(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】リソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法、投影システム、及び投影システムを含むリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241203BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534441
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022084549
(87)【国際公開番号】W WO2023117399
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,ハンズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨン,ロベルタス,ヨハネス,マリヌス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197BA02
2H197DA09
2H197EA11
2H197EA20
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
(57)【要約】
本発明は、投影段階及びアイドリング段階を有するリソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法であって、上記方法は、第1の制御ループにおいて第1のモジュールの第1の位置を制御することであって、第1のモジュールは投影システムの位置制御ミラーであり、第1の制御ループは第1の帯域幅を有し、且つ第1の周期的誤差を有する第1の位置測定システムを含む、制御することを含み、第1の位置を制御することは、少なくとも投影段階中に第1のモジュールを連続的に移動させることで、第1の周期的誤差の第1の主周波数が第1の制御ループの第1の帯域幅を超えるようになることを含む、方法を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影段階及びアイドリング段階を有するリソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法であって、前記方法は、
第1の制御ループにおいて第1のモジュールの第1の位置を制御することであって、前記第1のモジュールは投影システムの位置制御ミラーであり、前記第1の制御ループは第1の帯域幅を有し、且つ第1の周期的誤差を有する第1の位置測定システムを含む、制御することを含み、
前記第1の位置を制御することは、少なくとも前記投影段階中に前記第1のモジュールを連続的に移動させることで、前記第1の周期的誤差の第1の主周波数が前記第1の制御ループの前記第1の帯域幅を超えるようになることを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、第2の制御ループにおいて第2のモジュールの第2の位置を制御することを含み、
前記第1の位置及び前記第2の位置を制御することは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させて、前記第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の制御ループは、第2の帯域幅を有し、且つ第2の周期的誤差を有する第2の位置測定システムを含み、
前記第1の位置及び前記第2の位置を制御することは、
少なくとも前記投影段階中に前記第2のモジュールを連続的に移動させることで、前記第2の周期的誤差の第2の主周波数が前記第2の制御ループの前記第2の帯域幅を超えるようになることと、
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させて、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させることは、前記第2のモジュールが前記第1のモジュールに従うように前記第2のモジュールの移動を前記第1のモジュールの移動に適合させることを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のモジュールの第1の実際の位置と前記第1のモジュールの第1の基準位置との間の前記第1の制御ループにおける第1の位置誤差を前記第2の制御ループに入力することと、
前記第2のモジュールの第2の実際の位置、前記第2のモジュールの第2の基準位置、及び前記第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
前記適合された第2の位置誤差を、前記第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2のモジュールは、第2の位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、請求項2~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動は、前記投影システムの光学感度マトリックスのヌル空間内に存在するように適合される、請求項2~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
追加の制御ループにおいて追加のモジュールの位置を制御することを含み、前記追加の制御ループは帯域幅を有し、且つ周期的誤差を有する位置測定システムを含み、
前記追加のモジュールの前記位置を制御することは、
少なくとも前記投影段階中に前記追加のモジュールを連続的に移動させることで、前記周期的誤差の主周波数が前記追加の制御ループの前記帯域幅を超えるようになることを含み、
前記追加のモジュールの移動は、前記第1のモジュールの移動に適合されて、前記第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記追加のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させる、請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記追加のモジュールは、位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記投影段階中に前記第1のモジュールを移動させることは、前記第1のモジュールを一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させることを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記アイドリング段階は、前記第1のモジュールの移動方向及び/又は速度を適合させるために使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の位置測定システム及び/又は前記第2の位置測定システムは、干渉計である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1の制御ループは、前記第1のモジュールを移動させることから生じる前記第1の周期的誤差の前記第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2の制御ループは、前記第2のモジュールを移動させることから生じる前記第2の周期的誤差の前記第2の主周波数に対応する第2のフィルタ周波数を有する第2のノッチフィルタを含む、請求項3~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ビームを投影するための投影システムであって、
