(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】フレキシブルメモリシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 12/06 20060101AFI20241212BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20241212BHJP
G06F 13/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F12/06 515J
G06F12/00 571A
G06F13/16 510A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535498
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022049623
(87)【国際公開番号】W WO2023129287
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャシャンカー ヴィスワナサン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード イー. ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ワイ. チョウ
【テーマコード(参考)】
5B160
【Fターム(参考)】
5B160MM03
5B160MM04
(57)【要約】
メモリシステムを動作させるための技術が開示される。この技術は、第1のメモリクライアントが、第1のメモリアドレスのデータにアクセスするための第1の要求を実行することであって、第1のメモリアドレスは、直接メモリ接続を介して第1のメモリクライアントに結合された第1のメモリ部のデータを指す、ことと、直接メモリ接続を介して第1の要求を処理することと、第1のクライアントが、第2のメモリアドレスのデータにアクセスするための第2の要求を実行することであって、第2のメモリアドレスは、交差接続を介して第1のクライアントに結合された第2のメモリ部のデータを指す、ことと、交差接続を介して第2の要求を処理することと、を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリシステムを動作させる方法であって、
第1のメモリクライアントが、第1のメモリアドレスのデータにアクセスするための第1の要求を実行することであって、前記第1のメモリアドレスは、直接メモリ接続を介して前記第1のメモリクライアントに結合された第1のメモリ部のデータを指す、ことと、
前記直接メモリ接続を介して前記第1の要求を処理することと、
前記第1のメモリクライアントが、第2のメモリアドレスのデータにアクセスするための第2の要求を実行することであって、前記第2のメモリアドレスは、交差接続を介して前記第1のクライアントに結合された第2のメモリ部のデータを指す、ことと、
前記交差接続を介して前記第2の要求を処理することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記直接メモリ接続は、前記交差接続よりも高い帯域幅を有する、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記直接メモリ接続は、前記交差接続よりも低いレイテンシを有する、
請求項1の方法。
【請求項4】
前記第1のメモリ部及び前記第2のメモリ部は、物理アドレス空間の一部を形成する、
請求項1の方法。
【請求項5】
前記第1のメモリクライアントによる要求に応じて、前記第1のメモリ部のデータを割り当てることを含む、
請求項1の方法。
【請求項6】
前記第1のメモリクライアントとは異なる第2のメモリクライアントによる要求に応じて、前記第2のメモリ部のデータを割り当てることを含む、
請求項1の方法。
【請求項7】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なる帯域幅特性を有する、
請求項1の方法。
【請求項8】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なるレイテンシ特性を有する、
請求項1の方法。
【請求項9】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なる容量を有する、
請求項1の方法。
【請求項10】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なるコストを有する、
請求項1の方法。
【請求項11】
システムであって、
第1のメモリ部と、
第2のメモリ部と、
直接メモリ接続を介して前記第1のメモリ部に結合され、交差接続を介して前記第2のメモリ部に結合された第1のメモリクライアントと、を備え、
前記第1のメモリクライアントは、
