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特表2024-545402基板に適用された層の機械的特性を決定する方法、及び関連装置
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  • 特表-基板に適用された層の機械的特性を決定する方法、及び関連装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】基板に適用された層の機械的特性を決定する方法、及び関連装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20241129BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241129BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G01L1/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529191
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022080051
(87)【国際公開番号】W WO2023104391
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,277
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21217598.8
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フアイチェン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシュコフ,ヴァーディム ユーリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】タベリー,サイラス,エミール
(72)【発明者】
【氏名】ハウプトマン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】コドコ,オレクサンドル
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197CC05
2H197CD44
2H197DA02
2H197DA03
2H197DB11
2H197EA05
2H197EA19
2H197EB22
2H197EB23
2H197JA22
2H197JA23
(57)【要約】
基板に適用された層の機械的特性を決定するための方法が開示される。方法は、層に関連する計測データを含む入力データ及び層において適用されるパターンのレイアウトに関連するレイアウトデータを取得することを含む。第1モデル又は第1モデル項を使用して、少なくとも入力データに基づいて層に関連する全体的な機械的特性を決定する。少なくとも1つの第2モデル又は少なくとも1つの第2モデル項を使用して、第1機械的特性及びレイアウトデータに基づいて、機械的特性分布又は関連するオーバーレイマップを予測し、機械的特性分布は、層にわたる機械的特性変動を記述する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に適用された層の機械的特性を決定するための方法であって、前記方法は、
前記層に関連する計測データを含む入力データを取得することと、
前記層において適用されるパターンのレイアウトに関連するレイアウトデータを取得することと、
第1モデル又は第1モデル項を使用して、少なくとも前記入力データに基づいて、前記層に関連する全体的な機械的特性を決定することと、
少なくとも1つの第2モデル又は少なくとも1つの第2モデル項を使用して、第1機械的特性及び前記レイアウトデータに基づいて、機械的特性分布又は関連するオーバーレイマップを予測することであって、前記機械的特性分布は、前記層にわたる機械的特性変動を記述する、こととを含む、方法。
【請求項2】
前記機械的特性は、前記層内の応力に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的特性は、応力及び層の厚さの積である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1モデル又は第1モデル項は、前記基板にわたる前記機械的特性に対する平均値を決定する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1モデル又は第1モデル項及び少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項の各々は、等方性モデル又はモデル項を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1モデル又は第1モデル項は、ゼロ次拡大モデル項を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、前記入力データを前記第1モデル又は第1モデル項にフィットさせて前記第1機械的特性を決定することを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1モデル又は第1モデル項は、所定の全体的な機械的特性の較正された静的ライブラリを含み、前記第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、前記入力データに基づいて前記ライブラリから適切な所定の機械的特性を選択することを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1モデル又は第1モデル項は、薄膜応力誘発ウェーハ変形、温度誘発変形、ウェーハ接合誘発基板及び上板変形のうちの1つ又は複数をモデル化する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、少なくとも一次バルク応答モデル項を含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、二次局所応答モデル項を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、ウェーハアライメント読み出しウェーハ品質インジケータ、オーバーレイスタック感度インジケータ及びレベルセンサデータのうちの1つ又は複数を追加的に使用して第2機械的特性分布又は関連オーバーレイマップを決定する、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記レイアウトデータは、フィールド内のダイの数、フィールド内のダイの位置、フィールド内のダイの寸法、レイアウトファイル及びパターン密度のうちの1つ又は複数を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記入力データは、アライメントデータ、ウェーハ形状データ、オーバーレイデータ、膜特性のエリプソメトリ計測、ラマン分光データ、プロファイル計測及びフォーカスデータのうちの1つ又は複数を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、複数の異なるレイアウトオプションによる所定の応力又はオーバーレイ分布の静的ライブラリを含み、前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項を使用するステップは、前記レイアウトデータに基づいて前記ライブラリから適切な応力又はオーバーレイ分布を選択することを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年12月6日に出願された米国特許出願第63/286,277号及び2021年12月23日に出願された欧州特許出願第21217598.8号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、例えば、リソグラフィなどのパターニングプロセスによってデバイスの製造における性能を維持するために使用できる制御装置及び制御方法に関する。