第1の移動範囲を有する第1のモジュールであって、前記ビームを反射するように配置された前記投影システムの位置制御ミラーである、第1のモジュールと、
前記第1のモジュールの第1の位置を測定するための第1の位置測定システムと、
前記第1のモジュールの前記第1の位置を制御するための第1の制御ループを含む制御システムであって、前記第1の制御ループは第1の帯域幅を有する、制御システムと、を含み、
前記制御システムは、少なくともリソグラフィプロセスの投影段階中に前記第1のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、前記第1の位置測定システムの第1の周期的誤差の第1の主周波数が、前記第1の制御ループの前記第1の帯域幅を超えるようになる、投影システム。
【請求項16】
前記投影システムは、
第2の移動範囲を有する第2のモジュールと、
前記第2のモジュールの第2の位置を測定する第2の位置測定システムと、を含み、
前記制御システムは、前記第2のモジュールの前記第2の位置を制御する第2の制御ループを含み、
前記制御システムは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させて、前記第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させるように配置される、請求項15に記載の投影システム。
【請求項17】
前記第2の制御ループは第2の帯域幅を有し、
前記制御システムは、少なくとも前記投影システムの投影段階中に前記第2のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、前記第2の位置測定システムの第2の周期的誤差の第2の主周波数が前記第2の制御ループの前記第2の帯域幅を超えるようになり、
前記制御システムは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させるように配置されて、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させる、請求項16に記載の投影システム。
【請求項18】
前記制御システムは、前記第2のモジュールが前記第1のモジュールに従うように前記第2のモジュールの移動を前記第1のモジュールの移動に適合させるように配置される、請求項16又は17に記載の投影システム。
【請求項19】
前記制御システムは、
前記第1のモジュールの第1の実際の位置と前記第1のモジュールの第1の基準位置との間の前記第1の制御ループにおける第1の位置誤差を前記第2の制御ループに入力することと、
前記第2のモジュールの第2の実際の位置、前記第2のモジュールの第2の基準位置、及び前記第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
前記適合された第2の位置誤差を、前記第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を行うように配置される、請求項16~18のいずれかに記載の投影システム。
【請求項20】
前記第2のモジュールは、第2の位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、請求項16~19のいずれかに記載の投影システム。
【請求項21】
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動は、前記投影システムの光学感度マトリックスのヌル空間内に存在するように適合される、請求項16~20のいずれかに記載の投影システム。
【請求項22】
前記投影システムは、
移動範囲を有する追加のモジュールと、
前記追加のモジュールの位置を測定する追加の位置測定システムと、を含み、
前記制御システムは、前記追加のモジュールの前記位置を制御する追加の制御ループを含み、前記追加の制御ループは、帯域を含み、前記制御システムは、少なくとも前記投影システムの前記投影段階中に前記追加のモジュールを連続的に移動させることで、前記追加の位置測定システムの周期的誤差の主周波数が前記追加の制御ループの前記帯域幅を超えるようになることと、前記追加のモジュールの移動を前記第1のモジュールの移動に適合させて、前記第1のモジュール及び前記追加のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記追加のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることと、を行うように更に配置される、請求項16~21のいずれかに記載の投影システム。
【請求項23】
前記追加のモジュールは、位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、請求項22に記載の投影システム。
【請求項24】
前記制御システムは、前記第1のモジュールを少なくとも前記投影段階中に一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させるように配置される、請求項15~23のいずれかに記載の投影システム。
【請求項25】
前記制御システムは、前記アイドリング段階中に前記第1のモジュールの移動方向及び/又は速度を適合させるように配置される、請求項24に記載の投影システム。
【請求項26】
前記第1の位置測定システム及び/又は前記第2の位置測定システムは、干渉計である、請求項15~25のいずれかに記載の投影システム。
【請求項27】
前記第1の制御ループは、前記第1のモジュールを移動させることから生じる前記第1の周期的誤差の前記第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタを含む、請求項15~26のいずれかに記載の投影システム。
【請求項28】
前記第2の制御ループは、前記第2のモジュールを移動させることから生じる前記第2の周期的誤差の前記第2の主周波数に対応する第2のフィルタ周波数を有する第2のノッチフィルタを含む、請求項17~27のいずれかに記載の投影システム。
【請求項29】
請求項15~28のいずれかに記載の投影システムを含むリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2021年12月23日に出願された欧州出願第21217454.4号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法に関する。本発明は、更に、投影システムと、当該投影システムを含むリソグラフィ装置とに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層上に投影することができる。
【0004】
[0004] パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は、電磁放射を使用する場合がある。この放射の波長によって、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズが決まる。4~20nmの範囲内の波長、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば、193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するために使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の公知の実施形態では、1つ以上のミラーを備えた投影システムが設けられる場合がある。これらのミラーを正確に位置決めして例えば振動を打ち消すために、ミラーの位置を制御することができる。このような位置制御ミラーは、干渉計やエンコーダ測定システムなどの位置測定システムによって測定されたミラーの実際の位置に基づいて、フィードバックコントローラによって能動的に制御されてよい。
