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特表2025-501481リソグラフィ結像のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】リソグラフィ結像のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250115BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534691
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2022083370
(87)【国際公開番号】W WO2023117305
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,793
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/332,800
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハルラルカ,アクシャイ,ディーパックマ
(72)【発明者】
【氏名】ロガナサン,ムトゥクマラン
(72)【発明者】
【氏名】スローン,エリック,スコット
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ビル
(72)【発明者】
【氏名】デル プエルト,サンティアゴ イー.
(72)【発明者】
【氏名】バーバンク,ダニエル,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ブランドン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】チララ,ヴェンカタ,シヴァ,チャイタンヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウィビー ザ サード,ジョセフ,ジョージ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197CD13
2H197CD35
2H197CD41
2H197CD43
2H197DA09
2H197HA03
2H197HA05
2H197HA10
5F131AA02
5F131AA10
5F131BA13
5F131CA01
5F131DA09
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EA14
5F131EA16
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA27
5F131EB01
5F131FA10
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA33
5F131FA37
5F131KA03
5F131KA16
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
(57)【要約】
フォトリソグラフィシステムの結像動作中にパターニングデバイス上に存在する慣性力に対向する力を提供するためのシステム、方法、及び、コンピュータプログラムは、ショートストロークアクチュエータ及びパターニングデバイスのエッジを係合するように構成された押込み先端と組み合わせてプッシャの粗動位置決めを提供する手段を含む。一実施形態では、粗動位置決めは、ショートストロークアクチュエータを並進させることができるガイドを設けることによって提供され、ロック機構は、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成される。一実施形態では、粗動位置決めは、ロングストロークアクチュエータ、例えば、偏心リニアドライブアクチュエータによって提供される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
前記パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含むパターニングデバイスホルダと、
前記パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、前記保持力は、前記パターニングデバイスホルダの加速に反応して、前記パターニングデバイス上の慣性力に対向し、前記アクチュエータは、微動ストローク部分及び先端部分を含み、前記アクチュエータは、ガイド上に摺動可能に取り付けられる、アクチュエータと、
前記パターニングデバイスに対して前記アクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成されたロック機構と、を備え、
前記アクチュエータは、前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと係合する押込み位置に、かつ、前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと係合しない解放位置に、前記先端部分を制御可能に位置決めするように構成され、
前記アクチュエータは、前記解放位置から前記押込み位置まで前記ガイドに沿って移動可能である、パターニングデバイス搬送システム。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、前記アクチュエータの側面に力を加えるように構成された少なくとも1つのピエゾブレーキを含む、請求項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項3】
前記微動ストローク部分は、歪みゲージを含み、
前記歪みゲージは、前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと係合することに応答して、信号をコントローラに提供するように動作可能である、請求項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、前記アクチュエータの側面に力を加えるように構成されたピエゾブレーキを1つのみ含み、
前記ブレーキは、浮動キャリパーをさらに含み、
前記浮動キャリパーは、前記ピエゾブレーキのピエゾ素子が作動されたときに前記アクチュエータの前記側面に前記力を加えるように構成及び配置される、請求項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項5】
前記ピエゾブレーキの前記ピエゾ素子は、前記ピエゾ素子に電圧が印加されないとき、ロックされた構成にある、請求項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項6】
前記浮動キャリパーは、前記アクチュエータの前記側面に加えられる前記力の方向に平行な方向に単一線形自由度を提供するマウント上に取り付けられる、請求項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項7】
前記マウントは、ベアリング又は屈曲である、請求項6に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項8】
リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
前記パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含むパターニングデバイスホルダと、
前記パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、前記保持力は、前記パターニングデバイスホルダの加速に反応して、前記パターニングデバイス上の慣性力に対向する、アクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータは、
リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、
寄生力が前記ロングストロークアクチュエータ部分を移動することを防止するように構成されたブレーキと、
前記ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、
先端部分であって、前記先端部分は、前記パターニングデバイスの前記エッジに前記保持力を加えるように構成され、前記ロングストロークアクチュエータ部分は、前記ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、前記ショートストロークアクチュエータ部分は、前記ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有する、先端部分と、を含み、
前記ロングストロークアクチュエータ部分は、前記パターニングデバイスの前記エッジに向かってかつ前記パターニングデバイスの前記エッジから離れるように前記先端部分を制御可能に移動させるように構成され、それによって、先端が、前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと係合する押込み位置に、かつ、前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと係合しない解放位置に、制御可能に位置決めされるように構成される、パターニングデバイス搬送システム。
【請求項9】
前記ロングストロークアクチュエータ部分は、リニアガイド部材と協働して回転動作をリニア動作に変換するために軸外シャフトを有するモータを含む、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項10】
前記アクチュエータは、リニア動作ガイドを介して前記パターニングデバイスホルダ上に取り付けられ、
前記リニア動作ガイドは、屈曲マウントを含み、
前記モータは、サーボモータ又はブラシレスDCモータである、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項11】
前記微動ストローク部分は、ピエゾアクチュエータを含む、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項12】
前記先端部分は、前記パターニングデバイスの前記エッジを係合する側面上に丸みを帯びた面を有する、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項13】
前記先端部分は、前記微動ストローク部分の材料とは異なる材料を含む、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項14】
前記先端部分は、ホウケイ酸ガラス材料を含む、請求項13に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【請求項15】
パターニングデバイス搬送システムを制御する方法であって、
アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスホルダによって保持されるパターニングデバイスのエッジと接触しない解放位置から、前記アクチュエータの前記先端部分が前記パターニングデバイスの前記エッジと接触する係合位置に、前記アクチュエータを制御可能に移動させるために前記パターニングデバイスホルダをスキャン方向に加速させることと、
前記アクチュエータの慣性運動に応答して、前記パターニングデバイスに対して前記アクチュエータを適切な位置にロックすることと、
前記アクチュエータを用いて、前記パターニングデバイスホルダの加速方向に対向する方向に保持力を前記パターニングデバイス上に加えることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、(1)2021年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/292,793号及び(2)2022年4月20日に出願された米国仮特許出願第63/332,800号の優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の説明は、概して、リソグラフィプロセスを改善及び最適化することに関する。より詳細には、本開示は、パターニングデバイスホルダの動きを加速する間、パターニングデバイスを安定化させるのに役立つ装置、方法及びコンピュータプログラムを含む。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。このような場合、パターニングデバイス(例えば、マスク)は、ICの個々の層に対応するパターン(「設計レイアウト」)を含むこと、又は提供することができ、及びこのパターンは、パターニングデバイス上のパターンを通してターゲット部分を照射するなどの方法により、放射感応性材料(「レジスト」)の層でコートされた基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。一般に、単一の基板は、パターンがリソグラフィ投影装置によって連続して転写される複数の隣接するターゲット部分(一度に1つのターゲット部分)を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置においては、パターニングデバイス全体上のパターンが、一回で1つのターゲット部分上に転写され、このような装置はまた、ステッパと呼ばれ得る。代替装置では、ステップアンドスキャン装置は、投影ビームが、所与の基準方向(「スキャン」方向)にパターニングデバイスをスキャンすることに同期して、この基準方向に平行又は逆平行に基板を移動させることができる。パターニングデバイス上のパターンの異なる部分が、1つのターゲット部分に漸進的に転写される。一般に、リソグラフィ投影装置は、縮小率M(例えば、4)を有するので、基板を移動させる速度Fは、投影ビームがパターニングデバイスをスキャンする速度×1/Mとなる。リソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,046,792号に見出すことができる。
【0004】
[0004] パターニングデバイスから基板にパターンを転写する前に、基板は、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの様々な手順を経てもよい。露光後に、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、及び転写されたパターンの測定/検査などの他の手順「露光後手順」)を受けてもよい。この一連の手順は、デバイス、例えばICの個々の層を作るための基礎として使用される。基板は、次に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨など(全て、デバイスの個々の層を仕上げることを意図したもの)の様々なプロセスを経てもよい。デバイスに幾つかの層が必要とされる場合、手順全体又はその変形が、各層に対して繰り返される。最終的に、基板上の各ターゲット部分にデバイスが存在する。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、その結果、個々のデバイスがキャリア上に取り付けられること、ピンに接続されることなどが可能である。
【0005】
