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特表2024-545648高度なパルス制御を用いるリモートソースパルシング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】高度なパルス制御を用いるリモートソースパルシング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241203BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534712
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022052747
(87)【国際公開番号】W WO2023114233
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】17/550,651
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】大秦 充敬
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA13
2G084BB02
2G084BB27
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084FF02
2G084HH05
2G084HH06
2G084HH19
2G084HH26
2G084HH28
5F004AA01
5F004AA09
5F004BA03
5F004BA09
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB22
5F004BB28
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB03
(57)【要約】
基板をエッチングする方法であって、第1のチャンバ内に位置する第1の電極に第1の継続時間にわたって第1の電力パルスを印加することにより、前記第1のチャンバ内に流入する第1のガスから第1のプラズマを生成させることと;第2のチャンバ内に位置する基板に凹部を形成することであって、形成することは、ラジカルを第1のチャンバから第2のチャンバ内へと供給すること;第2のチャンバ内に位置する第2の電極に第2の継続時間にわたって複数の第2の電力パルスを印加して第2のチャンバ内に流入する第2のガスから第2のチャンバ内で第2のプラズマを生成させることであって、第1のチャンバは第2のチャンバよりも高い圧力で加圧されている、こと;及び第3の継続時間中に第2のチャンバ内に位置する第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加して第2のプラズマのイオンを加速させること、を含む、形成することと、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をエッチングする方法であって、当該方法は、
第1のチャンバ内に流入する第1のガスから、前記第1のチャンバに配置された第1の電極に第1の継続時間にわたって第1の電力パルスを印加することにより、第1のプラズマを生成させるステップと、
第2のチャンバ内に配置された基板に凹部を形成するステップであって、
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバにラジカルを提供するステップ、
第2の継続時間中、前記第2のチャンバに配置された第2の電極に複数の第2の電力パルスを印加して、前記第2のチャンバ内に流入する第2のガスから、前記第2のチャンバ内で第2のプラズマを生成させるステップであって、前記第1のチャンバは、前記第2のチャンバよりも高い圧力で加圧される、ステップ、及び、
第3の継続時間中、前記第2のチャンバに配置された第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加して、前記第2のプラズマのイオンを加速させるステップ
を有する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
さらに、前記第1のプラズマを生成し前記凹部を形成するステップの間、前記第2のチャンバの圧力を100mTorr以下に維持するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記第1のプラズマを生成し前記凹部を形成するステップの間、前記第1のチャンバの圧力を100mTorrから5Torrの間に維持するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電力パルスのパルス期間は、1msから5秒の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の電力パルスのパルス期間は、1μsから20μsの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の電力パルスのパルス期間は、5μsから100μsの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の継続時間と前記第2の継続時間は、部分的に重なり合っている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第2の電力パルスと前記複数の第3の電力パルスとは、重なり合っていない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の第2の電力パルス又は前記複数の第3の電力パルスにおける各パルスは、第1の電圧レベルから第2の電圧レベルまでの第1のエッジ、前記第2の電圧レベルから第3の電圧レベルまでの第2のエッジ、及び前記第3の電圧レベルからの前記第1の電圧レベルまでの第3のエッジを有し、
前記第1のエッジは、前記第2のエッジから分離され、前記第2のエッジは、前記第3のエッジから分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、第4の継続時間中、前記第2の電極用の電力レベル及び前記第3の電極用の電力レベルを低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プラズマ処理チャンバ内の基板を処理する方法であって、当該方法は、
第1の圧力に維持されたリモートソース(RS)チャンバに第1のガスを流すステップであって、前記RSチャンバは、プラズマ処理チャンバに接続される、ステップと、
第2の圧力に維持された前記プラズマ処理チャンバに第2のガスを流すステップであって、前記第2の圧力は、前記第1の圧力よりも低い、ステップと、
複数のサイクルを含む周期的プロセスを実施するステップであって、前記複数のサイクルの各サイクルは、
前記第1のガスの第1のプラズマを生成させラジカルを生成させるステップ、
前記ラジカルを前記プラズマ処理チャンバに提供するステップ、及び、
前記ラジカルの存在下で、前記プラズマ処理チャンバ内でエッチングプロセスを実施して前記基板に凹部を形成するステップ、
を有する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
前記第2の圧力は、100mTorr以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプラズマを生成させるステップは、RS電極にRS電力パルスを印加するステップを有し、
前記RS電力パルスは、1msから5秒の間のパルス期間を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記エッチングプロセスは、
PS電極にプロセスソース(PS)電力パルス列(train)を印加して、前記プラズマ処理チャンバ内に第2のプラズマを生成させるステップであって、前記PS電力パルス列は、複数のPS電力パルスを含む、ステップと、
前記プラズマ処理チャンバ内の前記基板に結合されたBS電極に、バイアスソース(BS)電力パルス列を印加するステップであって、前記BS電力パルス列は、複数のBS電力パルスを有し、前記BS電力パルス列は、前記第2のプラズマのイオンを前記基板に向かって加速させ、前記イオンは、前記凹部をエッチングする、ステップと、
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記PS電力パルス列、前記BS電力パルス列、又はこれら両方は、1kHzと5kHzの間の周波数を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記PS電力パルス及び前記BS電力パルスは、部分的に又は完全に重なり合っている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記PS電力パルス列、前記BS電力パルス列、又はこれら両方は、3%から20%の間のデューティサイクルを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
