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特表2024-545427CEACAM5 ADC-抗PD1/PD-L1組み合わせ療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】CEACAM5 ADC-抗PD1/PD-L1組み合わせ療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20241129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20241129BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 31/537 20060101ALN20241129BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20241129BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K39/395 L
A61P37/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K51/10 100
A61P35/04
A61K33/243
A61K31/282
A61K31/519
A61K31/537
C07K16/30
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532762
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022084105
(87)【国際公開番号】W WO2023099682
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21306690.5
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/383,337
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・シャドジャ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリ・ル・バイユ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン・スフレ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・デニス
(72)【発明者】
【氏名】サミラ・ベンスフィア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA12
4C084MA65
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB22
4C086HA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA85
4C206NA05
4C206ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
任意選択によりペメトレキセドの有り無し両方でシスプラチン又はカルボプラチンなどのプラチナ含有薬剤と合わせて、CEACAM5を標的化する抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を使用する癌の組み合わせ治療のための方法が提供される。特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。特定の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。特定の実施形態では、癌は、進行性又は転移性NSQ NSCLCである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする対象における癌の治療における使用のための、有効量における(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の組み合わせであって、前記癌がCEACAM5を発現する組み合わせ。
【請求項2】
前記抗CEACAM5抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、請求項1に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項3】
前記抗CEACAM5抗体が、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む、請求項1又は2に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項4】
前記抗CEACAM5抗体が、ツサミタマブである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項5】
前記ADCが、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項6】
前記細胞傷害性薬剤が、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項7】
前記低分子毒素が、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項8】
前記抗微小管剤が、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項9】
前記細胞傷害性薬剤が、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択されるメイタンシノイドである、請求項5~8のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項10】
前記抗CEACAM5抗体が、少なくとも1つの前記細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される、請求項5~9のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項11】
前記リンカーが、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される、請求項10に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項12】
前記ADCが、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項13】
前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項14】
前記癌が、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項15】
前記癌が、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項16】
前記癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項17】
前記癌が、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項18】
前記癌が、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である、請求項17に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項19】
前記癌が、肺癌である、請求項17に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項20】
前記肺癌が、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である、請求項19に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項21】
前記対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する、請求項20に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項22】
前記対象が、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する、請求項20に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項23】
前記対象が、前記癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項24】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項25】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項26】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項27】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、逐次的に投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項28】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、前記ADCの前に投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項29】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、同時に投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項30】
抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、約200mg~約400mgの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項31】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で前記対象に静脈内投与される、請求項30に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項32】
前記ツサミタマブラブタンシンが、約60mg/m~約190mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項13~31のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項33】
前記ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項32に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項34】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、約200mgの用量で前記対象に静脈内投与され、前記ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項30~33のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項35】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ツサミタマブラブタンシンが、3週毎に1回投与される、請求項34に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項36】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、約400mgの用量で前記対象に静脈内投与され、前記ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項30~35のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項37】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、6週毎に1回投与され、前記ツサミタマブラブタンシンが、3週毎に1回投与される、請求項36に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項38】
前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項1~37のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項39】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、3週毎に約1回投与され、前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項40】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、3週毎に約1回投与され、前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項41】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項39又は40に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項42】
前記抗PD-1抗体が、約200mgの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項39~41のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項43】
(iii)プラチナ系化学療法を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項44】
前記プラチナ系化学療法が、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される、請求項1~38及び41のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項45】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体が、前記ADC及び前記プラチナ系化学療法の前に投与される、請求項1~38、41及び42のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項46】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体、前記ADC、及び前記プラチナ系化学療法が、少なくとも4サイクルの間に前記対象に投与される、請求項1~38及び41~43のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項47】
前記使用が、シスプラチンを前記対象に投与することを含む、請求項1~38及び41~44のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項48】
前記シスプラチンが、38mg/m~75mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項45に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項49】
前記シスプラチンが、約75mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項45に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項50】
前記使用が、カルボプラチンを前記対象に投与することを含む、請求項1~38及び41~44のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項51】
前記カルボプラチンが、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で前記対象に静脈内投与され、前記標的AUCが、AUC 2.5~AUC 5である、請求項48に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項52】
前記標的AUCが、AUC 5である、請求項49に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項53】
ペメトレキセドを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項54】
前記ペメトレキセドが、250mg/m~500mg/mの用量で静脈内投与される、請求項51に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項55】
前記ペメトレキセドが、約500mg/mの用量で静脈内投与される、請求項52に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項56】
前記ペメトレキセドが、ビタミン補充後に静脈内投与される、請求項51~53のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項57】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、3週毎に約1回投与され、前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項51~54のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項58】
前記抗PD-1抗体又は前記抗PD-L1抗体及び前記ADCが、3週毎に約1回投与され、前記ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項51~54のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項59】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項57又は58に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項60】
前記抗PD-1抗体が、約200mgの用量で前記対象に静脈内投与される、請求項57~59のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[配列表に対する参照]
本願は、.xml形式で電子的に提出された配列リストを含有し、これはその全体において参照により本明細書によって組み込まれる。2022年11月29日に作成された前記.xmlのコピーは、PR94313_S286_WO_SANOFI.xmlと命名される。
【0002】
本開示は、CEACAM5を発現する癌の治療的治療の分野に関する。本開示の特定の態様は、肺癌、胃癌、食道胃接合部癌、及び食道癌を含む癌を治療するための、抗PD-1又は抗PD-L1薬剤を有する抗CEACAM5抗体を含む免疫コンジュゲートとの組み合わせ療法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)の作用機序は、薬物の選択的且つ効率的な内部移行を達成するために、腫瘍細胞上に十分に発現される特定の抗原に対するその結合から始まる。ADCを使用する強力な細胞傷害性を腫瘍細胞に選択的に標的化することは、現在、ホジキンリンパ腫の治療のためのブレンツキシマブベドチン及び再発した転移性HER2+乳癌の治療のためのトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)の最近の承認によって実証されるとおり、癌の治療の有効な戦略であることが示されている(Younes A,Gopal AK,Smith SE,Ansell SM,Rosenblatt JD,Savage KJ,et al.Results of a pivotal phase II study of brentuximab vedotin for patients with relapsed or refractory Hodgkin’s lymphoma.J Clin Oncol.2012;30(18):2183-9;Verma S,Miles D,Gianni L,Krop IE,Welslau M,Baselga J,et al.Trastuzumab emtansine for HER2-positive advanced breast cancer.N Engl J Med.2012;19:1783-91)。固形腫瘍癌などのアンメットメディカルニーズを有する他の多くの悪性疾患は、そのような治療選択肢から利益を得る可能性がある。
【0004】
例えば、肺癌は、米国における死者のうち数十万人を占める攻撃的な形態の癌である。残念ながら、それは最初の治療後に再発する傾向があり、その後の治療に対してより耐性が高くなる。肺癌を有する個体の治療のために複数の治療が利用されているが、より効果的な治療が必要とされている。
【0005】
肺癌の治療には様々な治療が使用されている。第一選択療法は、プラチナ含有薬剤による化学療法を含み得る。より最近では、免疫チェックポイント阻害剤が、肺癌の治療における使用に関して承認された。全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/161214号パンフレットは、肺癌を治療するための抗CEACAM5免疫コンジュゲート(ADC)の使用を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、CEACAM5に特異的に結合するADCを含む組み合わせ療法を使用して癌を治療するための方法を提供する。組み合わせ療法は、ADC及び抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を含み、任意選択により、ペメトレキセドを伴うか又は伴わないプラチナ系薬剤を伴う。特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0007】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与することを含み、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する方法である。別の態様では、本開示は、癌を治療する際の使用のための抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、ADCが、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体と組み合わせた使用に好適であり、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0008】
本開示のある態様は、必要とする対象における癌の治療における使用のための、有効量における(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の組み合わせであって、癌がCEACAM5を発現する組み合わせである。
【0009】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0010】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0011】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0012】
特定の実施形態では、ADCは、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む。
【0013】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0018】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される。
【0019】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。
【0020】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0021】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0022】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0023】
特定の実施形態では、癌は、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0024】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0025】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である。
【0026】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0027】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0028】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。
【0029】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0030】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。
【0031】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-1抗体である。
【0032】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0033】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0034】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体である。
【0035】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0036】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される。
【0037】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。
【0038】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。
【0039】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、少なくとも4サイクルの間に対象に投与される。
【0040】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。
【0041】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。
【0042】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。
【0043】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。
【0044】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、及び4週からなる群から選択される。
【0045】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週、3週、及び6週からなる群から選択される。
【0046】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0047】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0048】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0049】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0050】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0051】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0052】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0053】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0054】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0055】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、3週毎に約1回投与され、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0056】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、3週毎に約1回投与され、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0057】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示の方法又は使用はさらに、対象にプラチナ系化学療法を投与することを含む。
【0059】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、及び(iii)プラチナ系化学療法を投与することを含み、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する方法である。別の態様では、本開示は、癌を治療する際の使用のための抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、ADCが、(i)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及び(ii)プラチナ系化学療法と組み合わせた使用に好適であり、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0060】
本開示のある態様は、必要とする対象における癌の治療における使用のための、有効量における(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、及び(iii)プラチナ系化学療法の組み合わせであって、癌がCEACAM5を発現する組み合わせである。
【0061】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0062】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0063】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0064】
特定の実施形態では、ADCは、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む。
【0065】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0068】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0070】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される。
【0071】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。
【0072】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0073】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0074】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(例えば、腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0075】
特定の実施形態では、癌は、高強度(例えば、腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0076】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0077】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である。
【0078】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0079】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0080】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。
【0081】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0082】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。
【0083】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-1抗体である。
【0084】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0085】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0086】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体である。
【0087】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0088】
特定の実施形態では、プラチナ系化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される。
【0089】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される。
【0090】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。
【0091】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADC及びプラチナ系化学療法の前に投与される。
【0092】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。
【0093】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、ADC、及びプラチナ系化学療法は、少なくとも4サイクルの間に対象に投与される。
【0094】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。
【0095】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。
【0096】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。
【0097】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。
【0098】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、及び4週からなる群から選択される。
【0099】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週、3週、及び6週からなる群から選択される。
