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特表2024-545433改善された基材適合性を有するDSAに使用するための中性層及び疎水性ピン止めMAT材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】改善された基材適合性を有するDSAに使用するための中性層及び疎水性ピン止めMAT材料
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/04 20060101AFI20241129BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C08F212/04
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532791
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2022083791
(87)【国際公開番号】W WO2023099534
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/264,797
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/322,334
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー・エドワード・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】バスカラン・ドゥライラジュ
【テーマコード(参考)】
4J100
5F146
【Fターム(参考)】
4J100AB02P
4J100AB07Q
4J100AB07S
4J100AL03R
4J100AL08T
4J100BA03T
4J100BA16S
4J100BC26Q
4J100BC48Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA18
4J100FA28
4J100GC25
4J100GC35
4J100JA38
5F146AA28
(57)【要約】
本発明は、構造(A)のランダムコポリマーであって、カルボン酸を有する構造(I)の繰り返し単位、4-ビニルベンゾシクロブテンから誘導される構造(II)の繰り返し単位、構造(III)のスチレン系繰り返し単位、アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(IV)の繰り返し単位、ヒドロキシ官能化アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(V)の繰り返し単位、及び一方がHであり、他方が、Rr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である構造(A)に示される二つの末端基であって、但し、RrはC1~C8アルキルであり、Rrは、C1~C8アルキル、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分(-アルキレン-OH)、C1~C8アルキレンカルボン酸部分(-アルキレン-COH)、または構造(B)のベンジル系アルコール含有部分から選択され、Rrはシアノ部分(-CN)またはカルボニルアルキル部分(-C(=O)-Ri)であり、ここでRiはC1~C8アルキルまたはアリール部分である、二つの末端基を含む、前記ランダムコポリマーに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(A)のランダムコポリマーであって、
カルボン酸を有する構造(I)の繰り返し単位、但し、式中、Rm1はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn1はこの繰り返し単位の全数であり、かつこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約1.0モル%から約5.0モル%までの範囲である;
4-ビニルベンゾシクロブテンから誘導される構造(II)の繰り返し単位、但し、式中、Rm2はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn2はこの繰り返し単位の全数であり、かつこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約5.0モル%から約35.0モル%までの範囲である;
構造(III)のスチレン系繰り返し単位、但し、式中、Rm3はHまたはC1~C4アルキルであり、Rstyは、H、C1~C8アルキル、及びC1~C4アルキルオキシから選択され、そしてn3はこの繰り返し単位の全数であり、かつこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約25モル%から約94モル%までの範囲である;
アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(IV)の繰り返し単位、但し、式中、Rm4はHまたはC1~C4アルキルであり、RはC1~C8アルキルであり、そしてn4はこの繰り返し単位の全数であり、かつこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約64モル%までの範囲である;
ヒドロキシ官能化アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(V)の繰り返し単位、但し、式中、Rm5はHまたはC1~C4アルキルであり、LはC2~C8アルキレン部分であり、そしてn5はこの繰り返し単位の全数であり、かつこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約3モル%までの範囲である; 及び
一方がHであり、他方がRr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である、構造(A)に示される二つの末端基、但し、RrはC1~C8アルキルであり、Rrは、C1~C8アルキル、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分(-アルキレン-OH)、C1~C8アルキレンカルボン酸部分(-アルキレン-COH)、または構造(B)のベンジル系アルコール含有部分から選択され、niは0から5までの整数であり、niaは1から5までの整数であり、nibは1から5までの整数であり、そして“*”は、この部分の結合点を表し、
Rrは、シアノ部分(-CN)またはカルボニルアルキル部分(-C(=O)-Ri)であり、ここで、RiはC1~C8アルキルまたはアリール部分である;
を含み、及び更に
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマー中に存在する全繰り返し単位の100モル%未満であるかまたは100モル%に等しい、
ランダムコポリマー。
【化1】
【請求項2】
構造(III)のスチレン系繰り返し単位が、前記コポリマー中で約30.0モル%から約94.0モル%までの範囲であり; 及びアルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(IV)の前記繰り返し単位が0モル%から約45モル%までの範囲である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位から本質的になる、請求項1または2に記載のコポリマー。
【請求項4】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位からなる、請求項1~3のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載のコポリマーであって、
構造(I)の前記繰り返し単位が約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
構造(II)の前記繰り返し単位が約5モル%から約9モル%までの範囲であり、
構造(III)の前記繰り返し単位が約90モル%から約94モル%までの範囲であり、及び更に
構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位の個々のモル%の合計が、前記コポリマー中の全繰り返し単位の100モル%に等しい、前記コポリマー。
【請求項6】
m1、Rm2及びRm3がHである、請求項1~5のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項7】
styがHである、請求項1~6のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項8】
構造(A-1)を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載のコポリマー。
【化2】
【請求項9】
Rrがメチルである、請求項1~8のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項10】
RrがC1~C8アルキルである、請求項1~9のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項11】
RrがC1~C8アルキレンヒドロキシ部分である、請求項1~9のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項12】
RrがC1~C8アルキレンカルボン酸部分である、請求項1~9のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項13】
Rrが、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分である、請求項1及び3~9のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項14】
構造(B)が構造(B-1)を有する、請求項13に記載のコポリマー。
【化3】
【請求項15】
RrがCNである、請求項1~14のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項16】
Rrが前記カルボニルアルキル部分である、請求項1~14のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項17】
構造(A-2)を有する、請求項1に記載のコポリマーであって、
構造(I)の前記繰り返し単位が、約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
構造(II)の前記繰り返し単位が、約15モル%から約35モル%までの範囲であり、
構造(III)の前記繰り返し単位が約25モル%から約69モル%までの範囲であり、及び
構造(IV)の前記繰り返し単位が約5モル%から約49モル%までの範囲である、
コポリマー。
【化4】
【請求項18】
構造(III)の前記繰り返し単位が約30モル%から約60モル%までの範囲であり、及び構造(IV)の繰り返し単位が約15モル%から約45モル%までの範囲である、請求項2または17に記載のコポリマー。
【請求項19】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位から本質的になる、請求項17または18に記載のコポリマー。
【請求項20】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位からなる、請求項17~19のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項21】
構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位の個々のモル%の合計が、前記コポリマー中の全繰り返し単位の100モル%に等しい、請求項17~20のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項22】
m1、Rm2及びRm3がHであり、及びRm4がHである、請求項17~21のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項23】
m1、Rm2及びRm3がHであり、及びRm4がメチルである、請求項17~22のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項24】
styがHである、請求項17~23のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項25】
構造(A-3)を有する、請求項17~24のいずれか一つに記載のコポリマー。
【化5】
【請求項26】
Rrがメチルである、請求項17~25のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項27】
RrがC1~C8アルキルである、請求項17~26のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項28】
RrがC1~C8アルキレンヒドロキシ部分である、請求項17~26のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項29】
RrがC1~C8アルキレンカルボン酸部分である、請求項17~26のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項30】
Rrが、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分である、請求項17~26のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項31】
構造(B)が構造(B-1)を有する、請求項30に記載のコポリマー。
【化6】
【請求項32】
RrがCNである、請求項17~31のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項33】
Rrが前記カルボニルアルキル部分である、請求項17~31のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項34】
構造(A)を有する、請求項1または2に記載のコポリマーであって、
構造(I)の前記繰り返し単位が、約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
構造(II)の前記繰り返し単位が、約15モル%から約35モル%までの範囲であり、
構造(III)の前記繰り返し単位が、約30モル%から約60モル%までの範囲であり、
構造(IV)の前記繰り返し単位が、約15モル%から約45モル%までの範囲であり、
構造(V)の前記繰り返し単位が、約1モル%から約3モル%までの範囲である、
コポリマー。
【化7】
【請求項35】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位から本質的になる、請求項34に記載のコポリマー。
【請求項36】
繰り返し単位が、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位からなる、請求項34または35に記載のコポリマー。
【請求項37】
請求項34~35のいずれか一つに記載のコポリマーであって、
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の個々のモル%の合計が、前記コポリマー中の全繰り返し単位の100モル%に等しい、コポリマー。
【請求項38】
m1、Rm2、Rm3、Rm4及びRm5がHである、請求項34~37のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項39】
m1、Rm2及びRm3がHであり、Rm4及びRm5がメチルである、請求項34~37のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項40】
styがHである、請求項34~39のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項41】
構造(A-4)を有する、請求項34~39のいずれか一つに記載のコポリマー。
【化8】
【請求項42】
Rrがメチルである、請求項34~41のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項43】
RrがC1~C8アルキルである、請求項34~42のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項44】
RrがC8アルキレンヒドロキシ部分である、請求項34~42のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項45】
RrがC1~C8アルキレンカルボン酸部分である、請求項34~42のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項46】
Rrが、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分である、請求項34~42のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項47】
構造(B)が構造(B-1)を有する、請求項46に記載のコポリマー。
【化9】
【請求項48】
RrがCNである、請求項34~47のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項49】
Rrが前記カルボニルアルキル部分である、請求項34~47のいずれか一つに記載のコポリマー。
【請求項50】
請求項1~48のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項51】
請求項3~16のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項52】
請求項11~14のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項53】
請求項10に記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項54】
請求項15~33のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項55】
請求項28~31のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項56】
請求項27に記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項57】
請求項34~49のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項58】
請求項45~47のいずれか一つに記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項59】
請求項44に記載のコポリマー、及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項60】
コポリマーの架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
i)請求項50~59のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
ii)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び前記コポリマーの架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iii)ステップii)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃に加熱して、完全に架橋されたまたは完全に架橋及びグラフト化されたコポリマーコーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項61】
架橋されたまたはグラフト化及び架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ia)請求項51~53のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iia)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiia)ステップiia)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋されたまたは完全に架橋及びグラフト化された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項62】
