(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】4点傾斜整列ウェハチャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241219BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241219BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/66 H
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579564
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022049177
(87)【国際公開番号】W WO2023107223
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ウォーレン シー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンス クルト
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ ジェニファー
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AC02
2G003AH05
4M106BA11
4M106CA49
4M106CA54
4M106DH04
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA42
5F131CA69
5F131EA10
5F131EA13
5F131EA25
5F131EB64
5F131KA32
5F131KA63
5F131KB13
(57)【要約】
装置は、ウェハを保持するように構成されたチャックと、チャックの下に配設され、チャックの対向する隅に別々に配列された1対の上側ねじおよび1対の下側ねじによって、チャックに調整可能に接続された傾斜板と、を含む。1対の上側ねじのねじ頭部は、チャックの上面に当接しており、それにより、上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板に向かって押す。1対の下側ねじのねじ頭部が、チャックの底面に当接しており、それにより、下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを保持するように構成されたチャックと、
前記チャックの下に配設され、前記チャックの対向する隅に別々に配列された1対の上側ねじおよび1対の下側ねじによって前記チャックに調整可能に接続された傾斜板と、
を備え、
前記1対の上側ねじのねじ頭部が前記チャックの上面に当接していることにより、前記上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、前記チャックの対応する隅を前記傾斜板に向かって押し、
前記1対の下側ねじのねじ頭部が前記チャックの底面に当接していることにより、前記下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、前記チャックの対応する隅を前記傾斜板から離れる方に押す装置。
【請求項2】
前記1対の上側ねじを囲む1対の上側ばねと、
前記1対の下側ねじを囲む1対の下側ばねと、
をさらに備え、
前記1対の下側ばねおよび前記1対の上側ばねは、前記チャックの前記底面と前記傾斜板の上面との間に先行載荷を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記上側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、前記上側ばねのうちの対応する1つに前記チャックの前記対応する隅を前記傾斜板から離れる方に押させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記下側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、前記下側ねじの前記ねじ頭部を前記チャックの前記底面から分離する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記チャックは、前記チャックの前記上面から前記チャックの前記底面まで延在する4つの貫通孔を含み、前記1対の上側ねじの少なくとも一部および前記1対の下側ねじの少なくとも一部は、前記貫通孔内に配設される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記貫通孔のそれぞれは、
前記チャックの前記上面に開口する上側区間と、
前記チャックの前記底面に開口する下側区間と、
を備え、
前記上側区間の直径は、前記下側区間の直径よりも小さく、前記下側区間の直径は、それらの間に環状面を画定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1対の上側ねじのねじ軸は、前記上側区間および前記下側区間を通って延在する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記1対の下側ねじの前記ねじ頭部は、前記下側区間内に配設され、前記環状面に当接し、前記上側区間を介してアクセス可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記1対の上側ばねおよび前記1対の下側ばねは、前記貫通孔のそれぞれの前記下側区間内に配設され、前記環状面に当接している、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記傾斜板は、前記4つの貫通孔と整列した4つのねじ付き孔を含み、前記1対の上側ねじおよび前記1対の下側ねじは、前記ねじ付き孔によってねじ式で受け取られる、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記チャック板の前記上面は、前記ウェハを受け取るように構成された陥凹状の試料領域を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記チャック板の前記上面は、基準材料を受け取るように構成された基準領域をさらに備え、前記基準領域は、前記試料領域から分離している、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記試料領域内に配設された前記ウェハおよび/または前記基準領域内に配設された前記基準材料を探査するように構成された楔形圧子をさらに備え、
