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特表2024-545835複数の空間周波数を有するオーバレイターゲットを使用した走査オーバレイ計測
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】複数の空間周波数を有するオーバレイターゲットを使用した走査オーバレイ計測
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515655
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022052061
(87)【国際公開番号】W WO2023129346
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,959
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/709,104
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルバシェフスキー ユバル
(72)【発明者】
【氏名】ゴドール イタイ
(72)【発明者】
【氏名】ネグリ ダリア
(72)【発明者】
【氏名】ハジャジ エイタン
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA22
4M106CA39
4M106CA50
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB08
4M106DB12
4M106DB13
4M106DB14
4M106DB16
4M106DJ20
(57)【要約】
オーバレイ計測システムは、照明源及び照明光学系を含み、標本上のオーバレイターゲットを、計測レシピに従って標本が照明源からの照明に対して移動しているときに、照明源からの照明を用いて照明し得る。オーバレイターゲットは、1つ以上のセルを含み得て、単一セルは特定の方向に沿った測定に適する。このようなセルは、異なるピッチを有する2つ以上の格子を含む場合がある。更に、システムは、2つ以上の光検出器を含み得て、それぞれの光検出器は、2つ以上の格子構造から3つの回折ローブを捕捉するように構成される。このシステムは、コントローラを更に含み、オーバレイターゲットの各セルに関連付けられたオーバレイ計測を決定し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明源と、
1つ以上の照明光学系を含んだ照明サブシステムであって、計測レシピに従って、標本上のオーバレイターゲットを前記照明源からの照明を用いて、前記標本が前記照明源からの前記照明に対して移動しているときに照明し、ここで前記オーバレイターゲットは、前記計測レシピに従って1つ以上のセルを含み、前記1つ以上のセルの少なくとも一部は、 重なり領域内に第1のピッチ及び第2のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを含んだ二重格子、及び
前記第1のピッチで前記測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを含んだ単一格子、を含む、照明サブシステムと、
1つ以上の集光光学系を含んだ集光サブシステムであって、前記計測レシピに従って、前記第1及び第2のピッチに関連付けられた前記二重格子と前記単一格子の両方によって前記照明の正及び負の1次回折を、瞳面に配置された1つ以上の検出器に向け、ここで、前記1つ以上の検出器は、前記二重格子と前記単一格子の両方による前記照明の前記正及び負の1次回折に関連付けられた時変干渉信号を生成する、集光サブシステムと、
前記1つ以上の検出器に通信可能に結合されたコントローラであって、1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令を実行して前記1つ以上のプロセッサに、前記時変干渉信号に基づいて前記二重格子と前記単一格子との間のオーバレイ計測を決定させる、コントローラと、
を備える、オーバレイ計測システム。
【請求項2】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本上で重なる、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項3】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の隣接する非重なり領域に配置される、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項4】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の異なるレイヤに配置される、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項5】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の共通レイヤに配置される、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項6】
前記第1及び第2のピッチに関連付けられた前記正の1次回折は、前記瞳面の第1の重なり領域内で重なり、前記第1及び第2のピッチに関連付けられた前記負の1次回折は、前記瞳面の第2の重なり領域内で重なり、前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間の前記オーバレイ計測を、前記第1及び第2のピッチに関連付けられた前記二重格子及び前記単一格子による前記照明の前記正及び負の1次回折に基づいて決定することは、 前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間のオーバレイ計測を、前記第1及び第2の重なり領域で前記1つ以上の検出器によって生成される時変干渉信号に基づいて決定すること、
を含む、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項7】
前記二重格子は単一の露光ステップで作製される、請求項1に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項8】
標本上の1つ以上のセルであって、前記1つ以上のセルの少なくとも一部は、
重なり領域内に第1のピッチ及び第2のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを含んだ二重格子、及び、
前記第1のピッチで前記測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを含んだ前記標本の第2のレイヤ上の単一格子を含み、ここで前記第1及び第2のピッチは、少なくとも1つの動作波長に関して、前記第1及び第2のピッチからの正の1次回折が第1の重なり角度領域で重なり、かつ前記第1及び第2のピッチからの負の1次回折が第2の重なり角度領域で重なるように選択され、ここで前記オーバレイターゲットが照明ビームに対して走査されるときに生成される前記第1及び第2の重なり領域内の時変干渉信号は、前記二重格子と前記単一格子との間のオーバレイを示す、1つ以上のセル、
を備えるオーバレイターゲット。
【請求項9】
前記二重格子は、単一露光ステップにおいて作製される、請求項8に記載のオーバレイターゲット。
【請求項10】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに先だって作製される、請求項8に記載のオーバレイターゲット。
【請求項11】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに続いて作製される、請求項8に記載のオーバレイターゲット。
【請求項12】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の異なるレイヤに配置される、請求項8に記載のオーバレイターゲット。
【請求項13】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の共通レイヤに配置される、請求項8に記載のオーバレイターゲット。
【請求項14】
照明源と、
1つ以上の照明光学系を含んだ照明サブシステムであって、計測レシピに従って、標本上のオーバレイターゲットを前記照明源からの照明を用いて、前記標本が前記照明源からの前記照明に対して移動しているときに照明し、ここで前記オーバレイターゲットは、前記計測レシピに従って1つ以上のセルを含み、前記1つ以上のセルの少なくとも一部は、
第1のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを含む、前記標本の第1のレイヤ上の第1の格子、及び
前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで前記測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを含む、前記標本の第2のレイヤ上の第2の格子、を含む照明サブシステムと、
1つ以上の集光光学系を含む集光サブシステムであって、前記計測レシピに従って、測定回折次数を瞳面にある1つ以上の検出器に向け、ここで、前記測定回折次数は、
前記第1の格子による前記照明の正及び負の1次回折、
前記第2の格子による前記照明の正及び負の1次回折及び2次回折、及び
前記1つ以上の検出器に通信可能に結合されたコントローラであって、1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令を実行して前記1つ以上のプロセッサに、前記測定回折次数に基づいて前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間のオーバレイ計測を決定させるコントローラ、を含む集光サブシステムと、
を備える、オーバレイ計測システム。
【請求項15】
