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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】成形体
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/42 20060101AFI20241219BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29C70/42
B29C53/04
B29C70/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540008
(86)(22)【出願日】2023-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2023013873
(87)【国際公開番号】W WO2024090784
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0141268
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ダム・ヒョク・イム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グン・ウム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ミ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ナム・ムン
【テーマコード(参考)】
4F205
4F209
【Fターム(参考)】
4F205AB25
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG01
4F205AG28
4F205HA08
4F205HA24
4F205HA36
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK07
4F205HK24
4F209AB11B
4F209AB25
4F209AG01
4F209NA01
4F209NB01
4F209NG02
4F209NH06
(57)【要約】
本出願は、成形体、その製造方法及び前記成形体の用途を提供しうる。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含み、前記陰刻部位と陽刻部位での物性が均一な成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供しうる。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含む成形体であって、前記成形体の製造のための原反の物性が安定的に維持された成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分及びフィラー成分を含む板状成形体であって、
前記板状成形体には、陽刻部位と陰刻部位を含む凹凸形状が形成されており、
前記陽刻部位と前記陰刻部位の引張破断強度の差の絶対値が10%以下であり、
前記陰刻部位の引張破断強度が50MPa以上であるか、原反に対して引張破断強度の変化率が80%以上である、板状成形体。
【請求項2】
樹脂成分及びフィラー成分を含む板状成形体であって、
前記板状成形体には、陽刻部位と陰刻部位を含む凹凸形状が形成されており、
前記板状成形体は、第1の方向に形成された辺を有し、
前記板状成形体を前記第1の方向の辺に垂直な方向に3等分して得られる上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差が100以下である、板状成形体。
【請求項3】
陰刻部位の引張破断強度が50MPa以上であるか、原反に対して引張破断強度の変化率が80%以上である、請求項2に記載の板状成形体。
【請求項4】
樹脂成分が熱可塑性ポリマーである、請求項1または2に記載の板状成形体。
【請求項5】
フィラー成分は、繊維状フィラーを含む、請求項1または2に記載の板状成形体。
【請求項6】
繊維状フィラーは、アスペクト比が3~60の範囲内である、請求項5に記載の板状成形体。
【請求項7】
繊維状フィラーは、断面直径が1μm~100μmの範囲内である、請求項6に記載の板状成形体。
【請求項8】
板状成形体は、樹脂成分100重量部に対して1~100重量部のフィラー成分を含む、請求項1または2に記載の板状成形体。
【請求項9】
厚さが100μm~100mmの範囲内である、請求項1または2に記載の成形体。
【請求項10】
樹脂成分とフィラー成分を含む原反を成形して陰刻部位と陽刻部位を含む凹凸形状を有する板状成形体を製造する方法であって、
前記凹凸形状に対応する陰刻を有するモールドの前記対応する陰刻上に前記原反を配置し、前記モールドの下部から前記原反を吸引しながら、前記原反の上部から圧力を印加する成形段階を含む、方法。
【請求項11】
圧力の印加は、原反の上部から気体を噴射して行う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
圧力の印加は、モールドの陰刻に対応する陽刻形状を有する第2のモールドの前記陽刻形状に原反をプレスして行う、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
成形段階において、原反の温度を下記式1によるΔTの絶対値が50%以下となるように維持する、請求項10に記載の方法。
