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特表2024-544710埋設型能動デバイスを有する半導体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】埋設型能動デバイスを有する半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241126BHJP
   H10B 80/00 20230101ALN20241126BHJP
【FI】
H01L25/08 D
H10B80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535343
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022051512
(87)【国際公開番号】W WO2023121843
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/560,691
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル エイチ. ロー
(72)【発明者】
【氏名】ラフール アガルワル
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ スワミナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブレット ピー. ウィルカーソン
(57)【要約】
半導体デバイスは、プロセッサダイとパッケージ基板との間に配置された1つ以上の能動デバイスを含む。半導体デバイスは、プロセッサダイを有する第1の層と、1つ以上の能動デバイスを有する第2の層と、パッケージ基板を有する第3の層と、を含み、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置されている。1つ以上の能動デバイスは、プロセッサダイへの電力供給に関与し、様々な接続構成を使用してプロセッサダイに電気的に接続される電圧レギュレータ等の半導体ベースのデバイスである。実施形態は、プロセッサダイ空間を占有することなくエッジ配線又はインターポーザの使用を回避する小型構造により、性能を改善するために短い経路長を使用する。実施形態は、1つ以上の電力構成要素によって使用される接続リソースの数を低減しながら、短い経路長を提供するためのシリコン貫通電極(Through-Silicon Via、TSV)の使用を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
プロセッサダイを含む第1の層と、
能動デバイスを含む第2の層と、
パッケージ基板を含む第3の層と、を備え、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置されている、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記能動デバイスは、電力構成要素を含む、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項3】
前記電力構成要素は、電圧レギュレータを含む、
請求項2の半導体デバイス。
【請求項4】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記上部表面に供給され、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項5】
前記半導体デバイスは、再配分層を備え、
前記1つ以上の第1の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面を前記再配分層に接続する1つ以上の第1の金属ピラーと、前記パッケージ基板を前記再配分層に接続する1つ以上の第2の金属ピラーと、を含み、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面を前記プロセッサダイに接続する1つ以上の金属ピラーを含む、
請求項4の半導体デバイス。
【請求項6】
前記能動デバイスは、電圧レギュレータを含み、
前記出力電圧は、前記入力電圧に基づいて前記電圧レギュレータによって生成される、調整された電圧である、
請求項4の半導体デバイス。
【請求項7】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記底部表面に供給され、
前記半導体デバイスは、前記能動デバイスの前記底部表面から前記能動デバイスの前記上部表面までの1つ以上のシリコン貫通電極を備え、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項8】
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間の金属ピラーを備える、
請求項7の半導体デバイス。
【請求項9】
前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間に再配分層を備える、
請求項8の半導体デバイス。
【請求項10】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記底部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記上部表面に供給され、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上の第1の電気的接続部は、前記パッケージ基板を前記能動デバイスの前記上部表面に接続する金属ピラーであり、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記パッケージ基板上の1つ以上の金属導体と、前記能動デバイスの前記上部表面と前記パッケージ基板上の前記1つ以上の金属導体との間の接続部と、前記パッケージ基板上の前記1つ以上の金属導体と前記プロセッサダイの前記底部表面との間の1つ以上の接続部と、を含む、