【0006】
[0006] 干渉計の原理は、同じ光源から発生する2つのビームの干渉に基づいており、ここで、1つのビームは送信機、ターゲット(例えば、ミラー)の間を移動して受信機に戻り、他方のビームは一定の距離を移動する。この干渉パターンは、ターゲットの変位の関数としての正弦波信号の近似によるものである。この正弦波信号について周期偏差が存在することがあり、これらの偏差は、ターゲットの距離にも依存する高次の偏差、いわゆる周期的誤差である。
【0007】
[0007] 周期的誤差は位置測定の精度に悪影響を及ぼすので、周期的誤差を補償することが望ましい。この補償を実現するために、ソフトウェアを用いて周期的誤差を較正及び補償することができる。しかし、このことは、周期的誤差が経時的に安定している場合にのみ可能である。ただし、例えば熱ドリフトにより、周期的誤差が経時的に変化することがあり、その結果、較正は正確でなくなり、ドリフトの影響により測定精度が実質的に低下するおそれがある。
【0008】
[0008] これにより、例えば、ミラーが移動されていない場合に、測定誤差に位置依存のオフセットが生じる可能性がある。これにより、光学測定後の調整によってミラーが正しい位置に移動しないという理由により、光学基板テーブルの位置測定が妨げられるおそれがある。また、露光中にミラーがスキャンされるときに動的な乱れが生じるおそれがある。このことは、性能に直接的な影響を与える。
【0009】
[0009] エンコーダ測定システムなどの他の位置測定システムにも、経時的に不安定な周期的誤差が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【0010】
[00010] 本発明の目的は、リソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法を提供することである。更に、本発明の目的は、周期的誤差の影響を低減させるように配置された投影システムと、当該投影システムを含むリソグラフィ装置とを提供することである。
【0011】
[00011] 本発明の一態様によれば、投影段階及びアイドリング段階を有するリソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法であって、上記方法は、第1の制御ループにおいて第1のモジュールの第1の位置を制御することであって、第1のモジュールは投影システムの位置制御ミラーであり、第1の制御ループは第1の帯域幅を有し、且つ第1の周期的誤差を有する第1の位置測定システムを含む、制御することを含み、第1の位置を制御することは、少なくとも投影段階中に第1のモジュールを連続的に移動させることで、第1の周期的誤差の第1の主周波数が第1の制御ループの第1の帯域幅を超えるようになることを含む、方法が提供される。
【0012】
[00012] 本発明の一態様によれば、ビームを投影するための投影システムであって、第1の移動範囲を有する第1のモジュールであって、ビームを反射するように配置された投影システムの位置制御ミラーである、第1のモジュールと、第1のモジュールの第1の位置を測定するための第1の位置測定システムと、第1のモジュールの第1の位置を制御するための第1の制御ループを含む制御システムであって、第1の制御ループは第1の帯域幅を有する、制御システムと、を含み、制御システムは、少なくともリソグラフィプロセスの投影段階中に第1のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、第1の位置測定システムの第1の周期的誤差の第1の主周波数が、第1の制御ループの第1の帯域幅を超えるようになる、投影システムが提供される。
【0013】
[00013] 本発明の一態様によれば、請求項15~28のいずれかに記載の投影システムを含むリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[00014] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。
【
図1】リソグラフィ装置と放射源とを含むリソグラフィシステムを示す。
【
図2】
図1のリソグラフィシステムの一部をより詳細に示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る投影システムの制御システムを示す。
【
図4】周期的誤差の影響を低減させるための投影システムのミラーの移動の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[00015] 放射源SOとリソグラフィ装置LAとを含むリソグラフィシステムを
図1に示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、このEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成されたサポート構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを含む。
【0016】
[00016] 基板テーブルWTを所望の位置に位置決めするために、基板テーブル位置決めシステムWTPが設けられる。基板位置決めシステムWTPは、基板テーブルWTの位置を測定するための位置測定システムと、基板テーブルWTを所望の位置に移動させる作動システムとを含む。パターニングデバイスサポート位置決めシステムMTPは、サポート構造MTを所望の位置に位置決めするために設けられる。パターニングデバイスサポート位置決めシステムMTPは、サポート構造MTの位置を測定するための位置測定システムと、サポート構造MTを所望の位置に移動させるための作動システムも含む。
【0017】
[00017] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前に、EUV放射ビームBを調整するように構成されている。更に、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含み得る。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含んでもよい。
【0018】
[00018] EUV放射ビームBは、上述のように調整された後、パターニングデバイスMAと相互作用を起こす。この相互作用の結果、パターン形成されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成されている。そのため、投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持された基板W上に、パターン形成されたEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を含み得る。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、それにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像が形成される。例えば、縮小係数4又は8を適用することができる。
