IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】PDIに基づくビーズフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/65 20060101AFI20241219BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20241219BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20241219BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20241219BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20241219BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241219BHJP
   C08J 9/16 20060101ALI20241219BHJP
   C08J 9/18 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 44/44 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G18/65
C08G18/73
C08G18/32 015
C08G18/32 006
C08G18/42
C08G18/42 069
C08G18/44
C08G18/48
C08J9/16 CFF
C08J9/18
B29C44/00 G
B29C44/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024535948
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2022085843
(87)【国際公開番号】W WO2023111012
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214716.9
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エルマー ペゼルト
(72)【発明者】
【氏名】ウルリケ グローエンハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】テレーザ ヒュルスマン
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー シュローフェンヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター グートマン
(72)【発明者】
【氏名】イネス ドゥボーヴェ ドゥ ヴァスコンセロス
(72)【発明者】
【氏名】ザスキア ミンドゥループ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
4J034
【Fターム(参考)】
4F074AA83A
4F074BA32
4F074BA33
4F074BA37
4F074BC12
4F074CA34
4F074CA38
4F074CA49
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA33
4F074DA35
4F074DA36
4F074DA45
4F074DA59
4F214AA31
4F214AB02
4F214AC01
4F214AG20
4F214AH59
4F214UA21
4F214UB01
4F214UC02
4F214UF01
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CD04
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF24
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DL00
4J034DP13
4J034DP17
4J034EA09
4J034EA12
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HD01
4J034JA33
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
4J034MA22
4J034MA24
4J034NA01
4J034NA06
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QC01
4J034QC04
4J034QD04
4J034RA03
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)と、少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)と、ポリオール組成物(PC)とを反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットに関し、そのような発泡ペレットの製造方法にも関する。本発明は、成形体を製造するための本発明の発泡ペレットの使用も包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットであって、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数1】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記発泡ペレット。
【請求項2】
厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで特定される貯蔵弾性率G’(20℃)が55MPa未満である、請求項1に記載の発泡ペレット。
【請求項3】
前記連鎖延長剤(CE1)が、プロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびHQEEからなる群から選択される、請求項1または2に記載の発泡ペレット。
【請求項4】
前記ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、例えばポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項5】
前記ポリオール組成物が、500g/モル~2000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II):
【数2】
に従って計算して25%~50%の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項7】
前記組成物(C)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を、前記組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲の量で含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項8】
発泡ペレットの製造方法であって、以下の段階:
(i) 熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を準備する段階であって、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも成分(a)~(c):
(a) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(b) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(c) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得られるかまたは得ることができる、前記段階
(ii) 前記組成物(C)に圧力下で発泡剤を含浸する段階、
(iii) 減圧によって前記組成物(C)を膨張させる段階
を含み、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数3】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレット。
【請求項10】
請求項1から7まで、または9のいずれか1項に記載の発泡ペレットの、成形体を製造するための使用。
【請求項11】
前記成形体が、ビーズを互いに融着または結合させることによって製造される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記成形体が、靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材である、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1から7まで、または9のいずれか1項に記載の発泡ペレットの、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとしての使用。
【請求項14】
ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、請求項1から7まで、または9のいずれか1項に記載の発泡ペレット、または請求項8に記載の方法によって得ることができるかまたは得られる発泡ペレットとを含む、ハイブリッド材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)と、少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)と、ポリオール組成物(PC)とを反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットに関し、そのような発泡ペレットの製造方法にも関する。本発明は、成形体を製造するための本発明の発泡ペレットの使用も包含する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタンまたは他のエラストマーに基づく、ビーズフォーム(または粒子フォーム)とも称される発泡ペレット、およびさらにそれらから製造される成形体は公知であり(例えば国際公開第1994/20568号(WO94/20568 A1)、国際公開第2007/082838号(WO2007/082838 A1)、国際公開第2017/030835号(WO2017/030835)、国際公開第2013/153190号(WO2013/153190 A1)、国際公開第2010/010010号(WO2010/010010 A1))、且つ多様な可能な用途を有する。
【0003】
台湾特許出願公開第2020/12483号明細書(TW202012483)は、熱可塑性ポリウレタン、特に良好な硬さとレジリエンスとの特性を兼備する熱可塑性ポリウレタンに関して開示しており、当該発明は、それらから製造された熱可塑性ポリウレタンエラストマー粒子およびフォーム成形(プラスチック)製品にも関する。前記発明は、熱可塑性ポリウレタンの製造方法、および発泡熱可塑性ポリウレタンエラストマー粒子の製造方法にも関する。国際公開第2021/104536号(WO2021/104536 A1)も、上述の背景技術における発泡熱可塑性ポリウレタンエラストマー製品の平坦ではない表面の技術的課題を解決することに関し、前記発明は高い平面度を有する熱可塑性ポリウレタンフォーム製品、およびその製造方法およびその使用を提供する。
【0004】
本発明の意味において、「発泡ペレット」または「ビーズフォーム」または「粒子フォーム」とは、ビーズ状のフォームに関し、ここでビーズの平均直径は0.2~20mm、好ましくは0.5~15mm、および特に1~12mmである。非球形、例えば細長いまたは円柱状のビーズの場合、直径は最長寸法を意味する。
【0005】
原則的に、改善された加工性を有して、最低限の温度で相応の成形体をもたらす一方で有利な機械的特性を保持する発泡ペレットまたはビーズフォームが必要とされている。これは特に、発泡ペレットを融着させるためのエネルギー入力が補助媒体、例えば蒸気によって導入される、現在普及している使用における融着プロセスに特に関係し、なぜならここで改善された結合が達成され、従って材料またはフォーム構造への損傷が同時に低減すると共に、充分な結合または融着が得られるからである。
【0006】
発泡ペレットから製造された成形品の有利な機械的特性を得るために、発泡ペレットの充分な結合または融着は必須である。発泡ビーズの結合または融着が不充分であると、それらの特性を完全に利用することができず、得られる成形品の全体的な機械的特性に悪影響が生じる。成形体が弱くなった際にも同様の考慮事項が当てはまる。そのような場合、機械的特性は弱くなった点のところで不利であり、その結果は上記と同じである。従って、使用されるポリマーの特性は効率的に調節可能でなければならない。
【0007】
公知の材料は室温で非常に低い弾性率を有することが多いので、多くの用途のためには、充分な剛性および安定性を達成するために高い密度が達成されなければならない。同時に、多くの用途のためには高い反発弾性率および良好な機械的特性が達成されなければならず、且つ、発泡ペレットから成形品を製造するために、材料は容易に融着可能であるべきである。特に、低温での特性は多くの用途のために充分ではないことが多い。