本発明は、さらに、リソグラフィ技術を用いてデバイスを製造する方法に関する。本発明は、さらに、そのような方法の実施に使用するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスは、リソグラフィ装置が基板上、通常は基板のターゲット部分上に所望のパターンを適用し、その後、さまざまな処理化学的及び/又は物理的処理ステップがパターンを介して複雑な製品の機能的フィーチャを作成するプロセスである。基板上のパターンの正確な配置は、リソグラフィによって生成される可能性のある回路コンポーネントやその他の製品のサイズを縮小するための主要な課題である。特に、既に配置された基板上のフィーチャを正確に測定するという課題は、作業デバイスを高い歩留まりで生産するのに十分な精度で連続したフィーチャの層を重ね合わせて配置できるための重要なステップである。いわゆるオーバーレイは、一般に、今日のサブミクロン半導体デバイスでは数十ナノメートル以内、最も重要な層では数ナノメートルまで達成する必要がある。
【0004】
[0004] その結果、最新のリソグラフィ装置は、ターゲット位置で基板を実際に露光又はパターン形成するステップの前に、広範な測定又は「マッピング」動作を伴う。いわゆる高度なアライメントモデルは、処理ステップ及び/又はリソグラフィ装置自体によって引き起こされるウェーハ「グリッド」の非線形歪みをより正確にモデル化及び補正するために開発され続けている。
基板の応力及び面内歪みは、場合によっては、クランプされているか又はクランプされていない基板の形状(例えば、傾斜)の測定を介して決定できる。そのようの面内歪みは、基板に適用される1つ又は複数の応力誘発層から生じ得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本発明は、リソグラフィプロセスにおけるオーバーレイなどのパラメータの性能を制御するためのシステムを改善することを目的とする。
【0006】
[0006] より具体的には、本発明は、基板の応力又は面内歪みなどの機械的特性の測定を改善することを目的とする。
【0007】
[0007] 本発明の第1態様によると、基板に適用された層の機械的特性を決定するための方法が提供される。方法は、層に関連する計測データを含む入力データを取得することと、層において適用されるパターンのレイアウトに関連するレイアウトデータを取得することと、第1モデル及び第1モデル項を使用して、少なくとも入力データに基づいて、層に関連する全体的な機械的特性を決定することと、少なくとも1つの第2モデル又は少なくとも1つの第2モデル項を使用して、第1機械的特性及びレイアウトデータに基づいて、機械的特性分布又は関連するオーバーレイマップを予測することであって、機械的特性分布は、層にわたる機械的特性変動を記述する、こととを含む。
【0008】
[0008] 本発明の第2態様によると、上述した本発明の第1態様による方法において計算ステップを実施するための機械読取可能命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0009】
[0009] 本発明は、さらに、第2態様のコンピュータプログラムを含む処理配置、計測デバイス及びリソグラフィ装置を提供する。
【0010】
[0010] 本明細書中に開示される装置及び方法のこれらの及び他の態様及び利点は、後述する例示的実施形態の記載及び図面の検討から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態での使用に適したリソグラフィ装置を示す。
図2図2は、本発明による検査装置を使用することができるリソグラフィセル又はクラスタを示す。
図3図3は、既知の手法による、図1の装置における概略的な測定及び露光プロセスを図示する。
図4図4は、一実施形態による方法を記載するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012] 本発明の実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0014】
[0013] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたパターニングデバイスサポート又は支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wをそれぞれ保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWにそれぞれ連結された2つの基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa及びWTbと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。基準フレームRFが、様々なコンポーネントを連結するとともに、パターニングデバイス及び基板の位置並びにそれらの上のフィーチャの位置を設定及び測定するための基準として機能する。
【0015】
[0014] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。例えば、極端紫外線(EUV)を用いる装置では、反射型光学コンポーネントが通常使用される。
【0016】
[0015] パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた手法でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。パターニングデバイスサポートMTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにしてもよい。
【0017】
[0016] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0018】
[0017] 本明細書で示すように、本装置は透過型である(例えば透過型パターニングデバイスを使用する)。あるいは、装置は反射型でもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射型マスクを使用する)。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。「パターニングデバイス」という用語はまた、そのようなプログラマブルパターニングデバイスを制御する際に使用するためのパターン情報をデジタル形式で記憶するデバイスを指すものと解釈することもできる。
【0019】
[0018] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0020】
[0019] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増やすために当技術分野では周知である。
【0021】
[0020] 動作中、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0022】
[0021] イルミネータILは、例えば放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタAD、インテグレータIN、及びコンデンサCOを含むことができる。イルミネータは、放射ビームを調整して、その断面に所望の均一性と強度分布を持たせるために使用することができる。
【0023】