前記チャックは、前記楔形圧子に直交する平面内にある、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記傾斜板の下に配設され、前記傾斜板に着脱可能に固定された台板をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
チャックを、前記チャックの対向する隅に別々に配列された1対の上側ねじおよび1対の下側ねじを用いて、傾斜板の上部に固定するステップと、
前記チャック上にウェハを配設するステップと、
を含み、
前記1対の上側ねじのねじ頭部が前記チャックの上面に当接していることにより、前記上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、前記チャックの対応する隅を前記傾斜板に向かって押し、
前記1対の下側ねじのねじ頭部が前記チャックの底面に当接していることにより、前記下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、前記チャックの対応する隅を前記傾斜板から離れる方に押す、方法。
【請求項16】
1対の上側ばねが前記1対の上側ねじを囲み、1対の下側ばねが前記1対の下側ねじを囲み、前記1対の下側ばねおよび前記1対の上側ばねは、前記チャックの前記底面と前記傾斜板の上面との間に先行載荷を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記上側ねじのうちの1つの反時計回りの回転によって、前記傾斜板に対して前記チャックの平面を調整するステップをさらに含み、前記回転は、前記上側ばねのうちの対応する1つに、前記チャックの前記対応する隅を前記傾斜板から離れる方に押させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記下側ねじのうちの1つの時計回りの回転によって、前記傾斜板に対して前記チャックの平面を調整するステップをさらに含み、前記回転は、前記下側ねじの前記ねじ頭部を前記チャックの前記底面から分離する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
楔形圧子を用いて、前記チャックの前記上面上の試料領域内に配設された前記ウェハを探査するステップをさらに含み、
前記チャックは、前記楔形圧子に直交する平面内にある、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記チャックの前記上面上の基準領域内に基準材料を配設するステップと、
前記楔形圧子を用いて前記基準材料を探査するステップと、
をさらに含み、
前記基準領域は、前記試料領域から分離している、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月10日に出願されて、譲渡された米国仮特許出願第63/287,974号の優先権を主張し、この出願の開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体ウェハを保持するためのチャックに関し、より詳細には、半導体ウェハの機械的探査試験のための傾斜可能なチャックに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造産業の進化は、歩留まり管理、特に、計測および検査システムをより大きく必要としている。限界寸法が縮小し続けているが、業界は、高歩留まり、高価値の生産を達成するための時間を減少させる必要がある。歩留まり問題の検出からそれの修正までの総時間を最小化することが、半導体製造業者にとっての投資利益率を決定する。
【0004】
ロジックデバイスおよびメモリデバイスのような半導体デバイスを製造することは、典型的には、多数の製造プロセスを使用して半導体ウェハまたはEUVマスクを処理して、半導体デバイスの様々な特徴および複数のレベルを形成することを含む。例えば、リソグラフィは、レチクルから半導体ウェハ上に配列されたフォトレジストにパターンを転写することを含む半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスの追加の例としては、化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積、およびイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスが、単一の半導体ウェハ上に配列された状態で製造されて、その後、個々の半導体デバイスに分離されてもよい。
【0005】
半導体製造プロセスの特定のステップの後に、接着試験が、チャックによって保持されたウェハ基板上の堆積膜層の接着度を試験するために実施されることがある。このような試験は、堆積膜と接触させられる楔形プローブを使用し、その結果、破砕跡/欠損部を残す。接着度の精度は、ウェハ基板が楔形プローブに直交しているとき向上されることがある。しかしながら、プローブ先端部は、設置の際に、ウェハに直交するのに十分な整列公差を伴って製造され得ず、そして検査機器に実装され得ない。したがって、ウェハの角度は、ウェハ内に残された破砕欠損部を検査することによって較正されてもよい。破砕欠損部がプローブによって残された圧痕の周りでほぼ対称形である場合、これは、ウェハ基板と楔形プローブとが直交していることを示すことがある。破砕欠損部がプローブによって残された圧痕の片側により多くある場合、これは、ウェハが楔形プローブと直交していないことを示すことがある。これらの場合、チャックを楔形プローブに直交するように傾斜させることが望ましいことがある。場合によっては、ウェハは、角度較正を実行するために基準試料と交換されてもよい。
