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特表2024-545982F-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】F-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20241210BHJP
   G01B 9/02015 20220101ALI20241210BHJP
【FI】
G01C3/06 120Z
G01B9/02015
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580597
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022136612
(87)【国際公開番号】W WO2024113394
(87)【国際公開日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】202211534663.2
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅先剛
(72)【発明者】
【氏名】▲こん▼天誠
(72)【発明者】
【氏名】趙承偉
(72)【発明者】
【氏名】王彦欽
(72)【発明者】
【氏名】賈桂園
(72)【発明者】
【氏名】▲ちょ▼燕武
(72)【発明者】
【氏名】王長涛
【テーマコード(参考)】
2F064
2F112
【Fターム(参考)】
2F064AA04
2F064BB01
2F064EE06
2F064GG02
2F064GG06
2F064GG63
2F064HH01
2F112AD10
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA30
2F112DA40
2F112EA01
2F112FA01
2F112FA21
2F112FA45
(57)【要約】
本開示は、F-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法を提供し、絶対距離の非接触式測定の技術分野に属する。該構造は、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)と、光ファイバスリーブ(10)と、結像レンズ群(11)と、標準レンズ(12)とを備え、F-Pセンサプローブからサンプル(8)への方向に沿って、前記光ファイバスリーブ(10)の内部に前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)、結像レンズ群(11)および標準レンズ(12)が順に固定され、前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)は、N本の第1のマルチモード光ファイバ(16)と1本の第2のマルチモード光ファイバ(17)とを含み、NがN≧2を満たし、N本の前記第1のマルチモード光ファイバ(16)が前記第2のマルチモード光ファイバ(17)の回りに配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
F-Pセンサプローブであって、
第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)と、光ファイバスリーブ(10)と、結像レンズ群(11)と、標準レンズ(12)とを備え、
前記F-Pセンサプローブからサンプル(8)への方向に沿って、前記光ファイバスリーブ(10)の内部に前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)、結像レンズ群(11)および標準レンズ(12)が順に固定され、
前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)は、N本の第1のマルチモード光ファイバ(16)と1本の第2のマルチモード光ファイバ(17)とを含み、NがN≧2を満たし、N本の前記第1のマルチモード光ファイバ(16)が前記第2のマルチモード光ファイバ(17)の回りに配置される
ことを特徴とするF-Pセンサプローブ。
【請求項2】
前記サンプル(8)の表面の反射率が40%以上である場合、前記F-Pセンサプローブはウィンドウフィルム層(13)をさらに含み、前記ウィンドウフィルム層(13)が前記標準レンズ(12)の表面に付着している
ことを特徴とする請求項1に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項3】
前記ウィンドウフィルム層(13)は、透過率が40%±5%であり、反射率が15%±5%である金属膜層であり、好ましくは、前記金属膜層は、厚さ4~8nmの金属クロム層を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項4】
前記標準レンズ(12)は、厚さが5mm以上でありかつ表面の面精度PVがPV≦λ/20を満たす石英ガラスであり、λは、標準レンズ(12)の面精度を測定するときの干渉計の波長である
ことを特徴とする請求項1に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項5】
前記第2のマルチモード光ファイバ(17)は、前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)の中心位置に設置され、N本の前記第1のマルチモード光ファイバ(16)が前記第2のマルチモード光ファイバ(17)の回りに間隔Δdの等間隔で環状に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項6】
N本の前記第1のマルチモード光ファイバ(16)のそれぞれは、いずれも前記第2のマルチモード光ファイバ(17)に接するように配置される
ことを特徴とする請求項5に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項7】
前記第1のマルチモード光ファイバ(16)のコア径dおよび第2のマルチモード光ファイバ(17)のコア径dは、いずれも標準的なコア径であり、かつd≧dを満たし、
隣接する2本の前記第1のマルチモード光ファイバ(16)の間隔Δdが0≦Δd≦d/2を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項8】
前記第1のマルチモード光ファイバ(16)の数は、下記の式により確定され、


