(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】一定幅サブレゾリューションアシストフィーチャの決定のための方法、ソフトウェア、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 1/36 20120101AFI20250107BHJP
G03F 1/00 20120101ALI20250107BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G03F1/36
G03F1/00 D
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531581
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2022083060
(87)【国際公開番号】W WO2023110346
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/137860
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペン,シンユウ
(72)【発明者】
【氏名】ジア,ニンニン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル,ラファエル シー.
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BB02
2H197CB01
2H197DA02
2H197DA03
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA12
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA10
2H197JA05
(57)【要約】
マスクパターンを決定するための方法、ソフトウェア、及びシステムが開示される。決定は、それぞれが一定幅を有するサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクパターンを取得することを含み得る。幅は、連続変数として設定されるため、マスクパターンのマスク最適化プロセスにおいて他の変数と共に最適化され得る。次いで、それらの母集団及び/又は統計値に基づいて、最適化された連続幅は、限られた数のグローバル幅レベルに離散化される。更なるマスク最適化プロセスが、離散化された最適化されたグローバル幅レベルを有するSRAFで実行されてもよく、個々のSRAFに割り当てられた幅が、異なるレベルのグローバル幅レベルに調節され得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが一定幅を有するサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクパターンを取得することと、
前記マスクパターンのマスク最適化プロセスにおいて前記SRAFの幅を調節することと
を含む、マスクパターンを決定する方法。
【請求項2】
前記SRAFに対して定義された初期の離散的な幅レベルにアクセスすることと、
前記初期の離散的な幅レベルから初期の幅となる幅を割り当てることと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SRAFの位置に対応するリッジポイントから略等距離になるSRAFエッジを生成することであって、前記生成されたSRAFエッジが、湾曲したものであり、前記リッジポイントが、前記SRAFエッジが滑らかに変化するように決定される、ことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
SRAFガイダンスマップ(SGM)からリッジポイントを決定することと、2つのリッジポイント間の距離が距離限界を超えたとき、少なくとも2つのリッジポイントの補間を実行することであって、前記補間が、補間されたリッジポイントを生成する、こととを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記SRAFエッジの前記生成が、前記SRAFの前記リッジポイントに垂直なセグメントの両端に制御点を生成することであって、前記セグメントが、前記SRAFの前記一定幅に対応する長さを有する、ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
各SRAFの前記幅が、前記マスク最適化プロセスによって最適化される連続変数として設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マスク最適化プロセスが、
リソグラフィモデルを利用してリソグラフィプロセスをシミュレートすることと、
前記リソグラフィモデルによってシミュレートされたマスクの結像特性を予測することと、
前記結像特性に関連するコスト関数の使用によって前記結像特性を最適化するために1つ又は複数のSRAFの前記幅を調節することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アシストフィーチャ(AF)を含むマスクフィーチャの境界を生成するために光学的近接補正最適化を実行すること、又は前記マスクフィーチャを最適化すると共に、リソグラフィシステムにおける放射源マスク最適化(SMO)において照明源を同時最適化することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マスク最適化プロセスにおいて利用されるコスト関数が、エッジ配置誤差、サイドローブプリンティング、マスクルールチェック(MRC)準拠、又は事前に定義された要件のうちの1つ若しくは複数を記述するパラメータを含み、前記パラメータのうちの少なくとも1つが前記幅の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
幅を表す最適化された連続変数に基づいて、前記SRAFの選択された幅を決定することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記決定することが、
前記最適化された幅の母集団又は母集団分布を決定することと、
1つ又は複数の規則に基づいて、前記母集団又は母集団分布の幅の範囲内に前記選択された幅を設定することと、
各SRAFの前記幅を最も近い選択された幅に設定することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各SRAFの前記幅が、更なるマスク最適化プロセスによって最適化される離散的変数であり、離散的変数がSRAFよりも少なく、前記更なるマスク最適化プロセスにおける各離散的変数が、グローバル幅レベルに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マスク最適化プロセスにおいて前記グローバル幅レベルを固定又は最適化することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記幅の前記調節が、
前記SRAFの連続幅を連続変数として決定することと、
前記SRAFの前記連続幅を離散的な幅に離散化することと、
前記離散的な幅から選択されるように前記幅を変化させることにより前記マスク最適化プロセスを実行することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
命令を記録した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサによって実行されると、請求項1~14の何れか一項に記載の方法を実行する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年12月14日に出願された国際出願番号第PCT/CN2021/137860号の優先権を主張するものであり、同国際出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書における説明は、一般に、マスク製造及びパターニングプロセスに関する。より詳細には、本開示は、サブレゾリューションアシストフィーチャを決定するための装置、方法、及びコンピュータプログラムを含む。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。このような場合、パターニングデバイス(例えば、マスク)は、ICの個々の層に対応するパターン(「設計レイアウト」)を含むこと、又は提供することができ、及びこのパターンは、パターニングデバイス上のパターンを通してターゲット部分を照射するなどの方法により、放射感応性材料(「レジスト」)の層でコートされた基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。一般に、単一の基板は、パターンがリソグラフィ投影装置によって連続して転写される複数の隣接するターゲット部分(一度に1つのターゲット部分)を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置においては、パターニングデバイス全体上のパターンが、一回で1つのターゲット部分上に転写され、このような装置はまた、ステッパと呼ばれ得る。代替装置では、ステップアンドスキャン装置は、投影ビームが、所与の基準方向(「スキャン」方向)にパターニングデバイスをスキャンすることに同期して、この基準方向に平行又は逆平行に基板を移動させることができる。パターニングデバイス上のパターンの異なる部分が、1つのターゲット部分に漸進的に転写される。一般に、リソグラフィ投影装置は、縮小率M(例えば、4)を有するので、基板を移動させる速度Fは、投影ビームがパターニングデバイスをスキャンする速度×1/Mとなる。リソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,046,792号に見出すことができる。
【0004】
[0004] パターニングデバイスから基板にパターンを転写する前に、基板は、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの様々なプロシージャを経てもよい。露光後に、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、及び転写されたパターンの測定/インスペクションなどの他のプロシージャ(「ポストプロシージャ」)を受けてもよい。この多数のプロシージャは、デバイス、例えばICの個々の層を作るための基礎として使用される。基板は、次に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨など(全て、デバイスの個々の層を仕上げることを意図したもの)の様々なプロセスを経てもよい。デバイスに幾つかの層が必要とされる場合、プロシージャ全体又はそれの異形が、各層に対して繰り返される。最終的に、基板上の各ターゲット部分にデバイスが存在する。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、その結果、個々のデバイスがキャリア上に取り付けられること、ピンに接続されることなどが可能である。
【0005】
[0005] よって、半導体デバイスなどのデバイスを製造することは、典型的には、デバイスの様々なフィーチャ及び複数の層を形成するために、いくつかの製造プロセスを使用して基板(例えば、半導体ウェーハ)を処理することを含む。このような層及びフィーチャは、典型的には、例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、及びイオン注入を使用して製造及び処理される。複数のデバイスが、基板上の複数のダイ上に作製され、その後、個々のデバイスに分離され得る。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスとみなされ得る。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置においてパターニングデバイスを使用する光リソグラフィ及び/又はナノインプリントリソグラフィなど、パターニングデバイス上のパターンを基板に転写するパターニングステップを含み、典型的には、しかしながら任意選択で、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを使用する基板のベーク、エッチング装置を使用してパターンを使用するエッチングなど、1つ又は複数の関連するパターン処理ステップを含む。
【0006】
