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特表2024-546753ケイ素含有反応物により支援された低温モリブデン堆積
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ケイ素含有反応物により支援された低温モリブデン堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/06 20060101AFI20241219BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C23C16/06
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534438
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022080863
(87)【国際公開番号】W WO2023114648
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,437
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンディア・デイビッド・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクニー・カイル・ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ライ・チウキン・スティーブン
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA17
4K030BA12
4K030BA29
4K030CA04
4K030CA12
4K030HA01
4K030JA10
4K030KA05
4K030LA15
(57)【要約】
【解決手段】約200℃~約450℃の間など、約100℃~約500℃の間の比較的低い温度で半導体基板の上にモリブデン含有膜を堆積させる。たとえば、実質的に非選択的手法で、曝露された金属および曝露された誘電体を有する基板の上にこの温度でモリブデン金属を堆積させることができる。一実装形態では、くぼんだ特徴を有する基板を提供し、ここで、くぼんだ特徴は、曝露された誘電体を側壁上に、および曝露された金属を最下部上に有する。基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有試薬に曝露して、それにより、モリブデン含有前駆体を還元して金属モリブデンを含むモリブデン含有層を形成する。ケイ素含有反応物を使用することにより、モリブデン堆積の金属上/誘電体上での選択性の低減につながる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデン含有層を形成する方法であって、
(a)くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、
(b)約100℃~約500℃の間の温度で前記半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して、前記モリブデン含有前駆体を還元して前記半導体基板の上に前記モリブデン含有層を形成するステップであって、前記モリブデン含有層は、モリブデン金属の層を備えるステップと
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記モリブデン含有層は、ケイ化モリブデンの副層をさらに備える方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記モリブデン含有前駆体は、MoXnmであり、式中、Xはカルコゲンであり、Yはハロゲンであり、nは0、1、または2であり、mは2、3、4、5、または6である方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法であって、前記モリブデン含有前駆体は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、MoOCl4、bis(エチルベンゼン)モリブデン、またはそれらの任意の組合せを備える方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の方法であって、前記ケイ素含有反応物は、Sixyであり、xは1~4であり、yは4~18であり、各Rは、H、ハロゲン、およびアルキルからなるグループから独立に選択される方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の方法であって、前記ケイ素含有反応物は、シラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、テトラクロロジシラン、トリクロロジシラン、ジクロロジシラン、クロロジシラン、ジシラン、またはそれらの任意の組合せを備える方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の方法であって、前記(b)は、
(i)前記モリブデン含有前駆体を前記処理チャンバに同時に配送することなく、ある期間、前記半導体基板を前記ケイ素含有反応物と接触させるステップと、
(ii)前記(i)の後に、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記還元剤と接触させるステップと
を備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記(ii)は、前記還元剤を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体と接触させるステップを備える方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記(ii)は、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記還元剤と同時に接触させるステップを備える方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、ステップ前記(i)およびステップ前記(ii)を反復するステップをさらに備える方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、前記(ii)は、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記還元剤と順次接触させるステップと、前記モリブデン含有前駆体および前記還元剤と順次接触させる前記ステップを反復するステップとを備え、前記方法は、(iii)前記(ii)の後に前記半導体基板を前記ケイ素含有反応物と接触させるステップをさらに備える方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の方法であって、前記(b)は、前記半導体基板を前記還元剤、前記モリブデン含有前駆体、および前記ケイ素含有反応物と同時に接触させるステップを備える方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記(b)は、
(i)前記半導体基板を前記還元剤および前記ケイ素含有反応物と同時に接触させるステップと、
(ii)前記ケイ素含有反応物を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体と接触させるステップと
を備える方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記(b)は、
(i)前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記ケイ素含有反応物と同時に接触させるステップと、
(iii)前記ケイ素含有反応物を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記還元剤と接触させるステップと
を備える方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記(a)で提供された前記くぼんだ特徴は、曝露されたケイ素含有誘電体を前記くぼんだ特徴の側壁上に、および曝露された金属を前記くぼんだ特徴の最下部に備え、前記モリブデン含有層は、(前記最下部に対する前記側壁の)約1.3:1の選択性で、前記くぼんだ特徴の前記最下部の上と前記くぼんだ特徴の前記側壁の上の両方に堆積される方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記(b)は、前記くぼんだ特徴を前記モリブデン含有層で完全に充填するステップを備え、前記モリブデン含有層は、モリブデン金属層を備える方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記還元剤は、水素(H2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N24)、アミン、ジボラン(B26)、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、アルコール、硫化水素(H2S)、チオール、およびそれらの組合せからなるグループから選択される方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記還元剤は、水素(H2)を備える方法。
【請求項19】
半導体基板を処理するための装置であって、
(a)処理チャンバであって、前記半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応物を前記処理チャンバに導入するための1つまたは複数の注入口を有する処理チャンバと、
(b)コントローラであって、
くぼんだ特徴を有する半導体基板の上で、約100℃~約500℃の間の温度で前記半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物と接触させてモリブデン含有材料の層を形成させる
ためのプログラム命令を備えるコントローラと
を備える装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、前記プログラム命令は、
(i)前記モリブデン含有前駆体を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記ケイ素含有反応物に接触させ、
(ii)前記(i)の後に、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記還元剤と接触させる
ように構成された命令を備える装置。
【請求項21】
請求項19に記載の装置であって、前記プログラム命令は、
(i)前記モリブデン含有前駆体を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を水素および前記ケイ素含有反応物と同時に接触させ、
(ii)前記ケイ素含有反応物を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体と接触させる
ように構成された命令を備える装置。
【請求項22】
請求項19に記載の装置であって、前記プログラム命令は、
(i)水素を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を前記モリブデン含有前駆体および前記ケイ素含有反応物と同時に接触させ、
(ii)前記ケイ素含有反応物を前記処理チャンバに同時に配送することなく、前記半導体基板を水素と接触させる
ように構成された命令を備える装置。
【請求項23】
金属含有層を形成する方法であって、
(a)くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、
(b)約100℃~約500℃の間の温度で前記半導体基板を金属前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して、前記金属前駆体を還元して前記半導体基板の上に金属含有層を形成するステップであって、前記金属含有層は、金属の層をゼロ酸化状態で備えるステップと
を備える方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記金属含有層は、金属シリサイドの層をさらに備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
PCT願書様式は、本出願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されるPCT願書様式で識別されるように、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照により全体が事実上本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、半導体素子製造の方法に関係する。具体的には、本発明の実施形態は、半導体処理でモリブデン含有膜を堆積させることに関係する。
【背景技術】
【0003】
半導体素子製作では、堆積およびエッチングの技法は、誘電体層の中に埋め込まれた金属線を形成するためなど、材料のパターンを形成するために使用される。いくつかのパターン形成方式は、材料の等角堆積を必要とし、堆積された層は、基板の表面の上にある突出部および/またはくぼんだ特徴の輪郭に従うべきである。原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)は多くの場合、基板の表面に1つまたは複数の反応物(前駆体)を吸着させること、および吸収された層をその後、所望の金属に化学的に変換することに依存するので、基板の上に等角膜を形成する好ましい方法である。ALDは、時間で分離され典型的には吸収された反応物の量により制限される、基板の表面の上で生じる順次反応を使用するので、この方法は、優れた段差被覆性を有する薄い等角層を提供できる。
【0004】
化学蒸着法(chemical vapor deposition、CVD)は、半導体処理で広く使用される別の堆積法である。CVDでは、反応は、処理チャンバの体積の中で発生し、表面に吸着される反応物の量により制限されない。その結果、CVDで堆積した膜は多くの場合、ALDで堆積した膜よりも等角ではない。CVDは、典型的には段差皮膜性がそれほど重要ではない用途で使用される。
【0005】
ALDおよびCVDは、プラズマを用いて堆積前駆体の反応を促進してよく、その結果、所望の膜が形成される。プラズマを利用する方法は、プラズマ強化ALD(plasma enhanced ALD、PEALD)およびプラズマCVD(plasma enhanced CVD、PECVD)として公知である。プラズマを用いない方法は、熱ALDおよび熱CVDと呼ばれる。
【0006】
ALDおよびCVDは、最も一般的に酸化ケイ素、窒化ケイ素、および炭化ケイ素など、ケイ素含有膜を堆積させるために使用されるが、これらの方法はまた、いくつかの金属を堆積させるのに適している。
【0007】
本明細書で提供する背景の記述は、一般に本開示の背景を提示するためのものである。この背景技術の節で記述する範囲でここに名前を挙げる発明者の著作物だけではなく、提出時点で他の点では従来技術とみなされなくてよい記述の様態も、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術と認められない。
【発明の概要】
【0008】
約100℃~約500℃の間の比較的低い温度でモリブデン含有前駆体の還元を介した金属モリブデンを堆積させるための方法を提供する。方法は、ケイ素含有反応物を利用して、モリブデン含有前駆体の還元を改善する、および/またはモリブデン堆積の選択性を調整する。いくつかの実施形態では、方法を使用して、異なる曝露材料(たとえば、曝露された金属および曝露された誘電体)を含む半導体基板の上でモリブデン金属を堆積させる。たとえば、モリブデン含有層は、曝露された誘電体材料を側壁に、曝露された金属を最下部に有するくぼんだ特徴の中で実質的に非選択的に堆積されてよい。提供するモリブデン堆積法を、たとえばギャップ充填の用途で使用できる。提供する方法は、モリブデン含有層を堆積させるために特に有用であるが、さらにまた、コバルト、ルテニウム、およびタングステンなど、気化可能な前駆体を有する他の金属を堆積させるために使用できる。
【0009】
一様態では、半導体基板の上にモリブデン含有層を形成する方法を提供する。方法は、(a)くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、(b)約100℃から約500℃の間の温度で半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して、モリブデン含有前駆体を還元して半導体基板の上にモリブデン含有層を形成するステップであって、モリブデン含有層は、モリブデン金属の層を備えるステップとを伴う。いくつかの実施形態では、形成されたモリブデン含有層は、ケイ化モリブデンの副層を備える層をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体は、MoXnmであり、Xはカルコゲンであり、Yはハロゲンであり、nは0、1、または2であり、mは2、3、4、5、または6である。
【0011】
適切なモリブデン含有前駆体の例は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、MoOCl4、またはこれらの任意の組合せである。
【0012】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、Sixyであり、xは1~4であり、yは4~18であり、各Rは、H、ハロゲン、およびアルキルからなるグループから独立に選択される。適切なケイ素含有反応物の例は、シラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、テトラクロロジシラン、トリクロロジシラン、ジクロロジシラン、クロロジシラン、ジシラン、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0013】
一実装形態では、還元剤は水素(H2)であり、モリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物への半導体基板の曝露は、(i)モリブデン含有前駆体を処理チャンバに配送することなくある期間、半導体基板をケイ素含有反応物と接触させるステップと、(ii)(i)の後に半導体基板をモリブデン含有前駆体およびH2と接触させるステップとを含む。いくつかの実施形態では、半導体基板は、水素を処理チャンバに同時に配送することなくモリブデン含有前駆体と接触させられる。他の実施形態では、半導体基板は、モリブデン含有前駆体および水素と同時に接触させられる。いくつかの実施形態では、堆積法は、ステップ(i)および(ii)を反復するステップを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、半導体基板をモリブデン含有前駆体および水素と順次接触させるステップと、モリブデン含有前駆体および水素と順次接触させるステップを反復するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、(iii)ステップ(ii)の後に半導体基板をケイ素含有反応物と接触させるステップをさらに含む。
【0014】
いくつかの実装形態では、還元剤は、水素(H2)であり、モリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物への半導体基板の曝露は、半導体基板を水素、モリブデン含有前駆体、およびケイ素含有反応物と同時に接触させるステップを含む。
【0015】
いくつかの実装形態では、還元剤は水素(H2)であり、モリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物への半導体基板の曝露は、(i)半導体基板を水素およびケイ素含有反応物と同時に接触させるステップと、(iii)ケイ素含有反応物を処理チャンバに同時に配送することなく半導体基板をモリブデン含有前駆体と接触させるステップとを含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、還元剤は水素(H2)であり、モリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物への半導体基板の曝露は、(i)半導体基板をモリブデン含有前駆体およびケイ素含有反応物と同時に接触させるステップと、(ii)ケイ素含有反応物を処理チャンバに配送することなく半導体基板を水素と接触させるステップとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、半導体基板の上に提供されたくぼんだ特徴は、くぼんだ特徴の側壁の上で曝露されたケイ素含有誘電体、およびくぼんだ特徴の最下部の上で曝露された金属(たとえば、タングステンまたはコバルト)を含み、モリブデン含有層は、(側壁に対する最下部の)約1.3:1以下の選択性で、くぼんだ特徴の最下部の上とくぼんだ特徴の側壁の上の両方に堆積される。いくつかの実施形態では、方法は、くぼんだ特徴をモリブデン含有層で完全に充填するステップを含み、モリブデン含有層は、モリブデン金属層を備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する方法は、フォトリソグラフィ処理と一体化される。たとえば、方法は、半導体基板にフォトレジストを適用するステップと、フォトレジストを光に曝露するステップと、フォトレジストをパターン形成してパターンを半導体基板に転写するステップと、半導体基板からフォトレジストを選択的に除去するステップとを含んでよい。たとえば、そのようなフォトリソグラフィパターン形成を使用して、モリブデン含有材料を堆積させる前に基板の上にくぼんだ特徴を形成してよい。
【0019】
別の様態では、半導体基板を処理するための装置を提供し、装置は、(a)処理チャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応物を処理チャンバに導入するための1つまたは複数の注入口を有する処理チャンバと、(b)本明細書で提供する方法のいずれかを遂行させるプログラム命令を備えるコントローラとを含む。たとえば、プログラム命令は、約100℃~約500℃の間の温度で半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物と接触させてモリブデン含有材料の層を形成させる、半導体基板の上にくぼんだ特徴を有するための命令を含んでよい。たとえば、いくつかの実施形態では、プログラム命令は、(i)モリブデン含有前駆体を処理チャンバに同時に配送することなく半導体基板をケイ素含有反応物と接触させ、(ii)(i)の後に半導体基板をモリブデン含有前駆体および水素と接触させるように構成されてよい。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、(i)モリブデン含有前駆体を処理チャンバに配送することなく半導体基板を水素およびケイ素含有反応物と同時に接触させ、(ii)ケイ素含有反応物を処理チャンバに同時に配送することなく半導体基板をモリブデン含有前駆体と接触させるように構成された命令を含む。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、(i)水素を処理チャンバに同時に配送することなく半導体基板をモリブデン含有前駆体およびケイ素含有反応物と同時に接触させ、(ii)ケイ素含有反応物を処理チャンバに同時に配送することなく半導体基板を水素と接触させるように構成された命令を含む。
【0020】
別の様態では、本明細書で提供する方法のいずれかのステップをもたらすためのコードを含むコンピュータマシン可読媒体を提供する。たとえば、コードは、くぼんだ特徴を有する半導体基板の上で、約100℃~約500℃の間の温度で半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物と接触させてモリブデン含有材料の層を形成させるためのコードを提供してよい。
【0021】
別の様態では、本明細書で記述する装置、およびステッパを含むシステムを提供する。
【0022】
別の様態では、半導体基板の上に金属含有層(たとえば、モリブデン、タングステン、コバルト、またはルテニウムを含有する層)を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、(a)くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、(b)約100℃から約500℃の間の温度で半導体基板を金属前駆体(たとえば、モリブデン前駆体、タングステン前駆体、コバルト前駆体、またはルテニウム前駆体)、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して金属前駆体を還元し、半導体基板の上に金属含有層を形成するステップであって、金属含有層は、金属(たとえば、モリブデン、タングステン、コバルト、またはルテニウム)の層をゼロ酸化状態で備えるステップとを含む。いくつかの実施形態では、金属含有層は、金属ケイ化物(たとえば、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化コバルト、またはケイ化ルテニウム)の層をさらに含む。
【0023】
本明細書で記述する主題の実装形態に関するこれらの様態および他の様態について添付図面および以下の記述で示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜堆積中の基板の概略横断面図を例示する。
図1B】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜堆積中の基板の概略横断面図を例示する。
図1C】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜堆積中の基板の概略横断面図を例示する。
【0025】
図2A】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を形成する方法の処理流れ図である。
【0026】
図2B】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を形成する方法の処理流れ図である。
【0027】
図2C】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を形成する方法の処理流れ図である。
【0028】
図2D】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を形成する方法の処理流れ図である。
【0029】
図3】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を形成する方法の処理流れ図である。
【0030】
図4】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン前駆体で使用できるリガンドの例を提供する。
【0031】
図5】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン前駆体で使用できる硫黄含有リガンドの例を提供する。
【0032】
図6】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン前駆体の例を列挙する。
【0033】
図7】本明細書で提供する実施形態による、モリブデン含有膜を堆積させるのに適した装置の概略表現である。
【0034】
図8】本明細書で提供する実施形態によるマルチステーション処理システムの概略図を示す。
【0035】
図9】本明細書で提供する実施形態によるマルチステーション処理システムの概略図を示す。
【0036】
図10A】ケイ素非含有堆積に関して、異なる温度での金属上/誘電体上のモリブデン金属堆積選択性を示す比較例に関する実験図である。
【0037】
図10B】本明細書で提供する実施形による、ケイ素支援堆積に関して、400℃での金属上/誘電体上のモリブデン含有層堆積選択性をSiH4予浸の関数として例示する実験図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
約100℃~約500℃の間、約200℃~約450℃の間、または約375℃~約450℃の間など、約550℃未満の比較的低い温度で半導体基板の上にモリブデン含有膜を堆積させるための方法を提供する。方法を使用して、たとえば金属モリブデン層および/またはケイ化モリブデン層を堆積できる。いくつかの実施形態では、方法を使用して、基板の上に薄いケイ化モリブデン層を形成し、次により厚い金属モリブデン層の堆積が続く。たとえば、平坦な基板の上にブランケットモリブデン含有層を堆積させるために、1つまたは複数のくぼんだもしくは突出する特徴を有する基板の上に等角モリブデン含有層を堆積させるために、およびくぼんだ特徴をモリブデン含有材料で充填するために、提供する方法を使用できる。
【0039】
いくつかの実施形態では、提供する方法は、還元剤を用いたモリブデン含有前駆体の還元を利用し、それに加えてケイ素含有反応物を用いて還元処理を支援する。いくつかの実施形態では、提供する方法は、還元剤を用いたモリブデン含有前駆体の還元を利用し、それに加えてケイ素含有反応物を用いて堆積の選択性を調整する。ケイ素含有反応物を使用して、金属部分と誘電体部分の両方など、異なる曝露された材料を有する基板の上でモリブデン含有層を堆積させる選択性を最小にできることが発見された。いくつかの実施形態では、堆積処理でケイ素含有反応物を使用する結果、実質的に非選択性堆積が得られるのに対して、ケイ素含有反応物がない状態で、モリブデンは、典型的には誘電体部分の上よりも基板の曝露された金属部分の上に、実質的に高速に堆積する。
【0040】
提供する方法は、ギャップ充填用途でのモリブデン金属の堆積、等角な金属モリブデン膜の形成、ケイ化モリブデンの形成を含むがそれらに限定されないさまざまな用途で使用できる。提供する方法を使用して製造できる半導体素子構造の例は、バックエンド(back end of the line、BEOL)金属被覆構造、フロントエンド(front end of the line、FEOL)金属被覆構造、論理回路金属被覆構造、およびメモリ構造、たとえば3DのNANDおよびDRAMを含む。たとえば、提供する方法は、3D DRAM構造製作でケイ化モリブデン形成のために、および埋込みワード線DRAMでモリブデン金属被覆のために使用できる。いくつかの実施形態では、方法は、約0.5nm~約4nmの間の範囲に及ぶ厚さを有するモリブデン含有膜を堆積させるために使用され、約1nm~約25nmの間の幅を伴う特徴、約30nm~約200nm以上の間の深さを伴う特徴、および30:1など少なくとも10:1の高アスペクト比を含むさまざまなアスペクト比を伴う特徴など、さまざまなくぼんだ特徴でモリブデン金属を堆積させるために使用できる。
【0041】
本明細書で提供する方法は、主にモリブデン含有層の堆積に関連して例示されているが、タングステン、コバルト、およびルテニウムなど、気化可能な前駆体を有する他の金属を堆積させるために使用できる。たとえば、別の様態では、半導体基板の上に金属含有層(たとえば、モリブデン、タングステン、コバルト、またはルテニウムを含有する層)を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、(a)くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、(b)約100℃から約500℃の間の温度で半導体基板を金属前駆体(たとえば、モリブデン前駆体、タングステン前駆体、コバルト前駆体、またはルテニウム前駆体)、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して金属前駆体を還元し、半導体基板の上に金属含有層を形成するステップであって、金属含有層は、金属(たとえば、モリブデン、タングステン、コバルト、またはルテニウム)の層をゼロ酸化状態で備えるステップとを含む。いくつかの実施形態では、金属含有層は、金属ケイ化物(たとえば、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化コバルト、またはケイ化ルテニウム)の層をさらに含む。
【0042】
本明細書で使用するとき、「モリブデン金属」または「金属モリブデン」は、事実上ゼロ酸化状態のモリブデン(Mo)から構成された材料を指す。モリブデン金属の中に他の元素(たとえば、C、N、またはO)が少量(たとえば、水素を計算に含まずに約15原子%未満、または約10%の総量で)存在する可能性がある。本明細書で使用するとき、「高純度モリブデン金属」は、他の元素の約1%未満など、他の元素の約5%未満を含むモリブデン金属を指し、この場合、水素は、計算に含まれない。いくつかの実施形態では、提供する方法により堆積されたモリブデン金属は、少なくとも約95%または少なくとも約99%など、少なくとも約90%の純粋なモリブデンである少なくとも一部分を含み、ここで、%は重量パーセントである。
【0043】
ケイ化モリブデン(MoSix)は、事実上モリブデンおよびケイ素から構成された材料を指し、式中、xは、化学量論が変動してよいことを示す。他の元素は、少量、たとえば約10原子%未満の量、ケイ化モリブデンの中に存在してよく、この場合、水素は、計算から除外される。
【0044】
本明細書で使用するとき、「半導体基板」という用語は、半導体基板の構造内部のどこかに半導体材料を含有する半導体素子製作の任意のステージにある基板を指す。半導体基板内の半導体材料を曝露する必要がないことが理解される。半導体材料を被覆する他の材料(たとえば、誘電体)の複数の層を有する半導体ウエハは、半導体基板の例である。以下の詳細な記述は、開示する実装形態が、200mm、300mm、または450mmの半導体ウエハの上でなど、半導体ウエハの上で実装されると仮定する。しかしながら、開示する実装形態は、そのように限定されない。加工物は、さまざまな形状、サイズ、および材料からなってよい。半導体ウエハに加えて、開示する実装形態を利用してよい他の加工物は、プリント回路基板などのようなさまざまな物品を含む。
【0045】
本明細書で使用するとき、「還元剤」は、反応で1つまたは複数の電子を失う反応物を指す。
【0046】
本明細書で使用するとき、「ヘテロレプティック錯体(heteroleptic complexes)」は、金属中心に付着した少なくとも2つの異なるリガンドを含有する化合物を指す。
【0047】
本明細書で使用するとき、「ホモレプティック錯体(homoleptic complexes)」は、金属中心に付着したすべて同一のリガンドを含有する化合物を指す。
【0048】
本明細書で使用するとき「約」という用語は、特に指定のない限り、記載された任意の値の±10%を意味する。本明細書で使用するとき、この用語は記載された任意の値、値の範囲、または1つもしくは複数の範囲の端点を修正する。
【0049】
本明細書で使用するとき、「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「上方」、および「下方」は、構造間の相対関係を提供するために使用される。これらの用語を使用することにより、装置内の特定の場所に特定の構造を配置しなければならないことを示すまたは必要とするわけではない。
【0050】
本明細書で使用するとき、「実質的に非選択性堆積」は、第2の表面上での堆積速度に対する第1の表面上での堆積速度の比(選択性)が約0.7から約1.3の間である堆積を指す。たとえば、実質的に非選択性堆積の選択性は、約0.9~1.1であってよい。
【0051】
本明細書で使用するとき、「ケイ素支援堆積」という用語は、堆積処理でケイ素含有反応物への基板の曝露を用いる堆積を指す。モリブデン金属および/またはケイ化モリブデンを堆積させるために基板をケイ素含有反応物、モリブデン含有前駆体、および還元剤に曝露することは、ケイ素支援堆積の例である。
【0052】
本明細書で使用するとき、「ケイ素非含有堆積」は、ケイ素含有反応物を利用しない堆積を指す。モリブデン金属を堆積させるためにケイ素含有反応物に曝露するこなく基板をモリブデン含有前駆体および還元剤に曝露することは、ケイ素非含有堆積の例である。
【0053】
本明細書で使用するとき、「副層」という用語は、より大きな層の任意の一部分を指す。たとえば、モリブデン含有材料の層は、モリブデン金属の副層およびケイ化モリブデンの副層を含んでよい。
【0054】
本明細書で使用するとき、A、B、およびCのうち少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを使用する論理(A OR B OR C、AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0055】
本明細書で交換可能に使用するとき、「アシル」または「アルカノイル」という用語は、本明細書で交換可能に使用するとき、本明細書で規定するように、直線構造、分岐構造、環状構造、飽和、不飽和、および芳香族、ならびにそれらの組合せの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つ以上の炭素原子、またはカルボニル基を通して親分子基に付着した水素からなる基を表す。この基の例は、ホルミル(-C(O)H)、アセチル(Acまたは-C(O)Me)、プロピオニル、イソブチリル、ブタノイルなどである。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、アクリル基またはアルカノイル基は-C(O)-Rであり、式中、Rは水素、脂肪族基、または芳香族基である。
【0056】
本明細書で規定するように、「アルカノイルオキシ」により、本明細書で規定するように、オキシ基を通して親分子基に付着したアルカノイル基を意味する。この基の例は、アセトキシ(-OAcまたは-OC(O)Me)である。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、アルカノイルオキシ基は-OC(O)-Rであり、式中、Rは、水素、脂肪族基、または芳香族基である。
【0057】
「脂肪族」により、アルカン(またはアルキル)、アルケン(またはアルケニル)、アルキン(またはアルキニル)を含む、1つ~25の炭素原子(C1-25)または1つ~10の炭素原子(C1-10)など、少なくとも1つの炭素原子から50の炭素原子(C1-50)を有する炭化水素基を意味し、これらの環状版を含み、さらに直鎖配列および分岐鎖配列、ならびにすべての立体異性体および位置異性体も同様に含む。脂肪族基は、たとえば本明細書で記述する官能基により置換されない、または置換される。たとえば、脂肪族基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0058】
「脂肪族カルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、カルボニル基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、脂肪族カルボニル基は-C(O)-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族基である。
【0059】
「脂肪族カルボニルオキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、脂肪族カルボニルオキシ基は-OC(O)-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族基である。
【0060】
「脂肪族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、オキシ基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、脂肪族オキシ基は-O-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族基である。
【0061】
「脂肪族オキシカルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、脂肪族オキシカルボニル基は-C(O)O-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族基である。
【0062】
「アルキルアリール」、「アルケニルアリール」、および「アルキニルアリール」により、本明細書で規定されるようにアリール基を通して親分子基に連結された(または付着した)または連結できる(または付着できる)、それぞれ本明細書で規定するように、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を意味する。アルキルアリール基、アルケニルアリール基、および/またはアルキニルアリール基は置換できる、または置換できない。たとえば、アルキルアリール基、アルケニルアリール基、および/またはアルキニルアリール基は、アルキルおよび/またはアリールに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。代表的な未置換のアルキルアリール基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アルキルアリール)だけではなく、1つ~6つの炭素を伴うアルキル基および4つ~18の炭素を伴うアルキル基(すなわち、C1-6アルキル-C4-18アリール)を有する基である。代表的な未置換のアルケニルアリール基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アルケニルアリール)だけではなく、2つ~6つの炭素を伴うアルケニル基および4~18の炭素を伴うアリール基(すなわち、C2-6アルケニル-C4-18アリール)を有する基である。代表的な未置換のアルキニルアリール基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アルキニルアリール)だけではなく、2つ~6つの炭素を伴うアルキニル基および4つ~18の炭素を伴うアリール基(すなわち、C2-6アルキニル-C4-18アリール)を有する基である。いくつかの実施形態では、アルキルアリール基は-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニルアリール基は-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアルケニル基である。いくつかの実施形態では、アルキニルアリール基は-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアルキニル基である。
【0063】
「アルケニル」により、2つ~25の炭素原子(C2-25)など少なくとも2の炭素原子から50の炭素原子(C2-50)、または少なくとも2つ~10の炭素原子(C2-10)、および少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する不飽和一価炭化水素を意味し、不飽和一価炭化水素は、親アルケンの1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することにより導出できる。アルケニル基は、分岐、直鎖、環状(たとえば、シクロアルケニル)、cis、またはtrans(たとえば、EまたはZ)である可能性がある。代表的なアルケニルは、1つまたは複数の二重結合を有する、任意選択で置換されたC2-24アルキル基を含む。アルキル基は、1つまたは複数の水素を除去して、親分子基への適切な付着、または親分子基と別の置換の間の適切な付着を除去することにより一価または多価(たとえば、二価)である可能性がある。アルケニル基はまた、置換できる、または置換できない。たとえば、アルケニル基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。限定しないアルケニル基は、アリール(All)、ビニル(Vi)、1-ブテニル、2-ブテニルなどを含む。