図1において、投影システムPSは2つのミラー13、14のみを有するように描かれているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば、6個又は8個のミラー)を含み得る。
【0019】
[00019] 基板Wは、先に形成されたパターンを含んでいる場合がある。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン形成されたEUV放射ビームB’によって形成される像を、基板W上に先に形成されたパターンと位置合わせする。
【0020】
[00020] 放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内には、相対的真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば、水素)が設けられてもよい。
【0021】
[00021] 放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、又はEUV放射を生成可能な他の放射源とすることができる。
【0022】
[00022] リソグラフィプロセスは、一連の投影段階(パターン形成されたEUV放射ビームB’が基板W上に投影される(露光段階)、及び/又は、基板Wがパターン形成されたEUV放射ビームB’と位置合わせされる(アライメント段階))と、アイドリング段階(パターン形成されたEUV放射ビームB’が基板W上、又は基板Wの無関係の部分上に投影されず、パターン形成されたEUV放射ビームB’に対する基板Wの位置決め精度があまり重要でない)とを含む。投影段階中、パターニングデバイス及び基板は、一定の走査速度での走査移動において移動され得る。アイドリング段階は、パターニングデバイスMT及び基板Wを、所望の走査速度まで、且つ、EUV放射ビームB及びパターン形成されたEUV放射ビームB’のそれぞれに対する所望のアライメントまで減速及び(再)加速するために使用され得る。パターニングデバイスMTの一定走査速度は、通常、基板Wの一定走査速度とは異なる。
【0023】
[00023]
図1のリソグラフィ装置の投影システムPSをより詳細に
図2に示す。投影システムは、ミラー13、14を含み、以下では第1のミラー13及び第2のミラー14と称する。第1のミラー13及び第2のミラー14は、位置制御ミラーである。これは、第1のミラー13の位置が第1の移動範囲内で制御され、第2のミラー14の位置が第2の移動範囲内で制御されることを意味する。
【0024】
[00024] 第1のミラー13の実際の位置を測定するために、第1の位置測定システム15が設けられる。第2のミラー14の実際の位置を測定するために、第2の位置測定システム16が設けられる。第1のミラー13及び第2のミラー14の位置を制御するために、制御ユニットCONが設けられる。制御ユニットCONは、第1のミラー13の位置を制御するための第1の制御ループと、第2のミラー14の位置を制御するための第2の制御ループとを含む。制御ユニットCONの第1の出力信号に基づいて、第1のアクチュエータ17が作動して、第1のミラー13を所望の位置に位置決めする。制御ユニットCONの第2の出力信号に基づいて、第2のアクチュエータ18が作動して、第2のミラー14を所望の位置に位置決めする。
【0025】
[00025] 投影システムPSに3つ以上の位置制御ミラーが設けられている場合、それぞれの追加のミラーの位置を測定するために、当該追加のミラーに対して追加の位置測定が設けられる場合がある。制御ユニットCONは、追加のミラーごとに、当該追加のミラーの位置を制御するための追加の制御ループを含み得る。制御ユニットCONは、制御ユニットCONの追加の出力信号をアクチュエータに提供して、追加のミラーを所望の位置に位置決めし得る。
【0026】
[00026] 第1のミラー13、第2のミラー14、及びいずれかの追加のミラーの位置は、6つの自由度で制御され得る。制御ユニットCONは、第1のミラー13、第2のミラー14、及びいずれかの追加のミラーの位置を制御するための単一のユニットとして示されている。この制御ユニットCONは、例えば、リソグラフィ装置LAの中央処理装置に統合されてよく、投影システムPSの別の制御ユニットに統合されてもよい。各制御ループに対して別々の制御プロセッサを設けることも可能である。
【0027】
[00027] 第1及び第2の位置測定システム15、16は、干渉計測定システムであり得る。これらの位置測定システム15、16の測定において、周期偏差、いわゆる周期的誤差が発生する場合がある。周期的誤差は第1のミラー13及び第2のミラー14の位置測定の精度に悪影響を及ぼすので、周期的誤差を補償することが望ましい。この補償を実現するために、周期的誤差の較正及び補償をソフトウェアにおいて行うことができる。しかし、これは周期的誤差が経時的に安定している場合にのみ可能である。ただし、例えば熱ドリフトにより、周期的誤差が経時的に変化することがあり、その結果、較正は正確でなくなり、ドリフトの影響により測定精度が大幅に低下することがある。
【0028】
[00028] したがって、投影システムPSにおいて、第1の位置測定システム15に第1の周期的誤差が生じることがあり、また、第2の位置測定システム16に第2の周期的誤差が生じることがあり、これらの第1及び第2の周期的誤差は、較正によって部分的にしか低減しない場合がある。
【0029】
[00029]
図2に示す投影システムPSは、基板Wの位置決めがリソグラフィプロセスの光学性能にとって重要である場合に、リソグラフィプロセスの少なくとも投影段階、例えば露光段階及び/又はアライメント段階中に第1のミラー13及び第2のミラー14を連続的に移動させることによって、第1及び第2の周期的誤差の影響を実質的に低減させるように構成される。この第1のミラー13及び第2のミラー14の連続的な移動によって、第1及び第2の周期的誤差は高周波数の外乱となる。第1のミラー13及び第2のミラー14の連続的な移動の好適な速度を選択することにより、第1の周期的誤差の第1の主周波数を、第1の制御ループの第1の帯域幅より上にずらすことができ、第2の周期的誤差の第2の主周波数を、第2の制御ループの第2の帯域幅より上にずらすことができる。結果として、第1の制御ループは、もはや第1の周期的誤差に従うことができなくなり、第2の制御ループは、もはや第2の周期的誤差に従うことができなくなる。したがって、第1のミラー13及び第2のミラー14を連続的に移動させることにより、第1及び第2の周期的誤差の悪影響を効果的に低減させることができる。
【0030】
[00030] 同時に、第1のミラー13及び第2のミラー14の不規則な移動は、投影システムPSの光学性能に悪影響を及ぼす。したがって、投影システムPSは、第1のミラー13及び第2のミラー14の移動を互いに適合させて、第1のミラー13及び第2のミラー14を連続的に移動させることによって生じる第1のミラー13と第2のミラー14との間のアライメント誤差を低減させるように更に構成される。
【0031】
[00031] 投影段階中の第1のミラー13及び第2のミラー14の連続的な移動は、一定の非ゼロ速度を有してよく、また、一定方向におけるものであってよい。
【0032】
[00032] 一実施形態では、第1のミラー13の連続的な移動及び第2のミラー14の連続的な移動は、第1のミラー13及び第2のミラー14のうちの一方が第1のミラー13及び第2のミラー14のうちの他方に従うように構成される。このような実施形態では、1つのいわゆる先行ミラーと、1つ以上の後続ミラーが存在する。
図2の実施形態では、最も重いミラーである第1のミラー13が先行ミラーとして選択され、第2のミラー14が後続ミラーとなる。
【0033】
[00033] 第1の制御ループCL-1及び第2の制御ループCL-2を概略的に
