(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】皮膚挟み込み機構を含む薬物送達機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M5/42 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535734
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085645
(87)【国際公開番号】W WO2023110884
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マックス・デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】トム・レヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マックス・ウィーブリンク
(72)【発明者】
【氏名】ロビー・ウィルソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
(57)【要約】
針(4)を受けるために提供されるハウジング(2)と、第1の機構部材及び第2の機構部材(5)を有する皮膚挟み込み機構とを含む薬物送達デバイス(1)であって、第1の機構部材及び第2の機構部材は、第1の軸位と第2の軸位との間で互いに対して相対的に移動可能であり、第2の機構部材は、患者の皮膚に接するように配置され、皮膚挟み込み特徴(5.2)を含み、皮膚挟み込み機構は、第1の機構部材と第2の機構部材との間の相対的な動きが皮膚挟み込み特徴の動きに変換されて、患者の皮膚に力をかけて皮膚を基端方向に膨らませるように構成される、薬物送達デバイス(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に薬物を分注するための薬物送達デバイス(1)であって、
針(4)を受けるために提供されるハウジング(2)と、
第1の機構部材及び第2の機構部材(5)を有する皮膚挟み機構と、
を含み、
前記第1の機構部材及び前記第2の機構部材は、第1の軸位(A)と第2の軸位(B)との間で互いに対して移動可能であり、
前記第2の機構部材は、前記患者の皮膚(6)に接するように配置され、皮膚挟み込み特徴(5.2)を含み、
前記皮膚挟み込み機構は、前記第1の機構部材と前記第2の機構部材との間の前記第1の軸位から前記第2の軸位への相対的な移動が、前記皮膚挟み込み特徴の移動に変換されて、前記患者の皮膚に力を作用させて、皮膚を基端方向に膨らませるように構成される、薬物送達デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1の機構部材は前記ハウジング(2)である、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
前記第2の機構部材(5)は、支持体(5.1)を含み、前記皮膚挟み込み特徴(5.2)は、前記支持体に対して第1の特徴位置(C)と第2の特徴位置(D)との間で可動であり、
前記皮膚挟み込み機構は、前記第1の特徴位置から前記第2の特徴位置に移動すると、前記皮膚挟み込み特徴が前記支持体に対する半径方向又は回転位置を変化させて前記患者の皮膚(6)を挟み込むように構成される、請求項1又は2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
前記皮膚挟み込み特徴(5.2)は、前記支持体(5.1)に回転可能又はピボット状に接続される、請求項3に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
前記皮膚挟み込み機構は、前記第1及び第2の機構部材(5)が前記第2の軸位(B)にあるとき、前記第1及び第2の機構部材が前記第1の軸位(A)にあるときの前記皮膚挟み込み特徴の位置に前記皮膚挟み込み特徴(5.1)が付勢されるように構成される、請求項3又は4に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
前記皮膚挟み込み特徴(5.2)は、少なくとも部分的に弾性的に偏向可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
前記皮膚挟み込み特徴(5.2)及び前記支持体(5.1)は、1つの一体型部分に形成される、請求項3~6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
前記皮膚挟み込み特徴(5.1)は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は前記支持体(5.2)に接続され、前記第2の部分は、前記第1の部分よりも前記支持体から遠くに配置され、前記第2の部分は、皮膚接触部分を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
前記皮膚挟み込み特徴(5.2)は、回転可能な本体を含み、前記回転可能な本体は、前記支持体(5.1)に回転可能に取り付けられている、請求項3~5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
前記第2の機構部材(5)は、少なくとも2つの皮膚挟み込み特徴(5.2)を含み、前記皮膚挟み込み特徴は、前記支持体(5.1)の周方向に等間隔に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
前記薬物送達デバイスは、針シュラウド(7)を含み、前記支持体(5.1)は前記針シュラウドである、請求項1~10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
前記皮膚挟み込み機構は、相互作用特徴(8)を含み、
前記相互作用特徴は、前記第1及び第2の機構部材(5)が前記第2の軸位(B)にあるときに、前記支持体(5.1)に対する半径方向又は回転方向の動きに対して前記皮膚挟み込み特徴(5.2)をロックするように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
前記針(4)は軸方向にロックされ、前記第1の機構部材が前記第1の軸位(A)から前記第2の軸位(B)に前記第2の機構部材(5)に対して移動したときに前記第1の機構部材に対する移動を防止する、請求項1~12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
前記針(4)は、前記第1及び第2の機構部材(5)が前記第2の軸位(B)にあるとき、前記第1の機構部材に対して軸方向に移動可能である、請求項1~12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項15】
前記薬物送達デバイスは、自己注射器である、請求項1~14のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項16】
