(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】熱原子層エッチングを介した高アスペクト比穴におけるエッチングプロファイルの制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532994
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2022080857
(87)【国際公開番号】W WO2023107867
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ロウツァーン・アーロン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ガスヴォダ・ライアン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シムズ・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リル・ソーステン
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA19
5F004BB18
5F004BB22
5F004BC03
5F004CA02
5F004CA04
5F004CB01
5F004DA00
5F004DA11
5F004DA13
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA19
5F004DA20
5F004DB13
5F004EA28
5F004EA34
5F004EB01
(57)【要約】
【解決手段】
金属酸化物の熱原子層エッチングに関する例を開示する。方法は、表面層として金属酸化物層を含む基板を加熱することと、基板を加熱しながら原子層エッチングサイクルを実施することとを含む。原子層エッチングサイクルは、プラズマの非存在下で金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含み、金属酸化物は、第4族または第5族遷移金属を含む。原子層エッチングサイクルは、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層エッチングを実施する方法であって、前記方法は、
3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱することと、
前記基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することと
を含み、
前記原子層エッチングサイクルは、
プラズマの非存在下で前記基板の前記凹状フィーチャ内の前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することと、
改質を施した前記表面層を揮発させるために、前記プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記フッ素化剤は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記揮発剤は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記揮発剤は、塩化ジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板を加熱することは、前記基板を170℃以上の温度に加熱することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属酸化物層を前記フッ素化剤に曝露することは、前記金属酸化物層を0.05Torr*s以上の前記フッ素化剤の投与に曝露することを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記凹状フィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
改質を施した前記表面層を前記揮発剤に曝露することは、改質を施した前記表面層を0.35Torr*s以上の前記揮発剤の投与に曝露することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクルは、85%を超える前記凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい、方法。
【請求項11】
原子層エッチングを実施するための反応器であって、前記反応器は、
処理チャンバと、
ヒータを備える基板ホルダと、
コントローラであって、
基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱し、
前記基板を加熱しながら、プラズマの非存在下で前記基板の前記凹状フィーチャ内の前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成し、改質を施した前記表面層を揮発させるために、前記プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することによって原子層エッチングサイクルを実施するために、前記反応器を制御するように実行可能な格納された命令を含むコントローラと
を備える、反応器。
【請求項12】
請求項11に記載の反応器であって、
フッ素化剤源をさらに含み、前記フッ素化剤源は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む、反応器。
【請求項13】
請求項11に記載の反応器であって、
揮発剤源をさらに含み、前記揮発剤源は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む、反応器。
【請求項14】
請求項13に記載の反応器であって、
前記揮発剤源は、塩化ジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む、反応器。
【請求項15】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、前記基板を170℃よりも高い温度に加熱するように実行可能である、反応器。
【請求項16】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、前記金属酸化物層を0.05Torr*s以上の前記フッ素化剤の投与に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項17】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、改質を施した前記表面層を0.35Torr*s以上の前記揮発剤の投与に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項18】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、前記表面層を1Torr以上の全圧に曝露することによって、前記金属酸化物層を前記フッ素化剤に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項19】
原子層エッチングを実施する方法であって、前記方法は、
3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板を処理チャンバ内に載置することであって、前記基板は、前記基板の凹状フィーチャ内に表面層として金属酸化物層を含むことと、
前記基板を170℃以上の温度に加熱することと、
前記基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することと
を含み、
前記原子層エッチングサイクルは、
プラズマの非存在下で前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することであって、前記金属酸化物は、第4族または第5族遷移金属を含むことと、
85%を超える前記凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を提供するように選択された投与量で、プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することと
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクルの前記サイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
集積回路製造の進歩により、実装密度を高め、コストを削減するために、チップアーキテクチャが垂直方向に押し込まれている。例えば、3次元(3D)NAND、3D NOR、または3D DRAMなどの高度なメモリデバイスは、集積回路内に積層された複数層のデバイスを含む。この傾向は、メモリデバイスを互いの上部に積み重ねる高アスペクト比(HAR)設計を導入することによって、製造上の課題を増大させている。
【発明の概要】
【0002】
本発明の概要は、詳細な説明にてさらに後述する概念の抜粋を簡略化して紹介するために提供される。本発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定するように意図されず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されるように意図されない。さらに、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分にて指摘された欠点のいずれかまたは全てを解決する実施態様に限定されない。
【0003】
本開示の一例は、原子層エッチングを実施する方法を提供する。方法は、3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱することを含む。方法は、基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することをさらに含む。原子層エッチングサイクルは、プラズマの非存在下で金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む。原子層エッチングサイクルは、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0004】
いくつかのこのような例では、フッ素化剤は、代替または追加として、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む。
【0005】
いくつかのこのような例では、揮発剤は、代替または追加として、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む。
【0006】
いくつかのこのような例では、揮発剤は、代替または追加として、塩化ジメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、トリメチルアルミニウム、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む。
【0007】
いくつかのこのような例では、基板を加熱することは、代替または追加として、基板を170℃よりも高い温度に加熱することを含む。
【0008】
いくつかのこのような例では、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露することは、代替または追加として、金属酸化物層を0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露することを含む。
【0009】
いくつかのこのような例では、凹状フィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を含む。
【0010】
いくつかのこのような例では、改質を施した表面層を揮発剤に曝露することは、代替または追加として、改質を施した表面層を0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露することを含む。
【0011】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルは、代替または追加として、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を含む。
【0012】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、代替または追加として、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい。
【0013】
別の例は、原子層エッチングを実施するための反応器を提供する。反応器は、処理チャンバと、ヒータを備える基板ホルダと、コントローラとを備える。コントローラは、原子層エッチングツールを制御して、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱し、基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施するように実行可能な格納された命令を含む。原子層エッチングサイクルは、プラズマの非存在下で基板の凹状フィーチャ内の金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することによって実施される。原子層エッチングサイクルは、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0014】
いくつかのこのような例では、反応器は、代替または追加として、フッ素化剤源を含み、フッ素化剤源は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む。
【0015】
いくつかのこのような例では、反応器は、代替または追加として、揮発剤源を含み、揮発剤源は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む。
【0016】
いくつかのこのような例では、揮発剤源は、代替または追加として、塩化ジメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、トリメチルアルミニウム、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む。
【0017】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、基板を170℃以上の温度に加熱するように実行可能である。
【0018】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、金属酸化物層を0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露するように実行可能である。
【0019】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、改質を施した表面層を0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露するように実行可能である。
【0020】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、表面層を1Torr以上の全圧に曝露することによって、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露するように実行可能である。
【0021】
別の本開示の例は、原子層エッチングを実施する方法を提供する。方法は、3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板を処理チャンバ内に載置することを含み、基板は、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む。方法は、表面層として金属酸化物層を含む基板を170℃以上の温度に加熱することをさらに含む。方法は、基板を加熱しながら、プラズマの非存在下で金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む原子層エッチングサイクルを実施することをさらに含む。原子層エッチングサイクルは、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を提供するように選択された投与量で、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0022】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、原子層エッチング(ALE)を実施するための例示的な低圧反応器の概略図を示す。
【0024】
【
図2】
図2は、原子層エッチング(ALE)を実施するための例示的な高圧反応器の概略図を示す。
【0025】
【
図3A】
図3Aは、エッチング前の例示的な酸化物/窒化物(ONON)スタックの概略図を示す。
【0026】
【
図3B】
図3Bは、穴がエッチングされ、エッチング用マスクがストリップされた後の
図3AのONONスタックを示す。
【0027】
【
図3C】
図3Cは、原子層堆積(ALD)を用いてエッチングされた穴にハフニア(HfO
2)の膜をコンフォーマルに堆積させた後の
図3BのONONスタックを示す。
【0028】
【
図4A】
図4Aは、反応性イオンエッチング(RIE)マスクを有する例示的な全ONONスタックの断面を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【