[式1]
△T=100×(Ts-Tg)/Tg
式1において、Tsは、成形段階において前記原反の表面温度であり、Tgは、前記樹脂成分のガラス転移温度である。
【請求項14】
原反の表面温度をセラミックヒーターまたはコイルヒーターで制御する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
原反の下部からの吸引と上部からの圧力の印加を、下記式2による△Pの絶対値が100%以内となるように行う、請求項10に記載の方法。
[式2]
△P=100×(PU-)/P
式2において、Pは、上部から加えられる圧力によって前記原反に加えられる圧力であり、Pは、前記原反の下部の吸引によって前記原反に加えられる圧力である。
【請求項16】
原反の下部の吸引によって前記原反に加えられる圧力が100gf/cm~2,000gf/cmの範囲内である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
樹脂成分及びフィラー成分を含む板状成形体を含み、
前記板状成形体には陽刻部位と陰刻部位を含む凹凸形状が形成されており、
前記陽刻部位の引張破断強度及び前記陰刻部位の引張破断強度の差の絶対値が10%以下であり、
前記陰刻部位の引張破断強度が50MPa以上であるか、原反に対して引張破断強度の変化率が80%以上である、ヒートシンク。
【請求項18】
樹脂成分及びフィラー成分を含む板状成形体を含み、
前記板状成形体には陽刻部位と陰刻部位を含む凹凸形状が形成されており、
前記板状成形体は、第1方向に形成された辺を有し、
前記板状成形体を前記第1方向の辺に垂直な方向に3等分して得られる上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差が100以下である、ヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、成形体、その製造方法及び前記成形体の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂成分などのプラスチックを成形する方法は様々に知られており、その例としては、押出成形、射出成形または中空成形などがある。
【0003】
前記成形方法の中で凹凸を有する成形体を製造するために最も多く適用される方法は、射出成形や中空成形である。
【0004】
射出成形は、溶融した原料を金型に注入し、冷却した後、金型を開放して排出させて形状を完成する方式であり、複雑な形状の成形が可能であるため、よく使用される。
【0005】
中空成形は主にボトル状の成形体を製造するのによく使用されるが、予備成形物を金型に入れ、瞬間的に強い風を注入して成形体を完成する。
【0006】
しかし、前記のような成形方法には、次のような短所がある。
【0007】
射出成形方法、中空成形方法またはその他の成形方法のいずれかを使用する場合でも、凹凸形状を有する成形体を製造する過程では、前記凹凸形状の陰刻部位と陽刻部位に異なる圧力が加えられる。したがって、製造された成形体において、前記陰刻部位と陽刻部位に物性のばらつきが発生する可能性が大きい。
【0008】
成形体の機械的物性を改善するために樹脂成分に補強材を配合できるが、このような場合に前記のような問題点がさらに浮上する。
【0009】
樹脂成分と補強材が混合されている場合に成形過程で加えられる圧力により、前記樹脂成分と補強材の界面で気孔が形成されることがある。陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状の成形体を製造する過程では、前記のような気孔の大きさや密度などの差が前記陰刻部位と陽刻部位でより大きく発生し、したがって、陰刻部位と陽刻部位での物性の差がさらに大きくなることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願は、成形体、その製造方法及び前記成形体の用途を提供することを目的とする。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含み、前記陰刻部位と陽刻部位での物性が均一な成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供することを主な目的とする。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含む成形体であって、前記成形体の製造のための原反の物性が安定的に維持された成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、成形体に関する。前記成形体は、熱可塑性樹脂などのプラスチックを原料として所望の所定の形状を有するように製造されたものであってもよい。
【0012】
前記成形体は、少なくとも樹脂成分とフィラー成分を含んでもよい。
【0013】
