(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】基板テーブル、リソグラフィ装置、スティッカ、カバーリング及びリソグラフィ装置を動作する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250117BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540606
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2023050502
(87)【国際公開番号】W WO2023143909
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー,ジス
(72)【発明者】
【氏名】ベレンドセン,クリスチアヌス,ウィルヘルムス,ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ペルト,ステイン
(72)【発明者】
【氏名】フェルメーレン,マルクス,マルチヌス,ペトルス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェンスベルヘン,サイモン,カレル
(72)【発明者】
【氏名】ボガート,エリック,ウィレム
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197CD02
2H197CD12
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5F131KB55
(57)【要約】
パターン形成される基板を支持するための支持面を画定する支持エリアと、支持エリアを囲む上面と、を有する、液浸リソグラフィ装置において使用するための基板テーブルである。上面は、実質的に平面である外側領域と、支持エリアに近接する遷移領域と、を備え、遷移領域は、外側領域と同一平面ではないことにより、外側領域と、支持面と外側領域によって画定される公称面との間の距離とは異なる厚さを有する非標準基板と、の間のレベル遷移を改善する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成される基板を支持するための支持面を画定する支持エリアと、前記支持エリアを囲む上面と、を有する、液浸リソグラフィ装置において使用するための基板テーブルであって、
前記上面は、実質的に平面である外側領域と、前記支持エリアに近接する遷移領域と、を備え、
前記遷移領域は、前記外側領域と同一平面ではないことにより、前記外側領域と、前記支持面と前記外側領域によって画定される公称面との間の距離とは異なる厚さを有する非標準基板と、の間のレベル遷移を改善する、基板テーブル。
【請求項2】
前記遷移領域は、前記支持エリアを囲む環状部を形成するか、又は、前記支持エリアの周囲の1つ以上の個別の領域に沿って延在する、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
前記遷移領域の最も内側の縁部は、前記支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れている、請求項1又は2に記載の基板テーブル。
【請求項4】
前記遷移領域の少なくとも一部は、前記公称面から10μmを超える距離、望ましくは20μmを超える距離にあり、及び/又は、前記遷移領域のいずれの部分も前記公称面から300μmより遠くなく、望ましくは150μmより遠くなく、さらに望ましくは50μmより遠くなく、及び/又は、前記遷移領域は、前記公称面に対して傾斜し、かつ前記外側領域に隣接する斜面領域を含み、及び/又は、前記遷移領域は、少なくとも1つの段差を含み、及び/又は、前記遷移領域は、前記外側領域から上方に突出し、又は前記遷移領域は、前記外側領域から下方に延在し、及び/又は、前記遷移領域は、前記外側領域と実質的に同一平面の表面に付着したスティッカを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記遷移領域は、前記スティッカに付着したさらなるスティッカを含む、請求項4に記載の基板テーブル。
【請求項6】
前記基板テーブルは、前記外側領域を画定する本体と、前記支持エリアを囲むカバーリングと、を備え、
前記スティッカ又は前記さらなるスティッカは、前記カバーリングと前記外側領域との間のギャップを埋め、及び/又は、
前記スティッカ又は前記さらなるスティッカは、ポリマーで作られている、請求項4又は5に記載の基板テーブル。
【請求項7】
前記基板テーブルは、前記外側領域を画定する本体と、前記支持エリアを囲むカバーリングと、を備え、
前記カバーリングは、前記遷移領域を画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項8】
前記カバーリングは、上部リング部分と下部リング部分とを備え、
前記上部リング部分は、前記遷移領域を画定し、かつ前記下部リング部分から分離可能であるか、又は、
前記カバーリングは、下部リング部分と、前記遷移領域を画定する上部リング部分と、前記公称面に対する上部リング部分の位置を変更するように構成されたアクチュエータと、を備えるか、若しくは、前記カバーリングに接続され、かつ前記遷移領域のプロファイルを選択的に変更するように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項7に記載の基板テーブル。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの形状を変更するように構成され、及び/又は、
前記アクチュエータは、前記カバーリング全体の形状を変更するように構成されるか又は前記カバーリングの形状を局所的に変更するように構成されている、請求項8に記載の基板テーブル。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの形状を、前記遷移領域が平面に一致する第1の構成と前記遷移領域が部分的に円錐面である第2の構成との間で変更するように構成されている、請求項9に記載の基板テーブル。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記カバーリングと前記基板テーブルの本体との間で作用するように構成されるか、又は、
前記アクチュエータは、前記カバーリングに統合され、かつその2つの部分の間で作用する、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの一方の部分を他方の部分に対して回転させるように構成されている、請求項11に記載の基板テーブル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の基板テーブルと、
液浸液を空間に閉じ込めるように構成された液体閉じ込めシステムと、
前記液体閉じ込めシステムに対して前記基板テーブルを位置決めするように構成された位置決めシステムと、
を備える、液浸リソグラフィ装置。
【請求項14】
液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのスティッカであって、
前記スティッカは、前記基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、
前記遷移領域は、前記基板テーブルの前記上面の外側領域と前記基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、
前記基板は、前記基板のための支持面に対する前記上面の高さよりも大きい厚さを有する、スティッカ。
【請求項15】
液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのカバーリングであって、
前記カバーリングは、前記基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、
前記遷移領域は、前記基板テーブルの前記上面の外側領域と前記基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、
前記基板は、前記基板のための支持面に対する前記上面の高さとは異なる厚さを有する、カバーリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2022年1月31日に提出された欧州出願第22154248.3号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、基板テーブル、基板テーブルを組み込んだリソグラフィ装置、基板テーブルで使用するためのスティッカ、基板テーブル用のカバーリング及びリソグラフィ装置を動作する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(しばしば「設計レイアウト」又は「設計」とも称される)を、基板(例えばウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するため、リソグラフィ装置は電磁放射を用いることができる。この放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。4nm~20nmの範囲内の波長、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するために使用することができる。
【0005】