前記ハウジング(2)は、前記薬物容器(3)を保持するために提供され及び/又は前記薬物容器(3)を保持し、薬剤は、前記薬物容器(3)内に配置される、請求項1~15のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項17】
前記薬物送達デバイスは、針シュラウド(7)を含み、前記ハウジング(2)の内径は、前記針シュラウド(7)が軸方向にその内部を移動できるような寸法である、請求項1~16のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項18】
前記第2の機構部材は、少なくとも2つの皮膚挟み込み特徴を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項19】
前記ハウジング(2)を前記皮膚挟み込み特徴(5.2)の上に押し付けることができ、前記皮膚挟み込み特徴は、互いに向かって移動する、請求項18に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項20】
薬物を患者に分注するための薬物送達デバイス(1)であって、
針シュラウド(7)と、
針(4)を受けるために提供されるハウジング(2)であって、前記ハウジング(2)の内径は、前記針シュラウド(7)が軸方向にその内部を移動できるような寸法である、ハウジング(2)と、
第1の機構部材及び第2の機構部材(5)を有する皮膚挟み込み機構とを含み、
前記第1の機構部材及び前記第2の機構部材は、第1の軸方向位(A)と第2の軸方向位(B)の間で互いに対して移動可能であり、
前記第2の機構部材は、前記患者の皮膚(6)に接するように配置され、皮膚挟み込み特徴(5.2)を含み、
前記皮膚挟み込み機構は、前記第1の機構部材と前記第2の機構部材との間の前記第1の軸位から前記第2の軸位への相対的な移動が、前記皮膚挟み込み特徴の移動に変換されて、前記患者の皮膚に力を作用させて、前記皮膚を基端方向に膨らませるように構成される、薬物送達デバイス(1)。
【請求項21】
患者に薬物を分注するための薬物送達デバイス(1)であって、
ハウジング(2)であって、針(4)を受けるために提供されるハウジング(2)と、
第1の機構部材及び第2の機構部材(5)を有する皮膚挟み込み機構とを含み、
前記第1の機構部材及び前記第2の機構部材は、第1の軸位(A)と第2の軸位(B)の間で互いに対して移動可能であり、
前記第2の機構部材は、前記患者の皮膚(6)に接するように配置され、少なくとも2つの皮膚挟み込み特徴(5.2)を含み、
前記皮膚挟み込み機構は、前記第1の機構部材と前記第2の機構部材との間の前記第1の軸位から前記第2の軸位への相対的な移動が前記、皮膚挟み込み特徴の移動に変換されて、患者の皮膚に力を作用させて、前記皮膚を基端方向に膨らませるように構成され、前記第1の機構部材は前記ハウジング(2)であり、前記ハウジング(2)は前記皮膚挟み込み特徴(5.2)の上に押し付けることができ、前記皮膚挟み込み特徴は互いに向かって移動する、薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
薬物を送達する際の患者の傷害のリスクを軽減するため、及び薬物を患者の体内に効果的に送達することを保証するためには、患者の体内又は組織への針の侵入の深さが重要である。子供に薬物送達デバイスを使用する場合、市販の薬物送達デバイスに問題が発生する可能性がある。子供は、一般に、針を入れることができる組織が成人よりも少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
特に患者の安全性又は注入深度に関して、薬物送達デバイスに関連する改善を促進することが、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、本明細書に開示される対象、例えば添付の独立請求項に規定される対象によって達成される。有利な改良及び発展は、従属請求項の対象であり及び/又は下記の説明に記載される。
【0004】
本開示は、薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、ハウジングを含み、ハウジングは、薬物容器及び/又は針を受けるために提供される。針は、好都合には、患者の皮膚を突き刺すように構成される。針を通して、薬剤を患者に、例えば患者の組織に投与し得る。
【0005】
一実施形態では、針は、例えばハウジング内で受け取られるとき、ハウジングに対して軸方向に固定される。すなわち、ハウジングに対する針の軸方向移動は、好ましくは先端方向及び/又は基端方向で防止され得る。針は、薬物送達デバイスのハウジングで受けられ得る。しかしながら、本開示の概念は、例えばばねによって駆動され、皮膚を突き刺すため及び/又は薬物送達動作のためにハウジングに対して移動するように構成された可動針を含むデバイス又はそのような可動針を保持するために提供されるデバイスにも適用されることに留意されたい。
【0006】
一実施形態では、針は、薬物容器の内部と流通し得るか又は流通に持ち込まれ得る。針は、薬物容器に一体化され得る。薬物、例えば液体薬剤は、好都合には容器の内部に配置される。薬物容器は、シリンジ、例えば、ステーク針等の針が予め取り付けられたシリンジであり得る。代替的に、薬物容器はカートリッジであり得、これは例えばカートリッジセプタムを針ユニットの針で突き刺すことによって、別の針ユニットと流通するようになる必要があり得る。
【0007】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、第1の機構部材及び第2の機構部材を有する皮膚挟み込み機構を含む。第1の機構部材及び第2の機構部材は、第1の軸位と第2の軸位の間で互いに対して移動可能である。
【0008】
この文脈における軸位は、薬物送達デバイスの長手方向軸上の位置である。したがって、本開示の文脈では、「軸」又は軸上という用語は、薬物送達デバイスの長手方向軸、例えばデバイス及び/又はハウジングの主長手方向軸を指し得る。本開示における「半径方向」又は「半径方向上」という用語は、薬物送達デバイスの長手方向軸に対して垂直な方向を指し、「半径方向内向き」又は「半径方向内向き」という用語は、長手方向軸に向かって半径方向を指す方向を意味し、また、「径方向外向き」又は「径方向外向き」という用語は、長手方向軸から離れた径方向を指す方向を意味する。
【0009】
したがって、第1の軸位及び第2の軸位は、薬物送達デバイスの長手方向軸に沿って互いにオフセットされる。第2の機構部材は、例えば薬物送達デバイスの動作中に、患者の皮膚に隣接又は耐えるように配置され、皮膚挟み込み特徴を含む。第1の機構部材は、第1の軸位から第2の軸位への移動中に皮膚に向かって移動し得る。
【0010】
一実施形態では、薬物送出デバイスは、針シュラウドを含む。針シュラウドは、針シュラウド本体を含む。第2の機構部材は、支持体を含む。支持体は、薬物送達デバイスの先端部にある径方向に不動又は剛体部材であり得る。支持体は、針シュラウド本体の先端部であり得る。支持体は、円筒形状を有し得る。皮膚挟み込み特徴は、支持体から先端に延び得るか、又は支持体の先端部に配置され得る。
【0011】
