(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】粘着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20241206BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20241206BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20241206BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241206BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J133/00
C09J133/06
C09J7/38
G09F9/30 308Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531186
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2022018869
(87)【国際公開番号】W WO2023096413
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0164029
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ジン セオ
(72)【発明者】
【氏名】リー、フイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジェ スン
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5C094
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004AB07
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA05
4J004FA08
4J040DF021
4J040DF031
4J040DF061
4J040FA132
4J040JB08
4J040JB09
4J040KA13
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA06
4J040MA10
4J040MB03
4J040NA17
4J040NA19
5C094AA36
5C094FB01
5C094JA20
(57)【要約】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用され、繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性、作業性及び回復性に優れており、浮き上がり、剥離及び/又は気泡の発生なども誘発されない信頼性に優れた粘着剤を提供しうる。本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着フィルムまたは光学フィルム及びフォルダブルデバイスやローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスを提供しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性ポリマーを含み、
-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下であり、
下記式1による貯蔵弾性率の変化率ΔG1'の絶対値が1,700以下である、粘着剤。
[式1]
△G1'=(G'
25-G'
-20)/45
前記式1において、G'
25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'
-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項2】
前記-20℃での貯蔵弾性率が70,000Pa以上である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項3】
前記25℃での貯蔵弾性率が10,000Pa以上である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項4】
下記式2による貯蔵弾性率の変化率ΔG2'の絶対値が1,100以下である、請求項1に記載の粘着剤。
[式2]
△G2'=(G'
60-G'
-20)/80
前記式2において、G'
60は、60℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'
-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項5】
60℃での貯蔵弾性率が10,000Pa以上である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項6】
下記式3による貯蔵弾性率の変化率ΔG3'の絶対値が600以下である、請求項1に記載の粘着剤。
[式3]
△G3'=(G'
60-G'
25)/35
前記式3において、G'
60は、60℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'
25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項7】
下記式4のTMが400μm・MPa
-1以上である、請求項1に記載の粘着剤。
[式4]
TM=D/G'
-20
前記式4において、Dは、前記粘着剤の厚さであり、G'
-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項8】
前記粘着性ポリマーは、ガラス転移温度及び溶融温度を同時に示すアクリル共重合体である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項9】
前記アクリル共重合体のガラス転移温度が-30℃以下であり、溶融温度が-10℃以下である、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項10】
前記アクリル共重合体の溶融温度及びガラス転移温度の差(Tm-Tg)が15℃以上である、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項11】
前記アクリル共重合体が、アルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含む、請求項8に記載の粘着剤。
【化1】
前記化1において、R
1は、水素またはアルキル基を表し、R
2は、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【請求項12】
前記アルキル(メタ)アクリレート単位が、炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有し、極性官能基含有単位がヒドロキシ基含有モノマー単位である、請求項11に記載の粘着剤。
【請求項13】
前記アクリル共重合体が、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を10~60重量%で含む、請求項11に記載の粘着剤。
【請求項14】
前記アクリル共重合体が、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して80~600重量部の前記化1の単位を含む、請求項11に記載の粘着剤。
【請求項15】
前記アクリル共重合体が、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して10~200重量部の極性官能基含有単位を含む、請求項11に記載の粘着剤。
【請求項16】
前記粘着性ポリマーが、下記化2のモノマー単位を含まないか、または前記粘着性ポリマーの全重量を基準として下記化2のモノマー単位を0.1重量%以下の割合で含む、請求項1に記載の粘着剤。
【化2】
前記化2において、R
1は、水素またはアルキル基を表し、R
3は、芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基である。
【請求項17】
ラジカル架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項18】
無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物の硬化物である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項19】
基材フィルム、及び前記基材フィルムの片面または両面に形成された請求項1~18のいずれか一項に記載の粘着剤を含む、粘着フィルム。
【請求項20】
1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの片面または両面に存在する請求項1~18のいずれか一項に記載の粘着剤を含む、フレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月25日付韓国特許出願第10-2021-0164029号に基づく優先権の利益を主張し、当該特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、粘着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル(Flexible)デバイスは、新しい概念のデバイスであり、その例としては、いわゆるフォルダブル(Foldable)またはローラブル(Rollable)デバイスなどが含まれる。
【0004】
フレキシブルデバイスに適用される粘着剤は、繰り返し折り畳まれた後に広げられるか、または巻き付けられた後に開かれる。したがって、フレキシブルデバイスに適用される粘着剤は、前記繰り返される変形に効果的に追従し、変形時に加えられる力がなくなると、再び元の形状に回復できることが求められる。
【0005】
