(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】接触境界面同士に異種の材料を有するレチクルポッド内側ポッド
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20241206BHJP
【FI】
G03F1/66
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538109
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022052638
(87)【国際公開番号】W WO2023121912
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラシュク, ラス ヴィ.
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BE12
(57)【要約】
レチクルポッド内側ポッドは、カバーおよびベースプレートを備え、カバーとベースプレートとは、接触面で互いに接触する。カバーおよびベースプレートの接触面は、それぞれ異なる材料を有する。異なる材料同士は、それぞれ金属であり得る。異なる材料同士は、硬度において異なり得る。硬度差は、50ブリネル硬さ以上であり得る。異なる材料のうちの一方は、25%以上の破断伸びを有する延性材料であり得る。方法は、第1の材料をそれぞれが有するカバーおよびベースプレートを設けること、およびカバーまたはベースプレートの片方の接触面に第2の、異なる材料を設けることを含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートおよびカバーを備え、前記ベースプレートおよび前記カバーがレチクルを収容するように構成され、
前記ベースプレートが、前記カバーに向き合うように構成された前記ベースプレートの縁に1つまたは複数の第1の接触面を備え、
前記カバーが、1つまたは複数の第2の接触面を備え、前記1つまたは複数の第2の接触面のそれぞれが、前記1つまたは複数の第1の接触面のうちの少なくとも1つに接触するように構成され、
前記1つまたは複数の第1の接触面が、第1の材料から形成され、
前記1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料とは異なる、
レチクルポッド。
【請求項2】
前記1つまたは複数の第1の接触面が、前記1つまたは複数の第2の接触面に接触したとき、前記1つまたは複数の第1の接触面の、前記1つまたは複数の第2の接触面との境界面に封止が形成される、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項3】
前記第1の材料と前記第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項4】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの一方が、金であり、前記第1の材料および前記第2の材料のうちの他方が、ニッケルおよびクロムからなる群から選択される、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項5】
前記第1の材料および前記第2の材料のそれぞれが、金属である、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項6】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの一方が、前記ベースプレートまたは前記カバーのうちのそれぞれ1つにコーティングとして施される、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項7】
前記第1の材料または前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項8】
前記第1の材料または前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項9】
レチクルポッドを製造する方法であって、
第1の材料からベースプレートを形成することであって、前記ベースプレートが1つまたは複数の第1の接触領域を含む、第1の材料からベースプレートを形成することと、
前記第1の材料からカバーを形成することであって、前記カバーが、1つまたは複数の第2の接触領域を含み、前記1つまたは複数の第2の接触領域が、前記ベースプレートと前記カバーとが結合されたとき、前記1つまたは複数の第1の接触領域に対向するように構成される、前記第1の材料からカバーを形成することと、