前記第1の格子からの前記正の1次回折は、第1のセットの重なり領域において前記第2の格子からの前記正の1次回折及び2次回折と重なり、前記第1の格子からの前記負の1次回折は、第2のセットの重なり領域において前記第2の格子からの前記負の1次回折及び2次回折と重なり、前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間の前記オーバレイ計測を前記測定回折次数に基づいて決定することは、
前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間の前記オーバレイ計測を、前記計測レシピに従って、前記標本が移動しているときに、前記第1及び第2のセットの重なり領域で前記1つ以上の検出器によって生成される時変干渉信号に基づいて決定することを含む、
請求項14に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項16】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本上で重なる、請求項14に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項17】
前記二重格子及び前記単一格子は、前記標本の隣接する非重なり領域に配置される、請求項14に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項18】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに先だって作製される、請求項14に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項19】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに続いて作製される、請求項14に記載のオーバレイ計測システム。
【請求項20】
標本上の1つ以上のセルであって、前記1つ以上のセルの少なくとも一部は、
第1のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを含む、前記標本の第1のレイヤ上の第1の格子、及び、
前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで前記測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを含む、前記標本の第2のレイヤ上の第2の格子を含み、ここで前記第1及び第2のピッチは、前記第1の格子からの正の1次回折が、第1のセットの重なり領域において前記第2の格子からの正の1次回折及び2次回折と重なり、かつ前記第1の格子からの前記負の1次回折が、第2のセットの重なり領域において前記第2の格子からの負の1次回折及び2次回折と重なるように選択され、ここで前記第1及び第2のセットの重なり領域における時変干渉信号は、前記標本の前記第1のレイヤと第2のレイヤとの間のオーバレイを示す、1つ以上のセル、
を備える、オーバレイターゲット。
【請求項21】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに先だって作製される、請求項20に記載のオーバレイターゲット。
【請求項22】
前記第1のレイヤは、前記第2のレイヤに続いて作製される、請求項20に記載のオーバレイターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月3日に、「NEW OVL METROLOGY TARGET DESIGN FOR SCANNING SCATTEROMETRY OPTICAL TARGET」と題され、Itay Gdor、Yuval Lubashevsky、Daria Negri、及びEitan Hajajを出願者として出願された米国仮特許出願第63/295,959号の、米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、オーバレイ計測、より具体的には、走査オーバレイ計測に関する。
【背景技術】
【0003】
より小型の半導体デバイスに対する需要の増加により、それに対応して正確かつ効率的な計測に対する需要が増加している。計測ツールの効率と処理能力を高めるための1つのアプローチは、標本が測定視野内の静止位置にあるときではなく、動いているときに、標本に関する計測データを生成することである。このようにして、並進ステージを測定前に設置することに関連付けられた時間遅延が、排除又は軽減され得る。しかし、そのような測定の感度と処理能力を高めることは、依然としてそのような走査計測法に対する中心的な課題のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0364279号
【特許文献2】米国特許第10,824,079号
【特許文献3】米国特許第10,197,389号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記の欠点を解決するためのシステム及び方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
オーバレイ計測システムは、1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。例示的な一実施形態では、システムは照明源を含む。別の例示的な実施形態では、システムは、1つ以上の照明光学系を備えた照明サブシステムを含み、標本上のオーバレイターゲットを、計測レシピに従って、標本が照明源からの照明に対して移動しているときに、照明源からの照明を用いて照明する。別の例示的な実施形態では、オーバレイターゲットは、計測レシピに従って1つ以上のセルを含み、セルの少なくとも一部は、重なり領域内に第1のピッチ及び第2のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャ(feature)を有する二重格子を含み、更に、第1のピッチで測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを有する単一格子を含む。別の例示的な実施形態では、システムは1つ以上の集光光学系を有する集光サブシステムを含み、計測レシピに従って、第1及び第2のピッチに関連付けられた二重格子と単一格子の両方によって照明の正及び負の1次回折を、瞳面に配置された1つ以上の検出器に向け、ここで、1つ以上の検出器は、二重格子と単一格子の両方による照明の正及び負の1次回折に関連付けられた、時変干渉信号を生成する。別の例示的な実施形態では、システムは、コントローラを含み、二重格子と単一格子との間のオーバレイ計測を時変干渉信号に基づいて決定する。
【0007】
オーバレイターゲットは、1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。例示的な一実施形態では、ターゲットは、1つ以上のセルを標本上に含み、セルの少なくとも一部は、重なり領域内に第1のピッチ及び第2のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを有する二重格子を含み、更に、標本の第2のレイヤ上に、第1のピッチで測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを有する単一格子を含む。別の例示的な実施形態では、第1及び第2のピッチは、少なくとも1つの動作波長に関して、第1及び第2のピッチからの正の1次回折が第1の重なり角度領域で重なり、第1及び第2のピッチからの負の1次回折が第2の重なり角度領域で重なるように選択される。別の例示的な実施形態では、オーバレイターゲットが照明ビームに対して走査されるときに生成される第1及び第2の重なり領域内の時変干渉信号は、二重格子と単一格子との間のオーバレイを示す。
【0008】
オーバレイ計測システムは、1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。例示的な一実施形態では、システムは照明源を含む。別の例示的な実施形態では、システムは、1つ以上の照明光学系を備えた照明サブシステムを含み、計測レシピに従って、標本上のオーバレイターゲットを、標本が照明源からの照明に対して移動しているときに、照明源からの照明を用いて照明する。別の例示的な実施形態では、オーバレイターゲットは、計測レシピに従って1つ以上のセルを含み、セルの少なくとも一部は、標本の第1のレイヤ上に、第1のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを有する第1の格子を含み、標本の第2のレイヤ上に、第1のピッチとは異なる第2のピッチで測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを有する第2の格子を含む。別の例示的な実施形態では、システムは1つ以上の集光光学系を有する集光サブシステムを含み、計測レシピに従って、測定回折次数を瞳面にある1つ以上の検出器に向け、ここで、測定回折次数には、第1の格子による照明の正及び負の1次回折と、第2の格子による照明の正及び負の1次回折及び2次回折が含まれる。別の例示的な実施形態では、システムは、コントローラを含み、標本の第1のレイヤと第2のレイヤとの間のオーバレイ計測を測定回折次数に基づいて決定する。
【0009】
オーバレイターゲットは、1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。例示的な一実施形態では、ターゲットは、1つ以上のセルを標本上に含み、セルの少なくとも一部は、標本の第1のレイヤ上に、第1のピッチで測定方向に沿って分布する第1の一連のフィーチャを含む第1の格子を含み、標本の第2のレイヤ上に、第1のピッチとは異なる第2のピッチで測定方向に沿って分布する第2の一連のフィーチャを含む第2の格子を含む。別の例示的な実施形態では、第1及び第2のピッチは、第1の格子からの正の1次回折が、第1のセットの重なり領域において第2の格子からの正の1次回折及び2次回折と重なり、そこでは第1の格子からの負の1次回折が、第2のセットの重なり領域において第2の格子からの負の1次回折及び2次回折と重なるように選択される。別の例示的な実施形態では、第1及び第2のセットの重なり領域における時変干渉信号は、標本の第1のレイヤと第2のレイヤとの間のオーバレイを示す。