【0006】
(1)3点調整装置および(2)ジンバル装置という2つの主要な機構が、チャック傾斜整列のために使用されてきた。
【0007】
3点傾斜調整装置は、単一の平面内の3つの非共線上の点の投射に基づいている。点のうちの1つまたは2つが調整されると、平面角度が変更され得る。しかしながら、3点調整装置を有するチャックは、低い剛性、および剛性についての位置によるばらつきを有する。このことは、ウェハ上でのプローブ位置に依存して変化する侵入深さおよび力測定値に起因して、接着試験の精度を落とし得る。この技術を用いる整列はまた、1つの点についての調整が、チャックに多軸で傾斜させるので複雑である。換言すると、単一の傾斜軸は、点のうちの2つを調整することによってのみ正確に調整され得る。
【0008】
ジンバル装置は、典型的には、単一の支持軸と、少なくとも1つの追加の軸外傾斜調整と、を有する。それぞれの軸は、傾斜整列のために調整され得る。しかしながら、ジンバル装置の単一の支持軸はまた、より低い剛性、および剛性についての位置によるばらつきを有し、このことは、ウェハ上のプローブ位置に依存して変化する侵入深さおよび力測定値に起因して接着試験の精度を落とし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0042006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、必要とされるのは、機械的なプローブ試験中の精度を向上させるために、剛性が高く、剛性についての位置によるばらつきが小さいチャックである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態は、装置を提供する。装置は、ウェハを保持するように構成されたチャックを含んでもよい。装置は、チャックの下に配設された傾斜板をさらに含んでもよい。傾斜板は、チャックの対向する隅に別々に配列された、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじによってチャックに調整可能に接続されてもよい。1対の上側ねじのねじ頭部は、チャックの上面に当接しており、その結果、上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板に向かって押してもよい。1対の下側ねじのねじ頭部は、チャックの底面に当接しており、その結果、下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押してもよい。
【0012】
本開示の一実施形態に従うと、装置は、1対の上側ねじを囲む1対の上側ばねと、1対の下側ねじを囲む1対の下側ばねと、をさらに含んでもよい。1対の下側ばねおよび1対の上側ばねは、チャックの底面と傾斜板の上面との間に先行載荷を有してもよい。
【0013】
本開示の一実施形態に従うと、上側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、上側ばねのうちの対応する1つに、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押させてもよい。下側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、下側ねじのねじ頭部をチャックの底面から分離してもよい。
【0014】
本開示の一実施形態に従うと、チャックは、チャックの上面からチャックの底面まで延在する4つの貫通孔を含んでもよく、1対の上側ねじの少なくとも一部および1対の下側ねじの少なくとも一部は、貫通孔内に配設されてもよい。貫通孔のそれぞれは、チャックの上面に開口する上側区間と、チャックの底面に開口する下側区間と、を含んでもよい。上側区間の直径は、下側区間の直径よりも小さくてもよく、下側区間の直径は、それらの間に環状面を画定する。1対の上側ねじのねじ軸は、上側区間および下側区間を通って延在してもよい。1対の下側ねじのねじ頭部は、下側区間内に配設されてもよく、環状面に当接してもよく、上側区間を介してアクセス可能であってもよい。1対の上側ばねおよび1対の下側ばねは、貫通孔のそれぞれの下側区間に配設されてもよく、環状面に当接してもよい。傾斜板は、4つの貫通孔と整列した4つのねじ付き孔を含んでもよく、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじは、ねじ付き孔によってねじ式で受け取られてもよい。
【0015】
本開示の一実施形態に従うと、チャック板の上面は、ウェハを受け取るように構成された陥凹状の試料領域を含んでもよい。チャック板の上面は、基準材料を受け取るように構成された基準領域をさらに含んでもよい。基準領域は、試料領域から分離していてもよい。
【0016】
本開示の一実施形態に従うと、装置は、楔形圧子をさらに含んでもよい。楔形圧子は、試料領域内に配設されたウェハおよび/または基準領域内に配設された基準材料を探査するように構成されてもよい。チャックは、楔形圧子に直交する平面内にあってもよい。
【0017】
本開示の一実施形態に従うと、装置は、傾斜板の下に配設され、傾斜板に着脱可能に固定された台板をさらに含んでもよい。
【0018】
