(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】多価不飽和脂肪酸の効率的な精製のためのクロマトグラフィー分離プロセス
(51)【国際特許分類】
G01N 30/88 20060101AFI20241206BHJP
B01J 20/24 20060101ALI20241206BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20241206BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20241206BHJP
B01D 15/02 20060101ALI20241206BHJP
B01D 15/40 20060101ALI20241206BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20241206BHJP
B01J 20/287 20060101ALI20241206BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20241206BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G01N30/88 C
B01J20/24 B
B01J20/28 Z
B01D15/00 101A
B01D15/02 101
B01D15/40
G01N30/26 A
B01J20/287
B01J20/281 Y
B01J20/281 G
B01J20/281 X
G01N30/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535721
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022086458
(87)【国際公開番号】W WO2023111317
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サ ゴメス,ペドロ
(72)【発明者】
【氏名】モリソン,アンガス
(72)【発明者】
【氏名】ビリング,ヨハン フレードリク
(72)【発明者】
【氏名】マッカーサー,イシーバル
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017BA04
4D017CA05
4D017CB01
4D017DA02
4D017DA03
4D017DA06
4D017EA05
4G066AA22C
4G066AB01B
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA25
4G066BA26
4G066BA36
4G066CA56
4G066DA07
4G066EA01
4G066FA37
(57)【要約】
本発明は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物及びその誘導体の精製のための改善されたクロマトグラフィー分離プロセスに関する。特に、本発明は、原料混合物からPUFA又はその誘導体を精製するための吸着剤相として、特定の物理的特性を有するシリカを用いる、特に効率的なクロマトグラフィー分離プロセスに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)C18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に前記原料混合物を導入し、それにより前記原料混合物の精製をもたらすことを含み、前記1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満であり、さらに、
(1)前記シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
(2)前記シリカは、15~24重量%の炭素充填量を有し;及び/又は
(3)前記シリカは、500m
2/g以下の表面積を有する、クロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項2】
前記シリカは、15~24重量%の炭素充填量を有し、及び
- 前記シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
- 前記シリカは、500m
2/g以下の表面積を有する、請求項1に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項3】
前記シリカは、230~270μm、好ましくは240~260μmの平均粒径を有する、請求項1又は2に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項4】
前記シリカは、160μm以上のDv(10)及び/又は225μm以下のDv(10)を有し、好ましくは、前記シリカは、165μm以上のDv(10)及び/又は215μm以下のDv(10)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項5】
前記シリカは、230~270μmの平均粒径及び160~225μmのDv(10)を有し、好ましくは、前記シリカは、240~260μmの平均粒径及び165~215μmのDv(10)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項6】
前記シリカは、15~24重量%の炭素充填量を有する、請求項1又は3~5のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項7】
前記シリカは、16~22重量%の炭素充填量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項8】
前記シリカは、500m
2/g以下の表面積及び/又は200m
2/g以上の表面積を有し、好ましくは、前記シリカは、450m
2/g以下の表面積及び/又は250m
2/g以上の表面積を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項9】
前記シリカは、
(a)170μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
(b)250~260μmの平均粒径を有し;及び/又は
(c)17~18.5重量%の炭素充填量を有し;及び/又は
(d)80~140Åの細孔径を有し;及び/又は
(e)0.7kg/dm
3以下のかさ密度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項10】
体積基準でシリカ粒子の少なくとも80%は、200~500μmの直径を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項11】
前記水性有機溶媒は、水及びアルコール、エーテル、エステル、ケトン又はニトリルの混合物であり、好ましくは、前記水性有機溶媒は、水及びメタノールの混合物又は水及びアセトニトリルの混合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項12】
前記1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の前記圧力は、10バール未満、好ましくは6バール未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項13】
前記クロマトグラフィー装置は、実移動床又は擬似移動床(SMB)クロマトグラフィー装置である、請求項1~12のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項14】
前記原料混合物は、(i)少なくとも1つのPUFA生成物を含む天然又は合成原料材、好ましくは魚油原料材、植物油原料材又は微生物若しくは真菌に由来する原料材、或いは(ii)天然又は合成原料材の部分的精製から得られた少なくとも1つのPUFA生成物を含む、部分的に精製された原料材であり、
前記部分的に精製された原料材は、任意選択的に、結晶化、分子蒸留又は分別蒸留、尿素分別、硝酸銀又は他の金属塩溶液による抽出、ヨードラクトン化、超臨界流体分別或いはクロマトグラフィー、好ましくは固定床クロマトグラフィー又は擬似若しくは実移動床クロマトグラフィーによって得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項15】
(a)前記原料混合物を前記クロマトグラフィー装置中に導入することは、前記原料混合物の精製をもたらして、前記PUFA生成物を生じさせるか;又は
(b)前記原料混合物を前記クロマトグラフィー装置中に導入することは、前記原料混合物の精製をもたらして、中間生成物を生じさせ、前記中間生成物は、前記PUFA生成物を得るためにさらなる精製に供され、好ましくは、前記さらなる精製は、クロマトグラフィー装置中で行われ、より好ましくは、前記さらなる精製は、固定床クロマトグラフィー又は擬似若しくは実移動床クロマトグラフィーを介して行われる、請求項1~14のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項16】
前記PUFA生成物は、PUFA又はPUFA誘導体を含み、前記誘導体は、前記PUFAのモノ-、ジ-若しくはトリ-グリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン又は塩であり、好ましくは、前記PUFA生成物は、ω-3 PUFA又はω-3 PUFAの誘導体であり、最も好ましくは、
(a)前記PUFA生成物は、EPA又はEPA誘導体、好ましくはEPAのエステル、より好ましくはEPAエチルエステルであり;
(b)前記PUFA生成物は、DHA又はDHA誘導体、好ましくはDHAのエステル、より好ましくはDHAエチルエステルである、請求項1~15のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【請求項17】
(a)前記クロマトグラフィー分離プロセスから得られたPUFA生成物の収率は、前記原料混合物中に存在する前記PUFA生成物の総質量を基準にして80重量%超、より好ましくは90重量%超、さらにより好ましくは95重量%超、最も好ましくは98重量%超であり;及び/又は
(b)前記PUFA生成物は、80重量%超、好ましくは85重量%超、より好ましくは90重量%超、さらにより好ましくは95重量%超、なおもより好ましくは97重量%超、さらにより好ましくは98重量%超、最も好ましくは99重量%超の純度で生成される、請求項1~16のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分離プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物及びその誘導体の精製のための改善されたクロマトグラフィー分離プロセスに関する。特に、本発明は、原料混合物からPUFA又はその誘導体を精製するための吸着剤相として、特定の物理的特性を有するシリカを用いる、特に効率的なクロマトグラフィー分離プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸、特にPUFA及びその誘導体は、血小板凝集、炎症及び免疫応答などの生物学的機能の調節で重要な役割を果たす、生物学的に重要な分子の前駆体である。したがって、PUFA及びその誘導体は、中枢神経系疾患;糖尿病性神経障害を含む神経障害;心血管疾患;炎症性皮膚疾患を含む全身免疫系及び炎症性疾患を含む広範囲の病状を治療する際に治療上有用であり得る。
【0003】
PUFAは、植物油及び海産油などの天然原料中に見られる。しかしながら、このようなPUFAは、飽和脂肪酸及び多くの他の不純物と混合してこのような油中に存在することが多い。したがって、PUFAは、栄養的又は医薬的使用前に望ましくは精製されるべきである。
【0004】
残念ながら、PUFAは、非常に脆弱である。したがって、酸素の存在下で加熱されるとき、それらは、異性化、過酸化及びオリゴマー化を起こす傾向がある。したがって、純粋な脂肪酸を調製するためのPUFA生成物の分別及び精製は、困難である。蒸留は、減圧下でも許容できない生成物分解を引き起こし得る。
【0005】
クロマトグラフィー分離技術は、当業者に周知である。固定床システム及び擬似又は実移動床システムを含むクロマトグラフィー分離技術は、両方とも当業者に周知である。
【0006】
従来の固定床クロマトグラフィーシステムでは、成分が分離される混合物は、容器に浸透する。容器は、ほぼ円筒状であり、典型的にはカラムと呼ばれる。カラムは、流体に対する高い透過性を示す多孔質の吸着剤材料(一般に固定相と呼ばれる)の充填を含む。混合物の各成分の浸透速度は、成分が連続的及び選択的にカラムから出るように、その成分の物理的特性に依存する。したがって、成分の一部は、固定相に強く固着する傾向があるため、ゆっくりと浸透する一方、他の成分は、弱く固着する傾向があり、カラムからより速く出る。多くの異なる固定床クロマトグラフィーシステムが提供されており、分析及び工業生産目的の両方のために使用されている。
【0007】
擬似及び実移動床クロマトグラフィーは、当業者に周知である公知の技術である。操作の原理は、液体溶離剤(又は脱着剤)相及び固体吸着剤相の向流移動を含む。この操作は、溶媒及び特定の吸着剤在庫の最小限の使用を可能にし、それによりプロセスを経済的に実現可能にする。このような分離技術では、炭化水素、工業用化学物質、油、糖及びAPIを含めて、多様な分野におけるいくつかの用途が見出されている。
【0008】
ここで、擬似移動床クロマトグラフィー装置は、直列に一緒に連結された、吸着剤を含むいくつかの個々のカラムからなる。溶離剤は、第1の方向にカラムに通される。システムにおける原料材及び溶離剤の注入点並びに分離された成分収集点は、一連の弁又は単一の多位置弁によって周期的に切り替えられる。全体的な効果は、固体吸着剤の移動床を含む単一のカラムの操作をシミュレートすることであり、固体吸着剤は、溶離剤の流れに対して向流方向に移動する。したがって、擬似移動床システムは、カラムからなり、これは、従来の固定床システムなどでは、溶離剤が通される固体吸着剤の固定床を含むが、擬似移動床システムでは、操作は、連続する向流移動床をシミュレートするようなものである。
【0009】
典型的な擬似移動床クロマトグラフィー装置が
図1を参照して例示される。擬似又は実移動床クロマトグラフィー分離プロセスの概念は、複数のセクション、より正確にはカラムの底部から上部まである4つの重畳された部分区域I、II、III及びIVに分割された固定相Sを含む垂直クロマトグラフィーカラムを考慮することによって説明される。溶離剤は、ポンプPにより、IEにおける底部で導入される。分離される成分A及びBの混合物は、部分区域II及び部分区域III間のIA+Bで導入される。主にBを含有する抽出液は、部分区域I及び部分区域II間のSBで収集され、主にAを含有する抽残液は、部分区域III及び部分区域IV間のSAで収集される。
【0010】
擬似移動床システムの場合、固定相Sの擬似下方移動が固相に対する導入及び収集点の移動によって引き起こされる。実移動床システムの場合、固定相Sの擬似下方移動が導入及び収集点に対する様々なクロマトグラフィーカラムの移動によって引き起こされる。
図1では、溶離剤が上方に流れ、混合物A+Bが部分区域II及び部分区域III間に注入される。成分は、固定相とのそれらのクロマトグラフィー相互作用、例えば多孔質媒体における吸着によって移動する。固定相に対してより強い親和性を示す成分B(より遅く流動する成分)は、溶離剤によってよりゆっくりと取り込まれ、遅れてそれに追従する。固定相に対してより弱い親和性を示す成分A(より速く流動する成分)は、溶離剤によって容易に取り込まれる。各部分区域における適切なパラメータ群、特に流量が適切に推定され、制御される場合、固定相に対してより弱い親和性を示す成分Aは、抽残液として部分区域III及び部分区域IV間で収集され、固定相に対してより強い親和性を示す成分Bは、抽出液として部分区域I及び部分区域II間で収集される。
【0011】
したがって、
図1に概略的に示される従来の擬似移動床システムは、2成分分別に限定されることが理解されるであろう。
【0012】
他の関連するいわゆる擬似移動床の非従来的な操作モード、例えば特にImproved-SMB、Sequential-SMB、Varicol、Powerfeed、Modicon、MCSGP、Outlet Swing Stream-OSS、JO又はpseudo SMBの利点が公知であり、他の箇所で詳述されるように、当業者によって従来の擬似移動床プロセスから得られる(例えば、内容全体が参照により本明細書に援用されるSa Gomes and Rodrigues,Chemical Engineering and Technology Special Issue:Preparative Chromatography and Downstream Processing,2012,35(1),17-34を参照されたい)。擬似移動床クロマトグラフィーのためのプロセス及び装置は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第2,985,589号明細書、米国特許第3,696,107号明細書、米国特許第3,706,812号明細書、米国特許第3,761,533号明細書、FR-A-2103302号明細書、FR-A-2651148号明細書及びFR-A-2651149号明細書を含むいくつかの特許に記載されている。このテーマは、全体が参照により本明細書に援用される“Preparative and Production Scale Chromatography”,edited by Ganetsos and Barker,Marcel Dekker Inc,New York,1993でも取り上げられている。
【0013】
実移動床システムは、操作が擬似移動床システムと類似している。しかしながら、複数の弁又は単一の多位置弁のシステムにより、原料混合物及び溶離剤の注入点並びに分離された成分収集点を切り替えるのではなく、代わりに一連の吸着ユニット(すなわちカラム)が供給及び抽出点に対して物理的に移動される。また、操作は、連続する向流移動床をシミュレートするようなものである。
【0014】
実移動床クロマトグラフィーのためのプロセス及び装置は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,979,402号明細書、米国特許第5,069,883号明細書及び米国特許第4,764,276号明細書を含むいくつかの特許に記載されている。
【0015】
PUFA生成物の精製が特に困難である。したがって、PUFA生成物を調製するための多くの好適な原料材は、クロマトグラフィー装置中で非常に類似した保持時間を有する多数の異なる成分を含む極めて複雑な混合物である。したがって、このような原料材から特定のPUFAを分離することは、非常に困難である。しかしながら、特に医薬的及び栄養的用途のために、PUFA生成物の高度の純度が必要とされる。したがって、従来、高純度のPUFA生成物が必要とされる場合、蒸留が使用されている。しかしながら、上述されるようにデリケートなPUFAのための分離技術として蒸留を使用することには、かなりの難点がある。
【0016】
全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2011/080503号パンフレットは、効率的に及び非常に高純度で原料混合物からPUFA生成物を回収するためのSMB分離プロセスを開示している。この特定の設備の調整は、国際公開第2013/005046号パンフレット、国際公開第2013/005047号パンフレット、国際公開第2013/005048号パンフレット、国際公開第2013/005051号パンフレット、国際公開第2013/005052号パンフレット及び国際公開第2014/108686号パンフレット(これらの全ては、参照により本明細書に援用される)に記載されている。しかしながら、低い圧力(すなわち20バール未満、好ましくは10バール未満)で操作されるとき、このようなクロマトグラフィーシステムでは、大量の溶離剤が必要とされることが多いことが分かった。これは、典型的には、より高い圧力(すなわち20~100バール)で動作し、高い生産性及び必要とされる溶媒の低い希釈率(すなわち量)で原料混合物からPUFA生成物を抽出することができる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムと対照的である。しかしながら、高い圧力での操作は、大規模商業的プロセスにおいていくつかの欠点を有する。特に、クロマトグラフィーカラムにおける固定相(例えば、シリカ)は、増加したストレス下に置かれ、より高い頻度で交換されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、PUFA生成物を抽出するためにより少ない溶離剤が必要とされるように、低い操作圧力で原料混合物からPUFA生成物を精製するためのより効率的なクロマトグラフィー分離プロセスを提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、特定の物理的特性を有するシリカ吸着剤相を用いることが、低い圧力で操作しながら、典型的なPUFA含有原料材における様々なPUFA生成物を表すピークの向上した分解能をもたらし得ることを意外にも見出した。ピーク間のこの向上した分解能は、より効率的な分離をもたらし、これは、溶離剤のより低い希釈率を必要とする。許容される(比較的、意外なほど良好な)レベルの生産性も達成しながら、HPLCプロセスを用いる場合より低い溶離剤の希釈率が達成され得ることがさらに分かった。
【0019】
したがって、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)C18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満であり、さらに、
(1)シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
(2)シリカは、15~24重量%の炭素充填量を有し;及び/又は
(3)シリカは、500m2/g以下の表面積を有する、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)15~24重量%の炭素充填量を有するC18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満であり、さらに、
(1)シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
(2)シリカは、500m2/g以下の表面積を有する、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】2成分混合物を分離するための擬似又は実移動床プロセスの基本原理を示す。
【
図2】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図3】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からDHAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図4】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図5】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からDHAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図6】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図7】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からDHAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図8】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図9】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するための、2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図10】2つの擬似又は実移動床プロセスを含むクロマトグラフィー分離工程が行われ得る3つの方法を示す。
【
図11】より速く及びより遅く流動する不純物(すなわちより極性の高い及びより極性の低い不純物)からEPAを分離するためのクロマトグラフィー分離工程を示す。
【
図12A】異なるC18シリカタイプについての粒径の関数としてのシリカ試料の粒子体積への全寄与を示す。(A)シリカ1(対照シリカ)、2つの別個のバッチ及びシリカ2。(B)シリカ1(対照シリカ)、2つの別個のバッチ並びにシリカ3及び4。
【
図12B】異なるC18シリカタイプについての粒径の関数としてのシリカ試料の粒子体積への全寄与を示す。(A)シリカ1(対照シリカ)、2つの別個のバッチ及びシリカ2。(B)シリカ1(対照シリカ)、2つの別個のバッチ並びにシリカ3及び4。
【
図13】(A)シリカ1;(B)シリカ2;及び(C)シリカ4の走査型電子顕微鏡画像を示す。
【
図14】様々なシリカを用いたクロマトグラフィーカラムにおけるEPA含有原料材の精製中のEPAピークにおける非対称性を示すためのパルス試験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
その最も一般的な意味では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)C18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満である、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0023】
固体吸着剤相
固体吸着剤相は、典型的には、逆相シリカである。固体吸着剤相は、典型的には、C18結合シリカゲルである。好ましくは、固体吸着剤相は、逆相C18結合シリカゲルである。吸着剤相は、典型的には、非極性である。
【0024】