【0100】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0101】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0102】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0103】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0104】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0105】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0106】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0107】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0108】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0109】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0110】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0111】
特定の実施形態では、方法は、シスプラチンを対象に投与することを含む。
【0112】
特定の実施形態では、シスプラチンは、38mg/m~75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0113】
特定の実施形態では、シスプラチンは、約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0114】
特定の実施形態では、方法は、カルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0115】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、AUC 2.5~AUC 5である。
【0116】
特定の実施形態では、標的AUCは、AUC 5である。
【0117】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示の方法又は使用はさらに、ペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0119】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、(iii)プラチナ系化学療法、及び(iv)ペメトレキセドを投与することを含み、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する方法である。別の態様では、本開示は、癌を治療する際の使用のための抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)であって、ADCが、(i)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、(ii)プラチナ系化学療法、及び(iii)ペメトレキセドと組み合わせた使用に好適であり、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0120】
本開示のある態様は、必要とする対象における癌の治療における使用のための、有効量における(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、(iii)プラチナ系化学療法、及び(iv)ペメトレキセドの組み合わせであって、癌がCEACAM5を発現する組み合わせである。
【0121】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0122】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0123】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0124】
特定の実施形態では、ADCは、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む。
【0125】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0126】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0128】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0129】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0130】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される。
【0131】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。
【0132】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0133】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0134】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0135】
特定の実施形態では、癌は、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0136】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0137】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌又は食道癌である。
【0138】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0139】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0140】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。
【0141】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0142】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。
【0143】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-1抗体である。
【0144】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0145】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0146】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体である。
【0147】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0148】
特定の実施形態では、プラチナ系化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される。
【0149】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される。
【0150】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。
【0151】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADC、プラチナ系化学療法、及びペメトレキセドの前に投与される。
【0152】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。
【0153】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、ADC、及びプラチナ系化学療法は、少なくとも4サイクルの間に対象に投与される。
【0154】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。
【0155】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。
【0156】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。
【0157】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。
【0158】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、及び4週からなる群から選択される。
【0159】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週、3週、及び6週からなる群から選択される。
【0160】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0161】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0162】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0163】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0164】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0165】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0166】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0167】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0168】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0169】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0170】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0171】
特定の実施形態では、方法は、シスプラチンを対象に投与することを含む。
【0172】
特定の実施形態では、シスプラチンは、38mg/m~75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0173】
特定の実施形態では、シスプラチンは、約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0174】
特定の実施形態では、方法は、カルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0175】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、AUC 2.5~AUC 5である。
【0176】
特定の実施形態では、標的AUCは、AUC 5である。
【0177】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、250mg/m~500mg/mの用量で静脈内投与される。
【0178】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、500mg/mの用量で静脈内投与される。
【0179】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、ビタミン補充後に静脈内投与される。
【0180】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0181】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、3週毎に約1回投与され、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0182】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、3週毎に約1回投与され、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0183】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0184】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の項目1は、必要とする対象における癌の治療における使用のための、有効量における(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の組み合わせであって、癌がCEACAM5を発現する組み合わせに関する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の項目2は、抗CEACAM5抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、項目1に記載の組み合わせに関する。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示の項目3は、抗CEACAM5抗体が、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む、項目1又は2に記載の組み合わせに関する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示の項目4は、抗CEACAM5抗体が、ツサミタマブである、項目1~3のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示の項目5は、ADCが、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む、項目1~4のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示の項目6は、細胞傷害性薬剤が、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、項目5に記載の組み合わせに関する。
【0191】
いくつかの実施形態では、本開示の項目7は、低分子毒素が、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、項目6に記載の組み合わせに関する。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示の項目8は、抗微小管剤が、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、項目7に記載の組み合わせに関する。
【0193】
いくつかの実施形態では、本開示の項目9は、メイタンシノイドが、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、項目8に記載の組み合わせに関する。
【0194】
いくつかの実施形態では、本開示の項目10は、抗CEACAM5抗体が、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される、項目5~9のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示の項目11は、前記リンカーが、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される、項目10に記載の組み合わせに関する。
【0196】
いくつかの実施形態では、本開示の項目12は、ADCが、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる、項目1~11のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0197】
いくつかの実施形態では、本開示の項目13は、ADCが、ツサミタマブラブタンシンである、項目1~12のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0198】
いくつかの実施形態では、本開示の項目14は、癌が、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する、項目1~13のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0199】
いくつかの実施形態では、本開示の項目15は、癌が、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する、項目1~14のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0200】
いくつかの実施形態では、本開示の項目16は、癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する、項目1~14のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0201】
いくつかの実施形態では、本開示の項目17は、癌が、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される、項目1~16のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0202】
いくつかの実施形態では、本開示の項目18は、癌が、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である、項目17に記載の組み合わせに関する。
【0203】
いくつかの実施形態では、本開示の項目19は、癌が、肺癌である、項目17に記載の組み合わせに関する。
【0204】
いくつかの実施形態では、本開示の項目20は、肺癌が、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である、項目19に記載の組み合わせに関する。
【0205】
いくつかの実施形態では、本開示の項目21は、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCである、項目20に記載の組み合わせに関する。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示の項目22は、対象が、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する、項目20に記載の組み合わせに関する。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示の項目23は、対象が、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない、項目1~22のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0208】
いくつかの実施形態では、本開示の項目24は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される、項目1~23のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0209】
いくつかの実施形態では、本開示の項目25は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、項目24に記載の組み合わせに関する。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示の項目26は、抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される、項目1~23のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0211】
いくつかの実施形態では、本開示の項目27は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、逐次的に投与される、項目1~26のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示の項目28は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、ADCの前に投与される、項目1~26のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示の項目29は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、同時に投与される、項目1~26のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示の項目30は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される、項目1~29のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0215】
いくつかの実施形態では、本開示の項目31は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される、項目30に記載の組み合わせに関する。
【0216】
いくつかの実施形態では、本開示の項目32は、ツサミタマブラブタンシンが、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目13~31のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示の項目33は、ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目32に記載の組み合わせに関する。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の項目34は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目30~33のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示の項目35は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンが、3週毎に1回投与される、項目34に記載の組み合わせに関する。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示の項目36は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目30~33のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0221】
いくつかの実施形態では、本開示の項目37は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンが、3週毎に1回投与される、項目36に記載の組み合わせに関する。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の項目38は、ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、項目1~37のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0223】
いくつかの実施形態では、本開示の項目39は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、3週毎に約1回投与され、ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目1~36のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0224】
いくつかの実施形態では、本開示の項目40は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、3週毎に約1回投与され、ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目1~36のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示の項目41は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、項目39又は40に記載の組み合わせに関する。
【0226】
いくつかの実施形態では、本開示の項目42は、抗PD-1抗体が、約200mgの用量で対象に静脈内投与される、項目39~41のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示の項目43は、(iii)プラチナ系化学療法を対象に投与することをさらに含む、項目1~38のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0228】
いくつかの実施形態では、本開示の項目44は、プラチナ系化学療法が、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される、項目43に記載の組み合わせに関する。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示の項目45は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が、ADC及びプラチナ系化学療法の前に投与される、項目43又は44に記載の組み合わせに関する。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示の項目46は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、ADC、及びプラチナ系化学療法が、少なくとも4サイクルの間に対象に投与される、項目43~45のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0231】
いくつかの実施形態では、本開示の項目47は、プラチナ系化学療法が、シスプラチンである、項目39~42のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示の項目48は、シスプラチンが、38mg/m~75mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目47に記載の組み合わせに関する。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示の項目49は、シスプラチンが、約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目48に記載の組み合わせに関する。
【0234】
いくつかの実施形態では、本開示の項目50は、プラチナ系化学療法が、カルボプラチンである、項目43~46のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0235】
いくつかの実施形態では、本開示の項目51は、カルボプラチンが、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCが、AUC 2.5~AUC 5である、項目50に記載の組み合わせに関する。
【0236】
いくつかの実施形態では、本開示の項目52は、標的AUCが、AUC 5である、項目51に記載の組み合わせに関する。
【0237】
いくつかの実施形態では、本開示の項目53は、ペメトレキセドを対象に投与することをさらに含む、項目1~52のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示の項目54は、ペメトレキセドが、250mg/m~500mg/mの用量で静脈内投与される、項目53に記載の組み合わせに関する。
【0239】
いくつかの実施形態では、本開示の項目55は、ペメトレキセドが、約500mg/mの用量で静脈内投与される、項目54に記載の組み合わせに関する。
【0240】
いくつかの実施形態では、本開示の項目56は、ペメトレキセドが、ビタミン補充後に静脈内投与される。項目53~54のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示の項目57は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、3週毎に約1回投与され、ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目53~56のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示の項目58は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、3週毎に約1回投与され、ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される、項目53~56のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【0243】
いくつかの実施形態では、本開示の項目59は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、項目57又は58に記載の組み合わせに関する。
【0244】
いくつかの実施形態では、本開示の項目60は、抗PD-1抗体が、約200mgの用量で対象に静脈内投与される、項目57~59のいずれか1つに記載の組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0245】
図1】本開示の実施形態に従う第2相臨床試験のパートA、パートB、及びパートCにおけるツサミタマブラブタンシン用量の決定プロセスを示す概略図である。
図2】本開示の実施形態に従う第2相臨床試験のパートAの試験設計を示す概略図である。
図3】本開示の実施形態に従う第2相臨床試験のパートBの試験設計を示す概略図である。
図4】本開示の実施形態に従う第2相臨床試験のパートCの試験設計を示す概略図である。
図5】C57Bl/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1抗体の活性を示す。治療群毎の腫瘍体積の進展。曲線は、各群の各日の中央値+又は-最大投与用量(MAD)を表す。
図6】C57Bl/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1抗体の活性を示す。治療群毎の腫瘍体積の進展。曲線は、各群の各日の中央値+又は-MADを表す。
【発明を実施するための形態】
【0246】
本開示は、癌(例えば、NSQ NSCLCを含む肺癌)の治療、及び疾患の少なくとも1つの症状の改善のための医薬組成物及びこれらの組成物を使用する方法を提供する。これらの組成物は、(CEACAM5)に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む。
【0247】
ツサミタマブラブタンシンは、ヒト化抗CEACAM5抗体(ツサミタマブ)及びメイタンシノイド誘導体4(DM4)[N2’-デアセチル-N2’-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-マタンシン](微小管集合を阻害する強力な有糸分裂阻害剤)を組み合わせている免疫コンジュゲートADCである。DM4は、血漿中で安定であり、細胞内部で切断可能である最適化されたリンカーSPDB[4-(2-ピリジルジチオ)-酪酸N-スクシンイミジル]を介して抗体に共有結合される。標的化される癌細胞への結合及び内部移行の後、ADCは分解され、細胞傷害性のDM4代謝物を放出する。
【0248】
ツサミタマブラブタンシンは、ヒトCEACAM5のA3B3ドメインに特異的に結合し、それらの構造中にAドメイン又は/及びBドメインを示す他のCEACAM(CEACAM1、CEACAM6、CEACAM7及びCEACAM8)を認識しない。裸抗体及びADCは、約0.02nM(ELISA)の親和性で組換えヒトCEACAM5に結合し、CEACAM5発現腫瘍細胞に対して高い親和性を示す(K APP 0.24~0.68nM)。
【0249】
CEACAM5抗原に結合した後、ツサミタマブラブタンシンは、抗原媒介エンドサイトーシスを介して癌細胞によって内部移行し、リソソームに送達され、リジン結合誘導体リジン-SPDB-DM4に分解される。リジン-SPDB-DM4は、DM4中でさらに分解され、その後S-メチル化されて、メチル-DM4[Me-DM4]を形成する;3つの代謝物は全て、チューブリンとの結合及び微小管重合の阻害を通じて強力な細胞傷害活性を有する。
【0250】
本明細書で使用する場合、CEACAM5発現癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌を含むいくつかの型の癌を指す。いくつかの実施形態では、癌は、肺癌である。いくつかの実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌である。
【0251】
特定の実施形態では、癌は、中程度のCEACAM5発現体である。中程度のCEACAM5発現体は、免疫組織化学を使用して測定されるとおり、発現腫瘍細胞集団の≧1%~<50%で≧2+の強度を有する。
【0252】
特定の実施形態では、癌は、高CEACAM5発現体である。高CEACAM5発現体は、免疫組織化学を使用して測定されるとおり、発現腫瘍細胞集団の≧50%で≧2+の強度を有する。高CEACAM5発現体は、肺癌の約20%となる。
【0253】
単剤療法におけるADCは、重度に前治療された高CEACAM5発現体における第1/2相試験において分析された。ADCは、競争力のある全奏効率(OR)及び奏効期間(DoR)を実証した。最も一般的な有害薬物反応(ADR)は、眼毒性(治療を中止せずに可逆的)であり、血液毒性/神経毒性は最小限であった。
【0254】
非小細胞肺癌
非小細胞肺癌は、肺の組織中に悪性(癌)細胞が形成される疾患である。喫煙が疾患の主な原因である。これは、小細胞肺癌以外の上皮肺癌の一種である。非小細胞肺癌には、いくつかの型がある。非小細胞肺癌のそれぞれの型は、異なる種類の癌細胞を有する。それぞれの型の癌細胞は、様々な方法で増殖し、広がる。非小細胞肺癌の型は、癌で見出される細胞の種類及び顕微鏡下での細胞の外観にちなんで命名される:(1)扁平上皮癌:扁平上皮細胞で始まり、魚の鱗のように見える薄い平坦な細胞である癌。これは、類表皮癌とも呼ばれる。(2)大細胞癌:いくつかの型の大細胞で始まり得る癌。(3)腺癌:肺胞を覆い、粘液などの物質を作る細胞で始まる癌。
【0255】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)を使用する強力な細胞傷害性を腫瘍細胞に選択的に標的化することは、現在、ホジキンリンパ腫の治療のためのブレンツキシマブベドチン及び再発した転移性HER2+乳癌の治療のためのトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)の最近の承認によって実証されるとおり、癌の治療の有効な戦略であることが示されている(Young A.et al.,2012 J Clin Oncol.30(18):2183-9;Verma,S.et al.,2012 N Engl J Med.19:1783-91)。アンメットメディカルニーズを有する他の多くの悪性疾患は、そのような治療選択肢から利益を得る可能性がある。ADCの作用機序は、薬物の選択的且つ効率的な内部移行を達成するために、腫瘍細胞上に十分に発現される特定の抗原に対するその結合から始まる。
【0256】