[0022] 放射ビームBは、パターニングデバイスサポートMT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2-Dエンコーダ、又は容量性センサ)の助けにより、基板テーブルWTa又はWTbを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動することができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。
【0024】
[0023] パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。小さなアライメントマークをダイの中、デバイスフィーチャの間に含めることもでき、その場合、マーカは可能な限り小さく、隣接したフィーチャと異なる結像又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムは、以下で更に説明される。
【0025】
[0024] 図示された装置は、様々なモードで使用できる。スキャンモードにおいては、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付与されたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速さ及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。当技術分野で周知のように、別のタイプのリソグラフィ装置及び動作モードが考えられる。例えば、ステップモードが既知である。いわゆる「マスクレス」リソグラフィでは、プログラマブルパターニングデバイスを静止状態に保ちながらもパターンを変化させ、基板テーブルWTを動かすか又はスキャンする。
【0026】
[0025] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0027】
[0026] リソグラフィ装置LAはいわゆるデュアルステージタイプのものであり、2つの基板テーブルWTa,WTbと、2つのステーション、露光ステーションEXP及び測定ステーションMEAとを有していて、基板テーブルはステーション間で交換可能である。一方の基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションで露光されている間に、測定ステーションでは他方の基板テーブル上に別の1つの基板がロードされて様々な準備ステップが実行され得る。これは、装置のスループットの実質的な増加を可能にする。単一ステージ装置では、準備ステップと露光ステップは、各基板に対して単一ステージで連続して実行する必要がある。準備ステップには、レベルセンサLSを使用して基板の表面高さの輪郭をマッピングし、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することが含まれる。測定ステーションにあるとき並びに露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を位置センサIFが測定することができない場合には、基準フレームRFに対する両ステーションにおける基板テーブルの位置が追跡されることを可能にするために、第2位置センサが設けられてもよい。他の構成も知られており、図示されるデュアルステージ構成に代えて使用可能である。例えば、基板テーブル及び測定テーブルが設けられた他のリソグラフィ装置が知られている。これらは、予備測定を実施するときにドッキングされ、その後、基板テーブルが露光を受ける間にドッキング解除される。
【0028】
[0027] 図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はクラスタとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成し、基板上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、レジスト層を堆積するスピンコータSC、露光されたレジストを現像する現像液DE、冷却プレートCH及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラ又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動し、リソグラフィ装置のローディングベイLBに搬送する。総称してトラックと呼ばれることが多いこれらのデバイスは、監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、監視制御システムSCSもリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。したがって、異なる装置を動作させて、スループットと処理効率を最大化できる。
【0029】
[0028] リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるように、露光された基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。したがって、リソセルLCが位置する製造施設は、リソセルで処理された基板Wの一部又はすべてを受け取る計測システムMETも含む。計測結果は、直接又は間接的に監視制御システムSCSに提供される。エラーが検出された場合、後続の素材の露光を調整できる。
【0030】
[0029] 計測システムMET内では、検査装置を使用して、基板の特性、特に異なる基板又は同じ基板の異なる層の特性が層ごとにどのように変化するかを決定する。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合されてもよいし、独立型装置であってもよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光されたレジスト層の特性を測定することが望ましい場合がある。しかしながら、すべての検査装置が潜像の有用な測定を行うのに十分な感度を備えているわけではない。したがって、露光後のベークステップ(PEB)の後に測定を行ってもよい。これは通常、露光済み基板で実行される最初のステップであり、レジストの露光済み部分と未露光部分のコントラストを高める。この段階では、レジスト内の画像は半潜像と呼ばれることがある。また、現像されたレジスト画像の測定を行うこともできる。この時点で、レジストの露光済み部分又は未露光部分が除去されている。また、すでに露光されている基板は、歩留まりを改善するために剥がして再加工するか、廃棄することができ、それにより欠陥があることが知られている基板のさらなる処理の実行を回避できる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、良好なターゲット部分のみにさらなる露光を実行することができる。
【0031】
[0030] 計測システムMETを使用した計測ステップは、レジストパターンが製品層にエッチングされた後に行うこともできる。後者の可能性は、欠陥のある基板の再加工の可能性を制限するが、製造プロセス全体のパフォーマンスに関する追加情報を提供する場合がある。
【0032】
[0031] 図3は、図1のデュアルステージ装置において基板W上のターゲット部分(例えばダイ)を露光させるためのステップを示す。最初に、従来例による処理を説明する。本開示は、図示されている型のデュアルステージ装置に決して限定されない。当業者は、同様の動作が他の型のリソグラフィ装置、例えば、単一の基板ステージ及びドッキング計測ステージを有する装置で実行されることを理解するであろう。
【0033】