[0005] より小さいフィーチャの解像度の向上を可能とするため、リソグラフィシステムに液浸技術が導入された。液浸リソグラフィ装置では、装置の投影システム(パターン付きビームはこれを通過して基板の方へ投影される)と基板との間の空間に、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が置かれる。液浸液は、最後に、投影システムの最終要素の下にある基板の一部を覆う。したがって、露光が行われる基板の少なくとも一部は液体に浸される。液浸液の効果は、露光放射がガス中よりも液浸液中の方が短い波長を有するので、より小さいフィーチャの結像が可能となることである。(また、液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくすること、及び焦点深度を大きくすることであるとも考えられる。)
【0006】
[0006] 市場向けの液浸リソグラフィにおいて、液浸液は水である。通常、水は、半導体製造工場で一般的に用いられる超純水(UPW)のような高純度の蒸留水である。液浸システムにおいて、UPWは精製されることが多く、液浸液として空間へ供給される前に追加の処理ステップを経る場合がある。水以外に、高い屈折率を有する他の液体を液浸液として使用できる。その例として、フッ化炭化水素のような炭化水素、及び/又は水溶液が挙げられる。更に、液浸リソグラフィで使用するため、液体以外の他の流体も想定されている。
【0007】
[0007] 本明細書における記載では、使用中に最終要素と最終要素に対向する表面との間の空間に液浸液を閉じ込める局所液浸に言及している。対向表面は、基板の表面であるか、又は基板の表面と同一平面上にある支持テーブル(又は基板サポート)の表面である。(以下の文書で基板の表面に言及する場合は、特に明記しない限り、これに加えて又はこの代わりに基板サポートの表面のことも指し、その逆もまた同様であることに留意されたい)。投影システムとステージとの間に存在する流体ハンドリング構造を用いて、液浸を空間に閉じ込める。液浸液によって充填される空間は平面視で基板の頂面よりも小さく、この空間は、下方で基板及び基板ステージが移動している間、投影システムに対して実質的に静止状態に維持される。
【0008】
[0008] 流体ハンドリング構造は、液浸液を空間に供給し、液浸液を空間から除去し、これによって液浸液を空間に閉じ込める構造である。これは、流体供給システムの一部である特徴部(feature)を含む。
図2及び
図3は、そのようなシステムで使用することができる異なる供給デバイスを示す。WO99/49504に開示された構成は、空間から浸漬液を供給又は回収し、投影システムの下のステージの相対動作に応じて動作するパイプを含む初期の流体ハンドリング構造である。より最近の設計では、流体ハンドリング構造は、投影システムの最終要素と支持テーブル又は基板との間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在し、空間を部分的に画定するようになっている。
【0009】
[0009] 流体ハンドリング構造は、選ばれた様々な機能を有することができる。各機能は、流体ハンドリング構造がその機能を達成することを可能とする対応した特徴部から得られる。流体ハンドリング構造は、例えばバリア部材、シール部材、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造等、それぞれが機能を表す多くの異なる用語によって言及されることがある。
【0010】
[0010] バリア部材としての流体ハンドリング構造は、空間からの液浸液の流れに対するバリアである。液体閉じ込め構造としての構造は、液浸液を空間に閉じ込める。シール部材としての流体ハンドリング構造の封止特徴部は、液浸液を空間に閉じ込めるシールを形成する。封止特徴部は、ガスナイフのようなシール部材の表面の開口からの追加のガス流を含み得る。
【0011】
[0011] 一連の露光中に、浸漬液の縁部が基板の縁部を繰り返し交差する。これらの縁部交差は、浸漬液のメニスカスの乱れによる、製造されたデバイスにおける欠陥の重大な原因である。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 液浸液の縁部交差に起因する欠陥を低減することが望ましい。
【0013】
[0013] 本発明の一態様によれば、パターン形成される基板を支持するための支持面を画定する支持エリアと、支持エリアを囲む上面とを有する、液浸リソグラフィ装置において使用するための基板テーブルが提供され、上面は、実質的に平面である外側領域と、支持エリアに近接する遷移領域とを備え、遷移領域は外側領域と同一平面ではないことにより、外側領域と、支持面と外側領域によって画定される公称面との間の距離とは異なる厚さを有する非標準基板との間のレベル遷移を改善する。
【0014】
[0014] 本発明の一態様によれば、上述した基板テーブルと、液浸液を空間に閉じ込めるように構成された液体閉じ込めシステムと、液体閉じ込めシステムに対して基板テーブルを位置決めするように構成された位置決めシステムと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
【0015】
[0015] 本発明の一態様によれば、液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのスティッカが提供され、このスティッカは、基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、基板のための支持面に対する上面の高さよりも大きい厚さを有する。
【0016】
[0016] 本発明の一態様によれば、液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのカバーリングが提供され、このカバーリングは、基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、基板のための支持面に対する上面の高さとは異なる厚さを有する。
【0017】
[0017] 本発明の一態様によれば、液浸リソグラフィ装置を操作する方法が提供され、この方法は、基板テーブルの上面に液浸液を提供することと、上面から基板テーブルの支持エリアで支持された基板上に移動するように液浸液を制御することとを含み、液浸液は、上面に沿って基板に向かって移動するときに遷移領域を横切って移動し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、支持エリアに対する上面の高さとは異なる厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0019】
【
図1】[0019] 本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
【
図2】[0020] リソグラフィ投影装置で使用するための液体供給システムを示す。
【
図3】[0021] 本発明を適用することができるさらなる液体供給システムを示す側断面図である。
【
図4】[0022] 本発明を適用することができるリソグラフィ装置における基板テーブルの一部を示す。
【
図5】[0023] 本発明によって対処される問題を示す従来のリソグラフィ装置の一部を概略的に示す。
【
図7】[0025] 第1のソリューションが適用されたリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図8】[0026] 第1のソリューションの第1の実際的な実施形態を含むリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図9】[0027] 第1のソリューションの第2の実際的な実施形態を含むリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図10】[0028] 第2のソリューションが適用されたリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図11】[0029] 第3のソリューションを図示するリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図12】[0030] 第3のソリューションの第1の変形を含むリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図13】[0031] 第3のソリューションの第2の変形を含むリソグラフィ装置の一部を示す。
【
図14】[0032] 第3のソリューションで使用できる代替のアクチュエータ構成を示す。
【
図15】[0032] 第3のソリューションで使用できる代替のアクチュエータ構成を示す。
【
図16】[0032] 第3のソリューションで使用できる代替のアクチュエータ構成を示す。
【
図17】[0033] 液体閉じ込めシステムに対する基板の動きを示す。
【
図18A】[0034] 下降位置における第4のソリューションによるカバーリングの断面を示す。
【
図18B】[0034] 上昇位置における第4のソリューションによるカバーリングの断面を示す。
【
図19A】[0035] 第4のソリューションの変形によるカバーリングの一部を示す。
【
図19B】[0035] 第4のソリューションの変形によるカバーリングの一部を示す。
【
図19C】[0035] 第4のソリューションの変形によるカバーリングの一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0036] 本文書において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含するため使用される。