通常、粘着剤の弾性率、特に低温での弾性率が低いほど、前記繰り返し変形に効果的に追従することが知られている。
【0006】
しかし、粘着剤層の弾性率が低すぎると、変形のために加えられた力がなくなったときに回復する特性が低下し、裁断性と作業性が低下し、デバイスに適用時に信頼性を確保しにくいという問題がある。
【0007】
したがって、裁断性、作業性、信頼性及び回復性などを満たしながら、繰り返し変形に効果的に追従する粘着剤を得ることは容易ではない。
【0008】
フレキシブルデバイスの設計によっては、前記粘着剤として、従来よりも厚い、いわゆる厚膜粘着剤が要求されることがある。しかし、粘着剤を厚く形成しながら、前記フレキシブルデバイスに要求される物性を満たすことは、容易ではない課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、粘着剤及びその用途に関する。本出願は、フォルダブルデバイスに適した粘着剤を提供することを一つの目的とする。一例において、本出願は、フォルダブルデバイスに適した弾性特性と同時に裁断性、作業性、回復性及び信頼性をも確保する粘着剤を提供することを一つの目的とする。
【0010】
本出願では、さらに、粘着剤が相対的に厚く形成される場合にも前記物性を満たすことができる粘着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。
【0012】
本明細書において用語の常温とは、特に加温及び減温していない状態での温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれかの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、また約27℃以下の温度を意味しうる。また、特に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は、℃である。
【0013】
本明細書で言及する物性のうち、測定圧力が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常圧で測定した物性である。
【0014】
本明細書において用語の常圧とは、特に加圧及び減圧されていない状態での圧力であって、通常、大気圧レベルである約700mmHg~800mmHg程度の圧力を意味する。
【0015】
本明細書で言及する物性のうち、測定湿度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、前記常温及び常圧状態での自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0016】
本出願は、粘着剤に関する。本出願の粘着剤は、粘着性ポリマーを含んでもよい。
【0017】
粘着性ポリマーとしては、業界で粘着剤を形成しうることが知られているポリマーを使用してもよい。前記粘着性は、公知のように水、溶剤または熱などを使用せずに、常温で圧力を加えることで接着が可能であり、剥離できる特性を意味する。
【0018】
一例において、前記粘着性ポリマーは、アクリル共重合体であってもよい。
【0019】
本明細書で使用される用語の共重合体とは、モノマー混合物の重合反応の結果物を意味する。
【0020】
本明細書において、用語のモノマー単位とは、前記重合反応後のモノマーの状態を意味する。
【0021】
本明細書において用語のアクリル共重合体は、アクリルモノマー単位を主成分として含む共重合体である。本明細書において、ある成分が主成分として含まれるということは、前記成分の含量が一定レベル以上であることを意味する。例えば、前記アクリル共重合体において前記アクリルモノマー単位が主成分である場合にその割合の下限は、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%または95重量%程度であってもよく、その上限は、100重量%程度であってもよい。前記含量は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0022】
本明細書において用語のアクリルモノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
【0023】
本明細書において用語の(メタ)アクリルは、アクリルやメタクリルまたはその混合を意味する。
【0024】
本出願の粘着剤において、前記粘着性ポリマーが架橋性の場合、粘着剤内で前記ポリマーは、架橋後の状態であってもよい。このような粘着剤は、例えば、前記粘着性ポリマーを含む粘着剤組成物を架橋させて形成しうる。
【0025】
粘着剤は、前記粘着性ポリマーを主成分で含んでもよい。例えば、前記粘着剤組成物内で前記粘着性ポリマーの割合の下限は、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%または99重量%程度であってもよく、その上限は、例えば100重量%程度であってもよい。前記含量は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0026】
本出願の粘着剤は、低温で低い貯蔵弾性率を示すことができる。
【0027】
例えば、前記粘着剤の-20℃における貯蔵弾性率の上限は、100,000Pa、98,000Pa、96,000Pa、94,000Pa、92,000Pa、90,000Pa、88,000Pa、86,000Paまたは85,000Pa程度であってもよく、その下限は、70,000Pa、72,000Pa、74,000Pa、76,000Pa、78,000Pa、80,000Pa、82,000Pa、84,000Pa、86,000Pa、88,000Pa、90,000Pa、92,000Paまたは94,000Pa程度であってもよい。前記貯蔵弾性率は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。
【0028】
粘着剤の低温での貯蔵弾性率が低いほど、繰り返される変形に追従する性質は優れているが、低すぎる貯蔵弾性率は、粘着剤の裁断性、作業性、回復性及び信頼性などにおいて不利である。したがって、前記貯蔵弾性率は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。粘着剤が-20℃での前記範囲の貯蔵弾性率を示すことによりフレキシブルデバイスに適用され、繰り返される変形と回復に効果的に対応でき、作業性、裁断性、回復性及び信頼性も適切に確保しうる。
【0029】
本出願の粘着剤は、低温で前記のように相対的に低い貯蔵弾性率を示し、同時に相対的に高温では、一定レベル以上の貯蔵弾性率を示すことができる。粘着剤の貯蔵弾性率は、温度に依存する関数であり、通常、温度が上昇すると貯蔵弾性率は低下する。したがって、粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、通常、低温での貯蔵弾性率に比べて低い。しかし、粘着剤が低温で貯蔵弾性率が低い場合に高温での貯蔵弾性率も相対的に低下するため、低温で貯蔵弾性率が低い粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、低温で貯蔵弾性率が高い粘着剤の高温での貯蔵弾性率に比べて低い。
【0030】
しかし、本出願では、前記低温で低い貯蔵弾性率とともに、高温で相対的に高い貯蔵弾性率を示すことができる。すなわち、本出願の粘着剤は、温度による貯蔵弾性率のグラフにおいて相対的に緩やかな傾きを示すことができる。
【0031】
例えば、本出願の粘着剤は、下記式1による変化率ΔG1'の絶対値が所定範囲内であってもよい。
【0032】
[式1]
△G1'=(G'25-G'-20)/45
【0033】
式1において、G'25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。
【0034】
前記変化率△G1'の上限は、1,700、1,650、1,600、1,550、1,500、1,450、1,400または1,370程度であってもよく、その下限は、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500または1,600程度であってもよい。前記ΔG1'は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0035】
このような変化率を示す粘着剤は、フォルダブルデバイスで繰り返される変形と回復に効果的に追従し、作業性、裁断性、回復性及び信頼性も優秀に維持しうる。前述したように低温で弾性率の低い粘着剤は、高温でも相対的に低い弾性率を示すため、前記変化率を満たすことは、容易ではない課題である。本出願では、前記粘着性ポリマーとして、後述する所定のアクリル共重合体を適用することにより、前記のような変化率を満たすことができる。
【0036】
式1の△G1'は、負数であってもよい。
【0037】
前記粘着剤の25℃での貯蔵弾性率も所定範囲内であってもよい。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。例えば、前記25℃での貯蔵弾性率の下限は、10,000Pa、12,000Pa、14,000Pa、16,000Pa、18,000Pa、20,000Pa、22,000Pa、24,000Pa、26,000Pa、28,000または30,000Pa程度であってもよく、その上限は、約100,000Pa、98,000Pa、96,000Pa、94,000Pa、92,000Pa、90,000Pa、88,000Pa、86,000Pa、84,000Pa、82,000Pa、80,000Pa、78,000Pa、76,000Pa、74,000Pa、72,000Pa、70,000Pa、68,000Pa、66,000Pa、64,000Pa、62,000Pa、60,000Pa、58,000Pa、56,000Pa、54,000Pa、52,000Pa、50,000Pa、48,000Pa、46,000Pa、44,000Pa、42,000Pa、40,000Pa、38,000Pa、36,000Pa、34,000Pa、32,000Pa、30,000Pa、28,000Pa、26,000Paまたは24,000Pa程度であってもよい。前記貯蔵弾性率は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0038】
