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特表2024-546729ヒダントイナーゼをベースとするプロセスを使用するグルホシネートの合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ヒダントイナーゼをベースとするプロセスを使用するグルホシネートの合成
(51)【国際特許分類】
   C12P 13/04 20060101AFI20241219BHJP
   C07F 9/32 20060101ALI20241219BHJP
   C07F 9/6506 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 9/86 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 9/90 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C12P13/04 ZNA
C07F9/32
C07F9/6506
C12N9/86
C12N9/14
C12N9/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534279
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022085315
(87)【国際公開番号】W WO2023105080
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213750.9
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ポット,モリッツ ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン,グンター
(72)【発明者】
【氏名】シーマイヤー,ステファン
【テーマコード(参考)】
4B064
4H050
【Fターム(参考)】
4B064AE03
4B064CA21
4B064CB05
4B064CB28
4B064CC24
4B064CE10
4B064DA12
4H050AA01
4H050AA02
4H050AB84
4H050AC40
4H050BB31
(57)【要約】
本発明は、ヒダントイナーゼ酵素を用いてヒダントインを加水分解してN-カルバモイルアミノ酸化合物を形成し、次いで前記N-カルバモイルアミノ酸化合物のカルバモイル部分を開裂除去するステップを含む、グルホシネートの製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)
【化1】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(1)
【化2】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインをヒダントイナーゼ酵素により加水分解して、式(2)
【化3】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸を形成するステップと、
b)式(2)を有するN-カルバモイルアミノ酸のカルバモイル部分を開裂徐去するステップと
を含む方法。
【請求項2】
開裂ステップb)が、式(3)
【化4】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
開裂ステップb)が、式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を、ラセミ混合物の形態で、又は式(3a)
【化5】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル若しくはその塩のエナンチオマー過剰の形態で、好ましくは、式(3a)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩のエナンチオマー過剰の形態で提供し、前記ヒダントイナーゼ酵素はL-ヒダントイナーゼ酵素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(1)を有するヒダントインの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも70%が、請求項2に記載の式(3a)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記開裂ステップb)が、酵素条件下で、好ましくはN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素、より好ましくはL-N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素を使用して、或いは前記開裂ステップb)が、化学条件下で、好ましくは亜硝酸ナトリウム及び/又は塩化水素を使用して実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(1)及び(2)中のRが、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解ステップa)が、6~11、好ましくは6.5~10、より好ましくは7~9.5、特に7.5~9のpHで、及び/又は
20~50℃、好ましくは25~45℃、より好ましくは30~42℃、特に32~40℃の温度で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(1)及び(2)中のRが、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル、さらにより好ましくはエチル又はブチル、特にエチルであり、
c)酸性条件下、好ましくは塩酸又は硫酸を使用して脱保護するステップ
をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ヒダントインラセマーゼ酵素及び/又はN-カルバモイルアミノ酸ラセマーゼ酵素の添加をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)及びステップb)が単一容器中で実施され、好ましくは、全ての試薬が実質的に前記反応の開始時に添加されるか、又はステップa)のための試薬及びステップb)のための試薬が異なる時間に前記単一容器に添加される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加水分解ステップa)において得られる、式(1b)
【化6】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインを、好ましくは逆相クロマトグラフィーを使用して分離除去するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
d)未反応のN-カルバモイル酸をヒダントインにリサイクルするステップ、好ましくは未反応のN-カルバモイル酸をヒダントインにリサイクルし、その後、ラセマーゼ酵素を添加するステップ、より好ましくはラセマーゼ酵素の添加によって未反応のN-カルバモイル酸をヒダントインにリサイクルするステップであって、前記ラセマーゼ酵素が、A0A6V7ACK5_RHIRD(配列番号5)及びその変異体、A0A2T6KHH4_9RHOB(配列番号6)及びその変異体からなるUniprot IDによって同定される酵素群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義されるステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒダントイナーゼ酵素が、O69809及びその変異体、Q846U5_9BACL及びその変異体、P81006及びその変異体、Q84FR6_9MICC及びその変異体、Q56S49_9BACI及びその変異体、A1E351_9BACI及びその変異体、Q28SA7及びその変異体、Q45515及びその変異体、A0A399DRQ3_9DEIN及びその変異体、Q55DL0及びその変異体、F7X5M8_SINMM及びその変異体、Q9I676及びその変異体、Q44184及びその変異体、B5L363及びその変異体、P42084及びその変異体、P25995及びその変異体、Q3Z354及びその変異体、B1XEG2及びその変異体、Q9F465_PAEAU及びその変異体、A0A161KD37_9CHLR及びその変異体、A0A1J4XHR4_9BACT及びその変異体、A0A1C4QIY5_9ACTN及びその変異体、A0A0K2UMP4_LEPSM及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、E1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A1F9QT17_9BACT及びその変異体、A0A0D8IVV8_9FIRM及びその変異体、A0A0B5QKE4_CLOBE及びその変異体、A0A0N1GBZ8_9ACTN及びその変異体、A0A174ADZ3_9FIRM及びその変異体、U7V9Q6_9FUSO及びその変異体、A0A0J1FAI4_9FIRM及びその変異体、PHYDA_ECOK1及びその変異体、A0A0S8H576_9BACT及びその変異体、A0A1J4J4Y8_9EUKA及びその変異体、A0A0D5NFS5_9BACL及びその変異体、A0A0D5NNJ7_9BACL及びその変異体、A0A1H2AV66_9BACL及びその変異体、A0A0Q4RXY0_9BACL及びその変異体、A0A0Q7SB75_9BACL及びその変異体、A0A100VRN2_PAEAM及びその変異体、W4BDJ0_9BACL及びその変異体、A0A1J5E082_9DELT及びその変異体、A0A1H5ZFN3_9BACT及びその変異体、A0A1F8NMM2_9CHLR及びその変異体、A0A1F8SDV1_9CHLR及びその変異体、A0A1H1PLX0_9BACT及びその変異体、A0A0Q5I8X4_9DEIO及びその変異体、*WP_046170519.1及びその変異体、*WP_023514195.1及びその変異体、*WP_023516147.1及びその変異体、並びに*ANZ15483.1及びその変異体からなるそれらのUniprot ID又はNCBI ID(後者はIDの先頭に「*」が示される)によって同定される酵素群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義され、好ましくは、Q45515及びその変異体、Q44184及びその変異体、A0A1C4QIY5_9ACTN及びその変異体、A0A0K2UMP4_LEPSM及びその変異体、*WP_046170519.1及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、並びにE1R8C9_SEDSS及びその変異体からなるそれらのUniprot ID又はNCBI ID(後者はIDの先頭に「*」が示される)によって同定される酵素群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素が、A0A0K9YX84_9BACL及びその変異体、E3HUL6_ACHXA及びその変異体、Q9F464及びその変異体、A0A4D7Q548_GEOKU及びその変異体、Q9F464及びその変異体、A0A2S9D976_9MICC及びその変異体、A0A3E0C996_9BURK及びその変異体、A0A535Y1H2_9CHLR及びその変異体、A0A6P2ISL4_BURL3(配列番号3)及びその変異体、A0A1Y4GC62_9BACT(配列番号2)及びその変異体からなるそれらのUniprot IDによって同定される酵素群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義され、好ましくは、A0A3E0C996_9BURK及びその変異体、A0A535Y1H2_9CHLR(配列番号4)及びその変異体、A0A6P2ISL4_BURL3(配列番号3)及びその変異体、A0A1Y4GC62_9BACT(配列番号2)からなるそれらのUniprot IDによって同定される酵素群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(1b)
【化7】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するヒダントイン、式(2a)
【化8】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩を含む組成物。
【請求項16】
L-グルホシネート又はその塩の量が、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づいて、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも70重量%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
式(2a)及び(1b)中のRが、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
好ましくはグルホシネートに耐性を有する植栽された種子又は作物を含む領域において雑草を選択的に防除するための方法であって、
L-グルホシネート又はその塩を、D-グルホシネート又はその塩に対して少なくとも50%、好ましくは70%を超えるエナンチオマー過剰のエナンチオマー割合で含む組成物の有効量と、組成物の合計量に基づいて0.01重量%より多く10重量%未満の式(2)
【化9】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸とを含む組成物の有効量を領域に適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒダントイナーゼ酵素を用いてヒダントインを加水分解してN-カルバモイルアミノ酸化合物を形成し、次いで前記N-カルバモイルアミノ酸化合物のカルバモイル部分を開裂除去するステップを含む、グルホシネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
除草剤グルホシネートは非選択的な葉面散布型除草剤であり、毒物学的又は環境保護の観点から最も安全な除草剤の1つであると考えられている。現在の商業的なグルホシネートの化学合成法では、L-グルホシネート及びD-グルホシネートのラセミ混合物が得られる(Duke et al.2010 Toxins 2:1943-1962)。
【化1】
スキーム1.それぞれのアルデヒドを介したヒダントインの合成(式中、Rは例えばH又はアルキルである)。
【0003】
ヒダントインは、ラセミ体グルホシネートの合成において中間体となり得ることが知られている。それらは、Bucherer-Bergs反応によって、それぞれのアルデヒド(スキーム1)から入手することができる。さらなる合成経路は、例えば中国特許第111662325号明細書に記載されている。
【0004】
中国特許第113045604号明細書には、ヒダントインから出発してグルホシネートを合成する方法が開示されている。反応は高圧下、130~180℃の温度で行う必要がある。したがって、反応条件はかなり過酷である。しかし、工業的規模でオートクレーブ及び/又は120℃を超える温度を使用することは、同僚に対する安全上のリスクにもつながる。中国特許第111662325号明細書にもヒダントインを加水分解してグルホシネートを得ることが記載されているが、この反応には強酸又は強塩基と水中での還流条件が必要である。
【0005】
L-グルホシネート(ホスフィノトリシン又は(S)-2-アミノ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノイル)ブタン酸としても知られる)は、D-グルホシネートよりも強力であることが知られている(Ruhland et al.(2002)Environ.Biosafety Res.1:29-37)。したがって、より活性の高いL-グルホシネートを過剰に製造する方法がさらに注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の背景から、本発明の目的は、グルホシネートの温和な製造方法を提供することであった。
【0007】
さらに、本発明の目的は、グルホシネートの安全な製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、さらに、エナンチオマー過剰のL-グルホシネートの温和な製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、L-グルホシネートを含む組成物を提供することである。
【0010】
本発明の目的はさらに、本発明の製造方法に従って得られる組成物を用いて雑草を選択的に防除する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、上記の目的の少なくとも1つを、本明細書に記載のヒダントインベースのプロセスによって得ることができることを見出した。さらに、本発明の発明者らによって、特許請求される方法が、除草剤として使用するのに十分な量のグルホシネートを含む組成物を提供することが見出された。
【0012】
したがって、第1の態様において、本発明は、式(3)
【化2】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(1)
【化3】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインをヒダントイナーゼ酵素により加水分解して、式(2)
【化4】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸を形成するステップと、
b)式(2)を有するN-カルバモイルアミノ酸のカルバモイル部分を開裂徐去するステップと
を含む方法に関する。
【0013】
以下において、本製造方法、組成物及び雑草を選択的に防除する方法の構成要素の好ましい実施形態をさらに詳細に説明する。それぞれの好ましい実施形態は、それ自体のみならず、他の好ましい実施形態との組合せも好ましいことを理解すべきである。