[0006] 上述の通り、リソグラフィは、基板上に形成されたパターンが、マイクロプロセッサ、メモリチップなどのデバイスの機能素子を定義する、ICなどのデバイスの製造における中心的ステップである。フラットパネルディスプレイ、微小電子機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成においても、類似のリソグラフィ技術が使用される。
【0007】
[0007] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、機能素子の寸法は、継続的に小さくなっている一方で、「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、1つのデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の量は、何十年にもわたり、着実に増加している。現在の技術状況では、デバイスの層は、深紫外線照明源からの照明を用いて、設計レイアウトを基板上に投影し、100nmをはるかに下回る(すなわち、照明源(例えば、193nm照明源)からの放射の波長の半分未満)寸法を有する個々の機能素子を生成するリソグラフィ投影装置を用いて製造される。
【0008】
[0008] リソグラフィ投影装置の古典的限界解像度未満の寸法を持つフィーチャが印刷されるこのプロセスは、解像度式CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィと呼ばれ得、式中、λは、用いられた放射の波長(例えば、248nm又は193nm)であり、NAは、リソグラフィ投影装置における投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」(一般に、印刷される最小のフィーチャサイズ)であり、及びk1は、経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能性及び性能を達成するために設計者によって計画された形状及び寸法に酷似するパターンを基板上に再現することがより難しくなる。これらの困難を克服するために、最新式の微調整ステップが、リソグラフィ投影装置、設計レイアウト、又はパターニングデバイスに適用される。これらは、例えば、限定されないが、NA及び光学コヒーレンス設定の最適化、カスタマイズ照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC、「光学及びプロセス補正(optical and process correction)」とも呼ばれることがある)、又は一般に「解像度向上技術」(RET)と定義される他の方法も含む。本明細書で使用する「投影光学系」という用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、アパーチャ、及び反射屈折光学系を含む、様々なタイプの光学システムを網羅すると広く解釈されるものとする。「投影光学系」という用語は、まとめて、又は単独で、放射の投影ビームの誘導、整形、又は制御を行うためにこれらの設計タイプの何れかに従って動作するコンポーネントも含み得る。「投影光学系」という用語は、光学コンポーネントがリソグラフィ投影装置の光路上のどこに位置するかにかかわらず、リソグラフィ投影装置内の何れの光学コンポーネントも含み得る。投影光学系は、ソースからの放射がパターニングデバイスを通過する前に、放射を整形、調節、及び/又は投影するための光学コンポーネント、及び/又は放射がパターニングデバイスを通過した後に、放射を整形、調節、及び/又は投影するための光学コンポーネントを含み得る。投影光学系は、一般に、ソース及びパターニングデバイスを除く。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 一実施形態によれば、マスクパターンを決定する方法が、それぞれが一定幅を有するサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクパターンを取得することと、マスクパターンのマスク最適化プロセスにおいて幅を調節することとを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、本方法はまた、SRAFに対して定義された初期の離散的な幅レベルにアクセスすることと、初期の離散的な幅レベルから初期の幅となる幅を割り当てることとを含み得る。本方法は、SRAFエッジを生成することであって、SRAFエッジが、SRAFの位置に対応するリッジ(ridge)ポイントから略等距離になるように生成され得る、ことを含み得る。いくつかの実施形態では、生成されたSRAFエッジは、湾曲したものであり得る。また、リッジポイントは、SRAFエッジが滑らかに変化するように決定され得る。いくつかの実施形態では、リッジポイントは、SRAFガイダンスマップ(SGM)から決定され得、リッジポイントは、対応するSRAFエッジ間に配置される。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、SRAFエッジの生成は、2つのリッジポイント間の距離が距離限界を超えたとき、少なくとも2つのリッジポイントの補間を実行することであって、補間が、補間されたリッジポイントを生成する、ことを含み得る。補間されたリッジポイントは、2つのリッジポイント間にあるセグメントの中間点に生成され得る。補間されたリッジポイントは、2つのリッジポイント間のスプライン補間曲線に沿って生成され得、スプライン補間曲線が、少なくとも1つの他のリッジポイントを利用して生成される。
【0012】
[0012] SRAFエッジの生成は、SRAFのリッジポイントに垂直なセグメントの両端に制御点を生成することを含み得る。セグメントは、SRAFの一定幅に対応する長さを有し得る。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、本方法はまた、SRAFエッジに先端を付加することを含み得る。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、各SRAFの幅は、マスク最適化プロセスによって最適化される連続変数として設定され得る。マスク最適化プロセスは、リソグラフィモデルを利用してリソグラフィプロセスをシミュレートすることと、リソグラフィモデルによってシミュレートされたマスクの結像特性を予測することと、結像特性に関連するコスト関数の使用によって結像特性を最適化するために1つ又は複数のSRAFの幅を調節することとを含み得る。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、マスク最適化プロセスは、アシストフィーチャ(AF)を含むマスクフィーチャの境界を生成するために光学的近接補正最適化を実行することを含み得、また、マスクフィーチャを最適化すると共に、リソグラフィシステムにおける放射源マスク最適化において照明源を同時最適化することを含み得る。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、マスク最適化プロセスにおいて利用されるコスト関数が、エッジ配置誤差、サイドローブプリンティング、マスクルールチェック(MRC)準拠、又はユーザ定義のカスタム要件のうちの1つ若しくは複数を記述するパラメータを含み得、パラメータのうちの少なくとも1つが幅の関数である。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、本方法は、SRAFの選択された幅を決定することを含み得る。選択された幅の数は5未満であり得る。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、本方法は、最適化された幅の母集団又は母集団分布を決定することと、1つ又は複数の規則に基づいて、母集団又は母集団分布の幅の範囲内に選択された幅を設定することと、各SRAFの幅を最も近い選択された幅に設定することとを含み得る。規則は、選択された幅を幅の範囲内で均等に設定することを含み得る。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、各SRAFの幅は、更なるマスク最適化プロセスによって最適化され得る離散的変数であり得、離散的変数がSRAFよりも少ない。各離散的変数は、グローバル幅レベルに対応し得る。グローバル幅レベルはマスク最適化プロセス中に固定され得る、又はグローバル幅レベルはマスク最適化プロセス中に最適化され得る。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、幅の調節は、SRAFの連続幅を連続変数として決定することと、SRAFの連続幅を離散的な幅に離散化することと、離散的な幅から選択されるように幅を変化させることによりマスク最適化プロセスを継続することとを含み得る。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、命令を記録した非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを有するコンピュータによって実行されると、上述の方法実施形態における動作のいずれかを含む動作を引き起こす、非一時的コンピュータ可読媒体が存在し得る。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、マスクパターンを決定するためのシステムであって、本システムが、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサと、命令を記録した非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを有するコンピュータによって実行されると、上述の方法実施形態における動作のいずれかを含む動作を引き起こす、非一時的コンピュータ可読媒体とを備える、システムが存在し得る。
【0023】
[0023] 本明細書に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される主題の特定の態様を示し、説明と併せて、開示される実装に関連する原理の一部を説明するのを助ける。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】[0024]本開示の一実施形態による、リソグラフィ投影装置の様々なサブシステムのブロック図を示す。
【
図2】[0025]本開示の一実施形態による、リソグラフィ投影装置におけるリソグラフィをシミュレートするための例示的なフローチャートを示す。
【
図3】[0026]本開示の一実施形態による、主要フィーチャ(MF)及びサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクの例示的な部分を示す。
【
図4】[0027]本開示の一実施形態による例示的な一定幅SRAFを示す。
【
図5】[0028]本開示の一実施形態による、マスクパターンを決定する例示的な方法を示す。
【
図6】[0029]本開示の一実施形態による、SRAFエッジを生成するための例示的な方法を示す。
【
図7】[0030]本開示の一実施形態による、SRAF幅を離散化する例示的な方法を示す。
【
図8】[0031]本開示の一実施形態による、最適化プロセスの異なる部分において連続値及び離散値の両方として幅を最適化することを含む複合最適化方法を示す。
【
図9】[0032]本開示の一実施形態による、コンピュータシステム例のブロック図である。
【
図10】[0033]本開示の一実施形態による、リソグラフィ投影装置の模式図である。
【
図11】[0034]一実施形態による、別のリソグラフィ投影装置の模式図である。
【
図12】[0035]本開示の一実施形態による、リソグラフィ投影装置の詳細図である。
【
図13】[0036]本開示の一実施形態による、リソグラフィ投影装置のソースコレクタモジュールの詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0037] 本明細書において、ICの製造に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本明細書の記載は、多くの他の可能な適用例を有することが明白に理解されるものとする。例えば、それは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造において用いられ得る。当業者は、このような代替適用例の文脈において、本明細書における「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語の使用が、それぞれ、より一般的な用語である「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」と同義であると解釈されるべきであることを認識するだろう。