Nが前記第1のマルチモード光ファイバ(16)の数である
ことを特徴とする請求項7に記載のF-Pセンサプローブ。
【請求項9】
請求項1に記載のF-Pセンサプローブを使用する絶対距離測定装置であって、
F-Pセンサプローブと、F-Pセンサコネクタ(1)と、第2のN+1コアマルチモード光ファイバ(4)と、1×2光ファイバカプラ(7)と、Nコアマルチモード光ファイバ(5)と、単コアマルチモード光ファイバ(6)と、投光ファイバコネクタ(2)と、受光ファイバコネクタ(3)と、投光光源と、復調システムとを備え、
前記F-Pセンサプローブの前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)が前記F-Pセンサコネクタ(1)と接続され、
前記F-Pセンサコネクタ(1)の、前記F-Pセンサプローブから離間した端が前記第2のN+1コアマルチモード光ファイバ(4)および1×2光ファイバカプラ(7)の第1の端と順に接続され、前記1×2光ファイバカプラ(7)の第2の端がNコアマルチモード光ファイバ(5)および単コアマルチモード光ファイバ(6)のそれぞれと接続され、
前記Nコアマルチモード光ファイバ(5)が投光ファイバコネクタ(2)と接続され、前記単コアマルチモード光ファイバ(6)が受光ファイバコネクタ(3)と接続され、前記投光ファイバコネクタ(2)が投光光源と接続され、前記受光ファイバコネクタ(3)が復調システムと接続され、前記投光光源が光を投光するように構成され、前記復調システムがサンプル(8)とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求めるように構成される
ことを特徴とする絶対距離測定装置。
【請求項10】
前記F-Pセンサプローブにおける第1のマルチモード光ファイバ(16)が前記投光ファイバコネクタ(2)と接続され、
前記F-Pセンサプローブにおける第2のマルチモード光ファイバ(17)が前記受光ファイバコネクタ(3)と接続される
ことを特徴とする請求項9に記載の絶対距離測定装置。
【請求項11】
前記投光光源は、ハロゲンランプ光源、LED、SLD、スーパーコンティニュームレーザー光源を含み、
前記復調システムは、異なる距離での干渉光強度信号を取得して解析する分光器、F-P光ファイバ復調器を含む
ことを特徴とする請求項9に記載の絶対距離測定装置。
【請求項12】
請求項9に記載の絶対距離測定装置を使用する絶対距離測定方法であって、
投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ(2)が位置する分岐路に進入し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ(16)を経由して出射したあと前記F-Pセンサプローブに進入し、そして標準レンズ(12)とサンプル(8)との間のエアギャップ(18)に集光する、光入射ステップと、
光線が標準レンズ(12)およびサンプル(8)の表面で反射されたあと、前記F-Pセンサプローブを経由し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)における第2のマルチモード光ファイバ(17)により再度集光し、最後に受光ファイバコネクタ(3)に到着する、光反射ステップと、
受光ファイバコネクタ(3)で受信した光信号に対して解析することにより、サンプル(8)とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求める、距離求めステップと、を含む
ことを特徴とする絶対距離測定方法。
【請求項13】
前記光入射ステップは、
投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ(2)に進入し、そして順にNコアマルチモード光ファイバ(5)、1×2光ファイバカプラ(7)および第2のN+1コアマルチモード光ファイバ(4)経由でF-Pセンサプローブに到着し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ(16)から出射したあと、順に結像レンズ群(11)、標準レンズ(12)を通って、標準レンズ(12)とサンプル(8)との間のエアギャップ(18)に初めて集光する、ステップを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の絶対距離測定方法。
【請求項14】
前記光反射ステップは、
標準レンズ(12)およびサンプル(8)の表面で反射された光が、順に標準レンズ(12)および結像レンズ群(11)を通って、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド(9)における第2のマルチモード光ファイバ(17)で再度集光し、合流して第2のマルチモード光ファイバ(17)に進入するステップと、
エアギャップ(18)の絶対距離情報をもつ光信号が順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ(4)、1×2光ファイバカプラ(7)および単コアマルチモード光ファイバ(6)経由で受光ファイバコネクタ(3)に到着するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の絶対距離測定方法。
【請求項15】
前記距離求めステップは、
復調システムにより該光信号を受信して解析して、標準レンズ(12)とサンプル(8)との間のエアギャップ(18)の厚さを得、これによってサンプル(8)とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求めるステップを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の絶対距離測定方法。
【請求項16】
前記サンプル(8)とF-Pセンサプローブとの絶対距離は、以下の方法で求め、
平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、標準レンズ(12)とサンプル(8)とをF-Pキャビティとして見なし、前記F-Pキャビティの反射係数を計算し、
前記反射係数に基づいて、前記F-Pキャビティのシミュレーション反射率を計算し、異なる厚さのエアギャップ(18)に対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率のモデルベースを構築し、
前記F-Pキャビティの実測反射率を計算し、
前記実測反射率と前記モデルベースにおける複数のシミュレーション反射率とに対して相互相関演算を行い、相関が最も高いシミュレーション反射率に対応するエアギャップ(18)の厚さをサンプル(8)とF-Pセンサプローブとの絶対距離として確定する
ことを特徴とする請求項15に記載の絶対距離測定方法。
【請求項17】
前記F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算し、

式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
は、t波に対応する標準レンズ(12)とエアギャップ(18)との界面で反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップ(18)とサンプル(8)との界面での反射係数を表し、
は、標準レンズ(12)およびエアギャップ(18)において光路長の変化に起因した光の位相シフトを表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表し、
具体的に、
は、下記の式により計算し、

式において、n、n、nは、標準レンズ(12)、エアギャップ(18)およびサンプル(8)の屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、前記第1のマルチモード光ファイバ(16)からの入射光(19)の、標準レンズ(12)の下面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光(19)の、サンプル(8)の上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す
ことを特徴とする請求項16に記載の絶対距離測定方法。
【請求項18】
前記
は、下記の式により計算し、

がエアギャップ(18)の厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である
ことを特徴とする請求項17に記載の絶対距離測定方法。
【請求項19】
ウィンドウフィルム層(13)が前記標準レンズ(12)の表面に付着しており、前記F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算し、

式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
は、t波に対応する標準レンズ(12)とウィンドウフィルム層(13)との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するウィンドウフィルム層(13)とエアギャップ(18)との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップ(18)とサンプル(8)との界面での反射係数を表し、
は、ウィンドウフィルム層(13)およびエアギャップ(18)において光路長の変化に起因した光の位相シフトをそれぞれ表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表し、
具体的に、
は、下記の式により計算し、

式において、n、n、n、nは、標準レンズ(12)、ウィンドウフィルム層(13)、エアギャップ(18)およびサンプル(8)の屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、前記第1のマルチモード光ファイバ(16)からの入射光(19)の、ウィンドウフィルム層(13)の上面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光(19)の、ウィンドウフィルム層(13)の下面での屈折角を表し、θは、入射光(19)の、サンプル(8)の上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す
ことを特徴とする請求項16に記載の絶対距離測定方法。
【請求項20】
前記
は、下記の式により計算し、


、cがそれぞれウィンドウフィルム層(13)およびエアギャップ(18)の厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である
ことを特徴とする請求項19に記載の絶対距離測定方法。
【請求項21】
前記F-Pキャビティのシミュレーション反射率は、下記の式により計算し、


simがF-Pキャビティのシミュレーション反射率を表し、
がs波およびp波のF-Pキャビティの反射係数をそれぞれ表す
ことを特徴とする請求項16に記載の絶対距離測定方法。
【請求項22】
前記F-Pキャビティの実測反射率は、下記の式により計算し、

expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、Idarkは、迷光強度を表し、Irefは、参照光強度を表し、Rrefは、反射率補正係数を表し、
具体的に、Rrefは、下記の式により計算し、


12、12は、標準レンズ(12)の反射係数および透過係数をそれぞれ表し、r’は、エアギャップ(18)とサンプル(8)との界面での反射係数を表す
ことを特徴とする請求項16に記載の絶対距離測定方法。
【請求項23】
ウィンドウフィルム層(13)が前記標準レンズ(12)の表面に付着しており、前記F-Pキャビティの実測反射率は、下記の式により計算し、


expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、Idarkは、迷光強度を表し、Irefは、参照光強度を表し、Rrefは、反射率補正係数を表し、
具体的に、Rrefは、下記の式により計算し、


