(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】基板処理システムにおける静電チャックの性能を監視するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241203BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241203BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241203BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527483
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022049601
(87)【国際公開番号】W WO2023086509
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン・リウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカーラン・ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ベロストツキィ・サージー・ゲオルギイェヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ツー
(72)【発明者】
【氏名】ジー・チュンハイ
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー・ノア・エリオット
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB07
2G084CC12
2G084DD02
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2G084DD23
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2G084HH11
2G084HH22
2G084HH43
5F004BB13
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5F131EB81
5F131EB82
5F131KA40
5F131KB45
(57)【要約】
【解決手段】処理チャンバの台座の健全性を監視するためのシステムは、命令を記憶するメモリおよびプロセッサを備える。プロセッサは、台座に配置された1つ以上の電極を通る1つ以上の電流を感知し、1つ以上の電流に基づいて1つ以上の基準値を作成し、1つ以上の基準値に基づいて台座の健全性を判断するための命令を実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバの台座の健全性を監視するためのシステムであって、
命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、
前記台座に配置された1つ以上の電極を通る1つ以上の電流を感知し、
前記1つ以上の電流に基づいて1つ以上の基準値を作成し、
前記1つ以上の基準値に基づいて前記台座の健全性を判断する
ための前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記電極は、前記処理チャンバにおける基板の処理の間、前記基板を前記台座にクランプするクランプ電極を含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて、前記処理チャンバにおける化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる前記台座の劣化を検出するように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて前記台座に関する問題を予測するように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて、前記台座上で処理された基板における欠陥の発生可能性を予測するように構成されている、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて、前記台座への基板のクランプに関する問題を検出するように構成されている、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて、基板が前記台座上で処理されたときの前記処理チャンバにおけるアーキングの発生可能性を予測するように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値に基づいて前記電流の不均衡を検出するように構成され、前記不均衡は、前記処理チャンバにおける化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる前記台座の劣化を示す、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記台座に配置された基板上で実施される1つ以上の処理工程中に前記電流を感知するように構成されている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記台座に配置された基板上で実施される、
前記基板を前記台座にクランプする動作、
前記クランプされた基板を前記台座上に保持する動作、
