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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】温度作動バルブ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/70 20060101AFI20250117BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F16K31/70 B
H01L21/68 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504777
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022053702
(87)【国際公開番号】W WO2023129454
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】17/565,882
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカール, シヴァーラム
(72)【発明者】
【氏名】カルマカール, パラブ
(72)【発明者】
【氏名】サフ, アミット
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン, クマレサン
(72)【発明者】
【氏名】カメシュ, ギリダル
【テーマコード(参考)】
3H057
5F131
【Fターム(参考)】
3H057AA12
3H057BB41
3H057CC06
3H057DD13
3H057EE01
3H057FA22
3H057FB01
3H057FC04
3H057FC08
3H057HH02
3H057HH11
5F131CA68
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB22
5F131EB82
(57)【要約】
本明細書において開示されるのは、固定部材と可動部材とを含む温度作動バルブであって、固定部材は可動部材を受容するように構成されている。第1の流路は、固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定され、第2の流路は、可動部材によって可動部材内に画定されている。温度作動バルブは更に、固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び可動部材の基部に対して着座した第2の端部を有する少なくとも1つの温度作動部材を含む。温度作動バルブは更に、固定部材の基部に接続された第1の端部及び可動部材の基部に接続された第2の端部を有するバイアス部材を含み、少なくとも1つの温度作動部材は、第1の温度で収縮し、第2の温度で膨張するように構成されている。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度作動バルブであって、
固定部材及び可動部材であって、前記固定部材は前記可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、
前記固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、
前記可動部材によって前記可動部材内に画定された第2の流路と、
前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、
前記固定部材の基部に接続された第1の端部及び前記可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材と
を備え、
前記少なくとも1つの温度作動部材は、第1の温度で収縮して前記第2の流路への開口部を小さくし、第2の温度で伸長して前記第2の流路への開口部を大きくするように構成されている、温度作動バルブ。
【請求項2】
前記バイアス部材に取り付けられた調整部材を更に備え、前記調整部材は前記バイアス部材の張力を調整するように動作可能である、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項3】
前記固定部材、前記可動部材、前記ハウジング及び前記バイアス部材は、各々独立して、ステンレス鋼、プラスチック、銅、真鍮、青銅、アルミニウム、ニッケル-コバルト合金、鉄、又は前述のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項4】
前記形状記憶合金は、バネ、コイルバネ、ベローズバネ、皿バネ、板バネ、又はバネシリンダのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項5】
前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を有する少なくとも1つの案内部材を更に備え、前記少なくとも1つの案内部材は、前記少なくとも1つの温度作動部材を貫通している、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの温度作動部材及び前記可動部材は各々、複数のフロー要素を含む、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項7】
前記複数のフロー要素は、開口部、オリフィス、穴、穿孔、ディボット、突出部、フィン、ルーバ、粗さ要素、粗面、又は前述のうちのいずれか2つ以上の組み合わせのうちの1又は複数を含む、請求項6に記載の温度作動バルブ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの温度作動部材又は少なくとも1つのバイアス部材のうちの少なくとも一方は、バネ、コイルバネ、ベローズバネ、皿バネ、板バネ又はバネシリンダの形態である、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項9】
複数の温度作動部材と、複数の対応する案内部材とを更に備え、各案内部材は、前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を有し、複数の案内部材の各々は、対応する温度作動部材を貫通している、請求項1に記載の温度作動バルブ。
【請求項10】
電子デバイス製造システムであって、
可変温度を有する流体を含み、更に温度作動バルブを含む流体ラインであって、前記温度作動バルブは、
固定部材及び可動部材であって、前記固定部材は前記可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、