請求項10の半導体デバイス。
【請求項12】
前記能動デバイスは、電圧レギュレータを含み、
前記出力電圧は、前記入力電圧に基づいて前記電圧レギュレータによって生成される、調整された電圧である、
請求項11の半導体デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスが、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記底部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記上部表面に供給され、
前記半導体デバイスは、前記能動デバイスの前記上部表面から前記能動デバイスの前記底部表面までの1つ以上のシリコン貫通電極を備え、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記底部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項14】
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記底部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間の金属ピラーを備える、
請求項13の半導体デバイス。
【請求項15】
前記能動デバイスの前記底部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間に再配分層を備える、
請求項14の半導体デバイス。
【請求項16】
半導体デバイスの製造方法であって、
プロセッサダイを含む第1の層を形成する工程と、
能動デバイスを含む第2の層を形成する工程と、
パッケージ基板を含む第3の層を形成する工程と、を含み、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置されている、
半導体デバイスの製造方法。
【請求項17】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
前記製造方法は、
前記パッケージ基板と前記能動デバイスの前記上部表面との間に1つ以上の第1の電気的接続部を形成する工程と、
前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイとの間に1つ以上の第2の電気的接続部を形成する工程であって、前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、工程と、を含む、
請求項16の半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
前記製造方法は、
前記能動デバイスの前記底部表面から前記能動デバイスの前記上部表面までの1つ以上のシリコン貫通電極を形成する工程と、
前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイとの間に1つ以上の電気的接続部を形成する工程と、を含む、
請求項16の半導体デバイスの製造方法。
【請求項19】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記底部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
前記製造方法は、
前記パッケージ基板と前記能動デバイスの前記上部表面との間に1つ以上の金属ピラーを形成する工程と、
前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイとの間に1つ以上の第2の接続部を形成する工程と、を含む、
請求項16の半導体デバイスの製造方法。
【請求項20】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記底部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
前記製造方法は、
前記能動デバイスの前記上部表面から前記能動デバイスの前記底部表面までの1つ以上のシリコン貫通電極を形成する工程と、
前記能動デバイスの前記底部表面と前記プロセッサダイとの間に1つ以上の電気的接続部を形成する工程と、を含む、
請求項16の半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本セクションに記載されているアプローチは、遂行され得るアプローチであるが、必ずしも以前に着想又は遂行されたアプローチではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに記載されたアプローチの何れも、単に本セクションに含まれることによって、従来技術として適格であると仮定されるべきではない。更に、本セクションに記載されたアプローチの何れも、単に本セクションに含まれることによって、よく理解されている、日常的である、又は、従来的であると仮定されるべきではない。
【0002】
半導体デバイスの計算能力が増大するにつれて、電力送達はより困難になる。ハイエンドサーバ及びその他のデータ・センタ構成要素が数百ワットの電力を必要とすることは珍しいことではなく、電圧レギュレータ等の電力構成要素の配置をより重要にする。
【0003】