【0008】
本発明において、「有利な機械的特性」とは、意図される用途に関して解釈されるべきである。本発明の対象の最も重要な用途は、靴分野における用途であり、ここで発泡ペレットは、防振および/または緩衝が関係する靴の構成部分のための成形体、例えば中間底および中敷きのために使用され得る。
【0009】
さらに、少なくとも部分的に再生可能材料に基づく材料を提供することが興味深い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第1994/20568号
【特許文献2】国際公開第2007/082838号
【特許文献3】国際公開第2017/030835号
【特許文献4】国際公開第2013/153190号
【特許文献5】国際公開第2010/010010号
【特許文献6】台湾特許出願公開第2020/12483号明細書
【特許文献7】国際公開第2021/104536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、充分な剛性を有すると共に良好な機械的特性および良好な加工性を特に低温で有する、ポリマーに基づく発泡ペレットを提供することであった。本発明のさらなる課題は、相応の発泡ペレットの製造方法を提供することであった。さらに、本発明の課題は、少なくとも部分的に非化石材料に基づく発泡ペレットを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この課題は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットであって、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数1】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記発泡ペレットによって解決される。
【0013】
本発明によれば、Gappは一般式(I)によって特定され、0未満~-5の範囲、好ましくは-0.1~-5の範囲、特に-0.4~-5の範囲である。
【0014】
本発明は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットにも関する。
【0015】
意外なことに、本発明によって使用される成分を使用すること、および特に特定のイソシアネート組成物(IC)を使用することにより、室温で高い弾性率を有する発泡ペレットが得られることが可能になるので、発泡ペレットを成形体へと容易に加工できることが判明した。さらに、本発明の発泡ペレットは、特に低温での、良好な機械的特性、例えば高い弾性および良好な反発弾性率を特徴とする。
【0016】
本発明において、特段記載されない限り、反発弾性率はDIN 53512(2000年4月)に類似して特定され、前記規格からのずれは、12mmであるべき試験試料の高さであり、この試験においては試料の「貫通」および基材の測定を回避するために20mmが使用される。
【0017】
意外なことに、材料の機械的特性は0℃未満の温度であっても良好であることが判明した。
【0018】
熱可塑性ポリウレタンが、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで特定される、55MPa未満、特に35MPa未満の20℃での貯蔵弾性率G’を有する場合、発泡ペレットについて有利な特性が得られる。一般に、20℃での貯蔵弾性率G’は15MPaを上回る。
【0019】
本発明は、ポリイソシアネート組成物(IC)と、連鎖延長剤(CE1)と、ポリオール組成物(PC)とを反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレットに関する。ここで、イソシアネート組成物(IC)は、少なくともペンタンジイソシアネートを含む。
【0020】
本発明に関して、使用される材料は化石系または非化石系であってよい。例えば、1つ以上の非化石系ポリオールおよび/または1つ以上の非化石系連鎖延長剤を使用することが可能である。
【0021】
化石系成分の量を特定するために適した方法は、例えばC14含有率の特定(C14法)である。
【0022】
非化石系の出発材料を使用する場合、生じる熱可塑性ポリウレタンはわずかに黄色い色を有することが多い。本発明に関して、この問題を回避して無色の材料を得ることが可能であった。
【0023】
意外なことに、この種の熱可塑性ポリウレタンは発泡ペレットへと容易に加工されることができ、それが特に高い弾性率および非常に良好な反発弾性率を有する成形体へと容易に加工されることができることが判明した。
【0024】
さらに、本発明によれば、非化石系である1つ以上の成分を使用することが可能である。従って、高い含有率の非化石材料を有する発泡ペレットを得ることが可能である。
【0025】
本発明によれば、イソシアネート組成物(IC)は、ペンタンジイソシアネートを、80質量%を上回る、好ましくは90質量%を上回る、より好ましくは95質量%を上回る、特に98質量%を上回る量で含む。本発明によれば、イソシアネート組成物(IC)は、さらなるイソシアネートも含み得る。好ましくは、本発明によれば、イソシアネート組成物(IC)はペンタンジイソシアネートからなる。
【0026】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンを作製するために使用される非化石系成分の含有率は、40~98%の範囲、好ましくは50~90%の範囲、より好ましくは60~80%の範囲であることができる。
【0027】
本発明において適したさらなるイソシアネートは特に、ジイソシアネート、特に脂肪族または芳香族ジイソシアネート、より好ましくは脂肪族ジイソシアネートである。
【0028】
さらに、本発明において、先行する反応段階においてOH成分のいくつかがイソシアネートと反応している予備反応生成物がイソシアネート成分として使用され得る。得られる生成物が、引き続く段階、実際のポリマー反応において、残りのOH成分と反応して、熱可塑性ポリウレタンを形成する。
【0029】
使用される脂肪族ジイソシアネートは慣例的な脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートである。適した芳香族ジイソシアネートも当業者に公知である。
【0030】
原則的に混合物も使用できる。混合物の例は、メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネートの他に少なくとも1つのさらなるメチレンジフェニルジイソシアネートを含む混合物である。「メチレンジフェニルジイソシアネート」との用語はここで、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、および/または4,4’-ジイソシアネート、または2つまたは3つの異性体の混合物を意味する。従って、さらなるイソシアネートとして、例えばジフェニルメタン2,2’-または2,4’-ジイソシアネート、または2つまたは3つの異性体の混合物を使用することが可能である。この実施態様において、ポリイソシアネート組成物は他の上述のポリイソシアネートも含み得る。
【0031】
さらなるイソシアネートが使用される場合、それらはイソシアネート組成物(IC)中に好ましくは0.1%~20%の範囲の量、さらに好ましくは0.1%~10質量%の範囲の量、および特に好ましくは0.5%~5質量%の範囲の量で存在する。
【0032】
より高い官能価のイソシアネートの好ましい例は、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、およびさらに上述のジイソシアネートのシアヌレート、およびジイソシアネートと水との部分反応によって得られるオリゴマー、例えば上述のジイソシアネートのビウレット、およびさらにセミブロックジイソシアネートと、平均で2より多く、好ましくは3以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるオリゴマーである。
【0033】
使用され得る有機イソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族イソシアネートである。
【0034】
架橋剤、例えば先述のより高い官能価のポリイソシアネートまたはポリオール、または、複数のイソシアネート反応性官能基を有する他のより高い官能価の分子も追加的に使用され得る。本発明において、ヒドロキシル基に比して過剰な、使用されるイソシアネート基を通じて生成物の架橋を達成することも可能である。より高い官能価のイソシアネートの例は、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネートおよびイソシアヌレート、およびさらに上述のジイソシアネートのシアヌレート、およびジイソシアネートと水との部分反応によって得られるオリゴマー、例えば上述のジイソシアネートのビウレット、およびさらにセミブロックジイソシアネートと、平均で2より多く、好ましくは3以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるオリゴマーである。
【0035】
ここで、本発明において、架橋剤、つまりより高い官能価のイソシアネートおよびより高い官能価のポリオールまたはより高い官能価の連鎖延長剤の量は、成分の混合物全体に対して3質量%以下、好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満である。
【0036】
ポリイソシアネート組成物は1つ以上の溶剤も含み得る。適した溶剤は当業者に公知である。適した例は非反応性溶剤、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、および炭化水素である。
【0037】
本発明によればポリオール組成物(PC)が使用される。本発明によれば、ポリオール組成物(PC)は少なくとも1つのポリオールを含む。適したポリオールは原則的に当業者に公知であり、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第7巻、Polyurethane[ポリウレタン]」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.1章内に記載されている。ポリオールとして、ポリエステルオールまたはポリエーテルオールをポリオール(P1)として使用することが特に好ましい。ポリカーボネートを使用することも可能である。本発明に関してコポリマーを使用してもよい。ポリエーテルポリオールが特に好ましい。本発明により使用されるポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~5000g/モルの範囲、例えば550g/モル~2000g/モルの範囲、好ましくは600g/モル~1500g/モルの範囲、特に650g/モル~1000g/モルの範囲である。本発明によれば、使用されるポリオールは化石系または非化石系であってよい。
【0038】
本発明によれば、ポリエーテルオールだけでなくポリエステルオール、ブロックコポリマーおよびハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)なども適している。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。適したポリオールは、ポリアジペート、ポリカーボネート、ポリカーボネートジオール、およびポリカプロラクトンから選択されてもよい。
【0039】
従って、さらなる実施態様において、本発明は、ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、例えばポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを含む、先述の発泡ペレットに関する。
【0040】
適したポリオールは例えば、エーテルおよびエステルブロックを有するもの、例えばポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、またはポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルである。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。適したポリオールは例えばポリテトラメチレングリコールまたはポリトリメチレングリコールである。ポリカプロラクトンも好ましい。本発明によれば、ポリエステルオール、特に非化石系ポリエステルオールも使用できる。適したポリエステルオールは例えばコハク酸に基づく。ヒマシ油に基づくポリオール、またはリグニンに基づくポリオールも使用できる。
【0041】
本発明によれば、異なるポリオールの混合物を使用することも可能である。使用されるポリオール/ポリオール組成物は好ましくは、平均官能価1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特に2を有する。本発明によって使用されるポリオールは好ましくは、第一級ヒドロキシル基のみを有する。
【0042】
本発明の実施態様において、少なくともポリテトラヒドロフランを含むポリオール組成物(PC)が使用される。本発明によれば、ポリオール組成物はポリテトラヒドロフランに加えて、さらなるポリオールも含み得る。
