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特表2024-544570MCL-1阻害剤としての大環状2-アミノ-ブト-3-エナミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】MCL-1阻害剤としての大環状2-アミノ-ブト-3-エナミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/06 20060101AFI20241126BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C07D513/06 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/553
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529112
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022081981
(87)【国際公開番号】W WO2023088894
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21208372.9
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】ジャーハウイ,スフヤン
(72)【発明者】
【氏名】ディールス,ガストン,スタニスラス,エム
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB31
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、対象における療法及び/又は予防に有用な医薬品、かかる化合物を含む医薬組成物、並びにがんなどの疾患の治療に有用なMCL-1阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から選択され、
前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個若しくは2個のRで置換されるか、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、前記ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、前記ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
各Rは、OR、SR、CN、ハロ、CF、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から独立して選択され、
前記C3~7シクロアルキル又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、及びNRからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換され、
は、C1~6アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、前記C2~7アルキル又は
3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、前記C2~7アルキル又は
3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、前記ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する縮合6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、前記ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
nは、1又は2であり、
は、水素、C1~6アルキル、CF、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、Hetからなる群から選択され、前記C1~6アルキル又はC3~7シクロアルキルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、Het、Ar及びHetからなる群から選択される1個の置換基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、前記ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含有する5~6員単環式芳香環を表し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、前記芳香環は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Cyは、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する6~11員二環式完全飽和環系を表し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、前記環系は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Arは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換されたフェニルを表し、
は、水素、C1~6アルキル、又はC3~7シクロアルキルを表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択され、
は、水素、C1~4アルキル、又はC1~4アルキル-OHを表し、
は、水素又はメチルを表し、
は、-(C=O)-フェニル、-(C=O)-Het、又は-(C=O)-Hetを表し、前記フェニル、Het、又はHetは、任意選択で、メチル又はメトキシから選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有するC結合4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
Hetは、各々独立してO、S、及びNから選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含むC結合5員又は6員単環式芳香環を表し、
Yは、O又はCHを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、又はクロロを表し、
は、O又はNRを表す]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
1a及びR1bは、1つ又は2つのRで任意選択に置換されたC1~6アルキルを表し、
又はR1a及びR1bは一緒になって、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
各Rは、OR及びHetからなる群から独立して選択され、
nは、1又は2であり、
は、C1~6アルキルを表し、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択された1つ又は2つのヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、前記S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
は、水素を表し、
は、メチルを表し、
Yは、CHを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
、R、及びRは、水素を表し、
は、Oを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
は、メチルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
は、メチルを表し、
は、Oを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yは、CHを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
nは、2を表す、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
nは、1を表す、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項10】
薬学的に許容される担体を、治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物と混合することを含む、請求項9に記載の医薬組成物を調製するためのプロセス。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又は請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
がんの予防又は治療に使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又は請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
がんが、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)から選択される、請求項12に記載の使用するための化合物又は医薬組成物。
【請求項14】
がんを治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又は請求項9に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象における治療及び/又は予防に有用な医薬品、かかる化合物を含む医薬組成物、並びにがんなどの疾患の治療又は予防に有用なMCL-1阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞アポトーシス又はプログラム細胞死は、造血系を含む多くの器官の発達及び恒常性に極めて重要である。アポトーシスは、死亡受容体によって媒介される外因性経路を介して、又はタンパク質のB細胞リンパ腫(BCL-2)ファミリーを使用する内因性経路によって開始され得る。骨髄細胞白血病-1(Myeloid cell leukemia-1、MCL-1)は、細胞生存調節因子のBCL-2ファミリーのメンバーであり、内因性アポトーシス経路の極めて重要な媒介因子である。MCL-1は、細胞生存の維持を担う5つの主要な抗アポトーシスBCL-2タンパク質(MCL-1、BCL-2、BCL-XL、BCL-w、及びBFL1/A1)のうちの1つである。MCL-1は、アポトーシス促進性BCL-2ファミリータンパク質であるBak及びBaxの活性を連続してかつ直接抑制し、Bim及びNoxaなどのBH3のみのアポトーシス増感剤タンパク質を封鎖することによってアポトーシスを間接的に遮断する。様々な種類の細胞ストレスを受けた後、Bak/Baxの活性化により、ミトコンドリア外膜上での凝集がもたらされ、この凝集により、細孔形成、ミトコンドリア外膜電位の喪失、及びその後のシトクロムCのサイトゾルへの放出が促進される。サイトゾルのシトクロムCは、Apaf-1に結合し、プロカスパーゼ9の動員を開始して、アポトソーム構造を形成する(Cheng et al.eLife 2016;5:e17755)。アポトソームのアセンブリは、実行役であるシステインプロテアーゼ3/7を活性化し、その後、これらのエフェクターカスパーゼは、様々な細胞質タンパク質及び核タンパク質を切断して、細胞死を誘発する(Julian et al.Cell Death and Differentiation 2017;24,1380-1389)。
【0003】
アポトーシスの回避は、がん発達の確立された特徴であり、発がんストレス、成長因子欠乏、又はDNA損傷のためさもなければ排除されるであろう腫瘍細胞の生存を促進する(Hanahan and Weinberg.Cell 2011;1-44)。したがって、驚くことなく、MCL-1は、正常な非形質転換組織対応物と比較して、多くの固形がん及び血液がんで高度に上方調節される。MCL-1の過剰発現は、不良転帰、再発、及び侵襲性疾患と相関性のあるいくつかのがんの病因に関与している。更に、MCL-1の過剰発現は、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)、及び急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)などのがんの病因に関与している。ヒトMCL-1遺伝子座(1q21)は、腫瘍で頻繁に増幅され、総MCL-1タンパク質レベルを定量的に増加させる(Beroukhim et al.Nature 2010;463(7283)899-905)。MCL-1はまた、従来のがん治療薬に対する耐性を媒介し、BCL-2機能の阻害に応答して転写的に上方制御される(Yecies et al.Blood 2010;115(16)3304-3313)。
【0004】
BCL-2の小分子BH3阻害剤は、慢性リンパ球性白血病を有する患者において臨床的有効性を示しており、CLL又はAMLを有する患者に対してFDA承認されている(Roberts et al.NEJM 2016;374:311-322)。BCL-2拮抗作用の臨床的成功は、血液悪性腫瘍及び固形腫瘍の両方の前臨床モデルにおける有効性を示すいくつかのMCL-1BH3模倣物の発達をもたらした(Kotschy et al.Nature 2016;538 477-486,Merino et al.Sci.Transl.Med;2017(9))。
【0005】
MCL-1は、DNA損傷後のミトコンドリア完全性及び非相同末端結合を含む細胞生存の媒介におけるその規範的な役割に加えて、いくつかの細胞プロセスを調節する(Chen et al.JCI 2018;128(1):500-516)。MCL-1の遺伝的損失は、発達のタイミング及び組織欠失に応じた表現型の範囲を示す。MCL-1ノックアウトモデルにより、MCL-1には複数の役割があり、機能の喪失が広範囲の表現型に影響を及ぼすことが明らかになる。グローバルMCL-1欠損マウスは、胚性致死性を示し、条件付き遺伝子欠失を使用する研究は、ミトコンドリア機能障害、オートファジーの活性化障害、Bリンパ球及びTリンパ球の減少、B細胞及びT細胞アポトーシスの増加、並びに心不全/心筋症の発症を報告している(Wang et al.Genes and Dev 2013;27 1351-1364,Steimer et al.Blood 2009;(113)2805-2815)。
【0006】
国際公開第2019046150号は、mcl-1タンパク質を阻害する大環状化合物を開示している。
【0007】
国際公開第2016033486号は、mcl-1タンパク質を阻害するテトラヒドロナフタレン誘導体を開示している。
【0008】
国際公開第2019036575号、同第2017147410号、及び同第2018183418号は、mcl-1タンパク質を阻害する化合物を開示している。
【0009】
国際公開第2019222112号は、がんを治療するためのMCL-1阻害剤を開示している。
【0010】
国際公開第2020097577号は、骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質の阻害剤としてのスピロスルホンアミド誘導体を開示している。
【0011】
国際公開第2021021259号は、MCL1タンパク質を阻害する化合物を投与するための処方及び投与量を記載している。
【0012】
国際公開第2019173181号は、MCL-1阻害剤を開示している。
【0013】
国際公開第2021211922号は、骨髄細胞白血病-1(mcl-1)タンパク質の阻害剤としてのスピロスルホンアミド誘導体を開示している。
【発明の概要】
【0014】
前立腺癌、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)などのがんの治療又は予防に有用なMCL-1阻害剤が依然として必要とされている。
【0015】
本発明は、式(I):
【0016】
【化1】
[式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から選択され、当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個又は2個のRで置換され、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
各Rは、OR、SR、CN、ハロ、CF、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から独立して選択され、
当該C3~7シクロアルキル又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、及びNRからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換され、
は、C1~6アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、当該C2~7アルキル若しくはC3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、当該C2~7アルキル若しくはC3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する縮合6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
nは、1又は2であり、
は、水素、C1~6アルキル、CF、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、Hetからなる群から選択され、当該C1~6アルキル又はC3~7シクロアルキルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、Het、Ar及びHetからなる群から選択される1個の置換基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含有する5~6員単環式芳香環を表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該芳香環は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Cyは、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する6~11員二環式完全飽和環系を表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該環系は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Arは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換されたフェニルを表し、
は、水素、C1~6アルキル、又はC3~7シクロアルキルを表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択され、
は、水素、C1~4アルキル、又はC1~4アルキル-OHを表し、
は、水素又はメチルを表し、
は、-(C=O)-フェニル、-(C=O)-Het、又は-(C=O)-Hetを表し、当該フェニル、Het、又はHetは、任意選択で、メチル又はメトキシから選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有するC結合4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
Hetは、各々独立してO、S、及びNから選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含むC結合5員又は6員単環式芳香環を表し、
Yは、O又はCHを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、又はクロロを表し、
は、O又はNRを表す]
の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物に関する。
【0017】
本発明は、治療有効量の式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその薬学的に許容される溶媒和物と、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む医薬組成物にも関する。
【0018】
更に、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又は溶媒和物に関し、がんの治療又は予防に使用するための、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又は溶媒和物にも関する。
【0019】
特定の実施形態では、本発明は、がんの治療又は予防に使用するための式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、又はその薬学的に許容される溶媒和物に関する。
【0020】
本発明は、がんの治療又は予防に使用するための、追加の医薬品と組み合わせた、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又は溶媒和物の使用にも関する。
