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特表2024-546755高湾曲基板のための均熱およびESCクランプシーケンス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】高湾曲基板のための均熱およびESCクランプシーケンス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241219BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241219BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241219BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20241219BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/458
C23C14/50 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534440
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022051823
(87)【国際公開番号】W WO2023107376
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/288,547
(32)【優先日】2021-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビー・フェン
(72)【発明者】
【氏名】レディ・カプ・シリシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラナ・ニラジ
(72)【発明者】
【氏名】スリア・アティーク・ジュナイド
(72)【発明者】
【氏名】オノ・トシサト
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BD01
4K029DA04
4K029DA06
4K029DA08
4K029EA03
4K029JA01
4K029JA05
4K030CA04
4K030EA06
4K030FA03
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4K030JA09
4K030JA11
4K030JA17
4K030KA14
4K030KA41
4K030LA15
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB26
5F004BB28
5F004BD04
5F004CA02
5F004CA04
5F004DA22
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5F131BA19
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5F131CA17
5F131CA22
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB17
5F131EB81
5F131JA12
(57)【要約】
【解決手段】
基板を処理するための方法は、a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、b)処理チャンバ内の圧力を第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることと、c)基板をクランプせずに、第1の所定の時間の間、第1の所定の圧力で基板を均熱することと、d)第1の所定の時間の後、ESCに供給されるクランプ電圧を第2の所定の時間にわたって第1のクランプ電圧までランプすることと、e)第2の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力を第1の所定の圧力よりも大きい所定のプロセス圧力まで上げることと、f)所定のプロセス圧力で基板に処理を行うことと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための方法であって、
a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、
b)前記処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることと、
c)前記基板をクランプせずに、第1の所定の時間の間、前記第1の所定の圧力で前記基板を均熱することと、
d)前記第1の所定の時間の後、前記ESCに供給されるクランプ電圧を第2の所定の時間にわたって第1のクランプ電圧までランプすることと、
e)前記第2の所定の時間の後、前記処理チャンバ内の前記圧力を前記第1の所定の圧力よりも大きい所定のプロセス圧力まで上げることと、
f)前記所定のプロセス圧力で前記基板に処理を行うことと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
e)の後かつf)の前に、前記圧力が、前記第1の所定の圧力よりも大きく前記所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、前記クランプ電圧を前記第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げることをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の所定の時間にわたって、前記圧力は、前記第1の所定の圧力に維持される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える、方法。
【請求項5】
基板を均熱およびクランプする方法であって、
a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、
b)前記処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることであって、前記第1の所定の圧力は、所定のプロセス圧力よりも大きいことと、
c)第2の所定の時間の間、第1のクランプ電圧を使用して前記基板をクランプすることと、
d)前記第2の所定の時間の間に、前記処理チャンバ内の圧力を第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力まで下げることと、
e)第3の所定の時間の間に、前記第1のクランプ電圧を第2のクランプ電圧まで上げ、かつ前記処理チャンバ内の前記圧力を上げることと、
f)前記所定のプロセス圧力で前記基板に処理を行うことと