【0010】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるものとして本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、一般的な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の多数の利点は、添付の図面を参照することによって当業者によりよく理解されるであろう。
図1A】本開示の1つ以上の実施形態による、任意の特定の測定方向に沿った単一セル測定に適したオーバレイターゲット上でスキャトロメトリ(scatterometry)オーバレイ計測を実行するためのシステムの概念図である。
図1B】本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイ計測ツールの概略図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイ計測ツールの照明瞳面の上面図である。
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一ピッチ格子の上面図である。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、二重ピッチ格子の上面図である。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、図3Bの二重ピッチ格子の概念的な構成を示す一連のパネルを表す図である。
図3D】本開示の1つ以上の実施形態による、単一ピッチ格子と二重ピッチ格子がセル内の非重なり領域に印刷されるオーバレイターゲットのセルの上面図である。
図3E】本開示の1つ以上の実施形態による、単一ピッチ格子と二重ピッチ格子がセル内の重なり領域内の標本の異なるレイヤ上に印刷されるオーバレイターゲットのセルの上面図である。
図3F】本開示の1つ以上の実施形態による、図3D又は図3Eに示されるような単一ピッチ格子と二重ピッチ格子からの回折を含むオーバレイ計測ツールの集光瞳面の概念図である。
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、セル内の非重なり領域に印刷された第1のピッチ(P)を有する第1の格子と、第1のピッチとは異なる第2のピッチ(P)を有する第2の格子とを備えるオーバレイターゲットのセルの上面図である。
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、図4Aに示されるような単一ピッチ格子と二重ピッチ格子からの回折を含むオーバレイ計測ツールの集光瞳面の概念図である。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、単一セルの走査オーバレイ計測の方法で実行されるステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、添付図面に示されている、開示された主題を詳細に参照する。本開示は、特定の実施形態及びその特定の特徴に関して特に示され、説明されている。本明細書に記載される実施形態は、限定的なものではなく例示的なものであるとみなされる。形態及び詳細における様々な変更及び修正が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0013】
本開示の実施形態は、単一セルの走査オーバレイ計測のためのシステム及び方法に関する。特に、本開示のいくつかの実施形態は、単一セルの走査オーバレイ計測に適したオーバレイターゲットに関し、いくつかの実施形態は、そのようなターゲットを特徴付けることによってオーバレイ計測を生成するのに適したオーバレイ計測ツールに関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、単一セルの走査オーバレイ計測に適したオーバレイターゲットは、特定の測定方向に沿ったピッチで配向された2つのリソグラフィ露光に関連付けられた格子構造を有するセルを含み、ここで、格子構造は標本の同じレイヤ又は異なるレイヤに存在し得る。更に、2つのリソグラフィ露光に関連付けられたオーバレイ計測を生成するのに適したオーバレイ計測ツールは、2つの光検出器を含み得て、ここで、それぞれは、(例えば、瞳面内に)配置されて、格子構造からの3つの回折ローブの少なくとも一部分を捕捉する。例えば、第1の光検出器は3つの正次数の回折ローブの少なくとも一部分を捕捉し得て、第2の光検出器は3つの負次数の回折ローブの少なくとも一部分を捕捉し得る。本明細書では、2つのリソグラフィ露光の間の測定方向に沿ったオーバレイ計測は、標本が走査されるときに光検出器によって捕捉される時変干渉信号間の差に基づいて生成され得ることが企図される。
【0015】
加えて、オーバレイターゲットは、異なる測定方向に沿って配向された格子構造を有する複数のセルを含み、異なる測定方向に沿ったオーバレイ計測を提供し得る。
【0016】
本明細書では、多くのスキャトロメトリオーバレイ計測技術は、一般に、2つのレイヤに格子構造(例えば、格子オーバー格子(grating-over-grating)構造)を有するオーバレイターゲットを照明することによってオーバレイを決定することが認識され、ここで、オーバレイ計測は正と負の回折次数の間の非対称性に基づく。例えば、様々なスキャトロメトリ技術は、2021年3月11日に公開された米国特許公開第2021/0364279号、2020年11月3日に発行された米国特許第10,824,079号、2019年2月9日に発行された米国特許第10,197,389号、及びAdelらの、「Diffraction order control in overlay metrology:a review of the roadmap options」,Proc.SPIE.6922,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XXII,692202.(2008)に記載され、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0017】
しかしながら、既存のスキャトロメトリオーバレイ技術は、通常、異なる格子構造の構成を有する2つ以上のセルの測定を必要とするか、又はその測定から恩恵を受ける。例えば、異なるセルは、異なる意図的なオーバレイオフセットを有する格子構造を含み得る。別の例として、異なるピッチを有する格子構造を含むオーバレイターゲットは、構成ピッチが異なるレイヤに設けられている異なるセルを含み得る。
【0018】
本開示の実施形態は、オーバレイ計測と、オーバレイ計測ごとに単一セルとを提供するのに適したオーバレイターゲットを使用する走査オーバレイ計測に関する。本明細書では、単一セル計測はマルチセル計測よりも高い測定処理能力を提供し得ることが企図される。
【0019】
いくつかの実施形態では、単一セルの走査オーバレイ計測に適したオーバレイターゲットのセルは、1つのレイヤ上に単一ピッチ格子を含み、別のレイヤ上に二重ピッチ格子(例えば、二重格子)を含む。例えば、二重ピッチ格子は、標本レイヤの共通領域上で重なる、異なるピッチを有する2つの格子構造によって機能的に特徴付けられ得る。しかしながら、二重ピッチ格子の構成フィーチャは、共通リソグラフィ露光を用いて作製されることを理解する必要がある。このように、異なるピッチを有する2つの格子構造から形成されているような二重格子の特徴付けは、純粋に概念的なものであり、異なるピッチを有する2つの格子構造の重なり合う部分は、共通要素として形成される。
【0020】
本明細書では、二重ピッチ格子を照明することで、2つの構成ピッチに関連付けられた2セットの回折次数が生成され得ると考えられる。更に、オーバレイターゲット(又はその中のセル)を単一ピッチ格子と二重ピッチ格子の両方で照明することで、3セットの回折次数が生成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、単一ピッチ格子及び二重ピッチ格子のピッチは、選択された3つのピッチに関連付けられた1次回折ローブが、少なくとも部分的に(例えば瞳面内で)重なるように選択される。例えば、3つのピッチに関連付けられた+1次回折ローブは、瞳面の第1の位置で少なくとも部分的に重なり得て、3つのピッチに関連付けられた-1次回折ローブは、瞳面の第2の位置で少なくとも部分的に重なり得る。本明細書では、瞳面内の第1及び第2の位置に配置された光検出器は、標本が走査される際に時変干渉信号を捕捉し得ることが企図され、ここで、単一ピッチ格子と二重ピッチ格子の間のオーバレイ計測は、これらの時変干渉信号間の差に基づいて生成され得る。本明細書では、そのようなオーバレイ計測は、2020年12月11日に出願された米国特許出願第17/119,536号に一般的に記載されている三重格子ターゲットに関連するオーバレイ計測と同様であり得ることが更に企図されており、その出願全体は参照により本明細書に援用される。しかしながら、本明細書に開示されるような単一ピッチ格子及び二重ピッチ格子を含むオーバレイターゲットは、援用されて、上記で参照された、2020年12月11日に出願された米国特許出願第17/119,536号に記載されている三重格子オーバレイターゲットに対していくつかの利点を有し得ることに留意する。特に、本明細書に開示される単一ピッチ格子及び二重ピッチ格子を含むオーバレイターゲットは、三重格子構造に関連付けられた望ましくないエッジ回折及び散乱効果を回避し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、単一セルの走査オーバレイ計測に適したオーバレイターゲットのセルは、異なるピッチ(例えば、第1のピッチと第2のピッチ)を有する2つの単一ピッチ格子を含み、第1のピッチに関連付けられた1次回折ローブは、第2のピッチに関連付けられた1次回折及び2次回折の両方の部分と重なる。例えば、第1のピッチに関連付けられた+1次の回折ローブ(DP1,+1)は、第2のピッチに関連付けられた+1次及び+2次の両方の回折ローブ(DP2,+1及びDP2,+2)と部分的に重なり得る。