(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ポリイソブチレンアクリルアミド櫛型コポリマーをベースとする潤滑剤用の粘度指数向上剤
(51)【国際特許分類】
C08F 290/04 20060101AFI20241129BHJP
C10M 149/06 20060101ALI20241129BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20241129BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20241129BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20241129BHJP
C10N 40/20 20060101ALN20241129BHJP
C10N 40/12 20060101ALN20241129BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20241129BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20241129BHJP
C10N 30/02 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
C08F290/04
C10M149/06
C10N40:04
C10N40:25
C10N40:30
C10N40:20 Z
C10N40:12
C10N40:08
C10N30:00 Z
C10N30:02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533235
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022083581
(87)【国際公開番号】W WO2023104579
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,カストロ イヴェッテ
(72)【発明者】
【氏名】コスチャベク,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ミスケ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】フレッケンシュタイン,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4H104
4J127
【Fターム(参考)】
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB08A
4H104BB41A
4H104BH03A
4H104CB14A
4H104CJ02A
4H104DA02A
4H104LA01
4H104LA20
4H104PA02
4H104PA03
4H104PA05
4H104PA07
4H104PA20
4H104PA21
4H104PA41
4H104PA42
4H104PA44
4J127AA04
4J127BA041
4J127BA051
4J127BB021
4J127BB101
4J127BB231
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD031
4J127BE341
4J127BE34Y
4J127BG031
4J127CA02
4J127CB142
4J127CB151
4J127CC011
4J127DA15
4J127EA05
4J127FA58
(57)【要約】
本発明は、40重量%までの式(I)のPIBマクロモノマーと式(II)の疎水性モノマーとを重合形態で含む櫛型コポリマーに関する。本発明は、式(IV)のポリイソブテンアミンを(メタ)アクリル酸無水物と反応させる式(I)のPIBマクロモノマーを調製する方法と;基油、櫛型コポリマー、及び更に潤滑添加剤を含む潤滑剤と;潤滑油の粘度指数を向上させるための櫛型コポリマーの使用とに更に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛型コポリマーであって、重合形態で
(A)40重量%までの式(I)
【化1】
[式中、R
1は、H又はメチルであり、nは、5~100の数値である]
のPIBマクロモノマーと、
(B)式(II)
H
2C=C(R
1)COOR
2(II)
[式中、R
1は、H又はメチルであり、及びR
2は、C
5~36アルキルである]
の疎水性モノマーと
を含む櫛型コポリマー。
【請求項2】
R
2が、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル又はそれらの混合物である請求項1に記載の櫛型コポリマー。
【請求項3】
R
2が、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、及びノナデシルからなる群から選択される少なくとも2つの残基の混合物である請求項1又は2に記載の櫛型コポリマー。
【請求項4】
式(III)
H
2C=C(R
1)COOR
3(III)
[式中、R
3は、C
1~4アルキルである]
の親水性モノマーを更に含む請求項1~3のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項5】
5~30重量%のPIBマクロモノマーを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項6】
少なくとも30重量%の疎水性モノマーを含む請求項1~5のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項7】
40~90重量%の疎水性モノマーを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項8】
1~25重量%の親水性モノマーを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項9】
- 5~30重量%のPIBマクロモノマーと、
- 50~90重量%の疎水性モノマーと、
- 1~25重量%の親水性モノマーと
を含み、
全モノマーの合計が100重量%である請求項1~8のいずれか1項に記載の櫛型コポリマー。
【請求項10】
式(I)
【化2】
[式中、R
1は、H又はメチルであり、及びnは、5~100の数値である]
のPIBマクロモノマーを調製する方法であって、
式(IV)
【化3】
のポリイソブテンアミンが(メタ)アクリル酸無水物と反応する、方法。
【請求項11】
前記(メタ)アクリル酸無水物が、前記ポリイソブテンアミンに対してモル過剰で存在する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応後に、残りの(メタ)アクリル酸無水物の加水分解が続き、(メタ)アクリル酸を形成する請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記(メタ)アクリル酸が、蒸留により又は水での抽出により、除去される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(i)基油と、
(ii)請求項1~9のいずれか1項に記載の櫛型コポリマーと、
(iii)更なる潤滑添加剤と
を含む潤滑剤。
【請求項15】
潤滑油の粘度指数を向上させるための、請求項1~9のいずれか1項に記載の櫛型コポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、40重量%までの式(I)のPIBマクロモノマーと式(II)の疎水性モノマーとを重合形態で含む櫛型コポリマーに関する。本発明は、式(IV)のポリイソブテンアミンを(メタ)アクリル酸無水物と反応させる式(I)のPIBマクロモノマーを調製する方法と;基油、櫛型コポリマー、及び更なる潤滑添加剤を含む潤滑剤と;潤滑油の粘度指数を向上させるための櫛型コポリマーの使用とに更に関する。好ましい実施形態と他の好ましい実施形態との組み合わせは、本発明の範囲内である。
【背景技術】
【0002】
櫛型ポリマーは、潤滑剤に有用な添加剤である。ポリイソブチレン(PIB)系のマクロモノマーは、櫛型ポリマーにおいて有用なコモノマーである。しかしながら、それらは合成することが難しい。
