(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】プロセスチャンバ内での第V主族元素含有層の堆積及びその後のプロセスチャンバの洗浄のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20241129BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20241129BHJP
H01L 21/3065 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 J
H01L21/302 101H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528481
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022084088
(87)【国際公開番号】W WO2023099674
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021131983.8
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022114717.7
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】ミッコリ、イリオ
(72)【発明者】
【氏名】ラールリブ、ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】レーネン、ペール
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA05
4K030AA11
4K030AA17
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(57)【要約】
本発明はCVDリアクタ内で基板上にV主族元素を含む層を堆積する方法に関し、プロセスガスが中心ガス入口要素(11)を通ってプロセスチャンバ(2)内に供給されプロセスチャンバ(2)を径方向に流れる。層の堆積後、プロセスチャンバ(2)は洗浄され、プロセスチャンバ(2)は第1洗浄温度(T1)に加熱され、第1洗浄温度(T2)に達した後、第1洗浄ステップ(21)においてハロゲン又はハロゲン化合物がプロセスチャンバ(2)内に供給され、第1洗浄ステップ(21)後、プロセスチャンバ(2)は第2洗浄温度(T2)とされ、第2洗浄温度(T2)に達した後、第2洗浄ステップ(22)においてO2がプロセスチャンバ(2)内に供給され、第2洗浄ステップ(22)後、プロセスチャンバ(2)は第3洗浄温度(T3)とされ、第3洗浄温度(T2)に達した後、第3洗浄ステップ(23)において実質的にH2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、第3洗浄ステップ(23)後、プロセスチャンバ(2)が冷却される(24)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタのリアクタハウジング(1)内に配置されたプロセスチャンバ(2)内で基板(6)上に層を堆積する方法であって、
前記プロセスチャンバ(2)はプロセス温度に加熱され、
前記基板(6)が前記プロセスチャンバ(2)内に搬送され、
前記プロセスチャンバ内にプロセスガス(2)が供給され、
前記プロセス温度で前記プロセスガスが分解生成物に分解し、
前記分解生成物の少なくとも一部が層として前記基板(6)上に堆積され、
前記分解生成物の別の一部が寄生コーティングとして前記リアクタハウジング(1)内の別の表面上に堆積され、
前記基板(6)が前記プロセスチャンバ(2)から取り出され、
前記プロセス温度(2)が第1の洗浄温度(T
1)に加熱され、
前記第1の洗浄温度(T
2)に到達後、第1の洗浄ステップ(21)においてハロゲン又はハロゲン化合物が前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、
前記第1の洗浄ステップ(21)の後、前記プロセスチャンバ(2)が第2の洗浄温度(T
2)にされ、
前記第2の洗浄温度(T
2)に到達後、第2の洗浄ステップ(22)においてO
2が前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、
前記第2の洗浄ステップ(22)の後、前記プロセスチャンバ(2)が第3の洗浄温度(T
3)にされ、
前記第3の洗浄温度(T
2)に到達後、第3の洗浄ステップ(23)において実質的にH
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、
前記第3の洗浄ステップ(23)の後、前記プロセスチャンバ(2)が冷却される(24)、方法。
【請求項2】
前記プロセスガスが少なくとも1つの反応ガスを含み、
前記反応ガスは少なくとも1つの第II-第IV主族の元素を含み、前記層が第II-第IV主族の元素を含むこと、
前記反応ガスは少なくとも1つの第III-第V主族の元素を含み、前記層が第III-第V主族の元素を含むこと、又は、
前記反応ガスは少なくとも1つの第V主族の元素を含み、前記層が第V主族の元素を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの反応ガスが、AsH
3、PH
3、NH
3、シラン、炭素化合物、マグネシウム化合物、有機金属化合物、TMGa、TMIn、TMAl、及び/又は酸化物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記別の表面は、前記リアクタハウジング(1)内に配置されたグラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面であることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記寄生コーティングは、前記グラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面のコーティングの上に堆積され、前記コーティングは、耐エッチングガスコーティング、炭化物コーティング、TaCコーティング、又はSiCコーティングであることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱ステップ(20)中、不活性ガス及び/又は希ガス及び/又はN
2もしくはH
2が、前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、不活性ガスのみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記第1の洗浄ステップ(21)中、ハロゲン又はハロゲン化合物とN
