(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用の電子エンコーダモジュール及び薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20250116BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
A61M5/315 550R
A61M5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541167
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2023050258
(87)【国際公開番号】W WO2023131692
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・フェルバー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン・エーベルリ
(72)【発明者】
【氏名】アードリアン・ガイガー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066QQ82
4C066QQ84
(57)【要約】
本発明は、薬物送達デバイス(1)の電子モジュール(2)を充電すること及びそれぞれの充電システムに言及する。電子エンコーダモジュール(2)は、少なくとも1つのセンサユニットと、少なくとも1つのセンサユニットの動作を制御し、且つ少なくとも1つのセンサユニットからの信号を処理及び/又は格納するように構成されたプロセッサを備えるPCBA(6)と、PCBA(6)に接続された充電式電池(5)と、少なくとも1つのセンサユニット、PCBA(6)及び電池(5)を少なくとも部分的に収容するキャップ形状の外殻(4)と含み得る。外殻(4)は、側面(11)及び近位側に配置された上面(10)を含み、電池(5)及び/又はPCBA(6)に接続された少なくとも2つの電気接点(8、9)は、側面(11)及び/又は近位側に配置された上面(10)に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)と共に使用するための電子エンコーダモジュールであって、前記電子エンコーダモジュール(2)は、
少なくとも1つのセンサユニットと、
前記少なくとも1つのセンサユニットの動作を制御し、前記少なくとも1つのセンサユニットからの信号を処理及び/又は格納するように構成されたプロセッサを有するPCBA(6)と、
前記PCBA(6)に接続された充電式電池(5)と、
前記少なくとも1つのセンサユニット、前記PCBA(6)及び前記電池(5)を少なくとも部分的に収容するキャップ形状の外殻(4)を含み、前記外殻(4)は、側面(11)及び近位側に配置された上面(10)を含み、前記電池(5)及び/又は前記PCBA(6)に接続された少なくとも2つの電気接点(8、9)が、前記側面(11)及び/又は前記近位側に配置された上面(10)に提供されることを特徴とする、電子エンコーダモジュール。
【請求項2】
前記電気接点(8、9)が、導電性材料から作られ、且つ前記外殻(4)の非導電性材料によって囲まれる、少なくとも1つのリング、少なくとも1つのリングセグメント、及び/又は少なくとも1つの接触エリアを含む、請求項1に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項3】
前記電気接点(8、9)が両方とも前記外殻(4)の前記側面(11)上に配置されている、請求項2に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項4】
前記電気接点(8、9)が両方とも前記外殻(4)の前記上面(10)上に配置される、請求項2に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項5】
前記電気接点(8、9)が、接着、圧入、及び/又はオーバーモールディングにより、前記外殻(4)に取り付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項6】
一定の等電圧、例えば3.3Vを提供するように構成されたブースト供給ユニット(13)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項7】
前記充電式電池(5)が、充電容量が6mAh~25mAh及び/又は高さが1.5mm~4.5mmのコイン型電池である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項8】
他のデバイスと無線通信するための通信ユニットをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサユニットが、少なくとも2つの光源、例えばIR-LEDと、少なくとも2つの光学センサ、例えば光検出器を含み、前記センサユニットは、前記モジュール(2)が前記薬物送達デバイスに取り付けられている場合に、前記薬物送達デバイスのエンコーダの移動を検出するように構成され、前記移動は、ダイヤル調節され、及び/又は前記薬物送達デバイス(1)から送達される用量を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項10】
前記モジュール(2)を薬物送達デバイス(1)に、例えば薬物送達デバイスのダイヤルグリップ又はボタンに永久的又は解放可能に取り付けるための保持機能をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュール。
【請求項11】
