(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】コポリマー及び前記コポリマーを含むホットメルト組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/30 20060101AFI20241217BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20241217BHJP
C08F 220/32 20060101ALI20241217BHJP
C08L 33/14 20060101ALI20241217BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20241217BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20241217BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20241217BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241217BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241217BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20241217BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C08F220/30
C08F220/10
C08F220/32
C08L33/14
C08L91/06
C08L101/12
C09J133/14
C09J7/38
B32B27/30 A
C09J133/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529248
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022080006
(87)【国際公開番号】W WO2023088652
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン,レーナ
(72)【発明者】
【氏名】ロシュコフスキー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,アーニャ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK25J
4F100AL01A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA16A
4F100JB14A
4F100JL14B
4J002AE033
4J002AE053
4J002AF022
4J002BA012
4J002BC042
4J002BG071
4J002BK002
4J002CD191
4J002FD342
4J002GF00
4J002GJ01
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA04
4J004CA06
4J004CA08
4J004CB02
4J004CB03
4J004CB04
4J004CC02
4J004CE01
4J004DA02
4J004DA03
4J004DA04
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA01
4J040DF061
4J040HB19
4J040JA02
4J040JA09
4J040JB01
4J040KA13
4J040LA06
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA06
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA21
4J040PA32
4J040PB15
4J100AL03Q
4J100AL04P
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100AL10S
4J100BA03R
4J100BA11R
4J100BA12R
4J100BC43R
4J100BC48R
4J100BC53R
4J100BC54S
4J100BC65R
4J100BC83R
4J100DA28
4J100DA47
4J100DA61
4J100FA02
4J100JA03
(57)【要約】
本出願は、フリーラジカル重合によって得られるコポリマーであって、前記ポリマーは、モノマーの総重量に基づいて0.01~10重量%の、a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有する、少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤;0.01~10重量%の、b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する、少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマー;及び80~99.98重量%の、c)エポキシド基又は光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有さない、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、を含むコポリマーを対象とする。本出願はさらに、光照射下で架橋可能な材料を対象とし、前記材料は:上記で定義したコポリマー;及び、少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーラジカル重合によって得られるコポリマーであって、前記ポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、
a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有する、少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤、0.01~10重量%;
b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する、少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマー、0.01~10重量%;及び
c)エポキシド基又は光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有さない、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、80~99.98重量%
を含む、コポリマー。
【請求項2】
モノマーの総重量に基づいて、
a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部位を有する、少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤、0.05~5重量%、好ましくは0.05~2.5重量%;
b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する、少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマー、0.05~5重量%、好ましくは0.5~5重量%;及び
c)エポキシド基又は光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有さない、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、90~99重量%
を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
a)前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤は、一般式A-(B)
b:
[式中、
Aは、光照射下で分解してラジカルを形成する少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表し;
Bは、エチレン性不飽和基を含む部分を表し;
bは1~3の整数、好ましくは1又は2である]
で表される、請求項1又は請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
一般式A-(B)
bにおいて、
Aは、光照射下で分解してラジカルを形成する少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表し、その又は各前記部分は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アントラキノン、9-フルオレノン、アントロン、キサントン、チオキサントン、アクリドン、ジベンゾスベロン、又はクロモンから選択される基を含み;
Bは、(メタ)アクリレート基、又は(メタ)アクリルアミド基を含む部分を表し;
bは1又は2である、請求項3に記載のコポリマー。
【請求項5】
a)前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤は、式(I):
【化1】
[式中、
R
0は、C
1-C
4アルキル、C
6-C
18アリール、又はR
00であり;
R
00は、以下構造;
【化2】
〔式中、
R
2~R
6は、独立して、H、OH、SH、ハロゲン化物、CN、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4アルコキシ、SR
8、COOH、COOR
8、N(R
8)
2、又はN(R
8)
3Qから選択され;
R
7は、H又はC
1-C
4アルキルであり;
各R
8は、独立して、C
1-C
6アルキル又はC
6-C
18アリールから選択される;
Qはハロゲン化物、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩又は硝酸塩である、
ただし、基R
2~R
6のjは、基:
【化3】
[ここで、
jは、1~3の整数、好ましくは1又は2であり;
各R’は、独立して、H、C
1-C
4アルキル又はC
6-C
18アリールから選択され;
R’’は、H又はC
1アルキルであり;
R’’’は、H又はC
1アルキルであり;
Spは、以下のタイプ:
【化4】
<式中、
kは、1~10の整数であり、
lは、0~25の整数であり;
mは、1~10の整数であり;
nは、0~25の整数であり;
各Xは、独立して、C
2-C
12アルキレン、C
3-C
18シクロアルキレン、又はC
6-C
18アリーレンから選択され;
各Yは、独立して、以下:
【化5】
からなる群から選択される2価のラジカルである>のスペーサー基を示す]
である〕
を有する]
に従う少なくとも1つのモノマーを含む、又はからなる、請求項1~4のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項6】
式(I)において、
R
0は、C
1-C
4アルキル又はC
6アリールであり;
R
2-R
6は、独立して、H、OH、C
1-C
4アルキル及びC
1-C
4アルコキシから選択され;
R
7はC
1アルキルであり;
各R
8は、独立して、C
1-C
6アルキルから選択され;
各R’は、独立して、H、C
1-C
4アルキル、又はC
6アリールから選択される、
請求項5に記載のコポリマー。
【請求項7】
式(I)において、
R
2-R
6は、独立して、H、及びC
1-C
4アルキルから選択され;
各R
8は独立して、C
1-C
4アルキルから選択される、
請求項6に記載のコポリマー。
【請求項8】
a)前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤は、ベンゾフェノン(メタ)アクリレートである、請求項1~7のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項9】
b)前記少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、100~700g/eq、好ましくは120~320g/eqの、前記エポキシド基及び前記(メタ)アクリレート基の合計の当量を特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸とポリエポキシド化合物との付加物である、請求項1~9のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項11】
前記ポリエポキシド化合物は、多価アルコールのポリグリシジルエーテル;多価フェノールのポリグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル;及び、エポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素からなる群から選択される、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項12】
前記ポリエポキシドは、脂肪族及び脂環式ジオールのジグリシジルエーテル;ビスフェノールAに基づくジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ポリアルキレングリコールに基づくジグリシジルエーテル;及びポリカーボネートジオールに基づくグリシジルエーテルからなる群から選択されるジグリシジルエーテルである、請求項10又は請求項11に記載のコポリマー。
【請求項13】
光照射下で架橋可能な材料であって、前記材料は、以下:
請求項1~12のいずれかに記載のコポリマー;及び
少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG)
を含む、材料。
【請求項14】
光照射下で架橋可能である反応性ホットメルト組成物であって、前記組成物は、組成物の重量に基づいて、
i)請求項1~12のいずれかに記載される少なくとも1つのコポリマー、40~99.99重量%;
ii)少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG)、0.01~10重量%;
iii)少なくとも1つの粘着付与樹脂、0~60重量%;及び
iv)ワックス、0~20重量%、
を含む、組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の反応性ホットメルト組成物の光照射下での架橋によって得られるコーティング、接着剤、又はシーラント。
【請求項16】
請求項14に記載の反応性ホットメルト組成物の光照射下での架橋によって得られるホットメルト感圧接着剤(HMPSA)。
【請求項17】
請求項14に記載のホットメルト組成物の硬化性フィルムを含む物品(A)であって、前記フィルムは、剥離ライナー及び/又はキャリア基材上に配置される、物品(A)。
【請求項18】