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、O
2のみがN
2と共に前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の洗浄ステップ(22)中、O
2のみがN
2と共に前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却ステップ(23)中、H
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記グラファイト部品は、前記プロセスチャンバ(2)の境界を構成するサセプタ(3)であること、及び/又は、前記グラファイト部品は、前記プロセスチャンバ(2)の境界を構成するプロセスチャンバ天井(10)であること、及び/又は、前記グラファイト部品はガス入口部品(11)であること、及び/又は、前記グラファイト部品は、前記サセプタ(3)のポケット(4)内に挿入される基板ホルダー(5)であり、供給ラインを通して不活性ガスを前記ポケット(4)内に供給可能であることによってそこにガスクッションが形成されて前記基板ホルダー(5)を軸(7)を中心に回転させること、を特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サセプタ(3)は、少なくとも前記層の堆積中、回転軸(8)を中心に回転駆動されること、及び/又は、前記サセプタ(3)は、前記層の堆積中及び前記加熱ステップ(20)中にかつ/又は3つの前記洗浄ステップ(21,22,23)中に加熱装置(31)により加熱されること、を特徴とする前出請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法を実行する装置であって、
少なくとも1つのグラファイト部品(3,5,10,11,19)が中に配置されたリアクタハウジング(1)を有するCVDリアクタと、
プロセスガスを提供するガス源(25)を有するガス供給装置と、
請求項1-11のいずれかに記載の方法が前記リアクタハウジング(1)のプロセスチャンバ(2)内で実行されるようにバルブ(27)と質量流量コントローラ(26)とを制御するための制御装置(32)と、を備えた装置。
【請求項13】
前記ガス供給装置はガス源(25)を有し、それにより、少なくとも1つの第II-第IV主族の元素を含むか、少なくとも1つの第III-第V主族の元素を含むか、又は少なくとも1つの第V主族の元素を含む少なくとも1つの反応ガスを供給することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ガス供給装置は、少なくともAsH
3、PH
3、NH
3、シラン、炭素化合物、マグネシウム化合物、有機金属化合物、TMGa、TMIn、TMAl、又は酸化物を提供するためのガス源(25)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVDリアクタ内で基板上に第V主族の元素を含む層を堆積するための方法に関する。CVDリアクタはリアクタハウジングを有し、その中にグラファイト部品が配置されている。グラファイト部品はSiCでコーティングされ得る。それは耐Cl2のためにコーティングされ得る。グラファイト部品は、堆積方法の実行時に、プロセスガスの分解生成物からなる寄生コーティングで被覆され得る。その方法はまた、基板上に層を堆積する方法に続く洗浄方法に関し、それは、少なくとも1つのグラファイト部品から寄生コーティングを除去するために順次実行される複数の洗浄ステップからなる。
【0002】
本発明による装置は、制御コマンドを実行する、制御プログラムを含む制御装置を有し、それを用いて、当該装置内で当該方法が実行されるようにガス供給装置のバルブ及び質量流量コントローラが切り換えられかつ/又は制御される。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、プロセスチャンバ内の部品の壁から寄生コーティングを除去するために、CVDリアクタ内での層の堆積後に実行されかつその際にCl2が用いられる方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、CVDリアクタと、塩素を注入することによって壁のコーティングを除去するためにその中で実行される方法を開示している。
【0005】
本発明による方法では、炭素を含むガスもプロセスガスとし得る。例えば、プロセスガスは第III主族の元素の有機金属化合物を含み得る。これは特に、第III-第V層が基板上に堆積される場合に当てはまる。プロセスガスのこの成分が分解されると炭素が形成され得る。それは、純粋な炭素の形態又は炭素化合物の成分としてグラファイト部品の表面上に堆積する。特にプロセスガスがNH3を含む場合、炭素残留物が形成される可能性がある。特許文献3は、そのような炭素残留物をエッチングガスにより除去し得る方法を開示している。
【0006】
特許文献4は、プラズマと塩素の使用下で炭素残留物をプロセスチャンバから除去する方法を開示している。
【0007】
塩素を用いる洗浄方法は、特許文献5にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/385861号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2017100 725号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102013 104 105号明細書
【特許文献4】米国特許第4,816,113号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/005118号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一般的な方法における洗浄ステップを、使用に有利な方式で改善するという目的に基づいている。本発明は特に、使用に有利な方式で層を堆積する方法を改善する目的に基づいている。本発明はまた、洗浄ステップをより効率的にする目的に基づいている。本発明はさらに、第IIから第IV主族の元素を含む層を堆積し、その後、プロセスチャンバを洗浄する複数のステップを含むプロセスが続く方法を改善し、そして特に、プロセスガス及び/又は洗浄ガスがプロセスチャンバの中心に供給され、プロセスチャンバを径方向に通って流れる堆積プロセスにおける洗浄プロセスを改善する目的に基づいている。その場合、基板ホルダーを担持するサセプタは、プロセスチャンバの中心の周りで回転する。
