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特表2024-546754ハロゲン含有堆積阻害剤を使用した凹状フィーチャへの金属の堆積
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ハロゲン含有堆積阻害剤を使用した凹状フィーチャへの金属の堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/06 20060101AFI20241219BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C23C16/06
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534439
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022080705
(87)【国際公開番号】W WO2023114640
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,522
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンディア・デイビッド・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】カリム・イシュタク
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクニー・カイル・ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス・マシュー・バートラン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ライ・チウキン・スティーブン
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA11
4K030AA17
4K030BA12
4K030BA18
4K030BA38
4K030CA04
4K030CA12
4K030HA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA15
(57)【要約】
【解決手段】モリブデン膜などの金属膜は、ハロゲン含有化合物(例えば、ハロゲン化アルキル)の添加によって調節された堆積プロセスにおいて、1つまたは複数の凹状フィーチャを有する半導体基板上に堆積される。いくつかの実施態様では、ハロゲン含有化合物による基板の前処理は、基板を金属含有前駆体および還元剤と接触させる前に実施される。いくつかの実施形態では、前処理は、凹状フィーチャの底部部分と比較して、ハロゲン含有化合物が基板のフィールド領域および凹状フィーチャの開口部付近で基板の表面をより大きく改質するように実施され、基板の改質により金属の堆積が阻害される。その結果、ステップカバレッジが改善された金属の堆積を達成することができる。いくつかの実施態様では、ハロゲン含有化合物による堆積の調節を使用して、凹状フィーチャ内でのボトムアップ金属成長を達成する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を形成する方法であって、
(a)凹状フィーチャを有する半導体基板を提供することと、
(b)前記半導体基板を堆積阻害剤に曝露することであって、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにすることと、
(c)前記半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露し、前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成することであって、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっていることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記半導体基板は、前記金属前駆体への曝露前に前記堆積阻害剤に曝露される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化アルキルである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ヨウ素含有化合物である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層、またはコバルト層、またはルテニウム層、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、I2(ジヨウ素)、HI(ヨウ化水素)、CH3I(ヨウ化メチル)、C25I(ヨウ化エチル)、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、ヨウ化sec-ブチル、ヨウ化t-ブチル、ヨードシクロペンタン、ヨードシクロヘキサン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、1,1-ジヨードプロパン、1,2-ジヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、2,2-ジヨードプロパン、1,1-ジヨードブタン、1,2-ジヨードブタン、1,3-ジヨードブタン、2,2-ジヨードブタン、2,3-ジヨードブタン、1,2-ジヨード-2-メチルプロパン、2,3-ジヨード-2,3-ジメチルブタン、1,1,2,2-テトラヨードエタン、2,2,3,3-テトラヨードブタン、1,1,1,2,2,2-ヘキサヨードエタン、1,2-ジヨードシクロペンタン、1,2-ジヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ジヨードベンゼン、2-ヨードピリジン、3-ヨードピリジン、4-ヨードピリジン、3-ヨード-1-ニトロベンゼン、3-ヨード-1-トリフルオロメチルベンゼン、4-ヨードアニリン、4-ヨード-1-ジメチルアミノベンゼン、4-ヨードフェノール、ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、三ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化トリス(トリメチルシリル)メチル、1-(トリメチルシリル)-1-ヨードエタン、1-(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,1-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,2-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、CHI3(トリヨードメタン)、CI4(四ヨウ化炭素)、1-ヨードエテン、1-ヨードプロペン、2-ヨードプロペン、1-ヨード-1-ブテン、1-ヨード-2-ブテン、2-ヨード-1-ブテン、2-ヨード-2-ブテン、ヨードアセチレン、3,3-ジメチル-1-ヨード-ブタ-1-イン、1,1-ジヨードエテン、1,2-ジヨードエテン、1,2-ジヨードプロペン、1,2-ジヨード-2-プロペン、1,2-ジヨードブテン、1,2-ジヨード-2-ブテン、1,2-ジヨード-3-ブテン、3,4-ジヨードシクロヘキセン、4,5-ジヨードシクロヘキサジエン、1,2-ジヨードアセチレン、1,1,2,2-テトラヨードエテン、SiI4(四ヨウ化ケイ素)、SiHI3(トリヨードシラン)、SiH22(ジヨードシラン)、SiH3I(ヨードシラン)、Si(CH3)I3(三ヨウ化メチルシリル)、Si(CH322(二ヨウ化ジメチルシリル)、Si(CH33I(ヨウ化トリメチルシリル)、Si(CH3)HI2(ジヨードメチルシラン)、Si(CH32HI(ヨードジメチルシラン)、Si(CH3)H2I(メチルヨードシラン)、Si26(ヘキサヨードジシラン)、GeI4(四ヨウ化ゲルマニウム)、GeHI3(トリヨードゲルマン)、GeH22(ジヨードゲルマン)、GeH3I(ヨードゲルマン)、AlI3(三ヨウ化アルミニウム)、BI3(三ヨウ化ホウ素)、TiI4(四ヨウ化チタン)、SnI4(四ヨウ化スズ)、N-ヨードスクシンイミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ヨードフタルイミド、N-ヨードサッカリン、1-クロロ-2-ヨードエタン、塩化ヨウ素(ICl)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層である、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
モリブデン前駆体は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、MoOCl4、ビス(エチルベンゼン)モリブデン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記凹状フィーチャの底部の表面よりもフィールド領域上の表面および前記凹状フィーチャの開口部付近の表面を大きく改質する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、物理吸着および化学吸着の少なくとも1つによって前記半導体基板の前記表面を改質する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の前記表面をハロゲン化することによって前記基板の前記表面を改質する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、約250℃~600℃の温度および約300torr未満の圧力で堆積される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤によって改質された前記半導体基板の前記表面は、金属、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属シリサイド、アモルファスケイ素、多結晶ケイ素、水素終端ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素含有誘電体、およびそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した金属窒化物を含み、前記露出した窒化チタンは、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した窒化チタンを含み、前記露出した窒化チタンは、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出したケイ素含有誘電体と、露出した金属とを含み、前記露出したケイ素含有誘電体は、前記凹状フィーチャの側壁で露出され、前記露出した金属は、前記凹状フィーチャの前記底部で露出される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
(c)は、前記半導体基板を前記金属前駆体および還元剤に順次曝露し、前記順次の曝露を繰り返して少なくとも10回の阻害剤フリーの堆積サイクルを実施することを含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、
(i)前記半導体基板を前記堆積阻害剤に曝露することと、
(ii)(i)の後、前記半導体基板を前記金属前駆体に曝露することと、
(iii)(ii)の後、前記半導体基板を還元剤に曝露して前記金属前駆体を金属に還元することと、
(iv)ステップ(i)~(iii)を繰り返し、少なくとも10回の阻害剤支援堆積サイクルを実施することと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
各阻害剤支援堆積サイクルは、前記堆積阻害剤への前記半導体基板の前記曝露、前記金属前駆体への前記半導体基板の前記曝露、および前記還元剤への前記半導体基板の前記曝露の各々の後にパージステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、共形的に堆積される、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、ボトムアップ堆積モードで堆積され、前記凹状フィーチャを充填する、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、前記堆積阻害剤および前記金属前駆体を同時に前記プロセスチャンバに送給することを含む、方法。
【請求項23】
基板を処理するための装置であって、
(a)プロセスチャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応剤を前記プロセスチャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有するプロセスチャンバと、
(b)コントローラであって、
(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記改質された表面を前記改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、
(ii)前記半導体基板を金属前駆体と接触させ、前記金属前駆体を還元させて前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっている
ためのプログラム命令を含むコントローラと
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用:
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイス製造の方法に関する。具体的には、本発明の実施形態は、半導体処理におけるモリブデンなどの金属の堆積に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイス製作では、誘電体層に埋め込まれた金属線を形成するためなど、材料のパターンを形成するために堆積およびエッチング技法が使用される。一部のパターニング方式は材料の共形堆積を必要とし、堆積された層は、基板の表面上の凸部および/または凹状フィーチャの輪郭に従う必要がある。原子層堆積(ALD)は基板上に共形膜を形成する好ましい方法であることが多いが、これは、ALDが基板の表面への1つまたは複数の反応剤(前駆体)の吸着と、その後の所望の材料への吸着層の化学変換に依存するためである。ALDは、基板の表面上で発生し、時間的に分離され、かつ典型的には吸着反応剤の量によって制限される逐次反応を使用するため、この方法は、優れたステップカバレッジを有する薄い共形層を提供することができる。
【0004】
化学気相堆積(CVD)は、半導体処理で広く使用される別の堆積方法である。CVDでは、反応はプロセスチャンバの体積内で起こり、基板に吸着された反応剤の量によって制限されない。その結果、CVD堆積膜は、ALD堆積膜よりも共形性が低いことが多い。CVDは、典型的には、ステップカバレッジがそれほど重要ではない用途に使用される。
【0005】
ALDおよびCVDはプラズマを用いて堆積前駆体の反応を促進し、その結果、所望の膜を形成することができる。プラズマを利用する方法は、プラズマ強化ALD(PEALD)およびプラズマ強化CVD(PECVD)として知られている。プラズマを用いない方法は、熱ALDおよび熱CVDと呼ばれる。
【0006】
ALDおよびCVDは酸化ケイ素、窒化ケイ素、および炭化ケイ素などのケイ素含有膜の堆積に最も一般的に使用されるが、これらの方法は一部の金属の堆積にも適している。
【0007】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0008】
堆積プロファイルを調節するために選択された基板表面の阻害を使用して、半導体基板の凹状フィーチャに金属膜を堆積するための方法が提供される。いくつかの実施態様では、ハロゲン含有堆積阻害剤を用いて基板の選択された領域(例えば、フィールド領域、および/または凹状フィーチャの開口部付近)での金属堆積速度を低下させ、それによって金属堆積中のステップカバレッジを改善するか、または凹状フィーチャのボトムアップ金属充填を達成する。いくつかの実施形態では、基板は、金属前駆体と接触する前にハロゲン含有阻害剤と接触される。いくつかの実施形態では、基材は、金属前駆体およびハロゲン含有阻害剤と同時に接触される。
【0009】
一態様では、半導体基板上に金属層を形成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、(a)凹状フィーチャを有する半導体基板を提供することと、(b)半導体基板を堆積阻害剤に曝露することであって、堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、堆積阻害剤は、半導体基板の表面を改質し、表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにすることと、(c)半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露し、半導体基板上の少なくとも凹状フィーチャ内に金属層を形成することであって、金属前駆体とハロゲン含有化合物は、異なっている(同じ化合物ではない)こととを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化t-ブチルなどの第三級アルキルハロゲン化物)である。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有化合物は、ヨウ素含有化合物である。
【0010】
いくつかの実施形態では、半導体基板は、金属前駆体への曝露前に堆積阻害剤に曝露される。いくつかの実施形態では、半導体基板は、金属前駆体と同時に堆積阻害剤に曝露される。例えば、堆積阻害剤および金属前駆体は、プロセスチャンバに共流させることができる。
【0011】
提供される方法は、モリブデン層、コバルト層、ルテニウム層、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な金属層の堆積に使用することができる。一実施態様では、堆積された金属層はモリブデン層であり、金属前駆体はモリブデン-ハロゲン結合を含むモリブデン前駆体である。例えば、モリブデン前駆体は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、もしくはMoOCl4、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーの有機金属モリブデン前駆体などの有機金属モリブデン前駆体が使用される。ハロゲンフリーの有機金属モリブデンprecursrの一例は、ビス(エチルベンキセン)ボリブデンである。
【0012】
いくつかの実施形態では、堆積阻害剤は、凹状フィーチャの底部の表面よりもフィールド領域上の表面および凹状フィーチャの開口部付近の表面を大きく改質する。改質は、例えば、物理吸着および化学吸着の少なくとも1つを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、堆積阻害剤は、基板の表面をハロゲン化することによって基板の表面を改質する。堆積阻害剤によって改質された半導体基板の表面は、金属、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属シリサイド、アモルファスケイ素、多結晶ケイ素、水素終端ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素含有誘電体、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。一実施態様では、提供される基板は、露出した金属窒化物(例えば、窒化チタン)を含み、露出した金属窒化物は、凹状フィーチャの側壁および凹状フィーチャの底部を裏打ちする。堆積阻害剤は、凹状フィーチャの底部よりもフィールド領域における窒化チタンの表面を大きく改質することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、金属層は、約250℃~600℃(例えば、約350℃~600℃)の温度および約300torr未満(例えば、約200torr未満)の圧力で堆積される。
【0014】
一実施態様では、半導体基板を堆積阻害剤に曝露した後、基板は金属前駆体および還元剤に順次曝露され、金属前駆体および還元剤への順次の曝露が繰り返され、少なくとも10回の阻害剤フリーの堆積サイクルが実施される。
【0015】
別の実施態様では、方法は、(i)半導体基板を堆積阻害剤に曝露することと、(ii)(i)の後、半導体基板を金属前駆体に曝露することと、(iii)(ii)の後、半導体基板を還元剤に曝露して金属前駆体を金属に還元することと、(iv)ステップ(i)~(iii)を繰り返し、少なくとも10回の阻害剤支援堆積サイクルを実施することとをcomprsする。いくつかの実施形態では、各阻害剤支援堆積サイクルは、堆積阻害剤への半導体基板の曝露、金属前駆体への半導体基板の曝露、および還元剤への半導体基板の曝露の各々の後にパージステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、金属層は、共形的に堆積される。他の実施形態では、金属層は、ボトムアップ堆積モードで堆積され、凹状フィーチャを充填する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、フォトリソグラフィ処理と統合される。例えば、方法は、フォトレジストを半導体基板に塗布するステップと、フォトレジストを光に露光するステップと、フォトレジストをパターニングし、そのパターンを半導体基板に転写するステップと、半導体基板からフォトレジストを選択的に除去するステップとを含んでもよい。例えば、そのようなフォトリソグラフィパターニングを使用して、金属層の堆積前に基板上に凹状フィーチャを形成することが可能である。
【0018】
別の態様では、半導体基板を処理するための装置が提供され、装置は、本明細書で提供される方法のいずれかを実施させるように構成されたプログラム構造を有するコントローラを含む。いくつかの実施形態では、装置は、(a)プロセスチャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応剤をプロセスチャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有するプロセスチャンバと、(b)コントローラとを含む。コントローラは、(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、堆積阻害剤は、半導体基板の表面を改質し、改質された表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、(ii)半導体基板を金属前駆体と接触させ、金属前駆体を還元させて半導体基板上の少なくとも凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、ハロゲン含有化合物と金属前駆体は、異なっているためのプログラム命令を含むことができる。
【0019】
別の態様では、システムが提供され、システムは、本明細書で提供される装置と、ステッパとを含む。
【0020】
別の態様では、本明細書で提供される方法のいずれかを実施させるためのプログラムコードを含む、非一時的有形コンピュータ機械可読媒体が提供される。例えば、非一時的有形コンピュータ機械可読媒体は、(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、堆積阻害剤は、半導体基板の表面を改質し、改質された表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、(ii)半導体基板を金属前駆体と接触させ、金属前駆体を還元させて半導体基板上の少なくとも凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、ハロゲン含有化合物と金属前駆体は、異なっているように構成されたコードを含むことができる。
【0021】
本明細書で説明される主題の実施態様のこれらおよび他の態様は、添付の図面および以下の説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図1Aは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
図1B図1Bは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
図1C図1Cは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
【0023】
図1D図1Dは、本明細書で提供される別の実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
図1E図1Eは、本明細書で提供される別の実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
図1F図1Fは、本明細書で提供される別の実施形態による、金属膜の堆積中における基板の概略断面図である。
【0024】
図2A図2Aは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜を形成する方法についてのプロセスフロー図である。
【0025】
図2B図2Bは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜を形成する方法についてのプロセスフロー図である。
【0026】
図2C図2Cは、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜を形成する方法についてのプロセスフロー図である。
【0027】
図3図3は、本明細書で提供される一実施形態による、窒化チタン層上へのモリブデンの堆積が阻害される考えられる機構の概略図である。
【0028】
図4図4は、本明細書で提供される一実施形態による、モリブデン前駆体に使用することができる配位子の例を示す図である。
【0029】
図5図5は、本明細書で提供される一実施形態による、モリブデン前駆体に使用することができる硫黄含有配位子の例を示す図である。
【0030】
図6図6は、本明細書で提供される一実施形態による、モリブデン前駆体の例を列挙する図である。
【0031】
図7図7は、本明細書で提供される一実施形態による、金属膜を堆積するのに適した装置の概略図である。
【0032】
図8図8は、本明細書で提供される一実施形態による、マルチステーション処理システムの概略図である。
【0033】
図9図9は、本明細書で提供される一実施形態による、マルチステーション処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
CVDまたはALD堆積などの気相堆積を使用して、半導体基板の凹状フィーチャにモリブデン膜、ルテニウム膜、タングステン膜、およびコバルト膜などの金属膜を堆積するための方法が提供される。方法は、ハロゲン含有堆積阻害剤を利用して、阻害がなかった場合の堆積速度と比較して基板の選択された表面上の金属堆積速度を低下させる。いくつかの実施態様では、堆積阻害は、阻害剤で改質された表面上での金属の成長を完全に阻止する。他の実施態様では、阻害剤で改質された表面上の金属堆積速度は、阻害なしで観察された場合の堆積速度よりも少なくとも1.5倍、例えば少なくとも2倍、または少なくとも4倍低い。例えば、阻害剤を用いないALD堆積は、ALD堆積サイクル当たり0.4~0.8Åの金属を堆積することができるが、本明細書で提供されるような阻害を伴うALD堆積は、堆積速度をALD堆積サイクル当たり0~0.2Åの金属に低下させることができる。
【0035】
この阻害を使用して、所望に応じて、凹状フィーチャ内の金属の堆積プロファイルを制御することができる。例えば、阻害を使用して、場合によっては過剰な望ましくない堆積が生じる表面(例えば、フィールド領域、および凹状フィーチャの開口部付近の領域)上の堆積を選択的に阻害することによって、優れたステップカバレッジで共形的な金属膜(例えば、1~10nmの厚さ)を堆積することができる。続いて、プロセスは、凹状フィーチャの側壁および底部部分における実質的に同一の成長速度によって特徴付けられる共形充填を使用して凹状フィーチャを充填することが可能である。別の例では、フィールド領域および凹状フィーチャの上側部分における堆積の阻害を使用して、凹状フィーチャ内でのボトムアップ金属成長を達成することができ、この場合凹状フィーチャは、フィーチャ側壁よりも大幅に高い速度でフィーチャの底部に金属を堆積することによって金属で充填され得る。
【0036】
本明細書で提供されるハロゲン含有堆積阻害剤は、基板の表面を(例えば、化学吸着および物理吸着の少なくとも1つを介して)改質し、表面を金属成長に対してより耐性のあるものにすることができる。例えば、ハロゲン化アルキル処理された表面は、未処理の表面と比較して金属核形成が少ない場合がある。
【0037】