前記粘着剤は、下記式2による変化率ΔG2'の絶対値が所定範囲内であってもよい。
【0039】
[式2]
△G2'=(G'60-G'-20)/80
【0040】
式1において、G'60は、60℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。
【0041】
前記変化率△G2'の上限は、2,000、1,500、1,000、950、900または870程度であってもよく、その下限は、400、500、600、700、800、850、900または950程度であってもよい。前記ΔG2'は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以上または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0042】
このような変化率を示す粘着剤は、フォルダブルデバイスで繰り返される変形と回復に効果的に追従し、作業性、裁断性、回復性及び信頼性も優秀に維持しうる。
【0043】
式2のΔG2'は、負数であってもよい。
【0044】
前記粘着剤の60℃での貯蔵弾性率が所定範囲内であってもよい。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。前記60℃での貯蔵弾性率の下限は、5,000Pa、10,000Pa、12,000Pa、14,000Pa、16,000Pa、18,000Pa、20,000Paまたは22,000Pa程度であってもよく、その上限は、100,000Pa、98,000Pa、96,000Pa、94,000Pa、92,000Pa、90,000Pa、88,000Pa、86,000Pa、84,000Pa、82,000Pa、80,000Pa、78,000Pa、76,000Pa、74,000Pa、72,000Pa、70,000Pa、68,000Pa、66,000Pa、64,000Pa、62,000Pa、60,000Pa、58,000Pa、56,000Pa、54,000Pa、52,000Pa、50,000Pa、48,000Pa、46,000Pa、44,000Pa、42,000Pa、40,000Pa、38,000Pa、36,000Pa、34,000Pa、32,000Pa、30,000Pa、28,000Pa、26,000Pa、24,000Pa、22,000Pa、20,000Pa、18,000Paまたは16,000Pa程度であってもよい。前記貯蔵弾性率は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0045】
本出願の粘着剤は、下記式3による変化率ΔG3'の絶対値が所定範囲内であってもよい。
【0046】
[式3]
△G3'=(G'60-G'25)/35
【0047】
式3において、G'60は、60℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、G'25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。前記貯蔵弾性率は、本明細書の実施例に記載の貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)によって測定した値である。
【0048】
前記変化率△G3'の上限は、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300または250程度であってもよく、その下限は、50、100、150または200程度であってもよい。前記ΔG3'は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0049】
このような変化率を示す粘着剤は、フォルダブルデバイスで繰り返される変形と回復に効果的に追従し、作業性、裁断性、回復性及び信頼性も優秀に維持しうる。
【0050】
式3のΔG3'は、負数であってもよい。
【0051】
前記のような特性を有するように粘着剤を設計する場合に所望の特性、すなわち、フレキシブルデバイスで要求される特性が確保されながらも、作業性、裁断性、回復性及び信頼性に優れた粘着剤を提供しうる。
【0052】
特に、前記物性を満たすことによって粘着剤が相対的に厚く形成される場合でも、前記フレキシブルデバイスで要求される特性、作業性、裁断性、回復性及び信頼性にも優れた粘着剤を提供しうる。
【0053】
例えば、前記粘着剤は、下記式4によるTMが所定の範囲となるように形成されてもよい。
【0054】
[式4]
TM=D/G'-20
【0055】
式4において、Dは、前記粘着剤の厚さ(単位:400μm)であり、G'-20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率(単位:MPa)である。
【0056】
例えば、前記粘着剤は、前記式4によるTMの下限が400μm・MPa-1、450μm・MPa-1、500μm・MPa-1、550μm・MPa-1、600μm・MPa-1、650μm・MPa-1、700μm・MPa-1、750μm・MPa-1、800μm・MPa-1、850μm・MPa-1、900μm・MPa-1、950μm・MPa-1、1,000μm・MPa-1または1,050μm・MPa-1程度であってもよく、その上限は、2,000μm・MPa-1、1,800μm・MPa-1、1,600μm・MPa-1、1,400μm・MPa-1、1,200μm・MPa-1または1,100μm・MPa-1程度であってもよい。前記TMは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0057】
本出願では、前記のような粘着剤を形成するために、前記粘着性ポリマーとして、特定のアクリル共重合体を適用する。
【0058】
例えば、前記アクリル共重合体として、結晶性を示すアクリル共重合体を適用してもよい。本出願においてアクリル共重合体が結晶性を示すということは、本明細書の実施例に記載のDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法において融点(Tm,melting point)が確認されることを意味する。本明細書において融点と溶融温度は、同じ意味である。
【0059】
アクリル共重合体は一般的に非結晶性共重合体である。本出願では、前記アクリル共重合体のモノマー単位の制御を通じて前記共重合体に結晶性を付与する。
【0060】
特に、本出願では、前記アクリル共重合体として、ガラス転移温度(Tg,glass transition temperature)及び融点を同時に有する共重合体を使用してもよく、これにより所望の粘着剤を効果的に形成しうる。前記においてガラス転移温度と融点を同時に有するということは、前記DSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法においてガラス転移温度と融点が同時に確認されることを意味する。
【0061】
所望の特性を確保するために、前記融点とガラス転移温度が調節されてもよい。
【0062】
例えば、前記アクリル共重合体のガラス転移温度の上限は、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃または-60℃程度であってよく、その下限は、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃または-60℃程度であってもよい。前記ガラス転移温度は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0063】
前記アクリル共重合体の融点の下限は、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃または-40℃程度であってもよく、その上限は、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃または-40℃程度であってもよい。前記融点は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0064】
前記アクリル共重合体の融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)の差が所定範囲内であってもよい。前記差は、前記融点(Tm)から前記ガラス転移温度(Tg)を引いた値(Tm-Tg)である。前記差(Tm-Tg)の下限は、例えば、5℃、7℃、9℃、10℃、11℃、13℃、15℃、17℃、19℃、20℃、22℃、25℃、27℃、30℃、32℃、35℃、37℃または40℃程度であってもよく、その上限は、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃または20℃程度であってもよい。前記差(Tm-Tg)は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0065】
このような特性を示すアクリル共重合体の適用を通じて所望の特性を効率的に確保しうる。
【0066】
前記アクリル共重合体は、少なくともアルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含んでもよい。
【0067】
また、単位は、モノマー単位を意味する。
【0068】
【0069】
化1において、R1は、水素またはアルキル基を表し、R2は、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【0070】
前記モノマー単位を含むアクリル共重合体は、所望の粘着剤を形成するのに効果的である。
【0071】
前記アクリル共重合体は、前記化1の単位及び/又は極性官能基含有単位の所定割合下で前述した結晶性共重合体から形成されるか、またはそれに類似した性質を有する共重合体から形成されてもよい。
【0072】
