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特表2024-546052有機塩化物を用いたシリコンエッチング
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  • 特表-有機塩化物を用いたシリコンエッチング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】有機塩化物を用いたシリコンエッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529122
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022048629
(87)【国際公開番号】W WO2023091299
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/279,901
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピスカン・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ベバー・グレゴリー・クリントン
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・ダクシュ
(72)【発明者】
【氏名】オゼル・タナー
(72)【発明者】
【氏名】ムコパダヤイ・アミット
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】セリノ・アンドリュー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ラルストン・ウォルター・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スー・チン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・マーレット
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004AA02
5F004AA09
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB25
5F004BD03
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA05
5F004DA14
5F004DA17
5F004DA24
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA30
5F004EA37
(57)【要約】
【解決手段】
基板支持体上のウエハの上にあるシリコン含有層を有するスタックに凹状フィーチャをエッチングする方法を提供する。基板支持体は、約30℃未満の温度に維持される。四塩化炭素(CCl4)、CxyClz(ここで、x>0かつz>0)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機塩化物源と、炭素源と、フッ素源と、水素源とを含む、エッチングガスを流す。エッチングガスは、プラズマ内に形成される。スタックをプラズマに曝露して、スタック内に凹状フィーチャをエッチングする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体上のウエハの上にあるシリコン含有層を有するスタックに凹状フィーチャをエッチングする方法であって、前記方法は、
a.前記基板支持体を約30℃未満の温度に維持することと、
b.エッチングガスを流すことであって、前記エッチングガスは、
i.四塩化炭素(CCl4)、CxyClz(ここで、x>0かつz>0)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機塩化物源と、
ii.炭素源と、
iii.フッ素源と、
iv.水素源と
を含むことと、
c.前記エッチングガスをプラズマ内に形成することと、
d.前記スタックを前記プラズマに曝露して、前記スタック内に凹状フィーチャをエッチングすることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記スタックは、酸化シリコンおよびポリシリコンの交互層を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板支持体を約30℃未満の温度に維持することにより、前記基板支持体が約-40℃未満の温度に維持される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板支持体を約30℃未満の温度に維持することにより、前記基板支持体が約-55℃未満の温度に維持される