【0010】
しかしながら、本方法はまた、ガス入口部品がシャワーヘッドとして構成されている装置においても実行可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、特許請求の範囲で特定される発明によって達成され、従属請求項は、主請求項の有利な展開を表すだけでなく、目的に対する独立した解決手段も表す。
【0012】
本発明の方法は、リアクタハウジングを有するCVDリアクタの使用を想定しており、リアクタハウジング内にはその中に配置されたグラファイト部品であり得るさらなる表面が位置している。リアクタハウジング内には複数のグラファイト部品が存在し得る。好ましい複数のグラファイト部品の少なくとも1つは、好ましくはコーティングされている。それは好ましくは炭化ケイ素でコーティングされ得る。しかしながら、それは、グラファイト部品にCl2、O2又はHClへの曝露耐性を付与する別の被覆でコーティングされていてもよい。
グラファイト部品は、プロセスチャンバの部品、又はプロセスチャンバの境界を構成する部品であり得る。特に、プロセスチャンバの床を形成するサセプタがグラファイトからなり、炭化ケイ素でコーティングされていることが想定される。サセプタは、プロセスチャンバとは反対側を向いた、加熱領域に隣接する背面を有し得る。その加熱領域に加熱装置を配置できる。加熱装置は、IRヒーター又はRFヒーターとし得る。しかしながら、グラファイト部品は、プロセスチャンバの上面の境界を構成するプロセスチャンバ天井でもよい。
プロセスチャンバは、サセプタにより放出される熱放射によって高温にすることができる。サセプタは、層の堆積中に1000℃以上の温度に加熱され得る。
ガス入口部品は、プロセスチャンバの中心に配置し得る。これは基本的に石英製又は金属製とし得る。しかしながら、ガス入口部品又はガス入口部品の一部をグラファイト製とすることもできる。これらの部品も、炭化ケイ素でコーティングし得る。
サセプタ内には複数のポケットを配置できる。それらのポケットは、プロセスチャンバの中心の周りに等角度分布で配置できる。したがって、それらはガス入口部品から等距離に位置するので、ガス入口部品から出て来るプロセスガスは、プロセスチャンバを径方向に通ってポケットを超えて流れる。各ポケット内には、少なくとも1つの基板ホルダーがあり、基板ホルダーが基板を支持することでプロセスガスは基板上を流れる。
ガス供給ラインがポケットの床面に開口することができ、それらを通して不活性ガスをポケット内に供給できる。ガスクッションが形成される。方向付けられたガス流は、ガスクッションによって基板ホルダーをその軸を中心に回転させるために用いることができる。
プロセスチャンバは、セラミック材料又は金属で作製できるガス出口部品によって囲まれている。しかしながら、ガス出口部品の一部又はガス出口部品の全体をグラファイト製とすることもでき、特にSiCでコーティングされたグラファイトで作製できる。
ガス入口部品は、互いに上下に配置された多数のガス放出領域を有することができ、それらを通してプロセスガスの異なる成分をプロセスチャンバ内に供給できる。グラファイト部品は、一部のみをSiCでコーティングしてもよい。
【0013】
しかしながら、ガス入口部品としてシャワーヘッドを用いることもでき、特に基板の上方に配置された多数のノズルを具備するプレートを用いることによって、ガスが、基板の方へと鉛直方向にプロセスチャンバ内に流入する。もっとも、プロセスガスはその後、径方向にプロセスチャンバから除去することもできる。流れは、プロセスチャンバ内を水平方向に流れることもでき、中心から外側に向かって径方向に流れるか、又は、プロセスチャンバの一方の側からプロセスチャンバの他方の側へ直線状に流れることもできる。したがって、プロセスチャンバは、水平リアクタのチャンバであってもよく、流れはそれを通って直線的に水平方向に誘導される。
【0014】
これは、好ましくは、1つ以上の反応ガスを含むプロセスガスをプロセスチャンバ内に供給することによって達成される。複数の反応ガスの1つは、第II-第VI主族の元素、第III-第V主族の元素、及び特に第V主族の元素を含む分子からなることができる。プロセスガスは、好ましくは複数の反応ガスを含み、例えば、第III主族のガスと第V主族のガス、又は、第II主族のガスと第VI主族のガス、又は、1又は複数の第IV主族のガスである。
したがって、プロセスガスは、第V主族の元素の水素化物と、第III主族の元素の有機金属化合物との混合物とすることができる。例えば、プロセスガスは、AsH3、PH3を(又はNH3も)含むことができる。プロセスガスはまた、有機金属ガスを含んでもよく、それは特に第III主族の元素を含み、例えばTMGa、TMIn、又はTMAl、又はTEGaである。後者の反応ガスは、例えばH2である不活性ガスと共にプロセスチャンバ内に供給される。
例えばシランであるケイ素含有ガス、及び、例えばメタンである炭素含有ガスを用いることも可能である。
他の実施形態では、プロセスガスが、マグネシウム又はカルシウムの化合物等のアルカリ土類化合物を含んでもよい。
プロセスガスはまた、例えば酸化物である第VI主族の元素を含むこともできる。
プロセスガスの反応ガスは、プロセスチャンバ内で高温によって、特に基板の高温によって分解し、それによって第II-第VI主族の元素からなる層が、そして特に第IIIと第V主族の元素からなる層が、基板表面上に堆積する。
同時に、反応ガスの反応生成物、すなわち反応ガスの反応生成物の寄生化合物が、プロセスチャンバの表面上で、特に、少なくとも部分的にコーティングされた、特にSiC等の耐Cl2/O2コーティングで被覆されたグラファイト部品の表面上で形成され、凝縮する。
第1のステップの完了後、例えば1又は複数の層が基板上に堆積された後、少なくとも1つの基板がプロセスチャンバから取り出される。プロセスチャンバから基板を取り出すこの中間ステップにおいては、プロセスチャンバに反応ガスは全く供給されないか、又はせいぜい第V主族の反応ガスのみがプロセスチャンバに供給される。そうでない場合は、例えば水素である不活性ガスのみがプロセスチャンバに供給される。少なくとも1つの基板を取り出す中間ステップ中、プロセスチャンバは低温に冷却され得る。
【0015】
第1のステップに続くさらなるプロセスにおいて、プロセスチャンバは洗浄される。プロセスチャンバの壁上の寄生コーティング、そして特にグラファイト部品の壁上の寄生コーティングが除去される。これは、洗浄ガスの注入によって達成され、洗浄ガスはコーティングの分子と様々な揮発性化合物を次々に形成し、そしてそれらの化合物はガス出口部品を通して運び出される。