薬物送達デバイスであって、少なくともハウジングと、前記薬物送達デバイスによって送達される用量を選択するための用量ダイヤル調節動作と、設定された用量を送達するための用量送達動作とを実行するように構成された用量設定及び駆動機構とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子エンコーダモジュールを含む薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記電子エンコーダモジュール(2)が、前記薬物送達デバイス(1)に取り外し可能に結合される、請求項11に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
歯のリングを備えるエンコーダをさらに含み、前記電子エンコーダモジュール(2)は、前記少なくとも1つのセンサユニットに対する前記エンコーダの移動が前記少なくとも1つのセンサユニットによって検出可能であるように前記薬物送達デバイス(1)に結合される、請求項11又は12に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記エンコーダが、互いに30°間隔を置いた12個の光を反射する歯を含み、前記少なくとも1つのセンサユニットは、前記エンコーダの回転位置に応じて、光源の一方によって放出された光が、歯の1つによって反射され、それぞれの光学センサによって検出される一方で、他方の光源によって放出された光が、歯の1つによって反射されないように配置される、請求項9~13のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
薬剤を含有するカートリッジをさらに含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子エンコーダモジュールに、及びそのようなモジュールを有する薬物送達デバイスに向けられる。さらに、薬物送達デバイスの電子モジュールを充電する方法及び薬物送達デバイスの電子モジュールを充電するための充電システムが開示される。
【背景技術】
【0002】
ペン型薬物送達デバイスは、正式な医学訓練を受けていない人による定期的な注射が発生する用途を有する。これは、糖尿病を罹患している患者にとって益々一般的になっており、糖尿病では、自己医療によりそのような患者が自分の疾病の効果的な管理が可能になっている。実際には、このような薬物送達デバイスにより、ユーザは、薬剤の多数のユーザ可変用量を個別に選択して投与することが可能になる。しかしながら、正しい用量を設定することは、例えば視覚障害を持つ患者及び/又は手指が不自由な患者にとって困難又は負担となる場合がある。
【0003】
基本的に、以下の2種類の薬物送達デバイスがある:再設定可能デバイス(すなわち、再使用可能)、及び非再設定可能(すなわち、使い捨て型)。例えば、使い捨て型ペン送達デバイスは、自己完結型デバイスとして供給される。そのような自己完結型デバイスは、取り外し可能な事前充填カートリッジを有していない。むしろ、事前充填カートリッジは、デバイス自体を破壊せずには、これらデバイスから取り外し交換することができない場合がある。したがって、そのような使い捨てデバイスは、再設定可能な用量設定機構を備える必要がない。本発明は、使い捨て型及び再使用可能なデバイスに適用可能である。
【0004】
このようなデバイスの場合、ダイヤル調節されてペンから送達される用量を記録する機能は、記憶補助として、又は用量履歴の詳細な記録をサポートするために、多種多様なデバイスのユーザにとって価値があるかもしれない。したがって、電子機器を使用した薬物送達デバイスは、製薬業界だけでなく、ユーザ又は患者にもますます普及している。例えば、薬物送達デバイスと、薬物送達デバイスに取り外し可能に機械的に連結された電子モジュールとを含む、用量記録システムが、国際公開第2021/116387 A1号パンフレットから知られている。この公知のデバイスの電子モジュールは、充電可能な電池(アキュムレータ)を備えている。さらに、国際公開第2021/233799 A1号パンフレットには、注射デバイス用のダイヤルグリップが開示されており、このダイヤルグリップは、電源を備えた内部電子機器を含む。電気接点は、ハンドリング部及びグリップ上部に設けられている。国際公開第2019/101962 A1号パンフレット及び国際公開第2018/0134419 A1号パンフレットは、薬物送達デバイス用のエンコーダモジュールを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、ペン型薬物送達デバイスにおいて使用される、又はペン型薬物送達デバイスと共に使用される電子モジュールの充電のし易さをさらに向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、例えば、独立請求項に定義される主題によって解決される。有利な実施形態及び改良が、従属請求項の対象である。しかしながら、本開示は、添付の特許請求の範囲で定められる要旨に制限されないことに留意すべきである。むしろ、本開示は、以下の説明から明らかとなるように、独立請求項に加えて又は独立請求項の代わりに、改善を含むことができる。
【0007】
本開示の一態様は、薬物送達デバイスと共に使用するための電子エンコーダモジュールに関し、電子エンコーダモジュールは、少なくとも1つのセンサユニットと、少なくとも1つのセンサユニットの動作を制御し、少なくとも1つのセンサユニットからの信号を処理及び/又は記憶するように構成されたプロセッサを有するPCBAと、PCBAに接続された充電式電池(アキュムレータ)と、少なくとも1つのセンサユニット、PCBA及び電池を少なくとも部分的に収容するキャップ状の外殻とを備える。センサユニットはPCBAの一部であり得、又はPCBAに接続、例えばはんだ付けされ得る。外殻は、側面、例えば実質的に円筒状の側面と、近接して配置された上面、例えば平坦又はドーム状の上面とを含み得る。電池の充電は、電池及び/又はPCBAに接続された少なくとも2つの電気接点によって行うことができ、この接点は、側面及び/又は近接して配置された上面に設けられている。電気接点は、好ましくは、例えば充電ステーション、ケーブルコネクタ又は収納容器内の充電システムの、例えばばね付き又は弾性接点と当接するように構成される。このような外部の、例えば目に見える接点は、電子モジュールの電池を充電するための、単純、確実、小型、及び防水の可能性を提供するという利点を有する。