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマは、約1~100kWの間のRF電力で生成された容量結合プラズマである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記水素源は、H2、CHxy(ここで、1<x≦4、かつx+y=4)、Cxyz(ここで、x>0かつz>0)、Cxy、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記水素源は、H2を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記フッ素源は、NF3、CHxy(ここで、0<x<3、かつx+y=4)、Cxy(ここで、y≧x)、Cxyz(ここで、z>0)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記炭素源は、CHxy(ここで、0<x<4、かつx+y=4)、Cxy(ここで、y≧x)、Cxyz(ここで、x>0かつz>0)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記有機塩化物源は、CH2Cl2またはCH3Clである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記シリコン含有層は、窒化シリコン、酸化シリコン、炭化シリコン、オキシ窒化シリコン、オキシ炭化シリコン、ポリシリコン、またはシリコンゲルマニウムの少なくとも1つを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年11月16日に出願された、米国特許出願番号第63/279,901号の優先権の利益を主張し、上記出願は、参照によりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製作中に頻繁に採用される1つのプロセスは、シリコン含有材料にエッチングされた円筒または他の凹状フィーチャを形成することである。シリコン含有材料は、凹状フィーチャが形成される交互/繰り返し層であってもよい。このようなプロセスが行われる1つの例示的なコンテキストは、NANDなどのメモリアプリケーションである。半導体産業が進歩し、デバイスの寸法が小さくなるにつれて、このような凹状フィーチャは、特に、狭い幅および/または深い深さを有する高アスペクト比フィーチャの場合、均一な方法でエッチングすることがますます困難になる。
【0003】
本明細書にて提供される背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。本背景技術のセクションにて説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
上記を達成するために、本開示の目的に従って、基板支持体上のウエハの上にあるシリコン含有層を有するスタックに凹状フィーチャをエッチングする方法を提供する。基板支持体は、約30℃未満の温度に維持される。四塩化炭素(CCl4)、CxyClz(ここで、x>0かつz>0)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機塩化物源と、炭素源と、フッ素源と、水素源とを含む、エッチングガスが流される。エッチングガスは、プラズマ内に形成される。スタックをプラズマに曝露して、スタック内に凹状フィーチャをエッチングする。
【0005】
本開示のこれらおよび他の特徴は、詳細な説明および以下の図面と併せて以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、様々な実施形態に従って、誘電体材料を含有するスタック内に凹状フィーチャをエッチングする方法を説明するフローチャートを示す。
【0007】
図2A図2Aは、いくつかの実施形態に従って処理されたスタックの概略断面図を示す。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態に従って処理されたスタックの概略断面図を示す。
【0008】
図3図3は、特定の実施形態に従って本明細書に記載の技術を実行するために使用され得る反応チャンバを示す。
【0009】
図4図4は、本発明の実施形態にて使用されるコントローラを実装するコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を、添付の図面に示すように、そのいくつかの好ましい実施形態を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者には、本開示がこれらの具体的な詳細の一部または全部がなくても実施され得ることが明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセスステップおよび/または構造は、詳細に記載されていない。