いくつかの実施形態では、ハロゲン含有化合物の濃度勾配が存在するように基板をハロゲン含有堆積阻害剤と接触させ、それにより半導体基板のより露出したフィールド領域表面は、フィールド内のハロゲン含有化合物の濃度が凹状フィーチャの底部よりも高いため、凹状フィーチャの底部におけるあまり露出されていない表面よりもハロゲン含有化合物によって大きく改質される。濃度勾配は、限定された量のハロゲン含有化合物を半導体基板を収容するプロセスチャンバに流すことによって、および/または所望に応じてハロゲン含有化合物と半導体基板との間の接触時間を制限することによって容易に達成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、凹状フィーチャの側壁の上部部分は側壁の底部部分よりも大きく改質され、例えば、側壁の上部20%におけるハロゲン化アルキルの濃度は、フィーチャ底部および側壁の下側20%付近よりも高くすることができる。ハロゲン含有堆積阻害剤によるこの選択的阻害を使用して、共形的に、またはボトムアップ堆積のために金属の堆積を達成することができる。
【0038】
ハロゲン含有堆積阻害剤は、様々な表面上での金属の堆積を阻害するために使用することができ、これには、限定はしないが、金属(例えば、モリブデン、タングステン、コバルト、ルテニウム、銅、チタン、およびそれらの組み合わせ)、金属窒化物(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、およびそれらの組み合わせ)、金属炭化物(例えば、炭化タングステン)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、およびそれらの組み合わせ)、金属シリサイド(例えば、チタンシリサイド)、ケイ素(例えば、アモルファスケイ素、多結晶ケイ素、水素終端ケイ素、およびそれらの組み合わせ)、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素含有誘電体(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、およびそれらの組み合わせ)、炭素(例えば、アモルファスカーボン)上、およびそれらの任意の組み合わせ上への堆積が挙げられる。
【0039】
堆積は、典型的には、これらの材料のいずれかを含む基板をハロゲン含有化合物に曝露し、ハロゲン含有化合物を表面に吸着させることによって阻害される。ハロゲン含有化合物は、それ自体で、または不活性キャリアガス、金属前駆体、および還元剤の少なくとも1つと共に、基板を収容するプロセスチャンバに流し込むことができる。提供される方法は、フィールド領域、凹状フィーチャの側壁上、および凹状フィーチャの底部に同じ露出材料を有する基板上に金属を堆積するのに有用であり、これは、そのような基板は堆積選択性およびプロファイルを調節するための手段が限られているためである。しかし、提供される方法はそのような基板に限定されず、異なる露出材料を基板上に堆積するために使用することができる。例えば、提供される方法は、フィールド領域内および凹状フィーチャの側壁上に露出したケイ素含有誘電体(例えば、酸化ケイ素)と、凹状フィーチャの底部に露出した金属(例えば、タングステン)とを有する凹状フィーチャに金属を堆積するために使用することができる。
【0040】
提供される方法は、トレンチ、ビア、コンタクトホール、およびそれらの組み合わせを含む、異なるタイプの凹状フィーチャを有する基板上で使用することができるが、方法は、アスペクト比が2:1を超える、例えば少なくとも5:1の凹状フィーチャへの堆積に特に有用である。いくつかの実施形態では、提供される方法は、アスペクト比が少なくとも10:1、例えば少なくとも50:1の高アスペクト比フィーチャに金属を堆積するために使用される。
【0041】
提供される方法は、限定はしないが、ギャップ充填用途における金属(例えば、モリブデン)の堆積、および共形金属性金属膜の形成を含む様々な用途で使用することができる。提供される方法を使用して製造することができる半導体デバイス構造の例には、バックエンドオブライン(BEOL)メタライゼーション構造、フロントエンドオブライン(FEOL)メタライゼーション構造、ロジックメタライゼーション構造、ならびに3D NANDおよびDRAMなどのメモリ構造が挙げられる。いくつかの実施形態では、方法は、約0.5nm~約4nmの範囲の厚さを有するモリブデン含有膜を堆積するために使用され、約1nm~約25nmの幅、約30nm~約200nm以上の深さ、および少なくとも10:1、例えば30:1の高アスペクト比を含む様々なアスペクト比を有するフィーチャなど、様々な凹状フィーチャにモリブデン金属を堆積するために使用することができる。
【0042】
「金属」は、本明細書で使用される場合、本質的にゼロ酸化状態の金属からなる材料を指す。他の元素(例えば、C、N、またはO)が、金属中に少量(例えば、総含有量が約15原子%未満、または約10%未満、水素は計算に含まれない)存在する可能性がある。ハロゲン化アルキルの使用は、得られる金属膜への炭素の組み込みをもたらさず、提供される方法によって炭素原子数が3%未満の金属膜を得ることができることに留意されたい。提供される方法によって得ることができる金属膜の例には、97%純度のモリブデン、97%純度のコバルト、97%純度のタングステン、および97%純度のルテニウムが挙げられる(%は、重量%を指す)。
【0043】
「半導体基板」という用語は、本明細書で使用される場合、その構造内の任意の場所に半導体材料を含む、半導体デバイス製作の任意の段階における基板を指す。半導体基板内の半導体材料は、露出する必要がないことが理解される。半導体材料を覆う他の材料(例えば、誘電体)の複数の層を有する半導体ウエハは、半導体基板の例である。以下の詳細な説明は、開示された実施態様が半導体ウエハ、例えば200mm、300mm、または450mmの半導体ウエハ上で実施されることを想定している。しかし、開示された実施態様はそのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものであってもよい。半導体ウエハに加えて、開示された実施態様を利用することができる他のワークピースには、プリント回路基板などの様々な物品が挙げられる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指定がない限り、列挙された値の±10%を意味する。本明細書で使用される場合、この用語は、列挙された値、値の範囲、または1つまたは複数の範囲の終点を修飾する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上方」、および「下方」という用語は、構造間の相対的な関係を提供するために使用される。これらの用語の使用は、特定の構造が装置内の特定の場所に位置されなければならないことを示したり要求したりするものではない。
【0046】
本明細書で使用される場合、A、B、およびCの少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを使用した論理(AまたはBまたはC)の意味で解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つの意味で解釈されるべきではない。
【0047】
「1つの(A)」は、本明細書で使用される場合、「1つまたは複数」として解釈されるべきである。例えば、「基板の表面」は「基板の1つまたは複数の表面」として解釈されるべきであり、凹状フィーチャ側壁面、フィールド表面、凹状フィーチャ底面、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0048】
「還元剤」は、本明細書で使用される場合、反応において1つまたは複数の電子を失う反応剤を指す。
【0049】
「ヘテロレプティック錯体」は、本明細書で使用される場合、金属中心に結合した少なくとも2つの異なる配位子を含む化合物を指す。
【0050】
「ホモレプティック錯体」は、本明細書で使用される場合、金属中心に結合したすべての同一の配位子を含む化合物を指す。
【0051】
「阻害剤フリーの堆積サイクル」という用語は、堆積阻害剤を使用せずに基板を金属前駆体および還元剤に順次曝露することを指す。
【0052】
「阻害剤支援堆積サイクル」という用語は、半導体基板を堆積阻害剤、金属前駆体、および還元剤に曝露することを指し、これらの曝露の少なくとも一部は順次実施される。
【0053】
「アシル」または「アルカノイル」という用語は、本明細書で交換可能に使用される場合、本明細書で定義されるカルボニル基を介して親分子基に結合した、直鎖、分岐、環状構成、飽和、不飽和、および芳香族、ならびにそれらの組み合わせの1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上の炭素原子の基、または水素を表す。この基は、ホルミル(-C(O)H)、アセチル(Acまたは-C(O)Me)、プロピオニル、イソブチリル、ブタノイルなどによって例示される。いくつかの実施形態では、アシル基またはアルカノイル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される水素、脂肪族基、または芳香族基である。
【0054】
「アルカノイルオキシ」とは、本明細書で定義されるオキシ基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアルカノイル基を意味する。この基は、アセトキシ(-OAcまたは-OC(O)Me)によって例示される。いくつかの実施形態では、アルカノイルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される水素、脂肪族基、または芳香族基である。
【0055】
「脂肪族」とは、少なくとも1個の炭素原子~50個の炭素原子(C1-50)、例えば1~25個の炭素原子(C1-25)、または1~10個の炭素原子(C1-10)を有する炭化水素基を意味し、これはアルカン(またはアルキル)、アルケン(またはアルケニル)、アルキン(またはアルキニル)を含み、それらの環状バージョンを含み、さらに直鎖および分岐鎖配列、ならびにすべての立体異性体および位置異性体も含む。脂肪族基は、非置換であるか、または例えば、本明細書で説明される官能基によって置換される。例えば、脂肪族基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0056】
「脂肪族-カルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、カルボニル基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-カルボニル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された脂肪族基である。
【0057】
「脂肪族-カルボニルオキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-カルボニルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された脂肪族基である。
【0058】
「脂肪族-オキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、オキシ基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-オキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された脂肪族基である。
【0059】
「脂肪族-オキシカルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる脂肪族基を意味し、脂肪族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-オキシカルボニル基は、-C(O)O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された脂肪族基である。
【0060】
「アルキル-アリール」、「アルケニル-アリール」、および「アルキニル-アリール」とは、本明細書で定義されるアリール基を介して親分子基にカップリング(または結合)されるか、またはカップリング(または結合)することができる、それぞれ本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を意味する。アルキル-アリール基、アルケニル-アリール基、および/またはアルキニル-アリール基は、置換または非置換であり得る。例えば、アルキル-アリール基、アルケニル-アリール基、および/またはアルキニル-アリール基は、アルキルおよび/またはアリールについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。例示的な非置換アルキル-アリール基は、7~16個の炭素(C7-16アルキル-アリール)のもの、ならびに1~6個の炭素を有するアルキル基および4~18個の炭素を有するアリール基(すなわち、C1-6アルキル-C4-18アリール)を有するものである。例示的な非置換アルケニル-アリール基は、7~16個の炭素(C7-16アルケニル-アリール)のもの、ならびに2~6個の炭素を有するアルケニル基および4~18個の炭素を有するアリール基(すなわち、C2-6アルケニル-C4-18アリール)を有するものである。例示的な非置換アルキニル-アリール基は、7~16個の炭素(C7-16アルキニル-アリール)のもの、ならびに2~6個の炭素を有するアルキニル基および4~18個の炭素を有するアリール基(すなわち、C2-6アルキニル-C4-18アリール)を有するものである。いくつかの実施形態では、アルキル-アリール基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル-アリール基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアルケニル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル-アリール基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアリール基またはアリーレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアルキニル基である。
【0061】
「アルケニル」とは、少なくとも2個の炭素原子~50個の炭素原子(C2-50)、例えば2~25個の炭素原子(C2-25)、または2~10個の炭素原子(C2-10)、および少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する不飽和一価炭化水素を意味し、不飽和一価炭化水素は、親アルケンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することから得ることができる。アルケニル基は、分岐、直鎖、環状(例えば、シクロアルケニル)、シス、またはトランス(例えば、EまたはZ)であり得る。例示的なアルケニルには、1つまたは複数の二重結合を有する任意選択で置換されたC2-24アルキル基が挙げられる。アルケニル基は、親分子基への適切な結合、または親分子基と別の置換基との間に適切な結合を形成するために1つまたは複数の水素を除去することによって、一価または多価(例えば、二価)になり得る。アルケニル基はまた、置換または非置換であり得る。例えば、アルケニル基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。非限定的なアルケニル基には、アリル(All)、ビニル(VI)、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられる。
【0062】
「アルコキシ」とは、-ORを意味し、Rは、本明細書で説明される任意選択で置換された脂肪族基である。例示的なアルコキシ基には、限定はしないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、トリハロアルコキシ、例えばトリフルオロメトキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、置換または非置換であり得る。例えば、アルコキシ基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。例示的な非置換アルコキシ基には、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、またはC1-24アルコキシ基が挙げられる。
【0063】
「アルコキシアルキル」とは、本明細書で定義されるアルコキシ基で置換される、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。例示的な非置換アルコキシアルキル基には、2~12個の炭素(C2-12アルコキシアルキル)、ならびに1~6個の炭素を有するアルキル基および1~6個の炭素を有するアルコキシ基(すなわち、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル)を有するものが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルコキシアルキル基は、-L-O-Rであり、LおよびRの各々は、独立して、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0064】
「アルコキシカルボニル」とは、-C(O)-ORを意味し、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された脂肪族基である。特定の実施形態では、アルコキシカルボニル基は、-C(O)-OAkであり、Akは、本明細書で定義されるアルキル基である。アルコキシカルボニル基は、置換または非置換であり得る。例えば、アルコキシカルボニル基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。例示的な非置換アルコキシカルボニル基には、C2-3、C2-6、C2-7、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0065】
「アルキル」とは、少なくとも1個の炭素原子~50個の炭素原子(C1-50)、例えば1~25個の炭素原子(C1-25)、または1~10個の炭素原子(C1-10)を有する飽和一価炭化水素を意味し、飽和一価炭化水素は、親化合物(例えば、アルカン)の1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することから得ることができる。アルキル基は、分岐、直鎖、または環状(例えば、シクロアルキル)であり得る。例示的なアルキルには、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、iso-プロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、iso-ブチル(iBu)、sec-ブチル(sBu)、tert-ブチル(tBu)、ペンチル(Pe)、n-ペンチル(nPe)、イソペンチル(iPe)、s-ペンチル(sPe)、ネオペンチル(neoPe)、tert-ペンチル(tPe)、ヘキシル(Hx)、ヘプチル(Hp)、オクチル(Oc)、ノニル(Nn)、デシル(De)、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなど、1~24個の炭素原子の分岐または非分岐の飽和炭化水素基が挙げられる。アルキル基はまた、置換または非置換であり得る。アルキル基は、親分子基への適切な結合、または親分子基と別の置換基との間に適切な結合を形成するために1つまたは複数の水素を除去することによって、一価または多価(例えば、二価)になり得る。例えば、アルキル基は、以下からなる群から独立して選択される1、2、3個、または2個以上の炭素のアルキル基の場合には4個の置換基で置換することができる:(1)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、Rは、C1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、Rは、C1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、Rは、C1-6アルキルである)、(4)アミノ(例えば、-NR12、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、Lは、アルキルであり、Rは、アリールである)、(7)アリーロイル(例えば、-C(O)-R、Rは、アリールである)、(8)アジド(例えば、-N3)、(9)シアノ(例えば、-CN)、(10)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(例えば、本明細書で定義される、1、2、3、または4個の非炭素ヘテロ原子を含む5、6、または7員環など)、(14)ヘテロシクリルオキシ(例えば、-O-R、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(例えば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(例えば、-NO2)、(19)オキソ(例えば、=O)、(20)C1-6チオアルコキシ(例えば、-S-R、Rは、アルキルである)、(21)チオール(例えば、-SH)、(22)-CO21、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択される、(23)-C(O)NR12、R1およびR2の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択される、(24)-SO21、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリール、および(c)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択される、(25)-SO2NR12、R1およびR2の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18である)からなる群から選択される、ならびに(26)-NR12、R1およびR2の各々は、独立して、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18である)、(h)C3-8シクロアルキル、および(i)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C3-8シクロアルキルである)からなる群から選択され、一実施形態では、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合する基は2つも存在しない。アルキル基は、1つまたは複数の置換基(例えば、1つまたは複数のハロまたはアルコキシ)で置換された第一級、第二級、または第三級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、非置換アルキル基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、またはC1-24アルキル基である。
【0066】
「ハロゲン化アルキル」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の炭素-ハロゲン結合を含む化合物を指す。ハロゲン化アルキルは、本明細書で使用される場合、二重または三重の炭素-炭素結合を持たない飽和化合物、または不飽和化合物(例えば、二重および三重の炭素-炭素結合を含み得る)であり得る。
【0067】
「アルキレン」、「アルケニレン」、または「アルキニレン」とは、それぞれ本明細書で説明されるアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基の多価(例えば、二価)形態を意味する。例示的なアルキレン基には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、C1-24、C2-3、C2-6、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24アルキレン基である。他の実施形態では、アルキレン基は、C2-3、C2-6、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20、またはC2-24アルケニレン基またはアルキニレン基である。アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基は、分岐または非分岐であり得る。アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基はまた、置換または非置換であり得る。例えば、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0068】
「アルキルスルフィニル」とは、-S(O)-基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アルキルスルフィニル基は、C1-6またはC1-12アルキルスルフィニル基である。他の実施形態では、アルキルスルフィニル基は、-S(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0069】
「アルキルスルフィニルアルキル」とは、アルキルスルフィニル基によって置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アルキルスルフィニルアルキル基は、C2-12またはC2-24アルキルスルフィニルアルキル基(例えば、C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキルまたはC1-12アルキルスルフィニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルフィニルアルキル基は、-L-S(O)-Rであり、LおよびRの各々は、独立して、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0070】
「アルキルスルホニル」とは、-SO2-基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アルキルスルホニル基は、C1-6またはC1-12アルキルスルホニル基である。他の実施形態では、アルキルスルホニル基は、-SO2-Rであり、Rは、任意選択で置換されたアルキル(例えば、本明細書で説明される、任意選択で置換されたC1-12アルキル、ハロアルキル、またはパーフルオロアルキルを含む)である。
【0071】
「アルキルスルホニルアルキル」とは、アルキルスルホニル基によって置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アルキルスルホニルアルキル基は、C2-12またはC2-24アルキルスルホニルアルキル基(例えば、C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキルまたはC1-12アルキルスルホニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルホニルアルキル基は、-L-SO2-Rであり、LおよびRの各々は、独立して、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0072】
「アルキニル」とは、少なくとも2個の炭素原子~50個の炭素原子(C2-50)、例えば2~25個の炭素原子(C2-25)、または2~10個の炭素原子(C2-10)、および少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する不飽和一価炭化水素を意味し、不飽和一価炭化水素は、親アルキンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することから得ることができる。アルキニル基は、分岐、直鎖、または環状(例えば、シクロアルキニル)であり得る。例示的なアルキニルには、1つまたは複数の三重結合を有する任意選択で置換されたC2-24アルキル基が挙げられる。アルキニル基は、環状または非環状とすることができ、エチニル、1-プロピニルなどによって例示される。アルキニル基は、親分子基への適切な結合、または親分子基と別の置換基との間に適切な結合を形成するために1つまたは複数の水素を除去することによって、一価または多価(例えば、二価)になり得る。アルキニル基はまた、置換または非置換であり得る。例えば、アルキニル基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0073】
「周囲温度」とは、16℃~26℃、例えば19℃~25℃または20℃~25℃の範囲の温度を意味する。
【0074】
「アミド」とは、-C(O)NR12または-NHCOR1を意味し、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。
【0075】