【0014】
第1の態様の好ましい実施形態A1において、開裂ステップb)は、式(3)
【化5】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を提供する。
【0015】
第1の態様の好ましい実施形態A2において、開裂ステップb)は、式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を、ラセミ混合物の形態で、又は式(3a)
【化6】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル若しくはその塩のエナンチオマー過剰の形態で、好ましくは、式(3a)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩のエナンチオマー過剰の形態で提供し、ヒダントイナーゼ酵素はL-ヒダントイナーゼ酵素である。
【0016】
第1の態様の好ましい実施形態A3において、式(1)を有するヒダントインの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも70%が、式(3a)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される。式(3a)は、好ましい実施形態A2で定義される通りである。
【0017】
第1の態様の好ましい実施形態A4において、開裂ステップb)が、酵素条件下で、好ましくはN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素、より好ましくはL-N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素を使用して、或いは開裂ステップb)が、化学条件下で、好ましくは亜硝酸ナトリウム及び/又は塩化水素を使用して実施される。
【0018】
第1の態様の好ましい実施形態A4aにおいて、開裂ステップb)は、酵素条件下で、好ましくはN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素、より好ましくはL-N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素を使用して、或いは開裂ステップb)が、化学条件下で、好ましくは亜硝酸ナトリウム及び/又は塩化水素を使用して実施され、ステップa)及びb)は、ワンポットプロセスで実施される。
【0019】
第1の態様の好ましい実施形態A5において、式(1)及び(2)中のRは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである。
【0020】
第1の態様の好ましい実施形態A6において、加水分解ステップa)は、6~11、好ましくは6.5~10、より好ましくは7~9.5、特に7.5~9のpHで、及び/又は20~50℃、好ましくは25~45℃、より好ましくは30~42℃、特に32~40℃の温度で実施される。
【0021】
第1の態様の好ましい実施形態A7において、式(1)及び(2)中のRは、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル、さらにより好ましくはエチル又はブチル、特にエチルであり、本方法はさらに、
c)酸性条件下、好ましくは塩酸又は硫酸を使用して脱保護するステップ
を含む。
【0022】
第1の態様の好ましい実施形態A8において、本方法は、ヒダントインラセマーゼ酵素及び/又はN-カルバモイルアミノ酸ラセマーゼ酵素の添加をさらに含む。
【0023】
第1の態様の好ましい実施形態A9において、ステップa)及びステップb)は、単一容器中で実施され、好ましくは、全ての試薬が実質的に反応の開始時に添加されるか、又はステップa)のための試薬及びステップb)のための試薬が異なる時間に単一容器に添加される。
【0024】
第1の態様の好ましい実施形態A10において、本方法は、加水分解ステップa)で得られる、式(1b)
【化7】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインを、好ましくは逆相クロマトグラフィーを使用して分離除去するステップをさらに含む。
【0025】
第2の態様において、本発明は、式(1b)
【化8】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントイン、式(2a)
【化9】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩を含む組成物に関する。
【0026】
第2の態様の好ましい実施形態B1において、L-グルホシネート又はその塩の量は、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づいて、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも70重量%である。
【0027】
第2の態様の好ましい実施形態B2において、式(2a)及び(1b)中のRは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである。
【0028】
第3の態様において、本発明は、好ましくはグルホシネートに耐性を有する植栽された種子又は作物を含む領域において雑草を選択的に防除するための方法であって、
L-グルホシネート又はその塩を、D-グルホシネート又はその塩に対して少なくとも50%、好ましくは70%を超えるエナンチオマー過剰のエナンチオマー割合で含む組成物の有効量と、組成物の合計量に基づいて0.01重量%より多く10重量%未満の式(2)
【化10】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸とを領域に適用することを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の例示的な実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するために重要な定義が示される。
【0030】
本明細書で及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「1つの(a)」及び「1つの(an)」の単数形は、文脈が特に明確に指示しない限り、それぞれの複数形も包含する。本発明に関連して、「約」及び「およそ」という用語は、対象とする特徴の技術的効果が依然として確保されると当業者が理解することになる精度の幅を指す。この用語は、通常、示された数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%のずれを示す。「含む(comprising)」という用語は、非限定的であることを理解すべきである。本発明の目的に関する「からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であると見なされる。以下、ある群が少なくともある決まった数の実施形態を含むと定義されている場合、これは、これらの実施形態のみからなる好ましい群も包含することを意味する。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」及びこれに類する用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続した順番又は時系列順を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であることと、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示する順序以外の順序で実施することが可能であることとが理解されるべきである。「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法若しくは使用又はアッセイの工程に関する場合、本出願で別段の指定がない限り、本明細書で前述又は後述するように、この工程間に時間を置かないか、又は時間間隔の一貫性がなく、即ち、この工程は、同時に実施され得るか、又はこのような工程間に数秒間、数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月間若しくは更に数年間の時間間隔があり得る。本明細書に記載される特定の方法、手順、試薬等は、変更される可能性があるため、本発明は、それらに限定されないことを理解すべきである。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記載する目的のみに使用され、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、当業者が一般に理解する意味と同義である。
【0031】
本明細書を通じて使用される「重量%」という用語は、「重量パーセント」を表す。
【0032】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、それぞれの場合において、通常1~20個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、頻繁には1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子、例えば2又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基を示す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、2-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル及びn-ヘキシルである。
【0033】
置換パターンに応じて、本発明による化合物は、1個又は複数の立体中心を有し得る。(例えば化学式を介して)明示的に別様に示されない限り、本発明は、好ましくは、本発明による化合物の全ての立体異性体、すなわち、純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、及びラセミ混合物を含むそれらの混合物を包含する。
【0034】
式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩を含む組成物の製造方法、並びに雑草を選択的に防除する方法に関する好ましい実施形態を以下に詳細に説明する。なお、本発明の好ましい実施形態は、単独で又は互いに組み合わせて使用することが好ましいことを理解されたい。
【0035】
上記で示されたように、本発明は、一態様において、式(3)
【化11】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(1)
【化12】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインをヒダントイナーゼ酵素により加水分解して、式(2)
【化13】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸を形成するステップと、
b)式(2)を有するN-カルバモイルアミノ酸のカルバモイル部分を開裂徐去するステップと
を含む方法に関する。
【0036】
式(3)
【化14】
を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩は、それぞれのグルホシネート又はそのアルキルエステルの全ての立体異性体、適切な塩を包含することが理解される。さらに、それぞれの双性イオンも式(3)に包含される。適切な塩は、例示的に、塩酸塩、アンモニウム塩、及びイソプロピルアンモニウム塩である。これに関連して、特に式(3)の化合物は2つの立体中心を包含し、ここで1つの立体中心はリン原子に位置し、1つの立体中心はα炭素原子に位置する。特に式(3)の化合物は、リン原子にある立体中心から誘導される全ての立体異性体を包含する。
【0037】
式(1)を有するヒダントインは、任意の適切な製造方法を介して得ることができる。独国特許第3142036号明細書は例示的にいくつかの合成法を開示している。
【0038】
式(1)を有するヒダントインは、例示的に、ブチル3-シアノ-3-ヒドロキシプロピル(メチル)ホスフィネートなどのアルキル3-シアノ-3-ヒドロキシプロピル(メチル)ホスフィネートから出発して化学的に合成され得、これは、メタノール中濃硫酸で処理され得、次いで、混合物を約40℃などの約25℃より高い温度まで加熱され得る。得られた反応混合物は約25℃まで冷却され、メタノール中のナトリウムメトキシド及び硫酸ナトリウムで処理され得る。粗アルキル3-シアノ-3-ヒドロキシプロピル(メチル)ホスフィネートを、例示的に水中の炭酸二アンモニウムの溶液に添加し、反応混合物を約70℃の温度まで加熱してもよい。標準的な仕上げ後、所望のアルキルヒダントイン(例えばブチルヒダントイン)を得ることができる。これに関連して、アルキルは、例示的にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルであり得、好ましくはエチル又はブチルである。
【0039】
式(1)を有するヒダントインは、さらに例示的に、グルホシネートアンモニウムの水溶液及びシアン酸カリウムから出発して化学的に合成されてもよい。反応混合物を約50℃で加熱した後、反応混合物を約25℃まで冷却し、濃塩化水素を添加する。標準的な仕上げ後、所望のヒダントインを得ることができる。得られたヒダントインを、それぞれのアルキルヒダントイン(例えば、エチルヒダントイン)を提供する例示的なオルト酢酸トリエチルを用いてアルキル化することがさらに可能である。
【0040】
本発明の好ましい実施態様において、加水分解ステップa)は、6~11、好ましくは6.5~10、より好ましくは7~9.5、特に7.5~9のpHで実施される。pHは、好ましくは水酸化アルカリ、より好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、特に水酸化カリウムを使用して調整される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、加水分解ステップa)は、20~50℃、好ましくは25~45℃、より好ましくは30~42℃、特に32~40℃の温度で実施される。
【0042】
本発明の好ましい実施態様において、加水分解ステップa)は、水性条件下、好ましくは脱気された水性リン酸緩衝液中、より好ましくは脱気された水性リン酸カリウム緩衝液中で実施される。
【0043】
本発明の好ましい実施態様において、加水分解ステップa)は、撹拌中、好ましくは50~1000rpm、より好ましくは100~800rpm、さらに好ましくは150~600rpm、さらに好ましくは180~400rpm、特に好ましくは200~300rpmで実施される。
【0044】
任意の適切なヒダントイナーゼ酵素が使用され得る。
【0045】
本方法で使用することができるそのようなヒダントイナーゼ酵素としては、デフルビイモナス・アルバ(Defluviimonas alba)、ロドコックス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、ブレビバシラス・アグリ(Brevibacillus agri)、パエナルスロバクター・アウレスセンス(Paenarthrobacter aurescens)、アルスロバクター・クリスタロポイエテス(Arthrobacter crystallopoietes)、バシルス属(Bacillus sp.)TS-23、バシルス・フォルジイ(Bacillus fordii)、ジャンナスチア属(Jannaschia sp.)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、ゲオバシルス・ステアロテルモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、サーマス属(Thermus sp.)、ジクチオステリウム・ジスコイデウム(Dictyostelium discoideum)、リゾビウム・メリロチ(Rhizobium meliloti)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、リゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、グリシン・マックス(Glycine max)、ロビニア・シュードアカシア(Robinia pseudoacacia)、バシルス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)、アエデス・アエギピチ(Aedes aegypti)、アグロバクテリウム・ファブルム(Agrobacterium fabrum)、アルスロバクター属(Arthrobacter sp.)など、好ましくは、デフルビイモナス・アルバ(Defluviimonas alba)が挙げられる。
【0046】
適切なヒダントイナーゼ酵素は、環状アミドに作用するEC 3.5.2ヒドロラーゼである。
【0047】