【0003】
国際公開第2007/003238号パンフレットは、ポリイソブチレンアミンとのメチルメタクリレートのアミノリシスによるマクロモノマーの合成を開示する。この方法は、高温を必要とすること、相分離により触媒を除去する必要があること、微量の触媒が最終生成物中で結局副生成物となること、メタクリル化二重結合へのアミンのマイケル付加副生成物が形成されることがあること、メタクリレートの重合を抑制するには大量の安定剤が必要であることなどの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、上述の欠点を克服し、マクロモノマー及び櫛型ポリマーの改良した合成を見出し、並びに櫛型ポリマーを含有する改良した潤滑剤を見出すことであった。更なる目的は、ポリマーを含む潤滑剤を改良することであり、この潤滑剤が、良好なレオロジー挙動、低いポリマー処理率、高い粘度指数、純粋なポリマー溶液の容易な取り扱い、良好な低温性能(例えば、低温クランクケースシミュレーションにおける)、動作条件下での低粘度(例えば、高温高せん断HTHS粘度試験)、高いせん断安定性、又は多くの使用サイクル後に低い粘度損失を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、
(A)40重量%までの式(I)
【化1】
[式中、R
1は、H又はメチルであり、nは、5~100の数値である]
のPIBマクロモノマーと、
(B)式(II)
H
2C=C(R
1)COOR
2(II)
[式中、R
1は、H又はメチルであり、及びR
2は、C
5~36アルキルである]
の疎水性モノマーとを重合形態で含む櫛型コポリマーにより解決された。
【0006】
R1は、H又はメチルであってよく、メチルが好ましい。R1は、式(I)、(II)及び(III)において異なっても同一でもよい。
【0007】
添え字nは、5~100、好ましくは10~80、特に15~65の数値であってよい。
【0008】
PIBマクロモノマーは、300~10,000g/モル、好ましくは400~5000g/モル、特に800~2500g/モルの分子量を有し得る。
【0009】
PIBマクロモノマーの分子量は、ポリスチレン標準(例えば、DIN55672-1)を用いてGPCにより求めることができる。
【0010】
PIBマクロモノマーの合成は、国際公開第2007/003238号パンフレットで既知である。
【0011】
櫛型コポリマーは、40重量%まで、好ましくは35重量%まで、特に30重量%までのPIBマクロモノマーを含むことができる。
【0012】
通常、櫛型コポリマーは、5~30重量%、好ましくは10~30重量%、特に15~25重量%のPIBマクロモノマーを含む。
【0013】
モノマーの重量%は、一般的には櫛型コポリマー中の全モノマーの重量を基準とした重量パーセントを指す。櫛型コポリマー中の全モノマー(例えば、PIBマクロモノマー、疎水性モノマー、及び親水性モノマー)の全ての重量%の合計は、一般には100重量%である。
【0014】
疎水性モノマーにおけるR2は、鎖状、分岐、又は環式アルキルであってよく、好ましくは鎖状又は分岐アルキルであり、特に分岐のアルキルである。
【0015】
好適なR2は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ベヘニル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル、2-テトラデシルオクチデシル、又はそれらの混合物である。
【0016】
R2は、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル又はそれらの混合物であるのが好ましい。
【0017】
R2は、好ましくはC6~12アルキル、特にC6~10アルキルである。好ましい一形態においては、R2は、鎖状又は分岐C6~12アルキルである。別の好ましい形態においては、R2は、分岐C6~10アルキルである。別の好ましい形態においては、R2は、2-エチルヘキシル又は2-プロピルヘプチル、特に2-エチルヘキシルである。別の好ましい形態においては、疎水性モノマーは、2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0018】
別の好ましい形態においては、R2は、C6~24アルキル、特にC6~20アルキルである。別の好ましい形態においては、R2は、鎖状又は分岐C6~24アルキルである。
【0019】
別の好ましい形態においては、R2は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ベヘニル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル、又は2-テトラデシルオクチデシルなどのC5~36アルキルの混合物である。
【0020】
別の好ましい形態においては、R2は、C5~36アルキルの少なくとも2種の混合物である。
【0021】
別の好ましい形態においては、R2は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ベヘニル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル、及び2-テトラデシルオクチデシルからなる群から選択される少なくとも2つ(特に2又は3つ)の残基の混合物である。
【0022】
別の好ましい形態においては、R2は、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、ノニル、デシル、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、及びノナデシルからなる群から選択される少なくとも2つ(特に2又は3つ)の残基の混合物である。
【0023】
別の好ましい形態においては、R2は、C6~10アルキルと、ステアリル、ラウリル、オクタデシル、ヘプタデシル、2-ヘキシルデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ベヘニル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル、及び2-テトラデシルオクチデシルから選択される残基との混合物である。
【0024】
櫛型コポリマーは、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に少なくとも50重量%の疎水性モノマーを含み得る。
【0025】
櫛型コポリマーは、85重量%まで、好ましくは80重量%まで、特に75重量%までの疎水性モノマーを含み得る。
【0026】
通常は、櫛型コポリマーは、40~90重量%、好ましくは50~85重量%、特に60~80重量%の疎水性モノマーを含む。
【0027】
櫛型コポリマーは、式(III)
H2C=C(R1)COOR3(III)
(式中、R3は、C1~4アルキルである)
の親水性モノマーを更に含み得る。
【0028】
好適なR3は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、又はそれらの混合物である。R3は、メチル、エチル、n-ブチルが好ましく、特にメチルが好ましい。別の好ましい形態においては、親水性モノマーは、メチルメタクリレートである。
【0029】
櫛型コポリマーは、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に少なくとも5重量%の親水性モノマーを含み得る。
【0030】
櫛型コポリマーは、30重量%まで、好ましくは20重量%まで、特に15重量%までの親水性モノマーを含み得る。
【0031】
通常、櫛型コポリマーは、1~25重量%、好ましくは3~20重量%、特に5~15重量%の親水性モノマーを含む。
【0032】
櫛型コポリマーは、PIBマクロモノマー、疎水性モノマー又は親水性モノマーとは異なる更なるモノマーを含み得る。更なるコモノマーとしては、
- ヒドロキシル官能性、エポキシ官能性、又はアミノ官能性(メタ)アクリレート
- スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン又はp-(tert-ブチル)スチレンなどのビニル芳香族化合物;