根治的手術(例えば、肺切除、肺葉切除、区域切除又は楔状切除、袖状切除)は、適切なステージIのNSCLC患者の標準治療である。補助治療は、治験の一部としてのみ提供されるべきである。ステージII及びIIIA補助シスプラチン系化学療法は、完全に切除されたNSCLC腫瘍のゴールドスタンダードであり続けている。シスプラチンと組み合わせて、又は互いに組み合わせて使用される他の化学療法剤は、カルボプラチン、パクリタキセル(タキソール)、アルブミン結合パクリタキセル(ナブ-パクリタキセル、アブラキサン)、ドセタキセル(タキソテール)、ゲムシタビン(ゲムザール)、ビノレルビン(ナベルビン)、イリノテカン(カンプトサール)、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、及びペメトレキセド(アリムタ)を含み得る。加えて、放射線療法は、N2リンパ節を有する患者において使用され得る。進行期IIIB/IV又は手術不能のNSCLC患者において、治療は、シスプラチン系化学療法の複数サイクルと、第3世代の細胞傷害性薬剤又は細胞分裂阻害剤(抗EGFR、抗VEGFR)を含み得る。(Zarogoulidis et al.,J Thorac Dis.2013 Sep;5(Suppl 4):S389-S396を参照されたい)。
【0257】
肺癌を含む癌の治療は、血管新生阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、及び免疫チェックポイント阻害剤を含み得る。
【0258】
血管新生阻害剤としては、アクシチニブ(インライタ)、ベバシズマブ(アバスチン)、カボザンチニブ(コメトリック)、エベロリムス(アフィニトール、ゾートレス)、レナリドミド(レブラミド)、パゾパニブ(ボトリエント)、ラムシルマブ(サイラムザ)、レゴラフェニブ(スチバーガ)、ソラフェニブ(ネクサバール)、スニチニブ(スーテント)、サリドマイド(シノビル、タロミド)、バンデタニブ(カプレルサ)、及びZiv-アフリベルセプト(ザルトラップ)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0259】
EGFR阻害剤としては、ゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)、ラパチニブ(タイケルブ)、セツキシマブ(アービタックス)、ネラチニブ(ネルリンクス)、オシメルチニブ(タグリッソ)、パニツムマブ(ベクティビックス)、バンデタニブ(カプレルサ)、ネシツムマブ(ポートラーザ(Portrazza))、及びダコミチニブ(ビジンプロ)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0260】
免疫チェックポイント阻害剤としては、プログラム死1受容体(PD-1)結合剤(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチスレリズマブ)、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ)、CTLA-4結合剤(例えば、イピリムマブ)、OX40又はOX40L結合剤、アデノシンA2A受容体結合剤、B7-H3結合剤、B7-H4結合剤、BTLA結合剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ結合剤、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)結合剤、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)結合剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム(NOX2)結合剤、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)結合剤、T細胞活性化のVドメインIg抑制剤(VISTA)結合剤、グルココルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)結合剤、及びシアル酸結合免疫グロブリン型レクチン7(SIGLEC7)結合剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0261】
CEACAM5及び適応症:
癌胎児抗原(CEA)は、細胞接着に関与する糖タンパク質である。CEAは、1965年(Gold and Freedman,J Exp Med,121,439,1965)に、妊娠の最初の6ヶ月間に胎児腸によって通常発現されるタンパク質として最初に同定され、膵臓、肝臓及び結腸の癌で見出された。CEAファミリーは、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。18遺伝子からなるCEAファミリーは、タンパク質の2つのサブグループ:癌胎児抗原関連細胞接着分子(CEACAM)サブグループ及び妊娠特異的糖タンパク質サブグループ(Kammerer&Zimmermann、BMC Biology 2010,8:12)に細分される。
【0262】
ヒトでは、CEACAMサブグループは、7つのメンバー:CEACAM1、CEACAM3、CEACAM4、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM7、CEACAM8からなる。多数の研究が、最初に同定されたCEAと同一のCEACAM5が結腸直腸、胃、食道胃接合部、食道、肺、乳房、前立腺、卵巣、子宮頸部及び膀胱腫瘍細胞の表面に高度に発現し、結腸の円柱上皮及び杯細胞、胃の粘液頸部細胞並びに食道及び子宮頸部の扁平上皮細胞などの少数の正常な上皮組織で弱く発現することを示している(Hammarstroem et al,2002,in“Tumor Markers,Physiology,Pathobiology,Technology and Clinical Applications”Eds.Diamandis E.P.et al.,AACC Press,Washington pp 375)。したがって、CEACAM5は、免疫コンジュゲートなどの腫瘍特異的標的化アプローチに好適な治療標的を構成し得る。
【0263】
CEACAMファミリーメンバーの細胞外ドメインは、配列相同性によりA、B及びNの3種類に分類された反復免疫グロブリン様(Ig様)ドメインから構成される。CEACAM5は、7つのそのようなドメイン、すなわちN、A1、B1、A2、B2、A3、及びB3を含有する。
【0264】
一方でCEACAM5 A1、A2及びA3ドメイン、並びに他方でB1、B2及びB3ドメインは高い配列相同性を示し、ヒトCEACAM5のAドメインは84~87%の対での配列類似性を示し、Bドメインは69~80%を示す。さらに、A及び/又はBドメインをそれらの構造中に提示する他のヒトCEACAMメンバー、すなわちCEACAM1、CEACAM6、CEACAM7、及びCEACAM8は、ヒトCEACAM5との相同性を示す。特に、ヒトCEACAM6タンパク質のA及びBドメインは、ヒトCEACAM5のA1及びA3ドメイン、並びにB1~B3ドメインのいずれかとそれぞれ配列相同性を示し、これらはヒトCEACAM5のAドメイン及びBドメインの間で観察されるよりもさらに高い。
【0265】
本開示のある実施形態は、癌を治療する方法であって、癌がCEACAM5を発現する方法である。
【0266】
ある実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0267】
ある実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である。
【0268】
ある実施形態では、癌は、肺癌である。
【0269】
ある実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ-NSCLC)である。
【0270】
抗CEACAM5抗体
CEAを標的化する診断目的又は治療目的を考慮して、多数の抗CEA抗体が作製された。関連する抗原に対する特異性は、Sharkey et al(1990,Cancer Research 50,2823)による例として、この分野における懸念として常に言及されている。上述の相同性に起因して、以前に記載された抗体のいくつかは、異なる免疫グロブリンドメインに存在するCEACAM5の反復エピトープへの結合を示す場合があり、CEACAM1、CEACAM6、CEACAM7、又はCEACAM8などの他のCEACAMメンバーに対する交差反応性を示し、CEACAM5に対する特異性を欠く。抗CEACAM5抗体の特異性は、それがヒトCEACAM5発現腫瘍細胞に結合するが、他のCEACAMメンバーを発現するいくつかの正常組織には結合しないようなCEA標的化療法の観点から望まれている。CEACAM1、CEACAM6、及びCEACAM8が、ヒト及び非ヒト霊長類の好中球によって発現されると記載されていることは注目すべきことであり(Ebrahimmnejad et al,2000,Exp Cell Res,260,365;Zhao et al,2004,J Immunol Methods 293,207;Strickland et al,2009 J Pathol,218,380)、それらは、顆粒球生成を調節し、免疫応答において役割を果たすことが示されている。
【0271】
ADCツサミタマブラブタンシンは、結合後にCEACAM5を発現する細胞中に内部移行することができ、インビトロにて腫瘍細胞上で細胞傷害活性を誘導することが示されている。ツサミタマブラブタンシンはまた、ヒト原発性結腸腫瘍及び胃腫瘍を担持するマウスにおいてインビボで腫瘍増殖を著しく阻害することができる。全体として参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/079886号パンフレットを参照されたい。
【0272】
本明細書で使用する場合、定量的用語における用語「約」は、それが修飾する値のプラス又はマイナス10%を指す(分子又はヌクレオチドの数など、値が細分可能ではない場合、最も近い整数に切り上げられる)。例えば、語句「約100mg」は、90mg~110mgを包括的に包含することになり;語句「約2500mg」は、2250mg~2750mgを包含することになる。パーセンテージに適用される場合、用語「約」は、そのパーセンテージに対するプラス又はマイナス10%を指す。例えば、語句「約20%」は、18~22%を包含することになり、「約80%」は、72~88%を包括的に包含することになる。さらに、「約」が本明細書で定量的用語と組み合わせて使用される場合、値プラス又はマイナス10%に加えて、定量的用語の正確な値も企図され、説明されると理解される。例えば、用語「約23%」は、23%を明確に企図し、説明し、正確に含む。
【0273】
用語「1つ(a)」又は「1つ(an)」の実体は、その実体の1つ以上を指すことに留意されたい;例えば、「症状」は、1つ以上の症状を表すと理解される。したがって、用語「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書で互換的に使用され得る。
【0274】
さらに、「及び/又は」は、本明細書で使用する場合、他のものを伴うか又は伴わない2つの明記される特徴又は成分のそれぞれの具体的な開示とみなされるべきである。したがって、「A及び/又はB」などの語句において使用されるとおりの用語「及び/又は」は、本明細書では、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、並びに「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句において使用されるとおりの用語「及び/又は」は、以下の態様:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0275】
態様が「含む」という文言で本明細書に記載されている場合には常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0276】
本明細書で使用する場合、「CEACAM5」は、「CD66e」(表面抗原分類66e)又はCEAとしても知られる「癌胎児抗原関連細胞接着分子5」を指定する。CEACAM5は、細胞接着に関与する糖タンパク質である。CEACAM5は、特に、結腸直腸、胃、食道胃接合部、食道、肺、及び子宮腫瘍細胞の表面上で高度に発現される。
【0277】
シグナルペプチド(1~34位)及びプロペプチド(686~702位)を含む全長ヒトCEACAM5の参照配列は、受入番号AAA51967.1下にてGenBankデータベースから入手可能である。5つの非同義のSNPが、コーカサス人集団において2%を超える頻度で同定され、それらのうちの4つは、ヒトCEACAM5のNドメイン(80、83、112、113位)、A2ドメインの最後の1つ(398位)に配置されている。
【0278】
態様又は実施形態が「含む」という文言で本明細書に記載されている場合には常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0279】
用語「抗体」は、本明細書で使用する場合、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書で使用する場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、又は遺伝子操作されたポリペプチド若しくは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、抗体可変ドメイン及び任意選択により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含むタンパク質分解消化又は組換え遺伝子操作技術などの任意の好適な標準的技術を使用して、完全な抗体分子から誘導され得る。そのようなDNAは知られており、且つ/又は例えば、商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、又は合成することができる。DNAは、例えば、1つ以上の可変ドメイン及び/又は定常ドメインを好適な構成に配置するために、又はコドンの導入、システイン残基の生成、アミノ酸の修飾、付加若しくは欠失などのために、化学的に又は分子生物学技術を使用して配列決定及び操作され得る。
【0280】
抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;及び(vii)抗体の超可変領域(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))又は拘束性FR3-CDR3-FR4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられる。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、VHH又はNANOBODY(登録商標)(例えば、一価VHH、及び二価VHH)、小モジュラー免疫医薬(SMIPs)、及びサメ可変IgNARドメインなどの他の操作された分子もまた、本明細書で使用する場合、「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0281】
抗体の抗原結合断片は通常、少なくとも1つの可変ドメインを含むことになる。可変ドメインは、任意のサイズ又はアミノ酸組成のものであってもよく、一般に、1つ以上のフレームワーク配列に隣接するか又はそれとインフレームである少なくとも1つのCDRを含むことになる。VLドメインに結合したVHドメインを有する抗原結合断片では、VHドメイン及びVLドメインは、任意の好適な配置で互いに対して位置し得る。例えば、可変領域は、二量体であってもよく、VH-VH、VH-VL又はVL-VL二量体を含有してもよい。或いは、抗体の抗原結合断片は、単量体VH又はVLドメインを含有し得る。
【0282】
特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合された少なくとも1つの可変ドメインを含有し得る。抗体の抗原結合断片内に見出され得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例示的構成としては、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CLが挙げられる。上に列挙した例示的な構成のいずれかを含む、可変ドメイン及び定常ドメインの任意の構成において、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接的に連結されていてもよいし、完全又は部分的なヒンジ又はリンカー領域によって連結されてもよい。ヒンジ領域は、様々な実施形態において、単一のポリペプチド分子において隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメインの間に可動性又は半可動性の結合をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個以上)のアミノ酸からなり得る。さらに、抗体の抗原結合断片は、様々な実施形態において、互いに及び/又は1つ以上の単量体VH若しくはVLドメインと非共有結合で会合した(例えば、ジスルフィド結合によって)、上に列挙される可変ドメイン及び定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含み得る。
【0283】
特定の実施形態では、本開示の方法における使用のための抗体又は抗体断片は、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であり得る多重特異性抗体であり得るか、又は2つ以上の標的ポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合ドメインを含有し得る。本開示の文脈で使用され得る例示的な二重特異的抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3ドメイン及び第2のIg CH3ドメインの使用を含み、第1のIg CH3ドメイン及び第2のIg CH3ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸によって互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸の相違は、アミノ酸の相違を欠く二重特異的抗体と比較して、プロテインAへの二重特異的抗体の結合を減少させる。一実施形態では、第1のIg CH3ドメインはプロテインAに結合し、第2のIg CH3ドメインは、H95R改変(IMGTエクソン付番号による;EU付番によるH435R)などのプロテインA結合を減少又は消失させる変異を含有する。第2のCH3はさらに、Y96F改変(IMGTによる;EUによるY436F)を含み得る。第2のCH3内で見出され得るさらなる改変としては、IgG1抗体の場合、D16E、L18M、N44S、K52N、V57M、及びV82I(IMGTによる;EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397M、及びV422I);IgG2抗体の場合、N44S、K52N、及びV82I(IMGT;EUによるN384S、K392N、及びV422I);並びにIgG4抗体の場合Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q、及びV82I(IMGTによる;EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q、及びV422I)が挙げられる。
【0284】
上記の二重特異性抗体フォーマット上の変化は、本開示の範囲内で企図される。本明細書に開示される例示的な二重特異性抗体フォーマットを含むあらゆる多重特異性抗体フォーマットは、様々な実施形態において、当技術分野で利用可能な通例の技術を使用して、抗CEACAM5抗体の抗原結合断片の文脈での使用のために適合され得る。
【0285】
本明細書に開示されるCEACAM5抗体は、対応する生殖系列配列と比較して、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域における1つ以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含み得る。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開されている抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、本明細書で開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体、及びその抗原結合断片を含み、1つ以上のフレームワーク及び/又はCDR領域内の1つ以上のアミノ酸は、対応する生殖系列残基又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換(天然又は非天然)に復帰変異される(そのような配列変化は、本明細書では「生殖系列復帰変異」と呼ばれる)。当業者は、本明細書で開示される重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列から出発して、1つ以上の個々の生殖系列復帰変異又はその組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合断片を容易に生成することができる。特定の実施形態では、VH及び/又はVLドメイン内の全てのフレームワーク残基及び/又はCDR残基は、生殖系列配列に復帰変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸内若しくはFR4の最後の8アミノ酸内に見られる変異した残基のみ、又はCDR1、CDR2若しくはCDR3内に見られる変異した残基のみが、生殖系列配列に復帰変異される。さらに、本開示の抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内の2つ以上の生殖系列復帰変異の任意の組み合わせを含有してもよく、すなわち、特定の個々の残基は、生殖系列配列に復帰変異される一方で、生殖系列配列とは異なる特定の他の残基は維持される。一旦得られると、1つ以上生殖系列復帰変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、1つ以上所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合によっては)アンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性の改善又は増強、免疫原性の低下などについて容易に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体及び抗原結合断片は、本開示内に包含される。
【0286】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
【0287】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。それにもかかわらず、本開示で注目されるヒト抗体は、様々な実施形態において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異によって導入される変異)によってコードされないアミノ酸残基を、例えば、CDR中に、いくつかの実施形態では、CDR3中に含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むように意図されない。
【0288】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、組換え手段によって調製されるか、発現されるか、生成されるか又は単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクター(下でさらに記載される)を使用して発現される抗体、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.,(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製されるか、発現されるか、生成されるか又は単離される抗体を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物を使用する場合、インビボ体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列及びVL配列に由来し且つ関連する一方で、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0289】
ヒト抗体は、ヒンジの不均一性に関連する2つの形態で存在し得る。ある実施形態では、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によってともに保持されているおよそ150~160kDaの安定な4本鎖コンストラクトを含む。別の実施形態では、二量体は、鎖間ジスルフィド結合を介して連結されず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖及び重鎖(半抗体)から構成される。これらの実施形態/形態は、親和性精製の後でさえ、分離することが極めて困難であった。
【0290】
用語「ヒト化抗体(humanised antibody)」又は「ヒト化抗体(humanized antibody)」は、完全に又は部分的に非ヒト起源であり、ヒトにおける免疫応答を回避又は最小化するために、例えば、VHドメイン及びVLドメインのフレームワーク領域において特定のアミノ酸を置き換えるように改変されている抗体を指す。ヒト化抗体の定常ドメインは、ほとんどの場合、ヒトCH及びCLドメインである。
【0291】
抗体配列のヒト化(humanisation)/ヒト化(humanization)のための多数の方法が、当技術分野で知られている;例えば、Almagro & Fransson(2008)Front Biosci.13:1619-1633による概説を参照されたい。一般的に使用される方法の1つは、CDR移植、又は抗体再形成であり、これは、特異性の異なるヒト抗体のフレームワーク足場へのドナー抗体、一般にマウス抗体のCDR配列の移植を含む。CDR移植は、CDR移植された非ヒト抗体の結合特異性及び親和性、したがって生物学的活性を低下させる場合があるため、復帰変異は、親抗体の結合特異性及び親和性を保持するために、CDR移植された抗体の選択された位置で導入され得る。可能な復帰変異のための位置の同定は、文献及び抗体データベースにおいて利用可能な情報を使用して実施され得る。復帰変異のための候補であるアミノ酸残基は通常、抗体分子の表面に位置するものである一方で、埋もれているか又は表面暴露の程度が低い残基は通常、改変されないことになる。CDR移植及び復帰変異に対する代替的なヒト化技術は、非ヒト起源の表面に曝露されていない残基が保持される一方で、表面残基がヒト残基に改変されるリサーフェシングである。別の代替的な技術は、「ガイド選択」(Jespers et al.(1994)Biotechnology 12,899)としても知られ、マウス抗体から親抗体のエピトープ及び結合特性を保存している完全ヒト抗体を導き出すために使用され得る。
【0292】
様々なインタクトなIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一のアミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで第2の形態の出現を著しく減少させ得る(全体が参照により組み込まれる(Angal et al.,(1993)Molecular Immunology 30:105)。本開示は、様々な実施形態において、例えば、生成において、所望の抗体形態の収量を向上させるのに望ましい場合があるヒンジ、CH2又はCH3領域における1つ以上の変異を有する抗体を包含する。
【0293】
「単離された抗体」は、本明細書で使用する場合、その自然環境の少なくとも1つの成分から同定及び分離及び/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から、又は抗体が天然に存在するか若しくは天然に産生される組織若しくは細胞から分離又は除去された抗体は、「単離された抗体」である。様々な実施形態では、単離された抗体はまた、組換え細胞内のインサイチュでの抗体も含む。他の実施形態では、単離された抗体は、少なくとも1つの精製又は単離工程に供された抗体である。様々な実施形態では、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0294】
用語「特異的に結合する」などは、抗体又はその抗原結合断片が、生理的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定する方法は、当技術分野でよく知られており、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、CEACAM5に「特異的に結合する」抗体は、本明細書で使用する場合、表面プラズモン共鳴アッセイで測定されるとおりの約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満又は約0.5nMのKDでCEACAM5又はその一部に結合する抗体を含む。特異的結合はまた、少なくとも約1×10-6M以下の解離定数によって特徴付けられ得る。他の実施形態では、解離定数は、少なくとも約1×10-7M、1×10-8M、又は1×10-9Mである。しかしながら、ヒトCEACAM5に特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のCEACAM5分子などの他の抗原と交差反応性を有し得る。
【0295】
用語「表面プラズモン共鳴」は、本明細書で使用する場合、例えば、BIACORE(商標)システム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部門、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0296】
用語「KD」は、本明細書で使用する場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことが意図される。
【0297】
「親和性」は、理論的には、抗体全体と抗原の間の平衡会合によって定義される。これは、表面プラズモン共鳴による会合速度及び解離速度の測定又は免疫化学的アッセイ(ELISA、FACS)におけるEC50(又は見かけ上のKD)の測定などの、様々な既知の方法によって実験的に評価され得る。これらのアッセイでは、EC50は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって、規定された濃度の抗原又はFACS(蛍光標識細胞分取)によって、抗原を発現する規定された濃度の細胞に対する指定された曝露時間後に、ベースラインと最大値の中間の反応を誘導する抗体の濃度である。
【0298】
抗原1(Ag1)に結合するモノクローナル抗体は、EC50が両方の抗原について同様の範囲にあるとき、抗原2(Ag2)に対して「交差反応性」である。本出願では、Ag1に結合するモノクローナル抗体は、Ag2の親和性とAg1の親和性の比が10(例えば、5、2、1又は0.5)以下であるとき、Ag2に交差反応性であり、両方の抗原について同じ方法で親和性が測定される。
【0299】
ヒトCEACAM5又はカニクイザル(Macaca fascicularis)CEACAM5に対する親和性は、捕捉抗原として可溶性組換えCEACAM5を使用して、ELISA中のEC50値として決定され得る。
【0300】
本開示の抗体はまた、腫瘍細胞株MKN45(DSMZ、ACC 409)又は患者に由来する異種移植腫瘍細胞(Oncodesign Biotechnology、腫瘍コレクションCReMECから入手可能なCR-IGR-034P)に対するFACS分析によって決定され得るとおりの見かけ上の解離定数(見かけ上のKD)を有してもよく、これは、≦25nM、例えば、≦20nM、≦10nM、≦5nM、≦3nM又は≦1nMである。見かけの上のKDは、0.01~20nMの範囲内であり得るか、又は0.1~20nM、0.1~10nM、若しくは0.1~5nMの範囲内であり得る。
【0301】
さらに、本開示による抗体は、凍結組織切片及びホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片中の免疫組織化学により、CEACAM5発現を検出できることが示されている。
【0302】
用語「エピトープ」は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合し得、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体構造又は線状のいずれかであり得る。立体構造エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって生成されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基、又はスルホニル基の部分を含み得る。
【0303】
本明細書に記載される方法に有用な抗CEACAM5抗体は、様々な実施形態において、抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較して、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域における1つ以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含み得る。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開されている抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、様々な実施形態において、本明細書で開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体、及びその抗原結合断片の使用を含む方法を含み、1つ以上のフレームワーク及び/又はCDR領域内の1つ以上のアミノ酸は、抗体が由来した生殖系列配列の対応する残基、又は別のヒト生殖系列配列の対応する残基、又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に変異される(そのような配列変化は、本明細書で一括して「生殖系列変異」と称される)。1つ以上の個々の生殖系列変異又はその組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合断片が構築され得る。特定の実施形態では、VH及び/又はVLドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基の全てが、抗体が由来した元の生殖系列配列に見られる残基に復帰変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸内若しくはFR4の最後の8アミノ酸内に見られる変異残基のみ、又はCDR1、CDR2若しくはCDR3内に見られる変異残基のみが元の生殖系列配列に復帰変異される。他の実施形態では、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ以上が、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が最初に由来した生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に変異される。さらに、抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内に2つ以上の生殖系列変異の任意の組み合わせを含有してもよく、例えば、特定の個々の残基が特定の生殖系列配列の対応する残基に変異している一方で、元の生殖系列配列とは異なる特定の他の残基が維持されているか、又は異なる生殖系列配列の対応する残基に変異している。一旦得られると、1つ以上生殖系列変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、1つ以上所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合によっては)アンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性の改善又は増強、免疫原性の低下などについて容易に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体及び抗原結合断片の使用は、本開示に包含される。
【0304】