【0011】
特定の半導体デバイスの製作には、プラズマベースのエッチングプロセスを用いて、材料のスタック内にフィーチャをエッチングすることが含まれる。本明細書の様々な実施形態では、材料のスタックは、誘電体材料の交互/繰り返し層を含む。多くの場合、スタック内の層の少なくとも1つは、シリコン含有層であるか、またはシリコン含有層を含む。シリコン含有層は、窒化シリコン、酸化シリコン、炭化シリコン、オキシ窒化シリコン、オキシ炭化シリコン、ポリシリコン、またはシリコンゲルマニウムを含有してもよい。一例では、スタックは、酸化シリコンおよびポリシリコンの交互層を含む。
【0012】
シリコン含有材料内にエッチングされたフィーチャは、円筒、トレンチ、または他の凹状フィーチャであってもよい。このようなフィーチャのアスペクト比は、横方向の臨界寸法を深さで割ったものと定義される。このようなフィーチャのアスペクト比が増加し続けると、(1)フィーチャのねじれ、(2)フィーチャの非円形性、(3)エッチング速度のアスペクト比依存性、(4)エッチングプロファイルのボーイング、(5)不十分なマスク選択性、および(6)低いエッチング速度を含むいくつかの問題が生じる。ねじれとは、フィーチャの意図された底部の位置と実際の最終的な底部の位置との間の不規則な逸脱を指す(例えば、フィーチャの最終的な位置は、フィーチャがエッチングされた後のフィーチャの底部の位置に対応する)。例えば、場合によっては、円筒形のフィーチャが規則的な配列でエッチングされることが意図される。一部または全てのフィーチャがこの配列から底部において不規則に逸脱する場合、それらは、ねじれを有すると理解される。
【0013】
フィーチャの非円形性とは、円形の穴形状から底部の穴形状が逸脱することを指す。この問題は、凹状フィーチャの底部が円形であることが望まれる、円筒などの円形フィーチャをエッチングする場合に関連する。底部の穴形状が円形から逸脱すると、楕円、三角形、または不規則な多角形により近い形状に形成される場合が多い。多くの場合、これらの非円形形状は望ましくない。
【0014】
エッチング速度のアスペクト比依存性とは、フィーチャのアスペクト比が大きくなるにつれて、エッチング速度が遅くなる問題を指す。換言すれば、フィーチャがさらに誘電体材料内にエッチングされるにつれて、エッチングプロセスが遅くなる。この問題は、低いスループットおよびそれに伴う処理コストの増加に繋がるため、問題がある。
【0015】
エッチングプロファイルのボーイングとは、最終的なプロファイルがフィーチャの深さに沿ってどこかで過度に外側に湾曲するように、フィーチャが誘電体層内で横方向にエッチングされる傾向を指す。換言すれば、フィーチャの実際の最大臨界寸法が、フィーチャの所望の最大臨界寸法を超えることにより、形成される構造の完全性が損なわれたり、最終的なデバイスの電気的性能が制限されたりする可能性がある。
【0016】
不十分なマスク選択性とは、エッチングプロセスにより、過剰な量のマスクが除去され、プロセスの最後にマスクが残らない場合、または残っているマスクの量が、マスクから1つまたは複数の誘電体膜にパターンを適切に転写するのに不十分である場合に問題がある。マスク選択性が不十分な結果として、凹状フィーチャの頂部付近のフィーチャのプロファイルが劣化することが多い。
【0017】
低いエッチング速度とは、特定のアプリケーションについて所望の速度よりも遅いエッチング速度を指す。エッチング速度が低いと、エッチング時間が長くなり、スループットが低下し、処理コストが増加するため、問題がある。
【0018】
残念ながら、これらの問題のいくつかを改善する技術は、しばしば他の問題を悪化させる。その結果、これらの問題は、エッチング動作を設計する際に、互いに対してバランスが取られている。例えば、従来の商慣行である誘電体エッチングプロセスでは、実質的なボーイングが生じることが多い。低温エッチングプロセスは、従来の商慣行である誘電体エッチングプロセスに関連するボーイングの問題に対処するために、最近開発された。このような低温プロセスは、基板支持体が約25℃未満の温度に冷却されている間に行われてもよい。好都合に、低温プロセスにより、エッチング速度が比較的高くなり、ボーイングも比較的低減される。しかしながら、これらの低温プロセスは、フィーチャのねじれおよび非円形性に関する問題を実質的に悪化させる。これまで、このようなトレードオフを避けることは困難であった。
【0019】
本明細書に記載の技術は、誘電体材料内に凹状フィーチャをエッチングするために使用されてもよく、上記で特定された問題の一部または全てを伴わない。換言すれば、本開示の技術は、誘電体材料内に凹状フィーチャをエッチングするために使用されてもよく、ほとんどまたは全くねじれを有することなく、フィーチャが適度に円形であり、エッチング速度のアスペクト比依存性が許容可能な程度であり、ボーイングが許容可能であり、マスク選択性が十分であり、エッチング速度が十分である。
