(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】導波管およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/365 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G02F1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534549
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022083032
(87)【国際公開番号】W WO2023117284
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ブルサード、ゲリット、ヤコブス、ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】コーラー、ヨハンネス、リチャード、カール
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA09
2K102AA10
2K102BA18
2K102BA20
2K102BA23
2K102BB03
2K102BC01
2K102BD10
2K102DA06
2K102DD00
(57)【要約】
【解決手段】非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の拡大された波長スペクトルを生成するように構成される第1セクションと、導波管の出力端を備え、第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される第2セクションと、を備え、第2セクションの長さは、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される導波管がここで記述される。導波管を製造するための方法もここで記述される。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の拡大された波長スペクトルを生成するように構成される第1セクションと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される第2セクションと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管。
【請求項2】
前記第2セクションは、正常な群速度分散を示すように構成される、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記導波管の前記第1および第2セクションに沿って軸方向に延びるコアを備え、
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第1セクションにおける前記コアの直径より大きい、
請求項1または2に記載の導波管。
【請求項4】
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの長さに亘って一定である、請求項3に記載の導波管。
【請求項5】
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの少なくとも一部に亘って、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて増加する、請求項3に記載の導波管。
【請求項6】
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記複数の反共振エレメントは、前記第2セクションの少なくとも一部において前記コアを囲み、
前記反共振エレメントのそれぞれの断面積は、前記第2セクションにおいて、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて減少する、
請求項3から5のいずれかに記載の導波管。
【請求項7】
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記第2セクションには、いずれの反共振エレメントも提供されない、
請求項3から5のいずれかに記載の導波管。
【請求項8】
前記導波管は、中空コアのフォトニック結晶ファイバである、請求項1から7のいずれかに記載の導波管。
【請求項9】
前記導波管は、ソリッドコアの光ファイバである、請求項1から7のいずれかに記載の導波管。
【請求項10】
前記第2セクションの長さは、前記拡大された放射スペクトルのパワーを6dB未満低減するように構成される、請求項1から9のいずれかに記載の導波管。
【請求項11】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、前記導波管の第1セクションを形成することと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される、前記導波管の第2セクションを形成することと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管を製造する方法。
【請求項12】
前記導波管の前記第1および第2セクションを形成することは、
導波管を受け取ることと、
前記出力端を備える前記導波管のセクションを変更することと、
を備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導波管の第2セクションを形成することは、前記第2セクションを前記第1セクションに取り付けることを備える、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記導波管の前記第1および第2セクションは、コアを囲む複数の反共振エレメントを備え、
前記第2セクションを形成することは、前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことを備える、
請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことは、
前記第2セクションを加熱することと、
引張力を適用することによって、前記第2セクションを伸ばすことと、
を備える請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年12月22日に出願された欧州出願21217158.1の優先権を主張し、その全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、光ファイバ等の導波管に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に適用するように構成される装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用されうる。リソグラフィ装置は、例えば、基板(例えば、ウェーハ)上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスク)におけるパターン(しばしば「デザインレイアウト」または「デザイン」とも表される)を投影してもよい。
【0004】
パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用してもよい。この放射の波長は、基板上に形成されうるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nmおよび13.5nmである。4-20nmの範囲内の波長(例えば、6.7nmまたは13.5nm)を有する極端紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置が、例えば、193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置より小さいフィーチャを基板上に形成するために使用されてもよい。
【0005】
リソグラフィ装置の古典的な解像限界より小さい寸法でフィーチャを処理するために、低k1リソグラフィが使用されてもよい。このようなプロセスでは、解像度方程式が「CD = k1×λ/NA」と表現されてもよい。ここで、λは使用される放射の波長であり、NAはリソグラフィ装置における投影光学要素の開口数であり、CDは「臨界寸法」(一般的にはプリントされる最小のフィーチャサイズだが、この場合はハーフピッチ)であり、k1は経験的な解像度ファクタである。一般的に、k1がより小さくなると、回路デザイナーによって計画された形状および寸法に似ているパターンを、特定の電気的機能およびパフォーマンスを実現するために、基板上に再現するのがより困難になる。これらの困難を克服するために、リソグラフィ投影装置および/またはデザインレイアウトに対して、洗練された微調整ステップが適用されてもよい。これらは、例えば、NAの最適化、カスタマイズされた照明スキーム、位相シフトパターニングデバイスの使用、デザインレイアウトの様々な最適化等の、デザインレイアウトにおける光近接効果補正(OPC:「光学およびプロセス補正」と表されることもある)、または一般的に「解像度向上技術」(RET)と定義される他の方法を含む(但し、これらに限定されない)。あるいは、リソグラフィ装置の安定性を制御するためのタイトな制御ループが、低k1でのパターンの再現性を向上させるために使用されてもよい。
【0006】
リソグラフィの分野では、リソグラフィ装置の内外で多くの測定システムが使用されうる。一般的に、このような測定システムは、ターゲットを放射で照射するための放射ソース、およびターゲットから散乱する入射放射の一部の少なくとも一つの特性を測定可能な検出システムを使用してもよい。リソグラフィ装置の外部の測定システムの一例は、リソグラフィ装置によって基板上に先に投影されたパターンの特性を判定するために使用されてもよい検査装置または計測装置である。このような外部検査装置は、例えば、スキャトロメータを備えてもよい。リソグラフィ装置内に提供されてもよい測定システムの例は、トポグラフィ測定システム(レベルセンサとしても知られている)、レチクルまたはウェーハステージの位置を判定するための位置測定システム(例えば、干渉デバイス)、およびアライメントマークの位置を判定するためのアライメントセンサを含む。これらの測定デバイスは、測定を実行するために電磁放射を使用してもよい。
【0007】
パターンの異なるタイプの特性を調べるために、異なるタイプの放射が使用されてもよい。いくつかの測定システムは、広帯域放射ソースを使用してもよい。このような広帯域放射ソースは、スーパーコンティニウムソースでもよく、それを通じてパルス状のポンプ放射ビームが放射のスペクトルを拡大するために伝えられる、非線形媒体を有する導波管(例えば、光ファイバ)を備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなスーパーコンティニウムソースの実装に関する一つのチャレンジは、導波管の寿命であり、導波管の寿命を深刻に制限しうる一つのファクタは、拡大された放射スペクトルの高いピーク強度のために、光が導波管を出る際に発生しうるダメージである。
【0009】