[0032] 左側の点線のボックス内は測定ステーションMEAで実行されるステップであり、右側は露光ステーションEXPで実行されるステップを示す。その時々で、上記したように、基板テーブルWTa,WTbのうち一方が露光ステーションにあり、他方が測定ステーションにある。この説明の目的のために、基板Wは既に露光ステーション内にロードされているものと推定される。ステップ200では、図示しない機構によって、新たな基板W’が装置にロードされる。これらの2つの基板は、リソグラフィ装置のスループットを高めるために、並列処理される。
【0034】
[0033] 最初に新たにロードされた基板W’を参照すると、この基板は以前の未処理の基板であってよく、装置における第1回目の露光のための新たなフォトレジストが備えられている。しかしながら、一般には、説明されるリソグラフィプロセスは一連の露光及び処理ステップのうちの1つのステップに過ぎず、したがって基板W’はこの装置及び/又は他のリソグラフィ装置を既に数回通過しており、後続の処理も受ける可能性もある。特に、オーバーレイ性能を向上させるという問題については、既に1つ以上のパターニング及び処理のサイクルを経た基板の上に新たなパターンが正確な位置で適用されることを保証するのが課題となる。各パターニングステップは、適用されたパターンに位置ずれを引き起こす一方、後続の処理ステップは、基板及び/又はそれに適用されたパターンに徐々に歪みを引き起こし、満足なオーバーレイ性能を達成するためにその歪みを測定及び補正しなければならない。
【0035】
[0034] 先の及び/又は後続のパターニングステップは、前述のように、他のリソグラフィ装置において実行されてもよく、異なるタイプのリソグラフィ装置においてさえ実行されてもよい。例えば、解像度やオーバーレイなどのパラメータが非常に厳しいデバイス製造プロセスにおけるいくつかの層は、それほど厳しくない他の層よりも、より高度なリソグラフィツールで実施することができる。したがって、いくつかの層が、液浸型のリソグラフィツールで露光される一方、他の層は「ドライ」ツールで露光される。DUV波長で作業するツールで露光される層もあれば、EUV波長放射を用いて露光される層もある。いくつかの層は、例示されたリソグラフィ装置における露光に代わる又は補足的なステップによってパターン形成することができる。そのような代替及び補足技術は、例えば、インプリントリソグラフィ、自己整合多重パターニング、及び自己組織化リソグラフィを含む。同様に、層ごとに実行される他の処理ステップ(例えば、CMP及びエッチング)は、層ごとに異なる装置で実行することができる。
【0036】
[0035] 202においては、基板マークP1等及び画像センサ(図示せず)を用いたアライメント測定が、基板テーブルWTa/WTbに対する基板のアライメントを測定及び記録するために用いられる。また、基板W’にわたるいくつかのアライメントマークがアライメントセンサASを用いて測定される。これらの測定は、公称長方形グリッドに対するあらゆる歪みを含む、基板にわたるマークの分布を非常に正確にマッピングする基板モデル(「ウェーハグリッド」と呼ばれることもある)を確立するために、一実施形態で使用される。
【0037】
[0036] ステップ204では、X-Y位置に対するウェーハ高さ(Z)のマップがレベルセンサLSを用いて測定される。高さマップは、露光されたパターンの正確な合焦を達成するためのみに用いられる。他の用途にも使用することができる。
【0038】
[0037] 基板W’がロードされると、実行されるべき露光、並びにウェーハ及びその上に先に作成された及びこれから作成されるパターンの特性も定義するレシピデータ206が受信される。基板上のアラインメントマークの選択があり、アラインメントセンサの設定の選択がある場合には、これらの選択は、レシピデータ206の中のアラインメントレシピにおいて定義される。したがって、アライメントレシピは、アライメントマークの位置をどのように測定するのか、またどのマークを測定するのかを定義する。
【0039】
[0038] 210ではウェーハW’とWとがスワップされ、したがって測定済みの基板W’は露光ステーションEXPに進入する基板Wとなる。図1の例示的な装置においては、このスワッピングは装置内のサポートWTaとWTbとを交換することによって実行されるので、基板W,W’は、これらのサポート上に正確にクランプされ位置決めされたままで、基板テーブルと基板自体との相対的なアライメントを維持する。したがって、一旦テーブルがスワップされると、露光ステップを管理する基板W(以前はW’)のための測定情報202,204を利用するために必要なのは、投影システムPSと基板テーブルWTb(以前はWTa)との相対位置を決定することだけである。ステップ212においては、マスクアライメントマークM1,M2を用いてレチクルアライメントが実行される。ステップ214,216,218では、多数のパターンの露光を完了するために、基板Wの全体にわたって連続するターゲット箇所において、スキャン動作及び放射パルスが適用される。
【0040】
[0039] 露光ステップの実施時に測定ステーションで得られたアライメントデータ及び高さマップを用いることによって、これらのパターンは、所望の位置に関して、及び、特に、同じ基板上に以前に定められたフィーチャに関して、正確に位置合わせされる。W’’と標識された露光された基板は、ステップ220において装置からアンロードされ、露光されたパターンに従ってエッチング又は他のプロセスを受ける。
【0041】
[0040] 基板の歪みは、リソグラフィプロセスのオーバーレイ性能に影響する場合がある。基板の歪みは、基板の熱処理(例えば、レーザアニール)又は応力のかかった薄膜の堆積によって生じる場合がある。オフライン計測ツールで測定できる自由形式の基板形状は、この歪みの結果として変化する可能性がある。大量生産で見られることがある典型的な形状は、ボウル(凹面)、傘(凸面)、及びサドル形状である。これらの形状からの逸脱は、高次の面内歪みをもたらす。一部の場合、これらの面内歪みはゆっくりと空間的に変化する関数であり、(例えば)高次ウェーハアライメント(HOWA)モデルなどの既存のアライメントモデルでキャプチャできる。重要な前提条件は、多項式ベースのHOWAモデルが非常に局所的な歪みに対して効果が小さくなるので、グリッド歪みが全体的なままであることである。
【0042】
[0041] 別のアプローチは、基板形状又は変形測定を使用することである。そのような基板形状測定は、面外変形測定、すなわち、基板表面に垂直なz方向における基板の形状の測定を含んでもよい。基板形状測定は、自由形式の(クランプされていない)基板形状の測定を含んでもよく、又は、クランプされた基板の測定から得られてもよい。基板形状へのいかなる言及も、これらの方法論又は他の方法論のいずれかによる基板の面外変形のいかなる適切な測定も包含する。自由形式の基板形状とクランプ後の面内歪み(IPD)との関係が知られているか又はモデル化できるところでは、オーバーレイ性能を向上させるための予測(及び補正)を行うことができる。
【0043】
[0042] そのような局所的なウェーハ形状測定は、例えばミリメートルスケールでの低解像度の応力マップを取り出すためにのみ使用することができ、したがって、高い空間周波数の応力誘発オーバーレイフィンガープリントをカバーするのに十分ではない。さらに、ウェーハ形状計測自体は、現実の局所的なウェーハ形状として誤って解釈される信号を導くことがある、前面トポグラフィに敏感であり得る。また、予測精度は、測定された形状をオーバーレイに変換するために使用されるモデルに強く依存し、これは、裏面コーティングの利用などの多くの側面にも依存する。
【0044】
[0043] 面内歪みに対する1つの寄与は、基板へのストレッサの適用、例えば、適用される層又は薄膜堆積であってもよい。薄膜応力は、典型的には、基板のクランプされていない自由形式の形状に影響を及ぼす。このストレッサは、基板形状の変化又は歪みをもたらす。応力を受けた薄膜は、エッチング後に局所的なオーバーレイ誤差を生じさせることがあり、そのようなオーバーレイ誤差は、多くの場合、高い空間周波数を有し、ウェーハごとに、及びウェーハにわたって変化し得る。
