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特表2025-502044SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ
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  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図1
  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図2
  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図3A
  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図3B
  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図3C
  • 特表-SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ 図3D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】SiO/SiN層交互エッチングプロセスのためのバイアス電圧調整アプローチ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540789
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022049011
(87)【国際公開番号】W WO2023132887
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】17/572,397
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カン, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ルエール, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】竹下 健二
(72)【発明者】
【氏名】チェ, サンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ, モンナン
(72)【発明者】
【氏名】ティン, ツィーハオ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004AA16
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB29
5F004BC03
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA06
5F004CB15
5F004DA00
5F004DA04
5F004DA11
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA20
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DA27
5F004DA28
5F004DA29
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA28
(57)【要約】
本開示の実施形態は、広くは、高選択性及び低エッチングレシピ遷移期間で膜スタックをエッチングするための方法に関する。一実施形態では、酸化物層と窒化物層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法が説明される。該方法は、膜スタックが形成された基板を処理チャンバの中に搬送すること、基板に第1のバイアス電圧を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供しながら、膜スタックの酸化物層をエッチングすること、基板に第1のバイアス電圧よりも大きい第2のバイアス電圧を提供すること、及び、基板に第2のバイアス電圧を提供しながら、膜スタックの窒化物層をエッチングすることを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物層と窒化物層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法であって、
膜スタックが形成された基板を処理チャンバの中に搬送すること、
前記基板に第1のバイアス電圧を提供すること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧を提供しながら、前記膜スタックの酸化物層をエッチングすること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧よりも大きい第2のバイアス電圧を提供すること、及び
前記基板に前記第2のバイアス電圧を提供しながら、前記膜スタックの窒化物層をエッチングすることを含む、方法。
【請求項2】