グラフト化及び架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ib)請求項51~52のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iib)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiib)ステップiib)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋及びグラフト化された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項63】
架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ic)請求項53に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iic)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiic)ステップiic)の架橋されたコーティングを約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項64】
架橋されたまたはグラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
id)請求項54に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iid)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiid)ステップiid)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項65】
グラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ie)請求項55に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iie)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及びグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiie)ステップiie)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項66】
架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
if)請求項56に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iif)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiif)ステップiif)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項67】
架橋されたまたはグラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ig)請求項57に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iig)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiig)ステップiig)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋されたまたは完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項68】
グラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ih)請求項58に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
iih)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し、及びグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiih)ステップiih)のグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項69】
架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
i’)請求項59に記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ、
ii’)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iii’)ステップii’)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項70】
自己集合したブロックコポリマーコーティングを、中性コーティング上に形成する方法であって、次のステップ:
ij)請求項65~69のいずれか一つに従い中性コーティングを形成するステップ、
iij)ブロックコポリマーを、前記中性コーティング上に施用し、そしてブロックコポリマーコーティングの誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、
を含む、方法。
【請求項71】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのグラフォエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
ik)請求項65~69のいずれか一つに従い中性コーティングを形成するステップ、
iik)フォトレジストコーティングのコーティングを前記中性コーティング上に供し、そしてこのフォトレジストコーティング中にパターンを形成するステップ、
iiik)耐エッチング性のブロックと高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記フォトレジストパターン上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
ivk)ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記コポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項72】
フォトレジストコーティング中のパターンが、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディープUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのケモエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
il)請求項65~69のいずれか一つに従い中性コーティングを基材上に形成するステップ、
iil)フォトレジストコーティングのコーティングを、前記中性コーティング上に供し、そしてこのフォトレジストコーティング中にパターンを形成し、それにより、中性コーティングがレジストで覆われていない領域を形成するステップ、
iiil)覆われていない中性コーティングを処理して、それを除去して、ピン止め領域を形成するステップ、
ivl)前記フォトレジストを除去し、未処理の中性コーティングを裸出して、中性及びピン止め領域を含むケモエピタキシパターンを形成するステップ、
vl)耐エッチング性のブロックと、高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、中性コーティング上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
vil)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記コポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項74】
フォトレジストコーティング中のパターンが、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディープUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのケモエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
im)請求項61~63のいずれか一つに従い非極性ピン止めコーティングを基材上に形成するステップ、
iim)フォトレジストコーティングのコーティングをピン止めコーティング上に供するステップ、
iiim)前記フォトレジストコーティング中にパターンを形成し、それにより、ピン止めコーティングがレジストで覆われていない領域を形成するステップ、
ivm)覆われていないピン止めコーティングを処理してそれを除去し、裸の基材領域を形成するステップ、
vm)フォトレジストを除去し、未処理のピン止めコーティング及び基材の裸の領域の両方を裸出するステップ、
vim)裸の基材の領域において中性コーティングを施用して、中性及びピン止め領域を含むケモエピタキシパターンを形成するステップ、
viim)耐エッチング性のブロックと、高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記ケモエピタキシパターン上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
viiim)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記コポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項76】
フォトレジストコーティング中のパターンが、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディープUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
請求項71~76のいずれか一つにおいて形成されたパターンを用いて製造された微細電子デバイス。
【請求項78】
コーティングされた基材または電子デバイスの製造における、請求項1~59のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導自己集合加工に使用するための中性層及びピン止めマット組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックコポリマーの自己集合は、ナノスケールのオーダーの図形の限界寸法(CD)を達成することができる、微細電子デバイスの製造のためのより一層小さいパターン化図形を生成するのに有用な方法である。自己集合方法は、コンタクトホールまたはポストのアレイなどの繰り返し図形のためのマイクロリソグラフィ技術の解像能力を拡張するために望ましい。慣用のリソグラフィ方策では、基材または層状基材上にコーティングされたフォトレジスト層上にマスクを通して露光するために紫外(UV)放射線を使用することができる。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストが有用であり、そしてこれらは、慣用の集積回路(IC)プラズマ加工技術を用いた乾式現像を可能とするようにケイ素などの耐熱性元素を含むこともできる。ポジ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線は、フォトレジスト中で光化学的反応を引き起こして、露光された領域が、現像剤溶液でまたは慣用のICプラズマ加工によって除去されるようになる。これとは反対に、ネガ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、放射線に曝された領域を現像剤溶液を用いてまたは慣用のICプラズマ加工では除去され難くする。ゲート、ビアまたはインターコネクタなどの集積回路図形が次いで基材または層状基材中にエッチングされ、そして残ったフォトレジストは除去される。慣用のリソグラフィ暴露プロセスを用いる場合は、集積回路図形の図形寸法には限界がある。パターン寸法の更なる縮小は、収差、焦点、プロキシミティ効果、達成可能な最小露光波長及び達成可能な最大開口数に関連する制限の故に、放射線露光では達成が困難である。大規模集積へのニーズの故に、デバイスの回路寸法及び図形は絶え間なく縮小されてきた。過去には、図形の最終の解像度は、それ自体に限界のある、フォトレジストの露光に使用される光の波長に依存してきた。基材上のパターン化された領域を使用するブロックコポリマー画像形成を用いたグラフォエピタキシ及びケモエピタキシなどの誘導(別称ではガイド)自己集合技術は、CD変動を減少しながら解像度を向上するために使用される非常に望ましい技術である。これらの技術は、慣用のUVリソグラフィ技術を増強するために、またはEUV、電子線、ディープUVまたは液浸リソグラフィを用いた方策においてより一層高い解像度及びCDコントロールを可能とするために、使用することができる。誘導自己集合性ブロックコポリマーは、エッチング耐性のコポリマー単位のブロックと、エッチングされやすいコポリマー単位のブロックを含み、このブロックコポリマーは、基材上でコーティング、整列及びエッチングされた時に、非常に高密度のパターンの領域を与える。
【0003】
それぞれパターン化または非パターン化基材領域上でのブロックコポリマー膜の誘導(ガイド)または非ガイド自己集合のためには、典型的には、このブロックコポリマー層の自己集合プロセスは、中性層を覆うこの膜のアニールの間に起こる。半導体基材上のこの中性層は、パターン化されていない中性層であってよいか、またはケモエピタキシもしくはグラフォエピタキシでは、この中性層は、それぞれ、(上記のUVリソグラフィ技術を介して形成した)グラフォエピタキシまたはケモエピタキシガイド図形を含んでよい。ブロックコポリマー膜がアニールされる間、下層の中性層は、ブロックコポリマードメインのナノ相分離を誘導する。一例は、下にある中性層表面に対して垂直なラメラまたはシリンダである相分離ドメインの形成である。これらのナノ相分離ブロックコポリマードメインはプリパターン(例えば、ライン・アンド・スペースL/S)を形成し、これを、エッチングプロセス(例えばプラズマエッチング)を介して基材中に転写することができる。グラフォエピタキシまたはケモエピタキシでは、これらのガイド図形は、パターン修正及びパターン増倍の両方を誘導し得る。パターン化されていない中性層の場合は、これは、例えばL/SまたはCHの反復アレイを生成する。例えば、両方のブロックがBCP-空気界面で類似の表面エネルギーを持つポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート)(P(S-b-MMA))などの慣用のブロックコポリマーでは、これは、ポリマー-基材界面のところでグラフトもしくは架橋されている非優先的もしくは中性材料の層上にブロックコポリマーをコーティング及び熱アニールすることによって達成できる。
【0004】
グラフォエピタキシ誘導自己集合方法では、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィ(紫外線、ディープUV、電子線、極端UV(EUV)露光源)を用いてプリパターンしてライン/スペース(L/S)またはコンタクトホール(CH)パターンなどの反復トポグラフィ図形を形成した基材上で自己組織化する。L/S誘導自己集合アレイの一例では、ブロックコポリマーは、プリパターン化されたライン間のトレンチ中に異なるピッチの平行なライン-スペースパターンを形成できる自己整列したラメラ領域を形成して、トポグラフィカルライン間のトレンチ中の空間をより微細なパターンに分割することによりパターン解像度を増強することができる。例えば、プラズマエッチングに耐性がある炭素リッチなブロック(例えば、スチレンであるか、またはSi、Ge、Tiなどの何らかの他の元素を含む)、及びプラズマで高度にエッチングまたは除去可能なブロックを含む、マイクロ相分離が可能なジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーは、高解像度パターン画定を供し得る。高度にエッチング可能なブロックの例は、酸素を豊富に含み、耐熱性元素を含まず、そして高度にエッチング可能なブロックを形成することができるモノマー(例えばメチルメタクリレート)を含むことができる。自己集合パターンを画定するエッチングプロセスに使用されるプラズマエッチングガスは、典型的には、集積回路(IC)の製造に用いられるプロセスに使用されるガスである。このようにして、慣用のリソグラフィ技術によって画定可能なものと比べて非常に微細なパターンを典型的なIC基材に生成でき、そうしてパターンの増倍が達成される。同様に、グラフォエピタキシを使用することによって、コンタクトホールなどの図形をより高密度に生成することができる。グラフォエピタキシでは、慣用のリソグラフィによって画定されるコンタクトホールまたはポストのアレイの周りでの誘導自己集合によって適当なブロックコポリマーがそれ自体で整列して、エッチング可能なドメイン及び耐エッチング性のドメインの領域のより高密度なアレイを形成し、これが、エッチングした時にコンタクトホールのより高密度なアレイを与える。その結果、グラフォエピタキシは、パターン修正及びパターン増倍の両方を提供する可能性を持つ。
【0005】
ケミカルエピタキシまたはピン止めケミカルエピタキシでは、誘導自己集合プロセスの基礎となるトポグラフィを持たないかまたは顕著なトポグラフィを持たない(別の言い方では、非誘導性トポグラフィ)、化学親和性が異なる領域であるガイド図形を有する表面上に、ブロックコポリマーの自己集合が形成される。例えば、基材の表面を、慣用のリソグラフィ(UV、ディープUV、電子線、EUV)でパターン化し、それにより、表面ケミストリーが照射によって変性された露光領域が未露光で化学的変化を示さない領域と交互している、異なる化学親和性の表面をライン・アンド・スペース(L/S)パターンで形成することができる。これらの領域はトポグラフィの差異は供しないが、ブロックコポリマーセグメントの自己集合を誘導する表面化学的差異またはピン止めを供する。具体的には、耐エッチング性の繰り返し単位(例えばスチレン繰り返し単位)及び高速エッチング性の繰り返し単位(例えばメチルメタクリレート繰り返し単位)を含むブロックセグメントを持つブロックコポリマーの誘導自己集合は、パターン上での耐エッチング性ブロックセグメントと高エッチング性のブロックセグメントの正確な配置を可能とする。この技術は、これらのブロックコポリマーを正確に配置すること、及びその後に、プラズマまたはウェットエッチング加工の後に基材にパターンをパターン転写することを可能にする。ケミカルエピタキシは、ラインエッジラフネス及びCDコントロールの改善と助けとなって、そうしてパターン修正が可能となるように、化学的差異の変化によって微調整できるという利点を有する。繰り返しコンタクトホール(CH)アレイなどの他のタイプのパターンも、ケモエピタキシを用いてパターン修正することができる。
【0006】
これらの中性層は、誘導自己集合に使用されたブロックコポリマーのいずれのブロックセグメントにも親和性を持たない、基材上の層または処理された基材の表面である。ブロックコポリマーの誘導自己集合のグラフォエピタキシ法では中性層が有用である、というのも、これらは、誘導自己集合のためのブロックポリマーセグメントの適切な配置または配向を可能とし、これが、基材に対する耐エッチング性ブロックポリマーセグメント及び高エッチング性ブロックポリマーセグメントの適切な配置をもたらすからである。例えば、慣用の放射線リソグラフィで画定されたライン・アンド・スペース図形を含む表面では、中性層は、ブロックセグメントが基材の表面に対して垂直に配向するようにブロックセグメントを配向することを可能とするが、このような配向は、慣用のリソグラフィで画定されるライン間の長さに対するブロックコポリマー中のブロックセグメントの長さに依存してパターン修正とパターン増倍の両方に理想的な配向である。基材が、ブロックセグメントのうちの一つとあまりに強く相互作用すると、このセグメントがその表面上に平坦に横たわって、セグメントと基材との間の接触面が最大化されるだろう; このような表面は、慣用のリソグラフィにより生成された図形に基づいたパターンの修正またはパターンの増倍のいずれかを達成するために使用できる望ましい垂直な整列を乱すことになるであろう。選択された小さな領域を変性または基材をピン止めして、これらを、ブロックコポリマーの一つのブロックと強く相互作用するようにし、基材の残部は中性層でコーティングされた状態で残すことは、ブロックコポリマーのドメインを所望の方向に整列させるのに有用であり得、そしてこれは、パターン増倍のために使用されるピン止めケモエピタキシまたはグラフォエピタキシの基本となる。ピン止め領域は、例えば、スチレンとメチルメタクリレートとのブロックコポリマーにおけるポリメチルメタクリレートブロックセグメントなどの極性ブロックコポリマーセグメントに対して比較的大きな親和性を有する親水性であるものであり得るか、または代替的に、例えば、スチレンとメチルメタクリレートとのブロックコポリマーにおけるポリスチレンブロックセグメントに対して比較的大きな親和性を有する疎水性であってよいピン止め領域であり得る。
