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特表2024-547191電極調整、堆積、及びエッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電極調整、堆積、及びエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241219BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539965
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022049610
(87)【国際公開番号】W WO2023132889
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/266,391
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, レイ
(72)【発明者】
【氏名】リン, ユンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ラン, チ-イ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ホー-ヤン デーヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB12
2G084CC09
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD38
2G084FF15
2G084HH05
2G084HH06
2G084HH26
5F004AA05
5F004AA16
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BC02
5F004BC03
5F004BC06
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA11
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA20
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DA27
5F004DA28
5F004DA29
5F004DB03
5F004DB13
5F004DB14
5F004EA28
(57)【要約】
半導体基板の上に特徴を形成する方法が提供される。本方法は、基板表面の上に混合ガスを連続流量で供給することを含む。基板表面の上にポリマー層を堆積させるために、混合ガスが連続流量で供給されている間に、第1の高周波(RF)信号を電極に送達する。基板表面は、酸化物含有部分及び窒化物含有部分を含む。窒化物含有部分に対して酸化物含有部分を選択的にエッチングするために、混合ガスを連続流量で連続的に供給している間、第2のRF信号を電極に送達する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に特徴を形成する方法であって、
基板表面の上に混合ガスを連続流量で供給することと、
前記基板表面の上にポリマー層を堆積させるために、前記混合ガスが前記連続流量で供給されている間に、第1の高周波(RF)信号を電極に送達することであって、前記基板表面は、酸化物含有部分及び窒化物含有部分を含む、第1の高周波(RF)信号を電極に送達することと、
前記窒化物含有部分に対して前記酸化物含有部分を選択的にエッチングするために、前記混合ガスを前記連続流量で連続的に供給している間に、第2のRF信号を前記電極に送達することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のRF信号は、約500Wから約3000Wの第1のRFソース電力を含み、前記第2のRF信号は、前記第1のRFソース電力よりも小さい第2のRFソース電力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極は、前記基板の上に配置されたプロセスチャンバのリッドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のRF信号は、約0Wから約500Wの第1のRFバイアス電力を含み、前記第2のRF信号は、前記第1のRFバイアス電力よりも大きい第2のRFバイアス電力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電極は、前記混合ガスを連続的に供給している間、前記基板が配置されている基板支持体内に配置された電極である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
バイアス電極に供給される第3及び第4のRFバイアス電力をそれぞれ含む第3及び第4のRF信号を送達することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のRF信号及び第2のRF信号は第1の周波数を含み、前記第3及び第4のRF信号は第2の周波数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の周波数は約2MHzから約40MHzであり、前記第2の周波数は約10MHzから約100MHzである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のRF信号は、約1MHzから約40MHzの第1のRFソース周波数を含み、前記第2のRF信号は、約1MHzから約40MHzの第2のRF周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のRF信号の送達に対する前記第1のRF信号の送達のデューティサイクルは、約40%から約60%である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合ガスは、塩素含有ガスとホウ素含有ガスとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化物含有部分は、金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記混合ガスは、塩素含有ガスとアルゴン含有ガスとを約1:1から約1:10の体積比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記混合ガスは、