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
e)の後かつf)の前に、前記圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、前記第2のクランプ電圧を前記第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げることをさらに含み、前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力よりも大きく、前記所定のプロセス圧力よりも小さい、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える、方法。
【請求項8】
基板を均熱およびクランプする方法であって、
a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、
b)前記処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることと、
c)前記第1の所定の時間の後、第2の所定の時間の間、第1のクランプ電圧で前記基板をクランプすることと、
d)前記第2の所定の時間の後、第3の所定の時間の間に、前記基板をクランプ解除することと、
e)前記第3の所定の時間の後、第4の所定の時間の間、第2のクランプ電圧で前記基板をクランプすることと、
f)前記第4の所定の時間の後、前記処理チャンバ内の前記圧力を所定のプロセス圧力まで上げることと、
g)前記所定のプロセス圧力で前記基板を処理することと
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
e)の後かつf)の前に、前記圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、前記第2のクランプ電圧を前記第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げることをさらに含み、前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力よりも大きく、前記所定のプロセス圧力よりも小さい、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記第2の所定の時間の間の前記圧力は、前記第1の所定の圧力である、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記第3の所定の時間の間の前記圧力は、前記第1の所定の圧力である、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1の所定の圧力は、アーク圧力よりも小さい、方法。
【請求項13】
基板を処理するための基板処理システムであって、
電極を有する静電チャックを含む処理チャンバと、
ガス混合物を前記処理チャンバへ搬送するように構成されたガス搬送システムと、
クランプ電圧を前記電極へ供給するように構成された電圧源と、
コントローラであって、前記ガス搬送システムおよび前記電圧源に、
a)前記処理チャンバ内の圧力を、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、
b)前記基板をクランプせずに、第1の所定の時間の間、前記第1の所定の圧力で前記基板を均熱させ、
c)前記第1の所定の時間の後、前記静電チャックに供給されるクランプ電圧を第2の所定の時間にわたって第1のクランプ電圧まで上げさせ、
d)前記第2の所定の時間の後、前記処理チャンバ内の前記圧力を前記第1の所定の圧力よりも高い所定のプロセス圧力まで上げさせ、
e)前記所定のプロセス圧力で前記基板に処理を行わせる
ように構成されたコントローラと
を備える、基板処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の基板処理システムであって、
e)の後かつf)の前に、前記コントローラは、前記圧力が、前記第1の所定の圧力よりも大きく前記所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、前記クランプ電圧を前記第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成される、基板処理システム。
【請求項15】
請求項13に記載の基板処理システムであって、
前記第2の所定の時間にわたって、前記圧力は、前記第1の所定の圧力に維持される、基板処理システム。
【請求項16】
請求項13に記載の基板処理システムであって、
前記基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える、基板処理システム。
【請求項17】
基板を処理するための基板処理システムであって、
電極を有する静電チャックを含む処理チャンバと、
ガス混合物を前記処理チャンバへ搬送するように構成されたガス搬送システムと、
クランプ電圧を前記電極へ供給するように構成された電圧源と、
コントローラであって、前記ガス搬送システムおよび前記電圧源に、
a)前記処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、前記第1の所定の圧力は、所定のプロセス圧力よりも大きく、
b)第2の所定の時間の間、第1のクランプ電圧を使用して前記基板をクランプさせ、
c)前記第2の所定の時間の間に、前記処理チャンバ内の圧力を第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力まで下げさせ、
d)第3の所定の時間の間に、前記第1のクランプ電圧を第2のクランプ電圧まで上げさせ、かつ前記処理チャンバ内の前記圧力を上げさせ、
e)前記所定のプロセス圧力で前記基板に処理を行わせる
ように構成されたコントローラと
を備える、基板処理システム。
【請求項18】
請求項17に記載の基板処理システムであって、
e)の後かつf)の前に、前記コントローラは、前記圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、前記第2のクランプ電圧を前記第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成され、前記第2の所定の圧力は、前記第1の所定の圧力よりも大きく、前記所定のプロセス圧力よりも小さい、基板処理システム。
【請求項19】
請求項17に記載の基板処理システムであって、
前記基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える、基板処理システム。
【請求項20】
基板を処理するための基板処理システムであって、
電極を有する静電チャックを含む処理チャンバと、
ガス混合物を前記処理チャンバへ搬送するように構成されたガス搬送システムと、