図5】
図5は、1Torrのプロセス圧力で行われた例示的なALEプロセスにおいて、台座温度に対するサイクルあたりのエッチング(EPC)の例示的な依存性を示す。
【0033】
【
図6A】
図6Aは、高いハフニウム(Hf)前駆体投与量および低いHf前駆体投与量で堆積させた膜について、例示的なハフニアのウェットエッチング速度の比較を示す。
【0034】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの高投与量のハフニア膜と同様のハフニア膜のウェットエッチング結果を、初期膜厚プロファイルと比較して示す。
【0035】
【
図7】
図7は、異なる台座温度におけるフッ化水素(HF)の分圧を関数としたハフニア中のフッ素濃度の例を図解するグラフを示す。
【0036】
【
図8A】
図8Aは、0.3Torr*s(150ミリトール(mTorr)を2秒間)のHF曝露を行った試料セットに対する塩化ジメチルアンモニウム(DMAC)の塗布時間を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ4ミクロン(μm)の穴における350℃で高圧(1Torr)のHfO
2のEPCプロファイルの例を示す。
【0037】
【
図8B】
図8Bは、24Torr*s(400mTorrを60秒間)のHF投与でフッ素化を実施した場合のDMAC塗布時間を関数とした例示的なEPCプロファイルを示す。
【0038】
【
図9】
図9は、HF塗布時間を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における350℃のHfO
2の例示的なEPCプロファイルを示す。
【0039】
【
図10A】
図10Aは、改質ステップ中により低いHF曝露(0.15Torr*s)を行った試料セットのDMAC塗布時間の関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における250℃で低圧(30mTorr)の例示的なEPCプロファイルを示す。
【0040】
【
図10B】
図10Bは、改質ステップ中により高い(0.9Torr*s)HF曝露でフッ素化を実施した場合のDMAC塗布時間(DMAC投与)を関数としたEPCプロファイルを示す。
【0041】
【
図11A】
図11Aは、10mTorrから8Torrの間の範囲において、例示的な絶対プロセス圧力に対するEPCの依存性を図示するグラフを示す。
【0042】
【
図11B】
図11Bは、192Torr*sの投与後に5.76Torr*sのDMAC投与によって膜をフッ素化することにより得られた0.6nm/サイクルのハフニアのエッチング速度を図示するグラフを示す。
【0043】
【
図12】
図12は、ALEを実施するための例示的な方法を図示するフロー図を示す。
【0044】
【
図13】
図13は、例示的なコンピューティングシステムを図示するブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
「アスペクト比」という用語は、一般に、基板のフィーチャの深さとフィーチャの平均幅との間の比を表す。「高アスペクト比」(HAR)という用語は、一般に、10:1よりも高い深さ:幅の比を有するフィーチャを表す。
【0046】
「原子層堆積」(ALD)という用語は、一般に、前駆体を基板に順次吸着させ、次いで吸着された前駆体を化学的に形質変換して、膜層を形成することによって、1つまたは複数の個々の層において、膜を基板上に形成するプロセスを表す。
【0047】
「原子層エッチング」(ALE)という用語は、一般に、自己制御ステップにおいて表面層を改質剤と反応させて、改質を施した表面層を形成し、次いで改質を施した表面層を揮発させることによって、材料を層ごとに基板から除去するプロセスを表す。「熱原子層エッチング」(熱ALE)という用語は、一般に、熱エネルギーを使用して、プラズマの非存在下でALEプロセスを促進させるALEプロセスを表す。
【0048】
「原子層エッチングサイクル」という用語は、一般に、基板の表面を改質剤と反応させて、改質を施した表面を形成し、次いで改質を施した表面を揮発させる1サイクルを表す。
【0049】
「キャリア基板」という用語は、一般に、処理チャンバ内でより小さな基板クーポンを支持するフルサイズの基板を表す。
【0050】
「クーポン」という用語は、一般に、フルサイズの基板をより小さな別々の部分に物理的に分割することによって形成される基板部分を表す。
【0051】
「ダイ」という用語は、一般に、集積回路が形成される基板の一部を表す。基板は、複数のダイに分割でき、各ダイは、集積回路を有する。
【0052】
「供与体」という用語は、一般に、改質を施した表面層に供与されて、改質を施した表面層を揮発させ得る脱離基を有する分子を表す。供与体の例としては、塩素供与体および臭素供与体が挙げられる。
【0053】
「静電チャック台座」という用語は、一般に、静電気力を用いて基板を基板支持体にクランプするように構成された基板支持体を表す。
【0054】
「エッチング」という用語は、一般に、基板からの材料の除去を表す。ウェットエッチングは、液相溶液を使用して、基板から材料を除去する。ドライエッチングは、気相化学物質を使用して、基板から材料を除去する。
【0055】
「フィーチャ」という用語は、一般に、基板上のトポロジーを表す。「凹状フィーチャ」という用語は、基板表面の平面から下方に延びる開口部を有するフィーチャを表す。凹状フィーチャの例としては、穴および溝が挙げられる。
【0056】
「フィーチャ深さ」という用語は、一般に、基板の表面に対する凹状フィーチャの深さを表す。フィーチャ深さが深いほど、より浅いフィーチャ深さよりも基板表面から遠くなる。
【0057】
「フッ素化剤」という用語は、一般に、金属酸化物にフッ素を寄与し得る気相化学物質を表す。
【0058】
「ハードマスク」という用語は、一般に、ポリマーフォトレジストよりもエッチングに対する耐性がより高い膜を表す。
【0059】
「等方性の」、「等方性」という用語、およびその変形例は、一般に、表面配向に依存しないエッチング速度を表す。
【0060】
「金属酸化物」という用語は、一般に、金属原子および酸素原子を含む材料を表す。金属酸化物は、金属ケイ酸塩を含む。
【0061】
「改質」という用語は、一般に、材料を化学改質剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することによる、材料の表面層の自己制御の化学的形質変換を表す。「改質剤」という用語は、一般に、改質プロセスにて使用される化学物質を表す。金属酸化物の改質に使用する改質剤の例としては、フッ素化剤が挙げられる。
【0062】
「改質を施した表面層」という用語は、一般に、フッ素化剤への曝露によってフッ素化された金属酸化物層の領域を表す。改質を施した表面層は、ALEプロセスにおいて揮発剤によって揮発され得る。
【0063】
「台座」という用語は、一般に、処理チャンバ内で基板を支持するように構成された基板ホルダを表す。
【0064】
「プラズマ」という用語は、一般に、陽イオンと自由電子とを含むイオン化ガスを表す。
【0065】
「処理チャンバ」という用語は、一般に、化学的および/または物理的プロセスが基板上で実施される封入物を表す。処理チャンバ内の圧力、基板温度、および大気組成は、化学的および/または物理的プロセスを実施するために制御可能であり得る。
【0066】
「処理ガス入口」という用語は、一般に、処理ガスが処理チャンバ内に導入され得る開口部を表す。処理ガス入口の例としては、シャワーヘッドおよびノズルが挙げられる。
【0067】
「反応性イオンエッチング(RIE)」という用語は、一般に、プラズマが、基板表面と化学的に反応して、基板表面から材料を除去可能な反応性イオン種を形成するドライエッチングプロセスを表す。
【0068】
「反応器」という用語は、一般に、原子層エッチングを実施するように構成された処理ツールを表す。
【0069】
「シャワーヘッド」という用語は、一般に、領域にわたって分散された複数の穴を備える処理用化学物質出口を表す。
【0070】
「ストリップ」という用語は、一般に、基板からのハードマスク膜の除去を表す。
【0071】
「基板」という用語は、一般に、ALEを使用して材料の層を除去可能な任意の構造を表す。
【0072】
「表面層」という用語は、一般に、自己制御のALE改質ステップにおいて、改質剤への曝露により改質される基板表面から基板内に延びる材料の体積部を表す。
【0073】
「3次元半導体デバイス」という用語は、一般に、積層された構成要素デバイスの複数の層を含む集積回路を表す。例としては、3D-NANDメモリデバイスにおける積層されたフラッシュメモリセルの複数の層が挙げられる。
【0074】
「揮発」とは、一般に、材料の固相から気相への転化を表す。
【0075】
「揮発剤」という用語は、一般に、ALEプロセスにおいて、基板の改質を施した表面と反応して、改質を施した表面を揮発させ、それによって改質を施した表面を基板から除去可能な化学剤を表す。
【0076】
「3D DRAM」という用語は、3次元ダイナミックランダムアクセスメモリの頭字語である。
【0077】
「3D NAND」という用語は、3次元NOT ANDメモリの頭字語であり、NOT ANDロジックゲートに基づいたメモリアーキテクチャを表す。
【0078】
「3D NOR」という用語は、3次元NOT ORメモリの頭字語であり、NOT ORロジックゲートに基づいたメモリアーキテクチャを表す。
【0079】
3次元の集積回路の製作は、等方的かつ原子レベルで制御可能なエッチングプロセスによって容易になり得る。このような能力は、最新デバイスのナノメートルスケールのフィーチャサイズにより有利である。これらの能力を満たすために、熱原子層エッチング(ALE)に関する例が開示されている。熱ALEは、材料を改質用化学物質と反応させて、材料の表面層を改質することを含む。改質は、材料の表面全体にわたって等方的かつ制御可能に実行可能である。その後、揮発性化学物質を使用して、改質を施した表面層を揮発させる。揮発により、改質を施した表面層が除去され、それによって材料が等方的にエッチングされる。
【0080】
本開示のALEプロセスは、プラズマの非存在下で熱活性化を利用する配位子交換反応に基づく。本開示の例では、フッ化水素(HF)および塩化ジメチルアルミニウム(DMAC、(CH3)2AlCl))に基づくALEプロセスを用いた高アスペクト比(HAR)穴構造における酸化ハフニウム(HfO2)層のエッチングを説明する。本開示の例は、他の金属酸化物材料のエッチングにも使用できる。例としては、金属ケイ酸塩を含む、他の第4族遷移金属酸化物および第5族遷移金属酸化物が挙げられる。「第4族」および「第5族」という用語は、元素の周期表の列を指す。より具体的な例としては、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、ケイ酸ハフニウム(HfSiO4)、およびケイ酸ジルコニウム(ZrSiO4)が挙げられる。本明細書にて使用する「金属酸化物」という用語は、一般に、金属種および酸素から構成される材料を表し、ケイ酸塩を含む。
【0081】
熱ALEプロセスは、指向性プラズマステップを利用しない。したがって、ナノ構造内部の表面は、反応物または副生成物の一般的な流動および構造内部のそれらの深さに対する表面の配列に関係なく、非常に類似した速度でエッチングできる。この等方性エッチングを達成するために、いくつかの例では、熱等方性ALEプロセスの改質および除去ステップに、エッチングされる表面を飽和させるのに十分な時間が与えられ得る。しかしながら、これらの時間は、特にHAR凹状フィーチャの届きにくい領域では長時間になる可能性がある。これにより、市販のALEツールのオペレータは、飽和に達するための長いプロセスステップを実施することによって完全なエッチング等方性を達成することと、1時間あたりに最小数のデバイスを処理することとの間の妥協に陥る可能性がある。
【0082】
したがって、以下により詳細に説明するように、熱等方性ALEの表面改質ステップにて使用される条件を変化させることにより、等方性に大きな影響を与えることなく、エッチング速度が変化され得ることを発見した。いくつかの例では、表面改質ステップを飽和領域外で実施しても、フィーチャの深さを関数としたエッチング速度に良好な等方性を達成できる。同様に、熱ALEの揮発ステップにて使用される条件を変更することにより、フィーチャ深さを関数としたエッチング速度プロファイルを調整できることを発見した。総処理チャンバ圧力など、これらおよび他の条件を変化させることにより、フィーチャ深さを関数としたエッチング速度およびエッチングプロファイルの両方を調整できる。改質および揮発ステップを調整するための条件の例は、以下に詳細に説明する。
実験
【0083】
実験用の圧力領域に応じて、2つの反応器のうち1つにおいて、試料を熱ALEによりエッチングした。10mTorrから150mTorrの間の範囲の圧力(以下、低圧領域と呼ぶ)では、300mmウエハ用に修正された反応性イオンエッチング(RIE)チャンバにて実験を行った。低圧領域において熱ALEを実施するための例示的な反応器の概略図を
図1Aにて低圧反応器100として示す。より詳細には、
図1Aは、基板102(例えば、300ミリメートル半導体ウエハ)と、静電チャック台座104と、ターボ分子ポンプ106と、ガスボックス111に接続された処理ガス入口110と、処理チャンバ116と、揮発剤119を含む気化器118と、ガスボックス111からのガスライン120とを示す。マスフローコントローラ(MFC)(図示せず)は、ガスボックス111内のフッ素化剤供給部122からのフッ素化剤の質量流量の速度を制御する。低圧反応器100は、コントローラ124をさらに備える。コントローラ124は、低圧反応器100の様々な態様を制御するために実行可能な命令を含むコンピューティングシステムの形態をとる。例えば、コントローラ124は、処理チャンバ116内の圧力を(例えば、ターボ分子ポンプ106および処理ガス入口110を通るガス流量を制御することによって)、揮発剤およびフッ素化剤の投与速度、ならびに基板温度を制御できる。
【0084】
基板102を静電チャック台座104によって保持した。静電チャック台座104を150℃から280℃の間の温度に加熱した。静電チャック台座104と基板102の裏面との間にヘリウムガス(ヘリウム源126から)を導入することによって熱を伝達した。これにより、ミリトール範囲内のプロセス圧力で熱を伝達できるようになる。ターボ分子ポンプ106により、1から500mTorrの間の圧力を維持できた。揮発剤119(例えば、DMAC)は、気化器118において液体から気体に変換され得る。ターボ分子ポンプ106により維持された真空によって揮発剤を基板102に引き寄せた。フッ素化剤(例えば、フッ化水素(HF))をガスボックス111から供給した。フッ素化剤の流れを、マスフローコントローラ(図示せず)を介して制御した。フッ素化剤および揮発剤を、基板102の中央上方に配置された、処理ガス入口110から注入した。50から500sccm(標準立方センチメートル)の間の流量を揮発剤の蒸気ならびにフッ素化剤に使用した。低圧反応器100では、窒素などのバックグラウンドガスを使用しなかった。本開示の例では、フッ素化剤としてフッ化水素を使用して、表面層をフッ素化することによって改質を施した表面層を形成した。ただし、他の例では、他の化学物質を使用して、その後の揮発用に表面を改質できる。他のフッ素化剤の例としては、フッ化キセノン(例えば、六フッ化キセノン(XeF6))、フッ化硫黄(例えば、六フッ化硫黄(SF6))、三フッ化窒素(NF3)、ハロゲン間フッ化物(例えば、三フッ化塩素(ClF3))、および分子フッ素(F2)が挙げられる。同様に、改質を施した表面層を揮発させるための塩素供与体としてDMACを使用したが、他の例では、他の塩素供与体が使用可能である。例としては、三塩化ホウ素(BCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)、およびトリメチルクロロシラン((CH3)3ClSi)が挙げられる。さらに、いくつかの例では、塩素供与体の代わりに、臭素供与体が使用可能である。臭素供与体の例としては、臭化水素(HBr)、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、および分子状臭素(Br2)が挙げられる。このような改質を施した表面層を揮発させるための化学物質は、一般に、揮発剤と呼ぶことができる。揮発剤は、改質を施した表面層の金属原子と配位子交換反応を起こし、揮発性生成物を形成できる。ハフニアのALEにて形成される揮発性生成物の例としては、HfClF3およびフッ化ジメチルアルミニウムを含み得る。他の例では、メチル供与体など、有機配位子供与体が使用可能である。メチル供与体の例は、トリメチルアルミニウム(TMA)である。
【0085】
次に、
図2を参照すると、350mTorrを超える圧力用に、高圧反応器200として使用される修正された堆積チャンバ内で実験を行った。
図2は、基板202(例えば、300ミリメートル半導体ウエハ)と、アルミニウム台座ヒータ204と、機械式真空ポンプ206と、ガス注入シャワーヘッド210と、シャワーヘッドカラーパージガス入口212と、ガスボックス215からガス注入シャワーヘッド210に処理ガスを供給するように構成されたプロセスガス入口214と、ガス注入シャワーヘッド210に揮発剤218を供給するように構成された気化器216と、処理チャンバ220とを概略的に示す。コンピューティングシステムを含むコントローラ230は、高圧反応器200の様々な態様を制御するように実行可能な命令を含む。例えば、コントローラ230は、処理チャンバ220内の圧力を(例えば、機械式真空ポンプ206およびガス注入シャワーヘッド210を通るガス流量を制御することによって)、揮発剤およびフッ素化剤の投与速度、ならびに基板温度を制御できる。