前記第2のバイアス電圧を提供することは、前記膜スタックの前記酸化物層をエッチングした後で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜スタックの前記酸化物層は、酸化ケイ素(SiO)であり、前記膜スタックの前記窒化物層は、窒化ケイ素(SiN)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のバイアス電圧は、約0kVから約3kVであり、前記第2のバイアス電圧は、約2kVから約8kVである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板にプロセスガス混合物を提供することを更に含み、前記プロセスガス混合物は、CNFM、CXHYFZ、及び酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素は、体積で前記プロセスガス混合物の約25%から約50%を占める、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスガス混合物の組成は、前記酸化物層のエッチング及び前記窒化物層のエッチング中に実質的に同じままである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記CNFMガスは、C2F4、C4F8、C3F6、及びC4F6から構成される群から選択され、前記CXHYFZガスは、CHF3、CH2F2、及びCH3Fから構成される群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化物層と前記窒化物層は、各々、約20nmから約30nmの厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸化物層と窒化物層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法であって、
膜スタックが形成された基板をプロセスチャンバの中に搬送すること、
前記基板に、CNFM、CXHYFZ、及び酸素を含む、プロセスガス混合物を提供すること、
前記基板に第1のバイアス電圧を提供すること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの第1の酸化物層をエッチングすること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧よりも大きい第2のバイアス電圧を提供すること、
前記基板に前記第2のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの窒化物層をエッチングすること、
前記基板に前記第2のバイアス電圧未満の第3のバイアス電圧を提供すること、並びに
前記基板に前記第3のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの第2の酸化物層をエッチングすることを含む、方法。
【請求項11】
前記膜スタックの前記酸化物層は、酸化ケイ素(SiO)であり、前記膜スタックの前記窒化物層は、窒化ケイ素(SiN)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のバイアス電圧は、約0kVから約3kVであり、前記第2のバイアス電圧は、約2kVから約8kVである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のバイアス電圧は、約0kVであり、前記第2のバイアス電圧は、約2kVである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化物層をエッチングすることは、約3.2以上の酸化物‐窒化ケイ素のエッチング選択性を実現する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記窒化物層をエッチングすることは、約1.4以上の窒化ケイ素‐酸化物のエッチング選択性を実現する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記CNFMガスは、C2F4、C4F8、C3F6、及びC4F6から構成される群から選択され、前記CXHYFZガスは、CHF3、CH2F2、及びCH3Fから構成される群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のバイアス電圧と前記第2のバイアス電圧は、アスペクト比が増加するにつれて大きくなる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
酸化物ケイ素層と窒化ケイ素層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法であって、
膜スタックが形成された基板をプロセスチャンバの中に搬送すること、
前記基板に、CNFM、CXHYFZ、及び酸素を含む、プロセスガス混合物を提供することであって、前記酸素は、体積で前記プロセスガス混合物の約25%から約50%を占める、プロセスガス混合物を提供すること、
前記基板に第1のバイアス電圧を提供すること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの第1の酸化ケイ素層をエッチングすること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧よりも大きい第2のバイアス電圧を提供すること、
前記基板に前記第2のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの窒化ケイ素層をエッチングすること、