同様に、第1のピッチに関連付けられた-1次の回折ローブ(DP1,-1)は、第2のピッチに関連付けられた-1次及び-2次の両方の回折ローブ(DP2,-1及びDP2,-2)と部分的に重なり得る。いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツールは、DP2,+1及びDP2,+2の両方とDP1,+1の重なりを捕捉するのに適したサイズで瞳面の第1の位置に配置された第1の光検出器と、DP2,-1及びDP2,-2の両方とDP1,-1の重なりを捕捉するのに適したサイズで瞳面の第1の位置に配置された第2の光検出器を含む。本明細書では、そのような第1及び第2の光検出器は、標本が走査される際に時変干渉信号を捕捉し得ることが企図され、2つの単一ピッチ格子間のオーバレイ計測はこれらの時変干渉信号に基づいて生成され得る。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態は、選択された回折次数に基づいてオーバレイ計測を容易にするためにオーバレイ計測ツールを構成するためのレシピを提供することに関する。オーバレイ計測ツールは、通常、オーバレイ計測の様々な側面、例えば、限定するものではないが、標本の照明、標本からの集光、又は測定中の標本の位置、を制御するためのパラメータのセットを含むレシピに従って構成可能である。このようにして、オーバレイ計測ツールは、対象となる1つ以上のオーバレイターゲット設計に対して選択された測定のタイプを提供するように構成され得る。例えば、計測レシピには照明パラメータが含まれる場合があり、例えば、限定するものではないが、照明波長、照明瞳分布(例えば、照明角度の分布及びそれらの角度における照明の関連強度)、入射照明の偏光、又は照明の空間分布である。別の例として、計測レシピには集光パラメータが含まれる場合があり、例えば、限定するものではないが、集光瞳分布(例えば、測定に使用される標本からの角度付き光の所望の分布及びそれらの角度での関連するフィルタリングされた強度)、対象となる標本の部分を選択するための集光視野絞り設定、集められた光の偏光、波長フィルタ、又は1つ以上の検出器を制御するためのパラメータである。更なる例として、計測レシピには、測定中の標本位置に関連付けられた様々なパラメータが含まれる場合があり、例えば、限定するものではないが、標本の高さ、標本の向き、測定中に標本が静止しているかどうか、又は測定中に標本が動いているかどうか(速度、走査パターンなどを記述する関連パラメータとともに)である。
【0024】
ここで図1A図4Bを参照すると、本開示の1つ以上の実施形態による、単一セルの走査散乱オーバレイ計測のためのシステム及び方法が、より詳細に説明される。
【0025】
図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャトロメトリオーバレイ計測を、任意の特定の測定方向に沿った単一セル測定に適したオーバレイターゲット102上で実行するためのオーバレイ計測システム100の概念図である。いくつかの実施形態では、オーバレイ計測システム100は、スキャトロメトリオーバレイ計測を、標本106の全体に分布しているオーバレイターゲット102上で実行するためのオーバレイ計測ツール104を含む。図1Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイ計測ツール104の概略図である。
【0026】
本開示の目的上、オーバレイという用語は、一般に、2つ以上のリソグラフィパターニングステップによって作製された標本上のフィーチャの相対位置を記述するために使用され、オーバレイ誤差という用語は、定格(nominal)配置からのフィーチャの偏差を記述する。これに関連して、オーバレイ計測は、相対位置の測定、又はこれらの相対位置に関連付けられたオーバレイ誤差の測定として表され得る。例えば、多層デバイスは、複数の標本レイヤ上に、各レイヤに対して異なるリソグラフィステップを使用してパターン化されたフィーチャを含み得て、レイヤ間のフィーチャのアライメントは、通常、得られるデバイスの適切な性能を確保するために厳密に制御される必要がある。したがって、オーバレイ計測は、2つ以上の標本レイヤ上のフィーチャの相対位置を特徴付け得る。別の例として、複数のリソグラフィステップを使用して、単一の標本レイヤ上にフィーチャを作製し得る。このような技術は、一般にダブルパターニング技術又はマルチパターニング技術と呼ばれ、リソグラフィシステムの解像度に近い高密度フィーチャの作製を容易にし得る。これに関して、オーバレイ計測は、この単一レイヤ上の異なるリソグラフィステップからのフィーチャの相対位置を特徴付け得る。オーバレイ計測の特定の用途に関する本開示全体にわたる例及び図は、例示のみを目的として提供されており、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0027】
更に、本明細書において、スキャトロメトリ計測という用語は、スキャトロメトリベース計測及び回折ベース計測という用語を広く包含するために使用され、その計測では、1つ以上の標本レイヤ上に周期的フィーチャを有する標本が、限られた角度範囲を有する照明ビームで照明され、1つ以上の異なる回折次数が測定のために収集される。加えて、走査計測という用語は、標本が、測定に使用される照明に対して動いているときに生成される計測測定を説明するために使用される。一般的な意味では、走査計測は、標本、照明、又はその両方を移動させることによって実行され得る。このように、走査計測を実行するための特定の技術についての本明細書での具体的な説明は、単に例示的なものであり、限定として解釈されるべきではない。
【0028】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、1つ以上の照明ビーム110の形態で照明を生成して標本106を照明するための照明サブシステム108と、照明された標本106からの光を集めるための集光サブシステム112とを含む。例えば、1つ以上の照明ビーム110は、標本106上で角度的に制限され得て、その結果、オーバレイターゲット102の1つ以上のセル内の格子構造は、別個の回折次数を生成し得る。更に、1つ以上の照明ビーム110は、空間的に制限され得て、その結果、オーバレイターゲット102の選択された部分を照明し得る。例えば、1つ以上の照明ビーム110のそれぞれは、オーバレイターゲットの特定のセルを照明するように空間的に制限され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の照明ビーム110は、オーバレイターゲットの特定のセルをアンダフィリング(underfill)する。
【0029】
次に、集光サブシステム112は、オーバレイターゲット102からの照明ビーム110の回折に関連付けられた少なくともいくつかの回折次数を収集し得る。更に、集光サブシステム112は、集光瞳面116内に、オーバレイを示す時変干渉信号に関連付けられた位置で配置された少なくとも2つの光検出器114a、bを含み得る。例えば、以下により詳細に説明されるように、光検出器114に適した位置には、限定するものではないが、オーバレイターゲット102内の格子構造からの3つの回折次数の捕捉を示す位置を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、並進ステージ118を含み、標本106を測定中にオーバレイ計測ツール104の測定視野を通して走査し、走査計測を実行する。いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、標本106上の少なくとも1つの照明ビーム110の位置を修正又は制御するように構成されたビーム走査サブシステム120を含む。例えば、ビーム走査サブシステム120は、照明ビーム110を、測定中に走査方向(例えば、並進ステージ118が標本106を走査する方向)に対して直交する方向に走査し得る。このようにして、走査計測は、標本106と照明ビーム110の任意の相対運動によって実行され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測システム100は、オーバレイ計測ツール104に通信可能に結合されたコントローラ122を含む。コントローラ122は、1つ以上のプロセッサ124及びメモリデバイス126、又はメモリを含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ124は、メモリデバイス126に保持されたプログラム命令のセットを実行するように構成され得る。このようにして、コントローラ122は、本開示を通じて説明される様々なプロセスステップのいずれかを実行し得て、例えば、それは限定するものではないが、光検出器114から時変干渉信号を受信すること、時変干渉信号を処理又はフィルタリングすること、あるいは時変干渉信号に基づいて標本106に関連付けられたオーバレイ計測を生成することである。
【0032】
ここで図2図4Bを参照すると、単一セルの走査スキャトロメトリオーバレイ計測用の、オーバレイターゲット102からの回折次数の収集及び光検出器114の配置が、本開示の1つ以上の実施形態に従ってより詳細に説明される。特に、図2は、非限定的な照明瞳分布を示し、図3A図3Fは、オーバレイターゲット102の第1の非限定的な設計を示し、図4A図4Bは、オーバレイターゲット102の第2の非限定的な設計を示す。
【0033】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイ計測ツール104(例えば、図1Bに示す)の照明瞳面128の上面図である。いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、図2Aに示すように、1つ以上の照明ビーム110を用いて垂直入射(又はほぼ垂直入射)でオーバレイターゲット102を照明する。例えば、図2Aは、照明瞳面128の瞳境界202の中心における照明ビーム110を示す。更に、1つ以上の照明ビーム110は、集光瞳面116内の制限されたサイズによって示されるように、制限された範囲の入射角でオーバレイターゲット102を照明し得る。これに関して、オーバレイターゲット102は、1つ以上の照明ビーム110を別個の回折次数に回折させ得る。