【0020】
本明細書の様々な実施形態では、特定の反応物のセットが使用される。反応物としては、有機塩化物源、炭素源、フッ素源、および水素源が挙げられる。例示的な有機塩化物源としては、四塩化炭素(CCl4)、およびハイドロクロロカーボン(CxyClz)(ここで、x>0かつz>0)が挙げられるが、これらに限定されない。CxyClz材料の特定の例としては、クロロホルム(CHCl3)および塩化メチレン(CH2Cl2)が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、C2yClzを使用してもよい。様々な実施形態では、有機塩化物源は、フッ素または他の非塩素ハロゲンを含まない。
【0021】
炭素源の例としては、フッ化炭素(Cxy)(ここで、y≧x)、およびハイドロフルオロカーボンCxyz(ここで、z>0)または(CHxy)(ここで、0<x<4、かつx+y=4)が挙げられるが、これらに限定されない。フッ素源の例としては、CHxy(ここで、0<x<4、かつx+y=4)、Cxy(ここで、y≧x)、Cxyz(ここで、z>0)、および三フッ化窒素(NF3)が挙げられるが、これらに限定されない。水素源の例としては、水素(H2)、CHxy(ここで、1<x≦4、かつx+y=4)、Cxy(メタン(CH4)など)、およびCxyz(ここで、z>0)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、反応物は、1つまたは複数の非フッ素ハロゲン源をさらに含み得る。その例としては、塩素(Cl2)、臭化水素(HBr)、ヨウ素(I2)、およびトリフルオロヨードメタン(CF3I)が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩化物源は、炭素源と同様に、多量のHラジカルおよびFラジカルを生成する反応物と組み合わせて作用し、本明細書に記載の卓越したエッチング結果をもたらす。
【0022】
いくつかの実施形態では、反応物は、CH2Cl2、H2、NF3、およびCHxy(ここで、0<x≦4、かつx+y=4)を含む。いくつかの実施形態では、反応物は、CH2Cl2、H2、NF3、ジフルオロメタン(CH22)、四フッ化炭素(CF4)、ならびに臭化水素(HBr)およびトリフルオロヨードメタン(CF3I)の少なくとも1つを含む。反応物の様々な他の組み合わせが可能であり、本開示の実施形態の範囲内であると見なされる。
【0023】
基板は、エッチング中、低温に維持されてもよい。この温度制御は、基板がエッチング中に位置決めされる基板支持体の温度を制御することによって達成され得る。特定の実施形態では、基板支持体は、約25℃未満、または約0℃未満、または約-40℃未満、または約-55℃未満、または約-60℃未満の温度に維持される。場合によっては、基板支持体は、約-80℃、または場合によってはさらに低い温度に維持されてもよい。いくつかの実施形態では、基板支持体は、約-80℃から-40℃の間の温度に維持されてもよい。比較的低いエッチング温度で動作させることにより、低いボーイング、比較的高いエッチング速度、および低いエッチング速度のアスペクト比依存性など、低温エッチングに関連する利点を獲得できる。好都合に、反応物として有機塩素化物ガスを含めることにより、他の重要なプロセス測定基準に対して大きなトレードオフを与えることなく、マスクに対するエッチング選択性を高め得る。
【0024】
本開示の方法の1つの応用例は、縦型NANDデバイスの形成の状況下である。この場合、フィーチャがエッチングされる材料は、繰り返し層の構造を有してもよい。例えば、材料は、酸化シリコンおよびポリシリコンの交互層を含み得る。交互層は、材料の対または繰り返しの群を形成する。様々な場合において、対または繰り返しの群の数は、約10~500の間(例えば、約20~1000の個々の層)であってもよい。層のスタック内にエッチングされたフィーチャは、約2~15μmの間、例えば約5~9μmの間の深さを有してもよい。フィーチャは、約40~450nmの間、例えば約50~100nmの間の幅を有してもよい。
【0025】
本明細書で使用する場合、基板中のフィーチャに適用される「高アスペクト比」とは、約30:1以上のようなアスペクト比を指す。より好ましくは、この範囲は、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1等よりも大きな比、またはそれらよりも高い比を含み得る。ただし、本明細書に記載のプロセスは、20:1、または10:1など、より低いアスペクト比に対して有益となり得る。
【0026】
記載の本実施形態と共に使用され得るマスク層には多くの種類があり、エッチングマスクとして機能し得る当技術分野で公知のような任意の層を含むことになる。例えば、マスクは、アモルファス炭素など、炭素ハードマスクであってもよい。他の実施形態では、マスクは、ドープ炭素であってもよい。