【0021】
更に、本発明は、本発明による医薬組成物を調製するためのプロセスに関し、プロセスは、薬学的に許容される担体が、治療有効量の式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又は溶媒和物と均質に混合されることを特徴とする。
【0022】
本発明は、がんの治療又は予防における同時、別個、又は順次使用のための組み合わせられた調製物としての、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又は溶媒和物と、追加の医薬品とを含む製品にも関する。
【0023】
更に、本発明は、対象における細胞増殖性疾患を治療又は予防する方法であって、当該対象に、本明細書で定義される、有効量の式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物、又は本明細書で定義される、医薬組成物若しくは組み合わせを投与することを含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用するとき、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを表す。
【0025】
本明細書で使用するとき、接頭辞「Cx~y」(x及びyが整数である場合)は、所与の基における炭素原子の数を指す。したがって、C1~6アルキル基は、1~6個の炭素原子を含有するといった具合である。
【0026】
基又は基の一部として本明細書で使用される「C1~4アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチルなど、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の完全飽和炭化水素ラジカルを表す。
【0027】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C1~6アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなど、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の完全飽和炭化水素ラジカルを表す。
【0028】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C2~7アルキル」という用語は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなど、2~7個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の完全飽和炭化水素ラジカルを表す。
【0029】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C3~7シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなど、3~7個の炭素原子を有する完全飽和環状炭化水素ラジカルを定義する。
【0030】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C2~6アルケニル」という用語は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテン-1-イル、(2Z)-ブテン-2-イル、(2E)-ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、2-メチルプロペン-1-イル、1,3-ブタジエン、ペンテン-1-イル、(2Z)-ペンタン-2-イル、(2E)-ペンタン-2-イル、(3Z)-ペンテン-3-イル、(3E)-ペンテン-3-イル、(4Z)-ペンテン-4-イル、(4E)-ペンテン-4-イル、ペンテン-5-イルなど、2~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを含有する二重結合を表す。
【0031】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C3~7シクロアルキル」という用語は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルなど、3~7個の炭素原子を有する環状炭化水素ラジカルを含有する二重結合を定義する。
【0032】
基又は基の一部として本明細書で使用するとき、「C2~6アルキニル」という用語は、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ブチン-3-イル、1,3-ブタジイン、ペンチン-1-イル、ペンチン-2-イル、ペンチン-3-イル、ペンチン-5-イルなど2~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを含有する三重結合を表す。
【0033】
S(=O)又はSOがスルホニル部分を表すことは、当業者にとって明らかであろう。
【0034】
CO又はC(=O)がカルボニル部分を表すことは、当業者にとって明らかであろう。
【0035】
結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成する2個のR基の非限定的な例としては、N結合アゼチジニル、N結合ピロリジニル、N結合モルホリニル、N結合ピペラジニル、及びN-結合ピペリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルの非限定的な例としては、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロピラニル、1,4-オキサゼパニル、1,3-ジオキソラニル、モルホリニル、及びアゼチジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有するC結合4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルの非限定的な例としては、C結合テトラヒドロピラニル、C結合ピペラジニル、C結合テトラヒドロフラニル、C結合1,4-ジオキサニル、C結合テトラヒドロピラニル、C結合1,4-オキサゼパニル、C結合1,3-ジオキソラニル、C結合モルホリニル、及びC結合アゼチジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の文脈では、二環式6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリル基、又は6~11員二環式完全飽和環系は、縮合、スピロ、及び架橋二環式を含む。
【0039】
縮合二環式基は、2個の原子及びこれらの原子間の結合を共有する2個の環である。
【0040】
スピロ二環式基は、単一の原子において結合した2個の環である。
【0041】
架橋二環式基は、3個以上の原子を共有する2個の環である。
【0042】
任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する6~11員二環式完全飽和環系の例としては、
【0043】
【化2】
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成する2個のR基の例としては、
【0045】
【化3】
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5~6員単環式芳香環の非限定的な例としては、
【0047】
【化4】
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有するC結合5~6員単環式芳香環の非限定的な例としては、
【0049】
【化5】
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
別途記載のない限り、又は文脈から明らかではない限り、ヘテロシクリル基(例えば、Het)、ヘテロ原子を含有する芳香環(例えば、Het)、又はヘテロ原子を含有する環系(例えば、Cy)は、任意の利用可能な環炭素原子(C結合)又は窒素原子(N結合)(利用可能な場合)によって、式(I)の分子の残部に結合することができる。
【0051】
一般に、「置換された」という用語が本発明において使用される場合は常に、文脈から特に指示がないか、又はそれから明らかでない限り、「置換」を使用して発現中に示される原子又はラジカル上の1つ以上の水素、特に1~4個の水素、より具体的に1~3個の水素、好ましくは1又は2個の水素、より好ましくは1個の水素が、正常な原子価を超えないという条件で、示された基からの選択で置き換えられること、及びその置換が、化学的に安定な化合物、すなわち、反応混合物からの有用な純度への単離に耐えるのに十分に堅牢な化合物をもたらすことを示すことを意味する。
【0052】
置換基及び/又は変数の組み合わせは、かかる組み合わせが化学的に安定した化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」は、反応混合物からの有用な純度への単離に耐えるのに十分に堅牢な化合物を示すことを意味する。
【0053】
当業者であれば、「任意選択で置換された」という用語が、「任意選択で置換された」を使用して表現中に示される原子又はラジカルが置換されていてもよいか、又は置換されていなくてもよい(これは、それぞれ置換又は非置換を意味する)ことを意味することを理解するであろう。
【0054】
2個又は3個以上の置換基がある部分上に存在する場合、それらは、別段の指示がないか、又は文脈から明らかでない限り、同じ原子上の水素を置き換えることができるか、又はそれらは、その部分における異なる原子上の水素原子を置き換えることができる。
【0055】
任意の変数が任意の構成要素において2回以上発生する場合、各定義は独立している。
【0056】
本明細書で使用するとき、「対象」という用語は、治療、観察、若しくは実験の対象であるか、又は対象であったことがある、動物、好ましくは哺乳類(例えば、ネコ、イヌ、霊長類、又はヒト)、より好ましくはヒトを指す。
【0057】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、治療されている疾患又は障害の症状の緩和若しくは逆転を含む、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により求められている組織系又は対象(例えば、ヒト)における生体学的反応又は薬効を生じさせる活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0058】
「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られるいずれの製品も包含するよう意図されている。
【0059】
本明細書で使用するとき、「治療」という用語は、必ずしも全ての症状の完全な消失を示すものではないが疾患の進行を遅延、妨害、阻止、又は停止させ得る全てのプロセスを指すよう意図されている。
【0060】
本明細書で使用するとき、「(本)発明の化合物」又は「本発明による化合物」という用語は、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を含むことを意味する。
【0061】
本明細書で使用するとき、実線としてのみ示され、実線のくさび状の結合若しくはハッシュ化されたくさび状の結合として示されないか、又はそうでなければ1個若しくは2個以上の原子の周囲に特定の配置(例えば、R、S)を有するものとして示される結合を有する任意の化学式は、各可能な立体異性体、又は2つ若しくは3つ以上の立体異性体の混合物を企図する。任意の特定のキラル原子の立体化学が、本明細書に示す構造において指定されない場合、あらゆる立体異性体が、本発明の化合物として、純粋な立体異性体、又は2つ若しくは3つ以上の立体異性体の混合物のいずれかとして企図され、含まれる。
【0062】
上記及び下記において、「式(I)の化合物」という用語は、その立体異性体及びその互変異性体を含むよう意図されている。しかしながら、前の段落で述べたように、立体化学は、実線のくさび状の結合若しくはハッシュ化されたくさび状の結合として示されるか、又はそうでなければ特定の配置(例えば、R、S)を有するものとして示される結合によって指定されるか、又は二重結合の周りの立体化学が(例えば、式(I)に)示されている場合、当該立体異性体はそのように指定され、定義される。これは、式(I)のサブグループにも当てはまることが明らかであろう。
【0063】
したがって、可能である場合、単一の化合物が立体異性体及び互変異性体の両方で存在し得ることになる。
【0064】
上記及び下記の「立体異性体(stereoisomer)」、「立体異性体形態(stereoisomeric form)」又は「立体化学的異性体形態」という用語は、互換的に使用される。
【0065】
本発明は、純粋な立体異性体としてか、又は2つ若しくは3つ以上の立体異性体の混合物としてのいずれかの、本発明の化合物の全ての立体異性体を含む。
【0066】
エナンチオマーは、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体である。1対のエナンチオマーの1:1混合物は、ラセミ体又はラセミ混合物である。
【0067】
ジアステレオマー(又はジアステレオ異性体)は、エナンチオマーではない立体異性体であり、すなわち、それらは、鏡像として関連していない。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、E又はZ配置にあり得る。
【0068】
二価の環状飽和又は部分飽和ラジカル上の置換基は、シス構成又はトランス配置のいずれかを有し得、例えば、化合物が二置換シクロアルキル基を含有する場合、置換基は、シス又はトランス配置にあり得る。
【0069】
したがって、本発明は、文脈がそうでないことを示さない限り、また、化学的に可能な場合は常に、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体、及びそれらの混合物を含む。
【0070】
全ての用語の意味、すなわち、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体、及びそれらの混合物は、当業者に知られている。
【0071】
絶対配置は、Cahn-Ingold-Prelogシステムに従って特定される。非対称原子における配置は、R又はSのいずれかによって特定される。絶対配置が知られていない分解された立体異性体は、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて、(+)又は(-)に指定することができる。例えば、絶対配置が知られていない分解されたエナンチオマーは、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて、(+)又は(-)に指定され得る。
【0072】
特定の立体異性体が特定される場合、これは、当該立体異性体が他の立体異性体を実質的に含まない、すなわち、他の立体異性体の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、更により好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満と関連していることを意味する。したがって、式(I)の化合物が、例えば、(R)として特定される場合、これは、化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が、例えば、Eとして特定される場合、これは、化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が、例えば、シスとして特定される場合、これは、化合物がトランス異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0073】
薬学的に許容される塩、特に薬学的に許容される付加塩には、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。かかる塩は、従来の手段によって、例えば、遊離酸形態又は遊離塩基形態を、適切な塩基又は酸の1つ又は2つ以上の等価物と、任意選択で溶媒中で、又は塩が不溶性である媒体中で反応させ、続いて標準的な技術を使用して(例えば、真空で、凍結乾燥法によって、又は濾過によって)、当該溶媒又は当該媒体を除去することによって形成され得る。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本開示の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって調製されてもよい。
【0074】
上記及び下記の薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物及びその溶媒和物が形成可能である治療的に活性な非毒性酸及び塩基の塩形態を含むよう意図されている。
【0075】
適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸等の無機酸;又は例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラム酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモン酸等の酸等の有機酸を含む。逆に、当該塩形態は、適切な塩基で処理することによって、遊離塩形態に変換されることができる。
【0076】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物又はその溶媒和物は、適切な有機塩基及び無機塩基での処理によって、それらの非毒性金属又はアミン塩形態に変換されてもよい。
【0077】
適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム塩等、有機塩基、例えば、一級、二級及び三級脂肪族アミン及び芳香族アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン、及びイソキノリンを有する塩;ベンズアチン、N-メチル-グルカミン、ヒドラバミン塩、及びアミノ酸、例えばアルギニン、リジン等を有する塩を含む。逆に、塩基形態は、酸で処理することによって、遊離塩基形態に変換されることができる。
【0078】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成することができる、溶媒付加形態、並びにその塩を含む。かかる溶媒付加形態の例は、例えば、水和物、アルコラート等である。
【0079】
以下に記載されるプロセスで調製される本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物、特にエナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され得、これは、技術分野で既知の分解手順に従って互いに分離され得る。式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩、N-オキシド、及び溶媒和物のエナンチオマー形態を分離する方法は、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィを含む。当該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導されてもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、当該化合物は、立体特異的な調製方法によって合成されるであろう。これらの方法は、有利には、エナンチオマー的に純粋な出発物質を採用するであろう。
【0080】
本明細書で使用するとき、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、製品が、少なくとも80重量%の1つのエナンチオマー及び20重量%以下の他のエナンチオマーを含有することを意味する。好ましくは、製品は、少なくとも90重量%の1つのエナンチオマー及び10重量%以下の他のエナンチオマーを含有する。最も好ましい実施形態では、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、組成物が、少なくとも99重量%の1つのエナンチオマー及び1%以下の他のエナンチオマーを含有することを意味する。
【0081】
本発明は、本明細書に列挙されるものと同一である本発明の同位体標識化合物も包含するが、それは、1個又は2個以上の原子が、通常天然に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子(又は天然に見出される最も豊富な原子)によって置き換えられるという事実のためである。
【0082】
本明細書で特定される任意の特定の原子又は元素の全ての同位体及び同位体混合物は、天然存在度で、又は同位体濃縮形態でのいずれかで天然に存在しても、合成的に生成されても、本発明の化合物の範囲内で企図される。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられ、H、H、11C、13C、14C、13N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Br、及び82Br等がある。好ましくは、同位体は、H、H、11C、及び18Fの群から選択される。より好ましくは、同位体は、Hである。特に、重水素化合物は、本発明の範囲内に含まれるよう意図されている。