【0007】
PS-b-PMMAタイプのブロックコポリマーを用いた誘導自己集合は、数多くの種々の基材上で機能し得るライン・アンド・スペースパターンのケモエピタキシ成長のために中性下層を必要とする。P(S-r-VBCB-r-MMA)(すなわち、ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート)などの架橋可能なターポリマーが、DSAプロセスにおける架橋性中性マット層組成物として使用されてきた。このターポリマーは、SiOx(酸窒化ケイ素)及びSiN(窒化ケイ素)などの酸化物及び窒化物系基材上で中性層として効果的に機能するが、このターポリマーは、疎水性であるが故に、SiARC(ケイ素反射防止コーティング)基材上で深刻なデウェッティング(de-wetting)欠陥を引き起こして、次のDSAプロセスにおいて欠陥を招く。それ故、SiARC基材にとって特異的に適した新しい架橋可能な中性マット材料を開発する必要がある。
【0008】
また、ライン・アンド・スペースパターンのケモエピタキシ成長のための強健なPSピン止めパターンを必要とするPS-b-PMMAタイプのブロックコポリマーを用いた誘導自己集合のための非極性(別の言い方では疎水性)ピン止めマット層を開発する必要もある。一般的に、P(S-r-VBCB)-H(すなわち、ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン))などの架橋可能なPSコポリマーが、LiNeフロー(リュウ-ニアリーフロー)DSAプロセスにおいて広く使用されている疎水性架橋性ピン止めマット組成物である。このコポリマーは、SiOx及びSiNなどの酸化物系及び窒化物系基材のために効果的に機能する。しかし、疎水性であるが故に、このコポリマーは、SiARC基材上で深刻なデウェッティング欠陥を引き起こして、次のDSAプロセスで欠陥を招いてしまう。SiARC基材に特異的に適した新しい架橋可能な疎水性マット材料を開発する必要がある。マット材料は、それの上面にコーティングされるどの層にも不溶性の架橋された層であり、DSA中性またはピン止め層材料として使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】中性層を形成することができるテトラコポリマーの代表的構造。
図2】中性層を形成することができるペンタコポリマーの代表的構造。
図3】中性層を形成することができる代表的なターポリマーであるP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OHのH NMRスペクトル。
図4】中性層を形成することができる代表的なテトラコポリマーであるP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-COOHのH NMRスペクトル。
図5】中性層を形成することができる代表的ペンタコポリマーであるP(S-r-VBCB-r-MMA-r-HEMA-r-VBA)のH NMRスペクトル。
図6】LPC(FOV100)によるSiARC上の中性マットのコーティング欠陥分析。
図7】非極性架橋ピン止めマットを形成することができるターポリマーの代表例P(S-r-VBCB-r-VBA)-R(R=H、OH、COOH)。
図8】例14のP(S-r-VBCB-r-VBA)-COOHのH NMRスペクトル。
図9】例15のP(S-r-VBCB-r-VBA)-OHのH NMRスペクトル。
図10】LPCによるSiARC上の疎水性マットのコーティング欠陥分析。
図11】比較例2の種々の欠陥のPS5 SEM画像。
図12】例15の種々の欠陥のPS5 SEM画像。
図13】例14の種々の欠陥のPS5 SEM画像。
図14図15~17におけるグレートーン欠陥指定の鍵であるIMEC自己集合欠陥検証テンプレート
図15】IMEC欠陥検証(SOL COMP2)
図16】IMEC欠陥検証DO1:(SOL15)
図17】IMEC欠陥検証DO1:(SOL14)
図18】ISX302及びISX304上にキャストされたP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH膜を用いた中性層膜の、表6におけるコーティングについてのコーティング欠陥タイプの例。
図19】ISX302及びISX304上にキャストされたP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH膜を用いた、表6における中性層の膜コーティングのコンタクトホール自己集合体の例。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US9574104B1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Macromolecules 2019,52,2987-2994
【非特許文献2】Macromol.Rapid Commun.2018,39,1800479
【非特許文献3】A.Deiter Shluter et al Synthesis of Polymers,2014,Volume 1,p315
【非特許文献4】Encyclopedia of Polymer Science and Technology,2014,Vol 7,p 625
【発明の概要】
【0012】
本発明の一つの観点は、SiARC並びにSiOx及びSiN基材と適合する、改良型の架橋可能な中性テトラポリマー及びペンタポリマーである。これの一つの観点は、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(AIBN-OH)または4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(AIBN-COOH)によって開始された、スチレン(S)、4-ビニルベンゾシクロブテン(VBCB)、メチルメタクリレート(MMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び4-ビニル安息香酸(VBA)からなる新規のテトラポリマー及びペンタポリマーである。P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA-r-HEMA)-OH[すなわち、ヒドロキシル停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート]またはP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA-r-HEMA)-COOH[すなわち、カルボン酸停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)]への組成の改善が、コーティングの欠陥が少ない中性架橋性マットを与えた。S及びMMA成分は、必要な中性さをポリマーに与える。VBCB成分は、ベークした時に不溶性膜にポリマーを架橋することを可能にする。VBA及びHEMA成分は、ポリマーを、SiARC基材とより適合したものとする。開始剤からのヒドロキシル-またはカルボン酸-停止末端基は、ポリマーを基材上にグラフトさせ、そして高温ベークがポリマーを架橋した時にポリマーを保持する。
【0013】
この改良型の架橋可能な疎水性コポリマーの他の観点の一つは、SiARC並びにSiOx及びSiN基材と適合している点である。該新規コポリマーは、スチレン(S)、4-ビニルベンゾシクロブテン(VBCB)及び4-ビニル安息香酸(VBA)から、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(AIBN-OH)または4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(AIBN-COOH)のいずれかで開始されてなる。P(S-r-VBCB-r-VBA)-OH[すなわち、ヒドロキシル停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)]またはP(S-r-VBCB-r-VBA)-COOH[すなわち、カルボン酸停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)]への組成の改良が、コーティングの欠陥が少ない疎水性架橋性ピン止めマットを与えた。S成分は、ピン止め疎水性をポリマーに与える。VBCB成分は、ベークした時に不溶性膜にポリマーを架橋することを可能にする。VBA成分は、ポリマーを、SiARC基材とより適合したものとする。開始剤からのヒドロキシル-またはカルボン酸-停止末端基は、ポリマーを基材上にグラフトさせ、そして高温ベークがポリマーを架橋した時にポリマーを保持する。
【0014】
本発明は、構造(A)のランダムコポリマーであって、
・カルボン酸を有する構造(I)の繰り返し単位、但し、Rm1はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn1はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約1.0モル%から約5.0モル%までの範囲である;
・4-ビニルベンゾシクロブテンから誘導される構造(II)の繰り返し単位、但し、Rm2はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn2はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約5.0モル%から約35.0モルまでの範囲である;
・構造(III)のスチレン系繰り返し単位、但し、Rm3はHまたはC1~C4アルキルであり、RstyはH、C1~C8アルキル及びC1~C4アルキルオキシから選択され、そしてn3はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約25モル%から約94.0モル%までの範囲である;
・アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(IV)の繰り返し単位、但し、Rm4はHまたはC1~C4アルキルであり、RはC1~C8アルキルであり、そしてn4はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約64モル%までの範囲である;
・ヒドロキシ官能化アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(V)の繰り返し単位、但し、Rm5はHまたはC1~C4アルキルであり、LはC2~C8アルキレン部分であり、そしてn5はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約3モル%までの範囲である; 及び
・一方はHであり、他方はRr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である、構造(A)に示される二つの末端基、但し、RrはC1~C8アルキルであり、RrはC1~C8アルキル、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分(-アルキレン-OH)、C1~C8アルキレンカルボン酸部分(-アルキレン-COH)、または構造(B)のベンジル系アルコール含有部分から選択され、ここで、niは0から5までの範囲の整数であり、niaは1から5までの整数であり、nibは1から5までの整数であり、そして「*」は、この部分の結合点を表し、Rrは、シアノ部分(-CN)またはカルボニルアルキル部分(-C(=O)-Ri)であり、ここでRiはC1~C8アルキルまたはアリール部分である;
を含み、及び更に
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマー中に存在する全繰り返し単位の100モル%未満であるかまたは100モル%に等しい、
ランダムコポリマーを記載するものである。
【0015】
【化1】
本発明の他の観点の一つは、これらのポリマーのうちの一つ及び有機系スピンコーティング溶剤を含む組成物である。
【0016】
本発明の他の観点の一つは、これらの組成物をコーティングし、そして架橋された非極性(別の言い方では疎水性)ピン止めマットまたは架橋された中性層のいずれかを熱生成し、そしてこれらをリソグラフィDSA加工に使用する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明に関してそれを限定するものではないと理解するべきである。本願において、他に具体的に記載がなければ、単数形の使用は複数を包含し、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分の両方を包含する。他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は両立的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0018】
「C1~C4アルキル」という用語は、メチル及びC2~C4線状アルキル及びC3~C4分岐状アルキル部分、例えばメチル(-CH)、エチル(-CH-CH)、n-プロピル(-CH-CH-CH)、イソプロピル(-CH(CH、n-ブチル(-CH-CH-CH-CH)、tert-ブチル(-C(CH)、イソブチル(CH-CH(CH、2-ブチル(-CH(CH)CH-CH)を包含する。同様に、C1~C8という用語は、メチル、C2~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C4~C8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)またはC5~C8アルキレンシクロアルキル(例えば、-CH-シクロヘキシル、CH-CH-シクロペンチルなど)を包含する。
【0019】
「C2~C5アルキレン」という用語は、C2~C5線状アルキレン部分(例えば、エチレン、プロピレンなど)及びC3~C5分岐状アルキレン部分(例えば、-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-など)を包含する。
【0020】
ここに記載の本発明の組成物中の成分として有用な、スチレン系繰り返し単位部分と、アルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される繰り返し単位部分とのジブロック及びトリブロックコポリマーは、例えばアニオン重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、リビングラジカル重合など様々な方法によって製造することができる(Macromolecules 2019,52,2987-2994(非特許文献1);Macromol.Rapid Commun.2018,39,1800479(非特許文献2);A.Deiter Shluter et al Synthesis of Polymers,2014,Volume 1,p315(非特許文献3);Encyclopedia of Polymer Science and Technology,2014,Vol 7,p 625(非特許文献4))。
【0021】
ランダムコポリマーのポリ(スチレン-co-メチルメタクリレート)は「P(S-co-MMA)」と略され、そしてこの材料のオリゴマー型はオリゴ(S-co-MMA)と略される。同様に、ブロックコポリマーのポリ(スチレン-ブロック-メチルメタクリレート)はP(S-b-MMA)と略され、他方で、この材料のオリゴマーはオリゴ(S-b-MMA)と略される。オリゴマーのオリゴ(スチレン-co-p-オクチルスチレン)-ブロック-(メチルメタクリレート-co-ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)は、ランダムブロックコポリマーの構成要素を指定するために同じ略語を使用し、具体的には、オリゴ(S-co-p-OS)-b-P(MMA-co-DEGMEMA)(S=スチレン、p-OS=パラ-オクチルスチレン、MMA=メチルメタクリレート、DEGMEMA=ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)は、二つのブロックがランダムコポリマーであるこのブロックコポリマー中の繰り返し単位を指定する。
【0022】
FOVは、本願においてSEM図のトップダウン走査電子顕微鏡(SEM)の「視野(field of view)」の略語である。「L/S」は、「ライン・アンド・スペース」リソグラフィ図形の略語である。
【0023】
PGMEA及びPGMEは、それぞれ、1-メトキシプロパン-2-イルアセテート及び1-メトキシプロパン-2-オールの略語である。
【0024】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0025】
他に指示がなければ、「アルキル」は、線状または分岐状(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル及び類似の基)または環状(例えば、シクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル及び類似の基)、または多環式(例えば、ノルボルニル、アダマンチル及び類似の基)であることができる炭化水素基を指す。これらのアルキル部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。「アルキル」という用語は、C1~C8炭素を有するこのような部分を指す。構造上の理由から、線状アルキルはC1から始まり、他方で、分岐状アルキル及び環状アルキルはC3から始まり、そして多環式アルキルはC5から始まると理解される。更に、以下に記載のアルキルから誘導される部分、例えばアルキルオキシ及びパーフルオロアルキルは、他に記載がなければ、同じ炭素数範囲を有すると理解される。上記とは異なるアルキル基の長さが規定される場合は、アルキルの前記の定義は、前記の全てのタイプのアルキル部分を包含する点でなおも有効であり、及び所与のタイプのアルキル基の最小炭素数に関しての前記の構造に関する考慮はなおも該当する。
【0026】
アルキルオキシ(別称ではアルコキシ)は、オキシ(-O-)部分を介して結合したアルキル基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及び類似の基)を指す。これらのアルキルオキシ部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。
【0027】
ハロまたはハライドは、一つの結合手によって有機部分に結合するハロゲン、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0028】
ここで使用する場合、ラクトンという用語は、モノラクトン類(例えば、カプロラクトン)及びジラクトン類(例えばラクチド)の両方を包含する。
【0029】
ハロアルキルは、水素のうちの少なくとも一つが、F、Cl、Br、I、または1超のハロ部分が存在する場合にはこれらの混合物の群から選択されるハライドによって置き換えられている、上述したものなどの、線状、環状または分岐状の飽和アルキル基を指す。フルオロアルキルは、これらの部分の特定のサブグループである。
【0030】
パーフルオロアルキルは、水素の全てがフッ素に置き換えられた先に定義した線状、環状または分岐状飽和アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロシクロヘキシル及び類似の基)を指す。
【0031】
構造(A)のコポリマー
本発明の一つの態様は、構造(A)の本発明のランダムコポリマーであって、