【0064】
「アルコキシ」により-ORを意味し、式中、Rは、本明細書で記述するように、任意選択で置換された脂肪族基である。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、トリハロアルコキシ、たとえばトリフルオロメトキシなどを含むがそれらに限定されない。アルコキシ基は、置換できる、または置換できない。たとえば、アルコキシ基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。代表的な未置換のアルコキシ基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、またはC1-24のアルコキシ基を含む。
【0065】
本明細書で規定するように、「アルコキシアルキル」により、本明細書で規定するように、アルコキシ基を通して置換されたアルキル基を意味する。代表的な未置換のアルコキシアルキル基は、2つ~12の間の炭素を含む(C2-12アルコキシアルキル)だけではなく1つ~6つの炭素を伴うアルキル基および1つ~6つの炭素を伴うアルコキシ基(すなわち、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル)を有する基である。いくつかの実施形態では、アルコキシアルキル基は-L-O-Rであり、式中、LおよびRの各々は、本明細書で規定するように独立にアルキル基である。
【0066】
「アルコキシルカルボニル」により-C(O)-ORを意味し、式中、Rは、本明細書で記述するように、任意選択で置換された脂肪族基である。特定の実施形態では、アルコキシルカルボニル基は、-C(O)-OAkであり、式中、Akは、本明細書で規定するようにアルキル基である。アルコキシルカルボニル基は、置換できる、または置換できない。たとえば、アルコキシルカルボニル基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。代表的な未置換のアルコキシルカルボニル基は、C2-3、C2-6、C2-7、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24のアルコキシルカルボニル基を含む。
【0067】
「アルキル」により、1つ~25の炭素原子(C1-25)など、少なくとも1つの炭素原子から50の炭素原子(C1-50)、または1つ~10の炭素原子(C1-10)を有する飽和一価炭化水素を意味し、飽和一価炭化水素は、親化合物(たとえば、アルカン)の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することにより導出できる。アルキル基は、分岐、直鎖、または環状(たとえば、シクロアルキル)である可能性がある。代表的なアルキルは、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、イソブチル(iBu)、sec-ブチル(sBu)、tert-ブチル(tBu)、ペンチル(Pe)、n-ペンチル(nPe)、イソペンチル(iPe)、s-ペンチル(sPe)、ネオペンチル(neoPe)、tert-ペンチル(tPe)、ヘキシル(Hx)、ヘプチル(Hp)、オクチル(Oc)、ノニル(Nn)、デシル(De)、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル、などのような、1つ~24の炭素原子からなる分岐した、または分岐していない飽和炭化水素基を含む。アルキル基はまた、置換できる、または置換できない。アルキル基は、1つまたは複数の水素を除去して、親分子基への適切な付着、または親分子基と別の置換の間の適切な付着を形成することにより、一価または多価(たとえば、二価)である可能性がある。たとえば、アルキル基は、(1)C1-6アルコキシ(たとえば、-O-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(たとえば、-S(O)-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(たとえば、-SO2-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(4)アミノ(たとえば、-NR12、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロへテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組合せから独立に選択される、またはそれぞれ付着した窒素原子と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基を形成できる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(たとえば、-O-L-R、式中、Lはアルキルであり、Rはアリールである)、(7)アリーロイル(たとえば、-C(O)-R、式中、Rはアリールである)、(8)アジド(たとえば、-N3)、(9)シアノ(たとえば、-CN)、(10)アルデヒド(たとえば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(たとえば、本明細書で規定するように、1つ、2つ、3つ、または4つの非炭素ヘテロ原子を含有する五員環、六員環、または七員環など)、(14)ヘテロシクリルオキシ(たとえば、-O-R、式中、Rは、本明細書で規定するようにヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリルオイル(たとえば、-C(O)-R、式中、Rは、本明細書で規定するようにヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(たとえば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(たとえば、-NO2)、(19)オキソ(たとえば、=O)、(20)C1-6チオアルキル(たとえば、-S-R、式中、Rはアルキルである)、(21)チオール(たとえば、-SH)、(22)-CO21、式中、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリ-ルC1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから選択される、(23)-C(O)NR12、式中、R1およびR2の各々は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから独立に選択される、(24)-SO21、式中、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリール、および(c)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルでありRはC4-18アリールである)からなるグループから選択される、(25)-SO2NR12、式中、R1およびR2の各々は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから独立に選択される、ならびに(26)-NR12であって、式中、R1およびR2の各々は、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキル、および(i)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなるグループから独立に選択された-NR12からなるグループから独立に選択された2つの、3つの、または2つ以上の炭素をからなるアルキル基の場合には4つの置換基で置換でき、一実施形態では、どの2つの基も、カルボニル基またはスルホニル基を通して窒素原子に結合しない。アルキル基は、1つまたは複数の置換基(たとえば、1つまたは複数のハロまたはアルコキシ)と置換された第一級、第二級、第三級のアルキル基である可能性がある。いくつかの実施形態では、未置換のアルキル基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、またはC1-24のアルキル基である。
【0068】
「アルキレン」、「アルケニレン」または「アルキニレン」により、本明細書に規定するように、それぞれアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基の多価の(たとえば、二価の)形態を意味する。代表的なアルキレン基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどを含む。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、C1-24、C2-3、C2-6、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24のアルキレン基である。他の実施形態では、アルキレン基は、C2-3、C2-6、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24のアルケニレン基またはアルキニレン基である。アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基は、分岐できる、または分岐できない。アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基はまた、置換できる、または置換できない。たとえば、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0069】
「アルキルスルフィニル」により、本明細書で規定するように、-S(O)-基を通して親分子基に付着したアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアルキルスルフィニル基は、C1-6またはC1-12のアルキルスルフィニル基である。他の実施形態では、アルキルスルフィニル基は-S(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにアルキル基である。
【0070】
「アルキルスルフィニルアルキル」により、本明細書で規定するように、アルキルスルフィニル基により置換されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアルキルスルフィニルアルキル基は、C2-12またはC2-24のアルキルスルフィニルアルキル基(たとえば、C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル、またはC1-12アルキルスルフィニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルフィニルアルキル基は-L-S(O)-Rであり、式中、LおよびRの各々は、本明細書で規定するように、独立にアルキル基である。
【0071】
「アルキルスルホニル」により、本明細書で規定するように、-S(O)2-基を通して親分子基に付着したアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアルキルスルホニル基は、C1-6またはC1-12のアルキルスルホニル基である。他の実施形態では、アルキルスルホニル基は-SO2-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、本明細書で記述するように、任意選択で置換されたC1-12アルキル、ハロアルキル、またはペルフルオロアルキルを含む)である。
【0072】
「アルキルスルホニルアルキル」により、本明細書で規定するように、アルキルスルホニル基により置換されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアルキルスルホニルアルキル基は、C2-12またはC2-24のアルキルスルホニルアルキル基(たとえば、C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキル、またはC1-12アルキルスルホニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルホニルアルキル基は-L-SO2-Rであり、式中、LおよびRの各々は、本明細書で規定するように、独立にアルキル基である。
【0073】
「アルキニル」により、2つ~25の炭素原子(C2-25)など少なくとも2の炭素原子から50の炭素原子(C2-50)、少なくとも2つ~10の炭素原子(C2-10)、および少なくとも1つの炭素間三重結合を有する不飽和一価炭化水素を意味し、不飽和一価炭化水素は、親アルキンの1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することにより導出できる。アルキニル基は、分岐、直鎖、または環状(たとえば、シクロアルキニル)である可能性がある。代表的なアルキニルは、1つまたは複数の三重結合を有する任意選択で置換されたC2-24アルキル基を含む。アルキニル基は、環状または非環状である可能性があり、エチニル、1-プロピニルがその例である。アルキニル基は、1つまたは複数の水素を除去して、親分子基への適切な付着、または親分子基と別の置換の間の適切な付着を形成することにより一価または多価(たとえば、二価)である可能性がある。アルキニル基はまた、置換できる、または置換できない。たとえば、アルキニル基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0074】
「周囲温度」により、19℃から25℃まで、または20℃から25℃までなど、16℃から26℃までの範囲に及ぶ温度を意味する。
【0075】
「アミド」により、-C(O)NR12または-NHCOR1を意味し、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、もしくはそれらの任意の組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成できる。
【0076】
「アミノ」により、-NR12を意味し、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成できる。特定の実施形態では、R1およびR2の各々は独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。特定の実施形態では、R1およびR2を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0077】
本明細書で規定するように、「アミノアルキル」により、本明細書で規定するように、アミノ基により置換されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、アミノアルキル基は、-L-NR12を意味し、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基であり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、もしくはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成できる。いくつかの実施形態では、アミノアルキル基は、本明細書で規定するように、-L-C(NR12)(R3)-R4を意味し、式中、Lは、共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、もしくはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成でき、R3およびR4の各々は、本明細書で規定するように、独立にHまたはアルキルである。
【0078】
本明細書で規定するように、「アミノオキシ」により、本明細書で規定するように、アミノ基により置換されたオキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、アミノオキシ基は、-O-NR12を意味し、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組合せから独立に選択される、または。それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成できる。特定の実施形態では、R1およびR2の各々は独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。
【0079】
「芳香族」により、特に指定しない限り、単一環(たとえば、フェニル)、または少なくとも1つの環が芳香族である多数の縮合環(たとえば、ナフチル、インドリル、またはピラゾロピリジニル)を有する5つ~15までの環原子からなる環状の共役基または部分を意味し、多数の縮合環では、少なくとも1つの環は芳香族であり、すなわち、少なくとも1つの環、および任意選択で多数の縮合環は、連続した非局在化π電子系を有する。典型的には、面外π電子の数は、ヒュッケル(Huckel)則(4n+2)に対応する。親構造へ付着する地点は、典型的には縮合環系の芳香族部分を通る。芳香族基は、たとえば本明細書で記述する官能基により置換されない、または置換される。たとえば、芳香族基は、アルキルおよび/またはアリールに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0080】
「芳香族カルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる芳香族基を意味し、芳香族基は、カルボニル基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族カルボニル基は、本明細書で規定するように、-C(O)-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された芳香族基である。
【0081】
「芳香族カルボニルオキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる芳香族基を意味し、芳香族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族カルボニルオキシ基は-OC(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換された芳香族基である。
【0082】
「芳香族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる芳香族基を意味し、芳香族基は、オキシ基(-O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族オキシ基は、-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換された芳香族基である。
【0083】
「芳香族オキシカルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる芳香族基を意味し、芳香族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族カルボニル基は-C(O)O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換された芳香族基である。
【0084】
「アリール」により、単一環または多数の縮合環を有する、5つ~10までの炭素原子(C5-10)など、少なくとも5つの炭素原子から15の炭素原子(C5-15)を備える芳香族炭素環式基を意味し、この縮合環は、本明細書で開示する化合物の残りの位置に付着する地点が芳香族炭素環式基の原子を通るという前提で、芳香族である可能性がない、または芳香族ではなくてよい。アリール基は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはそれらの任意の組合せなど、水素以外の1つまたは複数の基と置換されてよい。代表的なアリール基は、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどを含むがそれらに限定されない。アリールという用語はまた、芳香族基の環の内部に組み入れられた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基として規定されたヘテロアリールを含む。ヘテロ原子の例は、窒素、酸素、硫黄、およびリンを含むがそれらに限定されない。同様に、同じくアリールという用語の中に含まれる非ヘテロアリールは、ヘテロ原子を含有しない任意の芳香族基を含有する基を規定する。アリール基は、置換できる、または置換できない。アリール基は、(1)C1-6アルカノイル(たとえば、-C(O)-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキル、(3)C1-6アルコキシ(たとえば、-O-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(4)C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(たとえば、-L-O-R、式中、LおよびRの各々は、独立にC1-6アルキルである)、(5)C1-6アルキルスルフィニル(たとえば、-S(O)-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(6)C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル(たとえば、-L-S(O)-R、式中、LおよびRの各々は、独立にC1-6アルキルである)、(7)C1-6アルキルスルホニル(たとえば、-SO2-R、式中、Rは、C1-6アルキルである)、(8)C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキル(たとえば、-L-SO2-R、式中、LおよびRの各々は、独立にC1-6アルキルである)、(9)アリール、(10)アミノ(たとえば、-NR12、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定されるように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロへテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの組合せから独立に選択される、またはそれぞれ付着した窒素原子と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するように、ヘテロシクリルを形成できる)、(11)C1-6アミノアルキル(たとえば、-L1-NR12または-L2-C(NR12)(R3)-R4、式中、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、R1およびR2の各々は、本明細書に規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロハロ脂肪族、芳香族、もしくはそれらの組合せから独立に選択される、またはそれぞれ付着した窒素原子と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書に規定されるように、ヘテロシクリルを形成でき、R3およびR4の各々は、独立にHまたはC1-6アルキルである)、(12)ヘテロアリール、(13)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(14)アリーロイル(たとえば、-C(O)-R、式中、Rはアリールである)、(15)アジド(たとえば、-N3)、(16)シアノ(たとえば、-CN)、(17)C1-6アジドアルキル(たとえば、-L-N3、式中、LはC1-6アルキルである)、(18)アルデヒド(たとえば、-C(O)H)、(19)アルデヒド-C1-6アルキル(たとえば、-L-C(O)H、式中、LはC1-6アルキルである)、(20)C3-8シクロアルキル,(21)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)、(22)ハロ、(23)C1-6ハロアルキル(たとえば、-L1-Xまたは-L2-C(X)(R1)-R2、式中、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、Xはフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2の各々は、独立にHまたはC1-6アルキルである)、(24)ヘテロシクリル(たとえば、本明細書で規定するように、1つ、2つ、3つ、または4つの非炭素ヘテロ原子を含有する五員環、六員環、または七員環など)、(25)ヘテロシクリルオキシ(たとえば、-O-R、式中、Rは、本明細書で規定するようにヘテロシクリルである)、(26)ヘテロシクリルオイル(たとえば、-C(O)-R、式中、Rは本明細書で規定するようにヘテロシクリルである)、(27)ヒドロキシル(-OH)、(28)C1-6ヒドロキシアルキル(たとえば、-L1-OHまたは-L2-C(OH)(R1)-R2、式中、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、独立にHまたはC1-6アルキルである)、(29)ニトロ、(30)C1-6ニトロアルキル(たとえば、-L1-NOまたは-L2-C(NO)(R1)-R2、式中、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、独立にHまたはC1-6アルキルである)、(31)N-保護アミノ、(32)N-保護アミノ-C1-6アルキル、(33)オキソ(たとえば、=O)、(34)C1-6チオアルキル(たとえば、-S-R、式中、RはC1-6アルキルである)、(35)チオ-C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(たとえば、-L-S-R、式中、LおよびRの各々は、独立にC1-6アルキルである)、(36)-(CH2rCO21、式中、rは0~4の整数であり、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから選択される、(37)-(CH2rCONR12、式中、rは0~4の整数であり、各R1およびR2は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アルキルである)からなるグループから独立に選択される、(38)-(CH2rSO21、式中、rは0~4の整数であり、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリール、および(c)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから選択される、(39)-(CH2rSO2NR12、式中、rは0~4の整数であり、R1およびR2の各々は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなるグループから独立に選択される、(40)-(CH2rNR12、式中、rは0~4の整数であり、R1およびR2の各々は、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C4-18アリール-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキル、および(i)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(たとえば、-L-R、式中、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなるグループから独立に選択され、一実施形態では、どの2つの基も、カルボニル基を通してもスルホニル基を通しても窒素原子に結合しない、(41)チオール(たとえば、-SH)、(42)ペルフルオロアルキル(たとえば、-(CF2nCF3、式中、nは0~10の整数である)、(43)ペルフルオロアルコキシ(たとえば、-O-(CF2nCF3、式中、nは0~10の整数である)、(44)アリールオキシ(たとえば、-O-R、式中、Rはアリールである)、(45)シクロアルコキシ(たとえば、-O-R、式中、Rはシクロアルキルである)、(46)シクロアルキルアルコキシ(たとえば、-O-L-R、式中、Lはアルキルであり、Rはシクロアルキルである)、ならびに(47)アリールアルコキシ(たとえば-O-L-R、式中、Lはアルキルであり、Rはアリールである)からなる基から独立に選択された1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基と置換できる。特定の実施形態では、未置換のアルキル基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12、またはC6-10のアルキル基である。
【0085】
本明細書で規定するように、「アリールアルキル」、「アリールアルケニル」、および「アリールアルキニル」は、本明細書で規定するように、それぞれアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を通して親分子基に連結された(または付着した)または連結できる(または付着できる)アリール基を意味する。アリールアルキル基、アリールアルケニル基、および/またはアリールアルキニル基は、置換できる、または置換できない。たとえば、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、および/またはアリールアルキニル基は、アリールおよび/またはアルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。代表的な未置換のアリールアルキル基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アリールアルキル)だけではなく4つ~18の炭素を伴うアリール基および1つ~6つの炭素を伴うアルキル基を有する基(すなわち、C4-18アリール-C1-6アルキル)である。代表的な未置換のアリールアルケニル基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アリールアルケニル)だけではなく4つ~18の炭素を伴うアリール基および2つ~6つの炭素を伴うアルケニル基を有する基(すなわち、C4-18アリール-C2-6アルケニル)である。代表的な未置換のアリールアルキニル基は、7つ~16の炭素からなる(C7-16アリールアルキニル)だけではなく4つ~18の炭素を伴うアリール基および2つ~6つの炭素を伴うアルキニル基を有する基(すなわち、C4-18アリール-C2-6アルキニル)である。いくつかの実施形態では、アリールアルキル基は、-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アルキル基またはアルキレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。いくつかの実施形態では、アリールアルケニル基は、-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アルケニル基またはアルケニレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。いくつかの実施形態では、アリールアルキニル基は、-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するように、アルキニル基またはアルキニレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。
【0086】
「アリーレン」により、本明細書に規定するように、アリール基の多価の(たとえば、二価の)形態を意味する。代表的なアリーレン基は、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、トリフェニレン、ジフェニルエーテル、アセナフチレン、アントリレン、またはフェナントリレンを含む。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12、またはC6-10のアリーレン基である。アリーレン基は、分岐できる、または分岐できない。アリーレン基はまた、置換できる、または置換できない。たとえば、アリーレン基は、アリールに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0087】
「アリールアルコキシ」により、本明細書で規定するように、酸素原子を通して親分子基に付着したアリールアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、アリールアルコキシ基は、-O-L-Rであり、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基であり、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。
【0088】
「アリールオキシ」により-ORを意味し、式中、Rは、本明細書で記述するように、任意選択で置換されたアリール基である。いくつかの実施形態では、未置換のアリールオキシ基は、C4-18またはC6-18のアリールオキシ基である。他の実施形態では、Rは、アルキル、アルカノイル、アミノ、ヒドロキシルなどと任意選択で置換されたアリール基である。
【0089】
「アリールオキシカルボニル」により、本明細書で規定するように、カルボニル基を通して親分子基に付着したアリールオキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアリールオキシカルボニル基は、C5-19アリールオキシカルボニル基である。他の実施形態では、アリールオキシカルボニル基は、本明細書で規定するように、-C(O)O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。
【0090】
「アリーロイル」により、カルボニル基を通して親分子基に付着したアリール基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアリーロイル基は、C7-11アリーロイル基またはC5-19アリーロイル基である。他の実施形態では、アリーロイル基は-C(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。
【0091】
「アリーロイルオキシ」により、本明細書で規定するように、オキシ基を通して親分子基に付着したアリーロイル基を意味する。いくつかの実施形態では、未置換のアリーロイルオキシ基は、C5-19アリーロイルオキシ基である。他の実施形態では、アリーロイルオキシ基は-OC(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにアリール基である。
【0092】
「アジド」により、-N3基を意味する。
【0093】
「アジドアルキル」により、本明細書で規定するように、アルキル基を通して親分子基に付着したアジド基を意味する。いくつかの実施形態では、アジドアルキル基は-L-N3であり、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基である。
【0094】
「アゾ」により、-N=N-基を意味する。
【0095】
「カルバモイル」により、本明細書で規定するように、カルボニル基を通して親分子基に付着したアミノ基を意味する。いくつかの実施形態では、カルバモイルは、-C(O)NR12基であり、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基を形成できる。
【0096】
本明細書で規定するように、「カルバモイルオキシ」により、本明細書で規定するように、nのオキシ基を通して親分子基に付着したカルバモイル基を意味する。いくつかの実施形態では、カルバモイルは、-OC(O)NR12基であり、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基を形成できる。
【0097】
「カルボンイミドイル」により、-C(NR)-基を意味する。いくつかの実施形態では、Rは、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、もしくは任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組合せである。
【0098】
「カルボニル」は-C(O)-基を意味し、この基はまた>C=Oとして表現できる。
【0099】
「カルボキシル」は、-CO2H基またはその陰イオンを意味する。
【0100】
「触媒」により、当業者が容易に理解するように、合成反応を触媒できる、通常は反応物に対して少量存在する化合物を意味する。いくつかの実施形態では、触媒は、遷移金属配位化合物を含んでよい。
【0101】
「シアナト」により、-OCN基を意味する。
【0102】
「シアノ」により、-CN基を意味する。
【0103】
「脂環式」により、本明細書で規定するように、環状の脂肪族基を意味する。
【0104】
「シクロアルコキシ」により、本明細書で規定するように、酸素原子を通して親分子基に付着したシクロアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロアルコキシ基は-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにシクロアルキル基である。
【0105】
「シクロアルキルアルコキシ」により、-O-L-R基を意味し、式中、Lは、本明細書で規定するように、アルキル基またはアルキレン基であり、Rは、本明細書で規定するようにシクロアルキル基である。
【0106】
「シクロアルキル」により、特に指定のない限り、3つ~8つの炭素の、一価の飽和または不飽和の非芳香族環状炭化水素基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1.ヘプチル]などがその例である。シクロアルキル基はまた、置換できる、または置換できない。たとえば、シクロアルキル基は、アルキルに関して本明細書で記述する基を含む、1つまたは複数の基と置換できる。さらに、シクロアルキルは、1つまたは複数の二重結合および/または三重結合を含んでよい。
【0107】
「シクロへテロ脂肪族」により、本明細書で規定するように、環状のヘテロ脂肪族基を意味する。
【0108】
「ジシラニル」により、Si-Si結合を含有する基を意味する。いくつかの実施形態では、ジシラニル基は、-SiRS1S2-SiRS3S4S5または-SiRS1S2-SiRS3S4基であり、式中、RS1、RS2、RS3、RS4、およびRS5の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。
【0109】
「ジスルフィド」により-SSRを意味し、式中、Rは、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロへテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組合せから選択される。
【0110】
「電子供与基」により、共鳴によるなど、官能基の電子密度の少なくとも一部を官能基が直接付着した環の中に供与できる官能基を意味する。
【0111】
「電子吸引基」により、電子求引性誘起効果によるなど、官能基が直接付着した環から電子密度を受け取ることができる官能基を意味する。
【0112】
「ハロ」により、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0113】
「カルコゲン」により、O、S、Se、またはTeを意味する。
【0114】
「ハロ脂肪族」により、本明細書で規定するように、1つ~10の水素原子など、1つまたは複数の水素原子が独立にフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子と置き換わった脂肪族基を意味する。
【0115】
「ハロアルキル」により、本明細書で規定するように、1つ~10の水素原子など、1つまたは複数の水素原子が独立にフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子と置き換わったアルキル基を意味する。独立した実施形態では、ハロアルキルは、-CX3基である可能性があり、式中、各Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードから独立に選択できる。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基は、-L-Xであり、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基であり、Xは、フルオロ、クロロ、またはヨードである。他の実施形態では、ハロアルキル基は、-L-C(X)(R1)-R2であり、式中、Lは、本明細書で規定するように、共有結合またはアルキル基であり、Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、Hまたはアルキルである。
【0116】
「ハロヘテロ脂肪族」により、本明細書で規定するように、1つ~10の水素原子など、1つまたは複数の水素原子が独立にフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子と置き換わったハロへテロ脂肪族基を意味する。
【0117】
「ヘテロ脂肪族」により、本明細書で規定するように、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、および基内部のそれらの酸化型から選択できるがそれらに限定されない1つ~15のヘテロ原子または1つ~5つのヘテロ原子など、少なくとも1つのヘテロ原子から20のヘテロ原子を含む脂肪族基を意味する。ヘテロ芳香族基は、たとえば本明細書で記述する官能基により置換されない、または置換される。たとえば、ヘテロ脂肪族基は、アルキルに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0118】
「ヘテロ脂肪族カルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、カルボニル基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族カルボニル基は、本明細書で規定するように-C(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0119】
「ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0120】
「ヘテロ脂肪族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、オキシ基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族オキシ基は、-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0121】
「ヘテロ脂肪族オキシカルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル基は、本明細書で規定するように-C(O)O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0122】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」により、本明細書で規定するように、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、および基内部のそれらの酸化型から選択できるがそれらに限定されない1つ~15のヘテロ原子または1つ~5つのヘテロ原子など、少なくとも1つのヘテロ原子から20のヘテロ原子を含む、それぞれ(分岐、直鎖、または環状である可能性がある)アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を意味する。
