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特表2024-545428癌治療における患者選択のためのCEAアッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】癌治療における患者選択のためのCEAアッセイ
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20241129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241129BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241129BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 L
A61P35/00
A61K45/00
G01N33/574 E
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532763
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022084107
(87)【国際公開番号】W WO2023099683
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21306692.1
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/385,375
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・シャドジャ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-ロール・ボーシェ
(72)【発明者】
【氏名】セシル・コンボー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ブリジット・デュメー
(72)【発明者】
【氏名】サミラ・ベンスフィア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA26
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA22
4H045GA23
4H045GA24
4H045GA25
4H045GA26
(57)【要約】
CEACAM5を発現する癌を有する患者を同定及び治療する方法が提供される。方法は、CEACAM5に特異的な薬剤による治療から利益を得る可能性が高い患者を同定するために、循環CEAを測定することを含む。そのような患者は、免疫組織化学(IHC)によって測定される場合、高い循環CEA及び腫瘍細胞上のCEACAM5の低い又は中程度のみの発現を有し得る。CEACAM5に特異的な薬剤は、ツサミタマブラブタンシンであり得る。そのような薬剤は、癌を治療するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用され得る。ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
前記抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
前記細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
前記方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における前記循環CEAが5ng/mL以上である場合、有効量の前記ADCを前記対象に投与することとを含み、それにより前記癌を治療する、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項2】
前記癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項3】
前記癌は、胃癌である、請求項1に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項4】
前記癌は、肺癌である、請求項1に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項5】
前記循環CEAは、前記対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項6】
前記対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の若しくは低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)か、又は
前記対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)か、又は
前記対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項7】
治療前に、前記循環CEAは、20ng/mL以上であるか、又は
治療前に、前記循環CEAは、50ng/mL以上であるか、又は
治療前に、前記循環CEAは、80ng/mL以上であるか、又は
治療前に、前記循環CEAは、100ng/mL以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項8】
前記抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項9】
ツサミタマブラブタンシンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項10】
前記ツサミタマブラブタンシンは、100mg/m以上の用量で約2週間に1回投与されるか、又は前記ツサミタマブラブタンシンは、100mg/m以上の用量で約3週間に1回投与される、請求項9に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項11】
有効量の、前記癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項12】
前記追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項13】
前記ICIは、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体である、請求項12に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項14】
前記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチスレリズマブからなる群から選択される、請求項13に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項15】
前記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される、請求項13に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項16】
有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを前記対象に投与することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項17】
有効量のプラチナベースの化学療法を前記対象に投与することを更に含む、請求項16に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項18】
前記プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される、請求項17に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項19】
有効量のペメトレキセドを前記対象に投与することを更に含む、請求項18に記載の使用のための抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、xml形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年11月28日に作成された前記.xmlコピーは、PR94291_S287_WO_SANOFI_SEQUENCES.xmlという名称である。
【0002】
本開示は、癌治療の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
癌の治療における最近の進歩にもかかわらず、一次治療後の疾患進行時に有効な新しい治療が依然として必要とされている。血管新生の阻害剤をドセタキセル等の全身性細胞傷害剤と組み合わせるその後の全身的選択肢のための現在の治療アプローチは、重篤な血液学的及び他の毒性を伴う。単一の細胞傷害剤として使用されるドセタキセル、ペメトレキセド又はゲムシタビンは、非常に限られた他の選択肢を提供する。したがって、標的化細胞傷害性療法は、安全性及び忍容性並びに有効性の改善を提供し得る。
【0004】
いくつかの腫瘍細胞を標的化するために使用することができる1つの特徴は、ヒト結腸癌組織抽出物中の腫瘍関連抗原として1965年に最初に記載された癌胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)の表面発現である(Gold P et al.,J Exp Med.1965;122(3):467-481)。その後、高レベルのCEACAM5発現がいくつかの上皮腫瘍で観察されているが、正常な成体組織では、その発現は、少数の組織に限定される(Hammarstrom S.,Semin Cancer Biol.1999;9(2):67-81;Thompson JA.,Tumor Biol.1995;16(1):10-16)。
【0005】
ツサミタマブラブタンシンは、細胞傷害性メイタンシノイド剤N2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)にコンジュゲートしたCEACAM5に対する抗体である。NSQ NSCLCに対して重度に前治療された参加者におけるツサミタマブラブタンシンの有望な予備的抗腫瘍活性が進行中の研究で実証されている(TED13751)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、特定のレベルの循環癌胎児性抗原(CEA)が、典型的には、その細胞上にCEA細胞接着分子5(CEACAM5)を発現する癌の治療について患者を選択するためのバイオマーカとして有用であるという観察に少なくとも部分的に基づく。
【0007】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法であって、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが5ng/mL以上(5μg/L以上)である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する方法である。
【0008】
本開示の一態様は、本明細書に開示される方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)である。
【0009】
いくつかの実施形態では、循環癌胎児性抗原(CEA)は、本明細書に開示されるように、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するためのものであり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、循環癌胎児性抗原(CEA)は、本明細書に開示されるように、対象の癌を診断する方法でバイオマーカとして使用するためのものであり得る。
【0011】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0012】
本明細書に開示される使用では、バイオマーカは、単離された生物学的試料中で測定される。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記ADCを前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための医薬品を製造するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の使用に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記医薬品を前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0015】
「バイオマーカ」は、第1の表現型を有する、例えば癌等の疾患を有する対象又は対象の群から得られた生物学的試料中に、第2の表現型を有する、例えば疾患を有しない対象又は対象の群からの生物学的試料と比較して、差次的に存在、増加又は減少する生物学的分子、例えばタンパク質又は代謝産物を指すことを意図する。使用中、バイオマーカは、対象から単離される。
【0016】
「試料」又は「生物学的試料」は、対象から単離された生物学的材料を指すことを意図する。生物学的試料は、バイオマーカ、すなわち循環癌胎児性抗原(CEA)を検出するのに適した任意の生物学的材料を含有し得、対象由来の細胞及び/又は非細胞材料を含み得る。試料は、例えば、腎臓組織、血液、血液の血漿(血漿)、血液の血清(血清)、尿又は脳脊髄液(CSF)等の任意の適切な生物学的組織又は体液から単離され得る。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血漿(血漿)又は血清(血清)試料である。
【0017】
本明細書に開示される使用では、癌の治療を必要とする対象における測定された循環癌胎児性抗原(CEA)を参照の値と比較することができる。基準の値は、5ng/mLであり得る。対象で測定された循環癌胎児性抗原(CEA)は、約5ng/mL以上が癌を示し得る。
【0018】
「基準値」は、関連する対象における特定の疾患状態、表現型、例えば癌又はその欠如並びに疾患状態、表現型又はその欠如の組合せを示す循環CEAのレベルを指すことを意図する。
【0019】
本開示の一態様は、対象の癌を診断する方法であり、本方法は、少なくとも、
a)生物学的試料において、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)の量を測定する工程と、
b)工程a)で得られた測定量を参照の値と比較する工程であって、前記参照の値は、5ng/mLである、工程と
を含み、工程a)で得られた約5ng/mL以上の測定量は、癌を示す。
【0020】
ある種の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0021】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0022】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0023】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌、胃食道接合部癌又は食道癌である。
【0024】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0025】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0026】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0027】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0028】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0029】
ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。
【0030】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0031】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0032】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0033】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約20ng/mL以上である。
【0034】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約25ng/mL以上である。
【0035】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約30ng/mL以上である。
【0036】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約35ng/mL以上である。
【0037】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約40ng/mL以上である。
【0038】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約45ng/mL以上である。
【0039】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約50ng/mL以上である。
【0040】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約55ng/mL以上である。
【0041】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約60ng/mL以上である。
【0042】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約61ng/mL以上である。
【0043】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約62ng/mL以上である。
【0044】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約63ng/mL以上である。
【0045】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約64ng/mL以上である。
【0046】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約65ng/mL以上である。
【0047】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約66ng/mL以上である。
【0048】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約67ng/mL以上である。
【0049】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約68ng/mL以上である。
【0050】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約69ng/mL以上である。
【0051】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約70ng/mL以上である。
【0052】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約71ng/mL以上である。
【0053】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約72ng/mL以上である。
【0054】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約73ng/mL以上である。
【0055】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約74ng/mL以上である。
【0056】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約75ng/mL以上である。
【0057】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約76ng/mL以上である。
【0058】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約77ng/mL以上である。
【0059】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約78ng/mL以上である。
【0060】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約79ng/mL以上である。
【0061】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約80ng/mL以上である。
【0062】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約85ng/mL以上である。
【0063】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約90ng/mL以上である。
【0064】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約95ng/mL以上である。
【0065】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0066】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0067】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0068】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0069】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0070】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0071】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0072】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0073】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約2週間に1回投与される。
【0074】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約3週間に1回投与される。
【0075】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。
【0076】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。
【0077】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0078】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0079】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0080】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0081】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0082】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0083】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0084】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0085】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0086】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0087】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0088】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0089】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0090】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0091】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0092】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0093】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法であって、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する、方法である。
【0094】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0095】
ある種の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0096】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0097】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0098】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌、胃食道接合部癌又は食道癌である。
【0099】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0100】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0101】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0102】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0103】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0104】
ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。
【0105】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0106】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0107】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0108】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約20ng/mL以上である。
【0109】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約25ng/mL以上である。
【0110】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約30ng/mL以上である。
【0111】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約35ng/mL以上である。
【0112】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約40ng/mL以上である。
【0113】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約45ng/mL以上である。
【0114】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約50ng/mL以上である。
【0115】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約55ng/mL以上である。
【0116】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約60ng/mL以上である。
【0117】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約61ng/mL以上である。
【0118】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約62ng/mL以上である。