【0027】
高さ、アスペクト比、厚さ、幅、深さなど、本明細書にて提供される寸法/パラメトリックの詳細は、例示および説明のみを目的とする。本明細書に記載の開示に基づいて、様々な寸法/パラメータも適用または使用され得ることを理解されたい。
【0028】
図1は、本明細書の様々な実施形態に従ってスタックをエッチングする方法を説明するフローチャートである。基板の上にあるシリコン含有層およびマスクを有するスタックをプロセスチャンバ内に受け入れる(ステップ104)。図2Aは、実施形態に従って処理され得るスタック204の概略断面図である。本実施形態では、スタック204は、基板208の上に形成されてもよい。1つまたは複数の層が、スタック204と基板208との間に配置されてもよい。本実施形態では、スタック204は、ポリシリコン(Si)212の層の上部に酸化シリコン(SiO2)216の層を重ねた複数の二層である。マスクフィーチャ222を有するマスク220が、スタック204の上に形成されてもよい。本実施形態では、マスク220は、有機マスクなど、炭素含有マスクであり、その一例は、アモルファス炭素マスクであってもよい。また、アモルファス炭素マスクは、ある程度の水素および/または酸素を含み得る。
【0029】
次に、エッチングガスを供給する(ステップ108)。エッチングガスは、以下にさらに説明するように、有機塩化物源、炭素源、フッ素源、および水素源を含む。エッチングガスは、1つまたは複数の不活性ガスも含み得る。一例では、エッチングガスは、1~100sccmの(CxyClz)(ここで、x>0かつz>0)(すなわち、クロロメタン(CH3Cl)またはジクロロメタン(CH2Cl2))、0~100sccmのCH4、10~500sccmのH2、5~100sccmのNF3、0~25sccmのCF3I、0~80sccmのKr、0~100sccmのCHxy(ここで、0<x≦4、かつx+y=4)(すなわち、フルオロメタン(CH3F)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、およびCF4)、ならびに0~50sccmの六フッ化硫黄(SF6)を含む。さらなるガスを追加してもよい。他の実施形態では、これらのガスの一部を除去したり、他のガスで置き換えたりしてもよい。基板支持体は、約-80℃から150℃の範囲の温度に維持される。チャンバ圧力は、約5から400ミリトル(mT)の圧力に維持される。
【0030】
エッチングガスをプラズマに変換する(ステップ112)。本実施例では、パルス化されたRF電力が、異なる周波数および電力範囲で供給される。例えば、第1段階の間、0~1500ワット(W)の範囲の電力で400キロヘルツ(kHz)のRF電力と、0~1000Wの範囲の電力で60メガヘルツ(MHz)のRF電力とが供給されてもよい。第2段階の間、1000~50000Wの範囲の電力で400kHzのRF電力と、500~15000Wの範囲の電力で60MHzのRF電力とが供給されてもよい。第1段階と第2段階との間のパルス化デューティサイクルは、5~60%の範囲内であってもよい。パルスは、100Hzから20kHzの範囲の繰返率であってもよい。多くの場合、プラズマは、容量結合プラズマである。様々な実施形態では、プラズマは、約5~200キロワット(kW)の間、例えば約1~100kWの間、または約10~100kWの間、またはいくつかの実施形態では、約10~65kWの間の高周波(RF)電力で生成されてもよい。場合によっては、二周波RFを使用して、プラズマを生成してもよい。したがって、RF電力は、2つ以上の周波数成分、例えば、約400キロヘルツ(kHz)の第1の周波数成分と、約60メガヘルツ(MHz)の第2の周波数成分とで供給されてもよい。各周波数成分において異なる電力を供給してもよい。例えば、第1の周波数成分(例えば、約400kHz)は、約10~40kWの間の電力で供給されてもよく、第2の周波数成分(例えば、約60MHz)は、例えば、約0.5~8kWの間の異なる電力で供給されてもよい。これらの電力レベルは、RF電力が単一の300ミリメートル(mm)のウエハに供給されることを想定している。電力レベルは、追加の基板および/または他のサイズの基板に対しては、基板面積に基づいて線形に計測可能である(それにより、基板に供給される電力密度を均一に維持できる)。他の場合では、三周波RF電力を使用して、プラズマを生成してもよい。場合によっては、印加されるRF電力は、1~50,000Hzの繰返率でパルス化されてもよい。RF電力は、2つの非ゼロ値の間(例えば、より高い電力状態とより低い電力状態との間)、またはゼロ値と非ゼロ値との間(例えば、オフ状態とオン状態との間)でパルス化されてもよい。RF電力が2つの非ゼロ値の間でパルス化される場合、上述の電力は、より高い電力状態に関連し、より低い電力状態は、約4kW以下のRF電力に対応し得る。基板における最大イオンエネルギーは、比較的高く、例えば約1~10キロボルト(kV)の間であってもよい。最大イオンエネルギーは、RF励起周波数、電極サイズ、電極配置、チャンバ形状、およびプラズマ相互作用の詳細と組み合わせて印加されるRF電力によって決定される。
