IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社堀場エステックの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】流体流動装置用流量リストリクタ
(51)【国際特許分類】
   F15D 1/02 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
F15D1/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534777
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2022045356
(87)【国際公開番号】W WO2023132184
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】17/647,591
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】プライス アンドリュー ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン エラ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス エステバン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ウィリアム ワイリー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー バージニア アン
(57)【要約】
流路を含む第1シートと、該第1シートに積層された第2シートとを備える流量リストリクタを提供する。前記第2シートには孔が設けられている。前記流路は、前記第1シートの表面に設けられ、前記第1シートの周縁エリアにおいて拡張ゾーンと連通する溝を含む。前記第2シートの周縁端部は拡張ゾーンにおいて第1シートと接触する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を含む第1シートと、
前記第1シートの上に積み重ねられた第2シートとを備え、
前記第2シートには孔が形成されており、
前記流路が、前記第1シートの表面に設けられた溝を含み、当該溝は前記第1シートの周縁エリアにおける拡張ゾーンと連通しており、
前記拡張領域において前記第2シートの周縁端部が第1シートに接触する流量リストリクタ。
【請求項2】
前記流路が前記孔の周囲に分布する複数の流路のうちの1つである、請求項1に記載の流量リストリクタ。
【請求項3】
各流路が、前記孔から、前記第1シートの前記周縁エリアにおける対応する拡張ゾーンまで螺旋状に延びる対応する溝を含む、請求項2に記載の流量リストリクタ。
【請求項4】
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、
前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、
前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に積み重なってリストリクタスタックを形成する請求項1に記載の流量リストリクタ。
【請求項5】
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、
前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とを更に備え、
当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、複数の第1シートの数で割り、前記第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満である、請求項4に記載の流量リストリクタ。
【請求項6】
前記第2シートがその厚み全体を貫通するスリットを含み、
前記第1シートと前記第2シートが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している請求項1に記載の流量リストリクタ。
【請求項7】
前記連続流路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を形成している請求項6に記載の流量リストリクタ。
【請求項8】
前記第2シートが、前記第1シートの表面と比較して粗くした表面を有する、請求項1に記載の流量リストリクタ。
【請求項9】
流路を含む第1シートと、
前記第1シートに積層された第2シートとを備え、
前記第2シートに孔が設けられており、
前記流路が、前記第1シートの厚み内に設けられ、上方から視て、前記第1シートの表面に沿って蛇行した形状をなす蛇行溝である流量リストリクタ。
【請求項10】
前記流路が、前記第1シートの厚み内に設けられた複数の蛇行溝を含む請求項9に記載の流量リストリクタ。
【請求項11】
前記複数の蛇行溝の各々が、径方向に延びる一対の放射状部分と、当該複数の放射状部分の間の流路を規定する複数の円弧状部分とを含む、請求項10に記載の流量リストリクタ。
【請求項12】
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、
前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、