図3に示す。
【0034】
[00034] セットポイントジェネレータSPGが設けられる。セットポイントジェネレータSPGは、第1のミラー13の所望の位置R1を出力する。この所望の位置R1は、リソグラフィプロセスの投影段階中の一定速度での連続的な移動を伴う、第1のミラー13の所望の移動プロファイルに従う。第1のミラー13の第1の測定位置MP1を所望の位置R1から減算して、第1のミラー13の第1の位置誤差E1を決定する。第1の測定位置MP1は、第1の位置測定システム15によって生じた周期的誤差CE1を含む。第1の位置誤差E1は、第1のフィードバックコントローラFBC1に入力される。第1のフィードバックコントローラFBC1は、第1の制御ループ内のブロックP-M1の一部である第1のアクチュエータ17に入力される第1の作動信号として提供される出力信号O1を提供する。第1の制御ループCL-1は、第1のフィードバックコントローラFBC1の出力信号O1に追加されるフィードフォワード出力信号を所望の位置R1に基づいて提供する第1のフィードフォワードコントローラFFC1を含み得る。
【0035】
[00035] それに応じて、セットポイントジェネレータSPGは、第2のミラー14の所望の位置R2を出力する。この所望の位置R2は、第1のミラー13の所望の位置R1と同様の所望の移動プロファイルに従う。第2のミラー14の第2の測定位置MP2を所望の位置R2から減算して、第2のミラー14の第2の位置誤差E2を決定する。第2の測定位置MP2は、第2の位置測定システム16によって生じた周期的誤差CE2を含む。第2の位置誤差E2が第2のフィードバックコントローラFBC2に入力される前に、第1の制御ループCL-1の第1の位置誤差E1を第2の位置誤差E2から減算して、適合された第2の位置誤差AE2を決定する。適合された第2の位置誤差AE2は第2のフィードバックコントローラFBC2に入力され、第2のフィードバックコントローラFBC2は、第2の制御ループCL-2のブロックP-M2の一部である第2のアクチュエータ18に第2の作動信号として提供される出力信号O2を提供する。
【0036】
[00036] 第2の制御ループCL-2は、第2のフィードバックコントローラFBC2の出力信号O2に追加されるフィードフォワード出力信号を所望の位置R2に基づいて提供する第2のフィードフォワードコントローラFFC2を含み得る。
【0037】
[00037] 第1の位置誤差E1、すなわち第1のミラー13の位置誤差を第2の制御ループCL-2に取り入れることによって、フィードバックコントローラFBC2は、第1のミラー13の第1の位置誤差E1を修正しようとする。第1の位置誤差E1は、低周波数成分(すなわち第1の帯域幅内)を有する。というのも、第1の制御ループCL-1は、精度の高い軌道、及び周期的誤差に起因する高周波数の誤差に従うことができないからである。第2の制御ループCL-2は、第2のフィードバックコントローラFBC2の第2の帯域幅内にある低周波数成分に従うことになり、これは、第2のミラー14が第1のミラー13と適切に位置合わせされたままであることを意味する。言い換えれば、第1のミラー13及び第2のミラー14は、所望の軌道からの同じ偏差又は同様の偏差を形成する。同様の偏差は、座標変換を第1のミラー13の移動と第2のミラー14の移動との間で適用した場合にも発生する場合がある。同じ座標変換が、第2の制御ループCL-2に導入される前に、誤差E1にも適用される。
【0038】
[00038] 第2のミラー14の適合された第2の位置誤差AE2には、3つの要素がある。
a)第1のミラー13の第1の位置誤差E1を補正する必要があることによる小さい位置決め誤差。これは低周波数の誤差であるため、比較的小さい誤差である。
b)第1のミラー13の第1の位置測定システム15の第1の周期的誤差CE1に起因する、高周波数での大きな寄与。
c)第2のミラー14の第2の位置測定システム16の第2の周期的誤差CE2に起因する、同様の高周波数の寄与。
【0039】
[00039] 要素a)のみが、第1のミラー13の実際の位置P1と第2のミラー14の実際の位置P2との差として
図3に概略的に示されているアライメント誤差AEに加算されることになる。要素b)及び要素c)は、アライメント誤差AEに実質的な影響を与えない。というのも、これらの誤差は、第2のフィードバックコントローラFBC2が従うことができない測定誤差である、第1の周期的誤差CE1と第2の周期的誤差CE2とに基づいているからである。
【0040】
[00040]
図3の実施形態では、第1の位置誤差E1は第2の位置誤差E2から減算されて、適合された第2の位置誤差AE2が得られることに留意されたい。別の実施形態では、第1の位置誤差E1は、この第1の位置誤差E1を第2の測定位置MP2に加算することによって、第2の制御ループCL-2に取り入れられてもよい。そして、適合された第2の位置誤差AE2は、第2の測定位置MP2と第1の位置誤差E1の組み合わせを第2の所望の位置R2から減算することによって得られることになる。最初に第1の位置誤差E1を第2の所望の位置R2から減算し、次に第2の測定位置MP2を減算して、適合された第2の位置誤差AE2を得ることも可能である。
【0041】
[00041] 3つ以上の位置制御ミラーを投影システムPS内に設ける場合、それぞれの位置制御ミラーは、後続ミラーとして制御されてよく、この場合、先行ミラーの第1の位置誤差、この実施形態では第1のミラー13の第1の位置誤差E1は、それぞれの追加の制御ループに入力されて、適合された追加の位置誤差が決定され、それに基づいて、追加の制御ループのフィードバックコントローラは、追加の出力信号をアクチュエータに提供して、追加のミラーを所望の位置に位置決めすることができる。先行ミラーのこの第1の位置誤差をそれぞれの追加の制御ループに入力することにより、追加のミラーは、所望の軌道からの第1のミラー13と同様の偏差を形成することになる。
【0042】
[00042] 実際には、投影システムPSの各ミラーが、1つの先行ミラーに続く後続ミラーとして制御される位置制御ミラーであることが有利である。先行ミラーは、最も重いミラー、及び/又は投影システムPSの光学性能を左右するミラーなどの、任意の好適なミラーとすることができる。更に、第1の制御ループCL1の第1の位置誤差E1、すなわち、先行ミラーの位置誤差を、パターニングデバイスサポート構造MT及び/又は基板テーブルWTを位置決めするための制御ループにも入力することで、第1のミラー13に対するパターニングデバイスサポート構造MT及び/又は基板テーブルWTのアライメントを改善することが有利な場合がある。
【0043】
[00043] 一例として、第1のミラー13の所望の位置R1の移動プロファイルを
図4に示す。上のグラフは時間における位置を示し、下のグラフは時間の経過に伴う速度を示す。第1のミラーが約400μm/sの一定速度で約100μmの第1の移動範囲にわたって移動することが分かる。この一定速度での移動は、リソグラフィプロセスの投影段階中に実行される。投影段階と投影段階との間のアイドリング段階中、第1のミラー13を反対方向に減速及び加速することによって、移動方向を変更することができる。
【0044】
[00044] 第2のミラー14の所望の位置R2の移動プロファイルは、第1のミラー13の所望の位置R1と同じであってよい。しかし、実際には、後続ミラー、例えば第2のミラー14の移動プロファイルは、先行ミラー、例えば第1のミラー13の移動に対する位置変換を含むことがある。
【0045】