さらに、適切なヒダントイナーゼ酵素は、Q8RSQ2及びその変異体、O69809及びその変異体、Q846U5_9BACL及びその変異体、P81006及びその変異体、Q84FR6_9MICC及びその変異体、Q56S49_9BACI及びその変異体、A1E351_9BAC及びその変異体、Q28SA7及びその変異体、Q59699及びその変異体、Q45515及びその変異体、A0A399DRQ3_9DEIN及びその変異体、Q55DL0及びその変異体、F7X5M8_SINMM及びその変異体、Q9I676及びその変異体、Q44184及びその変異体、B5L363及びその変異体、I1MEH3及びその変異体、Q6S4R9及びその変異体、Q65LN0及びその変異体、Q171F8及びその変異体、Q8U8Z6及びその変異体、P42084及びその変異体、Q88NW7及びその変異体、P25995及びその変異体、Q3Z354及びその変異体、B1XEG2及びその変異体、Q9F465_PAEAU及びその変異体、Q01262.1及びその変異体、A0A250DXG4_GEOSE及びその変異体、A1SPN2及びその変異体、Q9WYH0及びその変異体、P58329及びその変異体、A1SGT4及びその変異体、E3JD18及びその変異体、HUTI_BDEBA及びその変異体、A0A161KD37_9CHLR及びその変異体、I0GL27_CALEA及びその変異体、A0A068WGW0_ECHGR及びその変異体、A0A1J4XHR4_9BACT及びその変異体、A0A1C4QIY5_9ACTN及びその変異体、A0A0K2UMP4_LEPSM及びその変異体、A0A0F5Q0A2_9RHIZ及びその変異体、A0A024KHS5_9RHIZ及びその変異体、A0A060UM69_9PROT及びその変異体、A3DKS9_STAMF及びその変異体、W2EWT0_9ACTN及びその変異体、A0A0B1T9I4_OESDE及びその変異体、A0A0A7LM60_9BACT及びその変異体、A0A087M7T5_9RHIZ及びその変異体、C0C180_9FIRM及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB(配列番号1も参照)及びその変異体、R5JTP2_9CLOT及びその変異体、A0A010RM85_9PEZI及びその変異体、E1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A010YEH8_9BACT及びその変異体、A0A031LV69_9CREN及びその変異体、A0A1F9QT17_9BACT及びその変異体、ALLB_BACVZ及びその変異体、HUTI_FLAPJ及びその変異体、A0A073J5J1_9BACT及びその変異体、A0A034W2Q8_BACDO及びその変異体、A0A0D8IVV8_9FIRM及びその変異体、A0A0B5QKE4_CLOBE及びその変異体、A0A098B7X6_DESHA及びその変異体、A0A0B5H4M8_9EURY及びその変異体、A0A0C1YDP1_9ACTN及びその変異体、Q981H2_RHILO及びその変異体、T1EEH7_HELRO及びその変異体、A0A060DTG8_AZOBR及びその変異体、A0A011MGZ5_MANHA及びその変異体、A0A060LYB6_9BACI及びその変異体、S0F3L7_CHOCR及びその変異体、A0A133VNR0_9EURY及びその変異体、A0A133U7U9_9EURY及びその変異体、A0A0U2XD52_ECOLX及びその変異体、M1YZY6_NITG3及びその変異体、T0N9X6_9EURY及びその変異体、T0LMU2_9EURY及びその変異体、A0A0N1GBZ8_9ACTN及びその変異体、HUTI_ANASK及びその変異体、A0A031JUP0_9SPHN及びその変異体、A0A061N9L2_9BACL及びその変異体、A0A017T4D2_9DELT及びその変異体、A0A174ADZ3_9FIRM及びその変異体、A0A021X7D5_9RHIZ及びその変異体、A0A021XAC5_9RHIZ及びその変異体、A0A0C2UIW0_9BACL及びその変異体、A0A1F8NGY1_9CHLR及びその変異体、D3F1S3_CONWI及びその変異体、A0A021XG06_9RHIZ及びその変異体、U7V9Q6_9FUSO及びその変異体、D6XY37_BACIE及びその変異体、A0A0J1FAI4_9FIRM及びその変異体、B5Y9A6_COPPD及びその変異体、PHYDA_ECOK1及びその変異体、A0A0A9X9B7_LYGHE及びその変異体、A0A0S8H576_9BACT及びその変異体、A0A151ABI4_9EURY及びその変異体、A0A064AFD7_9FUSO及びその変異体、A0A0C2FCG7_9ACTN及びその変異体、A0A0S8CI48_9CHLR及びその変異体、A0A1F9CZ74_9DELT及びその変異体、A0A0A3YKD1_9ENTR及びその変異体、A0A084R4T2_STACH及びその変異体、A0A070A1Z0_9PROT及びその変異体、A0A1J4J4Y8_9EUKA及びその変異体、R1BR72_EMIHU及びその変異体、R1DD72_EMIHU及びその変異体、A0A1L0FIA0_9ASCO及びその変異体、F7DRE9_ORNAN及びその変異体、A0LK75_SYNFM及びその変異体、A0A0Q1A918_9BACT及びその変異体、H2YZ10_CIOSA及びその変異体、I4YD99_WALMC及びその変異体、A0A077YYH5_TRITR及びその変異体、A0A077Y189_9SPHI及びその変異体、A0A089K5P4_9BACL及びその変異体、A0A0Q7W2T1_9RHIZ及びその変異体、A0A174NIK6_9FIRM及びその変異体、A0A0D5NFS5_9BACL及びその変異体、A0A0D5NNJ7_9BACL及びその変異体、A0A1H2AV66_9BACL及びその変異体、A0A0Q4RXY0_9BACL及びその変異体、A0A0Q7SB75_9BACL及びその変異体、A0A015NM92_9BACL及びその変異体、A0A100VRN2_PAEAM及びその変異体、W4BDJ0_9BACL及びその変異体、A0A147K2G0_9EURY及びその変異体、A0A0W8FVM4_9ZZZZ及びその変異体、A0A147JXR0_9EURY及びその変異体、E8R8J7_DESM0及びその変異体、D5U113_THEAM及びその変異体、A0A1F8T9J2_9CHLR及びその変異体、G3C952_9ARCH及びその変異体、Q6YNI0_9MICC及びその変異体、A0A1G0YIQ9_9BACT及びその変異体、A0A1J5EHQ6_9DELT及びその変異体、A0A1J5E082_9DELT及びその変異体、A0A1C4PKD1_9ACTN及びその変異体、H8GX25_DEIGI及びその変異体、A0A1H5ZFN3_9BACT及びその変異体、A0A0M9Z5S1_9ACTN及びその変異体、A0A1B2HNC5_9PSEU及びその変異体、A0A1B2GNI8_STRNR及びその変異体、A0A1F8LBZ3_9CHLR及びその変異体、A0A1F8NMM2_9CHLR及びその変異体、A0A1F8SDV1_9CHLR及びその変異体、A0A1H1PLX0_9BACT及びその変異体、I0IDC5_PHYMF及びその変異体、A0A0Q5I8X4_9DEIO及びその変異体、A0A0F4JEH6_9ACTN及びその変異体、BAD75708.1、*WP_014453859.1及びその変異体、*WP_046170519.1及びその変異体、*CDP53201.1及びその変異体、*WP_035078314.1及びその変異体、*WP_042803791.1及びその変異体、*EQB70510.1及びその変異体、*EQB65904.1及びその変異体、*WP_023512514.1及びその変異体、*WP_023514195.1及びその変異体、*WP_023516147.1及びその変異体、*KGT87257.1及びその変異体、*WP_045756097.1及びその変異体、*WP_056239694.1及びその変異体、*KUO41395.1及びその変異体、*KOV34818.1及びその変異体、*ANZ15483.1及びその変異体、*KJY32595.1及びその変異体、
並びにその混合物からなる群から選択され得、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0048】
さらに好ましくは、ヒダントイナーゼ酵素は、O69809及びその変異体、Q846U5_9BACL及びその変異体、P81006及びその変異体、Q84FR6_9MICC及びその変異体、Q56S49_9BACI及びその変異体、A1E351_9BACI及びその変異体、Q28SA7及びその変異体、Q45515及びその変異体、A0A399DRQ3_9DEIN及びその変異体、Q55DL0及びその変異体、F7X5M8_SINMM及びその変異体、Q9I676及びその変異体、Q44184及びその変異体、B5L363及びその変異体、P42084及びその変異体、P25995及びその変異体、Q3Z354及びその変異体、B1XEG2及びその変異体、Q9F465_PAEAU及びその変異体、A0A161KD37_9CHLR及びその変異体、A0A1J4XHR4_9BACT及びその変異体、A0A1C4QIY5_9ACTN及びその変異体、A0A0K2UMP4_LEPSM及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、E1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A1F9QT17_9BACT及びその変異体、A0A0D8IVV8_9FIRM及びその変異体、A0A0B5QKE4_CLOBE及びその変異体、A0A0N1GBZ8_9ACTN及びその変異体、A0A174ADZ3_9FIRM及びその変異体、U7V9Q6_9FUSO及びその変異体、A0A0J1FAI4_9FIRM及びその変異体、PHYDA_ECOK1及びその変異体、A0A0S8H576_9BACT及びその変異体、A0A1J4J4Y8_9EUKA及びその変異体、A0A0D5NFS5_9BACL及びその変異体、A0A0D5NNJ7_9BACL及びその変異体、A0A1H2AV66_9BACL及びその変異体、A0A0Q4RXY0_9BACL及びその変異体、A0A0Q7SB75_9BACL及びその変異体、A0A100VRN2_PAEAM及びその変異体、W4BDJ0_9BACL及びその変異体、A0A1J5E082_9DELT及びその変異体、A0A1H5ZFN3_9BACT及びその変異体、A0A1F8NMM2_9CHLR及びその変異体、A0A1F8SDV1_9CHLR及びその変異体、A0A1H1PLX0_9BACT及びその変異体、A0A0Q5I8X4_9DEIO及びその変異体、*WP_046170519.1及びその変異体、*WP_023514195.1及びその変異体、*WP_023516147.1及びその変異体、及び*ANZ15483.1、並びにその混合物からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0049】
さらに、適切なヒダントイナーゼ酵素は、Q846U5_9BACL及びその変異体、P81006及びその変異体、Q84FR6_9MICC及びその変異体、Q56S49_9BACI及びその変異体、Q45515及びその変異体、A0A399DRQ3_9DEIN及びその変異体、Q55DL0及びその変異体、F7X5M8_SINMM及びその変異体、Q9I676及びその変異体、Q44184及びその変異体、B1XEG2及びその変異体、A0A161KD37_9CHLR及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、E1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A1F9QT17_9BACT及びその変異体、A0A0B5QKE4_CLOBE及びその変異体、A0A0N1GBZ8_9ACTN及びその変異体、BAD75708.1及びその変異体、A0A064AFD7_9FUSO及びその変異体、並びにその混合物からなる群から選択され得、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0050】
好ましい実施形態において、ヒダントイナーゼ酵素は、Q846U5_9BACL及びその変異体、P81006及びその変異体、Q84FR6_9MICC及びその変異体、A0A399DRQ3_9DEIN及びその変異体、B1XEG2及びその変異体、A0A161KD37_9CHLR及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、E1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A1F9QT17_9BACT及びその変異体、A0A0B5QKE4_CLOBE及びその変異体、A0A0N1GBZ8_9ACTN及びその変異体、BAD75708.1及びその変異体、A0A064AFD7_9FUSO、並びにその混合物からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0051】
最も好ましくは、ヒダントイナーゼは、Q45515、Q44184及びその変異体、A0A1C4QIY5_9ACTN及びその変異体、A0A0K2UMP4_LEPSM及びその変異体、*WP_046170519.1及びその変異体、及びE1R8C9_SEDSS及びその変異体、A0A159Z531_9RHOB及びその変異体、並びにその混合物からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0052】
上記ヒダントイナーゼは、Uniprot(www.UniProt.org)又はNCBIタンパク質データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/protein)に従ったデータベース識別子の命名法で示されることを理解されたい。ここで、NCBIからの配列は、それぞれのデータベース識別子の先頭に「*」で示される。
【0053】
好ましい実施形態において、ヒダントイナーゼ酵素は、配列番号1を有する。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、ヒダントイナーゼ酵素は、L-ヒダントイナーゼ酵素である。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、ヒダントイナーゼ酵素は、D-ヒダントイナーゼ酵素である。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、式(1)及び(2)中のRは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである。
【0057】
本発明の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、式(3)
【化15】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を提供する。
【0058】
本発明の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩をラセミ混合物の形態で提供する。
【0059】
本発明の別の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を、式(3a)
【化16】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩のエナンチオマー過剰の形態で提供する。好ましくは、式(3a)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩のエナンチオマー過剰が形成され、ヒダントイナーゼ酵素はL-ヒダントイナーゼ酵素である。
【0060】
本発明の別の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、式(3)を有するグルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩を、式(3b)
【化17】
(式中、RはH又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するD-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩のエナンチオマー過剰の形態で提供する。これに関連して、ヒダントイナーゼ酵素がD-ヒダントイナーゼ酵素であることが好ましい。
【0061】
本発明の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、酵素条件下で、好ましくはN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素、より好ましくはL-N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素を用いて行われる。適切なN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素は、直鎖アミドに作用するEC 3.5.1ヒドロラーゼ、EC 3.5.1.87N-カルバモイル-L-アミノ酸ヒドロラーゼ、3.5.1.77N-カルバモイル-D-アミノ酸ヒドロラーゼ、及びそれらの混合物からなる群から選択される。本方法で使用することができる適切なN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素としては、A0A7Y0T4N7_9RHIZ及びその変異体、Q88FQ3_PSEPK及びその変異体、Q88Q81_PSEPK及びその変異体、A0A126S6J4_PSEPU及びその変異体、Q8VUL6_9PSED及びその変異体、H9B8T5_9PSED及びその変異体、Q9FB05_9PSED及びその変異体、C0ZCM8_BREBN及びその変異体、C0Z7R5_BREB及びその変異体、A0A0K9YX84_9BACL及びその変異体、E3HUL6_ACHXA及びその変異体、A0A1V9BSS3_9BACI及びその変異体、A0A1V9BSS3_9BACI及びその変異体、Q9F464及びその変異体、A0A4D7Q548_GEOKU及びその変異体、Q9F464及びその変異体、A0A2S9D976_9MICC及びその変異体、A0A1I6VZZ4_9RHIZ及びその変異体、A0A1L6RE91_9LACT及びその変異体、A0A3E0C996_9BURK及びその変異体、A0A3M7BGJ4_HORWE及びその変異体、A0A2D7YQN7_9GAMM及びその変異体、A0A535Y1H2_9CHLR及びその変異体、A0A223E4I5_9BACI及びその変異体、M2VSE9_GALSU及びその変異体、A0A3T0K6C0_9GAMM及びその変異体、A0A416FGE1_9CLOT及びその変異体、D1P143_9GAMM及びその変異体、A0A6P2ISL4_BURL3及びその変異体、A0A3S6Z2M9_9FIRM及びその変異体、A0A0C1US49_9BACT及びその変異体、A0A1Y4GC62_9BACT及びその変異体、A0A3D3VMN7_9BACT及びその変異体、A0A2K8L549_9PROT及びその変異体、A0A1G0MC89_9BACT及びその変異体、A0A1M6WYS1_SELRU及びその変異体、A0A2K2BYI3_POPTR及びその変異体、A0A510DYR5_9CREN及びその変異体、A0A5Y3XFN7_SALER及びその変異体、A0A381IB54_CLODI及びその変異体、A0A2V3IQW6_9FLOR及びその変異体、並びにその混合物からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。最も好ましくは、N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素は、A0A3E0C996_9BURK及びその変異体、A0A535Y1H2_9CHLR(配列番号4)及びその変異体、A0A6P2ISL4_BURL3(配列番号3)及びその変異体、A0A1Y4GC62_9BACT(配列番号2)及びその変異体からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。上記N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素は、Uniprotデータベース(www.UniProt.org)に従ったデータベース識別子の命名法で示されていることを理解されたい。