前記処理チャンバにプロセスガスを供給する動作、および、
前記処理チャンバにおいてプラズマを発生させることにより前記プロセスガスを用いて前記基板を処理する動作
の少なくとも1つの間に、前記電流を感知するように構成されている、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記電流の平均値および前記電流間の差分値の少なくともいずれかに基づいて、前記1つ以上の基準値を作成するように構成されている、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記電流の統計分析に基づいて前記1つ以上の基準値を作成するように構成されている、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値をそれぞれの閾値と比較することによって前記台座の前記健全性を判断するように構成されている、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、1つ以上の処理チャンバから受信したデータに基づいて前記それぞれの閾値を判断するように構成されている、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準値をそれぞれの所定範囲と比較することによって前記台座の前記健全性を判断するように構成されている、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、1つ以上の処理チャンバから受信したデータに基づいて前記それぞれの所定範囲を判断するように構成されている、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、
前記電極の2つを通る前記電流の2つは、反対方向に流れ、前記基準値の少なくとも1つは、前記2つの電流における不均衡を検出し、前記不均衡は、前記処理チャンバにおける化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる前記台座の劣化を示す、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、
前記2つの電極を通る前記電流の方向は、各後続基板の処理の間に反転される、システム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムであって、
前記電極の少なくとも1つは、前記台座上の基板の処理の間にプラズマに曝され、前記電極の前記少なくとも1つを通る前記電流の1つは、プラズマ成分を含む、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記プラズマ成分を判断し、前記電極の2つを通る前記電流を前記プラズマ成分によってオフセットするように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年11月12日出願の米国仮出願第63/279,003号の利益を主張する。上記出願の全ての開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に基板処理システムに関し、特に、基板処理システムにおいて静電チャックの性能を監視するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
半導体処理システム(ツールとも呼ばれる)は、処理チャンバ(ステーションまたは処理モジュールとも呼ばれる)を備える。処理チャンバにおいて、半導体基板(ウエハとも呼ばれる)は、台座(例えば、静電チャックまたはESC)の上に配置される。ESCは、処理の間に基板をESCにクランプするために複数のクランプ電極を備える。1つ以上のプロセスガスがシャワーヘッドから処理チャンバに供給される。シャワーヘッドとESCとの間でプラズマが発生して、基板上に材料が堆積される、または基板から材料が除去(エッチング)される。
【発明の概要】
【0005】
処理チャンバの台座の健全性を監視するためのシステムは、命令を記憶するためのメモリと、プロセッサとを備える。プロセッサは、台座に配置された1つ以上の電極を通る1つ以上の電流を感知し、1つ以上の電流に基づいて1つ以上の基準値を作成し、1つ以上の基準値に基づいて台座の健全性を判断するための命令を実行するように構成されている。
【0006】
さらなる特徴では、電極は、処理チャンバにおける基板処理の間に基板を台座にクランプするクランプ電極を含む。
【0007】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて、処理チャンバ内の化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる台座の劣化を検出するように構成されている。
【0008】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて台座に関する問題を予測するように構成されている。
【0009】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて、台座上で処理される基板における欠陥の発生可能性を予測するように構成されている。
【0010】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて、台座への基板のクランプに関する問題を検出するように構成されている。
