(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】周囲パターン及びプロセスを意識したメトロロジ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529763
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022082791
(87)【国際公開番号】W WO2023104504
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フアイチェン
(72)【発明者】
【氏名】マース,ルーベン,コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ベヌゴパラン,シャム,パライル
(72)【発明者】
【氏名】ビルスマ,ジャン,ヴァウター
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197HA03
2H197JA17
2H197JA22
2H197JA23
2H197JA28
(57)【要約】
リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマークを設計するための方法及びシステムが説明される。方法は、マーク構築物を取得することと、マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することと、マークの空間的変動及び空間的位置に基づいてマークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のためのコンピュータ実施方法であって、
マーク構築物を取得することと、
前記マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、前記空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、
前記マークの前記空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ジオメトリ設計は、前記マークの周囲パターンに基づいて更に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジオメトリ設計を決定することは、前記マークの前記個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブサグメント化のうちの少なくとも1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。前記ジオメトリ設計を決定することは、前記基板上にプリントされるターゲット設計内の前記マークの前記空間的位置を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ジオメトリ設計を決定することは、予測された測定性能に基づいて前記ジオメトリ設計を反復的に調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各反復は、
費用関数を算出することと、
前記費用関数が指定された条件を満たすかどうかを決定することと、
前記費用関数が前記指定された条件を満たさないという決定に基づいて、前記ジオメトリ設計を調節することと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記費用関数は、前記マークの前記光学測定性能を表す1つ以上の性能指標を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マーク構築物を取得することは、
前記リソグラフィプロセスを使用して前記基板上にプリントされる前記ターゲット設計レイアウトに対応する設計の3次元(3D)表現を生成するように構成された第2のシミュレーションモデルに対し、前記リソグラフィプロセスのターゲット設計レイアウト及び設計レイアウト変数を入力することと、
前記第2のシミュレーションモデルを実行して、シミュレーション結果を取得することであって、前記シミュレーション結果は、前記設計の前記3D表現を含む、ことと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記幾何学的パラメータの前記空間的変動を取得することは、
前記ターゲット設計レイアウトにおいて、前記マークを有するグリッドを識別することであって、前記グリッドのサイズは、前記マークのサイズよりも大きい、ことと、
前記シミュレーション結果から、前記グリッド上の前記幾何学的パラメータの前記空間的変動を取得することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記空間的変動を取得することは、前記グリッドを補間して、前記マークの前記個々のパターンの各々について前記幾何学的パラメータの空間的変動を取得することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ジオメトリ設計を決定することは、前記シミュレーションモデルを使用して、前記幾何学的パラメータの前記空間的変動及びマーク設計レイアウトに基づいて、前記マークの前記個々のパターンを再構築することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記個々のパターンは、前記マークの周囲パターンの特徴に基づいて更に再構築される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記幾何学的パラメータの前記空間的変動は、測定データ、経験データ、実験的又はデータのうちの少なくとも1つを使用して取得され、前記幾何学的パラメータは、層の厚み、化学機械研磨ディッシング高さ、エッチ側壁角度、リソエッチクリティカルディメンジョンバイアス、又はエッチフロア傾斜のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記幾何学的パラメータは、個々のパターン内で変動する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1のシミュレーションモデルを使用して、前記マークの測定性能を取得することと、
測定ツールを使用した測定を行って、測定信号を取得することであって、前記測定信号は、前記マークを使用して取得される光学測定パラメータのセットを含む、ことと、
前記測定性能に基づいて、前記測定信号を調節することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記マークは、メトロロジマーク、オーバーレイマーク、又はアライメントマークのうちの少なくとも1つを含み、前記方法は、前記マークに基づいてマスクパターンを生成することを更に含み、前記マスクパターンは、前記基板上にプリントされるターゲット設計レイアウトに対応するパターンを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年12月9日に出願された欧州出願第21213572.7号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書中の記載は、リソグラフィプロセスにおける製品のメトロロジに関し、特にメトロロジターゲットを設計することに関する。
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と呼ばれることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。この製造プロセスは、パターニングプロセス又はリソグラフィプロセスと呼ばれる場合がある。例えばスマートフォンでは、ICチップは人間の親指の爪と同じくらい小さくすることができ、20億個を超えるトランジスタを含むことができる。ICの製造は、様々な層に回路コンポーネントがあり、数百個の個別のステップを含む、複雑で時間を要するプロセスである。1つのステップにおける誤差でさえ、最終ICに問題を引き起こす可能性があり、デバイスの故障を生じさせる場合がある。高いプロセス歩留まりと高いウェーハスループットは、特に欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要となった場合、欠陥の存在によって影響を受ける可能性がある。
【0004】
[0004] メトロロジプロセスは、パターニングプロセス中の種々のステップにおいて、プロセスを監視及び/又は制御するために使用される。例えば、メトロロジプロセスを使用して、パターニングプロセス中に基板上に形成されたフィーチャの相対的場所(例えばレジストレーション、オーバーレイ、アライメント等)又は寸法(例えば線幅、クリティカルディメンジョン(CD)、厚み等)のような基板の1つ以上の特徴を測定し、それにより、例えばパターニングプロセスの性能を該1つ以上の特徴から決定することができる。1つ以上の特徴が許容できない(例えば、該特徴についての所定の範囲外である)場合、パターニングプロセスの1つ以上の変数は、パターニングプロセスによって製造された基板が許容可能な特徴を有するように、例えば該1つ以上の特徴の測定に基づいて、設計又は変更され得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一部の実施形態において、命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され、命令は、コンピュータによって実行されると、リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のための方法をコンピュータに実行させる。方法は、マーク構築物を取得することと、マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、を含む。
【0006】
[0006] 一部の実施形態において、リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のための方法が提供される。方法は、マーク構築物を取得することと、マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、を含む。
【0007】
[0007] 一部の実施形態において、リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のための装置が提供される。装置は、命令のセットを記憶したメモリと、命令のセットを実行して装置に方法を行わせるように構成されたプロセッサとを含み、方法は、マーク構築物を取得することと、マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、からなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008] 一実施形態に係るリソグラフィ投影装置の概略図である。
【
図2】[0009] リソグラフィックセル又はクラスタの一実施形態を示す。
【
図3A】[0010] 一実施形態に係る、特定の照明モードを提供する照明アパーチャの第1のペアを使用したターゲットの測定に使用する測定装置(例えばメトロロジ装置)の概略図である。
【
図3B】[0011] 一実施形態に係る、所与の方向の照明についてのターゲットの回折スペクトルの概略詳細図である。
【
図3C】[0012] 一実施形態に係る、オーバーレイ測定に基づく回折用測定装置を使用する際に更なる照明モードを提供する照明アパーチャの第2のペアの概略図である。
【
図3D】[0013] 一実施形態に係る、オーバーレイ測定に基づく回折用測定装置を使用する際に更なる照明モードを提供するアパーチャの第1及び第2のペアを組み合わせた、照明アパーチャの第3のペアの概略図である。
【
図3E】[0014] 一実施形態に係る、複数周期構造(例えば複数格子)ターゲットの一形態及び基板上の測定スポットの概略を示す。
【
図4A-4C】[0016] 一実施形態に係る、本明細書に開示されたターゲットを設計する際に使用することができる例示的なターゲット設計方法の様々な態様のフローチャートを含む。
【
図5】[0017] 一実施形態に係る、マークの局所的ジオメトリに基づいてマークを設計するためのシステムのブロック図である。
【
図6A-6B】[0018] 一実施形態に係る、マークの局所的ジオメトリに基づいてマークを設計するための方法のフロー図である。
【
図7】[0019] 一実施形態に係るマークの例示のダミー化(dummification)プロセスを示す。
【
図8】[0020] 本明細書に開示されたシステム及び方法の実施を補助することができるコンピュータシステムを示すブロック図である。
【
図9】[0021] 一実施形態に係るリソグラフィプロセス又はパターニングシミュレーション方法のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0022] メトロロジとは、パターニングプロセス中に基板上に形成されたフィーチャの相対的場所(例えばレジストレーション、オーバーレイ、アライメント等)又は寸法(例えば線幅、クリティカルディメンジョン(CD)、厚み等)のような基板の1つ以上の特徴を測定するために使用され、それにより、例えばパターニングプロセスの性能を該1つ以上の特徴から決定することができるプロセスである。測定値を取得する際に、オーバーレイ(OVL)マーク、アライメントマーク、又は別のマーク(基準)のようなメトロロジターゲット(「メトロロジマーク」又は「マーク」とも呼ばれる)が使用され得る。メトロロジマークは、1つ以上のリソグラフィプロセスパラメータに基づいて構築又は設計される。メトロロジマークは、その中に個別のパターンを何個か含むことができる(例えば、格子のような周期構造)。メトロロジマークを設計若しくは最適化する際に、又はメトロロジマークの測定性能(例えば、メトロロジマークを使用して取得された測定の正確度)を決定する際に、シミュレーションモデルを使用してもよい。しかしながら、メトロロジマークを設計する従来の方法は非効率的である。例えばメトロロジマークを最適化する際に、従来の方法は、マーク内のジオメトリ変動又は周囲パターン(例えばメトロロジマークの指定された近接領域内のパターン)を考慮することなく、公称幾何学的パラメータを(例えばメトロロジマーク全体に対し、又はメトロロジマークの一部のみに対し)使用する。例えば、従来の方法によってシミュレートされたメトロロジマークにおいては、個々のパターンがそれぞれ、側壁角度、エッチ深さ、CD、ピッチ等のような、同じ幾何学的パラメータを有し得ることが前提とされている。しかしながら、実際は、マーク内の個々のパターンの幾何学的パラメータには変動がある。変動は例えば、堆積、エッチング、CMP、フォトリソグラフィ等の、メトロロジマークを製造する際の1つ以上の製造プロセスから生じ得る。個々のパターンの幾何学的パラメータの変動、又は周囲パターンの存在若しくは不在は、マークの測定性能に著しく影響する場合がある。したがって、そのような考慮なしに設計されたメトロロジマークは非最適な設計を有する場合があり、そのような非最適な設計は、結果として不正確な測定値を取得することになり、ひいては製造プロセスの歩留まりに影響し得る。