[0005] よって、半導体デバイスなどのデバイスを製造することは、典型的には、デバイスの様々なフィーチャ及び複数の層を形成するために、いくつかの製造プロセスを使用して基板(例えば、半導体ウェーハ)を処理することを含む。このような層及びフィーチャは、典型的には、例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、及びイオン注入を使用して製造及び処理される。複数のデバイスが、基板上の複数のダイ上に作製され、その後、個々のデバイスに分離され得る。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスとみなされ得る。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置においてパターニングデバイスを使用する光リソグラフィ及び/又はナノインプリントリソグラフィなど、パターニングデバイス上のパターンを基板に転写するパターニングステップを含み、典型的には、しかしながら任意選択で、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを使用する基板のベーク、エッチング装置を使用してパターンを使用するエッチングなど、1つ又は複数の関連するパターン処理ステップを含む。
【0006】
[0006] 上述の通り、リソグラフィは、基板上に形成されたパターンが、マイクロプロセッサ、メモリチップなどのデバイスの機能素子を定義する、ICなどのデバイスの製造における中心的ステップである。フラットパネルディスプレイ、微小電子機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成においても、類似のリソグラフィ技術が使用される。
【0007】
[0007] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、機能素子の寸法は、継続的に小さくなっている一方で、「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、1つのデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の量は、何十年にもわたり、着実に増加している。現在の技術状況では、デバイスの層は、深紫外線照明源からの照明を用いて、設計レイアウトを基板上に投影し、100nmをはるかに下回る(すなわち、照明源(例えば、193nm照明源)からの放射の波長の半分未満)寸法を有する個々の機能素子を生成するリソグラフィ投影装置を用いて製造される。
【0008】
[0008] リソグラフィ投影装置の古典的限界解像度未満の寸法を持つフィーチャが印刷されるこのプロセスは、解像度式CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィと呼ばれ得、式中、λは、用いられた放射の波長(例えば、248nm又は193nm)であり、NAは、リソグラフィ投影装置における投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」(一般に、印刷される最小のフィーチャサイズ)であり、及びk1は、経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能性及び性能を達成するために設計者によって計画された形状及び寸法に酷似するパターンを基板上に再現することがより難しくなる。これらの困難を克服するために、最新式の微調整ステップが、リソグラフィ投影装置、設計レイアウト、又はパターニングデバイスに適用される。これらは、例えば、限定されないが、NA及び光学コヒーレンス設定の最適化、カスタマイズ照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC、「光学及びプロセス補正(optical and process correction)」とも呼ばれることがある)、又は一般に「解像度向上技術」(RET)と定義される他の方法も含む。本明細書で使用する「投影光学系」という用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、アパーチャ、及び反射屈折光学系を含む、様々なタイプの光学システムを網羅すると広く解釈されるものとする。「投影光学系」という用語は、まとめて、又は単独で、放射の投影ビームの誘導、整形、又は制御を行うためにこれらの設計タイプの何れかに従って動作するコンポーネントも含み得る。「投影光学系」という用語は、光学コンポーネントがリソグラフィ投影装置の光路上のどこに位置するかにかかわらず、リソグラフィ投影装置内の何れの光学コンポーネントも含み得る。投影光学系は、ソースからの放射がパターニングデバイスを通過する前に、放射を整形、調整及び/又は投影するための光学コンポーネント、及び/又は放射がパターニングデバイスを通過した後に、放射を整形、調整及び/又は投影するための光学コンポーネントを含み得る。投影光学系は、一般に、ソース及びパターニングデバイスを除く。
【発明の概要】
【0009】
[0009] パターニングデバイスホルダの加速中にパターニングデバイスホルダ上のパターニングデバイスの動きを減少させるためのシステム、方法及びコンピュータプログラム。
【0010】
[0010] 一実施形態では、パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む。パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータをさらに含み、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向し、アクチュエータは、微動ストローク部分及び先端部分を含み、アクチュエータは、ガイド上に摺動可能に取り付けられる。ロック機構は、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成され、アクチュエータは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に、先端部分を制御可能に位置決めするように構成され、アクチュエータは、解放位置から押込み位置までガイドに沿って移動可能である。一実施形態では、アクチュエータの動作は、パターニングデバイスホルダの加速による慣性力に反応する。
【0011】
[0011] 一実施形態では、リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスホルダを含み、パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む。パターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータをさらに含み、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向する。アクチュエータは、リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、寄生力がロングストロークアクチュエータ部分を移動することを防止するように構成されたブレーキと、ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分とを含む。
【0012】
[0012] アクチュエータは、先端部分を含み、この先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有する。ロングストロークアクチュエータ部分は、パターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるように先端部分を制御可能に移動させるように構成され、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に制御可能に位置決めされるように構成される。
【0013】
[0013] 一実施形態では、リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含むパターニングデバイスホルダを含む。アクチュエータは、パターニングデバイスホルダによって保持及び支持されたパターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、保持力は、パターニングデバイスホルダが加速されたときに、パターニングデバイス上の慣性力に対向する。アクチュエータは、リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、先端部分とを含み、先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有し、アクチュエータは、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるようにロングストロークアクチュエータによって制御可能に移動可能となり得るように取り付けられ、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置になるように位置決め可能である。
【0014】
[0014] 一実施形態では、フォトリソグラフィシステムは、上記のあらゆるシステムを動作させる方法を行うように構成される。
【0015】
[0015] さらに、一実施形態では、命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、命令がコンピュータによって実行されると、上記のシステムの動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
[0016] 本明細書に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される主題の特定の態様を示し、説明と併せて、開示される実装に関連する原理の一部を説明するのを助ける。図面は以下のとおりである。
【0017】
図1】[0017]一実施形態による、リソグラフィ投影装置の様々なサブシステムのブロック図を示す。
図2】[0018]一実施形態による、リソグラフィ投影装置の概略図である。
図3】[0019]一実施形態による、パターニングデバイスホルダに対する加速の変化のタイミングを示す図である。
図4a】[0020]一実施形態によるパターニングデバイスホルダ、及びパターニングデバイス上の加速による力の一部を概略的に示す。
図4b】[0021]一実施形態によるプッシャの拡大図である。
図5】[0022]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略図である。
図6】[0023]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略図である。
図7】[0024]図6のプッシャの概略側面図である。
図8】[0025]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略側面図である。
図9】[0026]図8の並進及びロック機構の概略上面図である。
図10】[0027]一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0028] 本文書では、ICの製造について具体的に言及する場合があるが、本明細書の説明は、多くの他の可能な適用例を有することが明示的に理解されるべきである。例えば、本明細書の説明は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に用いられ得る。当業者であれば、そのような代替の用途という文脈において、本書での「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ、「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」というより一般的な用語と交換可能であるとみなされるべきであることを理解するであろう。
【0019】
[0029] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲内の波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用される。
【0020】
[0030] パターニングデバイスは、1つ又は複数の設計レイアウトを含むか、又は形成することができる。設計レイアウトは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを利用して生成することができ、このプロセスは、しばしばEDA(電子設計自動化)と呼ばれる。ほとんどのCADプログラムは、機能的な設計レイアウト/パターニングデバイスを作成するために、一連の所定の設計ルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制約によって設定される。例えば、設計ルールは、デバイス又は線が望ましくない方法で互いに相互作用しないことを確実にするために、デバイス(ゲート、キャパシタなど)又は相互接続線間のスペース公差を定義する。設計ルールの制約の1つ又は複数を「クリティカルディメンジョン」(CD)と呼ぶことがある。デバイスのクリティカルディメンジョンは、線若しくは穴の最小幅、又は2つの線若しくは2つの穴の間の最小スペースとして定義することができる。したがって、CDは、設計されたデバイスの全体的なサイズ及び密度を決定する。当然ながら、デバイス製造の目標の1つは、(パターニングデバイスを介して)基板上に元の設計意図を忠実に再現することである。
【0021】
[0031] 本明細書で用いられる「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、入ってくる放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応したパターン付き断面を付与するために使用することができる一般的なパターニングデバイスを指すものと広く解釈することができ、「ライトバルブ」という用語も、この文脈で使用されることがある。典型的なマスク(透過型又は反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例としては、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイが挙げられる。
【0022】
[0032] プログラマブルミラーアレイの一例は、粘弾性制御層及び反射面を有するマトリックスアドレス可能面であってもよい。このような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが、入射放射を回折放射として反射し、一方、非アドレスエリアが、入射放射を非回折放射として反射する、ということである。適切なフィルタを使用して、前述の非回折放射を反射ビームから除去し、回折放射のみを後に残すことができ、このようにして、ビームが、マトリックスアドレス可能面のアドレッシングパターンに従ってパターン付与される。必要とされるマトリックスアドレッシングは、適切な電子方法を使用して実施することができる。
【0023】
[0033] プログラマブルLCDアレイの一例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,229,872号によって与えられる。
【0024】
[0034] 図1は、一実施形態によるリソグラフィ投影装置10Aの様々なサブシステムのブロック図を示す。主なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ源、又は極端紫外線(EUV)源を含む他のタイプのソースであり得る、ソース12A(上記で考察するように、リソグラフィ投影装置自体は、放射源を有する必要がない)と、部分コヒーレンス(シグマとして表す)を例えば定義する照明光学系であって、ソース12Aからの放射を整形する光学系14A、16Aa及び16Abを含み得る照明光学系と、パターニングデバイス(又はマスク)18Aと、パターニングデバイスパターンの像を基板面22A上に投影する透過光学系16Acと、である。