本開示はまた、1つ以上の保存的置換を有する本明細書で開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗CEACAM5抗体の使用を含む方法を含む。例えば、本開示は、本明細書で開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗CEACAM5抗体の使用を含む。
【0305】
本開示によれば、抗CEACAM5抗体、又はその抗原結合断片は、様々な実施形態において、全体として参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/079886A1号パンフレットに記載される抗CEACAM5抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。
【0306】
本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。ヒト化抗体がヒト抗体のVH及びVLのFR中の非ヒト動物由来の抗体のVH及びVL中のCDRのみを単に移植することによって生成される場合、抗原結合活性は、非ヒト動物由来の元の抗体のものと比較して低減され得る。非ヒト抗体のVH及びVLのいくつかのアミノ酸残基は、CDRだけでなくFRにおいても、抗原結合活性に直接的又は間接的に関連付けられ得ると考えられる。したがって、これらのアミノ酸残基をヒト抗体のVH及びVLのFRに由来する異なるアミノ酸残基に置換すると、結合活性が低減することになる。この問題を解決するためには、非ヒトCDRで移植されたヒト抗体において、ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸配列の中から、抗体の結合に直接的に関連するか、又はCDRのアミノ酸残基と相互作用するか、又は抗体の三次元構造を維持し且つ抗原に対する結合と直接的に関連するアミノ酸残基を同定する試みがなされなければならない。低減された抗原結合活性は、同定されたアミノ酸を非ヒト動物由来の元の抗体のアミノ酸残基に置き換えることによって増大させることができた。
【0307】
本開示の抗体の構造、及びそれらをコードするDNA配列において修飾及び変更がなされてもよく、依然として所望の特徴を有する機能性抗体又はポリペプチドが得られる。
【0308】
本開示のさらなる目的はまた、本開示のポリペプチドの機能保存的バリアントを包含する。例えば、特定のアミノ酸は、活性の明らかな減少を伴わずにタンパク質構造中の他のアミノ酸によって置換され得る。タンパク質の相互作用の能力及び性質は、その生物学的機能活性を定義するため、特定のアミノ酸置換は、タンパク質配列において、また当然DNAコード配列において行うことができる一方で、それにもかかわらず、同様の特性を有するタンパク質を得る。したがって、本開示の抗体配列又は前記ポリペプチドをコードする対応するDNA配列において、それらの生物学的活性の明らかな減少を伴わずに様々な変更がなされ得ることが企図される。特定のアミノ酸が、同様の疎水性親水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸によって置換されてもよく、依然として同様の生物学的活性を有するタンパク質が得られること、すなわち、依然として生物学的機能的に同等のタンパク質が得られることは当技術分野で知られている。本開示の抗体又はポリペプチドにおいて、抗原への結合の著しい減少を伴わずに置換され得る全てのアミノ酸を同定するために、アラニンスキャニング手法などの十分に確立された技術を使用することも可能である。そのような残基は、抗原結合又は抗体の構造の維持に関与しないため、中立として認定され得る。これらの中立の位置の1つ以上は、本開示の抗体又はポリペプチドの主な特徴を変えることなく、アラニン又は別のアミノ酸によって置換され得る。
【0309】
中立の位置は、任意のアミノ酸置換を抗体に組み込むことができる位置とみなされ得る。実際、アラニンスキャニングの原理では、アラニンは、この残基が特定の構造的又は化学的特徴を有しないため選択される。一般に、アラニンをタンパク質の特性を変えることなく特定のアミノ酸に置換できる場合、全てのアミノ酸置換が中立であるとは限らないとしても、他の多くのアミノ酸置換も中立である可能性が高いことが認められる。アラニンが野生型アミノ酸である反対の場合、特定の置換が中立として示され得る場合、他の置換も中立である可能性が高い。したがって、上で概説されるとおり、アミノ酸置換は一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づく。前述の特徴のいずれかを考慮した例示的な置換が当業者によく知られており、アルギニン及びリジン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びスレオニン;グルタミン及びアスパラギン;並びにバリン、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
【0310】
例えば、抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するために、エフェクター機能に関して本開示の抗体を改変することも望ましい場合がある。これは、抗体のFc領域に1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成され得る。或いは又は加えて、システイン残基をFc領域に導入することによって、この領域での鎖間ジスルフィド結合形成を可能にし得る。このようにして生成されるホモ二量体抗体は、内部移行能力の改善及び/又は補体媒介性細胞殺害及び/又は抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)の増大を有し得る(Caron PC.et al.1992;及びShopes B.1992)。
【0311】
本開示の抗体の別の種類のアミノ酸改変は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更するために(すなわち、抗体内に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させることによって、及び/又は抗体内に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって)有用であり得る。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン、及びアスパラギン-X-スレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を生成する。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、それが上記のトリペプチド配列の1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を変更することによって(N結合グリコシル化部位の場合)好都合に達成される。
【0312】
別の種類の改変は、潜在的に分解生成物又は抗体調製物の不均一性をもたらすものとして、インシリコ又は実験的に同定された配列の除去を含む。例として、アスパラギン残基及びグルタミン残基の脱アミド化は、pH及び表面曝露などの因子に応じて起こり得る。アスパラギン残基は、主に配列Asn-Glyに存在する場合に特に脱アミド化を受けやすく、Asn-Alaなどの他のジペプチド配列では程度が低い。そのような脱アミド部位、特に、Asn-Glyが本開示の抗体又はポリペプチド中に存在する場合、したがって、典型的には、関連する残基の1つを除去する保存的置換によって、その部位を除去することが望ましい場合がある。関連する残基の1つ以上を除去するための配列におけるそのような置換もまた、本開示によって包含されることが意図される。
【0313】
別の種類の共有結合修飾は、グリコシドを抗体に化学的又は酵素的にカップリングすることを含む。これらの手順は、N-又はO-結合グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞における抗体の産生を必要としない点で有利である。使用されるカップリング様式に応じて、糖は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのものなどの遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニン、若しくはヒドロキシプロリンのものなどの遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、若しくはトリプトファンのものなどの芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に結合され得る。例えば、そのような方法は、国際公開第87/05330号パンフレットに記載されている。
【0314】
抗体上に存在するいずれかの炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸又は同等の化合物への抗体の曝露を必要とする。この処理により、結合糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんど又は全ての糖が切断され、一方で抗体は無傷のまま残る。化学的脱グリコシル化は、Sojahr H.et al.(1987)及びEdge,AS.et al.(1981)によって記載される。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura,NR.et al.(1987)により記載されるとおりの様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用によって達成され得る。
【0315】
抗体の別の種類の共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号明細書;同第4,496,689号明細書;同第4,301,144号明細書;同第4,670,417号明細書;同第4,791,192号明細書;又は同第4,179,337号明細書に記載される様式で、抗体を様々な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンのいずれか1つに連結することを含む。
【0316】
ある実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブ(CAS登録番号2349294-95-5)である。
【0317】
ツサミタマブは、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
HCDR1 GFVFSSYD(配列番号1)
HCDR2 ISSGGGIT(配列番号2)
HCDR3 AAHYFGSSGPFAY(配列番号3)
LCDR1 ENIFSY(配列番号4)
LCDR2 NTR
LCDR3 QHHYGTPFT(配列番号5)
【0318】
ツサミタマブは、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【化1】
【0319】
細胞傷害性ペイロード及び免疫コンジュゲート
本開示はまた、細胞傷害性コンジュゲート、又は免疫コンジュゲート、又は抗体薬物コンジュゲート、又はコンジュゲートも含む。本明細書で使用する場合、これらの用語は全て同じ意味を有し、互換的である。
【0320】
したがって、本開示は、少なくとも1つの増殖阻害剤、例えば、細胞傷害性薬剤又は放射性同位体に連結又はコンジュゲートされた本開示の抗体(例えば、抗CEACAM5抗体)を含む「免疫コンジュゲート」に関する。
【0321】
無区別に使用され得る「増殖阻害剤」又は「抗増殖剤」は、細胞、特に、腫瘍細胞の増殖をインビトロ又はインビボのいずれかで阻害する化合物又は組成物を指す。
【0322】
用語「細胞傷害性薬剤」は、本明細書で使用する場合、細胞の機能を阻害するか若しくは妨げ且つ/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。用語「細胞傷害性薬剤」は、化学療法剤、酵素、抗生物質、及び細菌、真菌、植物又は動物起源の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素(その断片及び/又は変種を含む)などの毒素、並びに以下に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、細胞傷害性薬剤は、タキソイド、ビンカ、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体(例えば、DM1又はDM4)、低分子薬物、トマイマイシン又はピロロベンゾジアゼピン誘導体、クリプトフィシン誘導体、レプトマイシン誘導体、アウリスタチン又はドラスタチン類似体、プロドラッグ、トポイソメラーゼII阻害剤、DNAアルキル化剤、抗チューブリン剤、CC-1065又はCC-1065類似体である。
【0323】
本明細書で使用する場合、「メイタンシノイド」は、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体を意味する。メイタンシノイドは、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して非常に毒性がある薬物である。
【0324】
好適なメイタンシノイドの例としては、メイタンシノール及びメイタンシノール類似体が挙げられる。
【0325】
好適なメイタンシノール類似体の例としては、修飾された芳香環を有するもの及び他の位置に修飾を有するものが挙げられる。そのような好適なメイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号明細書;同第4,256,746号明細書;同第4,294,757号明細書;同第4,307,016号明細書;同第4,313,946号明細書;同第4,315,929号明細書;同第4,331,598号明細書;同第4,361,650号明細書;同第4,362,663号明細書;同第4,364,866号明細書;同第4,450,254号明細書;同第4,322,348号明細書;同第4,371,533号明細書;同第6,333,410号明細書;同第5,475,092号明細書;同第5,585,499号明細書;及び同第5,846,545号明細書において開示される。
【0326】
修飾された芳香環を有するメイタンシノールの好適な類似体の具体例としては、以下が挙げられる:
(1)C-19-デクロロ(米国特許第4,256,746号明細書)(アンサマイトシンP2のLAH還元によって調製される);
(2)C-20-ヒドロキシ(又はC-20-デメチル)+/-C-19-デクロロ(米国特許第4,361,650号明細書及び同第4,307,016号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)若しくはアクチノマイセス属(Actinomyces)を使用する脱メチル化又はLAHを使用する脱塩素により調製される);及び
(3)C-20-デメトキシ、C-20-アシルオキシ(-OCOR)、+/-デクロロ(米国特許第4,294,757号明細書)(塩化アシルを使用するアシル化によって調製される)。
【0327】
他の位置の修飾を有するメイタンシノールの好適な類似体の具体例としては、以下が挙げられる:
(1)C-9-SH(米国特許第4,424,219号明細書)(メイタンシノールとHS又はPとの反応によって調製される);
(2)C-14-アルコキシメチル(デメトキシ/CHOR)(米国特許第4,331,598号明細書);
(3)C-14-ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CHOH又はCHOAc)(米国特許第4,450,254号明細書)(ノカルジア属(Nocardia)から調製される);
(4)C-15-ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)によるメイタンシノールの変換によって調製される);
(5)C-15-メトキシ(米国特許第4,313,946号明細書及び同第4,315,929号明細書)(トレウィア・ヌジフローラ(Trewia nudiflora)から単離される);
(6)C-18-N-デメチル(米国特許第4,362,663号明細書及び同第4,322,348号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)によるメイタンシノールの脱メチル化により調製される);及び
(7)4,5-デオキシ(米国特許第4,371,533号明細書)(三塩化チタン/メイタンシノールのLAH還元によって調製される)。
【0328】
本開示のある実施形態では、本開示の細胞傷害性コンジュゲートは、細胞傷害性薬剤として、正式にはN2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと呼ばれるチオール含有メイタンシノイド(DM1)を利用する。DM1は、以下の構造式(I)で表される:
【化2】
【0329】
別の実施形態では、本開示の細胞傷害性コンジュゲートは、細胞傷害性薬剤として、正式にはN2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシンと呼ばれるチオール含有メイタンシノイドDM4を利用する。DM4は、以下の構造式(II)で表される:
【化3】
【0330】
本開示のさらなる実施形態では、硫黄原子を有する炭素原子上にモノアルキル又はジアルキル置換を有するチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドを含む他のメイタンシンが使用され得る。これらには、C-3、C-14ヒドロキシメチル、C-15ヒドロキシ、又はC-20デスメチルにおいて、ヒンダードスルフヒドリル基を有するアシル基を有するアシル化アミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドが含まれ、チオール官能基を有するアシル基の炭素原子は、1つ又は2つの置換基を有し、前記置換基は、CH3、C2H5、1~10個の試薬を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル、及び溶液中に存在し得る任意の凝集体である。
【0331】
これらの細胞傷害性薬剤及びコンジュゲーションの方法の例は、参照により組み込まれる国際公開第2008/010101号パンフレットにさらに示されている。
【0332】
用語「放射性同位体」は、At211、Bi212、Er169、I131、I125、Y90、In111、P32、Re186、Re188、Sm153、Sr89、及びLuの放射性同位体などの癌を治療するのに好適な放射性同位体を含むことが意図される。そのような放射性同位体は一般に、主にベータ-放射線を放射する。ある実施形態では、放射性同位体は、アルファ放射体同位体、より正確には、アルファ-放射線を放射するトリウム227である。
【0333】
本開示による免疫コンジュゲートは、全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/091668号パンフレットに記載されるとおりに調製され得る。
【0334】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、少なくとも1つの細胞毒性薬剤又は増殖阻害剤に、直接的に又は切断可能若しくは切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0335】
「リンカー」は、本明細書で使用する場合、ポリペプチド(例えば、抗体)を薬物(又はプロドラッグ)部分に共有結合させる共有結合又は原子の鎖を含む化学的部分を意味する。好適なリンカーは当技術分野でよく知られており、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、感光性基、ペプチダーゼ不安定基及びエステラーゼ不安定基を含む。例示的なリンカーとしては、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、ブタン酸4-[(5-ニトロ-2-ピリジニル)ジチオ]-2,5-ジオキソ-1-ピロリジニルエステル(ニトロ-SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ酪酸(スルホ-SPDB)、(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(SPDP)、シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジポイミド酸ジメチルHCLなど)、活性エステル(ジセレートスブチニミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)-ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などのヘテロ二官能性架橋試薬が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al(1987)に記載されるとおりに調製され得る。炭素標識1-イソチオシアナトベンジルメチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(国際公開第94/11026号パンフレット)。
【0336】
リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬剤又は増殖阻害剤の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、エステラーゼ不安定性リンカー、感光性リンカー又はジスルフィド含有リンカー(例えば、米国特許第5,208,020号明細書を参照されたい)が使用され得る。リンカーはまた、場合により、より良好な耐性をもたらし得る「切断不可能なリンカー」(例えばSMCCリンカー)でもあり得る。
【0337】
或いは、本開示の抗体及び細胞傷害性又は増殖阻害ポリペプチドを含む融合タンパク質は、組換え技術又はペプチド合成によって作製され得る。DNAの長さは、互いに隣接しているか又はコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって隔てられたコンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含み得る。
【0338】
本開示の抗体はまた、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号パンフレットを参照のこと)を活性な抗癌薬に変換するプロドラッグ活性化酵素にポリペプチドをコンジュゲートすることによって、依存性酵素媒介性プロドラッグ療法においても使用され得る(例えば、国際公開第88/07378号パンフレット及び米国特許第4,975,278号明細書を参照のこと)。ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分は、プロドラッグに対してそのより活性で細胞傷害性のある形態に変換するような方法で作用することができる任意の酵素を含む。本開示の方法で有用な酵素としては、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性フルオロサイトシンを抗癌剤、5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(カテプシンB及びLなど)などのプロテアーゼ;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なO-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなどの炭水化物切断酵素;P-ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なP-ラクタマーゼ;並びにそれぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基を有するアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なペニシリンアミダーゼ、例えば、ペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。酵素は、上述したヘテロ二官能性架橋試薬の使用などの当技術分野でよく知られている技術により、本開示のポリペプチドに共有結合され得る。
【0339】
ある実施形態によれば、本開示のコンジュゲートにおいて、増殖阻害剤は、メイタンシノイド、ある実施形態では、DM1又はDM4である。
【0340】
前記コンジュゲートでは、抗体は、連結基によって少なくとも1つの前記増殖阻害剤にコンジュゲートされる。ある実施形態では、前記連結基は、切断可能又は切断不可能なリンカー、例えば、SPDB、スルホ-SPDB、又はSMCCである。
【0341】
コンジュゲートは、以下からなる群から選択され得る:
式(III)の抗体-SPDB-DM4コンジュゲート
【化4】
式(IV)の抗体-スルホ-SPDB-DM4コンジュゲート
【化5】
及び
式(V)の抗体-SMCC-DM1コンジュゲート
【化6】
【0342】
ある実施形態では、コンジュゲートは、上で定義されるとおりの式(III)、(IV)又は(V)のコンジュゲートであり、抗体は、本明細書に記載される抗体である。
【0343】
上記の式(III)、(IV)及び(V)において、「n」は、抗体1分子当たりにコンジュゲートされる化学療法剤の分子の数に対応する。これは、本明細書で定義される「薬物抗体比」(又は「DAR」)に対応し、1~10の範囲であり得る。
【0344】
ある実施形態では、コンジュゲートは、ツサミタマブラブタンシン(CAS登録番号2254086-60-5)である。
【0345】
コンジュゲートであるツサミタマブラブタンシンは、実施例の節でhuMAb2-3-SPDB-DM4とも称される。
【0346】
本開示のコンジュゲートは、インビトロの方法によって調製され得る。一般に、コンジュゲートは、
(i)本開示による抗体の任意選択により緩衝化された水溶液をリンカー及び細胞傷害性化合物の溶液と接触させる工程;並びに
(ii)続いて任意選択により、未反応の抗体、リンカー及び細胞傷害性化合物から(i)において形成されたコンジュゲートを分離する工程
を含むプロセスによって得ることができる。
【0347】
細胞結合剤の水溶液は、例えば、リン酸カリウム、酢酸塩、クエン酸塩又はN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)などの緩衝液で緩衝化され得る。緩衝液は、細胞結合剤の性質に依存する。細胞傷害性化合物は、有機極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はジメチルアセトアミド(DMA)中の溶液で存在する。
【0348】
反応温度は通常、20℃~40℃の間に含まれる。反応時間は、1時間~24時間で変化し得る。細胞結合剤と細胞傷害性薬剤の間の反応は、屈折率測定及び/又はUV検出器を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってモニターされ得る。コンジュゲートの収量が低すぎる場合、反応時間は延長され得る。
【0349】
工程(ii)の分離を実施するために、いくつかの異なるクロマトグラフィー法が当業者によって使用され得る:コンジュゲートは、例えば、SEC、吸着クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、IECなど)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの混合支持体クロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。透析又はダイアフィルトレーションによる精製も使用することができる。
【0350】
本明細書で使用する場合、用語「凝集体」は、2つ以上の細胞結合剤間に形成され得る会合を意味し、前記剤は、コンジュゲーションによって修飾されているか、又は修飾されていない。凝集体は、溶液中の高濃度の細胞結合剤、溶液のpH、高い剪断力、結合した二量体の数及びそれらの疎水性の特性、温度(Wang & Gosh,2008,J.Membrane Sci.,318:311-316、及びそこに引用されている参考文献を参照のこと)などの多数のパラメーターの影響下で形成され得る;これらのパラメーターのいくつかの相対的影響は明確に確立されていないことに留意されたい。タンパク質及び抗体の場合、当業者は、Cromwell et al.(2006,AAPS Journal,8(3):E572-E579)を参照することになる。凝集体中の含有量は、SECなどの当業者によく知られる技術により決定され得る(Walter et al.,1993,Anal.Biochem.,212(2):469-480)。
【0351】
工程(i)又は(ii)の後、コンジュゲート含有溶液を、クロマトグラフィー、限外濾過及び/又はダイアフィルトレーションのさらなる工程(iii)に供することができる。
【0352】
コンジュゲートは、水溶液中でこれらの工程の最後に回収される。
【0353】
ある実施形態によれば、本開示によるコンジュゲートは、1~10、例えば、2~5、又は例えば、3~4の範囲の「薬物抗体比」(又は「DAR」)によって特徴付けられる。これは一般に、メイタンシノイド分子を含むコンジュゲートの場合である。
【0354】
このDAR数は、コンジュゲーションに使用される実験条件(増殖阻害剤/抗体比、反応時間、溶媒の性質及びもしあれば共溶媒の性質のような)とともに使用される抗体及び薬物(すなわち、増殖阻害剤)の性質によって変化し得る。したがって、抗体と増殖阻害剤の間の接触により、異なる薬物抗体比によって互いに異なるいくつかのコンジュゲートを含む混合物が得られ;任意選択により裸抗体が得られ;任意選択により凝集体が得られる。したがって、決定されるDARは、平均値である。
【0355】
DARを決定するために使用され得る方法は、λ及び280nmにおける実質的に精製されたコンジュゲートの溶液の吸光度の比を分光光度計で測定することからなる。280nmは、抗体濃度などのタンパク質濃度の測定に一般的に用いられる波長である。波長λは、抗体から薬物を識別することができるように選択される、すなわち、当業者に容易に知られるとおり、λは、薬物が高い吸光度を有し、λは、薬物及び抗体の吸光度ピークの実質的な重複を回避するために280nmから十分に離れている。λは、メイタンシノイド分子の場合、252nmであるとして選択され得る。DAR計算の方法は、Antony S.Dimitrov(ed)、LLC,2009,Therapeutic Antibodies and Protocols,vol 525,445,Springer Scienceから得てもよい。
【0356】
λ(AλD)及び280nm(A280)でのコンジュゲートの吸光度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析の単量体ピーク(「DAR(SEC)」パラメーターの計算を可能にする)又は古典的な分光光度計装置(「DAR(UV)」パラメーターの計算を可能にする)の使用のいずれかで測定される。吸光度は、以下のとおりに表され得る:
λD=(cxεDλD)+(cxεAλD
280=(cxεD280)+(cxεA280
式中、
及びcはそれぞれ、薬物及び抗体の溶液中の濃度であり、
εDλD及びεD280はそれぞれ、λ及び280nmにおける薬物のモル吸光係数であり、
εAλD及びεA280はそれぞれ、λ及び280nmでの抗体のモル吸光係数である。
【0357】
2つの未知数を有するこれら2つの方程式の分解能は、以下の方程式をもたらす:
=[(εA280xAλD)-(εAλDxA280)]/[(εDλDxεA280)-(εAλDxεD280)]
=[A280-(cxεD280)]/εA280
【0358】
次に、平均DARは、抗体に対する薬物濃度の比から計算される:DAR=c/c
【0359】
抗PD-1抗体;抗PD-L1抗体
免疫細胞の表面上に発現されるPD-1と癌細胞の表面上に発現されるPD-L1の間の相互作用を妨害することができる抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体は、免疫チェックポイント阻害剤として有用であり、それにより、癌と戦うことができ且つ戦う態勢が整っている免疫系成分から腫瘍細胞を遮蔽する経路を遮断する。PD-1とPD-L1が相互作用するとき、それらは、腫瘍細胞が免疫系によって破壊されることから保護する生化学的「シールド」を形成する。したがって、PD-1とPD-L1の間の相互作用の遮断をもたらすPD-1又はPD-L1のいずれかの遮断により、腫瘍細胞が免疫系によって破壊されることから保護する生化学的「シールド」を妨げるか又はアンマスクする。
【0360】
いくつかの抗PD-1抗体が、癌の治療での臨床使用に関して承認されている。これらとしては、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、シンチリマブ(TYVYT(登録商標))、ドスタリマブ(JEMPERLI(登録商標))、及びチスレリズマブが挙げられる。
【0361】
同様に、いくつかの抗PD-L1抗体が、癌の治療における臨床使用に関して承認されている。これらとしては、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、及びデュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))が挙げられる。
【0362】
プラチナ系化学療法
プラチナ系抗悪性腫瘍剤は、プラチナの配位化合物である。これらの薬物は、癌の化学療法を受けているほぼ半数の人々を治療するために使用される。この形態の化学療法では、一般的に使用される薬物としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びネダプラチンが挙げられる。それらの主な作用機序は、DNAへの共有結合に対する反応としての癌細胞アポトーシスの誘導であると考えられている。近年、DNA以外の細胞分子が潜在的に標的として作用し得ること及びプラチナ薬物の抗腫瘍効果の一部が免疫系の調節を通じて起こることを示す研究に基づいて、この状況は複雑さを増している。これらの免疫原性効果としては、STATシグナル伝達の調節;カルレチキュリンの曝露並びにATP及び高移動度群タンパク質ボックス-1(HMGB-1)の放出による免疫原性型の癌細胞死の誘導;並びにプログラム死受容体1-リガンド(PD-L1)及びマンノース-6-リン酸受容体発現の調節によるエフェクター免疫反応の増強が挙げられる。基礎研究及び臨床研究の両方は、プラチナ系化学療法の抗腫瘍効果の少なくとも一部が、免疫増強機構に起因し得ることを示す。
【0363】
ペメトレキセド
ペメトレキセド(N-[4-[2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル]ベンゾイル]-L-グルタミン酸)は、葉酸経路に関与する少なくとも3つの酵素を阻害する代謝阻害剤である:チミジル酸シンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、及びグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ。ペメトレキセドは、非小細胞肺癌だけでなく、中皮腫、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、胃癌及び膵臓癌を含む他の広範な固形腫瘍においても臨床効果を実証した。2008年9月において、FDAは、非扁平上皮組織診断を有する患者における局所進行性及び転移性NSCLCに対するシスプラチンと組み合わせた第一選択治療としてペメトレキセドを承認した。患者は、ペメトレキセド療法中であるときにレベルが正常であっても、葉酸及びビタミンB12サプリメントを服用することが推奨される。
【0364】
医薬組成物
本開示の抗体、免疫コンジュゲート、及び化合物を、薬学的に許容される賦形剤、及び任意選択により生分解性ポリマーなどの徐放性マトリックスと組み合わせて、治療用組成物を形成し得る。
【0365】
したがって、本開示の別の目的は、本開示の抗体、免疫コンジュゲート又は化合物及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0366】
本開示はまた、医薬品として使用するための本開示による抗体、免疫コンジュゲート又は化合物に関する。
【0367】
本開示はまた、癌を治療するための使用のための本開示による抗体、免疫コンジュゲート又は化合物に関する。
【0368】