本開示の一実施形態は、方法を提供する。方法は、チャックの対向する隅に別々に配列された、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじを用いて、傾斜板の上部にチャックを固定することと、チャック上にウェハを配設することと、を含んでもよい。1対の上側ねじのねじ頭部は、チャックの上面に当接していてもよく、その結果、上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板に向かって押してもよい。1対の下側ねじのねじ頭部は、チャックの底面に当接していてもよく、その結果、下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押してもよい。1対の上側ばねは、1対の上側ねじを囲んでいてもよく、1対の下側ばねは、1対の下側ねじを囲んでいてもよく、1対の下側ばねおよび1対の上側ばねは、チャックの底面と傾斜板の上面との間に先行載荷を有してもよい。
【0019】
本開示の一実施形態に従うと、方法は、上側ねじのうちの1つの反時計回りの回転によって、傾斜板に対してチャックの平面を調整することをさらに含んでもよく、該回転は、上側ばねのうちの対応する1つに、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押させてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態に従うと、方法は、下側ねじのうちの1つの時計回りの回転によって、傾斜板に対してチャックの平面を調整することをさらに含んでもよく、該回転は、下側ねじのねじ頭部をチャックの底面から分離してもよい。
【0021】
本開示の一実施形態に従うと、方法は、楔形圧子を用いてチャックの上面上の試料領域内に配設されたウェハを探査することをさらに含んでもよい。チャックは、楔形圧子に直交する平面内にあってもよい。
【0022】
本開示の一実施形態に従うと、方法は、チャックの上面上の基準領域内に基準材料を配設することと、楔形圧子を使用して基準材料を探査することと、をさらに含んでもよい。基準領域は、試料領域から分離していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の性質および目的のより完全な理解のために、次の添付図面と共に以下の詳細な説明を参照されたい。
【
図1】本開示の一実施形態に従う装置の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に従う装置についての上面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に従う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特許請求される主題は、特定の実施形態に関して説明されるが、本明細書に記載の利点および特徴の全てを提供するわけではない実施形態を含む他の実施形態もまた本開示の範囲内にある。様々な構造、論理、プロセスステップ、および電子的変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよい。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ規定される。
【0025】
本開示の一実施形態が、
図1および2に示すような装置100を提供する。装置100は、チャック110を備えてもよい。チャック110は、ウェハ112を保持するように構成されてもよい。300mmまでの直径を有するウェハ112は、円形であってもよい。ウェハ112は、チャック110の上面111上の試料領域113内に配設されてもよい。試料領域113は、チャック110の上面111に設けられた陥凹であってもよい。試料領域113は、チャック110の上面111の中央に配設されてもよい。チャック110は、基準試料114を保持するように構成されてもよい。基準試料114は、溶融シリカまたはアルミニウムウェハであってもよい。基準試料114は、力および深さ測定値についての間接的な検証、または圧子チップについての位置較正のために使用されてもよい。基準試料114は、チャック110の上面111上の基準領域115内に配設されてもよい。基準領域115は、試料領域113から分離していてもよい。例えば、基準領域115は、チャック110の上面111の隅に配設されてもよい。基準領域115は、試料領域113よりも小さくてもよい。約10mmの直径を有する基準領域115は、円形であってもよい。試料領域113と基準領域115とによって、チャック110は、ウェハ112と基準試料114とを同時に保持可能であってもよく、そのため、圧子較正を行った後に、基準試料114をウェハ112と交換する必要がないことがある。チャック110は、複数の基準領域115内に配設された複数の基準試料114をチャック110の上面111上に保持するように構成されてもよい。チャック110の上面111は、円形または多角形の形状を有してもよい。例えば、チャック110の上面111は、正方形であってもよい。
【0026】
装置100は、傾斜板120をさらに備えてもよい。傾斜板120は、チャック110の下に配設されてもよい。傾斜板120の上面121は、円形または多角形の形状を有してもよい。例えば、傾斜板120の上面121は、正方形であってもよい。傾斜板120は、チャック110よりも大きくてもよい。例えば、傾斜板120の上面121の面積は、チャック110の上面111の面積よりも大きくてもよい。傾斜板120は、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140によってチャック110に調整可能に接続されてもよい。1対の上側ねじ130と1対の下側ねじ140とは、チャック110の対向する隅に別々に配列されてもよい。換言すれば、1対の上側ねじ130のうちの1つまたは1対の下側ねじ140のうちの1つは、チャック110のそれぞれの隅に配列されてもよく、1対の上側ねじ130のうちの別の1つまたは1対の下側ねじ140のうちの別の1つは、チャック110の対向する隅に配列されてもよい。例えば、1対の上側ねじ130と1対の下側ねじ140とは、正方形の形状に配列されてもよい。1対の上側ねじ130は、1対の下側ねじ140と同一であってもよい。
【0027】