【0123】
「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルケニレン」および「ヘテロアルキニレン」により、本明細書に規定するように、それぞれヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、またはヘテロアルキニル基の多価の(たとえば、二価の)形態を意味する。
【0124】
「ヘテロ芳香族」により、本明細書で規定するように、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、および基内部のそれらの酸化型から選択できるがそれらに限定されない1つ~15のヘテロ原子、または1つ~5つのヘテロ原子など、少なくとも1つのヘテロ原子から20のヘテロ原子を含む芳香族基を意味する。ヘテロ芳香族基は、たとえば本明細書で記述する官能基により置換されない、または置換される。たとえば、ヘテロ芳香族基は、アルキルおよび/またはアリールに関して本明細書で記述するように、1つまたは複数の置換基と置換できる。
【0125】
「ヘテロ芳香族カルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、カルボニル基(-C(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族カルボニル基は、本明細書で規定するように-C(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0126】
「ヘテロ芳香族カルボニルオキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族カルボニルオキシ基は、本明細書で規定するように-OC(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0127】
「ヘテロ芳香族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、オキシ基(-O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族オキシ基は-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0128】
「ヘテロ芳香族オキシカルボニル」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族カルボニル基は-C(O)O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0129】
「ヘテロアリール」により、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、および環内部のそれらの酸化型から選択できるがそれらに限定されない1つ~4つのヘテロ原子など、少なくとも1つのヘテロ原子~6つのヘテロ原子を含むアリール基を意味する。そのようなヘテロアリール基は、単一環、または多数の縮合環を有する可能性があり、縮合環は、付着点が芳香族ヘテロアリール基の原子を通るという前提で、芳香族であってもなくてもよい、および/またはヘテロ原子を含有してもしなくてもよい。ヘテロアリール基は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはそれらの任意の組合せなど、水素以外の1つまたは複数の基と置換されてよい。代表的なヘテロアリールは、本明細書で規定するように、芳香族であるヘテロシクリル基のサブセットを含み、すなわち、単環式または多環式の環構造の中で4n+2のπ電子を含有する。
【0130】
「ヘテロアリーレン」により、本明細書に規定するように、ヘテロアリール基の多価の(たとえば、二価の)形態を意味する。
【0131】
「ヘテロ原子」により、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、または亜リン酸など、炭素以外の原子を意味する。開示する特定の実施形態では、原子価制約が許可しないときなど、ヘテロ原子は、ハロゲン原子を含まない。
【0132】
「ヘテロシクリル」により、特に指定のない限り(たとえば、窒素、酸素、亜リン酸、硫黄、またはハロからなるグループから独立に選択された)1つ、2つ、3つ、または4つの非炭素ヘテロ原子を含有する五員環、六員環、または七員環を意味する。五員環は、0~2つの二重結合を有し、六員環および七員環は、0~3つの二重結合を有する。「ヘテロシクリル」という用語はまた、二環式、三環式、四環式の基を含み、これらの基では、上記の複素環のいずれも、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、および別の単環式複素環、たとえば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどからなるグループから独立に選択された1つ、2つ、または3つの環に融合される。複素環は、チイラニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、チアニル、チエパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ホモペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキザゾリジニル、オキサゾリドニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソインダゾイル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ウリシル、チアジアゾリル、ピリミジル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ジオキサニル、ジオキシニル、ジチアニル、トリチアニル、オキサジニル、チアジニル、オキソチオラニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどを含む。
【0133】
「ヘテロシクリルオキシ」により、本明細書で規定するように、酸素原子を通して親分子基に付着したヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルオキシ基は、-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基である。
【0134】
「ヘテロシクリルオイル」により、本明細書で規定するように、カルボニル基を通して親分子基に付着したヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルオイル基は-C(O)-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基である。
【0135】
「ヒドラジノ」により、-NR1-NR23を意味し、式中、R1、R2、およびR3の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組合せから独立に選択される、またはそれぞれ付着した窒素原子と一緒に得られるR1とR2の組合せ、またはR2とR3の組合せは、本明細書で規定するように、ヘテロシクリル基を形成できる。いくつかの実施形態では、R1、R2、またはR3の各々は独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、または任意選択で置換されたアリールアルキルである。特定の実施形態では、R2およびR3を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0136】
「ヒドロキシル」により、-OHを意味する。
【0137】
「ヒドロキシアルキル」により、本明細書で規定されるように、ただ1つのヒドロキシル基だけがアルキル基の単一炭素原子に付着してよく、かつ例がヒドロキシメチル、ジヒドロキシプロピルなどであるという条件で、1つ~3つのヒドロキシル基により置換されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアルキル基は-L-OHであり、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基である。他の実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、-L-C(OH)(R1)-R2であり、式中、Lは、本明細書で規定するように、共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、独立にHまたはアルキルである。
【0138】
「イミドイル」により、カルボンイミドイル基を含む部分を意味する。いくつかの実施形態では、イミドイル基はC(NR1)R2であり、式中、R1およびR2の各々は独立に、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組合せから選択される。他の実施形態では、イミドイル基はC(NR1)H、-C(NR1)RAk、または-C(NRN1)RArであり、式中、R1は、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、もしくは任意選択で置換されたアリールアルキル、または任意選択で置換されたシリルオキシであり、RAkは、任意選択で置換されたアルキルまたは任意選択で置換された脂肪族であり、RArは、任意選択で置換されたアリールまたは任意選択で置換された芳香族である。
【0139】
「イミノ」により、-NR-基を意味する。いくつかの実施形態では、Rは、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族から選択される。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキルである。
【0140】
「イソシアナト」により、-NCO基を意味する。
【0141】
「イソシアノ」により、-NC基を意味する。
【0142】
「ケトン」により、-C(O)R、またはそのような基を含む化合物を意味し、Rは、本明細書に規定されるように、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組合せから選択される。ケトンの例は、R1C(O)Rを含む可能性があり、式中、RおよびR1の各々は、本明細書に規定されるように、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロへテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族芳香族、ヘテロ脂肪族芳香族、またはそれらの任意の組合せから独立に選択される。
【0143】
「ニトロ」により、-NO2基を意味する。
【0144】
「ニトロアルキル」により、本明細書で規定するように、1つ~3つのニトロ基により置換されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-NOであり、式中、Lは、本明細書で規定するようにアルキル基である。他の実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-C(NO)(R1)-R2であり、式中、Lは、本明細書で規定するように、共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、独立にHまたはアルキルである。
【0145】
「オキソ」により、=O基を意味する。
【0146】
「オキシ」により、-O-を意味する。
【0147】
「ペルフルオロアルキル」により、本明細書で規定するように、各水素原子がフッ素原子と置換されたアルキル基を意味する。代表的なペルフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチルなどを含む。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアルキル基は、-(CF2nCF3であり、式中、nは0~10の整数である。
【0148】
「ペルフルオロアルコキシ」により、本明細書に規定するように、各水素原子がフッ素原子と置換されたアルコキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアルコキシ基は-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにペルフルオロアルキル基である。
【0149】
「塩」により、電気的に中性の化合物または構造を形成する陽イオンまたは陰イオンの化合物を含む化合物または構造(たとえば、本明細書で記述する任意の式、化合物、または組成)のイオン形態を意味する。塩は、本発明の化合物の最終分離および最終精製の間に、または別個に遊離塩基を適切な有機酸と反応させることにより(それにより、陰イオン塩を作り出す)、または酸性基を適切な金属または有機塩と反応させることにより(それにより、陽イオン塩を作り出す)、本来の場所で準備できる。代表的な陰イオン塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、二リン酸塩、ドデシル硫酸塩、エデト酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酸塩、チオシアン酸塩、3-エチルヨード化合物、トリエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的な陽イオン塩は、アルカリまたはアルカリ性の希土類塩、たとえばバリウム、カルシウム(たとえば、エデト酸カルシウム)、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのような金属塩と、アルミニウム、ビスマス、鉄、および亜鉛などの他の金属塩と、さらにはアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ピリジニウムなどを含むがそれらに限定されない、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミノ陽イオンとを含む。他の陽イオン塩は、クロロプロカイン、コリン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルカミン、およびプロカインなどの有機塩を含む。さらに他の塩は、アンモニウム、スルホニウム、スルホキソニウム、ホスホニウム、イミニウム、イミダゾリウム、ベンゾイミダゾリウム、アミジウム、グアニジウム、ホスホファジニウム、ホスファゼニウム、ピリジニウムなどだけではなく、本明細書で記述する他の陽イオン塩(たとえば、任意選択で置換されたイソキサゾリウム、任意選択で置換されたオキサゾリウム、任意選択で置換されたチアゾリウム、任意選択で置換されたピロリウム、任意選択で置換されたフラニウム、任意選択で置換されたチオフェニウム、任意選択で置換されたイミダゾリウム、任意選択で置換されたピラゾリウム、任意選択で置換されたイソチアゾリウム、任意選択で置換されたトリアゾリウム、任意選択で置換されたテトラゾリウム、任意選択で置換されたフラザニウム、任意選択で置換されたピリジニウム、任意選択で置換されたピリミジニウム、任意選択で置換されたピラジニウム、任意選択で置換されたトリアジニウム、任意選択で置換されたテトラジニウム、任意選択で置換されたピリダジニウム、任意選択で置換されたオキサジニウム、任意選択で置換されたピロリジニウム、任意選択で置換されたピラゾリジニウム、任意選択で置換されたイミダゾリニウム、任意選択で置換されたイソキサゾリジニウム、任意選択で置換されたオキサゾリジニウム、任意選択で置換されたピペラジニウム、任意選択で置換されたピペリジニウム、任意選択で置換されたモルホリニウム、任意選択で置換されたアゼパニウム、任意選択で置換されたアゼピニウム、任意選択で置換されたインドリウム、任意選択で置換されたイソインドリウム、任意選択で置換されたインドリジニウム、任意選択で置換されたインダゾリウム、任意選択で置換されたベンズイミダゾリウム、任意選択で置換されたイソキリナム、任意選択で置換されたキノリジニウム、任意選択で置換されたデヒドロキノリジニウム、任意選択で置換されたキノリニウム、任意選択で置換されたイソインドリニウム、任意選択で置換されたベンズイミダゾリニウム、および任意選択で置換されたプリニウム)を含む。
【0150】
「シリル」により、-SiR123基または-SiR12基を意味する。いくつかの実施形態では、R1、R2、またはR3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。特定の実施形態では、R1、R2、またはR3の各々は独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、または任意選択で置換されたアミノである。他の実施形態では、シリル基は-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b,およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、または任意選択で置換されたアリールアルキルである。
【0151】
「シリルオキシ」により-ORを意味し、式中、Rは、本明細書で記述するように、任意選択で置換されたシリル基である。いくつかの実施形態では、シリルオキシ基は-O-SiR123であり、式中、R1、R2、およびR3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。特定の実施形態では、R1、R2、およびR3の各々は独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、または任意選択で置換されたアミノである。他の実施形態では、シリル基は-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b,およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、または任意選択で置換されたアリールアルキルである。
【0152】
「スルフィニル」により、-S(O)-基を意味する。
【0153】
「スルホ」により、-S(O)2OH基を意味する。
【0154】
「スルホニル」または「スルホン酸塩」により-S(O)2-基または-SO2Rを意味し、式中、Rは、本明細書で規定するように、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロへテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組合せから選択される。
【0155】
「チオアルキル」により、本明細書で規定するように、硫黄原子を通して親分子基に付着したアルキル基を意味する。代表的な未置換のチオアルキル基は、C1-6チオアルキルを含む。いくつかの実施形態では、チオアルキル基は、-S-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するようにアルキル基である。
【0156】
「チオール」により、-SH基を意味する。
【0157】
当業者は、上記で提供する規定が、容認できない置換パターン(たとえば、5つの異なる基と置換されたメチルなど)を含むことを意図しないことを認識されよう。そのような容認できない置換パターンは、当業者により容易に認識される。本明細書で開示する、および/または上記で規定するどの官能基も、本明細書で示さない限り、置換できる、または置換できない。
【0158】
本発明の他の特徴および利点は、以下の記述および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0159】
実施形態
いくつかの実施形態では、堆積法は、くぼんだ特徴を有する半導体基板を処理チャンバに提供するステップと、約100℃~約500℃の間の温度で半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露して、半導体基板の上にモリブデン含有層を形成するステップとを伴い、モリブデン含有層は、モリブデン金属の層、またはケイ化モリブデンの層、またはモリブデン金属の層とケイ化モリブデンの層の組合せを含む。いくつかの実装形態では、堆積されたモリブデン含有層は、(たとえば、基板の他の層との界面で堆積を開始する際に形成された)ケイ化モリブデンと(ケイ化モリブデンが形成された後に堆積された)モリブデン金属の両方を含む。いくつかの実施形態では、堆積は、約375℃~450℃の間など、約200℃~約450℃の間の温度で行われる。堆積中の圧力は、たとえば、約10トール~約100トールの間など、約0.1トール~約100トールの間の範囲に及ぶ可能性がある。堆積は、CVDまたはALDの処理チャンバ(または多数の処理チャンバ)で遂行でき、プラズマを用いた反応物の活性化を必要としない(すなわち、堆積全体は、熱的に遂行できる)。堆積中のモリブデン含有前駆体(または部分的に還元されたモリブデン含有前駆体)は、還元剤により(たとえば、モリブデン金属に)還元されるのに対して、ケイ素含有反応物の役割は、(たとえば、前駆体内のモリブデンをより低い酸素状態に還元することにより)還元反応を容易にすること、および堆積の選択性を調整することのうち少なくとも一方である。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、還元を容易にするだけではなく堆積の選択性も調整する。
【0160】
提供する方法は、さまざまな基板で使用できるが、いくつかの実施形態では、方法は、異なる曝露された材料を側壁および最下部に有するくぼんだ特徴を有する基板の上で使用される。たとえば、いくつかの実施形態では、基板は、曝露された金属を最下部に伴い、かつ曝露された誘電体を側壁に伴うくぼんだ特徴を有する。図1Aは、モリブデン金属を堆積させるために提供されたそのような基板の一部分の概略横断面図を例示する。基板は、誘電体の層103の中に形成されたくぼんだ特徴101を有し、くぼんだ特徴101の最下部で、金属の層105は曝露される。誘電体層103は、たとえば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、オキシ炭化ケイ素などのようなケイ素含有誘電体を含んでよい。金属105の層は、たとえばタングステン、胴、コバルト、モリブデンなどを含んでよい。一例では、誘電体層103の中の誘電体材料は酸化ケイ素であり、金属層105はタングステン層である。提供する方法は、さまざまな異なるくぼんだ特徴の中でモリブデン含有材料を堆積させるために使用できるが、低温で高アスペクト比の特徴の中で、等角の手法でモリブデンを堆積させることは困難であるので、少なくとも30:1または少なくとも50:1など、少なくとも約10:1のアスペクト比を伴う特徴の中に堆積させるために特に有用である。方法は、(たとえば、1nm~10nmの厚さの)等角で薄いモリブデン含有層を堆積させるために、および/またはたとえば等角充填を使用して、くぼんだ特徴をモリブデン金属で充填するために使用できる。
【0161】
ケイ素含有反応物がない状態でモリブデンを堆積させるとき、モリブデンは、誘電体層の上ではなく大部分は金属層の上に堆積し、それにより、非等角被覆性につながる。たとえば、10以上(誘電体上の堆積速度に対する金属上の堆積速度の比を指す)のモリブデン金属堆積の選択性は、375℃で観察され、厚い最下部被覆性および薄い側壁被覆性につながる。堆積選択性は、堆積温度を500℃以上に上昇させることにより低減できるが、高温でのモリブデン金属堆積は多くの場合、熱収支の制約に起因して望ましくないことが留意される。ケイ素含有反応物を導入することにより、約375℃から約450℃の間の温度など、約450℃以下のより低い温度で堆積選択性を劇的に下げ、それにより比較的低い温度でモリブデン含有層を等角で堆積させるための手段を提供することがわかった。いくつかの実施形態では、所望の選択性損失を達成するために、基板は、モリブデン含有前駆体と接触させられる前にケイ素含有反応物に曝露される。たとえば、基板は、少なくとも約15秒など少なくとも約10秒間、ケイ素含有反応物に曝露されて表面修正を可能にしてよい。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物およびモリブデン含有前駆体への曝露は順次である。本明細書で提供する方法による、モリブデンの実質的に非選択性堆積後に形成された構造を図2Bに示す。基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露した後、モリブデン含有材料107の実質的に等角な層が形成され、モリブデン含有材料107は、モリブデン金属、ケイ化モリブデン、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、モリブデン含有層107は、モリブデン金属層およびケイ化モリブデン副層を含み、ケイ化モリブデン副層は、基板の誘電体層103とモリブデン金属層の間の界面、および基板の金属層105とモリブデン金属層の間の界面に形成される。処理は次に続いて、くぼんだ特徴101をモリブデン含有層109で充填してよい。いくつかの実施形態では、モリブデン含有層109は、半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露することにより、本明細書で提供する方法を使用して堆積されてよいモリブデン金属である。他の実施形態では、モリブデン含有層109の大部分は、ケイ素含有反応物を追加することなく堆積したモリブデン金属であり、ケイ素非含有堆積で基板をモリブデン含有材料およびケイ素含有反応物に曝露することを伴う。
【0162】
選択性低減は、いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物による基板表面の直接修正に起因する。たとえば、誘電体層103が酸化ケイ素などのケイ素含有誘電体であるとき、ケイ素含有反応物は、誘電体を修正してSi-Hおよび/またはSi-OHの結合を形成でき、これらの結合は、モリブデン含有層が堆積するための核形成サイトの役割を果たし、それにより側壁上の堆積速度を増大させ、誘電体上/金属上の堆積選択性を低減する。
【0163】
示す例はケイ素支援堆積により達成された選択性の低減に関するが、提供する方法は、この利点により制限されない。いくつかの実施形態では、ケイ素支援堆積を使用して、選択性に関係なく還元処理を支援する。
【0164】
本明細書で提供する、ケイ素含有反応物を追加してモリブデン含有層を堆積させる処理は、さまざまな処理シーケンスを使用して行うことができる。いくつかのCVDタイプの実装形態では、モリブデン含有前駆体、権限剤、およびケイ素含有反応物は、(3つの成分すべてを流す間、少なくとも一部時間が重なるように)処理チャンバの中に同時に流され、処理チャンバの中で混合できるようになる。他のALDタイプの実装形態では、(ケイ素含有反応物、モリブデン含有前駆体、および還元剤からなる)3つのうち少なくとも2つの成分は、(配送時間がまったく重ならないように)処理チャンバの中に同時に流されない。これらの実装形態は、単一堆積サイクルを形成するいくつかの基板曝露段階を含んでよく、ここで、堆積サイクルは、必要に応じて何度でも反復して、所望の厚さのモリブデン含有層を堆積させる。
【0165】
いくつかの実施形態では、処理は、ケイ素含有反応物およびモリブデン含有前駆体が処理チャンバに同時に配送されないように行われる。いくつかの実施形態では、処理は、ケイ素含有反応物および還元剤が処理チャンバに同時に配送されないように行われる。いくつかの実施形態では、処理は、モリブデン含有反応物および還元剤が処理チャンバに同時に配送されないように行われる。いくつかの実施形態では、処理は、ケイ素含有反応物、モリブデン含有前駆体、および還元剤が時間的に重なることなく処理チャンバにそれぞれ配送されるように行われる。
【0166】
堆積処理の一実装形態を図2Aに例示する。例示する処理は、基板を(たとえば、図1Aに示すなど、曝露された金属および誘電体を有する基板を)ケイ素含有反応物に曝露することから始まるので、基板上での堆積の選択性を調整するのに特に有用であり、ここで、ケイ素含有反応物は、基板の表面を修正できる。図2Aを参照すると、処理は、201で、半導体基板をケイ素含有反応物に曝露することにより始まる。いくつかの実施形態では、ステップ201は、モリブデン含有前駆体を処理チャンバに同時に配送することなくケイ素含有反応物を処理チャンバに配送するステップを伴う。還元剤は任意選択で、このステージでケイ素含有反応物と同時に処理チャンバに配送されてよい。基板は、いくつかの実施形態では、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、または少なくとも約30秒など、少なくとも約10秒など、しばらくの間ケイ素含有反応物に曝露できるようになって、表面修正を行うことができるようになる。次に、ステップ203で、基板をモリブデン含有前駆体に曝露する。例示する実施形態では、モリブデン含有前駆体を処理チャンバに配送し、一方、このステージでケイ素含有反応物を同時に加えることはない。還元剤は任意選択で、ステップ203でモリブデン含有前駆体と同時に配送されてよい。次に、ステップ205で、基板を還元剤に曝露してモリブデン含有前駆体を還元する。描く例では、このステージで、モリブデン含有前駆体を同時に配送することなく、かつケイ素含有反応物を同時に配送することなく、還元剤を処理チャンバに配送する。ステップ201~205の完了は、1つの堆積サイクルを構成する。ステップ209で示すように、ステップ201~205はこの場合、任意選択で(たとえば、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも100回)反復される、および/または所望の厚さのモリブデン含有層が形成されるまで、ケイ素非含有ステップ203~205だけが(たとえば、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも100回)反復される。いくつかの実施形態では、ステップ201~205の最初の1つまたは複数のサイクルを遂行した後、ステップ203~205のサイクルだけが反復され、所定のサイクル数の後に、たとえばそれぞれ5サイクルの後に、またはそれぞれ10サイクルの後に、ケイ素含有前駆体曝露ステップ201が挿入される。図2Aの処理の実装形態の一例では、堆積は、流れの周期の後に還元剤またはモリブデン含有前駆体を配送することなく処理チャンバへのケイ素含有反応物の配送を開始するステップと、ケイ素含有反応物の配送を停止するステップと、ケイ素含有反応物の配送を停止した後にモリブデン含有前駆体の配送を開始するステップと、次いでモリブデン含有前駆体の配送を停止するステップと、還元剤の配送を開始するステップと、還元剤の配送を停止するステップとを伴う。この実装形態の修正形態では、還元剤は、モリブデン含有前駆体と同時に流すことができるようになり、モリブデン含有前駆体の配送が停止した後に処理チャンバに流れ続ける。
【0167】
堆積処理の別の実施形態を図2Bに示す処理の流れ図により例示する。この実装形態では、処理は、基板を還元剤およびケイ素含有反応物に曝露するステップ209を含む。このステップでは、還元剤およびケイ素含有反応物は、モリブデン含有前駆体の配送がない状態で処理チャンバの中に同時に配送される。次に、ステップ211で、基板を還元剤に同時に曝露して、または同時に曝露することなく、モリブデン含有前駆体に曝露する。描く例示では、ステップ211は、半導体基板をケイ素含有反応物に同時に曝露することなく行われる。他の実施形態では、ケイ素含有反応物は、ステップ211の間に同様に配送されてよい。次に、ステップ213で、1堆積サイクルを構成するステップ209~211を必要に応じて何度でも反復して、所望の厚さのモリブデン含有層を形成する。
【0168】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物をモリブデン含有前駆体と同時に配送する。これを図2Cに示す処理図により例示する。この処理は、ステップ215で、半導体基板をモリブデン含有前駆体およびケイ素含有反応物に曝露することにより始まる。たとえば、基板を収容する処理チャンバにモリブデン含有前駆体およびケイ素含有反応物を同時に配送できる。ステップ215は、還元剤を同時に配送して、または同時に配送することなく行うことができる。次に、ステップ217で、基板を還元剤に曝露する。還元剤は、ケイ素含有反応物を同時に配送して、または同時に配送することなく、かつモリブデン含有前駆体を同時に配送して、または同時に配送することなく、処理チャンバに配送できる。次に、ステップ219で、ステップ215~217を必要に応じて何度でも反復して、所望の厚さのモリブデン含有膜を形成する。
【0169】
提供する処理はすべて、任意選択で、曝露ステップのいずれかの後に、望ましくない反応物および/または副産物を処理チャンバから除去するパージするステップを含んでよいことが留意される。いくつかの実施形態では、パージするステップは、不活性ガス(たとえば、アルゴン、ヘリウム、窒素など)を流すことにより行われる。他の実施形態では、不活性ガスを用いる専用のパージステップをまったく使用せず、パージするステップは、還元剤(たとえば、水素)を流すことにより行われる。いくつかの実装形態では、基板の表面を修正し所望の感受性損失を達成するために、モリブデン含有前駆体に曝露する前に、曝露された誘電体層および金属層を含有する基板をケイ素含有反応物に曝露することが好ましいが、曝露ステップの順序を望み通りに切り替えることができることが留意される。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のケイ素非含有堆積サイクルを遂行した後にケイ素含有反応物への曝露を使用する。たとえば、モリブデン含有層は、図2Dの処理流れ図で示すように堆積させられてよい。ステップ221で、半導体基板をモリブデン含有前駆体に曝露し、ステップ223で、半導体基板を還元剤に曝露する。これらのステップは両方とも、ケイ素含有反応物がない状態で遂行され、ケイ素非含有モリブデン金属堆積サイクルを構成する。ステップ225で、ステップ221~223を反復して、所定の回数のケイ素非含有モリブデン金属堆積サイクル後にケイ素含有反応物への基板の曝露を挿入しながら、複数の堆積サイクルを遂行する。たとえば、5、10、20、または50回のケイ素非含有堆積サイクルの後ごとに、単一曝露として基板をケイ素含有反応物に曝露してよい。代わりに、所定の回数のケイ素非含有サイクル後に、図2A図2Cに例示するいずれかなど、1つまたは複数のケイ素支援堆積サイクルを挿入してよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有層堆積は、本明細書に記述するように、ケイ素支援堆積を使用してモリブデン含有前駆体(たとえば、ケイ化モリブデンおよび/またはモリブデン金属)を堆積させるステップと、次にケイ素非含有堆積を使用してモリブデン金属を堆積させるステップとを伴う。たとえば、2~2,000回のケイ素支援堆積サイクルの後に、2~2,000回のケイ素非含有堆積サイクルが続いてよい。いくつかの実施形態では、この処理の流れを使用して、ケイ化モリブデン層を含むモリブデン含有層をケイ素含有誘電体との界面に堆積させ、次いでケイ化モリブデン層の上にモリブデン金属層を形成する。モリブデン含有層のケイ化モリブデン層は、ケイ素支援堆積を使用して堆積させられてよく、モリブデン含有層のモリブデン金属層は、ケイ素非含有堆積を使用して堆積させられてよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、ケイ素支援堆積およびケイ素非含有堆積のために、異なるモリブデン含有前駆体を使用する。一実装形態では、ケイ化モリブデンおよび/またはモリブデン金属は最初に、図2A図2Dで提供する方法のいずれかに従って、ケイ素支援堆積でモリブデン含有前駆体として五塩化モリブデン(MoCl5)を使用して堆積させられる。この次に、異なるモリブデン含有前駆体(たとえば、MoO2Cl2)を使用してケイ素非含有堆積でモリブデン金属を堆積させるステップが続く。この処理の流れを図3の処理の流れ図に例示する。ステップ301で、基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露してモリブデン含有層を堆積させる。たとえば、2~2,000サイクルのケイ素支援堆積を行ってよい。処理は、次いでステップ303で、ケイ素含有反応物がない状態で基板を異なるモリブデン含有前駆体および還元剤に曝露して、ケイ素非含有堆積でモリブデン金属の層を堆積させるステップに続く。たとえば、ステップ303で2~2,000回のケイ素非含有堆積サイクルを遂行してよい。
【0173】
ケイ素含有反応物
ケイ素含有反応物は、さまざまな目的に役立つ可能性があり、異なる構造を有してよい。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、モリブデン含有前駆体の還元を支援し、その結果、モリブデン含有前駆体の中のMo(V)をMo(IV)またはMo(III)に還元してよい。たとえば、ケイ素含有反応物を使用して、MoCl5モリブデン含有前駆体が還元剤によりモリブデン金属に完全に還元される前に、MoCl5モリブデン含有前駆体をMoCl4またはMoCl3に還元できる。Si-H結合および/またはSi-Si結合を伴うケイ素含有反応物は、還元支援反応物として特に有用である。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、モリブデン含有前駆体がモリブデンハロゲン結合を含むときに除去する必要があるハロゲンリガンドの不純物除去剤の役割を果たす。ハロゲンリガンドは、典型的にはハロゲン化水素(HCl、HBrなど)として除去されるので、ハロゲンを還元剤として使用するとき、ケイ素含有反応物によるハロゲンの追加捕捉は、ハロゲンリガンド除去を支援する。Si-H結合および/またはSi-Si結合を伴うケイ素含有前駆体は、この目的のために特に有用である。最後に、堆積選択性を調整するために、ケイ素含有反応物を使用して基板の表面を修正できる。たとえば、ケイ素含有反応物は、誘電体(たとえば、ケイ素含有誘電体)の表面を修正して、これらの表面上でその後モリブデンの核形成を容易にすることがある。これにより、誘電体表面の上にSi-H結合およびSi-OH結合の形成を伴うことがある。Si-H結合およびSi-Siを含有するケイ素含有反応物は、表面修正目的のために使用できる。
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、式(I)の構造を有する。
Sixy (I)
【0174】
式中、xは1~4であり、yは4~18であり、各Rは、H、ハロゲン、およびアルキルからなるグループから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、Hおよびハロゲン(たとえば、F、Cl、Br、またはI)からなるグループから独立に選択され、ここで、ハロゲンは、同じであっても異なっていてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)などのシランである。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、モノクロロシラン(SiH3Cl)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、テトラクロロシラン(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、ペンタクロロジシラン(Si2HCl5)、テトラクロロジシラン(Si22Cl4)、トリクロロジシラン(Si23Cl3)、ジクロロジシラン(Si24Cl2)、モノクロロジシラン(Si25Cl)、モノブロモシラン(SiH3Br)、ジブロモシラン(SiH2Br2)、トリブロモシラン(SiHBr3)、テトラブロモシラン(SiBr4)、ヘキサブロモジシラン(Si2Br6)、ペンタブロモジシラン(Si2HBr5)、テトラブロモジシラン(Si22Br4)、トリブロモジシラン(Si23Br3)、ジブロモジシラン(Si24Br2)、およびモノブロモジシラン(Si25Br)などのハロシランである。
【0176】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、シラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、テトラクロロジシラン、トリクロロジシラン、ジクロロジシラン、クロロジシラン、ジシラン、またはそれらの任意の組合せを備える。
【0177】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、低い炭素含有量で高純度モリブデン金属を堆積させるために炭素非含有反応物が特に有用であることがあるので、炭素原子を含まない。他の実施形態では、炭素原子は存在してよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、1つのアルキル、アルケニル、アルキニルの置換基、およびそれらの任意の組合せを含んでよい。
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、式(II)の構造を含む。
Si(R’)4 (II)
式中、少なくとも1つのR’は、炭素原子を含む。他の実施形態では、少なくとも1つのR’は、ヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素、および/またはケイ素)を含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのR’は、炭素原子およびヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素、および/またはケイ素)を含む。特定の実施形態では、R’は、ハロゲン原子を含まない。
いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物は、式(III)の構造を含む。
(R’)3Si-[L-Si(R’)2]-R’ (III)
式中、少なくとも1つのR'は、炭素原子を含み、Lはリンカーである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR’は、ヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素、および/またはケイ素)を含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのR’は、炭素原子およびおよびヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素、および/またはケイ素)を含む。特定の実施形態では、R’は、ハロゲン原子を含まない。
【0178】
式(III)では、Lに関する限定しないリンカーは、共有結合、オキシ(-O-)、カルボニル(-C(O)-)、任意選択で置換されたカルボンイミドイル(たとえば、-C(NR)-)、任意選択で置換されたイミノ(たとえば、-NR-)、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたアリーレンなどを含む。
【0179】
本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(I)または(II)では)、R’は、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノアジド、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシシリルオキシなど)、シアナト(-OCN)、イソシアナト(-NCO)、シアノ(-CN)、またはイソシアノ(-NC)である可能性があり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
