(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】イオン注入用の静電クランププラテンを有する回転ディスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/265 20060101AFI20241128BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20241128BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/265 603D
H01L21/265 T
H01J37/20 A
H01J37/317 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533852
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022050418
(87)【国際公開番号】W WO2023107264
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, フランク
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー, ウィリアム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】パリージ, ニック
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101FF02
5C101FF09
5C101FF16
5C101FF45
5C101FF49
5C101FF52
5C101FF56
5C101FF58
5C101FF59
5C101GG15
5C101GG22
(57)【要約】
回転ディスクを備えるシステムが開示される。該システムは、高エネルギー注入システムなどの半導体処理システムを含む。半導体処理システムは、スポットイオンビームを生成する。該スポットイオンビームは、回転ディスク上に配置された複数のワークピースに向けられる。回転ディスクは、複数のプラテンを有する回転中央ハブを備える。複数のプラテンは、中央ハブから外向きに延在してよく、ワークピースは、プラテンに静電クランプされる。複数のプラテンは回転することもできる。中央ハブはまた、中央ハブの回転軸に直交する軸の周りでのプラテンの各々の回転も制御する。このやり方では、可変角度の注入が実行され得る。更に、これは、ワークピースが水平配向にある間に、ワークピースが取り付けられることを可能にする。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークピースを処理するための回転ディスクであって、
中心軸の周りで回転するように適合された中央ハブ、
前記中央ハブから外向きに放射状に延在する複数のスポークであって、前記複数のスポークの各々は、前記中央ハブから放射状に延在するそれぞれの軸の周りで回転するように適合されている、複数のスポーク、
前記複数のスポークの各々の遠位端に配置されたプラテンであって、各プラテンは、複数の電極を備え、それぞれのワークピースを静電クランプするように構成されている、プラテン、及び
前記中央ハブ内に配置された複数の回転モータであって、各回転モータは、前記複数のスポークのうちのそれぞれの1つに通じており、前記複数のスポークのうちの前記それぞれの1つを回転させるように構成されている、複数の回転モータを備える、回転ディスク。
【請求項2】
各回転モータは、-90度と90度の間の角度で、前記複数のスポークのうちの前記それぞれの1つを回転させる、請求項1に記載の回転ディスク。
【請求項3】
各回転モータは、180度までの角度で、前記複数のスポークのうちの前記それぞれの1つを回転させる、請求項1に記載の回転ディスク。
【請求項4】
イオンビームの特性を測定するために、前記プラテンのうちの少なくとも1つの裏面に配置されたセンサを更に備える、請求項1に記載の回転ディスク。
【請求項5】
前記センサは、孔のアレイを含む、請求項4に記載の回転ディスク。
【請求項6】
前記センサは、スロットを含む、請求項4に記載の回転ディスク。
【請求項7】
イオンを生成するためのイオン源、
前記イオンを加速してスポットビームを生成するための加速器、及び
請求項1に記載の回転ディスクを備える、イオン注入システム。
【請求項8】
前記回転ディスクは、前記中心軸に垂直な方向へ平行移動するように構成され、2次元の機械的スキャンをもたらす、請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
前記中央ハブは、構造体に回転可能に取り付けられ、前記構造体は、前記中心軸に垂直な方向へ直線的に平行移動する、請求項8に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
前記中央ハブは、旋回アームに回転可能に取り付けられ、前記旋回アームは、前記回転ディスクを前記中心軸に垂直な方向へ平行移動させるように回転する、請求項8に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
複数のワークピースを処理するための回転ディスクであって、
中心軸の周りで回転するように適合された中央ハブ、
前記中央ハブ内に配置されたハブコントローラ、
前記中央ハブから外向きに放射状に延在する複数のスポークであって、複数のスポークの各々は、前記中央ハブから放射状に延在するそれぞれの軸の周りで回転するように適合されている、複数のスポーク、
前記複数のスポークの各々の遠位端に配置され、それぞれのワークピースを静電クランプするように構成されたプラテン、及び
前記中央ハブ内に配置された複数の回転モータであって、各回転モータは、前記複数のスポークのうちのそれぞれの1つに通じており、前記複数のスポークのうちの前記それぞれの1つを回転させるように構成されている、複数の回転モータを備える、回転ディスク。
【請求項12】
前記ハブコントローラは、プラテンにワークピースを取り付けるためのシーケンスを実行するように構成され、前記ワークピースを取り付けるための前記シーケンスは、