【0025】
[0035] 瞳20Aは、透過光学系16Acに含まれてもよい。いくつかの実施形態では、マスク18Aの前及び/又は後に1つ又は複数の瞳があってもよい。本明細書中にさらに詳細に説明するように、瞳20Aは、基板面22Aに最終的に到達する光のパターニングを提供することができる。投影光学系の瞳面における調整可能フィルタ又はアパーチャは、基板面22Aに衝突するビーム角の範囲を制限することができ、ここで、可能な最大角が、投影光学系の開口数NA=nsin(Θmax)を定義し、nは、基板と投影光学系の最後の素子との間の媒体の屈折率であり、Θmaxは、依然として基板面22Aに衝突し得る投影光学系から出るビームの最大角である。
【0026】
[0036] リソグラフィ投影装置では、ソースは、照明(すなわち、放射)をパターニングデバイスに提供し、並びに投影光学系は、パターニングデバイスを介して、基板上へと照明の誘導及び整形を行う。投影光学系は、コンポーネント14A、16Aa、16Ab及び16Acの少なくとも幾つかを含み得る。
【0027】
[0037] リソグラフィ装置は、放射ビームの波面と強度分布の形状及び/又は位相シフトを調整するために使用することができる「波面マニピュレータ」と総称されるコンポーネントを含み得る。一実施形態では、リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイスの手前、瞳面の近傍、像面の近傍、及び/又は焦点面の近傍など、リソグラフィ投影装置の光路に沿って任意の位置で波面と強度分布を調整することができる。波面マニピュレータは、例えばソース、パターニングデバイス、リソグラフィ投影装置における温度変動、リソグラフィ投影装置のコンポーネントの熱膨張などによって生じる波面と強度分布及び/又は位相シフトのある程度のディストーションを補正又は補償するために使用されてもよい。波面と強度分布及び/又は位相シフトを調整することによって、コスト関数によって表される特徴の値が変化し得る。こうした変化は、モデルからシミュレートするか、又は実際に測定することができる。設計変数は、波面マニピュレータのパラメータを含んでもよい。
【0028】
[0038] 図2は、一実施形態によるリソグラフィ投影装置の概略図である。
【0029】
[0039] リソグラフィ投影装置は、照明システムILと、第1物体テーブルMTと、第2物体テーブルWTと、投影システムPSとを含むことできる。
【0030】
[0040] 照明システムILは、放射ビームBを調節することできる。この具体例では、照明システムは、放射源SOも備える。
【0031】
[0041] 第1物体テーブル(例えば、パターニングデバイステーブル)MTには、パターニングデバイスMA(例えばレチクル)を保持するパターニングデバイスホルダが設けられ、要素PSに対してパターニングデバイスを正確に位置決めする第1ポジショナに接続されてもよい。第1物体テーブルは、第1物体テーブルの加速中にパターニングデバイスを適切な位置にしっかりと保持する部分(チャックと呼ぶ)を含む。チャックは、例えば、パターニングデバイスMAを第1物体テーブルMTにしっかりと固定するために真空クランプを使用する。
【0032】
[0042] 第2物体テーブル(基板テーブル)WTには、基板W(例えば、レジストコートシリコンウェーハ)を保持する基板ホルダが設けられ、要素PSに対して基板を正確に位置決めする第2ポジショナに接続されてもよい。
【0033】
[0043] 投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折、反射又は反射屈折光学システム)は、パターニングデバイスMAの被照射部分を基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に結像することができる。
【0034】
[0044] 図示されるように、本装置は、透過型(すなわち、透過型パターニングデバイスを有する)であってもよい。しかしながら、一般には、例えば(反射型パターニングデバイスを有する)反射型のものであってもよい。本装置は、例えば、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリックスを含む、典型的なマスクとは異なる種類のパターニングデバイスを採用してもよい。
【0035】
[0045] ソースSO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ、LPP(レーザ生成プラズマ)EUV源)は、放射ビームを生成する。このビームは、直接又は例えばビームエキスパンダExなどの調節装置を通過した後、照明システム(イルミネータ)ILに供給される。イルミネータILは、ビーム内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を設定するために調整デバイスADを備えてもよい。さらに、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。このようにして、パターニングデバイスMAに衝突するビームBは、その断面において所望の均一性及び強度分布を有する。
【0036】
[0046] いくつかの実施形態では、ソースSOがリソグラフィ投影装置のハウジング内にあってもよいが(例えばソースSOが水銀ランプである場合にはたいていそうである)、リソグラフィ投影装置から遠隔にあってもよい。生成される放射ビームは(例えば、適切な誘導ミラーを用いて)装置に導かれる。後者のシナリオでは、ソースSOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF又はFレーザ発振に基づく)である場合でもよい。
【0037】
[0047] ビームPBは、次にパターニングデバイステーブルMT上に保持されているパターニングデバイスMAをインターセプトすることができる。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、ビームBはレンズPLを通過し、レンズPLは、基板Wのターゲット部分C上にビームBの焦点を合わせる。第2位置決め装置(及び干渉計測装置IF)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分CをビームPBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決め装置を使い、例えば、パターニングデバイスライブラリからパターニングデバイスMAを機械的に取り出した後又はスキャン中に、パターニングデバイスMAをビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、物体テーブルMT,WTの動きは、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。しかしながら、ステッパの場合は(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)、パターニングテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。
【0038】
[0048] 図示されるツールは、2つの異なるモード、ステップモードとスキャンモードとで使用することができる。ステップモードにおいては、パターニングデバイステーブルMTを基本的に静止状態に保ちつつ、パターニングデバイス像全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一フラッシュ)。基板テーブルWTは、x及び/又はy方向に移動され、それによって別のターゲット部分CをビームPBで照射することができる。
【0039】
[0049] スキャンモードにおいては、所与のターゲット部分Cが単一「フラッシュ」で露光されないことを除いて、基本的には同じシナリオが適用される。代わりに、パターニングデバイステーブルMTは、投影ビームBがパターニングデバイス像をスキャンするように、速度vで所与の方向(いわゆる「スキャン方向」であり、例えばy方向)に移動可能である。それと並行して、基板テーブルWTは、速度V=Mvで同じ方向又は反対方向に同時に移動する。ここで、MはレンズPLの倍率(典型的には、M=1/4又は1/5である)である。このようにして、解像度を妥協することなく比較的大きいターゲット部分Cを露光することができる。
【0040】
[0050] 使用中のパターニングデバイステーブルMTは、スキャン方向に沿って投影レンズのフィールドを横切って例えば4.8m/sの一定速度でスキャンされる。これらの速度を達成するために、パターニングデバイステーブルは、静止から高速まで迅速に加速され、スキャンの終わりに、図3に図示されるように、反対方向にスキャンするために方向を反転する前に再びゼロまで迅速に加速される。これらの速度を達成するための加速は30g以上にもなり得る。特に、1時間当たり400ウェーハ(WPH)の処理速度を達成するために、機械は、31gの加速の能力を必要とし得ると考えられる。
【0041】
[0051] 等速中は、パターニングデバイス上に慣性力は全く存在しない。しかしながら、加速及び減速段階の間、約0.5kgの質量を有するパターニングデバイス上に100N~150Nの慣性力が存在し得る。これは、パターニングデバイスが、高加速の期間中にパターニングデバイスホルダに対して滑る可能性をもたらし得る。
【0042】
[0052] パターニングデバイスの滑りを解決する試みとしては、真空システムなどのクランプを含むチャックを使用してパターニングデバイスを適切な位置に保持すること、及び/又は摩擦コーティングを使用してパターニングデバイスとクランプとの間の摩擦を増加させることが挙げられる。しかしながら、絶えず増加している生産速度は、ますます速い方向転換を要求し、したがって、より高い加速は、これらの解決策の利点を減少させてきた。クランプでは、パターニングデバイスとクランプとの間の垂直力が、スキャンの加速部分及び減速部分の間に摩擦力を生成する。摩擦力は、これらの部分の間、パターニングデバイスを適切な位置に保持する。しかしながら、真空クランプでは、摩擦力は、大気と真空との間の最大差圧によって制限され、これは、現在では、約1バールに過ぎない。さらに、クランプと接触するパターニングデバイスの小さい表面積は、クランプによって発生し得る垂直力を制限する。現在、適切な摩擦コーティングの最高の摩擦係数は、約0.25に過ぎない。
【0043】
[0053] それに応じて、加速段階中に慣性力に対抗する力を提供するためにパターニングデバイスのエッジと係合するアクチュエータを提供することが提案されている。このようなシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,885,149号に記載されている。エッジクランプによって生成される横力によりパターニングデバイスの変形はある程度存在するであろうが、これは、一般に、結像のための誤差バジェットに有意に影響しないほどに軽微である(パターニングデバイスレベルでナノメートルの数十分の一であり、基板レベルでナノメートルの10分の1未満に変換される)。
【0044】
[0054] 図3に戻ると、パターニングデバイスのための加速タイミング200の例が図示される。第1期間において、増加加速段階202があり、その後、定常加速期間204、減少加速段階206及び定常移動期間208(その間に結像が行われる)が続く。この後、第2加速210(反対方向)、第2定常加速期間212、及び第2減少加速段階214が続き、第2定常移動期間216が続く。
【0045】
[0055] 図4aは、一実施形態によるパターニングデバイスホルダ、特に、パターニングデバイスMA自体に作用する力を概略的に示す。慣性力Fは、パターニングデバイスMAの加速方向又はスキャン方向とは逆の方向に作用する。この力Fは、チャックの真空クランプシステムによる力Fによって対抗される。慣性力とチャック保持力との間に差異がある程度まで、付加的な保持又は押込み力FがパターニングデバイスMAの滑りを防止するために必要である。図示の実施形態では、この追加の押込み力は、チャックのコーナーに配置された一組のプッシャ302a~dによって提供される。チャックは、主として単一方向に迅速なスキャン運動を行うので、4つの内向きのプッシャ302a~dは、チャックの運動方向に沿った滑りを防止するのに十分な安定化力を提供することができる。図示のように、運動方向が図面の右である場合、プッシャ302a~bは、Fに対向するそれぞれの力304a~bを提供する。加速の方向が逆方向であるとき、プッシャ302c~dは必要な押込み力Fを提供する。
【0046】
[0056] 図4bは、一実施形態によるプッシャ302cの例を概略的に示す。特定のプッシャ302cが示されているが、他のプッシャ302a,b及びdが、同一又は類似の構造を有すると考えることができる。
【0047】
[0057] プッシャ302cは、軸に沿って高解像度の動きを提供する微動ストローク部分308とともに、パターニングデバイスホルダによって保持される際に、パターニングデバイスMAのエッジと係合する先端部分306から構成される。例えば、微動ストローク部分は、数ミクロン(例えば、約10μm)の範囲に沿った単一自由度を約1nmの解像度で提供するように設計されたピエゾアクチュエータであってもよい。さらに、プッシャ302cは、約1μmの解像度で、数ミリメートル(例えば、約2mm)の範囲にわたる粗動(例えば、粗動アクチュエータ310による)を可能にするように構成される。粗動は、以下でより詳細に論じるように、様々な方法で得ることができる。
【0048】
[0058] 一実施形態では、プッシャ302cは、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に保持するか、又は解放してアクチュエータがパターニングデバイスに対して自由に移動することを可能にすることができるロック機構をさらに含む。
【0049】
[0059] 図5は、ロック機構を含むプッシャの実施形態を示す。図示の実施形態では、粗動は、パターニングデバイステーブルMTの加速中に慣性によって提供される。微動ストローク部分308は、レール312上に摺動可能に取り付けられ、このレール312は、例えば、リニア動作ガイドとして作用し、パターニングデバイステーブルMTの運動軸に沿ってその動作をガイドする。パターニングデバイスMAが、例えば、左に移動されると、微動ストローク部分308及びその付属先端306は、レール312に沿って滑る相対動作を受け、それにより、先端306は、パターニングデバイスのエッジと係合するように移動する。微動ストローク部分308は、ピエゾアクチュエータを含んでもよい。図ではこれは矢印に沿った右方向の動きとして図示されているが、実際には、パターニングデバイスMAが左方向に加速されて先端とエッジとの間の係合を引き起こしている間、静止したままである傾向がある。
【0050】
[0060] 微動ストローク部分308は、それがパターニングデバイスMAのエッジと係合したときを示すためにシステムのコントローラにフィードバックを提供できる歪みゲージを含むように構成されてもよい。このようにして、先端部分の粗い慣性動作は、制御可能に配置され、それによって、先端部分が押込み位置で係合されるか又は解放され、その場合、先端はパターニングデバイスのエッジと接触しない。位置が期待又は希望どおりでない場合、コントローラは、プッシャをその適切な係合又は解放位置に移動させるために、通常の結像移動の外側で短い加速を開始することができる。
【0051】