【0008】
電気接点は、導電性材料、例えば金属から作られる。電気接点は、導電性材料から作られ、外殻の非導電性材料によって取り囲まれた少なくとも1つのリング、少なくとも1つのリングセグメント及び/又は少なくとも1つの接点エリアを含み得る。例えば、セグメント化されたリング又は2つのリングによって形成される場合、接点は電子エンコーダモジュールの長手方向軸に対して軸対称に配置され得る。一例において、電気接点は両方とも外殻の側面に配置される。別の例において、電気接点は両方とも外殻の上面に配置される。
【0009】
ばね接点又は充電ケーブルを含む供給接点は、磁石によってモジュールに取り付けることができる。さらに、接点は、例えばインピーダンス測定による指の検出によって、モジュールを作動させるための感知要素として使用することができる。加えて、又は代替案として、接点は、指がボタンから再び離されたときを検出するための感知要素として、例えば、注入後の保持時間を監視するため、又は起動に関連する妥当性チェックを行うために使用することができる。
【0010】
電気接点は、接着、圧入、及び/又はオーバーモールドによって外殻に取り付けることができる。さらに、電子エンコーダモジュールは、覆われた状態と覆われていない状態とを含んでいてもよく、前記覆われた状態では、キャップが前記電子エンコーダモジュールに取り付けられ、前記キャップは、充電のために設けられた前記電子エンコーダモジュールの少なくとも電気接点を覆う。
【0011】
前記電子エンコーダモジュールは、薬物送達デバイスにおいて又は薬物送達デバイスと共に使用される数日間、例えば少なくとも1週間分のエネルギーを供給することができる電池を有し得る。充電式電池は、コイン型電池、例えばNiMH電池であり得、その充電容量は、例えば5mAh超及び/又は50mAhまで、例えば6mAh~25mAhの間である。これは、約6週間の電池寿命に適している。電池は、モジュールがかさばるのを避けるために、1.5mm~4.5mmの間の高さを有し得る。さらに、モジュールは、一定の等電圧、例えば3.3Vを供給するように構成されたブースト(電源)供給ユニット、すなわちブーストコンバータユニットを含み得る。ブースト(電源)供給ユニットは、例えば1.2Vのみを供給する電池を使用して、回路に電力を供給するDC電圧よりも大きな出力電圧を持つDC源として使用できる少なくとも1つのコンデンサを含み得る。
【0012】
電子エンコーダモジュールにおいて、少なくとも1つのセンサユニットは、少なくとも1つ、例えば2つの光源、例えばIR-LEDと、少なくとも2つの光学センサ、例えば光検出器を含み得る。センサユニットは、モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられている場合、薬物送達デバイスの、例えば回転可能なエンコーダ要素の動きを検出するように構成されてもよく、その動きは、ダイヤル調節され及び/又は薬物送達デバイスから送達される用量を示す。
【0013】
より詳細には、第1の光源及び第1の光学センサは、互いに隣接して、第1のライトパイプのセンサ側端部に向かって配置されてよく、第2の光源及び第2の光学センサは、互いに隣接して、第2のライトパイプのセンサ側端部に向かって配置されてよい。さらに、ライトパイプはそれぞれ、反対側のエンコーダ側端部を有することができ、このエンコーダ側端部は、例えば薬物送達デバイスのエンコーダディスク又はエンコーダリングの光反射性材料によって閉塞された場合、それぞれの第1又は第2の光源から放出された光ビームがエンコーダ要素によって反射された後、それぞれの第1又は第2の光学センサによって検出される結果をもたらす。
【0014】
電子モジュールは、液体薬剤の可変用量を設定及び投与するための薬物送達デバイスに恒久的又は解放可能に取り付けられ得るか、又は一体化され得る。例えば、薬物送達デバイスは、液体薬物を含有するカートリッジと、用量設定及び駆動機構とを備え、用量設定及び駆動機構は、薬物送達デバイスによって送達されるべき用量を選択するための用量ダイヤル調節動作と、設定された用量を送達するための用量送達動作とを実行するように構成される。電子モジュールは、用量設定及び駆動機構の動作を検出するように構成された少なくとも1つのセンサユニットと、少なくとも1つのセンサの動作を制御し、少なくとも1つのセンサからの信号を処理及び/又は記憶するように構成されたプロセッサとを含み得る。例えば、少なくとも1つのセンサユニットは、用量設定及び駆動機構の用量送達動作を検出するための光学センサを含み得る。
【0015】
電子モジュールは、他のデバイスと無線通信するための通信ユニット、例えば、充電器ステーション及び/又は携帯電話と無線通信するための通信ユニットをさらに含み得る。通信ユニットは、Wi-Fiやブルートゥースなどの無線ネットワークを介して別のデバイスと通信するための無線通信インターフェース、或いは、ユニバーサルシリアルバス(USB)、USB-C、ミニUSB、又はマイクロUSBコネクタを受けるためのソケットなどの有線通信リンク用のインターフェースを含み得る。好ましくは、電子モジュールは、通信ユニットとして、RF、WiFi及び/又はブルートゥースユニットを含む。通信ユニットは、電子モジュールと、外部、例えば他の電子デバイス、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、ラップトップ等との間の通信インターフェースとして設けられてもよい。例えば、用量データは、通信ユニットにより外部デバイスに送信されてもよい。用量データは、外部デバイスにおいて確立された用量ログ又は用量履歴のために使用されてもよい。加えて又は代替案として、通信ユニットは、外部デバイスからデータ、例えば、ユーザの健康状態に関するデータ及び/又は薬物送達デバイスによって送達される薬物の量に関する用量データを受信し得る。