光ファイバの場合、出口におけるダメージは、イオン化によって生成された堆積したファイバ材料の粒子の形態を取りうる結果、スパッタリングのためにファイバの出力においてガラス状の構造が「成長」しうる。理論によって縛られることを望まない場合、典型的に、WO2018127266A1(参照によって本書に援用される)において記述されているもの等の、ガスの形態における非線形光学媒体で満たされた融解石英ガラスを備える中空コアのフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)の例について、このようなダメージは、強力なポンプ放射によって引き起こされるガスのイオン化によってもたらされうる。生成されるイオンは、ガラスをエッチングし、エッチングされたガラスは、エッジおよび突起において優先的に再堆積しうる。このようなエッジおよび突起の密度は、ファイバが劈開プロセスによって生成されているという事実のために、ファイバの端において特に高くなり、欠陥中心および構造的欠陥を導入しうる。加えて、ファイバ内にはプラズマが閉じ込められており、イオン化プロセスにおいて生成される電子が、近くの壁において迅速に再結合することを意味する。しかし、ファイバの出口では電子が閉じ込められず、より高い密度の自由電子を有するプラズマを形成するため、プラズマを通じて伝わる放射パルスからより多くのパワーを吸収しうる。これは、より多くのプラズマ、および結果的により多くのファイバのエッチングおよびエッチングされたガラスの更なる再堆積に繋がる増幅効果を有する。
【0010】
従って、背景技術(ここで特定されたものか否かを問わない)に関する一または複数の課題を少なくとも部分的に解決する(広帯域)出力放射を提供するために、入力放射を受け取り、入力放射の周波数範囲を拡大するための代替的な導波管(例えば、光ファイバ)を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の拡大された波長スペクトルを生成するように構成される第1セクションと、導波管の出力端を備え、第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される第2セクションと、を備え、第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、導波管がここで記述される。
【0012】
有利なことに、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を低減することは、強力なピークによってもたらされる導波管の出力端におけるダメージを低減することに繋がりうる。個々のスペクトルのピークによってもたらされるダメージを低減することは、有利なことに、導波管が使用できなくなるほどにダメージを受ける前に導波管の出力を通過できるスペクトルのピークの数を増加させ、結果的に導波管の寿命を延ばすことができる。
【0013】
いくつかの例では、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度が、導波管の第2セクションによって、例えば、25%、50%、または75%更に低減されてもよい。
【0014】
いくつかの例では、導波管が、光ファイバ、例えば、中空コアのフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)等の中空コアの光ファイバでもよい。導波管がHC-PCFである実施形態では、第2セクションが、正常な群速度分散を示すように構成されてもよい。いくつかの例では、導波管がソリッドコアの光ファイバでもよい。
【0015】
導波管の第1セクションは、導波管の入力端に提供されるパルス放射および導波管内の非線形媒体の間の相互作用によって、拡大された波長スペクトルを生成するように構成されてもよいと理解される。いくつかの例では、非線形媒体がガスでもよい。いくつかの例では、拡大された波長スペクトルを生成することが、四光波混合、変調不安定性、作動ガスのイオン化、ラマン効果、カー非線形性、ソリトン形成、ソリトン分裂、および/またはソリトン自己圧縮の一または複数を備えてもよい。
【0016】
「正常な分散」は、β2とも表される正の群速度分散のレジームに対応すると理解される。いくつかの例では、導波管の第1セクションは、「異常な分散」、すなわち、負の群速度分散(β2)を示すように構成される。拡大された波長スペクトルにおけるピークのピーク強度は、概して、ピークが導波管の第2セクションを通って伝わるにつれて、第2セクションの長さに亘って減少すると更に理解される。ピークの強度における減少は、第2セクションの正常な分散のために、ピークを時間的に引き伸ばすことによってもたらされると理解される。
【0017】
いくつかの例では、導波管が、導波管の第1および第2セクションに沿って軸方向に延びるコアを備える。ここで、第2セクションにおけるコアの直径は、第1セクションにおけるコアの直径より大きい。コア直径は、代わりに、導波管の内径と表されてもよい。
【0018】
導波管の第1および第2セクションの間でコア直径を変えることは、有利なことに、パルスが時間的に引き伸ばされてピーク強度が低減されるように、伝わる放射パルスについて導波管の分散特性を変える。
【0019】
いくつかの例では、第2セクションにおけるコアの直径が、第2セクションの長さに亘って一定である。有利なことに、その長さに亘って一定のコア直径を有する第2セクションを備える導波管は、容易に製造されうる。例えば、導波管が光ファイバである場合、導波管の第1および第2セクションは、光ファイバの二つのピースを一緒に取り付けることによって形成されてもよい。
【0020】
いくつかの例では、第2セクションにおけるコアの直径が、第2セクションの少なくとも一部に亘って、第1セクションからの距離が増加するにつれて増加する。例えば、第2セクションは、上方にテーパ状のセクションを含んでもよい。
【0021】
拡大されたスペクトルにおけるピークのピーク強度が、導波管(コア)の内径の逆二乗に比例するため、上方に弱めのテーパ状の第2セクションでさえ、有利なことに、著しく低減されたピーク強度に繋がり、導波管の寿命における更なる改善をもたらす。
【0022】
いくつかの例では、導波管が、第1セクションにおいてコアを囲む複数の反共振エレメントを更に備える。反共振エレメントは、導波管を通じて伝わる放射を閉じ込め、導波管に沿って放射を案内する機能を担うと理解される。反共振エレメントは、基本光学モードのより高次の光学モードへのカップリングを抑制する機能を更に担ってもよく、導波管における損失を低減する。いくつかの例では、反共振エレメントが毛管でもよい。
【0023】
いくつかの例では、複数の反共振エレメントが、第2セクションの少なくとも一部においてコアを囲んでもよく、反共振エレメントのそれぞれの断面積が、第2セクションにおいて第1セクションからの距離が増加するにつれて減少してもよい。例えば、反共振エレメントは、導波管の第2セクションの長さの少なくとも一部に亘ってつぶされてもよい。
【0024】
反共振エレメントの減少する断面積は、導波管の上方にテーパ状の内径の代替的な形態に対応してもよいと理解される。有利なことに、減少する断面積を有する反共振エレメントを備える第2セクションは、例えば、反共振エレメントを備える導波管の既存部分を加熱して引き伸ばすことによって、容易に製造されうる、
【0025】
いくつかの例では、導波管内径における急な変化の結果として発生し導波管における損失をもたらす、基本光学モードのより高次モードへのカップリングを防止するような断熱性基準を満たすのに十分なレートで、反共振エレメントの断面積が第2セクションの長さの少なくとも一部に亘って減少してもよい。
【0026】
いくつかの例では、第1セクションは、コアを囲む複数の反共振エレメントを備えてもよく、第2セクションには、いずれの反共振エレメントも提供されなくてもよい。
【0027】
有利なことに、いずれの反共振エレメントも設けられない第2セクションは、例えば、ベースライン光ファイバの一部を、反共振エレメントを有する光ファイバの一部に取り付けることによって、容易に製造されうる。
【0028】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、導波管の第1セクションを形成することと、導波管の出力端を備え、第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される、導波管の第2セクションを形成することと、を備え、第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、導波管を製造する方法も、ここで記述される。
【0029】
有利なことに、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を低減することは、強力なピークによってもたらされる導波管の出力端におけるダメージを低減することに繋がりうる。個々のスペクトルのピークによってもたらされるダメージを低減することは、有利なことに、導波管が使用できなくなるほどにダメージを受ける前に導波管の出力を通過できるスペクトルのピークの数を増加させ、結果的に導波管の寿命を延ばすことができる。
【0030】
いくつかの例では、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度が、導波管の第2セクションによって、例えば、25%、50%、または75%更に低減されてもよい。
【0031】
いくつかの例では、方法が、光ファイバ、例えば、中空コアのフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)等の中空コアの光ファイバである導波管を製造する方法でもよい。導波管がHC-PCFである実施形態では、第2セクションが、正常な群速度分散を示すように構成されてもよい。いくつかの例では、方法が、ソリッドコアの光ファイバである導波管の製造に適用されてもよい。
【0032】
導波管の第1セクションは、導波管の入力端に提供されるパルス放射および導波管内の非線形媒体の間の相互作用によって、拡大された波長スペクトルを生成するように構成されてもよいと理解される。いくつかの例では、非線形媒体がガスでもよい。いくつかの例では、拡大された波長スペクトルを生成することが、四光波混合、変調不安定性、作動ガスのイオン化、ラマン効果、カー非線形性、ソリトン形成、ソリトン分裂、および/またはソリトン自己圧縮の一または複数を備えてもよい。
【0033】
「正常な分散」は、β2とも表される正の群速度分散のレジームに対応すると理解される。いくつかの例では、導波管の第1セクションは、「異常な分散」、すなわち、負の群速度分散(β2)を示すように構成される。拡大された波長スペクトルにおけるピークのピーク強度は、概して、ピークが導波管の第2セクションを通って伝わるにつれて、第2セクションの長さに亘って減少すると更に理解される。ピークの強度における減少は、第2セクションの正常な分散のために、ピークを時間的に引き伸ばすことによってもたらされると理解される。
【0034】
いくつかの例では、導波管の第1および第2セクションを形成することが、導波管を受け取ることと、出力端を備える導波管のセクションを変更することと、を備えてもよい。出力端を備える導波管のセクションを変更することは、導波管のセクションを導波管の出力端に更に取り付けること、および/または受け取られた導波管の出力端に対して直接的に調整を施すことを備えてもよいと理解される。