【0062】
これに関連して、開裂ステップb)は、好ましくは20~50℃、好ましくは25~45℃、より好ましくは30~42℃、特に32~40℃の温度で行われる。さらに、反応圧力は好ましくは常圧である。好ましくは、反応圧力は0.995~1.030mbar、より好ましくは1.005~1.020mbar、特に約1.013mbarの範囲である。本発明の好ましい実施形態において、開裂ステップb)は、5~10、好ましくは6~9、特に約7のpHで行われる。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、開裂ステップb)は、撹拌中、好ましくは50~1000rpm、より好ましくは100~800rpm、さらにより好ましくは150~600rpm、なおより好ましくは180~400rpm、特に200~300rpmで行われる。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態において、開裂ステップb)は化学的条件下で行われる。「化学的条件」又は「化学的に開裂する」という用語は、酵素条件下で行われない開裂ステップを指すと理解されたい。任意の適切な化学的アプローチが可能である。開裂は、例示的に、亜硝酸ナトリウム及び/又は塩化水素を用いて行うことができる。式(2)
【化18】
(式中、RはH又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸は、例示的に、高温で濃塩化水素によって処理され得る。或いは、上記で定義した式(2)を有するN-カルバモイルアミノ酸は、水性条件下で亜硝酸ナトリウム及び塩化水素で処理されてもよい。これに関連して、開裂ステップb)は、好ましくは25~120℃、より好ましくは50~110℃、特に好ましくは60~105℃の温度で行われる。さらに、反応圧力は好ましくは常圧である。好ましくは、反応圧力は0.995~1.030mbar、より好ましくは1.005~1.020mbar、特に約1.013mbarの範囲である。本発明の好ましい実施態様において、開裂ステップb)は、0~5、好ましくは0~3のpHで行われる。反応混合物は、標準的な手順(すなわち、洗浄及び精製)で仕上げを行うことができる。
【0065】
本発明の特に好ましい実施態様において、開裂ステップb)は酵素条件下で行われる。
【0066】
本発明の好ましい実施態様において、式(1)及び(2)中のRは、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル、さらにより好ましくはエチル又はブチル、特にエチルであり、本方法は、
c)酸性条件下で脱保護するステップをさらに含む。これに関連して、任意の適切な酸が可能である。好ましくは、塩酸又は硫酸が使用される。
【0067】
本発明の好ましい実施態様において、この方法は、ヒダントインラセマーゼ酵素の添加をさらに含む。任意の適切なヒダントインラセマーゼ酵素が可能であり得る。適切なヒダントインラセマーゼ酵素は、EC 5.1ラセマーゼ、アミノ酸及び誘導体に作用するEC 5.1.1ラセマーゼ、EC5.1.99.5ヒダントインラセマーゼ、及びそれらの混合物からなる群から選択される。本方法で使用することができる適切なヒダントインラセマーゼ酵素としては、Q9RYA6_DEIRA及びその変異体、Q9F466及びその変異体、Q9F466及びその変異体、A0A7L5BQP9_9RHIZ及びその変異体、Q00924及びその変異体、F7X6X4_SINMM及びその変異体、A0A6V7ACK5_RHIRD及びその変異体、A0A7Y0XLH3_9RHIZ及びその変異体、A0A5B8XR30_9DELT及びその変異体、A0A533QH78_9PROT及びその変異体、A0A3M9Z0A0_9CYAN及びその変異体、A0A3A0A4T5_9CHLR及びその変異体、A0A1F6C9P8_HANXR及びその変異体、A0A4S0NM85_9RHIZ及びその変異体、A0A1V5I086_9SPIR及びその変異体、A0A6P0NEY4_9CYAN及びその変異体、A0A2K0YBY8_9SPHN及びその変異体、A0A1H5NHN7_9RHIZ及びその変異体、A0A317KUZ3_9ACTN及びその変異体、A0A430VJ34_THESC及びその変異体、A0A1J5KHA5_9PROT及びその変異体、A0A535LIJ4_9CHLR及びその変異体、A0A2T6KHH4_9RHOB及びその変異体、A0A3G8JSD5_9ACTN及びその変異体、A0A3A9JRT3_9THEO及びその変異体、A0A2N7WBP6_9BURK及びその変異体、A0A1A2N8C4_9MYCO及びその変異体、A0A1R3TB43_9RHIZ及びその変異体、X1T733_9ZZZZ及びその変異体、A0A6P1SX79_9RHOB及びその変異体、A0A0Q5VT22_9RHIZ及びその変異体、A0A2N1RKS5_9SPIR及びその変異体、A0A529XJR5_9RHIZ及びその変異体、A0A358TXS4_9FIRM及びその変異体、A0A1Q9UJX6_9ACTN及びその変異体、A0A434WJY9_9RHIZ及びその変異体、A0A4R7C3Y1_9RHIZ及びその変異体、A0A2T4IRF7_9RHIZ及びその変異体、A0A2E8B427_9PLAN及びその変異体、A0A538D678_9ACTN及びその変異体、A0A1W6Z0D5_9BORD及びその変異体、A0A3P1UKI1_9RHIZ及びその変異体、U2S1Q0_9FIRM及びその変異体、A0A3D5IHC5_AGRSP及びその変異体、A0A3D5JEU3_9DELT及びその変異体、からなる群から選択されるものが含まれ、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。上記ヒダントインラセマーゼ酵素は、Uniprotデータベース(www.UniProt.org)に従ったデータベース識別子の命名法で示されていることを理解されたい。最も好ましくは、ラセマーゼ酵素は、A0A6V7ACK5_RHIRD及びその変異体、A0A2T6KHH4_9RHOB及びその変異体からなる群から選択され、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、本方法は、N-カルバモイルアミノ酸ラセマーゼ酵素の添加をさらに含む。任意の適切なN-カルバモイルアミノ酸ラセマーゼ酵素が可能であり得る。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、本方法は、ヒダントインラセマーゼ酵素及びN-カルバモイルアミノ酸ラセマーゼ酵素の添加をさらに含む。
【0070】
本発明の好ましい実施態様において、ステップa)及びステップb)は単一容器中で実施され、ここでステップb)は酵素条件下で実施される。これに関連して、全ての試薬は好ましくは実質的に反応の開始時に添加される。或いは、ステップa)のための試薬とステップb)のための試薬は、好ましくは異なる時間に単一容器に添加される。
【0071】
本発明の好ましい実施態様において、本方法は、加水分解ステップa)において得られる、式(1b)
【化19】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するヒダントインを分離除去するステップをさらに含む。式(1b)を有するヒダントインの分離は、好ましくは逆相クロマトグラフィーを用いて達成される。或いは、分離は、イオン交換、抽出、塩形成、結晶化及び濾過を用いて達成され得る。
【0072】
式(1b)を有するヒダントインを化学的にラセミ化し、加水分解ステップa)で再利用してもよい。式(1b)を有するヒダントインをラセミ化するためには、適切な塩基で、好ましくはpH8以上、より好ましくは8~14、さらに好ましくは8.5~12、特に8.5~10で処理することができる。好ましくは、ラセミ化は水性条件下で行われる。
【0073】
或いは、式(1b)を有するヒダントインは、ヒダントインラセマーゼ酵素で処理されてもよい。
【0074】
本発明の好ましい実施態様において、式(1)を有するヒダントインの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%が、式(3a)
【化20】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、式(1)を有するヒダントインの40~99%、好ましくは50~98%、より好ましくは60~97%、さらに好ましくは70~96%、特に80~95%が、式(3a)
【化21】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される。
【0076】
本発明の別の好ましい実施態様では、式(1)を有するヒダントインの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%が、式(3b)
【化22】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される。
【0077】
本発明の別の好ましい実施態様では、式(1)を有するヒダントインの40~99%、好ましくは50~98%、より好ましくは60~96%、さらに好ましくは70~95%、特に80~90%が、式(3b)
【化23】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはH又はC~Cアルキル、さらに好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである)を有するL-グルホシネート、そのアルキルエステル又はその塩に変換される。
【0078】
L-グルホシネートのエナンチオマー過剰が好ましい。
【0079】
本発明の好ましい実施態様において、本方法は、ヒダントイナーゼ酵素、ヒダントインラセマーゼ酵素、及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素の添加を含み、全ての反応ステップが単一容器中で行われ(「ワンポット」条件としても知られる)、好ましくは、全ての試薬が実質的に反応の開始時に添加されるか、又は試薬が異なる時間に単一容器に添加される。
【0080】
本発明の別の好ましい実施態様において、本方法は、ヒダントイナーゼ酵素、ヒダントインラセマーゼ酵素、及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素の添加を含み、全ての反応ステップが単一容器中で行われ(「ワンポット」条件としても知られる)、好ましくは、全ての試薬が実質的に反応の開始時に添加されるか、又は試薬が異なる時間に単一容器に添加される。
【0081】
本発明のさらに別の好ましい実施態様において、本方法は、ヒダントイナーゼ酵素、及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素の添加を含み、全ての反応ステップが単一容器中で行われ(「ワンポット」条件としても知られる)、好ましくは、全ての試薬が実質的に反応の開始時に添加されるか、又は試薬が異なる時間に単一容器に添加される。これに関連して、反応混合物のpHが8以上であることが好ましい。
【0082】
適用される酵素は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法で適用されてよい。
【0083】
本発明の好ましい実施態様において、適用される酵素は、清澄化細胞溶解物、全細胞、又は固定化酵素として適用される。
【0084】
或いは、L-グルホシネート以外の成分の一部又は全部をバイオトランスフォーメーション混合物から除去し、その混合物を任意選択的に濃縮し、次いでその混合物を雑草の予防又は防除のために直接(及び/又は種々のアジュバントを添加して)使用することができる。バイオトランスフォーメーション混合物は、いくつかの実施態様において、雑草の予防又は防除のために直接(及び/又は種々のアジュバントの添加して)使用することができる。
【0085】
L-グルホシネートをさらに精製するステップを追加することもできる。このようなさらなる精製及び単離方法には、イオン交換、抽出、塩形成、結晶化、及び濾過が含まれ、それぞれを複数回又は適切な組み合わせで使用することができる。酵素は、担持されている場合は単純な濾過によって、溶液中で遊離している場合は限外濾過、セライト、セルロース又は炭素のような吸収剤の使用、又は当業者に知られている様々な技術による変性によって除去することができる。
【0086】
イオン交換プロセスは、この目的のために選択された樹脂への溶質の選択的吸着によって分離をもたらす。生成物及び不純物は吸着前に単一溶液に溶解していなければならないため、単離の前に蒸発又は蒸留による精製生成物の流れの濃縮が通常必要となる。精製のためのイオン交換の使用例は、Schultzet al.によって、及び欧州特許第0249188(A2)号明細書に記載されている。
【0087】
精製は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸などを含む適切な酸の添加によるL-グルホシネートの不溶性塩の形成によって達成されてもよい。同様に、不溶性塩を形成するために適切な塩基を添加することによって精製されてもよい。有用な塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩及びリン酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩及びリン酸塩が挙げられる。アンモニア、ヒドロキシルアミン、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、及びジメチルエタノールアミンを含む、窒素を含む他の塩基を使用してもよい。収率を最大化し、所望の塩の純度を最適化するために、混合物を濃縮するか、又は溶媒(又はその両方)を添加することが有利な場合がある。この目的に適した溶媒には、所望の塩の溶解度が非常に低いものが含まれる(このような溶媒はしばしば「抗溶媒」と呼ばれる)。L-グルホシネートの塩は、当業者に公知の標準的な方法により、製剤化に適した形態のグルホシネートに変換することができる。或いは、L-グルホシネートを双性イオンとして単離することもできる。
【0088】
米国特許第9,255,115B2号明細書には、L-グルホシネートの塩酸塩を、水酸化ナトリウム又はナトリウムメトキシドなどの塩基を用いて双性イオン型に変換し、次いで水性アルコール溶媒から結晶化して、比較的高純度のL-グルホシネートを得る方法が記載されている。この方法は、吸湿性のない結晶性L-グルホシネートを製造できるため、長期間湿気にさらされても非晶質L-グルホシネートと比較して高い純度を維持できるという利点がある。
【0089】
L-グルホシネートの他の塩は当技術分野で知られている。米国特許第5,767,309号明細書及び米国特許第5,869,668号明細書は、ラセミ体のグルホシネートとジアステレオマー塩を形成するためにキラルアルカロイド塩基を使用することを教示している。L-グルホシネートの塩はD-グルホシネートの対応する塩よりもはるかに多量に溶液から沈殿するので、精製が達成される。したがって、この方法は、所望により、高エナンチオマー過剰のL-グルホシネートを得るために本発明と共に使用され得る。
【0090】
任意選択的に、精製は、最初に1種又は複数種の不純物を結晶化させ、濾過により不純物を除去し、次に、上記されたように塩を形成することにより、得られた濾液からL-グルホシネートをさらに精製することにより達成され得る。これは、未反応のアミン供与体を部分的又は完全に単離し、その後の反応に使用することができる場合に有利である。同様に、部分的又は完全に単離された式(2)を有する未反応のN-カルバモイルアミノ酸は、その後の反応に使用するために再利用されてもよい。
【0091】
生成物を精製するために抽出を使用してもよい。独国特許第3920570C2号明細書は、硫酸によって溶液のpHを3.7~4.2に調整することにより、過剰のグルタミン酸(アミン供与体として使用)を沈殿させるプロセスを記載している。グルタミン酸を濾過した後、濾液のpHを1~2まで下げ、そこで他の不純物を溶媒に抽出する。抽出及び濃縮後、水溶液にアンモニアを添加してpHを5~7にし、硫酸アンモニウムを析出させる。硫酸アンモニウムを濾過により除去し、得られた濾液を濃縮してL-グルホシネートのアンモニウム塩を得る。
【0092】
L-グルホシネート又はその塩の単離は、例えば、製剤化又は使用の場所に固形物を出荷する目的で望ましい場合がある。単離の典型的な工業的方法、例えば、濾過、遠心分離などが使用されてよい。単離された製品は、しばしば水分、揮発性不純物及び溶媒(存在する場合)の除去を必要とし、この目的のために典型的な工業用乾燥装置を使用することができる。このような装置の例としては、オーブン、回転ドラム乾燥機、撹拌乾燥機などが挙げられる。場合によっては、スプレードライヤーを使用するのが有利な場合もある。
【0093】