約30sccmから約300sccmのガス流量で供給されるBClと、
約0sccmから約900sccmのガス流量で供給されるアルゴンと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
半導体基板の処理方法であって、
プロセスチャンバのプロセス領域に配置された基板支持体に基板を位置決めすることと、
塩素含有ガスを連続流量で前記プロセス領域内に流すことと、
前記基板支持体に配置された前記基板の上に配置されたソース電極にRF信号を周期的に送達することであって、
第1の高周波(RF)信号を第1のRF電力で前記ソース電極に第1の期間供給することと、
前記ソース電極に供給される前記第1のRF電力を第2の期間第2のRF電力に低下させることと
を含む、RF信号を周期的に送達することと
を含む、方法。
【請求項16】
RF信号を前記ソース電極に周期的に送達している間、前記塩素含有ガスを前記連続流量で前記プロセス領域内に流す、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のRF信号を前記ソース電極に供給することは、基板の上にポリマー層を形成するように構成され、前記ポリマー層は、前記基板の窒化物部分の上に選択的に形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基板支持体に結合されたバイアス電極にバイアス電力を送達することを更に含み、前記バイアス電力の送達は、前記第1のRF電力を前記第2のRF電力に低下させることと実質的に同時に実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のRF電力を前記第2のRF電力に低下させ、前記バイアス電力を前記バイアス電極に送達することにより、前記基板表面に配置された窒化物部分に対して酸化物部分が選択的にエッチングされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
半導体基板の処理方法であって、
プロセスチャンバのプロセス領域に配置された基板支持体に基板を位置決めすることと、
塩素含有ガスを連続流量で前記プロセス領域内に流すことと、
前記基板の上に配置されたソース電極にRF信号を周期的に送達することであって、
前記基板支持体に結合されたバイアス電極にバイアス高周波(RF)電力を第1の期間供給することと、
前記バイアス電極への前記バイアスRF電力を第2の期間増加させることと
を含む、前記ソース電極にRF信号を周期的に送達することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0100]本明細書における実施形態は概して、極紫外線(EUV)リソグラフィパターニングフィルムを使用して実行される堆積及び高選択性エッチングプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]サブミクロン以下の特徴を確実に製造することは、半導体デバイスの超大規模集積(VLSI)及び超々大規模集積(ULSI)の重要な要件の1つである。しかしながら、回路技術の継続的な微細化に伴い、インターコネクト等の回路特徴のサイズ及びピッチの寸法は、処理能力に更なる要求を課している。この技術の中核をなす多層配線には、ビア及びその他のインターコネクト等の高アスペクト比特徴の正確な描画と配置が必要である。これらのインターコネクトを確実に形成することは、デバイスとインターコネクトの密度を更に向上させるために不可欠である。更に、レジスト及びハードマスク材料等の中間材料の無駄を減らしながら、サブミクロンサイズの特徴及びインターコネクトを形成することが所望される。
【0003】
[0002]特徴サイズが縮小するにつれて、特徴の深さと特徴の幅との間の比として定義される、より高いアスペクト比に対する要求は、20:1、更にはそれを超えて着実に増加している。このような高アスペクト比の特徴を確実に形成できるフィルムスタックとエッチングプロセスを開発することは、重要な課題をもたらす。しかしながら、リソグラフィ露光及び現像プロセスの不正確な制御又は低い解像度は、フィルムスタックに特徴を転写するために利用されるフォトレジスト層の不十分な臨界寸法を引き起こし、許容できない線幅粗さ(LWR)をもたらす可能性がある。リソグラフィ露光及び現像プロセスから生じるフォトレジスト層の大きな線幅粗さ(LWR)及び望ましくないくねくねした形状は、フィルムスタックへの不正確な特徴転写を引き起こし、その結果、最終的にデバイスの故障及び歩留まり損失につながる可能性がある。
【0004】
