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特表2024-546262溶解アンモニアデリバリシステム及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】溶解アンモニアデリバリシステム及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241212BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20241212BHJP
   B01F 23/232 20220101ALI20241212BHJP
   B01F 25/30 20220101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
B01F21/00
B01F23/232
B01F25/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535443
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022052525
(87)【国際公開番号】W WO2023114129
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,438
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】グロイティル,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ザイヴェルト,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】レ ティク,クリスティアーヌ
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AA01
4G035AB05
4G035AC22
(57)【要約】
本発明は、超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と、少なくとも1つのキャリアガスを供給するように構成される少なくとも1つのキャリアガス源と、アンモニア(NH3)を供給するように構成される少なくとも1つのNH3源と、少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールであって、少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールにメイン流れ経路及びバイパス流れ経路の両方が含まれる場合には、1つのメイン流れ経路とメイン流れ経路と連絡する1つのバイパス流れ経路のうち少なくとも一方を有する少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールとを備え、メイン流れ経路が存在する場合には、メイン流れ経路は、超純水源からの超純水がそこを流れるように構成され、バイパス流れ経路は、メイン流れ経路が存在する場合には、メイン流れ経路から超純水の一部を受け入れてバイパス流れ経路内に少なくとも1つの超純水バイパス流れを形成するように構成され、キャリアガスとNH3を超純水バイパス流れに導入することにより超純水バイパス流れにNH3が溶解される、溶解アンモニアデリバリシステムに関するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と、
少なくとも1つのキャリアガスを供給するように構成される少なくとも1つのキャリアガス源と、
アンモニア(NH3)を供給するように構成される少なくとも1つのNH3源と、
少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールであって、前記少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールにメイン流れ経路及びバイパス流れ経路の両方が含まれる場合には、1つのメイン流れ経路と前記メイン流れ経路と連絡する1つのバイパス流れ経路のうち少なくとも一方を有する少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールと
を備え、
前記メイン流れ経路が存在する場合には、前記メイン流れ経路は、前記超純水源からの超純水がそこを流れるように構成され、
前記バイパス流れ経路は、前記メイン流れ経路が存在する場合には、前記メイン流れ経路から前記超純水の一部を受け入れて前記バイパス流れ経路内に少なくとも1つの超純水バイパス流れを形成するように構成され、
前記キャリアガスとNH3を前記超純水バイパス流れに導入することにより前記超純水バイパス流れにNH3が溶解される、
溶解アンモニアデリバリシステム。
【請求項2】
前記キャリアガス源は、ガス導路を介して少なくとも1つのキャリアガスを接触器に送るように構成され、