クランプ電圧を前記電極へ供給するように構成された電圧源と、
コントローラであって、前記ガス搬送システムおよび前記電圧源に、
a)前記処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、
b)前記第1の所定の時間の後、第2の所定の時間の間、第1のクランプ電圧で前記基板をクランプさせ、
c)前記第2の所定の時間の後、第3の所定の時間の間に、前記基板をクランプ解除させ、
d)前記第3の所定の時間の後、第4の所定の時間の間、第2のクランプ電圧で前記基板をクランプさせ、
e)前記第4の所定の時間の後、前記処理チャンバ内の前記圧力を所定のプロセス圧力まで上げさせ、
f)前記所定のプロセス圧力で前記基板を処理させる
ように構成されたコントローラと
を備える、基板処理システム。
【請求項21】
請求項20に記載の基板処理システムであって、
e)の後かつf)の前に、前記コントローラは、前記圧力が、前記第1の所定の圧力よりも大きく前記所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、前記クランプ電圧を前記第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成される、基板処理システム。
【請求項22】
請求項20に記載の基板処理システムであって、
前記第2の所定の時間にわたって、前記コントローラは、前記圧力を前記第1の所定の圧力に維持するように構成される、基板処理システム。
【請求項23】
請求項20に記載の基板処理システムであって、
前記基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年12月11日に出願された、米国仮特許出願第63/288,547号の利益を主張するものである。上記の出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムに関し、より詳細には、堆積プロセスのための均熱(soak)シーケンスおよび静電チャッククランプ方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書にて提供される背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。本背景技術のセクションにて説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らの研究、ならびに出願時に先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板に処理を行うために使用される。処理の例としては、堆積、エッチング、洗浄、および/またはその他の処理が挙げられる。処理の間、基板は、1つ以上の処理チャンバ内で、複数の堆積、エッチング、洗浄、および/またはその他の処理を受ける。基板は通常、1つの処理チャンバ内で処理された後、それに続く処理ステップのために1つ以上のさらなる処理チャンバへ移動される。
【0005】
基板は通常、処理チャンバのうちの1つにある静電チャック(ESC)の台座上へ搬送される。基板と台座との間には、温度差がある場合がある。基板を処理する前に、基板は、均熱され、クランプされる。これらのステップは、スループットを向上させるために迅速に行われることが好ましい。基板がESCによってあまりに急速に加熱されると、基板が損傷するおそれがある。基板の均一な加熱は、基板と台座との間の温度差、処理チャンバ内の圧力、基板の湾曲、処理チャンバ内のガスの熱伝導率、基板のクランプの度合い、および/またはその他の要因に関係する。
【0006】
理想的には、基板は、平坦な位置でクランプされ、処理を開始する前に中心から縁部まで均一な温度を有する。しかしながら、基板は、搬送時に湾曲している(中心から縁部への湾曲)場合があり、かつ/または基板の加熱中に基板の湾曲が発生する場合がある。湾曲により、基板を平坦な位置でクランプすることが困難となり、かつ/または中心から縁部までの温度の不均一性(non-uniformity:NU)の原因となる場合がある。クランプ後に基板が湾曲したままである場合、処理中に基板の縁部とESCの台座との間に隙間が存在する場合がある。クランプ後に基板が湾曲している場合、基板と台座の最小接触面(MCAs)との間でアーク放電が発生する場合があり、これにより台座が損傷し、製造コストおよびダウンタイムが増加する。処理中に、基板が中心から縁部まで温度のNUを有すると、欠陥がより発生しやすくなる。
【0007】
処理中、ガス搬送システムは、プロセスガス混合物を処理チャンバに供給する。化学反応を促進するために、プラズマが使用される場合がある。処理後、基板はクランプ解除され、基板は処理チャンバから取り出される。
【発明の概要】
【0008】
基板を処理するための方法は、a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、b)処理チャンバ内の圧力を第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることと、c)基板をクランプせずに、第1の所定の時間、第1の所定の圧力で基板を均熱することと、d)第1の所定の時間の後、ESCに供給されるクランプ電圧を第2の所定の時間にわたって第1のクランプ電圧まで上げることと、e)第2の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力を第1の所定の圧力よりも大きい所定のプロセス圧力まで上げることと、f)所定のプロセス圧力で基板に処理を行うことと、を含む。
【0009】
他の特徴では、本方法は、e)の後かつf)の前に、圧力が第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、クランプ電圧を第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げることを含む。
【0010】
他の特徴では、第2の所定の時間にわたって、圧力は、第1の所定の圧力に維持される。基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える。
【0011】
基板を均熱およびクランプするための方法は、a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、b)処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることであって、第1の所定の圧力は、所定のプロセス圧力よりも大きいことと、c)第2の所定の時間、第1のクランプ電圧を使用して基板をクランプすることと、d)第2の所定の時間の間に、処理チャンバ内の圧力を第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力まで下げることと、e)第3の所定の時間の間に、第1のクランプ電圧を第2のクランプ電圧まで上げ、かつ処理チャンバ内の圧力を増大させることと、f)所定のプロセス圧力で基板に処理を行うことと、を含む。