プラズマ処理システムであって、
リモートソース(RS)チャンバであって、ガス入口、無線周波数(RF)電源に結合された第1の電極であって、前記RSチャンバ内にラジカルを含む第1のプラズマを生成させるように構成された、第1の電極、及び前記ラジカル用の出口、を有する、リモートソース(RS)チャンバと、
前記RSチャンバの前記出口に取り付けられたプレナムであって、
前記プレナムは、第1の熱導体で構成され、
前記プレナムの壁は、ガス流の開口を有する、
プレナムと、
前記プレナムを通して前記RSチャンバに接続されたプラズマプロセスチャンバであって、該プラズマプロセスチャンバは、
前記プレナムの下方に配置された基板ホルダ、
前記基板ホルダの下方のガス出口、
プロセス電源に結合された第2の電極であって、第2のプラズマを生成させるように構成された、第2の電極、
第1のバイアス電源に結合された第3の電極であって、前記第2のプラズマのイオンを加速させるように構成された、第3の電極、並びに
第2の熱導体を含むプロセスチャンバ壁であって、前記プロセスチャンバの前記プロセスチャンバ壁は、前記プレナムの前記壁に熱的に結合されている、プロセスチャンバ壁、
を有する、プラズマプロセスチャンバと、
を有する、プラズマ処理システム。
【請求項19】
さらに、マイクロプロセッサを有し、
該マイクロプロセッサは、
第1の継続時間にわたって前記第1の電極に第1の電力パルスを印加し、
第2の継続時間中、前記第2の電極に複数の第2の電力パルスを印加し、
第3の継続時間中、前記第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加し、
前記プレナムの圧力をプラズマ処理チャンバの圧力よりも高く維持する、
ための命令を実行するプログラムを含む、請求項18に記載のプラズマ処理システム。
【請求項20】
前記第3の電極は、さらに第2のバイアス電源に結合され、
前記第1のバイアス電源及び前記第2のバイアス電源は、異なる周波数で前記第3の電極に電力パルスを印加するように構成される、請求項19に記載のプラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月14日に出願された「Remote Source Pulsing with Advanced Pulse Control」と題する米国特許出願第17/550,651号明細書の優先権を主張するものであり、この開示はその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、基板を処理する方法に関し、具体的な実施形態において、高度なパルス制御を用いるリモートソースパルシングに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、集積回路(IC)などの半導体デバイスは、基板上に誘電材料、導電材料、及び半導体材料の層を順次堆積させてパターニングして、モノリシック構造で一体化された電子部品及び相互接続要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、金属線、コンタクト、及びビア)のネットワークを形成することによって製造される。半導体デバイスの構成構造を形成するために使用される処理ステップの多くは、プラズマ処理を使用して実施される。
【0004】
半導体産業は、構成要素の充填密度を増加させるために、半導体デバイスにおける最小フィーチャサイズを数ナノメートルまで繰り返し縮小して、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)、ゲートオールアラウンド電界効果トランジスタ(GAAFET)、及び3D NANDメモリなどの3次元(3D)デバイスの製造が可能になっている。それに応じて、半導体産業は、正確性、精度及びプロファイル制御を伴って、多くの場合に原子スケールの寸法で特徴部をパターニングするプロセスを提供するためのプラズマ処理技術を一層要求している。ICの大量生産に必要な均一性及び再現性と共にこの課題を満たすことは、プラズマ処理技術の更なる革新を必要としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、基板をエッチングする方法であって、第1のチャンバ内に位置する第1の電極に第1の継続時間にわたって第1の電力パルスを印加することにより、第1のチャンバ内に流入する第1のガスから第1のプラズマを生成させることと;第2のチャンバ内に位置する基板に凹部を形成することであって、形成することは、ラジカルを第1のチャンバから第2のチャンバ内へと供給すること;第2のチャンバ内に位置する第2の電極に第2の継続時間にわたって複数の第2の電力パルスを印加して第2のチャンバ内に流入する第2のガスから第2のチャンバ内で第2のプラズマを生成させることであって、第1のチャンバは第2のチャンバよりも高い圧力で加圧されている、こと;及び第3の継続時間中に第2のチャンバ内に位置する第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加して第2のプラズマのイオンを加速させること、を含む、形成することと、を含む方法。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、プラズマ処理チャンバ内で基板を処理する方法であって、第1の圧力に維持されたリモートソース(RS)チャンバに第1のガスを流すことであって、RSチャンバはプラズマ処理チャンバに接続されている、ことと;第2の圧力に維持されたプラズマ処理チャンバに第2のガスを流すことであって、第2の圧力は第1の圧力よりも低い、ことと;複数のサイクルを含む周期的プロセスを実施することであって、複数のサイクルの各サイクルは、第1のガスの第1のプラズマを生成させてラジカルを生成させること、ラジカルをプラズマ処理チャンバに供給すること、及びラジカルの存在下でプラズマ処理チャンバ内でエッチングプロセスを実施して基板に凹部を形成することを含む、ことと、を含む方法。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、プラズマ処理システムであって、リモートソース(RS)チャンバであって、ガス入口と、無線周波数(RF)電源に結合された第1の電極であって、RSチャンバ内でラジカルを含む第1のプラズマを生成させるように構成される、第1の電極と、ラジカル用の出口と、を含むリモートソース(RS)チャンバと;RSチャンバの出口に取り付けられたプレナムであって、プレナムは第1の熱導体で作製され、プレナムの壁はガス流のための開口部を含む、プレナムと;プレナムを通してRSチャンバに接続されたプラズマプロセスチャンバであって、プラズマプロセスチャンバは、プレナムの下方に配置された基板ホルダと、基板ホルダの下方のガス出口と、プロセス電源に結合された第2の電極であって、第2のプラズマを生成させるように構成された、第2の電極と、第1のバイアス電源に結合された第3の電極であって、第2のプラズマのイオンを加速するように構成された、第3の電極と、第2の熱導体を含むプロセスチャンバ壁であって、プロセスチャンバのプロセスチャンバ壁は、プレナムの壁に熱的に結合されている、プロセスチャンバ壁と、を備える、プラズマプロセスチャンバと、を含むプラズマ処理システム。
【0008】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】様々な実施形態による、例示的なリモートソース媒介プラズマエッチング処理の3つのプロセスパラメータ(すなわち、リモートソース電力、プロセスソース電力、及びバイアスソース電力)の概略的なタイミング図を示す。
図1B図1Aの例示的なプラズマ処理の間のラジカル密度及びイオン密度の対応する定量的グラフを示す。
図2A】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のリモートソースチャンバに関するリモートソース電力及びガス流量の概略的なタイミング図を示し、図3Aは1種のガス組成を用いる実施形態を示し、図3Bは2種のガス組成を用いる実施形態を示す。
図2B】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のリモートソースチャンバに関するリモートソース電力及びガス流量の概略的なタイミング図を示し、図3Aは1種のガス組成を用いる実施形態を示し、図3Bは2種のガス組成を用いる実施形態を示す。
図3A】代替的実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のリモートソース電力の概略的なタイミング図を示し、図3Aは、一定のリモートソース電力を用いる実施形態を示し、図3Bは、2レベルのリモートソース電力を用いる別の実施形態を示す。