[00045] 第1の周期的誤差CE1及び第2の周期的誤差CE2は、例えば160nmの周期性を有し得る。第1のミラー13及び第2のミラー14を約400μm/sの一定速度で移動させると、第1の制御ループCL-1の第1の周期的誤差の第1の主周波数は約2.5kHzになる。これは、第1の制御ループCL-1の第1の帯域幅と第2の制御ループCL-2の第2の帯域幅をはるかに上回る。結果として、第1の制御ループCL-1は第1の周期的誤差CE1に従うことができず、第2の制御ループCL-2は第2の周期的誤差CE2に従うことができない。
【0046】
[00046] リソグラフィ装置の投影システムPSについて、ミラー13、14の連続的な移動が投影システムPSの光学性能に及ぼす悪影響が比較的小さいことが重要である。したがって、ミラーの所望の位置の移動プロファイルは、実質的に同じ移動又は移動プロファイルになるように選択するのではなく、光学性能に及ぼす悪影響が小さくなるように選択することが有利であり得る。
【0047】
[00047] 投影システム内のミラーの相対位置についての投影システムPSの光学感度は、光学感度マトリックスで記述できる。ミラーの移動プロファイルが光感度マトリックスのヌルスペース内に存在するように選択されると、その移動が投影システムPSの光学性能に及ぼす影響は比較的小さくなり得る。したがって、光感度マトリックスを使用して、先行ミラー及び後続ミラーの所望の移動プロファイルを設計することができる。発明者らは、3つ以上の位置制御ミラーを備えた投影システムPSにおいて、他のミラーのうちの少なくとも1つを静止させたままにしておくことが有益であり得ることを発見した。更に、発明者らは、位置制御ミラーごとの総移動量を所定の範囲内に制限することが有益であり得ることを発見した。
【0048】
[00048] 第1の位置測定システム15及び第2の位置測定システム16の周期的誤差の周期性を正確に測定することができ、且つ、第1のミラー13及び第2のミラー14の移動速度を正確に制御することができるため、第1の周期的誤差及び第2の周期的誤差のそれぞれの主周波数を正確に予測することができる。周期的誤差の存在による、起こり得る悪影響を更に減少させるために、第1の制御ループCL-1には、第1のミラー13を移動させることによって生じる第1の周期的誤差の第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタなどの第1のフィルタが設けられ得る。同様に、第2の制御ループCL-2には、第2のミラー14を移動させることによって生じる第2の周期的誤差の第2の主周波数に対応する第2のフィルタ周波数を有する第2のノッチフィルタなどの第2のフィルタが設けられ得る。
【0049】
[00049] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。他の可能な用途には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造が含まれる。
【0050】
[00050] 本明細書において、リソグラフィ装置の関連での本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は、他の装置で使用されてよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又は他の基板)やマスク(又は他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理するあらゆる装置の一部を形成し得る。これらの装置は、通常リソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は環境(非真空)条件を使用する場合がある。
【0051】
[00051] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、本発明は、状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはなく、また、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使用されてもよいことが明らかである。
【0052】
[00052] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、例示を意図しており、限定を意図するものではない。したがって、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、前述のように、本発明に対して修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影段階及びアイドリング段階を有するリソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法であって、前記方法は、
第1の制御ループにおいて第1のモジュールの第1の位置を制御することであって、前記第1のモジュールは投影システムの位置制御ミラーであり、前記第1の制御ループは第1の帯域幅を有し、且つ第1の周期的誤差を有する第1の位置測定システムを含む、制御することを含み、
前記第1の位置を制御することは、少なくとも前記投影段階中に前記第1のモジュールを連続的に移動させることで、前記第1の周期的誤差の第1の主周波数が前記第1の制御ループの前記第1の帯域幅を超えるようになることを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、第2の制御ループにおいて第2のモジュールの第2の位置を制御することを含み、
前記第1の位置及び前記第2の位置を制御することは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させて、前記第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させることは、前記第2のモジュールが前記第1のモジュールに従うように前記第2のモジュールの移動を前記第1のモジュールの移動に適合させることを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモジュールの第1の実際の位置と前記第1のモジュールの第1の基準位置との間の前記第1の制御ループにおける第1の位置誤差を前記第2の制御ループに入力することと、
前記第2のモジュールの第2の実際の位置、前記第2のモジュールの第2の基準位置、及び前記第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
前記適合された第2の位置誤差を、前記第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を含む、請求項2~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも前記投影段階中に前記第1のモジュールを移動させることは、前記第1のモジュールを一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させることを含む、請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ビームを投影するための投影システムであって、
第1の移動範囲を有する第1のモジュールであって、前記ビームを反射するように配置された前記投影システムの位置制御ミラーである、第1のモジュールと、
前記第1のモジュールの第1の位置を測定するための第1の位置測定システムと、
前記第1のモジュールの前記第1の位置を制御するための第1の制御ループを含む制御システムであって、前記第1の制御ループは第1の帯域幅を有する、制御システムと、を含み、