【0011】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて、基板が台座上で処理されるときの処理チャンバにおけるアーキングの発生可能性を予測するように構成されている。
【0012】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値に基づいて電流の不均衡を検出するように構成されている。不均衡は、処理チャンバ内の化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる台座の劣化を示す。
【0013】
さらなる特徴では、プロセッサは、台座上に配置された基板で実施される1つ以上の処理工程中に電流を感知するように構成されている。
【0014】
さらなる特徴では、プロセッサは、台座上に配置された基板で実施される、基板を台座にクランプする動作、クランプされた基板を台座上に保持する動作、処理チャンバにプロセスガスを供給する動作、および、プロセスガスを用いて処理チャンバ内にプラズマを発生させることによって基板を処理する動作の少なくとも1つの間に、電流を感知するように構成されている。
【0015】
さらなる特徴では、プロセッサは、電流の平均値および電流間の差分値の少なくともいずれかに基づいて1つ以上の基準値を作成するように構成されている。
【0016】
さらなる特徴では、プロセッサは、電流の統計分析に基づいて1つ以上の基準値を作成するように構成されている。
【0017】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値をそれぞれの閾値と比較することによって台座の健全性を判断するように構成されている。
【0018】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の処理チャンバから受信したデータに基づいてそれぞれの閾値を決定するように構成されている。
【0019】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の基準値をそれぞれの所定範囲と比較することによって台座の健全性を判断するように構成されている。
【0020】
さらなる特徴では、プロセッサは、1つ以上の処理チャンバから受信したデータに基づいてそれぞれの所定範囲を決定するように構成されている。
【0021】
さらなる特徴では、2つの電極を通る2つの電流は反対方向に流れる。基準値の少なくとも1つは、2つの電流の不均衡を検出する。不均衡は、処理チャンバにおける化学的環境、電気的環境、および温熱環境の少なくとも1つによる台座の劣化を示す。
【0022】
さらなる特徴では、2つの電極を通る電流の方向は、各後続基板の処理の間に反転される。
【0023】
さらなる特徴では、電極の少なくとも1つは、台座上の基板処理の間にプラズマに曝される。電極の少なくとも1つを通る電流の1つは、プラズマ成分を含む。
【0024】
さらなる特徴では、プロセッサは、プラズマ成分を判断し、2つの電極を通る電流をプラズマ成分によってオフセットするように構成されている。
【0025】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および具体例は例示を目的とし、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0027】
【0028】
【
図2】
図1の処理チャンバの静電チャック(ESC)において感知された、いくつかの電流のグラフ。
【0029】
【
図3A】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる基準値を計算するための、ESCで感知された電流平均値。
【
図3B】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる基準値を計算するための、ESCで感知された電流平均値。
【
図3C】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる基準値を計算するための、ESCで感知された電流平均値。
【
図3D】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる基準値を計算するための、ESCで感知された電流平均値。
【0030】
【
図4A】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCで感知された電流の差分値。
【
図4B】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCで感知された電流の差分値。
【
図4C】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCで感知された電流の差分値。
【
図4D】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCで感知された電流の差分値。
【0031】
【
図5A】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【
図5B】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【
図5C】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【
図5D】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【