【0010】
[0023] 本開示によれば、マーク(例えばメトロロジマーク)は、マークの局所的ジオメトリ(例えば、マークの個々のパターンの各々の幾何学的パラメータの空間的変動)を考慮することによって設計(又は最適化)される。設計方法は、ターゲット設計レイアウト(例えばフルチップ設計レイアウト)内のマークの空間的位置、又はマークの周囲パターンの存在若しくは不在も考慮する場合がある。一部の実施形態において、マークを設計し、マークの測定性能をシミュレートし、測定性能に基づいてマークを最適化するために、シミュレーションモデルが使用される。例えば、入力ターゲット設計レイアウト及びリソグラフィプロセスの処理パラメータに基づいてターゲット設計レイアウト(例えば集積回路全体用、「フルチップ設計レイアウト」とも呼ばれる)をシミュレートするシミュレーションモデルを使用して、ターゲット設計レイアウトを生成する。しかしながら、シミュレートされたフルチップ設計レイアウト内のメトロロジマークは、フルチップ設計レイアウトの最適化のためのシミュレーションモデルによって考慮されないので、マーク内の変動(例えば、マークを構成する個々のパターンの幾何学的パラメータの空間的変動)に基づいて最適化されない可能性がある。したがって、最適化されるべきメトロロジマークを有する粗いグリッドがターゲット設計レイアウト内で識別され、粗いグリッドは、メトロロジマークの個々のパターンの各々の幾何学的パラメータの空間的変動を抽出するために補間される。メトロロジマークは、抽出された幾何学的パラメータ、ターゲット設計レイアウト内のメトロロジマークの空間的位置、又はメトロロジマークの周囲パターンのうちの少なくとも1つに基づいて再構築される。測定シミュレーションモデルは、(例えばメトロロジツールを使用して取得されるはずだった)再構築されたメトロロジマークを使用して取得される測定パラメータ(例えば光学測定パラメータ)をシミュレートすることができる。一部の実施形態において、測定性能を表す主要性能指標(Key Performance Indicator)(KPI)は、シミュレートされた測定パラメータに基づいて算出され、メトロロジマークは、KPIが最適化されるまで反復的に最適化される。一部の実施形態において、メトロロジマークを調節することは、マークの個々のパターンの幾何学的設計(例えばクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブセグメント化)を調整することを含む。
【0011】
[0024]
図1は、1つ以上の実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。装置は、
‐放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えばマスク)MAを保持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された第1のオブジェクトホルダ又はサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
‐基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板ホルダ又は基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTのような、第2のオブジェクトホルダと、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0012】
[0025] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、或いはそれらの任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含み得る。
【0013】
[0026] サポート構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、及び、例えばパターニングデバイスが真空環境内に保持されているかどうかなどの他の条件に応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電又はその他のクランピング技術を使用することができる。サポート構造は、例えば必要に応じて固定式又は可動式であることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを確実にすることができる。本明細書中で「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義のものとみなすことができる。
【0014】
[0027] 本明細書中で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又は所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確に対応しない場合がある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に対応する。
【0015】
[0028] パターニングデバイスは、透過型又は反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、種々のハイブリッドマスクタイプに加えて、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクなどのマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、それぞれが入射する放射ビームを様々な方向に反射するように個別に傾斜された小さなミラーのマトリクス配置を使用する。傾斜されたミラーは、ミラーマトリクスによって反射される放射ビームにパターンを与える。
【0016】
[0029] 本明細書中で使用される「投影システム」という用語は、使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、反射屈折、磁気、電磁気及び静電気型光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈されるべきである。本明細書中で「投影レンズ」という用語を使用した場合、この用語は、より一般的な用語である「投影システム」と同義のものとみなすことができる。
【0017】
[0030] 本明細書中に示す通り、装置は透過型(例えば、透過型マスクを使用する)である。代替的に、装置は反射型(例えば、上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用するか、又は反射型マスクを使用する)であってもよい。
【0018】
[0031] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のサポート構造)を有するタイプであってもよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル/サポート構造を並行して使用するか、又は、1つ以上の他のテーブル/サポート構造を露光に使用している間に1つ以上のテーブル/サポート構造で準備ステップを実行することができる。
【0019】
[0032]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOからの放射ビームを受け取る。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であることができる。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するものとはみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILに渡される。他の場合において、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源はリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ばれる場合がある。
【0020】
[0033] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを備えていてもよい。一般に、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOのような種々の他のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを使用して放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0021】
[0034] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTは、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように、正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の(
図1には明示されていない)位置センサを使用して、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、サポート構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現できる。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、サポート構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(これらはスクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0022】
[0035] 図示の装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、サポート構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えられたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、異なるターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、サポート構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大及び像反転特性によって決定することができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が限定され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決定する。
3.別のモードでは、サポート構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0023】
[0036] 上記で説明した使用モードの組み合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも使用できる。
【0024】
[0037]
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、時折リソセル又はリソクラスタとも呼ばれ、基板上で1つ以上の露光前及び露光後プロセスを実行するための装置も含む、リソグラフィックセルLCの一部を形成し得る。従来、これらは、レジスト層を堆積させるための1つ以上のスピンコータSC、露光されたレジストを現像するための1つ以上のデベロッパDE、1つ以上の冷却プレートCH、及び/又は1つ以上のベークプレートBKを含む。基板ハンドラ又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から1つ以上の基板を取り上げ、これらを異なる処理デバイス間に移動し、リソグラフィ装置のローディングベイLBに送達する。これらの装置は屡々まとめてトラックと呼ばれ、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。このようにして異なる装置を動作させ、スループット及び処理効率を最大にすることができる。
【0025】
[0038] リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるように、及び/又は、少なくとも1つのパターン転写ステップ(例えば光リソグラフィステップ)を含むパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)の一部を監視するために、基板又は他の物体を検査して、アライメント、オーバーレイ(例えば上層の構造間、又は例えば二重パターニングプロセスによって層に個別に提供された同じ層の構造間)、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)、フォーカスオフセット、材料特性等のような1つ以上の特性を測定又は決定することが望ましい。したがって、リソセルLCが配置されている製造施設は、典型的には、リソセル又はリソセル内の他の物体で処理された基板Wの一部又は全てを測定するメトロロジシステムMETも含む。メトロロジシステムMETは、リソセルLCの一部であってもよく、例えばリソグラフィ装置LA(アライメントセンサAS等)の一部であってもよい。