・カルボン酸を有する構造(I)の繰り返し単位、但し、Rm1はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn1はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約1.0モル%から約5.0モル%までの範囲である;
・4-ビニルベンゾシクロブテンから誘導される構造(II)の繰り返し単位、但し、Rm2はHまたはC1~C4アルキルであり、そしてn2はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約5.0モル%から約35.0モルまでの範囲である;
・構造(III)のスチレン系繰り返し単位、但し、Rm3はHまたはC1~C4アルキルであり、RstyはH、C1~C8アルキル及びC1~C4アルキルオキシから選択され、そしてn3はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で約25モル%から約94.0モル%までの範囲である;
・アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(IV)の繰り返し単位、但し、Rm4はHまたはC1~C4アルキルであり、RはC1~C8アルキルであり、そしてn4はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約64モル%までの範囲である;
・ヒドロキシ官能化アルキルアクリレートまたはアルキル2-メチレンアルカノエートから誘導される構造(V)の繰り返し単位、但し、Rm5はHまたはC1~C4アルキルであり、LはC2~C8アルキレン部分であり、そしてn5はこの繰り返し単位の全数であり、及びこの繰り返し単位は、前記コポリマー中で0モル%から約3モル%までの範囲である; 及び
・一方はHであり、他方はRr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である、構造(A)に示される二つの末端基、但し、RrはC1~C8アルキルであり、RrはC1~C8アルキル、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分(-アルキレン-OH)、C1~C8アルキレンカルボン酸部分(-アルキレン-COH)、または構造(B)のベンジル系アルコール含有部分から選択され、ここで、niは0から5までの範囲の整数であり、niaは1から5までの整数であり、nibは1から5までの整数であり、そして「*」は、この部分の結合点を表し、
Rrは、シアノ部分(-CN)またはカルボニルアルキル部分(-C(=O)-Ri)であり、ここでRiはC1~C8アルキルまたはアリール部分である;
を含み、及び更に
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマー中に存在する全繰り返し単位の100モル%未満であるかまたは100モル%に等しい、
ランダムコポリマーである。
【0032】
【化2】
先に記載した構造(A)の本発明のランダムコポリマーの他の観点の一つでは、構造(III)の前記繰り返し単位は約30モル%から約60モル%までの範囲であり、そして構造(IV)の繰り返し単位は0モル%から約45モル%までの範囲である。
【0033】
繰り返し単位(I)、(II)及び(III)を含むコポリマー
構造(A)の前記の本発明のコポリマーの一つの観点では、前記繰り返し単位は、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位から本質的になる。この態様の他の観点の一つでは、前記コポリマーは、繰り返し単位が、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位からなるものである。
【0034】
ここに記載の構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、構造(I)の前記繰り返し単位は約1モル%から約5モル%までの範囲であり、構造(II)の前記繰り返し単位は約5モル%から約9モル%までの範囲であり、構造(III)の前記繰り返し単位は約90モル%から約94モル%までの範囲であり、及び更に、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマーの全繰り返し単位の100モル%に等しい。
【0035】
ここに記載の構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、Rm1、Rm2及びRm3はHである。
【0036】
構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、RstyはHである。
【0037】
ここに記載の構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(A-1)を有する。
【0038】
【化3】
構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、Rr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である前記の末端基において、Rrはメチルである。他の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキルである。更に別の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンヒドロキシ部分である。なお更に別の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンカルボン酸部分である。なお更に別の観点の一つでは、Rrは、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分であり、及びこの態様の他の観点の一つでは、構造(B)は構造(B-1)を有する。この態様の他の観点の一つでは、RrはCNである。この態様の他の観点の一つでは、Rrは前記カルボニルアルキル部分である。
【0039】
【化4】
繰り返し単位(I)、(II)、(III)及び(IV)を含むコポリマー
構造(A)の前記の本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(A-2)を有し、ここで
・構造(I)の前記繰り返し単位は約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
・構造(II)の前記繰り返し単位は約15モル%から約35モル%までの範囲であり、
・構造(III)の前記繰り返し単位は約25モル%から約69モル%までの範囲であり、及び
・構造(IV)の前記繰り返し単位は約5モル%から約49モル%までの範囲である。
【0040】
この態様の他の観点の一つでは、構造(A-2)の前記の本発明のコポリマーは、
・構造(I)の前記繰り返し単位が約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
・構造(II)の前記繰り返し単位が約15モル%から約35モル%までの範囲であり、
・構造(III)の前記繰り返し単位が約30モル%から約60モル%までの範囲であり、及び
・構造(IV)の前記繰り返し単位が約15モル%から約45モル%までの範囲である、
ものである。
【0041】
構造(A-2)のコポリマーの一つの観点では、それの繰り返し単位は、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位から本質的になる。この態様の他の観点の一つは、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位からなる。この態様の他の観点の一つでは、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマー中の全繰り返し単位の100モル%に等しい。
【0042】
【化5】
構造(A-2)の前記本発明のコポリマーの一つの観点では、Rm1、Rm2及びRm3はHでありかつRm4はHである。他の観点の一つでは、Rm1、Rm2及びRm3はHであり、かつRm4はメチルである。更に別の観点の一つでは、RstyはHである。
【0043】
ここに記載の構造(A-2)の前記本発明のコポリマーの一つの観点では、これは構造(A-3)を有する。
【0044】
【化6】
ここに記載の構造(A-2)または(A-3)の前記本発明のコポリマーの他の観点の一つでは、Rr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である前記末端基において、Rrはメチルである。この態様の他の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキルである。他の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンヒドロキシ部分である。更に別の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンカルボン酸部分である。なお更に別の観点の一つでは、Rrは、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分であり、そしてこの態様の他の観点の一つでは、これは構造(B-1)を有する。この態様の他の観点の一つでは、RrはCNである。他の観点の一つでは、Rrは前記カルボニルアルキル部分である。
【0045】
【化7】
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)を含むコポリマー
構造(A)の前記本発明のコポリマーの一つの観点において、
・構造(I)の前記繰り返し単位は約1モル%から約5モル%までの範囲であり、
・構造(II)の前記繰り返し単位は約15モル%から約35モル%までの範囲であり、
・構造(III)の前記繰り返し単位は約30モル%から約60モル%までの範囲であり、
・構造(IV)の前記繰り返し単位は約15モル%から約45モル%までの範囲であり、
・構造(V)の前記繰り返し単位は約1モル%から約3モル%までの範囲である。
【0046】
この態様の一つの観点では、その繰り返し単位は、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位から本質的になる。この態様の他の観点の一つでは、これは構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位からなる。この態様の他の観点の一つでは、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の個々のモル%の合計は、前記コポリマー中の全繰り返し単位の100モル%に等しい。この態様の他の観点の一つでは、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4及びRm5はHである。この態様の他の観点の一つでは、Rm1、Rm2及びRm3はHであり、かつRm4及びRm5はメチルである。この態様の他の観点の一つでは、RstyはHである。
【0047】
【化8】
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の全てがここに記載の一つのポリマー中に存在するここに記載の態様の一つの観点では、これは、より具体的な構造(A-4)を有する。
【0048】
【化9】
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位の全てが一つのポリマー中に存在しかつ構造(A)または(A-4)のいずれかを有するここに記載の態様の他の観点の一つでは、Rr、Rr及びRrで置換されたメチル部分である前記末端基において、Rrはメチルである。この態様の他の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキルである。この態様の更に別の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンヒドロキシ部分である。この態様のなお更に別の観点の一つでは、RrはC1~C8アルキレンカルボン酸部分である。この態様のなお更に別の観点の一つでは、Rrは、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分であり、及びこの態様の他の観点の一つでは、これは構造(B-1)を有する。更に別の観点の一つでは、RrはCNである。更に別の観点の一つでは、Rrは前記カルボニルアルキル部分である。
【0049】
【化10】
本発明のコポリマーを含む組成物
構造(A)のコポリマーを含む組成物
本発明の他の観点の一つは、ここに記載の構造(A)のコポリマーと、有機系スピンキャスト溶剤とを含む、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物である。
【0050】
架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして非極性ピン止め層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0051】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含むものかまたはここに記載のより具体的な構造(A-1)を有するものであり、ここに記載のように非極性ピン止め層を形成できる組成物である。
【0052】
架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして非極性ピン止め層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0053】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含むかまたはより具体的な構造(A-1)を有するものであり、但し、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択され、そしてここに記載のように非極性ピン止め層を形成することができる組成物である。
【0054】
架橋のみでき、そうして非極性ピン止め層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、架橋できる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含むかまたはより具体的な構造(A-1)を有するものであり、但し、RrはC1~C8アルキルであり、そしてここに記載のように、非極性ピン止め層を形成することができる、組成物である。
【0055】
架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0056】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含み、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含むかまたはより具体的な構造(A-2)または(A-3)を有するものであり、そしてここに記載のように非極性ピン止め層を形成することができる組成物である。
【0057】
繰り返し単位として構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む、構造(A)のコポリマーを含み、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして中性層を形成する組成物。
【0058】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含み、架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、前記コポリマーが、ここに記載の構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含むかまたはより具体的な構造(A-2)または(A-3)を有し、但し、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択される、組成物である。
【0059】
架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして中性層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0060】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含み、架橋できる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含むかまたはより具体的な構造(A-2)または(A-3)を有するものであり、ここでRrはC1~C8アルキルであり、ここに記載したように中性層を形成することができる、組成物である。
【0061】
架橋だけすることができ、そうして中性層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0062】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含むかまたはより具体的な構造(A-4)を有するものであり、ここに記載したように中性層を形成することができる、組成物である。
【0063】
架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして中性層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位のみを含む、構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0064】
本発明の他の観点の一つは、架橋できるかまたは架橋とグラフト化とを組み合せてできる、組成物であって、コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含むかまたはより具体的な構造(A-4)を有するものであり、ここに記載したように中性層を形成することができる、組成物である。
【0065】
架橋とグラフト化とを組み合せてでき、そうして中性層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含む、構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0066】
本発明の他の観点の一つは、架橋とグラフト化とを組み合せてできる組成物であって、コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含むかまたはより具体的な構造(A-4)を有するものであり、ここで、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択され、ここに記載のように中性層を形成することができる、組成物である。
【0067】
架橋だけすることができ、そうして中性層を形成する、繰り返し単位として、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含む、構造(A)のコポリマーを含む組成物。
【0068】
本発明の他の観点の一つは、コポリマー及び有機系スピンキャスト溶剤を含む、架橋できる組成物であって、前記コポリマーが、構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位を含むかまたはより具体的な構造(A-4)を有し、ここでRrはC1~C8アルキルであり、ここに記載のように中性層を形成することができる、組成物である。
【0069】
本発明のコポリマーを含む組成物を用いた方法
本発明の他の観点の一つは、コポリマーの架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
i)ここに記載の構造(A)を有する本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、基材上にコーティングを形成するステップ、
ii)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及びコポリマーの架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iii)ステップii)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃に加熱して、完全に架橋されたまたは完全に架橋及びグラフト化されたコポリマーコーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0070】
非極性ピン止め層を形成する方法