接触面を形成するために、前記カバーまたは前記ベースプレートのうちの一方に対し、少なくとも前記1つまたは複数の第1の接触領域あるいは前記1つまたは複数の第2の接触領域に、前記第1の材料とは異なる第2の材料を適用することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の材料と前記第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料が、ニッケルおよびクロムからなる群から選択され、前記第2の材料が金である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の材料および前記第2の材料のそれぞれが、金属である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の材料を適用することが、前記1つまたは複数の第1の接触領域あるいは前記1つまたは複数の第2の接触領域のうちのどちらかを前記第2の材料でコーティングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料が、0.62以上の延性値Dを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の材料が、非酸化性である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
第2の接触面を形成するために、前記カバーまたは前記ベースプレートのうちの他方に対し、少なくとも前記1つまたは複数の第1の接触領域あるいは前記1つまたは複数の第2の接触領域に、前記第2の材料とは異なる第3の材料を適用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
レチクルを保管する方法であって、
前記レチクルを、カバーおよびベースプレートを備えるレチクルポッドに入れることと、
前記カバーに設けられた1つまたは複数の第1の接触面を、前記ベースプレートに設けられた1つまたは複数の第2の接触面に接触させることと
を含み、
前記1つまたは複数の第1の接触面が、第1の材料から形成され、前記1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料とは異なる、方法。
【請求項18】
前記第1の材料と前記第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本開示は、2021年12月21日に出願された米国特許仮出願第63/292,402号の優先権を主張し、同仮出願は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、境界接触面同士に異種の材料を有するレチクルポッドを対象とする。
【背景技術】
【0003】
レチクルポッドは、レチクル、たとえば極端紫外線(EUV)フォトリソグラフィなどのフォトリソグラフィを施すレチクルを保管し、搬送するために使用することができる。レチクルポッドは、外側ポッドと内側ポッドとを備え得る。内側ポッドは、金属、通常、硬質合金材料を有し得る。内側ポッドは、通常、内側ポッドが閉じられたとき、たとえばレチクルが中に入れられたとき、互いに接触するベースプレートとカバーとを備える。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、境界接触面同士に異種の材料を有するレチクルポッドを対象とする。
【0005】
レチクルポッド内側ポッドのカバーとベースプレートとの接触面同士は、それぞれの接触面に異なる材料を使用することができる。それら異なる材料は、硬度において異なり、接触面の一方には相対的に柔らかくかつ/または延性の材料を備え、他方には相対的に硬い材料を備えることができる。異なる材料間の硬度差は、接触面での摩耗および/またはかじりの発生による粒子の発生を減少させるように選択することができる。異種の材料の使用によって実現される粒子発生の減少は、諸実施形態による内側ポッドを使用する保管、搬送、およびフォトリソグラフィ工程において、レチクルの歩留まりを改善し、損傷または損失を減少することができる。
【0006】
一実施形態では、レチクルポッドは、ベースプレートおよびカバーを備える。ベースプレートおよびカバーは、レチクルを収容するように構成されている。ベースプレートは、カバーに向き合うように構成されたベースプレートの縁に1つまたは複数の第1の接触面を備える。カバーは、1つまたは複数の第2の接触面を備え、1つまたは複数の第2の接触面のそれぞれは、1つまたは複数の第1の接触面のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている。1つまたは複数の第1の接触面は、第1の材料から形成される。1つまたは複数の第2の接触面は、第2の材料から形成される。第2の材料は、第1の材料とは異なる。
【0007】
一実施形態では、1つまたは複数の第1の接触面が、1つまたは複数の第2の接触面に接触したとき、1つまたは複数の第1の接触面の、1つまたは複数の第2の接触面との境界面に封止が形成される。
【0008】
一実施形態では、第1の材料と第2の材料とは、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のうちの一方が、金であり、第1の材料および第2の材料のうちの他方が、ニッケルおよびクロムからなる群から選択される。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、金属である。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のうちの一方が、ベースプレートまたはカバーのうちのそれぞれ1つにコーティングとして施される。一実施形態では、第1の材料または第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する。一実施形態では、第1の材料または第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である。