第1のメモリアドレスのデータにアクセスするための第1の要求を実行することであって、前記第1のメモリアドレスは、前記第1のメモリ部のデータを指す、ことと、
前記直接メモリ接続を介して前記第1の要求を処理することと、
第2のメモリアドレスのデータにアクセスするための第2の要求を実行することであって、前記第2のメモリアドレスは、前記第2のメモリ部のデータを指す、ことと、
前記交差接続を介して前記第2の要求を処理することと、
を行うように構成されている、
システム。
【請求項12】
前記直接メモリ接続は、前記交差接続よりも高い帯域幅を有する、
請求項11のシステム。
【請求項13】
前記直接メモリ接続は、前記交差接続よりも低いレイテンシを有する、
請求項11のシステム。
【請求項14】
前記第1のメモリ部及び前記第2のメモリ部は、物理アドレス空間の一部を形成する、
請求項11のシステム。
【請求項15】
前記第1のメモリ部は、前記第1のメモリクライアントによる要求に応じて前記第1のメモリ部のデータを割り当てるように構成されている、
請求項11のシステム。
【請求項16】
前記第2のメモリ部は、前記第1のメモリクライアントとは異なる第2のメモリクライアントによる要求に応じて、前記第2のメモリ部のデータを割り当てるように構成されている、
請求項11のシステム。
【請求項17】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なる帯域幅特性を有する、
請求項11のシステム。
【請求項18】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なるレイテンシ特性を有する、
請求項11のシステム。
【請求項19】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なる容量を有する、
請求項11のシステム。
【請求項20】
前記第1のメモリ部は、前記第2のメモリ部とは異なるコストを有する、
請求項11のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月29日に出願された米国特許出願第17/565,315号の利益を主張し、参照により、本明細書に完全に記載されているように組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
メモリ性能は、コンピューティングの重要な側面である。従って、コンピュータメモリは絶えず改良されている。
【0003】
添付の図面と共に例として与えられる以下の説明から、より詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の1つ以上の態様を実装することができる例示的な装置のブロック図である。
【
図2】一例による、メモリシステムを示す図である。
【
図3】各メモリクライアントが異なるクライアントチップ上にあるが、単一のメモリチップが全てのメモリ部を含む例示的な構成を示す図である。
【
図4】各メモリクライアントが単一のチップ内に一緒に配置される例示的な構成を示す図である。
【
図5】各メモリクライアントがそれ自身のクライアントチップ上にあり、各メモリ部がそれ自身のメモリチップ上にある構成を示す図である。
【
図6】全てのメモリクライアントが単一のメモリクライアントチップ上にあり、各メモリ部が個別のメモリチップ上にある構成を示す図である。
【
図7】全てのメモリクライアント及び全てのメモリ部並びに相互接続が単一のシステムオンチップ内に含まれる構成を示す図である。
【
図8】一例による、メモリシステムを動作させる方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
メモリシステムを動作させるための技術が開示される。この技術は、第1のメモリアドレスにおけるデータにアクセスするために、第1のメモリクライアントによって第1の要求を実行することであって、第1のメモリアドレスは、直接メモリ接続(direct memory connection)を介して第1のメモリクライアントに結合された第1のメモリ部内のデータを指す、ことと、直接メモリ接続を介して第1の要求を処理することと、第1のクライアントによって、第2のメモリアドレスにおけるデータにアクセスするための第2の要求を実行することであって、第2のメモリアドレスは、交差接続(cross connection)を介して第1のクライアントに結合された第2のメモリ部内のデータを指す、ことと、交差接続を介して第2の要求を処理することと、を含む。
【0006】
図1は、本開示の態様が実装されている例示的な装置100のブロック図である。装置100は、例えば、コンピュータ、ゲーム装置、ハンドヘルド装置、セットトップボックス、テレビ、携帯電話、又は、タブレットコンピュータを含む。装置100は、プロセッサ102、メモリ104、記憶装置106、1つ以上の入力装置108、及び、1つ以上の出力装置110を含む。また、装置100は、オプションで、入力ドライバ112及び出力ドライバ114を含んでもよい。装置100は、
図1に示されていない追加の構成要素を含んでもよいことを理解されたい。