【0043】
本発明による適したさらなるポリオールは例えば、ポリエーテルだけでなくポリエステル、ブロックコポリマー、およびさらにハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)である。適したブロックコポリマーは例えば、エーテルおよびエステルブロックを有するもの、例えばポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、またはポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルである。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。ポリカプロラクトンもさらなるポリオールとして好ましい。
【0044】
本発明によれば、非化石系ポリオール、または化石系ポリオールと非化石系ポリオールとの混合物であるポリテトラメチレングリコールまたはポリトリメチレングリコールを使用することも可能である。
【0045】
特に好ましい実施態様において、ポリテトラヒドロフランは500g/モル~5000g/モルの範囲、好ましくは500g/モル~2000g/モルの範囲、さらに好ましくは550~2000g/モルの範囲、特に好ましくは650~1400g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0046】
本発明において、ポリオール組成物(PC)の組成は広い範囲内で変化し得る。ポリオール組成物は様々なポリオールの混合物も含み得る。
【0047】
本発明によれば、ポリオール組成物は、溶剤も含み得る。適した溶剤は当業者には自体公知である。
【0048】
ポリテトラヒドロフランが使用される場合、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量Mnは好ましくは500~2000g/モルの範囲である。ポリテトラヒドロフランの数平均分子量Mnはさらに好ましくは650~1400g/モルの範囲内である。
【0049】
さらなる実施態様において、本発明は、ポリオール組成物が、500g/モル~5000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、先述の発泡ペレットにも関する。
【0050】
従って、さらなる実施態様において、本発明は、ポリオール組成物が、500g/モル~2000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、先述の発泡ペレットに関する。
【0051】
本発明によれば、様々なポリテトラヒドロフランの混合物、つまり異なる分子量を有するポリテトラヒドロフランの混合物も使用できる。
【0052】
本発明による好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラヒドロフラン、およびさらにそれらの混合ポリエーテルオールである。本発明によれば、例えば分子量において異なる様々なポリテトラヒドロフランの混合物も使用できる。
【0053】
本発明によれば、少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)も使用される。適した連鎖延長剤は当業者には自体公知である。例えば、連鎖延長剤はイソシアネート基に対して反応性である2つの基を有する化合物であって、特に500g/モル未満の分子量を有するものである。適した連鎖延長剤は例えばジアミンまたはジオールである。本発明によればジオールがより好ましい。本発明の範囲内で、2つ以上の連鎖延長剤の混合物も使用できる。
【0054】
適したジオールは原則的に当業者に公知である。本発明によれば、ジオールは好ましくは500g/モル未満の分子量を有する。本発明によれば、例えば、分子量50g/モル~220g/モルを有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族および/または脂環式ジオールを連鎖延長剤としてここで使用できる。アルキレン基中に2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特にジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-、および/またはデカ-アルキレングリコールが好ましい。本発明について、1,2-エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールが特に好ましい。
【0055】
本発明において適した連鎖延長剤(CE1)は、分枝化合物、例えば1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ピナコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたはシクロヘキサン-1,4-ジオールでもある。
【0056】
従って、さらなる実施態様において、本発明は、連鎖延長剤(CE1)がプロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびHQEEからなる群から選択される、先述の発泡ペレットに関する。
【0057】
使用される成分の量的な比はここで段階(b)に従って、25%~50%の範囲、好ましくは30%~45%の範囲、特に35%~40%の範囲のハードセグメント含有率が得られるように好ましく選択される。
【0058】
特段注記されない限り、ハードセグメント含有率は式(II)に従って計算される:
【数2】
【0059】
従って、本発明は、熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式
【数3】
に従って計算して25%~50%の範囲である、先述の発泡ペレットにも関する。
【0060】
本発明に関して、熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が25%未満であることも可能である。
【0061】
本発明に関して、組成物(C)はさらなる成分、例えばさらなるポリマーも含み得る。適したポリマー(P2)は例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニルコポリマーからなる群から、または熱可塑性エラストマーの群から選択され得る。さらなるポリマーは化石系または非化石系であってもよい。さらなるポリマーの適した量は、組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲、好ましくは組成物(C)の質量に対して3~25質量%の範囲、より好ましくは組成物(C)の質量に対して5~15質量%の範囲であることができる。
【0062】
従って、さらなる実施態様によれば、本発明は、組成物(C)が少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を、組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲、好ましくは組成物(C)の質量に対して3~25質量%の範囲、特に組成物(C)の質量に対して5~15質量%の範囲の量で含む、先述の発泡ペレットにも関する。
【0063】
組成物(C)が少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を含む場合、熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率は好ましくは20%~40%の範囲である。
【0064】
特段記載されない限り、本発明において、熱可塑性ブロックコポリマーの質量平均分子量MnはGPCによって、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)中に溶解して特定される。分子量は直列に配置された2つのGPCカラムを使用して特定される(PSSゲル; 100A; 5μ; 300×8mm、Jordi-Gel DVB; 混合床; 5μ; 250×10mm; カラム温度60℃; 流量1ml/分; RI検出器)。ここで較正はポリメチルメタクリレートを用いて行われ(EasyCal; PSS、マインツ製)、HFIPが溶離液として使用される。
【0065】
本発明による熱可塑性ポリウレタンまたはブレンドは、動的機械熱分析における特徴的な挙動を示すことが判明した。
【0066】
100℃で20時間熱処理した後に測定された試料について、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで動的機械熱分析(DMA測定)を行った。主な適用温度範囲T=-30℃-(-44)℃におけるDMA測定を用いて特定されるG’T=-30℃およびG’T=-44℃についての貯蔵弾性率を用いて
【数4】
として定義され、14℃のΔTをもたらす、計算された勾配Gappは、好ましくは0未満~-5の範囲、より好ましくは-0.4~-5の範囲、特に好ましくは-0.9~-3.5の範囲である。
【0067】
発泡熱可塑性ポリウレタンのそれぞれの特徴を特定するために、試料を細断し、次いで100℃で20時間熱処理した後に測定する。
【0068】
本発明は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)にも関する。
【0069】
好ましくは、熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率は、上記に開示される式(II)によって計算して25%~50%の範囲である。
【0070】
さらなる態様において、本発明は、発泡ペレットの製造方法にも関する。この場合、本発明は、以下の段階:
(i) 熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を準備する段階であって、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも成分(a)~(c):
(a) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(b) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(c) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得られるかまたは得ることができる、前記段階
(ii) 前記組成物(C)に圧力下で発泡剤を含浸または混合する段階、
(iii) 減圧によって前記組成物(C)を膨張させる段階
を含み、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数5】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、発泡ペレットの製造方法に関する。
【0071】
本発明において、組成物(C)はここで溶融物の形態またはペレットの形態で使用され得る。
【0072】
前記方法の好ましい実施態様、適した供給原料または混合比に関しては、相応して適用される上記の記述が参照される。
【0073】
本発明の方法はさらなる段階、例えば温度調節を含み得る。
【0074】
発泡ペレットを製造するために必要とされる組成物(C)の未膨張ポリマー混合物は、個々の成分から、およびさらに任意にさらなる成分、例えば加工助剤、安定剤、相溶化剤または顔料から、公知の方式で製造される。適したプロセスの例は、連続またはバッチ式での、混練機を用いた、または押出機、例えば同方向回転二軸押出機を用いた従来の混合プロセスである。
【0075】
相溶化剤または助剤、例えば安定剤の場合、それらは成分中に、後者の製造の間に既に組み込まれていてもよい。個々の成分は通常、混合プロセス前に合わせられるか、または混合を実施する装置に計量供給される。押出機の場合、成分を全て取入れ口に計量供給し、一緒に押出機内に搬送するか、または個々の成分を側方供給部を介して添加する。
【0076】
加工は、成分が可塑化された状態で存在する温度で行われる。その温度は成分の軟化または溶融範囲に依存するが、各々の成分の分解温度未満でなければならない。添加剤、例えば顔料または充填剤、または上述の慣例的な他の助剤も溶融されず、むしろ固体の状態で組み込まれる。
【0077】
充分に確立された方法を使用するさらなる実施態様もここで可能であり、出発材料の製造において使用されるプロセスを直接的に製造に組み込むことができる。
【0078】
例えば、ベルトプロセスの場合、スチレンポリマー、耐衝撃性改良剤、およびさらに充填剤または着色剤を、材料が押出機に供給されるベルトの端部で直接的に導入して、レンズ状の顆粒を得ることが可能である。押出プロセスを使用する際に材料を導入することも可能である。
【0079】
上述の慣例的な助剤のいくつかを、この段階で混合物に添加できる。
【0080】
本発明の発泡ペレットは一般に、かさ密度50g/l~200g/l、好ましくは60g/l~180g/l、特に好ましくは80g/l~150g/lを有する。かさ密度はDIN ISO 697に類似して測定され、ここで前記規格とは対照的に、上記の値の特定は体積0.5lを有する容器の代わりに体積10lを有する容器を使用することを含み、なぜなら、特に、低密度および高質量を有するフォームビーズについては、体積0.5lのみを使用する測定はあまりに不正確であるからである。