【0016】
本開示の独立した態様によれば、薬物送達デバイス用の電子エンコーダモジュールを充電するための充電ステーションが提供される。この充電ステーションは、ソケットと、電池ユニットと、電気接点とを備えることができ、前記ソケットは、前記薬物送達デバイスと共に又は前記薬物送達デバイスなしで、前記電子エンコーダモジュールを受け入れるように構成される。前記充電ステーションの電気接点は、前記ソケットの内部に配置され、前記電子エンコーダモジュールが充電される場合、電子エンコーダモジュールの電気接点と電気的に接続することを可能にする。電池ユニットは、充電に必要な電力を供給するように構成されている。例えば、電子エンコーダモジュールが電子エンコーダモジュールの電池を充電するために充電ステーションに電気的に接続される場合、前記充電ステーションと前記電子エンコーダモジュールは、前記電子エンコーダモジュールのそれぞれの凹部と係合する前記ソケットの内側に設けられたリブなどの手段を含み、充電が保証される所定の向きの接続のみを可能にする。
【0017】
電池式ドッキングステーション又は充電ペンは、電池、例えば充電式電池(アキュムレータ)又は非充電式寿命型電池と、電子エンコーダモジュールの充電中に電子エンコーダモジュールの電気接点に接触するためのばね接点とを含み得る。このような電池式ドッキングステーション又は充電ペンは、ステーション及び/又はモジュールの状態を表示するための手段、例えば充電状態を表示するための少なくとも1つのLEDをさらに含み得る。このようなステーションは、ケーブルやインターフェースを必要とせず、比較的安価であるという利点がある。
【0018】
本開示のさらなる独立した側面によれば、充電ステーションを用いて電子エンコーダモジュールを充電する方法が提供される。この方法は、以下のステップを含み得る。充電ステーションを電源に接続して、前記充電ステーションの電池ユニットを充電するステップ;電子エンコーダモジュールを含む薬物送達デバイスを充電ステーションに挿入するか、又は薬物送達デバイスから電子エンコーダモジュールを取り外して、前記電子エンコーダモジュールを充電ステーションに挿入することにより、前記電子エンコーダモジュールの電気接点を充電ステーションの電気接点に電気的に接続するステップ;薬物送達デバイス又は電子エンコーダユニットを充電ステーションから取り外すステップ。充電ステーションが充電を必要としない寿命型電池を備えている場合、充電ステーションの電池ユニットを充電する第1のステップは省略することができる。
【0019】
本開示のさらなる態様によれば、電子モジュールを含み得るか、又は電子モジュールに結合され得る薬物送達デバイスが提供され、電子モジュールは、その充電式電池が電気接点によって充電され得るように構成される。
【0020】
薬物送達デバイスは、空のカートリッジの交換を可能にする再使用可能なデバイスであり得る。例えば、カートリッジは、解放可能に取り付けられたカートリッジホルダに受容され得る。
【0021】
一実施形態において、薬物送達デバイスは、少なくとも用量設定動作において、ハウジングに対して、例えば螺旋経路に沿って回転可能なダイヤルスリーブ、例えばナンバースリーブを含む。さらに、手動で操作可能な注入トリガ、例えば用量及び/又は注入ボタン、又はそれに軸方向及び/又は回転方向にロックされた部材は、少なくとも用量送達動作において、ダイヤルスリーブに対して軸方向に変位可能であり、ハウジングに対して回転方向に拘束され得る。
【0022】
一例において、薬物送達デバイスは、電子エンコーダモジュールと、ハウジングと、薬物送達デバイスによって送達される用量を選択するための用量ダイヤル調節動作と、設定された用量を送達するための用量送達動作とを実行するように構成された用量設定及び駆動機構とを備え得る。電子エンコーダモジュールは、前記薬物送達デバイスに着脱可能に結合され得る。用量ダイヤル調節動作及び/又は用量送達動作の検出は、歯のリングを有するエンコーダディスク又はエンコーダリングをさらに含む薬物送達デバイスによって達成されてもよく、電子エンコーダモジュールは、少なくとも1つのセンサユニットに対するエンコーダディスク又はエンコーダリングの動きが少なくとも1つのセンサユニットによって検出可能であるように、薬物送達デバイスに結合される。より詳細には、エンコーダディスク又はエンコーダリングは、例えば12個の、互いに30°間隔を置いた光を反射する歯を含むことができ、少なくとも1つのセンサユニットは、エンコーダの回転位置に応じて、光源の一方によって放出された光が歯の1つによって反射され、それぞれの光学センサによって検出される一方で、光源の他方によって放出された光が歯の1つによって反射されず、その結果、それぞれの光学センサによって検出されないように配置される。一例において、エンコーダと光学センサユニットは逆位相の配置になっており、すなわち、両方の光源が同時に発光した場合、一方の光学センサのみが光を受光し、他方の光学センサは発光した光を受光しない。エンコーダとセンサユニットが互いに相対的に移動すると、以前は光を受光していた光学センサは、今度は放出された光を受光せず、他方の光学センサは光を受光する。これは、エンコーダディスク又はエンコーダリングが選択的に光を反射することで実現することができる。代替案として、エンコーダディスク又はエンコーダリングは選択的に光を遮断し得る。他の例では、エンコーダディスク又はエンコーダリングと光学センサユニットは、逆位相の配置になっていないか、又は90°の位相差で配置されており、その結果、両方の光源が同時に光を放出した場合、エンコーダの相対位置に応じて、いずれの光学センサも光を検出しないか、又は1つの光学センサのみ、又は全ての光学センサが光を検出する。