【0026】
[0039] 1つ以上の測定されたパラメータは、例えば、パターン形成された基板内又は上に形成された連続する層の間のオーバーレイ、例えばパターン形成された基板内又は上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)(例えば臨界線幅)、光リソグラフィステップの焦点又は焦点誤差、光リソグラフィステップのドーズ又はドーズ誤差、光リソグラフィステップの光学収差等を含み得る。この測定は、製品基板自体のターゲット上、及び/又は、基板上に提供された専用のメトロロジターゲット上で行うことができる。測定はレジストの現像後、エッチング前に実行するか、又はエッチング後に実行することができる。
【0027】
[0040] 走査電子顕微鏡、画像ベースの測定ツール及び/又は種々の専用ツールの使用を含む、パターニングプロセスで形成された構造の測定を行うための種々の技術がある。上述の通り、高速で非侵襲的な形態の特殊メトロロジツールは、放射ビームが基板の表面上のターゲットに誘導され、散乱(回折/反射)ビームの特性が測定されるツールである。基板によって散乱される放射の1つ以上の特性を評価することにより、基板の1つ以上の特性を決定することができる。これは、回折に基づくメトロロジと呼ばれる場合がある。この回折に基づくメトロロジのこのような用途の1つは、ターゲット内のフィーチャの非対称性の測定である。これは、例えばオーバーレイの尺度として使用できるが、他の用途も知られている。例えば、非対称性は、回折スペクトルの反対部分を比較することにより測定できる(例えば、周期格子の回折スペクトルの-1次と+1次を比較する)。これは、上述の通り、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2006-0066855に記載されているように行うことができる。回折ベースのメトロロジの別の用途は、ターゲット内のフィーチャ幅(CD)の測定である。そのような技術は、以下に説明する装置及び方法を使用できる。
【0028】
[0041] したがって、デバイス製造プロセス(例えばパターニングプロセス又はリソグラフィプロセス)では、プロセス中又はプロセス後に、基板又は他の物体を種々のタイプの測定にかけることができる。測定は、特定の基板に欠陥があるかどうかを決定し、プロセス及びプロセスで使用される装置の調整を確立し(例えば、基板上の2つの層を位置合わせするか、又はパターニングデバイスを基板に位置合わせする)、プロセス及び装置の性能を測定することができ、又は他の目的に供することもできる。測定の例として、光学結像(例えば光学顕微鏡)、非結像光学測定(例えば回折に基づく測定、機械測定(例えばスタイラスを使用したプロファイリング、原子間力顕微鏡検査(AFM))、及び/又は非光学結像(例えば走査電子顕微鏡検査(SEM))が挙げられる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,961,116号のアライメントシステムは、アライメントマーカの2つの重複し相対的に回転した像を生成する自己参照干渉計を使用し、像のフーリエ変換が干渉を生じさせる瞳面における強度を検出し、また、干渉次数の強度変動として現れる2つの像の回折次数間の位相差から位置情報を抽出する。
【0029】
[0042] メトロロジ結果は、直接又は間接的に監視制御システムSCSに提供され得る。エラーが検出された場合、後続の基板の露光(特に、バッチの1つ以上の他の基板がまだ露光されるのに十分早く検査を行うことができる場合)及び/又は露光した基板の後続の露光の調整を行うことができる。また、既に露光した基板は、歩留まりを改善するために剥がして再加工するか、廃棄することができ、それにより欠陥があることが知られている基板の更なる処理の実行を回避する。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、更なる露光は良好なターゲット部分に対してのみ実行され得る。
【0030】
[0043] メトロロジシステムMET内で、メトロロジ装置を使用して、基板の1つ以上の特性、特に、異なる基板の1つ以上の特性がどのように変動するか、又は同じ基板の異なる層が層ごとにどのように変動するかを決定する。上述の通り、メトロロジ装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合されてもよいし、スタンドアロンデバイスであってもよい。
【0031】
[0044] メトロロジを可能にするために、1つ以上のメトロロジターゲット(「ターゲット」、「メトロロジマーク」又は「マーク」とも呼ばれる)を基板上に提供することができる。一実施形態において、ターゲットは特別に設計されており、周期構造を含むことができる。一実施形態において、ターゲットはデバイスパターンの一部、例えばデバイスパターンの周期構造である。一実施形態において、デバイスパターンは、メモリデバイスの周期構造(例えばバイポーラトランジスタ(BPT)、ビットラインコンタクト(BLC)等の構造)である。
【0032】
[0045] 一実施形態において、基板上のターゲットは、現像後に周期的構造特徴が固体レジスト線で形成されるようにプリントされる1つ以上の1-D周期構造(例えば格子)を含むことができる。一実施形態において、ターゲットは、現像後に固体レジストピラー又はレジスト内のビアで形成されるようにプリントされる1つ以上の2-D周期構造(例えば格子)を含むことができる。代替的に、バー、ピラー又はビアを基板にエッチングしてもよい(例えば、基板上の1つ以上の層に)。
【0033】
[0046] 一実施形態において、パターニングプロセスの関心対象パラメータの1つはオーバーレイである。オーバーレイは、ゼロ次回折(鏡面反射に対応する)がブロックされ、より高次のものだけが処理される暗視野スキャトロメトリを使用して、測定することができる。暗視野メトロロジの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開番号WO2009/078708及びWO2009/106279に見つけることができる。この技術の更なる発展は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2011-0027704、US2011-0043791号及びUS2012-0242970に記載されている。回折次数の暗視野検出を使用した回折ベースのオーバーレイにより、より小さなターゲットに対するオーバーレイ測定が可能になる。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さくすることができ、基板上のデバイス製品構造によって取り囲まれている場合がある。一実施形態において、1回の放射線捕捉で複数のターゲットを測定することができる。
【0034】
[0047]
図3Aには、実施形態において例えばオーバーレイを測定するための使用に適切なメトロロジ装置が概略的に示されている。
図3Bには、ターゲットT(格子のような周期構造を備える)及び回折光線がより詳細に図示されている。メトロロジ装置は、スタンドアロン装置であってもよいし、リソグラフィ装置LAにおいて例えば測定ステーションに、又はリソグラフィックセルLCに組み込まれてもよい。装置全体を通していくつかの分岐を有する光軸が、点線Oにより表される。この装置において、出力11(例えばレーザ若しくはキセノンランプのような放射源、又は放射源に接続された開口)によって放出される放射が、レンズ12、14及び対物レンズ16を備える光学系によって、プリズム15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F構成の二重配列で設けられる。基板の像が検出器に提供されるのであれば、異なるレンズ配置が使用されてもよい。
【0035】
[0048] 一実施形態において、レンズ配置は、空間周波数フィルタリングのために中間瞳面へのアクセスを可能にする。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、本明細書では(共役)瞳面と呼ばれる基板平面の空間スペクトルを提示する平面内の空間強度分布を規定することによって選択することができる。具体的には、これは例えば、対物レンズ瞳面の後方投影像である平面において、レンズ12と14の間に適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することによって行うことができる。図示された例では、アパーチャプレート13は、13N及び13Sとして表記される異なる形式を有し、異なる照明モードが選択されることを可能にする。本例の照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nは、説明のみのために「北」と指定された方向からオフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Sを使用して、「南」と表記される反対方向から同様の照明を提供する。異なるアパーチャを使用することにより、その他の照明モードも可能である。所望の照明モードの外側の不要な放射は所望の測定信号と干渉するので、瞳面の残りの部分は暗いことが望ましい。
【0036】
[0049]
図3Bに示す通り、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに対して実質的に垂直となる状態で配置される。照明の光線Iが軸Oからある角度外れてターゲットTに衝突すると、ゼロ次光線(実線0)と2つの1次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線-1)を生じさせる。過剰充填された小さいターゲットTの場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアを覆う多くの平行光線のうちの1つに過ぎない。プレート13内のアパーチャは(有用な量の放射を受け入れるのに必要な)有限の幅を有するので、入射光線Iは実際には、ある範囲の角度を占め、回折波0及び+1/-1は若干広がることになる。小さいターゲットの点像分布関数に従って、各次数+1及び-1は、図示されるような単一の理想的な光線ではなく、ある範囲の角度にわたって更に広がることになる。なお、周期構造ピッチ及び照明角度は、対物レンズに入る1次光線が中央光軸と厳密に位置合わせされるように、設計又は調整することができることに留意されたい。
図3A及び
図3Bに示されている光線は、単に図中でそれらをより簡単に区別できるようにするために、若干オフアクシスに示されている。基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次及び+1次は、対物レンズ16によって収集され、プリズム15を通じて戻るように誘導される。
【0037】
[0050]
図3Aに戻ると、第1及び第2の照明モードはいずれも、北(N)及び南(S)として表記された直径方向に正反対のアパーチャを指定することによって図示される。入射光線Iが光軸の北側からのものである場合、すなわち、アパーチャプレート13Nを使用して第1の照明モードが適用される場合、+1(N)と表記される+1回折波が対物レンズ16に入る。対照的に、アパーチャプレート13Sを使用して第2の照明モードが適用される場合、レンズ16に入るのは-1回折波(1(S)と表記される)である。したがって、一実施形態において、-1次及び+1次の回折次数強度を別々に取得するために、例えばターゲットを回転させ、又は照明モードを変更し、又は結像モードを変更するといった特定の条件の下でターゲットを2回測定することによって測定結果が取得される。所与のターゲットについてこれらの強度を比較することにより、ターゲットにおける非対称性の測定が提供され、ターゲットにおける非対称性は、リソグラフィプロセスのパラメータ(例えばオーバレイ)の指標として使用することができる。上記の状況では、照明モードが変更される。
【0038】
[0051] ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐において、光学系18は、ゼロ次及び1次の回折ビームを使用して、第1のセンサ19(例えばCCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。各回折次数はセンサ上の異なる地点に当たるため、画像処理は次数を比較及び対照することができる。センサ19によって捕捉された瞳面像は、メトロロジ装置を合焦させるために、及び/又は、強度測定を正規化するために使用することができる。以下に更に記載されるように、瞳面像は、再構築などの他の測定目的のために使用することもできる。
【0039】
[0052] 第2の測定分岐において、光学システム20、22はセンサ23(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に基板W上のターゲットの像を形成する。第2の測定分岐において、開口絞り21が、対物レンズ16の瞳面と共役な平面に設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が-1又は+1の1次ビームから形成されるように、ゼロ次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によって測定された像に関するデータは、画像プロセッサ及びコントローラPUに出力され、その機能は、実行される特定のタイプの測定に依存することになる。なお、「像」という用語は、広義に使用されることに留意されたい。-1次及び+1次のうちの一方しか存在しない場合には、周期構造フィーチャ(例えば格子線)の像は、そのようなものとしては形成されない。
【0040】
[0053]
図3に示されるアパーチャプレート13及び絞り21の特定の形態は、単なる例である。別の実施形態において、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、また、実質的に一方の1次回折放射のみをセンサに渡すために、オフアクシスアパーチャを有する開口絞りが使用される。更に他の実施形態において、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次及びそれより高次のビーム(