【0009】
一実施形態では、レチクルポッドを製造する方法が、第1の材料からベースプレートを形成することを含み、その場合、ベースプレートは、1つまたは複数の第1の接触領域を含む。方法は、第1の材料からカバーを形成することをさらに含み、カバーは、1つまたは複数の第2の接触領域を含み、その場合、1つまたは複数の第2の接触領域は、ベースプレートとカバーとが結合されたとき、1つまたは複数の第1の接触領域に対向するように構成される。方法は、接触面を形成するために、カバーまたはベースプレートのうちの一方に対し、少なくとも1つまたは複数の第1の接触領域あるいは1つまたは複数の第2の接触領域に、第1の材料とは異なる第2の材料を適用することをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、第1の材料と第2の材料とは、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる。一実施形態では、第1の材料は、ニッケルおよびクロムからなる群から選択され、第2の材料は金である。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のそれぞれが、金属である。一実施形態では、第2の材料を適用することが、1つまたは複数の第1の領域あるいは1つまたは複数の第2の接触領域のうちのどちらかを第2の材料でコーティングすることを含む。一実施形態では、第2の材料は、0.62以上の延性値Dを有する。一実施形態では、第2の材料は、非酸化性である。
【0011】
一実施形態では、方法は、第2の接触面を形成するために、カバーまたはベースプレートのうちの他方に対し、少なくとも1つまたは複数の第1の接触領域または1つまたは複数の第2の接触領域に、第2の材料とは異なる第3の材料を適用することをさらに含む。一実施形態では、第3の材料と第2の材料とは、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる。一実施形態では、第3の材料は、ニッケルおよびクロムからなる群から選択され、第2の材料は金である。一実施形態では、第3の材料および第2の材料は、金属である。一実施形態では、第3の材料は、非酸化性である。
【0012】
一実施形態では、レチクルを保管する方法は、レチクルを、カバーおよびベースプレートを備えるレチクルポッドに入れることを含む。方法は、カバーに設けられた1つまたは複数の第1の接触面を、ベースプレートに設けられた1つまたは複数の第2の接触面に接触させることをさらに含む。1つまたは複数の第1の接触面は、第1の材料から形成され、1つまたは複数の第2の接触面は、第2の材料から形成される。第2の材料は、第1の材料とは異なる。一実施形態では、第1の材料と第2の材料とは、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する。一実施形態では、第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態によるレチクルポッドの図である。
【
図2】一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図である。
【
図3】一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図である。
【
図4】一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の図である。
【
図5】一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、境界接触面同士に異種の材料を有するレチクルポッドを対象とする。
【0015】
図1は、一実施形態によるレチクルポッドを示す。レチクルポッド100は、ポッドドーム104およびポッドドア106を備える外側ポッド102を具備する。レチクルポッド100は、カバー110およびベースプレート112を備える内側ポッド108をさらに具備する。カバー110は、1つまたは複数のカバー接触面114を備える。ベースプレート112は、1つまたは複数のベースプレート接触面116を備える。レチクル118は、レチクルポッド100内に収容することができる。
【0016】
外側ポッド102は、レチクルポッド100を完全に組み立てたとき、レチクルポッド100の外側を形成する。外側ポッド102は、内側ポッド108を収納することができる内部空間を形成するように構成されている。外側ポッド102は、ポッドドーム104およびポッドドア106から形成することができる。ポッドドーム104とポッドドア106とは、たとえばラッチ機構(図示せず)を用いて、互いに結合されるように構成することができる。ポッドドーム104およびポッドドア106は、ポッドドーム104とポッドドア106とによって画成された内部空間内に内側ポッド108を保持するように構成することができる。