前記基板に前記第1のバイアス電圧を提供すること、並びに
前記基板に前記第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、前記基板に前記プロセスガス混合物を提供しながら、前記膜スタックの第2の酸化ケイ素層をエッチングすることを含む、方法。
【請求項19】
前記第2のバイアス電圧を提供することは、前記膜スタックの前記第1の酸化ケイ素層をエッチングした後で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のバイアス電圧と前記第2のバイアス電圧は、アスペクト比が増加するにつれて大きくなる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広くは、高選択性及び低エッチングレシピ遷移期間で膜スタックをエッチングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超大規模集積(VLSI)及び極超大規模集積(ULSI)半導体デバイスの製造は、サブミクロン以下のフィーチャを確実に製造することを含む。しかし、回路技術の継続的な微細化に伴い、相互接続部などの回路フィーチャのサイズ及びピッチの寸法は、処理能力に対して更に多くを要求するものとなっている。デバイス及び相互接続の密度を更に高めるために、この技術の核心にあるマルチレベル相互接続は、ビアや他の相互接続構造などの高アスペクト比のフィーチャの精密な描画(imaging)及び配置を必要とする。加えて、レジストやハードマスク材料などの中間材料の無駄を削減しつつ、サブミクロンサイズのフィーチャや相互接続を形成することが求められている。
【0003】
フィーチャサイズが小型化するにつれて、アスペクト比(フィーチャの深さとフィーチャの幅との比率と規定される)の増大に対する要求も着実に増大しており、10:1、更にそれを超えるまでになっている。膜スタックとかかる高アスペクト比を有するフィーチャを確実に形成することが可能なエッチングプロセスとを実現させるには、重要な課題がある。リソグラフィ露光・現像プロセスの不正確な制御又は低解像度に起因して、膜スタックの中にフィーチャを転写するために利用される様々な層の限界寸法が悪化し、結果として、許容不能な線幅粗さ(LWR)が生じ得る。大きな線幅粗さ(LWR)及び望ましくないうねりプロファイルは、膜スタックへの不正確なフィーチャの転写をもたらし、したがって、最終的にデバイス故障及び歩留まり損失をもたらし得る。
【0004】
更に、多層膜スタックにフィーチャを転写するには、高エッチング選択性が必要とされる。これらの高エッチング選択性を得るために、異なるプロセスガス化学物質や異なるチャンバ圧力を含む、異なるエッチングレシピが、エッチングの幅広い調整を可能とするべく、各異なる材料層に利用されなければならない。例えば、交互酸化物‐窒化物膜スタックでは、層間の高エッチング選択性を実現するために、異なるプロセスガスが異なる圧力においてチャンバの中に流れる。しかし、全体的なスループットと効率は、窒化物層エッチングステップと酸化物層エッチングステップの間のプロセスガスレシピ変更(すなわち、流量、ガスの種類、圧力など)などの、エッチングレシピ変更に起因する長い遷移期間に依存する。したがって、層間でエッチングレシピを変更すると、プロセスチャンバ全体のスループットと効率が低下する。
【0005】
したがって、多層膜スタックをエッチングするための改良された方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、酸化物層と窒化物層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法が説明される。該方法は、膜スタックが形成された基板を処理チャンバの中に搬送すること、基板に第1のバイアス電圧を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供しながら、膜スタックの酸化物層をエッチングすること、基板に第1のバイアス電圧とは異なる第2のバイアス電圧を提供すること、及び、基板に第2のバイアス電圧を提供しながら、膜スタックの窒化物層をエッチングすることを含む。一実施例では、第2のバイアス電圧が、第1のバイアス電圧よりも大きい。
【0007】
別の一実施形態では、酸化物層と窒化物層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法が説明される。該方法は、膜スタックが形成された基板をプロセスチャンバの中に搬送すること、基板に、CNFM、CXHYFZ、及び酸素含有ガスを含む、プロセスガス混合物を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの第1の酸化物層をエッチングすること、基板に第1のバイアス電圧とは異なる第2のバイアス電圧を提供すること、基板に第2のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの窒化物層をエッチングすること、基板に第2のバイアス電圧未満の第3のバイアス電圧を提供すること、並びに、基板に第3のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの第2の酸化物層をエッチングすることを含む。一実施例では、第2のバイアス電圧が、第1のバイアス電圧よりも大きい。
【0008】