【0083】
本発明のある特定の同位体標識化合物(例えば、H及び14Cで標識されたもの)は、例えば、基質組織分布アッセイに有用であり得る。トリチウム化(H)及び炭素-l4(14C)同位体は、調製及び検出可能性の容易さのために有用である。更に、より重い同位体、例えば、重水素(すなわち、H)等による置換を行うと、代謝安定性がより高くなり(例えば、インビボにおける半減期が増大し、又は必要な投与量が減少する)、その結果、ある特定の治療的利点が得られ、したがって、状況次第で好ましい場合がある。例えば、15O、13N、11C、及び18F等の陽電子放出同位体は、陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)研究に有用である。がんにおけるPETイメージングは、腫瘍の位置特定及び識別、疾患の段階、並びに好適な治療を決定するのに役立つ有用性を見出す。ヒトがん細胞は、潜在的な疾患特異的分子標的である多くの受容体又はタンパク質を過剰発現する。腫瘍細胞上にあるかかる受容体又はタンパク質に、高い親和性及び特異性で結合する放射性標識トレーサは、診断イメージング及び標的放射性核種療法(Charron,Carlie L.et al.Tetrahedron Lett.2016,57(37),4119-4127)の大きな可能性を有する。更に、標的特異的PET放射線トレーサは、例えば、標的発現及び治療応答を測定することによって、病理を調査及び評価するためのバイオマーカーとして使用され得る(Austin R.et al.Cancer Letters(2016),doi:10.1016/j.canlet.2016.05.008)。
【0084】
ある実施形態では、本発明は、式(I)、
[式中、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から選択され、
当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個若しくは2個のRで置換されるか、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)若しくはS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
各Rは、OR、SR、CN、ハロ、CF、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から独立して選択され、
当該C3~7シクロアルキル又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、及びNRからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換され、
は、C1~6アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、当該C2~7アルキル若しくはC3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、C2~7アルキル、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、及びHetからなる群から選択され、当該C2~7アルキル若しくはC3~7シクロアルキルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、並びに任意選択で、OR、SR、CN、NR、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子と、を含有する縮合6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の置換基で置換され、
nは、1又は2であり、
は、水素、C1~6アルキル、CF、C3~7シクロアルキル、Het、Ar、Hetからなる群から選択され、当該C1~6アルキル又はC3~7シクロアルキルは、任意選択で、OR、SR、CN、ハロ、NR、SO、C(=O)R、C(=O)OR、C(=O)NR、SONR、C3~7シクロアルキル、Het、Ar及びHetからなる群から選択される1個の置換基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択されるか、
又はR及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含有する5~6員単環式芳香環を表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該芳香環は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Cyは、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する6~11員二環式完全飽和環系を表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該環系は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換され、
Arは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換されたフェニルを表し、
は、水素、C1~6アルキル、又はC3~7シクロアルキルを表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルからなる群から選択され、
は、水素、C1~4アルキル、又はC1~4アルキル-OHを表し、
は、メチルを表し、
Yは、O又はCHを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、又はクロロを表し、
は、Oを表す]
の新規の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物に関する。
【0085】
ある実施形態では、本発明は、式(I)、
[式中、R1a及びR1bは、1つ又は2つのRで任意選択に置換されたC1~6アルキルを表し、
又はR1a及びR1bは一緒になって、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成し、
各Rは、OR及びHetからなる群から独立して選択され、
nは、1又は2であり、
は、C1~6アルキルを表し、
Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択された1つ又は2つのヘテロ原子を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、
は、水素を表し、
は、メチルを表し、
Yは、CHを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
は、CRを表し、
、R、及びRは、水素を表し、
は、Oを表す]
の新規の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物に関する。
【0086】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1aは、メチルを表す。
【0087】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Yは、Oを表す。
【0088】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、YがCHを表す。
【0089】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、nは、1である。
【0090】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、nは、2である。
【0091】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1aは、R1bと一緒になってヘテロシクリルを形成しない。
【0092】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Rは、Rと一緒になってヘテロシクリルを形成しない。
【0093】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1aは、R1bと一緒になる。
【0094】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1a及びR1bは、他の実施形態のいずれかで定義したように、結合先であるN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成する。
【0095】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1a及びR1bは、他の実施形態のいずれかで定義したように、結合先であるN原子と一緒になって、単環式ヘテロシクリルを形成する。
【0096】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1a及びR1bは、他の実施形態のいずれかで定義したように、結合先であるN原子と一緒になって、二環式ヘテロシクリルを形成する。
【0097】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から選択され、
当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個又は2個のRで置換される。
【0098】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルケニル、Het、Ar、Het、及びCyからなる群から選択され、
当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個又は2個のRで置換される。
【0099】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、及びC3~7シクロアルケニルからなる群から選択され、
当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、又はC3~7シクロアルケニルは、任意選択で、1個又は2個のRで置換される。
【0100】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
任意選択で、1個のRで置換されたC1~6アルキルからなる群から選択される。
【0101】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
Het、Ar、及び任意選択で、1個のRで置換されたC1~6アルキルからなる群から選択される。
【0102】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
Het、Ar、及び任意選択で、1個のRで置換されたC1~6アルキルからなる群から選択され、
は、OR、CF、NR、SO、Het、及びHetからなる群から独立して選択される。
【0103】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
任意選択で、1個のRで置換されたC1~6アルキルからなる群から選択され、
は、OR及びHetからなる群から選択される。
【0104】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、
任意選択で、1個のRで置換されたC1~6アルキルからなる群から選択され、
は、OR及びHetからなる群から選択され、
nは、2である。
【0105】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、水素ではない。
【0106】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換される。
【0107】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該S原子は、置換されてS(=O)又はS(=O)を形成してもよく、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、オキソ、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換される。
【0108】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、O、S、及びNから選択される1個の追加のヘテロ原子と、を含有する4~7員単環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、OR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR及びCNからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換される。
【0109】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、1個のN原子と、任意選択で、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択される1個又は2個の追加のヘテロ原子と、を含有する6~11員二環式完全飽和ヘテロシクリルを形成し、当該ヘテロシクリルは、任意選択で、それぞれ独立して、ハロ及びC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換される。
【0110】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、各Rは、独立して、OR、CF、NR、SO、Het、及びHetからなる群から選択される。
【0111】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
は、水素を表し、Rは、メチルを表し、Xは、Oを表す。
【0112】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、
は、メチルを表し、Xは、Oを表す。
【0113】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Xは、Oを表す。
【0114】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Xは、NRを表す。
【0115】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素又はフルオロを表す。
【0116】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R、R、及びRは、水素を表す。
【0117】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R、R、及びRは、フルオロを表す。
【0118】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、任意の利用可能な環炭素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0119】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、任意の利用可能な環窒素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0120】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、
それぞれ任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0121】
【化6】
である。
【0122】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、
それぞれ任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0123】
【化7】
である。
【0124】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Cyは、
任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0125】
【化8】
である。
【0126】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、
任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0127】
【化9】
である。
【0128】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、
それぞれ任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0129】
【化10】
である。
【0130】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、
任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0131】
【化11】
である。
【0132】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、Hetは、それぞれ独立して、O、S、及びNから選択された1個又は2個のヘテロ原子を含有する5~6員単環式芳香環を表し、当該芳香環は、任意選択で、それぞれ独立して、OR、SR、NR、CN、ハロ、CF、並びに任意選択で、OR、SR、CN、及びハロからなる群から選択される1個の置換基で置換されたC1~4アルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基で置換される。
【0133】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、
それぞれ任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0134】
【化12】
を一緒に形成する。
【0135】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R1a及びR1bは、結合先であるN原子と一緒になって、
それぞれ任意選択で、他の実施形態のいずれか1つに従って置換された、
【0136】
【化13】
を一緒に形成する。
【0137】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、R及びRは、結合先であるN原子と一緒になって、1-モルホリニルを一緒に形成する。
【0138】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、任意の利用可能な環炭素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0139】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Hetは、任意の利用可能な環窒素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0140】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Cyは、任意の利用可能な環炭素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0141】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式中、Cyは、任意の利用可能な環窒素原子によって式(I)の分子の残りの部分に結合している。
【0142】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式(I)の化合物は、式(I-1)の化合物に限定される:
【0143】
【化14】
【0144】
式(I-1)の構造における全ての変数が、他の実施形態のいずれかで述べたような、式(I)の化合物又はその任意のサブグループについて定義されるように定義されることは明らかであろう。
【0145】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式(I)の化合物は、式(I-a’)の化合物に限定される:
【0146】
【化15】
【0147】
式(I-a’)の構造における全ての変数が、他の実施形態のいずれかで述べたような、式(I)の化合物又はその任意のサブグループについて定義されるように定義されることは明らかであろう。
【0148】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式(I)の化合物は、式(I-a1)の化合物に限定される:
【0149】
【化16】
【0150】
式(I-a1)の構造における全ての変数が、他の実施形態のいずれかで述べたような、式(I)の化合物又はその任意のサブグループについて定義されるように定義されることは明らかであろう。