【0045】
[0044] 現在、高解像度オーバーレイ制御は、(前述のアライメント技術に加えて)オーバーレイ計測のような露光後計測を介して実行され得る。オーバーレイ計測の大部分は、スクライブライン内のターゲット、及び/又は製品のフィーチャよりも著しく大きい寸法を有するターゲットに対して、例えば、ターゲットから回折した相補的な高次回折次数(例えば、+1及び-1の回折次数)の不均衡を測定する回折ベースのオーバーレイ(DBO)技術を使用して実行される。DBO計測は、他の多くのオーバーレイ計測技術と比較して、比較的高速であるという利点を有する。しかしながら、そのような計測は、マーク対デバイス(MTD)オフセットをもたらす傾向があり、オーバーレイターゲットは製品構造と異なる挙動を示し、したがって、ターゲット上で測定されるオーバーレイは、製品構造のオーバーレイ(関心のあるオーバーレイ又は関心のあるパラメータ)を真に表していない。
【0046】
[0045] MTD問題に対処するオーバーレイを測定する他の方法は、装置内計測(IDM)又は走査電子顕微鏡(SEM)計測を含む。しかしながら、両方の手法はDBOよりもかなり遅く、そのため、それらの適用はスループット要件によって制限される。さらに、IDMは、製品のフィーチャが周期的であること、又は製品領域内の専用ターゲットに対して行われることを要求する場合があるが、これは常に可能であるとは限らない。このため、IDM又はSEM計測が少しでも実行される場合、それは、典型的には、すべてのウェーハのごく一部分でのみ実行され、結果として、プロセス誘発オーバーレイ変動のウェーハ間変動の制限された制御をもたらす(特に、フィールド内/ダイレベルスケールなどの小さな空間スケールで)。
【0047】
[0046] したがって、リソグラフィプロセスにおけるモニタリング及び/又はプロセス制御に使用するための、面内変形又は応力分布(例えば、膜などのストレッサの適用から生じる、基板領域又はその一部にわたる有効薄膜特性を記述する応力マップ)及び/又は導出されたオーバーレイマップなどの機械的特性を決定するための方法が、本明細書で開示される。
【0048】
[0047] 提案された方法は、アライメントデータ及び/又は他の計測データを使用して、アライメント又は計測データフィンガープリントに対応する応力を予測することができる第1モデルを用いて、特定の(1つ又は複数の)層に関連する全体的又は平均ウェーハ応力を推測することができる。一度全体的応力が推定されると、第2モデルは、ダイレベル(高密度)応力分布を予測するためにデバイスレイアウト情報(例えば、とりわけフィールドレイアウト及び/又はパターン密度)を使用してもよい。これを使用して、IPDに対する影響を推定し、高密度のダイ内オーバーレイフィンガープリントを決定することができる。
【0049】
[0048] 図4は、このような方法を説明するフロー図である。アライメントデータ400などの入力データ(例えば、粗及び微細アライメントデータ)は、例えば、アライメントセンサを使用して測定されたときに得られる。アライメントデータの利点は、各ウェーハについて既に測定されていることである。しかしながら、本明細書中に開示する概念は、アラインメントデータの使用に限定されず、アラインメントデータのみにも限定されない。代替的又は追加的に、他の計測データが、このステップにおける入力データとして用いられてもよい。そのような計測データは、オーバーレイ、膜厚及び応力レベルのうちの1つ以上の尺度であるか、又はそれらを示す任意の計測データを含み得る。そのような入力データは、ウェーハ形状データ、任意のオーバーレイデータ(例えば、SEMオーバーレイデータ又は光学的オーバーレイデータ)、膜特性のエリプソメトリ計測、ラマン分光データ、プロファイル計測、フォーカスデータ(主にウェーハの端でのウェーハ形状を推測するために使用できる)のうちの1つ以上を含み得る。
【0050】
[0049] 入力データ(例えば、アライメントデータ又はアライメント位置ずれ(APD)データ)は、第1モデル又はウェーハスケールモデル410に入力され得る。第1モデル410は、アライメントデータを使用して、前のパターン形成された層の有効薄膜特性又は全体的な応力430を逆フィット又はモデル化してもよい。具体例として、応力分布又は有効薄膜特性σeffは、リソグラフィ層i上に合計される薄膜張力σ及び膜厚hの積に関連してもよい。例えば、以下の通りである。
【数1】
【0051】
[0050] 追加情報420は、応力予測430の精度を改善するために使用されてもよい。この追加情報420は、スタック及び近似応力特性(例えば、任意の裏面コーティングの特性を含み、裏面コーティングが、(1つ又は複数の)表面コーティングによって引き起こされる形状変化を補償するために適用され得る))、並びに1つ又は複数の前のリソグラフィ層に関連する任意の計測(例えば、アラインメントデータ)のうちの1つ以上を含み得る。具体的な例として、裏面コーティングが適用されるとき、基板の全体的な反りは変化するが、局所的な歪みは残る。したがって、裏面補償が適用されるとき、(表面)フィルム又はストレッサの適用から生じる反りをモデル化するために追加された任意の反り項について、追加情報を使用して補正することができる。
【0052】
[0051] ウェーハスケール第1モデル410は、薄膜応力誘発ウェーハ変形、温度誘発変形、ウェーハ接合誘発基板及び上板変形のモデルを含んでもよいが、それらに限定されない。一実施形態では、ウェーハスケールモデルは、例えば、テーブルルックアップ及び/又は補間のための較正された静的ライブラリとすることができる。
【0053】
[0052] 全体的な応力又は有効薄膜特性430は、ウェーハレベルモデルから第2モデル又はダイレベル応力モデルモジュール440にエクスポートすることができる。レイアウト又はフロアプラン情報450は、微細グリッド製品上の(例えば、エッチング後)応力分布(マップ)又はオーバーレイ分布(マップ)470を決定するために使用することができる。あるいは、ダイレベルモデル440は、特定の固定されたレイアウト/フロアプランオプションに従って、応力又はオーバーレイ分布の静的ライブラリとして予め計算され、モデル440にパッチされてもよい。
【0054】
[0053] レイアウト又はフロアプラン情報450は、例えば、フィールド内のダイの数及び/又は位置及び/又は寸法、レイアウトファイル(例えば、gdsファイル)及びパターン密度(後者は、レイアウトファイルから決定され得る)のうちの1つ以上を含み得る。パターン密度は、応力と相関している(パターン形成された材料はエッチングで除去され、応力を運ぶ)。
【0055】
[0054] 任意選択で、他のインジケータ460も、応力分布又はオーバーレイ分布470を決定する際にモデル440によって使用されてもよい。そのようなインジケータは、ウェーハアライメント読み出しウェーハ品質インジケータ、オーバーレイスタック感度インジケータ、及びレベルセンサデータのうちの1つ以上を含んでもよい。これらのインジケータは、例えば、製品上の応力/オーバーレイフィンガープリントのより正確な予測のために、異なるウェーハ位置にわたる薄膜厚さ分布をより良好に推測するために使用され得る。加えて又は任意選択で、第2モデルも、機械的特性(応力分布)を決定する際に、前述の追加情報420を使用してもよい。
【0056】
[0055] ステップ480では、応力分布又はオーバーレイ分布は、リソグラフィプロセス(露光プロセス)のモニタリング(例えば、先送り及び計測生成)及び/又はフィードフォワード制御のために使用することができる。
【0057】
[0056] 第1モデル及び第2モデルは、単一のモデルの異なる項を含んでもよいことが理解されたい。例えば、第1モデルは、ゼロ次又はフィールド拡大項(rに関して、
【数2】