図3には図示せず)を測定に使用することができる。
【0041】
[0054] 照明をこれらの異なるタイプの測定に適合可能にするために、アパーチャプレート13は、所望のパターンを所定の位置に移動させるように回転するディスクの周囲に形成される、いくつかのアパーチャパターンを備えてもよい。なお、アパーチャプレート13N又は13Sは、1つの方向(設定に応じてX又はY)に方向付けられたターゲットの周期構造を測定するために使用されることに留意されたい。直交周期構造の測定の場合、90°及び270°のターゲットの回転が実施されてもよい。
図3C及び
図3Dには、異なるアパーチャプレートが示される。
図3Cは、オフアクシス照明モードの更なる2つのタイプを示す。
図3Cの第1の照明モードにおいて、アパーチャプレート13Eは、説明のみを目的として、前述の「北」に対して「東」として指定された方向からのオフアクシス照明を提供する。
図3Dの第2の照明モードにおいて、アパーチャプレート13Wは、同様であるが「西」と名付けられた反対方向からの照明を提供するために使用される。
図3Dは、オフアクシス照明モードの更なる2つのタイプを示す。
図3Dの第1の照明モードにおいて、アパーチャプレート13NWは、前述の「北」及び「西」と指定された方向からのオフアクシス照明を提供する。第2の照明モードにおいて、アパーチャプレート13SEは、同様であるが前述の「南」及び「東」と表記された反対方向からの照明を提供するために使用される。これらの装置の使用、並びに装置の多くの他の変形及び応用は、例えば先に公表された上述の特許出願公開に記載されている。
【0042】
[0055]
図3Eは、基板上に形成される複合メトロロジターゲットTの例を示す。複合ターゲットは、互いに近くに位置する4つの周期構造(この場合、格子)32、33、34、35を備える。一実施形態において、周期構造レイアウトは、測定スポットよりも小さくすることができる(すなわち、周期構造レイアウトは過剰充填される)。よって、一実施形態において、周期構造は、それら全てがメトロロジ装置の照明ビームによって形成される測定スポット31内にあるように互いに近づけて配置される。その場合、4つの周期構造の全てが結果として同時に照明され、センサ19及び23上に同時に結像される。オーバーレイ測定に特化した例において、周期構造32、33、34、35はそれら自体が重なり合う周期構造によって形成される複合周期構造(例えば複合格子)であり、すなわち、周期構造は、基板W上に形成されるデバイスの様々な層において、1つの層の少なくとも1つの周期構造が、異なる層の少なくとも1つの周期構造に重なるようにパターン形成される。このようなターゲットは、20μm×20μmの範囲内、又は16μm×16μmの範囲内の外寸を有してもよい。更に、全ての周期構造が特定の層のペア間のオーバーレイを測定するために使用される。ターゲットが単一の層のペアよりも多くを測定できることを容易にするべく、周期構造32、33、34、35は、複合周期構造の異なる部分が形成される異なる層の間のオーバーレイの測定を容易にするために、バイアスの異なるオーバーレイオフセットを有してもよい。したがって、基板上のターゲットの周期構造の全てが1つの層のペアを測定するために使用され、基板上の別の同じターゲットの周期構造の全てが別の層のペアを測定するために使用され、このとき、異なるバイアスが層のペアの間の区別を容易にする。
【0043】
[0056]
図3Eに戻ると、周期構造32、33、34、35はまた、図示されるように、X及びY方向で入ってくる放射を回折するために、それらの配向が異なっていてもよい。一例において、周期構造32及び34は、それぞれ+d、-dのバイアスを伴うX方向の周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれ+d及び-dのオフセットを伴うY方向の周期構造であり得る。4つの周期構造が図示されているが、別の実施形態は所望の正確度を得るためにより大きなマトリクスを含むことができる。例えば、3×3アレイの9つの複合周期構造は、-4d、-3d、-2d、-d、0、+d、+2d、+3d、+4dのバイアスを有し得る。これらの周期構造の個別の像は、センサ23によって捕捉された像内で識別可能である。
【0044】
[0057]
図3Fは、
図3Aの装置において
図3Eのターゲットを使用し、
図3Dのアパーチャプレート13NW又は13SEを使用して、センサ23上に形成されセンサ23によって検出され得る像の一例を示す。センサ19は異なる個々の周期構造32~35を解像することはできないが、センサ23はそれを実行できる。暗い矩形はセンサ上の像の視野を表し、その中で、基板上の照明されたスポット31は対応する円形エリア41内に結像される。この像内で、矩形エリア42~45は周期構造32~35の像を表す。ターゲットは、スクライブレーン内の代わりに、又はスクライブレーン内に加えて、デバイス製品フィーチャ間に位置決めすることができる。周期構造がデバイス製品エリア内に配置される場合、デバイスフィーチャがこのイメージフィールドの周辺でも視認できることがある。プロセッサ及びコントローラPUは、周期構造32~35の個別の像42~45を識別するために、パターン認識を使用してこれらの像を処理する。このようにして、像はセンサフレーム内のある特定の場所で非常に精密に位置合わせされる必要はなく、これは、測定装置全体としてのスループットを大幅に向上させる。
【0045】
[0058] 周期構造の別個の像が一度識別されたら、例えば識別したエリア内の選択された画素強度値を平均又は合計することによって、これら個々の像の強度を測定できる。像の強度及び/又は他の特性を相互に比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの様々なパラメータを測定できる。オーバーレイ性能はそのようなパラメータの一例である。
【0046】
[0059] 製造プロセスにおいて、種々のプロセスパラメータ(「幾何学的パラメータ」とも呼ばれる)における変動は、デバイス設計を忠実に反映するための適切なメトロロジターゲット(又はアライメントターゲット)の設計に大きな影響を与え得る。メトロロジターゲット又はアライメントターゲットを変化させ得るこうしたプロセスパラメータは、(例えばエッチング又は現像プロセスによって決定される)側壁角度、(デバイス層又はレジスト層の)屈折率、(デバイス層又はレジスト層の)厚み、入射放射の周波数、エッチ深さ、フロア傾斜、放射源の吸光係数、(レジスト層又はデバイス層の)コーティング非対称、化学機械研磨プロセス中の浸食における変動、及びそれらの類似物を含み得るが、これらに限定されない。算出技術は、例えばメトロロジシステムシミュレーションを通してメトロロジシステムMET内で、又はターゲット製造プロセスシミュレーション(例えば、リソグラフィプロセスを使用してメトロロジターゲットを露光すること、メトロロジターゲットを現像すること、ターゲットをエッチングすること等を含む)内で使用するメトロロジターゲットを規定するためにも使用することができる。メトロロジターゲットを設計するために使用されるソフトウェアプラットフォームの例としては、以下で詳細に説明する制御用設計(「DFC」と呼ばれる)が挙げられる。同様に、アライメントターゲットを規定することができる。メトロロジターゲット設計又はアライメントターゲット設計は、種々のパラメータによって特徴付けることができる。メトロロジターゲットの場合、これらのパラメータは、例えばターゲット係数(TC)、スタック感度(SS)、オーバーレイインパクト(OV)又はそれらの類似物であり得る。スタック感度は、ターゲット(例えば格子)層間の回折により、例えばオーバーレイが変化するにつれて信号の強度がどれだけ変化するかの尺度として理解することができる。ターゲット係数は、測定システムによる光子収集における変動の結果としての、特定の測定時間についての信号対雑音比の測定として理解することができる。一実施形態において、ターゲット係数は、光子雑音に対するスタック感度の比として考えることも可能であり、すなわち、信号(すなわちスタック感度)を光子雑音の測定で除してターゲット係数を決定することができる。オーバーレイインパクトは、オーバーレイ誤差における変化をターゲット設計の関数として測定する。
【0047】
[0060] メトロロジターゲット設計レイアウトは、ターゲットの1つ以上の設計パラメータ(例えば幾何学的寸法)を特定することができ、1つ以上の設計パラメータについて更に離散値又は値の範囲を特定できる。更に、ユーザ及び/又はシステムは、例えばターゲットを必要とするリソグラフィプロセスに基づいて、同じ層内又は複数の層の間のいずれかにおいて、1つ以上の設計パラメータ(例えばピッチとトレンチ幅との関係、ピッチ又はトレンチ幅の限界、CDとピッチとの間の関係(例えば、CDはピッチよりも小さい)等)に対して1つ以上の制約を課してもよい。代替的に、離散値又は範囲が特定されている1つ以上の設計パラメータ、又は1つ以上の他の設計パラメータに対して、1つ以上の制約が課されてもよい。潜在的なメトロロジターゲット設計又はアライメントターゲット設計が、例えば、ターゲット設計のうちの1つ以上の実現可能性及び/又は適合性を決定するために、シミュレーションに入力され得る。制約は、メトロロジパラメータ制約を含み得る。例えば、一部のメトロロジシステムでは、システムの物理が制約(例えば、システムで使用される放射の波長がターゲット設計のピッチを制約し得る)を課す場合がある。代替的に、制約はプロセスパラメータ制約(例えば、エッチタイプ、現像タイプ、レジストタイプ等に依存する制約)であり得る。本明細書中で使用される「ターゲット」、「ターゲット格子」及び「ターゲット構造」という用語は、構造が実施される測定のために特別に与えられたものであることを必要としない。ターゲットは、例えば回折測定技術に使用される格子を含むが、オーバーレイターゲットに基づくボックス・イン・ボックス像のような他のターゲットタイプも使用することができる。メトロロジターゲットは、オーバーレイ、CD、焦点、ドーズ等を決定するために使用することができ、メトロロジターゲット設計レイアウトは、画素ベースのデータ構造又はポリゴンベースのデータ構造のようなデータ構造を使用して定義することができる。ポリゴンベースのデータ構造は、例えば、チップ製造業界ではかなり一般的なGDSIIデータ形式を使用して説明可能である。しかしながら、実施形態の範囲から逸脱することなく、任意の適切なデータ構造又はデータ形式を使用することができる。
【0048】
[0061] 上述の通り、DFCのようなメトロロジターゲット設計プラットフォームは、メトロロジターゲットを設計する際に使用することができる。DFC方法において、リソグラフィプロセスの個々のステップが単一のプロセスシーケンスにモデル化され、物理的基板処理をシミュレートする。そのプロセスシーケンスは、要素ごとにデバイスジオメトリを「構築する」のではなく、デバイスジオメトリの生成を全体として行う。一部の実施形態において、DFC方法論は、メトロロジターゲットを自動生成するための発達したコンピュータ支援設計(CAD)ツールであってもよい。リソグラフィプロセスシーケンスがモデル化され、入力として追加されると、任意の数のメトロロジターゲットを効率的な方法で(例えば、ゼロ又は最低限の手動介入で)設計することができる。メトロロジターゲットの数は、数千個であってもよく、或いは数百万個であることさえできる。リソグラフィプロセスモデルは、リソグラフィ装置の特徴を考慮に入れている。DFCは、DFCプログラムの作者からの介入なしに、ユーザがメトロロジターゲットを設計するためのステップを実行することを可能にする。DFCプログラムの機能をセットアップ、実行、レビュー及び使用するために、適切なグラフィックユーザインタフェース(GUI)が利用可能である。メトロロジターゲット設計は、ほとんどが実際のデバイス製造領域ではなくシミュレーション領域に閉じ込められているため、通常は、製造ツールを備えた特別なインタフェースが必要とされ得ることはない。
【0049】
[0062]
図4Aは、DFC方法の主要なステージを列挙したフローチャートを示す。プロセスP410において、リソグラフィプロセスで使用される材料が選択される。材料は、適切なGUIを介してD4Cとインタフェースされた材料ライブラリから選択することができる。プロセスP420において、プロセスステップの各々に入り、全てのプロセスシーケンスについてコンピュータシミュレーションモデルを構築することによって、リソグラフィプロセスが定義される。プロセスP430において、メトロロジターゲットが定義され、例えばターゲットに含まれる種々のフィーチャの寸法及び他の特性が、DFCプログラムに入力される。例えば、格子が構造に含まれる場合、格子要素の数、個々の格子要素の幅、2つの格子要素間の間隔などを定義しなければならない。プロセスP440において、3Dジオメトリが作成される。このステップでは、多層ターゲット設計に関連する情報、例えば異なる層間の相対シフトなどがあるかどうかも考慮される。この機能により、多層ターゲット設計が可能になる。プロセスP450において、設計されたターゲットの最終ジオメトリが視覚化される。以下により詳細に説明されるように、最終ジオメトリが視覚化されるだけでなく、設計者がリソグラフィプロセスの種々のステップを適用するとき、設計者は、プロセス誘起効果のために3Dジオメトリがどのように形成され変化するかを視覚化することができる。例えば、レジストパターニング後の3Dジオメトリは、レジスト除去およびエッチング後の3Dジオメトリとは異なる。
【0050】
[0063] 本開示の重要な態様は、ターゲット設計者が、モデル化及びシミュレーション中にその知見及び制御を容易にするために、方法の段階を視覚化できるようになることである。DFCソフトウェアには、「ビューア」と呼ばれる様々な視覚化ツールが組み込まれている。例えば、