前記固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、
前記可動部材によって前記可動部材内に画定された第2の流路と、
前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、
前記固定部材の基部に接続された第1の端部及び前記可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材と
を含み、
前記少なくとも1つの温度作動部材は、第1の温度で収縮して前記第2の流路への開口部を小さくし、第2の温度で伸長して前記第2の流路への開口部を大きくするように構成されている、
流体ラインを備える、電子デバイス製造システム。
【請求項11】
前記流体は冷却剤である、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項12】
前記バイアス部材に取り付けられた調整部材を更に備え、前記調整部材は、前記バイアス部材の張力を調整するように動作可能である、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項13】
前記固定部材、前記可動部材、前記ハウジング及び前記バイアス部材は、各々独立して、ステンレス鋼、プラスチック、銅、真鍮、青銅、アルミニウム、ニッケル-コバルト合金、鉄、又は前述のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項14】
前記形状記憶合金は、ニッケル-チタン合金、ニッケル-チタン-コバルト合金、ニッケル-チタン-銅合金、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項15】
前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を有する少なくとも1つの案内部材を更に備え、前記少なくとも1つの案内部材は、前記少なくとも1つの温度作動部材を貫通している、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの温度作動部材及び前記可動部材は各々、複数のフロー要素を含む、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの温度作動部材又は少なくとも1つのバイアス部材のうちの少なくとも一方は、バネ、コイルバネ、ベローズバネ、皿バネ、板バネ又はバネシリンダの形態である、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項18】
前記温度作動バルブは、複数の温度作動部材と、複数の対応する案内部材とを含み、各案内部材は、前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を有し、複数の案内部材の各々は、対応する温度作動部材を貫通している、請求項10に記載の電子デバイス製造システム。
【請求項19】
電子デバイス製造システムにおける流体消費を削減する方法であって、
前記電子デバイス製造システムの流体ラインに位置決めされた温度作動バルブを通して流体を流すことであって、前記温度作動バルブは、
固定部材及び可動部材であって、前記固定部材は前記可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、
前記固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、
前記可動部材によって前記可動部材内に画定された第2の流路と、
前記固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び前記可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、
前記固定部材の基部に接続された第1の端部及び前記可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材と
を含む、前記電子デバイス製造システムの流体ラインに位置決めされた温度作動バルブを通して流体を流すことと、
前記流体の温度に基づいて前記温度作動バルブを開閉することと
を含み、
前記少なくとも1つの温度作動部材は、前記流体が第1の温度にある時に収縮してバルブに前記第2の流路への開口部を小さくさせ、前記流体が第2の温度にある時に伸長して前記バルブを少なくとも部分的に開かせて前記第2の流路への開口部を大きくするように構成されている、方法。
【請求項20】
前記形状記憶合金は、ニッケル-チタン合金、ニッケル-チタン-コバルト合金、ニッケル-チタン-銅合金、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、電子デバイス製造に関し、より具体的には、温度作動バルブの1又は複数の実施形態及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]大規模な半導体製造工場では、毎時100メガワット時もの電力を使用することがある。このような工場では、1年間に約50,000世帯分の電力を使用する。市場によっては、電力が半導体製造工場の操業コストの30%を占めることもある。このような消費は、多くの製油所及び自動車工場の消費を上回ることがある。半導体チップによって消費される電力はここ数年にわたって大幅に削減されているが、製造プロセスで使用されるエネルギーの改善は遅れている。
【0003】
[0003]半導体メーカーは、様々な単位工程を実行するために使用されるプロセス装置によるエネルギー消費の削減を含め、工場全体によるエネルギー消費を削減する方法を模索し続けている。例えば、冷却剤の流れを調整することは、プロセス装置のエネルギーフットプリントを削減する機会である。電気を使用しない、あるいは電力量の削減を用いた新たな構成要素が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]1又は複数の実施形態によれば、本明細書において開示されるのは、温度作動バルブであって、温度作動バルブは、固定部材及び可動部材であって、固定部材は可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、可動部材によって可動部材内に画定された第2の流路と、固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、固定部材の基部に接続された第1の端部及び可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材とを備え、少なくとも1つの温度作動部材は、第1の温度で収縮して第2の流路への開口部を小さくし、第2の温度で膨張して第2の流路への開口部を大きくするように構成されている。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、以下のものを備える電子デバイス製造システムが開示されている。