【0007】
プロセッサ102は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、同じダイ上に位置するCPU及びGPU、又は、1つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアは、CPU又はGPUである。メモリ104は、プロセッサ102と同じダイ上に位置してもよいが、プロセッサ102とは別に位置してもよい。メモリ104は、揮発性又は不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM、キャッシュ)を含む。
【0008】
記憶装置106は、固定又はリムーバブル記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、フラッシュドライブ)を含む。入力装置108は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、生体認証スキャナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。出力装置110は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバック装置、1つ以上の光、アンテナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。
【0009】
入力ドライバ112は、プロセッサ102及び入力装置108と通信し、プロセッサ102が入力装置108から入力を受信することを可能にする。出力ドライバ114は、プロセッサ102及び出力装置110と通信し、プロセッサ102が出力装置110に出力を送信することを可能にする。入力ドライバ112及び出力ドライバ114は、オプションの構成要素であること、並びに、装置100は、入力ドライバ112及び出力ドライバ114が存在しない場合に、同じ方式で動作することに留意されたい。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、ソフトウェアのロード及び実行、ハードウェアとのインターフェース、メモリ管理、並びに、多くの他の機能等の様々な機能を提供するオペレーティングシステム103を実行する。いくつかの例では、メモリ管理は、メモリを要求するソフトウェア又はハードウェア等のエンティティのためにメモリ104(又は別のメモリ)の一部を予約することを含むメモリ割り当てを含む。
【0011】
図2は、一例による、メモリシステム200を示している。メモリシステムは、メモリクライアント202及び統合メモリ204を含む。各メモリクライアント202は、対応する直接メモリ接続208を介して対応するメモリ部206に結合される。各直接メモリ接続208は、交差接続210を介して他の各直接メモリ接続208に結合される。
【0012】
各メモリクライアント202は、特定のタイプのタスクを実行する処理装置である。いくつかの例示的なメモリクライアント202は、中央処理装置、グラフィックス処理装置、入力及び/若しくは出力プロセッサ、マルチメディアプロセッサ、又は、メモリへのアクセスを利用する任意の他のタイプの処理構成要素を含む。いくつかの例では、統合メモリ204は、システムメモリ(例えば、メモリ104)であるか、その一部である。いくつかの例では、メモリクライアント202のうち何れか又は全ては、プロセッサ102の一部である。いくつかの例では、2つの異なるメモリ部206は、異なる性能特性を有する。いくつかの例示的な性能特性は、容量、レイテンシ、帯域幅、電力、及び、コストを含む。容量に関して、2つ以上のメモリ部206が異なる容量を有すること、すなわち、異なるバイト数を記憶することが可能である。レイテンシに関して、2つ以上のメモリ部206が異なるレイテンシを有することが可能であり、これは、そのような異なるメモリ部206が異なる時間量でアクセス要求(例えば、読み出し又は書き込み)に応答することを意味する。帯域幅に関して、2つ以上のメモリ部206が異なる帯域幅を有することが可能であり、ここで、帯域幅は、それらのメモリ部206が単位時間当たりに記憶又は読み出すことができるデータの量を意味する。コストに関して、2つ以上の異なるメモリ部206が、異なるコストを有するメモリ技術を用いて製造されることが可能であり、コストは、場合によっては、各記憶単位(例えば、各ギガバイト又はメガバイト)を製造するために必要とされる金額を指す。
【0013】
各メモリ部206の性能特性は、関連するメモリクライアント202との動作に合わせて調整される。一例では、1つのメモリクライアント202(ビデオプロセッサ等)は、より高い帯域幅でより良好に機能し、別のメモリクライアント202(中央処理装置等)は、より低いレイテンシでより良好に機能する。
【0014】