前記制御システムは、少なくともリソグラフィプロセスの投影段階中に前記第1のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、前記第1の位置測定システムの第1の周期的誤差の第1の主周波数が、前記第1の制御ループの前記第1の帯域幅を超えるようになる、投影システム。
【請求項7】
前記投影システムは、
第2の移動範囲を有する第2のモジュールと、
前記第2のモジュールの第2の位置を測定する第2の位置測定システムと、を含み、
前記制御システムは、前記第2のモジュールの前記第2の位置を制御する第2の制御ループを含み、
前記制御システムは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させて、前記第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させるように配置される、請求項
6に記載の投影システム。
【請求項8】
前記第2の制御ループは第2の帯域幅を有し、
前記制御システムは、少なくとも前記投影システムの投影段階中に前記第2のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、前記第2の位置測定システムの第2の周期的誤差の第2の主周波数が前記第2の制御ループの前記第2の帯域幅を超えるようになり、
前記制御システムは、前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動を互いに適合させるように配置されて、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールを連続的に移動させることによって生じる前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させる、請求項
7に記載の投影システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記第2のモジュールが前記第1のモジュールに従うように前記第2のモジュールの移動を前記第1のモジュールの移動に適合させるように配置される、請求項
7又は
8に記載の投影システム。
【請求項10】
前記制御システムは、
前記第1のモジュールの第1の実際の位置と前記第1のモジュールの第1の基準位置との間の前記第1の制御ループにおける第1の位置誤差を前記第2の制御ループに入力することと、
前記第2のモジュールの第2の実際の位置、前記第2のモジュールの第2の基準位置、及び前記第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
前記適合された第2の位置誤差を、前記第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を行うように配置される、請求項
7又は8に記載の投影システム。
【請求項11】
前記第1のモジュールの移動及び前記第2のモジュールの移動は、前記投影システムの光学感度マトリックスのヌル空間内に存在するように適合される、請求項
7又は8に記載の投影システム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記第1のモジュールを少なくとも前記投影段階中に一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させるように配置される、請求項
6~
8のいずれかに記載の投影システム。
【請求項13】
前記第1の位置測定システム及び/又は前記第2の位置測定システムは、干渉計である、請求項
6~
8のいずれかに記載の投影システム。
【請求項14】
前記第1の制御ループは、前記第1のモジュールを移動させることから生じる前記第1の周期的誤差の前記第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタを含む、請求項
6~
8のいずれかに記載の投影システム。
【請求項15】
請求項
6~
8のいずれかに記載の投影システムを含むリソグラフィ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
[00052] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、例示を意図しており、限定を意図するものではない。したがって、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、前述のように、本発明に対して修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。本発明の他の側面は、次の番号付けされた条項のように説明される。
1.投影段階及びアイドリング段階を有するリソグラフィプロセスにおける周期的誤差の影響を低減させる方法であって、方法は、
第1の制御ループにおいて第1のモジュールの第1の位置を制御することであって、第1のモジュールは投影システムの位置制御ミラーであり、第1の制御ループは第1の帯域幅を有し、且つ第1の周期的誤差を有する第1の位置測定システムを含む、制御することを含み、
第1の位置を制御することは、少なくとも投影段階中に第1のモジュールを連続的に移動させることで、第1の周期的誤差の第1の主周波数が第1の制御ループの第1の帯域幅を超えるようになることを含む、方法。
2.方法は、第2の制御ループにおいて第2のモジュールの第2の位置を制御することを含み、
第1の位置及び第2の位置を制御することは、第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動を互いに適合させて、第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることを含む、条項1に記載の方法。
3.第2の制御ループは、第2の帯域幅を有し、且つ第2の周期的誤差を有する第2の位置測定システムを含み、
第1の位置及び第2の位置を制御することは、
少なくとも投影段階中に第2のモジュールを連続的に移動させることで、第2の周期的誤差の第2の主周波数が第2の制御ループの第2の帯域幅を超えるようになることと、
第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動を互いに適合させて、第1のモジュール及び第2のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることと、を含む、条項2に記載の方法。
4.第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動を互いに適合させることは、第2のモジュールが第1のモジュールに従うように第2のモジュールの移動を第1のモジュールの移動に適合させることを含む、条項2又は3に記載の方法。
5.第1のモジュールの第1の実際の位置と第1のモジュールの第1の基準位置との間の第1の制御ループにおける第1の位置誤差を第2の制御ループに入力することと、
第2のモジュールの第2の実際の位置、第2のモジュールの第2の基準位置、及び第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
適合された第2の位置誤差を、第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を含む、条項2~4のいずれかに記載の方法。
6.第2のモジュールは、第2の位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、条項2~5のいずれかに記載の方法。