【0081】
上記のとおり、発泡ペレットの直径は0.5~30mm、好ましくは1~15mm、および特に3~12mmである。非球形、例えば細長いまたは円柱状の発泡ペレットについて、直径は最長寸法を意味する。
【0082】
発泡ペレットは、従来技術において公知の充分に確立された方法によって、
(i’) 本発明の組成物(C)を準備すること、
(ii’) 前記組成物に圧力下で発泡剤を含浸すること、
(iii’) 減圧によって前記組成物を膨張させること
によって製造され得る。
【0083】
発泡剤の量は、組成物(C)の使用量100質量部に対して好ましくは0.1~40質量部、特に0.5~35質量部、および特に好ましくは1~30質量部である。
【0084】
上述の方法の1つの実施態様は、
(i’) 本発明の組成物(C)をペレットの形態で準備すること、
(ii’) 前記ペレットに圧力下で発泡剤を含浸すること、
(iii’) 減圧によって前記ペレットを膨張させること
を含む。
【0085】
上述の方法のさらなる実施態様は、さらなる段階:
(i’) 本発明の組成物(C)をペレットの形態で準備すること、
(ii’) 前記ペレットに圧力下で発泡剤を含浸すること、
(iii’-a) 前記ペレットを発泡させずに、任意に温度を予め低下させることによって、標準圧力に減圧すること、
(iii’-b) 昇温によって前記ペレットを発泡させること
を含む。
【0086】
未膨張のペレットは、ここで好ましくは平均最小直径0.2~10mmを有する(ペレットの3D評価を介して、例えばMicrotrac製のPartAn 3D光学測定装置を使用した動的画像解析を介して特定)。
【0087】
個々のペレットは一般に、0.1~50mgの範囲、好ましくは4~40mgの範囲、および特に好ましくは7~32mgの範囲の平均質量を有する。ペレットのこの平均質量(粒子重量)は、それぞれ10個のペレット粒子の3回の計量操作による算術平均として特定される。
【0088】
上述の方法の1つの実施態様は、段階(I)において前記ペレットに圧力下で発泡剤を含浸すること、および引き続き段階(II)において前記ペレットを発泡させることを含む:
(I) 発泡剤の存在下で高められた温度で、適した閉反応容器(例えばオートクレーブ)内で前記ペレットを圧力下で含浸すること
(II) 冷却せずに急激に減圧すること。
【0089】
段階(I)における含浸はここで、水および任意に懸濁助剤の存在下で、または発泡剤だけの存在下で且つ水の不在下で行われ得る。
【0090】
適した懸濁助剤は、例えば水不溶性の無機安定剤、例えばリン酸三カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、金属炭酸塩、およびさらに、ポリビニルアルコールおよび界面活性剤、例えばドデシルアリールスルホン酸ナトリウムである。それらは典型的には本発明の組成物に対し0.05~10質量%の量で使用される。
【0091】
選択される圧力に依存して、含浸温度は100℃~200℃の範囲であり、ここで反応容器内の圧力は2~150bar、好ましくは5~100bar、特に好ましくは20~60barであり、含浸時間は一般に0.5~10時間である。
【0092】
懸濁液中で前記方法を行うことは当業者に公知であり、且つ例えば国際公開第2007/082838号(WO2007/082838)内に広範に記載されている。
【0093】
発泡剤の不在下で前記方法を行う場合、ポリマーペレットの凝集を回避するように注意しなければならない。
【0094】
適した閉反応容器内で前記方法を行うために適した発泡剤は、例えば有機の液体、および加工条件下で気体状態であるガス、例えば炭化水素、または無機のガス、または有機の液体またはガスと無機のガスとの混合物であり、ここでそれらが組み合わせられてもよい。
【0095】
適した炭化水素の例は、ハロゲン化または非ハロゲン化、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素、好ましくは非ハロゲン化、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素である。
【0096】
好ましい有機発泡剤は、特に3~8個の炭素原子を有する、飽和の脂肪族炭化水素、例えばブタンまたはペンタンである。
【0097】
適した無機のガスは窒素、空気、アンモニアまたは二酸化炭素、好ましくは窒素または二酸化炭素、または上述のガスの混合物である。
【0098】
さらなる実施態様において、前記ペレットに圧力下で発泡剤を含浸することは、段階(α)および(β):
(α) 発泡剤の存在下で高められた温度で、押出機内で前記ペレットを圧力下で含浸すること
(β) 制御されない発泡を防ぐ条件下で、押出機から出てくる組成物をペレット化すること
におけるプロセスおよび引き続く前記ペレットの膨張
を含む。
【0099】
この変法において適した発泡剤は、標準圧力、1013mbarで沸点-25℃~150℃、特に-10℃~125℃を有する揮発性有機化合物である。炭化水素(好ましくはハロゲン不含)、特にC4~10アルカン、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンの異性体、特に好ましくはイソブタンがよく適している。さらなる可能な発泡剤はさらに、立体的により要求が厳しい化合物、例えばアルコール、ケトン、エステル、エーテルおよび有機カーボネートである。
【0100】
この場合、組成物は、溶融しながら、押出機内で、段階(ii)において圧力下で押出機に供給される発泡剤と混合される。発泡剤を含む混合物が、好ましくは中程度のレベルに制御された逆圧を使用して、圧力下で押出されてペレット化される(一例は水中ペレット化)。そのプロセスにおいて溶融ストランドが発泡し、ペレット化が発泡ペレットをもたらす。
【0101】
押出を介して前記方法を行うことは当業者に公知であり、且つ例えば国際公開第2007/082838号(WO2007/082838)内に、およびさらに国際公開第2013/153190号(WO2013/153190 A1)内に広範に記載されている。
【0102】
使用され得る押出機は、従来のスクリューに基づく機械のいずれか、特に一軸および二軸押出機(例えばZSK型(Werner&Pfleiderer製))、同時混練機、Kombiplast機、MPC混練ミキサー、FCMミキサー、KEX混練スクリュー押出機、およびせん断ロール押出機であり、例えばSaechtling(編)、Kunststoff-Taschenbuch[プラスチックハンドブック]、第27版、Hanser-Verlag、Munich 1998、第3.2.1章および3.2.4章に記載される。押出機を通常、組成物(C)が溶融物として存在する温度、例えば120℃~250℃、特に150~210℃で、且つ発泡剤の添加後に40~200bar、好ましくは60~150bar、特に好ましくは80~120barの圧力で稼働して、発泡剤と溶融物との均質化を確実にする。
【0103】
前記方法はここで、1つの押出機内で、または1つ以上の押出機で構成される設備において実施され得る。従って例えば、第1の押出機において成分を溶融して配合し、発泡剤を注入できる。第2の押出機において、含浸された溶融物を均質化し、温度および/または圧力を調節する。例えば、3つの押出機を互いに組み合わせる場合、成分の混合および発泡剤の注入を2つの異なるプロセス区域の間で分割することもできる。好ましくは、1つだけの押出機が使用される場合、プロセス段階の全て(溶融、混合、発泡剤の注入、均質化および温度および/または圧力の調整)は単独の押出機内で行われる。
【0104】
代替として、且つ国際公開第2014/150122号(WO2014/150122)または国際公開第2014/150124号(WO2014/150124 A1)に記載される方法により、任意に既に着色されている相応の発泡ペレットを、前記ペレットから直接的に製造でき、その際、相応のペレットを超臨界液体で飽和し、その超臨界液体から取り出し、続いて
(i’’) 前記物品を加熱された流体中に含浸するか、または
(ii’’) 前記物品をエネルギー放射線で照射する(例えば赤外線またはマイクロ波照射)。
【0105】
適した超臨界液体の例は国際公開第2014/150122号に記載されるもの、または例えば二酸化炭素、二酸化窒素、エタン、エチレン、酸素または窒素、好ましくは二酸化炭素または窒素である。
【0106】
超臨界液体はここで、9MPa-1/2以上のヒルデブラント溶解パラメータを有する極性液体も含み得る。
【0107】
超臨界流体または加熱流体はここで、着色剤も含むことができ、その結果、着色された発泡物品が得られる。
【0108】
本発明はさらに、本発明の発泡ペレットから製造された成形体を提供する。
【0109】
相応の成形体は、当業者に公知の方法によって製造できる。
【0110】
フォーム成形体を製造するためのここで好ましい方法は、以下の段階:
(A) 本発明の発泡ペレットを適切な型に導入する段階、
(B) 段階(i)からの本発明の発泡ペレットを融着する段階
を含む。
【0111】
段階(B)における融着は、好ましくは閉じられた型内で行われ、ここで融着は蒸気、熱空気(例えば欧州特許第1979401号明細書(EP1979401 B1)に記載)、またはエネルギー放射線(マイクロ波または電波)を用いて行われ得る。
【0112】
発泡ペレットを融着する間の温度は、好ましくはビーズフォームが製造されたポリマーの溶融温度未満かまたはそれに近い。従って、広範に使用されるポリマーについて、発泡ペレットを融着するための温度は100℃~180℃、好ましくは120~150℃である。
【0113】
温度プロファイル/滞留時間はここで個別に、例えば米国特許出願公開第2015/0337102号明細書(US20150337102)または欧州特許第2872309号明細書(EP2872309B1)内に記載される方法に類似して確認することができる。
【0114】
エネルギー放射線による融着は一般に、マイクロ波または電波の周波数範囲で、任意に水または他の極性液体、例えば極性基を有するマイクロ波吸収炭化水素(例えばカルボン酸およびジオールまたはトリオールのエステル、またはグリコールおよび液体のポリエチレングリコール)の存在下で行われ、且つ欧州特許出願公開第3053732号明細書(EP3053732 A)または国際公開第2016/146537号(WO16146537)に記載される方法に類似して行われ得る。
【0115】
上記のとおり、発泡ペレットは着色剤も含み得る。着色剤はここで、様々な方法で添加され得る。
【0116】
1つの実施態様において、製造された発泡ペレットを製造後に着色できる。この場合、相応の発泡ペレットを、着色剤を含むキャリア液と接触させ、ここでキャリア液(CL)は、発泡ペレット中へのキャリア液の吸着が起こるために適した極性を有する。これは、出願番号17198591.4を有する欧州出願に記載される方法に類似して行われ得る。
【0117】
適した着色剤の例は無機または有機顔料である。適した天然または合成の無機顔料の例は、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト化合物、酸化クロム化合物、酸化銅化合物である。適した有機顔料の例は、アゾ顔料および多環顔料である。
【0118】
さらなる実施態様において、発泡ペレットを製造する間に色を加えることができる。例えば、押出を介して発泡ペレットを製造する間に、着色剤を押出機に添加できる。
【0119】
代替として、発泡ペレットを製造するための出発材料として、既に着色されている材料を使用でき、これが押出されるか、または上述の方法によって閉容器内で膨張される。
【0120】
さらに、国際公開第2014/150122号に記載される方法において、超臨界液体または加熱液体は着色剤を含み得る。
【0121】
上述のとおり、本発明の成形品は、靴およびスポーツ靴の分野の要件における上述の用途のために有利な特性を有する。
【0122】
この場合、発泡ペレットから製造される成形体の引張特性および圧縮特性は、引張強さが600kPaを上回り(DIN EN ISO 1798、2008年4月)、破断伸びが100%を上回り(DIN EN ISO 1798、2008年4月)、且つ圧縮応力が、10%の圧縮で15kPaを上回る(DIN EN ISO 844、2014年11月に類似し、前記規格からのずれは試料の高さが50mmの代わりに20mmであることであり、従って試験速度は2mm/分に調節される)という事実によって識別され得る。
【0123】
発泡ペレットから製造される成形体の反発弾性率は55%を上回る(DIN 53512(2000年4月)に類似し、前記規格からのずれは、12mmであるべき試験試料の高さであり、この試験においては試料の「貫通」および基材の測定を回避するために20mmが使用される)。
【0124】
上述のとおり、製造される成形体の密度と圧縮特性との間には関係がある。製造される成形体の密度は有利には75~375kg/m3、好ましくは100~300kg/m3、特に好ましくは150~200kg/m3である(DIN EN ISO 845、2009年10月)。
【0125】
成形品の密度の、本発明の発泡ペレットのかさ密度に対する比はここで、一般に1.5~2.5、好ましくは1.8~2.0である。
【0126】