ラベル、片面テープ、転写テープ、又は両面テープである請求項17に記載の物品(A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光照射下で架橋可能であるコポリマーであって、エポキシド及び(メタ)アクリレート官能性の両方を有するモノマー;並びに、エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有する、少なくとも1つの共重合可能な光開始剤;に由来するコポリマーを対象とする。本開示はまた、前記コポリマーを含む反応性ホットメルト組成物も対象とする。本開示は、テープ、ラベル及びデカールの製造において有用性を有し得る反応性ホットメルト感圧接着剤組成物をさらに対象とする。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野で知られているように、非反応性ホットメルト組成物(例えば非反応性ホットメルト接着剤組成物等)は、実質的に水及び溶媒を含まず、室温で固体であるように配合される。組成物はさらに、熱の適用下で、溶融して流動状態になるか、又は流動状態を形成するように配合される:組成物は、この流動溶融形態で所定の基材に塗布されるが、冷却後、固体又は粘性の液体形態に回復する。組成物が冷却した後に形成される相は、凝集強度、靭性、及び、クリープと熱の両方に対する耐性を提供することを目的とする。しかし、非反応性ホットメルト組成物は、熱可塑性であり、流体状態に加熱され、固体又は粘性液体状態に冷却されることを繰り返され得る。
【0003】
硬化性又は反応性ホットメルト組成物も同様に、室温では固体又は高粘性の液体であり、熱を加えると液体又は流体状態に溶融し:この流動溶融形態で基材に塗布される。再び冷却すると、組成物はその初期形状を回復する。組成物が冷却された後(しかし硬化する前)に形成される相は、初期強度又は湿潤強度を提供することを目的とする。その後、塗布された組成物は、必要な硬化条件にさらされた後、化学架橋反応によって硬化される。硬化前、組成物は熱可塑性のままであり、再溶融及び再固化が可能であるが、一旦硬化すると、組成物はもはや熱可塑性特性を有さない。架橋された組成物は、凝集強度、靭性、及び、クリープと熱の両方に対する耐性を提供することを目的とする。そして、一般的に硬化性ホットメルト組成物は、非硬化性ホットメルト組成物よりも高い強度及び耐熱性を提供することができる。
【0004】
ホットメルト感圧接着剤組成物は、室温での軽圧下で被着体への使用可能な接着を形成する能力を保持するホットメルト接着剤である。より詳細には、このような反応性又は非反応性接着剤組成物は、室温での指圧下でコールドフローを示す。
【0005】
塗布されたホットメルト組成物の冷却による湿潤強度の急速な発現は、処理された基材の加工を容易にするため、商業的操作において重要であり得る。しかしながら、塗布された反応性ホットメルト組成物の急速な硬化は、塗布された組成物の作業性に有害であり得るため、必ずしも望ましいものではない。例えば、湿気硬化性ホットメルト組成物は、周囲条件下で硬化し、塗布直後に、アプリケーターの下流にある生産ライン装置で容易に作業できないような強度を発現し始めることがある。
【0006】
したがって、硬化強度を与えるために急速に架橋する組成物が短い使用寿命を有することは明らかである。しかし、徐々に架橋する接着剤組成物は、より長い使用寿命を有するが、より低い強度を生成し、その後の商業的操作を遅らせる。したがって、当技術分野では、湿潤強度、硬化強度及び使用寿命の商業的に望ましい組み合わせを有する反応性ホットメルト組成物を開発するための絶え間ない努力が存在する。
【0007】
特定の著者らは、光照射下、特に紫外線下で硬化し得る反応性ホットメルト組成物に注目してきた。光硬化は、使用者が、光照射が起こる位置及び時間を決定でき、その照射への曝露を調節できるため、架橋方法としての柔軟性を広く提供する。
【0008】
例えば、米国特許第3,661,618号(Firestone Fire and Rubber Company)は、セルロース誘導体、ポリオレフィン、又はポリエステル等のポリマー、液状アルキル(メタ)アクリレートモノマー、及びさらなる反応性モノマーを含む組成物を提供する。接着剤の塗布後、モノマーは高エネルギー粒子放射下で、酸素の本質的な非存在下で架橋される。しかし問題なことに、モノマー(メタ)アクリレートは揮発性であり、刺激性を有する。光硬化性組成物中にかなりの割合の遊離モノマーを有することの欠点を回避するために、ペンダント光反応性基を有するコポリマーの含有が当技術分野で開発されてきた。
【0009】
EP 3 252 088 A1(Henkel AG & Co. KgaA)には、以下:第1工程において:(i)式(I):
【化1】
[式中、R
1は、H又はCH
3であり;R
2及びR
3は、共にH又は共にCH
3であり;nは、0~22の整数である]に示される少なくとも1つのアクリルモノマー;及び(ii)脂環式エポキシド、オキセタン、モノ置換オキシラン又はそれらの混合物から選択されるペンダント反応性官能基を含む少なくとも1つのモノマーを含む混合物を反応させ;第2工程において、第1工程から得られた混合物を、(iii)少なくとも1つのカチオン性光重合開始剤;及び(iv)任意にさらなる添加剤と反応させることにより得られるUV硬化型感圧アクリル系粘着剤が記載されている
【0010】
WO 2011112643A2(Henkel Corporation)は、カチオン性光重合開始剤、及び脂環式エポキシド、オキセタン又はそれらの混合物から選択されるペンダント反応性官能基を有するアクリルコポリマーを含む、紫外線(UV)架橋可能なアクリル系感圧接着剤を開示する。
【0011】
EP2960258 A1(Henkel AG & Co. KgaA)は、UV硬化性アクリルコポリマーの製造方法を開示し、該方法は:(a)モノマーの混合物を重合してアクリルコポリマーを形成する工程、該モノマー混合物は、前記混合物の重量に基づいて:(i)40~95重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー;(ii)5~60重量%の少なくとも1つの共重合可能なモノマー、ここで前記モノマーは、そのホモポリマーが-30℃より高いガラス転移温度を有するものから選択される、及び、iii)任意に0.5~20重量%の、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される官能基を有する少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーを含む;及び、(b)アクリル系コポリマーを触媒の存在下でUV硬化性官能基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させてUV硬化性アクリル系コポリマーを形成する工程、ここで、UV硬化性基を含む前記モノマーは、ビニル基及びエポキシ基、好ましくはエポキシ官能化アクリレート、より好ましくは(メタ)アクリル酸のグリシジルエステルを含むモノマーである、を含む。
【0012】
EP-A-0 017 364(Rohm & Haas)には、特に接着剤及びシーラントに使用してよいコポリマーが記載され、このコポリマーは、共重合光重合開始剤として0.1~10重量%のアリルベンゾイル安息香酸塩を含む。これらの材料はUV照射の使用により架橋され得るが、このような照射に対する反応性が低すぎるため、特に材料の層の深い地点では硬化効率が低くなると考えられている。さらに、コポリマーから製造された層は、特定の接着剤用途には十分な粘着性がないと考えられている。
【0013】
0.01~5重量%の共重合可能な2-アルコキシ-2-フェニル-2-ベンゾイルエチルアクリレートを含む架橋コポリマーの低い反応性及び効率の悪さも、米国特許第4,144,157号(Beiersdorf AG)の教示の欠点と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3,661,618号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開 3 252 088号明細書
【特許文献3】国際出願公開2011112643号
【特許文献4】欧州特許出願公開2960258号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開0 017 364号明細書
【特許文献6】米国特許第4,144,157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
実際には、共重合可能な光重合開始剤を含むコポリマーの低い硬化効率は、ホットメルト組成物の低いコーティング重量の使用により、又は適用される照射の投与量を増加させることによって緩和され得る。しかしながら、これらの解決策は、特定の用途においては望ましくないか、あるいは実際に実行可能でない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第一の態様に従って、フリーラジカル重合によって得られるコポリマーが提供され、前記コポリマーは、モノマーの総重量に基づいて:0.01~10重量%の、a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有する少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤;0.01~10重量%の、b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する、少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマー;及び80~99.98重量%の、c)エポキシド基又は光照射下で分解してラジカルを形成する部位を有さない、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0017】
重要な実施態様において、コポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、以下:0.05~5重量%、好ましくは0.05~2.5重量%の、a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部位を有する前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤;0.5~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%の、b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する、前記少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマー;及び90~99重量%、好ましくは95~99重量%の、c)エポキシド基又は光照射により分解してラジカルを形成する部位を有さない、前記少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0018】
典型的には、前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤a)は、一般式A-(B)bで表されてよく、式中:Aは、光照射下で分解してラジカルを形成する少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表し;Bは、エチレン性不飽和基を含む部分を表し;bは、1又は2に等しい整数、典型的には1である。一般式A-(B)bにおいて、Aは、光照射下で分解してラジカルを形成し得る少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表し、その又は各前記部分は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アントラキノン、9-フルオレノン、アントロン、キサントン、チオキサントン、アクリドン、ジベンゾスベロン、又はクロモンから選択される基を含む;Bは、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基を含む部分を表し;bは1又は2であり、典型的には1であることが好ましい。
【0019】
前記又は各重合性光重合開始剤がベンゾフェノン(メタ)アクリレートである場合、良好な結果が得られた。
【0020】
コポリマーに含まれる前記又は各エポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、100~700g/eq、好ましくは120~320g/eqの、前記エポキシド基と前記(メタ)アクリレート基との合計の当量を特徴とすることが好ましい。
【0021】
従来、コポリマーに含まれる前記又は各エポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸とポリエポキシド化合物との付加物である。このような付加物を形成するための例示的なポリエポキシド化合物は、多価アルコールのポリグリシジルエーテル;多価フェノールのポリグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル;及び、エポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素からなる群から選択されてよい。
【0022】
本発明の第二の態様に従って、光照射下で架橋可能な材料が提供され、前記材料は:本明細書及び添付の特許請求の範囲で定義されるコポリマー;及び、少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG)を含む。
【0023】
本発明はさらに、光照射下で架橋可能な反応性ホットメルト組成物を提供し、前記組成物は、組成物の重量に基づいて:40~99.99重量%の、i)本明細書及び添付の特許請求の範囲で定義される少なくとも1つのコポリマー;0.01~10重量%の、ii)少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG);0~60重量%の、iii)少なくとも1つの粘着付与樹脂;及び0~20重量%の、iv)ワックスを含む。
【0024】
このようなホットメルト組成物は、2つの光硬化機構を兼ね備え、重要な特性の組み合わせを示すと考えられる。第1に、組成物は特に、標準的なカチオン性ポリマーと比較して硬化時に高い熱安定性を示す。第2に、このような熱安定性は、ハイブリッド光重合開始剤系が効率的であり、組成物の貫通硬化が可能であるため、ホットメルト組成物の低いコーティング重量であっても実証される。これらの特性は、本開示の実施例において証明される。さらに、ホットメルト組成物は、2つの異なる波長で硬化するように配合され得、それによって組成物中の架橋度を制御できることに留意されたい。
【0025】
本明細書において上記で定義されるような反応性ホットメルト組成物の光照射下での架橋によって得られるコーティング、接着剤又はシーラントは、本発明のさらなる態様と考えられる。ホットメルト感圧接着剤(HMPSA)組成物は、この態様の重要な実施形態である。
【0026】
本開示は、上記で定義されるホットメルト組成物の硬化性フィルムを含む物品(A)をさらに提供し、前記フィルムは、剥離ライナー及び/又はキャリア基材上に配置される。物品(A)は、ラベル、片面テープ、転写テープ又は両面テープであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、剥離ライナーのない片面テープを示す。
【
図2】
図2は、片面テープ又は剥離ライナーを有するラベルに対応する、本発明の物品の一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による、1つの剥離ライナーを有する転写テープを示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による、2つの剥離ライナーを有する転写テープを示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による、1つの剥離ライナーを有する両面テープを示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による、2つの剥離ライナーを有する両面テープを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<定義>