前記キャリアガス源は、少なくとも1つのキャリアガス導路及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路を介して前記NH3飽和モジュールと連絡する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アンモニア源は、前記ガス導路を介してアンモニアを前記接触器に供給するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのキャリアガス源は、少なくとも1つのキャリアガス導路及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路を介して前記NH3飽和モジュールと連絡する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アンモニア飽和モジュールは、アンモニアが超純水UPWバイパス流れに直接希釈される飽和領域を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記NH3飽和モジュールは、前記アンモニア導路と前記流れ経路との合流点に近い前記流れ経路流路内に位置する半透若しくは透過膜又は構造を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
デリバリシステムを介して溶解アンモニアを生成する方法であって、
少なくとも1つのキャリアガス源をアンモニア飽和モジュールと流体的に連結し、前記キャリアガス源は、アンモニアを前記アンモニア飽和モジュールに供給し、
前記アンモニア飽和モジュールが有する任意的なメイン流れ経路及び少なくとも1つのバイパス流れ経路を通して超純水源からの超純水流れを制御し、
前記バイパス流れ経路は、前記キャリアガス源及びアンモニア源の少なくとも一方と流体的に連絡し、
前記キャリアガス源の少なくとも1つにより形成される気泡を前記バイパス流れ経路内の超純水バイパス流れに導入して溶解アンモニアを形成し、
任意的に、前記溶解アンモニアを前記超純水メイン流れに再合流させ、前記溶解アンモニアを溶解アンモニア導路に案内して溶解アンモニア出力を形成する、
方法。
【請求項8】
前記キャリアガスを放出して1以上のガス出力を生成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アンモニアガスは、窒素飽和領域から離れた前記超純水バイパス流れに直接希釈される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリアガス気泡の中で前記アンモニアと反応して前記超純水流れ内に溶解する前記高可溶性アンモニアガスを形成する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本特許出願は、2021年12月14日に提出された米国仮特許出願第63/289,438号の利益を主張し、当該出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の分野
【0003】
本発明は、溶解アンモニアを送るためのシステム及び溶解アンモニアを生成するための方法に関するものである。
【0004】
関連技術の説明
現在、数多くの半導体処理用途において溶解アンモニアが用いられている。例えば、一部のウェハ処理用途においては、所望の導電性を得るために、また、処理される半導体ウェハ又は半導体ウェハ上に形成される構造の破壊を潜在的に生じさせ得る、望ましくない破壊的放電を避けるように低濃度溶解アンモニアが使用される。溶解アンモニアは、特に銅腐食を避けるために使用される。
【0005】
溶解アンモニアを調製する数多くの方法が現在用いられている。例えば、一部の用途においては、高濃度液体水酸化アンモニアが脱イオン水で希釈される。この方法はこれまである程度有益であるとされてきたが、数多くの欠点が特定されている。例えば、高濃度アンモニア(すなわち300ppmを超えるもの)は健康に直ちに危険なものであるので、高濃度アンモニアは健康上の危険を有している。例えば、アンモニアは、肺、目、及び肌に対して深刻な炎症を生じさせることが示されている。
【0006】
これに対して、気体のアンモニアは、溶解アンモニアを生成するために脱イオン水に直接混合され得る。図1は、溶解アンモニアを生成するための従来技術のシステムの実施形態を示すものである。図示されるように、システム1は、超純水源5(以下、UPW源5)とUPW源導路7を介して連絡される接触システム3を含んでおり、接触システム3は、典型的には充填カラム又は充填塔型接触器により具現化される。接触器3への流れを制御及びモニタリングするために1以上のバルブ装置9及び/又は1以上のメータ11が使用される。キャリアガス源15は、ガス導路33を介して少なくとも1つのキャリアガス(例えばN2、O2、又は希ガス)を接触器3に送るように構成される。ガスは接触器の前で挿入される。加えて、アンモニア源25は、ガス導路33を介してアンモニア(NH3)を接触器に供給するように構成される。接触器3へのキャリアガス及びアンモニアの流れを制御及びモニタリングするために1以上の弁又は流れ制御装置19,29が使用される。超純水、キャリアガス、及び高可溶性アンモニアが接触器3内に導入され混合される。その後、溶解アンモニア51が接触器3から溶解アンモニア導路53を介して流され得る。加えて、廃物61が接触器3から排出導路63を介して排出され得る。最後に、アウトガス43がアウトガス導路41を介して接触器3から除去され得る。