前記ワークピースが前記プラテンの前面に配置されることを可能にするべく前記前面が水平となるように、前記プラテンを回転させるために前記複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及び
前記ワークピースが前記前面に配置された後で、前記プラテンの静電クランプを有効にすることを含む、請求項11に記載の回転ディスク。
【請求項13】
前記プラテンのうちの1以上への裏面ガスの流量を調節するためのバルブを備える、請求項12に記載の回転ディスク。
【請求項14】
前記ワークピースを取り付けるための前記シーケンスは、
前記ワークピースが静電クランプされた後で、前記裏面ガスの流れを可能にすることを更に含む、請求項13に記載の回転ディスク。
【請求項15】
前記ワークピースを取り付けるための前記シーケンスは、
前記ワークピースが静電クランプされた後で、前記プラテンの前記前面が所望の注入角度になるように、前記プラテンを回転させるために前記複数の回転モータのうちの1つを作動させることを更に含む、請求項14に記載の回転ディスク。
【請求項16】
前記ハブコントローラは、プラテンからワークピースを取り外すためのシーケンスを実行するように構成され、前記シーケンスは、
前記ワークピースが前記プラテンの前面から取り外されることを可能にするべく前記前面が水平となるように、前記プラテンを回転させるために前記複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及び
前記プラテンが水平姿勢に回転された後で、前記プラテンの静電クランプを無効にすることを含む、請求項11に記載の回転ディスク。
【請求項17】
前記プラテンのうちの1以上への裏面ガスの流量を調節するためのバルブを備える、請求項16に記載の回転ディスク。
【請求項18】
前記ワークピースを取り外すための前記シーケンスは、
前記静電クランプが無効にされる前に、前記裏面ガスの流れを停止させることを更に含む、請求項17に記載の回転ディスク。
【請求項19】
前記プラテンのうちの少なくとも1つの裏面に配置されたセンサを更に備え、前記ハブコントローラは、入射イオンビームの特性を測定するためのシーケンスを実行するように構成され、前記シーケンスは、
前記入射イオンビームが前記センサに衝突するように、前記プラテンの前記裏面が前記入射イオンビームに曝露されるように、前記プラテンを回転させるために前記複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及び
前記センサからの出力を受信することを含み、前記出力は、前記入射イオンビームの特性を示す、請求項11に記載の回転ディスク。
【請求項20】
前記プラテンのうちの1以上に配置された温度センサを備え、前記ハブコントローラは、前記プラテンの温度をモニタする、請求項11に記載の回転ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月10日に出願された米国特許出願第17/547,623号の優先権を主張し、該米国特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、回転ディスクを使用して、ワークピースを保持し、取り扱い、及び処理するためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
高エネルギー注入システムは、深い注入領域を有する半導体デバイスを作製するために使用される。ある特定の種類のデバイスは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)と呼ばれる。IGBTは、バイポーラトランジスタとMOSFETの概念を組み合わせて、改良されたパワーデバイスを実現する。エミッタとゲートはデバイスの一方の側面に配置され、コレクタはデバイスの反対側の第2の側面に配置される。エミッタは、エミッタの直下に配置された高濃度のp型ドープされた領域に通じている。高濃度のp型ドープされた領域の両側には、高濃度のn型ドープされた領域があり、該n型ドープされた領域の各々はゲートに通じている。高濃度のp型ドープされた領域の下には、低濃度のp型ドープされた領域がある。デバイスの反対側には、第2の高濃度のp型ドープされた領域があり、該領域はコレクタに通じている。最後に、第2の高濃度のp型ドープされた領域と低濃度のp型ドープされた領域との間には、低濃度のn型ドープされたドリフト層がある。
【0004】
従来のIGBTデバイスでは、低濃度のn型ドープされたドリフト層の厚さが、電界を維持する必要性に基づいて決定される。これらのデバイスの定格電力が増加するにつれて、デバイスの全体的な厚さも増加する。
【0005】
高エネルギー注入を使用して、これらのデバイスを作製することができる。しかし、これらのデバイスの1つの欠点は、角度の広がりであり得る。従来、これらの注入システムでは、スポットビームが生成される。次いで、該スポットビームは、静電的にスキャンされて、ワークピースに衝突するリボンイオンビームを生成する。しかし、角度の広がりの不均一性は、静電スキャナーによって悪化する可能性がある。
【0006】
したがって、現在の技術の欠点なしに高エネルギー注入を実行することができる半導体処理システムが存在すれば有益であろう。特に、静電クランプされたワークピースのバッチに高エネルギー注入を実行するシステムが存在すれば有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
回転ディスクを備えるシステムが開示される。該システムは、高エネルギー注入システムなどの半導体処理システムを含む。半導体処理システムは、スポットイオンビームを生成する。該スポットイオンビームは、回転ディスク上に配置された複数のワークピースに向けられる。回転ディスクは、複数のプラテンを有する回転中央ハブを備える。複数のプラテンは、中央ハブから外向きに延在してよく、ワークピースは、プラテンに静電クランプされる。複数のプラテンは回転することもできる。中央ハブはまた、中央ハブの回転軸に直交する軸の周りでのプラテンの各々の回転も制御する。このやり方では、可変角度の注入が実行され得る。更に、これは、ワークピースが水平配向にある間に、ワークピースが取り付けられることを可能にする。