【0017】
内側ポッド108は、レチクル118を収納するように構成されたポッドである。内側ポッド108は、カバー110およびベースプレート112を備える。内側ポッド108が組み立てられると、カバー110とベースプレート112とは、それぞれカバー接触面114とベースプレート接触面116とで互いに接触する。内側ポッド108は、外側ポッド102の内部空間内に嵌ることができるように構成されている。
【0018】
カバー110は、内側ポッド108の一部を形成する。カバー110は、たとえばアルミニウムなどの金属材料など、適切なあらゆる材料から形成することができる。カバー110は、母材へのコーティングまたは鍍金を有し得る。カバー110は、カバー接触面114を備える。カバー接触面114は、内側ポッド108が組み立てられたとき、ベースプレート112に向き合うカバー110の縁に配設される。一実施形態では、カバー接触面114は、単一の連続面として設けられる。一実施形態では、カバー接触面114は、カバー110の母材から形成される。一実施形態では、カバー接触面114は、ある材料で鍍金および/またはコーティングされる。一実施形態では、カバー接触面114は、複数の不連続な接触面である。一実施形態では、カバー接触面114は、
図3に示され、下記に説明される接触細片308のような、複数の接触細片上に設けられる。一実施形態では、カバー接触面114は、
図4に示され、下記に説明される接触細片408のような、複数の接触点上に設けられる。一実施形態では、カバー接触面114は、
図5に示され、下記に説明される接触インサート508のような、1つまたは複数のインサート上に設けられる。
【0019】
ベースプレート112は、内側ポッド108の別の部分を形成する。ベースプレート112は、たとえばアルミニウムなどの金属材料など、適切なあらゆる材料から形成することができる。ベースプレート112は、母材上にコーティングまたは鍍金を有し得る。ベースプレート112は、ベースプレート接触面116を備える。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、ベースプレート112の母材から形成される。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、ある材料で鍍金および/またはコーティングされる。ベースプレート接触面116は、内側ポッド108が組み立てられたとき、ベースプレート112に向き合うベースプレート112の縁に配設される。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、単一の連続面として設けられる。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、複数の不連続な接触面である。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、
図3に示され、下記に説明される接触細片308のような、複数の接触細片上に設けられる。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、
図4に示され、下記に説明される接触細片408のような、複数の接触点上に設けられる。一実施形態では、ベースプレート接触面116は、
図5に示され、下記に説明される接触インサート508のような、1つまたは複数の接触インサート上に設けられる。一実施形態では、カバー接触面114およびベースプレート接触面116は、レチクルポッド100が組み立てられると、封止を形成するように構成される。シールは、内側ポッド108の外部へ真空を引いたときなどのような状況下で、レチクルポッド内側ポッド108の内部と内側ポッド108の外部との圧力差を維持するのに十分であり得る。一実施形態では、封止は、カバー接触面114とベースプレート接触面116とを、製造公差、摩耗、または他のそのような変動を踏まえて、可能な限り直接接触させ、または極めて接近させることによって形成される。
【0020】
カバー接触面114およびベースプレート接触面116はそれぞれ、カバー接触面114とベースプレート接触面116との境界面で、異種の材料が接触するように形成される。異種の材料は、互いに異なるいかなる2つの異種材料でもよい。一実施形態では、異種の材料は、比較的硬い材料および比較的柔らかい材料を含むように選択され得る。比較的硬い材料の非限定的例には、ニッケル、クロム、ダイアモンドライクコーティング(DLC)、クロム炭化窒化物、および/または同様な硬度の他の材料が含まれる。比較的柔らかい材料の非限定的例には、金、白金、および同様な硬度の他の材料が含まれる。一実施形態では、異種の材料同士は、たとえば少なくとも50ブリネル硬度(HB)の硬度差を有することによって、かじりを防止するのに十分な硬度差を有するように選択される。一実施形態では、異種の材料のうちの少なくとも一方は、0.62以上の物理的延性値Dを有する延性材料である。延性材料の非限定的例には、アルミニウム、銅、錫、銀、白金、ニオブ、鉛、および金が含まれる。諸実施形態では、延性は、材料の破断時の伸びによって特徴付けることができる。一実施形態では、カバー接触面114およびベースプレート接触面116の両方とも、延性材料を含む。