であり、x及びyは基板面におけるデカルト座標である)であってもよい。
【0058】
[0057] 第2モデルは、1つ以上の高次の項、例えば、少なくとも一次バルク応答項(例えば、r-1に関して)を含み得る。そのような一次項は、z依存性のない基板(2D基板面)に取り付けられた薄膜付加を記述し得る。第2モデルもまた、追加の二次局所応答項又は3D項(例えば、r-2に関して)を含んでもよい。
【0059】
[0058] 次に、具体的な第1モデル及び第2モデルについて説明する。そのようなモデルは単なる例示であり、示される詳細なモデルとは異なる場合がある。
【0060】
[0059] 第1モデル又は第1項(フィールド拡大項)は、以下の形態をとり得る。
【数3】
【0061】
[0060] ここで、vはポアソン比であり、
【数4】

は平均応力であり、Eは弾性係数であり、hは厚さであり、εはひずみであり、添字s及びfはそれぞれ基板及び膜に関する。
【0062】
[0061] 第2モデルの一次(2D)バルク応答項は、
【数5】

を含んでもよい。uは変位/歪みであり、σ(x,y)は応力分布であり、
【数6】

は畳み込み演算子である。
【0063】
[0062] z次元(すなわち、x及びyによって定義される基板平面に垂直な方向)を導入する第2モデルの二次局所応答項は、
【数7】

を含んでもよい。この説明では、3D近似としてのσ(x,y)が膜応力と基板応力をもはや区別しない(以前のように膜応力σ(x,y)として表されることもある)ことに注意されたい。
【0064】
[0063] 上記のモデルは、応力分布を同位体的にモデル化するために使用することができる。しかしながら、応力分布を異方的にモデル化すれば改善された性能が得られる。
【0065】
[0064] 上記の項は、簡略化された形で表され得ることが理解されたい。例えば、一次項は、
【数8】

として表すことができる。二次項は、
【数9】

として表すことができる。ここで、f(x,y),f(x,y,z)は、デカルト座標の幾何関数(例えば、既に説明したように、他の形態をとってもよい)であり、導出パラメータC及びDはそれぞれ、定数又は膜厚、ポアソン比、及び基板厚を結びつける定数を含む。このような実施形態では、これらのパラメータC及びDは、それぞれ、この形態で較正することができる単一のパラメータとして扱うことができる。
【0066】
[0065] アライメントデータ(APDデータ)及びレイアウトデータ(パターン密度データ)に基づいて、応力分布を異方的にモデル化するより詳細な例示的方法について説明する。
【0067】
[0066] 方法は、測定されたAPD値apd(x,y),apd(x,y)(アライメントデータを入力データと仮定する)を第1モデル(ウェーハスケールモデル)にフィットさせることを含んでもよい。
【数10】

