成の第2の励起に基づいて決定され、第2のプローブ電流は第1のプローブ電流よりも大きい、条項8に記載の装置。
10.第2の動作モードでは、集光レンズ構成の第2の励起を調整すると、対物レンズに対する、一次光軸に沿ったクロスオーバー平面の位置が調整される、条項9に記載の装置。
11.集光レンズ構成は、電磁レンズを含む、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
12.第1のモードは非クロスオーバー動作モードを含み、第2のモードはクロスオーバー動作モードを含む、条項1~11の何れか一項に記載の装置。
13.集光レンズ構成は、
第1の組のコイルを含む第1の集光レンズと、
第2の組のコイルを含む第2の集光レンズと、を含み、第1及び第2の組のコイルのそれぞれを流れる電流は個別に調整可能である、条項1~12の何れか一項に記載の装置。
14.第2の集光レンズは、第1の集光レンズの下流に配置されている、条項13に記載の装置。
15.第2の集光レンズは、第1の集光レンズと同一平面上にある、条項14に記載の装置。
16.荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法であって、
荷電粒子源によって放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、
集光レンズ構成を使用して、第1のモード及び第2のモードを含む装置の選択された動作モードに基づいて、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、
第1のモードで動作させることは、集光レンズ構成を使用して一次荷電粒子ビームを集光させることを含み、
第2のモードで動作させることは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成することを含む、ことと、
対物レンズを使用して、集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することと、を含む方法。
17.集光レンズ構成の第1の励起を調整することにより、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替わることを更に含む、条項16に記載の方法。
18.集光レンズ構成の第2の励起を調整することにより、対物レンズに対する、一次光軸に沿ったクロスオーバー平面の位置を調整することを更に含む、条項16~17の何れか一項に記載の方法。
19.第1のモードにおいて、一次荷電粒子ビームが通過するビーム制限アパーチャアレイのアパーチャのサイズに基づいて、一次荷電粒子ビームの第1のプローブ電流を決定することを更に含む、条項16~18の何れか一項に記載の方法。
20.第2のモードにおいて、集光レンズ構成の第2の励起に基づいて、アパーチャを通過する一次荷電粒子ビームの第2のプローブ電流を決定することを更に含む、条項19に記載の方法。
21.第2のプローブ電流は、第1のプローブ電流よりも大きい、条項20に記載の方法。
22.集光レンズ構成は、静電レンズ又は電磁レンズを含む、条項16~21の何れか一項に記載の方法。
23.第1のモードは非クロスオーバーモードを含み、第2のモードはクロスオーバー動作モードを含む、条項16~22の何れか一項に記載の方法。
24.荷電粒子ビーム装置に、ある方法を実施させるように荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、この方法は、
荷電粒子源によって放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、
集光レンズ構成を使用して、装置の第1のモード及び第2のモードを含む選択された動作モードに基づいて、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、
第1のモードで動作させることは、集光レンズ構成を使用して一次荷電粒子ビームを集光させることを含み、
第2のモードで動作させることは、一次荷電粒子ビームを集光させて装置の集光レンズ構成と対物レンズとの間にクロスオーバーを形成することを含む、ことと、
集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
25.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、集光レンズ構成の第1の励起を調整することにより、荷電粒子ビーム装置が、第1の動作モードと第2の動作モードとの間での切り替えを更に行うようにする、条項24に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
26.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、集光レンズ構成の第2の励起を調整することにより、荷電粒子ビーム装置が、対物レンズに対する、一次光軸に沿ったクロスオーバー平面の位置調整を更に行うようにする、条項24~25の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
27.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビーム装置が、第1のモードにおいて、一次荷電粒子ビームが通過するビーム制限アパーチャアレイのアパーチャのサイズに基づいて、一次荷電粒子ビームの第1のプローブ電流の決定を更に行うようにする、条項24~26の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
28.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビーム装置が、第2のモードにおいて、集光レンズ構成の第2の励起に基づいて、アパーチャを通過する一次荷電粒子ビームの第2のプローブ電流の決定を更に行うようにする、条項27に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
29.荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子源と、
放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成するように構成されたアパーチャプレートと、