【0023】
電子システムは、注射デバイス用の再使用可能なクリップオンモジュールとして構成することもできるし、又は薬物送達デバイスに恒久的に取り付けることもできる。この目的のために、電子エンコーダモジュールは、モジュールを薬物送達デバイスに、例えば薬物送達デバイスのダイヤルグリップ又はボタンに恒久的又は解放可能に取り付けるための保持機能をさらに含み得る。代替として、電子システムは、注射デバイスに組み込まれた(内蔵された)ユニット又はモジュールであり得る。電子システム及び(電子)モジュールという用語は、以下では両方の代替形態のために同義的に使用される。用量を記録する機能は、記憶補助として又は用量履歴の詳細な記録をサポートするため、多種多様なデバイスユーザにとって価値のあるものであり得る。電子システム、例えば電子モジュールは、用量履歴をシステムから定期的にダウンロードすることを可能にするため、携帯電話などに接続可能となるように構成され得ると想定される。
【0024】
本開示はさらに、電子モジュール、例えば国際公開第2021/116387 A1号パンフレットに開示されているような用量記録モジュールを備えた薬物送達デバイスであって、上に記載したような充電システムと共に使用するための薬物送達デバイスに関し、この薬物送達デバイスは薬剤を含有するカートリッジを含む。
【0025】
本明細書では、用語「薬物」又は「薬剤」は同義的に使用され、1つ又は複数の医薬品有効成分又は薬学的に許容可能な塩又はその溶媒和物及び任意選択的に薬学的に許容可能な担体を含有する医薬製剤を表す。医薬品有効成分(「API」)は、最も広義には、ヒト又は動物に対して生物学的効果を有する化学構造である。薬理学において、薬物又は薬剤は、疾病の治療、治癒、予防、若しくは診断に使用されるか、又はそうでなければ身体的若しくは精神的快適さを高めるために使用される。薬物又は薬剤は、限られた期間にわたって、又は慢性疾患に対しては定期的に使用され得る。
【0026】
以下で説明するように、薬物又は薬剤は、1つ又は複数の疾病の治療のために、少なくとも1種のAPI、又はこれらの組み合わせを、様々なタイプの製剤で含むことができる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子;ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、及び酵素);炭水化物及び多糖類;並びに、核酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッドDNA及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、並びにオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、又はリポソーム等の分子送達システムに組み込まれ得る。1つ以上の薬物の混合物も企図される。
【0027】
薬物又は薬剤は、薬物送達デバイスと共に使用するように適合された一次パッケージ又は「薬物容器」内に収容され得る。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、又は1つ以上の薬物の保存(例えば、短期又は長期の保存)に好適なチャンバを提供するように構成された他の頑丈な若しくは可撓性の器であってもよい。例えば、いくつかの実施態様では、チャンバは、少なくとも1日(例えば、1日~少なくとも30日)薬物を貯蔵するように設計され得る。場合によっては、チャンバは、薬物を約1ヶ月から約2年間、貯蔵するように設計され得る。貯蔵は、室温(例えば、約20℃)又は冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行われ得る。いくつかの例では、薬物容器は、投与される医薬製剤の2種以上の成分(例えば、API及び希釈剤、又は2種の異なる薬物)を各チャンバ内に1つずつ別個に貯蔵するように構成された二重チャンバカートリッジであってもよく、又はそれを含んでもよい。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内に吐出する前及び/又はその間に、2つ以上の成分間の混合を可能にするように構成されてもよい。例えば、2つのチャンバは、(例えば、2つのチャンバ間の導管によって)それらが互いに流体連通するように構成されてもよく、吐出前にユーザが所望する場合に2つの成分を混合することを可能にすることができる。代わりに又は加えて、2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内への成分の吐出時に混合を可能にするように構成され得る。
【0028】
本明細書に記載される薬物送達デバイスに含まれる薬物又は薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療及び/又は予防に使用され得る。障害の例としては、例えば、真性糖尿病、又は真性糖尿病に伴う合併症、例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓症、例えば深部静脈血栓塞栓症又は肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例には、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチが含まれる。API及び薬物の例は、Rote Liste 2014、例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬物)又は86(オンコロジー薬物)、及びMerck Index,15th editionなどのハンドブックに記載されているものである。