ここで、異方性ひずみε,εは異方性第1モデル(異方性拡大項)によって与えられる。
【数11】

εisoは、等方性ひずみ(既述の等方性第1モデル)である。
【数12】

【数13】

は、平均等方性応力であり、
【数14】

は、平均異方性応力である。E,h及びvは、既知の基板(結晶シリコン)定数であるので、ひずみ値ε,εをモデルに入れて、同位体薄膜特性(平均応力及び膜厚積項)
【数15】

及び異方性薄膜特性
【数16】

を決定できる。
【0068】
[0067] 第2モデルのフィッティングにおいて、方法は、等方性及び異方性応力分布σ(x,y),σaniso(x,y)を事前計算することを含むことができる。
【数17】

ここで、p(x,y)はパターン密度分布であり、パターン密度は、パターン形成された領域と全領域との比であってもよく、C1及びC2は、(任意の)補正係数である。これらの補正係数は、ピッチ密度又は周囲密度などの他の設計パラメータに依存してもよく、C1は、ゼロと1との間の無次元数(例えば、ほぼ1)であってもよく、C2は、-1と1との間の無次元数(例えば、ほぼゼロ)であってもよい。σは、エッチング前のブランケット膜の初期応力である。
【0069】
[0068] 第1モデルを用いて決定される平均応力は、
【数18】

を用いて応力分布に変換されてもよく、これは、前因子、すなわち、h,C1及びC2の較正を可能にする。これに続いて、σ(x,y)h及びσaniso(x,y)hを、二次モデル(以下に示す)に代入して、密な歪みマップ予測を得ることができる。
一次等方性バルク応答
【数19】