図3B】代替的実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のリモートソース電力の概略的なタイミング図を示し、図3Aは、一定のリモートソース電力を用いる実施形態を示し、図3Bは、2レベルのリモートソース電力を用いる別の実施形態を示す。
図4A】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のプロセスソース電力及びバイアスソース電力の概略的なタイミング図を示し、図4Aは、重なり合う電力パルス列を用いる実施形態を示し、図4Bは、同相電力パルス列を用いる別の実施形態を示す。
図4B】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理の間のプロセスソース電力及びバイアスソース電力の概略的なタイミング図を示し、図4Aは、重なり合う電力パルス列を用いる実施形態を示し、図4Bは、同相電力パルス列を用いる別の実施形態を示す。
図5A】様々な実施形態による、プラズマ処理の間の例示的な基板の断面図を示し、図5Aは、基板上のラジカルの飽和を伴う実施形態を示し、図5Bは、ラジカルのカバレージが不十分な代替的実施形態を示す。
図5B】様々な実施形態による、プラズマ処理の間の例示的な基板の断面図を示し、図5Aは、基板上のラジカルの飽和を伴う実施形態を示し、図5Bは、ラジカルのカバレージが不十分な代替的実施形態を示す。
図6A】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理方法のプロセスフローチャートを示し、図6Aは実施形態のプロセスフローを示し、図6Bは周期的プロセスを含む別の実施形態を示し、図6C図6Bの周期的プロセスの例示的なエッチングプロセスを示し、図6Dは代替的実施形態のプロセスフローを示す。
図6B】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理方法のプロセスフローチャートを示し、図6Aは実施形態のプロセスフローを示し、図6Bは周期的プロセスを含む別の実施形態を示し、図6C図6Bの周期的プロセスの例示的なエッチングプロセスを示し、図6Dは代替的実施形態のプロセスフローを示す。
図6C】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理方法のプロセスフローチャートを示し、図6Aは実施形態のプロセスフローを示し、図6Bは周期的プロセスを含む別の実施形態を示し、図6C図6Bの周期的プロセスの例示的なエッチングプロセスを示し、図6Dは代替的実施形態のプロセスフローを示す。
図6D】様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理方法のプロセスフローチャートを示し、図6Aは実施形態のプロセスフローを示し、図6Bは周期的プロセスを含む別の実施形態を示し、図6C図6Bの周期的プロセスの例示的なエッチングプロセスを示し、図6Dは代替的実施形態のプロセスフローを示す。
図7】様々な実施形態による、半導体製造プロセスを実施するための、リモートラジカルソースを用いるプラズマシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、半導体デバイスの製造中のプラズマ処理のシステム及び方法に関し、より具体的には、高度なパルス制御を用いるリモートソース(RS)媒介プラズマエッチング処理に関し、RSはプラズマ処理チャンバにラジカルを供給するために使用される。FinFETなどの3D半導体デバイスの製造において、プラズマエッチング処理は、様々な複雑な課題、例えば、中でもとりわけ、ラインエッジラフネス、限界寸法(CD)損失、及びアスペクト比依存エッチング(ARDE)に遭遇し得る。プラズマエッチング処理の複雑さに起因して、一部の測定基準に対してプロセスパラメータを最適化することが、他の測定基準を悪化させる場合がある。例えば、異方性エッチング用の十分なイオン垂直性のため、及びより少ない副生成物の再堆積のため、低圧及び低デューティサイクルの条件が望まれる場合がある。しかしながら、そのような条件は、プロセスの間に、多くの場合にラジカル枯渇を引き起こし、プロファイル制御及びエッチングレートの損失につながり得る。本出願の実施形態は、高度なパルス制御と、ラジカルのコンフォーマルなカバレージを可能にするラジカルを提供するRSとの組合せを用いる、プラズマエッチング処理の方法を開示する。
【0011】
本開示に記載される方法は、リモートソース(RS)からプラズマ処理チャンバまで十分なラジカルを供給することを可能にし、好都合にも、イオン垂直性を改善し、それによりプラズマエッチング処理の異方性を改善することができる。基板上の中性化学種(例えば、ラジカル)のコンフォーマルな表面カバレージが特徴部の側壁を不動態化し得るので、異方性が改善され得る。したがって、プラズマエッチング処理の間の限界寸法(CD)損失が、様々な実施形態に従って低減され得る。加えて、側壁でのイオンエネルギーの損失を最小化することにより、垂直エッチングレートを最大化することもできる。更に、本明細書の方法は、プラズマ処理チャンバの条件(例えば、圧力又はデューティサイクル)を実質的に変えることなく、イオン流束に対する中性流束の比率を調整することができる。例えば、様々な実施形態が、好都合にも、プラズマ処理チャンバの圧力スロットリングを必要とすることなく中性化学種の流束を増加させる。実施形態の方法によりプロセス効率を更に改善するため、異なる電力パルス列のセットを使用して、RS及びプラズマ処理チャンバに独立して給電してもよい。その結果、本明細書の方法は、様々な3D半導体デバイスにおいて有用な高アスペクト比(HAR)を有する凹状特徴部をエッチングするための低圧プラズマエッチング処理を可能にする。加えて、実施形態の方法は、アスペクト比依存エッチング(ARDE)を緩和するために有益でもあり得る。
【0012】
以下では最初に、図1Aは、様々な実施形態による、例示的なRS媒介プラズマエッチング処理を例示的なタイムチャートと共に示す。対応するラジカル密度及びイオン密度が、図1Bを参照して記載される。図2A図2Bでは、RS用のガスフロー制御が記載される。プラズマに電力供給し制御するための異なる電力パルス列に関するタイムチャートが、RSに関して図3A図3Bに示され、プロセスソース(PS)及びバイアスソース(BS)に関して図4A図4Bに示される。RS媒介ラジカル飽和がイオン垂直性に及ぼす影響が、図5A図5Bを参照して記載される。次いで、例示的なプロセスフロー図を、図6A図6Dに示す。図7は、様々な実施形態に従って半導体製造プロセスを実施するための、RSを備える例示的なプラズマシステムを提供する。図7を参照してより詳細に記載されるように、RS媒介プラズマエッチング処理のためのプラズマシステムは次の3つのセクションを含み得る:RSチャンバ、ラジカルバラスト領域を含むプレナム、及びプラズマ処理チャンバ。全ての図面が、例示目的でのみ描かれており、縮尺通りではない。
【0013】
様々な実施形態によるリモートソース(RS)媒介プラズマエッチング処理は、パシベーションフェーズ及びエッチングフェーズを含む。パシベーションフェーズは、RSチャンバ内でラジカルを生成させることと、ラジカルをラジカルバラスト領域を通してRSチャンバからプラズマ処理チャンバまで輸送することを含んでもよい。様々な実施形態では、パシベーションフェーズの間、ラジカルを生成させるために、RSチャンバ内で第1のプラズマが生成されてもよい。第1のプラズマを生成させるためのRSチャンバの結合要素(例えば、螺旋形共振器のコイル)にRSパルスを印加することにより、第1のプラズマが生成されてもよい。次に、エッチングフェーズは、プラズマ処理チャンバ内で第2のプラズマを生成させること(すなわち、生成フェーズ)と、第2のプラズマのイオンを加速させること(すなわち、イオンエネルギーフェーズ)と、RSチャンバから供給されたラジカルの存在下で第2のプラズマの加速されたイオンに基板を曝して基板に特徴部(例えば、凹部)を形成することと、を含んでもよい。生成フェーズは、プラズマ処理チャンバの結合要素に1つ以上のPSパルスを印加することを含んでもよい。イオンエネルギーフェーズは、プラズマ処理チャンバの基板ホルダに1つ以上のBSパルスを印加して、基板ホルダにより支持される基板に向けてイオンを誘導することを含んでもよい。更に、エッチングフェーズの間、第3のフェーズ(すなわち、副生成物管理フェーズ)が利用されてもよく、そのとき、プラズマ処理チャンバ内での副生成物の制御を可能にするために、PS電力及び/又はBS電力はオフであるか又は低減されている。
【0014】
様々な実施形態では、RS媒介プラズマエッチング処理の上記ステップは、以下で更に詳細に説明するように、例えば、電力パルス列のセットを使用することにより実施されてもよい。
【0015】
図1Aは、様々な実施形態による、例示的なプラズマ処理の3つのプロセスパラメータに関する概略的なタイミング図を示す。