例えば、前記化1の単位が所定の割合で存在する場合、そして、場合に応じて前記化1の単位が所定の割合で存在する極性官能基と相互作用する場合、このような共重合体は結晶性を示すか、または少なくとも結晶性に類似した性質を示すことができる。このように結晶性を有するか、または結晶性に類似した性質を示す共重合体が適用される場合、前述した特性の粘着剤を効率的に形成しうる。したがって、このような共重合体が適用された粘着剤を通じて前述した弾性率の特性を示す粘着剤を効果的に形成しうる。
【0073】
共重合体に含まれるアルキル(メタ)アクリレート単位としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を使用してもよい。前記アルキル基は、他の例において炭素数2~20、炭素数3~10、炭素数4~10、炭素数4~10、炭素数4~9または炭素数4~8のアルキル基であってもよい。前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例において、前記アルキル基として直鎖または分岐鎖であり、また非置換されたアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用して前記単位を形成しうる。
【0074】
前記アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートまたはイソオクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0075】
前記アクリル共重合体において前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合の下限は、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%または40重量%程度であってよく、その上限は、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%または20重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲であってもよい。このような範囲内で所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0076】
前記極性官能基含有単位は、極性官能基を有するモノマーによって形成された単位である。このようなモノマーは、通常、重合性基(ex.炭素炭素二重結合)及び極性官能基を同時に含む。
【0077】
極性官能基を有するモノマーとしては、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー及び窒素含有モノマーなどが挙げられ、本出願では、特にヒドロキシ基含有モノマーを適用することが有利であるが、これに制限されるものではない。
【0078】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、カルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などが挙げられ、窒素含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。前記のうち1種または2種以上の混合が使用されてもよい。
【0079】
一例において前記極性官能基含有単位としては、ヒドロキシ含有モノマー単位が適用されてもよく、具体的には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位が適用されてもよく、このとき、前記ヒドロキシアルキル部位のアルキルの炭素数が1~20、1~16、1~12、1~8、1~4または2~4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位が適用されてもよい。前記ヒドロキシアルキル部位のアルキルは、直鎖または分岐鎖であってもよい。
【0080】
前記極性官能基含有単位の前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して割合の下限は、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部または100重量部程度であってもよく、その上限は、200重量部、195重量部、190重量部、185重量部、180重量部、175重量部、170重量部、165重量部、160重量部、155重量部、150重量部、145重量部、140重量部、135重量部、130重量部、125重量部、120重量部、115重量部、110重量部、105重量部、100重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部または55重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0081】
化1の単位は、長鎖のアルキル基を含む単位であり、このような単位は一定割合以上共重合体に含まれ、場合に応じて極性官能基と相互作用して共重合体に結晶性または結晶性に類似した性質を付与しうる。
【0082】
化1の単位においてR1は、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0083】
化1においてR2は、炭素数11~13のアルキル基であり、このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例において、前記R2は、直鎖であり、非置換されたアルキル基であってもよい。例えば、ラウリル(メタ)アクリレート及び/又はテトラデシル(メタ)アクリレートなどを使用して化1の単位を形成しうる。
【0084】
化1の単位は前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して重量割合の下限は、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部、100重量部、105重量部、110重量部、115重量部、120重量部、125重量部、130重量部、135重量部、140重量部、145重量部、150重量部、155重量部、160重量部、175重量部、180重量部、185重量部、190重量部、195重量部、200重量部、205重量部、210重量部、215重量部、220重量部、225重量部、230重量部、235重量部、240重量部、245重量部、250重量部、255重量部、260重量部、275重量部、280重量部、285重量部、290重量部、295重量部または300重量部程度であってよく、その上限は、600重量部、595重量部、590重量部、585重量部、580重量部、575重量部、570重量部、565重量部、560重量部、555重量部、550重量部、545重量部、540重量部、535重量部、530重量部、525重量部、520重量部、515重量部、510重量部、505重量部、500重量部、495重量部、490重量部、485重量部、480重量部、475重量部、470重量部、465重量部、460重量部、455重量部、450重量部、445重量部、440重量部、435重量部、430重量部、425重量部、420重量部、415重量部、410重量部、405重量部、400重量部、395重量部、390重量部、385重量部、380重量部、375重量部、370重量部、365重量部、360重量部、355重量部、350重量部、345重量部、340重量部、335重量部、330重量部、325重量部、320重量部、315重量部、310重量部、305重量部、300重量部、295重量部、290重量部、285重量部、280重量部、275重量部、270重量部、265重量部、260重量部、255重量部、250重量部、245重量部、240重量部、235重量部、230重量部、225重量部、220重量部、215重量部、210重量部、205重量部、200重量部、195重量部、190重量部、185重量部、180重量部、175重量部、170重量部、165重量部、160重量部、155重量部、150重量部、145重量部、140重量部、135重量部、130重量部、125重量部、120重量部、115重量部、110重量部、105重量部または100重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。
【0085】
前記アクリル共重合体が前述したガラス転移温度と融点を同時に示すようにするために、モノマー単位の割合が調節されてもよい。
【0086】
すなわち、前述した3種のモノマー単位を所定割合で含むアクリル共重合体は結晶性を有するか、または結晶性に類似した性質を示しやすいが、前述した融点とガラス転移温度を同時に有するようにするために、アクリル共重合体の組成がさらに調節されてもよい。
【0087】
例えば、アクリル共重合体が前述した結晶性を示すためには、前述した単位のうち、化1の単位が前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して少なくとも90重量部以上含まれる必要がある。結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の割合は、他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して95重量部以上、100重量部以上、105重量部以上、110重量部以上、115重量部以上、120重量部以上、125重量部以上、130重量部以上、135重量部以上、140重量部以上、145重量部以上、150重量部以上、155重量部以上、160重量部以上、175重量部以上、180重量部以上、185重量部以上、190重量部以上、195重量部以上、200重量部以上、205重量部以上、210重量部以上、215重量部以上、220重量部以上、225重量部以上、230重量部以上、235重量部以上、240重量部以上、245重量部以上、250重量部以上、255重量部以上、260重量部以上、275重量部以上、280重量部以上、285重量部以上、290重量部以上、295重量部以上または300重量部以上程度であるか、または500重量部以下、495重量部以下、490重量部以下、485重量部以下、480重量部以下、475重量部以下、470重量部以下、465重量部以下、460重量部以下、455重量部以下、450重量部以下、445重量部以下、440重量部以下、435重量部以下、430重量部以下、425重量部以下、420重量部以下、415重量部以下、410重量部以下、405重量部以下、400重量部以下、395重量部以下、390重量部以下、385重量部以下、380重量部以下、375重量部以下、370重量部以下、365重量部以下、360重量部以下、355重量部以下、350重量部以下、345重量部以下、340重量部以下、335重量部以下、330重量部以下、325重量部以下、320重量部以下、315重量部以下、310重量部以下、305重量部以下、300重量部以下、295重量部以下、290重量部以下、285重量部以下、280重量部以下、275重量部以下、270重量部以下、265重量部以下、260重量部以下、255重量部以下、250重量部以下、245重量部以下、240重量部以下、235重量部以下、230重量部以下、225重量部以下、220重量部以下、215重量部以下、210重量部以下、205重量部以下、200重量部以下、195重量部以下、190重量部以下、185重量部以下、180重量部以下、175重量部以下、170重量部以下、165重量部以下、160重量部以下、155重量部以下、150重量部以下、145重量部以下、140重量部以下、135重量部以下、130重量部以下、125重量部以下、120重量部以下、115重量部以下、110重量部以下、105重量部以下または100重量部以下程度であってもよい。