【0119】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約63ng/mL以上である。
【0120】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約64ng/mL以上である。
【0121】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約65ng/mL以上である。
【0122】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約66ng/mL以上である。
【0123】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約67ng/mL以上である。
【0124】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約68ng/mL以上である。
【0125】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約69ng/mL以上である。
【0126】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約70ng/mL以上である。
【0127】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約71ng/mL以上である。
【0128】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約72ng/mL以上である。
【0129】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約73ng/mL以上である。
【0130】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約74ng/mL以上である。
【0131】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約75ng/mL以上である。
【0132】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約76ng/mL以上である。
【0133】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約77ng/mL以上である。
【0134】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約78ng/mL以上である。
【0135】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約79ng/mL以上である。
【0136】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約80ng/mL以上である。
【0137】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約85ng/mL以上である。
【0138】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約90ng/mL以上である。
【0139】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約95ng/mL以上である。
【0140】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0141】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0142】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0143】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0144】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0145】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0146】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0147】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0148】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約2週間に1回投与される。
【0149】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約3週間に1回投与される。
【0150】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。
【0151】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。
【0152】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0153】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0154】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0155】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0156】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0157】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0158】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0159】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0160】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0161】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0162】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0163】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0164】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0165】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0166】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0167】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0168】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法であって、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する、方法である。
【0169】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0170】
ある種の実施形態では、抗CEACAM5抗体は、ツサミタマブである。
【0171】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0172】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0173】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0174】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0175】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0176】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0177】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0178】
ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。
【0179】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0180】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0181】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0182】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約20ng/mL以上である。
【0183】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約25ng/mL以上である。
【0184】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約30ng/mL以上である。
【0185】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約35ng/mL以上である。
【0186】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約40ng/mL以上である。
【0187】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約45ng/mL以上である。
【0188】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約50ng/mL以上である。
【0189】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約55ng/mL以上である。
【0190】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約60ng/mL以上である。
【0191】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約61ng/mL以上である。
【0192】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約62ng/mL以上である。
【0193】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約63ng/mL以上である。
【0194】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約64ng/mL以上である。
【0195】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約65ng/mL以上である。
【0196】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約66ng/mL以上である。
【0197】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約67ng/mL以上である。
【0198】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約68ng/mL以上である。
【0199】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約69ng/mL以上である。
【0200】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約70ng/mL以上である。
【0201】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約71ng/mL以上である。
【0202】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約72ng/mL以上である。
【0203】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約73ng/mL以上である。
【0204】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約74ng/mL以上である。
【0205】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約75ng/mL以上である。
【0206】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約76ng/mL以上である。
【0207】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約77ng/mL以上である。
【0208】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約78ng/mL以上である。
【0209】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約79ng/mL以上である。
【0210】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約80ng/mL以上である。
【0211】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約85ng/mL以上である。
【0212】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約90ng/mL以上である。
【0213】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約95ng/mL以上である。
【0214】
ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0215】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0216】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0217】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0218】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0219】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0220】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0221】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/m(例えば、約2又は3週間に1回)の用量で投与される。
【0222】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約2週間に1回投与される。
【0223】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/m以上(例えば、100mg/m)の用量で約3週間に1回投与される。
【0224】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。
【0225】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。
【0226】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0227】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0228】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0229】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0230】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0231】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0232】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0233】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0234】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0235】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0236】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0237】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0238】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0239】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0240】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0241】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0242】
実施形態1では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0243】
実施形態2では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0244】
実施形態3では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0245】
実施形態4では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記ADCを前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0246】
実施形態5では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための医薬品を製造するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の使用に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記医薬品を前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0247】
実施形態6では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関し、本方法は、
前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定する工程と、
前記対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の抗体-薬物コンジュゲートADCを前記対象に投与し、それにより癌を治療する工程と
を含み、
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含み、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、及び
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体である。
【0248】
実施形態7では、本開示は、癌が、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される、実施形態1~6のいずれか1つに関する。
【0249】
実施形態8では、本開示は、癌が胃癌である、実施形態1~7のいずれか1つに関する。
【0250】
実施形態9では、本開示は、癌が肺癌である、実施形態1~7のいずれか1つに関する。
【0251】
実施形態10では、本開示は、癌が非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である、実施形態9に関する。
【0252】
実施形態11では、本開示は、NSQ NSCLCが進行性又は転移性である、実施形態10に関する。
【0253】
実施形態12では、本開示は、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に循環CEAが測定される、実施形態1~11のいずれか1つに関する。
【0254】
実施形態13では、本開示は、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)、実施形態1~12のいずれか1つに関する。
【0255】
実施形態14では、本開示は、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、実施形態1~12のいずれか1つに関する。
【0256】
実施形態15では、本開示は、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)、実施形態1~12のいずれか1つに関する。
【0257】
実施形態16では、本開示は、治療前に循環CEAが約20ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0258】
実施形態17では、本開示は、治療前に循環CEAが約25ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0259】
実施形態18では、本開示は、治療前に循環CEAが約30ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0260】
実施形態19では、本開示は、治療前に循環CEAが約35ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0261】
実施形態20では、本開示は、治療前に循環CEAが約40ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0262】
実施形態21では、本開示は、治療前に循環CEAが約45ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0263】
実施形態22では、本開示は、治療前に循環CEAが約50ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0264】
実施形態23では、本開示は、治療前に循環CEAが約55ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0265】
実施形態24では、本開示は、治療前に循環CEAが約60ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0266】
実施形態25では、本開示は、治療前に循環CEAが約61ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0267】
実施形態26では、本開示は、治療前に循環CEAが約62ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0268】
実施形態27では、本開示は、治療前に循環CEAが約63ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0269】
実施形態28では、本開示は、治療前に循環CEAが約64ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0270】
実施形態29では、本開示は、治療前に循環CEAが約65ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0271】
実施形態30では、本開示は、治療前に循環CEAが約66ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0272】
実施形態31では、本開示は、治療前に循環CEAが約67ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0273】
実施形態32では、本開示は、治療前に循環CEAが約68ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0274】
実施形態33では、本開示は、治療前に循環CEAが約69ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0275】
実施形態34では、本開示は、治療前に循環CEAが約70ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0276】
実施形態35では、本開示は、治療前に循環CEAが約71ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0277】
実施形態36では、本開示は、治療前に循環CEAが約72ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0278】
実施形態37では、本開示は、治療前に循環CEAが約73ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0279】
実施形態38では、本開示は、治療前に循環CEAが約74ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0280】
実施形態39では、本開示は、治療前に循環CEAが約75ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0281】
実施形態40では、本開示は、治療前に循環CEAが約76ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0282】
実施形態41では、本開示は、治療前に循環CEAが約77ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0283】
実施形態42では、本開示は、治療前に循環CEAが約78ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0284】
実施形態43では、本開示は、治療前に循環CEAが約79ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0285】
実施形態44では、本開示は、治療前に循環CEAが約80ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0286】
実施形態45では、本開示は、治療前に循環CEAが約80ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0287】
実施形態46では、本開示は、治療前に循環CEAが約85ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0288】
実施形態47では、本開示は、治療前に循環CEAが約90ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0289】
実施形態48では、本開示は、治療前に循環CEAが約95ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0290】
実施形態49では、本開示は、治療前に循環CEAが約100ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0291】
実施形態50では、本開示は、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである、実施形態1~49のいずれか1つに関する。
【0292】
実施形態51では、本開示は、ADCがツサミタマブラブタンシンである、実施形態1~50のいずれか1つに関する。
【0293】
実施形態52では、本開示は、ツサミタマブラブタンシンが約100mg/m以上の用量で約2週間に1回投与される、実施形態51に関する。
【0294】
実施形態53では、本開示は、ツサミタマブラブタンシンが約100mg/m以上の用量で約3週間に1回投与される、実施形態51に関する。
【0295】
実施形態54では、本開示は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む、実施形態1~53のいずれか1つに関する。
【0296】
