IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシーの特許一覧

特表2024-546260デバイスのデフォルトブーストモード状態
<>
  • 特表-デバイスのデフォルトブーストモード状態 図1
  • 特表-デバイスのデフォルトブーストモード状態 図2
  • 特表-デバイスのデフォルトブーストモード状態 図3
  • 特表-デバイスのデフォルトブーストモード状態 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】デバイスのデフォルトブーストモード状態
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/324 20190101AFI20241212BHJP
   G06F 1/3206 20190101ALI20241212BHJP
   G06F 1/3218 20190101ALI20241212BHJP
   G06F 15/78 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
G06F1/324
G06F1/3206
G06F1/3218
G06F15/78 517
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535345
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022082013
(87)【国際公開番号】W WO2023122583
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/561,837
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(71)【出願人】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ リー グレイトハウス
(72)【発明者】
【氏名】アダム ニール カルダー クラーク
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン クシュニール
【テーマコード(参考)】
5B011
5B062
【Fターム(参考)】
5B011EB09
5B011KK01
5B011LL13
5B062AA05
5B062HH02
(57)【要約】
コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素は、デフォルトで、ブーストモード状態で実行される。1つ以上の構成要素は、例えば、1つ以上の構成要素の電力消費又は1つ以上の構成要素の温度に起因して、ブーストモード状態がもはや持続可能でなくなるまで、ブーストモード状態で動作し続ける。1つ以上の構成要素は、ブーストモード状態がもはや持続可能でないことに応じて、低減電力状態(例えば、非ブーストモード状態)に切り替えられる。1つ以上の構成要素をブーストモード状態で動作させることが、1つ以上の構成要素の電力消費又は温度により再び持続可能になると、1つ以上の構成要素がデフォルトブーストモード状態に戻される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素の各々をブーストモード状態に設定することと、
前記1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つが電力制限又は熱制限されているのを検出することと、
前記少なくとも1つの構成要素が電力制限又は熱制限されているのを検出したことに応じて、前記少なくとも1つの構成要素を低減電力状態に設定することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記ブーストモード状態は、定常状態よりも高い電力消費設定を含み、前記定常状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、前記少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作可能な維持可能状態である、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、
前記方法は、前記複数の構成要素の各々について前記検出すること及び前記設定することを順次繰り返すことを含む、
請求項1の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の構成要素が前記ブーストモード状態に戻ることが可能であることを検出することと、
前記1つ以上の構成要素が前記低減電力状態に設定されたのと同じ順序で、前記1つ以上の構成要素を前記ブーストモード状態に順次戻すことと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、
前記方法は、前記複数の構成要素の各々の電力消費を比例的に低減するために、前記複数の構成要素の各々について前記低減電力状態を選択することを含む、
請求項1の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの構成要素として、前記1つ以上の構成要素から、前記1つ以上の構成要素のうち前記低減電力モードにおいて最低の性能損失で最高の節約電力を有する構成要素から始まる順序で選択することを含む、
請求項1の方法。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスのスクリーン又はディスプレイが電源オンされているという指標を受信したことに応じて、前記ブーストモード状態に入る、
請求項1の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの構成要素の前記ブーストモード状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、定常状態にある場合よりも高い周波数で動作することを含む、
請求項1の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの構成要素の前記ブーストモード状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、定常状態にある場合よりも多数のアクティブチャネルを有することを含む、
請求項1の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素の前記ブーストモード状態は、定常状態において使用されるルーティングアルゴリズムよりも高い性能を有し、より多くの電力を使用する前記少なくとも1つの構成要素のルーティングアルゴリズムを使用することを含む、
請求項1の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの構成要素の前記ブーストモード状態は、前記少なくとも1つの構成要素のネットワークメッセージのためのバックプレッシャを、定常状態にある場合よりも減少させることを含む、
請求項1の方法。
【請求項12】
システムであって、
コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素が電力制限又は熱制限されていることに応じて、前記1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つの電力消費をどのように低減するかを決定する電力低減決定モジュールと、
前記少なくとも1つの構成要素を、デフォルト電力構成状態としてブーストモード状態に設定し、その後、前記電力低減決定モジュールによって決定された低減電力状態に設定する構成設定決定モジュールと、を備える、
システム。
【請求項13】
前記ブーストモード状態は、定常状態よりも高い電力消費設定を含み、前記定常状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、前記少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作可能な維持可能状態である、
請求項12のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの構成要素の前記ブーストモード状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、定常状態にある場合よりも高い周波数で動作することを含む、
請求項12のシステム。
【請求項15】
コンピューティングデバイスであって、
1つ以上の構成要素と、
前記1つ以上の構成要素の各々をブーストモード状態に設定し、前記1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つが電力制限又は熱制限されているのを検出し、前記少なくとも1つの構成要素が電力制限又は熱制限されているのを検出したことに応じて、前記少なくとも1つの構成要素を低減電力状態に設定するデフォルトブーストコントローラと、を備える、
コンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記ブーストモード状態は、定常状態よりも高い電力消費設定を含み、前記定常状態は、前記少なくとも1つの構成要素が、前記少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作可能な維持可能状態である、
請求項15のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、
前記デフォルトブーストコントローラは、前記複数の構成要素の各々について前記検出すること及び前記設定することを順次繰り返す、
請求項15のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記デフォルトブーストコントローラは、
前記1つ以上の構成要素が前記ブーストモード状態に戻ることが可能であることを検出し、