【0086】
基板202は、ウエハを加熱する、アルミニウム台座ヒータ204上に載置した。基板202をアルミニウム台座ヒータ204上に載置すると、ヘリウム浸漬ステップにおいて、ヘリウム222を、2.0Torrの圧力で、1250sccmで20秒間基板の上に流した。これにより、アルミニウム台座ヒータ204から基板202への熱伝達が促進された。アルミニウム台座ヒータ204の設定値は、室温から400℃の間で変更可能であった。位置制御バタフライバルブ(図示せず)により、チャンバ圧力を所望の圧力設定値に維持した。350mTorrから8.0Torrの間の範囲の圧力設定値を使用した。ヘリウム浸漬ステップの後、ALEプロセスを開始した。すべてのプロセスガス(これらの例では、ヘリウム222、窒素224、揮発剤218(例えば、DMAC)、およびフッ素化剤226(例えば、フッ化水素))を、ガス注入シャワーヘッドを通して供給し、マスフローコントローラ(
図2には図示せず)を介して制御した。低背圧マスフローコントローラ(図示せず)を使用して、高圧反応器200内への揮発剤の流れを制御した。フッ化水素および窒素の流れはすべて、50から1000sccmの間であった。DMACの流れは、50sccmで一定に保った。本明細書に開示の実験は、低圧反応器100および高圧反応器200を作るために修正された処理チャンバ内で実施した。ただし、他の例では、熱ALEは、本開示の処理ツール以外の任意の他の適切な処理ツールにて実施可能である。
【0087】
高アスペクト比構造において熱ALEエッチング速度を測定するために、高さ5μmのONON(酸化物-窒化物-酸化物-窒化物)スタックを含有するダイを有する基板を生成した。これらのスタックは、100nmの穴でパターニングされたマスクで覆われた76対のON(酸化物-窒化物)で構成された。高エネルギー反応性イオンエッチング(RIE)により、深さ約5μmの穴をエッチングした。これらの穴は、基板の凹状フィーチャの例である。穴形成が完了した後、ストリップツールにおける酸素(O
2)ベースのストリッププロセスによって、ハードマスクを除去した。エッチングされ、ストリップされたウエハを30mm×15mmの大きさのクーポンに切断した後、次に、原子層堆積(ALD)にて堆積させたハフニア(HfO
2)膜でクーポンをコーティングした。その後、クーポンを、それぞれ、低圧反応器での実験用にガリウムを用いてシリコンキャリア基板に接着するか、または高圧反応器での実験用に、あらかじめエッチングされたポケットを有する特殊なキャリアウェハ上に載置した。ハフニアの厚さを計算に含めると、ALEの開始前の構造の初期アスペクト比は、約62:1(80nmの初期直径で深さ5,000nm)であった。試料調製プロセスの概略図を
図3A~
図3Cに示す。より詳細には、
図3Aは、RIE前の76対のONONスタックの概略図を示す。
図3Bは、RIEを介して100nmの穴がエッチングされ、マスクがストリップされた後の同じスタックを示す。
図3Cは、ALDを介して同じ穴に~10nmのハフニア(オレンジ色のコーティング)をコンフォーマルに堆積させた後の穴の断面図をさらに示す。
【0088】
ALEを実施した後、クーポンを流動性炭素で充填し、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像した。撮像する領域を集束イオンビーム(FIB)ミリング加工によって試料から除去し、TEMグリッドに取り付けた。撮像は、200keV(キロ電子ボルト)、および50,000倍の倍率で行った。画像を解析し、対応するエッチング速度をONONスタック内部の深さ位置に対してグラフ化した。ハフニア膜厚は、酸化物層上および窒化物層上の両方の下地基板に対して垂直に測定した。ハフニア膜厚には、それぞれ、酸化物層上または窒化物層上のいずれの位置に対しても、識別可能な差は検出されなかった。ハフニアの厚さデータの良好な統計的有意性を保証するために、それぞれの深さにおいて少なくとも30回の測定を実施した。
【0089】
ALE後の測定位置と共に試料のTEM断面を
図4A~
図4Dに示す。より詳細には、
図4Aは、RIEマスクを有する完全なONONスタックおよびALE後の測定位置の断面を示す。
図4Bは、ONONスタックの上部のクローズアップ図を示す。上部は、
図4Aにおいて「Top」のラベルによって示されている。
図4Cは、ONONスタックの中間部分のクローズアップ図を示す。
図4Dは、ONONスタックの底部のクローズアップを示す。底部は、
図4Aにおいて「底部」のラベルによって示されている。
図4Cでは、酸化物および窒化物の帯、ならびにALEの前に堆積させた10nmのハフニア層がラベル付けされている。ONON構造は、
図4B~
図4Dにおいて明暗グレーの帯によって認識できる。
図4B~
図4Dには、穴内部に黒い膜として見える、ハフニア層も示されている。
【0090】
等方性熱ALEを実施する前にハフニア膜の表面組成を特徴付けるために、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の1486.7eVにおける単色AlkαX線源を備えたTheta300スタンドアロンX線光電子分光(XPS)ツールを利用した。試料を低圧反応器でフッ素化した場合、試料処理とXPS測定との間に空気中で最大30分の作業待ち時間があった。試料を高圧反応器でフッ素化した場合、最大24時間の作業待ち時間が発生した。制御された実験を実施することにより、試料を~20℃、および相対湿度~40%のクリーンルーム雰囲気条件で保管した場合、フッ素化処理後、少なくとも72時間までは、ハフニア膜中のフッ素濃度に対する作業待ち時間の影響は、軽微なものであることが確定した。
結果および説明
【0091】
上述のONONスタック内の~80nmの穴などの高アスペクト比ナノ構造内部で有意義なエッチング速度データを生成するために、構造内の初期膜厚、粒径、ハフニウム:酸素比、または結晶性を変化させてもエッチング速度の結果が影響を受けないように、各穴の深さ全体にわたって高品質のハフニア膜を堆積させるように注意した。他の研究では、熱ALEエッチング速度は、酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニア、および酸化ジルコニウムの材料の結晶化度の関数であることが示されている。成長中の膜質には、複数のパラメータが影響する可能性がある。パラメータの例としては、前駆体の種類、成長速度、投与、および基板温度が挙げられる。250℃および300℃の温度で堆積させたALDハフニア膜の基板温度を関数としたサイクルあたりのALEエッチング(EPC)測定値を求めた。
【0092】
図5は、1Torrのプロセス圧力において台座温度へのEPCの依存性を示す。
図5では、EPCsがより低いデータ系列は、300℃のハフニア膜に対応する。この試料のより低いEPCにより、この膜がより優れた膜質を表したことが示されている。可能性のあるメカニズムとして、高温で成長した膜は、成長中に水素の取り込みがより少なかったか、および/または結晶化度がより高かった可能性がある。水素の取り込みがより少ないと、エッチング中のEPCが低下する可能性がある。
図5は、300℃のハフニアの低下したEPCが、250℃の膜と比較して、ALE温度範囲全体を通してより低かったことを示している。これらの2つの膜間のEPCの全体的な差は、375℃において25%の高値から225℃において10%の低値まで、温度とともに減少した。
【0093】
膜成長中の基板温度に加えて、前駆体の投与が、ハフニア膜の品質を制御する上で重要な役割を果たした。ハフニア膜の品質は、100:1の水で希釈したフッ化水素溶液中でハフニア膜を室温で3分間エッチングすることによって評価した。
図6Aおよび
図6Bは、ナノ構造内部に堆積させた膜の品質の尺度としてウェットエッチング速度を使用した実験結果を示す。より詳細には、
図6Aは、より高いハフニウム前駆体の投与量(15.7Torr*sのハフニアおよび22.5Torr*sの水(H
2O)前駆体)、ならびにより低いハフニウム前駆体の投与量(7Torr*sのHfおよび7Torr*sのH
2O前駆体)で、ALDによって堆積させたハフニア膜についてハフニアウェットエッチング速度の比較を示す。使用したハフニウム前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)であった。
図6Bは、初期膜厚プロファイルと比較したウェットエッチング結果を示す。その膜の成長条件は、
図7Bのグラフの左下に示されている。ハフニア膜の成長条件には、150℃の基板(台座)温度および上記のより高い投与条件が含まれる。
【0094】
図6Aに示す2つの代表的なウェットエッチング速度のうち、より高い前駆体の投与量でハフニアをあらかじめ堆積させた80nmの穴構造において、より高いウェットエッチング速度の均一性が明確に分かる。
図6Bは、同様の条件下でより高い前駆体の投与量で堆積させた膜のウェットエッチング速度と、対応する初期膜厚とを示す。なお、比較的平坦なプロファイルに留意されたい。上部から底部までの総適合性は、85%よりも優れていた。本明細書に開示の高アスペクト比ALE研究に使用したすべての材料は、
図6Bの実験結果に示したものと同様の品質および適合性の膜を利用した。
【0095】
ALE処理用の実際のナノ構造に転換する前に実施した最終的な相関は、ハフニアのフッ素化効率であった。無水フッ化水素蒸気をフッ素化剤として使用して、試料をフッ素化した。基板温度およびフッ化水素の分圧を関数としたブランケットハフニア膜に残された結合フッ素の量を、XPSを利用して測定した。これらの膜の一部はXPS測定を実施した場所から数百キロメートル離れた高圧反応器でフッ素化したため、まず、最大72時間の空気曝露時間の影響が、膜中の最終フッ素濃度に顕著な影響を及ぼさないことを確認した。
【0096】
フッ素化試験のXPS結果を
図7に表示する。より詳細には、
図7は、フッ化水素を用いてフッ素化した後のハフニア中のフッ素濃度を示す。基板温度を250℃から350℃に上昇させると、結合フッ素濃度の増加が観察された。しかしながら、150℃から250℃の試料の間には、識別可能な差はなかった(
図7参照)。この性質は、フッ化水素と表面のヒドロキシル(OH)基との反応性からフッ素がハフニア膜内に最初に取り込まれた後、フッ素の取り込みを著しく促進するためには、ある種の「活性化」が必要であることを示している可能性がある。この性質は、温度とともにフッ素が着実に、ただしわずかに減少することが観察されたAl
2O
3の結果とは対照的である。これは、温度上昇を関数とした脱離速度の増加に起因する場合がある。ただし、Al
2O
3のフッ素含有量対温度は、150℃から250℃の間で実施され、Al
2O
3とのHF反応を大幅に促進するための「活性化」または最低温度を捉えていない場合があることに留意されたい。
【0097】
温度に加えて、フッ化水素の分圧も膜のフッ素含有量に決定的な影響を与えた。0.15Torrから8Torrの間の圧力範囲について、酸化アルミニウムのフッ素化の厚さおよび結果として得られる1サイクルあたりのエッチング量に対するプロセス圧力の依存性を報告した。圧力がフッ素化中の投与量を設定するため、本研究では、3.2Torr(全圧8Torr)のフッ化水素の分圧を試料に適用した場合、最大30%のフッ素濃度を達成できた。この量は、Al2O3において達成されたと報告された8Torrの10%という結果よりも高い。おそらく材料の違いと、本例にて使用した温度がやや高い(Al2O3について報告された300℃ではなく、350℃)ことに起因する。本例では、供給ガスとしてフッ化水素を用いてゼロバイアスICPプラズマを使用すると、XPSで測定したようなハフニア膜にも、30%のフッ素含有量を達成できた。プラズマの結果は、高圧熱の結果と一致する。したがって、このレベルのフッ素含有量は、基板表面に反応性フッ素を供給する際にプラズマの効率が高いため、フッ素化の上限を表わしてもよい。これは、熱ALEによるフッ素化がプラズマの指向性効果がなくても、プラズマ励起ALEによるフッ素化と同様に効果的であってもよいことを示し得る。
【0098】
高アスペクト比構造をフッ素化する場合、比較的高いフッ素濃度は、比較的低いフッ素濃度に比べて有利となり得る。これは、少なくともフッ素濃度が比較的高い方が、表面をフィーチャ内のより深くに、ほぼ飽和レベルまでより速く促進するためである。これにより、エッチング中のEPCの深さ依存性を低減できる。さらに、フッ素濃度が比較的高いと、1サイクルあたりのエッチング速度が比較的高くなり得る。これにより、産業用途において比較的高いツールスループットを達成できる。
【0099】
次に、プロセスステップ時間によって制御された、投与がEPCの深さ均一性に及ぼす影響に関する結果と説明を提示する。フッ化水素ベースの改質ステップ長ならびにDMACベースの除去ステップ長の両方を独立して制御した。
【0100】
EPCsは、ALE処理後の基板クーポンの垂直80nmの穴内部のハフニア膜厚を、未処理の構造の膜厚から差し引くことによって求めた。この計算は、デルタをALEのサイクル数で割ることによって行われた。有意義なEPC値を得るため、かつ開始の影響を最小化するために、15から20の間のサイクルを選択した。
【0101】
図2の高圧反応器200を使用して、バックグラウンドガスとして窒素を用いて両方の反応物を添加した。これにより、1Torrの絶対反応器圧力が確立された。HFの分圧は、より低いフッ化水素の投与量およびより高いフッ化水素の投与量に対して、それぞれ、150mTorrおよび400mTorrであった。より低いフッ化水素の投与量に対応するEPCデータを
図8Aに示す。より高いフッ化水素投与量に対応するEPCデータを
図8Bに示す。DMACの分圧を、両方の実験のセットにおいて、48mTorrに維持した。すべての実験において、ALEプロセス全体を通して350℃の一定の基板温度に維持した。
【0102】
EPCsは、より低いフッ化水素の投与量(0.3Torr*s)の実験のセットにおいてより低かった。これは、フッ素化が非飽和プロセス領域において実施されたことを示し得る。しかしながら、この領域では、DMACの投与量を変化させることにより、エッチング速度の深さプロファイルを調整できた。例えば、0.14Torr*sのDMACの投与において、底部で遅いエッチング速度の深さプロファイルが得られた。エッチング速度のより平坦な深さプロファイルは、1.43Torr*sの試験された最も高いDMACの投与において得られた。
【0103】
図8Bに示す、第2の実験のセットを参照すると、基板クーポンは、24Torr*sのフッ化水素の投与を受けた。これは、基板クーポンを400mTorrの分圧のフッ化水素蒸気に60秒間曝露することによって達成された。一般に、EPCsは、およそ2倍高くなる。これは、フッ化水素の曝露がフッ素の飽和に近かったことを示している。0.72Torr*sを超えるDMACの投与量(この実験では、15秒の塗布時間)では、平坦なエッチングプロファイルが得られた。より低いDMACの投与量では、穴内のより深部のエッチング速度が低下した。これは、前駆体の枯渇に起因した可能性がある。この結果、より低いフッ化水素の投与量の実験と同様の歪んだエッチングプロファイルとなる。
【0104】
EPC測定の補足セットでは、除去ステップ中に0.72Torr*sの固定されたDMACの投与を受けたが、フッ化水素の投与量を0.8Torr*sの低曝露から24Torr*sの高曝露まで変化させた試料で実施した。このDMACの投与量は、前の実験のセットにてフィーチャ深さを関数とした比較的均一で平坦なEPC結果が提供されたことから選択した。絶対圧力は、再び1Torrになるように制御し、基板温度は、改質ステップおよび除去ステップの両方において、350℃とした。
図8は、フッ化水素の塗布時間(投与)を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における350℃のハフニアのEPCプロファイルを示す。フッ化水素の分圧は、バックグラウンドガスとして窒素を用いて、1Torrの絶対圧力で400mTorrに維持した。EPCプロファイルは、フッ化水素の飽和を大きく外れたプロセス領域でさえも平坦なままであった。
図9に示すように、除去ステップ中の十分なDMAC投与により、すべてのエッチングプロファイルは、比較的平坦なままであった。フッ化水素の投与は、エッチング速度プロファイルに観察可能な影響を与えなかった。しかしながら、フッ化水素の投与は、投与によって1サイクルあたりのエッチング速度を促進した。
【0105】
図8A、
図8B、および
図9に示す3セットの実験すべてを比較すると、DMAC投与を制御することにより、高アスペクト比ナノ構造におけるエッチング速度プロファイルを制御できることがわかる。飽和に近いDMAC投与では、比較的より平坦なエッチング速度プロファイルが得られる。サブ飽和の投与量では、構造内の深さ位置に依存するより遅いEPCsが生じ、比較的平坦ではないエッチング速度プロファイルとなり得る。フッ化水素曝露時間をパラメータとして用いた類似の実験では、このような結果は生じなかった。2秒の曝露時間に対応する0.8Torr*sの超低フッ化水素投与量でさえも、エッチング速度プロファイルは、平坦なままであり、フッ化水素の投与量とともに均等に増加した。
【0106】
別の実験のセットは、
図1に示す反応器において、低圧およびより低い基板温度で実施した。基板を静電チャック台座上にクランプし、台座温度は250℃で一定になるように制御した。