1つの解決策は、電力が必要とされる場所により近い半導体デバイスパッケージ内へと電力構成要素を組み込むことであるが、このアプローチでは、電力は、依然としてパッケージ基板を横断して電力消費ダイに送達されなければならず、これは、電力配分ネットワークにインピーダンスを加える。また、このアプローチは、パッケージ内の貴重なルート割当てリソースを消費する。
【0004】
別の解決策は、シリコンダイ上の電力構成要素を半導体デバイスと併置することであるが、これは、より高価である高度なプロセスノードシリコンを用いて実装されるシステムオンチップ(System-on-a-Chip、SoC)用途にとって高価であり得る。また、電力構成要素は、ダイ面積に関してその他の要素と競合し、面積、電力、性能及び/又はコストにおける望ましくないトレードオフにつながる。
【0005】
上記に鑑みて、その他の解決策の制限及びコストを回避する、半導体デバイスにより類似した電力構成要素を実装するためのアプローチが必要とされている。
【0006】
実施形態は、添付の図面において限定としてではなく例として示され、同様の符号は同様の素子を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】「フェースアップ(Face Up)」配向(orientation)の電力構成要素を有する半導体デバイスを示すブロック図である。
図1B】「フェースダウン(Face Down)」配向の電力構成要素を有する半導体デバイスを示すブロック図である。
図1C】「フェースダウン」配向の電力構成要素を有する、TSV(Through Silicon Via、シリコン貫通電極)を使用する半導体デバイス構造を示す図である。
図1D】「フェースアップ」配向の電力構成要素を有する、TSVを使用する半導体デバイス構造を示す図である。
図2】プロセッサダイとパッケージ基板との間に配置された1つ以上の電力構成要素を有する半導体デバイスを製造するためのアプローチを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、説明のために、実施形態の十分な理解を提供するための多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの特定の詳細なしに実施形態を実施し得ることが当業者には明らかであろう。その他の場合では、実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及びデバイスがブロック図で示されている。
I.概要
II.アーキテクチャ
A.概要
B.「フェースアップ」配向
C.「フェースダウン」配向
D.シリコン貫通電極(Through-Silicon Via、TSV)
【0009】
(I.概要)
半導体デバイスは、プロセッサダイとパッケージ基板との間に配置された1つ以上の能動デバイス(active devices)を含む。一実施形態によれば、半導体デバイスは、プロセッサダイを有する第1の層と、1つ以上の能動デバイスを有する第2の層と、パッケージ基板を有する第3の層と、を含み、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置されている。1つ以上の能動デバイスは、1つ以上の機能を実行する半導体ベースのデバイスである。一実施形態によれば、1つ以上の能動デバイスは、プロセッサダイへの電力の供給に関与し、様々な接続構成を使用してプロセッサダイに電気的に接続されている、1つ以上の電圧レギュレータ、電力管理回路、チャージポンプ、電力整流器、電力ダイオード、サイリスタ、スイッチモード電源等の電力構成要素を含む。
【0010】
本明細書で説明する実施形態は、プロセッサダイ空間を占有することなくエッジ配線又はインターポーザの使用を回避するコンパクトな構造を用いて、改善された性能のための短い経路長の技術的利点を提供する。実施形態は、1つ以上の電力構成要素によって使用される接続リソースの数を低減しながら、短い経路長を提供するためのシリコン貫通電極(TSV)の使用を含む。
【0011】
(II.アーキテクチャ)
(A.概要)
図1Aは、「フェースアップ」配向の電力構成要素の形態の能動デバイスを有する半導体デバイス100を示すブロック図である。図1Aの例では、半導体デバイス100は、チップモジュール110と、パッケージ基板170と、を含む。チップモジュール110は、プロセッサダイ112と、メモリダイ114と、相互接続ダイ116と、電圧レギュレータ(Voltage Regulator、VR)118の形態の電力構成要素と、を含む。実施形態が図に示され、本明細書においてVRのコンテキストで説明されるが、実施形態は、この例に限定されず、任意のタイプの電力構成要素を含む任意のタイプの能動構成要素に適用可能である。図1Aに示される相対的なサイズは、必ずしも実際のサイズを表すものではなく、説明のために提示されている。また、単一のプロセッサダイ112、メモリダイ114、相互接続ダイ116及びVR118が、説明の目的で本明細書に示され、説明されるが、実施形態は、任意の数のプロセッサダイ、メモリダイ、相互接続ダイ及びVRを有するマルチチップ・モジュール(Multi-Chip Module、MCM)に適用可能である。
【0012】
