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特表2024-546971通信システム用の送信機および受信機、通信システムおよび情報を伝達する方法
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  • 特表-通信システム用の送信機および受信機、通信システムおよび情報を伝達する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】通信システム用の送信機および受信機、通信システムおよび情報を伝達する方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H04L27/26 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536047
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2022084099
(87)【国際公開番号】W WO2023110441
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133295.8
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505143972
【氏名又は名称】バイエリッシュ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ケレルマン,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】アルント,クリストフ
(57)【要約】
本発明の実施形態は、送信信号(120)を生成するとともに、複数のサブバンド(120a、…、120d)上で情報を変調するように構成された変調装置(110)を備える通信システム用の送信機(100)であって、サブバンド(120a、…、120d)のうちの少なくとも二つは異なる帯域幅を有する送信機を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を生成するとともに、複数のサブバンド上で情報を変調するように構成された変調装置であって、前記サブバンドのうちの少なくとも二つは異なる帯域幅を有する、通信システム用の送信機。
【請求項2】
前記複数のサブバンドの帯域幅は、サブバンドの中心周波数とともに単調に増加する、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
各サブバンド上で変調される情報の量は同一である、請求項1または2に記載の変調装置。
【請求項4】
有線媒体に結合されるように構成されている、前記送信信号のための出力をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項5】
異なる帯域幅の複数のサブバンドによって入力信号を復調するように、かつ各サブバンド(120a、…、120d)内の前記情報の量が同一になるように一つのサブバンドで送信された情報を再構成するように、構成された復調装置、
を備える、通信システム用の受信機。
【請求項6】
受信信号をディジタル化しディジタル入力信号として前記復調装置に供給するように構成されたアナログデジタル変換器をさらに備える、請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
自動車用の通信システムであって、
データバスと、
前記データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の第一の送信機を有する第一のノードと、
前記データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の第二の送信機を備える少なくとも一つの第二のノードと、
を備える、通信システム。
【請求項8】
前記第一のノードおよび前記第二のノードは、デイジーチェーン構成で前記データバスに結合されている、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8のいずれか一項に記載の通信システムを有する、自動車。
【請求項10】
情報を送信する方法であって、
第一のサブバンドへの情報を変調することと、
第二のサブバンドへの情報を変調することであって、ここで前記第一のサブバンドおよび前記第二のサブバンドは異なる帯域幅を有し、
前記第一のサブバンドと前記第二のサブバンドとを備える送信信号を送信することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、自動車内において、情報を伝達するための通信システム、送信機および受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、多くの用途で用いられ、例えば、自動車内の制御装置、快適装置および娯楽機器間での通信のために用いられている。車両内の電気的車載ネットワークおよび/または通信システムは、現在、配線に関して、ゾーン化の方向で開発されている。いくつかの独立したゾーンが通信システムによって互いに接続されている。ゾーン化に向かう傾向の一つの要因は、顧客固有のワイヤハーネスの高度な複雑性である。同時に、従来のいくつかの独立した機能は、多くの場合、高性能な統合プラットフォーム上に集中していた。その結果として生じるゾーンまたはゾーン統合モジュール、およびこのような統合プラットフォーム間では、大量のデータを運ぶとともに、短い待ち時間を保証する、すなわち、いくつかの使用事例を同時にサポートすることができる通信システムの一部として、高性能のバックボーンバスが必要である。