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特表2024-545804マルチ荷電粒子ビーム装置及びその動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-12
(54)【発明の名称】マルチ荷電粒子ビーム装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20241205BHJP
   H01J 37/10 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01J37/21 B
H01J37/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521121
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077559
(87)【国際公開番号】W WO2023078620
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,895
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジ,シャオユー
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB07
5C101EE03
5C101EE08
5C101EE13
5C101EE22
5C101EE38
5C101EE43
5C101EE45
5C101EE51
5C101EE59
5C101EE69
5C101EE70
5C101FF02
5C101FF25
5C101FF32
5C101HH11
(57)【要約】
増大させたプローブ電流を有するビームレットを使用したマルチ荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査するシステム及び方法が開示される。この装置は、荷電粒子源と、複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含むことができ、クロスオーバポイントは、一次光軸に沿って第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され、クロスオーバポイントの位置を調節することにより、複数の荷電粒子ビームのビームサイズが調節される。クロスオーバポイントの位置は、1つまたは複数の集光レンズの励起を変えることにより、又は1つ又は複数の集光レンズの主平面位置を電気的に移動させることにより、調節することができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、
前記複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、
前記合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含み、
前記クロスオーバポイントは、前記一次光軸に対して、前記第1の集光レンズと前記第2の集光レンズとの間に形成され、
前記クロスオーバポイントの位置を調節することにより、前記複数の荷電粒子ビームのビームサイズが調節される、
マルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記第1の集光レンズは、第1の静電レンズ又は第1の電磁レンズを含む、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記クロスオーバポイントの前記位置は、前記第1の集光レンズの励起に基づいて調節可能である、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記第1の集光レンズは、前記一次光軸に実質的に垂直な第1の主平面に沿って配置される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記クロスオーバポイントの前記位置は、前記一次光軸に沿って前記第1の主平面の位置に基づいて調節可能である、請求項4に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記第2の集光レンズは、第2の静電レンズ又は第2の電磁レンズを含む、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記クロスオーバポイントの前記位置は、前記第1の集光レンズ及び前記第2の集光レンズの複合励起に基づいて調節可能である、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記第2の集光レンズの励起は、前記第1の集光レンズの励起に基づいて決定される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記第2の集光レンズは、前記一次光軸に実質的に垂直な第2の主平面に沿って配置される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記クロスオーバポイントの前記位置は、前記第1の主平面の前記位置に対して、前記第2の主平面の位置に基づいて調節可能である、請求項9に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
前記第1の集光レンズ及び前記第2の集光レンズのそれぞれは静電レンズを含む、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
前記第1の集光レンズ及び前記第2の集光レンズの一方が静電レンズを含み、他方が電磁レンズを含む、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
前記第1の集光レンズ及び前記第2の集光レンズのそれぞれは電磁レンズを含む、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
前記第2の集光レンズは、前記第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に前記荷電粒子ビームを合焦するように更に構成される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって、前記荷電粒子ビーム装置に方法を行わせるように実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
荷電粒子源を作動させて、一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、
前記複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、
前記クロスオーバポイントの位置を調節して、前記複数の荷電粒子ビームのビームサイズを調節することと、
前記合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、を含み、
前記クロスオーバポイントは、集光レンズアセンブリの第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に、前記一次光軸に沿って、形成される、
非一時的コンピュータ可読媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2021年11月2日出願の米国特許出願第63/274,895号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、マルチビーム装置を開示し、より詳細には、欠陥の電位コントラスト検査のためのクロスオーバモードを使用して、ビームレットのプローブ電流を増大させたマルチビーム検査装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成の回路コンポーネント又は完成した回路コンポーネントは、設計に従って製造され且つ欠陥がないことを確実にするために検査される。光学顕微鏡、又は走査電子顕微鏡(SEM)などの荷電粒子(例えば電子)ビーム顕微鏡を利用する検査システムを用いることができる。ICコンポーネントの物理的サイズが小さくなり続けるにつれて、欠陥検出の精度及び歩留まりがより重要になる。スループットを向上させるためにマルチ電子ビームを使用することができるが、VNAND又は3D-NAND構造における電位コントラスト検査では、各ビームレットのプローブ電流が十分でなく、それにより検査装置が非効率なものになったり、あるいは場合によっては所望の目的に対して不適正なものになったりすることがある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の一態様は、サンプルを検査するためのマルチ荷電粒子ビーム装置に関する。この装置は、一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含み得て、クロスオーバポイントは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され、クロスオーバポイントの位置を調節することにより、複数の荷電粒子ビームのビームサイズが調節される。
【0005】
[0005] 本開示の別の態様は、マルチ荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法に関する。この方法は、荷電粒子源から一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、第1の集光レンズを使用して、複数の荷電粒子ビームを合焦させてクロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、クロスオーバポイントの位置を調節して、複数の荷電粒子ビームのビームサイズを調節することと、第2の集光レンズを使用して、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、を含み得て、クロスオーバポイントは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成される、
【0006】
[0006] 本開示の更に別の態様は、マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって、マルチ荷電粒子ビーム装置に方法を行わせるように実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。この方法は、荷電粒子源を作動させて、一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、クロスオーバポイントの位置を調節して、複数の荷電粒子ビームのビームサイズを調節することと、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、を含み得て、クロスオーバポイントは、一次光軸に沿って集光レンズアセンブリの第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成される。
【0007】
[0007] 本開示の更に別の態様は、マルチ荷電粒子ビーム装置に関する。この装置は、一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、複数の荷電粒子ビームを合焦させて、ビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含み得て、ビームクロスオーバは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され、平行化された複数の荷電粒子ビームを使用して、サンプルの表面を荷電粒子でフラッディング(flooding)し、サンプルのフラッディングされた表面を検査する。
【0008】
[0008] 本開示の更に別の態様は、マルチ荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法に関する。この方法は、荷電粒子源から一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、第1の集光レンズを使用して、複数の荷電粒子ビームを合焦させてクロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、第2の集光レンズを使用して、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、平行化された複数の荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分を使用してサンプルの表面をフラッディングすることと、荷電粒子の一部分を使用して、フラッディングされた表面を検査することと、を含み得る。
【0009】
[0009] 本開示の更に別の態様は、マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって、マルチ荷電粒子ビーム装置に方法を行わせるように実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。この方法は、荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームを一次光軸に沿って生成することと、第1の集光レンズを使用して複数の荷電粒子ビームを合焦させて、ビームクロスオーバを形成することと、第2の集光レンズを使用して合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、平行化された複数の荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分を使用してサンプルの表面をフラッディングすることと、荷電粒子の一部分を使用して、フラッディングされた表面を検査することと、を含み得る。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面を参照して、例示を目的として本発明の特定の実施形態について記載する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011] 本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0012] 本開示の実施形態と一致した、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3A】[0013] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内の集光レンズアセンブリの例示的な構成を示す概略図である。
