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特表2024-544596ベーキング後に基板を冷却するチャンバおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ベーキング後に基板を冷却するチャンバおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241126BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241126BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01L21/30 568
H01L21/302 105A
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530532
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022045938
(87)【国際公開番号】W WO2023096705
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/264,548
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ブッフバーガー ジュニア ダグラス エー
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ツォ アラン エル
(72)【発明者】
【氏名】アタニ シェカール
(72)【発明者】
【氏名】リアン キウェイ
(72)【発明者】
【氏名】イェー エリー ワイ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F004
5F146
【Fターム(参考)】
2H197HA03
2H197JA13
5F004BA04
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA04
5F146KA04
5F146KA10
(57)【要約】
露光後ベーク冷却動作を実行するための方法および装置が本明細書に記載される。本方法は、シャワーヘッドを有するプロセスチャンバにおいて、加熱された基板支持体上に配置された基板を露光後ベーキングすることによって開始する。加熱された基板支持体を移動させて、加熱された基板支持体とシャワーヘッドの冷却プレートとの間の距離を増加させる。基板は、基板昇降装置を使用して、加熱された基板支持体から分離される。基板を冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させる。基板は、基板が摂氏約70度未満になるまで冷却される。基板は、基板昇降装置を使用して冷却されたシャワーヘッドから離間され、ロボットによる除去のために基板を処理チャンバの基板移送通路と位置合わせする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバにおいて露光後ベーキングするための方法であって、
シャワーヘッドを有するプロセスチャンバにおいて、加熱された基板支持体上に配置された基板を露光後ベーキングするステップと、
前記加熱された基板支持体を移動させて、前記加熱された基板支持体と前記シャワーヘッドの冷却プレートとの間の距離を増加させるステップと、
基板昇降装置を使用して、前記加熱された基板支持体から前記基板を分離するステップと、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させるステップと、
前記基板が摂氏約70度未満になるまで前記基板を冷却するステップと、
前記基板昇降装置を使用して、前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドから離間させ、ロボットによる除去のために、前記基板を前記処理チャンバの基板移送通路と位置合わせするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させるステップが、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの2mm以内に移動させるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板を冷却するステップが、
前記処理チャンバ内で前記基板を冷却しながら、前記冷却されたシャワーヘッドを通してガスを流すステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスが前記基板の前記露光後ベーキング中に使用されるガスとは異なる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
露光後ベーキングするステップが、
前記冷却されたシャワーヘッドの第1のプラズマ形成領域に第1のガスを流すステップと、
前記第1のプラズマ形成領域内で前記第1のガスから第1のイオン密度を有する第1のプラズマを形成するステップと、
前記第1のプラズマをイオン遮断プレートを通して流して、前記第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を形成するステップと、
前記基板のベーキング中に、前記加熱された基板支持体の上方のプロセス領域に前記第2のイオン密度を流すステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板がインシトゥ冷却のために、前記ベーキング動作よりも前記冷却されたシャワーヘッドに近い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却されたシャワーヘッドが、