【0088】
結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の重量(A)と前記極性官能基含有単位の重量(B)の割合(A/B)が制御されてもよい。例えば、前記割合(A/B)の下限は、1、1.2、1.4、1.5、1.7、1.9、2.1、2.3、2.5、2.7または2.9程度であってもよく、その上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、または2程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満の範囲内であってもよい。また、結晶性アクリル共重合体において前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有単位であってもよい。一例において、炭素数3~6、炭素数3~5、炭素数3~4または炭素数4程度のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、前記結晶性アクリル共重合体を適切に形成しうる。その理由は明確ではないが、化1の単位のアルキル基(R2)と前記ヒドロキシアルキル基の相互作用がアクリル共重合体の結晶性の発現に寄与するものと考えられる。
【0089】
結晶性アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を約15~55重量%の範囲内の割合で含んでもよい。前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合は、他の例において、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上または40重量%以上であってもよく、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下または20重量%以下程度であってもよい。このような範囲内で所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0090】
前記割合で含まれる各モノマー単位の相互作用または規則性によってアクリル共重合体に結晶性が付与され、融点が確認されるものと考えられる。
【0091】
アクリル共重合体は、前述したモノマー単位にさらに目的を損なわない限り(例えば、共重合体の結晶性を損なわない限り)、他のモノマー単位を適宜含んでもよい。
【0092】
例えば、アクリル共重合体(粘着性ポリマー)は、下記化2のモノマー単位をさらに含んでもよい。下記化2のモノマー単位は、任意のモノマー単位であり、前記アクリル共重合体に含まれなくてもよい。
【0093】
【0094】
化2において、R1は、水素またはアルキル基を表し、R3は、芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基である。
【0095】
前記化2の単位は、側鎖に芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基を含む単位である。
【0096】
粘着剤内で前記芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基は、その状態で存在してもよく、後述する水素除去反応またはラジカル反応を経た後の状態で存在してもよい。
【0097】
化2の単位において芳香族ケトン基は、電磁波に晒されると、重合体鎖から水素除去(hydrogen abstraction)を誘導する芳香族ケトン基またはそのような芳香族ケトン基を含む置換基を意味する。
【0098】
電磁波に晒されると、前記芳香族ケトン基は、他の重合体鎖からまたは重合体鎖の他の部分から水素原子を除去しうる。このような除去はラジカルの形成を引き起こし、ラジカルは、重合体鎖の間に、または同一重合体鎖内に架橋結合を形成してもよい。このような芳香族ケトン基のカテゴリーには、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、またはアントロキノンの誘導体などの芳香族ケトン基が含まれる。
【0099】
芳香族ケトン基を有する化2の単位を誘導するモノマーとしては、4-ベンゾイルフェニル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン及び/又は4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノンなどがあるが、これに制限されるものではない。
【0100】
化2の単位において(メタ)アクリロイル基は、適切なラジカル開始剤の存在下で電磁波に晒されると、フリーラジカル重合を誘導する(メタ)アクリロイル基またはそれを含む置換基を意味する。このような(メタ)アクリロイル基は、電磁波の照射により前記芳香族ケトン基に類似した作用が可能である。
【0101】
前記R3が(メタ)アクリロイル基である化2の単位は、例えば、前駆体共重合体を製造し、次に不飽和試薬化合物とさらに反応させて(メタ)アクリロイル基を導入して形成してもよい。通常、前記(メタ)アクリロイル基の導入は、(1)前駆体共重合体上の求核性基と不飽和試薬化合物上の求電子性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求電子性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む。)との間の反応、または(2)前駆体共重合体上の求電子性基と不飽和試薬化合物上の求核性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求核性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む)との間の反応を伴う。求核性基と求電子性基との間のこれらの反応は、典型的には開環反応、付加反応または縮合反応である。
【0102】
この場合、前駆体共重合体は、ヒドロキシ、カルボン酸(-COOH)、または無水物(-O-(CO)-O-)基を有する。前駆体共重合体がヒドロキシ基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、カルボン酸(-COOH)、イソシアネート(-NCO)、エポキシ(すなわち、オキシラニル)または無水物基を有する。前駆体共重合体がカルボキシル基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、イソシアネート、アジリジニル、アゼチジニルまたはオキサゾリニル基を有する。前駆体(メタ)アクリレート共重合体が無水物基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えてヒドロキシまたはアミン基を有する。
【0103】
一例において、前駆体共重合体は、カルボキシル基を有し、不飽和試薬化合物は、エポキシ基を有してもよい。例示的な不飽和試薬化合物には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが含まれる。他の例において、前駆体共重合体は、無水物基を有し、これはヒドロキシ-置換されたアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの不飽和試薬化合物と反応する。さらに他の例において、前駆体共重合体は、ヒドロキシ基を有し、不飽和試薬化合物は、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する。このような不飽和試薬化合物にはイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0104】
前記(メタ)アクリロイル基は、一例において、化学式CH2=CHR1-(CO)-Q-L-(ここで、Lは、連結基であり、Qは、オキシ(-O-)または-NH-である)で表される。前記Lは、アルキレン、アリーレンまたはこれらの組み合わせを含み、(メタ)アクリロイル基を形成するように反応する、前駆体共重合体及び特定の不飽和試薬化合物によって選択的に-O-、-O-(CO)-、-NH-(CO)-、-NH-、またはこれらの組み合わせをさらに含む。一部の特定の例において、前記(メタ)アクリロイル基は、前駆体共重合体の化学式-(CO)-O-R5-OHで表されるヒドロキシ含有基と化学式H2C=CHR1-(CO)-O-R6-NCOで表されるイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートである不飽和試薬化合物との反応により形成されるH2C=CHR1-(CO)-O-R6-NH-(CO)-O-R5-O-(CO)-である。前記R5及びR6は、それぞれ独立してアルキレン基、例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキレンである。また、前記においてR1は、メチルまたは水素である。