【0006】
[0006]可変温度を有する流体を含み、更に温度作動バルブを含む流体ラインであって、温度作動バルブは、固定部材及び可動部材であって、固定部材は可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、可動部材によって可動部材内に画定された第2の流路と、固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、固定部材の基部に接続された第1の端部及び可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材とを含み、少なくとも1つの温度作動部材は、第1の温度で収縮して第2の流路への開口部を小さくし、第2の温度で膨張して第2の流路への開口部を大きくするように構成されている、流体ラインである。
【0007】
[0007]1又は複数の実施形態では、本明細書において開示されるのは、電子デバイス製造システムにおける流体消費を削減する方法であり、本方法は、電子デバイス製造システムの流体ラインに配置された温度作動バルブを通して流体を流すことであって、温度作動バルブは、固定部材及び可動部材であって、固定部材は可動部材を受容するように構成されている、固定部材及び可動部材と、固定部材の外面とハウジングの内面との間に画定された第1の流路と、可動部材によって可動部材内に画定された第2の流路と、固定部材の基部に対して着座した第1の端部及び可動部材の基部に対して着座した第2の端部を含む少なくとも1つの温度作動部材であって、形状記憶合金を含む、少なくとも1つの温度作動部材と、固定部材の基部に接続された第1の端部及び可動部材の基部に接続された第2の端部を含むバイアス部材とを含む、電子デバイス製造システムの流体ラインに配置された温度作動バルブを通して流体を流すことと、流体の温度に基づいて温度作動バルブを開閉することとを含み、少なくとも1つの温度作動部材は、流体が第1の温度にある時に収縮してバルブに第2の流路への開口部を小さくさせ、流体が第2の温度にある時に膨張してバルブを少なくとも部分的に開かせて第2の流路への開口部を大きくするように構成されている。
【0008】
[0008]以下に説明する図面は、例示を目的としたものであり、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面は、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】幾つかの実施形態に係る温度作動バルブと共に使用するのに適したプロセスチャンバを示す図である。
図2A】本開示の様々な実施形態に係る温度作動バルブを示す図である。
図2B】本開示の様々な実施形態に係る温度作動バルブの断面を示す図である。
図2C】本開示の様々な実施形態に係る温度作動バルブの内部構成要素を示す図である。
図2D】本開示の様々な実施形態に係る温度作動バルブの温度作動部材及び他の内部構成要素と共に可動部材を示す図である。
図2E】本開示の様々な実施形態に係る、温度作動バルブの他の内部構成要素と共に可動部材を示す図である。
図2F】本開示の様々な実施形態に係る、温度作動バルブの温度作動部材及びバイアス部材と共に固定部材の断面を示す図である。
図3】Aは、本開示の様々な実施形態に係る、伸長状態にある温度作動部材を有する温度作動バルブを示す図であり、Bは、本開示の様々な実施形態に係る、収縮状態にある温度作動部材を有する温度作動バルブを示す図である。
図4】Aは、本開示の実施形態に係る「開いた」温度作動バルブを通る流路を示す図であり、Bは、本開示の実施形態に係る「閉じた」温度作動バルブを通る流路を示す図である。
図5】Aは、本発明の実施形態に係る流体ラインに設置された温度作動バルブを示す図であり、Bは、本発明の実施形態に係る流体ラインに設置された温度作動バルブの断面を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る電子デバイス製造システムにおける流体消費を削減する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0023]次に、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。幾つかの図面を通して同じ部品又は同様の部品を参照するために、可能な限り、図面全体を通して同じ参照番号を使用する。本明細書に記載の様々な実施形態の特徴は、特に別段の記載がない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0011】
[0024]半導体メーカーは、工程中の製造装置のエネルギー消費を削減し、そのような製造装置の全体的な所有コストを削減することに関心がある。プロセスチャンバは、処理中に冷却される構成要素を含むことが多い。構成要素の冷却は、プロセスチャンバの構成要素の1又は複数のチャネルを通して冷却剤を供給することによって実行され得る。通常、冷却剤の流れを調整するために、アクティブバルブ(例えば、空圧バルブ及び/又は電気バルブ)が使用される。このようなアクティブバルブは電力を消費する。本明細書に記載の実施形態は、作動のためにいかなる能動構成要素も必要としない(例えば、電気又は電力消費を必要としない)温度作動バルブを対象とする。このような温度作動バルブの使用により、半導体製造装置のエネルギーフットプリントを削減することができる。温度作動バルブは、温度作動バルブを通過する流体の温度に基づいて開閉する(例えば、1又は複数のフローチャネルのサイズを大きくする、及び/又は、1又は複数のフローチャネルのサイズを小さくする)ことができる。従って、冷却剤又は他の液体の温度が上昇した場合、温度が上昇したことにより、バルブが自動的に開き、フローチャネルのサイズが拡大して冷却剤の流れが増加し得る。対照的に、冷却剤又は他の液体の温度が低下した場合、温度が低下したことにより、バルブが自動的に閉じ、フローチャネルのサイズが減少して冷却剤の流れが減少し得る。このような流量値の作動は、追加のセンサ、能動構成要素又は動力構成要素、及び/又は制御システムを使用することなく、冷却剤の流れを制御するように、自動的に実行され得る。従って、温度作動バルブの使用は、半導体処理装置等の装置の全体的なエネルギー消費を削減することができる。