【0007】
この気体の溶解アンモニアデリバリシステムは有用であることが分かっているが、このシステムは、キャリアガス飽和により望ましくない気泡を過度に生成する傾向にある。多すぎる気泡が存在することは、ウェハ上のアンモニアの分布に影響を与える。さらに、気泡の存在を緩和するためにシステム内でより大きなポンプが使用される。不運なことに、より大きなポンプを含めることにより、システムコストがより高くなり、接触器から出力される溶解アンモニアの温度の望ましくない上昇が生じる。
【0008】
上記の観点から、溶解アンモニアを生成するための効率的なシステム及び方法に対する需要が継続している。
【発明の概要】
【0009】
発明の簡単な概要
本発明は、以下の説明で明らかになるように、上述した目標とする技術的な需要に対する解決策を提供することを目的として考えられ開発されたものである。
【0010】
本発明の実施形態によれば、超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と、少なくとも1つのキャリアガスを供給するように構成される少なくとも1つのキャリアガス源と、アンモニア(NH3)を供給するように構成される少なくとも1つのNH3源と、少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールであって、上記少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールにメイン流れ経路及びバイパス流れ経路の両方が含まれる場合には、1つのメイン流れ経路と上記メイン流れ経路と連絡する1つのバイパス流れ経路のうち少なくとも一方を有する少なくとも1つのアンモニア飽和モジュールとを備え、上記メイン流れ経路が存在する場合には、上記メイン流れ経路は、上記超純水源からの超純水がそこを流れるように構成され、上記バイパス流れ経路は、上記メイン流れ経路が存在する場合には、上記メイン流れ経路から上記超純水の一部を受け入れて上記バイパス流れ経路内に少なくとも1つの超純水バイパス流れを形成するように構成され、上記キャリアガスとNH3を上記超純水バイパス流れに導入することにより上記超純水バイパス流れにNH3が溶解される、溶解アンモニアデリバリシステムが提案される。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、上記キャリアガス源は、ガス導路を介して少なくとも1つのキャリアガスを接触器に送るように構成され、上記キャリアガス源は、少なくとも1つのキャリアガス導路及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路を介して上記NH3飽和モジュールと連絡する。上記アンモニア源は、上記ガス導路を介してアンモニアを上記接触器に供給するように構成される。上記少なくとも1つのキャリアガス源は、少なくとも1つのキャリアガス導路及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路を介して上記NH3飽和モジュールと連絡する。上記アンモニア飽和モジュールは、アンモニアが超純水UPWバイパス流れに直接希釈される飽和領域を含む。上記NH3飽和モジュールは、上記アンモニア導路と上記流れ経路との合流点に近い上記流れ経路流路内に位置する半透若しくは透過膜又は構造を含む。上記アンモニアは、気体又は非気体のいずれかである。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、デリバリシステムを介して溶解アンモニアを生成する方法であって、少なくとも1つのキャリアガス源をアンモニア飽和モジュールと流体的に連結し、上記キャリアガス源は、アンモニアを上記アンモニア飽和モジュールに供給し、上記アンモニア飽和モジュールが有する任意的なメイン流れ経路及び少なくとも1つのバイパス流れ経路を通して超純水源からの超純水流れを制御し、上記バイパス流れ経路は、上記キャリアガス源及びアンモニア源の少なくとも一方と流体的に連絡し、上記キャリアガス源の少なくとも1つにより形成される気泡を上記バイパス流れ経路内の超純水バイパス流れに導入して溶解アンモニアを形成し、任意的に、上記溶解アンモニアを上記超純水メイン流れに再合流させ、上記溶解アンモニアを溶解アンモニア導路に案内して溶解アンモニア出力を形成する、方法が提案される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、この方法は、上記キャリアガスを放出して1以上のガス出力を生成することをさらに含む。