前記1つ以上の構成要素が前記低減電力状態に設定されたのと同じ順序で、前記1つ以上の構成要素を前記ブーストモード状態に順次戻す、
請求項15のコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、
前記デフォルトブーストコントローラは、前記複数の構成要素の各々の電力消費を比例的に低減するために、前記複数の構成要素の各々について前記低減電力状態を選択する、
請求項15のコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記デフォルトブーストコントローラは、前記少なくとも1つの構成要素として、前記1つ以上の構成要素から、前記1つ以上の構成要素のうち前記低減電力モードにおいて最低の性能損失で最高の節約電力を有する構成要素から始まる順序で選択する、
請求項15のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年12月24日に出願された「デバイスのデフォルトブーストモード状態」と題する米国特許出願第17/561,837号の優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現代のプロセッサは、マルチコア中央処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、メモリコントローラ、入力/出力コントローラ等の様々な異なる構成要素の何れかを含む。これらの異なる構成要素の多くは、異なる量の電力を消費する異なる周波数で動作する等のような異なる電力状態で動作するように構成可能である。
【0003】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。図に表されるエンティティは、1つ以上のエンティティを示し、したがって、説明においてエンティティの1つ以上の形態に対して互換的に参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書で説明されるデバイスのためのデフォルトブーストモード状態を採用するように動作可能な非限定的な例示的なシステムの図である。
図2】デフォルトブーストコントローラの例示的なアーキテクチャを示す図である。
図3】デフォルトブーストコントローラ及び複数の部分を含む例示的なシステムを示す図である。
図4】デバイスのためのデフォルトブーストモード状態の例示的な実施形態における手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(概要)
コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサコア、メモリコントローラ、入力/出力(I/O)コントローラ、グラフィックス処理ユニット、画像又は顔認識ユニット等の様々なタイプの構成要素を含む。様々な構成要素は、しばしば、異なる周波数等の複数の異なる電力モードで動作することができ、より高い性能とより低い電力消費との間で異なる時間にトレードオフが行われることを可能にする。例えば、様々な構成要素は、長期間維持可能な周波数よりも高い周波数(例えば、無期限に維持可能な定常状態で使用される周波数よりも高い周波数)等のブーストモード状態で動作することができる。
【0006】
構成要素をブーストモード状態でいつ動作させるかを決定する1つの方法は、反応的手法(reactive approach)である。反応的手法では、構成要素は、デフォルトで、(例えば、より低い周波数で実行することによって)より少ない電力を消費する非ブーストモード状態で実行され、特定の作業負荷が実行されたことに応じてブーストモード状態で実行される。一例として、反応的手法では、実行されている高レイテンシ作業負荷が検出され、1つ以上の構成要素がより高い性能を有するようにブーストモード状態で動作するように変更される(したがって、高レイテンシ作業負荷が実行されるのにかかる時間が短縮される)。
【0007】
ブーストモード状態において構成要素をいつ動作させるかを決定するための反応的手法に関する1つの問題は、決定が行われるのにかかる時間である。例えば、反応的手法では、作業負荷が高レイテンシ作業負荷であるとして検出される前に、高レイテンシ作業負荷が開始し終了する状況が生じる。したがって、反応的手法では、構成要素がブーストモード状態で動作し始める時間までに、高レイテンシの作業負荷が完了し、したがって、高レイテンシの作業負荷は、ブーストモード状態で動作している構成要素から恩恵を受けない。
【0008】
本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素を、デフォルトで、ブーストモード状態で実行する。したがって、高レイテンシ作業負荷が開始する場合、1つ以上の構成要素は、作業負荷が高レイテンシであるという事実が検出されるのを待つ必要なしに、ブーストモード状態でその作業負荷を実行する。1つ以上の構成要素は、例えば、1つ以上の構成要素の電力消費又は1つ以上の構成要素の温度のためにブーストモード状態がもはや持続可能でなくなるまで、ブーストモード状態で動作し続ける。1つ以上の構成要素は、ブーストモード状態がもはや持続可能でないことに応じて、低減電力状態(例えば、非ブーストモード状態)に切り替えられる。1つ以上の構成要素をブーストモード状態で動作させることが、1つ以上の構成要素の電力消費又は温度によって再び持続可能になると、1つ以上の構成要素はデフォルトブーストモード状態に戻される。したがって、本明細書で説明される技術は、反応的手法ではなく、短い高レイテンシの作業負荷を含む作業負荷を迅速に実行するためのプロアクティブ手法(proactive approach)を提供する。
【0009】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素の各々をブーストモード状態に設定することと、1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つが電力制限又は熱制限されていることを検出することと、少なくとも1つの構成要素が電力制限又は熱制限されているのを検出したことに応じて、少なくとも1つの構成要素を低減電力状態に設定することと、を含む方法に関する。
【0010】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、ブーストモード状態は、定常状態よりも高い電力消費設定を含み、定常状態は、少なくとも1つの構成要素が少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作することができる維持可能状態である。
【0011】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、方法は、複数の構成要素の各々について検出及び設定を順次繰り返すことを更に含む。
【0012】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、方法は、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができることを検出することと、1つ以上の構成要素が低減電力状態に設定されたのと同じ順序で1つ以上の構成要素を順次ブーストモード状態に戻すことと、を更に含む。
【0013】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、方法は、複数の構成要素の各々の電力消費を比例的に低減するために、複数の構成要素の各々について低減電力状態を選択することを更に含む。
【0014】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、少なくとも1つの構成要素として、1つ以上の構成要素から、低減電力モードにおいて最低の性能損失による最高の節約電力を有する1つ以上の構成要素のうち何れかの構成要素から始まる順序で選択することを更に含む方法に関する。
【0015】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスのスクリーン又はディスプレイが電源オンされているという指標を受信したことに応じてブーストモード状態に入る方法に関する。
【0016】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、少なくとも1つの構成要素のブーストモード状態は、定常状態にある場合よりも高い周波数で動作する少なくとも1つの構成要素を含む。
【0017】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、少なくとも1つの構成要素のブーストモード状態は、定常状態にある場合よりも多数のアクティブチャネルを有する少なくとも1つの構成要素を含む。
【0018】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、少なくとも1つの構成要素のブーストモード状態は、定常状態において使用されるルーティングアルゴリズムよりも高い性能を有し、より多くの電力を使用する少なくとも1つの構成要素のルーティングアルゴリズムを使用することを含む。
【0019】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、方法に関し、少なくとも1つの構成要素のブーストモード状態は、定常状態にある場合よりも少なくとも1つの構成要素のためのネットワークメッセージのためのバックプレッシャ(backpressure)を減少させることを含む。
【0020】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素が電力制限又は熱制限されていることに応じて、1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つの電力消費をどのように低減するかを決定する電力低減決定モジュールと、少なくとも1つの構成要素をデフォルト電力構成状態としてブーストモード状態に設定し、その後、電力低減決定モジュールによって決定された低減電力状態に設定する構成設定決定モジュールと、を含むシステムに関する。