クロマトグラフィー装置は、1つ以上のクロマトグラフィーカラム、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のカラムを含む。いくつかの実施形態では、カラムの数は、典型的には、1つである。他の実施形態では、カラムの数は、典型的には、2つ以上、好ましくは4つ以上、より好ましくは6つ以上、さらにより好ましくは8つ以上、例えば4、5、6、7、8、9又は10個のカラムである。典型的には、25個以下のカラム、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下がある。2つ以上のクロマトグラフィーカラムが使用されるとき、各クロマトグラフィーカラムは、同じ又は異なる吸着剤を含有し得る。典型的には、2つ以上のクロマトグラフィーカラムが使用されるとき、各カラムは、同じ吸着剤を含有する。
【0025】
固体吸着剤相材料の形状は、例えば、球形又は非球形ビーズ、好ましくはほぼ球形のビーズであり得る。
【0026】
C18結合シリカは、特定の物理的特性を有する。
【0027】
本発明の第1の実施形態では、C18結合シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有する。
【0028】
本発明の第2の実施形態では、C18結合シリカは、15~24重量%の炭素充填量を有する。
【0029】
本発明の第3の実施形態では、C18結合シリカは、500m2/g以下の表面積を有する。
【0030】
シリカのこれらの特定の物理的特性のそれぞれがPUFA含有原料材の分離において異なるピーク間で増加した分解能をもたらすことが見出され、各ピークは、異なるPUFA生成物に対応する。これは、したがって、より少ない溶媒を使用しながら高い収率での所望のPUFA生成物のより効率的な精製を可能にする。溶媒のこの減少した使用は、工業規模で行われる分離にとってよりコスト効率が高く、且つより環境に優しい。さらに、シリカの比較的大きい粒子を用いながらこれらの利点を達成する能力は、溶離剤のより低い圧力がシステムで使用されることを可能にする。これは、コスト節約及び装置の耐用期間及び固体吸着剤相が交換されなければならない頻度の減少の点でさらなる利点を有する。
【0031】
ここで、第1の実施形態では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有するC18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満である、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0032】
本明細書で定義される際、「平均粒径」は、粒子の体積モーメント平均(D[4,3]、体積加重平均径又はDe Brouckere平均径とも呼ばれる)を指す。Dv(10)は、増加する粒径に対するシリカ粒子の累積体積分布のプロットにおける粒径の10thパーセンタイルを指す。体積モーメント平均は、試料中に存在する粗粒子(すなわち大きいサイズの粒子)の数の影響を特に受けやすく、Dv(10)値は、試料中に存在する微粒子(すなわち小さいサイズの粒子)の数の影響を特に受けやすい。したがって、総合すると、体積モーメント平均及びDv(10)値は、シリカの平均粒径及び粒径分布の両方の有効な特性評価を表す。
【0033】
体積モーメント平均及びDv(10)は、典型的には、例えば標準的な方法ISO 13320:2020を用いてレーザー回折によって測定される。レーザー回折の詳細は、例えば、内容全体が参照により本明細書に援用されるhttps://www.malvernpanalytical.com/en/products/technology/light-scattering/laser-diffraction(2021年3月15日にアクセス)で説明されている。
【0034】
低い圧力がクロマトグラフィー分離で用いられ得るように、平均粒径がかなり大きいことが好ましい。しかしながら、粒径分布が狭いことも好ましく、これは、PUFA含有原料材の精製における異なるPUFAピーク間の分解能を向上させ、より少ない溶離剤が分離で使用されることを可能にすることが意外にも分かった。特に、シリカ試料からの特に微細な粒子(すなわち小さい直径を有する粒子)の「テール」の減少又は除去は、PUFAピーク間の増加した分解能をもたらすことが意外にも分かった。したがって、かなり高い平均粒径、高いDv(10)値並びに平均粒径及びDv(10)値間の比較的小さい差は、この実施形態で使用するためのシリカの全ての望ましい特性であることが分かる。
【0035】
ここで、第1の実施形態では、平均粒径は、好ましくは、235~265μm、より好ましくは240~260μm、さらにより好ましくは245~260μm、最も好ましくは250~260μmである。
【0036】
第1の実施形態では、シリカは、好ましくは、165μm以上、より好ましくは170μm以上、さらにより好ましくは175μm以上、なおもより好ましくは180μm以上、最も好ましくは185μm以上であるDv(10)を有する。典型的には、シリカは、225μm以下、好ましくは220μm以下、より好ましくは215μm以下、最も好ましくは210μm以下であるDv(10)を有する。ここで、典型的には、シリカは、160~225μm、好ましくは165~220μm、より好ましくは175~215μm、最も好ましくは185~210μmのDv(10)を有する。
【0037】
ここで、第1の実施形態では、シリカは、好ましくは、235~265μmの平均粒径及び165μm以上のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175μm以上のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180μm以上のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185μm以上のDv(10)を有する。
【0038】
ここで、第1の実施形態では、シリカは、好ましくは、235~265μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び220μm以下のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び215μm以下のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び210μm以下のDv(10)を有する。
【0039】
ここで、第1の実施形態では、シリカは、好ましくは、235~265μmの平均粒径及び165~225μmのDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175~220μmのDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180~215μmのDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185~210μmのDv(10)を有する。
【0040】
第1の実施形態では、シリカは、典型的には、15~24重量%、好ましくは16~22重量%、より好ましくは16.5~20重量%、さらにより好ましくは17~19.5重量%、最も好ましくは17.5~19重量%、例えば17.5~18重量%の炭素充填量(%C)を有する。炭素充填量は、炭素である固体吸着剤相の%の尺度である。典型的には、炭素含量の実質的に全てがシリカ粒子のC18官能基化から得られる。
【0041】
シリカ粒子の炭素充填量は、典型的には、燃焼分析、例えば標準ISO 21068-2に記載されるタイプの方法若しくはその変形を使用するか、又はNguyen et al.(全体が参照により本明細書に援用されるScience and Technology Development Journal,2016,19(4),162-166)の方法を使用することによって測定される。
【0042】
第1の実施形態では、シリカは、典型的には、500m2/g未満、好ましくは450m2/g未満、より好ましくは400m2/g未満、最も好ましくは350m2/g未満の表面積を有する。シリカは、典型的には、100m2/g超、好ましくは150m2/g超、より好ましくは200m2/g超、さらにより好ましくは250m2/g超、最も好ましくは300m2/g超の表面積を有する。ここで、シリカは、典型的には、100~500m2/g、好ましくは200~450m2/g、より好ましくは250~400m2/g、最も好ましくは300~350m2/gの表面積を有する。
【0043】
シリカ粒子の表面積は、典型的には、例えば標準的な方法ISO 9277:2010を使用することにより、BET表面積分析によって測定される。この方法では、表面積は、BET理論(Brunauer、Emmett及びTeller)を用いて、吸着データから、典型的には窒素吸着から決定される。表面積を測定するBET方法は、全体が参照により本明細書に援用される“Characterization of Porous Solids and Powders:Surface Area,Pore Size and Density”by Lowell,Shields,Thomas and Thommes,Springer,Dordrecht,2006(pub:Springer)に詳細に記載されている。
【0044】
これに関連して、表面積は、シリカ表面を指し、C18鎖の結合の前に裸のシリカについて測定される。
【0045】
第2の実施形態では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)15~24重量%の炭素充填量を有するC18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満である、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0046】
シリカがより小さい粒子の「テール」を含むかどうかにかかわらず(すなわち、Dv(10)値が、上記の第1の実施形態に記載されるより小さいかどうかにかかわらず)この範囲内の炭素充填量を有するシリカが原料混合物からのPUFA生成物の分離におけるPUFAピーク間の改善された分解能を提供することが本発明者らによって意外にも見出された。
【0047】
第2の実施形態では、シリカの炭素充填量は、好ましくは、16~22重量%、より好ましくは16.5~20重量%、さらにより好ましくは17~19重量%、最も好ましくは17.5~18重量%、例えば約17.8重量%又は17.9重量%である。典型的には、炭素含量の実質的に全てがシリカ粒子のC18官能基化から得られる。
【0048】
シリカ粒子の炭素充填量は、典型的には、第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0049】
第2の実施形態では、典型的には、平均粒径は、230~270μm、好ましくは235~265μm、より好ましくは240~260μm、さらにより好ましくは245~260μm、最も好ましくは250~260μmである。
【0050】
第2の実施形態では、典型的には、シリカのDv(10)値は、160μm以上、好ましくは165μm以上、より好ましくは170μm以上、さらにより好ましくは175μm以上、なおもより好ましくは180μm以上、最も好ましくは185μm以上である。典型的には、シリカは、225μm以下、好ましくは220μm以下、より好ましくは215μm以下、最も好ましくは210μm以下であるDv(10)を有する。ここで、典型的には、シリカは、160~225μm、好ましくは165~220μm、より好ましくは175~215μm、最も好ましくは185~210μmのDv(10)を有する。
【0051】
ここで、第2の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び165μm以上のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175μm以上のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180μm以上のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185μm以上のDv(10)を有する。
【0052】
ここで、第2の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び220μm以下のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び215μm以下のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び210μm以下のDv(10)を有する。
【0053】
ここで、第2の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び160~225μmのDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び165~225μmのDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175~220μmのDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180~215μmのDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185~210μmのDv(10)を有する。
【0054】
平均粒径及びDv(10)値は、典型的には、両方とも第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0055】
第2の実施形態では、シリカは、典型的には、500m2/g未満、好ましくは450m2/g未満、より好ましくは400m2/g未満、最も好ましくは350m2/g未満の表面積を有する。シリカは、典型的には、100m2/g超、好ましくは150m2/g超、より好ましくは200m2/g超、さらにより好ましくは250m2/g超、最も好ましくは300m2/g超の表面積を有する。ここで、シリカは、典型的には、100~500m2/g、好ましくは200~450m2/g、より好ましくは250~400m2/g、最も好ましくは300~350m2/gの表面積を有する。
【0056】
シリカ粒子の表面積は、典型的には、第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0057】
第3の実施形態では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)500m2/g以下の表面積を有するC18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満である、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0058】
この範囲内の表面積を有するシリカが原料混合物からのPUFA生成物の分離におけるPUFAピーク間の改善された分解能を提供することが本発明者らによって意外にも見出された。
【0059】
第3の実施形態では、シリカは、好ましくは、450m2/g未満、より好ましくは400m2/g未満、最も好ましくは350m2/g未満の表面積を有する。シリカは、典型的には、100m2/g超、好ましくは150m2/g超、より好ましくは200m2/g超、さらにより好ましくは250m2/g超、最も好ましくは300m2/g超の表面積を有する。ここで、シリカは、典型的には、100~500m2/g、好ましくは200~450m2/g、より好ましくは250~400m2/g、最も好ましくは300~350m2/gの表面積を有する。
【0060】
シリカ粒子の表面積は、典型的には、第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0061】
第3の実施形態では、典型的には、平均粒径は、230~270μm、好ましくは235~265μm、より好ましくは240~260μm、さらにより好ましくは245~260μm、最も好ましくは250~260μmである。
【0062】
第3の実施形態では、典型的には、シリカのDv(10)値は、160μm以上、好ましくは165μm以上、より好ましくは170μm以上、さらにより好ましくは175μm以上、なおもより好ましくは180μm以上、最も好ましくは185μm以上である。典型的には、シリカは、225μm以下、好ましくは220μm以下、より好ましくは215μm以下、最も好ましくは210μm以下であるDv(10)を有する。ここで、典型的には、シリカは、160~225μmのDv(10)、好ましくは170~220μm、より好ましくは180~215μm、最も好ましくは185~210μmを有する。
【0063】
ここで、第3の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び165μm以上のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175μm以上のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180μm以上のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185μm以上のDv(10)を有する。
【0064】
ここで、第3の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び220μm以下のDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び215μm以下のDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び210μm以下のDv(10)を有する。
【0065】
ここで、第3の実施形態では、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び160~225μmのDv(10)を有し、好ましくは235~265μmの平均粒径及び165~225μmのDv(10)を有し、より好ましくは240~260μmの平均粒径及び175~220μmのDv(10)を有し、さらにより好ましくは245~260μmの平均粒径及び180~215μmのDv(10)を有し、最も好ましくは250~260μmの平均粒径及び185~210μmのDv(10)を有する。
【0066】
平均粒径及びDv(10)値は、典型的には、両方とも第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0067】
第3の実施形態では、シリカは、典型的には、15~24重量%、好ましくは16~22重量%、より好ましくは16.5~20重量%、さらにより好ましくは17~19重量%、最も好ましくは17.5~18重量%、例えば約17.8重量%又は17.9重量%の炭素充填量(%C)を有する。典型的には、炭素含量の実質的に全てがシリカ粒子のC18官能基化から得られる。
【0068】
シリカ粒子の炭素充填量は、典型的には、第1の実施形態に関連して上述されるように測定される。
【0069】
好ましい実施形態では、シリカは、第2の実施形態の特徴を第1及び/又は第3の実施形態の特徴に加えて有する。したがって、この好ましい実施形態では、本発明は、原料混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離プロセスであって、
(a)水性有機溶媒である液体溶離剤相;及び
(b)15~24重量%の炭素充填量を有するC18結合シリカである固体吸着剤相
を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置中に原料混合物を導入し、それにより原料混合物の精製をもたらすことを含み、1つ以上のクロマトグラフィーカラム内の圧力は、20バール未満であり、さらに、
(1)シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)を有し;及び/又は
(2)シリカは、500m2/g以下の表面積を有する、クロマトグラフィー分離プロセスを提供する。
【0070】
この好ましい実施形態では、シリカは、第1及び第2の実施形態の特徴を有し得る。ここで、シリカは、典型的には、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)及び15~24重量%の炭素充填量を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び165μm以上のDv(10)及び16~22重量%の炭素充填量を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び175μm以上のDv(10)及び16.5~20重量%の炭素充填量を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び180μm以上のDv(10)及び17~19重量%の炭素充填量を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び185μm以上のDv(10)及び17.5~18.0重量%の炭素充填量を有する。
【0071】
シリカが第1及び第2の実施形態の特徴を有するこの好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、230~270μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)及び15~24重量%の炭素充填量を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)及び16~22重量%の炭素充填量を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び220μm以下のDv(10)及び16.5~20重量%の炭素充填量を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び215μm以下のDv(10)及び17~19重量%の炭素充填量を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び210μm以下のDv(10)及び17.5~18.0重量%の炭素充填量を有する。
【0072】
シリカが第1及び第2の実施形態の特徴を有するこの好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、230~270μmの平均粒径及び160~225μmのDv(10)及び15~24重量%の炭素充填量を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び165~225μmのDv(10)及び16~22重量%の炭素充填量を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び175~220μmのDv(10)及び16.5~20重量%の炭素充填量を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び180~215μmのDv(10)及び17~19重量%の炭素充填量を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び185~210μmのDv(10)及び17.5~18.0重量%の炭素充填量を有する。
【0073】
代わりに、この好ましい実施形態では、シリカは、第2及び第3の実施形態の特徴を有する。ここで、シリカは、典型的には、15~24重量%の炭素充填量及び500m2/g未満の総表面積を有する。好ましくは、シリカは、16~22重量%の炭素充填量及び450m2/g未満の総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、16.5~20重量%の炭素充填量及び400m2/g未満の総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、17~19重量%の炭素充填量及び400m2/g未満の総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び350m2/g未満の総表面積を有する。
【0074】
シリカが第2及び第3の実施形態の特徴を有するこの好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、15~24重量%の炭素充填量及び100m2/g超の総表面積を有する。好ましくは、シリカは、16~22重量%の炭素充填量及び150m2/g超の総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、16.5~20重量%の炭素充填量及び200m2/g超の総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、17~19重量%の炭素充填量及び250m2/g超の総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び300m2/g超の総表面積を有する。
【0075】
シリカが第2及び第3の実施形態の特徴を有するこの好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、15~24重量%の炭素充填量及び100~500m2/gの総表面積を有する。好ましくは、シリカは、16~22重量%の炭素充填量及び150~450m2/gの総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、16.5~20重量%の炭素充填量及び200~450m2/gの総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、17~19重量%の炭素充填量及び250~400m2/gの総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び300~350m2/gの総表面積を有する。
【0076】