「アミノ」とは、-NR12を意味し、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。特定の実施形態では、R1およびR2の各々は、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキル-アリール、任意選択で置換されたアリール-アルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。特定の実施形態では、R1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することができる。
【0076】
「アミノアルキル」とは、本明細書で定義されるアミノ基によって置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、アミノアルキル基は、-L-NR12であり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、または芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。他の実施形態では、アミノアルキル基は、-L-C(NR12)(R3)-R4であり、Lは、本明細書で定義される共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、または芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができ、R3およびR4の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはアルキルである。
【0077】
「アミノオキシ」とは、本明細書で定義されるアミノ基によって置換された、本明細書で定義されるオキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、アミノオキシ基は、-O-NR12であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。特定の実施形態では、R1およびR2の各々は、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキル-アリール、任意選択で置換されたアリール-アルキル、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシである。
【0078】
「芳香族」とは、別段の指定がない限り、単環(例えば、フェニル)、または少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、インドリル、またはピラゾロピリジニル)である複数の縮合環を有する環状の共役基または5~15個の環原子の部分を意味し、すなわち、少なくとも1つの環、および任意選択で複数の縮合環は、連続的な非局在化π電子系を有する。典型的には、面外π電子の数は、ヒュッケル則(4n+2)に対応する。親構造への結合点は、典型的には、縮合環系の芳香族部分を介する。芳香族基は、非置換であるか、または例えば、本明細書で説明される官能基によって置換される。例えば、芳香族基は、アルキルおよび/またはアリールについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0079】
「芳香族-カルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる芳香族基を意味し、芳香族基は、カルボニル基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族-カルボニル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された芳香族基である。
【0080】
「芳香族-カルボニルオキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる芳香族基を意味し、芳香族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族-カルボニルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された芳香族基である。
【0081】
「芳香族-オキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる芳香族基を意味し、芳香族基は、オキシ基(-O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族-オキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された芳香族基である。
【0082】
「芳香族-オキシカルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができる芳香族基を意味し、芳香族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、芳香族-カルボニル基は、-C(O)O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換された芳香族基である。
【0083】
「アリール」とは、単環または複数の縮合環を有する、少なくとも5個の炭素原子~15個の炭素原子(C5-15)、例えば5~10個の炭素原子(C5-10)を含む芳香族炭素環式基を意味し、その縮合環は、本明細書に開示される化合物の残りの位置への結合点が芳香族炭素環基の原子を介する場合、芳香族であってもなくてもよい。アリール基は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはそれらの任意の組み合わせなど、水素以外の1つまたは複数の基で任意選択で置換されてもよい。例示的なアリール基には、限定はしないが、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどが挙げられる。アリールという用語は、芳香族基の環内に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含む基として定義されるヘテロアリールも含む。ヘテロ原子の例には、限定はしないが、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられる。同様に、アリールという用語にも含まれる非ヘテロアリールという用語は、ヘテロ原子を含まない芳香族基を含む基を定義する。アリール基は、置換または非置換であり得る。アリール基は、以下からなる群から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で置換することができる:(1)C1-6アルカノイル(例えば、-C(O)-R、Rは、C1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキル、(3)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、Rは、C1-6アルキルである)、(4)C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば-L-O-R、LおよびRの各々は、独立して、C1-6アルキルである)、(5)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、Rは、C1-6アルキルである)、(6)C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル(例えば-L-S(O)-R、LおよびRの各々は、独立して、C1-6アルキルである)、(7)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、Rは、C1-6アルキルである)、(8)C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキル(例えば、-L-SO2-R、LおよびRの各々は、独立して、C1-6アルキルである)、(9)アリール、(10)アミノ(例えば、-NR12、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる)、(11)C1-6アミノアルキル(例えば、-L1-NR12または-L2-C(NR12)(R3)-R4、L1は、C1-6アルキルであり、L2は、共有結合またはC1-6アルキルであり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができ、R3およびR4の各々は、独立して、HまたはC1-6アルキルである)、(12)ヘテロアリール、(13)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)、(14)アリーロイル(例えば、-C(O)-R、Rは、アリールである)、(15)アジド(例えば、-N3)、(16)シアノ(例えば、-CN)、(17)C1-6アジドアルキル(例えば、-L-N3、Lは、C1-6アルキルである)、(18)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(19)アルデヒド-C1-6アルキル(例えば、-L-C(O)H、Lは、C1-6アルキルである)、(20)C3-8シクロアルキル、(21)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C3-8シクロアルキルである)、(22)ハロ、(23)C1-6ハロアルキル(例えば、-L1-Xまたは-L2-C(X)(R1)-R2、L1は、C1-6アルキルであり、L2は、共有結合またはC1-6アルキルであり、Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2の各々は、独立して、HまたはC1-6アルキルである)、(24)ヘテロシクリル(例えば、本明細書で定義される、1、2、3、または4個の非炭素ヘテロ原子を含む5、6、または7員環など)、(25)ヘテロシクリルオキシ(例えば、-O-R、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリルである)、(26)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリルである)、(27)ヒドロキシル(-OH)、(28)C1-6ヒドロキシアルキル(例えば、-L1-OHまたは-L2-C(OH)(R1)-R2、L1は、C1-6アルキルであり、L2は、共有結合またはアルキルであり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはC1-6アルキルである)、(29)ニトロ、(30)C1-6ニトロアルキル(例えば、-L1-NOまたは-L2-C(NO)(R1)-R2、L1は、C1-6アルキルであり、L2は、共有結合またはアルキルであり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはC1-6アルキルである)、(31)N-保護アミノ、(32)N-保護アミノ-C1-6アルキル、(33)オキソ(例えば、=O)、(34)C1-6チオアルコキシ(例えば、-S-R、Rは、C1-6アルキルである)、(35)チオ-C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば、-L-S-R、LおよびRの各々は、独立して、C1-6アルキルである)、(36)-(CH2rCO21、rは、0~4の整数であり、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択される、(37)-(CH2rCONR12、rは、0~4の整数であり、各R1およびR2は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から独立して選択される、(38)-(CH2rSO21、rは、0~4の整数であり、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリール、および(c)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択される、(39)-(CH2rSO2NR12、rは、0~4の整数であり、R1およびR2の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリール、および(d)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)からなる群から選択され、(40)-(CH2rNR12、rは、0~4の整数であり、R1およびR2の各々は、独立して、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C4-18アリール-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキル、および(i)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキル(例えば、-L-R、Lは、C1-6アルキルであり、Rは、C3-8シクロアルキルである)からなる群から選択され、一実施形態では、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合する基は2つも存在しない、(41)チオール(例えば、-SH)、(42)パーフルオロアルキル(例えば、-(CF2nCF3、nは、0~10の整数である)、(43)パーフルオロアルコキシ(例えば、-O-(CF2nCF3、nは、0~10の整数である)、(44)アリールオキシ(例えば、-O-R、Rは、アリールである)、(45)シクロアルコキシ(例えば、-O-R、Rは、シクロアルキルである)、(46)シクロアルキルアルコキシ(例えば、-O-L-R、Lは、アルキルであり、Rは、シクロアルキルである)、ならびに(47)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、Lは、アルキルであり、Rは、アリールである)。特定の実施形態では、非置換アリール基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12、またはC6-10アリール基である。
【0084】
「アリール-アルキル」、「アリール-アルケニル」、および「アリール-アルキニル」とは、それぞれ本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を介して親分子基にカップリング(または結合)されるか、またはカップリング(または結合)することができる、本明細書で定義されるアリール基を意味する。アリール-アルキル基、アリール-アルケニル基、および/またはアリール-アルキニル基は、置換または非置換であり得る。例えば、アリール-アルキル基、アリール-アルケニル基、および/またはアリール-アルキニル基は、アリールおよび/またはアルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。例示的な非置換アリール-アルキル基は、7~16個の炭素(C7-16アリール-アルキル)のもの、ならびに4~18個の炭素を有するアリール基および1~6個の炭素を有するアルキル基(すなわち、C4-18アリール-C1-6アルキル)を有するものである。例示的な非置換アリール-アルケニル基は、7~16個の炭素(C7-16アリール-アルケニル)のもの、ならびに4~18個の炭素を有するアリール基および2~6個の炭素を有するアルケニル基(すなわち、C4-18アリール-C2-6アルケニル)を有するものである。例示的な非置換アリール-アルキニル基は、7~16個の炭素(C7-16アリール-アルキニル)のもの、ならびに4~18個の炭素を有するアリール基および2~6個の炭素を有するアルキニル基(すなわち、C4-18アリール-C2-6アルキニル)を有するものである。いくつかの実施形態では、アリール-アルキル基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基またはアルキレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。いくつかの実施形態では、アリール-アルケニル基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアルケニル基またはアルケニレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。いくつかの実施形態では、アリール-アルキニル基は、-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアルキニル基またはアルキニレン基であり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。
【0085】
「アリーレン」とは、本明細書で説明されるアリール基の多価(例えば、二価)形態を意味する。例示的なアリーレン基には、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、トリフェニレン、ジフェニルエーテル、アセナフテニレン、アントリレン、またはフェナントリレンが挙げられる。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12、またはC6-10アリーレン基である。アリーレン基は、分岐または非分岐であり得る。アリーレン基はまた、置換または非置換であり得る。例えば、アリーレン基は、アリールについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0086】
「アリールアルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアリール-アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、アリールアルコキシ基は、-O-L-Rであり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基であり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。
【0087】
「アリールオキシ」とは、-ORを意味し、Rは、本明細書で説明される任意選択で置換されたアリール基である。いくつかの実施形態では、非置換アリールオキシ基は、C4-18またはC6-18アリールオキシ基である。他の実施形態では、Rは、アルキル、アルカノイル、アミノ、ヒドロキシルなどで任意選択で置換されたアリール基である。
【0088】
「アリールオキシカルボニル」とは、カルボニル基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアリールオキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アリールオキシカルボニル基は、C5-19アリールオキシカルボニル基である。他の実施形態では、アリールオキシカルボニル基は、-C(O)O-Rであり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。
【0089】
「アリーロイル」とは、カルボニル基を介して親分子基に結合しているアリール基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アリーロイル基は、C7-11アリーロイルまたはC5-19アリーロイル基である。他の実施形態では、アリーロイル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。
【0090】
「アリーロイルオキシ」とは、オキシ基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアリーロイル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換アリーロイルオキシ基は、C5-19アリーロイルオキシ基である。他の実施形態では、アリーロイルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義されるアリール基である。
【0091】
「アジド」とは、-N3基を意味する。
【0092】
「アジドアルキル」とは、本明細書で定義されるアルキル基を介して親分子基に結合したアジド基を意味する。いくつかの実施形態では、アジドアルキル基は、-L-N3であり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0093】
「アゾ」とは、-N=N-基を意味する。
【0094】
「カルバモイル」とは、本明細書で定義されるカルボニル基を介して親分子基に結合したアミノ基を意味する。いくつかの実施形態では、カルバモイルは、-C(O)NR12基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。
【0095】
「カルバモイルオキシ」とは、本明細書で定義されるnオキシ基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるカルバモイル基を意味する。いくつかの実施形態では、カルバモイルは、-OC(O)NR12基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1およびR2は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。
【0096】
「カルボンイミドイル」とは、-C(NR)-基を意味する。いくつかの実施形態では、Rは、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキル、任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0097】
「カルボニル」とは、-C(O)-基を意味し、>C=Oとして表すこともできる。
【0098】
「カルボキシル」とは、-CO2H基またはその陰イオンを意味する。
【0099】
「触媒」とは、当業者によって容易に理解されるように、合成反応を触媒することが可能な、通常は反応剤に対して少量で存在する化合物を意味する。いくつかの実施形態では、触媒は、遷移金属配位錯体を含んでもよい。
【0100】
「シアナト」とは、-OCN基を意味する。
【0101】
「シアノ」とは、-CN基を意味する。
【0102】
「脂環式」とは、環状である、本明細書で定義される脂肪族基を意味する。
【0103】
「シクロアルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるシクロアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロアルコキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義されるシクロアルキル基である。
【0104】
「シクロアルキルアルコキシ」とは、-O-L-R基を意味し、Lは、本明細書で定義されるアルキル基またはアルキレン基であり、Rは、本明細書で定義されるシクロアルキル基である。
【0105】
「シクロアルキル」とは、特に明記しない限り、3~8個の炭素の一価の飽和または不飽和非芳香族環状炭化水素基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1.ヘプチル]などによって例示される。シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。例えば、シクロアルキル基は、アルキルについて本明細書で説明されるものを含む1つまたは複数の基で置換することができる。さらに、シクロアルキルは、1つまたは複数の二重結合および/または三重結合を含み得る。
【0106】
「シクロヘテロ脂肪族」とは、環状である、本明細書で定義されるヘテロ脂肪族基を意味する。
【0107】
「ジシラニル」とは、Si-Si結合を含む基を意味する。いくつかの実施形態では、ジシラニル基は、-SiRS1S2-SiRS3S4S5または-SiRS1S2-SiRS3S4-基であり、RS1、RS2、RS3、RS4、およびRS5の各々は、独立して、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。
【0108】
「ジスルフィド」とは、-SSRを意味し、Rは、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0109】
「電子供与基」とは、共鳴などによって、その電子密度の少なくとも一部を電子供与基が直接結合している環に供与することが可能な官能基を意味する。
【0110】
「電子吸引基」とは、誘導電子吸引などによって、電子吸引基が直接結合している環から電子密度を受け取ることが可能な官能基を意味する。
【0111】
「ハロ」とは、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0112】
「カルコゲン」とは、O、S、Se、またはTeを意味する。
【0113】
「ハロ脂肪族」とは、本明細書で定義される脂肪族基を意味し、1~10個の水素原子などの1つまたは複数の水素原子は、独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子で置き換えられる。
【0114】
「ハロアルキル」とは、本明細書で定義されるアルキル基を意味し、1~10個の水素原子などの1つまたは複数の水素原子は、独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子で置き換えられる。独立した実施形態では、ハロアルキルは、-CX3基とすることができ、各Xは、独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードから選択することができる。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基は、-L-Xであり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基であり、Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードである。他の実施形態では、ハロアルキル基は、-L-C(X)(R1)-R2であり、Lは、本明細書で定義される共有結合またはアルキル基であり、Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはアルキルである。
【0115】
「ハロヘテロ脂肪族」とは、本明細書で定義されるヘテロ脂肪族を意味し、1~10個の水素原子などの1つまたは複数の水素原子は、独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードなどのハロゲン原子で置き換えられる。
【0116】
「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書で定義される脂肪族基を意味し、少なくとも1個のヘテロ原子~20個のヘテロ原子、例えば1~15個のヘテロ原子、または1~5個のヘテロ原子を含み、これらは、限定はしないが、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、リン、および群内のそれらの酸化形態から選択することができる。ヘテロ脂肪族基は、非置換であるか、または例えば、本明細書で説明される官能基によって置換される。例えば、ヘテロ脂肪族基は、アルキルについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0117】
「ヘテロ脂肪族-カルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、カルボニル基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族-カルボニル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0118】
「ヘテロ脂肪族-カルボニルオキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族-カルボニルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0119】
「ヘテロ脂肪族-オキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、オキシ基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族-オキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0120】
「ヘテロ脂肪族-オキシカルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ脂肪族基を意味し、ヘテロ脂肪族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族-オキシカルボニル基は、-C(O)O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ脂肪族基である。