一実施形態では、カバー接触面114およびベースプレート接触面116のうちの一方のみが、延性材料を含む。一実施形態では、カバー接触面114およびベースプレート接触面116の材料のうちの一方または両方が、金属である。一実施形態では、カバー接触面114またはベースプレート接触面116の材料のうちの少なくとも一方が、ポリマーまたは複合材料である。ポリマー材料の非限定的例は、充填ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料などの複合材料に含有され得る、PEEK材料である。諸実施形態では、カバー接触面114とベースプレート接触面116とにおいて異種の材料となる選択される材料は、使用サイクルを通しての粒子発生、可視摩耗などのような材料の摩耗特性に基づいて選択することができる。摩耗特性は、材料毎に求めることができ、それらを個々に選択して、または互いに組み合わせて使用することができる。
【0021】
図2は、一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図を示す。レチクルポッド内側ポッド200は、カバー202およびベースプレート204を備える。カバー202は、カバー接触面206を備える。ベースプレート204は、ベースプレート接触面210を備える。カバー接触面206とベースプレート接触面208とは、レチクルポッド内側ポッド200が組み立てられたとき、互いに接触するように構成されている。
【0022】
カバー202は、レチクルポッド内側ポッド200の一部分を形成する。カバー接触面206は、レチクルポッド内側ポッド200が組み立てられたとき、カバー202がベースプレート204と接触するように構成された場所に設けられている。
図2に示された実施形態では、カバー接触面206は、カバー202がベースプレート204に接触する場所に、カバー202の母材を備える。諸実施形態では、その代わりに、カバー接触面206は、ベースプレート接触面208に関して示すように、コーティングまたは鍍金をして、その材料をベースプレート接触面208との境界面に備えることができる。
【0023】
ベースプレート204は、レチクル内側ポッド200の別の部分を形成する。ベースプレート接触面208は、レチクルポッド内側ポッド200が組み立てられたとき、ベースプレート204がカバー202に接触する場所に設けられている。
図2に示された実施形態では、ベースプレート接触面208は、ある材料でコーティングまたは鍍金されている。ベースプレート接触面208でのコーティングは、カバー接触面206で備えられる材料とは異種の材料である。他の諸実施形態では、カバー接触面206は、
図2に示されたベースプレート接触面208に施されたコーティングに加えて、またはその代わりに、カバー接触面206とベースプレート接触面208とにおける材料が互いに異種である限り、ある材料でコーティングまたは鍍金することができる。異種の材料は、上記で述べたように、延性、硬度などで異なればよい。
【0024】
カバー接触面206とベースプレート接触面208とは、カバー接触面206とベースプレート接触面208とが互いに接する場所では異種の材料を備えるように構成することができる。一実施形態では、異種の材料のうちの一方は、カバーまたはベースプレートのうちの一方の母材でもよい。一実施形態では、異種の材料のうちの少なくとも一方は、カバー202またはベースプレート204に施されたコーティングまたは鍍金でもよい。一実施形態では、カバー202およびベースプレート204は共にそれぞれが、コーティングまたは鍍金として施された異種の材料のうちの一方を、ベースプレート接触面208に関して
図2に示されたように、有し得る。一実施形態では、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの一方は、カバー202またはベースプレート204に施されたコーティングまたは鍍金であり、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの他方は、
図3に示され、以下に説明される接触細片308のような接触細片として設けられる。一実施形態では、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの一方は、カバー202またはベースプレート204に施されたコーティングまたは鍍金であり、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの他方は、
図4に示され、以下に説明される接触点408のような接触細片として設けられる。一実施形態では、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの一方は、カバー202またはベースプレート204に施されたコーティングまたは鍍金であり、カバー接触面206またはベースプレート接触面208のうちの他方は、
図5に示され、以下に説明される接触インサート508のような接触細片として設けられる。
【0025】
図3は、一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図を示す。レチクルポッド内側ポッド300は、カバー302およびベースプレート304を備える。カバー302は、カバー接触面306を備える。ベースプレート304は、ベースプレート304に形成された複数の接触細片308を備える。