【0180】
特定の実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR’は、任意選択で置換された脂肪族を含む。限定しない脂肪族基は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルを含み、それらの直線、分岐、環状、飽和、または不飽和の形態を含む。そのような基は、アルキルに関して本明細書で記述する1つまたは複数の置換基などと置換できない、または置換できる。脂肪族基の他の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、イソプロピル(iPr)、シクロプロピル(cPr)、ブチル(Bu)、sec-ブチル(sBu)、イソブチル(iBu)、tert-ブチル(tBu)、ペンチル(Pe)、tert-ペンチル(tPe)、アリル(All)、ビニル(Vi)、エチニルなどを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR’は、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族を含む。ヘテロ脂肪族基は、1つまたは複数の炭素原子、および1つまたは複数のヘテロ原子(たとえば、酸素、窒素など)を含むいずれかを含む可能性がある。
【0182】
限定しないヘテロ脂肪族基は、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)RAk)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)ORAk)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-ORAk)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)ORAk)、アミノ(たとえば、-NRN1N2)、芳香族カルボニル(たとえば、アリーロイル、または-C(O)RAr)、芳香族カルボニルオキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OC(O)RAr)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-ORAr)、芳香族オキシカルボニル(たとえば、アリールオキシカルボニルまたは-C(O)ORAr)、イミドイル(たとえば、-C(NRN1)H、-C(NRN1)RAk、または-C(NRN1)RAr)、カルバモイル(たとえば、-C(O)NRN1N2)、カルバモイルオキシ(たとえば、-OC(O)NRN1N2)、カルボキシル(-CO2H)、ホルミル(-C(O)H)、ヘテロ芳香族、ヘテロシクリル(たとえば、任意選択で置換されたフラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサゾリル、モルホリニルなど)、ヒドラジノ(たとえば、-NRN1-NRN2N3)、シリル(たとえば、-SiRS1S2S3)、およびシリルオキシ(たとえば、-O-SiRS1S2S3)を含む。これらの基の各々は任意選択で、(たとえば、アルキルに関して本明細書で記述するように)本明細書で記述する置換基と置換できる。ヘテロ脂肪族基は、その直線、分岐、環状(たとえば、ヘテロシクリル)、飽和、または不飽和の形態を含む可能性がある。
【0183】
ヘテロ脂肪族基は、RAkおよび/またはRArの部分を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルケニル、任意選択で置換されたヘテロアルキニル、または任意選択で置換されたヘテロシクリルである。他の実施形態では、RArは、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。
【0184】
窒素含有基(たとえば、アミノ、イミドイルなど)は、窒素原子に付着したRN1、RN2、および/またはRN3の部分を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、RN1、RN2、およびRN3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。特定の実施形態では、RN1およびRN2、またはRN2およびRN3を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。そのような窒素含有基は、シリル基またはシリルオキシ基の内部など、他の部分の内部に含まれる可能性がある。
【0185】
ケイ素含有基(たとえば、シリルなど)は、ケイ素原子に付着したRS1、RS2、および/またはRS3を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、RS1、RS2、および/またはRS3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。そのようなケイ素含有基は、アミノ基の内部など、他の部分の内部に含まれる可能性がある。
【0186】
いくつかの実施形態では、シリル基は、ケイ素原子に付着した1つまたは複数の脂肪族基を有するアルキルシリル基である。一実例では、アルキルシリル基は-Si(R)a(RAkbであり、式中、Rは独立に、H、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルケニル、任意選択で置換されたヘテロアルキニル、または任意選択で置換されたヘテロシクリルであり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。さらに他の限定しないアルキルシリル基は、-SiH2Ak、-SiH[RAk2、または-Si[RAk3を含み、式中、RAkは、本明細書で提供されるいずれかである。
【0187】
いくつかの実施形態では、シリル基は、オキシ(-O-)基を経由してケイ素原子に付着した1つまたは複数の脂肪族基を有するアルキルシリル基である。一実例では、アルコキシルオキシ基は-Si(R)a(ORAkbであり、式中、Rは独立に、H、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらの各々は、任意選択で置換されてよく、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルケニル、任意選択で置換されたヘテロアルキニル、または任意選択で置換されたヘテロシクリルであり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。さらに他の限定しないアルキルシリル基は、-SiH2[ORAk]、-SiH[ORAk2、または-Si[ORAk3を含み、式中、RAkは、本明細書で提供されるいずれかである。
【0188】
いくつかの実施形態では、シリル基は、ケイ素原子に付着した1つまたは複数の脂肪族基を有するアリールシリル基である。一実例では、アリールシリル基は-Si(R)a(RArbであり、式中、Rは独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらの各々は、任意選択で置換されてよく、RArは、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。さらに他の限定しないアリールシリル基は、-SiH2Ar、-SiH[RAr2、または-Si[RAr3を含み、式中、RArは、本明細書で提供されるいずれかである。
【0189】
さらに他の実施形態では、シリル基は、オキシ(-O-)基を経由してケイ素原子に付着した1つまたは複数の芳香族基を有するアリールオキシシリル基である。一実例では、アリールシリル基は-Si(R)a(ORArbであり、式中、Rは独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらの各々は、任意選択で置換されてよく、RArは、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。さらに他の限定しないアリールオキシシリル基は、-SiH2[ORAr]、-SiH[ORAr2、または-Si[ORAr3を含み、式中、RArは、本明細書で提供されるいずれかである。
【0190】
シリル基はまた、ケイ素原子に付着した1つまたは複数の任意選択で置換されたアミノ基を有するアミノシリルを含む可能性がある。一実例では、アミノシリル基は-Si(R)a(NRN1N2bであり、式中、Rは独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシシリルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、RN1およびRN2の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシであり、ここで、RN1およびRN2を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。アミノシリル基のさらに他の限定しない実施形態は、-SiH2[NRN1N2]、-SiH[RAk][NRN1N2]、-SiH[RAk2[NRN1N2]、-SiH[NRN1N22、-Si[RAk][NRN1N22、または-Si[NRN1N23、たとえば、SiH2[NH2]、-SiHRAk[NH2]、-Si[RAk2[NH2]、-SiH2[NH(RAk)]、-SiHRAk[NH(RAk)]、-Si[RAk2[NH(RAk)]、-SiH2[N(RAk2]、-SiHRAk[N(RAk2]、-Si[RAk2[N(RAk2]、-SiH[NH22、-SiRAk[NH22、-SiH[NH(RAk)]2、-SiRAk[NH(RAk)]2、-SiH[NH(RAk)][NH2]、-SiRAk[NH(RAk)][NH2]、-SiH[N(RAk22、-SiRAk[N(RAk22、-SiH[N(RAk2][NH2]、-SiRAk[N(RAk)][NH22、-Si[NH23、-Si[N(RAk22[NH22、-Si[N(RAk22[NH2]、-Si[N(RAk23、-Si[NH(RAk)][NH22、-Si[NH(RAk22[NH2]、-Si[NH(RAk)]3、-Si[NH(RAk)][N(RAk22、-Si[NH(RAk)]2[N(RAk2]などを含み、式中、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、RN1およびRN2の各々は、本明細書で記述するいずれかである。
【0191】
いくつかの実施形態では、シリル基は-Si(R’)a(OR)b(NR2cであり、式中、各Rは独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcは≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、または任意選択で置換されたアリールアルキルである。
【0192】
他の実施形態では、本明細書のシリル基のいずれも、オキシ結合を通して親化合物に付着できる。いくつかの実施形態では、シリルオキシ基は-O-Si(R’)a(OR)b(NR2cであり、式中、各Rは独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcは≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキルアリール、または任意選択で置換されたアリールアルキルである。さらに他の限定しないシリルオキシ基は、-O-Si(R)a(RAkb、-O-Si(R)a(ORAkb、-O-Si(R)a(RArb、-O-Si(R)a(ORArb、-O-Si(R)a(NRN1N2bを含み、式中、Rは独立に、H、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシシリルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルケニル、任意選択で置換されたヘテロアルキニル、または任意選択で置換されたヘテロシクリルであり、RArは、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、RN1およびRN2の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族,任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシであり、ここで、RN1およびRN2を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。さらに他の限定しないシリルオキシ基は、アルキルシリルオキシ(たとえば、-O-SiH2Ak、-O-SiH[RAk2、または-O-Si[RAk3)、アルコキシシリルオキシ(たとえば、-O-SiH2[ORAk]、-O-SiH[ORAk2、または-O-Si[ORAk3)、アリールシリルオキシ(たとえば、-O-SiH2Ar、-O-SiH[RAr2、または-O-Si[RAr3)、またはアリールオキシシリルオキシ(たとえば、-O-SiH2[ORAr2、-O-SiH[ORAr2、または-O-Si[ORAr3)を含む。いくつかの実施形態では、シリル基はアミノシリルオキシ(たとえば、-O-SiH2[NRN1N2]、-O-SiH[RAk][NRN1N2]、-O-Si[RAk2[NRN1N2]、-O-SiH[NRN1N22、-O-Si[RAk][NRN1N22、または-O-Si[NRN1N23)である。
【0193】
シリル基およびシリルオキシ基は、脂肪族基および芳香族基の混合結合を有する可能性がある。一実例では、シリル基は-Si(R)a(RAkb(RArcまたは-Si(R)a(ORAkb(ORArcであり、式中、Rは独立に、H、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらの各々は、任意選択で置換されてよく、RAkは、任意選択で置換された脂肪族(たとえば、任意選択で置換されたアルキル)または、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族(たとえば、任意選択で置換されたアルコキシまたは任意選択で置換されたアミノ)であり、RArは、任意選択で置換された芳香族または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3である。
【0194】
別の実例では、シリル基は-Si(R)a(NRAk 2b、-Si(R)a(NRAkArb、または-Si(R)a(NRAr 2bであり、式中、Rは独立に、H、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル(たとえば、アミノシリル、アルコキシシリルなど)、シリルオキシ(たとえば、アミノシリルオキシ、アルコキシシリルオキシなど)、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、RN1およびRN2の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシであり、式中、RN1およびRN2を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、aおよびbの各々は≧0であり、a+b=3である。
【0195】
さらに別の実例では、シリルオキシ基は-O-Si(R)a(RAkb(RArc、-O-Si(R)a(ORAkb(ORArc、-O-Si(R)a(NRAk 2b、-O-Si(R)a(NRAkArb、または-O-Si(R)a(NRAr 2bであり、式中、R、RAk、RArは、本明細書で記述するいずれかであり、a、b、およびcは、本明細書で記述するいずれかである。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(I)または(II)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR'は、任意選択で置換された脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、芳香族オキシ、またはヘテロ芳香族オキシを含む。実例では、R’は-O-Rである可能性があり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族(たとえば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニル)、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族(たとえば、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、またはヘテロシクリル)、任意選択で置換された芳香族(たとえば、アリール)、任意選択で置換されたヘテロ芳香族(たとえば、ヘテロアリール)、任意選択で置換された脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)RAk、式中、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、または本明細書で記述するいずれかである)、任意選択で置換されたシリル(たとえば、-SiRS1S2S3または-Si(R’)a(OR)b(NR2cであり、本明細書で記述するいずれかを含む)、または任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NRN1N2であり、本明細書で記述するいずれかを含む)である。
【0197】
特定の実施形態では、本明細書のずれかの式では(たとえば、式(I)または(II)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR’は、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族を含む。限定しない芳香族基およびヘテロ芳香族基は、フェニル、ベンジル、ナフチル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサゾリルなどを含む。
【0198】
特定の実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(I)または(II)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR'は、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NH2、-NRN1H、または-NRN1N2)を含む。特定の実施形態では、RN1およびRN2の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアミノ、ヒドロキシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。特定の実施形態では、RN1およびRN2を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0199】
N1およびRN2の限定しない実例は、H、脂肪族、アルキル(たとえば、-RAk)、アルケニル、アルキニル、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)RAk)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)RAk)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-ORAk)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)ORAk)、アミノ(たとえば、-NR2、式中、各Rは、たとえばH、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族である)、芳香族(たとえば、アリールまたは-RAr)、芳香族カルボニル(たとえば、アリーロイルまたは-C(O)RAr)、芳香族カルボニルオキシ(たとえば、アリーロイルオキシまたは-OC(O)RAr)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-ORAr)、芳香族オキシカルボニル(たとえば、アリールオキシカルボニルまたは-C(O)ORAr)、イミドイル(たとえば、-C(NR)H、-C(NR)RAk、または-C(NR)RArであり、式中、各Rは、たとえばH、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族である)、カルバモイル(たとえば、-C(O)NR2であり、式中、各Rは、たとえばH、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族である)、カルバモイルオキシ(たとえば、-OC(O)NR2であり、式中、各Rは、たとえばH、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族である)、カルボキシル(-CO2H)、ホルミル(-C(O)H)、ヘテロ芳香族、ヘテロシクリル(たとえば、任意選択で置換されたフラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサゾリル、モルホリニルなど)、ヒドロキシル(-OH)、シリル(たとえば、-SiRS1S2S3または-Si(R’)a(OR)b(NR2c)、およびシリルオキシ(たとえば、-O-SiRS1S2S3または-O-Si(R’)a(OR)b(NR2)を含む可能性がある。ここに示すこれらの基のいずれについても、RAk、RAr、R'、R、RS1、RS2、RS3、a、b、およびcは、本明細書記述するいずれかである可能性がある。
【0200】
さらに他の限定しないアミノ基は、-NH2、-NHMe、-NMe2、-NHEt、-NMeEt、-NEt、-NHnPr、-NHenPr、-NnPr2、-NHiPr、-NMeiPr、-NiPr2、-NHsBu、-NMesBu、NsBu2、-NHtBu、-NMetBu、-NtBu2、-N[SiH32、-N[Si(Me)32、-N[Si(Et)32、-NH[SiH3]、-NH[Si(Me)3]、-NH[Si(Et)3]、-NMe[SiH3]、-NMe[Si(Me)3]、NMe[Si(Et)3]、-N[SiH2Me]2、-N[SiHMe22、-N[SiH2Et]2、N[SiHEt22、-N[SiHMeEt]2、-NH[SiH2Me]、-NH[SiHMe2]、-NH[SiH2Et]、-NH[SiHEt22、-NH[SiHMeEt]、-NMe[SiH2Me]、-NMe[SiHMe2]、-NMe[SiH2Et]、-NMe[SiHEt22、-NMe[SiHMeEt]などを含む。
【0201】
特定の実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR'は、任意選択で置換されたヒドラジン(たとえば、-NH-NH2または-NRN1-NRN2N3)を含む。特定の実施形態では、RN1、RN2、およびRN3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアミノ、ヒドロキシル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキルアリール、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。特定の実施形態では、RN1およびRN2、またはRN2およびRN3を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。さらに他の限定しないヒドラジノ基は、-NH-NH2、-NMe-NH2、-NH-NHMe、-NH-NMe2、-NMe-NMe2、-NEt-NH2、-NH-NHEt、-NH-NEt2、-NMe-NEt2などを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR’は、任意選択で置換されたシリルを含む。一実施形態では、シリルは-SiRS1S2S3であり、式中、RS1、RS2、およびRS3の各々は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたシリルオキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたヘテロアルキル、任意選択で置換されたヘテロアルケニル、任意選択で置換されたヘテロアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、イソシアノなどである。限定しないシリル基は、-Si(R)a(RAkb、-Si(R)a(ORAkb、-Si(R)a(RArb、-Si(R)a(ORArb、-Si(R)a(NRN1N2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2)cなどのような、本明細書で記述するいずれかを含む。さらに他の限定しないシリル基は、-SiH3、-SiH2Me、-SiHMe2、-SiMe3、-Si(OH)3、-SiH2(OMe)、-SiH(OMe)2、-Si(OMe)3、-SiH2(NH2)、-SiHMe(NH2)、-SiMe2(NH2)、-SiH(NH22、-SiMe(NH22、-Si(NH23、-SiH2(NMe2)、-SiH2(NMe2)、-SiHMe(NMe2)、-Si(Me)2(NMe22、-Si(NMe22、-Si(NMe23、-SiH2(NHMe)、-SiHMe(NHMe)、-SiH(NHMe)2、-SiMe(NHMe)2、-Si(NHMe)3などを含む。
【0203】
他の実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR'は、任意選択で置換されたシリルオキシを含む。限定しないシリルオキシ基は、-O-Si(R)a(RAkb、-O-Si(R)a(ORAkb、-O-Si(R)a(RArb、-O-Si(R)a(ORArb、-O-Si(R)a(NRN1N2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2cなどのような、本明細書で記述するいずれかを含む。さらに他の限定しないシリルオキシ基は、-O-SiH3、-O-SiH2Me、-O-SiHMe2、-O-SiMe3、-O-Si(OH)3、-O-SiH2(OMe)、-O-SiH(OMe)2、-O-Si(OMe)3、-O-SiH2(NH2)、-O-SiHMe(NH2)、-O-SiMe2(NH2)、-O-SiH(NH22、-O-SiMe(NH22、-O-Si(NH23、-O-SiH2(NMe2)、-O-SiH2(NHMe)、-O-SiHMe(NMe2)、-O-Si(Me)2(NMe22、-O-SiMe(NMe22、-O-Si(NMe23、-O-SiH2(NHMe)、-O-SiHMe(NHMe)、-O-SiH(NHMe)2、-O-SiMe(NHMe)2、-O-Si(NHMe)3などを含む。
【0204】
さらに他の実施形態では、本明細書のいずれかの式では(たとえば、式(II)または(III)では)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のR’は、アジド(-N3)、ヒドロキシル(-OH)、シアナト(-OCN)、イソシアナト(-NCO)、シアノ(-CN)、および/またはイソシアノ(-NC)を含む。
【0205】
有機ケイ素含有前駆体は、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、前述のシランのいずれかのアミン置換版、およびトリシリルアミンからなるグループから選択されてよい。
【0206】
無機ケイ素含有反応物の例は、シラン、ポリシラン、ハロシラン、およびアミノシランを含むがそれらに限定されない。シランは、水素基および/または炭素基を含有するが、ハロゲンを含有しない。ポリシランは、式(H3Si-(SiH2n-SiH3)を有してよく、式中、n≧1である。シランの例は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、トリシラン、テトラシラン、およびオルガノシラン、たとえば、メチルシラン、エチルシラン、イソプロピルシラン、t-ブチルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジ-t-ブチルシラン、アリルシラン、sec-ブチルシラン、テキシルシラン、イソアミルシラン、t-ブチルジシラン、ジ-t-ブチルジシラン、テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシランまたはTEOSとしても知られている)などを含む。
【0207】
アミノシランは、ケイ素原子に結合した少なくとも1つの窒素原子を含むが、さらにまた水素、酸素、ハロゲン、および炭素を含有してよい。アミノシランの例は、モノ-、ジ-、トリ-、およびテトラ-アミノシラン(それぞれ、H3Si(NH24、H2Si(NH22、HSi(NH23、およびSi(NH24)だけではなく、置換モノ-、ジ-、トリ-、およびテトラ-アミノシラン、たとえば、t-ブチルアミノシラン、メチルアミノシラン、tert-ブチルシランアミン、bis(三級ブチルアミノ)シラン(SiH2(NHC(CH332(BTBAS))、tert-ブチルシリルカルバミン酸塩、SiH(CH3)-(N(CH322、SiHCl-(N(CH322、(Si(CH32NH)3、ジ(sec-ブチルアミノ)シラン(DSBAS)、ジ(イソプロピルアミノ)シラン(DIPAS)、bis(ジエチルアミノ)シラン(BDEAS)などである。アミノシランの他の例は、トリシリルアミン(N(SiH33)である。
【0208】
ケイ素含有反応物の例は、シロキサン、アルキルシラン、もしくは炭化水素置換シラン、または窒素含有炭素含有反応物を含む。シロキサンの例は、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン(HMCTS)、シルセスキオキサン、ペンタメチルジシロキサン(PMDSO)またはテトラメチルジシロキサン(TMDSO)などのジシロキサン、およびヘキサメチルトリシロキサンまたはヘプタメチルトリシロキサンなどのトリシロキサンを含む。アルキルシランは、中央のケイ素原子を含み、1つまたは複数のアルキル基が中央のケイ素原子に結合するだけではなく1つまたは複数の水素原子も中央のケイ素原子に結合する。いくつかの実施形態では、アルキル基の任意の1つまたは複数は、1つ~5つの炭素原子を含有する。炭化水素基は、は、飽和しても飽和しなくてもよい(たとえば、アルケン(たとえば、ビニル)、アルキン、および芳香族基)。例は、トリメチルシラン(3MS)、トリエチルシラン、ペンタメチル、ジシラメタン((CH32Si-CH2-Si(CH33)、およびジメチルシラン(2MS)を含むがそれらに限定されない。追加で、モノシランの代わりにジシラン、トリシラン、または他のより高次のシランを使用してよい。いくつかの実施形態では、ケイ素原子のうち1つは、炭素含有基、または自身に付着した炭化水素基を有する可能性があり、ケイ素原子のうち1つは、自身に付着した水素原子を有する可能性がある。窒素を含む炭素含有反応物の例は、メチル置換ジシラザンおよびトリシラザン、たとえばテトラメチルジシラザンおよびヘキサメチルトリシラザンを含む。
【0209】
有機ケイ素含有反応物のさらに他の例は、シロキサン、たとえば、シクロテトラシロキサン、たとえばヘプタメチルシクロテトラシロキサン(HMCTS)およびテトラメチルシクロテトラシロキサンを含む可能性がある。他の環状シロキサンはまた、シクロトリシロキサンおよびシクロペンタシロキサンを含む可能性があるがそれらに限定されない。適切な前駆体の他の例は、線状シロキサン、たとえば限定することなく、ペンタメチルジシロキサン(PMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルトリシロキサン、およびヘプタメチルトリシロキサンなどのジシロキサンを含む。未ドープ炭化ケイ素については、適切な前駆体の例は、1つまたは複数のアルキルと置換されたモノシラン、アルケン、および/またはたとえば1つ~5つの炭素原子を含有するアルキン基を含む。例は、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルシラン(2MS)、トリエチルシラン(TES)、およびペンタメチルジシラメタンを含むがそれらに限定されない。追加で、モノシランの代わりにジシラン、トリシラン、または他のより高次のシランを使用してよい。アルキルシランクラスから得られる1つのそのようなジシランの例は、ヘキサメチルジシラン(HMDS)である。アルキルシランクラスから得られるジシランの別の例は、ペンタメチルジシラン(PMDS)を含む可能性がある。他のタイプのアルキルシランは、ケイ素原子に結合した炭素を伴う分岐重合体構造だけではなく、ケイ素原子に結合した炭素アルキル基も有する可能性があるアルキルカルボシランを含む可能性がある。例は、ジメチルトリメチルシリルメタン(DTMSM)およびbis-ジメチルシリルエタン(BDMSE)を含む。他の適切な前駆体の例は、たとえば、アルキルジシラザン、および場合によっては1つまたは複数のケイ素原子に別個に結合したアミノ(-NH2)基およびアルキル基を含む化合物を含む。アルキルジシラザンは、2つのケイ素原子に結合したシラザンおよびアルキル基を含む。例は、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(TMDSN)を含む。
【0210】
本明細書で記述するSi含有反応物では、異なる種類のR'がケイ素原子に付着できる。さらに、Si含有前駆体について本明細書で記述する。
【0211】
アミノシラン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の任意選択で置換されたアミノ基を含む可能性があり、それにより、限定しないアミノシランを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(NR”2xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアンであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0212】
別の実施形態では、前駆体は、(R”2N)x(R’)3-xSi-L-Si(R’)3-x(NR”2xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0213】
特定の実施形態では、Lは、-NR-などの任意選択で置換されたイミノであり、式中、Rは、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。他の実施形態では、Lは、-SiR2-などの任意選択で置換されたシリルであり、式中、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。
【0214】
一実例では、少なくとも1つのxは0ではない。別の実施形態では、xは0である可能性がある(たとえば、Lが炭素原子またはヘテロ原子を含む場合)。さらに別の実施形態では、xは0であり、および/またはLは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルを含む。
【0215】
特定の実施形態では、少なくとも1つのR’またはR”はHではない。前駆体は、1つまたは複数のケイ素原子に付着したR’基とアミノ基(NR”2)の任意の有用な組合せを有する可能性がある。
【0216】
いくつかの実施形態では、R’は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。
【0217】
他の実施形態では、R”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR’3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R'a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各R’は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシ、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0218】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着した少なくとも1つのR'基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)(H)3-xSi(NR”2xの式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、xは1、2、または3である。別の実施形態では、前駆体は、(R’)(H)2Si(NR”2)の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)(H)Si(NR”22の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、(R’)2(H)Si(NR”2)の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、(R’)2Si(NR”22の式を有し、式中、R'およびR''は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)3Si(NR”2)の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0219】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着した少なくとも1つのR'基を欠く可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(H)4-xSi(NR”2xの式を有し、式中、各R”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、xは1、2、3、または4である。別の実施形態では、前駆体は、Si(NR”2xの式を有し、式中、各R”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、各R”は独立に、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、またはヘテロ芳香族である。
【0220】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着した少なくとも1つの水素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(H)3Si(NR”2)または(H)2Si(NR”22または(H)Si(NR”23の式を有し、式中、各R”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、各R”は独立に、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0221】
ケイ素含有反応物は、窒素原子を有するヘテロシクリル基を含む可能性がある。一実施形態では、式は、H3Si-Hetの式を有し、式中、Hetは、少なくとも1つの窒素原子を含む任意選択で置換されたヘテロシクリルである。特定の実施形態では、前駆体は、
【化1】
の式を有し、式中、ヘテロシクリル基は、任意選択で(たとえば、アルキルに関する置換基として本明細書で記述する任意の置換基と)置換される可能性があり、式中、nは1、2、3、4、または5である。一実施形態では、式は、R’3Si-Hetの式を有し、式中、Hetは、少なくとも1つの窒素原子を含む任意選択で置換されたヘテロシクリルであり、各R’は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、前駆体は、
【化2】
の式を有し、式中、ヘテロシクリル基は、任意選択で(たとえば、アルキルに関する置換基として本明細書で記述する任意の置換基と)置換される可能性があり、各R’は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中nは1、2、3、4、または5である。
【0222】
いくつかの実例では、ケイ素含有反応物は、2つ以上のケイ素原子を有する可能性があり、ここで、前駆体は、Si-Si結合を含む可能性がある。特定の実施形態では、前駆体は、(R”2N)x(R’)3-xSi-Si(R’)3-x(NR”2xの式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)(R’)2Si-Si(R’)2(NR”2)の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)2(R’)Si-Si(R’)(NR”22の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)3Si-Si(R’)(NR”23の式を有し、式中各R''は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0223】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着した異なる基を含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R”2N)x(R’)3-xSi-SiH3の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0224】
リンカーは、2つのケイ素原子の間に存在する可能性がある。一実例では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)x(R’)3-xSi-NR-Si(R’)3-x(NR”2xの式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、Rは、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。別の実例では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)x(H)3-xSi-NR-Si(H)3-x(NR”2xの式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0225】
ケイ素含有反応物は、ヘテロ原子を有するリンカーとR’基の組合せを含む可能性がある。一実例では、ケイ素含有反応物は、(R’)3Si-NR-Si(R’)3の式を有し、式中、RおよびR'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実例では、前駆体は、(R’)3Si-L-Si(R’)3の式を有し、式中、LおよびR'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、Lは、オキシ(-O-)、任意選択で置換されたイミノ(たとえば、-NR-)、または任意選択で置換されたシリル(たとえば、-SiR2-)である。
【0226】
ケイ素含有反応物は、2つのケイ素原子と組み合わせて、R’基およびNR”2基の任意の有用な組合せを含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R”2N)(R’)2Si-L-Si(R’)2(NR”2xの式を有し、式中、L、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0227】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子および窒素原子を含む複素環基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、
【化3】