メモリクライアント202の各々は、関連するメモリ部206への直接メモリ接続208を有する。直接メモリ接続208は、関連するメモリクライアント202と関連するメモリ部206との間に高帯域幅及び/又は低レイテンシ接続を提供する。直接メモリ接続208の低レイテンシ及び/又は高帯域幅は、交差接続210によって提供されるものと比較される。言い換えれば、メモリクライアント202は、直接メモリ接続208のみを介して若しくは交差接続210のみを介して、又は、直接メモリ接続208の少なくとも一部と組み合わせて、任意のメモリ部206にアクセスすることができる。したがって、メモリクライアント202は、高性能で関連するメモリ部206にアクセスすることができ、全てのメモリクライアント202は、いくらか低い高性能で全てのメモリ部206にアクセスすることができる。直接接続208及び交差接続210は、共に、相互接続201を形成する。
【0015】
メモリ部206は、統合メモリ204の一部であることを理解されたい。統合メモリ204は、単一の連続した物理アドレス空間を有する。より具体的には、各メモリ部206は、アドレスのセットに対応するデータ要素を有する。メモリ部206の全てに対するアドレスのフルセットは、連続した物理メモリアドレス空間を形成する。一例では、各メモリ部206は、物理メモリアドレスの特定の範囲に関連付けられ、任意の特定のメモリ部206の最初の物理アドレス(最初のものを除く)は、前のメモリ部206の最後の物理アドレスの直後にある。したがって、統合メモリ204は、異なる性能特性を有する異なる部を有する単一の物理メモリアドレス空間を形成し、各部は、特定のメモリクライアント202に「専用」又は「関連付けられる」と考えられる。
【0016】
任意のメモリ部206が、任意の他のメモリ部206と同じ物理チップ上にあることが可能である。少なくとも1つのメモリ部206が、任意の他のメモリ部206とは異なる物理チップ上にあることも可能である。いくつかの例では、メモリ部206の全てが単一チップ内にある。他の例では、いくつかの(1つ以上の)メモリ部206が1つの物理チップ上にあり、別の(1つ又は1つ以上の)メモリ部206が別の物理チップ上にある。更に他の例では、メモリ部206の全てが、それら自体の物理チップ上にある。
【0017】
更に、統合メモリ204が、メモリクライアント202のうち1つ以上及び相互接続201の一部又は全部と同じ物理チップ上に含まれることが可能である。一例では、メモリクライアント202、相互接続201及び統合メモリ204の全てが、同じ物理チップ上にある。別の例では、メモリクライアント202は、そのメモリクライアント202に結合された直接接続208と、その直接接続に結合されたメモリ部206とチップを共有する。そのような例では、メモリクライアント202とメモリ部206との各組み合わせはチップ上にあり、これらのチップは交差接続210によって互いに結合される。
【0018】
上述したように、メモリクライアント202は、直接接続208を介して関連するメモリ部206にアクセスすることができ、交差接続210を介して他のメモリ部206にアクセスすることができる。したがって、メモリクライアント202が、そのメモリクライアント202に関連付けられたメモリ部206内にあるアドレスから要求されたデータを読み出すために読み出しアクセスを実行する場合、そのメモリ部206は、直接接続208を介してメモリクライアント202に要求されたデータを提供する。メモリクライアント202が、メモリクライアント202に関連付けられたメモリ部206内にあるアドレスにデータを書き込むために書き込みアクセスを実行する場合、メモリクライアント202は、直接接続208を介して関連付けられたメモリ部206にデータを送信する。メモリクライアント202が、そのメモリクライアント202に関連付けられていないメモリ部206内にあるアドレスから要求されたデータを読み出すために読み出しアクセスを実行する場合、メモリ部206は、メモリ部206をメモリクライアント202に結合する交差接続210を介して要求されたデータを提供する。メモリクライアント202が、メモリクライアント202に関連付けられていないメモリ部206内のアドレスにデータを書き込むために書き込みアクセスを実行する場合、メモリクライアント202は、交差接続210を介してメモリ部206にデータを送信し、交差接続210は、メモリクライアント202をメモリ部206に結合する。
【0019】
メモリ部206がメモリクライアント202に関連付けられる(若しくは対応する)、又は、メモリクライアント202がメモリ部206に関連付けられる(若しくは対応する)という記述は、メモリ部206が直接接続208を介してメモリクライアント202に結合されることを意味する。
【0020】
図3~
図7は、メモリシステムの例示的な構成を示している。
【0021】
図3は、各メモリクライアント202が異なるクライアントチップ302上にあるが、単一のメモリチップ304がメモリ部206の全てを含む例示的な構成を示している。この例では、メモリ部206は、単一の物理メモリチップを共有する。しかしながら、各メモリクライアント202は、それ自体の個別の物理チップ(クライアントチップ302)上にある。
【0022】
