(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】誘導型位置センサ装置、及び誘導型位置センサ装置を有するブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538686
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 DE2022200300
(87)【国際公開番号】W WO2023134820
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022200420.5
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022202500.8
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ハービヒ・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ドナー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クノーブロホ・アンゼルム
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA11
2F077NN02
2F077NN23
2F077PP06
2F077UU07
2F077WW04
(57)【要約】
本発明は、位置受信装置(2)を有する位置トランスデューサ要素(3)の位置を検出するための誘導型位置センサ装置(1)であって、位置受信装置(2)が、コイルアセンブリ(4)を有する多層プリント回路基板(9)を備え、コイルアセンブリ(4)が、少なくとも1つの励磁コイル(5)と、少なくとも第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)とを備え、第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)が、各々、励磁コイル(5)によって少なくとも部分的に取り囲まれている複数の巻線(8、10、11、12、13、14)を備え、第1の受信コイル(6)が、少なくとも励磁コイル(5)の部分(24)の上方及び/又は下方の部分に配置されている補償巻線(8)を備える、誘導型位置センサ装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置受信装置(2)を有する位置エンコーダ要素(3)の位置的ロケーションを検出するための誘導型位置センサ装置(1)であって、前記位置受信装置(2)が、多層設計のプリント回路基板(9)を備え、且つコイルアセンブリ(4)を有し、前記コイルアセンブリ(4)が、少なくとも1つの励磁コイル(5)と、少なくとも第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)とを備え、前記第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)が、各々、前記励磁コイル(5)によって少なくとも部分的に取り囲まれている複数の巻線(8、10、11、12、13、14)を備える、誘導型位置センサ装置(1)において、
前記第1の受信コイル(6)が、少なくとも前記励磁コイル(5)のサブセクション(24)の上方及び/又は下方の特定の領域に配置されている補償巻線(8)を備える、ことを特徴とする、誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項2】
前記多層設計のプリント回路基板(9)が、第1の層(18)と、第2の層(19)と、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置された少なくとも1つの中間層(20)とを備え、前記励磁コイル(5)が、前記第1の層(18)及び前記第2の層(19)に適用されている複数の巻線(29)を備え、前記第1の受信コイル(6)の前記補償巻線(8)が、前記第1の中間層(20)に適用され、前記補償巻線(8)が、前記第1の層(18)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)と前記第2の層(19)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)との間の垂直領域における特定の領域に配置されている、ことを特徴とする、請求項1に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項3】
前記第1の受信コイル(6)が、その前記巻線(8、10、11、12)によって前記第1の中間層(20)及び前記第2の中間層(25)に適用されている、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項4】