図5E】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【
図5F】ESCの健全性を示し、ESCの不具合を予測することができる追加基準値を計算するための、ESCと共に用いられる補完電源を通る電流。
【0032】
【
図6】基準値の閾値および閾値範囲を計算するための方法。
【0033】
【
図7】基準値ならびにそれぞれの閾値および閾値範囲に基づいて、ESCの健全性を判断し、ESCの不具合を予測するための方法。
【0034】
図面では、類似および/または同一の要素を識別するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0035】
静電チャック(ESC)は、処理チャンバ(ステーションとも呼ばれる)内で過酷な動作条件に曝される。例えばESCは、様々な処理化学物質、高電圧(例えば、約数百ボルト)、および高温(例えば、約華氏数百度)に曝される。時間と共に、そのような厳しい化学的条件、電気的条件、および熱的条件への曝露は、ESCを劣化させ損傷する傾向がある。例えば、ESCのクランプ能力が低下する。いくつかの基板処理の間に起こるアーキングにより、通常均衡の取れた、クランプ電極を通る電流は増加し、不均衡になる傾向がある。これらの問題は、基板に欠陥を生じさせる。現在、どの基板にアーキング傾向が高いか、または、どの基板が損傷したESCを示すことができるかを直接予測できるESC電流はない。そのため、これらの問題は根強く残る傾向があり、ESCはこれらの問題を回避するために積極的な監視および修理ができない。
【0036】
本開示は、ESC電流から導かれる複数の基準値を用いることによって上記の問題を解決するシステムを提供する。基準値は、ESCにおける電流の不均衡を検出し、ESCの健全性および劣化を示すのに役立つ。基準値は、ESCの不具合の可能性に関する予測を提供する。さらに基準値は、基板において生じうる欠陥の可能性を予測し、どの基板がアーキングを引き起こしやすいかも識別できる。これらの予測は、製造および修理の計画に役立つことができる。本開示のシステムのこれらの特徴および他の特徴は、以下に詳しく説明される。
【0037】
図1は、半導体処理システム(ツール)の処理チャンバ(ステーション)200の概略図を示す。ステーション200は、処理の間に基板212が配置される静電チャックESC202を備える。ESC202は、双極電極とも呼ばれる、少なくとも2つのクランプ電極E1 220およびE2 222を備える。いくつかのESCは、外部電極(OE)224と呼ばれる第3のクランプ電極を備える。OE224は環状で、電極220および222を取り囲む。電極220、222、および224は、3極電極と呼ばれる。
【0038】
ステーション200は、1つ以上のプロセスガスを供給するシャワーヘッド206を備える。高周波(RF)電力(図示せず)がシャワーヘッド206およびESC202に印加されて、シャワーヘッド206とESC202との間にプラズマ214が発生し、材料が基板212の上に堆積する、または基板212から除去される。
【0039】
ESC202は、電極220および222に電力をそれぞれ供給する2つの電源230および232を備える。補足電源(CPS)204は、プラズマ電圧(以下に説明)に基づいて電源230および232へのオフセットを提供する。OE224は、CPS204と電源230および232との間のノード236に接続される。つまり、OE224はCPS204の出力に接続され、電源230および232の入力にも接続される。
【0040】
電源230および232は、電圧240および242をそれぞれ電極220および222に供給する。電圧240および242は、反対の極性を有する。そのため、電流244および246は、電極220および222を通って反対方向に流れる。電流248は、OE224およびCPS204を通って流れ、CPS電流248と呼ばれる。OE224の外径(OD)は、基板212のODよりも大きい。従って、OE224の外側部分はプラズマ214に曝され、CPS電流248はプラズマ成分を含む。
【0041】
コントローラ210は、電源230、232、および204を制御する。コントローラ210は、電源230および232を互いに独立して制御する。プラズマ電圧値は、実験に基づいて測定され、プロセス用に定められ、コントローラに記憶される。CPS204は、プラズマ電圧値に基づいて電源230および232にオフセットを供給する。コントローラ210は、電極220および222に供給された電圧240および242の極性を各基板の処理後に切り替える。それに応じて、各基板の処理後に電流244および246の方向も反転する。
【0042】
時間とともに、ステーション内の過酷な化学的環境(様々な処理化学物質)、電気的環境(高電圧および高電流)、ならびに温熱環境(高温)により、ESC202は摩耗する傾向がある。例えば、いくつかの基板処理の間にアーキングが生じる。アーキングは電流244、246、および248(まとめてESC電流と呼ばれる)に影響を及ぼし、ESC202のクランプ能力が低下する。通常、平衡状態の電流244および246は増加して不平衡になる傾向があり、それによって基板に不均一が生じる傾向がある。現時点の最新技術では、どの基板がより大きなアーキング傾向を有するかを直接予測できる電流はない、または、損傷したESCを示すことができる電流はない。
【0043】