【0026】
[0038] 本明細書において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線、例えば、約5~100nmの範囲内の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅するために使用される。
【0027】
[0039] パターニングデバイスは、1つ若しくは複数の設計レイアウトを含むか又は形成することができる。設計レイアウトは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを利用して生成することができ、このプロセスは、EDA(電子設計自動化)と呼ばれることが多い。ほとんどのCADプログラムは、機能設計レイアウト/パターニングデバイスを生成するために、所定の設計ルールセットに従う。これらのルールは、処理及び設計の限界により設定される。例えば、設計ルールは、デバイス(ゲート、キャパシタなど)又は相互接続ライン間のスペース公差を定義し、これは、それらのデバイス又はラインが望ましくない態様で互いに作用しないことを確実にするように行われる。設計ルールの限界の1つ又は複数は、「クリティカルディメンジョン」(CD)と呼ばれ得る。デバイスのクリティカルディメンジョンは、ライン若しくは孔の最小幅、又は2つのライン若しくは2つの孔間の最小のスペースと定義することができる。したがって、CDは、設計されるデバイスの全体のサイズ及び密度を決定する。当然ながら、デバイス製造のゴールの1つは、(パターニングデバイスを介して)基板上に本来の設計の意図を忠実に再現することである。
【0028】
[0040] 本明細書で用いられる「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、到来する放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されることになるパターンに対応したパターン付き断面を与えるために使用することができる、一般的なパターニングデバイスを指すと広く解釈することができ、「ライトバルブ」という用語も、この文脈で使用されることがある。従来のマスク(透過型又は反射型;バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例には、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイが含まれる。
【0029】
[0041] プログラマブルミラーアレイの一例は、粘弾性制御層及び反射面を有するマトリックスアドレス可能面であり得る。そのような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが、入射放射を回折放射として反射し、非アドレスエリアが、入射放射を非回折放射として反射することである。適切なフィルタを使用して、非回折放射が反射ビームから除去され、回折放射のみを後に残すことができ、このようにして、ビームが、マトリックスアドレス可能面のアドレッシングパターンに従ってパターン付けされる。必要とされるマトリックスアドレッシングは、適切な電子方法を使用して行うことができる。
【0030】
[0042] プログラマブルLCDアレイの例が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,229,872号で与えられる。
【0031】
[0043]
図1は、一実施形態による、リソグラフィ投影装置10Aの様々なサブシステムのブロック図を示している。主なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ源、又は極端紫外線(EUV)源を含む他のタイプのソースでもよい放射源12A(上記で説明するように、リソグラフィ投影装置自体は、放射源を有する必要がない)と、例えば、部分コヒーレンス(シグマで表す)を定義し、並びにソース12Aからの放射を整形する光学系14A、16Aa、及び16Abを含み得る照明光学系と、パターニングデバイス18Aと、パターニングデバイスパターンの像を基板面22A上に投影する透過光学系16Acとである。投影光学系の瞳面における調節可能フィルタ又はアパーチャ20Aは、基板面22Aに衝突するビーム角の範囲を制限することができ、ここで、可能な最大角が、投影光学系の開口数NA=nsin(Θ
max)を定義し、nは、基板と投影光学系の最後の素子との間の媒体の屈折率であり、Θ
maxは、まだ基板面22Aに衝突し得る投影光学系から出るビームの最大角である。
【0032】
[0044] リソグラフィ投影装置では、ソースは、照明(すなわち、放射)をパターニングデバイスに提供し、投影光学系は、パターニングデバイスを介して、基板上へと照明の誘導及び整形を行う。投影光学系は、コンポーネント14A、16Aa、16Ab、及び16Acのうちの少なくともいくつかを含むことがある。空間像(AI)は、基板レベルにおける放射強度分布である。レジストモデルを使用して、空間像からレジスト像を計算することができ、その一例は、その開示内容が全体として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2009-0157630号に見つけることができる。レジストモデルは、レジスト層の特性(例えば、露光、ポストベーク(PEB)、及び現像中に生じる化学プロセスの影響)にのみ関係する。リソグラフィ投影装置の光学特性(例えば、照明、パターニングデバイス、及び投影光学系の特性)が、空間像を決定付け、光学モデルで定義され得る。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスは変更され得るので、パターニングデバイスの光学特性を、少なくともソース及び投影光学系を含む、リソグラフィ投影装置の残りの部分の光学特性から切り離すことが望ましい。技法及びモデルであって、設計レイアウトを様々なリソグラフィ像(例えば、空間像、レジスト像など)に変換し、これらの技法及びモデルを使用してOPCを適用し、(例えば、プロセスウィンドウの観点から)性能を評価するために使用される技法及びモデルの詳細は、米国特許出願公開第2008-0301620号、同第2007-0050749号、同第2007-0031745号、同第2008-0309897号、同第2010-0162197号、及び同第2010-0180251号に記載されており、各米国特許出願公開の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
[0045] リソグラフィプロセスを理解する1つの態様は、放射とパターニングデバイスとの相互作用を理解することである。放射線がパターニングデバイスを通過した後の放射の電磁場は、放射がパターニングデバイスに到達する前の放射の電磁場と、相互作用を特徴付ける関数とから決定され得る。この関数は、マスク透過関数と呼ばれ得る(マスク透過関数は、透過型パターニングデバイス及び/又は反射型パターニングデバイスによる相互作用を記述するために使用され得る)。
【0034】
[0046] マスク透過関数は様々な異なる形態を有し得る。1つの形態はバイナリである。バイナリマスク透過関数は、パターニングデバイス上の任意の位置において2つの値(例えば、ゼロ及び正の定数)のいずれかを持つ。バイナリ形態のマスク透過関数は、バイナリマスクと呼ばれ得る。もう1つの形態は連続である。すなわち、パターニングデバイスの透過率(又は反射率)は、パターニングデバイス上の位置の連続関数である。透過(又は反射)の位相もまた、パターニングデバイス上の位置の連続関数であり得る。連続形態のマスク透過関数は、連続トーンマスク又は連続透過マスク(CTM)と呼ばれ得る。例えば、CTMはピクセル化された像として表されることがあり、各ピクセルは、0又は1のいずれかの2値ではなく、0と1との間にある値(例えば、0.1、0.2、0.3など)が割り当てられ得る。一実施形態では、CTMは、ピクセル化されたグレースケール像であることがあり、各ピクセルが、値(例えば、範囲[-255,255]内にある値、範囲[0,1]若しくは[-1,1]内にある正規化された値、又は他の適切な範囲内にある値)を有する。
【0035】
[0047] 放射とパターニングデバイスとの相互作用の決定を簡単化するために、キルヒホッフの境界条件とも呼ばれる薄膜マスク近似が広く使われている。薄膜マスク近似では、パターニングデバイス上の構造の厚さは波長に比べて非常に小さく、マスク上の構造の幅は波長に比べて非常に大きいと仮定する。したがって、薄膜マスク近似では、パターニングデバイスの後の電磁場は、入射電磁場とマスク透過関数との乗算であると仮定する。しかしながら、リソグラフィプロセスは、ますます短くなる波長の放射を使用しており、パターニングデバイス上の構造はますます小さくなっているので、薄膜マスク近似での仮定が崩れることがある。例えば、放射と構造(例えば、上面と側壁との間のエッジ)との相互作用が、有限の厚さに起因して著しくなることがある(「マスク3D効果」又は「M3D」)。この散乱をマスク透過関数に含めることにより、マスク透過関数が、放射とパターニングデバイスとの相互作用をよりよく取り込むことが可能になり得る。薄膜マスク近似の下でのマスク透過関数は、薄膜マスク透過関数と呼ばれ得る。M3Dを含むマスク透過関数は、M3Dマスク透過関数と呼ばれ得る。
【0036】
[0048] 本開示の一実施形態によれば、1つ又は複数の像が生成され得る。像は、各ピクセルのピクセル値又は強度値で特徴付けられ得る様々なタイプの信号を含む。当業者には理解され得るように、像内のピクセルの相対値に応じて、信号は、例えば、弱い信号又は強い信号と呼ばれ得る。「強い」及び「弱い」という用語は、像内のピクセルの強度値に基づく相対的な用語であり、強度の具体的な値は、本開示の範囲を限定するものではない。一実施形態では、強い信号及び弱い信号は、選択された閾値に基づいて識別され得る。一実施形態では、閾値は固定され得る(例えば、像内のピクセルの最高強度と最低強度との中間点。一実施形態では、強い信号とは、像全体の平均信号値以上の値を持つ信号を指し得、弱い信号とは、平均信号値未満の値を持つ信号を指し得る。一実施形態では、相対強度値はパーセンテージに基づき得る。例えば、弱い信号は、像内のピクセルの最高強度の50%未満の強度を持つ信号であり得る(例えば、ターゲットパターンに対応するピクセルが、最高強度を持つピクセルとみなされ得る)。更に、像内の各ピクセルが変数とみなされ得る。本実施形態によれば、像内の各ピクセルに関して導関数又は偏導関数が決定され得、各ピクセルの値が、コスト関数に基づく評価及び/又は勾配に基づくコスト関数の計算に従って決定又は変更され得る。例えば、CTM像はピクセルを含み得、各ピクセルは、任意の実数値を取り得る変数である。
【0037】
[0049]
図2は、一実施形態による、リソグラフィ投影装置におけるリソグラフィをシミュレートするための例示的なフローチャートを示している。放射源モデル31は、放射源の光学特徴(放射強度分布及び/又は位相分布を含む)を表す。投影光学系モデル32は、投影光学系の光学特徴(投影光学系によって生じた放射強度分布及び/又は位相分布に対する変化を含む)を表す。設計レイアウトモデル35は、設計レイアウト(これは、パターニングデバイス上の、又はパターニングデバイスによって形成されるフィーチャの配置の表現である)の光学特徴(設計レイアウト33によって生じた放射強度分布及び/又は位相分布に対する変化を含む)を表す。空間像36は、設計レイアウトモデル35、投影光学系モデル32、及び設計レイアウトモデル35を用いてシミュレーションされることが可能である。レジスト像38は、レジストモデル37を用いて空間像36からシミュレーションされることが可能である。例えば、リソグラフィのシミュレーションは、レジスト像のコンター及びCDを予測することができる。
【0038】
[0050] より具体的には、放射源モデル31は、限定するものではないが、開口数設定、照明シグマ(σ)設定、及び任意の特定の照明形状(例えば、環状、四極、ダイポールなどのオフアクシス放射源)を含む放射源の光学特徴を表し得ることに留意されたい。投影光学系モデル32は、収差、歪み、1つ又は複数の屈折率、1つ又は複数の物理的サイズ、1つ又は複数の物理的寸法などを含む投影光学系の光学特徴を表し得る。設計レイアウトモデル35は、例えば、参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第7,587,704号に記載されるような、物理的パターニングデバイスの1つ又は複数の物理的特性を表し得る。シミュレーションの目的は、例えば、エッジ配置、空間像強度傾き、及び/又はCDを正確に予測することであり、これらは、その後、意図した設計と比較され得る。意図した設計は、一般に、GDSII、又はOASIS、又は他のファイルフォーマットなどの標準デジタルファイルフォーマットで提供され得るプリOPC設計レイアウトとして定義される。