【0151】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のいずれかで述べたような、それらの式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はそれらの任意のサブグループに関し、式(I)の化合物は、式(I-b’)の化合物に限定される:
【0152】
【化17】
【0153】
式(I-b’)の構造における全ての変数が、他の実施形態のいずれかで述べたような、式(I)の化合物又はその任意のサブグループについて定義されるように定義されることは明らかであろう。
【0154】
ある実施形態では、本発明は、他の実施形態のうちのいずれかで言及されている式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、又はその任意の下位群に関し、式(I)の化合物は、式(I-b1)の化合物に限定される:
【0155】
【化18】
【0156】
式(I-b1)の構造における全ての変数が、他の実施形態のいずれかで述べたような、式(I)の化合物又はその任意のサブグループについて定義されるように定義されることは明らかであろう。
【0157】
ある実施形態では、本発明は、一般的な反応スキームに定義される式(I)の下位群に関する。
【0158】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、例示された化合物、
並びにそれらの遊離塩基、薬学的に許容される塩、及び溶媒和物のうちのいずれかからなる群から選択される。
【0159】
上記の実施形態の全ての可能な組み合わせは、本発明の範囲内に包含されるとみなされる。
【0160】
化合物の調製のための方法
この節では、文脈がそうでないことを示さない限り、他の全ての節において、式(I)への言及は、本明細書で定義される他の全ての下位群及びその実施例も含む。
【0161】
式(I)の化合物のいくつかの典型的な実施例の一般的な調製を以下に記載し、特定の実施例では、それらは通常、市販されているか、又は市販されているか、若しくは公開されている方法によって調製され得るかのいずれかである出発物質から調製される。以下のスキームは、本発明の実施例を示すものに過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0162】
代替として、本発明の化合物はまた、国際公開第2016033486号、同第2017147410号、及び同第2018183418号に記載のものなど類似の反応プロトコルなど当業者によって一般的に使用される標準的な合成プロセスと組み合わせて、以下の一般的なスキームに記載されるような類似の反応プロトコルによって調製され得る。
【0163】
当業者であれば、スキームに記載される反応において、これは常に明示的に示されていないが、反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、又はカルボキシ基)を、これらが最終生成物中に望ましい場合、保護して、反応への望ましくない関与を回避することが必要であり得ることを理解するであろう。一般に、従来の保護基は、標準的な実施に従って使用することができる。保護基は、その後の好都合な段階において、当該技術分野で周知の方法を用いて除去することができる。
【0164】
当業者であれば、スキームに記載される反応において、例えば、N-ガス雰囲気下など、不活性雰囲気下で反応を行うことが賢明であり得る又は必要であり得ることを理解するであろう。
【0165】
反応混合物を反応作業前に冷却することが必要であり得ることは、当業者にとって明らかであろう(例えば、クエンチング、カラムクロマトグラフィ、抽出等、化学反応の生成物を単離及び精製するために必要な一連の操作を指す)。
【0166】
当業者であれば、撹拌下で反応混合物を加熱することが反応結果を増強し得ることを理解するであろう。いくつかの反応では、従来の加熱の代わりにマイクロ波加熱を使用して、全体的な反応時間を短縮することができる。
【0167】
当業者であれば、以下のスキームに示される別の一連の化学反応も式(I)の所望の化合物をもたらし得ることを理解するであろう。
【0168】
当業者であれば、以下のスキームに示される中間体及び最終化合物が、当業者によって周知の方法に従って更に官能化され得ることを理解するであろう。本明細書に記載される中間体及び化合物は、遊離形態で、又はその塩若しくは溶媒和物として単離され得る。本明細書に記載される中間体及び化合物は、互変異性体と立体異性体との混合物の形態で合成することができ、それは、その分野で既知の分解手順に従って互いに分離することができる。
【0169】
以下のスキームで使用される化学略語の意味は、スキームで定義されるとおりであるか、又は表1に定義されるとおりである。
【0170】
以下の一般的なスキームは、式(I-a1)の化合物及びそのサブグループに焦点を当てているが、当業者は、類似の反応手順を使用することによって、式(I-b1)の化合物を合成することができることを理解するであろう:
【0171】
【化19】
【0172】
変数が式(I)で定義されたように定義される、式(I-a)の化合物は、スキーム1に従って、
【0173】
【化20】
-式(II)の中間体を、例えば、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドなどの好適なパラジウム触媒の存在下で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、例えば、80又は100℃などの好適な温度にて、30バールなどの好適なCO圧力で反応させることによって調製することができる。
-式(II)の中間体は、Pが、例えば、パラ-メトキシベンジル(PMB)などの好適な保護基である式(III)の中間体を、例えば、トリフルオロ酢酸などの好適な脱保護剤で、例えば、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて脱保護することによって調製することができる。
-式(III)の中間体は、式(IV)の中間体をアミンと、例えば、プロパンホスホン酸無水物などの好適なカップリング剤、例えば、トリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下で、例えば、ジクロロメタン又は酢酸エチルなどの好適な溶媒中で、例えば、室温又は40℃などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(IV)の中間体は、式(V)の中間体を、式(VI)の中間体(「Pin」はピナコールエステルを意味する)及びグリオキシル酸と、例えば、メタノールなどの好適な溶媒中で、例えば、40又は60℃などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
【0174】
あるいは、R=Hである式(I-a)の化合物は、スキーム2に従って調整することもできる。
【0175】
【化21】
-式(VII)の中間体を、カルボン酸と、例えば、HATU、HBTU、DCC、又はT3Pなどの好適なアミド生成試薬の存在下で、例えば、トリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下で、例えば、DMFなどの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(VII)の中間体は、式(VIII)の中間体を、例えば、ジエチルシアノホスホネートなどの好適なアミド生成試薬と、例えば、DMFなどの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(VIII)の中間体は、Pが、例えば、メチルなどの好適な保護基である式(IX)の中間体を、例えば、水素化リチウムなどの好適な塩基の存在下で、テトラヒドロフラン若しくはメタノール若しくは水、又はこれらの混合物などの好適な溶媒中で、例えば、室温又は50℃などの好適な温度にて鹸化することによって調製することができる。
-式(IX)の中間体は、式(X)の中間体を、例えば、クロロジフェニルホスフィンなどの好適な塩素化剤と反応させ、続いて、例えば、アンモニアガスなどのアミン源で、例えば、THFなどの好適な溶媒中で、例えば、0℃などの好適な温度にて処理することによって調製することができる。
-式(X)の中間体は、式(XI)の中間体を、TBSCl(「TBS」はtert-ブチルジメチルシリルを意味する)で、例えば、トリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下で、例えば、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で保護することによって調製することができる。
-式(XI)の中間体は、Pが、例えば、パラ-メトキシベンジル(PMB)などの好適な保護基である式(XII)の中間体を、例えば、トリフルオロ酢酸などの好適な脱保護剤で、例えば、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて脱保護することによって調製することができる。
-式(XII)の中間体は、式(XIII)の中間体を、アミンと、例えば、プロパンホスホン酸無水物などの好適なカップリング剤を使用して、例えば、トリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下で、例えば、ジクロロメタン又は酢酸エチルなどの好適な溶媒中で、例えば、室温又は40℃などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XIII)の中間体は、式(XIV)の中間体を、式(VI)の中間体(「Pin」はピナコールエステルを意味する)及びグリオキシル酸と、例えば、メタノールなどの好適な溶媒中で、例えば、40又は60℃などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XIV)の中間体は、Pが、例えば、Bocなどの好適な保護基である式(XV)の中間体を、例えば、トリフルオロ酢酸などの好適な脱保護剤と、例えば、室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
【0176】
式(V)及び(XV)の中間体(式中、X、X、X、Y、及びnは、式(I)に定義されるとおりであり、Pは、例えば、Bocなどの好適な保護基であり、Pはスキーム2に定義されるとおりである)は、スキーム3に従って調製することができる。
【0177】
【化22】
-式(XVI)の中間体を、例えば、メタノールなどの好適なアルコールPOHとのCO挿入反応において、例えば、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドなどの好適なパラジウム触媒の存在下で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、80又は100℃などの好適な温度にて、30バールなどの好適なCO圧力で反応させることによって調製することができる。
-代替として、式(XV)の中間体は、式(XIX)の中間体を、式(XVIII)の中間体と、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元剤の存在下で、例えば、ジクロロメタン若しくは酢酸又はこれらの混合物などの好適な溶媒中で、例えば、0℃又は室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XIX)の中間体は、式(XVII)の中間体を、例えば、メタノールなどの好適なアルコールPOHとのCO挿入反応において、例えば、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドなどの好適なパラジウム触媒の存在下で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、80又は100℃などの好適な温度にて、30バールなどの好適なCO圧力で反応させることによって調製することができる。
-式(V)の中間体は、Pが、例えば、Bocなどの好適な保護基である式(XVI)の中間体を、例えば、例えば、トリフルオロ酢酸などの好適な脱保護剤と、例えば、室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XVI)の中間体は、式(XVII)の中間体を、式(XVIII)の中間体と、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元剤の存在下で、例えば、ジクロロメタン若しくは酢酸又はこれらの混合物などの好適な溶媒中で、例えば、0℃又は室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
【0178】
がBocであるXVIIIの合成は、n=1の場合(CAS[200184-45-8])、n=2の場合(CAS[69610-41-9])に対応する。
【0179】
式(IX)の中間体(式中、X、X、Xは、CHであり、Yは式(I)に定義されるとおりである)は、スキーム4に従って調製することができる。
【0180】
【化23】
-式(XXI)のエナンチオマーを、例えば、キラルSFCなどの適切な分離技術を使用して、分離することによって調製することができる。
-式(XXI)の中間体は、式(XXII)の中間体を、例えば、鉄塵などの好適な還元剤と、例えば、酢酸などの好適な溶媒中で、例えば、70℃などの好適な温度にて反応させることによって得ることができる。得られたアニリンを、アルデヒドを用いて分子内でイミンに凝縮することができ、これを、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))などの好適な還元剤で、例えば、ジクロロメタン(DCM)などの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて更に還元することできることは、当業者には明らかであろう。
-式(XXII)の中間体は、式(XXIII)の中間体を、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びオキサリルクロリドなどの好適な酸化剤と、例えば、トリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下で、例えば、DCMなどの好適な溶媒中で、例えば、-78℃又は室温(rt)などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XXIII)の中間体は、式(XXIV)の中間体を、1-フルオロ-4-ヨード-2-ニトロベンゼン(CAS[364-75-0])と、例えば、KCOなどの好適な塩基の存在下で、例えば、アセトニトリルなどの好適な溶媒中で、例えば、50℃などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
【0181】
式(XV)の中間体は、スキーム5に従って調製することができる。
【0182】
【化24】
-式(VI)の中間体(式中、Pは、例えば、p-メトキシベンジルなどの好適な保護基である)を、例えば、トリフルオロ酢酸などの好適な脱保護剤で、例えば、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば、0℃又は室温などの好適な温度にて脱保護することによって調製することができる。
-式(VI)の中間体は、式(XXVI)の中間体を、ビス(ピナコラート)ジボロンと、例えば、トリフェニルホスフィンなどの好適な添加剤の存在下で、例えば、リン酸二カリウムなどの好適な塩基の存在下で、例えば、酸化銅(I)などの好適な触媒の存在下で、例えば、メタノールなどの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて反応させることによって調製することができる。
-式(XXVI)の中間体は、式(XXVII)の中間体を、ジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホン酸と、例えば、炭酸カリウムなどの好適な塩基の存在下で、例えば、メタノールなどの好適な溶媒中で、例えば、0℃などの適温にて反応させることによって調製することができる。
-式(XXVII)の中間体は、式(XXVIII)の中間体を、例えば、ジクロロメタン又はメタノールなどの好適な溶媒中で、例えば、-78℃などの好適な温度にてオゾン分解するか、又は、式(XXVIII)の中間体を、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムを含む、触媒量の四酸化オスミウムなどの好適な試薬で、例えば、テトラヒドロフランと水との混合物などの好適な溶媒中で、例えば、室温などの好適な温度にて酸化するのいずれかによって調製することができる。
【0183】
がp-メトキシベンジル及びRである(XXVIII)は、(CAS[1883727-77-2])に対応するメチルである。Pがp-メトキシベンジル及びRである(XXVIII)は、(CAS[1883727-89-6])に対応する水素である。
【0184】
適切な官能基が存在する場合、様々な式の化合物又はそれらの調製に使用される任意の中間体は、縮合反応、置換反応、酸化反応、還元反応、又は切断反応を用いる1つ又は2つ以上の標準合成方法によって更に誘導体化され得ることが理解されるであろう。特定の置換手法としては、従来のアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、スルホニル化、ハロゲン化、ニトロ化、ホルミル化、及びカップリング手順が挙げられる。
【0185】
式(I)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され得、これは、技術分野で既知の分解手順に従って互いに分離され得る。塩基性窒素原子を含有する式(I)のラセミ化合物は、好適なキラル酸との反応によって、対応するジアステレオマー塩形態に変換され得る。その後、当該ジアステレオマー塩形態は、例えば、選択的又は分別的結晶によって分離され、エナンチオマーは、アルカリによってそれから遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離する代替の方法は、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィを含む。当該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導されてもよい。
【0186】
本発明の化合物の調製において、中間体の遠隔官能基(例えば、一級又は二級アミン)の保護が必要であり得る。かかる保護の必要性は、遠隔官能基の性質及び調製方法の条件によって変化するであろう。好適なアミノ保護基(NH-Pg)としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。かかる保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基及びそれらの使用の一般的な説明については、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,4th ed.,Wiley,Hoboken,New Jersey,2007を参照されたい。
【0187】
化合物の薬理学
本発明の化合物は、MCL-1抗アポトーシス活性などのより高いMCL-1活性のうちの1つを阻害することが見出されている。
【0188】
MCL-1阻害剤は、アポトーシス促進エフェクターであるBak及びBax又はBH3のみの増感剤、例えば、Bim、Noxa、又はPumaなどに結合してそれらを抑制する能力などの1つ又は2つ以上のMCL-1機能を遮断する化合物である。
【0189】
本発明の化合物は、MCL-1生存促進機能を阻害することができる。したがって、本発明の化合物は、がんなどの免疫系の影響を受けやすい疾患の治療及び/又は予防、特に治療に有用であり得る。
【0190】
本発明の別の実施形態では、本発明の化合物は、例えば、免疫調節を通じて抗腫瘍特性を示す。
【0191】
一実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、がんは、本明細書に記載されるものから選択され、本方法は、それを必要とする対象(好ましくはヒト)に、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0192】
一実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、膀胱癌、乳癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌を含むがこれに限定されない)、造血癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、肝臓癌、肺癌(肺腺癌を含むがこれらに限定されない)、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、骨髄増殖性腫瘍、卵巣癌、卵巣明細胞癌、卵巣漿液性嚢胞腺腫、膵臓癌、真性赤血球増加症、前立腺癌、直腸腺癌、腎細胞癌、無症候性多発性骨髄腫、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される。