本発明はさらに、靴の中間底、靴の中敷き、靴の合わせ底(combisole)、自転車のサドル、自転車のタイヤ、防振部材、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルムのための成形体を製造するための、自動車の内装および外装における部材における、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材としての、本発明の発泡ペレットの使用を提供する。本発明はさらに、消費財または産業財、自動車分野における部品、または包装材を製造するための、本発明の発泡ペレットの使用を提供する。
【0127】
本発明の発泡ペレットを、靴の靴の中間底、靴の中敷き、靴の合わせ底のための成形体、または靴用の緩衝部材を製造するために使用することが好ましい。ここで、靴は好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴である。
【0128】
従って、本発明はさらに、靴のための、好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴のためのための靴の合わせ底、特に外靴底(outer shoe sole)の一部、サッカー靴の一部である成形体も提供する。
【0129】
従って、本発明はさらに、靴のための、好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴のための中間底、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部である成形体も提供する。
【0130】
従って、本発明はさらに、靴のための、好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴のための中敷き、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部である、成形体も提供する。
【0131】
従って、本発明はさらに、靴のための、好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴のためのための緩衝部材である成形体も提供する。
【0132】
緩衝部材はここで、例えばかかと領域または足の前部領域において使用され得る。
【0133】
従って、本発明はさらに、本発明の成形体が、間底、中間底、または例えばかかと領域または足の前部領域における緩衝材として使用される靴であって、好ましくはアウトドア靴、スポーツ靴、サンダル、ブーツまたは安全靴、特に好ましくはスポーツ靴である前記靴も提供する。
【0134】
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットにも関する。
【0135】
本発明によって使用されるブロックコポリマーは典型的には芳香族ポリエステルで構成される硬質相と軟質相とを有する。既にそれ自体ポリマーであり従って長鎖である分子からの構築に起因する、それらの予め定められたブロック構造、例えばポリテトラヒドロフランビルディングブロックおよびポリブチレンテレフタレートビルディングブロックのために、本発明により使用されるブロックコポリマーは弾性の軟質相と硬い硬質相との間で良好な相分離を有する。この良好な相分離は、高い「スナップバック」と称される(しかし物理的な方法を使用してかなり苦労してのみ評価され得る)特性において現れ、本発明の発泡ペレットの特に有利な特性をみちびく。
【0136】
良好な機械的特性および良好な温度挙動のために、本発明のポリマーフォームは成形体を製造するために特に適している。成形体は例えば本発明の発泡ペレットから融着または結合によって製造され得る。
【0137】
さらなる態様において、本発明は、本発明の発泡ペレットの、または成形体を製造するための本発明の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットの使用にも関する。従って、さらなる実施態様において、本発明は、本発明の発泡ペレットの、または成形体を製造するための本発明の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットの使用であって、前記成形体がビーズを互いに融着または結合させることによって製造される、前記使用にも関する。
【0138】
本発明により得られる成形体は、例えば靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材を製造するために、ボールおよびスポーツ用品において、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとして、適している。
【0139】
従って、さらなる実施態様において、本発明は、成形体を製造するための、本発明の発泡ペレットの、または本発明の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットの使用であって、前記成形体が靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材である、前記使用にも関する。
【0140】
さらなる態様において、本発明は、本発明の発泡ペレットのまたは発泡ビーズの、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとしての使用にも関する。
【0141】
さらなる態様において、本発明は、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットとを含むハイブリッド材料にも関する。発泡ペレットとマトリックス材料とを含む材料は、本発明においてはハイブリッド材料と称される。ここで、マトリックス材料は緻密な材料で構成されてもよいし、フォームで構成されてもよい。
【0142】
マトリックス材料として適したポリマー(PM)は当業者に自体公知である。例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エポキシド系結合剤、またはポリウレタンが本発明において適している。この場合、本発明によれば、ポリウレタンフォームまたは緻密なポリウレタン、例えば熱可塑性ポリウレタンが適している。
【0143】
本発明によれば、ここでポリマー(PM)は、機械的に安定なハイブリッド材料を得るために、発泡ペレットとマトリックスとの間に充分な付着性があるように選択される。
【0144】
マトリックスはここで、完全または部分的に発泡ペレットを取り囲むことができる。本発明によれば、ハイブリッド材料はさらなる成分、例えばさらなる充填剤またはペレットも含み得る。本発明によれば、ハイブリッド材料は異なるポリマー(PM)の混合物も含み得る。ハイブリッド材料は発泡ペレットの混合物も含み得る。
【0145】
本発明による発泡ペレットに追加して使用され得る発泡ペレットは当業者に自体公知である。熱可塑性ポリウレタンで構成される発泡ペレットが本発明において特に適している。
【0146】
従って、1つの実施態様において、本発明は、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットと、熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレットとを含むハイブリッド材料にも関する。
【0147】
本発明において、マトリックスはポリマー(PM)からなる。本発明において適したマトリックス材料の例は、エラストマーまたはフォーム、特にポリウレタンに基づくフォーム、例えばエラストマー、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマーまたは熱可塑性ポリウレタンである。
【0148】
従って、本発明は、ポリマー(PM)がエラストマーである、先述のハイブリッド材料にも関する。本発明はさらに、ポリマー(PM)がエチレン酢酸ビニルコポリマーおよび熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、先述のハイブリッド材料に関する。
【0149】
1つの実施態様において、本発明は、エチレン酢酸ビニルコポリマーで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットとを含むハイブリッド材料にも関する。
【0150】
さらなる実施態様において、本発明は、エチレン酢酸ビニルコポリマーで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットと、例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0151】
1つの実施態様において、本発明は、熱可塑性ポリウレタンで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0152】
さらなる実施態様において、本発明は、熱可塑性ポリウレタンで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットと、例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0153】
適した熱可塑性ポリウレタンは当業者に自体公知である。適した熱可塑性ポリウレタンは、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第7巻、Polyurethane[ポリウレタン]」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3章内に記載されている。
【0154】
本発明において、ポリマー(PM)は好ましくはポリウレタンである。本発明の意味における「ポリウレタン」は、全ての公知の弾性のポリイソシアネート重付加生成物を包含する。それらは特に、緻密なポリイソシアネート重付加生成物、例えば粘弾性ゲルまたは熱可塑性ポリウレタン、およびポリイソシアネート重付加生成物に基づく弾性フォーム、例えば軟質フォーム、半硬質フォームまたはインテグラルフォームを含む。本発明の意味において、「ポリウレタン」は、ポリウレタンとさらなるポリマーとを含む弾性のポリマーブレンド、およびそれらのポリマーブレンドのフォームも意味するとも理解される。マトリックスは好ましくは硬化した緻密なポリウレタン結合剤、弾性ポリウレタンフォームまたは粘弾性ゲルである。
【0155】
本発明において、「ポリウレタン結合剤」はここで、少なくとも50質量%の程度まで、好ましくは少なくとも80質量%の程度まで、および特に少なくとも95質量%の程度まで、イソシアネート基を有するプレポリマー(以降でイソシアネートプレポリマーと称される)からなる混合物を意味すると理解される。本発明によるポリウレタン結合剤の粘度は、DIN 53 018に準拠して25℃で測定して、好ましくはここで、500~4000mPa・s、特に好ましくは1000~3000mPa・sの範囲である。
【0156】
本発明に関して、「ポリウレタンフォーム」は、DIN 7726に準拠するフォームを意味すると理解される。
【0157】
マトリックス材料の密度は好ましくは1.2~0.01g/cm3の範囲である。マトリックス材料は特に好ましくは0.8~0.1g/cm3、特に0.6~0.3g/cm3の範囲の密度を有する弾性フォームまたはインテグラルフォーム、または緻密な材料、例えば硬化したポリウレタン結合剤である。
【0158】
フォームは特に適したマトリックス材料である。ポリウレタンフォームで構成されるマトリックス材料を含むハイブリッド材料は好ましくは、マトリックス材料と発泡ペレットとの間の良好な付着性を示す。
【0159】
1つの実施態様において、本発明は、ポリウレタンフォームで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットとを含むハイブリッド材料にも関する。
【0160】
さらなる実施態様において、本発明は、ポリウレタンフォームで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットと、例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0161】
1つの実施態様において、本発明は、ポリウレタンインテグラルフォームで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0162】
さらなる実施態様において、本発明は、ポリウレタンインテグラルフォームで構成されるマトリックスと、本発明による発泡ペレットと、例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレットとを含むハイブリッド材料に関する。
【0163】
マトリックスとしてのポリマー(PM)と本発明の発泡ペレットとを含む本発明のハイブリッド材料は、例えば、ポリマー(PM)および発泡ペレットを製造するために使用される成分を任意にさらなる成分と混合し、それらを反応させてハイブリッド材料をもたらすことによって製造することができ、ここで前記反応は好ましくは発泡ペレットが本質的に安定である条件下で行われる。
【0164】
ポリマー(PM)、特にエチレン酢酸ビニルコポリマーまたはポリウレタンを製造するために適した方法および反応条件は、当業者に自体公知である。
【0165】