上記アンモニアガスは、窒素飽和領域から離れた上記超純水バイパス流れに直接希釈される。上記キャリアガス気泡の中で上記アンモニアと反応する上記超純水流れは、上記超純水流れに溶解する上記高可溶性アンモニアガスを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明の上記態様、特徴及び利点と他の態様、特徴及び利点は、以下の図面に提示される、以下に続く本発明の説明からより明らかになるであろう。
【0015】
図1図1は、従来技術で知られているような、溶解アンモニアを生成するためのシステムの図である。
【0016】
図2図2は、本発明の実施形態による、溶解アンモニアを生成するためのシステムの図である。
【0017】
図3図3は、本発明の一実施形態による飽和モジュールの表現である。
【0018】
図4図4は、本発明による溶解アンモニアデリバリシステムの他の表現である。
【0019】
図4-6】図4図6は、アンモニアがUPWバイパス流れに直接希釈されるアンモニア飽和モジュールの飽和領域の様々な実施形態を示している。
【0020】
図7図7は、本発明による溶解アンモニアデリバリシステムの他の実施形態を示している。
【0021】
図8図8は、本発明による溶解アンモニアデリバリシステムのさらなる実施形態を示している。
【0022】
図9図9は、本発明によるNH3飽和モジュールの他の実施形態を示している。
【0023】
図10図10は、本発明によるデリバリシステムのさらなる要素を示している。
【0024】
図11図11は、溶解アンモニアを生成する方法に関するフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
以下では、添付図面を参照して例示的な実施形態が述べられる。明確にそうであると述べている場合を除いて、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズ、位置などとともに、これらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、分かりやすくするために不釣り合いになっているか、さらに/あるいは誇張されている場合がある。
【0026】
本明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図しているものではない。本明細書で使用される場合には、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないと明確に示している場合を除いて複数形を含むことも意図している。「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用される場合には、述べられている特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は付加を排除するものではないことを理解すべきである。そうでないと特定されている場合を除いて、値の範囲が記載されている場合には、その範囲は、当該範囲の上限及び下限の両方とともにこれらの間の任意のサブレンジを含んでいる。そうでないと示されている場合を除いて、「第1」、「第2」などの用語は、それぞれの要素を互いに区別するためだけに使用されている。例えば、あるノードを「第1のミラー」と呼び、同様に他のノードを「第2のミラー」と呼ぶことができ、あるいはこの反対であってもよい。
【0027】
そうでないと示されている場合を除いて、「約」、「およそ」などの用語は、その量、サイズ、組成、パラメータ、及び他の量及び特性が一致しておらず、また一致する必要がなく、必要に応じて、許容範囲、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して近似され、さらに/あるいはこれよりも大きく又は小さくなり得ることを意味している。
【0028】
以下の説明で述べられている実施形態の多くは、共通の構成要素、デバイス、及び/又は要素を共有している。同様に名前が付けられた構成要素及び要素は、同様に名前が付けられた要素を一貫して意味する。例えば、以下の詳細な説明で述べられている実施形態の多くは、少なくとも1つの超純水源(以下、UPW源)、キャリアガス源、アンモニアガス源、メイン流れ経路、バイパス流れ経路などを含んでいる。このため、同一又は類似の名前が付けられた構成要素又は特徴は、対応する図面において言及されておらず、述べられていなくても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照符号が付されていない要素でさえ、他の図面を参照して述べられることがある。