【0121】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」とは、それぞれ本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基(分岐、直鎖、または環状であり得る)を意味し、少なくとも1個のヘテロ原子~20個のヘテロ原子、例えば1~15個のヘテロ原子、または1~5個のヘテロ原子を含み、これらは、限定はしないが、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、リン、および群内のそれらの酸化形態から選択することができる。
【0122】
「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルケニレン」、および「ヘテロアルキニレン」とは、それぞれ本明細書で説明されるヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、またはヘテロアルキニル基の多価(例えば、二価)形態を意味する。
【0123】
「ヘテロ芳香族」とは、本明細書で定義される芳香族基を意味し、少なくとも1個のヘテロ原子~20個のヘテロ原子、例えば1~15個のヘテロ原子、または1~5個のヘテロ原子を含み、これらは、限定はしないが、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、リン、および群内のそれらの酸化形態から選択することができる。ヘテロ芳香族基は、非置換であるか、または例えば、本明細書で説明される官能基によって置換される。例えば、ヘテロ芳香族基は、アルキルおよび/またはアリールについて本明細書で説明される1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0124】
「ヘテロ芳香族-カルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、カルボニル基(-C(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族-カルボニル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0125】
「ヘテロ芳香族-カルボニルオキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、カルボニルオキシ基(-OC(O)-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族-カルボニルオキシ基は、-OC(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0126】
「ヘテロ芳香族-オキシ」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、オキシ基(-O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族-オキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0127】
「ヘテロ芳香族-オキシカルボニル」とは、本明細書に開示される化合物にカップリングされるか、またはカップリングすることができるヘテロ芳香族基を意味し、ヘテロ芳香族基は、オキシカルボニル基(-C(O)O-)を介してカップリングされるか、またはカップリングされるようになる。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族-カルボニル基は、-C(O)O-Rであり、Rは、本明細書で定義される任意選択で置換されたヘテロ芳香族基である。
【0128】
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個のヘテロ原子~6個のヘテロ原子、例えば1~4個のヘテロ原子を含むアリール基を意味し、これらは、限定はしないが、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、リン、および環内のそれらの酸化形態から選択することができる。そのようなヘテロアリール基は、単環または複数の縮合環を有することができ、縮合環は、結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介する場合、芳香族であってもなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含んでもよい。ヘテロアリール基は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはそれらの任意の組み合わせなど、水素以外の1つまたは複数の基で置換されてもよい。例示的なヘテロアリールには、芳香族である、すなわち、単環式または多環式環系内に4n+2個のπ電子を含む、本明細書で定義されるヘテロシクリル基のサブセットが挙げられる。
【0129】
「ヘテロアリーレン」とは、本明細書で説明されるヘテロアリール基の多価(例えば、二価)形態を意味する。
【0130】
「ヘテロ原子」とは、炭素以外の原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、またはリンを意味する。原子価の制約が許されない場合などの特定の開示された実施形態では、ヘテロ原子は、ハロゲン原子を含まない。
【0131】
「ヘテロシクリル」とは、別段の指定がない限り、1、2、3、または4個の非炭素ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、リン、硫黄、またはハロからなる群から独立して選択される)を含む5、6、または7員環を意味する。5員環は、0~2個の二重結合を有し、6員環および7員環は、0~3個の二重結合を有する。「ヘテロシクリル」という用語はまた、二環式、三環式、および四環式の基を含み、上記のヘテロ環のいずれかは、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、およびインドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどの別の単環式ヘテロ環からなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの環に縮合している。ヘテロ環には、チイラニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、チアニル、チエパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリドニル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソインダゾイル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ウリシル、チアジアゾリル、ピリミジル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ジオキサニル、ジオキシニル、ジチアニル、トリチアニル、オキサジニル、チアジニル、オキソチオラニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが挙げられる。
【0132】
「ヘテロシクリルオキシ」とは、酸素原子を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルオキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリル基である。
【0133】
「ヘテロシクリロイル」とは、カルボニル基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリロイル基は、-C(O)-Rであり、Rは、本明細書で定義されるヘテロシクリル基である。
【0134】
「ヒドラジノ」とは、-NR1-NR23を意味し、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、または任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるか、またはR1とR2の組み合わせ、またはR2とR3の組み合わせは、各々が結合している窒素原子と一緒になって、本明細書で定義されるヘテロシクリル基を形成することができる。いくつかの実施形態では、R1、R2、またはR3の各々は、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキルである。特定の実施形態では、R2およびR3は、各々が結合している窒素原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することができる。
【0135】
「ヒドロキシル」とは、-OHを意味する。
【0136】
「ヒドロキシアルキル」とは、1~3個のヒドロキシル基によって置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味するが、1個以下のヒドロキシル基がアルキル基の単一の炭素原子に結合され得るという条件付きであり、この基はヒドロキシメチル、ジヒドロキシプロピルなどによって例示される。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、-L-OHであり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基である。他の実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、-L-C(OH)(R1)-R2であり、Lは、本明細書で定義される共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはアルキルである。
【0137】
「イミドイル」とは、カルボンイミドイル基を含む部分を意味する。いくつかの実施形態では、イミドイル基は、C(NR1)R2であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義される水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキル、任意選択で置換されたシリルオキシ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。他の実施形態では、イミドイル基は、-C(NR1)H、-C(NR1)RAk、または-C(NRN1)RArであり、R1は、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、任意選択で置換されたシリル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキル、または任意選択で置換されたシリルオキシであり、RAkは、任意選択で置換されたアルキルまたは任意選択で置換された脂肪族であり、RArは、任意選択で置換されたアリールまたは任意選択で置換された芳香族である。
【0138】
「イミノ」とは、-NR-基を意味する。いくつかの実施形態では、Rは、水素、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族から選択される。特定の実施形態では、Rは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキルである。
【0139】
「イソシアナト」とは、-NCO基を意味する。
【0140】
「イソシアノ」とは、-NC基を意味する。
【0141】
「ケトン」とは、-C(O)Rまたはそのような基を含む化合物を意味し、Rは、本明細書で定義される脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。ケトンの一例には、R1C(O)Rが挙げられ、RおよびR1の各々は、独立して、本明細書で定義される脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0142】
「ニトロ」とは、-NO2基を意味する。
【0143】
「ニトロアルキル」とは、1~3個のニトロ基によって置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-NOであり、Lは、本明細書で定義されるアルキル基である。他の実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-C(NO)(R1)-R2であり、Lは、本明細書で定義される共有結合またはアルキル基であり、R1およびR2の各々は、独立して、本明細書で定義されるHまたはアルキルである。
【0144】
「オキソ」とは、=O基を意味する。
【0145】
「オキシ」とは、-O-を意味する。
【0146】
「パーフルオロアルキル」とは、フッ素原子で置換された各水素原子を有する、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。例示的なパーフルオロアルキル基には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、パーフルオロアルキル基は、-(CF2nCF3であり、nは、0~10の整数である。
【0147】
「パーフルオロアルコキシ」は、フッ素原子で置換された各水素原子を有する、本明細書で定義されるアルコキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、パーフルオロアルコキシ基は、-O-Rであり、Rは、本明細書で定義されるパーフルオロアルキル基である。
【0148】
「塩」とは、電気的に中性の化合物または構造を形成するカチオンまたはアニオン化合物を含む、化合物または構造(例えば、本明細書に記載の任意の式、化合物、または組成)のイオン形態を意味する。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中にin situで、または遊離塩基基を適切な有機酸と反応させることによって(それによってアニオン塩を生成する)、または酸基を適切な金属もしくは有機塩と反応させることによって(それによってカチオン塩を生成する)、別々に調製することができる。代表的なアニオン塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、二リン酸塩、ドデシル硫酸塩、エデト酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスル酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート(mucate)、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、亜酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酸塩、チオシアン酸塩、トリエチオジド、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なカチオン塩には、金属塩、例えばアルカリまたはアルカリ土類塩、例えば、バリウム、カルシウム(例えば、エデト酸カルシウム)、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなど;他の金属塩、例えばアルミニウム、ビスマス、鉄、および亜鉛;ならびに、限定はしないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ピリジニウムなどを含む、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミノカチオンが挙げられる。他のカチオン塩には、クロロプロカイン、コリン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルカミン、およびプロカインなどの有機塩が挙げられる。さらに他の塩には、アンモニウム、スルホニウム、スルホキソニウム、ホスホニウム、イミニウム、イミダゾリウム、ベンズイミダゾリウム、アミジニウム、グアニジニウム、ホスファジニウム、ホスファゼニウム、ピリジニウムなど、ならびに本明細書に記載の他のカチオン基(例えば、任意選択で置換されたイソキサゾリウム、任意選択で置換されたオキサゾリウム、任意選択で置換されたチアゾリウム、任意選択で置換されたピロリウム、任意選択で置換されたフラニウム、任意選択で置換されたチオフェニウム、任意選択で置換されたイミダゾリウム、任意選択で置換されたピラゾリウム、任意選択で置換されたイソチアゾリウム、任意選択で置換されたトリアゾリウム、任意選択で置換されたテトラゾリウム、任意選択で置換されたフラザニウム、任意選択で置換されたピリジニウム、任意選択で置換されたピリミジニウム、任意選択で置換されたピラジニウム、任意選択で置換されたトリアジニウム、任意選択で置換されたテトラジニウム、任意選択で置換されたピリダジニウム、任意選択で置換されたオキサジニウム、任意選択で置換されたピロリジニウム、任意選択で置換されたピラゾリジニウム、任意選択で置換されたイミダゾリニウム、任意選択で置換されたイソキサゾリジニウム、任意選択で置換されたオキサゾリジニウム、任意選択で置換されたピペラジニウム、任意選択で置換されたピペリジニウム、任意選択で置換されたモルホリニウム、任意選択で置換されたアゼパニウム、任意選択で置換されたアゼピニウム、任意選択で置換されたインドリウム、任意選択で置換されたイソインドリウム、任意選択で置換されたインドリジニウム、任意選択で置換されたインダゾリウム、任意選択で置換されたベンズイミダゾリウム、任意選択で置換されたイソキノリニウム、任意選択で置換されたキノリジニウム、任意選択で置換されたデヒドロキノリジニウム、任意選択で置換されたキノリニウム、任意選択で置換されたイソインドリニウム、任意選択で置換されたベンズイミダゾリニウム、および任意選択で置換されたプリニウム)が挙げられる。
【0149】
「シリル」とは、-SiR123または-SiR12-基を意味する。いくつかの実施形態では、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。特定の実施形態では、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキル-アリール、任意選択で置換されたアリール-アルキル、または任意選択で置換されたアミノである。他の実施形態では、シリル基は、-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、各Rは、独立して、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は、≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキルである。
【0150】
「シリルオキシ」とは、-ORを意味し、Rは、本明細書で説明される任意選択で置換されたシリル基である。いくつかの実施形態では、シリルオキシ基は、-O-SiR123であり、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、任意選択で置換されたヘテロ芳香族、または任意選択で置換されたアミノである。特定の実施形態では、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたアルキル-アリール、任意選択で置換されたアリール-アルキル、または任意選択で置換されたアミノである。他の実施形態では、シリルオキシ基は、-O-Si(R)a(OR)b(NR2cであり、各Rは、独立して、H、任意選択で置換された脂肪族、任意選択で置換されたヘテロ脂肪族、任意選択で置換された芳香族、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族であり、a、b、およびcの各々は、≧0であり、a+b+c=3である。特定の実施形態では、各Rは、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアルキル-アリール、または任意選択で置換されたアリール-アルキルである。
【0151】
「スルフィニル」とは、-S(O)-基を意味する。
【0152】
「スルホ」とは、-S(O)2OH基を意味する。
【0153】
「スルホニル」または「スルホン酸塩」とは、-S(O)2-基または-SO2Rを意味し、Rは、本明細書で定義される水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、芳香族、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0154】
「チオアルキル」とは、硫黄原子を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。例示的な非置換チオアルキル基には、C1-6チオアルキルが挙げられる。いくつかの実施形態では、チオアルキル基は、-S-Rであり、Rは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0155】
「チオール」とは、-SH基を意味する。
【0156】
当業者は、上記の定義が許容できない置換パターン(例えば、5つの異なる基で置換されたメチルなど)を含むことを意図していないことを認識するであろう。そのような許容できない置換パターンは、当業者によって容易に認識される。本明細書に開示され、かつ/または上で定義されたあらゆる官能基は、別段の指示がない限り、置換または非置換であり得る。
【0157】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0158】
「独立して選択される」という用語は、複数のR基を含む分子におけるR置換基の選択を指す場合、分子の異なる原子におけるR置換基の選択が独立であること、および複数のR置換基を有する1つの原子におけるR置換基の選択も独立であることを意味する。
【0159】
実施形態
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される堆積方法は、凹状フィーチャを有する半導体基板を提供することと、基板をハロゲン含有堆積阻害剤に曝露することであって、堆積阻害剤は、基板の表面を改質し、表面を金属堆積に対してより耐性のあるものにすることとを伴う。プロセスは、半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露することであって、還元剤は、金属前駆体をゼロ酸化状態の金属に還元することをさらに伴う。
【0160】
凹状フィーチャへの金属の堆積が堆積阻害剤の非存在下で行われる場合、金属は、凹状フィーチャの底部部分またはフィーチャ側壁の底部部分と比較して、基板のフィールド領域においてより高い堆積速度で堆積し得る。これは、凹状フィーチャの底部への金属前駆体の拡散が遅いために起こり、凹状フィーチャの底部よりもフィールド領域付近の金属前駆体の濃度が局所的に高くなる可能性がある。さらに、場合によっては、金属の堆積は、凹状フィーチャの底部付近の側壁よりも凹状フィーチャの開口部付近の側壁においてより速い速度で起こる。ハロゲン含有堆積阻害剤の使用により、フィールド領域上および凹状フィーチャの開口部付近での堆積を阻害することができ、優れたステップカバレッジでの堆積をもたらすことができる。例えば、本明細書で提供される方法を使用して共形金属層を堆積させることができる。フィールド上に堆積された金属の厚さに対する凹状フィーチャ側壁の堆積された金属の厚さの比が少なくとも90%、例えば少なくとも95%である共形金属膜を得ることが可能である。
【0161】
以下の図では、一例としてハロゲン化アルキル堆積阻害剤を使用して実施形態が例示される。ハロゲン化アルキルは例示の目的で使用されており、図示の実施形態では様々なハロゲン含有化合物を堆積阻害剤として使用することができることが理解される。堆積阻害剤の例には、ジハロゲン(例えば、F2、Cl2、Br2、およびI2)、ハロゲン化水素(例えば、HF、HCl、HBr、HI)、金属ハロゲン化物、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化ゲルマニウム、ケイ素-ハロゲン結合を含む化合物、炭素-ハロゲン結合を含む化合物、および窒素-ハロゲン結合を含む化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有化合物は、X2(ジハロゲン)、HX(ヨウ化水素)、CH3X(ハロゲン化メチル)、C25X(ハロゲン化エチル)、1-ハロプロパン、2-ハロプロパン、1-ハロブタン、ハロゲン化sec-ブチル、ハロゲン化t-ブチル、ハロシクロペンタン、ハロシクロヘキサン、ハロドメタン、1,2-ジハロエタン、1,1-ジハロプロパン、1,2-ジハロプロパン、1,3-ジハロプロパン、2,2-ジハロプロパン、1,1-ジハロブタン、1,2-ジハロブタン、1,3-ジハロブタン、2,2-ジハロブタン、2,3-ジハロブタン、1,2-ジハロ-2-メチルプロパン、2,3-ジハロ-2,3-ジメチルブタン、1,1,2,2-テトラハロエタン、2,2,3,3-テトラハロブタン、1,1,1,2,2,2-ヘキサハロエタン、1,2-ジハロシクロペンタン、1,2-ジハロシクロヘキサン、ハロベンゼン、ジハロベンゼン、2-ハロピリジン、3-ハロピリジン、4-ハロピリジン、3-ハロ-1-ニトロベンゼン、3-ハロ-1-トリフルオロメチルベンゼン、4-ハロアニリン、4-ハロ-1-ジメチルアミノベンゼン、4-ハロフェノール、(トリメチルシリル)メチルハライド、(トリメチルシリル)メチルジハライド、(トリメチルシリル)メチルトリハライド、ビス(トリメチルシリル)メチルハライド、ビス(トリメチルシリル)メチルジハライド、トリス(トリメチルシリル)メチルハライド、1-(トリメチルシリル)-1-ハロエタン、1-(トリメチルシリル)-1,2-ジハロエタン、1,1-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジハロエタン、1,2-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジハロエタン、CHX3(トリハロメタン)、CX4(四ハロゲン化炭素)、1-ハロエテン、1-ハロプロペン、2-ハロプロペン、1-ハロ-1-ブテン、1-ヨード-2-ブテン、2-ハロ-1-ブテン、2-ハロ-2-ブテン、ハロアセチレン、3,3-ジメチル-1-ハロ-ブタ-1-イン、1,1-ジハロエテン、1,2-ジハロエテン、1,2-ジハロプロペン、1,2-ジハロ-2-プロペン、1,2-ジハロブテン、1,2-ジハロ-2-ブテン、1,2-ジハロ-3-ブテン、3,4-ジハロシクロヘキセン、4,5-ジハロシクロヘキサジエン、1,2-ジハロアセチレン、1,1,2,2-テトラハロエテン、SiX4(四ハロゲン化ケイ素)、SiHX3(トリハロシラン)、SiH22(ジハロシラン)、SiH3X(ハロシラン)、Si(CH3)X3(トリハロゲン化メチルシリル)、Si(CH322(ジハロゲン化ジメチルシリル)、Si(CH33X(ハロゲン化トリメチルシリル)、Si(CH3)HX2(ジハロメチルシラン)、Si(CH32HX(ハロジメチルシラン)、Si(CH3)H2X(メチルハロシラン)、Si26(ヘキサハロジシラン)、GeX4(四ハロゲン化ゲルマニウム)、GeHX3(トリハロゲルマン)、GeH22(ジハロゲルマン)、GeH3X(ハロゲルマン)、AlX3(三ハロゲン化アルミニウム)、BX3(三ハロゲン化ホウ素)、TiX4(四ハロゲン化チタン)、SnX4(四ハロゲン化スズ)、N-ハロコハク酸イミド、1,3-ジハロ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ハロフタルイミド、N-ハロサッカリン、および1-クロロ-2-ハロエタンのうちの1つまたは複数であり、X(およびハロ)は、F、Cl、Br、およびIから独立して選択されるハロゲンである。
【0162】