特に好ましい実施形態では、シリカは、第1、第2及び第3の実施形態の全ての特徴を有する。ここで、この特に好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、230~270μmの平均粒径及び160μm以上のDv(10)、15~24重量%の炭素充填量及び500m2/g未満の総表面積を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び165μm以上のDv(10)、16~22重量%の炭素充填量及び450m2/g未満の総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び175μm以上のDv(10)、16.5~20重量%の炭素充填量及び400m2/g未満の総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び180μm以上のDv(10)、17~19重量%の炭素充填量及び400m2/g未満の総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び185μm以上のDv(10)、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び350m2/g未満の総表面積を有する。
【0077】
この特に好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、230~270μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)、15~24重量%の炭素充填量及び100m2/g超の総表面積を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び225μm以下のDv(10)、16~22重量%の炭素充填量及び150m2/g超の総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び220μm以下のDv(10)、16.5~20重量%の炭素充填量及び200m2/g超の総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び215μm以下のDv(10)、17~19重量%の炭素充填量及び250m2/g超の総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び210μm以下のDv(10)、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び300m2/g超の総表面積を有する。
【0078】
この特に好ましい実施形態では、典型的には、シリカは、230~270μmの平均粒径及び160~225μmのDv(10)、15~24重量%の炭素充填量及び100~500m2/gの総表面積を有する。好ましくは、シリカは、235~265μmの平均粒径及び165~225μmのDv(10)、16~22重量%の炭素充填量及び150~450m2/gの総表面積を有する。より好ましくは、シリカは、240~260μmの平均粒径及び175~220μmのDv(10)、16.5~20重量%の炭素充填量及び200~450m2/gの総表面積を有する。さらにより好ましくは、シリカは、245~260μmの平均粒径及び180~215μmのDv(10)、17~19重量%の炭素充填量及び250~400m2/gの総表面積を有する。最も好ましくは、シリカは、250~260μmの平均粒径及び185~210μmのDv(10)、17.5~18.0重量%の炭素充填量及び300~350m2/gの総表面積を有する。
【0079】
上記の実施形態のいずれかでは(すなわちその任意の典型的な好ましい又は特に好ましい部分実施形態を含む第1、第2又は第3の実施形態のいずれかでは)、シリカ粒子は、典型的には、多孔質である。典型的には、シリカ粒子の平均細孔径は、60~200Åである。好ましくは、平均細孔径は、65~160Å、より好ましくは70~140Å、さらにより好ましくは80~130Å、なおもより好ましくは90~120Å、最も好ましくは95~115Å、例えば約100Å又は約110Åである。
【0080】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、0.5~1.5cc/gの総細孔容積を有する。好ましい一実施形態では、細孔容積は、0.6~0.84cc/g、より好ましくは0.7~0.8cc/g、最も好ましくは0.73~0.77cc/gである。
【0081】
総細孔容積は、例えば、全体が参照により本明細書に援用される“Characterization of Porous Solids and Powders:Surface Area,Pore Size and Density”by Lowell,Shields,Thomas and Thommes,Springer,Dordrecht,2006(pub:Springer)に記載されるように、窒素ガス吸着によって典型的に測定される。
【0082】
平均細孔径dは、式d=4*V/Aを用いて、総細孔容積V及び表面積Aから計算される。これは、同じ容積及び面積を有する仮定的な均一な円筒状細孔の直径である。
【0083】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、数基準で粒子の少なくとも80%が200μm超の直径を有するような明確な粒径分布を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも80%が500μm未満の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも80%が200~500μmの直径を有する。好ましくは、数基準で粒子の少なくとも85%が200μm超の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも85%が500μm未満の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも85%が200~500μmの直径を有する。より好ましくは、数基準で粒子の少なくとも90%が200μm超の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも90%が500μm未満の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも90%が200~500μmの直径を有する。最も好ましくは、数基準で粒子の少なくとも95%が200μm超の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも95%が500μm未満の直径を有する。典型的には、数基準で粒子の少なくとも95%が200~500μmの直径を有する。
【0084】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、体積基準で粒子の少なくとも80%が200μm超の直径を有するような明確な粒径分布を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも80%が500μm未満の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも80%が200~500μmの直径を有する。好ましくは、体積基準で粒子の少なくとも85%が200μm超の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも85%が500μm未満の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも85%が200~500μmの直径を有する。より好ましくは、体積基準で粒子の少なくとも90%が200μm超の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも90%が500μm未満の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも90%が200~500μmの直径を有する。最も好ましくは、体積基準で粒子の少なくとも95%が200μm超の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも95%が500μm未満の直径を有する。典型的には、体積基準で粒子の少なくとも95%が200~500μmの直径を有する。
【0085】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、質量基準で粒子の少なくとも80%が200μm超の直径を有するような明確な粒径分布を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも80%が500μm未満の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも80%が200~500μmの直径を有する。好ましくは、質量基準で粒子の少なくとも85%が200μm超の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも85%が500μm未満の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも85%が200~500μmの直径を有する。より好ましくは、質量基準で粒子の少なくとも90%が200μm超の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも90%が500μm未満の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも90%が200~500μmの直径を有する。最も好ましくは、質量基準で粒子の少なくとも95%が200μm超の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも95%が500μm未満の直径を有する。典型的には、質量基準で粒子の少なくとも95%が200~500μmの直径を有する。
【0086】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、0.71kg/dm3以下、好ましくは0.70kg/dm3以下、より好ましくは0.69kg/dm3以下、さらにより好ましくは0.68kg/dm3以下、さらにより好ましくは0.67kg/dm3以下、最も好ましくは0.66kg/dm3以下のかさ(充填層)密度を有する。典型的には、シリカ粒子は、0.4kg/dm3以上、好ましくは0.5kg/dm3以上、より好ましくは0.55kg/dm3以上、さらにより好ましくは0.60kg/dm3以上、さらにより好ましくは0.63kg/dm3以上、最も好ましくは0.65kg/dm3以上のかさ密度を有する。
【0087】
ここで、上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカ粒子は、0.4~0.71kg/dm3、好ましくは0.5~0.70kg/dm3、より好ましくは0.55~0.69kg/dm3、さらにより好ましくは0.60~0.68kg/dm3、さらにより好ましくは0.63~0.67kg/dm3、最も好ましくは0.65~0.66kg/dm3のかさ密度を有する。
【0088】
上記の実施形態のいずれかでは、典型的には、シリカのDv(90)値は、320μm以上である。Dv(90)は、増加する粒径に対するシリカ粒子の累積体積分布のプロットにおける粒径の90thパーセンタイルを指す。Dv(90)は、試料中に存在する粗粒子(すなわち大きいサイズの粒子)の数の影響を受けやすい。Dv(90)は、レーザー回折によって決定され得る。好ましくは、シリカのDv(90)値は、325μm以上、より好ましくは330μm以上、最も好ましくは335μm以上である。典型的には、シリカは、390μm以下、好ましくは370μm以下、より好ましくは350μm以下、最も好ましくは340μm以下であるDv(90)を有する。ここで、典型的には、シリカは、320~290μm、好ましくは325~370μm、より好ましくは330~350μm、最も好ましくは335~340μmのDv(90)を有する。
【0089】
液体溶離剤相
本発明のプロセスは、クロマトグラフィー分離で水性有機溶離剤、すなわち水及び有機溶媒の混合物を使用する。典型的には、溶離剤は、超臨界状態でない。典型的には、溶離剤は、液体である。
【0090】
典型的には、有機溶媒は、アルコール、エーテル、エステル、ケトン及びニトリルから選択される。アルコール、ケトン及びニトリルが好ましい。
【0091】
アルコール溶媒は、当業者に周知である。アルコールは、典型的には、短鎖アルコールである。アルコールは、典型的には、式ROHのものであり、式中、Rが直鎖状又は分枝鎖状C1~C6アルキル基である。C1~C6アルキル基は、好ましくは、非置換である。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、s-ブタノール及びt-ブタノールが挙げられる。メタノール及びエタノールが好ましい。メタノールがより好ましい。
【0092】
エーテル溶媒は、当業者に周知である。エーテルは、典型的には、短鎖エーテルである。エーテルは、典型的には、式R-O-R’のものであり、式中、R及びR’が同じであるか又は異なり、直鎖状又は分枝鎖状C1~C6アルキル基を表す。C1~C6アルキル基は、好ましくは、非置換である。好ましいエーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル及びメチルt-ブチルエーテル(MTBE)が挙げられる。
【0093】
エステル溶媒は、当業者に周知である。エステルは、典型的には、短鎖エステルである。エステルは、典型的には、式R-(C=O)O-R’のものであり、式中、R及びR’が同じであるか又は異なり、直鎖状又は分枝鎖状C1~C6アルキル基を表す。好ましいエステルとしては、酢酸メチル及び酢酸エチルが挙げられる。
【0094】
ケトン溶媒は、当業者に周知である。ケトンは、典型的には、短鎖ケトンである。ケトンは、典型的には、式R-(C=O)-R’のものであり、式中、R及びR’が同じであるか又は異なり、直鎖状又は分枝鎖状C1~C6アルキル基を表す。C1~C6アルキル基は、好ましくは、非置換である。好ましいケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられる。
【0095】
ニトリル溶媒は、当業者に周知である。ニトリルは、典型的には、短鎖ニトリルである。ニトリルは、典型的には、式R-CNのものであり、式中、Rが直鎖状又は分枝鎖状C1~C6アルキル基を表す。C1~C6アルキル基は、好ましくは、非置換である。好ましいニトリルとしては、アセトニトリルが挙げられる。
【0096】
典型的には、有機溶媒は、水と混和性である。好ましくは、有機溶媒は、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、メタノール、エタノール、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドから選択される。メタノール及びアセトニトリルが特に好ましい有機溶媒である。
【0097】
溶離剤中の有機溶媒及び水間の比率は、特に限定されない。しかしながら、典型的には、有機溶媒:水比は、99.9:0.1~75:25体積部、好ましくは99.5:0.5~80:20体積部である。有機溶媒がメタノールである場合、メタノール:水比は、典型的には、99.9:0.1~85:15体積部、好ましくは99.5:0.5~88:12体積部である。有機溶媒がアセトニトリルである場合、アセトニトリル:水比は、典型的には、99:1~75:25体積部、好ましくは96:4~80:20体積部である。
【0098】
PUFA生成物及び原料混合物
本明細書で使用される際、「PUFA生成物」という用語は、典型的には、栄養的又は医薬的に重要な1つ以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)及び/又はその誘導体を含む生成物を指す。典型的には、PUFA生成物は、単一のPUFA又はその誘導体である。代わりに、PUFA生成物は、2つ以上のPUFA又はその誘導体の混合物である。
【0099】
「多価不飽和脂肪酸」(PUFA)という用語は、2つ以上の二重結合を含む脂肪酸を指す。このようなPUFAは、当業者に周知である。本明細書で使用される際、PUFA「誘導体」は、モノ-、ジ-若しくはトリ-グリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン又は塩の形態のPUFAである。モノ-、ジ-及びトリグリセリド及びエステルが好ましい。トリグリセリド及びエステルがより好ましい。エステルがさらにより好ましい。エステルは、典型的には、アルキルエステル、好ましくはC1~C6アルキルエステル、より好ましくはC1~C4アルキルエステルである。エステルの例としては、メチル及びエチルエステルが挙げられる。エチルエステルが最も好ましい。
【0100】
典型的には、PUFA生成物は、少なくとも1つのω-3若しくはω-6 PUFA又はその誘導体、好ましくは少なくとも1つのω-3 PUFA又はその誘導体である。
【0101】
ω-3 PUFAの例としては、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。EPA、DPA及びDHAが好ましい。EPA及びDHAが最も好ましい。
【0102】
ω-6 PUFAの例としては、エイコサジエン酸、γ-リノレン酸(GLA)、ジホモ-γ-リノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(ARA)、ドコサジエン酸、アドレン酸及びドコサペンタエン(ω-6)酸が挙げられる。ARA及びGLAが好ましい。
【0103】
好ましくは、PUFA生成物は、EPA、DHA、その誘導体又はその混合物である。典型的な誘導体としては、EPA及びDHAモノ-、ジ-及びトリグリセリド及びEPA及びDHAエステル、好ましくはアルキルエステル、例えばC1~C4アルキルエステルが挙げられる。
【0104】
より好ましくは、PUFA生成物は、EPA、DHA又はその誘導体である。典型的な誘導体としては、EPA及びDHAモノ-、ジ-及びトリグリセリド及びEPA及びDHAエステル、好ましくはアルキルエステル、例えばC1~C4アルキルエステルが挙げられる。
【0105】
最も好ましくは、PUFA生成物は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、EPAトリグリセリド、DHAトリグリセリド、EPAエチルエステル又はDHAエチルエステルである。
【0106】
特に好ましくは、PUFA生成物は、EPA、DHA、EPAエチルエステル又はDHAエチルエステルである。
【0107】
一実施形態では、PUFA生成物は、EPA及び/又はEPAエチルエステル(EE)である。
【0108】
別の実施形態では、PUFA生成物は、DHA及び/又はDHAエチルエステル(EE)である。
【0109】
さらに他の実施形態では、PUFA生成物は、EPA及びDHA並びに/又はEPA EE及びDHA EEの混合物である。
【0110】
典型的には、PUFA生成物は、80GC-面積%超、好ましくは85GC-面積%超、より好ましくは90GC-面積%超、さらにより好ましくは95GC-面積%超、なおもより好ましくは97GC-面積%超、さらにより好ましくは98GC-面積%超、最も好ましくは99GC-面積%超の純度で得られ、「GC-面積%」は、関連する生成物(本明細書ではPUFA生成物)に対応するガスクロマトグラムトレース下の面積の%である。GC-面積%は、典型的には、内容全体が参照により本明細書に援用されるthe European Pharmacopoeia 6.0,pages 2552-2554(http://www.uspbpep.com/ep60/omega-3-acid%20ethyl%20esters%2090%201250e.pdfでアクセス)に概説されるω-3脂肪酸エチルエステルのための方法を用いて測定され得る。
【0111】
最も好ましい実施形態では、PUFA生成物は、EPA又はEPA誘導体、例えばEPAエチルエステルであり、90GC-面積%超、好ましくは95GC-面積%超、より好ましくは97GC-面積%超、さらにより好ましくは98GC-面積%超、さらにより好ましくは98.4GC-面積%超の純度で得られる。好ましくは、PUFA生成物は、EPA又はEPA誘導体、例えばEPAエチルエステルであり、98~99.5GC-面積%の純度で得られる。
【0112】
代替的な好ましい実施形態では、PUFAは、DHA又はDHA誘導体、例えばDHAエチルエステルであり、80GC-面積%超、好ましくは85GC-面積%超、より好ましくは90GC-面積%超、より好ましくは92GC-面積%超、最も好ましくは95GC-面積%超の純度で得られる。好ましくは、PUFA生成物は、DHA又はDHA誘導体、例えばEPAエチルエステルであり、97~99.5GC-面積%の純度で得られる。
【0113】
典型的には、前記PUFA生成物に加えて、さらなる二次PUFA生成物が本発明のクロマトグラフィー分離プロセスで収集される。好ましくは、PUFA生成物は、EPA又はその誘導体であり、さらなる二次PUFA生成物は、DHA又はその誘導体である。
【0114】
したがって、典型的には、本発明のプロセスは、EPA又はその誘導体であるPUFA生成物を収集するように構成される。このような実施形態では、EPA、EPAより極性の高い成分及びEPAより極性の低い成分を含有する原料混合物が典型的に使用される。
【0115】
代わりに、本発明のプロセスは、DHA又はその誘導体であるPUFA生成物を収集するように構成される。このような実施形態では、DHA、DHAより極性の高い成分及びDHAより極性の低い成分を含有する原料混合物が典型的に使用される。
【0116】
代わりに、本プロセスは、EPA及びDHA又はその誘導体の濃縮混合物であるPUFA生成物を収集するように構成される。このような実施形態では、EPA、DHA、EPA及びDHAより極性の高い成分並びにEPA及びDHAより極性の低い成分を含有する原料混合物が使用される。
【0117】
典型的には、PUFA生成物は、1GC-面積%以下、好ましくは0.5GC-面積%以下、より好ましくは0.25GC-面積%以下、さらにより好ましくは0.1GC-面積%以下、最も好ましくは0.01GC-面積%以下の、C18脂肪酸不純物、C18脂肪酸モノ-、ジ-及びトリグリセリド不純物及びC18脂肪酸アルキルエステル不純物を含有する。より典型的には、PUFA生成物は、1GC-面積%以下、好ましくは0.5GC-面積%以下、より好ましくは0.25GC-面積%以下、さらにより好ましくは0.1GC-面積%以下、最も好ましくは0.01GC-面積%以下の、C18脂肪酸及びその誘導体である不純物を含有する。典型的なC18脂肪酸誘導体は、PUFA誘導体について上に定義されるとおりである。本明細書で使用される際、C18脂肪酸は、直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖を有するC18脂肪族モノカルボン酸である。典型的なC18脂肪酸としては、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1n9)、バクセン酸(C18:1n7)、リノール酸(C18:2n6)、γ-リノレン酸/GLA(C18:3n6)、α-リノレン酸/ALA(C18:3n3)及びステアリドン酸/SDA(C18:4n3)が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、PUFA生成物は、上記の不純物を実質的に含まない。
【0118】
典型的には、PUFA生成物は、C18 PUFA、C18 PUFAモノ-、ジ-又はトリグリセリド又はC18 PUFAアルキルエステルでない。より典型的には、PUFA生成物は、C18 PUFA又はC18 PUFA誘導体でない。典型的なC18 PUFAとしては、リノール酸(C18:2n6)、GLA(C18:3n6)及びALA(C18:3n3)が挙げられる。
【0119】
本発明のプロセスでは、原料混合物は、典型的には、(i)少なくとも1つのPUFA生成物を含む天然若しくは合成原料材、又は(ii)天然若しくは合成原料材の部分的精製から得られた少なくとも1つのPUFA生成物を含む、部分的に精製された原料材である。したがって、一実施形態では、原料混合物は、少なくとも1つのPUFA生成物を含む天然又は合成原料材である。別の実施形態では、原料混合物は、天然若しくは合成原料材の部分的精製から得られた少なくとも1つのPUFA生成物を含む、部分的に精製された原料材である。
【0120】
本発明のプロセスによって分離するのに好適な原料材は、植物性及び動物性油脂を含む天然源並びに遺伝子組み換えされた植物、動物並びに真菌及び酵母を含む微生物から得られる油を含む合成源から得られる。例としては、魚油、藻類油及び微細藻類油及び植物油、例えばルリジサ油、エキウム油及び月見草油が挙げられる。一実施形態では、原料混合物は、魚油である。別の実施形態では、原料混合物は、藻類油である。藻類油及び微細藻類油は、所望のPUFA生成物がEPA、ARA及び/又はDHAである場合、特に好適である。遺伝子組み換え酵母は、所望のPUFA生成物がEPAである場合、特に好適である。遺伝子組み換え植物は、所望のPUFA生成物がEPA、ARA及び/又はDHAである場合、特に好適である。
【0121】
特に好ましい実施形態では、原料材は、魚油又は魚油由来原料材である。魚油又は魚油由来原料材が使用される場合、EPA又はEPAエチルエステルPUFA生成物は、90GC-面積%超の純度、好ましくは95GC-面積%超の純度、より好ましくは97GC-面積%超の純度、さらにより好ましくは98GC-面積%超、さらにより好ましくは98.4GC-面積%超、例えば98~99.5GC-面積%で、本発明のプロセスによって生成され得ることが有利であることに分かった。
【0122】
原料混合物は、典型的には、PUFA生成物及び少なくとも1つのより極性の高い成分及び少なくとも1つのより極性の低い成分を含有する。より極性の低い成分は、PUFA生成物より、本発明のプロセスで使用される吸着剤に対するより強い付着性を有する。操作中、このようなより極性の低い成分は、典型的には、液体溶離剤相より固体吸着剤相で移動する。より極性の高い成分は、PUFA生成物より、本発明のプロセスで使用される吸着剤に対するより弱い付着性を有する。操作中、このようなより極性の高い成分は、典型的には、固体吸着剤相より液体溶離剤相で移動する。クロマトグラフィー分離工程が実移動床又は擬似移動床クロマトグラフィーによって行われる本発明の実施形態では、典型的には、より極性の高い成分は、抽残液流中に分離され、より極性の低い成分は、抽出液流中に分離されることになる。
【0123】