【0008】
一実施形態によれば、複数のワークピースを処理するための回転ディスクが開示される。回転ディスクは、中心軸の周りで回転するように適合された中央ハブ、中央ハブから外向きに放射状に延在する複数のスポークであって、複数のスポークの各々は、中央ハブから放射状に延在するそれぞれの軸の周りで回転するように適合されている、複数のスポーク、複数のスポークの各々の遠位端に配置されたプラテンであって、各プラテンは、複数の電極を備え、それぞれのワークピースを静電クランプするように構成されている、プラテン、及び、中央ハブ内に配置された複数の回転モータであって、各回転モータは、複数のスポークのうちのそれぞれの1つに通じており、複数のスポークのうちのそれぞれの1つを回転させるように構成されている、複数の回転モータを備える。特定の複数の実施形態では、各回転モータが、-90度と90度の間の角度で、複数のスポークのうちのそれぞれの1つを回転させる。幾つかの実施形態では、各回転モータが、180度までの角度で、複数のスポークのうちのそれぞれの1つを回転させる。幾つかの実施形態では、回転ディスクが、イオンビームの特性を測定するために、プラテンのうちの少なくとも1つの裏面に配置されたセンサを備える。幾つかの実施形態では、センサが孔のアレイを含む。幾つかの実施形態では、センサがスロットを含む。
【0009】
別の一実施形態によれば、イオン注入システムが開示される。該システムは、イオンを生成するためのイオン源、イオンを加速してスポットビームを生成するための加速器、及び上述の回転ディスクを備える。幾つかの実施形態では、回転ディスクが、中心軸に垂直な方向へ平行移動するように構成され、2次元の機械的スキャンをもたらす。幾つかの実施形態では、中央ハブが、構造体に回転可能に取り付けられる。その場合、構造体は、中心軸に垂直な方向へ直線的に平行移動する。幾つかの実施形態では、中央ハブが、旋回アームに回転可能に取り付けられる。その場合、旋回アームは、回転ディスクを中心軸に垂直な方向へ平行移動させるように回転する。
【0010】
別の一実施形態によれば、複数のワークピースを処理するための回転ディスクが開示される。回転ディスクは、中心軸の周りで回転するように適合された中央ハブ、中央ハブ内に配置されたハブコントローラ、中央ハブから外向きに放射状に延在する複数のスポークであって、複数のスポークの各々は、中央ハブから放射状に延在するそれぞれの軸の周りで回転するように適合されている、複数のスポーク、複数のスポークの各々の遠位端に配置され、それぞれのワークピースを静電クランプするように構成されたプラテン、及び、中央ハブ内に配置された複数の回転モータであって、各回転モータは、複数のスポークのうちのそれぞれの1つに通じており、複数のスポークのうちのそれぞれの1つを回転させるように構成されている、複数の回転モータを備える。幾つかの実施形態では、ハブコントローラが、プラテンにワークピースを取り付けるためのシーケンスを実行するように構成され、ワークピースを取り付けるためのシーケンスは、ワークピースがプラテンの前面に配置されることを可能にするべく前面が水平となるように、プラテンを回転させるために複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及び、ワークピースが前面に配置された後で、プラテンの静電クランプを有効にすることを含む。幾つかの実施形態では、回転ディスクが、プラテンのうちの1以上への裏面ガスの流量を調節するためのバルブを備える。幾つかの実施形態では、ワークピースを取り付けるためのシーケンスが、ワークピースが静電クランプされた後で、裏面ガスの流れを可能にすることを更に含む。幾つかの実施形態では、ワークピースを取り付けるためのシーケンスが、ワークピースが静電クランプされた後で、プラテンの前面が所望の注入角度になるように、プラテンを回転させるために複数の回転モータのうちの1つを作動させることを更に含む。幾つかの実施形態では、ハブコントローラが、プラテンからワークピースを取り外すためのシーケンスを実行するように構成され、該シーケンスは、ワークピースがプラテンの前面から取り外されることを可能にするべく前面が水平となるように、プラテンを回転させるために複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及び、プラテンが水平姿勢に回転された後で、プラテンの静電クランプを無効にすることを含む。幾つかの実施形態では、回転ディスクが、プラテンのうちの1以上への裏面ガスの流量を調節するためのバルブを備える。幾つかの実施形態では、ワークピースを取り外すためのシーケンスが、静電クランプが無効にされる前に、裏面ガスの流れを停止させることを更に含む。特定の複数の実施形態では、回転ディスクが、プラテンのうちの少なくとも1つの裏面に配置されたセンサを備える。その場合、ハブコントローラは、入射イオンビームの特性を測定するためのシーケンスを実行するように構成される。該シーケンスは、入射イオンビームがセンサに衝突するように、プラテンの裏面が入射イオンビームに曝露されるように、プラテンを回転させるために複数の回転モータのうちの1つを作動させること、及びセンサからの出力を受信することを含む。その場合、該出力は、入射イオンビームの特性を示す。特定の複数の実施形態では、回転ディスクが、プラテンのうちの1以上に配置された温度センサを備える。その場合、ハブコントローラは、プラテンの温度をモニタする。
【0011】
本開示のより良い理解のために、添付の図面が参照され、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】一実施形態に従って利用され得る半導体処理装置を示す。
【
図1B】第2の実施形態に従って利用され得る半導体処理装置を示す。
【
図3】回転ディスクの構成要素のブロック図を示す。
【
図4A】プラテンが45度の角度に回転された
図2Aの回転ディスクを示す。
【
図4B】プラテンが90度の角度に回転された