精製後に固形物製品を製造する必要はない。これは、L-グルホシネートの製剤化をL-グルホシネートの製造に使用される場所と同一の場所で行う場合に有利となり得る。L-グルホシネート及びその塩の多くは水に溶けやすく、水は製品製剤化に便利な液体である。例えば、アミン供与体を濾過により単離し、得られた濾液を蒸留により濃縮する。濾液のpHを望ましい値に調整し、得られた溶液をそのまま、又は製剤成分とブレンドして使用することができる。別の例では、L-グルホシネート又はその塩の1種のスラリーを上記のように調製し、濾過により単離することができる。固形物は、水、又はL-グルホシネートの溶液を得るために適切な溶媒を添加することにより、フィルター上で直接溶解され得る。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施態様において、この方法は、N-カルバモイルアミノ酸をヒダントインにリサイクルするステップをさらに含む。上記の通り、式(2)を有する未反応のN-カルバモイルアミノ酸は、後続の反応での使用のためにリサイクルされるために部分的又は完全に単離することができる。これらの反応の1つは、再度のグルホシネート調製ステップであり得る。したがって、好ましくは、未反応のN-カルバモイルアミノ酸は、再びヒダントインにリサイクルされる。N-カルバモイルアミノ酸をヒダントインにリサイクルする1つの好ましい方法ステップは、N-カルバモイルアミノ酸を水溶液中の酸で処理することである。好ましくは、この酸はHClである。さらに、N-カルバモイルアミノ酸をヒダントインに戻すリサイクルは、7未満のpH値でヒダントイナーゼを使用しても可能である。
【0095】
好ましくは、リサイクルのさらなるステップは、ステップa)にリサイクルする前にヒダントインをラセミ化するステップを含む。より好ましくは、ヒダントインをラセミ化するステップは、ラセマーゼ酵素を添加することを含む。最も好ましくは、ラセマーゼ酵素は、A0A6V7ACK5_RHIRD及びその変異体、A0A2T6KHH4_9RHOB及びその変異体からなるそれらのUniprot IDによって同定される酵素の群から選択される。ここでは、変異体は、それぞれのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を有するポリペプチド配列として定義される。
【0096】
上記のように、本発明はさらに、第2の態様において、式(1b)
【化24】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するヒダントイン、式(2a)
【化25】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩を含む組成物に関する。
【0097】
適切な塩は、塩酸塩、アンモニウム塩、及びイソプロピルアンモニウム塩である。さらに、L-グルホシネートのそれぞれの双性イオンも包含されることを理解されたい。
【0098】
本発明の好ましい実施態様において、L-グルホシネート又はその塩の量は、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、なおより好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%又は少なくとも80重量%である。
【0099】
本発明の好ましい実施態様において、L-グルホシネート又はその塩の量は、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、20~99重量%、好ましくは30~98重量%、より好ましくは40~96重量%、さらにより好ましくは50~95重量%、なおより好ましくは60~94重量%、特に好ましくは少なくとも70~90重量%又は少なくとも80~90重量%である。
【0100】
組成物は、式(2a)
【化26】
を有するN-カルバモイルアミノ酸を、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、最大40重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、さらにより好ましくは最大5重量%、なおより好ましくは最大4重量%、特に最大2重量%の量で含むことができる。組成物は、式(2a)
【化27】
を有するN-カルバモイルアミノ酸を、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、0.001~40重量%、好ましくは0.005~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%、さらにより好ましくは0.05~5重量%、なおより好ましくは0.1~4重量%、特に0.5~2重量%の量で含むことができる。
【0101】
組成物は、式(2b)
【化28】
を有するN-カルバモイルアミノ酸を、好ましくは、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、式(2b)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、好ましくは最大40重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、さらにより好ましくは最大5重量%、なおより好ましくは最大4重量%、特に最大2重量%の量でさらに含むことができる。組成物は、式(2b)
【化29】
を有するN-カルバモイルアミノ酸を、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、式(2b)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、0.001~40重量%、好ましくは0.005~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%、さらにより好ましくは0.05~5重量%、なおより好ましくは0.1~4重量%、特に0.5~2重量%の量で含むことができる。
【0102】
組成物は、式(1b)
【化30】
を有するヒダントインを、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、最大30重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、さらにより好ましくは最大5重量%、なおより好ましくは最大2.5重量%、特に最大1重量%の量で含むことができる。組成物は、式(1b)
【化31】
を有するヒダントインを、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、0.001~30重量%、好ましくは0.005~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%、さらにより好ましくは0.05~5重量%、なおより好ましくは0.1~2.5重量%、特に0.5~1重量%の量で含むことができる。
【0103】
組成物は、式(1a)
【化32】
を有するヒダントインを、好ましくは、式(1a)を有するヒダントイン、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、好ましくは最大30重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、さらにより好ましくは最大5重量%、なおより好ましくは最大2.5重量%、特に最大1重量%の量でさらに含むことができる。組成物は、式(1a)
【化33】
を有するヒダントインを、式(1a)を有するヒダントイン、式(1b)を有するヒダントイン、式(2a)を有するN-カルバモイルアミノ酸、及びL-グルホシネート又はその塩の合計量に基づき、0.001~30重量%、好ましくは0.005~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%、さらに好ましくは0.05~5重量%、なおより好ましくは0.1~2.5重量%、特に0.5~1重量%の量でさらに含むことができる。
【0104】
本発明の好ましい実施態様において、式(2a)及び(1b)中のRは、H又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルである。これに関連して、式(2b)及び(1a)中のRもまた、好ましくはH又はC~Cアルキル、好ましくはH又はC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はブチル、特にエチルであると理解される。
【0105】
本発明の1つの好ましい実施態様において、本明細書に記載される組成物は、除草組成物として直接使用され得るか、又は製剤化された除草製品の成分として使用され得る。
【0106】
本明細書に記載の組成物は、雑草の予防又は防除のために作物植物の圃場に適用するのに有用である。組成物は、圃場に散布するための液体として製剤化されてよい。グルホシネート、好ましくはL-グルホシネートは、有効量で組成物中に提供される。本明細書で使用される場合、有効量とは、1ヘクタール当たり約10グラムの有効成分から約1,500グラムの有効成分、例えば約50グラム~約400グラム又は約100グラム~約350グラムを意味する。いくつかの実施形態において、有効成分はL-グルホシネートである。例えば、組成物中のL-グルホシネートの量は、1ヘクタール当たり約10グラム、約50グラム、約100グラム、約150グラム、約200グラム、約250グラム、約300グラム、約350グラム、約400グラム、約500グラム、約550グラム、約600グラム、約650グラム、約700グラム、約750グラム、約800グラム、約850グラム、約900グラム、約950グラム、約1,000グラム、約1,050グラム、約1,100グラム、約1,150グラム、約1,200グラム、約1,250グラム、約1,300グラム、約1,350グラム、約1,400グラム、約1,450グラム、又は約1,500グラムのL-グルホシネートであることが可能である。
【0107】
本明細書に記載の除草組成物(植物に施用する前に希釈を必要とする濃縮物を含む)は、L-グルホシネート(すなわち、有効成分)、任意選択的に式(1b)
【化34】
を有するいくらかの残留ヒダントイン、及び/又は式(2a)
【化35】
を有するN-カルバモイルアミノ酸、並びに液体又は固体の形態の1種若しくは複数種のアジュバント成分を含有する。
【0108】
組成物は、有効成分を1種若しくは複数種のアジュバント、例えば希釈剤、伸長剤、担体、界面活性剤、有機溶媒、保湿剤、又はコンディショニング剤と混合することにより調製され、微細粒子状固体、ペレット、溶液、分散液、又は乳濁液の形態の組成物が提供される。このように、有効成分は、アジュバント、例えば、微細固体、有機由来の液体、水、湿潤剤、分散剤、乳化剤、又はこれらの任意の適切な組み合わせと共に使用することができる。経済性及び利便性の観点から、水が好ましい希釈剤である。しかしながら、全ての化合物が加水分解に耐性を有するわけではなく、場合によっては、当業者には理解されるように、非水性溶媒媒体の使用が指示されることもある。
【0109】
任意選択的に、1種又は複数種の追加成分を組成物に添加して、製剤化された除草組成物を製造することができる。このような製剤化組成物は、L-グルホシネート、担体(例えば、希釈剤及び/又は溶媒)、及び他の成分を含むことができる。製剤化された組成物は、有効量のL-グルホシネートを含む。
【0110】
希釈剤もまた、製剤化された組成物に含まれることが可能である。適切な希釈剤としては、水及び他の水性成分が挙げられる。任意選択的に、希釈剤は、包装又は使用の準備が整った組成物を製造するのに必要な量で存在する。
【0111】
本明細書に記載の除草組成物、特に液体及び可溶性粉末は、さらなるアジュバント成分として、所与の組成物を水中又は油中に容易に分散可能にするのに十分な量の1種若しくは複数種の表面活性剤を含有することができる。表面活性剤の組成物への組込みは、その効力を大いに高める。本明細書で使用される表面活性剤には、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、及び乳化剤が含まれる。アニオン性剤、カチオン性剤及び非イオン性剤も等しく使用できる。
【0112】
適切な湿潤剤としては、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホネート、硫酸化脂肪アルコール、アミン又は酸アミド、イソチオネートナトリウムの長鎖酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、硫酸化又はスルホン化脂肪酸エステル石油ソルホネート、スルホン化植物油、第二級アセチレングリコール、アルキルフェノール(特にイソオクチルフェノール及びノニルフェノール)のポリオキシエチレン誘導体、及びヘキシトール無水物のモノ高級脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体(例えば、ソルビタンなど)が挙げられる。例示的な分散剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、リグニンスルホン酸ナトリウム、高分子アルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ポリメチレンビスナフタレンスルホネート、及びN-メチル-N-(長鎖酸)ラウリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0113】
水分散性粉末組成物は、1種若しくは複数種の有効成分、不活性固体エクステンダー、及び1種若しくは複数種の湿潤剤及び分散剤を含有して製造することができる。不活性固体エクステンダーは、通常、鉱物由来、例えば、天然クレイ、珪藻土、及びシリカなどに由来する合成鉱物である。このようなエクステンダーの例としては、カオリナイト、アタパルジャイトクレイ、及び合成ケイ酸マグネシウムが挙げられる。本明細書に記載の水分散性粉末は、任意選択的に、約5~約95重量部の有効成分(例えば、約15~約30重量部の有効成分)、約0.25~約25重量部の湿潤剤、約0.25~約25重量部の分散剤、及び約4.5~約94.5重量部の不活性固体エクステンダーを含有することができる。全ての部は組成物全体の重量による。必要に応じて、約0.1~約2.0重量部の固体不活性エクステンダーを、腐食防止剤又は消泡剤又はその両方で置き換えることができる。
【0114】
水性懸濁液は、溶解によって、又は分散剤の存在下で水不溶性有効成分の水性スラリーを混合し粉砕して、非常に微細な粒子の濃縮スラリーを得ることによって調製することができる。得られた濃縮水性懸濁液は、その極めて小さい粒径が非常によって特徴づけられ、したがって、希釈して噴霧すると、非常に均一な被覆が得られる。
【0115】
乳化性油は通常、水不混和性又は部分的に水不混和性の溶媒に、表面活性剤とともに有効成分を溶解したものである。本明細書に記載される有効成分に適した溶媒には、炭化水素及び水非混和性のエーテル、エステル、又はケトンが含まれる。乳化性油組成物は、一般に、約5~95部の有効成分、約1~50部の表面活性剤、及び約4~94部の溶媒を含有し、全ての部は乳化性油の全重量に基づく重量部である。
【0116】
本明細書に記載の組成物は、他の添加剤、例えば、アジュバントとして、又は上記のアジュバントのいずれかと組み合わせて使用される肥料、植物毒性剤及び植物成長調節剤、殺虫剤などを含有することもできる。また、本明細書に記載の組成物は、他の材料、例えば肥料、他の植物毒性剤などと混合し、一度に施用することもできる。
【0117】
本明細書に記載の製剤タイプの各々、例えば液体製剤及び固体製剤において、有効成分の濃度は同一である。
【0118】