[0061] 一実施形態では、慣性力の手法を他のデバイスと置き換えて粗動位置決めを提供することができる。一例では、リニアアクチュエータ(ボイスコイル又はリニアモータ)、リニアスクリュードライブ、ピエゾアクチュエータ、空気圧アクチュエータ又はソレノイドを使用して粗動位置決めを行ってもよい。
【0052】
[0062] 粗動によって先端が所望のように位置決めされる結果となった場合、1つ又は複数のブレーキ部材314が作動してプッシャがリニアガイドに沿って移動することを防ぐように、適切な位置にクランプされる。図示のように、ブレーキは、粗動アクチュエータ及び微動アクチュエータの移動方向に対して垂直な力を提供する一対の対向するピエゾブレーキ部材314を含むことができる。原則として、一方の側に作用する単一ブレーキ部材は、ブレーキ部材に含まれるブレーキパッドとアクチュエータとの間に十分な摩擦を引き起こして動きを防止するのに必要な垂直力を与えることができる。同様に、一方の側の静的又はスプリング付勢部材は、対向する単一ブレーキと協働して、垂直力を提供してもよい。
【0053】
[0063] 図6及び図7に示される実施形態では、単一ブレーキ部材314は、プッシャが適切に位置決めされる場合に動きを防止する垂直力を提供する。この実施形態では、ピエゾブレーキ部材314は、垂直力を加えるように延在する。キャリパー316は、ブレーキ部材が延在するときに、それ自体を自動的にセンタリングする。キャリパーは、例えば、チタン、チタン合金、鋼等から作成することができる。
【0054】
[0064] リニアベアリング又は屈曲320は、ピエゾブレーキ部材314によって加えられる垂直力の方向に平行なキャリパー316の位置に対して単一自由度を許容する。ブレーキが延在すると、キャリパー316は自己センタリングし、リニアベアリング320は、キャリパーがz軸のまわりに軸外のモーメント又は回転を全く導入することなく、それを行うことを可能にする。一実施形態では、リニアベアリング320は、キャリパーに最低約20μmの動作範囲を提供する。
【0055】
[0065] ブレーキ動作によって発生される力は、キャリパー316及びピエゾブレーキ部材314を通過するループ内に大部分が収容される。したがって、これらの力は、チャック壁318又はチャック床319に大きな応力を全く発生させない。
【0056】
[0066] 一実施形態では、ピエゾブレーキ部材314は、電圧が印加されると後退し、電圧がゼロに低下すると延在する。すなわち、キャリッジの動作は通常ロックされており、キャリッジは、電圧が印加されたときにのみ自由に動くことができる。後退構成では、ブレーキパッドとキャリッジとの間には約5~10μmのギャップが存在し、両側に分かれている。延在した場合、このギャップが閉じられる。
【0057】
[0067] 図8及び9は、プッシャ先端306の粗動位置を制御するための代替デバイスを図示する。この手法では、粗動アクチュエータ310は、偏心ドライブリニアアクチュエータを含む。プッシャの動作は、例えば、単一寸法に沿った動きを可能にするためのリニア動作ガイドとして作用する屈曲マウント320によって拘束され得る。屈曲マウント320を、リニア運動を可能にするための他の取り付けシステムで置換できることが理解されるであろう。一実施形態では、偏心ドライブリニアアクチュエータは、軸外シャフトを有する。シャフトは、モータ322によってそのベアリング324内で回転する。モータとしては、例えば、サーボモータ又はDCブラシレスモータなどを挙げられる。モータは、開ループ制御で制御することができ、適切なストールトルクを有するように選択される。偏心ドライブ部材326は、例えば、カム従動子のように、シャフトの回転動作を(例えば微動ストローク部分308の)リニア動作に変換するように軸外関係でシャフトに取り付けられる。機構のバックドライバビリティを防止するために、ドライブ部材に作用する力によるモーメントは、摩擦による最大抵抗モーメント未満とすべきである。この目的のためにギヤボックス又はモータブレーキを設けてもよい。この方法によるバックドライブの防止は、より一般的に、全ての寄生的な(すなわち、外部から加えられた力によるため意図しない)バックドライブ又はフロントドライブを防止する。慣性の実施形態と同様に、ピエゾ微動ストローク部分308は、制御信号を提供するための歪みゲージを含むことによって、先端をパターニングデバイスのエッジに対して正確に位置決めできるようにしてもよい。
【0058】
[0068] 一組のバッフル328は、プッシャの動作によって生成されるあらゆる潜在的粒子を封じ込めるのを助けるために提供されてもよい。一実施形態において、偏心ドライブ部材326はカムを備えてよい。カムは、微動ストローク部分308が移動するキャリッジに磁気的に結合することができる。この手法では、磁石は、キャリッジを押したり引いたりすることと、レール又はガイドに沿って移動するキャリッジの摩擦により生成される潜在的な強磁性粒子を引き寄せたり集めたりすることの両方の働きをする。
【0059】
[0069] 一実施形態では、先端306は、概して堅いが、パターニングデバイスのエッジに応力を与えすぎない材料から作成される。例として、ホウケイ酸ガラスのような材料は、この性質のバランスを提供することができる。特定の例では、SCHOTTガラスから入手可能なN-BK7を使用してもよい。先端の1つの有用な配置は、パターニングデバイスのエッジと係合するための凸状表面を含むため、適切なガラス材料から作成される市販のレンズコンポーネントを利用することが可能である。
【0060】
[0070] 電気アクチュエータを使用する実施形態では、必要とされる電気接続は、例えば、空気圧又は油圧ホースと比較して剛性が低い傾向がある。
【0061】
[0071] 図10は、本明細書で開示するパターン選択方法の具体化及び/又は実装を支援することができるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、バス102又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)と、を含む。コンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ104によって実行される情報及び命令を保存するためにバス102に結合されたメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム100は、リードオンリーメモリ(ROM)108、又はプロセッサ104のための静的情報及び命令を保存するためにバス102に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が設けられると共に、バス102に結合される。
【0062】
[0072] コンピュータシステム100は、バス102を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合されてもよい。英数字及び他のキーを含む入力デバイス114が、情報及びコマンド選択をプロセッサ104に通信するためにバス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を通信するための、及びディスプレイ112上でカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボール又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部116である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1軸(例えばx)及び第2軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
【0063】
[0073] 本発明の一実施形態によれば、シミュレーションプロセスの一部は、メインメモリ106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって行われてもよい。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込まれてもよい。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。ある代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を用いて本発明を実施してもよい。したがって、本明細書の実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0064】
[0074] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス102を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
【0065】
[0075] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス102にのせることができる。バス102は、データをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ106によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ104による実行の前又は後に、ストレージデバイス110に保存されてもよい。
【0066】
[0076] コンピュータシステム100が、バス102に結合された通信インターフェース118も含むことが好ましい。通信インターフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号の送信及び受信を行う。
【0067】
[0077] ネットワークリンク120は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通して、ホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって動作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP126は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」128と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号を使用する。コンピュータシステム100に対して、及びコンピュータシステム100からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク120上の、及び通信インターフェース118を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
【0068】
[0078] コンピュータシステム100は、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークリンク120及び通信インターフェース118を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122及び通信インターフェース118を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。本発明によれば、そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、例えば、実施形態のテストパターン選択を提供する。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ104によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス110又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
【0069】
[0079] 以下の条項を用いて、実施形態をさらに説明することができる。
1.リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
パターニングデバイスホルダであって、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む、パターニングデバイスホルダと、
パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向し、アクチュエータは、微動ストローク部分及び先端部分を含み、アクチュエータは、ガイド上に摺動可能に取り付けられる、アクチュエータと、
パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成されたロック機構と、を備え、
アクチュエータは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に、先端部分を制御可能に位置決めするように構成され、
アクチュエータは、解放位置から押込み位置までガイドに沿って移動可能である、パターニングデバイス搬送システム。
2.ロック機構は、ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、アクチュエータの側面に力を加えるように構成された少なくとも1つのピエゾブレーキを含む、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
3.微動ストローク部分は、歪みゲージを含み、歪みゲージは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合することに応答して、信号をコントローラに提供するように動作可能である、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
4.ロック機構は、ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、アクチュエータの側面に力を加えるように構成されたピエゾブレーキを1つのみ含み、
ブレーキは、浮動キャリパーをさらに含み、浮動キャリパーは、ピエゾブレーキのピエゾ素子が作動されたときにアクチュエータの側面に力を加えるように構成及び配置される、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
5.ピエゾブレーキのピエゾ素子は、ピエゾ素子に電圧が印加されないとき、ロックされた構成にある、条項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
6.浮動キャリパーは、アクチュエータの側面に加えられる力の方向に平行な方向に単一線形自由度を提供するマウント上に取り付けられる、条項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
7.マウントは、ベアリング又は屈曲である、条項6に記載のパターニングデバイス搬送システム。
8.リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
パターニングデバイスホルダであって、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む、パターニングデバイスホルダと、
パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向する、アクチュエータと、を備え、
アクチュエータは、
リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、
寄生力がロングストロークアクチュエータ部分を移動することを防止するように構成されたブレーキと、
ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、
先端部分であって、先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有する、先端部分と、を含み、
ロングストロークアクチュエータ部分は、パターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるように先端部分を制御可能に移動させるように構成され、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に制御可能に位置決めされるように構成される、パターニングデバイス搬送システム。
9.ロングストロークアクチュエータ部分は、リニアガイド部材と協働して回転動作をリニア動作に変換するために軸外シャフトを有するモータを含む、条項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
10.アクチュエータは、リニア動作ガイドを介してパターニングデバイスホルダ上に取り付けられる、条項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
11.リニア動作ガイドは、屈曲マウントを含む、条項9に記載のパターニングデバイス搬送システム。
12.モータは、サーボモータ又はブラシレスDCモータである、条項9に記載のパターニングデバイス搬送システム。
13.微動ストローク部分は、ピエゾアクチュエータを含む、条項18に記載のパターニングデバイス搬送システム。
14.先端部分は、パターニングデバイスのエッジを係合する側面上に丸みを帯びた面を有する、条項1又は8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
15.先端部分は、微動ストローク部分の材料とは異なる材料を含む、条項1又は8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
16.先端部分は、ホウケイ酸ガラス材料を含む、条項15に記載のパターニングデバイス搬送システム。
17.パターニングデバイス搬送システムを制御する方法であって、方法は、
アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスホルダによって保持されるパターニングデバイスのエッジと接触しない解放位置から、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジと接触する係合位置に、アクチュエータを制御可能に移動させるためにパターニングデバイスホルダをスキャン方向に加速させることと、
アクチュエータの慣性運動に応答して、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置にロックすることと、
アクチュエータを用いて、パターニングデバイスホルダの加速方向に対向する方向に保持力をパターニングデバイス上に加えることと、
を含む、方法。
18.パターニングデバイス搬送システムを制御する方法であって、
リニア偏心ドライブを用いて、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスホルダによって保持されるパターニングデバイスのエッジと接触しない解放位置から、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジと接触する係合位置に、アクチュエータを制御可能に移動させるためにパターニングデバイスホルダを粗動位置決めすることと、
ブレーキを用いてリニア偏心ドライブをロックすることと、
アクチュエータを用いて、パターニングデバイスホルダの加速方向に対向する方向に保持力をパターニングデバイス上に加えることと、
を含む、方法。
19.機械実行可能命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、命令が実行されると、条項1~16のいずれかに記載のデバイスを制御するか又は条項17~19のいずれかの方法を行う、コンピュータプログラム製品。
【0070】
[0080] 本明細書中で使用されるように、「約」という用語は、例えば、距離、力又は他の量に言及する場合、プラス又はマイナス10%以内を意味すると考えることができる。例えば、何か「並行して起こる」又は「並行して変化する」を説明する用語「並行して」又は「同時に」という用語は、2つ以上のものが、ほぼ同時であるが必ずしも厳密には同時に起こらないことを意味する。例えば、マスクパターンと並行して瞳設計を変化させることは、瞳設計に小さな修正を行い、次にマスクパターンに小さな調整を行い、その後瞳設計に別の修正を行うこと、等々を意味することができる。しかしながら、本開示は、いくつかの並列処理アプリケーションにおいて、並行性は、同時に起こるか又は時間的にいくらか重複する動作を指し得ることを意図する。
【0071】
[0081] 本明細書に開示した概念は、シリコンウェーハなどの基板上での結像のために使用され得るが、開示した概念は、任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えばシリコンウェーハ以外の基板上での結像のために使用されるものと共に使用され得ることが理解されよう。
【0072】
[0082] 上記の説明は、限定的ではなく、例示であるように意図されている。したがって、以下に提示する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように修正が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
前記アクチュエータは、リニア動作ガイドを介して前記パターニングデバイスホルダ上に取り付けられ、
前記リニア動作ガイドは、屈曲マウントを含み、
前記モータは、サーボモータ又はブラシレスDCモータである、請求項に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記ショートストロークアクチュエータ部分は、ピエゾアクチュエータを含む、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
前記先端部分は、前記ショートストロークアクチュエータ部分の材料とは異なる材料を含む、請求項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書の説明は、概して、リソグラフィプロセスを改善及び最適化することに関する。より詳細には、本開示は、パターニングデバイスホルダの動きを加速する間、パターニングデバイスを安定化させるのに役立つ装置、方法及びコンピュータプログラムを含む。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。このような場合、パターニングデバイス(例えば、マスク)は、ICの個々の層に対応するパターン(「設計レイアウト」)を含むこと、又は提供することができ、及びこのパターンは、パターニングデバイス上のパターンを通してターゲット部分を照射するなどの方法により、放射感応性材料(「レジスト」)の層でコートされた基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。一般に、単一の基板は、パターンがリソグラフィ投影装置によって連続して転写される複数の隣接するターゲット部分(一度に1つのターゲット部分)を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置においては、パターニングデバイス全体上のパターンが、一回で1つのターゲット部分上に転写され、このような装置はまた、ステッパと呼ばれ得る。代替装置では、ステップアンドスキャン装置は、投影ビームが、所与の基準方向(「スキャン」方向)にパターニングデバイスをスキャンすることに同期して、この基準方向に平行又は逆平行に基板を移動させることができる。パターニングデバイス上のパターンの異なる部分が、1つのターゲット部分に漸進的に転写される。一般に、リソグラフィ投影装置は、縮小率M(例えば、4)を有するので、基板を移動させる速度Fは、投影ビームがパターニングデバイスをスキャンする速度×1/Mとなる。リソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,046,792号に見出すことができる。
【0003】
[0003] パターニングデバイスから基板にパターンを転写する前に、基板は、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの様々な手順を経てもよい。露光後に、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、及び転写されたパターンの測定/検査などの他の手順「露光後手順」)を受けてもよい。この一連の手順は、デバイス、例えばICの個々の層を作るための基礎として使用される。基板は、次に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨など(全て、デバイスの個々の層を仕上げることを意図したもの)の様々なプロセスを経てもよい。デバイスに幾つかの層が必要とされる場合、手順全体又はその変形が、各層に対して繰り返される。最終的に、基板上の各ターゲット部分にデバイスが存在する。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、その結果、個々のデバイスがキャリア上に取り付けられること、ピンに接続されることなどが可能である。
【0004】
[0004] よって、半導体デバイスなどのデバイスを製造することは、典型的には、デバイスの様々なフィーチャ及び複数の層を形成するために、いくつかの製造プロセスを使用して基板(例えば、半導体ウェーハ)を処理することを含む。このような層及びフィーチャは、典型的には、例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、及びイオン注入を使用して製造及び処理される。複数のデバイスが、基板上の複数のダイ上に作製され、その後、個々のデバイスに分離され得る。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスとみなされ得る。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置においてパターニングデバイスを使用する光リソグラフィ及び/又はナノインプリントリソグラフィなど、パターニングデバイス上のパターンを基板に転写するパターニングステップを含み、典型的には、しかしながら任意選択で、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを使用する基板のベーク、エッチング装置を使用してパターンを使用するエッチングなど、1つ又は複数の関連するパターン処理ステップを含む。
【0005】
[0005] 上述の通り、リソグラフィは、基板上に形成されたパターンが、マイクロプロセッサ、メモリチップなどのデバイスの機能素子を定義する、ICなどのデバイスの製造における中心的ステップである。フラットパネルディスプレイ、微小電子機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成においても、類似のリソグラフィ技術が使用される。
【0006】
[0006] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、機能素子の寸法は、継続的に小さくなっている一方で、「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、1つのデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の量は、何十年にもわたり、着実に増加している。現在の技術状況では、デバイスの層は、深紫外線照明源からの照明を用いて、設計レイアウトを基板上に投影し、100nmをはるかに下回る(すなわち、照明源(例えば、193nm照明源)からの放射の波長の半分未満)寸法を有する個々の機能素子を生成するリソグラフィ投影装置を用いて製造される。
【0007】
[0007] リソグラフィ投影装置の古典的限界解像度未満の寸法を持つフィーチャが印刷されるこのプロセスは、解像度式CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィと呼ばれ得、式中、λは、用いられた放射の波長(例えば、248nm又は193nm)であり、NAは、リソグラフィ投影装置における投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」(一般に、印刷される最小のフィーチャサイズ)であり、及びk1は、経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能性及び性能を達成するために設計者によって計画された形状及び寸法に酷似するパターンを基板上に再現することがより難しくなる。これらの困難を克服するために、最新式の微調整ステップが、リソグラフィ投影装置、設計レイアウト、又はパターニングデバイスに適用される。これらは、例えば、限定されないが、NA及び光学コヒーレンス設定の最適化、カスタマイズ照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC、「光学及びプロセス補正(optical and process correction)」とも呼ばれることがある)、又は一般に「解像度向上技術」(RET)と定義される他の方法も含む。本明細書で使用する「投影光学系」という用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、アパーチャ、及び反射屈折光学系を含む、様々なタイプの光学システムを網羅すると広く解釈されるものとする。「投影光学系」という用語は、まとめて、又は単独で、放射の投影ビームの誘導、整形、又は制御を行うためにこれらの設計タイプの何れかに従って動作するコンポーネントも含み得る。「投影光学系」という用語は、光学コンポーネントがリソグラフィ投影装置の光路上のどこに位置するかにかかわらず、リソグラフィ投影装置内の何れの光学コンポーネントも含み得る。投影光学系は、ソースからの放射がパターニングデバイスを通過する前に、放射を整形、調整及び/又は投影するための光学コンポーネント、及び/又は放射がパターニングデバイスを通過した後に、放射を整形、調整及び/又は投影するための光学コンポーネントを含み得る。投影光学系は、一般に、ソース及びパターニングデバイスを除く。
【発明の概要】
【0008】
[0008] パターニングデバイスホルダの加速中にパターニングデバイスホルダ上のパターニングデバイスの動きを減少させるためのシステム、方法及びコンピュータプログラム。
【0009】
[0009] 一実施形態では、パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む。パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータをさらに含み、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向し、アクチュエータは、微動ストローク部分及び先端部分を含み、アクチュエータは、ガイド上に摺動可能に取り付けられる。ロック機構は、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成され、アクチュエータは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に、先端部分を制御可能に位置決めするように構成され、アクチュエータは、解放位置から押込み位置までガイドに沿って移動可能である。一実施形態では、アクチュエータの動作は、パターニングデバイスホルダの加速による慣性力に反応する。