13、13は、ウィンドウフィルム層(13)の反射係数および透過係数をそれぞれ表し、r’は、エアギャップ(18)とサンプル(8)との界面での反射係数を表す
ことを特徴とする請求項16に記載の絶対距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶対距離の非接触式測定の技術分野に属し、特に、F-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法に関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2022年12月01日に中国専利局に提出された、出願番号が202211534663.2であり、名称が「F-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
絶対距離の非接触式測定は、精密ワークステージの位置決め、合焦位置検出、超平滑表面外観検査、段差高さ測定などに広く応用されている。特に、半導体プロセスでは、フォトリソグラフィ技術を用いてナノパターンを加工するとき、シリコンウェーハの合焦位置対して高精度かつリアルタイムのモニタリングをし、そしてワークステージにフィードバックしてクローズドループ制御を行う必要がある。近接場光記憶技術において、近接場光ストレージのヘッドとディスクとの間の距離を高精度で測定する必要がある。超平滑表面外観検査技術において、標準レンズと測定対象表面との絶対距離をリアルタイムでモニタリングする必要がある。部品の幾何学的寸法検出において、段差輪郭を精確に測定する必要がある。
【0004】
現在、常用の測定器として三角測量方式の反射型レーザセンサ、クロマティック共焦点センサ、レーザ変位センサ、静電容量センサなどが挙げられる。これらの測定装置がいずれも変位の高精度測定を実現できるが、クロマティック共焦点センサおよび静電容量センサのみが絶対距離の直接測定を実現でき、他の測定装置の場合、絶対距離を測定するために初期位置を標定する必要があり、それに消灯再開のリピータビリティが劣る。そして、クロマティック共焦点センサは、消灯再開のリピータビリティに比較的優れるが、測定の分解能が低く、静電容量センサは、寄生容量の影響を受けやすく熱ドリフトにより大きく影響される。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題に鑑みて、本開示は、F-P(ファブリ・ペロー)光ファイバセンサプローブ構造、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法を提供する。
【0006】
本開示の第1局面は、F-Pセンサプローブを提供する。前記F-Pセンサプローブは、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドと、光ファイバスリーブと、結像レンズ群と、標準レンズとを備え、F-Pセンサプローブからサンプルへの方向に沿って、前記光ファイバスリーブの内部に前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド、結像レンズ群および標準レンズが順に固定され、前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドは、N本の第1のマルチモード光ファイバと1本の第2のマルチモード光ファイバとを含み、NがN≧2を満たし、N本の前記第1のマルチモード光ファイバが前記第2のマルチモード光ファイバの回りに配置される。
【0007】
本開示の実施例では、前記サンプルの表面の反射率が40%以上である場合、前記F-Pセンサプローブはウィンドウフィルム層をさらに含み、前記ウィンドウフィルム層が前記標準レンズの表面に付着している。
【0008】
本開示の実施例では、前記ウィンドウフィルム層は、透過率が40%±5%であり、反射率が15%±5%である金属膜層であり、好ましくは、前記金属膜層は、厚さ4~8nmの金属クロム層を含む。
【0009】
本開示の実施例では、前記標準レンズは、厚さが5mm以上でありかつ表面の面精度PVがPV≦λ/20を満たす石英ガラスであり、λは、標準レンズの面精度を測定するときの干渉計の波長である。
【0010】
本開示の実施例では、前記第2のマルチモード光ファイバは、前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドの中心位置に設置され、N本の前記第1のマルチモード光ファイバが前記第2のマルチモード光ファイバの回りに間隔Δdの等間隔で環状に配置される。
【0011】
本開示の実施例では、N本の前記第1のマルチモード光ファイバのそれぞれは、いずれも前記第2のマルチモード光ファイバに接するように配置される。
本開示の実施例では、前記第1のマルチモード光ファイバのコア径dおよび第2のマルチモード光ファイバのコア径dは、いずれも標準的なコア径であり、かつd≧dを満たし、隣接する2本の前記第1のマルチモード光ファイバの間隔Δdが0≦Δd≦d/2を満たす。
【0012】
本開示の実施例では、前記第1のマルチモード光ファイバの数は、下記の式により確定され、

Nが前記第1のマルチモード光ファイバの数である。
【0013】
本開示の第2局面は、上記のF-Pセンサプローブを使用する絶対距離測定装置を提供する。前記絶対距離測定装置は、F-Pセンサプローブと、F-Pセンサコネクタと、第2のN+1コアマルチモード光ファイバと、1×2光ファイバカプラと、Nコアマルチモード光ファイバと、単コアマルチモード光ファイバと、投光ファイバコネクタと、受光ファイバコネクタと、投光光源と、復調システムとを備え、F-Pセンサプローブの前記第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドが前記F-Pセンサコネクタと接続され、前記F-Pセンサコネクタの、前記F-Pセンサプローブから離間した端が前記第2のN+1コアマルチモード光ファイバおよび1×2光ファイバカプラの第1の端と順に接続され、前記1×2光ファイバカプラの第2の端がNコアマルチモード光ファイバおよび単コアマルチモード光ファイバのそれぞれと接続され、前記Nコアマルチモード光ファイバが投光ファイバコネクタと接続され、前記単コアマルチモード光ファイバが受光ファイバコネクタと接続され、前記投光ファイバコネクタが投光光源と接続され、前記受光ファイバコネクタが復調システムと接続され、前記投光光源が光を投光するように構成され、前記復調システムがサンプルとF-Pセンサプローブとの絶対距離を求めるように構成される。
【0014】
本開示の実施例では、前記F-Pセンサプローブにおける第1のマルチモード光ファイバが前記投光ファイバコネクタと接続され、前記F-Pセンサプローブにおける第2のマルチモード光ファイバが前記受光ファイバコネクタと接続される。
【0015】
本開示の実施例では、前記投光光源は、ハロゲンランプ光源、LED、SLD、スーパーコンティニュームレーザー光源を含み、前記復調システムは、異なる距離での干渉光強度信号を取得して解析する分光器、F-P光ファイバ復調器を含む。
【0016】
本開示の第3局面は、上記の絶対距離測定装置を使用する絶対距離測定方法を提供する。前記絶対距離測定方法は、投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタが位置する分岐路に進入し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドにおけるN本の第1のマルチモード光ファイバを経由して出射したあと前記F-Pセンサプローブに進入し、そして標準レンズとサンプルとの間のエアギャップに集光する、光入射ステップと、光線が標準レンズおよびサンプルの表面で反射されたあと、前記F-Pセンサプローブを経由し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドにおける第2のマルチモード光ファイバにより再度集光し、最後に受光ファイバコネクタに到着する、光反射ステップと、受光ファイバコネクタで受信した光信号に対して解析することにより、サンプルとF-Pセンサプローブとの絶対距離を求める、距離求めステップと、を含む。
【0017】
本開示の実施例では、前記光入射ステップは、投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタに進入し、そして順にNコアマルチモード光ファイバ、1×2光ファイバカプラおよび第2のN+1コアマルチモード光ファイバ経由でF-Pセンサプローブに到着し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドにおけるN本の第1のマルチモード光ファイバから出射したあと、順に結像レンズ群、標準レンズを通って、標準レンズとサンプルとの間のエアギャップに初めて集光する、ステップを含む。
【0018】
本開示の実施例では、前記光反射ステップは、標準レンズおよびサンプルの表面で反射された光が、順に標準レンズおよび結像レンズ群を通って、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッドにおける第2のマルチモード光ファイバで再度集光し、合流して第2のマルチモード光ファイバに進入するステップと、エアギャップの絶対距離情報をもつ光信号が順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ、1×2光ファイバカプラおよび単コアマルチモード光ファイバ経由で受光ファイバコネクタに到着するステップと、を含む。
【0019】
本開示の実施例では、前記距離求めステップは、復調システムにより該光信号を受信して解析して、標準レンズとサンプルとの間のエアギャップの厚さを得、これによってサンプルとF-Pセンサプローブとの絶対距離を求めるステップを含む。
【0020】
本開示の実施例では、前記サンプルとF-Pセンサプローブとの絶対距離は、以下の方法で求める。平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、標準レンズとサンプルをF-Pキャビティとして見なし、前記F-Pキャビティの反射係数を計算し、前記反射係数に基づいて、前記F-Pキャビティのシミュレーション反射率を計算し、異なる厚さのエアギャップに対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率のモデルベースを構築し、前記F-Pキャビティの実測反射率を計算し、前記実測反射率と前記モデルベースにおける複数のシミュレーション反射率とに対して相互相関演算を行い、相関が最も高いシミュレーション反射率に対応するエアギャップの厚さをサンプルとF-Pセンサプローブとの絶対距離として確定する。
【0021】
本開示の実施例では、前記F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算し、