【0039】
[0051] この設計レイアウトから、1つ又は複数の部分(これらは、「クリップ」と呼ばれる)を識別することができる。ある実施形態では、設計レイアウト内の複雑なパターンを表すクリップの一セットが抽出される(任意の数のクリップが使用され得るが、一般的に約50~1000個のクリップ)。これらのパターン又はクリップは、設計の小さな部分(すなわち、回路、セル、又はパターン)を表し、より具体的にはクリップは通常特別な注意及び/又は検証が必要とされる小さな部分を表す。つまり、クリップは、設計レイアウトの部分でもよく、又は類似していてもよく、又は1つ若しくは複数のクリティカルフィーチャが、経験(顧客によって提供されたクリップを含む)によって、試行錯誤によって、若しくはフルチップシミュレーションを実行することによって識別される設計レイアウトの部分の類似挙動を有してもよい。クリップは、1つ又は複数のテストパターン又はゲージパターンを含み得る。
【0040】
[0052] 初期のより大きなクリップの組が、特定の像最適化を必要とする設計レイアウト内の1つ又は複数の既知のクリティカルフィーチャエリアに基づいて、顧客によって先験的に提供されることがある。或いは、別の実施形態では、初期のより大きなクリップの組は、1つ又は複数のクリティカルフィーチャエリアを識別するある種の自動的な(機械視覚などの)又は手動のアルゴリズムを使用することによって、設計レイアウト全体から抽出されることがある。
【0041】
[0053] リソグラフィ投影装置では、一例として、コスト関数は、以下のように表現することができる。
【数1】
(z
1,z
2,…,z
N)は、N個の設計変数又はそれらの値である。f
p(z
1,z
2,…,z
N)は、(z
1,z
2,…,z
N)の設計変数の値の組についての特性の実際の値と意図された値との間の差などの、設計変数(z
1,z
2,…,z
N)の関数であり得る。w
pは、f
p(z
1,z
2,…,z
N)に関連付けられた重み定数である。例えば、特性は、エッジ上の所定の点で測定された、パターンのエッジの位置であり得る。f
p(z
1,z
2,…,z
N)が異なれば、w
pも異なり得る。例えば、特定のエッジにおける許容される位置の範囲が狭い場合、エッジの実際の位置と意図された位置との間の差を表すf
p(z
1,z
2,…,z
N)の重みw
pは高い値を与えられ得る。f
p(z
1,z
2,…,z
N)はまた、層間特性の関数であり得、層間特性は設計変数(z
1,z
2,…,z
N)の関数である。当然のことながら、CF(z
1,z
2,…,z
N)は、上に示す形態に限定されるものではない。CF(z
1,z
2,…,z
N)は、任意の他の適切な形態をとることができる。
【0042】
[0054] 費用関数は、リソグラフィ投影装置、リソグラフィプロセス、又は基板の任意の1つ又は複数の適切な特徴、例えば、焦点、CD、像シフト、像歪み、像回転、確率的変動、スループット、局所CD変動、プロセスウィンドウ、層間特性、又はそれらの組み合わせを表し得る。一実施形態では、設計変数(z1、z2、…、zN)は、ドーズ量、パターニングデバイスのグローバルバイアス、及び/又は照明の形状から選択された1つ又は複数を含む。基板上のパターンを決定づけるのはレジスト像であることが多いため、費用関数は、レジスト像の1つ又は複数の特徴を表す関数を含み得る。例えば、fp(z1、z2、…、zN)は、単純に、レジスト像におけるあるポイントと、そのポイントの意図された位置との間の距離(即ち、エッジ配置誤差EPEp(z1、z2、…、zN))であり得る。設計変数は、放射源、パターニングデバイス、投影光学系、ドーズ量、焦点などの調節可能パラメータなどの任意の調節可能パラメータを含み得る。
【0043】
[0055] リソグラフィ装置は、放射ビームの波面の形状及び強度分布及び/又は位相シフトを調節するために使用することができる、「波面マニピュレーター」と総称されるコンポーネントを含み得る。一実施形態では、リソグラフィ装置は、パターニングデバイスの前、瞳面の近く、像面の近く、及び/又は焦点面の近くなどのリソグラフィ投影装置の光路に沿った任意の場所で、波面及び強度分布を調節することができる。波面マニピュレーターを使用して、例えば、放射源、パターニングデバイス、リソグラフィ投影装置の温度変動、リソグラフィ投影装置のコンポーネントの熱膨張などにより引き起こされる、波面及び強度分布及び/又は位相シフトの特定の歪みを補正又は補償することができる。波面及び強度分布及び/又は位相シフトを調節することにより、費用関数により表される特性の値を変更することができる。そのような変更は、モデルからシミュレートされ得るか、又は実際に測定され得る。設計変数は、波面マニピュレーターのパラメータを含み得る。
【0044】
[0056] 設計変数には制約があることがあり、これは、(z1、z2、…、zN)∈Zと表現することができ、ここで、Zは設計変数の可能な値の組である。設計変数に対する可能な制約の1つは、リソグラフィ投影装置の所望のスループットによって課されることがある。所望のスループットにより課されるそのような制約がなければ、最適化により、非現実的な設計変数の値の組が生成される場合がある。例えば、ドーズ量が設計変数である場合、そのような制約がなければ、最適化により、スループットを経済的に不可能にするドーズ量値が生成される場合がある。しかしながら、制約の有用性は、必要と解釈されるべきではない。例えば、スループットは、瞳充填率に影響される場合がある。照明設計によっては、瞳充填率が低いと、放射を廃棄してしまい、スループットの低下に至る場合がある。スループットは、レジストの化学的性質によっても影響を受ける場合がある。より時間のかかるレジスト(例えば、適切に露光されるためにより多くの放射量を必要とするレジスト)は、スループットの低下をもたらす。
【0045】
[0057] 本明細書で使用される場合、「パターニングプロセス」という用語は、リソグラフィプロセスの一部として、指定された光のパターンを適用することによってエッチングされた基板を作成するプロセスを意味する。
【0046】
[0058] 本明細書で使用される場合、「ターゲットパターン」という用語は、基板上でエッチングされるべき理想パターンを意味する。
【0047】
[0059] 本明細書で使用される場合、「プリントパターン」という用語は、ターゲットパターンに基づいてエッチングされた基板上の物理的パターンを意味する。プリントパターンは、例えば、トラフ、チャネル、窪み、エッジ、又はリソグラフィプロセスから生成される他の2次元及び3次元フィーチャを含むことができる。
【0048】
[0060] 本明細書で使用される場合、「プロセスモデル」という用語は、パターニングプロセスをシミュレートする1つ又は複数のモデルを含むモデルを意味する。例えば、プロセスモデルは、光学モデル(例えば、リソグラフィプロセスにおいて光の送達に使用されるレンズ系/投影系をモデリングし、フォトレジストに到達する光の最終光学像をモデリングすることを含み得るもの)と、レジストモデル(例えば、光に起因する化学効果など、レジストの物理的効果をモデリングするもの)と、OPCモデル(例えば、ターゲットパターンの作成に使用することができ、サブレゾリューションレジストフィーチャ(SRAF)などを含み得るもの)と、結像デバイスモデル(例えば、結像デバイスがプリントパターンから結像し得るものをモデリングするもの)との任意の組み合わせを含むことができる。
【0049】
[0061] 本明細書で使用される場合、「結像デバイス」という用語は、プリントパターン又はその一部などのターゲットの像を生成するように構成され得る、任意の数又は組み合わせのデバイス並びに関連するコンピュータハードウェア及びソフトウェアを意味する。結像デバイスの非限定的な例としては、走査型電子顕微鏡(SEM)、X線装置などが挙げられる。
【0050】
[0062] 本明細書で使用される場合、「較正する」という用語は、プロセスモデルなど、なんらかのものを変更(例えば、改善又は調整)及び/又は検証することを意味する。
【0051】
[0063]
図3は、主要フィーチャ(MF)及びサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクの例示的な部分を示している。本明細書で説明されるマスクシミュレーション/最適化プロセスは、マスクを利用してプリントされる所望のフィーチャ(例えば、回路トレース)に概ね一致するMFを含むマスク(又はマスクパターン)を生成するために利用され得る。
図3は、いくつかの単純化されたMF310の例を有するマスクパターン300の例示的な部分を描いている。製造上の限界、回折効果、又は他の間接的若しくは微細スケールの効果に起因して、マスクパターンは、アシストフィーチャ(AF)及び/又はSRAFも含むように生成され得る。AFは、
図3の例では描かれていないが、主要フィーチャの形状に対するわずかな逸脱であると理解されたい。このような例としては、マスクによる正確なプリントを容易にするために特定の場所における主要フィーチャを幅広化及び/又は幅狭化すること、主要フィーチャの隅に切り欠きを配置することなどであり得る。しかしながら、本開示は、主にSRAFに関連するフィーチャの決定を対象とする。
図3から分かるように、SRAF320は、主要(及びアシスト)フィーチャとは別個のマスクフィーチャであり、最終的なプリントパターンがターゲットパターンをよりよく近似するようにマスク上で更に利用される。一般に、SRAFは、SRAFに沿った幅を変えることを含め、形状を変えることができる。しかしながら、本明細書でより詳細に説明するように、本開示は、各SRAFが一定幅を有し得るSRAFの決定及び生成のためのプロセスを提供する。
【0052】
[0064] 本明細書で使用される場合、「一定幅」という用語は、SRAFの幅がその長さに沿って実質的に一定である(例えば、5%以下しか変化しない)ことを意味する。SRAFを含む最終的な物理的マスクにおけるこのようなバリエーションは、製造上の不確実性に起因し得る。しかしながら、本明細書で説明される計算/シミュレートされた「一定幅」SRAFは、例えば、公称「一定幅」SRAFのエッジを形成するために使用されるスプラインに起因して生じ得る、同様の小さなバリエーションを有し得る。
【0053】
[0065]
図4は、例示的な一定幅SRAFを示している。マスク最適化/生成プロセスの生成するSRAFの形状は、シミュレートされたマスクを最適化するために必要な複雑な形状に対応するために、かなり多様であり得る。したがって、
図4に描かれたS字形のSRAF410の例は例示的なものであり、任意の形状のSRAFが本開示の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。本明細書で使用する実施形態では、SRAFの全体構造はSRAF「骨格」を有するとみなされ得、
図4のSRAFは、SRAFの中心に破線で描かれた骨格420を有する。よって、SRAF骨格420は、マスクパターンにおいてSRAFがあるべき場所を概ね表す。SRAFの位置は、最終マスクで作られたレジストを利用したプリンティングを改善するためにSRAFの配置され得る場所を示す連続トーン(グレイトーン)像(SRAFガイダンスマップ(SGM)又はCTMと呼ばれることもある)を最適化することを含み得るマスク最適化プロセスで決定され得る。SGMは、リッジとして現れ、それによりSRAFの候補の位置を示すことができる検出可能なバリエーションを有し得る。
【0054】
[0066] 一般に、SRAFの幅は様々であり得、いくつかの実装では、最適化プロセスの一部であり得る。しかしながら、本開示は、個々のSRAFの幅が一定である場合に、SRAFの幅を決定/最適化するためのプロセスを説明する。
図4に描かれた例示的なSRAFは、一定幅430を有する(すなわち、SRAF骨格の両側に垂直に実質的に同じ距離を有する)と理解されたい。また、開放端においてSRAFを閉鎖するために含まれ得るSRAFの例示的な先端440も描かれている。
【0055】
[0067]
図5は、マスクパターンを決定する例示的な方法を示している。任意選択の初期方法ステップ510及び520を以下に説明する。いくつかの実施形態では、本方法は、530において、それぞれが一定幅を有するSRAFを有するマスクパターンを取得することを含み得る。本方法はまた、540において、マスクパターンのマスク最適化プロセスにおいて幅を調節することを含み得る。例えば、再び
図3を参照すると、描かれているSRAFは同じ幅を有しているように見えるが、開示されるマスク最適化プロセスは、プリンティング要件に最もよく合うのに必要な個々のSRAFの一定幅を変化させ得る/決定し得る。