実施形態55では、本開示は、追加の薬剤が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態54に関する。
【0297】
実施形態56では、本開示は、ICIが抗PD-1抗体である、実施形態55に関する。
【0298】
実施形態57では、本開示は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチスレリズマブからなる群から選択される、実施形態56に関する。
【0299】
実施形態58では、本開示は、抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、実施形態56に関する。
【0300】
実施形態59では、本開示は、ICIが抗PD-L1抗体である、実施形態55に関する。
【0301】
実施形態60では、本開示は、抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される、実施形態59に関する。
【0302】
実施形態61では、本開示は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む、実施形態1~58のいずれか1つに関する。
【0303】
実施形態62では、本開示は、有効量のプラチナベースの化学療法剤を対象に投与することを更に含む、実施形態61に関する。
【0304】
実施形態63では、本開示は、プラチナベースの化学療法がシスプラチン及びカルボプラチンから選択される、実施形態62に関する。
【0305】
実施形態64では、本開示は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む、実施形態63に関する。
【図面の簡単な説明】
【0306】
図1】本教示の実施形態による、中央評価されたベースラインでの循環CEACAM5及び局所的に評価されたベースラインでの循環CEAを示すグラフである。
図2】試験設計を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0307】
本開示は、CEACAM5を発現する癌を有する患者、例えばそうでなければ免疫組織化学(IHC)によって測定される場合、腫瘍組織上のCEACAM5の低又は中程度の発現のために治療に反応する可能性が高いと考えられない患者を同定及び治療する方法を提供する。
【0308】
本開示に従って、癌及び高レベルの循環CEA(例えば、約20ng/mL以上、約50ng/mL以上、約80ng/mL以上又は約100ng/mL以上)を有する患者は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍組織上のCEACAM5の発現が低い又は中程度である(腫瘍細胞の50%未満で≧2+)にもかかわらず、治療に反応性であり得ることが発見された。
【0309】
本開示に従って、癌及び高レベルの循環CEA(例えば、約20ng/mL以上、約50ng/mL以上、約80ng/mL以上又は約100ng/mL以上)を有する患者は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍組織上のCEACAM5の発現が低い又は中程度である(腫瘍細胞の50%未満で≧2+)にもかかわらず、CEACAM5に特に向けられた治療に反応性であり得ることが発見された。
【0310】
ツサミタマブラブタンシン(CAS登録番号2254086-60-5)は、ヒト化抗CEACAM5抗体(ツサミタマブ)と、微小管集合を阻害する強力な有糸分裂阻害剤であるメイタンシノイド誘導体4(DM4)[N2’-デアセチル-N2’-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン]とを組み合わせた免疫コンジュゲートADCである。DM4は、血漿中で安定であり、細胞内で切断可能な最適化リンカーSPDB[N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ブチラート]を介して抗体に共有結合する。標的化された癌細胞における結合及び内在化の後、ADCは分解され、細胞傷害性DM4代謝産物を放出する。
【0311】
ツサミタマブラブタンシンは、ヒトCEACAM5のA3B3ドメインに特異的に結合し、その構造中にA又は/及びBドメインを提示する他のCEACAMを認識しない(CEACAM1、CEACAM6、CEACAM7及びCEACAM8)。裸の抗体及びADCは、約0.02nM(ELISA)の親和性で組換えヒトCEACAM5に結合し、CEACAM5発現腫瘍細胞に対して高い親和性を示す(K APP0.24~0.68nM)。予備実験は、ツサミタマブラブタンシンがエフェクター活性を欠くことを示している。
【0312】
CEACAM5抗原に結合した後、ツサミタマブラブタンシンは、抗原媒介性エンドサイトーシスを介して癌細胞によって内在化され、リソソームに送達され、リジン連結誘導体リジン-SPDB-DM4に分解される。リジン-SPDB-DM4は、DM4中で更に分解され、続いてS-メチル化されてメチル-DM4[Me-DM4]を形成し、3つの代謝産物は全て、チューブリンへの結合及び微小管重合の阻害を介して強力な細胞傷害活性を有する。
【0313】
本明細書で使用される場合、高CEACAM5癌は、結腸直腸癌、肺癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、前立腺癌及び皮膚癌を含むいくつかの種類を指す。いくつかの実施形態では、肺癌は非扁平上皮非小細胞肺癌である。ある種の実施形態では、高CEACAM5発現体は、発現腫瘍細胞集団の少なくとも50%で2+を超える強度を有する。高CEACAM5発現体は、肺癌の約20%に相当する。
【0314】
ADCを、NSCLCのための重度に前処理された高CEACAM5発現体における第1/2フェーズ試験で分析した。ADCは、競合的全奏効率(ORR)及び奏効期間(DoR)を示した。最も一般的な薬物有害反応(ADR)は、眼毒性(治療中止なしで可逆的)及び最小の血液学的/神経毒性であった。
【0315】
NSCLC患者の大部分は、診断時に進行期を呈する。これらの患者の全生存期間(OS)の中央値は8ヶ月~12ヶ月であり、2015年では5年生存率は約25%である。NSCLC患者の約15%~20%は、上皮増殖因子受容体(EGFR)変異並びにROS受容体チロシンキナーゼ1(ROS1)及び未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)再編成を含む標的療法に適した重要なゲノム変化を有する腫瘍を有する。
【0316】
最近まで、標的化可能な変異を欠く進行性又は転移性NSQ NSCLCに利用可能な唯一の治療選択肢は化学療法であった。維持療法の有無にかかわらず、プラチナベースのダブレットレジメンによる全身療法が、進行したNSCLC患者に対する現在の第1選択治療であった。
【0317】
より最近になって、免疫療法は、NSCLCの治療のための新しいパラダイムを開始した。例えば、プログラム死-1受容体(PD-1)/PDリガンド-1(PD-L1)経路を標的とするモノクローナル抗体は、いくつかの臨床試験で強力な新しい治療ツールとして浮上してきた。PD-1経路を標的とする4つの薬物(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ及びセミプリマブ)は、化学療法未経験及び/又は以前に治療された進行期NSCLCの両方の治療に承認されているが、患者のごく一部(20%~30%)のみがこれらの治療に反応する。抗PD-1/PD-L1抗体を含むこれらの新しい治療ラインによる転帰の改善にもかかわらず、疾患は、多くの場合に進行する。
【0318】
NSCLCに対する標準的な第2選択治療はドセタキセルであり、ドセタキセルの活性は、ラムシルマブの添加によって増強されることが分かった。ペメトレキセド又はゲムシタビン等の単剤治療として他の利用可能な選択肢があるが、その後の全身治療のための満たされていない医学的必要性が残っている。
【0319】
非小細胞肺癌は、肺の組織に悪性(癌)細胞が形成される疾患である。喫煙がこの疾患の主な原因である。これは、小細胞肺癌以外の上皮性肺癌の一種である。非小細胞肺癌には、いくつかの種類がある。非小細胞肺癌の種類ごとに、癌細胞の種類が異なる。各種類の癌細胞は、異なる方法で増殖及び拡大する。非小細胞肺癌の種類は、癌に見られる細胞の種類及び顕微鏡下での細胞の見え方に由来する。(1)扁平上皮癌:扁平上皮細胞(魚の鱗片のように見える薄く平らな細胞)で始まる癌。これは類表皮癌とも呼ばれる。(2)大細胞癌:いくつかの種類の大きい細胞で始まり得る癌。また、(3)腺癌:肺胞を裏打ちし、粘液等の物質を作る細胞で発生する癌。
【0320】
ホジキンリンパ腫の治療のためのブレンツキシマブベドチン及び再発性転移性HER2+乳癌の治療のためのトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)の最近の承認によって実証されたように、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を使用して強力な細胞毒性薬を腫瘍細胞に選択的に標的化することは、現在、癌の治療のための有効な戦略であることが示されている(Young A.et al.,2012J Clin Oncol.30(18):2183-9;Verma,S.et al.,2012 N Engl J Med.19:1783-91)。満たされていない医学的ニーズを有する他の多くの悪性疾患は、このような治療選択肢から利益を得ることができる。ADCの作用機序は、薬物の選択的且つ効率的な内在化を達成するために腫瘍細胞上に十分に発現される特異的抗原への結合から始まる。
【0321】
根治手術(例えば、肺切除術、肺葉切除術、区域切除術又は楔形切除術、スリーブ切除術)は、ステージIのNSCLC患者に対する標準治療である。アジュバント治療は、調査試験の一部としてのみ提供されるべきである。ステージII及びIIIAアジュバントのシスプラチンベースの化学療法は、依然として、完全に切除されたNSCLC腫瘍のゴールドスタンダードである。シスプラチンと組み合わせて又は互いに組み合わせて使用される他の化学療法剤としては、カルボプラチン、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、アルブミン結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル、ABRAXANE(登録商標))、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン及びペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))が挙げられ得る。更に、放射線療法は、N2リンパ節を有する患者に使用され得る。進行期IIIB/IV又は手術不能NSCLC患者では、治療には、シスプラチンベースの化学療法+第3世代細胞傷害剤又は細胞増殖抑制薬(抗EGFR、抗VEGFR)の複数サイクルが含まれ得る。(Zarogoulidis et al.,J Thorac Dis.2013 Sep;5(Suppl4):S389-S396を参照されたい)
【0322】
肺癌を含む癌の治療には、血管新生阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤及び免疫チェックポイント阻害剤が含まれ得る。
【0323】
血管新生阻害剤には、アキシチニブ(INLYTA(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、カボザンチニブ(COMETRIQ(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標)、ZORTRESS(登録商標))、レナリドミド(REVLIMID(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、ラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))、レゴラフェニブ(STIVARGA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、サリドマイド(SYNOVIR(登録商標)、THALOMID(登録商標))、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))及びZiv-アフリベルセプト(ZALTRAP(登録商標))が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0324】
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤には、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、ネラチニブ(NERLYNX(登録商標))、オシメルチニブ(TAGRISSO(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))、ネシツムマブ(PROTRAZZA(登録商標))及びダコミチニブ(VIZIMPRO(登録商標))が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0325】
免疫チェックポイント阻害剤には、プログラム死1受容体(PD-1)結合剤(例えば、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、プログラム死リガンド1(PD-L1)結合剤(例えば、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))、CTLA-4結合剤(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、OX40又はOX40L結合剤、アデノシンA2A受容体結合剤、B7-H3結合剤、B7-H4結合剤、BTLA結合剤、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ結合剤、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)結合剤、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)結合剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム(NOX2)結合剤、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)結合剤、T細胞活性化VドメインIg抑制因子(VISTA)結合剤、グルココルチコイド誘発TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)結合剤及びシアル酸結合免疫グロブリン型レクチン7(SIGLEC7)結合剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0326】
CEACAM5及び適応症
癌胎児性抗原(CEA)は、細胞接着に関与する糖タンパク質である。CEAは、妊娠の最初の6ヶ月間に胎児の腸によって通常発現されるタンパク質として1965年に最初に同定され(Gold and Freedman,J Exp Med,121,439,1965)、膵臓、肝臓及び結腸の癌で見出された。CEAファミリーは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。18個の遺伝子からなるCEAファミリーは、タンパク質の2つのサブグループ:癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEACAM)サブグループ及び妊娠特異的糖タンパク質サブグループ(Kammerer&Zimmermann、BMC Biology 2010,8:12)に細分される。
【0327】
ヒトでは、CEACAMサブグループは、7つのメンバー:CEACAM1、CEACAM3、CEACAM4、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM7、CEACAM8からなる。多数の研究が、最初に同定されたCEAと同一のCEACAM5が結腸直腸、胃、肺、乳房、前立腺、卵巣、子宮頸部及び膀胱腫瘍細胞の表面に高度に発現し、結腸の円柱上皮及び杯細胞、胃の粘液頸部細胞並びに食道及び子宮頸部の扁平上皮細胞等の少数の正常な上皮組織で弱く発現することを示している(Hammarstroem et al,2002,in“Tumor markers,Physiology,Pathobiology,Technology and Clinical Applications”Eds.Diamandis E.P.et al.,AACC Press,Washington pp 375)。したがって、CEACAM5は、免疫コンジュゲート等の腫瘍特異的ターゲティングアプローチに適した治療標的を構成し得る。CEACAMファミリーメンバーの細胞外ドメインは、配列相同性によりA、B及びNの3種類に分類された反復免疫グロブリン様(Ig様)ドメインから構成される。CEACAM5は、7つのそのようなドメイン、すなわちN、A1、B1、A2、B2、A3及びB3を含む。
【0328】
一方ではCEACAM5 A1、A2及びA3ドメイン並びに他方ではB1、B2及びB3ドメインは、高い配列相同性を示し、ヒトCEACAM5のAドメインは、84~87%のペアワイズ配列類似性を示し、Bドメインは、69~80%を示す。更に、A及び/又はBドメインをその構造中に提示する他のヒトCEACAMメンバー、すなわちCEACAM1、CEACAM6、CEACAM7及びCEACAM8は、ヒトCEACAM5との相同性を示す。特に、ヒトCEACAM6タンパク質のA及びBドメインは、A1及びA3ドメイン並びにヒトCEACAM5のB1~B3ドメインのいずれかとそれぞれ配列相同性を示し、これらは、ヒトCEACAM5のAドメイン及びBドメイン間で観察されるよりも更に高い。
【0329】
抗CEACAM5抗体:
CEAを標的とする診断目的又は治療目的を考慮して、多数の抗CEA抗体を作製した。関連する抗原に対する特異性は、Sharkey et al(1990,Cancer Research 50,2823)による例として、この分野における懸念として常に言及されている。上述の相同性のために、以前に記載された抗体のいくつかは、異なる免疫グロブリンドメインに存在するCEACAM5の反復エピトープへの結合を実証し得、CEACAM1、CEACAM6、CEACAM7又はCEACAM8等の他のCEACAMメンバーに対する交差反応性を示し得、CEACAM5に対する特異性を欠く。抗CEACAM5抗体の特異性は、ヒトCEACAM5発現腫瘍細胞に結合するが、他のCEACAMメンバーを発現するいくつかの正常組織には結合しないようなCEA標的化療法の観点から望ましい。CEACAM1、CEACAM6及びCEACAM8がヒト及び非ヒト霊長類(Ebrahimmnejad et al,2000,Exp Cell Res,260,365;Zhao et al,2004,J Immunol Methods 293,207;Strickland et al,2009 J Pathol,218,380)の好中球によって発現されると記載されており、顆粒形成を調節し、免疫応答において役割を果たすことが示されていることは注目に値する。
【0330】
ADCツサミタマブラブタンシンは、結合後にCEACAM5を発現する細胞に内在化することができ、インビトロで腫瘍細胞に対して細胞傷害活性を誘導することができることが示されている。ツサミタマブラブタンシンは、ヒト原発性結腸及び胃腫瘍を有するマウスにおいてインビボで腫瘍成長を顕著に阻害することもできる。その全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2014/079886号パンフレットを参照されたい。
【0331】
本明細書で使用される場合、定量的な用語での用語「約」は、それが修飾する値の±10%を指す(値が部分分割可能でない場合、例えば分子又はヌクレオチドの数等、最も近い整数に切り上げられる)。例えば、「約100mg」という語句は、90mg~110mg(両端を含む)を包含するであろう。「約2500mg」という語句は、2250mg~2750mgを包含する。パーセンテージに適用される場合、「約」という用語は、そのパーセンテージに対してプラス又はマイナス10%を指す。例えば、「約20%」という語句は、18~22%を包含し、「約80%」は、包括的に72~88%を包含する(両端を含む)。更に、「約」が定量的用語と併せて本明細書で使用される場合、プラス又はマイナス10%の値に加えて、定量的用語の正確な値も企図され、記載されることが理解される。例えば、「約23%」という用語は、正確に23%を明示的に意図し、記述し、含む。
【0332】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」エンティティという用語は、そのエンティティの1つ以上を指すことに留意されたい。例えば、「症状」は、1つ以上の症状を表すと理解される。したがって、「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。
【0333】
更に、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、2つの指定される特徴又は成分の各々を他方と共に又は他方なしで具体的に開示するものとして理解すべきである。したがって、本明細書では、「A及び/又はB」等の語句で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「及び/又は」は、「A、B及び/又はC」等の語句で用いられるとき、以下の態様:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0334】
態様が「含む」という文言で本明細書に記載されている場合には常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0335】
本明細書で使用される場合、「CEACAM5」は、「CD66e」(分化抗原群66e)又はCEAとしても知られる「癌胎児性抗原関連細胞接着分子5」を示す。CEACAM5は、細胞接着に関与する糖タンパク質である。CEACAM5は、例えば結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺及び子宮腫瘍細胞の表面に高度に発現される。
【0336】
シグナルペプチド(位置1~34)及びプロペプチド(位置686~702)を含む完全長ヒトCEACAM5の参照配列は、受託番号AAA51967.1でGenBankデータベースから入手可能である。5つの非同義SNPがコーカサス人集団で2%を超える頻度で同定されており、それらの4つは、Nドメイン(位置80、83,112,113)に局在し、最後のものはヒトCEACAM5のA2ドメイン(位置398)に局在する。
【0337】
態様又は実施形態が「含む」という文言で本明細書に記載されている場合には常に、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載されている他の類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0338】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。本明細書で使用される抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」等の用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、抗体可変ドメイン及び任意選択的に定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含むタンパク質分解消化又は組換え遺伝子工学技術等の任意の適切な標準的技術を使用して、完全な抗体分子から誘導され得る。そのようなDNAは、公知であり、且つ/又は例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか又は合成することができる。DNAは、例えば、1つ以上の可変ドメイン及び/又は定常ドメインを適切な構成に配置するために又はコドンの導入、システイン残基の作成、アミノ酸の修飾、付加若しくは欠失等のために、化学的に又は分子生物学技術を使用して配列決定及び操作され得る。
【0339】
抗原結合断片の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;(vii)抗体の超可変領域(例えば、CDR3ペプチド等の単離された相補性決定領域(CDR)又は拘束性FR3-CDR3-FR4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位。他の操作された分子、例えばドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフティング抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、VHH又はNANOBODY(登録商標)(例えば、一価VHH及び二価VHH)、小型モジュール免疫医薬品(SMIP)及びサメ可変IgNARドメインも、本明細書で使用される「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0340】
抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズ又はアミノ酸組成であり得、一般に、1つ以上のフレームワーク配列に隣接するか又はそれとインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインに関連するVHドメインを有する抗原結合断片では、VHドメイン及びVLドメインは、任意の適切な配置で互いに対して位置し得る。例えば、可変領域は二量体であり得、VH-VH、VH-VL又はVL-VL二量体を含有し得る。代わりに、抗体の抗原結合断片は、単量体VH又はVLドメインを含有し得る。
【0341】
ある種の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。抗体の抗原結合断片内に見出され得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例示的構成には、以下のものが含まれる。(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CL。上に列挙した例示的な構成のいずれかを含む可変ドメイン及び定常ドメインの任意の構成では、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接連結され得るか又は完全若しくは部分的なヒンジ若しくはリンカー領域によって連結され得る。ヒンジ領域は、様々な実施形態では、単一のポリペプチド分子内の隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメイン間に柔軟又は半柔軟な連結をもたらす少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60以上)のアミノ酸からなり得る。更に、抗体の抗原結合断片は、様々な実施形態では、互いに及び/又は1つ以上の単量体VH又はVLドメイン(例えば、ジスルフィド結合によって)と非共有結合で会合した、上に列挙した可変ドメイン及び定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含み得る。
【0342】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用するための抗体又は抗体断片は、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であり得るか、又は2つ以上の標的ポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合ドメインを含み得る多重特異性抗体であり得る。本開示に関連して使用することができる例示的な二重特異性抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3ドメイン及び第2のIg CH3ドメインの使用を含み、第1及び第2のIg CH3ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸が互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸の相違は、アミノ酸の相違を欠く二重特異性抗体と比較して、プロテインAに対する二重特異性抗体の結合を減少させる。一実施形態では、第1のIg CH3ドメインはプロテインAに結合し、第2のIg CH3ドメインは、H95R修飾(IMGTエクソン番号付けによる;EUナンバリングによるH435R)等のプロテインA結合を低減又は消失させる変異を含む。第2のCH3は、Y96F修飾(IMGTによる;EUによるY436F)を更に含み得る。第2のCH3内に見出され得る更なる修飾としては、以下が挙げられる。IgG1抗体の場合のD16E、L18M、N44S、K52N、V57M及びV82I(IMGTによる;EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397M及びV422I);IgG2抗体の場合のN44S、K52N及びV82I(IMGT;EUによるN384S、K392N及びV422I);IgG4抗体の場合のQ15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q及びV82I(IMGTによる;EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q及びV422I)。上記の二重特異性抗体フォーマットの変形は、本開示の範囲内で企図される。本明細書に開示される例示的な二重特異性抗体フォーマットを含む任意の多重特異性抗体フォーマットは、様々な実施形態では、当技術分野で利用可能な日常的な技術を使用して抗CEACAM5抗体の抗原結合断片の状況での使用に適合させることができる。