「先端」又は「先端部」という用語は、薬物送達デバイス又はその構成要素の、薬物送達デバイスの分注端部に最も近い位置に配置されるか又は配置される端部を指す。「基端部」という用語は、デバイス又はその構成要素の、デバイスの吐出端から最も遠くに配置されるか又は配置される端部を指す。先端部及び基端部は、軸の方向に互いに離れて配置される。軸は、薬物送達デバイス機構又はその要素の長手方向軸であり得る。したがって、「先端方向」は患者の皮膚を指す方向であり、「基端方向」は患者の皮膚から離れる方向である。したがって、基端方向は、先端方向の反対方向である。
【0012】
一実施形態では、皮膚挟み込み機構は、第1の機構部材と第2の機構部材との間の第1の軸位から第2の軸位への相対的な移動が、皮膚挟み込み特徴の移動に変換されて、患者の皮膚に力を作用させて、皮膚を基端方向に膨らませるように構成される。
【0013】
皮膚挟み込み特徴を移動させるために、第1の機構部材は、皮膚挟み込み特徴を変位させるために、皮膚挟み込み特徴に隣接するように配置され得る。皮膚挟み込み特徴のこの動きは、皮膚を操作するため、例えば皮膚を挟むために使用され得る。皮膚挟み込み特徴は、患者の皮膚に力をかけるか又は力を伝達するように構成され得る。この力により、皮膚は基端方向に膨らみ得る。この力により、患者の皮膚は針の先端に向かって膨らみ得る。この力により、患者の皮膚は、薬物送達デバイスの針通過開口部に向かって膨らみ得る。皮膚挟み込み特徴を動かす力は、好ましくは、患者にかかる力、例えば手動でかかる力である。皮膚挟み込み機構により、皮膚の侵入領域を基端及び/又は針に向かって持ち上げることができる。このようにして、針の侵入に利用可能な組織の厚さが増加し、及び/又は皮膚が針の侵入深さに合わせて調整され得る。したがって、薬物送達デバイスは、薬物を送達するときに患者が怪我をしたり患者に不快感を引き起こすリスクを軽減し、及び/又は特に患者が子供等の薄い組織を有する患者である場合に薬物の信頼性の高い送達を確実にする。針が入る皮膚領域の調整は、皮膚を針に向かって移動させるように皮膚を挟むことによって達成することができる。このようにして、組織の厚さは、針が皮膚に侵入するか又は侵入することになる領域で増大する。
【0014】
一実施形態では、第1の機構部材は、ハウジング又はハウジングの少なくとも一部である。ハウジングは、薬物送達デバイスの、薬物送達デバイスが患者によって保持される部分であり得る。したがって、第2の機構部材に対する第1の機構部材の移動は、患者の手及び指の保持位置を変える必要なく、患者によって行われ得る。これにより、薬物送達デバイスの取り扱いがかなり容易になる。
【0015】
一実施形態では、針は軸方向にロックされ、第1の機構部材が第1の軸位から第2の軸位に第2の機構部材に対して移動するときに、第1の機構部材に対する移動を防止する。これは、針と第1の機構部材との間の軸方向相対移動が、例えば基端方向及び/又は先端方向では不可能であることを意味する。針は、第1の機構部材が第2の機構部材に対して第1の軸位から第2の軸位に移動したときに患者の皮膚に挿入することができる。したがって、第1の機構部材の第2の機構部材に対する移動は、皮膚への針の挿入と共に起こり得る。
【0016】
一実施形態では、針は、第1及び第2の機構部材が第2の軸位にあるとき、第1の機構部材に対して軸方向に移動可能である。したがって、患者の皮膚への針の挿入は、例えば自動針挿入機構を介して、第1の機構部材が第2の機構部材に対して移動した後にも起こり得る。これにより、皮膚の刺される領域を挟み込むことに起因して患者の皮膚が厚くなるまで、針が患者の皮膚を刺さないことが保証される。これにより、薬物送達デバイスの適用安全性が向上する。
【0017】
一実施形態では、皮膚挟み込み特徴は、支持体に対して、第1の特徴位置と第2の特徴位置との間で移動可能である。皮膚挟み込み機構は、第1の特徴位置から第2の特徴位置に移動すると、皮膚挟み込み特徴が支持体に対する半径方向又は回転位置を変化させて患者の皮膚を挟み込むように構成される。第1の特徴位置は、皮膚挟み込み特徴が支持体から半径方向に最も遠い位置であり得、第2の特徴位置は、皮膚挟み込み特徴が半径方向に支持体に最も近い位置であり得る。その半径方向位置を変更するために、皮膚挟み込み特徴は、支持体に枢動可能に接続され得る。それとは別に、その回転位置を変更するために、皮膚挟み込み特徴は、支持体に回転可能に接続され得る。
【0018】
一実施形態では、皮膚挟み込み特徴は、ヒンジによって支持体に接続され得る。
【0019】
一実施形態では、皮膚挟み込み特徴は、少なくとも部分的に弾性的に偏向可能である。皮膚挟み込み特徴の材料は、少なくとも皮膚挟み込み特徴が支持体に接続される領域において弾性であり得る。本文脈では、弾性は、力が加えられたときにその形状を変化させ、加えられた力が除去されたときに元の形状に戻るためのボディ又は材料の性質である。少なくとも部分的に弾性的に偏向可能であることにより、皮膚挟み込み特徴は支持体に枢動可能に接続することができる。この場合、皮膚挟み込み特徴及び支持体は、1つの一体型部分で容易に形成され得る。
【0020】
一実施形態では、皮膚挟み込み特徴は、第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は支持体に接続され、第2の部分は、第1の部分よりも支持体から遠くに配置され、第2の部分は、皮膚接触部分を含む。第1の部分及び第2の部分は、異なる方向に向けられ得る。皮膚挟み込み特徴は、アームであり得る。アームは自由端を有し得る。アームは、湾曲アームであり得る。アームは、例えば先端部領域にフック形状を有し得る。アームの第2の部分を画定し得及び/又はアームの自由端を含むフックの先端は、アームの第1の部分から横方向に突き出てもよい。フックの先端は、薬物送達デバイスの長手方向軸に対して半径方向に延び、したがって内側に延び得る。皮膚挟み込み特徴の第2の部分は、皮膚挟み込み特徴が皮膚を圧迫する圧迫面を画定し得る。フックは、第2の部分であり得、ここで、フック先端は、皮膚接触部分を画定し得る。フックを支持体に接続する領域は、第1の部分であることができる。これは、皮膚を挟むことによって患者の皮膚を操作するのに役立つ。第2の部分と支持体との間の半径方向の距離は、第1の特徴位置では第2の特徴位置よりも大きくてもよい。
【0021】
一実施形態では、皮膚挟み込み機構は、第1及び第2の機構部材が第2の軸位にあるときに、皮膚挟み込み特徴が、第1及び第2の機構部材が第1の軸位にあるときの皮膚挟み込み特徴の位置に付勢されるように構成される。皮膚挟み込み特徴は、第1又は第2の部分に追加の力が加えられていないときに、第1及び/又は第2の部分に作用するばね力によって第1の特徴位置に保持されるように構成され得る。皮膚を挟むために、第1の機構部材が第1の軸位から第2の軸位に第2の機構部材に対して移動された場合、皮膚挟み込み特徴を第1の特徴位置から第2の特徴位置に移動させるには、ばね力に打ち勝たなければならない。
【0022】