より極性の高い及びより極性の低い成分の例としては、(1)天然油(例えば、海産油又は植物油)中に存在する他の化合物、(2)貯蔵、精製及び前の濃縮工程中に形成される副生成物、並びに(3)前の濃縮又は精製工程中に用いられる溶媒又は試薬からの汚染物質が挙げられる。
【0124】
(1)の例としては、他の望ましくないPUFA;飽和脂肪酸;ステロール、例えばコレステロール;ビタミン;並びにポリクロロビフェニル(PCB)、ポリ芳香族炭化水素(PAH)殺虫剤、塩素化殺虫剤、ジオキシン及び重金属などの環境汚染物質が挙げられる。PCB、PAH、ジオキシン及び塩素化殺虫剤は全て、高度に非極性の成分である。
【0125】
(2)の例としては、異性体及びPUFA生成物からの酸化又は分解生成物、例えば脂肪酸又はそれらの誘導体の自己酸化ポリマー生成物が挙げられる。
【0126】
(3)の例としては、原料混合物から飽和又は一価不飽和脂肪酸を除去するために添加され得る尿素が挙げられる。
【0127】
好ましくは、原料混合物は、PUFA含有海産油(例えば、魚油)、より好ましくはEPA及び/又はDHAを含む海産油(例えば、魚油)である。
【0128】
本発明のプロセスによって濃縮EPA(EE)を調製するための例の原料混合物は、50~75%のEPA(EE)、0~10%のDHA(EE)並びに他の必須ω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。
【0129】
本発明のプロセスによって濃縮EPA(EE)を調製するための例の原料混合物は、55%のEPA(EE)、5%のDHA(EE)並びに他の必須ω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。DHA(EE)は、EPA(EE)より極性が低い。
【0130】
本発明のプロセスによって濃縮DHA(EE)を調製するための例の原料混合物は、50~75%のDHA(EE)、0~10%のEPA(EE)並びに他の必須ω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。
【0131】
本発明のプロセスによって濃縮DHA(EE)を調製するための例の原料混合物は、75%のDHA(EE)、7%のEPA(EE)並びに他の必須ω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。EPA(EE)は、DHA(EE)より極性が高い。
【0132】
本発明のプロセスによってEPA(EE)及びDHA(EE)の濃縮混合物を調製するための例の原料混合物は、33%超のEPA(EE)及び22%超のDHA(EE)を含む。
【0133】
原料材は、本発明のプロセスによる分別の前に化学処理を施され得る。例えば、それは、グリセリドエステル交換又はグリセリド加水分解を施され得る。
【0134】
原料材は、本発明のプロセスによる分別の前に部分的に精製され得る。例えば、それは、結晶化、分子蒸留又は分別蒸留、尿素分別、硝酸銀又は他の金属塩溶液による抽出、ヨードラクトン化、超臨界流体分別或いはクロマトグラフィー、好ましくは固定床クロマトグラフィー又は擬似若しくは実移動床クロマトグラフィーによって精製され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、原料材は、化学処理及び部分的精製の両方を施され得る。
【0136】
他の実施形態では、原料材は、最初の化学処理工程及び部分的精製なしに本発明のプロセスで原料混合物として直接使用され得る。
【0137】
ここで、本発明のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、原料混合物としての原料材をクロマトグラフィー装置中に直接導入することを含む。これらの実施形態では、本プロセスは、PUFA生成物を直接得るために原料混合物の精製をもたらし得る。代わりに、本プロセスは、中間生成物を得るために原料混合物の精製をもたらし得、前記中間生成物は、PUFA生成物を得るためにさらなる精製に供される。
【0138】
他の実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、原料混合物としての化学処理された原料材をクロマトグラフィー装置中に導入することを含む。これらの実施形態では、本プロセスは、PUFA生成物を直接得るために原料混合物の精製をもたらし得る。代わりに、本プロセスは、中間生成物を得るために原料混合物の精製をもたらし得、前記中間生成物は、PUFA生成物を得るためにさらなる精製に供される。
【0139】
他の実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、原料混合物としての部分的に精製された原料材をクロマトグラフィー装置中に導入することを含む。これらの実施形態では、本プロセスは、PUFA生成物を直接得るために原料混合物の精製をもたらし得る。代わりに、本プロセスは、中間生成物を得るために原料混合物の精製をもたらし得、前記中間生成物は、PUFA生成物を得るためにさらなる精製に供される。
【0140】
他の実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、原料混合物としての、部分的に精製され、化学処理された原料材をクロマトグラフィー装置中に導入することを含む。これらの実施形態では、本プロセスは、PUFA生成物を直接得るために原料混合物の精製をもたらし得る。代わりに、本プロセスは、中間生成物を得るために原料混合物の精製をもたらし得、前記中間生成物は、PUFA生成物を得るためにさらなる精製に供される。
【0141】
クロマトグラフィー分離プロセスが、中間生成物から所望のPUFA生成物を得るための中間生成物の調製をもたらす上記の実施形態のいずれかでは、さらなる精製工程が行われる。典型的には、前記さらなる精製は、1つ以上のクロマトグラフィー装置、好ましくは1つ以上の固定床クロマトグラフィー装置又は1つ以上の実移動床又は擬似移動床クロマトグラフィー装置中で行われる。より好ましくは、前記さらなる精製は、1つ以上の固定床クロマトグラフィー装置におけるフラッシュカラムクロマトグラフィーを含む。
【0142】
本発明のクロマトグラフィー分離プロセスのPUFA生成物は、例えば、漂白土又はシリカで処理して、酸化副生成物を還元すること又は酸化防止剤(トコフェロールなど)の添加によって物理的又は化学的にさらに処理され得る。
【0143】
PUFA生成物を得るために2つ以上のクロマトグラフィー分離工程を含む本発明のいずれかの実施形態では、クロマトグラフィー分離工程の少なくとも1つは、本明細書に記載される固体吸着剤を含む。好ましくは、クロマトグラフィー分離工程のそれぞれは、本明細書に記載される固体吸着剤を含む。
【0144】
好ましい一実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、PUFA生成物を得るために、2つのクロマトグラフィー分離工程を含む。好ましくは、この実施形態では、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程の両方は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール以下の圧力で動作し、固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われる。しかしながら、代わりに、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程の一方のみは、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、他方の分離工程は、様々な固体吸着剤相及び/又は操作圧力を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0145】
ここで、この実施形態では、典型的には、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール以下の圧力で動作し、固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われ得、第2のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第2のクロマトグラフィー工程は、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第2のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有する、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0146】
代わりに、この実施形態では、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール以下の圧力で動作し、固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われ得、第1のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第1のクロマトグラフィー工程は、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第1のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有する、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0147】
典型的には、この実施形態では、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程は、異なるクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程は、同じクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0148】
本発明のクロマトグラフィープロセスは、典型的には、原料混合物から得られたPUFA生成物の収率が、原料混合物中に存在するそのPUFA生成物の総質量を基準にして80重量%超、より好ましくは90重量%超、さらにより好ましくは95重量%超、最も好ましくは98重量%超であるように構成される。
【0149】
クロマトグラフィー分離プロセスの操作
任意の公知のクロマトグラフィー装置が本発明のクロマトグラフィー分離のために使用され得る。分離で使用されるクロマトグラフィーカラムの数は、特に限定されない。クロマトグラフィー装置は、1つ以上のクロマトグラフィーカラム、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のカラムを含む。いくつかの実施形態では、カラムの数は、典型的には、1つである。他の実施形態では、カラムの数は、典型的には、2つ以上、好ましくは4つ以上、より好ましくは6つ以上、さらにより好ましくは8つ以上、例えば4、5、6、7、8、9又は10個のカラムである。典型的には、25個以下のカラム、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下が存在する。
【0150】
使用されるカラムの寸法は、特に限定されず、精製される原料混合物の体積にある程度依存するであろう。当業者は、使用するのに適切なサイズのカラムを容易に決定することができるであろう。各カラムの直径は、典型的には、50~5000mm、好ましくは100~2500mm、より好ましくは250~1500mm、最も好ましくは250~1000mmである。各カラムの長さは、典型的には、10~300cm、好ましくは10~200cm、より好ましくは25~150cm、さらにより好ましくは70~110cm、最も好ましくは80~100cmである。
【0151】
典型的には、本発明のプロセスは、20バール未満の最大圧力で行われる。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、7~20バール、好ましくは7.5~15バール、より好ましくは8~10バールの「中」圧で行われる。代わりに、いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、7バール以下、好ましくは1~7バール、より好ましくは3~6バールの「低」圧で行われる。
【0152】
典型的には、本発明のプロセスは、室温又は室温を超える温度で行われる。好ましくは、本プロセスは、室温を超える温度で行われる。
【0153】
典型的には、原料混合物が通されるクロマトグラフィーカラムの少なくとも1つの温度は、室温を超える。より典型的には、使用されるクロマトグラフィーカラムの全ての温度は、室温を超える。
【0154】
理解されるように、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムが室温を超える温度にある場合、分離プロセスにとって重要なのは、カラムの内部である。したがって、室温を超える温度にあり得るのは、典型的には、クロマトグラフィーカラムの内部の溶離剤及び吸着剤である。当然のことながら、内部手段によって(例えば、溶離剤及び/又は原料混合物を加熱することによって)及び/又は外部手段(例えば、任意の公知の従来の手段によってクロマトグラフィーカラムの外部を加熱することによって)、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムの内部の必要な温度を達成することが可能である。
【0155】
典型的には、高温は、溶離剤及び/又は原料混合物を加熱することによって達成され得る。これは、内部でカラムを加熱する効果を有する。
【0156】
ここで、原料混合物が通されるクロマトグラフィーカラムの少なくとも1つの温度は、溶離剤の温度としても測定され得る。したがって、典型的には、クロマトグラフィー分離で使用される溶離剤の温度は、室温を超える。
【0157】
代わりに、クロマトグラフィーカラムの少なくとも1つの必要な温度は、カラムを加熱することによって達成され得る。加熱することは、例えば、電気加熱式マントル、温水ジャケット若しくはコイルを用いて又は放射熱ランプによって行われ得る。1つ以上のクロマトグラフィーカラムの内部及び/又は外部が典型的に加熱され得る。
【0158】
クロマトグラフィーカラムの少なくとも1つの必要な温度は、カラム、及び/又は水性有機溶媒溶離剤、及び/又は原料混合物を加熱することによって達成され得る。
【0159】
典型的には、室温を超える温度は、30℃超、好ましくは35℃、より好ましくは40℃超、さらにより好ましくは45℃超、さらにより好ましくは50℃超、さらにより好ましくは55℃超、さらにより好ましくは57℃超である。56℃の温度が特定の実施形態で有用である。
【0160】
典型的には、室温を超える温度は、最大で100℃、好ましくは最大で95℃、より好ましくは最大で90℃、さらにより好ましくは最大で85℃、さらにより好ましくは最大で80℃、さらにより好ましくは最大で75℃、さらにより好ましくは最大で70℃である。
【0161】
ここで、典型的な温度範囲は、30~100℃、35~95℃、40~90℃、45~85℃、50~80℃、55~75℃又は57~70℃である。
【0162】
好ましい温度範囲は、40~70℃、好ましくは50~67℃、より好ましくは56~65℃、さらにより好ましくは57~63℃である。
【0163】
特定の実施形態では、単一のクロマトグラフィーカラム、好ましくは単一の固定クロマトグラフィーカラムが使用され得る。この様式における分離は、典型的には、公知の固定床クロマトグラフィー装置を用いて行われる。この様式における分離は、「固定床」クロマトグラフィーと呼ばれ得る。
【0164】
他の実施形態では、2つ以上のクロマトグラフィーカラムが使用される。これは、直列に又は並列に配置された同じであるか又は異なり得る2つ以上のクロマトグラフィーカラムに原料混合物を通すことを含み得る。この実施形態で使用されるカラムの数は、特に限定されないが、典型的には30個のカラムを超えない。
【0165】
複数のクロマトグラフィーカラムが使用される特定の一実施形態は、擬似又は実移動床クロマトグラフィーである。
【0166】
擬似及び実移動床クロマトグラフィー装置は、当業者に周知である。任意の公知の擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置は、装置が本発明のプロセスに従って使用される限り、本発明の方法のために用いられ得る。米国特許第2,985,589号明細書、米国特許第3,696,107号明細書、米国特許第3,706,812号明細書、米国特許第3,761,533号明細書、FR-A-2103302号明細書、FR-A-2651148号明細書、FR-A-2651149号明細書、米国特許第6,979,402号明細書、米国特許第5,069,883号明細書及び米国特許第4,764,276号明細書に記載されるそれらの装置は全て、本発明のプロセスに従って構成される場合に使用され得る。例えば、国際公開第2011/080503号パンフレット、国際公開第2013/005046号パンフレット、国際公開第2013/005047号パンフレット、国際公開第2013/005048号パンフレット、国際公開第2013/005051号パンフレット、国際公開第2013/005052号パンフレット及び/又は国際公開第2014/108686号パンフレットに開示されるSMBプロセスも用いられ得る。
【0167】
典型的には、クロマトグラフィー分離は、例えば、
図1に示されるものなどの従来の装置を用いた単一のSMB分離工程の使用を含み得る。この様式における分離は、「シングルパス」SMBと呼ばれ得る。
【0168】
図1では、液相と固相との間の向流接触がカラム中で形成され、これは、4つの異なる区域に分割され得る。
区域1 - 溶離剤注入ラインと抽出液抽出ラインとの間に位置する全て
区域2 - 抽出液抽出ラインと原料材注入ラインとの間に位置する全て
区域3 - 原料材注入ラインと抽残液抽出ラインとの間に位置する全て
区域4 - 抽残液抽出ラインと溶離剤注入ラインとの間に位置する全て。
【0169】
入口/出口流量のため、液体流量は、区域に応じて変化し、それによりQI、QII、QIII及びQIVが区域I、II、III及びIVにおけるそれぞれの流量である。
【0170】
一実施形態では、原料材及び溶離剤導入点は、下流に(主要な流体の循環の方向に)周期的に進行される一方、抽残液及び抽出液のための抽出点は、同時に及び同じ増分(例えば、少なくとも1つのカラム)に従って進行される。
【0171】
ここで、この実施形態では、入口及び出口ラインの全てが各期間ΔT及びサイクル時間と同時に移動され、その時間の最後にそれらの最初の位置がNc*ΔTに等しく、それによりNcがカラムの総数であることが分かる。
【0172】
この実施形態では、入口/出口位置は、一定の間隔で同時に移動される。ラインの位置は、典型的には、ライン(n)によって示され、これは、所与の時点で所与の入口/出口ラインがカラムnの入口に連結されることを示す。例えば、12-カラムシステムでは、原料材(9)は、原料材ラインがカラム9の入口に連結されることを意味する一方、抽残液(11)は、抽残液ラインがカラム11の入口に連結されることを意味する。
【0173】
この定義を使用することにより、システムは、El(3)/Ext(6)/原料材(9)/Raff(11)によって表され得る。この構成について、区域1、II、III及びIV中のカラムの数は、それぞれ3/3/2/4である。その際、システムの構成は、以下によって定義され得る:
カラムの入口/出口の数
時間0における:El(3)/Ext(6)/原料材(9)/Raff(11)3/3/2/4
所与の時間後、入口/出口位置の全てが1つのカラムによって同時に移動され、システムは、以下のように表される:
時間ΔTの時点で:El(4)/Ext(7)/原料材(10)/Raff(12)3/3/2/4
新たな期間の後、位置の全てが再度1つのカラムによって同時に移動され、その際、システムは、以下のように表されるであろう:
2*ΔTの時点で:El(5)/Ext(8)/原料材(11)/Raff(1)3/3/2/4
時間2*ΔTの時点で、抽残液の位置が位置12から位置1に移動されており、これは、位置13 modulo 12としても記載され得る([13]12)。
【0174】
この表現は、いくつかのカラムNcを含む擬似移動床をシミュレートするように一般化され得る。所与の時点で擬似移動床の構成がEl(e)/Ext(x)/原料材(f)/Raff(r)である場合、単純な推論により、各区域に含まれるカラムの数を認識することが可能になる。
区域1:Nb1=[x-e]Nc;区域2:Nb2=[f-x]Nc
区域3:Nb3=[r-f]Nc;区域4:Nb4=[e-r]Nc
【0175】
注入及び抽出点は、期間ΔT後に1つのカラム及びNc期間後にNcカラムによって変化される。各区域におけるカラムの数は、変化しないままである。したがって、注入及び抽出点は、サイクル時間Nc*ΔT後のそれらの最初の位置に戻る。
【0176】
別の実施形態では、クロマトグラフィー分離は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,136,198号明細書及びSa Gomes and Rodrigues,Chemical Engineering&Technology Special Issue:Preparative Chromatography and Downstream Processing,2012,35,17-34に記載されるように行われ得る。これらの文献には、クロマトグラフィー分離プロセスを操作する非従来的な方法が記載されている。典型的には、この実施形態では、このプロセスは、特に、いわゆるVaricol、Powerfeed、ISMB、Modicon、OSS又は粒子供給/部分廃棄法を用いて行われ得る。好ましくは、この実施形態では、プロセスは、Varicol方法を用いて行われる。このプロセスは、非同期ポートスイッチを伴うシングルパスSMBプロセスであり、「非同期SMB」とも呼ばれ得る。Varicolプロセスは、以下にさらに詳細に記載されている。
【0177】
「Varicol」実施形態は、以下の点で、シングルパスSMBと異なる:
(1)区域長さが一定でない;
(2)区域当たりのカラムの数が期間にわたって一定でない;及び
(3)入口/出口ラインが同時に移動されない。
【0178】
「Varicol」実施形態では、期間中及びサイクル時間中の流体の入口及び出口の位置を同時に移動しないことにより、改善された結果を得ることが可能である。改善は、抽出液として及び抽残液として抽出される生成物の増加した純度並びに分離の低下したコストを含む。
【0179】
「Varicol」実施形態では、それを含有する混合物の少なくとも1つの成分が吸着剤を含み、且つ直列に及び閉ループで配置された、一連のクロマトグラフィーカラム又はクロマトグラフィーカラムセクションを有するデバイスで精製され、それにより、ループは、少なくとも1つの原料材注入点、抽残液抽出点、溶離剤注入点及び抽出液抽出点を含み、クロマトグラフィー区域が注入点及び抽出点によって決定されるか又は逆も同様であり、所与の期間の最後に、注入及び抽出点の全ては、ループを通して循環する主要な流体の流れの方向に対して規定される所与の方向に1つのカラム又はカラムセクションだけ変化され、それにより、プロセスは、前記期間中、カラム又はカラムセクションの異なる注入及び抽出点の変化が、前記異なる点によって規定される区域の長さが可変であるように異なる時点で行われることを特徴とする。
【0180】
期間は、最小の時間間隔ΔTとして定義され、その最後に入口及び出口のそれぞれが1つのカラム又はカラムセクションだけ変化され、それにより変化が入口及び出口の全てについて同時に行われなかった。サイクル時間Nc*ΔTの最後に、システムは、最初の位置に戻っていた。
【0181】
吸着剤は、いくつかの態様では、例えば吸着プロセスで使用されるゼオライトシーブであるモレキュラーシーブ又はイオン交換樹脂などの吸着剤から選択され得る。それは、シリカベースにおける固定相、逆相吸着剤及びキラル相でもあり得る。
【0182】
「Varicol」実施形態では、一連の以下の段階を少なくとも1回もたらすことが可能である:前記期間ΔT中の時点t1で、所与の方向において、注入点又は抽出点の位置は、前記区域の長さを増加させ、前記区域に隣接する区域の長さを減少させるように、1つのカラム又はカラムセクションだけ少なくとも1つの区域に対して変化され、次に、前記期間中の時点t2で、少なくとも1つの他の区域に対する注入又は抽出点の位置は、前記他の区域の長さを増加させ、前記他の区域に隣接する区域の長さを減少させるように、1つのカラム又はカラムセクションだけ同じ方向に変化され、操作は、前記期間ΔTの後、最初の構成と同じカラム構成がカラム又はカラムセクションの注入点及び抽出点の位置の全ての変化とともに戻されるように、必要に応じて繰り返される。
【0183】
「Varicol」実施形態の一態様では、カラムの区域の長さを連続的に変化させ、それにより1つの区域の増加が次の区域の減少によって埋め合わされることが可能である(例えば、米国特許第6,136,198号明細書の表2を参照されたい)。
【0184】
「Varicol」実施形態の別の態様では、区域の長さの増加が反対の区域の減少によって埋め合わされ得る(例えば、米国特許第6,136,198号明細書の表3を参照されたい)。
【0185】
期間中に、ほぼ一定の時間位相シフト及び有利には4分の1の期間と少なくとも等しい時間位相シフトで注入又は抽出位置の変化の全てを行うことが可能である。
【0186】
「Varicol」実施形態のいくつかの態様では、期間中に非一定時間位相シフトで注入又は抽出点の位置の変化を行うことが可能である。
【0187】
「Varicol」実施形態では、所与の区域中で循環する流体の流量は、一般に、ほぼ一定に保持される。カラム又はカラムセクションにおける流れの方向と同じ方向に、注入及び抽出点の位置の変化を行うことも有利である。さらに、注入又は抽出ラインで循環する流体の少なくとも1つの流量がデバイス中の圧力によって監視され得る。好ましくは、それは、抽残液及び/又は抽出液の流量であり、それにより他の流体が次に流量制御下に置かれる。
【0188】
「Varicol」実施形態では、溶離剤として液体を使用することが有利には可能であるが、超臨界流体又は亜臨界流体を用いて操作することも可能である。
【0189】
生成物の分離が「Varicol」実施形態で行われる圧力の範囲は、0.1~50MPa、好ましくは0.5~30MPaであり得る。カラム中の温度は、一般に、0℃~100℃である。典型的には、カラム又はカラムセクションの数は、8つ未満である。8つを超える値の場合、サイクルの期間中の変化の時点で組み合わされる各区域中のカラムの数及び長さの影響を調べることにより、プロセスを最適化することが非常に有利である。