【0012】
[0025]本明細書における1又は複数の実施形態によれば、例えば半導体製造装置の冷却剤フローループの戻りラインに位置決めされた温度作動バルブ(例えば、スプールバルブ)アセンブリが開示される。本明細書の実施形態に記載されるバルブは、冷却剤温度が作動温度を超えると作動する温度応答性形状記憶合金バネを利用する。温度作動バルブは、1又は複数の形状記憶合金バネ、1又は複数のバイアスバネ、及びこれらのバネを支持する関連機械構造を含み得る。温度が復帰作動温度より下がると、バルブはバイアスバネによって元の位置に復帰し得る。
【0013】
[0026]温度作動バルブは、流入及び/又は流出する冷却剤の温度に基づいて作動し、外部センサ又はアクチュエータに依存しない受動システムであってよい。実施形態では、温度応答性形状記憶合金バネは、冷却剤温度が作動温度を超えるとバルブを作動させる。温度が復帰作動温度を超えて低下すると、バルブはバイアスバネの支援により元の位置に復帰し得る。幾つかの実施形態では、形状記憶合金バネの伸長及び/又は収縮の量は、液体(例えば、冷却剤)の温度に依存する。このような実施形態では、単に開位置と閉位置を有するのではなく、温度作動バルブは、異なる流路開口部サイズに関連する多くの中間位置を有していてよい。その結果、バルブによって提供される流路のサイズは、液体の温度に基づいて受動的に自動的に調整され得る。
【0014】
[0027]温度作動バルブは、実施形態における冷却剤の戻り温度(すなわち、冷却剤が冷却に使用された後の冷却剤の温度)に基づいて動作するため、実施形態における対応する半導体製造機器の動作方策には依存しない。形状記憶合金バネを有する温度作動バルブは、制御システムの使用、又は温度作動バルブ及び/又は制御システムの調整なしに機能することができる。本明細書の実施形態に記載の温度作動バルブは、システムに予め設計されたバルブの作動点及びリセット点を有する堅牢な設計である。幾つかの実施形態では、作動温度とリセット温度の調整は、バイアスバネに予め負荷された張力を操作することにより、現場でのバルブのセットアップ中に実施することができる。
【0015】
[0028]幾つかの実施形態では、温度作動バルブは、最大冷却仕様に基づいてサイズを決定することができ、冷却剤の流れを調整することができる。冷却仕様に基づいて冷却剤の流れを調整する能力は、エネルギーを節約する機会を提供し、したがってツール運転コストが削減される。
【0016】
[0029]図1は、本明細書に記載の1又は複数の実施形態に係る温度作動バルブと共に使用するのに適したプロセスチャンバ100を示す図である。プロセスチャンバは、例えばエッチングチャンバ、堆積チャンバ、移送チャンバ等の任意の種類のチャンバであってよい。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、処理領域103を含み得る内部領域101を画定する接地されたチャンバ本体105を含む。1又は複数の実施形態では、処理領域103は、処理中に基板110を受け入れて保持するように構成された基板支持体121と、内部領域101内に配置されたシャワーヘッド135との間に配置された領域として画定され得る。真空ポンプ155は、排気バルブ151を介して内部領域101に結合され、内部領域101の排出を促進し得る。
【0017】
[0030]実施形態では、基板110は、基板移送ロボット(図示せず)を介してチャンバ本体105の開口部115を通してロードされ、基板支持体121に提供され得る。1又は複数の実施形態では、基板支持体121は、例えば静電チャック110等の、基板110を基板支持体121の上に保持するための1又は複数の機構を含み得る。基板110は、プラズマ処理技術において従来から採用されている任意の種類の基板であってよく、本明細書に開示される本発明方法はこの点で限定されない。
【0018】
[0031]幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、プロセスチャンバ100の処理領域101にプラズマを形成するための電力を誘導的又は容量的に供給するために、整合ネットワーク131を介して上部電極(例えば、チャンバ天井181の導電性部分、シャワーヘッド135等)に結合されたプラズマ電源(例えば、RF源130)を含み得る。
【0019】
[0032]プラズマ源電力130は、整合ネットワーク131を介してプラズマ生成要素に結合され、プラズマを誘導的又は容量的に励起させるための高周波源電力を提供する。プロセスチャンバ100の制御を促進するために、コントローラ170がプロセスチャンバに結合され得る。コントローラ170は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。CPU172のメモリ、又はコンピュータ可読媒体173は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカル又はリモートの任意の他の形態のデジタルストレージ等の容易に利用可能なメモリの1又は複数であってよい。支援回路174は、従来の方法でプロセッサを支援するためにCPU172に結合される。これらの回路には、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路及びサブシステム等が含まれる。
【0020】
[0033]幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、マスフローコントローラ149を介してガス源145から供給される1又は複数のプロセスガスを内部領域101に供給するように構成されたシャワーヘッド135を含み得る。1又は複数の実施形態では、シャワーヘッド135は、各ゾーンが独立して制御可能である1又は複数の加熱ゾーン(中央又は内側加熱ゾーン164及びエッジ又は外側加熱ゾーン165を示す)を有する温度制御シャワーヘッドであってよい。2つのゾーンを有するように図示したが、シャワーヘッド135は、例えば、1つのゾーン、又は3つ以上のゾーン等、任意の量のゾーンを有していてよい。
【0021】
[0034]幾つかの実施形態では、1又は複数の加熱ゾーンの各々は、ヒータ要素190に結合された1又は複数の電気抵抗加熱要素178、179を有するヒータ153を含み得る。ヒータ要素190は、ヒータドライバ190Bに結合され、温度コントローラ175によって制御され得る。加熱要素178、179は、1又は複数の温度センサ166及び167(例えば、加熱ゾーン164、165の各々にある光学プローブ)に基づいて独立して駆動され得る。ヒータドライバ190Bは、例えば、ソリッドステートリレー又は半導体制御整流器(SCR)であってよい。幾つかの実施形態では、ヒータコントローラ191は、冷却剤PWMコントローラ180に類似したパルス幅変調(PWM)機能を提供し、温度コントローラ175を加熱要素178、179及び冷却剤ループ171のいずれか一方又は両方に接合させる。