図4Bに示されるように、設計者は、定義されたリソグラフィプロセス及びターゲットに応じて材料プロットP460を見ることができる(また、ランタイム推定プロットを得ることもできる)。リソグラフィモデルが作成されると、設計者はモデルビューアツールP475を介してモデルパラメータを見ることができる。設計レイアウトビューアツールP480を使用して設計レイアウト(例えばGDSファイルの視覚的レンダリング)を見ることができる。レジストプロファイルビューアツールP485を使用して、レジスト内のパターンプロファイルを見ることができる。ジオメトリビューアツールP490を使用して、ウェーハ上の3D構造を見ることができる。瞳ビューアツールP495を使用して、メトロロジツール上でシミュレートされた応答を見ることができる。当業者であれば、これらの閲覧ツールが設計及びシミュレーション中の設計者の理解を高めるために利用可能であることを理解するであろう。これらのツールのうちの1つ以上は、DFCソフトウェアの一部の実施形態には存在しない場合があり、一部の他の実施形態には追加の閲覧ツールが存在し得る。
【0051】
[0064]
図4Cは、リソグラフィプロセスの実際のシミュレーションのために選択されるメトロロジターゲットの数を減らすことによって、DFCプロセスがシミュレーションプロセス全体の効率をどのように向上させるかを表すフローチャートを示す。前述のように、DFCは、設計者が数千又は数百万もの設計を設計することを可能にする。これらの設計の全てがプロセスステップにおける変動に対してロバストであるとは限らない。プロセス変動に耐えることができるターゲット設計のサブセットを選択するために、リソグラファーは、ブロックP452に示すように、定義されたリソグラフィプロセスの1つ以上のステップを意図的に摂動させることができる。摂動の導入は、それが元々どのように定義されていたかに関して全体のプロセスシーケンスを変更する。したがって、摂動プロセスシーケンスを適用すること(ブロックP454)は、設計されたターゲットの3Dジオメトリも変更する。リソグラファーは、元の設計ターゲット内のノンゼロのオルタネーションを示す摂動のみを選択し、選択されたプロセス摂動のサブセットを作成する(ブロックP456)。リソグラフィプロセスはその後、このプロセス摂動のサブセットを用いてシミュレートされる(P458)。
【0052】
[0065] メトロロジマークを設計する際、従来の方法は、幾何学的パラメータがメトロロジマークについて均質であるものとして説明し、マーク内のジオメトリ変動又は周囲パターンを考慮できていない場合がある。しかしながら、そのようなメトロロジマークから取得された測定値は、個々のパターンの幾何学的パラメータの変動(例えば製造プロセスの変動により引き起こされる)又は周囲パターンの存在若しくは不在が、マークの測定性能に著しく影響し得るため、不正確なものとなり得る。
【0053】
[0066] 以下の段落では、少なくとも
図5及び6A~6Bを参照して、マークの局所的ジオメトリに基づくマーク(例えばメトロロジマーク)を設計することを説明する。
【0054】
[0067]
図5は、本開示の一実施形態に係る、マークの局所的ジオメトリに基づいてマークを設計するための例示的なシステム400のブロック図である。
図6Aは、一実施形態に係る、マークの局所的ジオメトリに基づいてマークを設計するための例示的な方法600のフロー図である。マークの局所的ジオメトリは、マーク内若しくはマークの周りの幾何学的パラメータの空間的変動、マークの空間的位置、又はマークの周囲パターンのうちの1つ以上によって特徴付けることができる。
【0055】
[0068] プロセスP601では、マーク設計コンポーネント450が、指定されたマークのマーク構築物602を取得する。一部の実施形態において、指定されたマークは、
図3EのターゲットTのようなメトロロジマーク(例えば光学メトロロジマーク)を含み得る。一部の実施形態において、マーク構築物602は、ターゲット設計レイアウト414における指定されたマークの空間的位置406及びマーク設計レイアウト408に関連付けることができる。空間的位置406及びマーク設計レイアウト408は、例えばユーザ又は任意の他の手段によって、マーク設計コンポーネント450への入力として提供することができる。ターゲット設計レイアウト414は、いくつかのマーク(例えば指定されたマークはそのうちの1つである)の最終ジオメトリ設計を含むフルチップ(例えばIC)用の設計レイアウトに対応し得る。ターゲット設計レイアウト414は、チップ全体用のマークの3D構築物を含む。
【0056】
[0069] いくつかの実施形態において、ターゲット設計レイアウト414は、
図4Aを参照して説明されるプロセスを使用するなど、1つ以上の予測モデルを使用して実施されるフルチップ設計コンポーネント425によって生成され得る。いくつかの実施形態において、フルチップ設計コンポーネント425は、入力としてフルチップ設計レイアウト402を取り、リソグラフィプロセス情報404を入力として、ターゲット設計レイアウト414を生成することができる。フルチップ設計レイアウト402は、例えばポリゴンとしてマークの設計を含み、GDSIIデータ形式を使用して説明されるポリゴンベースのデータ構造の形態とすることができる。リソグラフィプロセス情報404は、リソグラフィ装置の設定、リソグラフィプロセスで使用される材料、層の数、層の厚み、エッチ深さ等のようなスタック情報、CD、ピッチ等、プロセス情報のようなユーザ指定の設計制約、又はプロセス変動のうちの1つ以上のような、リソグラフィプロセスを説明する種々のパラメータを含む。
【0057】
[0070] プロセスP602では、マーク設計コンポーネント450は、マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動420を取得する。一部の実施形態において、幾何学的パラメータは、層の厚みt(x、y)、化学機械研磨ディッシング高さd(x、y)、エッチ側壁角度a(x、y)、リソエッチCDバイアスb(x、y)、エッチフロア傾斜s(x、y)、又はリソグラフィプロセスに関連付けられた他のそのような幾何学的パラメータを含む。一部の実施形態において、マーク設計コンポーネント450は、指定されたマーク内の幾何学的パラメータの空間的変動420を取得する。一部の実施形態において、そのような幾何学的パラメータは、パターン間で変動し得る。一部の実施形態において、そのような幾何学的パラメータは、個々のパターン内で変動し得る。例えば、指定されたマークが
図3EのマークTの4つの周期構造(格子)32~35のような、いくつかの周期構造を有する場合、マーク設計コンポーネント450は、4つの周期構造の各々における各パターンについて幾何学的パラメータの空間的変動420を取得することができる。一部の実施形態において、空間的変化420は、指定されたマークにおけるパターンの座標に対応する、ある範囲の座標(例えば(x1、y1)から(x2、y2))にわたる幾何学的パラメータの分布である。一部の実施形態において、幾何学的パラメータの空間的変動は、測定データ、経験データ又は実験データから取得することができる。それはまた、少なくとも
図9を参照して説明されるモデル、エッチモデル、堆積モデル、又はエッチパターン、堆積パターン及びそれぞれのパターンの特徴値(例えばCD、パターン配置誤差(PPE)、エッジ配置誤差(EPE)等)を決定するように構成された関連するモデル、残渣をモデル化するように構成されたCMPモデル、レジスト層の現像の特徴を取得するためにレジスト層のレジスト現像モデルをシミュレートするための現像モデル、又は他のモデルのような、リソグラフィプロセスをシミュレートするモデルを使用することによって取得することができる。モデルは、機械学習(ML)モデル又は非MLモデル(例えば物理モデル、経験モデル、半経験モデル)であることができる。
【0058】
[0071] 一部の実施形態において、マーク設計コンポーネント450は、ターゲット設計レイアウト414(例えば、フルチップ設計コンポーネント425によって生成される)に基づいて、幾何学的パラメータを決定することができる。例えば、マーク設計コンポーネント450は、指定されたマークの空間的位置406に基づいて、指定されたマークが位置するターゲット設計レイアウト414内のグリッドを識別することによって幾何学的パラメータを抽出し、その後、識別されたグリッド内の幾何学的パラメータの空間的変動420を取得することができる。一部の実施形態において、グリッドのサイズ(例えば面積)は、指定されたマークのサイズよりも大きい。グリッドの大きさが指定されたマークよりも大きいので、マーク設計コンポーネント450は、(例えば公知の補間方法を使用して)グリッドを補間し、指定されたマーク内の幾何学的パラメータを取得することができる。幾何学的パラメータは、マーク内の個々のパターンの間で変動し得る。追加的に、マーク設計コンポーネント450は、周囲パターンに関する情報も取得することができる。例えば、情報は、指定されたマークの指定された近接領域内のパターン(例えばメトロロジマーク又はデバイスパターン)の存在又は不在を含み得る。一部の実施形態において、周囲パターンの存在はマークの測定性能に著しく影響し得るため、マーク設計コンポーネント450は、指定されたマークを設計する際に周囲パターンの情報を使用する場合がある。
【0059】
[0072] プロセスP603では、マーク設計コンポーネント450は、幾何学的パラメータの空間的変動420に基づいて、指定されたマークの3D構築物であるマーク設計424を生成する。一部の実施形態において、マーク設計424を生成することは、幾何学的パラメータの空間的変動420に基づいて、指定されたマークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することを含む。ジオメトリ設計は、指定されたマークの個々のパターンのCD、ピッチ又はサブサグメント化のうちの1つ以上を含む。マーク設計424が幾何学的パラメータの空間的変動420に基づいて生成される一方で、マーク設計コンポーネント450は、マーク設計424を生成又は最適化する際に、指定されたマークの周囲パターン、又は指定されたマークの空間的位置も考慮する場合がある。マークの局所的ジオメトリ(例えば、マーク内の個々のパターンの各パターンに関する幾何学的パラメータの空間的変動420、指定されたマークの周囲パターン、又は指定されたマークの空間的位置)に基づいて設計されたそのようなマーク設計424は、マークの局所的ジオメトリを考慮しない従来の方法を使用して設計されたマークと比べて、より優れた測定性能(より優れた測定正確度)を有する。一部の実施形態において、マーク設計424を生成することは、指定されたマークの測定性能をシミュレートし、測定性能が閾値性能を満たすまで、
図6Bに示すようにマークの設計を反復的に調節することを含み得る。
【0060】
[0073]
図6Bは、一実施形態に係る、マーク設計を最適化する例示的な方法650のフロー図である。一部の実施形態において、方法650は、
図6Aの方法600のプロセスP603の一環として実行される。プロセスP651では、マーク設計コンポーネント450は、主要性能指標(KPI)を表す費用関数651を算出し、主要性能指標(KPI)は更に、指定されたマークの測定性能(例えば光学測定性能)を表す。一部の実施形態において、マーク設計コンポーネント450は、センサ予測シミュレーションプロセスを使用して、又は、マークの測定性能(例えばメトロロジツールのセンサを使用して実際に取得することができる測定値)を予測するモデル475を使用して、費用関数651を算出してもよい。上述の通り、モデル475は、処理装置から独立した又は分離されたメトロロジツールに搭載された検知システム、又は処理装置(例えばフォトリソグラフィ装置)に搭載された検知システムによって行われる測定プロセスをシミュレートすることができる。例えば、マーク設計コンポーネント450は、マーク設計424(例えば指定されたマークのジオメトリ設計)をセンサ予測モデル475に入力することができ、センサ予測モデル475は、実行されると、指定されたマークを測定することによりメトロロジツールから取得することができる光学測定パラメータ434をシミュレートする。一部の実施形態において、光学測定434は、(例えば
図3Aのメトロロジ装置の放射源の)放射の強度、波長及び/又は位相、瞳面サイズ、瞳内の放射の量等を含み得る。マーク設計コンポーネント450は、光学測定434に基づいて1つ以上のKPIを生成し得る。例えば、1つのKPIは、スイングカーブ又は様々な放射源の波長を使用して取得された測定間の差である色対色(color to color)バイアスであり得る。マーク設計コンポーネント450はその後、(例えば特定のKPIに関する)光学測定パラメータに基づいて、費用関数651を算出することができる。
【0061】
[0074] プロセス652では、一部の実施形態において、マーク設計コンポーネント450は、終了条件が満たされたかどうかを決定する。一部の実施形態において、終了条件は費用関数651が最小化又は最大化された際に満たされる。例えば、費用関数が色対色バイアスのようなKPIである場合、終了条件は費用関数651が最小化された(又は閾値以下である)際に満たされる。一部の実施形態において、終了条件が満たされると、マーク設計424の測定性能は、十分なものとして扱われ、マーク設計424を出力することによって方法650を終了することができる。しかしながら、終了条件が満たされない(例えば、費用関数651が最小化又は最大化されない)場合、マーク設計コンポーネント450は、プロセスP653に進み、マーク設計424を調節することができる。
【0062】
[0075] プロセスP653では、マーク設計コンポーネント450はマーク設計424を調節して、調節されたマーク設計424’を生成する。一部の実施形態において、マーク設計424を調節することは、指定されたマークのパターンのCD、ピッチ又はサブサグメント化のうちの少なくとも1つのような、ジオメトリ設計を調節することを含む。調節は、マークの個々のパターンの間で異なる場合もあるし、異ならない場合もある。一部の実施形態において、ジオメトリ設計を調節することは、指定されたマークの空間的位置を調整すること(例えば、ターゲット設計レイアウト414における指定されたマークの空間的位置を変更すること)を含む。一部の実施形態において、ジオメトリ設計を調節することは、(例えば、空いたスペースに起因する光学的クロストーク又はリソグラフィックプロセスの困難を最小化するために)2つのマークの間の空いたスペース内でマークを追加又は調節すること(このプロセスは普通、「ダミー化」と呼ばれる)を含む。例えば、
図7に示すとおり、マーク設計コンポーネント450は、第1のマーク701と第2のマーク703との間の空いたスペース702内にマークを追加することができる。
【0063】