前記基板に直接露出した底面を有する冷却されたイオン遮断プレートであって、冷却流体および/または熱電装置によって温度制御される、冷却されたイオン遮断プレート
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
命令を含む非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、複数のデバイスを同時に支持することができるデバイスドライバを有するコンピュータシステムの処理ユニットによって実行されると、前記処理ユニットに、
シャワーヘッドを有するプロセスチャンバにおいて、加熱された基板支持体上に配置された基板を露光後ベーキングするステップと、
前記加熱された基板支持体を移動させて、前記加熱された基板支持体と前記シャワーヘッドの冷却プレートとの間の距離を増加させるステップと、
基板昇降装置を使用して、前記加熱された基板支持体から前記基板を分離するステップと、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させるステップと、
前記基板が摂氏約70度未満になるまで前記基板を冷却するステップと、
前記基板昇降装置を使用して、前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドから離間させ、ロボットによる除去のために、前記基板を前記処理チャンバの基板移送通路と位置合わせするステップと
を実行することによって、処理チャンバにおいて露光後ベーキング後の基板のインシトゥ冷却を実行させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させるステップが、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの2mm以内に移動させるステップ
を含む、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記冷却されたシャワーヘッドを通して前記処理チャンバ内の前記基板上にガスを流すステップ
をさらに含む、請求項9に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記ガスがヘリウムである、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
ベーキング動作をさらに含み、前記ベーキング動作が、
前記冷却されたシャワーヘッドの第1のプラズマ形成領域に第1のガスを流すことと、
前記第1のプラズマ形成領域内で前記第1のガスから第1のイオン密度を有する第1のプラズマを形成することと、
前記第1のプラズマをイオン遮断プレートを通して流して、前記第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を形成することと、
前記基板のベーキング中に、前記加熱された基板支持体の上方のプロセス領域に前記第2のイオン密度を流すことと
を含む、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記基板が前記インシトゥ冷却のために、前記ベーキング動作よりも前記冷却されたシャワーヘッドに近い、請求項12に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記冷却されたシャワーヘッドが、
前記基板に直接露出した底面を有する冷却されたイオン遮断プレートであって、冷却流体および/またはペルチェデバイスによって温度制御される、冷却されたイオン遮断プレート
を備える、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
プロセッサと、
命令が記憶されたメモリであって、前記命令が前記プロセッサによって実行されると、処理チャンバにおいて露光後ベーキング後に基板をインシトゥ冷却するための動作を実行する、メモリとを備え、前記動作が、
シャワーヘッドを有するプロセスチャンバにおいて、加熱された基板支持体上に配置された基板を露光後ベーキングすることと、
前記加熱された基板支持体を移動させて、前記加熱された基板支持体と前記シャワーヘッドの冷却プレートとの間の距離を増加させることと、
基板昇降装置を使用して、前記加熱された基板支持体から前記基板を分離することと、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させることと、
前記基板が摂氏約70度未満になるまで前記基板を冷却することと、
前記基板昇降装置を使用して、前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドから離間させ、ロボットによる除去のために、前記基板を前記処理チャンバの基板移送通路と位置合わせすることと
を含む、システム。
【請求項16】
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させることが、
前記基板を前記冷却されたシャワーヘッドの2mm以内に移動させること
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記冷却されたシャワーヘッドを通して前記処理チャンバ内の前記基板上にガスを流すこと
をさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガスがヘリウムである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ベーキング動作をさらに含み、前記ベーキング動作が、
前記冷却されたシャワーヘッドの第1のプラズマ形成領域に第1のガスを流すことと、