図3B】[0013] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内の集光レンズアセンブリの例示的な構成を示す概略図である。
図3C】[0013] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内の集光レンズアセンブリの例示的な構成を示す概略図である。
図4A】[0014] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内のビーム制限アパーチャアレイの例示的な構成を示す概略図である。
図4B】[0014] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内のビーム制限アパーチャアレイの例示的な構成を示す概略図である。
図5】[0015] 本開示の実施形態と一致した、レンズアレイを含む例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図6】[0016] 本開示の実施形態と一致した、偏向器アレイを含む例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図7】[0017] 本開示の実施形態と一致した、ビームシフト偏向器アレイを含む例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図8】[0018] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置においてビームクロスオーバモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法を表すプロセスフロー図である。
図9】[0019] 本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置においてビームクロスオーバモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法を表すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0020] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態に関する以下の説明文中に記載される実施は、全ての実施を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような開示された実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。例えば、実施形態によっては、電子ビームを利用する文脈で説明されているが、本開示は、そのように限定されるものではない。他の種類の荷電粒子ビームが同様に適用されてもよい。更に、光学結像、光検出、x線検出などの、他の結像システムが使用されることがある。
【0013】
[0021] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路から構成される。多数の回路が、同じシリコン片上に一緒に形成されることがあり、集積回路又はICと呼ばれる。多数のより多くの回路を基板上に収めることができるように、これらの回路の寸法は劇的に減少された。例えば、スマートフォン内のICチップは、親指の爪程小さいにもかかわらず、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタの寸法は、人間の髪の毛の寸法の1/1000よりも小さい。
【0014】
[0022] これらの極端に小さなICを製造することは、複雑で、時間がかかり、かつ高価なプロセスであり、しばしば数百にのぼる個別ステップを含む。たった1つのステップでのエラーが、完成したICにおける欠陥をもたらし、それによってそのICを使い物にならなくする可能性がある。従って、製造プロセスの1つのゴールは、そのような欠陥を回避して、プロセスにおいて作製される機能的ICの数を最大化すること、即ち、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。
【0015】
[0023] 歩留まりを向上させる1つの構成要素は、チップ作製プロセスを監視して、十分な数の機能的集積回路が製造されていることを確認することである。プロセスを監視する1つの方法は、チップ回路構造を形成する様々な段階において、チップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して実行することができる。SEMを使用して、これらの非常に小さな構造を撮像する、要するに、これらの構造の「写真」を撮ることができる。この画像を使用して、構造が適切に形成されたかどうか、及び構造が適切な場所に形成されたかどうかを判断することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再び発生する可能性が低くなるようにプロセスを調節することができる。
【0016】
[0024] 3D NANDフラッシュメモリなどの垂直高密度構造内に埋没した欠陥を検出するのは、困難になり得る。そのようなデバイス内の埋没した、又は表面上の電気的欠陥を検出するためのいくつかの方法のうちの1つに、SEMにおける電位コントラスト法を用いるものがある。この方法では、サンプルの材料間、構造間、又は領域間の導電率の差により、そのSEM画像内にコントラスト差が生じる。欠陥検出の関連においては、サンプル表面下の電気的欠陥は、サンプル表面上にチャージむらを生じさせることがあるため、電気的欠陥は、サンプル表面のSEM画像内のコントラストにより検出することができる。電位コントラストを強調するために、プリチャージ又はフラッディングと呼ばれるプロセスを採用することができ、これらのプロセスでは、サンプル内の関連対象の領域が、小電流であるが高イメージング解像度のビームを使用した検査の前に、大電流ビームに露光され得る。この検査について、フラッディングの利点の一部として、ウェーハを均一に帯電させて、帯電効果による画像の歪みを最小限に抑えることが挙げられ、また、場合によっては、ウェーハの帯電を増加させて、画像内の欠陥の有るフィーチャとそれを囲む欠陥の無いフィーチャとの差を強調することなどが挙げられる。
【0017】
[0025] 電位コントラスト技術は、複雑なデバイス構造において、埋没した欠陥又は表面上の欠陥を検出するのに有用であるが、この技術にはいくつかの欠点も有し得る。電位コントラスト欠陥検出技術は以下の2つの別個のステップで実行される。第1のステップでは、大ビーム電流を使用してサンプルをフラッディング又はプリチャージし、それに続いて、低ビーム電流を有する一次プローブビームを使用して検査ステップを行う。この2ステッププロセスは、検査プロセスのスループットに悪影響を及ぼし得るだけではなく、低ビーム電流プローブが、3D NAND又はVNANDデバイスにおいて通常採用される3次元高アスペクト比構造の検査にとって適切ではない場合もある。
【0018】
[0026] 既存のSEMにおいて、大プローブビーム電流を得るための方法の一部として、電子源放射の強度を大きくして、又はビーム制限アパーチャの直径を大きくして、より多くの電子を通過させることが含まれる。しかし、これらの技術は、電子減の不安定性及び画像品質の劣化を引き起こす恐れがあり、共に、プロセスのスループットに悪影響を及ぼすことがある。例えば、電子源放射の強度を大きくすることにより、電子源に不安定性を引き起こし、それにより検査ツールの性能及び信頼性に影響することがある。更に、通常のプローブ電流範囲内で利用可能なビームレットの数も減少し得る。ビーム制限アパーチャの直径を大きくすることにより、結像要素(例えば、マイクロレンズアレイ又は偏向器アレイ)の収差、中でもとりわけ、像面湾曲、非点収差等の収差が大きくなり得る。収差が大きくなることで、像解像度の低下が生じ、それにより検査装置の欠陥検出性能に影響を与え得る。したがって、検出効率を向上させる技術を使用して個々のビームレットのビーム電流を大きくしつつ、高スループット及び像解像度を維持することが望ましいことがある。
【0019】
[0027] 本開示のいくつかの実施形態において、クロスオーバモードで動作するマルチビーム装置は、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズを含む集光レンズアセンブリを含み得る。第1の集光レンズは、荷電粒子源から生成された一次荷電粒子ビーム(例えば、一次電子ビーム)を合焦させて、一次光軸に沿ってクロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成するように構成され得る。ビームクロスオーバは、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され得る。ビーム電流は、第1の集光レンズの励起、又は第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起に基づいて調整され得る。励起が変化することで、集光レンズの合焦パワーに変化が生じ、結果としてビームクロスオーバの位置が調整される。第2の集光レンズは、一次電子ビームを合焦及び平行化するように構成され得る。一次電子ビームは、圧縮及び結合されてビームクロスオーバを形成するため、より少ない一次電子ビームレットが生成され得るが、各ビームレットのビームレット電流又はビームレット電流密度は、非クロスオーバモードにおける対応するビームレットよりも高い。
【0020】
[0028] 図面内の構成要素の相対的な寸法は、明確性のために誇張されていることがある。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。本明細書で使用する場合、特段の断りが無い限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はA及びBを含むことがある。第2の例として、構成要素がA、B、又はCを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことがある。
【0021】
[0029] ここで図1を参照すると、図1は本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。図1に示すように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内部に配置されている。説明及び図面は電子ビームに関係しているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子及び荷電粒子ビーム装置に制限するために使用されるのではないことが理解されよう。例えば、荷電粒子は、電子、イオン、又は正若しくは負に帯電されたあらゆる粒子を指すことができ、荷電粒子ビーム装置は、電子ビーム装置、又はイオンビーム装置、又はSEMなどの電子及びイオンを使用するあらゆる装置、又はSEMと組み合わせて使用される集束イオンビーム(FIB)を指すことができる。
【0022】
[0030] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示なし)が、ウェーハを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0023】
[0031] 装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示なし)に接続され、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填ロックチャンバ20内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示なし)がウェーハを装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10に運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示なし)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査にかけられる。実施形態によっては、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含むことがある。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含むことがある。
【0024】
[0032] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続されることもあり、他のコンポーネントにも電子的に接続されることもある。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ50はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。
【0025】
[0033] 本開示は、電子ビーム検査システムを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、最も広い意味での本開示の態様は、電子ビーム検査システムを収容するチャンバに限定されないことに、留意されたい。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用され得ることが理解されよう。
【0026】
[0034] ここで図2を参照すると、図2は、本開示の実施形態と一致した、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部とすることができる例示的な電子ビームツール40を示す概略図を示す。電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は、電子源201と、集光レンズ210と、放射源変換ユニット220と、一次投影光学システム230と、二次結像システム250と、電子検出デバイス240と、を含み得る。装置40の他の周知のコンポーネントは、必要に応じて追加/省略され得ることが理解されよう。
【0027】
[0035] 図2には示されていないが、実施形態によっては、電子ビームツール40は、銃アパーチャプレートと、プレビームレット形成機構と、電動サンプルステージと、サンプル(例えば、ウェーハ又はフォトマスク)を保持するためのサンプルホルダーと、を含むことがある。
【0028】
[0036] 電子源201、集光レンズ210、放射源変換ユニット220、偏向走査ユニット232、ビームセパレータ233、及び一次投影光学システム230は、装置40の一次光軸204と位置合わせされ得る。二次結像システム250及び電子検出デバイス240は、装置40の二次光軸251と位置合わせされ得る。