一次異方性バルク応答
【数20】

二次前面等方性局所応答
【数21】

二次前面異方性局所応答
【数22】
【0070】
[0069] 任意選択で、高次フィンガープリントマップ(fp1(x,y)...fpn(x,y))を使用してもよい。これらの高次フィンガープリントマップは、事前計算してライブラリに格納することができる。モデルフィッティングの間、多重線形回帰を用いて、例えば、apd(x,y)=c1*fp1(x,y)+c2*fp2(x,y)+c3*fp3(x,y)...cn*fpn(x,y)をフィットさせることができる。このようにして、ウェーハにわたる膜厚変動及びエッチング条件変動も推測することができる。
【0071】
[0070] 本発明のさらなる実施形態は、以下の番号付けされた条項のリストに開示される。
1.基板に適用された層の機械的特性を決定するための方法であって、方法は、
層に関連する計測データを含む入力データを取得することと、
層において適用されるパターンのレイアウトに関連するレイアウトデータを取得することと、
第1モデル又は第1モデル項を使用して、少なくとも入力データに基づいて、層に関連する全体的な機械的特性を決定することと、
少なくとも1つの第2モデル又は少なくとも1つの第2モデル項を使用して、第1機械的特性及びレイアウトデータに基づいて、機械的特性分布又は関連するオーバーレイマップを予測することであって、機械的特性分布は、層にわたる機械的特性変動を記述する、こととを含む、方法。
2.機械的特性は、層内の応力に関連する、条項1に記載の方法。
3.機械的特性は、応力及び層の厚さ又は導出パラメータの積である、条項2に記載の方法。
4.第1モデル又は第1モデル項は、基板にわたる機械的特性に対する平均値を決定する、条項1~3のいずれかに記載の方法。
5.第1モデル又は第1モデル項及び少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項の各々は、等方性モデル又はモデル項を含む、条項1~4のいずれかに記載の方法。
6.第1モデル又は第1モデル項及び少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項の各々は、異方性モデル又はモデル項を含む、条項1~4のいずれかに記載の方法。
7.第1モデル又は第1モデル項は、ゼロ次拡大モデル項を含む、条項1~6のいずれかに記載の方法。
8.第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、入力データを第1モデル又は第1モデル項にフィットさせて第1機械的特性を決定することを含む、条項1~7のいずれかに記載の方法。
9.第1モデル又は第1モデル項は、所定の全体的な機械的特性の較正された静的ライブラリを含み、第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、入力データに基づいてライブラリから適切な所定の機械的特性を選択することを含む、条項1~6のいずれかに記載の方法。
10.第1モデル又は第1モデル項は、薄膜応力誘発ウェーハ変形、温度誘発変形、ウェーハ接合誘発基板及び上板変形のうちの2つ以上をモデル化する、条項1~9のいずれかに記載の方法。
11.少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、少なくとも一次バルク応答モデル項を含む、条項1~10のいずれかに記載の方法。
12.少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、二次局所応答モデル項を含む、条項10に記載の方法。
13.少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、ウェーハアライメント読み出しウェーハ品質インジケータ、オーバーレイスタック感度インジケータ及びレベルセンサデータのうちの1つ又は複数を追加的に使用して第2機械的特性分布又は関連オーバーレイマップを決定する、条項1~12のいずれかに記載の方法。
14.レイアウトデータは、フィールド内のダイの数、フィールド内のダイの位置、フィールド内のダイの寸法、レイアウトファイル及びパターン密度のうちの1つ又は複数を含む、条項1~13のいずれかに記載の方法。
15.入力データは、アライメントデータ、ウェーハ形状データ、オーバーレイデータ、膜特性のエリプソメトリ計測、ラマン分光データ、プロファイル計測及びフォーカスデータのうちの1つ又は複数を含む、条項1~14のいずれかに記載の方法。
16.少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、複数の異なるレイアウトオプションによる所定の応力又はオーバーレイ分布の静的ライブラリを含み、少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項を使用するステップは、レイアウトデータに基づいてライブラリから適切な応力又はオーバーレイ分布を選択することを含む、条項1~15のいずれかに記載の方法。
17.少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項を使用するステップは、基板面に関連する少なくとも2つの座標にわたって入力データをモデルにフィットさせることを含む、条項1~14のいずれかに記載の方法。
18.層は、基板に応力をかける及び基板を変形させる適用されたストレッサ層である、条項1~17のいずれかに記載の方法。
19.機械的特性分布又は関連オーバーレイマップを使用して、基板上の1つ又は複数の後続の生産ステップに対する補正を決定することを含む、条項1~18のいずれかに記載の方法。
20.適切な装置上で起動されたとき、条項1~19のいずれかに記載の方法を実行するように動作可能なプログラム命令を含む、コンピュータプログラム。
21.条項19のコンピュータプログラムを含む非一時的コンピュータプログラムキャリア。
22.条項19のコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラムキャリアと、
コンピュータプログラムを起動させるように動作可能なプロセッサとを含む、処理配置。
23.条項21の処理配置を含む、計測デバイス。
24.条項21の処理配置を含む、リソグラフィ装置。
【0072】
[0071] リソグラフィ装置及びリソセルLCのハードウェアに関連して、実施形態は、リソグラフィ製造システムのプロセッサに、上記で説明されているモデルマッピング及び制御の方法を実施させる機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムを含み得る。このコンピュータプログラムは、例えば、画像計算/制御プロセスに使用される別個のコンピュータシステムで実行されてもよい。あるいは、計算ステップは、図1及び図2のプロセッサ、計測ツール、及び/又は制御ユニットLACU及び/又は監視制御システムSCS内で全体的又は部分的に実行されてもよい。そのようなコンピュータプログラムが非一時的な形で記憶されているデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)も提供され得る。
【0073】
[0072] 光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及したが、本発明は他のパターニング用途、例えばインプリントリソグラフィで使用できることが理解されよう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが、基板上に作成されるパターンを定義する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し込まれ、その後、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを加えることによりレジストが硬化される。レジストが硬化した後、パターニングデバイスをレジストから移動して、パターンを残す。
【0074】
[0073] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及びガイダンスに基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。本明細書中の表現又は用語は、本明細書の用語又は表現が教示及びガイダンスに照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく例による説明の目的のためであることを理解すべきである。
【0075】
[0074] 本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に適用された層の機械的特性を決定するための方法であって、前記方法は、
前記層に関連する計測データを含む入力データを取得することと、
前記層において適用されるパターンのレイアウトに関連するレイアウトデータを取得することと、
第1モデル又は第1モデル項を使用して、少なくとも前記入力データに基づいて、前記層に関連する全体的な機械的特性を決定することと、
少なくとも1つの第2モデル又は少なくとも1つの第2モデル項を使用して、第1機械的特性及び前記レイアウトデータに基づいて、機械的特性分布又は関連するオーバーレイマップを予測することであって、前記機械的特性分布は、前記層にわたる機械的特性変動を記述する、こととを含む、方法。
【請求項2】
前記機械的特性は、前記層内の応力に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的特性は、応力及び層の厚さの積である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1モデル又は第1モデル項は、前記基板にわたる前記機械的特性に対する平均値を決定する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1モデル又は第1モデル項及び少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項の各々は、等方性モデル又はモデル項を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1モデル又は第1モデル項は、ゼロ次拡大モデル項を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、前記入力データを前記第1モデル又は第1モデル項にフィットさせて前記第1機械的特性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1モデル又は第1モデル項は、所定の全体的な機械的特性の較正された静的ライブラリを含み、前記第1モデル又は第1モデル項を使用するステップは、前記入力データに基づいて前記ライブラリから適切な所定の機械的特性を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1モデル又は第1モデル項は、薄膜応力誘発ウェーハ変形、温度誘発変形、ウェーハ接合誘発基板及び上板変形のうちの1つ又は複数をモデル化する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、少なくとも一次バルク応答モデル項を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、二次局所応答モデル項を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、ウェーハアライメント読み出しウェーハ品質インジケータ、オーバーレイスタック感度インジケータ及びレベルセンサデータのうちの1つ又は複数を追加的に使用して第2機械的特性分布又は関連オーバーレイマップを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記レイアウトデータは、フィールド内のダイの数、フィールド内のダイの位置、フィールド内のダイの寸法、レイアウトファイル及びパターン密度のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記入力データは、アライメントデータ、ウェーハ形状データ、オーバーレイデータ、膜特性のエリプソメトリ計測、ラマン分光データ、プロファイル計測及びフォーカスデータのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項は、複数の異なるレイアウトオプションによる所定の応力又はオーバーレイ分布の静的ライブラリを含み、前記少なくとも1つの第2モデル又は第2モデル項を使用するステップは、前記レイアウトデータに基づいて前記ライブラリから適切な応力又はオーバーレイ分布を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】