図2の反応器にて実施したALEプロセスとは異なり、バックグラウンドガスを適用しなかったため、プロセス圧力が低くなった。プロセス圧力は、通常、30mTorrであった。フッ化水素ガスは、マスフローコントローラを介して流量を制御する市販のガスボックスから供給した。DMACは、再度、キャリアガスを使用せずに、反応器内に真空引きした。前回と同様に、1セットの試験を0.15Torr*sの低フッ素化投与量で実行した。これは、上述の高圧反応器研究におけるより低い投与条件と比較して、約半分の投与量で構成された。投与量0.15Torr*sの実験結果を
図10Aに示す。ここでの高フッ化水素の投与量は、反応器圧力がより低いため、0.9Torr*s(30mTorrを30秒間)であった。投与量0.9Torr*sの実験結果を
図10Bに示す。断面TEM分析を介して求めたハフニアのEPCの結果を
図10Aおよび
図10Bに示す。
【0107】
一般に、
図1の低圧反応器から得られた結果は、
図2の高圧反応器から得られた結果よりもノイズが多い結果となった。高投与量の実験から得られるEPCsは、
図10Aおよび
図10Bに示すより高いDMAC投与量を塗布した場合の適度に平坦なエッチングプロファイルを有する、上述の結果とほぼ同等であった。
図10Aおよび
図10Bに示すより低いDMAC投与量の場合、EPCは、特に構造の底部において低下した。これは、深さを関数としたエッチング速度プロファイルが調整可能であることを示してもよい。
【0108】
実験の別のセットでは、エッチング速度およびプロファイルへのプロセス圧力の影響を研究した。プロセス圧力は、10mTorrから8Torrの間で変化させ、フッ素化ステップおよびDMAC曝露ステップは、互いに等圧に保った。エッチング速度プロファイルは、断面TEM分析を用いて測定した。特に断りのない限り、試料は、350℃の基板温度でエッチングした。広い圧力範囲を考慮し、
図1および
図2の両方の反応器をこれらの実験を行うために利用した。
図11Aに示す、結果は、EPCのプロセス圧力への強い依存性を表示している。EPCsは、10mTorrにおいて0.08nm/サイクルから、8Torrにおいてほぼ0.4nm/サイクルまで増大した。すべての試料に対して十分に大きなDMAC投与量を使用したため(チャンバ圧力のTorrあたり48mTorrのDMACの分圧で15秒)、すべてのエッチング速度プロファイルは、より低いDMACの分圧を使用した場合と比較して、比較的平坦である。EPCは半導体製造において、ツールのスループットへの影響から注目されているため、試料を超フッ素化することによりエッチング速度を可能な限り高く増大させるように試みた。192Torr*sのフッ化水素の投与(3.2Torrの分圧で60秒のHF)により、0.6nm/サイクルのEPCが得られた。これは、ALEサイクルあたり1格子定数超(.51nm)が凹んだことを意味する。
【0109】
図11Aおよび
図11Bは、10mTorrから8Torrの間の範囲内の絶対プロセス圧力へのEPCsの依存性をさらに示す。Torr範囲のデータについては、0.72Torr*sのDMAC投与をチャンバ圧力の各Torrに適用した(
図11A)。192Torr*s(3.2TorrのHFの分圧で60秒)の投与を用いて膜をフッ素化し、続いて5.76Torr*s(384mTorrのDMACの分圧で15秒間)のDMAC投与によって膜をフッ素化することにより、0.6nm/サイクルのハフニアのエッチング速度を達成した(
図11B)。
【0110】
このように、本開示の例は、高アスペクト比構造をエッチングするための実行可能なツールとして熱等方性ALEを提供できる。より高い圧力プロセス領域は、より低い圧力プロセス領域と比較して、より高いエッチング速度を提供できる。深さを関数としたHAR構造の横方向のエッチング速度プロファイルは、DMACを変化させることによって調整可能である。DMAC投与量の閾値(本明細書に開示の実験では、0.72Torr*s)を超えると、実質的に平坦なエッチングプロファイルが得られることがわかった。プロファイル制御は、フッ化水素の投与にあまり敏感ではなかった。しかしながら、EPCは、フッ化水素投与に敏感であった。8Torrの絶対チャンバ圧力で最大フッ素化を実施した試料では、ハフニアの格子定数の大きさを超える、サイクルあたり0.6nmの等方性エッチング量が達成された。
【0111】
図12は、原子層エッチングを実施するための例示的な方法1200を表すフロー図を示す。方法1200は、ステップ1201において、基板を処理チャンバ内に載置することを含む。基板は、表面層として金属酸化物層を含む。金属酸化物層は、いくつかの例では、高アスペクト比フィーチャに少なくとも部分的に配置され得る。例示的な高アスペクト比フィーチャとしては、3D集積回路の製作中に形成される穴およびトレンチが挙げられる。このようなフィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を有し得る。例示的な3D集積回路としては、3D-NANDメモリ、3D-NORメモリ、および3D-DRAMメモリが挙げられる。金属酸化物は、1202で示すように、第4族または第5族遷移金属を含み得る。金属酸化物のより具体的な例としては、ハフニア、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、ケイ酸ハフニウム、およびケイ酸ジルコニウムが挙げられる。
【0112】
方法1200は、ステップ1203において、基板を加熱することをさらに含む。基板は、任意の適切な温度に加熱できる。いくつかの例では、基板は、1204で示すように、170℃以上の温度に加熱できる。いくつかのそのような例では、基板は、250℃以上の温度に加熱できる。より高い温度では、金属酸化物層のフッ素化をより迅速に行うことができる。
【0113】
方法1200は、ステップ1206において、基板を加熱しながら、ALEサイクルを実施することをさらに含む。ALEサイクルは、ステップ1208において、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む。1210で示すように、いくつかの例では、フッ素化剤は、フッ化水素、フッ化キセノン(例えば、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化キセノン(XeF4)、または六フッ化キセノン(XeF6))、三フッ化窒素、フッ化硫黄(例えば、四フッ化硫黄(XeF4)、または六フッ化硫黄(SF6))、ハロゲン間フッ化物(例えば、三フッ化塩素(ClF3)または五フッ化塩素(ClF5))、あるいは分子状フッ素の1つまたは複数を含む。いくつかの例では、1212で示すように、金属酸化物層は、0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露される。いくつかのそのような例では、1214で示すように、金属酸化物層は、16Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露される。より高い投与量のフッ素化剤を使用すると、より高いEPCsを提供できる。さらに、いくつかの例では、金属酸化物層は、フッ素化剤への曝露中に1Torr以上の全圧に曝露される。1Torr以上の全圧により、より高いEPCsが生じ得る。ただし、他の例では、より低い全圧を使用できる。
【0114】
続けて、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露した後、任意選択で処理チャンバをパージガスによってパージできる。パージガスの例としては、窒素およびアルゴンが挙げられる。次に、ステップ1218において、方法1200は、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することを含む。1220で示すように、揮発剤は、塩素供与体、有機配位子供与体(例えば、メチル供与体)、または臭素供与体を含み得る。いくつかの例では、1222において、塩素供与体は、DMAC、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、またはトリメチルクロロシランの1つまたは複数を含み得る。さらに、いくつかの例では、臭素供与体は、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含み得る。さらなる例では、メチル供与体は、トリメチルアルミニウムから構成され得る。いくつかの例では、1224で示すように、改質を施した表面層は、0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露され得る。このような投与量により、フィーチャ深さを関数としたより均一なEPC速度が生じ得る。他の例では、0.35Torr*s未満の揮発剤の投与を使用できる。より低い投与量により、フィーチャ深さを関数としたEPC速度が変化し得る。
【0115】
いくつかの例では、改質を施した表面層は、揮発剤に曝露される間、1Torr以上の全圧に曝露される。他の例では、より低い全圧を使用できる。さらに、1226で示すように、いくつかの例では、基板は、フッ素化剤および揮発剤に同じ全圧で曝露される。フッ素化剤および揮発剤の曝露に同じ全圧を使用すると、処理チャンバ圧力の変更、次に安定化に時間がかからないため、処理時間を短縮できるようになる。
【0116】
ALEサイクルを完了した後、方法1200は、1228において、別のALEサイクルを実施するかどうかを決定することを含む。別のALEサイクルを実施すると決定した場合、次に、方法1200は、1206に戻り、金属酸化物層は、再びフッ素化剤に曝露される。一方、別のALEサイクルを実施しないと決定した場合、方法1200は終了する。いくつかの例では、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きいEPCを達成できる。いくつかのそのような例では、3.6ナノメートル/サイクルよりも大きいEPCを達成できる。いくつかのそのような例では、0.6ナノメートル/サイクルのEPCを達成できる。さらに、いくつかの例では、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を達成できる。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびプロセスは、1つまたは複数のコンピューティングデバイスのコンピューティングシステムに結び付け可能である。具体的には、そのような方法およびプロセスは、コンピュータアプリケーションプログラムまたはサービス、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ライブラリ、および/または他のコンピュータプログラム製品として実装できる。
図13は、上述した1つまたは複数の方法およびプロセスを実行可能なコンピューティングシステム1300の例を概略的に示す。コンピューティングシステム1300は、単純化された形態で示されている。コンピューティングシステム1300は、1つまたは複数のパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットワークコンピューティングデバイス、および/または他のコンピューティングデバイスの形態をとり得る。コントローラ124および230は、コンピューティングシステム1300の例である。
【0118】
コンピューティングシステム1300は、ロジックサブシステム1302および記憶サブシステム1304を含む。コンピューティングシステム1300は、任意選択で、ディスプレイサブシステム1308、入力サブシステム1310、通信サブシステム1312、および/または他のコンポーネント(
図13に図示せず)を含み得る。
【0119】
ロジックサブシステム1302は、命令1306を実行するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。例えば、ロジックサブシステムは、1つまたは複数のアプリケーション、サービス、プログラム、ルーチン、ライブラリ、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、または他の論理的構成の一部である命令を実行するように構成され得る。このような命令は、タスクを実施する、データタイプを実装する、1つまたは複数のコンポーネントの状態を変換する、技術的効果を達成する、またはその他の方法で所望の結果を得るように実行され得る。例として、ロジックサブシステムは、方法200、方法500、および方法800を実施するための命令を実行できる。
【0120】
ロジックサブシステムは、ソフトウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。追加または代替として、ロジックサブシステムは、ハードウェアまたはファームウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアまたはファームウェアロジックデバイスを含み得る。ロジックサブシステムのプロセッサは、シングルコアまたはマルチコアであり得る。そこで実行される命令は、逐次処理、並列処理、および/または分散処理用に構成され得る。ロジックサブシステムの個々のコンポーネントは、任意選択で、2つ以上の別個のデバイスに分散でき、これらのデバイスは、遠隔に配置され、かつ/あるいは協調処理用に構成され得る。ロジックサブシステムの態様は、仮想化され、クラウドコンピューティング構成内に構成された遠隔アクセス可能な、ネットワークコンピューティングデバイスによって実行され得る。
【0121】
記憶サブシステム1304は、本明細書に記載の方法およびプロセスを実施するために、ロジックサブシステムによって実行可能な命令1306を保持するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。例えば、記憶サブシステム1304は、方法200、方法500、および/または方法800を実施するように実行可能な命令を含み得る。そのような方法およびプロセスが実施されるとき、記憶サブシステム1304の状態は、例えば、異なるデータを保持するように変換され得る。
【0122】
記憶サブシステム1304は、リムーバブルデバイスおよび/または内蔵デバイスを含み得る。記憶サブシステム1304は、中でも、光メモリ、半導体メモリ、および/または磁気メモリを含み得る。記憶サブシステム1304は、揮発性、不揮発性、動的、静的、読み取り/書き込み、読み取り専用、ランダムアクセス、シーケンシャルアクセス、ロケーションアドレス指定可能、ファイルアドレス指定可能、および/またはコンテンツアドレス指定可能なデバイスを含み得る。
【0123】
記憶サブシステム1304は、1つまたは複数の物理デバイスを含むことを理解されたい。ただし、本明細書に記載の命令の態様は、代替として、有限の期間、物理デバイスによって保持されない通信媒体(例えば、電磁信号、光信号等)によって伝搬され得る。
【0124】
ロジックサブシステム1302および記憶サブシステム1304の態様は、1つまたは複数のハードウェアロジックコンポーネント内に共に統合され得る。このようなハードウェアロジックコンポーネントには、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、プログラムおよびアプリケーション特定用途向け集積回路(PASIC/ASICs)、プログラムおよびアプリケーション特定用途向け標準製品(PSSP/ASSPs)、システムオンチップ(SOC)、および複合プログラマブルロジックデバイス(CPLDs)を含み得る。
【0125】
ディスプレイサブシステム1308は、含まれる場合、記憶サブシステム1304によって保持されるデータの視覚的表現を提示するために使用され得る。この視覚的表現は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の形態をとり得る。本明細書に記載の方法およびプロセスは、記憶サブシステムによって保持されるデータを変更し、したがって記憶サブシステムの状態を変換するに従って、ディスプレイサブシステム1308の状態も同様に、基礎となるデータの変化を視覚的に表すように変換され得る。ディスプレイサブシステム1308は、あらゆるタイプの技術を実質的に利用する1つまたは複数のディスプレイデバイスを含み得る。そのようなディスプレイデバイスは、共有エンクロージャ内でロジックサブシステム1302および/または記憶サブシステム1304と組み合わせ可能であり、あるいはそのようなディスプレイデバイスは、周辺ディスプレイデバイスとなり得る。
【0126】
入力サブシステム1310は、含まれる場合、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンなどの1つまたは複数のユーザ入力デバイスを備え得る。いくつかの実施形態では、入力サブシステムは、選択された自然ユーザ入力(NUI)構成部分を備えるか、またはそれらと結合できる。そのような構成部分は、一体型または周辺機器となり得る。入力動作の伝達および/または処理は、オンボードまたはオフボードで処理できる。
【0127】
通信サブシステム1312は、含まれる場合、コンピューティングシステム1300を1つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信可能に結合するように構成され得る。通信サブシステム1312は、1つまたは複数の異なる通信プロトコルと互換性のある有線および/または無線通信デバイスを含み得る。例として、通信サブシステムは、無線電話ネットワーク、または有線もしくは無線のローカルもしくはワイドエリアネットワークを使用する通信用に構成され得る。いくつかの実施形態では、通信サブシステムにより、コンピューティングシステム1300がインターネットなどのネットワークを使用して他のデバイスにメッセージを送信および/または他のデバイスからメッセージを受信可能になる。