【0034】
本明細書では、オーバレイターゲット102内の周期構造による照明ビーム110の回折次数の分布は、様々なパラメータによって影響を受ける可能性があることが認識され、そのパラメータは、例えば、限定するものではないが、照明ビーム110の波長、高度及び方位方向の両方における照明ビーム110の入射角、オーバレイターゲット102の格子のピッチ、又は集光レンズの開口数(NA)である。したがって、本開示の実施形態では、照明サブシステム108、集光サブシステム112、及びオーバレイターゲット102は、オーバレイを示す時変干渉パターンを生成するのに適した集光瞳内に所望の回折次数の分布を提供するように構成され得る。例えば、照明サブシステム108及び/又は集光サブシステム112は、選択された範囲のピッチを備えた格子フィーチャを有するオーバレイターゲット102上で計測を生成し(例えば、計測レシピを使用して)、所望の集光瞳分布を提供するように構成され得る。更に、照明サブシステム108及び/又は集光サブシステム112の様々な構成要素(例えば、絞り、瞳など)は、所望の集光瞳分布を提供するために(例えば、計測レシピを使用して)調整可能であり得る。
【0035】
更に、集光瞳面116における回折次数のサイズ及び形状は、一般に、標本106上の照明ビーム110のサイズ及び形状に関連し得る。例えば、図示されていないが、照明ビーム110が延長される場合、関連する回折次数も同様に引き延ばされる場合がある。
【0036】
図3A図3Dは、単一セルの走査スキャトロメトリオーバレイ計測に適したオーバレイターゲット102の第1の非限定的な実施形態を示し、セル302は、第1のリソグラフィ露光に関連付けられた単一ピッチ格子304と、第2のリソグラフィ露光に関連付けられた二重ピッチ格子306とを含む。いくつかの実施形態では、単一ピッチ格子304は第1のレイヤ上に作製され、二重ピッチ格子306は第2のレイヤ上に作製される。このようにして、関連するオーバレイ計測は、第1のレイヤと第2のレイヤとの間の相対的な配置誤差の測定に対応し得る。更に、単一ピッチ格子304及び/又は二重ピッチ格子306は、完全に処理されたレイヤ上に、又はパターン化されたフォトレジストレイヤとして形成され得る。例えば、1つの格子は完全に処理されたレイヤ上に形成され得て、別の格子はその後に露光されるフォトレジストレイヤ上に形成され得る。いくつかの実施形態では、単一ピッチ格子304と二重ピッチ格子306の両方が単一レイヤ上に形成される。このようにして、関連するオーバレイ計測は、多重露光作製プロセス(例えば、ダブルパターニングなど)の異なる露光間の相対的な配置誤差の測定に対応し得る。
【0037】
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、単一ピッチ格子304の上面図である。いくつかの実施形態では、単一ピッチ格子304は、選択されたピッチ(P)で測定方向310に沿って分布する同一の格子フィーチャ308のセットを含む。
【0038】
図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、二重ピッチ格子306の上面図である。いくつかの実施形態では、二重ピッチ格子306は、2つの特徴的なピッチ(PD1)及び(PD2)を有する格子フィーチャ312のセットとして形成される。このようにして、格子フィーチャ312は、様々なサイズ及び相対位置を有して、ピッチPD1及びPD2を提供し得る。
【0039】
図3Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、図3Bの二重ピッチ格子306の概念的な構成を示す一連のパネルを提供する。パネルAは、第1のピッチ(PD1)を有する第1の概念的な格子314と、第2のピッチ(PD2)を有する第2の概念的な格子316を示す。パネルB及びCは、共通領域における第1の概念的な格子314と第2の概念的な格子316との概念的な重なりを示す。このようにして、格子フィーチャ312は、第1の概念的な格子314と第2の概念的な格子316の組み合わせとして形成され得る。しかしながら、図3Cの描写は、二重ピッチ格子306のレイアウトを明確にするための単なる例示目的であることを理解されたい。特に、第1の概念的な格子314及び第2の概念的な格子316は、それら自体は作製されず、単に二重ピッチ格子306の設計に関連付けられているだけである。一例として、格子フィーチャ312aは、図3Cに示す第1の概念的な格子314及び第2の概念的な格子316のそれぞれからのフィーチャの組み合わせに基づく単一フィーチャである。
【0040】
図3D及び図3Eは、オーバレイターゲット102のセル302内の単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306の非限定的なレイアウトを示す。
【0041】
図3Dは、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイターゲット102のセル302の上面図であり、単一ピッチ格子304と二重ピッチ格子306がセル302内の非重なり領域に(例えば並べて)印刷されている。この構成では、単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306は、標本106の異なるレイヤ上に、又は標本106の共通レイヤ上に作製され得る。
【0042】
図3Eは、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイターゲット102のセル302の上面図であり、単一ピッチ格子304と二重ピッチ格子306がセル302内の重なり領域内において標本106の異なるレイヤ上に印刷されている。このように、セル302は、単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306で形成された格子オーバー格子構造の変形例を含み得る。
【0043】
更に、図3D及び図3Eに示される両方の設計において、照明ビーム110は、単一ピッチ格子304と二重ピッチ格子306の両方に同時に入射し得る。このようにして、単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306は、単一ピッチ格子304のピッチPと二重ピッチ格子306のピッチPD1及びPD2とに関連付けられた回折ローブを同時に生成し得る。更に、図示されていないが、照明ビーム110は、測定方向310に対して垂直方向に延長されて、セル302内の欠陥、例えば、限定するものではないが、単一ピッチ格子304又は二重ピッチ格子306の粗さによって引き起こされるターゲット誘発ノイズを軽減し得る。
【0044】
図3Fは、本開示の1つ以上の実施形態による、図3D又は図3Eに示すような単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306からの回折を含む、オーバレイ計測ツール104の集光瞳面116の概念図である。
【0045】
いくつかの実施形態では、セル302に関連付けられたピッチ(例えば、単一ピッチ格子304のピッチP、二重ピッチ格子306のピッチPD1及びPD2など)及び/又は計測レシピにおける様々なパラメータ(例えば、照明ビーム110の波長など)は、ピッチP、PD1及びPD2のそれぞれからの1次回折ローブが重なるように選択される。例えば、図3Fは、ピッチP、PD1及びPD2による照明ビーム110の回折に関連付けられた+1次回折ローブDS,+1、DD1,+1、及びDD2,+1を示し、それらは第1の重なり領域318で重なり合う。図3Fは更に、ピッチP、PD1及びPD2による照明ビーム110の回折に関連付けられた-1次回折ローブDS,-1、DD1,-1、及びDD2,-1を示し、それらは第2の重なり領域320で重なり合う。図3Fはまた、0次回折(D)(例えば、鏡面反射)を示す。
【0046】
本明細書では、オーバレイターゲット102を、測定方向310に沿い照明ビーム110に対して(又はその逆で)走査すると、第1の重なり領域318及び第2の重なり領域320において時変干渉信号が生じることになり、これらは、単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306に関連付けられた第1及び第2のリソグラフィ露光間のオーバレイ誤差を示すことが企図される。したがって、いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、集光瞳面116の重なり領域に光検出器114を含む。例えば、図3Fは、第1の重なり領域318に第1の光検出器114aを示し、第2の重なり領域320に第2の光検出器114bを示す。
【0047】
更に、本明細書では、光検出器114の活性領域(例えば、図3Fの破線の円で示す)は一般に、関連付けられた時変信号を捕捉するのに十分な任意の適切なサイズであり得ることに留意する。例えば、光検出器114の活性領域は、関連付けられた重なり領域よりも大きくてもよい。この構成では、光検出器114は、限定するものではないが、一定の信号など、関連する時変信号を超える追加の信号を捕捉し得る。しかしながら、そのような信号は、当技術分野で周知の任意の技術を使用してフィルタで取り除かれるか、又は無視される可能性がある。
【0048】
特に、光検出器114で測定される強度は、3つのピッチP、PD1及びPD2に関連付けられたすべての場の積である。
【数1】
ここで、APS、APD1、及びAPD2は、それぞれピッチP、PD1及びPD2に関連付けられた回折次数の強度に対応する。更に、GPは格子位置(例えば走査に沿った)を表す。
【0049】
+1次回折ローブの時変信号のみに焦点を当てると、次のように書くことができる。
【数2】
【0050】
これらの項は異なる周波数を有するため、これらの信号は、各成分の位相差が測定され得るように分離され得る(例えば、コントローラ122によって)。位相差において、標本106からの定位相の寄与は排除され得て、その結果、位相の寄与は初期ピッチ位置(例えば、走査の開始位置からの照明ビーム110の初期GP及び関連付けられた初期位相)から得られる。その場合オーバレイは次のように決定されてもよい。