ゾーンの数が少数、例えば、五つ未満に留まっている場合、原理的には、スイッチ型イーサネットがこれに適しているであろう。このことは、ゾーン化が、車両内の電源供給の細粒度(Granularitaet der Stromversorgung)に基づいている限り事実であろう。例えば、10~25のゾーンにおけるより大きなゾーン化の場合、スイッチ型システムは複雑すぎでありかつ高価であろう。しかし、車両用ワイヤハーネスを完全に自動化で製造しなければならない場合には、20~25のゾーンの方向でのゾーン化が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、例えば、自動車内に適応するためには、改良された通信システムを提供する必要がある。この要望は、独立項の送信機、受信機、通信システムおよび車両によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
通信システム用の送信機の実施形態は、複数のサブバンド上で情報を変調しながら送信信号を生成するように構成された変調装置を備え、サブバンドのうちの少なくとも二つは異なる帯域幅を有している。異なる幅のサブバンドに関する変調は、所要量の情報を各帯域で送信するとともに、従来の用途において通常必要な予備電源を備えるのに、トランシーバの電子装置、具体的には、入力信号をディジタル化するアナログデジタル変換器を特大サイズにする必要がないことを確実にすることができる。
【0005】
通信システム用の受信機の実施形態は、異なる帯域幅の複数のサブバンドで入力信号を復調し、および一つのサブバンドで送信された情報を再構成するように構成された復調装置を備えている。異なる帯域幅のいくつかのサブバンドによって入力信号を復調する能力は、従来の解決策と比較して、より少ない消費電力で処理しなければならない、受信機内のアナログデジタル変換器の利用を可能にし、このことは、例えば、コスト効率をより高くする。
【0006】
自動車用の通信システムの実施形態は、データバスと、データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された第一の送信装置の実施形態と、データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された第二の送信機の実施形態とを備える。送信機を用いることは、通信システムを、デイジーチェーンアーキテクチャーに確実かつ効率的に実装することを可能にする。
【0007】
このことを可能にする、情報を送信する方法の実施形態は、情報を第一のサブバンド上で変調することと、さらなる情報を第二のサブバンド上で変調することとを含み、第一のサブバンドと第二のサブバンドとは、異なる帯域幅を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、添付図面を参照して、これらの実施形態をより詳細に説明する。
図1】送信機の概略図である。
図2】受信機の概略図である。
図3】トランシーバの概略図である。
図4】送信可能なビットレートの帯域幅と、信号対雑音比との依存関係を示す。
図5】通信システムの構造の図である。
図6】自動車内の通信システムの概略図である。
図7】情報を受信する方法の実施形態のフローチャートである。
図8】情報を送信する方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、いくつかの実施形態が図示されている添付図面を参照して、さまざまな実施形態についてより完全に説明する。図面において、線、層および/または領域の厚さ寸法は、明確にするために誇張されている可能性がある。
【0010】
図1は、通信システム用の送信機100の実施形態の概略図を示す。
【0011】
送信機は、データバス150に接続され、および送信信号を生成するとともに、複数のサブバンド120a、120b、120cおよび120d上で情報を変調するように構成された変調装置110を備え、少なくとも二つのサブバンドは異なる帯域幅を有している。変調は、何らかの変調方法およびスキームを用いて実行することができる。各サブバンドは同様に、多数の、例えば、256、512または1024、の副搬送波を有している。実施例においては、四つのサブバンド120a、120b、120cおよび120dが図示されているが、追加的な実施形態においては、より多くのまたはより少ない数のサブバンドを用いてもよい。別のアプローチにおいては、いくつかのサブバンドを用いる直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplex:OFDM)方式において、同じ帯域幅のサブバンドが用いられ、それらのサブバンドは、送信された情報および/またはビットが復調される前に、逆フーリエ変換によって受信機側で分離される。このような従来の方法と比較して、異なる帯域幅のサブバンド上での変調は、所要量の情報を常に各帯域で送信できると同時に、トランシーバの電子装置、具体的には、入力信号をディジタル化するためのアナログデジタル変換器を、従来の用途において一般的に必要とされる予備電源を備えるために特大サイズにする必要がないことを確実にすることができる。このことは特に、サブバンド当たりの送信電力が動的に調節されない場合に別様に必要であろう。これが経時的に一定のままであれば、実装は、複雑さがかなり低く、および安価なものとなる。さらに、別様に必要であろう、受信機から送信機へ受信電力を伝達するための通信オーバヘッドが取り除かれる。
【0012】