[0076] 最適化方法650は反復的プロセスであってもよく、終了条件が満たされるまで反復的に実行されてもよい。一部の実施形態において、終了条件は、(a)費用関数651が最小化又は最大化された場合、(b)所定の繰り返し回数で方法650(例えば動作P651-P653)が実行された場合、又は(c)他のそのような条件の場合に満たされる。方法650が終了した後、制御は方法600のプロセスP603に移ることができ、プロセスP603はマーク設計424として、調節されたマーク設計424’を出力する。
【0064】
[0077] 上述の段落ではマークを設計又は最適化するために実施される実施形態について説明しているが、実施形態は、所与のマークを最適化することに加えて、或いはその代わりに、所与のマークを使用して行われる測定を監視するために実施することもできる。例えば、マークの局所的ジオメトリに基づいて所与のマークのマーク設計を再構築(例えば方法600のプロセスP603に説明されている通りに、また、マークのジオメトリ設計を最適化することなく)した後、マーク設計コンポーネント450は、センサ予測モデル475により所与のマークについてシミュレートされた光学測定に基づいて、1つ以上のKPIを生成することができる。マーク設計コンポーネント450はその後、KPIとKPIの閾値(例えば所与のマークが最適化されると思われる値)との間の差を決定することができる。この差(例えば、パーセンテージとして計算され得る)は、正確な測定値を取得するために、マークを使用して(メトロロジツールから)取得される任意の実際の測定値に適用される補正の量として決定され得る。例えば、マークを使用して取得された測定値に基づいて決定される実際のKPIがXである場合、KPIへの補正が±Y%として決定され、マーク設計コンポーネント450はその後、補正されたKPIをX±Y%として出力することができる。
【0065】
[0078]
図8は、本明細書に開示されたシステム及び方法の実施を補助することができるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102又は他の通信機構、及び情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)を含む。コンピュータシステム100は、プロセッサ104によって実行される情報及び命令を記憶するためにバス102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミックストレージデバイスなどのメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用することもできる。コンピュータシステム100は更に、プロセッサ104用の静的情報及び命令を記憶するためにバス102に結合されたリードオンリーメモリ(ROM)108又は他の静的ストレージデバイスを含む。情報及び命令を記憶するために、磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が提供され、バス102に結合される。
【0066】
[0079] コンピュータシステム100は、コンピュータのユーザに情報を表示するために、バス102を介して陰極線管(CRT)又はフラットパネル若しくはタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合することができる。情報及びコマンド選択をプロセッサ104へ通信するために、英数字及び他のキーを含む入力デバイス114が、バス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上のカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボール又はカーソル方向キーなどのカーソル制御116である。この入力デバイスは通常、第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy)という2つの軸において2つの自由度を有し、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイも入力デバイスとして使用することができる。
【0067】
[0080] 一実施形態によれば、最適化プロセスの諸部分は、メインメモリ106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上の複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって実行することができる。このような命令は、ストレージデバイス110等の別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込ませることができる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。多重処理構成の1つ以上のプロセッサも、メインメモリ106に含まれた命令のシーケンスを実行するために使用することができる。一代替実施形態において、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤ回路を使用してもよい。したがって、本明細書の記載は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいずれの特定の組合せにも限定されない。
【0068】
[0081] 本明細書で使用される「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を取ることができる。不揮発性媒体は例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス102を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)のデータ通信中に発生するような音波又は光波の形態も取ることができる。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、任意の他の光学的媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを持つ任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。
【0069】
[0082] コンピュータ可読媒体の種々の形態が、実行のためにプロセッサ104に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスク上にある可能性がある。リモートコンピュータは、命令を自らの動的メモリにロードし、モデムを使用して電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、赤外送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、該データをバス102上に配置することができる。バス102は、データをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が命令を検索し、実行する。メインメモリ106によって受信された命令は、プロセッサ104による実行の前又は後のいずれかに、任意選択的にストレージデバイス110に記憶することができる。
【0070】
[0083] コンピュータシステム100は、望ましくはバス102に結合された通信インタフェース118も含む。通信インタフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インタフェース118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するサービス総合デジタル網(ISDN)カード又はモデムであってもよい。別の例として、通信インタフェース118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクが実装されてもよい。このような実装のいずれにおいても、通信インタフェース118は、種々のタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号を送受信する。
【0071】
[0084] ネットワークリンク120は通常、1つ以上のネットワークを通して他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通して、ホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126により運営されるデータ設備への接続を提供することができる。ISP126はさらに、現在は一般に「インターネット」128と呼ばれている世界的なパケットデータ通信網を通してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128のいずれも、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号を使用する。コンピュータシステム100に対して、及びコンピュータシステム100からデジタルデータを搬送する、種々のネットワークを通る信号、及びネットワークリンク120上の、及び通信インタフェース118を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の例示的な形態である。
【0072】
[0085] コンピュータシステム100は、(複数の)ネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インタフェース118を通して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122、及び通信インタフェース118を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。そのような1つのダウンロードされたアプリケーションは、例えば実施形態の照明最適化を提供することができる。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ104によって実行されてもよく、及び/又は、後で実行するためにストレージデバイス110若しくは他の不揮発性ストレージに記憶されてもよい。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形態でアプリケーションコードを取得することができる。
【0073】
[0086] パターニングプロセスの諸部分をモデル化及び/又はシミュレートするための例示的なフローチャートが、
図9に示されている。認められるように、これらのモデルは異なるパターニングプロセスを表すことができ、以下に記載される全てのモデルを含む必要はない。ソースモデル1200は、パターニングデバイスの照明の光学的特徴(放射強度分布、帯域幅及び/又は位相分布を含む)を表す。ソースモデル1200は、開口数設定、照明シグマ(σ)設定、及び任意の特定の照明形状(例えば輪帯、四極、ダイポール等のようなオフアクシス放射形状)を含むがこれらに限定されない照明の光学的特徴を表すことができ、σ(又はシグマ)はイルミネータの外側半径範囲である。
【0074】
[0087] 投影光学系モデル1210は、投影光学系の光学的特徴(投影光学系によって放射強度分布及び/又は位相分布に生じる変化を含む)を表す。投影光学系モデル1210は、収差、ディストーション、1つ以上の屈折率、1つ以上の物理的サイズ、1つ以上の物理的寸法等を含む、投影光学系の光学的特徴を表すことができる。
【0075】
[0088] パターニングデバイス/設計レイアウトモデル1220は、設計フィーチャがパターニングデバイスのパターンにどのようにレイアウトされているかを捕捉し、例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,587,704号に記載されているような、パターニングデバイスの詳細な物理的特徴についての表現を含んでもよい。一実施形態において、パターニングデバイス/設計レイアウトモデルモジュール1220は、設計レイアウト(例えば、集積回路、メモリ、電子デバイス等のフィーチャに対応するデバイス設計レイアウト)の光学的特徴(所与の設計レイアウトによって生じる放射強度分布及び/又は位相分布への変化を含む)を表すものであり、これは、パターニングデバイス上の、又はパターニングデバイスによって形成されるフィーチャの配列の表現である。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスは変更可能であるため、パターニングデバイスの光学的特徴を、少なくとも照明及び投影光学系を含むリソグラフィ投影装置の残りの部分の光学的特徴から分離することが望ましい。シミュレーションの目的は、多くの場合、例えばエッジ配置及びCDを正確に予測することであり、これは、その後、デバイス設計と比較することができる。デバイス設計は、一般に、プレOPCパターニングデバイスレイアウトとして定義され、GDSII又はOASISのような標準化されたデジタルファイル形式で提供される。
【0076】
[0089] 空間像1230は、ソースモデル1200、投影光学系モデル1210、及びパターニングデバイス/設計レイアウトモデルモジュール1220からシミュレートすることができる。空間像(AI)は、基板レベルでの放射強度分布である。リソグラフィ投影装置の光学的特徴(例えば、照明、パターニングデバイス及び投影光学系の特性)が空間像を決定する。
【0077】
[0090] 基板上のレジスト層は、空間像によって露光され、空間像は、レジスト層に潜在的な「レジスト像」(RI)として転写される。レジスト像(RI)は、レジスト層内のレジストの溶解度の空間分布として定義することができる。レジスト像1250は、レジストモデル1240を使用して空間像1230からシミュレートすることができる。レジストモデルは、空間像からレジスト像を計算するために使用することができ、その一例は米国特許出願公開US2009-0157360に記載されており、その開示は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。レジストモデルは、典型的には、例えば、基板上に形成されるレジストフィーチャのコンターを予測するために、レジスト露光、露光後ベーク(PEB)及び現像の間に生じる化学プロセスの効果を説明するため、典型的には、レジスト層のそのような特性(例えば、露光、露光後ベーク及び現像の間に生じる化学プロセスの効果)のみに関連している。一実施形態において、レジスト層の光学特性(例えば屈折率、膜の厚み、伝搬及び偏光効果)は、投影光学系モデル1210の一部として捕捉されてもよい。