本発明によれば、少なくとも1つの基板の取り出し後に、プロセスチャンバが第1の洗浄温度に加熱されることが想定される。第1の洗浄温度は、500℃~1000℃の範囲、又は800℃~900℃の範囲とすることができる。第1の洗浄温度において、ハロゲン又はハロゲン化合物がプロセスチャンバ内に供給される第1の洗浄ステップが実行される。
【0016】
本発明の一実施形態においては、HCl又はCl2がプロセスチャンバ内に供給されることが好ましい。ハロゲン又はCl2は、窒素と共にプロセスチャンバ内に供給される。プロセスチャンバ内の全圧は、50mbar~200mbarの範囲とし得る。第1の洗浄ステップ中に約10slmのN2がプロセスチャンバ内に供給されることが想定される。
【0017】
しかしながら、この不活性ガスの別の流れ、例えば窒素を110slmの流量で供給することも可能である。洗浄に用いられる第1の洗浄ガス、及び以下に述べる他の洗浄ガスは、各々、ガス源の形態で提供される。例えばCl2であるハロゲンは、窒素との任意の所望の混合比で提供され得る。5%の混合が好適である。この洗浄ガスは、プロセスチャンバの温度が第1の洗浄温度に到達したとき、2~40slmの質量流量でプロセスチャンバ内に供給される。第1の洗浄ステップにおいて、寄生コーティングの実質的な金属成分及び第V主族に属する成分が揮発性化合物に変換され、それらはその後不活性ガスと共にプロセスチャンバから除去される。特にCl2によって80±20μm/hのエッチング速度が達成される。
【0018】
プロセスチャンバを例えば300℃から例えば900℃の第1の洗浄温度に加熱する中間ステップには約10分かかる。この中間ステップ中、不活性ガスを水素から窒素に切り換えることができる。中間ステップ中、プロセスチャンバ内の全圧は、上記の圧力から変更してもよく、特に低くしてもよい。
【0019】
第1の洗浄ステップは、例えば900℃の一定温度で約20~30分間実行される。その後、第1の洗浄ガスの供給は遮断される。後続の中間ステップにおいて、プロセスチャンバの温度が変更され、そして特に、第2の洗浄温度に上昇させられる。この中間ステップ中、プロセスチャンバ内の全圧も変更することができる。
【0020】
第2の洗浄温度に到達した時点で、中間ステップは終了する。第2の洗浄温度は、500℃~1100℃の間にあり得る。それは例えば、950℃~1000℃の間にあり得る。第2の洗浄温度に到達すると直ちに、第2の洗浄ガスがプロセスチャンバ内に供給される。この洗浄ガスは、「乾燥空気」、O3、O2、又はNH3の形態を取り得る。洗浄ガスは、窒素中の混合物として提供できる。好ましくは、9slmのこの混合物がプロセスチャンバ内に供給される。この第2の洗浄ガスと共に、N2が、好ましくは11slmの質量流量でプロセスチャンバ内に供給される。第2の洗浄ステップ中の全圧は、100mbar~800mbarの間、特に600mbar~800mbarの間とされる。第2の洗浄ステップ中、寄生コーティングの炭素含有成分が実質的に除去される。このために、供給された酸素が炭素と反応し、又は炭素含有化合物と反応して炭素の酸化物を形成する。第2の洗浄ステップは、7~15分間持続して実行することができる。第2の洗浄ステップの持続時間は、第1の洗浄ステップの持続時間よりも短くすることが好ましい。しかしながら、その持続時間は、除去される層厚にも依存し得る。より厚い層の除去は、より短い層の除去よりも長い時間を必要とする。
【0021】
第2の洗浄ステップ後のさらなる中間ステップにおいては、プロセスチャンバ内に洗浄ガスは供給されないが不活性ガスのみが供給され、プロセスチャンバの温度が変更され、特に、500℃~1100℃の間とし得る第3の洗浄温度に降下させられる。しかしながら、それは800℃~1000℃の間とすることもできる。同時に、プロセスチャンバ内の全圧も変更することができる。全圧は、50mbar~200mbarの間の圧力に降下させることが好ましい。その後、この全圧で第3の洗浄ステップが実行される。中間ステップ中、不活性ガスを変えることもでき、中間ステップ後に水素がプロセスチャンバ内に供給される。
【0022】
第3の洗浄ステップは、「H2ベイク」又は「N2ベイク」であり、プロセスチャンバは実質的にH2のみの存在下で加熱される。これは、上述した第3の洗浄温度で15分~30分の期間行われる。第3の洗浄ステップは、第1の洗浄ステップよりも長くすることができる。第3の洗浄ステップ中、好ましくは26slmの質量流量で水素のみがプロセスチャンバに供給される。
【0023】
第3の洗浄ステップの後、さらに任意のステップを続けることができ、そのステップでは、プロセスチャンバを、水素又は窒素とし得る不活性ガスで満たすことと、排気することを交互に行う。これは、ガス出口部品に接続された真空ポンプを用いて実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の例示的実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、CVDリアクタ、ガス源を具備するガス供給装置の概略断面と、電子制御装置の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のラインII-IIに沿った断面図である。
【
図3】
図3は、基板上に層を堆積するプロセスステップに続く洗浄ステップの流れ図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した洗浄方法の時間と温度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の方法は、
図1に示す装置において実行される。CVDリアクタは、例えばステンレス鋼で作製された気密性のハウジング1を有し、その中にプロセスチャンバ2が配置されている。プロセスチャンバ2の床は、グラファイト製とすることができかつSiCでコーティングされたサセプタ3によって形成されている。サセプタ3は、円盤形状を有するとともに、加熱装置31の方に向いた下向きの背面を有する。加熱装置31はコイル形態をとることができ、サセプタ3をプロセス温度まで加熱するようにサセプタ3内に渦電流を誘導するRF場を発生する。
【0026】
サセプタ3は、シャフト9と回転駆動部(図示せず)を用いて回転軸8を中心に回転可能である。同じく図示しないが、サセプタ3のガスチャネル(図示せず)に不活性ガスを供給するためにシャフト9を供給ラインが通っている。これらのガスチャネルは、サセプタ3の上向きの表面に配置されたポケット4の床に開口している。グラファイト製の基板ホルダー5が、これらのポケット3の各々に挿入されている。基板ホルダー5もSiCでコーティングされ得る。基板6は、基板ホルダー5上に配置することができる。これは、Si、GaAs製の基板、又は、サファイアもしくは他の適切な材料からなる基板とすることができる。