【0105】
化2の単位においてR1は、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には、水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0106】
化2の単位は、含まれる場合に前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約0.001~5重量部の割合でアクリル共重合体に含まれてもよく、このような割合下で電磁波の照射により所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0107】
他の例において、前記アクリル共重合体は、前記化2の単位を含まないか、または相対的に少量で含まれてもよく、これは粘着剤を相対的に厚膜に形成するときに特に有利である。すなわち、粘着剤を厚く形成するために、従来の溶剤型粘着剤組成物の適用は適切ではなく、いわゆる無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物が適用される場合がある。このような粘着剤組成物は、通常、いわゆるラジカル反応型である。アクリル共重合体が前記化2の単位を一定含量以上含む場合、前記無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物の硬化のためにラジカルを発生させるときに、化2の単位に由来するラジカルにより粘着剤の全体的な架橋構造が変わり、これにより所望の物性(例えば、低温貯蔵弾性率など)の確保が困難になることがある。
【0108】
したがって、一例において、前記アクリル共重合体の全重量を基準とした前記化2の単位の割合の上限は、0.1重量%、0.09重量%、0.08重量%、0.07重量%、0.06重量%、0.05重量%、0.04重量%、0.03重量%、0.02重量%、0.01重量%、0.009重量%、0.008重量%、0.007重量%、0.006重量%、0.005重量%、0.004重量%、0.003重量%、0.002重量%または0.001重量%程度であってもよく、その下限は、0重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0109】
他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記化2の単位の割合の上限は、0.2重量部、0.15重量部、0.1重量部、0.05重量部、0.01重量部、0.005重量部、0.004重量部、0.003重量部、0.002重量部、0.001重量部、0.00095重量部または0.0009重量部程度であってよく、その下限は、0重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0110】
一方、前記無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物は、高分子量成分と低分子量成分の混合物(例えば、プレポリマーまたはポリマー(プレポリマーを含む)と希釈用モノマーの混合物)を主成分として含み、溶媒を実質的に含まないか、または溶媒の含量が制限されている粘着剤組成物を意味する。
【0111】
例えば、前記無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物において前記粘着剤組成物の全重量を基準とした溶媒(通常の有機溶媒または水性溶媒など)の含量の上限は、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、1重量%または0.5重量%程度であってもよく、その下限は、0重量%程度であってもよい。前記無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物において前記溶媒の含量は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0112】
前記アクリル共重合体としては、重量平均分子量が100万以上の共重合体を使用してもよい。本明細書において重量平均分子量とは、GPC(gel permeation chromatography)により測定されたポリスチレン換算値を意味する。
【0113】
前記共重合体の重量平均分子量の下限は、110万、120万、130万、140万又は150万程度であってもよく、その上限は、500万、400万、300万、250万、200万、190万、180万、170万、160万又は155万程度であってもよい。前記重量平均分子量は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0114】
前記粘着剤は、架橋剤をさらに含んでもよい。
【0115】
架橋剤の種類は特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物などの一般的な架橋剤を使用してもよい。このようなタイプの架橋剤は、熱の印加によって架橋構造を具現する、いわゆる熱架橋剤であり、後述するラジカル架橋剤とは異なるものである。前記イソシアネート系化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び前記のいずれかのポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物からなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、エポキシ系化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、アジリジン系化合物の具体例としては、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル-1-(2-メチルアジリジン)及びトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。また、前記金属キレート系化合物の具体例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/又はバナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0116】
粘着剤において前記架橋剤は、前記アクリル共重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部または0.01重量部~5重量部の量で含まれてもよい。前記範囲において粘着剤の凝集力と耐久性などを考慮して調節されてもよい。一例において、前記架橋剤の割合は、約0.02重量部以上、約0.03重量部以上、約0.04重量部以上、約0.05重量部以上、0.06重量部以上または約0.07重量部以上であってもよく、または約4重量部以下、約3重量部以下、約2重量部以下、約1重量部以下、約0.8重量部以下、約0.6重量部以下、約0.4重量部以下、約0.2重量部以下、約0.15重量部以下、約0.1重量部以下または約0.09重量部以下程度であってもよい。
【0117】
前記含量範囲において適切なレベルで前記アクリル共重合体を架橋させるように架橋剤の含量が選択されれば、所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0118】
粘着剤は、前記架橋剤として、前記熱架橋剤とは異なるタイプの架橋剤であり、いわゆるラジカル架橋剤を含んでもよい。このような架橋剤は、特に前記無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物において有用に使用される。このような架橋剤は、ラジカル反応によって架橋構造を具現する。所望の特性を効率的に達成するために、前記のようなラジカル架橋剤を適用することがより有利となり得る。このようなラジカル架橋剤としては、いわゆる多官能アクリレートが挙げられ、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalicl acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などの二官能性アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、三官能性ウレタン(メタ)アクリレート、またはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの三官能性アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能性アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能性アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネートモノマー及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの六官能性アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0119】
粘着剤層において前記ラジカル架橋剤も目的に応じて適正割合で存在してもよく、例えば、前記アクリル共重合体100重量部に対する前記ラジカル架橋剤の重量割合の下限は、0.001重量部、0.005重量部、0.01重量部、0.02重量部、0.03重量部、0.04重量部または0.05重量部程度であってよく、その上限は、10重量部、9.5重量部、9重量部、8.5重量部、8重量部、7.5重量部、7重量部、6.5重量部、6重量部、5.5重量部、5重量部、4.5重量部、4重量部、3.5重量部、3重量部、2.5重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部、0.9重量部、0.8重量部、0.7重量部、0.6重量部、0.5重量部、0.4重量部、0.3重量部、0.2重量部、0.1重量部、0.09重量部、0.08重量部、0.07重量部、0.06重量部または0.05重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0120】