前記成形体に含まれる樹脂成分の種類には特に制限はなく、例えば、成形可能であることが知られている樹脂成分の中から必要な種類を適宜選択して使用すればよい。例えば、前記樹脂成分は熱可塑性ポリマーを含んでもよい。この過程で適用可能な熱可塑性ポリマーの種類には様々な結晶性もしくは非結晶性ポリマーが含まれ、その例としては、PP(polypropylene)やPE(polyethylene)などのポリオレフィン系のポリマー、mPPO(Modified PPO(Polyethylene oxide))などのポリアルキレンオキシド系のポリマー、PA(polyamide)などのポリアミド系のポリマー、POM(polyoxymethylene)などのアセタール系のポリマー、PC(polycarbonate)、PBT(polybutylene terephthalate)またはPET(polyethylene terephthalate)などのポリエステル系のポリマー、PMMA(poly(methyl methacrylate))などのアクリル系のポリマー、PS(polystyrene)やABS(Acrylonitrile butadiene styrene)などのポリスチレン系のポリマーなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0014】
樹脂成分は、種類に応じて固有のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。特に制限されるものではないが、本出願で適用される前記樹脂成分のガラス転移温度の下限は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃または145℃程度であってもよく、その上限は、500℃、450℃、400℃、4、350℃、300℃、250℃、200℃または150℃程度であってもよい。樹脂成分のガラス転移温度は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0015】
成形体内において前記樹脂成分の割合には特に制限はなく、目的に応じて適正な割合で調節されてもよい。例えば、前記成形体内の前記樹脂成分の割合の下限は、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%または95重量%程度であってもよく、その上限は、100重量%、95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%または55重量%程度であってもよい。樹脂成分の割合は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0016】
前記成形体は、追加成分としてフィラー成分を含んでもよい。このようなフィラー成分は、例えば、補強材として含まれてもよい。
【0017】
適用可能なフィラー成分の例には特に制限はなく、例えば、ガラスフィラー、カーボンフィラー及び/又はシリカフィラーなどの有機フィラーまたは無機フィラーまたは有無機フィラーを適用してもよい。
【0018】
前記フィラーの形状にも特に制限はなく、例えば、前記フィラーは、粒子状(球状、角状、不定形又はその他の形状の粒子状フィラー)フィラー、板状フィラー又は繊維状フィラーであってもよい。
【0019】
前記のようなフィラーのサイズの下限は、例えば、1μm、5μmまたは10μm程度であってもよく、上限は、100μm、95μm、90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μmまたは15μm程度であってもよい。前記フィラーのサイズは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0020】
前記フィラーのサイズは、前記フィラーが粒子状の場合に当該フィラーの平均直径(D50粒径でもメジアン径)であってもよく、板状の場合に当該フィラーの厚さ又はフィラーの厚さ方向に垂直な方向における長辺または短辺であってもよく、繊維状の場合にフィラーの断面の直径であってもよい。
【0021】
一例において、前記フィラーは繊維状フィラーであってもよい。繊維状フィラーの場合、大きなアスペクト比を有するため、成形体の製造過程で配向性を示し、それによって加えられる圧力に応じて成形体の物性がより容易に不均一になることがあるが、本出願の方法を適用すれば、繊維状フィラーの場合でも均一な物性の成形体を製造しうる。
【0022】
繊維状フィラーの場合、前記フィラーのアスペクト比(aspect ratio)の下限は、3、5、7、9、10、12、14、16、18、20、22または24程度であってもよく、その上限は、60、55、50、45、40、35、30または25程度であってもよい。前記アスペクト比は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。繊維状フィラーのアスペクト比は、前記フィラーの長さを前記フィラーの断面の直径で割った値である。
【0023】
繊維状フィラーの場合、フィラーの断面の直径の下限は、例えば、1μm、5μmまたは10μm程度であってもよく、上限は、100μm、95μm、90μm、85μmm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μmまたは15μm程度であってもよい。前記繊維状フィラーの断面の直径は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0024】
成形体内において前記フィラー成分の前記樹脂成分100重量部に対する重量比の下限は、1重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部または25重量部程度であってもよく、その上限は、100重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部、50重量部、45重量部、40重量部、35重量部、30重量部、または25重量部程度であってもよい。前記フィラー成分の重量比は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。また、所望の物性を考慮して、前記フィラー成分の重量比は、前述した範囲内外で変更されてもよい。