いくつかの実施形態では、ヨウ素含有ハロゲン含有化合物が堆積阻害剤として使用される。ヨウ素含有化合物の例には、I2(ジヨウ素)、HI(ヨウ化水素)、CH3I(ヨウ化メチル)、C25I(ヨウ化エチル)、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、ヨウ化sec-ブチル、ヨウ化t-ブチル、ヨードシクロペンタン、ヨードシクロヘキサン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、1,1-ジヨードプロパン、1,2-ジヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、2,2-ジヨードプロパン、1,1-ジヨードブタン、1,2-ジヨードブタン、1,3-ジヨードブタン、2,2-ジヨードブタン、2,3-ジヨードブタン、1,2-ジヨード-2-メチルプロパン、2,3-ジヨード-2,3-ジメチルブタン、1,1,2,2-テトラヨードエタン、2,2,3,3-テトラヨードブタン、1,1,1,2,2,2-ヘキサヨードエタン、1,2-ジヨードシクロペンタン、1,2-ジヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ジヨードベンゼン、2-ヨードピリジン、3-ヨードピリジン、4-ヨードピリジン、3-ヨード-1-ニトロベンゼン、3-ヨード-1-トリフルオロメチルベンゼン、4-ヨードアニリン、4-ヨード-1-ジメチルアミノベンゼン、4-ヨードフェノール、ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、三ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化トリス(トリメチルシリル)メチル、1-(トリメチルシリル)-1-ヨードエタン、1-(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,1-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,2-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、CHI3(トリヨードメタン)、CI4(四ヨウ化炭素)、1-ヨードエテン、1-ヨードプロペン、2-ヨードプロペン、1-ヨード-1-ブテン、1-ヨード-2-ブテン、2-ヨード-1-ブテン、2-ヨード-2-ブテン、ヨードアセチレン、3,3-ジメチル-1-ヨード-ブタ-1-イン、1,1-ジヨードエテン、1,2-ジヨードエテン、1,2-ジヨードプロペン、1,2-ジヨード-2-プロペン、1,2-ジヨードブテン、1,2-ジヨード-2-ブテン、1,2-ジヨード-3-ブテン、3,4-ジヨードシクロヘキセン、4,5-ジヨードシクロヘキサジエン、1,2-ジヨードアセチレン、1,1,2,2-テトラヨードエテン、SiI4(四ヨウ化ケイ素)、SiHI3(トリヨードシラン)、SiH22(ジヨードシラン)、SiH3I(ヨードシラン)、Si(CH3)I3(三ヨウ化メチルシリル)、Si(CH322(二ヨウ化ジメチルシリル)、Si(CH33I(ヨウ化トリメチルシリル)、Si(CH3)HI2(ジヨードメチルシラン)、Si(CH32HI(ヨードジメチルシラン)、Si(CH3)H2I(メチルヨードシラン)、Si26(ヘキサヨードジシラン)、GeI4(四ヨウ化ゲルマニウム)、GeHI3(トリヨードゲルマン)、GeH22(ジヨードゲルマン)、GeH3I(ヨードゲルマン)、AlI3(三ヨウ化アルミニウム)、BI3(三ヨウ化ホウ素)、TiI4(四ヨウ化チタン)、SnI4(四ヨウ化スズ)、N-ヨードスクシンイミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ヨードフタルイミド、N-ヨードサッカリン、1-クロロ-2-ヨードエタン、および塩化ヨウ素(ICl)が挙げられる。
【0163】
図1A図1Cは、本明細書で提供される方法に従って金属堆積を受ける半導体基板の概略断面図を示しており、金属膜の共形堆積が示されている。図1Aは、酸化ケイ素などのケイ素含有誘電体層であり得る材料層103に形成された凹状フィーチャ101を有する基板を示している。金属シリサイドおよびケイ素を含み得る層105が、凹状フィーチャ101の底部に存在する。基板は窒化チタン層で裏打ちされ、フィールド領域内、凹状フィーチャの側壁上、および凹状フィーチャの底部で露出される。基板を金属前駆体および還元剤に順次または同時に曝露することによって、阻害剤を使用せずに金属堆積がそのような基板上で実行される場合、フィールド領域はより露出しており、かつフィールド内により多くの金属核形成が存在するため、凹状フィーチャの底部およびフィーチャ側壁よりも実質的に厚い金属層がフィールド領域に堆積される。本明細書で提供される方法によれば、基板はハロゲン化アルキル堆積阻害剤に曝露され、ハロゲン化アルキルは、凹状フィーチャの底部よりもフィールド領域における基板の表面を改質する(例えば、ハロゲン化アルキルの濃度勾配により)。表面がハロゲン化アルキルによって改質された後、半導体基板は、金属前駆体および還元剤に(例えば、順次の曝露を繰り返して)曝露されて金属前駆体を還元し、図1Bに示されるように、金属109の共形層を形成する。次に、プロセスは、半導体基板を金属前駆体および還元剤に(例えば、順次の曝露を繰り返して)曝露することによって、金属で凹状フィーチャ101を充填することができる。いくつかの実施形態では、図1Aで提供される基板の最初の前処理に加えて、金属堆積中にハロゲン化アルキル堆積阻害剤への基板の曝露がさらに含まれる。例えば、基板は、各金属堆積サイクル中、または所定の数の堆積サイクル後にハロゲン化アルキル堆積阻害剤に曝露され、(例えば、フィールド領域における堆積を低減するために)堆積プロファイルの調節を可能にすることができる。フィーチャ101が金属109で充填された後に得られる構造が、図1Cに示される。
【0164】
別の実施形態では、ハロゲン化アルキル堆積阻害剤の使用により、金属のボトムアップ堆積が可能になる。この実施形態では、フィールドおよび側壁の表面はハロゲン化アルキル阻害剤への曝露によって十分に改質され、これらの表面上の金属成長を無視できる数に減少させるが、凹状フィーチャの底部はそれほど改質されず、底部での金属成長速度は、側壁上およびフィールドでの金属成長速度よりも実質的に高い。例えば、底部上の金属堆積速度は、阻害された表面(例えば、フィールドまたは側壁)上よりも少なくとも1.5倍、例えば少なくとも約2倍または少なくとも約5倍大きくてもよい。これは図1D図1Fに示されており、図1Dは金属堆積のために提供される基板を示し、この基板は図1Aに示すものと同じ基板である。図1Aに示す基板は、凹状フィーチャの底部よりもフィールド領域を大きく改質するハロゲン化アルキル堆積阻害剤に曝露され、金属が本明細書で提供される方法に従って堆積される。図1Eは、本明細書に記載のようなハロゲン化アルキル阻害剤による阻害を使用して、金属109の一部がボトムアップ堆積で堆積された後の基板を示している。金属堆積プロセスは、図1Fに示すように、ボトムアップ様式で続いて凹状フィーチャ101を充填し、充填された凹部を有する基板を提供することができる。
【0165】
選択された表面上の金属堆積の阻害は、様々なプロセスシーケンスを使用して実行することができ、CVDおよびALD金属堆積プロセスの両方に統合することが可能である。CVDプロセスでは、金属前駆体および還元剤が、少なくとも堆積中のある時間において同時にプロセスチャンバに送給される。ALDプロセスでは、金属前駆体および還元剤は、同時に送給することなく、順次プロセスチャンバに送給される。ALDでは、各サイクルが金属前駆体送給段階および還元剤送給段階を含む堆積サイクルが、所望の厚さの金属膜を形成するために必要な回数だけ繰り返される。
【0166】
図示の例における金属堆積は、約250℃~約600℃(例えば、約350℃~約600℃)の温度、および典型的には300torr未満、例えば約0.1~約100torrの圧力で実行することができる。金属前駆体、還元剤、およびハロゲン化アルキル阻害剤は、堆積条件下で蒸気の形態で導入することができるように選択される。いくつかの実施形態では、阻害ステップと金属還元ステップの両方が、堆積装置の同じプロセスチャンバまたはプロセスステーション内で実行される。他の実施形態では、ハロゲン化アルキル表面前処理は、金属前駆体の露出および還元とは異なるプロセスチャンバまたはプロセスステーションで行われる。反応剤(阻害剤、金属前駆体、および還元剤)は、不活性キャリアガスの使用の有無にかかわらず、実施態様に応じて、例えば0.5~10,000sccmの範囲の流量でプロセスチャンバに流し込むことができる。いくつかの実施形態では、堆積は、基板をハロゲン化アルキル、金属前駆体、および還元剤に順次曝露することを伴い、各曝露は、約1~約200秒、例えば約5~50秒続く。1つの例示的な実施態様では、堆積プロセスは、ハロゲン化アルキル阻害剤として塩化t-ブチルを、モリブデンの堆積のための金属前駆体としてMoCl5を、そして還元剤としてH2を利用する。いくつかの実施形態では、還元剤(例えば、水素)への曝露は、ハロゲン化アルキルおよび金属前駆体への曝露よりも高い圧力で実行される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アルキルへの曝露は、金属前駆体または還元剤への曝露の各々よりも長い。
【0167】
ハロゲン化アルキル阻害を使用した金属堆積法についての異なる例示的なプロセスフローが、図2A図2Cに示されている。これらの方法は、本明細書に記載のような凹状フィーチャを有する様々な基板上への共形またはボトムアップ金属堆積に使用することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アルキル阻害剤による阻害は、図2Aに示すプロセスフロー図によって示されているALDプロセスに統合される。プロセスは、ステップ201で基板をハロゲン化アルキル堆積阻害剤に曝露することによって開始する。基板は、露出した金属層、金属窒化物層、金属酸化物層、ケイ素層、またはケイ素含有誘電体層を有する基板など、本明細書に記載の基板のいずれであってもよい。例えば、基板は図1Aに示す構造を有することができ、露出した窒化チタン層がフィールド領域、フィーチャ側壁上、およびフィーチャ底部における基板の表面を裏打ちしている。基板がハロゲン化アルキルに曝露されると、ハロゲン化アルキルはフィーチャの底部よりもフィールド領域を大きく改質し、改質された表面を改質前よりも後続の堆積に対してより耐性のあるものにする。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アルキル阻害剤は、共流ガスの非存在下でプロセスチャンバに流される。他の実施形態では、ハロゲン化アルキル阻害剤は、窒素、アルゴン、またはヘリウムなどの不活性キャリアガスと共にプロセスチャンバに流される。ハロゲン化アルキルは、基板の表面に吸着して表面を改質することを可能にするプロセス条件下で流され、吸着は、物理吸着および化学吸着(例えば、表面ハロゲン化)の少なくとも1つを伴い得る。次に、ハロゲン化アルキルの流れが停止され、ステップ203において、基板が金属前駆体に曝露される。金属前駆体は、キャリアガスの有無にかかわらずプロセスチャンバに導入することができ、基板の表面に吸着させることが可能である。既に説明したように、金属前駆体の吸着は、表面上の阻害剤誘導改質の存在によって妨げられる。金属前駆体の流れが停止された後、プロセスはステップ205に続き、基板が還元剤に曝露され、還元剤が基板の表面上の吸着された金属前駆体を還元して金属層を形成する。還元剤の流れが停止された後、プロセスは、ステップ201~205を繰り返すことによる、またはステップ203~205のみを繰り返すことによる、または堆積サイクルの一部においてステップ201~205を繰り返し、堆積サイクルの別の部分においてステップ203~205のみを繰り返すことによるステップ207に継続することができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アルキル堆積阻害剤による最初の前処理201は、所望通りに堆積プロファイルを改質するのに十分であり、その後の堆積サイクルはハロゲン化アルキル処理を含まない。例えば、提供された基板はハロゲン化アルキルで処理することができ、プロセスは2~2,000回の堆積サイクルを実施することによって続いてもよく、各サイクルは、1つの金属前駆体曝露ステップと、1つの還元剤曝露ステップとを有する。いくつかの実施形態では、そのような堆積サイクルが2~200回実施される。ハロゲン化アルキル処理がプロセスの初めにのみ使用され、繰り返しの堆積サイクルの各々の一部ではないため、この実施形態はハロゲン化アルキルプレソーク堆積と呼ばれる。
【0170】
他の実施形態では、各堆積ステップにおいてハロゲン化アルキル堆積阻害剤で基板を処理することが有利である。例えば、1つの堆積サイクルは、ハロゲン化アルキル曝露、金属前駆体曝露、および還元剤曝露を含むことができる。堆積プロセスは、いくつかの実施形態では、2~2,000回のそのようなサイクル、例えば2~200回の該サイクルを実施することを伴う。この実施形態は、3ステップサイクル堆積と呼ばれる。
【0171】
いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、2ステップ堆積サイクル(ハロゲン化アルキルの非存在下での金属前駆体および還元剤曝露段階)と3ステップ堆積サイクル(ハロゲン化アルキル、金属前駆体、および還元剤曝露段階)の両方を含む。いくつかの実施形態では、所望に応じて堆積プロファイルを改質するために、所定の数の2ステップ堆積サイクルの後にハロゲン化アルキル曝露ステップが挿入される。
【0172】
図2Aに示すプロセスフローは、曝露段階の間のパージの有無にかかわらず行うことができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、ハロゲン化アルキル曝露ステップ201、金属前駆体曝露ステップ203、および還元剤曝露ステップ205の各々の後に、窒素、アルゴン、またはヘリウムなどの不活性ガスでパージされる。パージを伴う堆積は、いくつかの実施形態では高アスペクト比の凹状フィーチャへの堆積に好ましい。
【0173】
ハロゲン化アルキル堆積阻害剤は、金属含有前駆体と同時に導入される場合であっても、金属堆積を阻害することが可能である。例えば、図2Bに示されるプロセスフローでは、プロセスは、基板をハロゲン化アルキル堆積阻害剤および金属前駆体に曝露することによるステップ209で開始する。例えば、ハロゲン化アルキルおよび金属前駆体は、プロセスチャンバへの別々の入口を通して、または予混合された形態で単一の入口を通して基板を収容するプロセスチャンバに同時に流すことができる。ハロゲン化アルキルは基板の表面を改質し、それにより表面の選択された部分が金属堆積に対してより耐性になる。例えば、上述のように、ハロゲン化アルキルの濃度勾配により、表面は、凹状フィーチャの底部よりもフィールド領域および凹状フィーチャの開口部付近で大きく改質され得る。次に、ハロゲン化アルキルおよび金属前駆体の流れを停止し、ステップ211において、基板は還元剤に曝露される(金属前駆体およびハロゲン化アルキルなしで流される)。還元剤が金属前駆体を還元して金属層を形成した後、ステップ209および211を所望の回数だけステップ213で繰り返し、所望の厚さの金属膜を形成することができる。例えば、2~2,000回の堆積サイクル、例えば2~200回の堆積サイクルが実施されてもよく、各サイクルは、ステップ209およびステップ211を含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、いくつかの堆積サイクルにわたってステップ209および211を繰り返すことによって開始し、その後、ステップ203および205のみを含む阻害剤フリーのサイクルを継続することができる。パージが、任意選択で、ステップ209および211の各々の後の各堆積サイクルで使用されてもよい。
【0174】
別の実施形態では、阻害剤は、還元剤と同時に導入される。これは、図2Cに示すプロセスフロー図によって示されている。プロセスは、基板を金属前駆体に曝露することによるステップ215で開始する。次に、ステップ217において、基板は還元剤およびハロゲン化アルキル堆積阻害剤に同時に曝露される。プロセスは、ステップ215および217を繰り返すことによるステップ219に続いてもよい。例えば、2~2,000回の堆積サイクル、例えば2~200回の堆積サイクルが実施されてもよく、各サイクルは、ステップ205およびステップ217を含む。不活性ガスによるパージが、任意選択で、ステップ205およびステップ217の各々の後に行われてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、基板を還元剤および金属前駆体に曝露する順序は、(図2A図2Cに示す順序と比較して)入れ替えることができる。いくつかの実施形態では、プロセスは、図2A図2Cに示す堆積プロセスを開始する直前に基板の表面の水素(H2)処理をさらに伴い、水素は、堆積のために表面をさらに調整することができる。
【0176】
他の実施形態では、ハロゲン化アルキル阻害剤による処理は、CVDプロセスに統合される。例えば、基板は、金属前駆体および還元剤に同時に曝露される前に、ハロゲン化アルキル阻害剤と接触させてもよい。
【0177】
特定の理論によって、または特別な阻害機構によって限定されるものではないが、ハロゲン化アルキルによる基板表面のハロゲン化により阻害が起こる場合があり、次にこのハロゲン化は、その表面上への金属前駆体の吸着を制限することが示唆されている。この機構は図3に示されており、モリブデンの堆積が行われている基板表面を概略的に提示している。図示の例では、窒化チタン層301を含む基板が提供される。次に、基板は表面調整動作において水素(H2)で処理され、これにより窒化チタン層上に水素終端表面303も形成される。次に、基板は塩化t-ブチルに曝露され、それにより塩素化窒化チタン表面307が形成され、同時に2-メチルプロペン(図示せず)が形成される。その後、基板はMoCl5モリブデン前駆体に曝露されるが、これは、未処理の表面と比較して塩素化表面に吸着されにくい。したがって、ハロゲン化表面の形成は、金属成長における核形成の遅延をもたらす。次に、基板は還元剤で処理され、吸着されたモリブデン前駆体はモリブデン金属に還元され、同時に塩素原子が表面から除去され、その結果モリブデンがまばらに成長した表面309が得られる。ハロゲン化アルキルからハロゲン化水素が排除された後に形成されるアルケン(2-メチルプロペンなど)の物理吸着もまた、表面上の金属核形成の阻害に寄与する可能性があることに留意されたい。
【0178】
ハロゲン化アルキル堆積阻害剤
本明細書で提供される方法のいずれかで使用することができるハロゲン化アルキル堆積阻害剤は、フッ化アルキル、塩化アルキル、臭化アルキル、およびヨウ化アルキルを含み、これらは1つまたは複数のハロゲン原子を含み得る。第一級ハロゲン化アルキル、第二級ハロゲン化アルキル、および第三級ハロゲン化アルキルを使用することが可能である。第一級ハロゲン化アルキルの例には、フッ化メチル、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、フッ化エチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、1-フルオロプロパン、1-クロロプロパン、1-ブロモプロパン、および1-ヨードプロパン、1-フルオロブタン、1-クロロブタン、1-ブロモブタン、および1-ヨードブタンが挙げられる。第二級ハロゲン化アルキルの例には、2-フルオロプロパン、2-クロロプロパン、2-ブロモプロパン、2-ヨードプロパン、2-フルオロブタン、2-クロロブタン、2-ブロモブタン、および2-ヨードブタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、第三級ハロゲン化アルキルが好ましい。第三級ハロゲン化アルキルの例には、フッ化t-ブチル(2-フルオロ-2-メチルプロパンとしても知られる)、塩化t-ブチル(2-クロロ-2-メチルプロパンとしても知られる)、臭化t-ブチル(2-ブロモ-2-メチルプロパンとしても知られる)、およびヨウ化t-ブチル(2-ブロモ-2-メチルプロパンとしても知られる)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式:
Hal-C(R’)2-CH(R’’)2
を有するハロゲン化アルキル。
【0179】
が使用され、Halは、ハロゲンであり、各R’は、水素およびアルキルから独立して選択され、各R’’は、水素およびアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、両方のR’’基が水素である。そのようなハロゲン化アルキルの例には、塩化t-ブチル、2-クロロ-2-メチルブタン、2-クロロ-2-メチルペンタン、および2-クロロ-2-メチルヘキサンが挙げられる。これらのハロゲン化アルキルは、ハロゲン化水素の排除および二重結合を含む生成物の形成を受けやすく、かつより効率的な表面改質および金属核形成の阻害につながる可能性があるため、いくつかの実施形態では特に適している。
【0180】
金属前駆体
提供される方法は、本明細書で提供される実施形態による金属の堆積のために様々な金属前駆体を使用することができる。前駆体は、単独で、または不活性キャリアガスと共に、ガス状(例えば、蒸気)形態でプロセスチャンバに送給することができるように選択される。例えば、固体または液体の前駆体の上を流れる不活性ガスは、前駆体をプロセスチャンバに送給することができる。気相堆積、例えば、ALDおよびCVD堆積を使用して堆積することができる金属の例には、モリブデン、タングステン、コバルト、およびルテニウムが挙げられる。
【0181】
モリブデン前駆体
一般に、モリブデン含有前駆体は、0から+6までの広範囲の酸化状態のモリブデンを含むことができる。いくつかの実施形態では、モリブデンが低酸化状態+3、+4、および+5であるモリブデン化合物が好ましい。提供される方法は、ケイ素含有反応剤がハロゲンの除去を支援することができるが、ハロゲンフリーのモリブデン含有前駆体も同様に使用することができるため、ハロゲン含有モリブデン含有化合物からモリブデン含有材料を堆積するのに特に有用である。適切なモリブデン含有前駆体には、ハロゲン化モリブデンおよびオキシハロゲン化モリブデン、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、およびオキシ臭化物が挙げられ、モリブデンは、+2から+6までのいずれかの酸化状態にあり得る。
【0182】
適切な揮発性を維持するために、本明細書で説明される多くの実施形態では、約450g/モル未満、例えば約400g/モル未満の分子量を有する前駆体が選択される。
【0183】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体は、式MoXnmを有し、Xは、カルコゲン(例えば、酸素または硫黄)であり、Yは、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)であり、nは、0、1、または2であり、mは、2、3、4、5、または6である。ハロゲン含有モリブデン含有前駆体の例には、限定はしないが、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、およびMoOCl4が挙げられる。ハロゲン含有モリブデン含有前駆体の別の例は、MoF6である。
【0184】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有前駆体は、カルボニル配位子を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーの有機金属モリブデン前駆体などの有機金属モリブデン前駆体が使用される。ハロゲンフリーの有機金属モリブデン前駆体の一例は、ビス(エチルベンゼン)モリブデンである。
【0185】
ハロゲン化物含有ヘテロレプティックモリブデン化合物
一態様では、ハロゲン化物含有ヘテロレプティックモリブデン化合物は、モリブデン金属の堆積など、モリブデン含有膜の堆積のための前駆体として使用される。一実施形態では、前駆体は、モリブデン、モリブデンと結合を形成する少なくとも1つのハロゲン化物、ならびにN、O、およびS元素のいずれかを有する少なくとも1つの有機配位子を含む化合物であり、これらの元素のいずれかの原子は、モリブデンと結合を形成する。窒素結合または酸素結合を提供する適切な有機配位子の例には、アミジネート、アミデート、イミノピロリジネート、ジアザジエン、ベータ-イミノアミド、アルファ-イミノアルコキシド、ベータ-アミノアルコキシド、ベータ-ジケチミネート、ベータ-ケトイミネート、ベータ-ジケトネート、アミン、およびピラゾレートが挙げられる。硫黄結合を提供する適切な有機配位子の例には、チオエーテル、チオレート、ジチオレン、ジチオレート、およびα-イミノチオレンが挙げられる。これらの配位子は、置換または非置換であり得る。いくつかの実施形態では、これらの配位子は、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシ置換基からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基を含む。有機配位子は、中性またはアニオン性(例えば、モノアニオン性またはジアニオン性)であり得、モリブデンは、+1、+2、+3、+4、+5、および+6などの様々な酸化状態であり得る。
【0186】
例示的な適切なNおよび/またはO含有有機配位子1~17の構造が図4に示され、例示的な適切なS含有有機配位子18~26の構造が図5に示され、各Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシから独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、およびシクロブチルエチルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して選択されるアルキルである。いくつかの実施形態では、イソプロピルおよびイソブチルなどの分岐アルキル置換基を有する配位子が好ましく、これは、そのような配位子がより揮発性のモリブデン前駆体を提供するためである。
【0187】
いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、アミンである。適切なアミンには、単座アミン(例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン)、二座アミン(例えば、非置換またはN-アルキル置換エチレンジアミン)、およびより高次のアミン(例えば、置換または非置換ジエチレントリアミン)が挙げられる。単座アミンの一例は、図1に示すアミン1であり、少なくとも1つのRは、アルキルまたはフルオロアルキルであり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、アルキルであり、各Rは、Hおよびアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機配位子は、モノアニオン性アミド16などのアミドであり、少なくとも1つのRは、アルキルまたはフルオロアルキルであり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機配位子は、ジアニオン性イミド17などのイミドであり、Rは、アルキルまたはフルオロアルキルである。一般に、イミド含有前駆体は、様々なモリブデン含有膜(モリブデン金属を含む)の堆積に使用することができるが、いくつかの実施形態では、イミド含有前駆体は、強力なモリブデン-窒素結合を形成し、得られる膜に対する窒素源としての役割を果たすことができるため、窒化モリブデンおよび炭窒化モリブデンの堆積にとってより好ましい。いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、アミジネートである。アミジネートの一例は、図4に示すアミジネート2であり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。アミジネート2は、2つのモリブデン-窒素結合を形成することができるモノアニオン性配位子であり、二座配位子としての役割を果たす。
【0188】
いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、アミデートである。アミデートの一例は、図2に示すアミデート3であり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。アミデート3は、1つのモリブデン-窒素結合および1つのモリブデン-酸素結合を形成することができるモノアニオン性配位子であり、二座配位子としての役割を果たす。
【0189】
いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、ジアザジエンである。ジアザジエンの一例は、1,4-ジアザブタ-1,3-ジエン(DAD)5、6、および7であり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。この配位子の興味深い性質は、中性形態5、モノアニオン性ラジカル形態6、およびジアニオン性形態7で存在することができることである。モノアニオン性(ラジカル)形態6の酸化還元活性により、この配位子は堆積中に比較的容易に除去することができ、モリブデン金属および高純度モリブデン金属の堆積に特に有用なDAD6の錯体を形成する。DAD配位子5、6、および7は、各々が2つのモリブデン-窒素結合を形成する二座配位子としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、モリブデン前駆体は、有機配位子としてDAD配位子5、6、または7を含み、各Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから独立して選択される。