【0021】
[0037] 本文で採用されている「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッド等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例には、以下が含まれる。
‐プログラマブルミラーアレイ。そのようなミラーアレイに関するさらなる情報が、米国特許第5,296,891号及び米国特許第5,523,193号に与えられており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
‐プログラマブルLCDアレイ。そのような構造の一例が、米国特許第5,229,872号に与えられており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
[0038]
図1はリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は以下のものを備えている。
‐任意選択として、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)IL
‐パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MT
‐例えば、1つ以上のセンサを支持するセンサテーブル、又は基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築された支持テーブルWTのような、特定のパラメータに従って例えば基板W等のテーブルの表面を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された支持テーブル
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PS
【0023】
[0039]
図1を参照すると、動作中、照明システムILは、放射源SOからの放射ビーム又は放射を、例えばビームデリバリシステムBDを介して受光する。照明システムILとしては、放射を誘導し、整形し、かつ/又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを用いて、パターニングデバイスMAの面において放射ビームBが断面内に所望の空間及び角度の強度分布を有するように調整することができる。
【0024】
[0040] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、及び/又は液浸液の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型、及び/又は静電型光学系、又はそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0025】
[0041] リソグラフィ装置は、例えば2つ以上の支持テーブル、又は1つ以上の支持テーブルと1つ以上の洗浄テーブル、センサテーブル、若しくは測定テーブルとの組み合わせのように、2つ以上の支持テーブルを有するタイプとすることができる。例えばリソグラフィ装置は、投影システムの露光側に位置付けられた2つ以上のテーブルを備えるマルチステージ装置であり、各テーブルが1つ以上の物体を備えている及び/又は保持している。一例において、テーブルのうち1つ以上は、放射感応性基板を保持することができる。一例において、テーブルのうち1つ以上は、投影システムからの放射を測定するセンサを保持することができる。一例において、マルチステージ装置は、放射感応性基板を保持するように構成された第1のテーブル(すなわち支持テーブル)と、放射感応性基板を保持するように構成されていない第2のテーブル(以降、限定ではないが一般に、測定テーブル、センサテーブル、及び/又は洗浄テーブルと呼ぶ)とを備える。第2のテーブルは、放射感応性基板以外の1つ以上の物体を備える及び/又は保持することができる。このような1つ以上の物体には、投影システムからの放射を測定するセンサ、1つ以上のアライメントマーク、及び/又は(例えば液体閉じ込め構造を洗浄する)洗浄デバイスから選択された1つ以上のものが含まれ得る。
【0026】
[0042] 動作中、放射ビームBは、支持構造MT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は容量センサ)を用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、支持テーブルWを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサ(
図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1,M2及び基板アライメントマークP1,P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークM1,M2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分C間の空間に位置付けることも可能である(スクライブラインアライメントマークとして既知である)。
【0027】
[0043]
図2は、局所液体供給システム又は流体ハンドリングシステムを概略的に示す。液体供給システムには、投影システムPSの最終要素と支持テーブルWT又は基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在する流体ハンドリング構造IH(又は液体閉じ込め構造)が設けられている。流体ハンドリング構造IHは、XY面内で投影システムPSに対して実質的に静止状態であるが、Z方向(光軸の方向)では、ある程度の相対的な移動が生じ得る。一例においては、流体ハンドリング構造IHと基板Wの表面との間にシールが形成され、これは、ガスシール(ガスシールを有するそのようなシステムは欧州特許第1,420,298号に開示されている)又は液体シールのような非接触シールであってもよい。
【0028】
[0044] 流体ハンドリング構造IHは、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11内に少なくとも部分的に液浸液を閉じ込める。空間11は、投影システムPSの最終要素の下方で最終要素を取り囲むように位置決めされた流体ハンドリング構造IHによって少なくとも部分的に形成される。液浸液は、液体開口13のうちの1つによって、投影システムPSの下方の流体ハンドリング構造IH内の空間11に導入される。液浸液は、液体開口13のうち別のものによって除去することも可能である。液浸液は、少なくとも2つの液体開口13を介して空間11内に導入してもよい。液浸液を供給するため液体開口13のうちどれを使用するか、また任意選択的に液浸液を除去するため液体開口13のうちどれを使用するかは、支持テーブルWTの動作方向に依存し得る。
【0029】
[0045] 使用中に流体ハンドリング構造IHの底部と基板Wの表面との間に形成されるガスによって形成されたガスシール16等の非接触シールにより、液浸液を空間11に閉じ込めることができる。ガスシール16内のガスは、圧力下でインレット15を通って流体ハンドリング構造IHと基板Wとの間のギャップに提供される。ガスはアウトレット14を介して抜き取られる。ガスインレット15の過圧、アウトレット14の真空レベル、及びギャップのジオメトリは、液浸液を閉じ込める内側への高速ガス流が生じるように構成されている。そのようなシステムが、米国特許第2004/0207824号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一例において、流体ハンドリング構造IHはガスシール16を持たない。
【0030】
[0046]
図3は、一実施形態によるさらなる液体供給システム又は流体ハンドリングシステムを示す側断面図である。
図3に示すと共に以下で説明する構成は、上述し
図1に示したリソグラフィ装置に適用することができる。液体供給システムには、投影システムPSの最終要素と支持テーブルWT又は基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在する流体ハンドリング構造IH(又は液体閉じ込め構造)が設けられている。
【0031】
[0047] 流体ハンドリング構造IHは、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11内に少なくとも部分的に液浸液を閉じ込める。空間11は、投影システムPSの最終要素の下方で最終要素を取り囲むように位置決めされた流体ハンドリング構造IHによって少なくとも部分的に形成される。一例において、流体ハンドリング構造IHは本体部材53及び多孔性部材33を備えている。多孔性部材33は板状であり、複数の孔(すなわち開口又は細孔)を有する。一例において、多孔性部材33はメッシュプレートであり、多数の小さい孔84がメッシュ状に形成されている。このようなシステムは、米国特許第2010/0045949A1号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