図2Aの回転ディスクを示す。
【
図5】一実施形態による回転ディスク上のワークピースを取り付け及び取り外すためのシーケンスを示す。
【
図6】プラテンうちの1つが180の角度に回転された
図2Aの回転ディスクを示す。
【
図7】プラテンが180度の角度に回転されたときに視認可能な、プラテンの裏面に配置されたセンサを示す。
【
図9A】
図9A~
図9Bは、2つの実施形態による回転ディスクとスポットイオンビームとの間の関係を示す。
【
図9B】
図9A~
図9Bは、2つの実施形態による回転ディスクとスポットイオンビームとの間の関係を示す。
【
図10】中央ハブ内の流体接続のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、高エネルギーと低角度広がりとを有するイオンを注入するための、半導体処理システムと組み合わされた回転ディスクの使用を説明する。回転ディスクと共に使用され得る様々な半導体処理システムが存在する。
【0014】
図1Aで示されているように、半導体処理システムは、イオンビームを生成するために使用されるイオン源100を備える。一実施形態では、正イオンビーム101が、バーナス(Bernas)又は間接加熱カソード(IHC)イオン源を使用するなど、従来のやり方で生成され得る。無論、他の種類のイオン源も採用され得る。供給ガスがイオン源100に供給され、次いで、イオン源100が通電されてイオンが生成される。特定の複数の実施形態では、供給ガスが、水素、ホウ素、リン、ヒ素、ヘリウム、又は他の適切な種であってよい。次いで、抽出光学素子を使用して、これらのイオンをイオン源100から抽出する。
【0015】
イオン源100を出た正イオンビーム101は、Mg電荷交換セル110に結合され得る。Mg電荷交換セル110は、正イオンビーム101を負イオンビーム111に変換する。無論、負イオンビームの生成のための他の機構が、当該技術分野で知られている。負イオンビームを生成するために使用される機構は、本開示によって限定されるものではない。
【0016】
負イオンビーム111は、質量分析器120に向けられ得る。質量分析器120は、特定のイオン種のみを通過させ得る。質量分析器120を出る負イオンは、タンデム加速器130に向けられる。
【0017】
タンデム加速器130は2つの経路を有する。2つの経路は、ストリッパー管133によって分離されている。入力経路131は、複数の入力電極を備える。これらの入力電極は、チタン又は他の金属などの、任意の適切な導電性材料であってよい。最も外側の入力電極は、接地されていてもよい。後続の入力電極の各々は、ストリッパー管133に近づくにつれて、ますます正の電圧でバイアスされ得る。
【0018】
入力経路131は、ストリッパー管133に繋がっている。ストリッパー管133は、最も外側の入力電極に対して正にバイアスされている。ストリッパー管133は、ストリッパーガスが注入される注入導管を含む。ストリッパーガスは中性分子を含み得る。これらの中性分子は、アルゴンや窒素などの任意の適切な種であってよいが、これらに限定されるものではない。ストリッパー管133は、入力経路131と同じ側に配置された入口を有する。ストリッパー管133の出口は、出力経路132に通じている。
【0019】
言い換えると、ストリッパー管133は、入力経路131を通して負イオンビーム111を引き寄せるように、正にバイアスされている。ストリッパー管133は、入って来るイオンから電子を除去し、それらのイオンを負イオンから正イオンに変換する。
【0020】
ストリッパー管133は、出力経路132内の電極よりも正である。後続の各出力電極は、ストリッパー管133から遠ざかるにつれて、正のバイアスが小さくなり得る。例えば、最も外側の出力電極は、接地されていてもよい。したがって、ストリッパー管133内の正イオンは、出力経路132を通して加速される。
【0021】
このやり方では、イオンが2回加速される。先ず、負イオンは、入力経路131を通してストリッパー管133へ加速される。この加速は、最も外側の入力電極の電圧とストリッパー管133の電圧との間の差に基づく。次に、正イオンは、出力経路132を通して加速される。この加速は、ストリッパー管133の電圧と出力経路132内の最も外側の出力電極の電圧との間の差に基づく。
【0022】
加速器電源134を使用して、ストリッパー管133、ならびに入力経路131内の電極と出力経路132内の電極とに、電圧を供給することができる。加速器電源134は、2.5MVまで電圧を供給することができるが、他の電圧(より高い又はより低い)も可能である。したがって、注入エネルギーを修正するために、加速器電源134によって印加される電圧が変更される。
【0023】
タンデム加速器130を出た後で、正イオンビーム135は、フィルタ磁石140に入り得る。フィルタ磁石140は、特定の電荷のイオンのみを通過させ得る。他の複数の実施形態では、フィルタ磁石140が採用されなくてもよい。
【0024】
スポットイオンビーム155であり得るフィルタ磁石の出力は、次いで、回転ディスク300に向けられる。ワークピース10が、回転ディスク上に配置された複数のプラテンの各々に配置され得る。特定の複数の実施形態では、修正用磁石が、フィルタ磁石140と回転ディスク300との間に配置され得る。
【0025】
更に、半導体処理装置が、コントローラ180を含む。コントローラ180は、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、専用コントローラ、又は別の適切な処理ユニットなどの処理ユニットを含んでよい。コントローラ180はまた、半導体メモリ、磁気メモリ、又は別の適切なメモリなどの非一時的なコンピュータ可読ストレージ要素も含んでよい。この非一時的なストレージ要素は、コントローラ180が本明細書で説明される機能を実行することを可能にする命令及び他のデータを含み得る。
【0026】
コントローラ180は、注入エネルギーを制御するために、加速器電源134に通じていてよい。加えて、以下でより詳細に説明されるように、コントローラ180は、回転ディスク300に通じていてよい。コントローラ180はまた、他の構成要素と通じていてもよい。
