(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】製造システムロボット用の静電エンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241219BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20241219BHJP
H02N 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B25J15/06 Z
H02N1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503886
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022053222
(87)【国際公開番号】W WO2023114501
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タヌ, ラジクマール
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ペイ-チェン
(72)【発明者】
【氏名】レイキー, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ファーバー, マトヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハジェンズ, ジェフリー シー.
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
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3C707NS13
5F131AA02
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5F131EA03
5F131EA04
5F131EA06
(57)【要約】
静電エンドエフェクタ、及びその製造方法の実施形態が本明細書に開示される。一実施形態では、静電エンドエフェクタは、セラミックベース、該セラミックベースに連結した第1の電極層、及び該セラミックベースに連結した第2の電極層を備える。静電エンドエフェクタは、第1の電極に印加される電圧に応答して基板上に静電気力を生成するように構成される。基板上の静電気力は、基板上の摩擦力を増加させることができ、それにより、基板がエンドエフェクタ上で滑ることなく、現在の技術よりも速い速度でエンドエフェクタを加速することが可能性となりうる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電エンドエフェクタであって、
セラミックベース;
前記セラミックベースに連結した第1の電極層、及び
前記セラミックベースに連結した第2の電極層であって、前記静電エンドエフェクタが、前記第1の電極に印加される電圧に応答して基板上に静電気力を生成するように構成される、第2の電極層
を備えた、静電エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記基板を支持するように構成された、前記セラミックベースの上面の複数のピラー、及び
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置された誘電体層であって、前記第1の電極層を前記第2の電極層から電気的に絶縁する、誘電体層
をさらに含む、請求項1に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項3】
前記複数のピラーの間に複数のバレーをさらに含み、前記第1の電極層が前記バレーの少なくとも1つ以上の表面に堆積される、請求項2に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第1の電極層及び前記第2の電極層が、前記セラミックベース上に物理的気相堆積プロセスによって堆積されたチタン層を含む、請求項2に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項5】
前記誘電体層が実質的に、前記第1の電極層及び前記複数のピラーの上に堆積され、かつ
前記第2の電極層が実質的に、前記誘電体層の上に堆積される、
請求項2に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項6】
前記セラミックベースが複数の積層シートを含み、前記セラミックベースが前記第1の電極層を前記第2の電極層から電気的に絶縁する、請求項1に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項7】
前記第1の電極層及び前記第2の電極層が前記複数の積層シート内に埋め込まれる、請求項6に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項8】
前記セラミックベースの上面に複数のメサをさらに含み、前記複数のメサが前記基板を支持するように構成される、請求項6に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項9】
前記第1の電極層及び前記第2の電極層が白金層であり、前記第2の電極層が実質的に前記第1の電極層の下に配置され、前記第2の電極層が、1つ以上のメサを通って立ち上がりそこから突出する1つ以上の突起を備えている、請求項8に記載の静電エンドエフェクタ。
【請求項10】
静電エンドエフェクタを製造する方法であって、
セラミックブランクを提供すること、
前記セラミックブランク上に材料除去プロセスを実施して、前記セラミックブランクの上面に1つ以上の特徴部を生成すること、
前記セラミックブランクの少なくとも上面にカソード層を堆積すること、
少なくとも前記カソード層の上に誘電体層を堆積すること、及び
前記誘電体層の少なくとも一部の上にアノード層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項11】