前記第1のプラズマ形成領域内で前記第1のガスから第1のイオン密度を有する第1のプラズマを形成することと、
前記第1のプラズマをイオン遮断プレートを通して流して、前記第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を形成することと、
前記基板のベーキング中に、前記加熱された基板支持体の上方のプロセス領域に前記第2のイオン密度を流すことであって、前記基板が前記インシトゥ冷却のために、前記ベーキング動作よりも前記冷却されたシャワーヘッドに近い、前記第2のイオン密度を流すことと
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記冷却されたシャワーヘッドが、
前記基板に直接露出した底面を有する冷却されたイオン遮断プレートであって、冷却流体および/またはペルチェデバイスによって温度制御される、冷却されたイオン遮断プレート
を備える、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、基板を処理するための方法および装置に関する。より詳細には、本開示は、基板を放射線に曝露した後に冷却するための方法および装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一のチップ上に何百万もの部品(例えば、トランジスタ、キャパシタ、および抵抗器)を含み得る複雑なデバイスへと進化した。フォトリソグラフィは、チップ上に部品を形成するために使用され得るプロセスである。一般に、フォトリソグラフィのプロセスは、いくつかの段階を含む。最初に、基板上にフォトレジスト層が形成される。化学増幅型フォトレジストは、典型的には、レジスト樹脂と光酸発生剤とを含む。光酸発生剤は、その後の露光段階で電磁放射線に曝されると、現像プロセスにおいてフォトレジストの溶解度を変化させる。電磁放射線は、任意の適切な放射線源、例えば、レーザ、電子ビーム、イオンビーム、または他の適切な電磁放射線源によって生成され得る。電磁放射線はまた、任意の望ましい波長、例えば、193nmまたは他の適切な波長で選択される。
【0003】
露光段階では、フォトマスクまたはレチクルを使用して、基板の特定の領域を電磁放射線に選択的に曝露する。他の露光方法には、マスクレス露光方法などが含まれる。光への曝露により光酸発生剤が分解され、これにより酸が生成され、レジスト樹脂に酸の潜像が生じる。露光後、基板はペデスタル上に配置され、プロセスチャンバ内の露光後ベークプロセスで加熱される。露光後ベークプロセス中に、光酸発生剤によって生成された酸がレジスト樹脂と反応し、その後の現像プロセス中にレジストの溶解度を変化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポストベークプロセス中に、フォトレジスト層は、最高摂氏400度(℃)の温度に達することがある。レジスト樹脂の温度制御された反応は、約70℃以下の温度になるまでレジスト樹脂中で続く。露光後ベークの後、基板をプロセスチャンバから取り出し、別の場所で冷却してレジスト樹脂中の反応を停止させる。しかしながら、冷却のために基板を離れた場所に移動させると時間がかかり、樹脂が思った以上に長く反応する可能性がある。
【0005】
したがって、基板上にレジストをパターニングするための改善された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
露光後ベーク冷却動作を実行するための方法および装置が本明細書に記載される。本方法は、シャワーヘッドを有するプロセスチャンバにおいて、加熱された基板支持体上に配置された基板を露光後ベーキングすることによって開始する。加熱された基板支持体を移動させて、加熱された基板支持体とシャワーヘッドの冷却プレートとの間の距離を増加させる。基板は、基板昇降装置を使用して、加熱された基板支持体から分離される。基板を冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させる。基板は、基板が約70℃未満になるまで冷却される。基板は、基板昇降装置を使用して、冷却されたシャワーヘッドから離間され、ロボットによる除去のために基板を処理チャンバの基板移送通路と位置合わせする。
【0007】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって得ることができ、実施形態のいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の等しく有効な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、処理チャンバの概略断面図である。
図2図1の処理チャンバ内で基板を処理する方法の流れ図である。
図3A図2に示す方法の冷却動作中に使用するのに適したペデスタルおよび基板の位置を示す図である。
図3B図2に示す方法の冷却動作中に使用するのに適したペデスタルおよび基板の位置を示す図である。
図3C図2に示す方法の冷却動作中に使用するのに適したペデスタルおよび基板の位置を示す図である。
図3D図2に示す方法の冷却動作中に使用するのに適したペデスタルおよび基板の位置を示す図である。
図4図3A図3Dに示すペデスタルおよび基板の位置を利用した、図2に示す方法の冷却動作の一例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指定するために同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0010】