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0029】
本明細書で用いられる用語「含む」(「comprising」、「comprises」及び「comprised of」)は、「含む」(「including」、「includes」、「containing」又は「contains」)と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の、引用されていない部材(members)、要素又は方法工程を除外しない。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「からなる」(「consisting of」)は、特定されていない要素、成分、部材又は方法ステップを除外する。完全性を期すため、用語「含む」(「comprising」)は「からなる」(「consisting of」)を包含する。
【0031】
量、濃度、寸法及びその他のパラメーターが、範囲、好ましい範囲、上限値、下限値、又は好ましい上限値及び制限値の形で表現されている場合、得られた範囲が文脈上明確に言及されているかどうかにかかわらず、任意の上限値又は好ましい値と任意の下限値又は好ましい値との組み合わせにより得られる範囲も具体的に開示されていると理解されるべきである。
【0032】
さらに、標準的な理解に従って、「0から」と表される重量範囲は、具体的には0重量%を含む:前記範囲によって定義される成分は、組成物中に存在してもしなくてもよい。
【0033】
用語「好ましい」、「好ましくは」、「望ましくは」及び「特に」は、特定の状況下で、特定の利点を与え得る本開示の実施形態を言及するために、本明細書で頻繁に使用されている。しかしながら、1つ以上の好ましい、好ましい、望ましい、又は特定の実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、それらの他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0034】
本出願において、「may」という単語は、義務的な意味ではなく、許容的な意味(つまり、可能性があるという意味)で使われる。
【0035】
本明細書で使用される室温は、23℃±2℃である。本明細書で使用される「周囲条件」とは、組成物が位置する、又は前記組成物から得られる接着剤、シーラント、コーティング、又は複合構造体が位置する周囲の温度及び圧力を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「水」は、水道水、湧水、精製水、脱イオン水、脱ミネラル水、及び蒸留水を包含することを意図する。水は、液体形態で本発明の組成物に含まれる。固体水は、硬化組成物の強度発現に必要な水和物の形成に動員できないため、固体水粒子(氷)の存在は望ましくない。
【0037】
本明細書において「塩基性」とは、酸ではなく塩基であることを意味する。より詳細には、酸及び塩基のルイス理論に従って、塩基は電子対ドナーである。この定義は、化合物がプロトン受容体として作用する化合物であるブレンステッド-ローリー塩基を包含するが、これに限定されない。
【0038】
本明細書において、「モノマー」及び「コモノマー」という用語は、それ自身又は他の類似の分子もしくは化合物との組み合わせにより、ポリマー、合成樹脂又はエラストマーに変換することができる分子を指す。この用語は、低分子に限定されず、オリゴマー、ポリマー、及びそれ自体又は他の類似の分子又は化合物と結合することができる他の大きな分子を含む。
【0039】
本明細書で使用する「マクロモノマー」とは、重合反応を進行させることができる少なくとも1つの官能基を有するポリマーを指す。したがって、マクロモノマーは、定義された構造のホモポリマー又はコポリマーに変換され得る高分子モノマーである。本明細書で使用するマクロモノマーは、1つの官能基に結合した2つ以上の重合体鎖を含むことを排除しない。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「(コ)ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー及びターポリマーを含む。
【0041】
本明細書で使用する「重合条件」とは、温度、圧力、雰囲気、重合混合物に使用される出発成分の比率、反応時間、又は重合混合物の外部刺激等、少なくとも1つのモノマーをポリマーに形成する条件である。重合方法は、バルク、又は溶液、又は他の従来の重合モードで実施され得る。方法は、重合メカニズムに適した反応条件のいずれかで操作される。
【0042】
「フリーラジカル重合」とは、重合条件下で、熱分解、光化学分解、又は酸化還元反応のいずれかによってラジカルを形成する重合開始剤の存在下で、モノマー組成物を重合させることを指す。
【0043】
本明細書において、「フリーラジカル開始剤」という用語は、十分なエネルギー(例えば光や熱の形態)に曝されると、電荷を帯びていないが、それぞれが少なくとも1つの不対電子を有する2つの部分に分解する化学種を指す。このように、熱フリーラジカル開始剤は、熱にさらされると遊離する。熱フリーラジカル開始剤としては、限定されるものではないが、過酸化物化合物、アゾ化合物、及び過硫酸塩化合物等が知られている。
【0044】
本明細書で使用される「光開始剤」という用語は、エネルギーを有する活性化ビーム(例えば、電磁放射線)を照射することにより活性化され得る化合物を示す。具体的には、本明細書において「フリーラジカル光開始剤」とは、フリーラジカルを生成する光活性化合物を指し、このラジカルは、本明細書において、組成物中に存在するC=C二重結合への付加によって重合又は反応を開始し得る。このようなフリーラジカル光重合開始剤は、従来、ノルリッシュI型光重合開始剤とノルリッシュII型光重合開始剤とに分類される。ノルリッシュI型ラジカル光重合開始剤は、活性放射線に曝されるとノルリッシュI型反応を起こす:この反応は、(非環状カルボニル化合物から)アシル-アルキルラジカル対、又は(環状カルボニル化合物から)アシル-アルキルビラジカルを一次光生成物として生じる、励起カルボニル化合物のα開裂としてIUPACにより定義される。ノルリッシュII型ラジカル光重合開始剤は、アクチニック放射線を照射する際ノルリッシュII型反応を起こす:この反応は、一次光生成物として1,4-ビラジカルを生成する、励起カルボニル化合物によるγ-水素の光化学的脱離としてIUPACによって定義される。
【0045】
本明細書で使用される用語「非プロトン性溶媒」は、プロトンを生成又は受容しない溶媒を指す。逆に、「プロトン性溶媒」とは、プロトンを生成又は受容できる溶媒のことである。本明細書で使用する「極性溶媒」とは、25℃で測定した5より大きい誘電率(ε)を有する溶媒を示す。この用語は、非プロトン性溶媒とプロトン性溶媒の両方を包含する。誘電率(ε)の測定は、当該技術分野において周知であり、当業者の知識の範囲内である:このような測定において、平行平板コンデンサを横切る測定電圧の使用が言及されてよい。
【0046】
本明細書において、粘着付与剤及びワックスに関して使用される軟化点(℃)という用語は、Ring&Ball軟化点であり、これは特に指示がない限りASTM E28に従って測定される。
【0047】
本明細書で使用する場合、「ホットメルト」という用語は、室温では実質的に非流動性であるが、例えば100~160℃の上昇した塗布温度で流動性状態に転化する組成物を表す。しかしながら、本発明の組成物は、「コールドフロー」を示すが、これは、本明細書において、適用される圧力、特に指圧下での室温での組成物の歪み又は粘性流動を指す。組成物は液体から固体への転移を示さず、一般に、圧力が取り除かれると元の寸法に戻らない。
【0048】
本明細書で使用する場合、「剥離ライナー」という用語は、感圧接着剤表面と密接に接触させた後、接着剤コーティングを損傷することなくその後剥がすことができる薄いフレキシブルシートを指す。剥離ライナーが構成され得る、又は構成され得る例示的な材料には、以下が含まれる:ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等;酢酸セルロース;ポリ塩化ビニル;ポリフッ化ビニリデン;ならびに、前述の熱可塑性プラスチックでコーティング又はラミネートされた紙基材。完全を期すために、被覆された紙又は熱可塑性材料は、しばしばシリコン処理されるか、そうでなければ向上した剥離特性を付与するために剥離剤で処理される。
【0049】
当技術分野において公知であるように、剥離ライナーは、典型的には、保管及び輸送のためにそのままにされ、接着操作が行われる場合にのみ取り外される。これにより、剥離ライナーは、組成物の汚染を防止すること、その取り扱いを容易にすること、その支持を提供すること、及び情報又は識別データの伝達を提供することを含む、多くの機能を果たす。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「キャリア」は、ホットメルト感圧接着剤組成物の硬化性フィルムが、フィルムを安定化させるようにコーティングされ得る材料を指す。キャリアは、ハンドリングを向上するために、物品に厚みを加え得る。キャリア基材は、硬化性フィルムの完全性に悪影響を与えることなく硬化性フィルムから剥がすことができないという点で、剥離ライナーとは異なる。キャリアはフレキシブルであってよく、従来、ポリマーフィルム、金属箔、発泡体、布、及びそれらの組み合わせから選択されてよい。例えば、キャリア基材は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、発泡体及び紙からなる群から選択されてよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「転写コーティング」という用語は、裏貼りによって支持されていない感圧接着剤の層又はフィルムを指す。
【0052】
本明細書において組成物の粘度が言及される場合、この粘度は、ASTM D 3236-88に従って、Thermosel加熱チャンバー及びブルックフィールド粘度計、スピンドル27、5rpmを使用して、記載された温度で測定した。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「塗布温度」は、組成物の粘度が実質的に流動性を有し、接触又は非接触技術によって基材上に流体として堆積され得るような温度を指す。
【0054】
本明細書で用いられる場合、用語「当量(eq.)」は、化学表記において通常であるように、反応中に存在する反応性基の相対数に関する。
【0055】
本明細書で用いられる「当量」という用語は、分子量を当該官能基数で割ったものを指す。そのため、「エポキシ当量」(EEW)とは、1当量のエポキシを含む樹脂のグラム単位での重量を意味する。
【0056】
本明細書で使用する用語「エポキシド」は、少なくとも1つの環状エーテル基の存在によって特徴付けられる化合物、すなわち、エーテル酸素原子が2つの隣接する炭素原子に結合し、それによって環状構造を形成する化合物を意味する。この用語は、モノエポキシド化合物、ポリエポキシド化合物(2つ以上のエポキシド基を有する)及びエポキシド末端プレポリマーを包含することを意図している。「モノエポキシド化合物」という用語は、1つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。「ポリエポキシド化合物」という用語は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。「ジエポキシド化合物」という用語は、2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。
【0057】
エポキシドは非置換であってよいが、不活性に置換されていてもよい。不活性置換基の例としては、塩素、臭素、フッ素及びフェニルが挙げられる。
【0058】
本明細書で使用される「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す略語である。したがって、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタアクリレートを集合的に指す。
【0059】
本明細書で使用される「C1-Cnアルキル」基は、1~n個の炭素原子を含む一価の基を指す、すなわちアルカンの基であり、直鎖及び分岐有機基を含む。したがって、「C1-C18アルキル」基は、1~18個の炭素原子を含む一価の基を指す、すなわちアルカンの基であり、直鎖及び分岐有機基を含む。アルキル基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;n-ブチル;イソブチル;sec-ブチル;tert-ブチル;n-ペンチル;n-ヘキシル;n-ヘプチル;及び2-エチルヘキシル。本発明において、そのようなアルキル基は、置換されていなくてもよく、又は1以上のハロゲンで置換されていてもよい。所定の部位(R)に適用可能な場合、アルキル基内の1以上の非ハロゲン置換基の許容が明細書に記載される。
【0060】
本明細書で使用される「C1-Cnヒドロキシアルキル」という用語は、1~n個の炭素原子を有するHO-(アルキル)基を指し、置換基の結合点は酸素原子を介しており、アルキル基は上記で定義した通りである。
【0061】
「アルコキシ基」は、-OAで表される一価の基を指し、Aはアルキル基である:その非限定的な例は、メトキシ基、エトキシ基及びイソ-プロピルオキシ基である。本明細書で使用される「C1-C12アルコキシアルキル」という用語は、上で定義したアルコキシ置換基を有するアルキル基を指し、ここで、部分(アルキル-O-アルキル)は、合計で1~12個の炭素原子を含む:このような基には、メトキシメチル(-CH2OCH3)、2-メトキシエチル(-CH2CH2OCH3)及び2-エトキシエチルが含まれる。
【0062】
本明細書で使用される用語「C2-C6アルキレン」は、2~6個の炭素原子を有する飽和二価炭化水素基として定義される。本開示において一般に、このようなアルキレン基は、非置換であってもよいし、1つ以上のハロゲンで置換されてもよい。具体的には、本明細書中の式(I)のモノマー内では、このようなアルキレン基(X)は、ハロゲン、OH又はCOOHから選択される1つ以上の基で任意に置換されていてもよい。
【0063】
「C3-C30シクロアルキル」という用語は、3~30個の炭素原子を有する、飽和の単環式、多環式炭化水素基を意味すると理解される。本発明において、このようなシクロアルキル基は、非置換であってもよいし、1以上のハロゲンで置換されていてもよい。所与の部分(R)について適用可能な場合、シクロアルキル基内の1以上の非ハロゲン置換基の許容は、本明細書中に記載される。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロヘプチル;シクロオクチル;アダマンタン;及びノルボルナンが挙げられる。
【0064】
本明細書で使用される用語「C3-C30ヒドロキシシクロアルキル」は、3個~30個の炭素原子を有するHO-(シクロアルキル)基を意味し、置換基の結合点は酸素原子を介しており、シクロアルキル基は上記で定義された通りである。
【0065】
本明細書において、「C3-C30シクロアルキレン」とは、3~30個の炭素原子を有するシクロアルキル基の1つ以上の環から2個の水素原子を除去することによって形成される2価のラジカルを意味する。