【0128】
本明細書に記載の構成および/またはアプローチは、本質的に例示的であり、多数の変形が可能であるため、これらの特定の実施形態または例は、限定的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の1つまたは複数を表してもよい。そのため、図示および/または記載の様々な動作は、図示および/または記載の順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、並行して実施されてもよく、あるいは省略されてもよい。同様に、上述のプロセスの順序は、変更されてもよい。
【0129】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システムおよび構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性の新規かつ非自明な組み合わせおよびサブ組み合わせのすべて、ならびにそれらの任意およびすべての等価物を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層エッチングを実施する方法であって、前記方法は、
3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱することと、
前記基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することと
を含み、
前記原子層エッチングサイクルは、
プラズマの非存在下で前記基板の前記凹状フィーチャ内の前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することと、
改質を施した前記表面層を揮発させるために、前記プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記フッ素化剤は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記揮発剤は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記揮発剤は、塩化ジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン
、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板を加熱することは、前記基板を170℃以上の温度に加熱することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属酸化物層を前記フッ素化剤に曝露することは、前記金属酸化物層を0.05Torr*s以上の前記フッ素化剤の投与に曝露することを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記凹状フィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
改質を施した前記表面層を前記揮発剤に曝露することは、改質を施した前記表面層を0.35Torr*s以上の前記揮発剤の投与に曝露することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクルは、85%を超える前記凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい、方法。
【請求項11】
原子層エッチングを実施するための反応器であって、前記反応器は、
処理チャンバと、
ヒータを備える基板ホルダと、
コントローラであって、
基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱し、
前記基板を加熱しながら、プラズマの非存在下で前記基板の前記凹状フィーチャ内の前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成し、改質を施した前記表面層を揮発させるために、前記プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することによって原子層エッチングサイクルを実施するために、前記反応器を制御するように実行可能な格納された命令を含むコントローラと
を備える、反応器。
【請求項12】
請求項11に記載の反応器であって、
フッ素化剤源をさらに含み、前記フッ素化剤源は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む、反応器。
【請求項13】
請求項11に記載の反応器であって、
揮発剤源をさらに含み、前記揮発剤源は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む、反応器。
【請求項14】
請求項13に記載の反応器であって、
前記揮発剤源は、塩化ジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む、反応器。
【請求項15】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、前記基板を170℃よりも高い温度に加熱するように実行可能である、反応器。
【請求項16】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、前記金属酸化物層を0.05Torr*s以上の前記フッ素化剤の投与に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項17】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、改質を施した前記表面層を0.35Torr*s以上の前記揮発剤の投与に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項18】
請求項11に記載の反応器であって、
前記命令は、
改質を施した前記表面層を1Torr以上の全圧に曝露することによって、前記金属酸化物層を前記フッ素化剤に曝露するように実行可能である、反応器。
【請求項19】
原子層エッチングを実施する方法であって、前記方法は、
3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板を処理チャンバ内に載置することであって、前記基板は、前記基板の凹状フィーチャ内に表面層として金属酸化物層を含むことと、
前記基板を170℃以上の温度に加熱することと、
前記基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することと
を含み、
前記原子層エッチングサイクルは、
プラズマの非存在下で前記金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することであって、前記金属酸化物は、第4族または第5族遷移金属を含むことと、
85%を超える前記凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を提供するように選択された投与量で、プラズマの非存在下で改質を施した前記表面層を揮発剤に曝露することと
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記原子層エッチングサイクル
のサイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年12月2日に出願された、「CONTROL OF ETCH PROFILES IN HIGH ASPECT RATIO HOLES VIA THERMAL ATOMIC LAYER ETCHING」と題する国際特許出願PCT/US2022/080857の国内移行出願であり、2021年12月8日に出願された米国仮出願第63/265,138号の優先権を主張するものであり、かかる仮出願の内容全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
集積回路製造の進歩により、実装密度を高め、コストを削減するために、チップアーキテクチャが垂直方向に押し込まれている。例えば、3次元(3D)NAND、3D NOR、または3D DRAMなどの高度なメモリデバイスは、集積回路内に積層された複数層のデバイスを含む。この傾向は、メモリデバイスを互いの上部に積み重ねる高アスペクト比(HAR)設計を導入することによって、製造上の課題を増大させている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の概要は、詳細な説明にてさらに後述する概念の抜粋を簡略化して紹介するために提供される。本発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定するように意図されず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されるように意図されない。さらに、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分にて指摘された欠点のいずれかまたは全てを解決する実施態様に限定されない。
【0004】
本開示の一例は、原子層エッチングを実施する方法を提供する。方法は、3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱することを含む。方法は、基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施することをさらに含む。原子層エッチングサイクルは、プラズマの非存在下で金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む。原子層エッチングサイクルは、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0005】
いくつかのこのような例では、フッ素化剤は、代替または追加として、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む。
【0006】
いくつかのこのような例では、揮発剤は、代替または追加として、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む。
【0007】
いくつかのこのような例では、揮発剤は、代替または追加として、塩化ジメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、トリメチルアルミニウム、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む。
【0008】
いくつかのこのような例では、基板を加熱することは、代替または追加として、基板を170℃よりも高い温度に加熱することを含む。
【0009】
いくつかのこのような例では、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露することは、代替または追加として、金属酸化物層を0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露することを含む。
【0010】
いくつかのこのような例では、凹状フィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を含む。
【0011】
いくつかのこのような例では、改質を施した表面層を揮発剤に曝露することは、代替または追加として、改質を施した表面層を0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露することを含む。
【0012】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルは、代替または追加として、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を含む。
【0013】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、代替または追加として、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい。
【0014】
別の例は、原子層エッチングを実施するための反応器を提供する。反応器は、処理チャンバと、ヒータを備える基板ホルダと、コントローラとを備える。コントローラは、原子層エッチングツールを制御して、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む基板を加熱し、基板を加熱しながら、原子層エッチングサイクルを実施するように実行可能な格納された命令を含む。原子層エッチングサイクルは、プラズマの非存在下で基板の凹状フィーチャ内の金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することによって実施される。原子層エッチングサイクルは、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0015】
いくつかのこのような例では、反応器は、代替または追加として、フッ素化剤源を含み、フッ素化剤源は、フッ化水素、フッ化キセノン、三フッ化窒素、フッ化硫黄、ハロゲン間フッ化物、または分子状フッ素の1つまたは複数を含む。
【0016】
いくつかのこのような例では、反応器は、代替または追加として、揮発剤源を含み、揮発剤源は、塩素供与体、メチル供与体、または臭素供与体を含む。
【0017】
いくつかのこのような例では、揮発剤源は、代替または追加として、塩化ジメチルアルミニウム、四塩化ケイ素、トリメチルアルミニウム、三塩化ホウ素、トリメチルクロロシラン、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含む。
【0018】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、基板を170℃以上の温度に加熱するように実行可能である。
【0019】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、金属酸化物層を0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露するように実行可能である。
【0020】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、改質を施した表面層を0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露するように実行可能である。
【0021】
いくつかのこのような例では、命令は、代替または追加として、表面層を1Torr以上の全圧に曝露することによって、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露するように実行可能である。
【0022】
別の本開示の例は、原子層エッチングを実施する方法を提供する。方法は、3次元半導体デバイス製作プロセスにおいて、基板を処理チャンバ内に載置することを含み、基板は、基板の凹状フィーチャ内に金属酸化物層を含む。方法は、表面層として金属酸化物層を含む基板を170℃以上の温度に加熱することをさらに含む。方法は、基板を加熱しながら、プラズマの非存在下で金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む原子層エッチングサイクルを実施することをさらに含む。原子層エッチングサイクルは、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を提供するように選択された投与量で、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することをさらに含む。
【0023】
いくつかのこのような例では、原子層エッチングサイクルのサイクルあたりのエッチング(EPC)は、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、原子層エッチング(ALE)を実施するための例示的な低圧反応器の概略図を示す。
【0025】
【
図2】
図2は、原子層エッチング(ALE)を実施するための例示的な高圧反応器の概略図を示す。
【0026】
【
図3A】
図3Aは、エッチング前の例示的な酸化物/窒化物(ONON)スタックの概略図を示す。
【0027】
【
図3B】
図3Bは、穴がエッチングされ、エッチング用マスクがストリップされた後の
図3AのONONスタックを示す。
【0028】
【
図3C】
図3Cは、原子層堆積(ALD)を用いてエッチングされた穴にハフニア(HfO
2)の膜をコンフォーマルに堆積させた後の
図3BのONONスタックを示す。
【0029】
【
図4A】
図4Aは、反応性イオンエッチング(RIE)マスクを有する例示的な全ONONスタックの断面を示す。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【
図5】
図5は、1Torrのプロセス圧力で行われた例示的なALEプロセスにおいて、台座温度に対するサイクルあたりのエッチング(EPC)の例示的な依存性を示す。
【0034】
【
図6A】
図6Aは、高いハフニウム(Hf)前駆体投与量および低いHf前駆体投与量で堆積させた膜について、例示的なハフニアのウェットエッチング速度の比較を示す。
【0035】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの高投与量のハフニア膜と同様のハフニア膜のウェットエッチング結果を、初期膜厚プロファイルと比較して示す。