[0048] 本体部材53は、空間11に液浸液を供給することができる供給ポート72と、空間11から液浸液を回収することができる回収ポート73と、を備えている。供給ポート72は、通路74を介して液体供給装置75に接続されている。液体供給装置75は、対応する通路74を介して液浸液を供給ポート72に供給することができる。回収ポート73は、空間11から液浸液を回収することができる。回収ポート73は、通路79を介して液体回収装置80に接続されている。液体回収装置80は、回収ポート73を介して回収された液浸液を、通路29を通して回収する。多孔性部材33は回収ポート73に配置されている。供給ポート72を用いて液体供給動作を実行し、多孔性部材33を用いて液体回収動作を実行することで、一方側で投影システムPSと流体ハンドリング構造IHとの間に、他方側で基板Wとの間に空間11が形成される。
【0033】
[0049]
図4は、本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置の一部を示す。
図4に示すと共に以下で説明する構成は、
図1に示す上記のリソグラフィ装置に適用することができる。
図4は、基板WT及び基板Wの断面である。基板Wの縁部と基板テーブルWTの縁部との間にギャップ5が存在する。基板Wの縁部が結像される場合又は基板Wが投影システムPSの下に最初に移動した場合などの別のとき(上記したように)、(例えば)液体閉じ込め構造IHによって液体で満たされた液浸空間11は、基板Wの縁部と基板テーブルWTの縁部との間のギャップ5の上を少なくとも部分的に通過する。これによって液浸空間11からの液体がギャップ5に浸入する可能性がある。
【0034】
[0050] 基板Wは、1つ以上の突出部32(すなわち、バール)を含む支持体30(例えば、ピンプル又はバールテーブル)によって保持される。支持体30は、物体ホルダの一例である。物体ホルダの別の例はマスクホルダである。基板Wと基板テーブルWTとの間に加えられる負圧は、基板Wが適切な位置にしっかりと保持されることを確実にする。しかしながら、液浸液が基板Wと支持体30との間に入る場合、特に基板Wをアンロードするときに問題を引き起こす可能性がある。
【0035】
[0051] 液浸液がギャップ5に浸入することに対処するために、少なくとも1つのドレイン10,20を基板Wの縁部に設けて、ギャップ5に浸入する液浸液を取り除く。
図4の実施形態では、2つのドレイン10,20が示されているが、ドレインは1つだけであっても3つ以上のドレインがあってもよい。ある実施形態では、ドレイン10,20のそれぞれは、基板Wの全周囲を取り囲むように環状である。
【0036】
[0052] (基板W/支持体30の縁部より半径方向外側の)第1のドレイン10の主な機能は、液体閉じ込め構造IHの液体が存在する液浸空間11にガス気泡が入ることを防止するのに役立つことである。そのような気泡は、基板Wの結像に有害な影響をもたらす可能性がある。第1のドレイン10は、ギャップ5内のガスが液体閉じ込め構造IH内の液浸空間11に逃げ込むことを回避するのに役立つために存在する。ガスが液浸空間11に逃げ込む場合、これによって液浸空間11内に泡が浮く可能性がある。投影ビームの経路内にそのような泡がある場合、結像エラーを引き起こす可能性がある。第1のドレイン10は、基板Wの縁部と基板Wが配置された基板テーブルWT内の凹部の縁部との間のギャップ5からガスを取り除くように構成される。基板テーブルWT内の凹部の縁部は、基板テーブルWTの支持体30から任意選択的に離れたカバーリング130によって画定することができる。カバーリング130は、平面視でリング形状とすることができ、基板Wの外縁を取り囲む。第1のドレイン10に抽出されるのは、大部分がガスであり、液浸液はごく少量にすぎない。
【0037】
[0053] (基板W/支持体30の縁部より半径方向内側の)第2のドレイン20は、ギャップ5から基板Wの下にその道を見つける液体が、結像後の基板Wの基板テーブルWTからの効率的な解放を妨げることを防止するのに役立つように設けられる。第2のドレイン20を設けることは、基板Wの下にその道を見つける液体に起因して生じ得るあらゆる問題を軽減又は除去する。
【0038】
[0054]
図4に示すように、ある実施形態では、リソグラフィ装置は二相流が通過するためのチャネル46を備える。チャネル46はブロック内に形成される。第1及び第2のドレイン10,20には、それぞれ開口42,22及びチャネル46,26が設けられる。チャネル46,26は、それぞれ通路44,24を通じて開口42,22と流体連通する。
【0039】
[0055]
図4に示すように、カバーリング130は上面60を有する。上面60は、支持体30上の基板Wの周りに円周方向に延在する。リソグラフィ装置の使用時、液体閉じ込め構造IHは、基板テーブルWTに対して移動する。この相対移動中、液体閉じ込め構造IHは、カバーリング130と基板Wとの間のギャップ5を横切って移動する。ある実施形態では、相対移動は、基板テーブルWTが液体閉じ込め構造IH下を移動することによってもたらされる。代替的な実施形態では、相対移動は、液体閉じ込め構造IHが基板テーブルWT上を移動することによってもたらされる。さらなる代替的な実施形態では、相対移動は、基板テーブルWTが液体閉じ込め構造IH下を移動すること、及び液体閉じ込め構造IHが基板WT上を移動することの両方によってもたらされる。以下の説明では、液体閉じ込め構造IHの移動は、基板テーブルWTに対する液体閉じ込め構造IHの相対移動を意味するのに使用される。
【0040】
[0056]
図5は、リソグラフィ装置の一部、具体的には基板Wの縁部付近の液体閉じ込め構造IH及び基板テーブルWTの拡大図である。上述のように、カバーリング130は、基板Wを直接囲む上面60を提供する。通常、この上面60は、基板Wが標準の厚さ、例えば775μmである場合、基板Wと同一平面である。カバーリング130の周囲には、本明細書ではエンコーダブロック140と呼ばれる本体があり、この本体は、投影システムPSによって投影された画像に基板テーブルWTを位置合わせし、かつ基板Wを基板テーブルWTに位置合わせするために使用される透過画像センサ(TIS)などのさまざまなセンサ及びフィデューシャル(基準マーク)を支持する。エンコーダブロック140は、基板テーブルWTの主要部分を形成し、支持体30の下に延在して支持体30を支持することができる。エンコーダブロック140は、Zerodur
TM又はCordieriteなどの高剛性かつ低熱膨張係数の材料で作られることが望ましい。エンコーダブロック140とカバーリング130との間のギャップを覆い、浸漬液がギャップに入り込むのを防ぐためのスティッカ150が設けられる。スティッカ150はフィルム又は箔と呼ばれ、例えばステンレス鋼で作られてもよく、残留性が低い接着剤によりカバーリング130及びエンコーダブロック140に固定される。スティッカ150は、ガラス、金属、プラスチック、又はその他の非反応性材料から形成されてもよい。スティッカ150は、接着剤、薄膜液体又は真空による吸引によって固定することができる。
【0041】
[0057] 液浸リソグラフィ装置を使用して、リソグラフィ装置が定義する公称厚さよりも大きい又は小さい厚さを有する基板Wをパターン形成する場合、基板Wの頂部とカバーリング130の頂部との間に高さの差△hが生じる。ウェーハが厚い場合を
図6に示す。これは
図5の一部をさらに拡大したものである。この図及び後続の図は実際の縮尺ではなく、分かりやすくするために特定の垂直寸法を誇張していることに留意されたい。厚い基板をパターン形成することが望ましい状況の1つは、例えば3次元メモリ構造の製造である。3D-NANDでは、基板上に構築された構造によって基板の厚さが大幅に増加することがあり、例えば、30μm以上になり、これは基板の厚さの通常の許容範囲を超える。標準よりも薄い基板をパターン形成することが望ましい場合もあり、その結果、基板Wの頂部とカバーリング130の頂部との間に高さの差が生じることもある。
【0042】
[0058] 本発明者らは、基板Wの頂部とカバーリング130の頂部(又は基板Wの縁部に隣接する同等の表面)との間に高さの差(いずれの方向でも)が存在すると、リソグラフィ装置の性能に悪影響を与える可能性があると判断した。例えば、このような高さの差は、浸漬液が基板Wの縁部をいずれかの方向に横切って移動するときに、浸漬液のメニスカスを乱す可能性がある。浸漬液のメニスカスが乱れると、浸漬液中に気泡が発生したり、及び/又は浸漬液から液滴が分離して基板W又はカバーリング130上に残ったりする恐れがある。気泡と液滴は両方とも、液浸リソグラフィ装置の欠陥の原因として知られている。
【0043】
[0059] 基板テーブルWTの上面に、基板Wが保持された支持エリアに近接して遷移領域135を設けることが提案され、遷移領域135は、基板テーブルWTの上面の外側領域と(少なくとも部分的に)同一平面上になく、外側領域と非標準基板との間のレベル遷移を改善する。遷移領域135の効果は、レベル遷移を急激ではなく緩やかにすること、レベル遷移を2つ以上の小さな遷移に分割すること、遷移を基板Wの縁部からさらに遠ざけること、又はこれらの効果の2つ以上の組み合わせである可能性がある。段階的なレベル遷移や2つ以上の小さな遷移では、単一の大きな遷移よりもメニスカスが乱れる可能性が低くなり得る。遷移を基板Wの縁部から遠ざけることは、メニスカスのあらゆる乱れによってパターン形成された基板に欠陥が発生する可能性が低くなることを意味してもよい。遷移領域は基板の縁部に近い方が望ましく、それにより、液浸液のメニスカスがギャップによって乱されることがなくなる。具体的には、遷移領域の最も内側の縁部が、支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れていることが望ましい。
【0044】