前記第2の受信コイル(6)が、その前記巻線(13、14)によって前記第1の中間層(20)及び第2の中間層(25)に適用され、前記第2の中間層(25)が、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置されている、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項5】
前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)の前記巻線(8、10、11、12、13、14)が、各々、複数の正及び負の巻線(10、11、12;13、14)を備え、これらの正及び負の巻線(10、11、12;13、14)が、前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)によって直径方向に取り囲まれている、ことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項6】
前記第1の受信コイル(6)が、コサイン受信コイルである、ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項7】
前記第2の受信コイル(7)が、サイン受信コイルである、ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項8】
前記励磁コイル(5)、前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)が、各々、評価ユニットへの接続部(15;16;17)を備える、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項9】
自動車用のブレーキシステムであって、可動ブレーキシリンダピストン(27)を有するブレーキ作動装置、並びに/又は駆動シャフト及びインペラ(26)を有する電気モータを備え、請求項1~8のいずれか一項に記載の前記位置センサ装置(1)の前記位置エンコーダ要素(3)が、前記ブレーキシリンダピストン(27)又は前記インペラ(26)によって表されている、ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による誘導型位置センサ装置、及び請求項9の前文によるそのような誘導型位置センサ装置を備えるブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導型位置センサは、自動車分野において広く使用されている。そのような位置センサは、例えば、移動要素の直線位置又は回転角度位置を検出するために使用される。例えば、相互結合(電場及び電圧)を介して移動位置エンコーダ要素の位置を示すコイルシステムが、位置受信装置として使用される。少なくとも1つの励磁コイル及び少なくとも2つの受信コイルが使用される。そのようなコイルは、例えば文献、米国特許出願公開第2020400465A1号明細書から既知であるように、プリント回路基板に印刷/適用されることが知られている。
【0003】
位置エンコーダ要素は、典型的には、導電性、通常は非強磁性材料から作成された移動構成要素である。これは、例えば、ブレーキ作動装置のマスタブレーキシリンダのシリンダピストン、又は電気モータの駆動シャフトのインペラであってもよい。
【0004】
そのようなセンサは、誘導性原理に従って作動する。この場合、導電性材料及び強磁性材料の両方が電磁コイルの特性に影響を与えるという事実が利用される。金属要素によって引き起こされる励磁コイルと少なくとも2つの受信コイルとの間の結合の変化は、電圧の変化をもたらし、この電圧は、評価ユニットによって登録されて評価される。
【0005】
角度センサの場合、現在では、360°ラップアラウンドコイルアセンブリが通常使用される。C字型コイル構造の場合、「Pos1/2<>Neg1/2及びPos1/4<>Neg1/2<>Pos1/4」受信コイル構造により、表面積を大幅に低減することができる。C字型コイル構造(又はC字型プリント回路基板)は、360°変形例に対してはるかに費用対効果の高い代替案を提供する。しかしながら、「Pos1/2<>Neg1/2及びPos1/4<>Neg1/2<>Pos1/4」受信コイル構造によって必要となる使用可能な表面積を最大限に圧縮すると、生成された信号に不均衡が生じる。2つの受信コイルからの2つの信号のうちの1つは、大きなオフセットが生じる程度に非対称にロードされる。そのため、非対称にロードされた受信コイルの信号平均値は、例えば、アナログからデジタルへの変換器などの信号評価電子機器システムに、もはや最適に適合されない。従って、第1の出力信号及び第2の出力信号のオフセット電圧が異なることより、利用可能な電圧範囲を最適に利用するように、両方の信号を増幅することが可能にならない。その結果、信号のロバスト性が損なわれる。