【数3】
【数4】
【0051】
本明細書では、式(1)~(4)によって表されるオーバレイの決定は、2020年12月11日に出願された米国特許出願第17/119,536号に記載されるような三重格子ターゲットを使用してオーバレイを決定するアプローチと同様であることが認識され、この出願はその全体が参照により本明細書に援用される。しかしながら、本明細書で前述したように、本明細書で開示する単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306を有するオーバレイターゲット102の測定が、三重格子設計に関連付けられた望ましくないエッジ効果及び散乱を回避することで、本明細書に開示されるシステム及び方法は、三重格子アプローチよりも高感度でオーバレイ計測を提供し得る。
【0052】
ここで図4A図4Bを参照すると、図4A図4Bは、単一セルの走査スキャトロメトリオーバレイ計測に適したオーバレイターゲット102の第2の非限定的実施形態を示し、セル302が、異なるピッチを有する2つの単一ピッチ格子を含む。
【0053】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイターゲット102のセル302の上面図であり、第1のピッチ(P)を有する第1の格子402と、第1のピッチとは異なる第2のピッチ(P)を有する第2の格子404が、セル302内の非重なり領域に(例えば、並べて)印刷されている。図3Dに示される設計と同様の方法で、第1の格子402及び第2の格子404は、標本106の共通レイヤ又は異なるレイヤ上に作製され得る。更に、図示されていないが、第1の格子402及び第2の格子404は、重なり領域内の標本106の異なるレイヤ上に作製されて、格子オーバー格子構造(例えば、図3Fに示される設計と同様)を形成し得る。更に、両方の構成において、照明ビーム110は、単一ピッチ格子304と二重ピッチ格子306の両方に同時に入射し得る。
【0054】
図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、図4Aに示されるような単一ピッチ格子304及び二重ピッチ格子306からの回折を含む、オーバレイ計測ツール104の集光瞳面116の概念図である。
【0055】
いくつかの実施形態では、セル302に関連付けられたピッチ(例えば、第1の格子402のピッチP及び第2の格子404のピッチP)、及び/又は、計測レシピの様々なパラメータ(例えば、照明ビーム110の波長など)は、第1の格子402からの1次回折ローブが、第2の格子404からの1次及び2次回折ローブの両方の部分と重なるように、選択される。
【0056】
例えば、図4Bは、第1の格子402からの+1次回折ローブ(DP1,+1)が、第2の格子404からの+1次回折ローブ(DP2,+1)の一部分と第1の重なり領域406において重なり、更に第2の格子404からの+2次回折ローブ(DP2,+2)の一部分と第2の重なり領域408において重なることを示す。同様に、図4Bは、第1の格子402からの-1次回折ローブ(DP1,-1)が、第2の格子404からの-1次回折ローブ(DP2,-1)の一部分と第3の重なり領域410において重なり、更に第2の格子404からの-2次回折ローブ(DP2,-2)の一部分と第4の重なり領域412において重なることを示す。図4Bはまた、0次回折(D)(例えば、鏡面反射)を示す。
【0057】
本明細書では、オーバレイターゲット102を照明ビーム110に対して(又はその逆で)測定方向310に沿って走査すると、重なり領域406~412で時変干渉信号が生じることになり、これは第1の格子402及び第2の格子404に関連付けられた第1及び第2のリソグラフィ露光間のオーバレイ誤差を示すことが企図される。したがって、いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、集光瞳面116の重なり領域に光検出器114を含む。例えば、図4Bは、第1及び第2の重なり領域406、408を捕捉する第1の光検出器114aと、第3及び第4の重なり領域410、412を捕捉する第2の光検出器114bを示す。本明細書では、第1の格子402と第2の格子404を形成するリソグラフィ露光間のオーバレイは、図3A図3Fに示されるオーバレイターゲット102の設計に関して式(1)~(4)に示されるのと同様の方法で導出され得ることが企図される。
【0058】
更に、図3Fで説明したのと同様の方法で、本明細書では、光検出器114の活性領域(例えば、図4Bにおいて破線の円で示す)は一般に、関連付けられた時変信号を捕捉するのに十分な任意の適切なサイズであり得ることに留意する。例えば、光検出器114の活性領域は、関連付けられた重なり領域よりも大きい場合がある。この構成では、光検出器114は、限定するものではないが、一定の信号など、関連する時変信号を超える追加の信号を捕捉し得る。しかしながら、そのような信号は、当技術分野で周知の任意の技術を使用してフィルタで取り除かれるか、又は無視される可能性がある。
【0059】
ここで図3A図4Bを全体的に参照すると、図3A図4Bは、特定の測定方向310に関連付けられた特定のセル302の様々な非限定的な設計を示すことに留意する。しかしながら、オーバレイターゲット102は、任意の数のセル302を、任意の数の異なる測定方向に沿って含んでもよく、その測定方向は、標本106の移動方向(例えば、並進ステージ118によって提供されるステージ走査方向)に対して、又は照明ビーム110の移動方向(例えば、ビーム走査サブシステム120によって提供されるビーム走査方向)に対して、任意の配向を有し得ることを理解するべきである。例えば、本明細書では、2021年2月17日に出願された米国特許出願第17/178,089号、又は2022年3月30日に出願された米国特許出願第17,708,958号にて提供されたセル302の配置及び関連する測定構成(例えば、ステージ走査方向又はビーム走査方向)のいずれもが企図され、これら出願の両方とも、その全体が参照によって本明細書に援用され、本明細書にて開示されるセル設計に拡張され得る。
【0060】
再び図1Aを参照すると、本開示の1つ以上の実施形態により、オーバレイ計測ツール104の追加の構成要素がより詳細に説明される。
【0061】
光検出器114は、一般に、標本106が並進ステージ118によって並進されるとき、及び/又は1つ以上の照明ビーム110がビーム走査サブシステム120によって走査されるときに生成された干渉信号を捕捉するのに適した、当技術分野で周知の任意のタイプの光検出器を含み得る。例えば、光検出器114は、限定するものではないが、高速フォトダイオード、光電子増倍管、又はアバランシェフォトダイオードを含み得る。
【0062】
一般的な意味では、光検出器114の帯域幅又は応答時間は、構成する格子構造のピッチ及び測定方向310に沿った走査速度に関係する干渉縞の時間周波数を分解するのに十分である必要がある。例えば、測定方向310に沿った走査速度が毎秒10センチメートルであり、ターゲットピッチが1マイクロメートルの場合、干渉信号は100kHz程度の速度で振動することになる。いくつかの実施形態では、光検出器114は、少なくとも1GHzの帯域幅を有する光検出器を含む。しかし、この値は必須ではないことを理解すべきである。むしろ、光検出器114の帯域幅、測定方向に沿った並進速度、及びモアレ構造のピッチは、干渉信号の所望の標本速度を提供するために一緒に選択され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測システム100は、オーバレイ計測ツール104に通信可能に結合されたコントローラ122を含む。コントローラ122は、1つ以上のプロセッサ124及びメモリデバイス126又はメモリを含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ124は、メモリデバイス126に保持されたプログラム命令のセットを実行するように構成され得る。
【0064】
コントローラ122の1つ以上のプロセッサ124は、一般に、当技術分野で周知の任意のプロセッサ又は処理要素を含み得る。本開示の目的上、用語「プロセッサ」又は「処理要素」は、1つ以上の処理要素又は論理要素(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサデバイス、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)デバイス、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP))を有する任意のデバイスを包含するように広義に定義され得る。この意味において、1つ以上のプロセッサ124は、アルゴリズム及び/又は命令(例えば、メモリに格納されたプログラム命令)を実行するように構成された任意のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサ124は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、ネットワーク化されたコンピュータ、又は本開示を通じて説明されるように、動作するように、若しくはオーバレイ計測システム100と連動して動作するように構成されたプログラムを実行するよう構成された任意の他のコンピュータシステムとして実現され得る。更に、オーバレイ計測システム100の異なるサブシステムは、本開示で説明されるステップの少なくとも一部分を実行するのに適したプロセッサ又は論理要素を含み得る。したがって、上記の説明は、本開示の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。更に、本開示を通じて説明されるステップは、単一のコントローラによって実行されてもよく、あるいは、複数のコントローラによって実行されてもよい。加えて、コントローラ122は、共通の筐体内又は複数の筐体内に収容された1つ以上のコントローラを含み得る。このようにして、任意のコントローラ又はコントローラの組み合わせは、オーバレイ計測システム100への統合に適したモジュールとして個別にパッケージ化され得る。更に、コントローラ122は、光検出器114から受信したデータを解析又は処理し、そのデータをオーバレイ計測システム100内又はオーバレイ計測システム100の外部の追加の構成要素に供給し得る。