【0029】
1型若しくは2型真性糖尿病又は1型若しくは2型真性糖尿病に伴う合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体アゴニスト、又はその類似体若しくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、又はそれらの薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物、又はそれらの任意の混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「類似体」及び「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失及び/又は交換により、並びに/或いは少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により、天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基又は他の天然に存在する残基又は純粋合成アミノ酸残基のいずれかであり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも称される。特に、「誘導体」という用語は、1つ又は複数の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸のうちの1つ又は複数に結合している、天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択で、天然に存在するペプチドに存在する1つ又は複数のアミノ酸が欠失していてもよく、且つ/又はコード不可能アミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されてもよく、又はコード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が天然に存在するペプチドに付加されてもよい。
【0030】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルジン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリシン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaで置換され、位置B29においてLysがProで置換され得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0031】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0032】
GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(SAR425899)エキセナチド-XTEN及びグルカゴン-Xtenがある。
【0033】
オリゴヌクレオチドの一例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療用のコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))又はアルポート症候群の治療用のRG012である。
【0034】
DPP4阻害剤の例としては、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0035】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン及びゴセレリンなどの脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節性活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストが挙げられる。
【0036】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、若しくは超低分子量ヘパリン、又はそれらの誘導体、或いは上記多糖類の硫酸化形態、例えばポリ硫酸化形態及び/又は製薬上許容されるそれらの塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの製薬上許容される塩の一例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の一例は、Hylan G-F 20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0037】
本明細書で用いられる用語「抗体」は、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化若しくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えば、マウス)抗体又は一本鎖抗体であることが可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクタ機能を有し、且つ補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合能が低減されているか又は結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプタへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプタ結合領域の突然変異若しくは欠失を有するアイソタイプ若しくはサブタイプ、抗体フラグメント又は突然変異体であり得る。抗体という用語は、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)及び/又はクロスオーバー結合領域配向(CODV)を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質に基づく抗原結合分子も含む。