異なる帯域幅のサブバンドの利点は、図2に概略的に示す受信機を、およびシステム全体、すなわち、図5に概略的に示すように、データバスを介してデイジーチェーンで互いに接続されているいくつかの送信機および受信機を有する通信システムに注目すれば明らかになる。送信機と受信機は、送信と受信の状況を良好に分けるために当初は図1および図2において別々に図示されているが、多くの実際の実施においては、単一のデバイス、および/または図6に示すノード520a、…、520dのうちの一つは、データバス510上で送信および受信の両方を行えること、すなわち、図3に概略的に示すようにトランシーバを含むことに留意すべきである。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、複数のトランシーバが、異なるサブバンド上で同時に送信している状態で、ノード520a~520dのうちの一つのトランシーバのうちの一つのみが、一度に、一つのサブバンドで、または、複数のサブバンドで、通信媒体および/またはデータバス510上で送信することができる。さらなる実施形態によれば、異なるトランシーバも異なる副搬送波を用いて同一のサブバンドで同時に送信することができる。
【0014】
図2は、受信機の概略図を示す。図1の送信機100に適合するように、受信機200は、異なる帯域幅の複数のサブバンド220a、…、220dによって入力信号220を復調し、一つのサブバンドで送信された情報を再構成する復調装置210を含んでいる。通信システムにおいて、異なるノードにおける送信機および受信機は、可変長のデータバスを介して互いに接続されている。さらに、二つの通信ノード間には、デイジーチェーン構成でさらなるノードがあってもよい。二つの通信ノード間に配設された追加的なノードも同様に追加的な挿入損失を引き起こす。そのため、受信機は、送信機によって放出された電力を受信しないが、電力は、送信中の送信機と受信中の受信機との間のデータバスの長さと、その間のノードの数とに依存して低減される。このようにして低減されたサブバンド220a、…、220d当たりの受信電力を、受信信号220の場合で図2に概略的に示す。図2は、X軸上の周波数と、Y軸上のdBm/Hzで周波数に対して正規化した電力を示す。図2は、導体上の信号の一般的な減衰挙動を示し、特に、高い周波数の信号は、低い周波数の信号よりも多く減衰される。その結果として、受信機に到達する信号電力は、送信電力がすべてのサブバンドに対して同一であれば、より高い中心周波数を有するサブバンドの方が、より低い中心周波数を有するサブバンドよりも低い。
【0015】
図3は、単に完全性のためにデータバス150に接続されているトランシーバ250を示す。トランシーバ250は、図1および図2の送信機100および受信機200の能力を有し、その結果、トランシーバは、データをデータバス150に送信することができるとともに、データバスからデータを読み取ることができる。
【0016】
図4は、サブバンドの帯域幅上で送信可能なビットレートと、信号対雑音比との依存関係の図を示す。受信機内の入力信号をディジタル化するADCは、通信システムのすべての用途および構成において、受信電力のすべてをディジタル化できるような寸法を有していなければならない。選択された変調形式は、予想される最大電力、量子化段階の数およびADCのダイナミックレンジとともに、ADCの最小限の分解能を決定する。ディジタル化される入力信号はベースバンド信号である。ADCは、量子化段階を有すれば有するほど、より多くの半導体スペースを必要とし、ADCはより高価になり、および潜在的に遅くなる。広帯域にわたって入力信号をディジタル化する受信機内のADCを設計する場合に考慮すべき電力成分が図3に概略的に図示されている。
【0017】
他の実施形態において、搬送波信号を用いる際に、データバスの媒体が、より高い周波数を運ぶことができる場合、入力信号は、搬送波信号からダウンミックスされたベースバンド信号とすることもできる。
【0018】
以下の考察の場合、システムの設計に対しては、チャンネルの特性(特にチャンネル減衰)が本質的に考慮される。そのため、ハードウェアの設計、ケーブルおよびPCBデザイン、および車両内の周囲騒音という意味で理解することができる背景雑音に本質的に起因するプロセス雑音310の雑音成分については詳細に議論しない。そのため、システムの設計に関して、チャンネル減衰320の成分、およびサブバンド330当たりで送信される情報のビットレートおよび/または量を考慮すべきである。後者は、図3に示すシャノン・ハートレーの定理によって説明される。この定理は、送信可能なビットの数を、サブバンドの帯域幅Bと信号対雑音比S/Nの関数として説明している。帯域幅Bが1Hzに設定されている場合、周波数に対して正規化された結果、すなわち、帯域幅当たりで送信できるビットの数が図示されている。データバスの最大可能長、およびノードの最大可能数は、最大チャンネル減衰を定義し、および低減された信号電力および信号対雑音比を介して方程式に含まれている。
【0019】
例えば、10ビット/Hzのビットレートで送信される場合、方程式は、わずか30dBの所要S/Nを結果として生じる。
【0020】
従来のシステムと同様に、および図2とは対照的に、すべてのサブバンドに同じ帯域幅が与えられている場合、ADCを特大サイズにしなければならないか、あるいはチャンネル減衰は、通信ノード間の距離、特に周波数に依存するため、ビットレートが無駄になるかのいずれかであろう。最初に、チャンネル減衰の通常の挙動が周波数とともに増加すると仮定すると、S/Nは、周波数の増加とともに減少する。サブバンド当たりで同じ量の情報を送信したい場合、ADCは、所要の分解能を用いて最高周波数のサブバンドの入力信号をディジタル化できるように設計されなければならないであろう。このことは、より高い受信電力をクリッピングを伴わずに処理できるようにするために、ADCは、より低い周波数のサブバンドのために特大サイズにしなければならないであろうことを意味する。このことを望まない場合には、ビットレートは無駄になるであろう。