本開示は、一般に、半導体基板の露光後ベーク中に使用するための装置および方法を対象とする。本明細書に開示される方法および装置は、基板の冷却に必要な時間を短縮することによって、半導体処理用途のフォトリソグラフィプロセスにおける露光解像度の向上を支援する。本明細書に記載の装置により、基板上のレジスト層の電界誘導ベーク後に基板をインシトゥで急冷することができる。本方法および装置により、基板を最高摂氏約400度(℃)の温度から約70℃以下の温度まで急速に(典型的には30秒未満で)冷却することができる。
【0011】
本明細書に記載される「基板」または「基板表面」とは、一般に、処理が実行される任意の基板表面を指す。処理は、堆積、エッチング、パターニング、および半導体処理中に利用される他の方法を含む。処理され得る基板または基板表面は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、有機ケイ酸塩、および炭素ドープされた酸化ケイ素または窒化物材料などの誘電体材料も含む。特定の実施形態において、基板または基板表面は、フォトレジスト材料、ハードマスク材料、または基板のパターニングに利用される他の膜もしくは層を含む。基板自体は、いかなる特定のサイズまたは形状にも限定されない。本明細書に記載の実施形態は、一般的に円形の200mmまたは300mmの基板を参照して作製されるが、本明細書に記載の実施形態によると、多角形、正方形、長方形、曲線、さもなければ非円形の基板などの他の形状を利用することができる。
【0012】
図1は、一実施形態による、プロセスチャンバ100の概略断面図を示す。プロセスチャンバ100は、フォトレジストまたは化学的に改質されたレジスト層が配置された基板150に対して、電界誘導露光後ベーク動作を実行するように構成されている。しかしながら、他の適切に構成されたプロセスチャンバが、本明細書に記載の実施形態から利益を得ることができることが企図される。
【0013】
プロセスチャンバ100は、下部チャンバ本体120に結合された上部チャンバ本体116を含む。上部チャンバ本体116と下部チャンバ本体120とは、互いに結合されて、プロセス容積170の少なくとも一部を画定する。基板支持体130は、プロセス容積170内に配置され、処理中に基板150を支持するために利用される。シャワーヘッドアセンブリ110は、基板支持体130の上方の上部チャンバ本体116の上に配置される。シャワーヘッドアセンブリ110は、他のガスが流れるプロセスが可能となるように構成された1つまたは複数の冷却プレートを含む。図1の例では、シャワーヘッドアセンブリ110は、複数の積層されたプレートを含み、そのうちの1つは、熱伝達流体を流す、および/または熱電装置を介するなどの温度制御技術を使用して冷却される。
【0014】
下部チャンバ本体120は、そこを貫通して配置された少なくとも1つの基板移送通路160を含む。移送通路160は、基板150をプロセス容積170の内外に移動させる移送ロボットがプロセス容積170にアクセスできるように構成されたスリットバルブドアを有してもよい。ポンピングライナが下部チャンバ本体120の半径方向内側に配置されてもよい。ポンピングライナは、ガスがポンプによって排気プレナムを介して除去されるように、排気プレナムとプロセス容積170とを接続する複数の開口部を含む。
【0015】
シャワーヘッドアセンブリ110は、基板支持体130の最も近くに配置された少なくとも1つの冷却プレートを含む。基板150は、ポストベークプロセス後の基板の調整、例えば冷却を支援するために、冷却プレートのすぐ隣に移動させることができる。
【0016】
図1に示す例では、シャワーヘッドアセンブリ110は、混合ブロック102、ガスボックス103、ガスディフューザー104、面板106、絶縁体108、および冷却されたイオン遮断プレート114を含む。混合ブロック102、ガスボックス103、ガスディフューザー104、面板106、およびイオン遮断プレート114のそれぞれには、それらを貫通して複数の孔が配置され、プロセスガスがプレートスタックを通して流れることができるようにしている。イオン遮断プレート114は、プロセス容積170に面する底面141を有する。図1に示す例では、イオン遮断プレート104は冷却され、基板支持体130のすぐ隣にあるが、他のシャワーヘッドでは、他のタイプの冷却プレートが基板支持体130の最も近くに配置されてもよい。
【0017】
混合ブロック102は、RF電極および/またはガスマニホルドとして機能することができる。プロセスガスは、ガス源136から混合ブロック102に供給される。混合ブロック102は、ガス流が均一になるようにソースガスの流れを方向転換する役割を果たすガスディフューザー104および面板106に電気的に結合されてもよい。本明細書のディフューザーまたはスクリーンのすべては、そのようなディフューザーまたはスクリーンがいずれも特定の電位に結合され得るため、電極として特徴付けられ得ることに留意されたい。絶縁体108は、混合ブロック102および面板106をイオン遮断プレート114から電気的に絶縁する。
【0018】
面板106、イオン遮断プレート114、および絶縁体108の表面は、ガス源136からのガスが存在し、混合ブロック102を介して面板106にエネルギーが供給されると、第1のプラズマが生成されるプラズマ生成領域111を画定する。面板106およびイオン遮断プレート114は、それらの間に形成されるプラズマのイオン密度を制御するために、異なる電圧電位に保持されてもよい。イオン遮断プレート114は、プラズマが通過する際にプラズマをフィルタリングして、イオンの濃度を低減する。
【0019】
プラズマに直接曝されるイオン遮断プレート114の部分は、セラミック(例えば、アルミナまたはイットリア)でコーティングされていてもよく、一方、プラズマに直接曝されない表面もセラミックでコーティングされていてもよく、有利には、反応性ガスおよび活性化核種に対する化学的耐性のために不動態化層で少なくともコーティングされる。