【0025】
前記成分を含む本出願の成形体は、板状成形体であってもよく、また、陽刻部位と陰刻部位を含んで形成されている凹凸形状を有する成形体であってもよい。
【0026】
従来の成形方法によって前記のように凹凸形状を有する成形体を製造する場合、当該成形体の陰刻部位と陽刻部位では容易に物性の差が発生し、成形体がフィラー成分などの補強材を含む場合、前記差はさらに大きくなる。
【0027】
前記凹凸形状の具体的な形態、例えば、陰刻や陽刻形状の深さないし高さ、面積、形状及び/又は個数などには特に制限がなく、成形体が適用される用途を考慮して適正な形態の凹凸形状が適用されてもよい。
【0028】
しかし、本出願では、後述する成形方法を通じて陰刻部位と陽刻部位において同等の物性を示す成形体を提供しうる。
【0029】
例えば、前記成形体では、前記陰刻部位の引張破断強度と前記陽刻部位の引張破断強度の差の絶対値が所定範囲内に調節されてもよい。
【0030】
本明細書において引張破断強度の測定方法は、実施例にまとめられている。前記引張破断強度は、横の長さが約45mmで、縦の長さが約12.5mmとなるように裁断された試片に対してUTM(Universal Testing Machine)装備を使用して常温(約25℃)で行ってもよい。
【0031】
前記試片の横は、原反のMD(Machine Direction)またはTD(Transverse Direction)に平行な方向であってもよい。前記においてMD及びTDは、後述する原反のMD及びTD方向を意味し、これは原反を製造する押出工程におけるMD及びTD方向を意味する。
【0032】
前記装備に前記試片の横方向の両端を約8mmずつ固定し、前記横方向に試片を約50mm/secの速度で引張りながら、試片が破断する時点での強度を測定し、前記強度を引張破断強度とする。
【0033】
前記陰刻部位の引張破断強度と陽刻部位の引張破断強度の差は、前記陰刻部位の引張破断強度をSとし、陽刻部位の引張破断強度をSとしたときに100×(S-S)/Sで計算される値であり、その単位は、%である。
【0034】
前記陽刻部位と陰刻部位の引張破断強度の差の絶対値の上限は、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%程度であってもよく、その下限は、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%または3.5%程度であってもよい。前記陽刻部位と陰刻部位の引張破断強度の差の絶対値は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0035】
本出願の成形体は、さらに原反が有する物性と類似した物性を有するように製造されてもよい。前記において原反とは、前記凹凸形状を有する成形体を製造するために適用されるフィルムまたはシート状の材料を意味する。すなわち、本出願の成形体を製造する過程は、前記樹脂成分とフィラー成分を含む材料を押出工程に適用して板材(シートまたはフィルム)を製造し、この板材に凹凸部位を形成する成形段階を含んでもよい。前記成形過程で加えられる圧力によって板材の内部に樹脂成分とフィラー成分の界面に気孔が多数発生すると、最終成形体の物性は、従前の板材の物性とは異なることがある。しかし、本出願の方法が適用されると、前記原反の物性の変化を最小化したり、または無くしたりしながら成形体を製造しうる。
【0036】
例えば、前記成形体は、前記原反に対する引張破断強度の変化率が所定範囲以上であってもよい。前記において原反に対する引張破断強度の変化率は、前記原反の引張破断強度をSとし、前記成形体の引張破断強度をSとしたときに100×S/Sで計算される値であり、その単位は、%である。また、前記において成形体の引張破断強度Sは、前記成形体の陰刻部位または陽刻部位の引張破断強度であってもよく、または前記陰刻部位と陽刻部位の引張破断強度の算術平均であってもよい。
【0037】
前記成形体において前記引張破断強度の変化率の下限は、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%または98%程度であってもよく、その上限は、100%、98%、96%、94%、92%、90%、88%、86%、84%または82%程度であってもよい。前記引張破断強度の変化率は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の超過または以上であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0038】
前記成形体において前記陰刻部位または陽刻部位は、一定レベルの引張破断強度を有してもよい。
【0039】
例えば、前記成形体の前記陰刻部位または陽刻部位の引張破断強度の下限は、50MPa、52MPa、54MPa、56MPa、58MPa、60MPa、62MPa、64MPa、66MPa、68MPa、70MPa、72MPa、74MPa、76MPa、78MPa、80MPa、82MPaまたは84MPa程度であってもよく、その上限は、1000MPa、950MPa、900MPa、850MPa、800MPa、750MPa、700MPa、650MPa、600MPa、550MPa、500MPa、450MPa、400MPa、350MPa、300MPa、250MPa、200MPa、150MPa、100MPaまたは90MPa程度であってもよい。前記引張破断強度は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の超過または以上であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0040】