【0021】
例えば、100kHzの周波数f1と、300MHzの周波数f2との間で直線的に減少するチャンネル減衰(例えば、0.1~0.5dB/m)を現実的に想定した場合、サブバンド当たり所要の一定のビットレートと、四つのサブバンド220a、…、220dを有する通信システムの構造は、図4に示す状況を生じるであろう。さらに、ノード当たりの挿入損失は1.5dBで、周波数に関して一定であると現実的に想定することができる。
【0022】
可能性のある最も悪いS/N値が、個々のサブバンド220a、…、220dの帯域幅を計算するのに用いられるべきである。周波数とともに単調に増加する減衰により、サブバンド220a、…、220dの各々の上端には、Xで印された値がある。このことは、所要のビットレートに対して各サブバンドの幅、または、特定の帯域幅に対してサブバンド当たりのビットレートをもたらす。例えば、サブバンド当たり同一のビットレートが必要な場合、このことは、個々のサブバンド520a、…、520dが及ぶ有効範囲(サブバンドの幅掛ける臨界点における減衰)が同一であることを結果として生じる。各サブバンドに対して異なる送信帯域幅および/またはビットレートが必要な場合、例えば、使用されるADCが効果的な寸法を有するようにしなければならない場合は、当然、それらのサブバンドに対して異なる帯域幅を生じることもできる。
【0023】
図6は、本願明細書に記載されている概念の可能性のある一つの用途として、自動車500内の通信システムの概略図を示す。通信システムは、いくつかのノード520a、…、520dが結合されている有線データバス510を有している。ノード520a、…、520dは、デイジーチェーン構成でデータバス510に直列に配置されている。ノード520a、…、520dの各々は、送信機または受信機、あるいはこれら両方を含み、特にそこでは個々のノードが、自動車500内のゾーン化されたアーキテクチャの異なるゾーンを相互接続している。データバス510は、受動的な有線データバス510であるため、例えばコードレスシステムと比較して、良好で安定したトランスポート媒体である。例えば、本発明の実施形態によるデータバスは、シールドなしのツイストペア線(unshielded twisted pair:UTP)、被覆UTP線、またはシールド付きツイストペア線(shielded twisted pair:STP)のうちの一つ以上のペアを用いてもよい。同様に、一つ以上の同軸ケーブルまたは光ファイバを用いることもできる。受動的なデイジーチェーン構成においては、個々のノード520a、…、520dは、信号を能動的に増幅せず、すなわち、電子装置は、例えば、可能な限り短いスタブ線を介してデータバス内部に接続されている。受動的バージョンにおいては、ノード内の二つの接続部は互いに接続されており、および/または接続部は、データバスへのノードの外部接続のための可能性のある二つの接続部間を通って閉じられている。
【0024】
以下、完全性のために、上述した送信機または受信機内で実行される上記方法の本質的なステップを図7および図8を参照して、再び簡潔に説明する。
【0025】
まず、情報を受信する方法は、データバスからのトランスポート信号を、ADCのための入力信号として受信すること(ステップ610)を任意に含む。入力信号は、ADCによってディジタル化される(ステップ620)。さらに、方法は、サブバンドで送信された情報(例えば、データビット)をそれぞれ再構成するために、入力信号内の異なる帯域幅の少なくとも二つのサブバンドを復調すること(ステップ630)を含む。
【0026】
情報を送信する方法は、情報を第一のサブバンド上で変調すること(ステップ710)と、情報(例えば、データビット)を第二のサブバンド上で変調すること(ステップ720)を含み、第一のサブバンドと第二のサブバンドとは異なる帯域幅を有している。方法は、第一のサブバンドおよび第二のサブバンドを備えている送信信号を送信すること(ステップ730)をさらに含む。送信信号は、例えば、サブバンドから成る信号そのものであってもよく、またはこの信号は、サブバンドの信号をトランスポート信号に混合することによって生成される信号であってもよい。
【0027】
要約すると、本発明の前述した実施形態は、受動的デイジーチェーンを介したすべてのノードのブロードバンド接続を用いて、OFDMA(サブバンドの追加的な分離を伴う直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplex))を例えばイーサネットの物理層として可能にする。特に、このことは、アナログデジタル変換器(ADC)を、所要のビットレート、チャンネル減衰(デイジーチェーン)、およびサブバンドの帯域幅(Hzまたは副搬送波の数)を考慮して設計できるようにしている。
【0028】
上記においては、本発明の実施形態は、本質的に自動車内での用途によって動機付けられていたが、さらなる実施形態は、ロバストでフレキシブルなデータ通信が必要な他の何らかの用途で用いてもよい。通信システムを設計するために、およびサブバンドの帯域幅を決めるために、チャンネル自体の単なる減衰以外の判断基準を用いてもよい。例えば、スペクトル送信電力を、いくつかの用途、例えば、同軸ケーブルを介したおよび電話線を介した(ITU-T G.9660)データ伝送の用途のためのG.HN規格で制限することができる。このようなスペクトルマスクは、上記の考察による通信システムの設計において容易に考慮することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 送信機