【0012】
他の特徴では、本方法は、e)の後かつf)の前に、圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、第2のクランプ電圧を第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げることを含み、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい。基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える。
【0013】
基板を均熱およびクランプする方法は、a)基板を処理チャンバの静電チャック(ESC)の台座へ搬送することと、b)処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げることと、c)第1の所定の時間の後、第2の所定の時間、第1のクランプ電圧で基板をクランプすることと、d)第2の所定の時間の後、第3の所定の時間の間に、基板をクランプ解除することと、e)第3の所定の時間の後、第4の所定の時間、第2のクランプ電圧で基板をクランプすることと、f)第4の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力を所定のプロセス圧力まで上げることと、g)所定のプロセス圧力で基板を処理することと、を含む。
【0014】
他の特徴では、本方法は、e)の後かつf)の前に、圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、第2のクランプ電圧を第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げることを含み、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい。
【0015】
他の特徴では、第2の所定の時間の間の圧力は、第1の所定の圧力である。第3の所定の時間の間の圧力は、第1の所定の圧力である。第1の所定の圧力は、アーク圧力よりも低い。
【0016】
基板を処理するための基板処理システムは、電極を有する静電チャックを備える処理チャンバを備える。ガス搬送システムは、ガス混合物を処理チャンバへ搬送するように構成される。電圧源は、クランプ電圧を電極へ供給するように構成される。コントローラは、ガス搬送システムおよび電圧源に、a)処理チャンバ内の圧力を、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、b)基板をクランプせずに、第1の所定の時間、第1の所定の圧力で基板を均熱させ、c)第1の所定の時間の後、静電チャックに供給されるクランプ電圧を第2の所定の時間にわたって第1のクランプ電圧まで上げさせ、d)第2の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力を第1の所定の圧力よりも高い所定のプロセス圧力まで上げさせ、e)所定のプロセス圧力で基板に処理を行わせるように構成される。
【0017】
他の特徴では、e)の後かつf)の前に、コントローラは、圧力が第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、クランプ電圧を第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成される。第2の所定の時間にわたって、圧力は、第1の所定の圧力に維持される。基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える。
【0018】
基板を処理するための基板処理システムは、電極を有する静電チャックを含む処理チャンバを備える。ガス搬送システムは、ガス混合物を処理チャンバへ搬送するように構成される。電圧源は、クランプ電圧を電極へ供給するように構成される。コントローラは、ガス搬送システムおよび電圧源に、a)処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、第1の所定の圧力は、所定のプロセス圧力よりも大きく、b)第2の所定の時間の間、第1のクランプ電圧を使用して基板をクランプさせ、c)第2の所定の時間の間に、処理チャンバ内の圧力を第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力まで下げさせ、d)第3の所定の時間の間に、第1のクランプ電圧を第2のクランプ電圧まで上げさせ、かつ処理チャンバ内の圧力を上げさせ、e)所定のプロセス圧力で基板に処理を行わせるように構成される。
【0019】
他の特徴では、e)の後かつf)の前に、コントローラは、圧力が第2の所定の圧力を超えたとき、第2のクランプ電圧を第2のクランプ電圧よりも低い第3のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成され、第2の所定の圧力は、第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい。基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える。
【0020】
基板を処理するための基板処理システムは、電極を有する静電チャックを含む処理チャンバを備える。ガス搬送システムは、ガス混合物を処理チャンバへ搬送するように構成される。電圧源は、クランプ電圧を電極へ供給するように構成される。コントローラは、ガス搬送システムおよび電圧源に、a)処理チャンバ内の圧力を、第1の所定の時間の間に、1つ以上のステップで、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げさせ、b)第1の所定の時間の後、第2の所定の時間の間に、第1のクランプ電圧で基板をクランプさせ、c)第2の所定の時間の後、第3の所定の時間の間に、基板をクランプ解除させ、d)第3の所定の時間の後、第4の所定の時間、第2のクランプ電圧で基板をクランプさせ、e)第4の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力を所定のプロセス圧力まで上げさせ、f)所定のプロセス圧力で基板を処理させるように構成される。
【0021】
他の特徴では、e)の後かつf)の前に、コントローラは、圧力が第1の所定の圧力よりも大きく、所定のプロセス圧力よりも小さい第2の所定の圧力を超えたとき、クランプ電圧を第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げるようにさらに構成される。第2の所定の時間にわたって、コントローラは、圧力を第1の所定の圧力に維持するように構成される。基板は、クランプしていない状態で、周囲温度で200μmを超える湾曲を有する湾曲した基板を備える。