【0343】
本明細書に開示されるCEACAM5抗体は、対応する生殖系列配列と比較して、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域に1つ以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含み得る。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開されている抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、1つ以上のフレームワーク及び/又はCDR領域内の1つ以上のアミノ酸が、対応する生殖系列残基又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換(天然又は非天然)に復帰変異している(このような配列変化は、本明細書では「生殖系列復帰変異」と呼ばれる)、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体及びその抗原結合断片を含む。当業者は、本明細書に開示される重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列から出発して、1つ以上の個々の生殖細胞系復帰変異又はそれらの組合せを含む多数の抗体及び抗原結合断片を容易に産生することができる。ある種の実施形態では、VH及び/又はVLドメイン内のフレームワーク残基及び/又はCDR残基の全てが、生殖系列配列に復帰変異する。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えばFR1の最初の8アミノ酸内若しくはFR4の最後の8アミノ酸内に見られる変異残基のみ又はCDR1、CDR2若しくはCDR3内に見られる変異残基のみが生殖系列配列に復帰変異する。更に、本開示の抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内に2つ以上の生殖系列復帰変異の任意の組合せを含有し得る、すなわち特定の個々の残基が生殖系列配列に復帰変異し、生殖系列配列と異なる特定の他の残基が維持される。得られると、1つ以上の生殖系列復帰変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、1つ以上の所望の特性、例えば、改善された結合特異性、増加した結合親和性、改善された又は増強されたアンタゴニスト又はアゴニスト生物学的特性(場合により)、低下した免疫原性等について容易に試験され得る。この一般的な様式で得られた抗体及び抗原結合断片は、本開示内に包含される。
【0344】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
【0345】
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図する。それにもかかわらず、本開示で特色とされるヒト抗体は、様々な実施形態では、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)によってコードされないアミノ酸残基、例えばCDR及びいくつかの実施形態ではCDR3を含み得る。しかし、本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」は、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むように意図されていない。
【0346】
本明細書で使用される「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作成又は単離される全てのヒト抗体、例えば宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(以下に更に記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(以下に更に記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.,(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照されたい(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成又は単離された抗体を含むことを意図する。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、ある種の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又はヒトIg配列に対するトランスジェニック動物を使用する場合にはインビボ体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH配列及びVL配列に由来し、ヒト生殖細胞系VH配列及びヒト生殖細胞系VL配列に関連するが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0347】
ヒト抗体は、ヒンジの不均一性に関連する2つの形態で存在し得る。一実施形態では、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている約150~160kDaの安定な4本鎖構築物を含む。別の実施形態では、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖及び重鎖(半抗体)から構成される。これらの実施形態/形態は、親和性精製後でさえ、分離することが極めて困難であった。
【0348】
「ヒト化抗体」という用語は、完全に又は部分的に非ヒト起源であり、ヒトにおける免疫応答を回避又は最小化するために、例えばVH及びVLドメインのフレームワーク領域で特定のアミノ酸を置換するように修飾されている抗体を指す。ヒト化抗体の定常ドメインは、ほとんどの場合、ヒトCH及びCLドメインである。
【0349】
抗体配列のヒト化(humanisation)/ヒト化(humanization)のための多数の方法が当技術分野で公知である;例えば、Almagro&Fransson(2008)Front Biosci.13:1619-1633による総説を参照されたい。一般的に使用される1つの方法は、CDRグラフティング又は抗体再形成であり、これは、ドナー抗体、一般的にはマウス抗体のCDR配列を異なる特異性のヒト抗体のフレームワーク足場にグラフティングすることを含む。CDRグラフティングは、CDRグラフティングされた非ヒト抗体の結合特異性及び親和性、したがって生物学的活性を低下させ得るため、親抗体の結合特異性及び親和性を保持するために、CDRグラフティングされた抗体の選択された位置に復帰変異が導入され得る。可能性のある復帰変異の位置の特定は、文献及び抗体データベースで利用可能な情報を使用して行うことができる。復帰変異の候補であるアミノ酸残基は、典型的には、抗体分子の表面に位置する残基であるが、埋もれているか又は表面露出度が低い残基は通常変更されない。CDRグラフティング及び復帰変異に対する代替のヒト化技術は、非ヒト起源の非表面露出残基が保持され、表面残基がヒト残基に変更されるリサーフェシングである。別の代替技術は、「ガイド選択」として知られており(Jespers et al.(1994)Biotechnology 12,899)、マウス抗体から、親抗体のエピトープ及び結合特性を保存する完全ヒト抗体を誘導するために使用することができる。
【0350】
種々のインタクトなIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一のアミノ酸置換は、第2の形態(全体が参照により組み込まれる、Angal et al.,(1993)Molecular Immunology 30:105)の出現を、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで有意に減少させることができる。本開示は、様々な実施形態では、所望の抗体形態の収率を改善するために、例えば産生において望ましい場合があるヒンジ、CH2又はCH3領域に1つ以上の変異を有する抗体を包含する。
【0351】
本明細書で使用される「単離された抗体」は、その自然環境の少なくとも1つの成分から同定及び分離及び/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分又は抗体が天然に存在する若しくは天然に産生される組織若しくは細胞から分離又は除去された抗体は、「単離された抗体」である。様々な実施形態では、単離された抗体は、組換え細胞内のインサイチュでの抗体も含む。他の実施形態では、単離された抗体は、少なくとも1つの精製又は単離工程に供された抗体である。様々な実施形態では、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0352】
「特異的に結合する」等の用語は、抗体又はその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等を含む。例えば、本明細書で使用されるCEACAM5に「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満又は約0.5nMのKDでCEACAM5又はその一部に結合する抗体を含む。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以下の解離定数によっても特徴付けることができる。他の実施形態では、解離定数は少なくとも約1×10-7M、1×10-8M又は1×10-9Mである。しかしながら、ヒトCEACAM5に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば他の(非ヒト)種由来のCEACAM5分子に対する交差反応性を有し得る。
【0353】
本明細書で使用される「表面プラズモン共鳴」という用語は、例えばBIACORE(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0354】
本明細書で使用される「KD」という用語は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図する。
【0355】
「親和性」は、理論的には、抗体全体と抗原との間の平衡会合によって定義される。それは、表面プラズモン共鳴による会合及び解離速度の測定又は免疫化学アッセイ(ELISA、FACS)でのEC50(又は見かけのKD)の測定等の様々な公知の方法によって実験的に評価することができる。これらのアッセイでは、EC50は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)による抗原又はFACS(蛍光活性化細胞選別)による抗原を発現する細胞の定義された濃度の抗原に対する特定の曝露時間後のベースラインと最大値との中間の応答を誘導する抗体の濃度である。
【0356】
抗原1(Ag1)に結合するモノクローナル抗体は、EC50が両方の抗原について同様の範囲にある場合、抗原2(Ag2)に対して「交差反応性」である。本出願では、Ag1に結合するモノクローナル抗体は、Ag1の親和性に対するAg2の親和性の比が10(例えば、5、2、1又は0.5)以下である場合にAg2に対して交差反応性であり、親和性は、両方の抗原について同じ方法で測定される。
【0357】
ヒトCEACAM5又はカニクイザルCEACAM5に対する親和性は、捕捉抗原として可溶性組換えCEACAM5を使用したELISAでのEC50値として決定することができる。
【0358】
本開示の抗体は、腫瘍細胞株MKN45(DSMZ、ACC409)又は患者由来の異種移植腫瘍細胞(Oncodesign Biotechnology,tumor collection CReMECから入手可能なCR-IGR-034P)に対するFACS分析によって決定され得るように、25nM以下、例えば20nM以下、10nM以下、5nM以下、3nM以下又は1nM以下である見かけの解離定数(見かけのKD)も有し得る。見かけのKD(K APP)は、0.01~20nMの範囲内であり得るか、又は0.1~20nM、0.1~10nM又は0.1~5nMの範囲内であり得る。
【0359】
更に、本開示による抗体は、凍結組織切片及びホルマリン固定組織切片及びパラフィン包埋(FFPE)組織切片で免疫組織化学によってCEACAM5発現を検出することができることが示されている。
【0360】
「エピトープ」という用語は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合し得、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体配座又は直鎖のいずれかであり得る。立体構造エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸によって産生される。直鎖エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって産生されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基又はスルホニル基の部分を含み得る。
【0361】
本明細書に記載の方法に有用な抗CEACAM5抗体は、様々な実施形態では、抗体が由来する対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域に1つ以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含み得る。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開されている抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、様々な実施形態では、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体及びその抗原結合断片の使用を含む方法を含み、1つ以上のフレームワーク及び/又はCDR領域内の1つ以上のアミノ酸が、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基若しくは別のヒト生殖系列配列の対応する残基又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に変異している(このような配列変化は、本明細書ではまとめて「生殖系列変異」と呼ばれる)。1つ以上の個々の生殖系列変異又はそれらの組合せを含む多数の抗体及び抗原結合断片を構築することができる。ある種の実施形態では、VH及び/又はVLドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基の全てが、抗体が由来した元の生殖系列配列に見られる残基に復帰変異する。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えばFR1の最初の8アミノ酸内若しくはFR4の最後の8アミノ酸内に見られる変異残基のみ又はCDR1、CDR2若しくはCDR3内に見られる変異残基のみが元の生殖系列配列に復帰変異する。他の実施形態では、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ以上が、異なる生殖系列配列(すなわち抗体が最初に由来した生殖系列配列と異なる生殖系列配列)の対応する残基に変異している。更に、抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内に2つ以上の生殖系列変異の任意の組合せを含有し得、例えば特定の個々の残基が特定の生殖系列配列の対応する残基に変異している一方、元の生殖系列配列と異なる特定の他の残基が維持されているか、又は異なる生殖系列配列の対応する残基に変異している。得られると、1つ以上生殖系列変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、1つ以上所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合により)アンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性の改善又は増強、免疫原性の低下等について容易に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体及び抗原結合断片の使用は、本開示に包含される。
【0362】
本開示は、1つ以上の保存的置換を有する本明細書に開示されるHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗CEACAM5抗体の使用を伴う方法も含む。例えば、本開示は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば10以下、8以下、6以下、4以下等の保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗CEACAM5抗体の使用を含む。
【0363】
本開示によれば、抗CEACAM5抗体又はその抗原結合断片は、様々な実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/079886号パンフレットに記載される抗CEACAM5抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。
【0364】
本明細書中に記載される抗体のアミノ酸配列修飾が意図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。ヒト抗体のVH及びVLのFR中の非ヒト動物由来の抗体のVH及びVL中のCDRのみを単にグラフトすることによりヒト化抗体を製造すると、非ヒト動物由来の元の抗体と比較して抗原結合活性が低下することが知られている。CDRだけでなく、FRでも、非ヒト抗体のVH及びVLのいくつかのアミノ酸残基が抗原結合活性と直接的又は間接的に関連し得ると考えられる。したがって、これらのアミノ酸残基をヒト抗体のVH及びVLのFRに由来する異なるアミノ酸残基で置換すると、結合活性が低下する。この問題を解決するために、非ヒトCDRが移植されたヒト抗体において、ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸配列のうち、抗体の結合に直接関与するか、CDRのアミノ酸残基と相互作用するか、抗体の三次元構造を維持し、抗原への結合に直接関与するアミノ酸残基を同定する試みがなされなければならない。抗原結合活性の低下は、同定されたアミノ酸を非ヒト動物由来の元の抗体のアミノ酸残基で置換することによって増加させることができた。
【0365】
本開示の抗体の構造及びそれらをコードするDNA配列で修飾及び変更が行われ得、それでもなお望ましい特徴を有する機能的抗体又はポリペプチドがもたらされる。
【0366】
本開示の更なる目的は、本開示のポリペプチドの機能保存的バリアントも包含する。例えば、特定のアミノ酸は、明らかな活性の損失なしに、タンパク質構造中の他のアミノ酸で置換され得る。タンパク質の相互作用能力及び性質はその生物学的機能活性を定義するため、タンパク質配列及び当然のことながらそのDNAコード配列で特定のアミノ酸置換を行うことができるが、それでも同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。したがって、本開示の抗体配列又は前記ポリペプチドをコードする対応するDNA配列において、それらの生物学的活性を認識できる程度に失うことなく、様々な変更を行うことができると考えられる。特定のアミノ酸は、類似のヒドロパシー指標又はスコアを有する他のアミノ酸で置換され得、依然として類似の生物学的活性を有するタンパク質をもたらし得る、すなわち依然として生物学的に機能的に均等なタンパク質を得ることが当技術分野で公知である。本開示の抗体又はポリペプチドでは、抗原への結合を著しく失うことなく置換され得る全てのアミノ酸を同定するために、アラニンスキャニングアプローチ等の十分に確立された技術を使用することも可能である。そのような残基は、抗原結合又は抗体の構造の維持に関与しないため、中性として適格であり得る。これらの中性位置の1つ以上は、本開示の抗体又はポリペプチドの主な特徴を変更することなく、アラニン又は別のアミノ酸で置換することができる。
【0367】
中性位置は、任意のアミノ酸置換を抗体に組み込むことができる位置として見ることができる。実際、アラニンスキャニングの原理では、この残基が特定の構造的又は化学的特徴を有しないため、アラニンが選択される。タンパク質の特性を変化させることなくアラニンを特定のアミノ酸に置換することができる場合、全てではないにしても多くの他のアミノ酸置換も中性である可能性が高いことが一般に認められている。アラニンが野生型アミノ酸である反対の場合、特定の置換が中性として示され得る場合、他の置換も中性である可能性が高い。したがって、上で概説したように、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えばそれらの疎水性、親水性、電荷、サイズ等に基づく。前述の特徴のいずれかを考慮に入れる例示的な置換は、当業者に周知であり、以下を含む。アルギニン及びリジン;グルタマート塩及びアスパルタート;セリン及びトレオニン;グルタミン及びアスパラギン;並びにバリン、ロイシン及びイソロイシン。
【0368】
例えば、抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するために、エフェクター機能に関して本開示の抗体を修飾することも望ましい場合がある。これは、抗体のFc領域に1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成され得る。代替的又は追加的に、システイン残基がFc領域に導入され得、それによりこの領域における鎖間ジスルフィド結合の形成が可能になる。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、改善された内在化能力及び/又は増大した補体媒介性細胞殺傷及び/又は抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る(Caron PC.et al.1992;及びShopes B.1992)。
【0369】
本開示の抗体の別の種類のアミノ酸修飾は、抗体の元のグリコシル化パターンを変化させるために、すなわち抗体中に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させること及び/又は抗体中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって有用であり得る。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作り出す。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、(N結合型グリコシル化部位について)上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって都合よく達成される。
【0370】
別の種類の修飾は、抗体調製物の分解産物又は不均一性を潜在的にもたらすものとして、インシリコ又は実験的に同定された配列の除去を含む。例として、アスパラギン及びグルタミン残基の脱アミド化は、pH及び表面曝露等の因子に応じて起こり得る。アスパラギン残基は、主に配列Asn-Gly中に存在する場合に脱アミド化されやすく、Asn-Ala等の他のジペプチド配列中では脱アミド化されにくい。したがって、そのような脱アミド部位、特にAsn-Glyが本開示の抗体又はポリペプチド中に存在する場合、関与する残基の1つを除去するために、典型的には保存的置換によってその部位を除去することが望ましい場合がある。関与する残基の1つ以上を除去するための配列におけるそのような置換も、本開示に包含されることが意図される。
【0371】
別の種類の共有結合修飾は、グリコシドを抗体に化学的又は酵素的にカップリングさせることを含む。これらの手順は、N又はO結合型グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞における抗体の産生を必要としないという点で有利である。使用される結合モードに応じて、糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのもの等の遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン若しくはヒドロキシプロリンのもの等の遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン若しくはトリプトファンのもの等の芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に結合し得る。例えば、そのような方法は、国際公開第87/05330号パンフレットに記載されている。
【0372】
抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸又は均等な化合物への抗体の曝露を必要とする。この処理は、抗体を無傷のままにしながら、連結糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんど又は全ての糖の切断をもたらす。化学的脱グリコシル化は、Sojahr H.et al.(1987)及びEdge,AS.et al.(1981)によって記載されている。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura,NR.et al.(1987)によって記載されているような様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用によって達成することができる。
【0373】
抗体の別の種類の共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号明細書、同第4,496,689号明細書、同第4,301,144号明細書、同第4,670,417号明細書、同第4,791,192号明細書又は同第4,179,337号明細書に記載されている方法で、抗体を様々な非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリオキシアルキレンのいずれかに連結することを含む。
【0374】
一実施形態では、抗CEACAM5抗体がツサミタマブ(CAS登録番号2349294-95-5)である。
【0375】
ツサミタマブは、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
HCDR1 GFVFSSYD(配列番号1)
HCDR2 ISSGGGIT(配列番号2)
HCDR3 AAHYFGSSGPFAY(配列番号3)
LCDR1 ENIFSY(配列番号4)
LCDR2 NTR
LCDR3 QHHYGTPFT(配列番号5)
【0376】
ツサミタマブは、配列番号6のアミノ酸配列を有する重鎖の可変ドメイン(VH)及び配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖の可変ドメイン(VL)を含む。
【化1】
【0377】
ツサミタマブは、配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖(HC)と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)とを含む。
【化2】
【0378】
細胞傷害性ペイロード及び免疫コンジュゲート
本開示は、細胞傷害性コンジュゲート、又は免疫コンジュゲート、又は抗体-薬物コンジュゲート、又はコンジュゲートも含む。本明細書で使用される場合、これらの用語は全て同じ意味を有し、交換可能である。
【0379】
したがって、本開示は、細胞傷害剤又は放射性同位体等の少なくとも1つの増殖阻害剤に連結又はコンジュゲートされた本開示の抗体(例えば抗CEACAM5抗体)を含む「免疫コンジュゲート」に関する。
【0380】
「成長阻害剤」又は「抗増殖剤」は、区別なく使用することができ、インビトロ又はインビボのいずれかで細胞、特に腫瘍細胞の成長を阻害する化合物又は組成物を指す。
【0381】