110 変調装置
120 送信信号
120a、…、120d サブバンド
150 データバス
200 受信機
210 復調装置
220 入力信号
220a、…、220d サブバンド
250 トランシーバ
310 プロセス雑音
320 チャンネル減衰
330 情報送信に必要な電力
350 ディンメンショニング範囲
500 自動車
510 データバス
520a、…、520d ノード
610 受信する
620 ディジタル化する
630 復調する
710 変調する
720 変調する
730 送信する
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、自動車内において、情報を伝達するための通信システム、送信機および受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、多くの用途で用いられ、例えば、自動車内の制御装置、快適装置および娯楽機器間での通信のために用いられている。車両内の電気的車載ネットワークおよび/または通信システムは、現在、配線に関して、ゾーン化の方向で開発されている。いくつかの独立したゾーンが通信システムによって互いに接続されている。ゾーン化に向かう傾向の一つの要因は、顧客固有のワイヤハーネスの高度な複雑性である。同時に、従来のいくつかの独立した機能は、多くの場合、高性能な統合プラットフォーム上に集中していた。その結果として生じるゾーンまたはゾーン統合モジュール、およびこのような統合プラットフォーム間では、大量のデータを運ぶとともに、短い待ち時間を保証する、すなわち、いくつかの使用事例を同時にサポートすることができる通信システムの一部として、高性能のバックボーンバスが必要である。ゾーンの数が少数、例えば、五つ未満に留まっている場合、原理的には、スイッチ型イーサネットがこれに適しているであろう。このことは、ゾーン化が、車両内の電源供給の細粒度(Granularitaet der Stromversorgung)に基づいている限り事実であろう。例えば、10~25のゾーンにおけるより大きなゾーン化の場合、スイッチ型システムは複雑すぎでありかつ高価であろう。しかし、車両用ワイヤハーネスを完全に自動化で製造しなければならない場合には、20~25のゾーンの方向でのゾーン化が必要である。
【0003】
欧州特許出願公開第1478148号明細書は、多数のサブバンドに分割された少なくとも一つの周波数帯域を用いた無線通信システムの無線局間での通信方法について記載している。少なくとも一つの周波数帯域がサブバンドに分割される方法は様々である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1478148号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、例えば、自動車内に適応するためには、改良された通信システムを提供する必要がある。この要望は、独立項の送信機、受信機、通信システムおよび車両によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通信システム用の送信機の実施形態は、複数のサブバンド上で情報を変調しながら送信信号を生成するように構成された変調装置を備え、サブバンドのうちの少なくとも二つは異なる帯域幅を有している。異なる幅のサブバンドに関する変調は、所要量の情報を各帯域で送信するとともに、従来の用途において通常必要な予備電源を備えるのに、トランシーバの電子装置、具体的には、入力信号をディジタル化するアナログデジタル変換器を特大サイズにする必要がないことを確実にすることができる。
【0007】
通信システム用の受信機の実施形態は、異なる帯域幅の複数のサブバンドで入力信号を復調し、および一つのサブバンドで送信された情報を再構成するように構成された復調装置を備えている。異なる帯域幅のいくつかのサブバンドによって入力信号を復調する能力は、従来の解決策と比較して、より少ない消費電力で処理しなければならない、受信機内のアナログデジタル変換器の利用を可能にし、このことは、例えば、コスト効率をより高くする。
【0008】
自動車用の通信システムの実施形態は、データバスと、データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された第一の送信装置の実施形態と、データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された第二の送信機の実施形態とを備える。送信機を用いることは、通信システムを、デイジーチェーンアーキテクチャーに確実かつ効率的に実装することを可能にする。
【0009】
このことを可能にする、情報を送信する方法の実施形態は、情報を第一のサブバンド上で変調することと、さらなる情報を第二のサブバンド上で変調することとを含み、第一のサブバンドと第二のサブバンドとは、異なる帯域幅を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、添付図面を参照して、これらの実施形態をより詳細に説明する。
図1】送信機の概略図である。
図2】受信機の概略図である。
図3】トランシーバの概略図である。
図4】送信可能なビットレートの帯域幅と、信号対雑音比との依存関係を示す。
図5】通信システムの構造の図である。
図6】自動車内の通信システムの概略図である。
図7】情報を受信する方法の実施形態のフローチャートである。