粘着剤は、前記成分の他にも必要に応じて適正な添加成分を含んでもよく、例えば、ラジカル開始剤や紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤及び/又は架橋触媒などの成分をさらに含んでもよい。
【0121】
本出願の粘着剤は、前記のような成分を含む粘着剤組成物を架橋して形成してもよい。架橋により前記粘着剤層を形成する方法は特に制限されず、適用された粘着性ポリマー及び/又は架橋剤のタイプを考慮して適正な架橋方式を適用して前記粘着剤を形成してもよい。例えば、前記ポリマー及び/又は架橋剤が熱の印加により架橋されるタイプであれば、適切な熱を印加して架橋物を形成してもよく、電磁波の照射により架橋されるタイプであれば適切な電磁波を照射して架橋物を形成してもよく、その他の架橋方式も適用されてもよい。
【0122】
例えば、前記粘着剤は、前述した無溶剤型またはシロップ型粘着剤組成物の硬化物または架橋物であってもよい。
【0123】
このような粘着剤は、上述した弾性率特性を示すことができる。
【0124】
このような本出願の粘着剤は、層状であってもよい。このような場合、前記粘着剤層の厚さは特に制限されず、適用される用途を考慮して通常の粘着剤層の厚さを有してもよい。
【0125】
本出願の粘着剤は、特に厚膜で形成される場合でも、前述した必要物性を満たすことができる。
【0126】
例えば、前記粘着剤の厚みの下限は、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μmまたは100μm程度であってもよく、その上限は、1000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、150μmまたは100μm程度であってもよい。前記厚さは、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0127】
本出願は、さらに基材フィルム及び基材フィルムの片面または両面に形成された粘着剤を含む粘着フィルムまたは光学積層体に関する。光学積層体の場合、前記基材フィルムは、光学フィルムであってもよい。前記粘着剤は層状で含まれてもよい。
【0128】
本出願の粘着剤は、前記基材フィルムの片面または両面に形成されて粘着フィルムを形成するか、または光学フィルムである前記基材フィルムの片面または両面に形成されて光学積層体を形成してもよい。
【0129】
前記基材フィルムの種類は特に制限されるものではない。前記基材フィルムとしては、通常、粘着フィルムの形成に適用できる基材フィルムが適用されてもよい。
【0130】
例えば、基材フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム、PTFE(poly(tetrafluoroethylene))フィルム、PP(polypropylene)フィルム、PE(polyethylene)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、COP(cyclic olefin polymer)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム及び/又はポリイミドフィルムなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0131】
前記基材フィルムの厚さなどは特に制限されず、目的に適した範囲内で適正な厚さを有してもよい。
【0132】
基材フィルムとして光学フィルムが適用される場合、前記光学フィルムの種類にも特に制限はない。一例において、前記光学フィルムは、偏光フィルム、偏光板または位相差フィルムなどであってもよい。この場合にも前記光学フィルムは、目的に応じて適切な範囲の厚さを有してもよい。
【0133】
前記粘着フィルムや光学積層体は、さらに必要に応じて前記粘着剤層を使用する前まで保護するための離型フィルムまたは保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0134】
本出願は、さらに前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体を含むフレキシブルデバイスに関する。前記粘着剤は、層状で含まれてもよい。前記デバイスにおいて前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態には、特に制限はない。例えば、前記粘着剤は、前記デバイスにおいて、いわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Resin)の用途として使用されてもよく、したがって、前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態は、通常のOCAまたはOCRの適用形態と同じであってもよい。
【0135】
この場合、一例において、前記フレキシブルデバイスは、ディスプレイパネル及び前記ディスプレイパネルの片面または両面に存在する前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体を含んでもよい。この場合、前記ディスプレイパネルは、1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されてもよい。
【0136】
前記のようなフレキシブルデバイスを構成する他の要素は特に制限はなく、公知のフレキシブルデバイスの構成要素を制限なく採用してもよい。
【発明の効果】
【0137】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用され、繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性、作業性及び回復性に優れており、浮き上がり、剥離及び/又は気泡の発生なども誘発されない信頼性に優れた粘着剤を提供しうる。本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着フィルムまたは光学フィルム及びフォルダブルデバイスやローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスを提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】フォールディングテストが行われる過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0140】
1.貯蔵弾性率の測定方法(temperature sweep)
貯蔵弾性率は、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA社)を使用して評価した。厚さが約0.8mm程度の粘着剤層を直径が約8mm程度の円状に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層は、厚さが約25μm程度の粘着剤層を前記0.8mm程度の厚さとなるように重ねて製造した。直径が約8mmのパラレルプレートフィクスチャ(parallel plate fixture)を使用して前記試片について測定温度での貯蔵弾性率を評価した。前記評価時に評価条件は、周波数1Hz及びひずみ(strain)0.5%とした。測定温度を-60℃から90℃まで約10℃/分の昇温速度で昇温しながら温度別貯蔵弾性率を確認した。
【0141】
2.貯蔵弾性率の測定方法(Frequency sweep)
貯蔵弾性率は、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA社)を使用して評価した。厚さが約0.8mm程度の粘着剤層を直径が約8mm程度の円状に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層は、厚さが約25μm程度の粘着剤層を前記0.8mm程度の厚さとなるように重ねて製造した。直径が約8mmのパラレルプレートフィクスチャ(parallel plate fixture)を使用して前記試片について貯蔵弾性率を評価した。前記評価時に評価条件は、周波数範囲を0.1rad/sec~100rad/secとし、ひずみ(strain)5.0%とした。測定温度は、30℃である。
【0142】
3.融点及びガラス転移温度の評価
融点及びガラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)装備を使用した測定方法によって測定した。装備としてはDSC2500装備(TA社)を使用した。試料(共重合体)約10mgを専用パン(pan)に充填し、昇温条件を10℃/分、冷却条件は、-10℃/分としてN2雰囲気で吸熱及び発熱量を温度に応じて確認し、融点及びガラス転移温度を測定した。
【0143】
測定温度の範囲は、-120℃~200℃であった。その条件は、まず常温(約30℃)から-120℃まで約-10℃/分の速度で冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(一次加熱)。その後、再び約-10℃/分の速度で-120℃まで冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(二次加熱)。
【0144】
融点とガラス転移温度は、前記二次加熱時に評価した。
【0145】
4.重量平均分子量の評価
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して測定し、測定条件は、以下の通りである。重量平均分子量の測定時に検量線の作製には標準ポリスチレン(Aglient system(製))を使用して測定結果を換算した。
【0146】
<GPC測定条件>
測定機:Aglient GPC(Aglient 1200 series,U.S.)