【0006】
そこで、本発明は、両方の受信信号(サイン及びコサイン)の最大振幅利得を可能にするために、モータ位置センサのコサイン信号のオフセット電圧を低減することを目的とする。従って、設置されたセンサのプリント回路基板とセンサ対象物(例えばインペラ)における機械的公差に対するロバスト性がより大きくなる。この結果、生産における無駄が少なくなり、位置ドリフトの発生時における安全上重要な条件に関してロバスト性を有する。
【0007】
本発明の目的は、出力される少なくとも2つの受信コイルの信号のオフセットの生成が小さい誘導型位置センサ装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、位置受信装置を有する位置エンコーダ要素の位置的ロケーションを検出するための誘導型位置センサ装置を提供し、位置受信装置は、多層設計のプリント回路基板を備え、且つコイルアセンブリを有し、コイルアセンブリは、少なくとも1つの励磁コイルと、少なくとも第1の受信コイル及び第2の受信コイルとを備え、第1の受信コイル及び第2の受信コイルは、各々、励磁コイルによって少なくとも部分的に取り囲まれている複数の巻線を備え、第1の受信コイルは、少なくとも励磁コイルのサブセクションの上方及び/又は下方の特定の領域に配置されている補償巻線を備える。
【0009】
オフセットによって影響を受ける受信コイル内に補償巻線を挿入することにより、受信コイルにおいて励磁コイルからの追加の磁場(又は電圧)が誘導される。従って、電圧オフセットは、第2の受信コイルの信号の所望の方向にシフトされる。
【0010】
プリント回路基板上の励磁コイルに対する補償巻線の位置に応じて、励磁磁場の結合は、補償巻線における位置エンコーダ要素の位置によって影響を受ける。これにより、位置エンコーダ要素の位置に応じて補償磁場に対する摂動がもたらされる。提案された補償巻線はまた、補償巻線がその上にあるセンサ対象物の領域において明示的に配置されるという事実によって、これらの逆境を解決する。
【0011】
それにもかかわらず、位置エンコーダ要素に依存しないオフセット補償を達成するために、補償巻線の長さ(又は角度センサの場合は角度開口部)が、位置エンコーダ要素の全表面積及び位置エンコーダ要素のクリアランス(例えば角度センサの非ブレード)が常に補償巻線を上回るように選択される。従って、位置エンコーダの位置の影響はオフセットされる。
【0012】
これは、機械的位置変化に対して高程度のロバスト性が得られるという利点を有する。加えて、制約が存在しないため、プリント回路基板の回路設計が独立化される。その結果、プリント回路基板上のスペース要件が大幅に低減され、コスト削減につながる。
【0013】
また、本発明による補償巻線のアセンブリは、位置センサ装置が定期的な較正なしに良好な測定結果を出力するという利点を有する。
【0014】
多層設計のプリント回路基板は、好ましくは、第1の層と、第2の層と、第1の層と第2の層との間に配置された少なくとも1つの中間層とを備え、励磁コイルは、第1の層及び第2の層に適用されている複数の巻線を備え、第1の受信コイルの補償巻線は、第1の中間層に適用され、補償巻線は、第1の層の励磁コイルの巻線と第2の層の励磁コイルの巻線との間の垂直領域における特定の領域に配置されている。
【0015】
加えて、補償巻線は、補償に必要な励磁磁場の一部のみが補償巻線に結合されるように、プリント回路基板層における励磁コイルとの間に統合される。従って、プリント回路基板全体に対する補償巻線に必要な追加の表面積もまた、事実上存在しない。
【0016】
好ましい実施形態によれば、第1の受信コイルは、その巻線によって第1の中間層及び第2の中間層に適用される。別の好ましい実施形態によれば、第2の受信コイルは、その巻線によって第1の中間層及び第2の中間層に適用され、第2の中間層は、第1の層と第2の層との間に配置される。
【0017】
第1の受信コイル及び第2の受信コイルの巻線は、好ましくは、各々、複数の正及び負の巻線を備え、これらの正及び負の巻線は、励磁コイルの巻線によって直径方向に取り囲まれる。
【0018】
第1の受信コイルは、好ましくは、コサイン受信コイルである。第2の受信コイルは、好ましくは、サイン受信コイルである。
【0019】
更に、励磁コイル、第1の受信コイル及び第2の受信コイルは、各々、評価ユニットへの接続部を備える。
【0020】
本発明による誘導型位置センサ装置は、自動車のブレーキシステムにおいて使用される。そこでは、位置センサ装置は、ブレーキシリンダピストンの移動を決定するため、又は電気モータのインペラを有する駆動シャフトのロータ位置を決定するために使用される。この場合、ブレーキシリンダピストン又はインペラは、位置センサ装置の位置エンコーダ要素を表す。