【0066】
本明細書で使用される、単独で、又はより大きな部分の一部として(「アラルキル基」のように)使用される「C6-C18アリール」基は、単環式環系が芳香族又は二環式又は三環式環系の環の少なくとも1つが芳香族である、単環式、二環式又は三環式環系を指す。二環式及び三環式環系には、ベンゾ縮合2~3員炭素環が含まれる。本発明において、このようなアリール基は非置換であってもよいし、1以上のハロゲンで置換されてもよい。所定の部分(R)について適用可能な場合、アリール基内の1以上の非ハロゲン置換基の許容が、本明細書中に記載される。例示的なアリール基には以下が含まれる:フェニル;(C1-C4)アルキルフェニル、例えばトリル及びエチルフェニル;インデニル;ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル;テトラヒドロアントラセニル;及びアントラセニル。また、フェニル基が好ましいことが言及され得る。
【0067】
「C6-C18アリーレン」は、上記で定義されるC6-C18アリール基の1つ以上の環から2つの水素原子が除去されることによって形成される2価の基を意味し、ここで水素原子は同一又は異なる環から除去されてよい。代表的な例としては、フェニレン及びナフチレンが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「C2-C20アルケニル」は、2~20個の炭素原子及び少なくとも1単位のエチレン性不飽和を有するヒドロカルビル基を意味する。アルケニル基は、直鎖、分岐、又は環状であり得、任意に1以上のハロゲンで置換されてよい。所与の部分(R)に適用可能な場合、アルケニル基内の1以上の非ハロゲン置換基に対する許容が、本明細書中に記載される。用語「アルケニル」はまた、当業者に理解されるように、「シス」及び「トランス」構成、又は代替的に、「E」及び「Z」構成を有する基を包含する。前記C2-C20アルケニル基の例としては、これらに限定されるものではないが、-CH=CH2;-CH=CHCH3;-CH2CH=CH2;-C(=CH2)(CH3);-CH=CHCH2CH3;-CH2CH=CHCH3;-CH2CH2CH=CH2;-CH=C(CH3)2;-CH2C(=CH2)(CH3);-C(=CH2)CH2CH3;-C(CH3)=CHCH3;-C(CH3)CH=CH2;-CH=CHCH2CH2CH3;-CH2CH=CHCH2CH3;-CH2CH2CH=CHCH3;-CH2CH2CH2CH=CH2;-C(=CH2)CH2CH2CH3;-C(CH3)=CHCH2CH3;-CH(CH3)CH=CHCH;-CH(CH3)CH2CH=CH2;-CH2CH=C(CH3)2;1-シクロペント-1-エニル;1-シクロペント-2-エニル;1-シクロペント-3-エニル;1-シクロヘキス-1-エニル;1-シクロヘキス-2-エニル;及び、1-シクロヘキス-3-エニルが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「アルキルアリール」は、アルキル置換アリール基を意味し、両基は上記で定義された通りである。更に、本明細書で使用する「アラルキル」とは、上記で定義したアリールラジカルで置換されたアルキル基を意味する。
【0070】
本明細書で用いられる用語「ヘテロ」は、N、O、Si及びS等の1以上のヘテロ原子を含む基又は部位を指す。したがって、例えば「複素環(ヘテロ環)」は、例えば、N、O、Si又はSを環構造の一部として有する環状基を指す。「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」及び「ヘテロアリール」部位は、それぞれ、それら構造の一部としてN、O、Si又はSを含む、本明細書で定義されたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基である。
【0071】
本発明の組成物は、本明細書において、特定の化合物、元素、イオン、又は他の同様の成分を「実質的に含まない」と定義される。用語「実質的に含まない」は、化合物、元素、イオン、又は他の同様の成分が組成物に意図的に添加されず、被膜の所望の特性に影響(悪影響)のない、せいぜい微量しか存在しないことを意味すると意図される。例示的な微量は、組成物の重量で1000ppm未満である。
【0072】
用語「実質的に含まない」は、特定の化合物、元素、イオン、又は他の同様の成分が組成物中に完全に存在しない、又は当技術分野で一般的に使用される技術によって測定可能な任意の量で存在しない実施形態を包含する。
【0073】
本明細書で使用される用語「無水」は、用語「実質的に水を含まない」と等価である。水は、所定の組成物に意図的に添加されることはなく、せいぜい、組成物の所望の特性に(悪影響を)及ぼさない微量しか存在しない。
【0074】
[コポリマーのモノマー]
<a)共重合可能な光重合開始剤>
本開示のコポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、0.01~10重量%の、a)エチレン性不飽和基及び光照射下で分解してラジカルを形成する部分を有する、少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤を含む。コポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、0.05~5重量%、好ましくは0.05~2.5重量%のa)前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0075】
ラジカルを形成するための前記部分の分解は、コポリマーの架橋を引き起こし、したがって架橋生成物を形成する。コポリマーにおける前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤a)の量は、照射時に得られるコポリマーの十分な架橋性能を可能にするのに十分である必要があるが、最終的な架橋生成物の接着特性又は通気特性の劣化を促進するほど高すぎてはならない。
【0076】
最も広義には、前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤は、式A-(B)bで示されてよく、式中、Aは、光照射下で分解してラジカルを形成する少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表し;Bは、エチレン性不飽和基を含む部分を表し;、bは、1~3、好ましくは1又は2の整数である。例えば、置換基Bは、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基を含んでよく、部分Aは、光照射下で分解してラジカルを形成し得る少なくとも1つの部分を含む、原子価bを有する置換基を表してよく、該又は各前記部分は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アントラキノン、9-フルオレノン、アントロン、キサントン、チオキサントン、アクリドン、ジベンゾスベロン又はクロモンから選択される基を含む。特に、部分Aは、アセトフェノン、ベンゾフェノン又はベンゾイン基を含んでよい。
【0077】
本発明の重要な実施態様において、a)前記少なくとも1つの共重合可能な光重合開始剤は、式(I):
【化2】
[式中、
R
0は、C
1-C
4アルキル、C
6-C
18アリール、又はR
00であり;
R
00は、以下構造;
【化3】
〔式中、
R
2~R
6は、独立して、H、OH、SH、ハロゲン化物、CN、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4アルコキシ、SR
8、COOH、COOR
8、N(R
8)
2、又はN(R
8)
3Qから選択され;
R
7は、H又はC
1-C
4アルキルであり;
各R
8は、独立して、C
1-C
6アルキル又はC
6-C
18アリールから選択される;
Qはハロゲン化物、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩又は硝酸塩である、
ただし、基R
2~R
6のjは、基:
【化4】
[ここで、
jは、1~3の整数、好ましくは1又は2であり;
各R’は、独立して、H、C
1-C
4アルキル又はC
6-C
18アリールから選択され;
R’’は、H又はC
1アルキルであり;
R’’’は、H又はC
1アルキルであり;
Spは、以下のタイプ:
【化5】
<式中、
kは、1~10の整数であり、
lは、0~25の整数であり;
mは、1~10の整数であり;
nは、0~25の整数であり;
各Xは、独立して、C
2-C
12アルキレン、C
3-C
18シクロアルキレン、又はC
6-C
18アリーレンから選択され;
各Yは、独立して、以下:
【化6】
からなる群から選択される2価のラジカルである>のスペーサー基を示す]
である〕
を有する]
に従う少なくとも1つのモノマーを含む、又はからなる。
【0078】
式(I)の中で、以下の好みが言及されてよい。これらの好みは互いに独立しているが、相互に排他的ではなく、前記好みの任意の組み合わせがなされてよい。
【0079】
R0は、好ましくは、C1-C4アルキル又はC6アリールであり;R2~R6は、好ましくは、独立してH、OH、C1-C4アルキル及びC1-C4アルコキシから選択され、より好ましくは、独立してH及びC1-C4アルキルから選択される;
R7は、好ましくはC1アルキルであり;各R8は、好ましくは、独立してC1-C6アルキルから選択され、より好ましくは、独立してC1-C4アルキルから選択され;各R’は、好ましくは、独立してH、C1-C4アルキル又はC6アリールから選択される。
【0080】
本発明を限定する意図はないが、本開示において有用であり得る例示的な共重合可能な光開始剤としては、ベンゾフェノン(メタ)アクリレート、ベンゾフェノン(メタ)アクリルアミド、アセトフェノン(メタ)アクリレート、及び以下の構造:
【化7】
を有するベンゾフェノン誘導体が挙げられる。
【0081】
特に好ましいのは、共重合可能な光重合開始剤として、ベンゾフェノンメタクリレートの使用が言及されてよい。
【0082】
<b)エポキシ(メタ)アクリレートモノマー>
本開示のコポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、0.01~10重量%の、b)少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレートモノマーを含み、前記モノマーは、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する。コポリマーが、モノマーの総重量に基づいて、0.05~5重量%、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.5~2.5重量%の、b)前記少なくとも1つのエポキシ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0083】
コポリマーに含まれる前記又は各エポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、好ましくは、100~700g/eq、特に120~320g/eqの、前記エポキシド基及び前記(メタ)アクリレート基の合計の当量を特徴とすることが望ましい。
【0084】
エポキシ(メタ)アクリレートモノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸と、ポリエポキシド化合物とを、得られる付加物中に少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基が保持されるような化学量論比で反応させることにより得ることができる。反応させるポリエポキシド化合物及び(メタ)アクリル酸の量を適当に変更することにより、所望の(メタ)アクリル化率を有するエポキシ化合物を得ることができる。例えば、エポキシド基1当量あたり反応させる(メタ)アクリル酸の量は、0.1~0.7当量であることが望ましい。
【0085】
本発明を限定する意図はないが、適当な反応体ポリエポキシド化合物は、液体、固体、又は溶媒中の溶液であってもよい。上記の特徴に基づいて、そのような反応体ポリエポキシド化合物は、100~700g/eq、例えば120~320g/eqのエポキシド当量を有することが望ましい。そして一般に、500g/eq未満、又は更には400g/eq未満のエポキシド当量を有するジエポキシド化合物が好ましい:これは主にコストの観点からであり、その製造において、低分子量のエポキシ樹脂は精製においてより限定された処理を必要とするからである。
【0086】
(メタ)アクリル酸と反応させてよいポリエポキシド化合物のタイプ又は群の例として、多価アルコール及び多価フェノールのポリグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル;及びエポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素が言及されてよい。
【0087】
ジエポキシド化合物の使用が好ましい。例えば、適当なジグリシジルエーテル化合物は、本質的に芳香族、脂肪族又は脂環式であってよく、したがって、二価フェノール及び二価アルコールから誘導できる。そして、そのようなジグリシジルエーテルの有用なクラスは以下である:脂肪族及び脂環式ジオールのジグリシジルエーテル、例えば1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,12-ドデカンジオール、シクロペンタンジオール及びシクロヘキサンジオール;ビスフェノールA系ジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ジグリシジルO-フタレート、ジグリシジルイソフタレート及びジグリシジルテレフタレート;ポリアルキレングリコール系ジグリシジルエーテル、特にポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリカーボネートジオール系グリシジルエーテル。言及されてよいその他の適当なジエポキシドとしては、二重不飽和脂肪酸C1-C18アルキルエステルのジエポキシド;ブタジエンジエポキシド;ポリブタジエンジグリシジルエーテル;ビニルシクロヘキセンジエポキシド;及びリモネンジエポキシドが挙げられる。
【0088】
更に例示的なポリエポキシド化合物としては、以下に限定されるものではないが、グリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;ポリグリセロールポリグリシジルエーテル;及びソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0089】
そして、非常に好ましい反応物ポリエポキシド化合物の例として、以下が挙げられる:
シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;1,2-エポキシ-4-(エポキシエチル)シクロヘキサン;ビスフェノールAエポキシ樹脂;ビスフェノールFエポキシ樹脂;ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂ブレンド;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、例えばDER(登録商標)732;エポキシノボラック樹脂、例えばDEN(登録商標)438;臭素化エポキシ樹脂、例えばDER(登録商標)542;ヒマシ油トリグリシジルエーテル例えばERISYS(登録商標)GE-35H;ポリグリセリン-3-ポリグリシジルエーテル、例えばERISYS(登録商標)GE-38;及びソルビトールグリシジルエーテル、例えばERISYS(登録商標)GE-60。