【0056】
[0068] いくつかの実施形態では、初期の幅は所定の幅のグループから選択され得る。例えば、
図5の方法は、510において、SRAFに対して定義された初期の離散的な幅レベルにアクセスすることを含み得る。次いで、520において、本方法は、初期の離散的な幅レベルから初期の幅となる幅を割り当てることを含み得る。
【0057】
[0069] 本開示全体を通して、「離散的」及び「連続」という用語は、SRAFの幅又はSRAFの幅を表す変数を記述するために、様々な実施形態に関連して使用される。本明細書で使用される場合、「離散的」という用語は、最適化プロセス中に変化させることができるが、有限数の利用可能な離散的な幅から選択される数(例えば、幅)を指す。「離散的」な幅の例としては、5nm、7nm、10nmなどがあり得る。対照的に、「連続」という用語は、最適化プロセス中に細かく変化させることができる数/幅を指す。「連続」幅の例は、例えば、3~15nmの範囲であり得、そのような範囲での変化の例は、5.0nmから、5.01nmまで、5.000001nmまで、又は他の任意の種類の微小な変化である。実際の値は特定の実装に大きく依存するため、本明細書で示した幅の具体的な数値は、例に過ぎないとみなされる。
【0058】
[0070] そして、初期の幅は、マスク最適化プロセスによって変化され得る。実装に応じて、初期の幅は、特定の実装に応じて、離散的なままであってもよいし、離散的又は連続的に扱われてもよい。例えば、以下により詳細に説明するように、
図8は、マスク最適化プロセスが連続幅を最適化することから離散的な幅を最適化することに移行し得る実施形態を説明している。
【0059】
[0071] SRAFの幅をどのように変化/最適化し得るかについて論じる前に、実際のSRAFエッジの生成に関連する実施形態を開示する。リッジを使用してSRAFを生成することに関連して実施形態を詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示の範囲を逸脱することなしに、任意の適切な方法を使用することができる。
図6は、SRAFエッジを生成するための例示的な方法を示している。先に論じたように、SRAFの候補位置は、リッジに対応する点など、マスクパターン上の特定の位置において決定され得る。
図6の左上部分には、本明細書では「リッジポイント」と呼ぶ、リッジに沿った例示的な位置を示すいくつかの点610が描かれている。
図6を通して示すように、開示される方法は、SRAFの骨格に対応するリッジポイント610から略等距離に生成され得るSRAFエッジを生成することを含み得る。生成されたSRAFエッジは湾曲したものであり得るが(例えば、
図3に示すように)、他の実施形態では、実質的に直線状であってもよいし、直線状又は湾曲した(例えば、
図4の例に描かれているようなもの)様々なセクションを有していてもよい。いくつかの実装では、リッジポイントは、SRAFエッジが滑らかに変化するように決定され得る。いくつかの実装では、リッジポイントは、SRAF位置の決定に関する先の議論に従って、SGMから決定され得る。したがって、リッジポイントは、対応するSRAFエッジ間に配置され得、このことについては、
図6の残りの部分を参照して詳述する。
【0060】
[0072]
図6の右上部分は、SRAF生成プロセスにおける、例示的な次のステップを描いている。SRAF骨格の左上部分を見ると、SRAF骨格の中央付近に、セグメントの長さ(端点に対応するリッジポイント610間の距離)がSRAF骨格の他のセグメントよりも大幅に長い2つのセグメント620が存在することが分かる。リッジポイントの分布をより均一にするために、SRAFエッジを生成することは、少なくとも2つのリッジポイントの補間を実行することを含み得る。これは、例えば、2つのリッジポイント間の距離が距離限界を超えた場合に行われ得、これにより補間は、補間されたリッジポイント630を生成する。本システムは、特定の基準、例えば、リッジポイント間の絶対距離(例えば、5nm、10nmなどよりも大きいもの)、リッジポイント間の相対距離(例えば、リッジポイント間の平均間隔の1.5倍よりも大きい、又は2.0倍よりも大きいもの)、又は他の基準が満たされたときに補間を実行し得る。
図6の右上に示すものなどのいくつかの実施形態では、補間されたリッジポイント630が2つのリッジポイント間にあるセグメント632の中間点において生成され得るように線形補間が利用され得るが、他の実装では、補間されたリッジポイントはセグメントに沿った任意の位置にあり得る。いくつかの実装では、補間されたリッジポイントは、2つのリッジポイント間のスプライン補間曲線640に沿って生成され得る。いくつかの実施態様では、より拘束された、また場合により、より現実的な曲線となるように、スプライン補間曲線は、少なくとも1つの他のリッジポイントを利用して生成され得る。右上部分は、スプライン補間曲線の見え方の例を描いているが、例示的な線形補間されたリッジポイントのみが示されている。
【0061】
[0073]
図6の左下部分に進むと、いくつかの実施形態では、SRAFエッジの生成は、SRAFのリッジポイントに垂直なセグメント652の両端に制御点650を生成することを含み得る。本明細書で使用される場合、「制御点」という用語は、最終的なSRAFに沿った点を指す。図示のように、セグメントは、SRAFの一定幅に対応する長さを有し得る。本開示では、
図6に描かれたセグメントは、主に説明のためのものに過ぎないこと、また、リッジポイントに基づいてSRAFを生成する計算アルゴリズムは、記載されたセグメントのいずれかを文字通り計算、生成、又は表示する必要はないことを理解されたい。例えば、描かれた制御点は、対応するリッジポイントにおける垂直方向を知ることに基づいて、適切な位置にあるように単に計算され得る。
【0062】
[0074] また、
図6の左下部分には、セグメント(660、662)のうちの2つが交差し、このような点を使用した場合、結果として得られるSRAFにアーチファクト又は他の不規則性が生じる可能性がある例が描かれている。いくつかの実施形態では、そのような不規則性を除去し得る平滑化アルゴリズムが存在し得る。この例では、ぶつかり合う2つのセグメントは単一のセグメント664にまとめられるとして描かれている。
【0063】
[0075] 右下部分は、制御点に基づくSRAFエッジ670の生成を描いている。図示のように、SRAFエッジは制御点を通過することができ、例えば、任意の数の制御点を通過する1つ又は複数のスプラインによって生成され得る。「一定幅」の定義に関して上述したように、例示的なSRAFのエッジをよく調べると、生成に使用されたスプラインの特定のフィーチャ(例えば、スプラインのテンション)により、SRAFの幅がSRAFの長さに沿って正確に一定でない場合があることが分かる。よって、ここでも、本開示が一定幅SRAFに言及する場合、このようなマイナーなバリエーションも含むと解釈されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、SRAFの生成は、適切な場合には、SRAFエッジに先端680を付加することを含み得る。このような先端は、半円状、半楕円状などとすることができる。いくつかの実施形態では、先端はまた、SRAFエッジの端部における2つの制御点間の直接の閉鎖(例えば、線)とすることもできる。
【0064】
[0076]
図5の方法を参照して説明したように、本開示の特定の実施形態は、可能な限り最良のプリンティング結果を得るためにSRAFの幅を最適化するための特定の方法を含み得る。実装に応じて、幅は、連続変数又は離散的変数として扱われ得る。
【0065】
[0077] いくつかの実施形態では、各SRAFの幅は、マスク最適化プロセスによって最適化される連続変数として設定され得る。このようにして、マスク最適化プロセスは、シミュレートされたマスクにおけるSRAFの最適な集合を得るために、幅を非常に高い精度で、又は細かい勾配で変化させることができるようにし得る。例えば、このような連続変数は、浮動小数点値として扱うことができ、小数点以下の桁数が比較的大きい数(例えば、3、5、7など)の小数位を有して、最適化された幅を記述し得る。よって、このような実装は、高度に最適化されたマスクパターンを提供するという技術的利点を有し得る。
【0066】
[0078] このような実装は、例えば、リソグラフィモデルを利用してリソグラフィプロセスをシミュレートすることと、リソグラフィモデルによってシミュレートされたマスクの結像特性を予測することと、結像特性に関連するコスト関数の使用によって結像特性を最適化するために1つ又は複数のSRAFの幅を調節することとを含み得るマスク最適化プロセスに組み込まれ得る。リソグラフィモデルは、アシストフィーチャを含むマスクフィーチャの境界を生成するために光学的近接補正最適化を実行することを含み得る。他の実施形態では、リソグラフィモデルは、マスクフィーチャを最適化すると共に、リソグラフィシステムにおける放射源マスク最適化(SMO)において照明源を同時最適化することを更に含み得る。
【0067】
[0079] コスト関数及びリソグラフィプロセスの最適化におけるコスト関数の使用を(一般的な意味で)上述したが、SRAFの最適化で開示されたものと一致するいくつかの実装では、一定幅SRAFに関連するコスト関数が、マスク最適化プロセスで利用され得る。コスト関数は、エッジ配置誤差、サイドローブプリンティング、MRC準拠、又はユーザ定義のカスタム要件のうちの1つ若しくは複数を記述するパラメータを含み得、パラメータのうちの少なくとも1つが幅の関数である。一例として、コスト関数は、そのようなパラメータの任意の組み合わせについてのコスト関数の関数(例えば、和)であるコスト(S)とすることができる。
【数2】
式1において、「x」変数は、計算されたコスト関数に対する任意の適切な依存関係を含むことができ、上述のように、コストが1つ又は複数の計算されたSRAF幅の関数であるようなSRAF幅を含み得る。このような依存関係は、明示的なもの(つまり、幅の変数を直接計算に入れるもの)と黙示的なもの(すなわち、サイドローブプリンティングの量など、幅のバリエーションに起因して変化する量に基づくもの)とがある。また、上記の項のすべてが幅に依存する必要はなく、幅に依存する表現及び幅に依存しない表現の任意の組み合わせが企図される。
【0068】
[0080]
図7は、SRAF幅を離散化する例示的な方法を示している。描かれた方法は、開示されたいくつかの実施形態がSRAFの選択された幅を決定する能力を表している。この判定は、上に提示した最適化プロセスからのSRAFの結果としてられた幅の統計値に基づき得る。様々な実施形態において、各SRAFがそれ自身の個別の幅を持つのではなく、それぞれがそれ自身の異なる値を持つ特定の数の幅をSRAFが持つことができる。いくつかの実施形態では、選択された幅の数は5未満であり得るが、例えば、10未満、4未満、又は正確に2、3、5、10などでもあり得る。3つの幅がある1つの例示的な方法は、
図7に、幅の異なる大きな母集団が3つの幅のうちのいずれかになるように調節された4つのグラフによって描かれている。
【0069】
[0081]
図7の上部部分は、本方法が最適化された幅の母集団710又は母集団分布を決定することを含み得ることを示している。母集団は、横軸にSRAFの幅、縦軸にその幅を有するSRAFの数をとった曲線によって表されている。それぞれが独自の幅を持つ数十又は更には数百のSRAFが存在し得、このようなものの「母集団」は、任意の、しかし一般的には細かいスケールのビニングを有するヒストグラムによって表され得る。ここでも、描かれているグラフは、このようなヒストグラムを表す曲線を本システムが生成し得ることを要求するもののではなく、特定の幅におけるSRAFの母集団が定量化されることだけを要求している。
【0070】
[0082]
図7の第2の部分は、SRAFの母集団がカバーする幅の範囲内にある3つの例示的な幅を示している。ここで、本方法は、1つ又は複数の規則に基づいて、選択された幅(例えば、幅722、724、726)を母集団の幅の範囲内に設定することを含み得る。いくつかの実施形態では、規則は、幅の値が均等に分離されるように、又は幅のそれぞれにおいて偶数(同じ数)のSRAFが存在するように、選択された幅を幅の範囲内で均等に設定することを含み得る。
【0071】
[0083]
図7の第3の部分は、本システムが各SRAFの幅を最も近い選択された幅に設定し得ることを示している。このことは、母集団が3つの領域(732、734、736)(異なるクロスハッチで描かれている)に分割され、各領域間の境界が隣接する選択された幅の中間になる(例えば、領域732と734との間の境界は、選択された幅722と724との間にある)ように選択されることによって示されている。矢印は、それまで変化していた幅が、次に、その領域で選択された幅に変更されたりまとめられたりし得ることを示している。