カラム:PL Mixed B 2個連結
カラム温度:40℃
溶離液:THF(Tetrahydrofuran)
流速:1.0μL/分
濃度:~1mg/mL(100μl injection)
【0147】
5.フォールディングテスト
フォールディングテストは、両面にハードコート処理が行われたPIフィルム(polyimide film,厚さ約50μm)、実施例などで製造された粘着剤層及び厚さが約50μm程度のITO(Indium Tin Oxide)フィルム(ITO層/PETフィルム積層構造)を順次積層して製造された積層体を横が2.54cm程度で、縦が20cm程度の長方形に裁断した試料について行った。
【0148】
図1に示すように、前記試片を5mm間隔の平行板の間に挟んで折り畳むフォールディングを-20℃で繰り返し、サンプルを回収した後にサンプルでの気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生及びハードコート層のクラックの発生などの不良を目視で観察した。
【0149】
評価基準は、以下の通りである。
【0150】
<評価基準>
○:フォールディング10万回まで気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生及びハードコート層のクラックの発生がない
△:フォールディング5万回まで気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生及びハードコート層のクラックの発生がない
×:フォールディング5万回で気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生及びハードコート層のクラックの発生のうち1つ以上が発生
【0151】
6.信頼性評価
信頼性評価は、粘着剤層の両面に約1.1mm厚さのソーダライムガラス(エイチガラス社、80mm×140mm)と約0.55mm厚さのソーダライムガラス(エイチガラス社、80mm×140mm)を積層したサンプルについて行った。
【0152】
評価対象粘着剤は、約70mm×130mmの大きさに裁断して適用した。前記サンプルを-40℃の信頼性チャンバーに投入し、500時間保持した後、回収したサンプルで気泡の発生及び光学特性の変化を観察した。
【0153】
評価基準は、以下の通りである。
【0154】
<評価基準>
○:気泡の発生がなく、ヘイズ変化が0.5%以下であり、CIE色座標のb*値の変化が1以下
×:気泡の発生、ヘイズ変化率0.5%超過及びCIE色座標のb*値の変化1超過のうち1つ以上が発生
【0155】
製造例1.共重合体(A)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、ラウリルアクリレート(LA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を4:4:2の重量比(2-EHA:LA:HBA)で50mL vialに投入し(総量:約40g)、窒素(N2)パージした。
【0156】
光ラジカル開始剤(Irgacure 184)を約500ppm程度の濃度でさらに投入し、メタルハライドランプ(metal halide lamp)でUV A基準0.8J/cm2程度の光量で光を20秒照射して共重合体(A)を製造した。前記共重合体(A)は、部分重合されたプレポリマー形態であり、重量平均分子量は、約150万程度である。
【0157】
製造例2~9.共重合体の製造
適用されたモノマーの重量比を下記表1に示すようにしたことを除いては、製造例1と同様に部分重合したプレポリマー形態の共重合体を製造した。下記表1において、各モノマーに対する数値は、重量比を意味する。
【0158】
【0159】
前記製造例の各共重合体について測定した融点及びガラス転移温度は、下記表2の通りである。下記表2においてガラス転移温度や融点が観察されなかった場合は、当該数値を記載しなかった。
【0160】
【0161】
実施例1.
製造例1の共重合体(プレポリマー)(A)100重量部に対して約0.05重量部の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを硬化剤として投入し、前記共重合体(プレポリマー)(A)100重量部に対して約3重量部の光ラジカル開始剤(Irgacure 651)を投入し、配合して粘着剤組成物を製造した。前記粘着剤組成物を離型PETフィルムの離型表面上に塗布し、ブラックライトを約3分間UV露光硬化器を用いて照射して厚さが約100μm程度の粘着剤層を形成した(光量:UV A基準0.8J/cm2)。
【0162】
実施例2.
製造例2の共重合体(プレポリマー)(B)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0163】
実施例3.
製造例3の共重合体(プレポリマー)(C)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0164】
比較例1.
製造例4の共重合体(プレポリマー)(D)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0165】
比較例2.
製造例5の共重合体(プレポリマー)(E)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0166】
比較例3.
製造例6の共重合体(プレポリマー)(F)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0167】
比較例4.
製造例7の共重合体(プレポリマー)(G)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0168】
比較例5.
製造例8の共重合体(プレポリマー)(H)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0169】
比較例6.
製造例9の共重合体(プレポリマー)(I)を適用したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤層を形成した。
【0170】
前記実施例及び比較例の粘着剤層について評価した貯蔵弾性率、フォールディングテスト結果及び信頼性テストの結果は、下記表3にまとめた。
【0171】
【国際調査報告】