【0010】
[0010] 一実施形態では、リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスホルダを含み、パターニングデバイスホルダは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む。パターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータをさらに含み、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向する。アクチュエータは、リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、寄生力がロングストロークアクチュエータ部分を移動することを防止するように構成されたブレーキと、ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、先端部分と、を含み、この先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有する。ロングストロークアクチュエータ部分は、パターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるように先端部分を制御可能に移動させるように構成され、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に制御可能に位置決めされるように構成される。
【0011】
[0011] 一実施形態では、リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムは、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含むパターニングデバイスホルダを含む。アクチュエータは、パターニングデバイスホルダによって保持及び支持されたパターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、保持力は、パターニングデバイスホルダが加速されたときに、パターニングデバイス上の慣性力に対向する。アクチュエータは、リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、先端部分とを含み、先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有し、アクチュエータは、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるようにロングストロークアクチュエータによって制御可能に移動可能となり得るように取り付けられ、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置になるように位置決め可能である。
【0012】
[0012] 一実施形態では、フォトリソグラフィシステムは、上記のあらゆるシステムを動作させる方法を行うように構成される。
【0013】
[0013] さらに、一実施形態では、命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、命令がコンピュータによって実行されると、上記のシステムの動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 本明細書に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される主題の特定の態様を示し、説明と併せて、開示される実装に関連する原理の一部を説明するのを助ける。図面は以下のとおりである。
【0015】
図1】[0015]一実施形態による、リソグラフィ投影装置の様々なサブシステムのブロック図を示す。
図2】[0016]一実施形態による、リソグラフィ投影装置の概略図である。
図3】[0017]一実施形態による、パターニングデバイスホルダに対する加速の変化のタイミングを示す図である。
図4A】[0018]一実施形態によるパターニングデバイスホルダ、及びパターニングデバイス上の加速による力の一部を概略的に示す。
図4B】[0019]一実施形態によるプッシャの拡大図である。
図5】[0020]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略図である。
図6】[0021]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略図である。
図7】[0022]図6のプッシャの概略側面図である。
図8】[0023]一実施形態による、プッシャのための並進及ロック機構の概略側面図である。
図9】[0024]図8の並進及びロック機構の概略上面図である。
図10】[0025]一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0026] 本文書では、ICの製造について具体的に言及する場合があるが、本明細書の説明は、多くの他の可能な適用例を有することが明示的に理解されるべきである。例えば、本明細書の説明は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に用いられ得る。当業者であれば、そのような代替の用途という文脈において、本書での「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ、「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」というより一般的な用語と交換可能であるとみなされるべきであることを理解するであろう。
【0017】
[0027] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲内の波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用される。
【0018】
[0028] パターニングデバイスは、1つ又は複数の設計レイアウトを含むか、又は形成することができる。設計レイアウトは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを利用して生成することができ、このプロセスは、しばしばEDA(電子設計自動化)と呼ばれる。ほとんどのCADプログラムは、機能的な設計レイアウト/パターニングデバイスを作成するために、一連の所定の設計ルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制約によって設定される。例えば、設計ルールは、デバイス又は線が望ましくない方法で互いに相互作用しないことを確実にするために、デバイス(ゲート、キャパシタなど)又は相互接続線間のスペース公差を定義する。設計ルールの制約の1つ又は複数を「クリティカルディメンジョン」(CD)と呼ぶことがある。デバイスのクリティカルディメンジョンは、線若しくは穴の最小幅、又は2つの線若しくは2つの穴の間の最小スペースとして定義することができる。したがって、CDは、設計されたデバイスの全体的なサイズ及び密度を決定する。当然ながら、デバイス製造の目標の1つは、(パターニングデバイスを介して)基板上に元の設計意図を忠実に再現することである。
【0019】
[0029] 本明細書で用いられる「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、入ってくる放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応したパターン付き断面を付与するために使用することができる一般的なパターニングデバイスを指すものと広く解釈することができ、「ライトバルブ」という用語も、この文脈で使用されることがある。典型的なマスク(透過型又は反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例としては、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイが挙げられる。
【0020】
[0030] プログラマブルミラーアレイの一例は、粘弾性制御層及び反射面を有するマトリックスアドレス可能面であってもよい。このような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが、入射放射を回折放射として反射し、一方、非アドレスエリアが、入射放射を非回折放射として反射する、ということである。適切なフィルタを使用して、前述の非回折放射を反射ビームから除去し、回折放射のみを後に残すことができ、このようにして、ビームが、マトリックスアドレス可能面のアドレッシングパターンに従ってパターン付与される。必要とされるマトリックスアドレッシングは、適切な電子方法を使用して実施することができる。
【0021】
[0031] プログラマブルLCDアレイの一例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,229,872号によって与えられる。
【0022】
[0032] 図1は、一実施形態によるリソグラフィ投影装置10Aの様々なサブシステムのブロック図を示す。主なコンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ源、又は極端紫外線(EUV)源を含む他のタイプのソースであり得る、ソース12A(上記で考察するように、リソグラフィ投影装置自体は、放射源を有する必要がない)と、部分コヒーレンス(シグマとして表す)を例えば定義する照明光学系であって、ソース12Aからの放射を整形する光学系14A、16Aa及び16Abを含み得る照明光学系と、パターニングデバイス(又はマスク)18Aと、パターニングデバイスパターンの像を基板面22A上に投影する透過光学系16Acと、である。
【0023】
[0033] 瞳20Aは、透過光学系16Acに含まれてもよい。いくつかの実施形態では、マスク18Aの前及び/又は後に1つ又は複数の瞳があってもよい。本明細書中にさらに詳細に説明するように、瞳20Aは、基板面22Aに最終的に到達する光のパターニングを提供することができる。投影光学系の瞳面における調整可能フィルタ又はアパーチャは、基板面22Aに衝突するビーム角の範囲を制限することができ、ここで、可能な最大角が、投影光学系の開口数NA=nsin(Θmax)を定義し、nは、基板と投影光学系の最後の素子との間の媒体の屈折率であり、Θmaxは、依然として基板面22Aに衝突し得る投影光学系から出るビームの最大角である。
【0024】
[0034] リソグラフィ投影装置では、ソースは、照明(すなわち、放射)をパターニングデバイスに提供し、並びに投影光学系は、パターニングデバイスを介して、基板上へと照明の誘導及び整形を行う。投影光学系は、コンポーネント14A、16Aa、16Ab及び16Acの少なくとも幾つかを含み得る。
【0025】
[0035] リソグラフィ装置は、放射ビームの波面と強度分布の形状及び/又は位相シフトを調整するために使用することができる「波面マニピュレータ」と総称されるコンポーネントを含み得る。一実施形態では、リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイスの手前、瞳面の近傍、像面の近傍、及び/又は焦点面の近傍など、リソグラフィ投影装置の光路に沿って任意の位置で波面と強度分布を調整することができる。波面マニピュレータは、例えばソース、パターニングデバイス、リソグラフィ投影装置における温度変動、リソグラフィ投影装置のコンポーネントの熱膨張などによって生じる波面と強度分布及び/又は位相シフトのある程度のディストーションを補正又は補償するために使用されてもよい。波面と強度分布及び/又は位相シフトを調整することによって、コスト関数によって表される特徴の値が変化し得る。こうした変化は、モデルからシミュレートするか、又は実際に測定することができる。設計変数は、波面マニピュレータのパラメータを含んでもよい。
【0026】
[0036] 図2は、一実施形態によるリソグラフィ投影装置の概略図である。
【0027】
[0037] リソグラフィ投影装置は、照明システムILと、第1物体テーブルMTと、第2物体テーブルWTと、投影システムPSとを含むことできる。
【0028】
[0038] 照明システムILは、放射ビームBを調節することできる。この具体例では、照明システムは、放射源SOも備える。
【0029】
[0039] 第1物体テーブル(例えば、パターニングデバイステーブル)MTには、パターニングデバイスMA(例えばレチクル)を保持するパターニングデバイスホルダが設けられ、要素PSに対してパターニングデバイスを正確に位置決めする第1ポジショナに接続されてもよい。第1物体テーブルは、第1物体テーブルの加速中にパターニングデバイスを適切な位置にしっかりと保持する部分(チャックと呼ぶ)を含む。チャックは、例えば、パターニングデバイスMAを第1物体テーブルMTにしっかりと固定するために真空クランプを使用する。
【0030】
[0040] 第2物体テーブル(基板テーブル)WTには、基板W(例えば、レジストコートシリコンウェーハ)を保持する基板ホルダが設けられ、要素PSに対して基板を正確に位置決めする第2ポジショナに接続されてもよい。
【0031】
[0041] 投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折、反射又は反射屈折光学システム)は、パターニングデバイスMAの被照射部分を基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に結像することができる。
【0032】
[0042] 図示されるように、本装置は、透過型(すなわち、透過型パターニングデバイスを有する)であってもよい。しかしながら、一般には、例えば(反射型パターニングデバイスを有する)反射型のものであってもよい。本装置は、例えば、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリックスを含む、典型的なマスクとは異なる種類のパターニングデバイスを採用してもよい。
【0033】
[0043] ソースSO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ、LPP(レーザ生成プラズマ)EUV源)は、放射ビームを生成する。このビームは、直接又は例えばビームエキスパンダExなどの調節装置を通過した後、照明システム(イルミネータ)ILに供給される。イルミネータILは、ビーム内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を設定するために調整デバイスADを備えてもよい。さらに、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。このようにして、パターニングデバイスMAに衝突するビームBは、その断面において所望の均一性及び強度分布を有する。
【0034】
[0044] いくつかの実施形態では、ソースSOがリソグラフィ投影装置のハウジング内にあってもよいが(例えばソースSOが水銀ランプである場合にはたいていそうである)、リソグラフィ投影装置から遠隔にあってもよい。生成される放射ビームは(例えば、適切な誘導ミラーを用いて)装置に導かれる。後者のシナリオでは、ソースSOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF又はFレーザ発振に基づく)である場合でもよい。