前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に積み重なって、リストリクタスタックを形成している請求項9に記載の流量リストリクタ。
【請求項13】
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、
前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とをさらに備え、
当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、前記複数の第1シートの数で割り、第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満である請求項12に記載の流量リストリクタ。
【請求項14】
前記第2シートがその厚み全体を貫通するスリットを含み、
前記第1シートと前記第2シートが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している請求項9に記載の流量リストリクタ。
【請求項15】
前記連続経路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を形成している、請求項14に記載の流量リストリクタ。
【請求項16】
前記第2シートが前記第1シートの表面と比較して粗くした表面を有する、請求項9に記載の流量リストリクタ。
【請求項17】
流路を構成する第1シートと、
前記第1シートに積み重なった第2シートとを備え、
前記第2シートには孔が設けられており、
前記第2シートが、その厚み全体を貫通するスリットを含み、
前記第1シートと前記第2シートとが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している流量リストリクタ。
【請求項18】
前記連続流路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を成している、請求項17に記載の流量リストリクタ。
【請求項19】
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、
前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、
前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に重ねられてリストリクタスタックを形成している請求項17に記載の流量リストリクタ。
【請求項20】
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、
前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とを更に備え、
当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、前記複数の第1シートの数で割り、第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満である請求項19に記載の流量リストリクタ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流量リストリクタ(flow restrictor,フローリストリクタ、流量制限器)は、流体(すなわち気体又は液体)の流れを制限する装置である。流体の流れを制限する流量リストリクタの性能の確実性は、ガス供給システムを含む様々な用途において重要である。例えば半導体の製造分野では、半導体製造に使用されるガス供給システムのマスフローコントローラ内の流量リストリクタにより1種のガスの所定の流量又は2種のガス間の流量比を達成できることに対して、高い確実性が要求される。さらに、流量計(フローメータ)内のリストリクタは、半導体製造において高い精度が要求されるガス流量の測定時に、流量計が示す流量の精度の高い確実性を達成するのに役立つ。したがって、マスフローコントローラ及び流量計のような流体流動装置の流量リストリクタの性能の不確かさを減少させることは、様々な産業用途における流体の供給の品質を向上させるという観点から望ましい。しかしながら、これまでのところ、リストリクタの設計の進歩の障壁として技術的課題が立ちはだかっている。
【発明の概要】
【0002】
上述の問題に対処するために、流量リストリクタが提供される。本開示の一態様にかかる流量リストリクタは、流路を含む第1シートと、当該第1シートに積み重ねられた第2シートとを備える。当該第2シートには孔が設けられている。前記流路は、前記第1シートの表面に設けられ、前記第1シートの周縁エリア(周縁領域又は周辺領域)において拡張ゾーン(expansion zone、拡張領域)と連通する溝を含む。前記第2シートの周縁端部は、前記拡張ゾーンにおいて前記第1シートと接触する。
【0003】
本開示の別の態様にかかる流量リストリクタは、流路を構成する第1シートと、当該第1シートに積み重ねられた第2シートとを備える。当該第2シートには孔が設けられており、前記流路は、前記第1シートの厚み内の蛇行溝(serpentine groove、蛇状溝)であり、上方から見て前記第1シートの表面に沿って蛇行形状を形成している。
【0004】
本開示のさらに別の態様にかかる流量リストリクタは、流路を構成する第1シートと、当該第1シート上に積み重ねられた第2シートとを備える。前記第2シートには孔が設けられ、前記第2シートはその厚み全体を貫通するスリットを含み、前記第1シート及び前記第2シートは、積み重ねられ、かつ整列されて、前記第2シートのスリット及び前記第1シートの流路(flow passage)を通る連続流路(continuous flow path)を形成している。