式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
警告 2 : 横4cm、縦3cmより小さいイメージです。
は、t波に対応する標準レンズとエアギャップとの界面で反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップとサンプルとの界面での反射係数を表し、
は、標準レンズおよびエアギャップにおいて光路長の変化に起因した光の位相シフトを表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表し、
具体的に、
は、下記の式により計算し、

式において、n、n、nは、標準レンズ、エアギャップおよびサンプルの屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、前記第1のマルチモード光ファイバからの入射光の、標準レンズの下面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光の、サンプルの上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す。
本開示の実施例では、前記
は、下記の式により計算し、

がエアギャップの厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である。
本開示の実施例では、ウィンドウフィルム層が前記標準レンズの表面に付着しており、前記F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算し、
式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
は、t波に対応する標準レンズとウィンドウフィルム層との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するウィンドウフィルム層とエアギャップとの界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップとサンプルとの界面での反射係数を表し、
は、ウィンドウフィルム層およびエアギャップにおいて光路長の変化に起因した光の位相シフトをそれぞれ表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表し、
具体的に
は、下記の式により計算し、

式において、n、n、n、nは、標準レンズ、ウィンドウフィルム層、エアギャップおよびサンプルの屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、前記第1のマルチモード光ファイバからの入射光の、ウィンドウフィルム層の上面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光の、ウィンドウフィルム層の下面での屈折角を表し、θは、入射光の、サンプルの上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す。
【0022】
本開示の実施例では、前記
は、下記の式により計算し、

、cがそれぞれウィンドウフィルム層およびエアギャップの厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である。
本開示の実施例では、前記F-Pキャビティのシミュレーション反射率は、下記の式により計算し、


simがF-Pキャビティのシミュレーション反射率を表し、
がs波およびp波のF-Pキャビティの反射係数をそれぞれ表す。
【0023】
本開示の実施例では、前記F-Pキャビティの実測反射率は、下記の式により計算し、


expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、Idarkは、迷光強度を表し、Irefは、参照光強度を表し、Rrefは、反射率補正係数を表し、
具体的に、Rrefは、下記の式により計算し、


12、12は、標準レンズの反射係数および透過係数をそれぞれ表し、
は、エアギャップとサンプルとの界面での反射係数を表す。
【0024】
本開示の実施例では、ウィンドウフィルム層が前記標準レンズの表面に付着しており、前記F-Pキャビティの実測反射率は、下記の式により計算し、


expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、Idarkは、迷光強度を表し、Irefは、参照光強度を表し、Rrefは、反射率補正係数を表し、
具体的に、Rrefは、下記の式により計算し、