ねじが本明細書において使用されるが、これは、当該技術分野で公知のねじ付きロッドまたは他のねじ付き締結具を指すことを意味する。したがって、ねじは、一例ではボルトを含み得る。本明細書において使用されるねじは、ねじが時計回りの場合、右ねじを有してもよく、ねじが反時計回りの場合、左ねじを有してもよく、またはそれらの任意の組合せを有してもよい。
【0028】
図3および4に示すように、1対の上側ねじ130は、ソケットキャップねじであってもよい。1対の上側ねじ130は、それぞれ、ねじ頭部131と、ねじ軸132と、を備えてもよい。1対の上側ねじ130のねじ頭部131は、チャック110の上面111に当接していてもよい。上側ねじ130のうちの1つの時計回りの回転が、チャック110の対応する隅を傾斜板120に向かって押してもよい。
【0029】
図5および6に示すように、1対の下側ねじ140は、ソケットキャップねじであってもよい。1対の下側ねじ140は、それぞれ、ねじ頭部141と、ねじ軸142と、を備えてもよい。1対の下側ねじ140のねじ頭部141は、チャック110の底面116に当接してもよい。下側ねじ140のうちの1つの反時計回りの回転が、チャック110の対応する隅を傾斜板120から離れる方に押してもよい。
【0030】
1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、粗いピッチを有する標準的なソケットキャップねじであってもよい。細かいピッチを有するソケットキャップねじが用いられてもよく、該ソケットキャップねじは、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140のそれぞれの回転によってチャック110の鉛直方向のより細かい調整を可能にしてもよい。
【0031】
図3~6に示すように、装置100は、1対の上側ねじ130を囲む1対の上側ばね135と、1対の下側ねじ140を囲む1対の下側ばね145と、をさらに備えてもよい。例えば、1対の上側ばね135の内径は、1対の上側ねじ130のねじ頭部131の直径よりも大きくてもよく、1対の下側ばね145の内径は、1対の下側ねじ140のねじ頭部141の直径よりも大きくてもよい。1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、コイルばねであってもよい。1対の下側ばね145および1対の上側ばね135は、チャック110の底面116と傾斜板120の上面121との間に先行載荷を有してもよい。1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、チャック110の重量を昇降するのに十分に強くてもよい。換言すれば、使用される特定のばねは、チャック110の特性(例えば、寸法、重量、材料)に依存してもよい。そのため、1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、調整プロセス中に、チャック110が傾斜板120から離間したままであり、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140との接触を維持することを保証してもよい。
【0032】
上側ねじ130のうちの1つの反時計回りの回転によって、上側ばね135のうちの対応する1つが、チャック110の対応する隅を傾斜板120から離れる方に押すようにさせてもよい。下側ねじ140のうちの1つの時計回りの回転が、下側ねじ140のねじ頭部141をチャック110の底面116から分離してもよく、それにより、下側ばね145のうちの1つがチャック110の対応する隅を支持するようにさせてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、手動で回転させられてもよい。例えば、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、手動ねじ回しによって回転させられてもよい。他の実施形態では、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、自動的に回転させられてもよい。例えば、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、電動制御装置によって回転させられてもよい。
【0034】
チャック110は、チャック110の上面111からチャック110の底面116まで延在する4つの貫通孔150を含んでもよい。貫通孔150は、ねじ無しでもよい。1対の上側ねじ130の少なくとも一部および1対の下側ねじ140の少なくとも一部は、貫通孔150内に配設されてもよい。1対の上側ねじ130の残りの部分および下側ねじ140の残りの部分は、チャック110の底面116から外に延在してもよい。貫通孔150のそれぞれは、チャック110の上面111に開口する上側区間151と、チャック110の底面116に開口する下側区間152と、を備えてもよい。上側区間151の直径は、下側区間152の直径よりも小さくてもよい。例えば、上側区間151の直径は、ねじ頭部131、141の直径よりも小さくてもよく、そしてねじ軸132、142の直径よりも大きくてもよい。下側区間152の直径は、1対の上側ばね135および1対の下側ばね145の外径よりも大きくてもよい。上側区間151と下側区間152は、その間に、環状面153を画定してもよい。本明細書で使用されるように、環状面153は、貫通孔150内部で陥凹しているチャック110の底面116の一部であるとみなされてもよい。
【0035】
図4に示すように、1対の上側ねじ130のねじ軸132は、対応する貫通孔150の上側区間151および下側区間152を通って、チャック110の底面116の外に延在してもよい。このようにして、1対の上側ねじ130のねじ頭部131は、チャック110の上面111に当接していてもよい。
【0036】
図6に示すように、1対の下側ねじ140のねじ頭部141は、対応する貫通孔150の下側区間152内に配設されてもよい。ねじ頭部141は、環状面153に当接していてもよい。このようにして、ねじ頭部141は、上側区間151を介してアクセス可能であることにより、1対の下側ねじ140を回動させてもよい。例えば、ねじ回しが、上側区間151を通して挿入されて、下側ねじ140のうちの1つを回動させてもよい。1対の下側ねじ140のねじ軸142は、対応する貫通孔150の下側区間152を通って、チャック110の底面116から外に延在してもよい。