【0035】
いくつかの例では、導波管の第2セクションを形成することが、例えば、第2セクションを第1セクションに継ぎ合わせること、および/または第2セクションを第1セクションに結合することによって、第2セクションを第1セクションに取り付けることを備えてもよい。
【0036】
有利なことに、第2セクションを第1セクションに取り付けることは、単純化された製造プロセスを可能にし、例えば、二つの導波管のセクションが二つのセクションの具体的な仕様に応じて別々に製造され、製造プロセスの終わりに組み合わせられうる。
【0037】
代えてまたは加えて、導波管の第2セクションを形成することは、受け取られた導波管の出力端を直接的に調整することを備えてもよい。例えば、受け取られた導波管がコアを囲む複数の反共振エレメントを備える場合、受け取られた導波管の出力端を直接的に調整することは、第2セクションを形成するために反共振エレメントをつぶすことを備えてもよい。
【0038】
いくつかの例では、導波管の第1および第2セクションが、コアを囲む複数の反共振エレメントを備えてもよく、第2セクションを形成することが、複数の反共振エレメントを第2セクションにおいてつぶすことを備えてもよい。
【0039】
いくつかの例では、複数の反共振エレメントを第2セクションにおいてつぶすことが、第2セクションを加熱することと、引張力を適用することによって、第2セクションを伸ばすことと、を備えてもよい。
【0040】
有利なことに、反共振エレメントを第2セクションにおいてつぶすことは、第1および第2セクションを、反共振エレメントを備える導波管の単一の既存のピースから形成することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下では、次の付随的な模式図を参照して、例示のみを目的として発明の実施形態が記述される。
図1は、リソグラフィ装置の模式的なオーバービューを示す。
図2は、リソグラフィセルの模式的なオーバービューを示す。
図3は、半導体製造を最適化するための三つの主要技術の間の協働を表すホリスティックリソグラフィの模式的な表現を示す。
図4Aは、横断面(すなわち、光ファイバの軸に垂直な面)における、本発明の一実施形態に係る導波管の模式的な表現を示す。
図4Bは、光ファイバの軸を含む面における、本発明の一実施形態に係る光ファイバの模式的な断面図である。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る複数の反共振エレメントを備える光ファイバを例示する。
図5Bは、横断面(すなわち、光ファイバの軸に垂直な面)における、本発明の一実施形態に係る複数の反共振エレメントを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図6は、数百μmの長さに亘ってつぶされた反共振エレメントを備える、背景技術に係る光ファイバの模式的な断面図である。
図7Aは、光ファイバの軸を含む面における、本発明の一実施形態に係る直線状の第2セクションを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図7Bは、光ファイバの軸を含む面における、本発明の一実施形態に係る上方にテーパ状の第2セクションを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図7Cは、光ファイバの軸を含む面における、本発明の一実施形態に係る直線状の部分および上方にテーパ状の部分を有する第2セクションを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図7Dは、光ファイバの軸を含む面における、本発明の一実施形態に係るつぶされた反共振エレメントを有する第2セクションを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図7Eは、光ファイバの軸を含む面における、つぶされた反共振エレメントを有する部分および反共振エレメントがない直線状の部分を備える、本発明の一実施形態に係る第2セクションを備える光ファイバの模式的な断面図である。
図8は、反共振エレメントがない中空コアの光ファイバの5cmの長さのセクションに沿って伝わる、(a)半値全幅パルス持続時間および(b)約50nJのエネルギーの2.5fsの長さのピークのピーク強度の変化を、数値シミュレーションとして例示する。
図9は、本発明の一実施形態に係る導波管を製造するための方法を例示する。
図10a、10bおよび10cは、スペクトル的に拡大された放射パルスの1030nmの中心波長でのピーク強度における低減を、三つの異なるパルス長さ(2.5、4および7fs)について、反共振エレメントがない中空コアの光ファイバのセクションの長さの関数として例示する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本文書では、「放射」および「ビーム」の用語が、紫外放射(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有するもの)およびEUV(例えば、約5-100nmの範囲における波長を有する極端紫外放射)を含む全てのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0043】
このテキストにおいて使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、入射する放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応するパターン形成された断面を付与するために使用されうる一般的なパターニングデバイスを表すものと広義に解釈されてもよい。用語「ライトバルブ」も、この文脈で使用されうる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型等)の他に、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0044】
図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータとも表される)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続されるマスクサポート(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに応じて基板サポートを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板サポート(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0045】
稼働中、照明システムILは、例えば、ビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからの放射ビームを受け取る。照明システムILは、放射の方向付け、形成および/または制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他のタイプの光学コンポーネント等の各種のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの面で、その断面において所望の空間および角度強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0046】
ここで使用される用語「投影システム」PSは、使用中の露光放射、および/または、液浸液または真空の使用等の他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む各種のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。用語「投影レンズ」のここでの使用は、より一般的な用語「投影システム」PSと同義に解釈されてもよい。
【0047】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の空間を満たすために、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する水等の液体によって覆われてもよいタイプでもよい(液浸リソグラフィとも表される)。液浸技術に関するより多くの情報は、参照によって本書に援用されるUS6952253において与えられている。
【0048】
リソグラフィ装置LAは、二つ以上の基板サポートWTを有するタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)でもよい。このような「マルチステージ」装置では、基板サポートWTが並行的に使用されてもよい、および/または、他の基板W上にパターンを露光するために他方の基板サポートWT上の他方の基板Wが使用されている間に、基板Wの後続の露光の準備ステップが一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行されてもよい。
【0049】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニングデバイスを保持するように設けられる。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように設けられてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の部分、例えば、投影システムPSの部分または液浸液を提供するシステムの部分をクリーニングするように設けられてもよい。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を移動してもよい。
【0050】
稼働中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されているマスクMA等のパターニングデバイス上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを経た放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置測定システムIFによって、例えば、放射ビームBの経路中の集光および整列位置に異なるターゲット部分Cを配置するために、基板サポートWTが正確に駆動されうる。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために、第1ポジショナPMおよび適切な他の位置センサ(