【0193】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、好ましくは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、乳癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、造血癌、ホジキンリンパ腫、肺癌(肺腺癌を含むがこれらに限定されない)リンパ腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、骨髄増殖性腫瘍、無症候性多発性骨髄腫、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される。
【0194】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、腺癌、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆道癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、膀胱癌、乳癌(breast cancer)(乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌を含むがこれらに限定されない)、脳腫瘍(髄膜腫を含むがこれに限定されない)、神経膠腫(星状細胞腫、乏突起膠腫、髄芽腫を含むがこれらに限定されない)、気管支癌、子宮頸癌(子宮頸腺癌を含むがこれに限定されない)、脊索腫、絨毛癌、結腸直腸癌(結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌を含むがこれらに限定されない)、上皮癌、内皮肉腫(カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫を含むがこれらに限定されない)、子宮内膜癌(子宮癌、子宮肉腫を含むがこれらに限定されない)、食道癌(食道の腺癌、バレットを含むがこれらに限定されない)、ユーイング肉腫、胃癌(胃腺癌を含むがこれに限定されない)、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor、GIST)、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌を含むがこれに限定されない)、造血癌(急性リンパ性白血病(ALL)(B細胞ALL、T細胞ALLを含むがこれらに限定されない)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia、CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)などの白血病、並びにホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma、HL)(B細胞HL、T細胞HLを含むがこれらに限定されない)及び非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma、NHL)(例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(diffuse large cell lymphoma、DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL))などのB細胞NHLなどのリンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/small lymphocytic lymphoma、SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue、MALT)リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫B細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンストロームマクログロブリン血症を含むがこれに限定されない)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、有毛細胞白血病(hairy cell leukemia、HCL)、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、及び原発性中枢神経系(central nervous system、CNS)リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病などのT細胞NHL、末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma、PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma、CTCL)(真菌症、セザリー症候群を含むがこれらに限定されない)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、結節外ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞性リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、上記の1つ又は2つ以上の白血病/リンパ腫の混合、多発性骨髄腫(multiple myeloma、MM)、重鎖疾患(アルファ鎖疾患、ガンマ鎖疾患、ミュー鎖疾患を含むがこれらに限定されない)、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓癌(腎芽腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌を含むがこれらに限定されない)、肝臓癌(肝細胞癌(hepatocellular cancer、HCC)、悪性肝細胞癌を含むがこれらに限定されない)、肺癌(気管支原性癌、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer、NSCLC)、扁平上皮肺癌(squamous lung cancer、SLC)、肺の腺癌、ルイス肺癌、肺神経内分泌腫瘍、定型カルチノイド、非定型カルチノイド、小細胞肺癌(small cell lung cancer、SCLC)、及び大細胞神経内分泌癌を含むがこれらに限定されない)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes、MDS)、骨髄増殖性疾患(myeloproliferative disorder、MPD)、真性多血症(polycythemia vera、PV)、本態性血小板増加症(essential thrombocytosis、ET)、原発性骨髄線維症(agnogenic myeloid metaplasia、AMM)、別名骨髄線維症(myelofibrosis、MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia、CNL)、好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome、HES)、卵巣癌(嚢胞腺癌、卵巣胚性癌、卵巣腺癌を含むがこれらに限定されない)、膵臓癌(膵臓腺癌、膵管内乳頭状粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm、IPMN)、膵島細胞腫瘍を含むがこれらに限定されない)、前立腺癌(前立腺腺癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌(扁平上皮癌(squamous cell carcinoma、SCC)、ケラトアカントーマ(keratoacanthoma、KA)、黒色腫、基底細胞癌(basal cell carcinoma、BCC)を含むがこれらに限定されない)、並びに軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma、MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumor、MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)からなる群から選択される。
【0195】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、良性単クローン性免疫グロブリン血症、乳癌(breast cancer)(乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌を含むがこれらに限定されない)、造血癌(急性リンパ性白血病(ALL)(B細胞ALL、T細胞ALLを含むがこれらに限定されない)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)、並びにホジキンリンパ腫(HL)(B細胞HL、T細胞HLを含むがこれらに限定されない)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL))などのB細胞NHLなどのリンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫B細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンストロームマクログロブリン血症を含むがこれに限定されない),免疫芽球性大細胞型リンパ腫、有毛細胞白血病(HCL)、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、及び原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病などのT細胞NHL、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(真菌症、セザリー症候群を含むがこれらに限定されない)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、結節外ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞性リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、上記の1つ又は2つ以上の白血病/リンパ腫の混合、多発性骨髄腫(MM)、重鎖疾患(アルファ鎖疾患、ガンマ鎖疾患、ミュー鎖疾患を含むがこれらに限定されない)、免疫細胞性アミロイドーシス、肝臓癌(肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞癌を含むがこれらに限定されない)、肺癌(気管支原性癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌(SLC)、肺の腺癌、ルイス肺癌、肺神経内分泌腫瘍、定型カルチノイド、非定型カルチノイド、小細胞肺癌(SCLC)、及び大細胞神経内分泌癌を含むがこれらに限定されない)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、前立腺癌(前立腺腺癌を含むがこれに限定されない)からなる群から選択される。
【0196】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)からなる群から選択される。
【0197】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療及び/又は予防するための方法を対象とし、本方法は、それを必要とする対象、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含み、がんは、多発性骨髄腫である。
【0198】
本発明による化合物、又は当該化合物を含む医薬組成物はまた、PD1/PDL1免疫チェックポイント軸の阻害剤、例えば、PD-1の活性若しくはPD-L1の活性、及び又はCTLA-4、若しくは腫瘍関連抗原を標的とする操作されたキメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T cells、CART)に結合かつ/又は阻害する抗体(又はペプチド)などの免疫調節剤と組み合わせて治療用途を有し得る。
【0199】
本発明による化合物、又は当該化合物を含む医薬組成物は、放射線療法若しくは化学療法剤(抗がん剤を含むがこれに限定されない)、又は当該対象のがんの治療のために、若しくは当該対象のがんの治療に関連する副作用の治療若しくは予防のためにがんを有する対象に投与される任意の他の医薬品と組み合わせられる場合もある。
【0200】
本発明による化合物、又は当該化合物を含む医薬組成物は、ワクチンなどの免疫応答を刺激又は増強する他の薬剤と組み合わせられる場合もある。
【0201】
一実施形態では、本発明は、がん(がんは、本明細書に記載のものから選択される)を治療及び/又は予防するための方法に関し、本方法は、それを必要とする対象(好ましくはヒト)に、治療有効量の共療法又は併用療法を投与することを含み、共療法又は併用療法は、本発明の式(I)の化合物と、(a)免疫調節剤(PD1/PDL1免疫チェックポイント軸の阻害剤、例えば、PD-1に結合する及び/若しくはその活性を阻害する、又はPD-L1及び若しくはCTLA-4に結合する及び/若しくはそれらの活性を阻害する抗体(又はペプチド)など)、(b)腫瘍関連抗原を標的とする操作されたキメラ抗原受容体T細胞(CART)、(c)放射線療法、(d)化学療法、並びに(e)ワクチンなどの免疫応答を刺激又は増強する薬剤、からなる群から選択される1つ又は2つ以上の抗がん剤と、を含む。
【0202】
本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0203】
本発明は、MCL-1活性の阻害に使用するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0204】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「抗がん剤」という用語は、「抗腫瘍細胞成長剤」及び「抗新生物剤」を包含するものとする。
【0205】
本発明は、上記の疾患(好ましくはがん)の治療及び/又は予防に使用するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0206】
本発明は、上記の疾患(好ましくはがん)を治療及び/又は予防するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0207】
本発明は、本明細書に記載されるように、疾患、好ましくはがんを治療及び/又は予防するための、特に治療するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0208】
本発明は、本明細書に記載されるように、疾患、好ましくはがん(例えば、多発性骨髄腫)の治療及び/又は予防、特に治療に使用するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0209】
本発明は、MCL-1媒介性疾患又は状態、好ましくはがん、より好ましくは本明細書に記載されるがん(例えば、多発性骨髄腫)を治療及び/又は予防するための、特に治療するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0210】
本発明は、MCL-1媒介性疾患又は状態、好ましくはがん、より好ましくは本明細書に記載されるがん(例えば、多発性骨髄腫)の治療及び/又は予防に使用するための、特に治療に使用するための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0211】
本発明は、医薬の製造のための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0212】
本発明は、MCL-1の阻害用の医薬の製造のための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0213】
本発明は、がん、好ましくは本明細書に記載されるがんの治療及び/又は予防用の、特に治療用の医薬の製造のための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。より具体的には、がんは、MCL-1の阻害に応答するがん(例えば、多発性骨髄腫)である。
【0214】
本発明は、上記の疾患状態のうちのいずれか1つの治療及び/又は予防用の、特に治療用の医薬の製造のための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0215】
本発明は、上記の疾患状態のうちのいずれか1つの治療及び/又は予防用の医薬の製造のための、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象とする。
【0216】
式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、上記の疾患のうちのいずれか1つを治療及び/又は予防するために、対象、好ましくはヒトに投与することができる。
【0217】
式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物の有用性を考慮すると、上記の疾患のうちのいずれかに罹患している対象、好ましくはヒトなどの哺乳動物を治療する方法、又は対象、ヒトにおける上記の疾患のうちのいずれかの進行を遅らせる方法、又は対象、好ましくはヒトなどの哺乳動物が上記の疾患のうちのいずれか1つに罹患しないように予防する方法が提供される。
【0218】
当該方法は、ヒトなどの対象への、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の投与、すなわち、全身又は局所投与、好ましくは経口又は静脈内投与、より好ましくは経口投与を含む。
【0219】
当業者であれば、治療有効量の本発明の化合物が治療活性を有するのに十分な量であり、この量がとりわけ、疾患の種類、治療用製剤中の化合物の濃度、及び患者の状態によって変化することを認識するであろう。一実施形態では、1日の治療有効量は、約0.005mg/kg~100mg/kgであり得る。
【0220】
治療効果を達成するために必要とされる、本明細書において活性成分とも呼ばれる本発明による化合物の量は、例えば、特定の化合物、投与経路、レシピエントの年齢及び状態、並びに治療される特定の障害又は疾患により、個々の場合に応じて異なり得る。本発明の方法はまた、1日あたり1~4回の摂取量のレジメンで活性成分を投与することを含み得る。本発明のこれらの方法では、本発明による化合物は、好ましくは投与前に製剤化される。
【0221】
本発明はまた、本明細書で言及される障害(好ましくは、本明細書に記載されるがん)を治療及び/又は予防するための組成物を提供する。当該組成物は、治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む。
【0222】
活性成分(例えば、本発明の化合物)を単独で投与することが可能であるが、それを医薬組成物として投与することが好ましい。したがって、本発明は更に、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に、本発明による化合物を含む医薬組成物を提供する。担体又は希釈剤は、組成物の他の成分と適合性があり、かつそのレシピエントに有害ではないという意味で「許容し得る」ものでなければならない。
【0223】
本発明の医薬組成物は、例えば、Gennaro et al.Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990、特に、Part8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照されたい)に記載されているものなどの方法を使用して、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0224】
本発明の化合物は、単独で、又は1つ若しくは2つ以上の追加の治療剤と組み合わせて使用され得る。併用療法は、本発明による化合物及び1つ又は2つ以上の追加の治療薬を含有する単一の薬剤投与製剤を投与すること、並びに本発明による化合物、及び各追加の治療剤をそれ自身の別個の薬剤投与製剤で投与することを含む。
【0225】
したがって、一実施形態では、本発明は、第1の活性成分として本発明による化合物と、更に、追加の活性成分として1つ又は2つ以上の抗がん剤とを、がんに罹患している患者の治療における同時、別個、又は順次使用のための組み合わせ調製物として含む製品を対象とする。
【0226】
1つ又は2つ以上の他の抗がん剤及び本発明による化合物は、同時に(例えば、別個の又は単一の組成物で)、又はいずれかの順序で順次投与され得る。一実施形態では、2つ又は3つ以上の化合物は、有利な又は相乗効果が達成されることを確実にするのに十分な期間内に及び/又は量で及び/又は様式で投与される。組み合わせの各成分に対する好ましい投与方法及び投与順序並びにそれぞれの投薬量及びレジームは、投与される特定の他の抗がん剤及び本発明の化合物、それらの投与経路、治療される特定の状態、特に腫瘍、並びに治療される特定の宿主に依存することが理解されるであろう。
【0227】
以下の実施例は、本発明を更に説明する。
【実施例