13、13は、ウィンドウフィルム層の反射係数および透過係数をそれぞれ表し、r’は、エアギャップとサンプルとの界面での反射係数を表す。
【0025】
従来技術に比べて、本開示に係るF-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法は、少なくとも下記の有益な効果を有する。
【0026】
本開示は、光ファイバファブリペロー(F-P)干渉測定の原理に基づいてセンサプローブと測定対象面との絶対距離の測定を実現し、精度が高く、分解能が高く、消灯再開のリピータビリティが優れ、非接触であるなどの特徴を有し、標定不要で絶対距離の測定を実現することができる。
【0027】
以下、図面を参照して本開示の実施例を説明することにより、本開示の上記の目的、他の目的、特徴および利点をより明瞭にする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の第1実施例によるF-Pセンサプローブ全体を示す模式図である。
図2】本開示の第2実施例による絶対距離測定装置の模式的構成図である。
図3】本開示の第3実施例による絶対距離を求める方法の模式的フローチャートである。
図4】本開示の第4実施例による多層膜系構造の原理を示す模式図である。
図5】本開示の第4実施例による絶対距離を求める方法の模式的フローチャートである。
図6】本開示の第3実施例による実測反射率とシミュレーション反射率とのスペクトル曲線の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の目的、技術案および利点をより明瞭にするため、以下、具体的な実施例を用いて図面を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。説明する実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本開示の保護範囲内に属する。
【0030】
ここで使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を限定するものではない。ここで使用される、「含む」、「含んでなる」などの用語は、該当する特徴、ステップ、操作および部材の少なくとも1つの存在を表すものであるが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作または部材が存在したり、添加されたりすることを排除するのではない。
【0031】
本開示において、特に断りがない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語を広義に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよいし、通信接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接に接続してもよいし、2つの要素の内部が連通しまたは2つの要素が相互に作用してもよい。当業者は、本開示における上記用語の具体的な意味を具体的な状況に応じて理解することができる。
【0032】
特に断りがない限り、ここで使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、当業者が通常認識している意味を有する。ここで使用される用語は、本明細書の文脈と合致する意味を持つように解釈されるべきであり、理想的または絶対的に解釈すべきではない。
【0033】
実施例1
図1は、本開示の第1実施例によるF-Pセンサプローブ全体を示す模式図である。
【0034】
図1に示すように、本開示の第1実施例によるF-Pセンサプローブは、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9と、光ファイバスリーブ10と、結像レンズ群11と、標準レンズ12とを備える。該F-Pセンサプローブは、サンプル8とF-Pセンサコネクタ1との間に設置され、絶対距離の測定に使用される。
【0035】
F-Pセンサプローブからサンプル8への方向に沿って、光ファイバスリーブ10の内部に第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9、結像レンズ群11および標準レンズ12が順に固定される。第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9は、N本の第1のマルチモード光ファイバ16と1本の第2のマルチモード光ファイバ17とを含み、NがN≧2を満たし、N本の第1のマルチモード光ファイバ16が第2のマルチモード光ファイバ17の回りに配置される。第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9がF-Pセンサコネクタ1と接続される。
【0036】
通常、標準レンズ12の表面と光ファイバスリーブ10の外端面と面一となり、F-Pセンサプローブを移動することによりセンサと測定対象のサンプル8との距離を調整することができる。しかしながら、実際の加工精度の限界により、標準レンズ12と光ファイバスリーブ10との絶対の面一を実現することができない。好ましくは、標準レンズ12の表面が該光ファイバスリーブ10の外端面から突出し、これによってサンプル8と標準レンズ12との間に他の余計のエアギャップが存在しないことを保証し、該余計のエアギャップは、標準レンズ12の表面と光ファイバスリーブ10の端面との間に位置し、標準レンズ12が光ファイバスリーブ10の端面から凹んで形成されたものである。該余計のエアギャップに起因して、測定対象のエアギャップ18の値に対するセンサの測定精度が損なわれる。
【0037】
本開示の実施例において、サンプル8と標準レンズ12との間の部分は距離測定対象のエアギャップ18である。サンプル8の表面の反射率が40%以上である場合、F-Pセンサプローブは、ウィンドウフィルム層13をさらに含み、ウィンドウフィルム層13が標準レンズ12の表面に付着し、このとき、エアギャップ18がサンプル8とウィンドウフィルム層13との間に位置する。測定ではサンプル8によって、その反射率が異なり、このため、標準レンズを、ウィンドウフィルム層13付きの標準レンズとウィンドウフィルム層13のない標準レンズとに分けて、サンプル8の実際の状況に応じて標準レンズ12を選択するようにしてもよい。
【0038】
ウィンドウフィルム層13は、標準レンズ12の表面に付着し、通常、マグネトロンスッパタ法により調製され、光学パラメータは、測定対象のサンプル8の表面の反射率により決められる。具体的に、サンプル8の表面の反射率が40%未満である場合、通常、ウィンドウフィルム層13が必要とされなく、サンプル8の表面の反射率が40%以上である場合、通常、ウィンドウフィルム層13は、透過率が40%±5%であり、反射率が15%±5%である金属膜層である。好ましくは、該金属膜層は、例えば厚さ4~8nmの金属クロム層を含む。
【0039】
本開示の実施例において、標準レンズ12は、厚さが5mm以上でありかつ表面の面精度PVがPV≦λ/20を満たす石英ガラスであり、λは、標準レンズ12の面精度を測定するときの干渉計の波長であり、具体的に、干渉計を使用して該石英ガラスの面精度を測定するときに干渉計において設定される波長である。
【0040】
本開示の実施例において、第2のマルチモード光ファイバ17は、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9の中心位置に設置され、N本の第1のマルチモード光ファイバ16が第2のマルチモード光ファイバ17の回りに間隔Δdの等間隔で環状に配置される。
【0041】
さらに、N本の第1のマルチモード光ファイバ16のそれぞれは、いずれも第2のマルチモード光ファイバ17に接するように配置される。
【0042】
通常、N本の第1のマルチモード光ファイバ16のコア径dおよび1本の第2のマルチモード光ファイバ17のコア径dは、いずれも標準的なコア径(例えば、105/125μm、200/220μmなど)であり、かつd≧dを満たす。そして、継続的な環状光による投光を実現するため、隣接する2本の第1のマルチモード光ファイバ16の間隔Δdが0≦Δd≦d/2を満たす。
【0043】
通常、第1のマルチモード光ファイバ16の数Nは、d、dおよびΔdにより決められ、具体的に、下記の式により算出することができる。
【0044】
例えば、d=125μm、d=220μm、ΔdがΔd≦62.5μmである場合、上の式に代入すると、8.47≧N≧5.47となり、整数にすれば8≧N≧6となる。
【0045】
実施例2
図2は、本開示の第2実施例による絶対距離測定装置の模式的構成図である。
【0046】
図2に示すように、本開示の第2実施例は、上記の第1実施例によるF-Pセンサプローブを使用する絶対距離測定装置を提供する。該絶対距離測定装置は、F-Pセンサプローブと、F-Pセンサコネクタ1と、第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4と、1×2光ファイバカプラ7と、Nコアマルチモード光ファイバ5と、単コアマルチモード光ファイバ6と、投光ファイバコネクタ2と、受光ファイバコネクタ3と、投光光源と、復調システムとを備える。
【0047】
F-Pセンサプローブの第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9がF-Pセンサコネクタ1と接続され、F-Pセンサコネクタ1の、F-Pセンサプローブから離間した端が第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4および1×2光ファイバカプラ7の第1の端と順に接続され、1×2光ファイバカプラ7の第2の端がNコアマルチモード光ファイバ5および単コアマルチモード光ファイバ6のそれぞれと接続される。Nコアマルチモード光ファイバ5が投光ファイバコネクタ2と接続され、単コアマルチモード光ファイバ6が受光ファイバコネクタ3と接続され、投光ファイバコネクタ2が投光光源と接続され、受光ファイバコネクタ3が復調システムと接続される。投光光源が光を投光するように構成され、復調システムがサンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求めるように構成される。
【0048】
図2に示すように、F-Pセンサプローブにおける第1のマルチモード光ファイバ16は、順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4、1×2光ファイバカプラ7およびNコアマルチモード光ファイバ5を介して投光ファイバコネクタ2と接続され、F-Pセンサプローブにおける第2のマルチモード光ファイバ17は、順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4、1×2光ファイバカプラ7および単コアマルチモード光ファイバ6を介して受光ファイバコネクタ3と接続される。
【0049】
具体的に、投光光源は、ハロゲンランプ光源、LED、SLD、スーパーコンティニュームレーザー光源を含むが、これらに限定されない。復調システムは、異なる距離での干渉光強度信号を取得して解析する分光器、F-P光ファイバ復調器を含むが、これらに限定されない。
【0050】
上記の実施例により、本開示は、F-Pセンサプローブとサンプル8との絶対距離の測定を実現することができる。投光ファイバコネクタ2は、ブロードなスペクトルの投光光源と接続される。受光ファイバコネクタ3と復調システムとが接続されることにより、異なる距離での干渉光強度信号を取得して解析することができる。
【0051】
実施例3
本開示の第3実施例は、上記の第2実施例による絶対距離測定装置を使用する絶対距離測定方法を提供する。該絶対距離測定方法は、下記のステップを含む。
【0052】
光入射ステップ:投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ2が位置する分岐路に進入し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ16を経由して出射したあとF-Pセンサプローブに進入し、そして標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18に集光する。
【0053】
光反射ステップ:光線が標準レンズ12およびサンプル8の表面で反射されたあと、F-Pセンサプローブを経由し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9における第2のマルチモード光ファイバ17により再度集光し、最後に受光ファイバコネクタ3に到着する。
【0054】
距離求めステップ:受光ファイバコネクタ3で受信した光信号に対して解析することにより、サンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求める。
【0055】
本開示の実施例において、光入射ステップは、具体的に下記のステップを含む。
【0056】
投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ2に進入し、そして順にNコアマルチモード光ファイバ5、1×2光ファイバカプラ7および第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4経由でF-Pセンサプローブに到着し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ16から出射したあと、順に結像レンズ群11、標準レンズ12を通って、標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18に初めて集光し、図1に示すサンプルによる反射光線14を参照する。
【0057】
本開示の実施例において、光反射ステップは、具体的に下記のステップを含む。
【0058】
光線が標準レンズ12およびサンプル8の表面で反射されたあと、F-Pセンサプローブを再度通り、図1に示す標準レンズによる反射光線15を参照する。第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9における第2のマルチモード光ファイバ17で再度集光する。
【0059】
エアギャップ18の絶対距離情報をもつ光信号が順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4、1×2光ファイバカプラ7および単コアマルチモード光ファイバ6経由で受光ファイバコネクタ3に到着する。
【0060】
本開示の実施例において、距離求めステップは、具体的に下記のステップを含む。復調システムにより該光信号を受信して解析して、エアギャップ18の厚さ、すなわちサンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離を得る。
【0061】
以下、距離求めステップの具体的な過程を詳細に説明する。
【0062】
上記のステップにおいて、標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18の厚さを求めるには、平行平板による多光束白光干渉測定法を利用し、多層膜系構造を構築し、該多層膜系構造は、上から下へ順に設置される標準レンズ12、エアギャップ18およびサンプル8を備える。
【0063】
コア径dの第1のマルチモード光ファイバ16からの入射光19が標準レンズ12の上下面に到着し、一部が直接反射されて標準レンズ12による反射光20となり、他の一部が透過してエアギャップ18経由でサンプル8の上面に到着し、そして、再度反射されて標準レンズ12に到着してサンプルによる反射光21となり、最後、コア径dの第2のマルチモード光ファイバ17により受光される。
【0064】
平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、標準レンズ12とサンプル8とによりF-Pキャビティが構成される。入射光19の、標準レンズ12の下面での入射角および屈折角をそれぞれθおよびθと仮定し、入射光19の、サンプルの上面での屈折角をθとし、標準レンズ12、エアギャップ18およびサンプル8のそれぞれの屈折率をn、n、nとし、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す。エアギャップ18の厚さがそれぞれcである。このようにして、多層膜系構造を構築できた。
【0065】
上記のように構築された多層膜系構造に基づいて、図3は、本開示の第3実施例による絶対距離を求める方法の模式的フローチャートである。
【0066】
図3に示すように、本開示の実施例において、上記の距離求めステップにおいて、サンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離は下記のステップS410~ステップS440により求められる。
【0067】
ステップS410:平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、標準レンズ12とサンプル8をF-Pキャビティとして見なし、F-Pキャビティの反射係数を計算する。
【0068】
本開示の実施例において、F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算することができる。