【0090】
エポキシアクリレート付加物を形成するのに有用なポリエポキシド化合物は、モノマー又はオリゴマーであってよいことに留意されたい。本発明の組成物におけるモノマーエポキシ(メタ)アクリレート化合物の含有は、一般に、硬質で耐摩耗性の特性を有する硬化物をもたらすと考えられる。逆に、オリゴマー多官能性(メタ)アクリレートの含有は、一般に、やや柔らかいが、より柔軟な硬化物をもたらす。もちろん、モノマー及びオリゴマー両方のエポキシ(メタ)アクリレートモノマーを使用することで、硬化物の所望の特性のバランスをとることができる。
【0091】
当業者に認識されるように、反応体ポリエポキシドのエポキシド官能基の部分(メタ)アクリル化は、典型的には塩基性触媒の存在下で行われ、該塩基性触媒としては、トリフェニルホスフィン(PPh3)、N,N’-ジメチルトルイジン、ピリジン、イミダゾール、トリエチルアミン及びトリブチルアミンが挙げられる。しかしながら、部分的にアクリル化された最終生成物中のこのような触媒の保持は、その生成物の貯蔵安定性に対して有害であり得る。貯蔵中の架橋反応(及びそれに伴う生成物の増粘及びゲル化)を防止するために、触媒残留物は、コポリマーの形成に使用される前に、エポキシ(メタ)アリレートモノマーから望ましくは除去されることが望ましい。残留触媒を除去するための例示的な方法は、特に以下:WO2011/078113;特開平5-332031;特開平11-012345;特開2002-145984A;特開2004-244543;特開2013-103950;及び特開2019-052273Aに開示されている。
【0092】
代替的な実施形態では、部分的に(メタ)アクリル化された反応生成物に、重合禁止剤(例えばキノン又はキノンメチド)を、その貯蔵前に添加さしてよい。しかしながら、このような禁止剤は、コポリマーを生成する重合反応中に存在する不純物を構成するため、必ずしも好ましくはない。
【0093】
上記はさておき、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する適当なエポキシ(メタ)アリレート化合物は、市販の供給源から入手されてよい。代表的な市販のエポキシ(メタ)アリレート化合物としては、以下に限定されるものではないが、グリシジルメタクリレート(GMA)(Sigma Aldrich社製);Uvacure(登録商標)1561及びUvacure(登録商標)1562(Daicel-Allnex Ltd.社製);及び、HCT-1(Henkel Corporation社製);Synas S-100(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)(Synasia社製)が挙げられる。
【0094】
<c)エチレン性不飽和モノマー>
本開示のコポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、80~99.98重量%の、c)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、このモノマーは、エポキシド基又は光照射によって分解可能な部分を有さない。コポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、90~99重量%、例えば95~99重量%の、c)前記少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含むことが好ましい。このようなモノマーは、原則として、任意のエチレン性不飽和モノマーであり得る。しかしながら、本発明は、(メタ)アクリレートモノマーが、コポリマー中に存在するエチレン性不飽和モノマーの総量の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%を構成する組成物に特に適用可能である。
【0095】
<c)i)脂肪族及び脂環式(メタ)アクリレートモノマー>
コポリマーは、c)i)式CI:
【化8】
[式中、
Gは、水素、ハロゲン又はC
1アルキル基であり;
R
1は、以下:C
1-C
30アルキル;C
1-C
18ヒドロキシアルキル;C
1-C
18アルコキシアルキル;C
2-C
30ヘテロアルキル;C
3-C
30シクロアルキル;C
2-C
8ヘテロシクロアルキル;C
2-C
20アルケニル;及びC
2-C
12アルキニルから選択される]によって表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含んでよい。
【0096】
例えば、R1は、以下:C1-C18アルキル、C1-C12ヒドロキシアルキル;C2-C18ヘテロアルキル、C3-C18シクロアルキル;C2-C8ヘテロシクロアルキル;C2-C8アルケニル、及びC2-C8アルキニルから選択されてよい。
【0097】
望ましくは、前記モノマーc)i)は、R1がC1-C18アルキル、C1-C6ヒドロキシアルキル及びC3-C18シクロアルキルから選択されることを特徴とする。
【0098】
式(CI)に従う(メタ)アクリレートモノマーc)i)の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;ブチル(メタ)アクリレート;ヘキシル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;ドデシル(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA);2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノドデシルエーテル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート;及びパーフルオロオクチル(メタ)アクリレート。
【0099】
<c)ii)芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
コポリマーは、c)ii)式CII:
【化9】
[式中、
Qは、水素、ハロゲン又はC
1アルキル基であり;
R
2は、C
6-C
18アリール、C
1-C
9ヘテロアリール、C
7-C
18アルコキシアリール、C
7-C
18アルカリル及びC
7-C
18アラルキルから選択される]
によって表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含んでよい。
【0100】
式(CII)に従う例示的な(メタ)アクリレートモノマーc)ii)-これらは単独で又は組み合わせて使用され得る-としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ベンジル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート;及びフェノキシプロピル(メタ)アクリレート。
【0101】
<c)iii)(メタ)アクリレート官能化オリゴマー>
コポリマーは、c)iii)(メタ)アクリレート官能化ポリウレタン、(メタ)アクリレート官能化ポリブタジエン、(メタ)アクリルポリオール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリアミド(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能化オリゴマーを含んでよい。
【0102】
前記オリゴマーc)iii)は、オリゴマー骨格に結合した1以上のアクリレート基及び/又はメタクリレート基を有してよく、これらの(メタ)アクリレート官能基は、オリゴマー上の末端位置にあってもよく、及び/又はオリゴマー骨格に沿って分布していてもよい。前記又は各(メタ)アクリレート官能化オリゴマーc)iii)は、コポリマーの誘導においてモノマーとして反応する;1分子当たり2以上の(メタ)アクリレート官能基を有する及び/又は、300~1000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。
【0103】
<c)iv)更なるエチレン性不飽和モノマー>
本発明は、本明細書に示したci)~ciii)の定義に適合しない、さらなるエチレン性不飽和モノマーの含有を排除しない。しかしながら、そのようなさらなるモノマーの添加は、前記さらなるモノマーc)iv)がエチレン性不飽和モノマーの総量の30重量%を超えないという条件によって制約されることが望ましい。
【0104】
本発明を限定する意図はないが、そのようなさらなるエチレン性不飽和モノマーは、以下を含んでよい:α,β-モノエチレン性不飽和モノカルボン酸;α,β-モノエチレン性不飽和ジカルボン酸;α,β-モノエチレン性不飽和ジカルボン酸のC1-C6アルキル半エステル;α,β-モノエチレン性不飽和トリカルボン酸;少なくとも1つの遊離カルボン酸基を有するα,β-モノエチレン性不飽和トリカルボン酸のC1-C6アルキルエステル;エチレン性不飽和スルホン酸、例えばビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸;マレイミドモノマー、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、及びシクロヘキシルマレイミド;ニトリル基含有ビニルモノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル;アミド基含有ビニルモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、及びVEOVA(登録商標)シリーズのモノマー(Shell Chemical Company製);ビニル及びハロゲン化ビニリデン;ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル;アルキルビニルケトン、シクロアルキルビニルケトン、アリールビニルケトン、アリールアルキルビニルケトン、及びアリールシクロアルキルビニルケトンを含むビニルケトン;芳香族又は複素環脂肪族ビニル化合物;アルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;オキシアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ビスフェノールA(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)。
【0105】
他のエチレン性不飽和重合性モノマーc)iv)の代表例としては、特に限定されないが、以下が挙げられる:エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA);メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びtert-ブタノール等のC1-C4アルコールとのフマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸の無水物、モノエステル及びジエステル。ビニルモノマーの代表例としては、特に限定されないが、以下が挙げられる:酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル;及びビニルエチルケトン等の化合物が挙げられる。芳香族又は複素環式脂肪族ビニル化合物の代表例としては、特に限定されないが、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン、2-ビニルピロリドン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、及び1-、3-及び4-ビニルシクロヘキセン等の化合物。
【0106】
完全を期すために、上述した共重合可能な酸モノマーは、典型的には遊離酸の形態で使用されることが望ましいが、共重合への参加を損なわない限り、モノマーの構成酸基を適当な塩基で部分的又は完全に中和することを排除するものではない。
【0107】
[フリーラジカル重合によるコポリマーの形成]
本開示のコポリマーは、フリーラジカル重合によって調製される。当業者に認識されるように、フリーラジカル重合は、3つの段階によって構成される:開始、開始剤の分解によって活性なフリーラジカルが生成し、このフリーラジカルは不対電子を有し、存在するモノマーと反応して開始ラジカル鎖を生成する;伝播:形成された開始ラジカル鎖が第2モノマー分子を攻撃し、その活性中心を攻撃された分子に移動させ、このプロセスが繰り返され、ポリマー鎖が成長する;及び、終結、高分子鎖の成長が停止し、活性中心を無効にすることによって重合が終結する。ラジカル重合において最も一般的な2つの終結メカニズムは、結合と脱プロトン化である。
【0108】
フリーラジカル重合は、バルク中、エマルジョン中、懸濁液中、又は溶液中で行われてよい。本発明を特に限定する意図はないが、コポリマーは、好ましくはフリーラジカル溶液重合によって調製される:このことは、コポリマーを溶解することもできる溶媒中のモノマーの溶液が、フリーラジカル重合によって、すなわち重合開始剤の存在下で重合されることを意味する。溶液中のモノマーの濃度は様々であってよいが、モノマーと溶媒との重量比が1:20~2:1、例えば1:2~1.5:1の範囲であるのが典型的である。
【0109】
フリーラジカル溶液重合反応は、1気圧(1.01325Bar)で測定して、少なくとも20℃、例えば少なくとも30℃又は少なくとも40℃の沸点を有する極性溶媒の存在下で行うことが望ましい。単独又は組み合わせて使用することができるこのような極性溶媒の例としては、これらに限定されないが:水;C1-C8アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール及びイソブタノール等;アセトニトリル;N,N-ジ(C1-C4)アルキルアシルアミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc);ヘキサメチルホスホルアミド;N-メチルピロリドン;ピリジン;エステル、例えば(C1-C8)アルキルアセテート、エトキシジグリコールアセテート、グルタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、シュウ酸ジプロピル、乳酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸ブチルオクチル及び安息香酸エチルヘキシル;ケトン、例えばアセトン、エチルケトン、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、及びメチルイソブチルケトン;エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、及び1,2-ジメトキシエタン;1,3-ジオキソラン;ジメチルスルホキシド(DMSO);並びにジクロロメタン(DCM)が挙げられる。例示的な実施形態において、重合反応は、(C1-C8)アルキルアセテート、特に酢酸エチルの存在下で行われる。
【0110】
上述したように、フリーラジカル重合は、少なくとも1つのラジカル発生熱開始剤によって誘発される。当業者には理解されるように、熱開始剤は、例えば、赤外線又はマイクロ波波長領域の加熱又は照射等、熱エネルギーにより活性化されてそのラジカルを生成すできる化合物である。重合組成物は、従来、重合性モノマーの総重量に基づいて、0.1~1重量%、例えば0.1~0.5重量%の前記少なくとも1つのラジカル発生熱開始剤を含むことが望ましい。