【0036】
【
図7】
図7は、異なる台座温度におけるフッ化水素(HF)の分圧を関数としたハフニア中のフッ素濃度の例を図解するグラフを示す。
【0037】
【
図8A】
図8Aは、0.3Torr*s(150ミリトール(mTorr)を2秒間)のHF曝露を行った試料セットに対する塩化ジメチル
アルミニウム(DMAC)の塗布時間を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ4ミクロン(μm)の穴における350℃で高圧(1Torr)のHfO
2のEPCプロファイルの例を示す。
【0038】
【
図8B】
図8Bは、24Torr*s(400mTorrを60秒間)のHF投与でフッ素化を実施した場合のDMAC塗布時間を関数とした例示的なEPCプロファイルを示す。
【0039】
【
図9】
図9は、HF塗布時間を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における350℃のHfO
2の例示的なEPCプロファイルを示す。
【0040】
【
図10A】
図10Aは、改質ステップ中により低いHF曝露(0.15Torr*s)を行った試料セットのDMAC塗布時間の関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における250℃で低圧(30mTorr)の例示的なEPCプロファイルを示す。
【0041】
【
図10B】
図10Bは、改質ステップ中により高い(0.9Torr*s)HF曝露でフッ素化を実施した場合のDMAC塗布時間(DMAC投与)を関数としたEPCプロファイルを示す。
【0042】
【
図11A】
図11Aは、10mTorrから8Torrの間の範囲において、例示的な絶対プロセス圧力に対するEPCの依存性を図示するグラフを示す。
【0043】
【
図11B】
図11Bは、192Torr*sの投与後に5.76Torr*sのDMAC投与によって膜をフッ素化することにより得られた0.6nm/サイクルのハフニアのエッチング速度を図示するグラフを示す。
【0044】
【
図12】
図12は、ALEを実施するための例示的な方法を図示するフロー図を示す。
【0045】
【
図13】
図13は、例示的なコンピューティングシステムを図示するブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
「アスペクト比」という用語は、一般に、基板のフィーチャの深さとフィーチャの平均幅との間の比を表す。「高アスペクト比」(HAR)という用語は、一般に、10:1よりも高い深さ:幅の比を有するフィーチャを表す。
【0047】
「原子層堆積」(ALD)という用語は、一般に、前駆体を基板に順次吸着させ、次いで吸着された前駆体を化学的に形質変換して、膜層を形成することによって、1つまたは複数の個々の層において、膜を基板上に形成するプロセスを表す。
【0048】
「原子層エッチング」(ALE)という用語は、一般に、自己制御ステップにおいて表面層を改質剤と反応させて、改質を施した表面層を形成し、次いで改質を施した表面層を揮発させることによって、材料を層ごとに基板から除去するプロセスを表す。「熱原子層エッチング」(熱ALE)という用語は、一般に、熱エネルギーを使用して、プラズマの非存在下でALEプロセスを促進させるALEプロセスを表す。
【0049】
「原子層エッチングサイクル」という用語は、一般に、基板の表面を改質剤と反応させて、改質を施した表面を形成し、次いで改質を施した表面を揮発させる1サイクルを表す。
【0050】
「キャリア基板」という用語は、一般に、処理チャンバ内でより小さな基板クーポンを支持するフルサイズの基板を表す。
【0051】
「クーポン」という用語は、一般に、フルサイズの基板をより小さな別々の部分に物理的に分割することによって形成される基板部分を表す。
【0052】
「ダイ」という用語は、一般に、集積回路が形成される基板の一部を表す。基板は、複数のダイに分割でき、各ダイは、集積回路を有する。
【0053】
「供与体」という用語は、一般に、改質を施した表面層に供与されて、改質を施した表面層を揮発させ得る脱離基を有する分子を表す。供与体の例としては、塩素供与体および臭素供与体が挙げられる。
【0054】
「静電チャック台座」という用語は、一般に、静電気力を用いて基板を基板支持体にクランプするように構成された基板支持体を表す。
【0055】
「エッチング」という用語は、一般に、基板からの材料の除去を表す。ウェットエッチングは、液相溶液を使用して、基板から材料を除去する。ドライエッチングは、気相化学物質を使用して、基板から材料を除去する。
【0056】
「フィーチャ」という用語は、一般に、基板上のトポロジーを表す。「凹状フィーチャ」という用語は、基板表面の平面から下方に延びる開口部を有するフィーチャを表す。凹状フィーチャの例としては、穴および溝が挙げられる。
【0057】
「フィーチャ深さ」という用語は、一般に、基板の表面に対する凹状フィーチャの深さを表す。フィーチャ深さが深いほど、より浅いフィーチャ深さよりも基板表面から遠くなる。
【0058】
「フッ素化剤」という用語は、一般に、金属酸化物にフッ素を寄与し得る気相化学物質を表す。
【0059】
「ハードマスク」という用語は、一般に、ポリマーフォトレジストよりもエッチングに対する耐性がより高い膜を表す。
【0060】
「等方性の」、「等方性」という用語、およびその変形例は、一般に、表面配向に依存しないエッチング速度を表す。
【0061】
「金属酸化物」という用語は、一般に、金属原子および酸素原子を含む材料を表す。金属酸化物は、金属ケイ酸塩を含む。
【0062】
「改質」という用語は、一般に、材料を化学改質剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することによる、材料の表面層の自己制御の化学的形質変換を表す。「改質剤」という用語は、一般に、改質プロセスにて使用される化学物質を表す。金属酸化物の改質に使用する改質剤の例としては、フッ素化剤が挙げられる。
【0063】
「改質を施した表面層」という用語は、一般に、フッ素化剤への曝露によってフッ素化された金属酸化物層の領域を表す。改質を施した表面層は、ALEプロセスにおいて揮発剤によって揮発され得る。
【0064】
「台座」という用語は、一般に、処理チャンバ内で基板を支持するように構成された基板ホルダを表す。
【0065】
「プラズマ」という用語は、一般に、陽イオンと自由電子とを含むイオン化ガスを表す。
【0066】
「処理チャンバ」という用語は、一般に、化学的および/または物理的プロセスが基板上で実施される封入物を表す。処理チャンバ内の圧力、基板温度、および大気組成は、化学的および/または物理的プロセスを実施するために制御可能であり得る。
【0067】
「処理ガス入口」という用語は、一般に、処理ガスが処理チャンバ内に導入され得る開口部を表す。処理ガス入口の例としては、シャワーヘッドおよびノズルが挙げられる。
【0068】
「反応性イオンエッチング(RIE)」という用語は、一般に、プラズマが、基板表面と化学的に反応して、基板表面から材料を除去可能な反応性イオン種を形成するドライエッチングプロセスを表す。
【0069】
「反応器」という用語は、一般に、原子層エッチングを実施するように構成された処理ツールを表す。
【0070】
「シャワーヘッド」という用語は、一般に、領域にわたって分散された複数の穴を備える処理用化学物質出口を表す。
【0071】
「ストリップ」という用語は、一般に、基板からのハードマスク膜の除去を表す。
【0072】
「基板」という用語は、一般に、ALEを使用して材料の層を除去可能な任意の構造を表す。
【0073】
「表面層」という用語は、一般に、自己制御のALE改質ステップにおいて、改質剤への曝露により改質される基板表面から基板内に延びる材料の体積部を表す。
【0074】
「3次元半導体デバイス」という用語は、一般に、積層された構成要素デバイスの複数の層を含む集積回路を表す。例としては、3D-NANDメモリデバイスにおける積層されたフラッシュメモリセルの複数の層が挙げられる。
【0075】
「揮発」とは、一般に、材料の固相から気相への転化を表す。
【0076】
「揮発剤」という用語は、一般に、ALEプロセスにおいて、基板の改質を施した表面と反応して、改質を施した表面を揮発させ、それによって改質を施した表面を基板から除去可能な化学剤を表す。
【0077】
「3D DRAM」という用語は、3次元ダイナミックランダムアクセスメモリの頭字語である。
【0078】
「3D NAND」という用語は、3次元NOT ANDメモリの頭字語であり、NOT ANDロジックゲートに基づいたメモリアーキテクチャを表す。
【0079】
「3D NOR」という用語は、3次元NOT ORメモリの頭字語であり、NOT ORロジックゲートに基づいたメモリアーキテクチャを表す。
【0080】
3次元の集積回路の製作は、等方的かつ原子レベルで制御可能なエッチングプロセスによって容易になり得る。このような能力は、最新デバイスのナノメートルスケールのフィーチャサイズにより有利である。これらの能力を満たすために、熱原子層エッチング(ALE)に関する例が開示されている。熱ALEは、材料を改質用化学物質と反応させて、材料の表面層を改質することを含む。改質は、材料の表面全体にわたって等方的かつ制御可能に実行可能である。その後、揮発性化学物質を使用して、改質を施した表面層を揮発させる。揮発により、改質を施した表面層が除去され、それによって材料が等方的にエッチングされる。
【0081】
本開示のALEプロセスは、プラズマの非存在下で熱活性化を利用する配位子交換反応に基づく。本開示の例では、フッ化水素(HF)および塩化ジメチルアルミニウム(DMAC、(CH3)2AlCl))に基づくALEプロセスを用いた高アスペクト比(HAR)穴構造における酸化ハフニウム(HfO2)層のエッチングを説明する。本開示の例は、他の金属酸化物材料のエッチングにも使用できる。例としては、金属ケイ酸塩を含む、他の第4族遷移金属酸化物および第5族遷移金属酸化物が挙げられる。「第4族」および「第5族」という用語は、元素の周期表の列を指す。より具体的な例としては、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、ケイ酸ハフニウム(HfSiO4)、およびケイ酸ジルコニウム(ZrSiO4)が挙げられる。本明細書にて使用する「金属酸化物」という用語は、一般に、金属種および酸素から構成される材料を表し、ケイ酸塩を含む。
【0082】
熱ALEプロセスは、指向性プラズマステップを利用しない。したがって、ナノ構造内部の表面は、反応物または副生成物の一般的な流動および構造内部のそれらの深さに対する表面の配列に関係なく、非常に類似した速度でエッチングできる。この等方性エッチングを達成するために、いくつかの例では、熱等方性ALEプロセスの改質および除去ステップに、エッチングされる表面を飽和させるのに十分な時間が与えられ得る。しかしながら、これらの時間は、特にHAR凹状フィーチャの届きにくい領域では長時間になる可能性がある。これにより、市販のALEツールのオペレータは、飽和に達するための長いプロセスステップを実施することによって完全なエッチング等方性を達成することと、1時間あたりに最小数のデバイスを処理することとの間の妥協に陥る可能性がある。
【0083】
したがって、以下により詳細に説明するように、熱等方性ALEの表面改質ステップにて使用される条件を変化させることにより、等方性に大きな影響を与えることなく、エッチング速度が変化され得ることを発見した。いくつかの例では、表面改質ステップを飽和領域外で実施しても、フィーチャの深さを関数としたエッチング速度に良好な等方性を達成できる。同様に、熱ALEの揮発ステップにて使用される条件を変更することにより、フィーチャ深さを関数としたエッチング速度プロファイルを調整できることを発見した。総処理チャンバ圧力など、これらおよび他の条件を変化させることにより、フィーチャ深さを関数としたエッチング速度およびエッチングプロファイルの両方を調整できる。改質および揮発ステップを調整するための条件の例は、以下に詳細に説明する。
実験
【0084】
実験用の圧力領域に応じて、2つの反応器のうち1つにおいて、試料を熱ALEによりエッチングした。10mTorrから150mTorrの間の範囲の圧力(以下、低圧領域と呼ぶ)では、300mmウエハ用に修正された反応性イオンエッチング(RIE)チャンバにて実験を行った。低圧領域において熱ALEを実施するための例示的な反応器の概略図を
図1Aにて低圧反応器100として示す。より詳細には、
図1Aは、基板102(例えば、300ミリメートル半導体ウエハ)と、静電チャック台座104と、ターボ分子ポンプ106と、ガスボックス111に接続された処理ガス入口110と、処理チャンバ116と、揮発剤119を含む気化器118と、ガスボックス111からのガスライン120とを示す。マスフローコントローラ(MFC)(図示せず)は、ガスボックス111内のフッ素化剤供給部122からのフッ素化剤の質量流量の速度を制御する。低圧反応器100は、コントローラ124をさらに備える。コントローラ124は、低圧反応器100の様々な態様を制御するために実行可能な命令を含むコンピューティングシステムの形態をとる。例えば、コントローラ124は、処理チャンバ116内の圧力を(例えば、ターボ分子ポンプ106および処理ガス入口110を通るガス流量を制御することによって)、揮発剤およびフッ素化剤の投与速度、ならびに基板温度を制御できる。
【0085】
基板102を静電チャック台座104によって保持した。静電チャック台座104を150℃から280℃の間の温度に加熱した。静電チャック台座104と基板102の裏面との間にヘリウムガス(ヘリウム源126から)を導入することによって熱を伝達した。これにより、ミリトール範囲内のプロセス圧力で熱を伝達できるようになる。ターボ分子ポンプ106により、1から500mTorrの間の圧力を維持できた。揮発剤119(例えば、DMAC)は、気化器118において液体から気体に変換され得る。ターボ分子ポンプ106により維持された真空によって揮発剤を基板102に引き寄せた。フッ素化剤(例えば、フッ化水素(HF))をガスボックス111から供給した。フッ素化剤の流れを、マスフローコントローラ(図示せず)を介して制御した。フッ素化剤および揮発剤を、基板102の中央上方に配置された、処理ガス入口110から注入した。50から500sccm(標準立方センチメートル)の間の流量を揮発剤の蒸気ならびにフッ素化剤に使用した。低圧反応器100では、窒素などのバックグラウンドガスを使用しなかった。本開示の例では、フッ素化剤としてフッ化水素を使用して、表面層をフッ素化することによって改質を施した表面層を形成した。ただし、他の例では、他の化学物質を使用して、その後の揮発用に表面を改質できる。他のフッ素化剤の例としては、フッ化キセノン(例えば、六フッ化キセノン(XeF6))、フッ化硫黄(例えば、六フッ化硫黄(SF6))、三フッ化窒素(NF3)、ハロゲン間フッ化物(例えば、三フッ化塩素(ClF3))、および分子フッ素(F2)が挙げられる。同様に、改質を施した表面層を揮発させるための塩素供与体としてDMACを使用したが、他の例では、他の塩素供与体が使用可能である。例としては、三塩化ホウ素(BCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)、およびトリメチルクロロシラン((CH3)3ClSi)が挙げられる。さらに、いくつかの例では、塩素供与体の代わりに、臭素供与体が使用可能である。臭素供与体の例としては、臭化水素(HBr)、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、および分子状臭素(Br2)が挙げられる。このような改質を施した表面層を揮発させるための化学物質は、一般に、揮発剤と呼ぶことができる。揮発剤は、改質を施した表面層の金属原子と配位子交換反応を起こし、揮発性生成物を形成できる。ハフニアのALEにて形成される揮発性生成物の例としては、HfClF3およびフッ化ジメチルアルミニウムを含み得る。他の例では、メチル供与体など、有機配位子供与体が使用可能である。メチル供与体の例は、トリメチルアルミニウム(TMA)である。
【0086】
次に、
図2を参照すると、350mTorrを超える圧力用に、高圧反応器200として使用される修正された堆積チャンバ内で実験を行った。
図2は、基板202(例えば、300ミリメートル半導体ウエハ)と、アルミニウム台座ヒータ204と、機械式真空ポンプ206と、ガス注入シャワーヘッド210と、シャワーヘッドカラーパージガス入口212と、ガスボックス215からガス注入シャワーヘッド210に処理ガスを供給するように構成されたプロセスガス入口214と、ガス注入シャワーヘッド210に揮発剤218を供給するように構成された気化器216と、処理チャンバ220とを概略的に示す。コンピューティングシステムを含むコントローラ230は、高圧反応器200の様々な態様を制御するように実行可能な命令を含む。例えば、コントローラ230は、処理チャンバ220内の圧力を(例えば、機械式真空ポンプ206およびガス注入シャワーヘッド210を通るガス流量を制御することによって)、揮発剤およびフッ素化剤の投与速度、ならびに基板温度を制御できる。
【0087】