- アクリル酸及びメタクリル酸;
- アクリルアミド及びメタクリルアミド;
- マレイン酸並びにそれらのイミド及びC1~C10-アルキルエステル;
- フマル酸並びにそれらのイミド及びC1~C10-アルキルエステル;
- イタコン酸並びにそれらのイミド及びC1~C10-アルキルエステル;
- アクリロニトリル及びメタクリロニトリル
が利用できる。
【0033】
櫛型コポリマーは、15重量%まで、好ましくは5重量%まで、特に1重量%までの更なるモノマーを含み得る。別の形態においては、櫛型コポリマーは、更なるモノマーを含まない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好ましい形態においては、櫛型コポリマーは、
- 5~35重量%のPIBマクロモノマーと、
- 40~95重量%の疎水性モノマーと、
- 1~30重量%の親水性モノマーと
を含み、
全てのモノマーの合計は、100重量%である。
【0035】
別の好ましい形態においては、櫛型コポリマーは、
- 5~35重量%のPIBマクロモノマーと、
- 40~85重量%の疎水性モノマーと、
- 5~30重量%の親水性モノマーと
を含み、
全てのモノマーの合計は、100重量%である。
【0036】
別の好ましい形態においては、櫛型コポリマーは、
- 5~30重量%のPIBマクロモノマーと、
- 50~95重量%の疎水性モノマーと、
- 1~25重量%の親水性モノマーと
を含み、
全てのモノマーの合計は、100重量%である。
【0037】
別の好ましい形態においては、櫛型コポリマーは、
- 10~30重量%のPIBマクロモノマーと、
- 50~80重量%の疎水性モノマーと、
- 3~20重量%の親水性モノマーと
を含み、
全てのモノマーの合計は、100重量%である。
【0038】
別の好ましい形態においては、櫛型コポリマーは、
- 10~30重量%のPIBマクロモノマーと、
- 60~85重量%の疎水性モノマーと、
- 5~15重量%の親水性モノマーと
を含み、
全てのモノマーの合計は、100重量%である。
【0039】
櫛型コポリマーは、10,000~1,500,000g/モル、好ましくは20,000~1,000,000g/モル、特に50,000~200,000g/モルの分子量Mnを有し得る。
【0040】
櫛型コポリマーは、50,000~2,000,000g/モル、好ましくは100,000~1,000,000g/モル、特に200,000~600,000g/モルの分子量Mwを有し得る。
【0041】
櫛型コポリマーは、1.5~5.0、好ましくは2.0~4.5、特に2.9~4.1の多分散指数(PDI)を有し得る。
【0042】
櫛型コポリマーの分子量は、ポリスチレン標準(例えば、DIN55672-1)を用いてGPCにより求めることができる。
【0043】
基油(例えばNexbase(登録商標)3030)の30重量%溶液中における櫛型コポリマーの100℃での動粘度(KV100、一般にBrookfield粘度計を用いて測定)は、600mm2/s未満、好ましくは300mm2/s未満、特に150mm2/s未満であり得る。
【0044】
櫛型コポリマーは、塊状重合又は溶液重合などの従来のフリーラジカル重合により調製することができ、溶液重合が好ましい。
【0045】
溶液重合においては、反応混合物は、希釈剤、モノマー、重合開始剤、並びに場合により連鎖移動剤及び場合により架橋剤を含み得る。希釈剤は、任意の不活性炭化水素であってよい。全てのモノマーの濃度は、約30~100%の範囲であってよい。本明細書で使用する「全てのモノマー装入量」は、初期反応混合物中の全てのモノマーの合計量を意味する。
【0046】
希釈剤は、任意の不活性炭化水素であってよく、又は少なくとも1種の鎖状又は分岐のC2~C20ジカルボン酸と少なくとも1種の鎖状又は分岐のC1~C20モノアルコールとのジエステルであるジカルボン酸エステルであってよい。ジカルボン酸エステルは、ジカルボン酸と脂肪族アルコールとの反応から誘導されるのが好ましい。好ましいジカルボン酸は、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸並びにそれらの混合物である。ジカルボン酸エステル成分は、鎖状又は分枝の中型脂肪族アルコール、好ましくはC5~C20アルコール、より好ましくはC9~C15脂肪族アルコール、最も好ましくはノナノール、イソデカノール、イソトリデカノール、及び2s-プロピルヘプタノールとのエステル化により、そのようなジカルボン酸から形成されるのが好ましい。希釈剤は、好ましくはジ-(2-プロピルヘプチル)-アジペート又はジイソノニルアジペート、特にジ-(2-プロピルヘプチル)-アジペートである。
【0047】
櫛型コポリマーは、ジカルボン酸エステル、好ましくは少なくとも1種の鎖状又は分岐のC2~C20ジカルボン酸と少なくとも1種の鎖状又は分岐のC1~C20モノアルコールとのジエステル、特にジ-(2-プロピルヘプチル)-アジペートである、希釈剤中に存在するのが好ましい。
【0048】
好適な重合開始剤としては、加熱により解離してフリーラジカルを生じる開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーオクトエート及びクメンヒドロパーオキシドなどの過酸化化合物;並びにアゾイソブチロニトリル及び2,2’-アゾビス(2-メチルブタネニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。混合物は、全モノマー混合物に対して約0.001重量%~約5.0重量%の開始剤を含む。例えば、0.02重量%~約4.0重量%、0.02重量%~約3.5重量%が想定される。通常、約0.02重量%~約2.0重量%を使用する。
【0049】
好適な連鎖移動剤としては、メルカプタン及びアルコールが挙げられる。例えば、トリデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、及びエチルメルカプタンだけでなく、ヘキサンジチオールなどの二官能性メルカプタンも連鎖移動剤として使用してよい。使用する連鎖移動剤の量は、合成するポリマーの所望の分子量に基づいて選択する。連鎖移動剤は、モノマー混合物に対して0.001~3重量%の量で反応混合物又はモノマー供給物に添加されることが多い。
【0050】
全ての成分を、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に投入し、窒素ブランケット下で撹拌しながら約50℃から約125℃の温度まで約0.5時間~約15時間加熱して、重合反応を実施してもよい。
【0051】
本発明はまた、式(I)
【化2】
[式中、R
1は、H又はメチルであり、及びnは、5~100の数値である]
のPIBマクロモノマーを調製する方法であって、
式(IV)
【化3】
のポリイソブテンアミン(PIB-アミンとも呼ばれる)が、(メタ)アクリル酸無水物と反応する方法にも関する。
【0052】
ポリイソブチレンアミンは、例えば欧州特許第0244616号明細書に記載のように調製することができ、それらは市販されている。PIB-アミンは、300~10,000g/モル、好ましくは400~5000g/モル、特に800~2500g/モルの分子量を有し得る。PIB-アミンにおける添え字nは、一般にPIBマクロモノマーにおけるのと同じであり、例えば、それは、5~100、好ましくは10~80、特に15~65の数であってよい。
【0053】
PIB-アミンは、メタクリル酸無水物と反応するのが好ましい。
【0054】
PIB-アミンとメタクリル酸無水物との反応の典型的な反応スキームは:
【化4】
である。
【0055】
(メタ)アクリル酸無水物は、ポリイソブテンアミンに対してモル過剰、例えば少なくとも1.1倍、1.5倍又は2倍のモル過剰で存在するのが好ましい。
【0056】
PIB-アミンとメタ)アクリル酸無水物との反応後に、一般的に残りの(メタ)アクリル酸無水物の加水分解が続き、(メタ)アクリル酸を形成する。(メタ)アクリル酸は、蒸留により又水での抽出により除去することができる。
【0057】
PIB-アミンとメタ)アクリル酸無水物との反応は、0~-50℃、好ましくは10~-40℃の範囲の反応温度で行うことができる。
【0058】