本発明の他の観点の一つは、架橋されたまたはグラフト化及び架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ia)ここに記載の構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、基材上にコーティングを形成するステップ、
iia)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiia)ステップiia)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋されたまたは完全に架橋及びグラフト化された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0071】
本発明の他の観点の一つは、グラフト化及び架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ib)ここに記載の構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、基材上にコーティングを形成するステップ、但し、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択される、
iib)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiib)ステップiib)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋及びグラフト化された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0072】
本発明の他の観点の一つは、架橋された非極性ピン止めコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ic)ここに記載の構造(I)、(II)及び(III)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、基材上にコーティングを形成するステップ、但し、RrはC1~C8アルキルである、
iic)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiic)ステップiic)の架橋されたコーティングを約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0073】
構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含むコポリマーを用いた中性層の形成方法
本発明の他の観点の一つは、架橋されたまたはグラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
id)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、基材上にコーティングを形成するステップ、
iid)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiid)ステップiid)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された非極性ピン止めコーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0074】
本発明の他の観点の一つは、グラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方であって、次のステップ:
ie)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、コーティングを基材上に形成するステップ、但し、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択される、
iie)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及びグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiie)ステップiie)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0075】
本発明の他の観点の一つは、架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
if)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)及び(IV)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、コーティングを基材上に形成するステップ、但し、Rrは、C1~C8アルキルである、
iif)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiif)ステップiif)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0076】
構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位のみを含むコポリマーを用いた中性層の形成方法
本発明の他の観点の一つは、架橋されたまたはグラフト化及び架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ig)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて、コーティングを基材上に形成するステップ、
iig)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiig)ステップiig)の架橋されたまたはグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋されたまたは完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0077】
本発明の他の観点の一つは、架橋及びグラフト化された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
ih)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いて基材上にコーティングを形成するステップ、但し、Rrは、C1~C8アルキレンヒドロキシ部分、C1~C8アルキレンカルボン酸部分、構造(B)のベンジル系アルコール含有部分、及び構造(B-1)のベンジル系アルコール含有部分からなる群から選択される、
iih)前記コーティングを、約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し、及びグラフト化及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iiih)ステップiih)のグラフト化及び架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全にグラフト化及び架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0078】
本発明の他の観点の一つは、架橋された中性コーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
i’)ここに記載の構造(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の繰り返し単位のみを含む、ここに記載の本発明のコポリマーのいずれか一つを含む、ここに記載の組成物のいずれか一つを用いてコーティングを基材上に形成するステップ、但し、Rrは、C1~C8アルキルである、
ii’)前記コーティングを約90℃から約180℃までの温度で加熱して、溶剤を除去し及び架橋されたコーティングを形成するステップ、
iii’)ステップii’)の架橋されたコーティングを、約200℃から約250℃までの温度で加熱して、完全に架橋された中性コーティングを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0079】
本発明の中性層を用いたブロックコポリマーの自己集合方法
本発明の他の観点の一つは、自己集合したブロックコポリマーコーティングを、中性コーティング上に形成する方法であって、次のステップ:
ij)中性層コーティングを形成するここに記載の本発明の方法のいずれかに従い中性コーティングを形成するステップ、
iij)ブロックコポリマーを、前記中性コーティング上に施用し、そしてブロックコポリマーコーティングの誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、
を含む、方法である。
【0080】
本発明の中性層を用いたグラフォエピタキシ誘導自己集合方法
本発明の他の観点の一つは、画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのグラフォエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
ik)中性層コーティングを形成するここに記載の本発明の方法のいずれかに従い中性コーティングを形成するステップ、
iik)フォトレジストコーティングのコーティングを前記中性コーティング上に供し、そしてこのフォトレジストコーティング中にパターンを形成するステップ、
iiik)耐エッチング性のブロックと高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記フォトレジストパターン上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
ivk)ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記コポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0081】
該方法の他の観点の一つでは、フォトレジストコーティング中のパターンは、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディーブUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される。
【0082】
本発明の中性層を用いたケモエピタキシ誘導自己集合方法
本発明の他の観点の一つは、画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのケモエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
il)中性層コーティングを形成するここに記載の本発明の方法のいずれかに従い、中性コーティングを基材上に形成するステップ、
iil)フォトレジストコーティングのコーティングを、前記中性コーティング上に供し、そしてこのフォトレジストコーティング中にパターンを形成し、それにより、中性コーティングがレジストで覆われていない領域を形成するステップ、
iiil)覆われていない中性コーティングを処理して、それを除去して、ピン止め領域を形成するステップ、
ivl)前記フォトレジストを除去し、未処理の中性コーティングを裸出して、中性及びピン止め領域を含むケモエピタキシパターンを形成するステップ、
vl)耐エッチング性のブロックと高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記中性コーティング上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
vil)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記ブロックコポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0083】
該方法の他の観点の一つでは、フォトレジストコーティング中のパターンは、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディーブUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される。
【0084】
本発明の非極性ピン止め層を用いた、ケモエピタキシ誘導自己集合方法
本発明の他の観点の一つは、画像を形成するために使用されるブロックコポリマーコーティングのケモエピタキシ誘導自己集合方法であって、次のステップ:
im)非極性ピン止めコーティングを形成するここに記載の本発明の方法のいずれか一つに従い、非極性ピン止めコーティングを基材上に形成するステップ、
iim)フォトレジストコーティングのコーティングをピン止めコーティング上に供するステップ、
iiim)前記フォトレジストコーティング中にパターンを形成し、それにより、ピン止めコーティングがレジストで覆われていない領域を形成するステップ、
ivm)覆われていないピン止めコーティングを処理してそれを除去して、裸の基材領域を形成するステップ、
vm)フォトレジストを除去し、未処理のピン止めコーティング及び基材の裸の領域の両方を裸出するステップ、
vim)裸の基材の領域において中性コーティングを施用して、中性及びピン止め領域を含むケモエピタキシパターンを形成するステップ、
viim)耐エッチング性のブロックと高度にエッチング可能なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記ケモエピタキシパターン上に施用し、そして誘導自己集合が起こるまでアニールするステップ、及び
viiim)ブロックコポリマーをエッチングし、それにより、基材の領域を覆う前記コポリマーの高度にエッチング可能なブロックを除去し及び同時に、これらの領域において選択的に基材中にパターンを形成するステップ、
を含む、方法である。
【0085】
該方法の他の観点の一つでは、フォトレジストコーティング中のパターンは、電子線リソグラフィ、ブロードバンドUVリソグラフィ、193nm液浸リソグラフィ、13.5nmEUVリソグラフィ、193nmディープUVリソグラフィ、248nmディーブUVリソグラフィ、365nmUVリソグラフィ及び436nmUVリソグラフィからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される。
【0086】
本発明の他の観点の一つは、自己集合、グラフォエピタキシ誘導自己集合及びケモエピタキシ方法のうちのいずれか一つで形成されたパターンを用いて製造された微細電子デバイスである。
【0087】
本発明の更に別の観点の一つは、コーティングされた基材または電子デバイスの製造における、ここに開示または特許請求される組成物の使用である。
【実施例
【0088】
化学品及び特性付け用装置
他に指示がなければ、化学品は、ミリポア-シグマコーポレーション(St.Louis,Missouri)から入手した。
【0089】
H NMRスペクトルは、ブルーカー社製Advance III 400MHzスペクトロメータを用いて記録した。
【0090】
リソグラフィ実験は、TEL Clean ACT8トラックを用いて行った。SEM画像は、アプライドマテリアルズ社製NanoSEM_3D走査電子顕微鏡を用いて撮影した。画像は、5FOV倍率または100FOV倍率(視野(FOV)=1、2及び5FOVを用いて5μm)のいずれかで示す。エッチング実験は、メチルメタクリレートとスチレンとの自己集合膜ブロックコポリマーにとって標準的な等方性酸素エッチング条件を用いて行った。
【0091】
他に指示がなければ、分子量測定(別の言い方ではM多分散性)は、100Å、500Å、10Å、10Å及び10Åμ-ウルトラスチラゲルカラムを備えたゲル浸透クロマトグラフィ(PSS Inc.社、独国)によって、溶離液としてTHF溶剤を用いて行った。ポリスチレンポリマー標準をキャリブレーションに使用した。GPCは、100Å、500Å、10Å、10Å及び10Åμ-ウルトラスチラゲルカラムを備えたアジレント社製ゲル浸透クロマトグラフィシステムを用いて測定した。PSキャリブレーション標準に対し、第一のP(SDPE)ブロックはM(GPC)=45,048g/モル及びM/M=1.04を有することを示した。ゲル浸透クロマトグラフィ:THF溶液中1mg/mLを、0.1μLを使用して、ポリスチレンキャリブレートGPCツール中に、1mL/分THFフローで注入した。
【0092】
試験用ポリマー材料の合成
参照用ブロックコポリマー合成例1
P(S-b-MMA)(26k-b-30k)の合成
P(S-b-MMA)(26K-b-30K)を、例2と同じ手順を用いて合成した。目的のMn、及びPSとPMMAブロックとの組成を達成するために、開始剤の量及びモノマー量を変えた。手短に言えば、20g(192mmol)のスチレンを、0.55mL(1.4M溶液)のsec-ブチルリチウムを用いて重合した。次いで、2.5mLの無水トルエン中の0.16g(0.7mmol)の1,1’-ジフェニルエチレン(DPE)をアンプルを介して反応器中に加えた。この反応混合物の橙色は暗い赤煉瓦色に変化した。これは、スチリルリチウム活性センターが、非局在化DPE付加カルバニオンに転化したことを示唆する。2分間の攪拌後、少量(2mL)の反応混合物を、PSブロック分子量分析のために採取した。次いで、メチルメタクリレート(22.85g、230mmol)をアンプルを介して加えた。この反応を30分後に1mLの脱気したメタノールを用いて停止した。10%の水を含む過剰のイソプロパノール(ポリマー溶液の5倍)中に析出させてブロックコポリマーを回収し、濾過し、そして真空下に55℃で12時間乾燥して、46.9モル%のポリスチレンブロック及び53.1モル%のポリメチルメタクリレートブロックからなる40gのP(S-b-MMA)(94%収率)を与えた。GPCから得られたジブロックコポリマー分子量は、Mn,PS-b-PMMA=46,978g/mol及びM/M=1.02である。
【0093】
参照用ブロックコポリマー溶液(Ref SOL1)
参照用ブロックコポリマー合成例1を、1.7重量%溶液としてPGMEA中に溶解し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。この溶液を、以下に記載のように、本発明の中性層及び本発明の非極性ピン止め層の両方を評価するために行った中性さの実験に使用した。
【0094】
L/S及びコンタクトホール自己集合についての本発明の中性層試験
本発明の中性層の例及び試験の概要
ここでは、SiARC並びにSiOx及びSiN基材と適合することが判明した架橋可能な中性テトラポリマー及びペンタポリマーが開示される。スチレン(S)、4-ビニルベンゾシクロブテン(VBCB)、メチルメタクリレート(MMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び4-ビニル安息香酸(VBA)から、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(AIBN-OH)または4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(AIBN-COOH)のいずれかで開始してなるこれらの新規のテトラポリマー及びペンタポリマーを、この点を検証するために製造した。また、次のポリマー、すなわちP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA-r-HEMA)[すなわち、ポリ(スチレン-co-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)]、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH[すなわち、ヒドロキシル停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)]またはP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-COOH[すなわち、カルボン酸停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)]も製造した。これらは、コーティング及び架橋した時に、コーティング欠陥の少ない架橋性中性マットを与えた。使用したブロックコポリマー(BCP)に依存して、これらの中性層は、L/S自己集合フィンガープリントパターンを生成するか(すなわち、BCP ref SOL1を用いた場合)、またはコンタクトホール自己集合パターンを生成する(例えばref SOL2を用いた場合)、自己集合をもたらすことができることが示された。これらの中性層は、様々なSiARC基材に対して良好な適合性を示し、そしてまた、参照用材料と比べて、あったとしても僅かな欠陥しか持たない上記の自己集合体ももたらした。