【0021】
本発明の更なる好ましい実施形態は、下記の図面に基づく例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の例示的な誘導型位置センサ装置を示す図である。
【
図2】第1の例示的な誘導型位置センサ装置を詳細に示す図である。
【
図3】第2の例示的な誘導型位置センサ装置を示す図である。
【
図4】
図1からの第1の例示的な誘導型位置センサ装置のコイルアセンブリを示す図である。
【
図5】
図2からの第2の例示的な誘導型位置センサ装置のコイルアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、位置受信装置2と位置エンコーダ要素3とを備える、第1の例示的な誘導型位置センサ装置1を示している。位置受信装置2は、少なくとも3つのコイルを含むコイルアセンブリ4を有するプリント回路基板(図示せず)を備える。示される例では、位置エンコーダ要素3は、インペラ26の形態である。インペラ26は、その締結リング27を介して電気モータの駆動シャフト(図示せず)上に固定されるように設計される。位置受信装置2及び位置エンコーダ要素3は、空間的にわずかな間隔を伴って、互いの上に又は互いに隣に配置される。インペラ26は、金属材料で作成される。インペラ26は、非強磁性材料で作成される。インペラ26は、導電性である。
【0024】
図2は、この位置センサ装置1をより詳細に示している。インペラ26は、下にあるコイルアセンブリ4を図示するために、わずかに透明な状態で示されている。コイルアセンブリ4の正確な設計については、
図4~
図6でより詳細に説明する。コイルアセンブリ4は、少なくとも1つの励磁コイル5と、少なくとも1つの第1の受信コイル6とを備える。第1の受信コイル6は、補償巻線8を含む複数の巻線を備える。インペラ26は、少なくとも1つのブレード22と、少なくとも1つのブレード凹部23とを備える。インペラ26には、回転方向に交互にされた複数のブレード及びブレード凹部が設けられ得る。インペラ26は、例えばアルミニウム材料で作成され、電気モータの駆動シャフトが図示されないプリント回路基板を介して、そのコイルアセンブリ4によって駆動されると、そのブレード22によって回転する。ブレード22は、コイルアセンブリ4の上を繰り返しスリップし、その過程で、第1の受信コイル6及び第2の受信コイルの誘導電圧に影響を与える。電気モータの駆動シャフトの回転位置は、ブレード22及び後続のブレード凹部23がスリップすることから生じる、励磁コイル5から第1の受信コイル及び第2の受信コイルへの励磁磁場の結合を変化させることによって決定される。
【0025】
第1の受信コイル6の補償巻線8は、少なくとも励磁コイル5のサブセクションの上方又は下方の特定の領域に配置される。この場合の補償巻線8は、励磁コイル5のサブセクションの湾曲した形状に従う。
【0026】
更に、補償巻線8は、インペラ26の締結リング28がその上方に位置しないように配置される。補償巻線8は、ブレード22及びブレード凹部23がその上を移動するように配置される。
【0027】
実施例では、位置受信装置2は、
図1及び
図2によるC字型である。これは、図示されないプリント回路基板、及びコイルアセンブリ4もまたC字型であることを意味する。そのようなC字型は、要求される設置スペースが少ないが、良好な信号品質に対するより高い要求が課される。
【0028】
図3は、位置受信装置2と位置エンコーダ要素3とを備える、第2の例示的な誘導型位置センサ装置1を示している。位置受信装置2は、同様に、少なくとも3つのコイルを含むコイルアセンブリ4を有するプリント回路基板(図示せず)を備える。示される例では、位置エンコーダ要素3は、シリンダピストン27である。シリンダピストン27は、例えば、ブレーキ作動装置のマスタブレーキシリンダに属する。ブレーキ作動装置が作動されると、シリンダピストン27は、位置受信装置2に対して平行に移動する。その結果、シリンダピストン27の位置又は移動距離は、位置受信装置2によって検出され得る。この移動距離は、例えば運転者のブレーキ要求を表す。位置受信装置2は、例えば、ブレーキ作動装置のシリンダハウジング内又はシリンダハウジング上に取り付けられ、その中でシリンダピストン27が直線的に移動する。
【0029】
コイルアセンブリ4はまた、励磁コイル5と、補償巻線8を有する第1の受信コイル6とを備える。第1の受信コイル6の補償巻線8は、少なくとも励磁コイル5のサブセクションの上方又は下方の特定の領域に配置される。この場合の補償巻線8は、励磁コイル5のサブセクションの直線形状に従う。示される例では、位置受信装置2は、長方形である。
【0030】
図4は、