前記材料除去プロセスが前記セラミックブランクの前記上面に複数のピラーを生成し、該複数のピラーが、該ピラー上に位置づけられた基板を支持するように構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記材料除去プロセスが前記セラミックブランクの前記上面に複数のバレーを生成し、前記カソード層が前記複数のバレーの1つ以上の表面上に堆積される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記カソード層及び前記アノード層が、物理的気相堆積プロセスによって堆積されたチタン層を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体層が実質的に前記第1の電極層及び前記複数のピラーの上に堆積され、かつ
前記アノード層が、実質的に前記複数のピラーの上の前記誘電体層の上に堆積される、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記カソード層、前記誘電体層、又は前記アノード層のうちの少なくとも1つが、物理的気相堆積プロセスによって堆積される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
静電エンドエフェクタを製造する方法であって、
複数のセラミックシートを提供すること、
積層プロセスを実施して1つ以上の電極層を前記複数のセラミックシートと組み合わせることによって、積層層のセットを生成すること、
焼結プロセスを実施して前記積層層を結合することによって、焼結層のセットを生成すること、
前記焼結層の少なくとも上面を研削すること、及び
前記焼結層の少なくとも前記上面を研磨すること
を含む、方法。
【請求項17】
材料除去プロセスを実施して、前記静電エンドエフェクタの前記上面に複数のメサを生成すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の電極層が白金で構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の電極層が同一平面上にある、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の電極層がカソード層と接地層とを含み、該接地層が前記カソード層の下に配置されており、前記接地層が、1つ以上のメサを通って立ち上がり、そこから突出する1つ以上の突起を備えている、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体製造システムロボット用の静電エンドエフェクタの製造方法及び設計パラメータに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス製造システムは、基板を輸送及び製造するための1つ以上のツール又は構成要素を含むことができる。電子デバイス製造システムは、基板をある場所から別の場所へと移送するためにロボット装置(例えば、移送チャンバロボット、ファクトリインターフェースロボット)を使用することがある。例えば、移送チャンバロボットは、ロードロックと処理チャンバとの間で基板を搬送するように構成することができる。ロボット装置は、基板が位置間を移送される際に基板を取り扱う1つ以上のエンドエフェクタを有することができる。
【0003】
現在の一部のロボットエンドエフェクタは、ロボットによるエンドエフェクタ上での基板の搬送を可能にするために、エンドエフェクタと基板との間の静摩擦に依拠している。したがって、ロボットのエンドエフェクタのピーク加速度は約0.1G(重力加速度の10分の1)に制限される。エンドエフェクタが該エンドエフェクタと基板との間の静止摩擦力によって許容される限界を超えて加速すると、基板がエンドエフェクタ上で滑り、基板の配置及び製造プロセスが損なわれる可能性がある。わずかな基板のズレでさえも粒子が基板から削り取られ、汚染につながる可能性がある。したがって、速度効率を高めつつ基板を搬送するための改良されたエンドエフェクタが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供するための、本開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示の広範な概観を示すものではない。これは、本開示のキーとなる要素又は重要な要素を特定することを意図したものではなく、また、本開示の特定の実装形態の範囲又は特許請求の範囲を描写することを意図したものでもない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明に対する前置きとして、本開示の幾つかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0005】
本開示の一態様では、静電エンドエフェクタは、セラミックベース、該セラミックベースに連結した第1の電極層、及び該セラミックベースに連結した第2の電極層を備える。静電エンドエフェクタは、第1の電極に印加される電圧に応答して基板上に静電気力を生成するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様では、静電エンドエフェクタを製造する方法は、セラミックブランクを提供することを含む。該方法は、セラミックブランク上に材料除去プロセスを実施して、セラミックブランクの上面に1つ以上の特徴部を生成することをさらに含む。該方法は、セラミックブランクの少なくとも上面にカソード層を堆積することをさらに含む。該方法は、少なくともカソード層の上に誘電体層を堆積することをさらに含む。該方法は、誘電体層の少なくとも一部の上にアノード層を堆積することをさらに含む。
【0007】
本開示の別の態様では、静電エンドエフェクタを製造する方法は、複数のセラミックシートを提供することを含む。該方法は、積層プロセスを実施して1つ以上の電極層を複数のセラミックシートと組み合わせることによって積層層のセットを生成することをさらに含む。該方法は、焼結プロセスを実施して積層層を結合することによって焼結層のセットを生成することをさらに含む。該方法は、焼結層の少なくとも上面を研削することをさらに含む。該方法は、焼結層の少なくとも上面を研磨することをさらに含む。
【0008】