本除草組成物を他の除草剤と組み合わせて使用できることが認識される。本発明の除草性組成物は、より多種多様な望ましくない植生を防除するために、1種又は複数種の他の除草剤と併用して適用されることが多い。他の除草剤と併用する場合、本発明の化合物を他の除草剤と製剤化し、他の除草剤とタンク混合し、又は他の除草剤と順次適用することができる。本発明の化合物と併用できる除草剤としては、以下のものが挙げられる:アミド系除草剤、例えばアリドクロル、ベフルブタミド、ベンザドックス、ベンジプラム、ブロモブチド、カフェンストロール、CDEA、クロルチアミド、シプラゾール、ジメテナミド、ジメテナミド-P、ジフェナミド、エプロナズ、エトニプロミド、フェントラザミド、フルポキサム、ホメサフェン、ハロサフェン、イソカルバミド、イソキサベン、ナプロパミド、ナプタラム、ペトキサミド、プロピザミド、キノナミド及びテブタム;アニリド系除草剤、例えばクロラノクリル、シサニリド、クロメプロップ、シプロミド、ジフルフェニカン、エトベンザニド、フェナスラム、フルフェナセット、フルフェニカン、メフェナセット、メフルイジド、メタミホップ、モナリド、ナプロアニリド、ペンタノクロル、ピコリナフェン及びプロパニル;アリールアラニン系除草剤、例えばベンゾイルプロップ、フランプロップ及びフランプロップ-M;クロロアセトアニリド系除草剤、例えばアセトクロル、アラクロル、ブタクロル、ブテナクロル、デラクロル、ジエタチル、ジメタクロル、メタザクロル、メトラクロル、S-メトラクロル、プレチラクロル、プロパクロル、プロピソクロル、プリナクロル、ターブクロル、テニルクロル及びキシラクロル;スルホンアニリド系除草剤、例えばベンゾフルオル、パーフルイドン、ピリミスルファン及びプロフルアゾール;スルホンアミド系除草剤、例えばアスラム、カルバスラム、フェナスラム及びオリザリン;抗生物質系除草剤、例えばビラナホス;安息香酸系除草剤、例えばクロランベン、ジカンバ、2,3,6-TBA及びトリカンバ;ピリミジニルオキシ安息香酸系除草剤、例えばビスピリバック及びピリミノバック;ピリミジニルチオ安息香酸系除草剤、例えばピリチオバック;フタル酸系除草剤、例えばクロルタール;ピコリン酸系除草剤、例えばアミノピラリド、クロピラリド及びピクロラム;キノリンカルボン酸系除草剤、例えばキンクロラック及びキンメラック;ヒ素系除草剤、例えばカコジル酸、CMA、DSMA、ヘキサフルレート、MAA、MAMA、MSMA、亜ヒ酸カリウム及び亜ヒ酸ナトリウム;ベンゾイルシクロヘキサンジオン系除草剤、例えばメソトリオン、スルコトリオン、テフリルトリオン及びテンボトリオン;ベンゾフラニルアルキルスルホネート系除草剤、例えばベンフレセート及びエトフメセート;カルバメート系除草剤、例えばアスラム、カルボキサゾールクロルプロカルブ、ジクロルメート、フェナスラム、カルブチレート及びテルブカルブ;カルバニレート系除草剤、例えばバルバン、BCPC、カルバスラム、カルベタミド、CEPC、クロルブファム、クロルプロファム、CPPC、デスメジファム、フェニソファム、フェンメジファム、フェンメジファム-エチル、プロファム及びスウェップ;シクロヘキセンオキシム系除草剤、例えばアロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム及びトラルコキシジム;シクロプロピルイソキサゾール系除草剤、例えばイソキサクロルトール及びイソキサフルトール;ジカルボキシイミド系除草剤、例えばベンツフェンジゾン、シニドン-エチル、フルメジン、フルミクロラック、フルミオキサジン及びフルミプロピン;ジニトロアニリン系除草剤、例えばベンフルラリン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、メタルプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフルラリン及びトリフルラリン;ジニトロフェノール系除草剤、例えばジノフェネート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、DNOC、エチノフェン及びメジノテルブ;ジフェニルエーテル系除草剤、例えばエトキシフェン;ニトロフェニルエーテル系除草剤、例えばアシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、クロメトキシフェン、クロミトロフェン、エトニプロミド、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、ホメサフェン、フリルオキシフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン及びオキシフルオルフェン;ジチオカルバメート系除草剤、例えばダゾメット及びメタム;ハロゲン化脂肪族除草剤、例えばアロラック、クロロポン、ダラポン、フルプロパネート、ヘキサクロロアセトン、ヨードメタン、臭化メチル、モノクロロ酢酸、SMA及びTCA;イミダゾリノン系除草剤、例えばイマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン及びイマゼタピル;無機除草剤、例えばスルファミン酸アンモニウム、ホウ砂、塩素酸カルシウム、硫酸銅、硫酸第一鉄、アジ化カリウム、シアン酸カリウム、アジ化ナトリウム、塩素酸ナトリウム及び硫酸;ニトリル系除草剤、例えばブロモボニル、ブロモキシニル、クロロキシニル、ジクロロベニル、ヨードボニル、イオキシニル及びピラクロニル;有機リン系除草剤、例えばアミプロホス-メチル、アニロホス、ベンスリド、ビラナホス、ブタミホス、2,4-DEP、DMPA、EBEP、ホサミン、グリホサート及びピペロホス;フェノキシ系除草剤、例えばブロモフェノキシム、クロメプロップ、2,4-DEB、2,4-DEP、ジフェノペンテン、ジスル、エルボン、エトニプロミド、フェンテラコール及びトリホプシム;フェノキシ酢酸系除草剤、例えば4-CPA、2,4-D、3,4-DA、MCPA、MCPA-チオエチル及び2,4,5-T;フェノキシ酪酸系除草剤、例えば4-CPB、2,4-DB、3,4-DB、MCPB及び2,4,5-TB;フェノキシプロピオン酸系除草剤、例えばクロプロップ、4-CPP、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ-P、3,4-DP、フェノプロップ、メコプロップ及びメコプロップ-P;アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤、例えばクロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ-P、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ-P、ハロキシホップ、ハロキシホップ-P、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ-P及びトリホップ;フェニレンジアミン系除草剤、例えばジニトラミン及びプロジアミン;ピラゾリル系除草剤、例えばベンゾフェナップ、ピラゾリネート、ピラスルホトル、ピラゾキシフェン、ピロキサスルホン及びトプラメゾン;ピラゾリルフェニル系除草剤、例えばフルアゾレート及びピラフルフェン;ピリダジン系除草剤、例えばクレダジン、ピリダホル及びピリデート;ピリダジノン系除草剤、例えばブロムピラゾン、クロリダゾン、ジミダゾン、フルフェンピル、メトフルラゾン、ノルフルラゾン、オキサピラゾン及びパイダノン;ピリジン系除草剤、例えばアミノピラリド、クリオジネート、クロピラリド、ジチオピル、フルロキシピル、ハロキシジン、ピクロラム、ピコリナフェン、ピリクロル、チアゾピル及びトリクロピル;ピリミジンジアミン系除草剤、例えばイプリミダム及びチオクロリム;第四級アンモニウム系除草剤、例えばシペルコート、ジエタムコート、ジフェンゾコート、ジクワット、モルファムコート及びパラコート;チオカルバメート系除草剤、例えばブチレート、シクロエート、ジアレート、EPTC、エスプロカルブ、エチオレート、イソポリネート、メチオベンカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、スルファレート、チオベンカルブ、チオカルバジル、トリアレート及びベモレート;チオカルボネート系除草剤、例えばジメキサノ、EXD及びプロキサン;チオウレア系除草剤、例えばメチウロン;トリアジン系除草剤、例えばジプロペトリン、トリアジフラム及びトリヒドロキシトリアジン;クロロトリアジン系除草剤、例えばアトラジン、クロラジン、シアナジン、シプラジン、エグリナジン、イパジン、メソプラジン、プロシアジン、プログリナジン、プロパジン、セブチルアジン、シマジン、ターブチラジン及びトリエタジン;メトキシトリアジン系除草剤、例えばアトラトン、メトメトン、プロメトン、セクブメトン、シメトン及びテルブメトン;メチルチオトリアジン系除草剤、例えばアメトリン、アジプロトリン、シアナトリン、デスメトリン、ジメタメトリン、メトプロトリン、プロメトリン、シメトリン及びテルブトリン;トリアジノン系除草剤、例えばアメトリジオン、アミブジン、ヘキサジノン、イソメチオジン、メタミトロン及びメトリブジン;トリアゾール系除草剤、例えばアミトロール、カフェンストロール、エプロナズ及びフルポキサム;トリアゾロン系除草剤、例えばアミカルバゾン、ベンカルバゾン、カルフェントラゾン、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾン、スルフェントラゾン及びチエンカルバゾン-メチル;トリアゾロピリミジン系除草剤、例えばクロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノクススラム及びピロクススラム;ウラシル系除草剤、例えばブタフェナシル、ブロマシル、フルプロパシル、イソシル、レナシル及びターバシル;3-フェニルウラシル;ウレア系除草剤、例えばベンズチアズロン、クミルロン、シクロン、ジクロラルウレア、ジフルフェンゾピル、イソノルロン、イソウロン、メタベンズチアズロン、モニソウロン及びノルロン;フェニルウレア系除草剤、例えばアニスロン、ブツロン、クロルブロムロン、クロレツロン、クロロトルロン、クロロクスロン、ダイムロン、ジフェノクスロン、ジメフロン、ジウロン、フェヌロン、フルオメツロン、フルオチウロン、イソプロツロン、リヌロン、メチウロン、メチルジムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトクスロン、モノリヌロン、モヌロン、ネブロン、パラフルロン、フェノベンズロン、シデュロン、テトラフルロン及びチジアズロン;ピリミジニルスルホニルウレア系除草剤、例えばアミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、メソスルフロン、ニコスルフロン、オルトスルファムロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン及びトリフロキシスルフロン;トリアジニルスルホニルウレア系除草剤、例えばクロルスルフロン、シノスルフロン、エタメツスルフロン、ヨードスルフロン、メツスルフロン、プロスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフルスルフロン及びトリトスルフロン;チアジアゾリルウレア系除草剤、例えばブチウロン、エチジムロン、テブチウロン、チアザフルロン及びチジアズロン;並びに
未分類除草剤、例えばアクロレイン、アリルアルコール、アミノシクロピラクロル、アザフェニジン、ベナゾリン、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブチダゾール、カルシウムシアナミド、カンベンジクロル、クロルフェナク、クロルフェンプロップ、クロルフルラゾール、クロルフレノール、シンメチリン、クロマゾン、CPMF、クレゾール、オルトジクロロベンゼン、ジメピペレート、エンドタール、フルオロミジン、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、フルチアセット、インダノファン、メタゾール、メチルイソチオシアネート、ニピラクロフェン、OCH、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペンタクロロフェノール、ペントキサゾン、酢酸フェニル水銀、ピノキサデン、プロスルファリン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、キノクラミン、ロデタニル、スルグリカピン、チジアジミン、トリジフェン、トリメツロン、トリプロピンダン及びトリタック。本発明の除草組成物は、さらに、グリホサート又は2,4-Dと併用して、グリホサート耐性又は2,4-D耐性の作物に使用することができる。一般に、本発明の組成物を、処理される作物に対して選択的であり、採用される適用速度でこれらの組成物によって防除される雑草のスペクトルを補完する除草剤と組み合わせて使用することが好ましい。本発明の組成物及び他の補完的除草剤を、組み合わせ製剤として、又はタンクミックスとして、同時に適用することがさらに一般に好ましい。
【0119】
上記の通り、本発明はさらに第3の態様において、好ましくは植栽された種子の作物又はグルホシネートに耐性を有する作物を含む領域において雑草を選択的に防除するための方法であって:
L-グルホシネート又はその塩を、D-グルホシネート又はその塩に対して少なくとも50%、好ましくは70%を超えるエナンチオマー過剰のエナンチオマー割合で含む組成物の有効量と、組成物の合計量に基づいて0.01重量%より多く10重量%未満の式(2)
【化36】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)を有するN-カルバモイルアミノ酸とを含む組成物の有効量を領域に適用することを含む方法に関する。
【0120】
本発明の好ましい実施態様において、組成物は、D-グルホシネート又はその塩に対して50~99%のエナンチオマー割合、好ましくは60~98%のエナンチオマー割合、より好ましくは70~95%のエナンチオマー割合、特に80~90%のエナンチオマー割合でL-グルホシネート又はその塩を含む。
【0121】
本発明の好ましい実施態様において、組成物は、組成物の全量に基づき、0.02~8重量%、好ましくは0.03~5重量%、より好ましくは0.05~3重量%、特に0.1~2重量%の式(2)
【化37】
(式中、Rは、H又はC~Cアルキル、好ましくはHである)を有するN-カルバモイルアミノ酸を含む。
【0122】
組成物は、上記でより詳細に記載したものと同一アジュバント及び/又は他の除草剤を含んでもよいことを理解されたい。
【0123】
本明細書に記載の組成物は、雑草の予防又は防除のために作物植物の圃場に適用するのに有用である。組成物は、圃場に散布するための液体として製剤化されてよい。L-グルホシネートは、有効量で組成物中に提供される。本明細書で使用される場合、有効量とは、1ヘクタール当たり約10グラムの有効成分から約1,500グラムの有効成分、例えば約50グラム~約400グラム又は約100グラム~約350グラムを意味する。いくつかの実施形態において、有効成分はL-グルホシネートである。例えば、組成物中のL-グルホシネートの量は、1ヘクタール当たり約10グラム、約50グラム、約100グラム、約150グラム、約200グラム、約250グラム、約300グラム、約350グラム、約400グラム、約500グラム、約550グラム、約600グラム、約650グラム、約700グラム、約750グラム、約800グラム、約850グラム、約900グラム、約950グラム、約1,000グラム、約1,050グラム、約1,100グラム、約1,150グラム、約1,200グラム、約1,250グラム、約1,300グラム、約1,350グラム、約1,400グラム、約1,450グラム、又は約1,500グラムのL-グルホシネートであることが可能である。
【0124】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
【実施例
【0125】
材料及び方法
酵素の調製
a)酵素遺伝子のクローニング(EX1)
それぞれの酵素のアミノ酸配列を公開データベースから同定した(UniProt,https://www.uniprot.org;NCBIタンパク質データベース,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein.NCBIからの配列は、それぞれのデータベース識別子の先頭に「*」で示す)。それぞれのDNA配列は、大腸菌(Escherichia coli.)の標準的なコドン使用法を用いて導き出した。このDNA配列を合成し(BioCat GmbH)、プラスミドpDHE19.2中にクローニングした(Ress-Loeschke,M.et al.,独国特許第19848129号明細書,1998,(BASF AG))。得られたプラスミドを用いて、大腸菌(E.coli)TG10株、pAgro、pHSG575(E.coli TG10(Kesseler,M.et al、国際公開第2004050877A1号パンフレット,2004,(BASF AG)):pHSG575(Takeshita,S.et al.,Gene,1987,61,63)及びpAgro4(pBB541 in Tomoyasu,T.et al.,Mol.Microbiol.,2001,40,397)によって形質転換された大腸菌(E.coli)TG1のrhaA-誘導体のコンピテントセルを形質転換した(Chung,C.T.et al.,Proc Natl Acad Sci USA,1989,86,2172)。
【0126】
b)酵素の組換え生産(EX2)
シェイクフラスコ中での生体触媒の調製
酵素の組換えプラスミドを有する大腸菌(E.coli)TG10を用い、100μg/mlアンピシリン、100μg/mlスペクチノマイシン、20μg/mlクロラムフェニコールを添加した2mlのLB培地(Bertani,G.,J Bacteriol,1951,62,293)に接種し、得られた予備培養液を37℃、250rpmの撹拌下で5時間培養した。この予備培養液1mlを使用し、500mlバッフル付きエルレンマイヤー(Erlenmeyer)フラスコ中で100μg/mlアンピシリン、100μg/mlスペクチノマイシン、20μg/mlクロラムフェニコール、1mM MnCl2、0.1mMイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド及び0.5g/lラムノースを添加した100mlのLB培地に接種した。培養は37℃で18時間、振とう培養した。その後、8℃で10分間、3220xgで遠心分離し、バイオマスを回収した。上清を捨て、細胞ペレットを8mlのHEPES緩衝液(濃度100mM及びpH8.2、1mM MnCl2添加)に懸濁した。この細胞懸濁液は、全細胞バイオトランスフォーメーションが行われた場合には、合成のためにそれ以上調製することなく使用された。清澄化細胞溶解物を代わりに使用する場合、5mlの細胞懸濁液を、溶解マトリックスB(φ0.1mmの石英ビーズ0.7ml、MP Biomedicals)を含む5本の反応チューブに分配し、チューブを氷上で冷やし、その後ホモジナイザー(Peqlab Precellys24、VWR)において30秒サイクルで2回、細胞を破砕した。サイクルの間にサンプルは氷上で冷却した。得られた無細胞溶解物は、20817xg、10分間、8℃で遠心分離することにより清澄化した。上清を単離し、同一バッチからのフラクションを組み合わせた(=清澄化細胞溶解物)。
【0127】
発酵全細胞生体触媒生産
プラスミドpAgro4及びpHSG575を含む大腸菌(E.coli)TG10を、目的のタンパク質をコードするpDHEプラスミドで形質転換した。形質転換体は、100μg/mlアンピシリン、100μg/mlスペクチノマイシン及び20μg/mlクロラムフェニコールを添加したLB寒天培地で培養した。
【0128】
予備培養培地:
EcoK12溶液
超純水 1.0kg
クエン酸一水和物 40.0g
硫酸亜鉛七水和物 11.0g
硫酸二アンモニウム鉄六水和物 8.6g
硫酸マンガン一水和物 3.0g
硫酸銅五水和物 0.8g
硫酸コバルト七水和物 0.09g
【0129】
ポアサイズ0.2μmのフィルターを用いた濾過により滅菌した。
【0130】
パート1
超純水 1.0kg
クエン酸一水和物 3.4g
硫酸マグネシウム七水和物 2.4g
塩化カルシウム二水和物 0.1g
EcoK12溶液 20g
水酸化ナトリウム水溶液25% pHを6.6に調整するために使用。
【0131】
パート2
超純水 500g
リン酸二水素カリウム 26.6g
リン酸水素二アンモニウム 8.0g
水酸化ナトリウム水溶液25% pHを6.4に調整するために使用。
【0132】
パート3
超純水 500g
グリセロール99% 36.0g
グルコン酸ナトリウム 24.0g