【0022】
本開示のさらなる適用可能な領域は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。発明を実施するための形態および具体例は、例示のみを目的として意図されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより十分に理解されるであろう。
【0024】
図1図1は、本開示による基板処理チャンバの一例の機能ブロック図である。
【0025】
図2図2は、加熱および冷却中の湾曲の高さを温度の関数として示すグラフである。
【0026】
図3図3は、異なる基板温度における湾曲の大きさを半径の関数として示すグラフである。
【0027】
図4図4は、本開示による基板を均熱およびクランプするための方法の一例のフローチャートである。
【0028】
図5図5は、本開示によるチャンバ圧力およびクランプ電圧の変化のタイミングの一例を示すグラフである。
【0029】
図6A図6Aは、周囲均熱圧力の関数として温度を示すグラフである。
【0030】
図6B図6Bは、周囲均熱圧力の関数としてヘリウムの熱伝導率を示すグラフである。
【0031】
図7図7は、本開示による基板を均熱およびクランプするための別の方法の一例のフローチャートである。
【0032】
図8図8は、本開示によるチャンバ圧力およびクランプ電圧の変化のタイミングの一例を示すグラフである。
【0033】
図9図9は、本開示による基板を均熱およびクランプするための別の方法の一例のフローチャートである。
【0034】
図10図10は、本開示によるチャンバ圧力の変化のタイミングおよびクランプ電圧の一例を示すグラフである。
【0035】
図面において、参照番号は、同様のおよび/または同一の要素を識別するために再使用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
引張強度の高い、湾曲した基板は、3D-NAND製作中の高温プロセスで著しい熱変形を経験する。本明細書で使用される場合、引張強度の高い、湾曲した基板とは、周囲温度または室温で、縁部において200マイクロメートル(μm)を超える湾曲を有する。基板をクランプする際、熱変形は、大きな問題となる。均熱およびクランプシーケンス中、引張強度の高い、湾曲した基板は、静電チャック(ESC)の台座上へ搬送される。
【0037】
一般的に、プロセスは、最短のサイクルタイムを有するように最適化されている。一般的に、圧力が大きくなると、加熱が増加する。したがって、圧力は、最大クランプ電圧でクランプが行われる場合にアーク放電が発生するおそれのある圧力に相当するアーク圧力よりもわずかに低い第1の所定の圧力まで上げられる。いくつかのプロセスでは、アーク圧力は、約4~5Torrである。圧力が第1の所定の圧力に達すると、基板は、温度のNUを低減させるために一定時間均熱され、その後、基板は、完全にクランプされる。例えば、クランプが行われた場合、第1の所定の圧力は、アーク圧力に近くなる(例えば、アーク圧力の75%超)。この時点では、基板は、中心部が高温、縁部が低温である傾向があるため、好ましくない温度不均一性(NU)を有する。
【0038】
基板をクランプした後、チャンバ圧力を所定のプロセス圧力(第1の所定の圧力よりも高い)(またはプロセス圧力)まで上げ、基板が処理される。いくつかの例では、所定のプロセス圧力は、アーク圧力の約2倍(+/-10%)よりも大きいが、その他の圧力も使用できる。
【0039】
上記の均熱およびクランプシーケンスでは、引張強度の高い、湾曲した基板に対するクランプ能力に限界がある。クランプ電圧および圧力を上げる前、基板の縁部は、台座表面上に完全にクランプされていない場合がある。例えば、基板の縁部は、0.1~4mmの隙間でずれている場合がある。この隙間により、プロセス中にアーク放電が発生するリスクが高くなる。アーク放電は、ESCの台座の最小接触面(MCA)表面を劣化させる局所的なDC放電を引き起こし、これにより台座の寿命が縮まり、コストが増加する。さらに、プロセス中に、基板の裏面が傷つく場合がある。
【0040】
本開示は、静電チャック(ESC)を使用して基板の均熱およびクランプシーケンスを行うためのシステムおよび方法に関する。以下でさらに説明する本システムおよび本方法は、従来の均熱およびクランプ技術では扱いが難しい引張強度の高い、湾曲した基板などの基板のクランプの問題に対処する。これらのシステムおよび方法は、従来のアプローチと比較して、クランプおよびクランプ解除の性能の向上、ESCの台座の最小接触面(MCA)表面の損傷の減少、ならびに基板の裏面の傷の減少を示す。
【0041】
第1の方法では、基板(引張強度の高い、湾曲した基板など)は、基板の加熱中、小さな圧力でクランプされ、その間、基板の変形はまだ小さい。加熱時間および処理時間を最小限にするために、通常、アーク圧力に近いより大きな圧力でクランプが行われる。しかしながら、このアプローチは、基板をさらに湾曲させ、クランプ時の問題を引き起こす。
【0042】
基板が台座へ搬送された後、基板は、第1の所定の時間の間、第1の所定の圧力で均熱され、その間、基板は低い温度で小さな変形を有する。いくつかの例では、第1の所定の圧力は、アーク圧力の20%よりも大きく、50%よりも小さい。第1の所定の時間の後、ESCが、基板をクランプする。基板をクランプした後、処理チャンバ内の圧力を第2の所定の時間にわたって第2の所定の圧力まで上げる。第2の所定の時間の間に、基板は、ESCと熱的定常状態に達する。第2の所定の時間の後、処理チャンバ内の圧力はプロセス圧力まで調整され、プロセスが開始される。いくつかの例では、プロセス圧力は、9~12Torrであるが、その他の圧力も使用できる。
【0043】
別のアプローチでは、基板は、ESCの台座上へ搬送される。処理チャンバ内の圧力はプロセス圧力で、またはプロセス圧力を超える所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで調整され、基板は不活性ガス環境で均熱できる。ガスの熱伝導率は、ガスの圧力に比例する。圧力が高いほど、伝熱がより効果的に行われる。基板が熱的定常状態(例えば、所望の基板温度に近い状態)に達すると、処理チャンバ内の圧力は第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力(いくつかの例では、アーク圧力未満)まで下げられ、ESCは第1の所定のクランプ電圧で基板をクランプする。基板がチャックされた後、処理チャンバ内の圧力をプロセス圧力まで上げ、クランプ電圧を第1の所定のクランプ電圧よりも低い第2の所定のクランプ電圧まで下げる。
【0044】