更に別の一実施形態では、酸化ケイ素層と窒化ケイ素層の積層対を有する膜スタックをエッチングするための方法が提供される。該方法は、膜スタックが形成された基板をプロセスチャンバの中に搬送すること、基板に、CNFM、CXHYFZ、及び酸素含有ガスを含む、プロセスガス混合物を提供することであって、酸素含有ガスは、体積でプロセスガス混合物の約25%から約50%を占める、プロセスガス混合物を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供すること、基板に第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの第1の酸化ケイ素層をエッチングすること、基板に第1のバイアス電圧とは異なる第2のバイアス電圧を提供すること、基板に第2のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの窒化ケイ素層をエッチングすること、基板に第1のバイアス電圧を提供すること、並びに、基板に第1のバイアス電圧を提供しながら、及び、基板にプロセスガス混合物を提供しながら、膜スタックの第2の酸化ケイ素層をエッチングすることを含む。一実施例では、第2のバイアス電圧が、第1のバイアス電圧よりも大きい。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明は、実施態様を参照することによって得ることができ、そのいくつかは添付の図面に示されている。しかし、付随する図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容しうることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1以上の実施態様による基板に配置された膜スタックをエッチングするのに適したプラズマ処理チャンバの一実施例の簡略化された切断概略図を示す。
図2】本開示の1以上の実施形態による図3A図3Dで示されているものなどの、膜スタックに対してエッチングプロセスを実行するための方法のフロー図を示す。
図3A図3A図3Dは、図2の方法による膜スタック300に対する高選択性エッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3B図3A図3Dは、図2の方法による膜スタック300に対する高選択性エッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3C図3A図3Dは、図2の方法による膜スタック300に対する高選択性エッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3D図3A図3Dは、図2の方法による膜スタック300に対する高選択性エッチングプロセスの様々な段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば同一の参照番号を使用して示してある。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも他の実施形態に有益に組み込まれ得ると、想定される。
【0012】
以下の開示は、高選択性膜スタックエッチングを説明する。本開示の様々な実施態様の十分な理解を提供するために、特定の詳細が、以下の説明及び図1図4で説明される。様々な実施態様の説明を不必要に不明確化するのを避けるため、高選択性膜スタックエッチングにしばしば関連付けられるよく知られた構造を説明する他の詳細は、以下の開示では説明されない。加えて、本明細書で説明される装置の説明は例示的なものであり、本明細書で説明される複数の実施態様の範囲を制限するものとして理解又は解釈するべきではない。
【0013】
図面で示される詳細、工程、寸法、角度、及びその他のフィーチャの多くは、特定の複数の実施態様の単なる例示に過ぎない。したがって、他の複数の実施態様は、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及びフィーチャを有することが可能である。更に、本開示の更なる複数の実施態様は、以下で説明される詳細のうちの幾つかがなくても実施可能である。
【0014】
本開示の複数の実施形態は、広くは、高エッチング選択性と、膜スタックの異なる層をエッチングする間で切り替わるときの低遷移期間と、で膜スタックをエッチングするための方法に関する。多層膜スタックの従来のエッチング中、スタックを構成する異なる種類の材料の間で高エッチング選択性を得るために、各異なる種類の材料層をエッチングするのに異なるエッチングレシピが必要とされている。しかし、エッチングレシピ条件を変更する又は変えるための遷移期間は、効率と全体的なスループットを低下させる。本開示の複数の実施形態によれば、多材料膜スタックをエッチングするための多層エッチングレシピが開示される。多層膜エッチングレシピは、多層膜スタック内の異なる材料のエッチングの間で遷移するために従来必要とされた期間を実質的に低減させながら、多層膜スタックの異なる材料を選択的にエッチングするために、プロセスガス混合物、流量、又は圧力を実質的に変更することなしに、異なるバイアス電圧を利用して、多層膜スタックを構成する異なる材料をエッチングする。バイアス電圧を変更することは、従来のエッチングプロセス中に各異なる層に対して圧力又はプロセスガス流量/化学物質を変更することに比べて消費される時間が少ないので、異なる材料をエッチングする間の遷移時間は、劇的に短縮され、その結果、全体的な効率とスループットが向上させる。