一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、第1のモード及び第2のモードで動作可能な、第1の集光レンズであって、
第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、
第2のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、第1の集光レンズと、
第2の集光レンズであって、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整するように構成され、第2のビーム電流は第1のビーム電流よりも大きい、第2の集光レンズと、を含む、荷電粒子ビーム装置。
30.第1及び第2の集光レンズは、集光レンズ構成を構成し、第2の集光レンズは第1の集光レンズの下流に配置されている、条項29に記載の装置。
31.第2の集光レンズは、第1の集光レンズと同一平面上にある、条項29~30の何れか一項に記載の装置。
32.第1及び第2の集光レンズはそれぞれ、電磁レンズを含む、条項29~31の何れか一項に記載の装置。
33.第1の集光レンズは第1の組のコイルを含み、第2の集光レンズは第2の組のコイルを含む、条項29~32の何れか一項に記載の装置。
34.第1及び第2の組のコイルのそれぞれを流れる電流は個別に調整可能である、条項33に記載の装置。
35.第1の組のコイルを流れる電流を調整すると、第1の集光レンズが、第1のモードと第2のモードとの間で動作を切り替える、条項34に記載の装置。
36.第2の組のコイルを流れる電流を調整すると、第1のモード及び第2のモードでの一次荷電ビームのビーム電流が調整される、条項33~35の何れか一項に記載の装置。
37.第2の組のコイルを流れる電流を調整すると、一次光軸に沿ってクロスオーバーの位置が調整される、条項36に記載の装置。
38.集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成するように構成された対物レンズを更に含む、条項30~37の何れか一項に記載の装置。
39.集光レンズ構成と対物レンズとの間に配置されたビーム制限アパーチャアレイを更に含み、クロスオーバーは、一次光軸に沿ってビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間に形成される、条項38に記載の装置。
40.集光レンズ構成の上流に配置されたプリビーム制限アパーチャアレイを更に含む、条項30~39の何れか一項に記載の装置。
41.クロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと同一平面上に形成される、条項39~40の何れか一項に記載の装置。
42.第1の集光レンズの動作を第1のモードと第2のモードとの間で切り替えるように構成された回路を有するコントローラを更に含む、条項29~41の何れか一項に記載のアパーチャ。
43.第1のモードは装置の非クロスオーバー動作モードを含み、第2のモードは装置のクロスオーバー動作モードを含む、条項29~42の何れか一項に記載の装置。
44.荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法であって、
荷電粒子源によって放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、
第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズを使用して、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、
第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、
第2のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、ことと、
第2の集光レンズを使用して、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整することであって、第2のビーム電流は第1のビーム電流よりも大きい、ことと、を含む、方法。
45.第1及び第2の集光レンズは、集光レンズ構成を構成し、第2の集光レンズは第1の集光レンズの下流に配置されている、条項44に記載の方法。
46.第2の集光レンズは、第1の集光レンズと同一平面上にある、条項45に記載の方法。
47.第1及び第2の集光レンズはそれぞれ、電磁レンズを含む、条項44~46の何れか一項に記載の方法。
48.第1の集光レンズは第1の組のコイルを含み、第2の集光レンズは第2の組のコイルを含む、条項44~47の何れか一項に記載の方法。
49.第1及び第2の組のコイルのそれぞれを流れる電流を個別に調整することを更に含む、条項48に記載の方法。
50.第1の組のコイルを流れる電流を調整することにより、第1の集光レンズの動作を第1のモードと第2のモードとの間で切り替えることを更に含む、条項48~49の何れか一項に記載の方法。
51.第2の組のコイルを流れる電流を調整することにより、第1のモード及び第2のモードにおける一次荷電ビームのビーム電流を調整することを更に含む、条項48~50の何れか一項に記載の方法。
52.第2の組のコイルを流れる電流を調整することにより、一次光軸に沿ったクロスオーバーの位置を調整することを更に含む、条項48~51の何れか一項に記載の方法。
53.対物レンズを使用して、集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームをサンプルの表面上に集束させてプローブスポットを形成することを更に含む、条項44~52の何れか一項に記載の方法。
54.ビーム制限アパーチャアレイは、集光レンズ構成と対物レンズとの間に配置され、クロスオーバーは、一次光軸に沿ってビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間に形成される、条項44~53の何れか一項に記載の方法。
55.クロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと同一平面上に形成される、条項54に記載の方法。