図8】情報を送信する方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、いくつかの実施形態が図示されている添付図面を参照して、さまざまな実施形態についてより完全に説明する。図面において、線、層および/または領域の厚さ寸法は、明確にするために誇張されている可能性がある。
【0012】
図1は、通信システム用の送信機100の実施形態の概略図を示す。
【0013】
送信機は、データバス150に接続され、および送信信号を生成するとともに、複数のサブバンド120a、120b、120cおよび120d上で情報を変調するように構成された変調装置110を備え、少なくとも二つのサブバンドは異なる帯域幅を有している。変調は、何らかの変調方法およびスキームを用いて実行することができる。各サブバンドは同様に、多数の、例えば、256、512または1024、の副搬送波を有している。実施例においては、四つのサブバンド120a、120b、120cおよび120dが図示されているが、追加的な実施形態においては、より多くのまたはより少ない数のサブバンドを用いてもよい。別のアプローチにおいては、いくつかのサブバンドを用いる直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplex:OFDM)方式において、同じ帯域幅のサブバンドが用いられ、それらのサブバンドは、送信された情報および/またはビットが復調される前に、逆フーリエ変換によって受信機側で分離される。このような従来の方法と比較して、異なる帯域幅のサブバンド上での変調は、所要量の情報を常に各帯域で送信できると同時に、トランシーバの電子装置、具体的には、入力信号をディジタル化するためのアナログデジタル変換器を、従来の用途において一般的に必要とされる予備電源を備えるために特大サイズにする必要がないことを確実にすることができる。このことは特に、サブバンド当たりの送信電力が動的に調節されない場合に別様に必要であろう。これが経時的に一定のままであれば、実装は、複雑さがかなり低く、および安価なものとなる。さらに、別様に必要であろう、受信機から送信機へ受信電力を伝達するための通信オーバヘッドが取り除かれる。
【0014】
異なる帯域幅のサブバンドの利点は、図2に概略的に示す受信機を、およびシステム全体、すなわち、図5に概略的に示すように、データバスを介してデイジーチェーンで互いに接続されているいくつかの送信機および受信機を有する通信システムに注目すれば明らかになる。送信機と受信機は、送信と受信の状況を良好に分けるために当初は図1および図2において別々に図示されているが、多くの実際の実施においては、単一のデバイス、および/または図6に示すノード520a、…、520dのうちの一つは、データバス510上で送信および受信の両方を行えること、すなわち、図3に概略的に示すようにトランシーバを含むことに留意すべきである。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、複数のトランシーバが、異なるサブバンド上で同時に送信している状態で、ノード520a~520dのうちの一つのトランシーバのうちの一つのみが、一度に、一つのサブバンドで、または、複数のサブバンドで、通信媒体および/またはデータバス510上で送信することができる。さらなる実施形態によれば、異なるトランシーバも異なる副搬送波を用いて同一のサブバンドで同時に送信することができる。
【0016】
図2は、受信機の概略図を示す。図1の送信機100に適合するように、受信機200は、異なる帯域幅の複数のサブバンド220a、…、220dによって入力信号220を復調し、一つのサブバンドで送信された情報を再構成する復調装置210を含んでいる。通信システムにおいて、異なるノードにおける送信機および受信機は、可変長のデータバスを介して互いに接続されている。さらに、二つの通信ノード間には、デイジーチェーン構成でさらなるノードがあってもよい。二つの通信ノード間に配設された追加的なノードも同様に追加的な挿入損失を引き起こす。そのため、受信機は、送信機によって放出された電力を受信しないが、電力は、送信中の送信機と受信中の受信機との間のデータバスの長さと、その間のノードの数とに依存して低減される。このようにして低減されたサブバンド220a、…、220d当たりの受信電力を、受信信号220の場合で図2に概略的に示す。図2は、X軸上の周波数と、Y軸上のdBm/Hzで周波数に対して正規化した電力を示す。図2は、導体上の信号の一般的な減衰挙動を示し、特に、高い周波数の信号は、低い周波数の信号よりも多く減衰される。その結果として、受信機に到達する信号電力は、送信電力がすべてのサブバンドに対して同一であれば、より高い中心周波数を有するサブバンドの方が、より低い中心周波数を有するサブバンドよりも低い。
【0017】
図3は、単に完全性のためにデータバス150に接続されているトランシーバ250を示す。トランシーバ250は、図1および図2の送信機100および受信機200の能力を有し、その結果、トランシーバは、データをデータバス150に送信することができるとともに、データバスからデータを読み取ることができる。
【0018】
図4は、サブバンドの帯域幅上で送信可能なビットレートと、信号対雑音比との依存関係の図を示す。受信機内の入力信号をディジタル化するADCは、通信システムのすべての用途および構成において、受信電力のすべてをディジタル化できるような寸法を有していなければならない。選択された変調形式は、予想される最大電力、量子化段階の数およびADCのダイナミックレンジとともに、ADCの最小限の分解能を決定する。ディジタル化される入力信号はベースバンド信号である。ADCは、量子化段階を有すれば有するほど、より多くの半導体スペースを必要とし、ADCはより高価になり、および潜在的に遅くなる。広帯域にわたって入力信号をディジタル化する受信機内のADCを設計する場合に考慮すべき電力成分が図3に概略的に図示されている。