一実施形態では、皮膚挟み込み特徴は、回転可能な本体を含む。回転可能な本体は、支持体に回転可能に取り付けられ得る。支持体に回転可能に取り付けられることにより、皮膚挟み込み特徴は支持体に対して回転可能に接続することができる。回転可能な本体は、支持体の先端部に配置され得る。回転可能な本体は、回転可能な本体の回転軸に対して角度方向に延びるように構成された皮膚接触面を含み得る。皮膚接触面の表面の材料は、皮膚接触面が患者の皮膚上に置かれるとき、皮膚接触面と患者の皮膚との間の摩擦により、皮膚接触面に対する患者の皮膚の相対的な動きが妨げられるようなものであり得る。したがって、回転可能な本体の内向きの回転運動により、皮膚は変位し、挟み込まれ、したがって基端方向に膨らむ。
【0023】
一実施形態では、第2の機構部材は、少なくとも2つの皮膚挟み込み特徴を含む。皮膚挟み込み特徴は、支持体の円周に沿って等間隔に配置され得る。皮膚挟み込み特徴は、支持体の周方向に均等に分布することができる。皮膚挟み込み特徴は、支持体の周方向において径方向に対向することができる。皮膚の挟み込み特徴は、例えば反対の回転方向に、又は互いに向かって径方向に内向きに、互いに相対的に移動可能であることができる。
【0024】
一実施形態では、第2の機構部材は、互いに直接隣接して配置された複数の皮膚挟み込み特徴を含む。支持体は、針シュラウド本体の先端部であり得る。針シュラウドは、針を覆うように提供され得る。針シュラウドは、針が皮膚に刺される前及び/又は針が皮膚から除去された後、例えば薬物送達動作の完了後に針を覆うように提供され得る。薬物送達動作が開始される前に、針シュラウドは、例えば針の先端を覆うために(例えば、先端方向に針の先端を超えて軸方向に延びること等によって)ハウジングから先端側に突き出てもよい。薬物送達動作のために、針シュラウドはハウジングに対して基端方向に変位し得る。薬物送達動作の完了後、針シュラウドは、例えば針の先端を覆うためにハウジングに対して先端方向に移動し得る。
【0025】
一実施形態では、皮膚挟み込み機構は、相互作用特徴を含む。相互作用特徴は、第1及び第2の機構部材が第2の軸位にあるときに、支持体に対する半径方向又は回転移動に対して皮膚挟み込み特徴をロックするように構成され得る。相互作用特徴は、皮膚挟み込み特徴が第2の特徴位置にあるときに、支持体に対する半径方向又は回転移動に対して皮膚挟み込み特徴をロックするように構成され得る。相互作用特徴は、第1の機構部材に取り付けられてもよく、又はその一部であってもよい。したがって、相互作用特徴は、ハウジングに取り付けられ得る。代わりに、相互作用特徴は、第2の機構部材に取り付けられてもよく、又はその一部であってもよい。相互作用特徴は、皮膚挟み込み特徴に取り付けられてもよく、又はその一部であってもよい。
【0026】
一実施形態では、相互作用特徴は、ハウジングの内面に配置される。
【0027】
一実施形態では、相互作用特徴は、ハウジングの先端部領域に位置する。相互作用特徴は、内側を指すか又は半径方向に向けられ得る。
【0028】
一実施形態では、相互作用特徴は、薬物送達デバイスの長手方向軸に対して半径方向に向けられた突起であることができる。
【0029】
一実施形態では、回転可能な本体は、凹部を含む。凹部は、相互作用特徴と係合するように構成され得る。凹部は、相互作用特徴に対して相補的な形状を有し得る。凹部は、第1及び第2の機構部材が第1の軸位から第2の軸位に移動したときに、相互作用機能が凹部に押し込まれ、それにより、凹部が第1の特徴位置から第2の特徴位置に回転して患者の皮膚を挟むように構成され得る。
【0030】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、シュラウドばねを含む。シュラウドばねは、針シュラウドを例えばハウジングに対して先端方向に移動させるために、針シュラウドと動作可能に連結可能であり得る。針シュラウドを基端方向に移動させるためには、シュラウドばねの力に打ち勝つ必要があり得る。例えば、薬物送達動作が完了し、デバイスが皮膚から取り除かれた後の最終位置では、針シュラウドは、例えばロック機構によってハウジングに対する基端方向移動に対してロックされ得る。
【0031】
一実施形態では、針シュラウドは起動部材である。起動部材は、薬物送達動作のトリガリングを可能にするため又は薬物送達動作をトリガするためにハウジングに対して移動されなければならない部材である。薬物送達動作のトリガリングを可能にすることは、起動部材の移動に加えて、トリガ部材等の別の部材を作動させなければならず、例えばトリガボタンを押さなければならないことを含み得る。
【0032】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、エネルギー貯蔵ユニットをさらに含む。エネルギー貯蔵ユニットは、駆動ばね又はガスリザーバ等の別の種類のエネルギー源であり得る。薬物送達デバイスは、例えばエネルギー貯蔵ユニットから取得可能なエネルギーを使用して、薬物送達動作を実行するように構成される。エネルギー貯蔵ユニットは、薬物送達デバイスの薬物送達動作のためのエネルギーを提供するように構成され得る。エネルギーは、薬物容器から薬物を分注するために、薬物送達デバイスの駆動部材、例えばプランジャロッドを駆動するのに使用され得る。薬物送達動作のために、駆動部材は、エネルギー貯蔵ユニットによって提供されるエネルギーによってハウジングに対して先端方向に変位し得る。
【0033】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、自己注射器である。自己注射器では、薬物送達動作のためのエネルギーは、エネルギー貯蔵ユニットに予め貯蔵され得る。すなわち、患者は、薬物送達動作のために、例えばデバイスを使用に向けて準備するときにエネルギーを提供する必要はない。むしろ、このエネルギーは製造者によってシステムにプリロードされ得る。例えば、駆動ばねは、薬物送達動作のためのエネルギーを提供するために、プレストレスが与えられ得るか又は事前に付勢され得る。
【0034】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、第1の状態及び第2の状態を有するように構成されたプランジャリリース機構を含み、エネルギー貯蔵ユニットの貯蔵エネルギーは、プランジャリリース機構が第2の状態にあるときに解放される。
【0035】
一実施形態では、プランジャリリース機構は、針が第2の機構部材に対して移動された後、第1の状態から第2の状態に切り換えられる。
【0036】
一実施形態では、針は、エネルギー貯蔵ユニットがエネルギーを解放した後、針が第2の機構特徴に対して基端方向に移動するように構成される。
【0037】
異なる実施形態又は態様と併せて上述及び後述する特徴は、たとえそのような組み合わせが上記又は下記で明示的に開示されていなくても、互いに組み合わせることができることに留意する。本開示、特に提案される概念のさらなる特徴、利点、及び有用性は、図面と併せて例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示による薬物送達デバイスの第1の実施形態又は第2の実施形態の概略図を示す。
【
図2A】分注動作前の第1の実施形態の一部の断面側面図を示す。
【
図2B】分注動作中の第1の実施形態の上記一部の別の断面側面図を示す。