本開示は、ESC電流から導かれた基準値を提供するシステムを提供する。基準値は、電流の不平衡を検出し、ESC202の健全状態(例えば、ESC202が正常に動作しているか、劣化しているかどうか)を示す。基準値の閾値および/または閾値範囲は、いくつかのツールのステーションから収集されたデータに基づいて経験的に決定される。使用時に、基準値はステーション200で感知されたESC電流から(例えば、コントローラ210によって)計算される。計算された基準値は、それぞれの閾値または閾値範囲と比較される。ESC202の健全性は、その比較に基づいて判断される。ESC202の劣化レベルに関する予測、およびESC202の残存耐用寿命の推定も比較に基づいて提供される。予測は、以下に説明されるように、生産および修理を計画するのに役立つ。さらに基準値は、どの基板がアーキングを引き起こしやすいかも予測できる。
【0044】
図2は、基板212で通常実施されるプロセス工程の例を示す。以下に記載のプロセス工程は、記載の順序で連続して実施される。クランプ工程Cでは、電圧V1がクランプ電極に印加される。保持工程Hでは、クランプ電極に印加された電圧は、ESC202にクランプされた基板212を保持するためにV2からV1に低減される。工程Pでは、1つ以上のプロセスガスがシャワーヘッド206を通じて供給される。工程Dでは、シャワーヘッド206およびESC202にRF電力を印加することによってプラズマを発生させ、材料が基板212に堆積される、または基板212から除去される。工程Dは通常、工程C、H、およびPよりも長い期間である。
【0045】
図2では、工程C、H、P、およびDの間の電流244と246との差分値が250に示されている。工程C、H、P、およびDの間の電流244および246の平均値は、252に示されている。工程C、H、P、およびDの間のCPS電流248は、254に示されている。
【0046】
図3A~6Fを参照すると、ESC202の健全性を示し、ESC202の劣化および不具合を予測する様々な基準値が定義されている。まず、基準値の定義が説明される。次に、ESC202の健全性を示し、ESC202の劣化および不具合を予測するための基準値の閾値の計算、および基準値の使用について説明される。
【0047】
図3A~6Fのいくつかは、
図2に示された曲線の省略および簡略された曲線を示す。
図3A~6Fおよびそれらの説明では、工程の名称C、H、P、およびDはそのままである。いくつかの例では、用語Clamp、Hold、およびDepは、それぞれ工程C、H、およびDを示すために明記され、用語Supは、プロセスガス供給工程を示すためにPに代わって用いられる。さらに、基準値を求める公式では、記号A、B、およびCPSは、それぞれ電流244、246、および248を示すために用いられる。記号aveおよびdiffは、それぞれ平均値および差分値を示すために用いられる。
【0048】
図3A~3Dを参照すると、図の曲線は、
図2の252で示された曲線に類似する。曲線は、工程C、H、P、およびDの間のESC電流244および246の平均値を示す。基準値M1は、以下のように定義される。
【0049】
図3Aを参照すると、基準値M1=(平均値(I
ABave[Dep])-平均値(I
ABave[Hold]))/平均値(I
ABave[Hold])であり、I
ABave[Dep]は、工程Dの間の電流244および246の平均値であり(図中の260)、I
ABave[Hold]は、工程Hの間の電流244および246の平均値である(図中の262)。基準値M1は、電流244および246におけるプラズマ214に誘起された変化を示す。
【0050】
基準値M1は、以下のように別の方法でも公式化できる。
【0051】
M1=(最大値(IABave[Dep])-平均値(IABave[Hold]))/平均値(IABave[Hold])。最大値(IABave[Dep])は、工程Dの間の電流244および246の平均最大値であり(図中の264)、IABave[Hold]は、工程Hの間の電流244および246の平均値である(図中の262)。
【0052】
あるいは、M1=平均値(IABave[Dep])-平均値(IABave[Hold])である。用語は上に定義されている。
【0053】
さらなる選択肢として、M1=最大値(IABave[Dep])-平均値(IABave[Hold])がある。用語は上に定義されている。
【0054】
図3Bを参照すると、基準値M2は以下のように定義される。
【0055】
M2=(最大値(IABave[Sup])-平均値(IABave[Hold]))/平均値(IABave[Hold])。最大値(IABave[Sup])は、工程Pの間の電流244および246の最大平均値であり(図中の266)、IABave[Hold]は、工程Hの間の電流244および246の平均値である(図中の262)。基準値M2は、工程PにおけるESC電流244および246の相対最大値を示す。
【0056】
基準値M2は、以下のように別の方法でも公式化できる。
【0057】
M2=最大値(IABave[Sup])-平均値(IABave[Hold])。用語は上に定義されている。
【0058】
図3Cを参照すると、基準値M3は以下のように定義される。
【0059】
M3=平均値(IABave[Clamp])または平均値(IABave[Hold])または平均値(IABave[Dep])であり、それぞれ工程C、H、およびDの間の電流244および246の平均値である(それぞれ図中の268、262、および260)。
【0060】
図3Dを参照すると、第1の曲線272は、第1の基板処理の間の電流244および246の平均値を示す。第2の曲線274は、後続の第2の基板処理の間の電流244および246の平均値を示す。