【0022】
[0035]1又は複数の加熱ゾーンの代わりに、又は1又は複数の加熱ゾーンと組み合わせて、幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、例えば、シャワーヘッド135及び/又は基板支持体(例えば、静電チャック)の温度に対する制御を促進するために、1又は複数の冷却剤ループ171を有する冷却剤システム169を含み得る。幾つかの実施形態では、冷却剤システム169は、シャワーヘッド135と冷却装置177とを熱的に結合する冷却剤ループ171を介してシャワーヘッド135に冷却力を供給するための冷却装置177を含む。工程中、冷却剤(例えば、50%エチレングリコール、水等)は、シャワーヘッド135の内側加熱ゾーン164及び外側加熱ゾーン165の両方に埋め込まれた(例えば、第1のゾーンに近接して入り、他方のゾーンに近接して出る)1又は複数の冷却剤チャネルを通過する。一実施形態では、1又は複数の冷却剤ループ171及び1又は複数の冷却剤チャネルを通る冷却剤の流量は、本明細書の実施形態に従って、1又は複数の温度作動バルブ(1つのバルブ123を示す)を介してパルス波変調コントローラ180によって制御される。代替的に、又は追加的に、実施形態では、温度作動バルブを使用して、1又は複数の冷却剤ループを通る冷却剤の流量を制御する。温度作動バルブは、センサ、コントローラ、又は電源に依存しない受動的に作動するバルブであってよい。
【0023】
[0036]様々な実施形態によれば、温度作動バルブは、例えば、冷却剤ループ171に位置決めされ得る。冷却剤ループ171に関して説明したが、本明細書の実施形態に係る温度作動バルブは、可変温度の流体が流れる任意の流体ライン及び/又はパイプに設置され得ることが理解される。流体は、熱伝達流体、例えば、媒体又は構成要素に熱を付加又は媒体又は構成要素から熱を除去するのに適した液体又は気体等であってよい。温度作動バルブは、温度駆動であり、電子デバイス製造システム内の任意の化学的に適合する流体又は温度変化(例えば、周囲温度の変化)に対して機能し得る。温度作動バルブは、流体の温度に基づいて流体の流量を変更することが有益である流体ラインでの使用に適している。適切な流体には、液体水、精製された液体水、水蒸気、グリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体窒素、窒素ガス、空気、アルゴン、液体ヘリウム、ヘリウムガス、又は前述のいずれか2つ以上の相溶性混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
[0037]冷却剤ライン171を通って流れる冷却剤の温度の変化に対応して、バルブ内の1又は複数の温度作動部材が暖められ、及び/又は冷やされて、バルブが1又は複数のバイアス部材と連動して作動する又は停止する。本明細書の実施形態に係る温度作動バルブは、センサ又はコントローラを使用せずに作動及び停止する。冷却剤と温度作動バルブの合金の物理的特性が、バルブの作動(又は停止)を開始させる。冷却を必要とする(又は冷却の増加を必要とする)処理条件の間は、冷却剤が熱エネルギーを吸収するにつれて冷却剤の温度は上昇し、バルブ内の1又は複数の温度作動部材を膨張させ、バルブを通る流れを開く、又は増加させる。しかし、処理条件が冷却を必要としない(又は低度の冷却のみ必要とする)場合、冷却剤の温度は低下し、温度作動部材を縮小させ(又は収縮させ)、バルブを閉じて(又は冷却剤が流れる開口部のサイズを小さくして)、冷却剤の流れを減少させる。幾つかの実施形態では、温度作動バルブは、オン(すなわち、全開)又はオフ(すなわち、全閉)構成で作動する。1又は複数の実施形態では、バルブは、例えば、流量を制御するために部分的に開くように構成され得る。したがって、幾つかの実施形態では、開口部のサイズは、冷却剤の温度に基づいて可変であってよい。
【0025】
[0038]温度作動バルブ200の一実施形態を図2A及び図2Bに示す。バルブ200の内部構成要素はハウジング202内に位置決めされる。ハウジング202は、流体ライン及び/又はパイプの2つのセクションに取り付けられるように構成された接続部材207を含み得る。すなわち、温度作動バルブ200は、パイプ及び/又は流体ラインと一致するように設置され得る。幾つかの実施形態では、ハウジング202の内面は、円筒形状及び/又は流体ライン及び/又はパイプの内面と一致する形状を有する。ハウジング202の内面は、その中に固定部材204を受容し得る。幾つかの実施形態では、固定部材204の外面の少なくとも一部は、ハウジング202の内面の少なくとも一部から離間して、そこを通る第1の流路を画定する。第1の流路(例えば、外側環状流路)は、固定部材204の外面とハウジング202の内面との間の空間内に画定され得る。幾つかの実施形態では、外側環状流路は、バルブ200が開位置にあるか閉位置にあるかにかかわらず、特定の流れセグメントに対して同じ直径の開口部を有する。例えば、外側環状流路は、固定された開位置を有し得る。その結果、外側環状流路を通る流れは、幾つかの実施形態では、特定の背圧を提供するチョーク流(例えば、第1の流量)であってよい。温度作動バルブ200の第2の流路は、固定部材204内に位置決めされた可動部材206内に配置された内側環状流路であってよい。内側環状流路が開くと、流体が外側環状流路と内側環状流路の両方を通って流れることができ、背圧が低下し、その結果、高流量(例えば、第1の流量よりも高い第2の流量)を得ることができる。
【0026】
[0039]温度作動バルブ200は、図2A図2Cに示すように、固定部材204(例えば、ルータスプール)内に受容された可動部材206を含み得る。固定部材204及び可動部材206は各々、可動部材206が固定部材204内で移動可能に滑動するように構成されるように、円筒形状を有していてよい。第2の流路は、可動部材206によって可動部材206内に画定され得る。例えば、固定部材204は、1又は複数のフロー要素203を含み得る。1又は複数のフロー要素203は、開口部、オリフィス、穴、穿孔、ディボット、突出部、フィン、ルーバ、粗さ要素、粗面、又は前述のうちの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。可動部材206も同様に、1又は複数のフロー要素205を含み得る。1又は複数のフロー要素205は、開口部、オリフィス、穴、穿孔、ディボット、突出部、フィン、ルーバ、粗さ要素、粗面、又は前述の任意の2つ以上の組み合わせであり得る。図3A図5Bに関して更に詳細に説明するように、固定部材204の1又は複数のフロー要素203は、第1の流路を通って流れる流体が、可動部材206の内部に入って第2の流路を形成することができるように、可動部材206の1又は複数のフロー要素205と少なくとも部分的に位置合わせされるように構成される。