【0228】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を、以下の実施例に示す。特に明記しない限り、全ての出発材料を商業的供給業者から入手し、更に精製することなく使用したか、あるいは公開されている方法を使用して当業者が合成することができるものである。
【0229】
【表1】
【0230】
当業者によって理解されるように、示されるプロトコルを使用して合成された化合物は、残留溶媒又は少量の不純物を含有し得る。
【0231】
当業者であれば、以下の実験プロトコルに明示的に言及されていない場合であっても、典型的にはカラムクロマトグラフィ精製後に、所望の画分を収集し、溶媒を蒸発させたことを理解するであろう。
【0232】
立体化学が示されていない場合、これは、特に示されていないか、又は文脈から明らかでない限り、立体異性体の混合物であることを意味する。
【0233】
本発明の中間体及び化合物の構造に立体結合が示されている場合、立体記述子も付加されているかどうかに関係なく、立体化学が絶対的であり、決定されていることを意味する。
【0234】
中間体の調製
粗中間体としてか、又は部分的に精製された中間体として次の反応ステップで使用された中間体については、場合によっては、次の反応ステップにおけるかかる中間体についてはモル量が言及されていないか、あるいは次の反応ステップにおけるかかる中間体については推定モル量又は理論的モル量が以下に記載される反応プロトコルに示される。
【0235】
tert-ブチル(S)-2-ホルミルアゼチジン-1-カルボン酸塩(I-1)
【0236】
【化25】
【0237】
Dess-Martinペルヨージナン[87413-09-0](30g、1.3当量)を、DCM(250mL)中の(S)-1-Boc-2-アゼチジンメタノール[161511-85-9](10g、53.4mmol)の撹拌溶液に0℃で添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO溶液中のチオ硫酸ナトリウムの溶液の添加によってクエンチした。得られた混合物を15分間激しく撹拌した。得られた懸濁液をCelite(登録商標)のパッドで濾過した。フィルタパッドをジクロロメタンで洗浄した。合わせた濾液を分離し、水層をDCMで抽出した(2×)。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液で2回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。濾液の溶媒を蒸発させて、10.17gの中間体1(推定定量的収率)を油として得て、更に精製することなく使用した。
【0238】
tert-ブチル(S)-2-((1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)(ヒドロキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボン酸(I-2)
【0239】
【化26】
【0240】
tert-ブチルメチルエーテル(40mL)をI-1(9g、48.59mmol)に添加した。得られた懸濁液を室温で10分間撹拌し、次いで濾過した。固体をtert-ブチルメチルエーテルですすいだ。濾液を丸底フラスコに移し、次いで0℃に冷却した。1H-ベンゾトリアゾール(5.79g、1当量)を溶液に添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、中間体2(14.79g、推定定量的収率)を得、更に精製することなく使用した。
【0241】
2-(((2R,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-イル)チオ)ピリミジン(I-3)
【0242】
【化27】
【0243】
THF(100mL)中のDEAD(25.79mL、1.7当量)の溶液を、脱気したTHF(300mL)中のPBu(36.09mL、1.5当量)に窒素雰囲気下の0℃で滴下添加した。THF(200mL)中の(2S,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-オール[125225-80-1](11g、1当量)の溶液を、混合物に0℃で滴下添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した(溶液は淡橙色に変化した)。ピリミジン-2-チオール[131242-36-9](30.79g、2.85当量)を混合物に徐々に添加した。反応混合物を0℃にて1時間、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物を、濾過した。濾液に500mLのEtOAcを加えた。溶液を1 N KCO(300mL)で2回、次いでブライン(300mL)で2回洗浄した。水層を400mLのEtOAcで逆抽出した。次いで、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:石油エーテル/EtOAc 100/0→0/100)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で濃縮乾固して、中間体3(35.4g、68%収率)を得た。
【0244】
2-(((2R,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-イル)スルホニル)ピリミジン(I-4)
【0245】
【化28】
【0246】
NaWO[10213-10-2](1.075g、0.1当量)、フェニルホスホン酸[157171-33-1](0.515g、0.1当量)、及び硫酸テトラブチルアンモニウム(3.75mL、0.1当量)の混合物に、H(9.24g、2.5当量)を室温で一度に添加した。混合物を室温で5分間熟成させた後、トルエン(150mL)中のI-3(10g、1当量)の溶液を一度に添加した。得られた反応混合物を50℃に加熱し、激しく撹拌した。60時間後、反応物を室温まで冷却した。反応混合物を水(150mL)へ注いだ。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(300mL×3)。濾液を飽和Na水溶液で洗浄し(200mLx2)、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:石油エーテル/EtOAc 100/0→0/100)によって精製した。所望の画分を回収し、溶媒を減圧下で濃縮して、中間体4(5.6g、68%)を黄色の油として得た。
【0247】
ナトリウム(2R,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-スルホネート(I-5)
【0248】
【化29】
【0249】
MeOH(30mL)中のI-4(5.6g、1当量)の溶液を0℃に冷却し、NaOMe(4.794g、1当量)で処理した。混合物を室温に20分間温めた。溶媒を真空下で除去した。水(10mL)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した(10mL×3)。合わせた有機層を真空下で濃縮して、中間体5(6.3g、推定定量的収率)を黄色の固体として得た。生成物は、更に精製することなく次のステップで使用した。
【0250】
(2R,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-スルホンアミド(I-6)
【0251】
【化30】
【0252】
I-5(33.2g、1当量)をMeOH(200mL)に溶解し、NaOAc(18.48g、1.25当量)、続いてヒドロキシルアミンO-スルホン酸(25.48g、1.25当量)の水溶液(15mL)で処理した。反応物を一晩室温で撹拌した。混合物を固体のNaHCOで中和し、EtOAcで抽出した(400mL×3)。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:石油エーテル/EtOAc 100/0→0/100)によって精製した。所望の画分を回収し、溶媒を真空下で濃縮して、中間体6(18.1g、56%)を透明の油として得た。
【0253】
(2R,3S)-3-メチルヘキサ-5-エン-2-スルホンアミド(I-7)
【0254】
【化31】
【0255】
DMF(50mL)中のI-6(5g、28.2mmol)の溶液に、KCO(15.593g、4当量)、続いて、4-メトキシベンジルクロリド(11.474mL、3当量)をゆっくりと添加した。添加が完了したら、反応物を70℃に加熱し、室温で一晩撹拌した。反応物を、dicalite(登録商標)のパッドを通じて濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油を得た。油をEtOAc(150mL)に溶解させ、ブライン(2×100mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、淡橙色の油を得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘプタン:EtOAc-1:0~8:2)によって精製した。生成物を含有する画分を蒸発させた後、残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、可動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)により精製して、中間体7(5.98g、収率:48%)を白色の固体として得た。
【0256】
(2R,3S)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-3-メチル-5-オキソペンタン-2-スルホンアミド(I-8)
【0257】
【化32】
【0258】
I-7(1g、2.275mmol)をDCM(12.5mL)とMeOH(12.5mL)の混合物中に溶解し、得られた混合物を-78℃に冷却した。続いて、青色が持続して観察されるまで、反応混合物を通してオゾン(109.199mg、1当量)をバブリングした(5分)。次いで、溶液(-78℃で静止状態)を通して窒素をバブリングし、青色を除去し、続いてPPh(2.984g、5当量)を添加した。添加が完了したら、反応物を-78℃で1時間撹拌したままにした。次いで、反応混合物をゆっくりと室温に温め、1時間撹拌した。不均一混合物をdicalite(登録商標)のパッドを通じて濾過した。パッドをDCMで十分に洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して緑色の油を得、これをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘプタン:EtOAc 1:0~3:1)によって精製して、中間体8(920mg、収率87%)を無色の固体として得た。
【0259】
(2R,3S)-N,N-ビス[(4-メトキシフェニル)メチル]-3-メチル-ヘキサ-5-イン-2-スルホンアミド(I-37)
【0260】
【化33】
【0261】
ジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホネート(0.3mL、1当量)をI-8(800mg、1.9mmol)及びKCO(527mg、2当量)の懸濁液のMeOH(5mL)溶液に0℃で添加した。0℃で30分後、反応混合物を室温に到達させ、撹拌を4時間続けた。反応混合物を10mLのDCMで希釈し、濾過し、濾液を蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)によって精製し、中間体37(500mg、収率:63%)を得た。
【0262】
(2R,3S,E)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)-3-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサ-5-エン-2-スルホンアミド(I-38)
【0263】
【化34】
【0264】
ビス(ピナコラート)二ホウ素(187mg、1.5当量)、酸化銅(I)(19.4mg、0.27当量)、PPh(49mg、0.38当量)、二塩基性リン酸カリウム(171mg、2当量)及びMeOH(1.6mL)の混合物を管内で撹拌した。管を閉鎖し、窒素で10分間パージした。MeOH(1.6mL)に溶解したI-37(200mg、0.48mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。EtOAc(6mL)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をDIPE中で撹拌し、固体を濾別し、濾液を蒸発させると、中間体38(243mg、収率:93%)が得られ、更に精製することなく使用した。
【0265】
(6-クロロ-1-((4-ヨード-2-ニトロフェノキシ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)メタノール(I-18)
【0266】
【化35】
【0267】
この反応を2バッチで実行した。バッチ毎に、6-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,1-ジイル)ジメタノール(CAS[1883726-74-6]、300g、1.32mol)及び1-フルオロ-4-ヨード-2-ニトロベンゼン(353g、1.32mol)をアセトニトリル(1.4L)に溶解した。KCO(549g、3.97mol)を反応混合物に添加し、それを50℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。次いで、2つのバッチを合わせ、残留物を、カラムクロマトグラフィ(SiO、石油エーテル:ジクロロメタン=3/1から石油エーテル/EtOAc=1:1)によって精製した。中間体18を黄色の油(600g、収率48%)として得た。
【0268】
6-クロロ-1-((4-ヨード-2-ニトロフェノキシ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-カルバルデヒド(I-19)
【0269】
【化36】
【0270】
この反応を3バッチで実行した。バッチ毎に、DMSO(99.0g、1.27mol)を、-78℃でDCM(2.4L)中の(COCl)(161g、1.27mol)の溶液に添加した。反応混合物を-78℃で15分間攪拌した。次いで、DCM(0.90L)中のI-18(200g、422mmol)を-78℃で添加し、-78℃で30分間撹拌を続けた。EtN(214g、2.11mol)を、-78℃で添加し、反応混合物を室温に加温した。攪拌を室温で1.5時間続けた。飽和NaHCO水溶液(1L)を添加し、混合物をDCMで抽出した(0.5L×2)。次いで、3つのバッチを合わせ、蒸発させて、中間体19(560g)を黄色の固体として得、更に精製することなく使用した。
【0271】
(S)-6’-クロロ-7-ヨード-3’,4,4’,5-テトラヒドロ-2H,2’H-スピロ[ベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3,1’-ナフタレン](I-20)(及びそのエナンチオマー)
【0272】
【化37】
【0273】
この反応を3バッチで実行した。鉄(153g、2.75mol)を、70℃でAcOH(2.5L)中のI-19(185g、392mmol)の溶液に添加し、反応混合物を、70℃で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、DCE(1.9L)を残留物に添加した。次いで、NaBH(OAc)(333g、1.57mol)を、0℃で少量ずつ添加した。撹拌を室温で1時間続けた。3つのバッチを合わせた。クエン酸(10%、水中、5.L)を添加し、混合物をDCMで抽出した(2L×2)。合わせた有機層を蒸発させた。残留物をSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250×50mm、10um);移動相:[EtOH中0.1%NHO];B%:50%-50%、8.5分)によって精製して、中間体20(95.2g、収率:40%)及びそのエナンチオマー(105.1g、収率:44%)を両方とも黄色の固体として得た。
【0274】
Tert-ブチル(S)-2-(((S)-6’-クロロ-7-ヨード-3’,4’-ジヒドロ-2H,2’H-スピロ[ベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3,1’-ナフタレン]-5(4H)-イル)メチル)アゼチジン-1-カルボン酸(I-21)
【0275】
【化38】
【0276】
I-20(7.58g、17.8mmol)及びI-2(16.25g、53.4mmol)の混合物をDCM(75mL)に溶解し、AcOH(25mL)を加えた。混合物を室温で30分撹拌し、次いで、0°Cに冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(11.3g、53.4mmol)を少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、300mLの水中のNaOH(21.3g、53.4mmol)の冷却した(0℃)溶液に少量ずつ注いだ。添加後、混合物をDCM及び水で希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液の溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物をDCMに溶解し、シリカ上のフラッシュクロマトグラフィ(溶離液:ジクロロメタン)により精製した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を蒸発させて、中間体21(9.8g、収率92%)を得た。
【0277】
(S)-5-(((S)-アゼチジン-2-イル)メチル)-6’-クロロ-7-ヨード-3’,4,4’,5-テトラヒドロ-2H,2’H-スピロ[ベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3,1’-ナフタレン](I-22)
【0278】
【化39】
【0279】
I-21(9.8g、16.5mmol)及びDCM(125mL)の混合物を室温にて撹拌した。TFA(125mL)を滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで温度を30℃未満に維持しながら蒸発乾固させた。残留物をDCMに溶解し、NaHCO水溶液に注いだ。層を分離し、有機層をDCMで抽出した。合わせた有機画分を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させた。残留物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製した(溶離液:DCM-MeOH/NH勾配100%/0%~95%/5%)。純粋な画分を集め、蒸発させた。残留油状物を沈殿が生じるまでCHCN中で撹拌した。沈殿物を濾別し、乾燥させて、中間体22(5.1g、収率63%)を得た。
【0280】
tert-ブチル(2S)-2-[[(3S)-6’-クロロ-7-ヨード-スピロ[2,4-ジヒドロ-1,5-ベンゾオキサゼピン-3,1’-テトラリン]-5-イル]メチル]ピロリジン-1-カルボン酸(I-39)
【0281】
【化40】
【0282】
I-20(13.197g、31mmol)及びN-Boc-L-プロリナール(18.53g、3当量)を、CHCl(150mL)に溶解し、次いで、AcOH(35.5mL、20当量)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、0℃に冷却した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(19.711g、3当量)を少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を、620mLの水中のNaOH(31g)の冷却した(0℃)溶液に少量ずつ注いだ。添加後、混合物をCHCl及び水で希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液の溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用フラッシュクロマトグラフィ(溶離液:CHCl)で精製した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。この残留物を、HPLC(勾配酢酸エチル/ヘキサン)によって再度精製して、中間体39(12.2g、64%)を得た。
【0283】
(S)-6’-クロロ-7-ヨード-5-(((S)-ピロリジン-2-イル)メチル)-3’,4,4’,5-テトラヒドロ-2H,2’H-スピロ[ベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3,1’-ナフタレン](I-40)
【0284】
【化41】
【0285】
無水DCM(230mL)中のI-39(14g、22.991mmol)の撹拌溶液に、TFA(23mL、1.49g/mL、300.551mmol)を添加した。得られた混合物を室温で20時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液及びDCMで注意深くクエンチした。有機層を抽出し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製物を、更に精製することなく、次のステップで使用した。