【0035】
[0045] ビームPBは、次にパターニングデバイステーブルMT上に保持されているパターニングデバイスMAをインターセプトすることができる。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、ビームBはレンズPLを通過し、レンズPLは、基板Wのターゲット部分C上にビームBの焦点を合わせる。第2位置決め装置(及び干渉計測装置IF)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分CをビームPBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決め装置を使い、例えば、パターニングデバイスライブラリからパターニングデバイスMAを機械的に取り出した後又はスキャン中に、パターニングデバイスMAをビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、物体テーブルMT,WTの動きは、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。しかしながら、ステッパの場合は(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)、パターニングテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。
【0036】
[0046] 図示されるツールは、2つの異なるモード、ステップモードとスキャンモードとで使用することができる。ステップモードにおいては、パターニングデバイステーブルMTを基本的に静止状態に保ちつつ、パターニングデバイス像全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一フラッシュ)。基板テーブルWTは、x及び/又はy方向に移動され、それによって別のターゲット部分CをビームPBで照射することができる。
【0037】
[0047] スキャンモードにおいては、所与のターゲット部分Cが単一「フラッシュ」で露光されないことを除いて、基本的には同じシナリオが適用される。代わりに、パターニングデバイステーブルMTは、投影ビームBがパターニングデバイス像をスキャンするように、速度vで所与の方向(いわゆる「スキャン方向」であり、例えばy方向)に移動可能である。それと並行して、基板テーブルWTは、速度V=Mvで同じ方向又は反対方向に同時に移動する。ここで、MはレンズPLの倍率(典型的には、M=1/4又は1/5である)である。このようにして、解像度を妥協することなく比較的大きいターゲット部分Cを露光することができる。
【0038】
[0048] 使用中のパターニングデバイステーブルMTは、スキャン方向に沿って投影レンズのフィールドを横切って例えば4.8m/sの一定速度でスキャンされる。これらの速度を達成するために、パターニングデバイステーブルは、静止から高速まで迅速に加速され、スキャンの終わりに、図3に図示されるように、反対方向にスキャンするために方向を反転する前に再びゼロまで迅速に加速される。これらの速度を達成するための加速は30g以上にもなり得る。特に、1時間当たり400ウェーハ(WPH)の処理速度を達成するために、機械は、31gの加速の能力を必要とし得ると考えられる。
【0039】
[0049] 等速中は、パターニングデバイス上に慣性力は全く存在しない。しかしながら、加速及び減速段階の間、約0.5kgの質量を有するパターニングデバイス上に100N~150Nの慣性力が存在し得る。これは、パターニングデバイスが、高加速の期間中にパターニングデバイスホルダに対して滑る可能性をもたらし得る。
【0040】
[0050] パターニングデバイスの滑りを解決する試みとしては、真空システムなどのクランプを含むチャックを使用してパターニングデバイスを適切な位置に保持すること、及び/又は摩擦コーティングを使用してパターニングデバイスとクランプとの間の摩擦を増加させることが挙げられる。しかしながら、絶えず増加している生産速度は、ますます速い方向転換を要求し、したがって、より高い加速は、これらの解決策の利点を減少させてきた。クランプでは、パターニングデバイスとクランプとの間の垂直力が、スキャンの加速部分及び減速部分の間に摩擦力を生成する。摩擦力は、これらの部分の間、パターニングデバイスを適切な位置に保持する。しかしながら、真空クランプでは、摩擦力は、大気と真空との間の最大差圧によって制限され、これは、現在では、約1バールに過ぎない。さらに、クランプと接触するパターニングデバイスの小さい表面積は、クランプによって発生し得る垂直力を制限する。現在、適切な摩擦コーティングの最高の摩擦係数は、約0.25に過ぎない。
【0041】
[0051] それに応じて、加速段階中に慣性力に対抗する力を提供するためにパターニングデバイスのエッジと係合するアクチュエータを提供することが提案されている。このようなシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,885,149号に記載されている。エッジクランプによって生成される横力によりパターニングデバイスの変形はある程度存在するであろうが、これは、一般に、結像のための誤差バジェットに有意に影響しないほどに軽微である(パターニングデバイスレベルでナノメートルの数十分の一であり、基板レベルでナノメートルの10分の1未満に変換される)。
【0042】
[0052] 図3に戻ると、パターニングデバイスのための加速タイミング200の例が図示される。第1期間において、増加加速段階202があり、その後、定常加速期間204、減少加速段階206及び定常移動期間208(その間に結像が行われる)が続く。この後、第2加速210(反対方向)、第2定常加速期間212、及び第2減少加速段階214が続き、第2定常移動期間216が続く。
【0043】
[0053] 図4は、一実施形態によるパターニングデバイスホルダ300、特に、パターニングデバイスMA自体に作用する力を概略的に示す。慣性力Fは、パターニングデバイスMAの加速方向又はスキャン方向とは逆の方向に作用する。この力Fは、チャックの真空クランプシステムによる力Fによって対抗される。慣性力とチャック保持力との間に差異がある程度まで、付加的な保持又は押込み力FがパターニングデバイスMAの滑りを防止するために必要である。図示の実施形態では、この追加の押込み力は、チャックのコーナーに配置された一組のプッシャ302a~dによって提供される。チャックは、主として単一方向に迅速なスキャン運動を行うので、4つの内向きのプッシャ302a~dは、チャックの運動方向に沿った滑りを防止するのに十分な安定化力を提供することができる。図示のように、運動方向が図面の右である場合、プッシャ302a~bは、Fに対向するそれぞれの力304a~bを提供する。加速の方向が逆方向であるとき、プッシャ302c~dは必要な押込み力Fを提供する。
【0044】
[0054] 図4は、一実施形態によるプッシャ302cの例を概略的に示す。特定のプッシャ302cが示されているが、他のプッシャ302a,b及びdが、同一又は類似の構造を有すると考えることができる。
【0045】
[0055] プッシャ302cは、軸に沿って高解像度の動きを提供する微動ストローク部分308とともに、パターニングデバイスホルダによって保持される際に、パターニングデバイスMAのエッジと係合する先端部分306から構成される。例えば、微動ストローク部分は、数ミクロン(例えば、約10μm)の範囲に沿った単一自由度を約1nmの解像度で提供するように設計されたピエゾアクチュエータであってもよい。さらに、プッシャ302cは、約1μmの解像度で、数ミリメートル(例えば、約2mm)の範囲にわたる粗動(例えば、粗動アクチュエータ310による)を可能にするように構成される。粗動は、以下でより詳細に論じるように、様々な方法で得ることができる。
【0046】
[0056] 一実施形態では、プッシャ302cは、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に保持するか、又は解放してアクチュエータがパターニングデバイスに対して自由に移動することを可能にすることができるロック機構をさらに含む。
【0047】
[0057] 図5は、ロック機構を含むプッシャの実施形態を示す。図示の実施形態では、粗動は、パターニングデバイステーブルMTの加速中に慣性によって提供される。微動ストローク部分308は、レール312上に摺動可能に取り付けられ、このレール312は、例えば、リニア動作ガイドとして作用し、パターニングデバイステーブルMTの運動軸に沿ってその動作をガイドする。パターニングデバイスMAが、例えば、左に移動されると、微動ストローク部分308及びその付属先端306は、レール312に沿って滑る相対動作を受け、それにより、先端306は、パターニングデバイスのエッジと係合するように移動する。微動ストローク部分308は、ピエゾアクチュエータを含んでもよい。図ではこれは矢印に沿った右方向の動きとして図示されているが、実際には、パターニングデバイスMAが左方向に加速されて先端とエッジとの間の係合を引き起こしている間、静止したままである傾向がある。
【0048】
[0058] 微動ストローク部分308は、それがパターニングデバイスMAのエッジと係合したときを示すためにシステムのコントローラにフィードバックを提供できる歪みゲージを含むように構成されてもよい。このようにして、先端部分の粗い慣性動作は、制御可能に配置され、それによって、先端部分が押込み位置で係合されるか又は解放され、その場合、先端はパターニングデバイスのエッジと接触しない。位置が期待又は希望どおりでない場合、コントローラは、プッシャをその適切な係合又は解放位置に移動させるために、通常の結像移動の外側で短い加速を開始することができる。
【0049】
[0059] 一実施形態では、慣性力の手法を他のデバイスと置き換えて粗動位置決めを提供することができる。一例では、リニアアクチュエータ(ボイスコイル又はリニアモータ)、リニアスクリュードライブ、ピエゾアクチュエータ、空気圧アクチュエータ又はソレノイドを使用して粗動位置決めを行ってもよい。
【0050】
[0060] 粗動によって先端が所望のように位置決めされる結果となった場合、1つ又は複数のブレーキ部材314が作動してプッシャがリニアガイドに沿って移動することを防ぐように、適切な位置にクランプされる。図示のように、ブレーキは、粗動アクチュエータ及び微動アクチュエータの移動方向に対して垂直な力を提供する一対の対向するピエゾブレーキ部材314を含むことができる。原則として、一方の側に作用する単一ブレーキ部材は、ブレーキ部材に含まれるブレーキパッドとアクチュエータとの間に十分な摩擦を引き起こして動きを防止するのに必要な垂直力を与えることができる。同様に、一方の側の静的又はスプリング付勢部材は、対向する単一ブレーキと協働して、垂直力を提供してもよい。
【0051】
[0061] 図6及び図7に示される実施形態では、単一ブレーキ部材314は、プッシャが適切に位置決めされる場合に動きを防止する垂直力を提供する。この実施形態では、ピエゾブレーキ部材314は、垂直力を加えるように延在する。キャリパー316は、ブレーキ部材が延在するときに、それ自体を自動的にセンタリングする。キャリパーは、例えば、チタン、チタン合金、鋼等から作成することができる。
【0052】
[0062] リニアベアリング又は屈曲320は、ピエゾブレーキ部材314によって加えられる垂直力の方向に平行なキャリパー316の位置に対して単一自由度を許容する。ブレーキが延在すると、キャリパー316は自己センタリングし、リニアベアリング320は、キャリパーがz軸のまわりに軸外のモーメント又は回転を全く導入することなく、それを行うことを可能にする。一実施形態では、リニアベアリング320は、キャリパーに最低約20μmの動作範囲を提供する。
【0053】
[0063] ブレーキ動作によって発生される力は、キャリパー316及びピエゾブレーキ部材314を通過するループ内に大部分が収容される。したがって、これらの力は、チャック壁318又はチャック床319に大きな応力を全く発生させない。
【0054】
[0064] 一実施形態では、ピエゾブレーキ部材314は、電圧が印加されると後退し、電圧がゼロに低下すると延在する。すなわち、キャリッジの動作は通常ロックされており、キャリッジは、電圧が印加されたときにのみ自由に動くことができる。後退構成では、ブレーキパッドとキャリッジとの間には約5~10μmのギャップが存在し、両側に分かれている。延在した場合、このギャップが閉じられる。
【0055】
[0065] 図8及び9は、プッシャ先端306の粗動位置を制御するための代替デバイスを図示する。この手法では、粗動アクチュエータ310は、偏心ドライブリニアアクチュエータを含む。プッシャの動作は、例えば、単一寸法に沿った動きを可能にするためのリニア動作ガイドとして作用する屈曲マウント320によって拘束され得る。屈曲マウント320を、リニア運動を可能にするための他の取り付けシステムで置換できることが理解されるであろう。一実施形態では、偏心ドライブリニアアクチュエータは、軸外シャフトを有する。シャフトは、モータ322によってそのベアリング324内で回転する。モータとしては、例えば、サーボモータ又はDCブラシレスモータなどを挙げられる。モータは、開ループ制御で制御することができ、適切なストールトルクを有するように選択される。偏心ドライブ部材326は、例えば、カム従動子のように、シャフトの回転動作を(例えば微動ストローク部分308の)リニア動作に変換するように軸外関係でシャフトに取り付けられる。機構のバックドライバビリティを防止するために、ドライブ部材に作用する力によるモーメントは、摩擦による最大抵抗モーメント未満とすべきである。この目的のためにギヤボックス又はモータブレーキを設けてもよい。この方法によるバックドライブの防止は、より一般的に、全ての寄生的な(すなわち、外部から加えられた力によるため意図しない)バックドライブ又はフロントドライブを防止する。慣性の実施形態と同様に、ピエゾ微動ストローク部分308は、制御信号を提供するための歪みゲージを含むことによって、先端をパターニングデバイスのエッジに対して正確に位置決めできるようにしてもよい。
【0056】
[0066] 一組のバッフル328は、プッシャの動作によって生成されるあらゆる潜在的粒子を封じ込めるのを助けるために提供されてもよい。一実施形態において、偏心ドライブ部材326はカムを備えてよい。カムは、微動ストローク部分308が移動するキャリッジに磁気的に結合することができる。この手法では、磁石は、キャリッジを押したり引いたりすることと、レール又はガイドに沿って移動するキャリッジの摩擦により生成される潜在的な強磁性粒子を引き寄せたり集めたりすることの両方の働きをする。
【0057】
[0067] 一実施形態では、先端306は、概して堅いが、パターニングデバイスのエッジに応力を与えすぎない材料から作成される。例として、ホウケイ酸ガラスのような材料は、この性質のバランスを提供することができる。特定の例では、SCHOTTガラスから入手可能なN-BK7を使用してもよい。先端の1つの有用な配置は、パターニングデバイスのエッジと係合するための凸状表面を含むため、適切なガラス材料から作成される市販のレンズコンポーネントを利用することが可能である。
【0058】
[0068] 電気アクチュエータを使用する実施形態では、必要とされる電気接続は、例えば、空気圧又は油圧ホースと比較して剛性が低い傾向がある。
【0059】