【0095】
これらの材料では、S成分は、必要な疎水性をポリマーに与え、VBCB疎水性成分は、ベークした時に、ポリマーを架橋させて不溶性の膜とすることを可能とし、MMA成分は、中性のために必要な疎水性をポリマーに与え、そして驚くべきことに、VBA(1~5重量%)の含有はSiARCへの良好な適合性を与えた。PMMAを犠牲にして比較的多量にVBAを導入することは、中性に悪影響を及ぼすことが示されたが、VBA成分とHEMA成分との組み合わせは、ポリマーを、より親水性に及びSiARC基材と適合性にするのに効果的であることが判明した。ラジカル開始剤からのヒドロキシルまたはカルボン酸停止末端基が存在すると、加熱の際にVBCBが架橋した時に、ポリマー鎖を基材上にグラフトすることを助けた。
【0096】
先ず、架橋された膜の分析を、浸漬試験により膜保持性及びフィンガープリント試験により中性について、検査した。新規のテトラ-またはペンタポリマー溶液を、ウェハ上にスピンコート及びベークした。この新たに形成された膜をEBR溶剤(70/30PGME/PGMEA)中に浸漬し、次いで濯ぎ落した。浸漬試験の前と後での膜厚の測定により、膜保持率が決定された。スチレン及びメチルメタクリレートのジブロックコポリマーref SOL1(ブロックコポリマー例1)の溶液を、これらの試験膜上にコーティングし、そして該新規テトラ-またはペンタポリマー膜上でアニールして、フィンガープリントの外観について中性さを検証した。このジブロックコポリマーのどちらのブロックにも対してのこの非偏性は、ラインへのBCPの自己集合を可能にする。次いで、SEM法(VM277)を用いてコーティングを欠陥に関して分析した。些細な欠陥しか持たない改善されたコーティングを示した。
【0097】
図1は、本発明のテトラポリマー型材料であるP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-X(X=HO、COOH)についての非限定的な代表的な構造を示す。図2は、ペンタポリマー型材料であるP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA-r-HEMA)についての非限定的な代表例を示す。P(S-r-VBCB-r-MMA-r-HEMA-r-VBA)、P(S-r-VBCB-r-MMA-VBA)-OH及びP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-COOHなどのこれらのタイプの材料は、中性架橋性マット組成物では通常は使用されない追加的な親水性官能性を取り入れている。驚くべきことに、これらの親水性基の導入は、SiARC基材上でのポリマー膜の適合性を改善し、そして架橋した時に、生じた架橋された中性層におけるデウェッティング欠陥数の非常に大きな減少をもたらす。これらの全ての本発明の組成物は、VBAを含まないターポリマーP(S-r-VBCB-MMA)から形成した参照用中性層から形成した架橋された中性層の場合と比べて、SiARC上の架橋された中性層として、より少ない欠陥を示した。
【0098】
また、4-ビニル安息香酸(VBA)と2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との組み合わせは、参照用ターポリマーP(S-r-VBCB-MMA)から形成された中性層と比べて、SiARC上の疎水性膜のデウェッティング欠陥を減少させることにより、これらの新規組成物に有用であることも判明した。SiARCは、マイクロチップのアーキテクチャに常用されるものであるため、本発明の材料から形成された架橋された膜の適合性の観察された向上はニーズを満足するものである。驚くべきことに、VBA及びHEMAの極性官能性は、どの表面に対しても疎水性膜の付着を改善して、デウェッティング欠陥を減少させた。
【0099】
加えて、官能化されたラジカル開始剤、例えばAIBN-OHまたはAIBN-COOHを、4-ビニル安息香酸(VBA)を含むターポリマー組成物中に使用して、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-の誘導体を製造した。これは、熱処理された後に、架橋及びグラフト化のどちらもされた中性層を与え、そしてこれらの中性層は、非常に少ない欠陥を示した。これらのポリマーの末端基官能化は、基材上でのグラフト化反応を可能とし、これは、これらのターポリマーを、同時に架橋しつつ、SiARCにピン止めした。
【0100】
これらのコポリマー中のVBAの最適な含有率は1~3モル%であることが判明し、これは、これらの組成物中に中性さを与えた。VBAの導入を5モル%まで高めると、中性さの損失が始まった。しかし、これに対抗して、VBAの増加量は、欠陥の全体数も減少させた(例えば、表2中のSOL8及びSOL9参照)。
【0101】
ヒドロキシル及びカルボキシル官能性の組み合わせは、一般的に、単一の官能性よりも、より良好な欠陥数を与えた。SOL2とSOL3との比較に見られるように、ヒドロキシル末端基とVBAとの組み合わせは、カルボン酸末端基及びVBAよりも良好な欠陥を与えた(表2)。
【0102】
VBCBの量が低下する程、全体的な欠陥数も減少することが観察された(表2)。VBCBの量が多いほど、一旦架橋されると、膜の柔軟性が低下して、より剛性になる。理論により拘束されるものではないが、この現象が欠陥レベルを高めたものと考えられる、というのも、ベークされると、架橋網状体がより緻密になるためである。これに対して、VBCBの量が減少すると、中性さの損失をも招き得る。
【0103】
低欠陥形成中性下層として使用するためのVBAを含むこれらの本発明のコポリマーは、フリーラジカル重合条件を用いた制御可能な合成法により、再現性をもって製造された。
【0104】
これらの新規材料の利点をまとめると、これらの材料から生成された中性架橋MATは、DSA加工に使用された時に、より少ない欠陥をもって、SiARC基材上でかなりより良好な適合性を与えた。これらの新規ポリマーから生成された中性層において観察された中程度の接触角及び少ない膜減りは、DSA加工に理想的であった。これらの中程度の接触角の結果として、フォトレジストでのコーティング及びフォトリソグラフィ加工は、DSAプロセスにとって必要な、より良好な望ましいパターンを与えた。SiARC上でのコーティング及び架橋から生成された中性層膜は、粒子及びデウェッティング欠陥のかなり減少したレベルを持つ膜をこの中性マット上に生成し、これは、全体的に欠陥を減らすことによって改善されたDSAプロセスをもたらす。最後に、SiARC上での、本発明のポリマーから形成された中性層の適合性は、スピンオンプロセスを介した多層の施用を可能にする(2Dスタッキング)。
【0105】
例1:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成
スチレン(12.2g、120mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(13.9g、110mmol)、メチルメタクリレート(12.5g、120mmol)、4-ビニル安息香酸(1.05g、7.1mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.40g、1.57mmol)及び2-ブタノン(60g)を、フラスコに加えそして窒素で30分間パージした。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中で一晩、70℃で乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:14,446g/mol Mn、24,748g/mol Mw、 1.71 PDI。
【0106】
例2:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成
スチレン(12.2g、120mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(13.9g、110mmol)、メチルメタクリレート(12.5g、120mmol)、4-ビニル安息香酸(1.05g、7.1mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.40g、1.57mmol)及び2-ブタノン(60g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中で一晩、70℃で乾燥した。18.2g(66.1%)の白色粉末、GPC:13,391g/mol Mn、24,461g/mol Mw、1.83 PDI。
【0107】
例3:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-カルボン酸停止型の合成
スチレン(12.2g、120mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(13.9g、110mmol)、メチルメタクリレート(12.5g、120mmol)、4-ビニル安息香酸(1.05g、7.1mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(0.40g、1.41mmol)及び2-ブタノン(60g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中で一晩、70℃で乾燥した。18.1g(65.7%)の白色粉末、GPC:12,831g/mol Mn、23,805g/mol Mw、1.86 PDI。
【0108】
例4:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(15.62g、150mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(19.53g、180mmol)、メチルメタクリレート(18.02g、180mmol)、4-ビニル安息香酸(2.22g、15mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g、5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で一晩、70℃で乾燥した。37.7g(67.0%)の白色粉末、GPC:29,448g/mol Mn、48,053g/mol Mw、1.63 PDI。
【0109】
例5:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(13.02g、125mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(19.53g、150mmol)、メチルメタクリレート(20.53g、205mmol)、4-ビニル安息香酸(2.22g、15mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g、5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で一晩、70℃で乾燥した。38.0g(67.7%)の白色粉末、GPC:28,750g/mol Mn、46,102g/mol Mw、1.60 PDI。
【0110】
例6:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(20.83g、200mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(13.02g、100mmol)、メチルメタクリレート(18.02g、180mmol)、4-ビニル安息香酸(2.22g、15mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g、5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中で一晩、70℃で乾燥した。36.9g(67.2%)の白色粉末、GPC:46,809g/mol Mn、66,245g/mol Mw、1.41 PDI。
【0111】
例7:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(21.35g、205mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(11.72g、90mmol)、メチルメタクリレート(18.72g、187mmol)、4-ビニル安息香酸(2.00g、14mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.59g、4.5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で一晩、70℃で乾燥した。38.4g(70.4%)の白色粉末、GPC:46,699g/mol Mn、66,453g/mol Mw、1.42 PDI。
【0112】
例8:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(20.83g、200mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(9.77g、75mmol)、メチルメタクリレート(19.52g、195mmol)、4-ビニル安息香酸(3.70g、25mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g、5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で一晩、70℃で乾燥した。37.9g(69.3%)の白色粉末、GPC:28,313g/mol Mn、47,107g/mol Mw、1.66 PDI。
【0113】
例9:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-co-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)の合成
スチレン(26.04g、250mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(9.76g、75mmol)、メチルメタクリレート(14.52g、145mmol)、4-ビニル安息香酸(3.70g、25mmol)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g、5mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.41g、2.5mmol)及びアニソール(100g)をフラスコに加え、そして凍結融解によって三度脱気した。この混合物を90℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で一晩、70℃で乾燥した。37.6g(68.5%)の白色粉末、GPC:32,692g/mol Mn、51,032g/mol Mw、1.56 PDI。
【0114】
比較例1:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート)ベンジルアルコール停止型の合成
アゾ開始剤の合成はUS9574104B1(特許文献1)に記載の通りであり、この重合に使用した。スターラーバー、還流縮合器、温度制御器及び窒素パージ管を備えた2L容積の四つ首丸底フラスコ中に、スチレン(143.8g、1.38mol)、メチルメタクリレート(184.9g、1.84mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(180.0g、1.38mol)及び2-ブタノン(620g)を加えた。窒素で20分間パージしながら、反応混合物を攪拌した。この混合物を、80℃に設定した温度制御器で加熱マントル中で加熱した。80℃において、2-ブタノン(12.2g)中のアゾ開始剤(3.05g、5.07mmol)の溶液を1分間かけて加えた。この混合物を80℃で20時間加熱した。2-ブタノン(4.88g)中のアゾ開始剤(1.22g)の追加の溶液を1分間かけて加えた。この混合物の加熱を、80℃で24時間継続した。この混合物を冷却し、2-ブタノン(900g)で希釈し、次いでIPA(15L)中でゆっくりと析出した。析出物を吸引濾過によって集め、そして炉で乾燥した。残渣をTHF中に再溶解し(15%固形分)、そしてもう一度MeOH(15L)中で析出させた。析出物を吸引濾過によって集め、そして炉で乾燥した。固形物を、2-ブタノン(1900g)中に再溶解し、0.2μmナイロンフィルターに通して濾過し、そしてIPA(15L)中にゆっくりと析出させた。析出物を吸引濾過によって集め、そして炉で乾燥した。ポリマーは、オフホワイトの固形物である(290g(57.0%))。GPC:38,842g/mol Mn、90,053g/mol Mw、2.30 PDI。
【0115】
図3、4及び5は、それぞれ、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH(例1及び2)、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-COOH(例3)及びP(S-r-VBCB-r-MMA-r-HEMA-r-VBA)(例4~9)の代表的なH NMRスペクトルを示す。
【0116】
表1は、本発明のポリマー1~9及び比較例1の両方の特性付けデータの概要を示す。
【0117】
【表1】
【0118】
加工条件:
試験溶液は、例1~10のポリマー(SOL1~10)及び比較例1のポリマー(SOL COMP1)を、0.3重量%溶液としてPGMEA中に個別に溶解し、そしてこれらを0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過して調製した。これらの溶液を、SiARC基材上にコーティングし、そして220℃/90秒でベークし、次いで、N中、250℃/5分間でベークし、その後、参照用ブロックコポリマー溶液(ref SOL1)でコーティングし、次いで空気中で250℃/2分間でベークした。溶液の命名は例の命名を反映しており、それ故、SOL1からSOL10は、例1~10から調製した溶液であり、SOL COMP1は、比較例1から調製したサンプルである。
【0119】
データ分析:
欠陥分析は、アプライドマテリアルズ社製のNanoSem 3Dツールで走査することによって、2視野(FOV5&FOV100)について277枚のSEM画像を集める手順で行った。欠陥画像は、デウェットスポット、黒点もしくは白点または粒子(黒色で表示)として評価した。SOL2からSOL3を比較して、%VBAを1%から2%に高めた時に、欠陥数の大きな減少が観察された。図6では、以下の非極性ピン止め層が比較された:
1)SOL COMP1、P(S-r-VBCB-r-MMA)(30/30/40)
2)SOL1、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH(34/30/35/1)
3)SOL2、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OH(33/30/35/2)
4)SOL3、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-COOH(33/30/35/2)
表2からは、比較例を用いて行ったサンプルは、該新規組成物と比べて、非常に高程度のデウェッティングと高程度の欠陥の両方を示すことが分かる。表2は、該新規組成物の殆どが、上層としてコーティングされたスチレン及びメチルメタクリレートのブロックコポリマーref SOL1(参照用ブロックコポリマー合成例1)に対して中性さを保持し、他方で、中性さの損失は、VBAが>3モル%である例8及び9でのみ起こったことを示す。VBAが3モル%を超えると、中性表面が親水性ピン止め表面となり、中性さの損失が観察された。図6は、欠陥分析に観察されたものをより詳しく示しており、ここでは、比較用ターポリマーを含むSOL COMP1は、それぞれSOL2及びSOL3を用いて調製したサンプルによって示される本発明のテトラポリマーまたはペンタポリマーのどちらと比べても、濃い灰色の四角で示されるかなりより多数の欠陥を与えている。
【0120】
表2は、先に記載にように加工された中性層としての、これらの材料を含む組成物の性能をまとめて示す。
【0121】
表2 中性表面P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-X及びP(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA-r-HEMA)の性能及び試験の概要