【0015】
本明細書で説明される複数の実施態様が実施され得る特定の装置は、限定されるものではないが、複数の実施態様は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSYM3(登録商標)及び/又はSYM3D(登録商標)エッチングシステム内で実施されるものとして説明される。代替的に、本明細書で説明される複数の実施態様は、他の製造業者からのものを含む他の適切な装置内で実施されてよい。
【0016】
図1は、基板102に配置された膜スタックをエッチングするのに適したプラズマ処理チャンバ100の一実施例の簡略化された切断概略図である。プラズマ処理チャンバ100は、内部に画定された処理空間101を有するチャンバ本体105を含む。チャンバ本体105は、側壁112及び下部118を有し、これらは電気的に接地126されている。チャンバ本体105とプラズマ処理チャンバ100の関連する構成要素との寸法は、限定的なものではなく、内部で処理される基板102のサイズに比例してより大きくなり得る。基板サイズの例としては、とりわけ、直径200mm、直径250mm、直径300mm、及び直径450mmが挙げられる。
【0017】
チャンバ本体105は、処理空間101を閉じるように、チャンバリッドアセンブリ110を支持する。基板アクセスポート113が、チャンバ本体105の側壁112を貫通して形成され、プラズマ処理チャンバ100内外への基板102の搬送を容易にする。ポンピングポート145が、チャンバ本体105を貫通して画定され、処理空間101に接続されている。スロットルバルブ147を利用して、ポンピングポート145を通して処理空間101から出るガスの流れを制御することができる。図1で示されているように、ポンピングポート145は、処理中に基板103を支持する基板支持ペデスタル135の下方のチャンバ下部118内に配置されている。ガスパネル160が、プロセスガスを処理空間101の中に供給するために、ガスライン167によってチャンバ本体105に結合されている。ガスパネル160は、1以上のプロセスガス源161、162、163、164を含み、不活性ガス、非反応性ガス、及び反応性ガスを更に含み得る。ガスパネル160によって提供され得るプロセスガスの複数の例には、非限定的に、C2F4、C4F8、C3F6、C4F6を含む、CMFN含有ガス、CHF3、CH2F2、CH3Fを含む、CXHYFZ含有ガス、O2、H2O、H2O2、O3、N2O、NO2を含む、酸素含有ガス、及びH2などの水素含有ガスが含まれる。更に、プロセスガスは、Cl2、HCl、HF、F2、Br2、HCl、HBr、SF6、NF3を含む、ハロゲン含有ガス、窒素(N2)、硫化カルボニル(COS)、及び二酸化硫黄(SO2)を含む、不動態化ガス、並びに、アルゴンやヘリウムを含む、不活性ガスを含み得る。幾つかの実施形態では、プロセスガスが、窒素、塩素、フッ素、酸素、及び水素含有ガス(例えば、とりわけ、BCl3、NF3、NH3、CO2、SO2、CO、N2,、NO2、N2O、及びH2)を含み得る。
【0018】
バルブ166が、ガスパネル160からの供給源161、162、163、164からのプロセスガスの流れを制御し、コントローラ165によって管理される。ガスパネル160からチャンバ本体105に供給されるガスの流れは、ガスの組み合わせ(すなわち、プロセスガス混合物又はプロセスガス)を含み得る。チャンバリッドアセンブリ110は、ノズル114を含み得る。ノズル114は、ガスパネル160の供給源161、162、164、163からのプロセスガスを、処理空間101の中に導入するための1以上のポートを有する。プロセスガスがプラズマ処理チャンバ100の中に導入された後で、ガスにエネルギーが供給されて、プラズマを生成する。1以上のインダクタコイルなどのアンテナ148が、プラズマ処理チャンバ100に隣接して、例えばリッドアセンブリ110の上方に設けられ得る。ソース電源142が、整合回路141を介してアンテナ148にソース電力を提供して、RFエネルギーなどのエネルギーを処理空間101内に配置されたプロセスガスに誘導結合し、プロセスガスから生成されたプラズマを維持する。ソース電源142に代えて又は加えて、基板102の下方及び/又は基板102の上方のプロセス電極を使用して、RFソース電力をプロセスガスに容量結合し、処理空間101内のプラズマを維持することができる。ソース電源142の動作は、システムコントローラ165によって制御される。システムコントローラ165はまた、プラズマ処理チャンバ100内の他の構成要素の動作も制御する。
【0019】
短く上述されたように、基板支持ペデスタル135が、処理空間101内に配置されて、処理中に基板102を支持する。図1で示されているように、基板支持ペデスタル135は、処理チャンバ100の側壁112から支持されている。基板支持ペデスタル135は、処理中に基板102を保持するための静電チャック(ESC)122を含み得る。ESCチャック122は、基板102を基板支持ペデスタル135に対して保持するために、静電引力を使用する。ESC122は、整合回路124と一体化したRF電源125によって給電される。ESC122は、ESC122の保守寿命を延ばすため、ESC122の側壁がプラズマに引き寄せられにくくするための絶縁部128を有する。加えて、基板支持ペデスタル135は、プラズマガスから基板支持ペデスタル135の側壁を保護し、プラズマ処理チャンバ100の保守間隔を延ばすカソードライナ136を有し得る。