PIB-アミンとメタ)アクリル酸無水物との反応は、炭化水素溶媒などの有機溶媒中で行うことができる。
【0059】
本発明はまた、
(i)基油と、
(ii)櫛型コポリマー又は本発明による方法で得ることができる櫛型コポリマーと、
(iii)更なる潤滑添加剤と
を含む潤滑剤にも関する。
【0060】
潤滑剤は、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%特に少なくとも1重量%の櫛型コポリマーを含み得る。別の形態においては、潤滑剤は、0.1~20重量%、好ましくは0.1~150重量%特に少なくとも0.1~10重量%の櫛型コポリマーを含み得る。
【0061】
潤滑剤は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%特に少なくとも70重量%の基油を含み得る。潤滑剤は、30~99.9重量%、好ましくは50~99重量%特に70~95重量%の基油を含み得る。
【0062】
潤滑剤は、20重量%まで、好ましくは15重量%まで、特に
10重量%までの更なる潤滑添加剤を含み得る。
【0063】
潤滑剤は、一般的に、機械装置の表面などの表面(好ましくは金属表面)間の摩擦を低減することができる組成物を指す。機械装置とは、機械的原理に基づいて動作する装置からなる機構のことであり得る。好適な機械装置は、ベアリング、ギア、ジョイント、及びガイダンスである。機械装置は、-30C~80℃の範囲の温度で作動し得る。潤滑剤は、一般的に潤滑液、潤滑油又は潤滑グリースである。
【0064】
潤滑剤は、一般的にほぼ全ての種類の機械及び製造プロセス用に特別に配合される。これらの潤滑剤に使用される基油及び/又は潤滑添加剤の種類及び濃度は、潤滑される機械又はプロセスの要件、機械の製造者や使用者が必要とする品質、並びに政府の規制に基づいて選択することができる。通常、それぞれの潤滑剤は、独特の一連の性能要件を有する。機械又はプロセスの適切な潤滑に加えて、これらの要件には、潤滑剤自体の品質の維持の他に、潤滑剤の使用及び廃棄がエネルギー使用、環境の質、及び使用者の健康に及ぼす影響も含まれる。
【0065】
典型的な潤滑剤は、自動車用潤滑剤(例えば、ガソリンエンジンオイル、ディーゼルエンジンオイル、ガスエンジンオイル、ガスタービン用オイル、自動変速機油、ギアオイル)及び工業用潤滑剤(例えば、工業用ギアオイル、エアツール用潤滑油、高温オイル、ガスコンプレッサーオイル、油圧作動油、金属加工油)である。
【0066】
潤滑剤の例は、アクセル潤滑、ミディアム及びヘビーデューティーエンジンオイル、工業用エンジンオイル、船舶用エンジンオイル、自動車用エンジンオイル、クランクシャフトオイル、コンプレッサーオイル、冷凍機油、炭化水素コンプレッサーオイル、超低温潤滑油脂、高温潤滑油脂、ワイヤーロープ潤滑剤、繊維機械油、冷凍機油、航空及び宇宙用潤滑剤、航空タービン油、変速機油、ガスタービン油、スピンドル油、スピン油、トラクション流体、変速機油、プラスチック変速機油、乗用車用変速機油、トラック用変速機油、工業用変速機油、工業用ギアオイル、絶縁油、精密機械油、ブレーキ液、変速機流体、ショックアブソーバーオイル、熱分配媒体油、変圧器油、脂肪、チェーンオイル、金属加工作業用の最小量の潤滑剤、温冷作業用オイル、水性金属加工液用オイル、ニートオイル金属加工液用オイル、半合成金属加工液用オイル、合成金属加工液用オイル、土壌探査用掘削清浄剤、油圧オイル、生分解性潤滑剤又は潤滑グリース若しくはワックス、チェーンソー用オイル、離型剤、成形液、銃、ピストル及びライフル用潤滑剤又は時計用潤滑剤、並びに食品グレード認可潤滑剤である。
【0067】
潤滑剤は、一般的には40℃Cで少なくとも10、50、100、150、200、300、400、500、600、900、1400、又は2000mm2/sの動粘度を有し得る。別の形態においては、潤滑剤は、一般的には40℃で200~30,000mm2/s(cSt)、好ましくは500~10,000mm2/s、特に1000~5000mm2/sの動粘度を有し得る。
【0068】
潤滑剤は、一般的には100℃で少なくとも2、3、5、10、20、30、40、又は50mm2/sの動粘度を有し得る。別の形態においては、潤滑剤は、100℃で、10~5000mm2/s(cSt)、好ましくは30~3000mm2/s、特に50~2000mm2/sの動粘度を有し得る。
【0069】
潤滑剤は、少なくとも150、160、170、180、190又は200の粘度指数(VI)を有し得る。
【0070】
基油は、鉱油(群I、II又はIII油)、ポリアルファオレフィン(群IV油)、重合及び共重合(interpolymerized)オレフィン、アルキルナフタレン、アルキレンオキシドポリマー、シリコーン油、リン酸エステル及びカルボン酸エステル(群V油)からなる群から選択され得る。基油は、APIの定義に従って、群I、群II、群III基油、又はそれらの混合物から選択されるのが好ましい。基油の定義は、米国石油協会(API)刊行物“Engine Oil Licensing and Certification System”,lndustry Services Department,Fourteenth Edition,December 1996,Addendum 1,December 1998に見出されるものと同じである。前記刊行物は、以下のように基油を分類する:
a)群I基油は、90%未満の飽和物(ASTM D 2007)及び/又は0.03%を超える硫黄(ASTM D 2622)を含有し、80以上且つ120未満の粘度指数(ASTM D 2270)を有する。
b)群II基油は、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含有し、80以上且つ120未満の粘度指数を有する。
c)群III基油は、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含有し、120以上の粘度指数を有する。
d)群IV基油は、ポリアルファオレフィンを含有する。ポリアルファオレフィン(PAO)としては、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどのC8~約C16アルファオレフィンが好ましいC2~約C32アルファオレフィンを含むが、これらに限定されない、比較的低分子量のアルファオレフィンの水素化ポリマー又はオリゴマーを通常含む、既知のPAO材料が挙げられる。好ましいポリアルファオレフィンは、ポリ-1-オクテン、ポリ-1-デセン、及びポリ-1-ドデセンである。
e)群V基油は、群I~IVによって記載されない任意の基油を含有する。群V基油の例としては、アルキルナフタレン、アルキレンオキシドポリマー、シリコーン油、及びリン酸エステルが挙げられる。
【0071】
合成基油としては、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えば、重合及び共重合オレフィン(例えば、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド並びにそれらの誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。
【0072】
末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などによって変性されているアルキレンオキシドポリマー及び共重合体並びにそれらの誘導体は、既知の合成基油の別のクラスを構成する。これらは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド並びにポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば、分子量1000を有するメチル-ポリイソプロピレングリコールエーテル又は分子量1000~1500を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル);並びにそれらのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えば、酢酸エステル、混合C3~C8脂肪酸エステル、及びテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルの重合によって調製されるポリオキシアルキレンポリマーによって例示される。