図1では明示的に示されない)が使用されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列されてもよい。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間の空間に配置されてもよい。ターゲット部分Cの間に配置される基板アライメントマークP1、P2は、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0051】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたは(リソ)クラスタとも表されることがあり、露光前および露光後の処理を基板W上で実行するための装置を含むこともあるリソグラフィセルLCの一部を構成してもよい。従来、これらは、レジスト層を形成するためのスピンコータSC、露光されたレジストを現像するためのディベロッパDE、例えば、レジスト層における溶媒を調整するために基板Wの温度を調整するための冷却プレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板Wをピックアップし、それらを異なる処理装置の間で移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBに基板Wを届ける。トラックと総称されこともあるリソセルにおけるデバイスは、典型的に、例えば、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAを制御してもよい監視制御システムSCSによってそれ自体が制御されてもよいトラック制御ユニットTCUの制御下にある。
【0052】
リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確性および一貫性をもって露光されるためには、連続する層の間のオーバーレイエラー、線厚、限界寸法(CD)等の、パターン形成された構造の特性を測定するために、基板を検査するのが望ましい。この目的のために、検査ツール(不図示)がリソセルLCに含まれてもよい。エラーが検出された場合、特に同じバッチまたはロットの他の基板Wが露光または処理される前に検査が行われた場合、調整が、例えば、後続の基板の露光に対して施されてもよいし、基板W上で実行される他の処理ステップに対して施されてもよい。
【0053】
計測装置と表されてもよい検査装置は、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性の変化や、同じ基板Wの異なる層に関する特性の層毎の変化を判定するために使用される。検査装置は、代わりに基板W上の欠陥を特定するために構成されてもよく、例えば、リソセルLCの一部でもよいし、リソグラフィ装置LAに統合されていてもよいし、スタンドアローンデバイスであってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層における像)、半潜像(露光後のベークステップPEB後のレジスト層における像)、現像されたレジスト像(レジストの露光部分または未露光部分が除かれている)、エッチングされた像(エッチング等のパターン転写ステップの後)についての特性を測定してもよい。
【0054】
典型的に、リソグラフィ装置LAにおけるパターニング処理は、基板W上の構造の寸法および配置の高い精度を要求する、処理において最も重要なステップの一つである。この高い精度を実現するために、
図3に模式的に示されるように、いわゆる「ホリスティック」制御環境において三つのシステムが組み合わされてもよい。これらのシステムの一つが、計測ツールMT(第2システム)およびコンピュータシステムCL(第3システム)に(仮想的に)接続されるリソグラフィ装置LAである。このような「ホリスティック」環境の要諦は、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングをプロセスウィンドウ内に留めるように、全体のプロセスウィンドウを向上させ、タイトな制御ループを提供するために、これらの三つのシステムの間の協働を最適化することである。プロセスウィンドウは、具体的な製造プロセスが定義された結果(例えば、機能的半導体デバイス)をもたらすプロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)の範囲を定める。典型的に、その範囲内であれば、リソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスにおけるプロセスパラメータの変化が許容される。
【0055】
コンピュータシステムCLは、どのマスクレイアウトおよびリソグラフィ装置セッティングがパターニングプロセスの最大の全体のプロセスウィンドウ(第1スケールSC1における双方向矢印によって
図3に示される)を実現するかを判定するために、使用する解像度向上技術を予測し、計算的リソグラフィシミュレーションおよび演算を実行するために、パターン形成されるデザインレイアウト(の一部)を使用してもよい。典型的に、解像度向上技術が、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に合うように提供される。コンピュータシステムCLは、例えば、最適でない処理(第2スケールSC2において「0」を指す矢印によって
図3に示される)のために欠陥が存在するかを予測するために、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在稼働しているかを検出する(例えば、計測ツールMTからの入力を使用して)ために使用されてもよい。
【0056】
計測ツールMTは、正確なシミュレーションおよび予測を可能にするためにコンピュータシステムCLへの入力を提供してもよく、例えば、リソグラフィ装置LAのキャリブレーションステータスにおいて起こりうるドリフト(第3スケールSC3における複数の矢印によって
図3に示される)を特定するためにリソグラフィ装置LAへのフィードバックを提供してもよい。
【0057】
計測ツールMT(例えば、スキャトロメータ、トポグラフィ測定システム、または位置測定システム)は、測定を実行するために放射ソースからの放射を使用してもよい。計測ツールによって使用される放射の特性は、実行されうる測定のタイプおよび質に影響を及ぼしうる。いくつかのアプリケーションでは、基板を測定するために複数の放射周波数を使用するのが有利であり、例えば、広帯域放射が使用されてもよい。複数の異なる周波数は、他の周波数と零または最小の干渉で、計測ターゲットに対して伝わり、照射し、および散乱できる。従って、異なる周波数は、例えば、より多くの計測データを同時に取得するために使用されてもよい。異なる放射周波数は、計測ターゲットの異なる特性を調べて見つけることもできる。広帯域放射は、例えば、レベルセンサ、アライメントマーク測定システム、スキャトロメトリツール、または検査ツール等の計測システムMTにおいて有用である。広帯域放射ソースは、スーパーコンティニウムソースでもよい。
【0058】
広帯域放射を生成するための一つの方法は、高パワーの狭帯域または単一の周波数の入力放射を、例えば、非線形、高次効果を利用して拡大することである。入力放射(レーザを使用して生成されてもよい)は、ポンプ放射と表されてもよい。拡大効果のための高パワーの放射を得るために、強く局所化された高強度の放射が実現されるように、放射が小さいエリア内(例えば、導波管内)に閉じ込められてもよい。これらのエリアでは、広帯域出力放射を生成するために、拡大構造および/または非線形媒体を形成する材料と放射が相互作用しうる。この高強度放射エリアでは、適切な非線形媒体を提供することによって、放射の拡大を可能にするおよび/または改善するために、異なる材料および/または構造が使用されてもよい。
【0059】
前述されたように、多くの非線形光学プロセスが、広帯域出力放射(例えば、スーパーコンティニウムまたは白色光)の生成に関わる。どの非線形光学プロセスが他のプロセスより顕著なスペクトル拡大効果を有するかは、どのように動作パラメータが設定されるかに依存する。例えば、ポンプパルスが正常な分散領域(β2によって表される正の群速度分散(GVD))において導波管を通じて伝わるようにポンプ波長および/または導波管を選択することによって、自己位相変調が支配的な非線形光学プロセスになり、ポンプパルスのスペクトル拡大を担う。しかし、ほとんどの場合、パルス状のポンプ放射ソースによって提供される入力放射のスペクトル拡大は、ポンプパルスが異常な分散領域(負のβ2)において導波管内を伝わることを要求するソリトンダイナミクスによって主導される。これは、異常な分散領域では、カー非線形性および分散の効果が互いに反対に働くためである。光ファイバ(例えば、HC-PCF)等の導波管内に異常な波長分散と共に導入されるポンプパルスのパルスパラメータが、ソリトンのそれらと正確にマッチングしない場合、ポンプパルスは特定のソリトン次数および分散波を有するソリトンパルスに変化する。ソリトン主導の広帯域放射生成におけるスペクトル拡大のためのメカニズムの更なる詳細は、全体が参照によって本書に援用される、係属中のPCT出願第PCT/EP2021/081952において提供されている。
【0060】
一例として、入力放射および非線形媒体の間の相互作用によって広帯域出力放射を生成するための、背景技術において知られている一つの特定の方法は、変調不安定性である。特定の例では、非常に短い(例えば、約数百fs)赤外レーザパルス(ポンプ放射と表される)の変調不安定性が、非線形媒体(例えば、25バールの圧力のKrガス)で満たされている導波管(例えば、中空コアの光ファイバ)内に、レーザパルスを向けることによって実現されてもよい。このような導波管は、ポンプレーザの中心波長での弱く異常な(例えば、β2=-7fs2/cm)群速度分散(すなわち、パルスのより短い波長コンポーネントがより長い波長コンポーネントより速く進むという状況)を示し、ソリトンレジームにアクセスするために利用される。一例として、導波管に入るポンプ放射は、典型的に、約300fsのパルス持続時間を有する。この時点では、放射の帯域幅が比較的小さく(約数nm)、ピーク強度(例えば、約10TW/cm2)がガスをイオン化するには不十分である。パルスが導波管に沿って進むにつれて進行する変調不安定性による広帯域放射生成の間、パルスの時間的な構造が僅か数fs、更には数百アト秒の持続時間を有する非常に鋭いピークを形成し、前述されたように、ガスをイオン化して導波管に対するダメージ(ファイバの出力におけるガラスの堆積等)に繋がりうる、広い光学スペクトル(数十から数百nm)および高いピーク強度が実現される。
【0061】
本開示の実施形態は、広帯域放射ソースにおける使用のために、入力放射を閉じ込めるために改良された導波管に関する。導波管10の一例が、
図4Aに例示される。概して、本開示に係る導波管10は、導波管10の一つの次元において、他の二つの次元より長い長尺体を備える。使用時に、導波管10は、広帯域出力放射を生成するために入力放射によってポンピングされる非線形光学媒体(ガス等)を含んでもよい。
【0062】
受け取られる入力放射は、電磁放射でもよい。入力放射は、パルス放射として受け取られてもよい。例えば、入力放射は、超高速パルスを備えてもよい。放射が非線形媒体と相互作用しながらスペクトルを拡大するのためのメカニズムは、例えば、四光波混合、変調不安定性、作動ガスのイオン化、ラマン効果、カー非線形性、ソリトン形成、またはソリトン分裂の一または複数でもよい。特に、スペクトル拡大は、ソリトン形成またはソリトン分裂の一方または両方を通じて実現されてもよい。いくつかの例では、広帯域出力放射を生成することが、ソリトン自己圧縮を備えてもよい。
【0063】