プロセッサダイ112は、中央演算処理装置(Central Processing Unit、CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(Graphics Processing Unit、GPU)、アクセラレーテッド・プロセッシング・ユニット(Accelerated Processing Unit、APU)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)等等の任意のタイプのプロセッサ用のダイであり、メモリダイ114は、高帯域幅メモリ(High Bandwidth Memory、HBM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(Dynamic Random Access Memory、DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(Static Random Access Memory、SRAM)等の任意のタイプのメモリ用のダイである。プロセッサダイ112は、上部表面120a及び底部表面120bを有する。相互接続ダイ116は、例えば、プロセッサダイ112上に形成された演算素子(computing elements)とメモリダイ114上に形成されたメモリ要素との間で命令(コマンド)及びデータを搬送するために、プロセッサダイ112とメモリダイ114との間の電気的接続を提供する。相互接続ダイ116はオプションであり、代替的に、プロセッサダイ112とメモリダイ114との間の電気的接続を提供するためにインターポーザが使用される。
【0013】
接続部122は、再配分層124を介して、プロセッサダイ112及びメモリダイ114を相互接続ダイ116に電気的に接続し、接続部122は、例えば、金属ピラーによって実装される。再配分層124は、任意の数の金属ルート割当て層から構成されている。一実施形態によれば、再配分層124は、ポリマーから構成されており、再配分層ルート割当てを可能にしながら応力緩衝域及び/又は分離膜として機能する。接続部126a、126b、128a、128bの各々は、プロセッサダイ112及びメモリダイ114を、パッケージ基板170に電気的に接続する。接続部126a、128aは、金属ピラーから構成されており、接続部126b、128bは、例えば、C4バンプ又は同様の構造体を介して、パッケージ基板170への電気的接続性を提供する。
【0014】
VR118は、入力電圧を、1種以上の調整された出力電圧に変換することができる任意のタイプの電圧レギュレータである。VR118の例示的な実施形態は、限定するものではないが、IC線形電圧レギュレータ、ICスイッチングレギュレータ、DC/DCコンバータチップ等を含む。一実施形態によれば、VR118は、シリコンベースのデバイスである。VR118は、例えば、プロセッサダイ112上及び/又はメモリダイ114上の回路を含むチップモジュール110内の1つ以上の構成要素に、1種以上の調整された電圧を供給する。一実施形態によれば、VR118は、1種以上の調整された電圧を、複数のプロセッサダイ、複数のメモリダイ、1つ以上のプロセッサダイ及び1つ以上のメモリダイ等の複数の構成要素に供給する。
【0015】
一実施形態によれば、VR118は、個別に製造され、次に、米国特許第10,510,721号に記載されているプロセス等の配置プロセスを使用してチップモジュール110内に配置されるが、その内容は、本願において、参照により本明細書に組み込まれる。プロセッサダイ112、メモリダイ114、相互接続ダイ116及びVR118は、エポキシ材料、充填材等のモールド化合物130によって所定の位置に保持されている。
【0016】
実施形態は、VR118の異なる物理的サイズ、形状及び配置に適用可能である。図1Aの例では、VR118は、プロセッサダイ112とパッケージ基板170との間に位置決めされるが、より具体的には、完全にプロセッサダイ112の下にある、すなわち、VR118は、プロセッサダイ112の底部表面120bを超えて延在しない。実施形態は、部分的にのみプロセッサダイ112の下に、且つ、プロセッサダイ112を越えて、すなわち、プロセッサダイ112の左又は右に配置されたVR118を含む。VR118が、調整された電圧を複数のプロセッサダイに供給する実施形態では、VR118は、例えば、相互接続ダイ116がプロセッサダイ112及びメモリダイ114の下に位置決めされる方法と同様に、複数のプロセッサダイの下に部分的に位置決めされ、接続部は、接続部122と同様である。一実施形態によれば、VR118は、相互接続ダイ116の一部である。
【0017】
パッケージ基板170は、特定の実施形態に応じて変化する基板、上層及び下層等の任意の数の層を含む半導体デバイスパッケージ基板である。
【0018】
(B.「フェースアップ」配向)
VR118は、上部表面132a及び底部表面132bを有する。VR118の物理的な配向は、特定の実装に応じて変化する。図1Aの例では、VR118は、「フェースアップ」に配向されており、上部表面132a上に、例えば、トランジスタ及びその他の構成要素、金属トレース等の電気的接続部を用いて実装される、電圧調整を行うための回路を含む。「フェースアップ」実施形態では、VR118は、接続部134を介して、プロセッサダイ112及び再配分層124の両方に電気的に接続される、すなわち、接続部134の一部は、VR118をプロセッサダイ112に電気的に接続し、接続部134の別の部分は、VR118を再配分層124に、最終的には以下で説明するように、パッケージ基板170に電気的に接続する。一実施形態によれば、接続部134の第1の部分は、VR118をプロセッサダイ112に電気的に接続すること専用であり、接続部134の第2の部分は、VR118を再配分層124に電気的に接続すること専用である。接続部134は、接続部122と同様に、金属ピラー又はその他の類似の構造によって実装されている。
【0019】