【0078】
[0091] そこで、一般に、光学モデルとレジストモデルとの間の接続は、基板上への放射の投影、レジスト界面での屈折、及びレジスト膜スタックでの多重反射から生じる、レジスト層内でのシミュレートされた空間像強度である。放射強度分布(空間像強度)は、入射エネルギーの吸収によって潜在的な「レジスト像」に変わり、拡散プロセスや種々のローディング効果によって更に修正される。フルチップへの適用のために十分に高速である効率的なシミュレーション方法は、レジストスタック内の現実的な3次元の強度分布を2次元の空間(及びレジスト)像で近似する。
【0079】
[0092] 一実施形態において、レジスト像は、パターン転写後プロセスモデルモジュール1260への入力として使用することができる。パターン転写後プロセスモデルモジュール1260は、1つ以上のレジスト現像後プロセス(例えばエッチ、現像等)の性能を定義する。
【0080】
[0093] パターニングプロセスのシミュレーションは、例えば、レジスト及び/又はエッチングされた像のコンター、CD、エッジ配置(例えばエッジ配置誤差)等を予測することができる。したがって、シミュレーションの目的は、例えば、プリントされるパターンのエッジ配置、及び/又は空間像強度勾配、及び/又はCD等を正確に予測することである。これらの値は、例えば、パターニングプロセスを補正したり、欠陥が発生すると予測される場所を特定したりするために、意図されたデザインと比較することができる。意図されたデザインは、一般に、GDSII又はOASIS又は他のファイル形式などの標準化されたデジタルファイル形式で提供され得る、プレOPC設計レイアウトとして定義される。
【0081】
[0094] このように、モデル定式化は、全てではないにしても、プロセス全体の既知の物理及び化学の大部分を記述しており、モデルパラメータの各々は、望ましくは別個の物理的又は化学的作用に対応している。このように、モデル定式化は、製造プロセス全体をシミュレートするためにモデルがどの程度適切に使用できるかについての上限を設定する。
【0082】
[0095] 本明細書に開示する概念は、シリコンウェーハ等の基板上の結像のために使用され得るが、開示した概念は、任意のタイプのリソグラフィ結像システム(例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用されるもの)に使用され得ることが理解されるものとする。
【0083】
[0096] 本明細書で使用される「最適化する」及び「最適化」という用語は、成果物及び/又はプロセスが、基板への設計パターンのより正確な投影、より大きなプロセスウィンドウ等のような、より望ましい特徴を有するように、パターニング装置(例えばリソグラフィ装置)、パターニングプロセス等を調節することを指すか又は意味する。したがって、本明細書で使用される「最適化する」及び「最適化」という用語は、少なくとも1つの関連するメトリックにおいて、1つ以上のパラメータの1つ以上の値の初期セットと比べて、改善(例えば局所最適)をもたらす、その1つ以上のパラメータの1つ以上の値を特定するプロセスを指すか又は意味する。「最適」及び他の関連する用語は、これに応じて解釈されるべきである。一実施形態において、最適化ステップを反復的に適用して、1つ以上のメトリクスにおいて更なる改善をもたらすことができる。
【0084】
[0097] 本発明の態様は、任意の便利な形式で実施することができる。例えば、実施形態は、有形のキャリア媒体(例えばディスク)又は無形のキャリア媒体(例えば通信信号)であり得る適切なキャリア媒体で運ぶことができる、1つ以上の適切なコンピュータプログラムによって実施することができる。本発明の実施形態は、特に、本明細書に記載するような方法を実施するように配置されたコンピュータプログラムを実行するプログラマブルコンピュータの形態を取り得る、適切な装置を使用して実施することができる。したがって、本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実施することができる。本開示の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行することができる、機械可読媒体上に記憶された命令として実施することもできる。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含み得る。例えば、機械可読媒体には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号等)及び他のものが含まれることがある。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定の動作を行うものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのような動作は実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じることを理解されたい。
【0085】
[0098] 本開示の実施形態は、以下の条項によって更に説明することができる。
1.命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令は、コンピュータによって実行されると、リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のための方法をコンピュータに行わせ、方法は、
マーク構築物を取得することと、
マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、
マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、を含む、コンピュータ可読媒体。
2.ジオメトリ設計は、マークの周囲パターンに基づいて更に決定される、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
3.ジオメトリ設計を決定することは、マークの個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブサグメント化のうちの少なくとも1つを決定することを含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
4.ジオメトリ設計を決定することは、基板上にプリントされるターゲット設計内のマークの空間的位置を決定することを含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
5.ジオメトリ設計を決定することは、予測された測定性能に基づいて、ジオメトリ設計を反復的に調節することを含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
6.各反復は、
(i)費用関数を算出することと、
(ii)費用関数が指定された条件を満たすかどうかを決定することと、
(iii)費用関数が指定された条件を満たさないという決定に基づいて、ジオメトリ設計を調節することと、を含む、条項5に記載のコンピュータ可読媒体。
7.ジオメトリ設計を反復的に調節することは、マークの個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ若しくはサブサグメント化のうちの少なくとも1つを調節すること、又はマークの空間的位置を調節することを含む、条項5に記載のコンピュータ可読媒体。
8.ジオメトリ設計を調節することは、マークを取り囲む1つ以上のパターンを追加又は調節することを含む、条項5に記載のコンピュータ可読媒体。
9.費用関数は、マークの光学測定性能を表す1つ以上の性能指標を含む、条項5に記載のコンピュータ可読媒体。
10.費用関数を算出することは、
マークのジオメトリ設計を第1のシミュレーションモデルに入力することであって、第1のシミュレーションモデルは、基板上にプリントされるパターンを測定するように構成された測定ツールからマークを使用して取得される光学測定パラメータをシミュレートするように構成されている、ことと、
第1のシミュレーションモデルを実行して、光学測定パラメータを取得することと、
光学測定パラメータに基づいて費用関数を算出することと、を含む、条項5に記載のコンピュータ可読媒体。
11.マークの空間的位置に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することを更に含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
12.マーク構築物は、複数のパターンを含み、各パターンは、個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブサグメント化によって特徴付けられる、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
13.マーク構築物を取得することは、
リソグラフィプロセスを使用して基板上にプリントされるターゲット設計レイアウトに対応する設計の3次元(3D)表現を生成するように構成された第2のシミュレーションモデルに対し、リソグラフィプロセスのターゲット設計レイアウト及び設計レイアウト変数を入力することと、
第2のシミュレーションモデルを実行して、シミュレーション結果を取得することであって、シミュレーション結果は、設計の3D表現を含む、ことと、を含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
14.幾何学的パラメータの空間的変動を取得することは、
ターゲット設計レイアウトにおいて、マークを有するグリッドを識別することであって、グリッドのサイズは、マークのサイズよりも大きい、ことと、
シミュレーション結果から、グリッド上の幾何学的パラメータの空間的変動を取得することと、を含む、条項13に記載のコンピュータ可読媒体。
15.空間的変動を取得することは、グリッドを補間して、マークの個々のパターンの各々について幾何学的パラメータの空間的変動を取得することを含む、条項14に記載のコンピュータ可読媒体。
16.ジオメトリ設計を決定することは、シミュレーションモデルを使用して、幾何学的パラメータの空間的変動及びマーク設計レイアウトに基づいて、マークの個々のパターンを再構築することを含む、条項14に記載のコンピュータ可読媒体。
17.個々のパターンは、マークの周囲パターンの特徴に基づいて更に再構築される、条項16に記載のコンピュータ可読媒体。
18.幾何学的パラメータの空間的変動は、測定データ、経験データ、実験的又はデータのうちの少なくとも1つを使用して取得される、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
19.幾何学的パラメータは、層の厚み、化学機械研磨ディッシング高さ、エッチ側壁角度、リソエッチクリティカルディメンジョンバイアス、又はエッチ傾斜のうちの少なくとも1つを含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
20.幾何学的パラメータは、個々のパターン内で変動する、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
21.第1のシミュレーションモデルを使用して、マークの測定性能を取得することと、
測定ツールを使用した測定を行って、測定信号を取得することであって、測定信号は、マークを使用して取得される光学測定パラメータのセットを含む、ことと、
測定性能に基づいて、測定信号を調節することと、を更に含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
22.マークは、メトロロジマーク、オーバーレイマーク、又はアライメントマークのうちの少なくとも1つを含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
23.マークに基づいてマスクパターンを生成することであって、マスクパターンは、基板上にプリントされるターゲット設計レイアウトに対応するパターンを含む、ことを更に含む、条項1に記載のコンピュータ可読媒体。
24.マスクパターンを使用したパターニングステップを行って、リソグラフィプロセスを介して基板上にパターンをプリントすることを更に含む、条項23に記載のコンピュータ可読媒体。
25.リソグラフィ装置におけるリソグラフィプロセスを使用した基板上のパターンの結像に使用するマーク設計のためのコンピュータ実施方法であって、
マーク構築物を取得することと、
マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、
マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することと、を含む、方法。
26.ジオメトリ設計は、マークの周囲パターンに基づいて更に決定される、条項25に記載の方法。
27.ジオメトリ設計を決定することは、マークの個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブサグメント化のうちの少なくとも1つを決定することを含む、条項25に記載の方法。
28.ジオメトリ設計を決定することは、基板上にプリントされるターゲット設計内のマークの空間的位置を決定することを含む、条項25に記載の方法。
29.ジオメトリ設計を決定することは、予測された測定性能に基づいて、ジオメトリ設計を反復的に調節することを含む、条項25に記載の方法。
30.各反復は、
(iv)費用関数を算出することと、
(v)費用関数が指定された条件を満たすかどうかを決定することと、
(vi)費用関数が指定された条件を満たさないという決定に基づいて、ジオメトリ設計を調節することと、を含む、条項29に記載の方法。