[0060] 遷移領域の最高点の高さ又は最低点の深さは、基板の予想される厚さの変化に依存する。しかしながら、遷移領域の少なくとも一部は、公称面から10μmを超える距離、望ましくは20μmを超える距離にあることが望ましい。遷移領域のいずれの部分も公称面から300μmより遠くなく、望ましくは150μmより遠くなく、さらに望ましくは50μmより遠くないことが望ましい。
【0045】
[0061] したがって、レベル遷移の改善を実現するための手段として、遷移領域135には、傾斜面又は曲面、及び/又は1つ以上の段差が含まれる場合がある。
【0046】
[0062]
図7に示すように、遷移領域135の一例は、基板Wのための支持エリアの縁部に隣接する上面の領域であり、基板テーブルWTの外側領域(ここではエンコーダブロック140の上面によって具体化される)と同一平面上になく、それによって、基板Wの上面と遷移領域135の最高点との間のレベル差△h’が、基板Wの上面と基板テーブルWTの上面の外側領域によって画定される公称面との間のレベル差△hよりも小さい。
【0047】
[0063] 遷移領域135の実際の実施には、さまざまな手法が可能である。第1の手法は
図8に示されており、カバーリング130の内周からエンコーダブロック140まで延在し、カバーリング130とエンコーダブロック140との間のギャップを覆うテーパスティッカ151を示す。したがって、テーパスティッカ151は、従来の構成のスティッカ150を置き換えることができる。テーパスティッカ151はポリマーで形成され、レーザーアブレーションを使用して所望の厚さプロファイルに成形されてもよい。ステンレス鋼を含む他の材料も可能である。テーパスティッカ151は、内縁からの距離に応じて厚さが直線的に変化するものとして示されているが、いくつかの浅い段差がある階段のようなプロファイルなどを含む他のプロファイルも可能である。望ましくは、テーパスティッカ151は、その内縁から外向きに単調に減少する厚さを有する。
【0048】
[0064] 遷移領域135を実際に実施するための第2の手法を
図9に示す。この構成では、遷移領域135は、異なる形状を有し、互いに積み重ねられた複数のスティッカ、例えば第1のスティッカ152a及び第2のスティッカ152bを含む多層スティッカ152によって画定される。スティッカは2枚以上使用することができる。
図8の構成と同様に、多層スティッカ152は、カバーリング130の内周からエンコーダブロック140まで延在しており、カバーリング130とエンコーダブロック140との間のギャップを覆っている。したがって、従来の構成では、多層スティッカ152は、スティッカ150に代わることができる。
図9は、スティッカが上に向かってサイズが大きくなるように(つまり、一番小さいスティッカが一番下になるように)積み重ねられているスティッカを示す。この構成では、(1枚以上の)より大きいスティッカが、その下の(1枚以上の)より小さいスティッカの外縁によって形成される(1つ以上の)段差を滑らかにする。スティッカを積み重ねる際に、上に向かってサイズが小さくなるようにすることも可能である。これは、段差は急になることを示すが、浸漬液が浸透する可能性のある空隙が生じるのを防ぐことができる。さらに別の方法としては、サイズが小さくなるスティッカを積み重ね、一番大きなスティッカを上にして、下のスティッカによって形成される段差を滑らかにするという方法がある。
【0049】
[0065] 多層スティッカ152は、高さのプロファイルが変化するスティッカを作成することが難しい可能性がある、例えばステンレス鋼などのスティッカ材料の使用を可能にする点で有利である。改善すべきレベル差が非常に大きい場合にも有利となる可能性がある。もちろん
図8及び
図9の構成の概念を組み合わせることも可能であり、つまり、高さのプロファイルが変化するスティッカで形成された多層スティッカを有することが可能である。例えば、多層スティッカを構成するスティッカの縁部は、例えば60°で面取りされてベベルを形成してもよい。
【0050】
[0066] スティッカを使用するソリューションは、カバーリング130又はエンコーダブロック140を変更する必要がないという利点がある。したがって、スティッカベースのソリューションは、現場の既存の装置を改良することができる。製造するデバイスのレシピに応じてスティッカの高さを選択できる。リソグラフィ装置が、十分な期間にわたって非標準の厚さの基板のパターン形成専用となる場合、適切な厚さのスティッカを取り付けたり、又は交換したりすることが経済的となり得る。残留物の少ない接着剤を使用してスティッカを適切な位置に固定することで、スティッカの取り付けや交換に必要なダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0051】
[0067] 本発明で使用されるスティッカは、従来よりもカバーリング130の内縁により近くに延在することが望ましい。従来のスティッカは、適切な接着を可能にするためにカバーリング130を十分に覆うだけである。本発明で使用されるスティッカは、カバーリング130の内縁まで延在することが望ましい。本発明で使用されるスティッカは、その内縁が、支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れるように延在してもよい。
【0052】
[0068]
図10は、基板Wの縁部における過度のレベル遷移の問題に対する第2のソリューションに従ったリソグラフィ装置の一部を示す。
図10に示すように、カバーリング130は、基板テーブルWTの上面の外側領域(例えば、エンコーダブロック140によって画定される)間のレベル差△hが2つ以上のより小さなレベル差△h1及び△h2に分割されるような深さ及び/又は位置を有する。例えば、基板Wの頂面とカバーリング130の上面60との間に第1のレベル差△h1が定義され、カバーリング130の上面60とエンコーダブロック140の頂面との間に第2のレベル差△h2が定義される。総レベル差△hを△hlと△h2との間で分割する比率は、特定のアプリケーションに合わせて選択できる。一般的に、△hl及び△h2はほぼ同じであるか、又は△hlが△h2より小さいことが望ましい。遷移領域135は、カバーリング130の上面60が基板Wの頂面及びエンコーダブロック140の頂面のレベルの中間のレベルを有するという事実により形成される。
【0053】
[0069] カバーリング130の深さ(厚さ)は製造時に容易に決定することができる。わずかに厚いカバーリング130を作るのは、標準の厚さのカバーリングを作るのと同じくらい難しいことではない。カバーリング130の垂直位置は、支持体30に設けられたバール(図示せず)によって、又はカバーリング130と支持体30との間に適切なスペーサを設けることによって決定することができる。
【0054】
[0070] 第2のソリューションの変形では、カバーリング130は、水平面によって分離された2つの部分で作られる。上部又は下部のいずれかのバージョンを異なる厚さで作成し、パターン形成される基板Wの厚さに合わせて交換することができる。カバーリング130の2つの部分は、例えば磁石又は機械的なインターロックによって一緒に保持されてもよい。
【0055】
[0071] 第2のソリューションでは、カバーリング130とエンコーダブロック140との間にスティッカ150を依然として使用して、浸漬液がカバーリング130とエンコーダブロック140との間のギャップに入るのを防ぐことができる。スティッカ150は、エンコーダブロック140と基板Wとの間のレベル遷移をさらに改善するための第1のソリューションに従ったスティッカであってもよい。
【0056】
[0072] カバーリング130はスティッカよりも実質的なコンポーネントであるため、異なる厚さの基板Wに適合するカバーリングの製造は、異なるスティッカを製造するよりも高価になるが、カバーリングは、交換に過度のダウンタイムを必要としない現場交換可能なコンポーネントでもある。したがって、装置が長期間にわたって非標準の厚さの基板をパターン形成する予定である場合は、適切なカバーリングを取り付けたり又は交換したりすることができる。
【0057】
[0073] 第2のソリューションは、カバーリング130を簡単に薄くすることができるため、基板Wが標準よりも薄い場合に特に有用である。基板Wが標準よりも薄い場合、第1のソリューションのスティッカとは対照的に、内周からの距離に応じて厚さが増加する可変厚さのスティッカと、より薄いカバーリング130を組み合わせることができる。
【0058】
[0074] 第3のソリューションを
図11に示す。第3のソリューションによると、カバーリング131にアクチュエータ133が設けられ、それにより、その上面60の形状を変化させて遷移領域135を形成することができる。コントローラ(図示せず)がアクチュエータ133を制御する。カバーリング131は、図に一点鎖線で示されるデフォルト構成を有し、ここではカバーリング131の上面は、エンコーダブロック140の上面及び標準厚さの基板と同一平面上にある。アクチュエータ133は、カバーリング131をピボット132を中心に選択的に回転させて、エンコーダブロック140と非標準の厚さの基板との間に遷移領域135を形成する。図では、カバーリング131がより厚い基板Wに適応するために回転している様子を示しているが、カバーリング131は、反対方向に回転してより薄い基板Wに適応することも容易にできる。
【0059】