【0073】
ポリアルキル-、ポリアリール-、ポリアルコキシ-又はポリアリールオキシシリコーン油などのシリコーン系オイル及びシリケートオイルは、別の有用なクラスの合成基油を含み;このような基油には、テトラ-エチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチル-フェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが含まれる。他の合成基油には、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及び高分子テトラヒドロフランが含まれる。
【0074】
好適な潤滑添加剤は、粘度指数向上剤、高分子増粘剤、酸化防止剤、腐食抑制剤、清浄剤、分散剤、消泡剤、染料、摩耗防止添加剤、極圧添加剤(EP添加剤)、耐摩耗添加剤(AW添加剤)、摩擦調整剤、金属不活性化剤、流動点降下剤から選択してよい。
【0075】
粘度指数向上剤は、低温での場合よりも高温での油の相対粘度を増大させる高分子量のポリマーを含む。粘度指数向上剤としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー又はスチレン-ブタジエンコポリマー又はポリアルケン、例えば、PIB、スチレン/アクリレートコポリマー及びポリエーテル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。最も一般的なVI向上剤は、メタクリレートポリマー及びコポリマー、アクリレートポリマー、オレフィンポリマー及びコポリマー、並びにスチレンブタジエンコポリマーである。粘度指数向上剤の他の例としては、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、α-オレフィンポリマー、α-オレフィンコポリマー(例えば、エチレンプロピレンコポリマー)、ポリアルキルスチレン、フェノール縮合物、ナフタレン縮合物、スチレンブタジエンコポリマーなどが挙げられる。これらのうちで、10000~300000の数平均分子量を有するポリメタクリレート、及び1000~30000の数平均分子量を有するα-オレフィンポリマー又はα-オレフィンコポリマー、特に1000~10000の数平均分子量を有するエチレン-α-オレフィンコポリマーが好ましい。粘度指数増加剤は、ベースストックの重量に対して、好都合には0.05重量%以上から20.0重量%以下の範囲内の量で、個別に、又は混合物の形態で添加して使用することができる。
【0076】
好適な(ポリマー)増粘剤としては、ポリイソブテン(PIB)、オリゴマーコポリマー(OCPs)、ポリメタクリレート(PMAs)、スチレンとブタジエンとのコポリマー、又は高粘度エステル(複合エステル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などのフェノール系酸化防止剤又は非フェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0078】
有用なフェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノールが挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤は、無灰(金属無含有)のフェノール系化合物、又は特定のフェノール系化合物の中性若しくは塩基性金属塩であってもよい。典型的なフェノール系酸化防止剤化合物は、立体障害性ヒドロキシル基を含有するものであるヒンダードフェノールであり、これらには、ヒドロキシル基が互いにo位又はp位にあるジヒドロキシアリール化合物のそれらの誘導体が含まれる。典型的なフェノール系酸化防止剤としては、6個以上の炭素原子を有するアルキル基で置換したヒンダードフェノール及びこれらのヒンダードフェノールのアルキレン結合誘導体が挙げられる。この種のフェノール材料の例としては、2-t-ブチル-4-ヘプチルフェノール;2-t-ブチル-4-オクチルフェノール;2-t-ブチル-4-ドデシルフェノール;2,6-ジ-t-ブチル-4-ヘプチルフェノール;2,6-ジ-t-ブチル-4-ドデシルフェノール;2-メチル-6-t-ブチル-4-ヘプチルフェノール;及び2-メチル-6-t-ブチル-4-ドデシルフェノールが挙げられる。他の有用なヒンダードモノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒンダード2,6-ジ-アルキル-フェノール系プロピオン酸エステル誘導体を挙げることができる。ビスフェノール系酸化防止剤もまた、本発明と組み合わせて使用することができる。オルト結合したフェノールの例としては、2,2’-ビス(4-ヘプチル-6-t-ブチル-フェノール);2,2’-ビス(4-オクチル-6-t-ブチル-フェノール);及び2,2’-ビス(4-ドデシル-6-t-ブチル-フェノール)が挙げられる。パラ結合したビスフェノールの例としては、例えば、4,4’-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)及び4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)が挙げられる。
【0079】
使用することができる非フェノール系酸化防止剤としては、芳香族アミン系酸化防止剤が挙げられ、これらはそれ自体で使用しても、フェノール類と組み合わせて使用してもよい。非フェノール系酸化防止剤の典型的な例としては:式R8R9R10Nの芳香族モノアミンなどのアルキル化及び非アルキル化芳香族アミンが挙げられ、ここでR8は、脂肪族、芳香族又は置換芳香族基であり、R9は、芳香族又は置換芳香族基であり、R10は、H、アルキル、アリール、又はR11S(O)xR12(式中、R11は、アルキレン、アルケニレン、又はアラルキレン基であり、R12は、高級アルキル基、又はアルケニル、アリール、又はアルカリール基であり、xは0、1、又は2である)である。脂肪族基R8は、1~約20個の炭素原子を含んでよく、好ましくは約6~12個の炭素原子を含む。脂肪族基は、飽和脂肪族基である。好ましくは、R8及びR9の両方が、芳香族又は置換芳香族基であり、芳香族基は、ナフチルなどの縮合環芳香族基であってよい。芳香族基R8及びR9は、Sなどの他の基と一緒に結合することがある。
【0080】
典型的な芳香族アミン酸化防止剤は、少なくとも約6個の炭素原子のアルキル置換基を有する。脂肪族基の例としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられる。一般的に、脂肪族基は、約14個を超える炭素原子を含有しない。本組成物において有用な一般的な種類のアミン酸化防止剤としては、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、フェノチアジン、イミドジベンジル及びジフェニルフェニレンジアミンが挙げられる。2種以上の芳香族アミンの混合物もまた、有用である。高分子アミン酸化防止剤もまた、使用できる。本発明において有用な芳香族アミン酸化防止剤の特定の例としては:
p,p’-ジオクチルジフェニルアミン;t-オクチルフェニル-α-ナフチルアミン;フェニル-αナフチルアミン;及びp-オクチルフェニル-α-ナフチルアミン
が挙げられる。硫化アルキルフェノール及びそれらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩もまた、有用な酸化防止剤である。
【0081】