【0005】
当該概要は、以下の「詳細な説明」でさらに説明される概念の一部を簡略化して紹介するために提供される。当該概要は、特許請求に記載された主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求に記載された主題の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。さらに、特許請求に記載された主題は、本開示のいずれかの部分で指摘されるいずれか又はすべての欠点を解決する実施態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の一実施形態にかかる流量リストリクタを備えた流体流動装置を示す概略図である。
図2A図2Aは、従来の流量リストリクタの従来のディスクを示す概略平面図である。
図2B図2Bは、図1のガス供給システムの一実施形態にかかる流量リストリクタの概略斜視図である。
図2C図2Cは、図2Bの流量リストリクタの概略平面図である。
図2D図2Dは、図2B-2Cの流量リストリクタの第1シートの概略平面図である。
図2E図2Eは、図2B-2Cの流量リストリクタの第2シートの概略平面図である。
図2F図2Fは、図2B-2Cの流量リストリクタの概略分解図である。
図2G図2Gは、図2B-2Fの流量リストリクタの性能の不確かさを従来の流量リストリクタとを比較した棒グラフである。
図2H図2Hは、図2Gに示す流量リストリクタ性能の不確かさの低減を示すチャートである。
図3A図3Aは、従来の流量リストリクタの概略断面側面図である。
図3B図3Bは、図1のガス供給システムの一実施形態による流量リストリクタの概略断面側面図である。
図4A図4Aは、図1のガス供給システムの一実施形態による流量リストリクタの概略分解図である。
図4B図4Bは、第1シートの数が増えるにつれて流量リストリクタの性能の不確かさが減少することを示すチャートである。
図4C図4Cは、膨大な数の流路形状とプロセスガスに対する平均マッハ数の関数として、流量リストリクタの性能の不確かさを示すチャートである。
図5A図5Aは、従来の流量リストリクタの従来のディスクの概略平面図。
図5B図5Bは、図1のガス供給システムの一実施形態による流量リストリクタの概略分解図。
図5C図5Cは、図5Bの流量リストリクタの第1シートの概略平面図。
図5D図5Dは、図5B-5Cの流量リストリクタの性能の不確かさを、従来のディスクを備えた従来の流量リストリクタと比較したデータプロットを示す。
図6図6は、滑らかな第1シート及び第2シートを有する従来の流量リストリクタのガス比分散と、第2シートが第1シートよりも粗い表面を有する本開示の流量リストリクタのガス比分散とを比較する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本開示の一実施形態にかかる流体流動装置5の概略図であり、ここではマスフローコントローラ10の形態であってよい。マスフローコントローラ10は、流量リストリクタ(フローリストリクタ、流量制限器、又は流量抵抗体)12と、上流圧力センサ14と、下流圧力センサ16と、制御弁18と、温度センサ20とを備えている。他の実施形態では当該構成要素の1つ以上が省略されてもよい。例えば、圧力センサ14、16のいずれかは、いくつかの形態において省略されてもよい。別の形態では、制御弁18は流量リストリクタ12の下流に配置されてもよい。さらに他の形態では、流体流量装置5は質量流量計(マスフローメータ)として構成されてもよく、制御弁18を含まなくてもよい。さらに、マスフローコントローラ10には、図1には描かれていない他の構成要素が存在してよいことに留意されたい。例えば、図1のアセンブリのいずれかの側の流路に隔離バルブ(例えば、遮断バルブ)が設けられ、流体フローデバイス5を隔離するようにしてもよく、パージラインバルブがリストリクタの下流に設けられて、パージガスが流体フローデバイス5を通ってパージラインに流れるようにしてもよい。
【0008】
図1に示すように、流量リストリクタ12は、典型的には、シート21のスタックSを挟んで固定するカラー(collar、環状部品)12A及びバッキングプレート(裏当て板)12Bを含む。図1には7枚のシート21が描かれているが、後述するように、異なる枚数のシートが提供されてもよい。シート21は、第1シート22と第2シート24とを含み、これらはスタックS全体を通して交互になっている。リストリクタを通るエンドツーエンドリストリクタ流路は、流体流れ矢印によって描かれており、上流側のリストリクタ入口12Cから下流側のリストリクタ出口12Dまで延びているが、リストリクタはいずれかの方向の流れ(すなわち、双方向の流れ)に使用することができる。エンドツーエンドリストリクタ流路内で、複数の第1シート22はそれぞれシート内流路26aを画定する。このシート内流路26aは、リストリクタの内部領域から、半径方向外側に向かって第1シート22の周縁端まで流体が流れることを可能にする。スタックS内の第1シート22の流路26aからひとたび流体が流出すると、当該流体は、図示されているように、外部構造によりエンドツーエンド流路に沿ってリストリクタ出口12Dに導かれる。
【0009】