【0072】
[0084] そして、
図7の第4の(最下)部分は、最終的な幅の分布を示しており、ここで、すべてのSRAFが選択された幅722、724、又は726に対応する幅を有している。実際の母集団は各幅で同じであり得るが、領域決定の方法によっては、選択された幅を有するSRAFの数が異なり得る。描かれた最終結果は、実質的に最適化された解でありながら、少ない数の幅を利用するマスクパターンを提供することを含め、いくつかの技術的利点を有する。このようにSRAF幅を凝縮することで、高精度の最適化によって決定されたSRAF幅を有する利点を実質的に維持しながら、(膨大な数のSRAF幅が現実的でない可能性がある)製造要件を簡素化(又は満たす)ことができる。また、いくつかの実施形態では、最終的な幅に到達するために、更なる最適化が行われ得る。
【0073】
[0085] 他の実施形態では、SRAFの幅を最適化され得る連続変数とするのではなく、各SRAFの幅を更なるマスク最適化プロセスによって最適化され得る離散的変数とすることができる。よって、このような実装では、離散的変数はSRAFよりも少なくなり得る。例えば、多数のSRAFの可能な幅には3つの離散的な値があり得る。いくつかの実施形態では、本システムは、最適化中にSRAFが許容可能である幅のグループから選択される幅として「グローバル幅レベル」を定義し得る。よって、特定の実施形態では、各離散的変数が、グローバル幅レベルに対応し得る。許容可能なSRAF幅、グローバル幅レベル、及び離散的変数による表現の間の関係の一例を下表に示す。
【0074】
【0075】
[0086] マスク最適化を行うためのコスト関数の使用を再び参照すると、特定のグローバル幅レベルに制限された幅を利用するが、それらの任意の組み合わせとなるように変化させることができる、そのようなコスト関数(最小化されるコスト「S」を有するもの)の簡単化された表現を以下の式2に示す。
S=CF(wi(xa,b,又はc))(式2)
【0076】
[0087] 様々な実施形態において、グローバル幅レベルは、マスク最適化プロセスにおいて固定又は最適化され得る。例えば、マスク最適化プロセス中にグローバル幅レベルを固定することを含む実施形態では、グローバル幅レベルをそれらの選択された値(例えば、上記の例示的な表から1.0nm、4.0nm、及び5.7nm)に保ちながら、コスト関数に影響を及ぼす他のパラメータを変化させることができる。他の実施形態では、本方法は、マスク最適化プロセスにおいてグローバル幅レベルを最適化することを含み得る。例えば、本システムの制約は、3つの離散的な幅レベルしかないが、その3つの幅レベルは連続範囲にわたって最適化され得ることであり得る。よって、例えば、本システムは、1.2、4.37、及び6.245の幅がSRAFの最適化されたグローバル幅レベルであると決定し得る。別の実施形態では、最適化は、SRAFによるグローバル幅レベルの使用が最適化された解をもたらすように、許容可能な幅からグローバル幅レベルを選択することを含み得る。例えば、グローバル幅レベルが1.0nm、4.0nm、及び5.7nmである特定の解の最終コストは、グローバル幅レベルが2.0nm、4.0nm、及び8.2nmである特定の解の最終コストよりも高い(最適ではない)ものであり得る。よって、最適化された解は、マスクパターンにおけるSRAFにグローバル幅レベルの後者のセットを使用する。
【0077】
[0088]
図8は、最適化プロセスの異なる部分において連続値及び離散値の両方として幅を最適化することを含む複合最適化方法を示している。
図8に示すように、SRAFの幅を調節するステップ(540)は、下記の追加動作(810~830)を含み得る。動作810は、SRAFの連続幅を決定することを含み得る。この動作は、SRAF幅が連続的に最適化され得る
図7の上部部分に描かれたものと同様であり得る。動作820は、SRAFの連続幅を離散的な幅に離散化することを含み得る。この動作もまた、開示されたアルゴリズムのいずれかを介して、以前に決定された連続幅が指定された離散的な幅のいずれかに変換される、
図7の第2の部分~第4の部分に描かれたものと同様であり得る。これらの付加的な動作は、830において、離散的な幅から選択されるように幅を変化させることによりマスク最適化プロセスを継続することにより、継続され得る。そのような、離散的な幅が決定されると、最適化プロセスが離散的な幅からSRAF幅の最良の組み合わせを決定し得る一例については、式1を参照して先に説明した。
【0078】
[0089]
図9は、本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムCSのブロック図である。
【0079】
[0090] コンピュータシステムCSは、バスBS又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバスBSと結合されたプロセッサPRO(又は複数のプロセッサ)とを含む。コンピュータシステムCSは、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサPROによって実行される情報及び命令を保存するためにバスBSに結合されたメインメモリMMも含む。メインメモリMMは、プロセッサPROによって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステムCSは、リードオンリーメモリ(ROM)ROM、又はプロセッサPROのための静的情報及び命令を保存するためにバスBSに結合された他の静的ストレージデバイスを更に含む。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイスSDが設けられると共に、バスBSに結合される。
【0080】
[0091] コンピュータシステムCSは、バスBSを介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイDSに結合されてもよい。英数字及び他のキーを含む入力デバイスIDが、情報及びコマンド選択をプロセッサPROに通信するためにバスBSに結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサPROに方向情報及びコマンド選択を通信するため、及びディスプレイDS上でカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部CCである。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
【0081】
[0092] ある実施形態によれば、本明細書に記載される1つ又は複数の方法の部分は、メインメモリMMに含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサPROに応答して、コンピュータシステムCSによって行われてもよい。このような命令は、ストレージデバイスSDなどの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリMMに読み込まれてもよい。メインメモリMMに含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサPROに本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。メインメモリMMに含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。ある代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。したがって、本明細書の記載は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0082】
[0093] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサPROに命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイスSDなどの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリMMなどの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バスBSを含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的であり得、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジである。非一時的コンピュータ可読媒体には、命令が記録され得る。命令は、コンピュータによって実行されると、本明細書で説明される特徴のいずれかを実施し得る。一時的コンピュータ可読媒体としては、搬送波又は伝播する電磁信号が挙げられ得る。
【0083】
[0094] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサPROに1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステムCSにローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バスBSに結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバスBSにのせることができる。バスBSは、データをメインメモリMMに搬送し、そこからプロセッサPROが、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリMMによって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサPROによる実行の前又は後に、ストレージデバイスSDに保存されてもよい。
【0084】
[0095] コンピュータシステムCSは、バスBSに結合された通信インターフェースCIも含み得る。通信インターフェースCIは、ローカルネットワークLANに接続されたネットワークリンクNDLに結合する双方向データ通信も提供する。例えば、通信インターフェースCIは、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェースCIは、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェースCIは、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号の送信及び受信を行う。
【0085】
[0096] ネットワークリンクNDLは、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンクNDLは、ローカルネットワークLANを通して、ホストコンピュータHCへの接続を提供することができる。これには、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」INTと呼ばれる)により提供されるデータ通信サービスが含まれる。ローカルネットワークLAN(インターネット)は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号を使用する。コンピュータシステムCSに対して、及びコンピュータシステムCSからデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークデータリンクNDL上の、及び通信インターフェースCIを通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
【0086】
[0097] コンピュータシステムCSは、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークデータリンクNDL、及び通信インターフェースCIを通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネット例では、ホストコンピュータHCは、インターネットINT、ネットワークデータリンクNDL、ローカルネットワークLAN、及び通信インターフェースCIを通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。そのようなダウンロードされたアプリケーションの1つは、例えば、本明細書に記載の方法の全て又は一部を提供することができる。受け取られたコードは、受け取られるとプロセッサPROによって実行され、及び/又は後で実行するためにストレージデバイスSD若しくは他の不揮発性のストレージ内に記憶されることがある。このようにして、コンピュータシステムCSは、搬送波の形式でアプリケーションコードを取得することができる。