基板202は、ウエハを加熱する、アルミニウム台座ヒータ204上に載置した。基板202をアルミニウム台座ヒータ204上に載置すると、ヘリウム浸漬ステップにおいて、ヘリウム222を、2.0Torrの圧力で、1250sccmで20秒間基板の上に流した。これにより、アルミニウム台座ヒータ204から基板202への熱伝達が促進された。アルミニウム台座ヒータ204の設定値は、室温から400℃の間で変更可能であった。位置制御バタフライバルブ(図示せず)により、チャンバ圧力を所望の圧力設定値に維持した。350mTorrから8.0Torrの間の範囲の圧力設定値を使用した。ヘリウム浸漬ステップの後、ALEプロセスを開始した。すべてのプロセスガス(これらの例では、ヘリウム222、窒素224、揮発剤218(例えば、DMAC)、およびフッ素化剤226(例えば、フッ化水素))を、ガス注入シャワーヘッドを通して供給し、マスフローコントローラ(
図2には図示せず)を介して制御した。低背圧マスフローコントローラ(図示せず)を使用して、高圧反応器200内への揮発剤の流れを制御した。フッ化水素および窒素の流れはすべて、50から1000sccmの間であった。DMACの流れは、50sccmで一定に保った。本明細書に開示の実験は、低圧反応器100および高圧反応器200を作るために修正された処理チャンバ内で実施した。ただし、他の例では、熱ALEは、本開示の処理ツール以外の任意の他の適切な処理ツールにて実施可能である。
【0088】
高アスペクト比構造において熱ALEエッチング速度を測定するために、高さ5μmのONON(酸化物-窒化物-酸化物-窒化物)スタックを含有するダイを有する基板を生成した。これらのスタックは、100nmの穴でパターニングされたマスクで覆われた76対のON(酸化物-窒化物)で構成された。高エネルギー反応性イオンエッチング(RIE)により、深さ約5μmの穴をエッチングした。これらの穴は、基板の凹状フィーチャの例である。穴形成が完了した後、ストリップツールにおける酸素(O
2)ベースのストリッププロセスによって、ハードマスクを除去した。エッチングされ、ストリップされたウエハを30mmx15mmの大きさのクーポンに切断した後、次に、原子層堆積(ALD)にて堆積させたハフニア(HfO
2)膜でクーポンをコーティングした。その後、クーポンを、それぞれ、低圧反応器での実験用にガリウムを用いてシリコンキャリア基板に接着するか、または高圧反応器での実験用に、あらかじめエッチングされたポケットを有する特殊なキャリアウェハ上に載置した。ハフニアの厚さを計算に含めると、ALEの開始前の構造の初期アスペクト比は、約62:1(80nmの初期直径で深さ5,000nm)であった。試料調製プロセスの概略図を
図3A~
図3Cに示す。より詳細には、
図3Aは、RIE前の76対のONONスタックの概略図を示す。
図3Bは、RIEを介して100nmの穴がエッチングされ、マスクがストリップされた後の同じスタックを示す。
図3Cは、ALDを介して同じ穴に~10nmのハフニア(オレンジ色のコーティング)をコンフォーマルに堆積させた後の穴の断面図をさらに示す。
【0089】
ALEを実施した後、クーポンを流動性炭素で充填し、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像した。撮像する領域を集束イオンビーム(FIB)ミリング加工によって試料から除去し、TEMグリッドに取り付けた。撮像は、200keV(キロ電子ボルト)、および50,000倍の倍率で行った。画像を解析し、対応するエッチング速度をONONスタック内部の深さ位置に対してグラフ化した。ハフニア膜厚は、酸化物層上および窒化物層上の両方の下地基板に対して垂直に測定した。ハフニア膜厚には、それぞれ、酸化物層上または窒化物層上のいずれの位置に対しても、識別可能な差は検出されなかった。ハフニア膜厚データの良好な統計的有意性を保証するために、それぞれの深さにおいて少なくとも30回の測定を実施した。
【0090】
ALE後の測定位置と共に試料のTEM断面を
図4A~
図4Dに示す。より詳細には、
図4Aは、RIEマスクを有する完全なONONスタックおよびALE後の測定位置の断面を示す。
図4Bは、ONONスタックの上部のクローズアップ図を示す。上部は、
図4Aにおいて「Top」のラベルによって示されている。
図4Cは、ONONスタックの中間部分のクローズアップ図を示す。
図4Dは、ONONスタックの底部のクローズアップを示す。底部は、
図4Aにおいて「底部」のラベルによって示されている。
図4Cでは、酸化物および窒化物の帯、ならびにALEの前に堆積させた10nmのハフニア層がラベル付けされている。ONON構造は、
図4B~
図4Dにおいて明暗グレーの帯によって認識できる。
図4B~
図4Dには、穴内部に黒い膜として見える、ハフニア層も示されている。
【0091】
等方性熱ALEを実施する前にハフニア膜の表面組成を特徴付けるために、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の1486.7eVにおける単色AlkαX線源を備えたTheta300スタンドアロンX線光電子分光(XPS)ツールを利用した。試料を低圧反応器でフッ素化した場合、試料処理とXPS測定との間に空気中で最大30分の作業待ち時間があった。試料を高圧反応器でフッ素化した場合、最大24時間の作業待ち時間が発生した。制御された実験を実施することにより、試料を~20℃、および相対湿度~40%のクリーンルーム雰囲気条件で保管した場合、フッ素化処理後、少なくとも72時間までは、ハフニア膜中のフッ素濃度に対する作業待ち時間の影響は、軽微なものであることが確定した。
結果および説明
【0092】
上述のONONスタック内の~80nmの穴などの高アスペクト比ナノ構造内部で有意義なエッチング速度データを生成するために、構造内の初期膜厚、粒径、ハフニウム:酸素比、または結晶性を変化させてもエッチング速度の結果が影響を受けないように、各穴の深さ全体にわたって高品質のハフニア膜を堆積させるように注意した。他の研究では、熱ALEエッチング速度は、酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニア、および酸化ジルコニウムの材料の結晶化度の関数であることが示されている。成長中の膜質には、複数のパラメータが影響する可能性がある。パラメータの例としては、前駆体の種類、成長速度、投与、および基板温度が挙げられる。250℃および300℃の温度で堆積させたALDハフニア膜の基板温度を関数としたサイクルあたりのALEエッチング(EPC)測定値を求めた。
【0093】
図5は、1Torrのプロセス圧力において台座温度へのEPCの依存性を示す。
図5では、EPCsがより低いデータ系列は、300℃のハフニア膜に対応する。この試料のより低いEPCにより、この膜がより優れた膜質を表したことが示されている。可能性のあるメカニズムとして、高温で成長した膜は、成長中に水素の取り込みがより少なかったか、および/または結晶化度がより高かった可能性がある。水素の取り込みがより少ないと、エッチング中のEPCが低下する可能性がある。
図5は、300℃のハフニアの低下したEPCが、250℃の膜と比較して、ALE温度範囲全体を通してより低かったことを示している。これらの2つの膜間のEPCの全体的な差は、375℃において25%の高値から225℃において10%の低値まで、温度とともに減少した。
【0094】
膜成長中の基板温度に加えて、前駆体の投与が、ハフニア膜の品質を制御する上で重要な役割を果たした。ハフニア膜の品質は、100:1の水で希釈したフッ化水素溶液中でハフニア膜を室温で3分間エッチングすることによって評価した。
図6Aおよび
図6Bは、ナノ構造内部に堆積させた膜の品質の尺度としてウェットエッチング速度を使用した実験結果を示す。より詳細には、
図6Aは、より高いハフニウム前駆体の投与量(15.7Torr*sのハフニアおよび22.5Torr*sの水(H
2O)前駆体)、ならびにより低いハフニウム前駆体の投与量(7Torr*sのHfおよび7Torr*sのH
2O前駆体)で、ALDによって堆積させたハフニア膜についてハフニアウェットエッチング速度の比較を示す。使用したハフニウム前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)であった。
図6Bは、初期膜厚プロファイルと比較したウェットエッチング結果を示す。その膜の成長条件は、図
6Bのグラフの左下に示されている。ハフニア膜の成長条件には、150℃の基板(台座)温度および上記のより高い投与条件が含まれる。
【0095】
図6Aに示す2つの代表的なウェットエッチング速度のうち、より高い前駆体の投与量でハフニアをあらかじめ堆積させた80nmの穴構造において、より高いウェットエッチング速度の均一性が明確に分かる。
図6Bは、同様の条件下でより高い前駆体の投与量で堆積させた膜のウェットエッチング速度と、対応する初期膜厚とを示す。なお、比較的平坦なプロファイルに留意されたい。上部から底部までの総適合性は、85%よりも優れていた。本明細書に開示の高アスペクト比ALE研究に使用したすべての材料は、
図6Bの実験結果に示したものと同様の品質および適合性の膜を利用した。
【0096】
ALE処理用の実際のナノ構造に転換する前に実施した最終的な相関は、ハフニアのフッ素化効率であった。無水フッ化水素蒸気をフッ素化剤として使用して、試料をフッ素化した。基板温度およびフッ化水素の分圧を関数としたブランケットハフニア膜に残された結合フッ素の量を、XPSを利用して測定した。これらの膜の一部はXPS測定を実施した場所から数百キロメートル離れた高圧反応器でフッ素化したため、まず、最大72時間の空気曝露時間の影響が、膜中の最終フッ素濃度に顕著な影響を及ぼさないことを確認した。
【0097】
フッ素化試験のXPS結果を
図7に表示する。より詳細には、
図7は、フッ化水素を用いてフッ素化した後のハフニア中のフッ素濃度を示す。基板温度を250℃から350℃に上昇させると、結合フッ素濃度の増加が観察された。しかしながら、150℃から250℃の試料の間には、識別可能な差はなかった(
図7参照)。この性質は、フッ化水素と表面のヒドロキシル(OH)基との反応性からフッ素がハフニア膜内に最初に取り込まれた後、フッ素の取り込みを著しく促進するためには、ある種の「活性化」が必要であることを示している可能性がある。この性質は、温度とともにフッ素が着実に、ただしわずかに減少することが観察されたAl
2O
3の結果とは対照的である。これは、温度上昇を関数とした脱離速度の増加に起因する場合がある。ただし、Al
2O
3のフッ素含有量対温度は、150℃から250℃の間で実施され、Al
2O
3とのHF反応を大幅に促進するための「活性化」または最低温度を捉えていない場合があることに留意されたい。
【0098】
温度に加えて、フッ化水素の分圧も膜のフッ素含有量に決定的な影響を与えた。0.15Torrから8Torrの間の圧力範囲について、酸化アルミニウムのフッ素化の厚さおよび結果として得られる1サイクルあたりのエッチング量に対するプロセス圧力の依存性が報告された。圧力がフッ素化中の投与量を設定するため、本研究では、3.2Torr(全圧8Torr)のフッ化水素の分圧を試料に適用した場合、最大30%のフッ素濃度を達成できた。この量は、Al2O3において達成されたと報告された8Torrの10%という結果よりも高い。おそらく材料の違いと、本例にて使用した温度がやや高い(Al2O3について報告された300℃ではなく、350℃)ことに起因する。本例では、供給ガスとしてフッ化水素を用いてゼロバイアスICPプラズマを使用すると、XPSで測定したようなハフニア膜にも、30%のフッ素含有量を達成できた。プラズマの結果は、高圧熱の結果と一致する。したがって、このレベルのフッ素含有量は、基板表面に反応性フッ素を供給する際にプラズマの効率が高いため、フッ素化の上限を表わしてもよい。これは、熱ALEによるフッ素化がプラズマの指向性効果がなくても、プラズマ励起ALEによるフッ素化と同様に効果的であってもよいことを示し得る。
【0099】
高アスペクト比構造をフッ素化する場合、比較的高いフッ素濃度は、比較的低いフッ素濃度に比べて有利となり得る。これは、少なくともフッ素濃度が比較的高い方が、表面をフィーチャ内のより深くに、ほぼ飽和レベルまでより速く促進するためである。これにより、エッチング中のEPCの深さ依存性を低減できる。さらに、フッ素濃度が比較的高いと、1サイクルあたりのエッチング速度が比較的高くなり得る。これにより、産業用途において比較的高いツールスループットを達成できる。
【0100】
次に、プロセスステップ時間によって制御された、投与がEPCの深さ均一性に及ぼす影響に関する結果と説明を提示する。フッ化水素ベースの改質ステップ長ならびにDMACベースの除去ステップ長の両方を独立して制御した。
【0101】
EPCsは、ALE処理後の基板クーポンの垂直80nmの穴内部のハフニア膜厚を、未処理の構造の膜厚から差し引くことによって求めた。この計算は、デルタをALEのサイクル数で割ることによって行われた。有意義なEPC値を得るため、かつ開始の影響を最小化するために、15から20の間のサイクルを選択した。
【0102】
図2の高圧反応器200を使用して、バックグラウンドガスとして窒素を用いて両方の反応物を添加した。これにより、1Torrの絶対反応器圧力が確立された。HFの分圧は、より低いフッ化水素の投与量およびより高いフッ化水素の投与量に対して、それぞれ、150mTorrおよび400mTorrであった。より低いフッ化水素の投与量に対応するEPCデータを
図8Aに示す。より高いフッ化水素投与量に対応するEPCデータを
図8Bに示す。DMACの分圧を、両方の実験のセットにおいて、48mTorrに維持した。すべての実験において、ALEプロセス全体を通して350℃の一定の基板温度に維持した。
【0103】
EPCsは、より低いフッ化水素の投与量(0.3Torr*s)の実験のセットにおいてより低かった。これは、フッ素化が非飽和プロセス領域において実施されたことを示し得る。しかしながら、この領域では、DMACの投与量を変化させることにより、エッチング速度の深さプロファイルを調整できた。例えば、0.14Torr*sのDMACの投与において、底部で遅いエッチング速度の深さプロファイルが得られた。エッチング速度のより平坦な深さプロファイルは、1.43Torr*sの試験された最も高いDMACの投与において得られた。
【0104】
図8Bに示す、第2の実験のセットを参照すると、基板クーポンは、24Torr*sのフッ化水素の投与を受けた。これは、基板クーポンを400mTorrの分圧のフッ化水素蒸気に60秒間曝露することによって達成された。一般に、EPCsは、およそ2倍高くなる。これは、フッ化水素の曝露がフッ素の飽和に近かったことを示している。0.72Torr*sを超えるDMACの投与量(この実験では、15秒の塗布時間)では、平坦なエッチングプロファイルが得られた。より低いDMACの投与量では、穴内のより深部のエッチング速度が低下した。これは、前駆体の枯渇に起因した可能性がある。この結果、より低いフッ化水素の投与量の実験と同様の歪んだエッチングプロファイルとなる。
【0105】
EPC測定の補足セットでは、除去ステップ中に0.72Torr*sの固定されたDMACの投与を受けたが、フッ化水素の投与量を0.8Torr*sの低曝露から24Torr*sの高曝露まで変化させた試料で実施した。このDMACの投与量は、前の実験のセットにてフィーチャ深さを関数とした比較的均一で平坦なEPC結果が提供されたことから選択した。絶対圧力は、再び1Torrになるように制御し、基板温度は、改質ステップおよび除去ステップの両方において、350℃とした。
図8は、フッ化水素の塗布時間(投与)を関数とした55:1のアスペクト比を有する深さ5μmの穴における350℃のハフニアのEPCプロファイルを示す。フッ化水素の分圧は、バックグラウンドガスとして窒素を用いて、1Torrの絶対圧力で400mTorrに維持した。EPCプロファイルは、フッ化水素の飽和を大きく外れたプロセス領域でさえも平坦なままであった。
図9に示すように、除去ステップ中の十分なDMAC投与により、すべてのエッチングプロファイルは、比較的平坦なままであった。フッ化水素の投与は、エッチング速度プロファイルに観察可能な影響を与えなかった。しかしながら、フッ化水素の投与は、投与によって1サイクルあたりのエッチング速度を促進した。
【0106】
図8A、
図8B、および
図9に示す3セットの実験すべてを比較すると、DMAC投与を制御することにより、高アスペクト比ナノ構造におけるエッチング速度プロファイルを制御できることがわかる。飽和に近いDMAC投与では、比較的より平坦なエッチング速度プロファイルが得られる。サブ飽和の投与量では、構造内の深さ位置に依存するより遅いEPCsが生じ、比較的平坦ではないエッチング速度プロファイルとなり得る。フッ化水素曝露時間をパラメータとして用いた類似の実験では、このような結果は生じなかった。2秒の曝露時間に対応する0.8Torr*sの超低フッ化水素投与量でさえも、エッチング速度プロファイルは、平坦なままであり、フッ化水素の投与量とともに均等に増加した。
【0107】
別の実験のセットは、
図1に示す反応器において、低圧およびより低い基板温度で実施した。基板を静電チャック台座上にクランプし、台座温度は250℃で一定になるように制御した。
図2の反応器にて実施したALEプロセスとは異なり、バックグラウンドガスを適用しなかったため、プロセス圧力が低くなった。プロセス圧力は、通常、30mTorrであった。フッ化水素ガスは、マスフローコントローラを介して流量を制御する市販のガスボックスから供給した。DMACは、再度、キャリアガスを使用せずに、反応器内に真空引きした。前回と同様に、1セットの試験を0.15Torr*sの低フッ素化投与量で実行した。これは、上述の高圧反応器研究におけるより低い投与条件と比較して、約半分の投与量で構成された。投与量0.15Torr*sの実験結果を
図10Aに示す。ここでの高フッ化水素の投与量は、反応器圧力がより低いため、0.9Torr*s(30mTorrを30秒間)であった。投与量0.9Torr*sの実験結果を
図10Bに示す。断面TEM分析を介して求めたハフニアのEPCの結果を