【0122】
【表2】
【0123】
本発明の疎水性(非極性)マット層の例及び試験
ここでは、新規の疎水性ピン止めマットが開示され、これらは、フリーラジカル重合と適合する制御可能な合成方法を用いて再現可能に製造された。以下は、これらの本発明の材料について実証された利点である:
・DSA加工のための、高度に疎水性の架橋性ピン止めマット。高い接触角及び少ない膜減りは、DSAピン止めのための理想的なものとしてこの膜を特徴づける。
・欠陥の少ない下層膜コート。少ない粒子及びデウェッティング欠陥はDSAプロセスを改善し、それのプロセスウインドウを拡大する。
・SiARC上での疎水性ピン止め下層膜の適合性は、スピンオンプロセスを用いたライン増倍の多層施用を可能にする。
【0124】
DSAで使用するための強健な疎水性マットを可能にするために検討された該新規コポリマーは、スチレン(S)、4-ビニルベンゾシクロブテン(VBCB)、及び4-ビニル安息香酸(VBA)から、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(AIBN-OH)または4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(AIBN-COOH)のいずれかで開始してなるコポリマーであった。P(S-r-VBCB-r-VBA)-OH[すなわち、ヒドロキシル停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)]またはP(S-r-VBCB-r-VBA)-COOH[すなわち、カルボン酸停止型ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)]への組成の改良が、コーティングの欠陥が少ない疎水性架橋性ピン止めマットを与えた。S成分は、ピン止め疎水性をポリマーに与えた。図7は、製造された本発明のコポリマーのうちの一つの代表例を示す。VBCB成分は、加工中にベークした時に、ポリマーを架橋して不溶性の膜とすることを可能にした。驚くべきことに、VBA成分は、これらのコポリマーを、SiARC基材とより適合するものとした。加えて、末端ヒドロキシルまたはカルボン酸で停止された末端基が、これらの部分を含む開始剤から、これらのコポリマー中に導入されると、これが、コポリマーを基材上にグラフトさせて、コポリマーを基材に保持させ、またこのコポリマーの高温ベーク架橋の間にコポリマーを基材により良好に付着させ、更に、デウェッティングを減少させ及び欠陥レベルを減少させた。
【0125】
架橋された膜の分析を、特にホモポリスチレンブロックについて、疎水性ブロックの非中性さまたはピン止めの検査のために行った。これは、参照用ブロックコポリマー合成例1(ref SOL1)のコーティングを前記膜上でアニールして、該ブロックコポリマーの自己集合を検証することで行った。この分析は、該ブロックコポリマーはフィンガープリントを生成しなかったことを示し、これは、これらの新規非極性ピン止め表面上に平行な形状を取ったことを示唆する。上層のブロックコポリマーのこの偏倚性は、ジブロックコポリマーのPSブロックとの優先的な相互作用を可能にした。次いで、SiARC上でのコーティングを、SEM法(VM277)を用いて欠陥について分析した。これは、僅かな欠陥のみを持つ改善されたコーティングを示した。SEM法VM277は、ウェハ毎に277枚の画像を取り、そしてピンホール、黒色もしくは白色のスポット及び粒子などのコーティング欠陥について各々の画像を目視検査するプロセスである。これらの欠陥を、より良好な評価のためにIMEC(Kapeldreef 75,3001,Leuven,Belgium)で更に分析した。最後に、これらの新規非極性マットのピン止め特性を、照射リソグラフィによってパターン化し、そしてライン増倍のためにBCPの誘導自己集合のためのLiNeフローに付すことによって検査したところ、図15図17に示されるようにパターン増倍がもたらされたことを示した。
【0126】
新規の疎水性架橋性ピン止めマット組成物P(S-r-VBCB-r-VBA)-OH及びP(S-r-VBCB-r-VBA)-COOH(図7)は、架橋性マットで常用されていないAIBN-OH及びAIBN-COOHでそれぞれ開始する。この末端基官能性は、架橋の前にグラフト化能において基材との相互作用を高めることができる。AIBN-OHを、AIBNの代わりに開始剤として使用した時は、欠陥は277/277から26/158へと改善された(図10、SOL COMP2 vs. SOL10)。AIBN-COOHをAIBNの代わりに開始剤として使用した時は、欠陥は277/277から4/0へと改善した(図10、SOL11)。
【0127】
4-ビニル安息香酸(VBA)を組成物に加えて、SiARC上の疎水性膜のデウェッティング欠陥を減少させた。SiARCは、マイクロチップのアーキテクチャにおいて常用されるため、膜の適合性は重要である。VBAの極性官能性は、どのような表面上でも疎水性膜の付着を改善して、デウェッティング欠陥を減少させる。0.5モル%のVBAを組成物に加えると、欠陥が277/277から83/9へと改善した(図10、SOL12)。1.0モル%のVBAを組成物に加えると、欠陥が277/277から3/3へと改善した(図10、SOL13)。
【0128】
(1)における官能化されたラジカル開始剤であるAIBN-OHまたはAIBN-COOHと、組成(2)における4-ビニル安息香酸とを組み合わせて使用すると、SiARC基材上にコーティングした時に非常に少ない欠陥を示すポリマーを与えた。1.5モル%のVBAを、AIBN-COOHで開始する組成物に加えると、欠陥が277/277から0/1へと改善した(図10、SOL14)。1モル%のVBAを、AIBN-OHで開始する組成物に加えると、欠陥は277/277から0/0まで改善した(図10、SOL15)。
【0129】
新規組成物のSEM画像は、コーティングのために先に記載の手順を用いてコーティングした時に、比較例2(COMP SOL2)(図11、Bin1及びBin2、大きな欠陥)と比べて、改善されたデウェッティング欠陥を示す。参照品は、SiARC上でのそれの欠陥を減らすためにUV暴露で処理された点に留意すべきである。コーティングのために先に記載の手順を用いてコーティングした時に、SOL15は、比較例2と比べると、このサンプルにはUV処理は適用されなかったために、Bin1及びBin2欠陥に関して全般的な改善を示す(図12)。
【0130】
コーティングのために先に記載した手順を用いてコーティングした時にSOL14は、SOL COMP2(図11)と比べると、このサンプルにもUV処理は適用されなかったために、Bin1及びBin2欠陥に関して等しいまたはより良好な改善を示す。
【0131】
SOL15(図12)は、SOL COMP2(図11)と比べて、このサンプルにはUV処理は適用されなかったために、完璧なライン増倍集合を持って殆どのダイに関して、全般的な改善を示す。
【0132】
図14図13)は、完璧なライン増倍集合を持つダイの数を比較した時に、SOL COMP2(図11)と比べて、このサンプルにはUV処理は適用されなかったために、より良好な性能を示す。
【0133】
新規の下層ピン止めマットを用いて生成した誘導ラインプリパターン上での誘導自己集合(DSA)性能は、より良好なプロセスウインドウを示した(図16及び図17)。
【0134】
例10
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成
スチレン(25.0g、230mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(2.35g、20mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.63g、2.5mmol)及びメチルイソブチルケトン(42g)をフラスコに加え、そして凍結融解技術を用いて三度脱気した。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、そしてTHFで希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:12,992g/mol Mn、22,621g/mol Mw、1.74 PDI。
【0135】
例11
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)-カルボン酸停止型の合成
スチレン(24.8g、240mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(2.34g、20mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(0.84g、3mmol)及びメチルイソブチルケトン(42g)をフラスコに加え、そして凍結融解技術を用いて三度脱気した。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、そしてTHFで希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中、70℃で一晩乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:8,571g/mol Mn、14,280g/mol Mw、1.67 PDI。
【0136】
例12
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)の合成
スチレン(35.7g、340mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(3.37g、30mmol)、4-ビニル安息香酸(0.27g、1.9mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.69g、4.2mmol)及びメチルイソブチルケトン(60g)をフラスコに加え、そして凍結融解技術を用いて三度脱気した。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、そしてTHFで希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:10,711g/mol Mn、17,888g/mol Mw、1.67 PDI。
【0137】
例13
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)の合成
スチレン(35.4g、340mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(3.37g、30mmol)、4-ビニル安息香酸(0.55g、3.7mmol)、4,4’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.69g、4.2mmol)及びメチルイソブチルケトン(60g)をフラスコに加え、そして凍結融解技術を用いて三度脱気した。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、そしてTHFで希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:9,719g/mol Mn、17,591g/mol Mw、1.81 PDI。
【0138】
例14
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)-カルボン酸停止型の合成
スチレン(24.3g、230mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(2.32g、20mmol)、4-ビニル安息香酸(0.57g、3.8mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(0.82g、2.9mmol)及びメチルイソブチルケトン(42g)をフラスコに加え、そして凍結融解技術を用いて三度脱気した。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、そしてTHFで希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:12,311g/mol Mn、20,879g/mol Mw、1.696 PDI。
【0139】
例15
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成
スチレン(24.6g、240mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(2.34g、20mmol)、4-ビニル安息香酸(0.38g、2.6mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.70g、2.8mmol)及びメチルエチルケトン(42g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージして脱気した。この混合物を、90℃の油浴中で加熱して16時間還流した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。14.4g(52.3%)の白色粉末、GPC:13,236g/mol Mn、25,535g/mol Mw、1.93 PDI。
【0140】
例16
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成
スチレン(23.1g、220mmol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(1.56g、10mmol)、4-ビニル安息香酸(0.35g、2.4mmol)、メタクリロイソブチルPOSS(2.25g、2.4mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.70g、2.8mmol)及びメチルエチルケトン(42g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージして脱気した。この混合物を、90℃の油浴中で加熱して16時間還流した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。14.2g(52.1%)の白色粉末、GPC:14,148g/mol Mn、23,558g/mol Mw、1.67 PDI。
【0141】
ブロックコポリマーのコンタクトホール自己集合のための本発明の中性層の例及び試験
P(S-b-MMA)(62k-b-25k)の参照用ブロックコポリマー合成例2
P(S-b-MMA)(62K-b-25K)を、例2と同じ手順を用いて合成した。目的のMn並びにPS及びPMMAブロックの組成を達成するために、開始剤の量及びモノマーの量を変化させた。手短に言えば、20g(192mmol)のスチレンを、4.38mL(1.4M溶液)のsec-ブチルリチウムを用いて重合した。次いで、2.5mlの無水トルエン中の0.07g(0.38mmol)の1,1’-ジフェニルエチレン(DPE)をアンプルを介して反応器に加えた。この反応混合物の橙色は暗い赤煉瓦色に変化した。これは、スチリルリチウム活性センターが、非局在化DPE付加カルバニオンに転化したことを示唆する。2分間の攪拌後、少量(2mL)の反応混合物を、PSブロック分子量分析のために採取した。次いで、メチルメタクリレート(8.10g、81mmol)をアンプルを介して加えた。この反応を30分後に1mLの脱気したメタノールを用いて停止した。ブロックコポリマーを、10%の水を含む過剰のイソプロパノール(ポリマー溶液の五倍)中で析出し、濾過し、そして真空下、55℃で12時間乾燥することで回収して、70.1モル%のポリスチレンブロック及び29.9モル%のポリメチルメタクリレートブロックからなる26.5gのP(S-b-MMA)(94%収率)を得た。GPCから得られたジブロックコポリマー分子量は、Mn=86,518g/mol及びMw/Mn=1.01である。
【0142】
参照用ブロックコポリマー溶液(Ref SOL2)
参照用ブロックコポリマー合成例2を、1.7重量%溶液としてPGMEA中に溶解し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。この溶液を、コンタクトホールの自己集合に関する効果について、以下に記載のように、本発明の中性層組成物の試験に使用した(例えば、表5及び6に報告した例17~25)。
【0143】
例17:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸-ヒドロキシル停止型の合成(供給比39/35/25/1)
スチレン(35.7g、0.34mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(40.0g、0.31mol)、メチルメタクリレート(22.0g、0.22mol)、4-ビニル安息香酸(1.30g、8.80mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中で一晩、70℃で乾燥した。18.0g(65.3%)の白色粉末、GPC:21,270g/mol、Mn 47,875g/mol、Mw、 2.25 PDI。
【0144】
例18:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比33/30/35/1)
スチレン(18.3g、0.18mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(20.8g、0.16mol)、メチルメタクリレート(18.7g、0.19mol)、4-ビニル安息香酸(1.58g、10.7mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.59g、2.35mmol)及び2-ブタノン(90g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集めそして真空中、70℃で一晩乾燥した。32.0g(54%)の白色粉末、GPC:13,391g/mol Mn、24,461g/mol Mw、1.83 PDI。
【0145】
例19:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比38/35/25/2)
スチレン(34.1g、0.33mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(39.4g、0.30mol)、メチルメタクリレート(21.6g、0.22mol)、4-ビニル安息香酸(3.84g、17.3mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。64g(64%)の白色粉末、GPC:13,256g/mol Mn、24,824g/mol Mw、1.95 PDI。
【0146】
例20:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比48/35/15/2)
スチレン(43.0g、0.41mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(39.2g、0.30mol)、メチルメタクリレート(12.9g、0.13mol)、4-ビニル安息香酸(3.83g、17.2mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。53g(53%)の白色粉末、GPC:10,572g/mol Mn、22,685g/mol Mw、2.15 PDI。
【0147】
例21:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比48/35/15/2)
スチレン(43.6g、0.42mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(39.7g、0.31mol)、メチルメタクリレート(13.1g、0.13mol)、4-ビニル安息香酸(2.58g、17.4mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(60g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。41g(41%)の白色粉末、GPC:16,902g/mol Mn、40,958g/mol Mw、2.42 PDI。
【0148】
例22:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比68/15/15/2)