【0027】
第2の実施形態が、
図1Bで示されている。
図1Aと共通する構成要素には、同一の参照番号が付されている。
【0028】
上述されたように、半導体処理システムは、イオンビームを生成するために使用されるイオン源100を備える。イオン源100は、イオンがイオン源100から抽出され得る開口を有する。これらのイオンは、抽出開孔に近接してイオン源100の外側に配置された抽出光学素子103に負電圧を印加することによって、イオン源100から抽出され得る。次いで、イオンは質量分析器120に入り得る。質量分析器120は、特定の質量電荷比を有するイオンを通過させ得る磁石であってよい。この質量分析器120を使用して、所望のイオンのみを分離する。次いで、線形加速器200に入るのは所望のイオンである。
【0029】
次いで、所望のイオンはバンチャー210に入る。バンチャー210は、共に移動するイオンの群又は束を生成する。バンチャー210は、複数のドリフトチューブを備え得る。その場合、ドリフトチューブのうちの少なくとも1つに、交流電圧が供給され得る。他のドリフトチューブのうちの1以上は、接地され得る。交流電圧が供給されるドリフトチューブは、イオンビームを加速し、それを離散した束へと操作する機能を有し得る。
【0030】
線形加速器200は、1以上のキャビティ201を含む。各キャビティ201は、励振コイル205によって生成される電磁場によって通電され得る共振器コイル202を備える。励振コイル205は、それぞれの共振器コイル202と共にキャビティ201内に配置される。励振コイル205は、RF信号であり得る励振電圧によって通電される。励振電圧は、それぞれのRF生成器204によって供給され得る。言い換えると、各励振コイル205に印加される励振電圧は、任意の他の励振コイル205に供給される励振電圧とは独立し得る。各励振電圧は、そのそれぞれのキャビティ201の共振周波数で変調されることが好ましい。
【0031】
励振電圧が励振コイル205に印加されたときに、共振器コイル202に電圧が誘起される。その結果、各キャビティ201内の共振器コイル202は、正弦波電圧で駆動される。各共振器コイル202は、それぞれの加速器電極203と電気的に通じていてよい。イオンは、各加速器電極203内の開口を通過する。
【0032】
特定の加速器電極203の中への束の進入は、次のようなタイミングで行われる。すなわち、束が近づくにつれて加速器電極203の電位は負になるが、束が加速器電極203を通過すると正に切り替わる。このやり方では、束が、加速器電極203に入ると加速され、出ると反発される。その結果、束が加速される。このプロセスは、線形加速器200内で各加速器電極203について繰り返される。各加速器電極203は、イオンの加速度を増加させる。
【0033】
束が線形加速器200を出た後で、スポットイオンビーム155であり得るイオンは、回転ディスク300に向けられる。
【0034】
コントローラ180は、注入エネルギーを制御するために、RF生成器204に通じていてよい。加えて、以下でより詳細に説明されるように、コントローラ180は、回転ディスク300に通じていてよい。コントローラ180はまた、他の構成要素と通じていてもよい。
【0035】
無論、イオン注入システムは、四重極要素、ビームを加速又は減速するための更なる電極、及び他の要素などの、他の構成要素を含み得る。
【0036】
これらの実施形態の両方において、イオン注入システムは、イオン源とイオンを加速するための加速器とを備える。スポットイオンビーム155であり得る半導体処理システムからの出力は、回転ディスク300に向けられる。回転ディスク300の一実施形態が、
図2Aで示されている。この回転ディスクの側面図が、
図2Bで示されている。
【0037】
回転ディスク300は、中心軸311の周りで回転する中央ハブ310を備える。回転ディスク300は、スピンドルアセンブリ340を使用して構造体330に接続され得る。代替的に、回転ディスク300は、以下でより詳細に説明されるように、旋回アームに取り付けられ得る。
【0038】
中央ハブ310から外向きに延在するのは、複数のスポーク315である。各スポーク315は、スポーク315の遠位端にそれぞれのプラテン320が取り付けられている。4と20個の間の又はそれより多いプラテン320が存在し得る。幾つかの実施形態では、プラテン320の直径が略12インチであってよく、中央ハブ310の直径が12と24インチの間であってよい。プラテン320は、スポーク315に固定されるように取り付けられ得る。
【0039】
図9Aで見られるように、動作中、スポットイオンビーム155が、回転ディスク300の近傍エリアに向けられる。中央ハブ310は、中心軸311の周りで経路317に沿って回転する。特定の複数の実施形態では、回転の速度が、30RPMと1000RPMの間であってよい。他の複数の実施形態では、回転の速度が300RPM以下であってよい。無論、他の回転速度も可能である。更に、中央ハブ310は、構造体330を移動させることによって、経路318に沿って水平方向などに、直線的に平行移動され得る。線速度は、100と500mm/秒の間であってよいが、他の速度も可能である。経路318は、経路の両端において、スポットイオンビーム155がプラテン320に衝突しないように規定される。言い換えると、経路318の一端では、スポットイオンビーム155が、プラテン320の最外縁を越えている。経路318の他端では、スポットイオンビーム155が、中央ハブ310とプラテン320の内縁との間のエリアに向けられる。したがって、特定の複数の実施形態では、スポーク315が、スポットイオンビーム155の最大直径よりも大きい長さを有する。それによって、スポットイオンビーム155が、中央ハブ310とプラテン320との間にある位置が存在する。特定の複数の実施形態では、スポーク315が、少なくとも6インチの長さであってよい。スポーク315を含むことによって、中央ハブ310は、中央ハブ310が経路318に沿って水平方向に平行移動するときに、スポットイオンビーム155によって影響を受けない。更に、経路318は、プラテンがスポットイオンビーム155を通過するときに、中央ハブ310の回転に垂直であってよく、結果として2次元の機械的スキャンが行われる。