【0286】
(I-41)
【0287】
【化42】
【0288】
I-38(684mg、1.26mmol)、I-40(640.33mg、1.26mmol)及びグリオキシル酸一水和物(231.68mg、2.52mmol)のMeOH(40.27mL)溶液を、65℃で16時間撹拌した。反応混合物から溶媒を減圧下で蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 95/5を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体41(1025mg、収率83%)を得た。
【0289】
(I-42)
【0290】
【化43】
【0291】
1-プロパンホスホン酸無水物(454μL、0.38mmol)を、DCM(3.75mL)中のI-41(125mg、0.127mmol)、ビス(2-メトキシエチル)アミン(50.84mg、0.382mmol)及びTEA(125.5μL、0.905mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させた。残留物を、勾配DCM/MeOH 96/4を溶離液として使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、中間体42(110mg、収率78%)を油として得た。
【0292】
(I-43)
【0293】
【化44】
【0294】
DCM(3mL)中のI-42(110mg、0.1mmol)の溶液に、TFA(0.77mL、10mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を25℃に加温し、この温度で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO(1.68g、20mmol)及び水(100mL)の冷混合物に滴下添加した。層を分離し、水層をDCMで抽出した(30mL、×1)。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。溶離液として勾配DCM/MeOH 95/5を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。純粋画分を収集し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残留物をトルエン(×2)と共蒸発させて、中間体43(90mg、推定定量的収率)を油状物として得た。
【0295】
(I-44)
【0296】
【化45】
【0297】
1-プロパンホスホン酸無水物(757.36μL、0.64mmol)を、DCM(7.53mL)中のI-41(250mg、0.25mmol)、メチル[2-(オキサン-4-イル)エチル]アミン(CAS[1083216-46-9])(91.12mg、0.64mmol)及びTEA(251.01μL、1.81mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 96/4を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体44(230mg、収率82%)を得た。
【0298】
(I-45)
【0299】
【化46】
【0300】
DCM(3.25mL)中のI-44(230mg、0.21mmol)の溶液に、TFA(2.92mL、38.1mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を25℃に加温し、この温度で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO(4268mg、50.8mmol)及び水(100mL)の冷混合物に滴下添加した。層を分離し、水層をDCMで抽出した(30mL、×1)。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。溶離液として勾配DCM/MeOH 95/5を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。純粋画分を収集し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残留物をトルエン(×2)と共蒸発させて、中間体45(195mg、推定定量的収率)を得た。
【0301】
(I-46)
【0302】
【化47】
【0303】
1-プロパンホスホン酸無水物(454.4μL、0.382mmol)を、DCM(3.75mL)中のI-41(125mg、0.127mmol)、TEA(125μL、0.91mmol)及びN-メチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタンアミン(49mg、0.38mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。溶離液としてDCM/MeOH 96/4を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体46(140mg、推定定量的収率)を得た。
【0304】
(I-47)
【0305】
【化48】
【0306】
DCM(3mL)中のI-46(140mg、0.128mmol)の溶液に、TFA(0.98mL、12.8mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO(2.15g、25.6mmol)及び水(100mL)の冷混合物に滴下添加した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した(×1、30mL)。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 95/5を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。純粋な画分を回収し、蒸発させた。残留物をトルエン(×2)と共蒸発させて、中間体47(90mg、82%収率)を油状物として得た。
【0307】
(I-48)
【0308】
【化49】
【0309】
1-プロパンホスホン酸無水物(757.36μL、0.64mmol)を、DCM(7.53mL)中のI-41(250mg、0.25mmol)、TEA(251.01μL、1.81mmol)及びジメチルアミン(0.58mL、1.15mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。溶離液としてDCM/MeOH 97/3を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体48(272mg、推定定量的収率)を得た。
【0310】
(I-49)
【0311】
【化50】
【0312】
DCM(3.25mL)中のI-48(256.41mg、0.25mmol)の溶液に、TFA(2.92mL、38.1mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を25℃で15時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO(4268mg、50.8mmol)及び水(100mL)の冷混合物に滴下添加した。有機層を分離し、水層をDCM(30mL、×1)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 96/4を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。純粋な画分を回収し、蒸発させた。残留物をトルエン(×2)と共蒸発させて、中間体49(180mg、92%収率)を得た。
【0313】
(I-50)
【0314】
【化51】
【0315】
1-プロパンホスホン酸無水物(757.36μL、0.64mmol)を、DCM(7.53mL)中のI-41(250mg、0.25mmol)、TEA(251.01μL、1.81mmol)及びN-メチル-2-モルホリノエタンアミン(91.75mg、0.64mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。溶離液としてDCM/MeOH 96/4を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体50(304mg、推定定量的収率)を得た。
【0316】
(I-51)
【0317】
【化52】
【0318】
DCM(3.25mL)中のI-50(281.59mg、0.25mmol)の溶液に、TFA(2.92mL、38.1mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO(4268mg、50.8mmol)及び水(100mL)の冷混合物に滴下添加した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した(×1、30mL)。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 95/5を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。純粋な画分を回収し、蒸発させた。残留物をトルエン(×2)と共蒸発させて、中間体51(220mg、推定定量的収率)を得た。
【0319】
(I-52)
【0320】
【化53】
【0321】
1-プロパンホスホン酸無水物(514.57μL、0.43mmol)を、DCM(6.17mL)中のI-41(205mg、0.21mmol)、TEA(205.83μL、1.48mmol)及びモルホリン(82.33mg、0.95mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。溶離液としてDCM/MeOH 98/2を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体52(145mg、収率66%)を得た。
【0322】
(I-53)
【0323】
【化54】
【0324】
DCM(1.77mL)中のI-52(145mg、0.14mmol)の溶液に、TFA(1.58mL、20.68mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を10℃で16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO水溶液(20mL)に注いだ。有機層を分離し、水性層をDCMで抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。溶離液として勾配DCM/MeOH 98/2を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、中間体53(100mg、収率89%)を得た。
【0325】
(I-54)
【0326】
【化55】
【0327】
I-38(200mg、0.37mmol)、I-22(182.07mg、0.37mmol)、グリオキシル酸(54.49mg、0.74mmol)及び3Å分子篩のTHF(4.49mL)溶液を50℃で5時間撹拌した。この段階で、MeOH(5mL)を加え、反応混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、MeOH)によって別のバッチと共に精製し、中間体54(100mg、収率22%)を得た。
【0328】
(I-55)
【0329】
【化56】
【0330】
1-プロパンホスホン酸無水物(254.64μL、0.21mmol)を、DCM(3.06mL)中のI-54(100mg、0.1mmol)、TEA(101.86μL、0.73mmol)及びモルホリン(40.74mg、0.47mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に注いだ。水層をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて、中間体55を得た(120mg、推定定量的収率)。
【0331】
(I-56)
【0332】
【化57】
【0333】
DCM(1.28mL)中のI-55(103.75mg、0.1mmol)の溶液に、TFA(1.15mL、15mmol)を0℃で滴下添加した。添加後、反応混合物を10℃で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)及び飽和NaHCO水溶液(20mL)の混合物中に冷たいまま注いだ。有機層を分離し、水層をDCM(30mL、×1)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)によって精製し、生成物をトルエン(×2)と共蒸発させて、化合物56(45mg、収率56%)を得た。
【0334】
化合物の調製
化合物1
【0335】
【化58】
【0336】
I-43(90mg、0.105mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II)(11.5mg、0.0157mmol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(48mg、0.315mmol)及び乾燥THF(43mL)を、耐圧容器中、室温で撹拌した。容器に50バールのCOガスを充てんし、100℃にて16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させた。得られた残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)によって精製した。得られた生成物を分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel IH 20×250mm、移動相:CO、EtOH+0.4iPrNH)によって精製して、化合物1(26mg、収率30%)を白色の固体(イソプロピルアミン塩)として得た。
【0337】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.02(d,J=6.4Hz,3H)1.22(d,J=6.5Hz,3H)1.38(d,J=7.1Hz,4H)1.51-1.77(m,3H)1.80-1.99(m,3H)2.02-2.24(m,4H)2.82(br dd,J=32.5,5.1Hz,5H)3.30-3.38(m,5H)3.41(s,4H)3.50-3.63(m,5H)3.65(s,1H)3.97(br d,J=12.4Hz,3H)4.03-4.19(m,4H)4.61(d,J=8.0Hz,1H)5.78(br s,1H)5.83(br d,J=8.0Hz,1H)6.89(d,J=8.0Hz,1H)7.02(s,1H)7.08(d,J=2.1Hz,1H)7.14(d,J=1.0Hz,1H)7.17-7.22(m,1H)7.71(d,J=8.5Hz,1H);Rt=2.15分、MS(ESI)m/z757[M+H]、LCMS方法:1
【0338】
化合物2
【0339】
【化59】
【0340】
I-45(195mg、0.225mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II)(16.45mg、0.0225mmol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(102.68mg、1.019g/mL、0.674mmol)及び乾燥THF(35mL)を、耐圧容器中、室温で撹拌した。容器に50バールのCOガスを充てんし、100℃にて16時間撹拌した。反応混合物から溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、30×150mm、移動相:0.5%のNHOAc水溶液+10%のCHCN,CHCN)によって精製した。純粋画分を収集し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残留物を水に溶解し、NaHCOで塩基性化し、DCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物2(55mg、収率32%)を得た。
【0341】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.02(d,J=6.7Hz,3H)1.24-1.40(m,3H)1.43(d,J=7.2Hz,3H)1.47-1.83(m,9H)1.86-2.17(m,6H)2.71-2.82(m,3H)2.88(br d,J=4.5Hz,1H)2.93(s,1H)3.01-3.12(m,1H)3.20-3.41(m,7H)3.44-3.64(m,1H)3.88-4.05(m,5H)4.12-4.39(m,3H)5.60-5.74(m,1H)5.77-5.94(m,1H)6.86-6.97(m,2H)6.99-7.07(m,1H)7.09(d,J=2.3Hz,1H)7.20(dd,J=8.5,2.3Hz,1H)7.65-7.73(m,1H);Rt=2.16分、MS(ESI)m/z767[M+H]、LCMS方法:1
【0342】
化合物3
【0343】
【化60】
【0344】
I-47(90mg、0.105mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(11.6mg、0.0158mmol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(48mg、0.316mmol)及び乾燥THF(43mL)を、耐圧容器中、室温で撹拌した。容器に50バールのCOガスを充てんし、100℃にて16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50x150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)によって精製した。得られた生成物を分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel IH 20×250mm、移動相:CO、EtOH+0.4iPrNH)によって精製して、化合物3(23mg、収率27%)を白色の固体(イソプロピルアミン塩)として得た。
【0345】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.02(d,J=6.6Hz,3H)1.22-1.46(m,7H)1.46-1.75(m,6H)1.76-1.86(m,1H)1.88-2.00(m,3H)2.01-2.15(m,4H)2.69-2.82(m,3H)2.82-2.99(m,2H)3.02-3.12(m,1H)3.19(br d,J=7.0Hz,1H)3.27-3.49(m,7H)3.93-4.07(m,5H)4.14-4.25(m,2H)4.30(d,J=8.6Hz,1H)5.69(br dd,J=6.9,4.8Hz,1H)5.79-5.91(m,1H)6.92(s,2H)7.00-7.12(m,2H)7.20(dd,J=8.5,2.0Hz,1H)7.66-7.72(m,1H);Rt=2.15分、MS(ESI)m/z753[M+H]、LCMS方法:1
【0346】
化合物4
【0347】
【化61】
【0348】
I-49(180mg、0.234mmol)をCOware容器中で無水THF(30mL)に溶解した。窒素で脱気した後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン[6674-22-2](180μL、1.019g/mL、1.205mmol)を加え、続いて[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[72287-26-4](1.8mg、0.00246mmol)を加えた。混合物を排気し、CO(×3)で充てんし、次いで、およそ30バールのCO圧下で6時間、80℃で加熱した。室温に冷却した後、混合物をpHがおよそ5~6に達するまで1MのHCl溶液で注意深く酸性化した。水(10mL)及びEtOAc(10mL)を添加した。有機層を分離し、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。次いで、SiliaMetS DMT(およそ5当量)を加え、懸濁液を室温で16時間撹拌した後、セライトで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-5μm、50×250mm、移動相:0.5%のNHOAc水溶液+10%のCHCN、CHCN)によって精製し、化合物4(77mg、収率49%)を、オフホワイトの固体として得た。