図2Aは、ディスク422の孔434から螺旋状に延びる流路426を含む流量リストリクタにおける、従来のディスク422の概略平面図である。流路426は、ディスク422の周縁エリアでその螺旋形状を維持していることが理解されるであろう。図2Aに描かれているリストリクタの設計の問題が発見されており、すなわち、このリストリクタを通して測定される流量の不確かさが、特定の流れ条件の下では高過ぎるということである。製造公差による流路の端部での幾何学的な不確かさが、この流量の不確かさに寄与するかもしれないと考えられている。
【0010】
図2Bは、流路26aを含む第1シート22と、第1シート22上に重ねられた第2シート24とを含む、図1の例示的な実施形態の流量リストリクタ12の概略的な斜視図を示す。ここでシートという用語は、その横方向寸法(例えば、図2Cにおける横方向寸法及び縦方向寸法)よりも実質的に小さい厚みを有する構造をさすのに用いられる。円形のシート21が示されているが、シート21の外周は多角形などの他の形状であってもよい。均一な厚みの複数のシート21が示されているが、これに代えて複数のシート21は不均一な厚みであってもよい。あるいはシート21はプレートと称されるものであってもよい。図2Cは、流量リストリクタ12の概略平面図である。第1シート22及び第2シート24は、開口部を有する円形ディスクとして製造されてよい。開口部は第1シート22と第2シート24の中央に示されているが、開口部は代替的に他の場所に設けられてもよい。第1シート22及び第2シート24は、ステンレス鋼又は耐酸化腐食性材料からなる超合金を含む金属からなるが、これに限らない。第1シート22上に第2シート24を積層するために、第1シート22と第2シート24とは、例えば拡散接合によって融着されてよい。他の接着技術が代替的に用いられてもよい。あるいは、場合によっては、付加的な製造方法を用いて、本明細書に記載の流路をモノリシックな材料のブロック内に形成することもできる。
【0011】
図2Dは、第1シート22を分離した状態の概略平面図である。第1シート22の中央には円形の孔34が設けられている。あるいは、孔34は、円形以外の形状であってもよく、第1シート22の他の場所に設けられていてもよい。流路26aは、第1シート22の表面に設けられ、第1シート22の周縁エリアにおいて外側拡張ゾーン28と連通する溝を含む。この例では、流路26aは、孔34の周囲に放射状に一様に分布する複数の流路26の1つである。各流路26aは対応する溝を含んでもよく、各溝は、孔34から第1シート22の周縁エリアの対応する外側拡張ゾーン28まで螺旋状に延びてよい。螺旋形状の溝は、リストリクタ内の流路を長くするという技術的な効果を有する。しかしながら、螺旋形状の溝が図示されているが、溝は、例えば非螺旋形状の直線又は曲線等、別の形状を有してもよい。外側拡張ゾーン28は、典型的には流れ方向に垂直な断面積を有しており、これは流路26a内における流れ方向に垂直な断面積よりも大きい。図2Dにおいて、上方から見ると、外側拡張ゾーン28の幅W1は流路26aの幅W2よりも大きい。典型的には、外側拡張ゾーン28の幅W1は、流路26aの幅W2よりも、20%、50%、100%あるいは500%大きくすることができる。
【0012】
図示の実施形態における溝の螺旋形状は、外側拡張ゾーン28の内側境界30で終端する。外側拡張ゾーン28の内側では、外側拡張ゾーン28の内側の流路26の形状は、図示のように直線状としてもよく、曲線状に続けてもよい。溝は、化学エッチング、レーザーマイクロマシニング、又はその両方の組み合わせによって形成されてよい。あるいは、溝は、第1シート22の材料がシートを完全に貫通するようカットされない(すなわち、有底溝を形成するようにカットされる)他の技術によって形成することもできる。
【0013】
第2シート24の外周縁27(図2E参照)は、外側拡張ゾーン28において、拡張ゾーン28の内側境界30と外側境界32との間で、第1シート22に接触することが理解されよう。ここで、外側拡張ゾーン28は、流路26aの一端によって受けられる。第1シート22の厚みは、10μm~100μmとすることができる。流路26aの長さは、第1シート22の厚みの100倍~1000倍とすることができる。流路26aの幅は、第1シート22の厚みの約5倍~100倍とすることができる。
【0014】
第1シート22の外周領域に外側拡張ゾーン28を設けることにより、図2Aの従来のディスク422を含む従来のリストリクタと比べて、流量制限性能の不確かさを低減することができる。
【0015】
図2Dに示されるように、第1シート22の内周領域に内側拡張ゾーン28’を設けてもよい。内側拡張ゾーン28’は、追加的に、又は外側拡張ゾーン28に代えて、第1シート22に設けられてよい。第1シート22の表面に溝を含む流路26aは、第1シート22の内周領域において内側拡張ゾーン28’とつながってもよい。各流路26aの対応する溝は、第1シート22の外周領域の外側拡張ゾーン28から、孔34に隣接する内側拡張ゾーン28’まで、螺旋状に向かう。第2シート24の内周縁27’(図2E参照)は、内側拡張ゾーン28’において、内側拡張ゾーン28’の内側境界30’と外側境界32’との間で第1シート22に接触する。第1シート22の内周領域に内側拡張ゾーン28’を設けることにより、図2Aの従来のディスク422を含む従来のリストリクタと比べて、流量制限性能の不確かさを低減することができる。典型的には、外側拡張ゾーン28と同様に、内側拡張ゾーン28’は、流れ方向に垂直なその断面積が、流路26a内における同断面積よりも大きい。図2Dにおいて上から見ると、内側拡張ゾーン28’の幅W3は、流路26aの幅W2よりも大きい。典型的には、内側拡張ゾーン28’の幅W3は、流路26aの幅W2よりも20%、50%、100%、又は500%大きくてもよい。
【0016】