【0037】
図3~6に示すように、1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、貫通孔150のそれぞれの下側区間152内に配設されてもよい。1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、環状面153に当接していてもよい。このようにして、1対の上側ばね135および1対の下側ばね145は、チャック110の環状面153と傾斜板120の上面121との間に先行載荷を有してもよい。
【0038】
傾斜板120は、4つのねじ付き孔155を含んでもよい。ねじ付き孔155は、4つの貫通孔150と整列していてもよい。例えば、ねじ付き孔155は、正方形の形状に配列されてもよい。1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140は、ねじ付き孔155によってねじ式で受け取られてもよい。ねじ付き孔155は、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140と同じねじ山を有してもよい。ねじ付き孔155は、傾斜板120を少なくとも部分的に通って延在してもよい。例えば、ねじ付き孔155は、傾斜板120の上面121から傾斜板の底面126まで延在してもよい。
【0039】
本開示の装置100によって、チャック110は、1対の上側ねじ130および1対の下側ねじ140によって傾斜板120に固定され、その結果、チャック110は、1対の上側ねじ130が時計回りの方向に回動させられ、1対の下側ねじ140が反時計回り方向に回動させられると、1対の上側ねじ130のねじ頭部131と1対の下側ねじ140のねじ頭部141との間に挟まれて圧縮されてもよい。このようにして、チャック110は、安定していてもよく、そして位置によるばらつきが小さい、高い剛性を有してもよい。下側ねじ140のうちの1つを時計回り方向に回動させることによって、チャック110が1対の上側ねじ130のねじ頭部131と1対の下側ねじ140のねじ頭部141との間でもはや圧縮されなくてもよく、その結果、上側ねじ130のうちの1つの後続のまたは同時の時計回りまたは反時計回りの回転および/または下側ねじ140のうちの別の1つの時計回りの回転が、傾斜板120に対するチャック110の傾斜整列を変更してもよい。このようにして、隣接する上側ねじ130と下側ねじ140とが同時に調整されて、チャック110を単一軸の周りで傾斜させ得る。
【0040】
チャック110が傾斜板120に対して傾斜させられてもよい角度の範囲は、チャック110の辺長と、チャック110と傾斜板120との間の離隔距離と、によって規定されてもよいことを理解されたい。より大きい傾斜範囲は、チャック110の辺長に対して、チャック110の底面116と傾斜板120の上面121との間の離隔距離を増加させることによって達成されてもよい。
【0041】
図1および2に戻って参照すると、装置100は、台板160をさらに備えてもよい。台板160は、傾斜板120の下に配設されてもよい。例えば、傾斜板120の底面126は、台板160の上面161に配設されてもよい。台板160の上面161は、円形または多角形の形状であってもよい。例えば、台板160の上面161は、正方形であってもよい。台板160は、傾斜板120よりも大きくてもよい。例えば、台板160の上面161の面積は、傾斜板120の上面121の面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、台板160は、半導体ツールの一部であってもよい。
【0042】
台板160は、複数の固定ねじ170によって傾斜板120に着脱可能に固定されてもよい。複数の固定ねじ170は、ソケットキャップねじであってもよい。複数の固定ねじ170は、傾斜板120の上面121上で等間隔に配置されていてもよい。例えば、複数のねじ170は、正方形の形状に配列された4つの固定ねじ170を備えてもよい。複数の固定ねじ170は、チャック110に覆われていない傾斜板120の上面121の一部に配設されてもよい。このようにして、複数の固定ねじ170は、チャック110が傾斜板120に固定されながらアクセス可能であってもよい。
【0043】
図4および6に示すように、傾斜板120は、傾斜板120の上面121から傾斜板120の底面126まで延在する複数の固定孔172をさらに備えてもよい。固定孔172は、ねじ無しでもよい。複数の固定ねじ170の少なくとも一部は、複数の固定孔172内に配設されてもよい。複数の固定ねじ170の残りの部分は、傾斜板120の底面126から外に延在してもよい。複数の固定孔172は、傾斜板120の上面121において皿孔状にされるかまたは座ぐり状にされてもよい。このようにして、複数の固定ねじ170は、複数の固定孔172内に配設されたときに、傾斜板120の上面121と同一平面になってもよい。
【0044】
図3および5に示すように、台板160は、複数の受取り孔175を備えてもよい。複数の受取り孔175は、複数の固定孔172と整列していてもよい。例えば、複数の受取り孔175は、正方形の形状に配列されてもよい。複数の固定ねじ170は、複数の受取り孔175によってねじ式で受け取られてもよい。複数の受取り孔175は、複数の固定ねじ170と同じねじ山を有してもよい。受取り孔175は、台板160を少なくとも部分的に通って延在してもよい。例えば、受取り孔175は、台板160の上面161から、台板160の底面166に達しないことがある深さまで延在してもよい。
【0045】
台板160を有する装置100を用いて、組み立てられたチャック板110と傾斜板120は、チャック板110と傾斜板120との間の相対的な整列状態を維持しながら、台板160から取り外され得る。