【0190】
「Varicol」実施形態で使用されるデバイスは、吸着剤を含み、直列に及び閉ループで配置されたいくつかのクロマトグラフィーカラム又はクロマトグラフィーカラムセクションを含み、それにより、前記ループは、流体を再循環させるための少なくとも1つのポンプ、少なくとも1つの注入ポンプに連結された各カラム又はカラムセクションにおけるいくつかの流体注入ライン及び少なくとも1つの抽出ポンプに連結された各カラム又はカラムセクションのいくつかの流体抽出ライン、各ラインにおける少なくとも1つの弁を含み、それにより、前記ループは、少なくとも3つのクロマトグラフィー区域を画定し、それにより、それらのそれぞれが流体注入点及び流体抽出点によって決定され、それにより、デバイスは、それが前記弁に連結され、且つ注入及び抽出点の位置をカラム又はカラムセクションだけ断続的に変化させるのに好適である区域の長さの時間における変化を制御するための手段を含むことを特徴とする。
【0191】
使用される弁は、有利には、全か無かの弁である。
【0192】
上述されるプロセスの代替として、クロマトグラフィー分離は、複数のSMB分離の使用を含み得る。
【0193】
一実施形態では、クロマトグラフィー分離は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2011/080503号パンフレット及び国際公開第2013/005046号パンフレットに記載されるように行われ得る。国際公開第2011/080503号パンフレット及び国際公開第2013/005046号パンフレットに規定される好ましいプロセス条件は、この実施形態のための好ましいプロセス条件であり、国際公開第2011/080503号パンフレット及び国際公開第2013/005046号パンフレットから組み込まれ得る。
【0194】
国際公開第2011/080503号パンフレット及び国際公開第2013/005046号パンフレットに開示されるプロセスは、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結されたクロマトグラフィーカラムを有する擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置に入力流を導入することを含み、装置は、少なくとも第1の区域及び第2の区域を含む複数の区域を有し、各区域は、液体が前記複数の連結されたクロマトグラフィーカラムから収集され得る、抽出液流及び抽残液流を有し、(a)より極性の高い成分と一緒にPUFA生成物を含有する抽残液流が第1の区域中のカラムから収集され、第2の区域中の非隣接カラムに導入され、及び/又は(b)より極性の低い成分と一緒にPUFA生成物を含有する抽出液流が第2の区域中のカラムから収集され、第1の区域中の非隣接カラムに導入され、前記PUFA生成物が各区域中の入力流の様々な成分から分離される。この様式における分離は、「ダブルパス」SMBプロセスと呼ばれ得る。
【0195】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、「区域」という用語は、溶離剤として水性有機溶媒を含み、且つ入力流のための1つ以上の注入点、水及び/又は有機溶媒のための1つ以上の注入点、液体が前記複数の連結されたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽残液除去流及び液体が前記複数の連結されたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽出液除去流を有する、複数の連結されたクロマトグラフィーカラムを指す。典型的には、各区域は、入力流のための1つのみの注入点を有する。一実施形態では、各区域は、水性有機溶媒溶離剤のための1つのみの注入点を有する。別の実施形態では、各区域は、水及び/又は有機溶媒のための2つ以上の注入点を有する。
【0196】
「抽残液」という用語は、当業者に周知である。実移動床及び擬似移動床クロマトグラフィーに関して、それは、固体吸着剤相と比較して液体溶離剤相でより迅速に移動する成分の流れを指す。したがって、抽残液流は、入力流と比較して典型的により極性の高い成分が豊富であり、より極性の低い成分が減少されている。
【0197】
「抽出液」という用語は、当業者に周知である。実移動床及び擬似移動床クロマトグラフィーに関して、それは、液体溶離剤相と比較して固体吸着剤相でより迅速に移動する成分の流れを指す。したがって、抽出液流は、入力流と比較して典型的により極性の低い成分が豊富であり、より極性の高い成分が減少されている。
【0198】
本明細書で使用される際、「非隣接」という用語は、例えば、同じ装置内で1つ以上のカラム、好ましくは3つ以上のカラム、より好ましくは5つ以上のカラム、最も好ましくは約5つのカラムによって隔てられたカラムを指す。
【0199】
「ダブルパス」SMBプロセスは、
図11に示される。PUFA生成物(B)及びより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1の区域中のカラム5の上部に導入される。水性有機溶媒脱着剤は、第1の区域中のカラム1の上部に導入される。第1の区域では、より極性の低い成分(A)は、カラム2の底部から抽出液流E1として除去される。PUFA生成物(B)及びより極性の高い成分(C)は、カラム7の底部から抽残液流R1として除去される。次に、抽残液流R1は、カラム12の上部で第2の区域に導入される。水性有機溶媒脱着剤が第2の区域中のカラム9の上部に導入される。第2の区域では、より極性の高い成分(C)は、カラム14の底部で抽残液流R2として除去される。PUFA生成物(B)は、カラム10の底部で抽出液流E2として収集される。
【0200】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、水性有機溶媒は、典型的には、第1の区域中のカラム1の上部に導入される。
【0201】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、水性有機溶媒は、典型的には、第2の区域中のカラム9の上部に導入される。
【0202】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、入力流は、典型的には、第1の区域中のカラム5の上部に導入される。
【0203】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、第1の抽残液流は、典型的には、第1の区域中のカラム7の底部から収集され、第2の区域中のカラム12の上部に導入される。第1の抽残液流は、任意選択的に、カラム12に導入される前に容器中に収集され得る。
【0204】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、第1の抽出液流は、典型的には、第1の区域中のカラム2の底部から除去される。第1の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、一部が第1の区域中のカラム3の上部に再導入され得る。第1の区域から抽出液流を介して収集された液体が第1の区域中に戻る再循環の速度は、液体がこの容器からカラム3の上部にポンプ輸送される速度である。
【0205】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、第2の抽残液流は、典型的には、第2の区域中のカラム14の底部から除去される。
【0206】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、第2の抽出液流は、典型的には、第2の区域中のカラム10の底部から収集される。この第2の抽出液流は、典型的には、PUFA生成物を含有する。第2の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、一部が第2の区域中のカラム11の上部に再導入され得る。第2の区域から抽出液流を介して収集された液体が第2の区域中に戻る再循環の速度は、液体がこの容器からカラム11の上部にポンプ輸送される速度である。
【0207】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、第1の区域から抽出液流を介して収集された液体が第1の区域中に戻るように再循環される速度は、典型的には、第2の区域から抽出液流を介して収集された液体が第2の区域中に戻るように再循環される速度より速い。この「ダブルパス」SMBプロセスでは、溶離剤は、典型的には、各区域中で実質的に同じである。
【0208】
この「ダブルパス」SMBプロセスでは、溶媒は、蒸発、膜又は溶媒再循環の当業者のための任意の他の方法によって回収され得る。溶媒は、完全に又は部分的に生成物又は廃棄物が減少された後、部分的に又は十分に脱着剤としてSMBに再循環され得る。したがって、いくつかの態様では、生成物が豊富な抽出液/抽残液流(該当する場合)及び/又は生成物が減少された抽出液/抽残液流(該当する場合)の濃縮は、蒸発、乾燥又は蒸留によって行われ得る。代わりに、生成物が豊富な抽出液/抽残液流(該当する場合)及び/又は生成物が減少された抽出液/抽残液流(該当する場合)の濃縮は、液体抽出、膜、結晶化、吸着又は他の溶媒回収技術によって行われ得る。
【0209】
典型的には、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程の少なくとも1つは、上に定義される少なくとも1つ、例えば1つの「ダブルパス」SMBプロセスを含む。
【0210】
代替的な実施形態では、クロマトグラフィー分離は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2013/005051号パンフレット及び/又は国際公開第2013/005052号パンフレットに記載されるように行われ得る。このような実施形態は、
(i)第1のSMB工程において、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結されたクロマトグラフィーカラムを有する擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中で入力流を精製して、第1の生成物を得ること;及び
(ii)第2のSMB工程において、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結されたクロマトグラフィーカラムを有する擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて、(i)で得られた第1の生成物を精製して、第2の生成物を得ること
を含み;
(a)第1及び第2のSMB工程は、同じクロマトグラフィー装置中で連続して行われ、第1の生成物は、第1のSMB工程と第2のSMB工程との間に回収され、クロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各SMB工程で原料混合物の異なる成分から分離されるように、第1のSMB工程と第2のSMB工程との間に調整され;又は
(b)第1及び第2のSMB工程は、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置のそれぞれで行われ、第1のSMB工程から得られた第1の生成物は、第2のクロマトグラフィー装置中に導入され、PUFA生成物は、各SMB工程で原料混合物の異なる成分から分離される。この様式における分離は、「バックトゥバック」SMBと呼ばれ得る。
【0211】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、「擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置」という用語は、典型的には、溶離剤として水性有機溶媒を含み、且つ入力流のための1つ以上の注入点、水及び/又は有機溶媒のための1つ以上の注入点、液体が複数の連結されたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽残液除去流及び液体が複数の連結されたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽出液除去流を有する、複数の連結されたクロマトグラフィーカラムを指す。
【0212】
この「バックトゥバック」SMBプロセスで使用されるクロマトグラフィー装置は、溶離剤として水性有機溶媒を含む、直列に連結されたクロマトグラフィーカラムの単一のアレイを有する。典型的には、クロマトグラフィーカラムのそれぞれは、該当するカラムに隣接する装置内で2つのカラムに連結される。したがって、アレイにおける所与のカラムからの出力は、アレイにおける隣接するカラムの入力に連結され、これは、アレイにおける溶離剤の流れに対して下流にある。したがって、溶離剤は、連結されたクロマトグラフィーカラムのアレイに周りを流れることができる。典型的には、クロマトグラフィーカラムのいずれも装置における非隣接カラムに連結されない。
【0213】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、各装置は、入力流のための1つのみの注入点を有する。一実施形態では、各装置は、水性有機溶媒溶離剤のための1つのみの注入点を有する。別の実施形態では、各装置は、水及び/又は有機溶媒のための2つ以上の注入点を有する。
【0214】
この「バックトゥバック」SMBプロセスにおける各装置で使用されるカラムの数は、特に限定されない。当業者は、使用するべきカラムの適切な数を容易に決定することができるであろう。カラムの数は、典型的には、4つ以上、好ましくは6つ以上、より好ましくは8つ以上、例えば4、5、6、7、8、9又は10個のカラムである。好ましい実施形態では、5又は6つのカラム、より好ましくは6つのカラムが使用される。別の好ましい実施形態では、7又は8つのカラム、より好ましくは8つのカラムが使用される。典型的には、25個以下のカラム、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下がある。
【0215】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1及び第2の分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置は、典型的には、同じ数のカラムを含む。特定の用途では、それらは、異なる数のカラムを有し得る。
【0216】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1及び第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラムは、典型的には、同一の寸法を有するが、特定の用途では異なる寸法を有し得る。
【0217】
カラムへの流量は、一連のカラムにわたって最大圧力によって制限され、カラム寸法及び固相の粒径に依存するであろう。当業者は、効率的な脱着を確実にするために、各カラム寸法に必要な流量を容易に確立することができるであろう。より大きい直径のカラムは、一般に、カラムを通して線形流れを維持するためにより高い流量を必要とするであろう。
【0218】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、上に概説される典型的なカラムサイズについて、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への溶離剤の流量は、50~300L/分、好ましくは100~150L/分である。典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置からの抽出液の流量は、5~150L/分、好ましくは25~130L/分である。第1のSMB分離工程からの抽出液の一部が、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される実施形態では、再循環の流量は、典型的には、50~100L/分、好ましくは約75L/分である。典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置からの抽残液の流量は、15~150L/分、好ましくは20~125L/分である。第1のSMB分離工程からの抽残液の一部が、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される実施形態では、再循環の流量は、典型的には、20~75L/分、好ましくは約35L/分である。典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への入力流の導入の流量は、0.3~10L/分、好ましくは0.5~7.5L/分、より好ましくは1~4L/分である。
【0219】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、上に概説される典型的なカラムサイズについて、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への溶離剤の流量は、50~250L/分、好ましくは100~225L/分である。典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置からの抽出液の流量は、25~125L/分、好ましくは50~120L/分である。第2のSMB分離工程からの抽出液の一部が、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される実施形態では、再循環の流量は、典型的には、40~90L/分、好ましくは50~75L/分、より好ましくは約60L/分である。典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置からの抽残液の流量は、25~150L/分、好ましくは50~100L/分、より好ましくは約90L/分である。第2のSMB分離工程からの抽残液の一部が、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される実施形態では、再循環の流量は、典型的には、20~60L/分、好ましくは約30L/分である。
【0220】
当業者が理解するように、液体が様々な抽出液及び抽残液流を介して収集又は除去される速度への言及は、時間単位、典型的にはL/分単位での除去される液体の体積を指す。同様に、液体が装置中、典型的には装置中の隣接カラムに戻るように再循環される速度への言及は、時間単位、典型的にはL/分単位での再循環される液体の体積を指す。
【0221】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、実移動床クロマトグラフィーが好ましい。
【0222】
ステップ時間、すなわち入力流及び溶離剤の注入の時点並びに収集された画分の様々な除去点を変化させる間の時間は、特に限定されず、使用されるカラムの数及び寸法並びに装置を通る流量に依存するであろう。当業者は、本発明のプロセスで使用するための適切なステップ時間を容易に決定することができるであろう。ステップ時間は、典型的には、100~1000秒間、好ましくは200~800秒間、より好ましくは約250~約750秒間である。いくつかの実施形態では、100~400秒間、好ましくは200~300秒間、より好ましくは約250秒間のステップ時間が適切である。他の実施形態では、600~900秒間、好ましくは700~800秒間、より好ましくは約750秒間のステップ時間が適切である。
【0223】
「バックトゥバック」SMBプロセスは、第1及び第2のSMB分離工程を含む。
【0224】
これらの2つの工程は、単一のクロマトグラフィー装置で容易に行われ得る。したがって、一実施形態では、(a)第1及び第2のSMB分離工程は、同じクロマトグラフィー装置で連続的に行われ、第1の生成物は、第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間で回収され、クロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように、第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間で調整される。この「バックトゥバック」SMBプロセスの好ましい実施形態は、
図10Aとして示される。ここで、第1のSMB分離工程(左側)は、8つのカラムを有するSMB装置で行われる。第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間において、第1の生成物は、例えば、容器中に回収され、クロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように調整される。次に、第2のSMB分離工程(右側)は、8つのカラムを有する同じSMB装置で行われる。
【0225】
実施形態(a)では、プロセス条件を調整することは、典型的には、全体として装置におけるプロセス条件を調整すること、すなわち条件が異なるように装置を物理的に調節することを指す。それは、プロセス条件が偶然異なり得る、同じ装置の異なる部分中に第1の生成物を単に再導入することを指さない。
【0226】
代わりに、第1及び第2の別個のクロマトグラフィー装置は、第1及び第2のSMB分離工程で使用され得る。したがって、別の実施形態では、(b)第1及び第2のSMB分離工程は、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置のそれぞれで行われ、第1のSMB分離工程から得られた第1の生成物は、第2のクロマトグラフィー装置中に導入され、PUFA生成物は、各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離される。
【0227】
実施形態(b)では、2つのSMB分離工程は、連続的に又は同時に行われ得る。
【0228】
したがって、2つのSMB分離工程が連続的に行われる実施形態(b)では、第1及び第2のSMB分離工程は、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置のそれぞれで連続的に行われ、第1の生成物は、第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間で回収され、第1及び第2のSMBクロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように調整される。この「バックトゥバック」SMB分離プロセスの好ましい実施形態は、
図10Bとして示される。ここで、第1のSMB分離工程(左側)は、8つのカラム、1~8を有するSMB装置で行われる。第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間において、第1の生成物は、例えば、容器中で回収され、次に第2の別個のSMB装置中に導入される。第2のSMB分離工程(右側)は、8つのカラム、9~16を有する第2の別個のSMB装置で行われる。2つのクロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように調整される。
【0229】
2つのSMB分離工程が同時に行われる実施形態(b)では、第1及び第2のSMB分離工程は、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置のそれぞれで行われ、第1の生成物は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入され、第1及び第2のクロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように調整される。この「バックトゥバック」SMB分離プロセスの好ましい実施形態は、
図10cとして示される。ここで、第1のSMB分離工程(左側)は、8つのカラム、1~8を有するSMB装置で行われる。次に、第1のSMB分離工程で得られた第1の生成物は、第2のSMB分離工程で使用される第2の別個のクロマトグラフィー装置中に導入される。第1の生成物は、第1のSMB分離工程から第2のSMB分離工程に直接又は例えば容器を介して間接的に通され得る。第2のSMB分離工程(右側)は、8つのカラム、9~16を有する第2の別個のSMB装置で行われる。2つのクロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように調整される。
【0230】
2つのSMB分離工程が同時に行われる場合の実施形態(b)では、溶離剤は、2つの別個のクロマトグラフィー装置中で別々に循環する。したがって、第2のSMB分離工程で精製され、且つ第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される第1の生成物中の溶媒として溶離剤が存在し得るもの以外の2つの別個のクロマトグラフィー装置間で溶離剤が共有されない。クロマトグラフィーカラムは、第1及び第2のSMB分離工程で使用される2つの別個のクロマトグラフィー装置間で共有されない。
【0231】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の生成物が第1のSMB分離工程で得られた後、第1の生成物が第2のSMB分離工程で精製される前に、水性有機溶媒溶離剤は、部分的に又は全体的に除去され得る。代わりに、第1の生成物は、存在する溶媒の除去なしに第2のSMB分離工程で精製され得る。
【0232】
上述されるように、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、PUFA生成物は、各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離される。実施形態(a)では、両方のSMB分離工程で使用される単一のSMB装置のプロセス条件は、PUFA生成物が各分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように、第1のSMB分離工程と第2のSMB分離工程との間で調整される。実施形態(b)では、第1及び第2のSMB分離工程で使用される2つの別個のクロマトグラフィー装置におけるプロセス条件は、PUFA生成物が各分離工程で入力流の異なる成分から分離されるように設定される。
【0233】