【0016】
図1Bは、図1Aの例示的なプラズマ処理の間のラジカル密度及びイオン密度の対応する定量的グラフを示す。
【0017】
図1Aでは、タイミング図は、RSチャンバ内のRS電力と、プラズマ処理チャンバ内のプロセスソース(PS)電力及びバイアスソース(BS)電力とを示す。期間tは、パシベーションフェーズ(t)及びエッチングフェーズ(t)を含む、プラズマ処理の1サイクルを表す。パシベーションフェーズ(t)の間、図1Aに示すように、RSチャンバに第1のガスを流しながら、パルス期間dにわたってRSチャンバのRS電極にRS電力パルス10を印加することにより、RSに電力を供給してラジカルを生成させることができる。様々な実施形態では、RS電力パルス10を印加することにより、高いラジカル密度を有する第1のプラズマが生成され得る。特定の実施形態では、RS電力パルス10は、電力パルス列を含んでもよい。パルス期間dは、概ね、形成されたラジカルの滞留時間のスケールで設定されてもよい。形成されたラジカルの滞留時間は、ガス流量、圧力、RSチャンバの体積、及びRSチャンバの壁へのラジカル種の付着係数などの様々なパラメータに依存する。様々な実施形態では、パルス期間dは、1ms~5秒であってもよく、他の実施形態では、0.1秒~2秒であってもよい。
【0018】
様々な実施形態では、RSチャンバの圧力は、100mTorr~5Torrに、他の実施形態では、0.5Torr~2Torrに維持されてもよい。RSチャンバ圧力は、好都合にも、RSチャンバ内でラジカルリッチなプラズマを形成することを可能にするように選択され得る。RSチャンバ内で生成されたラジカルは、基板を保持しているプラズマ処理チャンバに輸送されてもよい。したがって、プラズマ処理チャンバ内のラジカル密度16は著しく増加して、図1Bに示すように、パシベーションフェーズ(t)の間、維持される。様々な実施形態では、ラジカルの輸送は、RSチャンバとプラズマ処理チャンバとの間の圧力差により駆動され得る又は支援され得る。したがって、プラズマ処理チャンバの圧力は、好都合にも、RSチャンバの圧力よりも低く維持され得る。様々な実施形態では、プラズマ処理チャンバの圧力は、5mTorr~200mTorrに、特定の実施形態では、10mTorr~100mTorrに維持されてもよい。他の実施形態では、副生成物の再堆積又はアスペクト比依存エッチング(ARDE)の効果を更に抑制するため、圧力は5mTorr以下であってもよい。100mTorr以下のような比較的低いチャンバ圧力を維持しながらプラズマ処理チャンバに十分なラジカルを供給する能力は、そのような低いチャンバ圧力においてラジカル枯渇を被り得る従来技術に優るRS媒介プラズマエッチング処理に関する利点の1つであり得る。
【0019】
RSチャンバ内に流される第1のガスは、プラズマエッチングにおいて有用ないかなるガスを含んでもよい。様々な実施形態では、第1のガスは、フルオロカーボン、例えばCF、C、C、CHF、CHF、又はCHを含み、他の実施形態では、第1のガスは、ハロゲン含有ガス、例えばF、SF、Cl、Br、又はHBrを含む。なお他の実施形態では、第1のガスは、酸素含有ガス、例えば二原子酸素(O)、又は貴ガス、例えばヘリウム(He)、アルゴン(Ar)若しくはクリプトン(Kr)を含んでもよい。第1のガスは、様々な実施形態ではガス混合物であってもよい。更に、以下の図2Bで更に説明されるように、第1のガスの組成及び/又はガス流量は、RS媒介プラズマエッチング処理の間に変えられてもよい。
【0020】
次に、エッチングフェーズ(t)の間、プラズマ処理チャンバに第2のガスを流しながら、プラズマ処理チャンバのプロセスソース(PS)及びバイアスソース(BS)に電力が供給されて、それぞれ、第2のプラズマ(すなわち、エッチング用の処理プラズマ)が生成され、及び第2のプラズマのイオンが加速され得る。特定の実施形態では、より良いプロセス信頼性のために、パシベーションフェーズ(t)とエッチングフェーズ(t)との間にギャップ(tdelay)が存在してもよい。図1Aには、ギャップのない実施形態を示す。エッチングフェーズ(t)は、PSにより第2のプラズマが生成され電力が供給される生成フェーズと、BSにより第2のプラズマのイオンが加速されるイオンエネルギーフェーズとを含み得る。生成フェーズ及びイオンエネルギーフェーズのこれらの2つのフェーズは、分離されてもよく(例えば、図1Aの非同相)、部分的に重なり合っていてもよく(例えば、図3A)、又は完全に重なり合っていてもよい(例えば、図3Bの同相)。
【0021】
プラズマ処理チャンバ内に流される第2のガスは、プラズマエッチングにおいて有用ないかなるガスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のガスは第1のガスと同じ組成を有してもよいが、他の実施形態では、異なってもよい。例えば、第1のガスは、フルオロカーボンなどの反応性ガスを含んでもよく、第2のガスは、不活性ガスを含んでもよく、それにより、第1のガスが側壁のパシベーション及び/又はエッチングを可能にする一方で、第2のガスがエッチングフロントに向けられたエネルギーを供給する。特定の実施形態では、第2のガスは、貴ガス、例えばHe、Ar又はKrを含んでもよい。一実施形態では、第1のガス及び第2のガスは、エッチングフロントに反応性イオンを送達するために同じガス成分を含んでもよい。そのような実施形態は、スパッタリングに起因するエッチングマスクの損失を補償するために基板上に堆積され得る重合種を生成させることにも有用であり得る。
【0022】
一実施形態では、第2のガスはArであってもよく、エッチングマスクの補償が不要な厚いエッチングマスク(例えば、数μm以上の厚さを有する炭素ハードマスク)を用いるプロセスのために使用されてもよい。別の実施形態では、第2のガスは90%のAr及び10%のCを含んでもよく、エッチングマスクを覆ってポリマーが堆積されてもよい。更に別の実施形態では、第2のガスは10%のAr及び90%のCを含んでもよく、これはポリマーの更なる堆積を促進する。
【0023】
PS及びBSに電力を供給するために、電力パルスのセットが印加されてもよい。様々な実施形態では、PSに電力を供給するための電力パルスは、パルス期間dと第1のPS電力レベルとを有するPS電力パルス列12を含んでもよく、BSに電力を供給するための電力パルスは、パルス期間dと第1のBS電力レベルとを有するBS電力パルス列14を含んでもよい。図1Aでは、例示的実施例として、PS電力パルス列12及びBS電力パルス列14は両方とも同じ周波数1/tを有する。換言すれば、PSパルス及びBSパルスの1つのオン-オフサイクルが周期tを有する。しかしながら、PS電力パルス列12及びBS電力パルス列14のために異なる周波数が使用されてもよい。更に、図1Bのエッチングフェーズ(t)の周期では、例示目的で3つのオン-オフサイクル(t×3)が示されるが、エッチングフェーズの間、いかなる数のオン-オフサイクルが実施されてもよい。特定の実施形態では、エッチングフェーズ(t)は、100~1000サイクルを含んでもよい。他の実施形態では、PS電力パルス列12、BS電力パルス列14、又はこれら両方が、1kHz~5kHzの周波数を有してもよい。
【0024】
様々な実施形態では、PS電力パルス列12、BS電力パルス列14、又はこれら両方が、例えば3%~95%の様々なデューティサイクル(1つのオン-オフサイクルの継続時間に対するオン時間の比率)を有してもよい。特定の実施形態では、PS電力パルス列、BS電力パルス列、又はこれら両方のデューティサイクルが、3%~20%であってもよい。
【0025】
様々な実施形態では、PS電力パルス列12のパルス期間dは、0.1μs~100μsであってもよく、特定の実施形態では、1μs~20μsであってもよい。
【0026】
様々な実施形態では、BS電力パルス列14のパルス期間dは、1μs~200μsであってもよく、特定の実施形態では、5μs~100μsであってもよい。
【0027】
2つのフェーズ(すなわち、生成フェーズ及びイオンエネルギーフェーズ)に加えて、エッチングフェーズ(t)は、図1Aに示すような副生成物管理フェーズdを更に含んでもよい。副生成物管理フェーズは、特徴部上の副生成物の再堆積の程度を調整するために実施され得る。様々な実施形態では、副生成物管理フェーズの間、プロセスソース(PS)電力は第1のPSレベルよりも小さい第2のPS電力レベルに変えられてもよく、バイアスソース(BS)電力は第1のBSレベルよりも小さい第2のBS電力レベルに変えられてもよい。特定の実施形態では、図1Aに示すように、第2のPSレベル及び第2のBSレベルはゼロ(すなわち、PS電力及びBS電力はオフである)であってもよい。副生成物管理フェーズdは、いかなる妥当な継続時間も有してよい。特定の実施形態では、dは、基板からあらゆる望ましくない種を除去することを確実にするために1ms又はこれより長くてもよい。他の実施形態では、副生成物管理フェーズはスキップされてもよい(すなわち、図1Aのdはゼロに等しい)。様々な実施形態では、副生成物管理フェーズは、RS媒介プラズマエッチング処理の間、いかなる妥当なタイミングで挿入されてもよい。例えば、副生成物管理フェーズは、図1Aに示すように、BS電力パルス列14の各パルスの後に挿入されてもよく、又はBS電力パルス列14の複数のパルスの後にだけ挿入されてもよい。