式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
は、t波に対応する標準レンズ12とエアギャップ18との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップ18とサンプル8との界面での反射係数を表し、
は、標準レンズ12およびエアギャップ1において光路長の変化に起因した光の位相シフトを表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表す。
【0069】
具体的に、
、下記の式により計算する。

式において、n、n、nは、標準レンズ12、エアギャップ18およびサンプル8の屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、第1のマルチモード光ファイバ16からの入射光19の、標準レンズ12の下面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光19の、サンプル8の上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す。
【0070】
本開示の実施例において、
は、下記の式により計算する。

がエアギャップ18の厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である。
【0071】
ステップS420:反射係数に基づいて、F-Pキャビティのシミュレーション反射率を計算し、異なる厚さのエアギャップ18に対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率のモデルベースを構築する。
【0072】
本開示の実施例において、F-Pキャビティのシミュレーション反射率は、下記の式により計算する。

simがF-Pキャビティのシミュレーション反射率を表し、
がs波およびp波のF-Pキャビティの反射係数をそれぞれ表す。
【0073】
上記の式に基づいて、異なる厚さcのエアギャップ18に対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率Rsimのモデルベースを構築することができる。
【0074】
ステップS430:F-Pキャビティの実測反射率を算出する。
【0075】
本開示の実施例において、F-Pキャビティの実測反射率は、下記の式により計算する。

expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、通常、第2のマルチモード光ファイバ17により出力されるエアギャップ18の絶対距離情報をもつ光強度である。Idarkは、迷光強度を表し、通常、第2のマルチモード光ファイバ17により直接受光される迷光の光強度であり、環境迷光強度と、結像レンズ群11、標準レンズ12を経由せずに環境に直接入る第1のマルチモード光ファイバ16からの光の光強度とを含む。Irefは、参照光強度を表し、通常、標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18がF-Pセンサプローブの測定レンジを超えた(例えば、測定レンジの2.5倍であり、具体的な値が経験で選択することができ、ここで限定されない)場合の、第2のマルチモード光ファイバ17の出力光の光強度を表す。Rrefは、反射率補正係数を表し、通常、標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18がF-Pセンサプローブの測定レンジを超えた場合の反射係数である。
【0076】
具体的に、Rrefは、下記の式により計算することができる。