の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0228】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化4】
の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。さらに別の実施形態では、前駆体は、
【化5】
の式を有し、式各R”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0229】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化6】
の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化7】
の式を有し、式中、R”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0230】
本明細書の任意のケイ素含有反応物では、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0231】
ケイ素含有反応物は、たとえば、(RAk)Si(NH2)(NRAk 22、(RAk)Si(NRAk 23、(RAk2Si(NHRAk 22、(RAk)(H)Si(NHRAk2、(RAk3Si(NRAk 2)、(RAk3Si(NHRAk 2)、H2Si(NHRAk 22、(RAk)(H)Si(NRAk 22、HSi(NH2)(NRAk 22、HSi(NRAk 23、Si(NRAk 24、(R’)(H)Si(NR”22、(R’)2Si(NRAk 22、(R’)2Si(N[SiH322、(R’)2Si(N[SiR”322、または(R’)3Si(NHRAk)のいずれかを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、R'およびR''の各々は独立に、本明細書で記述するいずれか(たとえば、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニル)である可能性がある。他の実施形態では、各RAkは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。特定の実施形態では、RAkは、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、sec-ブチル(sBu)、イソブチル(iBu)、tert-ブチル(tBu)などである。
【0232】
ケイ素含有反応物の限定しない例は、メチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHMe])、ジメチルアミノジメチルシラン(SiMe2H[NMe2])、ジメチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NMe2])、ジメチルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NMe2])、ジメチルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NMe2])、エチルメチルアミノジメチルシラン(SiHMe2[NMeEt])、エチルメチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NMeEt])、エチルメチルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NMeEt])、エチルメチルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NMeEt])、ジエチルアミノメチルシラン(SiH2Me[NEt2])、ジエチルアミノエチルシラン(SiH2Et[NEt2])、エチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHEt])、ジエチルアミノジメチルシラン(SiHMe2[NEt2])、ジエチルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NEt2])、ジエチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NEt2])、ジエチルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NEt2])、イソプロピルアミノジメチルシラン(SiHMe2[NHiPr])、イソプロピルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHiPr])、イソプロピルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NHiPr])、イソプロピルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NHiPr])、ジイソプロピルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NiPr2])、ジイソプロピルアミノシラン(SiH3[NiPr2]、C617NSi、またはDIPAS)、ジイソプロピルアミノメチルシラン(SiH2Me[NiPr2])、ジイソプロピルアミノジメチルシラン(SiHMe2[NiPr2])、ジイソプロピルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NiPr2])、ジイソプロピルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NiPr2])、n-プロピルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHnPr])、ジ-sec-ブチルアミノシラン(SiH3[NsBu2]またはDSBAS)、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン(SiH2Me[NsBu2])、イソブチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHiBu])、n-ブチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHnBu])、tert-ブチルアミノジメチルシラン(SiHMe2[NHtBu])、tert-ブチルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHtBu],tert-ブチルアミノジエチルシラン(SiHEt2[NHtBu]))、tert-ブチルアミノトリエチルシラン(SiEt3[NHtBu])、ジシクロヘキシルアミノシラン(SiH3[NCy2]、式中、Cyはシクロヘキシルである)、N-プロピルイソプロピルアミノシラン(SiH3[NiPrnPr])、N-メチルシクロヘキシルアミノシラン(SiH3[NMeCy])、N-エチルシクロヘキシルアミノシラン(SiH3[NEtCy])、アリールフェニルアミノシラン(SiH3[NAllPh])、N-イソプロピルシクロヘキシルアミノシラン(SiH3[NiPrCy])、アリールシクロペンチルアミノシラン(SiH3[NAllCp])、フェニルシクロヘキシルアミノシラン(SiH3[NPhCy])、シクロヘキシルアミノトリメチルシラン(SiMe3[NHCy]、式中、Cyはシクロヘキシルである)、ピロリルトリメチルシラン(SiMe3[NHPy]、式中、Pyはピロリルである)、ピロリジノトリメチルシラン(SiMe3[NHPyr]、式中、Pyrはピロリジニルである)、ピペリジノトリメチルシラン(SiMe3[NHPip]、式中、Pipはピペリジニルである)、ピペラジノトリメチルシラン(SiMe3[NHPz]、式中、Pzはピペラジニルである)、イミダゾリルトリメチルシラン(SiMe3[NHIm]、式中、Imは、イミダゾリルである)、bis(ジメチルアミノ)シラン(SiH2[NMe22またはBDMAS)、bis(ジメチルアミノ)メチルシラン(SiMeH[NMe22)、bis(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NMe22またはBDMADMS)、bis(ジメチルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NMe22)、bis(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NMe22)、bis(エチルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NHEt]2)、bis(エチルメチルアミノ)シラン(SiH2[NMeEt]2)、bis(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NMeEt]2)、bis(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NMeEt]2)、bis(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NMeEt]2)、bis(ジエチルアミノ)シラン(SiH2[NEt22、C8222Si、またはBDEAS)、bis(ジエチルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NEt22)、bis(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NEt22)、bis(ジエチルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NEt22)、bis(イソプロピルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NHiPr]2)、bis(イソプロピルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NHiPr]2)、bis(イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NHiPr]2)、bis(ジイソプロピルアミノ)シラン(SiH2[NiPr22)、bis(ジイソプロピルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NiPr22)、bis(ジイソプロピルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NiPr22)、bis(ジイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NiPr22)、bis(メチルアミノ)シラン(SiH2[NHMe]2)、bis(sec-ブチルアミノ)シラン(SiH2[NHsBu]2)、bis(sec-ブチルアミノ)メチルシラン(SiHMe[NHsBu]2)、bis(sec-ブチルアミノ)エチルシラン(SiHEt[NHsBu]2)、bis(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH2[NHtBu]2またはBTBAS)、bis(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン(SiMe2[NHtBu]2)、bis(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン(SiMeVi[NHtBu]2)、bis(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン(SiEt2[NHtBu]2)、bis(1-イミダゾイル)ジメチルシラン(SiMe2[Im]2、式中、Imはイミダゾリルである)、tris(ジメチルアミノ)シラン(SiH[NMe23または3DMAS)、tris(ジメチルアミノ)フェニルシラン(SiPh[NMe23)、tris(ジメチルアミノ)メチルシラン(SiMe[NMe23)、tris(ジメチルアミノ)エチルシラン(SiEt[NMe23)、tris(エチルメチルアミノ)シラン(SiH[NEtMe]3)、tris(ジエチルアミノ)シラン(SiH[NEt23)、tris(イソプロピルアミノ)シラン(SiH[NHiPr]3、C9253Si、またはTIPAS)、tris(ジメチルアミノ)シリルアミド(Si[NMe23[NH2])、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(Si[NMe24)、テトラキス(エチルメチルアミノ)シラン(Si[NEtMe]4)、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン(Si{NEt24)、1,2-ジエチルテトラキス(ジエチルアミノ)ジシラン([Et2N]2EtSi-SiEt[NEt22)、1,2-ジメチルテトラキス(ジメチルアミノ)ジシラン([Me2N]2MeSi-SiMe[NMe22)、1,2-ジメチルテトラキス(ジエチルアミノ)ジシラン([Et2N]2MeSi-SiMe[NEt22)、ヘキサキス(メチルアミノ)ジシラン([MeHN]3Si-Si[NHMe]3)、ヘキサキス(エチルアミノ)ジシラン([EtHN]3Si-Si[NHEt]3)、ヘキサキス(ジメチルアミノ)ジシザラン(Me2N-Si[NMe22-Si[NMe22-NMe2)などのいずれかを含む。
【0233】
イソシアナトシラン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のイソシアナト基を含む可能性があり、それにより、限定しないイソシアナトシランを提供する。一実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’)4-xSi(NCO)xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
【0234】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’)zSi(NCO)x(NR”2yの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
yおよびzの各々は独立に0、1、2、または3であり、
x+y+z=4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0235】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(NCO)x(R’)3-xSi-L-Si(R’)3-x(NCO)xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
【0236】
いくつかの実施形態では、R’は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。
【0237】
他の実施形態では、R”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR’3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R’)a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各R'は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシリル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0238】
ケイ素含有反応物は、たとえば、(R’)Si(NCO)(NR”22、(R’)2Si(NCO)(NR”2)、(R’)2Si(NCO)(N[SiR32)またはテトライソシアナトシラン(Si[NCO]4)のいずれかを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、R’およびR”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある(たとえば、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニル)。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。
アジドシラン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のアジド基を含む可能性があり、それにより、限定しないアジドシランを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(N3xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’)zSi(N3x(NR”2yの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
yおよびzの各々は独立に0、1、2、または3であり、
x+y+z=4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0239】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(N3x(R’)3-xSi-L-Si(R’)3-x(N3xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
【0240】
いくつかの実施形態では、R’は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。
【0241】
他の実施形態では、R”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR' 3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R'a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各R'は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0242】
ケイ素含有反応物は、(R’)3Si(N3)、(R’)2Si(N32、(R’)Si(N33、またはSi(N3)(NR”23のうちいずれかを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、R’およびR”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある(たとえば、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニル)。前駆体の限定しない例はまた、tris(ジメチルアミノ)シリルアジド([Me2N]3SiN3)、ジ-tert-ブチルジアジドシラン(tBu2Si(N32)、エチルシリコントリアジド(EtSi(N33)などを含む。
【0243】
ヒドラジノシラン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の任意選択で置換されたヒドラジノ基を含む可能性があり、それにより、限定しないヒドラジノシランを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(NR”-NR”2xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
別の実施形態では、前駆体は、(NR”2-NR”)x(R’)3-xSi-L-Si(R’)3-x(NR”-NR”2xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0244】
さらに別の実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(NR”-L-NR”2xの式を有し、式中、xは1、2、3、または4であり、各L、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0245】
特定の実施形態では、Lは、-NR-などの任意選択で置換されたイミノであり、式中、Rは、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。他の実施形態では、Lは、-SiR2-などの任意選択で置換されたシリルであり、式中、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。さらに他の実施形態では、Lは、-NR-NR-であり、式中、Rは、本明細書で記述するいずれかである(たとえば、Rは、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である)。
【0246】
一実例では、少なくとも1つのxは0ではない。別の実施形態では、xは0である可能性がある(たとえば、Lが炭素原子またはヘテロ原子を含む場合)。さらに別の実施形態では、xは0であり、および/またはLは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルを含む。
【0247】
ケイ素含有反応物は、R’とヒドラジノ基の任意の有用な組合せを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)3Si(NR”-L-NR”2)または(R’)3Si(NR”-NR”2)の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0248】
ケイ素含有反応物は、複数のヒドラジノ基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)2Si(NR”-L-NR”22、(R’)2Si(NR”-NR”22、または(R’)2Si(NH-NHR”)2の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0249】
ケイ素含有反応物は、少なくとも2つのケイ素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(NR”2-NR”)(R’)2Si-Si(R’)2(NR”-NR”2)の式を有し、式中、各R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0250】
限定しないケイ素含有反応物は、bis(tert-ブチルヒドラジノ)ジエチルシラン(SiEt2[NH-NHtBu]2)、tris(ジメチルヒドラジノ)シラン(SiH[NH-NMe23)などを含む可能性がある。
【0251】
シロキサンおよびその誘導体
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、および/またはオキシ基を含む可能性があり、それにより、1つまたは複数のSi-O、O-Si-O、またはSi-O-Siの結合を有するシロキサンまたはその誘導体を提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(OR’”)xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’”O)x(R’)3-xSi-L-Si(R)3-x(OR’”)xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0252】
特定の実施形態では、Lは、-NR-などの任意選択で置換されたイミノであり、式中、Rは、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。他の実施形態では、Lは、-SiR2-などの任意選択で置換されたシリルであり、式中、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換された芳香族である。他の実施形態では、Lは-O-L’-O-であり、式中、L’は、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル(たとえば、-SiR2-)、任意選択で置換されたアルキレン(たとえば、-(CH2n、式中、nは1~6である)、任意選択で置換されたアリーレンなどである。さらに他の実施形態では、Lはオキシである。
【0253】
一実例では、少なくとも1つのxは0ではない。別の実施形態では、xは0である可能性がある(たとえば、Lが炭素原子またはヘテロ原子を含む場合)。さらに別の実施形態では、xは0であり、および/またはLは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、R'は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR))、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。
【0255】
他の実施形態では、R’”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R’”は、任意選択で置換されたシリル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R’”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR’3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R’)a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各R’は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0256】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着した少なくとも1つの水素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、H3Si(OR’”)、H2Si(OR’”)2、またはHSi(OR’”)3の式を有し、式中、各R’”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0257】
ケイ素含有反応物は、前駆体内部のR'基およびOR’”基の任意の組合せを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)3Si(OR’”)、(R’)2Si(OR’”)2、または(R’)Si(OR’”)3の式を有し、式中、R’およびR’”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。前駆体は、(RAk3Si(ORAk)、(RAk2Si(ORAk2、または(RAk)Si(ORAk3の式を有する前駆体の中など、アルキル基を含む可能性があり、式中、RAkは、任意選択で置換されたアルキルである。
【0258】
いくつかの実例では、ケイ素含有反応物は、2つ以上のケイ素原子を含む可能性があり、ここで、前駆体は、Si-Si結合を含む可能性がある。特定の実施形態では、前駆体は、(R’”O)x(R’)3-xSi-Si(R’)3-x(OR’”)xの式を有し、式中、R'およびR’”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’”O)(R’)2Si-Si(R'2(OR’”)の式を有し、式中、R’およびR’”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0259】
ケイ素含有反応物は、R’基とヘテロ原子を有するリンカーの組合せを含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’)3Si-O-Si(R’)3の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実例では、前駆体は、(R’)3Si-O-L’-O-Si(R’)3の式を有し、式中、L’およびR’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実例では、前駆体は、(R’)3Si-(OSiR’2z-R’の式を有し、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、zは1、2、3、4、または5以上である。別の実例では、前駆体は、(R’)4-xSi[(OSiR’2z-R’]xの式を有し、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、xは1、2、3、または4であり、zは1、2、3、4、または5以上である。
【0260】
ケイ素含有反応物は、2つのケイ素原子と組み合わせてR'基およびOR’”基の任意の有用な組合せを含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’”O)x(R’)3-xSi-O-Si(R’)3-x(OR’”)xの式を有し、式中、R'およびR’”は、本明細書で記述するいずれかである。別の実例では、前駆体は、(R’”O)x(R’)3-xSi-O-L’-O-Si(R’)3-x(OR’”)xの式を有し、式中、L、R'、およびR’”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0261】
限定しないケイ素含有反応物は、メトキシジメチルシラン(SiHMe2[OMe])、エトキシジメチルシラン(SiHMe2[OEt])、イソプロポキシジメチルシラン(SiHMe2[OiPr])、t-ブトキシジメチルシラン(SiHMe2[OtBu])、t-ペントキシジメチルシラン(SiHMe2[OtPe])、フェノキシジメチルシラン(SiHMe2[OPh])、アセトキシジメチルシラン(SiHMe2[OAc])、メトキシトリメチルシラン(SiMe3[OMe])、エトキシトリメチルシラン(SiMe3[OEt])、イソプロポキシトリメチルシラン(SiMe3[OiPr])、t-ブトキシトリメチルシラン(SiMe3[OtBu])、t-ペントキシトリメチルシラン(SiMe3[OtPe])、フェノキシトリメチルシラン(SiMe3[OPh])、アセトキシトリメチルシラン(SiMe3[OAc])、メトキシトリエチルシラン(SiEt3[OMe])、エトキシトリエチルシラン(SiEt3「OEt」)、イソプロポキシトリエチルシラン(SiEt3[OiPr])、t-ブトキシトリエチルシラン(SiEt3[OtBu])、t-ペントキシトリエチルシラン(SiEt3[OtPe])、フェノキシトリエチルシラン(SiEt3[OPh])、アセトキシトリエチルシラン(SiEt3「OAc」)、ジメトキシシラン(SiH2[OMe]2)、ジエトキシシラン(SiH2[OEt]2)、ジイソプロポキシシラン(SiH2[OPr]2)、ジ-tert-ブトキシシラン(SiH2[OtBu]2またはDTBOS)、ジ-tert-ペントキシシラン(SiH2[OtPe]2またはDTPOS)、ジアセトキシシラン(SiH2[OAc]2)、ジメトキシジメチルシラン(SiMe2[OMe]2)、ジエトキシジメチルシラン(SiMe2[OEt]2)、ジイソプロポキシジメチルシラン(SiMe2[OPr]2),ジ-tert-ブトキシジメチルシラン(SiMe2[OtBu]2)、ジアセトキシジメチルシラン(SiMe2[OAc]2)、ジメトキシジエチルシラン(SiEt2[OMe]2)、ジエトキシジエチルシラン(SiEt2[OEt]2)、ジイソプロポキシジエチルシラン(SiEt2[OiPr]2)、ジ-tert-ブトキシジエチルシラン(SiEt2[OtBu]2)、ジアセトキシジエチルシラン(SiEt2[OAc]2)、ジメトキシジフェニルシラン(SiPh2[OMe]2)、ジメトキシジイソプロピルシラン(Si[iPr]2[OMe]2)、ジエトキシジイソプロピルシラン(Si[iPr]2[OEt]2)、ジイソプロポキシジイソプロピルシラン(Si[iPr]2[OiPr]2)、ジ-tert-ブトキシジイソプロピルシラン(Si[iPr]2[OtBu]2)、ジアセトキシジイソプロピルシラン(Si[iPr]2[OAc]2)、ジメトキシメチルビニルシラン(SiMeVi[OMe]2)、ジエトキシメチルビニルシラン(SiMeVi[OEt]2)、ジイソプロポキシメチルビニルシラン(SiMeVi[OiPr]2)、ジ-tert-ブトキシメチルビニルシラン(SiMeVi[OtBu]2)、ジアセトキシメチルビニルシラン(SiMeVi[OAc]2)、トリエトキシシラン(SiH[OEt]3またはTES)、トリメトキシエチルシラン(SiMe[OMe]3)、トリエトキシメチルシラン(SiMe[OEt]3)、トリエトキシフェニルシラン(SiPh[OEt]3)、テトラメトキシシラン(Si[OMe]4)、テトラエトキシシラン(Si[OEt]4またはTEOS)、テトラ-n-プロポキシシラン(Si[OnPr]4)、テトライソプロポキシシラン(Si[OiPr]4)、テトラ-n-ブトキシシラン(Si[OnBu]4)、テトラ-t-ブトキシシラン(Si[OtBu]4)、テトラメチルジシロキサン(O[SiHMe22またはTMDO)、ヘキサメチルジシロキサン(O[SiMe32)、ヘキサエチルジシロキサン(O[SiEt32)、ヘキサプロピルジシロキサン(O[SiPr32)、ヘキサフェニルジシロキサン(O[SiPh32)、ヘキサメチルトリシロキサン(Me2SiH-O-SiMe2-O-SiHMe2)などを含む可能性がある。
酸素および窒素を含む混合シラン
【0262】
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の任意選択で脂肪族オキシ基または芳香族オキシ基と置換されたアミノ基を含む可能性があり、それにより、限定しない混合シランを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)zSi(OR’”)x(NR”2yの式を有し、式中、
xおよびyの各々は独立に1、2、3、または4であり、
zは0、1、または2であり、
x+y+z=4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
別の実施形態では、前駆体は、(R”2N)y(R’”O)x(R’)zSi-L-Si(R’)z(OR’”)x(NR”2yの式を有し、式中、
xおよびyの各々は1以上(たとえば、1または2)であり、
zは0または1であり、
x+y+z=3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0263】
R’、R”、およびR’”の限定しない例について、たとえばアミノシラン、シロキサン、またはそれらの誘導体などについて本明細書で記述する。
【0264】
ケイ素含有反応物は、R’基、NR”基、およびOR’”基の任意の組合せを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)Si(OR’”)2(NR”2)または(R’)2Si(OR’”)2(NR”2)の式を有し、式中、各R’、R”、およびR’”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。他の実施形態では、前駆体は、(R’)2Si(OR’”)(N[SiR32)の式を有し、式中、R’およびR’”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族である。
【0265】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子に付着したアミノおよびオキシ含有基だけを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、Si(OR’”)3(NR”2)、Si(OR’”)2(NR”22、またはSi(OR’”)(NR”23の式を有し、式中、R”およびR’”の各々は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0266】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、ジエトキシ(イソプロピルアミノ)シラン(SiH[NHiPr][OEt]2)、ジエトキシ(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHtBu][OEt]2)、ジエトキシ(tert-ペンチルアミノ)シラン(SiH[NHtPe][OEt]2)、ジ-tert-ブトキシ(メチルアミノ)シラン(SiH[NHMe][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(エチルアミノ)シラン(SiH[NHEt][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(イソプロピルアミノ)シラン(SiH[NHiPr][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(n-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHnBu][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(sec-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHsBu][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(イソブチルアミノ)シラン(SiH[NHiBu][OtBu]2)、ジ-tert-ブトキシ(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHtBu][OtBu]2)、ジ-tert-ペントキシ(メチルアミノ)シラン(SiH[NHMe][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(エチルアミノ)シラン(SiH[NHEt][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(イソプロピルアミノ)シラン(SiH[NHiPr][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(n-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHnBu][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(sec-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHsBu][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(イソブチルアミノ)シラン(SiH[NHiBu][OtPe]2)、ジ-tert-ペントキシ(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH[NHtBu][OtPe]2)、ジメトキシ(フェニルメチルアミノ)シラン(SiH[NPhMe][OMe]2)、ジエトキシ(フェニルメチルアミノ)シラン(SiH[NPhMe][OEt]2)、ジメトキシ(フェニルメチルアミノ)メチルシラン(SiMe[NPhMe][OMe]2)、ジエトキシ(フェニルメチルアミノ)メチルシラン(SiEt[NPhMe][OEt]2)などを含む可能性がある。
シリルアミン
【0267】
ケイ素含有反応物は、窒素原子に付着した1つまたは複数の任意選択で置換されたシリル基を含む可能性があり、それにより、限定しないシリルアミンを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN(SiR’3yの式を有し、式中、
yは1、2、または3であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R''は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’3Si)y(R”)2-yN-L-N(R”)2-y(SiR’3yの式を有し、式中、
各yは独立に0、1、または2であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、ここで、任意選択で、一緒に得られたN-L-Nは、多価のヘテロシクリル基を形成する。
【0268】
一実例では、少なくとも1つのyは0ではない。別の実施形態では、yは0である可能性がある(たとえば、Lが炭素原子またはヘテロ原子を含む場合)。さらに別の実施形態では、yは0であり、および/またはLは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ(たとえば、-NR-または-N(SiR3)-)、またはシリル(たとえば、-SiR2-)だけではなく、それらの組合せ(たとえば、-SiR2-NR-、-NR-SiR2-、-SiR2-NR-SiR2-など)を含む。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族である。
【0269】
いくつかの実施形態では、R'は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3または-SiR2-L-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2)b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。Lは、任意の有用なリンカー(たとえば、共有結合、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、オキシ、イミノ、シリルなど)である可能性がある。
【0270】
他の実施形態では、R”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR’3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R’)a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、各R'は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、式中、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0271】
ケイ素含有反応物は、窒素原子に付着した少なくとも1つのR”基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R”)N(SiR’32または(R”)2N(SiR’3)の式を有し、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、(R”)2N(SiH3)または(R”)N(SiH32の式を有し、式中、R”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、R’は、任意選択で置換されたアルキル、アミノ、またはアルコキシであり、R”は、任意選択で置換されたアルキルまたはアミノであり、任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、ヘテロシクリルを形成する。
【0272】
ケイ素含有反応物は、窒素原子に付着した少なくとも1つの水素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(H)N(SiR’32の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、(H)N(SiRAk 32の式を有し、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである可能性がある。
【0273】