【0027】
サセプタ3の中心領域には凹部18があり、その中にガス入口部品11の下部を挿入できる。ガス入口部品11は、ハウジング1に固定されており、鉛直方向に互いに上下に配置された3つのガス放出領域13、15、17を有する。ガス供給ライン12、14、16は、3つのガス放出領域13、15、17の各々に繋がっている。反応ガス及び不活性ガスは、ガス供給ライン12、14、16を通して、プロセスチャンバ天井10とサセプタ3との間に延在するプロセスチャンバ2内に供給可能である。ガス放出領域13、15、17を通ってプロセスチャンバ2に入るプロセスガスは、プロセスチャンバ2を径方向に通って流れ、それにより基板6上を流れる。
【0028】
図1は、CVDリアクタ内のプロセスチャンバの単に一例を示している。さらなる例示的実施形態(図示せず)では、中心のガス入口部品11が別の構成を有し得る。さらに、例示的実施形態では、ガス入口部品がプロセスチャンバ天井によって形成され、そして多数の実質的に均一に分散したガス出口孔を有するシャワーヘッドの形態であることが提案される。
【0029】
プロセスチャンバ天井2は、グラファイト製とし、SiCによってコーティングすることができる。
【0030】
プロセスチャンバ2は、ガス出口孔(図示せず)を具備する環状のガス出口部品19によって囲まれており、それに対して真空ポンプ(図示せず)の吸引ラインが接続されることでプロセスチャンバ2を排気でき、又はプロセスチャンバ2内の所定の全圧を設定することができる。
【0031】
図1はさらに、多数のガス源25を具備するガス供給装置を概略的に示している。ガス供給装置は、例えば、以下のガスを提供することができる。
図2に示すガス入口部品11の周りに環状に配置された基板6上に第III-第V層を堆積するための、プロセスガスの反応ガスの成分としてのAsH
3、PH
3であり、同じくプロセスガスの反応ガスの成分としてのTMGa、TMInである。ガス供給装置は、例えばH
2及びN
2である不活性ガスも提供できる。さらに、ガス供給装置は、洗浄ガスであるCl
2及びO
2を提供できる。2つの洗浄ガスは、好ましくはN
2中に5%混合されて提供される。
【0032】
プログラム可能な電子制御装置32は、上述したガスの所定の質量流量を供給ライン12、14、16を通してプロセスチャンバ2 25へ供給するためにバルブ27及び質量流量コントローラ26を制御することができる。
【0033】
上述した装置の1つは、第III及び第V主族からの元素の層を上述した基板6上に堆積するために用いられる。これらは、GaInAsP層、又は少なくとも2つの上述した元素を含む層の形態をとり得る。このために、先ず、基板がプロセスチャンバ2内に搬送され、その後、プロセスチャンバ2がプロセス温度に加熱された後、上述した反応ガスがプロセスチャンバ2内に供給される。1つ又は複数の層が堆積された後、プロセスチャンバ2は、例えば200℃~300℃、300℃~400℃、又は300℃に冷却され、そして基板が取り出される。上述した堆積プロセス中、幾つかのSiC表面上に、反応ガスの反応中に形成された固体化学化合物からなるコーティングが形成される。
【0034】
基板が取り出された後、時点t1から時点t2までの加熱ステップ20においてプロセスチャンバ2内の温度が第1の洗浄温度T1に加熱され、それは800℃~1000℃とすることができ、そして900℃とすることができる。プロセスチャンバは、50mbar~100mbarの全圧に設定される。
【0035】
第1の洗浄温度T1に到達後、時点t2から時点t3までの第1の洗浄ステップ21においてCl2がN2と共にプロセスチャンバに供給される。プロセスチャンバ2内で、SiC表面に堆積した化学化合物とO2との反応を生じる。揮発性反応生成物が形成され、それらはN2と共にプロセスチャンバ2から除去される。
【0036】
第1の洗浄ステップ21に続く中間ステップにおいて、プロセスチャンバ2の温度が時点t3から時点t4までN2雰囲気中で第2の洗浄温度T2まで加熱され、それは900℃~1000℃、又は1000℃~1100℃とすることができるが、それは1100℃~1200℃、又は1050℃とすることもできる。プロセスチャンバ内の全圧は変化する。特に、それは600mbar~800mbarの間の圧力に変化する。第2の洗浄温度T2に到達後、時点t4から時点t5までの期間中にO2がN2と共にプロセスチャンバに供給される。この第2の洗浄ステップ22の間、炭素化合物と酸素との化学反応によって炭素化合物がSiC表面から除去される。揮発性酸化物が形成され、それらはN2と共にプロセスチャンバ2から除去される。
【0037】
時点t5に達した後、プロセスチャンバの温度が第3の洗浄温度T3に変えられる。特にその温度は、800℃~1000℃とし得る温度、又は900℃とし得る温度に降下させられる。同時に、全圧を50mbar~100mbarの値に設定可能である。第3の洗浄温度T3に到達後、t6からt7までの期間中にH2のみがプロセスチャンバ内に供給される。この第3の洗浄ステップ23の間、残りのすべての酸化物が表面から除去される。CVDリアクタの調整も実行可能である。
【0038】
時点t7に達した後、冷却ステップ24において、プロセスチャンバ2の温度を、例えば200℃~400℃に、又は300℃に降下させる。時点t8において、プロセス温度2は300℃の値に到達しており、時点t1で洗浄プロセスを開始してから例えば約70分が経過している。
【0039】
図3は、加熱ステップ20の後にCl
2エッチングステップ21が続き、そして後続のO
2エッチングステップ22の前に濯ぎステップ21’が実行される例示的実施形態を示している。O
2エッチングステップ22の後に加熱ステップ23が続き、さらに冷却ステップ24が続く。
【0040】
濯ぎステップ21’の間、Cl2エッチングステップ21で使用されたエッチングガス、及び特にCl2をリアクタハウジングから完全に除去することができるので、後続のO2エッチングステップ22ではプロセスチャンバ内にもはやCl2は全く存在していない。
【0041】
本方法の例示的実施形態は、以下のステップにより実行することができる:
プロセスチャンバを第1の洗浄温度T2(800℃~900℃)に加熱するステップ
窒素雰囲気中にCl2を注入するステップ(12slmの5%Cl2、11slmのN2、50mbar~100mbarの全圧)
Cl2の注入を終了し、第2の洗浄温度T2(950℃~1000℃)に加熱するステップ
窒素雰囲気中にO2を注入するステップ(9slmの5%O2、11slmのN2、600mbar~800mbarの全圧)
O2の注入を終了し、温度を第3の洗浄温度T3(800℃~1000℃)に変更するステップ