12、12は、標準レンズ12の反射係数および透過係数をそれぞれ表す。r’は、エアギャップ18とサンプル8との界面での反射係数を表す。
【0077】
ステップS440:実測反射率とモデルベースにおける複数のシミュレーション反射率とに対して相互相関演算を行い、相関が最も高いシミュレーション反射率に対応するエアギャップ18の厚さをサンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離として確定する。
【0078】
実施例4
本開示の第4実施例は、上記の第2実施例による絶対距離測定装置を使用する絶対距離測定方法を提供する。この実施例において、サンプル8の表面の反射率が40%以上である場合、F-Pセンサプローブがウィンドウフィルム層13をさらに含み、測定方法は下記のステップを含む。
【0079】
光入射ステップ:投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ2が位置する分岐路に進入し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ16を経由して出射したあとF-Pセンサプローブに進入し、そしてウィンドウフィルム層13とサンプル8との間のエアギャップ18に集光する。
【0080】
光反射ステップ:光線がウィンドウフィルム層13およびサンプル8の表面で反射されたあと、F-Pセンサプローブを経由し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9における第2のマルチモード光ファイバ17により再度集光し、最後に受光ファイバコネクタ3に到着する。
【0081】
距離求めステップ:受光ファイバコネクタ3で受信した光信号に対して解析することにより、サンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求める。
【0082】
本開示の実施例において、光入射ステップは、具体的に下記のステップを含む。
【0083】
投光光源からの光が、合流して投光ファイバコネクタ2に進入し、そして順にNコアマルチモード光ファイバ5、1×2光ファイバカプラ7および第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4経由でF-Pセンサプローブに到着し、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9におけるN本の第1のマルチモード光ファイバ16から出射したあと、順に結像レンズ群11、標準レンズ12、ウィンドウフィルム層13を通って、ウィンドウフィルム層13とサンプル8との間のエアギャップ18に初めて集光する。
【0084】
本開示の実施例において、光反射ステップは、具体的に下記のステップを含む。
【0085】
光線がウィンドウフィルム層13およびサンプル8の表面で反射されたあと、ウィンドウフィルム層13、標準レンズ12および結像レンズ群11を再度通って、第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド9における第2のマルチモード光ファイバ17で再度集光し、合流して第2のマルチモード光ファイバ17に進入する。
【0086】
エアギャップ18の絶対距離情報をもつ光信号が順に第2のN+1コアマルチモード光ファイバ4、1×2光ファイバカプラ7および単コアマルチモード光ファイバ6経由で受光ファイバコネクタ3に到着する。
【0087】
本開示の実施例において、距離求めステップは、具体的に下記のステップを含む。復調システムにより該光信号を受信して解析して、標準レンズ12とサンプル8との間のエアギャップ18の厚さを得、これによってサンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離を求める。
【0088】
以下、距離求めステップの具体的な過程を詳細に説明する。
【0089】
図4は、本開示の第4実施例による多層膜系構造の原理を示す模式図である。
【0090】
上記のステップにおいて、ウィンドウフィルム層13とサンプル8との間のエアギャップ18の厚さを求めるには、平行平板による多光束白光干渉測定方法を利用し、図4に示す多層膜系構造を構築し、該多層膜系構造は、上から下へ順に設置される標準レンズ12、ウィンドウフィルム層13、エアギャップ18およびサンプル8を備える。
【0091】
コア径dの第1のマルチモード光ファイバ16からの入射光19が標準レンズ12経由でウィンドウフィルム層13の上下面に到着し、一部が直接反射されて標準レンズ12による反射光20となり、他の一部分が透過してエアギャップ18経由でサンプル8の上面に到着し、そして、再度反射されてウィンドウフィルム層13経由で標準レンズ12に到着してサンプルによる反射光21となり、最後、コア径dの第2のマルチモード光ファイバ17により受光される。
【0092】
平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、ウィンドウフィルム層13とサンプル8とによりF-Pキャビティが構成される。入射光19の、ウィンドウフィルム層13の上面での入射角および屈折角をそれぞれθおよびθと仮定し、入射光19の、ウィンドウフィルム層13の下面での入射角および屈折角をそれぞれθおよびθとし、入射光19の、サンプル8の上面での入射角および屈折角をそれぞれθおよびθとし、標準レンズ12、ウィンドウフィルム層13、エアギャップ18およびサンプル8のそれぞれの屈折率をn、n、nおよびnとし、標準レンズ12とウィンドウフィルム層13との界面での反射係数および透過係数をそれぞれrおよびtとし、ウィンドウフィルム層13とエアギャップ18との界面での反射係数および透過係数をそれぞれrおよびtとし、エアギャップ18とサンプル8との界面での反射係数をrとし、ウィンドウフィルム層13およびエアギャップ18の厚さをそれぞれcおよびcとして、多層膜系構造を構築できた。
【0093】
上記のように構築された多層膜系構造に基づいて、図5は、本開示の第4実施例による絶対距離を求める方法の模式的フローチャートである。
【0094】
図4および図5に示すように、本開示の実施例において、上記の距離求めステップにおいて、サンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離が下記のステップS510~ステップS540により求められる。
【0095】
ステップS510:平行平板による多光束干渉の原理に基づいて、ウィンドウフィルム層13とサンプル8とをF-Pキャビティとして見なし、F-Pキャビティの反射係数を計算する。
【0096】
本開示の実施例において、F-Pキャビティの反射係数は、下記の式により計算することができる。


式において、s、pは、s波およびp波をそれぞれ表し、
は、t波に対応する標準レンズ12とウィンドウフィルム層13との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するウィンドウフィルム層13とエアギャップ18との界面での反射係数を表し、
は、t波に対応するエアギャップ18とサンプル8との界面での反射係数を表し、
は、ウィンドウフィルム層13およびエアギャップ18において光路長の変化に起因した光の位相シフトをそれぞれ表し、
は、t波に対応するF-Pキャビティの反射係数を表す。
【0097】
具体的に、
は、下記の式により計算する。

式において、n、n、n、nは、標準レンズ12、ウィンドウフィルム層13、エアギャップ18およびサンプル8の屈折率をそれぞれ表し、θ、θは、第1のマルチモード光ファイバ16からの入射光19の、ウィンドウフィルム層13の上面での入射角および屈折角をそれぞれ表し、θは、入射光19の、ウィンドウフィルム層13の下面での屈折角を表し、θは、入射光19の、サンプル8の上面での屈折角を表し、
は、光束が斜入射する場合、屈折率がそれぞれnm-1およびnである2つの媒体の界面におけるs波およびp波の反射係数をそれぞれ表す。
【0098】
本開示の実施例において、
は、下記の式により計算する。