入力放射は、コヒーレントな放射でもよい。入力放射は、コリメートされた放射でもよく、入力放射を導波管10内にカップリングすることを容易にし、その効率を向上させるという利点がある。入力放射は、単一の周波数、または狭い範囲の周波数を備えてもよい。入力放射は、レーザによって生成されてもよい。同様に、出力放射は、コリメートされてもよく、および/またはコヒーレントでもよい。
【0064】
出力放射の広帯域範囲は、放射周波数の連続範囲を備える連続範囲でもよい。出力放射は、スーパーコンティニウム放射を備えてもよい。連続放射は、計測アプリケーション等の多くのアプリケーションにおける使用にとって有益である。例えば、周波数の連続範囲は、多数の特性を調べるために使用されてもよい。周波数の連続範囲は、例えば、測定される特性の周波数依存性を判定および/または除去するために使用されてもよい。スーパーコンティニウム出力放射は、例えば、100nm~4000nmの波長範囲に亘る電磁放射を備えてもよい。広帯域出力放射周波数範囲は、例えば、400nm~900nm、500nm~900nm、または200nm~2000nmでもよい。スーパーコンティニウム出力放射は、白色光を備えてもよい。
【0065】
図4Bに例示されるように、いくつかの例では、導波管が、広帯域出力放射124を提供するために、入力放射122(すなわち、ポンプ放射)を受け取り、入力放射122の周波数範囲を拡大するための、装置120の一部を構成する光ファイバ100でもよい。
【0066】
図4Bに例示される例では、導波管が、中空コアの光ファイバ100、具体的には、光ファイバ100を通じて伝わる放射を案内するための中空コア102を備える中空コアのフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)である。
図4Bに例示されるファイバは、断面において示されると理解される。
【0067】
使用時、ガス126の形態における非線形光学媒体は、中空コア102内に配置される。ガス126は、広帯域出力放射124を提供するために、受け取られる入力放射122の周波数範囲の拡大を可能にする作用コンポーネントを備える。ガス126の作用コンポーネントは、希ガスでもよい。作用コンポーネントは、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウムおよびキセノンの一または複数を備えてもよい。希ガスの代わりにまたは加えて、作用コンポーネントは、分子ガス(例えば、N2、O2、CH4、SF6)を備えてもよい。いくつかの例では、装置120が、ガス126を含むリザーバを更に備えてもよく、光ファイバ100が、リザーバ内に配置されてもよい。リザーバは、リザーバ内のガス126の組成を制御、調整、および/または監視するように構成されてもよい。
【0068】
光ファイバ100は、任意の長さを有してもよく、光ファイバ100の長さは、アプリケーションに依存してもよいと理解される(例えば、スーパーコンティニウム放射ソース内のアプリケーションにおける望ましいスペクトル拡大の量)。光ファイバ100は、1cmおよび10mの間の長さを有してもよく、例えば、光ファイバ100は、10cmおよび100cmの間の長さを有してもよい。
【0069】
HC-PCF(ファイバ)100の更なる例が、
図5Aに例示される。
図5Aに例示されるファイバ100は、中空コア102を囲む複数の反共振エレメント104を備える。反共振エレメント104は、光ファイバ100を通じて伝わる放射を主に中空コア102内に閉じ込め、光ファイバ100に沿って放射を案内するように設けられる。光ファイバ100の中空コア102は、光ファイバ100の軸が光ファイバ100の中空コア102の軸も定めうるように、実質的に光ファイバ100の中央領域に配置されてもよい。反共振エレメント104の機能の更なる詳細は、EP3136143A1およびWO2018127266A1(両方とも参照によって本書に援用される)において提供されている。本開示に例示される例では、反共振エレメント104が、中空コア102を囲む毛管(例えば、チューブ状の毛管)の形態を取る。従って、本開示において、用語「反共振エレメント」および「毛管」は、交換可能に使用される。反共振エレメント104は、チューブとも表されてもよい。
【0070】
図5Bは、
図5Aに例示される光ファイバ100の断面を例示する。
図5Bに例示される断面は、xy面と表される横断面(すなわち、光ファイバの軸に垂直な面)におけるものと理解され、
図4Bに例示される断面は、zy面におけるものと理解される。光ファイバ100は、ある程度の柔軟性を有するため、光ファイバ100の軸の方向は、概して、光ファイバ100の長さに沿って一様ではないと更に理解される。従って、軸や横断面等の用語は、局所的な軸や局所的な横断面等を意味するものと理解される。更に、コンポーネントが円筒状またはチューブ状であると記述される場合、これらの用語は、光ファイバ100が曲がって歪んだ形状を包含するものと理解される。
【0071】
図5Bに例示されるように、中空コアの光ファイバ100は、中空コア102と、中空コア102を囲む内側クラッド領域と、内側クラッド領域を囲んで支持するジャケット領域110と、を備えてもよい。
【0072】
内側クラッド領域は、中空コア102を囲む複数の毛管104(例えば、チューブ状の毛管)を備えてもよい。毛管104のそれぞれは、光ファイバ100を通じて伝わる放射を案内するための反共振エレメントとして機能する。特に、
図5Aおよび5Bに例示される例では、内側クラッド領域が、六つのチューブ状の毛管104の単一のリングを備える。
【0073】
毛管104は、概して、ファイバ100における高次モードを抑制し、(所望の)基本光学モードと高次モードのカップリングを防止するように構成され、ファイバ100における損失を低減する。
【0074】
毛管104は、断面が円形でもよく、または他の形状を有してもよい。各毛管104は、概して、少なくとも部分的に光ファイバ100の中空コア102を定め、中空コア102をキャビティ106から隔てる円筒状の壁部分105を備えてもよい。壁部分105は、中空コア102を通じて伝わる(および、斜入射角で壁部分105上に入射してもよい)放射にとっての反射防止型ファブリペロー共振器として機能してもよいと理解される。壁部分105の厚さ160は、中空コア102内への反射が概して促進される一方で、キャビティ106内への透過が概して抑制されることを担保するために適切なものでもよい。いくつかの実施形態では、毛管壁部分105が、400nmより小さい、300nmより小さい、または150nmより小さい厚さ160を有してもよい。
【0075】
ここで使用されるように、内側クラッド領域の用語は、光ファイバ100を通じて伝わる放射を案内するための光ファイバ100の領域(すなわち、中空コア102内に前記の放射を閉じ込める毛管104)を意味する趣旨であると理解される。放射は、ファイバ 軸に沿って伝わる横モードの形態において閉じ込められてもよい。
【0076】
ジャケット領域110は、概して、チューブ状でもよく、内側クラッド領域の毛管104を支持してもよい。毛管104は、ジャケット領域110の内側表面の周りに一様に分布されてもよい。六つの毛管104は、対称的な配置で中空コア102を囲むものと記述されてもよい。六つの毛管104を備える実施形態では、毛管104が、概して、六角形状に配置されると記述されてもよい。
【0077】
毛管104は、各毛管が他の毛管104のいずれとも接触しないように配置されてもよい。毛管104のそれぞれは、ジャケット領域110と接触してもよく、リング構造において近くの毛管104から隔てられてもよい。このような配置は、光ファイバ100の透過帯域幅を増加させうる(例えば、毛管が互いに接触している配置と比べて)ため有益である。代わりに、いくつかの実施形態では、毛管104のそれぞれが、リング構造において近くの毛管104と接触してもよい。
【0078】
内側クラッド領域の毛管104は、中空コア102の周りにリング構造で配置されてもよい。毛管104のリング構造の内側表面は、少なくとも部分的に光ファイバ100の中空コア102を定める。いくつかの実施形態では、中空コア102の直径(毛管104を備える実施形態では、矢印114によって示される相対する毛管の間の最小の寸法として定義されてもよい)が、5μmおよび100μmの間でもよい。いくつかの実施形態では、中空コア102の直径114が、5μmおよび50μmの間でもよい。いくつかの実施形態では、中空コア102の直径114が、30μmおよび40μmの間でもよい。中空コア102の直径114は、モードフィールドパラメータに影響し、中空コアの光ファイバ100の損失、分散、モーダル複数性、および非線形性特性に影響を及ぼしうる。
【0079】
図5Aおよび5Bに例示される実施形態では、内側クラッド領域が、毛管104(反共振エレメントとして機能する)の単一のリング配置を備える。従って、中空コア102の中心から光ファイバ100の外周へ向かう任意の径方向の線は、多くとも一つの毛管104を通過する。
【0080】
他の実施形態では、反共振エレメントの異なる配置が提供されてもよいと理解される。これらは、反共振エレメントの複数のリングを有する配置および入れ子状の反共振エレメントを有する配置を含んでもよい。更に、
図5Aおよび5Bに示される実施形態は、六つの毛管104のリングを壁部分105と共に備えるが、他の実施形態では、任意の数の反共振エレメント(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11または12本の毛管)を備える一または複数のリングが、内側クラッド領域において提供されてもよい。
【0081】
図5Aおよび5Bに例示される実施形態では、内側クラッド領域が、円形の断面を備える。しかし、他の実施形態では、円形以外の形状の断面を有する内側クラッド領域が提供されてもよいと理解される。例えば、本発明の一実施形態では、内側クラッド領域が六角形状の断面を有してもよい。六角形状の断面は、有利なことに、毛管104の対称的な配置を容易にしうる。例えば、六つの毛管104は、それぞれが各六角形状の断面の頂点に配置されてもよく、六角形状の対称性を有する毛管104の配置を提供する。
【0082】
ファイバ100における放射の効果的な案内および閉じ込めを実現するための光ファイバ100の能力は、ファイバ100の内部の寸法によって大きく影響されうる。それらは、中空コア直径114、毛管104の配置、毛管壁部分105の厚さ160、および/または反共振キャビティ106の形状および寸法である。従って、これらのパラメータは、概して、許容可能な値の特定の範囲(この外ではHC-PCFが正しく機能しない)内に制限されると理解される。これらのパラメータについてのこのような可能な制約の例は、EP3136143A1において記述されている。
【0083】
ジャケット領域110は、ガラスを備える材料から形成されてもよい。つまり、材料は、転移温度まで加熱された時にガラス転移を示すアモルファス(すなわち、非結晶質)材料を備えてもよい。例えば、材料は、石英ガラスを備えてもよい。例えば、光ファイバ100の部分(例えば、毛管104およびジャケット領域110)は、高純度シリカ(SiO2)(例えば、ドイツのHeraeus Holding GmbHによって販売されているようなF300材料)、例えば、ケイ酸鉛ガラス(例えば、ドイツのSchott AGによって販売されているSF6ガラス)等の軟質ガラス、または例えば、カルコゲナイドガラスまたは重金属フッ化物ガラス(ZBLANガラスとも表される)等の他の特殊ガラス、のいずれかを備えてもよい。有利なことに、ガラス材料はガスを放出しない。HC-PCFを製造する方法の詳細な例は、例えば、EP3136143A1において記述されているように公知である。