本開示は、例として示されているのであって、同様の参照が同様の要素を示す添付の図面の図に限定されない。本開示における「ある(an)」又は「一(one)」実施形態に対するさまざまな言及は、必ずしも同じ実施形態を指すのではなく、そのような言及は少なくとも1つを意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ある特定の実施形態による、例となる製造システムの概略的な上面図
【
図2A】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの概略的な上面図
【
図2B】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの少なくとも一部の概略的な断面図
【
図3】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの1つ以上の層の二次元表現図
【
図4A】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの概略的な上部断面図
【
図4B】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの概略的な底部断面図
【
図4C】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの少なくとも一部の概略的な断面図
【
図5】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタを製造する方法のフローチャート
【
図6】ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタを製造する方法の別のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
電子デバイス製造システムにおいて基板を移送するように構成された静電ロボットエンドエフェクタを対象とした技術が本明細書に記載される。電子デバイス製造システムは、1つ以上の処理チャンバ内で基板に対して1つ以上のプロセスを実施することができる。電子デバイス製造システムは、1つ以上の処理チャンバに近接して位置づけられた移送チャンバを含むことができる。該移送チャンバは、ロボットによって1つ以上の処理チャンバ間で基板が移送される間、基板をその上に位置づけることができる1つ以上のエンドエフェクタを有するロボットを含むことができる。さらに、電子デバイス製造システムは、ファクトリインターフェースに近接してファクトリインターフェースロボットを含むことができる。該ファクトリインターフェースロボットは、基板がファクトリインターフェースから又はファクトリインターフェースへと移送される間に基板を位置づけることができる1つ以上のエンドエフェクタを有するロボットを含むことができる。既存のロボットエンドエフェクタは、基板の搬送を可能にするためにエンドエフェクタと基板との間の静摩擦に依拠しており、したがって、エンドエフェクタの加速が制限される。静摩擦限界を超えてエンドエフェクタを加速すると、基板の配置が損なわれ、削り取られた粒子による汚染が生じ、それによって基板に欠陥が生じて使用できなくなる可能性がある。
【0011】
本開示の実施形態は、半導体製造システムロボット用の静電エンドエフェクタを対象とする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるロボットエンドエフェクタは、アノードとカソードを含むことができる。アノードとカソードは、実質的に同一平面上に存在しうる。例えば、アノードとカソードは、実質的に同一平面内に配置されうる。さらに、アノードとカソードは、1つ以上の誘電体層によって分離されうる。基板がエンドエフェクタ上に位置づけられると、電圧がカソードに印加されうる。アノードは接地されていてもよい。幾つかの実施形態では、印加電圧は単極であってもよいが、他の実施形態では双極であってもよい。印加された電圧は、エンドエフェクタと基板との間に静電引力を生成しうる。引力により、エンドエフェクタと基板との間の静摩擦が増加する可能性があり、基板が滑ることなく基板を移送しつつ、静摩擦のみに依拠しているエンドエフェクタよりも速い速度でエンドエフェクタを加速できるようになる。
【0012】
本開示のロボットエンドエフェクタを製造する第1の方法は、セラミックブランクを提供することを含むことができる。幾つかの実施形態では、セラミックブランクはストックから機械加工される。セラミックブランクは、アルミナ(すなわち、酸化アルミニウム)、適切な特性を有する1つ以上の他のセラミック材料、又はそれらの任意の組合せから機械加工することができる。セラミックブランクは平坦な上面を有しうる。該方法は、制御された位置でセラミックブランクの少なくとも上面における材料除去動作をさらに含むことができる。幾つかの実施形態では、セラミックブランクはマイクロビーズブラスト処理される。材料除去プロセスは、エンドエフェクタの上面の上に複数のピラーとバレーを生成することができる。複数のピラーは、エンドエフェクタの上面から突出する小さい実質的に円筒形の突起でありうる。複数のピラーは、エンドエフェクタの上面にパターン状に配置することができる。幾つかの実施形態では、複数のピラーは、エンドエフェクタの上面に実質的に列を成して配置される。1つ以上のバレーは、エンドエフェクタの上面の窪みであってもよい。1つ以上のバレーは、広いというよりも長くなりうる。幾つかの実施形態では、1つ以上のバレーは1列以上のピラーを分離する。次に、1つ以上の層が、エンドエフェクタの少なくとも上面に堆積されうる。幾つかの実施形態では、1つ以上の層は、物理的気相堆積プロセス(PVD)によって堆積される。エンドエフェクタの上面に堆積される第1の層は、カソード層でありうる。第2の層は誘電体層でありうる。第3の層はアノード層でありうる。幾つかの実施形態では、アノード層は接地層であってもよい。アノード層は、誘電体層の上のピラーの少なくとも上部に堆積されうる。使用時には、基板は、ピラーの上部のアノード層上に位置づけられうる。幾つかの実施形態では、1つ以上の層の各々は約10μmでありうる。しかしながら、ある範囲の層厚さを、エンドエフェクタと基板との間に十分な静電引力を提供するような方法でエンドエフェクタを構築するために使用することができる。