【0028】
図1Bでは、プラズマ処理チャンバ内のイオン密度18は、エッチングフェーズの間に、生成フェーズ(すなわち、第1のPS電力レベルでPSに給電すること)のタイミングに対応して反復して上昇し、生成フェーズの後(例えば、イオンエネルギーフェーズ及び副生成物の間)に減衰している。生成フェーズの3つのサイクルに対応する、イオン密度18の3つの反復するピークが示される。最適なプラズマ状態を提供するために、周波数などの、電力パルス列の条件が選択されてもよい。例えば、第1のサイクルの終わりに(例えば、第1のイオンエネルギーフェーズ又は第1の副生成物管理フェーズの終わりに)、エッチングのために利用可能なイオンが枯渇したら、第2の生成フェーズが開始されてもよい。
【0029】
一方で、プラズマ処理チャンバ内のラジカル密度16は、エッチングフェーズ(t)の間、穏やかな減少だけを伴って比較的一定に維持され得る。図示される時間スケール(例えば、いくつかのPS-BS電力サイクルについて1ms未満)でのラジカル密度16の微小な減少は、例えば5%未満であって、ほんの僅かであり得ることに留意すべきである。1サイクルtの短い時間スケール(例えば、1ms未満)と比較して、ラジカルの滞留時間が比較的長い(例えば、1ms~1秒)ことに起因して、比較的一定のラジカル密度16が可能である。したがって、様々な実施形態では、ラジカルリッチな状態において、1つのパシベーションフェーズの後に数百サイクルが実施され得る。いったんラジカル密度16が所望のレベル(例えば、最高レベルの70%未満)を下回るまで減少すると、エッチングフェーズが終了されてもよく、プラズマ処理チャンバ内のラジカルを補充するために別のパシベーションフェーズが実施されてもよい。したがって、本開示におけるリモートソース(RS)媒介プラズマエッチング処理は、パシベーションフェーズ(t)及びエッチングフェーズ(t)を反復することにより周期的に実施されてもよい。
【0030】
図2A及び図2Bは、様々な実施形態による、RS媒介プラズマエッチング処理の間の、概略的なリモートソース(RS)電力に関するタイミング図及びRSチャンバに関するガス流量を示す。
【0031】
図2Aでは、第1のガスのガス流量は、パシベーションフェーズ(t)及びエッチングフェーズ(t)の両方の間、一定に維持される。ガス流量は、特定の実施形態では、tとtとの間で変えられてもよい。RSチャンバ内で適切な圧力を維持することは、プラズマ処理チャンバからRSチャンバへの逆流を防止するために重要である。図示する例では、第1のガスの第1の組成22は不変に保持される。
【0032】
これに対して、図2Bでは、パシベーションフェーズ(t)の間に、第1のガスの第1の組成22が流されてもよく、エッチングフェーズ(t)の間に、第1のガスの第2の組成24が同じガス流量で流されてもよい。特定の実施形態では、第1のガスの第1の組成22は、フルオロカーボンなどの反応性ガスを含んでもよく、第1のガスの第2の組成24は、貴ガスなどの不活性ガスを含んでもよい。エッチングフェーズ(t)の間にRSチャンバにおいて不活性ガス流に切り替えることは、解離されない第1の成分の反応性ガスの化学種をプラズマ処理チャンバに導入することを減らすことに役立ち得る。第1のガスのガス組成及び/又はガス流量は、RS媒介プラズマエッチング処理の間のいかなる妥当なステージにおいても変えることができる。
【0033】
リモートソース(RS)媒介プラズマエッチング処理は、好都合にも、プラズマ処理チャンバの圧力スロットリングなしで等圧性の連続プロセスとして実施されてもよい。対照的に、原子層エッチング(ALE)などの複数のステージを含む従来のエッチング技術は、圧力スロットリングを必要とする場合があり、それがプロセスを複雑化し遅くする。したがって、RS媒介プラズマエッチング処理は、従来のエッチング技術で必要とされる条件を変えるためのいくつかのステップを削除し、プロセス効率を改善することができる。
【0034】
上述した実施形態に加えて、図3A図3B及び図4A図4Bに示すように、電力パルス列の様々な組合せがリモートソース(RS)、プロセスソース(PS)及びバイアスソース(BS)のために使用されてもよい。RSに給電するための実施例が図3A図3Bを参照して説明され、PS及びBSに給電するための実施例が図4A図4Bを参照して説明される。
【0035】
図3A及び図3Bは、代替的実施形態による、RSを用いるプラズマ処理の間のRS電力の概略的なタイミング図を示す。PS及びBSに給電するために、いかなる適切なパルシングパターン及び条件が使用されてもよい。
【0036】
図3Aでは、電力パルスを使用する代わりに、RSチャンバ内のRSは、一定のRS電力11を印加することにより給電される。したがって、そのような実施形態では、パシベーションフェーズ(t)は、プラズマ処理の1サイクルの期間tの全体にわたって延びてもよく、エッチングフェーズ(t)と重なり合っている。一定のRS電力11を印加することにより、ラジカルは、プラズマ処理の継続時間の全体の間、RSチャンバ内で絶えず生成され得る。
【0037】
図3Bでは、リモートソース(RS)電力パルス10は、2つの非ゼロのRS電力レベルを有するRS電力パルス列を含み得る。図1Aに示す以前の実施形態では、RS電力は、パシベーションフェーズ(t)の間だけオンである。対照的に、これら実施形態では、プラズマ処理がパシベーションフェーズ(t)からエッチングフェーズ(t)に進むとき、RS電力は、第1のRS電力レベルから、第1のRS電力レベルよりも低い第2のRS電力レベルまで低減される。エッチングフェーズの間にRS電力を完全には遮断しないことが、次のサイクル(すなわち、パシベーションフェーズ)においてラジカル生成を再開する際に及び/又はプラズマに確実に再点火する際に有益であり得る。特定の実施形態では、RSに給電するために、より複雑なRS電力パルス列パターンが使用されてもよい。
【0038】
図4A及び図4Bは、様々な実施形態による、RSを用いるプラズマ処理の間のプロセスソース(PS)電力及びバイアスソース(BS)電力の概略的なタイミング図を示す。RSに給電するために、いかなる適切なパルシングパターン及び条件が使用されてもよい。
【0039】
図4Aでは、PS電力パルス列12及びBS電力パルス列14の電力オン期間が部分的に重なり合っている。換言すれば、生成フェーズ(PSがオンのとき)及びイオンエネルギーフェーズ(BSがオンのとき)は部分的に重なり合っている。2つのフェーズを部分的に重なり合わせることにより、3つの異なる電力状態(すなわち、PSのみ、PSとBS、及びBSのみにより給電される状態)を可能にすることにより、好都合にもプラズマ状態の微調整が可能になる。
【0040】
図4Bでは、PS電力パルス列12及びBS電力パルス列14の電力オン期間が完全に重なり合っており、PS電力パルス列12のパルス期間d及びBS電力パルス列14のパルス期間dは、同一であり同期している。したがって、生成フェーズ及びイオンエネルギーフェーズは完全に重なり合っており(同相であり)、これが好都合にもプロセスを簡略化しプロセスパラメータの数を減らすことができる。そのような実施形態は、より高いイオン温度につながり、それにより、横方向への幾分のエッチングにつながり得る。横方向エッチングは、副生成物の再堆積を幾分は取り除くことによって側壁をクリーニングすることを手助けし得るので、ある程度は有益であり得る。同様に、特に高アスペクト比コンタクト(HARC)構造の上部で又はその近くで相当なパシベーションが用いられる場合に、横方向エッチングが、閉塞問題又は特徴部ピンチオフの防止を手助けし得る。
【0041】
更に、他の実施形態では、PS及びRS電力パルス列パターンのより複雑な組合せ。例えば、BSに給電するために多周波数RF電力が使用されてもよい(すなわち、BSに給電するために複数のパルス列が同時に使用される)。加えて、PS及び/又はBSを完全にオフにする代わりに、電力パルス列のために、2つ以上の非ゼロのPS及び/又はBS電力レベル間の切り替えが使用されてもよい。複数のPS及び/又はBS電力レベルの使用は、副生成物管理フェーズを細かく調整するために、特に有益であり得る。
【0042】
上述した様々な実施形態に従えば、RS媒介プラズマエッチング処理は、プラズマ処理チャンバ内で高水準のラジカル密度16を維持することを可能にする。したがって、基板はラジカルで氾濫し、基板の表面はラジカルで飽和し得る。このRS媒介ラジカル飽和は、図5A及び図5Bに示すように、イオン垂直性を維持するためにかなり有益であり得る。
【0043】