図10Aおよび
図10Bに示す。
【0108】
一般に、
図1の低圧反応器から得られた結果は、
図2の高圧反応器から得られた結果よりもノイズが多い結果となった。高投与量の実験から得られるEPCsは、
図10Aおよび
図10Bに示すより高いDMAC投与量を塗布した場合の適度に平坦なエッチングプロファイルを有する、上述の結果とほぼ同等であった。
図10Aおよび
図10Bに示すより低いDMAC投与量の場合、EPCは、特に構造の底部において低下した。これは、深さを関数としたエッチング速度プロファイルが調整可能であることを示してもよい。
【0109】
実験の別のセットでは、エッチング速度およびプロファイルへのプロセス圧力の影響を研究した。プロセス圧力は、10mTorrから8Torrの間で変化させ、フッ素化ステップおよびDMAC曝露ステップは、互いに等圧に保った。エッチング速度プロファイルは、断面TEM分析を用いて測定した。特に断りのない限り、試料は、350℃の基板温度でエッチングした。広い圧力範囲を考慮し、
図1および
図2の両方の反応器をこれらの実験を行うために利用した。
図11Aに示す、結果は、EPCのプロセス圧力への強い依存性を表示している。EPCsは、10mTorrにおいて0.08nm/サイクルから、8Torrにおいてほぼ0.4nm/サイクルまで増大した。すべての試料に対して十分に大きなDMAC投与量を使用したため(チャンバ圧力のTorrあたり48mTorrのDMACの分圧で15秒)、すべてのエッチング速度プロファイルは、より低いDMACの分圧を使用した場合と比較して、比較的平坦である。EPCは半導体製造において、ツールのスループットへの影響から注目されているため、試料を超フッ素化することによりエッチング速度を可能な限り高く増大させるように試みた。192Torr*sのフッ化水素の投与(3.2Torrの分圧で60秒のHF)により、0.6nm/サイクルのEPCが得られた。これは、ALEサイクルあたり1格子定数超(.51nm)が凹んだことを意味する。
【0110】
図11Aおよび
図11Bは、10mTorrから8Torrの間の範囲内の絶対プロセス圧力へのEPCsの依存性をさらに示す。Torr範囲のデータについては、0.72Torr*sのDMAC投与をチャンバ圧力の各Torrに適用した(
図11A)。192Torr*s(3.2TorrのHFの分圧で60秒)の投与を用いて膜をフッ素化し、続いて5.76Torr*s(384mTorrのDMACの分圧で15秒間)のDMAC投与によって膜をフッ素化することにより、0.6nm/サイクルのハフニアのエッチング速度を達成した(
図11B)。
【0111】
このように、本開示の例は、高アスペクト比構造をエッチングするための実行可能なツールとして熱等方性ALEを提供できる。より高い圧力プロセス領域は、より低い圧力プロセス領域と比較して、より高いエッチング速度を提供できる。深さを関数としたHAR構造の横方向のエッチング速度プロファイルは、DMACを変化させることによって調整可能である。DMAC投与量の閾値(本明細書に開示の実験では、0.72Torr*s)を超えると、実質的に平坦なエッチングプロファイルが得られることがわかった。プロファイル制御は、フッ化水素の投与にあまり敏感ではなかった。しかしながら、EPCは、フッ化水素投与に敏感であった。8Torrの絶対チャンバ圧力で最大フッ素化を実施した試料では、ハフニアの格子定数の大きさを超える、サイクルあたり0.6nmの等方性エッチング量が達成された。
【0112】
図12は、原子層エッチングを実施するための例示的な方法1200を表すフロー図を示す。方法1200は、ステップ1201において、基板を処理チャンバ内に載置することを含む。基板は、表面層として金属酸化物層を含む。金属酸化物層は、いくつかの例では、高アスペクト比フィーチャに少なくとも部分的に配置され得る。例示的な高アスペクト比フィーチャとしては、3D集積回路の製作中に形成される穴およびトレンチが挙げられる。このようなフィーチャは、10:1(深さ:幅)以上のアスペクト比を有し得る。例示的な3D集積回路としては、3D-NANDメモリ、3D-NORメモリ、および3D-DRAMメモリが挙げられる。金属酸化物は、1202で示すように、第4族または第5族遷移金属を含み得る。金属酸化物のより具体的な例としては、ハフニア、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、ケイ酸ハフニウム、およびケイ酸ジルコニウムが挙げられる。
【0113】
方法1200は、ステップ1203において、基板を加熱することをさらに含む。基板は、任意の適切な温度に加熱できる。いくつかの例では、基板は、1204で示すように、170℃以上の温度に加熱できる。いくつかのそのような例では、基板は、250℃以上の温度に加熱できる。より高い温度では、金属酸化物層のフッ素化をより迅速に行うことができる。
【0114】
方法1200は、ステップ1206において、基板を加熱しながら、ALEサイクルを実施することをさらに含む。ALEサイクルは、ステップ1208において、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露して、改質を施した表面層を形成することを含む。1210で示すように、いくつかの例では、フッ素化剤は、フッ化水素、フッ化キセノン(例えば、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化キセノン(XeF4)、または六フッ化キセノン(XeF6))、三フッ化窒素、フッ化硫黄(例えば、四フッ化硫黄(SF4)、または六フッ化硫黄(SF6))、ハロゲン間フッ化物(例えば、三フッ化塩素(ClF3)または五フッ化塩素(ClF5))、あるいは分子状フッ素の1つまたは複数を含む。いくつかの例では、1212で示すように、金属酸化物層は、0.05Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露される。いくつかのそのような例では、1214で示すように、金属酸化物層は、16Torr*s以上のフッ素化剤の投与に曝露される。より高い投与量のフッ素化剤を使用すると、より高いEPCsを提供できる。さらに、いくつかの例では、金属酸化物層は、フッ素化剤への曝露中に1Torr以上の全圧に曝露される。1Torr以上の全圧により、より高いEPCsが生じ得る。ただし、他の例では、より低い全圧を使用できる。
【0115】
続けて、金属酸化物層をフッ素化剤に曝露した後、任意選択で処理チャンバをパージガスによってパージできる。パージガスの例としては、窒素およびアルゴンが挙げられる。次に、ステップ1218において、方法1200は、改質を施した表面層を揮発させるために、プラズマの非存在下で改質を施した表面層を揮発剤に曝露することを含む。1220で示すように、揮発剤は、塩素供与体、有機配位子供与体(例えば、メチル供与体)、または臭素供与体を含み得る。いくつかの例では、1222において、塩素供与体は、DMAC、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、またはトリメチルクロロシランの1つまたは複数を含み得る。さらに、いくつかの例では、臭素供与体は、臭化水素、トリメチルブロモシラン、ブロモシラン、臭化チオニル、臭化硫黄、三臭化リン(III)、五臭化リン(V)、または分子状臭素の1つまたは複数を含み得る。さらなる例では、メチル供与体は、トリメチルアルミニウムから構成され得る。いくつかの例では、1224で示すように、改質を施した表面層は、0.35Torr*s以上の揮発剤の投与に曝露され得る。このような投与量により、フィーチャ深さを関数としたより均一なEPC速度が生じ得る。他の例では、0.35Torr*s未満の揮発剤の投与を使用できる。より低い投与量により、フィーチャ深さを関数としたEPC速度が変化し得る。
【0116】
いくつかの例では、改質を施した表面層は、揮発剤に曝露される間、1Torr以上の全圧に曝露される。他の例では、より低い全圧を使用できる。さらに、1226で示すように、いくつかの例では、基板は、フッ素化剤および揮発剤に同じ全圧で曝露される。フッ素化剤および揮発剤の曝露に同じ全圧を使用すると、処理チャンバ圧力の変更、次に安定化に時間がかからないため、処理時間を短縮できるようになる。
【0117】
ALEサイクルを完了した後、方法1200は、1228において、別のALEサイクルを実施するかどうかを決定することを含む。別のALEサイクルを実施すると決定した場合、次に、方法1200は、1206に戻り、金属酸化物層は、再びフッ素化剤に曝露される。一方、別のALEサイクルを実施しないと決定した場合、方法1200は終了する。いくつかの例では、0.10ナノメートル/サイクルよりも大きいEPCを達成できる。いくつかのそのような例では、3.6ナノメートル/サイクルよりも大きいEPCを達成できる。いくつかのそのような例では、0.6ナノメートル/サイクルのEPCを達成できる。さらに、いくつかの例では、85%を超える凹状フィーチャ内の深さを関数としたエッチング速度の均一性を達成できる。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびプロセスは、1つまたは複数のコンピューティングデバイスのコンピューティングシステムに結び付け可能である。具体的には、そのような方法およびプロセスは、コンピュータアプリケーションプログラムまたはサービス、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ライブラリ、および/または他のコンピュータプログラム製品として実装できる。
図13は、上述した1つまたは複数の方法およびプロセスを実行可能なコンピューティングシステム1300の例を概略的に示す。コンピューティングシステム1300は、単純化された形態で示されている。コンピューティングシステム1300は、1つまたは複数のパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットワークコンピューティングデバイス、および/または他のコンピューティングデバイスの形態をとり得る。コントローラ124および230は、コンピューティングシステム1300の例である。
【0119】
コンピューティングシステム1300は、ロジックサブシステム1302および記憶サブシステム1304を含む。コンピューティングシステム1300は、任意選択で、ディスプレイサブシステム1308、入力サブシステム1310、通信サブシステム1312、および/または他のコンポーネント(
図13に図示せず)を含み得る。
【0120】
ロジックサブシステム1302は、命令1306を実行するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。例えば、ロジックサブシステムは、1つまたは複数のアプリケーション、サービス、プログラム、ルーチン、ライブラリ、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、または他の論理的構成の一部である命令を実行するように構成され得る。このような命令は、タスクを実施する、データタイプを実装する、1つまたは複数のコンポーネントの状態を変換する、技術的効果を達成する、またはその他の方法で所望の結果を得るように実行され得る。例として、ロジックサブシステムは、方法200、方法500、および方法800を実施するための命令を実行できる。
【0121】
ロジックサブシステムは、ソフトウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。追加または代替として、ロジックサブシステムは、ハードウェアまたはファームウェア命令を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアまたはファームウェアロジックデバイスを含み得る。ロジックサブシステムのプロセッサは、シングルコアまたはマルチコアであり得る。そこで実行される命令は、逐次処理、並列処理、および/または分散処理用に構成され得る。ロジックサブシステムの個々のコンポーネントは、任意選択で、2つ以上の別個のデバイスに分散でき、これらのデバイスは、遠隔に配置され、かつ/あるいは協調処理用に構成され得る。ロジックサブシステムの態様は、仮想化され、クラウドコンピューティング構成内に構成された遠隔アクセス可能な、ネットワークコンピューティングデバイスによって実行され得る。
【0122】
記憶サブシステム1304は、本明細書に記載の方法およびプロセスを実施するために、ロジックサブシステムによって実行可能な命令1306を保持するように構成された1つまたは複数の物理デバイスを含む。例えば、記憶サブシステム1304は、方法200、方法500、および/または方法800を実施するように実行可能な命令を含み得る。そのような方法およびプロセスが実施されるとき、記憶サブシステム1304の状態は、例えば、異なるデータを保持するように変換され得る。
【0123】
記憶サブシステム1304は、リムーバブルデバイスおよび/または内蔵デバイスを含み得る。記憶サブシステム1304は、中でも、光メモリ、半導体メモリ、および/または磁気メモリを含み得る。記憶サブシステム1304は、揮発性、不揮発性、動的、静的、読み取り/書き込み、読み取り専用、ランダムアクセス、シーケンシャルアクセス、ロケーションアドレス指定可能、ファイルアドレス指定可能、および/またはコンテンツアドレス指定可能なデバイスを含み得る。
【0124】
記憶サブシステム1304は、1つまたは複数の物理デバイスを含むことを理解されたい。ただし、本明細書に記載の命令の態様は、代替として、有限の期間、物理デバイスによって保持されない通信媒体(例えば、電磁信号、光信号等)によって伝搬され得る。
【0125】
ロジックサブシステム1302および記憶サブシステム1304の態様は、1つまたは複数のハードウェアロジックコンポーネント内に共に統合され得る。このようなハードウェアロジックコンポーネントには、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、プログラムおよびアプリケーション特定用途向け集積回路(PASIC/ASICs)、プログラムおよびアプリケーション特定用途向け標準製品(PSSP/ASSPs)、システムオンチップ(SOC)、および複合プログラマブルロジックデバイス(CPLDs)を含み得る。
【0126】
ディスプレイサブシステム1308は、含まれる場合、記憶サブシステム1304によって保持されるデータの視覚的表現を提示するために使用され得る。この視覚的表現は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の形態をとり得る。本明細書に記載の方法およびプロセスは、記憶サブシステムによって保持されるデータを変更し、したがって記憶サブシステムの状態を変換するに従って、ディスプレイサブシステム1308の状態も同様に、基礎となるデータの変化を視覚的に表すように変換され得る。ディスプレイサブシステム1308は、あらゆるタイプの技術を実質的に利用する1つまたは複数のディスプレイデバイスを含み得る。そのようなディスプレイデバイスは、共有エンクロージャ内でロジックサブシステム1302および/または記憶サブシステム1304と組み合わせ可能であり、あるいはそのようなディスプレイデバイスは、周辺ディスプレイデバイスとなり得る。
【0127】
入力サブシステム1310は、含まれる場合、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンなどの1つまたは複数のユーザ入力デバイスを備え得る。いくつかの実施形態では、入力サブシステムは、選択された自然ユーザ入力(NUI)構成部分を備えるか、またはそれらと結合できる。そのような構成部分は、一体型または周辺機器となり得る。入力動作の伝達および/または処理は、オンボードまたはオフボードで処理できる。
【0128】
通信サブシステム1312は、含まれる場合、コンピューティングシステム1300を1つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信可能に結合するように構成され得る。通信サブシステム1312は、1つまたは複数の異なる通信プロトコルと互換性のある有線および/または無線通信デバイスを含み得る。例として、通信サブシステムは、無線電話ネットワーク、または有線もしくは無線のローカルもしくはワイドエリアネットワークを使用する通信用に構成され得る。いくつかの実施形態では、通信サブシステムにより、コンピューティングシステム1300がインターネットなどのネットワークを使用して他のデバイスにメッセージを送信および/または他のデバイスからメッセージを受信可能になる。
【0129】
本明細書に記載の構成および/またはアプローチは、本質的に例示的であり、多数の変形が可能であるため、これらの特定の実施形態または例は、限定的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の1つまたは複数を表してもよい。そのため、図示および/または記載の様々な動作は、図示および/または記載の順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、並行して実施されてもよく、あるいは省略されてもよい。同様に、上述のプロセスの順序は、変更されてもよい。
【0130】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システムおよび構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性の新規かつ非自明な組み合わせおよびサブ組み合わせのすべて、ならびにそれらの任意およびすべての等価物を含む。
【国際調査報告】