ケイ素含有反応物は、窒素原子に付着した3つのケイ素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、N(SiR’33の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、N(SiH3)(SiR’32の式を有し、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、N(SiH3)(SiRAk 32の式を有し、RAkは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである可能性がある。
【0274】
ケイ素含有反応物は、前駆体がN-N結合を含む2つ以上の窒素原子を含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’3Si)2N-N(SiR’32の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0275】
リンカーは、窒素原子の間に存在する可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’3Si)(R”Si)(R)N-L-N(R”)(SiR’3)または(R’3Si)2N-L-N(SiR’32の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。いくつかの実施形態では、Lは、共有結合、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、-O-、-SiR2-、または-Si-である。特定の実施形態では、R”のうち少なくとも1つはHではない。別の実例では、前駆体は、(H3Si)(R”)N-L-N(R”)(SiH3)の式を有し、式中、R”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0276】
リンカーは、ケイ素原子を含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’3Si)2N-SiR’2-N(SiR’32の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実例では、前駆体は、(R’3Si)(R”)N-SiR’2-N(R”)(SiR’3)または(R’3Si)2N-SiR’2-N(R”)2の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0277】
リンカーは、SiH2基を含む可能性がある。一実例では、前駆体は、(R’3Si)2N-SiH2-N(SiR’32の式を有し、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実例では、前駆体は、(R’3Si)HN-SiH2-NH(SiR’3)または(R’3Si)2N-SiH2-N(R”)2の式を有し、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0278】
前駆体の内部に複数の窒素およびケイ素含有部分が存在してよい。一実施形態では、前駆体は、(R’3Si)(R”)N-SiR’2-N(R”)-SiR’2-N(R”)(SiR’3)の式を有し、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0279】
限定しない前駆体は、たとえば、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(NH[SiHMe22またはTMDS)、1,1,2,3,3-ペンタメチルジシラザン(NMe[SiHMe22)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(NH[SiMe32またはHMDS)、ヘプタメチルジシラザン(NMe[SiMe32)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-エチルジシラザン(NEt[SiMe32)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-イソプロピルジシラザン(NiPr[SiMe32)、1,1,1,3,3,3-ヘキサエチル-2-イソプロピルジシラザン(NiPr「SiEt32)、1,1,3,3-テトラメチル-2-イソプロピルジシラザン(NiPr[SiHMe22)、1,1,3,3-テトラエチル-2-イソプロピルジシラザン(NiPr[SiHEt22)、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン(NH[SiMe2Et]2)、1,1,3,3-テトラエチルジシラザン(NH[SiHEt22)、1,1,3,3-テトラエチル-2-メチルジシラザン(NMe[SiHEt22)、1,1,1,3,3,3-ヘキサエチルジシラザン(NH[SiEt32),1,1,1,3,3,3-ヘキサエチル-2-メチルジシラザン(NMe[SiEt32)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタエチルジシラザン(NEt[SiEt32)、1,2,3-トリメチルジシラザン(N[SiH2Me]3)、ノナメチルトリシラザン(N[SiMe33)ジイソプロピルシリルアミン(NiPr2[SiH3])、ジエチルシリルアミン(NEt2[SiH3])、ジイソプロピルシリルアミン(NiPr2[SiH3])、ジ-sec-ブチルシリルアミン(NsBu2[SiH3])、ジ-tert-ブチルシリルアミン(NtBu2[SiH3])、ジシリルメチルアミン(NMe[SiH32)、ジシリルエチルアミン(NEt[SiH32)、ジシリルイソプロピルアミン(NiPr[SiH32)、ジシリル-tert-ブチルアミン(NtBu[SiH32)、bis(トリメチルシリル)アミン(NH[SiMe32)、bis(トリエチルシリル)アミン(NH[SiEt32)などを含む可能性がある。
【0280】
シラザンおよびその誘導体
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のアミノ基、シリル基、および/またはイミノ基を含む可能性があり、それにより、1つまたは複数のSi-N、N-Si-N、Si-N-Si、N-Si-Si、またはN-Si-N-Siの結合を有するシランまたはその誘導体を提供する。一実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN(SiR’2-L-SiR’3yの式を有し、式中、
yは1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルだけではなくそれらの組合せなどのリンカーであり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0281】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”)3-yN(SiR’2-L-SiR' 2-NR”2yの式を有し、式中、yは1、2、または3であり、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0282】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”)3-yN(SiR’2-L-NR”2yの式を有し、式中、yは1、2、または3であり、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R’)4-xSi(NR”-L-SiR’3xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルだけではなくそれらの組合せなどのリンカーであり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0283】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”2N)-(SiR’2-L)z-SiR’3の式を有し、式中、zは1、2、または3であり、L、R’、およびR”の各々は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0284】
いくつかの実施形態では、Lは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ(たとえば、-NR-または-N(SiR3)-)、またはシリル(たとえば、-SiR2-)だけではなく、それらの組合せ(たとえば、-SiR2-NR-、-NR-SiR2-、-SiR2-NR-SiR2-など)を含む。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族である。
【0285】
いくつかの実施形態では、R'は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR)、脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族カルボニルオキシ(たとえば、アルカノイルオキシまたは-OC(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3または-SiR2-L-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。Lは、任意の有用なリンカー(たとえば、共有結合、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、オキシ、イミノ、シリルなど)である可能性がある。
【0286】
他の実施形態では、R”は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。いくつかの実施形態では、R”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)である。他の実施形態では、R”は、-SiR’3、-SiR3、-Si(R’)a(OR)b、-Si(R)a(OR)b、-Si(R’)a(NR2b、-Si(R)a(NR2b、-Si(R’)a(OR)b(NR2c、-Si(R)a(OR)b(NR2c、-O-SiR’3、-O-SiR3、-O-Si(R’)a(OR)b、-O-Si(R)a(OR)b、-O-Si(R'a(NR2b、-O-Si(R)a(NR2b、-O-Si(R’)a(OR)b(NR2c、または-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、式中、各R'は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は≧0であり、a+b+c=3または(cが存在しない場合)a+b=3である。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0287】
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のジシラニル基およびアミノ基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-SiR’3の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。他の実施形態では、前駆体は、R”2N-SiH2-SiH3の式を有し、式中、R”は、本明細書で記述するいずれかである。別の実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN-(SiR’2-SiR’3yの式を有し、式中、y、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN-(SiH2-SiH3yの式を有し、式中、yおよびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0288】
ケイ素含有反応物は、二価のジシラニル基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2 -SiR’2-L-NR”2の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-SiR’2-NR”2の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0289】
リンカーLは、2つのシリル基の間に存在する可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-L-SiR’3またはR”N-(SiR’2-L-SiR’32の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-L-SiR’2-NR”2の式を有し、式中、L、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN-(SiR’2-L-SiH3yの式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0290】
ケイ素含有反応物は、シリル基として-SiH3を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiH2-SiH3の式を有し、式中、R''は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、(R”)N-(SiH2-L-SiH32または(R”)2N-(SiH2-L-SiH3)の式を有し、式中、LおよびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0291】
ケイ素含有反応物は、たとえば-NR”-SiR' 3などのシリル置換アミノ基を含む可能性があり、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(NR”-SiR’3xまたは(R’)4-xSi(NH-SiR’3xの式を有し、式中、xは1、2、3、または4であり、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、H2Si(NR”-SiR’33の式を有し、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0292】
ケイ素含有反応物は、たとえば-N(SiR’32などのbis-トリシリルアミノ基を含む可能性があり、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-N(SiR’32の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、R”2N-SiH2-N(SiH32の式を有し、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、(R’3Si)2N-[SiR’2-N(SiR’3)]z(SiR’3)の式を有し、式中、zは0、1、2、または3であり、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0293】
ケイ素含有反応物は、ケイ素原子と窒素原子の間に配置されたリンカーLを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-L-NR”2の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0294】
ケイ素含有反応物は、2つの窒素原子の間に配置されたリンカーLを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R’3Si-SiR’2-NR”-L-NR”-SiR’2-SiR’3の式を有し、式中、L、R’、およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0295】
リンカーは、たとえば-N(SiR’3)-などのシリルイミノ基を含む可能性があり、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-[SiR’2-N(SiR’3)]z-SiR’3またはR”2N-[N(SiR’3)]z-SiR’3の式を有し、式中、zは1、2、3、または4以上であり、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0296】
リンカーは、シリル基もイミノ基も含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-[SiR’2-NR”]z-SiR’3の式を有し、式中、zは1、2、3、または4以上であり、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0297】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、ジイソプロピルアミノジシラン([iPr2N]-SiH2-SiH3)、ジ-sec-ブチルアミノジシラン([sBu2N]-SiH2-SiH3)、メチルシクロヘキシルアミノジシラン([MeCyN]-SiH2-SiH3)、メチルフェニルアミノジシラン([MePhN]-SiH2-SiH3)、ピペリジノジシラン、3,5-ジメチルピペリジノジシラン、ジイソプロピルアミノトリシリルアミン([iPr2N]-SiH2-N[SiH32)、ジエチルアミノトリシリルアミン([Et2N]-SiH2-N[SiH32)、イソプロピルアミノトリシリルアミン([iPrHN]-SiH2-N[SiH32)などを含む。
【0298】
ケイ素および酸素を含む混合アミン
ケイ素含有反応物は、シリル基と置換された1つまたは複数のアミノ基を含む可能性があり、それにより、限定しない混合アミンを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN[Si(OR’”)xR’3-xyの式を有し、式中、
xおよびyの各々は独立に1、2、または3であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成でき、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0299】
たとえばアミノシラン、シロキサン、シリルアミン、またはそれらの誘導体などのR’、R”、およびR’”の限定しない例について本明細書で記述する。
【0300】
ケイ素含有反応物は、R”基とケイ素含有基の任意の組合せを含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN[Si(ORAkxAk 3-xyまたは(RAk3-yN[Si(ORAkxAk 3-xyの式を有し、式中、R”、x、およびyは、本明細書で記述するいずれかであり、式中、RAkは、H、任意選択で置換された脂肪族または任意選択で置換されたヘテロ脂肪族である。特定の実施形態では、RAkは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたアルキニルである。他の実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN[Si(ORAkx3-xyまたは(R”)3-yN[Si(ORAk)H(RAk)]yの式を有し、式中、R”、RAk、x、およびyは、本明細書で記述するいずれかである。
【0301】
ケイ素含有反応物は、2つのケイ素含有基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R”)N[Si(ORAkxAk 3-x2または(RAk)N[Si(ORAkxAk 3-x2の式を有し、式中、R''、RAk、x、およびyは、本明細書で記述するいずれかである。特定の実施形態では、xは1または2である。
【0302】
ケイ素含有反応物は、窒素原子に付着した水素原子を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(H)3-yN[Si(ORAkxAk 3-xyまたは(H)3-yN[Si(ORAkx3-xyまたは(H)3-yN[Si(ORAk)H(RAk)]yの式を有し、式中、RAk、x、およびyは、本明細書で記述するいずれかである。特定の実施形態では、xは1または2である。
【0303】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、bis(ジメトキシシリル)アミン(NH[Si(OMe)2H]2)、bis(ジエトキシシリル)アミン(NH[Si(OEt)2H]2)、N-イソプロピルbis(ジエトキシシリル)アミン(NiPr[Si(OEt)2H]2)、bis(メトキシメチルシリル)アミン(NH[Si(OMe)MeH]2)、tris(ジメトキシシリル)アミン(N[Si(OMe)2H]3)、tris(メトキシメチルシリル)アミン(N[Si(OMe)MeH]3)、tris(ジエトキシシリル)アミン(N[Si(OEt)2H]3)、tris(トリメトキシシリル)アミン(N[Si(OMe)33)などを含む。
環状シラザン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の窒素原子を有する環状基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、[NR''-(SiR' 2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
nは1、2、または3であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR''を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、[NR”-(SiR’2n-L-(SiR’2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
各nは独立に1、2、または3であり、
Lは独立に、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルだけではなくそれらの組合せなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0304】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、[NR”-L-NR”-(SiR’2nzの式を有し、式中、zは1、2、3、4、5、または6以上であり、各nは独立に1、2、または3であり、式中、R'およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
さらに別の実施形態では、前駆体は、[L-(SiR’2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、および6以上であり、各nは独立に1、2、または3であり、Lは、イミノ(たとえば、-NR-)、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、またはそれらの組合せであり、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、Lがヘテロ原子を含まない場合、R’は、1つまたは複数のヘテロ原子(たとえば、窒素原子)を含む。
【0305】
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化8】
の式を有し、
【0306】
式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0307】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化9】
の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0308】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化10】
の式を有し、式中、R”およびR’”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。特定の実施形態では、各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0309】
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化11】
の式を有し、式中、R”は、ヘテロ原子(たとえば、任意選択で置換されたアミノ、アジド、イソシアナト、または任意選択で置換されたヒドラジノなどでの窒素原子)を含む可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0310】
いくつかの実施形態では、Lは、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキレン、任意選択で置換されたアルケニレン、任意選択で置換されたアルキニレン、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたヘテロアルキレン、任意選択で置換されたヘテロアルケニレン、任意選択で置換されたヘテロアルキニレン、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリーレン、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたヘテロアリーレン、オキシ(-O-)、イミノ(たとえば、-NR-または-N(SiR3)-)、またはシリル(たとえば、-SiR2-)だけではなくそれらの組合せ(たとえば、-SiR2-NR-、-NR-SiR2-、-SiR2-NR-SiR2-など)を含む。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族である。
【0311】
他の実施形態では、Lは、任意選択で置換されたアルキレンであり、少なくとも1つのR’は、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換された脂肪族オキシ、または任意選択で置換されたアルコキシを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、各R'は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたアリールである。他の実施形態では、各R’は独立に、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアルコキシである。
【0313】
他の実施形態では、各R”は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。
【0314】
限定しないケイ素含有反応物は、1,3,3-トリメチルシクロジシラザン([NH-SiMe2][NH-SiMeH])、ヘキサメチルシクロトリシラザン([NH-SiMe23)、オクタメチルシクロテトラシラザン([NH-SiMe24)などを含む。
環状シロキサン
ケイ素含有ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の酸素原子を有する環状基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、[L-(SiR’2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
nは1、2、または3であり、
Lは、酸素含有リンカー(たとえば、オキシまたはヘテロアルキレン)であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
一実施形態では、前駆体は、[O-L'-O-(SiR' 2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
nは1、2、または3であり、
各L’は独立に、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル(たとえば、-SiR2-)、任意選択で置換されたアルキレン(たとえば、-(CH2n-、式中、nは1~6である)、任意選択で置換されたアリーレンなどのリンカーであり、
式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである。
【0315】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、[O-(SiR’2n-L-(SiR’2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
各nは独立に1、2、または3であり、
各Lは独立に、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルだけではなくそれらの組合せなどのリンカーであり、
式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである。
【0316】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、[L-(SiR’)nzの式を有し、式中、
【0317】
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、各nは独立に1、2、または3であり、Lは、オキシ(たとえば、-O-)、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、またはそれらの組合せであり、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、Lがヘテロ原子を含まない場合、R’は、1つまたは複数のヘテロ原子(たとえば、酸素原子)を含む。
【0318】
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化12】
の式を有し、式中、R’は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0319】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化13】
の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0320】
さらに別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化14】
の式を有し、式中、R’”は独立に、本明細書で記述するいずれかである可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。特定の実施形態では、各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0321】
一実施形態では、ケイ素含有反応物は、
【化15】
の式を有し、式中、R'は、ヘテロ原子(たとえば、任意選択で置換された脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニル、任意選択で置換されたアルカノイル、任意選択で置換されたアルカノイルオキシなどでのような酸素原子)を含む可能性があり、式中、nは1、2、3、または4である。
【0322】
いくつかの実施形態では、各R’は独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたアリールである。他の実施形態では、R’は独立に、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアルコキシである。
【0323】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、テトラメチルシクロテトラシロキサン([OSiHMe]4またはTMCTS)、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン([OSiMe2OSiHMe]2またはHMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン([OSiMe24、C8244Si4、またはOMCTS)、デカメチルシクロペンタシロキサン([OSiMe25またはC10305Si5)、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン([OSiMe22[OSiMe(NMe2)])、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8,-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン([OSiMe23[OSiMe(NMe2)])などを含む。
【0324】
アミノシロキサンおよびその誘導体
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のアミノ置換を有するシロキサンまたはその誘導体を含む可能性があり、それにより、1つまたは複数のSi-O、O-Si-O、またはSi-O-Siの結合を有し1つまたは複数の-NR2置換を有するシロキサンまたはその誘導体を提供する。一実施形態では、前駆体は、(R”)3-yN[SiR’2-(OSiR’2z-R’]yの式を有し、式中、
yは1、2、または3であり、
zは1、2、3、または4以上であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、またはアミノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、または任意選択で、2つのR”を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。
【0325】
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R”)3-yN[(SiR’2-O)z-SiR’3yの式を有し、式中、R’、R”、y、およびzは、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0326】
ケイ素含有反応物は、任意選択で置換されたシリル基を伴う任意選択で置換されたアミノ基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-(OSiR’2z-R’またはR”2N-SiR’2-O-SiR’3の式を有し、式中、R’、R”、およびzは、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、R”2N(SiR’2-O)z-SiR’3の式を有し、式中、R’、R”、およびzは、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0327】
ケイ素含有反応物は、2つの任意選択で置換されたアミノ基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-(OSiR’2z-NR”2の式を有し、式中、R’、R”、およびzは、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【0328】
いくつかの実施形態では、R’は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。他の実施形態では、R''は、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。特定の実施形態では、zは1、2、または3である。
【0329】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、1-ジメチルアミノペンタメチルジシロキサン(Me2N-SiMe2-OSiMe3)、1-ジエチルアミノペンタメチルジシロキサン(Et2N-SiMe2-OSiMe3)、1-エチルメチルアミノペンタメチルジシロキサン(EtMeN-SiMe2-OSiMe3)、1,3-bis(ジメチルアミノ)テトラメチルジシロキサン(Me2N-SiMe2-OSiMe2-NMe2)、1-ジメチルアミノヘプタメチルトリシロキサン(Me2N-SiMe2-[OSiMe22-Me)、1,5-bis(ジメチルアミノ)ヘキサメチルトリシロキサン(Me2N-SiMe2-[OSiMe22-NMe2)などを含む可能性がある。
【0330】
アルキルシラノールまたはアルコキシシラノールを含むシラノール
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数のヒドロキシル基を含む可能性があり、それにより、限定しないシラノールを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(OH)xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R'は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
他の実施形態では、前駆体は、(R’)zSi(OH)x(OR’”)yの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
yおよびzの各々は独立に0、1、2、または3であり、
x+y+z=4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シリル、またはシリルオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0331】
ケイ素含有反応物は、1つのヒドロキシル基を有する可能性がある。一実施形態では、前駆体は、(R’)3Si(OH)の式を有し、式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、Si(OH)(OR’”)3の式を有し、式中、各R’”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。特定の実施形態では、R’”は、任意選択で置換されたアルキル(たとえば、Me、Et、nPr、iPr、sBu、またはtBu)であり、ここで、任意選択で置換されたアルキルは、直線、分岐、置換、または未置換である。
【0332】
限定しないケイ素含有反応物は、たとえば、トリ(t-ブトキシ)シラノール(SiOH[OtBu]3)、トリ(t-ペントキシ)シラノール(SiOH[OtPe]3)などを含む。
カルボニルオキシシラン
【0333】
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の任意選択で置換された脂肪族カルボニルオキシ基を含む可能性があり、それにより、限定しないカルボニルオキシシランを提供する。一実施形態では、前駆体は、(R’)4-xSi(OC(O)-R’”)xの式を有し、式中、
xは1、2、3、または4であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R’”は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、またはアミノオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
別の実施形態では、ケイ素含有反応物は、(R””-C(O)O)x(R’)3-xSi-L-Si(R'3-x(OC(O)-R””)xの式を有し、式中、
各xは独立に0、1、2、または3であり、
Lは、共有結合、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、オキシ(-O-)、イミノ、またはシリルなどのリンカーであり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよく、
各R””は独立に、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アミノ、またはアミノオキシであり、ここで、これらのいずれも任意選択で置換されてよい。
【0334】
いくつかの実施形態では、R’は、H、任意選択で置換されたアミノ(たとえば、-NR2)、脂肪族オキシ(たとえば、アルコキシまたは-OR),脂肪族カルボニル(たとえば、アルカノイルまたは-C(O)R)、脂肪族オキシカルボニル(たとえば、アルコキシカルボニルまたは-C(O)OR)、シリル(たとえば、-SiR3)、脂肪族オキシシリル(たとえば、アルコキシシリルまたは-Si(R)a(OR)b)、アミノシリル(たとえば、-Si(R)a(NR2b)、シリルオキシ(たとえば、-O-SiR3)、脂肪族オキシシリルオキシ(たとえば、アルコキシシリルオキシまたは-O-Si(R)a(OR)b)、アミノシリルオキシ(たとえば、-O-Si(R)a(NR2b)、芳香族(たとえば、アリール)、芳香族オキシ(たとえば、アリールオキシまたは-OR)、ヒドロキシル(-OH)、ホルミル(-C(O)H)などである。特定の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a≧0、b≧1であり、a+b=3である。いくつかの実施形態では、2つのR基を、それぞれ付着した窒素原子と一緒に得て、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成できる。他の実施形態では、各Rは独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。
【0335】
いくつかの実施形態では、R””は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアミノオキシである。
【0336】
限定しないケイ素含有反応物は、(R’)2Si(OC(O)-R””)2の式を有する反応物を含み、式中、R’およびR””は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
モリブデン含有前駆体
【0337】
一般に、モリブデン含有前駆体は、0~+6の範囲に及ぶ広範な酸化状態でモリブデンを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、低い酸化状態+3、+4、および、+5でモリブデンを伴うモリブデン化合物が好ましい。提供する方法は、ケイ素含有反応物がハロゲン捕捉を支援するので、ハロゲン含有モリブデン含有化合物からモリブデン含有材料を堆積させるのに特に有用であるが、ハロゲン非含有モリブデン含有前駆体も同様に使用できる。適切なモリブデン含有前駆体は、モリブデンが+2~+6の酸化状態のいずれかにあってよいフッ化物、硫化物、臭化物、オキシフッ化物、酸塩化物、オキシ臭化物などのモリブデンハロゲン化物およびオキシハロゲン化物を含む。適切なハロゲン非含有モリブデン含有前駆体の例は、bis(エチルベンゼン)モリブデンなどのハロゲン非含有有機金属モリブデン含有前駆体を含む。
【0338】
適切な揮発性を維持するために、本明細書で論じる多くの実施形態では、約400g/モル未満など、約450g/モル未満の分子量を有する前駆体を選択する。
【0339】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体は、式MoXnmであり、式中、Xはカルコゲン(たとえば、酸素または硫黄)であり、Yはハロゲン(たとえば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)であり、nは0、1、または2であり、mは2、3、4、5、または6である。ハロゲン含有モリブデン含有前駆体の例は、限定することなく、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、およびMoOCl4を含む。ハロゲン含有モリブデン含有前駆体の別の例は、MoF6である。
【0340】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体は、カルボニルリガンドを含む。カルボニル含有前駆体の例は、Mo(CO)6である。
ハロゲン化物含有ヘテロレプティックモリブデン化合物
【0341】