[0003]更に、そのようなフィルムスタックのエッチング中に、エッチングプロセス中に生じた副生成物又は他の材料の再堆積又は蓄積が、エッチングされている特徴の上部及び/又は側壁に蓄積する可能性があり、従って、材料層に形成される特徴の開口部を不適当に塞いでしまう。様々な材料をフィルムスタックに選択した結果、フィルムスタックに異なる量又は形状の副生成物が再堆積する可能性がある。更に、エッチングされた特徴の開口部が、蓄積された材料の再堆積によって狭められ、及び/又は密閉されるため、反応性エッチング液が特徴の下面に到達することが妨げられ、得られるはずのアスペクト比が制限される。更に、再堆積材料又は副生成物の蓄積が、エッチングされている特徴の上面及び/又は側壁にランダムに、及び/又は不規則に付着する可能性があるため、結果として生じる不規則な形状及び再堆積材料の成長により、反応性エッチング液の流路が変化する可能性があり、その結果、材料層に形成される特徴の形状にたわみ又はねじれが生じる可能性がある。不正確な形状及び構造寸法が原因で、デバイス構造が崩壊し、最終的にデバイスの故障及び製品歩留まりの低下につながる可能性がある。フィルムスタックに含まれる材料に対するエッチング選択性が低いと、望ましくない結果として形状制御が不正確になり、最終的にデバイスの故障につながる可能性がある。更に、高い選択性を有するプロセスは、通常、相対的に低いスループットでデバイスを製造する。
【0005】
[0004]したがって、高い生産スループットを有する上記フィルムスタックにおいて所望の形状及び小さい寸法を有する特徴をエッチングするための適切なフィルムスタック及びエッチング方法が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0005]幾つかの実施形態では、半導体基板の上に特徴を形成する方法が提供される。本方法は、基板表面の上に混合ガスを連続流量で供給することを含む。基板表面の上にポリマー層を堆積させるために、混合ガスが連続流量で供給されている間に、第1の高周波(RF)信号を電極に送達する。基板表面は、酸化物含有部分及び窒化物含有部分を含む。窒化物含有部分に対して酸化物含有部分を選択的にエッチングするために、混合ガスを連続流量で連続的に供給している間に、第2のRF信号を電極に送達する。
【0007】
[0006]幾つかの実施形態では、プロセスチャンバのプロセス領域に配置された基板支持体に基板を位置決めすることを含む、半導体基板の処理方法が提供される。本方法は、ハロゲン含有ガスを連続流量でプロセス領域内に流すことを含む。基板支持体に配置された基板の上に配置されたソース電極にRF信号を周期的に送達する。RF信号を周期的に供給することは、第1の高周波(RF)信号を第1のRF電力でソース電極に第1の期間供給することを含む。本方法は、ソース電極に供給される第1のRF電力を第2の期間第2のRF電力に低下させることとを含む。
【0008】
[0007]幾つかの実施形態では、半導体基板の処理方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバのプロセス領域に配置された基板支持体に基板を位置決めすることを含む。本方法は、ハロゲン含有ガスを連続流量でプロセス領域内に流すことを含む。基板の上に配置されたソース電極にRF信号を周期的に送達する。RF信号をソース電極に周期的に送達することは、基板支持体に結合されたバイアス電極にバイアス高周波(RF)電力を第1の期間供給することを含む。本方法は、バイアス電極へのバイアスRF電力を第2の期間増加させることを含む。
【0009】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】幾つかの実施形態に係る基板を処理するために使用され得るプロセスチャンバを示す図である。
図2】幾つかの実施形態に係る基板をパターニングする方法を示すフロー図である。
図3】幾つかの実施形態に係るRF電力を1又は複数の電極に対して調整する方法を示すフロー図である。
図4】幾つかの実施形態に係る高周波電力信号のグラフ表示を示す図である。
図5】幾つかの実施形態に係る本明細書に記載の方法を使用して基板を処理する前及び後の基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
[0015]本出願のための実施形態は、フィルムスタックを形成する方法と、上記フィルムスタックをエッチングしてフィルムスタックに所定のアスペクト比及び形状を有する特徴を形成するためのエッチングプロセスとを含む。本方法は、所定のパターンに従って基板の一部に周期的な堆積及びエッチングを行うために、プロセスチャンバに配置された1又は複数の電極を周期的に調整することを含む。基板の一部に堆積及びエッチングを行うために、プロセス領域内へのガスのバーストを交互に切り替える又は供給するのではなく、混合ガスの連続的な流れをプロセス領域に供給し、1又は複数の電極を調整して堆積及びエッチングプロセスを制御する。
【0013】
プロセスチャンバ
[0016]図1は、フィルムスタックを堆積させエッチングするパターニングプロセスを実行するのに適した処理チャンバ100の一例の断面図である。エッチング性能を可能にする複数の特徴を含む処理チャンバ100を図示したが、他の処理チャンバが、本明細書に開示された特徴の1又は複数から利益を得るように適合され得ると想定される。
【0014】
[0017]プラズマ処理チャンバ100は、内部に画定された処理領域101を有するチャンバ本体105を含む。チャンバ本体105は、グラウンド126に結合された側壁112と底部118とを有する。側壁112は、側壁112を保護し、プラズマ処理チャンバ100のメンテナンスサイクル間の時間を延長するライナ115を有する。プラズマ処理チャンバ100のチャンバ本体105及び関連構成要素の寸法は限定されず、内部で処理される基板103のサイズに比例してそれより大きくすることができる。
【0015】