好ましい実施態様において、本発明のハイブリッド材料はインテグラルフォーム、特にポリウレタンに基づくインテグラルフォームである。インテグラルフォームを製造するために適した方法は、当業者に自体公知である。インテグラルフォームは好ましくは、閉じられた、有利には温度制御された型内での、低圧または高圧技術を使用するワンショット法によって製造される。型は好ましくは金属、例えばアルミニウムまたは鋼製である。それらの手順は例えばPiechotaおよびRoehrによる「lntegralschaumstoff」[インテグラルフォーム]、Carl-Hanser-Verlag、Munich、Vienna、1975内、または「Kunststoff-Handbuch」[プラスチックハンドブック]、第7巻、「Polyurethane」[ポリウレタン]、第3版、1993、第7章内に記載されている。
【0166】
本発明のハイブリッド材料がインテグラルフォームを含む場合、型に導入される反応混合物の量は、インテグラルフォームで構成される得られる成形体が0.08~0.70g/cm3、特に0.12~0.60g/cm3の密度を有するように設定される。緻密な表面領域と多孔性のコアとを有する成形体を製造するための圧密化の程度は、1.1~8.5、好ましくは2.1~7.0の範囲である。
【0167】
従って、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、その中に含有される本発明の発泡ペレットとを有し、発泡ビーズが均質に分布しているハイブリッド材料を製造することが可能である。本発明の発泡ペレットは、ハイブリッド材料を製造するための方法において使用し易く、なぜなら、個々のビーズが、それらの小さいサイズのために自由に流動し、且つ加工に特別な要件を課さないからである。発泡ペレットを均質に分布させるための技術、例えば型の低速回転がここで使用され得る。
【0168】
本発明のハイブリッド材料を製造するために、さらなる助剤および/または添加剤を反応混合物に任意に添加することもできる。例えば界面活性物質、泡安定剤、セル制御剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、加水分解安定剤、臭気吸収物質および静真菌性および静菌性物質が挙げられる。
【0169】
使用できる界面活性物質の例は、出発材料の均質化を支えるために役立ち、且つ任意にセル構造を制御するためも適している化合物である。例えば乳化剤、例えば硫酸化ひまし油または脂肪酸のナトリウム塩、および脂肪酸とアミンとの塩、例えばジエチルアミンオレエート、ジエタノールアミンステアレート、ジエタノールアミンリシノレエート、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼン-またはジナフチルメタンジスルホン酸およびリシノール酸のアルカリ金属またはアンモニウム塩; 泡安定剤、例えばシロキサン-オキシアルキレンコポリマーおよび他のオルガノポリシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、パラフィン油、ひまし油エステルまたはリシノール酸エステル、ロート油および落花生油、およびセル制御剤、例えばパラフィン、脂肪アルコールおよびジメチルポリシロキサンが挙げられる。側基としてポリオキシアルキレン基およびフルオロアルカン基を有するオリゴマーのアクリレートも、乳化作用、セル構造および/またはフォームの安定化を改善するために適している。
【0170】
適した離型剤は例えば、脂肪酸エステルとポリイソシアネートとの反応生成物、アミノ基含有ポリシロキサンと脂肪酸との塩、少なくとも8個の炭素原子を有する飽和または不飽和(環式)脂肪族カルボン酸と第三級アミンとの塩、および特に内部離型剤、例えばモンタン酸と少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸との混合物と、少なくとも二官能性のアルカノールアミン、分子量60~400を有するポリオールおよび/またはポリアミンとのエステル化またはアミド化によって製造されるカルボン酸エステルおよび/またはカルボン酸アミド、有機アミンと、ステアリン酸の金属塩と、有機モノカルボン酸および/またはジカルボン酸またはそれらの無水物との混合物、またはイミノ化合物と、カルボン酸の金属塩と、任意にカルボン酸との混合物を含む。
【0171】
充填剤、特に強化充填剤は、慣例的な有機および無機充填剤、強化剤、増量剤、塗料およびコーティング組成物の摩耗挙動の改善剤等を意味すると理解され、それらは自体公知である。挙げられる具体的な例は、無機充填剤、例えばケイ質鉱物、例えば層状ケイ酸塩、例えばアンティゴライト、ベントナイト、蛇紋石、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、タルク、金属酸化物、例えばカオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄、金属塩、例えばチョーク、バライト、および無機顔料、例えば硫化カドミウム、硫化亜鉛、およびさらにガラスなどである。カオリン(チャイナクレー)、ケイ酸アルミニウム、および硫酸バリウムとケイ酸アルミニウムの共沈物、およびさらに天然および合成の繊維状鉱物、例えばウォラストナイト、金属繊維、および特に様々な長さのガラス繊維であって任意にサイズ設定され得るものが好ましい。使用できる有機充填剤の例は、カーボンブラック、メラミン、コロホニー、シクロペンタジエニル樹脂およびグラフトポリマー、およびさらにセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維であって芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸エステルに基づくもの、および特に炭素繊維である。
【0172】
無機および有機充填剤を個別にまたは混合物として使用できる。
【0173】
本発明のハイブリッド材料において、発泡ペレットの体積割合は、各々本発明のハイブリッド系の体積に対して好ましくは20体積パーセント以上、特に好ましくは50体積パーセント以上、好ましくは80体積パーセント以上、および特に90体積パーセント以上である。
【0174】
本発明のハイブリッド材料、特に多孔性ポリウレタンで構成されるマトリックスを有するハイブリッド材料は、本発明の発泡ペレットに対するマトリックス材料の非常に良好な付着性を特徴とする。結果として、好ましくは本発明のハイブリッド材料はマトリックス材料と発泡ペレットとの間での引裂がない。これは、従来のポリマー材料、特に従来のポリウレタン材料に比して、所定の密度について改善された機械的特性、例えば引裂伝播抵抗および弾性を有するハイブリッド材料を製造することを可能にする。
【0175】
インテグラルフォームの形態での本発明のハイブリッド材料の弾性率は、DIN 53512に準拠して好ましくは40%を上回り、特に好ましくは50%を上回る。
【0176】
本発明のハイブリッド材料、特にインテグラルフォームに基づくものはさらに、低密度で高い反発弾性率を示す。従って、インテグラルフォームに基づく本発明のハイブリッド材料は、特に靴底のための材料として抜群に適している。結果として、良好な耐久性を有する軽量且つ快適な底が得られる。そのような材料は、スポーツ靴用の中間底として特に適している。
【0177】
多孔性マトリックスを有する本発明のハイブリッド材料は、例えば、緩衝材、例えば家具の緩衝材、およびマットレスのために適している。
【0178】
粘弾性ゲルで構成されるマトリックスを有するハイブリッド材料は特に、増加された粘弾性および改善された弾性特性を特徴とする。従って、それらの材料は、例えばシート、特にサドル、例えば自転車のサドルまたはオートバイのサドルのための緩衝材料としても適している。
【0179】
緻密なマトリックスを有するハイブリッド材料は例えば、床被覆材として、特に遊び場、トラックおよびフィールド表面、スポーツフィールドおよびスポーツホールのための被覆材として適している。
【0180】
本発明のハイブリッド材料の特性は、使用されるポリマー(PM)に依存して広い範囲内で変化することができ、特に膨張ペレットの大きさ、形状および性質を変化させること、またはさらなる添加剤を添加すること、例えば発泡していないペレット、例えばプラスチックペレット、例えばゴムペレットを添加することによっても、広い制限内で変化できる。
【0181】
本発明のハイブリッド材料は高い耐久性および靱性を有し、それは特に高い引張強さおよび破断伸びによって明らかである。さらに、本発明のハイブリッド材料は低い密度を有する。
【0182】
本発明のさらなる実施態様は特許請求の範囲および実施例に記載されている。上述且つ以下で説明される本発明による主題/方法/使用の特徴は、各々の場合に特定された組み合わせのみでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせにおいても有用であることが理解される。従って、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、またはさらに特徴付けられていない特徴と特に好ましい特徴との組み合わせなども、この組み合わせが明示的に言及されていなくても、暗示的に包含される。
【0183】
本発明の例示的な実施態様を以下に列挙するが、それらは本発明を限定するものではない。特に、本発明は、従属して参照すること、ひいては以下で特定される組み合わせからもたらされるそれらの実施態様も包含する。
【0184】
実施態様(1)は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットであって、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数6】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記発泡ペレットに関する。
【0185】
実施態様(1)を具体化する好ましい実施態様(2)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで特定される貯蔵弾性率G’(20℃)が55MPa未満である、前記発泡ペレットに関する。
【0186】
実施態様(1)または(2)を具体化する好ましい実施態様(3)は、前記連鎖延長剤(CE1)がプロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびHQEEからなる群から選択される、前記発泡ペレットに関する。
【0187】
実施態様(1)から(3)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(4)は、前記ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、例えばポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを含む、前記発泡ペレットに関する。
【0188】
実施態様(1)から(4)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(5)は、前記ポリオール組成物が、500g/モル~2000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、前記発泡ペレットに関する。
【0189】
実施態様(1)から(5)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(6)は、前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II):
【数7】
に従って計算して25%~50%の範囲である、前記発泡ペレットに関する。
【0190】
実施態様(1)から(6)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(7)は、前記組成物(C)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を、前記組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲の量で含む、前記発泡ペレットに関する。
【0191】
さらなる実施態様(8)は、以下の段階:
(i) 熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を準備する段階であって、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも成分(a)~(c):
(a) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(b) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(c) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得られるかまたは得ることができる、前記段階
(ii) 前記組成物(C)に圧力下で発泡剤を含浸する段階、
(iii) 減圧によって前記組成物(C)を膨張させる段階
を含み、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数8】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、発泡ペレットの製造方法に関する。
【0192】