【0020】
イオン遮断プレート114は、本明細書に記載されるプレートスタックの底部プレートを構成する。イオン遮断プレート114は、プラズマがプロセス容積170からプレートスタックを逆流するのを防止するように構成されたシャワーヘッドである。イオン遮断プレート114はまた、イオン遮断プレート114を通過してプロセス容積170に入るプラズマ内のイオンの数を減少させるように構成される。イオン遮断プレート114の底面141は、プロセス容積170内に配置された基板支持体130の上面132に面している。
【0021】
イオン遮断プレート114は、イオンフィルタリングを行う選択性調節装置(SMD)としての役割を果たす。プラズマが処理容積170に入るのを遮断しながら、制御された量のラジカルがイオン遮断プレート114を通過する。イオン遮断プレート114は冷却されている。イオン遮断プレート114は、冷却剤源190に接続された一体型チャネル192を有する。一体型チャネル192は、イオン遮断プレート114を螺旋状に貫通してもよい。冷却剤源190は、イオンが除去された水、グリコール、不活性で高性能のフッ素化熱伝達流体、または冷却剤として適した他の流体を提供することができる。交互にまたは追加的に、イオン遮断プレート114は、ペルチェ冷却素子などの熱電冷却デバイスを有してもよい。熱電冷却デバイスは、電気的に駆動され、イオン遮断プレート114に冷却(または加熱さえも)を提供することができる。
【0022】
イオン遮断プレート114(または基板支持体130に最も近いシャワーヘッドアセンブリ110の他の冷却プレート)の冷却は、イオン遮断プレート114を一定の温度に保つことによってイオン再結合効率を制御する。イオン遮断プレート114の上方のプラズマキャビティ内のプラズマは、イオン遮断プレート114の温度を上昇させる。この温度上昇により、再結合効率にばらつきが生じる。イオン遮断プレート114の温度制御により、実質的にこのばらつきがなくなる。
【0023】
低イオン密度プラズマに曝されている間、基板150は、基板支持アセンブリ126の基板支持体130部分に載置されている。基板支持体130は、基板の温度を制御するように構成された加熱ペデスタルである。基板支持アセンブリ126は、基板支持アセンブリ126を下部チャンバ本体120に接続するシャフト128およびベローズをさらに含む。ベローズは、プロセス容積170と外部環境との間にシールを形成する。1つまたは複数の裏側ガス源を基板支持アセンブリ126に結合して、裏側ガスを基板支持体130の上面132に供給することができる。
【0024】
電源および運動装置も、基板支持アセンブリ126に結合されている。電源は、AC電源またはDC電源であってもよい。電源は、基板支持体130内の運動装置148および/または加熱デバイス129に電力を供給するように構成される。運動装置148は、基板支持アセンブリ126を上昇または下降させること、基板支持アセンブリを中心軸の周りで回転させること、または基板支持体130を傾斜させることなど、基板支持アセンブリ126の運動を可能にするように構成される。
【0025】
基板支持アセンブリ126は、基板昇降装置137をさらに有する。基板昇降装置137は、基板昇降装置137を上昇および下降させるための移動アセンブリ135に結合されている。基板昇降装置137は、移送ロボットから基板150を受け取るために上方位置まで上昇する。基板昇降装置137は、処理のために基板150を基板支持体130の上面132上に配置するために下降する。基板昇降装置137は、ロボットブレードから基板150を受け取り、基板を基板支持体130の上面132から基板支持体130の上方の上昇位置に移動させるためのリフトピン、フープ、エッジ支持リング、または任意の適切な装置であってもよい。一例では、基板昇降装置137は、複数のリフトピンである。リフトピンは、高い位置に移動して基板150を取り上げ、ピン上で基板150のバランスをとることができる。リフトピンは、処理中に基板150が加熱された基板支持体130と係合している間に、基板支持体130の上面132の下方へとリフトピン孔内に移動することができる。別の例では、基板昇降装置137は、ロボットブレード用の開口部を有するフープである。フープは、高い位置に移動して、基板150を取り上げ、基板150をその縁部に沿って保持することができる。フープは、処理中に基板150が加熱された基板支持体130と係合している間に、基板支持体130の上面132の溝内に移動することができる。
【0026】
上述の処理チャンバ100は、制御装置178などのプロセッサベースのシステム制御装置によって制御され得る。例えば、制御装置178は、ガス源136を介して様々な前駆体ガスの流れを制御し、処理チャンバ100内のプラズマ生成および流れを調整するように構成されてもよい。制御装置178はまた、プロセス容積170内に電界を生成するために、シャワーヘッドアセンブリ110および基板支持アセンブリ126の構成要素のうちの1つまたは複数への電圧の印加を変調および制御することによって、処理チャンバ100内の電界生成のすべての態様を制御するように構成されてもよい。制御装置178は、基板プロセスシーケンスの様々な段階を制御するようにさらに動作する。
【0027】
制御装置178は、基板処理の制御を容易にするために処理チャンバ100の様々な構成要素に結合された、電力供給装置、クロック、キャッシュ、入力/出力(I/O)回路などの、メモリ174および大容量ストレージ装置、入力制御ユニット、および表示ユニット(図示せず)と共に動作可能なプログラマブル中央処理ユニット(CPU)172を含む。制御装置178はまた、流れ、RF電力、電位などを監視するセンサを含む、処理チャンバ100内のセンサを通して基板処理を監視するためのハードウェアを含む。基板温度、チャンバ雰囲気圧力などのシステムパラメータを測定する他のセンサも、制御装置178に情報を提供することができる。