水素雰囲気中で加熱するステップ(26slm、50mbar~100mbarの全圧)
【0042】
上述したことは、本願に包含される発明を全体として説明するためのものである。これらはまた、少なくとも以下の特徴の組合せによって、また独立して、2つ、複数、又は全てのこれらの特徴の組合せることで、従来技術をさらに進展させることも可能である。
【0043】
CVDリアクタ内で基板(6)上に第V主族の元素を含む層を堆積するための方法であって、CVDリアクタはリアクタハウジング(1)を有し、リアクタハウジング(1)内にはSiCでコーティングされた少なくとも1つのグラファイト部品(3,5,10,11,19)が配置され、そのグラファイト部品は、堆積中にCVDリアクタのプロセスチャンバ(2)内に供給されるプロセスガスと接触することによって、プロセスガスの分解生成物がそのグラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面上に堆積して寄生コーティングを形成し、
第V主族の元素を含む分子を有するプロセスガスが提供され、
少なくとも1つの基板(6)がプロセスチャンバ(2)内に搬送され、
プロセスガスがプロセスチャンバ(2)内に供給され、
プロセス温度に加熱されたプロセスチャンバ(2)内でプロセスガスが分解し、第V主族元素が基板上の層の成分として基板(6)上に堆積され、
基板(6)がプロセスチャンバ(2)から取り出され、
プロセスチャンバ(2)が第1の洗浄温度(T1)に加熱され、
第1の洗浄温度(T2)に到達後、第1の洗浄ステップ(21)においてハロゲン又はハロゲン化合物がプロセスチャンバ(2)内に供給され、
第1の洗浄ステップ(21)の後、プロセスチャンバ(2)が第2の洗浄温度(T2)にされ、
第2の洗浄温度(T2)に到達後、第2の洗浄ステップ(22)においてO2がプロセスチャンバ(2)内に供給され、
第2の洗浄ステップ(22)の後、プロセスチャンバ(2)が第3の洗浄温度(T3)にされ、
第3の洗浄温度(T2)に到達後、第3の洗浄ステップ(23)において実質的にH2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、
第3の洗浄ステップ(23)の後、プロセスチャンバ(2)が冷却(24)される方法。
【0044】
プロセスガスがAsH3、PH3、又はNH3を含むこと、及び/又は、プロセスガスがさらに、第III主族の元素を含む分子のガスを含むこと、及び/又は、プロセスガスがさらに、TMGa、TMIn、又はTMAlを含むことを特徴とする方法。
【0045】
加熱ステップ(20)中に、不活性ガス、及び/又は希ガス、及び/又はN2もしくはH2がプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、不活性ガスのみがプロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする方法。
【0046】
第1の洗浄ステップ(21)中に、ハロゲン又はハロゲン化合物とN2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、Cl2のみがN2と共にプロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする方法。
【0047】
第2の洗浄ステップ(22)中に、O2のみがN2と共にプロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする方法。
【0048】
冷却ステップ(23)中に、H2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする方法。
【0049】
グラファイト部品が、プロセスチャンバ(2)の境界を構成するサセプタ(3)であること、及び/又は、グラファイト部品が、プロセスチャンバ(2)の境界を構成するプロセスチャンバ天井(10)であること、及び/又は、グラファイト部品が、ガス入口部品(2)であること、及び/又は、グラファイト部品が、ガス出口部品(19)であること、及び/又は、グラファイト部品が、サセプタ(3)のポケット(4)に挿入される基板ホルダー(5)であり、供給ラインを通して不活性ガスをポケット(4)内に供給可能であることによってそこにガスクッションが形成されて基板ホルダー(5)を軸(7)を中心に回転させること、を特徴とする方法。
【0050】
少なくとも層の堆積中にサセプタ(3)が回転軸(8)を中心に回転駆動されること、及び/又は、層の堆積中及び加熱ステップ(20)中、及び/又は3つの洗浄ステップ(21,22,23)中にサセプタが加熱装置(31)によって加熱されること、を特徴とする方法。
【0051】
少なくとも1つのグラファイト部品(3,5,10,11,19)がその中に配置されたリアクタハウジング(1)を有するCVDリアクタと、ガス源(25)を有しそれを用いて第III主族の元素、ハロゲンもしくはハロゲン化合物、O2、H2、及びN2を有する分子のプロセスガスが提供されるガス供給装置と、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法がリアクタハウジング(1)のプロセスチャンバ(2)内で実行されるようにバルブ(27)及び質量流量コントローラ(26)を制御するための制御装置(32)と、を用いて方法を実行するための装置。
【0052】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、又は技術的に同じ効果を有する別の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない設計形態に関する。
【符号の説明】
【0053】
1 リアクタハウジング
2 プロセスチャンバ
3 サセプタ
4 ポケット
5 基板ホルダー
6 基板
7 基板ホルダーの回転軸
8 サセプタの回転軸
9 シャフト
10 プロセスチャンバ天井
11 ガス入口部品
12 供給ライン
13 ガス放出領域
14 供給ライン
15 ガス放出領域
16 供給ライン
17 ガス放出領域
18 凹部
19 ガス出口部材
20 加熱
21 塩素による洗浄
21’ 濯ぎ
22 酸素による洗浄
23 水素による加熱
24 冷却
25 ガス源
26 質量流量コントローラ
27 バルブ
28 供給ライン
29 供給ライン
30 供給ライン
31 加熱装置
32 制御装置
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタのリアクタハウジング(1)内に配置されたプロセスチャンバ(2)内で基板(6)上に層を堆積する方法であって、
前記プロセスチャンバ(2)はプロセス温度に加熱され、