[0075] 作動されたカバーリング131の幅は10mm以上であり、適応すべきレベル差は100μm未満である可能性が高いため、小さな傾斜のみが必要である。カバーリング131は環状であるため、カバーリング131を傾斜させると、カバーリング131が歪み、その上面60が部分円錐面の形状になることが理解されるであろう。必要な傾斜が小さいため、カバーリング131がタングステン、ステンレス鋼又はSiSiCなどの比較的硬い材料で作られていても、カバーリング131を歪ませることが可能である。アクチュエータ133は、例えば圧電デバイス、空気圧デバイス又はソレノイドであってもよい。
【0060】
[0076] 第3のソリューションでは、カバーリング131とエンコーダブロック140との間のギャップに浸漬液が入るのを防ぐために、カバーリング131とエンコーダブロック140との間のスティッカ150を依然として使用することができる。標準スティッカ150は、作動されたカバーリング131の動きに適応できる十分な柔軟性を有している。
【0061】
[0077] 第3のソリューションは、装置を開けることなく、短時間で、カバーリング131をパターン形成する基板に合わせて所望の構成に切り替えることができるという利点がある。したがって、第3のソリューションは、異なる厚さの基板のより小さなバッチをパターン形成する場合に特に適用できる。
【0062】
[0078]
図12は、第3のソリューションの第1の変形を示す。この構成では、カバーリング131には、基板Wの半径方向に間隔をあけて配置された2つのアクチュエータ133a及び133bが設けられている。コントローラ(図示せず)がアクチュエータ133a,133bを制御する。2つの離間したアクチュエータ133a,133bを使用することで、遷移領域135の高さと角度の両方を制御できるようになり、異なる厚さの基板に適応する際により大きな柔軟性を提供する。リソグラファーは、実行されるレシピに最適な(1つ以上の)レベル段差と傾斜遷移領域135との組み合わせを選択できるようになる。
【0063】
[0079]
図13は、第3のソリューションの第2の変形を示す。この構成では、作動されたカバーリング131には、リングの周囲に円周方向に間隔を置いて配置された複数のアクチュエータユニット133-1~133-3が設けられている。コントローラ(図示せず)が、アクチュエータユニット133-1~133-3を制御する。アクチュエータユニット133-1~133-3のそれぞれは、
図11に示すように単一のアクチュエータである場合もあれば、又は
図12に示すように一対のアクチュエータ133a,133bである場合もある。カバーリング131の周囲に間隔を置いて配置された複数のアクチュエータユニット133の使用により、遷移領域135のプロファイルを局所的に制御できるため、例えば、カバーリング131の大部分は平坦であるが、液体閉じ込め構造IHがカバーリング131を交差する場所と時間にのみ、カバーリング131が移動又は変形されて遷移領域135が形成される。カバーリング131の局所歪みは、カバーリング131にかかる応力とアクチュエータユニット133の電力消費を低減させることができる。
【0064】
[0080]
図17は、基板W及びギャップ5に対する液体閉じ込め構造IHの異なる時点における様々な位置を平面図で示す。特に、
図17は、液体閉じ込め構造IHが基板Wの縁部の周囲のギャップ5を交差する瞬間の概略図である。
図17は、液体閉じ込め構造IHの交差を示しており、その結果、交差中のある時点で、浸漬空間11の後縁にあるメニスカス17がギャップ5とほぼ平行になる。メニスカス17は、特にギャップ5自体が基板Wの周りで実質的に円周状に広がっているため、ギャップ5と正確に平行ではない場合がある。しかしながら、
図17に示すように、メニスカス17はギャップ5と実質的に平行である。したがって、これらの交差は、液体閉じ込め構造IHとギャップ5との間の平行交差と呼ばれることもある。平行交差では基板W上に水滴が付着する可能性が高くなり、その結果、平行交差の位置の近傍に欠陥が発生する可能性が高くなることが知られている。
【0065】
[0081] したがって、第3のソリューションの第2の変形では、アクチュエータユニット133は、平行交差の近傍にのみ配置され、及び/又は平行交差が発生したときにのみ活性化されて遷移領域135を形成することができる。同様に、上記の静的ソリューションでは、スティッカ150及び/又はカバーリング131のプロファイルは、円周方向に変化してもよく、それにより、メニスカス17の乱れが最も発生しやすい及び/又は欠陥につながる領域にのみ遷移領域135が提供される。
【0066】
[0082]
図14は、第3のソリューションの任意の実施形態で使用できる代替のアクチュエータ構成を示す。
図14に示すように、作動されたカバーリング131は、その内周からカバーリング131内に延在するスリット131cによって第1のセクション131aと第2のセクション131bとに分割されている。(1つ以上の)アクチュエータユニット133は、第1のセクション131aと第2のセクション131bとの間で作用するようにスリット131cに配置される。コントローラ(図示せず)が、(1つ以上の)アクチュエータユニット133を制御する。可撓性膜134がスリット131cを閉じて、浸漬液の浸入を防ぐ。カバーリング131の第2のセクション131bは、マウント136を介して支持体30に取り付けられる。この構成により、作動されたカバーリング131を従来のカバーリングのドロップイン交換品として構築することができ、支持体30の機械的な変更を必要としない。
【0067】
[0083]
図15は、第3のソリューションの任意の実施形態で使用できる別の代替のアクチュエータ構成を示す。
図15に示すように、作動されたカバーリング131は、その内周からカバーリング131内に延在するスリット131cによって第1のセクション131aと第2のセクション131bとに分割されている。第2のセクション131b自体は、接合部131b3で結合された2つの細長いアーム131b1と131b2とに分割されている。アクチュエータ133は、細長いアーム131b1と細長いアーム131b2との間に配置され、それらを分離する働きをする。コントローラ(図示せず)が、アクチュエータ133を制御する。アクチュエータ133が作動すると、細長いアーム131b1及び131b2が強制的に離れ、接合部131b3が曲がり、それにより、第1の部分131aが所望の角度まで回転する。細長いアーム131b1及び131b2を長くし、接合部131b3を細くすることにより、作動されたカバーリング131の上面60の所望の傾斜を低力アクチュエータで実現することができる。
【0068】
[0084]
図16は、第3のソリューションの任意の実施形態で使用できる別の代替アクチュエータ構成を示す。アクチュエータ133は、プッシュプルアクチュエータ(すなわち、一方向にのみ力を加えるアクチュエータではなく、両方向に制御可能な力を加えるアクチュエータ)であってもよい。アクチュエータ133は、支持体30に埋め込まれ、垂直力を減少させるためのヒンジが設けられてもよい。アクチュエータ133は、カバーリング131に直線力又はトルクを加えるように構成できる。ピボット132とアクチュエータ131との間の間隔は、アクチュエータ133によって加えることができる力及び遷移領域135の所望の形状に必要なトルクに応じて選択できる。
【0069】
[0085] 第4のソリューションが
図18a及びbに示されている。第4のソリューションでは、カバーリング130は、パターン形成する基板の厚さに応じてその上面を選択的に上昇及び下降させるように作動される。
【0070】
[0086]
図18a及びbに示すように、カバーリング130は、その上面162に埋め込まれたリング要素160を備える。リング要素160は、圧電材料、磁歪材料又は電歪材料を含む変形可能な要素である。第1のモードでは、
図18aに示すように、リング要素の上面161がカバーリング130の上面162と同一平面上に配置される。第2のモードでは、リング要素160が「活性化」され(例えば、電圧、磁場又は電場を印加することによって)、それによって要素上面161が上面162に対して上昇し(
図18bを参照)、遷移領域が形成される。活性化の量によって、要素160の高さを所望のレベルに制御することができ、例えば、基板Wの頂面と同一平面になるように又は基板Wの頂面と基板テーブルWTの外側領域の頂面との中間のレベルになるように制御することができる。コントローラ(図示せず)が、リング要素160の活性化を制御する。カバーリング130は、導電性リード線を備え、(局所的に)リング要素160に電圧又は電流を提供して活性化を開始しかつ活性化の量(上面162の高さレベル)を制御することができる。
【0071】
[0087] リング要素160とカバーリング130との間のギャップを(部分的に)埋めるために、変形可能な充填材料を設けることができる。箔、例えばスティッカ150を、リング要素160の上面161及びカバーリング130の上面162の少なくとも一部を覆う上面に設けて、それによってギャップを覆うことができる。
図18a及び18Bの構成は、リング要素160が底部にあって、作動時に支持体、例えば支持体30を押してカバーリング130を上昇させるように反転できることが理解されるであろう。
【0072】
[0088] 第4のソリューションの変形が
図19a~cに示されている。この構成によると、カバーリング130は、第1の(又は下部)リング171及び第2の(又は上部)リング170を備える。第2のリング170は、第1のリング171に対して同軸的に移動するように配置される。すなわち、第2のリング170は、スライド構造172、例えば、1つ以上のねじ又はカム面によって、共通軸(図示せず)を中心に回転することができる。この回転運動により、第2のリング170は上方に移動する。これにより、第2のリング170の上面162のレベルを制御して遷移領域を形成することができる。したがって、上面162は、例えば基板Wの頂面と同一平面になるように又は基板Wの頂面と基板テーブルWTの外側領域の頂面との中間のレベルになるように、所望のレベルに制御することができる。