【0190】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機前駆体は、イミノピロリジネート(イミノピロリジネート4など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ベータ-イミノアミド(ベータ-イミノアミド8など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、アルファ-イミノアルコキシド(アルファ-イミノアルコキシド9など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ベータ-ジケチミネート(ベータ-ジケチミネート10など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ベータ-ケトイミネート(ベータ-ケトイミネート11など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ベータ-ジケトネート12(ベータ-ジケトネート12など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ピラゾレート(ピラゾレート13など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、ベータ-アミノアルコキシド(ベータ-アミノアルコキシド14など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)、またはグアジニデート15(グアジニデート15など、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)である。これらは、二座でモリブデンに結合することが可能なモノアニオン性配位子である。
【0191】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機前駆体は、モリブデン-硫黄結合を形成することが可能な硫黄含有配位子である。いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、チオエーテルである。「チオエーテル」という用語は、単座チオエーテルと多座(例えば、二座ot三座)チオエーテルの両方、ならびにチオエーテル部分とチオレート(または他の)部分の両方を含む配位子を含むように含むように広く本明細書で使用される。単座チオエーテルの一例は、硫化ジアルキルR2Sであり、各Rは、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジイソブチルなどのアルキルである。チオレート部分も含む多座チオエーテル配位子の一例は、(SCH2CH2SCH2CH2S)2-である単座チオエーテルの一例は、図5に示すチオエーテル18であり、各Rは、アルキルおよびフルオロアルキルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機配位子は、モノアニオン性チオレート19などのチオレートであり、Rは、アルキルまたはフルオロアルキルである。例えば、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはt-ブチルであり得る。いくつかの実施形態では、チオレートは、ジチオレート、例えばジアニオン性アルファ-ジチオレート24(各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)またはジアニオン性ベータ-ジチオレート25(各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)である。ジチオレートは、モリブデンと2つのモリブデン-硫黄結合を形成することが可能である。
【0192】
いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、ジチオレンである。ジチオレンの例は、構造20、21、および22であり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。この配位子(DADと同様)は、中性形態20、モノアニオン性ラジカル形態21、およびジアニオン性形態22で存在することができる。モノアニオン性ラジカル形態21の酸化還元活性により、この配位子はモリブデン前駆体の堆積および還元中に比較的容易に除去することができ、モリブデン金属および高純度モリブデン金属の堆積に特に有用なジチオレン21の錯体を形成する。ジチオレン配位子20、21、および22は、各々が2つのモリブデン-硫黄結合を形成することが可能な二座配位子としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、モリブデン前駆体は、有機配位子としてジチオレン配位子20、21、および/または22を含み、各Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから独立して選択される。
【0193】
いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、構造23などのアルファ-イミノチオレンであり、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、炭素原子における各R置換基は、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシ置換基から独立して選択され、窒素におけるR置換基は、アルキルおよびフルオロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、窒素におけるR置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびt-ブチルから独立して選択される。この配位子(DADおよびジチオレンと同様)は、構造23に示すようなモノアニオン性ラジカル形態を有し、酸化還元活性があり、還元プロセス中に容易に除去可能である。
【0194】
いくつかの実施形態では、前駆体は、式Mo(X)m(L)nを有する化合物であり、mは、1~4から選択され、nは、1~3から選択され、各Xは、F、Cl、Br、およびIから独立して選択されるハロゲン化物であり、各Lは、上述のような有機配位子、例えば、アミジネート、アミデート、イミノピロリジネート、ジアザジエン、ベータ-イミノアミド、アルファ-イミノアルコキシド、ベータ-アミノアルコキシド、ベータ-ジケチミネート、ベータ-ケトイミネート、ベータ-ジケトネート、アミン、およびピラゾレート、チオエーテル、チオレート、ジチオレン、ジチオレート、およびα-イミノチオレンから独立して選択される配位子である。いくつかの実施形態では、指定された配位子において、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。
【0195】
いくつかの実施形態では、Lは、二座配位子である。二座配位子を利用する式Mo(L)Cl4の適切なモリブデン含有前駆体の例が、図6に示される。これらはMo(V)化合物であり、アミジネートモリブデン錯体27、DAD錯体28、ベータ-ジケチミネート錯体29、ピラゾレート錯体30、アミデート錯体31、ベータ-イミノアミド錯体32、ベータ-ケトイミネート錯体33、ベータ-アミノアルコキシド錯体34、イミノピロリジネート錯体35、アルファ-イミノアルコキシド錯体36、およびベータ-ジケトネート錯体37を含む。
【0196】
本明細書に記載のモリブデン-ハロゲン化物結合および有機配位子を有するヘテロレプティック錯体は、ハロゲン化モリブデン出発材料と、中性またはアニオン性形態の有機配位子を含む化合物の反応を使用して合成することができる。例えば、モリブデン(V)前駆体は、出発材料としてMoCl5を使用して調製され得る。Mo(III)前駆体は、出発材料としてMoX3(THF)3を使用して調製され得、Xは、塩化物、臭化物、およびヨウ化物から選択され、THFは、テトラヒドロフランである。出発材料は、中性またはアニオン性形態の配位子(例えば、リチウム塩またはナトリウム塩などの塩)で処理され、本明細書に記載のヘテロレプティック錯体を形成することができる。
【0197】
本明細書に記載のモリブデン-ハロゲン化物結合および有機配位子を含むヘテロレプティックモリブデン化合物は、本明細書で提供されるCVDタイプおよびALDタイプの堆積方法において高純度モリブデン金属を有利に提供することができる。さらに、これらの化合物の使用は、従来のホモレプティックハロゲン化モリブデンと比較して基板材料のエッチングの減少を伴う可能性がある。これらの利点は例示の目的で記載されており、これらの化合物の使用をモリブデン金属の堆積またはエッチングに敏感な基板上への堆積のみに限定するものではない。
【0198】
いくつかの実施形態では、堆積がフッ素に敏感な材料(例えば、ケイ素含有材料)上で行われる場合、前駆体はフッ素フリーであるように選択され、例えば、錯体中のハロゲン化物としてCl、Br、およびIのいずれかを含む。さらに、これらの実施形態では、フルオロアルキル置換基を有する化合物の使用を回避することができる。
【0199】
硫黄含有モリブデン化合物
一態様では、硫黄含有モリブデン化合物は、モリブデン金属およびケイ化モリブデンの堆積など、モリブデン含有膜の堆積のためのモリブデン含有前駆体として使用される。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン、およびモリブデン-硫黄結合を提供する少なくとも1つの硫黄含有配位子を含む。硫黄含有配位子に基づくモリブデン前駆体を使用して、酸素、炭素、および窒素不純物と比較して硫黄不純物の除去が容易であるため、実質的に不純物フリーのモリブデン含有膜を堆積することができる。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン-炭素結合を含まず、かつ/またはモリブデン-酸素二重結合を含まない。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物は、モリブデン-窒素二重結合を含まない。いくつかの実施形態では、提供されるモリブデン前駆体において、モリブデンは硫黄原子とのみ結合を形成する。
【0200】
硫黄結合を提供する適切な硫黄含有配位子の例には、チオエーテル、チオレート、ジチオレン、ジチオレート、チオカルバメート、およびα-イミノチオレンが挙げられる。配位子は、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシ置換基からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基を含むことができる。配位子は、中性またはアニオン性(例えば、モノアニオン性またはジアニオン性)であり得、モリブデンは、0、+1、+2、+3、+4、+5、および+6などの様々な酸化状態であり得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、硫黄含有配位子は図5に示す配位子18~25であり、R置換基は前述の通りである。適切なモリブデン前駆体の例には、モリブデンチオレートMo(SR)4が挙げられ、Rは、アルキル、例えば、メチル、エチルプロピル、ブチルである。1つの特定の例では、前駆体は、テトラキス(tert-ブチルチオラト)モリブデン(IV):Mo(SR)4であり、Rは、t-ブチルである。適切なモリブデン前駆体の別の例は、テトラキス(ジエチルジチオカルバマト)モリブデン(IV)などのチオカルバミン酸モリブデンである:
【化1】
【0202】
各Rは、アルキル(例えば、エチル、メチル、プロピル、ブチル)およびフルオロアルキル(例えば、CF3)から独立して選択される。1つの特定の例では、前駆体は、テトラキス(ジエチルジチオカルバマト)モリブデン(IV)である。
【0203】
いくつかの実施形態では、モリブデンのジチオレン錯体が提供され、ジチオレンは、中性形態20、アニオン-ラジカル形態21、およびジアニオン性形態22のいずれであってもよく、各Rは、独立して、H、アルキルまたはフルオロアルキルである。
ジチオレン錯体は酸化還元活性があり、様々な酸化状態でモリブデンをサポートすることができる。ジチオレン配位子20、21、および22の酸化還元反応が、式1に示される:
【化2】
【0204】
一実施態様では、前駆体は、Mo(21)3であり、21における各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。例えば、Rは、メチル、エチル、CF3などであってもよい。これは、モリブデン-硫黄結合のみを含むホモレプティックMo(III)化合物である。
【0205】
いくつかの実施形態では、配位子は、硫黄結合に加えて窒素結合を提供することができる。そのような配位子の一例は、チオレンと同様の挙動を示すことができる酸化還元活性ラジカルアニオン配位子であるアルファ-イミノチオレン23である。いくつかの実施形態では、前駆体は、Mo(III)化合物Mo(23)3であり、化合物23における各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。
【0206】
いくつかの実施形態では、前駆体は、MoLn化合物であり、nは、2~6であり、Lは、硫黄含有配位子、例えば本明細書に記載の硫黄含有配位子のいずれかである。いくつかの実施形態では、各Lは、同じ硫黄含有配位子である。他の実施形態では、前駆体は、異なる硫黄含有配位子Lを含んでもよい。前駆体の例には、Mo(19)2、Mo(19)3、Mo(19)4、Mo(19)5、Mo(19)6、Mo(19)2(18)2、Mo(19)3(18)、Mo(19)4(18)2、Mo(21)3、Mo(20)(21)2、Mo(22)3、Mo(21)(22)2、Mo(20)(22)2、Mo(23)3、Mo(24)3、Mo(25)3が挙げられる。本明細書に記載の硫黄含有モリブデン化合物は、ハロゲン化モリブデン出発材料と、中性またはアニオン性形態の有機硫黄含有配位子を含む化合物の反応を使用して合成することができる。例えば、モリブデン(V)前駆体は、出発材料としてMoCl5を使用して調製され得る。Mo(III)またはMo(IV)前駆体は、出発材料として対応するハロゲン化物またはMoX3(L)3またはMoX4(L)2を使用して調製され得、Xは、塩化物、臭化物、およびヨウ化物から選択され、Lは、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどの中性ルイス塩基である。出発材料は、中性またはアニオン性形態の所望の硫黄含有配位子(例えば、リチウム塩またはナトリウム塩などの塩)で処理され、本明細書に記載の硫黄含有錯体を形成することができる。
【0207】
一例では、Mo(IV)チオラト錯体は、四塩化モリブデンとリチウムチオレートを反応させることによって調製される。例えば、MoCl4を1,2-ジメトキシタン溶媒中でt-BuSLiと反応させ、Mo(t-BuS)4化合物を形成することができる。
【0208】
α-イミノチオレン配位子は、ローソン試薬などの適切な試薬を使用したチオン化によって、対応するα-イミノケトンから調製することができる。α-イミノチオレンのラジカルアニオン性形態は、続いてリチウムなどのアルカリ金属で処理することによって調製することができる。得られた配位子および配位子塩をハロゲン化モリブデンと反応させ、α-イミノチオレン含有モリブデン化合物を形成することができる。
【0209】
モリブデン錯体はまた、モリブデンヘキサカルボニルなどのゼロ価の出発材料を使用して調製することができる。出発材料をチオエーテル(硫化ジアルキル)などの中性配位子で処理し、レドックス中性配位子交換を誘導することができる。ゼロ価の出発材料はまた、ビス(ジエチルチオカルバモイル)ジスルフィドまたはビス(トリフルオロメチル)-1,2-ジチエトなどの配位子前駆体で処理して酸化的付加を誘導し、本明細書に記載の硫黄含有錯体を形成することができる。
【0210】
反応は、様々な非プロトン性溶媒中で行うことができる。例えば、反応は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル溶媒中、トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタンなどの炭化水素溶媒中、またはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロカーボン溶媒中で行われてもよい。反応は、溶媒の沸点および生成物の溶解度に応じて、広い温度範囲で行うことができる。いくつかの実施形態では、出発材料、反応中間体、および所望の生成物は、水分および酸素に対して不安定である。したがって、反応プロセスは、窒素またはアルゴンなどの保護不活性ガスを使用して、無水および空気フリーの条件を使用して行われるべきである。
【0211】
1,4-ジアザブタジエン(DAD)含有前駆体
別の態様では、DAD含有モリブデン含有前駆体が提供される。DADは、その中性形態5、そのラジカル-アニオン性形態6、およびそのジアニオン性形態7でモリブデンに結合することができる。いくつかの実施形態では、式Mo(DAD)mのホモレプティックDAD錯体が提供され、mは、1~3であり、各DADは、中性DAD5、ラジカル-アニオン性DAD6、およびジアニオン性DAD7から独立して選択される。これらの錯体中のモリブデンの酸化状態は、0から+6の範囲であり得る。適切なホモレプティックDAD錯体の非限定的な例には、トリス-DAD Mo(III)前駆体Mo(6)3、ビス-DAD Mo(IV)前駆体Mo(7)2、ビス-DAD Mo(III)前駆体Mo(6)(7)、およびビス-DAD Mo(II)前駆体Mo(6)2が挙げられる。
【0212】
いくつかの実施形態では、ホモレプティックDAD錯体は、ハロゲン化モリブデンと必要な電子構成のDAD配位子源との間の反応を使用して調製される。例えば、トリス-DAD Mo(III)前駆体Mo(6)3は、MoCl3を3当量のDAD配位子のラジカルアニオン形態と反応させることによって合成することができ、これは、式2に示すように、THFなどの溶媒中、リチウムなどのアルカリ金属で処理することによって中性形態のDAD配位子から調製することができる。
【化3】
【0213】
いくつかの実施形態では、ヘテロレプティックDAD含有モリブデン化合物が提供される。いくつかの実施態様では、前駆体は、モリブデン、モリブデンに結合した少なくとも1つのDAD配位子、および少なくとも1つの第2の配位子を含み、DADは、中性DAD6、ラジカルアニオン性DAD7、またはジアニオン性DAD8であってもよく、第2の配位子は、アニオン性配位子および中性配位子から独立して選択される。いくつかの実施形態では、前駆体は、唯一の第2の配位子としてCO配位子を含まない。いくつかの実施形態では、前駆体は、Mo(DAD)m(L)n(X)pであり、Lは、中性ルイス塩基配位子であり、各Lは、CO、アミン、ホスフィン、チオエーテル、ニトリル、およびイソニトリルから独立して選択され、Xは、アニオン性配位子であり、各Xは、ハロゲン化物、アルキル、アリル、およびシクロペンタジエニルから独立して選択され、mは、1~3であり、nは、0~4であり、pは、0~4である。ニトリルは、RCN化合物であり、Rは、アルキルである。イソニトリルは、RNC化合物であり、Rは、アルキルである。他の適切なアニオン性配位子には、アルコキシド、アミド、イミド、ならびにC、N、O、B、S、Si、Al、およびPから選択されるドナー原子を含む任意の他のアニオン性配位子が挙げられる。
【0214】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体の例には、限定はしないが、Mo(7)2(RCN)Cl、Mo(7)2(RNC)Cl、Mo(8)(CO)3、Mo(6)(13)Cl、Mo(6)(18)Cl2、Mo(6)2Cl、Mo(6)2(14)、Mo(6)2(19)、Mo(6)2(24)が挙げられる。
【0215】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体は、ワンポットでの連続的な塩メタセシス反応によって、または複数のステップを使用して調製することができる。Mo(V)、Mo(IV)、またはMo(III)ハロゲン化物などのハロゲン化モリブデン出発材料は、アニオン性形態のDAD配位子または他のアニオン性配位子で処理することができる。中性ルイス塩基配位子は、熱処理または光励起を使用して交換することができる。
【0216】
ヘテロレプティックDAD含有前駆体はまた、DAD配位子などの酸化還元活性配位子と酸化的付加を受けることができる、モリブデンヘキサカルボニルなどのゼロ価のモリブデン出発材料を使用して調製することもできる。
【0217】
いくつかの実施形態では、ラジカルアニオン性DAD配位子8を含む前駆体は、モリブデン金属および高純度モリブデン金属の堆積に特に好ましい。ラジカルアニオン性形態7では、DAD配位子は空のモリブデンd軌道に電子的に結合し、モリブデンイオンをゼロ価の金属状態に還元する電子源としての役割を果たすと考えられている。配位子から金属への電子移動後、揮発性の中性DAD配位子6をモリブデン金属成長表面からパージすることができる。DAD配位子は成長表面からそのまま除去することができるため、DAD前駆体を使用する場合、他の有機金属前駆体と比較してCおよびNなどの不純物元素の取り込みが減少する。したがって、ラジカルアニオン性DAD配位子を含むモリブデン前駆体は、低温で高純度モリブデン金属を堆積するために使用することができる。
【0218】
ジモリブデン前駆体
別の態様では、モリブデン含有膜の堆積のための前駆体は、モリブデン-モリブデン結合(例えば、二重結合などの多重モリブデン-モリブデン結合、または結合次数が2~5の任意の多重結合)を含むジモリブデン化合物である。そのような前駆体は、多くの単核モリブデン化合物よりもそのような化合物を金属モリブデンに還元することが容易であるため、モリブデン金属および高純度モリブデン金属の堆積に特に有用である。
【0219】
いくつかの実施形態では、モリブデン含有膜の堆積のための前駆体が提供され、前駆体は、Mo2nであり、各Lは、アミデート、アミジネート、およびグアニジネート配位子から独立して選択され、nは、2~5であり、前駆体は、多重モリブデン-モリブデン結合を含む。いくつかの実施形態では、各Lは、アミジネート配位子2、アミデート配位子3、およびグアニジネート配位子15から独立して選択され、アミジネート、アミデート、およびグアニジネートにおける各Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、およびアルコキシ置換基から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Lは、アミジネートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。いくつかの実施形態では、各Lは、アミジネートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。いくつかの実施形態では、各Lは、グアニジネートであり、前駆体は、式Mo2(L)3またはMo2(L)4を有する。これらの錯体において、モリブデンは、(Mo2(L)3において)2+および(Mo2(L)4において)3+の低い酸化状態を有し、これらの錯体がモリブデン金属への容易な還元に特に適するものになっている。
モリブデン-モリブデン四重結合を有するアミデートパドルホイールジ-Mo(II)前駆体の1つの例示的な構造は、構造38によって示される:
【化4】
【0220】
いくつかの実施形態では、RおよびR’の各々は、メチル、エチル、イソプロピル、およびt-ブチルなどのアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、38における1、2、3、または4つのアミデート配位子は、アミジネートまたはグアニジニデート配位子によって置換され得る。
【0221】
本明細書に記載のジモリブデン前駆体は、出発材料として四酢酸ジモリブデンを使用して、アミド酸リチウムなどの配位子塩で処理することによって合成することができる。
【0222】
コバルト前駆体
コバルト金属は、様々なコバルト前駆体を使用して堆積させることができ、コバルトは、+1、+2、または+3の酸化状態であってもよい。コバルト前駆体の例には、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート(例えば、コバルト(III)ビス(アセチルアセトネート))、コバルトアミジネート(例えば、ビス(N-t-ブチル-N’-エチルプロパンイミダミダト)コバルト(II))、コバルトセン、およびカルボニル含有コバルト前駆体(例えば、コバルトトリカルボニルニトロシル、およびシクロペンタジエニルコバルトジカルボニル)が挙げられる。ハロゲン含有コバルト前駆体の一例は、CoCl2(TMEDA)であり、TMEDAは、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンである。
【0223】
ルテニウム前駆体
ルテニウム金属は、例えば、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ルテノセン、およびシクロペンタジエニル-プロピルシクロペンタジエニルルテニウム(II)などの揮発可能なルテニウム前駆体を使用して堆積させることができる。
【0224】
タングステン前駆体
タングステンは、様々な揮発性前駆体を使用して堆積させることができる。いくつかの実施形態では、Halがハロゲン(例えば、F、Cl、Br、および/またはI)であり、xが2~6である、WHalxなどのハロゲン含有タングステン前駆体が使用される。いくつかの実施形態では、塩化タングステンが使用される。塩化タングステンには、五塩化タングステン(WCl5)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化タングステン(WCl4)、二塩化タングステン(WCl2)、およびそれらの混合物が挙げられる。他の例では、六フッ化タングステンなどのフッ化タングステンが使用されてもよい。
【0225】
還元剤
本明細書で提供される金属膜の堆積のために、多数の還元剤を使用することができる。還元剤は、金属前駆体を金属に還元することができるように、またはこの還元を支援するように選択される。モリブデン金属を形成するための適切な反応剤の例には、水素(H2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N24)、アミン、ジボラン(B26)、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、アルコール、硫化水素(H2S)、またはチオールが挙げられる。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素(H2)である。
【0226】
装置
本明細書に記載の堆積方法は、様々な装置で実行することができる。適切な装置は、反応剤を導入するための1つまたは複数の入口を有する処理チャンバと、堆積中に所定の位置に基板を保持するように構成されたプロセスチャンバ内の基板ホルダと、任意選択で、プロセスガス内にプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成機構とを含む。一般に、本明細書で提供される方法は、プラズマによる反応剤の活性化を必要とせず、プラズマ処理の非存在下で行うことができる。装置は、本明細書に記載の方法ステップのいずれかを実施させるように構成されたプログラム命令を有するコントローラを含み得る。本明細書に記載の堆積方法は、カリフォルニア州フリーモントのLam Research社から入手可能な、Halo、Altus(登録商標)、Vector(登録商標)、およびStriker(登録商標)ツールなどの対応するALDおよびCVD装置で実行され得る。
【0227】
例えば、いくつかの実施形態では、装置は、凹状フィーチャを有する半導体基板をハロゲン化アルキル阻害剤に曝露させ、ハロゲン化アルキル阻害剤は、基板の表面を改質し、表面を金属堆積に対してより耐性のあるものにし、半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露させ、金属層を堆積させるための命令を含むプログラム命令を有するコントローラを含む。コントローラは、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのプログラム命令を含むことができる。
【0228】
提供される方法を使用して金属膜を堆積するのに適した堆積装置の一例が、図7に示される。図7は、いずれもプラズマ強化されてもよい、原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を使用して材料を堆積するために使用され得るプロセスステーション700の一実施形態を概略的に示す。簡略化のために、プロセスステーション700は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体702を有する独立型プロセスステーションとして図示されている。しかし、複数のプロセスステーション700が共通のプロセスツール環境に含まれてもよいことが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の1つまたは複数のハードウェアパラメータ(以下で詳細に説明されるものを含む)は、1つまたは複数のコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが理解されよう。
【0229】