[0018]チャンバ本体105は、処理領域101を囲むリッド110を支持する。チャンバ本体105は、アルミニウム又は他の適切な材料から作製することができる。チャンバ本体105の側壁112を貫通して基板アクセスポート113が形成され、プラズマ処理チャンバ100の内外への基板103の移送を容易にする。スリットバルブの使用により選択的に密閉可能な基板アクセスポート113は通常、クラスタツール等の基板処理システム(図示せず)の移送チャンバ及び/又は他の処理チャンバに結合される。
【0016】
[0019]ポンピングポート145がチャンバ本体105に画定され、処理領域101に接続される。ポンピング装置(図示せず)が、ポンピングポート145を通して処理領域101に結合され、処理領域101の圧力を排気及び制御する。ポンピング装置は、1又は複数のラフポンプ、ターボポンプ及びスロットルバルブを含み得る。
【0017】
[0020]ガスパネル160が、ガスライン167によってチャンバ本体105に結合され、処理領域101内にプロセスガスを供給する。ガスパネル160は、1又は複数のプロセスガス源161、162、163、164を含んでいてよく、所望に応じて、不活性ガス、非反応性ガス、及び反応性ガスを更に含んでいてよい。ガスパネル160によって提供され得るプロセスガスの例としては、BCl、Cl、C、C、HCl、HF、F、Br、HCl、HBr、SF、及びNFを含むハロゲン含有ガス;O、HO、H、O、NO、及びNOを含む酸素含有ガス;Hを含む水素含有ガス;メタン(CH)、アセチレン(C)、エチレン(C)、プロピレン(C)、プロパン(C)、ヘキサン(C14)、ベンゼン(C)、イソプレン(C)、ブタジエン(C)、及びそれらの異性体を含む炭化水素等の炭素含有ガス;並びにアルゴン(Ar)及びヘリウム(He)を含む不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。更に、プロセスガスは中でも、窒素、塩素、フッ素、酸素、ホウ素、及びC、C、C、CHF、CH、CHF、NF、NH、CO、SO、CO、N、NO、NO、及びH等の水素含有ガスを含み得る。
【0018】
[0021]バルブ166は、ガスパネル160のプロセスガス源161、162、163、164からのプロセスガスの流れを制御し、システムコントローラ165によって管理される。ガスパネル160からチャンバ本体105に供給されるガスの流れは、ガスの組み合わせを含み得る。
【0019】
[0022]リッド110は、シャワーヘッド又はノズル114を含み得る。ノズル114は、ガスパネル160のプロセスガス源161、162、164、163からのプロセスガスを処理領域101内に導入するための1又は複数のポートを有する。プロセスガスがプラズマ処理チャンバ100内に導入された後、プラズマを形成するために、電源を使用してガスに電圧が印加される。プラズマの形成を補助するために、1又は複数のインダクタコイル等のアンテナ148をプラズマ処理チャンバ100に隣接して設けることができる。アンテナ148を一対の同心の垂直コイルとして図示したが、垂直部分、水平部分、又はそれらの組み合わせを有するコイル等の他のコイル配置も想定される。プラズマ処理チャンバ100の処理領域101のプロセスガスから形成されたプラズマを維持するために、アンテナ電源142を使用して整合回路141を通してアンテナ148に電力を供給し、RFエネルギー等のエネルギーを処理ガスに誘導結合させる。代替的に、又はアンテナ電源142に加えて、基板103の下方及び/又は基板103の上方のプロセス電極を使用して、RF電力をプロセスガスに容量結合させて、プラズマを処理領域101内に維持することができる。アンテナ電源142の動作は、プラズマ処理チャンバ100の他の構成要素の動作も制御するシステムコントローラ165等のコントローラによって制御することができる。RF電源142は通常、約50kHzから約200MHzの範囲の調整可能な周波数で、最大約8キロワット(kW)を生成することが可能であり、例えば、約2MHzから約13.56MHz等の1MHzから60MHzの周波数で、50Wから5000W、例えば、約500Wから約3000W、例えば、約500Wから約1000Wを生成することが可能である。
【0020】
[0023]基板支持体135が処理領域101に配置され、処理中に基板103を支持する。基板支持体135は、処理中に基板103を保持するための静電チャック(ESC)122を含み得る。ESC122は、静電引力を利用して基板103を基板支持体135に保持する。ESC122は、整合回路124と一体化した1又は複数のRF電源125、127によって電力供給される。一実装態様では、基板支持体135は、カソードとして構成され、誘電体内部に埋め込まれ、複数のRFバイアス電源125、127に結合された電極121を含む。幾つかの実施形態では、電極121は、ESCの基板支持面から距離(例えば1ミリメートルから5ミリメートル(mm))を置いて配置された静電チャッキング(ESC)電極である。各バイアス電源は、処理領域101のプロセスガスによって形成されたプラズマイオンをESC122及びその上に位置決めされた基板103に引き付けるバイアスを供給する。RFバイアス電源125、127は概して、約50kHzから約200MHzの周波数と、約0ワットから約8kW、例えば約1ワットから約5kWの電力を有するRF信号を生成し得る。プラズマの特性を制御するために、追加のバイアス電源(図示せず)が電極121に結合されていてよい。
【0021】
[0024]各RF電源125、127は、基板103の処理中にオン及びオフ、又はパルスのサイクルを行うことができる。ESC122は、プラズマがESC122の側壁に引き付けられないようにして、ESC122の保守寿命を延ばす目的で、アイソレータ128を有する。更に、基板支持体135は、基板支持体135の側壁をプラズマガスから保護し、プラズマ処理チャンバ100のメンテナンス間隔を延ばすために、カソードライナ136を有し得る。
【0022】