31.ジオメトリ設計を反復的に調節することは、マークの個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ若しくはサブサグメント化うちの少なくとも1つを調節すること、又はマークの空間的位置を調節することを含む、条項29に記載の方法。
32.ジオメトリ設計を調節することは、マークを取り囲む1つ以上のパターンを追加又は調節することを含む、条項29に記載の方法。
33.費用関数は、マークの光学測定性能を表す1つ以上の性能指標を含む、条項29に記載の方法。
34.費用関数を算出することは、
マークのジオメトリ設計を第1のシミュレーションモデルに入力することであって、第1のシミュレーションモデルは、基板上にプリントされるパターンを測定するように構成された測定ツールからマークを使用して取得される光学測定パラメータをシミュレートするように構成されている、ことと、
第1のシミュレーションモデルを実行して、光学測定パラメータを取得することと、
光学測定パラメータに基づいて、費用関数を算出することと、を含む、条項29に記載の方法。
35.マークの空間的位置に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することを更に含む、条項25に記載の方法。
36.マーク構築物は、複数のパターンを含み、各パターンは、個々のパターンのクリティカルディメンジョン、ピッチ又はサブサグメント化によって特徴付けられる、条項25に記載の方法。
37.マーク構築物を取得することは、
リソグラフィプロセスを使用して基板上にプリントされるターゲット設計レイアウトに対応する設計の3次元(3D)表現を生成するように構成された第2のシミュレーションモデルに対し、リソグラフィプロセスのターゲット設計レイアウト及び設計レイアウト変数を入力することと、
第2のシミュレーションモデルを実行して、シミュレーション結果を取得することであって、シミュレーション結果は、設計の3D表現を含む、ことと、を含む、条項25に記載の方法。
38.幾何学的パラメータの空間的変動を取得することは、
ターゲット設計レイアウトにおいて、マークを有するグリッドを識別することであって、グリッドのサイズは、マークのサイズよりも大きい、ことと、
シミュレーション結果から、グリッド上の幾何学的パラメータの空間的変動を取得することと、を含む、条項37に記載の方法。
39.空間的変動を取得することは、グリッドを補間して、マークの個々のパターンの各々について幾何学的パラメータの空間的変動を取得することを含む、条項38に記載の方法。
40.ジオメトリ設計を決定することは、シミュレーションモデルを使用して、幾何学的パラメータの空間的変動及びマーク設計レイアウトに基づいて、マークの個々のパターンを再構築することを含む、条項38に記載の方法。
41.個々のパターンは、マークの周囲パターンの特徴に基づいて更に再構築される、条項40に記載の方法。
42.幾何学的パラメータの空間的変動は、測定データ、経験データ、実験的又はデータのうちの少なくとも1つを使用して取得される、条項25に記載の方法。
43.幾何学的パラメータは、層の厚み、化学機械研磨ディッシング高さ、エッチ側壁角度、リソエッチクリティカルディメンジョンバイアス、又はエッチフロア傾斜のうちの少なくとも1つを含む、条項25に記載の方法。
44.幾何学的パラメータは、個々のパターン内で変動する、条項25に記載の方法。
45.第1のシミュレーションモデルを使用して、マークの測定性能を取得することと、
測定ツールを使用した測定を行って、測定信号を取得することであって、測定信号は、マークを使用して取得される光学測定パラメータのセットを含む、ことと、
測定性能に基づいて、測定信号を調節することと、を更に含む、条項25に記載の方法。
46.マークは、メトロロジマーク、オーバーレイマーク、又はアライメントマークのうちの少なくとも1つを含む、条項25に記載の方法。
47.マークに基づいてマスクパターンを生成することであって、マスクパターンは、基板上にプリントされるターゲット設計レイアウトに対応するパターンを含む、ことを更に含む、条項25に記載の方法。
48.マスクパターンを使用したパターニングステップを行って、リソグラフィプロセスを介して基板上にパターンをプリントすることを更に含む、条項47に記載の方法。
49.リソグラフィ装置のスキャン動作中のマスク上のフィーチャの基板に対する結像を改善するための装置であって、
命令のセットを記憶したメモリと、
命令のセットを実行して、装置に方法を行わせるように構成されたプロセッサと、を備え、方法は、
マーク構築物を取得することと、
マーク構築物に関連付けられた幾何学的パラメータの空間的変動を取得することであって、空間的変動は、リソグラフィプロセスに関連付けられている、ことと、
マークの空間的変動に基づいて、マークの個々のパターンのジオメトリ設計を決定することからなる、装置。
【0086】
[0099] ブロック図では、図示した構成要素は別々の機能ブロックとして描かれているが、実施形態は、本明細書で説明する機能が図示したように構成されるシステムに限定されない。構成要素の各々によって提供される機能は、現在図示されているものとは異なる態様で構成されたソフトウェア又はハードウェアモジュールによって提供される場合があり、例えば、そのようなソフトウェア又はハードウェアは、混在するか、結合するか、複製されるか、分割されるか、分散されるか(例えば、データセンター内部で若しくは地理的に)、又は他の態様で異なって構成される場合がある。本明細書で説明する機能は、有形の非一時的な機械可読媒体に記憶されたコードを実行する、1つ以上のコンピュータの1つ以上のプロセッサによって提供され得る。場合によっては、第三者のコンテンツ配信ネットワークが、ネットワーク越しに伝達される情報の一部又は全部をホストする場合があり、この場合、情報(例えばコンテンツ)が供給されるか又は提供されると言われる範囲で、情報は、命令を送信してその情報をコンテンツ配信ネットワークから取得することによって、提供され得る。
【0087】
[0100] 特に断りのない限り、考察から明らかなように、本明細書全体を通じて、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」などの用語、又は同様の用語を利用した考察は、特殊用途コンピュータ又は類似の特殊用途電子処理/計算デバイスなどの、特定の装置の動作又はプロセスを指すことが理解されよう。
【0088】
[0101] 読者は、本出願がいくつかの発明について記載していることを理解すべきである。それらの発明を複数の独立した特許出願に分離するのではなく、それらの発明を単一の文書にまとめているのは、それらの関連する主題が、出願プロセスの経済性にかなうからである。しかし、そのような発明の独特の利点及び態様を混同するべきではない。場合によっては、実施形態が本明細書に記述された欠点の全てに対処するが、本発明は独立して有用であり、いくつかの実施形態は、そのような問題のサブセットにのみ対処するか、又は、本開示を検討する当業者には明らかである、言及されていない他の利点を提供することを理解されたい。費用上の制約により、本明細書で開示するいくつかの発明は、ここでは特許請求されていないことがあり、例えば継続出願などの後日の出願で、又は本特許請求を補正することによって特許請求される場合がある。同様に、スペース上の制約により、本文書の要約又は発明の概要欄のいずれも、そのような発明の全て又はそのような発明の全ての態様の、包括的な列挙を含むものとして解釈されるべきではない。
【0089】
[0102] 説明及び図面は、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図したものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正形態、均等物及び代替形態をカバーするものであることを理解されたい。
【0090】
[0103] 本発明の種々の態様の修正形態及び代替の実施形態は、本説明に照らして当業者には明らかになるであろう。したがって、本説明及び図面は、例示にすぎないと解釈されるべきであり、本発明を実行するための一般的な方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書で図示し、説明した本発明の形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることを理解されたい。当業者には、本明細書の恩恵を受けた後では全て明らかであるように、要素及び材料は、本明細書で図示し説明したもので置き換えてもよく、部分及びプロセスは逆にしても又は省略してもよく、特定の特徴を独立して利用してもよく、実施形態又は実施形態の特徴を組み合わせてもよい。以下の特許請求の範囲に記載するような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した要素に変更を加えることができる。本明細書で使用する見出しは、系統立てる目的にのみ供され、説明の範囲を限定するために使用されるものではない。
【0091】
[0104] 本出願全体を通して使用する場合、「~し得る(may)」という語は、必須の意味(すなわち、~しなければならないという意味)ではなく、許容の意味(すなわち、可能性があるという意味)で使用される。「含む(include)」、「含んでいる(including)」及び「含む(includes)」等の語は、含んでいるが、限定はされないことを意味する。本出願全体を通して使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に断りのない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある(an)」要素又は「1つの(a)」要素への言及は、「1つ以上の」のような、1つ以上の要素について他の用語又は語句を使用するにもかかわらず、2つ以上の要素の組み合わせを含む。本明細書で使用する場合、特に断りのない限り、「又は」という用語は、実現不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含む場合があると記載されている場合、特に断りのない限り又は実現不可能でない限り、その構成要素はA、又はB、又はA及びBを含む場合がある。第2の例として、構成要素がA、B、又はCを含む場合があると記載されている場合、特に断りのない限り又は実現不可能でない限り、その構成要素はA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含む場合がある。
【0092】
[0105] 例えば、「Xに応答して、Y」、「Xに際して、Y」、「もしXであれば、Y」、「Xの時にY」、及びこれらに類似するもののような、条件関係を表す用語は、先行詞が必要な因果条件であり、先行詞が十分な因果条件であり、又は先行詞が結果の一因となる因果条件である(例えば、「条件Yの獲得に際して、状態Xが生じる」は、「Yに際してのみXが生じる」及び「Xが、Y及びZに際して生じる」を包括する)因果関係を包含する。このような条件関係は、一部の結果が遅延され得ることから、先行詞の後にすぐさま続く獲得する結果に限定されず、条件文において、先行詞はそれらの結果に関係があり、例えば、先行詞は、結果が生じる可能性に関係する。複数の属性又は機能が複数の対象に対応付けられる文(例えば、1つ又は複数のプロセッサが、ステップA、B、C、及びDを行う)は、別段の指示がない限り、全てのそのような属性又は機能が、全てのそのような対象に対応付けられること、及び属性又は機能のサブセットが、属性又は機能のサブセットに対応付けられることの両方(例えば、全プロセッサのそれぞれが、ステップA~Dを行うこと、及びプロセッサ1がステップAを行い、プロセッサ2がステップB及びステップCの一部を行い、及びプロセッサ3がステップCの一部及びステップDを行うケースの両方)を包含する。更に、別段の指示がない限り、1つの値又は動作が別の条件又は値に「基づく」という文は、その条件又は値が、唯一の因子である場合、及びその条件又は値が、複数の因子の中の1つの因子である場合の両方を包含する。別段の指示のない限り、何らかの集団の「各々の」例が、何らかの特性を有するという文は、より大きな集団の他の点では同一又は類似のメンバーがその特性を持たないケースを排除すると解釈されるべきではなく、すなわち、「各々」は、必ずしも「ありとあらゆる」を意味しない。ある範囲からの選択についての言及は、その範囲の端点を含む。
【0093】
[0106] 上記の説明では、フローチャートの任意のプロセス、説明又はブロックは、プロセス中の特定の論理機能又はステップを実施するための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すものとして理解されるべきであり、当業者には理解されるように、代替的な実装形態は、本進展の例示的な実施形態の範囲内に含まれ、この中では、機能は、関係する機能に応じて、実質的に同時に又は逆の順序を含めて、図示又は考察したものとは違う順序で実行される可能性がある。
【0094】
[0107] 特定の米国特許、米国特許出願、又は他の資料(例えば論文)が参照によって組み込まれる範囲では、そのような米国特許、米国特許出願、及び他の資料の文章は、そのような資料と本明細書に記載した記述及び図面との間に矛盾が生じない範囲でのみ、参照によって組み込まれる。そのような矛盾が生じる場合、そのような参照によって組み込まれた米国特許、米国特許出願、及び他の資料中のそのような矛盾する文章は、特に、参照によって本明細書には組み込まれない。
【0095】
[0108] 特定の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は単なる例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際、本明細書で説明した新規の方法、装置及びシステムは、種々の他の形態で具現化することができる。更に、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明した方法、装置及びシステムの形態において種々の省略、置き換え及び変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び趣旨の中に含まれるものとして、そのような形態又は修正形態を網羅することが意図されている。
【国際調査報告】