【0020】
基板支持ペデスタル135又はESC122は、誘電体内に埋め込まれた電極121を含む。基板102にバイアス電圧を提供するために、バイアス電源150が電極121に結合される。バイアス電圧は、処理空間101内のプロセスガスから生成されたプラズマ内に存在するイオンを引き付け、ESC122上に配置された基板102を異方性エッチングする。バイアス電源150は、基板102の処理中に、定常状態のバイアス電圧を提供したり、バイアス電圧をオンとオフに繰り返したり、又はバイアス電圧をパルス化したりすることができる。バイアス電源150は、約0kVから約8kV、例えば約2kVから約8kV、又は約0kVから約3kVのバイアス電圧を提供し得る。
【0021】
カバーリング130が、基板支持ペデスタル135の周縁に沿って、ESC122上に配置されている。カバーリング130は、処理中に処理チャンバ100のプラズマの内側のプラズマ環境から基板支持ペデスタル135の上面を保護するように構成されている。
【0022】
システムコントローラ165を利用して、プロセスシーケンスを制御することができ、ガスパネル160からプラズマ処理チャンバ100の中へのガス流を調節し、バイアス電源150からのバイアス電圧、及び他のプロセスパラメータを調節する。システムコントローラ165は、CPUなどのプロセッサ、及びメモリストレージを更に含む。幾つかの実施形態では、メモリストレージが、本明細書で説明される方法を記憶してよく、プロセッサは、本明細書で説明される方法を実行してよい。ソフトウェアルーチンは、CPUによって実行されると、CPUをプラズマ処理チャンバ100を制御する特定目的のコンピュータ(コントローラ)に変換し、それによって、本明細書で説明されるようなエッチングプロセスが、本開示に従って実行される。ソフトウェアルーチンはまた、プラズマ処理チャンバ100と共に配置される第2のコントローラ(図示せず)によって記憶及び/又は実行されてもよい。
【0023】
図2は、本開示の複数の実施形態による図3A図3Dで示されているものなどの、膜スタックに対してエッチングプロセスを実行するための方法200のフロー図である。方法200は、システムコントローラ165のメモリ内のソフトウェアルーチンとして記憶され得るか、又はさもなければシステムコントローラ165によってアクセスされ得る。それによって、システムコントローラ165は、ソフトウェアルーチンを実行すると、プラズマ処理チャンバ100に方法を実行させる。図3A図3Dは、方法200による膜スタック300に対する高選択性エッチングプロセスの様々な段階を示す。幾つかの実施例では、膜スタック300が、交互の酸化物層‐窒化物層を有する。それらは、例えば、酸化物層‐窒化物層の128対を超えることもある。方法200は、工程210において開始し、上述された処理チャンバ100などのエッチング処理システムの中に基板102を搬送することによって開始する。基板102は、膜スタック300とエッチングマスク360を含む。エッチングマスク360は、膜スタック300の上に配置されて、エッチングマスク360を通して形成された膜スタック300の露出された開口部362の部分のエッチングを容易にする。エッチングマスク360は、フォトレジスト層、ハードマスク層、フォトレジスト層とハードマスク層の組み合わせ、又はエッチングによるパターン転写のために膜スタック300をマスクするのに適した他の層又は複数の層であってよい。
【0024】
膜スタック300は、交互層の積層対を含む。図3Aで示されているように、交互層の各対は、酸化物層304と窒化物層306を含む。便宜上、交互層304と306の合計2対のみが、図3で示されている。幾つかの実施形態では、5対以上の交互層304と306が、膜スタック300内に含まれる。例えば、約4対以上の交互層、例えば約16対以上の交互層、例えば約32対以上、約64対以上、約128対以上、又は約256対以上の交互層が、膜スタック300内に存在してよい。
【0025】
各層304と306は、約10ナノメートル(nm)から約40nmの厚さ、例えば約20nmから約30nmの厚さであってよい。一対の交互層304及び306の合計厚さは、約40nmから約16マイクロメートル(μm)であってよい。交互対の幾つかの実施形態では、窒化物層306が、酸化物層304の上方にあり得る。交互対の他の複数の実施形態では、酸化物層304が、窒化物層306の上方にあり得る。一実施例では、酸化物層304が酸化ケイ素であり、窒化物層306が窒化ケイ素である。
【0026】
工程220において、プロセスガス混合物が、実質的に一定のチャンバ圧力及びソース電力にある処理チャンバ100の中に流れる。本明細書で使用されるときに、「実質的に一定」及び「実質的に同じ」は、比較される値の約±5%以内を意味する。幾つかの実施形態では、処理チャンバ100の圧力が、約10mTorrから約40mTorr、例えば、約15mTorrから約35mTorr、又は約20mTorrから30mTorrである。幾つかの実施形態では、ソース電源142からのソース電力が、約500ワット(W)から約3000W、例えば、約1000Wから約2500W、又は約1500Wから約2000Wであってよい。ソース電力は、膜スタック300の選択的なエッチングを支援するために、方法200中に調節されてよいことが考慮される。
【0027】