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は防止し、且つ/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。「細胞傷害剤」という用語は、化学療法剤、酵素、抗生物質及び細菌、真菌、植物又は動物起源の小分子毒素又は酵素的に活性な毒素等の毒素、その断片及び/又はバリアント並びに以下に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を含むことが意図されている。いくつかの実施形態では、細胞傷害剤は、タキソイド、ビンカ、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体、例えばDM1又はDM4、小薬物、トマイマイシン又はピロロベンゾジアゼピン誘導体、クリプトフィシン誘導体、レプトマイシン誘導体、アウリスタチン又はドラスタチン類似体、プロドラッグ、トポイソメラーゼII阻害剤、DNAアルキル化剤、抗チューブリン剤、CC-1065又はCC-1065類似体である。
【0382】
本明細書で使用される場合、「メイタンシノイド」は、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体を意味する。メイタンシノイドは、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して高度に毒性である薬物である。
【0383】
適切なメイタンシノイドの例としては、メイタンシノール及びメイタンシノール類似体が挙げられる。
【0384】
適切なメイタンシノール類似体の例としては、修飾された芳香環を有するもの及び他の位置に修飾を有するものが挙げられる。
【0385】
そのような適切なメイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号明細書;同第4,256,746号明細書;同第4,294,757号明細書;同第4,307,016号明細書;同第4,313,946号明細書;同第4,315,929号明細書;同第4,331,598号明細書;同第4,361,650号明細書;同第4,362,663号明細書;同第4,364,866号明細書;同第4,450,254号明細書;同第4,322,348号明細書;同第4,371,533号明細書;同第6,333,410号明細書;同第5,475,092号明細書;同第5,585,499号明細書;及び同第5,846,545号明細書に開示されている。
【0386】
修飾芳香環を有するメイタンシノールの適切な類似体の例としては、以下が挙げられる:
(1)C-19-デクロロ(米国特許第4,256,746号明細書)(アンサミトシンP2のLAH還元により調製);
(2)C-20-ヒドロキシ(又はC-20-デメチル)+/-C-19-デクロロ(米国特許第4,361,650号明細書及び同第4,307,016号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)若しくはアクチノマイセス属(Actinomyces)を用いた脱メチル化又はLAHを用いた脱塩素により調製);及び
(3)C-20-デメトキシ、C-20-アシルオキシ(-OCOR)、+/-デクロロ(米国特許第4,294,757号明細書)(塩化アシルを使用したアシル化によって調製)。
【0387】
他の位置の修飾を有するメイタンシノールの適切な類似体の例としては、以下が挙げられる。
(1)C-9-SH(米国特許第4,424,219)(メイタンシノールとHS又はPとの反応によって調製);
(2)C-14-アルコキシメチル(デメトキシ/CHOR)(米国特許第4,331,598号明細書);
(3)C-14-ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CHOH又はCHOAc)(米国特許第4,450,254号明細書)(Nocardiaから調製);
(4)C-15-ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)によるメイタンシノールの変換によって調製);
(5)C-15-メトキシ(米国特許第4,313,946号明細書及び同第4,315,929号明細書)(Trewia nudifloraから単離);
(6)C-18-N-デメチル(米国特許第4,362,663号明細書及び同第4,322,348号明細書)(ストレプトマイセス属(Streptomyces)によるメイタンシノールの脱メチル化により調製);及び
(7)4,5-デオキシ(米国特許第4,371,533号明細書)(三塩化チタン/メイタンシノールのLAH還元によって調製)。
【0388】
本開示の一実施形態では、本開示の細胞傷害性コンジュゲートは、細胞傷害剤として、正式にはN2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと呼ばれるチオール含有メイタンシノイド(DM1)を利用する。DM1は、下記構造式(I)によって表される。
【化3】
【0389】
別の実施形態では、本開示の細胞傷害性コンジュゲートは、細胞傷害剤として、正式にはN2’-デアセチル-N-2’(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシンと呼ばれるチオール含有メイタンシノイドDM4を利用する。DM4は、以下の構造式(II)によって表される。
【化4】
【0390】
本開示の更なる実施形態では、硫黄原子を有する炭素原子上にモノ又はジアルキル置換を有するチオール及びジスルフィド含有メイタンシノイドを含む他のメイタンシンを使用することができる。これらには、C-3、C-14ヒドロキシメチル、C-15ヒドロキシ又はC-20デスメチルにおいて、ヒンダードスルフヒドリル基を有するアシル基を有するアシル化アミノ酸側鎖を有するメイタンシノイドが含まれ、チオール官能基を有するアシル基の炭素原子は、1つ又は2つの置換基を有し、前記置換基は、CH、C、1~10個の試薬を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル及び溶液中に存在し得る任意の凝集体である。
【0391】
これらの細胞傷害剤及びコンジュゲーションの方法の例は、参照により組み込まれる国際公開第2008/010101号パンフレットに更に示されている。
【0392】
「放射性同位体」という用語は、At211、Bi212、Er169、I131、I125、Y90、In111、P32、Re186、Re188、Sm153、Sr89及びLuの放射性同位体等の、癌を治療するのに適した放射性同位体を含むことが意図されている。そのような放射性同位体は、一般に、主にベータ線を放出する。一実施形態では、放射性同位体はα放射性同位体、より正確にはα放射を放出するトリウム227である。本開示による免疫コンジュゲートは、国際公開第2004/091668号に記載されているように調製することができる。
【0393】
本開示による免疫コンジュゲートは、国際公開第2004/091668号パンフレットに記載されているように調製することができ、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0394】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、直接的に又は切断可能若しくは切断不可能なリンカーを介して少なくとも1つの成長阻害剤に共有結合している。
【0395】
「リンカー」は、本明細書で使用される場合、ポリペプチド(例えば、抗体)を薬物(又はプロドラッグ)部分に共有結合する共有結合又は原子鎖を含む化学部分を意味する。適切なリンカーは当技術分野で周知であり、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定基及びエステラーゼ不安定基を含む。例示的なリンカーとしては、限定されないが、ヘテロ二官能性架橋試薬、例えばN-スクシンイミジルピリジルジチオブチラート(SPDB)、ブタン酸4-[(5-ニトロ-2-ピリジニル)ジチオ]-2,5-ジオキソ-1-ピロリジニルエステル(ニトロ-SPDB)、4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホ-酪酸(スルホ-SPDB)、N-スクシンイミジル(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミダートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベラート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)-ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアナート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアナート)及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)が挙げられる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al(1987)に記載されているように調製することができる。炭素標識1-イソチオシアナトベンジルメチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(国際公開第94/11026号パンフレット)。
【0396】
リンカーは、細胞内での細胞傷害剤又は増殖阻害剤の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、エステラーゼ不安定性リンカー、感光性リンカー又はジスルフィド含有リンカー(例えば、米国特許第5,208,020号明細書を参照されたい)を使用することができる。リンカーは、場合により、より良好な耐性をもたらし得る「非切断性リンカー」(例えばSMCCリンカー)でもあり得る。
【0397】
代わりに、本開示の抗体及び細胞傷害性又は増殖阻害性ポリペプチドを含む融合タンパク質は、組換え技術又はペプチド合成によって作製され得る。DNAの長さは、互いに隣接するか、又はコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって分離されたコンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含み得る。
【0398】
本開示の抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号パンフレットを参照のこと)を活性抗癌薬(例えば、国際公開第88/07378号パンフレット及び米国特許第4,975,278号明細書を参照されたい)に変換するプロドラッグ活性化酵素にポリペプチドをコンジュゲートすることによる依存性酵素媒介プロドラッグ療法でも使用され得る。ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、プロドラッグをそのより活性な細胞傷害性形態に変換するようにプロドラッグに作用することができる任意の酵素が含まれる。本開示の方法で有用な酵素には、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ、硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性フルオロシトシンを抗癌剤、5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なプロテアーゼ、例えばセラチアナプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えばカテプシンB及びL);D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なO-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼ等の炭水化物切断酵素;P-ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なP-ラクタマーゼ;並びにそれぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基を有するそれらのアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼ等のペニシリンアミダーゼが含まれるが、これらに限定されない。酵素は、上記のヘテロ二官能性架橋試薬の使用等の当技術分野で周知の技術により、本開示のポリペプチドに共有結合することができる。
【0399】
一実施形態によれば、本開示のコンジュゲートにおいて、成長阻害剤は、メイタンシノイド、一実施形態ではDM1又はDM4である。
【0400】
前記コンジュゲートにおいて、抗体は、連結基によって少なくとも1つの成長阻害剤にコンジュゲートされる。一実施形態では、前記連結基は、SPDB、スルホ-SPDB又はSMCC等の切断可能又は切断不可能なリンカーである。
【0401】
コンジュゲートは、以下からなる群から選択され得る。
式(III)の抗体-SPDB-DM4コンジュゲート
【化5】

式(IV)の抗体-スルホ-SPDB-DM4コンジュゲート
【化6】
;及び
式(V)の抗体-SMCC-DM1コンジュゲート
【化7】
【0402】
一実施形態では、コンジュゲートは、上で定義した式(III)、(IV)又は(V)のコンジュゲートであり、抗体は、本明細書中に記載の抗体である。
【0403】
上記の式(III)、(IV)及び(V)では、「n」は、抗体1分子当たりにコンジュゲートされた化学療法剤の分子の数に対応する。これは、以下に定義される「薬物対抗体比」(又は「DAR」)に対応し、1~10の範囲であり得る。
【0404】
一実施形態では、コンジュゲートは、ツサミタマブラブタンシン(CAS登録番号2254086-60-5)である。
【0405】
一般に、コンジュゲートは、
(i)本開示による抗体の任意に緩衝化された水溶液を、リンカー及び細胞傷害性化合物の溶液と接触させる工程と、
(ii)次いで、任意選択的に、(i)で形成されたコンジュゲートを未反応の抗体、リンカー及び細胞傷害性化合物から分離する工程と
を含むプロセスから得ることができる。
【0406】
細胞結合剤の水溶液は、例えば、リン酸カリウム、酢酸塩、クエン酸塩又はN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)等の緩衝液で緩衝することができる。緩衝液は、細胞結合剤の性質に依存する。細胞傷害性化合物は、有機極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)又はジメチルアセトアミド(DMA)に溶解している。
【0407】
反応温度は、通常、20~40℃に含まれる。反応時間は、1~24時間で変化し得る。細胞結合剤と細胞傷害剤との間の反応は、屈折率測定及び/又はUV検出器を用いたサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってモニタリングすることができる。コンジュゲート収率が低すぎると、反応時間を長くすることができる。
【0408】
工程(ii)の分離を実施するために、いくつかの異なるクロマトグラフィ法を当業者が使用することができる。コンジュゲートは、例えばSEC、吸着クロマトグラフィ(イオン交換クロマトグラフィ、IEC等)、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、アフィニティークロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ等の混合支持体クロマトグラフィ又は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって精製することができる。透析又はダイアフィルトレーションによる精製も使用することができる。
【0409】
本明細書で使用される場合、「凝集体」という用語は、2つ以上の細胞結合剤間に形成され得る会合を意味し、前記薬剤は、コンジュゲーションによって修飾されているか又は修飾されていない。凝集体は、溶液中の高濃度の細胞結合剤、溶液のpH、高い剪断力、結合した二量体の数及びそれらの疎水性、温度(Wang&Gosh,2008,J.MembraneSci.,318:311-316及びそこに引用されている参考文献を参照)等の多数のパラメータの影響下で形成することができる。これらのパラメータのいくつかの相対的影響は明確に確立されていないことに留意されたい。タンパク質及び抗体の場合、当技術分野の当業者はCromwell et al.(2006,AAPS Journal,8(3):E572-E579)を参照する。凝集体中の含有量は、SEC等の当業者に周知の技術を用いて決定することができる(Walter et al.,1993,Anal.Biochem.,212(2):469-480を参照されたい)。
【0410】
工程(i)又は(ii)の後、コンジュゲート含有溶液を、クロマトグラフィ、限外濾過及び/又はダイアフィルトレーションの更なる工程(iii)に供することができる。
【0411】
コンジュゲートは、水溶液中でこれらの工程の最後に回収される。
【0412】
一実施形態によれば、本開示によるコンジュゲートは、1~10、例えば2~5、例えば3~4の範囲の「薬物対抗体比」(又は「DAR」)を特徴とする。これは、一般に、メイタンシノイド分子を含むコンジュゲートの場合である。
【0413】
このDAR数は、コンジュゲートに使用される実験条件(成長阻害剤/抗体の比のように、反応時間、溶媒の性質及び存在する場合には共溶媒の性質)と共に使用される抗体及び薬物(すなわち成長阻害剤)の性質によって変化し得る。したがって、抗体と成長阻害剤との間の接触は、異なる薬物対抗体比によって互いに異なるいくつかのコンジュゲート;任意選択的に裸の抗体;任意選択的に凝集体を含む混合物をもたらす。したがって、決定されるDARは、平均値である。
【0414】
DARを決定するために使用することができる方法は、λ及び280nmにおける実質的に精製されたコンジュゲートの溶液の吸光度の比を分光光度計で測定することからなる。280nmは、抗体濃度等のタンパク質濃度の測定に一般的に用いられる波長である。波長λは、抗体から薬物を識別することができるように選択され、すなわち当業者に容易に知られているように、λは、薬物が高い吸光度を有し、λは、薬物及び抗体の吸光度ピークの実質的な重複を回避するために280nmから十分に離れている波長である。λは、メイタンシノイド分子の場合、252nmであるとして選択され得る。DAR計算の方法は、Antony S.Dimitrov(ed)、LLC,2009,Therapeutic Antibodies and Protocols,vol 525,445,Springer Scienceから得ることができる。
【0415】
λ(AλD)及び280nm(A280)でのコンジュゲートの吸光度を、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)分析の単量体ピーク(「DAR(SEC)」パラメータの計算を可能にする)又は古典的な分光光度計装置(「DAR(UV)」パラメータの計算を可能にする)のいずれかで測定する。吸光度は以下のように表すことができる。
λD=(cxεDλD)+(cxεAλD
280=(cxεD280)+(cxεA280
式中、
及びcは、それぞれ薬物及び抗体の溶液中の濃度であり、
εDλD及びεD280は、それぞれλ及び280nmにおける薬物のモル吸光係数であり、
εAλD及びεA280は、それぞれλ及び280nmにおける抗体のモル吸光係数である。
【0416】
2つの未知数を有するこれら2つの方程式の解像は、以下の方程式をもたらす。
=[(εA280xAλD)-(εAλDxA280)]/[(εDλDxεA280)-(εAλDxεD280)]
=[A280-(cxεD280)]/εA280
【0417】
次いで、抗体の薬物濃度に対する薬物濃度の比から平均DARを計算する。DAR=c/c
【0418】
ツサミタマブラブタンシン
ツサミタマブラブタンシン(CAS登録番号2254086-60-5)は、ヒト化抗CEACAM5抗体(ツサミタマブ)と、微小管集合を阻害する強力な有糸分裂阻害剤であるメイタンシノイド誘導体4(DM4)[N2-デアセチル-N2-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン]とを組み合わせた免疫コンジュゲートADCである。DM4は、血漿中で安定であり、細胞内で切断可能な最適化リンカーSPDB[N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ブチラート]を介して抗体に共有結合する。標的化された癌細胞における結合及び内在化の後、ADCは分解され、細胞傷害性DM4代謝産物を放出する。
【0419】
ADCツサミタマブラブタンシンは、ヒトCEACAM5のA3B3ドメインに特異的に結合し、その構造中にA又は/及びBドメインを提示する他のCEACAMを認識しない(CEACAM1、CEACAM6、CEACAM7及びCEACAM8)。裸の抗体及びADCは、約0.02nM(ELISA)の親和性で組換えヒトCEACAM5に結合し、CEACAM5発現腫瘍細胞(K APP0.24~0.68nM)に対して高い親和性を示す。予備実験は、ツサミタマブラブタンシンがエフェクター活性を欠くことを示している。
【0420】
CEACAM5抗原に結合した後、ツサミタマブラブタンシンは、抗原媒介性エンドサイトーシスを介して癌細胞によって内在化され、リソソームに送達され、リジン連結誘導体リジン-SPDB-DM4に分解される。リジン-SPDB-DM4は、DM4中で更に分解され、続いてS-メチル化されてメチル-DM4[Me-DM4]を形成し、3つの代謝産物は全て、チューブリンへの結合及び微小管重合の阻害を介して強力な細胞傷害活性を有する。
【0421】
医薬組成物
本開示の抗体又は免疫コンジュゲートを、薬学的に許容される賦形剤及び任意選択的に徐放性マトリックス(生分解性ポリマー等)と組み合わせて、治療用組成物を形成することができる。
【0422】
したがって、本開示の別の目的は、本開示の抗体又は免疫コンジュゲートと、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0423】
本開示は、医薬品として使用するための、本開示による抗体又は免疫コンジュゲートにも関する。
【0424】
本開示は、癌を治療するために使用するための、本開示による抗体、免疫コンジュゲート又は化合物にも関する。
【0425】
「薬学的」又は「薬学的に許容される」は、必要に応じて哺乳動物、特にヒトに投与した場合に有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、任意の種類の非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は製剤補助剤を指す。
【0426】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性であるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤等を含む。適切な担体、希釈剤及び/又は賦形剤の例としては、水、アミノ酸、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩;ヒスチジン、アルギニン、グリシン、プロリン、グリシルグリシン等のアミノ酸及び誘導体;無機塩NaCl、塩化カルシウム;デキストロース、グリセロール、エタノール、スクロース、トレハロース、マンニトール等の糖又はポリアルコール;ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188等の界面活性剤等、並びにそれらの組合せの1つ以上を含む。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましく、製剤は、抗酸化剤、例えばトリプタミン及び安定化剤、例えばTween20も含有し得る。
【0427】
医薬組成物の形態、投与経路、投与量及びレジメンは、治療される状態、病気の重症度、患者の年齢、体重及び性別等に自然に依存する。
【0428】
本開示の医薬組成物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下又は眼内投与等のために製剤化することができる。
【0429】
一実施形態では、医薬組成物は、注射可能な製剤に対して薬学的に許容されるビヒクルを含有する。これらは、等張性の滅菌生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウム等、又はこのような塩の混合物)又は場合に応じて滅菌水又は生理食塩水を添加すると注射可能な溶液の構成を可能にする乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物であり得る。
【0430】
医薬組成物は、薬物組合せデバイスを介して投与することができる。
【0431】
投与に使用される用量は、様々なパラメータの関数として、例えば使用される投与様式、関連する病態又は所望の治療期間の関数として適合させることができる。
【0432】
医薬組成物を調製するために、有効量の本開示の抗体又は免疫コンジュゲートを、薬学的に許容される担体又は水性媒体に溶解又は分散させることができる。
【0433】
注射使用に適した医薬形態には、滅菌水溶液又は分散液;ゴマ油、落花生油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、形態は、滅菌され、分解せずに送達するための適切な装置又はシステムで注射可能でなければならない。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0434】
遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤と適切に混合された水中で調製することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中及び油中で調製することもできる。保存及び使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。
【0435】
本開示のポリペプチド、抗体又は免疫コンジュゲートを、中性形態又は塩形態の組成物に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれ、無機酸、例えば塩酸若しくはリン酸又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成される。遊離カルボキシル基で形成された塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化第2鉄及び有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、グリシン、ヒスチジン、プロカイン等から誘導することもできる。
【0436】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒でもあり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材の使用、分散液の場合には要求される粒子径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0437】
滅菌注射溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した任意の他の成分と共に適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分+任意の追加の所望の成分の粉末をその以前に滅菌濾過された溶液から得る真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0438】
直接注射のためのより濃縮された又は高濃度の溶液の調製も企図され、溶媒としてのDMSOの使用は、極めて迅速な浸透をもたらし、高濃度の活性薬剤を小さい腫瘍領域に送達することが想定される。
【0439】
製剤化すると、溶液は、投与製剤と適合する様式で、治療上有効な量で投与される。製剤は、上記の注射液の種類等の様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等も使用することができる。
【0440】
水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液は、必要に応じて適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤は、まず十分な生理食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。これらの水溶液は、とりわけ、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に好適である。これに関連して、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1つの投与量を1mlの等張性NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下注入液に添加するか、又は提案された注入部位に注射することができる(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences“15th Edition,pages 1035-1038 and 1570-1580を参照されたい)。治療されている対象の状態に応じて、投与量のいくらかの変動が必然的に生じる。投与の責任者は、いずれにせよ、個々の対象に対する適切な用量を決定する。