【0084】
以上で議論されたように、光ファイバの場合、出力放射124(
図4B参照)が導波管(例えば、光ファイバ)を出る所で、ダメージ(ガラス粒子の堆積等)が発生しうる。導波管の端における構造的な欠陥によって部分的にもたらされる、エッジおよび突起の高い集中度に少なくとも部分的に影響される結果、このようなダメージは出口に制限されうる。従って、この課題は、導波管の端を円滑化することによって部分的に解決されうる。
【0085】
図6は、ガラス粒子の堆積によってもたらされるダメージの課題を解決するために適合された、背景技術の光ファイバ600の例を例示する。光ファイバ600は、
図5Aおよび5Bに例示される光ファイバ100とほとんど同じでもよいと理解される。第1(主)セクション612において、
図6に例示される光ファイバ600は、ジャケット領域610の内側表面の周りに分布され、矢印によって示される点での断面における第1インセット680において示されるように、コア直径が反共振エレメント604の内側表面によって定められるようにコアを囲む複数の反共振エレメント604を備える(
図6の光ファイバ600の内側クラッド領域は、六角形状の断面を有するが、以上の記述に照らして、
図5Aおよび5Bに例示される光ファイバと同様に、光ファイバ600は等しく円形の断面または任意の他の適切な断面を有しうると理解される)。しかし、光ファイバ600は、一方または両方の端(すなわち、
図4Bも参照して、出力放射124がファイバ600を出る端および/または入力放射122がファイバ600に入る端)において、反共振エレメント604がつぶされている(604X)セクション615を更に備える。ファイバ600の端での断面における第2インセット690に示されるように、第1インセット680に示される端断面を有するファイバと比べて、ファイバの端の総表面積が低減される。低減された表面積は、ガラスが堆積しうる表面が低減されるため、以上で議論されたイオン化プロセスに従ってエッチングされたガラスの堆積を低減する。重要なことに、つぶされた反共振エレメント604Xを備えるセクション615の長さ675は、非常に短い(典型的に、約数百μm)。
【0086】
図6に例示されるタイプの光ファイバ600が、特定の条件下で、改善された寿命を示すことが発見された一方で、発明者は、このようなファイバの寿命が、多くの現実的な運転コンディション下では約100日に制限されてしまうこと、およびガスのイオン化による出力でのダメージが依然として支配的であることを発見した。従って、ファイバの出力でのダメージの低減による寿命に対する更なる改善が必要である。
【0087】
そこで、本開示では、広帯域放射パルスが導波管を出る前に、生成される広帯域放射(スーパーコンティニウム)パルスのピークの強度における低減を実現する、広帯域放射の生成における使用のための導波管を提供することが提案される。ここで記述される例は、主に、中空コアの光ファイバ(特に、スペクトル拡大を実現するために非線形媒体としてのガスで満たされたHC-PCF)に関するが、ここで記述される原理は、導波管の入力端に適用されるパルス放射の波長スペクトルを拡大する用途にとって適切な任意のタイプの導波管に同様に適用されてもよいと理解される。例えば、導波管は、ソリッドコアの光ファイバでもよい。
【0088】
要約すると、本開示は、スペクトルのピークを時間的に引き伸ばすことによって、生成される広帯域放射の強度を迅速に低減することを目的とする。これは、導波管の出口の前で正常な分散特性を示す導波管のセクションを含めることによって実現される。これは、より低いピーク強度をもたらし、生成される自由電子の密度が非線形にピーク強度に依存するため、強く低減されたイオン化をもたらす。
【0089】
「真の」パルスを近似するために、ガウシアン形状がしばしば使用される。群速度分散を経るガウシアンパルスのピーク強度は、次のように表される。
【数1】
ここで、zは分散性の導波管セクションに沿った位置であり(単位はメートル)、β
2は中心ポンプ波長での群速度分散であり(単位はs
2/m)およびτ
FWHMはガウシアンパルスの半値全幅持続時間である。β
2の値は、導波管パラメータに依存し(
図5Aおよび5Bに例示されるタイプの中空コアのファイバ場合、導波管パラメータは、コア直径および毛管壁厚さを含む)、光学媒体のパラメータに依存する(ガスの場合、種、圧力、温度)。β
2は、数値的に演算されなければならない。
【0090】
図7A~7Eは、第1セクション712および第2セクション716A~Eを備える導波管700の様々な例を例示する。第1セクション712は、以上で議論されたプロセスのいずれか等の非線形プロセスによって、入力放射パルスを拡大するように構成される。例えば、導波管700は、ガス等の非線形光学媒体で満たされてもよい。
図7A~7Eに例示される例では、第1セクション712が、導波管700の相対する内側表面の間の距離によって定められる特定の内径(例えば、コア直径)を有する。第1セクション712の内径および他の特性は、第1セクションに到達する入力放射パルスが、非線形プロセスによって拡大されるように構成される。例えば、導波管700は、ジャケット領域710、および
図5Aおよび5Bに例示される例と同様に、ジャケット領域710の内側表面の周りに分布されてコアを囲む複数の反共振エレメント704を備える中空コアの光ファイバでもよい。但し、導波管700は、第1セクション712が、導波管700の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、任意のタイプの導波管(例えば、ソリッドコアの光ファイバ)でもよいと理解される。
図7A~7Eに例示される例では、第1セクション712の例示される部分が、一定の内側(コア)直径を有するものとして示されるが、第1セクション712は、いくつかの場合、PCT/EP2021/081952において記述されているように、より小さい内径を有する一または複数のテーパ状またはウエストセクションを備えてもよいと理解される。第1セクション712と対照的に、第2セクション716A~Eは、入力放射の中心波長において正常な分散を示すように構成され、放射パルスの時間的な引き伸ばしをもたらす。
【0091】
図7Aに例示される第1例として、導波管700の第2セクション716Aは、第1セクション712より大きい内側(コア)直径を有する直線状のセクションを備えてもよい。つまり、第2セクション716Aにおけるコアの直径は、第2セクション716Aの長さに亘って一定である。例えば、導波管700が、第1セクション712において反共振エレメント704を備える中空コアのファイバである場合、第2セクション716Aは、反共振エレメントがない中空コアのファイバの一部を備えてもよい。
図7Aに例示される導波管700を形成するために、第2セクション716Aは、既存のファイバの出力端に継ぎ合わされうるまたは突き合わせ結合されうる。一例として、方程式(1)(上記)に従って、「z=0」(ここで、「z=0」は、
図7A~Eにおける点線に対応してもよいと理解される)で約40TW/cm
2のピーク強度を有する拡大されたスペクトルにおける約4fsの長さのピークの強度は、60μmのコア直径を有し、30バールのKrガスで満たされた(「β
2 = 5.5fs
2/cm」および約4cmの長さ776に対応する)ファイバの第2セクション716Aを通じた伝播に続いて、4のファクタで低減される。
【0092】
それを超えると導波管700を通じて伝わる放射パルスのパワーが使用可能なレベルを下回る、導波管700の第2セクション716A~Eの最大長さ776が存在してもよい。反共振エレメントがない中空コアの光ファイバの第2セクション716Aの場合、損失は、コアを囲む壁を通じて漏れる光、および/または第1セクション712における反共振エレメント704によって抑制される高次光学モードへのカップリングによってもたらされる。60μmのコア直径を有し、30バールのKrガスで満たされたファイバの第2セクション716Aの前述された例は、73dB/mのパワー損失を示すため、拡大された放射のパワーの半分が約4cmの長さに亘って失われる。
【0093】
図7Bに例示される導波管700の第2例では、第2セクション716Bが、上方にテーパ状のセクションを備えてもよい。つまり、第2セクション716Bにおけるコアの直径は、第2セクション716Bの少なくとも一部に亘って、第1セクションからの距離が増加するにつれて増加する。拡大されたスペクトルにおけるピークのピーク強度は、導波管700の内側(コア)直径の逆二乗に比例する。従って、弱く上方にテーパ状の第2セクション716Bでさえ、光学媒体(ガス)の強く低減されたイオン化に繋がり、導波管の寿命における更なる改善をもたらす。
【0094】
直線状およびテーパ状のセクションは、
図7Cの例に例示されるように、第2セクション716Cを形成するために組み合わされうると理解される。第2セクション716Cを構成する異なるセクションの直径、長さ、およびテーパリングは、拡大された放射の必要とされる時間的な引き伸ばしおよびピークのピーク強度における低減に応じて選択されてもよい。第2セクション716A~Eの総長さ776は、パワー損失を最小化しながらピーク強度における低減を最大化する必要性のバランスを取るように検討されなければならないと理解される。
【0095】
図示されないが、
図7A~7Cに例示される例は、
図6に例示されるタイプの、つぶされた(数百μmに亘って)反共振エレメント604Xを備えてもよいと理解される。
【0096】
導波管700が反共振エレメント704を備える、
図7Dに例示される更なる例では、導波管700の長さ775に亘って反共振エレメント704Yをつぶすことによって、上方にテーパ状の第2セクション716Dが形成されてもよい。つまり、第2セクション716Dにおける反共振エレメント704Yのそれぞれの断面積が、第1セクション712からの距離が増加するにつれて減少する。つぶされた反共振エレメント704Yを備える第2セクション716Dは、
図7Bに例示される第2セクション716B等の上方にテーパ状のセクションの代替的な形態と解釈されてもよいと理解される。以上で議論されたように、反共振エレメント704は、望ましくない基本光学モードの高次モードへのカップリングを防止する機能を担う。断熱性基準を満たすために毛管が徐々につぶれるファイバ領域を確保することによって、(望ましい)基本光学モードの高次モードへの望ましくないカップリングが抑制されうる。上方にテーパ状のコア(すなわち、徐々につぶされる「単一リング」フォトニック構造)について、断熱性基準は、次のように、ファイバのコア直径の増加が許容される最大角θ
maxを表現する。
【数2】
ここで、rは第1導波管セクション712のコア半径であり、λは放射の波長であり、n
fundおよびn