ここで、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1及び第2のSMB分離工程におけるプロセス条件は、変化する。変化するプロセス条件としては、例えば、使用されるカラムのサイズ、使用されるカラムの数、カラムで使用される充填材、SMB装置のステップ時間、装置の温度、分離工程で使用される溶離剤の水:有機溶媒比又は装置で使用される流量、特に抽出液若しくは抽残液流を介して収集される液体の再循環速度が挙げられる。
【0234】
好ましくは、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、変化し得るプロセス条件は、SMB分離工程で使用される溶離剤の水:有機溶媒比及び/又はSMB分離工程で抽出液若しくは抽残液流を介して収集される液体の再循環速度である。これらの選択肢の両方は、以下でより詳細に説明される。
【0235】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で得られた第1の生成物は、典型的には、入力流と比較してPUFA生成物が豊富である。
【0236】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、次に、第1のSMB分離工程で得られた第1の生成物は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0237】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の生成物は、典型的には、第1のSMB分離プロセスで使用されるクロマトグラフィー装置から抽残液又は抽出液流として収集される。
【0238】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の生成物は、第1のSMB分離工程で抽残液流として収集され、第2の生成物は、第2のSMB分離工程で抽出液流として収集される。ここで、第1のSMB分離工程で収集された抽残液流は、第2のSMB分離工程で入力流として使用される。第1のSMB分離工程で収集された抽残液流は、典型的には、より極性の高い成分と一緒に第2の生成物を含有する。
【0239】
代わりに、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の生成物は、第1のSMB分離工程で抽出液流として収集され、第2の生成物は、第2のSMB分離工程で抽残液流として収集される。ここで、第1のSMB分離工程で収集された抽出液流は、第2のSMB分離工程で入力流として使用される。第1のSMB分離工程で収集された抽出液流は、典型的には、より極性の低い成分と一緒に第2の生成物を含有する。
【0240】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、PUFA生成物は、各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離される。典型的には、本発明のプロセスの各SMB分離工程で分離された成分は、異なる極性を有する。
【0241】
好ましくは、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、PUFA生成物は、第1のSMB分離工程で入力流のより極性の低い成分から分離され、PUFA生成物は、第2のSMB分離工程で入力流のより極性の高い成分から分離される。
【0242】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、
(a)第1のSMB分離工程で使用される装置からの抽出液流の一部は、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;及び/又は
(b)第1のSMB分離工程で使用される装置からの抽残液流の一部は、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;及び/又は
(c)第2のSMB分離工程で使用される装置からの抽出液流の一部は、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;及び/又は
(d)第2のSMB分離工程で使用される装置からの抽残液流の一部は、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される。
【0243】
好ましくは、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、
(a)第1のSMB分離工程で使用される装置からの抽出液流の一部は、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;
(b)第1のSMB分離工程で使用される装置からの抽残液流の一部は、第1のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;
(c)第2のSMB分離工程で使用される装置からの抽出液流の一部は、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環され;
(d)第2のSMB分離工程で使用される装置からの抽残液流の一部は、第2のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される。
【0244】
この「バックトゥバック」SMBプロセスにおける再循環は、第1又は第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置からの抽出液又は抽残液流の一部を、そのSMB工程で使用される装置中、典型的には隣接カラム中に戻るように供給することを含む。この隣接カラムは、システムにおける溶離剤の流れに対して下流の隣接カラムである。
【0245】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1又は第2のSMB分離工程で抽出液又は抽残液流を介して収集された液体が、そのSMB工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、その流れを介して収集された液体が、そのSMB工程で使用される装置、典型的には隣接カラム、すなわちシステムにおける溶離剤の流れに対して下流のカラム中に戻るように供給される速度である。
【0246】
これは、
図9を参照して見られる。第1のSMB分離工程における抽出液の再循環の速度は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集された抽出液が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部に供給される速度、すなわち第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部への液体の流量である。
【0247】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2のSMB分離工程における抽出液の再循環の速度は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部で収集された抽出液が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部に供給される速度、すなわち第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部への液体の流量である。
【0248】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1及び/又は第2のSMB分離工程における抽出液及び/又は抽残液流の再循環は、典型的には、そのSMB分離工程でその流れを介して収集された液体を容器中に供給し、次にある量の、容器からのその液体を、そのSMB分離工程で使用される装置中、典型的には隣接カラム中に戻るようにポンプ輸送することによって行われる。この場合、第1及び/又は第2のSMB分離工程で特定の抽出液又は抽残液流を介して典型的には隣接カラム中に戻るように収集された液体の再循環の速度は、液体が容器からクロマトグラフィー装置中、典型的には隣接カラム中に戻るようにポンプ輸送される速度である。
【0249】
当業者が理解するように、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、液体の量が溶離剤を介してクロマトグラフィー装置中に導入され、入力流は、装置から除去される液体の量とバランスを取られ、装置中に戻るように再循環される。
【0250】
ここで、
図9を参照するこの「バックトゥバック」SMBプロセスでは、抽出液流について、第1及び第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への溶離剤(脱着剤)の流量(D)は、そのSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が容器中に蓄積する速度(E1及びE2)を、抽出液が、その特定のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度(D-E1及びD-E2)に加えた速度に等しい。
【0251】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、SMB分離工程からの抽残液流について、抽出液が、その特定のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度(D-E1及びD-E2)を、原料材が、その特定のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される速度(F及びR1)に加えた速度は、その特定のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が容器中に蓄積する速度(R1及びR2)を、抽残液が、その特定のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置に戻るように再循環される速度(D+F-E1-R1及びD+R1-E2-R2)に加えた速度に等しい。
【0252】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、クロマトグラフィー装置からの特定の抽出液又は抽残液流から収集された液体が容器中に蓄積する速度は、そのクロマトグラフィー装置からのその抽出液又は抽残液流の除去の正味の速度であるとも考えられ得る。
【0253】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽出液及び抽残液流を介して収集された液体が、その分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される速度は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離され得るように調整される。
【0254】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2のSMB分離工程で抽出液及び抽残液流を介して収集された液体が、そのSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される速度は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離され得るように調整される。
【0255】
好ましくは、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、各SMB分離工程で抽出液及び抽残液流を介して収集された液体が、そのSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される速度は、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離され得るように調整される。
【0256】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度と異なり、及び/又は第1のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度と異なる。
【0257】
第1又は第2のSMB分離工程で抽出液及び/又は抽残液流を介して収集された液体が、その特定のSMB分離工程で使用される装置中に戻るように再循環される速度を変化させることは、抽出液及び抽残液流中に存在するより極性の高い及びより極性の低い成分の量を変化させる効果を与える。したがって、例えばより低い抽出液再循環速度により、そのSMB分離工程でより少ないより極性の低い成分が抽残液流に運ばれる。より高い抽出液再循環速度により、そのSMB分離工程でより多くのより極性の低い成分が抽残液流に運ばれる。
【0258】
これは、例えば、
図6に見られる。第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、そのSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度(D-E1)は、成分Aのいずれかが第1のSMB分離工程(R1)で抽残液流にどの程度運ばれるかに影響を与えるであろう。
【0259】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。好ましくは、より極性の高い成分と一緒に第2の生成物を含有する抽残液流が第1のSMB分離工程から収集され、第2のSMB分離工程で精製され、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。
【0260】
代わりに、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より遅い。
【0261】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第1の分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。好ましくは、より極性の低い成分と一緒に第2の生成物を含有する抽出液流が第1のSMB分離工程から収集され、第2のSMB分離工程で精製され、第1のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。
【0262】
代わりに、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より遅い。
【0263】
PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離され得るように再循環速度が調整される、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、各SMB分離工程で使用される溶離剤の水:有機溶媒比は、同じであるか又は異なり得る。各SMB分離工程における溶離剤の典型的な水:有機溶媒比は、上に定義されるとおりである。
【0264】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、各SMB分離工程で使用される水性有機溶媒溶離剤は、異なる水:有機溶媒比を有する。各SMB分離工程で使用される有機溶媒は、同じである。各SMB分離工程で使用される水:有機溶媒比は、好ましくは、PUFA生成物が各SMB分離工程で入力流の異なる成分から分離され得るように調整される。
【0265】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、SMB分離工程のそれぞれで使用される溶離剤の溶離力は、典型的には、異なる。好ましくは、第1のSMB分離工程で使用される溶離剤の溶離力は、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤の溶離力より大きい。実際に、これは、各SMB分離工程で使用される水及び有機溶媒の相対量を変化させることによって達成される。
【0266】
有機溶媒の選択に応じて、それらは、水より強力な脱着剤であり得る。代わりに、それらは、水より弱い脱着剤であり得る。例えば、アセトニトリル及びアルコールは、水より強力な脱着剤である。したがって、水性有機溶媒が水性アルコール又はアセトニトリルである場合、第1のSMB分離工程で使用される溶離剤中のアルコール又はアセトニトリルの量は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤中のアルコール又はアセトニトリルの量より多い。
【0267】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程における溶離剤の水:有機溶媒比は、第2のSMB分離工程における溶離剤の水:有機溶媒比より低い。したがって、第1のSMB分離工程における溶離剤は、典型的には、第2のSMB分離工程における溶離剤より多い有機溶媒を含有する。
【0268】
上に言及される各SMB分離工程における水及び有機溶媒の比率は、クロマトグラフィー装置の全体中の平均比であることが理解されるであろう。
【0269】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、各SMB分離工程における溶離剤の水:有機溶媒比は、水及び/又は有機溶媒を、SMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中の1つ以上のカラム中に導入することによって制御される。したがって、例えば第2のSMB分離工程より第1のSMB分離工程でより低い水:有機溶媒比を達成するために、水は、典型的には、第2のSMB分離工程より第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中によりゆっくりと導入される。
【0270】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、本質的に純粋な有機溶媒及び本質的に純粋な水は、各SMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に異なる点で導入され得る。これらの2つの流れの相対流量がクロマトグラフィー装置における全体的な溶媒プロファイルを決定するであろう。代わりに、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、有機溶媒及び水の様々な混合物は、各SMB分離工程で使用される各クロマトグラフィー装置中に異なる点で導入され得る。それは、有機溶媒及び水の2つ以上の異なる混合物を、特定のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入することを含み、各有機溶媒/水混合物は、異なる有機溶媒:水比を有する。この「バックトゥバック」SMBプロセスにおける有機溶媒/水混合物の相対流量及び相対濃度は、そのSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置における全体的な溶媒プロファイルを決定するであろう。
【0271】
好ましくは、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、
(1)より極性の高い成分と一緒に第2の生成物を含有する第1の生成物は、第1のSMB分離工程で抽残液流として収集され、第2の生成物は、第2のSMB分離工程で抽出液流として収集されるか;又は
(2)より極性の低い成分と一緒に第2の生成物を含有する第1の生成物は、第1のSMB分離工程で抽出液流として収集され、第2の生成物は、第2のSMB分離工程で抽残液流として収集されるかのいずれかである。
【0272】
選択肢(1)は、入力流からEPAを精製するのに好適である。
【0273】
選択肢(1)は、
図2に示される。第2の生成物(B)及びより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離工程で精製される。第1のSMB分離工程では、より極性の低い成分(A)は、抽出液流E1として除去される。第2の生成物(B)及びより極性の高い成分(C)は、抽残液流R1として収集される。抽残液流R1は、第1の生成物であり、次に、それは、第2のSMB分離工程で精製される。第2のSMB分離工程では、より極性の高い成分(C)は、抽残液流R2として除去される。第2の生成物(B)は、抽出液流E2として収集される。
【0274】
選択肢(1)は、
図4により詳細に示される。
図4は、各クロマトグラフィー装置中への有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)の導入点が示されることを除いて、
図2と同一である。有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)は、一緒に溶離剤を構成する。(D)相は、典型的には、本質的に純粋な有機溶媒であるが、特定の実施形態では、主に有機溶媒を含む有機溶媒/水混合物であり得る。(W)相は、典型的には、本質的に純粋な水であるが、特定の実施形態では、主に水を含む有機溶媒/水混合物、例えば98%の水/2%のメタノール混合物であり得る。
【0275】
選択肢(1)のさらなる例示が
図6に示される。ここで、別個の水注入点が存在せず、代わりに水性有機溶媒脱着剤が(D)で注入される。
【0276】
選択肢(1)では、抽残液及び抽出液流への分離は、各クロマトグラフィー装置内で溶離剤の脱着力を変化させることによって補助され得る。これは、各クロマトグラフィー装置中の異なる点で溶離剤の有機溶媒(又は有機溶媒リッチ)成分及び水(又は水リッチ)成分を導入することによって達成され得る。ここで、典型的には、有機溶媒は、抽出液除去点の上流で導入され、水は、システムにおける溶離剤の流れに対して、クロマトグラフィー装置中への抽出液除去点及び原料の導入点間で導入される。これは、
図4に示される。
【0277】
典型的には、選択肢(1)では、第1のSMB分離工程で使用される水性有機溶媒溶離剤は、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤より多い有機溶媒を含有し、すなわち、第1のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、第2のSMB分離工程における水:有機溶媒比より低い。
【0278】
選択肢(1)では、SMB分離は、第1及び第2のSMB分離工程で抽出液及び抽残液流を介して収集された液体が、そのSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度を変化させることによって補助され得る。
【0279】
典型的には、選択肢(1)では、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、第2のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。
【0280】
選択肢(1)では、第1のSMB分離工程における第1の抽残液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への入力流の導入点の下流で除去される。
【0281】
選択肢(1)では、第1のSMB分離工程における第1の抽出液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への入力流の導入点の上流で除去される。
【0282】
選択肢(1)では、第2のSMB分離工程における第2の抽残液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への第1の生成物の導入点の下流で除去される。
【0283】
選択肢(1)では、第2のSMB分離工程における第2の抽出液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への第1の生成物の導入点の上流で収集される。
【0284】
典型的には、選択肢(1)では、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第1の抽出液流の除去点の上流で、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0285】
典型的には、選択肢(1)では、水が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される場合、水は、溶離剤の流れに対して、入力流の導入点の上流であるが、第1の抽出液流の除去点の下流で、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0286】
典型的には、選択肢(1)では、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第2の抽出液流の除去点の上流で、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0287】
典型的には、選択肢(1)では、水が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される場合、水は、溶離剤の流れに対して、第1の生成物の導入点の上流であるが、第2の抽出液流の除去点の下流で、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0288】
選択肢(2)は、入力流からDHAを精製するのに好適である。
【0289】
選択肢(2)は、
図3に示される。第2の生成物(B)及びより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離工程で精製される。第1のSMB分離工程では、より極性の高い成分(C)は、抽残液流R1として除去される。第2の生成物(B)及びより極性の低い成分(A)は、抽出液流E1として収集される。抽出液流E1は、第1の生成物であり、次に、それは、第2のSMB分離工程で精製される。第2のSMB分離工程では、より極性の低い成分(A)は、抽出液流E2として除去される。第2の生成物(B)は、抽残液流R2として収集される。
【0290】
選択肢(2)は、
図5により詳細に示される。
図5は、各クロマトグラフィー装置中への有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)の導入点が示されることを除いて、