図1を参照して上に説明したように、ESC電流244および246は、第2の基板処理の間に第1の基板の処理に対して反転する。
【0061】
276では、第1の基板から第2の基板への処理における工程Dの間の電流244および246の平均値である平均値(IABave[Dep])の変化が示されている。平均値(IABave[Dep])が図のように(下向きに)減少する場合、平均値(IABave[Dep])の傾きは負となり、ESC202が正常に(または、健全に)動作していることを示す。平均値(IABave[Dep])が増加(例えば、図の方向とは反対方向に、下向きに対して上向きに変化)する場合、平均値(IABave[Dep])の傾きは正となり、ESC202が劣化していることを示す。それに応じて、ESC202の健全性を示し、ESC202の劣化および不具合を予測できる別の基準値が、平均値(IABave[Dep])の傾きとして定義されうる。
【0062】
図4A~4Dを参照すると、図の曲線は、
図2の250で示された曲線に類似する。曲線は、工程C、H、P、およびDの間のESC電流244および246における差分値を示す。
図4Aは、電流244および246の絶対値における差分値を示す(反対の極性を除く)(図中のA+B)。
図4Bは、電流244および246の実際値における差分値を示す(反対の極性を含む)(図中のA-B)。
【0063】
図4Aを参照すると、基準値M4は以下のように定義される。
【0064】
M4=平均値(IABdiff[Clamp])または平均値(IABdiff[Hold])または平均値(IABdiff[Dep])であり、それぞれ工程C、H、およびDの間の電流244および246の絶対値における差の平均値である(それぞれ図中の280、282、および284)。基準値M4は、工程C、H、およびDにおけるESC電流の差を提供する。
【0065】
あるいは、
図4Aおよび4Bを参照すると、基準値M4は以下のようにも公式化できる。
【0066】
M4=平均値(IABdiff[Dep])/平均値(IABave[Dep])。用語はいずれも上に定義されている。
【0067】
図4Cを参照すると、基準値M4は以下のようにも定義できる。
【0068】
M4=最大値(IABdiff[Dep]、第1のT時間単位)-平均値(IABdiff[Hold])。最大値(IABdiff[Dep]、第1のT時間単位)は、工程Dの開始から第1のT時間単位(例えば、10秒)におけるIABdiff[Dep]の最大値であり(図中の286)、IABdiff[Hold]は、工程Hの間の電流244および246の絶対値における差の平均値である(図中の282)。この基準値は、工程Dの第1のT時間単位におけるESC電流における差の相対最大値を示す。
【0069】
図4Dを参照すると、基準値M4は以下のようにも定義できる。
【0070】
M4=平均値(IABdiff[Dep]、最後のT時間単位)-平均値(IABdiff[Hold])。平均値(IABdiff[Dep]、最後のT時間単位)は、工程Dの終了前の最後のT時間単位(例えば、10秒)におけるIABdiff[Dep]の平均値であり(図中の288)、IABdiff[Hold]は、工程Hの間の電流244および246の絶対値における差の平均値である(図中の282)。この基準値は、工程Dの最後のT時間単位におけるESC電流における差の相対平均値を示す。
【0071】
図5A~5Fを参照すると、図の曲線は、
図2の254で示された曲線に類似する。曲線は、工程C、H、P、およびDの間のCPS電流248を示す。
【0072】
図5Aを参照すると、基準値M5は以下のように定義できる。
【0073】
M5=最大値(ICPS[Dep])であり、工程DにおけるCPS電流248の最大値である(図中の290)。
【0074】
図5B~5Dを参照すると、基準値M5は以下のようにも定義できる。
【0075】
図5Bを参照すると、M5=最大値(I
CPS[Dep]、第1のT時間単位)-平均値(I
CPS[Hold])である。最大値(I
CPS[Dep]、第1のT時間単位)は、工程Dの開始から第1のT時間単位(例えば、10秒)におけるCPS電流248の最大値であり(図中の292)、平均値(I
CPS[Hold])は、工程Hの間のCPS電流248の平均値である(図中の294)。この基準値は、工程Dの第1のT時間単位におけるCPS電流248の相対最大値を示す。
【0076】
図5Cを参照すると、M5=平均値(I
CPS[Dep]、最後のT時間単位)-平均値(I
CPS[Hold])である。平均値(I
CPS[Dep]、最後のT時間単位)は、工程Dの終了前の最後のT時間単位(例えば、10秒)におけるI
CPS[Dep]の平均値であり(図中の296)、平均値(I
CPS[Hold])は、上に定義されている。この基準値は、工程Dの最後のT時間単位におけるCPS電流248の相対平均値を示す。
【0077】
図5Dを参照すると、M5=最大値(I
CPS[Dep]、第1のT1時間単位)-平均値(I
CPS[Dep]、最後のT2時間単位)である。T1>T2の場合に、最大値(ICPS[Dep]、第1のT1時間単位)は、工程Dの開始から第1のT1時間単位(例えば、90秒)におけるCPS電流248の最大値であり(図中の293)、平均値(I
CPS[Dep]、最後のT2時間単位)は、工程Dの終了前の最後のT2時間単位(例えば、10秒)におけるI