【0028】
処理チャンバ100ならびに関連付けられたプラズマおよび電界形成プロセスの制御を容易にするために、CPU172は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための、プログラム可能な論理制御装置(PLC)などの産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであってもよい。メモリ174は、CPU172に結合され、メモリ174は、非一過性であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、またはローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージなどの容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数であってもよい。支持回路176は、従来のやり方でプロセッサを支持するためにCPU172に結合される。プラズマおよび電界形成ならびに他のプロセスは、一般に、典型的にはソフトウェアルーチンとしてメモリ174に記憶されている。ソフトウェアルーチンはまた、CPU172によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行されてもよい。
【0029】
メモリ174は、CPU172によって実行されると処理チャンバ100の動作を容易にする命令を含むコンピュータ可読ストレージ媒体の形態である。メモリ174内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態である。プログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のうちのいずれか1つに準拠していてもよい。一例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読ストレージ媒体上に記憶されたプログラム製品として実装されてもよい。プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載の方法を含む)実施形態の機能を定義する。
【0030】
特定の実施形態では、プログラムは、機械学習能力を具現化する。様々なデータ特徴には、処理時間、温度、圧力、電圧、極性、電力、ガス核種、前駆体流量などのプロセスパラメータが含まれる。特徴間の関係を識別し、定義することで、機械学習アルゴリズムによる分析が可能になり、データを取り込み、処理チャンバ100によって実行されているプロセスを適合させることができる。機械学習アルゴリズムは、教師あり学習または教師なし学習技術を採用することができる。プログラムによって具現化される機械学習アルゴリズムの例としては、とりわけ、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、状態ベクトルマシン、ニューラルネットワーク、単純ベイズ、k最近傍法、K平均法、ランダムフォレスト、次元削減アルゴリズム、および勾配ブースティングアルゴリズムが挙げられるが、これらに限定されない。一例では、機械学習アルゴリズムを利用して、RF電力および前駆体ガス流を変調してプラズマを形成し、次いで、イオンよりも高い濃度のラジカルを含む低イオン密度プラズマの維持を促進する。荷電核種のこのような形成は、荷電核種雲の成分(例えば、ラジカルおよび/またはイオン)を識別し、チャンバプロセスまたは装置特性を変更して、イオン遮断プレート114と基板支持体130との間の電界結合媒体として望ましい特性を示す荷電核種雲を形成および維持することによって、改良および改善されてもよい。
【0031】
例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体には、(i)情報が恒久的に記憶される書き込み不能ストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能なストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク、またはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持する場合、本開示の実施形態である。
【0032】
図2は、一実施形態による、図1の処理チャンバ内で基板を処理する方法200の流れ図である。基板150は、ロボットブレード上で処理チャンバ100の処理容積170内に導入される。冷却されたイオン遮断プレート114(または基板支持体130に最も近いシャワーヘッドアセンブリ110の他の冷却プレート)は、基板150が処理チャンバ100に入ってきて、まだロボットブレード上に載置されているときに、基板150が過熱しないようにするのに役立つ。これは、フィールドオン遅延を低減または完全になくすための重要な利点であり、すなわち、基板150が基板支持体130と係合しているときに、基板150が所望の温度に達しているが、まだベーキング温度より低い場合に、ACまたはDCあるいはその両方のフィールドが印加される。方法200は、動作202中に、プラズマ生成領域111などの第1のプラズマ形成領域に第1のガスを流すステップを含む。第1のガスを第1のプラズマ形成領域に流した後、別の動作204中に、プラズマ生成領域111内に第1のプラズマが形成される。プラズマは、第1のイオン密度を有する。第1のイオン密度プラズマは、第1のプラズマ内のイオン密度が約105イオン/cm3~約1010イオン/cm3であるような高イオン密度プラズマである。
【0033】