[0025]更に、電極121は電源150に結合されている。電源150は、約200ボルト(V)から約10000Vのチャッキング電圧を電極121に供給する。電源150はまた、基板202をチャック及びデチャックするために電極121に直流電流を送ることによって電極121の動作を制御するシステムコントローラを含み得る。
【0023】
[0026]工程中、基板103は、プラズマ処理チャンバ100の基板支持体135に配置される。プロセスガス及び/又は混合ガスが、ガスパネル160からノズル114を通してチャンバ本体105内に導入される。真空ポンプシステムが、堆積副生成物を除去しながらプロセス領域101内の圧力を維持する。
【0024】
[0027]ESC122は、基板を加熱するために、その中に配置され、電源(図示せず)に接続されたヒータを含んでいてよく、ESC122を支持する冷却ベース129は、ESC122及び熱伝達流体を循環させて、ESC122の上に配置された基板103の温度を維持するための導管を含んでいてよい。ESC122は、基板103上に作製されるデバイスの熱収支に対して所望される温度範囲で動作するように構成される。例えば、ESC122は、基板103を約25℃から約150℃、例えば約30℃から約110℃の温度に維持するように構成され得る。
【0025】
[0028]カバーリング130が、ESC122上に、基板支持体135の周辺に沿って配置される。カバーリング130は、基板支持体135の上面をプラズマ処理チャンバ100内のプラズマ環境から保護しながら、エッチングガスを基板103の露出した上面の所望の部分に閉じ込めるように構成される。
【0026】
[0029]システムコントローラ165を使用して、プロセスシーケンスを制御し、ガスパネル160からプラズマ処理チャンバ100内へのガス流及び他のプロセスパラメータを調節することができる。システムコントローラ165は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及び支援回路を含む。システムコントローラ165は、基板を処理するために使用されるプロセスシーケンスを制御するために使用される。CPUは、処理チャンバ及びそれに関連するサブプロセッサを制御するために、産業環境で使用するように構成された汎用コンピュータプロセッサである。本明細書に記載のメモリは概して、不揮発性メモリであり、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、ハードディスクドライブ、又はローカルもしくはリモートの他の適切な形態のデジタルストレージを含み得る。支援回路は、従来、CPUに結合され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等、及びそれらの組み合わせを含む。ソフトウェアルーチンは、CPUによって実行されると、CPUを、プロセスが本開示に従って実行されるようにプラズマ処理チャンバ100を制御する特定目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。ソフトウェアルーチン(プログラム)及びデータは、CPU内のプロセッサに指示するためにコード化され、メモリ内に記憶され得る。システムコントローラ165のCPUによって読み取り可能なソフトウェアプログラム(又はコンピュータ命令)は、処理チャンバ100の構成要素によって実行可能なタスクを決定する。ソフトウェアルーチンはまた、プラズマ処理チャンバ100と共同設置された処理システム(例えば、クラスタツール)コントローラ等の第2のコントローラ(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。
【0027】
基板処理方法
[0030]図2は、幾つかの実施形態に係る基板をパターニングする方法200を示すフロー図である。方法200は、基板の上に混合ガスを連続流量で供給する工程202を含む。混合ガスは、ガスパネル160から、例えば1又は複数のプロセスガス源161、162、163、164から供給することができる。混合ガスは、ハロゲン含有ガス、ホウ素含有ガス、不活性ガス、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、混合ガスは、三塩化ホウ素(BCl)等の塩素含有ガスを含む。
【0028】
[0031]混合ガスは、ハロゲン含有ガス及びアルゴン含有ガスを約1:1から約1:10、例えば約1:3から約1:5、又は約1:0から約10:1、例えば約3:1から約2:1の体積比で含み得る。ハロゲン含有ガスは、約30sccmから約300sccm、例えば約100sccmから約200sccmの体積流量で供給される。プロセス領域の大きさ、所定の基板パターン、及びプロセスチャンバの設計に応じて、他の流量も想定される。アルゴン等の不活性ガスは、約0sccmから約900sccm、例えば約30から約800sccm、例えば約100sccmから約700sccm、例えば約200sccmから約600sccmの体積流量で供給される。幾つかの実施形態では、O、H、C、CH、CF、及びCHF、C、Cのうちの1又は複数等の追加のガスが供給される。混合ガスは、ガスを切り替える又は混合ガスの組成を変えることなく、プロセス領域101に連続的に供給される。混合ガスは、約1mTorrから約100mTorrのプロセス圧力で送達される。
【0029】