本出願の成形体は、全体として均一な物性を有することができる。すなわち、成形体の製造過程では、凹凸形状の陰刻及び陽刻形状に異なるレベルの圧力が加えられることもできるが、同じ陰刻または陽刻形状の場合にも部位によって異なる圧力が加えられることができ、これにより物性のばらつきが発生することがある。しかし、本出願の方法が適用されると、成形体が全体として均一な物性を有することができる。
【0041】
例えば、本出願の板状成形体が第1の方向に形成された辺を有する場合に、前記第1の方向の辺に垂直な方向に前記成形体を3等分して得られる上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差が一定レベル以下に制御されてもよい。
【0042】
前記第1の方向は、板状成形体を前記成形体の厚さ方向に沿って観察したときに確認される成形体の任意の辺に平行な方向である。例えば、図1を参照すると、前記成形体が図1のように矩形である場合、当該矩形の横辺100または縦辺200の方向が第1の方向になることもある。図1では、前記縦辺200を第1の方向として前記第1の方向の辺に垂直な方向に前記成形体を3等分して上段部U、中段部M及び下段部Lを規定した結果が点線で示されている。場合によっては、前記成形体の辺が直線状でない場合には、当該辺の両端点(図1の場合2001、2002)をつなぐ仮想の直線の方向を前記第1の方向にすることができる。
【0043】
前記において、前記第1の方向に沿って成形体を3等分するということは、前記上段部U、中段部M及び下段部Lが等しい面積を有するように成形体を分割することを意味する。
【0044】
一方、前記標準偏差は、前記上段部、中段部及び下段部の引張破断強度をそれぞれSU、M、とし、その算術平均をAとしたときに{[(S-A)+(S-A)+(S-A)]/3}0.5で計算される値である。
【0045】
適切な例において、前記上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差の上限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20または15程度であってもよく、その下限は、0、2、4、6、8、10、12または14程度であってもよい。前記標準偏差は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0046】
本出願の成形体は、前述した引張破断強度の変化率、前記引張破断強度、前記陽刻部位と前記陰刻部位の引張破断強度の差の絶対値及び上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差から選ばれるいずれか2つの物性を有することができ、場合によっては前記物性をすべて満たすことができる。
【0047】
前記のような成形体の厚さは、目的に応じて適正なレベルに調節されてもよく、これに大きく制限されるものではない。例えば、前記成形体の厚さの下限は、100μm、500μm、1,000μm、1,500μmまたは2,000μm程度であってもよく、その上限は、100mm、95mm、90mm、85mm、80mm、75mm、70mm、65mm、60mm、55mm、50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、8mm、6mm、4mmまたは2mm程度であってもよい。前記厚さは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の超過または以上であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0048】
前記のような成形体は様々な用途に使用されてもよく、その例としては、いわゆるヒートシンク(Heat Sink)がある。公知のように、ヒートシンクは、直間接的な熱的接触を通じて他の物体から熱を吸収するか、または発散できる部品である。このようなヒートシンクは、表面積がなるべく広い方が有利なので、前記のように凹凸形状を有する成形体は、ヒートシンクとして有利に使用できる。
【0049】
前記ヒートシンクは、前述した板状成形体を少なくとも含んでもよい。ヒートシンクは、板状成形体のみで構成されるか、または前記板状成形体と必要な他の素材を同時に含んでもよい。
【0050】
前記ヒートシンクに含まれる前記板状成形体に対する内容、例えば、樹脂成分とフィラー成分に対する内容や、陰刻部位と陽刻部位の引張破断強度の差の絶対値、原反に対して引張破断強度の変化率、3等分して得られる上段部、中段部及び下段部のそれぞれの引張破断強度の標準偏差、前記板状成形体の厚さに対する内容は、前述の内容が同様に適用されてもよい。
【0051】
本出願は、さらに前記のような成形体を製造する方法に関する。
【0052】
本出願の前記製造方法は、前記樹脂成分と前記フィラー成分を含むシートまたはフィルムを成形して前記陰刻部位と陽刻部位を含む凹凸形状を有する成形体を製造する段階を含んでもよい。
【0053】
前記において樹脂成分とフィラー成分を含むシートまたはフィルムは、前述した原反であってもよい。このような原反は、前記樹脂成分とフィラー成分を含む材料を公知の成形工程、例えば押出工程などに適用して製造してもよい。前記原反の製造に使用される樹脂成分とフィラー成分の具体的な種類やその配合割合は、前記成形体で説明した内容と同じである。