動作206中、第1のプラズマ内のイオンは、イオン遮断プレート114によって還元されて、第2のプラズマを形成する。第2のプラズマは、任意で、別の動作中に第2のガスと混合されてもよい。動作208中、第2のガスは、第2のプラズマと混合される。第2のプラズマは、第1のプラズマの第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を有する。第2のプラズマは、低イオン密度プラズマとして記述され、約103イオン/cm3~約107イオン/cm3のイオン濃度を有する。動作210において、第2のプラズマがイオン遮断プレート114を通過すると、イオンが除去されて、第2のプラズマ内のイオンに対するラジカルの比率がより高くなる。第2のプラズマは、約120℃~約250℃の温度に加熱される。
【0034】
動作210において、第2のプラズマは、イオン遮断プレート114の開孔を通って、イオン遮断プレート114と基板支持体130/基板150との間のプロセス容積170内に流れる。イオン遮断プレート114と基板支持体130との間の電圧差は、約0V~約200V、例えば約10V~約150Vである。電圧源260は、DC電圧、または約0kHz~約7.5kHzのAC電圧などの約7.5kHz以下の周波数を有するAC電圧が印加され得るように、AC/DC波形制御をさらに含むことができる。一部の実施形態では、AC波形は、信号ピークが約0Vを中心としないように、DCオフセットを有してもよい。プロセス容積170内の圧力は、約0.5Torr~約10Torr、例えば約0.5Torr~約8Torr、例えば約1Torr~約5Torrである。
【0035】
第2のプラズマは、プロセス容積170内にある間は荷電核種雲であり、その結果、第2のプラズマ内のイオンの濃度は、イオン遮断プレート114を通過してプロセス容積170に入る間に低減される。荷電核種雲内のラジカルは、イオン遮断プレート114と基板支持体130との間に形成された電界によって制御される。電界は、イオンまたは電子密度が約104イオン/cm3~約106イオン/cm3となるように、第2のプラズマ内のイオン密度を制御するのを支援する。荷電核種雲内の荷電イオンは、それぞれ約1eV未満のイオン温度を有し、したがって、基板150上に配置されたフォトレジストへの影響が低減されるとともに、基板支持体130の上方にダークプラズマを形成する。ダークプラズマは、フォトレジストが露光後ベーク動作中に同時露光プロセスを受けないという点で有益である。第2のプラズマがプロセス容積170内に流されて荷電核種雲を形成するのと同時、またはその直後のいずれかに、上面132上の基板は、動作210中に約75℃~約400℃、例えば約100℃~約250℃の温度でベーキングされる。
【0036】
動作212でのベーキング後、基板150は、約70℃未満の温度まで急速に冷却され、ベーキングの継続がフォトレジストに悪影響を与えるのを遅らせるまたは軽減する。例えば、基板150は、約70℃未満の温度に冷却されてもよい。別の例では、基板150は、30秒以内に約70℃未満の温度まで冷却される。冷却をプロセスチャンバ内でインシトゥで実行することによって、基板150をロボットによってプロセスチャンバ100の外側の冷却位置に搬送する従来のプロセスと比較して、冷却をはるかに速く実行することができる。基板150の急速冷却は、プロセスチャンバ100内に残したまま、基板を加熱された基板支持体130から除去することによって促進される。基板150を急速に冷却するための方法および装置は、図3A図3Dおよび図4に関して以下に開示される。
【0037】
図3A図3Dは、図2に示す方法200の冷却動作212中に処理チャンバ内の基板を冷却するのに適した様々なペデスタルおよび基板の位置を示す。図4は、冷却動作212の一例の流れ図であり、この動作は、インシトゥ基板冷却が望ましい場合に、上述の方法200に加えて、他のプロセスと共に代替として使用することもできる。図4の冷却動作212は、図3A図3Dに示すペデスタルおよび基板の位置を参照して説明される。
【0038】
図3Aは、基板支持体130が下降位置(想像基準線330によって示される)にあり、基板昇降装置137がロード/アンロード位置(想像基準線320によって示される)にあることを示す。基板昇降装置137のロード/アンロード位置は、移送通路160と位置合わせされ、ロボット(図示せず)が基板を取り上げて、移送通路160を通して基板昇降装置137上に配置することができるようにする。基板150は、基板昇降装置137上にある間に、基板昇降装置137によって基板支持体130の上面132の上方に第1の距離362だけ持ち上げられる。
【0039】
図3Aはまた、基板150が、基板昇降装置137によって基板支持体130の上面132から第1の距離362だけ上方に持ち上げられたことを示す。基板150は、イオン遮断プレート114(または基板支持体130の最も近くに配置されたシャワーヘッドスタックの他の冷却プレート)の底面141(想像基準線310で示す)から第2の距離364だけ下方に配置される。
【0040】
図3Bは、基板支持体130が上昇位置、すなわち処理位置(想像基準線332によって示される)にあることを示し、基板昇降装置137は、基板150が基板支持体130の上面132上に載置されるような後退位置にある。基板150は、ベーキングのための位置において、イオン遮断プレート114に近接している。イオン遮断プレート114の底面141と基板支持体130の上面132との間の第3の距離366は、約2mm~約20mm、例えば約5mm~約15mm、例えば約10mm~約15mmである。
【0041】