【0040】
図9Bで示されている別の一実施形態では、回転ディスク300が旋回アーム319に取り付けられている。旋回アーム319の長さは、中央ハブ310の経路324が約350と750mmの間の曲率半径を有するように十分長くすることができる。このやり方では、経路324が、プラテンがスポットイオンビーム155を通過するときに、中央ハブ310の回転に概ね垂直であり、結果として2次元の機械的スキャンが行われる。
【0041】
図2Bを参照すると、プラテン320は、各々、静電クランプを利用し得る。静電クランプは、交流又は直流電圧のいずれかを使用して実現され得る。一実施形態では、プラテンの上面が、セラミックなどの誘電材料であり得る。上面の下には、複数の電極321があり得る。
【0042】
直流クランプの場合、2つの電極321があり、第1の電極は所定の大きさを有する正電圧でバイアスされ、第2の電極は同じ大きさを有する負電圧でバイアスされる。電極は適切な形状であり得る。一実施形態では、2つの電極が隣接した螺旋であり得る。直流電圧の大きさは、200と2000Vの間であり得る。
【0043】
図3で示されている交流クランプの場合、6個の電極などの偶数の電極321が存在し得る。電極321は、対向する対として配置され得る。その場合、対の2つの電極の位相は、180度の位相差を有する。したがって、各対の電極は、矩形波などのそれぞれの双極電力信号と電気的に通じていてよい。それによって、対のうちの一方の電極は、正出力を受信し、その対のうちの他方の電極は、負出力を受信する。周期も振幅も同じ矩形波出力が、全ての電極に印加される。しかし、各矩形波出力は、隣接するものから位相がずれる。隣接する電極の間の位相は、360度/Nに等しくなり得る。ここで、Nは電極の数である。
【0044】
特定の複数の実施形態では、交流電圧又はパルス直流電圧の周波数が、1と60Hzの間であり得る。一方、振幅は、200と4000Vの間であり得る。特定の複数の実施形態では、3つの対として構成された6個の電極が存在する。これらの電極のうちの1つの対は、第1の矩形波によって電力供給され、一方、第2の対の電極は、第2の矩形波によって電力供給され、第2の矩形波は、第1の矩形波に対して120度の位相のずれを有する。同様に、第3の矩形波は、第2の矩形波から120度だけ位相がずれている。無論、他の構成も本開示の範囲内にある。
【0045】
特定の複数の実施形態では、電極電源305が中央ハブ310内に配置される。幾つかの実施形態では、電極電源305が、各プラテン320へのワークピースの静電クランプに必要な信号を生成し得る。他の複数の実施形態では、ワークピースをクランプするために必要な信号が、スピンドルアセンブリ340を介して提供され得る。
【0046】
プラテン320の各々は、それぞれのスポーク315を介して中央ハブ310に接続されている。各スポーク315内には、そのそれぞれのプラテン320用の電気導管がある。これらの電気導管は、静電クランプのために必要な電気信号を含む。更に、各スポーク315はまた、クーラントと裏面ガスとを搬送し得る。クーラントと裏面ガスは、スピンドルアセンブリ340を介して中央ハブ310に供給され得る。強磁性流体シールなどの様々な技法を使用して、中央ハブ310にガスとクーラントを供給することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、中央ハブ310内に、裏面ガスを各プラテン320に供給するための各プラテン用の個別のバルブが存在してもよい。他の複数の実施形態では、プラテン320のサブセットに裏面ガスを供給するためのバルブが存在してもよい。例えば、9つのプラテンが存在する場合、中央ハブ内に3つのバルブが存在してもよい。各バルブは、3つのプラテンへの裏面ガスの流量を制御する。更に別の一実施形態では、単一のバルブが存在してもよい。その単一のバルブは、全てのプラテン320への裏面ガスの流量を制御するために使用される。裏面ガスは、通常、4と20Torrの間で供給される。
【0048】
プラテン320へのクーラントの流量は、中央ハブ310内に又は中央ハブ310の外側に配置されたバルブによって調節され得る。
【0049】
特定の複数の実施形態では、スポーク315と対応するプラテン320とが、互いに固く取り付けられている。更に、幾つかの実施形態では、各スポーク315が、中央ハブ310から放射状に延在する軸316の周りで回転移動可能である。言い換えると、スポーク315は、中心軸311に垂直な軸の周りで中央ハブ310に対して回転し得る。
図3で示されているように、スポーク315の回転を制御するために、回転モータ313が各スポーク315に関連付けられる。
【0050】
更に、上述されたように、スポーク315は、中央ハブ310に対して回転し得る。したがって、各プラテン320に対して1つの回転モータ313もまた、中央ハブ310内に含まれる。幾つかの実施形態では、ハブコントローラ312が、中央ハブ310内に配置される。ハブコントローラ312は、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、専用コントローラ、又は別の適切な処理ユニットなどの処理ユニットを含んでよい。ハブコントローラ312はまた、半導体メモリ、磁気メモリ、又は別の適切なメモリなどの非一時的なコンピュータ可読ストレージ要素も含んでよい。この非一時的なストレージ要素は、ハブコントローラ312が本明細書で説明される機能を実行することを可能にする命令及び他のデータを含み得る。
【0051】
ハブコントローラ312は、スピンドルアセンブリ340を介して中央ハブ310に渡される通信信号326を受信する。これらの通信信号326は、
図1A~
図1Bで示されているコントローラ180によって生成され得る。これらの通信信号326に基づいて、ハブコントローラ312は、様々な機能を実行し得る。例えば、ハブコントローラ312は、電極321に供給される信号が有効にされるか無効にされるかを制御し得る。電極321への信号は、ワークピースがプラテン320から取り外されるときに無効にされ得る。電極321への信号は、以下でより詳細に説明されるように、ワークピースがプラテン320に取り付けられた後で有効にされ得る。