56.第1のモードは集光レンズの非クロスオーバー動作モードを含み、第2のモードは集光レンズのクロスオーバー動作モードを含む、条項44~55の何れか一項に記載の方法。
57.荷電粒子ビーム装置に、ある方法を実施させるように荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、この方法は、
荷電粒子源によって放出された荷電粒子から、一次光軸に沿って一次荷電粒子ビームを形成することと、
第1のモード及び第2のモードで動作可能な第1の集光レンズを使用して、一次荷電粒子ビームを集光させることであって、
第1のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを集光させるように構成され、
第2のモードでは、第1の集光レンズは、一次荷電粒子ビームを十分に集光させて一次光軸に沿ってクロスオーバーを形成するように構成される、ことと、
第2の集光レンズを使用して、第1のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第1のビーム電流を調整し、第2のモードにおいて一次荷電粒子ビームの第2のビーム電流を調整することであって、第2のビーム電流は第1のビーム電流よりも大きい、ことと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
58.荷電粒子ビーム装置の第1及び第2の集光レンズは、集光レンズ構成を構成し、第2の集光レンズは第1の集光レンズの下流に配置されている、条項57に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
59.第2の集光レンズは、第1の集光レンズと同一平面上にある、条項58に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
60.第1及び第2の集光レンズはそれぞれ、電磁レンズを含む、条項57~59の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
61.第1の集光レンズは第1の組のコイルを含み、第2の集光レンズは第2の組のコイルを含む、条項57~60の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
62.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビーム装置が、第1及び第2の組のコイルのそれぞれを流れる電流の個別の調整を更に行うようにする、条項61に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
63.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、第1の組のコイルを流れる電流を調整することにより、荷電粒子ビーム装置が、第1のモードと第2のモードとの間で第1の集光レンズの動作の切り替えを更に行うようにする、条項61~62の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
64.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、第2の組のコイルを流れる電流を調整することにより、荷電粒子ビーム装置が、第1のモード及び第2のモードにおける一次荷電ビームのビーム電流の調整を更に行うようにする、条項61~63の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
65.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、第2の組のコイルを流れる電流を調整することにより、荷電粒子ビーム装置が、一次光軸に沿ったクロスオーバーの位置の調整を更に行うようにする、条項61~64の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
66.荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、荷電粒子ビーム装置が、集光レンズ構成を出射した一次荷電粒子ビームを、対物レンズを使用してサンプルの表面上に集束させてプローブスポットの形成を更に行うようにする、条項57~65の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
67.ビーム制限アパーチャアレイは、集光レンズ構成と対物レンズとの間に配置され、クロスオーバーは、一次光軸に沿ってビーム制限アパーチャアレイと対物レンズとの間に形成される、条項66に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
68.クロスオーバーは、ビーム制限アパーチャアレイと同一平面上に形成される、条項67に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
69.第1のモードは集光レンズの非クロスオーバー動作モードを含み、第2のモードは集光レンズのクロスオーバー動作モードを含む、条項57~68の何れか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0091】
[0098] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面で示した通りの構造に限定されないことと、その範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態がなされ得ることとが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態と関連付けて説明されており、本明細書で開示される本発明の仕様及び実践を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様及び例は、単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0092】
[0099] 上記の説明は、限定ではなく、例示を意図する。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明されるように修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】