【0019】
他の実施形態において、搬送波信号を用いる際に、データバスの媒体が、より高い周波数を運ぶことができる場合、入力信号は、搬送波信号からダウンミックスされたベースバンド信号とすることもできる。
【0020】
以下の考察の場合、システムの設計に対しては、チャンネルの特性(特にチャンネル減衰)が本質的に考慮される。そのため、ハードウェアの設計、ケーブルおよびPCBデザイン、および車両内の周囲騒音という意味で理解することができる背景雑音に本質的に起因するプロセス雑音310の雑音成分については詳細に議論しない。そのため、システムの設計に関して、チャンネル減衰320の成分、およびサブバンド330当たりで送信される情報のビットレートおよび/または量を考慮すべきである。後者は、図3に示すシャノン・ハートレーの定理によって説明される。この定理は、送信可能なビットの数を、サブバンドの帯域幅Bと信号対雑音比S/Nの関数として説明している。帯域幅Bが1Hzに設定されている場合、周波数に対して正規化された結果、すなわち、帯域幅当たりで送信できるビットの数が図示されている。データバスの最大可能長、およびノードの最大可能数は、最大チャンネル減衰を定義し、および低減された信号電力および信号対雑音比を介して方程式に含まれている。
【0021】
例えば、10ビット/Hzのビットレートで送信される場合、方程式は、わずか30dBの所要S/Nを結果として生じる。
【0022】
従来のシステムと同様に、および図2とは対照的に、すべてのサブバンドに同じ帯域幅が与えられている場合、ADCを特大サイズにしなければならないか、あるいはチャンネル減衰は、通信ノード間の距離、特に周波数に依存するため、ビットレートが無駄になるかのいずれかであろう。最初に、チャンネル減衰の通常の挙動が周波数とともに増加すると仮定すると、S/Nは、周波数の増加とともに減少する。サブバンド当たりで同じ量の情報を送信したい場合、ADCは、所要の分解能を用いて最高周波数のサブバンドの入力信号をディジタル化できるように設計されなければならないであろう。このことは、より高い受信電力をクリッピングを伴わずに処理できるようにするために、ADCは、より低い周波数のサブバンドのために特大サイズにしなければならないであろうことを意味する。このことを望まない場合には、ビットレートは無駄になるであろう。
【0023】
例えば、100kHzの周波数f1と、300MHzの周波数f2との間で直線的に減少するチャンネル減衰(例えば、0.1~0.5dB/m)を現実的に想定した場合、サブバンド当たり所要の一定のビットレートと、四つのサブバンド220a、…、220dを有する通信システムの構造は、図4に示す状況を生じるであろう。さらに、ノード当たりの挿入損失は1.5dBで、周波数に関して一定であると現実的に想定することができる。
【0024】
可能性のある最も悪いS/N値が、個々のサブバンド220a、…、220dの帯域幅を計算するのに用いられるべきである。周波数とともに単調に増加する減衰により、サブバンド220a、…、220dの各々の上端には、Xで印された値がある。このことは、所要のビットレートに対して各サブバンドの幅、または、特定の帯域幅に対してサブバンド当たりのビットレートをもたらす。例えば、サブバンド当たり同一のビットレートが必要な場合、このことは、個々のサブバンド520a、…、520dが及ぶ有効範囲(サブバンドの幅掛ける臨界点における減衰)が同一であることを結果として生じる。各サブバンドに対して異なる送信帯域幅および/またはビットレートが必要な場合、例えば、使用されるADCが効果的な寸法を有するようにしなければならない場合は、当然、それらのサブバンドに対して異なる帯域幅を生じることもできる。
【0025】
図6は、本願明細書に記載されている概念の可能性のある一つの用途として、自動車500内の通信システムの概略図を示す。通信システムは、いくつかのノード520a、…、520dが結合されている有線データバス510を有している。ノード520a、…、520dは、デイジーチェーン構成でデータバス510に直列に配置されている。ノード520a、…、520dの各々は、送信機または受信機、あるいはこれら両方を含み、特にそこでは個々のノードが、自動車500内のゾーン化されたアーキテクチャの異なるゾーンを相互接続している。データバス510は、受動的な有線データバス510であるため、例えばコードレスシステムと比較して、良好で安定したトランスポート媒体である。例えば、本発明の実施形態によるデータバスは、シールドなしのツイストペア線(unshielded twisted pair:UTP)、被覆UTP線、またはシールド付きツイストペア線(shielded twisted pair:STP)のうちの一つ以上のペアを用いてもよい。同様に、一つ以上の同軸ケーブルまたは光ファイバを用いることもできる。受動的なデイジーチェーン構成においては、個々のノード520a、…、520dは、信号を能動的に増幅せず、すなわち、電子装置は、例えば、可能な限り短いスタブ線を介してデータバス内部に接続されている。受動的バージョンにおいては、ノード内の二つの接続部は互いに接続されており、および/または接続部は、データバスへのノードの外部接続のための可能性のある二つの接続部間を通って閉じられている。
【0026】
以下、完全性のために、上述した送信機または受信機内で実行される上記方法の本質的なステップを図7および図8を参照して、再び簡潔に説明する。