【0054】
そのような原反は、前述したようにシート状またはフィルム状であってもよい。
【0055】
このような場合、前記原反の厚さは、目的に応じて適正なレベルに調節されてもよく、これに大きく制限されるものではない。例えば、前記原反の厚さの下限は、100μm、500μm、1,000μm、1,500μmまたは2,000μm程度であってもよく、その上限は、100mm、95mm、90mm、85mm、80mm、75mm、70mm、65mm、60mm、55mm、50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、8mm、6mm、4mmまたは2mm程度であってもよい。前記厚さは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の超過または以上であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0056】
本出願では、前記原反を使用して前記凹凸形状を形成する成形段階を行う。
【0057】
前記成形段階では、図2に示すように、所望の凹凸形状に対応する陰刻を有するモールド3000が使用される。前記モールドの陰刻形状は、前記凹凸形状に応じて定めることができる。
【0058】
前記成形段階では、前記モールド3000の上部に前記原反1000を配置し、前記モールド3000の下部から前記原反を吸引(図2のL方向に吸引力を印加)する段階が行われてもよい。この過程で加えられる吸引力によって前記原反1000に圧力が加えられることになる。
【0059】
前記成形段階では、前記のように吸引力を加えるとともに、前記原反の上部から圧力を印加しうる(図2のU方向)。
【0060】
このように原反1000の上部と下部から力を加えながら成形工程を行うことにより、所望の成形体を効果的に製造しうる。
【0061】
前記において、原反1000の上部から力を加える方式には特に制限はないが、以下の2つの方法のいずれかの方法で行ってもよい。
【0062】
例えば、図3及び図4に示すように、前記上部からの圧力の印加は、追加的なモールド4000(以下、第2のモールドと呼ぶこともある。)を使用して行ってもよい。すなわち、前記凹凸形状に対応する陰刻を有するモールドの前記陰刻に対応する陽刻形状を有する第2のモールド4000を準備し、図3及び図4に示すように、前記第2のモールド4000を原反1000に向かって移動させて、前記原反1000をプレスする方式で前記圧力を印加しうる。
【0063】
他の例において、例えば、前記上部からの圧力の印加は、前記原反の上部から気体を噴射して行ってもよい。
【0064】
このような例示は、図5に示されている。図5に示すように、蓋5000などを覆って密閉空間を形成した後、上部から空気などの気体Uを介して前記圧力を加えることができる。
【0065】
成形段階において、前記原反の温度、例えば、原反の表面温度が調節されてもよく、具体的には、下記式1によるΔTの絶対値が所定範囲となるように前記原反の温度が調節されてもよい。
【0066】
[式1]
△T=100×(Ts-Tg)/Tg
【0067】
式1において、Tsは、成形段階において前記原反の表面温度であり、Tgは、前記樹脂成分のガラス転移温度である。
【0068】
例えば、△Tの絶対値の上限は、50%、48%、46%、44%、42%、40%、38%、36%、34%、32%、30%、28%、26%、24%または22%程度であってもよく、その下限は、0%、5%、10%、15%または20%程度であってもよい。前記式1においてΔTは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0069】
前記原反の表面温度(Ts)は、前記式1のΔTの絶対値の範囲を満たす限り、樹脂成分のガラス転移温度に対して高くても低くてもよい。
【0070】
前記原反の表面温度を調節する方法には特に制限はなく、例えば、セラミックヒーターやコイルヒーターなどの公知のヒーターを使用して調節してもよい。
【0071】
また、前記過程において原反の下部から加えられる吸引力と原反の上部から加えられる圧力の関係も調節されてもよい。
【0072】
例えば、前記下部からの吸引と上部からの圧力の印加は、下記式2による△Pの絶対値が所定の範囲となるように制御されてもよい。
【0073】
[式2]
△P=100×(PU-)/P
【0074】
式2において、Pは、成形段階において原反の上部から加えられる圧力によって前記原反に加えられる圧力であり、Pは、前記原反の下部からの吸引によって前記原反に加えられる圧力である。
【0075】
例えば、前記式2の△Pの絶対値の上限は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%または5%程度であってもよく、その下限は、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%程度であってもよい。前記式2の△Pは、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0076】
式2において力Pは、前記吸引力のみが加えられたときに前記原反にかかる瞬間荷重を意味し、Pは、前記圧力のみが加えられたときに前記原反にかかる瞬間荷重を意味する。
【0077】
前記式2において△Pは、その絶対値が前記範囲を満たす限り、正数であってもよく、負数であってもよい。