図5A及び図5Bは、様々な実施形態による、プラズマ処理の間の例示的な基板500の断面図を示す。
【0044】
基板500は、様々な実施形態において半導体基板を含み得る。1つ以上の実施形態では、基板500は、シリコンウェハー又はシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハーであってもよい。特定の実施形態では、基板は、シリコンゲルマニウムウェハー、炭化シリコンウェハー、ガリウムヒ素ウェハー、窒化ガリウムウェハー、及び他の化合物半導体を含み得る。他の実施形態では、基板500は、シリコンゲルマニウムオンシリコン、窒化ガリウムオンシリコン、シリコンカーボンオンシリコンなどの異種層、並びにシリコンオンシリコン層又はSOI基板を含む。
【0045】
図5Aでは、エッチングマスク層510がパターンを有して、基板500上に堆積されている。正に荷電したイオン520を利用して基板500に凹部530にエッチングするプラズマエッチングプロセスから生じた、完全に垂直な側壁を有する理想的なエッチングプロファイルが示される。プラズマエッチング処理は、高アスペクト比(HAR)を有する凹部530を作製することができる。50:1より高いアスペクト比(特徴部の幅に対する特徴部の高さの比率)を有する特徴部は、一般に高アスペクト比特徴部であると考えられ、場合によっては、100:1のようなより高いアスペクト比を有する構造を作製することが、高度な3D半導体デバイス、例えばメモリデバイス用のコンタクト及び他の階段状構造にとって望まれる場合がある。このシナリオでは、エッチングの間、凹部530の側壁上でラジカル540が飽和して、パシベーション層として機能する均一な表面層が形成される。これは、上述したように、RSチャンバ内で生成された十分なラジカルをプラズマ処理チャンバに供給することによって実現できる。ラジカル540が電子的に中性の化学種であるため、側壁をラジカル540で飽和させることは、表面帯電を防止し、それにより、正に荷電したイオン520の流入を可能にして、その垂直性を維持し、最小のエネルギー損失でエッチングフロントに到達することができる。換言すれば、RS媒介ラジカル飽和を用いて、エッチングレートを損なうことなく高度に異方性のエッチングを実現できる。更に、3D半導体デバイスの構造が複数のARを含み得ることが当業者にとって周知である。したがって、特徴部(例えば、異なるARを有する特徴部)の異なる深さにおいて同じエッチング性能を維持するために、図5Aに示すように、コンフォーマリティを有する均一な表面層を有することが有用である。したがって、本明細書の方法は、アスペクト比依存エッチング(ARDE)の問題を緩和するにあたって有利であり得る。
【0046】
これに対して、図5Bでは、側壁上のラジカルカバレージが不十分なシナリオが示される。プラズマ処理チャンバ内のラジカル密度が十分に高くない場合(例えば、ラジカルが枯渇して、イオンリッチな状況)、凹部530の側壁はラジカル540で飽和されておらず、それにより、側壁のある部分が負に荷電する場合がある。したがって、正に荷電したイオン520が側壁に衝突すると、横方向エッチングにつながる場合があり、イオン垂直性が損なわれる場合がある。この効果は、凹部530において、特に側壁において、不均一なエッチングレートをもたらす場合があり、それにより、図示するような特徴部の変形が生じる場合がある。ラジカル枯渇のこの問題は、従来のプラズマエッチング技術において、特にそれらが中圧から低圧(例えば、100mTorr以下)で動作する場合に、挑戦の1つである。しかしながら、本開示の実施形態の方法は、RS媒介プラズマエッチング処理を用いることにより、図5Aに図示するような、ラジカルリッチな、イオンが枯渇した状況を好都合にも実現できる。
【0047】
図6A図6Dは、様々な実施形態による、リモートソースを用いるプラズマ処理方法のプロセスフローチャートを示す。プロセスフローは、上述した図(例えば、図1A及び図1B)に従うことができ、したがって再度説明することはない。
【0048】
図6Aでは、プロセスフロー60は、第1のチャンバ(すなわち、リモートソースチャンバ)内に位置する第1の電極に第1の電力パルスを第1の継続時間にわたって印加することにより、第1のチャンバ内へと流入する第1のガスから第1のプラズマを生成させることで始まる(ブロック610)。第1の継続時間は、パシベーションフェーズ(例えば、図1Aのt)に対応する。次のステップは、第2のチャンバ(すなわち、プラズマ処理チャンバ)内に位置する基板に凹部を形成することである(ブロック620)。凹部を形成することは、ラジカルを第1のチャンバから第2のチャンバ内へと供給すること(ブロック622);第2のチャンバ内に位置する第2の電極に複数の第2の電力パルス(例えば、図1AのPS電力パルス列12)を印加して、第2のチャンバ内に流入する第2のガスから第2のチャンバ内で第2のプラズマを生成させること(ブロック624);及び第2のチャンバ内に位置する第3の電極に複数の第3の電力パルス(例えば、図1AのBS電力パルス列14)を印加して、第2のプラズマのイオンを加速させること(ブロック626)、を含んでもよい。
【0049】
図6Bでは、別のプロセスフロー62が、第1の圧力に維持されたリモートソース(RS)チャンバに第1のガスを流すこと(ブロック612)により始まり、その後に、第1の圧力よりも低い第2の圧力に維持されたプラズマ処理チャンバに第2のガスを流すこと(ブロック614)が続く。これらのガスを流しながら、周期的プロセスが実施される(ブロック630)。周期的プロセスは、RSチャンバ内で第1のガスの第1のプラズマを生成してラジカルを生成させ、ラジカルをプラズマ処理チャンバに供給すること(ブロック632)、及びラジカルの存在下でプラズマ処理チャンバ内でエッチングプロセスを実施して基板に凹部を形成すること(ブロック634)を含んでもよい。これら2つのステップ(ブロック632及び634)は、所望のエッチングプロファイルを実現するために周期的に反復されてもよい。特定の実施形態では、エッチングプロセスは、図6Cに更に示すように、電力パルス列のセットを使用することにより実施されてもよい(ブロック634)。
【0050】
図6Cでは、エッチングプロセス(ブロック634)自体が、プロセスソース(PS)電力パルス列を印加してプラズマ処理チャンバ内で第2のプラズマを生成させること(ブロック636)、及びバイアスソース(BS)電力パルス列を印加して第2のプラズマのイオンを加速させること(ブロック638)を含む周期的プロセスであってもよい。
【0051】
図6Dでは、異方性エッチングプロセス(ブロック640)の代替的プロセスフロー54が、パシベーションフェーズ(ブロック642)で始まり、プラズマ処理チャンバ内の基板の表面は、リモートソース(RS)チャンバから供給されるラジカルで飽和している。次に、ラジカルの存在下で基板をイオンに曝すことによりエッチングフェーズ(ブロック644)が実施されてもよく、イオンは、プロセスソース(PS)電力パルスとバイアスソース(BS)電力パルスとの組合せを使用して、プラズマ処理チャンバ内で形成される。
【0052】
図7は、様々な実施形態による、半導体製造プロセスを実施するための、リモートソース(RS)を用いるプラズマ処理システム70を示す。
【0053】
図7では、プラズマ処理システム70は、RSチャンバ72と、RSチャンバ72の出口に取り付けられたプレナム74と、プレナム74を通してRSチャンバ72に接続されたプラズマ処理チャンバ76とを備える。図7では、RSチャンバ72がプレナム74及びプラズマ処理チャンバ76の上方に示されるが、他の構成が可能である。例えば、RSチャンバ72は、プラズマ処理チャンバ76の側に配置されてもよい。第1のプラズマ700及び第2のプラズマ760が、それぞれ、RSチャンバ72及びプラズマ処理チャンバ76内で生成されてもよい。プラズマ処理システム70内でのガス流をブロック矢印で示す。
【0054】
RSチャンバ72は、上部カバー708内のRSガス入口702と、側壁706の外側に配置された無線周波数(RF)電極704とを有する、開放円筒体を逆さにしたような形状であってもよい。RSガス入口702は、第1のガスをRSチャンバ72内へと導入するように構成されてもよい。RS媒介プラズマエッチング処理の間、第1のガスのためのガス混合物として複数のガスが導入されるように、又は第1のガスの組成を変えることができるように、RSガス入口702は複数の入口ポートを備えてもよい。RF電極704は、誘電体(例えば、セラミック材料)を含む側壁706の周囲に垂直方向に巻かれた導電性螺旋であり得る。RF電極704は、代わりに、上部カバー708の近くに配置されてもよく、平面コイルのような形状であってもよい。上部カバー708は、RSチャンバ72の内側に向いた面に誘電体コーティングを有する導電性材料、例えばアルミナ又はイットリアでコーティングされたアルミニウムを含んでもよい。各種ガス(例えば、アルゴン、酸素、六フッ化硫黄、及びテトラフルオロメタン、三フッ化窒素、等)が、RSチャンバ72内に導入されて、制御されたガス放電プラズマがラジカルのソースとして形成されてもよい。