【0441】
本開示の抗体又は免疫コンジュゲートは、約0.01~100ミリグラム/用量等を含むように治療混合物中に製剤化され得る。
【0442】
静脈内又は筋肉内注射等の非経口投与用に製剤化された抗体又は免疫コンジュゲートに加えて、他の薬学的に許容され得る形態としては、例えば経口投与用の錠剤又は他の固体;時間放出カプセル;及び現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。
【0443】
ある種の実施形態では、リポソーム及び/又はナノ粒子の使用が、宿主細胞へのポリペプチドの導入のために企図される。リポソーム及び/又はナノ粒子の形成及び使用は、当業者に公知である。
【0444】
ナノカプセルは、一般に、安定且つ再現性のある方法で化合物を捕捉することができる。細胞内ポリマー過負荷による副作用を回避するために、そのような超微粒子(約0.1μmのサイズ)は、一般に、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計される。生分解性ポリアルキル-シアノアクリラートナノ粒子又はこれらの要件を満たす生分解性ポリラクチド若しくはポリラクチドコグリコリドナノ粒子は、本開示での使用が企図され、そのような粒子は容易に作製され得る。
【0445】
リポソームは、水性媒体中に分散し、自発的に多層同心二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を形成するリン脂質から形成される。MLVは、一般に、25nm~4μmの直径を有する。MLVの音波処理は、コアに水溶液を含有する、200から500Åの範囲の直径を有する小さい単層小胞(SUV)の形成をもたらす。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度及び二価カチオンの存在に依存する。
【0446】
投与方法及び製剤
本明細書中に記載の方法は、治療有効量の抗CEACAM5 ADCを対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」は、CEACAM5発現癌(例えば、肺癌、胃癌、胃食道接合部癌又は食道癌)の治療をもたらす治療薬の用量である。本明細書で使用される場合、「治療すること」は、CEACAM5発現癌(例えば、肺癌)に関連する1つ以上の症状の検出可能な改善を引き起こすこと又は状態若しくは症状を引き起こす根本的な病理学的機構と相関する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカのレベルの低下)を引き起こすことを指す。例えば、CEACAM5発現癌に関連する以下の症状又は状態のいずれかの改善を引き起こす抗CEACAM5 ADCの用量は、「治療有効量」と見なされる。
【0447】
別の例では、抗CEACAM5 ADCの用量が、癌(例えば、肺癌、胃癌、胃食道接合部癌又は食道癌)を発現するCEACAM5に関連する1つ以上のパラメータ又は症状の検出可能な改善をもたらさないか、又は癌の状態又は症状を引き起こす根本的な病理学的機構と相関する生物学的効果を引き起こさない場合、治療は有効ではなかった。
【0448】
これらの実施形態のいくつかによれば、抗CEACAM5 ADCは静脈内投与される。
【0449】
本開示の方法によれば、対象に投与される抗CEACAM5 ADCの治療有効量は、対象の年齢及びサイズ(例えば、体重又は体表面積)並びに投与経路及び当業者に周知の他の要因に応じて変化する。
【0450】
ある種の実施形態では、ADCの用量は、対象の体表面積に応じて変化する。ある種の実施形態では、対象に投与される抗CEACAM5 ADCの用量は、約1mg/m~約500mg/mである。いくつかの実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約5mg/m~約300mg/mである。様々な実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約5mg/m~約250mg/mである。様々な実施形態では、対象に投与されるADCの用量は、約60mg/m~約190mg/mである。
【0451】
様々な実施形態では、用量は、対象の体表面積に基づいて約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200又は210mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、約100mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、約150mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、約170mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、約190mg/mである。
【0452】
様々な実施形態では、ADCの用量は、対象の体表面積に基づいて、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200又は210mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、100mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、150mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、170mg/mである。ある種の実施形態では、ADCの用量は、190mg/mである。
【0453】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法であって、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する、方法である。
【0454】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0455】
本開示の一態様は、対象の癌を診断する方法であり、本方法は、少なくとも、
a)生物学的試料において、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)の量を測定する工程と、
b)工程a)で得られた測定量を参照の値と比較する工程であって、前記参照の値が5ng/mLである、工程と、
工程a)で得られた約5ng/mL以上の測定量が、癌を示す工程と
を含む。
【0456】
循環CEAは、血清、血漿及び全血から選択される試料中で、任意の適切な方法、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)を用いて測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、血清試料中でELISAを使用して測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、血漿試料中でELISAを使用して測定される。
【0457】
循環CEAは、治療前、治療中又は治療後の任意の時点で測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を行った後に最初に測定される。
【0458】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0459】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0460】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0461】
ある種の実施形態では、癌は、胃食道接合部癌である。
【0462】
ある種の実施形態では、癌は、食道癌である。
【0463】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0464】
ある種の実施形態では、癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。
【0465】
ある種の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0466】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0467】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0468】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性のCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0469】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0470】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0471】
ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約5ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約10ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約15ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約20ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約25ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約30ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約35ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約40ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約45ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約50ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約55ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約60ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約61ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約62ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約63ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約64ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約65ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約66ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約67ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約68ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約69ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約70ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約71ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約72ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約73ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約74ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約75ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約76ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約77ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約78ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約79ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約80ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約85ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約90ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約95ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0472】
一実施形態では、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである。
【0473】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0474】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で投与される。
【0475】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約70mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約80mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約200mg/mの用量で投与される。
【0476】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、200mg/mの用量で投与される。
【0477】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0478】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、6週間に1回投与される。
【0479】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~210mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0480】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0481】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0482】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0483】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~210mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0484】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0485】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの3週間に1回用量で投与される。
【0486】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0487】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0488】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0489】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0490】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0491】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0492】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0493】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0494】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0495】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0496】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0497】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0498】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0499】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0500】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0501】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0502】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0503】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0504】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0505】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0506】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0507】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗VEGFR2である。一実施形態では、抗VEGFR2がラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))である。
【0508】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFOXである。FOLFOXは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びオキサリプラチンを含む化学療法レジメンである。
【0509】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFIRIである。FOLFIRIは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びイリノテカン(ONIVYDE(登録商標))を含む化学療法レジメンである。
【0510】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はTAS-102である。TAS-102は、トリフルリジンとチピラシル塩酸塩との組合せである。
【0511】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗EGFRである。ある種の実施形態では、抗EGFRは、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))及びネシツムマブ(PORTRAZZA(登録商標))から選択される。
【0512】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0513】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0514】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0515】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0516】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0517】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0518】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0519】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、且つ循環CEAを約100ng/mL以上有し、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0520】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0521】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法であって、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する、方法である。
【0522】
一実施形態では、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである。
【0523】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0524】
循環CEAは、血清、血漿及び全血から選択される試料中で、任意の適切な方法、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)を用いて測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、血清試料中でELISAを使用して測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、血漿試料中でELISAを使用して測定される。
【0525】
循環CEAは、治療前、治療中又は治療後の任意の時点で測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を行った後に最初に測定される。
【0526】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0527】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0528】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0529】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0530】
ある種の実施形態では、癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。
【0531】
ある種の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0532】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0533】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0534】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性のCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0535】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0536】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0537】
ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約5ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約10ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約15ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約20ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約25ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約30ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約35ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約40ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約45ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約50ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約55ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約60ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約61ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約62ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約63ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約64ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約65ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約66ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約67ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約68ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約69ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約70ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約71ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約72ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約73ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約74ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約75ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約76ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約77ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約78ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約79ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約80ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約85ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約90ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約95ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0538】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0539】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で投与される。