【0026】
カバー302は、レチクルポッド内側ポッド300の一部分を形成する。カバー接触面306は、カバー302がベースプレート304に接触するように構成された場所、たとえば、レチクルポッド内側ポッド300を形成するためにカバー302とベースプレート304とが組み合わされたときの接触細片308に対応する位置で、カバー302に設けられる。一実施形態では、カバー接触面306は母材である。一実施形態では、カバー接触面306は、カバー接触面306に付される材料としてコーティングまたは鍍金を施される。
【0027】
ベースプレート304は、レチクルポッド内側ポッド300の別の部分を形成する。接触細片308は、ベースプレート304に形成される追加の材料の細片である。追加の材料は、カバー接触面306の材料とは異種の材料である。接触細片308は、たとえば接触細片308を堆積させるなど、ベースプレート304に直接付加することができる。一実施形態では、接触細片308は、接着剤などのような適切なあらゆる取付法によって取り付けることができる。
【0028】
図3は、接触細片308が、ベースプレート304に形成されるものとして示しているが、その代わりに、接触細片308をカバー302に形成することができ、代わって、ベースプレート304が、ベースプレート304の母材、またはベースプレート304に施されたコーティングの接触面を有し得、またはベースプレートが、以下で説明し
図4に示す接触点408のような接触点、または以下で説明し
図5に示す接触インサート508のような1つまたは複数の接触インサートを備え得る。
【0029】
図4は、一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の断面図を示す。レチクルポッド内側ポッド400は、カバー402およびベースプレート404を備える。カバー402は、カバー接触面406を備える。ベースプレート404は、ベースプレート404に形成された複数の接触点408を備える。
【0030】
カバー402は、レチクルポッド内側ポッド400の一部分を形成する。カバー接触面406は、カバー402がベースプレート404に接触するように構成された場所、たとえばレチクルポッド内側ポッド400を形成するためにカバー402とベースプレート404とが組み合わされたときの接触点408に対応する位置で、カバー402に設けられる。一実施形態では、カバー接触面406は母材である。一実施形態では、カバー接触面406は、カバー接触面406に付される材料としてコーティングまたは鍍金を施される。
【0031】
ベースプレート404は、レチクルポッド内側ポッド400の別の部分を形成する。接触点408が、ベースプレート404に設けられる。接触点408は、ベースプレート404とカバー402が合体されてレチクルポッド内側ポッド400を形成したとき、カバー接触面406が、接触点408でベースプレート404に接触するように構成される。接触点408は、ベースプレート404に形成された一連の不連続体であり得る。接触点408は、小さい丸、正方形などのような形状であり得る。接触点408は、ベースプレート404に整列させて配置することができる。接触点408は、カバー接触面406の材料とは異種の材料から形成される。
【0032】
図4は、接触点408が、ベースプレート404に形成されるものとして示しているが、それに代わって、接触点408が、カバー402に形成され得、ベースプレート404が、
図2に示され上記で述べられたベースプレート接触面208に関するような母材または鍍金もしくはコーティング、
図3に示され上記で述べられた接触細片308、および/または以下で説明され
図5に示される接触インサート508から成る接触面を備える。接触点408と当該接触点408によって接触されるカバー402またはベースプレート404の材料とは、異種の材料である。
【0033】
図5は、一実施形態による、レチクルポッド内側ポッドの接触面の図を示す。レチクルポッド内側ポッド500は、カバー502およびベースプレート504を備える。カバー502は、カバー接触面506を備える。ベースプレート504は、ベースプレート504に設けられた複数の接触インサート508を備える。接触インサート510は、チャネル510を用いてベースプレート504に取り付けることができる。
【0034】
カバー502は、レチクルポッド内側ポッド500の一部分を形成する。カバー接触面506は、レチクルポッド内側ポッド500が組み立てられたとき、カバー502がベースプレート504と接触するように構成された場所で、カバー502に設けられる。カバー接触面506は、カバー502の母材、コーティングもしくは鍍金、または適切な他のあらゆる接触面、たとえば
図3に示され上記で説明された接触細片308のような接触細片、または
図4に示され上記で説明された接触点408であり得る。
【0035】