図4は、各メモリクライアント202が単一のチップ402内に一緒に配置される例示的な構成を示している。更に、この構成では、メモリ部206も単一のメモリチップ304内に見られる。メモリクライアント202が存在するチップ402は、メモリ部206が存在するチップ304とは異なる。
【0023】
図5は、各メモリクライアント202がそれ自体のクライアントチップ302上にあり、各メモリ部206がそれ自体のメモリチップ502上にある構成を示している。この構成では、図示された要素の各々は、それ自体の物理チップ上にある。通信は、チップ間の接続を介して行われる。相互接続201は、それ自体のチップ上にあってもよく、又は、様々なチップ間の相互接続の組み合わせからなってもよい。
【0024】
図6は、全てのメモリクライアント202が単一のメモリクライアントチップ602上にあり、各メモリ部206が個別のメモリチップ502上にある構成を示している。この構成では、図示されたメモリクライアント202の全てが単一の物理チップを共有し、全てのメモリ部206がそれ自体のメモリチップ502を有する。相互接続201は、独立したチップ上にあってもよく、メモリクライアントチップ602と完全に若しくは部分的に統合されてもよく、及び/又は、メモリチップ502のうち1つ以上と完全に若しくは部分的に統合されてもよい。
【0025】
図7は、全てのメモリクライアント202及び全てのメモリ部206、並びに、相互接続201が単一のシステムオンチップ702内に含まれる構成を示している。この構成では、図示された各要素は同じ物理チップ上にある。
【0026】
上述したように、メモリ部206は、連続した物理アドレス空間を形成する。この物理アドレス空間は、仮想アドレス空間とは異なることを理解されたい。仮想アドレス空間は、アドレス変換システム(例えば、1つ以上のページテーブル、1つ以上の変換ルックアサイドバッファ及び/又は他の要素を含み得る)が仮想アドレスを物理アドレスに変換するアドレス空間である。物理アドレスは、メモリ自体にアクセスするために使用されるアドレスである。物理アドレスは、基礎となるメモリにアクセスするためにアドレス変換システムを必要としない。更に、メモリ部206は、物理アドレス空間の個別の部分であることを理解されたい。データにアクセスするために、1つのメモリ部206から別のメモリ部206にデータをコピーする必要はない。データは、相互接続201を介してメモリクライアント202によって直接アクセスすることができる。
【0027】
各メモリクライアント202がメモリ部206への直接接続210を有することは、本明細書の他の箇所で説明される。したがって、メモリクライアント202は、そのメモリクライアント202に関連付けられたメモリ部206にとって「最良の性能」であると考えられるものを有する。このため、オペレーティングシステム103からメモリ割り当てを要求する特定のメモリクライアント202上で実行されるソフトウェアに応答して、オペレーティングシステム103は、そのメモリクライアント202に関連付けられたメモリ部206内のそのメモリを割り当てる。一例では、グラフィックス処理装置(メモリクライアント202のうち何れか)を使用するビデオゲーム等のソフトウェアアプリケーションが、グラフィックス処理装置によって処理されるデータのためにオペレーティングシステム103からメモリ割り当てを要求する。これに応じて、オペレーティングシステム103は、グラフィックス処理装置に関連するメモリ部206上に要求されたメモリを割り当てる。したがって、オペレーティングシステム103は、メモリクライアント202に対応するメモリ部206内のメモリクライアント202にメモリを割り当てる。別の例では、生産性アプリケーション等のソフトウェアアプリケーションが、オペレーティングシステム103からメモリ割り当てを要求する。これに応じて、オペレーティングシステム103は、要求されたメモリを中央処理装置に関連するメモリ部206上に割り当てる。要するに、多くの状況において、オペレーティングシステム103は、プライマリメモリクライアント202に関連付けられたメモリ部206内のメモリを割り当てて、そのメモリ割り当てにおいてデータを使用する。
【0028】
各メモリクライアント202が1つの関連するメモリ部206を有することが示されているが、メモリシステムの実施形態は、そのように限定される必要がないことに留意されたい。具体的には、複数のメモリクライアント202が同じメモリ部206への直接接続208を有すること、及び/又は、複数のメモリ部206が同じメモリクライアント202への直接接続208を有することが可能である。
【0029】
図8は、一例による、メモリシステムを動作する方法のフロー図である。
図1~
図7のシステムに関して説明されているが、当業者は、任意の技術的に実現可能な順序で方法800のステップを実施するように構成された任意のシステムが本開示の範囲に含まれることを理解するであろう。
【0030】