【0046】
図1に戻って参照すると、装置100は、楔形圧子180をさらに備えてもよい。楔形圧子180は、アーム(図示せず)に取り付けられ、アクチュエータ(図示せず)を使用して移動可能であってもよい。楔形圧子180は、取外し可能であってもよく、および/またはアームから交換されてもよい。楔形圧子180の寸法および材料は、具体的な用途に依存してもよい。例えば、楔形圧子180は、ダイヤモンドであってもよい。楔形圧子180は、直線状先端181を有してもよい。例えば、直線状先端181の長さは、50ミクロンであってもよい。楔形圧子180は、試料領域113内に配設されたウェハ112および/またはチャック110の基準領域115内に配設された基準材料114を探査するように構成されてもよい。チャック110は、楔形圧子180に直交する平面内にあってもよい。チャック110が楔形圧子180に直交する平面内にないとき、チャック110の平面は、1対の上側ねじ130のうちの1つまたは複数の回転、および/または1対の下側ねじ140のうちの1つまたは複数の回転によって調整されてもよい。このようにして、チャック110は、楔形圧子180に直交する平面内に固定されて、探査測定値の精度を向上させてもよい。
【0047】
本開示の一実施形態は、
図7に示す方法200を提供する。方法200は、以下のステップを含んでもよい。
【0048】
ステップ210では、チャックは、チャックの対向する隅に別々に配列された1対の上側ねじおよび1対の下側ねじを使用して、傾斜板の上部に固定される。チャックの上面は、円形または多角形の形状であってもよい。例えば、チャックの上面は正方形であってもよい。傾斜板の上面は、円形または多角形であってもよい。例えば、傾斜板の上面は正方形であってもよい。傾斜板は、チャックよりも大きくてもよい。例えば、傾斜板の上面の面積は、チャックの上面の面積よりも大きくてもよい。1対の上側ねじと1対の下側ねじとは、チャックの対向する隅に別々に配列されてもよい。換言すると、1対の上側ねじのうちの1つまたは1対の下側ねじのうちの1つが、チャックのそれぞれの隅に配列されてもよく、そして1対の上側ねじのうちの別の1つまたは1対の下側ねじのうちの別の1つが、チャックの対向する隅に配設されてもよい。例えば、1対の上側ねじと1対の下側ねじとが、正方形の形状に配列されてもよい。1対の上側ねじは、1対の下側ねじと同一であってもよい。1対の上側ねじおよび1対の下側ねじはそれぞれ、ねじ頭部とねじキャップとを備えるソケットキャップねじであってもよい。
【0049】
1対の上側ねじのねじ頭部が、チャックの上面に当接し、その結果、上側ねじのうちの1つの時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板に向かって押す。1対の下側ねじのねじ頭部は、チャックの底面に当接し、その結果、下側ねじのうちの1つの反時計回りの回転が、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押す。このようにして、チャックは、1対の上側ねじのねじ頭部と1対の下側ねじのねじ頭部との間で圧縮される。
【0050】
ステップ220では、ウェハがチャック上に配設される。ウェハは円形であってもよく、300mmまでの直径を有する。ウェハは、チャックの上面上の試料領域内に配設されてもよい。試料領域は、チャックの上面に設けられた陥凹であってもよい。試料領域は、チャックの上面の中央に配設されてもよい。
【0051】
本開示の一実施形態に従うと、方法200は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0052】
ステップ230では、チャックの上面上の試料領域内に配設されたウェハが、楔形圧子を使用して探査される。試料領域は、チャックの上面に設けられた陥凹であってもよい。試料領域は、チャックの上面の中央に配設されてもよい。楔形圧子は、直線状先端を有してもよい。チャックは、楔形圧子に直交する平面内にあってもよい。チャックが楔形圧子に直交する平面内にないとき、チャックの平面は、1対の上側ねじのうちの1つまたは複数の回転、および/または1対の下側ねじのうちの1つまたは複数の回転によって調整されてもよい。このようにして、チャックは、楔形圧子に直交する面内に固定されて、探査測定値の精度を向上させてもよい。
【0053】
本開示の一実施形態に従うと、方法200は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0054】
ステップ225では、基準材料が、チャックの上面上の基準領域内に配設される。基準領域は、試料領域から分離していてもよい。例えば、基準領域は、チャックの上面の隅に配設されてもよい。基準領域は、試料領域よりも小さくてもよい。試料領域および基準領域によって、チャックは、ウェハと基準試料を同時に保持可能であってもよく、そのため、角度較正を行った後に基準試料をウェハと交換する必要がないことがある。チャックは、チャックの上面上の複数の基準領域内に配設された複数の基準試料を保持するように構成されてもよい。
【0055】
ステップ235では、基準材料は、楔形圧子を使用して探査される。基準材料を探査することによって、チャックの角度較正および/または楔形圧子の較正が、ウェハを探査する前に実行され得る。楔形圧子は、下降されて基準材料を探査し得るか、またはそうでなければ、楔形圧子は、基準材料に対して平行移動させられて探査を可能にし得る。
【0056】
ステップ225、235が、ステップ220の前に、ステップ220とステップ230との間に、またはステップ230の後に実行されてもよいが、本明細書では限定されないことを理解されたい。例えば、ウェハと基準材料とは、同時にチャック上に配設されてもよい。基準材料を探査することによって、チャックおよび圧子の較正が、ウェハにおいて接着試験を行う前に実行されてもよい。
【0057】