【
図3A】分注動作前の第2の実施形態の一部の断面側面図を示す。
【
図3B】分注動作中の第2の実施形態の上記一部の別の断面側面図を示す。
【
図4A】分注動作前の第3の実施形態の一部の断面側面図を示す。
【
図4B】分注動作中の第3の実施形態の上記一部の別の断面側面図を示す。
【
図5】第1の実施形態又は第2の実施形態による薬物送達デバイスの先端部の上面図を示す。
【
図6】薬物送達デバイスのさらなる実施形態による薬物送達デバイスの先端部の上面図を示す。
【
図7】薬物送達デバイスのさらに別の実施形態による薬物送達デバイスの先端部の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
同一の要素、同じ種類の要素、及び同一又は同様に作用する要素には、図面内で同じ参照番号が提供され得る。
【0040】
図1~
図7に示される実施形態は、国際公開第2015/004052A1号パンフレットに開示されているデバイスと、特にそこで称される駆動機構又は「プランジャリリース機構」の設計に関して非常に類似している薬物送達デバイスに関し、その開示内容全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
薬物送達デバイス1は、ハウジング2、薬物容器3、及び針4(針4は
図1には示されていない)を有する。ハウジング2は薬物容器3を受けるために提供され、
図1の薬物容器3は、ハウジング2の開口部又は窓を通して見える、ハウジング2。ハウジング2は、好都合には、薬物送達デバイス1の長さの大部分、例えば薬物送達デバイス1の全長の60%以上、70%以上、又は80%以上を覆う。
【0042】
ハウジング2は、薬物容器3を保持するために提供され及び/又は薬物容器3を保持する。薬剤、例えば液体薬剤が、薬物容器3に配置される。ハウジング2は、針4を保持するために提供され及び/又は針4を保持する。換言すれば、針4はハウジング2に配置され得るか又は配置可能であり得る。針4は、薬物容器3の一体部分であってもよく、例えば薬物容器本体に接続されてもよく(永久的に若しくは解放可能に)、又は薬物容器と別体であってもよい。第1の場合、薬物容器3はシリンジであり得る。第2の場合、薬物容器3はカートリッジであり得る。カートリッジが薬物容器3として使用される場合、最初に、薬物容器及び針4を流体的に切断することができ、薬物容器内部と針との間の流通は、薬物送達デバイス2の動作中にのみ確立される。
【0043】
図1に示されるように、薬物送達デバイス1は、皮膚挟み込み機構を含む。皮膚挟み込み機構は、第1の機構部材及び第2の機構部材5を有する。
図1~
図4Bに示される実施形態では、第1の機構部材はハウジング2であり、第2の機構部材5は、支持体5.1及び皮膚挟み込み特徴5.2を含む。ハウジング2は、支持体5.1及び皮膚挟み込み特徴5.2に対して軸方向に移動可能である。図示の実施形態は、互いに径方向に対向する2つの皮膚挟み込み特徴5.2を有する。しかしながら、
図5、
図6、及び
図7に見られるように、
図2A~
図4Bに示される以下の実施形態の全ては、3つ以上の皮膚挟み込み特徴5.2を有してもよい。
図7に示されるように、皮膚挟み込み特徴5.2は、互いに隣接して配置することもできる。同様に、
図2A~
図4Bに示される実施形態は、1つの皮膚挟み込み特徴5.2のみを有してもよい。
【0044】
図2A~
図4Bに示されるように、第1の機構部材、すなわちハウジング2及び第2の機構5部材は、第1の軸位A(
図2A、
図3A、
図4A)及び第2の軸位B(
図2B、
図3B、
図4B)間で互いに対して移動可能である。加えて、皮膚挟み込み特徴5.2は、ハウジングに対して第1の特徴位置C(
図2A、
図3A、
図4A)と第2の特徴位置D(
図2B、
図3B、
図4B)との間で、支持体5.1に対して移動可能である。第1の機構部材と第2の機構部材5との間の相対移動は、長手方向軸に向かって皮膚挟み込み特徴5.2の半径方向(
図2A~
図3B)又は回転可能(
図4A、
図4B)な移動に変換される。針4を挟み込まれた領域に挿入するために、この動きを使用して患者の皮膚6を挟み込む。
【0045】
図2A~
図4Bに示されるように、針4は、ハウジング2に対して軸方向に移動できない。これによれば、ハウジングが軸方向に皮膚挟み込み機構に対して移動するとき、針4はハウジング2と共に移動する。しかしながら、示されていないさらなる実施形態では、針はハウジングに対しても可動であり得ることに留意されたい。この実施形態では、針は、位置B及びDに到達した後にのみ先端方向に移動し、したがって皮膚に挿入される。
【0046】
図2A~
図3Bに示される実施形態による2つの皮膚挟み込み特徴5.2は、支持体5.1に提供されるピボット取り付け(
図2A、
図2B)又は弾性偏向可能アーム(
図3A、
図3B)として設計される。アームの先端部領域では、アームは湾曲して内向きのフックを形成する。フック形状は、摩擦と共に、アームが皮膚6を上手くつかむのを助ける。
図2A~
図4Bに示される実施形態による支持体5.1は、ハウジング2に対して半径方向に移動できない。
図1~
図4Bに示される実施形態では、支持体5.1は、針シュラウド7の先端部分、例えば一般に円筒状の部分である。
【0047】
支持体5.1及び皮膚挟み込み特徴5.2は、互いに対して軸方向に移動可能ではない。針シュラウド7は、ハウジング2から先端側に突き出ている。針シュラウド7は、ハウジング2に対して基端方向に移動可能である。針シュラウド7はまた、ハウジング2に対して先端方向に移動可能であり得る。
【0048】
2つの皮膚挟み込み特徴5.2の互いに対する及び支持体5.1に対する動きは、患者がハウジング2を先端側に、患者の皮膚6上に押すことによって生じる。これにより、ハウジング2は、皮膚挟み込み特徴5.2及び針シュラウド7に対して軸方向に移動する。ハウジング2の内径は、針シュラウド7が軸方向にハウジング2の内部を移動できるような寸法である。皮膚挟み込み特徴5.2は、支持体5.1に対して可動であるため、半径方向に周囲を囲む領域の寸法を変更することができる。皮膚挟み込み特徴5.2が伸びる半径方向の最大幅は、ハウジング2の内径より大きい。皮膚挟み込み特徴5.2は、皮膚挟み込み特徴が半径方向にばね力によって最大寸法を有する位置に保持される。ばね力は、
図2A及び
図2Bに見られるように外部のばね要素によって、又は
図3A及び
図3Bに見られるように、皮膚挟み込み特徴5.2が支持体5.1に接続されている領域における弾性材料組成物によって提供することができる。したがって、ハウジング2を皮膚挟み込み特徴5.2上にスライドさせることができるようにするには、皮膚挟み込み特徴5.2を第1の特徴位置Cに保持するばね力に打ち勝つ必要がある。これが行われると、ハウジング2を皮膚挟み込み特徴5.2の上に押し込むことができ、皮膚挟み込み特徴は、ばね力に抗して互いに向かって移動する。この移動中に皮膚挟み込み特徴5.2が患者の皮膚に接触すると、ハウジング2の先端側への移動により、2つの皮膚挟み込み特徴5.2及び針シュラウド7又は支持体5.1の間にある皮膚6が挟み込まれ、基端方向に膨らむ。
【0049】
図1~