【0073】
[0089] コントローラ(図には示されていない)を使用して、第2のリング170の位置を設定できる。コントローラは、例えば、第1のリング171に対する第2のリング170の回転運動を開始し、これにより上面162を上昇させる電気モータ(図示せず)を制御することができる。第2のリング170を回転させるデバイスは、超音波モータ、ピエゾアクチュエータ又は油圧アクチュエータであってもよい。
【0074】
[0090]
図19a~cの構成は、例えば、ねじ又はカム面が設けられた下部リング171の上面に1つ以上のチャネルを設け、かつ上部リング170の下面に対応する突起(例えばフランジ又はピン)を設けることによって変更できることが理解されるであろう。基板Wのロード及びアンロード時に基板Wを上昇及び下降させるために使用されるeピン機構と同様の機構も使用することができる。
【0075】
[0091] 本発明の作動されたソリューション、例えば、上記の第3及び第4のソリューションは、遷移領域135の上面を、ある範囲の位置及び/又は傾斜にわたって連続的に、又は予め設定された位置及び/又は傾斜のセットのうちの選択された1つに位置決めすることができることが理解されるであろう。遷移領域135の位置及び/又は傾斜は、基板のバッチに適用されるレシピに基づいて事前に決定されてもよい。遷移領域135の位置及び/又は傾斜は、例えば露光前にリソグラフィ装置で実行されるキャラクタリゼーションプロセスにおいて、特定の基板上で行われる測定に基づいて基板ごとに決定されてもよい。例えば、レベルセンサ(図には示されていない)は、遷移領域135に対して適切な位置又は傾斜を設定するために、基板テーブルWTの頂面の外側領域に対する基板Wのレベル又は基板Wの縁部領域のレベルを決定するために使用することができる。
【0076】
[0092] 本発明の作動されたソリューションでは、遷移領域135に対する位置又は傾斜は、露光が始まる前の適切な時点で設定され、1つ以上の基板の露光が完了するまで一定に維持することができる。あるいは、露光プロセス中に作動を変更して、例えば、基板縁部の一部又は全部の交差中にのみ遷移領域135を設定することもできる。
【0077】
[0093] カバーリングが遷移領域135を形成する本発明のソリューションでは、カバーリングの特殊な形状によって又はカバーリングの作動によってかにかかわらず、カバーリングの内縁、又は遷移領域135を形成するカバーリングの一部が、支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れていることが望ましい。
【0078】
[0094] したがって、本発明は、液浸リソグラフィ装置を使用して、基板のベース厚さ又は基板上に形成された構造の違いから変動が生じるかどうかにかかわらず、可能であったよりも広い範囲の厚さを有する基板を露光することを可能にする。これは、現場交換可能コンポーネントを基板のバッチ間で交換するか又は作動されたソリューションを使用することによって実現できる。既存の液浸リソグラフィ装置を改良して、本来露光する予定の基板とは異なる公称厚さの基板を露光することができる。基板テーブルWTの他のコンポーネント(例えば、エンコーダブロック140)を再設計して上面全体を異なるレベルに配置する必要なく、非標準の厚さの基板を露光するための新しい液浸リソグラフィ装置を構築できる。例えば、エンコーダブロック140は、厳密な製造仕様を有する複雑なコンポーネントであるため、これを再設計するにはかなりの作業量となる。異なる基板の厚さのために最適化された液浸リソグラフィ装置において同じエンコーダブロック140を使用できることも有利である。
【0079】
[0095] 本発明のいくつかの実施形態では、特定のコンポーネントの形状及び構成が重要である。したがって、本発明は、コンポーネントのデジタル表現と、付加製造デバイス又はレーザーアブレーションデバイスなどの除去製造デバイスなどといったコンピュータ支援製造機械を制御して、データがコンピュータ支援製造機械に中継されたときに製品のデジタル表現を使用して製品を作るように適合された操作命令と、の両方を定義するデータを格納するコンピュータ読み取り可能媒体において具体化することができる。
【0080】
[0096] 理解されるように、上述の特徴のいずれも他の特徴とともに使用することができ、本出願に包含されるのは明示的に説明した組み合わせだけではない。
【0081】
[0097] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といったマイクロスケール又はさらにはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造における他の用途を有し得ることが理解されるべきである。
【0082】
[0098] 本発明の例示的実施形態を、以下の番号付けした条項に記載する。
1. パターン形成される基板を支持するための支持面を画定する支持エリアと、支持エリアを囲む上面とを有する、液浸リソグラフィ装置において使用するための基板テーブルであって、上面は、実質的に平面である外側領域と、支持エリアに近接する遷移領域とを備え、遷移領域は外側領域と同一平面ではないことにより、外側領域と、支持面と外側領域によって画定される公称面との間の距離とは異なる厚さを有する非標準基板との間のレベル遷移を改善する、基板テーブル。
2. 遷移領域は、支持エリアを囲む環状部を形成する、条項1に記載の基板テーブル。
3. 遷移領域は、支持エリアの周囲の1つ以上の個別の領域に沿って延在する、条項1に記載の基板テーブル。
4. 遷移領域の最も内側の縁部は、支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れている、条項1、2又は3に記載の基板テーブル。
5. 遷移領域の少なくとも一部は、公称面から10μmを超える距離、望ましくは20μmを超える距離にある、条項1~4のいずれか一項に記載の基板テーブル。
6. 遷移領域のいずれの部分も公称面から300μmより遠くなく、望ましくは150μmより遠くなく、さらに望ましくは50μmより遠くない、条項1~5のいずれか一項に記載の基板テーブル。
7. 遷移領域は、公称面に対して傾斜し、かつ外側領域に隣接する斜面領域を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の基板テーブル。
8. 遷移領域は、少なくとも1つの段差を含む、条項1~7のいずれか一項に記載の基板テーブル。
9. 遷移領域は、外側領域から上方に突出している、条項1~8のいずれか一項に記載の基板テーブル。
10. 遷移領域は、外側領域から下方に延在している、条項1~8のいずれか一項に記載の基板テーブル。
11. 遷移領域は、外側領域と実質的に同一平面の表面に付着したスティッカを含む、条項1~10のいずれか一項に記載の基板テーブル。
12. 遷移領域は、スティッカに付着したさらなるスティッカを含む、条項11に記載の基板テーブル。
13. 基板テーブルは、外側領域を画定する本体と、支持エリアを囲むカバーリングとを備え、スティッカ又はさらなるスティッカは、カバーリングと外側領域との間のギャップを埋める、条項11又は12に記載の基板テーブル。
14. スティッカ又はさらなるスティッカは、ポリマーで作られている、条項11~13のいずれか一項に記載の基板テーブル。
15. 基板テーブルは、外側領域を画定する本体と、支持エリアを囲むカバーリングとを備え、カバーリングは遷移領域を画定する、条項1~10のいずれか一項に記載の基板テーブル。
16. カバーリングは、上部リング部分と下部リング部分とを備え、上部リング部分は、遷移領域を画定し、かつ下部リング部分から分離可能である、条項15に記載の基板テーブル。
17. カバーリングは、下部リング部分と、遷移領域を画定する上部リング部分と、公称面に対する上部リング部分の位置を変更するように構成されたアクチュエータとを備える、条項15に記載の基板テーブル。
18. カバーリングに接続され、かつ遷移領域のプロファイルを選択的に変更するように構成されたアクチュエータをさらに備える、条項15に記載の基板テーブル。
19. アクチュエータは、カバーリングの形状を変更するように構成されている、条項18に記載の基板テーブル。
20. アクチュエータは、カバーリング全体の形状を変更するように構成されている、条項19に記載の基板テーブル。
21. アクチュエータは、カバーリングの形状を、遷移領域が平面に一致する第1の構成と遷移領域が部分的に円錐面である第2の構成との間で変更するように構成されている、条項20に記載の基板テーブル。
22. アクチュエータは、カバーリングの形状を局所的に変更するように構成されている、条項19に記載の基板テーブル。
23. アクチュエータは、カバーリングと基板テーブルの本体との間で作用するように構成されている、条項18~22のいずれか一項に記載の基板テーブル。
24. アクチュエータは、カバーリングに統合され、かつその2つの部分の間で作用する、条項18~22のいずれか一項に記載の基板テーブル。
25. アクチュエータは、カバーリングの一方の部分を他方の部分に対して回転させるように構成されている、条項24に記載の基板テーブル。
26. 条項1~25のいずれか一項に記載の基板テーブルと、