【0021】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、システムに関し、ブーストモード状態は定常状態よりも高い電力消費設定を含み、定常状態は、少なくとも1つの構成要素が、少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作することができる維持可能状態である。
【0022】
いくつかの例では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、少なくとも1つの構成要素のブーストモード状態は、定常状態にある場合よりも高い周波数で動作する少なくとも1つの構成要素を含む。
【0023】
いくつかの例では、本明細書に説明される技術は、1つ以上の構成要素と、1つ以上の構成要素の各々をブーストモード状態に設定し、1つ以上の構成要素のうち少なくとも1つが電力制限又は熱制限されていることを検出し、少なくとも1つの構成要素が電力制限又は熱制限されているのを検出したことに応じて、少なくとも1つの構成要素を低減電力状態に設定するデフォルトブーストコントローラと、を含むコンピューティングデバイスに関する。
【0024】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスに関し、ブーストモード状態は定常状態よりも高い電力消費設定を含み、定常状態は、少なくとも1つの構成要素が、少なくとも1つの構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作することができる維持可能状態である。
【0025】
いくつかの例では、本明細書に説明される技術は、コンピューティングデバイスに関し、1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、デフォルトブーストコントローラは、複数の構成要素の各々について検出及び設定を順次繰り返す。
【0026】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスに関し、デフォルトブーストコントローラは、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができることを検出し、1つ以上の構成要素が低減電力状態に設定されたのと同じ順序で1つ以上の構成要素を順次ブーストモード状態に戻す。
【0027】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスに関し、1つ以上の構成要素は複数の構成要素を含み、デフォルトブーストコントローラは、複数の構成要素の各々の電力消費を比例的に低減するために、複数の構成要素の各々について低減電力状態を選択する。
【0028】
いくつかの例では、本明細書で説明される技術は、コンピューティングデバイスに関し、デフォルトブーストコントローラは、少なくとも1つの構成要素として、1つ以上の構成要素から、低減電力モードにおいて最低の性能損失による最高の節約電力を有する1つ以上の構成要素のうち何れかの構成要素から始まる順序で選択する。
【0029】
図1は、本明細書で説明されるデバイスのデフォルトブーストモード状態を採用するように動作可能な非限定的な例示的なシステム100の図である。システム100は、デフォルトブーストコントローラ102及び任意の数の構成要素を含み、そのうち2つが構成要素104及び106として示されている。構成要素104及び106は、様々な異なる集積回路又はその一部の何れかである。1つ以上の実施形態では、構成要素104及び106は、中央処理装置(CPU)及び並列加速プロセッサ(グラフィックス処理ユニット等)である。追加的又は代替的に、構成要素104及び106は、CPU及びセルラー通信ユニット(例えば、電波の受信及び送信、セルラー接続の管理等)である。追加的又は代替的に、構成要素104及び106は、単一パッケージ内の個別のチップレット(例えば、基板層上に実装された異なるシリコンダイ)である。追加的又は代替的に、構成要素104及び106は、単一の集積回路上のプロセッサコア、グラフィックス処理ユニット、並列加速プロセッサ、メモリコントローラ、I/Oコントローラ、顔認識チップ、機械学習チップ等の異なる知的財産(IP)ブロックである。
【0030】
1つ以上の実施形態では、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素104及び106のうち1つ以上の一部として含まれる。追加的又は代替的に、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素104及び106とは異なるIPブロック内、同じパッケージ内であるが構成要素104及び106とは異なるチップレット上等のように、構成要素104及び106とは別に実装される。
【0031】
構成要素104及び106は、相互接続108を介して互いに通信する。相互接続108は、バス、データファブリック等の様々な有線又は無線通信機構の何れかである。
【0032】
構成要素104及び106は、定常状態及びブーストモード状態を含む異なる電力モード又は状態で動作することができる。定常状態は、構成要素が構成要素の電力閾値又は熱閾値を超えることなく無期限に動作することができる維持可能な状態を指す。構成要素のそのような電力閾値又は熱閾値を超えることは、構成要素を物理的に損傷すること又は構成要素を誤動作させること等の様々な結果をもたらす。単にブーストモードとも呼ばれるブーストモード状態は、構成要素の電力閾値又は熱閾値を超える前の有限の持続時間にわたって維持可能な状態を指す。
【0033】
ブーストモード状態では、構成要素の性能は定常状態に対して向上する。この向上した性能は、様々な方法の何れかで得られる。1つ以上の実施形態では、構成要素(例えば、プロセッサコア、メモリコントローラ、相互接続108等のデータファブリック)が動作する周波数を増加させること等によって、構成要素の性能が向上する。構成要素が動作する周波数を増加させることは、例えば、構成要素をオーバークロックすることを含む。追加的又は代替的に、構成要素の性能は、アクティブなチャネルの数を増加させる(例えば、定常状態よりも多数のメモリチャネルを有する)ことによって向上する。追加的又は代替的に、構成要素の性能は、構成要素によって又は構成要素内で使用されるルーティングアルゴリズムを変更する(例えば、より低い性能であるがより少ない電力を消費するルーティングアルゴリズムと比較して、より高い性能であるがより多くの電力を消費するルーティングアルゴリズムに変更する)ことによって向上する。追加的又は代替的に、より少ないメッセージがネットワーク内に存在することを可能にするが同時により少ない電力を消費するネットワークメッセージのための増大されたバックプレッシャに対して、(例えば、I/Oスイッチ又はネットワークルータにおける)ネットワークメッセージのためのバックプレッシャを低減し、より多くのメッセージがネットワーク内に存在することを可能にするが同時により多くの電力を消費することによって、構成要素の性能が向上する。
【0034】
構成要素の性能を向上させる方法は知られており、様々な異なる方法の何れかで適用される。1つ以上の実施形態では、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素の性能を向上させる異なる方式の知識を有し、電力構成設定112として性能の指標を提供する。例えば、プロセッサコアが4ギガヘルツ(GHz)の定常状態周波数及び4.4GHzのブーストモード状態周波数を有すると仮定する。デフォルトブーストコントローラ102は、これらの周波数の知識を有し、電力構成設定としてこれらの2つの周波数のうち何れかで動作するようにプロセッサコアに指標を与える。構成要素の性能を向上させる異なる方法の知識は、構成要素の設計者又はユーザによって提供されるような様々な異なる方法の何れかで知られている。
【0035】
追加的又は代替的に、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素の性能を向上させる方法の知識を有する必要はないが、構成要素の性能を向上させることが可能であることを単に認識している。そのような状況では、デフォルトブーストコントローラ102は、電力構成設定としてブーストモード状態に入る(又は終了する)ための指標を構成要素に提供する。したがって、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素の性能を向上させる特定の方法を知ることなく、構成要素が定常状態にあるかブーストモード状態にあるかを制御することができる。
【0036】
デフォルトブーストコントローラ102は、電力制御回路、温度監視回路等の様々なソースの何れかから動作データ110を受信する。1つ以上の実施形態では、動作データ110は、デフォルトブーストコントローラ102並びに構成要素104及び106と同じパッケージ内に実装された電力制御回路又は温度監視回路から受信される。追加的又は代替的に、動作データ110は、デフォルトブーストコントローラ102並びに構成要素104及び106を実装するパッケージとは別に実装された電力制御回路又は温度監視から受信される。動作データ110は、システム100の複数の異なる部分の各々がどれだけの電力を消費しているか、又は、システム100の複数の異なる部分の各々が動作している温度の指標を提供する。これらの部分は、例えば、個々の構成要素、複数の構成要素の集合(例えば、共通電圧レールを共有する構成要素)である。
【0037】