ベースプレート504は、レチクルポッド内側ポッド500の別の部分を形成する。ベースプレート504は、ベースプレート504に設けられた接触インサート508を備える。接触インサート508は、たとえば、接触インサート504の諸部分とベースプレートの諸部分との相互接続機構または圧力嵌めなどの機械的係合によって、ベースプレート504に固定される。一実施形態では、チャネル510は、接触インサート508を所定位置に保持するために接触インサート508の一部分を受け入れることができる。チャネル510は、ベースプレート504の表面に形成された陥凹または溝であり得る。一実施形態では、チャネル510は、ベースプレート504に形成された貫通孔であり得る。一実施形態では、チャネル510は、接触インサート508の、カバー接触面506に接触するように構成された面とは反対側に形成された保持突起512が、チャネル510内に圧力嵌めされて接触インサート508をベースプレート504の所定位置に保持するように、寸法設定されている。一実施形態では、保持突起512は、接着剤を用いてチャネル510に固定することができる。一実施形態では、保持突起512は、ベースプレート504と係合して接触インサート508をベースプレート504の所定位置に保持する保持機構を備える。カバー接触面506および接触インサート508は、カバー接触面506の接触部分と接触インサート508とが、それぞれ互いに異種の材料から形成されるように選択された材料から製作される。
【0036】
図5は、接触インサート508、およびベースプレート504に設けられているチャネル510を示すが、諸実施形態では、チャネル510をカバー502に形成し、接触インサート508をカバー502に設けることができる。これら実施形態では、ベースプレート504が、代わって、ベースプレート504の母材、またはベースプレート504に施されたコーティングから成る接触面を設けることができ、あるいはベースプレート504が、上記で述べられ
図3に示された接触点308のような接触細片、または上記で述べられ
図4に示された接触点408のような接触点を備え得る。
【0037】
態様
態様1~8のいずれも態様9~20のいずれとでも組み合わせることができることが理解されよう。
【0038】
態様1
ベースプレートおよびカバーを備え、ベースプレートおよびカバーがレチクルを収容するように構成され、
ベースプレートが、カバーに向き合うように構成されたベースプレートの縁に1つまたは複数の第1の接触面を備え、
カバーが、1つまたは複数の第2の接触面を備え、1つまたは複数の第2の接触面のそれぞれが、1つまたは複数の第1の接触面のうちの少なくとも1つに接触するように構成され、
1つまたは複数の第1の接触面が、第1の材料から形成され、
1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、第2の材料が、第1の材料とは異なる、
レチクルポッド。
【0039】
態様2
1つまたは複数の第1の接触面が、1つまたは複数の第2の接触面に接触したとき、1つまたは複数の第1の接触面の、1つまたは複数の第2の接触面との境界面に封止が形成される、態様1によるレチクルポッド。
【0040】
態様3
第1の材料と第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、態様1または2によるレチクルポッド。
【0041】
態様4
第1の材料および第2の材料のうちの一方が、金であり、第1の材料および第2の材料のうちの他方が、ニッケルおよびクロムからなる群から選択される、態様1から3のいずれか1つによるレチクルポッド。
【0042】
態様5
第1の材料および第2の材料のそれぞれが、金属である、態様1から4のいずれか1つによるレチクルポッド。
【0043】
態様6
第1の材料および第2の材料のうちの一方が、ベースプレートまたはカバーのうちのそれぞれ1つにコーティングとして施される、態様1から5のいずれか1つによるレチクルポッド。
【0044】
態様7
第1の材料または第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する、態様1から6のいずれか1つによるレチクルポッド。
【0045】
態様8
第1の材料または第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である、態様1から7のいずれか1つによるレチクルポッド。
【0046】
態様9
レチクルポッドを製造する方法であって、
第1の材料からベースプレートを形成することであって、ベースプレートが1つまたは複数の第1の接触領域を含む、第1の材料からベースプレートを形成することと、
第1の材料からカバーを形成することであって、カバーが、1つまたは複数の第2の接触領域を含み、1つまたは複数の第2の接触領域が、ベースプレートとカバーとが結合されたとき、1つまたは複数の第1の接触領域に対向するように構成される、第1の材料からカバーを形成することと、
接触面を形成するために、カバーまたはベースプレートのうちの一方に対し、少なくとも1つまたは複数の第1の接触領域あるいは1つまたは複数の第2の接触領域に、第1の材料とは異なる第2の材料を適用することと
を含む、方法。
【0047】
態様10
第1の材料と第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、態様9による方法。
【0048】
態様11