【0013】
本開示の静電エンドエフェクタを製造する第2の方法は、最初に複数のセラミックシートを機械加工することを含むことができる。幾つかの実施形態では、セラミックシートはアルミナから製造される。積層プロセスを使用して、1つ以上の電極層を複数のセラミックシートと組み合わせることができる。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタは、同一平面上にあり、かつ互いに電気的に絶縁された第1の電極層と第2の電極層とを含む。他の実施形態では、エンドエフェクタは、第2の電極層の下に配置された第1の電極層を含む。1つ以上の電極層は、導電性材料で構成することができる。例えば、1つ以上の電極層は白金でありうる。該方法は、焼結プロセスを実施して積層層を結合して粗いエンドエフェクタにすることによって、焼結層のセットを生成することをさらに含むことができる。該焼結プロセスは、層が合体して単一の塊になるように、積層された層を十分に加熱することを含むことができる。該方法は、エンドエフェクタの上面を研削して前記表面を平坦にすることをさらに含むことができる。該方法は、エンドエフェクタの上面を研磨することをさらに含むことができる。幾つかの実施形態では、研磨は、ラッピングプロセスによって実施されてもよい。幾つかの実施形態では、ラッピングプロセスは研磨プロセスである。例えば、ラッピングプロセスは、ツール表面を、エンドエフェクタの上面に対して微細な研磨剤を間に挟んでこすることによって達成することができる。ラッピングプロセスは、エンドエフェクタの上面をさらに平坦化し、該表面を研磨するために、エンドエフェクタの上面に微細な研磨剤を使用することを含むことができる。動作中、基板はエンドエフェクタの上面に位置づけることができる。第1の電極層を接地させつつ、第2の電極層に電圧を印加することができる。これにより、エンドエフェクタと基板との間に静電気力が発生し、基板とエンドエフェクタとの間の静摩擦を増加させることができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、第2の製造方法は、エンドエフェクタの上面で実施される材料除去動作をさらに含む。幾つかの実施形態では、材料除去動作はマイクロビーズブラストプロセスである。該マイクロビーズブラストプロセスは、エンドエフェクタの表面から材料を除去するために、エンドエフェクタの上面に高圧でマイクロ研磨剤を適用することを含むことができる。マイクロ研磨剤は小さいガラスビーズであってもよい。材料除去動作により、エンドエフェクタの上面に複数のメサを生成することができる。複数のメサは、エンドエフェクタの上面から突出する実質的に円筒形の突起でありうる。幾つかの実施形態では、突出した電極は、1つ以上のメサから立ち上がり、第1の下部電極層まで下方に延在することができる。1つ以上の突出電極は、上部電極層から電気的に絶縁されつつ、下部電極層に電気的に接続されうる。1つ以上の突出電極は導電性材料から製造することができる。例えば、1つ以上の突出電極は白金から製造されてもよい。エンドエフェクタが動作しているとき、基板は1つ以上の突出電極上に位置づけられうる。
【0015】
エンドエフェクタと基板との間に引力を適用するエンドエフェクタは、基板を移動させることなくエンドエフェクタの加速限界を増加させることができよう。これにより、基板の移送速度の増加が可能となり、製造システムの生産性の向上につながる。
【0016】
図1は、本開示の態様による、例となる製造システム100の概略的な上面図である。製造システム100は、基板102上に1つ以上のプロセスを実施することができる。基板102は、電子デバイス又はその上の回路構成要素の製造に適した、例えば、ケイ素含有ディスク又はウエハ、パターン化されたウエハ、ガラス板などの任意の適切な剛性の固定寸法の平面物品でありうる。
【0017】
製造システム100は、処理ツール104と、該処理ツール104に連結されたファクトリインターフェース106とを含むことができる。処理ツール104は、内部に移送チャンバ110を有するハウジング108を含むことができる。移送チャンバ110は、その周囲に配置され、それに連結された1つ以上のプロセスチャンバ(処理チャンバとも呼ばれる)114、116、118を含むことができる。処理チャンバ114、116、118は、スリットバルブなどのそれぞれのポートを介して移送チャンバ110に連結することができる。移送チャンバ110は、処理チャンバ114、116、118、ロードロック120などの間で基板102を移送するように構成された移送チャンバロボット112も含むことができる。移送チャンバロボット112は、一又は複数のアームを含むことができ、各アームは、各アームの端に1つ以上のエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、ウエハなどの特定の物体を取り扱うように構成することができる。
【0018】
処理チャンバ114、116、118は、基板102上で任意の数のプロセスを実施するように適合させることができる。同じ又は異なる基板プロセスを各処理チャンバ114、116、118で行うことができる。基板プロセスには、原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、エッチング、アニーリング、硬化、前洗浄、金属又は金属酸化物の除去などが含まれうる。他のプロセスを基板上で実施してもよい。処理チャンバ114、116、118は各々、基板プロセスの前、後、又は基板プロセス中に基板102のデータを捕捉するように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。例えば、1つ以上のセンサは、基板プロセス中に基板102の一部のスペクトルデータ及び/又は非スペクトルデータを捕捉するように構成することができる。他の又は同様の実施形態では、1つ以上のセンサは、基板プロセスの前、後、又は基板プロセス中にプロセスチャンバ114、116、118内の環境に関連するデータを捕捉するように構成することができる。例えば、1つ以上のセンサは、基板プロセス中に処理チャンバ114、116、118内の環境の温度、圧力、ガス濃度などに関連するデータを捕捉するように構成することができる。