図3と同一である。上記のように、(D)相は、典型的には、本質的に純粋な有機溶媒であるが、特定の実施形態では、主に有機溶媒を含む有機溶媒/水混合物であり得る。(W)相は、典型的には、本質的に純粋な水であるが、特定の実施形態では、主に水を含む有機溶媒/水混合物、例えば98%の水/2%のメタノール混合物であり得る。
【0291】
選択肢(2)のさらなる例示は、
図7に示されている。ここで、別個の水注入点が存在せず、代わりに水性有機溶媒脱着剤が(D)で注入される。
【0292】
典型的には、選択肢(2)では、第1のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に再導入される速度は、第2のSMB分離工程で抽残液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に再導入される速度より速い。
【0293】
典型的には、選択肢(2)では、第1のSMB分離工程で使用される水性有機溶媒溶離剤は、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤より少ない有機溶媒を含有し、すなわち、第1のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、第2のSMB分離工程より高い。
【0294】
選択肢(2)では、第1の分離工程における第1の抽残液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への入力流の導入点の下流で除去される。
【0295】
選択肢(2)では、第1のSMB分離工程における第1の抽出液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への入力流の導入点の上流で除去される。
【0296】
選択肢(2)では、第2のSMB分離工程における第2の抽残液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への第1の生成物の導入点の下流で除去される。
【0297】
選択肢(2)では、第2のSMB分離工程における第2の抽出液流は、典型的には、溶離剤の流れに対して、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中への第1の生成物の導入点の上流で収集される。
【0298】
典型的には、選択肢(2)では、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第1の抽出液流の除去点の上流で、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0299】
典型的には、選択肢(2)では、水が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される場合、水は、溶離剤の流れに対して、入力流の導入点の上流であるが、第1の抽出液流の除去点の下流で、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0300】
典型的には、選択肢(2)では、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第2の抽出液流の除去点の上流で、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0301】
典型的には、選択肢(2)では、水が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される場合、水は、溶離剤の流れに対して、第1の生成物の導入点の上流であるが、第2の抽出液流の除去点の下流で、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入される。
【0302】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1及び第2のSMB分離工程で使用される擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置のそれぞれは、好ましくは、8つのクロマトグラフィーカラムからなる。これらは、カラム1~8と呼ばれる。各装置では、8つのカラムは、カラム1の底部がカラム2の上部に連結されるように直列に配置され、カラム2の底部は、カラム3の上部に連結されるなどであり、カラム8の底部は、カラム1の上部に連結される。これらの連結は、任意選択的に、次のカラム中への再循環流を伴い、保持容器を介したものであり得る。システムを通る溶離剤の流れは、カラム1~カラム2~カラム3などである。システムを通る吸着剤の有効な流れは、カラム8~カラム7~カラム6などである。
【0303】
これは、
図8に示される。第2の生成物(B)及びより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム5の上部に導入される。有機溶媒脱着剤は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム1の上部に導入される。水は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム4の上部に導入される。第1のSMB分離工程では、より極性の低い成分(A)は、カラム2の底部から抽出液流E1として除去される。第2の生成物(B)及びより極性の高い成分(C)は、カラム7の底部から抽残液流R1として除去される。抽残液流R1は、第1の生成物であり、次に、それは、カラム5の上部において第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に導入されることにより、第2のSMB分離工程で精製される。有機溶媒脱着剤は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム1の上部に導入される。水は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム4の上部に導入される。第2のSMB分離工程では、より極性の高い成分(C)は、カラム7の底部で抽残液流R2として除去される。第2の生成物(B)は、カラム2の底部で抽出液流E2として収集される。
【0304】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、有機溶媒は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム1の上部に導入される。
【0305】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、水は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム4の上部に導入される。
【0306】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、有機溶媒は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム1の上部に導入される。
【0307】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、有機溶媒は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム4の上部に導入される。
【0308】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、入力流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム5の上部に導入される。
【0309】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の抽残液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から第1の生成物として収集される。次に、この第1の生成物は、第2のSMB分離工程で精製され、典型的には第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム5の上部に導入される。第1の抽残液流は、任意選択的に、第2のSMB分離工程で精製される前に容器中に収集され得る。
【0310】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の抽出液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から除去される。第1の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部に再導入され得る。
【0311】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2の抽残液流は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から除去される。
【0312】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2の抽出液流は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集される。この第2の抽出液流は、典型的には、第2の生成物を含有する。第2の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部中に再導入される。
【0313】
図8に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、使用される溶離剤は、典型的には、上に定義されるとおりである。
【0314】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒比は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒比より低い。したがって、第1のSMB分離工程における溶離剤は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤より多い有機溶媒を含有する。
【0315】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、典型的には、0.5:99.5~1.5:98.5体積部である。第2のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、典型的には、2:98~6:94体積部である。
【0316】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、
図8の装置は、
図10aに示されるように構成されるが、
図10b及び10cに示される構成も使用され得る。
【0317】
この「バックトゥバック」SMBプロセスは、
図9にも示されている。第2の生成物(B)及びより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム5の上部に導入される。水性有機溶媒脱着剤は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム1の上部に導入される。第1のSMB分離工程では、より極性の低い成分(A)は、カラム2の底部から抽出液流E1として除去される。第2の生成物(B)及びより極性の高い成分(C)は、カラム7の底部から抽残液流R1として除去される。抽残液流R1は、第1の生成物であり、それは、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム4の上部に導入されることにより、第2のSMB分離工程で精製される。水性有機溶媒脱着剤は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム1の上部に導入される。第2のSMB分離工程では、より極性の高い成分(C)は、カラム7の底部で抽残液流R2として除去される。第2の生成物(B)は、カラム2の底部で抽出液流E2として収集される。
【0318】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、水性有機溶媒は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム1の上部に導入される。
【0319】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、水性有機溶媒は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム9の上部に導入される。
【0320】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、入力流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中のカラム5の上部に導入される。
【0321】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の抽残液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から第1の生成物として収集される。次に、この第1の生成物は、第2のSMB分離工程で精製され、典型的には第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム5の上部に導入される。第1の抽残液流は、任意選択的に、第2のSMB分離工程で精製される前に容器中に収集され得る。
【0322】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1の抽出液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から除去される。第1の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、一部は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部に再導入され得る。第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻る、第1のSMB分離工程で抽出液流を介して収集された液体の再循環の速度は、液体がこの容器からカラム3の上部中にポンプ輸送される速度である。
【0323】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2の抽残液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から除去される。
【0324】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第2の抽出液流は、典型的には、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集される。この第2の抽出液流は、典型的には、第2の生成物を含有する。第2の抽出液流は、任意選択的に容器中に収集され、一部は、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置のカラム3の上部に再導入され得る。第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻る、第2のSMB分離工程から抽出液流を介して収集された液体の再循環の速度は、液体がこの容器からカラム3の上部中にポンプ輸送される速度である。
【0325】
図9に示される「バックトゥバック」SMBプロセスでは、使用される溶離剤は、上に定義されるとおりである。
【0326】
典型的には、この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒比は、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒比より低い。したがって、第1のSMB分離工程で使用される溶離剤は、典型的には、第2のSMB分離工程で使用される溶離剤より多い有機溶媒を含有する。
【0327】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、典型的には、0.5:99.5~1.5:98.5体積部である。第2のSMB分離工程における水:有機溶媒比は、典型的には、2:98~6:94体積部である。
【0328】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、第1のSMB分離工程から抽出液流を介して収集された液体が、第1のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度は、典型的には、第2のSMB分離工程から抽出液流を介して収集された液体が、第2のSMB分離工程で使用されるクロマトグラフィー装置中に戻るように再循環される速度より速い。この場合、水性有機溶媒溶離剤は、典型的には、各SMB分離工程で実質的に同じである。
【0329】
この「バックトゥバック」SMBプロセスでは、
図9の装置は、
図10aに示されるように構成されるが、
図10b及び10cに示される構成も使用され得る。
【0330】
典型的には、本発明のクロマトグラフィー分離は、少なくとも1つ、例えば1つの上に定義される「バックトゥバック」SMBプロセスを含む。
【0331】
好ましい一実施形態では、本発明のクロマトグラフィー分離プロセスは、原料混合物から所望のPUFA生成物を得るために、2つの異なるクロマトグラフィー分離工程を含む。したがって、この実施形態では、クロマトグラフィー分離プロセスは、
(i)第1のクロマトグラフィー分離工程において、溶離剤として、水及び第1の有機溶媒の混合物を用いて、原料混合物を精製して、中間生成物を得ること;及び
(ii)第2のクロマトグラフィー分離工程において、溶離剤として、水及び第2の有機溶媒の混合物を用いて、中間生成物を精製して、PUFA生成物を得ること
を含む。
【0332】
典型的には、この実施形態では、第2の有機溶媒は、第1の有機溶媒と異なる。このいわゆる「混合溶媒」プロセスは、所望のPUFA生成物からC18不純物を除去する際に特に有効であり、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2014/108686号パンフレットに記載されている。
【0333】
大量の水性アルコール溶媒を用いずに、原料混合物からC18脂肪酸、特にα-リノレン酸(ALA)及び/又はγ-リノレン酸(GLA)を効率的に除去することは困難であり得る。C18脂肪酸の効率的な除去は、医薬品用及び食用の油のための多くの規格がこれらの脂肪酸の低い含量を要求するため、有利である。例えば、日本で使用するための特定の油の規格は、1重量%未満のALA含量を要求する。したがって、この「混合溶媒」プロセスは、得られる生成物中に存在するC18脂肪酸、例えばALA及び/又はGLAの量を最小限に抑えながら、原料混合物からPUFA生成物を効率的に回収するために用いられ得るため、特に有用である。C18脂肪酸は、直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖を有するC18脂肪族モノカルボン酸である。典型的なC18脂肪酸としては、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1n9)、バクセン酸(C18:1n7)、リノール酸(C18:2n6)、γ-リノレン酸/GLA(C18:3n6)、α-リノレン酸/ALA(C18:3n3)及びステアリドン酸/SDA(C18:4n3)が挙げられる。
【0334】
誤解を避けるために、典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われる。典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0335】
好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程の両方は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール未満の圧力で動作し、且つ固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われる。しかしながら、この「混合溶媒」プロセスの代替的な実施形態では、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程の一方のみは、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、他方の分離工程は、様々な固体吸着剤相及び/又は操作圧力を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0336】
したがって、「混合溶媒」プロセスのこの実施形態では、典型的には、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール未満の圧力で動作し、且つ固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中で行われ、第2のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第2のクロマトグラフィー工程は、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第2のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有する、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0337】
代わりに、「混合溶媒」プロセスのこの実施形態では、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置、すなわち20バール未満の圧力で動作し、且つ固体吸着剤相として、本明細書に記載されるC18結合シリカを含むクロマトグラフィー装置中でも行われ得、第1のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第1のクロマトグラフィー工程は、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第2のクロマトグラフィー分離工程は、本明細書に記載されるクロマトグラフィー装置中で行われ、第1のクロマトグラフィー工程は、様々な固体吸着剤相、例えば代替的なシリカ、例えば代替的なC18結合シリカ、C8結合シリカ、純粋なシリカ、シアノ結合シリカ及びフェニル結合シリカ又は非シリカ系固体吸着剤相を有する、20バール超の圧力で動作するクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0338】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程は、異なるクロマトグラフィー装置中で行われる。代わりに、第1及び第2のクロマトグラフィー分離工程は、同じクロマトグラフィー装置中で行われる。
【0339】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第2の有機溶媒は、2.0以下だけ第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。したがって、第1の有機溶媒の極性指数がP1である場合、第2の有機溶媒の極性指数は、P2であり、|P1-P2|は、最大で2.0である。溶媒の極性指数(P’)は、溶媒がどの程度極性であるかの周知の尺度である。より高い極性指数の数字は、より極性の高い溶媒を示す。極性指数は、典型的には、様々な試験溶質と相互作用する溶媒の能力を測定することによって決定される。より典型的には、溶媒の極性指数(P’)は、全体が参照により本明細書に援用されるBurdick and Jackson’s Solvent Guide(AlliedSignal,1997)に定義されるとおりである。Burdick and Jacksonは、様々な極性に応じて溶媒を順位付ける数値的指数への言及によって溶媒を順位付ける。Burdick and Jackson指数は、溶媒の構造に基づいている。
【0340】
好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、第2の有機溶媒は、0.1~2.0だけ第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。例えば、第2の有機溶媒は、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5又は少なくとも0.6だけ第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有し得る。例えば、第2の有機溶媒は、1.8以下、1.5以下、1.3以下、1.0以下又は0.8以下だけ第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有し得る。例えば、第2の有機溶媒は、0.2~1.8、0.3~1.5、0.4~1.3、0.5~1.0又は0.6~0.8だけ第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有し得る。
【0341】
この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2の有機溶媒は、本明細書に開示される有機溶媒のいずれかであり得る。しかしながら、典型的には、第1及び第2の有機溶媒は、水と混和性である。より典型的には、第1及び第2の有機溶媒は、3.9以上の極性指数を有する。好ましくは、第1及び第2の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、メタノール、エタノール、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドから選択される。
【0342】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1の有機溶媒:水比は、99.9:0.1~75:25体積部、好ましくは99.5:0.5~80:20体積部である。第1の有機溶媒がメタノールである場合、メタノール:水比は、典型的には、99.9:0.1~85:15体積部、好ましくは99.5:0.5~88:12体積部である。第1の有機溶媒がアセトニトリルである場合、アセトニトリル:水比は、典型的には、99:1~75:25体積部、好ましくは96:4~80:20体積部である。