腐食抑制剤としては、様々な酸素含有、窒素含有、硫黄含有及びリン含有材料を挙げることができ、並びに金属含有化合物(塩、有機金属など)及び非金属含有材料又は無灰材料を挙げることができる。腐食抑制剤としては、添加剤のタイプ、例えば、ヒドロカルビル-、アリール-、アルキル-、アリールアルキル-、及びアルキルアリール型の清浄剤(中性、過塩基性)、スルホネート、フェネート、サリチレート、アルコレート、カルボキシレート、サリキサレート、ホスファイト、ホスフェート、チオホスフェート、アミン、アミン塩、アミンリン酸塩、アミンスルホン酸塩、アルコキシル化アミン、エーテルアミン、ポリエーテルアミン、アミド、イミド、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール、メルカプト-ベンゾチアゾール、トリルトリアゾール(TTZ型)、複素環式アミン、複素環式スルフィド、チアゾール、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、ジメルカプトチアジアゾール(DMTD型)、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ジチオベンズイミダゾール、イミダゾリン、オキサゾリン、マンニッヒ反応生成物、グリシジルエーテル、無水物、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、ポリグリコールなど又はそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0082】
清浄剤としては、汚れ粒子に接着して汚れが臨界面に付着するのを防ぐ洗浄剤が挙げられる。清浄剤もまた、金属表面自体に接着して、金属表面を清浄に保ち、腐食の発生を防止することができる。清浄剤としては、カルシウムアルキルサリチレート、カルシウムアルキルフェネート、及びカルシウムアルカリルスルホネートが挙げられ、マグネシウム、バリウム、又はナトリウムなどの金属イオンを代用するものも含まれる。使用することができる洗浄剤及び分散剤の例としては、中性及び塩基性アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、並びにアルカリ土類金属サリチレートなどの金属系清浄剤、アルケニルスクシンイミド及びアルケニル-スクシンイミドエステル並びにそれらの水素化ホウ素、フェネート、サリエニウス(salienius)複合清浄剤、並びに硫黄化合物で変性された無灰分散剤が挙げられる。これらの薬剤は、個別に又は混合物の形態で、好都合には、ベースストックの重量に対して0.01重量%以上から1.0重量%以下の範囲内の量で添加及び使用することができる;これらはまた、高全塩基価(TBN)、低TBN、又は高/低TBNの混合物であってもよい。
【0083】
分散剤は、臨界面上にスラッジ、ワニス、及び他の堆積物が形成するのを防ぐのに役立つ潤滑添加剤である。分散剤は、スクシンイミド分散剤(例えば、N置換長鎖アルケニルスクシンイミド)、マンニッヒ分散剤、エステル含有分散剤、脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤とアミン又はアンモニアとの縮合生成物、アルキルアミノフェノール分散剤、ヒドロカルビル-アミン分散剤、ポリエーテル分散剤又はポリエーテルアミン分散剤であってよい。一実施形態においては、スクシンイミド分散剤には、分散剤が誘導されるポリイソブチレンが、約400~約5000、又は約950~約1600の数平均分子量を有することができるポリイソブチレン置換スクシンイミドが含まれる。一実施形態においては、分散剤には、ホウ酸化分散剤が含まれる。通常、ホウ酸化分散剤としては、分散剤が誘導されるポリイソブチレンが、約400~約5000の数平均分子量を有することができるポリイソブチレンスクシンイミドを含むスクシンイミド分散剤が挙げられる。ホウ酸化分散剤は、極圧剤の説明の中で、より詳細に上に記載されている。
【0084】
消泡剤は、シリコーン、ポリアクリレートなどから選択してよい。本明細書に記載の潤滑剤組成物中の消泡剤の量は、配合物の総重量を基準として、0.001重量%以上から0.1重量%以下の範囲であってよい。更なる例としては、消泡剤は、約0.004重量%~約0.008重量%の量で存在していてよい。
【0085】
好適な極圧剤は、硫黄含有化合物である。一実施形態においては、硫黄含有化合物は、硫化オレフィン、ポリスルフィド、又はその混合物であってよい。硫化オレフィンの例としては、プロピレン、イソブチレン、ペンテン由来の硫化オレフィン;ベンジルジスルフィドを含む有機スルフィド及び/又はポリスルフィド;ビス-(クロロベンジル)ジスルフィド;ジブチルテトラスルフィド;ジ-tert-ブチルポリスルフィド;及びオレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、硫化ディールス-アルダー付加物、アルキルスルフェニルN’N-ジアルキルジチオカルバメート;或いはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態においては、硫化オレフィンは、プロピレン、イソブチレン、ペンテン又はそれらの混合物由来の硫化オレフィンを含む。一実施形態においては、極圧添加剤の硫黄含有化合物は、ジメルカプトチアジアゾール若しくは誘導体、又はそれらの混合物を含む。ジメルカプトチアジアゾールの例としては、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール又はヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールなどの化合物、又はそれらのオリゴマーが挙げられる。ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールのオリゴマーは、通常、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール単位間に硫黄-硫黄結合を形成して、2つ以上の前記チアジアゾール単位の誘導体又はオリゴマーを形成することにより形成する。好適な2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール由来の化合物としては、例えば、2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール又は2-tert-ノニルジチオ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾールが挙げられる。ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールのヒドロカルビル置換基上の炭素原子の数は、通常は1~30個、又は2~20個、又は3~16個を含む。極圧添加剤としては、ホウ素及び/又は硫黄及び/又はリンを含む化合物が挙げられる。極圧剤は、潤滑剤組成物の0重量%~約20重量%、又は約0.05重量%~約10.0重量%、又は約0.1重量%~約8重量%で潤滑剤組成物中に存在していてもよい。
【0086】
耐摩耗添加剤の例としては、有機ボレート、有機ホスファイト、例えば、ジドデシルホスファイト、有機硫黄含有化合物、例えば、硫化マッコウ鯨油又は硫化テルペン、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、亜鉛ジアリールジチオホスフェート、ホスホ硫化炭化水素、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0087】
摩擦調整剤としては、金属含有化合物若しくは材料、並びに無灰化合物若しくは材料、又はそれらの混合物を挙げることができる。金属含有摩擦調整剤は、金属塩又は金属配位子錯体を含み、ここで金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移族金属を含み得る。このような金属含有摩擦調整剤は、低灰分特性を有していてもよい。遷移金属としては、Mo、Sb、Sn、Fe、Cu、Znなどを挙げることができる。配位子としては、アルコール、ポリオール、グリセロール、部分エステルグリセロール、チオール、カルボキシレート、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、アミド、イミド、アミン、チアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、ジアゾール、トリアゾール、及び有効量のO、N、S、又はPを個別に又は組み合わせて含む他の極性分子官能基を挙げることができる。具体的には、Mo含有化合物、例えば、Mo-ジチオカルバメート、Mo(DTC)、Mo-ジチオホスフェート、Mo(DTP)、Mo-アミン、Mo(Am)、Mo-アルコラート、Mo-アルコール-アミドなどが特に有効であり得る。
【0088】