リン酸20% pHを6.6に調整するために使用。
【0133】
全3パートを121℃で30分間滅菌した。
【0134】
ビタミン溶液
超純水 100g
塩酸チアミン 1.0g
ビタミンB12 0.5g
【0135】
ポアサイズ0.2μmのフィルターを用いた濾過により滅菌した。
最終的な予備培養培地を作製するために、パート1、2及び3を組み合わせ、2.0mlのビタミン溶液を添加する。さらに、培地に100μg/mlのアンピシリン、100μg/mlのスペクチノマイシン及び20μg/mlのクロラムフェニコールを添加した。数個の形質転換体をLB寒天培地プレートから掻き出し、これを使用して1lのバッフル付きエルレンマイヤー(Erlenmeyer)フラスコに100gの予備培養培地を2回接種した。これらの予備培養液を37℃及び150rpmで培養した。OD600が12に達した時点で、予備培養液をそのまま使用し、本培養に接種した。
【0136】
本培養培地:
パート4
超純水 9.6kg
クエン酸一水和物 21.1g
リン酸二水素カリウム 173.6g
リン酸水素二アンモニウム 52.8g
硫酸マンニウム七水和物 15.1g
塩化カルシウム二水和物 0.7g
EcoK12溶液 123g
水酸化ナトリウム溶液25% pHを6.4に調整するために使用
プルリオールP2000 1ml
【0137】
パート4を125℃で45分間滅菌した。
【0138】
パート5
超純水 300g
塩酸チアミン 151mg
ビタミンB12 30.2mg
アンピシリンナトリウム塩 1000mg
塩酸スペクチノマイシン 500mg
クロラムフェニコール 200mg
【0139】
パート5は、ポアサイズ0.1μmのフィルターユニットを用いた滅菌ろ過により滅菌した。
【0140】
グリセロール溶液
超純水 804g
クエン酸一水和物 29.1g
硫酸ナトリウム 58.1g
硫酸二アンモニウム鉄六水和物 4.5g
グリセリン99% 3370g
【0141】
チアミン溶液
超純水 40g
チアミン塩酸塩 55mg
【0142】
消泡溶液
プルリオールP2000 350g
【0143】
塩基溶液
アンモニア水25% 1500ml
【0144】
誘導質溶液
超純水 150g
ラムノース一水和物 100g
IPTG 238mg
【0145】
グリセロール及び消泡溶液は121℃で30分間滅菌した。チアミン及び誘導質溶液は、ポアサイズ0.2μmのフィルターを用いた濾過により滅菌した。
【0146】
パート4及び5を滅菌した発酵容器(Techfors,Infors HT)中で組み合わせ、予備培養液を接種した。発酵容器を温度37℃、圧力0.2bar、pH6.6に保持した。撹拌機の速度(通常500rpm)及び通気速度(通常6l/分)を調整することで、pO2レベルを20~40%に保持した。消泡溶液を必要に応じて添加した。グリセロール溶液及びチアミン溶液を組み合わせて、供給溶液を得た。接種後、供給溶液を10g/時間の速度で投与した。7時間後、飼料溶液の投与を「ストップ・アンド・シー」モードに切り替えた。ここでは、pO2レベルが上昇すると10g/時間の速度で供給が活性化された。14時間後又は330gの供給溶液消費後、供給速度を80~100g/時間まで上昇した。遺伝子発現は、80mmol/l/時間の酸素移動速度で、又は誘導質溶液の添加によりOD600が12になった時点で誘導された。誘導から36時間後、温度を15℃まで低下させることにより発酵を停止した。冷却した発酵ブロスを発酵槽から排出し、4700rpm及び10℃で遠心分離して細胞をペレット化した。得られた上清を捨て、細胞を3850gの50mMリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.0)中に再懸濁した。細胞懸濁液を凍結乾燥する前に-80℃で凍結した。その際、凍結乾燥機を-50℃及び0.25mbarの圧力に保持した。凍結乾燥無細胞抽出物は4℃で保存した。
【0147】
凍結乾燥無細胞抽出物の製造
超純水中に凍結乾燥細胞を100g/lで懸濁した。細胞懸濁液を氷上で冷却した後、800barに設定した圧力ホモジナイザー(Panda Plus 2000、GEA)に3回通過させて細胞を破砕した。3回通過の圧力は、通常1000~1400barであった。得られた混合物から、10℃で10000rpm、15分間の遠心分離によって残骸を取り除いた。得られたペレットを廃棄し、上清中のタンパク質濃度をブラッドフォード(Bradford)アッセイで分析した。上清は-80℃で凍結し、その後-50℃及び0.25mbarの圧力で凍結乾燥した。
【0148】
出発物質及び中間生成物の調製
c)5-([2-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]エチル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの化学合成(Ex3)
【化38】
メタノール(400mL)中の[2-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]-1-シアノ-エチル]アセテート(100g、純度90%、Cas 167004-78-6)の撹拌溶液に濃硫酸(1g)を添加し、反応混合物を40℃まで加熱し、この温度で15時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、メタノール中のナトリウムメトキシド(30%、3.52g)を添加し、続いて硫酸ナトリウム(2g)を添加し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮した(84.5g)。
【0149】
粗製の3-シアノ-3-ヒドロキシプロピル(メチル)ホスフィン酸ブチル(84.5g、366mmol)に、水(290mL)中の炭酸二アンモニウム(70.4g、732mmol)の溶液を添加した。反応混合物を70℃まで4時間加熱し、次いで減圧下で蒸発乾固した。残渣を温イソプロパノール(70℃)中に懸濁し、得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキをイソプロパノール(2×10mL)で洗浄した。濾液を減圧下濃縮し、シリカを通して濾過した(1.5Lジクロロメタン/メタノール9:1で溶出)。濾液を減圧下で濃縮して生成物55.5gを得、得られた固体をイソプロパノール/ジイソプロピルエーテルから再結晶した(収率34%)。H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 4.42-4.37(m,1H),4.08-4.00(m,2H),2.19-1.77(m,4H),1.70-1.64(m,2H),1.61(d,J=13.8Hz,3H),1.46-1.34(m,2H),0.92(td,J=7.4,0.8Hz,3H)。
【0150】
d)ラセミ体グルホシネートから5-([2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの化学合成(Ex4)
【化39】
グルホシネートアンモニウム(水中50%、50g、126mmol)の真空(200mバール)下での撹拌溶液に、水(50ml)中のシアン酸カリウム(17g、202mmol)の溶液を50℃で40分間かけて添加した。反応混合物を真空(200mbar)下、50℃でさらに1.5時間撹拌し、その後室温まで冷却した。室温及び周囲圧力でさらに14時間撹拌した後、濃HCL(125mL、36%)を添加し、反応混合物を30分間還流まで加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を50℃の水(50mL)に溶解し、濾過した。濾液をイオン交換クロマトグラフィー(Dowex-50 WX 8200-400(H)、500mL)に供し、水(1L)で溶出し、生成物を実質的に定量的収率で得た。H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 4.41-4.36(m,1H),2.15-1.70(m,4H),1.52(d,J=13.9Hz,3H)。
【0151】
【化40】
酢酸(50mL)及びオルト酢酸トリエチル(75mL、409mmol)の混合物に、室温で2-(2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)エチル-メチル-ホスフィン酸(10g、48.5mmol、上記のように合成)を添加した。反応混合物を還流(110℃、加熱浴温度)まで15分間加熱した。次いで、反応物を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール9:1)で精製し、2-(2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)エチル(メチル)ホスフィン酸エチル(4.8g、42%)を得た。
H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 4.41-4.36(m,1H),4.13-4.03(m,2H),2.19-1.74(m,4H),1.60(d,J=13.9Hz,3H),1.35-1.28(m,3H)。
【0152】
e)グルホシネートからN-カルバモイルアミノ酸の化学合成(Ex5)
【化41】
真空下(200mbar)ラセミ体グルホシネートアンモニウムの撹拌溶液(水中50%、39.6g、99.9mmol)に、水(30ml)中シアン酸カリウム(11.8g、145mmol)溶液を50℃で30分間かけて添加した。反応混合物を真空(200mbar)下、50℃でさらに1時間撹拌し、その後室温まで冷却した。反応混合物をイオン交換クロマトグラフィー(Dowex-50 WX 8200-400(H)、220mL)に供し、生成物を水(1L)で溶出した。溶出した生成物を減圧下濃縮し、カルバモイル酸生成物(7.9g)を得た。残りのカルバモイル酸をカリウム塩としてカラムから再分離した。H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 4.31-4.25(m,1H),2.19-1.81(m,4H),1.52(d,J=14.1Hz,3H)。D-及びL-エナンチオマーを、市販のD-及びL-グルホシネートから類似の方法で合成した。L-エナンチオマーの比回転[α]=+27.5°(c=1 HO、カリウム塩として測定)。Supelco Chirobiotic T2を使用したHPLC-MSの保持時間(溶離液40%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速0.8mL/分。L-カルバモイルアミノ酸の保持時間(7.4分);D-カルバモイルアミノ酸の保持時間(9.2分)。
【0153】
f)N-カルバモイルアミノ酸から5-([2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの化学合成(Ex6)
【化42】
(2R)-4-[エトキシ(メチル)ホスホリル]-2-ウレイド-ブタン酸(すなわち、Ex11又はEx12を介して合成)(164mg)を、HCl水溶液(5%、3mL)に溶解した。反応混合物を40℃で48時間振とうした。NMRによって、N-カルバモイルアミノ酸からD-ヒダントインへの完全な変換が示された。D-ヒダントインは、実施例14(酵素)に従って、又はpH8.5で水性アンモニアによって処理することにより(実施例15に記載されるものと類似の様式で)、容易にラセミ化することができる。
【0154】
化学的カルバモイル開裂ステップを用いる反応
g)ブチル保護N-カルバモイルアミノ酸の酵素合成(EX7)
【化43】
5-([2-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]エチル)イミダゾリジン-2,4-ジオン(7.8g、29.7mmol)の脱気リン酸カリウム緩衝液(60mL、0.496M、pH8.0)中溶液にKOH(水中3M、390μL)を添加し、pHを8.0まで調整した。この混合物にリン酸カリウム緩衝液(223mL、0.100M、pH8.0)及びヒダントイナーゼ酵素(Uniprot ID:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、清澄化細胞溶解物、16.5mL、総タンパク質濃度8.1mg/mL)及びMnCl溶液(水中1M、240μL)を添加した。反応混合物を37℃で24時間撹拌した(250rpm)。粗製物質を濾過して細胞溶解物を除去し、濾過ケーキを水(60mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、THF/湿式MeOH中に再溶解し、シリカで濾過した(溶離液は純粋なメタノール)。次に、粗製物を逆相クロマトグラフィー(水/アセトニトリル99:1~95:5勾配)で精製し、4-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]-2-ウレイド-ブタン酸(2.05g、25%)を得た。H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 4.11-4.07(m,1H),4.06-4.00(m,2H),2.09-1.80(m,4H),1.71-1.63(m,2H),1.59(d,J=13.7Hz,3H),1.46-1.34(m,2H),0.92(t,J=7.4Hz,3H)。
【0155】
h)N-カルバモイルアミノ酸からのグルホシネートの化学合成(Ex8)
【化44】
ヒダントイナーゼ(Uniprot:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、cf.Ex3)を用いて合成した4-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]-2-ウレイド-ブタン酸(100mg)をHCl水溶液(3.5M、10mL)中に溶解し、撹拌した反応混合物を0℃まで冷却した。水(2mL)中の亜硝酸ナトリウム(26mg)の溶液を添加し、反応混合物を室温まで加温した。反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。次に、水中濃HCl(36%、7.5mL)を添加し、反応混合物を100℃まで加熱し、この温度で一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、塩化メチレン(2×10mL)で2回抽出した。水相を減圧下で濃縮し、グルホシネートの塩酸塩を得た。H NMR(500MHz,酸化重水素)δ 3.84-3.78(m,1H),2.17-2.00(m,2H),1.74-1.54(m,2H),1.27(d,J=13.5Hz,3H)。
【0156】
酵素的カルバモイル開裂ステップを用いたグルホシネートへの再反応
i)N-カルバモイルアミノ酸からのグルホシネートの酵素的2-pot合成(Ex9、配列番号2)
【化45】
2-(カルバモイルアミノ)-4-[ヒドロキシ(メチル)ホスホリル]ブタン酸(0.6g、2.5mmol、Ex5に従って製造)の脱気した水性リン酸カリウム緩衝液(5.4mL、0.496M、pH8.0)中溶液にKOH(水中3M)を添加し、pHを8.0まで調整した。反応混合物(6.1ml)にリン酸カリウム緩衝液(19.2mL、0.100M、pH8.0)及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(Uniprot ID:A0A1Y4GC62_9BACT、配列番号2、清澄化細胞溶解物、1.5mL、総タンパク質濃度12.9mg/mL、シェイクフラスコで生産されたタンパク質)及びMnCl溶液(水中1M、20μL)を添加した。反応混合物を37℃で24時間撹拌した(250rpm)。NMR及びHPLC分析によって、グルホシネートへの変換率が31%であることが示された。グルホシネートのエナンチオマー比をキラルHPLCによって分析した。キラルHPLC:>99%-L-グルホシネート/<1%D-グルホシネート;分析法:PhenomenexからのChirex(D)-Pencillamine 250×4.6mmカラム;アイソクラティック溶出10mM硫酸銅(II);245nmでUV検出)。
【0157】
j)N-カルバモイルアミノ酸からのグルホシネートの酵素的2-pot合成(Ex10、配列番号3)
【化46】
並行して、別のN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素を用いて、同一条件でEx9の反応を行い(Uniprot ID:A0A6P2ISL4_BURL3、配列番号3、清澄化細胞溶解物、1.5mL、10.2mg/mL総タンパク質濃度、シェイクフラスコで生産されたタンパク質)、L-グルホシネートも得た(変換率21%、キラルHPLC:>99%-L-グルホシネート/<1%D-グルホシネート)。
【0158】
k)ヒダントインのエチルエステルからのエチル-グルホシネートの酵素的1-pot合成(Ex11、配列番号1+4)
【化47】
水(20mL)中の5-[2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(5.6g、24mmol)の溶液にアンモニア(水中25%)を添加して、pHを8.5まで調整した。この混合物にMnCl溶液(水中2M、1mL)及びヒダントイナーゼ酵素(Uniprot ID:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、清澄化細胞溶解物、7.5mL、総タンパク質濃度33mg/mL)及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(A0A535Y1H2_9CHLR、配列番号4、清澄化細胞溶解物、2.8mL、総タンパク質濃度44.8mg/mL)を添加した。反応混合物を37℃で72時間撹拌した。72時間の反応時間中、pHをアンモニア(水中25%)で8.5に保持した。総反応時間7時間、27時間、30時間及び49時間後、N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(A0A535Y1H2_9CHLR、配列番号4、2.8mL、清澄化細胞溶解物)を添加した。NMRによって、24時間後に36%、72時間後に43%のL-グルホシネートのエチルエステルへの変換が示された(キラルHPLCによるエナンチオマー比 L>99%、D>1%)。反応終了後、粗反応混合物を80℃まで30分間加熱し、濾過して細胞溶解物を除去した。L-グルホシネートエチルエステル及びN-カルバモイルアミノ酸のエチルエステルの混合物をDowex-50 WX 8 200-400(H)で分離した。N-カルバモイルアミノ酸を水で溶出し、L-グルホシネートのエチルエステルをアンモニア(水中0.5M)で溶出して、L-グルホシネートエチルエステルを得た。或いは、結晶化によりL-グルホシネートエチルエステルを分離することもできた。残りのカルバモイルアミノ酸は、Ex6を介してリサイクルすることができる。L-グルホシネート及びD-グルホシネートのエチルエステルの濃度は、Supelco Chirobiotic T2を用いたHPLC-MSによって決定した(溶離液25%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速1.0mL/分。グルホシネートのエチルエステルの保持時間:L-構成ジアステレオ異性体(7.6+7.8分);D-構成(8.5及び11.5分)。