【0111】
本発明を限定する意図はないが、本明細書での使用に適したラジカル発生熱開始剤の例示的なクラスは、例えば以下から選択される有機過酸化物である:環状過酸化物;ジアシル過酸化物;ジアルキル過酸化物;ヒドロペルオキシド;ペルオキシカーボネート;ペルオキシジカーボネート;ペルオキシエステル;及びペルオキシケタール。
【0112】
特定の過酸化物(例えばジアルキル過酸化物)は、特に米国特許第3,419,512号(Lees)及び米国特許第3,479,246号(Stapleton)において有用な開始剤として開示されており、実際に本明細書においても有用であり得るが、ヒドロペルオキシドは本発明にとって好ましいクラスの開始剤である。さらに、過酸化水素そのものを使用してよいが、最も好ましい重合開始剤は有機ヒドロペルオキシドである。完全を期すために、ヒドロペルオキシドの定義に含まれるのは、その場で分解又は加水分解して有機ヒドロペルオキシドを形成する有機過酸化物又は有機ペレスターのような材料である:そのような過酸化物及びペレスターの例は、それぞれシクロヘキシル及びヒドロキシシクロヘキシルペルオキシド、及びt-ブチルペルベンゾエートである。
【0113】
本発明の一実施形態において、ラジカル発生熱開始剤は、式:
【化10】
[式中、R
pは、最大18個の炭素原子を含む脂肪族基又は芳香族基であり、好ましくは式中:R
pは、C
1-C
12アルキル基、C
6-C
18アリール基、又はC
7-C
18アラルキル基である]で表される少なくとも1つのヒドロペルオキシド化合物を含む、又はからなる。
【0114】
単独で又は組み合わせて使用され得る例示的な過酸化物開始剤として、以下が挙げられてよい:クメンヒドロペルオキシド(CHP);パラ-メンタンヒドロペルオキシド;t-ブチルヒドロペルオキシド(TBH);t-ブチルペルベンゾエート;t-ブチルペルオキシピバレート;ジ-t-ブチルペルオキシド;t-ブチルペルオキシアセテート;t-ブチルペルオキシ-2-ヘキサノエート;t-アミルヒドロペルオキシド;1,2,3,4-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジアセチルペルオキシド;ブチル4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート;p-クロロベンゾイルペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキシン-3(peroxyhex-3-yne);及び4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルペルオキシペンタン。
【0115】
本発明を限定する意図はないが、本明細書での使用に適したラジカル発生熱開始剤のさらなる例示的なクラスは、例えば以下から選択されるアゾ重合開始剤である:アゾニトリル;アゾエステル;アゾアミド;アゾアミジン;アゾイミダゾリン;及びマクロアゾ開始剤。
【0116】
適当なアゾ重合開始剤の代表例として、以下が挙げられてよい:2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル);2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル);2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル);2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル);1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル);4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸);ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート);2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド];2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド);2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド;2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン];2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド;2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物;4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンとのポリマー(VPS-1001、和光純薬工業株式会社製);及び、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)ポリエチレングリコールポリマー(VPE-0201、和光純薬工業株式会社製)。
【0117】
レドックス開始剤は、酸化剤と還元剤との組み合わせであり、本発明においても有用であってよい。適当な酸化剤は、環状過酸化物、ジアシル過酸化物、ジアルキル過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル及びペルオキシケタールからなる群から選択されてよい。対応する還元剤は、以下からなる群から選択されてよい:アルカリ金属亜硫酸塩;アルカリ金属水素亜硫酸塩;アルカリ金属メタ重亜硫酸塩;ホルムアルデヒドスルホキシレート;脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩;アルカリ金属水素硫化物;多価金属の塩、特にCo(ll)塩、及び硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、又はリン酸鉄(II)のようなFe(II)塩;ジヒドロキシマレイン酸;ベンゾイン;アスコルビン酸;及び還元性糖、例えばソルボース、グルコース、フルクトース及び/又はジヒドロキシアセトン。
【0118】
開始剤とは別に、フリーラジカル重合は、フリーラジカルを移動させるように作用し、得られるポリマーの分子量を低下させ、及び/又は重合における鎖成長を制御する連鎖移動剤の存在下で実施されてよいと考えられる。連鎖移動剤を添加する場合、重合性モノマーの総重量に基づいて、0.01~1重量%を構成することが望ましい。
【0119】
(コ)ポリマーPを製造するプロセスは、好ましくは、(コ)ポリマーが2000~50000ダルトン、例えば3000~25000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するような方法で実施される。重合開始剤と連鎖移動剤の量は、溶媒の選択も重要であるが、(コ)ポリマーの数平均分子量を大きく左右する。
【0120】
本発明を限定する意図はないが、従来の重合条件には、0~175℃、例えば25~125℃、又は50~100℃の範囲の温度が含まれる。重合圧力は一般に重要ではなく、そのようなものとして、重合は亜大気圧、大気圧、又は超大気圧で実施されてよい。圧力は別として、重合は、必要に応じて、酸素の排除下で実施されてよい:反応容器は、例えば、窒素、ヘリウム及びアルゴンの不活性で乾燥したガス状ブランケットを備えてよい。
【0121】
完全を期すために、本重合はバッチ又はセミバッチ手順として、又は連続手順として実施されてよいと考えられる。当業者に認識されるように、バッチ手順では、重合されるモノマー及び任意に重合手順で使用される溶媒が反応容器に装入され、一方、重合開始剤の大部分又は総量が重合の過程で反応容器に添加される。セミバッチ法では、重合開始剤と溶媒の少なくとも一部(最大及び総量を含む)が最初に反応容器に装入される。モノマーのごく一部も装入されるが、重合されるモノマーの大部分は重合の過程で反応容器に添加される。連続方法では、モノマー、重合開始剤、及び任意で溶媒を反応容器に連続的に添加し、得られたポリマーを重合容器から連続的に排出する。
【0122】
本発明の重合はセミバッチ手順で行うのが好ましい。特に、重合するモノマーの総重量の少なくとも75重量%を、重合反応の過程で反応容器に添加することが望ましい。
【0123】
コポリマーの異なる官能性モノマー(a)~c))を重合手順に導入するタイミングを限定する意図は特にない。モノマーは、(バッチプロセスの場合)重合開始時、又は(セミバッチ及び連続プロセスの場合)重合プロセス全体のいずれにおいても、一定のモル比で重合容器に供給されてよい。別の方法として、モノマーの種類のモル比は、重合の過程で変化させてよい:これは、重合の過程で、モノマーa)のみが重合容器に添加されるか、又は逆にモノマーb)もしくはモノマーc)のみが重合容器に添加される実施形態を包含することを意図している。当業者は、コポリマーの所望の形態又はランダム性、及びモノマーの反応性比に基づいて、適当なモル比を決定してよい。
【0124】
コポリマー反応生成物は、当該技術分野で公知の方法を用いて単離精製されてよく、好適な技術として、抽出、蒸発、結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが挙げられる。フリーラジカル溶液重合を行う場合、減圧下で溶媒と未反応の出発物質を留去することによってコポリマーを単離するのが最も好都合である。製造時に(任意に精製した)コポリマーを貯蔵することを意図する場合、ポリマーは、気密及び湿気のない密閉容器の中に配置されることが望ましい。保管容器は、光照射の透過を許すべきではない。
【0125】
[ホットメルト組成物]
上述のように、本開示はまた、反応性ホットメルト接着剤組成物を含む反応性ホットメルト組成物におけるコポリマーの使用も提供する。より具体的には、組成物の重量に基づいて、40~99.99重量%の、i)上記本明細書及び添付の特許請求の範囲で定義される少なくとも1つのコポリマー;0.01~1重量%の、ii)少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG);0~60重量%のiii)少なくとも1つの粘着付与樹脂;及び0~20重量%の、iv)ワックスを含む反応性ホットメルト組成物が提供される。
【0126】
成分ii)~iv)について、本明細書で以下にさらに詳細に説明する。
【0127】
<ii)イオン性光酸発生剤>
本発明のホットメルト組成物は、組成物の重量に基づいて0.01~10重量%、例えば0.01~5重量%の、ii)少なくとも1つのイオン性光酸発生剤(PAG)を含む。光エネルギーを照射すると、イオン性光酸発生剤はフラグメンテーション反応を起こし、1以上のルイス酸又はブレンステッド酸の分子を放出し、開環及びペンダントエポキシド基の付加を触媒して架橋を形成する。有用な光酸発生剤は熱的に安定であり、形成コポリマーと熱誘導反応を起こさず、硬化性組成物中に容易に溶解又は分散する。
【0128】
本発明のイオン性PAGのカチオン部分として使用され得る例示的なカチオンとしては、米国特許第4,250,311号、米国特許第3,113,708号、米国特許第4,069,055号、米国特許第4,216,288号、米国特許第5,084,586号、米国特許第5,124,417号、米国特許第5,554,664号、及び米国特許第8,030,401号に記載されているような有機オニウムカチオンが挙げられる。これらの文献は、脂肪族又は芳香族IVA族及びVIIA族(CASバージョン)中心のオニウム塩を特に包含し、I-、S-、P-、Se-N-及びC-中心のオニウム塩、例えば、スルホキソニウム、ヨードニウム、スルホニウム、セレノニウム、ピリジニウム、カルボニウム及びホスホニウムから選択されるものが好ましいことが言及されている。その具体例として、ジアリールヨードニウム;トリアリールスルホニウム;トリアリールスルホキソニウム;ジアルキルフェナシルスルホニウム;アルキルヒドロキシフェニルスルホニウム;及びアルキルフェニルヨードニウムを挙げることができる。
【0129】
当該技術分野で知られているように、イオン性光酸発生剤(PAG)中の対アニオンの性質は、コポリマーi)のエポキシド基のカチオン付加重合の速度及び程度に影響を及ぼし得、例示すると、一般的に使用される求核性アニオン間の反応性の順序は、SbF6>AsF6>PF6>BF4である。反応性に対するアニオンの影響は、当業者が本発明で補うべき3つの主要な要因に起因している:(1)生成するプロトン酸又はルイス酸の酸性度、(2)伝播するカチオン鎖におけるイオン対分離の程度、及び(3)フッ化物の収奪及びその結果としての鎖終結に対するアニオンの感受性。
【0130】
本組成物において有用である例示的なイオン性光酸発生剤として、以下が挙げられる:Irgacure(登録商標)250、Irgacure(登録商標)PAG 290及びGSID26-1(BASF SE製);Cyracure(登録商標)UVI-6990及びCyracure(登録商標)UVI-6974(Union Carbide製);Omnicat 320(IGM Resins USA Inc製);Degacure(登録商標)Kl 85(Degussa製);Optomer(登録商標)SP-55、Optomer(登録商標)SP-150及びOptomer(登録商標)SP-170(Adeka製);GE UVE 1014(General Electric製);及びSarCat(登録商標)CD 1012、SarCat(登録商標)KI-85、SarCat(登録商標)CD 1010及びCD SarCat(登録商標)1011(Sartomer製)。
【0131】
<iii)粘着付与樹脂>
本発明のホットメルト組成物は、組成物の重量に基づいて、0~60重量%の、iii)少なくとも1つの粘着付与樹脂を含む。慣例的に、組成物は、組成物の重量に基づいて、1~60重量%、例えば15~55重量%、又は25~55重量%の、iii)前記少なくとも1つの粘着付与樹脂を含むことが望ましい。組成物に含まれる前記、又は各粘着付与樹脂は、好ましくは以下:70~150℃の軟化点;及び150℃における2000Pa.s未満の粘度を特徴とする。
【0132】
本発明において単独で又は組み合わせて使用され得る例示的な粘着付与樹脂としては、以下が挙げられる:脂肪族及びシクロ脂肪族石油炭化水素樹脂;芳香族石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体;脂肪族/芳香族石油由来炭化水素樹脂、及びその水素化誘導体;ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、及び芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂;テルペン、芳香族テルペン、及び水素化テルペン;ポリテルペン、芳香族変性ポリテルペン、及びテルペンフェノール;α-メチルスチレンとさらなるビニル芳香族モノマーとのコポリマー;α-メチルスチレンフェノール;並びに、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、トール油ロジン、トール油ロジンエステル、及び水素化ロジンエステル。
【0133】
α-メチルスチレンとさらなるビニル芳香族モノマーとのコポリマーの含有に関しては、前記コポリマーが、少なくとも40,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を特徴とすることが好ましい。そして、前記コポリマーのビニル芳香族モノマーとして、以下を挙げることができる:スチレン;4-tert-ブチルスチレン;o-メチルスチレン;p-メチルスチレン;ジビニルベンゼン;1,1-ジフェニルエチレン;ビニルナフタレン;N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン;N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン;及びこれらの組み合わせ。