図1からの第1の例示的な誘導型位置センサ装置1における位置受信装置2のコイルアセンブリ4をより詳細に示している。
【0031】
コイルアセンブリ4は、接続部15を有する励磁コイル5と、接続部16を有する第1の受信コイル6と、接続部17を有する第2の受信コイル7とを備える。第1の受信コイル6は、複数の巻線を備える。接続部16には、第1の正の巻線10が設けられ、第1の正の巻線10は負の巻線11に遷移し、更に負の巻線11は第2の正の巻線12に遷移する。補償巻線8は、第2の正の巻線12から分岐している。補償巻線8は、励磁コイル5のサブセクション24の上に延びている。この場合、補償巻線8は、励磁コイル5のサブセクション24の上方又は下方に位置する。受信コイル6は、いわゆるコサイン受信コイルである。
【0032】
第2の受信コイル7は、接続部17において、負の巻線14に遷移する正の巻線13を備える。
【0033】
第1の受信コイル6の巻線10、11、及び12、並びに第2の受信コイル6の巻線13、及び14は、励磁コイル5によって直径方向に取り囲まれている。従って、励磁コイル5の励磁磁場により、第1の受信コイル6及び第2の受信コイル7の巻線10~14において電圧が誘導される。
【0034】
この場合、第1の受信コイル6の補償巻線8は、補償巻線8まで通過する励磁磁場の部分が補償巻線8において規定された追加の電圧を誘導するように、励磁コイル5の励磁磁場に露出される。この電圧は、シフトされたオフセットを補償するために必要な部分に対応する。
【0035】
図5は、
図3からの第2の例示的な誘導型位置センサ装置1のコイルアセンブリ4を示す、コイルアセンブリ4の同様の構造を示している。この場合、コイルアセンブリ4は、長方形である。第1の受信コイル6及び第2の受信コイル7は、上記の実施例で説明したように、同じ数及びタイプの巻線8、10~14を備える。
【0036】
この場合も、補償巻線8は、第1の受信コイル6から励磁コイル5のサブセクションにわたって延びている。
【0037】
図6は、多層プリント回路基板9を有する位置受信装置2を断面で示している。プリント回路基板9は、第1の(上)層18と第2の(下)層19とを備える。その間に、第1の中間層20及び第2の中間層25が設けられている。第1の中間層20は、第2の層19に面している。第2の中間層25は、第1の層18に面している。
【0038】
一例として、励磁コイル5は、複数の巻線29を備える。これらの巻線29は、第1の層18及び第2の層19に同時に適用される。複数の接続点において、励磁コイルは、第1の層18から第2の層19まで通過し、再び戻る。励磁コイル5に交流電流を通電することにより、励磁磁場21を生成する。励磁磁場21は、第1の受信コイル6及び第2の受信コイル7の巻線に対して作用する。励磁磁場21は、特に、第1の受信コイル6からの補償巻線8に対して作用する。
【0039】
第1の受信コイル6及び第2の受信コイル7の正及び負の巻線は、励磁コイル5の巻線29の側部上に位置する。正及び負の巻線は、励磁コイル5に取り囲まれ、それらの巻線29からわずかに離れて配置される。その結果、弱い励磁磁場21が、正及び負の巻線に適用される。第1の受信コイル6及び第2の受信コイル7の正及び負の巻線は、プリント回路基板9の中間層20及び25に位置する。それぞれの受信コイル6及び7の正及び負の巻線は、対応する接続点において、第1の中間層20から第2の中間層25まで通過し、再び戻ることが可能である。その結果、受信コイル6、7の正及び負の巻線は、プリント回路基板9を垂直に貫通して延びている。受信コイル6、7の正及び負の巻線は、
図3~
図5に示されるように、水平方向に走る。
【0040】
一例として、第1の励磁コイル5の補償巻線8は、第1の中間層20に適用される。一例として、補償巻線8のサブ領域は、プリント回路基板9の第1の層18及び第2の層19に適用される、励磁コイル5との間の垂直領域に位置する。これは、補償巻線8が励磁磁場21の強い有効範囲内にあることを意味する。
【0041】
その結果、励磁磁場21は、第1の受信コイル6の正及び負の巻線だけでなく、補償巻線8においても電圧を誘導する。従って、第1の受信コイル6の信号オフセットは、第1の受信コイル6からの信号が第2の受信コイル7からの信号に近似するように変化する。
【符号の説明】
【0042】
1 位置センサ装置
2 位置受信装置
3 位置エンコーダ要素
4 コイルアセンブリ
5 励磁コイル
6 第1の受信コイル
7 第2の受信コイル
8 補償巻線
9 プリント回路基板
10 第1の受信コイルの第1の正の巻線
11 第1の受信コイルの負の巻線
12 第1の受信コイルの第2の正の巻線
13 第2の受信コイルの正の巻線
14 第2の受信コイルの負の巻線
15 励磁コイルの接続部
16 第1の受信コイルの接続部
17 第2の受信コイルの接続部
18 第1の層
19 第2の層