【0029】
本開示の趣旨及び挟持を逸脱することなく多くの異なる形態及び実施形態が考えられ、そのため、本開示は、本明細書で述べられる例示の実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの例示の実施形態は、本開示が徹底的で完全なものとなるように提供されるものであり、本開示の趣旨を当業者に伝えるものである。
【0030】
本出願は、溶解アンモニアを供給又は生成するための様々なシステム及び方法を開示している。ある特定の実施形態においては、本明細書で開示されているシステムは、従来技術のシステムにおいては必要とされていた接触器を必要とすることなく、超純水の少なくとも1つの流れの中に気体のアンモニアを溶解させることに基づいて溶解アンモニアを提供するように構成され得る。
【0031】
図2は、溶解アンモニアデリバリシステムの実施形態を示している。従来技術のアンモニアデリバリシステムとは異なり、本出願に開示される溶解アンモニアデリバリシステムは、接触器(図1の接触器3を参照)の必要性をなくすことにより、システムコスト及び複雑性を減少させるものである。図示されるように、アンモニアデリバリシステム80は、少なくとも1つのUPW源82と流体的に連絡する少なくとも1つのUPW源導路84を有する少なくとも1つのUPW源82を含んでいる。少なくとも1つのバルブ装置又は流れ制御装置86が、UPW源導路84上に又はUPW源導路84と連絡するように配置され得る。加えて、少なくとも1つのメータ、コントローラ、又はインジケータ88が、UPW源82、UPW源導路84、及び/又は(存在する場合には)バルブ装置86のうちの少なくとも1つと連絡していてもよい。図示されるように、UPW源82は、UPW源導路84を介して少なくとも1つのNH3飽和モジュール118と連絡している。図2のシステムは、必要に応じてポンプも含み得るが、ポンプの存在は必要なものではなく、そのため、ポンプは図2には表されていない。
【0032】
再び図2を参照すると、少なくとも1つのキャリアガス源90が、少なくとも1つのキャリアガス導路92及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路108を介してNH3飽和モジュール118と連絡していてもよい。図示された実施形態においては、キャリアガス源90は、NH3/キャリアガス導路108に連結される少なくとも1つのキャリアガス導路92に連結されているが、当業者であれば、キャリアガス源90が、様々な導路を介してNH3飽和モジュール118と流体的に連絡していてもよいことを理解するであろう。必要に応じて、少なくとも1つのバルブ又は流れコントローラ94及び/又はメータ又はインジケータ96が、キャリアガス源90からNH3飽和モジュール118へのキャリアガスの流れを制御及びモニタリングするために使用され得る。必要に応じて、流れコントローラ94及びメータ96のうち少なくとも1つに加えて、あるいはそれに代えて、少なくとも1つの圧力調整器(図示せず)が用いられ得る。本システムにおいて使用される例示的なキャリアガスは、N2、O2、及び様々な種類の希ガスなどを含むがこれらに限られるものではない。
【0033】
図2に示されるように、少なくとも1つのアンモニア源100が、少なくとも1つのキャリアアンモニア導路102及び/又は少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路108を介してNH3飽和モジュール118と連絡していてもよい。一実施形態においては、アンモニア源100は、気体のアンモニアをNH3飽和モジュール118に供給するように構成されている。図示されるように、アンモニア源100は、少なくとも1つのアンモニア導路102に連結されており、この少なくとも1つのアンモニア導路102はNH3/キャリアガス導路108に連結されているが、当業者であれば、アンモニア源100が、様々な導路を介してNH3飽和モジュール118と流体的に連絡していてもよいことを理解するであろう。少なくとも1つのバルブ又は流れコントローラ104及び/又は質量流量計106が、アンモニア源100からNH3飽和モジュール118への気体のアンモニアの流れを制御及びモニタリングするために使用され得る。再び、必要に応じて、流れコントローラ104及び質量流量計106に加えて、あるいはそれに代えて、少なくとも1つの圧力調整器(図示せず)が用いられ得る。
【0034】