【0134】
本発明において有用性を有する例示的な市販の粘着付与樹脂としては、以下が挙げられる:商品名Foral 85(グリセリルエステル)及びFormal 105(ペンタエリスリトールエステル)のロジンエステル(Eastman Chemical社製);Piccolyte S-10、S-25、S-70、S-85、S-100、S-115、S-125、及びS-135ポリテルペン樹脂(Pinova社製);Arkon(登録商標)P-70、P-90、P-100、P-125、P-115、M-90、M-100、M-110及びM-120水素化C5及び/又はC9炭化水素原料(荒川化学製);Eastotac(登録商標)H-100、H-115、H-130、及びH-142R(Eastman Chemical社製);Escorez(登録商標)5300、5320、5380、5400、5600及び5637(Exxon Chemical製)、WINGTACK(登録商標)95及びWINGTACK(登録商標)Extra(Sartomer製);Regalite R9001及びRegalite S5100(Eastman Chemical社製)、Sylvares(登録商標)520、525、540、SA85、SA100、SA115、SA120、及びSA140(Kraton Corporation製)。
【0135】
<iv)ワックス>
ワックスは、本開示の組成物の任意成分を構成する。本ホットメルト組成物は、組成物の重量に基づいて、0~20重量%の、iv)ワックスを含んでよい。添加される場合、組成物は、組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%、例えば0.1~10重量%の、iv)ワックスを含むことが望ましい。前記ワックスは、その溶融粘度を低下させるためにホットメルト組成物に添加される。室温で固体であるこれらのワックスは、接着剤のセットアップ時間及び軟化点を決定してもよい。
【0136】
本発明を限定する意図はないが、本発明において有用性を有するワックスは、50~150℃の軟化点を有することが望ましく、500~7500の数平均分子量(Mn)を有するポリエチレン;石油ワックス、例えばパラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス;一酸化炭素と水素を重合させることによって作られる合成ワックス、例えばフィッシャートロプシュワックス;ポリオレフィンワックス;及び水素化動物油、魚油又は植物油のうちの1つ以上を含んでよい。
【0137】
耐熱性を付与するために、組成物のワックスが少なくとも1つの官能化されたポリオレフィンを含む、又はからなることが好ましい。組成物に含まれる前記又は各官能化ポリオレフィンは、好ましくは、2,000~20,000ダルトン、例えば2,500~15,000ダルトンの重量平均分子量によって特徴付けられることが望ましい。
【0138】
機能性ポリオレフィンが誘導され、単独で又は組み合わせて使用され得る代表的なオレフィンモノマーとしては、これらに限定されないが、エチレン;プロピレン;ブチレン;ペンテン;ヘキシレン;ヘプテン;及びオクテンが挙げられる。エチレン及び/又はプロピレンが好ましいことが言及されてよい。
【0139】
代表的な官能基化モノマーとしては、脂肪族及び脂環式(メタ)アクリレートモノマー;芳香族(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリレート官能化オリゴマー;4~6個の炭素原子を含むα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸、及びそれらの酸の無水物、モノエステル、及びジエステル;3~5個の炭素原子を含むα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;クロトン酸のC1-C18アルキルエステル;シリコーン(メタ)アクリレートモノマー、例えば、米国特許第5,605,999号(Chu)によって教示され、特許請求の範囲に開示されているようなもの;アルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;オキシアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びVEOVA(登録商標)シリーズのモノマー(Shell Chemical Company製)等;ビニル及びビニリデンハライド;ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル等;及びアルキルビニルケトン、シクロアルキルビニルケトン、アリールビニルケトン、アリールアルキルビニルケトン、及びアリールシクロアルキルビニルケトンを含むビニルケトンが挙げられる。
【0140】
前述のモノマーのうち、4~6個の炭素原子を含むα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸、及びそれらの酸の無水物、C1-C4アルキルモノエステル及びC1-C4アルキルジエステルが特に好ましいことが言及されてよい。無水フマル酸、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸の使用が好ましく、中でも無水マレイン酸の使用が最も好ましい。そして、組成物が、マレイン化ポリエチレン;マレイン化ポリプロピレン;又は、マレイン化ポリ(エチレン-コ-プロピレン)のうちの少なくとも1つを含む場合、良好な結果が得られた。
【0141】
完全を期すために、本明細書において有用であり得る例示的な市販のマレイン化ポリエチレン及びマレイン化ポリプロピレンポリマーとしては、以下が挙げられる:EPOLENE E-43、G-3015、及びG-3003(Eastman Chemical製);A-C 575、A-C 573(Honeywell製);Fusabond E及びFusabond P(DuPont製)。
【0142】
<添加剤及び補助成分>
本発明で得られるホットメルト組成物は、典型的には、これらの組成物に向上した特性を付与することができる助剤(アジュバント)及び添加剤をさらに含む。例えば、助剤及び添加剤は、弾性回復を含む弾性特性;処理時間;硬化時間;及び残留タックを決定し得る。このような助剤及び添加剤に含まれるものは:可塑剤;UV安定剤を含む安定剤;充填剤;乾燥剤;接着促進剤;空気放出剤;消泡剤;難燃剤;レオロジー助剤;及び二酸化チタン、酸化鉄又はカーボンブラックのような着色顔料である。完全を期すために、組成物は、溶剤及び非反応性希釈剤を実質的に含まないことが望ましいことに留意されたい。
【0143】
このような助剤及び添加剤は、組成物の性質及び本質的特性に悪影響を及ぼさない限り、所望の組み合わせ及び割合で使用することができる。場合によっては例外も存在するが、これらの助剤及び添加剤は、全体で組成物全体の50重量%を超えて含むべきではなく、好ましくは組成物の20重量%を超えて含むべきではない。
【0144】
本発明の目的のための「可塑剤」は、組成物の粘度を低下させ、従ってその加工性を容易にする物質である。本明細書において、可塑剤は、組成物の総重量に基づいて最大5重量%を構成してよく、好ましくは、:ポリジメチルシロキサン(PDMS);ジウレタン;単官能性、直鎖又は分岐のC4-C16アルコールのエーテル、例えばCetiol OE(Cognis Deutschland GmbH製、Duesseldorf);アビエチン酸、酪酸、チオ酪酸、酢酸、プロピオン酸エステル及びクエン酸のエステル;ニトロセルロース及びポリ酢酸ビニルに基づくエステル;脂肪酸エステル;ジカルボン酸エステル;OH基含有又はエポキシ化脂肪酸のエステル;グリコール酸エステル;安息香酸エステル;リン酸エステル;スルホン酸エステル;トリメリット酸エステル;ポリエーテル可塑剤、例えば末端キャップポリエチレン又はポリプロピレングリコール等;ポリスチレン;炭化水素可塑剤;塩素化パラフィン;及びこれらの混合物からなる群から選択される。原則として、フタル酸エステルを可塑剤として使用できるが、これらはその毒物学的な潜在性のために好ましくないことに留意されたい。可塑剤は、1つ以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、又はからなることが好ましい。
【0145】
本発明の目的のための「安定剤」は、酸化防止剤、紫外線安定剤又は加水分解安定剤と理解される。本明細書において、安定剤は、組成物の総重量に基づいて、全体で最大10重量%又は最大5重量%を構成してよい。本明細書での使用に適した安定剤の標準的な市販例としては、立体障害フェノール、そのうちのIrganox 1726はBASFから入手可能な市販例である;チオエーテル;ベンゾトリアゾール;ベンゾフェノン;ベンゾエート;シアノアクリレート;アクリレート;ヒンダードアミン光安定剤(HALS)タイプのアミン;リン;硫黄;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0146】
前述のように、本発明による組成物は、追加的に充填剤を含むことができる。ここで適当なものは、例えば、チョーク、石灰粉、沈降及び/又は焼成ケイ酸、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻土、アルミナ、クレー、タルク、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、マイカ、ガラス粉、及び他の粉砕鉱物物質である。有機フィラーも使用でき、特にカーボンブラック、グラファイト、木質繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、綿、木片、刻んだわら、もみ殻、すりつぶしたクルミの殻、及びその他の刻んだ繊維も使用できる。ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維などの短繊維も添加できる。アルミニウム粉末も同様に充填剤として適している。
【0147】
さらなる充填剤として、鉱物シェル又はプラスチックシェルを有する中空球体も言及されてよい。これらは、例えば、Glass Bubbles(登録商標)の商品名で市販されている中空ガラス球であり得る。Expancel(登録商標)又はDualite(登録商標)のようなプラスチック系の中空球を使用してもよく、プラスチック系の中空球はEP 0 520 426 B1に記載されている。これらは無機又は有機物質から成り、それぞれ1mm以下、好ましくは500μm以下の直径を有する。
【0148】
組成物にチキソトロピー性を付与する充填剤は、多くの用途に好ましい場合がある:このような充填剤は、レオロジー補助剤としても記載され、例えば水素化ヒマシ油、脂肪酸アミド、又はPVCのような膨潤性プラスチックである。
【0149】
本発明の組成物中に存在する充填剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~20重量%である。塗布温度における硬化性組成物の所望の粘度は、典型的には、添加される充填剤の総量によって決定される。
【0150】
硬化性接着剤の基材表面への接着性を高めるのを助けるために、金属キレート特性を有する化合物を本発明の組成物に使用してよいことに留意されたい。さらに、接着促進剤としての使用にも適しているのは、King Industries社からK-FLEX XM-B301の商品名で販売されているアセト酢酸官能化改質樹脂である。
【0151】
更なる例示的な接着促進剤として、式(BII):
【化11】
[式中:各Rは独立してメチル又はエチルから選択され;nは1~10である]
を有するグリシドキシアルキルアルコキシシランが言及されてよい。
【0152】
例示的なシランとしては、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン;及び8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン。存在する場合、エポキシド官能性シランは、コポリマーi)の総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは10重量%未満又は5重量%未満を構成することが望ましい。
【0153】
[方法と用途]
反応性ホットメルト接着剤組成物は、予め決められた量の構成成分を一緒にすることによって配合されてよい。成分が混合されるこれらの実施形態において、これは、当技術分野で公知の混合技術のいずれかを使用して実施されてよい:しかし、成分が手動で混合されるのではなく、代わりに例えば、静的ミキサー又は動的ミキサー等の機械によって、無水条件下で、意図的な光照射を行わずに、予め決定された量で混合されることが確実に好ましいであろう。
【0154】
混合手順の第1代表例は、ハイブリッドベースポリマーを除く全ての成分を、ローターを備えたジャケット付き混合ケトルに入れ、その後、混合物の温度を、添加されるベースポリマーの軟化点を超える温度へ上昇させることを含む:100℃~160℃の温度が十分であるが、正確な温度は特定の成分の軟化点と融点に依存することが理解されよう。続いて、ポリマーを撹拌下でケトルに導入し、一貫した均質な混合物が形成されるまで撹拌を続ける。ケトルの内容物は、混合方法全体を通して、二酸化炭素又は窒素等の不活性ガスで保護されてよい。
【0155】
混合手順の第2代表例では、まずベース共重合体の化学的性質に適合した樹脂又は油を混合ケトルに投入する。次に樹脂又は油を溶融又は調整して液体を得、これにベース共重合体を段階的に加えて液体中に溶解させる。ベースポリマーの添加後、残りの成分を混合ケトルに添加する。
【0156】
さらに代表的な例では、組成物の全成分を一緒にするか、又は固体形態で一緒に均質に混合されてよい。次いで、供給された固体を溶融槽に配置し、溶融形態で吐出するために必要な温度にすることができる。この場合も、溶融タンクの正確な温度は、特定の成分の軟化点及び融点に依存する。
【0157】
一般に、ホットメルト組成物は、刷毛塗り;ロールコーティング;ドクターブレード塗布;印刷法;噴射(jetting);オメガコーティング;コントロールシームコーティング;ドットコーティング;及びエアアトマイズスプレー、エアアシストスプレー、エアレススプレー、高容量低圧スプレー、スロットスプレー及びカーテンスプレーコーティングを含むがこれらに限定されないスプレー法等の従来の方法によって基材に塗布されてよい。ホットメルト組成物がポッティング操作に用いられるその実施形態では、組成物は通常、静的ポッティング又は遠心ポッティングによって規定された鋳型に導入される。静的ポッティング法では、金型が実質的に静止している間に組成物がポッティング金型に導入される。遠心ポッティング法では、ポッティング組成物は、金型の回転によりポッティング組成物が遠心力によって回転金型の端部に向かって強制されるように、金型が回転している間にポッティング金型に導入される。静的ポッティング法でも遠心ポッティング法においても、ホットメルト組成物の導入は接触式でも非接触式でもよい。
【0158】
コーティング、接着剤及びシーラント用途では、組成物を10~500μmの湿潤膜厚に塗布することが推奨される。上記と相互に排他的であることを意図するものではない別の記載では、組成物の塗布重量が1平方メートル(gsm)当たり50~250gsm、好ましくは50~150gsmとなるように組成物を塗布することが推奨される。