【0027】
まず、情報を受信する方法は、データバスからのトランスポート信号を、ADCのための入力信号として受信すること(ステップ610)を任意に含む。入力信号は、ADCによってディジタル化される(ステップ620)。さらに、方法は、サブバンドで送信された情報(例えば、データビット)をそれぞれ再構成するために、入力信号内の異なる帯域幅の少なくとも二つのサブバンドを復調すること(ステップ630)を含む。
【0028】
情報を送信する方法は、情報を第一のサブバンド上で変調すること(ステップ710)と、情報(例えば、データビット)を第二のサブバンド上で変調すること(ステップ720)を含み、第一のサブバンドと第二のサブバンドとは異なる帯域幅を有している。方法は、第一のサブバンドおよび第二のサブバンドを備えている送信信号を送信すること(ステップ730)をさらに含む。送信信号は、例えば、サブバンドから成る信号そのものであってもよく、またはこの信号は、サブバンドの信号をトランスポート信号に混合することによって生成される信号であってもよい。
【0029】
要約すると、本発明の前述した実施形態は、受動的デイジーチェーンを介したすべてのノードのブロードバンド接続を用いて、OFDMA(サブバンドの追加的な分離を伴う直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplex))を例えばイーサネットの物理層として可能にする。特に、このことは、アナログデジタル変換器(ADC)を、所要のビットレート、チャンネル減衰(デイジーチェーン)、およびサブバンドの帯域幅(Hzまたは副搬送波の数)を考慮して設計できるようにしている。
【0030】
上記においては、本発明の実施形態は、本質的に自動車内での用途によって動機付けられていたが、さらなる実施形態は、ロバストでフレキシブルなデータ通信が必要な他の何らかの用途で用いてもよい。通信システムを設計するために、およびサブバンドの帯域幅を決めるために、チャンネル自体の単なる減衰以外の判断基準を用いてもよい。例えば、スペクトル送信電力を、いくつかの用途、例えば、同軸ケーブルを介したおよび電話線を介した(ITU-T G.9660)データ伝送の用途のためのG.HN規格で制限することができる。このようなスペクトルマスクは、上記の考察による通信システムの設計において容易に考慮することができる。
【符号の説明】
【0031】
100 送信機
110 変調装置
120 送信信号
120a、…、120d サブバンド
150 データバス
200 受信機
210 復調装置
220 入力信号
220a、…、220d サブバンド
250 トランシーバ
310 プロセス雑音
320 チャンネル減衰
330 情報送信に必要な電力
350 ディンメンショニング範囲
500 自動車
510 データバス
520a、…、520d ノード
610 受信する
620 ディジタル化する
630 復調する
710 変調する
720 変調する
730 送信する
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を生成するとともに、複数のサブバンド上で情報を変調するように構成された変調装置であって、前記サブバンドのうちの少なくとも二つは異なる帯域幅を有し、かつ各サブバンド上で変調される情報の量は同一である、変調装置、
を備える、通信システム用の送信機。
【請求項2】
前記複数のサブバンドの帯域幅は、サブバンドの中心周波数とともに単調に増加する、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
有線媒体に結合されるように構成されている、前記送信信号のための出力をさらに備える、請求項1または2に記載の送信機。
【請求項4】
異なる帯域幅の複数のサブバンドによって入力信号を復調するように、かつ各サブバンド内の前記情報の量が同一になるように一つのサブバンドで送信された情報を再構成するように、構成された復調装置
を備える、通信システム用の受信機。
【請求項5】
受信信号をディジタル化し、ディジタル入力信号として前記復調装置に供給するように構成されたアナログデジタル変換器をさらに備える、請求項に記載の受信機。
【請求項6】
自動車用の通信システムであって、
データバスと、
前記データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合された、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の第一の送信機を有する第一のノードと、
前記データバスを介して情報を送信するためにデータバスに結合されている、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の第二の送信機を備える少なくとも一つの第二のノードと、
を備える、通信システム。
【請求項7】
前記第一のノードおよび前記第二のノードは、デイジーチェーン構成で前記データバスに結合されている、請求項に記載の通信システム。
【請求項8】
請求項または請求項のいずれか一項に記載の通信システムを有する、自動車。
【請求項9】
情報を送信する方法であって、
第一のサブバンドへの情報を変調することと、
第二のサブバンドへの情報を変調することであって、ここで前記第一のサブバンドおよび前記第二のサブバンドは異なる帯域幅を有し、かつ前記第一のサブバンド上で変調された情報の量と、前記第二のサブバンド上で変調された情報の量とは同一である、変調することと、
前記第一のサブバンドと前記第二のサブバンドとを備える送信信号を送信することと、
を含む方法。
【国際調査報告】