CPS[Dep]の平均値である(図中の296)。この基準値は、工程Dの開始から第1のT1時間単位(例えば、90秒)におけるCPS電流248の最大値(図中の293)と、工程Dの終了前の最後のT2時間単位(例えば、10秒)におけるCPS電流248の平均値(図中の296)との間の差を示す。
【0078】
図5Eおよび5Fを参照すると、基準値M5は以下のさらなる方法で定義できる。
【0079】
図5Eを参照すると、M5=平均値(I
CPS[Clamp])または平均値(I
CPS[Hold])または平均値(I
CPS[Dep])であり、それぞれ工程C、H、およびDの間のCPS電流248の平均値である(それぞれ図中の298、300、および302)。これらの基準値M5は、工程C、H、およびDにおけるOE224と基板212との間の電流を示す。
【0080】
図5Fを参照すると、第1の曲線304は、第1の基板処理の間のCPS電流248を示す。第2の曲線306は、後続の第2の基板処理の間のCPS電流248を示す。第2の基板処理の間に、ESC電流244および246は、
図1を参照して上に説明されたように第1の基板処理に対して反転する。308では、第1の基板から第2の基板の処理における、工程DにおけるCPS電流248の最大値である最大値(I
CPS[Dep])の差が示されている。それに応じて、電流244および246が反転したときの最大I
CPSの差または分割である分割(最大値(I
CPS[Dep]))として、別の基準値が定義されうる。この基準値は、ESC202の健全性を示し、ESC202の劣化および不具合を予測できる。
【0081】
上記の全ての基準値の閾値および/または閾値範囲は、いくつかのツールから収集されたデータに基づいて経験的に計算される。閾値および/または閾値範囲は、コントローラ210に記憶される。基準値ならびに基準値のそれぞれの閾値および/または閾値範囲は、プロセス別になっている。使用時にコントローラ210は、電流244、246、および248を感知し、上記の基準値のいずれかを計算する。コントローラ210は、基準値とそれぞれの閾値および/または閾値範囲とを比較する。その比較に基づいて、コントローラ210はESC202の健全性を判断し、ESC202の劣化レベルおよび不具合の可能性(例えば、推定残存耐用寿命)を予測する。基準値は、アーキングの発生可能性も予測できる。例えば基準値は、どの基板がアーキングを引き起こしやすいかを予測できる。基準値は、USC202を用いて処理された基板における欠陥の発生可能性も予測できる。
【0082】
全ての基準値を用いる必要はないことに注意されたい。上記の様々な基準値を公式化するのに用いられた平均値、差分値、および統計パラメータにより、いくつかの基準値は重複されうる。さらに、いくつかの基準値は、ESCの健全性を示し、その不具合を予測することにおいて、他よりも信頼できるだろう。従って、ESCの健全性および不具合の可能性を判断するために、選択された基準値(例えば、他よりも信頼できる基準値)のみが用いられてよい。さらに、いくつかのESCには1セットの基準値が用いられ、他のESCには別のセットの基準値が用いられてよい。基準値は、他の方法で選択および使用できる。
【0083】
いくつかの実施形態では、閾値は調整または段階的に変更されてよい。本段落における以下の閾値についての説明は、閾値範囲にも当てはまる。例えば、いくつかの基準値の閾値は、3つの順次増加する値を有してよい。基準値が第1の(最小)閾値を超えると、単純な警告が発行される。基準値が、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えると、単純な警告よりも深刻な警告が発行される。より深刻な警告に応答して、生産および修理が計画できる。例えば、いくつかの生産物(処理対象の基板)は、健全なESCを備える別のステーションまたはツールに搬送でき、問題のあるESCに対する修理が計画できる。基準値が、第2の閾値よりも大きい第3の(最大)閾値を超えると、最も深刻な警告が発行される。最も深刻な警告に応答して、全ての生産物は、健全なESCを備える別のステーションまたはツールに搬送され、問題のあるESCが修理される。1つの閾値を用いる実施形態では、基準値が閾値を超えると警告が発行され、生産物が健全なESCを備える別のステーションまたはツールに搬送され、問題のあるESCが修理されてよい。
【0084】
図6は、基準値の閾値および閾値範囲を計算する方法400を示す。方法400は402において、ESCが健全であることが分かっているいくつかのツールからESC電流の測定値を収集する。方法400は404において、ESCに問題があることが分かっているいくつかのツールからESC電流の測定値を収集する。方法400は406において、健全なESCおよび問題のあるESCの両方の基準値を計算する。方法400は408において、健全なESCおよび問題のあるESCの両方について計算された基準値を比較することによって、基準値の閾値および閾値範囲を決定する。方法400は410において、基準値の閾値および閾値範囲を記憶し、方法400は終了する。
【0085】
図7は、ESCの健全性を判断し、ESCに関する問題を予測するための方法450を示す。方法450は452において、ステーション内のESC電流を感知する。方法450は454において、感知した電流に基づいて1つ以上の基準値を計算する。方法450は456において、1つ以上の基準値をそれぞれの閾値または閾値範囲と比較する。方法450は458において、比較に基づいて、ESCの健全性を判断し、ESCの不具合の可能性、アーキングの発生可能性、基板で生じる欠陥の可能性、および、どの基板にアーキングが生じやすいかを予測し、方法450は終了する。