接続部136a、136b及び138a、138bは、再配分層124を、パッケージ基板170に電気的に接続する。接続部136a、136b及び138a、138bは、接続部122と同様の金属ピラーによって実装されている。実施形態は、図1Aに示される接続部134、136a、136b、138a、138bの正確な数に限定されず、特定の実施形態の要件に応じて任意の数及びサイズの接続部を含む。
【0020】
「フェースアップ」実施形態によれば、入力電圧は、接続部136a、136b及び138a、138b、再配分層124、並びに、再配分層124をVR118に接続する接続部134の一部を介して、パッケージ基板170からVR118に供給される。VR118は、入力電圧をVR118に供給するために使用される接続部の部分ではなく、VR118をプロセッサダイ112に接続する接続部134の部分を介して、調整された出力電圧をプロセッサダイ112に供給する。一実施形態によれば、パッケージ基板170によって供給される入力電圧は、プロセッサダイ112に供給される調整された出力電圧よりも高い。
【0021】
(C.「フェースダウン」配向)
「フェースダウン」実施形態によれば、VR118は、電圧調整、電気的接続等を実行するための回路を有する上部表面132aが、パッケージ基板170に向かって下向きになるように配向されている。図1Bは、「フェースダウン」配向の電力構成要素を有する半導体デバイス100を示すブロック図である。本実施形態では、入力電圧及び調整された出力電圧の両方が、パッケージ基板170、及び、VR118とパッケージ基板170との間の接続を介してVR118に、及び、VR118から供給される。図1Bに示すように、接続部140a、140bは、VR118とパッケージ基板170との間の電気的接続を提供する。一実施形態によれば、接続部140a、140bは、C4バンプ又は類似の特徴によって実装されている。図1Bでは単一の接続部として示されているが、接続部140a、140bは、複数のC4バンプ又は類似の特徴等の任意の数の接続部を含んでもよい。
【0022】
図1Bに示される「フェースダウン」実施形態では、入力電圧は、接続部140bを介して、パッケージ基板170によってVR118へと供給される。VR118は、調整された出力電圧を生成し、接続部140aを介して供給するが、この電圧は、パッケージ基板170上の再配分層、金属トレース又は任意の他のタイプの金属導体、及び、接続部136a、136bを介してプロセッサダイ112に送達される。
【0023】
(D.シリコン貫通電極)
一実施形態によれば、シリコン貫通電極(TSV)は、金属接続の使用が低減された小型半導体デバイス構造体を提供するために使用される。図1Cは、「フェースダウン」配向の電力構成要素を有する、TSVを使用する半導体デバイス構造を示す。図1Cでは、他の要素をより良好に示すために、特定の要素の一部分のみが示されている。
【0024】
本例では、VR118は、金属トレース等の電気的接続部及び回路を有する上部表面132aがパッケージ基板170に向かって下向きになるように、「フェースダウン」に配向される。本実施形態では、入力電圧は、接続部140a、140bの一方又は両方を介して、パッケージ基板170によってVR118に供給される。VR118は、調整された電圧を生成し、1つ以上のTSV142を通して調整された電圧を底部表面132b上の接続部134に提供し、次に、再配分層124、金属トレース等を介してプロセッサダイ112に提供する。これは、接続部136a、136b、138a、138b(図1A)等の比較的少数の接続リソースを使用しながら、短い経路長の技術的利点を提供する。底部表面132bにおけるTSV142の端部は、接続部134と位置合わせされる必要はなく、一実施形態によれば、TSV142は、接続部140a、140bから部分的に又は全体的にオフセットされ、TSV142から接続部140a、140bへの電気的接続は、底部表面132b上の1つ以上の金属トレース又は同様の構造体によって提供される。
【0025】
一実施形態によれば、TSVは、「フェースアップ」配向の電力構成要素を有する半導体デバイス構造体と共に使用される。図1Dは、「フェースアップ」配向の電力構成要素を有する、TSVを使用する半導体デバイス構造を示す。本例では、VR118は、金属トレース等の電気的接続部及び回路を有する上部表面132aがプロセッサダイ112に向かって上向きになるように、「フェースアップ」に配向されている。本実施形態では、入力電圧は、接続部140a、140bの一方又は両方を介して、パッケージ基板170によってVR118に供給される。実施形態は、1つ又は2つの接続に限定されず、より多数の接続を含んでもよい。
【0026】
入力電圧は、TSV142によって上部表面132a上の回路に供給される。VR118は、調整された電圧を生成し、接続部134及び再配分層124、金属トレース等を介して、調整された電圧をプロセッサダイ112に供給する。これは、接続部136a、136b、138a、138b等の比較的少数の接続リソースを使用しながら、短い経路長の技術的利点を提供するが、本実施形態では、TSV142は、図1Cのような調整された電圧の代わりに、入力電圧を搬送する。接続部140a、140bは、TSV142と位置合わせされる必要はなく、一実施形態によれば、接続部140a、140bは、TSV142から部分的に又は全体的にオフセットされ、接続部140a、140bからTSV142への電気的接続は、1つ以上の金属トレース又は同様の構造体によって提供される。
【0027】
図2は、プロセッサダイとパッケージ基板との間に配置された1つ以上の電力構成要素を有する半導体デバイスを製造するためのアプローチを示すフロー図200である。工程202において、半導体デバイスに含まれる1つ以上の最上層構成要素及び電力構成要素が製造される。例えば、プロセッサダイ112、メモリダイ114及びVR118等の電圧レギュレータが製造される。工程204において、1つ以上の最上層構成要素がチップモジュールに組み立てられる。例えば、プロセッサダイ112及びメモリダイ114は、チップモジュール110に組み立てられる。