プロセスステーション700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド706に送給するための反応剤送給システム701と流体連通する。反応剤送給システム701は、シャワーヘッド706に送給するプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器704を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁720は、混合容器704へのプロセスガスの導入を制御することができる。同様に、シャワーヘッド入口弁705は、シャワーヘッド706へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0230】
一部の金属前駆体は、気化してその後プロセスステーションに送給される前に、固体または液体の形態で保管されてもよい。例えば、図7の実施形態は、混合容器704に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント703を含む。いくつかの実施形態では、気化ポイント703は、加熱された気化器であり得る。いくつかの実施形態では、不活性ガスの流れが、大気圧未満の圧力下で、加熱された固体金属前駆体の上を通過するか、または加熱された液体金属前駆体を通してバブリングされ、前駆体蒸気をプロセスチャンバに運ぶ。このような気化器から発生された前駆体蒸気は、下流の送給配管で凝縮する可能性がある。凝縮した反応剤に不適合なガスを曝露すると、小さな粒子が生成される場合がある。これらの小さな粒子は、配管を詰まらせたり、弁の動作を妨げたり、基板を汚染したりする可能性がある。これらの問題に対処するいくつかのアプローチは、送給配管を掃除および/または排気し、残留反応剤を除去することを伴う。しかし、送給配管を掃除すると、プロセスステーションのサイクル時間が増加し、プロセスステーションのスループットが低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント703の下流の送給配管は、ヒートトレースされ得る。いくつかの例では、混合容器704もまた、ヒートトレースされ得る。1つの非限定的な例では、気化ポイント703の下流の配管は、混合容器704において約100℃~約200℃に及ぶ上昇温度プロファイルを有する。
【0231】
シャワーヘッド706は、プロセスガスを基板712に向かって分配する。図7に示す実施形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下に位置し、台座708上に静止した状態で示されている。シャワーヘッド706は、任意の適切な形状を有してもよく、プロセスガスを基板712に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有してもよいことが理解されよう。明示的に示されていないが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706は、少なくとも2つのタイプの導管を含むデュアルプレナムシャワーヘッドであり、第1のタイプの導管は、モリブデン含有前駆体蒸気の送給専用であり、第2のタイプの導管は、第2の(または他の)反応剤の送給専用である。これらの実施形態では、モリブデン含有前駆体と反応剤は、プロセスチャンバに入る前に導管内で混合することができず、連続的にチャンバに送給される場合には導管を共有しない。
【0232】
いくつかの実施形態では、マイクロ体積707がシャワーヘッド706の下に位置する。プロセスステーションの全体積ではなくマイクロ体積でALDおよび/またはCVDプロセスを実施することは、反応剤への曝露および掃除時間を短縮することができ、プロセス条件(例えば、圧力、温度など)を変更するための時間を短縮することができ、プロセスガスへのプロセスステーションロボットの曝露を制限することなどが可能である。例示的なマイクロ体積サイズには、限定はしないが、0.1リットル~2リットルの体積が挙げられる。このマイクロ体積もまた、生産性スループットに影響を与える。サイクル当たりの堆積速度が低下する一方で、サイクル時間も同時に短縮される。場合によっては、後者の影響は、膜の所与の目標厚さに対するモジュールの全体的なスループットを改善するのに十分効果的である。
【0233】
いくつかの実施形態では、台座708を上昇または下降させて基板712をマイクロ体積707に露出させ、かつ/またはマイクロ体積707の体積を変化させることができる。例えば、基板移送段階では、台座708を下降させ、基板712が台座708上にロードされることを可能にすることができる。堆積プロセス段階中、台座708を上昇させ、マイクロ体積707内に基板712を位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、マイクロ体積707は、基板712ならびに台座708の一部を完全に包囲し、堆積プロセス中に流れインピーダンスの高い領域を形成することができる。
【0234】
任意選択で、台座708は、マイクロ体積707内のプロセス圧力、反応剤濃度などを調節するために、堆積プロセスの一部の間に下降および/または上昇されてもよい。プロセスチャンバ本体702が堆積プロセス中にベース圧力のままである1つのシナリオでは、台座708を下降させることにより、マイクロ体積707を排気することができる。マイクロ体積対プロセスチャンバ体積の例示的な比には、限定はしないが、1:700~1:10の体積比が挙げられる。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが理解されよう。
【0235】
本明細書に記載の例示的なマイクロ体積変動は高さ調整可能な台座に言及しているが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706の位置を台座708に対して調整し、マイクロ体積707の体積を変化させることができることが理解されよう。さらに、台座708および/またはシャワーヘッド706の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化させてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、台座708は、基板712の配向を回転させるための回転軸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に実施することができることが理解されよう。
【0236】
図7に示す実施形態に戻ると、シャワーヘッド706および台座708は、プラズマに電力を供給するために、RF電源714および整合ネットワーク716と電気的に通信する。他の実施形態では、プラズマ発生器のない装置が、提供される方法を使用してモリブデン含有膜を堆積するために使用される。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、高周波(RF)源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって制御することができる。例えば、RF電源714および整合ネットワーク716は、任意の適切な電力で動作してラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成することができる。同様に、RF電源714は、任意の適切な周波数のRF電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、RF電源714は、互いに独立して高周波および低周波のRF電源を制御するように構成され得る。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、50kHz~700kHzの周波数を含み得る。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含み得る。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータを離散的または連続的に調節することができることが理解されよう。1つの非限定的な例では、プラズマ電力を断続的にパルス化し、連続的に電力を供給されるプラズマと比較して基板表面でのイオン衝撃を低減することができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってin-situで監視することができる。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視され得る。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなin-situプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用され得る。いくつかの実施形態では、他のモニタを使用して、プラズマおよび他のプロセス特性を監視することができることが理解されよう。そのようなモニタには、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられ得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御され得る。一例では、プラズマプロセス段階に対するプラズマ条件を設定するための命令は、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含まれてもよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、堆積プロセス段階に対するすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含まれ得る。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、および第1のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第2の後続のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復され得ることが理解されよう。
【0239】
いくつかの実施形態では、台座708は、ヒータ710を介して温度制御され得る。さらに、いくつかの実施形態では、堆積プロセスステーション700についての圧力制御は、バタフライ弁718によって提供され得る。図7の実施形態に示すように、バタフライ弁718は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の圧力制御はまた、プロセスステーション700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することができる。
【0240】
図8は、インバウンドロードロック802およびアウトバウンドロードロック804を備え、これらのいずれかまたは両方がリモートプラズマ源を備え得るマルチステーション処理ツール800の一実施形態の概略図を示す。そのようなツールは、本明細書で提供される方法を使用して基板を処理するために使用され得る。ロボット806は、大気圧において、ポッド808を介してロードされたカセットから、大気圧ポート810を介してインバウンドロードロック802にウエハを移動させるように構成される。ウエハは、ロボット806によって、インバウンドロードロック802の台座812上に載置され、大気圧ポート810が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック802がリモートプラズマ源を備える場合、ウエハは、処理チャンバ814に導入される前にロードロック内でリモートプラズマ処理を受けてもよい。さらに、ウエハはまた、例えば、水分および吸収したガスを除去するためにインバウンドロードロック802においても加熱されてもよい。次に、処理チャンバ814へのチャンバ搬送ポート816が開かれ、別のロボット(図示せず)が、ウエハをリアクタ内に移動させ、リアクタ内に示す第1のステーションの台座上に処理のために載置する。図8に図示される実施形態はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施形態では、プロセスステーションにウエハを直接進入させてもよいことが理解されよう。
【0241】
図示の処理チャンバ814は、図8に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱台座(ステーション1に対して818で示す)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることが理解されよう。図示の処理チャンバ814は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してもよく、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してもよい。
【0242】
図8はまた、処理チャンバ814内でウエハを移送するためのウエハハンドリングシステム890の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、ウエハハンドリングシステム890は、様々なプロセスステーション間および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウエハを移送することができる。任意の適切なウエハハンドリングシステムが用いられてもよいことが理解されよう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。図8はまた、プロセスツール800のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ850の一実施形態を図示する。システムコントローラ850は、1つまたは複数のメモリデバイス856と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス854と、1つまたは複数のプロセッサ852とを含むことができる。プロセッサ852は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850は、プロセスツール800の活動のすべてを制御する。システムコントローラ850は、大容量記憶デバイス854に記憶され、メモリデバイス856にロードされ、プロセッサ852で実行されるシステム制御ソフトウェア858を実行する。システム制御ソフトウェア858は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力および/またはステーション圧力、チャンバ温度および/またはステーション温度、パージ条件およびタイミング、ウエハ温度、RF電力レベル、RF周波数、基板、台座、チャック位置および/またはサセプタ位置、ならびにプロセスツール800によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含み得る。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、開示された方法に従って様々なプロセスツールプロセスを実行するために必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア858は、上述の様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含み得る。例えば、ALDプロセスの各段階は、システムコントローラ850によって実行される1つまたは複数の命令を含み得る。ALDプロセス段階に対するプロセス条件を設定するための命令は、対応するALDレシピ段階に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ALDプロセス段階に対するすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、ALDレシピ段階は連続して配置され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連する大容量記憶デバイス854および/またはメモリデバイス856に記憶された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが用いられてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例には、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0246】
基板位置決めプログラムは、基板を台座818上にロードし、基板とプロセスツール800の他の部分との間隔を制御するために使用されるプロセスツール構成要素のプログラムコードを含むことができる。
【0247】
プロセスガス制御プログラムは、プロセスステーションの圧力を安定化するために、ガス組成および流量を制御するためのコード、ならびに任意選択で、堆積前にガスを1つまたは複数のプロセスステーションに流すためのコードを含むことができる。プロセスガス制御プログラムは、開示された範囲のいずれか内にガス組成および流量を制御するためのコードを含んでもよい。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システムのスロットル弁、プロセスステーションへのガス流などを調節することによってプロセスステーションの圧力を制御するためのコードを含み得る。圧力制御プログラムは、開示された圧力範囲のいずれか内にプロセスステーション内の圧力を維持するためのコードを含んでもよい。
【0248】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含むことができる。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板への熱伝達ガス(ヘリウムなど)の送給を制御することができる。ヒータ制御プログラムは、開示された範囲のいずれか内に基板の温度を維持するための命令を含んでもよい。
【0249】
プラズマ制御プログラムは、例えば本明細書に開示されるRF電力レベルのいずれかを使用して、1つまたは複数のプロセスステーション内のプロセス電極に適用されるRF電力レベルおよび周波数を設定するためのコードを含むことができる。プラズマ制御プログラムはまた、各プラズマ曝露の持続時間を制御するためのコードを含むことができる。
【0250】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0251】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関係するものであってもよい。非限定的な例として、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベル、周波数、および曝露時間などなど)などが挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてもよく、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0252】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサからシステムコントローラ850のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール800のアナログおよびデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、プロセス条件を維持することができる。
【0253】
開示された実施形態を実施するために、任意の適切なチャンバを使用することができる。例示的な堆積装置には、限定はしないが、カリフォルニア州フリーモントのLam Research社から入手可能なHalo(登録商標)製品ファミリーからの装置、または様々な他の市販されている処理システムのいずれかが挙げられる。2つ以上のステーションが、同じ機能を実施してもよい。同様に、2つ以上のステーションが異なる機能を実施してもよい。各ステーションは、所望の特定の機能/方法を実施するように設計/構成することができる。
【0254】
図9は、特定の実施形態による薄膜堆積プロセスを行うのに適した処理システムのブロック図である。システム900は、移送モジュール903を含む。移送モジュール903は、処理中の基板が様々なリアクタモジュール間を移動するときの基板の汚染リスクを最小化するために、清潔な加圧環境を提供する。移送モジュール903には、各々が特定の実施形態に従って原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を実施することが可能な、2つのマルチステーションリアクタ909および910が取り付けられている。リアクタ909および910は、開示された実施形態に従って動作を順次または非順次に実施することができる複数のステーション911、913、915、および917を含むことができる。ステーションは、加熱された台座もしくは基板支持体、1つまたは複数のガス入口またはシャワーヘッドもしくは分散プレートを含んでもよい。
【0255】
移送モジュール903には、プラズマもしくは化学的(非プラズマ)前洗浄、または開示された方法に関連して説明された任意の他のプロセスを実施することが可能な、1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール907が取り付けられてもよい。モジュール907は、場合によっては、例えば、堆積プロセスのための基板を準備する様々な処理に使用されてもよい。モジュール907はまた、エッチングまたは研磨などの様々な他のプロセスを実施するように設計/構成することもできる。システム900はまた、処理前および処理後のウエハを格納する1つまたは複数のウエハソースモジュール901を含んでいる。大気移送チャンバ919内の大気ロボット(図示せず)は、最初にウエハをソースモジュール901から取り出してロードロック921に移送することができる。移送モジュール903内のウエハ移送デバイス(一般的には、ロボットアームユニット)は、ウエハをロードロック921から移送モジュール903に取り付けられたモジュールに移動させたり、モジュール間で移動させたりする。
【0256】
様々な実施形態において、システムコントローラ929を用いて、堆積中のプロセス条件を制御する。コントローラ929は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0257】
コントローラ929は、堆積装置の活動のすべてを制御することができる。システムコントローラ929は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウエハチャック位置または台座位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための一連の命令を含むシステム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ929に関連するメモリデバイスに記憶された他のコンピュータプログラムを用いることができる。
【0258】
典型的には、コントローラ929に関連するユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0259】
システム制御論理は、任意の適切な方法で構成することができる。一般に、論理はハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成することができる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされるか、またはソフトウェアとして提供され得る。命令は、「プログラミング」によって提供されてもよい。そのようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサのハードコードされた論理、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスを含む、あらゆる形式の論理を含むと理解される。プログラミングはまた、汎用プロセッサで実行され得るソフトウェアまたはファームウェア命令も含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0260】
プロセスシーケンスにおける還元剤の流れ、ハロゲン化アルキル阻害剤の流れ、金属前駆体の流れ、および他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど)で書かれ得る。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムに識別されたタスクを実施するためにプロセッサによって実行される。また、示されているように、プログラムコードはハードコードされてもよい。
【0261】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、ならびにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関連している。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ929のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置900のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。
【0262】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成することができる。例えば、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、開示された実施形態による堆積プロセス(および場合によっては、他のプロセス)を実行するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例には、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが挙げられる。
【0263】
いくつかの実施態様では、コントローラ929はシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラ929は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムにおける高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の移送ツールに対するウエハの搬入と搬出、および/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0264】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0265】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0266】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0267】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0268】
さらなる実施態様
本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと併せて使用されてもよい。典型的には、必須ではないが、そのような装置およびプロセスは、共通の製作施設で共に使用または実施される。膜のリソグラフィパターニングは、典型的には、以下のステップのいくつかまたはすべてを含み、各ステップが使用可能な多くのツールを用いて可能にされる:(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布するステップ、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光するステップ、(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングするステップ、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。
【0269】
実験例
モリブデンは、ハロゲン化アルキル阻害の有無にかかわらず、TiNおよびW表面上に堆積された。MoCl5をモリブデン前駆体として使用し、H2を還元剤として使用し、塩化t-ブチル(2-クロロ-2-メチルプロパンとしても知られる)を阻害剤として使用した。塩化t-ブチル阻害が存在しない場合、モリブデンは、堆積サイクル(170回のサイクル)を繰り返している基板(TiN表面またはW表面を有する)上に堆積され、各サイクルは、MoCl5曝露およびH2曝露を含んだ。モリブデンは、TiN基板とW基板の両方に約120Åの厚さに堆積された。
【0270】
阻害を伴う第1の例では、基板(TiN表面またはW表面を有する)を塩化t-ブチルで前処理した後、阻害剤フリーの堆積サイクル(170回のサイクル)を行い、各サイクルは、MoCl5およびH2への順次の曝露を含んだ。モリブデンは、TiN基板とW基板の両方に約50Åの厚さに堆積された。
【0271】