さらなる実施態様(9)は、実施態様(8)に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットに関する。
【0193】
さらなる実施態様(10)は、実施態様(1)から(7)まで、または(9)のいずれかに記載の発泡ペレットの、成形体を製造するための使用に関する。
【0194】
実施態様(10)を具体化する好ましい実施態様(11)は、前記成形体が、ビーズを互いに融着または結合させることによって製造される、前記使用に関する。
【0195】
実施態様(10)または(11)を具体化する好ましい実施態様(12)は、前記成形体が靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材である、前記使用に関する。
【0196】
さらなる実施態様(13)は、実施態様(1)から(7)まで、または(9)のいずれかに記載の発泡ペレットの、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとしての使用に関する。
【0197】
さらなる実施態様(14)は、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、実施態様(1)から(7)まで、または(9)のいずれかに記載の発泡ペレット、または実施態様(8)に記載の方法によって得ることができるかまたは得られる発泡ペレットとを含む、ハイブリッド材料に関する。
【0198】
さらなる実施態様(15)は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットに関する。
【0199】
実施態様(15)を具体化する好ましい実施態様(16)は、前記熱可塑性ポリウレタンが、一般式(I):
【数9】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記発泡ペレットに関する。
【0200】
実施態様(15)または(16)を具体化する好ましい実施態様(17)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで特定される貯蔵弾性率G’(20℃)が55MPa未満である、前記発泡ペレットに関する。
【0201】
実施態様(15)から(17)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(18)は、前記連鎖延長剤(CE1)がプロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびHQEEからなる群から選択される、前記発泡ペレットに関する。
【0202】
実施態様(15)から(18)までのいずれかを具体化する好ましい実施態様(19)は、前記ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、例えばポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを含む、前記発泡ペレットに関する。
【0203】
実施態様(15)から(19)までのいずれか1つを具体化する好ましい実施態様(20)は、前記ポリオール組成物が、500g/モル~2000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、前記発泡ペレットに関する。
【0204】
実施態様(15)から(20)までのいずれか1つを具体化する好ましい実施態様(21)は、前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II):
【数10】
に従って計算して25%~50%の範囲である、前記発泡ペレットに関する。
【0205】
実施態様(15)から(21)までのいずれか1つを具体化する好ましい実施態様(22)は、前記組成物(C)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を、前記組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲の量で含む、前記発泡ペレットに関する。
【0206】
さらなる実施態様(23)は、以下の段階:
(i) 熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を準備する段階であって、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも成分(a)~(c):
(a) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(b) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(c) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得られるかまたは得ることができる、前記段階
(ii) 前記組成物(C)に圧力下で発泡剤を含浸する段階、
(iii) 減圧によって前記組成物(C)を膨張させる段階
を含む、発泡ペレットの製造方法に関する。
【0207】
実施態様(23)を具体化する好ましい実施態様(24)は、前記熱可塑性ポリウレタンが、一般式(I):
【数11】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記方法に関する。
【0208】
さらなる実施態様(25)は、実施態様(23)または(24)に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレットに関する。
【0209】
さらなる実施態様(26)は、実施態様(15)から(22)まで、または(25)のいずれかに記載の発泡ペレットの、成形体を製造するための使用に関する。
【0210】
実施態様(26)を具体化する好ましい実施態様(27)は、前記成形体が、ビーズを互いに融着または結合させることによって製造される、前記使用に関する。
【0211】
実施態様(26)または(27)を具体化する好ましい実施態様(28)は、前記成形体が靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材である、前記使用に関する。
【0212】
さらなる実施態様(29)は、実施態様(15)から(22)まで、または(25)のいずれかに記載の発泡ペレットの、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとしての使用に関する。
【0213】
さらなる実施態様(30)は、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、実施態様(15)から(22)まで、または(25)のいずれかに記載の発泡ペレット、または実施態様(23)または(24)に記載の方法によって得ることができるかまたは得られる発泡ペレットとを含む、ハイブリッド材料に関する。
【0214】
さらなる実施態様(31)は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)に関する。
【0215】
実施態様(31)を具体化する好ましい実施態様(32)は、前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II)に従って計算して25%~50%の範囲である、前記組成物に関する。
【0216】
実施態様(31)または(32)を具体化する好ましい実施態様(33)は、前記熱可塑性ポリウレタンが、一般式(I):
【数12】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定される、前記組成物に関する。
【0217】
以下の例は本発明を説明するために役立つが、本発明の対象に関して決して限定するものではない。
【実施例
【0218】
1. 材料
ポリオール1: OH価112および第一級OH基のみを有する非化石ポリエーテルポリオール(テトラメチレンオキシドに基づく、官能価:2)。
【0219】
ポリオール2: OH価112および第一級OH基のみを有する化石ポリエーテルポリオール(テトラメチレンオキシドに基づく、官能価:2)。
【0220】
連鎖延長剤1: 非化石1,4-ブタンジオール
連鎖延長剤2: 化石1,4-ブタンジオール
イソシアネート1: 非化石脂肪族イソシアネート(1,5-ペンタメチレンジイソシアネート)
イソシアネート2: 化石脂肪族イソシアネート(1,5-ペンタメチレンジイソシアネート)
触媒1: 2-エチルヘキサン酸スズ(II)(DOA中50%)
触媒2: 2-エチルヘキサン酸スズ(II)(DOA中10%)
酸化防止剤1: 立体障害フェノール
酸化防止剤2: 立体障害フェノール。
【0221】
2. 手動キャスティングによるTPU合成
以下の例のTPU1~8(組成表1参照):
ポリオールと連鎖延長剤とを一緒に、表1に記載される量に従って容器内に入れ、その容器を加熱オーブン内で100℃で貯蔵した。その混合物が100℃に達したら、触媒および添加剤を、力強く攪拌しながら添加した。イソシアネート1を、前記混合物に90℃で添加した。110℃で前記混合物を加熱プレート(125℃)上に注ぎ、形成されたスラブを10分間硬化させた。その後、スラブを加熱オーブンに移し、80℃で15時間熱処理した。次いで、そのポリマーを破砕し、得られた顆粒を射出成形のために使用した。
【0222】
【表1】
【0223】
3. 押出によるTPU合成
以下の例TPU9およびTPU10を作製した(組成表2参照):
TPU9およびTPU10の製造を、プロセス長さ48D(12ハウジング)を有する、Coperion社の二軸押出機ZSK58 MCにおいて行った。押出機からの溶融物の搬出は、ギアポンプによって行った。溶融ろ過後、ポリマー溶融物を水中造粒によって顆粒へと加工し、それを加熱渦床において40~90℃で連続的に乾燥させた。
【0224】
ポリオール、連鎖延長剤およびジイソシアネート、および必要な場合は触媒を、第1の領域に投入した。上述のとおり、さらなる添加剤の供給は領域8において行う。
【0225】
ハウジング温度は150~230℃の範囲である。溶融物の搬出および水中造粒を、210~245℃の溶融物温度で行う。スクリュー速度は180~240 1/分である。スループットは180~220kg/時間の範囲である。
【0226】
【表2】
【0227】
4. TPUブレンド
ポリマー1: ポリスチレンPS 158K、BASF社(2021)
以下の例のブレンド1~3(組成表3参照):
以下の例のブレンド1~3の作製を、3~4ハウジングを有するLabTech Engineering Company LTD社の一軸押出機LabTech LE20-30において行う。ポリマー溶融物を水中で加工してポリマーストランドが得られた。そのストランドを破砕し、得られた顆粒を射出成形のために使用した。
【0228】
【表3】
【0229】
100℃で20時間熱処理した後、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで動的機械熱分析(DMA測定)を行った。表4にG’T-44℃およびG’T-30℃についての貯蔵弾性率を示す。主な適用温度はT=-44℃~(-30℃)の間である。従って、ΔTは14℃である。この範囲にわたって、勾配Gappを計算した。
【0230】
勾配Gappは、
【数13】
として定義される。
【0231】
結果も表4に示す。
【0232】
【表4】
【0233】
5. 試験方法
材料の評価のために以下の測定方法を使用できる: DSC、DMA、TMA、NMR、FT-IR、GPC。
【0234】
密度 DIN EN ISO 1183-1:2019-09、手順A
ショアA硬さ DIN ISO 48-4:2021-02(平均値、押し込み3秒)
引張強さ DIN 53504:2017-03、試験試料S2、試験速度200mm/分
破断伸び DIN 53504:2017-03、試験試料S2、試験速度200mm/分
引裂抵抗 DIN ISO 34-1、手順B、方法(b): 2016-09
摩耗 DIN ISO 4649:2021-06、手順A、標準参照エラストマーNo.1
反発弾性率 DIN 53512:2000-4。
【0235】
6. 押出プロセス
膨張プロセスをCoperion社の二軸押出機(ZSK 40)において実施した。表5は使用されたTPUおよび添加剤の組成を示す。
【0236】
【表5】
【0237】
前記材料を最低5時間、70℃で乾燥させ、押出直前に残留湿度を0.02質量%未満にした。必要な場合、別の押出プロセスにおいて官能価2.05を有する4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(添加剤1)と混ぜ合わされた異なる量のTPUを、加工の間に添加した。成核剤として、粒子サイズD50=5.6μmを有する0.1%のタルカムを添加した。発泡剤として、CO2およびN2を溶融物中に注入した。ポリマーブレンド相手として、HDPE(添加剤3)を0~25%の範囲で使用した。添加される全ての材料、添加剤1~3、並びに発泡剤を、熱可塑性ポリウレタンと均質に混合した。表6は例1~4の種々の組成を示す。
【0238】
【表6】
【0239】