【0029】
[0037] 電子源201は、カソードと、抽出器又はアノードと、を含むことがあり、一次電子はカソードから放出され、抽出されるか又は加速されて一次電子ビーム202を形成することができ、一次電子ビーム202は、(仮想の又は現実の)一次ビームクロスオーバ203を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバ203から放射されるものとして視覚化することができる。
【0030】
[0038] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を合焦させるように構成され得る。実施形態によっては、集光レンズ210は、主平面(集光レンズ210はこの主平面に沿って配置される)の位置が可動となるように調節可能な集光レンズとして構成されてもよい。実施形態によっては、集光レンズ210は、フラッディング、検査等といった選択された動作モードに基づいて、一次電子ビーム202の受光した部分を合焦するように構成されてもよい。集光レンズ210は、静電レンズ、電磁レンズ、あるいは、中でもとりわけ、複合電磁レンズを含み得る。実施形態によっては、集光レンズ210は、図2に示されるコントローラ50のようなコントローラと電気的又は通信可能に連結されてもよい。コントローラ50は、電気励起信号を集光レンズ210に印加して、集光レンズ210の合焦パワーを調節することができる。電磁複合レンズは、磁気部分及び静電部分を含み得る。磁気部分は永久磁石を含み得る。複合レンズは、その合焦パワーを、部分的に磁気部分によってかつ部分的に静電部分によって提供されるようにすることができ、合焦パワーの調節可能な部分は、静電部分によって提供され得る。
【0031】
[0039] 放射源変換ユニット220は、アパーチャレンズアレイ、ビーム制限アパーチャアレイ、及び結像レンズを含み得る。アパーチャレンズアレイは、アパーチャレンズ形成用電極プレートと、アパーチャレンズ形成用電極プレートの下方に位置決めされたアパーチャレンズプレートとを含み得る。この文脈において、「下方」とは、電子源201から下流に進行する一次電子ビーム202がアパーチャレンズプレートよりも先にアパーチャレンズ形成用電極プレートを照射するような構造的配置を指す。アパーチャレンズ形成用電極プレートは、一次電子ビーム202の少なくとも一部分が通過することを可能にするように構成されたアパーチャを有するプレートによって実施され得る。アパーチャレンズプレートは、一次電子ビーム202が通り抜ける複数のアパーチャを有するプレート又は複数のアパーチャを有する複数のプレートによって実施され得る。アパーチャレンズ形成用電極プレート及びアパーチャレンズプレートは、励起されてアパーチャレンズプレートの上方及び下方に電場を生成することができる。アパーチャレンズプレートの上方の電場は、レンズ場がアパーチャレンズプレートの各アパーチャ内に形成され、これにより、アパーチャレンズアレイが形成され得るように、アパーチャレンズプレートの下方の電場と異なることがある。
【0032】
[0040] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイは、ビーム制限アパーチャを含み得る。任意の数のアパーチャが、必要に応じて、使用され得ることが理解されよう。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次ビームレット211、212、及び213の直径を制限するように構成され得る。図2は、例として3つの一次ビームレット211、212、及び213を示しているが、放射源変換ユニット220は、任意の数の一次ビームレットを形成するように構成されてもよいことが理解されよう。
【0033】
[0041] 実施形態によっては、結像レンズは、一次ビームレット211、212、及び213を像面上に合焦させるように構成された集光結像レンズを含むことがある。結像レンズは、一次光軸204に直交する主平面を有し得る。結像レンズは、ビーム制限アパーチャアレイの下方に位置決めされることができ、一次ビームレット211、212、及び213が一次電子ビーム202の複数の合焦された像を中間像面上に形成するようにこれらのビームレットを合焦させるように構成され得る。
【0034】
[0042] 一次投影光学システム230は、対物レンズ231、偏向走査ユニット232、ビームレット制御ユニット(図示なし)、及びビームセパレータ233を含み得る。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232は、一次投影光学システム230の内部に位置決めされ得る。対物レンズ231は、検査のためにビームレット211、212、及び213をサンプル208上に合焦させるように構成されることがあり、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット211S、212S、及び213Sをそれぞれ形成することができる。実施形態によっては、ビームレット211、212、及び213は、対物レンズ231に垂直に又は実質的に垂直に入射し得る。実施形態によっては、対物レンズによる合焦は、プローブスポット211S、212S、及び213Sの収差を低減することを含み得る。
【0035】
[0043] サンプル208上のプローブスポット211S、212S、及び213Sへの一次ビームレット211、212、及び213の入射に応答して、サンプル208から電子が出現し、3つの二次電子ビーム261、262、及び263が生成され得る。二次電子ビーム261、262、及び263の各々は、通常、二次電子(50eV以下の電子エネルギーを有する)及び後方散乱電子(50eVと一次ビームレット211、212、及び213のランディングエネルギーとの間の電子エネルギーを有する)を含む。
【0036】
[0044] 電子ビームツール40は、ビームセパレータ233を含み得る。ビームセパレータ233は、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(両方とも図2には図示なし)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタ型であってよい。これらが適用される場合、静電双極子場E1によってビームレット211、212、及び213の電子に加わる力は、磁気双極子場B1によって電子に加わる力と大きさが等しく且つ向きが逆である。それゆえ、ビームレット211、212、及び213は、ゼロの偏向角でビームセパレータ233を真っ直ぐに通過することができる。
【0037】
[0045] 偏向走査ユニット232は、ビームレット211、212、213を偏向させて、サンプル208の表面のセクション内の3つの小さな走査エリアにわたってプローブスポット211S、212S、及び213Sを走査するように構成され得る。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262、及び263を二次結像システム250に向けて誘導し得る。二次結像システム250は、二次電子ビーム261、262、及び263を電子検出デバイス240の検出素子241、242、及び243上に合焦させることができる。検出素子241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出し、サンプル208の対応する走査エリアの像を構築するために使用される対応する信号を生成するように構成され得る。
【0038】
[0046] 図2では、3つのプローブスポット211S、212S、及び213Sによってそれぞれ生成された3つの二次電子ビーム261、262、及び263は、一次光軸204に沿って電子源201に向かって上方に進行し、対物レンズ231及び偏向走査ユニット232を連続して通過する。3つの二次電子ビーム261、262、及び263は、ビームセパレータ233(ウィーンフィルタなど)によって方向転換されて、二次結像システム250の二次光軸251に沿って二次結像システム250に入る。二次結像システム250は、3つの二次電子ビーム261、262、及び263を、3つの検出素子241、242、及び243を含む電子検出デバイス140上に合焦させ得る。それゆえ、電子検出デバイス240は、3つのプローブスポット211S、212S、及び213Sによってそれぞれ走査された3つの走査領域の像を同時に生成することができる。実施形態によっては、電子検出デバイス240及び二次結像システム250は、1つの検出ユニット(図示なし)を形成する。実施形態によっては、二次電子ビームの経路上の電子光学素子、例えば、限定されるものではないが、対物レンズ231、偏向走査ユニット232、ビームセパレータ233、二次結像システム250及び電子検出デバイス240などは、1つの検出システムを形成することがある。
【0039】
[0047] 実施形態によっては、コントローラ50は、画像取得器(図示なし)及びストレージ(図示なし)を含む画像処理システムを含み得る。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、個人用コンピュータ、任意の種類の携帯コンピュータ装置など、又はそれらの組み合わせを含むことができる。画像取得器は、媒体、中でもとりわけ導電体、光ファイバーケーブル、携帯型記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、無線ネットワーク、無線通信、又はそれらの組み合わせなどを介して、装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受け取り、画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像又はサンプル208の表面上に配置されたフィーチャの画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭線を生成すること、インジケータを取得画像に重ね合わせることなど、様々な後処理機能も実行することがある。画像取得器は、取得画像の輝度及びコントラスト等の調節を実行するように構成れてもよい。実施形態によっては、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の種類のコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器に結合され、スキャンされた生の画像データを元画像として保存し、且つ処理後の画像を保存するために使用されてもよい。
【0040】
[0048] 実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から受け取った撮像信号に基づいて、サンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を行うためのスキャン動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。この単一の画像は、ストレージ内に記憶され得る。この単一の画像は、複数の領域に分割することができる元画像であり得る。これらの領域の各々は、サンプル208のフィーチャを含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、時系列に複数回サンプリングされた、サンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。この複数の画像は、ストレージ内に記憶され得る。実施形態によっては、コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成され得る。
【0041】
[0049] 実施形態によっては、コントローラ50は、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含んで、検出された二次電子の分布を取得することができる。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する一次ビームレット211、212、213のそれぞれの対応するスキャンパスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構成することができる。再構成された画像を使用して、サンプル208の内部構造又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができ、それによって、再構成された画像を使用して、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0042】
[0050] 実施形態によっては、コントローラ50は、検査中にサンプル208を移動させるように、電動ステージ(図示なし)を制御することができる。実施形態によっては、コントローラ50は、電動ステージがサンプル208をある方向に連続的に一定の速度で移動することができるようにし得る。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージが、スキャンプロセスのステップに応じて、経時的にサンプル208の移動速度を変えられるようにしてもよい。実施形態によっては、コントローラ50は、二次電子ビーム261、262、及び263の像に基づいて、一次投影光学システム230又は二次結像システム250の構成を調節し得る。
【0043】
[0051] 実施形態によっては、一次電投影光学システム230は、放射源変換ユニット220から一次ビームレット211、212、及び213を受け取ってサンプル208に向けて誘導するように構成されたビームレット制御ユニットを含み得る。ビームレット制御ユニットは、一次ビームレット211、212、及び213が、サンプル208の表面に垂直又は実質的に垂直に入射するか、又は収差の小さな複数のプローブスポット221、222、及び223を形成するように、一次ビームレット211、212、及び213を像面から対物レンズへ誘導するように構成された転写レンズ(図示なし)を含み得る。転写レンズは、固定又は可動レンズであり得る。可動レンズでは、転写レンズの合焦力は、レンズの電気励起を調節することによって変更することができる。
【0044】
[0052] 実施形態によっては、ビームレット制御ユニットは、サンプル208の表面法線に対して同じ又は実質的に同じランディング角(θ)でサンプル208の表面に斜めに入射するように一次ビームレット211、212、及び213を傾斜させるように構成されたビームレット傾斜偏向器を含み得る。ビームレットを傾斜させることは、一次ビームレット211、212、及び213のクロスオーバを一次光軸204の僅かに外にシフトさせることを含むことがある。これは、ウェル、又はトレンチ、又はメサ構造の側壁などの三次元フィーチャ又は構造を含むサンプル又はサンプルの領域を検査する際に役立つことがある。