【0078】
前記において原反の下部から加えられる吸引により前記原反に加えられる圧力(式2のP)の下限は、100gf/cm、150gf/cm、200gf/cm、250gf/cm、300gf/cm、350gf/cm、400gf/cm、450gf/cm、500gf/cm、550gf/cm、600gf/cmまたは650gf/cm程度であってもよく、その上限は、2000gf/cm、1900gf/cm、1800gf/cm、1700gf/cm、1600gf/cm、1500gf/cm、1400gf/cm、1300gf/cm、1200gf/cm、1100gf/cm、1000gf/cm、950gf/cm、900gf/cm、850gf/cm、800gf/cm、750gf/cmまたは700gf/cm程度であってもよい。前記力は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の未満または以下の範囲内であってもよい。
【0079】
前記工程を経て本出願の成形体を製造してもよい。本出願の方法は、前記工程においてさらに必要な任意の段階をさらに含んでもよい。例えば、前記方法は、前記成形段階の後に冷却工程などを通じて成形された形状を固定する段階などがさらに行われてもよい。
【発明の効果】
【0080】
本出願は、成形体、その製造方法及び前記成形体の用途を提供しうる。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含み、前記陰刻部位と陽刻部位での物性が均一な成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供しうる。本出願では、陰刻部位と陽刻部位を有する凹凸形状を含む成形体であって、前記成形体の製造のための原反の物性が安定的に維持された成形体、その成形体の製造方法及びその成形体の用途を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、成形体を3等分する方式を説明するための図である。
図2図2は、本出願の成形体の製造方法を説明するための図である。
図2図3は、本出願の成形体の製造方法を説明するための図である。
図2図4は、本出願の成形体の製造方法を説明するための図である。
図2図5は、本出願の成形体の製造方法を説明するための図である。
図6図6は、実施例で製造された成形体の写真である。
図7図7は、実施例で製造された成形体のSEMイメージである。
図7図8は、実施例で製造された成形体のSEMイメージである。
図9図9は、比較例で製造された成形体のSEMイメージである。
図10図10は、引張破断強度の測定のための試料の採取部位を説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【実施例
【0083】
実施例1.
図6のように、陰刻形状100と陽刻形状200とによる凹凸形状が形成されている成形体を次の方式により製造した。図1の成形体は、矩形の板状であり、横の長さが約608mm、縦の長さが約308mm、厚さが約2mmのもので、ヒートシンク(Heat sink)として使用されてもよい。
【0084】
まず、原反を製造した。原反は、樹脂成分であるmPPO(Modified PPO(Polyethylene oxide))とフィラー成分であるガラス繊維(glass fiber)が8:2の重量比(mPPO:フィラー成分)で配合された材料を押出工程に適用して約2mm程度の厚さで製造した。
【0085】
前記樹脂成分であるmPPOは、ガラス転移温度が約145℃程度であり、前記ガラス繊維は、断面の直径が約12.5μm程度であり、アスペクト比が24程度であった。
【0086】
前記原反を使用して次の方式で図6の成形体を製造した。図3に示すように、成形体の凹凸形状に対応する陰刻が形成されている第1のモールド3000上に前記原反1000を配置した。また、前記原反1000上に、前記凹凸形状に対応する陽刻形状が形成された第2のモールド4000を配置した。
【0087】
次に、セラミックヒーターを使用して、前記原反の表面の温度を約195℃のレベルに維持した。前記セラミックヒーターは、昇温装備の内部に配置し、原反の上部に前記セラミックヒーターを配置した状態でPLC(Programmable Logic Controller)システムの温度制御を通じて所望の温度に昇温した。前記原反の表面温度が所望の温度に制御されたか否かは、非接触式赤外線温度計を使用して確認した。
【0088】
次に、前記温度を維持しながら、図3に示すように第1のモールド3000の下部で吸引(suction)(L)を行い、同時に第2のモールド4000を下部に移動させて図4のような形態で前記原反に圧力を印加した。
【0089】
前記吸引(suction)(L)は、装備のゲージを100%開放して行った。この場合、rate基準でVacuum flowは、約1気圧程度であり、前記原反に加えられる圧力は、約690.2gf/cm(印加荷重約1500kgレベル)程度である。また、前記第2のモールド4000の加圧力は、前記吸引を通じて形成された成形体に約548.7gf/cm(印加荷重約1000kg)レベルの圧力が加えられるようにした。
【0090】
図4のような第1のモールド3000と第2のモールド4000の状態を約10秒程度維持し、成形体(原反)1000の温度を約40℃まで減温して冷却工程を行った。
【0091】
冷却工程後に第1及び第2のモールド3000、4000を分離し、成形体を回収した。
【0092】
実施例2.