【0019】
ロードロック120はまた、ハウジング108及び移送チャンバ110にも連結することができる。ロードロック120は、一方の側で移送チャンバ110と、かつファクトリインターフェース106とインターフェースするように構成することができ、一方の側で移送チャンバ110と、かつファクトリインターフェース106と連結することができる。ロードロック120は、幾つかの実施形態では、真空環境(基板を移送チャンバ110との間で移送することができる)から大気圧又はそれに近い不活性ガス環境(基板をファクトリインターフェース106との間で移送することができる)へと変更することができる環境制御雰囲気を有しうる。ファクトリインターフェース106は、例えば機器フロントエンドモジュール(EFEM)などの任意の適切な筐体でありうる。ファクトリインターフェース106は、該ファクトリインターフェース106のさまざまな負荷ポート124でドッキングされた基板キャリア122(例えば、前方開口型統一ポッド(FOUP))から基板102を受け取るように構成することができる。ファクトリインターフェースロボット126(破線で示されている)は、キャリア(容器とも呼ばれる)122とロードロック120との間で基板302を移送するように構成することができる。キャリア122は、基板保管キャリア又は交換部品保管キャリアでありうる。
【0020】
製造システム100は、該製造システム100に関する情報をユーザ(例えば、オペレータ)に提供するように構成されたクライアントデバイス(図示せず)にも接続することができる。幾つかの実施形態では、クライアントデバイスは、1つ以上のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して製造システム100のユーザに情報を提供することができる。例えば、クライアントデバイスは、処理チャンバ114、116、118で実施される堆積プロセス中に基板102の表面に堆積される膜の目標厚さプロファイルに関する情報を、GUIを介して提供することができる。クライアントデバイスは、本明細書に記載される実施形態に従い、ターゲットプロファイルに対応すると予測される堆積設定のそれぞれのセットを考慮して、プロセスレシピの修正に関する情報を提供することもできる。
【0021】
製造システム100はまた、システムコントローラ128も含むことができる。システムコントローラ128は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラなどのコンピューティングデバイスであってもよく、及び/又はそれらを備えていてもよい。システムコントローラ128は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理装置でありうる、1つ以上の処理デバイスを含むことができる。より具体的には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ若しくは命令セットの組合せを実装するプロセッサでありうる。処理デバイスはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の専用処理デバイスであってもよい。システムコントローラ128は、データストレージデバイス(例えば、1つ以上のディスクドライブ及び/又はソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインターフェース、及び/又は他の構成要素を含むことができる。システムコントローラ128は、本明細書に記載される方法及び/又は実施形態のうちの任意の1つ以上を実施するための命令を実行することができる。幾つかの実施形態では、システムコントローラ128は、プロセスレシピに従って製造システム100において1つ以上の動作を実施するための命令を実行することができる。命令は、メインメモリ、スタティックメモリ、二次記憶装置、及び/又は処理デバイス(命令の実行中)を含みうる、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。
【0022】
システムコントローラ128は、製造システム100のさまざまな部分(例えば、処理チャンバ114、116、118、移送チャンバ110、ロードロック120など)上又はその中に含まれるセンサからデータを受信することができる。幾つかの実施形態では、システムコントローラ128によって受信されるデータは、基板102の一部についてのスペクトルデータ及び/又は非スペクトルデータを含むことができる。他の又は同様の実施形態では、システムコントローラ128によって受信されるデータは、前述したように、処理チャンバ114、116、118での基板102の処理に関連するデータを含むことができる。本説明の目的上、システムコントローラ128は、処理チャンバ114、116、118内に含まれるセンサからデータを受信するものとして説明される。しかしながら、システムコントローラ128は、本明細書に記載される実施形態に従って、製造システム100の任意の部分からデータを受信することができ、該部分から受信したデータを使用することができる。例示的な一例では、システムコントローラ128は、処理チャンバ114、116、118における基板プロセスの前、後、又は基板プロセス中に、処理チャンバ114、116、118の1つ以上のセンサからデータを受信することができる。製造システム100のさまざまな部分のセンサから受信したデータは、データストア150に格納することができる。データストア150は、システムコントローラ128内の構成要素として含むことができ、又はシステムコントローラ128とは別個の構成要素であってもよい。
【0023】
図2Aは、本開示の実施形態による、エンドエフェクタ200の概略的な上面図である。エンドエフェクタ200は、エンドエフェクタベース210、ロボットコネクタ216、ピラー220、カソード層230、誘電体層240、及び接地層250を含むことができる。
図2Aは、互いに重ね合わされたエンドエフェクタ200の層を示している。エンドエフェクタ200の層は、
図3A~Dに別々に示されている。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ200は1つ以上のセンサを含むことができる。