【0045】
[0053] 実施形態によっては、ビームレット制御ユニットは、上述したレンズの1つ又は全てによって引き起こされる非点収差及び像面湾曲収差などの収差を補償するように構成されたビームレット調節ユニット(図示なし)を含むことがある。ビームレット調節ユニットは、非点収差補償器アレイと、像面湾曲補償器アレイと、偏向器アレイと、を含み得る。像面湾曲補償器アレイは、一次ビームレット211、212、及び213の像面湾曲収差を補償するための複数のマイクロレンズを含むことがあり、非点収差補償器アレイは、一次ビームレット211、212、及び213の非点収差を補償するための複数のマイクロ非点収差補正器を含むことがある。
【0046】
[0054] 実施形態によっては、偏向器アレイの偏向器は、一次光軸204に向けて角度を変化させることによってビームレット211、212、及び213を偏向させるように構成され得る。実施形態によっては、一次光軸204から遠くに離れた偏向器は、ビームレットをより大きく偏向させるように構成されることがある。更に、偏向器アレイは、複数の層(図示なし)を含むことがあり、偏向器は、別個の層として提供されることがある。偏向器は、互いに独立して個別に制御されるように構成されることがある。実施形態によっては、偏向器は、サンプル208の表面上に形成されたプローブスポット(例えば、221、222、及び223)のピッチを調節するように制御されることがある。本明細書で言及されるように、プローブスポットのピッチは、サンプル208の表面上の2つの直接隣り合うプローブスポット間の距離として定義されることがある。実施形態によっては、偏向器は、中間像面上に配置されてもよい。
【0047】
[0055] 実施形態によっては、コントローラ50は、図2に示すように、放射源変換ユニット220及び一次投影光学システム230を制御するように構成され得る。図示されていないが、コントローラ50は、限定されるものではないが、電子源201、並びに放射源変換ユニット220、一次投影光学システム230、電子検出デバイス240、及び二次結像システム250のコンポーネントを含む、電子ビームツール40の1つ又は複数のコンポーネントを制御するように構成されてもよい。図2は、電子ビームツール40が3つの一次電子ビームレット211、212、及び213を使用することを示しているが、電子ビームツール40は、2つ以上の一次電子ビームレットを使用し得ることが理解されよう。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームレットの数を制限するものではない。
【0048】
[0056] ここで図3A図3Cを参照すると、図3A図3Cは、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置内の集光レンズアセンブリ310の例示的な構成を示す概略図である。図3Aに示す実施形態において、本明細書内では電子光学システム300A又は装置300Aとも呼ばれるマルチビーム装置300Aは、とりわけ、一次電子ビーム302を生成するように構成された電子源301、集光レンズアセンブリ310、及びビーム制限アパーチャアレイ370(図示なし)を含み得る。電子源301、一次電子ビーム302、及びビーム制限アパーチャアレイ370は、図2で説明した対応する素子と同様又は実質的に同様であってよく、同様の機能を果たし得ることが理解されよう。図示されていないが、それぞれ図3A、3B及び3Cの装置300A、300B、及び300Cは、適宜必要とされるコンポーネンツの中でもとりわけ、一次投影光学システム、二次結像システム、及び電子検出デバイスを更に含んでもよい。
【0049】
[0057] 電子源301は、カソードから一次電子(例示的な荷電粒子)を放出するように構成されることがあり、この一次電子は抽出されるか又は加速されて一次電子ビーム302(例示的な荷電粒子ビーム)を形成し、一次電子ビーム302は、(仮想の又は現実の)一次ビームクロスオーバ303を形成する。実施形態によっては、一次電子ビーム302は、一次光軸304に沿った一次ビームクロスオーバ303から放射されるものとして視覚化することができる。実施形態によっては、装置40の1つ又は複数の素子は、一次光軸304と位置合わせされ得る。放射源変換ユニット(図示なし)は、素子の中でもとりわけ、ビーム制限アパーチャアレイ370を含み得る。放射源変換ユニット、図2に関して説明したように、1つ又は複数の他の光学素子又は電気光学素子を含んでもよいことが理解されよう。
【0050】
[0058] 図3Aを参照すると、装置300Aの集光レンズアセンブリ310は、主平面310_1P及び310_2P上にそれぞれ配置される2つの集光レンズ310_1及び310_2を含み得る。主平面310_1P及び310_2Pは、互いに実質的に平行であり、一次光軸304対して実質的に直交し得る。本明細書で使用する場合、「実質的に直交」は、複数の平面間、複数の軸間、又は平面と軸との間の直交性の程度を指す。例えば、一次光軸に実質的に直交する集光レンズの主平面に対する角度は、90°±0.01°であってよく、あるいは、この標準偏差は、当該角度が実質的に90°となるように更に小さくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に平行」は、平面と平面が決して互いに交差することなく、且つ実質的に平行であるように、同一方向に延在することを指す。実施形態によっては、集光レンズアセンブリ310は、電子源301の直下流に位置決めされることがある。本開示の文脈で使用される場合、「下流」とは、電子源301から始まる一次電子ビーム302の経路に沿った素子の位置を指し、「直下流」とは、第1の素子と第2の素子との間に他の素子が存在しないような、一次電子ビーム302の経路に沿った第2の素子の位置を指す。例えば、図3Aに示すように、集光レンズアセンブリ310は、電子源301と集光レンズアセンブリ310との間に他の光学素子又は電気光学素子が存在しないように、電子源301の直下流に位置決めされることがある。そのような構成は、中でもとりわけ、装置300Aの電気光学コラムの高さを低減し、その構造上の複雑さを軽減するのに役立つことがある。実施形態によっては、アパーチャプレート(例えば、銃アパーチャプレート)(図示なし)は、中でもとりわけ、集光レンズアセンブリ310に入射する前に一次電子ビーム302の周辺電子を遮断して、クーロン相互作用効果を低減するために、電子源301と集光レンズアセンブリ310との間に配置され得る。
【0051】
[0059] 複雑な3次元構造、中でもとりわけ、VNANDデバイス又は3D-NANDデバイスなどにおいて電位コントラスト技術を使用して電気的欠陥を検出する際には、大きいビームレット電流が望ましいことがある。大きいビームレット電流を達成するためのいくつかの方法のうちの1つとして、検査システムをクロスオーバモードで動作させることが含まれ得る。クロスオーバモードの動作では、図3A~3Cに図示されるように、電子源301は一次光軸304に沿って進行する一次電子ビーム302を生成し得る。集光レンズ310_1は、一次電子ビーム302を受け取り、ビームが一次光軸304に沿ってクロスオーバポイントでクロスオーバを形成するように一次電子ビーム302の電子を合焦させ得る。ビームクロスオーバ315の場所は、集光レンズ310_1の電気励起に基づいて調節することができる。集光レンズ310_2は、集光レンズ310_2を出た後に、一次電子ビーム302が一次光軸304に実質的に平行になるように、合焦された一次電子ビーム302を平行化するように構成され得る。平行化された一次電子ビーム302は、ビーム制限アパーチャアレイ370に実質的に直交して入射し、ビーム制限アパーチャアレイ370の複数のアパーチャを通過して、複数のビームレット311、312及び313を生成する。集光レンズ310_2を出た一次電子ビーム302のビーム電流、ひいては複数のビームレットのビーム電流は、一次光軸304に沿ったビームクロスオーバ315の位置に基づき得る。例えば、ビームクロスオーバ315が集光レンズ310_1の近くに形成される場合、ビームクロスオーバ315が集光レンズ310_2の近くに形成される場合よりも、一次電子ビーム302のビーム電流が小さくなり得る。これは、集光レンズ310_1により近いビームクロスオーバ315に合焦された後、一次電子ビーム302は、集光レンズ310_2に平行化されるまでにより大きく発散し、結果として、一次電子ビーム302のより多くの電子がビーム制限アパーチャアレイ370によってブロックされるためであり得る。クロスオーバモードで形成されるビームレットの数は、(本開示では検討されない)非クロスオーバモードで形成されるビームレットの数よりも小さいことがあるが、クロスオーバモードにおける各ビームレットの電流は、非クロスオーバモードにおける各ビームレットの電流よりも大きいことがある。これは、非クロスオーバモードと比較すると、一次電子ビーム302の複数のビームレットが結合して圧縮されて、より小さいビーム直径のビームが形成されるため、ビーム電流密度がより大きくなるためであり得る。
【0052】
[0060] 実施形態によっては、集光レンズアセンブリ310の集光レンズ310_1は、電子源301のより近くに設置されてもよく、集光レンズ310_2は集光レンズ310_1の直下流に設置されてもよい。集光レンズ310_1は、ビームクロスオーバ315がクロスオーバポイントに形成され得るように、一次電子ビーム302を受け取って合焦するように構成され得る。一次電子ビーム302の電子は、クロスオーバポイントが一次光軸304に沿って集光レンズ310_1と集光レンズ310_2との間になるように合焦され得る。クロスオーバポイントは、一次光軸304と実質的に重なる。実施形態によっては、集光レンズ310_1は、集光レンズのタイプの中でもとりわけ、静電レンズ、磁気レンズ、又は複合電磁レンズ、可動レンズを含み得る。
【0053】
[0061] 実施形態によっては、集光レンズ310_1は静電レンズであってよく、この静電レンズは、その合焦パワーに基づいて一次電子ビーム302を合焦させるように構成され得る。集光レンズ310_1の合焦パワーは、静電レンズの電気励起に基づいて調整することができる。本明細書で使用される場合、合焦パワーは、レンズが入射した粒子(例えば、電子)を集束又は発散させる程度を指す。集光レンズ310_1の励起は、コントローラ(例えば、図2のコントローラ50)から受けたとった印加電気信号(典型的には電圧信号)を印加又は調節することによって調節することができる。電気励起を調整することで、集光レンズ310_1の合焦パワーが調節され、これにより一次電子ビーム302の集束角度が変化することにより、一次光軸304に沿ったビームクロスオーバ315の位置が調整される。一例として、印加された電気励起信号を調節することにより集光レンズ310_1の合焦パワーを大きくすることで、一次電子ビーム302はより大きい角度で集束し、一次光軸304に沿って電子源301のより近くにビームクロスオーバ315を形成することができる。反対に、電気励起信号を調節することにより集光レンズ310_1の合焦パワーを小さくすることで、一次電子ビーム302はより小さい角度で集束し、一次光軸304に沿って電子源301からより遠くにビームクロスオーバ315を形成することができる。本明細書で使用される場合、集束角度は、集光レンズ310_1を出た後の一次電子ビーム302が一次光軸304に対して形成する角度を指す。
【0054】
[0062] 集光レンズアセンブリ310は、集光レンズ310_1の下流であって、一次光軸304と実質的に直交する主平面310_2P上に配置された集光レンズ310_2を更に含み得る。集光レンズ310_2は、集光レンズ310_1に実質的に平行になるように配置され得る。実施形態によっては、集光レンズ310_2は、集光レンズ310_1によってビームクロスオーバ315が形成された後に、一次電子ビーム302を平行化するように構成され得る。
【0055】
[0063] 実施形態によっては、集光レンズ310_2は、静電レンズであってよく、この静電レンズは、その合焦パワーに基づいて、ビームクロスオーバ315が形成された後に一次電子ビーム302を平行化及び合焦するように構成され得る。集光レンズ310_2の合焦パワーは、既に印加された電気励起信号を調節することによって、又は電気励起信号を集光レンズ310_2に印加することによって調整することができる。実施形態によっては、集光レンズ310_2の励起は、限定されるものではないが、要因の中でもとりわけ、集光レンズ310_1の励起、ビームクロスオーバ315の位置、又は集光レンズ310_1と集光レンズ310_2と間の距離を含む要因に基づいて、決定され得る。
【0056】
[0064] 実施形態によっては、ビームクロスオーバ315の軸方向の位置は、集光レンズ310_1及び集光レンズ310_2のレンズ設定の組み合わせに基づき得る。レンズ設定には、限定されるものではないが、設定の中でもとりわけ、電気励起、一次光軸に沿った位置、集光レンズのタイプが含まれ得る。前述したように、ビームクロスオーバ315の軸方向の位置を調節して、集光レンズアセンブリ310を出た一次電子ビーム302のビーム電流を調節し、これによりビーム制限アパーチャアレイ370によって生成され、サンプル(例えば、図2のサンプル208)の表面に入射してプローブスポットを形成する各ビームレットのビーム電流が決定され得る。
【0057】
[0065] 実施形態によっては、集光レンズ310_1及び310_2のそれぞれの主平面310_1P及び310_2Pの位置は固定されてもよく、これによりこれら2つの主平面間の距離もまた実質的に不変としてもよい。このようなシナリオにおいて、ビームクロスオーバ315の位置、ひいては個々のビームレットのビーム電流は、集光レンズ310_1の励起、又は集光レンズ310_2の励起、またはそれら両方を変更することにより調節することができる。実施形態によっては、ビームクロスオーバ315の位置は、限定されるものではないが、中でもとりわけ、集光レンズの励起制限、又は所望のビーム電流を含む要因に基づいて、一次光軸304に沿って一定の範囲内で調節することができる。
【0058】
[0066] ここで図3Bを参照すると、図3Bは、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置300Bにおける集光レンズアセンブリ310の例示的な構成を示す概略図である。マルチビーム装置300Bの集光レンズアセンブリ310は、複合電磁レンズによって実施される集光レンズ310_1と、静電レンズによって実施される集光レンズ310_2とを含み得る。
【0059】