実施例1と同じ方式で成形体を製造した。ただし、実施例2では、原反の加熱をコイルヒーターを使用して行い、原反の表面温度は、約175℃レベルに維持した。前記コイルヒーターは、昇温装備の内部に配置し、原反の上部に前記ヒーターを配置した状態でPLC(Programmable Logic Controller)システムの温度制御を通じて所望の温度に昇温した。前記原反の表面温度が所望の温度に制御されたか否かは、非接触式赤外線温度計を使用して確認した。
【0093】
前記内容を除いては、実施例1と同様に成形体を製造した。
【0094】
比較例1.
実施例1と同じ方式で成形体を製造するが、第2モールド4000による加圧を行わずに成形体を製造した。
【0095】
試験例1.成形状態の評価
実施例または比較例の成形体の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)装備(JEOL社、JSM-7800Fモデル)で撮影して成形性を評価した。前記成形体をTXP前処理装置で断面処理した後、前記SEM装備で撮影した。前記撮影時にはBED-C観察モードを適用し、倍率、作業距離及び加速電圧は、それぞれ100倍、15mm(Working Distance)及び15.0kVとした。図7及び8はそれぞれ実施例1及び2の結果であり、図9は、比較例1の結果である。
【0096】
図7~9の比較を通じて実施例1及び2の場合、内部に気孔が発生せず良好な成形が行われたが、比較例1の成形体の場合、内部に多数の気孔が確認されることが分かり、成形体の形状も所望の凹凸形状が適切に形成されなかった。
【0097】
試験例2.引張破断強度の評価
実施例または比較例で製造された板状の成形体の陰刻部位と陽刻部位の引張破断強度(Tensile strength)を評価した。図10に示すように、前記成形体の陰刻部位(図10の点で満たされた矩形)と陽刻部位(図10の斜線で満たされた矩形)をそれぞれ裁断して試片を製造し、このとき、試片は横の長さが約45mmであり、縦の長さが約12.5mmとなるように裁断した。図に示すように、陰刻部位ではすべて32個の試片を採取し、陽刻部位ではすべて17個の試片を採取し、下記に記載する引張破断強度は、前記試片で測定された引張破断強度の平均値である。
【0098】
UTM(Universal Testing Machine)装備を使用し、常温(約25℃)で引張破壊強度を測定した。前記試片を横方向の両端を約8mmずつ前記装備に固定し、横方向に引張りながら試片が破断する時点での強度を測定し、前記引張破断強度とした。前記引張は、約50mm/sec程度の引張速度で等速度で行った。
【0099】
前記測定結果を下記表1にまとめて記載した。
【0100】
表1において偏差は、陰刻部位の引張破断強度をSとし、引張破断強度をSとしたときに100×(S-S)/Sで計算される値である。
【0101】
【表1】
【0102】
試験例3.引張破断強度の評価
実施例または比較例で製造された板状の成形体を縦方向(図10の矢印方向)に等しい長さとなるように3等分して切断して上段部、中段部及び下段部の試片として製造した後、各部分について試験例2と同様に引張破断強度を評価した。
【0103】
このとき、試片の切断は、エッジ部の亀裂などを防止するためにWater jet工程で行った。
【0104】
図10に示すように、前記成形体の陰刻部位(図10の点で満たされた矩形)と陽刻部位(図10の斜線で満たされた矩形)から試片を得て、上段部、中段部及び下段部でそれぞれ前記と同じ方式で試片を得た。前記試片を裁断する際には、成形体のTD(Transverse direction)方向が横方向となるように試片を裁断した。前記TD方向は、原反を製造する押出工程を基準とした方向である。前記方法で上段部の陰刻部位及び陽刻部位からそれぞれ4つの試片(合計8つの試片)を採取し、中段部と下段部でも同様に試片を採取した。
【0105】
前記試片について試験例2の場合と同様に引張破断強度を評価し、その結果を表2にまとめて記載した。
【0106】
下記表2において強度MPaは、引張破断強度であり、これは上段部、中段部及び下段部のそれぞれから採取した試片について測定した引張破断強度の平均値である。
【0107】
また、下記表2において偏差は、前記平均値と前記原反の引張破断強度の比率として、前記原反の引張破断強度をSとし、前記平均値をSとしたとき、100×S/Sで計算される値である。
【0108】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】