【0038】
「フラグメント」又は「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、そのような切断フラグメントに限定されない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的又は多重特異的な抗体フラグメント、例えば二重特異的、三重特異的、四重特異的及び多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価又は多価抗体フラグメント、例えば2価、3価、4価及び多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディ又はビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体及びVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は、本技術分野において既知である。
【0039】
「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列ではなく、且つ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、本技術分野で既知であるように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、又はCDR内の1つ又は複数のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0040】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)及び抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0041】
本明細書に記載するいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物又は医薬品に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。
【0042】
本発明の完全な範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システム及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われ得、本発明は、そのような修正形態及びそのあらゆる全ての均等物を包含することが当業者に理解されるであろう。
【0043】
例示的な薬物送達デバイスには、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されるようなニードルベースの注入システムが含まれ得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されるように、ニードルベースの注入システムは、多回用量容器システム及び単回用量(部分的又は完全な排出を伴う)容器システムに大別され得る。容器は、交換可能な容器であり得るか又は統合された非交換可能な容器であり得る。
【0044】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されるように、多回用量容器システムは、交換可能な容器を有するニードルベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは、固定であっても可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。別の複数回用量容器システムには、交換不可能な容器が統合されたニードルベースの注入デバイスが含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは、固定であっても可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。
【0045】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を有するニードルベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送出可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより、送出可能な容量の一部が排出される(部分排出)。ISO 11608-1:2014(E)にもまた記載されているように、単回用量容器システムは、交換不可能な容器が統合されたニードルベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。さらなる例では、各容器は、単一用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。
【0046】
本明細書で用いられる「軸方向」、「径方向」、又は「周方向」という用語は、デバイス、カートリッジ、ハウジング、又はカートリッジホルダの主長手方向軸線、例えば、カートリッジ、カートリッジホルダ、又は薬物送達デバイスの近位端及び遠位端を通って延びる軸線に対して使用され得る。
【0047】
ここで、本開示の非限定的な例示的実施形態について、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1a-b】本発明による充電システムの実施形態を斜視図で示す。