[0067] 一般的に、磁気レンズは静電レンズよりも小さい収差を生成し得るが、静電レンズよりも大きい空間を占有し得る。したがって、複合電磁レンズは、物理的な空間制限があり、かつ収差の許容範囲がより厳しいシステムにおいて採用することができる。複合電磁レンズは、静電レンズ及び磁気レンズを含み得る。複合レンズの磁気レンズは、永久磁石を含み得る。複合レンズの磁気レンズは複合レンズの全体的な合焦パワーの一部を提供することができる一方、静電レンズは全体的な合焦パワーの残りの部分を構成することができる。
【0060】
[0068] マルチビーム装置300Bの集光レンズアセンブリ310は、一次電子ビーム302のビーム電流又は複数のビームレット311、312、及び313のビーム電流を調節するように構成され得る。図3Bを参照すると、集光レンズ310_1は、一次電子ビーム302を合焦させて、一次光軸304に沿ってビームクロスオーバ315を形成するように構成され得る。一次電子ビーム302のビーム電流は、集光レンズ310_1の電気励起を変えること、集光レンズ310_1の主平面の位置を電気的に調節すること、あるいはそれら両方の組み合わせのいずれかによってビームクロスオーバ315の位置を調節することにより、調節され得る。本明細書で使用される場合、電磁レンズの位置とは、これに沿って集光レンズ310_1が配置される主平面310_1Pの位置を指す。
【0061】
[0069] 実施形態によっては、一次電子ビーム302のビーム電流又はサンプル上のプローブスポットの電流は、図3Bに示すように、集光レンズ310_1の主平面310_1Pを移動させること、それに応じて集光レンズ310_1合焦パワーを調節することにより、調節することができる。マルチビーム装置300Bの集光レンズ310_2は、一次光軸304に実質的に直交する固定された主平面310_2Pを有する静電レンズであり得る。実施形態によっては、ビームクロスオーバ315の位置、ひいては個々のビームレット311、312、及び313のビーム電流は、電磁レンズの静電レンズの励起を変えること、又は集光レンズ310_2の励起を変えること、又は主平面310_1Pを電気的に移動すること、又はそれらの任意の組み合わせによって調節することができる。集光レンズアセンブリ310は、図3Bに示すように、移動可能な集光レンズ310_1を採用することにより、ビームクロスオーバ315の位置の拡張した範囲を提供することができる。
【0062】
[0070] ここで図3Cを参照すると、図3Cは、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置30Cにおける集光レンズアセンブリ310の例示的な構成を示す概略図である。マルチビーム装置300Bと比較すると、集光レンズアセンブリ310の集光レンズ310_1及び集光レンズ310_2のそれぞれは複合電磁レンズを含み得る。
【0063】
[0071]実施形態によっては、ビームクロスオーバ315の位置、それに応じて一次電子ビーム302又は個々のビームレット311、312及び313のビーム電流は、集光レンズ310_1の主平面310_1Pを電気的に移動することによって、又は集光レンズ310_2の主平面310_2Pを電気的に移動することによって、又は集光レンズ310_1の静電レンズの励起によって、又は集光レンズ310_2の静電レンズの励起によって、又はこれらの任意の組み合わせによって調節することができる。実施形態によっては、集光レンズ310_1及び集光レンズ310_2のそれぞれの主平面310_1P及び310_2P間の距離は、主平面310_1Pを電気的に移動すること、又は主平面310_2Pを電気的に移動すること、又はその両方のいずれかによって調節することができる。図3Cに示すように両方の主平面を電気的に移動することができる実施形態においては、集光レンズアセンブリ310構成は、より大きい範囲のビームクロスオーバ315の位置を提供することができ、ひいては、より大きい範囲の一次電子ビーム302又は個々のビームレット311、312及び313のビーム電流を提供することができる。マルチビーム装置300Cの集光レンズアセンブリ310、限定されるものではないが、他の光学コンポーネントまたは電気光学コンポーネントの追加など、デバイス設計検討により優れた柔軟性も提供することができる。
【0064】
[0072] 実施形態によっては、マルチビーム装置300A、300B及び300Cは、集光レンズアセンブリ310を出た後に、入射した一次電子ビーム302から複数のビームレット311、312及び313を生成するように構成されたビーム制限アパーチャアレイ370を更に含み得る。ビーム制限アパーチャアレイ370は、一次電子ビーム302の一部分を通過させつつ、残りの電子をブロックすることができるように間隔を空けられた複数のアパーチャを含み得る。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ370は、限定されるものではないが、貫通孔を有する金属プレートのような導電性の平面構造によって実施され得る。
【0065】
[0073] 実施形態によっては、ビームレット311、312及び313のビーム電流は、更に、一次ビームレット311、312及び313を生成するビーム制限アパーチャアレイ370のアパーチャのサイズに基づいて決定されてもよい。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ370は、均一のサイズ、形状、断面、又はピッチを有する複数のビーム制限アパーチャを含み得る。実施形態によっては、サイズ、形状、断面、ピッチ等は均一でなくてもよい。ビーム制限アパーチャは、例えば、アパーチャのサイズ又は形状に基づいてビームレットのサイズ又はアパーチャを通過する電子の数を制限することによって、ビームレットの電流を制限するように構成され得る。
【0066】
[0074] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ370は、一次ビームレット311、312及び313が所望の形状及びサイズのアパーチャに入射するように、一次光軸304に直交した平面内でX軸及びY軸に沿って移動可能であってよい。例えば、ビーム制限アパーチャアレイ370は、所定形状及びサイズを有する複数列のアパーチャを含むことができ、各列のアパーチャは、同様のサイズおよび形状を有する。ビーム制限アパーチャアレイ370の位置は、所望のサイズおよび形状を有する一列のアパーチャが一次ビームレット311、312及び313に露光され得るように調節することができる。図3A~3Cのマルチビーム装置の概略断面図においては、3つのビームレット311、312及び313のみが図示されているが、任意の好適な数のビームレットを生成することができることが理解されよう。
【0067】
[0075] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ370は、集光レンズ310_2を出た平行化された一次電子ビーム302が直接かつ垂直に入射するように、集光レンズアセンブリ310の下流に配置されてもよい。
【0068】
[0076] ここで、図4A及び4Bを参照すると、図4A及び4Bは本開示の実施形態と一致した、ビーム制限アパーチャアレイの例示的な構成を示す概略図(上面図)である。ビーム制限アパーチャアレイ470A及び470Bは、図3A~3Cのビーム制限アパーチャアレイ370と実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。
【0069】
[0077] 図4Aは、ビーム制限アパーチャP1~P25の5×5の矩形アレイを含む例示的なビーム制限アパーチャアレイ470Aの上面図を示す。ビーム制限アパーチャアレイ470Aは、集光レンズアセンブリ(例えば、図3A~3Cの集光レンズアセンブリ310)の直下流又は集光レンズ310_2の直下流に配置され得る。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ470Aは、集光レンズ310_1及び集光レンズ310_2に実質的に平行になるように、一次光軸304に直交した平面内に配置され得る。
【0070】
[0078] 非クロスオーバモードの動作において、電子源301から生成された一次電子ビーム302は、ビームクロスオーバを形成せずに集光レンズアセンブリ310を通過し得る。一次電子ビーム302のビーム電流は、集光レンズアセンブリ310の集光レンズの設定の組み合わせに基づいて一定範囲内の電流に調節され得る。例えば、ビーム電流範囲のうち低ビームレット電流は、集光レンズ310_1の動作停止中に、集光レンズ310_2を通して一次電子ビーム302を合焦及び平行化することにより達成することができる。そのような構成では、集光レンズアセンブリ310を出た後の一次電子ビーム302は、アパーチャ(例えば、ビーム制限アパーチャアレイ470AのアパーチャP1~P25)のそれぞれを通過し、結果として低ビームレット電流を有する複数のビームレットを生じさせ得る。あるいは、ビーム電流範囲のうちより高いビームレット電流は、集光レンズ310_2の動作停止中に、集光レンズ310_1を通して一次電子ビーム302を合焦及び平行化することにより達成することができる。この構成では、集光レンズアセンブリ310を出た後の一次電子ビーム302は、アパーチャ(例えば、ビーム制限アパーチャアレイ470AのアパーチャP1~P25)のそれぞれを通過し、結果として高ビームレット電流を有する複数のビームレットを生じさせ得る。
【0071】
[0079] これと比較して、クロスモードの動作では、集光レンズアセンブリ310を通過する一次電子ビーム302は、ビームクロスオーバ(例えば、図3A~3Cのビームクロスオーバ315)を形成するように合焦され得る。一次電子ビーム302のビーム電流は、集光レンズアセンブリ310の1つ又は複数の集光レンズの電気励起、又は位置、又はその両方を変えることによって調節することができる。集光レンズの主平面の励起又は位置を調節することで、一次光軸304に沿って、集光レンズ310_1と集光レンズ310_2との間でビームクロスオーバの位置を調節することができる。クロスオーバが形成された後、一次電子ビーム302は、ビーム制限アパーチャアレイ470Bの全部ではなく一部のアパーチャを横断して更に合焦又は平行化され得る。
【0072】
[0080] 図4Bは、ビーム制限アパーチャの5×5の矩形アレイを含む例示的なビーム制限アパーチャアレイ470Aの上面概略図を示す。図示されるように、クロスオーバモードの動作では、集光レンズ310_2を出た後の一次電子ビーム302は、ビーム制限アパーチャアレイ470BのアパーチャP7~P9、P12~P14、及びP17~P19を通過し得る。集光レンズ310_1は、一次電子ビーム302を合焦させてビームクロスオーバ(例えば、図3A~3Cのビームクロスオーバ315)を形成するように構成されるため、一次電子ビームは、圧縮及び結合され、結果として、各々が非クロスオーバモードの動作と比較してより高いビームレット電流を有する少数のビームレットが生成される。
【0073】
[0081] 実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ470Bは、アパーチャP13の幾何学的中心が一次光軸304と重なるように、一次光軸304に対して位置合わせされてもよい。ビーム制限アパーチャアレイ470BのアパーチャP1~P25は、円形、楕円形、矩形、又は任意の好適な形状であり得る。ビーム制限アパーチャアレイ470Aは、一次電子ビーム302を受け取ると、1つのオンアクシスビームレット(例えば、図3Aのビームレット311)と複数のオフアクシスビームレット(例えば、図3Aのビームレット312及び313)を生成し得る。図4Bを参照すると、アパーチャP13から生成されたビームレットはオンアクシスビームレットであり、P7、P8、P9、P12、P14、P17、P18及びP19から生成されたビームレットはオフアクシスビームレットである。クロスオーバモードの動作では、オンアクシスビームレット及び各オフアクシスビームレットのビームレット電流は、実質的に同様であり、複数のビームレットのそれぞれのビームレット電流は、非クロスオーバモードの対応するビームレットのビームレット電流よりも高いことがある。ビーム制限アパーチャアレイ470A及び470Bは、均一のピッチを有する25個のアパーチャを有するように示されているが、ビーム制限アパーチャアレイは、必要に応じて、異なる形状、サイズを有し、不均一なピッチによって間隔が空けられたより多くの又はより少ないアパーチャを有するように構成されてもよい。
【0074】
[0082] ここで図5を参照すると、図5は、本開示の実施形態と一致した、例示的なマルチビーム装置500の概略図を示す。装置300A、300B及び300Cと比較すると、装置500は、一次ビームクロスオーバ503の複数の実像RS1、RS2及びRS3を生成するように構成されたレンズアレイ580を追加で含み得る。装置500の集光レンズアセンブリ510は、図3A、3B及び3Cの集光レンズアセンブリ310と実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。
【0075】
[0083] 実施形態によっては、レンズアレイ580は、ビーム制限アパーチャアレイ570の下流に配置され得、複数のマイクロレンズL1、L2、L3を含み得る。ビーム制限アパーチャアレイ570は、図4Bのビーム制限アパーチャアレイ470Bと実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。実施形態によっては、ビーム制限アパーチャアレイ570は、複数のアパーチャA1、A2、A3を含み得る。レンズアレイ580は、各マイクロレンズL1、L2、L3が対応するアパーチャA1、A2、A3に位置合わせされ、それぞれ一次ビームレット511、512、513を受け取って合焦させ、一次ビームクロスオーバ503の実像を生成するべく構成されるように、一次光軸304及びビーム制限アパーチャアレイ570と位置合わせされ得る。実像RS1、RS2、RS3は、一次光軸304に直交した平面上に形成され、レンズアレイ580と一次投影光学システム530との間に位置付けられ得る。
【0076】
[0084] 一次投影光学システム530は、図2の一次投影光学システム230と実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。図5に示される実施形態において、一次投影光学システム530は、一次ビームレット511、512、513をサンプル508の表面上に合焦させ、所定のピッチで離間されたプローブスポット511S、512S、513Sをそれぞれ形成するように構成され得る。本明細書で言及される場合、プローブスポットのピッチは、サンプル(例えば、サンプル508)の表面上の2つの直接隣接したプローブスポット間の距離として定義され得る。
【0077】