7.第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動は、投影システムの光学感度マトリックスのヌル空間内に存在するように適合される、条項2~6のいずれかに記載の方法。
8.方法は、
追加の制御ループにおいて追加のモジュールの位置を制御することを含み、追加の制御ループは帯域幅を有し、且つ周期的誤差を有する位置測定システムを含み、
追加のモジュールの位置を制御することは、
少なくとも投影段階中に追加のモジュールを連続的に移動させることで、周期的誤差の主周波数が追加の制御ループの帯域幅を超えるようになることを含み、
追加のモジュールの移動は、第1のモジュールの移動に適合されて、第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと追加のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させる、条項2~7のいずれかに記載の方法。
9.追加のモジュールは、位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、条項8に記載の方法。
10.少なくとも投影段階中に第1のモジュールを移動させることは、第1のモジュールを一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させることを含む、条項1~9のいずれかに記載の方法。
11.アイドリング段階は、第1のモジュールの移動方向及び/又は速度を適合させるために使用される、条項10に記載の方法。
12.第1の位置測定システム及び/又は第2の位置測定システムは、干渉計である、条項1~11のいずれかに記載の方法。
13.第1の制御ループは、第1のモジュールを移動させることから生じる第1の周期的誤差の第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタを含む、条項1~12のいずれかに記載の方法。
14.第2の制御ループは、第2のモジュールを移動させることから生じる第2の周期的誤差の第2の主周波数に対応する第2のフィルタ周波数を有する第2のノッチフィルタを含む、条項3~13のいずれかに記載の方法。
15.ビームを投影するための投影システムであって、
第1の移動範囲を有する第1のモジュールであって、ビームを反射するように配置された投影システムの位置制御ミラーである、第1のモジュールと、
第1のモジュールの第1の位置を測定するための第1の位置測定システムと、
第1のモジュールの第1の位置を制御するための第1の制御ループを含む制御システムであって、第1の制御ループは第1の帯域幅を有する、制御システムと、を含み、
制御システムは、少なくともリソグラフィプロセスの投影段階中に第1のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、第1の位置測定システムの第1の周期的誤差の第1の主周波数が、第1の制御ループの第1の帯域幅を超えるようになる、投影システム。
16.投影システムは、
第2の移動範囲を有する第2のモジュールと、
第2のモジュールの第2の位置を測定する第2の位置測定システムと、を含み、
制御システムは、第2のモジュールの第2の位置を制御する第2の制御ループを含み、
制御システムは、第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動を互いに適合させて、第1のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させるように配置される、条項15に記載の投影システム。
17.第2の制御ループは第2の帯域幅を有し、
制御システムは、少なくとも投影システムの投影段階中に第2のモジュールを連続的に移動させるように配置されることで、第2の位置測定システムの第2の周期的誤差の第2の主周波数が第2の制御ループの第2の帯域幅を超えるようになり、
制御システムは、第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動を互いに適合させるように配置されて、第1のモジュール及び第2のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと第2のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させる、条項16に記載の投影システム。
18.制御システムは、第2のモジュールが第1のモジュールに従うように第2のモジュールの移動を第1のモジュールの移動に適合させるように配置される、条項16又は17に記載の投影システム。
19.制御システムは、
第1のモジュールの第1の実際の位置と第1のモジュールの第1の基準位置との間の第1の制御ループにおける第1の位置誤差を第2の制御ループに入力することと、
第2のモジュールの第2の実際の位置、第2のモジュールの第2の基準位置、及び第1の位置誤差に基づいて、適合された第2の位置誤差を決定することと、
適合された第2の位置誤差を、第2の制御ループのフィードバックコントローラに対する入力として使用することと、
を行うように配置される、条項16~18のいずれかに記載の投影システム。
20.第2のモジュールは、第2の位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、条項16~19のいずれかに記載の投影システム。
21.第1のモジュールの移動及び第2のモジュールの移動は、投影システムの光学感度マトリックスのヌル空間内に存在するように適合される、条項16~20のいずれかに記載の投影システム。
22.投影システムは、
移動範囲を有する追加のモジュールと、
追加のモジュールの位置を測定する追加の位置測定システムと、を含み、
制御システムは、追加のモジュールの位置を制御する追加の制御ループを含み、追加の制御ループは、帯域を含み、制御システムは、少なくとも投影システムの投影段階中に追加のモジュールを連続的に移動させることで、追加の位置測定システムの周期的誤差の主周波数が追加の制御ループの帯域幅を超えるようになることと、追加のモジュールの移動を第1のモジュールの移動に適合させて、第1のモジュール及び追加のモジュールを連続的に移動させることによって生じる第1のモジュールと追加のモジュールとの間のアライメント誤差を低減させることと、を行うように更に配置される、条項16~21のいずれかに記載の投影システム。
23.追加のモジュールは、位置制御ミラー、パターニングデバイスサポート、又は基板サポートである、条項22に記載の投影システム。
24.制御システムは、第1のモジュールを少なくとも投影段階中に一定の非ゼロ速度で、且つ一定の方向に移動させるように配置される、条項15~23のいずれかに記載の投影システム。
25.制御システムは、アイドリング段階中に第1のモジュールの移動方向及び/又は速度を適合させるように配置される、条項24に記載の投影システム。
26.第1の位置測定システム及び/又は第2の位置測定システムは、干渉計である、条項15~25のいずれかに記載の投影システム。
27.第1の制御ループは、第1のモジュールを移動させることから生じる第1の周期的誤差の第1の主周波数に対応する第1のフィルタ周波数を有する第1のノッチフィルタを含む、条項15~26のいずれかに記載の投影システム。
28.第2の制御ループは、第2のモジュールを移動させることから生じる第2の周期的誤差の第2の主周波数に対応する第2のフィルタ周波数を有する第2のノッチフィルタを含む、条項17~27のいずれかに記載の投影システム。
29.条項15~28のいずれかに記載の投影システムを含むリソグラフィ装置。
【国際調査報告】