【0065】
更に、メモリデバイス126は、関連付けられた1つ以上のプロセッサ124によって実行可能なプログラム命令を格納するのに適した、当技術分野で周知の任意の記憶媒体を含み得る。例えば、メモリデバイス126は、非一時的なメモリ媒体を含み得る。更なる例として、メモリデバイス126は、限定するものではないが、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光学メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブなどを含み得る。メモリデバイス126は、1つ以上のプロセッサ124と共通のコントローラ筐体に収容され得ることに更に留意する。
【0066】
これに関して、コントローラ122は、オーバレイ計測に関連付けられた様々な処理ステップのいずれかを実行し得る。例えば、コントローラ122は、制御信号を生成して、オーバレイ計測ツール104又はその任意の構成要素を指示又は制御するように構成され得る。例えば、コントローラ122は、並進ステージ118に指示して、標本106を1つ以上の測定経路又は帯に沿って並進させ、1つ以上のオーバレイターゲットを、オーバレイ計測ツール104の測定視野を通して走査し、及び/又はビーム走査サブシステム120に指示して、1つ以上の照明ビーム110を標本106上に位置決め又は走査するように構成され得る。別の例として、コントローラ122は、光検出器114から時変干渉信号に対応する信号を受信するように構成されてもよい。別の例として、コントローラ122は、1つ以上の追加の作製ツールに対する修正を、1つ以上の追加の作製ツールのフィードバック及び/又はフィードフォワード制御として、オーバレイ計測ツール104からのオーバレイ計測に基づいて生成し得る。
【0067】
別の実施形態では、コントローラ122は、光検出器114によって検出された干渉信号を捕捉する。コントローラ122は一般に、限定するものではないが、時変干渉信号の大きさ又は位相などのデータを捕捉することができ、それは限定しないが1つ以上の位相ロックループなどの当技術分野で周知の任意の技術を使用している。更に、コントローラ122は、干渉信号、又は干渉信号に関連付けられた任意のデータを、ハードウェア(例えば、回路)又はソフトウェア技術の任意の組み合わせを使用して捕捉し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、コントローラ122は、測定方向に沿ったオーバレイターゲット102のレイヤ間のオーバレイ計測を、干渉信号の比較に基づいて決定する。例えば、コントローラ122は、干渉信号の大きさ及び/又は位相を比較して、オーバレイ計測を生成し得る。例えば、2020年11月3日に発行された米国特許第10,824,079号では、集光瞳内の回折次数の電場について概説しており、更に瞳面内のオーバレイと測定強度との間の特定の関係を提供し、その出願の全体が参照により本明細書に援用され、集光瞳における回折次数の電場を概説し、更に瞳面内のオーバレイと測定強度との間の特定の関係を提供する。本明細書で開示されるシステム及び方法は、米国特許第10,824,079号の教示を、本明細書で開示される重なり領域に配置された光検出器によって捕捉される時変干渉信号に拡張し得ることが、本明細書で企図される。特に、標本上のオーバレイは、限定するものではないが、2つの時変干渉信号間の相対位相シフトなどの非対称性に比例し得ることが本明細書で企図される。別の例では、瞳面内の回折次数の相対強度は、時変干渉信号から抽出され得る。このようにして、当技術分野で周知の回折次数の相対強度差に基づく任意のオーバレイアルゴリズムを適用して、オーバレイ計測を生成し得る。
【0069】
更に、コントローラ122は、オーバレイ計測を、時変干渉信号にも影響を与える可能性がある標本の周知の、想定される、又は測定されたフィーチャ、例えば限定するものではないが、側壁角度又は他の標本の非対称性に基づいて較正又は修正し得る。
【0070】
再び図1Bを参照すると、本開示の1つ以上の実施形態に従って、オーバレイ計測ツール104の様々な構成要素がより詳細に説明される。
【0071】
いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、少なくとも1つの照明ビーム110を生成するように構成された照明源136を含む。照明源136からの照明は、1つ以上の選択された光の波長を含み得て、限定するものではないが、紫外(UV)放射線、可視放射線、又は赤外(IR)放射線が挙げられる。
【0072】
照明源136は、少なくとも1つの照明ビーム110を提供するのに適した任意のタイプの照明源を含み得る。いくつかの実施形態では、照明源136はレーザ源である。例えば、照明源136は、限定するものではないが、1つ以上の狭帯域レーザ源、広帯域レーザ源、スーパーコンティニュームレーザ源、白色光レーザ源などを含み得る。これに関して、照明源136は、高いコヒーレンス(例えば、高い空間的コヒーレンス及び/又は時間的コヒーレンス)を有する照明ビーム110を提供し得る。いくつかの実施形態では、照明源136は、レーザ持続プラズマ(LSP)源を含む。例えば、照明源136は、限定するものではないが、LSPランプ、LSP電球、又は、レーザ源によってプラズマ状態に励起されたときに広帯域照明を発し得る1つ以上の要素を収容するのに適したLSPチャンバを含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、照明ビーム110を修正及び/又は調整し、また、照明ビーム110を標本106に配向するのに適した1つ以上の光学構成要素を含む。例えば、照明サブシステム108は、1つ以上の照明レンズ138を(例えば、照明ビーム110をコリメートするためや、照明瞳面128及び/又は照明場平面140を中継するために)含み得る。いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、1つ以上の照明制御光学系142を含み、照明ビーム110を整形又は制御する。例えば、照明制御光学系142は、限定するものではないが、1つ以上の視野絞り、1つ以上の瞳絞り、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上のディフューザ、1つ以上のホモジナイザ、1つ以上のアポダイザ、1つ以上のビーム整形器、又は1つ以上のミラー(例えば、静止ミラー、並進ミラー、走査ミラーなど)を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、対物レンズ144を含み、照明ビーム110を標本106(例えば、標本106の2つ以上のレイヤ上に位置するオーバレイターゲット要素を有するオーバレイターゲット)上に集束させる。
【0075】
いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、2つ以上の照明ビーム110を用いて標本106を照明する。更に、2つ以上の照明ビーム110は、測定視野(例えば、対物レンズ144の視野)内の標本106の異なる部分(例えば、オーバレイターゲットの異なるセル)に入射してもよいが、必須ではない。本明細書では、2つ以上の照明ビーム110が様々な技術を使用して生成され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、照明場平面140に2つ以上の開口を含む。いくつかの実施形態では、照明サブシステム108は、1つ以上のビームスプリッタを含み、照明源136からの照明を2つ以上の照明ビーム110に分割する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの照明源136は、2つ以上の照明ビーム110を直接生成する。一般的な意味では、各照明ビーム110は、様々な照明ビーム110が生成される技術に関係なく、異なる照明チャネルの一部であると考えられ得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、集光サブシステム112は、標本106からの光(例えば、集められた光146)を捕捉するように構成された集光瞳面116に配置された少なくとも2つの光検出器114(例えば、光検出器114a、b)を含み、ここで、集められた光146は、走査中に時変干渉信号を提供する重なり領域を含む(例えば、図3Fに示される重なり領域318、320、図4Bに示される重なり領域406~412など)。集光サブシステム112は、標本106から集められた光146を修正及び/又は調整するのに適した1つ以上の光学要素を含み得る。いくつかの実施形態では、集光サブシステム112は、1つ以上の集光レンズ148を含み(例えば、照明ビーム110をコリメートしたり、瞳及び/又は視野面を中継したりして)、これは、対物レンズ144を含み得るが、必須ではない。いくつかの実施形態では、集光サブシステム112は、1つ以上の集光制御光学系150を含み、集められた光146を整形又は制御する。例えば、集光制御光学系150は、限定するものではないが、1つ以上の視野絞り、1つ以上の瞳絞り、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上のディフューザ、1つ以上のホモジナイザ、1つ以上のアポダイザ、1つ以上のビーム整形器、又は1つ以上のミラー(例えば、静止ミラー、並進ミラー、走査ミラーなど)を含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、照明サブシステム108及び集光サブシステム112は、対物レンズ144を利用し得る。例えば、図1Bは、ビームスプリッタ152を示し、これを用いて、照明ビーム110を対物レンズ144に結合して標本106を照明し、また対物レンズ144から集められた光146を光検出器114に結合する。
【0078】