図2及び図3を再び参照すると、NH3飽和モジュール118は、少なくとも1つのメイン流れ経路120と少なくとも1つのバイパス流れ経路122とを含むか、あるいは、バイパス流れ経路122のみを含んでいてもよい。メイン流れ経路120及びバイパス流れ経路122は、UPW源82から超純水がそこを通って流れるように構成される。図3に示されているように、メイン流れ経路120は、UPW流れ144を内部に受け入れるように構成される少なくとも1つのメイン流れ経路流路142を規定している。同様に、バイパス流れ経路122は、メイン流れ経路120からUPW流れ144の一部を内部に流し、これにより少なくとも1つのUPWバイパス流れ148を構成するように構成される少なくとも1つのバイパス流れ経路流路146を規定している。図示された実施形態においては、バイパス流れ経路122は、少なくとも1つのNH3/キャリアガス導路108を介してキャリアガス源90及びアンモニア源100のうちの少なくとも1つと流体的に連絡されている。NH3/キャリアガス導路108からのキャリアガス/アンモニアガスの少なくとも1つにより形成される気泡150は、バイパス経路122内でUPWバイパス流れ148に導入され、高可溶性アンモニアガスがUPWバイパス流れ148に溶解することにより溶解アンモニア132が形成される。その後、溶解アンモニア132は、UPWメイン流れ144に再合流し、溶解アンモニア出力132を形成するように構成される溶解アンモニア導路130に案内される。加えて、キャリアガスは、少なくとも1つのアウトガス導路124を介して放出され、1以上のアウトガス出力126を生成し得る。本発明の別の実施形態においては、完全な液体流れがバイパスラインによって捕捉され得る。メイン流れラインの存在は必須ではなく、メイン流れラインは任意的なものである。流量を分け、バイパスラインを設けることにより、処理液中のキャリアガスの飽和が低減し、望ましくない気泡の形成が低減する。
【0035】
図4は、本発明による、溶解アンモニアデリバリシステムの別の表現である。当業者であれば、同様の名称の同様の番号が付された構成要素は、先の実施形態と同様の機能を奏することを理解するであろう。図示されるように、溶解アンモニアデリバリシステム118は、内部に少なくとも1つのメイン流れ流路242を規定する少なくとも1つのメイン流れ経路120を含んでいる。メイン流れ流路242は、内部に少なくとも1つの超純水流れ244を受け入れるように構成され得る。加えて、溶解アンモニアデリバリシステム118は、少なくとも1つのバイパス流れ流路246を規定する少なくとも1つのバイパス流れ経路122をさらに含んでいる。図示されるように、バイパス流れ流路246は、メイン流れ流路242と流体的に連絡している。したがって、バイパス流れ流路246は、バイパス流れ流路246を通るように少なくとも1つのUPWバイパス流れ248を案内するように構成され得る。
【0036】
図4に示されるように、NH3/キャリアガス導路108の少なくとも一部は、バイパス流れ経路122中に形成されたバイパス流れ流路246内に位置しているか、あるいはバイパス流れ流路246と流体的に連絡していてもよい。さらに、NH3/キャリアガス導路108は、キャリアガス源90及び/又はアンモニア源100(図2参照)の少なくとも一方と流体的に連絡している。先の実施形態と同様に、NH3/キャリアガス導路108からのキャリアガス/アンモニアガスのうち少なくとも一方により形成される気泡250は、バイパス経路122内のUPWバイパス流れ248中に導入され、UPWバイパス流れ248中に高可溶性アンモニアガスが溶解し、溶解アンモニア132を形成する。その後、溶解アンモニア132は、UPWメイン流れ244に再合流し、少なくとも1つの溶解アンモニア出力132を形成するように構成される少なくとも1つの溶解アンモニア導路130に案内される。加えて、キャリアガスは、少なくとも1つのアウトガス導路124を介して放出され、1以上のアウトガス出力126を生成し得る。
【0037】
図4図6は、アンモニアがUPWバイパス流れ248中に直接希釈される場所であるアンモニア飽和モジュール118の飽和領域260の様々な実施形態を示している。図5に示されるように、バイパス経路122は、メイン流れ経路120内に位置している。NH3/キャリアガス導路108は、アンモニア源100(図2参照)からUPWバイパス流れ248にアンモニアガス250を放出又は導入して溶解アンモニア出力132を生成するように構成されるバイパス経路122内に位置している。図5に示されるように、NH3/キャリアガス導路108からのアンモニアガスは、N2飽和領域262から離れたUPWバイパス流れ248中に直接希釈されることにより、溶解アンモニア出力132中の気泡が劇的に減少する。これに対して、図6は、飽和領域260内のN2飽和領域262に近接して形成された1以上のアパーチャ又はオリフィス223を有するバイパス経路122の別の実施形態を示している。先の実施形態と同様に、NH3/キャリアガス導路108からのアンモニアガスは、N2飽和領域262から離れたUPWバイパス流れ248中に直接希釈されることにより、溶解アンモニア出力132中の気泡が劇的に減少する。
【0038】