図2Eは、分離した状態の第2シート24を示す概略平面図である。第2シート24には孔25が設けられており、ここでは孔25は第2シート24の中央にある。この例では、第2シート24には流路が形成されていない。
【0017】
図2Fは、第1シート22と上部の第2シート24aと下部の第2シート24bによって形成された流量リストリクタ12の概略分解図を示す。
【0018】
図2Gは、図2B~2Fの例示的な実施形態の流量リストリクタ12の性能の不確かさを、従来の流量リストリクタと比較するシミュレーションデータに基づく予測的な棒グラフであり、上流圧力(P1)及び下流圧力(P2)のいくつかの組み合わせについて示しており、圧力はkPaで測定されている。図2Gの結果は、実験的不確かさの範囲内で実験データと一致するCFDモデルを使用した数値流体力学(CFD)シミュレーションで得られたものである。図2Gに描かれている不確かさは、最悪のシナリオのリストリクタの形状の変動(restrictor-geometry variation)に対する、六フッ化硫黄と窒素のモル流量比の感度である。図2Gでわかるように、流量リストリクタ12の第1シート22の周縁エリアにおける外側拡張ゾーン28の構成は、従来のディスク422を含む従来の流量リストリクタと比較して不確かさを低減する。この技術的効果は、幾何学的な不確かさ及び流路の端部を緩和(mitigating)することによって達成されると考えられる。
【0019】
図2Hは、図2Gに示す流量リストリクタの性能における不確かさの低減を示すシミュレーションデータに基づく予測図である。図2Hは、3つのケースについて、六フッ化硫黄の流路ごとのモル流量を、窒素のモル流量毎にプロットしたものである。理想的には、リストリクタは、図2Hのベンチマークケースで示されているように、無限の精度で製造することができる。しかし、実際には、考慮されるべき製造公差がある。図2Hにおいて、sccm(標準立方センチメートル毎分)の理想からのずれは、流量リストリクタ12の第1シート22の周縁エリアで外側拡張ゾーン28の構成をもつものでは、従来のディスク422を備えた流量リストリクタと比べて小さいことがわかる。これは、図2Gに示されているように、流量リストリクタ性能の不確かさを低減するという潜在的な利点を達成する。
【0020】
図3Aは、従来の流量リストリクタ512の断面側面図である。流れ入口536から流量リストリクタ512を通って流れ出口538に流れる流体の流れ方向は、矢印で示されている。第1シート522a、522b、522cと、第2シート524a、524b、524c、524dは交互に積層されている。従来の流量リストリクタ512では、流体は、第2シート524a、524bの間及び第1シート522a、522bの流路を通って半径方向外側に流れる。しかし、他の従来の流量リストリクタでは、流体の流れは、第2シート524a、524bの間及び第1シート522a、522bの流路を通って半径方向内側に流れてよい。この例では、流体は第2シート524a-dを通って流れない。
【0021】
図3Bは、本開示の例示的な実施形態における流量リストリクタ112の断面側面図を示す。流体の流れ方向は矢印で示されており、リストリクタ流れ入口12Cから、シート流れ入口136を通って、シート流れ出口138から流れ出し、最終的にリストリクタ流れ出口12Dから流れ出るように導かれるように、流量リストリクタ112を通って流れる。第1シート122a、122b、122c及び第2シート124a、124b、124c、124dは、交互に積層されてリストリクタスタックSを形成する。流量リストリクタ112は、リストリクタスタック112の上流端に接続された上流流路126aを含む。下流流路126cは、リストリクタスタックの下流端に接続されている。
【0022】
この実施例の流量リストリクタ112では、第2シート124b、124cの2つが、それぞれ、厚み全体を貫通するスリット140a、140bを含む。スリット140aは、第1シート122aの流路126aと第1シート122bの流路126bとを流体連通させる。スリット140bは、第1シート122bの流路126bと第1シート122cの流路126cとを流体連通させる。
【0023】
従って、第1シート122a,122b,122c及び第2シート124a,124b,124c,124dは、シート流れ入口136から、流路126a,126b,126c及び流量リストリクタ112のスリット140a,140bを通って、シート流れ出口138に至る連続流路を形成するように積層され整列されており、第2シート124a-cの垂直断面で見て、この連続流路が、第2シート124a-cの厚み方向に沿って延びる蛇行形状をなしている。この例では、流体の流れは、シート流れ入口136から流量リストリクタ112のスタックSを通ってシート流れ出口138に至るように、流路126a、スリット140a、流路126b、スリット140b、及び流路126cをこの順で通る。流量リストリクタ112内の流路の有効長を増加させ、流体流を複数の第1シート122a、122b、122cを通過させることにより、従来の流量リストリクタ512と比較して、流量抵抗性能の不確かさを低減することができる。
【0024】