[0085] ここで図6を参照すると、図6は、本開示の実施形態と一致した、例示的なマルチビーム装置600の概略図を示す。装置300A、300B及び300Cと比較すると、装置600は、複数のビームレット611、612、613を偏向させて、一次ビームクロスオーバ603の複数の仮想像VS1、VS2、VS3(図示なし)を生成するように構成された偏向器アレイ690を追加で含み得る。装置600の集光レンズアセンブリ610は、図3A、3B又は3Cの集光レンズアセンブリ310と実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。
【0078】
[0086] 実施形態によっては、偏向器アレイ690の偏向器D1、D2及びD3は、ビームレット611、612、613を一次光軸604に向かう角度を変えることによって偏向するように構成され得る。実施形態によっては、一次光軸604から遠く離れた偏向器ほど大きい集束角度でビームレットを偏向するように構成され得る。更に、偏向器アレイ690は複数の層(図示なし)を含むことができ、偏向器は別個の層内に設けられ得る。偏向器は、互いに独立して個々に制御されるように構成され得る。
【0079】
[0087] 実施形態によっては、一次投影光学システム630は、偏向された複数のビームレット611、612、613を受け取り、サンプル608の表面上に合焦させて、一次ビームクロスオーバ603の複数の実像RS1_i、RS2_i、RS3_iを形成するように構成され得る。
【0080】
[0088] 実施形態によっては、クロスオーバモードで動作すると、サンプル上にプローブスポットを形成する、高ビームレット電流を有するビームレットを生成することができる。本明細書においてピッチと呼ばれる、隣接したプローブスポット間の離間が十分に大きくない場合は、2つの隣接したビームレットの電子間のクーロン相互作用が、全体的に達成可能な像解像度に悪影響を与える恐れがある。したがって、クーロン相互作用効果が軽減される一方、個々のビームレットの高プローブ電流が維持されるように、互いに離れたプローブスポットを形成することが望ましいことがある。
【0081】
[0089] ここで図7を参照すると、図7は、本開示の実施形態と一致した、例示的なマルチビーム装置700の概略図を示す。装置500及び600と比較すると、装置700は、ビームシフト偏向器アレイ780及び像形成素子アレイ790を追加で、又は代替的に含んでもよい。実施形態によっては、装置700は、ビームシフト偏向器アレイ780及び像形成素子アレイ790を含み得る放射源変換ユニット(図示なし)を含み得る。装置700の集光レンズアセンブリ710は、図3A、3B又は3Cの集光レンズアセンブリ310と実質的に同様であってよく、かつ実質的に同様の機能を果たし得る。
【0082】
[0090] 装置700は、クロスオーバモードで動作して、中でもとりわけ、電位コントラスト検査にとって望ましい高電流又は高電流密度を有するビームレットを生成するように構成され得る。個々のプローブビームレットはより高い電流密度を有するため、高電流プローブビームレットによって形成されるビームスポットのピッチを大きくして、全体的な像解像度、及び、欠陥検出又は識別性能に悪影響を与える恐れのあるクーロン相互作用効果を軽減することが望ましいことがある。ビームシフト偏向器アレイ780は、複数のマイクロ偏向器を含み得る。複数のマイクロ偏向器のうちの一部の偏向器は、図7に示すように、入射したオフアクシスビームレット712及び713を対応する偏向器の励起に基づいた発散角度で偏向するように構成され得る。オンアクシスビームレット711は、偏向されずに又は実質的に偏向されずにビームシフト偏向器アレイ780のオンアクシス偏向器を通過し得る。像形成素子アレイ790は、ビームシフト偏向器アレイ780を出たビームレット711、712、713を受け取るように構成され得る。
【0083】
[0091] 実施形態によっては、像形成素子アレイ790は、一次電子ビーム702の複数のビームレット711、712、713に影響し、一次ビームクロスオーバ703の複数の平行な像(仮想像又は実像)を形成し得る複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを含み得る。実施形態によっては、本開示においては図示されないが、像形成素子アレイ790は、複数の層を含むことができ、複数の偏向器は別個の層内に設けることができる。像形成素子アレイ790のうち中央に位置付けられた偏向器は、装置700の一次光軸704と位置合わせされ得る。したがって、実施形態によっては、中央の偏向器は、ビームレット711の軌道を一次光軸704に対して平行に維持するように構成され得る。実施形態によっては、中央の偏向器が省略されてもよい。しかし、実施形態によっては、一次電子源701が必ずしも放射源変換ユニットの中心に位置合わせされなくてもよい。オフアクシスビームレット712及び713は、像形成素子アレイ790を出た後、サンプル708の表面に入射して、それぞれプローブスポット712S及び713Sを形成し得るが、このとき、プローブスポット711S、712S、713Sのピッチは、図5の装置500のプローブスポット511S、512S、513Sよりも大きい。
【0084】
[0092] ここで図8を参照すると、図8は、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置において、ビームクロスオーバモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法800を表すプロセスフローチャートを示す。方法800は、例えば図1に示すようなEBIシステム100のコントローラ50によって実行され得る。コントローラ50は、方法800の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラ50は、荷電粒子源を作動させて荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を生成するように荷電粒子ビーム装置のモジュールに指示し、1つ又は複数の集光レンズの励起を調節して、ビームクロスオーバの位置を調節し、他の機能を実行することができる。
【0085】
[0093] ステップ810において、荷電粒子源(例えば、図3Aの電子源301)は、作動させられ、荷電粒子ビーム(例えば、図3Aの一次電子ビーム302)を生成し得る。電子源は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)によって作動させられ得る。例えば、電子源は、一次電子を放出して、一次光軸(例えば、図3Aの一次光軸304)に沿って電子ビームを形成するように制御され得る。電子源は、例えば、コントローラのプロセッサに制御回路を介して電子源に電力を供給させるためのソフトウェア、アプリケーション、又は一組の命令を使用することによって、遠隔で作動させることができる。
【0086】
[0094] ステップ820において、一次電子ビームは、一次光軸に沿ってクロスオーバポイントにビームクロスオーバ(例えば、図3Aのビームクロスオーバ315)を形成するように合焦され得る。クロスオーバモードの動作では、電子源は、一次光軸に沿って進行する一次電子ビームを生成することができる。第1の集光レンズ(例えば、図3Aの集光レンズ310_1)は、一次電子ビームを受け取って、このビームが一次光軸に沿ってクロスオーバポイントにクロスオーバを形成するように電子を合焦することができる。ビームクロスオーバは、一次光軸に沿って集光レンズアセンブリの第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され得る。
【0087】
[0095] ステップ830において、ビームクロスオーバの場所は、第1の集光レンズの電気励起に基づいて調節することができる。一例として、印加された電気励起信号を調節することにより第1の集光レンズの合焦パワーを大きくすることで、一次電子ビームをより大きい角度で集束させ、一次光軸に沿って電子源のより近くにビームクロスオーバを形成させることができる。反対に、集光レンズの合焦パワーを小さくすることで、一次電子ビームをより小さい角度で集束させ、一次光軸に沿って電子源からより遠くにビームクロスオーバを形成させることができる。
【0088】
[0096] 実施形態によっては、ビームクロスオーバの場所、ひいては一次電子ビームのビーム電流は、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズ(例えば、図3Aの集光レンズ310_2)の励起設定の組み合わせに基づいて調節することができる。実施形態によっては、第1及び第2の集光レンズは、静電レンズ、磁気レンズ、又は複合電磁レンズ、あるいはそれらの任意の組み合わせであってよい。集光レンズが複合電磁レンズであるいくつかの実施形態では、一次電子ビームのビーム電流は、集光レンズの主平面(例えば、図3Aの主平面310_1P及び310_2P)の位置に基づいて更に調節することができる。
【0089】
[0097] ステップ840において、第2の集光レンズは、一次電子ビームが集光レンズアセンブリ(例えば、図3Aの集光レンズアセンブリ310)を一次光軸と実質的に平行に出て、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3Aのビーム制限アパーチャアレイ370)に実質的に垂直に入射するように、一次電子ビームを更に合焦及び平行化し得る。ビーム制限アパーチャアレイは、一次電子ビームからビームレットを生成し、必要に応じて個々のビームレットのビーム電流を更に調節するように構成され得る。例えば、ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャの直径により、当該アパーチャを通過することができる電子の数、ひいてはビームレットを構成する電子の数が決定され得る。ビームレット電流は、電子の数又は生成されるビームレットの直径に基づいて決定され得る。
【0090】
[0098] 前述したように、電位コントラストイメージング(VCI)は2ステップのプロセスを含む。第1のステップは、荷電粒子(例えば、電子)によりサンプルの表面をフラッディングすることによってこの表面をプリチャージして電気的欠陥をハイライトすることを含み、第2のステップはフラッディングされた表面を検査してハイライトされた欠陥を検出することを含む。電位コントラストを強調するために、プリチャージステップは、サンプル表面を単一の大電流ビーム又は複数の大電流ビームレットに露光することにより実行することができる。プリチャージステップに続く検査ステップにおいて、サンプルは、高解像度イメージングのために小電流ビームを使用して検査され得る。SEMにおけるVCIによる欠陥検出では、プリチャージモードと検査モードの切り替えは、例えばクーロンアパーチャアレイ(CAA)のアパーチャサイズを選択することによってビーム電流を調節することを含み得る。アパーチャを選択及び位置合わせして所望のビーム電流を生成するには数秒係ることがあり、中でもとりわけ、全体的な検査スループットを低下させることがある。更に、3D-NANDデバイスのための欠陥検査等、場合によっては、達成可能な最大のビーム電流が、埋没した電気的な欠陥を検出するには十分でないことがあり、それにより既存のVCI技術では不適切又は非効率になるか、あるいはそれらの両方になる場合がある。したがって、電位コントラスト欠陥検出では、同一の高電流ビームを使用してサンプルをプリチャージ及び検出することができるようにプロービングビームレットのそれぞれのプローブ電流を高め、フラッディングモードと検査モードとの切り替えの必要性を排除することが望ましいことがある。
【0091】
[0099] ここで図9を参照すると、図9は、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム装置において、ビームクロスオーバモードを使用してサンプルを検査する例示的な方法900を表すプロセスフローチャートを示す。方法900は、例えば図1に示すようなEBIシステム100のコントローラ50によって実行され得る。コントローラ50は、方法900の1つ又は複数のステップを実施するようにプログラムされ得る。例えば、コントローラ50は、荷電粒子源を作動させて荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を生成するように荷電粒子ビーム装置のモジュールに指示し、1つ又は複数の集光レンズの励起を調節して、ビームクロスオーバの位置を調節し、他の機能を実行することができる。
【0092】
[00100] ステップ910において、荷電粒子源(例えば、図3Aの電子源301)は、作動させられ、荷電粒子ビーム(例えば、図3Aの一次電子ビーム302)を生成し得る。電子源は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)によって作動させられ得る。例えば、電子源は、一次光軸(例えば、図3Aの一次光軸304)に沿って電子ビームを形成する一次電子を放出するように制御され得る。電子源は、例えば、コントローラのプロセッサに制御回路を介して電子源に電力を供給させるためのソフトウェア、アプリケーション、又は一組の命令を使用することによって、遠隔で作動させることができる。
【0093】
[00101] ステップ920において、一次電子ビームは、一次光軸に沿ってクロスオーバポイントにビームクロスオーバ(例えば、図3Aのビームクロスオーバ315)を形成するように合焦され得る。クロスオーバモードの動作では、電子源は、一次光軸に沿って進行する一次電子ビームを生成することができる。第1の集光レンズ(例えば、図3Aの集光レンズ310_1)は、一次電子ビームを受け取って、このビームが一次光軸に沿ってクロスオーバポイントにクロスオーバを形成するように電子を合焦させることができる。ビームクロスオーバは、一次光軸に沿って、集光レンズアセンブリの第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され得る。
【0094】
[00102] ビームクロスオーバの場所は、第1の集光レンズ電気励起に基づいて調節することができる。一例として、印加された電気励起信号を調節することにより第1の集光レンズの合焦パワーを大きくすることで、一次電子ビームをより大きい角度で集束させ、一次光軸に沿って電子源のより近くにビームクロスオーバを形成することができる。反対に、集光レンズの合焦パワーを小さくすることで、一次電子ビームをより小さい角度で集束させ、一次光軸に沿って電子源からより遠くにビームクロスオーバを形成することができる。
【0095】