図7は、溶解アンモニアデリバリシステムの他の実施形態を示している。アンモニアデリバリシステム280は、少なくとも1つのUPW源282と流体的に連絡している少なくとも1つのUPW源導路824を有する少なくとも1つのUPW源282を含んでいる。少なくとも1つのバルブ装置又は流れ制御装置286は、UPW源導路284上に位置していてもよく、あるいはUPW源導路284と連絡していてもよい。加えて、少なくとも1つのメータ、コントローラ、又はインジケータ288が、UPW源282、UPW源導路284、及び/又は(存在する場合には)バルブ装置286のうち少なくとも1つと連絡していてもよい。図示されるように、UPW源282は、UPW源導路284を介して少なくとも1つのNH3飽和モジュール318と連絡している。
【0039】
図7を再び参照すると、少なくとも1つのキャリアガス源290は、少なくとも1つのキャリアガス導路292を介してNH3飽和モジュール318と連絡していてもよい。必要に応じて、少なくとも1つのバルブ又は流れコントローラ294及び/又はメータ又はインジケータ296が、キャリアガス源290からNH3飽和モジュール318へのキャリアガスの流れを制御及びモニタリングするために使用され得る。必要に応じて、流れコントローラ294及び/又はメータ296に加えて、あるいはこれに代えて、1以上の圧力調整器(図示せず)が用いられ得る。本システムにおいて使用される例示的なキャリアガスは、N2、O2、及び様々な種類の希ガスなどを含むがこれらに限られるものではない。
【0040】
図7に示されるように、少なくとも1つのアンモニア源300が、少なくとも1つのアンモニア導路302を介してNH3飽和モジュール318と連絡していてもよい。一実施形態においては、アンモニア源300は、気体のアンモニアをNH3飽和モジュール318に供給するように構成されている。少なくとも1つのバルブ又は流れコントローラ304及び/又は質量流量計306が、アンモニア源300からNH3飽和モジュール318への気体のアンモニアの流れを制御及びモニタリングするために使用され得る。必要に応じて、流れコントローラ304及び/又は質量流量計306と組み合わせて、あるいはそれに代えて、少なくとも1つの圧力調整器(図示せず)が用いられ得る。
【0041】
図7図9を参照すると、NH3飽和モジュール318は、少なくとも1つの流れ経路320を含んでいる。流れ経路320は、UPW源282からの超純水がそこを通って流れるように構成される。図7に示されているように、流れ経路320は、内部にUPW流れ344を受け入れるように構成される少なくとも1つの流れ経路流路342を規定している。図示された実施形態においては、キャリアガス導路292は、流れ経路流路342と流体的に連絡しており、少なくとも1つのキャリアガスをUPW流れ344に供給するように構成される。同様に、アンモニア導路302は、流れ経路342と連絡しており、アンモニアガスをUPW流れ344に供給するように構成される。図示されるように、流れ経路流路342内に少なくとも1つのキャリアガス気泡310が形成され維持される。このため、少なくとも1つのバルブ又は流れ制御装置294が、UPW流れ344内のキャリアガス気泡310の圧力、サイズ、及び体積を規制又は制御するために使用され得る。アンモニア源300からの気体のアンモニアが、キャリアガス気泡310に導入される。UPW流れ344がキャリアガス気泡310内のアンモニアと反応して、高可溶性アンモニアガスがUPW流れ344に溶解することにより溶解アンモニア332が形成される。溶解アンモニア332は、溶解アンモニア導路330に案内される。加えて、キャリアガスは、少なくとも1つのアウトガス導路324を介して放出され、1以上のアウトガス出力326を生成し得る。
【0042】
別の実施形態においては、図9は、図7に示されるNH3飽和モジュール318の実施形態を示している。図示されるように、NH3飽和モジュール318は、アンモニア導路304と流れ経路320との合流点に近い流れ経路流路342内に位置する半透若しくは透過膜又は構造311を含んでいる。使用中は、流れ経路流路342内にUPW流れ344が確立される。アンモニア源300(図7参照)からの気体のアンモニアは、アンモニア導路304及び膜311を介して制御された状態でUPS流れ344に導入される。流れ経路流路へのアンモニアの流れを制御するために1以上のバルブ部材又は流れコントローラが使用され得る。UPW流れ344は、高可溶性アンモニアと反応することにより溶解アンモニア332を生成する。
【0043】
図10は、本発明に係るデリバリシステムのさらなる要素を示している。
【0044】
当該技術分野において利用可能なアンモニアシステムにおいては、アンモニアデリバリシステムからの反応をより素早く得るために、窒素を使用してアンモニアデリバリシステムからアンモニアを追い出していた。システムからアンモニアを除去するために質量流量コントローラのすべてをフラッシュする圧力コントローラが質量流量コントローラの左側に存在し、位置していた。しかしながら、設定点の変化又は流れ変化が生じると、アンモニアをより素早く接触システムに移送する必要が生じる。
【0045】