デフォルトブーストコントローラ102は、電力構成設定112を構成要素104に通信し、電力構成設定114を構成要素106に通信する。相互接続108とは別のものとして示されているが、追加的又は代替的に、電力構成設定112又は114は、相互接続108を介して構成要素104又は106に通信される。電力構成設定112は構成要素104に示し、電力構成設定114は構成要素106に、対応する構成要素104又は106の電力構成のための様々な設定の何れか、例えば、実行すべき周波数、アクティブ化すべきチャネル(例えば、通信チャネル)の数、実装すべきルーティングアルゴリズム、ネットワークメッセージのためのバックプレッシャの量等を示す。これらの様々な設定は、構成要素104及び106によって消費又は使用される電力量を制御し、動作データ110に基づいてデフォルトブーストコントローラ102によって提供される。
【0038】
デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素104及び106をデフォルトでブーストモードにする。したがって、構成要素104によって実行される任意の作業負荷は、少なくともデフォルトブーストコントローラ102が以下でより詳細に説明するようにそれらの電力使用量を低減するまで、ブーストモードの利益を得る。1つ以上の実施形態では、デフォルトブーストコントローラ102は、システム100を含むデバイスが電源オン又はリセットされたことに応じて、構成要素104及び106をブーストモード状態にする。追加的又は代替的に、デフォルトブーストコントローラ102は、システム100を含むデバイスのディスプレイ又はスクリーンが電源オンされている、システム100を含むデバイスがポケット又は平坦な表面(例えば、テーブルトップ)から取り出されている等の別のイベントが検出されたことに応じて、構成要素104及び106をブーストモード状態にする。これらの他のイベントは、システム100を含むデバイスの様々なセンサの何れかによって、様々な公的又は独自の技術の何れかを使用して検出され、そのような指標がシステム100に提供される。
【0039】
システム100は、様々な異なるタイプのコンピューティングデバイスの何れかにおいて実装可能である。例えば、システム100は、スマートフォン又は他のワイヤレス電話、タブレット又はファブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ(例えば、ネットブック又はウルトラブック)、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、拡張現実ヘッドセット又はデバイス、仮想現実ヘッドセット又はデバイス)、エンターテインメントデバイス(例えば、ゲームコンソール、ポータブルゲームデバイス、ストリーミングメディアプレーヤ、デジタルビデオレコーダ、音楽又は他のオーディオ再生デバイス、テレビジョン)、モノのインターネット(IoT)デバイス、自動車用コンピュータ等において実装可能である。
【0040】
図2は、デフォルトブーストコントローラ102の例示的なアーキテクチャを示している。デフォルトブーストコントローラ102は、構成設定決定モジュール202、電力低減決定モジュール204、及び、電力増加決定モジュール206を含む。概して、構成設定決定モジュール202は、例えば、ブーストモードが電力消費又は温度に起因して1つ以上の構成要素に対してもはや持続可能でないので、1つ以上の構成要素によって消費又は使用される電力がいつ低減されるべきかを決定する。電力消費のために1つ以上の構成要素についてブーストモードがもはや持続可能でない状況は、1つ以上の構成要素が電力制限されているとも呼ばれる。同様に、ブーストモードが温度に起因して1つ以上の構成要素についてもはや持続可能でない状況も、1つ以上の構成要素が熱制限されていると呼ばれる。電力低減決定モジュール204は、例えば、ブーストモードが電力消費又は温度に起因して1つ以上の構成要素についてもはや持続可能でないので、1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきである場合に、1つ以上の構成要素における電力消費をどのように低減するかを決定する。
【0041】
電力消費又は温度に起因して1つ以上の構成要素についてブーストモードがもはや持続可能ではないと決定する例が本明細書で説明されるが、追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、他のイベント又は条件に応じて電力消費が低減されるべきであると決定する。これらのイベント又は条件は、図1のシステム100、システム100を含むデバイスの様々なセンサの何れかによって、様々な公的又は独自の技術の何れかを使用して検出され、そのような指標がシステム100に提供される。
【0042】
1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、高レイテンシ作業負荷が予想されない状況又は環境において電力消費が低減されるべきであると決定する。例えば、構成設定決定モジュール202は、システム100を含むデバイスのディスプレイ又は画面が電源切断されていること、システム100を含むデバイスがポケット又は財布に入れられていること、システム100を含むデバイスが(例えば、ユーザ入力によって)低電力モードに置かれていること等に応じて、電力消費が低減されるべきであると決定する。追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、システム100を含むデバイスのロック画面をアクティブ化するユーザ入力、システム100を含むデバイスについて低バッテリ充電指標が受信されていること、ユーザがシステム100を含むデバイスに近接していないという指標(例えば、時計又は他のウェアラブルデバイスがシステム100を含むデバイスの範囲内で検出されない)等の他のイベント又は条件に応じて、電力消費が低減されるべきであると決定する。
【0043】
また、構成設定決定モジュール202は、イベント又は条件が、1つ以上の構成要素によって消費される電力がもはや低減されないこと、例えば、電力消費又は温度がもはやブーストモードが持続可能であることを妨げない(例えば、1つ以上の構成要素がもはや電力制限又は熱制限されない)ことを示すので、1つ以上の構成要素によって消費される電力がいつ増加されるべきかを決定する。電力増加決定モジュール206は、例えば、電力消費又は温度がもはやブーストモードが持続可能であることを妨げないので、1つ以上の構成要素によって消費される電力が増加されるべきである場合に、1つ以上の構成要素における電力消費をどのように増加させるかを決定する。
【0044】
より具体的には、構成設定決定モジュール202は、デフォルトブースト構成設定210を受信する。デフォルトブースト構成設定210は、1つ以上の構成要素に対するブーストモード状態設定である。これらのブーストモード状態設定は、上述したように、1つ以上の構成要素の各々に対するブーストモード周波数、1つ以上の構成要素に対するアクティブチャネルの数、使用する1つ以上の構成要素に対するルーティングアルゴリズム、1つ以上の構成要素に対するネットワークメッセージに対するバックプレッシャの量等の様々な異なる設定の何れかである。1つ以上の構成要素のデフォルト設定がブーストモード状態設定であるので、構成設定決定モジュール202は、デフォルトブースト構成設定210を電力構成設定212として1つ以上の構成要素のうち適切な構成要素に提供する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、デフォルトブーストコントローラ102を含むデバイスのためのスタートアップ又はブートプロセスの一部として、デフォルトブースト構成設定210を様々な構成要素に提供する。例えば、構成設定決定モジュール202は、デフォルトブーストコントローラ102を含むデバイスがブートされたこと、デフォルトブーストコントローラ102を含むデバイスがスリープモード又は休止状態モードから出たこと等を検出したことに応じて、デフォルトブースト構成設定210を様々な構成要素に提供する。
【0045】
動作中、構成設定決定モジュール202は、システム100の複数の異なる部分の各々がどれだけの電力を消費しているか、又は、システム100の複数の異なる部分の各々の温度を示す動作データ110を受信する。これらの異なる部分は、例えば、上述したように、個々の構成要素、複数の構成要素の集合(例えば、共通電圧レールを共有する構成要素)等である。
【0046】
図3は、デフォルトブーストコントローラ102、部分302、及び、部分304を含む例示的なシステム300を示している。2つの部分302及び304が示されているが、システム300は、任意の数の部分を含む。部分302は、任意の数の構成要素を含み、そのうち2つが構成要素306及び308として示されている。同様に、部分304は任意の数の構成要素を含み、そのうち2つが構成要素310及び312として図示されている。図1の構成要素104及び106は、例えば、部分302の構成要素306及び308、又は、部分304の構成要素310及び312である。
【0047】
デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素の各々に異なる電力構成設定を提供する。これらの電力構成設定は、構成要素306に対する電力構成設定316、構成要素308に対する電力構成設定318、構成要素310に対する電力構成設定320、及び、構成要素312に対する電力構成設定322として示されている。したがって、デフォルトブーストコントローラ102は、構成要素の電力構成設定を個々に変更することができる。
【0048】
図2に戻ると、構成設定決定モジュール202は、動作データ110を分析し、例えば、電力消費又は温度に起因して1つ以上の構成要素についてブーストモード状態がもはや持続可能ではないので、1つ以上の構成要素による電力消費がいつ低減されるべきかを決定する。動作データ110は、規則的又は不規則な間隔で受信又は分析され、1つ以上の実施形態では、動作データ110は、電力消費又は温度に起因して構成要素に何らかの損傷が加えられる前に、構成要素によって消費される電力が低減されるのに十分な頻度で受信される。例えば、動作データ110は、約1ミリ秒ごとに受信又は分析される。