【0349】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.01(d,J=6.4Hz,3H)1.42(br d,J=7.0Hz,4H)1.49-1.66(m,2H)1.71(dt,J=11.1,5.7Hz,1H)1.76-1.84(m,1H)1.92(br s,2H)1.99-2.13(m,4H)2.69-2.85(m,3H)2.90(br dd,J=15.0,10.3Hz,1H)2.97(s,3H)3.03-3.12(m,1H)3.22-3.39(m,5H)3.91-4.07(m,3H)4.18(d,J=12.3Hz,1H)4.20-4.27(m,1H)4.37(d,J=8.4Hz,1H)5.59-5.76(m,1H)5.85(dd,J=15.6,8.4Hz,1H)6.94(s,1H)6.92-6.96(m,1H)7.02-7.13(m,2H)7.20(dd,J=8.5,2.3Hz,1H)7.69(d,J=8.6Hz,1H);Rt=2.03分、MS(ESI)m/z669[M+H]、LCMS方法:1
【0350】
化合物5
【0351】
【化62】
【0352】
I-51(220mg、0.253mmol)をCOware容器中で無水THF(30mL)に溶解した。窒素で脱気した後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン[6674-22-2](200μL、1.019g/mL、1.339mmol)を加え、続いて[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[72287-26-4](2mg、0.00273mmol)を加えた。混合物を排気し、CO(×3)で充てんし、次いで、およそ30バールのCO圧下で6時間、100℃で加熱した。室温に冷却した後、混合物をpHがおよそ5~6に達するまで1MのHCl溶液で注意深く酸性化した。水(10mL)及びEtOAc(10mL)を添加した。有機層を抽出し、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。次いで、SiliaMet DMT(およそ5当量)を加え、懸濁液を室温で16時間撹拌した後、セライトで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、粗生成物を黄色固体として得た。粗生成物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-5μm、50×250mm、移動相:0.5%のNHOAc水溶液+10%のCHCN、CHCN)によって精製し、生成物(98mg、収率50%)を得た。生成物を、溶離液としてDCM/MeOH(100:0~95:5)を使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィによって更に精製し、化合物5(76mg、収率39%)を、白色固体として得た。
【0353】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.03(d,J=6.6Hz,3H)1.43(d,J=7.3Hz,4H)1.52-1.75(m,3H)1.76-1.98(m,3H)1.98-2.18(m,4H)2.46-2.63(m,5H)2.65-2.94(m,5H)2.98(s,2H)3.24-3.38(m,4H)3.41-3.77(m,6H)3.82-4.06(m,3H)4.15-4.28(m,2H)4.35(br d,J=8.1Hz,1H)5.62-5.77(m,1H)5.78-5.95(m,1H)6.88-7.01(m,2H)7.10(s,2H)7.20(dd,J=8.6,2.2Hz,1H)7.70(d,J=8.6Hz,1H).(NMRで可視の回転異性体の2/1混合物);Rt=2.01分、MS(ESI)m/z768[M+H]、LCMS方法:1
【0354】
化合物6及び化合物7
【0355】
【化63】
【0356】
I-53(100mg、0.12mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(18.04mg、0.025mmol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(95.34mg、0.63mmol)及び乾燥THF(25.87mL)を、耐圧容器中、室温で撹拌した。容器に50バールのCOガスを充てんし、100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、MeOH)によって精製し、不純化合物6及び不純化合物7を得た。化合物6を分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel OJ 20×250mm、移動相:CO、EtOH+0.4iPrNH)によって精製して、イソプロピルアミン塩(3mg、収率3%)として純粋な化合物6を得た。化合物7を分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel OJ 20×250mm、移動相:CO、EtOH+0.4iPrNH)によって精製して、イソプロピルアミン塩(40mg、収率42%)として純粋な化合物7を得た。
【0357】
化合物6
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm0.75-1.01(m,2H)1.13(br d,J=6.5Hz,3H)1.26(br s,3H)1.37(br d,J=7.3Hz,5H)1.54-1.65(m,2H)1.67-1.87(m,4H)1.88-2.04(m,4H)2.13(br s,1H)2.53(br s,1H)2.75-2.90(m,3H)2.95(br s,1H)2.99-3.16(m,1H)3.31(br d,J=14.3Hz,2H)3.35-3.46(m,2H)3.47-3.65(m,4H)3.65-3.86(m,4H)3.88-4.10(m,3H)4.17(br d,J=11.8Hz,1H)5.55(br s,1H)5.90(br s,1H)6.93(br d,J=8.2Hz,1H)7.05-7.12(m,1H)7.13-7.24(m,2H)7.69(br d,J=8.6Hz,2H);Rt=2.04分、MS(ESI)m/z711[M+H]、LCMS方法:1
【0358】
化合物7
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm1.03(d,J=6.6Hz,3H)1.21(d,J=6.4Hz,3H)1.38(d,J=7.0Hz,4H)1.53-1.76(m,3H)1.77-1.96(m,3H)2.00(br s,1H)2.09-2.29(m,3H)2.78(br d,J=4.8Hz,2H)2.88(br d,J=10.1Hz,2H)2.95(br s,1H)3.33(br d,J=14.1Hz,1H)3.38-3.47(m,1H)3.54(br d,J=10.1Hz,1H)3.72(br dd,J=7.6,5.8Hz,6H)3.83(br d,J=12.1Hz,1H)3.90-4.04(m,4H)4.17(d,J=12.3Hz,1H)4.28(d,J=8.1Hz,1H)5.80(br s,1H)5.86(br d,J=7.9Hz,1H)6.90(d,J=8.1Hz,1H)7.04-7.09(m,2H)7.12(d,J=1.3Hz,1H)7.19(dd,J=8.5,2.3Hz,1H)7.70(d,J=8.4Hz,1H);Rt=2.02分、MS(ESI)m/z711[M+H]、LCMS方法:1
【0359】
化合物8及び化合物9
【0360】
【化64】
【0361】
I-56(45mg、0.056mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(8.26mg、0.011mmol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(44.12mg、0.29mmol)及び乾燥THF(11.81mL)を、耐圧容器中、室温で撹拌した。容器に50barのCOガスを充てんし、100℃にて16時間撹拌した。反応混合物から溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)によって精製し、化合物8(23mg、収率58%)及び不純な化合物9を得た。化合物9を分取HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NHHCO水溶液、CHCN)、続いて、分取SFC(固定相:Chiralcel Diacel OJ 20×250mm、移動相:CO、EtOH+0.4iPrNH)によって更に精製して、イソプロピルアミン塩(3.3mg、収率8%)として純粋な化合物9を得た。
【0362】
化合物8
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm 1.03(d,J=6.4Hz,3H)1.34-1.51(m,4H)1.75-1.88(m,1H)1.90-2.23(m,8H)2.70-2.83(m,2H)3.10-3.31(m,3H)3.44-3.61(m,3H)3.62-3.80(m,8H)3.85(br d,J=15.2Hz,1H)4.03-4.17(m,3H)4.21(br d,J=7.2Hz,1H)5.75(td,J=7.7,3.7Hz,1H)5.98(dd,J=15.5,8.8Hz,1H)6.92-6.96(m,1H)6.99(br d,J=6.7Hz,2H)7.09(d,J=2.2Hz,1H)7.17(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)7.68(d,J=8.5Hz,1H);Rt=1.92分、MS(ESI)m/z697[M+H]、LCMS方法:2
【0363】
化合物9
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm 0.88(br s,1H)1.10(br d,J=6.5Hz,3H)1.20-1.33(m,6H)1.35-1.52(m,2H)1.76-1.89(m,2H)1.92-2.11(m,5H)2.19(br s,1H)2.77(br s,3H)3.03(br dd,J=15.0,8.9Hz,1H)3.11-3.26(m,3H)3.37-3.52(m,2H)3.54-3.80(m,8H)3.86(br d,J=15.0Hz,1H)3.99(br d,J=7.5Hz,1H)4.06(s,1H)4.21-4.24(m,1H)5.70(br d,J=15.9Hz,1H)6.08-6.29(m,1H)6.89(br d,J=8.3Hz,1H)7.08(d,J=1.8Hz,1H)7.17(dd,J=8.4,1.7Hz,1H)7.27-7.32(m,1H)7.47(br s,1H)7.70(d,J=8.5Hz,1H);Rt=2.01分、MS(ESI)m/z697[M+H]、LCMS方法:1
【0364】
分析方法
LCMS
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)測定は、それぞれの方法で指定されたLCポンプ、ダイオードアレイ(diode-array、DAD)又はUV検出器及びカラムを使用して実行した。必要に応じて、追加の検出器が含まれた(以下の方法の表を参照)。
【0365】
カラムからの流れは、大気圧イオン源で構成された質量分析計(Mass Spectrometer、MS)にもたらされた。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)の同定を可能にするイオンを得るために、調整パラメータ(例えば、走査範囲、滞留時間等)を設定することは、当業者の知識の範囲内である。適切なソフトウェアでデータ収集を実行した。
【0366】
化合物は、それらの実験的保持時間(R)及びイオンによって記載される。データの表において別様に指定されない場合、報告された分子イオンは、[M+H](プロトン化分子)及び/又は[M-H](脱プロトン化分子)に相当する。化合物が直接イオン化不可能であった場合、付加物の種類は、特定される(すなわち、[M+NH、[M+HCOO]等)。複数の同位体パターン(Br、Cl)を有する分子について、報告された値は、最も低い同位体質量に関して得られたものである。全ての結果は、使用される方法と一般的に関連する実験的不確定性を伴って得られた。
【0367】
以下、「SQD」はシングル四重極検出器を意味し、「MSD」は質量選別検出器を意味し、「RT」は室温を意味し、「BEH」は架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッドを意味し、「DAD」はダイオードアレイ検出器を意味し、「HSS」は高強度シリカを意味する。
【0368】
LCMS法コード(mL/分で表される流量;℃で表されるカラム温度(T);分で表されるランタイム)
【0369】
【表2】
【0370】
LCMS結果(RTは、保持時間を意味する)
【0371】
【表3】
【0372】
NMR
H NMRスペクトルを、Bruker Avance III及びAvance NEO分光計で記録した。特に言及されない限り、CDClを溶媒として使用した。化学シフトをテトラメチルシランに対してppmで表す。
【0373】
薬理学的分析
生物学的実施例1
Mcl-1の結合パートナーとしてBIM BH3ペプチド(HN-(C/Cy5Mal)WIAQELRRIGDEFN-OH)を利用した、テルビウム標識された骨髄細胞白血病1(Mcl-1)の均質時間分解蛍光(HTRF)結合アッセイ。
【0374】
アポトーシス又はプログラム細胞死は、正常な組織恒常性を確実にし、その調節不全は、がんを含むいくつかのヒト病態につながる可能性がある。外因性アポトーシス経路は、細胞表面受容体の活性化を通じて開始されるが、内因性アポトーシス経路は、ミトコンドリア外膜で起こり、アポトーシス促進性と、Mcl-1を含む抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質との間の結合相互作用によって支配される。多くのがんでは、Mcl-1などの抗アポトーシスBcl-2タンパク質が上方制御され、このようにして、がん細胞がアポトーシスを回避することが可能になる。したがって、Mcl-1などのBcl-2タンパク質の阻害は、がん細胞におけるアポトーシスをもたらし、当該がんの治療のための方法を提供し得る。
【0375】
このアッセイは、HTRFアッセイ形式でCy5標識されたBIM BH3ペプチド(HN-(C/Cy5Mal)WIAQELRRIGDEFN-OH)の変位を測定することによって、BH3ドメイン:Mcl-1相互作用の阻害を評価した。
【0376】
アッセイの手順
以下のアッセイ及びストック緩衝液を、アッセイで使用するために、(a)ストック緩衝液:濾過、滅菌、及び4℃で保存された10mMのTris-HCl、pH=7.5+150mMのNaCl、及び(b)1Xアッセイ緩衝液を調製し、以下の成分:2mMのジチオトレイトール(DTT)、0.0025%Tween-20、0.1mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を新鮮なストック緩衝液に添加した。1X Tb-Mcl-1+Cy5 Bimペプチド溶液は、1Xアッセイ緩衝液(b)を使用してタンパク質ストック溶液を、25pMのTb-Mcl-1及び8nMのCy5Bimペプチドに希釈することによって調製した。
【0377】
音響ECHOを使用して、100nLの100×試験化合物を、1xの最終化合物濃度及び1%の最終DMSO濃度のために、白色384ウェルPerkin Elmer Proxiplateの個々のウェルに分配した。阻害剤対照及び中立対照(NC、100nLの100%DMSO)を、それぞれ、アッセイプレートのカラム23及び24にスタンプした。次いで、プレートの各ウェルに、10μLの1X Tb-Mcl-1+Cy5 Bimペプチド溶液を分配した。プレートを、カバープレートを使用して1000rpmで1分間遠心分離し、プレートを覆った状態で室温にて60分間インキュベートした。
【0378】
TR-FRETシグナルを、HTRF光学モジュール(HTRF:励起:337nm、光源:レーザー、発光A:665nm、発光B:620nm、積分スタート:60μs、積分時間:400μs)を使用して、室温でBMG PHERAStar FSXマイクロプレートリーダーで読み取った。
【0379】
データ解析
BMG PHERAStar FSXマイクロプレートリーダーを使用して、2つの発光波長665nm及び620nmで蛍光強度を測定し、両方の発光の相対蛍光単位(relative fluorescence units、RFU)、並びに発光の比率(665nm/620nm)10,000を報告した。RFU値を以下のように阻害パーセントに対して正規化した。
阻害%=(((NC-IC)-(化合物-IC))/(NC-IC))×100
式中、IC(阻害剤対照、低シグナル)=1X Tb-MCl-1+Cy5 Bimペプチド+阻害剤対照の平均シグナル、又はMcl-1の100%阻害、NC(中立対照、高シグナル)=DMSOのみを有する平均シグナル1X Tb-MCl-1+Cy5 Bimペプチド、又は0%阻害
【0380】
11点の用量反応曲線を生成して、以下の式に基づいてIC50値(GenDataを使用して)を決定した。
Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((logIC50-X)×ヒル勾配))
式中、Y=X阻害剤濃度の存在下での阻害%、Top=ICに由来する100%阻害(Mcl-1+阻害剤対照の平均シグナル)、Bottom=NCに由来する0%阻害(Mcl-1+DMSOの平均シグナル)、ヒル勾配=ヒル係数、及びIC50=Top/中立対照(NC)に対する50%阻害を有する化合物の濃度。
=IC50/(1+[L]/K
このアッセイでは、[L]=8nM及びK=10nM
【0381】
上述の手順に従って、本発明の代表的な化合物を試験し、結果を下の表に列挙した(n.dとは決定されていないという意味である)。
【0382】
【表4】
【0383】
生物学的実施例2
MCL-1は、アポトーシスの調節因子であり、細胞死を回避する腫瘍細胞において高度に過剰発現される。アッセイは、アポトーシス経路の調節因子、主にMCL-1、Bfl-1、Bcl-2、及びBcl-2ファミリーの他のタンパク質を標的とする小分子化合物の細胞効力を評価する。抗アポトーシス調節因子とBH3ドメインタンパク質との相互作用を邪魔するタンパク質-タンパク質阻害剤は、アポトーシスを開始する。
【0384】
Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイは、精製された酵素調製物又は付着細胞若しくは浮遊細胞の培養におけるカスパーゼ-3及び-7活性を測定する発光アッセイである。アッセイは、テトラペプチド配列DEVDを含有するプロ発光カスパーゼ-3/7基質を提供する。この基質を切断して、光の生成に使用されるルシフェラーゼの基質であるアミノシフェリンを放出する。単一のCaspase-Glo(登録商標)3/7試薬を「添加-混合-測定」形式で添加すると、細胞溶解、続いて基質のカスパーゼ切断、及び「グロータイプ」発光シグナルの生成がもたらされる。
【0385】
このアッセイは、MCL-1阻害に敏感である、MOLP-8ヒト多発性骨髄腫細胞株を使用する。
【0386】
材料:
●Perkin Elmer Envision
●多滴384及び小さな体積分注カセット
●遠心分離機
●Countess自動細胞計数器
●Countess血球計算盤スライド
●アッセイプレート:ProxiPlate-384 Plus、白色384浅底ウェルマイクロプレート
●ガムテープ:Topseal A plus
●T175培養フラスコ
【0387】
【表5】
【0388】
細胞培養培地:
【0389】
【表6】
【0390】
細胞培養:
細胞培養物は、0.2~2.0×10細胞/mLに維持した。細胞を50mLのコニカルチューブに収集することによって採取した。次いで、細胞を500gで5分間ペレット化した後、上清を除去し、新鮮な予熱した培養培地で再懸濁した。細胞をカウントし、必要に応じて希釈した。
【0391】
Caspase-Glo反応剤試薬:
アッセイ試薬は、緩衝液を基質バイアルに移し、混合することによって調製した。溶液は、4℃で最大1週間保管され得るが、ごくわずかなシグナルの損失があった。
【0392】
アッセイの手順:
化合物をアッセイ対応プレート(Proxiplate)に送り、-20℃で保管した。
【0393】
アッセイは常に、参照化合物を含有する1つの参照化合物プレートを含む。プレートを40nLの化合物でスポットした(細胞中の最終0.5%DMSO、連続希釈、30μM最高濃度1/3希釈、10回の用量、重複)。化合物を室温で使用し、4μLの予熱した培地をカラム2及び23を除いて全てのウェルに添加した。陰性対照を、1%DMSOを培地に添加することによって調製した。陽性対照を、適切な陽性対照化合物を培地に60μMの最終濃度で添加することによって調製した。プレートは、4μLの陰性対照をカラム23に、4μLの陽性対照をカラム2に、4μLの細胞懸濁液をプレート内の全てのウェルに添加することによって調製した。次いで、細胞を有するプレートを37℃で2分間インキュベートした。アッセイシグナル試薬は、上記のCaspase-Glo溶液であり、8μLを全てのウェルに添加した。次いで、プレートを密封し、30分後に測定した。
【0394】
試験化合物の活性を、以下のようにアポトーシス誘導の変化率として計算した。
【0395】
【表7】
効果%(AC50)=100-((サンプル-LC)/(HC-LC))100
対照%=(サンプル/HC)100
対照%最小=((サンプル-LC)/(HC-LC))×100
【0396】
表:式(I)の代表的な化合物について測定されたAC50。平均値を、特定の化合物の全てのバッチに対する全ての実行にわたって報告する。
【0397】
【表8】
【国際調査報告】