デリバリシステムからアンモニアを追い出すための異なるアプローチが図10に示されており、異なるサイズの質量流量コントローラが直列に配置され、質量流量コントローラAが最も大きく、質量流量コントローラCが最も小さい。そのような直列に置かれた3つの質量流量コントローラを含む図示された構成は、例示的な構成に過ぎず、任意の数のそのようなコントローラを用いることができる。図示された構成では、システムをフラッシュするために用いられるのはアンモニア自体であり、より正確には、システムの動力学を改善するためにより小さい質量流量コントローラをフラッシュするために使用されるのがアンモニアである。より具体的には、より大きな質量流量コントローラは、システムの動力学を改善するために常により小さい質量流量コントローラをフラッシュする。例えば、システム起動時においては、システムは、空気又は窒素の残部を内部に有し、これらの間に大きな力を有し得る。素早いシステム起動のために、まず、望ましくないそれぞれのガスをシステムから追い出す必要があり、したがって、フラッシュはMFC Aで開始する。MFC Aは、追い出すアンモニア流れを非常にたくさん持っている。この動作は、アンモニアデリバリシステムの起動のためだけに使用される。システムの他のすべての量は、システムの内部に常にアンモニアを有している必要がある。そのようなフラッシュシステムを利用することにより、アンモニアデリバリシステムが常に一定の圧力で動作することが保証される。これは非常に重要であり、ガス領域が常に一定圧力に維持される。このシステムの最善の機能性は、システム内の圧力又は相対圧力が、そうでなければシステムの動力学が変わってしまうので、特に気体部分において安定的に維持されるということに依存している。
【0046】
図11は、溶解アンモニアを生成する方法に関するフローチャートを示している。本発明によれば、溶解アンモニアを生成する方法1000が提案される。この方法は、少なくともキャリアガス源をアンモニア飽和モジュールと流体的に連絡することで、上記キャリアガス源がアンモニアを上記アンモニア飽和モジュールに供給するステップ1002を含んでいる。この方法は、アンモニア飽和モジュールが備える任意的なメイン流れ経路及び少なくとも1つのバイパス流れ経路を介して超純水流れ超純水源を制御するステップ1004をさらに含んでいる。バイパス流れ経路は、上記キャリアガス源及びアンモニア源のうち少なくとも一方と流体的に連絡している。この方法1000は、ステップ1006において、キャリアガス源のうち少なくとも1つにより形成される気泡をバイパス流れ経路内で超純水バイパス流れに導入して溶解アンモニアを形成することをさらに含んでいる。方法1000は、必要に応じてステップ1110において、上記溶解アンモニアを上記超純水メイン流れに再合流させ、上記溶解アンモニアを溶解アンモニア導路に案内して溶解アンモニア出力を形成することをさらに含んでいる。
【0047】
この方法1000は、ステップ1110において、キャリアガスを放出して1以上のガス出力を生成することをさらに含み得る。アンモニアガスは、窒素飽和領域から離れた超純水バイパス流れに直接希釈され得る。超純水流れは、キャリアガス気泡の中でアンモニアと反応し、超純水流れ中に溶解する高可溶性アンモニアガスを形成する。
【0048】
上記で詳細に述べたように、本発明により提示される解決策は、性能を犠牲にすることなくコストを低減したシステムを提供することができる、従来技術において知られているシステムよりも簡単な構成を有するシステムからなる。本発明のシステムにおいては、キャリアガスの飽和が最小限となり、その結果として、使用の時点における気泡とアウトガスが最小限になる。同時に、本発明のシステムにおいて静的なバイパスを用いることにより、常にシステムをキャリアガス飽和点から遠ざけることができる。さらに、ユニットにおけるキャリアガス消費が低減する。本発明のシステムは、一定の水圧/気体圧力設定を用いて大きな力と同時に安定した挙動を実現する。さらに、より小さなポンプシステムを使用することで温度上昇が低減する。
【0049】
本発明の解決策は、その構成が接触器を必要としないことによって特徴付けられる。このため、使用されるキャリアガスの量が最小限になる。バイパスを使用することにより、溶解アンモニアが直接希釈され、キャリアガス飽和点から遠ざかり、その結果として、気泡の量が劇的に減少し、あるいはなくなる。さらに、大きなポンプの使用が避けられるので、急激な温度上昇が生じない。これらすべての利点は、性能の犠牲を払うことのない、システム及びその運用コストに関する顕著なコスト削減につながる。
【0050】
本明細書に開示される実施形態は、本発明の原理を説明するものである。本発明の範囲内において他の改変を行うことができる。したがって、本出願に開示されるデバイスは、本明細書に示され述べられているものと正確に同じものに限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】