【0027】
[0040]温度作動バルブ200は、少なくとも1つの温度作動部材216、217、218を更に含み得る。各温度作動部材216、217、218は、独立して、バネ、コイルバネ、ベローズバネ、皿バネ、板バネ、又はバネシリンダの形態であってよい。幾つかの実施形態では、各温度作動部材216、217、218は、コイルバネである。工程中、温度作動部材216、217、218は、濡らされ、それを通って流れる流体と直接接触し得る。
【0028】
[0041]1又は複数の実施形態では、少なくとも1つの温度作動部材216、217、218は、形状記憶合金で形成され得る。幾つかの実施形態では、形状記憶合金は、ニッケル、チタン、鉄、銅、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好適な形状記憶合金としては、ベネヴォレント合金、ニッケル-チタン合金、ニッケル-チタン-コバルト合金、ニッケル-チタン-銅合金、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。形状記憶合金は、温度作動部材216、217、218を第1の温度で少なくとも部分的に伸長させ、第2の温度で少なくとも部分的に収縮させるように構成される。本明細書で使用する「伸長」という用語は、形状記憶合金材料の剛性の増加を意味する。「収縮」又は「圧縮」という用語は、形状記憶合金材料の剛性の低下を指す。1又は複数の実施形態では、第1の温度は、約40℃から約90℃、又はこの範囲内のいずれかの個々の値又は副範囲である。1又は複数の実施形態では、第2の温度は、約12℃から約40℃、又はこの範囲内のいずれかの個々の値又は部分範囲である。温度作動部材216、217、218は各々、対応する案内部材220、221、222によって支持され得る。案内部材220、221、222は、可動部材206と共に直線的に移動するように構成されている。温度作動部材216、217、218が伸長し収縮すると、案内部材220、221、222は、部材216、217、218の直線的な(横方向ではない)移動を可能にする。
【0029】
[0042]各温度作動部材216、217、218は、固定部材204の基部211に対して着座した第1の端部219と、可動部材206の基部223に対して着座した第2の端部とを含み得る。各案内部材220、221、222は、図2B図2D図2E図2Fに示すように、開口部内に受容され、基部223に固定され得る。幾つかの実施形態では、各案内部材220、221、222は、ねじ、ボルト、リベット、機械加工されたノッチ、溶接、はんだ付け、接着剤等を含むがこれらに限定されない任意の適切な手段によって基部223に固定される。温度作動部材216、217、218が伸長すると、それらは基部223に押し付けられ、可動部材206を力の方向に移動させ、フロー要素203、205を整列させる。
【0030】
[0043]幾つかの実施形態では、温度作動バルブ200は更に、少なくとも1つのバイアス部材214を含む。少なくとも1つのバイアス部材は、バネ、コイルバネ、ベローズバネ、皿バネ、板バネ、又はバネシリンダの形態を有していてよい。幾つかの実施形態では、バイアス部材214はコイルバネである。幾つかの実施形態では、温度作動部材216、217、218は、バイアス部材214(例えば、バイアスバネ)に対して働き、これらの要素間に負荷又は張力を与える。バイアス部材214は、液体の温度が温度閾値未満である場合に、可動部材206及び1又は複数の温度作動部材216、217、218を第1の位置(例えば、閉位置)に戻すように構成され得る。例えば、温度作動バルブ200を通って流れる流体が特定の閾値温度に達するか、又はそれ以下に低下すると、伸長された温度作動部材216、217、218の形状記憶合金が圧縮し、バイアス部材214が温度作動部材を第1の位置に戻す。
【0031】
[0044]1又は複数の実施形態によれば、バイアス部材214は、その反対側の端部に取付け部材210、212を含み得る。取付け部材210は、例えば、基部223を貫通するように構成されたポスト208の開口部213を通過するように構成されたフック、ワイヤ、コイル等であってよい。幾つかの実施形態では、ポスト208は、ポスト208及びバイアス部材214を可動部材206に固定するためにナット240に取り付けられるように構成されたねじ山部分を有していてよい。取付け部材212、例えば、フック、ワイヤ、コイル等は、基部211を貫通するように構成されたポスト209の開口部215を通過するように構成され得る。幾つかの実施形態では、ポスト209は、ポスト209及びバイアス部材214を固定部材204に固定するためにナット241に取り付けられるように構成されたねじ山部分を有していてよい。1又は複数の実施形態では、適切な形状記憶合金材料及びバイアス部材214の材料剛性を選択することによって、バルブ200が開閉する温度を制御することができる。
【0032】
[0045]幾つかの実施形態では、温度作動バルブ200は更に、バイアス部材214に取り付けられた調整部材を含む。調整部材は、バイアス部材214の張力を調整するように動作可能であってよい。幾つかの実施形態では、ナット241が調整部材であってよい。ナット241は、バイアス部材214の張力を増加させるために締め付けることができる、又はバイアス部材214の張力を減少させるために緩めることができる。プレテンション調整ナットは、ユーザがナットをどこに設定すればよいかを知ることができるように(すなわち、連続ダイヤル、又はステップ変更ダイヤルとして)、エッジの周りに幾つかの印を有する操作設計テーブルで設計され得る。ステップ変更ダイヤルの場合、ナットは、ユーザが1つの設定から別の設定に飛ぶことができるように、ラッチ又は爪ラチェット設計であってよい。
【0033】