[00103] ステップ903において、第2の集光レンズは、一次電子ビームが集光レンズアセンブリ(例えば、図3Aの集光レンズアセンブリ310)を一次光軸と実質的に平行に出て、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、図3Aのビーム制限アパーチャアレイ370)に実質的に垂直に入射するように、一次電子ビームを更に合焦及び平行化し得る。ビーム制限アパーチャアレイは、一次電子ビームからビームレットを生成し、必要に応じて個々のビームレットのビーム電流を更に調節するように構成され得る。例えば、ビーム制限アパーチャアレイのアパーチャの直径により、当該アパーチャを通過することができる電子の数、ひいてはビームレットを構成する電子の数が決定され得る。ビームレット電流は、電子の数又は生成されるビームレットの直径に基づいて決定され得る。
【0096】
[00104] ステップ940において、サンプルの表面は、平行化された荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分によってフラッディングされて、サンプル表面がプリチャージされる。大電流ビームによってサンプル表面をプリチャージ又はフラッディングすることで電位コントラストを増大することができ、これは電気的欠陥の検出において望ましい。ビームクロスオーバの後の一次荷電粒子ビームは、荷電粒子がより小さいビームに圧縮されるため、高電流密度を有する。表面のプリチャージを実行して、欠陥又は欠陥領域をハイライトすることができる。
【0097】
[00105] ステップ950において、サンプル表面は、平行化された荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分を使用して検査され得る。前述したように、3D-NANDのような複雑な構造のフィーチャの検査には、高プローブ電流を有する単一のビーム又は複数のビームが必要となり得る。サンプル表面をフラッディングするために使用される高電流密度を有する平行化された荷電粒子ビームを使用して、サンプル表面も検査することができ、これによりSEMを使用した電位コントラストイメージングのためのサンプル表面のプリチャージ及び検査を単一ステップのプロセスで行うことができる。
【0098】
[00106] 非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得るが、この非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)のプロセッサに、画像検査、画像取得、荷電粒子源の作動、1つ又は複数の集光レンズの電気励起の調節、1つ又は複数の複合電磁レンズ主平面の電気的移動、サンプルの位置調節のためのサンプルステージの移動等を実行させるための命令を記憶する。非一時的媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、任意の他の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM(Random Access Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、及びEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、FLASH-EPROM若しくは任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたものが含まれ得る。
【0099】
[00107] 本開示の実施形態は、以下に示す条項を使用して更に説明される。
1.マルチ荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、
複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、
合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含み、
クロスオーバポイントは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され、
クロスオーバポイントの位置を調節することにより、複数の荷電粒子ビームのビームサイズが調節される、
マルチ荷電粒子ビーム装置。
2.第1の集光レンズは、第1の静電レンズ又は第1の電磁レンズを含む、条項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
3.クロスオーバポイントの位置は、第1の集光レンズの励起に基づいて調節可能である、条項1及び2のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
4.第1の集光レンズは、一次光軸に実質的に垂直な第1の主平面に沿って配置される、条項1~3のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
5.クロスオーバポイントの位置は、一次光軸に沿って第1の主平面の位置に基づいて調節可能である、条項4に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
6.第2の集光レンズは、第2の静電レンズ又は第2の電磁レンズを含む、条項1~5のいずれかに記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
7.クロスオーバポイントの位置は、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起に基づいて調節可能である、条項1~6のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
8.第2の集光レンズの励起は、第1の集光レンズの励起に基づいて決定される、条項1~7のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
9.第2の集光レンズは、一次光軸に実質的に垂直な第2の主平面に沿って配置される、条項1~8のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
10.クロスオーバポイントの位置は、第1の主平面の位置に対して、第2の主平面の位置に基づいて調節可能である、条項9に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
11.第1の集光レンズ及び第2の集光レンズのそれぞれは静電レンズを含む、条項1~10のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
12.第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの一方が静電レンズを含み、他方が電磁レンズを含む、条項1~11のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
13.第1の集光レンズ及び第2の集光レンズのそれぞれは電磁レンズを含む、条項1~12のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
14.第2の集光レンズは、第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に荷電粒子ビームを合焦させるように更に構成される、条項1~13のいずれか一項に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
15.ビーム制限アパーチャアレイは、第2の集光レンズを出た複数の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成するように構成され、複数のビームレットは、オンアクシスビームレット及び複数のオフアクシスビームレットを含む、条項14に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
16.複数のビームレットから荷電粒子源の複数の実像を生成するように構成されたレンズアレイを更に含む、条項15に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
17.複数のビームレットから荷電粒子源の複数の仮想像を生成するように構成されたビーム偏向器アレイを更に含む、条項15に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
18.複数のビームレットをサンプルの表面上に合焦させ、サンプル上に第1の複数のプローブスポットを形成するように構成された対物レンズを更に含み、第1の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離で離間される、条項15に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
19.複数のオフアクシスビームレットを一次光軸から偏向するように構成されたビームシフト偏向器アレイを更に含み、対物レンズは、オンアクシスビームレット及び偏向された複数のオフアクシスビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第2の複数のプローブスポットを形成するように更に構成され、第2の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離よりも大きい第2のピッチ距離で離間される、条項18に記載のマルチ荷電粒子ビーム装置。
20.マルチ荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法であって、
荷電粒子源から一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、
第1の集光レンズを使用して、複数の荷電粒子ビームを合焦させてクロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、
クロスオーバポイントの位置を調節して、複数の荷電粒子ビームのビームサイズを調節することと、
第2の集光レンズを使用して、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、を含み、
クロスオーバポイントは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成される、
方法。
21.クロスオーバポイントの位置を調節することは、一次光軸に沿って第1の集光レンズの第1の主平面の位置を調節することを更に含む、条項20に記載の方法。
22.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起を調節することを更に含む、条項20及び21のいずれか一項に記載の方法。
23.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の集光レンズの励起を調節することを含む、条項20~22のいずれか一項に記載の方法。
24.第2の集光レンズの励起は、第1の集光レンズの励起に基づいて決定される、条項23に記載の方法。
25.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の主平面の位置に対して第2の主平面の位置を調節することを更に含む、条項21~24のいずれか一項に記載の方法。
26.第2の集光レンズを使用して、第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に複数の荷電粒子ビームを合焦させることを更に含む、条項20~25のいずれか一項に記載の方法。
27.ビーム制限アパーチャアレイに入射した複数の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成することを更に含み、複数のビームレットは、オンアクシスビームレット及び複数のオフアクシスビームレットを含む、条項26に記載の方法。
28.第2の集光レンズの下流に位置付けられたレンズアレイを使用して、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の実像を生成することを更に含む、条項27に記載の方法。
29.第2の集光レンズの下流に位置付けられた偏向器アレイを使用して、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の仮想像を生成することを更に含む、条項27に記載の方法。
30.対物レンズを使用して複数のビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第1の複数のプローブスポットを形成することを更に含み、第1の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離で離間される、条項27に記載の方法。
31.ビームシフト偏向器アレイを使用して、複数のオフアクシスビームレットを一次光軸から偏向することを更に含み、対物レンズは、オンアクシスビームレット及び偏向された複数のオフアクシスビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第2の複数のプローブスポットを形成するように更に構成され、第2の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離よりも大きい第2のピッチ距離で離間される、条項30に記載の方法。
32.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって、マルチ荷電粒子ビーム装置に方法を行わせるように実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
荷電粒子源を作動させて、一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、
複数の荷電粒子ビームを合焦させて、クロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、
クロスオーバポイントの位置を調節して、複数の荷電粒子ビームのビームサイズを調節することと、
合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、を含み、
クロスオーバポイントは、一次光軸に対して、集光レンズアセンブリの第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成される、
非一時的コンピュータ可読媒体。
33.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、一次光軸に沿って第1の集光レンズの第1の主平面の位置を調節することを更に行わせる、条項32に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