「薬学的」又は「薬学的に許容される」は、必要に応じて哺乳動物、特に、ヒトに投与した場合に有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、任意の種類の非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は製剤補助剤を指す。
【0369】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性であるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング材、抗菌剤及び抗真菌剤などを含む。好適な担体、希釈剤及び/又は賦形剤の例としては、水、アミノ酸、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩;ヒスチジン、アルギニン、グリシン、プロリン、グリシルグリシンなどのアミノ酸及び誘導体;無機塩NaCl、塩化カルシウム;デキストロース、グリセロール、エタノール、スクロース、トレハロース、マンニトールなどの糖又はポリアルコール;ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロクサマー188などの界面活性剤など、並びにそれらの組み合わせの1つ以上を含む。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましく、製剤は、抗酸化剤、例えばトリプタミン及び安定化剤、例えばTween 20も含有し得る。
【0370】
医薬組成物の形態、投与経路、投与量及びレジメンは、治療される状態、病気の重症度、患者の年齢、体重及び性別などに自然に依存する。
【0371】
本開示の医薬組成物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下又は眼内投与などのために製剤化され得る。
【0372】
ある実施形態では、医薬組成物は、注射可能な製剤に対して薬学的に許容されるビヒクルを含有する。これらは、等張性の滅菌生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウムなど、又はこのような塩の混合物)、又は場合に応じて滅菌水又は生理食塩水の添加時に注射可能な溶液の構成を可能にする乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物であり得る。
【0373】
医薬組成物は、薬物組み合わせデバイスを通じて投与され得る。
【0374】
投与に使用される用量は、様々なパラメーターに応じて、例えば、使用される投与の様式、関連する病態、或いは所望の治療期間に応じて適合させることができる。
【0375】
医薬組成物を調製するために、本開示の抗体又は免疫コンジュゲートの有効量が、薬学的に許容される担体又は水性媒体に溶解又は分散され得る。
【0376】
注射使用に好適な医薬形態としては、滅菌水溶液又は分散液;ゴマ油、落花生油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は、無菌であり、分解せずに送達するための適切なデバイス又はシステムで注射可能でなければならない。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0377】
遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中及び油中で調製され得る。保存及び使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。
【0378】
本開示のポリペプチド、抗体又は免疫コンジュゲートは、中性形態又は塩形態の組成物に製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれ、無機酸、例えば塩酸若しくはリン酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成される。遊離カルボキシル基で形成された塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄、及び有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、グリシン、ヒスチジン、プロカインなどから誘導することもできる。
【0379】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒でもあり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合は要求される粒子径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0380】
滅菌注射溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した他の成分のいずれかとともに適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分+任意の追加の所望の成分の粉末をその以前に滅菌濾過された溶液から得る真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0381】
直接注射のためのより濃縮された、又は高濃度の溶液の調製も企図され、溶媒としてのDMSOの使用は、極めて迅速な浸透をもたらし、高濃度の活性薬剤を小さい腫瘍領域に送達することが想定される。
【0382】
製剤化すると、溶液は、投与製剤と適合する様式で、治療上有効な量で投与されることになる。製剤は、上記の注射液の種類などの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなども使用することができる。
【0383】
水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液は、必要に応じて好適に緩衝化されるべきであり、液体希釈剤は、まず十分な生理食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。これらの水溶液は、とりわけ、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に好適である。これに関連して、利用され得る滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に知られることになる。例えば、1つの投与量は、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され、1000mlの皮下注入液に添加されるか、又は提案された注入部位に注射することができる(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”15th Edition,pages1035-1038 and 1570-1580を参照されたい)。治療されている対象の状態に応じて、投与量のいくらかの変動が必然的に生じることになる。投与の責任者は、いずれにせよ、個々の対象に対する適切な用量を決定することになる。
【0384】
本開示の抗体又は免疫コンジュゲートは、治療混合物内に用量当たり約0.01~100ミリグラムを含むように製剤化され得る。
【0385】
非経口投与、例えば、静脈内又は筋肉内注射用に製剤化された抗体又は免疫コンジュゲートに加えて、他の薬学的に許容される形態としては、例えば、経口投与用の錠剤又は他の固体;時間放出カプセル;及び現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。
【0386】
特定の実施形態では、リポソーム及び/又はナノ粒子の使用が、宿主細胞へのポリペプチドの導入のために企図される。リポソーム及び/又はナノ粒子の形成及び使用は、当業者に知られる。
【0387】
ナノカプセルは一般に、安定且つ再現性のある方法で化合物を捕捉することができる。細胞内ポリマー過負荷による副作用を回避するために、そのような超微粒子(約0.1μmのサイズ)は一般に、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計される。生分解性ポリアルキル-シアノアクリレートナノ粒子、又はこれらの要件を満たす生分解性ポリラクチド若しくはポリラクチドコグリコリドナノ粒子は、本開示での使用のために企図され、そのような粒子は容易に作製され得る。
【0388】
リポソームは、水性媒体中に分散し、自発的に多層同心二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を形成するリン脂質から形成される。MLVは一般に、25nm~4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、コアに水溶液を含有する、200~500Åの範囲の直径を有する小さい単層小胞(SUV)の形成をもたらす。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度及び二価カチオンの存在に依存する。
【0389】
治療の方法:
抗CEACAM5 ADC及び抗PD1/PDL1抗体の組み合わせ:
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5 ADC及び(ii)少なくとも抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与することを含む方法である。
【0390】
本明細書で使用する場合、「有効量」又は「治療有効量」は、CEACAM5発現癌(例えば、肺癌、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌)の治療をもたらす治療薬の用量である。
【0391】
本明細書で使用する場合、「治療する」は、CEACAM5発現癌に関連する1つ以上の症状の検出可能な改善をもたらすこと又は状態若しくは症状を引き起こす根底にある病理的機構と相関する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーのレベルの低下)をもたらすことを指す。例えば、CEACAM5発現癌に関連する以下の症状又は状態のいずれかの改善をもたらす治療薬の用量は、「治療有効量」とみなされる。
【0392】
別の例では、治療は、治療薬の用量が、CEACAM5発現癌(例えば、肺癌、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌)と関連する1つ以上のパラメーター若しくは症状において検出可能な改善をもたらさないか、又は癌の状態若しくは症状を引き起こす根底にある病理的機構と相関する生物学的効果をもたらさない場合、有効ではない。
【0393】
これらの実施形態のいくつかによれば、抗CEACAM5 ADCは、静脈内投与される。
【0394】
本開示の方法に従って、対象に投与される治療薬の治療有効量は、対象の年齢及びサイズ(例えば、体重又は体表面積)並びに当業者によく知られる投与経路及び他の要因に依存して変動することになる。
【0395】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与することを含み、癌が、CEACAM5を発現し、それにより癌を治療する方法である。
【0396】
ある実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
HCDR1 GFVFSSYD(配列番号1)
HCDR2 ISSGGGIT(配列番号2)
HCDR3 AAHYFGSSGPFAY(配列番号3)
LCDR1 ENIFSY(配列番号4)
LCDR2 NTR
LCDR3 QHHYGTPFT(配列番号5)
【0397】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)を含む。
【0398】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0399】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【化7】
【0400】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号8からなる重鎖(HC)を含む。
【0401】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号9からなる軽鎖(LC)を含む。
【0402】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号8からなる重鎖(HC)及び配列番号9からなる軽鎖(LC)を含む。
【化8】
【0403】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0404】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0405】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0406】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0407】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0408】
特定の実施形態では、毒素は、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)である。
【0409】
特定の実施形態では、毒素は、N2’-デアセチル-N2’-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM4)である。
【0410】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0411】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、ブタン酸4-[(5-ニトロ-2-ピリジニル)ジチオ]-2,5-ジオキソ-1-ピロリジニルエステル(ニトロ-SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(SPDP)、シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0412】
特定の実施形態では、毒素は、抗CEACAM5抗体に直接的に共有結合される。
【0413】
特定の実施形態では、毒素は、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)からなるリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0414】
特定の実施形態では、毒素は、ブタン酸4-[(5-ニトロ-2-ピリジニル)ジチオ]-2,5-ジオキソ-1-ピロリジニルエステル(ニトロ-SPDB)からなるリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0415】
特定の実施形態では、毒素は、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)からなるリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0416】
特定の実施形態では、毒素は、(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(SPDP)からなるリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0417】
特定の実施形態では、毒素は、シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなるリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0418】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。特定の実施形態では、ADCは、1のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、2のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、3のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、4のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、5のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、6のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、7のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、8のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、9のDARを有する。特定の実施形態では、ADCは、10のDARを有する。
【0419】
特定の実施形態では、ADCは、2~5のDARによって特徴付けられる。特定の実施形態では、ADCは、3~4のDARによって特徴付けられる。
【0420】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0421】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学(IHC)によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0422】
特定の実施形態では、免疫組織化学的分析は、対象から得られる腫瘍の同時期の試料に対して実施され得る。特定の実施形態では、免疫組織化学的分析は、対象から得られる腫瘍の好適な歴史的試料に対して実施され得る。
【0423】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。特定の実施形態では、癌は、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0424】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0425】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌及び肺癌からなる群から選択される。
【0426】
特定の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0427】
特定の実施形態では、癌は、食道胃接合部癌である。
【0428】
特定の実施形態では、癌は、食道癌である。
【0429】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0430】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0431】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3A NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3B NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側若しくは反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3C NSQ NSCLCを有し、例えば、大型の原発性腫瘍は、増殖し、それが始まった胸部の反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっており、胸部の同じ側に2つ以上の腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ4 NSQ NSCLCを有し、例えば、胸部の外側の1つ以上の部位への転移がある。いくつかの実施形態では、対象は、広範な転移性のNSQ NSCLCを有する。
【0432】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、EGFR感受性変異を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、BRAF変異を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、EGFR感受性変異、BRAF変異、及びALK/ROS改変の任意の組み合わせを伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0433】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、プラチナ系化学療法、例えば、シスプラチン又はカルボプラチンによる前治療を受けていない。特定の実施形態では、対象は、ペメトレキセドによる前治療を受けていない。
【0434】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に免疫療法を受けていない。免疫療法には、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による治療が含まれる。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による前治療を受けていない。特定の実施形態では、対象は、抗PD-L1抗体による前治療を受けていない。
【0435】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0436】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0437】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。
【0438】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、セミプリマブである。
【0439】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、シンチリマブである。
【0440】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ドスタルリマブである。
【0441】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、チスレリズマブである。
【0442】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブではない。
【0443】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブではない。
【0444】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、セミプリマブではない。
【0445】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、シンチリマブではない。
【0446】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ドスタルリマブではない。
【0447】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、チスレリズマブではない。
【0448】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0449】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0450】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブである。
【0451】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブである。
【0452】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブではない。
【0453】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブではない。
【0454】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブではない。
【0455】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0456】
抗CEACAM5 ADC投与:
特定の実施形態では、ADCの用量は、対象の体表面積に応じて変動する。
【0457】
特定の実施形態では、対象に投与される抗CEACAM5 ADCの用量は、約1mg/m~約500mg/mである。
【0458】
いくつかの実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約5mg/m~約300mg/mである。
【0459】
様々な実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約5mg/m~約250mg/mである。
【0460】
さらなる実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約60mg/m~約190mg/mである。
【0461】
様々な実施形態では、用量は、対象の体表面積に基づいて約5、10、20、30、40、60、80、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、又は210mg/mである。
【0462】
ある実施形態では、ADCの用量は、120mg/mである。
【0463】
ある実施形態では、ADCの用量は、150mg/mである。
【0464】
ある実施形態では、ADCの用量は、170mg/mである。
【0465】
抗PD1/PDL1投与:
一般に、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、治療されている癌の種類に応じて、固定用量で(例えば、200~400mg)又は体重を基準として(例えば、10mg/kg)投与され得る。特定の実施形態では、抗PD-1又は抗PD-L1は、静脈内投与される。静脈内投与は、注入又は注射であり得る。典型的には、静脈内投与は、注入である。
【0466】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg~400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0467】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、又は約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0468】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、又は400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0469】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0470】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0471】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0472】
特定の例示的な実施形態では、PD1抗体は、ペムブロリズマブである。他の例示的な実施形態では、PD1抗体は、シンチリマブである。
【0473】
CEACAM5 ADC及び抗PD1/PDL1組み合わせ療法のための投与スケジュール
一般に、CEACAM5 ADC(例えば、ツサミタマブラブタンシン)及び抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の組み合わせは、任意の順序で同時に又は同時期に投与され得る。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、逐次的に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。特定の実施形態では、ADCは、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の前に投与される。
【0474】
特定の実施形態では、両方の薬剤の投与が1日又は24時間以内に完了することを条件として、第1の薬剤の投与終了と第2の薬剤の投与開始の間に少なくとも約30分の遅延が存在する。
【0475】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、同時に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。
【0476】
特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始し、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。
【0477】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、少なくとも4サイクルにわたり対象に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、少なくとも4サイクルにわたって対象に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、少なくとも4サイクルにわたって対象に投与される。
【0478】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2~6週である。
【0479】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2週である。特定の実施形態では、各サイクルは、12~17日である。特定の実施形態では、サイクルは、12日である。特定の実施形態では、サイクルは、13日である。特定の実施形態では、サイクルは、14日である。特定の実施形態では、サイクルは、15日である。特定の実施形態では、サイクルは、16日である。特定の実施形態では、サイクルは、17日である。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイクルは、少なくとも1つの他のサイクルよりも1日又は2日短いか又は長い。
【0480】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。特定の実施形態では、各サイクルは、3週である。特定の実施形態では、各サイクルは、18~24日である。特定の実施形態では、サイクルは、18日である。特定の実施形態では、サイクルは、19日である。特定の実施形態では、サイクルは、20日である。特定の実施形態では、サイクルは、21日である。特定の実施形態では、サイクルは、22日である。特定の実施形態では、サイクルは、23日である。特定の実施形態では、サイクルは、24日である。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイクルは、少なくとも1つの他のサイクルよりも1~3日短いか又は長い。
【0481】
特定の実施形態では、各サイクルは、約4週である。特定の実施形態では、各サイクルは、4週である。特定の実施形態では、各サイクルは、25~32日である。特定の実施形態では、サイクルは、25日である。特定の実施形態では、サイクルは、26日である。特定の実施形態では、サイクルは、27日である。特定の実施形態では、サイクルは、28日である。特定の実施形態では、サイクルは、29日である。特定の実施形態では、サイクルは、30日である。特定の実施形態では、サイクルは、31日である。特定の実施形態では、サイクルは、32日である。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイクルは、少なくとも1つの他のサイクルよりも1~4日短いか又は長い。
【0482】
特定の実施形態では、各サイクルは、約5週である。特定の実施形態では、各サイクルは、5週である。特定の実施形態では、各サイクルは、33~40日である。特定の実施形態では、サイクルは、33日である。特定の実施形態では、サイクルは、34日である。特定の実施形態では、サイクルは、35日である。特定の実施形態では、サイクルは、36日である。特定の実施形態では、サイクルは、37日である。特定の実施形態では、サイクルは、38日である。特定の実施形態では、サイクルは、39日である。特定の実施形態では、サイクルは、40日である。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイクルは、少なくとも1つの他のサイクルよりも1~4日短いか又は長い。
【0483】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、36~48日である。特定の実施形態では、サイクルは、36日である。特定の実施形態では、サイクルは、37日である。特定の実施形態では、サイクルは、38日である。特定の実施形態では、サイクルは、39日である。特定の実施形態では、サイクルは、40日である。特定の実施形態では、サイクルは、41日である。特定の実施形態では、サイクルは、42日である。特定の実施形態では、サイクルは、43日である。特定の実施形態では、サイクルは、44日である。特定の実施形態では、サイクルは、45日である。特定の実施形態では、サイクルは、46日である。特定の実施形態では、サイクルは、47日である。特定の実施形態では、サイクルは、48日である。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイクルは、少なくとも1つの他のサイクルよりも1~6日短いか又は長い。
【0484】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、約2週、約3週、約4週、及び約5週からなる群から選択される。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、約2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、約3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、約4週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、約5週である。
【0485】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、4週、及び5週からなる群から選択される。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、5週である。
【0486】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約2週、約3週、及び約6週からなる群から選択される。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約2週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約3週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約4週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約5週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、約6週である。