幾つかの実施例では、プロセスガス混合物が、異なるバイアス電圧において選択された化学種の解離エネルギーに基づいて選ばれ得る。異なるバイアス電圧において特定の解離エネルギーを有するガスが、印加されるバイアス電圧に応じて2つ以上の材料をエッチングするのに有用であり得る。幾つかの実施例では、プロセスガス混合物が、炭素及びフッ素を含むプロセスガスを含み、炭素、水素、及びフッ素を含むプロセスガスと、酸素を含むプロセスガスと組み合わせて使用される。例えば、プロセスガスCMFY及びプロセスガスCXHYFZを含む第1のガス混合物は、体積で約10%から約50%、例えば約10%から約40%、例えば約10%から約30%、例えば20%から約30%のCMFYを含んでよい。幾つかの実施例では、CMFY及びCXHYFZを含むプロセスガス混合物がまた、酸素も含む。例えば、CMFY、CXHYFZ、及び酸素のプロセスガス混合物は、体積で約10%から約60%の酸素、例えば約25%から約50%の酸素、例えば約30%から約45%の酸素、例えば約35%から約40%の酸素を含んでよい。プロセスガス混合物内に提供される酸素の量は、エッチングプロセスのパターン及び用途に応じる。ソース電力は、プロセスガス混合物をプラズマへとエネルギー供給する。本明細書で使用されるときに、「酸素」は、本明細書で開示される任意の酸素含有ガスを指すために使用され得る。
【0028】
工程230において、バイアス電源150は、第1のバイアス電圧を電極121に提供する。電極121は、処理空間101内のプロセスガスによって生成されたプラズマ内のイオンを、ESC122上に配置された基板102に引き付ける。幾つかの実施形態では、第1のバイアス電力が、約0キロボルト(kV)から約3kV、例えば約1kVから約2kVである。工程240において、図3Bで示されているように、複数のフィーチャ308を生成し、窒化物層306の表面310を露出させるために、工程230からの第1のバイアスを基板102に提供しながら、及び、工程220からのプロセスガスを提供しながら、酸化物層304は、エッチングマスク360内に形成された開口部362を通してエッチングされる。幾つかの実施形態では、第1のバイアス電圧が、約2以上、例えば約3以上、例えば約3.2以上の酸化物‐窒化ケイ素の選択性を実現する。工程240は、層304をエッチングするための終点が到達されるまで実行される。
終点は、時限エッチング、発光分光法(OES)、レーザー干渉法などの任意の適切なやり方で特定され得る。
【0029】
終点が検出された後の工程250において、バイアス電源150が、電極121に第2のバイアス電圧を提供する。第2のバイアス電圧は、第1のバイアス電圧とは異なる。一実施例では、第2のバイアス電圧が、第1のバイアス電圧よりも大きい。エッチングされる材料層がより高い結合エネルギーを有する場合、第2のバイアス電圧はより高くなり得る。幾つかの実施形態では、第2のバイアス電圧が、約2kVから約8kV、例えば約3kVから約7kV、例えば約4kVから約6kV、例えば約5kVである。工程260において、図3Cで示されているように、酸化物層304の表面312を露出させるために、工程250からの第2のバイアスを基板102に提供しながら、及び、工程220からのプロセスガスを提供しながら、窒化物層306の露出された表面310は、エッチングマスク360内に形成された開口部362を通してエッチングされる。幾つかの実施形態では、第2のバイアス電圧が、約1以上、例えば約1.2以上、例えば約1.4以上の窒化ケイ素‐酸化物のエッチング選択性を実現する。幾つかの実施形態では、第1又は第2のバイアス電圧が絶対0である。他の複数の実施形態では、第1又は第2のバイアス電圧が、より高い電圧に対して相対的に0に近い。例えば、1kV未満の第1のバイアス電圧は、約2kV又は約4kVの第2のバイアス電圧に比べて0とみなすことができる。
【0030】
任意選択的な工程270において、工程230から260は繰り返され、図3Dで示されているように、基板102の表面314が露出されるまで、酸化物層304と窒化物層306は、それぞれ、第1のバイアス電圧と第2のバイアス電圧でエッチングされる。代替的に、工程230から260は、一定回数だけ繰り返され得る。
【0031】
窒化物‐酸化物膜は、本明細書で説明されるものと同様な方法でエッチングされてよく、その場合、第2のバイアス電圧は第1のバイアス電圧未満であり得ることが想定される。
【0032】
本開示の複数の実施形態によれば、短縮されたエッチングレシピ遷移期間で多層膜スタックを選択的にエッチングするために、多層膜スタックが上に配置された基板へのバイアス電圧における変化と組み合わせて、ユニバーサルエッチングレシピが利用されてよい。バイアス電圧を変更することは、エッチング中に圧力又はプロセスガス流/化学物質を変更するよりも時間がかからないので、エッチングステップの間で必要とされるエッチングレシピの遷移期間が短く、チャンバの全体効率及びスループットが向上し得る。本明細書で示されているように、エッチングレシピ遷移期間は、50%だけ短縮され得る。これは、結果として、全体的なスループットを100%向上させる。
【0033】
以上の記述は本開示の実装形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実装形態及びさらなる実装形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって定められる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
【国際調査報告】