図3Cは、基板支持体130が(想像基準線330によって示されるような)下降位置にあることを示しており、基板昇降装置137は、ポストベーク冷却位置、すなわち、イオン遮断プレート114の底面141に最も近い位置にある。基板150は、基板昇降装置137によって基板支持体130の上面132から第4の距離372だけ上方に持ち上げられている。基板150は、イオン遮断プレート114の底面141から第4の距離368にある。第4の距離368は、イオン遮断プレート114(または基板支持体130に最も近いシャワーヘッドアセンブリ110の他の冷却プレート)によって提供される冷却機構で基板を冷却するのに適している。一例では、イオン遮断プレート114からの基板150の第4の距離368は、約2mm以下、例えば約1mmである。
【0042】
図3Dは、基板150をロボットで移送通路160の外に移動させるために、基板支持体130が下降位置330に戻り、基板昇降装置137がロード/アンロード位置320にある状態を示す。
【0043】
図4の流れ図に示される冷却動作212は、方法200または基板をベーキングする他の方法の動作210の完了後に(または一般に、プロセスチャンバ100または他のチャンバ内で実行される別のプロセスの前、最中、または後に基板がインシトゥ冷却を必要とするときに)開始する。図3Aに示されるように、方法200の動作202の前に、基板支持体130は、基準線330によって示される下降位置にあり、基板昇降装置137は、基準線320によって示されるロード/アンロード位置にある。方法200の動作202~210の間、基板支持体130は、図3Bに示されるように、基板150が基板支持体130の上面132上に載置されるように基板昇降装置137が後退した状態で、基準線332によって示される処理位置にある。動作210の完了後、基板150は動作212において冷却される。
【0044】
動作212において、加熱された基板支持体130は、加熱された基板支持体と冷却されたイオン遮断プレート114(または基板支持体130に最も近いシャワーヘッドアセンブリ110の他の冷却プレート)との間の間隙を増加させるように移動する。加熱された基板支持体130、したがってその上に配置された基板150は、最高約400℃などの、70℃を超える温度である場合がある。基板150は、曝露中に生じる化学反応を支援するために、ベーキング動作210中に70℃を超える温度にある。
【0045】
動作420において、加熱された基板支持体130は、基板150から離間される。一例では、基板昇降装置137は、加熱された基板支持体130に対して伸長されて、基板150を加熱された基板支持体130から離間させる。基板を離間させると、一部の例では、基板150をシャワーヘッドスタックの冷却された最も下のプレート、この場合はイオン遮断プレート114に向かって移動させることができる。このようにして、基板支持体130から基板150への熱伝達が大幅に低減される。
【0046】
動作430において、基板150を冷却されたシャワーヘッドの近くに移動させ、冷却されたイオン遮断プレート114を通るガス流を任意で増加させる。一例では、基板150を冷却されたシャワーヘッドから約2mm未満の範囲内に移動させる。基板150は、ベーキング動作よりも冷却動作の方がイオン遮断プレート114に近い。一例では、基板は、ベーキング動作中よりも冷却動作中の方がイオン遮断プレート114に5倍近い。冷却されたイオン遮断プレート114の温度は、基板150を冷却するための冷却流体および/または熱電装置によって制御されてもよい。加えて、基板150の冷却を支援するために、シャワーヘッドアセンブリ110を通してガスまたは冷却されたガスさえも流すことができる。処理チャンバ100内の基板150をより速く冷却するために、ガスの圧力およびまたは流れが調整されてもよい。一例では、基板を冷却するために利用されるガスは、ベーキング中に提供されるガスまたは混合ガスとは異なる。一例では、基板を冷却するために利用されるガスは、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム、または不活性ガスであり、これらは、基板150の冷却を支援するために、冷却されたイオン遮断プレート114を通して圧力下で導入され得る。
【0047】
動作440において、基板150は、約50℃~約70℃などの、約70℃未満の温度に冷却される。基板150は、加熱された基板支持体130から離れるように持ち上げられている間に、冷却されたイオン遮断プレート114によって冷却され、これにより、基板150を動作210におけるベーキング温度から約70℃未満の温度まで冷却するのに必要な時間が短縮される。冷却プレートに対する離間と近接性とを組み合わせることにより、冷却ガスの存在と共に、従来の技術と比較して基板150の冷却が加速される。一実施形態では、基板は約20秒で約40℃まで冷却される。基板150は、温度センサによって、またはこの動作を完了するための方策によって監視されてもよい。
【0048】
動作450において、基板昇降装置137を使用して、基板150を、冷却されたシャワーヘッドから離れるように、移送ロボットによる除去のために処理チャンバ100の移送通路160と位置合わせされた図3Aに示すロード/アンロード位置320に移動させる。
【0049】
本明細書では、基板をベーキングするためにプロセス容積内で基板の上方に低イオン密度プラズマを形成し、ベーキングプロセスを停止するために基板をインシトゥで急速冷却するための装置および方法が記載されている。有利には、膜の完全性を確保にするために、ベーキングプロセスを迅速に停止することができる。さらに、本装置および方法により、基板移送時間に関する懸念や、プロセスチャンバの外側に冷却ペデスタルを配置する必要性がなくなる。
【0050】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のおよびさらなる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
【国際調査報告】