20 第1の中間層
21 励磁磁場
22 ブレード
23 ブレード凹部
24 サブセクション
25 第2の中間層
26 インペラ
27 シリンダピストン
28 締結リング
29 巻線
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
その結果、励磁磁場21は、第1の受信コイル6の正及び負の巻線だけでなく、補償巻線8においても電圧を誘導する。従って、第1の受信コイル6の信号オフセットは、第1の受信コイル6からの信号が第2の受信コイル7からの信号に近似するように変化する。
なお、本発明は以下の態様も包含し得る:
1.位置受信装置(2)を有する位置エンコーダ要素(3)の位置的ロケーションを検出するための誘導型位置センサ装置(1)であって、前記位置受信装置(2)が、多層設計のプリント回路基板(9)を備え、且つコイルアセンブリ(4)を有し、前記コイルアセンブリ(4)が、少なくとも1つの励磁コイル(5)と、少なくとも第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)とを備え、前記第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)が、各々、前記励磁コイル(5)によって少なくとも部分的に取り囲まれている複数の巻線(8、10、11、12、13、14)を備える、誘導型位置センサ装置(1)において、
前記第1の受信コイル(6)が、少なくとも前記励磁コイル(5)のサブセクション(24)の上方及び/又は下方の特定の領域に配置されている補償巻線(8)を備える、ことを特徴とする、誘導型位置センサ装置(1)。
2.前記多層設計のプリント回路基板(9)が、第1の層(18)と、第2の層(19)と、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置された少なくとも1つの中間層(20)とを備え、前記励磁コイル(5)が、前記第1の層(18)及び前記第2の層(19)に適用されている複数の巻線(29)を備え、前記第1の受信コイル(6)の前記補償巻線(8)が、前記第1の中間層(20)に適用され、前記補償巻線(8)が、前記第1の層(18)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)と前記第2の層(19)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)との間の垂直領域における特定の領域に配置されている、ことを特徴とする、上記1.に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
3.前記第1の受信コイル(6)が、その前記巻線(8、10、11、12)によって前記第1の中間層(20)及び前記第2の中間層(25)に適用されている、ことを特徴とする、上記1.又は2.に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
4.前記第2の受信コイル(6)が、その前記巻線(13、14)によって前記第1の中間層(20)及び第2の中間層(25)に適用され、前記第2の中間層(25)が、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置されている、ことを特徴とする、上記1.~3.のいずれか一つに記載の誘導型位置センサ装置(1)。
5.前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)の前記巻線(8、10、11、12、13、14)が、各々、複数の正及び負の巻線(10、11、12;13、14)を備え、これらの正及び負の巻線(10、11、12;13、14)が、前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)によって直径方向に取り囲まれている、ことを特徴とする、上記2.~4.のいずれか一つに記載の誘導型位置センサ装置(1)。
6.前記第1の受信コイル(6)が、コサイン受信コイルである、ことを特徴とする、上記1.~5.のいずれか一つに記載の誘導型位置センサ装置(1)。
7.前記第2の受信コイル(7)が、サイン受信コイルである、ことを特徴とする、上記1.~6.のいずれか一つに記載の誘導型位置センサ装置(1)。
8.前記励磁コイル(5)、前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)が、各々、評価ユニットへの接続部(15;16;17)を備える、ことを特徴とする、上記1.~7.のいずれか一つに記載の誘導型位置センサ装置(1)。