スチレン(64.7g、0.62mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(17.9g、0.14mol)、メチルメタクリレート(13.7g、0.14mol)、4-ビニル安息香酸(2.71g、18.3mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。45g(45%)の白色粉末、GPC:23,381g/mol Mn、42,354g/mol Mw、1.81 PDI。
【0149】
例23
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比35/53/10/2)
スチレン(30.1g、0.29mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(57.0g、0.44mol)、メチルメタクリレート(8.27g、0.08mol)、4-ビニル安息香酸(3.67g、16.5mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中で、70℃で一晩乾燥した。49g(49%)の白色粉末、GPC:14,246g/mol Mn、26,302g/mol Mw、1.84 PDI。
【0150】
例24
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比13/30/55/2)
スチレン(12.1g、0.12mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(35.0g、0.27mol)、メチルメタクリレート(49.3g、0.49mol)、4-ビニル安息香酸(2.65g、17.9mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、THFで希釈しそしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解して15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。28g(59%)の白色粉末、GPC:14,877g/mol Mn、32,134g/mol Mw、2.16 PDI。
【0151】
例25:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート-co-4-ビニル安息香酸)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比33/30/34/3)
スチレン(29.8g、0.29mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(33.9g、0.26mol)、メチルメタクリレート(29.5g、0.30mol)、4-ビニル安息香酸(3.86g、26.0mmol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(2.91g、1.15mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、その後、イソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。52g(52%)の白色粉末、GPC:14,277g/mol Mn、23,518g/mol Mw、1.65 PDI。
【0152】
比較例2:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン)の合成
スターラーバー、還流凝縮器、温度制御器及び窒素パージ管を備えた250mL容積の四つ首丸底フラスコに、スチレン(630g、6.05mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(59.30g、0.46mol)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(10.35g、63mmol)及び2-ブタノン(MEK、1050g)を加えた。この反応混合物を、窒素で1.0時間パージしつつ攪拌した。この混合物を、90℃の油浴中で加熱し、そして20時間攪拌した。この混合物を冷却し、次いでiPrOH(15L)中でゆっくりと析出した。析出物を吸引濾過によって集め、そして炉で乾燥した。残渣をTHF中に再溶解し(15%固形分)、そしてもう一度MeOH(15L)中で析出させた。析出物を吸引濾過によって集め、そして炉で乾燥した。ポリマーはオフホワイトの固形物である(450g(64.0%収率))。GPC:9,452g/mol Mn、18,053g/mol Mw、1.91 PDI。
【0153】
比較例3:
ポリ(スチレン-co-4-ビニルベンゾシクロブテン-co-メチルメタクリレート)-ヒドロキシル停止型の合成(供給比30/30/40)
スチレン(28.0g、0.27mol)、4-ビニルベンゾシクロブテン(35.0g、0.27mol)、メチルメタクリレート(35.9g、0.36mol)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノール)(0.99g、3.92mmol)及び2-ブタノン(150g)をフラスコに加え、そして窒素で30分間パージした。この混合物を85℃の油浴中で16時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、THFで二倍に希釈し、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、THF中に再溶解し15%固形物溶液とし、そしてイソプロパノール中で析出させた。ポリマーを集め、そして真空中、70℃で一晩乾燥した。26g(26%)の白色粉末、GPC:26,113g/mol Mn、43,631g/mol Mw、1.67 PDI。この比較例は、4-ビニル安息香酸から誘導される繰り返し単位の排除効果を示した。
【0154】
ポリマーの特性付け
図8は、P(S-r-VBCB-r-VBA)-COOHポリマー(すなわち、例11及び14)の代表的H NMRスペクトルを示す。このスペクトルは例14のものである。
【0155】
図9は、P(S-r-VBCB-r-VBA)-OHポリマー(すなわち例10、15及び16)の代表的H NMRスペクトルを示す。このスペクトルは例15のものである。
【0156】
表3は、本発明のポリマー10~16と比較例2との両方の特性データの概要を示す。
【0157】
表3 P(S-r-VBCB-r-VBA)-X及びP(S-r-VBCB-r-VBA-r-POSS-MA)のポリマー特性付けの概要
【0158】
【表3】
【0159】
新規非極性ピン止め層の試験
表4は、例12~17に記載の本発明のVBA含有ポリマーを用いて形成した非極性ピン止め層、及び比較例2のコポリマーを用いて用意した層について行った欠陥試験の概要を示す。
【0160】
表4に概要を示した実験では、試験溶液は、例12~17及び比較例2のコポリマーを個別にPGMEA中に溶解して0.3重量%溶液として調製し、そしてこれらを0.2μmPTFEフィルターに通して濾過した。溶液の命名は例の命名を反映しており、それ故、SOL12からSOL17は、例12~17から調製した溶液であり、SOL COMP2は、比較例2から調製したサンプルである。
【0161】
膜厚(FT)を、JA Woollam M-2000エリプソメータを用いて測定した。PGMEAでの膜厚予及び後濯ぎの測定は、膜の強健さを決定する。中性さの試験-加工条件は、溶液を、SiARC上にコーティングし、220℃/90秒間でベークし、新規マットをコーティングし、N中で250℃/5分間ベークし、ref SOL1をコーティングし、N中で250℃/5分間ベークする。中性さは、BCPの垂直な形態(フィンガープリント)の存在(中性)または不在(非中性)によって決定された。加工条件の詳細は、「一般加工条件」と題したセクションに示す。
【0162】
非極性ピン止め層のLPCによるコーティング欠陥分析
図10は、SOL10~16及びCOMP SOL2を用いたコーティング欠陥分析で得られた結果を示す。暗灰黒色は、欠陥を持つ領域を示す。この分析は、SiARCをコーティングしそして220℃/90秒でベークし、次いで、個別に、SOL10~16でまたはCOMP SOL2でコーティングし、そして個別に、コポリマーコーティングを、N中で250℃/5分間ベークして、架橋された非極性ピン止め層試験サンプルを形成した。次いで、これらのウェハをVM277 SEM法に付して、コーティング欠陥について分析した。これらの非極性ピン止め試験サンプルを、最後に、ブロックコポリマー溶液(ref SOL1)でコーティングし、N中で250℃/5分間ベークして、中性さを検査した。
【0163】
欠陥分析は、2視野(FOV5&FOV100)で277枚の画像を集める手順で、アプライドマテリアルズ社製NanoSem 3Dツールで走査して行った。欠陥画像は、デウェットスポット、黒点もしくは白点または粒子(黒色で表示)として評価した。疑わしい小さな欠陥は、図10において淡い灰色で示した。開始剤末端基としてのヒドロキシ停止型及びカルボン酸停止型(それぞれSOL10及びSOL11)に変えることで、欠陥の顕著な改善が観察された。疎水性組成物中に%VBAを0.5%及び1.0%に徐々に増加することで、欠陥数が改善した(それぞれSOL12及びSOL13)。これらの要素の組み合わせは、極めて少ない欠陥を与えた(SOL14~SOL16)。図10では、以下の非極性ピン止め層が比較された:
1)SOL COMP2、P(S-r-VBCB)(93/7)
2)SOL10、P(S-r-VBCB)-OH(93/7)
3)SOL11、P(S-r-VBCB)-COOH(93/7)
4)SOL12、P(S-r-VBCB-r-VBA)(92.5/7/0.5)
5)SOL13、P(S-r-VBCB-r-VBA)(92/7/1)
6)SOL14、P(S-r-VBCB-r-VBA)-COOH(91.5/7/1.5)
7)SOL15、P(S-r-VBCB-r-VBA)-OH(92/7/1)
8)SOL16、P(S-r-VBCB-r-VBA-r-POSSMA)-OH(95/5/1/1)
欠陥分析に使用した手順についての詳細は、「一般欠陥分析手順」と題したセクションに示す。
【0164】
表4は、先に記載のように加工した疎水性ピン止め層としての、これらの材料を含む組成物の性能をまとめて記す。
【0165】
この新規ピン止めマットの表面上に観察可能な欠陥数によって図10に示されるように、VBA含有組成物は、SiARC上の中性膜の表面を改善した。
【0166】
【表4】
【0167】
表5は、本発明のポリマー17~25と比較例3との両方の特性データの概要を示す。
【0168】
【表5】
【0169】
欠陥数は、SOL COMP2、SOL15及びSOL14についてそれぞれ図11、12及び13に示すように、SP5欠陥ツールを用いてIMECでも得た。欠陥のSEM画像は、SP5ツールによる検出された欠陥のタイプを分析するために撮影した。最も大きなBin1欠陥は、SiARC上の疎水性膜のデウェッティング欠陥に起因した。全般的に、該新規の本発明のポリマーは、参照用ポリマーと比べて、より少ない欠陥を示す。欠陥分析に使用した手順についての詳細は、「一般欠陥分析手順」と題したセクションに示す。
【0170】
図11~13に関してIMECで使用された加工は次の通りである:クリーンな裸のSiウェハ上にSiARCをコーティングし、220℃/90秒間ベークし、図11及び13(すなわち、Comp SOL2及びSOL14)で使用したSOL材料をそれぞれコーティングし、N中で250℃/90分間ベークした。欠陥分析:ウェハを、光学的欠陥検査ツールとしてのKLA Tencor 2935で走査した。検査された欠陥は、KLA Tencor EDR7380によって精査し、そして欠陥画像は、デウェットスポット、凸部、凹部または粒子として評価した。デウェットスポットは、赤色で示す。
【0171】
図14は、図15(SOL COMP2)、図16(SOL15)及び図17(SOL14)に示す欠陥ステータスのグレートーンカラースキームの鍵を示す。黒色の正方形は、整列しなかったことを示し、淡灰色の正方形は、おおかた整列したラインを示し、そして灰色の正方形は、完全に整列したラインを示す。これらの図は、参照用のSOL COMP2と比べた、該新規非極性ピン止め組成物SOL15及びSOL14の整列品質を示した。
【0172】
図15~17に関してIMECで使用した加工は次の通りであった:
SOC(スピンオンカーボン材料)及び次いでSiARCをコーティングし、空気中で250℃/90秒間及び220℃/90秒間でベークし、図15及び図17で使用したSOL材料(すなわち、SOL COMP2及びSOL14)をそれぞれコーティングし、N中、250℃/90分間でベークし、フォトレジストをコーティングし、120℃/60秒間でベークし、ASML iArFスキャナで露光し、2.38重量%TMAHで現像し、個別にSOL COMP2またはSOL14をコーティングし、LAM E5ドライエッチャーでN/Oケミストリーによりエッチングし、DNS洗浄ツールでフォトレジストを剥離し、中性層をコーティングし、N中、250℃/5分間でベークし、PGMEAで中性層を濯ぎ落とし、ref SOL1(参照用ブロックコポリマー合成例1)(BCP)の溶液をコーティングし、N中、250℃/30分間ベークする。
【0173】
DSAプロセスウインドウ分析:ウェハを、169枚の画像を収集する手段でHitachi CD-SEMで走査した。DSA画像を、完全な集合体、部分的集合体または集合体無しとして評価した(黒色、淡灰色または灰色で表示)。図14は、図15(SOL COMP2)、図16(SOL15)及び図17(SOL14)に示す欠陥ステータスのグレートーンカラースキームの鍵を示す。これらの図面は、ピン止め材料としての新規下層の能力を把握するための完全な集合体ダイ上でのパターンCDを確認することによって、DSAプロセスウインドウを画定する。該新規下層ピン止めマットを、SiARC上にコーティングし、そしてArFリソグラフィを用いてパターン化して、ピン止めラインガイドパターンを生成した。次いで、中性ブラシポリマーをウェハ上にコーティングして、非部分的表面を導入した。次いで、ジブロックコポリマーを、パターン化されたウェハ上でアニールして、90nm1:1L/S図形の3倍のライン増倍を生成した。
【0174】
一般加工条件:
試験溶液は、例1及び17~25(SOL1及びSOL17~25)及び比較例3(SOL COMP3)のポリマーを、個別に、0.3重量%溶液としてPGMEA中に溶解し、そして0.2ミクロンPTFEフィルターに通してこれらを濾過して調製した。二つの異なるSiARC(ISX302及びISX304)をこの評価に使用した。各々のSOLを、ウェハ上に固定したISX302及びISX304のクーポン上にキャストして、それぞれ膜1及び膜2を形成した。これらのクーポンを、SEMツールを用いてデウェットスポット、黒点または白点として、コーティング欠陥について評価した(図18)。JSR ISX302またはISX304 SiARCを、Siウェハ上にコーティングし、そしてN中で、220℃/90秒間ベークした。このウェハを、比較的小さなクーポン片に分離し、そしてSiウェハ上に固定した。次いで、これらの新規溶液を、SiARC膜を備えた前記クーポン上に8nmFTとしてコーティングし、そして空気中で、250℃/2分間ベークした。参照用ブロックコポリマー溶液(ref SOL2)をコーティングし、そして47nmFTとして、N中で250℃/30分間でベークした。これらの溶液の命名には例の命名が反映されており、それ故、SOL1、SOL17~SOL25は、例1及び17~25から調製した溶液であり、そしてSOL COMP3は比較例3から調製したサンプルである。
【0175】
一般欠陥分析手順:
欠陥分析は、2視野(FOV0.5&FOV10)についてSEM画像を収集する手順で、アプライドマテリアルズ社製NanoSem 3Dツールで走査することによって行った。二つのセットのSEM分析を行った。図18は、SiARC膜上に新規組成物をコーティングしたSEM画像を示す。欠陥画像は、デウェット白色スポット、明白色スポット、かろうじて認識可能な白色スポット、または認識可能な白色スポット無しとして評価した。図19は、該新規組成物膜上のref SOL2をコーティングしたSEM画像を示す。欠陥画像を、膜の中性さの結果としての、コンタクトホール形状の良好な形成、部分的な形成または不良な形成として評価した。SOL COMP3は、該新規組成物と比較可能なようにAIBN-OH開始剤を用いて調製したが、VBAは加えなかった。VBAの含有は、SOL24は除いた全ての該新規組成物について、両SiARCコーティング上で改善されたデウェット性能を示した。SOL24の低い疎水性が、この観察の原因であろう。1%から3%へのVBA含有率の変化は、SiARC上のコーティングが無欠陥となることを示した。コンタクトホール形状の品質は、組成物の全体的な中性さに依存する。SiARC上で欠陥の無いコーティングを与えるのには1%VBAで十分であるが(SOL17及びSOL18)、より良好なコンタクトホールのためには、より強い疎水性が必要である。SOL25のように組成物中のVBAがあまりに多いと、コンタクトホールの崩壊が増えることが観察された。2%のVBAが組成に加えられた時の比較的強い疎水性が、SiARC欠陥及びコンタクトホール形状の両方で、より良好な性能を示した(SOL20、SOL21及びSOL22)。
【0176】
表6は、先に記載にように加工された中性層としての、これらの材料を含む組成物の性能をまとめて示す。
【0177】
二つの異なるSiARC(ISX302及びISX304)をこの評価に使用した。各々のSOLを、ウェハ上に固定したISX302及びISX304のクーポン上にキャストして、それぞれ膜1及び膜2を形成した。これらのクーポンを、図18に示すように、SEMツールを使用してデウェットスポット、黒点または白点として、コーティング欠陥について評価した。表6には、SiARC上の新規中性層上でのコーティング性の格付けを図18に示し、そして以下の通りである:白色のスポットを有するSEM画像は、デウェット欠陥(X)と格付けした。明白色のスポットを有するSEM画像は、僅かな欠陥(∇)と格付けした。かろうじて認識できる白色のスポットを有するSEM画像は、非常に僅かな欠陥(Δ)と格付けした。認識可能なスポットを持たないSEM画像は欠陥無し(O)と格付けした。
【0178】
表6には、参照用ブロックコポリマー合成例2のためのブロックコポリマー溶液を、ウェハ上に固定した膜1及び膜2のクーポン上に別々にコーティングして、それぞれコーティング1及びコーティング2の形状を与えた。これらのクーポンを、SEMツールを用いて形状に関して評価した。
【0179】
表6は、様々なSiARCコーティング上の新規中性層のコーティング性、及び上層のブロックコポリマー(ref SOL2)中にコンタクトホール自己集合をもたらすための形成した中性層の能力に関して、SEM画像を形成する時に観察された結果をまとめて示す。この表では、>90%のコンタクトホール形状を持つ観察されたSEM画像を、良好なC/H(A)と格付けした。50~89%のコンタクトホール形状を持つSEM画像は、部分的C/H(B)と格付けした。0~49%のコンタクトホール形状を持つSEM画像は不良C/H(C)と格付けした。コンタクト形状のこれらの格付けは、図19において代表的な例を用いて示す。
【0180】
この表に見られるように、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OHのテトラポリマーは、一般的に、コーティング欠陥と、ref SOL2(参照用ブロックコポリマー合成例2)の上層のアニールされた膜のコンタクトホール集合との両方の観点において、SOL COM3と比べて、様々なタイプのSiARCとより良好な適合性を与える。また、スチレンから誘導される繰り返し単位を13モル%含むSOL24は、試験された全てのSiARCに対して非常に不良なコーティング適合性を与えただけでなく、参照用ブロックコポリマー合成例2の上層のアニールされた膜の不良な自己集合も与えた。これは、P(S-r-VBCB-r-MMA-r-VBA)-OHポリマーにおけるスチレンの高含有率の必要性を立証している。また表3には、4-ビニル安息香酸をベースとする繰り返し単位を排除したSOL COMP3調合物は、様々なSiARCに対して、より不良な適合性を与えたことが見られた。
【0181】
【表6】
【0182】
開示及び特許請求される発明を、ある程度の詳細さで記載及び説明したが、この開示は例示としてのみ行ったものであること、並びに当業者は、開示及び特許請求される発明の趣旨及び範囲から離れることなく、条件及びステップの順番の非常に多くの変化に頼ることができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】