オーバレイ計測ツール104は、1つ以上の集光チャネル154を含み得る。例えば、図1Bに示されるように、オーバレイ計測ツール104は、集められた光146を集光チャネル154に分割するように配置された1つ以上のビームスプリッタ156を含み得る。更に、図1Bは、2つの集光チャネル154を備えた構成を示す。本明細書では、光検出器114が、1つ以上の集光チャネル154の間に任意の所望の分布で配置され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、各集光チャネル154は、単一の光検出器114(例えば、光検出器114a又は光検出器114b)を含む。このようにして、各光検出器114は、その物理的サイズ又は関連付けられた構成要素に関係なく、集光瞳面116内の任意の位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数の光検出器114は少なくとも1つの集光チャネル154に配置される。この構成では、複数の集光チャネル154は、(例えば、異なる測定方向に関連付けられた)異なるセル302の同時測定を容易にし得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、集光サブシステム112は、2つ以上の光検出器114を含む。このようにして、光検出器114を所望に応じて分布し得る。例えば、図1Bに示すように、オーバレイ計測ツール104は、集められた光146を集光チャネル154に分割するように配置された1つ以上のビームスプリッタ158を含み得る。更に、ビームスプリッタ158は、偏光ビームスプリッタ、非偏光ビームスプリッタ、又はそれらの組み合わせであってもよい。しかしながら、図1Bにおける2つの集光チャネル154の図は、例示のみを目的として提供されており、限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。例えば、集光サブシステム112は、単一の集光チャネル154又は複数の集光チャネル154を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数の集光チャネル154は、標本106上の複数の照明ビーム110からの光を集めるように構成される。例えば、オーバレイターゲット102が、走査方向とは異なる方向に分布された2つ以上のセル302を有する場合、オーバレイ計測ツール104は、異なるセル302を異なる照明ビーム110で同時に照明し、各照明ビーム110に関連付けられた干渉信号を同時に捕捉し得る。加えて、いくつかの実施形態では、標本106に向けられた複数の照明ビーム110は、異なる偏光を有してもよい。このようにして、照明ビーム110のそれぞれに関連付けられた回折次数は、分離され得る。例えば、偏光ビームスプリッタ158は、異なる照明ビーム110に関連付けられた回折次数を効率的に分離し得る。別の例として、偏光子を1つ以上の集光チャネル154に用いて、測定のために所望の回折次数を分離し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、オーバレイ計測ツール104は、ビーム走査サブシステム120を含み、測定中に標本106上の1つ以上の照明ビーム110の位置を位置決め、走査、又は変調する。
【0082】
ビーム走査サブシステム120は、1つ以上の照明ビーム110の位置を走査するのに適した任意のタイプの要素又は要素の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ビーム走査サブシステム120は、照明ビーム110の方向を修正するのに適した1つ以上の偏向器を含む。例えば、偏向器は、限定するものではないが、回転可能ミラー(例えば、調整可能な先端及び/又は傾きを備えたミラー)を含み得る。更に、回転可能ミラーは、当技術分野で周知の任意の技術を使用して作動され得る。例えば、偏向器は、限定するものではないが、検流計、圧電ミラー、又は微小電気機械システム(MEMS)デバイスを含み得る。別の例として、ビーム走査サブシステム120は、電気光学変調器、音響光学変調器などを含んでもよい。
【0083】
偏向器は更に、オーバレイ計測ツール104内の任意の適切な位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の偏向器は、照明サブシステム108及び集光サブシステム112の両方に共通の1つ以上の瞳面に配置される。これに関して、ビーム走査サブシステム120は瞳面ビームスキャナであり得て、関連付けられた偏向器は、標本106上の1つ以上の照明ビーム110の位置を、集光瞳面116内の回折次数の位置に影響を与えることなく修正し得る。更に、照明場平面140内の1つ以上の照明ビーム110の分布は、ビーム走査サブシステム120が標本106上の1つ以上の照明ビーム110の位置を変更するにつれて更に安定し得る。瞳面ビーム走査は、2021年1月6日に出願された米国特許出願第17/142,783号に概説されており、その全体が参照により援用される。
【0084】
ここで図5を参照すると、図5は、本開示の1つ以上の実施形態による、単一セルの走査オーバレイ計測のための方法500で実行されるステップを示すフロー図である。出願者は、オーバレイ計測システム100に関連して本明細書で前述した実施形態及び可能な技術が、方法500に拡張されると解釈されるべきであることに言及している。しかしながら、方法500はオーバレイ計測システム100のアーキテクチャに限定されないことに更に留意する。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法500は、オーバレイターゲットを、測定方向ごとに単一セルを用いて照明するステップ502を含み、単一セルは2つ以上のピッチを有するフィーチャを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法500は、2つの光検出器から時変干渉信号を集めるステップ504を含み、各光検出器は、2つ以上のピッチからの3つの回折次数に関連付けられた信号を捕捉する。例えば、オーバレイターゲットは、第1のレイヤ上の2つのピッチによって特徴付けられる二重ピッチ格子と、第2のレイヤ上の単一ピッチ格子とを含み得る。この構成では、第1の光検出器は3つの構成ピッチのそれぞれから+1次回折を捕捉し得て、第2の光検出器は3つの構成ピッチのそれぞれから-1次回折を捕捉し得る。別の例として、オーバレイターゲットは、異なるピッチを有する単一ピッチ格子を含んでもよい。この構成では、第1の光検出器は、1つの単一ピッチ格子から+1次及び+2次回折と、別の単一ピッチ格子から+1次回折とを捕捉し得て、第2の光検出器は、1つの単一ピッチ格子から-1次及び-2次回折と、別の単一ピッチ格子から-1次回折とを捕捉し得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法500は、オーバレイターゲットに関連付けられたオーバレイ誤差を、2つの光検出器によって捕捉された時変干渉信号に基づいて決定するステップ506を含む。例えば、構成格子構造の周期方向に沿ったオーバレイ誤差は、走査中に生成される時変干渉信号の強度又は位相情報の任意の組み合わせに基づいて決定され得る。
【0088】
本明細書では、方法500は、1D又は2D計測測定に適した広範なオーバレイターゲット設計に適用され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、方法500は、複数の照明ビームを同時に走査し、並行測定のために関連付けられた重なる回折次数を集めることを含む。いくつかの実施形態では、方法500は、ステージ走査方向とは異なるビーム走査方向に沿って1つ以上の照明ビームを走査して、標本にわたる対角波又は三角波経路を提供することを含む。これに関して、異なる測定(例えば、直交測定)に沿ってオーバレイを決定するのに適した複数のセルを有するオーバレイターゲットは、測定範囲内の共通の照明ビームによって効率的に調査(interrogated)され得る。
【0089】
本明細書に記載の主題は、他の構成要素内に含有される、又は他の構成要素と接続される異なる構成要素を示す場合がある。そのような描写されたアーキテクチャは単なる例示であり、実際に、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャが実装され得ることが理解されるべきである。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の任意の配置は、効果的に「関連付け」られて、所望の機能が実現される。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた本明細書の任意の2つの構成要素は、互いに「関連付けられている」と見なすことができ、その結果、所望の機能はアーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく実現される。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、互いに「接続」又は「結合」されて所望の機能を実現すると見なし得て、かつそのように関連付けられている可能性がある任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を実現するために互いに「結合可能」であると見なし得る。結合可能な特定の例は、限定するものではないが、物理的に相互作用可能及び/又は物理的に相互作用する構成要素、及び/又は無線的に相互作用可能及び/又は無線的に相互作用する構成要素、及び/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用する構成要素を含む。
【0090】
本開示及びその付随する利点の多くは、前述の説明によって理解されると考えられ、開示された主題から逸脱することなく、又はその重要な利点のすべてを犠牲にすることなく、構成要素の形態、構造、及び配置に様々な変更を加え得ることは明らかであろう。記述される形式は単なる説明であり、以下の特許請求の範囲の意図はそのような変更を包含し、含むことである。更に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】