34.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起を調節することを更に行わせる、条項32及び33のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
35.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズの励起を調節することを更に行わせる、条項32~34のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
36.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズの励起に基づいて第2の集光レンズの励起を調節することを更に行わせる、条項35に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
37.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の主平面の位置に対して第2の主平面の位置を調節することを更に行わせる、条項33~36のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
38.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に複数の荷電粒子ビームを合焦させることを更に行わせる、条項32~37のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
39.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、ビーム制限アパーチャアレイに入射した複数の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成することを更に行わせ、複数のビームレットは、オンアクシスビームレット及び複数のオフアクシスビームレットを含む、条項38に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
40.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の実像を生成することを更に行わせる、条項39に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
41.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の仮想像を生成することを更に行わせる、条項39に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
42.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第1の複数のプローブスポットを形成することを更に行わせ、第1の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離で離間される、条項39に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
43.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のオフアクシスビームレットを一次光軸から偏向することを更に行わせ、対物レンズは、オンアクシスビームレット及び偏向された複数のオフアクシスビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第2の複数のプローブスポットを形成するように更に構成され、第2の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離よりも大きい第2のピッチ距離で離間される、条項42に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
44.マルチ荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、
複数の荷電粒子ビームを合焦させて、ビームクロスオーバを形成するように構成された第1の集光レンズと、
合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化するように構成された第2の集光レンズと、を含み、
ビームクロスオーバは、一次光軸に対して、第1の集光レンズと第2の集光レンズとの間に形成され、
平行化された複数の荷電粒子ビームを使用して、サンプルの表面を荷電粒子でフラッディングし、サンプルのフラッディングされた表面を検査する、
マルチ荷電粒子ビーム装置。
45.マルチ荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法であって、
荷電粒子源から一次光軸に沿って複数の荷電粒子ビームを生成することと、
第1の集光レンズを使用して、複数の荷電粒子ビームを合焦させてクロスオーバポイントにビームクロスオーバを形成することと、
第2の集光レンズを使用して、合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、
平行化された複数の荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分を使用してサンプルの表面をフラッディングすることと、
荷電粒子の一部分を使用して、フラッディングされた表面を検査することと、
を含む、方法。
46.一次光軸に沿って第1の集光レンズの第1の主平面の位置を調節して、クロスオーバポイントの位置を調節することを更に含む、条項45に記載の方法。
47.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起を調節することを更に含む、条項46に記載の方法。
48.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の集光レンズの励起を調節することを更に含む、条項46及び47のいずれか一項に記載の方法。
49.第2の集光レンズの励起は、第1の集光レンズの励起に基づいて決定される、条項48に記載の方法。
50.クロスオーバポイントの位置を調節することは、第1の主平面の位置に対して第2の主平面の位置を調節することを更に含む、条項46~49のいずれか一項に記載の方法。
51.第2の集光レンズを使用して、第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に複数の荷電粒子ビームを合焦させることを更に含む、条項45~50のいずれか一項に記載の方法。
52.ビーム制限アパーチャアレイに入射した複数の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成することを更に含み、複数のビームレットは、オンアクシスビームレット及び複数のオフアクシスビームレットを含む、条項51に記載の方法。
53.第2の集光レンズの下流に位置付けられたレンズアレイを使用して、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の実像を生成することを更に含む、条項52に記載の方法。
54.第2の集光レンズの下流に位置付けられた偏向器アレイを使用して、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の仮想像を生成することを更に含む、条項52に記載の方法。
55.対物レンズを使用して複数のビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第1の複数のプローブスポットを形成することを更に含み、第1の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離で離間される、条項52に記載の方法。
56.ビームシフト偏向器アレイを使用して、複数のオフアクシスビームレットを一次光軸から偏向することを更に含み、対物レンズは、オンアクシスビームレット及び偏向された複数のオフアクシスビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第2の複数のプローブスポットを形成するように更に構成され、第2の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離よりも大きい第2のピッチ距離で離間される、条項55に記載の方法。
57.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって、マルチ荷電粒子ビーム装置に方法を行わせるように実行可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームを一次光軸に沿って生成することと、
第1の集光レンズを使用して複数の荷電粒子ビームを合焦させて、ビームクロスオーバを形成することと、
第2の集光レンズを使用して合焦された複数の荷電粒子ビームを平行化することと、
平行化された複数の荷電粒子ビームからの荷電粒子の一部分を使用してサンプルの表面をフラッディングすることと、
荷電粒子の一部分を使用して、フラッディングされた表面を検査することと、
を含む、
非一時的コンピュータ可読媒体。
58.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、一次光軸に沿って第1の集光レンズの第1の主平面の位置を調節して、クロスオーバポイントの位置を調節することを更に行わせる、条項57に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
59.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズ及び第2の集光レンズの複合励起を調節することを更に行わせる、条項57及び58のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
60.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズの励起を調節することを更に行わせる、条項57~59のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
61.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の集光レンズの励起に基づいて第2の集光レンズの励起を調節することを更に行わせる、条項60に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
62.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第1の主平面の位置に対して第2の主平面の位置を調節することを更に行わせる、条項58~61のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
63.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、第2の集光レンズの下流に位置付けられたビーム制限アパーチャアレイ上に複数の荷電粒子ビームを合焦させることを更に行わせる、条項57~62のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
64.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、ビーム制限アパーチャアレイに入射した複数の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成することを更に行わせ、複数のビームレットは、オンアクシスビームレット及び複数のオフアクシスビームレットを含む、条項63に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
65.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の実像を生成することを更に行わせる、条項64に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
66.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットから荷電粒子源の複数の仮想像を生成することを更に行わせる、条項64に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
67.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第1の複数のプローブスポットを形成することを更に行わせ、第1の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離で離間される、条項64に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
68.マルチ荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令は、マルチ荷電粒子ビーム装置に、複数のオフアクシスビームレットを一次光軸から偏向することを更に行わせ、対物レンズは、オンアクシスビームレット及び偏向された複数のオフアクシスビームレットを合焦させて、サンプルの表面上に第2の複数のプローブスポットを形成するように更に構成され、第2の複数のプローブスポットは、第1のピッチ距離よりも大きい第2のピッチ距離で離間される、条項67に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0100】
[00108] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面に図示した通りの構成に限定されるものではなく、また、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。本開示は、様々な実施形態に関連して説明されてきたが、本明細書に開示する本発明の仕様及び実施を考慮すると、本発明の他の実施形態が、当業者には明らかになるであろう。本明細書及び例は単なる例示としてみなされることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0101】
[00109] 上記の説明は、例示を意図しており、限定を意図するものではない。従って、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、前述のように、修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9