【0028】
工程206において、電力構成要素及びその他の構成要素がチップモジュールに追加される。例えば、相互接続ダイ116及びVR118は、HDCL(High-level Data Link Control、ハイレベルデータリンク制御手順(データリンク層プロトコル))技術を使用して、パッケージ基板170上のチップモジュール110に追加され、モールド化合物130によって適所に固定される。一実施形態によれば、これは、接続部126b、128b、136b及び138bを、チップモジュール110の底部に追加することを含む。
【0029】
工程208において、半導体デバイスの製造は、例えば、最上層構成要素(例えば、プロセッサダイ112及びメモリダイ114)を、工程206からの構成要素(例えば、VR118及び相互接続ダイ116)と組み立てることによって、垂直接続部(例えば、接続部122、134及び接続部126a、136a、138a、128a)をインターフェースに追加するか、あるいは、他の方法で接続することによって完了する。いくつかの実施形態では、図2の工程の全てが必要とされるわけではなく、いくつかの実施形態では、追加の工程が使用される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
プロセッサダイを含む第1の層と、
能動デバイスを含む第2の層と、
パッケージ基板を含む第3の層と、を備え、
前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配置されている、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記能動デバイスは、電力構成要素を含む、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項3】
前記電力構成要素は、電圧レギュレータを含む、
請求項2の半導体デバイス。
【請求項4】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記上部表面に供給され、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項5】
前記半導体デバイスは、再配分層を備え、
前記1つ以上の第1の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面を前記再配分層に接続する1つ以上の第1の金属ピラーと、前記パッケージ基板を前記再配分層に接続する1つ以上の第2の金属ピラーと、を含み、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面を前記プロセッサダイに接続する1つ以上の金属ピラーを含む、
請求項4の半導体デバイス。
【請求項6】
前記能動デバイスは、電圧レギュレータを含み、
前記出力電圧は、前記入力電圧に基づいて前記電圧レギュレータによって生成される、調整された電圧である、
請求項4の半導体デバイス。
【請求項7】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記上部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記底部表面に供給され、
前記半導体デバイスは、前記能動デバイスの前記底部表面から前記能動デバイスの前記上部表面までの1つ以上のシリコン貫通電極を備え、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項8】
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間の金属ピラーを備える、
請求項7の半導体デバイス。
【請求項9】
前記能動デバイスの前記上部表面と前記プロセッサダイの前記底部表面との間に再配分層を備える、
請求項8の半導体デバイス。
【請求項10】
前記プロセッサダイは、上部表面及び底部表面を有し、
前記能動デバイスは、上部表面及び底部表面を有し、前記能動デバイスの前記底部表面は、前記プロセッサダイの前記底部表面に隣接しており、
入力電圧は、1つ以上の第1の電気的接続部を介して、前記パッケージ基板から前記能動デバイスの前記上部表面に供給され、
出力電圧は、1つ以上の第2の電気的接続部を介して、前記能動デバイスの前記上部表面から前記プロセッサダイに供給され、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記1つ以上の第1の電気的接続部とは異なる、
請求項1の半導体デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上の第1の電気的接続部は、前記パッケージ基板を前記能動デバイスの前記上部表面に接続する金属ピラーであり、
前記1つ以上の第2の電気的接続部は、前記パッケージ基板上の1つ以上の金属導体と、前記能動デバイスの前記上部表面と前記パッケージ基板上の前記1つ以上の金属導体との間の接続部と、前記パッケージ基板上の前記1つ以上の金属導体と前記プロセッサダイの前記底部表面との間の1つ以上の接続部と、を含む、
請求項10の半導体デバイス。
【請求項12】
前記能動デバイスは、電圧レギュレータを含み、
前記出力電圧は、前記入力電圧に基づいて前記電圧レギュレータによって生成される、調整された電圧である、
請求項11の半導体デバイス。
【請求項13】
請求項1~12の何れかの半導体デバイスを形成することを含む、
半導体デバイスの製造方法。
【国際調査報告】