本開示の一実施形態に従うと、1対の上側ばねは、1対の上側ねじを囲んでもよく、1対の下側ばねは、1対の下側ねじを囲んでもよく、1対の下側ばねおよび1対の上側ばねは、チャックの底面と傾斜板の上面との間の先行載荷を有してもよい。1対の上側ばねの内径は、1対の上側ねじのねじ頭部の直径より大きくてもよく、1対の下側ばねの内径は、1対の下側ねじのねじ頭部の直径よりも大きくてもよい。1対の上側ばねおよび1対の下側ばねは、コイルばねであってもよい。
【0058】
方法200は、ステップ230またはステップ235の後に実行される、以下のステップのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0059】
ステップ240では、楔形圧子によって生成された破砕跡が、検査される。ウェハまたは基準材料が、楔形圧子を使用して探査されると、破砕跡が生成される。破砕跡が検査されて、楔形圧子に対するチャックの相対的な整列を決定してもよい。検査は、探査システム内に組み込まれることがある光学顕微鏡を用いて実行されてもよい。破砕跡が対称形に見えるとき、チャックは、楔形圧子に直交していることがある。破砕跡が非対称形に見えるとき、チャックは、楔形圧子に整列していないことがあり、その結果、チャックの平面は、直交する整列に達するための調整を必要とすることがある。例えば、以下のステップのうちの少なくとも1つが、ステップ240の後に実行されてもよい。
【0060】
ステップ250では、チャックの平面が、上側ねじのうちの1つの反時計回りの回転によって傾斜板に対して調整され、該回転によって、上側ばねのうちの対応する1つがチャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押すようにさせる。
【0061】
ステップ255では、チャックの平面が、下側ねじのうちの1つの時計回りの回転によって傾斜板に対して調整され、該回転は、下側ねじのねじ頭部をチャックの底面から分離する。
【0062】
ステップ250および/またはステップ255の後に、ステップ250および/またはステップ255が上側ねじおよび/または下側ねじのうちの異なる1つによって繰り返されることにより、傾斜板に対するチャックの平面をさらに調整してもよい。平面が所望の角度に(例えば、チャックの平面が楔形圧子に直交するように)設定されると、チャックは、ステップ260において、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじを使用して、傾斜板の上部に再固定されてもよい。特に、ステップ250では回転させられない上側ねじのうちのいずれか1つが、時計回りに回転させられることにより、チャックの対応する隅を傾斜板に向かって押してもよく、および/またはステップ255では回転させられない下側ねじのうちのいずれか1つが、反時計回りに回転させられることにより、チャックの対応する隅を傾斜板から離れる方に押してもよく、それにより、安定した、位置によるばらつきの少ない剛性の新たな傾斜調整された位置において、1対の上側ねじのねじ頭部と1対の下側ねじのねじ頭部との間にチャックを挟んで圧縮してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじが、手動で回転させられてもよい。例えば、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじは、手動ねじ回しによって回転させられてもよい。他の実施形態では、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじは、自動的に回転させられてもよい。例えば、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじは、電動制御装置によって回転させられてもよい。
【0064】
ステップ260を実行した後に、ステップ230および/またはステップ235が繰り返されてもよいことを理解されたい。例えば、チャックの平面を新たな傾斜位置に調整した後に、ウェハまたは基準材料が、楔形圧子によって再び探査されてもよい。次いで、ステップ240が、新しい破砕跡を検査するために繰り返されてもよい。新しい破砕跡が対称形に見える場合、チャックは楔形圧子に直交していることがある。新しい破砕跡が非対称形に見える場合、チャックの平面は、さらなる調整を必要とすることがあり、ステップ250および/またはステップ255、ならびにステップ260は、直交する整列に達するまで繰り返されてもよく、これは、ステップ230および/またはステップ235における探査、ならびにステップ240における検査を繰り返すことによって確認されてもよい。
【0065】
本開示の方法200を用いて、チャックは、1対の上側ねじおよび1対の下側ねじによって傾斜板に固定されてもよく、その結果、1対の上側ねじが時計回り方向に回動させられ、1対の下側ねじが反時計回り方向に回動させられると、チャックは、1対の上側ねじのねじ頭部と1対の下側ねじのねじ頭部との間に挟まれて圧縮される。このようにして、チャックは、安定していてもよく、そして位置によるばらつきが小さい、高い剛性を有してもよい。下側ねじのうちの1つを時計回り方向に回動させることによって、チャックは、1対の上側ねじのねじ頭部と1対の下側ねじのねじ頭部との間でもはや圧縮されなくてもよく、その結果、上側ねじのうちの1つの後続のまたは同時の時計回りまたは反時計回りの回転、および/または下側ねじのうちの別の1つの時計回りの回転が、傾斜板に対するチャック板の傾斜した整列を変更してもよい。このようにして、隣接する上側ねじと下側ねじとがチャックを単一軸の周りで傾斜させるように同時に調整され得ることにより、チャックの平面は、楔形圧子に直交して、接着試験の精度を向上させる。
【0066】
本開示は、1つまたは複数の特定の実施形態に関して説明してきたが、本開示の他の実施形態が本開示の範囲から逸脱することなく行われてもよいことが理解されるであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれについての合理的な解釈によってのみ限定されるものと考えられる。
【国際調査報告】