図4Aは、本開示の例示的な実施形態における流量リストリクタ212のスタックSの概略分解図を示しており、8枚の第1シート222a~h及び9枚の第2シート224a~iが交互に積層されてリストリクタスタックを構成している。図3Bの例示的な実施形態と同様に、第1シート222a~hのそれぞれには流れ通路226a~hが形成され、第2シート224a~iのそれぞれには、第2シート224a~iの厚み全体を貫通するスリット240a~iが形成されている。交互に積層される第1シート及び第2シートの数は、図4Aに描かれた数に特に限定されず、流量リストリクタ212を組み込んだマスフローコントローラの用途に応じて、この数より多くても少なくてもよいことが理解されよう。スタックSのシート数の好ましい範囲は3~99の間であり、より好ましくは5~15の間である。
【0025】
図3B及び図4Aの例示的な実施形態では、リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、複数の第1シートの数で割り、1つの第1シートあたりの流路の数で割ったものは、0.1未満の平均マッハ数とできる。ここで、平均マッハ数は、質量流量を、リストリクタ内の平均密度、流路断面積、気体中の音速及び流路の総数の積で割ったものとして定義される。この定義に基づいて、一定の質量流量に対して、リストリクタ内の平均密度を増加させ、流路断面積を増加させ、及び/又は流路の総数を増加させることによって、マッハ数を0.1未満に減少させることができる。図3B及び図4Aの実施形態では、交互に積層されてリストリクタスタックを構成する第1シート及び第2シートの数を増加させることによって流路の総数を増加させることができ、これにより平均マッハ数を0.1未満にできる。
【0026】
3つの第1シート122a~cを備え、1つの第1シートにつき1つの流路が形成された図3Bの例示的な実施形態では、リストリクタ112を通る連続的に測定される複数の流体流量を3で割り、1で割ると、平均マッハ数を0.1未満とできる。8枚の第1シート222a-hを備え、1つの第1シートにつき12個の流路が形成されている図4Aの例示的な実施形態では、リストリクタ212を通る連続的に測定される複数の流体流量を3で割り、12で割ると、平均マッハ数が0.1未満である。
【0027】
図4Bはシミュレーションデータに基づく予測チャートを示しており、第1シートの数が増加するにつれて流量リストリクタの性能における不確かさが減少することを示しており、これは平均化処理によるものである。図4Bが示すように、流量リストリクタの性能の不確かさは、平均化処理により、第1シートの数が増加するにつれて減少する。図4Bは、CFD及び実験データとよく一致する簡略化された物理ベースのモデルを使用した理論結果を示している。このチャートの場合、測定された不確かさは、六フッ化硫黄と窒素のモル流量比の、第1シートの幅(width)のランダムな変動に対する感度である。図4Bの結果を得るために、多くの代表的な運転条件が使用された。
【0028】
図4Cは、膨大な数の流路形状及びプロセスガスに対する平均マッハ数の関数として、流量リストリクタの性能の不確かさを示す、シミュレーションデータに基づく予測チャートである。その結果は、CFD結果及び実験データとよく一致する単純化された物理ベースのモデルで得られた。不確かさは、図2Gのように定義され、最悪のシナリオにおけるリストリクタの形状の変動に対する六フッ化硫黄と窒素のモル流量比の感度として描かれている。しかし、図2Gとは異なり、図4Cのチャートは、六フッ化硫黄以外の異なるガスを使用した流量比を使用している。図4Cのチャートにおいて‘1e-1’で示されているように、図4Cは、平均マッハ数を約0.1未満に維持することによって不確かさを低減できることを示している。
【0029】
図5Aは、流量リストリクタの従来のディスク622の概略平面図であり、ディスク622は孔634から放射状に延びる流路626を含んでいる。流路626の形状は長方形であることに留意されたい。
【0030】
図5Bは、本開示の例示的な実施形態の流量リストリクタ312を示す概略分解図である。図5Bに示されるように、流量リストリクタ312は、流路326を含む第1シート322と、第1シート322の上に積み重ねられた第2シート324とを備える。第2シート324には孔325が設けられており、ここでは孔325は第2シート324の中央に設けられている。流路326は、第1シート322の厚み内(in a thickness)に設けられた蛇行溝であり、この蛇行溝は上方から見て第1シート322の表面に沿って蛇行した形状を形成する。
【0031】
図5Cは、分離した状態の第1シート322の概略平面図である。第1シート322には孔334が設けられており、ここでは孔334は第1シート322の中央に設けられている。流路326は、第1シート322の表面又は厚みを通る(貫通する)複数の蛇行溝を含む。流路326が含む複数の蛇行溝の各々は、径方向に延びる一対の放射状部分326a,326bと、当該複数の放射状部分326a,326bの間の流路を規定する複数の円弧状部分326c~kとを含む。流量リストリクタ312の内部の流路の有効長さを増加させることにより、従来のディスク622を備えた従来の流量リストリクタと比べて、流量リストリクタ312の性能の不確かさを低減することができる。
【0032】
図5Dは、上流圧力(P1)及び下流圧力(P2)のいくつかの組み合わせについて、図5B~Cの例示的な実施形態の流量リストリクタ312の性能の不確かさを、従来のディスク622を備えた従来の流量リストリクタと比較するシミュレーションデータに基づく予測データプロットであり、圧力はkPaで測定される。図5Dの実験結果は、実験の不確かさの範囲内で実験データと一致するCFDモデルを使用したCFDシミュレーションで得られた。図5Dに描かれている不確かさは、最悪のケースのシナリオのリストリクタジオメトリの変動に対する六フッ化硫黄と窒素のモル流量比の感度である。図5Dに見られるように、第1シート322の表面における複数の蛇行溝を含む流路326の構成は、従来のディスク622を含む先行技術の流量リストリクタと比較して不確かさを低減する。本発明者らは、CFDシミュレーションにより、蛇行溝の角部における圧力損失は最小であり、不確かさにほとんど寄与しないことを実証した。