[0046]1又は複数の実施形態によれば、温度作動バルブ200の構成要素、特に接液構成要素は、非腐食性の金属、ポリマー、セラミック、それらの組み合わせ、又は任意の他の適切な固体材料で構成される。幾つかの実施形態では、固定部材203、可動部材206、ハウジング202、及びバイアス部材214(例えば、構成要素208、209、210、212、213、217、221を含む)は、各々独立して、ステンレス鋼、プラスチック、銅、真鍮、青銅、アルミニウム、ニッケル-コバルト合金、鉄、又は前述のいずれかの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、固定部材203、可動部材206及びハウジング202は、316ステンレス鋼合金で形成される。幾つかの実施形態では、バイアス部材214は、316ステンレス鋼合金以外のステンレス鋼合金、プラスチック、銅、真鍮、青銅、アルミニウム、ニッケル-コバルト合金、鉄、又は前述のいずれかの組み合わせで形成される。
【0034】
[0047]図3A及び図3Bは、膨張位置(図3A)及び縮小位置(図3B)にある温度作動部材316、318を有する温度作動バルブ300を示す図である。例えば、バルブ300を通って流れる流体が第1の温度に達すると、温度作動部材316、318の形状記憶合金が膨張して温度作動部材を伸長させ、それによってバルブ300を開く。温度作動部材316、318が膨張すると、可動部材306に力が加わる。可動部材306は固定部材304内を直線的に移動し、可動部材306の開口部305を固定部材304の開口部303と整列させる。開口部303、305が整列すると、固定部材304の外面によって、ハウジング302の内面と固定部材304との間を流れる流体が、開口部303、305を通って、可動部材306の内部を通って流れる。可動部材306は、固定部材304の内部に同心円状に囲まれて、環状流路を形成し得る。バルブ300が開くと、それを通って流れる流体は、可動部材306の内部のより大きい領域に入ることができ、それによって流量が増加する。
【0035】
[0048]バルブ300を通って流れる流体が第2の温度に達すると、温度作動部材316、318の形状記憶合金が圧縮し(図3B)、それにより温度作動部材が収縮し、バルブ300が閉じる。温度作動部材316、318が収縮すると、バイアス部材314は元の形状に戻り、可動部材306をその閉位置に向かって引き戻す。可動部材306が固定部材304内を直線的に移動し、バイアス部材314の取付け部材310と再び係合すると、開口部303から位置がずれて開口部305が閉じられる。開口部303、305が閉じると、可動部材306の内部を通って流れる流体は停止する。幾つかの実施形態では、流体は固定部材304の外面を越えて流れ始め、それによって流量は減少する。
【0036】
[0049]二元(すなわち、開/閉)構成として説明したが、幾つかの実施形態では、形状記憶合金は、流体の温度の関数として膨張及び圧縮する。このため、温度作動部材316、318は、伸長又は収縮して、開口部303、305を部分的に整列させ、バルブ300が全開又は全閉されたときの中間の流量を提供し得る。幾つかの実施形態では、形状記憶合金は、温度の関数として線形又は非線形に膨張及び圧縮する。
【0037】
[0050]図4A及び図4Bは、開いた構成(図4A)及び閉じた構成(図4B)にあるときの、本明細書に記載の1又は複数の実施形態に係る温度作動バルブ400を通る流体の流路を示す図である。温度作動バルブ400が開位置にあるときは、流体流路401は、バルブ400の内部内の固定部材404の外面とハウジング402の内面との間に形成される。基部411に取り付けられた温度作動部材416、418は、流体流路401を流れる流体が第1の温度であるときに、少なくとも部分的に膨張するように構成されている。第1の温度は、約40℃から約90℃、又はこの範囲内の任意の個々の値もしくは副範囲であってよい。温度作動部材416、418が伸長すると、可動部材406が固定部材404内で直線的に移動して、固定部材404の開口部と可動部材406の開口部とが整列する。流体流路401は、固定部材404の外面を越えて446に続くように分割され、流体はまた、部材404、406の開口部を通って可動部材406の内部領域内に流れ、流路448を形成する。
【0038】
[0051]温度作動バルブ400が閉位置にあるとき(図4B)、流体流路401は、バルブ400の内部内の固定部材404の外面とハウジング402の内面との間に形成される。基部411に取り付けられた温度作動部材416、418は、流体流路401を流れる流体が第2の温度であるときに、少なくとも部分的に収縮するように構成されている。第2の温度は、約12℃から約40℃、又はこの範囲内の任意の個々の値もしくは副範囲であってよい。温度作動部材416、418が収縮すると、可動部材406が固定部材404内で直線的に移動して、固定部材404の開口部が可動部材406の開口部によって閉じられる。流体流路401は、その後、固定部材404の外面を越えて446に続き、流路448を通って流れない。幾つかの実施形態では、温度作動部材416、418の形状記憶合金材料は、温度の関数として予測可能に膨張及び圧縮する。このように、バルブ400は、それを通って流れる流体の流量を制御することに関して更なる機能性を提供するために、部分的に開くように、又は部分的に閉じるように構成され得る。
【0039】
[0052]1又は複数の更なる実施形態によれば、本明細書に開示されるのは、本明細書に記載の1又は複数の実施形態に記載したような温度作動バルブ500を備える、図5A及び図5Bに示すような流体ライン570を有する電子デバイス製造システムである。実施形態では、流体ライン570を通って流れる流体は、1又は複数の温度作動部材516、518の形状記憶合金を膨張及び圧縮させ、その結果、バルブ500を少なくとも部分的に開ける及び少なくとも部分的に閉じるのに十分な可変温度を有する。例えば、ライン570を通って流れる流体の温度は、約10℃から約120℃、又はこの範囲内の任意の個々の値もしくは部分範囲であってよい。1又は複数の実施形態では、流体は冷却剤である。適切な流体としては、液体水、精製された液体水、水蒸気、グリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体窒素、窒素ガス、空気、アルゴン、液体ヘリウム、ヘリウムガス、又は前述のうちのいずれか2つ以上の相溶性混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
[0053]温度作動バルブ500は、例えばねじ山付きコネクタ及び配管を使用して、電子デバイス製造システムの流体ライン570内に容易に設置することができる。図5A及び図5Bには、インラインねじ山付きコネクタを示したが、管ねじ、ソケット溶接、突合せ溶接、はんだ付け、接着ソケット、フランジ、トライクランプ、圧縮、押し込み、有刺ホース、ユニオン/トゥルーユニオン、マニホールドマウント、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切なバルブ端部コネクタを使用することができることを理解されたい。