図7の実施形態による薬物送達デバイス1は、エネルギー貯蔵ユニット、例えば圧縮ばね(図示せず)等の駆動ばねを含む。エネルギー貯蔵ユニットは、薬物送達動作中に、薬物容器3に対して先端方向にプランジャロッドを駆動するように配置される。この移動中、薬物容器3内に可動的に保持され、薬物容器を基端側で密封し得るストッパーを、薬物容器の出口に向かって変位させて、出口を通して薬物容器3内に保持されている薬物又は薬剤を分注させることができる。出口は、針4によって形成又は画定され得る。ばねとは異なる他の潜在的な駆動エネルギー源は、ガス圧力を提供するのに適したモータ又はリザーバによってプランジャロッドを駆動するための電力電池又はバッテリを含み、そこでガス圧力を使用して薬物送達動作を駆動することができる。
【0050】
薬物送達デバイス1は、自己注射器である。自己注射器において薬物送達動作を駆動するためのエネルギーは、薬物送達デバイス1に一体化された構成要素によって提供され得、通常、エネルギーは用量設定手順中に患者によってばねに荷重がかけられる多くのばね駆動式ペン型可変用量注射器の場合のように、デバイスの動作中に患者によってデバイスに荷重がかけられる必要はない。
【0051】
薬物送達デバイス1は、好都合には、シングルショットデバイスであり、すなわち、1用量のみを分注するように提供される。薬物送達デバイス1は、使い捨て薬物送達デバイス、すなわちその使用後に廃棄されるデバイスであり得る。薬物送達デバイスは、ペン型デバイスであってもよい。薬剤容器3及び/又は針4は、薬物送達デバイス1内、例えばハウジング2内に軸方向に固定することができるか、又はハウジング2に対して例えば皮膚を突き刺すために移動可能であることができる。最初の場合、患者は、針4で皮膚6を突き刺すための移動を実行しなければならないことがある。2番目の場合、針4の穿孔は、薬物送達デバイス1の針挿入機構によって駆動され得る。
【0052】
さらに、薬物送達デバイス1は、第1の状態及び第2の状態を有するように構成されたプランジャリリース機構(図示せず)を含む。図示の実施形態では、プランジャリリース機構は、第1の状態ではエネルギー貯蔵ユニットからのエネルギーの放出を防ぎ、第2の状態ではエネルギー貯蔵ユニットからのエネルギーの放出を可能にする。
図2A、
図3A、及び
図4Aでは、プランジャリリース機構は第1の状態である。プランジャリリース機構は、プランジャロッドの先端方向への移動を防止する機械的ロックであり得る。
【0053】
図2A~
図4Bに示されるように、皮膚挟み込み機構の動作は、ハウジング2の先端部領域におけるハウジング2の内周面に配置された2つの相互作用特徴8によって支援される。これらの相互作用特徴8は、第2の機構部材5の外面に直接接する突起として構成される。ハウジング2が第2の機構部材5に対して先端方向に移動すると、相互作用特徴8は、皮膚挟み込み特徴5.2の外面に沿ってスライドする。ハウジング2は半径方向に動かないため、皮膚挟み込み特徴5.2は、相互作用特徴8によって半径方向内側に押し込まれる。したがって、相互作用特徴8は、皮膚挟み込み特徴5.2を第1の特徴位置Cから第2の特徴位置Dに移すように構成される。
【0054】
図4A及び
図4Bに見られるように、皮膚挟み込み特徴5.2は、相互作用特徴8に対応する形状を有し得る。
図4A及び
図4Bに示される実施形態では、皮膚挟み込み特徴5.2は、回転可能体として成形される。回転可能体は、支持体5.1の先端部に配置される。回転可能体は、回転可能体の回転軸の周りで角度方向に延びるように構成された皮膚接触面を含む。回転可能体は、相互作用特徴8の形状に対応する凹部9を有する。凹部9は、針出口開口部から離れて、すなわち皮膚挟み込み特徴5.2及び支持体5.1で囲まれた領域から半径方向に向けられる。
【0055】
ハウジング2が針シュラウド7に対して先端方向に第1の軸位Aから第2の軸位Bに移動すると、相互作用特徴8は、回転可能体の凹部9に接する。回転可能体は回転可能に取り付けられるため、ハウジング2の先端側移動により、回転可能体は、皮膚挟み込み特徴5.2及び支持体5.1で囲まれた領域内に内側に回転する。皮膚6上の回転可能体の摩擦により、回転可能体間の皮膚が一緒に挟み込まれ、基端方向に移動する。
【0056】
明確に示されていないが、
図2A~
図3Bに示されている実施形態の皮膚挟み込み特徴5.2は、ハウジング2の相互作用特徴8と相互作用することができる対応する凹部9を有することもできる。例えば、凹部9は、アームの背面、すなわち薬物送達デバイス1の長手方向軸から半径方向に離れる傾斜したアームの側面に配置することができる。
【0057】
第2の軸位B及び/又は第2の特徴位置Dは、トリガ位置であり得る。第1の機構部材、すなわちハウジング2及び第2の機構部材5は第1の軸位Aにあり、皮膚挟み込み特徴5.2は第1の特徴位置Cにあるとき、薬物送達動作は、ハウジング2を針シュラウド7に対して針4と共に動かすことによって初期化することができる。この動きにより、針4は先端方向に進み、針4が皮膚6を突き刺す。さらに、この動きにより、プランジャリリース機構のロックが解除される。プランジャリリース機構は、エネルギー貯蔵ユニットのエネルギーを放出し、それにより、薬物が皮膚挟み込み特徴5.2によって挟み込まれた皮膚6の膨らんだ領域に注入される。薬物送達動作が完了した後、薬物送達デバイス1を皮膚6から取り外し得る。針シュラウド7は、ハウジング2に対して付勢され得る。したがって、皮膚挟み込み特徴5.2及び支持体5.1が皮膚6から取り外されると、針シュラウド7は、第1の軸位Aを超えて、ハウジング2に対して最終的なロック位置に移動する。この位置では、針シュラウド7は好都合には、例えばシュラウド7のロック機能とハウジング2との間のロック噛み合いによって、基端方向への移動に対して、ハウジング2に対して軸方向にロックされる。軸方向にロックされているため、針シュラウド7は、ハウジング2に対して基端側に変位できなくなる。これにより、使用後の針スティックによる負傷から患者を保護する。
【0058】
本明細書では、用語「薬物」又は「薬剤」は同義的に使用され、1つ以上の医薬品有効成分又は薬学的に許容可能な塩又はその溶媒和物及び任意選択的に薬学的に許容可能な担体を含有する医薬製剤を表す。医薬品有効成分(「API」)は、最も広義には、ヒト又は動物に対して生物学的効果を有する化学構造である。薬理学において、薬物又は薬剤は、疾病の治療、治癒、予防、若しくは診断に使用される、又はそうでなければ身体的若しくは精神的快適さを高めるために使用される。薬物又は薬剤は、限られた期間にわたって、又は慢性疾患に対しては定期的に使用され得る。
【0059】
以下で説明するように、薬物又は薬剤は、1つ以上の疾病の治療のために、少なくとも1つのAPI、又はこれらの組み合わせを、様々なタイプの製剤で含むことができる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子;ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、及び酵素);炭水化物及び多糖類;及び核酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッドDNA及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNA等のアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、及びオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、又はリポソーム等の分子送達システムに組み込まれ得る。1つ以上の薬物の混合物も企図される。