【0540】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約70mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約80mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約200mg/mの用量で投与される。
【0541】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、200mg/mの用量で投与される。
【0542】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0543】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、6週間に1回投与される。
【0544】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0545】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0546】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0547】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0548】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0549】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0550】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0551】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0552】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0553】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0554】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0555】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0556】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0557】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0558】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0559】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0560】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0561】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0562】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0563】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0564】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0565】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0566】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0567】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0568】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0569】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0570】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0571】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0572】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0573】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0574】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗VEGFR2である。一実施形態では、抗VEGFR2がラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))である。
【0575】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFOXである。FOLFOXは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びオキサリプラチンを含む化学療法レジメンである。
【0576】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFIRIである。FOLFIRIは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びイリノテカン(ONIVYDE(登録商標))を含む化学療法レジメンである。
【0577】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はTAS-102である。TAS-102は、トリフルリジンとチピラシル塩酸塩との組合せである。
【0578】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗EGFRである。ある種の実施形態では、抗EGFRは、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))及びネシツムマブ(PORTRAZZA(登録商標))から選択される。
【0579】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0580】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0581】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0582】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、且つ循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0583】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0584】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0585】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0586】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の、又は陰性の、又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0587】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0588】
本開示の一態様は、対象の癌を治療する方法であって、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する、方法である。
【0589】
本開示の別の態様は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)であり、方法は、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0590】
一実施形態では、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである。
【0591】
循環CEAは、血清、血漿及び全血から選択される試料中で、任意の適切な方法、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)を用いて測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、血清試料中でELISAを使用して測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、血漿試料中でELISAを使用して測定される。
【0592】
循環CEAは、治療前、治療中又は治療後の任意の時点で測定することができる。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される。ある種の実施形態では、循環CEAは、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を行った後に最初に測定される。
【0593】
ある種の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される。
【0594】
ある種の実施形態では、癌は、進行性又は転移性である。
【0595】
ある種の実施形態では、癌は、胃癌である。
【0596】
ある種の実施形態では、癌は、肺癌である。
【0597】
ある種の実施形態では、癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。
【0598】
ある種の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0599】
ある種の実施形態では、癌は、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSQ NSCLC)である。
【0600】
ある種の実施形態では、NSQ NSCLCは、進行性又は転移性である。
【0601】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性のCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)。
【0602】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)。
【0603】
ある種の実施形態では、対象は、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)。
【0604】
ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約5ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約10ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約15ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約20ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約25ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約30ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約35ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約40ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約45ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約50ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約55ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約60ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約61ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約62ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約63ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約64ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約65ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約66ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約67ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約68ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約69ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約70ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約71ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約72ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約73ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約74ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約75ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約76ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約77ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約78ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約79ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約80ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約85ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約90ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、対象の循環CEAは、約95ng/mL以上である。ある種の実施形態では、治療前に、循環CEAは、約100ng/mL以上である。
【0605】
一実施形態では、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである。
【0606】
ある種の実施形態では、ADCは、ツサミタマブラブタンシンである。
【0607】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/m~約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、60mg/m~190mg/mの用量で投与される。
【0608】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約60mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約70mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約80mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約200mg/mの用量で投与される。
【0609】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、90mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、110mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、120mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、130mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、140mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、150mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、160mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、170mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、180mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、190mg/mの用量で投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、200mg/mの用量で投与される。
【0610】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約6週間に1回投与される。
【0611】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、4週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、5週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、6週間に1回投与される。
【0612】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0613】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100~200mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0614】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0615】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは約100mg/mの用量で約2週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で2週間に1回投与される。
【0616】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0617】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0618】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0619】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約3週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で3週間に1回投与される。
【0620】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0621】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100~200mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0622】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、約100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0623】
ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で約6週間に1回投与される。ある種の実施形態では、ツサミタマブラブタンシンは、100mg/mの用量で6週間に1回投与される。
【0624】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0625】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0626】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-1抗体である。
【0627】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチセレリズマブからなる群から選択される。
【0628】
ある種の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0629】
ある種の実施形態では、ICIは、抗PD-L1抗体である。
【0630】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、エンバホリマブ、BMS-936559、CK-301、CS-1001、SHR-1316(HTI-1088)、CBT-502(TQB-2450)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0631】
ある種の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される。
【0632】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む。
【0633】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のプラチナベースの化学療法を対象に投与することを更に含む。
【0634】
ある種の実施形態では、プラチナベースの化学療法は、シスプラチン及びカルボプラチンから選択される。
【0635】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む。
【0636】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びシスプラチンを対象に投与することを含む。
【0637】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、シスプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0638】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ及びカルボプラチンを対象に投与することを含む。
【0639】
ある種の実施形態では、本方法は、有効量のツサミタマブラブタンシン、ペムブロリズマブ、カルボプラチン及びペメトレキセドを対象に投与することを含む。
【0640】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗VEGFR2である。一実施形態では、抗VEGFR2がラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))である。
【0641】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFOXである。FOLFOXは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びオキサリプラチンを含む化学療法レジメンである。
【0642】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はFOLFIRIである。FOLFIRIは、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)及びイリノテカン(ONIVYDE(登録商標))を含む化学療法レジメンである。
【0643】
ある種の実施形態では、追加の薬剤はTAS-102である。TAS-102は、トリフルリジンとチピラシル塩酸塩との組合せである。
【0644】
ある種の実施形態では、追加の薬剤は抗EGFRである。ある種の実施形態では、抗EGFRは、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))及びネシツムマブ(PORTRAZZA(登録商標))から選択される。
【0645】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0646】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0647】
ある種の実施形態では、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0648】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性癌を有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0649】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0650】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有し(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0651】
ある種の実施形態では、対象が、NSQ NSCLC、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAが約100ng/mL以上であり、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0652】
ある種の実施形態では、対象が、進行性又は転移性NSQ NSCLCを有し、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の又は低いCEACAM5発現を有し(細胞の1%未満で≧2+の強度)、循環CEAを約100ng/mL以上有し、ADCがツサミタマブラブタンシンである。
【0653】
本開示の様々な実施形態
実施形態1では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
癌の治療を必要とする対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の、抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0654】
実施形態2では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0655】
実施形態3では、本開示は、対象の癌を治療する方法でバイオマーカとして使用するための循環癌胎児性抗原(CEA)に関し、方法は、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0656】
実施形態4では、本開示は、抗CEACAM5抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、実施形態1~3のいずれか1つの循環癌胎児性抗原(CEA)に関する。
【0657】
実施形態5では、本開示は、細胞傷害剤が、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体である、実施形態1~4のいずれか1つの循環癌胎児性抗原(CEA)に関する。
【0658】
実施形態6では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記ADCを前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0659】
実施形態7では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法で使用するための医薬品を製造するための、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の使用に関し、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体であり、及び