一様態では、ハロゲン化物含有ヘテロレプティックモリブデン化合物は、モリブデン金属を堆積させるためなど、モリブデン含有膜を堆積させるための前駆体として使用される。一実施形態では、前駆体は、モリブデンと、モリブデンとの結合を形成する少なくとも1つのハロゲン化物と、N、O、およびSの元素のいずれかを有する少なくとも1つの有機リガンドとを含む化合物であり、ここで、これらの元素のいずれかの原子は、モリブデンとの結合を形成する。窒素結合または酸素結合を提供する適切な有機リガンドの例は、アミジナート、アミダート、イミノピロリジナート、ジアザジエン、β-イミノアミド、α-イミノアルコキシド、β-アミノアルコキシド、β-ジケチミナート、β-ケトイミナート、β-ジケトナート、アミン、およびピラゾラートを含む。硫黄結合を提供する適切な有機リガンドの例は、チオエーテル、チオラート、ジチオレン、ジチオラート、およびα-イミノチオレンを含む。これらのリガンドは、置換されても置換されなくてもよい。いくつかの実施形態では、これらのリガンドは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシの置換基からなるグループから独立に選択された1つまたは複数の置換基を含む。有機リガンドは、中性または陰イオン(たとえば、1価陰イオンまたは2価陰イオン)である可能性があり、モリブデンは、+1、+2、+3、+4、+5、および+6など、さまざまな酸化状態にある可能性がある。
【0342】
代表的で適切なNおよび/またはO含有有機リガンド1~17の構造を図4に示し、代表的で適切なS含有有機リガンド18~26の例を図5に示し、図中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、およびシクロブチルエチルから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、独立に選択されたアルキルである。いくつかの実施形態では、イソプロピルおよびイソブチルなど、分岐したアルキル置換基を伴うリガンドは、そのようなリガンドが揮発性のモリブデン前駆体を提供するので好ましい。
【0343】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはアミンである。適切なアミンは、単座アミン(たとえば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン)、二座アミン(たとえ未置換のエチレンジアミンまたはN-アルキル置換エチレンジアミン)、およびより高座のアミン(たとえば、置換ジエチレントリアミンまたは未置換のジエチレントリアミン)を含む。単座アミンの例は、図1に示すアミン1であり、図中、少なくとも1つのRは、アルキルまたはフルオロアルキルであり、各Rは独立に、H,アルキル、およびフルオロアルキルからなるグループから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRはアルキルであり、各Rは独立に、Hおよびアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機リガンドは、1価陰イオンアミド16などのアミドであり、図中、少なくとも1つのRは、アルキルまたはフルオロアルキルであり、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機リガンドは、2価陰イオンイミド17などのイミドであり、図中、Rは、アルキルまたはフルオロアルキルである。一般に、イミド含有前駆体は、(モリブデン金属を含む)さまざまなモリブデン含有膜を堆積させるために使用できるが、いくつかの実施形態では、強力なモリブデン窒素結合を形成しその結果得られる膜の窒素供給源の役割を果たすので、窒化モリブデンおよび炭窒化モリブデンを堆積させるためにより好ましい。いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはアミジナートである。アミジナートの例は、図4に示すアミジナート2であり、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。アミジナート2は、2つのモリブデン窒素結合を形成できる1価陰イオンリガンドであり、二座リガンドの役割を果たす。
【0344】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはアミダートである。アミダートの例は、図2に示すアミダート3であり、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。アミダート3は、1つのモリブデン窒素結合および1つのモリブデン酸素結合を形成できる1価陰イオンリガンドであり、二座リガンドの役割を果たす。
【0345】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはジアザジエンである。ジアザジエンの例は、1,4-ジアザブタ-1,3-ジエン(DAD)5,6、および7であり、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。このリガンドの興味深い性質は、このリガンドが、中性形態5、1価陰イオンラジカル形態6、および2価陰イオン形態7で存在できることである。1価陰イオン(ラジカル)形態6の酸化還元活性に起因して、1価陰イオン(ラジカル)形態6は、堆積中に比較的容易に除去でき、DAD6の錯体を、モリブデン金属および高純度モリブデン金属を堆積させるのに特に有用にする。DADリガンド5、6、および7は、二座リガンドの役割を果たすことができ、それぞれ、2つのモリブデン窒素結合を形成する。いくつかの実施形態では、モリブデン前駆体は、有機リガンドとしてDADリガンド5、6、または7を含み、図中、各Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから独立に選択される。
【0346】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機前駆体は、イミノピロリジナート(イミノピロリジナート4など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、β-イミノアミド(β-イミドイミノアミド8など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、α-イミノアルコキシド(α-イミノアルコキシド9など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、β-ジケチミナート(β-ジケチミナート10など、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される)、β-ケトイミナート(β-ケトイミナート11など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、β-ジケトナート12(β-ジケトナート12、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、ピラゾラート(ピラゾラート13など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、β-アミノアルコキシド(β-アミノアルコキシド14、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)、またはグアジニダート15(グアジニダート15など、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)である。これらは、二座の様式でモリブデンに結合できる1価陰イオンリガンドである。
【0347】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機前駆体は、モリブデン硫黄結合を形成できる硫黄含有リガンドである。いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはチオエーテルである。「チオエーテル」という用語は、本明細書では単座チオエーテルと複座(たとえば、二座または三座)チオエーテルの両方だけではなく、チオエーテル部分とチオラート(または他の)部分の両方を含有するリガンドも含むように広く使用される。単座チオエーテルの例は、ジアルキルスルフィドR2Sであり、式中、各Rは,ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジイソブチルスルフィドなどのようなアルキルである。同じくチオラート部分を含む複座チオチオエーテルリガンドの例は、(SCH2CH2SCH2CH2S)2-である。単座チオエーテルの例は、図5に示すチオエーテル18であり、図中、各Rは、アルキルおよびフルオロアルキルからなるグループから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなるグループから独立に選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機リガンドは、1価陰イオンチオラート19などのチオラートであり、図中、Rは、アルキルまたはフルオロアルキルである。たとえば、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびt-ブチルである可能性がある。いくつかの実施形態では、チオラートは、2価陰イオンα-ジチオラート24(図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される)などのジチオラートまたは2価陰イオンβ-ジチオラート25(図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される)などのジチオラートである。ジチオラートは、モリブデンと2つのモリブデン硫黄結合を形成できる。
【0348】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはジチオレンである。ジチオレンの例は、構造20、21、および22であり、図中、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。(DADに類似する)このリガンドは、中性形態20、1価陰イオンラジカル形態21、および2価陰イオン形態22で存在できる。1価陰イオンラジカル形態21の酸化還元活性に起因して、1価陰イオンラジカル形態21は、モリブデン前駆体の堆積および還元中に比較的容易に除去でき、ジチオレン21の錯体を、モリブデン金属および高純度モリブデン金属を堆積させるのに特に有用にする。ジチオレンリガンド20、21、および22は、二座リガンドの役割を果たすことができ、それぞれ、2つのモリブデン硫黄結合を形成できる。いくつかの実施形態では、モリブデン前駆体は、有機リガンドとしてジチオレンリガンド20、21、および/または22を含み、図中、各Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから独立に選択される。
【0349】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドは、構造23などのα-イミノチオレンであり、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、炭素原子の所にある各R置換基は独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシの置換基から選択され、一方、窒素の所にあるR置換基は独立に、アルキルおよびフルオロアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、窒素の所にあるR置換基は独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから選択される。(DADおよびジチオレンに類似する)このリガンドは、構造23に示すように1価陰イオンラジカル形態を有し、酸化還元活性があり、還元処理中に容易に除去できる。
【0350】
いくつかの実施形態では、前駆体は、式Mo(X)m(L)nを有する化合物であり、式中、mは1~4からされ選択され、nは1~3から選択され、各Xは、F、Cl、Br、およびIから独立に選択されたハライドであり、各Lは、上記で記述するような有機リガンド、たとえば、アミジナート、アミダート、イミノピロリジナート、ジアザジエン、β-イミノアミド、α-アミノアルコキシド、β-アミノアルコキシド、β-ジケチミナート、β-ジケトイミナート、β-ジケトナート、アミン、ならびにピラゾラート、チオエーテル、チオラート、ジチオレン、ジチオラート、およびα-イミノチオレンから独立に選択されたリガンドである。いくつかの実施形態では、名前を挙げたリガンドで各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。
【0351】
いくつかの実施形態では、Lは二座リガンドである。二座リガンドを利用する式Mo(L)Cl4を含有する適切なモリブデン含有前駆体の例を図6に示す。これらのMo(V)化合物は、アミジナート、モリブデン錯体27,DAD錯体28、β-ジケチミナート錯体29,ピラゾラート錯体30、アミダート錯体31、β-イミノアミド錯体32、β-ケトイミナート錯体33、β-アミノアルコキシド錯体34、イミノピロリジナート錯体35、α-イミノアルコキシド錯体36、およびβ-ジケトナート錯体37を含む。
【0352】
モリブデンハロゲン化物および本明細書で記述する有機リガンドを伴うヘテロレプティック錯体は、中性または陰イオンの形態で有機リガンドを備える化合物とモリブデンハロゲン化物出発原料の反応を使用して合成できる。たとえば、モリブデン(V)前駆体は、出発原料としてMoCl5を使用して準備されてよい。Mo(III)前駆体は、出発原料としてMoX3(THF)3を使用して準備されてよく、式中、Xは、塩化物、臭化物、およびヨウ化物から選択され、THFは、テトラヒドロフランである。出発原料を中性または陰性の形態のリガンド(たとえば、リチウム塩またはナトリウム塩などの塩)で処置して、本明細書で記述するヘテロレプティック錯体を形成できる。
【0353】
モリブデンハロゲン化物結合および有機リガンドを含有するヘテロレプティックモリブデン化合物は有利には、本明細書で提供するCVDタイプおよびALDタイプの堆積法で高純度モリブデン金属を提供できる。さらに、これらの化合物の使用は、従来のホモレプティックモリブデンハロゲン化物と比較して、低下した基板材料エッチングと関連する可能性がある。これらの利点は、例示の目的で記述され、これらの化合物の使用をモリブデン金属堆積またはエッチングに影響されやすい基板上の堆積だけに限定するものではない。
【0354】
いくつかの実施形態では、フッ素に影響されやすい材料(たとえば、ケイ素含有材料)の上で堆積を行うとき、前駆体は、フッ素がないように、たとえば、錯体内のハロゲン化物としてCl、Br、およびIのいずれかを含むように選択される。さらに、フルオロアルキル置換基を伴う化合物の使用は、これらの実施形態で回避されることがある。
【0355】
硫黄含有モリブデン化合物
一様態では、硫黄含有モリブデン化合物は、モリブデン金属およびケイ化モリブデンを堆積させるためなど、モリブデン含有膜を堆積させるためのモリブデン含有前駆体として使用される。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン、およびモリブデン硫黄結合を提供する少なくとも1つの硫黄含有リガンドを含む。酸素、炭素、および窒素の不純物と比較して硫黄不純物は除去しやすいことに起因して、硫黄含有リガンドに基づくモリブデン前駆体を使用して、実質的に不純物のないモリブデン含有膜を堆積させることができる。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン炭素結合を含まない、および/またはモリブデン酸素二重結合を含まない。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン窒素二重結合を含まない。いくつかの実施形態では、提供するモリブデン前駆体では、モリブデンは、硫黄原子とだけ結合を形成する。
【0356】
硫黄結合を提供する適切な硫黄含有リガンドの例は、チオエーテル、チオラート、ジチオレン、ジチオラート、チオカルバメート、およびα-イミノチオレンを含む。リガンドは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシの置換基からなるグループから独立に選択された1つまたは複数の置換基を含む。リガンドは、中性または陰イオン(たとえば、1価陰イオンまたは2価陰イオン)である可能性があり、モリブデンは、0、+1、+2、+3、+4、+5、および+6など、さまざまな酸化状態にある可能性がある。
【0357】
いくつかの実施形態では、硫黄含有リガンドは、図5に示すリガンド18~25であり、図中、R置換基は、すでに記述したようなものである。適切なモリブデン前駆体の例は、モリブデンチオラートMo(SR)4を含み、式中、Rはアルキル、たとえば、メチル、エチル、プロピルである。特有の一例では、前駆体は、テトラキス(tert-ブチルチオラート)モリブデン(IV)、すなわちMo(SR)4であり、式中、Rはt-ブチルである。適切なモリブデン前駆体の別の例は、テトラキス(ジエチルジチオカルバメート)モリブデン(IV)
【化16】
などのモリブデンチオカルバメートであり、図中、各Rは、アルキル(たとえば、エチル、メチル、ブチル)およびフルオロアルキル(たとえば、CF3)から独立に選択される。特有の一例では、前駆体は、テトラキス(ジエチルジチオカルバメート)モリブデン(IV)である。
【0358】
いくつかの実施形態では、モリブデンのジチオレン錯体を提供し、ここで、ジチオレンは、中性形態20、陰イオンラジカル形態21、および2価陰イオン形態22のうちいずれかであってよく、図中、各Rは独立に、H、アルキル、またはフルオロアルキルである。
ジチオレン錯体は、酸化還元活性があり、さまざまな酸化状態にあるモリブデンを支援する。ジチオレンリガンド20、21、および22の酸化還元反応を式1に示す。
【化17】
【0359】
一実装形態では、前駆体は、Mo(21)3であり、21で各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。たとえば、Rは、メチル、エチル、CF3などであってよい。これは、排他的にモリブデン硫黄結合を含有するホモレプティックMo(III)化合物である。
【0360】
いくつかの実施形態では、リガンドは、硫黄結合に加えて窒素結合を提供してよい。そのようなリガンドの例は、チオレンの挙動に類似する挙動を示す可能性がある酸化還元活性ラジカル陰イオンリガンドであるα-イミノチオレン23である。いくつかの実施形態では、前駆体は、Mo(III)化合物Mo(23)3であり、図中、化合物23で各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。
【0361】
いくつかの実施形態では、前駆体は、MoLn化合物であり、式中、nは2~6であり、Lは、本明細書で記述する硫黄含有リガンドのいずれかなどの硫黄含有リガンドである。いくつかの実施形態では、各Lは、同じ硫黄含有リガンドである。他の実施形態では、前駆体は、異なる硫黄含有リガンドLを含んでよい。前駆体の例は、Mo(19)2、Mo(19)3、Mo(19)4、Mo(19)5、Mo(19)6、Mo(19)2(18)2、Mo(19)3(18)、Mo(19)4(18)2、Mo(21)3、Mo(20)(21)2、Mo(22)3、Mo(21)(22)2、Mo(20)(22)2、Mo(23)3、Mo(24)3、Mo(25)3を含む。本明細書で記述する硫黄含有モリブデン化合物は、中性または陰イオンの形態で有機硫黄含有リガンドを備える化合物とモリブデンハロゲン化物出発原料の反応を使用して合成できる。たとえば、モリブデン(V)前駆体は、出発原料としてMoCl5を使用して準備されてよい。Mo(III)またはMo(IV)前駆体は、出発原料として、対応するハロゲン化物またはMoX3(L)3もしくMoX4(L)2を使用して準備されてよく、式中、Xは、塩化物、臭化物、およびヨウ化物から選択され、Lは、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどの中性ルイス(Lewis)塩基である。出発原料を中性または陰性の形態の所望の硫黄含有リガンド(たとえば、リチウム塩またはナトリウム塩などの塩)で処置して、本明細書で記述する硫黄含有錯体を形成できる。
【0362】
一例では、リチウムチオラートとモリブデン四塩化物を反応させることによりMo(IV)チオラート錯体を準備する。たとえば、1,2-ジメトキシエタン溶液の中でMoCl4をt-BuSLiと反応させて、Mo(t-BuS)4化合物を形成できる。
【0363】
α-イミノチオレンリガンドは、ローソン試薬(Lawesson’s reagent)などの適切な試薬を使用して加硫により、対応するα-イミノケトンから準備できる。α-イミノチオレンのラジカル陰イオン形態は、引き続きリチウムなどのアルカリ金属と処置することにより準備できる。その結果得られるリガンドおよびリガンド塩は、モリブデンハロゲン化物と反応して、α-イミノチオレン含有モリブデン化合物を形成できる。
【0364】
モリブデン錯体はまた、モリブデンヘキサカルボニルなど、モリブデンがゼロ酸化状態にある化合物を使用して準備できる。出発原料は、チオエーテル(ジアルキルスルフィド)などの中性リガンドで処置して、酸化還元中性リガンド交換を誘発する可能がある。ゼロ価出発原料はまた、bis(ジエチルチオカルバモイル)ジスルフィドまたはbis(トリフルオロメチル)-1,2-ジチエトなどのリガンド前駆体で処置して、酸素付加を誘発し、本明細書で記述する硫黄含有錯体を形成できる。
【0365】
反応は、さまざまな非プロトン溶媒の中で行われてよい。たとえば、反応は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル溶媒の中で、トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタンなどの炭化水素溶媒の中で、またはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ジクロロメタン、クロロフォルムなどのようなハロカーボン溶媒の中で行われてよい。反応は、溶媒の沸点および生成物の溶解度に応じて広い温度範囲で行うことができる。いくつかの実施形態では、出発原料、反応中間体、および所望の生成物は、水分および酸素に対して不安定である。それに応じて、反応処理は、窒素またはアルゴンなどの保護性の不活性ガスを使用して、無水で空気のない条件を使用して行われるべきである。
【0366】
1,4-ジアザブタジエン(DAD)含有前駆体
別の様態では、DAD含有モリブデン含有前駆体を提供する。DADは、その中性形態5で、そのラジカル陰イオン形態6で、およびその2価陰イオン形態7で、モリブデンに結合できる。いくつかの実施形態では、式Mo(DAD)mのホモレプティックDAD錯体を提供し、式中、mは1~3であり、各DADは、中性DAD5、ラジカル陰イオンDAD6、および2価陰イオンDAD7から独立に選択される。これらの錯体でのモリブデンの酸化状態は、0~+6の範囲に及ぶ可能性がある。適切なホモレプティックDAD錯体の限定しない例は、トリスDAD Mo(III)前駆体Mo(6)3、bis-DAD Mo(IV)前駆体Mo(7)2、bis-DAD Mo(III)前駆体Mo(6)(7)、およびbis-DAD Mo(II)前駆体Mo(6)2を含む。
【0367】
いくつかの実施形態では、ホモレプティックDAD錯体は、必要とされる電子配置でモリブデンハロゲン化物とDADリガンド供給源の間の反応を使用して準備される。たとえば、トリスDAD Mo(III)前駆体Mo(6)3は,式2に示すように、THFなどの溶媒の中でリチウムなどのアルカリ金属と処置することによりDADリガンドから準備できるDADリガンドのラジカル陰イオン形態の3つの等価物とMoCl3を反応させることにより合成できる。
【化18】
【0368】
いくつかの実施形態では、ヘテロレプティックDAD含有モリブデン化合物を提供する。いくつかの実装形態では、前駆体は、モリブデン、モリブデンに結合した少なくとも1つのDADリガンド、および少なくとも1つの第2のリガンドを含み、ここで、DADは、中性DAD6、ラジカル陰イオンDAD7、または2価陰イオンDAD8であってよく、第2のリガンドは、陰イオンリガンドおよび中性リガンドから独立に選択される。いくつかの実施形態では、前駆体は、唯一の第2のリガンドとしてCOリガンドを含有しない。いくつかの実施形態では、前駆体は、Mo(DAD)m(L)n(X)pであり、式中、Lは中性ルイス塩基リガンドであり、各Lは、CO、アミン、ホスフィン、チオエーテル、ニトリル、およびイソニトリルから独立に選択され、Xは、陰イオンリガンドであり、各Xは、ハロゲン化物、アルキル、アリル、およびシクロペンタジエニルから独立に選択され、mは1~3であり、nは0~4であり、pは0~4である。ニトリルはRCN化合物であり、式中、Rはアルキルである。イソニトリルは、RNC化合物であり、式中、Rはアルキルである。他の適切な陰イオンリガンドは、アルコキシド、アミド、イミド、およびC、N、O、B、S、Si、Al、およびPから選ばれたドナー原子を含む任意の他の陰イオンリガンドを含む。
【0369】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体の例は、限定することなく、Mo(7)2(RCN)Cl、Mo(7)2(RNC)Cl、Mo(8)(CO)3、Mo(6)(13)Cl、Mo(6)(18)Cl2、Mo(6)2Cl、Mo(6)2(14)、Mo(6)2(19)、Mo(6)2(24)を含む。
【0370】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体は、1つのポットの中で、または多数のステップを使用して、順次の塩複分解反応により準備できる。Mo(V)、Mo(IV)、またはMo(III)のハロゲン化物などのモリブデンハロゲン化物出発原料は、DADリガンドまたは他の陰イオンリガンドの陰イオン形態で処置できる。中性ルイス塩基リガンドは、熱処理または光励起を使用して交換できる。
【0371】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体はまた、DADリガンドなどの酸化還元活性リガンドを用いて酸化的付加を受ける可能性がある、モリブデンヘキサカルボニルなどのゼロ価モリブデン出発原料を使用して準備できる。
【0372】
いくつかの実施形態では、ラジカル陰イオンDADリガンド8を含有する前駆体は、モリブデン金属および高純度モリブデン金属を堆積させるために特に好ましい。ラジカル陰イオン形態7では、DADリガンドは、空のモリブデンd軌道に電子的に連結し、モリブデンイオンをゼロ価筋の金属状態に還元する電子供給源の役割を果たすと考えられる。リガンドから金属への電子移動の後、揮発性の中性DADリガンド6は、モリブデン金属成長表面から離してパージできる。DADリガンドは、成長表面から影響を受けずに除去できるので、他の金属有機前駆体と比較してDA前駆体を使用するとき、CおよびNなどの不純物元素の取込みは低減される。したがって、ラジカル陰イオンDADリガンドを含有するモリブデン前駆体は、低温で高純度モリブデン金属を堆積させるために使用できる。
【0373】
ジモリブデン前駆体
別の様態では、モリブデン含有膜を堆積させるための前駆体は、モリブデンモリブデン結合(たとえば、二重結合または2~5の結合次数を有する任意の多重結合など、多数のモリブデンモリブデン結合)を含有するジモリブデン化合物である。そのような前駆体は、そのような化合物を多くの単核モリブデン化合物よりも金属モリブデンに還元するのが容易であるので、モリブデン金属および高純度モリブデン金属を堆積させるために特に有用である。
【0374】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有膜を堆積させるための前駆体を提供し、前駆体は、Mo2nであり、式中、各Lは、アミダート、アミジナート、およびグアニジナートのリガンドから独立に選択され、nは2~5であり、ここで、前駆体は、多数のモリブデンモリブデン結合を含む。いくつかの実施形態では、各Lは、アミジナートリガンド2、アミダートリガンド3、およびグアニジナートリガンド15から独立に選択され、図中、アミジナート、アミダート、およびグアニジナートの中の各Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシの置換基から独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各Lはアミジナートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。いくつかの実施形態では、各Lはアミジナートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。いくつかの実施形態では、各Lはグアニジナートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。これらの錯体では、モリブデンは、(Mo2(L)3では)低い酸化状態の+2および(Mo2(L)4では)+3を有し、これらの錯体をモリブデン金属に容易に還元するのに特に適するようにする。
4重モリブデンモリブデン結合を有するアミダートパドルホイールジMo(II)前駆体の1つの代表的な構造を構造38により示す。
【化19】
【0375】
いくつかの実施形態では、RおよびR'の各々は、メチル、エチル、イソプロピル、およびt-ブチルなどのアルキルから独立に選択される。いくつかの実施形態では、38で1つ、2つ、3つ、または4つのアミダートリガンドは、アミジナートリガンドまたはグアニジニダート(guanidinidate)リガンドにより置換されてよい。
本明細書で記述するジモリブデン前駆体は、リチウムアミダートなどのリガンド塩を用いる処置により、出発原料としてモリブデンテトラアセテートを使用して合成できる。
【0376】
コバルト前駆体
コバルト金属は、さまざまなコバルト前駆体を使用して堆積させることができ、ここで、コバルトは、+1、+2、または+3の酸化状態にあってよい。コバルト前駆体の例は、コバルトアセテート、コバルトアセチルアセトネート(たとえば、コバルト(III)bis(アセチルアセトネート))、コバルトアミジナート(たとえば、bis(N-t-ブチル-N’-エチルプロパンイミドアミダート)コバルト(II))、コバルトセン、およびコバルト含有カルボニル前駆体(たとえば、コバルトトリカルボニルニトロシルおよびシクロペンタジエチルコバルトジカルボニル)を含む。ハロゲン含有コバルト前駆体の例は、CoCl2(TMEDA)であり、式中、TMEDAは、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンである。
【0377】
ルテニウム前駆体
ルテニウム金属は、たとえば、bis(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、bis(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ルテノセン、およびシクロペンタジエニルプロピルシクロペンタジエニルルテニウム(II)などの気化可能なルテニウム前駆体を使用して堆積させることができる。
【0378】
タングステン前駆体
タングステンは、さまざまな揮発性前駆体を使用して堆積させることができる。いくつかの実施形態では、WHalxなどのハロゲン含有タングステン前駆体を使用し、式中、Halは、ハロゲン(たとえば、F、Cl、Br、および/またはI)であり、xは2~6である。いくつかの実施形態では、塩化タングステンを使用する。塩化タングステンは、五塩化タングステン(WCl5)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化タングステン(WCl4)、二塩化タングステン(WCl2)、およびそれらの混合物を含む。他の例では、六フッ化タングステンなどのフッ化タングステンを使用してよい。
【0379】
還元剤
本明細書で提供するモリブデン含有膜または他の金属含有膜を堆積させるために、いくつかの還元剤を使用できる。いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体をモリブデン金属に、または他の金属前駆体を金属に、ゼロ酸化状態で還元することができるように還元剤を選択する。いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体(または他の金属前駆体)の部分的還元は、ケイ素含有反応物により行われてよく、還元剤は、部分的に還元されたモリブデン含有前駆体をモリブデン金属に(または他の金属前駆体を金属に)還元するように機能する。たとえば、ケイ素含有反応物は、MoCl5などのMo(V)前駆体をMoCl4またはMoCl3などのMo(IV)またはMo(III)の状態に還元してよい。還元剤は、次いでこれらの部分的に還元された前駆体をさらにモリブデン金属に還元する。モリブデン金属を形成するための適切な反応物の例は、水素(H2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N24)、アミン、ジボラン(B26)、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、アルコール、硫化水素(H2S)、チオール、およびそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、還元剤は水素である。還元剤がケイ素含有化合物(たとえば、シラン)であるとき、ケイ素含有反応物は、表面修正のために依然として用いることができることが留意される。たとえば、堆積処理は、ある期間(たとえば、少なくとも10秒または少なくとも15秒)基板をケイ素含有反応物に曝露するステップを伴い、曝露された金属層および曝露された誘電体層を含有する基板の表面を修正し、次にケイ素含有還元剤およびモリブデン含有前駆体への曝露が続いてよい。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物およびケイ素含有還元剤は異なる。
【0380】
装置
本明細書で記述する堆積法は、さまざまな装置で行うことができる。適切な装置は、処理チャンバであって、反応物を導入するための1つまたは複数の注入口と、堆積中に基板を所定の位置に保持するように構成された、処理チャンバ内の基板ホルダと、任意選択で処理ガスの中でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生機構とを有する処理チャンバを含む。装置は、本明細書で記述する方法のステップのいずれかを遂行させるように構成されたプログラム命令を有するコントローラを含んでよい。本明細書で記述する堆積法は、Altus(登録商標)、Vector(登録商標)、およびStriker(登録商標)のツールなど、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corp.から入手可能な対応するALDおよびCVDの装置で行われてよい。
【0381】
たとえば、いくつかの実施形態では、装置は、本明細書で記述する処理シーケンスのいずれかで、約100℃~約500℃の間の温度で半導体基板をケイ素含有反応物、モリブデン含有前駆体、および還元剤に曝露させて、モリブデン金属および/またはケイ化モリブデンを堆積させるための命令を含むプログラム命令を有するコントローラを含む。コントローラは、本明細書で記述する方法のいずれかをもたらすためのプログラム命令を含んでよい。
【0382】
提供する方法を使用してモリブデン含有膜を堆積させるのに適した堆積装置の例を図7に示す。図7は、いずれもプラズマで強化されてよい原子層堆積(ALD)および/または化学蒸着法(CVD)を使用して材料を堆積させるために使用されてよい処理ステーション700の実施形態を概略的に示す。わかりやすくするために、処理ステーション700は、低圧環境を維持するための処理チャンバ本体702を有する単独型処理ステーションとして描かれている。しかしながら、共通の処理ツール環境の中に複数の処理ステーション700が含まれてよいことを認識されよう。さらに、いくつかの実施形態では、以下で詳細に論じるハードウェアパラメータを含む、処理ステーション700の1つまたは複数のハードウェアパラメータは、1つまたは複数のシステムコントローラによりプログラムで調節されてよいことを認識されよう。
【0383】
処理ステーション700は、分散シャワーヘッド706に処理ガスを配送するための反応物配送システム701と流体で通じている。反応物配送システム701は、シャワーヘッド706に配送するために処理ガスを混ぜ合わせるおよび/または条件づけるための混合容器704を含む。1つまたは複数の混合容器注入口弁720は、ガス混合容器704への処理ガス導入を制御してよい。同様に、シャワーヘッド注入口弁705は、シャワーヘッド706への処理ガス導入を制御してよい。
【0384】
いくつかのモリブデン含有前駆体は、気化前、および処理ステーションに配送後、個体または液体の形態で貯蔵されてよい。たとえば、図7の実施形態は、混合容器704に供給する個体反応物を気化させるための気化地点703を含む。いくつかの実施形態では、気化地点703は、加熱気化器であってよい。いくつかの実施形態では、不活性ガスの流れは、大気中より低い圧力下で、加熱された個体モリブデン前駆体の上を通り、または加熱された個体モリブデン前駆体を通って泡立ち、前駆体の蒸気を処理チャンバに運ぶ。そのような気化器から作り出された前駆体の蒸気は、下流の配送配管の中で濃縮する。濃縮した反応物に不適合なガスを曝露することにより、小さな粒子が生成されることがある。これらの小さな粒子は、配管を詰まらせ、弁動作を妨害し、基板を汚染させるなどすることがある。これらの問題に対処するいくつかの取り組み方法は、残存する反応物を除去するために配送配管を掃除する、および/または空にするステップを伴う。しかしながら、配送配管を掃除することにより、処理ステーションサイクル時間が増大し、処理ステーションの効率を低下させる。このように、いくつかの実施形態では、気化地点703の下流にある配送配管は、ヒートトレースされてよい。いくつかの例では、混合容器704もまた、ヒートトレースされてよい。限定しない一例では、気化地点703の下流にある配管は、混合容器704の所でおよそ100℃からおよそ200℃に及ぶ増大する温度プロファイルを有する。
【0385】
シャワーヘッド706は、基板712に向けて処理ガスを分散させる。図7に示す実施形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下方に配置され、台座708の上に載って示されている。シャワーヘッド706は、任意の適切な形状を有してよく、基板712に処理ガスを分散させるための、任意の適切な数および配列のポートを有してよいことを認識されよう。明示的に示さないが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706は、少なくとも2つのタイプの導管を含む二重プレナムシャワーヘッドであり、ここで、第1のタイプの導管は、モリブデン含有前駆体蒸気の配送専用であり、第2のタイプの導管は、第2の(他の)反応物の配送専用である。これらの実施形態では、モリブデン含有前駆体および反応物は、処理チャンバに入る前に導管の中で混合されるようにならず、連続してチャンバに配送される場合、導管を共用しない。
【0386】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706の下方に微小体積707が配置される。処理ステーションの体積全体ではなくむしろ微小体積の中でALDおよび/またはCVDの処理を遂行することにより、反応物の曝露時間および掃除時間を低減することがあり、処理条件(たとえば、圧力、温度など)を変えるための時間を低減することがあり、処理ガスへの処理ステーションロボットの曝露を制限することがあるなどである。微小体積サイズの例は、0.1リットル~2リットルの間の体積を含むがそれに限定されない。この微小体積はまた、生産性効率に影響を及ぼす。サイクルあたりの堆積速度は低下するが、サイクル時間もまた同時に低減する。ある種の事例では、サイクル時間低減の影響は、膜の所与の目標厚さに関してモジュールの全体的効率を改善するのに十分劇的である。
【0387】
いくつかの実施形態では、台座708を上下して、基板712を微小体積707に曝露してよい、および/または微小体積707の体積を変えてよい。たとえば、基板転送段階では、台座708を下げて、基板712が台座708の上に配置されることができるようにしてよい。堆積処理段階の間、台座708を上げて、微小体積707の内部に基板712を位置決めしてよい。いくつかの実施形態では、微小体積707は、基板712だけではなく台座708の一部分も完全に取り囲んで、堆積処理程中に高い流れインピーダンスの領域を生成してよい。
【0388】
任意選択で、台座708を堆積処理の一部分の間に下げて、および/または上げて、処理圧力、微小体積707内部の反応物濃度などを調整してよい。処理チャンバ本体が堆積処理中に基本圧力のままでいる一シナリオでは、台座708を下げることにより、微小体積707を空にすることができるできるようになってよい。処理チャンバ体積に対する微小体積の比の例は、1:700~1:10の間の体積比を含むがそれに限定されない。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラによりプログラムで調整されてよいことを認識されよう。
【0389】
本明細書で記述する微小体積変動の例は、高さ調節可能台座を指すが、いくつかの実施形態では、台座708に対してシャワーヘッド706の位置を調節して、微小体積707の体積を変えてよいことを認識されよう。さらに、本開示の範囲に入る任意の適切な機構により、台座708および/またはシャワーヘッド706の垂直位置を変えてよいことを認識されよう。いくつかの実施形態では、台座708は、基板712の配向を回転させるための回転軸を含んでよい。いくつかの実施形態では、これらの調節例の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラによりプログラムで調節されてよいことを認識されよう。
【0390】
図7に示す実施形態に戻ると、シャワーヘッド706および台座708は、RF電源714、およびプラズマに電力を供給するための整合ネットワーク716と電気的に通信する。他の実施形態では、提供する方法を使用してモリブデン含有膜を堆積させるためにプラズマ発生器なしの装置を使用する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、処理ステーション圧力、ガス濃度、無線周波数(radio frequency、RF)電源、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つまたは複数を制御することにより制御されてよい。たとえば、RF電源714および整合ネットワーク716を任意の適切な電力で動作させて、所望のラジカル種組成を有するプラズマを形成してよい。同様に、RF電源714は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してよい。いくつかの実施形態では、RF電源714は、互いに独立に高周波RF電源および低周波RF電源を制御するように構成されてよい。低周波RF周波数の例は、50kHz~700kHzの間の周波数を含んでよいがそれに限定されない。高周波RF周波数の例は、1.8MHz~2.45GHzの間の周波数を含んでよいがそれに限定されない。任意の適切なパラメータを離散的または連続的に調整して、表面反応のためのプラズマエネルギーを提供してよいことを認識されよう。限定しない一例では、プラズマ電力を間欠的にパルス化して、連続的に電力供給されるプラズマに対して基板表面とのイオン衝撃を低減してよい。