前記基板(6)が前記プロセスチャンバ(2)内に搬送され、
前記プロセスチャンバ内にプロセスガ
スが供給され、
前記プロセス温度で前記プロセスガスが分解生成物に分解し、
前記分解生成物の少なくとも一部が層として前記基板(6)上に堆積され、
前記分解生成物の別の一部が寄生コーティングとして前記リアクタハウジング(1)内の別の表面上に堆積され、
前記基板(6)が前記プロセスチャンバ(2)から取り出され、
前記プロセス
チャンバ(2)が第1の洗浄温度(T
1)に加熱され、
前記第1の洗浄温度(
T
1
)に到達後、第1の洗浄ステップ(21)においてハロゲン又はハロゲン化合物が前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、
前記第1の洗浄ステップ(21)の後、前記プロセスチャンバ(2)が第2の洗浄温度(T
2)にされ、
前記第2の洗浄温度(T
2)に到達後、第2の洗浄ステップ(22)においてO
2が前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、
前記第2の洗浄ステップ(22)の後、前記プロセスチャンバ(2)が第3の洗浄温度(T
3)にされ、
前記第3の洗浄温度(
T
3
)に到達後、第3の洗浄ステップ(23)において実質的にH
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、
前記第3の洗浄ステップ(23)の後、前記プロセスチャンバ(2)が冷却される(24)、方法。
【請求項2】
前記プロセスガスが少なくとも1つの反応ガスを含み、
前記反応ガスは少なくとも1つの第II-第
VI主族の元素を含み、前記層が第II-第
VI主族の元素を含むこと、
前記反応ガスは少なくとも1つの第III-第V主族の元素を含み、前記層が第III-第V主族の元素を含むこと、又は、
前記反応ガスは少なくとも1つの第V主族の元素を含み、前記層が第V主族の元素を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの反応ガスが、AsH
3、PH
3、NH
3、シラン、炭素化合物、マグネシウム化合物、有機金属化合物、TMGa、TMIn、TMAl、及び/又は酸化物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記別の表面は、前記リアクタハウジング(1)内に配置されたグラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面であることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記寄生コーティングは、前記グラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面のコーティングの上に堆積され、前記コーティングは、耐エッチングガスコーティング、炭化物コーティング、TaCコーティング、又はSiCコーティングであることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱ステップ(20)中、不活性ガス及び/又は希ガス及び/又はN
2もしくはH
2が、前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、不活性ガスのみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記第1の洗浄ステップ(21)中、ハロゲン又はハロゲン化合物とN
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ/又は、O
2のみがN
2と共に前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の洗浄ステップ(22)中、O
2のみがN
2と共に前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却ステップ(2
4)中、H
2のみが前記プロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記グラファイト部品は、前記プロセスチャンバ(2)の境界を形成するサセプタ(3)であること、及び/又は、前記グラファイト部品は、前記プロセスチャンバ(2)の境界を形成するプロセスチャンバ天井(10)であること、及び/又は、前記グラファイト部品はガス入口部品(11)であること、及び/又は、前記グラファイト部品は、前記サセプタ(3)のポケット(4)内に挿入される基板ホルダー(5)であり、供給ラインを通して不活性ガスを前記ポケット(4)内に供給可能であることによってそこにガスクッションが形成されて前記基板ホルダー(5)を軸(7)を中心に回転させること、を特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サセプタ(3)は、少なくとも前記層の堆積中、回転軸(8)を中心に回転駆動されること、及び/又は、前記サセプタ(3)は、前記層の堆積中及び前記加熱ステップ(20)中にかつ/又は3つの前記洗浄ステップ(21,22,23)中に加熱装置(31)により加熱されること、を特徴とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~3のいずれかに記載の方法を実行する装置であって、
少なくとも1つのグラファイト部品(3,5,10,11,19)が中に配置されたリアクタハウジング(1)を有するCVDリアクタと、
プロセスガスを提供するガス源(25)を有するガス供給装置と、
請求項1
~3のいずれかに記載の方法が前記リアクタハウジング(1)のプロセスチャンバ(2)内で実行されるようにバルブ(27)と質量流量コントローラ(26)とを制御するための制御装置(32)と、を備えた装置。
【請求項13】
前記ガス供給装置はガス源(25)を有し、それにより、少なくとも1つの第II-第
VI主族の元素を含むか、少なくとも1つの第III-第V主族の元素を含むか、又は少なくとも1つの第V主族の元素を含む少なくとも1つの反応ガスを供給することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ガス供給装置は、少なくともAsH
3、PH
3、NH
3、シラン、炭素化合物、マグネシウム化合物、有機金属化合物、TMGa、TMIn、TMAl、又は酸化物を提供するためのガス源(25)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