ステップ802において、第1のメモリクライアント202は、第1のメモリアドレスにおけるデータにアクセスするための第1の要求を実行する。第1のメモリアドレスは、第1のメモリ部206内のデータを指す。第1のメモリ部206は、直接メモリ接続208を介して第1のメモリクライアント202に結合される。ステップ804において、第1のメモリクライアント202は、直接メモリ接続208を介して第1の要求を処理(サービス)する。
【0031】
ステップ806において、第1のクライアント202は、第2のメモリアドレスにおけるデータにアクセスするための第2の要求を実行する。第2のメモリアドレスは、交差接続210を介して第1のクライアントに結合された第2のメモリ部206内のデータを指す。ステップ808において、第1のメモリクライアント202は、交差接続210を介して第2の要求を処理(サービス)する。
【0032】
いくつかの例では、直接メモリ接続208は、交差接続210よりも低いレイテンシを有する。いくつかの例では、直接メモリ接続208は、交差接続210よりも高い帯域幅を有する。いくつかの例では、オペレーティングシステム103は、第1のメモリ部が直接メモリ接続208を介して第1のメモリクライアントに結合されていることに起因して、第1のメモリ部内の第1のアドレスにおけるデータにメモリを割り当てる。いくつかの例では、オペレーティングシステム103は、データが第1のクライアント202上で実行されるソフトウェアに使用されていることに起因して、第1のメモリ部内の第1のアドレスのデータにメモリを割り当てる。いくつかの例では、オペレーティングシステム103は、第2のメモリ部が直接メモリ接続208を介して第2のメモリクライアントに結合されていることにより、第2のメモリ部内の第2のメモリアドレス内のデータにメモリを割り当てる。いくつかの例では、オペレーティングシステムは、データが第2のクライアント202上で実行されるソフトウェアのために使用されていることに起因して、第2のメモリ部内の第2のアドレスにおけるデータのためにメモリを割り当てる。
【0033】
本明細書では「チップ」という用語が使用されることがあるが、この用語は「パッケージ」と置き換えることができることを理解されたい。場合によっては、パッケージは、単一の物理エンティティであるが、複数の物理チップを有する。
【0034】
本明細書の開示に基づいて、多くの変形が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は、他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに様々な組み合わせで使用されてもよい。
【0035】
本明細書で説明する様々な要素は、本明細書で説明する機能を実行する回路として、プロセッサ上で実行されるソフトウェアとして、又は、それらの組み合わせとして実装される。
図1において、プロセッサ102は、本明細書で説明される動作を実行するコンピュータプロセッサである。入力ドライバ112、出力ドライバ114、入力装置108及び出力装置110は、1つ以上のプロセッサ、ハードウェア又はそれらの組み合わせ上で実行されるソフトウェアである。メモリクライアント202、相互接続201及びメモリ部206は、本明細書で説明する動作を実行するハードワイヤード回路として、プロセッサとして、1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして、又は、それらの組み合わせとして実装される。
【0036】
提供される方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ又はプロセッサコアにおいて実施され得る。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(IC)、及び/又は、状態マシンが挙げられる。そのようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(HDL)命令及びネットリスト等の他の中間データ(そのような命令は、コンピュータ可読媒体に記憶させることが可能である)の結果を使用して製造プロセスを構成することによって製造され得る。そのような処理の結果はマスクワークとすることができ、このマスクワークをその後の半導体製造プロセスにおいて使用して、実施形態の態様を実施するプロセッサを製造する。
【0037】
本明細書に提供される方法又はフロー図は、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実施のために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアにおいて実装され得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ装置、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気媒体、磁気光学媒体、並びに、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)等の光学媒体が挙げられる。
【国際調査報告】