【0052】
更に、ハブコントローラ312は、プラテン320への流体の流れのためのバルブを制御し得る。
図10は、可能な流体の流路を示すブロック図を示す。ハブコントローラ312は、各プラテン320への裏面ガスの流量を制御し得る。例えば、裏面ガスを搬送する流体導管350が、スピンドルアセンブリ340を通過し得る。この流体導管350は、次いで、プラテン320の各々に分岐し得る。特定の複数の実施形態では、各プラテン320への裏面ガスの流量が、複数のガスバルブ351の使用を介して、ハブコントローラ312によって独立して制御される。別の一実施形態では、1つのガスバルブ351を使用して、プラテン320の全てへの裏面ガスの流量を制御することができる。
【0053】
ハブコントローラ312はまた、各プラテン320へのクーラントの流量も制御し得る。入口クーラント導管360と出口クーラント導管361が、スピンドルアセンブリ340を通過し得る。特定の複数の実施形態では、各プラテン320へのクーラントの流量が、複数のクーラントバルブ362の使用を介して、ハブコントローラ312によって独立して制御される。別の一実施形態では、1つのクーラントバルブ362を使用して、プラテン320の全てへのクーラントの流量を制御することができる。
【0054】
別の一実施形態では、クーラントバルブ362が、中央ハブ310内で使用されなくてよい。むしろ、プラテン320へのクーラントの流量は、クーラント供給チラーなどによって、中央ハブの外側で制御され得る。
【0055】
ハブコントローラ312はまた、プラテン320のうちの1以上に配置された温度センサ365の使用を介するなどして、各プラテン320の温度もモニタし得る。例えば、クーラントバルブ362を通るクーラントの流量は、温度センサ365によって測定されるような、それぞれのプラテン320の温度に関連し得る。更に、ハブコントローラ312はまた、通信信号326を介して、ステータス及び他の情報をコントローラ180に提供し戻すこともできる。
【0056】
中央ハブ310内にクーラントバルブ362が存在しない場合、ハブコントローラ312は、通信信号326を介して、温度情報をコントローラ180に提供し得る。次いで、コントローラ180は、この情報を使用して、クーラント供給チラーを制御することができる。
【0057】
図3を参照すると、ハブコントローラ312はまた、1以上の回転モータ313も制御し得る。中央ハブ310の内部は、中央ハブ310の外側に存在する減圧環境から密封され得る。幾つかの実施形態では、中央ハブ310の内部が、大気圧に維持され得る。他の複数の実施形態では、中央ハブ310の内部が、大気圧未満であるが中央ハブ310の外側の圧力よりも高い圧力に維持され得る。特定の複数の実施形態では、裏面ガスを使用して、中央ハブ310の内部の圧力を生成することができる。
【0058】
回転モータ313は、スポーク315を所定の角度まで回転させるために使用される。幾つかの実施形態では、回転モータ313が、スポーク315を0度と90度の間の角度に回転させ得る。幾つかの実施形態では、回転モータ313が、スポーク315を-90度と90度の間の角度に回転させ得る。例えば、
図4Aで示されているように、回転モータ313は、プラテン320を45度の角度に回転させ得る。更に、
図4Bで示されているように、回転モータ313は、プラテン320を90度の角度に回転させ得る。
【0059】
90度の角度に回転されたときに、中央ハブ310は、プラテン320aなどのプラテン320のうちの1つが水平になるように、中心軸311の周りで回転され得る。この水平な姿勢では、ワークピースが、プラテン320aに取り付けられ又はプラテン320aから取り外され得る。ワークピースが取り付けられ又は取り外された後で、別のプラテン320を水平姿勢に移動させるように、中央ハブ310を中心軸311の周りで回転させることができる。一実施形態では、中央ハブ310が、中心軸311の周りで360度/Pの角度だけ回転し得る。ここで、Pはプラテン320の数であり、スポーク315は、中央ハブ310の外周に均等に分布していると仮定する。
【0060】
したがって、一実施形態において、中央ハブ310を使用して複数のワークピースを取り付け及び取り外す方法が、
図5で示されている。ボックス500で示されているように、回転モータ313は、プラテンを90度の角度だけ回転させる。次いで、ボックス510で示されているように、中央ハブ310は、プラテンのうちの1つ320aが水平になるように、その中心軸311の周りで回転される。ワークピースが取り外される場合、ボックス520で示されているように、静電クランプは、プラテンが水平姿勢にあるときに無効にされる。次いで、ボックス530で示されているように、ワークピースは、プラテン320aに配置されるか又はプラテン320aから取り外される。ワークピースがプラテン320aに配置された場合、ボックス540で示されているように、静電クランプは有効にされる。次いで、ボックス510で示されているように、別のプラテンが水平姿勢になるまで、中央ハブ310は回転される。次いで、ボックス510~540で示されているシーケンスは、ワークピースがプラテン320のうちの全てに配置されるか及び/又はプラテン320のうちの全てから取り外されるか若しくはワークピースが存在しなくなるまで繰り返される。
【0061】
図5で示されているものなどの幾つかの実施形態では、ワークピースがプラテンのうちのいずれかに取り付けられるか及び/又はプラテンのうちのいずれかから取り外される前に、プラテン320のうちの全てが、90度の角度だけ回転される(ボックス500参照)ことに留意されたい。
【0062】
しかし、他の複数の実施形態も可能である。他の複数の実施形態では、各プラテン320が、ワークピースがプラテン320に取り付けられるか及び/又はプラテン320から取り外される直前に回転される。言い換えれると、ボックス500は、中央ハブが回転される度に実行されるように移動され得る。
【0063】