、cがそれぞれウィンドウフィルム層13およびエアギャップ18の厚さであり、λが測定用光源からの光のスペクトル波長である。
【0099】
ステップS520:反射係数に基づいて、F-Pキャビティのシミュレーション反射率を計算し、異なる厚さのエアギャップ18に対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率のモデルベースを構築する。
【0100】
本開示の実施例において、F-Pキャビティのシミュレーション反射率は、下記の式により計算する。


simがF-Pキャビティのシミュレーション反射率を表し、
がs波およびp波のF-Pキャビティの反射係数をそれぞれ表す。
【0101】
上記の式を利用すれば、異なる厚さcのエアギャップ18に対応するF-Pキャビティのシミュレーション反射率Rsimのモデルベースを構築することができる。
【0102】
ステップS530:F-Pキャビティの実測反射率を算出する。
【0103】
本開示の実施例において、F-Pキャビティ的実測反射率は、下記の式により計算する。


expは、F-Pキャビティの実測反射率を表し、Isampleは、サンプルの反射光強度を表し、通常、第2のマルチモード光ファイバ17により出力されるエアギャップ18の絶対距離情報をもつ光強度である。Idarkは、迷光強度を表し、通常、第2のマルチモード光ファイバ17により直接受光される迷光の光強度であり、環境迷光強度と、結像レンズ群11、標準レンズ12およびウィンドウフィルム層13を経由せずに環境に直接入る第1のマルチモード光ファイバ16からの光の光強度とを含む。Irefは、参照光強度を表し、通常、ウィンドウフィルム層13とサンプル8との間のエアギャップ18がF-Pセンサプローブの測定レンジを超えた(例えば、測定レンジの2.5倍であり、具体的な値が経験で選択することができ、ここで限定されない)場合の、第2のマルチモード光ファイバ17の出力光の光強度を表す。Rrefは、反射率補正係数を表し、通常、ウィンドウフィルム層13とサンプル8との間のエアギャップ18がF-Pセンサプローブの測定レンジを超えた場合の反射係数である。
【0104】
具体的に、Rrefは、下記の式により計算する。


13、13は、ウィンドウフィルム層13の反射係数および透過係数をそれぞれ表す。r’は、エアギャップ18とサンプル8との界面での反射係数を表す。
【0105】
ステップS540:実測反射率とモデルベースにおける複数のシミュレーション反射率とに対して相互相関演算を行い、相関が最も高いシミュレーション反射率に対応するエアギャップ18の厚さをサンプル8とF-Pセンサプローブとの絶対距離として確定する。
【0106】
図6は、本開示の第3実施例による実測反射率とシミュレーション反射率とのスペクトル曲線の比較を示すグラフである。
【0107】
絶対距離を求める上記過程により、代表的なシミュレーション値(すなわち、シミュレーション反射率)および実測値(すなわち、実測反射率)のスペクトル曲線は図6のようになる。図6から分かるように、該シミュレーション値が実測値に限りなく近く、つまり、本開示の第3実施例による、上記の絶対距離測定装置を使用する絶対距離測定方法は、絶対距離の測定を高精度で実現できる。
【0108】
上記の説明から分かるように、本開示の上記の実施例によるF-Pセンサプローブ、絶対距離測定装置および絶対距離測定方法は、少なくとも下記の技術的効果を実現できる。
【0109】
本開示は、光ファイバファブリペロー(F-P)干渉測定の原理に基づいてセンサプローブと測定対象面との絶対距離の測定を実現し、精度が高く、分解能が高く、消灯再開のリピータビリティが優れ、非接触であるなどの特徴を有し、標定不要で絶対距離の測定を実現することができる。
【0110】
開示されるプロセスにおけるステップの特定の順序または包含関係は、例示的な方法の実例である。設計上の好みで、プロセスにおけるステップの特定の順序または包含関係は、本開示の保護範囲から逸脱しない限り再組み合わせしてもよい。添付の方法の請求項は、各ステップの要素を例示的な順序で記載したが、特定の順序または包含関係に限定されることを意味しない。
【0111】
本開示の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」などの用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、本開示を簡単および簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置または部品が、必ず特定の方向を有したり、特定の方向に構成されたり、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本開示を限定するものではない。図面において、同様な要素が同一または類似の符号で表される。本開示に対する理解に邪魔する虞があるとき、通常の構成または構造の説明を省略する。そして、図面に示す各部材の形状、寸法、位置関係が実際の大きさ、比率、位置関係を示すのではない。
【0112】
同様に、本開示を簡単にするとともに開示する各局面のうちの1つまたは複数を容易に理解するため、本開示の例示的な実施例に対する上記の説明において、本開示の各特徴が単一の実施例、図面または説明にまとめられる。「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」または「いくつかの例」などの用語を用いる説明は、該当実施例または例を用いて説明される具体的な特徴、構造、材料または特性が本開示の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語に対する例示的な表現が同じ実施例または例を指しているとは限らない。そして、説明する具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において適切に結合することができる。
【0113】
また、用語の「第1」、「第2」は、説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示したり、技術的特徴の数を暗示したりするものではない。このため、「第1」、「第2」により限定される特徴は、1つまたは複数の該当特徴を含むことを明示または暗示することができる。本開示の説明において、特に断りがない限り、「複数」は、2つ以上を意味し、例えば、2つ、3つなどである。また、要素の前に付けられた用語の「1」または「1つ」は、このような要素が複数存在することを排除するのではない。特に断りがない限り、表現の「およそ」、「約」、「基本的に」および「ほど」は、10%以内を意味し、好ましくは、5%以内である。
【0114】
上記の具体的な実施例は、本開示の目的、技術案および有益な効果をさらに詳しく説明した。上記は、本開示の具体的な実施例にすぎず、本開示を限定するものではない。本開示の精神および原理から逸脱しない限り、行った如何なる変更、均等置換、改良なども本開示の保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0115】
1 F-Pセンサコネクタ
2 投光ファイバコネクタ
3 受光ファイバコネクタ
4 第2のN+1コアマルチモード光ファイバ
5 Nコアマルチモード光ファイバ
6 単コアマルチモード光ファイバ
7 1×2光ファイバカプラ
8 サンプル
9 第1のN+1コアマルチモード光ファイバヘッド
10 光ファイバスリーブ
11 結像レンズ群
12 標準レンズ
13 ウィンドウフィルム層
14 サンプルによる反射光線
15 標準レンズによる反射光線
16 第1のマルチモード光ファイバ
17 第2のマルチモード光ファイバ
18 エアギャップ
19 入射光
20 標準レンズによる反射光
21 サンプルによる反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】