【0343】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第2の有機溶媒:水比は、99.9:0.1~75:25体積部、好ましくは93:7~85:15体積部である。第2の有機溶媒がメタノールである場合、メタノール:水比は、典型的には、95:5~85:15体積部、好ましくは93:7~90:10体積部である。第2の有機溶媒がアセトニトリルである場合、アセトニトリル:水比は、典型的には、90:10~80:20体積部、好ましくは88:12~85:15体積部である。
【0344】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2の有機溶媒の一方は、アセトニトリルである。
【0345】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2の有機溶媒の一方は、メタノールである。
【0346】
好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2の有機溶媒は、アセトニトリル及びメタノールから選択される。したがって、(i)第1の有機溶媒がメタノールであり、第2の有機溶媒がアセトニトリルであるか、又は(ii)第1の有機溶媒がアセトニトリルであり、第2の有機溶媒がメタノールであることが好ましい。
【0347】
より好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、第1の有機溶媒はメタノールであり、第2の有機溶媒はアセトニトリルであり、(a)メタノール:水比は、99.9:0.1~85:15体積部、好ましくは99.5:0.5~88:12であり、及び/又は(b)アセトニトリル:水比は、90:10~80:20体積部、好ましくは88:12~85:15体積部である。特定の実施形態では、(a)メタノール:水比が91:9~93:7体積部であり、及び/又は(b)アセトニトリル:水比が86:14~88:12体積部であることが好ましい。
【0348】
代わりに、この「混合溶媒」プロセスでは、第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、(a)アセトニトリル:水比は、99:1~75:25体積部、好ましくは96:4~80:20体積部であり、及び/又は(b)メタノール:水比は、95:5~85:15体積部、好ましくは93:7~90:10体積部である。特定の実施形態では、(a)アセトニトリル:水比が86:14~88:12体積部であり、及び/又は(b)メタノール:水比が87:13~89:11体積部であることが好ましい。
【0349】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、中間生成物は、原料混合物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有する。代わりに、この「混合溶媒」プロセスでは、第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離工程で生成されたPUFA生成物は、中間生成物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有する。
【0350】
好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、PUFA生成物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、中間生成物は、原料混合物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有するか、又は(ii)第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離工程で生成されたPUFA生成物は、中間生成物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有する。
【0351】
より好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、PUFA生成物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の有機溶媒は、メタノールであり、中間生成物は、原料混合物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有するか、又は(ii)第1の有機溶媒は、メタノールであり、第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離工程で生成されたPUFA生成物は、中間生成物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有する。
【0352】
任意の公知のクロマトグラフィー装置がこの「混合溶媒」プロセスで用いられ得る。典型的には、第1及び/又は第2の分離工程は、本明細書に記載されるような固定床クロマトグラフィー装置又は1つ以上の擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置のいずれかを用いて行われる。
【0353】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を固定床クロマトグラフィー装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を固定床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。ここで、典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、固定床クロマトグラフィー装置を用いて行われ、第2のクロマトグラフィー分離工程は、固定床クロマトグラフィー装置を用いて行われる。
【0354】
代わりに、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を固定床装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。ここで、典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、固定床装置を用いて行われ、第2のクロマトグラフィー分離工程は、擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて行われる。
【0355】
代わりに、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を固定床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。ここで、典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて行われ、第2のクロマトグラフィー分離工程は、固定床クロマトグラフィー装置を用いて行われる。
【0356】
代わりに、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。ここで、典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程は、擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて行われ、第2のクロマトグラフィー分離工程は、擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて行われる。
【0357】
この「混合溶媒」プロセスでは、前記第1のクロマトグラフィー分離工程は、単一のクロマトグラフィー分離又は2つ以上のクロマトグラフィー分離からなり得、ただし、各分離は、溶離剤として水及び第1の有機溶媒の混合物を使用する。
【0358】
この「混合溶媒」プロセスでは、前記第2のクロマトグラフィー分離工程は、単一のクロマトグラフィー分離又は2つ以上のクロマトグラフィー分離からなり得、ただし、各分離は、溶離剤として水及び第2の有機溶媒の混合物を使用する。
【0359】
この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び第2の分離工程は、同じ温度又は異なる温度、好ましくは同じ温度で行われ得る。
【0360】
典型的には、この「混合溶媒」プロセスでは、各クロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を1つ以上のクロマトグラフィーカラムに通すことを含み、それらのクロマトグラフィーカラムの少なくとも1つの温度は、室温を超える。より典型的には、使用されるクロマトグラフィーカラムの全ての温度は、室温を超える。好ましい温度は、上述されるとおりである。
【0361】
この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程が擬似移動床装置中で行われる場合、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程の少なくとも1つは、典型的には、少なくとも1つ、例えば1つの上述される「シングルパス」SMB工程を含む。
【0362】
この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程が擬似移動床装置中で行われる場合、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程の少なくとも1つは、典型的には、少なくとも1つ、例えば1つの上述される「ダブルパス」SMB工程を含む。
【0363】
「混合溶媒」プロセスでは、SMB分離を操作する「ダブルパス」モードに関する上記の「入力流」への言及は、上記のSMBプロセスが第1のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、原料混合物を指し、上記のSMBプロセスが第2のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、中間生成物を指す。
【0364】
「混合溶媒」プロセスでは、SMB分離を操作する「ダブルパス」モードに関する上記の「水性有機溶媒」への言及は、上記のSMBプロセスが第1のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、水及び第1の有機溶媒の混合物を指し、上記のSMBプロセスが第2のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、水及び第2の有機溶媒の混合物を指す。
【0365】
この「混合溶媒」プロセスでは、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程が擬似移動床装置中で行われる場合、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離工程の少なくとも1つは、典型的には、上記の「バックトゥバック」SMBプロセスを含む。
【0366】
誤解を避けるために、「混合溶媒」プロセスでは、第1のクロマトグラフィー分離工程が、上記のラインに沿った「バックトゥバック」SMBプロセスである場合、SMB工程のそれぞれにおける溶離剤は、水及び第1の有機溶媒の混合物である。第2のクロマトグラフィー分離工程が、上記のラインに沿った「バックトゥバック」SMBプロセスである場合、SMB工程のそれぞれにおける溶離剤は、水及び第2の有機溶媒の混合物である。
【0367】
「混合溶媒」プロセスでは、SMB分離を操作する「バックトゥバック」モードに関する上記の「入力流」への言及は、上記のSMBプロセスが第1のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、原料混合物を指し、上記のSMBプロセスが第2のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、中間生成物を指す。
【0368】
「混合溶媒」プロセスでは、SMB分離を操作する「バックトゥバック」モードに関する上記の「水性有機溶媒」への言及は、上記の「バックトゥバック」SMBプロセスが第1のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、水及び第1の有機溶媒の混合物を指し、上記の「バックトゥバック」SMBプロセスが第2のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、水及び第2の有機溶媒の混合物を指す。第1及び第2のSMB工程で使用される有機溶媒は、同じである。第1及び第2のSMB工程で使用される有機溶媒:水比は、同じであるか又は異なり得る。
【0369】
「混合溶媒」プロセスでは、SMB分離を操作する「バックトゥバック」モードに関する上記の「第2の生成物」への言及は、上記のSMBプロセスが第1のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、中間生成物を指し、上記のSMBプロセスが第2のクロマトグラフィー分離工程で使用される場合、PUFA生成物を指す。
【0370】
好ましくは、「混合溶媒」プロセスでは、PUFA生成物はEPAエチルエステルであり、
(i)第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を固定床装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含むか;又は
(ii)第1の有機溶媒はメタノールであり、第2の有機溶媒はアセトニトリルであり、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を固定床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。
【0371】
さらにより好ましくは、この「混合溶媒」プロセスでは、PUFA生成物は、EPAエチルエステルであり、
(i)第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の有機溶媒は、メタノールであり、中間生成物は、原料混合物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有し、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を固定床装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含むか;又は
(ii)第1の有機溶媒は、メタノールであり、第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離工程で生成されたPUFA生成物は、中間生成物より低い濃度の、上に開示されるC18脂肪酸不純物の1つ以上を有し、第1のクロマトグラフィー分離工程は、原料混合物を擬似又は実移動床クロマトグラフィー装置中に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離工程は、中間生成物を固定床クロマトグラフィー装置中に導入することを含む。
【0372】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0373】
実施例1:異なるシリカの粒子の特性評価
4つの異なるシリカを試験のために選択した。これらのシリカのそれぞれの物理的パラメータを、まず、後述されるように測定した。結果が表1に列挙される。全てのシリカは、市販されており、それぞれの供給業者から入手された。シリカ1が参照例として選択され、他の3つのシリカが本発明に係る使用のためのシリカの実施例である。
【0374】
【0375】
炭素充填量%を燃焼分析によって決定した。
【0376】
表面積は、非結合シリカ(すなわちオクタデシル炭素鎖に結合されていない)の表面積の尺度である。それをBET表面積分析による多孔性実験で決定した。
【0377】
Dv(10)、D[4,3]及びDv(90)をレーザー回折によって決定した。測定を、Malvern Mastersizer 2000機器を用いて水性懸濁液中で取った。
【0378】
様々なC18シリカタイプの粒径の関数としてのシリカ試料の粒子体積への全寄与を示すプロットが
図12に示される。これらは、各試料の粒子分布の尺度である。
【0379】
図12Aは、シリカ1(2つの別個のバッチ)及びシリカ2の粒子分布を比較する。これらのシリカの両方は、10~100μmの直径を有するかなりの数のより小さい粒子を含有することが観察され得る(これらの粒子に対応するピークは、小さいが、y軸は、存在するこの直径の粒子の総数ではなく、これらの粒子の試料全体への総体積の寄与を反映することに留意されたい;これらの粒子は、小さいため、総体積へのそれらの寄与は、小さいが、それらの数は、大きい)。したがって、これらのシリカは、より小さい粒子の顕著な「テール」を有する広い粒子分布を有する。
【0380】
図12Bは、シリカ1(2つの別個のバッチ)、シリカ3及びシリカ4の粒子分布を比較する。シリカ3及びシリカ4が両方とも、シリカ1と対照的に、10~100μmの直径を有するわずかな数の小粒子を含有することが観察され得る。これは、シリカ1と比較して、表1中のシリカ3及びシリカ4について報告されるより高いDv(10)値に反映される。全体的に、シリカ3及びシリカ4は、シリカ1よりかなり狭い粒径分布を有することも分かる。
【0381】
バルク粒子密度を、規定の体積を有するカラム中に充填された材料の重量を記録することによって決定した。
【0382】
シリカ1、2及び3の光学顕微鏡画像も取得され、
図13に示される。
図13A及び13Bから分かるように、シリカ1及び2は、破壊された粒子を含有し、いくつかの粒子は、存在する小さい直径を有する。対照的に、シリカ3(
図13C)は、破壊された粒子の証拠を示さず、より均一な粒径分布を有する。
【0383】
実施例2:様々なシリカを用いたピーク分解能及び圧力低下の比較
魚油由来原料材(約74GC-面積%のEPA及び約10GC-面積%のDHAを含む)を、それぞれ10mmの直径及び250mmの長さを有する連続する3つのカラムから構成される単一の固定床クロマトグラフィー装置でパルス注入した。表2に記載されるシリカのそれぞれをここで固定相として用い、メタノール:水(90:10)の混合物を溶離剤として用いた。
【0384】
操作パラメータ及び流量は、以下のとおりであった:
原料混合物パルス:0.5mLの、メタノールに溶解された25重量%の魚油由来原料材
溶離剤供給速度(D1):7mL/分の、90:10体積%のメタノール:水。
【0385】
カラムパルス実験のそれぞれで以下のパラメータを測定した:
・カラムに沿った圧力低下(対照としてシリカ1を用いた実験を用いる);
・対照実験と比べたEPAの保持時間;
・αSDA/EPAピークについての選択性(すなわち保持時間の差);
・αDHA/EPAピークについての選択性;
・EPAピークの非対称性;及び
・EPAピークについての相当理論段高さ(HETP)。
【0386】
結果が表2に示される(使用されるシリカのそれぞれは、表1の規格のとおりであり;簡潔にするために、各シリカの短縮された参照名が使用されている)。
【0387】
【0388】
試験されるシリカの全ては、参照例と比較した、クロマトグラフィー装置の長さにわたる許容される圧力低下を実証した。シリカ2及び4は、シリカ1より、装置の長さにわたるより低い圧力低下をもたらし、シリカ4がこれに関して特に有利である。
【0389】
試験されるシリカの全ては、DHA及びSDAピークを上回るEPAピークの許容される選択性を実証した。選択性をピークの関連する対の保持時間の比率として計算した。
【0390】
EPAピークのピーク非対称性(As)を、ピーク中心の後のピーク幅を10%のピーク高さにおけるピーク中心の前のピーク幅で除算することによって決定した。試験されるシリカの全ては、参照例(シリカ1)と比較して、EPAピークの改善された対称性を示した。したがって、これらのシリカのそれぞれは、EPAの改善されたピーク形状を与え、これは、より対称なピークが、EPAピークの「テール」が他のピークにそれほど侵入しないことを意味するためである。これは、より少ない溶離剤(すなわちより低い溶離剤希釈率)が、特定の純度を有する所望の生成物の高い収率を得るために必要とされるため、より効率的な分離を可能にする。
【0391】
表2中の値が計算された、シリカ1、2及び4のそれぞれについてのEPAピークの非対称性のグラフ表示が
図14に示される。
【0392】
HETP値を、以下の式を用いて計算した:
【数1】
式中、
N=理論段数
T
R=保持時間
ω
R=ピークの半値幅(時間の単位で)
L=カラムの長さ(mm)。
【0393】
理論段数は、クロマトグラフィーカラムが物理的蒸留プレート又は他の類似の特徴に似たものを含まないため、数学的概念である。多いプレート数を有するカラムは、より効率的であると考えられ;多い理論段数を有するカラムは、より低いN数(すなわちより低いHETP)を有するカラムより、所与の保持時間でより狭いピークを有するであろう。したがって、低いHETP値は、より高いカラム効率をもたらす十分に分解されたピークを示し、これは、より少ない溶離剤が、特定の純度を有する所望の生成物の高い収率を得るために必要とされることを意味する。
【0394】
全ての試験シリカ2~4は、対照シリカ1と比較して、改善されたHETPを示す。
【0395】
以下の結論が表1及び2中のデータから得られる:
・より均一な粒径分布を有するシリカ及び特に少ない特に小さい粒子(Dv(10)値に反映されている)を有するものは、PUFAピークの改善された分解能を示す。これは、非常に類似した炭素充填量を有するシリカ2及び3のHETP値の比較から分かる。
【0396】
・より低い炭素充填量を有するシリカは、PUFAピークの改善された分解能を示す。これは、いずれも小粒子の「テール」を有する類似の粒子分布を有するシリカ1及び2のHETP値の比較から分かるが、それにもかかわらず、シリカ2についてのHETP値は、シリカ1についてのHETP値より有意に低い。同様に、シリカ3及び4は、類似の粒径分布を有するが、シリカ4は、より低い炭素充填量及び改善されたHETP値を有する。
【0397】
・より小さい表面積を有するシリカは、PUFAピークの改善された分解能を示す。一般に、正の相関が炭素充填量と総表面積との間で観察される。
【0398】
実施例3:HPLC/バッチプロセスとの、シリカ4を用いたSMBを介した低圧EPA分離の比較
EPA含有原料材の3つの精製を、それぞれ直径1.6cm及び長さ25cmを有する8つのカラムで、減圧下で動作するSMBプロセスにおいてシリカ4を用いて行い、文献で報告される様々なシリカを用いたバッチ/HPLC分離と比較した。各プロセスの生産性及び溶離剤希釈率を測定した。結果が表3に記載される。
【0399】
3つの精製のそれぞれを、「流動の速い」画分(パス1)及び「流動の遅い」画分(パス2)の両方を伴うシングルパスSMB又はダブルパスSMBのいずれかを用いて行い、EPAより速く及びより遅く流動する成分のそれぞれを除去した。各精製についての操作パラメータは、以下のとおりであった:
【0400】
試験実行A
原料材:92GC-面積%のEPAエチルエステル含量
所望の生成物:97GC-面積%のEPAエチルエステル
プロセス:シングルパスSMB
溶離剤:メタノール:水(91:9)
温度:40℃
圧力:<10バール
原料混合物供給速度(F):0.5mL/分の、メタノール中50重量%の魚油原料材
溶離剤供給速度(D):17.3mL/分
抽出液速度:13.2mL/分
抽残液速度:4.6mL/分
【0401】
試験実行B
原料材:74GC-面積%のEPAエチルエステル含量
所望の生成物:97GC-面積%のEPAエチルエステル
プロセス:ダブルパスSMB
溶離剤(流動の遅い画分):メタノール:水(91:9)
溶離剤(流動の速い画分):メタノール:水(90:10)
温度:40℃
圧力:<10バール
【0402】
パス1
原料混合物供給速度(F1):0.5mL/分の、メタノール中50重量%の魚油原料材
溶離剤供給速度(D1):22.0mL/分
抽出液速度(E1):14.8mL/分
抽残液速度(R1):7.7mL/分
【0403】
パス2
原料混合物供給速度(F2):メタノール中の流動の遅い画分からの1.0mL/分の50重量%の抽残液
溶離剤供給速度(D2):13.5mL/分
抽出液速度(E2):12.3mL/分
抽残液速度(R2):2.3mL/分
【0404】
試験実行C
原料材:74GC-面積%のEPAエチルエステル含量
所望の生成物:97GC-面積%のEPAエチルエステル
プロセス:ダブルパスSMB
溶離剤(流動の遅い画分):メタノール:水(90:10)
溶離剤(流動の速い画分):メタノール:水(91:9)
温度:40℃
圧力:<6バール
【0405】
パス1
原料混合物供給速度(F1):0.35mL/分の、メタノール中50重量%の魚油原料材
溶離剤供給速度(D1):13.9mL/分
抽出液蓄積速度(E1):10.1mL/分
抽残液蓄積速度(R1):4.2mL/分
【0406】
パス2
原料混合物供給速度(F2):メタノール中の流動の遅い画分からの0.7mL/分の50重量%の抽残液
溶離剤供給速度(D2):8.9mL/分
抽出液速度(E2):8.5mL/分
抽残液速度(R2):1.1mL/分
【0407】
表3から分かるように、本発明のクロマトグラフィー分離プロセスは、EPA生成物のkg当たりの溶媒の実質的に低下された希釈率、すなわちより高い操作圧力を用いる全ての比較例の先行技術プロセスより少ない溶媒を必要とするはるかに効率的な分離をもたらす。同時に、生産性の妥当なレベルが維持され、これは、低下された操作圧力では、クロマトグラフィー分離生産性の最大で10分の1の低下が通常観察されることが当技術分野で一般に知られているために意外である。
【0408】
EPA生成物のこのような低いレベルの希釈率及び高い収率が、このような大きい平均粒径を有するこのようなシリカを用いて得られることも注目に値する。より大きい粒径がより大きいHETP及びピーク分解能の低下をもたらすことは、当技術分野で一般に知られている。したがって、より大きい平均粒径を有する特定のタイプのシリカがPUFA生産で使用可能であり、高い収率及び許容される生産性をさらに実現し、溶媒のより低い希釈率をさらに提供するという本発明者らの発見は、意外である。
【0409】
【国際調査報告】