【0049】
1つ以上の実施形態では、動作データ110は、上記で説明した様々な電力制御回路の何れか等の電力消費データである。構成設定決定モジュール202は、様々な異なる規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを使用して、1つ以上の構成要素が電力制限される場合を決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、電力閾値設定を使用する。システム100の一部によって消費される電力が閾値持続時間にわたって閾値量を超える場合、構成設定決定モジュール202は、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素が電力制限されているので、1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定する。この閾値量及び閾値持続時間は、その部分の構成要素の開発者又は製造業者によって、その部分を含むシステム又はデバイスの開発者又は製造業者によって等の様々な方法の何れかで設定される。
【0050】
例えば、プロセッサであるシステムの一部が、500ワットにおいて定常状態で動作することができるが、600ワットを超えると、プロセッサがあまりにも多くの熱を生成し、物理的に損傷を受ける場合、閾値量は、580ワット等のように、600ワット未満の量に設定される。閾値持続時間は、1ミリ秒等のように、任意選択で短く、その結果、構成設定決定モジュール202は、閾値量を超えるとすぐに、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定する。追加的又は代替的に、閾値持続時間は、10ミリ秒又は50ミリ秒等のように、より長い期間に設定され、その結果、構成設定決定モジュール202は、閾値量が短い時間量だけ(例えば、10ミリ秒又は50ミリ秒未満)超えられた場合、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定しない。
【0051】
追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、電力閾値設定以外の規則又は基準を使用する。例えば、1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、持続時間にわたる電力消費に基づいて、システムの部分のブーストモード状態が特定の時間量(例えば、10ミリ秒又は50ミリ秒以内)においてもはや持続可能でないと予想されることを識別するモデル又はアルゴリズムを含む。そのようなモデル又はアルゴリズムは、任意選択で、経時的なシステムの部分の動作に基づいて、その部分についてのブーストモード状態が特定の時間量においてもはや持続可能でないと予想される場合を識別するようにトレーニングされた機械学習システムである。
【0052】
1つ以上の実施形態では、動作データ110は、上述した様々な温度監視回路の何れかから等の温度データである。構成設定決定モジュール202は、様々な異なる規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを使用して、1つ以上の構成要素が熱制限される場合を決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、温度閾値設定を使用する。システム100の部分の温度が閾値持続時間にわたって閾値量を超える場合、構成設定決定モジュール202は、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素が熱制限されるので、1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定する。この閾値量及び閾値持続時間は、その部分の構成要素の開発者又は製造業者によって、その部分を含むシステム又はデバイスの開発者又は製造業者によって等の様々な方法の何れかで設定される。
【0053】
例えば、プロセッサであるシステムの一部が、摂氏90度において定常状態で動作することができるが、摂氏100度を超えるとプロセッサが物理的に損傷を受ける場合、閾値量は、摂氏95度等のように、摂氏100度未満の量に設定される。閾値持続時間は、1ミリ秒等のように、任意選択で短く、その結果、構成設定決定モジュール202は、閾値量を超えるとすぐに、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定する。追加的又は代替的に、閾値持続時間は、10ミリ秒又は50ミリ秒等のように、より長い期間に設定され、その結果、構成設定決定モジュール202は、閾値量が短い時間量だけ(例えば、10ミリ秒又は50ミリ秒未満)超えられた場合、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定しない。
【0054】
追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、温度閾値設定以外の規則又は基準を使用する。例えば、1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、持続時間にわたるシステムの部分の温度に基づいて、システムの部分についてのブーストモード状態が特定の時間量(例えば、10ミリ秒又は50ミリ秒以内)においてもはや持続可能でないと予想されることを識別するモデル又はアルゴリズムを含む。そのようなモデル又はアルゴリズムは、任意選択で、経時的なシステムの部分の動作に基づいて、その部分についてのブーストモード状態が特定の時間量においてもはや持続可能でないと予想される場合を識別するようにトレーニングされた機械学習システムである。
【0055】
1つ以上の構成要素が電力制限又は熱制限されているので、1つ以上の構成要素によって消費される電力が低減されるべきであると決定したことに応じて、構成設定決定モジュール202は、動作データ110を電力低減決定モジュール204に提供する。電力低減決定モジュール202に提供される動作データ110は、ブーストモード状態がもはや持続可能ではないと構成設定決定モジュール204が決定することになったシステム100の1つ以上の部分の電力消費又は温度を識別する。電力低減決定モジュール204は、1つ以上の部分の各々の1つ以上の構成要素における電力消費をどのように低減するかを決定して、部分内の構成要素が物理的に損傷されず、部分内の構成要素の電力消費又は温度に起因して誤動作しないようにする。
【0056】
構成要素の電力消費は、様々な方法の何れかで低減される。1つ以上の実施形態では、構成要素(例えば、プロセッサコア、メモリコントローラ、相互接続108等のデータファブリック)が動作する周波数を低減すること等によって、構成要素の電力消費が低減される。追加的又は代替的に、構成要素の電力消費は、アクティブであるチャネルの数(例えば、メモリチャネルの数)を低減することによって低減される。追加的又は代替的に、構成要素の電力消費は、構成要素によって、又は、構成要素内で使用されるルーティングアルゴリズムを変更する(例えば、より高い性能であるがより多くの電力を消費するルーティングアルゴリズムに対して、より低い性能であるがより少ない電力を消費するルーティングアルゴリズムに変更する)ことによって低減される。追加的又は代替的に、構成要素の電力消費は、(例えば、I/Oスイッチ又はネットワークルータにおける)ネットワークメッセージのためのバックプレッシャを増加させることによって増加され、より少ないメッセージが同時にネットワーク内に存在することを可能にし、より多くのメッセージが同時にネットワーク内に存在することを可能にするが、より多くの電力を消費するネットワークメッセージのための減少されたバックプレッシャに対してより少ない電力を消費する。
【0057】
1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、部分シーケンス内の構成要素を選択する。電力低減決定モジュール204は、様々な異なる規則又は基準の何れかを使用して、構成要素が順次電力低減される順序を決定する。これらの規則又は基準は、システム開発者又は設計者によって、デフォルトブーストコントローラ102を含むデバイスのユーザによって等の様々な方法の何れかで設定される。追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、機械学習システム等の様々な他のシステムを使用して、構成要素がそれらの電力消費を低減させるべき順序を決定する。一例として、電力低減決定モジュール204は、動作データ110、デバイス上で実行されている作業負荷に関するデータ等の様々な基準の何れかに基づいて、構成要素の電力消費を低減させる順序を決定するようにトレーニングされた機械学習システムを含む。
【0058】
構成要素を順次選択する場合、電力低減決定モジュール204は、構成設定決定モジュール202がもはや電力消費を低減すべきでないと決定するまで、決定された順序で構成要素を選択する。そのような順序付けの例は、メモリコントローラ内でアクティブなチャネルの数を最初に低減し、プロセッサコアが2番目に動作する頻度を低減し、データファブリックが3番目に動作する頻度を低減することである。選択された構成要素ごとに、電力低減決定モジュール204は、その構成要素の指標を電力低減設定214において構成設定決定モジュール202に提供する。順位付けは、例えば、最低の性能損失による最高の節約電力の構成要素から最高の性能損失による最低の節約電力の構成要素への順序で設定される。
【0059】