【0487】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、4週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、5週である。特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0488】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0489】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0490】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0491】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、4週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0492】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0493】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0494】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0495】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0496】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0497】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0498】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0499】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0500】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0501】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0502】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0503】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0504】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0505】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0506】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0507】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0508】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、4週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、4週毎に1回投与される。
【0509】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、5週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、5週毎に1回投与される。
【0510】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0511】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。
【0512】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0513】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0514】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0515】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。
【0516】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。
【0517】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0518】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0519】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0520】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0521】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0522】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0523】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0524】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0525】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0526】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0527】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0528】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0529】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0530】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0531】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0532】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0533】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0534】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0535】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初に抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、続いてツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、所与のサイクルの1日目に対象に投与される。
【0536】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体が対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初に抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、続いてツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、各サイクルの1日目に対象に投与される。
【0537】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0538】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0539】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0540】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0541】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0542】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与し、それにより癌を治療することを含み、
癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現し;
抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCが、1サイクルに1回(各サイクルは約3週である)1日で対象に投与される方法である。
【0543】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与し、それにより癌を治療することを含み、
癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現し;
ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり;
抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンが、1サイクルに1回(各サイクルは約3週である)1日で対象に投与される方法である。
【0544】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与し、それにより癌を治療することを含み、
癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現し;
ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり;
抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブであり;
ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンが、1サイクルに1回(各サイクルは約3週である)1日で対象に投与される方法である。
【0545】
本開示のある態様は、癌を治療する方法であって、必要とする対象に有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)及び(ii)抗PD-1抗体を投与し、それにより癌を治療することを含み、
癌が、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現し;
ADCが、ツサミタマブラブタンシンであり;
抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブであり;
ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンが、1サイクルに1回(各サイクルは約3週である)1日で対象に投与され;
ツサミタマブラブタンシンが、約120mg/m~約170mg/mの用量で投与され、ペムブロリズマブが、約200mg/mの用量で投与される方法である。
【0546】
抗CEACAM5 ADC、抗PD1/PDL1抗体及びプラチナ系化学療法の三重組み合わせ療法:
本開示のさらなる態様は、必要とする対象においてCEACAM5発現癌を治療する方法であって、有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、及び(iii)プラチナ系化学療法の組み合わせを含む三重組み合わせ療法を投与することを含む方法である。
【0547】
特定の実施形態では、プラチナ系化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される。
【0548】
特定の実施形態では、方法は、シスプラチンを対象に投与することを含む。
【0549】
特定の実施形態では、シスプラチンは、38mg/m~75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0550】
特定の実施形態では、シスプラチンは、約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0551】
特定の実施形態では、シスプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にADCの投与後に約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0552】
特定の実施形態では、方法は、カルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0553】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にADCの投与後に約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、5mg*min/mLであり、投与当たりのカルボプラチンの用量は、750mgを超えない。
【0554】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、AUC 2.5~AUC 5である。
【0555】
特定の実施形態では、標的AUCは、AUC 5である。
【0556】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にペメトレキセドの投与後に(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、5mg*min/mLであり、投与当たりのカルボプラチンの用量は、750mgを超えない。
【0557】
三重組み合わせ療法の特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0558】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0559】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0560】
特定の実施形態では、ADCは、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む。
【0561】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0562】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0563】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0564】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0565】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0566】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される。
【0567】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。
【0568】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0569】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0570】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0571】
特定の実施形態では、癌は、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0572】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0573】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である。
【0574】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0575】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0576】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。
【0577】
いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3A NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3B NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側若しくは反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3C NSQ NSCLCを有し、例えば、大型の原発性腫瘍は、増殖し、それが始まった胸部の反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっており、胸部の同じ側に2つ以上の腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ4 NSQ NSCLCを有し、例えば、胸部の外側の1つ以上の部位への転移がある。いくつかの実施形態では、対象は、広範な転移性のNSQ NSCLCを有する。
【0578】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0579】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。特定の実施形態では、対象は、プラチナ、例えば、シスプラチン又はカルボプラチンによる全身性の前治療を受けていない。
【0580】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に免疫療法を受けていない。免疫療法には、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による治療が含まれる。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による前治療を受けていない。特定の実施形態では、対象は、抗PD-L1抗体による前治療を受けていない。
【0581】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-1抗体である。
【0582】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0583】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0584】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体である。
【0585】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0586】
三重組み合わせ療法の特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。特定の実施形態では、ADCは、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の前に投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADC及びプラチナ系化学療法の前に投与される。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与が1日又は24時間以内に完了することを条件として、第1の薬剤の投与終了と第2の薬剤の投与開始の間に少なくとも約30分の遅延が存在する。
【0587】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、同時に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始し、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。
【0588】
特定の実施形態では、NSQ NSCLCは、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0589】
免疫組織化学的分析は、対象から得られる腫瘍の同時期の試料に対して、又は対象から得られる腫瘍の好適な歴史的試料を使用して実施され得る。
【0590】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0591】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0592】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0593】
三重組み合わせ療法の特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2~6週である。
【0594】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2週である。
【0595】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。特定の実施形態では、各サイクルは、3週である。
【0596】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、6週である。
【0597】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、及び4週からなる群から選択される。
【0598】
特定の実施形態では、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週、3週、及び6週からなる群から選択される。
【0599】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0600】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、3週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0601】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、2週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、3週である。特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、6週であり、各抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体のサイクルは、6週である。
【0602】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg~400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0603】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mg~400mgの用量で対象に静脈内投与される。静脈内投与は、注入又は注射であり得る。典型的には、静脈内投与は、注入である。
【0604】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、又は約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0605】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、又は400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0606】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0607】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0608】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0609】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0610】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0611】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0612】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0613】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0614】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0615】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0616】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0617】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0618】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0619】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0620】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0621】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0622】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0623】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0624】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0625】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブが対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初にペムブロリズマブ、続いてツサミタマブラブタンシンであり、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、所与のサイクルの1日目に対象に投与される。
【0626】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブが対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初にペムブロリズマブ、続いてツサミタマブラブタンシンであり、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、各サイクルの1日目に対象に投与される。
【0627】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0628】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0629】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0630】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0631】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0632】
(i)抗CEACAM5 ADC、(ii)抗PD1/PDL1抗体、(iii)プラチナ系化学療法、及び(iv)ペメトレキセドの四重組み合わせ療法:
さらに別の態様では、本開示は、必要とする対象においてCEACAM5発現癌を治療する方法であって、有効量の(i)抗CEACAM5抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、(ii)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、(iii)プラチナ系化学療法及び(iv)ペメトレキセドの組み合わせを含む四重組み合わせ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0633】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、250mg/m~500mg/mの用量で静脈内投与される。
【0634】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約250mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、250mg/mの用量で静脈内投与される。
【0635】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約300mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、300mg/mの用量で静脈内投与される。
【0636】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約350mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、350mg/mの用量で静脈内投与される。
【0637】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約400mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、400mg/mの用量で静脈内投与される。
【0638】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約450mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、450mg/mの用量で静脈内投与される。
【0639】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、約500mg/mの用量で静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、500mg/mの用量で静脈内投与される。
【0640】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、ビタミン補充後に静脈内投与される。
【0641】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、所与のサイクルの1日目にADCの投与後に約500mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、所与のサイクルの1日目にADCの投与後に500mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0642】
特定の実施形態では、ペメトレキセドは、各サイクルの1日目にADCの投与後に約500mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペメトレキセドは、各サイクルの1日目にADCの投与後に500mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0643】
四重組み合わせ療法の特定の実施形態では、ADCの抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0644】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、配列番号6からなる重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7からなる軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【0645】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0646】
特定の実施形態では、ADCは、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤を含む。
【0647】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、放射性同位体、タンパク質毒素、低分子毒素、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0648】
特定の実施形態では、低分子毒素は、代謝拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0649】
特定の実施形態では、抗微小管剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、メイタンシノイド、コルヒチン、ポドフィロトキシン、グリセオフルビン、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0650】
特定の実施形態では、メイタンシノイドは、N2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)、及びその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0651】
特定の実施形態では、毒素は、N2’-デアセチル-N2’-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM4)である。
【0652】
特定の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に切断可能又は切断不可能なリンカーを介して共有結合される。
【0653】
特定の実施形態では、リンカーは、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、及びシクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)(SMCC)からなる群から選択される。
【0654】
特定の実施形態では、毒素は、ピリジルジチオ酪酸N-スクシンイミジル(SPDB)リンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0655】
特定の実施形態では、毒素は、DM4であり、毒素は、SPDBリンカーによって抗CEACAM5抗体に共有結合される。
【0656】
特定の実施形態では、ADCは、1~10の範囲の薬物抗体比(DAR)によって特徴付けられる。
【0657】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0658】
特定の実施形態では、癌は、免疫組織化学によって定義される中程度又は高強度でCEACAM5を発現する。
【0659】
特定の実施形態では、癌は、中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0660】
特定の実施形態では、癌は、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0661】
特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管細胞癌)、前立腺癌、及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0662】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、食道胃接合部癌、又は食道癌である。
【0663】
特定の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0664】
特定の実施形態では、肺癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0665】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。