【0060】
薬物又は薬剤は、薬物送達デバイスと共に使用するように適合された一次パッケージ又は「薬物容器」内に収容され得る。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、又は1つ以上の薬物の保存(例えば、短期又は長期の保存)に好適なチャンバを提供するように構成された他の頑丈な若しくは可撓性の器であってもよい。例えば、いくつかの実施態様では、チャンバは、少なくとも1日(例えば、1日~少なくとも30日)薬物を貯蔵するように設計され得る。場合によっては、チャンバは、薬物を約1ヶ月から約2年間、貯蔵するように設計され得る。貯蔵は、室温(例えば約20℃)又は冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行われ得る。場合によっては、薬物容器は、投与される医薬製剤の2種以上の成分(例えば、API及び希釈剤又は2種の異なる薬物)を各チャンバ内に1つずつ別個に貯蔵するように構成された二重チャンバカートリッジであってもよく、又はそれを含んでもよい。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内に分注する前及び/又はその間に、2つ以上の成分間の混合を可能にするように構成されてもよい。例えば、2つのチャンバは、(例えば、2つのチャンバ間の導管によって)互いに流通するように構成されてもよく、分注前にユーザが所望する場合に2つの成分を混合できるようにし得る。代わりに又は加えて、2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内への成分の分注時に混合を可能にするように構成され得る。
【0061】
本明細書に記載される薬物送達デバイスに含まれる薬物又は薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療及び/又は予防に使用され得る。障害の例としては、例えば、真性糖尿病、又は真性糖尿病に伴う合併症、例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓症、例えば深部静脈血栓塞栓症又は肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例には、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチが含まれる。API及び薬物の例は、Rote Liste 2014等のハンドブック、例えば、これらに限定されないが、メイングループ12(抗糖尿病薬)又は86(腫瘍薬)、及びメルクインデックス第15版に記載されているものである。
【0062】
1型若しくは2型真正糖尿病又は1型若しくは2型真正糖尿病の合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、又はインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体作動薬、又はその類似体若しくは誘導体、ジペブチジルペプチターゼ-4(DPP4)阻害薬、又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物、又はそれらのあらゆる混合物が挙げられる。本明細書で使用される限り、「類似体」及び「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから、天然に存在するペプチド内にある少なくとも1つのアミノ酸残基を削除及び/若しくは置換することによって、並びに/又は少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって導出できる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又はその他の天然に存在する残基か、又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、1つ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸の1つ以上に結合している、天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式上得ることができる分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択的に、天然に存在するペプチド中に見出される1つ以上のアミノ酸が、欠失及び/又はコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよいか、又はコード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然に存在するペプチドに付加されていてもよい。
【0063】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリシン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaで置換され、位置B29においてLysがProで置換され得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0064】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0065】
GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンジン-4、1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(SAR425899)エキセナチド-XTEN、及びグルカゴン-Xtenがある。
【0066】
オリゴヌクレオチドの一例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))又はアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0067】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0068】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン及びゴセレリン等の脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節性活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストが挙げられる。