また、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の電力消費をどのように低減するかを決定し、構成要素の電力消費をどのように低減するかの指標を電力低減設定214に含める。電力削減決定モジュール204は、様々な規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを適用することによって、構成要素の電力消費をどのように削減するかを決定する。1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、構成要素を、構成要素が定常状態で動作することができる低減電力状態に設定することを決定する。例えば、電力低減決定モジュール204は、構成要素がその定常状態に留まる最も高い周波数で構成要素を動作させることを決定する。
【0060】
追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、動作データ110に基づいて構成要素の電力消費をどのように低減するかを決定する。これは、電力低減決定モジュール204が、最高ブーストモード状態ではないが、構成要素をブーストモード状態に保つことを可能にする。例えば、構成要素(又は構成要素を含む部分)の温度が、構成要素が構成要素の定常状態で動作することができる温度よりも摂氏2度高いことを動作データ110が示す場合、電力低減決定モジュール204は、構成要素の電力消費を構成要素の現在の設定と構成要素の定常状態設定との間の中間になるように低減することを決定する。例えば、構成要素の定常状態周波数が4.0GHzであり、構成要素の最高ブーストモード状態周波数が4.4GHzである場合、電力低減決定モジュール204は、構成要素の周波数を4.2GHzに設定することによって構成要素の電力消費を低減することを決定する。これは、構成要素が4.2GHzのブーストモード状態で少し長い間動作し続けることを可能にし、状況に応じて、電力低減決定モジュール204が構成要素を4.0GHzの定常状態周波数で動作するように設定することによって構成要素の電力消費を低減することを決定する前に、構成要素がある期間(例えば、1又は2秒)にわたって4.2GHzで動作し続けることを可能にする。
【0061】
追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、部分内の複数の構成要素の電力消費をほぼ同時に低減することを決定する。1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、部分内の構成要素の全て(例えば、ブーストモードを有する部分内の構成要素の全て)を複数の構成要素として選択する。追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、様々な異なる規則、基準、又は、システムの何れかを使用して、部分内の構成要素のサブセットを選択する。そのような規則又は基準は、システム開発者又は設計者によって、デフォルトブーストコントローラ102を含むデバイスのユーザによって等の様々な方法の何れかで設定される。そのようなシステムは、例えば、動作データ110、デバイス上で実行される作業負荷に関するデータ、システム開発者又は設計者によって提供されるような構成要素の特性等の様々な基準の何れかに基づいて構成要素を選択するようにトレーニングされた機械学習システムである。
【0062】
また、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の電力消費をどのように低減するかを決定し、選択された構成要素の電力消費をどのように低減するかの指標を電力低減設定214に含める。電力削減決定モジュール204は、様々な規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを適用することによって、選択された構成要素の電力消費をどのように削減するかを決定する。1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の各々を、構成要素が定常状態で動作することができる低減電力状態に設定することを決定する。例えば、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の各々を、構成要素がその定常状態のままである最高周波数で動作させることを決定する。
【0063】
追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の電力消費をどのように比例的に低減するかを決定する。一例として、3つの選択された構成要素があると仮定すると、電力低減決定モジュール204は、その部分におけるどれだけの電力消費が3つの選択された構成要素の各々に起因するかを推定し、各構成要素による電力消費を、その構成要素による電力消費に比例する量だけ低減する。例えば、部分が定常状態において500ワットで動作することができるが、現在600ワットで動作していると仮定すると、構成要素Aは、部分の電力の30%を消費すると推定され、構成要素Bは、部分の電力の20%を消費すると推定され、構成要素Cは、部分の電力の50%を消費すると推定される。この例では、構成要素Aの消費電力を30W、構成要素Bの消費電力を20W、構成要素Cの消費電力を50W削減することにより、当該部分の消費電力が100W削減されている。
【0064】
特定の構成要素の電力消費が所定の割合だけ低減される方法は、構成要素に基づいて異なり、構成要素の性能の向上がブーストモード状態においてどのように得られるかである。電力低減決定モジュール204は、構成要素に対する変更(例えば、周波数、アクティブチャネルの数等)が構成要素の電力消費をどのように変化させるかを認識している。この情報は、例えば、システム設計者又は開発者によって、既知のアルゴリズム又はモデル等によって提供される。この情報が与えられると、電力低減決定モジュール204は、様々な構成要素の各々の電力消費を所望の量だけどのように低減するかを容易に決定する。
【0065】
追加的又は代替的に、電力低減決定モジュール204は、動作データ110に基づいて、選択された構成要素の電力消費をどのように低減するかを決定する。これは、電力低減決定モジュール204が、最高ブーストモード状態ではないが、選択された構成要素をブーストモード状態に保つことを可能にする。例えば、動作データ110が、選択された構成要素を含む部分の電力消費が、選択された構成要素がそれらの定常状態で動作することができる電力消費を100ワット上回ることを示す場合、電力低減決定モジュール204は、選択された構成要素の電力消費を50ワット低減することを決定するが、それは、選択された構成要素を、構成要素に対するそれらの定常状態設定よりも高い設定に保つ場合であってもよい。これは、選択された構成要素のうち1つ以上がブーストモード状態で少し長い間動作し続ける状況が生じることを可能にし、状況に応じて、電力低減決定モジュール204が、選択された構成要素をそれらの定常状態に設定することによって構成要素の電力消費を低減することを決定する前に、選択された構成要素のうち1つ以上が、ある期間(例えば、1秒又は2秒)にわたってブーストモード状態で動作し続けることを可能にする可能性がある。
【0066】
構成設定決定モジュール202は、電力低減設定214を受信し、電力低減設定214に示される1つ以上の構成要素に電力構成設定212を伝達する。また、構成設定決定モジュール202は、各構成要素の電力構成設定212に、その構成要素の電力消費をどのように低減するかの指標を含める。電力消費をどのように低減するかの指標は、周波数設定、アクティブチャネル数設定、ルーティングアルゴリズム設定、ブーストモード状態を終了する(例えば、定常状態モードに戻る)指標等のように、上述したような様々な形態の何れかをとる。各構成要素は、電力構成設定212を受信したことに応じて、その構成要素における電力消費をどのように低減するかの指標に基づいてその動作を変更する。
【0067】
また、構成設定決定モジュール202は、何れの構成要素の電力消費が低減されたかの記録を維持し、任意選択で、それらの電力消費が低減された量及びそれらの電力消費が低減された順序を含む。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、以下でより詳細に説明するように、何れの構成要素をそれらのブーストモード状態に戻すべきかを決定する際に使用するために、この情報を電力増加決定モジュール206に与える。
【0068】
電力構成設定212を1つ以上の構成要素に提供した後、構成設定決定モジュール202は、動作データ110を受信及び分析し続けて、1つ以上の構成要素がいつブーストモード状態に戻ることができるかを決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、例えば、ブーストモード状態が電力消費又は温度に起因して1つ以上の構成要素についてもはや持続可能でないので、1つ以上の構成要素による電力消費がいつ低減されるべきかを決定する際に使用されるのと同じレートで(例えば、約1ミリ秒ごとに)動作データ110を分析する。追加又は代替として、構成設定決定モジュール202は、5ミリ秒ごと又は0.5ミリ秒ごと等の異なるレートで動作データ110を分析する。
【0069】
1つ以上の実施形態では、動作データ110は、上述した様々な電力制御回路の何れかから等の電力消費データである。構成設定決定モジュール202は、様々な異なる規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを使用して、1つ以上の構成要素がいつブーストモード状態に戻ることができるかを決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、電力閾値設定を使用する。システム100の一部によって消費される電力が閾値持続時間にわたって閾値量を下回る場合、構成設定決定モジュール202は、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素がもはや電力制限されないので、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができると決定する。この閾値量及び閾値持続時間は、その部分の構成要素の開発者又は製造業者によって、その部分を含むシステム又はデバイスの開発者又は製造業者によって等の様々な方法の何れかで設定される。