阻害を伴う第2の例では、モリブデンは、170回の堆積サイクルを実施することによって基板(TiN表面またはW表面を有する)上に堆積され、各サイクルは、順次の塩化t-ブチル曝露、MoCl5曝露、およびH2曝露を含んだ。モリブデンは、TiN基板とW基板の両方に約70Åの厚さに堆積された。これらの例は、塩化t-ブチルが、浸漬前ハロゲン化アルキル阻害プロセスと3ステップの周期的堆積(阻害剤支援堆積)の両方において、TiN表面とW表面の両方へのモリブデン堆積を効果的に阻害したことを実証しており、各完全なALDサイクルは、阻害剤曝露を含んでいる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を形成する方法であって、
(a)凹状フィーチャを有する半導体基板を提供することと、
(b)前記半導体基板を堆積阻害剤に曝露することであって、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにすることと、
(c)前記半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露し、前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成することであって、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっていることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記半導体基板は、前記金属前駆体への曝露前に前記堆積阻害剤に曝露される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化アルキルである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ヨウ素含有化合物である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層、またはコバルト層、またはルテニウム層、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、I2(ジヨウ素)、HI(ヨウ化水素)、CH3I(ヨウ化メチル)、C25I(ヨウ化エチル)、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、ヨウ化sec-ブチル、ヨウ化t-ブチル、ヨードシクロペンタン、ヨードシクロヘキサン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、1,1-ジヨードプロパン、1,2-ジヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、2,2-ジヨードプロパン、1,1-ジヨードブタン、1,2-ジヨードブタン、1,3-ジヨードブタン、2,2-ジヨードブタン、2,3-ジヨードブタン、1,2-ジヨード-2-メチルプロパン、2,3-ジヨード-2,3-ジメチルブタン、1,1,2,2-テトラヨードエタン、2,2,3,3-テトラヨードブタン、1,1,1,2,2,2-ヘキサヨードエタン、1,2-ジヨードシクロペンタン、1,2-ジヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ジヨードベンゼン、2-ヨードピリジン、3-ヨードピリジン、4-ヨードピリジン、3-ヨード-1-ニトロベンゼン、3-ヨード-1-トリフルオロメチルベンゼン、4-ヨードアニリン、4-ヨード-1-ジメチルアミノベンゼン、4-ヨードフェノール、ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、三ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化トリス(トリメチルシリル)メチル、1-(トリメチルシリル)-1-ヨードエタン、1-(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,1-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,2-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、CHI3(トリヨードメタン)、CI4(四ヨウ化炭素)、1-ヨードエテン、1-ヨードプロペン、2-ヨードプロペン、1-ヨード-1-ブテン、1-ヨード-2-ブテン、2-ヨード-1-ブテン、2-ヨード-2-ブテン、ヨードアセチレン、3,3-ジメチル-1-ヨード-ブタ-1-イン、1,1-ジヨードエテン、1,2-ジヨードエテン、1,2-ジヨードプロペン、1,2-ジヨード-2-プロペン、1,2-ジヨードブテン、1,2-ジヨード-2-ブテン、1,2-ジヨード-3-ブテン、3,4-ジヨードシクロヘキセン、4,5-ジヨードシクロヘキサジエン、1,2-ジヨードアセチレン、1,1,2,2-テトラヨードエテン、SiI4(四ヨウ化ケイ素)、SiHI3(トリヨードシラン)、SiH22(ジヨードシラン)、SiH3I(ヨードシラン)、Si(CH3)I3(三ヨウ化メチルシリル)、Si(CH322(二ヨウ化ジメチルシリル)、Si(CH33I(ヨウ化トリメチルシリル)、Si(CH3)HI2(ジヨードメチルシラン)、Si(CH32HI(ヨードジメチルシラン)、Si(CH3)H2I(メチルヨードシラン)、Si26(ヘキサヨードジシラン)、GeI4(四ヨウ化ゲルマニウム)、GeHI3(トリヨードゲルマン)、GeH22(ジヨードゲルマン)、GeH3I(ヨードゲルマン)、AlI3(三ヨウ化アルミニウム)、BI3(三ヨウ化ホウ素)、TiI4(四ヨウ化チタン)、SnI4(四ヨウ化スズ)、N-ヨードスクシンイミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ヨードフタルイミド、N-ヨードサッカリン、1-クロロ-2-ヨードエタン、塩化ヨウ素(ICl)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層であり、
前記金属前駆体は、モリブデン前駆体である、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
モリブデン前駆体は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、MoOCl4、ビス(エチルベンゼン)モリブデン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記凹状フィーチャの底部の表面よりもフィールド領域上の表面および前記凹状フィーチャの開口部付近の表面を大きく改質する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、物理吸着および化学吸着の少なくとも1つによって前記半導体基板の前記表面を改質する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の前記表面をハロゲン化することによって前記基板の前記表面を改質する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、約250℃~600℃の温度および約300torr未満の圧力で堆積される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤によって改質された前記半導体基板の前記表面は、金属、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属シリサイド、アモルファスケイ素、多結晶ケイ素、水素終端ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素含有誘電体、およびそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した金属窒化物を含み、前記露出した金属窒化物は、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した窒化チタンを含み、前記露出した窒化チタンは、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出したケイ素含有誘電体と、露出した金属とを含み、前記露出したケイ素含有誘電体は、前記凹状フィーチャの側壁で露出され、前記露出した金属は、前記凹状フィーチャの底部で露出される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
(c)は、前記半導体基板を前記金属前駆体および還元剤に順次曝露し、前記順次の曝露を繰り返して少なくとも10回の阻害剤フリーの堆積サイクルを実施することを含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、
(i)前記半導体基板を前記堆積阻害剤に曝露することと、
(ii)(i)の後、前記半導体基板を前記金属前駆体に曝露することと、
(iii)(ii)の後、前記半導体基板を還元剤に曝露して前記金属前駆体を金属に還元することと、
(iv)ステップ(i)~(iii)を繰り返し、少なくとも10回の阻害剤支援堆積サイクルを実施することと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
各阻害剤支援堆積サイクルは、前記堆積阻害剤への前記半導体基板の前記曝露、前記金属前駆体への前記半導体基板の前記曝露、および前記還元剤への前記半導体基板の前記曝露の各々の後にパージステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、共形的に堆積される、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属層は、ボトムアップ堆積モードで堆積され、前記凹状フィーチャを充填する、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、前記堆積阻害剤および前記金属前駆体を同時にプロセスチャンバに送給することを含む、方法。
【請求項23】
基板を処理するための装置であって、
(a)プロセスチャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応剤を前記プロセスチャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有するプロセスチャンバと、
(b)コントローラであって、
(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記改質された表面を前記改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、
(ii)前記半導体基板を金属前駆体と接触させ、前記金属前駆体を還元させて前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっている
ためのプログラム命令を含むコントローラと
を備える、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
提供される方法は、モリブデン層、コバルト層、ルテニウム層、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な金属層の堆積に使用することができる。一実施態様では、堆積された金属層はモリブデン層であり、金属前駆体はモリブデン-ハロゲン結合を含むモリブデン前駆体である。例えば、モリブデン前駆体は、MoCl5、Mo2Cl10、MoO2Cl2、もしくはMoOCl4、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーの有機金属モリブデン前駆体などの有機金属モリブデン前駆体が使用される。ハロゲンフリーの有機金属モリブデン前駆体の一例は、ビス(エチルベンキセン)モリブデンである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
別の態様では、半導体基板を処理するための装置が提供され、装置は、本明細書で提供される方法のいずれかを実施させるように構成されたプログラム命令を有するコントローラを含む。いくつかの実施形態では、装置は、(a)プロセスチャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応剤をプロセスチャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有するプロセスチャンバと、(b)コントローラとを含む。コントローラは、(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、堆積阻害剤は、半導体基板の表面を改質し、改質された表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、(ii)半導体基板を金属前駆体と接触させ、金属前駆体を還元させて半導体基板上の少なくとも凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、ハロゲン含有化合物と金属前駆体は、異なっているためのプログラム命令を含むことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0178】
ハロゲン化アルキル堆積阻害剤
本明細書で提供される方法のいずれかで使用することができるハロゲン化アルキル堆積阻害剤は、フッ化アルキル、塩化アルキル、臭化アルキル、およびヨウ化アルキルを含み、これらは1つまたは複数のハロゲン原子を含み得る。第一級ハロゲン化アルキル、第二級ハロゲン化アルキル、および第三級ハロゲン化アルキルを使用することが可能である。第一級ハロゲン化アルキルの例には、フッ化メチル、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、フッ化エチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、1-フルオロプロパン、1-クロロプロパン、1-ブロモプロパン、および1-ヨードプロパン、1-フルオロブタン、1-クロロブタン、1-ブロモブタン、および1-ヨードブタンが挙げられる。第二級ハロゲン化アルキルの例には、2-フルオロプロパン、2-クロロプロパン、2-ブロモプロパン、2-ヨードプロパン、2-フルオロブタン、2-クロロブタン、2-ブロモブタン、および2-ヨードブタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、第三級ハロゲン化アルキルが好ましい。第三級ハロゲン化アルキルの例には、フッ化t-ブチル(2-フルオロ-2-メチルプロパンとしても知られる)、塩化t-ブチル(2-クロロ-2-メチルプロパンとしても知られる)、臭化t-ブチル(2-ブロモ-2-メチルプロパンとしても知られる)、およびヨウ化t-ブチル(2-ヨード-2-メチルプロパンとしても知られる)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式:
Hal-C(R’)2-CH(R’’)2
を有するハロゲン化アルキル、が使用され、Halは、ハロゲンであり、各R’は、水素およびアルキルから独立して選択され、各R’’は、水素およびアルキルから独立して選択される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0179】
くつかの実施形態では、両方のR’’基が水素である。そのようなハロゲン化アルキルの例には、塩化t-ブチル、2-クロロ-2-メチルブタン、2-クロロ-2-メチルペンタン、および2-クロロ-2-メチルヘキサンが挙げられる。これらのハロゲン化アルキルは、ハロゲン化水素の排除および二重結合を含む生成物の形成を受けやすく、かつより効率的な表面改質および金属核形成の阻害につながる可能性があるため、いくつかの実施形態では特に適している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0191
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0191】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機前駆体は、モリブデン-硫黄結合を形成することが可能な硫黄含有配位子である。いくつかの実施形態では、前駆体中の少なくとも1つの有機配位子は、チオエーテルである。「チオエーテル」という用語は、単座チオエーテルと多座(例えば、二座ot三座)チオエーテルの両方、ならびにチオエーテル部分とチオレート(または他の)部分の両方を含む配位子を含むように含むように広く本明細書で使用される。単座チオエーテルの一例は、硫化ジアルキルR2Sであり、各Rは、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジイソブチルなどのアルキルである。チオレート部分も含む多座チオエーテル配位子の一例は、(SCH2CH2SCH2CH2S)2-である単座チオエーテルの一例は、図5に示すチオエーテル18であり、各Rは、アルキルおよびフルオロアルキルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機配位子は、モノアニオン性チオレート19などのチオレートであり、Rは、アルキルまたはフルオロアルキルである。例えば、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはt-ブチルであり得る。いくつかの実施形態では、チオレートは、ジチオレート、例えばジアニオン性アルファ-ジチオレート24(各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)またはジアニオン性ベータ-ジチオレート25(各Rは、H、アルキル、およびフルオロアルキルから独立して選択される)である。ジチオレートは、モリブデンと2つのモリブデン-硫黄結合を形成することが可能である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0271
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0271】
阻害を伴う第2の例では、モリブデンは、170回の堆積サイクルを実施することによって基板(TiN表面またはW表面を有する)上に堆積され、各サイクルは、順次の塩化t-ブチル曝露、MoCl5曝露、およびH2曝露を含んだ。モリブデンは、TiN基板とW基板の両方に約70Åの厚さに堆積された。これらの例は、塩化t-ブチルが、浸漬前ハロゲン化アルキル阻害プロセスと3ステップの周期的堆積(阻害剤支援堆積)の両方において、TiN表面とW表面の両方へのモリブデン堆積を効果的に阻害したことを実証しており、各完全なALDサイクルは、阻害剤曝露を含んでいる。また本開示は以下の形態として実現できる。
[形態1]
金属層を形成する方法であって、
(a)凹状フィーチャを有する半導体基板を提供することと、
(b)前記半導体基板を堆積阻害剤に曝露することであって、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記表面を改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにすることと、
(c)前記半導体基板を金属前駆体および還元剤に曝露し、前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成することであって、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっていることと
を含む、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記半導体基板は、前記金属前駆体への曝露前に前記堆積阻害剤に曝露される、方法。
[形態3]
形態1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化アルキルである、方法。
[形態4]
形態1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、ヨウ素含有化合物である、方法。
[形態5]
形態1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層、またはコバルト層、またはルテニウム層、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
[形態6]
形態1に記載の方法であって、
前記ハロゲン含有化合物は、I 2 (ジヨウ素)、HI(ヨウ化水素)、CH 3 I(ヨウ化メチル)、C 2 5 I(ヨウ化エチル)、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、ヨウ化sec-ブチル、ヨウ化t-ブチル、ヨードシクロペンタン、ヨードシクロヘキサン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、1,1-ジヨードプロパン、1,2-ジヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、2,2-ジヨードプロパン、1,1-ジヨードブタン、1,2-ジヨードブタン、1,3-ジヨードブタン、2,2-ジヨードブタン、2,3-ジヨードブタン、1,2-ジヨード-2-メチルプロパン、2,3-ジヨード-2,3-ジメチルブタン、1,1,2,2-テトラヨードエタン、2,2,3,3-テトラヨードブタン、1,1,1,2,2,2-ヘキサヨードエタン、1,2-ジヨードシクロペンタン、1,2-ジヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ジヨードベンゼン、2-ヨードピリジン、3-ヨードピリジン、4-ヨードピリジン、3-ヨード-1-ニトロベンゼン、3-ヨード-1-トリフルオロメチルベンゼン、4-ヨードアニリン、4-ヨード-1-ジメチルアミノベンゼン、4-ヨードフェノール、ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、三ヨウ化(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、二ヨウ化ビス(トリメチルシリル)メチル、ヨウ化トリス(トリメチルシリル)メチル、1-(トリメチルシリル)-1-ヨードエタン、1-(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,1-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、1,2-ビス(トリメチルシリル)-1,2-ジヨードエタン、CHI 3 (トリヨードメタン)、CI 4 (四ヨウ化炭素)、1-ヨードエテン、1-ヨードプロペン、2-ヨードプロペン、1-ヨード-1-ブテン、1-ヨード-2-ブテン、2-ヨード-1-ブテン、2-ヨード-2-ブテン、ヨードアセチレン、3,3-ジメチル-1-ヨード-ブタ-1-イン、1,1-ジヨードエテン、1,2-ジヨードエテン、1,2-ジヨードプロペン、1,2-ジヨード-2-プロペン、1,2-ジヨードブテン、1,2-ジヨード-2-ブテン、1,2-ジヨード-3-ブテン、3,4-ジヨードシクロヘキセン、4,5-ジヨードシクロヘキサジエン、1,2-ジヨードアセチレン、1,1,2,2-テトラヨードエテン、SiI 4 (四ヨウ化ケイ素)、SiHI 3 (トリヨードシラン)、SiH 2 2 (ジヨードシラン)、SiH 3 I(ヨードシラン)、Si(CH 3 )I 3 (三ヨウ化メチルシリル)、Si(CH 3 2 2 (二ヨウ化ジメチルシリル)、Si(CH 3 3 I(ヨウ化トリメチルシリル)、Si(CH 3 )HI 2 (ジヨードメチルシラン)、Si(CH 3 2 HI(ヨードジメチルシラン)、Si(CH 3 )H 2 I(メチルヨードシラン)、Si 2 6 (ヘキサヨードジシラン)、GeI 4 (四ヨウ化ゲルマニウム)、GeHI 3 (トリヨードゲルマン)、GeH 2 2 (ジヨードゲルマン)、GeH 3 I(ヨードゲルマン)、AlI 3 (三ヨウ化アルミニウム)、BI 3 (三ヨウ化ホウ素)、TiI 4 (四ヨウ化チタン)、SnI 4 (四ヨウ化スズ)、N-ヨードスクシンイミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ヨードフタルイミド、N-ヨードサッカリン、1-クロロ-2-ヨードエタン、塩化ヨウ素(ICl)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
[形態7]
形態1に記載の方法であって、
前記金属層は、モリブデン層である、方法。
[形態8]
形態7に記載の方法であって、
モリブデン前駆体は、MoCl 5 、Mo 2 Cl 10 、MoO 2 Cl 2 、MoOCl 4 、ビス(エチルベンゼン)モリブデン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
[形態9]
形態1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記凹状フィーチャの底部の表面よりもフィールド領域上の表面および前記凹状フィーチャの開口部付近の表面を大きく改質する、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、物理吸着および化学吸着の少なくとも1つによって前記半導体基板の前記表面を改質する、方法。
[形態11]
形態1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の前記表面をハロゲン化することによって前記基板の前記表面を改質する、方法。
[形態12]
形態1に記載の方法であって、
前記金属層は、約250℃~600℃の温度および約300torr未満の圧力で堆積される、方法。
[形態13]
形態1に記載の方法であって、
前記堆積阻害剤によって改質された前記半導体基板の前記表面は、金属、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属シリサイド、アモルファスケイ素、多結晶ケイ素、水素終端ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素含有誘電体、およびそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
[形態14]
形態1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した金属窒化物を含み、前記露出した窒化チタンは、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
[形態15]
形態1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出した窒化チタンを含み、前記露出した窒化チタンは、前記凹状フィーチャの側壁および前記凹状フィーチャの底部を裏打ちする、方法。
[形態16]
形態1に記載の方法であって、
(a)で提供される前記半導体基板は、露出したケイ素含有誘電体と、露出した金属とを含み、前記露出したケイ素含有誘電体は、前記凹状フィーチャの側壁で露出され、前記露出した金属は、前記凹状フィーチャの前記底部で露出される、方法。
[形態17]
形態1に記載の方法であって、
(c)は、前記半導体基板を前記金属前駆体および還元剤に順次曝露し、前記順次の曝露を繰り返して少なくとも10回の阻害剤フリーの堆積サイクルを実施することを含む、方法。
[形態18]
形態1に記載の方法であって、
前記方法は、
(i)前記半導体基板を前記堆積阻害剤に曝露することと、
(ii)(i)の後、前記半導体基板を前記金属前駆体に曝露することと、
(iii)(ii)の後、前記半導体基板を還元剤に曝露して前記金属前駆体を金属に還元することと、
(iv)ステップ(i)~(iii)を繰り返し、少なくとも10回の阻害剤支援堆積サイクルを実施することと
を含む、方法。
[形態19]
形態18に記載の方法であって、
各阻害剤支援堆積サイクルは、前記堆積阻害剤への前記半導体基板の前記曝露、前記金属前駆体への前記半導体基板の前記曝露、および前記還元剤への前記半導体基板の前記曝露の各々の後にパージステップを含む、方法。
[形態20]
形態1に記載の方法であって、
前記金属層は、共形的に堆積される、方法。
[形態21]
形態1に記載の方法であって、
前記金属層は、ボトムアップ堆積モードで堆積され、前記凹状フィーチャを充填する、方法。
[形態22]
形態1に記載の方法であって、
前記方法は、前記堆積阻害剤および前記金属前駆体を同時に前記プロセスチャンバに送給することを含む、方法。
[形態23]
基板を処理するための装置であって、
(a)プロセスチャンバであって、半導体基板を保持するための基板ホルダ、および反応剤を前記プロセスチャンバに導入するための1つまたは複数の入口を有するプロセスチャンバと、
(b)コントローラであって、
(i)凹状フィーチャを有する半導体基板を堆積阻害剤と接触させ、前記堆積阻害剤は、ハロゲン含有化合物であり、前記堆積阻害剤は、前記半導体基板の表面を改質し、前記改質された表面を前記改質前よりも金属堆積に対してより耐性のあるものにし、
(ii)前記半導体基板を金属前駆体と接触させ、前記金属前駆体を還元させて前記半導体基板上の少なくとも前記凹状フィーチャ内に金属層を形成させ、前記金属前駆体と前記ハロゲン含有化合物は、異なっている
ためのプログラム命令を含むコントローラと
を備える、装置。
【国際調査報告】