【0069】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体又は上記多糖類の硫酸化形態、例えばポリ硫酸化形態及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例には、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例は、Hylan G-F 20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原に結合する能力を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リコンビナント抗体、キメラ抗体、脱免疫若しくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)、又は一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体に結合する能力が低下している又はそのような能力がない。例えば、抗体は、アイソタイプ又はサブタイプ、抗体フラグメント又は変異体であり得、Fc受容体への結合を支持せず、例えば、突然変異又は欠失したFc受容体結合領域を有する。抗体という用語は、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)に基づく抗原結合分子及び/又は交差結合領域の配向性(CODV)を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質も含む。
【0071】
用語「フラグメント」又は「抗体フラグメント」とは、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原に結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)から誘導されたポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、そのような切断フラグメントに限定されない。本開示に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的又は多重特異的な抗体フラグメント、例えば二重特異的、三重特異的、四重特異的、及び多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価又は多価抗体フラグメント、例えば2価、3価、4価、及び多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディ又はビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、並びにVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は、当技術分野で既知である。
【0072】
用語「相補性決定領域」又は「CDR」は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、抗原結合を可能にするためにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、抗原結合に直接関与しないが、当該技術分野で周知のように、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基は、抗原結合に直接関与し得る、又はCDR内の1つ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を及ぼし得る。
【0073】
例示的な抗体は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、及び抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0074】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物又は薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。
【0075】
本開示の完全な範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システム、及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われ得、本発明は、そのような修正形態及びそのあらゆる均等物を包含することが当業者に理解されるであろう。
【0076】
例示的な薬物送達デバイスには、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されているような針ベースの注射システムが含まれ得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは、複数回用量容器システム及び単回用量(部分的又は完全な排出を伴う)容器システムに大別され得る。容器は、交換可能な容器又は一体化された交換不可能な容器であり得る。
【0077】
ISO 11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、多回用量容器システムは、交換可能な容器を備えた針ベースの注射デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は複数回の用量を保持し、そのサイズは固定又は可変であり(ユーザによって事前設定され)得る。別の複数回用量容器システムは、交換不可能な容器が一体化された針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムでは、各容器は複数回の用量を保持し、そのサイズは固定又は可変であり(ユーザによって事前設定され)得る。
【0078】
ISO 11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を備えた針ベースの注射デバイスを含み得る。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。さらなる例では、各容器は、単一用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。ISO 11608-1:2014(E)にもまた記載されているように、単回用量容器システムは、交換不可能な容器が統合された針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。さらなる例では、各容器は、単一用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。
【符号の説明】
【0079】
1 薬物送達デバイス
2 ハウジング
3 薬物容器
4 針
5 第2の機構部材
5.1 支持体
5.2 皮膚挟み込み特徴
6 皮膚
7 針シュラウド
8 相互作用特徴
9 凹部
A 第1の軸位
B 第2の軸位
C 第1の特徴位置
D 第2の特徴位置
【国際調査報告】