【0070】
1つ以上の実施形態では、この閾値量は、1つ以上の構成要素が定常状態にあるレベル等の様々なレベルに設定される。追加的又は代替的に、この閾値量は、1つ以上の構成要素が短い時間量にわたってブーストモード状態の内外に繰り返し切り替わる状況を回避するために、1つ以上の構成要素が定常状態にあるレベルよりも低いレベルに設定される。
【0071】
例えば、プロセッサであるシステムの一部が定常状態において500ワットで動作することができる場合、閾値量は、500ワット又は500ワット未満の量、例えば480ワットに設定される。閾値持続時間は、任意選択で、1ミリ秒等のように短く、したがって、構成設定決定モジュール202は、閾値量が満たされる(例えば、電力消費が480ワットを下回る)とすぐに、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻るべきであると決定する。追加的又は代替的に、閾値持続時間は、10ミリ秒又は50ミリ秒等のより長い期間に設定されて、1つ以上の構成要素が短い時間量にわたってブーストモード状態の内外に繰り返し切り替わる状況を回避する。
【0072】
追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、電力閾値設定以外の規則又は基準を使用して、1つ以上の構成要素がいつブーストモードに戻ることができるかを決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、ある持続時間にわたる電力消費に基づいて、システムの部分のブーストモードが持続可能であると予想されることを識別するモデル又はアルゴリズムを含む。そのようなモデル又はアルゴリズムは、任意選択で、経時的なシステムの部分の動作に基づいて、その部分のブーストモード状態が持続可能であると予想される場合を識別するようにトレーニングされた機械学習システムである。
【0073】
1つ以上の実施形態では、動作データ110は、上述した様々な温度監視回路の何れかから等の温度データである。構成設定決定モジュール202は、様々な異なる規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを使用して、1つ以上の構成要素がいつブーストモード状態に戻ることができるかを決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、温度閾値設定を使用する。システム100の一部の温度が閾値持続時間にわたって閾値量を下回る場合、構成設定決定モジュール202は、システム100のその部分内の1つ以上の構成要素がもはや熱制限されていないので、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができると決定する。この閾値量及び閾値持続時間は、その部分の構成要素の開発者又は製造業者によって、その部分を含むシステム又はデバイスの開発者又は製造業者によって等の様々な方法の何れかで設定される。
【0074】
1つ以上の実施形態では、この閾値量は、1つ以上の構成要素が定常状態にあるレベル等の様々なレベルに設定される。追加的又は代替的に、この閾値量は、1つ以上の構成要素が短い時間量にわたってブーストモード状態の内外に繰り返し切り替わる状況を回避するために、1つ以上の構成要素が定常状態にあるレベルよりも低いレベルに設定される。
【0075】
例えば、プロセッサであるシステムの一部が、定常状態において摂氏90度で動作することができる場合、閾値量は、摂氏90度又は摂氏88度等の摂氏90度未満の量に設定される。閾値持続時間は、1ミリ秒等のように、任意選択的に短く、したがって、構成設定決定モジュール202は、閾値量が満たされる(例えば、温度が88℃未満に低下する)とすぐに、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻るべきであると決定する。追加的又は代替的に、閾値持続時間は、10ミリ秒又は50ミリ秒等のより長い期間に設定されて、1つ以上の構成要素が短い時間量にわたってブーストモード状態の内外に繰り返し切り替わる状況を回避する。
【0076】
追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、温度閾値設定以外の規則又は基準を使用して、1つ以上の構成要素がいつブーストモードに戻ることができるかを決定する。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、持続時間にわたるシステムの部分の温度に基づいて、システムの部分のブーストモード状態が持続可能であると予想されることを識別するモデル又はアルゴリズムを含む。そのようなモデル又はアルゴリズムは、任意選択で、経時的なシステムの部分の動作に基づいて、その部分のブーストモード状態が持続可能であると予想される場合を識別するように訓練されたトレーニングシステムである。
【0077】
追加的又は代替的に、構成設定決定モジュール202は、他のイベント又は条件に応じて、1つ以上の構成要素がいつブーストモードに戻ることができるかを決定する。これらのイベント又は条件は、図1のシステム100、システム100を含むデバイスの様々なセンサの何れかによって、様々な公的又は独自の技術の何れかを使用して検出され、そのような指標がシステム100に提供される。1つ以上の実施形態では、構成設定決定モジュール202は、電力消費がもはや存在しないと決定することになったイベント又は条件に応じて、1つ以上の構成要素がブーストモードに戻ることができると決定する。例えば、構成設定決定モジュール202は、図1のシステム100を含むデバイスがポケット又は財布から取り出されたこと、システム100を含むデバイスがもはや低電力モードでないこと、ユーザがシステム100を含むデバイスに近接していることの指標等に応じて、1つ以上の構成要素がブーストモードに戻ることができると決定する。
【0078】
1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻すことができると決定したことに応じて、構成設定決定モジュール202は、データ216を電力増加決定モジュール206に提供する。1つ以上の実施形態では、データ216は動作データ110を含む。追加的又は代替的に、データ216は、何れの構成要素の電力消費が低減されたか、それらの構成要素の電力消費がどのように低減されたか、構成要素の電力消費が低減された順序等の指標を含む。電力増加決定モジュール206は、データ216を使用して、構成設定決定モジュール202によって以前に電力消費が低減された1つ以上の構成要素をそれらのブーストモード状態に戻す方法を決定する。そのブーストモード状態に戻されるべき各構成要素について、電力増加決定モジュール206は、電力増加設定218において、その構成要素の指標を構成設定決定モジュール202に提供する。
【0079】
1つ以上の実施形態では、電力増加決定モジュール206は、電力消費が低減されたのと同じ順序で、1つ以上の構成要素をそれらのブーストモード状態(例えば、それらのデフォルトブースト構成設定210)に戻すことを決定する(例えば、その電力消費を低減させる最初の構成要素が、ブーストモード状態に戻される最初の構成要素である)。
【0080】
例えば、最初にメモリコントローラ内でアクティブであるチャネルの数を減少させ、2番目にプロセッサコアが動作する周波数を減少させ、3番目にデータファブリックが動作する周波数を減少させるという順序で、構成要素内の電力消費が順次減少したと仮定する。この例では、1つ以上の構成要素は、メモリコントローラ内でアクティブなチャネルの数を最初に増加させ、プロセッサコアが2番目に動作する周波数を増加させ、データファブリックが3番目に動作する周波数を増加させるという順序で、それらのブーストモード状態に戻される。
【0081】
構成要素をそれらのブーストモード状態に順次戻す場合、電力増加決定モジュール206は、構成設定決定モジュール202が1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができると決定する限り、構成要素を順番に選択する。例えば、前の例を続けると、電力増加決定モジュール206は、先ず、メモリコントローラ内でアクティブなチャネルの数を増加させるように構成設定決定モジュール202に示す。構成設定決定モジュール202は、1つ以上の構成要素が依然としてブーストモード状態に戻ることができるかどうかを決定する。1つ以上の構成要素がもはやブーストモードに戻ることができない場合、構成設定決定モジュール202は、この時点でそれ以上の構成要素をブーストモード状態に戻さない。しかしながら、1つ以上の構成要素がブーストモード状態に戻ることができる場合、構成設定決定モジュール202は、プロセッサコアが動作する周波数を増加させるように構成設定決定モジュール202に示すデータ216を電力増加決定モジュール206に提供する。
【0082】
1つ以上の実施形態では、電力増加決定モジュール206は、構成要素の電力消費をどのように増加させるかを決定し、構成要素の電力消費をどのように増加させるかの指標を電力増加設定218に含める。電力増加決定モジュール206は、様々な規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを適用することによって、構成要素の電力消費をどのように増加させるかを決定する。1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、(例えば、デフォルトブースト構成設定210によって示されるように)構成要素のデフォルトブーストモード状態に構成要素を設定することを決定する。
【0083】