塩素を用いる洗浄方法は、特許文献5、6及び7にも開示されている。特許文献8は、プロセスチャンバ内で層を堆積する方法を開示しており、コーティングプロセス及び基板除去後に、プロセスチャンバ内にアンモニアが供給される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/385861号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2017100 725号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102013 104 105号明細書
【特許文献4】米国特許第4,816,113号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/005118号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10 2012 101 438号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2010/0273290号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第10 2013 104 105号明細書
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
この目的は、特許請求の範囲で特定される発明によって達成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
サセプタ3は、シャフト9と回転駆動部(図示せず)を用いて回転軸8を中心に回転可能である。同じく図示しないが、サセプタ3のガスチャネル(図示せず)に不活性ガスを供給するためにシャフト9を供給ラインが通っている。これらのガスチャネルは、サセプタ3の上向きの表面に配置されたポケット4の床に開口している。グラファイト製の基板ホルダー5が、これらのポケット4の各々に挿入されている。基板ホルダー5もSiCでコーティングされ得る。基板6は、基板ホルダー5上に配置することができる。これは、Si、GaAs製の基板、又は、サファイアもしくは他の適切な材料からなる基板とすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
プロセスチャンバ天井10は、グラファイト製とし、SiCによってコーティングすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
プログラム可能な電子制御装置32は、上述したガスの所定の質量流量を供給ライン12、14、16を通してプロセスチャンバ2へ供給するためにバルブ27及び質量流量コントローラ26を制御することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
第1の洗浄温度T1に到達後、時点t2から時点t3までの第1の洗浄ステップ21においてCl2がN2と共にプロセスチャンバに供給される。プロセスチャンバ2内で、SiC表面に堆積した化学化合物とCl
2
との反応を生じる。揮発性反応生成物が形成され、それらはN2と共にプロセスチャンバ2から除去される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
時点t7に達した後、冷却ステップ24において、プロセスチャンバ2の温度を、例えば200℃~400℃に、又は300℃に降下させる。時点t8において、プロセスチャンバ2の温度は300℃の値に到達しており、時点t1で洗浄プロセスを開始してから例えば約70分が経過している。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本方法の例示的実施形態は、以下のステップにより実行することができる:
プロセスチャンバを第1の洗浄温度T
1
(800℃~900℃)に加熱するステップ
窒素雰囲気中にCl2を注入するステップ(12slmの5%Cl2、11slmのN2、50mbar~100mbarの全圧)
Cl2の注入を終了し、第2の洗浄温度T2(950℃~1000℃)に加熱するステップ
窒素雰囲気中にO2を注入するステップ(9slmの5%O2、11slmのN2、600mbar~800mbarの全圧)
O2の注入を終了し、温度を第3の洗浄温度T3(800℃~1000℃)に変更するステップ
水素雰囲気中で加熱するステップ(26slm、50mbar~100mbarの全圧)
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
CVDリアクタ内で基板(6)上に第V主族の元素を含む層を堆積するための方法であって、CVDリアクタはリアクタハウジング(1)を有し、リアクタハウジング(1)内にはSiCでコーティングされた少なくとも1つのグラファイト部品(3,5,10,11,19)が配置され、そのグラファイト部品は、堆積中にCVDリアクタのプロセスチャンバ(2)内に供給されるプロセスガスと接触することによって、プロセスガスの分解生成物がそのグラファイト部品(3,5,10,11,19)の表面上に堆積して寄生コーティングを形成し、
第V主族の元素を含む分子を有するプロセスガスが提供され、
少なくとも1つの基板(6)がプロセスチャンバ(2)内に搬送され、
プロセスガスがプロセスチャンバ(2)内に供給され、
プロセス温度に加熱されたプロセスチャンバ(2)内でプロセスガスが分解し、第V主族元素が基板上の層の成分として基板(6)上に堆積され、
基板(6)がプロセスチャンバ(2)から取り出され、
プロセスチャンバ(2)が第1の洗浄温度(T1)に加熱され、
第1の洗浄温度(T
1
)に到達後、第1の洗浄ステップ(21)においてハロゲン又はハロゲン化合物がプロセスチャンバ(2)内に供給され、
第1の洗浄ステップ(21)の後、プロセスチャンバ(2)が第2の洗浄温度(T2)にされ、
第2の洗浄温度(T2)に到達後、第2の洗浄ステップ(22)においてO2がプロセスチャンバ(2)内に供給され、
第2の洗浄ステップ(22)の後、プロセスチャンバ(2)が第3の洗浄温度(T3)にされ、
第3の洗浄温度(T
3
)に到達後、第3の洗浄ステップ(23)において実質的にH2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、
第3の洗浄ステップ(23)の後、プロセスチャンバ(2)が冷却(24)される方法。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
冷却ステップ(24)中に、H2のみがプロセスチャンバ(2)内に供給されることを特徴とする方法。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】