無灰摩擦調整剤としてはまた、有効量の極性基を含有する潤滑剤材料、例えば、ヒドロキシル含有ヒドロカルビル基油、グリセリド、部分グリセリド、グリセリド誘導体なども含み得る。摩擦調整剤の極性基としては、有効量のO、N、S、又はPを個々に又は組み合わせて含むヒドロカルビル基を挙げることができる。特に有効であり得る他の摩擦調整剤としては、例えば、脂肪酸の塩(灰含有誘導体と無灰誘導体の両方)、脂肪アルコール、脂肪アミド、脂肪エステル、ヒドロキシル含有カルボキシレート、及び同等の合成長鎖ヒドロカルビル酸、アルコール、アミド、エステル、ヒドロキシカルボキシレートなどが挙げられる。場合によっては、脂肪有機酸、脂肪アミン、及び硫化脂肪酸を好適な摩擦調整剤として使用することができる。摩擦調整剤の例としては、脂肪酸エステル及びアミド、有機モリブデン化合物、モリブデンジアルキルチオカルバメート及びモリブデンジアルキルジチオホスフェートが挙げられる。
【0089】
好適な金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール及びそれらの誘導体、例えば、4-又は5-アルキルベンゾトリアゾール(例えば、トリアゾール)及びそれらの誘導体、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール及び5,5’-メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾール又はトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1-[ビス(2-エチル-ヘキシル)アミノメチル)トリアゾール及び1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール;並びに1-(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール及び1-(1-シクロヘキシルオキシブチル)トリアゾールなどのアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。1種又は複数の金属不活性化剤の追加の非限定の例としては、1,2,4-トリアゾール及びその誘導体、例えば、3-アルキル(又はアリール)-1,2,4-トリアゾール、及び1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル-1,2,4-トリアゾールなどの1,2,4-トリアゾールのマンニッヒ塩基;1-(1-ブトキシエチル)-1,2,4-トリアゾールなどのアルコキシアルキル-1,2,4-トリアゾール;及びアシル化3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール誘導体、例えば、4,4’-メチレンビス(2-ウンデシル-5-メチルイミダゾール)及びビス[(N-メチル)イミダゾール-2-イル]カルビノールオクチルエーテル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。1種又は複数の金属不活性化剤の更なる非限定的の例としては、硫黄含有複素環式化合物、例えば、2-メルカプト-ベンゾチアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール及びそれらの誘導体;並びに3,5-ビス[ジ(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-1,3,4-チアジアゾリン-2-オン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。1種又は複数の金属不活性化剤の尚更なる非限定の例としては、アミノ化合物、例えば、サリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン及びそれらの塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。1種又は複数の金属不活性化剤は、組成物中の量において特に限定されないが、通常には、組成物の重量を基準として、約0.01~約0.1重量%、約0.05~約0.01重量%、又は約0.07~約0.1重量%の量で存在する。或いは、1種又は複数の金属不活性化剤は、組成物の重量を基準として、約0.1重量%未満、約0.7重量%未満、又は約0.5重量%未満の量で存在していてもよい。
【0090】
流動点降下剤(PPD)としては、ポリメタクリレート、アルキル化ナフタレン誘導体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。アルキル芳香族ポリマー及びポリメタクリレートなどの一般的に使用される添加剤もまた、この目的に有用である。通常、処理率は、ベースストックの重量に対して、0.001重量%以上から1.0重量%以下の範囲である。
【0091】
解乳化剤としては、リン酸トリアルキル、並びにエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はそれらの混合物の様々なポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0092】
本発明はまた、潤滑剤の粘度指数を向上させるための、櫛型コポリマー又は本発明による方法により得られる櫛型コポリマーの使用にも関する。
【実施例】
【0093】
実施例1 - マクロモノマー
ポリイソブチレンアミン(1006g、Mn約1000g/モル、官能化度60~70%、65重量%のC10~C13のn-パラフィン溶液、アミン価24.5gKOH、0.44モル-NH2)、0.44gのブチルヒドロキシトルエンBHT及び86.5g(0.56モル)のメタクリル酸無水物MAAhを室温で混合した。1H-NMRにより反応の経過を追跡した。20時間後、アミドへの変換が定量的になったら、300gの水を加え、90℃まで加熱した。過剰のメタクリル酸無水物の加水分解を1H-NMRで追跡した。15時間後、加水分解が定量的になったら、反応混合物を室温まで冷却し、水性相を分離して、1.13gのMeHQを加え、真空下80℃の浴温で過剰の水及びMAAを除去した。加えて、C10~C13のn-パラフィンの一部を留去した。1H-NMRによりMAA痕跡の定量的除去を追跡した。最終的に、C10~C13のn-パラフィンに溶解させたマクロモノマー833gを80.8%溶液として得た。
【0094】
実施例2 - マクロモノマー
1170gのポリイソブチレンアミン、0.5gのBHT及び96.6gのMAAhを用いて実施例1に記載したように、反応を実施した。300gの水を加え、加水分解後に、実施例1におけるように水性相を分離した。次に、250gの水g及び50gのNaOH水溶液(12.5重量%)を加え、混合し、沈降後に、水性相を分離した。有機相を300gの水で2回洗浄した後、1.21gのMeHQを加えた。1H-NMRによりメタクリル酸MAAの定量抽出を制御した。真空下80℃の浴温で残留水を除去した。C10~C13のn-パラフィンの部分も留去した。最終的に、C10~C13のn-パラフィンに溶解させたマクロモノマー915gを85.6%溶液として得た。
【0095】
実施例3 - マクロモノマー
1100gのポリイソブチレンアミン、0.47gのBHT及び93.4gのMAAhを用いて実施例1に記載したように、反応を実施した。次に250gの水及び50gのNaOH水溶液(12.5重量%)を加え、40~53℃まで加熱し、1H-NMRにより、過剰のメタクリル酸無水物の加水分解を追跡した。4時間半後、加水分解は、定量的となり、混合物を周囲温度まで冷却した。水性相を分離して、有機相を300gの水で2回洗浄した後、1.13gのMeHQを加えた。1H-NMRにより、MAAの定量抽出を制御した。80℃の浴温で段階的に真空度を下げることにより残留水を除去した。C10~C13のn-パラフィンの一部も留去した。最終的に、C10~C13のn-パラフィン中に溶解させたマクロモノマー896gを82.2%溶液として得た。
【0096】
実施例4 - マクロモノマー