液浸液を空間に閉じ込めるように構成された液体閉じ込めシステムと、
液体閉じ込めシステムに対して基板テーブルを位置決めするように構成された位置決めシステムと、を備える液浸リソグラフィ装置。
27.位置決めシステムによる基板テーブルの動きに関連してアクチュエータを制御するコントローラをさらに備える、条項18~25のいずれか一項に依存する場合における、条項26に記載の液浸リソグラフィ装置。
28. 液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのスティッカであって、スティッカは、基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、基板のための支持面に対する上面の高さよりも大きい厚さを有する、スティッカ。
29. 液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのカバーリングであって、カバーリングは、基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、基板のための支持面に対する上面の高さとは異なる厚さを有する、カバーリング。
30. カバーリングは、上部リング部分と下部リング部分とを備え、上部リング部分は、遷移領域を画定し、かつ下部リング部分から分離可能である、条項29に記載のカバーリング。
31. カバーリングは、下部リング部分と、遷移領域を画定する上部リング部分と、公称面に対する上部リング部分の位置を変更するように構成されたアクチュエータとを備える、条項29に記載のカバーリング。
32. アクチュエータは、カバーリングの形状を、遷移領域が平面に一致する第1の構成と遷移領域が部分的な円錐面である第2の構成との間で変更するように構成されている、条項31に記載のカバーリング。
33. アクチュエータは、カバーリングの形状を局所的に変更するように構成されている、条項31に記載のカバーリング。
34. アクチュエータは、カバーリングの一方の部分を他方の部分に対して回転するように構成されている、条項31に記載のカバーリング。
35. 条項28又は29に記載の製品のデジタル表現と、付加製造デバイス又はレーザーアブレーションデバイスなどの除去製造デバイスなどといったコンピュータ支援製造機械を制御して、データがコンピュータ支援製造機械に中継されたときに製品のデジタル表現を使用して製品を作るように適合された操作命令と、の両方を定義するデータを格納するコンピュータ読み取り可能媒体。
36. 液浸リソグラフィ装置を操作する方法であって、方法は、
基板テーブルの上面に液浸液を提供することと、
上面から基板テーブルの支持エリアで支持された基板上に移動するように液浸液を制御することとを含み、
液浸液は、上面に沿って基板に向かって移動するときに遷移領域を横切って移動し、遷移領域は、基板テーブルの上面の外側領域と基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、基板は、支持エリアに対する上面の高さとは異なる厚さを有する、方法。
【0083】
[0099] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成される基板を支持するための支持面を画定する支持エリアと、前記支持エリアを囲む上面と、を有する、液浸リソグラフィ装置において使用するための基板テーブルであって、
前記上面は、実質的に平面である外側領域と、前記支持エリアに近接する遷移領域と、を備え、
前記遷移領域は、前記外側領域と実質的に同一平面の表面に付着したスティッカを有し、
前記遷移領域は、前記外側領域と同一平面ではないことにより、前記外側領域と、前記支持面と前記外側領域によって画定される公称面との間の距離とは異なる厚さを有する非標準基板と、の間のレベル遷移を改善する、基板テーブル。
【請求項2】
前記遷移領域は、前記支持エリアを囲む環状部を形成するか、又は、前記支持エリアの周囲の1つ以上の個別の領域に沿って延在する、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
前記遷移領域の最も内側の縁部は、前記支持エリアの外縁から3mm以下、望ましくは1mm以下だけ離れている、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項4】
前記遷移領域の少なくとも一部は、前記公称面から10μmを超える距離、望ましくは20μmを超える距離にあり、及び/又は、前記遷移領域のいずれの部分も前記公称面から300μmより遠くなく、望ましくは150μmより遠くなく、さらに望ましくは50μmより遠くなく、及び/又は、前記遷移領域は、前記公称面に対して傾斜し、かつ前記外側領域に隣接する斜面領域を含み、及び/又は、前記遷移領域は、少なくとも1つの段差を含み、及び/又は、前記遷移領域は、前記外側領域から上方に突出し、又は前記遷移領域は、前記外側領域から下方に延在
する、請求項1~3の何れか一項に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記遷移領域は、前記スティッカに付着したさらなるスティッカを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の基板テーブル。
【請求項6】
前記基板テーブルは、前記外側領域を画定する本体と、前記支持エリアを囲むカバーリングと、を備え、
前記スティッカ又は前記さらなるスティッカは、前記カバーリングと前記外側領域との間のギャップを埋め、及び/又は、
前記スティッカ又は前記さらなるスティッカは、ポリマーで作られている、請求項4に記載の基板テーブル。
【請求項7】
前記基板テーブルは、前記外側領域を画定する本体と、前記支持エリアを囲むカバーリングと、を備え、
前記カバーリングは、前記遷移領域を画定する、請求項1~3の何れか一項に記載の基板テーブル。
【請求項8】
前記カバーリングは、上部リング部分と下部リング部分とを備え、
前記上部リング部分は、前記遷移領域を画定し、かつ前記下部リング部分から分離可能であるか、又は、
前記カバーリングは、下部リング部分と、前記遷移領域を画定する上部リング部分と、前記公称面に対する上部リング部分の位置を変更するように構成されたアクチュエータと、を備えるか、若しくは、前記カバーリングに接続され、かつ前記遷移領域のプロファイルを選択的に変更するように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項7に記載の基板テーブル。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの形状を変更するように構成され、及び/又は、
前記アクチュエータは、前記カバーリング全体の形状を変更するように構成されるか又は前記カバーリングの形状を局所的に変更するように構成されている、請求項8に記載の基板テーブル。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの形状を、前記遷移領域が平面に一致する第1の構成と前記遷移領域が部分的に円錐面である第2の構成との間で変更するように構成されている、請求項9に記載の基板テーブル。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記カバーリングと前記基板テーブルの本体との間で作用するように構成されるか、又は、
前記アクチュエータは、前記カバーリングに統合され、かつその2つの部分の間で作用する、請求項8に記載の基板テーブル。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記カバーリングの一方の部分を他方の部分に対して回転させるように構成されている、請求項11に記載の基板テーブル。
【請求項13】
請求項1~3の何れか一項に記載の基板テーブルと、
液浸液を空間に閉じ込めるように構成された液体閉じ込めシステムと、
前記液体閉じ込めシステムに対して前記基板テーブルを位置決めするように構成された位置決めシステムと、
を備える、液浸リソグラフィ装置。
【請求項14】
液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのスティッカであって、
前記スティッカは、前記基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、
前記遷移領域は、前記基板テーブルの前記上面の外側領域と前記基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、
前記基板は、前記基板のための支持面に対する前記上面の高さよりも大きい厚さを有
し、それにより、前記基板の上面と前記遷移領域の最高点との間のレベル差が、前記基板の上面と前記基板テーブルの前記上面の前記外側領域によって画定される前記公称面との間のレベル差よりも小さい、スティッカ。
【請求項15】
液浸リソグラフィ装置の基板テーブルと使用するためのカバーリングであって、
前記カバーリングは、前記基板テーブルの上面の遷移領域を画定するための形状及び構成を有し、
前記遷移領域は、前記基板テーブルの前記上面の外側領域と前記基板テーブルによって保持された基板との間のレベル遷移を低減するのに有効であり、
前記基板は、前記基板のための支持面に対する前記上面の高さとは異なる厚さを有
し、それにより、前記基板の上面と前記遷移領域の最高点との間のレベル差が、前記基板の上面と前記基板テーブルの前記上面の前記外側領域によって画定される前記公称面との間のレベル差よりも小さい、カバーリング。
【国際調査報告】