【0087】
[0098]
図10は、一実施形態による、リソグラフィ投影装置の概略図である。
【0088】
[0099] リソグラフィ投影装置は、照明システムILと、第1のオブジェクトテーブルMTと、第2のオブジェクトテーブルWTと、投影システムPSとを備え得る。
【0089】
[00100] 照明システムILは、放射のビームBを調整し得る。この特定の場合には、照明システムは放射源SOも含む。
【0090】
[00101] 第1のオブジェクトテーブル(例えば、パターニングデバイステーブル)MTは、パターニングデバイスMA(例えば、レチクル)を保持するためにパターニングデバイスホルダーを設けられ、アイテムPSに対してパターニングデバイスを正確に位置決めするために第1のポジショナに接続され得る。
【0091】
[00102] 第2のオブジェクトテーブル(基板テーブル)WTは、基板W(例えば、レジストコーティングされたシリコンウェーハ)を保持するために基板ホルダーを設けられ、アイテムPSに対して基板を正確に位置決めするために第2のポジショナに接続され得る。
【0092】
[00103] 投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折型、反射型、又は反射屈折型の光学系)は、パターニングデバイスMAの照射された部分を基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含むもの)上に結像させ得る。
【0093】
[00104] 本明細書に示すように、装置は、透過型のものであり得る(即ち、透過型パターニングデバイスを有する)。しかしながら、一般的に、装置は、例えば反射型(反射パターニングデバイスを備える)のものであってもよい。装置は、典型的なマスクに、異なる種類のパターニングデバイスを利用することがある。例としては、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリクスが挙げられる。
【0094】
[00105] ソースSO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ、LPP(レーザ生成プラズマ)EUV源)は、放射ビームを生成する。このビームは、照明システム(イルミネータ)ILに対して、そのまま、又は例えばビームエキスパンダExなどの調節装置を横断した後に、供給される。イルミネータILは、ビームの強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般的に、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を設定するための調節デバイスADを含み得る。更にそれは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他のコンポーネントを含む。このようにして、パターニングデバイスMAに衝突するビームBは、断面に所望の均一性及び強度分布を有する。
【0095】
[00106] いくつかの実施形態では、ソースSOは、リソグラフィ投影装置のハウジング内に位置してもよいが(大抵の場合、ソースSOが、例えば水銀ランプのとき)、リソグラフィ投影装置から離れた位置にあり、それが生成する放射ビームが装置内に導き入れられてもよい(例えば、適宜の誘導ミラーを用いて)。この後者のシナリオは、ソースSOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF、又はF2レージングに基づく)であるケースがある。
【0096】
[00107] 続いて、ビームPBは、パターニングデバイステーブルMT上に保持されるパターニングデバイスMAと交差し得る。ビームBは、パターニングデバイスMAを横断した後、ビームBの焦点を基板Wのターゲット部分Cに合わせるレンズPLを通過し得る。第2の位置決め装置(及び干渉測定装置IF)を用いて、例えば異なるターゲット部分CをビームPBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、例えば、パターニングデバイスライブラリからのパターニングデバイスMAの機械検索後に、又はスキャン中に、第1の位置決め装置を用いて、ビームBのパスに対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT、WTの移動は、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現することができる。但しステッパの場合は(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)、パターニングデバイステーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、又は固定されてもよい。
【0097】
[00108] 描かれたツールは、2つの異なるモード、すなわち、ステップモード及びスキャンモードで使用され得る。ステップモードでは、パターニングデバイステーブルMTは、基本的に静止したままであり、パターニングデバイス像全体が、一回(すなわち、単一の「フラッシュ」)でターゲット部分C上に投影される。異なるターゲット部分CがビームPBによって照射され得るように、基板テーブルWTが、x及び/又はy方向にシフトされ得る。
【0098】
[00109] スキャンモードでは、所定のターゲット部分Cが、単一の「フラッシュ」で露光されないことを除き、基本的に同じシナリオが当てはまる。代わりに、パターニングデバイステーブルMTは、投影ビームBがパターニングデバイス像上をスキャンさせられるように、速度vで、所定の方向(いわゆる「スキャン方向」、例えば、y方向)に移動可能である。並行して、基板テーブルWTが、速度V=Mv(Mは、レンズPLの倍率である(一般的に、M=1/4又は1/5))で、同じ又は反対方向に同時に移動される。このようにして、解像度を妥協する必要なしに、比較的大きなターゲット部分Cを露光させることができる。
【0099】
[00110]
図11は、一実施形態による、別のリソグラフィ投影装置(LPA)の概略図である。
【0100】
[00111] LPAは、ソースコレクタモジュールSOと、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、サポート構造MTと、基板テーブルWTと、投影システムPSとを備え得る。
【0101】
[00112] サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MTは、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続され得る。
【0102】
[00113] 基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTは、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続され得る。
【0103】
[00114] 投影システム(例えば、反射型投影システム)PSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含むもの)上に投影するように構成され得る。
【0104】
[00115] ここで描かれるように、LPAは、反射型(例えば、反射型パターニングデバイスを用いる)であり得る。ほとんどの材料が、EUV波長範囲内で吸収性であるので、パターニングデバイスは、例えば、モリブデン及びシリコンのマルチスタックを含む多層リフレクタを有し得ることに留意されたい。一例では、マルチスタックリフレクタは、各層の厚さが4分の1波長である、モリブデン及びシリコンの40層ペアを有する。更に小さな波長が、X線リソグラフィを用いて生成され得る。ほとんどの材料が、EUV及びx線波長で吸収性であるので、パターニングデバイストポグラフィ上の薄い一片のパターン付き吸収材料(例えば、多層リフレクタ上のTaNアブゾーバ)は、どこにフィーチャが印刷され(ポジ型レジスト)、又は印刷されないか(ネガ型レジスト)を定義する。
【0105】
[00116] イルミネータILが、ソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受け得る。EUV放射を生成する方法は、必ずしも限定されないが、EUV範囲において1つ又は複数の輝線を備えた少なくとも1つの元素(例えば、キセノン、リチウム、又はスズ)を有するプラズマ状態に材料を変換することを含む。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多い、そのような1つの方法では、プラズマは、線発光元素を有する材料の小滴、ストリーム、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成され得る。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザを含むEUV放射システムの一部でもよい。その結果生じるプラズマが、出力放射(例えば、EUV放射)を放出し、これが、ソースコレクタモジュールに配置される放射コレクタを用いて収集される。レーザ及びソースコレクタモジュールは、例えば、燃料励起用のレーザビームを提供するためにCO2レーザが使用される場合には、別個のエンティティでもよい。
【0106】
[00117] このようなケースでは、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、及び放射ビームは、例えば、適宜の誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを用いて、レーザからソースコレクタモジュールへと渡すことができる。他のケースでは、例えばソースが、DPPソースと呼ばれることが多い、放電生成プラズマEUVジェネレータである場合に、ソースは、ソースコレクタモジュールの一体化部分でもよい。
【0107】
[00118] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するためのアジャスタを含み得る。一般に、イルミネータの瞳面の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般的に、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)が、調節され得る。更に、イルミネータILは、ファセットフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを含み得る。イルミネータを使用して、断面に所望の均一性及び強度分布を有するように放射ビームを調整することができる。
【0108】
[00119] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し得、及びパターニングデバイスによってパターン付けされる。放射ビームBは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、ビームの焦点を基板Wのターゲット部分Cに合わせる投影システムPSを通過する。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を用いて、例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBのパスに対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。
【0109】
[00120] 描かれた装置LPAは、ステップモード、スキャンモード、及び静止モードのうちの少なくとも1つのモードで使用され得る。
【0110】
[00121] ステップモードでは、放射ビームに付与されたパターン全体が、一回でターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止したままである(すなわち、単一静的露光)。次いで、異なるターゲット部分Cが露光され得るように、基板テーブルWTが、X及び/又はY方向にシフトされる。
【0111】
[00122] スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT及び基板テーブルWTは、同期してスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び像反転特性によって決定され得る。
【0112】