【0666】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0667】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。特定の実施形態では、対象は、NSQ NSCLCの治療のために以前に全身性化学療法を受けていない。
【0668】
特定の実施形態では、対象は、プラチナ、例えば、シスプラチン又はカルボプラチンによる全身性の前治療を受けていない。
【0669】
特定の実施形態では、対象は、ペメトレキセドによる全身性の前治療を受けていない。
【0670】
特定の実施形態では、対象は、癌の治療のために以前に免疫療法を受けていない。免疫療法には、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体による治療が含まれる。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体による前治療を受けていない。特定の実施形態では、対象は、抗PD-L1抗体による前治療を受けていない。
【0671】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-1抗体である。
【0672】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ、及びチスレリズマブからなる群から選択される。
【0673】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0674】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体である。
【0675】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0676】
特定の実施形態では、プラチナ系化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群から選択される。
【0677】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、逐次的に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、逐次的に投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADCの前に投与される。特定の実施形態では、ADCは、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の前に投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、ADC、プラチナ系化学療法、及びペメトレキセドの前に投与される。
【0678】
特定の実施形態では、両方の薬剤の投与が1日又は24時間以内に完了することを条件として、第1の薬剤の投与終了と第2の薬剤の投与開始の間に少なくとも約30分の遅延が存在する。
【0679】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される;すなわち、抗PD-1抗体及びADCは、同時に投与されるか、又は抗PD-L1抗体及びADCは、同時に投与される。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。特定の実施形態では、両方の薬剤の投与は、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に開始し、本質的に同時に、例えば、互いに数分以内に終了する。
【0680】
特定の実施形態では、NSQ NSCLCは、少なくとも中程度の強度(腫瘍細胞の≧1%~<50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0681】
特定の実施形態では、NSQ NSCLCは、高強度(腫瘍細胞の≧50%での免疫組織化学強度≧2+)でCEACAM5を発現する。
【0682】
免疫組織化学的分析は、対象から得られる腫瘍の同時期の試料に対して、又は対象から得られる腫瘍の好適な歴史的試料を使用して実施され得る。
【0683】
特定の実施形態では、対象は、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有する。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3A NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3B NSQ NSCLCを有し、例えば、原発性腫瘍は、それが始まった胸部の同じ側若しくは反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっている。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ3C NSQ NSCLCを有し、例えば、大型の原発性腫瘍は、増殖し、それが始まった胸部の反対側、鎖骨の上、又は肺の間の空間のリンパ節に広がっており、胸部の同じ側に2つ以上の腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ステージ4 NSQ NSCLCを有し、例えば、胸部の外側の1つ以上の部位への転移がある。いくつかの実施形態では、対象は、広範な転移性のNSQ NSCLCを有する。
【0684】
特定の実施形態では、対象は、上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0685】
特定の実施形態では、対象は、EGFR感受性変異を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、BRAF変異を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、未分化リンパ腫キナーゼ/c-ros癌遺伝子1(ALK/ROS)改変を伴わないNSQ NSCLCを有する。特定の実施形態では、対象は、EGFR感受性変異、BRAF変異、及びALK/ROS改変の任意の組み合わせを伴わないNSQ NSCLCを有する。
【0686】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0687】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0688】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0689】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、ADC、及びプラチナ系化学療法は、少なくとも4サイクルの間に対象に投与される。
【0690】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2~6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2~6週である。
【0691】
特定の実施形態では、各サイクルは、約2週である。特定の実施形態では、各サイクルは、2週である。
【0692】
特定の実施形態では、各サイクルは、約3週である。特定の実施形態では、各サイクルは、3週である。
【0693】
特定の実施形態では、各サイクルは、約6週である。特定の実施形態では、各サイクルは、6週である。
【0694】
特定の実施形態では、各ツサミタマブラブタンシンのサイクルは、2週、3週、及び4週からなる群から選択される。
【0695】
特定の実施形態では、各抗PD-1又は抗PD-L1のサイクルは、2週、3週、及び6週からなる群から選択される。
【0696】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0697】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg~400mgの用量で対象に静脈内投与される。静脈内投与は、注入又は注射であり得る。典型的には、静脈内投与は、注入である。
【0698】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mg~約400mgの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mg~400mgの用量で対象に静脈内投与される。静脈内投与は、注入又は注射であり得る。典型的には、静脈内投与は、注入である。
【0699】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、又は約400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0700】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、又は400mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0701】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mg、350mg、360mg、及び400mgから選択される用量で対象に静脈内投与される。
【0702】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0703】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0704】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0705】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0706】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0707】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0708】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0709】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0710】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0711】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0712】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0713】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0714】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0715】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0716】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に約1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0717】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0718】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0719】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、約400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m~約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0720】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/m~170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0721】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で対象に静脈内投与され、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0722】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0723】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に約1回投与される。特定の実施形態では、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、6週毎に1回投与される。
【0724】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体は、6週毎に1回投与され、ツサミタマブラブタンシンは、3週毎に1回投与される。
【0725】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブが対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初にペムブロリズマブ、続いてツサミタマブラブタンシンであり、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、所与のサイクルの1日目に対象に投与される。
【0726】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブが対象に投与された後、ツサミタマブラブタンシンが投与され、すなわち、最初にペムブロリズマブ、続いてツサミタマブラブタンシンであり、ペムブロリズマブ及びツサミタマブラブタンシンは、各サイクルの1日目に対象に投与される。
【0727】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0728】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0729】
特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0730】
特定の実施形態では、方法は、シスプラチンを対象に投与することを含む。
【0731】
特定の実施形態では、シスプラチンは、38mg/m~75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0732】
特定の実施形態では、シスプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にペメトレキセドの投与後に約75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、シスプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にペメトレキセドの投与後に75mg/mの用量で対象に静脈内投与される。
【0733】
特定の実施形態では、方法は、カルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0734】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、AUC 2.5~AUC 5である。
【0735】
特定の実施形態では、標的AUCは、AUC 5である。
【0736】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にペメトレキセドの投与後に約(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、5mg*min/mLであり、投与当たりのカルボプラチンの用量は、750mgを超えない。
【0737】
特定の実施形態では、カルボプラチンは、サイクル1~4の各々の1日目にペメトレキセドの投与後に(標的AUC)×[(140-年齢)×(体重(kg))/血清クレアチニン(mg/dL)×72(女性の場合は×0.85)+25]の用量で対象に静脈内投与され、標的AUCは、5mg*min/mLであり、投与当たりのカルボプラチンの用量は、750mgを超えない。
【0738】
特定の実施形態では、ADCは、ツサミタマブであり、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【実施例
【0739】
実施例1.CEACAM5陽性発現進行性/転移性NSQ NSCLCを有する患者の組み合わせ治療の第2相、非盲検、多施設試験
細胞傷害性薬剤DM4にコンジュゲートされた抗癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)からなるADCであるツサミタマブラブタンシンの有効性、安全性、及び薬物動態(PK)は、CEACAM5陽性進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺癌を有するヒト対象において評価される。
【0740】
以前の第1相試験(NCT02187848)において、ツサミタマブラブタンシンで治療された92名のNSQ NSCLC患者は、≧50%の腫瘍CEACAM5発現を有するNSQ NSCLCを有する64名の重度に前治療された患者において抗腫瘍活性を示した。この抗腫瘍活性は、固形癌効果判定基準(RECIST)1.1に従って20.3%の全奏効率と関連付けられ(95% CI:12.27%~31.71%)、この患者集団を治療するツサミタマブラブタンシンのさらなる開発を正当化している。≧1%及び<50%の腫瘍CEACAM5発現を有するNSQ NSCLCを有する28名の重度に前治療された患者において、全奏効率は、RECIST 1.1(95% CI:1.98%~22.65%)に従って7.1%であった。
【0741】
ペムブロリズマブは、標準治療(SOC)と組み合わせて及び単剤療法として第一選択NSCLCにおいて最初に承認され且つ最も使用される免疫チェックポイント阻害剤(ICI)である(例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれるGandhi,L.,et al.,N.Engl.J.Med.2018,378(22):2078-926;及びTony,SKM,et al.,Lancet 2019,393(10183):1819-30を参照のこと)。ICIとツサミタマブラブタンシンの組み合わせは、標的化されない、毒性全身性化学療法との組み合わせと比較して、予後の改善をもたらすはずである。
【0742】
目的
主要目的
この試験の主要目的は、NSQ NSCLC集団において、ペムブロリズマブと組み合わせたツサミタマブラブタンシン並びにペメトレキセドの有り無し両方でペムブロリズマブ及びプラチナ系化学療法と組み合わせたツサミタマブラブタンシンの忍容性を評価すること及び推奨用量を決定することである。評価項目は、角膜毒性を含むがこれに限定されない、サイクル1(C1D1~C1D21)での薬物関連用量制限毒性(DLT)の発生率からなる。
【0743】
副次的目的
この試験の副次的な目的は、以下である:
(i)ペムブロリズマブと組み合わせたツサミタマブラブタンシン(T2)、並びにペメトレキセド(T4)有り無し両方でペムブロリズマブ及びプラチナ系化学療法と組み合わせたツサミタマブラブタンシン(T3)の安全性及び忍容性を評価すること。評価項目は、国立癌研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)V5.0による治療により発現した有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)及び臨床検査値異常の発生率からなる。
(ii)NSQ NSCLC集団において、ペムブロリズマブと組み合わせたツサミタマブラブタンシン、並びにペメトレキセドの有り無し両方でペムブロリズマブ及びプラチナ系化学療法と組み合わせたツサミタマブラブタンシンの抗腫瘍活性を評価すること。評価項目は、RECIST 1.1に従って確認された完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を有する参加者の割合として定義される奏効率からなる。
(iii)それぞれ二重(ツサミタマブラブタンシン+ペムブロリズマブ-T2)又は三重(ツサミタマブラブタンシン+ペムブロリズマブ+プラチナ系化学療法-T3)又は四重(ツサミタマブラブタンシン+ペムブロリズマブ+プラチナ系化学療法+ペメトレキセド-T4)に組み合わされて与えられるときのツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド、シスプラチン、及びカルボプラチンの薬物動態(PK)を評価すること。評価項目は、ツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド、シスプラチン、及びカルボプラチンの薬物動態濃度からなる。
(iv)ペムブロリズマブと組み合わせたツサミタマブラブタンシン、並びにペメトレキセドの有り無し両方でペムブロリズマブ及びプラチナ系化学療法と組み合わせたツサミタマブラブタンシンの免疫原性を評価すること。評価項目は、ツサミタマブラブタンシンに対する抗治療薬抗体(ATA)の発生率からなる。
【0744】
試験設計
この試験は、3パートで構成される第2相、非盲検、多施設試験である:
パートAは、CEACAM5高発現腫瘍(腫瘍細胞の≧50%でCEACAM5免疫組織化学[IHC]強度≧2+として定義される)を有するNSQ NSCLC参加者においてペムブロリズマブと組み合わせたツサミタマブラブタンシン(T2)の安全性、有効性(抗腫瘍活性)、及びPKを評価することである。CEACAM5染色の強度は、0~3の尺度でスコア化され、0は陰性であり、1+は弱い陽性であり、2+は中程度の陽性であり、3+は強い陽性である。スコア化を含むIHCプロセスの一般的な説明は、全体として参照により本明細書によって組み込まれるSo-Woon Kim et al.,J Pathol Transl Med,2016,50(6):411-418,doi:10.4132/jptm.2016.08.08により与えられる。
パートBは、CEACAM5高発現腫瘍を有するNSQ NSCLC参加者においてペムブロリズマブ及びプラチナ系化学療法と組み合わせたツサミタマブラブタンシン(T3)の安全性、有効性(抗腫瘍活性)、及びPKを評価することであり;
パートCは、CEACAM5高又は中程度発現(腫瘍細胞の≧1%及び<50%で強度≧2+として定義される)を有するNSQ NSCLC参加者においてペムブロリズマブ、プラチナ系化学療法及びペメトレキセドと組み合わせたツサミタマブラブタンシン(T4)の安全性、有効性(抗腫瘍活性)、及びPKを評価することである。
【0745】
事前スクリーニング期の間、患者の腫瘍試料を回収して、CEACAM5ステータスを評価する(IHCによる中央評価)。免疫組織化学(IHC)による中央評価は、抗原発現を評価するためのCEACAM5の染色の強度評価に基づく。
【0746】
スクリーニング期の間、CEACAM5高発現(≧50%)腫瘍であると判定されたNSQ NSCLCを有する参加者のみが、治験実施計画書スクリーニング手順を経て、治験責任医師の選択に従ってパートA、パートB又はパートCに登録される。CEACAM5中程度発現(≧1%上及び<50%)腫瘍を有する参加者は、治験実施計画書スクリーニング手順を経て、パートCに登録される。
【0747】
パートA
ツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブの組み合わせ(T2)の忍容性が評価される。
【0748】
最初の3名の参加者は、3週毎に1回(Q3W)200mgのペムブロリズマブ注入を受けた後、150mg/mの開始用量でツサミタマブラブタンシン注入を受ける。
【0749】
DLT観察期間は、第1のサイクル(21日)である。観察されたDLTに応じて、ツサミタマブラブタンシンの最大3つの用量レベル(DL)が試験される:150mg/m、170mg/m、及び120mg/m
【0750】
組み合わせアームの各DLに関して(開始用量、該当する場合、DLプラス1[DL+1]、及びDLマイナス1[DL-1])、このDLで治療される最初の参加者の最初の投与と同じDLで治療される次の参加者の最初の投与の間は、最低でも1週間が必須である。3名の参加者がこのDLで治療され、DLT-評価可能になると、この組み合わせの忍容性が、図1に示されるアルゴリズムに従って評価される。
【0751】
パートB
ペムブロリズマブ、ツサミタマブラブタンシン、及びプラチナ系化学療法の組み合わせ(T3)の忍容性及び安全性が評価される。参加者は、治験責任医師の選択に従ってシスプラチン又はカルボプラチンのいずれかに割り当てられ得る。
【0752】
シスプラチン組み合わせアーム:参加者は、最初の4サイクルに関して全て1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)+シスプラチン 75mg/m、続いて後のサイクルの1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)を受容する。
【0753】
カルボプラチン組み合わせアーム:参加者は、最初の4サイクルに関して全て1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)+カルボプラチン AUC 5、続いて後のサイクルの1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m Q3W)を受容する。
【0754】
DLT観察期間は、第1のサイクル(21日)である。観察されたDLTに応じて、ツサミタマブラブタンシンの最大3つの用量レベル(DL)が、この安全性の確認パートの間に試験され得る:150mg/m、170mg/m、及び120mg/m
【0755】
シスプラチン及びカルボプラチンの組み合わせアームの各DLに関して、このDLで治療される最初の参加者の最初の投与と同じDLで治療される次の参加者の最初の投与の間は、最低でも1週間が必須である。組み合わせアームに割り当てられた3名の参加者があるDLで治療され、DLT-評価可能になると、この組み合わせの忍容性が、図1に示されるとおりの判定アルゴリズムに従って評価される。それぞれの三重組み合わせの忍容性は、少なくとも6名の参加者で評価される。
【0756】
パートBにおけるシスプラチン及びカルボプラチンの組み合わせアームにおけるおよそ12~36名の治療される参加者(各アームにおいて6~18名)は、忍容性及び安全性に関して評価可能であると予想される。
【0757】
パートC
ツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、プラチナ系化学療法及びペメトレキセドの組み合わせ(T4)の忍容性及び安全性が評価される。参加者は、治験責任医師の選択に従ってシスプラチン又はカルボプラチンのいずれかに割り当てられ得る。
【0758】
シスプラチン組み合わせアーム:参加者は、最初の4サイクルに関して全て1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)+ペメトレキセド 500mg/m(ビタミン補充を伴う)+シスプラチン 75mg/m、続いて後のサイクルの1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)+ペメトレキセド 500mg/m(ビタミン補充を伴う)を受容する。
【0759】
カルボプラチン組み合わせアーム:参加者は、最初の4サイクルに関して全て1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m)+ペムブロリズマブ 500mg/m(ビタミン補充を伴う)+カルボプラチン AUC 5、続いて後のサイクルの1日目にQ3W ペムブロリズマブ 200mg+ツサミタマブラブタンシン(150mg/m、170mg/m、又は120mg/m Q3W)+ペメトレキセド 500mg/m(ビタミン補充を伴う)を受容する。
【0760】
DLT観察期間は、第1のサイクル(21日)である。観察されたDLTに応じて、ツサミタマブラブタンシンの最大3つの用量レベル(DL)が、この安全性の確認パートの間に試験され得る:150mg/m、170mg/m、及び120mg/m
【0761】
シスプラチン及びカルボプラチンの組み合わせアームの各DLに関して、このDLで治療される最初の参加者の最初の投与と同じDLで治療される次の参加者の最初の投与の間は、最低でも1週間が必須である。組み合わせアームに割り当てられた3名の参加者があるDLで治療され、DLT-評価可能になると、この組み合わせの忍容性が、図1に示される判定アルゴリズムに従って評価される。それぞれの四重組み合わせの忍容性は、少なくとも6名の参加者で評価される。
【0762】
パートCにおけるシスプラチン及びカルボプラチンの組み合わせアームにおけるおよそ12~36名の治療される参加者(各アームにおいて6~18名)は、忍容性及び安全性に関して評価可能であると予想される。
【0763】
患者
組み入れ基準
参加者は、以下の基準を満たす場合に試験に含まれる資格がある:
上皮増殖因子受容体(EGFR)感作変異又はv-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB1(BRAF)変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)/c-ros癌遺伝子(ROS)改変を伴わない進行性又は転移性NSQ NSCLCの組織学的に又は細胞学的に確認された診断。
参加者の進行性又は転移性疾患の治療のために以前に全身性化学療法を受けたことがない(新補助療法/補助療法の一部としての化学療法及び/又は放射線療法を伴う治療は、進行性又は転移性疾患の診断の少なくとも6ヶ月前に完了していれば許容される)。
保存腫瘍試料において腫瘍細胞集団の少なくとも50%(パートA及びパートBの場合)及び少なくとも1%(パートCの場合)を含む≧2+の強度の中央評価によるIHCアッセイで前向きに実証されるとおりのCEACAM5の発現(又は、入手できない場合、担当医によって許容されるリスクと判断された場合、新鮮な生検試料が採取されることになる)。厚さ4μmで切片化したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織の少なくとも5枚のスライドが必要である。入手可能な材料が少ない場合であっても、患者は、治験依頼者との議論後に適格であると考えることができ、治験依頼者は、入手可能な材料が重要な評価に十分であることを評価及び確認し得る。
【0764】
RECIST 1.1に基づく測定可能な疾患。
除外基準
以下の基準のいずれかが適用される場合、参加者は試験から除外される:
【0765】
1.医学的状態
チトクロムP450(CYP450)により代謝され、用量減少が考慮されない狭い治療域を有する薬物の同時投与を必要とする医学的状態。
強力なチトクロムP450ファミリー3サブファミリーA(CYP3A)阻害剤の併用投与を必要とする医学的状態。ただし、試験介入の最初の投与の少なくとも2週間前から試験治療全期間にわたって投与を中止できる場合を除く。
制御されない脳転移及び軟髄膜疾患の既往歴。
治験責任医師又は治験依頼者の意見では、患者の試験への参加又は結果の解釈に支障を及ぼすと考えられるいずれかの重度の医学的状態を含む重大な同時疾患。
過去3年以内にこの試験で治療されるもの以外の浸潤性悪性腫瘍の既往歴。ただし、切除/切断された皮膚の基底細胞癌若しくは扁平上皮細胞癌又は子宮頸部の生体内原位置の癌腫、或いは局所治療で治癒したと考えられる他の局所腫瘍を例外とする。
既知の後天性免疫不全症候群(AIDS)関連疾患若しくは抗レトロウイルス治療を必要とする既知のHIV疾患、又は活動性A型肝炎、B型肝炎(アッセイの検出下限を超える陽性B型肝炎表面抗原(HBsAg)又は陽性B型肝炎ウイルスDNA試験のいずれかとして定義される)、又はC型肝炎(アッセイの検出下限を超える既知の陽性C型肝炎抗体結果及び既知の定量的C型肝炎ウイルス(HCV)RNA結果として定義される)感染症の既往歴。HIV血清検査は、ドイツの施設又は現地の要件に従って必須である国に登録された参加者に対してのみスクリーニング時に試験されることになる。
過去2年間に全身性治療を必要とした活動性自己免疫疾患の既往歴。
同種組織/固体臓器移植の既往歴。
最初の試験介入投与又は活動性結核の前の2週間以内にIV全身性療法を必要とする活動性感染。
間質性肺疾患又は経口ステロイド若しくはIVステロイドを必要とした肺臓炎の既往歴。
ホルモン補充療法で制御される脱毛症、白斑症、又は活動性甲状腺炎を除く、NCI CTCAE V5.0に従って<グレード2に対するいずれかの以前の治療関連毒性の非回復。
薬物に誘発される角膜症のより高いリスクを予測するために眼科医によって考慮された未回復の角膜障害又はいずれかの以前の角膜障害。コンタクトレンズの使用は許容されない。コンタクトレンズを使用し、試験介入の期間中にそれらの装着の中止の意思がない患者は除外される。
スクリーニング前の3ヶ月以内の症候性帯状疱疹。
ヒト化モノクローナル抗体に対する著しいアレルギー。
臨床的に意義のある多発性又は重度の薬物アレルギー、副腎皮質ステロイド外用薬に対する不耐性、又は重度の治療後過敏性反応(重症型の多形紅斑、線状免疫グロブリンA[IgA]皮膚症、毒性表皮壊死、及び剥離性皮膚炎を含むが、これらに限定されない)。
【0766】
2.以前の/併用療法
任意の他の抗癌療法による同時の治療。
進行性/転移性NSCLCのために以前に化学療法治療を受けている。
患者は、外科的切除及び/又は化学放射線療法のいずれかによる治癒治療の候補である。
あらゆる治験薬治療について、3週未満又は半減期の5倍未満のいずれか短い方である試験介入の初回投与前の休薬期間。
CEACAM5を標的化するいずれかの事前療法。
任意の他の抗プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)若しくはプログラム死-リガンド2(PD-L2)、抗CD137、又は抗細胞傷害性T-リンパ球関連抗原-4(CTLA-4)抗体(イピリムマブ又は任意の他の抗体又はT細胞共刺激若しくはチェックポイント経路を特異的に標的化する薬物を含む)によるいずれかの前治療。
いずれかの以前のメイタンシノイド治療(メイタンシノイドエムタンシン(DM1)又はラブタンシン(DM4)ADC)。
試験療法の最初の投与の≦3日前に全身性ステロイド療法を受容している又は免疫抑制性薬物療法の任意の他の形態を受容している。毎日のステロイド補充療法又は該当する場合は、任意のコルチコステロイド前投薬が許容される。
最初の試験介入投与の6ヶ月以内に>30Gyの肺へのいずれかの放射線療法。
最初の試験介入投与前の30日以内に生ワクチンを受容したか又は受容する予定がある。
最初の試験介入投与の直前の3週以内のいずれかの大手術。
調査試験治療又は任意の他の種類の医学的研究を含む任意の他の臨床試験への現在の参加。
以下のいずれか1つにより定義されるとおりの臓器機能の低下:
血清クレアチニン>1.5×正常範囲上限(ULN)又は腎疾患における食事の変更(MDRD)法を使用して推定されるとおりの推定糸球体濾過率(eGFR)<60mL/分/1.73mを伴う1.0~1.5×ULN。
総ビリルビン>1.0×ULN。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2.5×ULN又はAST、ALT>1.5×ULN ALP>2.5×ULNとの併用。ALP>5×ULN、正常なALT/ASTを伴う、骨転移を有する患者の場合。
<1.5×10/Lの好中球又は<100×10/Lの血小板数又は<9g/dLのヘモグロブリン(スクリーニング前の2週以内に輸血なし)
正常範囲外の甲状腺刺激ホルモン(TSH)。TSHがベースラインで正常範囲内にない場合、T3及び遊離T4が正常範囲内であれば、対象は依然として適格であり得る。
参加者が、抗凝固療法を受けているか又はINRに影響を及ぼす抗凝固療法を受けている場合は治療域内である場合を除き、>1.5の国際標準比(INR)
【0767】
標的の数
パートAにおいて、およそ38~150名の参加者を事前にスクリーニングして(事前スクリーニングの失敗は約80%になると推定され、試験スクリーニングの失敗率は約20%になる)、6~24名のDLT評価可能な参加者(RP2D以外のDLで治療された12名の参加者に加えて、第2相試験の推奨用量(RP2D)での12名のDLT評価可能な参加者を含む)に達する。
【0768】