[0032]方法200は、ポリマーを基板の上に堆積させるために、混合ガスが連続流量で供給されている間に、第1の高周波(RF)信号を電極に送達する工程204を含み、基板は酸化物含有部分と窒化物含有部分とを有する。ポリマーは、BCl、CCl、CF、又はそれらの組み合わせを含み、nは3以下、mは4以下である。幾つかの実施形態では、酸化物含有部分は、金属酸化物、半導体酸化物、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、酸化物含有部分は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ハフニウム(HfO)、HfAlO、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、窒化物含有部分は、窒化ケイ素(SiN)、窒化チタン(TiN)、窒化ガリウム(GaN)、AlGaN、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実装態様では、混合ガスが供給される工程202と、ポリマーが基板の上に堆積される工程204とは、少なくとも部分的に同時に行われる。
【0030】
[0033]第1のRF信号は、約50Wから約3000W、例えば約100Wから約1000W、例えば約500Wから約800WのRF源142からの第1のRFソース電力を含み、ソース電力は、約1MHzから約120MHz、例えば約2MHzから約60MHz、又は例えば約13.56MHzから約40MHzのRF源周波数で供給される。RF源142は、例えばアンテナ148を介して、チャンバ本体105のリッド110に結合される。幾つかの実施形態では、第1のRF信号は、1又は複数のバイアス電極源125、127によって供給される約0Wから約500W、例えば約0Wから約100W、例えば約10W未満等の第1のRFバイアス電力を含む。幾つかの実施形態では、第1のRFバイアス電極源125は、第2のRFバイアス電極源127よりも低い周波数でエネルギーを供給する。第1及び第2のバイアス電極源125、127は各々、基板支持体135内の電極121に結合され、半導体基板103は、方法200の間、基板支持体135の基板支持面に配置される。各バイアス電極源は、互いに、及びソース電極142に対して独立して調整される。第1のバイアス電極源は、約2MHz以下、例えば1MHzの周波数を有し、第2のバイアス電極源は、2MHzを超える周波数、例えば約13.56MHzの周波数を有する。
【0031】
[0034]方法200は、窒化物含有部分に対して酸化物含有部分を選択的にエッチングするために、混合ガスが連続流量で連続的に供給されている間に、第2のRF信号を電極に送達する工程206を含む。エッチングは、窒化物含有部分に対する酸化物含有部分の選択性が約5以上、例えば約10から約50、例えば約20から約40である。幾つかの実施形態では、酸化物エッチング速度は、酸化物含有部分に対して約0.05nm/秒から約1nm/秒である。幾つかの実施形態では、窒化物エッチング速度は、窒化物含有部分に対して約0nm/秒から約0.02nm/秒である。第2のRF信号は、第1のRFソース電力よりも小さい第2のRFソース電力を含む。幾つかの実施形態では、ソース電極142に供給されるRF電力を、工程206中に低下させる。幾つかの実施形態では、ソース電極142に供給されるRF電力を、工程206中にオフにする。幾つかの代替実施形態では、第2のRF信号は、第1のRFバイアス電力よりも大きい第2のRFバイアス電力を送達することを含む。幾つかの実施形態では、工程206中にRFバイアス電極源の1又は複数の電力を増加させる、又はオンにする。
【0032】
[0035]工程204及び工程206は、周期的に繰り返される。幾つかの実施形態では、工程206(例えば、第2のRF信号)に対する工程204(例えば、第1のRF信号)のシーケンスのデューティサイクルは、約5%から約95%、例えば、約30%から約60%、例えば、約40%から約50%である。一例では、工程204及び工程206は、約10Hzから約4000Hzの周波数を有するサイクルを構成する。幾つかの実施形態では、プロセス領域の圧力は、方法200の間、約1から約100mTorrに維持される。
【0033】
[0036]図3は、幾つかの実施形態に係るRF電力を1又は複数の電極に対して調整する方法300を示すフロー図である。方法300は、プロセスチャンバのプロセス領域に配置された基板支持体に基板を位置決めする工程302と、ハロゲン含有ガスを連続流量でプロセス領域内に供給する工程304と、基板の上に配置されたソース電極にRF信号を周期的に送達する工程306とを含む。RF信号を周期的に送達する工程308は、高周波信号をソース電極(例えば、電極121)に第1の期間供給する工程308と、ソース電極へのRF電力を低下させて第2の期間印加する工程310とを含む。
【0034】
[0037]図4は、幾つかの実施形態に係る高周波電力信号のグラフ表示400を示す図である。図2及び図3に戻って参照すると、期間402は、方法200の工程204に関連して説明したように、基板の上にポリマーを堆積させるための第1のRF信号、及び/又は方法300の工程308に関連して説明した電極へのRF信号の供給を表す。期間404は、方法200の工程206に関連して説明した選択的にエッチングするための、及び/又は方法300の工程310に関連して説明した電極への第1のRF電力を低下させるための、第2のRF信号を表す。期間402と404とを合わせてデューティサイクル406が構成される。曲線410は、ソース電極(例えば、ソース電極142)に送達される、第1のソースRF信号S1状態及び第2のソースRF信号S2状態を有するソースRF信号を図示している。曲線420は、1又は複数のバイアス電極(例えば、電極121)に送達される、第1のバイアスRF信号B1状態及び第2のバイアスRF信号B2状態を有するRF信号を図示している。各RF信号において供給される様々な電極への電力の送達は、同じ混合ガスをプロセスチャンバ内に連続的に流しながら行われる。