【0024】
エンドエフェクタベース210はセラミック材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ本体210はアルミナセラミックである。エンドエフェクタ200は、1つ以上の締め具又は他のコネクタによってロボットコネクタ216を介してロボットに取り付けることができる。幾つかの実施形態では、ピラー220は、エンドエフェクタ本体210の1つ以上の側縁に沿って配置される。幾つかの実施形態では、ピラー220は、エンドエフェクタベース210の長手方向軸に対して実質的に平行なラインで配置される。幾つかの実施形態では、ピラー220は、エンドエフェクタベース210の表面から約20μm立ち上がる。ピラー220は、エンドエフェクタ200が移送している基板、又は移送しようとしている基板を支持することができる。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ200は、100本以上のピラー220を含む。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ200は、該エンドエフェクタ200と基板との間に引力が加えられたときに、エンドエフェクタ200によって運ばれる基板の曲がりが最小限に抑えられるように、十分なピラーを含む。エンドエフェクタベース210は、ピラー220の1つ以上の列の間に実質的に1つ以上のバレー225を含むことができる。1つ以上のバレー225は、材料除去プロセスによって生成することができる。幾つかの実施形態では、ピラー220を生成する同じプロセスが、1つ以上のバレー225も生成する。1つ以上のバレー225は、マイクロビーズブラストプロセスによって生成することができる。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタベース210の1つ以上のバレー225の深さは、約40μmである。
【0025】
エンドエフェクタ200の少なくとも上面に1つ以上の層を堆積することができる。該1つ以上の層は、1つ以上の堆積プロセスによって堆積することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上の層は、気相堆積プロセスによって堆積される。ある特定の実施形態では、1つ以上の層は、PVDプロセスによって堆積される。カソード層230及び接地層250は、導電性材料で構成することができる。接地層250はアノード層でありうる。幾つかの実施形態では、カソード層230及び接地層250は、PVDプロセスによって堆積されたチタン層である。カソード層230は、エンドエフェクタベース210の1つ以上のバレーに施すことができる。誘電体層240は、カソード層230の上に堆積させることができる(
図2B参照)。誘電体層240は誘電体を含みうる。幾つかの実施形態では、誘電体層240は、酸化アルミニウム(AlO)の層である。幾つかの実施形態では、誘電体層240は、カソード層230及びピラー220の上に堆積させることができる(
図2B参照)。幾つかの実施形態では、接地層250は、誘電体層240の上に堆積される。幾つかの実施形態では、接地層250は、ピラー220の各々の上面に堆積され、導電経路も形成する。
【0026】
図2Bは、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの少なくとも一部の概略的な断面図である。エンドエフェクタベース210は、少なくとも上面に堆積された1つ以上の層を有しうる。幾つかの実施形態では、カソード層230、誘電体層240、及び接地層250が、エンドエフェクタベース210上に堆積される。カソード層230、誘電体層240、及び接地層250は、エンドエフェクタベース210の外縁によって形成されたエンドエフェクタベース210の外側境界内に配置されてもよい。カソード層230は、エンドエフェクタベース210の1つ以上のバレー225に堆積させることができる。誘電体層240は、カソード層230の上に堆積させることができ、エンドエフェクタベース210のバレー225の側壁を上って延在し、1つ以上のピラー220の少なくとも表面を覆うことができる。接地層250は、誘電体層240が1つ以上のピラー220を覆う場合に、誘電体層240上に堆積させることができる。接地層250の上には基板280が位置づけられうる。幾つかの実施形態では、カソード層230、誘電体層240、及び接地層250の各々の厚さは約10μmである。他の実施形態では、カソード層230、誘電体層240、及び接地層250の各々は、電圧がカソード層230に印加されたときに、結果として生じる所望の静電引力が基板280上に印加されるような厚さでありうる。幾つかの実施形態では、誘電体層240の上面と基板280の下面との間に約60μmの間隙が存在する。しかしながら、結果として得られる所望の静電引力を生成するために、適切な電圧がカソード層230に印加される場合には、より小さい又はより大きい間隙が存在していてもよい。幾つかの実施形態では、特定の環境又は圧力範囲でのグロー放電の失敗を回避するために、間隙が必要な場合がある。さらに、間隙は、ある特定の圧力範囲に合わせて(例えば、ある特定の圧力ではより小さい間隙、異なる圧力ではより大きい間隙に)調整することができる。幾つかの実施形態では、間隙は、ピラーを垂直に伸長及び/又は収縮させる、圧電アクチュエータを使用して調整される。
【0027】
幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ200は、電子デバイス製造システム(例えば、システム100)において基板を移送するために、移送チャンバロボット又はファクトリインターフェースロボットによって用いられうる。基板280は、エンドエフェクタ200によって搬送することができる。エンドエフェクタ200が基板280を搬送している間、基板280は接地層250の上に位置づけられうる。カソード層230には電圧を印加することができ、接地層250は接地させることができ、したがって、エンドエフェクタ200と基板280との間に静電気力が生成される。幾つかの実施形態では、カソード層230に印加される電圧は約500ボルトであるが、印加される電圧は、所望の静電気力を生成するために必要な任意の電圧とすることができる。静電気力は、エンドエフェクタ200が加速状態下にあるときに、エンドエフェクタ200上での基板280の滑りを低減又は排除するように基板280に作用することができる。したがって、この静電気力により、基板280が滑ることなく、エンドエフェクタ200をより大きく加速することができる。