第1の材料が、ニッケルおよびクロムからなる群から選択され、第2の材料が金である、態様9または10による方法。
【0049】
態様12
第1の材料および第2の材料のそれぞれが、金属である、態様9から11のいずれか1つによる方法。
【0050】
態様13
第2の材料を適用することが、1つまたは複数の第1の接触領域あるいは1つまたは複数の第2の接触領域のうちのどちらかを第2の材料でコーティングすることを含む、態様9から12のいずれか1つによる方法。
【0051】
態様14
第2の材料が、0.62以上の延性値Dを有する、態様9から13のいずれか1つによる方法。
【0052】
態様15
第2の材料が、非酸化性である、態様9から14のいずれか1つによる方法。
【0053】
態様16
第2の接触面を形成するために、カバーまたはベースプレートのうちの他方に対し、少なくとも1つまたは複数の第1の接触領域あるいは1つまたは複数の第2の接触領域に、第2の材料とは異なる第3の材料を適用することをさらに含む、態様9から15のいずれか1つによる方法。
【0054】
態様17
レチクルを保管する方法であって、
レチクルを、カバーおよびベースプレートを備えるレチクルポッドに入れることと、
カバーに設けられた1つまたは複数の第1の接触面を、ベースプレートに設けられた1つまたは複数の第2の接触面に接触させることと
を含み、
1つまたは複数の第1の接触面が第1の材料から形成され、1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、第2の材料が、第1の材料とは異なる、方法。
【0055】
態様18
第1の材料と第2の材料とが、硬度においてブリネル硬さで少なくとも50異なる、態様17による方法。
【0056】
態様19
第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、0.62以上の延性値Dを有する、態様17または18による方法。
【0057】
態様20
第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、非酸化性である、態様17から19のいずれか1つによる方法。
【0058】
本願で開示される例は、全ての点で例示的かつ非限定的と見なされるべきである。本発明の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等な趣旨および範囲に入る全ての変更は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートおよびカバーを備え、前記ベースプレートおよび前記カバーがレチクルを収容するように構成され、
前記ベースプレートが、前記カバーに向き合うように構成された前記ベースプレートの縁に1つまたは複数の第1の接触面を備え、
前記カバーが、1つまたは複数の第2の接触面を備え、前記1つまたは複数の第2の接触面のそれぞれが、前記1つまたは複数の第1の接触面のうちの少なくとも1つに接触するように構成され、
前記1つまたは複数の第1の接触面が、第1の材料から形成され、
前記1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料とは異なる、
レチクルポッド。
【請求項2】
前記1つまたは複数の第1の接触面が、前記1つまたは複数の第2の接触面に接触したとき、前記1つまたは複数の第1の接触面の、前記1つまたは複数の第2の接触面との境界面に封止が形成される、請求項1に記載のレチクルポッド。
【請求項3】
レチクルポッドを製造する方法であって、
第1の材料からベースプレートを形成することであって、前記ベースプレートが1つまたは複数の第1の接触領域を含む、第1の材料からベースプレートを形成することと、
前記第1の材料からカバーを形成することであって、前記カバーが、1つまたは複数の第2の接触領域を含み、前記1つまたは複数の第2の接触領域が、前記ベースプレートと前記カバーとが結合されたとき、前記1つまたは複数の第1の接触領域に対向するように構成される、前記第1の材料からカバーを形成することと、
接触面を形成するために、前記カバーまたは前記ベースプレートのうちの一方に対し、少なくとも前記1つまたは複数の第1の接触領域あるいは前記1つまたは複数の第2の接触領域に、前記第1の材料とは異なる第2の材料を適用することと
を含む、方法。
【請求項4】
第2の接触面を形成するために、前記カバーまたは前記ベースプレートのうちの他方に対し、少なくとも前記1つまたは複数の第1の接触領域あるいは前記1つまたは複数の第2の接触領域に、前記第2の材料とは異なる第3の材料を適用することをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
レチクルを保管する方法であって、
前記レチクルを、カバーおよびベースプレートを備えるレチクルポッドに入れることと、
前記カバーに設けられた1つまたは複数の第1の接触面を、前記ベースプレートに設けられた1つまたは複数の第2の接触面に接触させることと
を含み、
前記1つまたは複数の第1の接触面が、第1の材料から形成され、前記1つまたは複数の第2の接触面が、第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料とは異なる、方法。
【国際調査報告】