557gのポリイソブチレンアミン、0.24gのBHT及び47.87gのMAAhを用いて実施例1に記載したように、反応を実施した。150gの水を加え、加水分解後に、実施例1におけるように水性相を分離した。次に、125gの水及び25gのNaOH水溶液(12.5重量%)を加えて、水性相を分離した。150gの水で有機相を2回洗浄した。1H-NMRにより、MAAの定量抽出を制御した。100gのシクロヘキサンを有機相に加えた。真空下60℃の浴温でシクロヘキサン及び残留水をゆっくりと除去しながら、段階的に真空度を下げて最終的に、水とシクロヘキサンを含まない生成物溶液を得た。C10~C13のn-パラフィンの一部を留去した。最終的に、C10~C13のn-パラフィン中に溶解させたマクロモノマー427gを87.3%溶液として得た。
【0097】
実施例5 - 重合
反応器に:
- 実施例2からのマクロモノマーPIBアミド(85.6重量%溶液)を58.4g
- EHMA2-エチルヘキシルメタクリレートを175g
- MMAメチルメタクリレートを25g
- TDDMtert-ドデシルメルカプタンを0.25g
- Nexbase(登録商標)3030を158g
加えた。
【0098】
モノマーの重量%は:PIBアミド20重量%、EHMA70重量%、MMA10重量%であった。
【0099】
N2下、撹拌しながら混合物を95℃まで加熱した。95℃に到達した直後5分以内に、6.38gのCatenexT121中に溶解させた0.64gのTBPEHの質量に相当する、開始剤テルブチル-パーオキシエチルヘキサノエートTBPEHの全溶液(29.64gのCatenexT121中に溶解させた3gのTBPEHが全溶液である)の1/3を加えた。混合物を更に10分間撹拌した。その後、TBPEH溶液の2/3を3時間かけて3回に分けて添加した:1回目分=1g、2回目分=2g、3回目分:2g。その後、混合物を95℃で1時間処理した。最後にTBPEHの9%溶液5.56gを加え、混合物を95℃で更に1時間撹拌する。
【0100】
1時間後、408.31gのNextbase(登録商標)3030(水素化高イソパラフィン炭化水素ベースストック、Neste製)を添加して、総ポリマー含有量を約30%にした。混合物を均一にするために30分間撹拌した。
【0101】
ポリスチロール較正を用いてGPCにより分子量を求めた:Mn106.000g/モル、Mw391.000g/モル、PDI3.7
【0102】
アプリケーションテストの結果は以下の通りであった:
KV100:245mm2/s(30重量%ポリマー溶液)
KV40:32.6mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
KV100:7.2mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
VI:195
流動点:-18℃
【0103】
ASTM D445/446に従って潤滑剤の100℃での動粘度(KV100)を求めた。粘度指数VI(DIN ISO 2909)が高いほど、動粘度での温度の影響が小さい。
【0104】
実施例6 - 重合
反応器に:
- 実施例4からのマクロモノマーPIBアミドを62.07g
- EHMA2-エチルヘキシルメタクリレートを163g
- MMAメチルメタクリレートを27.25g
- LMAラウリルメタクリレートを27.25g
- TDDMtert-ドデシルメルカプタンを0.27g
- DPHAジ-(2-プロピルヘプチル)アジペートを139.30g
加えた。
【0105】
モノマーの重量%は:PIBアミド20重量%、EHMA60重量%、MMA10重量%、LMA10%であった。
【0106】
N2下、撹拌しながら混合物を95℃まで加熱した。95℃に到達した直後5分以内に、2.27gのCatenexT121中に溶解させた0.25gのTBPEHの質量に相当する、開始剤テルブチル-パーオキシエチルヘキサノエートTBPEHの全溶液(6.95gのCatenexT121中に溶解させた0.7gのTBPEHが全溶液である)の1/3を加えた。混合物を更に10分間撹拌した。その後、TBPEH溶液の2/3を3時間かけて3回に分けて添加した:1回目分=1g、2回目分=2g、3回目分:2g。その後、混合物を95℃で1時間処理した。最後にTBPEHの9%溶液6.06gを加え、混合物を95℃で更に1時間撹拌する。
【0107】
1時間後、480gのジ-(2-プロピルヘプチル)アジペートを添加して、総ポリマー含有量を約30%にした。混合物を均一にするために30分間撹拌した。
【0108】
ポリスチロール較正を用いてGPCにより分子量を求めた:Mn88.000g/モル、Mw412.000g/モル、PDI4.7。
【0109】
アプリケーションテストの結果は以下の通りであった:
KV100:375mm2/s(30重量%ポリマー溶液)
KV40:35.1mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
KV100:7.3mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
VI:181
流動点:-18℃
【0110】
ASTM D445/446に従って潤滑剤の100℃での動粘度(KV100)を求めた。粘度指数VI(DIN ISO 2909)が高いほど、動粘度での温度の影響が小さい。
【0111】
実施例7 - 比較ポリマー
国際公開第2007/003238号パンフレットの実施例10に記載の、41重量%のPIBアミドと59重量%のNBMAをベースとするモノマー組成物を用いて、コポリマーを上述の実施例5の方法により調製した。重合の終わりに、Nextbase(登録商標)3030を加えて、総ポリマー含有量を約30%にした。
【0112】
ポリスチロール較正を用いてGPCにより分子量を求めた:Mn79.800g/モル、Mw747.000g/モル、PD9.4。
【0113】
アプリケーションテストの結果は以下の通りであった:
KV100:97mm2/s(30重量%ポリマー溶液)
KV40:31.1mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
KV100:6.0mm2/s(30重量%ポリマー溶液の5重量%)
VI:141
流動点:-18℃
【0114】
この比較例により、国際公開第2007/003238号パンフレットの実施例10に記載のコポリマーが、VIが低く且つせん断安定性が不良であることが実証された。
【0115】
実施例8 - 重合
反応器に:
- マクロモノマーPIBアミド(固形分72.4重量%)を74.59g
- EHMA2-エチルヘキシルメタクリレートを97.2g
- MMAメチルメタクリレートを40.8g
- SMA Stearylメタクリレートを48.0g
- TDDMtert-ドデシルメルカプタンを0.20g
- Yubase(登録商標)3鉱油を148.8g
加えた。
【0116】
モノマーの重量%は、PIBアミド22.5重量%、EHMA40.5重量%、MMA17重量%、SMA20%であった。
【0117】
N2下、撹拌しながら混合物を95℃まで加熱した。95℃に到達した直後5分以内に、開始剤テルブチル-パーオキシエチルヘキサノエートTBPEHの全溶液(6.26gのCatenexT121中に溶解させた0.6gのTBPEHが全溶液である)の1/3を加えた。混合物を更に10分間撹拌した。その後、TBPEH溶液の残りの2/3。その後、混合物を95℃で1時間処理した。最後に4.95gのCatenexT121中に0.49gのTBPEHを溶かした溶液を加え、混合物を95℃で更に1時間撹拌する。最終的に、180gのYubase(登録商標)3(水素処理軽パラフィン系鉱油、KV40 12.4mm2/s、KV100 3.12mm2/s、VI 112)を添加して、総ポリマー含有量を約40%にした。混合物を均一にするために60分間撹拌した。
【0118】
ポリスチロール較正を用いてGPCにより分子量を求めた:Mn99.300g/モル、Mw301.000g/モル、PDI3。
【0119】
アプリケーションテストの結果は以下の通りであった:
KV100:1062mm2/s(40重量%ポリマー溶液)
KV40:35.5mm2/s(40重量%ポリマー溶液の5重量%)
KV100:7.62mm2/s(40重量%ポリマー溶液の5重量%)
VI:191
流動点:-18℃
【0120】
ASTM D445/446に従って潤滑剤の100℃での動粘度(KV100)を求めた。粘度指数VI(DIN ISO 2909)が高いほど、動粘度での温度の影響が小さい。
【国際調査報告】