幾つかの実施形態では、ワークピースが、FOUP内で搬送され得るグループで処理される。特定の複数の実施形態では、FOUPが25個のワークピースを含み得る。したがって、プラテンの数がFOUP内ワークピースの数の因数でない場合、占有されないプラテンが存在することになる。一例として、FOUP内に25個のワークピースが存在し、中央ハブ310の周りに9つのプラテン320が存在すると仮定する。最初のパスでは、9つのワークピースが処理され得る。2回目のパスでは、第2の組の9つのワークピースが処理され得る。3回目のパスでは、処理されるワークピースは7つだけである。したがって、この3回目のパスでは2つの占有されないプラテンが存在する。
【0064】
特定の複数の実施形態では、中央ハブ310が、プラテン320の裏面にスポットイオンビーム155が衝突するように、プラテン320が180度の角度に回転されることを可能にすることによって、この問題に対処する。これは、
図6で示されており、プラテン320bが軸316の周りで180度だけ回転されている。それによって、プラテン320bの裏面がスポットイオンビームに面する。
【0065】
このアプローチは、ダミーウエハの必要性を排除する。ダミーウエハは、プラテン320の上面をスポットイオンビーム155からの直接の衝撃から保護するために使用される。プラテン320の上面を保護するためにダミーウエハを使用するのではなく、占有されていないプラテンを単に180度だけ回転させる。それによって、プラテン320の裏面は、スポットイオンビーム155に面する。
【0066】
幾つかの実施形態では、回転ディスク300上に配置されるプラテン320の数が、アイドル時間を最小化するように、FOUP内に含まれるワークピースの数に関連付けられ得る。例えば、FOUP内のワークピースの数が、プラテン320の数の倍数又は略倍数であることが有利であり得る。したがって、FOUP内に25個のワークピースが存在する場合、回転ディスクは、回転ディスク上に5又は25個のプラテン320を有し得る。これは、占有されないプラテンが存在しないことを確実にする。しかし、他の数のプラテンも有用であり得る。プラテンが13個存在する場合、占有されないプラテンは1つだけで、FOUP内のワークピースの全てが、2回のパスで処理され得る。9つのプラテンが存在する場合、占有されないプラテンは2つだけで、FOUP内のワークピースの全てが、3回のパスで処理され得る。無論、他の数のプラテンも利用され得る。
【0067】
特定の複数の実施形態では、スポットイオンビームに関する情報が、180度だけ回転されたプラテン320bによって収集され得る。例えば、
図7で示されているように、センサ380が、1以上のプラテン320の裏面に配置され得る。これらのセンサ380は、ファラデー(Faraday)センサであってよい。センサ380を使用して、イオンビームの特性を測定したり、線量測定やビーム均一性測定したりすることができる。これらのセンサ380からの出力は、ハブコントローラ312に通信することができる。幾つかの実施形態では、ハブコントローラ312は、通信信号326を介して、イオンビームの特性に関する情報をコントローラ180に返す。これにより、より良好なビーム制御が可能になり得る。
【0068】
特定の実施形態では、
図8Aで示されているように、センサ380が、孔又は他の開口のアレイ381を含み得る。他の複数の実施形態では、
図8Bで示されているように、センサが、1以上のスロット382を含み得る。
【0069】
図7を参照すると、センサ380は、異なるように配向され得る。例えば、センサ380aなどの1以上のセンサ380は、より長い寸法が半径方向になるように配向され得る。センサ380bなどの1以上のセンサ380は、より長い寸法が半径方向に垂直になるように配向され得る。センサの配向は、2つの移動方向のうちの一方におけるその測定値を最適化し得る。例えば、センサ380bは、経路318に沿ったビームを観察するために、より良好に配向され得る。センサ380aは、経路317に沿ったビームを観察するために、より良好に配向され得る。
【0070】
本明細書で説明されるシステム及び方法は、多くの利点を有する。本回転ディスクは、プラテン320がワークピースをクランプするために静電クランプを利用することを可能にする。このアプローチの1つの利点は、プラテンを任意の所望の注入角度で傾斜させ得ることである。これは、既存の機械的クランプアプローチでは不可能であり得る。特に、静電クランプの使用は、ゼロ度の注入が所望されるときに、プラテンの回転軸をイオンビームと平行にすることができる。これにより、従来のディスク設計に伴う角度誤差が解消される。従来のディスクは、ペデスタルがスピン軸に対してある角度で取り付けられていたため、ゼロ度の注入を実行することが所望される場合、ディスクのスピン軸がイオンビームと一直線にならず、結果として注入角度誤差が生じていた。更に、現在の回転ディスクは、プラテンを90度だけ回転させる能力により、取り付け及び取り外しの手順が単純になり得る。これは、ワークピースが水平方向にある間に、ワークピースを交換することを可能にする。更に、特定の複数の実施形態では、占有されていないプラテンを180だけ回転させることによって、ダミーウエハを不要にし得る。特定の複数の実施形態では、これらの回転されるプラテンはまた、スポットイオンビームがワークピースに衝突する正確な位置におけるスポットイオンビーム関する情報を収集するためにも使用される。
【0071】
本開示は、本明細書で説明される特定の複数の実施形態による範囲には限定されない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び修正例が、前記載及び添付図面から当業者には明らかだろう。このため、そのような他の実施形態及び修正例は、本開示の範囲内に含まれると意図される。更に、本明細書では、本開示を、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で説明したが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下で説明される特許請求の範囲は、本明細書に記載した本開示の範囲及び精神を最大限広く鑑みた上で解釈されたい。
【国際調査報告】