9.自動車用のブレーキシステムであって、可動ブレーキシリンダピストン(27)を有するブレーキ作動装置、並びに/又は駆動シャフト及びインペラ(26)を有する電気モータを備え、上記1.~8.のいずれか一つに記載の前記位置センサ装置(1)の前記位置エンコーダ要素(3)が、前記ブレーキシリンダピストン(27)又は前記インペラ(26)によって表されている、ブレーキシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置受信装置(2)を有する位置エンコーダ要素(3)の位置的ロケーションを検出するための誘導型位置センサ装置(1)であって、前記位置受信装置(2)が、多層設計のプリント回路基板(9)を備え、且つコイルアセンブリ(4)を有し、前記コイルアセンブリ(4)が、少なくとも1つの励磁コイル(5)と、少なくとも第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)とを備え、前記第1の受信コイル(6)及び第2の受信コイル(7)が、各々、前記励磁コイル(5)によって少なくとも部分的に取り囲まれている複数の巻線(8、10、11、12、13、14)を備える、誘導型位置センサ装置(1)において、
前記第1の受信コイル(6)が、少なくとも前記励磁コイル(5)のサブセクション(24)の上方及び/又は下方の特定の領域に配置されている補償巻線(8)を備える、ことを特徴とする、誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項2】
前記多層設計のプリント回路基板(9)が、第1の層(18)と、第2の層(19)と、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置された少なくとも1つの中間層(20)とを備え、前記励磁コイル(5)が、前記第1の層(18)及び前記第2の層(19)に適用されている複数の巻線(29)を備え、前記第1の受信コイル(6)の前記補償巻線(8)が、前記第1の中間層(20)に適用され、前記補償巻線(8)が、前記第1の層(18)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)と前記第2の層(19)の前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)との間の垂直領域における特定の領域に配置されている、ことを特徴とする、請求項1に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項3】
前記第1の受信コイル(6)が、その前記巻線(8、10、11、12)によって前記第1の中間層(20)及び前記第2の中間層(25)に適用されている、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項4】
前記第2の受信コイル(6)が、その前記巻線(13、14)によって前記第1の中間層(20)及び第2の中間層(25)に適用され、前記第2の中間層(25)が、前記第1の層(18)と前記第2の層(19)との間に配置されている、ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項5】
前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)の前記巻線(8、10、11、12、13、14)が、各々、複数の正及び負の巻線(10、11、12;13、14)を備え、これらの正及び負の巻線(10、11、12;13、14)が、前記励磁コイル(5)の前記巻線(29)によって直径方向に取り囲まれている、ことを特徴とする、請求項
2に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項6】
前記第1の受信コイル(6)が、コサイン受信コイルである、ことを特徴とする、請求項1
,2又は5に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項7】
前記第2の受信コイル(7)が、サイン受信コイルである、ことを特徴とする、請求項1
、2又は5に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項8】
前記励磁コイル(5)、前記第1の受信コイル(6)及び前記第2の受信コイル(7)が、各々、評価ユニットへの接続部(15;16;17)を備える、ことを特徴とする、請求項1
、2又は5に記載の誘導型位置センサ装置(1)。
【請求項9】
自動車用のブレーキシステムであって、可動ブレーキシリンダピストン(27)を有するブレーキ作動装置、並びに/又は駆動シャフト及びインペラ(26)を有する電気モータを備え、請求項1
、2又は5に記載の前記位置センサ装置(1)の前記位置エンコーダ要素(3)が、前記ブレーキシリンダピストン(27)又は前記インペラ(26)によって表されている、ブレーキシステム。
【国際調査報告】