【0031】
スタック204をプラズマに曝露することにより、スタック内にフィーチャがエッチングされる。場合によっては、基板は、約2000~3000秒(s)の間の持続時間の間、プラズマに曝露されてもよい。場合によっては、電力、圧力、およびガス流などのプロセスパラメータは、一連のレシピステップにて調整される。パターニングされたマスク層は、パターニングされたマスク層が存在する位置で下層のスタック材料を保護する。これにより、凹状フィーチャにとって望ましい、マスク層内にパターニングされた開口部において確実に凹状フィーチャが形成されることになる。
【0032】
図2Bは、実施形態に従って処理された後のスタック204の概略断面図である。プラズマは、スタック204にフィーチャ224をエッチングするために使用される。本実施形態では、プラズマは、スタック204を通って基板208までエッチングできた。ボーイングは、フィーチャの幅の増加によって示され、フィーチャの頂部の幅およびフィーチャの底部の幅が、ボーイングがある幅よりも小さくなる。本実施形態では、一部ボーイングが発生し得るが、本実施形態では、ボーイングの幅228(バウCD)が低減している。本実施形態は、ポリシリコン、酸化シリコン、炭化シリコン、オキシ窒化シリコン、オキシ炭化シリコン、および窒化シリコンなど、異なるシリコン含有層をエッチングできる。その結果、ボーイングを低減した高アスペクト比のフィーチャを獲得できる。本明細書で使用する場合、CDとは、フィーチャ内の特定の位置におけるフィーチャの臨界寸法(例えば、基板の表面に平行な方向の幅)を指す。「バウCD-底部CD」は、フィーチャの最大臨界寸法幅248とフィーチャの底部における臨界寸法との間の差として定義される。実施形態は、20nm未満のバウCD-底部CDを提供できる。他の測定基準は、バウCD/底部CDの比を使用してもよい。
【0033】
さらに、本実施形態は、改善された選択性を提供する。選択性とは、除去対象の材料のエッチング速度とマスク材料のエッチング速度との比を指す。本実施形態は、炭素含有マスクに対してシリコン含有層を選択的にエッチングできる。いくつかの実施形態では、シリコン含有層は、ハードマスクに対して選択的にエッチングされ、他の重要なプロセス測定基準に対して大きなトレードオフを与えることなく、≧10%の選択性の大幅な改善が可能となる。酸化シリコンおよびポリシリコンの交互層のスタックの場合、実施形態では、炭素マスクのエッチングに対するスタックのエッチング選択比が、少なくとも3:1になる。
【0034】
楕円率は、円筒形フィーチャの底部が真円から楕円形に向かって逸脱する程度を表し、底部の穴形状に合った楕円の短軸の長さと長軸の長さの比として計算される。真円のフィーチャの楕円率は、1.0を有する。円形のフィーチャが望ましいことが多いため(例えば、円筒をエッチングする場合)、楕円率が1.0に近いことが好ましい。様々な実施形態では、円形の断面を有するマスクフィーチャは、1.0から1.1の範囲の平均楕円率を有するフィーチャとなる。
【0035】
ねじれとは、フィーチャが所望の配列パターンから逸脱する程度を指す。本明細書にて報告されるねじれは、フィーチャの底部における穴間の距離の標準偏差に3を掛けたものである。ねじれは望ましいフィーチャではないため、可能な限りねじれが少ないことが好ましい。いくつかの実施形態は、15nm未満のねじれを提供する。
装置
【0036】
上述した様々なハードウェアおよび方法の実施形態は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LEDs、光起電性パネル等の作製または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと連動して使用可能である。通常、必ずしもそうである必要はないが、このようなツール/プロセスは、共通の製作設備で共に使用または実施されることになる。
【0037】
膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを用いて、フォトレジストをワークピース、例えば、シリコン含有膜をその上に形成した基板上に塗布するステップ、(2)ホットプレートまたは炉または他の適切な硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させるステップ、(3)ウエハステッパーなどのツールを用いて、フォトレジストに可視光または紫外線(UV)またはX線光へ露光するステップ、(4)ウェットベンチまたはスプレーデベロッパなどのツールを用いて、レジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングするようにレジストを現像するステップ、(5)ドライまたはプラズマアシストエッチングツールを用いることによって、レジストパターンを下層の膜またはワークピースに転写するステップ、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパーなどのツールを用いて、レジストを除去するステップの一部または全てを含み、各ステップは、複数の利用可能なツールを備えることにより可能となる。いくつかの実施形態では、フォトレジストを塗布する前に、灰化可能なハードマスク層(アモルファス炭素層など)および別の適切なハードマスク(反射防止層など)を堆積させてもよい。
【0038】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に作製された集積回路」という用語は、互換的に使用される。当業者であれば、「部分的に作製された集積回路」という用語は、その上に集積回路が作製される多くの段階のいずれかの間のシリコンウエハを指す可能性があることを理解するであろう。半導体デバイス産業にて使用されるウエハまたは基板は、通常、200mm、300mm、または450mmの直径を有する。上記の詳細な説明は、実施形態がウエハ上で実施されることを前提としている。ただし、本実施形態は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料であってもよい。半導体ウエハに加えて、本開示の実施形態を利用し得る他のワークピースには、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、微小機械デバイスなどの様々な物品が含まれる。
【0039】
特定のパラメータについて別段の定義がない限り、本明細書にて使用される「約」および「おおよそ」という用語は、関連する値に対して±10%を意味することを意図している。
【0040】
図3は、実施形態において、基板をプラズマ処理するためのプラズマ処理チャンバ300の概略図である。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ処理チャンバ300は、チャンバ壁350によって囲まれた、プラズマ処理チャンバ304内に、ガス入口および静電チャック(ESC)316を設けるガス分配プレート306を備える。プラズマ処理チャンバ304内で、基板208は、ESC316の上部に位置決めされる。ESC316は、ESC電源348からバイアスを供給し得る。ガス源310は、ガス分配プレート306を介してプラズマ処理チャンバ304に接続される。ESC温度コントローラ351は、ESC316に接続され、ESC316の温度制御を提供する。高周波(RF)電源330は、ESC316および上部電極にRF電力を供給する。本実施形態では、上部電極は、ガス分配プレート306である。好ましい実施形態では、400キロヘルツ(kHz)、13.56メガヘルツ(MHz)、1MHz、2MHz、60MHz、および/または任意選択で、27MHzの電源が、RF電源330およびESC電源348を構成する。コントローラ335は、RF電源330、ESC電源348、排気ポンプ320、およびガス源310に制御可能に接続される。高流量ライナー360は、プラズマ処理チャンバ304内のライナーであり、ガス源からのガスを閉じ込め、スロット362を有する。スロット362は、ガス源310から排気ポンプ320へ通過するガスの制御された流れを維持する。このようなプラズマ処理チャンバの例としては、カリフォルニア州フリーモントのLam Research社製のFlex(登録商標)エッチングシステムがある。処理チャンバは、CCP(容量結合プラズマ)リアクタまたはICP(誘導結合プラズマ)リアクタとなり得る。
【0041】
図4は、本発明の実施形態にて使用されるコントローラ535を実装するコンピュータシステム400を示す高レベルブロック図である。コンピュータシステムは、集積回路、プリント回路基板、および小型のハンドヘルドデバイスから巨大なスーパーコンピュータに至るまで、多くの物理的形態を有してもよい。コンピュータシステム400は、1つまたは複数のプロセッサ402を含んでもよく、(グラフィック、テキスト、および他のデータを表示するための)電子表示装置404、メインメモリ406(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、記憶装置408(例えば、ハードディスクドライブ)、リムーバブル記憶装置410(例えば、光ディスクドライブ)、ユーザインターフェースデバイス412(例えば、キーボード、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、または他のポインティングデバイス等)、および/または通信インターフェース414(例えば、無線ネットワークインターフェース)をさらに含み得る。通信インターフェース414により、ソフトウェアおよび/またはデータを、リンクを介してコンピュータシステム400と外部デバイスとの間で転送可能となる。また、システムは、前述のデバイス/モジュールが接続され得る通信インフラストラクチャ416(例えば、通信バス、クロスオーバーバー、またはネットワーク)を含んでもよい。