[00123] 静止モードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MTは、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止したままであり、基板テーブルWTは、移動又はスキャンされる。このモードでは、一般にパルス放射源が用いられ、プログラマブルパターニングデバイスが、基板テーブルWTの各移動後に、又はスキャン中の連続する放射パルスの合間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0113】
[00124]
図12は、一実施形態による、リソグラフィ投影装置の詳細図である。
【0114】
[00125] 図示のように、LPAは、ソースコレクタモジュールSOと、照明システムILと、投影システムPSとを備え得る。ソースコレクタモジュールSOは、ソースコレクタモジュールSOの閉鎖構造ES内で真空環境が維持され得るように、構築及び配置される。EUV放射放出高温プラズマHPは、放電生成プラズマ源によって形成され得る。EUV放射は、ガス又は蒸気(例えば、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するために、高温プラズマHPが作られるXeガス、Li蒸気、又はSn蒸気)によって生成され得る。高温プラズマHPは、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じさせる放電によって作られる。Xe、Li、Sn蒸気又は任意のその他の適宜のガス若しくは蒸気の例えば10Paの分圧が、放射の効率的生成に必要とされ得る。ある実施形態では、励起スズ(Sn)のプラズマは、EUV放射を生成するために提供される。
【0115】
[00126] 高温プラズマHPによって放出された放射は、ソースチャンバSCから、ソースチャンバSCの開口内、又はその後ろに位置する任意選択的なガスバリア又は汚染物質トラップCT(場合によっては、汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して、コレクタチャンバCC内へと渡される。汚染物質トラップCTは、チャネル構造を含み得る。汚染物質トラップCTは、ガスバリア、又はガスバリア及びチャネル構造の組み合わせも含み得る。本明細書に更に示される汚染物質トラップ又は汚染物質バリアCTは、当該技術分野で知られているように、少なくともチャネル構造を含む。
【0116】
[00127] コレクタチャンバCCは、いわゆる斜入射型コレクタでもよい放射コレクタCOを含み得る。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側US及び下流放射コレクタ側DSを有する。放射コレクタCOを横断する放射は、格子スペクトルフィルタSFに反射して、一点鎖線「O」によって示される光軸に沿った仮想光源点IFに焦点を合わせることができる。仮想光源点IFは、中間焦点と呼ばれ得、及びソースコレクタモジュールは、中間焦点IFが、閉鎖構造ESの開口OPに、又はその付近に位置するように配置することができる。仮想光源点IFは、放射放出プラズマHPの像である。
【0117】
[00128] 続いて、放射は、パターニングデバイスMAにおいて放射ビームBの所望の角度分布、及びパターニングデバイスMAにおいて放射振幅の所望の均一性を提供するように配置されたファセットフィールドミラーデバイスFM及びファセット瞳ミラーデバイスpmを包含し得る照明システムILを横断する。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおける放射ビームBの反射時に、パターン付きビームPBが形成され、及びパターン付きビームPBは、投影システムPSによって、反射要素REを介して、基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
【0118】
[00129] 一般に、図示されるよりも多くの要素が、照明光学系ユニットIL及び投影システムPS内に存在し得る。格子スペクトルフィルタSFが、リソグラフィ装置のタイプに応じて、任意選択的に存在してもよい。更に、図面に示されるミラーよりも多くのミラーが存在してもよく、例えば、1~6個の追加の反射要素が、投影システムPSに存在してもよい。
【0119】
[00130] コレクタ系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、斜入射型リフレクタGRを備えた入れ子式コレクタであり得る。斜入射型リフレクタGRは、光軸Oに対して軸対称に配置され、及びこのタイプのコレクタ系COは、DPPソースと呼ばれることが多い、放電生成プラズマ源と組み合わせて使用されてもよい。
【0120】
[00131]
図13は、一実施形態による、リソグラフィ投影装置LPAのソースコレクタモジュールSOの詳細図である。
【0121】
[00132] ソースコレクタモジュールSOは、LPA放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、レーザエネルギーをキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料に堆積させ、数十eVの電子温度の高イオン化プラズマHPを生成するように配置され得る。脱励起及びこれらのイオンの再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ系COによって収集され、及び閉鎖構造ESの開口OP上に焦点が合わせられる。
【0122】
[00133] 本明細書に開示する概念は、サブ波長フィーチャを結像するための一般的結像システムのシミュレーション又は数学的モデル化を行うことができ、及び特に、ますます短くなる波長を生成することが可能な新しい結像技術にとって有用となり得る。既に使用されている新しい技術には、EUV(極端紫外線)、ArFレーザを使用して193nmの波長、及びフッ素レーザを使用して157nmの波長さえ生成可能なDUVリソグラフィが含まれる。また、EUVリソグラフィは、20~50nmの範囲内で光子を生成するために、シンクロトロンを使用することによって、又は材料(固体又はプラズマ)に高エネルギー電子をぶつけることによって、この範囲内の波長を生成することが可能である。
【0123】
[00134] 本明細書に開示する概念は、シリコンウェーハなどの基板上の結像のために使用され得るが、開示した概念は、あらゆるタイプのリソグラフィ結像システム(例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用されるもの)に使用され得ることが理解されるものとする。
【0124】
[00135] 本開示の実施形態が、以下の条項によって更に説明され得る。
1.それぞれが一定幅を有するサブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)を含むマスクパターンを取得することと、
マスクパターンのマスク最適化プロセスにおいて幅を調節することと
を含む、マスクパターンを決定する方法。
2.SRAFに対して定義された初期の離散的な幅レベルにアクセスすることと、
初期の離散的な幅レベルから初期の幅となる幅を割り当てることと
を更に含む、条項1に記載の方法。
3.SRAFエッジを生成することを更に含む、条項1に記載の方法。
4.SRAFの位置に対応するリッジポイントから略等距離になるようにSRAFエッジを生成することを更に含む、条項3に記載の方法。
5.生成されたSRAFエッジが、湾曲したものである、条項4に記載の方法。
6.リッジポイントが、SRAFエッジが滑らかに変化するように決定される、条項4に記載の方法。
7.SRAFガイダンスマップ(SGM)からリッジポイントを決定することであって、リッジポイントが、対応するSRAFエッジ間に配置される、ことを更に含む、条項4に記載の方法。
8.SRAFエッジの生成が、2つのリッジポイント間の距離が距離限界を超えたとき、少なくとも2つのリッジポイントの補間を実行することであって、補間が、補間されたリッジポイントを生成する、ことを含む、条項7に記載の方法。
9.補間されたリッジポイントが、2つのリッジポイント間にあるセグメントの中間点に生成される、条項8に記載の方法。
10.補間されたリッジポイントが、2つのリッジポイント間のスプライン補間曲線に沿って生成され、スプライン補間曲線が、少なくとも1つの他のリッジポイントを利用して生成される、条項8に記載の方法。
11.SRAFエッジの生成が、SRAFのリッジポイントに垂直なセグメントの両端に制御点を生成することであって、セグメントが、SRAFの一定幅に対応する長さを有する、ことを含む、条項3に記載の方法。
12.SRAFエッジに先端を付加することを更に含む、条項3に記載の方法。
13.各SRAFの幅が、マスク最適化プロセスによって最適化される連続変数として設定される、条項1に記載の方法。
14.マスク最適化プロセスが、
リソグラフィモデルを利用してリソグラフィプロセスをシミュレートすることと、
リソグラフィモデルによってシミュレートされたマスクの結像特性を予測することと、
結像特性に関連するコスト関数の使用によって結像特性を最適化するために1つ又は複数のSRAFの幅を調節することと
を含む、条項13に記載の方法。
15.アシストフィーチャ(AF)を含むマスクフィーチャの境界を生成するために光学的近接補正最適化を実行することを更に含む、条項14に記載の方法。
16.マスクフィーチャを最適化すると共に、リソグラフィシステムにおける放射源マスク最適化(SMO)において照明源を同時最適化することを更に含む、条項15に記載の方法。
17.マスク最適化プロセスにおいて利用されるコスト関数が、エッジ配置誤差、サイドローブプリンティング、マスクルールチェック(MRC)準拠、又はユーザ定義のカスタム要件のうちの1つ若しくは複数を記述するパラメータを含み、パラメータのうちの少なくとも1つが幅の関数である、条項1に記載の方法。
18.幅の選択された連続変数に基づいて、SRAFの選択された幅を決定することを更に含む、条項1に記載の方法。
19.選択された幅の数が5未満である、条項18に記載の方法。
20.決定することが、
最適化された幅の母集団又は母集団分布を決定することと、
1つ又は複数の規則に基づいて、母集団又は母集団分布の幅の範囲内に選択された幅を設定することと、
各SRAFの幅を最も近い選択された幅に設定することと
を更に含む、条項18に記載の方法。
21.1つ又は複数の規則が、選択された幅を幅の範囲内で均等に設定することを含む、条項20に記載の方法。
22.各SRAFの幅が、更なるマスク最適化プロセスによって最適化される離散的変数であり、離散的変数がSRAFよりも少ない、条項1に記載の方法。
23.各離散的変数が、グローバル幅レベルに対応する、条項22に記載の方法。
24.マスク最適化プロセスにおいてグローバル幅レベルを固定することを更に含む、条項23に記載の方法。
25.マスク最適化プロセスにおいてグローバル幅レベルを最適化することを更に含む、条項23に記載の方法。
26.幅の調節が、
SRAFの連続幅を連続変数として決定することと、
SRAFの連続幅を離散的な幅に離散化することと、
離散的な幅から選択されるように幅を変化させることによりマスク最適化プロセスを継続することと
を含む、条項1に記載の方法。
27.命令を記録した非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサによって実行されると、プロセッサに条項1~26の何れか一項に記載の方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
28.マスクパターンを決定するためのシステムであって、本システムが、
少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサと、
命令を記録した非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサによって実行されると、本システムに条項1~26の何れか一項に記載の方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体と
を備える、システム。
【0125】
[00136] 本明細書で開示される要素の組み合わせ及びサブコンビネーションは、別個の実施形態を構成するものであり、例示としてのみ提供されたものである。また、上記の説明は、限定するものではなく、例示のためのものであることが意図されている。したがって、当業者には、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、説明したように、修正がなされ得ることが明らかなはずである。
【国際調査報告】