別のアプローチでは、基板が台座へ搬送され、処理チャンバ内の圧力が所定の圧力範囲(プロセス圧力およびアーク圧力よりも小さい)に設定され、ESCが基板をクランプして、第1の所定の時間の間、基板を均一に均熱する。これにより、基板の中心から基板の縁部までの温度の不均一性が小さい状態で、基板が速やかに熱的定常状態に達することになる。次に、第2の所定の時間の間、ESCクランプ力を除去することにより、基板を休ませることができる。このステップにより、熱膨張による横方向の歪みが除去される。第2の所定の時間の後、鉛直方向の歪みが小さい状態で、ESCが、基板をクランプする。その後、処理チャンバ内の圧力がプロセス圧力に設定され、プロセスが開始される。
【0045】
次に図1を参照すると、基板処理を行うための基板処理システム100の一例が示されている。以下に説明する例では、基板処理システムは、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)を行ってもよい。しかしながら、プラズマの有無に関わらず、その他の種類の基板処理が行われてもよい。
【0046】
基板処理システム100は、処理チャンバ102を含み、処理チャンバ102は基板処理システム100の他の構成要素を囲み、かつRFプラズマ(使用される場合)を含有する。基板処理システム100は、上部電極104および静電チャック(ESC)106を含む。いくつかの例では、ESC106は、下部電極として機能するベースプレート107に接合されたセラミック上部層161を含む。動作中、基板108は、上部電極104と下部電極との間のESC106上に配置される。ESC106は、堆積中、基板を静電的に引きつける電極163を含む。電極163は、単極電極または双極電極であり得る。
【0047】
例えば、上部電極104は、プロセスガスを導入および分配するシャワーヘッド109を含み得る。シャワーヘッド109は、一端が処理チャンバの上面に接続されたステム部分を含み得る。ベース部分は、一般的に円筒形であり、処理チャンバの上面から離れた位置で、ステム部分の反対端から放射状に外側へ延在する。シャワーヘッドのベース部分の基板に面する表面またはフェースプレートは、プロセスガスまたはパージガスが流れる複数の穴を含む。あるいは、上部電極104は、伝導性プレートを含んでもよく、プロセスガスは別の方法で導入されてもよい。
【0048】
RF発生システム110は、RF電力を発生させ、上部電極104および下部電極の一方に出力する。上部電極104および下部電極の他方は、DC接地、AC接地、または浮遊であり得る。例えば、RF発生システム110は、整合および分配ネットワーク112により下部電極へ供給されるRF電力を発生させるRF発生器111を含み得、上部電極104は接地される(またはその逆)。アクチュエータ120およびPリフトピン(Pは2よりも大きな整数)を含むリフトピンアセンブリ122は、チャンバから基板を出し入れする際に使用される。
【0049】
ガス搬送システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2、…、および132-N(まとめて、ガス源132)を含み、ここでNはゼロよりも大きな整数である。ガス源132は、例えば堆積前駆体、パージガス、エッチングガスなどの1つ以上のプロセスガスを供給する。いくつかの例では、気化された前駆体を使用してもよい(図示せず)。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、…、および134-N(まとめて、バルブ134)、マスフローコントローラ136-1、136-2、…、および136-N(まとめて、マスフローコントローラ136)、ならびにバルブ138-1、138-2、…、および138-N(まとめて、バルブ138)によってマニホールド140に接続される。マニホールド140の出力は、ガス搬送システム130により処理チャンバ102へ供給される。例えば、マニホールド140の出力は、シャワーヘッド109へ供給される。
【0050】
ヒータ142は、ESC106内に配置された抵抗加熱器に接続されてもよい。ヒータ142を使用して、ESC106および基板108の温度を制御してもよい。さらに、ESC106は、流体源(図示せず)から流体を流して、台座および基板温度をさらに制御するための内部チャネル(図示せず)を含み得る。バルブ150およびポンプ152を使用して、処理チャンバ102からの反応物質の排出、および/または処理チャンバ内の圧力の制御を行ってもよい。コントローラ160を使用して、本明細書に記載の基板処理システム100の様々な構成要素を制御してもよい。
【0051】
以下でさらに説明するように、コントローラ160は、ロボットアーム174に、ESC106上へ基板108を装填させる。また、コントローラ160は、電圧源172に、電極163(単極または双極)へ1つ以上の電圧信号を選択的に印加させる。コントローラ160は、ガス搬送システム130と通信して、プロセス、パージ、および/または不活性ガスの供給を制御する。コントローラは、バルブ150およびポンプ152と通信して、処理チャンバ内の圧力および/または反応物質の排出を制御する。
【0052】
次に図2および図3を参照すると、加熱および冷却中の基板の湾曲は、基板温度および/またはチャンバ圧力によって部分的に影響を受ける。図2では、加熱および冷却中の湾曲の高さが、温度の関数として示されている。図3では、湾曲の大きさが、異なる基板温度において、基板の半径の関数として示されている。
【0053】
次に図4および図5を参照すると、基板を均熱およびクランプするための方法400が示されている。410で基板が台座へ搬送された後、414で、チャンバ圧力は、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げられる。いくつかの例では、第1の所定の圧力範囲は、1~3Torrであるが、その他の圧力も使用できる。418で、基板は、第1の所定の時間t1の間、第1の所定の圧力で均熱される。この時点では、基板は比較的低い温度および圧力にあり、基板の変形または湾曲は比較的小さい。
【0054】
第1の所定の時間t1の後、ESCクランプ電圧が上げられるか、またはランプされて、次第に大きくなる力で基板をクランプする。いくつかの例では、422で、ESCクランプ電圧は、第2の所定の時間t2にわたって、第1のクランプ電圧までランプ(ramp)される。
【0055】
ESCが第1のクランプ電圧に達すると、426で、チャンバ圧力は、第3の所定の時間t3にわたって、所定のプロセス圧力に向かって上げられるか、またはランプされる。いくつかの例では、圧力を上げて、基板温度を上昇させる。
【0056】
処理チャンバ内の圧力が第2の所定の圧力(所定のプロセス圧力よりも小さい)に達すると、430で、ESCクランプ電圧は、任意選択で第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧まで下げられる。いくつかの例では、第2のクランプ電圧は、第1のクランプ電圧の約65%~85%である。