[0069] 図10は、本明細書で開示するパターン選択方法の具体化及び/又は実装を支援することができるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、バス102又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)と、を含む。コンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ104によって実行される情報及び命令を保存するためにバス102に結合されたメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム100は、リードオンリーメモリ(ROM)108、又はプロセッサ104のための静的情報及び命令を保存するためにバス102に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が設けられると共に、バス102に結合される。
【0060】
[0070] コンピュータシステム100は、バス102を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合されてもよい。英数字及び他のキーを含む入力デバイス114が、情報及びコマンド選択をプロセッサ104に通信するためにバス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を通信するための、及びディスプレイ112上でカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボール又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部116である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1軸(例えばx)及び第2軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
【0061】
[0071] 本発明の一実施形態によれば、シミュレーションプロセスの一部は、メインメモリ106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって行われてもよい。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込まれてもよい。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。ある代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を用いて本発明を実施してもよい。したがって、本明細書の実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0062】
[0072] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス102を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
【0063】
[0073] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス102にのせることができる。バス102は、データをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ106によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ104による実行の前又は後に、ストレージデバイス110に保存されてもよい。
【0064】
[0074] コンピュータシステム100が、バス102に結合された通信インターフェース118も含むことが好ましい。通信インターフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号の送信及び受信を行う。
【0065】
[0075] ネットワークリンク120は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通して、ホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって動作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP126は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」128と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁又は光信号を使用する。コンピュータシステム100に対して、及びコンピュータシステム100からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク120上の、及び通信インターフェース118を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
【0066】
[0076] コンピュータシステム100は、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークリンク120及び通信インターフェース118を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122及び通信インターフェース118を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。本発明によれば、そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、例えば、実施形態のテストパターン選択を提供する。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ104によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス110又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
【0067】
[0077] 以下の条項を用いて、実施形態をさらに説明することができる。
1.リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
パターニングデバイスホルダであって、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む、パターニングデバイスホルダと、
パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向し、アクチュエータは、微動ストローク部分及び先端部分を含み、アクチュエータは、ガイド上に摺動可能に取り付けられる、アクチュエータと、
パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置に選択的に保持するように構成されたロック機構と、を備え、
アクチュエータは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に、先端部分を制御可能に位置決めするように構成され、
アクチュエータは、解放位置から押込み位置までガイドに沿って移動可能である、パターニングデバイス搬送システム。
2.ロック機構は、ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、アクチュエータの側面に力を加えるように構成された少なくとも1つのピエゾブレーキを含む、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
3.微動ストローク部分は、歪みゲージを含み、歪みゲージは、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合することに応答して、信号をコントローラに提供するように動作可能である、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
4.ロック機構は、ガイドの延在方向に実質的に垂直な方向において、アクチュエータの側面に力を加えるように構成されたピエゾブレーキを1つのみ含み、
ブレーキは、浮動キャリパーをさらに含み、浮動キャリパーは、ピエゾブレーキのピエゾ素子が作動されたときにアクチュエータの側面に力を加えるように構成及び配置される、条項1に記載のパターニングデバイス搬送システム。
5.ピエゾブレーキのピエゾ素子は、ピエゾ素子に電圧が印加されないとき、ロックされた構成にある、条項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
6.浮動キャリパーは、アクチュエータの側面に加えられる力の方向に平行な方向に単一線形自由度を提供するマウント上に取り付けられる、条項4に記載のパターニングデバイス搬送システム。
7.マウントは、ベアリング又は屈曲である、条項6に記載のパターニングデバイス搬送システム。
8.リソグラフィ結像装置においてパターニングデバイスを保持及び移動させるために使用するパターニングデバイス搬送システムであって、
パターニングデバイスホルダであって、パターニングデバイスを解放可能に保持及び支持するように構成されたチャックを含む、パターニングデバイスホルダと、
パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成されたアクチュエータであって、保持力は、パターニングデバイスホルダの加速に反応して、パターニングデバイス上の慣性力に対向する、アクチュエータと、を備え、
アクチュエータは、
リニア偏心ドライブを含むロングストロークアクチュエータ部分と、
寄生力がロングストロークアクチュエータ部分を移動することを防止するように構成されたブレーキと、
ロングストロークアクチュエータ部分に接続されたショートストロークアクチュエータ部分と、
先端部分であって、先端部分は、パターニングデバイスのエッジに保持力を加えるように構成され、ロングストロークアクチュエータ部分は、ショートストロークアクチュエータ部分の移動ストロークより長い移動ストロークを有し、ショートストロークアクチュエータ部分は、ロングストロークアクチュエータ部分の精度よりも高い精度を有する、先端部分と、を含み、
ロングストロークアクチュエータ部分は、パターニングデバイスのエッジに向かってかつパターニングデバイスのエッジから離れるように先端部分を制御可能に移動させるように構成され、それによって、先端が、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合する押込み位置に、かつ、先端部分がパターニングデバイスのエッジと係合しない解放位置に制御可能に位置決めされるように構成される、パターニングデバイス搬送システム。
9.ロングストロークアクチュエータ部分は、リニアガイド部材と協働して回転動作をリニア動作に変換するために軸外シャフトを有するモータを含む、条項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
10.アクチュエータは、リニア動作ガイドを介してパターニングデバイスホルダ上に取り付けられる、条項8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
11.リニア動作ガイドは、屈曲マウントを含む、条項9に記載のパターニングデバイス搬送システム。
12.モータは、サーボモータ又はブラシレスDCモータである、条項9に記載のパターニングデバイス搬送システム。
13.微動ストローク部分は、ピエゾアクチュエータを含む、条項18に記載のパターニングデバイス搬送システム。
14.先端部分は、パターニングデバイスのエッジを係合する側面上に丸みを帯びた面を有する、条項1又は8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
15.先端部分は、微動ストローク部分の材料とは異なる材料を含む、条項1又は8に記載のパターニングデバイス搬送システム。
16.先端部分は、ホウケイ酸ガラス材料を含む、条項15に記載のパターニングデバイス搬送システム。
17.パターニングデバイス搬送システムを制御する方法であって、方法は、
アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスホルダによって保持されるパターニングデバイスのエッジと接触しない解放位置から、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジと接触する係合位置に、アクチュエータを制御可能に移動させるためにパターニングデバイスホルダをスキャン方向に加速させることと、
アクチュエータの慣性運動に応答して、パターニングデバイスに対してアクチュエータを適切な位置にロックすることと、
アクチュエータを用いて、パターニングデバイスホルダの加速方向に対向する方向に保持力をパターニングデバイス上に加えることと、
を含む、方法。
18.パターニングデバイス搬送システムを制御する方法であって、
リニア偏心ドライブを用いて、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスホルダによって保持されるパターニングデバイスのエッジと接触しない解放位置から、アクチュエータの先端部分がパターニングデバイスのエッジと接触する係合位置に、アクチュエータを制御可能に移動させるためにパターニングデバイスホルダを粗動位置決めすることと、
ブレーキを用いてリニア偏心ドライブをロックすることと、
アクチュエータを用いて、パターニングデバイスホルダの加速方向に対向する方向に保持力をパターニングデバイス上に加えることと、
を含む、方法。
19.機械実行可能命令が記録された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、命令が実行されると、条項1~16のいずれかに記載のデバイスを制御するか又は条項17~18のいずれかの方法を行う、コンピュータプログラム製品。
【0068】
[0078] 本明細書中で使用されるように、「約」という用語は、例えば、距離、力又は他の量に言及する場合、プラス又はマイナス10%以内を意味すると考えることができる。例えば、何か「並行して起こる」又は「並行して変化する」を説明する用語「並行して」又は「同時に」という用語は、2つ以上のものが、ほぼ同時であるが必ずしも厳密には同時に起こらないことを意味する。例えば、マスクパターンと並行して瞳設計を変化させることは、瞳設計に小さな修正を行い、次にマスクパターンに小さな調整を行い、その後瞳設計に別の修正を行うこと、等々を意味することができる。しかしながら、本開示は、いくつかの並列処理アプリケーションにおいて、並行性は、同時に起こるか又は時間的にいくらか重複する動作を指し得ることを意図する。
【0069】
[0079] 本明細書に開示した概念は、シリコンウェーハなどの基板上での結像のために使用され得るが、開示した概念は、任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えばシリコンウェーハ以外の基板上での結像のために使用されるものと共に使用され得ることが理解されよう。
【0070】
[0080] 上記の説明は、限定的ではなく、例示であるように意図されている。したがって、以下に提示する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように修正が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】