【
図2a-d】本発明による電子モジュールの実施形態を斜視図で示す。
【
図3】
図2aのモジュールを部分的に分解した図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図中、同一の要素、同一に機能する要素、又は同種の要素に、同じ参照番号が付されている場合がある。
【0050】
以下では、いくつかの実施形態についてインスリン注入デバイスを参照して説明する。しかしながら、本開示は、そうした用途に限定されず、他の薬剤を吐出するように構成された注入デバイス、又は一般に薬物送達デバイス、好ましくはペン型デバイス及び/若しくは注入デバイスと共に、等しく展開することができる。
【0051】
図1a及び1bは、薬物送達デバイス1に取り付けられるか、又は薬物送達デバイス1に組み込まれ得る電子モジュール2を備えたペン型薬物送達デバイス1を示す。示される例示的な実施形態において、電子モジュール2は、薬物送達デバイス1の近位端、すなわち注射針から離れる方を向く端部に配置されている。電子モジュール2は、例えば薬物送達デバイス1のボタン又はノブに完全に一体化されていてもよいし、例えば薬物送達デバイス1のボタン又はノブと接続可能なキャップとして、薬物送達デバイス1に恒久的又は解放可能に取り付けられていてもよい。
【0052】
さらに、モジュール2に接続された充電器ステーション3が描かれており、
図1aは、モジュール2及び/又は薬物送達デバイス1を保持し、部分的に受け入れるのに適した充電器ステーションを概略的に示しており、一方、
図1bは、充電のためにモジュール2に装着され得るキャップ状の充電器ステーションを概略的に示している。
【0053】
図2a~3により詳細に示すように、電子エンコーダモジュール2は、充電式電池(アキュムレータ)5と、電池5に接続されたPCBA(プリント回路基板アセンブリ)6とを少なくとも部分的に収容又は包囲する外殻4を含む。電池5とPCBA6は、外殻4に保持されたシャーシ7に保持されることがある(
図3)。
【0054】
モジュール2は、例えば、少なくとも2つの光源、例えばIR-LEDと、少なくとも2つの光学センサ、例えば光検出器とからなる少なくとも1つのセンサユニット(図示せず)をさらに含み得る。センサユニットは、モジュール2が薬物送達デバイス1に取り付けられている場合、薬物送達デバイスの、例えばディスク又はリングのような、回転可能なエンコーダ要素の動きを検出するように構成される。典型的には、この検出可能な動きは、薬物送達デバイス1からダイヤル調節及び/又は送達される用量を示す。さらに、モジュール2は、例えば、スマートフォン、ネットワーク又はPCのような別のデバイスとの無線通信のための通信ユニット(図示せず)を含み得る。PCBA6は、少なくとも1つのセンサユニットの動作を制御し、少なくとも1つのセンサユニットからの信号を処理及び/又は記憶するように構成されたプロセッサを含み得る。
【0055】
電池5は、例えば約50mAのピーク電流を有する例えば3.7Vで約25mAhの容量を有するリチウムイオン電池であり得る。このような電池は、再充電なしで例えば約15週間から約20週間の寿命を持ち、モジュール2での使用に適している。代替案として、電池5は、例えば約18mAのピーク電流を有する例えば1.2Vで約6mAhの容量を有するNiMH電池であり得る。NiMH電池は、高さが2.5mm未満、例えば約2.3mmと比較的小さいという利点がある。このような電池は、充電なしで例えば2週間の寿命を持ち、モジュール2での使用に適している。
【0056】
電池5の簡単且つ確実な充電を可能にするために、モジュール2には、電池5に直接又はPCBA6を介して間接的に接続された2つの電気接点8、9が設けられている。
図2aに示すように、接点は外殻4の近位側に配置された上面10に、例えばリング状の接点9によって同心円状に囲まれた中央接点領域8として設けることができる。
図2bでは、電気接点8、9は、外殻4の側面11に配置された2つのリングとして設けられている。さらなる代替案が
図2cに示され、接点8、9は外殻4の側面11にリングセグメントとして設けられている。さらに、
図2dは、接点を外殻4の側面11上の2つの接触エリアとして示している。
【0057】
それぞれの電気接点8、9は導電性材料から作られ、外殻4の非導電性材料に囲まれている。電気接点8、9は、例えば接着、圧入、及び/又はオーバーモールドによって外殻4に取り付けることができる。電池5の充電は、電気接点8、9と充電器ステーション3のばね接点12が接触することによって行われる。このようなばね式接点は、良好にして堅牢な解決策である。しかしながら、他の構成、例えばばね式板金から作られた弾性接点も適している。
【0058】
図3では、シャーシ7に保持され得る任意選択のブースト供給ユニット13が概略的に示されている。ブースト供給ユニット13は、PCBA6上に配置してもよいし、PCBA6の一部であってもよい。ブースト供給ユニット13は、例えば1.2Vのより低い電圧を有する電池から、一定の等電圧、例えば3.3Vを提供するように構成されている。
【0059】
薬物送達デバイス1は、主な機能及び動作モードに関する言及がなされている欧州特許第2 890 434 B1号明細書に開示されている使い捨て注射ペンと同じ一般的な動作原理に基づいている可能性がある。モジュール2の非限定的な例は、電子ボタンモジュールの主な機能と動作モードに関する言及がなされている国際公開第2021/116387 A1号パンフレット及びPCT/EP2021/060631号明細書に開示されている。
【符号の説明】
【0060】
1 薬物送達デバイス
2 電子モジュール
3 充電ステーション
4 外殻
5 電池
6 PCBA
7 シャーシ
8 電気接点
9 電気接点
10 上面
11 側面
12 ばね接点
13 ブースト供給ユニット
【国際調査報告】