【0057】
圧力は、第4の所定の時間t4にわたってプロセス圧力まで引き続き上昇する。時間t1からt4の間に、基板は、台座と熱的定常状態に達する。第4の所定の時間t4の後、434で、基板は、処理チャンバ内で処理される。
【0058】
次に図6Aおよび図6Bを参照すると、圧力の上昇により、基板の熱伝導率および温度の両方が上昇している。図6Aでは、650℃の台座について、基板温度が、周囲均熱圧力の関数として示されている。図6Bでは、ヘリウム(He)の熱伝導率が、周囲均熱圧力の関数として示されている。理解できるように、圧力が大きいほど、ガスの熱伝導率が高い。均熱圧力が大きいほど、基板は、台座の設定値により近い安定した温度に達する。
【0059】
次に図7および図8を参照すると、基板を均熱およびクランプするための別の方法700が示されている。本方法700は、最初の均熱時間中、基板をクランプせずに(アーク放電を防ぐため)、より大きな圧力を使用する。高い圧力で均熱した後、本方法は、チャンバ圧力をアーク圧力未満に下げ、基板を軽くクランプする。本方法は、クランプ電圧を高いクランプ電圧まで上げ、圧力をプロセス圧力に向かって上げる。プロセス圧力に達する前に、クランプ電圧は、プロセスクランプ電圧まで下げられる。
【0060】
より具体的には、710で、基板は、ESCの台座上へ周囲圧力(例えば、ほぼ真空)で搬送される。714で、チャンバ圧力は、第1の所定の時間t1の間に、所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで調整される。いくつかの例では、第1の所定の圧力は、プロセス圧力よりも大きい。第1の所定の時間t1の間に、基板は、Heなどの不活性ガス環境で均熱できるが、その他のガスも使用できる。
【0061】
図6Aおよび図6Bから分かるように、ガスの熱伝導率は、ガスの圧力に比例する。圧力が高いほど、伝熱が効果的に行われる。基板が十分に加熱される(例えば、台座および基板の温度が十分に近くなる)と、基板は軽くクランプされ、その後処理チャンバ内の圧力はアーク圧力未満に下げられて、より高いクランプ電圧で(かつアーク放電せずに)基板が完全にクランプできるようになる。718で、ESCは、第2の所定の時間t2の間、第1のクランプ電圧を使用して基板をクランプする。いくつかの例では、第1のクランプ電圧は、第2のクランプ電圧または最大クランプ電圧の半分よりも小さく、第3のクランプ電圧またはプロセスクランプ電圧よりも小さい。いくつかの例では、第1のクランプ電圧は第2のクランプ電圧の20から50%の範囲内であり、第3のクランプ電圧は第2のクランプ電圧の65から85%の範囲内であるが、その他の値も使用できる。
【0062】
第1のクランプ電圧で軽くクランプした後、722で、処理チャンバ内の圧力は、第2の所定の圧力範囲内の第2の所定の圧力まで下げられる。いくつかの例では、第2の所定の圧力範囲は、アーク圧力よりも低いが、その他の圧力も使用できる。いくつかの例では、第2の所定の圧力は、第2のクランプ電圧または最大クランプ電圧が使用されたときにアーク放電を引き起こす圧力よりも小さい。
【0063】
722でチャンバ圧力を第2の所定の圧力まで下げた後、726で、クランプ電圧は、第2の所定の時間t3の間に、第2のクランプ電圧まで上げられる。730で、圧力は、プロセス圧力(第1の所定の圧力よりも小さい)に向かって上げられる。チャンバ圧力が第3の圧力(プロセス圧力よりも小さく、例えばプロセス圧力の60~80%)に達すると、734で、クランプ電圧は、第3のクランプ電圧まで下げられる。738で、圧力は、プロセス圧力まで上げられる。742で、基板が処理される。
【0064】
次に図9を参照すると、基板を均熱およびクランプするための別の方法900が示されている。本方法900は、2段階のクランプアプローチを使用して、基板を均熱およびクランプする。チャンバ圧力が、アーク圧力よりも小さく、プロセス圧力よりも小さい圧力まで上げられる。次に、基板が、第1のクランプ電圧で完全にクランプされる。均熱時間中に基板の温度が上げられ、中心から縁部までの不均一性(NU)が低くなり、クランプ電圧が除去されて、基板の歪みが除去される。次に、第1のクランプ電圧よりも小さいプロセスクランプ電圧で、基板がクランプされる。次に、圧力がプロセス圧力まで上げられ、基板が処理される。
【0065】
より具体的には、910で、基板が、台座へ搬送される。914で、処理チャンバ内の圧力が、第1の所定の時間t1の間、第1の所定の圧力範囲内の第1の所定の圧力まで上げられる。いくつかの例では、第1の所定の圧力範囲は、アーク圧力よりも低いが、その他の圧力範囲も使用できる。基板は、第1の所定の時間の一部(例えばt1’)の間に、第1の所定の圧力で均熱される。
【0066】
918で、t1の後、ESCは、第2の所定の時間t2にわたって、第1のクランプ電圧を使用して第1の所定の圧力で基板を完全にクランプして、基板を均一に均熱する。これにより、基板の中心から縁部までの温度の不均一性(NU)が小さい状態で、基板が速やかに熱的定常状態に達するようになる。
【0067】
次に、第2の所定の時間t2の均熱の後、926で、第3の所定の時間t3の間、ESCクランプ力を下げるか、または完全に除去して、基板を休ませることができる。このステップにより、熱膨張による横方向の歪みが除去される。第3の所定の時間t3の後、930で、ESCは、第2のクランプ電圧を使用して基板を再度クランプする。いくつかの例では、第2のクランプ電圧は、第1のクランプ電圧よりも小さいが、その他のクランプ電圧も使用できる。いくつかの例では、第2のクランプ電圧は、第1のクランプ電圧の50%から85%の範囲内であるが、その他のクランプ電圧も使用できる。
【0068】
2段階のクランプおよび均熱アプローチの結果、基板は、鉛直方向の歪みが小さい状態でクランプされる。いくつかの例では、第2のクランプ電圧は、第1のクランプ電圧よりも小さい。第4の所定の時間t4にわたって均熱した後、934で、処理チャンバ内の圧力がプロセス圧力まで上げられ、938で、基板が処理される。いくつかの例では、プロセス圧力は、第1の所定の圧力よりも大きい。
【0069】
本明細書に記載の均熱およびクランプシーケンスは、引張強度の高い、湾曲した基板を処理する際に、従来の均熱およびクランプシーケンスと比較して、改善されたクランプおよびクランプ解除のマージンを有する。さらに、図6Aから図10に記載の均熱およびクランプシーケンスは、基板の裏面の傷を減少させる。本明細書に記載の均熱およびクランプシーケンスは、従来の均熱およびクランプシーケンスと比較して、最後のクランプが行われる時に、基板が安定した温度により近くなるため、裏面の最長傷の指標が改善されている。言い換えれば、最後のクランプ中の熱膨張が小さい。