【0086】
上記のシステムおよび方法は、コントローラ210において実装できる、または、クラウド内で実装し、サービスとしてのソフトウェアとして展開できる、または、クラウド内でコントローラ210およびサーバの両方の組み合わせを用いて実装できる。クラウドベースの実施形態では、コントローラ210は、電流感知のみを実施してよい。感知された電流のデータは、インターネットおよび/または他の適したネットワークなどの分散型通信システムを介して、クラウド内のサーバに伝送できる。サーバでは基準値が計算され、それぞれの閾値および/または閾値範囲と比較される。コントローラ210は比較に基づき、分散型通信システムを介して、ESCの健全性の指標およびサーバからの予測を受信できる。指標および予測は、サーバまたはコントローラ210から他の計算装置(ツールのオペレータのモバイル機器を含むがそれに限定されない)にも伝送できる。
【0087】
上記の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その適用、または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形で実施できる。よって、本開示は特定の実施例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されない。方法の1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上記されているが、本開示の実施形態に関して説明された1つ以上のそれらの特徴は、他の実施形態において、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて実施できる(その組み合わせが明記されない場合でも)。つまり、記載の実施形態は互いに排他的ではなく、1つ以上の実施形態の互いの並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0088】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記開示において第1の要素と第2の要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的関係でありうるが、同時に、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係でもありうる。本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきでない。
【0089】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上記の例の一部でありうるシステムの一部である。そのようなシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(例えば、ウエハ台座、ガス流システム)などの半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。これらの電子機器は、システムの様々な構成部品または副部品を制御できる「コントローラ」と呼ばれてよい。
【0090】
コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールならびに/または特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0091】
概してコントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義する命令であってよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハ金型の製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータはシステムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能の基準を調査して、現在の処理のパラメータを変更してよい、または現在の処理に続く処理工程を設定してよい、または新しいプロセスを開始してよい。
【0093】
いくつかの実施例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの実施例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続または制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。
【0094】
よって、上記のようにコントローラは、例えば互いにネットワーク接続された1つ以上の別々のコントローラを備えることと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。そのような目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0095】
制限するものではないが、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0096】
上記のように、コントローラは、ツールによって実施されるプロセス工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。
【国際調査報告】