【0028】
図3A~Dは、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの1つ以上の層の上面図を示している。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタベース210は、ピラー220と、実質的にピラーの間にある1つ以上のバレー225とを含む。カソード層230は、エンドエフェクタベース210の外側境界内のエンドエフェクタベース210の上面に堆積されうる。誘電体層240は、少なくともカソード層230の上及びエンドエフェクタベース210の上面に堆積されうる。接地層250は、少なくとも誘電体層240の上及びエンドエフェクタベース210の上面に堆積されうる。接地層250はピラー220の上に堆積されてもよく、ピラー220の各々の間に導電経路を生成することができる。
【0029】
図4Aは、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの概略的な上部断面図である。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ400は、エンドエフェクタベース410を含む。複数のメサ420は、エンドエフェクタベース410の上面の周りに分散されてもよい。幾つかの実施形態では、メサの各々の高さは約10μmである。エンドエフェクタ400は、1つ以上の積層シートの間に埋め込まれた1つ以上の層を含むことができる。1つ以上の積層シートはセラミックシートでありうる。幾つかの実施形態では、1つ以上の埋め込まれた層は同一平面上にある。他の実施形態では、1つ以上の層は同一平面上にはない。幾つかの実施形態では、1つ以上の積層シートは、アルミナのシートである。エンドエフェクタ400は、エンドエフェクタベース410の外縁によって形成されたエンドエフェクタベース410の外側境界内に配置された1つ以上の積層シートの間にカソード層430を含むことができる。カソード層430は導電性材料を含みうる。幾つかの実施形態では、カソード層430は白金層である。エンドエフェクタ400はまた、1つ以上の積層シートの間に接地層450を含むこともできる。接地層450は導電性材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、接地層450は白金層である。ある特定の実施形態では、カソード層430と接地層450は同一平面上にあるが、互いに電気的に絶縁されている。幾つかの実施形態では、カソード層430と接地層450は、エンドエフェクタ本体410内の異なる平面上に存在する。
【0030】
図4Bは、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの概略的な底部断面図である。エンドエフェクタ400は接地層450を含むことができる。接地層450は、1つ以上のセラミックシートの間に埋め込まれ、エンドエフェクタベース410の外側境界内に配置されうる。幾つかの実施形態では、接地層450は、エンドエフェクタベース410内を走る1つ以上のトレースを含む。他の実施形態では、接地層450は、エンドエフェクタベース410の実質的に設置面積全体にわたって配置される。ある特定の実施形態では、接地層450は、1つ以上の接地ピン460を接続する。ある特定の実施形態では、エンドエフェクタ400は、わずか3つの接地ピン460を有しうる。他の実施形態では、エンドエフェクタ400は、5つの接地ピン460を有する。(接地ピン460の説明については、
図4Cを参照)。
【0031】
図4Cは、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタの少なくとも一部の概略的な断面図である。幾つかの実施形態では、接地層450は、カソード層430の下のエンドエフェクタベース410内に配置される。カソード層430と接地層450は互いに電気的に絶縁されている。
【0032】
エンドエフェクタ400は、エンドエフェクタベース410の上面に複数のメサ420を含むことができる。接地ピン460は、メサ420と、1つ以上の接地突起452とを含むことができる。各接地突起452は、導電性材料を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、各接地突起452は白金である。接地突起452は、メサ420の上面よりも上に立ち上がっていてもよい。幾つかの実施形態では、接地突起452は、メサ420の上面より2~3μm上に立ち上がっていてもよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ400は、電子デバイス製造システムにおいて基板を移送するために、移送チャンバロボット又はファクトリインターフェースロボットによって使用されうる。基板はエンドエフェクタ400によって搬送されうる。エンドエフェクタ400が基板を搬送している間、基板は1つ以上のメサ420の上に置かれる。基板の底部とカソード層との間には特定の間隙(例えば、70μm)が存在しうる。間隙は特定の圧力に合わせて調整することができる。幾つかの実施形態では、間隙は、圧電アクチュエータを使用してメサ420を垂直に伸長及び/又は収縮させることによって調整することができる。基板は、1つ以上の接地突起と電気接触することができる。カソード層430には電圧を印加することができ、接地層450は接地させることができ、したがって、エンドエフェクタ400と基板との間に静電気力が生成される。幾つかの実施形態では、カソード層430に印加される電圧は500ボルトであるが、印加される電圧は、所望の静電気力を生成するために必要な任意の電圧とすることができる。静電気力は、エンドエフェクタ400が加速状態下にあるときに、エンドエフェクタ400上での基板の滑りを低減又は排除するように基板に作用することができる。したがって、この静電気力により、基板が滑ることなく、エンドエフェクタ400をより大きく加速することができる。