【0070】
上述の記載は本質的に例示に過ぎず、本開示、その応用例、または使用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施できる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を検討すれば他の修正形態が明らかになるため、本開示の真の範囲は、そのように限定されるべきではない。方法内の1つ以上のステップは、本開示の原理を変更することなく異なる順序で(または同時に)実行され得ることを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されたそれらの特徴のいずれか1つ以上は、その組合せが明記されていない場合であっても、任意の他の実施形態の特徴において実施でき、かつ/または任意の他の実施形態の特徴と組み合わせ可能である。言い換えれば、記載された実施形態は、互いに排他的ではなく、1つ以上の実施形態を互いに置換することは、依然として本開示の範囲内にある。
【0071】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「~の隣に」、「~の上部に」、「上方に」、「下方に」、および「配置される」を含む、様々な用語を使用して記載される。上記の開示の中で第1の要素と第2の要素との間の関係が記載されるとき、「直接」であると明記されていない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在する要素が存在しない直接的な関係である可能性があるが、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在する要素が(空間的にまたは機能的に)存在する間接的な関係もあり得る。本明細書で使用される場合、A、B、およびCのうち少なくとも1つという表現は、非排他的な論理和ORを使用して、論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0072】
いくつかの実施態様では、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理機器を備え得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つ以上のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの搬送、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体搬送設定、位置および動作設定、ツール内外へのウエハ移送、ならびに特定のシステムに接続または結合された他の移送ツールおよび/またはロードロック内外へのウエハ移送を含む、本明細書に開示の任意のプロセスを制御するようにプログラムされてもよい。
【0073】
広義には、コントローラは、命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどを行う様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されたチップ、および/またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含み得る。プログラム命令は、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義する様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であり得る。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、ウエハの1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはダイの製作中に、1つ以上の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0074】
いくつかの実施態様では、コントローラは、システムと一体化されるか、システムに結合されるか、その他の方法でシステムにネットワーク接続されるか、もしくはそれらの組み合わせである、コンピュータの一部であってもよく、あるいはそのようなコンピュータに結合されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよく、ファブホストコンピュータシステムの全体または一部であってもよく、これにより、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検査し、複数の製作動作から傾向もしくは性能指標を検査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定し、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得る、ネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供できる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含み得る。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、データの形式で命令を受け取り、これが1つ以上の動作中に行われる各処理ステップのパラメータを指定する。パラメータは、行われるプロセスの種類と、コントローラが結合または制御するように構成されたツールの種類とに特有のものであり得ることを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、互いにネットワーク接続され、本明細書に記載のプロセスおよび制御など、共通の目的に向けて動作する1つ以上の別個のコントローラを備えることなどによって、分散され得る。このような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)配置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバ上の1つ以上の集積回路であり、これらが組み合わさって、チャンバにおけるプロセスを制御する。
【0075】
限定するものではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連する、または使用され得る任意の他の半導体処理システムを含み得る。
【0076】
上述のように、ツールにより行われるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬出入する材料輸送に使用されるツールの1つ以上と通信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】