【0055】
RF電極704は、RF電源710に結合される。導体の長さは、RF電源710により給電された電極のRF電磁振動の4分の1波長(λ/4)又は2分の1波長(λ/2)となるように設計され得る。各種の実施形態では、RF電力の振動周波数は、約15MHz~約500MHzであってもよく、特定の実施形態では、約15MHz~約200MHzであってもよい。一実施形態では、RF電力の周波数は、20MHz~40MHz、例えば27MHzであってもよい。RF電極704用に共振器螺旋形オイルが使用される場合、その回数は、コイルが側壁706を十分に取り囲むことができるようにコイル長を考慮して選択され得る。代替的実施形態では、RF電極704は、平坦な渦巻きコイルで作製されてもよく、上部カバー708の上方に置かれてもよい。RF電極704は、純粋に誘導結合されたモードで動作して、RSチャンバ72内で約0.01W/cm~約10W/cmのRF電力密度で第1のプラズマ700を保持するように構成され得る。
【0056】
図7の例示的実施形態では、RSチャンバ72は、ラジカルが、RSチャンバ72を出るガス流中の第1のプラズマ700から、出口に取り付けられたプレナム74のラジカルバラスト領域728まで輸送される、ラジカル用の開放底部を有する。プレナム74は、底部壁722、底部壁722のエッジの周りの側壁726、側壁を越えて外向きに延びるリム724、及び側壁726と底部壁722との間のラジカルバラスト領域728を備える。
【0057】
リム724には、図7に示すように、リム724の下方に配置されたプラズマ処理チャンバ76が取り付けられている。リム724は、側壁726から外向きに延びてプラズマ処理チャンバ66の上部を覆い、プラズマ処理チャンバ76の壁734の垂直セクションに取り付けられている。他の各種の実施形態では、リム724はプラズマ処理チャンバ76のエッジに向かって途中まで延び、プラズマ処理チャンバ76の上部カバーに取り付けられてもよく、又はリム724及び壁734が1つのモノリシックな構造であってもよい。
【0058】
図7では、プラズマ処理チャンバ76は、側壁726に隣接する環状領域を備え、底部壁722に隣接する円筒形領域内へと更に下方に延びている。基板ホルダ732(例えば、円形の静電チャック(ESC))が、プレナム74の底部壁722の下方に隣接した、プラズマ処理チャンバ76の底部の近くの領域に配置されてもよい。ESCは、基板ホルダ732に電気的接続が行われ得るように、導電性材料(例えば、炭素ベース又は金属窒化物ベースのコーティング)でコーティングされ得る。例示を目的として、基板ホルダ732上に基板500が装填されているように示される。一実施形態では、基板ホルダ732は、300mmの直径を有する基板500を収容するように構成されてもよい。したがって、プラズマ処理チャンバ76は、一実施形態では400mm~500mmの幅を有してもよい。基板500の温度は、温度コントローラ742により維持されてもよい。ガス出口736は、基板ホルダ732の下方に配置されてもよく、そこを介してプラズマ処理チャンバ76から過剰な反応物及びガス状副生成物が除去され得る。特定の実施形態では、基板ホルダ732の上で所望の非対称のガス流パターンの生成を容易にするため、ガス出口736は、非対称に配置されてもよい。ガス入口740は、プラズマ処理チャンバ76の壁734上に配置されてもよく、第2のガスをプラズマ処理チャンバ76に導入するように構成されてもよい。RSガス入口702及びガス入口740は単一の入口として示されているが、それらは、複数のガスフローコントローラに結合された複数のガス入口を備えてもよい。いくつかの実施形態では、基板500の中心及びエッジにおけるガス流量を独立して調整するために、任意選択のセンタ/エッジスプリッタが使用されてもよい。
【0059】
図7に示すように、基板ホルダ732は、プラズマ処理チャンバ76の底部電極であり得る。図7の例示的な実施例では、基板ホルダ732は、バイアス電力(BS)を供給するように構成されたRFバイアス電源770に接続されている。プラズマ処理チャンバ76内部の上部付近の導電性円形板が上部電極752である。図7では、上部電極752は、プロセスソース(PS)電力を供給するように構成されたRF電源750に接続されている。いくつかの他の実施形態では、上部電極は、プラズマ処理チャンバ76の外側に位置する導電性コイルであり得る。
【0060】
RFバイアス電源770は、第2のプラズマ760を維持するための連続波(CW)電力又はパルスRF電力を供給するために使用され得る。上部電極752と底部電極(基板ホルダ732でもある)との間に示される第2のプラズマ760は、プラズマ処理システム70のプラズマ処理チャンバ76内で基板500の近くで生成される直接プラズマを例示している。エッチングは、RFバイアス電源770で基板ホルダ732に給電し、RF電源750で上部電極752に給電しながら、基板500を第2のプラズマ660に曝すことにより実施されてもよい。処理において使用されるプラズマの条件は、エッチングのターゲット材料を考慮して選択されてもよい。誘電体エッチング(例えば、SiO)のため、例えば、低いPS電力、エッチングフェーズ(t)に関する短い期間、又は低デューティサイクルが使用されてもよい。このようなプラズマ状態は、エッチングプロセスの間、電子密度を低下させ、エッチングマスクの損失の補償に有用な化学種の割れ目を最小化することができる。
【0061】
RS電力又はPS電力は、無線周波数(RF)帯(例えば、高周波数(HF)、超高周波数(VHF)など)における交流(AC)電力として供給され得る。BS電力は、直流(DC)電力(例えば、連続DC電力、パルスDC電力、バイポーラDC電力など)として、又はAC電力(例えば、高周波数(HF)、中間周波数(MF)、低周波数(LF)、超低周波数(VLF)など)として供給され得る。特定の実施形態では、BS電力は、例えばHF及びLFを含む、複数の周波数を有する複数のRF電源によって供給されてもよい。
【0062】
様々な実施形態では、PS電力の周波数は27MHz以上であってもよく、特定の実施形態では、それは超高周波数(VHF)レンジにあってもよい。例えば、PS電力の周波数は60MHz、100MHz、又は200MHzであってもよく、これが、低プラズマポテンシャル及び低PS電力を好都合にも可能にし得る。BSに関して、いかなる適切な条件も使用され得る。特定の実施形態では、誘電体エッチング(例えば、SiO)を実施するため、BS用に、13MHz未満のRF電力又はDC電力が使用されてもよい。導体エッチング(例えば、Si)のため、BS用に、約13MHzを有するRF電力が使用されてもよい。導体エッチングでは代わりに、BS用に、100s kHz~2MHzを有するRF電力が使用されてもよい。BSの周波数は、印加される電圧(例えば、ピークツーピーク電圧Vpp)を考慮して選択されてもよい。デバイスの構成要素への望ましくない損傷を最小化するために低電圧が好ましい場合、高周波数が選択されてもよい。これに対して、比較的高い電圧がプロセスにとって許容できる場合、低周波数が選択されてもよい。
【0063】
効率的な熱放散のため、底部壁722、リム724及び側壁726などのプレナム74の壁、並びにプラズマ処理チャンバ76の壁734は、アルミニウム、銅などの熱伝導材料を含んでもよく、物理的且つ熱的に相互に結合されている。当業者には周知なように、プラズマ処理システム70などのプラズマシステムの様々な導電性の壁は、システムアース(基準電位)に電気的に接続され得る。
【0064】
図7に示すカバー層721は、様々な手法を用いて、例えば、陽極酸化アルミニウム、イットリアでのコーティング、又はプラズマ処理チャンバ76のコンディショニングを用いて、提供されてもよい。カバー層721は、プレナム74の壁用の1つの材料と、プラズマ処理チャンバ76の壁734用の異なる材料とを含み得る。一般に、プラズマプロセスチャンバの化学的状態は、処理中に、イオン衝撃並びに各種のラジカル及びガス状副生成物との化学反応により変化する。カバー層721は、壁の化学的状態のそのような変動を低減させ、したがってプラズマ処理環境を更に安定化させるという追加の利点を提供する。
【0065】
上述したプラズマ処理システム70の構成は、単なる例示にすぎない。代替的実施形態では、プラズマ処理システム70のための様々な代替構成を使用することができる。例えば、誘導結合プラズマ(ICP)は、上部誘電性カバー上の平面コイルに結合されたRFソース電力と共に、又はプラズマ処理チャンバ76内のディスク状の上部電極を使用して生成された容量結合プラズマ(CCP)と共に使用されてもよく、ガス入口及び/又はガス出口は側壁に結合されてもよい、などである。一実施形態では、共振器が使用されて、約27MHz以上で動作させるように構成されてもよい。別の実施形態では、非共振アンテナが使用されて、約400kHz~約13MHzで動作させるように構成されてもよい。代わりに、マイクロ波(MW)電力が使用されてもよい。様々な実施形態では、RF電力、チャンバ圧力、基板温度、ガス流量及び他のプラズマプロセスパラメータは、それぞれのプロセスレシピに従って選択されることがある。