図4に示すように、ソース電極に供給されるソースRF信号の高RF電力状態と低RF電力状態は、デューティサイクルの各期間内で、1又は複数のバイアス電極に供給されるバイアスRF信号の高RF電力状態と低RF電力状態に対して切り替えられる。一例では、期間402の間に生じるRF信号の切り替えられた状態は、第2のソースRF信号S2状態の開始時にソース電極に供給される電力の低下から始まり、これは、第2のソースRF信号B2状態の形成による1又は複数のバイアス電極に供給される電力の増加と実質的に同時に生じ、期間404の間はその逆である。幾つかの実施形態では、RF信号B1状態は、40W以下、例えば10W以下、例えば0から5W、又は更には0.1から5Wの電力レベルを含んでいてよく、RF信号B2状態は、約10Wから約500W、例えば約40Wから約100Wの電力レベルを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、RF信号S1状態は、約100W以上、例えば約1000Wから約3000Wの電力レベルを含み、RF信号S2状態は、500Wから約2000Wの電力レベルを含む。
【0035】
[0038]幾つかの実施形態では、工程204の間(例えば、期間402の間)に送達される電力及び工程206の間(例えば、期間404の間)に送達される電力は、第1のバイアス電極が期間402の間により低い電力レベル(例えば、RF信号B1状態)を受信し、第1のバイアス電極が期間404の間により高い電力レベル(例えば、RF信号B2状態)を受信するように、第1及び第2のバイアス電極源125、127によって交互に印加される。
【0036】
[0039]幾つかの実施形態では、第1のバイアス電極源125は、工程204において、ESC122に配置された第1のバイアス電極上にRF信号B1状態のRF信号を形成することができ、第2のバイアス電極源127は、工程204において、ESC122に配置された第1のバイアス電極上にRF信号B1状態のRF信号を形成することができる。工程206において、第2のバイアス電極源127は、RF信号B2状態のRF信号をESC122の第1のバイアス電極に送達することができ、第1のバイアス電極源125は、RF信号B2状態のRF信号を第1のバイアス電極に供給することができる。工程204及び/又は工程206の間、第1のバイアス電極源125及び第2のバイアス電極源127によって供給されるRF信号は、RF信号が異なる周波数、位相、電圧及び/又は電力で供給される等、異なっていてよい。
【0037】
[0040]別の実施形態では、工程204の間(例えば、期間402の間)に送達される電力及び工程206の間(例えば、期間404の間)に送達される電力は、第1及び第2のバイアス電極源125、127によって第1のバイアス電極及び第2のバイアス電極に交互に印加される。一例として、第1のバイアス電極源125は、工程204において、ESC122に配置された第1のバイアス電極上にRF信号B1状態の第1のRF信号を形成することができ、第2のバイアス電極源127は、工程204の間、ESC122に配置された第2のバイアス電極上にRF信号B2状態のRF信号を形成することができる。ある構成では、第1のバイアス電極及び第2のバイアス電極は、ESC122内に隣接して位置決めされた電極である。工程206において、第2のバイアス電極源127は、RF信号B1状態のRF信号をESC122の第2のバイアス電極に送達することができ、第1のバイアス電極源125は、RF信号B2状態のRF信号を送達することができる。
【0038】
[0041]方法200の幾つかの実施形態では、工程204を実行した後に、工程206において、第2のバイアス電極源127がRF信号B1状態からRF信号B2状態に切り替わるのと同時に、第1のバイアス電極源125がRF信号B1状態を第1のバイアス電極に送達し続けることができる。更に別の実装態様では、第1及び第2のバイアス電極源の両方を同期させて、両方の電極源が各々RF信号B1状態とRF信号B2状態とを別々に交互に繰り返すバイアス電力のパルスをバイアス電極に順次送達するようにすることができる。例えば、バイアス電極に供給される電力は、工程204において両方とも第1の状態(例えば、より低い電力状態)、又はスイッチオフの状態にあり、工程206において両方とも第2の電力状態(例えば、電力が増加した状態)、又は少なくともスイッチオンの状態にある。幾つかの実施形態では、第1及び第2のバイアス電極は、同じバイアス電極であり得る、又は上述のように、基板支持体に配置された分離した別個のバイアス電極であり得る。幾つかの実施形態では、第1の電極源125は、第2の電極源127によって供給される高い周波数の電力に対して、より低い周波数の電力を送達する。
【0039】
[0042]従来のプロセスは、パルス交互堆積ガス組成物及びエッチングガス組成物を利用するが、これは、交互ガス組成物の注入の前にプロセス領域101を排気する必要があるため、時間のかかるプロセスであり、比較的低いスループットにつながる。更に、従来の処理スキームでは、ガスの流れがプロセス領域101内に再導入された後の時点でガスバーストが発生するのを防止するために、ガスがプロセス領域101に送達されていないときにガスを真空ポンプのフォアラインに迂回させる必要があるため、ガスがプロセス領域101に送達されていないときにプロセスガスが無駄になることが多い。更に、ガスの切り替えとパージとの間には、プロセス条件を安定させるための時間が必要である。理論に束縛されることなく、基板の表面に吸着される第1のガスの送達を含む従来の周期的プロセスは、次に第2のガスを供給して第1のガスを含む表面を活性化させ、吸着分子が基板と反応して、吸着分子が配置された表面の薄い層の望ましくないエッチングをもたらすと考えられる。
【0040】