【0033】
図6は、シミュレーションデータに基づく予測的な棒グラフであり、滑らかな第1シート及び第2シートを有する従来の流量リストリクタのガス比分散と、第2シートが第1シートよりも粗い表面を有する例示的な実施形態の流量リストリクタのガス比分散とを比較している。図6の例示的な実施形態では、粗さパラメータ(Ra)と流路厚みの比率は1~5%であった。換言すれば、上述の例示的な実施形態について、第2シートは、第1シートの表面に対して粗面化された表面を有し得る。換言すれば、第2シートの粗さパラメータは、第1シートの粗さパラメータよりも大きくてもよい。粗さパラメータは、プロファイル粗さパラメータ又は面積粗さパラメータであってよい。
【0034】
図6のガス比の分散は、ある条件下におけるヘリウムと窒素の流量比の最大変動として定義される。この分散が大きいほど、流量リストリクタの性能の不確かさが大きくなる。図6の結果は、実験の不確かさの範囲内で実験データと一致するCFDモデルを使用したCFDシミュレーションによって得られた。
【0035】
原理的には、第2シートの壁を粗くすることは、粗さを特徴づけるパラメータが不確かさに加わるため、流量リストリクタの性能の不確かさを増加させると従来考えられていた。その結果、滑らか(平滑)な壁を持つ第2シートを使用することが、流量リストリクタの設計における標準となっていて。例えば、粗さパラメータ(Ra)と流路の厚みの比は通常は約1%未満である。
【0036】
しかし、図6の予期せぬ結果は、第2シートの粗面化によって、単に粗さパラメータを変更した場合の効果に比例しない不確かさの低減がもたらされることを示している。したがって、図6の予期せぬ結果は、壁を粗面化することで、少なくとも上記で考慮した運転パラメータについて、流量リストリクタの不確かさを大幅に低減できることを示している。第1シート及び第2シートの表面の粗面化は、異なる様々な方法で達成することができる。1つは、第2シートを作るために使用される金属シートを機械的摩耗させることである。もう一つは、第1シートと第2シートの拡散接合中に温度と圧力を循環させて壁を粗くする方法である。
【0037】
本明細書に記載される構成及び/又はアプローチは、本質的に例示的なものであり、多数の変形が可能であるため、これらの特定の実施形態又は例は、限定的な意味で考慮されるべきものではないことが理解されるであろう。
【0038】
例えば、図2B~Fの例示的な実施形態の特徴は、図4Aの例示的な実施形態の特徴と組み合わせて、平均マッハ数が0.1未満の複数の第1シート及び第2シートを有するリストリクタスタックに拡張ゾーンを組み込んでもよい。図2B~Fの例示的な実施形態の特徴は、図3Bの例示的な実施形態の特徴と組み合わせて、第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行流路を有する流量リストリクタに拡張ゾーンを組み込んでもよい。
【0039】
あるいは、図5B~Cの例示的な実施形態の特徴を図4Aの例示的な実施形態の特徴と組み合わせて、平均マッハ数が0.1未満の複数の第1シート及び第2シートを有するリストリクタスタックの第1シート上に蛇行溝を組み込んでもよい。図5B~Cの例示的な実施形態の特徴は、図3Bの例示的な実施形態の特徴と組み合わせて、第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行流路を有する流量リストリクタの第1シート上に蛇行溝を組み込んでもよい。さらに、図3Bの例示的な実施形態の特徴を図4Aの例示的な実施形態の特徴と組み合わせて、第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行流路を、平均マッハ数が0.1未満の複数の第1シート及び第2シートを有するリストリクタスタックに組み込んでもよい。
【0040】
さらに、本明細書の開示は、以下の態様1~20を含み得る。
【0041】
(態様1)
流路を含む第1シートと、前記第1シートの上に積み重ねられた第2シートとを備え、前記第2シートの中央には孔が形成されており、前記流路が、前記第1シートの表面に切り込まれた溝を含み、当該溝は前記第1シートの周縁エリアにおける拡張ゾーンと連通しており、前記拡張領域におけるその内側境界と外側境界との間で、前記第2シートの周縁端部が第1シートに接触する流量リストリクタ。
【0042】
(態様2)
前記流路が前記孔の周囲に放射状に均一に分布する複数の流路のうちの1つである、態様1に記載の流量リストリクタ。
【0043】
(態様3)
各流路が、前記孔から、前記第1シートの前記周縁エリアにおける対応する拡張ゾーンまで螺旋状に延びる対応する溝を含む、態様2に記載の流量リストリクタ。
【0044】
(態様4)
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に積み重なってリストリクタスタックを形成する態様1に記載の流量リストリクタ。
【0045】
(態様5)
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とを更に備え、当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、複数の第1シートの数で割り、前記第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満となる、態様4に記載の流量リストリクタ。