押出機内で全ての成分を混合した後、材料をまずギアポンプを通じて温度190℃でプレスし、次いで190℃に加熱されたダイプレートを通じてプレスした。顆粒を水中造粒システム(UWP)において切断および形成した。UWPからの搬送の間に、水の温度および圧力の定義された条件下で粒子が膨張する。前記材料を50℃で5時間乾燥させる前に、遠心乾燥機を使用して顆粒と水とを分離した。
【0240】
乾燥後、生じる発泡ビーズのかさ密度を測定する(DIN ISO 697: 1984-01に準拠)。
【0241】
使用された水温および水圧、発泡剤CO2およびN2の量、並びに粒子質量および生じるかさ密度など、種々の全ての例および参照例のプロセスの詳細を表6に列挙する。
【0242】
7. 容器含浸プロセス
容器含浸プロセスから発泡ビーズを作製するために、TPU10を、3~4ハウジングを有するLabTech Engineering Company LTD社の一軸押出機LabTech LE20-30にもたらした後、ストランド造粒して20mgの緻密な粒子を達成した。
【0243】
それらの粒子をその後、以下に記載されるように圧力容器内で発泡させた。
【0244】
実験は、閉じた圧力容器(含浸容器)内で、充填レベル80体積%および相比約0.41で実施される。圧力容器は絶対体積3.2lを有した。
【0245】
ストランド造粒されたTPU10からの100質量部の粒子、217質量部の水、および0.08質量部の界面活性物質(ここではDisponil LDBS25、5%に希釈)を、(緻密な粒子に対して)36質量%の発泡剤としてのn-ブタンと共に、圧力容器内へと操作しながら加熱した。
【0246】
50℃で、共発泡剤としての0.5kgの窒素を添加した。懸濁液の液相を所定の含浸温度(IMT)へと加熱した。
【0247】
この手順において、IMTで、気相中で定義された圧力(IMP)が形成される。
【0248】
IMTに達した後、圧力を解放し、容器の内容物全体(懸濁液)を、緩和装置を通じて大気圧下で容器(膨張容器)に注いだ。発泡ビーズが形成される。
【0249】
緩和段階の間、含浸容器内の圧力は窒素を用いて特定のレベルに固定された(絞り圧力SP)。
【0250】
分散剤および/または補助系(界面活性剤)を除去し、引き続き乾燥した後、生じる発泡ビーズのかさ密度を測定する。
【0251】
個々の例のIMT、容器内の最終圧力、およびかさ密度に関する詳細を表7に列挙する。
【0252】
【表7】
【0253】
8. スチームチェスト成形および機構
次の段階において、膨張した材料を、Kurtz ersa GmbH社のスチームチェスト成形機(Boost Foamer K68)を使用して、長さ200mm×200mmおよび厚さ10および20mmを有する正方形の試験プレートへと成形した。さらに、器具の可動側によってクラック蒸気処理(crack steam)を行った。成形パラメータを表8に列挙する。
【0254】
【表8】
【0255】
種々の材料を種々の機械的特性について試験した。結果を表9に列挙する。さらに、全ての方法を以下に記載する。
【0256】
引張強さおよび破断伸びは、2.5kNの力センサ(クラス0.5(10Nから)、DIN EN ISO 7500-1,2018)、ロングストローク伸び計(DIN EN ISO 9513,2013によるクラス1)および空圧クランプ(6bar、ピラミッドグリッドからの掴み具(Zwick T600 R))を備えた万能試験機を用いて測定される。
【0257】
試料(150mm×25.4mm×試験プレートの厚さ)を200×200×10mmの試験プレートから(寸法は収縮に起因してわずかに変化し得る)打抜型を用いて切り抜く。先に、試験プレートは少なくとも16時間、標準化された気候条件下(23±2℃、且つ湿度50±5%)で貯蔵された。測定も標準気候下で行う。各々の試料について密度を特定する。従って、質量(精密はかり、精度:±0.001g)および厚さ(ノギス、精度:±0.01mm、接触圧力100Pa、値は試料中央で一度だけ測定される)を測定する。長さ(150mm)および幅(25.4mm)は打抜型の寸法からわかる。
【0258】
測定を開始する前に、LE位置(75mm)およびロングストローク伸び計の距離d(50mm)を確認する。試料を上部クランプ上に配置し、力を風袋引きする。次いで、試料を掴み、測定を開始できる。試験速度100mm/分および荷重1Nで測定を行う。引張強さσmax(MPaで特定)の計算は、式(III)によって行われ、それが最大張力である。この張力は破断時の張力と同一であることができる。破断伸びε(%で特定)は式(IV)を使用して計算される。それらの試料を各々の材料について試験する。3つの測定からの平均値が示される。試験試料が選択された領域外で裂ける場合、これを記録する。他の試験試料を用いた繰り返しは実施されない。
【0259】
【数14】
σmax=引張強さ
max=最大張力[N]
D=試料の厚さ[mm]
B=試料の幅[mm]
【0260】
【数15】
ε=破断伸び
B=破断時の長さ[mm]
0=測定開始前の長さ[mm]。
【0261】
a. 圧縮硬さ
成形プレートの圧縮挙動を特定するために、寸法50mm×50mm×プレートの元の厚さ(一般に20mmだが厚さは収縮に起因してわずかに変化することがあり、スキンは除去されない)を有する3つの試料を、バンドソーによって前記プレートから採取する。
【0262】
各々の試料について、質量(精密はかり、精度:±0.001g)、および長さおよび厚さ(ノギス、精度:±0.01mm、接触圧力100Pa、値は試料中央で一度だけ測定される)を測定する。
【0263】
次いで、圧縮挙動を、50kNの力変換器(DIN EN ISO 7500-1:2018-06に準拠するクラス1)、クロスヘッドトラベルエンコーダ(DIN EN ISO 9513:2013に準拠するクラス1)、および穴のない2つの平行の圧力プレート(直径2000mm、最大許容荷重250kN、最大許容表面圧力300N/mm2)を用いて測定する。試料の密度を特定するために、測定された質量、長さおよび厚さの値をZwick社製の試験機のソフトウェアの試験仕様に入力する。試料の厚さを、万能試験機によって、5つの横断パス測定システム(精度:±0.25mm)を介して特定する。測定自体は、試験速度50mm/分および予備荷重1Nで用いて行う。kPaでの荷重を、10および50のところで記録する。4番目のサイクルの値を評価のために使用する。測定の間の試料は76%に圧縮される。
【0264】
測定は、1つのプレートから採取された3つの試料から行う。結果として、3つ全ての測定からの平均を取る。
【0265】
b. 反発弾性率
反発弾性率はDIN 53512(2000年4月)に類似して特定され、前記規格からのずれは、12mmであるべき試験試料の高さであり、この試験においては試料の「貫通」および基材の測定を回避するために20mmが使用される。
【0266】
【表9】
【0267】
引用文献
国際公開第1994/20568号
国際公開第2007/082838号
国際公開第2017/030835号
国際公開第2013/153190号
国際公開第2010/010010号
台湾特許出願公開第2020/12483号明細書
国際公開第2021/104536号
「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第7巻、Polyurethane[ポリウレタン]」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.1章
国際公開第2014/150122号
国際公開第2014/150124号
欧州特許出願公開第3053732号明細書
国際公開第2016/146537号
欧州特許出願第17198591.4号明細書(EP17198591.4)
「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第7巻、Polyurethane [ポリウレタン]」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3章
PiechotaおよびRoehrによる「lntegralschaumstoff」[インテグラルフォーム]、Carl-Hanser-Verlag、Munich、Vienna、1975、または「Kunststoff-Handbuch」[プラスチックハンドブック]、第7巻、「Polyurethane」[ポリウレタン]、第3版、1993、第7章。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(ii) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(iii) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得ることができるかまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を含む発泡ペレットであって、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数1】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定され
前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II):
【数2】
に従って計算して25%~50%の範囲である、
前記発泡ペレット。
【請求項2】
厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1Hzで特定される貯蔵弾性率G’(20℃)が55MPa未満である、請求項1に記載の発泡ペレット。
【請求項3】
前記連鎖延長剤(CE1)が、プロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびHQEEからなる群から選択される、請求項1または2に記載の発泡ペレット。
【請求項4】
前記ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、例えばポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項5】
前記ポリオール組成物が、500g/モル~2000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項6】
前記組成物(C)が、少なくとも1つのさらなるポリマー(P2)を、前記組成物(C)の質量に対して0.1~30質量%の範囲の量で含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の発泡ペレット。
【請求項7】
発泡ペレットの製造方法であって、以下の段階:
(i) 熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(C)を準備する段階であって、前記熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも成分(a)~(c):
(a) ペンタメチレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物(IC)、
(b) 少なくとも1つの連鎖延長剤(CE1)、
(c) ポリオール組成物(PC)
を反応させることによって得られるかまたは得ることができる、前記段階
(ii) 前記組成物(C)に圧力下で発泡剤を含浸する段階、
(iii) 減圧によって前記組成物(C)を膨張させる段階
を含み、前記熱可塑性ポリウレタンは、一般式(I):
【数3】
によって特定される0未満~-5の範囲の計算された勾配Gappを有し、ここで、G’(T=-30℃)およびG’(T=-44℃)は、厚さ2mmを有し且つ100℃で20時間熱処理された射出成形シートを使用して、DIN EN ISO 6721-2011-08に準拠して加熱速度2K/分、周波数1HzでDMAによって特定され
前記熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント含有率が、式(II):
【数4】
に従って計算して25%~50%の範囲である、
前記方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる発泡ペレット。
【請求項9】
請求項1からまで、またはのいずれか1項に記載の発泡ペレットの、成形体を製造するための使用。
【請求項10】
前記成形体が、ビーズを互いに融着または結合させることによって製造される、請求項に記載の使用。
【請求項11】
前記成形体が、靴底、靴底の一部、特に外靴底の一部、サッカー靴の一部、自転車のサドル、緩衝材、マットレス、下敷、グリップ、保護フィルム、自動車の内装および外装における部材である、請求項または10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1からまで、またはのいずれか1項に記載の発泡ペレットの、ボールおよびスポーツ用品における、または、特にスポーツ表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場および歩道のための床被覆材および壁パネルとしての使用。
【請求項13】
ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、請求項1からまで、またはのいずれか1項に記載の発泡ペレット、または請求項に記載の方法によって得ることができるかまたは得られる発泡ペレットとを含む、ハイブリッド材料。
【国際調査報告】