【0391】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタにより本来の場所で監視されてよい。一シナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧電流センサ(たとえば、VIプローブ)により監視されてよい。別のシナリオでは、プラズマ密度および/または処理ガス濃度は、1つまたは複数の発光分光法センサ(optical emission spectroscopy sensor、OES)により測定されてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのような本来の場所でのモニタによる測定に基づきプログラムで調節されてよい。たとえば、プログラムによるプラズマ電力制御を提供するために、フィードバックループの中でOESセンサを使用してよい。いくつかの実施形態では、他のモニタを使用して、プラズマおよび他の処理の特性を監視してよいことを認識されよう。そのようなモニタは、赤外線(infrared、IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器を含んでよいがそれらに限定されない。
【0392】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入力/出力制御(input/output control、IOC)順序付け命令を介して制御されてよい。一例では、プラズマ処理段階に関するプラズマ条件を設定するための命令は、堆積処理レシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含まれてよい。場合によっては、処理レシピ段階は順次に配列され、その結果、堆積処理段階用のすべての命令は、その処理段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマ処理段階に先行するレシピ段階に含まれてよい。たとえば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応物ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、および第1のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでよい。それに続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な方法でさらに細分および/または反復されてよいことを認識されよう。
【0393】
いくつかの実施形態では、ヒータ710を介して台座708を温度制御してよい。さらに、いくつかの実施形態では、ちょう形弁718により、堆積処理ステーション700のための圧力制御を提供してよい。図7の実施形態で示すように、ちょう形弁718は、下流の真空ポンプ(図示せず)により提供される真空の流れを止める。しかしながら、いくつかの実施形態では、処理ステーション700の圧力制御はまた、処理ステーション700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変えることにより調節されてよい。
【0394】
図8は、いずれかまたは両方が遠隔プラズマ供給源を備えてよい内向きロードロック802および外向きロードロック804を伴うマルチステーション処理ツール800の実施形態の概略図を示す。そのようなツールは、本明細書で提供する方法を使用して基板を処理するために使用されてよい。ロボット806は、大気圧で大気ポート810を介してポッド808を通してロードされたカセットから内向きロードロック802の中にウエハを動かすように構成される。ウエハは、ロボット806により内向きロードロック802内の台座812の上に置かれ、大気ポート810は閉じられ、ロードロックは、ポンプで下方に操作される。内向きロードロック802が遠隔プラズマ供給源を備える場合、ウエハは、処理チャンバ814の中に導入される前に、ロードロックの中で遠隔プラズマ処置に曝露されてよい。さらに、ウエハはまた、たとえば水分および所望のガスを除去するために同様に内向きロードロック802の中で加熱されてよい。次に、処理チャンバ814に至るチャンバ移送ポート816が開き、別のロボット(図示せず)は反応器の中で、処理するために反応器の中に示す第1のステーションの台座の上にウエハを置く。図8に描く実施形態は、ロードロックを含むが、いくつかの実施形態では、処理ステーションの中にウエハを直接入力することが提供されてよいことを認識されよう。
【0395】
描かれている処理チャンバ814は、図8に示す実施形態で1~4の番号を付けた4つの処理ステーションを備える。各ステーションは、加熱された台座(ステーション1について818で示す)およびガス管注入口を有する。いくつかの実施形態では、各処理ステーションは、異なる目的または多数の目的を有してよいことを認識されよう。描く処理ステーション814は、4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してよいことを理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してよく、一方、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してよい。
【0396】
図8はまた、処理チャンバ814の内部でウエハを移送するためのウエハ取扱システム890の実施形態を描く。いくつかの実施形態では、ウエハ取扱システム890は、さまざまな処理ステーション間で、および/または処理ステーションとロードロックの間で、ウエハを移送してよい。任意の適切な基板取扱システムを用いてよいことを認識されよう。限定しない例は、ウエハカルーセルおよびウエハ取扱ロボットを含む。図8はまた、処理ツール800の処理条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ850の実施形態を描く。システムコントローラ850は、1つまたは複数のメモリ機器856、1つまたは複数の大容量記憶装置854、および1つまたは複数のプロセッサ852を含んでよい。プロセッサ852は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入力/出力接続、ステップモータ・コントローラ・ボードなど含んでよい。
【0397】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850は、処理ツール800の活動のすべてを制御する。システムコントローラ850は、大容量記憶装置854に記憶されメモリ機器856の中にロードされプロセッサ82により実行されるシステム制御ソフトウェア858を実行する。システム制御ソフトウェア858は、タイミング、ガスの混合、チャンバおよび/またはステーションの圧力、チャンバおよび/またはステーションの温度、パージの条件およびタイミング、ウエハ温度、RF電力レベル、RF周波数、基板、台座、チャック、および/またはサセプタの位置、ならびに処理ツール800が遂行する特定の処理の他のパラメータを制御するための命令を含んでよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切な方法で構成されてよい。たとえば、開示する方法に従ってさまざまな処理ツールの処理を行うために必要な処理ツール構成要素の動作を制御するために、さまざまな処理ツール構成要素のサブルーチンまたは制御オブジェクトを書いてよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコードされてよい。
【0398】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア858は、上記で記述するさまざまなパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)順序付け命令を含んでよい。たとえば、ALD処理の各段階は、システムコントローラ850により実行するための1つまたは複数の命令を含んでよい。ALD処理段階に関する処理条件を設定するための命令は、対応するALDレシピ段階に含まれてよい。いくつかの実施形態では、ALDレシピ段階は順次配列され、その結果、ALD処理段階用のすべての命令は、その処理段階と同時発生的に実行される。
【0399】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連する大容量記憶装置854および/またはメモリ機器856に記憶された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムを用いてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例は、基板位置決めプログラム、処理ガス制御プログラム、圧力制御プロフラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムを含む。
【0400】
基板位置決めプログラムは、基板を台座818の上にロードして、基板と処理ツール800の他の部分との間の間隔を制御するために使用する処理ツール構成要素を制御するためのプログラムコードを含んでよい。
【0401】
処理ガス制御プログラムは、ガスの組成および流量を制御するためのコード、および任意選択で、処理ステーション内の圧力を安定化するために、堆積前に1つまたは複数の処理ステーションの中にガスを流すためのコードを含んでよい。処理ガス制御プログラムは、開示する範囲のいずれかの範囲内のガスの組成および流量を制御するためのコードを含んでよい。圧力制御プログラムは、たとえば処理ステーションの排気システム内の絞り弁、処理ステーションの中へのガスの流れなどを調整することにより処理ステーション内の圧力を制御するためのコードを含んでよい。圧力制御プログラムは、開示する圧力範囲のいずれかの範囲内で処理ステーション内の圧力を維持するためのコードを含んでよい。
【0402】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用する加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでよい。代わりに、ヒータ制御プログラムは、(ヘリウムなどの)伝熱ガスを基板に配送することを制御してよい。ヒータ制御プログラムは、開示する圧力範囲のいずれかの範囲内で基板の温度を維持するための命令を含んでよい。
【0403】
プラズマ制御プログラムは、たとえば本明細書で開示するRF電力レベルのいずれかを使用して、1つまたは複数の処理ステーション内の処理電極に加えるRF電力レベルおよびRF周波数を設定するためのコードを含んでよい。プラズマ制御プログラムはまた、各プラズマ曝露の継続期間を制御するためのコードを含んでよい。
【0404】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連するユーザインタフェースが存在してよい。ユーザインタフェースは、表示画面、装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェア表示、ならびにポインティング機器、キーボード、タッチ画面、マイクロホンなどのようなユーザ入力機器を含んでよい。
【0405】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850が調節するパラメータは、処理条件に関係があってよい。限定しない例は、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベル、RF周波数、RF曝露時間など)などを含む。これらのパラメータは、ユーザインタフェースを利用して入力されてよいレシピの形でユーザに提供されてよい。
【0406】
処理を監視するための信号は、システムコントローラ850のアナログおよび/またはデジタルの入力接続によりさまざまな処理ツールセンサから提供されてよい。処理を制御するための信号を処理ツール800のアナログおよびデジタルの出力接続に出力してよい。監視されてよい処理ツールセンサの限定しない例は、質量流コントローラ、(圧力計などの)圧力センサ、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサから得られるデータと共に使用して、処理条件を維持してよい。
【0407】
任意の適切なチャンバを使用して、開示する実施形態を実装してよい。堆積装置の例は、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corp.から入手可能なAltus(登録商標)製品群からの装置、またはさまざまな他の市販の処理システムを含むがそれらに限定されない。ステーションのうち2つ以上が同じ機能を遂行してよい。同様に、2つ以上のステーションが、異なる機能を遂行してよい。望み通りに特定の機能/方法を遂行するように各ステーションを設計/構成できる。
【0408】
図9は、ある種の実施形態による、薄膜堆積処理を行うのに適した処理システムの構成図である。システム900は移送モジュール903を含む。移送モジュール903は、さまざまな反応器モジュールの間で基板を動かすとき、処理されている基板が汚染する危険性を最小にする清潔な加圧環境を提供する。移送モジュール903の上に搭載されるのは、ある種の実施形態に従ってそれぞれ原子層堆積(ALD)および/または化学蒸着法(CVD)を遂行できる2つのマルチステーション反応器909および910である。反応器909および910は、開示する実施形態に従って動作を順次にまたは非順次に遂行してよい多数のステーション911、913、915、および917を含んでよい。ステーションは、加熱された台座もしくは基板支持物、1つもしくは複数のガス注入口もしくはシャワーヘッド、または分散プレートを含んでよい。
【0409】
同じく移送モジュール903に搭載されているのは、プラズマ事前洗浄もしくは(プラズマ以外の)化学的事前洗浄、または開示する方法に関して記述する任意の他の処理を遂行できる1つまたは複数の単一ステーションモジュールまたはマルチステーションモジュール907であってよい。モジュール907は、場合によっては、たとえば堆積処理のために基板を準備するさまざまな取扱いのために使用されてよい。モジュール907はまた、エッチングまたは研磨など、さまざまな他の処理を遂行するように設計/構成されてよい。システム900はまた、処理前後にウエハを貯蔵する1つまたは複数のウエハ供給源モジュール901を含む。大気移送チャンバ919内の大気ロボット(図示せず)は、最初に供給源モジュール901からロードロック921にウエハを移してよい。移送モジュール903内のウエハ移送機器(一般にロボット・アーム・ユニット)は、ロードロック921から、移送モジュール903に搭載されたモジュールへ、および移送モジュール603に搭載されたモジュールの間でウエハを動かす。
【0410】
さまざまな実施形態では、システムコントローラ929を用いて、堆積中の処理条件を制御する。コントローラ929は、典型的には1つまたは複数のメモリ機器、および1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入力/出力接続、ステップモータ・コントローラ・ボードなど含んでよい。
【0411】
コントローラ929は、堆積装置の活動のすべてを制御してよい。システムコントローラ929は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、無線周波数(RF)電力レベル、ウエハチャックまたは台座の位置、および特定の処理の他のパラメータを制御するための命令セットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ929に関連するメモリ機器上に記憶された他のコンピュータプログラムを用いてよい。
【0412】
典型的には、コントローラ929に関連するユーザインタフェースが存在する。ユーザインタフェースは、表示画面、装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェア表示、ならびにポインティング機器、キーボード、タッチ画面、マイクロホンなどのようなユーザ入力機器を含んでよい。
【0413】
システム制御論理は、任意の適切な方法で構成されてよい。一般に、論理をハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてよい、またはソフトウェアとして提供されてよい。命令は、「プログラミング」により提供されてよい。そのようなプログラミングは、デジタル・シグナル・プロセッサ、特定用途向け集積回路、および特有のアルゴリズムをハードウェアとして実装した他の素子内にハードコードされた論理を含む、任意の形の論理を含むと理解される。プログラミングはまた、汎用プロセッサ上で実行されてよいソフトウェア命令またはファームウェア命令を含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されてよい。
【0414】
ケイ素含有試薬の流れ、還元剤の流れ、および金属含有前駆体パルス、ならびにプロセスシーケンスでの他の処理を制御するためのコンピュータコードを、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語で、たとえば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどで書くことができる。プロセッサは、コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトを実行して、プログラムで識別されたタスクを遂行する。さらにまた示すように、プログラムコードをハードコードしてよい。
【0415】
コントローラパラメータは、たとえば処理ガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、ならびにチャンバ壁温度などの処理条件に関係がある。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供され、ユーザインタフェースを利用して入力されてよい。処理を監視するための信号は、システムコントローラ929のアナログおよび/またはデジタルの入力接続により提供されてよい。処理を制御するための信号を堆積装置900のアナログおよびデジタルの出力接続に出力してよい。
【0416】
多くの異なる方法でシステムソフトウェアを設計または構成してよい。たとえば、開示する方法に従って堆積処理(および場合によっては他の処理)を行うために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために、さまざまなチャンバ構成要素のサブルーチンまたは制御オブジェクトを書いてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例は、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードを含む。
【0417】
いくつかの実装形態では、コントローラ929は、上述の例の一部であってよいシステムの一部である。そのようなシステムは、1つもしくは複数の処理ツール、1つもしくは複数のチャンバ、処理するための1つもしくは複数のプラットフォーム、および/または特有の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理設備を含む可能性がある。これらのシステムは、半導体ウエハまたは半導体基板を処理する前、処理する間、および処理後に自身の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、1つまたは複数のシステムのさまざまな構成要素または下位区分を制御してよい「コントローラ」と呼ばれることがある。処理要件および/またはシステムのタイプに応じてコントローラ929をプログラムして、処理ガスの配送、温度設定(たとえば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムでの無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体配送設定、位置および動作の設定、ツールおよび他の移送ツールの中へ、およびそれらから外へのウエハ移送、ならびに/または特有のシステムに接続された、もしくはそれとインタフェースをとるロードロックを含む、本明細書で開示する処理のいずれも制御してよい。
【0418】
大まかに言って、コントローラは、さまざまな集積回路、論理回路、メモリ、および/または命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、クリーニング動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどを行うソフトウェアを有する電子回路として規定されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形をとるチップ、デジタル・シグナル・プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)として規定されるチップ、および/またはプログラム命令(たとえば、ソフトウェア)を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、半導体ウエハ上での、もしくは半導体ウエハのための、またはシステムに対する特定の処理を行うための動作パラメータを規定するさまざまな個々の設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つもしくは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハのダイを製作する間、1つまたは複数の処理ステップを達成するために処理技術者が規定するレシピの一部であってよい。
【0419】
コントローラは、いくつかの実装形態では、システムと一体化された、システムに連結された、システムに他の方法でネットワーク化された、またはそれらを組合せたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。たとえば、コントローラは、「クラウド」の中にあってよい、または半導体工場のホスト・コンピュータ・システムのすべてもしくは一部であってよく、これにより、ウエハ処理の遠隔アクセスを可能にできる。コンピュータは、製作動作の現在の進展を監視し、過去の製作動作の履歴を調べ、複数の製作動作から傾向または性能指標を調べるためにシステムへの遠隔アクセスを可能にして、現在の処理のパラメータを変更して、現在の処理に続く処理ステップを設定してよい、または新しい処理を開始してよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(たとえば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでよいネットワークを介してシステムに処理レシピを提供することができる。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよく、パラメータおよび/または設定は、次いで遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つまたは複数の動作の間に遂行すべき処理ステップごとにパラメータを指定する、データの形をとる命令を受け取る。パラメータは、遂行すべき処理のタイプ、およびコントローラがインタフェースをとる、または制御するように構成されたツールのタイプに特有であってよいことを理解されたい。このように、上記で記述するように、コントローラは、本明細書で記述する処理および制御などの共通の目的に向かって作動する、一緒にネットワーク化された1つまたは複数の別個のコントローラを備えることによるなど、分散させられてよい。そのような目的のための分散コントローラのある例は、チャンバ上の処理を制御するために組み合わせる(プラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部としてなど)遠隔に位置する1つまたは複数の集積回路と通信状態にある、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路である。
【0420】
限定することなく、例示のシステムは、プラズマ・エッチング・チャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピン・リンス・チャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベル縁部エッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着法(physical vapor deposition、PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(atomic layer deposition、ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連づけられてよい、またはそれで使用されてよい、任意の他の半導体処理システムを含んでよい。
【0421】
上記で指摘したように、ツールが遂行すべき1つまたは複数の処理ステップに応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインタフェース、近接するツール、隣接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツールの場所および/またはロードポートとの間でウエハの容器を運ぶ材料搬送で使用するツールのうち1つまたは複数と通信してよい。
【0422】
他の実装形態
本明細書で記述する装置および方法は、たとえば半導体素子、表示装置、LED、光起電力パネルなどを製作または製造するために、リソグラフィによるパターン形成ツールまたはパターン形成処理と関連づけて使用されてよい。典型的には、必ずしもではないが、そのような装置は、共通の製作施設で一緒に使用される、またはそのような処理は、共通の製作施設で一緒に行われる。リソグラフィによる膜のパターン形成は、典型的には、(1)スピン・オン・ツールまたはスプレー・オン・ツールを使用して、加工物、すなわち基板上にフォトレジストを適用するステップ、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化させるステップ、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光にフォトレジストを曝露するステップ、(4)レジストを選択的に除去し、それによりウェットベンチなどのツールを使用してレジストをパターン形成するように、レジストを現像するステップ、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することにより、下にある膜または加工物の中にレジストパターンを移すステップ、ならびに(6)RFまたはマイクロ波のプラズマレジスト剥離液などのツールを使用してレジストを除去するステップのうち一部またはすべてを備え、各ステップは、いくつかの可能なツールを用いて可能になる。
【0423】
実験例
例1(比較).ケイ素非含有堆積サイクルのシーケンスを使用して、誘電体(酸化ケイ素)の上に、および金属(低フッ素タングステン)の上に、モリブデン金属を堆積させた。各サイクルは、MoCl5および水素を処理チャンバに配送し基板に接触させることができるようにする第1の曝露段階、およびモリブデン前駆体配送がない状態で水素を処理チャンバに配送する第2の曝露段階を含んでいた。375℃~500℃の範囲の異なる温度で200回の堆積サイクルを遂行することにより堆積を行った。堆積したモリブデンの厚さをXRF(X-ray fluorescence、蛍光X線)により測定した。図10Aは、各温度で得られたモリブデンの厚さを例示する図を提供する。各温度に対する上部の点は、タングステン上の堆積を指す。各温度に対する下部の点は、誘電体上の堆積を指す。すべての温度で、タングステン上に堆積した厚さは、誘電体上よりも厚い。金属上/誘電体上の選択性(誘電体上に堆積した厚さに対するタングステン上に堆積したモリブデンの厚さの比)は、500℃未満の温度で非常に大きく、375℃で13に到達することを理解できる。選択性は、温度が増大すると共に低減し、500℃で1.3の選択性に到達する。この図は、500℃未満の温度で、1.3未満の選択性を達成できないことを例示している。
【0424】
例2.本明細書で提供する実施形態によれば、400℃でタングステン上および酸化ケイ素上でモリブデン含有材料のケイ素支援堆積を行った。ケイ素支援堆積の各サイクルは、3つの段階を含んでいた。第1の段軽では、シラン(SiH4)を処理チャンバの中に配送し、水素配送がない状態で、かつモリブデン前駆体配送がない状態で(10秒~30秒の範囲に及ぶ)所定の時間の間に基板をシランに接触できるようにした。この段階は、シラン予浸と呼ばれる。第2の段階では、処理チャンバの中にMoCl5およびH2を同時に配送し、基板と接触できるようにした。第3の段階では、モリブデン前駆体を同時に配送することなく処理チャンバの中にH2を配送した。200サイクルのケイ素支援堆積を遂行して堆積を行い、ここで、各サイクルは、シラン予浸段階、水素を伴うモリブデン配送段階、および水素配送段階を含んでいた。その結果得られたモリブデン含有膜の厚さをXRFにより測定した。図10Bは、異なる継続時間のシラン予浸に対する、タングステン上および酸化ケイ素上で堆積したモリブデン含有材料の厚さを例示する図である。上部の点は、タングステン上の堆積を指す。下部の点は、酸化ケイ素上の堆積を指す。15秒未満の予浸時間は、金属上/誘電体上での選択性の著しい損失につながらなかったのに対して、15秒および30秒の予浸継続時間では、選択性は、それぞれ1.33および1.20であったことを理解できる。ケイ素非含有堆積を使用して400℃という低い温度でそのように低い選択性を達成できなかったことが留意される。この例は、本明細書で提供するケイ素支援堆積を使用して低温で得られた選択性損失を例示する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
「脂肪族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、オキシ基(-O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書で規定するように、脂肪族オキシ基は-O-Rであり、式中、Rは、任意選択で置換された脂肪族基である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
本明細書で規定するように、「カルバモイルオキシ」により、本明細書で規定するように、nのオキシ基を通して親分子基に付着したカルバモイル基を意味する。いくつかの実施形態では、カルバモイルオキシは、-OC(O)NR12基であり、式中、R1およびR2の各々は、本明細書で規定するように、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、もしくは任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの組合せから独立に選択される、または、それぞれ付着した窒素原と一緒に得られるR1およびR2は、本明細書で規定するようにヘテロシクリル基を形成できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
「ヘテロ脂肪族オキシ」により、本明細書で開示する化合物に連結した、または連結できるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、オキシ基(-O-)を通して連結される、または連結されるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族オキシ基は、-O-Rであり、式中、Rは、本明細書で規定するように、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
ケイ素含有反応物がない状態でモリブデンを堆積させるとき、モリブデンは、誘電体層の上ではなく大部分は金属層の上に堆積し、それにより、非等角被覆性につながる。たとえば、10以上(誘電体上の堆積速度に対する金属上の堆積速度の比を指す)のモリブデン金属堆積の選択性は、375℃で観察され、厚い最下部被覆性および薄い側壁被覆性につながる。堆積選択性は、堆積温度を500℃以上に上昇させることにより低減できるが、高温でのモリブデン金属堆積は多くの場合、熱収支の制約に起因して望ましくないことが留意される。ケイ素含有反応物を導入することにより、約375℃から約450℃の間の温度など、約450℃以下のより低い温度で堆積選択性を劇的に下げ、それにより比較的低い温度でモリブデン含有層を等角で堆積させるための手段を提供することがわかった。いくつかの実施形態では、所望の選択性損失を達成するために、基板は、モリブデン含有前駆体と接触させられる前にケイ素含有反応物に曝露される。たとえば、基板は、少なくとも約15秒など少なくとも約10秒間、ケイ素含有反応物に曝露されて表面修正を可能にしてよい。いくつかの実施形態では、ケイ素含有反応物およびモリブデン含有前駆体への曝露は順次である。本明細書で提供する方法による、モリブデンの実質的に非選択性堆積後に形成された構造を図Bに示す。基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露した後、モリブデン含有材料107の実質的に等角な層が形成され、モリブデン含有材料107は、モリブデン金属、ケイ化モリブデン、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、モリブデン含有層107は、モリブデン金属層およびケイ化モリブデン副層を含み、ケイ化モリブデン副層は、基板の誘電体層103とモリブデン金属層の間の界面、および基板の金属層105とモリブデン金属層の間の界面に形成される。処理は次に続いて、くぼんだ特徴101をモリブデン含有層109で充填してよい。いくつかの実施形態では、モリブデン含有層109は、半導体基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露することにより、本明細書で提供する方法を使用して堆積されてよいモリブデン金属である。他の実施形態では、モリブデン含有層109の大部分は、ケイ素含有反応物を追加することなく堆積したモリブデン金属であり、ケイ素非含有堆積で基板をモリブデン含有材料およびケイ素含有反応物に曝露することを伴う。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0166
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0166】
堆積処理の一実装形態を図2Aに例示する。例示する処理は、基板を(たとえば、図1Aに示すなど、曝露された金属および誘電体を有する基板を)ケイ素含有反応物に曝露することから始まるので、基板上での堆積の選択性を調整するのに特に有用であり、ここで、ケイ素含有反応物は、基板の表面を修正できる。図2Aを参照すると、処理は、201で、半導体基板をケイ素含有反応物に曝露することにより始まる。いくつかの実施形態では、ステップ201は、モリブデン含有前駆体を処理チャンバに同時に配送することなくケイ素含有反応物を処理チャンバに配送するステップを伴う。還元剤は任意選択で、このステージでケイ素含有反応物と同時に処理チャンバに配送されてよい。基板は、いくつかの実施形態では、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、または少なくとも約30秒など、少なくとも約10秒など、しばらくの間ケイ素含有反応物に曝露できるようになって、表面修正を行うことができるようになる。次に、ステップ203で、基板をモリブデン含有前駆体に曝露する。例示する実施形態では、モリブデン含有前駆体を処理チャンバに配送し、一方、このステージでケイ素含有反応物を同時に加えることはない。還元剤は任意選択で、ステップ203でモリブデン含有前駆体と同時に配送されてよい。次に、ステップ205で、基板を還元剤に曝露してモリブデン含有前駆体を還元する。描く例では、このステージで、モリブデン含有前駆体を同時に配送することなく、かつケイ素含有反応物を同時に配送することなく、還元剤を処理チャンバに配送する。ステップ201~205の完了は、1つの堆積サイクルを構成する。ステップ20で示すように、ステップ201~205はこの場合、任意選択で(たとえば、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも100回)反復される、および/または所望の厚さのモリブデン含有層が形成されるまで、ケイ素非含有ステップ203~205だけが(たとえば、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも100回)反復される。いくつかの実施形態では、ステップ201~205の最初の1つまたは複数のサイクルを遂行した後、ステップ203~205のサイクルだけが反復され、所定のサイクル数の後に、たとえばそれぞれ5サイクルの後に、またはそれぞれ10サイクルの後に、ケイ素含有前駆体曝露ステップ201が挿入される。図2Aの処理の実装形態の一例では、堆積は、流れの周期の後に還元剤またはモリブデン含有前駆体を配送することなく処理チャンバへのケイ素含有反応物の配送を開始するステップと、ケイ素含有反応物の配送を停止するステップと、ケイ素含有反応物の配送を停止した後にモリブデン含有前駆体の配送を開始するステップと、次いでモリブデン含有前駆体の配送を停止するステップと、還元剤の配送を開始するステップと、還元剤の配送を停止するステップとを伴う。この実装形態の修正形態では、還元剤は、モリブデン含有前駆体と同時に流すことができるようになり、モリブデン含有前駆体の配送が停止した後に処理チャンバに流れ続ける。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0172
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0172】
いくつかの実施形態では、ケイ素支援堆積およびケイ素非含有堆積のために、異なるモリブデン含有前駆体を使用する。一実装形態では、ケイ化モリブデンおよび/またはモリブデン金属は最初に、図2A図2Dで提供する方法のいずれかに従って、ケイ素支援堆積でモリブデン含有前駆体として五塩化モリブデン(MoCl5)を使用して堆積させられる。この次に、異なるモリブデン含有前駆体(たとえば、MoO2Cl2)を使用してケイ素非含有堆積でモリブデン金属を堆積させるステップが続く。この処理の流れを図3の処理の流れ図に例示する。ステップ301で、基板をモリブデン含有前駆体、還元剤、およびケイ素含有反応物に曝露してモリブデン含有層を堆積させる。たとえば、2~2,000サイクルのケイ素支援堆積を行ってよい。処理は、次いでステップ30で、ケイ素含有反応物がない状態で基板を異なるモリブデン含有前駆体および還元剤に曝露して、ケイ素非含有堆積でモリブデン金属の層を堆積させるステップに続く。たとえば、ステップ30で2~2,000回のケイ素非含有堆積サイクルを遂行してよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0292
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0292】
ケイ素含有反応物は、たとえば-N(SiR’32などのbis-トリシリルアミノ基を含む可能性があり、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。一実施形態では、前駆体は、R”2N-SiR’2-N(SiR’32の式を有し、式中、R’およびR”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。別の実施形態では、前駆体は、R”2N-SiH2-N(SiH32の式を有し、式中、R”は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。さらに別の実施形態では、前駆体は、(R’ 3Si)2N-[SiR’2-N(SiR’3)]z(SiR’3)の式を有し、式中、zは0、1、2、または3であり、式中、R’は、本明細書で記述するいずれかである可能性がある。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0314
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0314】
限定しないケイ素含有反応物は、1,3,3-トリメチルシクロジシラザン([NH-SiMe2][NH-SiMeH])、ヘキサメチルシクロトリシラザン([NH-SiMe23)、オクタメチルシクロテトラシラザン([NH-SiMe24)などを含む。
環状シロキサン
ケイ素含有反応物は、1つまたは複数の酸素原子を有する環状基を含む可能性がある。一実施形態では、前駆体は、[L-(SiR’2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
nは1、2、または3であり、
Lは、酸素含有リンカー(たとえば、オキシまたはヘテロアルキレン)であり、
各R’は独立に、H、脂肪族、脂肪族カルボニル、脂肪族カルボニルオキシ、脂肪族オキシ、脂肪族オキシカルボニル、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族カルボニル、ヘテロ脂肪族カルボニルオキシ、ヘテロ脂肪族オキシ、ヘテロ脂肪族オキシカルボニル、芳香族、芳香族カルボニル、芳香族カルボニルオキシ、芳香族オキシ、芳香族オキシカルボニル、ヘテロ芳香族、ヘテロ芳香族オキシ、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ヒドロキシル、シリル、シリルオキシ、シアナト、イソシアナト、シアノ、またはイソシアノであり、ここで、これらのいずれも、任意選択で置換されてよい。
一実施形態では、前駆体は、[O-L'-O-(SiR'2nzの式を有し、式中、
zは1、2、3、4、5、または6以上であり、
nは1、2、または3であり、
各L’は独立に、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル(たとえば、-SiR2-)、任意選択で置換されたアルキレン(たとえば、-(CH2n-、式中、nは1~6である)、任意選択で置換されたアリーレンなどのリンカーであり、
式中、R'は、本明細書で記述するいずれかである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0344
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0344】
いくつかの実施形態では、前駆体の中の少なくとも1つの有機リガンドはアミダートである。アミダートの例は、図に示すアミダート3であり、図中、各Rは独立に、H、アルキル、およびフルオロアルキルから選択される。アミダート3は、1つのモリブデン窒素結合および1つのモリブデン酸素結合を形成できる1価陰イオンリガンドであり、二座リガンドの役割を果たす。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0414
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0414】
ケイ素含有反応物の流れ、還元剤の流れ、および金属含有前駆体パルス、ならびにプロセスシーケンスでの他の処理を制御するためのコンピュータコードを、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語で、たとえば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどで書くことができる。プロセッサは、コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトを実行して、プログラムで識別されたタスクを遂行する。さらにまた示すように、プログラムコードをハードコードしてよい。
【国際調査報告】