【0159】
l)ヒダントインのエチルエステルからのエチル-グルホシネートの酵素的1-pot合成(Ex12、配列番号1+3)
【化48】
水(20mL)中の5-[2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(5.6g、24mmol)の溶液にアンモニア(水中25%)を添加して、pHを8.5まで調整した。この混合物にMnCl溶液(水中2M、1mL)及びヒダントイナーゼ酵素(Uniprot ID:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、清澄化細胞溶解物、7.5mL、総タンパク質濃度33mg/mL)及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(A0A6P2ISL4_BURL3、配列番号3、清澄化細胞溶解物、2.8mL、総タンパク質濃度44mg/mL)を添加した。反応混合物を37℃で48時間撹拌した。48時間の反応時間中、pHをアンモニア(水中25%)で8.5に保持した。総反応時間7時間、27時間及び30時間後、N-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(配列番号3、2.8mL、清澄化細胞溶解物)を添加した。NMRによって、L-グルホシネートのエチルエステルへの24%の変換が示された(エナンチオマー比L:D>99:1)。L-グルホシネート及びD-グルホシネートのエチルエステルの濃度は、Supelco Chirobiotic T2を用いたHPLC-MSによって決定した(溶離液25%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速1.0mL/分。グルホシネートのエチルエステルの保持時間:L-構成ジアステレオ異性体(7.6+7.8分);D-構成(8.5及び11.5分)。
【0160】
m)N-カルバモイルアミノ酸の酵素合成(Ex13、配列番号1)
【化49】
2-(2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)エチル-メチル-ホスフィン酸(25g)を加熱しながらアンモニア水溶液(53mL、10M)中に溶解した。反応物を37℃まで冷却し、次いでアンモニアを使用してpHを8.7まで調整した。MnCl溶液(水中2M、2.5mL)及びヒダントイナーゼ酵素(Uniprot ID:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、凍結乾燥無細胞抽出物、1.28g)を添加し、アンモニア水溶液を用いてpHを8.7に調整した。反応混合物を37℃で72時間撹拌し、10Mアンモニア水溶液を用いてpHを8.7に連続的に調整した。24時間後、HPLCは95%のヒダントインからカルバモイル酸への変換を示した。HPLC条件:ヒダントインからカルバモイル酸への変換率は、Luna C8 150×3.0mmカラムを用いたHPLC-MSで測定した(水+0.1%ギ酸)。温度:40℃、流速0.5mL/分。保持時間:ヒダントイン3.4分、N-カルバモイルアミノ酸2.5分。
【0161】
n)pH7.0のラセマーゼを用いたヒダントイン(エチルエステル)のラセミ化(Ex14、ラセマーゼA0A6V7ACK5_RHIRD、配列番号5)
【化50】
(5R)-5-[2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(37.5mg、D-構成ヒダントインとL-構成ヒダントインとの比率95/5)を水(75μL)中に溶解し、アンモニア(水中10M)を用いてpHを7.0まで調整した。この混合物にヒダントインラセマーゼ(配列番号5;A0A6V7ACK5_RHIRD、20.2mg/ml、150μL、清澄化細胞溶解物)を添加し、続いて1.6μLのMnCl(水中2M)を添加した。反応混合物を37℃で24時間振とうした。総反応時間4時間後、D/L-ヒダントイン比は95/5から53/47に変化した。20時間後、ヒダントインのラセミ化はほぼ完了した(比率51/49)。L及びD-ヒダントインの濃度は、Supelco Chirobiotic T2を用いたHPLC-MSによって決定した(溶離液25%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速0.8mL/分。グルホシネートのエチルエステルの保持時間:D-構成ジアステレオ異性体(5.8+6.1分);L-構成(7.2及び10.5分)。
【0162】
o)pH8.5におけるヒダントインのラセミ化(Ex15)
【化51】
2-[(4S)-2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル]エチル-メチル-ホスフィン酸(206mg、エナンチオマー比L:D92:8、キラルHPLCによって測定)を900μLの水に溶解し、50μLのアンモニア(水中10M)を用いてpHを8.5まで調整した。反応混合物に10μLの2M MnCl溶液を添加し、続いて30μLの水を添加した。反応混合物を37℃で24時間振とうした。総反応時間3時間後、エナンチオマー比はL:D53:47であり、総反応時間24時間後、それは50:50であった。これは、ヒダントインがアンモニア水中の濃塩基性条件下で容易にラセミ化することを示している。L及びD-ヒダントインの濃度は、Supelco Chirobiotic T2を用いたHPLC-MSによって決定した(溶離液40%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速0.8mL/分。L-ヒダントイン(11.3分);D-ヒダントイン(6.6分)の保持時間。
【0163】
p)pH7.8でのラセマーゼを用いたヒダントインのラセミ化(Ex16、ラセマーゼA0A2T6KHH4_9RHOB、配列番号6)
【化52】
2-[(4S)-2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル]エチル-メチル-ホスフィン酸(206mg、エナンチオマー比L:D92:8、キラルHPLCによって測定)を500μLの水中に溶解し、アンモニア(水中10M)を用いてpHを7.8に調整した。この混合物にヒダントインラセマーゼ(A0A2T6KHH4_9RHOB、配列番号6、100μL、無細胞抽出物、総タンパク質濃度26.1mg/mL)を添加し、続いて10μLのMnCl(水中2M)を添加した。反応液を1mLに調整し、アンモニア(水中10M)でpHを7.8に調整した。反応混合物を37℃で24時間振とうした。総反応時間2時間後、エナンチオマー比はL:D50:50であった。
【0164】
q)新規生体触媒の酵素スクリーニング(Ex17)
プラスミドpAgro4及びpHSG575を含む大腸菌(E.coli)TG10を、目的のタンパク質をコードするpDHEプラスミドで形質転換した。得られた単一クローンを用いて、1mM MnCl2、100μg/mlアンピシリン、100μg/mlスペクチノマイシン、及び20μg/mlクロラムフェニコールを添加した予備培養培地(発酵全細胞生体触媒生産、EX2参照)1mlを、48ウェル花型マイクロタイタープレート(m2plabs)のウェルに接種した。培養は37℃、1000rpmで一晩行った。本培養のために、予備培養培地(発酵全細胞生体触媒生産、EX2を参照)に、1mM MnCl2、100μg/mlアンピシリン、100μg/mlスペクチノマイシン、20μg/mlクロラムフェニコール、1mMIPTG、及び1%ラムノースを添加した。得られた培地1mlを48ウェル花型マイクロタイタープレート(m2plabs)のウェルに分注し、10μlの予備培養液を接種した。本培養を37℃、1000rpmで一晩培養した。その後、3750xg、4℃で15分間遠心分離して細胞をペレット化し、上清を廃棄した。全細胞を用いたスクリーニングでは、細胞ペレットを500μlの50mM HEPES緩衝液(pH8.4、1mM MnCl2添加)に懸濁した。清澄化細胞溶解物を用いる場合は、細胞ペレットを、1mM MnCl2、1mg/mlリゾチーム、0.3mg/ml硫酸ポリミキシンb、0.01mg/mlDNアーゼ、0.01mg/mlRNアーゼを添加した500μlの50mM HEPES緩衝液(pH8.4)中に懸濁し、懸濁液を室温、1000rpmで1時間培養した。得られた細胞溶解物を3750xg、4℃で20分間遠心分離することにより、残骸を除去した。50μlの清澄化細胞溶解物又は全細胞懸濁液を、pH8.4で100mM HEPES中10mMの関連基質及び1mM MnCl2を含有する200μlの反応に用いた。反応を37℃で一晩行った後、最終濃度5%でTFAによってクエンチした。沈殿物を遠心分離によって除去し、質量分析検出器と組み合わせたHPLCを用いて上清を定量分析した。HPLC-MSはLuna C8 150×3.0mmカラムを使用(水+0.1%ギ酸)。温度:40℃、流速0.5mL/分をN-カルバモイル酸、ヒダントイン及びグルホシネート自体の検出に関しては使用したが、一方、ブチルエステルを含む分子はKinetex C18 100×2.1mmカラム(流速0.5mL/分、20%水中アセトニトリル、0.1%ギ酸)で分離した。
【0165】
1)全細胞を用い、基質として10mMのラセミ体5-([2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(グルホシネートヒダントイン、合成Ex3)又は5-([2-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(グルホシネートヒダントインのブチルエステル、合成EX4)を用いてヒダントイナーゼをスクリーニングした。ヒダントイナーゼからのそれぞれのN-カルバモイルアミノ酸の生成をモニターした。ヒダントイナーゼQ45515、Q44184、A0A1C4QIY5_9ACTN、A0A0K2UMP4_LEPSM、*WP_046170519.1,及びE1R8C9_SEDSSは、>0.1%の2-(カルバモイルアミノ)-4-[ヒドロキシ(メチル)ホスホリル]ブタン酸(グルホシネートのN-カルバモイル酸)収率を示した。ヒダントイナーゼO69809、Q846U5_9BACL、P81006、Q84FR6_9MICC、Q56S49_9BACI、A1E351_9BACI、Q28SA7、Q45515、A0A399DRQ3_9DEIN、Q55DL0、F7X5M8_SINMM、Q9I676、Q44184、B5L363、P42084、P25995、Q3Z354、B1XEG2、Q9F465_PAEAU、A0A161KD37_9CHLR、A0A1J4XHR4_9BACT、A0A1C4QIY5_9ACTN、A0A0K2UMP4_LEPSM、A0A159Z531_9RHOB、E1R8C9_SEDSS、A0A1F9QT17_9BACT、A0A0D8IVV8_9FIRM、A0A0B5QKE4_CLOBE、A0A0N1GBZ8_9ACTN、A0A174ADZ3_9FIRM、U7V9Q6_9FUSO、A0A0J1FAI4_9FIRM、PHYDA_ECOK1、A0A0S8H576_9BACT、A0A1J4J4Y8_9EUKA、A0A0D5NFS5_9BACL、A0A0D5NNJ7_9BACL、A0A1H2AV66_9BACL、A0A0Q4RXY0_9BACL、A0A0Q7SB75_9BACL、A0A100VRN2_PAEAM、W4BDJ0_9BACL、A0A1J5E082_9DELT、A0A1H5ZFN3_9BACT、A0A1F8NMM2_9CHLR、A0A1F8SDV1_9CHLR、A0A1H1PLX0_9BACT、A0A0Q5I8X4_9DEIO、*WP_046170519.1、*WP_023514195.1、*WP_023516147.1及び*ANZ15483.1は、>0.1%の4-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]-2-ウレイドブタン酸(グルホシネート-ブチルエステルのN-カルバモイル酸)収率を示した。
【0166】
2)清浄化細胞溶解物及び基質として10mM 2-(カルバモイルアミノ)-4-[ヒドロキシ(メチル)ホスホリル]ブタン酸(グルホシネートのN-カルバモイル酸)又は4-[ブトキシ(メチル)ホスホリル]-2-ウレイド-ブタン酸(グルホシネート-ブチルエステルのN-カルバモイル酸)を用いてカルバモイラーゼをスクリーニングした。グルホシネート又はグルホシネートのブチルエステルの生成をモニターした。カルバモイラーゼA0A3E0C996_9BURK、A0A535Y1H2_9CHLR、A0A6P2ISL4_BURL3及びA0A1Y4GC62_9BACTは>0.1%のグルホシネート収率を示した。カルバモイラーゼA0A0K9YX84_9BACL、E3HUL6_ACHXA、Q9F464、A0A4D7Q548_GEOKU、Q9F464、A0A2S9D976_9MICC、A0A3E0C996_9BURK、A0A535Y1H2_9CHLR、A0A6P2ISL4_BURL3及びA0A1Y4GC62_9BACTは、>0.1%のグルホシネートのブチルエステル収率を示した。
【0167】
r)小スケールでの酵素的カスケード反応(EX18)
【化53】
凍結乾燥した無細胞抽出物をpH8.4の1M HEPES緩衝液に溶解した。75mM MnCl及び100mM ラセミ体5-[2-[エトキシ(メチル)ホスホリル]エチル]イミダゾリジン-2,4-ジオンを含むpH8.4の1M HEPES緩衝液中で400μlスケールで反応をセットアップした。反応は、ヒダントイナーゼ Q44184(配列番号7)及びカルバモイラーゼA0A535Y1H2_9CHLR(配列番号4)を、それぞれ最終濃度19mg/ml及び7.3mg/mlで添加することによって開始した。その後、反応物を37℃で24時間培養した後、95℃で5分間加熱して停止させた。沈殿物を遠心分離によって除去し、100倍に希釈し、質量分析検出器と組み合わせたキラルHPLCを用いて上清を定量分析した。グルホシネートのエチルエステルの反応収率は22.3%であり、エナンチオマー比はL>99%、D>1%であった。
【0168】
s)N-カルバモイルアミノ酸からのグルホシネートの酵素的1-pot合成(Ex19、配列番号1+3)
【化54】
30mLアンモニア(2M)水溶液中の2-(2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)エチル-メチル-ホスフィン酸(7.3g)にアンモニア(水中25%)を添加してpHを8.0に調整した。この混合物にMnCl溶液(水中2M、1mL)、ヒダントイナーゼ酵素(Uniprot ID:A0A159Z531_9RHOB、配列番号1、凍結乾燥清澄化細胞溶解物、1.2g)及びN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(Uniprot ID:A0A6P2ISL4_BURL3、清澄化細胞溶解物、2.8mL、総タンパク質濃度44mg/mL)を添加した。反応混合物を37℃で44時間撹拌した。総反応時間4時間後にN-カルバモイルアミノ酸ヒドロラーゼ酵素(A0A6P2ISL4_BURL3、2.8mL)を添加し、総反応時間23時間後に再度添加した(A0A6P2ISL4_BURL3、11.2mL)。44時間後、NMRで測定したところ、ヒダントインの83%がN-カルバモイルアミノ酸に、10%がグルホシネートに変換していた。キラルHPLC分析によって、L-グルホシネート:D-グルホシネート92:8のエナンチオマー比が示された。L-グルホシネートとD-グルホシネートとの比率は、Supelco Chirobiotic T2を用いたHPLC-MSによって決定した(溶離液40%アセトニトリル中水、0.1%ギ酸)。温度:20℃、流速0.8mL/分。L-グルホシネートの保持時間(6.8分):D-グルホシネートの保持時間(7.4分)。残りのカルバモイルアミノ酸はEx6を介してリサイクルできる。
【0169】
配列番号1(デフルビイモナス・アルバ(Defluviimonas alba)由来)
【化55】
【0170】
配列番号2(クロアチバルス(Cloacibacillussp.)属An23由来)
【化56】
【0171】
配列番号3(ブルクホルデリア・ラタ(Burkholderia lata)由来)
【化57】
【0172】
配列番号4(クロロフレクサス細菌(Chloroflexi bacterium)由来)
【化58】
【0173】
配列番号5(リゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))由来)
【化59】
【0174】
配列番号6(ヨニア・セジミニリトリス(Yoonia sediminilitoris)由来)
【化60】
【0175】
配列番号7(リゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))(アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter))由来)
【化61】
【配列表】
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【国際調査報告】