【0042】
通信インターフェース414を介して転送された情報は、信号を伝送する通信リンクを介して、通信インターフェース414によって受信可能な電子信号、電磁信号、光信号、または他の信号などの信号の形態であってもよく、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波数リンク、および/または他の通信チャネルを使用して実装されてもよい。このような通信インターフェースにより、1つまたは複数のプロセッサ402は、上述の方法ステップを実行する過程で、ネットワークから情報を受信する可能性があるか、またはネットワークに情報を出力する可能性があることが企図される。さらに、方法の実施形態は、プロセッサのみで実行されてもよいし、処理の一部を共有するリモートプロセッサと連携してインターネットなどのネットワークを通じて実行されてもよい。
【0043】
「非一過性のコンピュータ可読媒体」という用語は、一般に、メインメモリ、二次メモリ、リムーバブル記憶装置、ならびにハードディスク、フラッシュメモリ、ディスクドライブメモリ、CD-ROM、および他の形態の永続性メモリなど、記憶装置などの媒体を指すために使用され、伝送波または信号など、一過性の主題をカバーするように解釈されないものとする。コンピュータコードの例としては、コンパイラによって生成されるような、マシンコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行される高レベルコードを含むファイルが挙げられる。また、コンピュータ可読媒体は、伝送波に具現化され、プロセッサによって実行可能な命令のシーケンスを表すコンピュータデータ信号によって送信されたコンピュータコードであってもよい。
【0044】
本明細書に記載の構成および/またはアプローチは本質的に例示的なものであり、多数の変形例が可能であるため、これらの特定の実施形態または実施例は限定的な意味で解釈されるものではないことを理解されたい。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の1つまたは複数を表してもよい。このように、図示の様々な動作は、図示された順序で実行されてもよく、他の順序で実行されてもよく、並行して実行されてもよく、場合によっては省略されてもよい。同様に、上述したプロセスの順序を変更してもよい。特定の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。このような参考文献においてなされた任意の免責事項または否認が、必ずしも本明細書に記載の実施形態に適用されないことが理解される。同様に、そのような参考文献において必要であると記載された任意の特徴が、本明細書の実施形態では省略される場合がある。本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、作用、および/または特性の新規性ならびに非自明性のコンビネーションおよびサブコンビネーション、ならびにそれらの任意およびすべての等価物を含む。
【0045】
結論
本開示は、いくつかの好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、本開示の範囲内に含まれる、変更、修正、並べ替え、および様々な代替等価物が存在する。なお、本開示の方法および装置を実施する多くの代替方法が存在することにも留意されたい。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれるような全てのこのような変更、修正、並べ替え、および様々な代替等価物を含むものとして解釈されることが意図される。本明細書にて使用される場合、「A、B、またはC」という語句は、非排他的論理「OR」を使用する、論理(「AまたはBまたはC」)を意味するものと解釈されるべきであり、「AまたはBまたはCの1つのみ」を意味するものと解釈されるべきではない。プロセス内の各ステップは、任意選択のステップであってもよく、必須ではない。異なる実施形態では、1つまたは複数のステップが削除されてもよいし、異なる順序でステップが提供されてもよい。さらに、様々な実施形態は、異なるステップを順次ではなく同時に提供してもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】