方法は、前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、前記対象における循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の前記医薬品を前記対象に投与することとを含み、それにより癌を治療する。
【0660】
実施形態8では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関し、本方法は、
前記対象における循環癌胎児性抗原(CEA)を測定する工程と、
前記対象の循環CEAが約5ng/mL以上である場合、有効量の抗体-薬物コンジュゲートADCを前記対象に投与し、それにより癌を治療する工程と
を含み、
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗CEACAM5抗体を含み、
抗CEACAM5抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、アミノ酸配列NTRを有するLCDR2及び配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、及び
細胞傷害剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体である。
【0661】
実施形態9では、本開示は、実施形態4~8のいずれか1つに関連し、本方法は、
約5ng/mL以上の循環癌胎児性抗原(CEA)を有する癌を有する対象を選択することと、
抗CEACAM5抗体を含む有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0662】
実施形態10では、本開示は、実施形態4~8のいずれか1つに関し、本方法は、
癌の治療を必要とする対象における第1循環癌胎児性抗原(CEA)を測定することと、
投与前に対象で最初に測定された循環CEAが約5ng/mL以上である場合、抗CEACAM5抗体を含む第1の有効量の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を対象に投与することと、
投与工程後の対象における第2の循環CEAを測定することと、
対象で測定された第2の循環CEAが第1の測定された循環CEA未満である場合、対象に第2の有効量のADCを投与することと
を含み、それにより癌を治療する。
【0663】
実施形態11では、本開示は、癌が、結腸直腸癌、胃癌、胃食道接合部癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮内膜癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌(例えば、胆管癌)、前立腺癌及び皮膚癌からなる群から選択される、実施形態1~10のいずれか1つに関する。
【0664】
実施形態12では、本開示は、癌が胃癌である、実施形態1~11のいずれか1つに関する。
【0665】
実施形態13では、本開示は、癌が肺癌である、実施形態1~12のいずれか1つに関する。
【0666】
実施形態14では、本開示は、循環CEAが、対象の腫瘍細胞上のCEACAM5発現の免疫組織化学分析を実施した後に測定される、実施形態1~13のいずれか1つに関する。
【0667】
実施形態15では、本開示は、対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の陰性の若しくは低いCEACAM5発現を有する(細胞の1%未満で≧2+の強度)か、又は
対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の中程度のCEACAM5発現を有する(細胞の1%以上且つ50%未満で≧2+の強度)か、又は
対象が、免疫組織化学によって測定される場合、腫瘍細胞上の高いCEACAM5発現を有する(細胞の50%以上で≧2+の強度)、実施形態1~14のいずれか1つに関する。
【0668】
実施形態16では、本開示は、治療前に循環CEAが約20ng/mL以上であるか、又は
治療前に、循環CEAが約50ng/mL以上であるか、又は
治療前に、循環CEAが約80ng/mL以上であるか、又は
治療前に、循環CEAが約100ng/mL以上である、実施形態1~15のいずれか1つに関する。
【0669】
実施形態17では、本開示は、抗CEACAM5抗体がツサミタマブである、実施形態1~16のいずれか1つに関する。
【0670】
実施形態18では、本開示は、ADCがツサミタマブラブタンシンである、実施形態1~17のいずれか1つに関する。
【0671】
実施形態19では、本開示は、ツサミタマブラブタンシンが約100mg/m以上の用量で約2週間に1回投与されるか、又はツサミタマブラブタンシンが、約100mg/m以上の用量で約3週間に1回投与される、実施形態18に関する。
【0672】
実施形態20では、本開示は、有効量の、癌を治療するのに有効な少なくとも1つの追加の薬剤を対象に投与することを更に含む、実施形態1~19のいずれか1つに関する。
【0673】
実施形態21では、本開示は、追加の薬剤が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、プラチナベースの化学療法、ペメトレキセド、抗VEGFR2、FOLFOX、FOLFIRI、TAS-102、抗EGFR及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態20に関する。
【0674】
実施形態22では、本開示は、ICIが、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体である、実施形態21に関する。
【0675】
実施形態23では、本開示は、抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ドスタルリマブ及びチスレリズマブからなる群から選択される、実施形態22に関する。
【0676】
実施形態24では、本開示は、抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される、実施形態22に関する。
【0677】
実施形態25では、本開示は、有効量のツサミタマブラブタンシン及びペムブロリズマブを対象に投与することを含む、実施形態1~23のいずれか1つに関する。
【0678】
実施形態26では、本開示は、有効量のプラチナベースの化学療法剤を対象に投与することを更に含む、実施形態25に関する。
【0679】
実施形態27では、本開示は、プラチナベースの化学療法がシスプラチン及びカルボプラチンから選択される、実施形態26に関する。
【0680】
実施形態28では、本開示は、有効量のペメトレキセドを対象に投与することを更に含む、実施形態27に関する。
【実施例
【0681】
実施例1.背景及び研究の根拠
ファーストインヒト(FIH)TED13751研究では、保管された腫瘍試料に対して事前スクリーニングで適用されたIHC法を使用して高いCEACAM5発現(腫瘍細胞の少なくとも50%で≧2+の強度として定義される)を有する重度に前治療されたNSQ NSCLCを有する64名の参加者のコホートを、100mg/m Q2Wのツサミタマブラブタンシンで治療した。ツサミタマブラブタンシンは、有望な抗腫瘍活性を示している。この抗腫瘍活性は、固形腫瘍の奏効評価基準(RECIST)1.1(95%CI:12.27%~31.71%)当たり20.3%の全奏効率(PRを有した13名の参加者)に関連しており、この患者集団を治療するためのツサミタマブラブタンシンの更なる開発が必要であった。腫瘍上のCEACAM5発現が高い(50%以上で強度が2以上)NSQ NSCLC参加者のこのコホートでは、応答した13人の参加者のうちの10人は、ベースライン循環CEAが高かった(100ng/mL以上)。腫瘍上の中程度のCEACAM5発現(腫瘍細胞の1%以上且つ50%未満で強度が2+以上)を有するNSQ NSCLC参加者のコホートでは、ツサミタマブラブタンシンに対する潜在的応答も評価されているが、限られた数の参加者(28人の参加者のうちの7人)のみがベースラインで高い循環CEAレベルを示した。
【0682】
CEACAM5発現状態は、診断時の初期腫瘍と臨床試験への登録時の腫瘍との間で異なっていた可能性がある。腫瘍上の循環CEAとCEACAM5発現状態との間に相関関係があると予想されるが、新鮮腫瘍生検及び循環CEA上の付随するCEACAM5発現に関する利用可能なデータはない。腫瘍学におけるバイオマーカは、治療の直前に評価される場合、最も正確であり、臨床転帰と最もよく相関する。
【0683】
参加者は、登録の数ヶ月前又は数年前であり得る一次治療前に、診断時に保存生検で評価されるCEACAM5の発現に基づいて、二次又は三次治療のEFC15858試験で事前スクリーニングされる。これは、EFC15858に事前スクリーニングされており、診断生検が陰性であるが、一次治療後のCEACAM5の不均一な発現又はCEACAM5発現の上方制御のいずれかのために、新鮮生検時に高いCEACAM5発現を有し得る参加者にとって潜在的に重要である。
【0684】
本試験では、診断時及び登録時のCEACAM5発現の相関並びに登録時の高循環CEA及び高CEACAM5発現の相関を検証するために、スクリーニング時に新鮮生検を提案する(任意)。腫瘍の異種性のために新鮮な生検を遡及的に評価し、CEACAM5発現が陰性の参加者は他の腫瘍位置で高発現を有する可能性がある。
【0685】
この試験の目的は、高い循環CEAレベルが登録時の腫瘍上の高いCEACAM5発現を反映していると仮定して、ベースラインで高い循環CEAレベルを有する参加者が、保管生検でCEACAM5が陰性-中程度に発現しているにもかかわらず、ツサミタマブラブタンシン治療から利益を得ることができるかどうかを評価することである。この目的のために、第3又は第4選択の治療におけるIHC試験により、腫瘍上の陰性~中程度のCEACAM5発現にもかかわらず、高い循環CEAレベルを有するNSQ NSCLCの参加者で抗腫瘍活性を評価する。
【0686】
実施例2.CEACAM5 IHC試験並びに循環CEA及びCEACAM5アッセイを使用した腫瘍上のCEACAM5発現の評価
腫瘍上のCEACAM5の発現を、臨床試験TED13751(NCT02187848)に登録された患者についてCEACAM5 IHC試験並びに循環CEA及びCEACAM5アッセイを使用して評価した。
【0687】
方法
A.腫瘍CEACAM5免疫組織化学(IHC)試験:
CEACAM5腫瘍発現を、最新の利用可能な保管腫瘍試料(すなわち診断時に腫瘍組織を保存するか、手術時に腫瘍組織を保存するか、又は試験に含める前で抗癌治療中ではない腫瘍試料を保存する)で事前スクリーニング時に評価した。腫瘍組織におけるCEACAM5発現のレベル及びパターンを、臨床現場で局所的に実施されるIHC(前向き試験)及び/又は実験室で中央的に実施されるIHC(後ろ向き試験又は前向き試験)のいずれかを使用して決定した。局所評価のために、Sanofiによって提供される抗CEACAM5クローン769抗体を使用してアッセイを行った。抗CEACAM5クローン769は、CEACAM5標的に対するツサミタマブラブタンシンと同じ特異性を有するマウスモノクローナル抗体である。中央評価のために、Techmateプラットフォームで実行されるSanofi抗CEACAM5クローン769抗体を使用して、検証されたアッセイで試料を最初に分析した。次いで、第2の分析では、同じ抗CEACAM5抗体を同じ濃度で使用して、Dako/Agilent Autostainer Link 48 IHCプラットフォームで検証されたCEACAM5 IHCアッセイを実行した。両方のアッセイについて、CEACAM5反応性の解釈は、腫瘍細胞におけるCEACAM5原形質膜染色(全体又は分極)のための半定量的パーセントスコア(≧2+の強度のパーセンテージを合計することによって計算される)又はHスコアを使用して、認定病理学者が行った。細胞質染色も評価した。
【0688】
B.循環CEAアッセイ:
循環CEAは、施設で日常的に使用されているアッセイを使用して局所的に決定した。インビトロ診断CEAアッセイはCEAを測定し、CEACAM5に対する特異性を主張しない。循環CEAの試料は、ベースライン時(スクリーニング中及びツサミタマブラブタンシンの最初の投与前の任意の時点)、次いで治療中及び疾患進行時の腫瘍評価と同じスケジュールに従って収集した。
【0689】
C.循環CEACAM5アッセイ:
循環CEACAM5を、事前スクリーニング前、ベースライン(投与の7日以内又はサイクル1、1日目(C1D1)のいずれか並びにサイクル1中及びツサミタマブラブタンシンの各投与前のPKサンプリングの同じ時点で中央的に決定した。循環CEACAM5レベルに特異的な中央試験を、スポンサーの研究室で行った。アッセイは、捕捉用のラットモノクローナル抗ヒトCEACAM5抗体(クローンGFR44)及び検出用のビオチンにコンジュゲートしたヒツジのポリクローナル抗ヒトCEACAM5抗体を使用した定量的サンドイッチ酵素免疫アッセイELISA法であった。0.100ng/mL~500μg/mLの範囲の濃度でのツサミタマブラブタンシンとの干渉のインビトロ評価は、ヒト血漿中のCEACAM5の定量に影響を及ぼさないことを示した。定量範囲は120pg/mL~750,000,000pg/mL(750μg/mL)であった。
【0690】
結果
A.循環CEA/循環CEACAM5相関:
高及び中程度のNSQ NSCLCコホートについてのベースラインでの循環CEA及び循環CEACAM5レベルを図1に示す。ベースライン循環CEAと循環CEACAM5レベルとの間の相関は非常に強く(スピアマンの順位相関係数0.99)、この患者集団で循環CEAとして測定された実体が循環CEACAM5と密接に関連していることを示している。
【0691】
B.ベースライン循環CEAレベル及び応答:
循環CEAレベルによる全奏効率(ORR)を表1に示す。高発現者の40%は、ベースラインで高い循環CEAレベルを示した(≧100μg/L)。13人の応答者のうち、10人(77%)がベースライン循環CEAレベル≧100μg/Lを有し、高い循環CEAレベルが応答を予測し得ることを示している。
【0692】
【表1】
【0693】
C.CEACAM5腫瘍発現/循環CEA相関:
高及び中程度のNSQ NSCLCコホートについてのベースラインでの循環CEAレベルと免疫組織化学によるCEACAM5発現との間の相関を表2に示す。
【0694】
【表2】
【0695】
腫瘍組織における循環CEA及びCEACAM5発現間の相関は、2つのコホートでは弱かった(スピアマンの順位相関係数は、高明示コホートでは0.402、中明示コホートでは0.343)。この差は、3つの試料(試験開始前に十分にサンプリングされていた可能性があるIHCのためのアーカイブ試料)間の採取時点の違いによるものであり得、CEACAM5発現が腫瘍において不均一であり得るか、又は原発腫瘍と転移との間で異なり得るためであり得る。全身評価としての循環CEAは、いくつかの病変(例えば、原発性又は転移)に由来する総CEACAM5を反映し得る。
【0696】
実施例3.試験設計
これは、進行した固形腫瘍を有する成人における、IV注入、q2w又はq3w(1サイクル=3週間)によって単剤として投与されたツサミタマブラブタンシンの非盲検、非ランダム化用量漸増、安全性、薬物動態及び抗腫瘍活性評価である。漸増フェーズは、以下の3つの異なるコホートを有する。ツサミタマブラブタンシンを2週間ごとに投与する主用量漸増コホート、サイクル1のみの負荷用量でツサミタマブラブタンシンを2週間ごとに投与する漸増ビスコホート及びツサミタマブラブタンシンを3週間ごとに投与する用量漸増q3wコホート。試験は3つの部分に分けられる。漸増フェーズ及び拡大フェーズ。
【0697】
漸増フェーズ中、CEACAM5を発現することが知られている腫瘍型を有する患者について、治療される集団が濃縮されるが、限定されず、CEACAM5発現の確認は、最新の保管組織試料及び中央検査室でIHCを使用して遡及的に行われる。濃縮のために循環CEACAM5の発現を使用することができる。
【0698】
拡大フェーズは、毎週2回の投与スケジュールで実施される。拡大フェーズ中、治療される集団は、結腸直腸癌(CRC)、NSQ NSCLC、小細胞肺癌(SCLC)及び胃腺癌(印環細胞癌サブタイプ並びにSiewert型II及びIIIの食道胃接合部(EGJ)腺癌を含む)の進行疾患を有する患者に制限される。腫瘍細胞集団の50%以上を含む≧2+の強度のCEACAM5発現は、最新の保管組織試料での事前スクリーニング中及び胃腺癌コホートにおける試験治療に適格である可能性がある患者の局所IHC評価を使用して実証される。2つの独立したNSQ NSCLC拡大フェーズコホートがある。最初のもの(肺コホート)には、CEACAM5発現が高い(腫瘍細胞集団の少なくとも50%を含む強度が2+以上)患者が含まれる。第2のコホート(肺bisコホート)には、中程度の強度(腫瘍細胞集団の1%以上~50%未満で2+以上)で陽性と事前スクリーニングされた患者が含まれる。SCLCコホートには、腫瘍細胞集団の1%以上を含む≧2+の強度のCEACAM5発現を有する患者が含まれる。腫瘍CEACAM5発現の事前スクリーニング評価は、その局所IHCプラットフォームに実装された-ツサミタマブラブタンシンモノクローナル抗体に基づく-CEACAM5アッセイを有しない研究センターについて集中的に実施される。完全なスクリーニングは、上記の定義を満たす保管症例に対してのみ行われる。CRC拡大コホートに適格である可能性があるCRC患者にはCEACAM5事前スクリーニングは必要ない。CEACAM5発現のレベルは、保管腫瘍組織と新鮮な(ベースライン試料)腫瘍組織の両方で本質的に遡及的に中央に記録される。CEACAM5腫瘍発現の確認は、ベースライン(CRC及び胃癌を有する全ての患者並びに生検を受けることができる病変を有するNSQ NSCLC及びSCLC患者に対する拡大フェーズのみの必須生検)で収集した新鮮な腫瘍組織に対して中央検査室で遡及的に行うことになる。十分な保管された腫瘍材料が利用可能である場合、発現の評価の変動性に関する知識を得るために、中央評価も遡及的に行う。遡及的分析の結果は、患者の治療に影響を及ぼさない。これは、全奏効のより良い解釈のために且つ進行時のCEACAM5発現と比較するためのベースラインとして使用される(獲得耐性の機序としてのCEACAM5の喪失の探索)。
【0699】
この目的に基づいて、循環CEACAM5を全ての事前スクリーニングされたNSCLC患者及びSCLC患者に収集して、事前スクリーニングされた不合格患者(すなわちCEACAM5陰性又は発現<2+強度)でもデータを回収する。
【0700】
この試料のために約3mLの血液を採取し、スクリーニング前訪問中に中央検査室で試験する。これは前向きの記述的診断分析であるため、含まれる可能性のある患者の統計的検出力はなく、NSQ NSCLC及びSCLCを有する全ての新しい事前スクリーニング患者がこの事前スクリーニングCEACAM5評価部分の候補となる。NSQ NSCLC及びSCLCコホートに登録される潜在的な標的患者に基づいて、約562人の患者(NSQ NSCLC患者334人及びSCLC患者228人)が事前スクリーニングされる。
【0701】
用量漸増決定は、試験委員会による検証後、反対の明確な証拠がない場合には治験薬(IMP)に関連するか否かにかかわらず、疾患の進行に関連しない場合にはq2wサイクルのサイクル1+サイクル2中及びq3wサイクルのサイクル1中に観察される用量制限毒性(DLT)に基づく。ツサミタマブラブタンシン用量を次のレベルに上昇させる前に、安全性データ、特にDLT、眼及び心臓の有害事象(AE)が試験委員会によって検討される。その後の投与で観察された累積毒性も用量漸増プロセス及び用量選択決定のために考慮される。用量漸増又は用量減少の決定は、少なくとも主催者と治験責任医師との間の合意によるDLTの評価に基づくものとする。
【0702】
q2wで1回投与される固定用量のツサミタマブラブタンシン(各14日間のサイクルの1日目)の安全性を、最初の3つの用量レベル(DL)の加速用量漸増を使用する主用量漸増プロセス、続いて過量投与対照(EWOC)を用いたベイジアン漸増で評価する。
【0703】
加速用量漸増フェーズの場合及びベイジアンEWOCの場合、DLnでサイクル1の1日目を受けた最後の患者とDLn+1でサイクル1の1日目を受ける最初の患者との間で最低3サイクル期間(約4週間)が必須となる。最大耐量(MTD)であると決定された用量は、拡大コホートで更に試験される。
【0704】
サイクル1の1日目のツサミタマブラブタンシンの負荷用量、引き続いて100mg/mの投与(主な漸増ではMTDであると決定される)の安全性は、ベイジアンEWOCプロセスを使用することになる用量漸増ビスで評価され、拡大フェーズと並行して実行される。試験される最初の負荷用量は120mg/mであり、この最初の用量が安全である場合、用量漸増は、次の135mg/m及び150mg/mの試験に進む。150mg/mでDLTが起こらない場合、試験委員会は、ベイズ則がそれを許容するならば、170、190及び210mg/mのより高いDLを評価することを決定し得る。210mg/mでDLTが起こらない場合、この負荷用量(MTD又は安全な最大投与用量(MAD))の安全性は、試験終了時の第2フェーズ用量の推奨のために考慮される。決定されたMTD又は安全なMADは、CRC-Lコホートに使用される。
【0705】
q3w(各21日間サイクルの1日目)で1回投与されるツサミタマブラブタンシンの安全性は、主用量漸増として使用されるベイジアンEWOC設計を使用して用量漸増q3wプロセスで評価される。モデルで試験されるDLは、120、150、170、190及び210mg/mになる。DL190及び210mg/mは、任意選択的なDLであり、これらのDLへの漸増は、サイクル1中のDLT並びに累積安全性データ及びPKデータ並びにベイズモデルに基づいて試験委員会によって決定される。
【0706】
組入れ基準
治験責任医師の判断で、標準的な代替療法が利用できず、以下の選択基準を満たす局所進行性又は転移性固形悪性腫瘍疾患。
【0707】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)保管組織からの、少なくとも6×5μmのスライドと、3×10μm(最良)若しくは6×5μmのいずれかであり得るか又は必要とされる材料の同じ総量を維持するのと同等であり得る追加の数のスライドは、その場所での局所試験及び/又は主催者又は主催者によって指定された研究室への出荷、腫瘍CEACAM5発現の評価(漸増フェーズで遡及的に及び拡大増殖期で予測的に)及び他の応答予測バイオマーカの探索のために利用可能であるべきである。利用可能な材料が少ない場合、患者は、主要な評価に十分な関連材料があることを評価及び確認するスポンサーとの議論後も依然として適格であり得る。
【0708】
漸増フェーズコホート(主、bis及びq3w)への参加者について、組入れは、以下を含むCEACAM5を発現する又は発現する可能性が高い腫瘍について濃縮されている(ただし、これらに限定されない):
・CEACAM5発現の高い有病率を有する悪性疾患、すなわち腺癌又は大細胞サブタイプのCRC、NSQ NSCLC、胃腺癌(Siewert II型及びIII型の印環細胞癌及びEGJ腺癌を含む)、又は
・CEACAM5発現の様々な程度の有病率及び強度を有する悪性疾患には、以下のものが含まれる。子宮頸部扁平上皮癌、膵臓腺癌、膀胱移行上皮癌、胆管癌、子宮内膜腺癌及び上皮卵巣癌、又は
・局所試験によって実証されるように、循環CEAレベル>5ng/mL。
拡大フェーズコホートへの参加者について、組入れは、以下に限定される。
・非扁平上皮サブタイプのNSCLC又は印環細胞癌サブタイプを含む胃腺癌並びにSiewert型II及びIIIの胃食道接合部(EGJ;均等に胃食道接合部(GEJ))腺癌のいずれかを有する患者。胃腺癌コホートの場合、局所IHC評価によって前向きに実証されるように、最新のFFPE保管腫瘍組織試料におけるCEACAM5発現は、腫瘍細胞集団の少なくとも50%で≧2+の強度である。保管腫瘍組織に対する局所又は中央CEACAM5発現評価に基づいて、NSQ NSCLC拡大フェーズに3つの独立したコホートがある。最初のもの(肺)には、腫瘍細胞集団の少なくとも50%が関与する≧2+の強度のCEACAM5発現を有する患者が含まれる。第2の独立コホート(肺bis)には、腫瘍細胞集団の1%以上~50%未満において≧2+の強度で事前スクリーニング陽性の患者が含まれる。
・最新のFFPE保管腫瘍組織試料でCEACAM5発現を有するSCLC患者は、局所又は中枢IHC評価によって前向きに実証されるように、腫瘍細胞集団の1%以上を含む≧2+の強度である。
・又は全ての患者にCRC患者(発現レベルにかかわらず、CEACAM5陽性を事前スクリーニングした患者を含む)。拡大フェーズが開始されると、CRC患者は、非適格(標的病変又は生検に適した病変がない)でない限り、優先的に拡大CRCコホートに含まれなければならず、並行して採用される用量漸増bisには含まれてはならない。
・拡大フェーズのみの固形腫瘍の応答評価基準バージョン1.1(RECISTv1.1)による少なくとも1つの測定可能な病変。
・生検に適した少なくとも1つの病変(拡大コホートのみ-CRC及び胃癌のみ)。患者は、(NSCLC又は病変がなく生検に適している場合を除いて)治療開始前の腫瘍CEACAM5発現の遡及的確認のためにベースライン生検に同意しなければならない。
【0709】
除外基準
平均余命<12週間。
既知又は症候性の脳転移(完全に切除されたか又は以前に放射線照射された非進行性/再発性以外)又は軟髄膜癌腫症。
任意の他の抗癌療法との同時治療。
以前のメイタンシノイド治療(DM1又はDM4抗体薬物コンジュゲート)。
【0710】
治療
ツサミタマブラブタンシンは、30mLのタイプIガラスバイアルに含まれる125mg(5mg/mL)の注入用溶液のための25mLの抽出可能な体積の濃縮物として供給される。
【0711】
初期開始DLは、q2w投与される5mg/mである。用量漸増q3wコホートでは、開始DLは120mg/mである。患者の体表面積(BSA)は、患者の身長及び実際の体重を使用して計算される。BSA>2.2mを有する患者について、用量は、2.2mBSAに基づいて計算される。
【0712】
ヒスタミンH1アンタゴニスト(ツサミタマブラブタンシン投与のおよそ1時間前に投与されるジフェニルヒドラミン50mgPO又は同等物[例えば、デクスクロルフェニラミン])による前投薬が全ての患者に必要である。注入制御ポンプを使用して、ツサミタマブラブタンシンを最初の30分間2.5mg/分の速度でIV注入によって投与し、次いで過敏反応の非存在下で5mg/分に増加させる。
【0713】
有効性
薬力学的バイオマーカ評価
ツサミタマブラブタンシンは選択的送達系を有する細胞傷害剤であり、臨床での客観的応答の誘導が期待されている。ツサミタマブラブタンシンの単回投与は、関連する実験モデルで退縮を誘導する。
【0714】
しかしながら、CEACAM5標的に関連する特異性は、血中のCEAレベルをモニタリングすることによる腫瘍成長に対する治療の影響のより正確な追跡を潜在的に可能にするであろう。実際、循環CEAレベルの測定は、CRC治療モニタリングにある程度有用である。通常、CEAは手術後1~2ヶ月以内に正常に戻り、戻らない場合、それは疾患再発を示す。同様に、循環CEAの調節は、ツサミタマブラブタンシンに対する応答の有用なPDyマーカであり得る。CEACAM5を発現する患者由来CRC異種移植片を同所移植したマウスの循環CEAを評価する内部前臨床試験は、CEAのレベルと腫瘍負荷量との間の良好な相関を示し、単一活性用量のツサミタマブラブタンシンによる治療は、腫瘍増殖と共に生じる循環CEAの上昇を予防した。循環CEAのモニタリングの有用性は、この臨床研究で検討される。
【0715】
2mL又は3mLの血漿試料を、ツサミタマブラブタンシン治療下でのCEAレベルの調節を決定するための拡大コホートに参加している全ての患者について、ベースライン及び治療下で収集することになる。サイクル1では、試料採取を、注入後6時間の時点から開始して、ツサミタマブラブタンシン後のPK採取と一致させるであろう。循環CEAのための試料は、その後の各投与前、治療の終了時及び必要に応じてフォローアップ時に1回収集される。PDyの循環CEACAM5レベルの決定は、主催者によって指定された中央検査室で、市販のELISAキットを使用して行うことになる。患者内の変動性を評価するために、登録の7日以内(スクリーニング期間)に1つの血漿試料を収集し、次いでサイクル1の1日目に投与前とする。
【0716】
有効性評価基準
漸増コホートでは、患者が容易に測定及び再評価することができる疾患を有する場合、客観的応答情報が得られる。
【0717】
拡大コホートでは、ツサミタマブラブタンシンに対する応答の評価が主な目的である。拡大フェーズに治療される全ての患者は、組入れのために少なくとも1つの測定可能な病変を有さなければならない。腫瘍評価は、少なくとも4サイクルごとに行われる。治療を続行する決定は治験責任医師による応答評価に基づくことになるが、病変の測定値は、治験依頼者による応答の決定のために電子症例報告書に収集されることになる。部分応答又は完全応答は、治療に対する確認された応答として記録されるために、少なくとも4週間間隔で行われる第2の検査で確認されなければならない。
【0718】
腫瘍応答の評価のためにRECISTv1.1基準に従う。
図1
図2
【配列表】
2024545428000001.xml
【国際調査報告】