HOMは波長λでの基本および最も近い高次光学モードの実効的な屈折率である。断熱性基準の更なる議論は、参照によって本書に援用される「R. Pennetta, et al., APL Photonics 4, 056105 (2019)」において提供されている。ガスで満たされたファイバの例については、n
fundおよびn
HOMは次のように近似されうる。
【数3】
(参照によって本書に援用される「E. A. J. Marcatili and R. A. Schmeltzer, Bell Syst. Tech. J. 43, 1783 (1964)」を参照)ここで、n
gasはファイバを満たすガスの屈折率であり、u
01≒2.40およびu
11≒3.83は、それぞれ第0種および第1種のベッセル関数の第1零点である。方程式(2)を使用する演算は、テーパ角θ
maxが短波長挙動によって主に制限されることを示す。400nmの波長では、典型的なθ
maxの値は約0.1°であり、導波管700の長さのmm当たりおよそ1μmのコア直径における最大増加をもたらす。従って、反共振エレメント704Yがつぶされうる第2セクション716Dの最小長さ775が存在すると理解される。ここで、最小長さ775は数mmのオーダーであり、従って
図6に例示されるタイプのファイバ600において反共振エレメント604Xがつぶされる長さより有意に長い。導波管700が、ここで記述されて
図5Aおよび5Bに例示されるタイプの光ファイバである場合、反共振エレメント704Yが断熱性基準を満たすためにつぶされうる長さ775は、約7mmでもよい。従って、
図7Dに例示されるタイプの第2セクション716Dを備える導波管700について、第2セクション716Dの長さ776は、少なくとも反共振エレメント704Yが断熱性基準を満たすためにつぶされうる長さ775でなければならない。
【0097】
図7Eは、第2セクション716Eの第1部分716EAにおける、
図7Dに例示されたようなつぶされた反共振エレメント704Yと、第2セクション716Eの第2部分716EBにおける、反共振エレメントのないファイバの直線状のセクションの両方を第2セクション716Eが備える、反共振エレメント704を備える光ファイバ等の導波管700の一例を例示する。第2セクション716Eは、
図7Dに例示されるタイプのつぶされた反共振エレメントを備えるセクション、
図7Aに例示されるタイプの直線状のセクション、および/または
図7Bに例示されるタイプのテーパ状のセクションの組合せから同様に形成されうると理解される。第2セクション716Cを構成する異なるセクションの直径、長さ、およびテーパリングは、拡大された放射の必要とされる時間的な引き伸ばしおよびピークのピーク強度における低減に応じて選択されてもよい。第2セクション716A~Eの総長さ776は、パワー損失を最小化しながらピーク強度における低減を最大化する必要性のバランスを取るように検討されなければならないと理解される。
【0098】
図8は、反共振エレメントがない中空コアの光ファイバの5cmの長さのセクションに沿って伝わる、(a)半値全幅パルス持続時間および(b)約50nJのエネルギーの2.5fsの長さのピークのピーク強度の変化を、数値的にシミュレーションされた例として例示する。より詳細には、2.5fsの持続時間を有する単一の(フーリエ変換制限された)変調不安定性ピーク(ガウシアンパルスとして近似される)が、1030nmの中心波長での約510nmの帯域幅(半値全幅)を生成する。このスパイクが5μJのオリジナルパルスエネルギーの1%を含むとすれば、そのピークパワーは19MWである。当該スパイクが62μmの内径を有する中空のファイバ内を伝わる場合(正常な群速度分散、β
2=1fs
2/cm)、ピーク強度は約2.2TW/cm
2である。5cmだけの長さに亘る伝播後(非線形効果がない状態で)、パルスは約6fsに引き伸ばされ、約0.5TW/cm
2のピーク強度を生成する。明らかに見て取れるように、パルス持続時間は二倍以上になっており、ピーク強度は5cmの長さに亘って約4のファクタで低減される。このモデリングに基づいて、ファイバの出力でのピーク強度における低減は、低減されるイオン化によって引き起こされるダメージのために、ファイバ寿命を約100日から約1000日に増加させうると見積もられる。
【0099】
図8のシミュレーションされた例は、約40dB/mのパワー損失(前述された基本モードの高次モードへのカップリングによってもたらされる)を示し、シミュレーションされた5cmの長さに亘って約2dBのパワー損失に繋がる。
【0100】
前述されたように光が導波管を出る際の導波管へのダメージを低減または防止するために、拡大されたスペクトルにおけるピークの強度を、導波管の寿命を所望の量だけ延ばすために適切な、ダメージにおける低減に対応する量だけ低減する必要がある。方程式(1)に関して前述されたように、導波管の出力端での拡大されたスペクトルにおけるピークの強度における低減は、特定の特性(すなわち、特定のβ2)を有する導波管の第2セクションについて、導波管の第2セクションの長さによって決定される。例えば、第2セクションの長さは、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成されてもよい。いくつかの例では、第2セクションの長さは、拡大されたスペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%低減するように構成されてもよい。イオン化が強度に対して高度に非線形にスケールするため、ピーク強度における減少は有益である。
【0101】
導波管を出る際の拡大された放射のパワーが使用可能なレベルに維持されることを担保するために、導波管の第2セクションの最大長さが、拡大された放射スペクトルの6dBより小さいパワー低減に対応する長さとして定められてもよい。従って、導波管の特定の特性に応じて、第2セクションの最大長さは、約20cm、好ましくは約15cm、より好ましくは約10cmとして定められてもよい。
【0102】
図10a、bおよびcは、非線形媒体としてのクリプトンで満たされた非線形の中空コアのファイバに基づく導波管を出た後の、1030nmの中心波長の周りに拡大されたスペクトルを有する放射パルスの、シミュレーションされたピーク強度における低減を例示する。この例では、ファイバに、第1セクションにおいて反共振の光閉じ込めエレメントが提供され、同じ圧力の同じガスで満たされるが、反共振エレメントが提供されない第2セクションが続く(
図7Aにおいてスケッチされているように)。明確化のため、
図10a、bおよびcのシミュレーションでは、中空コアのファイバの第2セクションにおける総分散が、純粋な(二次)群速度分散によって近似されている。第2セクションは、中空コアのファイバの第1セクションのコア直径の約二倍の直径を有する。第2セクションの長さは、入力(ポンプ)放射の三つの異なるパルス持続時間において、0および5cmの間で変動する。
図10aは、2.5fsのパルス持続時間に対応し、
図10bは、4fsのパルス持続時間に対応し、
図10cは、7fsのパルス持続時間に対応する。
図10aは、1cmの第2セクションの長さについて、第2セクションが存在しない構成と比べて、ピーク強度が56%低減されることを示している。ポンプパルスのより長い持続時間については、ピーク強度の低減が小さくなり、ポンプパルスが7fsの持続時間を有する場合、1cmの長さの第2セクションについて7%まで小さくなる。実用的な場合、ポンプパルスは典型的に1-10fsの持続時間を有し、例えばパルス持続時間が略2.5fsの場合、有意にピーク強度を20-30%低減するために、0.5cmの第2セクションの最小長さがあれば典型的に十分である。
【0103】
以下では、本開示に係る導波管700を製造する方法が記述される。
【0104】
本開示に係る導波管700を製造することは、導波管の第1セクションを形成することおよび導波管の第2セクションを形成することを備える。本開示に係る導波管の製造方法900の一例が
図9に例示される。第1ステップS901では、方法900が、非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、導波管の第1セクションを形成することを備える。第2ステップS902では、方法900が、導波管の出力端を備え、第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される、導波管の第2セクションを形成することを更に備える。ここで、第2セクションの長さは、拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される。
【0105】
いくつかの例では、導波管の第2セクションを形成することが、導波管を受け取り、出力端を備える導波管のセクションを変更することを備えてもよい。出力端を備える導波管のセクションを変更することは、更なる導波管のセクションを導波管の出力端に取り付けること、および/または受け取られた導波管の出力端に対して直接的に調整を施すことを備えてもよいと理解される。
【0106】
いくつかの例では、二つの導波管のセクションを一緒に取り付けることによって、導波管700の第1および第2セクションが形成されてもよい。
【0107】
いくつかの例では、第2セクションを第1セクションに取り付けることが、第2セクションを第1セクションに継ぎ合わせることを備えてもよい。例えば、第2セクションを第1セクションに継ぎ合わせることは、同じ外径を有する導波管セクションの二つの端を一緒に継ぎ合わせることを備えてもよい。いくつかの例では、第1および第2セクションを一緒に継ぎ合わせることが、第1および第2セクションの間の連続的な結合をもたらしうる。
【0108】
いくつかの例では、第2セクションを第1セクションに取り付けることが、第2セクションを第1セクションに結合することを備えてもよい(例えば、第2セクションの第1セクションへの突き合わせ結合)。いくつかの例では、第2セクションを第1セクションに結合することが、第1および第2セクションの間に非常に小さいギャップ(例えば、300μmより小さい、200μmより小さいまたは100μmより小さい)をもたらしうる。
【0109】
いくつかの例では、第1および第2セクションが、例えば、前述されたタイプの複数の反共振エレメントを備えてもよい。第2セクション(特に、
図7Dおよび7Eに例示されるタイプの第2セクション)を形成することは、第2セクションを加熱し、引張力を適用することによって第2セクションを伸ばすことを備えてもよい。例えば、光ファイバの場合、第2セクションは、両端において引張力を緩やかに適用しながら、ファイバを加熱すること(例えば、熱源またはオキシブタン炎をファイバの長さに沿ってスキャンすること)によって形成されてもよい。伸長プロセス中の加熱エリアの伸長の正確な制御は、反共振エレメントの任意のプロファイル(例えば、テーパリング)およびつぶされる部分の長さの生成を可能にする。
【0110】
ここで記述される例は、主に、中空コアの光ファイバ(例えば、HC-PCF)に関するが、本開示において記述される例および方法は、概して、他のタイプの導波管に適用されてもよいと理解される。いくつかの例では、ここで記述される例および方法が、ソリッドコアの光ファイバに適用されてもよい。一例として、ソリッドコアのファイバは、柔軟性のガラスロッドを備えてもよい。ソリッドコアの光ファイバは、