【0046】
(態様6)
前記第2シートがその厚み全体を貫通するスリットを含み、前記第1シートと前記第2シートが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している態様1に記載の流量リストリクタ。
【0047】
(態様7)
前記連続流路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を形成している態様6に記載の流量リストリクタ。
【0048】
(態様8)
前記第2シートが、前記第1シートの表面と比較して粗くした表面を有する、態様1に記載の流量リストリクタ。
【0049】
(態様9)
流路を含む第1シートと、前記第1シートに積層された第2シートとを備え、前記第2シートの中央に孔が設けられており、前記流路が、前記第1シートの厚みを貫通し(cut through a thickness)、上方から視て、前記第1シートの表面に沿って蛇行した形状をなす蛇行溝である流量リストリクタ。
【0050】
(態様10)
前記流路が、前記第1シートの厚みを貫通する複数の蛇行溝を含む態様9に記載の流量リストリクタ。
【0051】
(態様11)
前記複数の蛇行溝の各々が、径方向に延びる一対の放射状部分と、当該複数の放射状部分の間の流路を規定する複数の円弧状部分とを含む、態様10に記載の流量リストリクタ。
【0052】
(態様12)
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に積み重なって、リストリクタスタックを形成している態様9に記載の流量リストリクタ。
【0053】
(態様13)
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とをさらに備え、当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、前記複数の第1シートの数で割り、第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満である態様12に記載の流量リストリクタ。
【0054】
(態様14)
前記第2シートがその厚み全体を貫通するスリットを含み、前記第1シートと前記第2シートが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している態様9に記載の流量リストリクタ。
【0055】
(態様15)
前記連続経路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を形成している、態様14に記載の流量リストリクタ。
【0056】
(態様16)
前記第2シートが前記第1シートの表面と比較して粗くした表面を有する、態様9に記載の流量リストリクタ。
【0057】
(態様17)
流路を構成する第1シートと、前記第1シートに積み重なった第2シートとを備え、前記第2シートの中央には孔が設けられており、前記第2シートが、その厚み全体を貫通するスリットを含み、前記第1シートと前記第2シートとが積み重ねて整列され、前記第2シートのスリットと前記第1シートの流路を通る連続流路を形成している流量リストリクタ。
【0058】
(態様18)
前記連続流路が、前記第2シートの垂直断面を視て、前記第2シートの厚み方向に沿って延びる蛇行形状を成している、態様17に記載の流量リストリクタ。
【0059】
(態様19)
前記第1シートが複数の第1シートのうちの1つであり、前記第2シートが複数の第2シートのうちの1つであり、前記複数の第1シートと前記複数の第2シートが交互に重ねられてリストリクタスタックを形成している態様17に記載の流量リストリクタ。
【0060】
(態様20)
前記リストリクタスタックの上流端に接続された上流流路と、前記リストリクタスタックの下流端に接続された下流流路とを更に備え、当該流量リストリクタを通る連続的に測定された複数の流体流量を、前記複数の第1シートの数で割り、第1シートあたりの流路の数で割った平均マッハ数が0.1未満である態様19に記載の流量リストリクタ。
【0061】
本開示によれば、マスフローコントローラの流量リストリクタの性能の不確かさが減少するので、様々な産業用途において流体送達の品質を向上させることができる。
【0062】
主題開示は、本明細書に開示された様々な特徴及び技術の新規かつ非自明な組み合わせ及び下位組み合わせをすべて含む。本明細書に開示された様々な特徴及び技術は、主題開示の全ての実施例に必ずしも要求されるものではない。さらに、本明細書に開示された様々な特徴及び技術は、開示された実施例とは別に特許可能な主題を定義することができ、本明細書に明示的に開示されていない他の実施態様において有用性を見出すことができる。
【0063】
本明細書で使われる「及び/又は」とは、論理的な選言操作を意味し、したがって、A及び/又はBは以下の真理値表を持つことが理解されよう。
【0064】
“含む(includes)”、“含む(including)”、“備える(has)”、“含む(contains)”等の用語が本明細書で使用されているが、これらの用語は、追加要素やその他の要素を排除することなく、開放的な移行語としての“含む(comprises)”と同様に、包括的であることが意図されている。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
【国際調査報告】