【0159】
前述のいずれの塗布方法においても中心となるのは、ホットメルト組成物が、塗布される基材を被覆するために、塗布時に十分に流動性であることである。基材が多孔質である特定の状況では、ホットメルト組成物は、その基材に浸透するのに十分な流動性を有するようになる。従って、ホットメルト組成物は、120℃で測定される最大100000mPa・sの溶融粘度を特徴とすることが好ましい。
【0160】
それはさておき、有用な塗布温度は、典型的には100℃~160℃又は110℃~150℃の範囲であり、この範囲内のより低い温度は、硬化性組成物の使用寿命を延長し得るので好ましい。組成物の温度は、マイクロ波誘導を含む従来の手段を使用して、その混合温度を超えて塗布温度へ上昇させることができる。
【0161】
塗布直後、塗布された組成物は光照射下で硬化される。塗布された組成物の硬化を促進するために使用されるエネルギー源は、紫外線(UV)放射、赤外線(IR)放射、可視光線、X線、ガンマ線、又は電子ビーム(e-beam)のうちの少なくとも1つを放出する。塗布後、市販の硬化装置を用いて照射する場合、組成物は、典型的には2分未満、一般的には0.1~100秒(例えば3~12秒)で活性化されてよい。完全を期すために、組成物の活性化は、コーティングされた基材が、放射線を放出しながら硬化装置の下で搬送されるインラインプロセスにおいて効果的に行われてよい:前述の活性化時間は、このようなインラインプロセスにおける照射への塗布組成物の曝露時間であることが理解されよう。
【0162】
照射紫外線は、通常、150~600nm、好ましくは200~450nmの波長を有することが望ましい。有用な紫外線光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低輝度蛍光灯、メタルハライドランプ、マイクロ波ランプ、キセノンランプ、UV-LEDランプ、並びに、エキシマレーザー及びアルゴンイオンレーザー等のレーザービーム光源が挙げられる。
【0163】
塗布される組成物を硬化するために電子ビームを使用する場合、操作装置の標準的なパラメーターは、0.1~100keVの加速電圧;10~10-3Paの真空;0.0001~1アンペアの電子電流;及び0.1ワット~1キロワットの電力である。
【0164】
個々の組成物を十分に硬化させるのに必要な(例えば、その被膜が固定されるような)放射線の量は、放射線の照射角度及び適用される組成物の厚さを含む種々の要因に依存する。しかしながら、大まかに、5~5000mJ/cm2の硬化投与量が典型的なものとして挙げられる:50~500mJ/cm2、例えば50~200mJ/cm2の硬化投与量は、非常に効果的であると考えてよい。
【0165】
本発明による反応性ホットメルト組成物は、特に、鋳造樹脂;ポッティング樹脂及び封止樹脂;繊維及び/又は粒子の結合剤;ガラスのコーティング;鉱物建材のコーティング、例えば石灰及び/又はセメント結合プラスター、石膏含有表面、繊維セメント建材及びコンクリート;木材及び木質材料のコーティング及びシーリング、例えばチップボード、繊維ボード及び紙;金属表面のコーティング;並びに種々のプラスチック表面のコーティング及び封止において有用性を見出し得る。
【0166】
ホットメルト組成物は、第1及び第2基材の接合に使用できることは明らかである:広義には、組成物は2つの基材の間に塗布され、光照射下で硬化する。このような接合操作は、ホットメルト組成物の直接塗布と、以下に詳述する転写を介した塗布という2つの主な技術を用いて実施することができる。第1実施形態では、ホットメルト組成物を第1基材の少なくとも一方の表面(S1)及び第2基材の少なくとも一方の表面(S2)に塗布し、第1及び第2基材の各表面(S1、S2)は、組成物を介在させて接触される。代替実施形態では、ホットメルト組成物は、第1基材の表面にのみ塗布され、その表面は、その後、第2基材と接触させられる。
【0167】
第1基材(S1)及び第2基材(S2)は、同一であっても異なっていてもよいが、いずれの場合も特に制限されない。接合されてよい基材は、例えば、以下を含む、又はからなる:鉄系金属材料、例えば鉄、ステンレス鋼、冷間圧延鋼、及び電気亜鉛めっき鋼;非鉄金属材料、例えばアルミニウム、亜鉛、及びそれらの合金;シリコン材料、例えばガラス、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は酸化シリコン;エンジニアリングプラスチック;熱可塑性プラスチック、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等が挙げられるポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、及びアクリロニトリル ブタジエン スチレン(ABS);並びに炭素材料、例えば炭素繊維。
【0168】
完全を期すために、第1及び第2基材の形状も、基材が接着可能な形状を有する限り、特に制限されない。望ましくは、接着される第1基材は、第2の基材の表面と相補的な形状を有する表面を有し、第1及び第2の基材が、その間に配置された組成物と嵌合することを可能にする。
【0169】
上述したように、第1及び第2基材(S1、S2)は、転写法によって一緒に接合されてもよい。そのような方法は:(i)上記で定義されたホットメルト組成物の硬化性フィルムを含む物品(A)であって、フィルムが剥離ライナー及び/又はキャリア基材上に配置されている物品(A)を提供する工程;(ii)物品の硬化性フィルムを基材(S1、S2)の少なくとも1つに付着させる工程;(iii)基材(S1、S2)を嵌合させる工程;及び、(iv)一緒に接着される基材間でフィルムを硬化させる工程であって、物品(A)の剥離ライナーが存在する場合、工程(ii)の前及び/又は後に除去される、工程、を含む。
【0170】
剥離ライナー及び/又はキャリア基材上に配置された、上記で定義されたホットメルト組成物の硬化性フィルムを含む物品(A)は、本開示のさらなる態様を表す。物品(A)は、ラベル、片面テープ、転写テープ、又は両面テープであってよい。
【0171】
本開示を限定する意図はないが、完全を期すために、添付図面を参照して例示的な物品(A)を説明する:
【0172】
図1では、キャリア(102)及び硬化性フィルム(103)から構成される片面テープ(101)が示されている。
図2に描かれる実施形態は、片面テープ又はラベル(201)のいずれかであり得、このテープ又はラベルは、キャリア(102)及び硬化性フィルム(103)からなる:硬化性フィルム(103)は、硬化性フィルムを保護し、硬化性フィルム(103)の不要な接着を防止するために、剥離ライナー(104)で覆われる。
【0173】
図3及び
図4は、硬化性フィルムを剥離ライナーからターゲット表面(S
1、S
2)に転写するために特に有用な転写テープを示す。
図3において、転写テープ(301)は、ホットメルト組成物の硬化性フィルム(103)で被覆された剥離ライナー(104)から構成される。剥離ライナー(104)は、両面に剥離特性を有することが望ましいが、それらの面に同等の剥離特性を有するべきでない。その結果、転写テープ(301)をロールから巻き取ったり、巻き戻したりする際に、剥離ライナー(104)の両面の剥離効果に差が生じる。
【0174】
図4では、転写テープ(401)は、第1剥離ライナー(104)と第2剥離ライナー(105)の間に挟まれた硬化性フィルム(103)から構成される。第1剥離ライナー(104)と第2剥離ライナー(105)は、硬化性フィルムに対して異なる剥離特性を有していてもよく、これにより、これらのライナー(104、105)を互いに独立して剥離することができる。
【0175】
両面粘着テープ(501)は、
図5に描かれ、キャリア(102)の第1面上の第1硬化性フィルム(103)と、キャリア(102)の第2面上の第2硬化性フィルム(106)とを有するキャリア(102)から構成される。第1硬化性フィルム(103)及び第2硬化性フィルム(106)は、これらは、同じであっても異なっていてもよく、前記ホットメルト組成物の少なくとも1つが本開示に従って提供されるという但し書きを条件として、同じ又は異なるホットメルト組成物から得られてもよい。剥離ライナー(104)は、第2硬化性フィルム(106)を覆って保護し、このライナー(104)は、両面において剥離特性を有することが望ましいが、それらの面において同等の剥離特性を有するべきではない。このような状況、すなわち、ロールから転写テープ(501)を巻き取ったり巻き戻したりするとき、剥離ライナー(104)の両面の剥離効果には差が生じる。
【0176】
両面接着テープ(601)の第2実施形態は
図6に提供される。描かれているテープ(601)は、キャリア(102)の第1面上の第1硬化性フィルム(103)と、キャリア(102)の第2面上の第2硬化性フィルム(106)とを有するキャリア(102)から構成される。第1硬化性フィルム(103)及び第2硬化性フィルム(106)は、同じであっても異なっていてもよく、すなわち、前記ホットメルト組成物の少なくとも1つが本開示に従って提供されるという但し書きを条件として、それらは同じ又は異なるホットメルト組成物から得られてよい。第1剥離ライナー(104)は、第1硬化性フィルム(103)を覆って保護する。第2剥離ライナー(105)は、第2硬化性フィルム(106)を覆って保護する。第1剥離ライナー(104)及び第2剥離ライナー(105)は、硬化性フィルム(103、106)に対して異なる剥離特性を有してよい。
【0177】
前述の物品(A)を形成において、ホットメルト組成物は、剥離ライナー及び/又は担体に塗布され、次いで冷却される。冷却は、例えば、内部を循環する冷水を有するコーティングロールによって搬送される基材にホットメルト組成物を塗布することによって行われ得る。あるいは、ホットメルト組成物、及び基材(又は基材の熱可塑性前駆体)をラミネートとして共押出し、このラミネートを冷却し、任意に延伸して部分配向と結晶化を誘導され得る。
【0178】
(特に、使用される特定の組成物、その塗布厚さ、及び製造装置の操作条件を含む)製造方法のパラメーターは、もちろん、配向の程度に影響を与え、その結果、感圧接着剤の異方性、タック、及び剥離力特性に影響を与え得る。例えば、冷却速度が遅い場合、冷却された感圧接着剤は高いタックと等方的な剥離力を有し得る。冷却速度が速くなると、感圧接着剤のタックは低くなり、剥離力はより異方的になる。冷却速度が速い場合、冷却された感圧接着剤は、感圧タックがかなり低く、低いか又は感知できない剥離力を有し得る。
【0179】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0180】
実施例では以下の化合物を使用した:
4-(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン:ラジカル硬化型光重合開始剤、Molbase社製。ビス[4-ジフェニルスルホニウムフェニル]スルフィド-ビスヘキサフルオロアンチモネート:光酸発生剤;Toronto Research Chemical社製。チオフェノキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:光酸発生剤;Toronto Research Chemicals社製。3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート:モノマー、エポキシ当量200g/eq、Synasia社製。2-エチルヘキシルアクリレート:モノマー、Sigma Aldrich社製。メチルアクリレート:モノマー、Sigma Aldrich社製。ブチルアクリレート:モノマー、Sigma Aldrich社製。アクリル酸:モノマー、Sigma Aldrich社製。
【0181】
実施例では以下の略号を用いた:RT:室温;AF:接着不良;CF:凝集不良;TF:転写不良;HDPE:高密度ポリエチレン;PP:ポリプロピレン;PVC:ポリ塩化ビニル;PS:ポリスチレン;PMMA:ポリメチルメタクリレート;ABS:アクリロニトリル ブタジエン スチレン;PA:ポリアミド。
【0182】
以下の分析試験を、本明細書で後述するホットメルト組成物に対して実施した。完全を期すために、剥離強度試験、静的せん断試験及びせん断接着破壊試験(SAFT)は、:多数の異なるコーティング重量(グラム/平方メートル、gsm);及び反応性ホットメルト組成物の硬化のための多数の異なるUV照射量で実施した。
【0183】
粘度:本明細書に記載した粘度は、ASTM D 3236-88に従い、11gの材料の試料を含むサーモセル加熱チャンバー及び1~5rpmのブルックフィールド粘度計スピンドル27を使用して、120℃、130℃及び140℃で測定した。
【0184】
剥離強度:このパラメーターは、国際標準化機構(ISO)規格29862に従い、以下のように測定した。各接着部材を25mm×150mmのフィルムに切断し、これを2kgのローラーを10mm/sの速度で3ストローク往復させることにより、標準化された被着体上にラミネートした。この積層体を室温で所定の時間放置した。被着体表面から接着フィルムを180度方向に300mm/分の規定速度で剥離した。この剥離に要した力(剥離力)を測定し、接着強度(N/inch)として記録した。
【0185】
せん断接着破壊試験(SAFT):Elastocon社製の測定器ES 07-IIを使用して、ASTM D4498に従い、せん断下でのホットメルト組成物のホットフェイル(hot-fail)温度を試験した。各接着部材を25mm×25mmのフィルムに切断し、2kgのローラーを10mm/sの速度で2往復させることにより、標準化された被着体上にラミネートした。各部材に重り(1kg)を取り付け、室温から制御された速度(0.5℃/分)で、200℃に達するか接着部材が破損するまで温度を上昇させた。
【0186】
<パート1:コポリマーとホットメルト組成物の調製>
表1に示すモノマー組成に従い、酢酸エチル中でのフリーラジカル溶液重合によって3つのコポリマーを個々に調製した。表1に示した重量%は、モノマーの総重量に基づく各各特定のモノマーの重量に対応する。
【0187】
【0188】
コポリマー1及びコポリマー2の重合が終了した時点で、カチオン性光重合開始剤を反応容器に添加した。溶媒を蒸留により除去し、以下の表2に定義するホットメルト組成物を得た。
【0189】
【0190】
<パート2:粘度特性>
例示したホットメルト組成物は室温で固体であるが、以下の表3に定義する温度依存性粘度特性を有する。
【0191】
【0192】
<パート3:65gsmのコーティング重量でのホットメルト組成物の性能>
実施例及び比較例の剥離強度を、65gsmのコーティング重量で塗布し、65mJのUV照射量で硬化させた後、鋼被着体に対して調べた。これらの試験結果を以下の表4に示す。
【0193】
【0194】
<パート4:より高いコーティング重量におけるホットメルト組成物の性能>
実施例及び比較例の剥離強度を、80又は100gsmのコーティング量で塗布し、80又は100mJのUV照射量で硬化させた後、各鋼被着体に対して調べた。これらの試験結果を以下表5に示す。
【0195】
【0196】
<パート5:異なる被着体に対する、コーティング重量80gsmでのホットメルト組成物の性能>
実施例及び比較例の剥離強度を、80gsmのコーティング量で塗布し、80mJのUV照射量で硬化させた後、多数の異なる被着体に対してそれぞれ調べた。試験結果を以下の表6に示す。
【0197】
【0198】
前述の説明及び実施例を考慮すれば、特許請求の範囲から逸脱することなく、これと同等の変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】