[0043]本明細書に記載の1又は複数のプロセスは、ガスの送達を交互に行わず、その代わりに、ソース電力とバイアス電力とを切り替えて、基板上の材料の堆積及びエッチングを制御する。その結果、プロセスでは驚くべきことに、基板の窒化物部分に対して基板の酸化物部分をエッチングする選択性が得られる。その選択性は15を超え、例えば30を超える。理論に束縛されることなく、ソース電極とバイアス電極を相対的に調整することで、酸化物含有部分に対して窒化物含有部分の上により厚いポリマーを堆積させることができると考えられる。幾つかの実施形態では、各デューティサイクル堆積期間402に、窒化物含有部分の上に約0.2nm/秒から約2nm/秒、例えば約0.4nm/秒から約1.5nm/秒、例えば約0.5nm/秒から約1nm/秒のサイクル速度で堆積する。幾つかの実施形態では、各デューティサイクル堆積期間402に、窒化物含有部分に対して酸化物含有部分に堆積するポリマーの量は少なく、例えば、酸化物含有部分には実質的に堆積しない。エッチング期間404では、バイアス電極の電力を増加させ、混合ガスの反応性を高めてエッチングを促進する。窒化物部分の上の厚いポリマーは窒化物部分を保護し、エッチング404の間、酸化物部分のエッチングに対する高い選択性を促進する。理論に束縛されることなく、混合ガス中のアルゴンは、衝撃によってエッチング反応を開始させ、また、エッチングのためのラジカル濃度を増加させるBClの解離を起こしやすくする。
【0041】
[0044]図5は、幾つかの実施形態に係る、本明細書に記載の方法を使用して基板を処理する前(例えば、500)及び処理した後(例えば、510)の基板を示す図である。基板500は、窒化物部分502及び酸化物部分504を含む。窒化物層に対してパターニングされた全ての酸化物層は、本明細書で提供される方法の恩恵を受けることができる。図から分かるように、本明細書に記載の方法を用いて基板500を処理した後に得られた基板510は、窒化物部分502に対して酸化物部分504がより多くエッチングされている。窒化物部分502の形状は、得られた基板510において保持されている。
【0042】
[0045]実装態様は、以下の潜在的な利点のうちの1又は複数を含み得る。本開示の1又は複数の実装態様は、処理中に基板の窒化物部分よりも酸化物部分に対して高い選択性を有するプロセスを可能にし、基板のスループットを有利に増加させ、プロセスガスの消費を削減する。
【0043】
[0046]本明細書に記載の実装態様及び機能動作の全ては、デジタル電子回路、又は本明細書に開示される構造的手段及びその構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実装することができる。本明細書に記載の実装態様は、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータによって実行するため、又はその動作を制御するための、1又は複数の非一過性コンピュータプログラム製品、すなわち、機械可読記憶装置に触知可能に具現化された1又は複数のコンピュータプログラムとして実装することができる。
【0044】
[0047]本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行する1又は複数のコンピュータプログラムを実行する1又は複数のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。また、プロセス及び論理フローは、特殊用途の論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、装置は、特殊用途の論理回路として実装することもできる。
【0045】
[0048]「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらの1又は複数の組み合わせを構成するコードを含み得る。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、一例として、汎用マイクロプロセッサと特殊用途マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1又は複数のプロセッサが含まれる。
【0046】
[0049]コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体には、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスが含まれ、例として、半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;並びにCD ROM及びDVD-ROMディスクが含まれる。プロセッサとメモリは、特殊用途の論理回路によって補足され得る、又は特殊用途の論理回路に組み込まれ得る。
【0047】
[0050]本開示の要素又はその例示的な態様もしくは実装態様(複数可)を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、要素の1又は複数が存在することを意味することが意図される。
【0048】
[0051]「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0049】
[0052]「選択的にエッチングする」又は「選択的に除去する」という用語は、ある種類の材料が別の種類の材料に対して優先的に除去されるプロセス、又は基板のある領域の材料を基板の別の領域に対して選択的に除去するプロセスを広く表すことを意図している。
【0050】
[0053]前述の内容は本開示の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実装態様を考案することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】