パートBにおいて、およそ75~225名の参加者を事前にスクリーニングして(事前スクリーニングの失敗は約80%になると推定され、試験スクリーニングの失敗率は約20%になる)、12~36名のDLT評価可能な参加者(それぞれの三重組み合わせアームにおいて6~18名のDLT評価可能な参加者)に達する。
【0769】
パートCにおいて、およそ28~82名の参加者を事前にスクリーニングして(事前スクリーニングの失敗は45%になると推定され、試験スクリーニングの失敗率は20%になる)、12~36名のDLT評価可能な参加者(それぞれの四重組み合わせアームにおいて6~18名のDLT評価可能な参加者)に達する。
【0770】
「登録済み」とは、インフォームド・コンセント・プロセスの完了後、参加者又はその法的に許容される代表者が臨床試験に参加することに同意することを意味する。試験に対する適格性を判定する目的でスクリーニングされているが、試験に参加していない潜在的な参加者は、治験実施計画書によって別途指定されない限り、登録されたとはみなされない。
【0771】
臨床及び臨床検査による経過観察
統計分析
有効性分析(RECIST 1.1に従う全奏効率(ORR))は、それぞれの組み合わせアームに関して、用量レベル及び全体によって全ての治療された集団に対して実施される。奏効率は、地域の放射線科医/治験責任医師の評価を使用して導き出される。
【0772】
主要安全性評価項目分析(DLT)のための試験カットオフは、パートA、パートB又はパートCにおけるRP2Dを決定するために治療された最後の参加者の第1のサイクルの終わりにある。ORR(副次的有効性評価項目分析)のための試験カットオフは、治療された全ての参加者が、少なくとも2つのベースライン後の腫瘍評価を受けたか、客観的奏効の確認を経験したか、又はいずれかの理由で試験を中止した日に対応する。この試験カットオフは、最後の参加者の最初の治験薬(IMP)投与日のおよそ4.5ヶ月後に行われる:2つの腫瘍評価に関して3ヶ月及び奏効の確認が必要な場合、1.5ヶ月。全ての分析は、その時点で更新される。
【0773】
全ての安全性分析は、治療アーム、DL(適宜)及び全体によって、全ての治療集団に対して実施される。それぞれの安全性パラメーターについて、ベースライン値は、IMPの最初の投与までに得られた最新の値又は測定値として定義される。
【0774】
薬物動態(PK)
血液試料は、ツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン又はカルボプラチン及びペメトレキセド濃度の測定のために回収される。各試料の実際の日時が記録される。
【0775】
ツサミタマブラブタンシン、ペメトレキセド及びシスプラチン又はカルボプラチンの濃度は、非線形混合効果モデリングによる集団PK分析のために使用される。最大濃度(Cmax)、トラフ濃度(Ctrough)及び曲線下面積(AUC)などの個々の曝露パラメーターの経験的ベイズ推定が導出される。
【0776】
パートA、パートB及びパートCに関するペムブロリズマブCtrough値が報告される。
【0777】
有効性評価
1.ベースラインでの腫瘍の測定可能性
ベースラインでは、腫瘍病変/リンパ節は、以下のとおりに測定可能又は測定不能に分類される。
【0778】
測定可能な病変は、以下の最小サイズで、少なくとも1寸法(記録されることになる測定面の最も長い直径)で正確に測定されなければならない:
CTスキャンによる10mm(CTスキャンスライス厚は、5mmを超えない)。
臨床検査による10mmキャリパー測定(キャリパーで正確に測定できない病変は、測定不能として記録されるべきである)。
胸部X線による20mm。
【0779】
悪性リンパ節:病理学的に拡大して測定可能であるとみなされるためには、コンピューター断層撮影スキャン(CTスキャン)によって評価した場合、リンパ節は短軸で≧15mmでなければならない(CTスキャンスライス厚は、5mm以下であることが推奨される)。ベースライン時及び経過観察時に、短軸のみが測定され、追跡されることになる。
【0780】
測定不能な病変は、小さな病変(<10mmの最長直径又は≧10~<15mmの短軸を有する病的なリンパ節)を含む全ての他の病変、並びに真の測定不能な病変である。測定不能とみなされる病変としては、軟髄膜疾患、腹水、胸水又は心膜液貯留、炎症性乳房疾患、皮膚又は肺のリンパ管の合併症、再現性のある画像化技術では測定できない身体検査により同定される腹部腫瘤/腹部臓器肥大。
【0781】
病変の測定可能性に関する特別な考慮事項が以下で示される。
(1)骨病変:
骨スキャン、陽電子放射断層撮影スキャン又は単純フィルムは、骨病変を測定するのに十分な画像化技術とはみなされない。しかしながら、これらの技術は、骨病変の存在又は消失を確認するために使用され得る。
CTスキャン又は核磁気共鳴画像法スキャン(MRIスキャン)などの断面画像化技術によって評価され得る、識別可能な軟組織成分を有する溶解性骨病変又は混合溶解性-芽細胞病変は、軟組織成分が上記の測定可能性の定義を満たす場合、測定可能な病変とみなされ得る。
芽細胞骨病変は測定不能である。
(2)嚢胞性病変:
X線撮影で定義された単純嚢胞に関する基準を満たす病変は、定義上単純嚢胞であるため、悪性病変(測定可能でも測定不能でもない)とみなされるべきではない。
嚢胞性転移を表すと考えられる「嚢胞性病変」は、上記の測定可能性の定義を満たす場合、測定可能な病変とみなされ得る。しかしながら、同じ患者に非嚢胞性病変が存在する場合、これらは標的病変としての選択に好ましい。
(3)以前の局所治療による病変:
以前に照射された領域、又は他の局所領域療法を受けた領域に位置する腫瘍病変は通常、病変に進行が確認されない限り、測定可能とはみなされない。
【0782】
2.評価の方法
測定結果は、臨床的に評価された場合、キャリパーを使用してメートル法表記で記録される。ベースライン評価は、治療開始のできるだけ近くで実施され、治療開始の4週間より前に実施されない。
【0783】
同じ評価方法及び同じ手法を使用して、ベースライン時及び経過観察中に同定され、報告される各病変を特徴付ける。追跡されている病変が画像化できないが、臨床検査によって評価可能な場合を除き、臨床検査ではなく画像化に基づく評価が実施される。
【0784】
臨床病変:臨床病変は、表面的であり、キャリパーを使用して評価される場合に≧10mmの直径のものであるときのみ測定可能とみなされる。
【0785】
胸部X線:特に進行が重要な評価項目である場合、胸部CTは、胸部X線よりも好ましいが、それは、特に、新規の病変の同定において、CTはX線よりも敏感であるためである。しかしながら、胸部X線撮影の病変は、それらが明確に定義されており、通気された肺に囲まれている場合には、測定可能であるとみなされ得る。
【0786】
CT、MRI:CTは、効果判定のために選択された病変を測定するための、現在利用可能で再現可能な最良の方法である。CTスキャンでの病変の測定可能性は、CTスライス厚が5mm以下であるとの仮定に基づく。CTスキャンのスライス厚が5mmより大きい場合、測定可能な病変の最小サイズは、スライス厚の2倍である。
【0787】
腫瘍マーカー:腫瘍マーカーのみを使用して、客観的な腫瘍奏効を評価することはできない。
【0788】
細胞学、組織学:これらの技術を使用して、治験実施計画書によって必要とされる場合、まれに部分奏効(PR)と完全奏効(CR)を区別することができた。
【0789】
3.「標的」病変及び「非標的」病変のベースライン文書化
2つ以上の測定可能な病変がベースラインで存在する場合、関与する全ての臓器を代表する合計で最大で5つの病変(及び臓器当たりの最大2つの病変)までの全ての病変が、標的病変として同定され、ベースラインで記録及び測定される。
【0790】
標的病変は、それらのサイズ(最も長い直径を有する病変)に基づいて選択され、関与する全ての臓器を代表し、再現可能な反復測定に適している。
【0791】
リンパ節は、正常な解剖学的構造であり、腫瘍に関与していない場合でさえ、画像化によって可視化され得る。測定可能として定義され、標的病変として同定され得る病的な節は、CTスキャンにより≧15mmの短軸の基準を満たさなければならない。これらの節の短軸のみがベースライン合計に寄与した。他の全ての病的な節(≧10mmであるが<15mmの短軸を有するもの)は、非標的病変とはみなされない。<10mmの短軸を有する節は、非病的とみなされ、記録も追跡もされない。
【0792】
全ての標的病変の直径(非結節性病変の場合は最長、結節性病変の場合は短軸)の合計が計算され、ベースライン合計直径として報告される。ベースライン合計直径は、疾患の測定可能な寸法におけるあらゆる客観的腫瘍退縮をさらに特徴付けるために参照として使用される。
【0793】
病的なリンパ節を含む他の全ての病変(又は疾患の部位)は、非標的病変として同定され、ベースラインでも記録された。測定は不要であり、これらの病変は、「存在」、「存在しない」、又は「明確な進行」として追跡される。加えて、同じ臓器を含む複数の非標的病変を、症例上の単一項目として記録することが可能である(例えば、「多発性拡大骨盤リンパ節」又は「多発性肝臓転移」)。
【0794】
4.効果判定基準
効果判定基準は、表1に記載される。
【0795】
【表1】
【0796】
5.標的病変の評価に対する特記事項
標的病変として同定されるリンパ節は、実際の短軸測定結果が記録され、節が検査時に10mm未満に退行している場合でさえ、ベースライン検査と同じ解剖学的面で測定される。これは、リンパ節が標的病変として含まれる場合、CR基準が満たされている場合でさえ病変の「合計」はゼロではないことを意味し、これは、正常なリンパ節が、<10mmの短軸を有すると定義されるためである。PR、SD及びPDに関して、節の実際の短軸測定値は、標的病変の合計に含まれる。
【0797】
「小さすぎて測定できない」となる標的病変:ベースラインで記録された全ての病変(結節性及び非結節性)は、たとえ非常に小さい(例えば、2mm)ときでも、その後の各評価で実際の測定結果が記録される。しかしながら、ベースラインで標的病変として記録されている病変又はリンパ節が、CTスキャンであまりにも不鮮明であるため、放射線科医が正確な測定値を割り当てることに抵抗を感じ、「小さすぎて測定できない」と報告することがある。このような場合、症例報告書(CRF)に値を記録することが重要である。病変が消失した可能性があると放射線科医が判断した場合、測定値は0mmとして記録される。病変が存在すると考えられ、不鮮明に見えているが測定するには小さすぎる場合、デフォルト値の5mmが割り当てられる。
【0798】
非結節性病変が「断片」であるとき、断片化された部分の最も長い直径が合わせて加算されて、標的病変の合計が計算される。同様に、病変が合体する場合、それらの間の平面が維持され、それはそれぞれの個々の病変の最大直径測定値を得るのに役立つ。病変がもはや分離不能となるように真に合体した場合、この場合の最も長い直径のベクトルは、「合体した病変」の最大直径である。
【0799】
6.非標的病変の評価
いくつかの非標的病変は実際には測定可能であるが、それらは測定する必要はなく、代わりに、治験実施計画書で指定される時点で定性的にのみ評価される。
CR:全ての非標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節は、サイズが非病的でなければならない(<10mmの短軸)。
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変の持続性及び/又は正常範囲を超える腫瘍マーカーレベルの維持。
進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明確な進行。(注記:1つ以上の新規の病変の出現も進行とみなされる)。
【0800】
非標的疾患の進行の概念は、以下のとおりである。
参加者が測定可能な疾患も有する場合;この状況では、非標的疾患に基づいて「明確な進行」を達成するためには、標的疾患においてSD又はPRが存在しても、全体的な腫瘍量が療法を中止する価値があるほど十分に増加しているように非標的疾患では大幅に悪化した全体的なレベルが必要である。1つ以上の非標的病変のサイズにおける緩やかな「増大」は通常、明確な進行状態を認定するのに十分ではない。
参加者が測定不能な疾患のみを有する場合;非標的疾患に基づいて「明確な進行」を達成するためには、全体的な腫瘍量が療法を中止する価値があるほど十分に増加しているように大幅に悪化した全体的なレベルが必要である。1つ以上の非標的病変のサイズにおける緩やかな「増大」は通常、明確な進行状態を認定するのに十分ではない。非標的疾患の悪化は容易に定量化できないため(定義上:全ての病変が真に測定不能である場合)、患者を明確な進行について評価する際に適用できる有用な試験は、測定不能な疾患の変化に基づく全体的な疾患負担の増加が、測定可能な疾患のPDを断言するのに必要な増加:すなわち、「体積」の追加的な73%の増大を表す腫瘍量の増加(測定可能な病変における直径の20%の増大に相当する)に対して匹敵する規模かどうかを検討することである。例としては、「微量」から「多量」への胸水の増加、局所性から広範囲にわたるリンパ管疾患の増加が挙げられるか、又は「療法の変更を必要とするのに十分である」と治験実施計画書に記載され得る。「明確な進行」が見られる場合、患者は、その時点で全体的なPDを有するとみなされる。
【0801】
7.新規の病変
新規の悪性病変の出現は、疾患進行を意味する。新規の病変の所見は明確である:すなわち、スキャン技術の違い、画像化モダリティの変化又は腫瘍以外の何かを表すと考えられる所見に起因しない(例えば、いくつかの「新規の」骨病変は、単に治癒又は既存病変の再燃であり得る)。これは、参加者のベースライン病変がPR又はCRを示す場合に特に重要である。例えば、肝臓病変の壊死は、CTスキャンレポートで「新規」嚢胞性病変として報告されるが、そうではない。
【0802】
ベースラインでスキャンされていない解剖学的位置での経過観察試験で同定される病変は、新規の病変とみなされ、疾患の進行を示す。これの例は、ベースライン時に内臓疾患を有し、試験中に転移を示す指示されたCT又はMRI脳を有する患者である。参加者の脳転移は、たとえベースライン時に脳画像化を受けなかったとしても、PDに該当するとみなされる。
【0803】
新規の病変が、例えば、そのサイズが小さいために不確かである場合、療法を継続し、経過観察評価を行って、それが新規の疾患を表しているかどうかを明らかにする。反復スキャンによって新規の病変が確認される場合、最初のスキャンの日付を使用して進行が断言される。
【0804】
フルオロデオキシグルコース-陽電子放射断層撮影(FDG-PET)効果判定には追加の試験が必要であるが、進行の評価(特に「新規の」疾患の可能性がある)においてCTスキャンを補完するためにFDG-PETスキャンの使用を組み込むことが合理的である場合がある。FDG-PET画像化に基づく新規の病変は、以下のアルゴリズムに従って同定され得る:
経過観察で陽性FDG-PETを有するベースラインでの陰性のFDG-PETは、新規の病変に基づくPDの徴候であった。
ベースラインではFDG-PETなし、経過観察ではFDG-PET陽性:
経過観察時の陽性FDG-PETが、CTにより確認された新規の疾患部位に対応する場合、これはPDである;
経過観察時の陽性FDG-PETがCT上の新規の疾患部位として確認されない場合、その部位で真の進行が起こっているかどうかを判定するために追加の経過観察CTスキャンが必要である(そうである場合、PDの日付は、最初の異常なFDG-PETスキャンの日付である)。経過観察時の陽性FDG-PETが、解剖学的画像に基づいて進行していなかったCT上の既存の疾患部位に対応する場合、これはPDではない。
【0805】
8.最良総合効果の評価
時点効果:治験実施計画書が指定した各時点で、効果判定が行われる。表2は、ベースライン時に測定可能な疾患を有する患者について、各時点での総合効果状態の計算の概要を提供する。
【0806】
【表2】
【0807】
患者が測定不能な(したがって、非標的)疾患のみを有する場合、表3が使用されることになる。
【0808】
【表3】
【0809】
評価の欠落及び評価不能な指定:特定の時点で画像化/測定がまったく行われない場合、患者はその時点で評価可能ではない(NE)。
【0810】
評価時に病変測定のサブセットのみが行われる場合、通常、症例はその時点でもNEともみなされるが、個々の欠損病変の寄与が割り当てられた時点効果を変化させないという説得力のある議論を行うことができる場合を除く。これは、PDの場合に起こる可能性が最も高い。
【0811】
9.効果判定の特記事項
結節性疾患が標的病変の合計に含まれ、節が「正常」サイズ(<10mm)まで縮小するとき、それらは依然として、スキャンで測定値が報告される場合がある。この測定値は、節が正常であっても、節のサイズの増大に基づいて進行を過大状態にしないように記録される。先に述べられるとおり、これは、CRを有する患者がCRF上での合計が「ゼロ」ではない可能性があることを意味する。
【0812】
奏効の確認が必要とされる試験では、「NE」時点評価の繰り返しは、複雑な最良効果の判定を有し得る。本試験に関する分析計画は、効果及び進行の判定において欠落しているデータ/評価がどのように対処されるかに対処する。例えば、ほとんどの試験では、PR-NE-PRの時点効果を有する患者を効果が確認された患者とみなすことは合理的である。
【0813】
全体的な健康状態が悪化しており、その時点で疾患進行の客観的なエビデンスを有しない治療を中止する必要がある患者は、「症状悪化」として報告される。治療の中止後でさえ客観的な進行を文書化するためにあらゆる努力がなされる。症状悪化は、客観的奏効の記述子ではなく;これが試験療法を中止する理由である。
【0814】
そのような患者の客観的奏効状態は、標的疾患及び非標的疾患の評価によって決定されることになる。進行の不確かな所見(例えば、非常に小さく不確実な新規の病変;嚢胞性変化又は既存病変の壊死)については、治療を次の予定された評価まで継続し得る。次の予定された評価時に進行が確認された場合、進行日は、進行が疑われたより早い日付となる。
【0815】
10.奏効期間
全奏効期間は、CR/PRについて測定基準が最初に満たされた時間(最初に記録された方)から、再発又はPDが客観的に文書化される最初の日(PDの基準として、試験で記録された最小の測定値を取る)まで測定される。
【0816】
全体的なCRの持続時間は、CRについて測定基準が最初に満たされた時間から、再発性疾患が客観的に文書化される最初の日まで測定される。
【0817】
11.安定した疾患の持続期間
安定した疾患は、治療の開始から進行の基準が満たされるまで、基準として試験上の最小の合計を取って(ベースライン合計が最小である場合、これがPDの計算のための基準である)測定される。
【0818】
有効性測定は、全体として参照により本明細書に組み込まれるEisenhauer,E.A.et al.,“New response evaluation criteria in solid tumours:改訂版RECISTガイドライン(バージョン1.1),”Eur.J.Cancer,2009,45:228-47によって記載される実施などの最良の実施に基づいて実施される。
【0819】
結果
以下の表4は、治験責任医師による奏効の確認により、RECIST1.1に従って最良総合効果及び奏効率の概要を示す。
【0820】
【表4】
【0821】
CI:信頼区間、CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定した疾患
奏効の確認(CR/PR)が必要とされる:確認に使用されるその後の腫瘍評価は、初回のCR/PR評価の少なくとも4週間後(≧28日)に評価されなければならない。奏効を示す2つの腫瘍評価の間に単一の評価不能な腫瘍評価が実施されている場合、奏効が確認され得る
確認されていないCR又はPRを有する参加者を含む。
ベースライン後に評価可能な腫瘍評価を有しないが、早期の臨床進行を有する患者を含む。
クロッパー・ピアソン区間によって推定される。
【0822】
以下の表5は、T2パート-活動性集団の中でのPD-L1発現による治験責任医師による奏効の確認により、RECIST1.1に従って最良総合効果及び奏効率の概要を示す。
【0823】
【表5】
【0824】
CI:信頼区間、CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定した疾患、NE:評価不能、NC:計算なし
奏効の確認(CR/PR)が必要とされる:確認に使用されるその後の腫瘍評価は、初回のCR/PR評価の少なくとも4週間後(≧28日)に評価されなければならない。奏効を示す2つの腫瘍評価の間に単一の評価不能な腫瘍評価が実施されている場合、奏効が確認され得る
確認されていないCR又はPRを有する参加者を含む。
ベースライン後に評価可能な腫瘍評価を有しないが、早期の臨床進行を有する患者を含む。
クロッパー・ピアソン区間によって推定される。
【0825】
以下の表6は、T3パート-活動性集団の中でのPD-L1発現による治験責任医師による奏効の確認により、RECIST1.1に従って最良総合効果及び奏効率の概要を示す。
【0826】
【表6】
【0827】
CI:信頼区間、CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定した疾患、NE:評価不能、NC:計算なし
奏効の確認(CR/PR)が必要とされる:確認に使用されるその後の腫瘍評価は、初回のCR/PR評価の少なくとも4週間後(≧28日)に評価されなければならない。奏効を示す2つの腫瘍評価の間に単一の評価不能な腫瘍評価が実施されている場合、奏効が確認され得る
確認されていないCR又はPRを有する参加者を含む。
ベースライン後に評価可能な腫瘍評価を有しないが、早期の臨床進行を有する患者を含む。
クロッパー・ピアソン区間によって推定される。
【0828】
以下の表7は、T4パート-活動性集団の中でのPD-L1及びCEACAM5発現による治験責任医師による奏効の確認により、RECIST1.1に従って最良総合効果及び奏効率の概要を示す。
【0829】
【表7】
【0830】
【表8】
【0831】
CI:信頼区間、CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定した疾患、NE:評価不能、NC:計算なし
奏効の確認(CR/PR)が必要とされる:確認に使用されるその後の腫瘍評価は、初回のCR/PR評価の少なくとも4週間後(≧28日)に評価されなければならない。奏効を示す2つの腫瘍評価の間に単一の評価不能な腫瘍評価が実施されている場合、奏効が確認され得る
確認されていないCR又はPRを有する参加者を含む。
ベースライン後に評価可能な腫瘍評価を有しないが、早期の臨床進行を有する患者を含む。
クロッパー・ピアソン区間によって推定される。
【0832】
下記の表8は、RECIST1.1-活動性集団におけるレスポンダーに従うレスポンダー参加者に関する奏効期間の概要を示す。
【0833】
【表9】
【0834】
CI:信頼区間、CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定した疾患、NE:評価不能、NC:計算なし
奏効の確認(CR/PR)が必要とされる:確認に使用されるその後の腫瘍評価は、初回のCR/PR評価の少なくとも4週間後(≧28日)に評価されなければならない。奏効を示す2つの腫瘍評価の間に単一の評価不能な腫瘍評価が実施されている場合、奏効が確認され得る
確認されていないCR又はPRを有する参加者を含む。
ベースライン後に評価可能な腫瘍評価を有しないが、早期の臨床進行を有する患者を含む。
クロッパー・ピアソン区間によって推定される。
【0835】
以下の表9は、RECIST1.1-全治療集団に従って無増悪生存期間の概要を示す。
【0836】
【表10】
【0837】
PFS:無増悪生存期間、CI:信頼区間、NC:計算なし
生存関数のlog-log変換並びにブルックマイヤー及びクロウリーの方法を使用して推定される。
カプラン・マイヤー推定値。CIは、生存関数に基づくlog-log変換及びグリーンウッドの公式に従う正規化検定を使用して計算される。
進行又は死亡が分析カットオフ日前及びさらなる抗癌療法の開始前に観察されない場合、PFSは分析カットオフ日前に実施された最後の評価可能な腫瘍評価の日又はさらなる抗癌療法の開始日のいずれか早い方で打ち切られる。
【0838】
進行又は死亡が、1つ以上の評価不能な腫瘍評価後に観察される場合、PFSは打ち切られず、事象は、進行の日、又は死亡の日のいずれか早い方である。
【0839】
ツサミタマブラブタンシン150mg/mによる全てのレジメンT2、T3及びT4は、忍容性が良好であり、管理可能な毒性及び有望な奏効データを有する。
【0840】
標準治療ペムブロリズマブ+プラチナ系化学療法+ペメトレキセドからの安全性プロファイルの増加は観察されない。
【0841】
ツサミタマブラブタンシン170mg/mによるレジメンT2及びT3は、忍容性が良好であり、管理可能な毒性を有する。
【0842】
実施例2.C57BL/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する、単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1抗体の活性。
PD-1及びPD-L1遮断薬の前臨床試験は、腫瘍微小環境における免疫抑制機構の解体を容易にする無傷の免疫系を有するマウス同系腫瘍モデルに大きく依拠している。ヒトPD-L1及びPD-1を標的化する商業的に開発されたモノクローナル抗体(mAb)は、それらのマウスオルソログに対する交差反応的結合を示すことはなく、代理の抗マウス抗体が、これらの免疫チェックポイントを阻害するために代わりに使用される場合が多い(Schofield et al,Activity of murine surrogate antibodies for durvalumab and tremelimumab lacking effector function and the ability to deplete regulatory T cells in mouse models of cancer,mAbs,2021;13:1)。それらは、治療的ヒト抗体と機能的に同等であるが、それらは厳密には同等ではない(IgGアイソタイプ、親和性のレベル、生物学的活性、エフェクター機能、・・・)。PD-1遮断薬である抗muPD-1代理mAbに対する前臨床調査のために、クローンRMP1-14(ラットIgG1抗muPD-1)が使用された。
【0843】
加えて、CEACAM5タンパク質は、齧歯類において発現されず、ヒトCEACAM5が操作されたマウス腫瘍は、免疫適格性のマウスにおいて増殖しないが、それは、これらの実験が、非特異的な様式でペイロードを送達するのに十分に高い用量でhuMAb2-3-SPDB-DM4 ADCにより実行されるためである。それを高用量で投与して、マウスに皮下移植された固形腫瘍について観察される浸透性及び保持効果の増強を活用することになり、これにより高分子薬の腫瘍部位への選択的送達をもたらす。用量を調節して、異なるレベルの抗腫瘍活性(不活性、活性及び/又は高い活性)を得た。
【0844】
実験手順
雌C57BL/6マウスにおける皮下移植された皮下結腸MC38同系腫瘍において、単剤として又は組み合わせて、huMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1抗体の活性が評価された。対照群は未治療のままとした。使用される化合物の用量は、mg/kgで与えられる。
【0845】
マウスは、腫瘍量の中央値が約135mmに達したとき、腫瘍移植後の10日目に6つの群(n=6)に無作為化された。huMAb2-3-SPDB-DM4は、10日目に単回IV投与後に15及び25mg/kgで投与され、抗muPD-1抗体(クローンRMP1-14)は、10、14、17及び21日目のIV投与後に10mg/kgで投与された。
【0846】
抗腫瘍活性の評価のために、動物の体重を測定し、腫瘍を、週に2回キャリパーによって測定した。ナディア(群の平均)で20%の重量減少又は10%以上の薬物死を生じる投与量を、過剰に毒性の投与量とみなした。動物の体重は腫瘍重量を含んだ。腫瘍体積は、式mass(mm)=[長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)]/2を使用して計算された。主要有効性評価項目は、ΔT/ΔC、パーセント中央値退縮、部分退縮及び完全退縮(PR及びCR)である。
【0847】
各治療(T)及び対照(C)についての腫瘍体積の変化は、指定された観察日の腫瘍体積から最初の治療日(進行度診断日)の腫瘍体積を差し引くことによって各腫瘍について計算される。治療群について中央値ΔTが計算され、対照群について中央値ΔCが計算される。次に、比ΔT/ΔCが計算され、パーセンテージとして表される:ΔT/ΔC=(デルタT/デルタC)x100。
【0848】
用量は、ΔT/ΔCが40%未満である場合に治療的に活性であり、ΔT/ΔCが10%未満である場合に非常に活性であるとみなされる。ΔT/ΔCが0未満である場合、用量は高活性であるとみなされ、退縮のパーセンテージは日付が付けられる(Plowman J,Dykes DJ,Hollingshead M,Simpson-Herren L and Alley MC.Human tumor xenograft models in NCI drug development.In:Feibig HH BA,editor.Basel:Karger.;1999 p101-125):
%腫瘍退縮は、最初の治療の1日目の体積と比較した、特定の観察日における治療群の腫瘍体積減少の%として定義される。
【0849】
特定の時点及び各動物について、%退縮が計算される。次に、その群について、退縮の中央値%が計算される:
%退縮(tでの)=
【数1】
部分退縮(PR):腫瘍体積が治療開始時に腫瘍体積の50%まで減少する場合、退縮は部分的であると定義される。
完全退縮(CR):腫瘍体積=0mmで完全退縮が達成される(CRは、腫瘍体積が記録できない場合に考慮される)。
【0850】
結果
C57BL/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する、単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1抗体の有効性評価の結果は、図5及び表10に提示される。
【0851】
HuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1 mAbを、最大許容用量(MTD)より低い用量で投与し、治療は、忍容性が良好であり、毒性を誘導しなかった。
【0852】
単剤としてのhuMAb2-3-SPDB-DM4は、0%を下回るΔT/ΔC(p<0.0001対対照)、43%の腫瘍退縮、4/6 PR及び1/6 CRを伴って25mg/kgで高活性であり、46%に等しいΔT/ΔCを伴って15mg/kgで不活性であった(非有意対対照)。
【0853】
単剤としての抗muPD-1は、42%に等しいΔT/ΔCを伴って不活性であった(非有意対対照)。
【0854】
25mg/kgのhuMAb2-3-SPDB-DM4と抗muPD-1 mAbの間の組み合わせは、0%を下回るΔT/ΔC(p<0.0001対対照)、100%の腫瘍退縮、5/6 PR及び5/6 CRを伴って高活性であった。
【0855】
15mg/kgのhuMAb2-3-SPDB-DM4と抗muPD-1 mAbの間の組み合わせは、12%に等しいΔT/ΔC(p<0.0030対対照)、2/6 PR及び1/6 CRを伴って活性であった。
【0856】
結腸MC38同系腫瘍における実験に対する結論において、huMAb2-3-SPDB-DM4は、それが活性であったとき、単剤として抗muPD-1 mAbの活性の欠如にもかかわらず抗muPD-1 mAbと協同して、完全な腫瘍退縮をもたらし;huMAb2-3-SPDB-DM4及び抗muPD-1 mAbの両方が単剤として不活性であったとき、組み合わせはロバストな活性をもたらした。
【0857】
【表11】
【0858】
【表12】
【0859】
:統計分析。p値を、コントラスト分析を使用して得て、ベースラインからの腫瘍体積変化に対する反復測定を伴う、二方向Anova型後の多重度のためのボンフェローニ・ホルム調整を使用して対照に対して各治療群を比較した。5%未満の確率(p<0.05)は、有意とみなされた。
ΔT/ΔC=治療群と対照群の間のベースラインからの腫瘍体積変化の中央値の比;PR=部分退縮;CR=完全退縮
【0860】
実施例3:C57BL/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する、単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1抗体の活性。
PD-L1遮断薬との組み合わせに対するこれらの前臨床試験のために、マウスPD-L1に結合し、それを遮断することができる抗huPD-L1 mAb、アテゾリズマブ(Magiera-Mularz et al,Human and mouse PD-L1:similar molecular structure,but different druggability profiles.iScience 2021;24)が使用された。
【0861】
実験手順
雌C57BL/6マウスにおける皮下移植された皮下結腸MC38同系腫瘍において、単剤として又は組み合わせて、huMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1抗体の活性が評価された。対照群は未治療のままとした。使用される化合物の用量は、mg/kgで与えられる。
【0862】
マウスは、腫瘍量の中央値が約135mm3に達したとき、腫瘍移植後の10日目に6つの群(n=6)に無作為化された。huMAb2-3-SPDB-DM4は、10日目に単回IV投与後に15及び25mg/kgで投与され、抗mu/huPD-L1抗体は、10、14、17及び21日目のIV投与後に10mg/kgで投与された。
【0863】
抗腫瘍活性及び毒性評価の条件については上記の(実施例2)を参照されたい。
【0864】
結果
C57BL/6マウスにおける皮下結腸MC38同系腫瘍モデルに対する、単剤として又は組み合わせた免疫コンジュゲートhuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1抗体の有効性評価の結果は、図6及び表11に提示される。
【0865】
HuMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1 mAbを、最大許容用量(MTD)より低い用量で投与し、治療は、忍容性が良好であり、毒性を誘導しなかった。
【0866】
単剤としてのhuMAb2-3-SPDB-DM4は、0%を下回るΔT/ΔC(p<0.0001対対照)、43%の腫瘍退縮、4/6 PR及び1/6 CRを伴って25mg/kgで高活性であり、46%に等しいΔT/ΔCを伴って15mg/kgで不活性であった(非有意対対照)。
【0867】
単剤としての抗mu/PD-L1 mAbは、35%に等しいΔT/ΔC(非有意対対照)、1/6 PR及び1/6 CRを伴ってわずかに活性であった。
【0868】
25mg/kgのhuMAb2-3-SPDB-DM4と抗mu/huPD-L1 mAbの間の組み合わせは、0%を下回るΔT/ΔC(p<0.0001対対照)、100%の腫瘍退縮、5/6 PR及び5/6 CRを伴って高活性であった。
【0869】
15mg/kgのhuMAb2-3-SPDB-DM4と抗mu/huPD-L1 mAbの間の組み合わせは、8%に等しいΔT/ΔC(p<0.0004対対照)及び1/6 PRを伴って非常に活性であった。
【0870】
結腸MC38同系腫瘍における実験に対する結論において、huMAb2-3-SPDB-DM4は、それが活性であったとき、単剤として抗mu/huPD-L11 mAbのわずかな活性にもかかわらず抗mu/huPD-L1 mAbと協同して、完全な腫瘍退縮をもたらし;huMAb2-3-SPDB-DM4及び抗mu/huPD-L1 mAbの両方が単剤として不活性又はわずかに活性であったとき、組み合わせはロバストな活性をもたらした。
【0871】
【表13】
【0872】
【表14】
【0873】
:統計分析。p値を、コントラスト分析を使用して得て、ベースラインからの腫瘍体積変化に対する反復測定を伴う、二方向Anova型後の多重度のためのボンフェローニ・ホルム調整を使用して対照に対して各治療群を比較した。5%未満の確率(p<0.05)は、有意とみなされた。
ΔT/ΔC=治療群と対照群の間のベースラインからの腫瘍体積変化の中央値の比;PR=部分退縮;CR=完全退縮
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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【国際調査報告】