【0041】
[0054]本明細書の様々な実施形態に係る温度作動バルブ200、300、400、500を用いて動作する電子デバイス製造システムは、流体、特に、デバイス、化学物質及び/又はプロセスを加熱又は冷却するために使用される可変温度を有する流体の消費を削減することができる。幾つかの実施形態では、電子デバイス製造システムの可変温度流体ライン(例えば、冷却剤ライン)における温度作動バルブ200、300、400、500の設置は、約10%から約50%、又はこの範囲内の任意の個々の値もしくは副範囲の流体消費を削減し得る。幾つかの実施形態では、電子デバイス製造システムの可変温度流体ライン(例えば、冷却剤ライン)内の温度作動バルブ200、300、400、500の設置は、エネルギー需要を約1%から約99%、又はこの範囲内の任意の個々の値又は副範囲だけ削減することができる。
【0042】
[0055]幾つかの実施形態では、本明細書の様々な実施形態に係る温度作動バルブ200、300、400、500を用いて動作する電子デバイス製造システムは、環境及び健康への影響を低減させるシステムによって消費される水の量を削減することができる。企業及び政府は、半導体装置の環境衛生及び安全コストを削減し、そのような装置及び関連プロセスを長期的に持続可能なものにすることを探求し続けている。このようなシステムで消費される水の削減に加え、支援装置及びプロセスも、水を循環させるために必要な電力及びエネルギー削減の恩恵に預かる。
【0043】
[0056]図6は、電子デバイス製造システムにおける流体消費を削減する方法600を示すブロック図である。ブロック602において、本方法は、本明細書に記載の1又は複数の実施形態に従って、温度作動バルブを通して流体を流すことを含む。幾つかの実施形態では、流体は冷却剤である。好適な流体としては、液体水、精製された液体水、水蒸気、グリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体窒素、窒素ガス、空気、アルゴン、液体ヘリウム、ヘリウムガス、又は前述のうちのいずれか2つ以上の相溶性混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
[0057]ブロック604において、方法600は、流体の温度に基づいて温度作動バルブを開閉することを含む。実施形態によれば、流体の温度が第1の温度であるとき、温度作動バルブの少なくとも1つの温度作動部材は収縮して、少なくとも1つの温度作動部材を収縮させる。少なくとも1つの温度作動部材が収縮すると、固定部材の開口部から可動部材の開口部が少なくとも部分的に閉じられ、それによって流体の流量が減少する。幾つかの実施形態では、第1の温度は、約12℃から約40℃、又はこの範囲内の任意の個々の値又は部分範囲である。流体の温度が第2の温度になると、少なくとも1つの温度作動部材が伸長して、少なくとも1つの温度作動部材を伸長させる。少なくとも1つの温度作動部材が伸長すると、可動部材の開口部と固定部材の開口部とが少なくとも部分的に整列し、それによって流体の流量が増加する。幾つかの実施形態では、第2の温度は約40℃から約90℃、又はこの範囲内の任意の個々の値又は部分範囲である。
【0045】
[0058]幾つかの実施形態では、ブロック606において方法600は、電子デバイス製造システムにおける流体消費を削減することを含む。1又は複数の実施形態では、電子デバイス製造システムの可変温度流体ライン(例えば、冷却剤ライン)内の温度作動バルブ200、300、400、500の設置は、約10%から約50%、又はこの範囲内の任意の個々の値又は部分範囲だけ流体消費を削減し得る。幾つかの実施形態では、電子デバイス製造システムの可変温度流体ライン(例えば、冷却剤ライン)における温度作動バルブ200、300、400、500の設置は、エネルギー需要を約1%から約99%、又はこの範囲内の任意の個々の値もしくは部分範囲だけ削減し得る。幾つかの実施形態では、方法600は、第1の温度を有する液体を流すこと、温度作動バルブを閉じること、第2の温度を有する液体を流すこと、及び温度作動バルブを開くことを含む。
【0046】
[0059]本明細書全体で言及する、例えば「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態では任意の適切な方法で組み合わせることが可能である。
【0047】
[0060]本明細書で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「ロボットアーム(a robot arm)」への言及は、単一のロボットアームだけでなく、複数のロボットアームも含む。
【0048】
[0061]本明細書で使用する、測定量に関連する用語「約」は、当業者が測定を行い、測定目的及び測定機器の精度に見合った注意レベルを行使する際に予想されるその測定量における通常の変動を意味する。特定の実施形態では、用語「約」は、言及された数字の±10%を含むため、「約10」は9から11を含む。
【0049】
[0062]測定量に関連する用語「少なくとも約」は、当業者が測定を行い、測定目的及び測定機器の精度に見合った注意レベルを行使する際に予想される測定量における通常の変動、及びそれよりも大きい任意の数量を意味する。特定の実施形態では、用語「少なくとも約」は、言及された数字から10%を引いたもの、及び「少なくとも約10」が9以上を含む等、それよりも大きい任意の数量を含む。この用語は、「約10以上」と表現することもできる。同様に、用語「約~未満」は、通常、言及された数字に10%を足したもの、及び「約10未満」が11以下を含む等、それよりも小さい任意の数量を含む。この用語は、「約10以下」と表現することもできる。
【0050】
[0063]別段の指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量によるものである。重量%(wt.%)は、別段の指示がない場合、揮発物を全く含まない組成物全体、すなわち、乾燥固形分に基づいている。
【0051】
[0064]前述の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示している。本開示の範囲内に入る上記開示されたアセンブリ、装置、及び方法の修正は、当業者には容易に明らかであろう。従って、本開示は例示的な実施形態に関連して開示されているが、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の範囲内に含まれ得ることが理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】