【0034】
図5は、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタを製造する方法のフローチャートである。方法500は、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で行われるものなど)、ファームウェア、又はそれらの何らかの組合せを含みうる処理ロジックによって実施される。一実装形態では、方法500は、図示されていないコンピュータシステム又は処理デバイスによって実施されうる。他の又は同様の実装形態では、方法500の1つ以上の動作は、図示されていない1つ以上の他のマシンによって実施されうる。
【0035】
動作510では、セラミックブランクが提供される。幾つかの実施形態では、セラミックブランクは機械加工される。幾つかの実施形態では、セラミックブランクは、少なくとも略静電エンドエフェクタの形状を有する。ある特定の実施形態では、セラミックブランクはアルミナ製である。
【0036】
動作520では、セラミックブランクの上面に1つ以上の特徴部を生成するために、セラミックブランクは材料除去プロセスに供される。幾つかの実施形態では、材料除去プロセスは、マイクロビーズブラスト処理、又はセラミックブランク上に上面特徴部を生成することができる別の任意の適切な材料除去プロセスを含みうる。材料除去プロセスにより、セラミックブランクの上面の一部が除去され、それにより、ワークピースがエンドエフェクタの上面に複数のピラーと1つ以上のバレーを含むようになる。
【0037】
動作530では、堆積プロセスによってエンドエフェクタの少なくとも上面にカソード層が堆積される。幾つかの実施形態では、堆積プロセスは気相堆積プロセスである。カソード層は、エンドエフェクタの少なくとも1つ以上のバレーの表面に堆積されうる。
【0038】
動作540では、堆積プロセスによってエンドエフェクタの上面の上に誘電体層が堆積されうる。誘電体層はカソード層を覆うことができる。
【0039】
動作550では、エンドエフェクタ上にアノード層が堆積される。アノードレイ(lay)は、誘電体層の一部を覆うことができる。幾つかの実施形態では、アノード層は、エンドエフェクタの複数のピラーの上に堆積される。
【0040】
図6は、ある特定の実施形態による、単極静電エンドエフェクタを製造する別の方法のフローチャートである。方法600は、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で行われるものなど)、ファームウェア、又はそれらの何らかの組合せを含みうる処理ロジックによって実施される。一実装形態では、方法600は、図示されていないコンピュータシステム又は処理デバイスによって実施されうる。他の又は同様の実装形態では、方法600の1つ以上の動作は、図示されていない1つ以上の他のマシンによって実施されてもよい。
【0041】
動作610では、各セラミックシートが完成したエンドエフェクタのおおよその輪郭を有している、複数のセラミックシートが提供される。ある特定の実施形態では、セラミックシートはアルミナのシートである。幾つかの実施形態では、セラミックシートはストックから機械加工される。
【0042】
動作620では、積層プロセスを実施して、1つ以上の電極層を複数のセラミックと組み合わせることによって、積層層のセットが生成される。1つ以上の電極層は、少なくともアノード層とカソード層を含むことができる。幾つかの実施形態では、カソード層とアノード層は同一平面上にある。他の実施形態では、カソード層とアノード層は、上下に又はその逆で配置される。
【0043】
動作630では、焼結プロセスを実施して積層層を結合することによって、焼結層のセットが生成される。焼結プロセスは、積層された層をオーブン内で、層が単一の塊へと合体するように十分に高い温度に曝露することを含むことができる。
【0044】
動作640では、焼結されたエンドエフェクタの少なくとも上面に研削動作が実施されうる。研削動作は、粗い研磨剤を使用して達成することができる。研削動作により、エンドエフェクタの上面がほぼ平坦になりうる。
【0045】
動作650では、エンドエフェクタの少なくとも上面が研磨プロセスによって研磨されうる。研磨プロセスにより、微細な研磨剤を使用して達成することができる。研磨プロセスの結果として、エンドエフェクタは、研磨された滑らかな上面を有することができる。
【0046】
前述の説明は、本開示の幾つかの実施形態の十分な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法等の例など、多くの特定の詳細を記載している。本開示の少なくとも幾つかの実施形態がこれら特定の詳細なしに実施可能であることは当業者には明らかであろう。他の事例では、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構成要素又は方法は詳細には説明されていないか、あるいは単純なブロック図の形式で提示されている。したがって、記載された具体的な詳細は単なる例示に過ぎない。特定の実装形態は、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、依然として本開示の範囲内にあると考えられる。
【0047】
本明細書全体にわたる「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴部、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のさまざまな箇所に現れる「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という語句は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。加えて、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「およそ」という用語が本明細書で用いられる場合、これは、提示された公称値が±10%以内の精度であることを意味することを意図している。
【国際調査報告】