【0066】
本明細書では説明されないが、本発明の実施形態は、リモートプラズマシステム、並びにバッチシステムにも適用できる。例えば、基板ホルダは、異なるプラズマゾーンを通過するときに中心軸の周りでスピンされる複数のウェハーを支持することができ得る。
【0067】
ここで、本発明の例示的な実施形態を要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本願の特許請求の範囲から理解され得る。
【0068】
実施例1. 基板をエッチングする方法であって、第1のチャンバ内に位置する第1の電極に第1の継続時間にわたって第1の電力パルスを印加することにより、第1のチャンバ内に流入する第1のガスから第1のプラズマを生成させることと;第2のチャンバ内に位置する基板に凹部を形成することであって、形成することは、ラジカルを第1のチャンバから第2のチャンバ内へと供給すること;第2のチャンバ内に位置する第2の電極に第2の継続時間にわたって複数の第2の電力パルスを印加して第2のチャンバ内に流入する第2のガスから第2のチャンバ内で第2のプラズマを生成させることであって、第1のチャンバは第2のチャンバよりも高い圧力で加圧されている、こと;及び第3の継続時間中に第2のチャンバ内に位置する第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加して第2のプラズマのイオンを加速させること、を含む、形成することと、を含む方法。
【0069】
実施例2. 第1のプラズマを生成し凹部を形成しながら、第2のチャンバの圧力を100mTorr以下に維持することを更に含む、実施例1に記載の方法。
【0070】
実施例3. 第1のプラズマを生成し凹部を形成しながら、第1のチャンバの圧力を100mTorr~5Torrに維持することを更に含む、実施例1又は2に記載の方法。
【0071】
実施例4. 第1の電力パルスのパルス期間が1ms~5秒である、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施例5. 第2の電力パルスのパルス期間が1μs~20μsである、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施例6. 第3の電力パルスのパルス期間が5μs~100μsである、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施例7. 第1の継続時間と第2の継続時間とは、部分的に重なり合っている、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施例8. 複数の第2の電力パルスと複数の第3の電力パルスとは、重なり合っていない、実施例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施例9. 複数の第2の電力パルス又は複数の第3の電力パルスの各パルスは、第1の電圧レベルから第2の電圧レベルへの第1のエッジ、第2の電圧レベルから第3の電圧レベルへの第2のエッジ、及び第3の電圧レベルからの第1の電圧レベルへの第3のエッジを含み、第1のエッジは第2のエッジから分離され、第2のエッジは第3のエッジから分離されている、実施例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施例10. 更に第4の継続時間中に、第2の電極用の電力レベル及び第3の電極用の電力レベルを低下させる、実施例1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施例11. プラズマ処理チャンバ内で基板を処理する方法であって、第1の圧力に維持されたリモートソース(RS)チャンバに第1のガスを流すことであって、RSチャンバはプラズマ処理チャンバに接続されている、ことと;第2の圧力に維持されたプラズマ処理チャンバに第2のガスを流すことであって、第2の圧力は第1の圧力よりも低い、ことと;複数のサイクルを含む周期的プロセスを実施することであって、複数のサイクルの各サイクルは、第1のガスの第1のプラズマを生成させてラジカルを生成させること、ラジカルをプラズマ処理チャンバに供給すること、及びラジカルの存在下でプラズマ処理チャンバ内でエッチングプロセスを実施して基板に凹部を形成することを含む、ことと、を含む方法。
【0079】
実施例12. 第2の圧力は、100mTorr以下である、実施例11に記載の方法。
【0080】
実施例13. 第1のプラズマを生成させることは、RS電極にRS電力パルスを印加することを含み、RS電力パルスは1ms~5秒のパルス期間を有する、実施例11又は12に記載の方法。
【0081】
実施例14. エッチングプロセスは、プロセスソース(PS)電力パルス列をPS電極に印加して、プラズマ処理チャンバ内で第2のプラズマを生成させることであって、PS電力パルス列は、複数のPS電力パルスを含む、ことと;バイアスソース(BS)電力パルス列を、プラズマ処理チャンバ内の基板に結合されたBS電極に印加することであって、BS電力パルス列は複数のBS電力パルスを含み、BS電力パルス列は第2のプラズマのイオンを基板に向かって加速し、イオンは凹部をエッチングする、ことと、を含む、実施例11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施例15. PS電力パルス列、BS電力パルス列、又はこれら両方が、1kHz~5kHzの周波数を有する、実施例11~14のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施例16. PS電力パルス及びBS電力パルスは、部分的に又は完全に重なり合っている、実施例11~15のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
実施例17. PS電力パルス列、BS電力パルス列、又はこれら両方が、3%~20%のデューティサイクルを有する、実施例11~16のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施例18. プラズマ処理システムであって、リモートソース(RS)チャンバであって、ガス入口と、無線周波数(RF)電源に結合された第1の電極であって、RSチャンバ内でラジカルを含む第1のプラズマを生成させるように構成される、第1の電極と、ラジカル用の出口と、を含むリモートソース(RS)チャンバと;RSチャンバの出口に取り付けられたプレナムであって、プレナムは第1の熱導体で作製され、プレナムの壁はガス流のための開口部を含む、プレナムと;プレナムを通してRSチャンバに接続されたプラズマプロセスチャンバであって、プラズマプロセスチャンバは、プレナムの下方に配置された基板ホルダと、基板ホルダの下方のガス出口と、プロセス電源に結合された第2の電極であって、第2のプラズマを生成させるように構成された、第2の電極と、第1のバイアス電源に結合された第3の電極であって、第2のプラズマのイオンを加速するように構成された、第3の電極と、第2の熱導体を含むプロセスチャンバ壁であって、プロセスチャンバのプロセスチャンバ壁は、プレナムの壁に熱的に結合されている、プロセスチャンバ壁と、を備える、プラズマプロセスチャンバと、を含むプラズマ処理システム。
【0086】
実施例19. 第1の継続時間にわたって第1の電極に第1の電力パルスを印加し、第2の継続時間中に第2の電極に複数の第2の電力パルスを印加し、第3の継続時間中に第3の電極に複数の第3の電力パルスを印加し、プレナムの圧力をプラズマ処理チャンバの圧力よりも高く維持する、ための命令を実行するプログラムを含むマイクロプロセッサを更に含む、実施例18に記載のプラズマ処理システム。
【0087】
実施例20. 第3の電極は、第2のバイアス電源に更に結合され、第1のバイアス電源及び第2のバイアス電源は、第3の電極に電力パルスを異なる周波数で印加するように構成される、実施例18又は19に記載のプラズマ処理システム。
【0088】
本発明について、複数の例示的な実施形態を参照して記述してきたが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。例示的な実施形態の様々な修正形態及び組合せ並びに本発明の他の実施形態が、上の記述を参照して当業者に明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような修正形態又は実施形態を包含することを意図する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】