図5Bに例示される毛管104を形成するソリッドな円筒状の壁部分105と同様の配置において配置される中空の構造を備えてもよいと理解される。中空のチャネルは、(構造化されていない)コアと比べて、クラッドのより小さい「平均」屈折率を提供する。結果として、このような構造は、依然として「内部全反射」の形成をサポートする。
【0111】
発明の更なる実施形態が、以下の番号が付された項目のリストにおいて開示される:
項目1:
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の拡大された波長スペクトルを生成するように構成される第1セクションと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される第2セクションと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管。
項目2:
前記第2セクションは、正常な群速度分散を示すように構成される、項目1に記載の導波管。
項目3:
前記導波管の前記第1および第2セクションに沿って軸方向に延びるコアを備え、
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第1セクションにおける前記コアの直径より大きい、
項目1または2に記載の導波管。
項目4:
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの長さに亘って一定である、項目3に記載の導波管。
項目5:
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの少なくとも一部に亘って、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて増加する、項目3に記載の導波管。
項目6:
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記複数の反共振エレメントは、前記第2セクションの少なくとも一部において前記コアを囲み、
前記反共振エレメントのそれぞれの断面積は、前記第2セクションにおいて、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて減少する、
項目3から5のいずれかに記載の導波管。
項目7:
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記第2セクションには、いずれの反共振エレメントも提供されない、
項目3から5のいずれかに記載の導波管。
項目8:
前記導波管は、中空コアのフォトニック結晶ファイバである、項目1から7のいずれかに記載の導波管。
項目9:
前記導波管は、ソリッドコアの光ファイバである、項目1から7のいずれかに記載の導波管。
項目10:
前記第2セクションの長さは、前記拡大された放射スペクトルのパワーを6dB未満低減するように構成される、項目1から9のいずれかに記載の導波管。
項目11:
前記第2セクションの長さは、10cmより小さい、項目1から10のいずれかに記載の導波管。
項目12:
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、前記導波管の第1セクションを形成することと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される、前記導波管の第2セクションを形成することと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管を製造する方法。
項目13:
前記導波管の前記第1および第2セクションを形成することは、
導波管を受け取ることと、
前記出力端を備える前記導波管のセクションを変更することと、
を備える項目12に記載の方法。
項目14:
前記導波管の第2セクションを形成することは、前記第2セクションを前記第1セクションに取り付けることを備える、項目12または13に記載の方法。
項目15:
前記第2セクションを前記第1セクションに取り付けることは、
前記第2セクションを前記第1セクションに継ぎ合わせること、および/または
前記第2セクションを前記第1セクションに結合すること、
の一または複数を備える項目14に記載の方法。
項目16:
前記導波管の前記第1および第2セクションは、コアを囲む複数の反共振エレメントを備え、
前記第2セクションを形成することは、前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことを備える、
項目12から15のいずれかに記載の方法。
項目17:
前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことは、
前記第2セクションを加熱することと、
引張力を適用することによって、前記第2セクションを伸ばすことと、
を備える項目16に記載の方法。
項目18:
前記導波管は、中空コアのフォトニック結晶ファイバである、項目12から17のいずれかに記載の方法。
項目19:
前記導波管は、ソリッドコアの光ファイバである、項目12から17のいずれかに記載の方法。
【0112】
本テキストにおいて、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、ここで記述されるリソグラフィ装置は他の用途を有してもよいと理解されるべきである。可能性のある他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造を含む。
【0113】
本テキストにおいて、リソグラフィ装置の文脈における本発明の実施形態についての具体的な参照がなされたかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェーハ(または、他の基板)またはマスク(または、他のパターニングデバイス)等のオブジェクトを測定または処理する任意の装置の一部を構成してもよい。これらの装置は、一般的にリソグラフィツールと表されてもよい。このようなリソグラフィツールは、真空条件または大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0114】
以上において、光学リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、本発明は、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されず、インプリントリソグラフィ等の他の用途において使用されてもよいと理解される。
【0115】
発明の具体的な実施形態が前述されたが、発明は記述されたものと異なる態様で実施されてもよいと理解される。以上の記述は例示を目的としており、発明を限定する趣旨ではない。従って、記述された発明に対して以下の請求項の範囲から逸脱することなく変更が加えられてもよいことは当業者にとって明らかである
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の拡大された波長スペクトルを生成するように構成される第1セクションと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される第2セクションと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管。
【請求項2】
前記第2セクションは、正常な群速度分散を示すように構成される、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記導波管の前記第1および第2セクションに沿って軸方向に延びるコアを備え、
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第1セクションにおける前記コアの直径より大きい、
請求項1に記載の導波管。
【請求項4】
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの長さに亘って一定である、請求項3に記載の導波管。
【請求項5】
前記第2セクションにおける前記コアの直径は、前記第2セクションの少なくとも一部に亘って、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて増加する、請求項3に記載の導波管。
【請求項6】
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記複数の反共振エレメントは、前記第2セクションの少なくとも一部において前記コアを囲み、
前記反共振エレメントのそれぞれの断面積は、前記第2セクションにおいて、前記第1セクションからの距離が増加するにつれて減少する、
請求項3から5のいずれかに記載の導波管。
【請求項7】
前記第1セクションにおいて前記コアを囲む複数の反共振エレメントを更に備え、
前記第2セクションには、いずれの反共振エレメントも提供されない、
請求項3から5のいずれかに記載の導波管。
【請求項8】
前記導波管は、中空コアのフォトニック結晶ファイバである、請求項1に記載の導波管。
【請求項9】
前記導波管は、ソリッドコアの光ファイバである、請求項1に記載の導波管。
【請求項10】
前記第2セクションの長さは、前記拡大された放射スペクトルのパワーを6dB未満低減するように構成される、請求項1に記載の導波管。
【請求項11】
非線形光学プロセスによって、導波管の入力端に提供されるパルス放射の波長スペクトルを拡大するように構成される、前記導波管の第1セクションを形成することと、
前記導波管の出力端を備え、前記第1セクションより大きい群速度分散の絶対値を示すように構成される、前記導波管の第2セクションを形成することと、
を備え、
前記第2セクションの長さは、0.5cmおよび20cmの間であり、前記拡大された波長スペクトルにおける一または複数のピークのピーク強度を少なくとも20%低減するように構成される、
導波管を製造する方法。
【請求項12】
前記導波管の前記第1および第2セクションを形成することは、
導波管を受け取ることと、
前記出力端を備える前記導波管のセクションを変更することと、
を備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導波管の第2セクションを形成することは、前記第2セクションを前記第1セクションに取り付けることを備える、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記導波管の前記第1および第2セクションは、コアを囲む複数の反共振エレメントを備え、
前記第2セクションを形成することは、前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことを備える、
請求項11
または12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の反共振エレメントを前記第2セクションにおいてつぶすことは、
前記第2セクションを加熱することと、
引張力を適用することによって、前記第2セクションを伸ばすことと、
を備える請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】