追加的又は代替的に、電力増加決定モジュール206は、動作データ110に基づいて構成要素の電力をどのように増加させるかを決定する。これは、電力増加決定モジュール206が、最高ブーストモード状態ではないが、構成要素をブーストモード状態に戻すことを可能にする。例えば、構成要素(又は構成要素を含む部分)の温度が、構成要素が構成要素の定常状態で動作することができる温度よりも摂氏2度低いことを動作データ110が示す場合、電力増加決定モジュール206は、構成要素の電力消費を、構成要素の現在の設定と構成要素の最高ブーストモード設定との間の中間になるように増加させることを決定する。例えば、構成要素の定常状態周波数が4.0GHzであり、構成要素の現在の設定が4.0GHzであり、構成要素の最高ブーストモード周波数が4.4GHzである場合、電力増加決定モジュール206は、構成要素の周波数を4.2GHzに設定することによって構成要素の電力消費を増加させることを決定する。これにより、構成要素は、4.4GHzの最高ブーストモード状態ではなく、4.2GHzのブーストモード状態で動作するように戻ることができる。別の例として、構成要素の定常状態周波数が4.0GHzであり、構成要素の現在の設定が4.2GHzであり、構成要素の最高ブーストモード周波数が4.4GHzである場合、電力増加決定モジュール206は、構成要素の周波数を4.4GHzに設定することによって構成要素の電力消費を増加させることを決定する。これにより、構成要素は、4.4GHzの最高ブーストモードでの動作に戻ることができる。
【0084】
1つ以上の実施形態では、電力低減決定モジュール204は、上述したように、その部分内の複数の構成要素の電力消費をほぼ同時に低減することを決定する。そのような実施形態では、電力増加決定モジュール206は、複数の構成要素がそれらの電力消費を低減させたのと同じ方法及び順序で、複数の構成要素の電力消費を増加させることを決定する。例えば、複数の構成要素が構成要素A、構成要素B及び構成要素Cを含み、電力低減決定モジュール204が、構成要素Aのアクティブメモリチャネルの数を2だけ減少させ、構成要素Bの周波数を0.4GHzだけ低減させ、構成要素Cの周波数を0.2GHzだけ低減させると決定したと仮定する。この例では、電力増加決定モジュール206は、構成要素Aのためのアクティブメモリチャネルの数を2だけ増加させ、構成要素Bの周波数を0.4GHzだけ増加させ、構成要素Cの周波数を0.2GHzだけ増加させることを決定する。
【0085】
構成設定決定モジュール202は、電力増加設定218を受信し、電力増加設定218に示される1つ以上の構成要素に電力構成設定212を伝達する。また、構成設定決定モジュール202は、各構成要素の電力構成設定212に、その構成要素における電力をどのように増加させるかの指標を含む。電力をどのように増加させるかの指標は、周波数設定、アクティブチャネル数設定、ルーティングアルゴリズム設定、デフォルトブーストモード状態に入るか又は戻る指標等のように、上述したような様々な形態の何れかをとる。各構成要素は、電力構成設定212を受信したことに応じて、その構成要素における電力をどのように増加させるかの指標に基づいてその動作を変更する。
【0086】
追加的又は代替的に、1つ以上の実施形態では、動作データ110は、構成要素104及び106によって実行されている、又は、別様に実施されている1つ以上の作業負荷を記述するデータを含む。構成設定決定モジュール202(又は電力低減決定モジュール204)は、1つ以上の作業負荷を分析し、1つ以上の作業負荷によって好まれる又は所望される構成設定を決定する。様々な異なる規則、基準、又は、システム(例えば、機械学習システム)の何れかを使用して、1つ以上の作業負荷によって好まれるか又は所望される構成設定を決定する。例として、データのソース構成要素、データの受信側構成要素、転送されたデータ量等を含む構成要素間のデータ転送が監視される。より少量のデータを受信又は送信する構成要素は、低減された電力状態で動作するように設定されるが、より大量のデータを受信又は送信する構成要素は、ブーストモード状態のままである。別の例として、異なる構成要素に対する好ましい又は所望の設定を指定する作業負荷自体によって提供されるデータ(例えば、作業負荷に関連付けられたメタデータ)が識別される。次いで、構成要素は、それらの指定された設定に従って、低減電力状態に設定されるか又はブーストモード状態のままである。別の例として、何れの構成要素がより多くの計算を実行しているか(例えば、CPU又はGPU)についての決定が行われる。より少ない計算を実行する構成要素は、低減された電力状態で動作するように設定されるが、より多くの計算を実行する構成要素は、ブーストモード状態のままである。
【0087】
1つ以上の作業負荷によって好まれるか又は所望される構成設定を決定することに応じて、構成設定決定モジュール202は、1つ以上の作業負荷によって好まれるか又は所望される構成設定に従って、電力構成設定212を適切な構成要素に提供する。構成設定決定モジュール202(又は電力増加決定モジュール206)は、動作データ110に基づいて、1つ以上の作業負荷がもはや実行されていないときを決定する。1つ以上の作業負荷がもはや実行されていないことに応じて、構成設定決定モジュール202は、電力構成設定212を適切な構成要素に提供して、構成要素をそれらのブーストモード状態(又は構成設定決定モジュール202が1つ以上の作業負荷によって好まれた又は所望された構成設定を構成要素に提供する前に構成要素があった任意の状態)に戻す。
【0088】
例えば、CPU及びGPUが両方ともデフォルトでブーストモード状態に設定されていると仮定する。1つ以上の作業負荷の分析は、1つ以上の作業負荷についての好ましい又は所望の構成設定が、CPUが低減電力状態で(例えば、定常周波数等のより低い周波数で)動作するが、GPUがブーストモード状態で動作することであることを示す。したがって、構成設定決定モジュール202は、CPUが低減電力状態で動作することを示す電力構成設定212をCPUに提供する。1つ以上の作業負荷がもはや実行されていないと決定したことに応じて、構成設定決定モジュール202は、電力構成設定212をCPUに提供して、そのブーストモード状態で実行させる。
【0089】
図4は、デバイスのためのデフォルトブーストモード状態の例示的な実施形態における手順を示すフロー図400である。フロー図400は、図1図2又は図3のデフォルトブーストコントローラ102等のデフォルトブーストコントローラによって実行される。
【0090】
この例では、コンピューティングデバイスの1つ以上の構成要素の各々は、デフォルトでブーストモード状態に設定される(ブロック402)。1つ以上の構成要素は、積極的にブーストモード状態に設定され、1つ以上の構成要素の性能をそれらの定常状態に対して向上させる。
【0091】
1つ以上の構成要素のうちの少なくとも1つが、電力制限又は熱制限されているとして検出される(ブロック404)。
【0092】
少なくとも1つの構成要素が電力制限又は熱制限されているのを検出したことに応じて、少なくとも1つの構成要素は、低減電力状態に設定される(ブロック406)。低減電力状態では、少なくとも1つの構成要素の性能は、ブーストモード設定に対して低減されるが、構成要素の消費電力又は温度は低減される。
【0093】
本明細書の開示に基づいて、多くの変形が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は、他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに他の特徴及び要素との様々な組み合わせで使用可能である。
【0094】
図に示され及び/又は本明細書で説明される様々な機能ユニット(適切な場合、デフォルトブーストコントローラ102、構成要素104、構成要素106、構成設定決定モジュール202、電力低減決定モジュール204、電力増加決定モジュール206、構成要素306、構成要素308、構成要素310、及び、構成要素312を含む)は、ハードウェア回路、プログラマブルプロセッサ上で実行されるソフトウェアもしくはファームウェア、又は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのうち2つ以上の任意の組合せ等のように、様々な異なる方法の何れかで実装される。提供される方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ又はプロセッサコア等の様々なデバイスの何れかにおいて実装される。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、グラフィックス処理ユニット(gGPU)、並列加速プロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(C)、及び/又は、状態マシンが挙げられる。
【0095】
1つ以上の実施形態では、本明細書に提供される方法及び手順は、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実行のために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアにおいて実施することができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気媒体、磁気光学媒体、並びに、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)等の光学媒体が挙げられる。
【0096】
(結論)
本発明は、構造的特徴及び/又は方法論的行為に特有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲において定義される本発明は、説明された特定の特徴又は行為に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴及び行為は、特許請求された発明を実施するための例示的な形態として開示されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】